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がらくたのアクアリウム

#アポカリプスヘル #お祭り2022 #夏休み

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 黒い嵐が吹き荒れてから、その工場は誰もいない場所になった。
 忙しなく動いていた機械達は沈黙し、放置された物品はただひたすら佇んでいる。
 ここはもう、がらくたまみれの死んだ場所。
 けれどある時期を境に、死んだはずの工場に新たな客が立ち入るようになっていた。
 それは青い海と――その中で暮らす生き物達だ。

 気づけば工場の一部は海に沈み、流れ込んできた生き物達が新しい暮らしを始めていた。
 機械の合間に海藻達が茂り、そこを拠点に小さな魚達が棲家を作る。
 そんな彼らに惹かれるように、大きな魚達も迷い込む。
 更にはもっと大きな生き物や、珍しい生き物も。
 そんな彼らをひび割れた窓からの光が照らし、きらきらと瞬いて。
 がらくたまみれの工場は、いつの間にか立派なアクアリウムへと変わっていた。

 そして今日、がらくたのアクアリウムは新たな役割を持つことになる。
 これから足を踏み入れる、未来に進む者達によって。


「皆さんお疲れ様です。今日はアポカリプスヘルでちょっとした人助けとか、水遊びとか……いかがでしょうか」
 猟兵達の姿を確認し、サイモン・マーチバンク(三月ウサギは月を打つ・f36286)は言葉を紡ぎ出す。
「とある大きな拠点から、若者達が周辺地域の開拓に出るようでして。今回の目的地は海に面した工場跡地で、危険な要素はありません。そんな場所へと調査に出る開拓団に同行してもらえると嬉しいな、って話です」
 説明を続けつつ、サイモンはグリモアを手に取る。そこから映し出されるのは、目的地である工場跡地だ。

 工場は2階建てでかなり大きく、建物も大きく破損していない。しかし1階部分は半分海に沈んでおり、不思議な光景を繰り広げていた。
 放置されている装置や機械は完全に動きを止めており、足場として活用することが出来るだろう。
 そこから水面を覗けば――見えるのは美しい世界。
 海から迷い込んだ生き物達が、この工場を棲家にして暮らしているのだ。
 小さな魚は群れを作って泳ぎ回り、時折大きな魚の姿も見られる。
 タコやイカのような生き物ものんびり生活しつつ、その合間で海藻がゆらゆらと揺れて。
 時にはイルカのような珍しい生物も迷い込むことがあるそうだ。

「……見ての通りの状況ですので、私服で入ると濡れちゃいますね。せっかくの機会ですから、水着を着ていくのはどうでしょうか。水着の方が1階部分の調査とか、しやすいでしょうし」
 開拓団の若者達も水に濡れてもいい準備はしているようだが、彼らはあくまでただの人間。
 彼らよりは身体能力に優れた猟兵が、動きやすい水着で行動する方が効率的だろう。
「工場近辺の海は汚染もされていませんし、暮らしている生き物も安全なものが多いです。食べられる生き物を釣ったり捕まえて食料にしてもいいですし、海の中で遊んでこの辺りの安全を証明しても喜ばれるかと」
 この荒廃した世界では、安全な食料や場所は貴重なものだ。
 工場跡地の安全性を証明出来れば、きっと開拓団も有効活用してくれるだろう。

「要は廃墟の中の海辺で、夏休みっぽいことをしませんか……という感じです。屋内ですけど、だからこそ見れる光景も面白いかと」
 がらくたとなった機械の合間で海の生き物がのびのび暮らす、そんな光景。
 アポカリプスヘルらしいある種の生命力を感じる状況は、なかなか興味深いかもしれない。
「人助け兼思い出作りということで。是非楽しんできて下さい」
 そう話を締めくくり、サイモンは転移ゲートを作り出していく。
 その先から伝わるのは――乾いた、けれど何処か潮の香りがする風だ。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 少し変わった水槽へ。

●プレイングボーナス
 水着の着用。

●『荒野開拓団』
 拠点からの開拓団に同行し、廃工場の探索をします。
 工場の1階部分は半分海になっており、この中では海の生き物達が暮らしています。
 猟兵達は水着を着込み、この海を調査したり安全性を証明していきましょう。

 工場に備え付けられていた機械類は足場になっていたり、海棲生物の棲家になったりしています。
 広がる海の中には茂る海藻、泳ぐ魚達、タコやイカといった食べられそうな生き物、時々迷い込むイルカのような珍しい生き物――意外と賑やかです。
 割れた窓から光が差し込んでいるため明るさも十分。ただ泳いでいるだけでも楽しいです。
 海で戯れるもよし、生き物達を食料にするもよし。
 とにかく楽しそうな光景を繰り広げれば、開拓団も安心するでしょう。

 また、お誘いがあればサイモン(f36286)も同行します。話相手が欲しい時などにどうぞ。


 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
 締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 日常 『荒野開拓団』

POW   :    力を活かし、土地を切り拓く。

SPD   :    使えそうな資材を調達してくる。

WIZ   :    あり合わせの材料で開拓団のご飯を用意する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達は現地の開拓団と合流し、共に廃工場へと足を踏み入れる。
 事前に知らされていた通り、1階部分は半分ほど海に沈んでいる。割れた窓から差し込む光がきらきらと水面を照らせば、その中で息づく魚達の姿が見えた。
 沈黙した機械の合間、輝く海と生き物達。ある意味幻想的な光景は、静かに猟兵達を出迎える。

「俺達は2階の調査を中心に行うよ」
「1階は猟兵さんに任せて大丈夫かな? よろしく頼むよ」
 開拓団の若者達はそれぞれの作業をするべく、目的地へ向かっていく。
 彼らや拠点の人々のためにも、1階に広がるアクアリウムの安全性を調べなければ。
 けれど気を張らなくても大丈夫。この海も生き物達も、きっと快く猟兵達を迎え入れてくれるはずだ。

 時に海と戯れ、時に生命を頂きつつ。
 ひと夏の不思議な体験を楽しんでいこう。
メゥ・ダイアー
え? このキラキラしてるお魚さんも食べれるの?
このこも? このこも? いっぱい捕ったらいなくなっちゃわない?
海ってすごいんだね……!

えーっとねえ、メゥは何ができるかな……
ちょっと待ってね、今練習中だから、うまくいくといいな!
【スターライト・エアリアル】でやわらかいお星さまを作るよ。
メゥも水着だけど、まだ泳ぐの慣れてないから星をギュってしてお水に入るの。みんなもお星さま使うといいと思う!

あとね、みんな疲れてるかもしれないから
休んだり、ごはん食べる時もお星さまに座ったらおしりが痛くないよ!
これでメゥも、少しはみんなのお手伝いできたかな?




 柔らかい日の光を浴びて、がらくたの水槽はきらきらと煌めく。
 その光は水中の魚達も照らし出して、幻想的な光景を生み出していた。
 そんな様子をじーっと覗き込むのは魂人の猟兵メゥ・ダイアー(|記憶喪失《わすれんぼ》・f37609)だ。
 今日用意したのは、白いドレスのような可愛らしい水着。外から吹く風に合わせて布がひらひら揺らめくのは、どこか楽しい。
「え? このキラキラしてるお魚さんも食べれるの?」
 思わず声をかけたのは通りすがりの開拓団員。彼らはにこやかに笑顔を浮かべ、メゥの言葉にしっかり頷く。
「うん。毒のない魚だし水も綺麗だから、大丈夫だ」
「このこも? このこも?」
 あっちの子は銀色が綺麗で、こっちの子はちょっと細長い。メゥが初めて見る魚達を指差せば、帰ってくるのは団員達の笑顔。
「いっぱい捕ったらいなくなっちゃわない?」
「ここは外の海と繋がってるから、その心配はいらないよ」
「わぁ、海ってすごいんだね……!」
 工場跡地だけでもたくさん魚はいるけれど、外に広がる海にもお魚さん達はいっぱい住んでて。
 広い広い世界が目の前に広がっているのを実感し、メゥの瞳は水面に負けないくらいにきらきら輝く。
 この楽しみを胸に、早速仕事に取り掛かろう。メゥは勢いよく立ち上がると、静かに意識を集中し始めた、

(えーっとねえ、メゥは何ができるかな……)
 目を閉じて、イメージするのはきらきらの世界。
 このユーベルコードは練習中だから上手く行くかは分からないけれど、成功すればきっと素敵な光景が生まれるはずだ。
 きらきらの魚達、笑顔の人々。その合間に浮かべるのに相応しいのは――。
「……えいっ!」
 メゥが両手を振り上げれば、降り注ぐのはふかふかのお星さま達。
 ゆっくり降り注ぐ星の一つを抱きかかえ、メゥは安堵の息を吐く。
「うまくできた! それじゃあこのまま……」
 ゆっくりゆっくり、メゥが足をつけるのは水の中。
 魚達の邪魔にならないように気をつけて、そのまま星と共にぷかぷか浮けば準備も万端。
 勇気を出して身体を前に進めれば、魚達も興味深そうにメゥを出迎えてくれていた。
「お、早速泳いでるのかい?」
 泳ぎの最中通りかかった開拓団員に、メゥが返すのは無邪気な笑顔だ。
「うん! あのお星さま、みんなも使ってね。こうやって泳ぐのにも使えるし、休んだり、ごはん食べる時もお星さまに座ったらおしりが痛くないよ!」
 メゥが降らせた星は工場内部を照らすように、床の上で柔らかく浮かび上がっている。
 団員達もその感触を確かめたり、早速椅子にして休憩したりしているようだ。
「ありがとう、猟兵さん。これで俺達も頑張れそうだ」
「うん、こちらこそ。一緒に頑張ろうね!」
 かけられた言葉が嬉しくて、メゥは星をぎゅっと抱きしめる。
 これでメゥも、少しはみんなのお手伝いできたかな。その答えは――周りの人々が浮かべる笑顔の瞬きが教えてくれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラブリー・ラビットクロー
サイモン
らぶ覚えてるぞ
セカイの為に一緒に戦う仲間なん!
それなららぶと一緒に海の冒険にいくぞ!
だいじょーぶ!らぶの舞台は荒野だけじゃないって見せたげるんだ

ホントは海の中なんて初めて
だってらぶの生まれた所に海なんてなかったから
でも今はそんなの怖くない
頼もしい仲間がいてくれるもんね

みてみて?
お魚たくさん泳いでるぞ
これはチャンスなん
らぶがマザーで沢山撮ってあげる
そしたら今度はサイモンがらぶを撮る番なんな
お魚と一緒にポーズも決めて
次は二人で写るのはどーお?

あーあ楽しかった
こんなに楽しいならもっと早く海に行ってればよかったな
今度よかったらサイモンのお話も沢山聞かせてほしーのん
えへへ
今日はありがとのん!




 とっておきの水着に着替えて、ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)は廃工場を元気に進む。
 彼女が向かっていたのは、釣りをしているサイモンの元。
「サイモン、元気してた? らぶ覚えてるぞ」
「どうも、ラブリーさん。勿論です、お久しぶりです」
 セカイを救うべく戦場で顔を合わせる同士、今日はゆるーくにこやかに。
「今日はらぶと一緒に海の冒険にいくぞ!」
「冒険、ですか?」
「だいじょーぶ、心配いらない! らぶの舞台は荒野だけじゃないって見せたげるんだ」
 それなら、と準備を整えラブリー達は海の中へ。
 ざぶんと元気に飛び込めば、見えてきたのはきらきらの世界だ。

 泳ぐ魚、揺れる海藻、真っ青な世界。
 本当はこの光景も、ラブリーにとっては初めて見るものだ。
 故郷の近くには海なんてなかったし、戦いも荒野の中が殆どで。
 初めての場所に踏み出すのは、やっぱり勇気が必要だ。
(……でも今はそんなの怖くない)
 ビッグマザーも、仲間の猟兵も、拠点で生きる人々も。皆が傍にいてくれるなら、初めての場所だってきっと楽しい!
 だからラブリーは、臆することなく海の世界を堪能していく。
 そんな彼女を出迎えるように現れたのは、色とりどりの魚の群れだ。
「みてみて? お魚たくさん泳いでるぞ」
「わ、本当だ」
「これはチャンスなん。マザー、起きて」
 すかさずラブリーが取り出したのは防水仕様のビッグマザー。流れるような動作でカメラアプリを起動すれば、水中だろうとばっちり撮影出来るはずだ。
「サイモン、かわりばんこに写真撮ってみない?」
「面白そうです。ではお言葉に甘えて」
 そのまま始まるのは、お魚と一緒の撮影会。
 最初はそれぞれポーズを決めて。何枚か素敵な写真が撮れれば――。
「次は二人で写るのはどーお?」
 お魚さん達に囲まれて、ばっちりピースサインを並べて。
 この荒野の世界でこんな写真が撮れるとは。嬉しい思い出も、ちゃんとマザーが保存してくれた。

 もう暫く泳いだら、工場に戻って休憩タイム。心地よい疲労感と共に、ラブリーが浮かべるのは穏やかな表情だ。
「あーあ、楽しかった。こんなに楽しいならもっと早く海に行ってればよかったな」
 セカイはまだまだ広くて、頑張ればもっと素敵な場所に手を伸ばせる。自分達で作り出すことも出来る。
 そんな予感が、確かに胸の中を過ぎった気がした。
「今日はお疲れ様です。俺も楽しかったです」
「次はのんびりお話するのもいいかもな。今度よかったらサイモンのお話も沢山聞かせてほしーのん」
「そうですね、またお話しましょう」
「えへへ、今日はありがとのん!」
 またしても、ゆるりとした空気と共に言葉を交わして。
 この荒野の世界だからこそ、挨拶は「また今度」。
 きらきらの思い出を胸に、まだまだ冒険は続くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
水練用白褌に下駄

但し風火輪で飛行(空中戦+空中機動)しているので床にも水にも接地しない
黄巾力士も飛来椅で飛行

「流石にここに居る程度の魚類では障りがありますが。鯨類なら仙骨を育て仙に至るものもあるかもしれません。…楽しみです」
嗤う

「人工漁礁というより生簀に近い状態のようですから。潮の入替えだけ可能にしてうまく入口を塞いでしまえば、養殖に近い事が出来るかもしれませんよ?」
「肉は小型鯨類から得れば良いでしょう?小型鯨類は生簀の天敵ですから、ここを養殖場にするつもりなら、近隣の小型鯨類を食い尽くしてしまうのも1つの策だと思います」

「資源に余裕がない時の中途半端な共存は、共倒れになりかねませんよ」
嗤う




 乾いた風を身体で受け止めながら、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)が向かうのは件の廃工場。
 彼の水練用白褌に下駄という出で立ちは水場に相応しいだろうが、一方で足に輝くのは風火輪。
 その力で自在に空を飛ぶ冬季は、自分から水の中に入るつもりはなさそうだ。
 そんな彼に追随するのは飛来椅で舞う黄巾力士。
 彼の姿を見れば、開拓団員達はどんな様子を見せるだろうか。それも興味深いけれど、冬季がより関心を抱いているのは別の事柄だ。
「流石にあの場所に居る程度の魚類では障りがありますが。鯨類なら仙骨を育て仙に至るものもあるかもしれません。……楽しみです」
 乾いた荒野の世界で生きる者だからこそ、未知の可能性を秘めている。
 それに魚達を育てるということは、開拓団にとっても望ましいことだろう。きっと彼らも話に乗ってくれるはずだ。
 くつくつと嗤いを零しつつ、胸には期待を。更に力強く前へと進み、いざ廃工場へ。

 黄巾力士と共に参上すれば、予想通り。開拓団員達は目を丸くしながら此方を出迎えてくれた。
「驚かせてしまいましたか。私は鳴上・冬季、皆さんを手伝いに来た猟兵です」
「っと、猟兵さんなら大丈夫だな。俺達は近くの拠点から来た者だ。よろしく頼む」
 互いに挨拶と自己紹介を済ませれば準備も万端。
 冬季は風火輪で浮遊しつつ、水辺の様子をざっと確認していく。
「ふむ。人工漁礁というより生簀に近い状態のようですから。潮の入替えだけ可能にしてうまく入口を塞いでしまえば、養殖に近い事が出来るかもしれませんよ?」
「養殖かぁ。確かにそういうスペースもあった方がいいかもなぁ」
 冬季の言葉に合わせ、団員達も水面を覗き込んでいる様子。
 前向きなのは嬉しいが、幾つかの懸念もあるようだ。
「でもどの程度の魚を捕まえておけばいいのか。魚を食べる生き物も出入りしているし……」
「むしろ好都合ですよ。肉は彼らから得ればいい」
 言葉を紡ぎつつ、黄巾力士を飛び込ませて。そのまま適当な鯨類を捕獲させ、差し出すのは団員の元だ。
「小型鯨類は生簀の天敵ですから、ここを養殖場にするつもりなら、近隣の小型鯨類を食い尽くしてしまうのも1つの策だと思います」
「ふむ……確かにこいつらを遠ざけたり減らしたりっていうのは考えないといけないかもなぁ」
 更に前向きに話を進める団員に、冬季が返すのはいつもの笑みだ。
「資源に余裕がない時の中途半端な共存は、共倒れになりかねませんよ。もし必要なら、私が手伝いましょうか」
 くつくつ嗤いを零しつつ、提案するのは最も強い望み。
「必要なら、私の方である程度の対処しておきましょうか。その代わり何体かは頂いても?」
「ありがとう、それでお願いしようかな。こっちは生簀の準備をしておくよ」
 これにて交渉は無事に成立。
 拠点の人々は食料を手に入れられるし、冬季は面白い鯨類を手に入れられる。
 荒廃した世界だからこそ、交渉だって強かに。けれど誰もが笑って終わるなら、それに越したことはないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
※今年の水着着用

安全を伝えるためのお役にも立てるなら、遊ぶしかないよね
広い海を自由に泳ぐのは勿論だけど
廃工場の中を魚達と泳ぐっていうのも趣があっていいよね
うっかり迷子になったりだけ気を付けないと

一応風魔法で呼吸だけ確保して
機械に住んでる魚達を驚かせないように慎重に泳ぎながら調査

ふふ、こんにちはお魚さん達
ちょっとだけお邪魔してるよ
ここなら隠れ場所もいっぱいだし
魚達からしたら確かに過ごしやすい場所だろうね

魚の言葉はわからないけど
音波を使えば交流できるかな
念のため一時的に【指定UC】で人魚姿に変身
穏やかで、前向きな気持ちになるような【歌唱】を
海中音波として魚達に届けるよ

よかったら少し一緒に泳ぐ?




 ウェディングドレスのような水着を揺らしつつ、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)も廃工場へと足を踏み入れる。
 建物自体は少しずつ荒廃しているが、それでも目の前に広がる水槽は美しく興味深いものだ。
 ここで遊ぶことが出来るなら、開拓団の人々も安心出来る。双方得をするならば、楽しむしかない!
「広い海を自由に泳ぐのは勿論だけど、廃工場の中を魚達と泳ぐっていうのも趣があっていいよね」
 にこにこ笑顔で水面を覗き込めば、中では魚達がぷかぷかと泳いでいる。
 水槽は思っていたより広そうだ。迷子にならないようにだけ気をつけて、楽しく遊ぼう。
 澪は風の魔法で身を包み込みながら、ゆっくりと海の中へと足を踏み入れる。
 そして目に飛び込むのは――荒廃した世界の中で広がる、生命溢れる水槽の景色。

(驚かせてないかな、大丈夫……?)
 ここは海の生き物の棲家。彼らの暮らしを脅かさないように気をつけつつ、澪は水槽の中を進んでいく。
 大きな装置の隙間からは水藻がゆらゆらと揺れ、その合間からは小さな魚達が見え隠れ。
 時折大きな魚も通りかかるけれど、彼らは澪を一瞥してそのまま通り過ぎていく。
 澪も彼らに笑顔を向けつつ、近寄るのは小魚の群れだ。
(ふふ、こんにちはお魚さん達。ちょっとだけお邪魔してるよ)
 小魚達は澪の笑顔にじーっと視線を返している様子。警戒されているのだろうか、それとも興味を持たれているのだろうか。
 打ち捨てられた人工物と生き生きとした魚達が暮らす世界は、なんとも不思議で。
 けれど隠れる場所の多いこの水藻は、生き物達にとっても過ごしやすい場所なのだろう。
 せっかくだから、彼らとなにかできないだろうか。そう考えた澪は、水の精霊を呼びかけた。
(お願い、力を貸して!)
 呼びかけに応じて澪に魔法が施されれば、彼の姿は人魚へと早変わり。
 そのまま歌声を紡げば――魚達は隠れるのを止めて、此方の方へと寄ってきたようだ。
 歌声に乗せていたのは、穏やかで前向きな気持ち。向こうの言葉は分からないけれど、自分の気持ちが伝わっているのは確かなようだ。

「よかったら少し一緒に泳ぐ?」
 今度は歌声に、お誘いを乗せて。澪が前へと泳ぎだせば、魚達もついてきた。
 大きな機械の合間を、蛸達が通り過ぎる傍を、或いはただ日の当たる場所を。
 一緒にいろんな場所を泳ぎ回れば、水面に見えたのは開拓団達の笑顔。
 そんな彼らへ向けて澪が手を振れば、向こうも手を振り替えしている様子。
 これで彼らにも、この水藻の安全性は伝わっただろう。
「……でもせっかくだから、もう一周しちゃおうか」
 まだまだ歌を奏でながら、もっともっと楽しく。
 澪の声と魚達の泳ぐ音は、楽しく工場の中に響いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
どれだけ世界が荒廃しても、なんだかんだ生き物はいるものだね。
それじゃあ水着を着て、少し泳いでみようか。

まずは水面近くを泳いで工場内を軽く見て回ろうか。
日向と日陰がくっきりと分かれてて綺麗だねえ。
その後は魚たちを驚かせないようゆっくりと水中を泳いで回って、
魚たちの様子でも眺めてようか。

しばらく泳いで安全の確認をしたら、少し食料も確保しようか。
魚を追いかけて捕まえてもいいけど、今日は猟の気分じゃないなあ。
水底の海藻や、見つけたら貝類でも採ってこようか。

ある程度採ったら日当たりのいい足場に上がって、
泳いで冷えた体を日向ぼっこで温めようか。

あー、今日はいい天気だねえ。




 涼し気な空色の水着を着込み、身体には同じ色合いの魚達の特徴を。
 海を楽しむ装いに身を包みつつ、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は水藻の中を悠々と泳いでいた。
「どれだけ世界が荒廃しても、なんだかんだ生き物はいるものだね」
 水面の近くでも、数匹の魚達が泳ぎ回っている様子。彼らに緩く笑顔を向けつつ、まずは水中散歩を楽しもうか。
 上を見上げれば差し込む陽光がきらきら瞬いて、それを大きな機械が遮っていても嫌な感じはしなかった。
 日向と日陰がくっきりと分かれた光景は綺麗だし、海の生き物達だって色んな場所で過ごしたいだろうから。
 だからその中を泳ぐペトニアロトゥシカの進みはゆっくり穏やか。
 揺れる水藻、のんびり暗がりに身を潜める蛸達、元気に泳ぎ回る小魚の群れ。
 それらをしっかりと瞳に映して、ペトニアロトゥシカはまだまだ進む。

 暫く泳ぎ回っていれば、水槽内部の安全性は十分に理解出来た。
 時折大きな生き物がやってきたりはするが、それは大海原と同じこと。
 危険な生物や地帯がないのが確認出来れば十分だろう。
「……それじゃあ、少し食料も確保しようか」
 身体にぐっと力を入れて、ペトニアロトゥシカが見るのは周囲の様子。
 一番手っ取り早いのは、魚の群れを追いかけて彼らを捕まえることだろう。けれど今日は猟の気分じゃない。
 それなら――。
「……っと」
 力強く水を蹴り、目指すのは水の底。
「あったあった。あれは大丈夫、あれも上手く調理すれば食べられるやつだねぇ」
 そこでゆらゆら揺れる海藻やのんびり暮らす貝類を見つければ、それらをぎゅっと捕まえて。
 今までの経験から食べられそうなものは見分けがつく。ペトニアロトゥシカは器用に食料を確保すると、再び水の上へと向かっていく。

 両手に成果を抱えつつ、ペトニアロトゥシカは適当な床へと上がり込む。
 広さは十分、日当たりも良好。ここなら休憩にもうってつけだろう。
「やっぱり水底は冷えたなぁ……しっかり休憩していかないと」
 こういう時は無理せず出来る範囲で活動するのが一番だ。
 それが最も成果をあげる手段だと、ペトニアロトゥシカはよく知っていた。
 上を見上げれば、窓から差し込む日光と広がる空が心地よい。
 周囲を見れば、きらきらの水面や行き交う人々の笑顔が眩しい。
 荒廃した世界の中でも、こんな穏やかな光景が広がっているのだと――楽しく休憩するのだって、よく行きて動くためのコツだ。
「あー、今日はいい天気だねえ」
 穏やかな物音に身を委ねつつ、ペトニアロトゥシカは目を細める。
 今日は素敵な水泳日和。身体が暖まったら、まだ水槽の中を泳ごうか。
 そんなことを思いながら、ペトニアロトゥシカの日向ぼっこは続いていくのだった。


 猟兵達のおかげで、がらくたの水槽は皆のための水槽になった。
 止まっていた時は進み、人々の営みは続いていく。
 その横には――きっと多くの人の笑顔が連なっているはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年07月28日


挿絵イラスト