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恩讐分かつ輝きは、エースの名前

#クロムキャバリア #地下帝国 #ACE戦記 #フルーⅦ #バンブーク第二帝国

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●嘗て
『アハト・スカルモルド』は諦めていた。
『憂国学徒兵』の最初の9人に出会うまでは。生きることを諦めていた。戦って死ぬか、戦わずして死ぬか。
 そのどちらかであると思っていた。
 自分に相応しい生き死にがあるとは思えなかった。
 だから、彼は嘆くでもなく悲しむでもなく、己の得た病が『今』では治療方法が見つからぬことを受け入れた。
「でも、いつかきっとわかるはずなの。私は、そうだと信じたい……」
『ヌル・ラーズグリーズ』が現状どうしようもないことに歯噛みしながらも、血を吐くような思いで言葉を紡いでいることを知っている。
「決めるのはアンタだぜ」
「それでも貴方は立ち止まらないと私達は知っています。このまま戦うつもりでしょう」
『アイン・ブリュンヒルド』と『ツヴァイ・アルヴィトル』が自分を見ている。
『ドライ・スルーズル』も『フィーア・ヒヤルムスリムル』も同じであった。真っ直ぐな瞳で自分を見ている。

 生きることは死ぬことだ。
 遅かれ早かれ死ぬ。自分の死を決めることができるだけでも上等な人生であったと思う。
「駄目だ。そんなこと。戦って死ぬだなんて、戦いを前に言ってはならない」
「そうさ、いつだって『戦いに際しては心に平和を』、だろう?」
『ゼクス・ヘルヴォル』と『ズィーベン・ソグン』が自分の手を取る。自ら手を取ることなど考えていなかった。
 生きることは死ぬことだと思っていた自分を『アハト・スカルモルド』は恥じた。

「生きることは戦うことだ……ごめんよ。君たちの提案を受けるよ。君たちの子孫がもしも……遠き未来に窮地に瀕しているのならば、僕が助けよう。君たちが僕を助けてくれたように」
「きっとそのときには、平和な時代になっているよ。俺たちがその礎を作る。だから、君は今は眠ってくれ」
『フュンフ・エイル』が泣き笑いのような顔で言う。
 冷凍睡眠。不治の病を治すために取った選択。『憂国学徒兵』から最初の離脱者であった。
『アハト・スカルモルド』は冷たい眠りに就く。けれど、暖かな未来を夢見て――。

●滅びよと言う。
 小国家『フルーⅦ』は嘗て『憂国学徒兵』と繋がりある小国家であった。独裁続く小国家を解放した『憂国学徒兵』と共に戦い、その後に興った小国家『グリプ5』と同盟関係にあった。
 キャバリアのデータ盗用がきっかけに断交していたが、平和祈念式典を潰されても尚、それでも両国は乗り越えてきた。
 不理解を。
 不寛容を。
「……そうか、そちらは其処まで『バンブーク第二帝国』襲撃のダメージが大きいか」
 国家元首である『アジン』の表情は険しい。
 取り分けて『グリプ5』の市街地への損害がひどいものであった。『毒素をまき散らす筒』による被害は、多くの市民を犠牲にした。

「はい……少将の送ってくださった『レーギャルン』のデータによって造り上げた簡易型『レーギャルン』がなければ、おそらくもとっと……」
『ツェーン』と呼ばれた少女がうつむく。
 その隣にある『クリノ・クロア』がデータを手渡す。
「これが現状二機の簡易型『レーギャルン』の全ての稼働データです。……本当に『これ』、動かすんですか?」
 彼が見上げているのは通常のキャバリアの三倍……体高15mはあろうかという巨大キャバリアであった。
『バンブーク第二帝国』――先代皇帝の遺児『ライスメキア』専用キャバリア『フラズグルズ』。通常キャバリアの炉を3つ連動同期自乗化させることによって稼働する防衛用キャバリアである。

「そのとおりだ。これが我々『フルーⅦ』の出した答えだ。敵の『毒素装甲』を無効化し、あらゆる攻勢を防ぐ盾。『ライスメキア』皇女殿下には、これに乗って頂く」
「ええ、わかっております。かの者らの暴挙を許してはおけません。私の体が役立つというのならば、この身が滅びることになろうとも」
『ライスメキア』と呼ばれた巨人の皇女がうなずく。彼女でなければ巨大キャバリア『フラズグルズ』は動かせない。
 炉の連動同期自乗化を制御するには彼女の類まれなる脳の演算領域が必要となるからだ。

「だから、俺が呼ばれたというわけですか……」
「そうだ。僕が操縦を。『クロア』、君が火器管制を」
『フュンフ・ラーズグリーズ』が白き巨大キャバリア『フラズグルズ』のコクピットブロックから出て呼びかける。
「『バンブーク第二帝国』は必ず次は『フルーⅦ』に来る。此処には『レーギャルン』もある。分かたれた炉『ヴァルキリー』と戦闘データを集約したコア『ファフニール』……それを手に入れようとしている……渡すわけにはいかない」
「いつでも出れるようにしておいてくれ。『バンブーク第二帝国』が如何なる敵を送り込もうと『我々』は屈することがないと知らしめなければならない」
『アジン』は頷き、迫る滅びよと告げる軍勢の来訪を予見するのであった――。

●防衛
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア――地底より現れた『バンブーク第二帝国』が小国家『フルーⅦ』に再び侵攻開始……これを防いでいただきます」
 これで『バンブーク第二帝国』が地上の小国家を襲撃するのは三度目。
 だが、どうやらこれまでと違うのは、『グリプ5』と『フルーⅦ』が協力体制にあるということであり、また『バンブーク第二帝国』の侵攻に後手に回ることがないということだ。

「『古代魔法帝国の後継者』を自称する彼等を『フルーⅦ』は通常キャバリアの三倍はあろうかという巨大キャバリア『フラズグルズ』によって市街地を守ろうとしています」
『バンブーク第二帝国』の先代皇帝の遺児、皇女『ライスメキア』と『フュンフ』、『クロア』がこれに乗り込んでいる。
 攻撃能力は在るようであるが、敵の攻勢と『毒素をまき散らす筒』によって防戦一方であるようなのだ。
「確かに『フラズグルズ』は強力なキャバリアですが、その力の全てを市民を守ることに割いているのです」
 このままでは数で敗北するだろう。
 それに敵のオブリビオンマシンは『有毒装甲』に覆われ、存在するだけで毒素を撒き散らし、市街地に侵入されては市民たちに甚大な被害が与えられてしまう。
『グリプ5』の二の舞だけはしてはならない。

「皆さんと言えど、キャバリアなしでは工夫をしなければ毒素を防げません。『フルーⅦ』からは、以前同様スーパーロボット『レーギャルン』の貸し出しが行われています。敵の狙いは市街地に侵入し市民を虐殺することです」
 これを未然に防がねばならない。
 さらに予知では、『バンブーク第二帝国』の将軍だけではなく現皇帝も姿を現すようである。
 この機会を逃さず、地上に激しい憎悪を抱く彼等の凶行を止めなければならない。
 それがどれほどまでに困難な道であるかは言うまでもない。

「ですが、いつだって正しいのは厳しく困難な道です。いつだって、遠回りこそが近道なのです」
 ナイアルテは瞳を爛々と輝かせながら、猟兵たちを見送る。
 そのさきの未来がより多くの希望を掴むのだと確信しているのだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリアにおいて三度、『地底(アンダーグラウンド)』より来たる地底帝国軍『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンの軍勢から小国家『フルーⅦ』を救うシナリオになります。

 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。

 またこのシナリオに限り、『フルーⅦ』秘蔵のスーパーロボット『レーギャルン』を借り受ける事ができます。
 簡易型『レーギャルン』と違って、こちらがオリジナルとなり、ユーベルコードを強力にして放つ機構をもっていますが、扱いづらい機体となっています。

●第一章
 集団戦です。
 地底より『バンブーク第二帝国』の無人機『マガフMk1』が大量に現れ、攻撃をしかけてきます。
 地中より現れる上に、『パラティヌス・スローター』は対人用に特化したオブリビオンマシンです。
 これが市街地に突入する前に、皆さんはこれらを一機残らず破壊しなければなりません。

 また巨大キャバリア『フラズグルズ』が市街地に入らせないために先行して防衛しています。
 防衛能力が異常に高いですが、パイロットである『ライスメキア』は戦いに不慣れです。いつまでも戦線を維持できません。

●第二章
 ボス戦です。
 この騎士のような姿をした大型キャバリアは、オブリビオンマシンです。これに搭乗する巨人のパイロット『スヴェイズ』は帝国の将でありますが、オブリビオンマシンによって思想を歪められ通常ユーベルコードに加え、『毒素を撒き散らす筒』を市街地に打ち込もうとしています。
 これを防ぎつつ、打倒しましょう。
 また『有毒装甲』に覆われているため、キャバリアに搭乗していない猟兵の皆さんは対策を講じなければ不利となります。

●第三章
 ボス戦です。
 第二章のオブリビオンマシンが打倒されると現れるのは『バンブーク第二帝国』現皇帝『ランドグリーズ』の駆る皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』です。
 装甲は『有毒装甲』に覆われています。
 先代皇帝を亡き者にした実力は確かであり、その際に皇帝騎を奪った猛者でもあります。

 それでは、小国家を護る皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『MCK04SC-パラティヌス・スローター』

POW   :    BSフレイムガン&RS-Sグレネードランチャー
【耐熱塗装を施した機体が装備する銃火器】から【対人用の広域火炎放射】か【対装甲榴弾】を放ち、【酸欠と火傷】もしくは【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    RBXSランスライフル&Sマイン&EPジャミング
【連射ビームと共に対人殺傷用鉄片と妨害電波】を降らせる事で、戦場全体が【情報封鎖されたキャバリアによる虐殺現場】と同じ環境に変化する。[情報封鎖されたキャバリアによる虐殺現場]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    RSレッグガン&RS-Fポイズンソー
自身の【脚部対人機銃を掃射、精密狙撃の精度】を代償に、【複数の対人・対キャバリア用無人ユニット】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【対装甲機械刃と自爆、戦場に散布する毒ガス】で戦う。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『バンブーク第二帝国』は巨人の小国家である。
 かつて百年前に小国家『グリプ5』の前進である『憂国学徒兵』に『地底(アンダーグラウンド)』に追いやられ、地上に並々ならぬ憎悪を抱く者たちでもあった。
 だからだろうか。
 彼等の手繰るオブリビオンマシンは全てが『有毒装甲』に覆われ、地上に生きとし生けるもの全てを根絶やしにしようとしている。
「『ランドグリーズ』陛下……『パラティヌス・スローター』、全て自動制御で出立いたしております」
 これまで送り込んだ『バンブーク第二帝国』の将たちは皆、打ち倒された。
 残る将は『スヴェイズ』のみ。
「お前は市街地に毒素を撒き散らし続けよ。抵抗するものも、恭順を示す者も等しく鏖殺せよ。我等の憎悪の代価は百年前より、一つも損なわれていないことを地上の蚤どもに知らしめるのだ」
 現皇帝『ランドグリーズ』の瞳にあるのは狂気に彩られた憎悪の炎だけであった。
 かつて『フュンフ・エイル』によって刻まれた傷跡がうずく。
 許しがたき屈辱の痛みだ。
 先代皇帝は、己のこの痛みを忘れよといった。『地底』の追いやられてもなお、そんなことを宣う者が許しがたかった。痛みは時間と共に消えるものではない。痛みを与えた者にこれ以上の痛みを与えなければならない。そうやって漸く灌がれるものであるのだ。

「――『ランドグリーズ』! この狼藉をなんとします! 目に余る蛮行だと何故思わないのです!!」
 白い巨大キャバリア『フラズグルズ』より放たれた無数のシールドがビットのように市街地と地底より飛び出す『パラティヌス・スローター』たちを隔てるエネルギー障壁を組み上げる。
 その巨大キャバリア『フラズグルズ』に座し、ビットをコントロールする演算を行う先代皇帝の遺児『ライスメキア』が瞳に涙をにじませながら言う。
『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンはすべて『有毒装甲』に包まれている。
 排出される毒素は生身の人間を殺す。
 キャバリアでなければ、市民たちはただただ生命を散らすだろう。
 虐殺でしかない。
 戦いですらない。
 その行いの何処に正義があるのか。

「無駄だ『ライスメキア』皇女殿下。貴様の言葉は私には届かない。我が憎悪には決して届かない。我等の屈辱は百年前に刻まれている。屈辱を贖うもなど、生命以外に存在しないのだ」
「そんな理屈……! 断じてまかり通るものですか!」
「そのために無辜なる人々も殺すのかよ!」
「狂っている……そんなの人の生死じゃあない! 行くぞ、『クロア』! あれは存在させてならない憎悪の権化だ!」
『フュンフ・ラーズグリーズ』と『クリノ・クロア』が共に『フラズグルズ』を制御する。
 だが、防衛用の機体だけでは、とうてい凌ぎきれない。
 膨大な数の『パラティヌス・スローター』。それに加え、『スヴェイズ』の駆る『ヴェルディグリース』は、『毒素を撒き散らす筒』を市街地に打ち込もうとしている。
 なだれ込む無人オブリビオンマシンの群れ。一騎でも市街地に入り込めば、その放たれる毒素と対人用の武装でもって虐殺が瞬く間に起こることだろう。それは阻止しなければならない。
 けれど、手が足りない。
 だが、彼等は絶望しない。
 彼等の周りに絶望しかなく、全てがそれに塗れていようとも。
 諦観だけが彼等の心を殺すことを知っているからこそ、足掻き続けるのだ――。
メサイア・エルネイジェ
愛と平和の使者!メサイアとヴリちゃんがお助けに参りましたわよ〜!
まーた地下帝国でBC兵器ですの?
相変わらずお下品ですわねぇ
ファッキュファッキュおファッキュですわ!

本日は防衛なのでガンフューラーで参りますわ
ここから先は蟻1匹たりとも通しませんわよ〜!
ロングレンジビームキャノンで薙ぎ倒しますわ
我が王家秘伝の狙撃術をとくとご覧あれ!
アウトレンジから一方的に撃たれる怖さを教えてさしあげますわ〜!
対人お機銃なんてヴリちゃんの装甲には通じませんのよ
あらあら?無人機が飛んできましたわ!
でもビームガンとミサイルで撃ち落としてしまえばよろしいのですわ
ミサイルを使い過ぎると弾代が大変なのでほどほどにですわ〜!



「ファッキュファッキュおファッキュですわ!」
 相変わらずお下品なことであるとメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は暴竜型サイキックキャバリア『ヴリトラ』のコクピットで叫ぶ。
 小国家『フルーⅦ』は、二度目の『バンブーク第二帝国』からの侵攻を受けている。一度目は市街地に侵入され、炎に寄る攻撃を受けていた。
 けれど、今回は違う。
 直接的な手段に出ていると言ってもいいだろう。
「まーた地下帝国でBC兵器ですの?」
 二番煎じもいいところであるとメサイアは思ったことだろう。

 だが先んじて行われた小国家『グリプ5』で『有毒装甲』より放たれる毒素での侵攻が効果的だと『バンブーク第二帝国』は理解したのだろう。
 まともな思考があるのならば、それがどんなに非人道的なことであるかなどわかるはずだ。
「あの黒い竜型は……!」
 白い大型キャバリア『フラズグルズ』の中で『ライスメキア』は『ヴリトラ』の姿を認め、援軍が来たことに気がつく。
「援軍! この『フラズグルズ』が健在である限り、敵の毒素は市街地に流入することはない。だが……!」
『フュンフ・ラーズグリーズ』の通信をメサイアは聞く。
 理解している。
 迫るオブリビオンマシンの群れ。『パラティヌス・スローター』。
 その漆黒の機体は、対人兵装であるポイズンソーを展開しながら、一気にこちらの防衛ラインを割ろうとしている。

「愛と平和の使者! メサイアとヴリちゃんがお助けにまいったのです! ここからさきは蟻一匹たりともとうしませんわよ~!」
 射撃の極意は忍耐力と集中力。
 ならばこそ、そのメサイアの心は水鏡のように波一つ立てぬ……。
「撃ちますわ! 今すぐ!」
 ものではなかった。
 即座に輝くはユーベルコードの輝き。
 エルネイジェ流狙撃術(スナイプスキル)は王家の術。王道にして正道。引き金を引けば、撃ち抜くことができるのが射撃の良いところである。

「我が王家秘伝の狙撃術をとくとご覧あれ!」
『ヴリトラ』のザックに背負われたロングレンジビームキャノンの砲身が『パラティヌス・スローター』へと向けられ、一気にビームの光条が、漆黒の機体を撃ち抜く。
「アウトレンジから一方的に撃たれる怖さを教えてさしあげますわ~!」
 無人機であるポイズンソーをメサイアは『ヴリトラ』と共に惹きつける。
 あの毒素は厄介だ。お下品だなんだと言いながら、あれは人を殺す。ただ殺すためだけに作られた兵器は、何者も救わない。

 故に『ヴリトラ』と共にメサイアは毒素まき散らす無人機を引き連れ、一気に跳ねるように中を舞う。
 空中でバク転するように『ヴリトラ』が回転し、己を追跡していたポイズンソーをビームキャノンで一掃する。
「ミサイルで撃ち落とそうかと思いましたが、弾代も馬鹿にはならないのでしてよ~!」
 エネルギーインゴットもただではないのだが、メサイアにとってミサイルの弾代は差し迫った脅威であった。
 くるりと機体をひねるように『ヴリトラ』が着地し、さらに迫る『パラティヌス・スローター』はビームの光条で薙ぎ払う。

「おほほ! 対人お機銃なんてヴリちゃんの装甲には通じませんのよ」
 テイルスマッシャーが機体をなぎ倒し、『バンブーク第二帝国』の無人機キャバリアを『ヴリトラ』が踏み潰す。
「次、来ます!」
『クリノ・クロア』の声が聞こえる。
 メサイアは見ただろう。地底より這い出るように『パラティヌス・スローター』たちが飛び出してくる。
 戦力差は絶望的だ。
 けれど、未だ此処に在りて白い大型キャバリア『フラズグルズ』退くことはない。
 其処にメサイアは己と同じ気概を皇女『ライスメキア』に感じたかもしれない。

「同じ志を持つものが此処で耐えしのいでいるのです。ヴリちゃん、わたくしたちも負けてはいられませんわ~!」
 ミサイル弾の代金など後で考えればいい。
 ほどほどにと思いながらもメサイアは迫る黒き津波の如き無人機キャバリアの群れに突っ込み、暴竜たる『ヴリトラ』の猛威をもって前線を維持し続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
また毒……。
でも前回みたいにはいかせないよ!

【ネルトリンゲン】で出て、『フルーⅦ』の前に陣取ったら、
【M.P.M.S】の【砲撃】で弾幕を張って、
『パラティヌス・スローター』からの攻撃の盾になって街を守るね。

『スヴェイズ』が毒の筒を使うなら、筒を迎撃しつつ【リフレクションマリス】を発動。
結界で『フルーⅦ』への毒を無効化しつつ、相手にそのまま跳ね返しちゃおう。
それと念のため、【ワンド】で空気の層を作って街への毒の侵入を阻むよ。

『フュンフ』さん、街の人はぜーったいに守るから、
後ろは気にしないで、やっちゃってー!

あ、もちろん避難したい人や、脱出したパイロットの収容はいつでも受け入れるから遠慮なくね!



 地底帝国である『バンブーク第二帝国』の繰り出すオブリビオンマシンの全てに『有毒装甲』が覆われており、その装甲から放たれる毒素は、キャバリアに乗らぬ者全てを蝕む猛毒である。
 言うまでもなく市街地に侵入されれば、それだけで市民の生命は脅かされる。
 戦火以上に人の生命を奪うものであった。
 だが、オブリビオンマシンによって思想を狂わされた巨人たちの国である『バンブーク第二帝国』はためらわない。
 己たちの憎悪のためだけに毒をまき散らす。
「また毒……でも前回みたいにはいかせないよ!」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は戦闘空母である『ネルトリンゲン』でもって『フルーⅦ』と『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンの群れとの間に割り込む。

 迫る『パラティヌス・スローター』は対人兵器を使用している。
 情報の封鎖。
 たちどころに『フルーⅦ』は混乱に陥るだろう。『パラティヌス・スローター』とはそういうオブリビオンマシンなのだ。
 それに加えて毒素。
 三度目の侵攻を経て、『バンブーク第二帝国』は地上の人を殺す術を効率化させている。
『ネルトリンゲン』から放たれる砲撃が『パラティヌス・スローター』を寄せ付けないように放たれる。
 だが、それ以上に厄介なのが、あの緑青のサイキックエナジーを放出し、『毒素まき散らす筒』を投げ放つ騎士型おの大型オブリビオンマシンである。

 前回の『グリプ5』の侵攻の折にも姿を見せた機体と同型。
 扱う作戦も同様である。
「『フュンフ』さん、街の人はぜーったい護るから、後ろは気にしないで、やっちゃってー!」
 理緒は弾幕を張りながら、皇女である『ライスメキア』と共に大型キャバリア、この『フルーⅦ』防衛の要ともいえる機体『フラズグルズ』を手繰る『フュンフ・ラーズグリーズ』に告げる。
「頼みました! こちらは障壁の展開で手一杯です……敵の狙いは市街地……!」
「わかっているよ! だから! 術式展開!」
 理緒の電脳術式が煌めく。
 それは『フラズグルズ』が展開する障壁の前に広がる。

 リフレクションマリス。
 それは理緒のユーベルコードである。
 敵の攻勢を反射する電脳術式で組み上げられた結界。
 それを前に『パラティヌス・スローター』の攻撃は全て跳ね返されるだろう。
「やっぱり、こっちも味方の消耗が激しいんだね……!」
「まともに動けるのは、僕らだけです。援軍が間に合うかどうかが賭けでしたが……!」
 それでも猟兵たちは駆けつけた。
 間に合ったのだ。
 ならばこそ、理緒の瞳はユーベルコードに輝く。一体たりとて市街地にオブリビオンマシンを入れない。

『グリプ5』のように市街地に毒素が流入し、多くの生命が喪われた。
 救えなかった生命を取り返すことなどできない。
 憎悪で憎悪を返すこともまた意味のないことだと理解している。だからこそ、理緒は思うのだ。
 今ここが未来への分水嶺だと。
 よりよい未来に繋がる事象を掴むことができるのは自分たちだけだ。
「こっちの消耗を狙われてる! 毒を無効化して……絶対に守ってみせるよ!」
 砲撃は続く。
『パラティヌス・スローター』は次々と地中より這い出してくる。
 きりのない消耗戦。

 傷つき、倒れていく味方もいるだろう。
『フルーⅦ』もまた『グリプ5』と同じだ。地底帝国である『バンブーク第二帝国』の侵攻によって消耗している。
 これによって最も周辺国家で利を得ているのはどこか。
 言うまでもない。『シーヴァスリー』である。新興国家でありながら、『フィアレーゲン』、『八咫神国』を滅ぼし、今2つの小国家が侵攻を受けているのを静観している。
「やられた人は機体を捨てて。救難信号出して、きっとわたしが行くから!」
 理緒は『ネルトリンゲン』で戦場に散る機体から脱出するパイロットたちを収容し続ける。

 消耗は激しい。
 けれど、理緒は唯一つの生命すらも諦めきれずに、損害をいとわず多くの『フルーⅦ』のパイロットたちを救い続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

稷沈・リプス
自称:人間な男、聞きつけた。

まーた毒っすか。本当に嫌なヤツっすねー。許せないっすよ。
俺は異界海蛇『ヤム』に乗って、と。RS異境海蛇『ナハル』によるロングレンジスナイパーっすよ!

そして【夜の舟】、自動で地上航行開始するっす!太陽属性の光線を、敵に浴びせるっすよ!
本来は死者が乗ってるっすけど…今回は救援艇にもなってるっすね。太陽属性の結界で守ってるっす。
あ、夜の舟自身は無人ユニット向かっても大丈夫っすね。あれ、ようするに『太陽権能』のやつなんで…まず、敵はその熱に耐えられないっすね。船員も人じゃないっすし。

ここを守りきってみせる。それが俺の誓いっすね!



 地底帝国の放つ『有毒装甲』の毒素は人の生命をたやすく奪いせしめるものであった。
 生身であれば、尽く死に絶える。
 地上に在りし者たちへの憎悪がそうさせるのであれば、『バンブーク第二帝国』の憎悪とは、それほどのものであったのだろうか。
 ただ生命を奪うことのみ。
 かつてありし誇りを簒奪されたことも、地底へと追いやられたことも、命を奪って奪い尽くすほどのことであったのかと、第三者は思うだろう。

 だが、それは当事者でなければ理解出来ないかん上であった。
「まーた毒っすか。本当に嫌なヤツっすねー。許せないっすよ」
 稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は異界海蛇『ヤム』と共に戦場に降り立つ。
 すでに防衛ラインは敷かれている。
 白い巨大キャバリアが制御するビットによるエネルギー障壁は毒素が『フルーⅦ』の市街地へと流入するのを防いでいた。
 だが、それも時間の問題だ。
 敵オブリビオンマシン、その無人機である『パラティヌス・スローター』が放つポイズンソーがビットを破壊しようとしている。
「そうはさせないっすよ!」
 そのポイズンソーをリプスは構えたロングレンジスナイパーで撃ち抜く。

 だが、数が多い。
 これだけの膨大な数が地中より這い出し、無尽蔵に湧き上がる。
「どれだけやってもキリがないっすね……なら! これも借りてた権能っすよ!」
 夜の舟(ウイア・メセケテト)――その大型木造船が戦場を分かつエネルギーフィールドに取り付こうとする『パラティヌス・スローター』たちの眼前に降り立つ。
 頭部が動物を象る人間の幽霊たちが睥睨する。
 彼等の齎す権能は太陽。
 熱を発する魔法杖が、『パラティヌス・スローター』たちを焼滅していく。
 光線の如き魔法が照射されれば、またたくまに装甲が融解し、エネルギーインゴットに誘爆する。

 火球となっていく『パラティヌス・スローター』をリプスは見やり、さらに迫る脅威をロングレンジスナイパーでもって撃ち抜く。
 無人機である『パラティヌス・スローター』だけでなく、彼等が放つポイズンソーも厄介だ。
 対人だけを狙い打ちにした武装。
 ただそれだけのために生み出された兵器達。
『バンブーク第二帝国』の憎しみの深さを思い知らされるかのような陣容。
「ここを守りきってみせる」
 リプスにとって、それが己の誓いであった。

 護ることで繋がるものがある。
 例え、憎悪が何を産まぬのだとしても。それでも晴れるものがあるのだろう。憎悪を抱いた者たちができることは、その憎悪を吐き出すことだけだ。
 それ以外のすべを知らぬ者たちに諭すことなど意味をなさない。
「憎しみの連鎖は此処で断ち切る……人も巨人も、手を取り合うことができるはずだから!」
 白い大型キャバリア『フラズグルズ』を制御する巨人の皇女『ライスメキア』と、その機体を操縦する『フュンフ・ラーズグリーズ』、『クリノ・クロア』。
 彼等にとっても、此処は守らねばならない場所なのだ。

「こっちは任せておくっす! そっちは毒素の流入をなんとしてでも」
 リプスは彼等の道行きがどんなものとなるのかを知らない。
 けれど、知らなくても彼等が正しいことを行おうとしていることがわかる。争いばかりの世界にあって、争い以外のものに手を伸ばした彼等をリプスは護るだろう。
 それがきっとより良い未来に繋がることだと直感する。
 いや、神性としての確信であったかもしれない。

 過去より滲み出たマシン。
 それが『今』を生きる者たちを蝕むのならば、リプスはそれを忌み嫌うだろう。
 ときが逆巻くことがないように。
 生命が喪われては、戻ることはない。故にリプスは彼等を護るべく、己の力、ユーベルコードの煌めきに満ちた瞳でもって敵を見据えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【POW】で判定
『憎しみによる凶行は憎しみしかうまない…だから憎悪の連鎖を断ち切る覚悟がいる。それを持ってたらしい前の皇帝の方がよっぽど強い!!』
愛機、コスモスター・インパルスを【残像】と【フェイント】を織り交ぜた【操縦】によって繰り、突撃。電磁機関砲による【制圧射撃】とブレードによる【なぎ払い】、ユーベルコード【封魔解放『鳴神』】の雷で痺れさせるぜ!!
『憎しみを断ち切る…許すという勇気もない臆病者がよ!ぬかすんじゃねぇ!』



 憎しみは繋がる。
 悪しき感情はさらなる負の連鎖を呼び込む。
 だが、人の心に陰陽が存在する限り、正の感情がある以上、負の感情もまた存在するものである。
 どちらをも否定してはならぬ。
 人の心は複雑怪奇。
 縞模様の如き様相を見せたとしても、時として反転することもあるだろう。

 地底に追いやられた巨人たち。
 争いだけが満ちる世界であるクロムキャバリアにとって、それは敗北の証でしかなかった。
 彼等は虐げられ続けてきたのだ。
 地上に生きる者たちが自覚していないだけで、彼等が大地を踏みしめるたびに、彼等の中にある劣等感は刺激される。
「誰が我等の屈辱を理解できる。我等以外がそれを理解せしめることなど不可能である。相互理解など不要。我等の憎しみで地上に生きとし生けるもの全てに怨嗟の炎でもって贖ってもらわねばな!」
 己の憎しみは消えることがない。
 そういうかのように『バンブーク第二帝国』の現皇帝『ランドグリーズ』は言う。

 彼にとって、これは正当なる戦いであった。
 いや、地上の人々を毒素で持って殺す。ただそれだけが彼の思想を歪めたものであることを知るだろう。
「憎しみに寄る凶行は憎しみしか生まない……」
 ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は知るだろう。
 そこにあるのが、ただ憎悪のみであることを。 
 憎悪以外の何物もの介在を許さぬこと。それが『バンブーク第二帝国』の憎しみの根源であり、歪められたものであると。
「……だから、憎悪の連鎖を断ち切る覚悟がいる」
 ガイは『コスモスター・インパルス』と共に炎吹き荒れる戦場を駆け抜ける。

『パラティヌス・スローター』は無人機だ。
 だが、無人機だからといって捨て置くことはできない。
『フルーⅦ』の市街地にこの一騎でも侵入すれば、瞬く間に市民は虐殺されるだろう。それだけの武装を積み込んだ機体なのだ。
 全てが対人兵装。
 ただ生命を鏖殺するためだけに作られた機体であるともいえるだろう。
「先代皇帝は、どうやらお前とは違ったようだな!」
「だから敗れたのだ。死んだのだ。強き憎悪もなく、ただ己の保身に走るものに憎悪は御せぬよ!」
『ランドグリーズ』の言葉にガイはうなずくだろう。

 電磁機関砲による牽制射撃とブレードに寄る薙ぎ払い。
 それによって道をひらくも、即座に地中から『パラティヌス・スローター』が飛び出す。
 道は開けない。
 敵の数が多く、層が分厚いからだ。
「お前のような奴より、先代皇帝の方がよっぽど強い!」
「知った口を聞く」
『パラティヌス・スローター』の手にした火炎放射器が『コスモスター・インパルス』を襲う。

 だが、その炎を切り裂くのはガイのユーベルコードであった。
「憎しみを断ち切る……許すという勇気もない臆病者がよ!」
 封魔解放『鳴神』(フウマカイホウ・ナルカミ)によって開放された魔人の雷が『パラティヌス・スローター』を打ち抜き、その機体をかく座させる。
「許容と許しは違うものだとしれ、地上の蚤よ。お前の言うところの理屈は据えて弱者の言葉だ。蛮勇を勇気と宣う者。それこそが虐げられるべき弱者の言」
「ぬかすんじゃねぇ!」
 ガイは裂帛の気合と共に『パラティヌス・スローター』を切り裂く。
 目の前に広がる無人機オブリビオンマシンの群れ。

 未だ道のりは遠く。
 されど、ガイは見据えるだろう。狂気に侵された思想が導く先に在るのは破滅だけだ。
 それもただ一人の破滅ではない。
 他者を、国を、世界を。
 その全てを巻き込む炎の破滅。
 故にガイは世界の悲鳴を聞き、答えたのだ。それが己が猟兵である証であるというように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
百年。その程度で憎悪が薄らぐことはないとあたしには分かる。あたしの術式は、一千年紡がれ続けてきたのだから、百年やそこら、昨日のようなもの。
そして、こういう輩は、百年経とうが千年経とうが恨み節を垂れ流し続けるのよ。

宇宙服を装備の上、「毒耐性」の「結界術」で自身を防御。
さあ、『迦利』、出番よ!
「レーザー射撃」の「弾幕」で敵部隊の足を止める。『フルーⅦ』へは、これ以上近づかせない。
キャバリアの足止めが出来たなら、「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」「竜脈使い」「衝撃波」「仙術」「道術」で烈焔陣!

大地を割って吹き上がる呪詛の炎よ。あなたたちの同類かもね。
さあ、さっさと劫火の中で燃え尽きなさい。



 月日が全てを解決してくれるのだという。
 悲しみ、憎しみがつけた傷跡を癒やすのは時間だけであると。
 だが、それならば憎悪もまた癒えるべきであったことだろう。だが、かつて百年前に『地底(アンダーグラウンド)』へと追いやられた巨人の種族達。
『バンブーク第二帝国』と呼ばれ、今また地上に進出しようとしている彼等の抱く憎悪は、癒えたのか。

 答えは否である。

「百年。その程度で憎悪が薄らぐことはないとあたしにはわかる」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)の手繰る術式が未だ受け継がれ、紡がれているように。
 決して、それは揺らぐことも薄らぐこともない。
 無人機オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』が地中より這い出し、手にした火炎放射器でもって戦場を闊歩する。
 揺らめく炎に隔てられながら、ゆかりは着込んだ宇宙服の気密性を確かめ、結界を張り巡らせる。
「あたしの術式は、一千年紡がれ続けてきたのだから、百年やそこら、昨日のようなもの」

 嘆息する他なかったのかも知れない。
 人の憎悪は受け継がれる。例え、今を生きる者が、何かをされたものではなくても。祖先が、そうされたと知る以上、彼等もまた同じ用に迫害されないとは言い切れない。
 種族が違うというだけで地底に追いやられるかもしれない。
 明日は我が身であるという思いが、どこにある以上、それは否定できないことであったから。
「そして、こういう輩は、百年経とうが千年経とうが恨み節を垂れ流し続けるのよ」
 彼女の背後から無人機キャバリア『迦利』が飛び立つ。
 無人機であるがゆえに出せる最高速度と機動性。
 放つ光線の弾幕が『パラティヌス・スローター』の足を止めるだろう。

 だが、『パラティヌス・スローター』にとって『迦利』は標的なりえないだろう。
 そこに人が乗っていないからだ。
 彼等の目的は地上に生きる人間たちの抹殺だけである。
 恐ろしいことに『パラティヌス・スローター』は対人に特化したオブリビオンマシンである。
「ただ生命を殺し殲すだけの存在ってわけね。『フルーⅦ』には近づけさせない」
 打ち込まれる光線が機体の足を潰す。
 それでも炎は撒き散らされ、毒素を流入させぬと奮戦している白い大型キャバリア『フラズグルズ』の展開するビットに寄るエネルギーフィールドを破壊しようとしている。

「やっぱりこっちの戦力をどうこうしようって気はないようね。ただ滅ぼすだけ、殺し殲す……それだけの憎悪!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、戦場の地表を割り吹き上がる無数の火柱。
 それこそが、烈焔陣(レツエンジン)。
 怨念に満ちた呪詛の炎は、瞬く間に『パラティヌス・スローター』の機体を焼き、爆発させるだろう。
「あなたたちの同類かもね」
 何もかも憎悪に寄るもの。
『バンブーク第二帝国』を突き動かしているのは、地上への憧憬ではない。
 ただの憎悪だ。

 地底に追いやった者たちはもうすでに、地上には存在していない。
 その血脈があるというだけで、それが許しがたいことだと彼等の憎悪が叫ぶようであった。
「さあ、さっさと劫火の中で燃え尽きなさい」
 決して消えることのない憎悪。
 ならば、できることは燃やし尽くすことだけだ。憎悪によって殺し殲すことしかできないと叫ぶ怨嗟の主たち。
『パラティヌス・スローター』はそんな彼等の憎悪を詰め込まれた無人機。
 ならばこそ、そこに哀愁もなければ憐憫もない。

「生命を奪うだけの機械を許すわけにはいかないのよ」
 憎悪は感情でしかない。
 どれだけの言葉で飾り立てようと、それだけは決して変わらぬこと。感情である以上、人は制御できる。
 その感情を踏み越えた先にこそ、より良き未来が在るのだと、今は信じる者たちが戦っている。
『フュンフ・ラーズグリーズ』も『ライスメキア』、『クリノ・クロア』も。
 きっとそのために今を懸命に生きているのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「毒耐性はそこそこあるつもりですが、ここではずっと合一している方が安全でしょうね」
嗤う

UCで体長15mサイズに巨大化した黄巾力士に同一化
殲禍炎剣があるので速くも高くも飛ばないがずっと空中戦+空中機動で地上1~5mを飛行
「…実体弾・火行」
金磚の誘導弾は火行(徹甲炸裂焼夷弾)選択
無人ユニットをドンドン撃ち落とす
敵のユニットがある程度減ったら敵本体も狙う

「縮地はあえて言うなら短距離転移ですから。殲禍炎剣には引っ掛からないと思うんですよ」
敵の攻撃は仙術+功夫で縮地して回避
また極近距離まで接近した敵は掌底や回し蹴りして弾き飛ばす

「形は黄巾力士に見えても中身は私ですから。功夫は得意に決まってます」
嗤う



 宝貝『黄巾力士』は戦闘用自律思考型人型戦車である。
 鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)が自作した宝貝であり、これ合一することによって自身が望んだ大きさに巨大化することができる。
 鋼の体を持つ『黄巾力士』は、冬季にとって、最も堅牢で安全な場所であるといえるだろう。
 もともと彼は毒への耐性を持っている。
 だが、地底帝国である『バンブーク第二帝国』が放つオブリビオンマシンの装甲は全てが『有毒装甲』に覆われている。
 それらが放つ毒素は、生身の人間を即座に殺す。

 猟兵であっても影響されるとあっては、冬季は合一し続けていることこそが安全であると考えたのだ。
「とは言え、高くは飛べませんね」
 なにせ、クロムキャバリアにおいて空とは自由の象徴ではない。
 暴走する衛生、『殲禍炎剣』によって空を飛翔するものを尽く撃ち落とされてしまうからだ。
 高速で飛ぶことも、高度を上げることもできない。
「……実体弾・火行」
 15m級にまで巨大化した『黄巾力士』が手にした宝貝から放たれる手甲炸裂焼夷弾が大軍のように迫る無人機オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』が放つポイズンソーを撃ち落とす。

『パラティヌス・スローター』は全ての兵装が対人を想定している。
 キャバリアなど見向きもしない。
 ただ鏖殺するために。ただ殺し殲すためだけに『パラティヌス・スローター』は小国家『フルーⅦ』へと侵入しようとしている。
 それだけ憎悪が深いものであるといえる。
 だが、冬季は嗤う。
 それは意味のないことだと。

『黄巾力士』が合一した冬季の力を得て、瞬時に『パラティヌス・スローター』へと肉薄する。
 仙術と功夫によって得られた挙動。
 踏み込みのタイミングと仙術による掛け合わせに寄って得られる縮地。まるで大地が縮んだかと思うほどに卓越した踏み込みは、冬季と合一することによって『黄巾力士』が体現する。
「あえて言うなら短距離転移ですから。空を飛ぶでなし。高速飛翔という点に置いては引っかからないと思うのです」
 謂わば、ホバー移動とでも言うべきか。

「中身は私ですから。功夫は得意に決まってます」
 また嗤う。
 『パラティヌス・スローター』の胴を撃ち抜く火行の発露樽一撃。さらに踏み込む。
 敵を一騎たりとて市街地に侵入させてはならない。
 憎悪の炎は、ここでせき止める。
 どんな理由があろうとも、オブリビオンマシンによって歪められた思想があるのならば、それを滅ぼすのみ。

 彼にとって、これはごく自然な行いの一つであったことだろう。
『黄巾力士』が冬季の動きをトレースするかのように『パラティヌス・スローター』の頭部を掌底で吹き飛ばし、回し蹴りで胴を薙ぎ払う。
 大地に打ち倒された残骸だけが残っている。
 未だ市街地を守っている白い大型キャバリア『フラズグルズ』のエネルギーフィールドは残っている。
「この分ですと、まだ余力はありそうですね。どうにも敵の狙いはただ殺し殲す、ただその一点のみのようでもありますし」
 また冬季は嗤う。

 それをさせぬために自分は今此処にある。
 どんなにオブリビオンマシンが『バンブーク第二帝国』の巨人たちの憎悪を歪め、燃え盛らせるのだとしても。
 己が居る以上、これ以上はない。
 そういうように彼が手繰る『黄巾力士』は『パラティヌス・スローター』を打倒し、さらなる獲物を求めて戦場を疾駆するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
さて働くか

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動、加えて撒かれた毒
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

原理を廻し高速詠唱を無限に加速、循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全方向へ斉射
更に射出の瞬間を無限循環し戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

創生し最古の理に例外はない
毒も鋼も消え失せるのみ
風すら起きねば毒が散ることも皆無

芸が足りん。骸の海から出直せ



「さて働くか」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は小国家『フルーⅦ』を取り巻く状況を察知する。
 防衛に出たキャバリア部隊の多くは地中より迫る無人機オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』に対処できないようである。
 さらに言えば、防衛の要である白い巨大キャバリア『フラズグルズ』だけが便りであった。
 展開されたビットが張り巡らせるエネルギーフィールドがなければ、地底帝国『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンを覆う『有毒装甲』の毒素が市街地に流入していたことだろう。

 三度目の『バンブーク第二帝国』の侵攻。
 小国家『グリプ5』への『有毒装甲』の毒素を用いた侵攻は多くの生命奪った。
 これを有用と見れば、即座に巨人の地底帝国である『バンブーク第二帝国』は毒素をまき散らす作戦にでる。
「芸が足りん」
 アルトリウスにとっては、それだけのことであった。
 守りは原理によって無限に廻る。
 己に害あるものすべてを無限に破壊し、己から断絶し続ける否定。
 迫る毒素はキャバリアなどの手段がなければ、完全に無害化はできないだろう。だが、それでも迫る毒素をアルトリウスは世界の外へと破棄し、魔力を組み上げ続ける。

 輝く瞳のユーベルコートが告げるのは、破界(ハカイ)。
 障害を無視し、万象を根源から消去する創世の権能が顕す蒼光の魔弾が戦場に降り注ぐ。
「無人機など芸がないと言っているようなものだ」
『バンブーク第二帝国』にとって、それは憎悪そのものであったことだろう。
 ただ殺し殲すだけ。
 地上にある生命は、彼等にとって生命ですらない。
 百年前の屈辱。
 地底に追いやられた恥辱。
 その全てを濯ぐためには、地上に生きとし生けるものの生命でなければならない。

 故に彼等は毒素だろうが炎だろうが、『パラティヌス・スローター』の対人兵装であろうと使う事に躊躇いはない。
 それがオブリビオンマシンによって思想を狂わされた者の齎す破滅であった。
「原理を回す。これよりさきは行き止まりだ」
 降り注ぐ魔弾の蒼光。
 それが『パラティヌス・スローター』より放たれたポイズンソーすらも撃ち抜いていく。
「創生し最古の理に例外は無い。毒も鋼も消え失せるのみ。風すら起きねば毒が散ることも皆無」
 満ちる破壊。
 どんな障害も、憎悪も。
 歪み果てた狂う思想も。
 全てがアルトリウスの前では当価値に無意味であったことだろう。

 射出され続ける魔弾。
 その描く軌跡は例え、『バンブーク第二帝国』が憎悪を忘れないのだとしても、それらを洗い流すように戦場に満ちていく。
 次々と撃ち抜かれていく『パラティヌス・スローター』があがく。
 一騎だけでも市街地へと侵入できればいいのだ。
 そうすれば、彼等の望みは達成される。

 殺し殲す。

「その意志も、感情も無駄だ。骸の海から出直せ」
 ただの一騎すら防衛ラインを割ることは許さぬとアルトリウスはユーベルコードに輝く瞳で睥睨し続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
体高15m巨大キャバリアか…。
あんなのを使うなんて、苦肉の策にもほどがあるわよアジン少将。
敵の『毒素装甲』搭載機は量産配備されてるのよ。…戦いは数よ(苦笑)

早く助けに行かないとね。
と、言いつつ今回は『レーギャルン』を借りるわ。
扱いづらい機体…自称だけど、じゃじゃ馬を乗りこなすのがエースってもんだからね。楽しみ。

武装はMY武器を流用するわ。
と、言うわけでアマテラスで敵機をの位置を『索敵』し『情報収集』
市街地に近い敵を優先に潰すわね。
『戦闘知識』と『操縦』テクニックを『プログラミング』して機体を最適化。
『見切り』回避しつつ『カウンター』にウルティメイトキャノンの『制圧射撃』で撃破していくわね。



 白い大型キャバリア『フラズグルズ』は、『バンブーク第二帝国』の先代皇帝の遺児である皇女『ライスメキア』の巨人の体躯によって作り出されたものである。
 巨大化したのには理由がある。
 膨大な出力を必要とする小国家を防衛するエネルギーフィールド。
 これを実現させるためには、3つの炉を一斉に励起し、同期させ、自乗化させなければならない。だが、炉を縮小することができなかったことも今後の課題となるだろう。
 さらにエネルギーフィールドを構成するビットの制御に巨人の脳の演算領域が必要とされる。

 そのせいで『ライスメキア』はキャバリアに乗りながら操縦することができない。
 さらに機体の制御にも操縦に一人、火器管制に一人とパイロットを三人必要とするところも問題点であった。
「あんなのを使うなんて、苦肉の策にも程があるわよ『アジン』少将」
 かつて少将と呼ばれ、今は『フルーⅦ』の元首である『アジン』の打ち出した方策にユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は苦笑いするしかなかった。
 何故ならば、敵の『有毒装甲』は量産配備されている。
 戦いは数であるからだ。

 だからこそ、ユーリーは、『レーギャルン』を駆り戦場に飛び出す。
 扱いづらい機体だという話であったが、ユーリーは拍子抜けしていた。猟兵がやってくるまで誰も扱うことのできなかった機体。
 あの『フュンフ・ラーズグリーズ』すら扱えなかった機体が、今はユーリーの思うどおりに動いている。
「前評判に踊らされすぎたかしらね」
 だが、ユーリーは気がつくだろう。
 この機体が何故、他のパイロットでは扱えなかったのかを。

『パラティヌス・スローター』が放つビームの光条を躱しながら、ユーリーは操縦桿を握る。
 直感的な操作。
 自身のキャバリアの武装を使って居るとは言え、戦闘機動に入った途端『レーギャルン』の挙動が早くなる。
 加速度Gが肉体に負荷をかける。
 ドローンから送られてくる敵位置を即座に『レーギャルン』がモニターに映し出し、推奨軌道を示してくる。
「どんだけじゃじゃ馬なのよ……! これを要求してくるって!」
 ユーリーは己が自称であれど『エース』でなければこたえられないと理解しただろう。
 だが、それを乗りこなしてこそである。

 ドローンから伝わる情報を得て『レーギャルン』が跳ねるようにしてシックスr。
「プログラミング……! エネルギーライン、全段直結。君なら行けるでしょう、『レーギャルン』」
 アイセンサーがユーベルコードに輝く。
 ウルティメイトキャノンの長大な砲身が傾く。『パラティヌス・スローター』が気がつくがもう遅い。
「チャンバー内、清浄加圧中……ライフリング回転開始」
 白い機体、『レーギャルン』が咆哮するように炉が唸りを上げる。膨大な戦闘経験と規格外の出力をはじき出す炉が噛合い、ユーリの眼前には物質化するほどの膨大な質量の電力の塊が浮かぶ。

「市街地に迫っている敵から薙ぎ払う……いくよ、『レーギャルン』!!」
 放たれる膨大な電力の塊が『パラティヌス・スローター』を薙ぎ払う。
 その一撃は凄まじいの一言に尽きるだろう。
 戦乙女の名を冠する炉、『ヴァルキリー』。
 そのエネルギーが生み出す奔流に敵は滅ぶしかない。キャノンの砲身が焼けただれるほどの出力。
 音を立て、砲身が大地に落ちた時、直線上に敵は一切存在しなかった。
 ユーリーは、敵のドローンから伝えられる情報にうなずく。これが『レーギャルン』。
 そして、これを過不足無く手繰る事ができるユーリーの『エース』としての本懐を見せるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
地下では使い道がない有毒装甲装備の対人用機体……
本当に恨みを晴らす以外、自分の国の維持すら頭にないみたいね
……いい迷惑だわ。誰にとっても。

アルカ・スィエラ、プロトミレス……出るッ!!
敵攻撃にはビームをスラスターの推力移動と残像で回避、『ステララディウス』で牽制射撃をしつつ、『ルーナグラディウス』を距離が遠ければ刀身展開した砲撃モードで、近づけば斬撃モードで使っていくわ

敵UCに対してはUCを。ドラグレクスを転移させ咆哮。自我無き敵キャバリアそのもの、もしくは装備火器や無人機といった機器類全てを行動不能もしくは機能不全へと追い込み、満足に動けないところを一方的に潰していくわ

※アドリブ連携等歓迎です



 地底帝国『バンブーク第二帝国』。
 彼等の目的は地上に対する復讐だけであった。それがアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)には理解できずとも、その復讐のために用意した兵器の数々の意味を解しただろう。
「地下では使いみちがない『有毒装甲』装備の対人用機体……」
『パラティヌス・スローター』は対人兵装ばかりを積み込んだ機体である。
 どれもが人に対する殺傷能力の高い武装ばかりだ。
 市街地に一騎でも侵入すればどうなるかなど火を見るよりも明らかだ。だからこそ、アルカは、自身のキャバリア『プロトミレス』のコクピットにある。

「本当に恨みを晴らす以外、自分の国の維持すら頭にないみたいね」
『バンブーク第二帝国』の憎悪は計り知れないものである。
 百年前に地底に追いやられた巨人たち。
 彼等は百年経った今でも地上に対する復讐しか考えていない。だから、こんなことができる。人を人とも思わない所業ができる。
 それをアルカは悲しいとは思わない。
「……いい迷惑だわ。誰にとっても」
 先代皇帝の遺児でる皇女『ライスメキア』が『フルーⅦ』に在るのも理解できる。
 彼女は地上の人と憎しみを超えて手を取った。
 ならば、アルカがスべきことはなにか。ただ一つだ。

「アルカ・スィエラ、『プロトミレス』……出るッ!!」
 戦場に駆け出す機体がビームの光条を躱す。
 スラスターの出力が前回にされ、凄まじい速度で『パラティヌス・スローター』に迫る。
 残像を残すほどの急旋回でビームの光条を躱すと、在るかはキャバリアライフルの牽制射撃で『パラティヌス・スローター』の四肢を撃ち抜く。
 武装はまだ残っている。
 腰部に備えられたランチャーが打ち抜き、爆散する『パラティヌス・スローター』を躱して疾駆する。

「私達の邪魔を、しないで……ッ!!!!」
『プロトミレス』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 突如として転移出現する機竜『ドラグレクス』の咆哮が轟く。
 それは衝撃波を伴う機体の機能を狂わせる咆哮であった。あらゆる無人機に対してその機能を不全とさせる咆哮。
 機械に恐怖という感情があったのならば、『パラティヌス・スローター』は『ドラグレクス』にこそ恐怖したのかもしれない。
 人であれば、身がすくむような挙動。
 その一瞬をアルカは見逃さない。

 腰部に備えられたビームランチャーの砲身が引き抜かれ、二振りの実体剣と変貌する。
 その剣閃が『パラティヌス・スローター』を十字に切り裂く。
「満足に動けない今……確実に数を減らす……!」
 アルカの背後には大型の白いキャバリア『フラズグルズ』がある。あれがこの小国家の守りの要だ。
 エネルギーフィールドがあのキャバリアによって展開されている以上、毒素が市街地に流入することはないだろう。
 だが、敵の存在は捨て置くことはできない。
 敵は無人機だけではないのだ。

 緑青のサイキックエナジーを発露する騎士型オブリビオンマシン。
 毒素をまき散らす筒を打ち込もうとしている。これを防ぎ、侵攻を続ける『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンを打倒し、憎悪の連鎖を断ち切る。
 そうしなければ、戦いは終わらない。
 戦いばかりの世界であれど、憎悪に全てが壊されることなどあってはならない。
 アルカは『ドラグレクス』と共に咆哮するだろう。
 戦いを憎む心こそが、平和への礎となるのならば。
「オブリビオン、それがあの悲劇を齎したモノの名前……なら、それを私は否定する」
 戦場を疾駆する『プロトミレス』の斬撃が、悪意の塊である『パラティヌス・スローター』を切り裂き、爆風の中を縫うようにして騎士型オブリビオンマシンへと迫るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
国を守る。国防、防衛か!?
なら守ろう、守って、壊そう!!

ディスポーザブル03操縦
パルスアトラクターの電磁音波の吹き飛ばしで榴弾迎撃、
同時に胸部コンテナからパルスミサイルでマヒ攻撃、時間稼ぎ。

市街地は守られている。ならば此処は、良いか!!?

『劫火殲滅舞踏』発動【エネルギー充填】03に闘争心を焚べる

敵機も憎悪も、一切合切全部壊してやる!!
撃てぇええええああああアアアアアアッ!!

ハイペリオンツインランチャーの【砲撃】
パラティヌス達を【なぎ払い】肩部全ミサイルコンテナ、上空へ射出。
ミサイル展開【範囲攻撃】絨毯爆撃敢行!
体勢を立て直せさせない為に、畳み掛けるように、地低から出てきた端から粉砕する!



「国を守る。国防、防衛か!?」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は亡国で造り出されたクローン人間である。
 死ぬまで使い潰される人形であった。
 けれど国は消滅し、生きている。
 わからないことばかりであった。けれど、その心に、魂に満ちるものが唯一だけある。壊して、守る。
 何を壊して、何を守るのかなど言うまでもない。
 全ては己の心に従うまでである。
「『ディスポーザブル』! なら守ろう、守って、壊そう!!」
 胸部のパルスアトラクターから電磁音波が放たれ、『パラティヌス・スローター』より放たれた榴弾を空中で爆砕する。
 爆風が機体をなめる。

 だが、爆風の中から無人機オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』が迫る。
 彼等にとって、恐怖はない。
 あるのは『バンブーク第二帝国』の地上に抱く憎しみだけであった。憎悪の塊を前にして小枝子はためらわなかった。
 胸部コンテナから放たれるパルスミサイルが『パラティヌス・スローター』の機体に突き立てられ、その動きを止める。
 そこへ『ディスポーザブル』の拳が叩き込まれ、機体をひしゃげさせる。
「市街地は守らている。ならば此処は、良いか!!?」
「エネルギーフィールドはまだ持ちます! 敵の迎撃を!」
 白い大型キャバリア『フラズグルズ』より『フュンフ・ラーズグリーズ』の通信が入るが、小枝子は聞き流す。

 あるのは闘争心だけだ。
 目の前の敵を壊す。壊して守る。守って壊す。
 順序が逆転していようが小枝子にとっては些細なことだった。 
 どれだけ自分に憎悪の矛先が剥くのだとして、それは彼女にとって痛みを感じさせるものではなかった。それ以上に、心にあるのは――。
『ディスポーザブル』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 劫火殲滅舞踏(ゴウカセンメツブトウ)は此処に。
「単騎では……!」
『クリノ・クロア』の声が聞こえる。いや、聞こえない。
 単騎だろうがなんだろうが、小枝子はもう決めているのだ。目の前に迫る脅威。敵。オブリビオン。そして『バンブーク第二帝国』が発露する憎悪。
 その全てを。
「敵機も憎悪も、一切合切全部壊してやる!!」
 叫ぶ。
 咆哮と言ってもいいほどの叫び。
 小枝子の心よりの言葉であった。

『ディスポーザブル』の背部より展開するハイペリオンランチャー。
 2つの方針より放たれる砲撃が地上に這い出す『パラティヌス・スローター』を討ち滅ぼし、さらに迫る敵機を肩部に備えられたミサイルコンテナが展開され、発射される範囲攻撃の絨毯爆撃が尽くを滅ぼしていく。
「体勢は建て直させない……畳み掛ける!! 撃てぇえええええああああアアアアアアアッ!!」
 絶叫にも似た叫び。
 壊す。壊す。壊す。それだけしかできない。転じて壊すことが守ることになるというのならば、小枝子は憎悪も何もかも超えて敵を穿つだろう。

 ただそれだけのために造られた生命である。
 今こそ彼女は、己の中にある本来の意味を知るだろう。守るために壊す。ただそれだけのために戦場を狂ったように疾駆し、火線を打ち出し続ける暴威。
 それが『ディスポーザブル』。
 その名の通り、国の脅威を粉砕するキャバリアは、『パラティヌス・スローター』を次々と破壊し、突き進むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
救援に来たよ…有毒装甲か…今度は無人機……ね…
それならば遠慮は要らない…ライスメキア達は少し下がってて…
【天地に響く崩塵の歌】を発動…パラティヌス・スローターの周囲に音響用ガジェットを配置…
…ガジェットが奏でる演奏を操音作寂術式【メレテー】で増幅…戦場のスローターやポイズンソーを崩壊させるよ…
…ここまでは問題無い…後は破壊したことにより漏れ出す毒…
…何度も遭遇していれば…浄化復元術式【ハラエド】と医療製薬術式【ノーデンス】を複合…特化解毒術式【アストヒク】を発動…
…毒素に特化した解毒術式を広域発動して毒が広がる前にすべて中和してしまうよ……



『有毒装甲』は『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシン全てに装備された毒素をまき散らす装甲である。
 その毒素が強力であるのは言うまでもない。
 生身であれば、確実に死に至らしめられる。猟兵であるからこそ、耐えられるものであるが市民たちが耐えられるわけがない。
 そうして甚大な被害を被ったのが『グリプ5』であった。
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は、『フルーⅦ』に秘蔵されていたスーパーロボット『レーギャルン』の一騎に乗り込み、操作感を確かめる。

 猟兵が来る迄誰にも扱えなかった機体。
 この簡易型を彼は『グリプ5』で一度操縦している。あの時は『エース』でなければ扱えない機体であった。
 けれど、今回の『レーギャルン』はオリジナル。
 さらに扱いづらい機体であることは承知の上である。
「へっ、バンブークの奴らめ。また性懲り無くノコノコやってきやがったな。てめえらの悪巧みなんざ、このオレ様とベアがぶっ潰してやるぜ!」
『レーギャルン』に搭乗し、ウィルが戦場に飛び込む。
 簡易型『レーギャルン』と異なるのは出力の違いと、『レーギャルン』に備えられた膨大な戦闘経験による操縦アシスト……ならぬ、推奨挙動の指示である。

 膨大な出力により生み出される水力に加速度Gが重く体に押しかかる。
「へぇ、こいつがオリジナルの『レーギャルン』か。簡易型と違って……!」
 扱いづらい。
 圧倒的に。『エース』級の腕前を持ってしても、同じ『レーギャルン』の名を持っていた簡易型を知っていれば、ことさらにそう思わざるを得ない。
 圧倒的な出力を実現する炉『ヴァルキリー』。
 膨大な戦闘経験を蓄積する『ファフニール』。
 どれもが規格外であり、これが九つに分割されているということ事態がウィルにとっては興味惹かれるものであった。

 だが、それ以上に戦場を占める憎悪。
『パラティヌス・スローター』の脅威を振り払わなければならない。
「相手は対人用に特化した機体か……それならば、こっちより人間を優先するんだろうな」
 だからこそ、逆手に取ることができる。
 ウィルのユーベルコード、ヴィジョン・ハイジャックによって『パラティヌス・スローター』のカメラアイを掌握し、偽情報を流し込む。
 そのカメラアイが捉えたのは、逃げ惑う市民の姿。
 それを捉えた瞬間、『パラティヌス・スローター』たちは一斉に、市民たちに向かって己たちの兵装を放つ。

 だが、それはウィルの生み出した虚構。
「夢か現か幻か。ハッキングされた視界の中で、何が現実か疑いながら迷い込んじまえ!」
 さらにウィルは、その偽情報に寄って『パラティヌス・スローター』たちを市街地より引き離しながら、被害がスクナ居場所におびき出す。
「さあ、後はオレ様とベアで一気に片付けてやるぜ!」
 一網打尽というようにウィルの駆る『レーギャルン』と『ベアキャット』が咆哮する。
「ガオォン!」
 在りもしない標的に向かって武装を振るう『パラティヌス・スローター』など彼等の敵などではなかった。

 憎悪の塊。
『バンブーク第二帝国』が持つのは、それだけであった。
 地上にある者たちを殺し殲す。
 ただそれだけのために、他の全てを投げ打つ。己の生命すらも必要ないかというように、彼等は憎しみに駆られて突き進む。
 ウィルは再び相まみえる緑青の騎士型オブリビオンマシンを前に、その悪意を打ち砕くことができるだろうか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​


メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)さんのリプレイを間違って掲載してしまいました。

正しくは、以下のとおりです。

―――――――――
「エネルギーフィールドの消耗率70%……! 敵機の消耗率は、半数を切った!」
『クリノ・クロア』が白い大型キャバリア『フラズグルズ』の中で叫ぶ。
 絶望的な防衛戦だった。
『パラティヌス・スローター』は対人戦闘に重きをおいたキャバリアだ。機体を覆う『有毒装甲』も厄介であるが、最も厄介なのが、その装備されたポイズンソーだった。
 毒を撒き散らしながら、市民だけを狙い撃ちにする無人兵器。
 人の心など無く。
 揺らぎ無くプログラミングされた命令だけを実行する兵器。

「まだだ、まだ敵がいる……エネルギーフィールドが、『ライスメキア』が維持できる時間を超えたらだめだ。この後がある。余力を残すためには……!」
 エネルギーフィールドの維持には巨人である『ライスメキア』の脳の演算領域が必要となる。
 長時間維持していれば、彼女の脳に負荷がかかるのは言うまでもない。
 だからこそ『フュンフ・ラーズグリーズ』は戦いの早期決着をの望む。だが、それがさせてもらえるほど『バンブーク第二帝国』の憎悪は弱くはない。

「救援に来たよ……」
 通信が入り、モニターをみれば次々と転移してくる猟兵達の姿があった。そこには試作型術式騎兵『ツィルニトラ』に姿もあった。
「メンカルさん……!」
「……話は後にしよう」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はうなずく。
『有毒装甲』に無人機である『パラティヌス・スローター』。
 ならば遠慮はいらない。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝き、呼応するように『ツィルニトラ』のアイセンサーが煌めく。
「絡繰の鳥よ、歌え、奏でよ。汝は天響、汝は挽歌。魔女が望むは崩れ滅びる鎮魂歌」
 歌うように紡がれる術式。

 天地に響く崩塵の歌(レゾナンス・レクイエム)。

『パラティヌス・スローター』の周囲に音響用ガジェットが出現する。
「『ライスメキア』たちは少し下がってて……」
 メンカルのユーベルコードは一気に展開したガジェットに寄って音を奏でる。
 それは演奏と言っても良かった。
 いや、奏でられる曲は滅びの曲目。放たれたポイズンソーや『パラティヌス・スローター』の機体が音響による振動でもって破壊されていく。
 術式『メレテー』でもって増幅された振動は、鋼鉄の兵装であろうとたやすく破壊していく。
「……此処までは問題ない……後は、破壊したことにより漏れ出る毒素……」

 そう、『有毒装甲』の最も忌避すべきところは其処だ。
 生半可に破壊しただけでは毒素は晴れない。『グリプ5』がそうであったように漏れ出した毒素で人はたやすく歯に至る。
 それほどまでに凶悪な毒素なのだ。
 だが、メンカルは浄化復元術式『ハラエド』を展開する。さらに医療製薬術式『ノーデンス』を融合し、毒素に特化した術式『アストヒク』を発動させる。
「……こう何度も遭遇してれば……やり方もわかる。一度目がうまく言ったから二度目も、と思ったんだろうけどね……」
 だが、メンカルが居る限り、その限りではない。

 何度も手の内を見せるということは対策を練られるということだ。
「……憎しみの理由にばかり囚われているから……」
 毒素に特化した解毒術式が戦場に満ちる。
 広域に放たれた術式が『有毒装甲』を中和していく。
「毒素が中和できる……! これなら!」
「……うん、『グリプ5』の二の舞にはならない。エネルギーフィールドの維持はピンポイントで。『ライスメキア』の負荷を少しでも減らしてあげて……」
 メンカルは『フラズグルズ』へと視線を向ける。
 多くを守るためのキャバリア。
 防衛に特化した機体に仕上げたのは、彼等らしいと思っただろう。平和を知らず、平和を求め、平和の前に嘆く者たちが導き出した答えだ。

 ならば、メンカルはそれを守る。
 憎悪が全てを破壊する破滅を齎すというのならば、その破滅から世界を救うことをこそ使命とする戦士がいる。
 それが猟兵と言うものだと示すようにメンカルは、己の生み出した術式で毒素を中和していくのであった――。

―――――――――
ウィル・グラマン
●WIZ

へっ、バンブークの奴らめ
また性懲りもなくノコノコとやってきやがったな
てめぇらの悪巧みなんざ、このオレ様とベアがぶっ潰してやるぜ!

へぇ、コイツがオリジナルのレーギャルンか
前使った簡易型と違って、結構しっかりした作りじゃねぇか
どんな装備や隠された機能があるか、時間があれば【ハッキング】して【情報収集】したいところだな

相手は対人用に特化した奴か……
そうなればキャバリアよりも人間を優先して攻撃してくるだろうが、そこを逆手に取ろうじゃねぇか
『ヴィジョン・ハイジャク』で作った偽情報、ありもしねぇ攻撃対象の人間の映像を餌にして被害が少ない場所に誘き出してやるよ
あとはオレ様とベアの連携で一網打尽だぜ



『有毒装甲』は『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシン全てに装備された毒素をまき散らす装甲である。
 その毒素が強力であるのは言うまでもない。
 生身であれば、確実に死に至らしめられる。猟兵であるからこそ、耐えられるものであるが市民たちが耐えられるわけがない。
 そうして甚大な被害を被ったのが『グリプ5』であった。
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は、『フルーⅦ』に秘蔵されていたスーパーロボット『レーギャルン』の一騎に乗り込み、操作感を確かめる。

 猟兵が来る迄誰にも扱えなかった機体。
 この簡易型を彼は『グリプ5』で一度操縦している。あの時は『エース』でなければ扱えない機体であった。
 けれど、今回の『レーギャルン』はオリジナル。
 さらに扱いづらい機体であることは承知の上である。
「へっ、バンブークの奴らめ。また性懲り無くノコノコやってきやがったな。てめえらの悪巧みなんざ、このオレ様とベアがぶっ潰してやるぜ!」
『レーギャルン』に搭乗し、ウィルが戦場に飛び込む。
 簡易型『レーギャルン』と異なるのは出力の違いと、『レーギャルン』に備えられた膨大な戦闘経験による操縦アシスト……ならぬ、推奨挙動の指示である。

 膨大な出力により生み出される水力に加速度Gが重く体に押しかかる。
「へぇ、こいつがオリジナルの『レーギャルン』か。簡易型と違って……!」
 扱いづらい。
 圧倒的に。『エース』級の腕前を持ってしても、同じ『レーギャルン』の名を持っていた簡易型を知っていれば、ことさらにそう思わざるを得ない。
 圧倒的な出力を実現する炉『ヴァルキリー』。
 膨大な戦闘経験を蓄積する『ファフニール』。
 どれもが規格外であり、これが九つに分割されているということ事態がウィルにとっては興味惹かれるものであった。

 だが、それ以上に戦場を占める憎悪。
『パラティヌス・スローター』の脅威を振り払わなければならない。
「相手は対人用に特化した機体か……それならば、こっちより人間を優先するんだろうな」
 だからこそ、逆手に取ることができる。
 ウィルのユーベルコード、ヴィジョン・ハイジャックによって『パラティヌス・スローター』のカメラアイを掌握し、偽情報を流し込む。
 そのカメラアイが捉えたのは、逃げ惑う市民の姿。
 それを捉えた瞬間、『パラティヌス・スローター』たちは一斉に、市民たちに向かって己たちの兵装を放つ。

 だが、それはウィルの生み出した虚構。
「夢か現か幻か。ハッキングされた視界の中で、何が現実か疑いながら迷い込んじまえ!」
 さらにウィルは、その偽情報に寄って『パラティヌス・スローター』たちを市街地より引き離しながら、被害がスクナ居場所におびき出す。
「さあ、後はオレ様とベアで一気に片付けてやるぜ!」
 一網打尽というようにウィルの駆る『レーギャルン』と『ベアキャット』が咆哮する。
「ガオォン!」
 在りもしない標的に向かって武装を振るう『パラティヌス・スローター』など彼等の敵などではなかった。

 憎悪の塊。
『バンブーク第二帝国』が持つのは、それだけであった。
 地上にある者たちを殺し殲す。
 ただそれだけのために、他の全てを投げ打つ。己の生命すらも必要ないかというように、彼等は憎しみに駆られて突き進む。
 ウィルは再び相まみえる緑青の騎士型オブリビオンマシンを前に、その悪意を打ち砕くことができるだろうか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うーん毒がなあー…
毒がなー…面倒臭いんだよなあこれ
毒じゃなくてこう、フローラルな香りを撒く筒とかにしてくんない?
ダメかな?ダメだよね
まあ、何とかなるなる


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀して
市街地外れの高い所に陣取ろう
双眼鏡で大体の敵の位置を把握して…
【剣技・蒼嵐剣】起動
よーく狙って、風の刃で遠距離攻撃!
細かい誤差は感覚…『第六感』でまあ何とかしよう!
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる
遠距離から兎に角斬りまくって攻撃!
ついでに竜巻も残るから敵の足止めと巻き込み攻撃にも良いだろうし
じゃんじゃん斬っていこう!

難点があるとすればこれ傍から見ると何も無い所で剣振り回してる所なんだよね…



 毒とは厄介なものである。
 目に見えるものばかりではなく、大抵のものは音も色もなく忍び寄り、人体に致命的な打撃を与える。
 だからこそ、恐怖する。
 目に見えないから、息はしなければならないから。どうしたって毒素は体の中に入り込み、その生命を殺す。殺し殲す。
『バンブーク第二帝国』の地上に対する憎しみは、常軌を逸していた。
「うーん毒がなあー……」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は『有毒装甲』により毒素の排出に頭を悩ませていた。

「毒がなー……面倒臭いんだよなあこれ。毒じゃなくてこう、フローラルな香りを撒く筒とかにしてくんない?」
 ダメかな? ダメだよね、と玲は『フルーⅦ』の市街地の電波塔の頂点に立っていた。
 巨大な白いキャバリア『フラズグルズ』より放たれているエネルギーフィールドによって毒素は市街地には流入していない。
 二振りの模造神器を抜刀し、その刀身が蒼き輝きを放つ。
 一振りを突き立て、双眼鏡で確認する。敵の位置を把握するためだろう。
「……うーん、よくわかんないなぁ。でもまあ、感覚感覚……そう! なんとかなる。なるったらなる!」
 玲は双眼鏡を離し、模造神器を手に取る。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる!」

 何を、と彼女を見る者がいたのならば思っただろう。
 だが、此処に在りて彼女の存在を知覚できるものはいなかった。誰もが市街地の外で行われている戦場に気を取られていたし、その戦場で戦う『パラティヌス・スローター』もそうであったことだろう。
 まさか、遠く離れた場所より、狙撃されるとは思っても居ないからだ。
 だが、玲の瞳はユーベルコードに輝く。
 剣技・蒼嵐剣(プログラム・ストームソード)の剣速は、マッハ5を超える。

 即ち、彼女の斬撃は蒼き竜巻となって放たれる。
 模造神器を振るう。
 斬撃を飛ばして、超長距離射撃……いや、超長距離斬撃を行うなど、誰が想像しようか。
「――!?」
 それに最初に気がついたのは『フラズグルズ』に乗る『クリノ・クロア』であった。
 凄まじい速度で飛ぶ剣閃。
 それが『フラズグルズ』の横を通り抜け、『パラティヌス・スローター』を一撃のもとに両断したのだ。
『フュンフ・ラーズグリーズ』でさえ、理解できなかっただろう。
 己達に迫っていた機体が両断され、爆散したのだ。それも突如として。

「……砲撃……いや、違う、これは!」
「まさか、いや、でも……ええ!?」
 超望遠のセンサーが捉えたのは、電波塔で剣を振るう玲の姿であった。
 傍からみれば、なにもないところで剣を奮っているだけの姿。だが、二人は理解しただろう。
 あの距離から斬撃を飛ばしているのだと。
「毒素が届かない場所から、あんなことが……」
「やろうと思ってやることじゃないでしょう、あんなのさ!」
 だが、二人は笑う。
 年相応な屈託のない笑顔であったことだろう。玲もそれを見ることはできない。けれど、それでもいのだ。

「……なんか、今笑われている気がする」
 確かに傍から見たらちょっと間抜けっぽい。
 いやいや、誰が見てるってわけじゃないし、と気を取り直し、彼女は超長距離斬撃を繰り出し続ける。
 放った斬撃が生み出した蒼き竜巻が『パラティヌス・スローター』を足止めし、さらに数を減らしていく。
 残るは騎士型と皇帝騎のみ。

 未だ毒素の問題は残れど、されど『フルーⅦ』を巡る戦いの推移は、憎悪に押しつぶされる事無く、未だ平和への祈りをもって咲き誇るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヴェルディグリース』

POW   :    メラルダの剣
【サイキックエナジーを実体化させて自分の剣】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    ベリドートの鎧
全身を【緑青色に輝く強固なサイキックオーラ】で覆い、自身の【搭乗者を顧みない出力のサイキックエナジー】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    ロムスフェーンの外套
自身の【搭乗者の生命力および精神力】を代償に、【対象の至近距離へテレポートし、サイキック】を籠めた一撃を放つ。自分にとって搭乗者の生命力および精神力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。

イラスト:黒メガネ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ツェリスカ・ディートリッヒです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 屈辱と憎悪に塗れた百年であったと巨人である『スヴェイズ』は、己の緑青のサイキックエナジーを放つ騎士型オブリビオンマシン『ヴェルディグリース』と共に戦場に立つ。
『毒素をまき散らす筒』を打ち込み続ける。
 エネルギーフィールドに阻まれているが、白い大型キャバリア『フラズグルズ』は長時間運用できないことを彼は見抜いていた。
「であればこそのピンポイントでフィールドを張る方向に舵を切ったか。だが、そのようなか細い守りで、いつまで保つ。弱き者に慮るからこそ、その失態。見るに耐えぬ!」
 緑青のサイキックエナジーを放出しながら、怒りにも似た感情を発露させ『スヴェイズ』は『フラズグルズ』を狙って戦場に突き進む。

 あれに嘗て己の仕えた先代皇帝の遺児が乗っていようと関係ない。
 忠義の前に憎悪が勝るのだ。
「切り捨てさせて頂く。先代皇帝は、たしかに偉大であったが、一つ許せぬことがある。憎しみを捨てよとおっしゃられた。それがどうにも私には理解できぬ。我等に落ち度はない。我等が違うからという一点においてのみ地底に放逐されたのだ」
 ならばこそ、彼はこの憎しみこそが正当であると言うだろう。
 無論、オブリビオンマシンによって歪められた結果であることは言うまでもない。

 けれど、彼の感情は百年の時を重ね、ねじれにねじれた。
 もはや、止めることはできない。
 例え、己の生命を全て吸い上げられるのだとしても、そのサイキックエナジーの発露をもって殺し殲さなければならないと咆哮するのだ。
「我等の憎しみを解さぬ者たちよ。我等の前に立ち塞がるというのならば!」
 剣より放たれるサイキックエナジー。
 その輝きの凄まじさは、戦場を満たす。『毒素をまき散らす筒』は打ち込まれ続け、強大なるサイキックエナジーは、戦場に立ち塞がる全てを切り裂かんと牙を向いている――。
村崎・ゆかり
引き続き宇宙服で毒を遮断。

また市街地への無差別投射か。『フルーⅦ』の方、市民の避難は出来てるのかしらね。
まあ、その前に止めるけど。

「目立たない」ように敵機に近づく。
「全力魔法」衝撃の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「仙術」「道術」で風吼陣。
対人サイズの刀剣じゃあまり傷にはならないだろうけど、毒の入った筒は確実に封じる。
それに、これだけの数の刀剣、関節に突き刺さらないとも限らないしね。
外部カメラに当たれば儲けもの。

このまま動きを封じて、足止め役に徹するわ。
攻撃は後続に任せた。



 地底帝国の憎しみは深い。
 それがわかっているからこそ、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は立ち止まらない。
『有毒装甲』から放たれる毒素を遮断する宇宙服の効果はまだ続いている。
 この短い時間に何ができるだろうか。
 緑青のサイキックエナジーをほとばしらせる『ヴェルディグリース』。
 その乗り手である『スヴェイズ』は咆哮する。
「我等の憎しみの前に立つな。我等が失った誇りも矜持も全てが血の道の先にあると知れ!」
 放たれる『毒素をまき散らす筒』。
 それらを防ぐのは白い大型キャバリア『フラズグルズ』のエネルギーフィールドであった。

 長時間の運用が難しいが故に、今はピンポイントでフィールドを展開し、放たれる筒を防いでいるのだ。
「また市街地への無差別投射か」
 市民の避難は完了しているのか。
 そうでなくても急がなくてはならない。決着は早期に。
 今はまだ市街地に被害が出ていなくとも、長引くほどに『バンブーク第二帝国』に戦いの趨勢は傾いていく。

 それを知っているからこそ、『バンブーク第二帝国』の現皇帝まで出張ってきているのだ。
 2つの小国家を確実に滅ぼすために。
「まあ、その前に止めるけど」
 ゆかりは目立たぬように『ヴェルディグリース』に近づく。だが、『スヴェイズ』は見切っているようであった。
『有毒装甲』の脅威は『フルーⅦ』にとって脅威。
 二度目の侵攻ともなれば、己達に対する備えをするだろうことは容易に想像できた。
 だからこそ、ゆかりが単身近づいてきた時、彼は油断などしなかった。一切のおごりなど無く、そのサイキックエナジーを発露させる巨大な剣をためらうこと無くゆかりへと振るう。

「生身であろうと――! 毒素の中を移動するのなら!」
 放たれる巨大な剣。
 まるで巨大な建造物が己に落ちてくるかのようにゆかりは錯覚するだろう。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
 ユーベルコードを宿した瞳が煌めく。
 ゆかりを中心にして暴風が荒ぶ。刀剣を含む風が迫るサイキックエナジーの剣を細切れに切り裂いていく。
「風吼陣(フウコウジン)――間に合った……!」
 ギリギリであった。
 振るわれた一撃を受ければ、ゆかりとてただではすまないだろう。ただでさえ、敵のオブリビオンマシンは巨人の体躯似合わせ全長15mにも及んでいるのだ。

 質量差でもたやすく猟兵を死に至らしめるだろう。
 砕けるサイキックエナジー。
 その煌めく最中、ゆかりの瞳が一層煌めく。
「このまま動きを止める!」
 刀剣をはらむ風が『ヴェルディグリース』を包み込む。足止めだけを主軸に置いた戦法。
 人のサイズの刀剣など、『ヴェルディグリース』には効果はないかもしれない。けれど、それらの全てが『ヴェルディグリース』の関節部や装甲を傷つけていく。
 カメラアイなどに当たれば儲けものである。

「と、そんなに簡単に行かないか」
 ゆかりは暴風の中に煌めく『ヴェルディグリース』のアイセンサーを見ただろう。
 この間、『毒素をまき散らす筒』の投射は止まっている。
 少しでも速く他の猟兵たちが駆けつける時間を稼がねばならない。この後に控える皇帝騎もまた打倒しなければならないのだ。
「足止めは十分。みんな、後は任せたわよ!」
 ゆかりは暴風の外から駆けつけた猟兵たちを見やる。
 彼等がいれば、どんな手強い敵も打倒できる。これまでもそうであったように猟兵たちの戦いは繋ぐ戦い。

 誰一人としてただ一人では戦えない。
 だからこそ、繋ぐ。繋いで、一つの生き物となるように強大な敵を討つ。ただそのためにゆかりは、憎悪の怪物を前に、その足を止め続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
なんというプレッシャーですの!
憎しみのおパワーを感じますわ!
ですけど言いたいことも言えないこんな世の中だからといってポイズンを撒き散らすのはどうかと思いますわ
貴方のような分からず屋はぶん殴るに限りますわ〜!

間合いを詰められる前にビームガンとビームキャノンを撃ちまくるのですわ
頑丈そうなのであまりダメージがお入りにならないかも知れませんわね
そうこうしてる内に接近戦の間合いになりそうですわ
でっけぇ剣をブレードエッジで受け流してガンフューラーユニットをパージ!
身軽になってヴェルディグリースの懐に飛び込むのですわ
四太刀目はございませんわよ〜!
ヴリちゃん!胴に噛み付いて滅亡の瞬光を発射するのですわ!



 暴風荒ぶ中に飛ぶ刀剣を弾き飛ばしながら、緑青の甲冑を待ったかのような騎士型の大型オブリビオンマシン『ヴェルディグリース』が飛び出す。
 その装甲に傷はつけられども、未だ致命傷には至っていない。
「小賢しい真似をしてくれる!」
 発露するサイキックエナジーは膨大であった。
 手にした剣が巨大化していく。これほどのサイキックエナジーの発露は、搭乗者の生命を削るものであったことだろう。

 だが、生命などいらないというように『スヴェイズ』は咆哮する。
 己たちの憎悪を晴らすためならば、他の生命も、己の生命も区別などないのだ。ただ、殺し殲すためだけに彼は生命を吸い上げ、サイキックエナジーの剣を振るうのだ。
「なんというプレッシャーですの! 憎しみのおパワーを感じますわ!」
 メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は、『ヴェルディグリース』の発するサイキックエナジーの凄まじさを感じるだろう。
 だが、恐れはない。
 恐ろしさは時に人の足を掴むものであった。
 だから、彼女は恐れない。

「ですけど、言いたいことも言えないこんな世の中だからといってポイズンをまき散らすのはどうかと思いますわ」
「手段など選んでいられるものか。我等が為すべきことは憎悪を持って、地上の生命を殺し殲すことのみ!」
 振るわれるサイキックエナジーの刀剣。
 その一撃が『ヴリトラ』へと迫る。

『ヴリトラ』から放たれるビームガン、ビームキャノンの砲撃がサイキックエナジーの刀身にぶつかって砕ける。
 いや、刀身は刃こぼれした程度に過ぎない。
 放つビームの光条もサイキックエナジーに阻まれている。
「貴方のようなわからず屋はぶん殴るに限りますわ~! その歯をぐいっと食いしばりあそばせ!」
 メサイアは『ヴリトラ』と共に迫る剣を前に退くのではなく、前進する。
 後ろに道はない。あるのは轍のみ。
 ならば、彼女は前に突き進む。愚直と言われるかもしれない。けれど、メサイアはは知っている。

 放たれた一撃を背に備えられたブレードエッジで交差させるようにして受け止める。
 それは己の機体を敢えて一撃の前にさらけ出したように思えただろう。
「この一撃を受け止められるものか! 我等が憎悪が全てを断ち切る! 生命を! 全てを! 世界そのものを破滅に……――!?」
『スヴェイズ』は見ただろう。
『ヴリトラ』の背に備えられたブレードエッジは、謂わばソードブレイカー。櫛歯のように備えられたブレードエッジの隙間に放たれた剣の一撃が吸い込まれるようにして落ちた瞬間、『ヴリトラ』が暴竜型である利点を示すように身を捩る。
 いや、回転した。

 例えたソードブレイカーの名の通り、『ヴリトラ』は己の背にあるブレードエッジを持って、『ヴェルディグリース』の剣をへし折ろうとしているのだ。
 それに気がついた『ヴェルディグリース』が剣を退く。
 だが、それは悪手だ。
「後ろに勝利の道があるとでも! そう、いつだって栄光への道は前にしかありませんことよ~!」
『ヴリトラ』の背追ったガンフューラーユニットがパージされる。
 機体が軽くなったことに寄って、踏み込みは更に速くなるだろう。『ヴェルディグリース』の間合い、そのさらに懐に飛び込む『ヴリトラ』。

「貴様……! 我が剣を敢えて退かせたか!」
「いいえ、貴方は剣を失うことを恐れた! 棄てる生命はあれど、棄てる剣はないと、退いたのです。ならば! 四太刀目はございませんわよ~!」
『ヴリトラ』のアイセンサーが煌めく。
 サイキックエナジーを発露する鎧、その胴に食いついた『ヴリトラ』の口腔より放たれるは、滅亡の瞬光(ジェノサイドバスター・ラディカルレイ)。

 その光条は満ちるサイキックエナジーを引き剥がし、『ヴェルディグリース』の鎧を砕く。
「これがジェノサイドバスターというものですわ~!」
 凄まじい爆風に吹き飛ばされながらメサイアは見ただろう。サイキックエナジーを砕かれ、摩耗した『ヴェルディグリース』の姿を。
 甲冑砕け、膝つく騎士型オブリビオンマシン。
 これが憎悪の末路であると示すようにメサイアは憎悪をこそ滅ぼす光と共に、これを討つのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『弱者?ぬかせ!てめえらのほうが弱者だ!憎しみを乗り越えようともせず、ただ飲み込まれ世界を滅ぼさんとする阿呆共が!憎しみに飲まれ、流されるそれを弱さと言わずしてなんという?あとの世代にまで憎しみ合うことを押し付けるつもりか?』
【オーラ防御】を多重に貼り、【リミッター解除】した【操縦】で肉薄するぜ!毒素をまき散らす筒の発射システムに向けて、電磁機関砲の【制圧射撃】を放ち、ユーベルコード発動の隙をつくるぜ。そしてユーベルコード【竜魂術『天竜の息吹』】を発動!毒を浄化しつつ、相手を攻撃するぜ!!



『弱者』は否応なしに生まれるものである。
 人と人とが。人とそうでない種族が。種族とまたその異なる種族が。
 同じ世界に内在している時、必ず生まれるものである。『弱者』が『強者』を生み出し、『強者』が『弱者』を生み出す。
 ならば、必然『弱者』の言葉は世界に反映されることはない。
 淘汰されるべきものとして生まれた者たちの悲哀を、ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は知っているだろうか。
「弱者の言葉など聞くに値せず」
 緑青色の強固なサイキックエナジーが満ちていく。

 巨大な機体に穿たれた傷跡を補填するように、サイキックエナジーが溢れる。それは鎧を纏うようであり、またそのサイキックエナジーは搭乗者である『スヴェイズ』の命を削るものであった。
「我等の憎悪を知らず。我等の恥辱を知らず。我等を弱者と蔑む者の声など届かず。故に、我等は強者足り得るだろう。弱者を知らぬ者は、ただの傲慢なる者である」
 振るう剣の一閃が大地を砕く。
 その一撃をかわしながらガイは『スターコスモ・インパルス』と共に戦場を駆け抜ける。

「弱者? ぬかせ! てめえらのほうが弱者だ!」
「そのとおりだ。だから我等は地底に追いやられたのだ。我等の憎しみの原点はそこにこそある」
 振るう一撃。
 それが幾重にも張り巡らせたオーラを砕く。
 意味をなさない。防御をしようとした瞬間に砕かれる。かわさなければならない。リミッターを解除した機体が限界まで速度を上げる。
 加速度的に跳ね上がる体への負荷をガイは耐え忍びながら、電磁機関砲を『毒素をまき散らす筒』に放つ。
 あれを何度も放たれてはならない。

 今はまだ市街地へと打ち込まれていない。
 大型キャバリアの『フラズグルズ』が防いでいてくれるからだ。だが、それも長くは続かないだろう。
「憎しみを乗り越えようともせず、だた飲み込まれ世界を滅ぼさんとする阿呆どもが!」
「乗り越えられるものか。憎しみを得たことも、それが如何なるものかも知らぬ者がよく言う!」
 斬撃がガイの機体を揺らす。
 受け止めきれない。機体がきしみ、フレームが歪む。

 機体が持たないと理解するだろう。
 だが、彼の瞳には敗北の未来は見えていなかった。
「あとの世代にまで憎しみ合うことを押し付けるつもりか!」
 その言葉と共に戦場に竜の起こす天嵐が満ちる。
 竜魂術『天竜の息吹』(ドラゴンマジック・スカイドラゴンブレス)は、『ヴェルディグリース』を紅き稲妻を呪いのようにまとわりつかせ、その機体を蝕む。
 緑青のサイキックエナジーと拮抗し、さらにガイは『ヴェルディグリース』の巨体を押し込む。

「どんなに憎しみがお前の心を蝕むのだとしても! 人はそれを乗り越えていけるものだろう! お前を歪ませるオブリビオンマシンがそれを阻むというのなら!」
 ガイのユーベルコードは毒と呪いを浄化する祝福の白き雨と共に戦場を貫く。
 押し込む。
 あの緑青の騎士型オブリビオンマシンは搭乗者の生命を吸い上げる。

 憎悪に歪ませ、その生命を使うことで憎悪の連鎖を繋いでいく。
 それこそがこの戦乱の世界、クロムキャバリアを滅ぼすものであるというかのようでもあった。
「それをさせねぇと戦う奴らがいる。今を乗り越えようとしている奴がいる。それを憎悪で塗りつぶそうという者がいるのなら!」
 どうしてもそれが許せないのだとガイは叫び、紅き稲妻に機体を取られる『ヴェルディグリース』へとブレードの一閃を放つ。

 その刀身の煌めきが未来に繋がる連鎖を断ち切ることができるのか。
 答えはまだ出ない。
 けれど、ガイはその一撃を持って己の中にある矜持をこそ示すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
気の障壁と【リフレクションマリス】は維持したまま【ネルトリンゲン】を前に出すよ。
毒の筒は、船体を防壁にしたり【M.P.M.S】で迎撃して、街には絶対に届かせないからね!

それで、なんだっけ?
『フラズグルズ』が長時間運用できない?
なら『充電』しちゃえばいいんだよ!

『希』ちゃん『フラズグルズ』をロック。
【フィリングウェーブ】を使うよ。
『フュンフ』さん、いまエネルギー送るからね!

どうかな? これで『フラズグルズ』はまだまだ動けるよ。
フィールドの維持だって、問題なし!

街への防衛線は絶対に破らせないよ。

あなたの気持ちはわからなくもないけど、
憎しみで全てを滅ぼして、あなたはそのあとどうするつもりなのかな?



 猟兵の一撃に寄って叩き伏せられる『バンブーク第二帝国』の大型オブリビオンマシン、『ヴェルディグリース』。
 その緑青色の機体より放たれるサイキックエナジーもまた同じ色をしていた。
 発露する力は搭乗者である『スヴェイズ』の生命力を削る。
 それを承知の上で彼等は大型オブリビオンマシンに乗っている。
 ただ己たちの中にある憎悪を晴らすために。生命でなければ贖うことのできない屈辱の歴史。
『バンブーク第二帝国』には、それが百年前より紡がれてきた。
 オブリビオンマシンに歪められた憎悪の凄まじさは言うに及ばず。
 彼等は皆、生命を捨てて地上に生きとし生けるものを殺し殲さんとしている。

「ダメだ……! あの緑青の騎士が来る! エネルギーフィールドはもうピンポイントでしか貼れない……『ライスメキア』さんへの負荷が……!」
『クリノ・クロア』が機体の状況を顧みて、そう告げる。
 だが、今エネルギーフィールドを張っている白い大型キャバリアが停止すれば、毒素は打ち込まれ、市街地は阿鼻叫喚地獄へと堕ちるだろう。
 そうなっては、これまで守ってきたものの全てが台無しになる。
「いいえ、私はまだ……!」
『ライスメキア』もまた生命を掛ける意志を持つ。『バンブーク第二帝国』が生命をとして地上を毒素で満たそうというのならば、彼女は己の生命をとしてでも『フルーⅦ』を守ろうとしている。

「大丈夫だよ!」
『ネルトリンゲン』が『ヴェルディグリース』と『フルーⅦ』の間に割って入る。
「邪魔立てをするな! 我等の憎悪をこそ正当なるものだ!」
『ヴェルディグリース』がサイキックエナジーを溜め込んでいく。何をするつもりかなど言わなくてもわかる。
 嘗て『グリプ5』で見せたようにテレポート転移によって一気に市街地へと飛ぼうとしているのだ。
 それを菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は防ぐために船体を壁にミサイルランチャーから砲撃を行っている。
 だが、飛ばれてしまう。
 ならばこそ、あのエネルギーフィールドは貼らなければならない。
 
「毒の筒は市街地には絶対届かせないから……!『希』ちゃん、『フラズグルズ』をロック! マイクロウェーブ照射開始!」
 理緒の瞳がユーベルコードに輝き、フィリングウェーブが『フラズグルズ』に照射される。
『ネルトリンゲン』のエネルギーが『フラズグルズ』に移され、白い大型キャバリアのアイセンサーが煌めく。
「ありがたきことです……私はひとりじゃない。そう思えることが、あの憎悪に立ち向かう理由になるのです」
「それでも脳の演算領域に対する負荷は……!」
「いいのです。それでも私はこの小国家を守りたい。皆様を護りたいと思うのです。ならば!」

 煌めくアイセンサーが『フラズグルズ』より放たれ、エネルギーフィールドが全開になる。
 それは物理的な力となって『ヴェルディグリース』を押し返すだろう。
「――!? この力、なんだ……我がサイキックエナジーを……! 物理的に干渉するのか!」
「まだまだ『フラズグルズ』は動けるよ。フィールドの維持だって問題なし! 街への防衛線は絶対に破らせないよ」
 理緒は『ネルトリンゲン』と共に船体を横にして砲撃を続ける。
 敵がサイキックエナジーで飛ぼうとするのならば、そこに砲撃に寄る飽和攻撃で散らすのだ。

「我等が憎悪が、消える……そんなことがあってたまるものか! 百年の屈辱が、この程度で終わるわけには……!」
「あなたの気持ちはわからなくもないけど、憎しみで全てを滅ぼして、あなたはそのあとどうするつもりなのかな?」
 理緒にとって、それは当然の問いかけであっただろう。
 けれど、彼等にとってその問いは無意味であった。生命を棄てる覚悟しかない者に未来は見えない。
 あるのは、ただ命を捨ててでも果たしたいという憎悪があるのみ。
 それ故に『スヴェイズ』は答えない。
 己の感情、ねじれた思想のままに憎悪を振るう。ミサイルランチャーの砲撃の中に『ヴェルディグリース』は沈む。

 理緒は、きっと彼等には答えが出せないだろうと思った。
 だが、彼女の背後で手を取り合う巨人と人がいる。ならば、その憎悪のさきが何もない暗闇だったとしても、彼等が描く希望が明日を作ることを信じられる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
ゴロツキが囀るものだ
名乗るなら悪党と名乗るが良かろう

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら直に世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

光尽にて討つ
対象は撒かれた毒とオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

宿すは破壊の原理
因果を歪め距離を無視して本体へ接敵
『刻真』にて「世界が始まった瞬間から詠唱し続けた」状態で全撃を即時解放
一切残らず消し飛ばす

万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外は無い
妄念諸共に終わっておけ

※アドリブ歓迎



 咆哮が轟く。
 それは怨嗟の咆哮そのものであったことだろう。
 誰もが憎悪に身を焦がしているわけではない。憎悪とはひどく強い感情であるがゆえに、その力はあらゆるものに破滅を齎すだろう。
 だからこそ、誰もが常に憎悪の炎を燃やし続けられるものではない。
 誰もが身を焦がす憎悪に一度は恐怖するのだ。
 生命を壊しかねないから。

 けれど『バンブーク第二帝国』の将たる『スヴェイズ』たちは違う。
 生命を捨てて地上の生きとし生けるものを殺し殲そうとしている。ただそれだけのために生命を使う者を前にして、誰が止めることができただろうか。
「我等の憎悪は止まらなぬ。消えぬよ、決してな! 地上の蚤ども全てを殺し尽くすまで、我等が与えられた屈辱は消えぬのだ。
「ゴロツキが囀るものだ。名乗るなら悪党と名乗るがよかろう」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は戦場に満ちる毒素を纏う十一の原理でもって無限に破壊し、自身から断絶し否定しながら、立つ。

 迫る毒素の尽くは廃棄する。
 ただそれだけで途方も無い魔力を消耗するが、それでも彼は世界の外側から魔力を供給し、巨大なオブリビオンマシンの前に立つ。
 緑青の騎士。
『ヴェルディグリース』は、搭乗者の生命を削ってサイキックエナジーを発露させる。市街地に転移しようとした機体を、不可視の攻撃が穿つ。
「――!? 不意打ち……いや、見えぬ攻撃だとでもいうのか!?」
「ゴロツキにはもったいないものであるが……万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない」
 光尽(コウジン)たる不可視の攻撃が『ヴェルディグリース』を穿つ。
 直線上に放たれた一撃は、『スヴェイズ』に何が起こったのかを知覚させないだろう。

 理解不能なる攻撃。
 因果を歪め距離を無視して放たれる攻撃。
 何もかもが理不尽そのものであったことだろう。だから、『スヴェイズ』は、その理不尽さをよく知っている。
 百年前も同じであったのだ。
 対峙する者全てを打倒する悪魔の如きキャバリア。
 体高差など物と物せず、傷一つつけられなかった機体。あの悪魔を『スヴェイズ』は思い出しただろう。
 故に彼の心は憎悪に染まる。
「またしても我等の前に立ち塞がるか。あの時と同じように!」
 振るうサイキックエナジーが刀身を形作り、その一撃をアルトリウスに放つ。

 だが、その一撃がアルトリウスに届くことはなかった。
「妄念諸共に終わっておけ」
 放つ不可視の一撃。
 何物も障害たり得ぬ攻撃は『ヴェルディグリース』の奮ったサイキックエナジーの刀身すらも砕き、その巨体に穿たれる。

 騎士の鎧は砕け、サイキックエナジーも霧消する。
 どれだけ望んだとしても得られぬ力がある。彼等にとって、敗北とは得るものではなく刻まれるものであった。
 だからこそ、地底に追いやられた時、その刻まれた傷跡がジクジクと痛み、憎悪となり、歪みねじれ、地上の全てに向けられたのだ。
 その憎悪は誰も断ち切ることができないだろう。
「だが、その機体は破壊できる。オブリビオンマシン」
 アルトリウスには破壊の原理にて宿す力を発露させ、その機体を大地に叩きつける。

 軋む機体。
 滲むサイキックエナジーが搭乗者の生命を削るのならば、これほどまでの憎悪であっても無為なるものであると知るだろう。
「生きる理由を憎悪に食われた者よ――」
 そこに救いはない。
 あるのは憎悪による破滅のみ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「ここに居る間は合一し続けないと毒にやられてしまうようなので。芸がなくて申し訳ないですが」
嗤う

「おや、貴方も縮地を使うのですか。これは随分楽しい戦いになりそうだ」
嗤う

「ガンフーを試してみたいと思っていたんですよ、私も」
言うなり縮地で接敵して金磚をゼロ距離で射撃しながら腰を落として足払い
そのまま立ち上がりつつ膝蹴り橫蹴り前蹴り入れつつ身体を捻りながら敵胴体へ射撃
敵の斬撃は剣の腹を銃把で殴って逸らしつつ回し蹴り入れて距離を取る

「楽しいですねえ。貴方もそうじゃありませんか?恨み辛み云々より、こういう邂逅を楽しもうじゃありませんか」
笑って連射しながらスライディングタックル
相手の足を掴んで投げ飛ばす



 巨大なオブリビオンマシンの機体が大地に叩きつけられ、軋む。
 滲むサイキックエナジーは緑青の騎士を再び立ち上がらせるだろう。まるで操り人形の糸のように。
『ヴェルディグリース』より放たれるサイキックエナジーは搭乗者である『スヴェイズ』の生命を削る。
 本来であれば、パイロットのほうが保たないだろう。
 けれど、『スヴェイズ』たち『バンブーク第二帝国』の将たちは、己の生命を完全に捨てている。

 生命を厭うのではない。
 百年前に刻まれた憎悪を糧にこれまで生きてきたのだ。
 どうしようもないほどの感情。もはや自分ではどうすることもできないのだ。
 オブリビオンマシンに乗って、歪められた感情。
 憎悪がねじれれば、こうなるのだというように破滅に自ら近づいていく。

「ここに居る間は合一し続けないと毒にやられてしまうようなので。芸がなくて申し訳ないですが」
 嗤うのは巨大化した宝貝『黄巾力士』と合一した鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)であった。
 彼は合一・黄巾力士(ゴウイツ・コウキンリキシ)によって合一することで、『有毒装甲』による毒素を防いでいた。
「邪魔を、するな――!」
 咆哮と共に『スヴェイズ』が『ヴェルディグリース』と共にサイキックエナジーをみなぎらせ、テレポートする。
 迫る巨躯。

 巨人の体に合わせて巨大化したオブリビオンマシンの威容は凄まじい。
 それがテレポートによって距離を詰めてくるのだから、脅威と呼ぶしかない。
「おや、貴方も縮地を使うのですか。これは随分楽しい戦いになりそうだ」
 冬季は嗤う。
 何故嗤うのかと問われたのならば、戦いを楽しんでいるからだ。
 そこには憎悪と言った感情にとらわれぬ彼の心があった。
「戦いを楽しむなど! 我等の憎悪に、そのような些細な感情は必要ない!」
 振るうサイキックエナジーの刀身。
 その斬撃を冬季は、躱し、銃器型の宝貝を携え、ゼロ距離で引き金を引く。
 だが、その一撃を『ヴェルディグリース』は身より発露するサイキックエナジーの残像を残して躱す。

 速い、というよりもサイキックエナジーによるテレポートの多用であろう。搭乗者の生命を削る代わりに、尋常ならざる速度を得て、敵対する者の死角へと転移すrのだ。
「縮地が使えるのならば即ち、こちらの死角を突く……なるほど。これは見なくても対応できるというものです」
 冬季と合一した『黄巾力士』が腰を落とし、死角より斬りかかる『ヴェルディグリース』の脚部を払う。 
 そのまま立ち上がり、『ヴェルディグリース』の頭部へと膝蹴りを見舞い、カチあげる。
「――ッ! こちらの動きを、読む……!?」
 さらに横蹴りから繋がる前蹴りでもって『ヴェルディグリース』の巨体を吹き飛ばし、銃器型宝貝でもって弾丸を打ち込む。
「ガンフーを試してみたいと思っていたんですよ、私も」

 手慣れた動きではない。
 けれど、銃とカンフーを組み合わせた体術。
 それは冬季にとって楽しいと感じるものであった。
「楽しいですねえ。貴方もそうじゃありませんか?」
「言ったはずだ! 戦いの些細な感情を持ち込むことはない! 我等の心を満たすのは憎悪のみ! 我等が生命を賭して行うのは、地上の全てを殺し殲すことのみ!」
「恨み辛み云々よりも、こういう邂逅を楽しもうじゃありませんか」
 笑う。 
 嗤う。
 楽しげに嗤う。
 冬季にとって戦いとはそういうものだ。敵として相対しても、これを邂逅と呼ぶ。

 これを些細な感情と呼ぶのならば、憎悪もまた笑い飛ばせる感情だ。
『黄巾力士』が大地を滑るようにして横薙ぎの斬撃を躱し、銃器型宝貝を連射し、敵の鎧を、サイキックエナジーを砕いていく。
 すれ違いざまに脚部を掴む。
「ええ、全てはこの邂逅のために」
 冬季は合一した『黄巾力士』の力を十全に体へと満たし、増幅して放つ。掴んだ脚部ごと『ヴェルディグリース』を持ち上げ、大地へと叩きつける。

 その一撃は、彼がこれまで練磨してきた技であろう。
 感情は、ただそのままだ。力に変わることもあるのは、その感情を人が制御できないからだ。
「その憎悪が間違っているとも正しいともいいません。ですが、ただ一つの感情に支配されるのならば、それはやはり過ちなのです」
 制御できないままの感情で持って肉体の箍を外す。
 だからこそ、身を滅ぼすのだ。それを示すように冬季は、『ヴェルディグリース』を投げ、叩きつけて嗤うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

稷沈・リプス
憎しみって、持続性の高い感情っすよね。それが煽られてねじ曲がって…それで今。
憎しみに飲まれる前に止まれたらって思うっすけど。それは難しいのもあるっすね。
でも、それをこうしてもたらすのは…筋が違うっすからね?
あとの世代にぶつけるには、あまりにも理不尽なんすよ。
まして、広域汚染な毒とか。

こういうときのためのスイッチオン(ぽちっとな)。UC(攻撃回数強化、移動力低下)にて面制圧の要領で攻撃するっすよ。
電磁パルスもついたロングレンジライフル持った状態っすからね。妨害もあるし、簡単には抜けねーようにしてるっすよ。

全力で阻止するのは当たり前っすよ?
それが俺の戦う理由っすから。



 幾度大地に叩きつけられても尚、緑青の騎士は立ち上がる。
 その身に宿した憎悪によって発露するサイキックエナジーは、搭乗者である『スヴェイズ』の生命を削る。
「生命など、我等の憎悪を果たすための燃料に過ぎない! 我等の憎しみは、我等の屈辱こそが果たされぬことこそ!」
 漲るサイキックエナジーが長大な刀身となって掲げられる。

「憎しみって、持続性の高い感情っすよね」
 それが煽られてねじ曲がっていく。
 感情は全てが強いわけではない。長く続くものでもない。怒りですら、長くは続かない。
 ならば、憎悪は重ねた年月の分だけ積み重なっていく。
 積層していくのを稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は知るだろう。
 どうしようもない『今』が目の前に広がっている。
「憎しみに飲まれる前に止まれたらっておもうっすけど。それは難しいのもあるっすね」
 緑青の騎士『ヴェルディグリース』が長大となったサイキックエナジーの刀身を白い大型キャバリア『フラズグルズ』へと放つ。
 エネルギーフィールドが重ねられ、その一撃を受け止める。
「でも、それをこうしてもたらすのは……筋が違うっすからね?」
「何が!」
 リプスは異境海蛇『ヤム』と『ナハル』を合体させ、遠き海の異境神は本気を出す(ヤムナハルノカムイ)ことを厭わぬことを知らしめる。

 ユーベルコードの輝きに『ヴェルディグリース』の『スヴェイズ』は意識を割かれる。
「後の世代にぶつけるには、あまりにも理不尽なんすよ。まして、広域汚染な毒とか」
 満ちる輝き。
 世界には暗闇ばかりではない。
 憎悪がどれだけ強烈な感情であったとしても、それを捨て去ることができるのが人間だ。 
 生命の営みだ。
 ともすれば、それは生命というものを存続させるために必要な機能であったのかもしれない。
 けれど、リプスは知っている。
『今』を生きる彼等、若人たちはこの戦乱の世界にありて平和を知らず、されど平和を求めている。

 だから、あの白い大型キャバリアは攻撃性能ではなく防衛性能に特化している。守るためにだけ存在するキャバリア。
 兵器としてはおそらく欠陥であるといえる。だが、その欠陥をこそリプスは愛するだろう。
「我等の憎悪を……!」
「全力で阻止するのは当たり前っすよ?」
 リプスの瞳がユーベルコードに輝き、異境海蛇『ヤム・ナハル』のアイセンサーが煌めき、ロングレンジライフルを構える。
 放たれた弾丸が電磁パルスを伴って巨体を誇る『ヴェルディグリース』の機体を吹き飛ばす。

 点ではなく面での攻撃。
 それは『ヴェルディグリース』を『フラズグルズ』から引き剥がす。
 憎悪もまた人の感情だ。
 生きていく上で必要な感情なのだろう。
 だが、その憎悪は抱いても捨てなければならない。抱くなとは言わない。それを敢えて棄てることのできる心があることを示さなければならない。
「生命を賭してでも、この憎悪は果たさねば……! それを阻むか!」
「それが俺の戦う理由っすから」
 リプスはこともなげに言う。
 神性だからではない。『今』を愛する唯一人の猟兵としての言葉であったことだろう。

 どれだけの憎悪が満ちるのだとしても、その感情を捨て去った先にこそ、得られるものがある。
 その答を出すのは一人ひとりなのだ。
 誰かが答を教えることなどできはしないと、リプスはユーベルコードの輝きの中で笑むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、今日は目立っていくもんっ!!
出遅れた分は派手にいっきまーす!

真面目な話、有毒装甲はシャレにならないので速攻で
かもんっ!『ファントムシリカ』っ!!
というわけで
何もしてないのに爪を出すのはやめましょう?
シリカー?シリカさーん?

たまにはクノイチらしくいきますって
距離を取りながら【VR忍術】風(かぜ)手裏剣の術!
簡単に言うとキャバリアサイズのカマイタチを飛ばす術です
なお、いっぱい

ふははは、毒素をまき散らす前にカマイタチで叩っ斬ってあげましょう
ついでに本体にもカマイタチぶつけまくりです
距離を取っていても巨大化した剣は届きそうですが
そこは持ち前の機動力で回避です!



「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、今日は目立っていくもんっ!!」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は憎悪満ちる戦場に降り立つ。
 小国家『フルーⅦ』の市街地はまだ無事であった。
 巨大な白いキャバリア『フラズグルズ』の防衛能力がまだ生きてることもあるし、猟兵たちの活躍がこれを為している。
 出遅れたと自覚しているサージェは、真面目な話『有毒装甲』が洒落にならないと速攻でサイキックキャバリア『ファントムシリカ』を呼ぶ。

 虚空より現れる白と紫のキャバリア。
『ファントムシリカ』に乗り込み、サージェはコクピットでよーし、と気合十分に意気込む。
 だが白猫又のシリカがにゅっと爪を出すのをみて怯える。
 え、なんで?
 なんで爪?
「シリカー? シリカさーん? え、なんで?」
「お姉ちゃんが意気込むとろくなことにならないので爪立てておこうかと思って」
 理不尽!

 だが、サージェはたまにはクノイチらしく行こうと持っているのだ。
 すでに先行した猟兵達によって緑青の騎士である大型オブリビオンマシン『ヴェルディグリース』が防衛の要である『フラズグルズ』から引き離されるように吹き飛ばされ、体勢を整えようとしている。
 ならば、この隙を狙うのはクノイチらしいといえるだろう。
「たまにはクノイチらしくいきますって! メモリセット! チェックOK! 参ります!」
 VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)によって放つは風手裏剣の術。
 ふるった腕部より風が巻き興り、キャバリアサイズのかまいたちが『ヴェルディグリース』へと飛ぶ。

 その斬撃を『ヴェルディグリース』はサイキックエナジーを発露させながら、切り払う。
「邪魔立てを……!」
「ふははは、毒素を撒き散らう前にカマイタチで叩っ斬ってあげましょう!」
 サージェは距離を保ちながら術によって出現させたカマイタチの嵐でもって、猛追する。
 振るわれる長大なサイキックエナジーの刀身。
 それが機体をかすめる。
 にゅっと爪が伸びる気配をサージェは感じる。
「まってまって、かすっただけですから! ちょっと、ちょいっと、ちょこんって、あっ、やめっ、やめて! 今戦ってますから!」
 前門の騎士。後門の白猫又。

 コクピットの中に走る異様な緊張感。
 凄まじいプレッシャーを感じながらサージェは一人、『ファントムシリカ』の機動力を活かして斬撃をかわし切る。
「ひぃ、ひぃ……! 持ち前の機動力があるからって……!」
 いくらなんでもこれはひどい、とサージェはコクピットの中で悶絶する。なんで味方にプレッシャー与えられているんだと思わないでもない。
 けれど、これくらいの緊張感が心地よい。
 程よい緊張と弛緩こそが、猟兵としての、クノイチとしてのパフォーマンスを発揮するために必要なのだ。

 本当にそうだろうかとサージェは頭の隅で考える。
 そんなことを考えている瞬間、眼前に迫るサイキックエナジーの刀身。それを既のところで躱して、サージェの心臓はバクバク高鳴る。
「危ないところでしたが!」
「おちょくるか、私を!!」
「いえいえ、そんなことは……! ですが、その『有毒装甲』は洒落にならないので、切り捨てさせていただきます!」
 サージェは『ファントムシリカ』と共に駆け抜け、『ヴェルディグリース』の騎士鎧の如き装甲の一部を切り裂く。
 存在するだけで毒素をまき散らす機体。
 その源である装甲を引き剥がしながら、サージェは疾風のように戦場を乱舞するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
引き続き借り物の『レーギャルン』で出撃するわね
壊さないように要注意っと
さて、ついでに機体の挙動を『情報収集』して『プログラミング』して修正していくよ。ボクの『戦闘知識』でカバーして一般兵にも使えるOSを組み直してあげないとね♪
え、戦闘中にやることじゃない?
戦闘中だからこそ情報が集まるんじゃない

さて、相手は憎悪に囚われてる…か。
憎しみに正当もくそもないよ。
だからこそ恨み辛みなんだから…。

毒をまき散らす…か。
一つ、対策を用意してきた。
UC「キュアポイゾン」発動。

幾らデカいくなっても『瞬間思考力』で『見切り』回避しつつ『カウンター』で無力化した有毒装甲をアストライアの『制圧射撃』で一気に破壊する。



 凄まじい電力の塊の射出に耐えきれなかった砲身を捨て、『レーギャルン』を駆るユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は、改めてこの機体の出力の源である炉の力を思い知るだろう。
 これでも分割されたものであるということが元機体の出力の凄まじさを物語る。
「壊さないように要注意っと……」
 ユーリーは機体の挙動を習得していく。
 確かに扱いづらい機体である。並の『エース』でも簡易型でなければ、操縦することすら不可能であった。

 だからこそ、情報を得る。
 戦いの場にありながら、そのような行いをすることは自殺行為のように思えただろう。
 だが、ユーリーは構わなかった。
「戦闘中にやることじゃないってわかっているけどさ。戦闘中だからこそ情報が集まるんじゃない」
 キャバリア操縦とプログラミング。
 そのマルチタスクはユーリーの瞬間思考を持ってすれば不可能ではない。

「消えろ……! 我等が憎悪に立ち塞がる障害どもよ!」
 緑青の騎士『ヴェルディグリース』の『スヴェイズ』が咆哮する。
 機体の装甲を切り裂かれ、刀身を砕かれても、満ちるサイキックエナジーがそれを補填していく。
 凄まじい力だ。
 機体の力ともいえるだろう。
 オブリビオンマシン。その機体が齎す力は絶大であっても、代償もまた凄まじいものであった。
 搭乗者の生命を削る。彼等は、『バンブーク第二帝国』の将たちは、これまでもそうであったように、己の生命を投げ打つ。

 ただ憎悪のためだけに。
 たった、それだけのこと、と思えたかも知れない。
「憎悪にとらわれる……憎しみに正当もくそもないよ」
「言うことか! 我等の屈辱の百年も知らず! 知った口を聞く!!」
 振るわれる斬撃。
 長大なサイキックエナジーの刀身がユーリーの駆る『レーギャルン』へと叩き落される。
 だが、その一撃をユーリーは冷静に躱す。確かに憎悪は絶大な力を齎すだろう。己の生命を絞り出すように。
 
「正しいも間違いもないんだよ。そんな感情に。だからこそ恨みつらみなんだから……」
 毒素を撒き散らしながら迫る『ヴェルディグリース』にユーリーは哀れみの視線を向けるだろうか。
 憎悪は確かに忌むべきものだろう。
 そんなもの無いほうがいい。
 けれど、どうしたって人の心は陰陽だ。光があれば闇がある。
 故にユーリーはその瞳をユーベルコードに輝かせる。
「やっていいこととわるいことがあるってわかれ――ッ!!」
『レーギャルン』のアイセンサーが煌めき、周囲に毒素を無力化するフィールドとナノマシンを散布する。

「――!? 『有毒装甲』が……無力化されている……!?」
「これは君たちに向けた対策だよ。君たちが生命を投げ打つというのなら!」
 振るわれた斬撃を紙一重で躱しながらユーリーは知るだろう。一般兵にも使えるOSをプログラミングする手が教える。
 このOSは確かに戦局を変えるだろう。
 けれど、それは遠き未来のいつかのどこかで起こり得たことだと。
 その結果の末路がどうなったのかは、言うまでもない。
 強大な力は、いつだって大きな災厄を呼び込む。だが、ユーリーは信じるだろう。これを扱うのが人ならば。

「それを乗り越えることができるのまた人だってこと!」
 無力化した『有毒装甲』をアサルトライフルで射抜く。
 装甲が砕けて、散る。
 その光景をユーリーはゆっくりと見た。破片が煌めく。その一つ一つに可能性を見る。
 滅びの可能性だってあるだろう。
 だが、手を伸ばさなければ、希望の可能性だってつかめない。だからこそ、ユーリーはプログラミングを止めない。

 より良き未来を求めるのはいつだって人の性だと信じたいから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
復讐に溺れマシンの駒に成り下がる、見るに堪えないのは…そっちよ!

遠距離から砲撃後、『アルカレクス・ドラグソリス』へと融合合身しフラズグルズと敵機の間に割り込んでこっちからも全力全開でエナジーフィールドを張る!単に防ぐだけでなく、性質を変換してフィールドでの拘束や弾き飛ばしも行うわ

こちらをどうにかせねば突破はできないと思わせたら、後はこちらもドラグキャリバーを抜き、相手のUCに備える
敵UC発動に合わせこちらも即座に地面に剣を突き立てUC発動、範囲内に入った敵に対し超重力で動きを制限しつつ12の紅炎で毒散布ユニットもその為の装備も焼き焦がす!!

その機体で私の前に立つというのなら、容赦はしない…!!



「我等の憎悪を阻む者! 我等の正当を謗る者! 全てが私は憎い……! そして何より……先代皇帝の遺児でありながら地上の蚤に与する皇女殿下……『ライスメキア』、あなたが憎い! 人に言いように使われて!」
 白い大型キャバリア『フラズグルズ』に座す『ライスメキア』を名指しで緑青の騎士『ヴェルディグリース』の『スヴェイズ』は言葉の槍を突きつける。
 巨人の国。
『バンブーク第二帝国』を離れ、敵に寝返ったと言われても仕方のないことであったのかもしれない。

 けれど『ライスメキア』は頭を振る。
「復讐に溺れ、マシンの駒に成り下がる、見るに堪えないのは……そっちよ!」
『フラズグルズ』に迫る『ヴェルディグリース』に浴びせられるのは砲撃。
『プロトミレス』を駆るアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)が叫ぶ。
 それに合わせるように低空飛行する『ドラグレクス』と『プロトミレス』が融合する。金属細胞によって融合を果たした機体は、『アルカレクス・ドラグソリス』へと変貌を遂げる。
「邪魔立てをする!」
 一瞬で『ヴェルディグリース』はアルカとの距離を詰める。
 速い、と言う速度ではない。
 サイキックエナジーによるテレポート。その転移は凄まじい速度である。敵の死角を的確についてくる。

「そっちがその気なら……!」
 全開でエネルギーフィールドを張り巡らせたアルカの機体が軋む。
 打ち込まれた斬撃はエネルギーフィールドにぶつかって消し飛ぶ。互いの機体が弾けるようにして吹き飛ばされ、距離を取る。
 だが、すぐさま激突する。
 火花散るユーベルコード。
「防ぐだけじゃ押し負ける……!」
 フィールドの性質を変える。フィールドを変性させて、斬撃を受け止めた瞬間に拘束しようとするも、テレポート転移によってかわされる。
 弾き飛ばしたほうがまだ有効的だとアルカは理解し、『アルカレクス・ドラグソリス』の炉の出力を限界まで引き上げる。

「押しきれぬとはな……!」
「ドラグキャリバー、あなたがただ敵を斬るだけの剣でなく、絶望と闇夜を断つ剣である事を……今、此処に示せ!!」
 陽皇剣エクス・ドラグキャリバー(エクス・ドラグキャリバー)をアルカは大地に突き立てる。
 瞬間、超重力が『ヴェルディグリース』の巨体を掴む。
「――……! 機体が重い……! だが、我等の憎悪の前にはなぁ!!」
 テレポート転移には超重力も意味がない。
 だが、それでアルカは12体の紅炎の竜を解き放ち、転移先を押しつぶす。サイキックエナジーが飛び散り、紅炎とぶつかり合って消えていく。

「その機体で私の前に立つというのなら、容赦はしない……!!」
 憎悪を前にしてアルカはひるまない。
 怯む理由がない。憎悪に正しさも過ちもない。
 ただ、そこにある感情。誰しもが持っている感情であるから。けれど、その憎悪のままに他者の生命を奪うというのならば、アルカは己の全てを持ってこれを叩き潰すだろう。

 己の心には勇気がある。
 恐れも憎悪も踏み越える勇気が。
 引き抜いたエクスドラグキャリバーを構え、アルカは機体と共に疾駆する。有毒装甲のもたらす毒素を浄化しながら、振るい上げた一撃が『ヴェルディグリース』の装甲を切り裂く。
 あの毒素に寄って多くの生命が散った。
『グリプ5』もそうだったのだ。
 死ぬ必要のない生命が多く喪われた。だからこそ、その機体は許せないと思うのだ。人の生き死には自分で決められない。
 けれど、あんな死に方をする必要がある生命なんてあっていいわけがない。

 だから、アルカは裂帛の気合と共にドラグキャリバーの一撃を振り抜き、さらに機体を回転させ、横薙ぎに『ヴェルディグリース』を切り払う。
「その憎悪を絶たせてもらうわ……!  その憎悪が在る限り、戦乱は終わらないというのなら!」
 十字の閃光が『ヴェルディグリース』を切り裂き、戦場に憎悪を超える勇気の光を見せるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
…オブリビオンマシンに歪められる前は忠臣だったのだろうけど……こうなるか…
…歪められる前なら判ったかも知れないね……先代皇帝の言葉の意味が…
…毒の筒は光の矢で迎撃…毒素は引き続き【アストヒク】で浄化…
…ヴェルディグリースがテレポートしてきたら…地面に仕掛けておいた【ソラ跳ね踊る白兎】によるジャンプ台魔法陣を踏ませて空中に跳ね飛ばすとしよう…
…そして空中に飛んだヴェルディグリースをジャンプ台魔法陣で包囲…
…包囲内で四方八方に跳ね飛ばして行動を封じよう…
…そこに重奏強化術式【エコー】を多重発動させて効果を高めた炎の槍を叩き込むよ…



 十字に切り裂かれた緑青の騎士の『有毒装甲』は無力化される。
 だが、生命を削るサイキックエナジーの捻出に寄って『ヴェルディグリース』は幾度でも、その機体の力を補填するだろう。
 今は無効化されていても、時間が経てばまた毒素をまき散らす。
 搭乗者である『スヴェイズ』の憎悪の炎が消えることがない限り。いつまでも地上に生きとし生けるもの全てを憎むように排出されつづけるだろう。
「我等の憎悪! それこそが、我等の正当を示している。先代皇帝の言葉など……! 今更私を止めることができるものと思うな!」
「『スヴェイズ』!」
 白い大型キャバリア『フラズグルズ』の中から『ライスメキア』が悲痛に叫ぶ。

 けれど、その叫びすらもう届かないことをメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は知っている。
「……オブリビオンマシンに歪められる前は忠臣だったのだろうけれど……こうなるか……」
 歪み、ねじれ、憎悪の炎に駆り立てられる者。
 それを止める術はもうないのかもしれない。
 憎しみを捨てよ、と先代皇帝は言った。その言葉の意味を、オブリビオンマシンに歪められる前の『スヴェイズ』ならば理解できたのかもしれない。
 その意味を。
 その真意を。
 だが、その機会はもう訪れない。

 歪み果て、あまりにも多くの生命を『バンブーク第二帝国』は奪った。そして、奪い続けようとしている。
「『ツィルニトラ』……」
 メンカルは試作型術式騎兵『ツィルニトラ』のつがえた光の矢でもって放たれ続ける『毒素をまき散らす筒』を撃ち落としながら、特化術式である『アストヒク』で周囲に残留する毒素を浄化しながら『フラズグルズ』の前に立つ。
「メンカルさん、退いてください! 敵が来る!」
「……いいよ、だからこそ。ここに陣取る意味がある……」
 敵の狙いが『フルーⅦ』の市街地であるというのならば、防衛の要である『フラズグルズ』を必ず狙う。

 メンカルは、それを見抜くからこそ瞳をユーベルコードに輝かせる。
「星の理よ、跳ねろ、弾め。汝は跳梁、汝は跋扈。魔女が望むは天地跳ねる月兎」
「――オオオオオオオッ!!」
 咆哮と共に生命削りながらサイキックエナジーでもって機体の損傷を補填しながら『ヴェルディグリース』が『フラズグルズ』に迫る。
 そして、メンカルは知っている。
 必ずテレポート転移してくる。ならば、その位置を見切る。

 展開する魔法陣。 
 その名は、ソラ跳ね踊る白兎(バウンシング・ムーンラビット)。
「やっぱり其処だよね……」
 メンカルのつぶやきと共にテレポート転移してきた『ヴェルディグリース』が突如として空に跳ね上げられる。
 それで終わりではない。
 跳ね飛ばされた先にある魔法陣が展開する。
 いや、『ヴェルディグリース』を取り囲む。魔法陣はいくつも四方八方に配され、機体がバウンドするように、お手玉されるように跳ねては魔法陣に叩きつけられる。

「――!?」
「……それはね、ジャンプ台だよ……空中に体勢を整えられない君を封じるための……」
 メンカルの瞳が輝き、『ツィルニトラ』の手には焔の槍が握られている。
 槍投げの体勢を取った『ツィルニトラ』の眼前に幾重にも展開される魔法陣。放たれた槍が魔法陣を通過するたびに巨大化していき、膨大な焔となって『ヴェルディグリース』を貫く。
 炎の槍を強化する重奏強化術式『エコー』。
 その威力高められた一撃は、サイキックエナジーすらも貫通し、『ヴェルディグリース』の右肩を射抜く。

 消し飛ぶ装甲。
 砕けた鎧の如き装甲が消滅し、右腕を繋ぐフレームが炎によって融解し、大地に落ちる。
 それは謂わば、『ヴェルディグリース』の、『スヴェイズ』の憎しみを貫いたと言っても過言ではなかったのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「ご主人サマ!間に合ったみたいだよ☆あとフュンフ君達がいるよ!」
やれやれ…随分ご機嫌な機体にのってるじゃねーですか
精神コマンド三人分ですか?
「メルシー達は二人分だぞ☆」

よぅてめー…復讐恨み報復結構結構
だがなぁ…そういうのは当人にぶつけろこの腐れクレーマー共が

ああ、こういうか
日銭を稼いで静かに暮せばいいだろうが?

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の動きと攻撃の癖らを冷徹に分析
【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
高速飛び回りながら念動光弾を乱射
【武器受け・属性攻撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
敵が接近し攻撃した所で
鎌剣で受け止め
UC発動
各属性を強化
燃やし中身も猛毒で冒し凍らせ刻む
そして武装強奪!



 炎の槍によって『ヴェルディグリース』の右腕が脱落する。
 猟兵たちの攻勢は凄まじいものであった。
 だが、生命を削ってサイキックエナジーを放出する『スヴェイズ』の憎しみは消えない。消えるわけがない。
 ねじれ、歪んだ感情。
 それを容易に棄てることなどできはしない。
 突き進むしかないという愚直なまでに強靭な意志によって支えられる憎悪は、そのままに生命を削り果てることを是とするのだ。
「憎しみ、恨み……我等が百年の間積み重ねてきたものが、此処で終わるわけにはいかぬのだ! 地上の全てを! 我等の憎悪で満たすまでは!!」
 咆哮とともにサイキックエナジーが発露し、脱落した右腕を強引に繋ぐ。

 その鬼気迫る姿を前にしてカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は嘆息する。
「よぅてめー……復讐恨み報復結構結構。だがなぁ……そういうのは当人にぶつけろこの腐れクレーマー共が……ああ、こういうか。日銭を稼いで静かに暮せばいいだろうが?」
 その言葉に対する返答は簡潔であった。
 漲るサイキックエナジーが形作る刀身が長大な一撃となってカシムたちを襲う。
『あっ、ご主人サマ! 間に合ったみたいだけど、いきなりピンチなんだけど☆』
「この程度ピンチでもなんでもねーですよ」
 カシムが駆るのは神速の機体。
『メルクリウス』は冷静に分析しながら、拘束で疾駆する。斬撃を躱す。いくらサイズ差があるのだとしても、人型である以上、その斬撃は予測できる。
 長大なサイキックエナジーの刀身は躱すのに苦労するだろうが、それも織り込み済みである。

『あとフュンフ君たちがいるよ!』
『メルシー』の示す先にあったのは白い大型キャバリア『フラズグルズ』であった。
 どうやら三人で動かす機体である。
 なんともまあ、大仰な機体に、とカシムは思っただろう。
「精神コマンド三人分ですか?」
『メルシーたちは二人分だぞ☆』
 光弾を乱射しながら、カシムは『メルクリウス』を疾駆させる。戦場を撹乱するように駆け抜け、己へと標的を絞らせる。

 振るわれる斬撃は、一撃一撃が搭乗者である『スヴェイズ』の生命を削るものである。
 だからこそ、その威力の凄まじさたるや。
 大地は砕け、あちこちに戦いの傷跡が刻まれていく。
「だが、見せすぎですよ!」
 振るわれた一撃を鎌剣で受け止める。
 漲るはユーベルコードの輝き。
 帝竜眼「ヴァルギリオス」(セカイヲジュウリンセシオウノナカノオウ)が煌めく。

「万物の根源よ…帝竜眼よ…竜の中の竜…世界を蹂躙せしめた竜の王の力を示せ…!」
 機体を覆っていく各属性のバリア。触れたものを毒にする、攻撃を反射し燃やす、触れたものを凍結させる。
 あらゆる属性を含むバリアによって覆われた『メルクリウス』にサイキックエナジーの刀身は届かない。
 そのサイキックエナジーをこそ、『メルクリウス』より放たれるユーベルコードのバリアは毒へ変え、搭乗者を蝕み、燃やし、凍結させる。
「ぐぅ……! この、程度で我等の憎悪がかき消せるとでも思うか!」
「いーや、別に。いちいち、そんな感情に付き合ってられますかって」
 鎌剣が『ヴェルディグリース』のサイキックエナジーで構成された剣を霧這うようにして、その手から引き剥がす。

「もう当人もいないのに、憎悪をつのらせたってしかたねーでしょ。なら、棄てるしかない。あんたら巨人の寿命と人間の寿命を考えてみなさいよ。まったくもって、もう意味がないってわかるでしょうに」
 彼等が恐れ、憎んだ『フュンフ・エイル』はもう居ない。
 だから、全て無意味な感情だとカシムは告げる。復讐は果たされるべきであるが、何も生み出さない。
 なればこそ、その対象の居ない行き場のない憎悪は、無関係な者たちを傷つける炎でしかないことをカシムは切り払った剣を背に告げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●WIZ

へっ、性懲りもなく地下から出てきた上にまた同じ奴で悪さをしてたのか
残念でーしたー
ポンポンと筒を投げて来たり、ものすっげぇ速さで飛んだりするのはもう知ってんだよ!

まぁひとつ違うのは、今乗ってるレーギャルンがもの凄く扱い辛ぇってことなんだけどな
簡易型が難易度ノーマルとして。筒の発射口に照準を合わせるのも狙い撃つのも難易度が一気にナイトメアになるってどんだけ…って消えた!?

げぇ、あんな図体でテレポートまでするのかよアイツ!
ベアのお陰で何とか無事だったけど、そんならこっちも目にものをを見せてやろうじゃねぇか

『エレクトロレギオン』で爆弾を抱えた昆虫メカを筒の発射孔に仕向けて倍返しだ、こんちくょう



「へっ、性懲りもなく地下から出てきた上にまた同じヤツで悪さしてたのか」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は『ヴェルディグリース』と呼ばれる騎士型のオブリビオンマシンのことを知っている。
『グリプ5』でも同じ型のオブリビオンマシンと戦ったのだ。
 作戦も同じ。
『毒素をまき散らす筒』を射出する機構を備えた機体。
 あれによって市街地で多くの市民が犠牲になった。
 だからこそ、二の轍を踏むことは許されない。

「残念でーしたー。ポンポンと筒投げてきたり、ものすっげぇ速さで飛んだりするのはもう知ってんだよ!」
 唯一違うことがあるのだとすれば、ウィルが今搭乗している『レーギャルン』が簡易型と違い、扱いづらい機体であるということだけだ。
 前回搭乗した簡易型が難易度ノーマルなのだとして、今の『レーギャルン』は難易度が一気にナイトメアまで引き上げられている。
 凄まじく扱いづらい。
 あの『毒素をまき散らす筒』の射出口に照準を合わせることすら難しい。
 機体が示す推奨挙動があまりにも難しいのだ。

「だからどうした。我等の憎悪がその程度で消えるとでも?」
『ヴェルディグリース』を駆る将である『スヴェイズ』は己の機体が猟兵の構成によってボロボロになっていたとしても、己の生命を削ることになったのだとしても、まるで構わぬというほどに冷静な声で告げる。
 機体はすでにサイキックエナジーでつなぎとめていなければ成り立たぬほどの様相であった。
 右腕は脱落したものをサイキックエナジーでつなぎとめ、刻まれた装甲は満ちるサイキックエナジーでもって簡易的な装甲にしている。
 いつ崩落しても仕方のないほどの有様にありながら――。

「って、消えた!?」
 ウィルはあの機体の状態でもまだテレポート転移するとは思ってもいなかったのだ。
 サイキックエナジーを膨大に消費するテレポート転移。
 それは生命を削る行いであり、これまでどれほどの数を転移したのかもわからぬほどの激烈なる戦いを繰り広げてきたはずなのだ。
 だというのに。
「まだ転移するのかよ、アイツ!」
「ガオォン!!」
『ベアキャット』の漆黒の機体がウィルの死角をカバーするように飛び出し、『ヴェルディグリース』の一撃を防ぎ、吹き飛ばされる。
「ベア!」
 だが、ウィルは其れよりも速く『レーギャルン』でも防御する。装甲がひしゃげる。サイキックエナジーの刀身は、容易に装甲を砕くほどの威力をまだ有している。
「そんならこっちも目にもの見せてやろうじゃねか」

「我が道を阻むもの。我等が憎悪を謗る者。その全てを……殺し殲さねば……!」
 生命削る機体。
 将たる『スヴェイズ』も限界を超えているはずだ。
 だというのに、未だ立ち向かってくる。憎悪とはこのような感情なのかとウィルは戦慄したかもしれない。
 おぞましい程の献身。
 いや、これを献身と呼んではならない。ただの狂気だ。

「そんなのおかしいだろうが! 憎しみのために全部をなげうてなんて、そんなこと、誰が言うんだよ! 自分の生命だぞ! 失ったらもう取り戻すことなんてできないんだぞ! こんちくしょう!」
 ウィルの瞳がユーベルコードに輝く。
 小型の昆虫メカが爆弾を抱え、『ヴェルディグリース』の背面に配された『毒素をまき散らす筒』を射出する孔へと飛び込み、内部で爆発する。
 巨体が傾ぐ。
 だが、まだ『ヴェルディグリース』は倒れない。
 狂気に彩られた憎悪。
 その結実たる怪物がウィルの前に立ちふさがっている。けれど、ウィルはひるまないだろう。

 どれだけの狂気が憎悪を歪ませるのだとしても。
 人の心に在るのはそれだけではないと信じたいから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
こうも捻じ曲がっちゃうとどーにもなんないね
ま、オブリビオンマシンなんてそーいうもんか
叩いて壊さないと治らない
まあ、仕方ないね


悪いけどまともに近付いて戦うのはやーめた
だって毒なんてまき散らすんだもん
でも風に乗って来るかもしれないから一応『オーラ防御』で周囲の大気をカット出来るよう準備しとこ
という訳で、市街地の片隅から【Code:P.D】起動
雷龍全召喚、最大スケール
目標は何か緑のやつ!
12体の雷龍でヴェルディグリースへ突撃させよう
包囲し、半分は『ブレス攻撃』で足止め
残り半分は順々に2体コンビで順に無理矢理組み付いて、構成する雷で自爆攻撃だ
それを何度も繰り返して削っていこう
何処まで耐えられるかな?



 もはや満身創痍の緑青の騎士『ヴェルディグリース』は揺らぎながら、未だ立っていた。
 機体から発せられるサイキックエナジーは将たる『スヴェイズ』の生命を吸い上げ、削り、その機体を覆う。
 脱落した右腕すらもつなぎとめる量のサイキックエナジーは、言うまでもなく『スヴェイズ』の生命そのものであったことだろう。
 彼等が巨人であったからこそ為し得たことである。
 もしも、人間があの巨大なオブリビオンマシンに乗ったのだとしたら、即座にサイキックエナジーによって生命を削られ、動きを止めたはずだ。
「まだだ……まだ……我等は、まだ、憎悪の行き着く先を見ていない……」
「もうおやめなさい、『スヴェイズ』。もはや戦いの趨勢は決したはずです!」
『ライスメキア』の言葉すら届かない。

 生命を削るのではなく、投げ打つこと。
 もはや、歪み果てた憎悪が望むのは生きることではない。滅びだ。
「こうもねじ曲がっちゃうとどーにもなんないね。ま、オブリビオンマシンなんてそーいうもんか」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、仕方ないね、と息を吐き出す。
 未だ『フルーⅦ』の市街地の片隅に彼女は立っていた。
 戦場たる市街地の外には今も『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンの『有毒装甲』から放たれる毒素がある。
 猟兵達によって多くが浄化されているとは言え、まだ皇帝騎が控えているというのならば、玲は己を覆うオーラを展開する。
「悪いけど、まともに近づいて戦うのはやらないんだよね。だって毒なんてまき散らすんだもん」

 満ちるはユーベルコードの輝き。
 彼女が見据えるのは戦場に在りし『ヴェルディグリース』。
 緑青の騎士は、強固なサイキックエナジーで機体を覆い、浮かび上がる。飛翔するつもりなのだと玲は理解しただろう。
「カートリッジロード、プログラム展開。雷龍召喚」
 手にした模造神器よりエネルギーカートリッジが射出される。赤熱するカートリッジは、その内部にもはやひとかけらのエネルギーも残っていないことを示していた。
 掲げた模造神器より放たれるは、12体の雷の龍。
 それも最大スケールで招来された雷龍たちは、『フルーⅦ』の市街地から雄叫びを上げ、一気に戦場へと飛び立つ。

「Code:P.D(コード・プラズマ・ドラゴン)……目標は何か緑のやつ!」
 玲の掲げた模造神器が振り下ろされた瞬間、六体の雷龍からブレスが放たれ、『ヴェルディグリース』の機体を覆うサイキックエナジーを引き剥がす。
 さらに残る半数が『ヴェルディグリース』に組み付き、自爆するのだ。
「――……! こちらの装甲を砕くのか……! だがっ!」
 満ちるサイキックエナジー。
 命を削る。削っている。投げ打つことしか知らぬ憎悪の存在。
 ただ破壊し、殺し、殲すことしかしらぬ憎悪の塊を抱く者。『スヴェイズ』にとって、それはそうしなければならないことだった。
 そうしなければ、己の人生の全てが否定されるものであったからだ。

「何処まで耐えられるかな? その意地っ張り」
 玲は次々と雷龍でもって『ヴェルディグリースの装甲を覆うサイキックエナジーを自爆攻撃に寄って引き剥がしていく。
 飛び立たせはしない。
 その憎悪がまき散らすのは、未来を憎悪という腐りで繋ぐ結果でしかない。
 それが良い未来を引き寄せるものではないことを知っている。
 では、何が良き未来を引き寄せるのか。

「……その答を出すのはさ、『今』を生きる感情でしょう。過去に囚われた感情、憎悪が、それを引き寄せることなんてできない。簡単なことだよ」
 玲は最後の雷龍が『ヴェルディグリース』の機体を爆発に巻き込むのを確認し、息を吐き出す。
 抵抗も、漲るような憎悪も。
 何もかもが未来には何も残さない。怨恨がいつかは潰えるのと同じ様に。
 未来を分かつのはいつだって、希望と絶望。
 人の無意識が滅びを求めるのと同じ様に、人は無意識に明日を求める。それを憎悪で塗りつぶすのならば。

 玲の放つ雷が暗闇の如き未来を切り拓く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
味方を守れ、その上で、敵も壊せ!
壊せ、ディスポーザブルゥウウウ!!

ディスポーザブル03、25m級陸戦型外殻ユニット装着オーバーロード
【闘争心】を過剰に燃やして外殻ユニット稼働エネルギー充填、
UC効果で推力移動、機動力強化し速度対応。
【念動力】で機体を、サーベルユニット四刀、ハンドユニットを操縦。
サーベルユニットを高速で飛翔させ敵の剣を武器受け、内蔵ビーム砲台の弾幕で『毒筒』を焼却。

何が屈辱だ何が許せないだ何が憎しみだ!
同胞殺しを肯定して、怒りを関係者でしかない者達に向けて、暴れて!!

誘導弾一斉発射。
瞬間思考力限界突破、ビーム、ミサイル、サーベルの入り乱れる状況を見切り、
ヴェルディグリースを捉え【オーラ防御】シールドを張った外殻ユニットの巨脚で蹴り飛ばす!ぁあああ!!

矛先をマシンに狂わされたお前達は、復讐者どころか敗者ですらない!
マシンに敗者であることすら奪われた!!

【追撃】サーベルユニットで串刺し固定、
超特大ハイペリオンランチャー・ハンドユニット、集束砲撃!

ただの道化だぁあああ!!!!



「お前たちの言う未来など……我等が憎悪で塗りつぶす……!!」
 強固なサイキックエナジーを持って、満身創痍の騎士、『ヴェルディグリース』は鎧う。
 生命を削る行い。
 生命を顧みない出力。
 全てを殺し殲すまで止まらない。止まれるわけがない。
 地上に満ちる生命の歌。
 その全てを憎悪の炎で持って贖わなければ、彼等の百年の屈辱は晴れない。いや、晴れることなどないと知りながら、己の生命を使わざるを得ないのだ。

「味方を守れ」
 その言葉は、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の口から自然と零れたものであった。
『ディスポーザブル03』。
 無限軌道の名を持つスーパーロボットは、小枝子の闘争心の呼応するように無限のエネルギーをオーバーロードの先から呼び込む。
「その上で、敵も壊せ! 壊せ、ディスポーザブルゥウウウ!!」
 咆哮する。
 魂から絞り出した咆哮であった。『ディスポーザブル03』に25m級にまで巨大化する陸戦ユニットが装着され、彼女の闘争心を得て、その巨体を突き動かすエネルギーを捻出する。
 憎悪と闘争心。
 その2つが激突する瞬間であった。

「巨大化した程度で、我等の憎悪を止められるものか!!」
 漲るサイキックエナジーが『スヴェイズ』の生命を削る。もはや何にも厭うことはない。省みぬ者の力は、それ故に絶大であった。
 膨れ上がるサイキックエナジーの刀身。
 長大なる一撃が『ディスポーザブル』を襲う。四振りのサーベルユニットとハンドユニットを総動員させ、漸くにして長大なサイキックエナジーの刀身を受け止める。
 毒素をまき散らす筒を排出する機構は先行した猟兵によって潰されている。
 ハンドユニットに内蔵されたビーム砲が火を吹き、背面から『ヴェルディグリース』の装甲を覆うサイキックエナジーを引き剥がした。

「――っ……! 我が屈辱、我が憎しみ!」
「何が屈辱だ何が許せないだ何が憎しみだ!」
 小枝子は遮るように『ヴェルディグリース』を押し込む。
 機体のサイズ差は逆転している。だが、それ以上に強固なサイキックエナジーが『ディスポーザブル』と拮抗しているのだ。
 ここまで生命を吸い上げるサイキックエナジーならばこそ、小枝子は押し負ける。だが、それでも小枝子は咆哮するだろう。
「同胞殺しを肯定して、怒りを関係者でしかない者たちに向けて、暴れて!!」
 誘導弾が放たれる。
 爆風が互いの機体を吹き飛ばし、距離を開ける。

 だが、小枝子は瞬間的に思考していた。
 其処に在るのは、唯一つの命じるものであった。
『この生命を壊せ』
 ディスポーザブル(コワレロコワレロコワレロ)は、小枝子の中にある痛みと恐怖心を消す。
 自覚なき狂える悪霊がオーバーロードの先に放つ光と共に『ヴェルディグリース』に迫る。
 憎悪があらゆるものを塗りつぶすというのならば、その憎悪を押しつぶすことができるのは恐怖しかない。
『ヴェルディグリース』の放つサイキックエナジーの刀身が『ディスポーザブル』の放つシールドを張った外殻ユニットを切り裂く。

 蹴り飛ばす勢いで放った一撃をサイキックエナジーの刀身で切り裂かれ、もんどり打つようにしながら『ディスポーザブル』が拳を振るいあげる。
 その一撃が『ヴェルディグリース』の装甲をひしゃげさせる。
 だが、互いに譲らない。
「今更恐怖することなどあるわけが、ないっ! 我等はこの百年の屈辱を贖うためだけに……!」
「ぁあああ!! 黙れ!!」
「貴様たちがごときが、我等の前に立つなど!!」
「矛先をマシンに狂わされたお前たちは、復讐者どころか敗者ですらない! マシンに敗者であることすら奪われた!!」
 小枝子は巨大なユニットと共に拳を叩きつける。

 それは感情の爆発であった。
 狂霊たる小枝子は、叫ぶ。
 勝者と敗者に分かたれるのが争いだ。どんな戦いにもそれは現れる。だが、2つに別れたものを繋ぐものがある。
 より良き未来を互いに求めた結果、分かたれたものを繋ぐのは、いつだって希望なのだ。
 生きていれば明日がある。
 ただそれだけが人の心を慰める。失った生命は戻らない。だから、平和を望むのだ。
 だが、オブリビオンマシンは、それすら奪う。

 それに小枝子は怒るのだ。
 サーベルユニットが『ヴェルディグリース』を貫き、大地に固定する。もはやサイキックエナジーは張り巡らせない。
 背部より展開した特大ハイペリオンランチャーユニットの砲口が『ヴェルディグリース』に突きつけられる。
「お前たちは、ただの道化だぁあああ!!!!」
 収束した砲撃の一撃が『ヴェルディグリース』を貫く。
 サイキックエナジーは砕け、大地を揺るがす。

 光が晴れた時、そこにあったのは緑青の騎士の残骸。
 サイキックエナジーを根こそぎ吸い上げられた『スヴェイズ』は息絶えていた。そこにあったのは、憎悪ではなかった。
 ただ安らかな顔があった。
 憎悪から開放されるには、生から解放されるしかない。
 歪み、捻じ曲げられた心はオブリビオンマシンの破壊でしか成り立たない。
 
 だからこそ、小枝子は慟哭するだろう。
 最後まで道化でしかなかった将に、オブリビオンマシンが奪った一つのより良き未来に。
 ただ、ひたすらに小枝子は、己の心に満ちる痛みを消し去り続けるように慟哭し続ける――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『キング・オブ・ガルトゥーウ』

POW   :    ガルトゥーウ・スタイル
【突進などよろめかせる攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【大質量剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    D2転用iADS、バトルモード・シフト
【背面推進器を動力炉と直結する事で戦闘形態】に変形し、自身の【機体消耗、パイロットの継戦能力】を代償に、自身の【背面から過剰エネルギー放出、大幅に出力】を強化する。
WIZ   :    キング・オブ・ジャッジメント
【外套装甲と合体した両肩の支援機】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:黒メガネ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ライアン・フルスタンドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 緑青の騎士が倒れる。
『スヴェイズ』は生命を機体に吸い上げられ、その生命を散らした。
 憎悪にとりつかれた者の末路であったと言えばそれまでであった。だからこそ、現皇帝である『ランドグリーズ』は、その末路をこそ誇る。
「よくぞ」
 生命をなげうつことを是としたのは、彼等だ。
 身を焦がす憎悪によって、彼等は生命を殺し殲すことを決めた。
 地上に対する激しい憎しみは、あらゆる物を破壊した。倫理であったり、忠義であったり、また誇りでもあったことだろう。

「ならば、私が滅ぼそう。お前たちの憎悪を引き継ぎ、あらゆる生命を殺し殲す……我が友がそれを願ったように」
『ランドグリーズ』の駆る『キング・オブ・ガルトゥーウ』が手を天に掲げる。
 それは己の帝国である『バンブーク第二帝国』より飛来する力を得るためであった。
 だが、何も起こらない。
 光が降り注ぐことなどなかった。
『ランドグリーズ』は訝しむ。何が起こったのか理解できなかった。いや、何も起こらないということが問題であったのかもしれない。

「すまないね」
 甘やかな声が聞こえた。何処にでも居て、何処にも居ない。そんな声であった。
「どういうことだ、何故あの力が届かない! 我が友よ!」
「どうやら不測の事態が起こったようなんだ。『グリプ5』で目覚めるはずのなかった者……『ツヴァイ・ラーズグリーズ』が、幸せな夢から醒めたようだ。これは正直想定していなかったな」
「何を言っている! 盟約を果たしてもらう!」
「いや、無理だ。もしも、あの力を此処で使ったのならば、僕が猟兵に対して一手遅れをとることになる」
「私に捨て石になれというのか」
「端的に言うとね。だが、君の望みは叶えるよ。炎の破滅はもうすぐ其処だ。僕も一手打たせてもらう」
 甘やかな声が遠ざかっていくのを『ランドグリーズ』は理解しただろう。

 だが、何も変わらない。
 皇帝騎たる『キング・オブ・ガルトゥーウ』は己の手の中にある。
「よかろう。敵がなんであれ、打ち倒すのが我が覇道。立ち塞がる者全てを殺し殲するのが、我が宿命なれば!」
 凄まじい重圧がサイキックエナジーと共に戦場に満ちる。
 黄金の皇帝騎が漲る力と共に『フルーⅦ』に迫る。
 それを阻むは白き銀鈴花。
 大型キャバリア『フラズグルズ』が、それを阻止しようとする。

 だが悪意に捻じ曲げられた憎悪は止まらない。。
 その最たる者が、今まさに剣の切っ先を無辜なる生命に向ける。どうあっても地上にありし生命を殺し殲さねばならぬと――。
村崎・ゆかり
皇帝自らお出ましとはね。ここであなたを討ち取れば、地底帝国も静かになるんでしょう?
どうせなら『ライスメキア』に次代の皇帝に即位してもらって、和平でも結べばいい。
そんなことは、まだ先だけど。今は皇帝騎を破壊するのが一番。

宇宙服を引き続き着用。
来なさい、『迦利』。もう一働きよ。

「レーザー射撃」の「弾幕」を皇帝騎の頭部に当て、行動を阻害させる。アイセンサーが壊れれば儲けもの。
回避はしっかりね。無人機と見抜かれて薙ぎ払おうとされても、しっかり回避。

それじゃいきますか。『迦利』離脱!
「全力魔法」雷の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「仙術」「道術」で九天応元雷声普化天尊玉秘宝経!
機械には雷がよく効くわ。



 黄金の皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』。
 それは先代皇帝の乗機であり、『バンブーク第二帝国』を象徴する機体でもあった。漲るサイキックエナジーは、搭乗者でもあり簒奪者でもある『ランドグリーズ』の生命を削り、発露する。
 そこまでして憎しみを晴らそうとする存在を前に猟兵たちは如何なる思いを抱くだろうか。
 同じ姿、言葉をたぐりながら理解不能なる憎悪の塊。
 それが『ランドグリーズ』という巨人の本質であったのかもしれない。オブリビオンマシンによって歪められ、それでもなお求めるは破滅。

 己以外の全ての破滅を望むのではなく。
 己を含めた世界そのものの破滅を願う者。
「我が名は『ランドグリーズ』。百年に渡って積み重ねられた我等が地底帝国の怒りを知るがいい、地上の蚤ども!」
 皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』が咆哮するように出力を上げ、そのすさまじい質量の剣を振るう。
 ただ振るうだけでサイキックエナジーが発露し、周囲に風を巻き起こす。
「皇帝自らお出ましとはね。ここで貴方を討ち取れば、地底帝国も静かになるんでしょう?」
「できるのならばな!」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は宇宙服を纏い、戦場を走る。

 彼女が呼び込むのは式神にして無人キャバリア。
 逆三角形の飛翔体たる『迦利』が舞うように『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと迫る。
「来なさい、『迦利』。もう一働きよ」
 彼女の言葉に従いレーザー射撃の弾幕を浴びせかけるが、『キング・オブ・ガルトゥーウ』は止まらない。
 牽制の射撃程度では止まらないのだ。
 行動を阻害できればと思ったのだが、さすがは皇帝騎と呼ばれる機体であった。発露するサイキックエナジーだけでレーザーの弾幕を弾いているのだ。

 そして何より速い。
 ゆかりにとって誤算であったのは、無人機である『迦利』の速度に通常のキャバリアの三倍はあろうかという巨体が反応しているという点である。
 突進によって『迦利』の機体が弾き飛ばされ、大質量の剣による一撃が『迦利』をひしゃげさせる。
「脆弱。意志のらぬ無人機程度で私をどうにかしようなど!」
 吠える『ランドグリーズ』もまた間違いなく皇帝の座を簒奪せしめるに値する『エース』の如き力量を持っている。
 軋む機体を離脱させながら、ゆかりはその瞳をユーベルコードに輝かせる。

 油断があったわけではない。
 けれど、事実として己のキャバリアは打ちのめされた。
 ならば、この手しかない。
「九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
 周囲の視界を阻害するほどの強烈な落雷の一撃が『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと放たれる。
 機械には雷が効く。
 サイキックエナジーの障壁を貫き、機体へと浴びせかけられれる紫電。

 その一撃が完璧に決まって尚、『キング・オブ・ガルトゥーウ』は立っていた。
「――……! 頑強すぎる……! これが皇帝騎の実力ってわけ!」
「己の生命を持って殺し殲すと決めたのだ。この程度造作もなきこと。言ったはずだ。無人機程度で私を止められると思うな」
 続けざまに雷が落ちる。 
 視界を阻害するほどの光が満ち溢れる。
 凄まじいまでの実力。これが地底帝国を束ねる頂点。ゆかりは、『キング・オブ・ガルトゥーウ』が打ち込まれる雷を受け止め続けるのを見やる。

 だが、確実にダメージは入っているはずだ。
 機体を覆っていたサイキックエナジーが霧消していく。再び補填するためには、己の生命を削らねばならない。
「我慢比べってわけ……今は皇帝騎を破壊するのが一番なんだけど!」
 まだ足りない。
 ゆかりは、己のユーベルコードを打ち込み続け、その機体を足止めする。
 唯一気がついたことがある。あの皇帝騎は踏み込みこそ速いが、防御というものをしない。
 する必要がないのか、できないのか。
 それは定かではないが、ゆかりの雷撃を受け続けているところを見るに後者。
「なら、道は開けるってものでしょう――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
見るからに偉そうですわね!
仰る通りですわ
暴力イズパワー!パワーイズジャスティス!
立ち塞がる邪魔者はデストロイするに限りますのよ
なので貴公はわたくしとヴリちゃんがデストロイして差し上げますわ〜!

ガンフューラーユニットは先程おパージしてしまいましたけれどお陰で身軽ですわ
余裕を持って回避できるよう十分距離を取って戦うのですわ
敵は尋常じゃねぇおパワーですけれど動きが硬くて直線的ですわね
突進をスラスター機動でひらりと避けたらスマッシャーテイルを横っ腹にお見舞いですわ
体勢を崩したら飛び付いてヴリちゃんキック!ヴリちゃんパンチ!ヴリちゃん追撃!
パイルブレイクをぶち込んで差し上げますわ〜!
おくたばりあそばせ!



『殺し殲すのが己の覇道である』
 それが『バンブーク第二帝国』の現皇帝『ランドグリーズ』の言葉であった。
 地上にありし生きとし生けるもの全てを殺し殲すこと。
 ただそれだけが彼等の憎悪に寄って突き動かされるものであり、それ以外は必要としてなかった。
 和平や和睦。
 相互理解など不要。
 必要なのは力のみ。力なき者が滅び、力強き者だけが歴史を作ることができる。
 皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』は、その象徴であった。

「見るからに偉そうですわね! おっしゃるとおりですわ」
 メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)ガンフューラーユニットを排した黒き暴竜『ヴリトラ』と共に身軽な挙動でもって、『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと迫る。
 確かに理解できるところであった。
 これまでもメサイアは面倒事などは全て暴力で解決してきた。
 姫としてそれはどうなのかと問われることもあったが、相互理解できぬ存在、オブリビオンと相対する時、いつだって解決してきたのは暴力であると彼女は正しく理解していた。
 滅ぼし、滅ぼされる間柄。
 そこにある絶対的なものは、やはりパワーなのだ。
「パワーイズジャスティス! 立ち塞がる邪魔者はデストロイするに限りますのよ」
「その言葉は鏡合わせのようなものであると言わせてもらおう!」
「なので貴公はわたくしとヴリちゃんがデストロイして差し上げますわ~!」

 互いに退くことはない。
 猛烈な突進。その推力は凄まじいものであったことだろう。メサイアはこれまで猟兵の攻撃を受け続けていたとは思えぬほどの速度で迫る『キング・オブ・ガルトゥーウ』の巨体を躱す。
 敵は尋常ならざる力を持っている。
 一度捕まれば、その力によって巨体は潰されてしまうだろう。
「さすがのおパワーですこと! ですが!」
 動きが直線的すぎる。
 メサイアの乗った『ヴリトラ』は、その直線的な動きを見切り、スラスター軌道でひらりと躱す。

 まるでマタドールのようでもあった。
 そして、すれ違いざまにスマッシャーテイルの一撃を見舞う。一瞬の攻防。されど、メサイアは其処に勝機を見出す。
 ただの一撃。
 されど一撃である。
 そのスマッシャーテイルは『キング・オブ・ガルトゥーウ』の巨体を傾がせる。
「なんたる……!」
「ヴリちゃんキック! ヴリちゃんパンチ! ヴリちゃん追撃!」
 どっせい、と気合十分にメサイアの駆る『ヴリトラ』が『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと格闘攻撃を仕掛ける。

「正気か……! 我が皇帝騎を前に格闘戦を挑もうとは……!」
 だが、それでいいのだ。
 メサイアの瞳がユーベルコードに輝く。
 この攻撃はブラフであり、牽制でしかない。巨体を傾がせるには足りないし、満ちるサイキックエナジーが皇帝騎の装甲に帯びていく。
 先行した猟兵の雷撃がなければ、おそらく『ヴリトラ』の一撃は巨体を傾がせることもなかっただろう。
「風通しを良くしてさしあげますわ! 皆様が掴む勝機をわずかでも多く、そして大きくできるように致しますわ~!」
『ヴリトラ』のアイセンサーが煌めき、煌めくサイキックエナジーの装甲をパイルバンカーの一撃が撃ち抜く。

 如何にサイキックエナジーが頑強なる装甲を齎すのだとしても、パイルブレイクの一撃は、その防御をこそ撃ち抜く。
「サイキックエナジーを抜く!? 馬鹿な、この皇帝騎に傷をつけるか!」
「ええ、そのとおりですわ~! おくたばりあそばせ!!」
 パイルバンカーの鉄杭の切っ先が『キング・オブ・ガルトゥーウ』の腕部に突き立てられ、その黄金の装甲を撃ち抜く――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『あの力…まだまだ謎は多いが…てめぇを倒さないとならないのはたしかだ』
愛機の【リミッター解除】とシステム『ヴァジュラ』の起動をし、【オーラ防御】を幾重にも纏うと叫ぶぜ
『憎しみにのまれ、未来に災いを残し、世界を滅ぼさんとするものよ!俺達がその恩讐に飲まれたオマエを斬る!!』
電磁機関砲を腰にマウントし、ブレードと斬艦刀を抜刀して、ユーベルコード【竜闘技・天乃型『爆界天昇』】を発動!機体の最大速度を【操縦】して、【フェイント】を交ぜて突撃するぜ。
機体も己も【限界突破】しようが関係ねぇ、ただ相手をそしてその憎しみをぶった斬るぜ!!
相手に肉薄後は【鎧砕き】と【鎧無視攻撃】の【2回攻撃】で攻め立て、【武器受け】と【見切り】で相手の剣を受け流していくぜ
『世界を滅ぼす憎悪に飲まれた弱者よ。そして、裏から画いてるものよ!俺たち猟兵を舐めるなよ!!』



 鉄杭の一撃が『キング・オブ・ガルトゥーウ』の腕部を撃ち抜く。
 サイキックエナジーの装甲を抜き、さらには頑強なる装甲そのものを砕く一撃に、『バンブーク第二帝国』の現皇帝たる『ランドグリーズ』は驚愕したことだろう。
「この程度の損傷……! あの力が使えれば、このような蚤どもに遅れを取ることなどないというのに!」
 彼が期待していた力はない。
 だが、それでも『キング・オブ・ガルトゥーウ』の力は脅威そのものであった。
 背面の炉に直結した推進機が凄まじい出力と元に加速する。
 それまで動きが鈍かった機体が、『ランドグリーズ』の生命を削って、加速する。

 鈍重なる防御形態と、加速する高速形態。
『キング・オブ・ガルトゥーウ』が皇帝騎と呼ばれる所以であった。防御は硬く、攻勢は苛烈。
 搭乗者の生命を削りかねない力。
 だが、『ランドグリーズ』はもはや構わなかった。世界の破滅を齎すため。ただそのためだけに己の生命を使うものに、保身などない。
「あの力……まだまだ謎は多いが……てめぇを倒さないとならないのは確かだ」
『コスモスター・インパルス』のリミッターを解除し、システム『ヴァジュラ』を起動する。

 ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は、己の肉体にかかる負荷ゆえに制限していたシステムのリミッターを解除する。
 出力の上がった機体から張り巡らされるオーラ。
 それが幾重にも重なり、ガイは叫ぶ。
「憎しみに飲まれ、未来に災いを残し、世界を滅ぼさんとするものよ! 俺たちが、その恩讐に塗れたオマエを斬る!」
「言うだけならば誰でもできるものだ。お前たちが猟兵であるということは知っている。我が友の宿敵。我が友の障害にして、我等が憎悪の悲願を阻む者どもよ!」
『キング・オブ・ガルトゥーウ』が迫る。
 凄まじい速度。
 さらには大地を疾駆する高速軌道。排出される尋常ならざる出力によって可能な残像を残すほどの速度。

 どれをとっても、これまで相対してきたオブリビオンマシンの比ではない。
「たぎれ竜の雷!天をも揺らし、明日を掴む力とならん!!」
 竜闘技・天乃型『爆界天昇』(ドラグアーツテンノカタ・バッカイテンショウ)によって真紅の雷をまとい、『コスモスター・インパルス』が『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと迫る。
 速度は負けていない。
 最高速度に到達した二機。
 その加速度Gは、パイロットに死を意識させるものであったことだろう。

 ブレードと斬艦刀を抜刀した二刀が『キング・オブ・ガルトゥーウ』の放つ大剣と打ち合う。
 互いに防ぎ、切りつけ、激突する。
 その火花が戦場に咲くだろう。互いに己の保身など考えていない。フェイントが通用しない。
 皇帝の座を簒奪したという『ランドグリーズ』は、武人としても優れた資質をもった巨人であったことが理解できる。
「その憎しみをぶった斬るぜ!!」
「この百年の憎悪を斬ることができるものなどいるものか。我等が憎悪を、地上に対する憎しみを! 我等を追いやった者への怒りを!!」
 大剣の一撃に二刀で防ぐガイは、機体のフレームがきしみ、限界を超えていることを知るだろう。

 受けてはだめだ。
 かと言って躱せるほど相手は甘くない。ならばこそ、限界を超える。機体の限界は己の限界でもある。
 ならばこそ、機体が軋むのも厭わずガイは雷撃を解き放ち、さらに加速していく。
「まだ加速するか!」
「ああ、世界を滅ぼす憎悪に飲まれた弱者よ」
 振るう斬撃が雷をまとって衝撃波を放つ。敵の攻撃を受けられないのならば、敵に攻撃さないほどの苛烈なる攻勢でもって、これを防ぐ。
 攻撃こそが最大の防御。
 敵の攻撃を封じるのは、いつだって己の斬撃であった。

「そして、裏から画いているものよ!」
 ガイはこの一連の事件の裏に居るであろう者に叫ぶ。
 届かないかもしれない。
 聞いていないかもしれない。
 けれど、それでも叫ぶのだ。誰もが平和を願っている。誰もがより良い明日をネガている。
 ならば、ガイは、その道筋を切り拓く。
 電光石火の二刀が『キング・オブ・ガルトゥーウ』のガードをこじ開ける。
 まだサイキックエナジーの装甲が残っている。

「俺たち猟兵を舐めるなよ!!」
 振るう斬撃がサイキックエナジーを霧消させ、機体の限界を超えた『コスモスター・インパルス』から白煙が上がる。
 もはや可動領域が焼き付いているのだ。
 けれど、ガイは最後の一撃を振り絞る。ブレードの一撃が『キング・オブ・ガルトゥーウ』の装甲に傷をつけ、たまらず後退する皇帝騎へと斬艦刀を振りかぶる。

 遠い。
 けれど、ガイは構わなかった。
 後退させた。ならば。
「逃がすか――!」
 振りかぶった斬艦刀を投げ放つ。その一撃は『キング・オブ・ガルトゥーウ』の頭部へと放たれ、サイキックエナジーを砕きながら空中で停止する。
 運動エネルギーを失った斬艦刀が大地へと落ちた時、ガイは示す。
 どれだけ強大な敵であろうとも。
 明日を望む、平和を望む者たちを殺し殲さんとする者をこそ、自分たちは打倒するのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
おーおー当ては外れたのに随分な張り切り王様な事で
何を当てにしていたのかな?
膨大なサイキックエナジーの奔流かな?
ま、何だろうと良いんだけどね
此処で終わってくれればそれでよし
首魁が前線に出てきたら思わぬ所で暗殺されちゃうよ?


超克、オーバーロード
全装備展開、最大出力
【Ex.Code:A.P.D】起動
肉体を稲妻に変換、これなら毒素はどうとでもなる
とはいえ、戦場から離れすぎてるし急いで近寄らないとね
急げ!急げ!
敵影が見えてきたら、4剣で雷鳴電撃を纏わせた『斬撃波』で牽制し更に接近
サイキックエナジーが込められてるなら、物理攻撃無効とはいかないかな?
エネルギーの軌道を見極めつつ、『オーラ防御』でシールドを展開し直撃を避けつつ移動
攻撃を避けないのは自信かな?
なら少しでもダメージがある部分を『情報収集』して割り出して、雷鳴電撃を込めた4剣の連続攻撃でその部分に集中攻撃
少しでも装甲が削れれば、キャバリアであるならそこはもう入口だ
通電物質内移動の能力を利用しキャバリア内部へ
内部の電気系統をぶっ壊してあげよう



 黄金の皇帝騎が咆哮する。
 猟兵たちの攻勢は苛烈であった。けれど、一歩も退かない。これが地底帝国『バンブーク第二帝国』の象徴。
 しかし、今は憎悪の象徴に堕した。
「小賢しい……! 我等が憎悪を。この世界に破滅を。キャバリアなどッ!!」
 炉が背面の推進機と直結する。
 外套の如き背面装甲が翼のようにスラスターの噴射光を放ち、飛び立とうとしている。目指す先にあるのは白い大型キャバリア『フラズグルズ』。

『フルーⅦ』の防衛は、『フラズグルズ』在りきだ。
 あの機体さえ破壊してしまえば、『フルーⅦ』は陥落したも同然であった。
「おーおー当てが外れたのに随分な張り切り王様な事で」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は市街地の片隅から現皇帝『ランドグリーズ』が駆る『キング・オブ・ガルトゥーウ』の様子をつぶさに観察していた。
 かの機体が猟兵たちと交戦する前、天に手を掲げていた。
 それが何を示すのかはわからない。だが、何も起こらなかったことは、『ランドグリーズ』にとって不測の事態であったのだろう。
『バンブーク第二帝国』の将が駆るオブリビオンマシンは全てサイキックエナジーの発露させていた。

 推察できることは一つ。
 サイキックエナジーの照射。それによる戦力増強か。
「ま、なんだろうと良いんだけどね。此処で終わってくれれば、それよし」
 首魁たる『ランドグリーズ』がこの場に居るということ事態が好機である。
「暗殺されちゃうよ? それもこっちに好都合ってものだよね! 超克、オーバーロード」
 玲の背後に副腕が出現し、その出力が上がっていく。
 煌めくはユーベルコードの輝き。
 Ex.Code:A.P.D(エクストラコード・アヴァタールプラズマドラグーン)。それは彼女の体を稲妻の龍と融合した姿へと変える。

「とはいえ、戦場から離れすぎてるし、ちょっぱやで行こう! 急げ! 急げ!」
 玲の体が一気に駆け抜ける。
 電光石火。その言葉が相応しい疾駆によって玲は『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと迫る。
 白い大型キャバリアのシールドビットが加速した『キング・オブ・ガルトゥーウ』の斬撃を受け止める。
 互いに15m級の機体だ。
 その戦いの最中に生身単身の玲が入り込む余地などなかった。そう、彼女がただの人間であったのならばだ。

「玲さん!」
「人……!? 何故このような場所に! お退きなさい! 危険です!」
『ライスメキア』の声が響く。
 けれど、玲はウィンクして笑う。何も心配すること無いのだというように『フラズグルズ』の横を駆け抜け、副腕と己の手に握りしめられた模造神器を抜刀し、雷撃を一瞬で四連撃叩き込む。
 その斬撃を『キング・オブ・ガルトゥーウ』は大剣で防ぐ。
 反応が速い。
 機体から発露しているサイキックエナジーの堅牢なこともあるのだろう。雷撃を尽く防がれる。

 これが猟兵たちの攻撃を敢えて受けている理由か。
「無駄だ。我が皇帝騎の装甲はサイキックエナジーに覆われている。貴様たち程度の機体で!」
「大した自信だね。だけどさ!」
 玲は生身単身で15mはあろうかという巨大なオブリビオンマシンと渡り合う。
 加速する『キング・オブ・ガルトゥーウ』の力は搭乗者である『ランドグリーズ』の生命を削って、さらなる出力を発揮する。
 尋常ならざる力であった。
 これが皇帝騎の力。
 だが、玲は冷静に見やる。『有毒装甲』に覆われた機体から噴出する毒素は、雷龍と融合した彼女には意味をなさない。
 
 そして、鉄壁を誇るサイキックエナジーもまた完璧ではないことを知る。
「そんなこと言って……散々にさっきまでやられていたよね。避けないんじゃなくて、避けられないんでしょ」
 玲は今までの先行した猟兵たちの戦いを見て、そう結論づける。サイキックエナジーは確かに堅牢な装甲となって機体を覆っている。
 だが、それは機体の出力を外に。防壁に回している状態であり、攻勢に出る場合そのサイキックエナジーを攻撃に転換しているのだ。

 先程もそうだ。
 背面の推進機を炉に直結させたのは、出力を速度に回すため。
 言ってしまえば、ピーキーな機体なのだ。攻撃か、防御か、移動か。そのいずれかに出力を全振りしてしまう。
「この短時間で理解したというのか、この皇帝騎の特性を!」
「考えればわかることだよ。そもそも、その皇帝騎ってのがさ! 旗印のための機体なら、そうするよね。攻撃に出るのなら周りの護衛に守らせる。防御に回るなら機動力は必要ない。機動するなら攻撃と防御は捨てられる」
 そういうことなのだ。
 だからこそ、玲はこれまで猟兵たちが叩き込んだ攻撃から、その傷跡を探る。

「ってわけで、そこだよね!」
 四振りの模造神器から放たれた一撃がサイキックエナジーを撃ち抜く。
 さらに先んじて打ち込まれた猟兵の攻撃の後を見つけ出す。
「貴様……!」
「傷があるなら、そこはもう入り口だよ!」
 玲の体は今や通電物質内移動の能力を得ている。瞳がユーベルコードに輝き、打ち込まれた傷跡から一気に内部に入り込む。

 オブリビオンマシンである以上、通電経路が配されている。それも全身に。
「派手にぶっ壊してあげるよ」
 玲は内部より己の体を攻勢する雷龍を解き放ち、内部から『キング・オブ・ガルトゥーウ』を破壊する。
 全身から立ち上る白煙。
『キング・オブ・ガルトゥーウ』は鉄壁の防御を内部から打ち破られ、膝をつくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
『立ち塞がる者全て』?
地上の人たち全てがあなたたちに立ち塞がったとでもいうのかな?

戦うな、とまでは言わないよ。
いろいろあったみたいだから、戦わないと割り切れないところがあっても仕方ないしね。

でもあなたたちがしようとしているのは、ただの人殺し。
戦争ですらない、ただの殺戮。
しかも、心をオブリビオンにねじ曲げられて、ね。
それが解っていてもまだ続けるのかな?

『希』ちゃん。ネルトリンゲンの演算リソースを『フラズグルズ』とリンク、サポートをお願い。

こっちはわたしが直接やるよ。
あなたを街へは行かせない。無差別に民を殺す覇王なんて、
わたしが絶対認めない!
……それでもいちおうコクピットへの直撃は避けるけど、ね。



 巨大な皇帝騎より白煙が上がる。
 内部から破壊する雷撃のほとばしりが『キング・オブ・ガルトゥーウ』の鉄壁の防御を打ち崩す。
 機体が膝をつく。
 だが、『キング・オブ・ガルトゥーウ』がそうであるように、『バンブーク第二帝国』の将が操るオブリビオンマシンは全てサイキックエナジーを発露させる。
 生命を削り、その力をもって地上の全てを殺し殲さんとしている。
「立ち塞がるものすべてを殺し殲す。それが我等の憎悪の標……! 私達はこの百年地底に追いやられたことを忘れてはいない! この激情、この憎悪! それを先代皇帝は捨てろと言ったのだ!」
 捨てられるわけがないと咆哮し、『キング・オブ・ガルトゥーウ』の機体を覆うサイキックエナジー。

 それは機体を内部から破壊されても無理矢理に回路を繋げ、突き動かす。
 なんたる力であったことだろうか。
「『立ち塞がる者全て』? 地上の人たち全てがあなたたちに立ちふさがったとでもいうのかな?」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の瞳には涙があったかもしれない。
 戦乱の世界、クロムキャバリア。
 そこに満ちる戦乱は言うまでもなく生命を奪う。理不尽に。どうしようもなく奪い尽くす。
 戦禍は逃れようと思って逃れることのできるものではない。
 だからこそ、その言葉を理緒は受け入れられなかった。

「そのとおりだ! 我等の憎悪の前に立つ。ただそれで殺し殲すに値するのだ!!」
 その咆哮とともに『ネルトリンゲン』へと『キング・オブ・ガルトゥーウ』が迫る。 
 手にした大剣より発露するサイキックエナジーが渦を巻き、戦闘空母すらも飲み込まんとしている。
「戦うな、とまでは言わないよ」
 色々あったのだろうと理解できる。
 百年前の戦い。『グリプ5』の前身たる『憂国学徒兵』との戦い。
 種族の違い故に、戦わずにはいられなかったのかもしれない。憎悪は簡単に割り切れない。

 けれど、理緒は見たのだ。
 彼等のオブリビオンマシンが放つ毒素は、徒に命を奪う。
 無辜なる人々すらも鏖殺する。
「でも、あなたたちがしようとしているのは、ただの人殺し」
 戦争ですら無い。
 殺戮そのものだ。
 そして、それ自体がオブリビオンマシンによって心を捻じ曲げられての結果だ。それを理解してもまだ、続けるというのか。
 迫る『キング・オブ・ガルトゥーウ』の姿を見上げ、理緒は言う。
 言葉は届かない。

「当然だ。我等の憎悪は人を殺す。地上の生きとし生けるもの全てを殺すのだ!!」
 その言葉に理緒は叫ぶ。
「そんなこと絶対させない!」
 AIである『希』が『フラズグルズ』のサポートに走る。白い大型キャバリアがシールドビットを腕部に装着しながら『キング・オブ・ガルトゥーウ』の大剣の一撃を受け止める。
 機体が吹き飛ばされるが、辛うじてサポートもあって転倒をさける。
 大地をえぐりながら、『フラズグルズ』が土煙の向こうに健在であることを示す。

「こっちはわたしが直接やるよ。あなたを街へは行かせない。無差別に民を殺す覇王なんて、私が絶対に認めない!」
 理緒は艦橋から告げる。
『ネルトリンゲン』の艦首が『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと向けられる。
「王は、その器によって己の為すべきことを世に知らしめる。ならば、我等の器に満ちるのは憎悪! 憎悪は血で贖うほかないのだ!」
「違う! 人を束ねて、人の上に立つのなら!」
 理緒の瞳がユーベルコードに輝き、艦首より展開された大口径主砲が発射形態へと変形し、テスカトリポカの鏡(テスカトリポカノカガミ)の如き輝きを放ち、炉の出力を限界まで高めた一撃を放つ。

 それは膨大な熱量で持って『キング・オブ・ガルトゥーウ』の外面に満ちるサイキックエナジーを吹き飛ばす。
 引き剥がしたサイキックエナジーの下にあった『有毒装甲』を焼き切りながら吹き飛ばす。
「生命を擲てなんて、そんなこと言っちゃいけないんだよ! 自分の足元を切り崩して、何が残るっていうの!」
 理緒は明らかにコクピットへの直撃を避けた。
 それが『キング・オブ・ガルトゥーウ』にとっての幸いであったことだろう。装甲を融解させながら、『ランドグリーズ』は咆哮する。
 相容れぬと。
 それが悲しいと理緒は思っただろう。生命削る咆哮が戦場に満ちる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
退場の時間だ

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら直に世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

無明の理にて皇帝と乗機及び召喚物に介入
存在原理そのものを奪い討つ

拠って立つ原理を喪えば如何な事象も崩れ消えるのみ
個の規模があれば幾らか耐えようが、つまりそれだけだ

尚消えぬなら白打で
破壊の原理を乗せ無限加速した一撃で討つ

俺は不敬で通っているのでな
傅く気は無い

何ぞ他にいたようだが
いずれ尻尾を出した時に始末すれば良かろう

※アドリブ歓迎



 光条が『キング・オブ・ガルトゥーウ』を飲み込む。
 サイキックエナジーを引き剥がし、その下にあった『有毒装甲』すら融解させる。膨大な熱量が戦場に吹き荒れ、その余波が周囲をなぎ倒していく。
 白い大型キャバリア『フラズグルズ』のエネルギーフィールドがなければ、その余波だけで『フルーⅦ』の防壁は突き崩されたことだろう。
「退場の時間だ」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』の外套の如きパーツと肩部に備わった機首が合体し、飛び立つ。
 膝をつく皇帝騎に代わり、迫る猟兵たちを迎え撃つのだ。
「征け、我等が憎悪を果たせ」
 無差別に放たれる攻撃。
 それはあまりにも苛烈であったことだろう。回避の隙すらない攻勢。自在に飛び回り、圧倒的なサイキックエナジーでもって戦場を再びかき乱し、戦いの趨勢を『キング・オブ・ガルトゥーウ』を駆る『ランドグリーズ』へと傾けようとしている。

 だが、此処にあるのは十一の原理である。
 存在原理そのもに干渉するユーベルコード。不可視の領域に迫る鳥の如き無人機を己の原理でもって介入し、存在原理そのものを奪おうとする。
「――……サイキックエナジー」
「我等が機体には全てが生命を削って発露するサイキックエナジーを有している……! 奪えるものか!」
「そうか。ならば」
 アルトリウスは、小さくつぶやく。
 敵である『ランドグリーズ』の寄る辺はサイキックエナジーである。
 生命を削り、その機体より発露させる力は、謂わば緩やかな自殺と言ってもいい。だが、彼等は命尽きるより速く敵を殺し殲してしまえばいいと、擲つ。
 まるでそうすることが当然であるかのように。
「愚かなことだ」

 その言葉は相手が皇帝であろうが変わらない。
 不敬で通っているからな、と彼は嘯く。いや、うそぶいたように聞こえただろう。
 個を前に傅くつもりは毛頭ないと迫る無人機を拳で打ち据える。
 15m級のオブリビオンマシンの機体より放たれた無人機と言えど、それは人のそれを超える巨躯を持っている。
 それをこともなげにアルトリウスは拳の一打でもって撃ち落とす。
「馬鹿な……人間、か、あれが!?」
『ランドグリーズ』は目を剥く。
 巨大な機動兵器が闊歩する戦場。更にそこに在って更に巨大さを誇る巨人である彼等の機体。

 それを物ともせず人の身でありながら拳で叩き落とす光景は悪い夢のようであったことだろう。
「何ぞ他にいたようだが、いずれ尻尾を出した時に始末すれば良かろう」
 アルトリウスの興味はむしろそちらにあったのかもしれない。
 無人機を叩き伏せ、踏み込む。
 15mを超える機動兵器に立ち向かう存在など、彼等にとっては理外であったことだろう。
 だから、対処できない。
 黄金の皇帝騎にアルトリウスは迫り、拳を打ち出す。

 回る十一の原理より得た魔力を乗せた一撃は、巨体を打ち上げる。サイキックエナジーに覆われた装甲すら打ち抜き、ひしゃげさせる。
「我が友と言っていたな。それが何を意味するのかはわからないが……どちらにせよ、お前は此処で終わりだ。疾く退場するがいい」
 アルトリウスは打ち上げた巨躯を蹴り飛ばし、原理の輝きたる蒼光と共に大地に倒れる皇帝騎を見下ろすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
引き続き借り物の『レーギャルン』のOSを『プログラミング』で修正しつつ戦闘を行うわ。
ずっと頑張ってきたから完成度は80%ってところかな。

それじゃあ、ボクの『戦闘知識』と『操縦』技術にどこまでついてこれるか?
耐久テストと動作補正の修正を開始する!!
オーバーブースト・ラストスパート発動。
『肉体改造』されたボク自身の『限界突破』した高速機動で地表スレスレを飛行する『空中戦』で背面に回り込み、アストライアの『制圧射撃』を食らわせ、イニティウムによる『切断』で破壊する。

もう止まりなさい。妄執も憎悪も…。そして悪夢もね…。

さて、OSもこんなものかしら。
機体と一緒にちゃんと返却しないとね。



 皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』の周囲を飛び回っていた無人機が肩部に合体し、外套へと変わる。
 さらに外套パーツに備えられた推進機が背面にある炉と直結する。
「此処で止まるものか。百年だ……百年我等は地底にあったのだ! 日の目を見ることもなく、ただ雌伏しつづけたのだ! ならば、この生命など!」
 満ちるサイキックエナジー。
 それは黄金の皇帝騎から放たれ、圧倒的な加速を齎す。

「もう止まりなさい。妄執も憎悪も……」
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は『レーギャルン』と共に戦場を駆け抜ける。
 借り物の機体とは言え、彼女は扱いづらいそれを制御しながら、OSを書き換えていく。
 いや、修正していく。
 このままでは猟兵以外『レーギャルン』は扱えない。
 さらに簡易型『レーギャルン』ですら『エース』以外はまともに操縦することすらできない。
 何故か。
 簡単な理屈だ。

 全てが自動化されていないからだ。
 キャバリアの挙動は多くがプリセットによってモーションが決められている。だが、『レーギャルン』はその全てが手動になっている。
 微妙な力加減、出力の制御、押し込み方、あらゆる要素が操縦に絡み、一騎一騎が異なる動きを見せ、またそれを共有していく。
 戦闘経験を蓄積するコア『ファフニール』がそれを為す。
 炉の出力が高いのは、個々の力量に応じて変化するためである。これが分割されていたという事実は恐るべきことであるが、ユーリーは驚かなかった。

「結局の所、ボクの操縦技術にどこまで着いてこれるかってことに帰結するわけだしね」
 ユーリーは耐久テストと動作補正の修正を開始する。
「黙れ、これが妄執であってなるものか! 我等の憎悪は、澱ではない。重ねられたものだ! 地上に届く牙を研いだだけに過ぎぬ!」
 迫る『キング・オブ・ガルトゥーウ』。
 その圧倒的な速度を『レーギャルン』は捉えていた。
 ユーリーの瞳がユーベルコードに輝く。

「飛べ……『レーギャルン』!!」
 アイセンサーが煌めく。それと同時に『レーギャルン』より放たれるのは『殲禍炎剣』に感知されなくなる特殊粒子。
 大地を蹴る。
 振るわれる大剣の一撃をかわし、『レーギャルン』が空へと舞い上がる。だが、クロムにおいて、その挙動は命取りである。
 空を蓋された世界。
 空より砲撃を行ってくる暴走衛生が在るがゆえに、キャバリアは空を飛ばない。いや、飛べない。
 けれど、『レーギャルン』ははじめからそうであったかのように、空を舞う。

「飛んだ……! 馬鹿な! キャバリアが飛ぶなど!!」
 それは悪夢の如き光景であっただろう。
 大空は己のものであるというようにユーリーは『レーギャルン』と共にキャバリアでは在りえぬ空中軌道を描きながら、アサルトライフルの弾丸を放つ。
 頭上より降り注ぐ弾丸の雨に『キング・オブ・ガルトゥーウ』の足が止まる。
 それが決定的な隙となった。

 あの凄まじい速度を齎すのは背面の炉と推進機が直結しているからだ。
 ならばと、ユーリーはキャバリアソードを白熱させながら、軽々と15m級はあろうかというオブリビオンマシンの頭上を超えて背後へと回り込む。
「悪夢もいつかは終わる……」
 放たれた一撃が背面に直結していたスラスターを切り裂く。
 悪くない挙動だとユーリーは思っただろう。
 この機体のデータを『フルーⅦ』と『グリプ5』がどのように扱うかはわからない。けれど、彼等なら大丈夫だと思った。

 例え、これが滅びを齎す機体であったとしても。
 それすらも乗り越える強さを彼等は持っている。最初から持っていたわけではない。幾度も打ちのめされ、そのたびに立ち上がってきたからこそ得た者たちだ。
「だから大丈夫だよね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
お前は、その怒りが同胞の未来を閉ざす事も分かってるのか!
簒奪者になったのも!!なんの為の憎悪だ!!!
なんの王だ貴様はぁあああ!!?

オーバーロード継続、
【闘争心】を更に燃やしエネルギー充填、03を、外殻ユニットを再稼働。
ハイペリオンランチャー・ハンドユニットの砲撃を行い、
【追撃】サーベルユニットを飛ばして切断攻撃を放ち、
【武器受け】攻撃を機体で受け止める。
『フラズグルズ』へは行かせない。

……積み重ねた怒りを、憎しみを、狂気が奪うなら…!

叩き斬られようとも!『禍戦・瞋憎喰』発動。
ランドグリーズ達の、
この戦いに巻き込まれた者達の怨念を纏い怨霊機體とする。
切り裂かれた陸戦型外殻ユニット、03を修復、継戦能力を補い、早業

瞋憎を喰らえッ…!ディスポーザブル!!

砲撃に使うエネルギーを推進力とバリアに変えて推力移動、
ハンドユニットを吹き飛ばしガルトゥーウを殴り、限界突破!

道化の王が、

【念動力】外殻ユニットから怨念の片腕を生やして、怪力で、
崩壊霊物質を込めた拳で、殴りつける。

壊れろぉおおおお!!!



 背面に直結していた推進機の一部が猟兵の一撃に寄って切り落とされる。
 外套の如きパーツであった、それが大地に落ちた時、黄金の皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』はよろめいただろう。
 機体性能だけで言えば、おそらくオブリビオンマシンの中でも最高の一角に数えられるほどの機体。
 しかも、巨人の体躯に合わせて15m級の強大さも有している。
 サイキックエナジーは搭乗者の命を削るとはいえ、強固にして堅牢。
 だが、それすらも猟兵たちは貫いてくる。
「何故だ! 我等の憎悪が負けるとでもいうのか! 私は、皇帝のはずだ! 力を得たはずだ!」
 簒奪者の言葉。
 されど、その言葉を否定する叫びがほとばしる。

「お前は、その怒りが同胞の未来を閉ざす事もわかってるのか!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は超克の道を征く。
 機体の状況は芳しくない。緑青の騎士との戦いは、それほどまでに苛烈であった。『ディスポーザブル03』をコアとする外殻ユニットは脚部の一つを欠損している。
 だが、それでも再稼働する。
 まだ戦いは終わっていない。
 憎悪の炎は未だ尽きてはいない。ならば、戦うしかない。
「簒奪者になったのも!! 何のための憎悪だ!!! なんの王だ貴様はぁあああ!!?」

 その叫びは問いかけであっただろうか。
 小枝子の中にある闘争心が燃える。『ディスポーザブル03』は彼女の闘争心の出力に変える。燃えたぎる激情のままに小枝子は戦場を走る。
 ハイペリオンランチャーを備えた腕部ユニットが砲撃を行う。だが、その砲撃をサイキックエナジーが防ぐ。
 頑強。
 ただその一言に尽きる。
「私は皇帝だ。殺し殲す、ただその一点においてのみ……! 地上の遍く全てに殺戮を齎すもの!!」
 大剣が振るわれ、飛翔するサーベルユニットを叩き伏せ、砕く。

 突進の一撃を小枝子は外殻ユニットでもって受け止める。
 敵の狙いは防衛の要である『フラズグルズ』である。あの機体さえ破壊してしまえば、『フルーⅦ』に『有毒装甲』の毒素が流れ込み、市街地に甚大な被害を与える。
 故に小枝子は退かない。
「それが積み重ねられていく! 誰もの心に澱のように、淀んでいく! これが怒りだ! これが憎悪というものだ!」
「……積み重ねた怒りを、憎しみを、狂気が奪うなら……!」
 大剣の一撃が外殻ユニットを切り裂き、腕部が脱落する。

「瞋憎を喰らえ」
 この戦場に満ちるのは怨念であった。
 憎悪であったともいえるだろう。戦争が生み出す怨念。生と死が交錯し続けている。どうあがいても絶望しかない。
 だが、その暗闇の中であがく者たちがいるのを小枝子は知っている。
 彼女はそれを喰らう。
 喰らい、己のものとし、『ディスポーザブル03』の外殻ユニットを修復していく。
 禍戦・瞋憎喰(デッドオーバー・ハート)。
 それは彼女の闘争心と怨念によって贖われる力。

「――修復機能……! こいつ!」
「道化の王が」
 小枝子は緑青の騎士のを道化だと言った。マシンによって操られる傀儡のようでもある。
 自らの憎悪の源すら直視しない。
 自分たちが何をしているのかも理解していながら、ただ感情に振り回されている。
 それがどうにも彼女には許しがたいものであったのだ。

 生きているのに。
 生きているのに、死んでいるように生きる者たちがいるのは、小枝子にとって許しがたい以上のものであった。
「壊れろぉおおおお!!!」
 咆哮する。
『ディスポーザブル』のアイセンサーが煌めき、ユーベルコードの発露と共に『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと拳を叩き込む。
 その一撃はサイキックエナジーの障壁すら砕き、皇帝騎に冠された頭部の装飾を砕く。
 外殻ユニットの腕部が砕けて散る。

 だが、怨念が天に掲げられている。
 これこそが戦争というものを憎む者たちの念である。
 死せる者、生きる者。
 全てが等しく憎む争いの源を生み出す存在への怒りであった。
「いけ、ディスポーザブル!!!!」
 天より振り下ろされる鉄槌の如き怨念の塊が、『キング・オブ・ガルトゥーウ』を大地に叩きつけるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
……我が友……ね……そこが黒幕か……
『あの力』や『炎の破滅』…殲禍炎剣との関連も気になるけど…まずは目の前の敵を倒さなければかな…

…ライスメキア、少しの間だけ防衛を…その間にあの支援機を奪うから…
…支援機にハッキングを仕掛けてコントロール権を奪取…逆にガルトゥーウへと攻撃を仕掛けさせよう…
…ハッキングが完了したらライスメキアには下がって貰って…
…支援機と連携しながらガルトゥーウの周囲に遅発連動術式【クロノス】による刻印をセット…
障壁を出現させてガルトゥーウの攻撃を防ぎながら【夜空染め咲く星の華】を発動…星の力を宿した光で毒諸共焼き尽くすよ…



 天より叩きつけられる怨念の塊の如き巨腕の一撃が『キング・オブ・ガルトゥーウ』を大地に打ちのめされる。
 だが、サイキックエナジーの発露は止まらない。
 強固なるサイキックエナジーは、搭乗者である『ランドグリーズ』の命を削るものであったが、彼等にとって、それは些細なことであった。
 生命など、彼等の憎悪を果たすまでのつなぎでしかないと言うかのように、『バンブーク第二帝国』の巨人たちは、生命を散らす。
「……我が友……ね……そこが黒幕か」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、『バンブーク第二帝国』の現皇帝である『ランドグリーズ』の言葉を捉えて、つぶやく。

 この『グリプ5』の周辺小国家を巻き込んだ戦いの裏に居る者の存在がついに輪郭を帯びてきたのを彼女は理解しただろう。
 そして、『キング・オブ・ガルトゥーウ』が見せた不可解な挙動。
 天に手を掲げたあの動き。
 何も起こらなかったが、何も起こらなかったということが問題であったのかもしれない。彼等にとっても不測の事態が起きている。
 ならば、事態が大きく動く。
「『あの力』や『炎の破滅』……『殲禍炎剣』との関連も気になるけど……」
 まずは、あの皇帝騎を打倒しなければならない。

 メンカルは白い大型キャバリア『フラズグルズ』を見やる。
「……『ライスメキア』、少しの間だけ防衛を……」
「お任せください。死力を尽くしてまいります」
 メンカルは『ツィルニトラ』と共に戦場に走る。迫るは『キング・オブ・ガルトゥーウ』より放たれた無人機。
 肩部に備わった支援機と推進機にもなる外套パーツが組み合わさることによって飛ぶ無差別攻撃機。
 だが、一騎だけだ。
 猟兵の一撃で推進機となる外套の一部が欠損しているためだ。

「……片割れになったのは、やりやすくなったと思えばいい……」
 メンカルは無人機にハッキングを仕掛ける。だが、サイキックエナジーに守られた無人機は、ハッキングを受け付けない。
 搭乗者の生命を削るサイキックエナジー。
 その発露は、ハッキングでは如何ともし難いものであったのかもしれない。
「……ハッキングは無理……なら……」
「こちらがサポートします。僕らの防御に回していたシールドビットを!」
『フュンフ・ラーズグリーズ』の言葉と共に『クリノ・クロア』の制御するシールドビットがメンカルと『ツィルニトラ』を守るようにして飛ぶ。
 その制御権を受け取り、メンカルはうなずく。

「我等の道を邪魔立てするのならば!」
 咆哮が轟く。
 地上にありし、遍く全てを殺し殲す。ただそのためだけに憎悪をたぎらせながら『キング・オブ・ガルトゥーウ』は無差別に攻撃を放つ。
 シールドビットがそれを防ぎながら、その周囲に遅発連動術式の刻印を刻んでいく。
「……『ライスメキア』は下がって……後は、私がやる」
「どけ! 地上の蚤ども! 百年の憎悪は、ここに成就するのだ!!」
 迫る『キング・オブ・ガルトゥーウ』。
 それをメンカルは静かな瞳で見やる。

「天の耀きよ、咲け、放て。汝は光芒、汝は落輝。魔女が望むは闇夜を穿つ星月の矢」
 巨大な魔法陣が空に展開される。
 あまりにも巨大な魔法陣。空を覆い尽くさんばかりの異様な光景。それを『ランドグリーズ』は見上げただろう。
「夜空染め咲く星の華(ダイ・ザ・スカイ)――……星の力は、その憎悪諸共焼き尽くす……」
 天より放たれたのは数多の星の力宿した光柱。
 それらが『キング・オブ・ガルトゥーウ』の装甲を覆っているサイキックエナジーを焼き切りながら、『有毒装甲』すらも炎で包んでいく。
 凄まじい熱量。

 巨体が軋む音を聞いただろう。
 メンカルは静かに瞳を閉じる。憎悪も怒りも、彼女には届かない。まして無辜なる人々にも届かせはしない。
 星の煌めきが戦場に満ちる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

稷沈・リプス
さて、あれが皇帝っすか。
わー、見るからに強そうっすね。負けねーっすけど。
飲まれてる奴になんか、負けねぇっすよ。

即UC(移動力強化、装甲低下)使って…今度はフォースウィップの方が中心っす。
何せ…これだと武器落とししやすいっすからね。電磁パルスは言わずもがな。文字通り、叩きつけるっすよ。
その立ち回り、つまりはこっちに何かしら攻撃が当たらないといけないっすね。だから、回避のためにも移動力上げたんっすけど。
簡単には当たらねぇっすよ!

動き的に、裏に何かありそうっすけど。そういうときは、駆けつける。
それが猟兵、そして俺っすよ。



 数多の星の光を受けて尚、黄金の皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』は立っていた。
 健在であったと言うには、あまりにも苛烈な攻撃を受け続けていた。
 強固にして堅牢たるサイキックエナジーの防御も、搭乗者の命を削る。生命を失うことを恐れるのは、生物として当然であった。
 けれど、オブリビオンマシンによって歪められた憎悪は、百年積重なった怒りと共に、生命を失う恐れすら振り払う。
「滅ぼさなければならない。地上の蚤ども全てを! 生きとし生けるもの全てを!『炎の破滅』を持って、全てを殺し殲さねばならぬ!」
 現皇帝『ランドグリーズ』が叫ぶ。
 憎悪に駆られた者の言葉は、あまりにも空虚に戦場に響いただろう。

「わー、見るからに強そうっすね。負けねーっすけど。憎悪に飲まれてる奴なんか、負けねぇっすよ」
 遠き海の異境神は本気を出す(ヤムナハルノカムイ)。
 異境海竜神『ヤム・ナハル』を駆る稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は、敵を見据える。
 あのオブリビオンマシンが齎すのは破滅だ。
 戦乱が渦巻く世界、クロムキャバリアにおいて、オブリビオンマシンの存在は人と人とを相争わせる。
 そのために喪われた生命がどれほどのものであるかなど、言うまでもない。途方もない生命が、無為に喪われたのだ。

 故にリプスは皇帝騎に迫る。
 大剣を掲げる『キング・オブ・ガルトゥーウ』の斬撃は重たいだろう。だが、戦いようはあるのだ。
 フォースウィップが電磁パルスを伴って大剣握る腕部へと巻き付く。
 パワーでは劣る。
 なにせ、15m級と5m級だ。
 けれど、敵を引きずり倒す必要はない。あの大剣を取り落とさせればいい。

「やっぱりその立ち回り、見え透いているっすよ!」
 リプスは『キング・オブ・ガルトゥーウ』の戦いを見ていた。
 他の猟兵たちの攻勢。
 防御に回るときは、躱すのではなく受け止め続けていた。サイキックエナジーという強固な守りがあるからではない。
 そちらにサイキックエナジーの出力を取られているから躱さないのではなく、躱せないのだと理解する。
 そして、大剣による攻撃。 
 それもまた理解できる。防御と同じく攻撃に出力を振るものだから、強大な一撃は絶大なものとなる。

「けど、その前にこっちの体勢を崩して確実に当てようとする……! まあ、そのためにこっちは本気を出しているわけっすけど!」
 ユーベルコードに煌めく『ヤム・ナハル』のアイセンサー。
 フォースウィップをうまく使い、『キング・オブ・ガルトゥーウ』の攻勢を躱し続けるのだ。
「翻弄されているだと、この私が!」
「簡単にはあたらねぇっすよ!」
 リプスは『ヤム・ナハル』の出力を上げる。フォースウィップから放たれた電磁パルスを発露させながら、大剣を大地に叩き落とすのだ。

「どんなにお前さんたちが、裏でこそこそ動いていようとも、そういうときは駆けつける」
 リプスは大地に落ちた大剣を己の機体の荷重を乗せたフォースウィップでもってくだく。
 砕けた刀身の破片が煌めく中、リプスは告げるのだ。
「それが猟兵、そして俺っすよ」
 オブリビオンマシンの策動があろうとも。
 何をおいても世界の悲鳴は上がる。ならば、リプスは即座に駆けつけるだろう。それに応えるのが猟兵としての本質であると――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●POW

皇帝自ら出陣するとは御大層なこった
けどな、部下の死を悼まねぇで何が「よくぞ」だよ
オブリビオンマシンに狂わされても、哀悼を示すのが王様ってもんだろ

憎しみは新しい憎しみを生み出すだけなら、俺たちが負の連鎖を断ち切ってやろうぜ、ベア!

しっかし、さっきの戦いで装甲がへしゃげたのが不味いな
これだとUCで武器変形できねぇし、どれも九つに分割された『ヴァルキリー』と『ファフニール』、それらが生み出す無限の火力に全てを賭けるしかねぇな

ベア、お前自慢の【怪力】で奴の突撃を食い止めて時間を稼ぐんだ
へっ、動けばGで押し潰さそうになるなら固定砲台に徹しろってな

下がれ、ベア
行くぜ、必殺の…プロメテウス・バーン!



 砕けた大剣の刀身が煌めく。
 確かに猟兵の一撃は『キング・オブ・ガルトゥーウ』の振るう大剣を砕いた。だが、搭乗者の生命を削るサイキックエナジーがほとばしり、その破片をつなぎとめ、再び刃へと変貌する。
 執念。
 いや、妄執と呼ぶべきであっただろうか。
「全て殺し殲すまでは終わらぬ。終わらぬのだ。怒りは、憎悪と共にあらねばならぬ! 遍く地上の全ての蚤に鉄槌を下すまでは!!」
 咆哮が轟く。
 生命を懸けて生命を鏖殺する。

 ただそのために皇帝機を駆り、『ランドグリーズ』はオブリビオンマシンによって歪められた憎悪を発露させるためだけに生命を削っていく。
「皇帝自ら出陣するとは御大層なこった。けどな」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は、『レーギャルン』を駆り、皇帝騎に迫る。
 その心にあるのは静かな思いであった。
「――けどな、部下の死を悼まねぇで、何が『よくぞ』だよ」
 怒りがあった。
 人の生き死にが錯綜するのが戦場である。そこに尊厳はないのかもしれない。けれど、ウィルは言うのだ。

 あんなのが人の死に方であっていいわけがないと。
「オブリビオンマシンに狂わされても、哀悼を示すのが王様ってもんだろ」
 憎しみは新しい憎しみを生み出すだけだ。
 例え、全てを鏖殺せしめたのだとしても、有史以来、全てを殺し尽くす事ができたことはない。
 どこかに取りこぼした芽がある。
 途絶えることのない連鎖が人の魂をしばり、憎悪の環の中に組み込んでいく。
「憎悪で繋がるのが我等の血の宿命だ。キャバリアがある限り、この世界に平和など訪れない。蠱毒そのものであることを知れ!」
 振るわれる大剣を前にウィルは見た。
 確かに憎悪ばかり戦乱の中にある。けれど、だからこそ、巨人でありながら人と手を取った『ライスメキア』がいて、その手を取った『フュンフ・ラーズグリーズ』がいる。

 ならば、ウィルは、その負の連鎖を絶ち切らねばならない。
「やろうぜ、ベア!」
『ガオォン!』
 漆黒のスーパーロボットが走り、放たれた大剣を受け止める。膨大な出力を誇る『ベアキャット』が『キング・オブ・ガルトゥーウ』の突進を止める。
 止めることが出来たのは、皇帝騎が万全の状態ではないからだ。憎悪が連鎖となるのならば、猟兵たちの戦いもまた連鎖だ。
 次に繋げ、最後の一人が打倒するまで繋ぐ。
 故に『ベアキャット』は『キング・オブ・ガルトゥーウ』の突進を止める。

『ベアキャット』のアイセンサーがユーベルコードに輝いている。
「このッ! 我が『キング・オブ・ガルトゥーウ』を、矮躯で止めるなど……!」
「やれぇ、ベアキャット!」
 ウィルが叫ぶ。
 戦いは終わらないだろう。兵器が在る限り、終わることのない連鎖に人は組み込まれていく。
 ウィルの言うところの連鎖を断ち切ることなどできないのかもしれない。
 けれど、ウィルは見たのだ。憎悪と絶望が渦巻く暗闇の中に一層輝く希望の如き星を。

 ならば、それを守る。
 暗闇が人の目を覆うのならば、篝火となって灯す。
「いくぜ、『レーギャルン』……!」
 炉が回る。
 嘗て『熾盛』と呼ばれた悪魔とも救世主とも呼ばれた機体より分割されたコアと炉。
 その一つであったとしても、簡易型『レーギャルン』では到達できなかったものがある。
 胸部に備えられた砲口が開く。
 煌めくは、人の明日を切り拓く熾え盛る炎。

「下がれ、ベア……行くぜ、必殺の……」
 高らかに叫ぶ。
 その名は、人に憎悪と絶望を踏み越える叡智を与えし炎。
「プロメテウス・バーン!」
 放たれる膨大な熱量が光条となって『キング・オブ・ガルトゥーウ』を貫いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「ああ、貴方が王様ですか」
「死合しか認めないとか、無粋の極みのような気もしますが。分かり合えない相手なら、仕方がないのかもしれませんねぇ」
嗤う

「ラグナロクがお望みの北の方々とはソリが合わないんですよねぇ。鏖殺にも美学哲学がありますし。でもまあ、しょうがないから殺し合いましょうか」
嗤う

黄巾力士の大きさは敵と同サイズ
縮地して顎に掌底し機体が揺らいだところで前蹴りしそのまま機体腹部と頭部に金磚連射

「頭部カメラを潰しコクピットに直接ダメージを与えておけば、他の方々もやりやすくなるでしょう?それに…そのハッチが吹き飛んで、自らの毒に蝕まれるのも趣向としては面白そうです」
執拗にハッチ破壊狙う



 黄金の皇帝騎を貫く光条の一撃が、『キング・オブ・ガルトゥーウ』の威容を著しく損なうだろう。
 猟兵たちは繋ぐ。
 例え、個として劣るのだとしても繋ぐ戦いによって強大な敵を穿つ。
 ただ一人で戦う者にはわからぬことであたのかもしれない。
「ああ、貴方が王様ですか」
 鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は強大化し、合一した『黄巾力士』と共に15m級のオブリビオンマシンである『キング・オブ・ガルトゥーウ』へと一歩を踏み出す。

 これまで猟兵たちの打撃は『キング・オブ・ガルトゥーウ』の強固なサイキックエナジーを引き剥がし、装甲や、その内部を痛めつけてきた。
 けれど、今の『キング・オブ・ガルトゥーウ』を支えるのは搭乗者である『ランドグリーズ』の生命より捻出されるサイキックエナジーだ。
 砕かれた大剣の刀身すらもつなぎ合わせるサイキックエナジー。
 機体の内部、そのフレームを焼かれ、本来ならばもはや動くこともできないであろうものすら突き動かす力。
 まさに生命を削る力。
「死合しか認めないとか、無粋の極みのような気もしますが。解り合えない相手なら、仕方がないのかもしれませんねぇ」
 冬季は嗤う。

 いつだって嗤う。
 目の前の『ランドグリーズ』は簒奪者にして憎悪と怒りに飲まれた歪んだ者だ。なればこそ、その瞳に宿るのは、ただ殺し殲すという意志のみ。
「『炎の破滅』はもう其処まで来ているのだ。今更私一人を止めようとも!」
「ラグナロクがお望みの北の方々とはソリが合わないんですよねぇ。鏖殺にも美学哲学がありますし。でもま、あしょうがないから殺し合いましょうか」
 15mにまで巨大化した黄巾力士と『キング・オブ・ガルトゥーウ』が向かい合う。
 だが、『キング・オブ・ガルトゥーウ』の肩部に備わった、一騎の無人機が飛ぶ。
 この期に及んで、まだ『フルーⅦ』を蹂躙することを諦めきれないでいるのだろう。

 その一瞬で冬季は踏み込む。
 飛び立とうとした無人機をを掴み、前蹴りでへし折りながら、ぐるりと体を回し、残骸となった無人機を叩きつける。
 さらにその無人機へと叩き込む銃器の弾丸が爆発を引き起こす。
「――ッ、この程度!」
「ええ、まあ、そうでしょうとも。ですが、頭部カメラを潰しコクピットに直接ダメージを与えておけば他の方々もやりやすくなるでしょう? それに……」
 冬季は嗤う。
 コクピットを執拗に狙うのは、『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンに共通している『有毒装甲』の毒素が『ランドグリーズ』に影響を与えるからだ。
 生きる者全てを蝕む毒。
 その毒素は、『ランドグリーズ』であっても例外ではないだろう。

「自らの毒に蝕まれるのも趣向としては面白そうです」
 執拗に腹部を狙う。
 掌底を叩き込み、前蹴りを放つ。ひしゃげるコクピットハッチの隙間から毒素は流入するだろう。
「おや、慌てふためくかと思いましたが存外冷静ですね」
「私がこの程度で倒れることなどありえない。私は皇帝なるぞ! 簒奪し、全てを殺し殲さんとする者が今更、己の生命を憂うものか!」
 迫る『キング・オブ・ガルトゥーウ』。
 気迫は十分。
 だが、冬季はためらうことなくコクピットハッチを引き剥がす。

「ならば、自らの毒で蝕まれるがよろしいでしょう」
 漲るユーベルコードの輝きを宿す瞳と共に『黄巾力士』の掌底が『キング・オブ・ガルトゥーウ』を吹き飛ばす。
 戦いは、生命のやり取り。
 だが、生命を奪うばかりでもないはずだ。冬季は、何を思うだろうか。破天荒で敵を鏖殺するのが仙の本質であり、己が未だと思うのならば。

 そこにあるのは、如何様なる矜持か。
 叩きつける一撃は、『キング・オブ・ガルトゥーウ』の機体を砕き、巨人の地底帝国の黄昏を知らしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……いいえ、多くの国や民を巻き込んだ、あなたのくだらない復讐劇も此処で終わりよ

リミッター解除、リアクター限界突破。装甲の一部を分離させて『リフレクションスケイル』を展開、レーザー射撃とそれをスケイルで反射させて攻撃し、敵の攻撃にはEフィールドで対抗する。その時極力真正面からは受け止めず、逸らして受け流すようにしていく

そして相手のUCに対しては、まずフィールドで受け止めて「このフィールドを出力で上回れば勝ち」と思い込ませる。…あの言動なら障害なんて力尽くで突破すればいいとでも考えるだろうし。

そう思い力を加えてきた所で、こちらの守りを捨てフィールドの性質を防御から拘束へと変化させ敵機を拘束、そのままこちらのUC【ゲネシス・デストラクティオー】を至近距離から叩き込む……!!
多少の損傷は承知の上。文字通りこれが最後の切り札、ここで、確実に決める……!塵一つ残さず、消え去りなさい、この世界から……!!

※アドリブ他歓迎です



「終わるのもか! このまま、何一つ殺せぬまま、終わることなど!」
 皇帝騎『キング・オブ・ガルトゥーウ』は満身創痍であった。
 砕け散った装甲と大剣。
 内部より焼かれた機体フレーム。
 あらゆる場所に打ち込まれた打撃の痕が嘗て在りし黄金の皇帝騎の威容を損ない続けていた。
 だが、その機体より発露するサイキックエナジーが、終わることを許さない。いや、搭乗者である現皇帝である『ランドグリーズ』がそれを望んでいない。
 生命があるのならば、その生命そのものを弾丸と変えて、世界に破滅を齎す存在経となる。

 ただそれだけのために、己の生命を使うという暴挙。
 そのオブリビオンマシンによって歪められた怒りと憎悪を前に、アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は告げる。
「……いいえ、多くの国や民を巻き込んだ、あなたのくだらない復讐劇も此処で終わりよ」
 己の機体、『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサーが煌めく。
 機体のリミッターは解除され、金属細胞が機体の中でうごめくように活性化していく。炉が白熱するように燃え上がっていく。
 機体装甲が剥がれるように結晶化し、周囲に浮かぶ。

「黙れ! 我等が同胞の怒りと憎悪を、謗ることなど許されるものか!!」
『キング・オブ・ガルトゥーウ』が凄まじい突進でもって『アルカレクス・ドラグソリス』へと迫る。
 15m級の機体は、それだけで質量兵器となる。
 あの突進を受ければ、大型化した己の機体でも危ういだろう。だが、白熱する炉が告げる。
 負けることはありえないと。
 張り巡らされたエネルギーフィールドと『キング・オブ・ガルトゥーウ』の突進が激突し、火花を散らす。
 そらすように受け流そうとしたが、それすら無理だった。

 機体の脚部が大地をえぐるように割れる。
 押し込まれる。背後に在るのは小国家『フルーⅦ』の市街地だ。もはや『フラズグルズ』は限界だった。
 もうエネルギーフィールドを展開する余力はない。毒素まき散らす『有毒装甲』を阻むのでやっとであった。
「私の背後には守るべきものが在る」
「それがどうした! 地上の蚤など、殺し殲さねばならぬと! 何故わからぬ! キャバリアの見せる光が、あの悪魔の如き存在が見せる熾火が! 数多の生命を惑わすと何故わからぬ!」
 押し込まれる。

 機体が傾ぐ。歪む。装甲がひしゃげる。
 倒される。
 そう思った瞬間、アルカの瞳が前を向く。その瞳に在ったのは、敗北の未来が見せる暗闇ではなかった。
「人の心は見えない。人の心は輝けど、暗闇を照らすことはない。未来を見透かすことだってできない。けれど――」
 アルカの瞳がユーベルコードに、いや、超克の輝きに煌めく。
 彼女が見据えていたのは未来だ。
 絶望が、憎悪が、怒りが、全てを塗りつぶしたとしても、彼女の背後には生命の煌めきがある。
 ならば、彼女は戦う。戦って、戦って、戦い抜くしかないのだ。

 押し込まれようとしていたエネルギーフィールドという護りをアルカは棄てる。フィールドの性質を作り変え、防御から『キング・オブ・ガルトゥーウ』の拘束に切り替える。
 体制を崩した『アルカレクス・ドラグソリス』へと放たれようとしていたサイキックエナジーを纏う長大な大剣の一撃を前にアルカは、機体の両腕を組む。
 ほとばしるサイキックエナジーの奔流が機体を切り裂く。
 装甲が弾け飛び、結晶化した装甲すら砕いていく。

「この右手に狂える過去を破壊する力を、この左手に歪みし現在を再生する力を……これで終わらせる!!」
「過去は破壊できぬ! 変わらぬ! だが、未来は破壊することができる! 私は、この地上にひしめく生命の尽くを破壊し、安寧を――!!」
 迫るサイキックエナジーが『ランドグリーズ』の命の全てを吸い上げていく。禍々しいほどの生命の煌めき。
 天を衝くサイキックエナジーの刀身が放たれ、『アルカレクス・ドラグソリス』へと叩き込まれる。

 その一撃を前にアルカは全てを掛ける。
 文字通り、これが最後の切り札である。これで決め切らねば、己だけではない数多の生命が犠牲になる。
 ならばこそ、彼女の機体の腕部に在るのは破壊と再生の力。
 相反する力が反発し合いながら融合していく。組んだ拳が光を放つ。明滅する光。白とも黒とも言えぬ輝きの中でアルカは叫ぶ。
 己の切り札の名を。

「ゲネシス・デストラクティオー!!」
 塵一つ残さず消し去る。
 オブリビオンマシンのみを素粒子にまで分解する光波。
 それはすでに命の全てを吸い上げられた『ランドグリーズ』の瞳に映ったことだろう。
「……破壊と再生……ああ、私が願ったのは、再生ばかりであったから……破壊に飲まれた」
 息を吐き出すように、生命の全てを吐き出した『ランドグリーズ』は光の中に飲まれ、その抜け殻となった肉体だけを残す。
 在るかの放った一撃は、オブリビオンマシンのみを分解する。

 光の渦が晴れた時、そこにあったのは機体との融合を解除されたアルカ。
 もはや意識はない。
 されど、その口元には笑みが残っていたかも知れない。
 憎悪と怒りばかりであった者。
 その最後は後悔ばかりが残ったであろう。オブリビオンマシンに弄ばれ、生命を燃やし尽くされた遺骸。
 せめて、安らかに眠るようにとアルカは願ったかもしれない。

 だからこそ、彼女のユーベルコードはオブリビオンマシンだけを破壊する。
 恩讐分かつのは生死ではない。また勝敗でもない。
 人の明日を望む熾火の如き煌めきこそが、恩讐を分かち、より良い未来を示すのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年07月16日


挿絵イラスト