カチコめ、オブリビオン邸!
「はっはっは、今日も元気かのう皆の衆よ!
お主ら、デビルキングワールドで動画投稿をしてみんか?」
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、グリモアベースに集まった猟兵たちに向けて、良く通る大声で依頼を持ちかけた。
「実は今、デビチューブのトレンドに大きな変化が出てきていてな。少し前の7thKING WARでの皆の活躍を記録した『猟兵系動画』が大ブレイクしておるのだ。……猟奇系動画、ではないからな?」
デビチューブとは、極悪な炎上動画(デビキン基準)の配信でおなじみ、デビルキングワールドにおける動画配信サイトのことだ。
「猟兵がオブリビオンとバトる動画が、今一番アツいのだ。
当然ながら妾も、デビチューブにアカウントを登録してバトル動画を配信しておる」
右手を鳴らすと立体スクリーンが浮かび上がり、菘の7thKING WARでの戦いの動画が再生される。
「で、妾の信者たる視聴者から『オブリビオンらしき奴を発見したので戦ってほしい!』とタレコミが来てな。その一部始終を動画に撮影して、配信を行う運びとなった」
もし勘違いだったらえらい事だが――それはそれで、凶悪な通り魔事件とかになって、悪魔たちには称賛されそうではある――とにかく、菘の予知でもそいつがオブリビオンなのは間違いないと判明し、こうして皆に依頼を振ることになった次第だ。
「まずは今回のターゲットの紹介をしておこう。
『氷のクリステフ』……身体的特徴としては、顔を二つ持ち、氷の翼を持つ女だ。それぞれの頭は「冷淡なるクリス」「冷笑するステフ」と名乗っておるが、実際のところ思考が分かれてるかはよく分からん。
そういう演技がカッコ良い、なんて理由かもしれん。なんせデビキンだからな!」
菘が氷のクリステフの画像をスクリーンに映し出す。屋外の高い所から、どこかの建物の室内に居る本人を超望遠で窓越しに撮影したものらしい。かなり大きいその家屋は、どうやらガラス? 氷? のような物でできているらしく、白色で陽光を照り返してキラキラと光っている。
「ただ現在、此奴は豪邸ともいえるような大きな自宅に引き籠もっておってな。今回はそこにカチコミを入れることになる!」
その、氷のクリステフとやらが引き籠もっている、というのはどうしてなのか。
「いやほら、此奴の外見を見てみてくれ。双頭とか氷の翼とか、とある有名人たちを思い出さんか?」
そう言われてみると……なるほど思い浮かぶのは、あのワルの二大巨頭。
「そう、アイスエイジクイーンとかスーパーカオスドラゴンだな!
なんとな〜く両者とキャライメージが被っておるだろう? 此奴もカタストロフを起こすべく、真っ当に頑張って悪事を働いてきた。デビチューブでワル動画配信もしていた。
しかし7thKING WARの様々な配信動画であの二人の活躍を見て、自分の個性だとか活動の方向性だとか、色々と悩んでしまっておるのだな」
スランプは誰にでも起こるもの、仕方がないだろう。
「しかーし! そんな当人の事情は実にどーでも良い! ならばブッ飛ばして妾たちの動画の視聴数を稼ぐ糧としてやろうではないか!」
……思いっきりぶった切った。
菘の情感たっぷりのトークに聞き入ってしまったが、そもそもこの部分の説明って猟兵たちには必要だったのだろうか。
「いやいや、敵との会話も動画では大切な要素だぞ? 会話もせずに即バトル突入なんて面白くないからのう」
私情が混じっているが、とにかくそういうことらしい。
「で、まずは引き籠もったターゲットの場所まで突入する必要がある。
実はこの邸宅、デストラップハウスとして有名でな。侵入者を殺害や排除すべく危険な罠が盛りだくさんに仕込まれておるから、うまく侵入してほしい」
元々は氷のクリステフが単にセキュリティのつもりで設置したのが妙に好評で、挑戦者まで出てくるようになったために、猛烈にグレードアップさせたのだとか。
「デビキン住人たちは頑丈だからのう、ダメージは食らっても死にまではせん。殺意の高い罠が満載ということで皆にウケてしまってな、もう本当に色々と用意されておる。
種類としてはやはり氷系が多い感じではあるかな。ツルツル滑る斜面、氷の刃物の吊り天井、雪崩による入り口まで押し返し、などなど。とにかくお主らなりの手段で突破すればよい!」
「とまあ、ここまで概要を説明したが……お主らにこれから、最も重要なことを話さねばならん」
菘の顔から表情が消える。普段、大体笑っている顔しか見せることのない菘の急激な雰囲気の変化に、猟兵たちの間に緊迫が走る。
「今回の件、大切なのは『バエるアクション』だ」
……??
困惑する猟兵たちに、真剣な顔で菘が話を続ける。
「最初に言ったであろう? 動画投稿をすると。オブリビオンをただ倒すだけの動画で、視聴者が満足するか?
『来た、見た、勝った』だけでは面白くないのだ。より動画映えをする行動で、見る者を感動させて、再生数を増やし、高評価を得る工夫が必要だ。各々が使える技能を存分に発揮してくれ!」
なので先に説明したトラップも、面白い発想や華麗な方法でそもそも完全にスルーしてしまうもよし、受け狙いで感じで見事にハマるもよし、うまく攻略するだけが選択肢ではない。
「とはいえ、演出だとかカメラ映りをあまり気にしすぎては本末転倒だぞ。最低限、バトルには勝利せんといかんからのう」
そこまで説明すると、ちろちろと舌を出し、にやりと笑う普段の表情に戻る。
「ちなみに、撮影環境が自前で揃えられないのであれば、今回は妾がカメラマンとして同行しよう。安心せい、此度の件はお主らが主役! 妾は撮影に徹して決して出しゃばりはせん。
それに作戦行動中に妾のことを気にする必要はない、居ないものと思ってくれ。もちろん撮影方法にこだわりがあるなら、相談はいくらでも受け付けるぞ」
菘は『動画配信』という分野ではプロフェッショナルだろう。その辺は丸投げしてしまっても全く問題ない。こうして事前説明を行なっている間も菘を撮影していたドローン群が、猟兵たちの前へと集まってくる。ついでに右肩に載せる形でショルダーカメラを持っていた。
「はっはっは、では準備は良いかのう? ではレッツ配信だ!」
皆を励ます菘の高笑いとともに、猟兵たちは現場へと転送されていった。
雨森
OPをご覧頂きありがとうございます、雨森です。よろしくお願いします。
プレイングの募集状況はタグをご確認ください。
●第一章
冒険です。
トラップはオープニングで言及した物以外でも構いません。プレイングで自由に記載して、攻略を行ってください。
ですが今回は、上手い攻略だけが良い突破方法でもありません。
●第二章『氷のクリステフ』
ボス戦です。
戦闘方法については詳細不明です。
第一章と同じく、動画映えする行動をするとプレイングボーナスが付きます。
特に記載が無ければ、菘がカメラマンとして同行します。
プレイングに記載が無ければ、無言でカメラマンとして撮影に徹しています。
●注記:これは「7thKING決定戦」の対象依頼です。
詳細はこちら(https://tw6.jp/html/world/osirase/220527_7thkingrule.htm)をご確認ください。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『イェーガー:インポッシブル』
|
POW : 常人には不可能なパワーを使い侵入する
SPD : 常人には不可能なテクニックを用いて侵入する
WIZ : 常人には考え付かないプランで侵入する
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
槐・白羅
ふむ…この悪魔達の世界で王を目指すのも悪くはないな!
【戦闘知識】
本来はモルスに乗りたいが今回は生身で久しぶりに力を尽くすとしようか
屋敷の構造から仕掛けられた罠を分析
可能な限り看破
【受け流し】
そしてギロチンや刃の罠は華麗に回避しつつ刀で受け流すとしよう
こういう風に避けるのも動画的には良いのではないかな?
そして…部屋に閉じ込められた上の釣り天井の罠は
さて…残念ながらスプラッタになる気はない
四門開門発動
【重量攻撃】
重さを込めた一撃で逆に天井を破壊して見せよう
攻防一体を極めてこそだな
とは言えまだまだ必要と言えるだろう
うん、後で動画のコピーをくれ
こうした活躍も後でモルスに見せてやりたいのでな(ふふん
カシム・ディーン
UC常時発動
「ご主人サマ!動画に出れるよ☆」
本来ならこのカシムさんは目立ちたくねーんだがな…
だがキングを目指すのも吝かじゃねーしいくとするか
【情報収集・視力・戦闘知識】
豪邸の構造を分析
特にどのような罠を仕掛けるのが有効かも考察を行う
特に仕掛けられた罠についてはどのような物かを冷徹に看破する
そして解除方法についても分析
【念動力・空中戦】
念のため念動障壁展開
落とし穴は浮遊で回避
矢の罠に関しては解除
レーザートラップはその動きを分析してふわっと飛びつつ回避!
バラバラになるのはごめんだしなっ
「メルシーはバラバラになっても復活するけどね☆」
相変わらずでたらめだなお前はっ!
【属性攻撃】
レーザーで罠を破壊
槐・白羅(白雷・f30750)が今回の件に乗ったのは、ふとした思い付きに近いものだったかもしれない。
この悪魔達の世界で、王を目指すのも悪くはない。
他の者であれば妄想の類だと切り捨てるかもしれないような発想。しかし生まれ故郷の記憶を持たず、己の国を作ることを夢見ている白羅にとっては現実感のある誘いだ。
「ふふん、往くとしようか」
カメラに向けてクールに微笑むと、槐は屋敷の中に入っていった。
屋敷に入ると内部をくまなく観察、仕掛けられているであろう罠の分析に入る。
キャバリアであるモルスは今のところお留守番。モルスの各種機能に頼ることもできたが、それでは白羅自身の能力を見せるつけることにはならない。
「今回は生身で、久しぶりに力を尽くすとしようか」
白羅の戦闘経験は、有りうる罠を分析してその対処法を読み切る。
侵入者の首を落とさんと落ちてくるギロチンも、どの場所で、どのタイミングで来るかが分かれば対処は容易い。あえてギリギリで、しかし余裕をもって受け流すのは、動画映えのための白羅なりの演出だ。
『華麗な回避』を基本方針として進む白羅だったが、それを許さぬ状況もある。閉じ込められた部屋、吊り天井の氷の刃。
「残念ながらスプラッタになる気はない」
しかし白羅は焦る様子を見せない――実際にその必要はない。
「玄武門……開門、朱雀門……開門、白虎門……開門、青龍門……開門! 四門開門! 砕け散れ!」
黄金のオーラを身に纏い、真上へと飛び上がる白羅。解き放たれる妖刀の一撃は脅威的な重量を与えられ、天井は罠ごと呆気なく壊れていく。
「攻防一体を極めた俺の技、楽しんでもらえたか?」
カッコ良さを演じることで心が躍るのを感じるのは、やはり誰しもが心のどこかで好きだからなのだろう。
「うん、後で動画のコピーをくれ。こうした活躍も後でモルスに見せてやりたいのでな」
上機嫌で菘に提案すると、氷のクリステフの元へと向かうのだった。
一方で白羅と同じく、構造把握と華麗な回避、解除を基本方針としたのがカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)であった。
「ご主人サマ! 動画に出れるよ☆」
ウッキウキでカメラに向かってアピールするメルクリウス(通称メルシー)。もちろん菘のカメラはその可愛らしさを余すことなく撮影している。銀髪少女なんて撮れ高の宝庫だからね。
「ああそうだな、良かったなぁ……うん」
そんなハイテンションな光景を見てややゲンナリしているカシム……本来なら目立ちたくはないのだ。盗賊だし。
「だがキングを目指すのも吝かじゃねーし、いくとするかな」
愚痴りながらもメルシーのアピールタイムにしっかり時間を費やして、カシムは豪邸へと入っていく。
「メルシーはちょっと後ろで控えていてくれな」
「は~い、了解だよ!」
屋敷の内部をじっくりと観察。盗賊としての数々の経験から考察を行い、仕掛ける側にとってこの状況下で選択肢となるであろう罠を看破する。当然その解除方法も思考する。
「念動障壁は念のために展開しておくか」
落とし穴は浮遊で回避、矢が飛んでくる罠などはレーザーで発動機構を解除。躊躇いのない実にスムーズな手際だ。なお、ちゃんとそこに罠があったことを、突破後にわざと発動させてアピールするのも忘れない。
無数のレーザー線が迫ってくる廊下は、動きを読み切ってからふわりと飛んで回避する。
「バラバラになるのは御免だな」
「メルシーはバラバラになっても復活するけどね☆」
「相変わらず、でたらめだなぁお前はっ!」
もちろんバラバラからの復活を試したりはしませんよ。猟奇系動画じゃありませんから。
カシムとメルシーの丁々発止の会話は、動画の方向性として良く映える。撮れ高としてはかなりの高得点なのは間違いない。
そんなこんなで楽しそうな会話をしながらも、二人は順調に罠を突破していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
今回はトラップ満載の館を攻略します!
一体どんなトラップが待ち受けているのでしょうか!?
早速中に入ってみましょう!
地面や壁がキラキラしすぎてて目がチカチカしますね!
(床を踏んだ時にカチリと音がした)
ん?今何か踏ん…わっ!床が動きだしました!
そして向かう先にレーザーがワイヤーのように張り巡らされています!
当たったらヤバい奴ですね!
『気合い』と『根性』で避けてみせます!よっ!はっ!
できまし…ってえぇ!?
(最後に格子状にレーザーが展開されている)
ならこうだぁ!
(『衝撃波』で床に穴を開けレーザーを回避する)
豪邸の玄関に立ち、まず手始めにカメラの前で自己紹介を始めたのはダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)だった。
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
視線を集めて自らの力に変えることができるダーティは、動画という分野でも己の見せ方を十分に理解していた。
ちなみに今回の参加者たちのプロフィールだが、後から菘が編集で公平に全員にテロップを付けるので安心してほしい。
通りすがりの悪魔さんたちにも笑顔を振りまき、撮影をアピールする。
「今回はトラップ満載の館を攻略します! 一体どんなトラップが待ち受けているのでしょうか!? さっそく中に入ってみましょう!」
実況形式を選択したダーティは、元気に豪邸へと突入していく。
さて彼女を待ち構えていたのは氷でできた部屋。
何かが置いてあるわけでもない、特に目に付く点もない……つまりどう考えても罠がある。しかし残念ながら、ダーティは罠を事前に看破する技能をあまり持ち合わせてはいない。
「いやー、地面や壁がキラキラしすぎてて、目がチカチカしますね! ちょっと居住性は低そうです」
そんな部屋内でも実況を続けるダーティ。歩き回っていると、何かカチリと音がする。
「ん? 今、何か踏ん……わっ! 床が動きだしました!」
ある意味お約束のような反応とともに、重い駆動音を上げながら動き出す床。その向かう先には、細いレーザー線のトラップが出現した廊下が待ち構えているた。
そして口調は慌ててはいるが、罠が発動してもそれがどんなものかを丁寧に説明するところが、細かくも良いダーティの工夫である。
「向かう先にはレーザーがワイヤーのように張り巡らされています! 当たったらヤバい奴ですね!
気合いと根性で避けてみせますよ!」
走りながらもうまくレーザーを避けていくダーティ。その体捌きにはまったく危なげがない。
「できまし……って、えぇ!? 逃げ場なし!?」
廊下の終着点でトドメに迫るのは格子状のレーザー。侵入者に回避させる気のない罠をダーティはどうするのか?
「それなら、こうだぁっ!」
ドゴンッ!
床に叩き込まれた衝撃波で床が弾け、砕氷が派手に飛び散る。開いた穴に逃げ込むダーティ。クライマックスは力業で解決するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アルテミシア・アガメムノン
デビチューブですか。最近、流行っていますわよねえ。
わたくしもたまに観ておりますが、配信はしておりません。
ですから撮影は菘さんにお願いしますわね!
ほほほ、ええ動画映えする攻略法はお任せくださいな。
邸宅入口で『地母神の戦域』を発動。
戦場(オブリビオン邸宅)全域を輝く霧で満たします。
さあ、準備完了です。参りますわよ!
様々なデストラップ、落ちてくる天井や壁から放たれる矢、レーザートラップなど全て発動させ、餌食となる寸前に神炎で焼き尽くします。
罠・罠・罠の中を悠然と闊歩。散歩するようなアルテミシアと背景として発動しまくる罠が黄金の炎で燃え尽きる様を動画配信いたしましょう!
エドゥアルト・ルーデル
どの世界でも今の時代バエなんでござるなぁ
とりあえず侵入口と仕掛けられてる罠を探しておきますぞ!
所でここの家は氷を多用してるからか熱量系は使ってないんでござるね、うーん…なんかパンチが足りなくない?やっぱさぁ…欲しいでござるよね、爆弾
逃げ道を塞ぐように家の全周にじゃんじゃん仕掛けていこうぜ!味方なら自前で何とかするだろうし細かい事気にすんなよ!
途中撮影交代するから御形氏も好きに仕掛けようね!共犯だヨ!
そんなこんなで仕掛け終わったら全身を【ドット絵】に変換、ぺらい身体で正面から罠をすり抜けながら突入でござる!今ならジャンプすると素敵なSEがなったりするぞ
クリステフちゃーん!あーそびーましょー!!
様々な方法で罠を突破していく猟兵たち。その中にはストロングスタイルな対処法を選ぶ者もいる。
アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は、本日もゴージャスな装いで登場した。
「たしかに最近流行ってますわよねえ、デビチューブって」
デビチューブを視聴はしてはいたものの、アルテミシア自身は動画配信を行ってはいない。今回は、悪魔たちの知名度を得るために有効な手段の一つ、ということで参加を決めた次第だ。
「ほほほ、存分に動画映えするわたくしの攻略法を見せてあげますわ!」
撮影は菘にお任せして、アルテミシアは豪邸を見上げながら、堂々と女帝然とした高笑いをキメた。
「さて、まだ素直に突入はいたしませんわよ」
カメラ目線でそう告げると、輝く霧が生まれて邸宅全体を包み込んでいく。とはいえ見えなくなったりはせず、むしろその金色の輝きは邸宅を照らし、荘厳さすら感じさせる光景へと変化していく。
戦場となるこの場所は、アルテミシアの支配する世界へと変貌した。
アルテミシアにとって、罠はうまく突破する必要などない。すべてド派手に破壊していけばよいのだ。
「さあ準備完了です。参りますわよ!」
アルテミシアが邸内を闊歩していく。まるで散歩するような気軽さで悠然と。
襲い掛かる罠、罠、罠の数々が、神炎で焼き尽くされていく。すべてはアルテミシアを、より引き立たせるために。
「わたくしの覇道を妨げるのではなく、引き立たせるための演出装置となったのです。
悦びなさい、あなたたちは最高の栄誉を受けたのですわ!」
その金色の歩みを止められる物は、何もなかった。
そんな堂々とした邸宅への突入を見ていたエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は、顎髭を撫でながらキラキラとした霧の眩しさに物凄く感心していた。
「は~、どの世界でも今の時代、バエなんでござるなぁ」
もちろんその通り。視聴者数や高評価の獲得というのは、全世界で非常に重要なファクターとなっている。かもしれない。
ということでエドゥアルトも侵入することにしたのだが……何故か、邸宅の周囲を歩き回ったり、家屋を見上げたりしている。
その姿は明らかに不審者。デビキンでなければご近所さんに通報をされて、住居侵入罪で捕まりそうな勢いだ。デビキンなので多分尊敬される。
しかしてその意図は?
「はっはーん……この家、氷を多用してるからか、罠には熱量系は使ってないんでござるね」
意外とちゃんと冷静に罠の分析を行っていた。しかし物足りないと首を傾げる。
「うーん……でもなんか、パンチが足りなくない? やっぱさぁ、欲しいでござるよね、爆弾」
やっぱりとは何か、なぜ爆弾なのか。ツッコむ者はこの場には不在であり、エドゥアルトは邸宅の周囲にありったけの爆弾を仕掛けていく。味方の巻き込み? 各自で何とかするから大丈夫だろう。
「撮影も交代するから御形氏もどうでござるか?」
なんか菘も巻き込まれた。
「はっはっは、喜んで!」
共犯上等、もちろん即答で参加だ。真面目な猟兵なら拒否しただろうが、動画を盛り上げるという一点において菘の倫理観は相当緩い。
「うむ、真に素晴らしいトラップハウスとなったところで拙者も突入するでござる!」
散々に邸宅を爆弾で飾り立てたその外観は、実に禍々しい。デストラップハウスではなくデスハウスだ。ご近所から迷惑物件として陰口を叩かれるのは間違いない。でもデビキンなら尊敬……されるのかなぁ。
ともかく、そんなこんなでようやくエドゥアルトは正面から突っ込んでいった。ドット絵のペラい身体で。
罠をすり抜け、軽快なアクションで進む。ジャンプ時に鳴ってる効果音に関しては菘が後で上に要確認だ。放送許可が降りなければ配信の際に音の差し替えられているはず。
「クリステフちゃーん! あーそびーましょー!!」
編集スタッフの懸念などいざ知らず、ウッキウキでボス部屋へとカチコむのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
あー…スタントなんかの超絶プレイ本番一発撮り、ってノリなのねぇ。えらくバイオレンスだけど。
バエる、映えるかぁ…
んー、と。それじゃマルガリータ、お願いねぇ?
流紋にマルガリータを接続、FPS視点で配信しましょうか。リアルタイム一人称視点なら迫力は十分でしょ。
カノ(炎)・火天印(炎熱)・エオロー(結界)・ついでに日天印(太陽)で○氷結耐性のオーラ防御装甲を展開、●轢殺・適応を起動。大気圏突入モード――即ち突破力特化モードで○騎乗突撃かけるわぁ。
え、何するって…見てわからない?「マシンスペックに物言わせたハイパー脳筋ゴリ押し正面突破」よぉ?
滑る床?UFOだから飛べるわよぉ?
吊り天井?ブチ貫いて天井裏から再開ねぇ。
雪崩?溶かしながらそのまま突っ切っちゃいましょ。
マルガリータとお話しながらなら視聴者も飽きたりしないでしょ。(…マルガリータがリアクション担当みたいにはなりそうだけど)
盛り上がりと映えが要るとはいえあくまで前座、あんまり時間かけてもダレるだけだし一気に突っ走るわよぉ。
悪ノリが極まったような外観と化した邸宅を、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は何を考えているか読みづらい微笑を浮かべて見上げていた。ほとんどの猟兵が菘のカメラに活躍を収めている中、彼女は気合の入った撮影環境を自前で用意してきている。
「あー……バエる、映えるかぁ……」
間延びした声が響き渡る。
動画方式は先に決めていたが、具体的にどのように動画映えというコンセプトを行動に反映させるかは現場で考えよう。そんなつもりで来たのだが、先に行った者たちは誰もがえらくバイオレンスであった。
「それならあたしも乗るしかないわよねぇ、この場のノリってのに」
ティオレンシアの思考は素早く形を成し、淀みなく多機能ヘッドマウンテッドディスプレイ『流紋』を被る。
「スタントなんかがやってる超絶プレイ本番一発撮り、ド迫力なのを魅せてあげるわねぇ」
そう宣言すると、乗騎であるバイク型UFO『ミッドナイトレース』に跨った。
ティオレンシアが動画方式として選んだのは、リアルタイム一人称視点。
流紋にAI『マルガリータ』を接続。ティオレンシアの視界となるディスプレイに、戦闘補助のための様々な数値や文字情報、幾何学的な線図形が表示されていく。
「具体的な意味までは分からなくても、みんなこういうの大好きでしょ?」
ゲームのFPS視点のようなもの、だからこその利点を活かした演出といえるだろう。さらにミッドナイトレースに、魔術文字の知識でルーンや真言による強化を施していく。
「カノ、火天印、エオロー、ついでに日天印っと」
氷結耐性を入れたオーラ防御装甲を展開。そこにユーベルコード『轢殺・適応』を起動させて、大気圏突入モードへと移行する。
時間には余裕があるので、丁寧に強化を掛けていくティオレンシア。その作業を見ていた菘が声を掛ける。
「おおー、なんかモリモリに強化をしておるなあ。それで、お主はどんな作戦で罠に挑むつもりなのかのう?」
「え、何するって……見て分からない? 『マシンスペックに物言わせた、ハイパー脳筋ゴリ押し正面突破』よぉ?」
「そうなのか! ならば、その辺は具体的に喋って実況していく方が良いと思うぞ。テロップ解説も手ではあるが、お主の声は非常に良いからそれを活かさん手は無い!」
「なるほどー、ありがとねぇ」
動画というジャンルにおいて、声色の個性は強力なアドバンテージ。そんな助言に感謝しつつ、一通り強化を終えたティオレンシアは作戦行動へと入ることにする。
「それじゃマルガリータ、お願いねぇ?」
――承知しました。
マルガリータの返答を受け、菘と視線を交わすとティオレンシアは邸宅へと最初からトップスピードで突っ込んでいった。
――摩擦力のきわめて低い床となります。氷上走行モードにシフト、運転の主導権はどちらが担当しましょうか。
「氷でできた滑る床? いやUFOなんだから、わざわざ事故りそうな道の走行なんてせずに飛ぶわよぉ?」
――それってアリなのですか?
「マシンスペックを存分に発揮させてるってことよぉ」
――吊り天井の下降を止めるには、提示された問題を解き、特定の順番で床の模様を踏んでいく必要があります。解法の計算終了まであと二十秒。
「防御しっかり固めてるし、浮いて天井をブチ抜いちゃいましょ。天井裏から次に再開ねぇ」
――挑戦者の賢さに合わせて、誰が挑んでも解くには時間制限ギリギリになるような問題を出題させる、非常に高度なシステムなのですが。
「装甲に負ける刃の方が悪いのよぉ」
――廊下の奥から雪崩が迫ってきています。入り口まで戻らなくても雪崩を凌げる場所の候補が複数存在しますが、どこにしましょうか。
「いや別に引き返さなくても。溶かしながらそのまま突っ切っちゃいましょ」
――あの、これって動画的に宜しいのでしょうか。
「だいじょーぶでしょ。視聴者を飽きさせないトークに、予想を裏切る爽快な突破法。あたしなら凄く楽しいわねぇ」
――……。
実況ということでちゃんと行動選択の理由を説明はしているし、言われてみればそうなのかも、などと納得してしまうあたり、マルガリータもしっかり主の影響を受けてしまっている。
「それに、盛り上がりと映えが要るとはいえ、これはあくまで前座だもの。あんまり時間かけてもダレるだけだし、一気に突っ走るわよぉ」
今回の件のメインはまだこの後に控えている。罠には付き合わず、ティオレンシアはすべて力押しで突破していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
サハリエ・ステーロ
目まぐるしく状況が変わっていくこの時代
大なり小なりストレスを抱える者も少なくないことだろう
そんな時に必要なのはクラッシュ!クラッシュ!クラッシュ !
この兎魔王サハリエ様が、君達のストレスをこの屋敷と一緒に破壊しよう
UC【兎魔王流:流星魔法『メテオ』】使用
フーハッハッハッ、やはり隕石の質量で大きな氷がバラバラ砕ける様子は見ていて気持ちが良いな!
どうせオブリビオンの屋敷だしおそらく他の猟兵は先に敵の所に辿り着いているだろう
ボス部屋以外ボロボロにしたって大丈夫だろう。たぶん。
まぁ、必要なら配下達に修復を頼めばいいだけさ
さぁ、視聴者のストレス発散と共に突き進もうじゃないか
※アドリブ・連携歓迎
「僕はこの世界を大いに憂いている」
最後に登場したサハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)は、カメラの先の視聴者へと演説を始めた。
「目まぐるしく状況が変わっていくこの時代、大なり小なりストレスを抱える者も少なくないことだろう」
その語りかけは、聴く者の心を確実に震わせる。皆が心に抱いている不安を的確に察し、同情し、そして、
「そんな時に必要なのは……」
十分にタメを入れて……素晴らしき解決策を提示した。
「そう、クラッシュ! クラッシュ! クラッシュ!
フーハッハッハッ! このこの兎魔王サハリエ様が、君達のストレスをこの屋敷と一緒に破壊しよう!」
高笑いとともに宣言するサハリエ。その姿はまさに悪のカリスマ、魔王の勇姿であった。
「さあ、兎魔王流の基本魔法にして、僕の最も得意な魔法を見せてやろう」
勢い込んで、邸宅へと魔王笏をビシっと突きつける。そこに降り注ぐのは巨大な隕石。
邸宅とほぼ同じサイズのそれは綺麗に着弾。轟音とともに氷の巨大建造物が砕け散っていく光景は、まるで世界の終末のようだ。
「フーハッハッハッ! 見ていて実に爽快だな! ……おや?」
そして、どこかの誰かが邸宅に巻き付けた爆弾も、起爆していないのに爆発した。
何故なのか? むしろこの状況で誘爆しないはずがない。お約束というものである。
「これは素晴らしい。まるで僕を歓迎する祝砲だね!」
踏ん張って爆風に耐える。オブリビオン以外の屋敷でこんな事をするのは許されまい。
一通り誘爆が止んだ時には、かつての巨大邸宅は破壊され尽くし、砕けた氷の残骸の山と化していた。というか先行した猟兵たちは大丈夫なの?
「ボス部屋以外はボロボロにしたって大丈夫だろう……たぶん」
必要なら、配下たちに修復を頼めばいいだけだ、……ちゃんと修復ができるという保証は全く無いが。
ともかく、視聴者のストレスが見事に発散されるような動画となったのは間違いない。悠然と、どこにあるのか分からないボス部屋を、サハリエは探し始めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『氷のクリステフ』
|
POW : 氷晶の凶翼
自身の【氷の翼】を【戦況に応じた禍々しい形状】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD : クリスとステフの作戦会議
非戦闘行為に没頭している間、自身の【周囲】が【猛吹雪の竜巻で覆われ】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ : 凍獄の魔雹
【レベル×5個の氷のつぶて】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を瞬時に氷漬けにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:塒ひぷの
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠オードリー・マクリーン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
数々の罠を突破し、氷のクリステフの居る部屋までようやく辿り着いた猟兵たち。
というか、もう彼女と猟兵たちが居るボス部屋以外はまともに残っていないのだが。
「よく来た猟兵たちよ」「歓迎致しますわ」
「「……なんて言うと思ったか!!」」
氷のクリステフは超激怒していた。両方の頭とも表情が凄いことになっている。そりゃキレないはずがない。
「攻めてくるにしても」「もう少しやり方は無かったのか!?」
怒気とともに、氷の翼が形を変えていく。凄まじい寒気があふれ出す。
「もはや悩む必要などない」「貴方たち猟兵をすべて倒していけば」「「最終的に、私が自動的にKINGとなるはずだ!」」
ある意味で見事に吹っ切れた氷のクリステフとの、決戦が始まろうとしていた。
アルテミシア・アガメムノン
あらあら、お怒りの様ですわね。過度の怒りは健康に悪いですわよ?
ほほほ、まあすぐに健康を気にすることのない世界に送ってあげますけどね!
『アルテミシアの翼』から羽型の魔力弾を連続射出。(弾幕×貫通攻撃)
敵WIZUCの氷のつぶてを相殺いたしましょう。
次の攻撃への仕込みでもあり、幾つかの魔力弾はわざと外しており、その着弾地点を囲めば戦場全体を囲む様に致します。
氷漬けにした地形の上で戦闘力を高めるオブリビオン相手に高笑い。
ほほほ、やはり倒すのであれば相手が全力、フルパワーの状態の時がいいですわよねえ。さあ、終わりです。
と『天帝の審判』を発動。極大の神雷でビリビリしてあげましょう!
「あらあら、お怒りのようですわね」
アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は氷のクリステフへと優雅に笑いかける。少し鼻で笑うような感じで、見下すように。
「過度の怒りはお身体に悪いですわよ? あまりカッカすると、背中の翼が溶けてしまうのではございませんこと?
……ああでも、例えばもしどちらかの頭に血が上ってプッツンしてしまっても、もう片方が無事なら大丈夫そうですわね」
「ほざけ!」「貴様ぁ!」
「ほほほ、まあすぐに健康を気にすることのない世界に送ってあげますけどね!」
クリステフが氷の翼から無数の雹を撃ち出す。お返しとばかりに、アルテミシアも黄金の翼から無数の羽根型魔力弾を射出した。
ガガガガガッ!
弾幕と弾幕のぶつかり合い。氷塊の砕ける連続音。ぶつからなかった氷の礫も、周囲の地面へと当たって凍り付かせていく。
「時間が経つほど」「私に有利に傾きます」「「このまま弾幕で消し飛ばす!」」
繰り広げられる動的な拮抗状態は、次第に力が高まっていくクリストフによって破られる、かに見えた。
「ほほほ、噛ませ役っぽい台詞ですわね、でもお似合いですわよ。周りをご覧になって頂けるかしら?」
「なに?」「いつの間に!?」
自分の周囲に、魔力の高まりを感じるクリステフ。見回した先に見つけたのは……凍る地面に、消えずに突き刺さっている無数の羽根。
アルテミシアの魔力弾の幾つかは、意図的に狙いを外したもの。弾幕勝負をしている間に、それは戦場全体に、クリステフを囲むように刺さっていた。
「やはり倒すのであれば相手が全力、フルパワーの状態の時がいいですわよねえ」
勝ったと思わせてからの逆転劇、動画映えする見事な戦法だ。
「さあ、終わりですわ」
高笑いをしながら、尊大に告げるアルテミシア。
「「――!!」」
極大の神雷が降り注ぐ。閃光と轟音が炸裂した。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「ご主人サマ!気付いたらなんかもうお空が広がってるよ!」
一応僕は華麗に突破してたんですからね?
とは言え…ここまで来たら…
【弾幕・属性攻撃】
火炎弾でボス部屋も容赦なく爆砕!
メルシー…元に戻れ
「ラジャったよ☆」(キャバリアに戻る
キャバリア搭乗
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の攻撃の性質
何を強化したかを正確に把握
【念動力・空中戦・スナイパー】
飛び回りながら念動光弾を乱射して蹂躙して動きを封鎖する
昔読んだ冒険ファンタジー小説でもお前らみたいなのはいました
もう少しましな奴でしたがね
取り合えず…仲良く叩き潰します
UC発動
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で切り刻み身包み剥ぎつつ溶岩の体で抱擁(外道
ダーティ・ゲイズコレクター
え?私は普通にトラップを攻略…はっ!
まっとうにトラップ攻略なんて良い子な真似するわけないじゃないですか!
なぜなら私はワルの中のワル!魔王ダーティだから!
さぁオブリビオンさんとの直接対決です!
果たして勝負の行方は!?こうご期待!
({ダーティウイング}で『空中浮遊』すると敵の視線を{ゲイズ・パワー}に変換し身に纏い『オーラ防御』しながら敵の攻撃をバレルロールで回避する)
当たりませんよ!もっと私を見て!
(UC【醜悪!邪王穢澱烙印槍】で巨大な矢印になると『衝撃波』を起こしながら旋回し壊した屋敷の瓦礫を『念動力』で操作して敵の視界を遮る)
隙あり!超ゲイズスピィィン!
(回転しながら敵に向かって突撃する)
クリステフの怒りは周囲の惨状を見ればもっともではあったが、それはそれとして自分の身に覚えのない者たちも居るわけで。
実況をしながら割と普通の方法で突破してきたダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)にとっては、明らかに冤罪でありただ驚くしかない。
「えっ? 私は普通にトラップを攻略……はっ!」
しかしダーティはその明晰な頭脳で気づいてしまった。そして策を巡らせる。
「ええ! まっとうにトラップ攻略なんて、良い子な真似するわけないじゃないですか!
なぜなら私は、ワルの中のワル! 魔王ダーティだから!」
カメラ目線で堂々と宣言しちゃった。他人の手柄を横取りするとは実にワルい。
なお、ちゃんと自分で罠を突破した証拠映像はあるわけだが、だからこそむしろそのワルさが際立つというものだ。
さてダーティとクリステフは直接対決へと突入した。
「貴方も爆破に加担したのか」「決して許しはせん!」
クリステフの氷の翼の先端が槍のように尖り、伸びてダーティを突き刺そうとする。
「おっと危ない!」
赤紫色の翼を使い空中に浮くと、身を捻りながらバレルロールで刺突を回避していく。
クリステフの頭が二つあるというのはダーティにとって大いに助けとなった。見つめられる数が常人の倍、それを己のオーラへと変換、蓄積していく。
「ほらほら当たりませんよ! もっとよく見て狙ってください!」
そしてさりげなく煽りを入れて、視線を外さずより強くするよう誘導する。
攻撃の回避に徹していたダーティは、魔力が溜まるとトドメとばかりに攻勢に出た。
赤紫色のオーラで全身を覆い、その外観は巨大な矢印と化す。勢いをつけて旋回しながら飛び回り、時折地面へと接触して周囲の邸宅の破片を跳ね上げる。それを念動力で操作してクリステフの視界を遮った。
「ここに来て目くらましとは」「しかし防ぎきります!」
射程を伸ばす代わりにを移動力を犠牲にしていたクリステフはほぼ動けない。攻撃がすぐに来ると予測して、せめて防御をしようと氷の翼を引っ込めたが……手遅れであった。
「隙あり! 超、ゲイズスピィィン!」
十分な回転力を付けた鋭利な矢印の突撃が、翼のガードを突き抜けてクリストフの身体へと突き刺さった。
そしてダーティと同じく、うまく罠を潜り抜けてきたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、腕を組んでくるメルシーをあしらいながら、黄昏るような表情で空を見上げていた。
「ご主人サマ! 気付いたらなんかお空が広がってるよ! 今日もいい天気だね☆」
「僕は一応、華麗に突破してたんですからね?」
デストロイして突破しちゃったのか……トラップのうまい解除ってのは廃れゆく技術なのかな……。
いやいや、派手な絵面だけが動画映えではない。細やかで見事な技術の発揮は、分かる者にはちゃんと分かるから大丈夫である。
「まあ、ここまで来たらそれはもういいか」
クリステフがこちらを視認したと同時に、視線を空に向けたままカシムは魔法の火炎弾を撃ち込んだ。
「メルシー、元に戻れ」
「ラジャったよ☆」
ここから先は戦いの時間だ。
爆発を目くらましにしている間にメルシーはキャバリアの姿へと戻り、カシムはそこへ搭乗した。
「そんなものに乗り込んだ程度で」「私に勝てると思っているのですか?」
「そんなものとは失礼なー!」
クリステフの氷の翼が勢いよく凍気を後方へと放出する。キャバリアの動きにも追い縋り、接近戦を仕掛けてくる。その攻撃を躱しながら、カシムは現況の分析を行った。
「なるほどね。こちらの高速機動に対抗してきたか」
「わ~、ロケットエンジンみたいにゴーッって噴出させてる、凄い! でもメルシーたちの方が強いけどねっ」
とはいえ易々と攻撃を食らうわけにはいかない。飛び回りながら念動光弾を乱射、クリステフが放つ攻撃を弾き飛ばし、その動きにも制限を与えていく。
キャバリアに追随できるとは。オブリビオンはやはり凄いとカシムは戦闘中だが感心してしまった。
「前に読んだ冒険ファンタジー小説でも、お前らみたいなのはいました」
随分と昔の話だ。あの小説の結末では、悪行を重ねていた奴らはスカッと退治されていた。
「まあ、お前よりは少しましな奴でしたがね。とりあえず仲良く叩き潰します」
クリステフの動きの大体の限界を見切ったカシムは、一転攻勢に出た。
「帝竜眼よ、炎の竜種を束ねし竜の力、今こそ我が身に示せ!」
見よ、現れる力こそは炎熱の極点、垓王牙。鎌剣『ハルペー』でクリステフの身を斬り刻み、防具を剥ぎ取りながら……メルシーの身体は赤化、超高温の溶岩流へと姿を変える。
「熱~いハグをしてあげる♪」
大地すら消滅させるほどの焦熱の奔流が、クリステフへと襲い掛かった。
大成功
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槐・白羅
おお、モルスよ
どうやら今回の俺達は気に目さなかったようだ
随分と殺意が高いがおれ達も易々ヤわれる訳にはいくまい
機神搭乗
【戦闘知識】
相手の動きと立ち回りを分析
対SPD
攻撃を遮断されるなら…プレゼントを贈ろう
見た目は普通のチョコだがカカオ濃度1000%の一般人用チョコだ
之でも色々手間暇かけたんだからしっかり味わうように(ぴゅー
【空中戦・属性攻撃・受け流し】
光属性の弾丸を乱射して敵を牽制
UC発動
超高速で飛び回りながら光の弾丸を乱射して蹂躙
どうやらお前の反省や攻勢を皆求めてないようだ
後は好きにすればいい…助けてくれるものがいたならな?
…きっと我は人間が好きなのだろう…だから…この雰囲気は嫌いじゃない
怒り狂うクリステフ。その姿を槐・白羅(白雷・f30750)は実に不思議そうに見つめていた。
「おおモルスよ、どうやら今回の俺達の訪問はお気に召さなかったようだ」
尊大に相棒の乗騎へと語る白羅には、クリステフの怒りの理由が理解できない。罠を仕掛けてきたのはそちらで、それをどのように突破しようが侵入者側の勝手ではないか。
「まあ、随分と殺意が高いようだが、易々とやられるわけにはいくまいよ」
そして白羅は、呼び寄せた冥導神機『モルス』へと乗り込んだ。
キャバリアをまともに相手にするのは難しいと判断したクリステフの周囲は、猛吹雪の竜巻で覆われていく。
「操縦者へダメージを入れるにはどうすれば良いのでしょう?」「やはり機体の破壊を先に目指す方が良いかもしれないな」
それは自問自答なのか、あるいは本当に会話をしているのか。作戦会議を行うクリステフは、外部からの攻撃を遮断するユーベルコードを使用しているがゆえに……慢心していた。
「攻撃を遮断されるのなら、俺はプレゼントを贈ろう。
さて、ここで取り出したるは熱々チョコだ」
どこからか出した、掌(ただしキャバリアのだ)で持ち抱えるサイズの金属ボウル。その中身は並々としたチョコレート。
「見た目は普通だが、カカオ濃度1000%の一般人用だ」
桁が間違ってないですか? それってポリフェノールの超凝縮物質なのでは?
「モルスと力を合わせて、色々と手間暇をかけたんだ。しっかり味わうように」
竜巻へと向けてぶっ掛ける。別に攻撃をするつもりはない、これはただのプレゼントだ。吹雪が冷やされたチョコに染まっていく。甘い香りが周囲に漂い、とても美味しそうだ。
なお準備の調理風景は収録済みなので、動画ではこの辺でその時の作業映像がカットインする予定である。
「なんだ!?」「何が起こったというのですか!?」
「どうやらお前の反省や攻勢を、皆は求めてないようだ」
チョコまみれになるという想定外の出来事で竜巻から出てきたクリステフへ、乱射される光の弾丸が、超高速で飛び回るモルスから撃ち込まれた。
不意打ちを受けて吹き飛ぶクリステフ。その様を見て白羅は呟く。
「あとは好きにすればいい。……助けてくれるものがいたならな?」
この場での自分のミッションは達成した。あとはただ去るだけだ。しかし、動画映えに全力を尽くした今回の雰囲気は、なんというか……言葉にしづらいが、好ましいものだと感じられる。
「ああ……きっと我は人間が好きなのだろうな」
ただオブリビオンを倒すのではなく、工夫をして、皆から評価をされるように。人々から好かれたいという感情は、自分が人々を好いているという意思の別の側面なのではないかと、白羅はふと思うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
わぁお見事に怒髪天。
…まあ、屋敷を「だったもの」に「(悲)劇的ビフォーアフター」されたんだし、まー当然よねぇ。
…えーと、御愁傷様?
(なおこの女も罠という罠をことごとく強行突破してきている。大概いい面の皮である)
引き続きマルガリータとFPS視点配信ねぇ。○氷結耐性のオーラ防御装甲を継続、一気に強襲仕掛けて手数重視で攻撃バラ撒くわぁ。
防御固めてくれたらしめたもの、●重殺叩き込んで防御ごとブチ壊すわよぉ。
刻むルーンはイサ・アンサズ・ベオーク・カノ・エオー・ハガル。
「氷晶」は「聖言」にて「成長」する「焔」に「変化」し、「崩壊」を呼ぶ――異界の龍王ブッ殺した絶技、悪魔とはいえ耐えられるかしらぁ?
「わぁお、見事に怒髪天ねぇ」
怒り狂うクリステフに対し、おどけた口調で驚いてみせたのはティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)だ。
「まー当然よねぇ、屋敷『だったもの』へと劇的にビフォーアフターされたんだし」
なんということでしょう、まさに悲劇! などと言って追撃してやろうかと思ったが、さすがにそれは挑発が過ぎると思い止める。ティオレンシアの甘い声色は、煽りに使うと結構ダメージが大きいので。
「ふざけるな」「貴方も加担した一員ではないのか?」
「あらら、ひっどい濡れ衣ねぇ」
場は既に戦闘前の心理戦へと突入していた。怒りでクリステフの行動選択を誤らせ、こちらの有利を引き出す程度であればこれぐらいだろう。
そもそもしらばっくれているし証拠は隠滅されてしまっているが、罠をことごとく破壊で強行突破してきた者が言っていい台詞ではない。大概いい面の皮である。
「それじゃ、次はボスバトルいってみましょうかぁ?」
やり方は大体掴んだので、罠の突破時に引き続き、マルガリータと連携してFPS視点での戦闘動画の撮影を行う。
氷結耐性のオーラ防御は継続して張りつつ、ミッドナイトレースの突撃で強襲を仕掛けた。
轢き殺さんとばかりに、まずはクリステフへと車体そのものをぶつけるような突撃。それに合わせてオブシディアンやアンダラで銃弾をバラ撒く。
しかし、がっちりと身を包むような形に変形したクリステフの氷の翼は、容易に銃弾を弾き逸らす。
――装甲を貫通、もしくは破壊するには、射撃では威力が足りないようです。
「あらら、意外と堅いのねぇ」
「無駄だ」「その程度の火力ではね」
「別にいいの、そうやってガッチリ固めさせるのが作戦なんだから」
――狙うべき点は此処です。
「了解、ありがと」
敵の情報を解析したマルガリータが、流紋の視界内に射撃ポイントを表示。そこへティオレンシアは五つの弾丸を過たず撃ち込む。
「『氷晶』は『聖言』にて『成長』する『焔』に『変化』し、『崩壊』を呼ぶ」
ルーン文字の意味を口に出し、視聴者向けにちゃんと説明をする、大切なことだ。そして六つめの弾丸は、吸い込まれるように同じポイントへと放たれた。
直後。氷の翼は、強制的に猛る火焔へと成長を遂げる。
「異界の龍王ブッ殺した絶技、悪魔とはいえ耐えられるかしらぁ?」
「「――!!」」
身に纏っていた防御の要は、今やクリステフにとって逃げられぬ火葬の棺と化したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アシズ・アナトテ
確かに猟兵悉く死に絶えればKING不在となるであろうが……
汝の目的はいつからKINGになることになったのだ。
滅びこそ望みであろうに。
まあ、良い。どちらにせよ叶う事はないのだからな。
空間に響く声と共にデデーンと登場した宇宙的恐怖的ラスボス。
『魔皇降臨』によってさらに巨大化。
敵POWUCにより禍々しく変じた氷の翼のオブリビオンからの攻撃をことごとく吸収したり反射したりしてあげましょう。
フハハハハ、どうした、それで終わりか?
では、そろそろ此方からいくぞ。
うねうねと蠢く触手がドリルと化して全周囲から襲い掛かります。
(これは特定の層の再生数アップ間違いなしであろう……)
戦況が進む中で、この場に居る全員の頭へと厳かな声が響き渡る。
「猟兵悉く死に絶えれば、たしかにKING不在となるであろう。しかしそれは別に、汝が自動的にKINGになるわけでもあるまい?」
「……な、誰だ?」「どこに居るのだ!」
「上を見給え。我は此処だ」
デデーンと空からこの場に登場したのはアシズ・アナトテ(魔皇・f34872)。インパクトは抜群、実に見事なエントリーだ。
「冷静に考え給え、改めて8thKING WARが開催されるだけではないかね?」
宇宙的恐怖を齎すような外見の割に、理性的にクリステフを諭す声はとても穏やかだ。UDCアースの邪神などではなく、デビキンのラスボスであると自己紹介をすれば、誰もがなるほどと納得するであろう。
「そもそも汝の目的はいつから……いや、まあ良い。どちらにせよ叶うことはないのだからな」
滅びこそが望みではなかったのか。そんな呟きは音になることなく消えた。
氷の翼を禍々しく変形させ、殺傷力を高めた攻撃でアシズを攻め立てるクリステフ。
衝撃的な登場時よりも巨大化し、触手の数も増えたアシズの身体へと突き刺さってはいくが、まるで効いているようには見えない。刺さった場所から凍結が始まるも、すぐに元通りになってしまう。
「馬鹿な」「まったく効いていない?」
「フハハハハ! どうした、それで終わりか?」
焦りを見せるクリステフに対し、高笑いで応えるアシズ。負傷の回復は確かにしているが、その前提として負傷はするし痛みも感じている。しかしそれを素直に表に出すなど無様な下策。いかにもそれらしい台詞を吐き、攻撃は無駄であると敵に分からせてから反撃に移る。実に巨悪っぽくて良い演出だ。
「ではそろそろ此方からいくぞ」
うねうねと蠢いていた触手がドリルのような形状へと変化する。
「さあ、終焉である」
アシズの触手が伸ばせる長さの範囲内、完全に懐へと飛び込んでしまっていたクリステフにはそれを避ける術などない。ある触手はクリステフを拘束し、またある触手はその身へと突き刺さる。まさに非道な蹂躙が始まった。
ちなみにアシズがこの戦法を選んだのは、特定の層へと強烈にアピールして動画の再生数を伸ばすためであった。視聴者全体から広く高評価を得ようとするのも一つの手だが、ピンポイントに狙って狭い層の心を深く掴むのもまた良い作戦だろう。
再生数アップの良さげな手応えを感じつつ、なおもアシズは触手を勢いよく動かしてクリステフを攻め立てていった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
おこった?おこった?
どうしたんでござるか?デビルキングワールドじゃ悪い奴が正義でござるよ?笑えよ
そういやこの部屋以外は綺麗さっぱり消え去ったようでござるな…なんでこの部屋だけ残ってるの?
みんな!!ちょっと残ってるのは嫌だよね!!!!!という訳であったよ!【超巨大爆弾】!UCゆえどこからともなくスナック感覚で準備できるんでござるよ
部屋のど真ん中に5tほどの爆弾が鎮座ましましている訳だが【氷の翼】を戦況に合わせてどう活用する?
守備を固めるか?やられる前に速攻をかけるか?
判断が遅い
どうせ他にも部屋をぶっ壊す猟兵がいるだろうからなりふり構わず全力で逃げるべきでしたな
ヒャア がまんできねぇ 爆破だ!
猟兵からの攻撃を受け、満身創痍となってきているクリステフ。
「おのれ猟兵どもめ」「許しはしません!!」
「いやはや、そんなにカッカしてはいかんでござるよ」
「「!?」」
怒りに震え、視野が狭くなっていたのは間違いない。しかしいつの間にか背後を取っていたエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)に気づかぬほどではないはずだった。エドゥアルトの、無駄に洗練された無駄のない無駄な動きでのスニーク接近でなければ。
声に反応して振り返ったクリステフの顔に、人差し指が突き刺さる。
「やーい、おこった? おこった? どうしたんでござるか? デビルキングワールドじゃ悪い奴が正義でござるよ?」
笑えよ、そんな風にエドゥアルトは凄む。
「「貴っ様ぁ!!」」
クリステフは直感的に悟った。コイツが元凶(その1)なのだと。
「そういやこの部屋以外は、綺麗さっぱり消え去ったようでござるな……なんでこの部屋だけ残ってるの?」
氷の翼から撃ち込まれる氷弾の連射を、ぬるぬるとした動きで至近距離で回避し続けるエドゥアルト。
「ふざけるな!」「答えるはずがないでしょう」
ちなみに罠の突破者というか屋敷への侵入者を追い払うため、クリステフが戦闘を見越して頑丈に作った荒事用の部屋だから、というのが実際のところだ。
エドゥアルトも別にまともな解答は望んでいない。あくまでも質問は挑発のため、そして攻撃の仕込みから意識を逸らさせるためだ。
「みんなー!! ちょっと残ってるのは嫌だよね!!!!!」
……という訳で、あったよ! 超巨大爆弾!」
クリステフの気づかぬうちに、いつの間にか部屋のド真ん中に鎮座する巨大爆弾。ご丁寧に胴体部には5tと書いてある。なお『でかした!』とサムズアップしてるのはカメラマンの菘だけで、他のみんなはとっくに部屋から退避済みだった。
「馬鹿な」「いつの間に!」
焦るクリステフには、ユーベルコードによる不条理な現出だと発想が至らない。
クリステフは迷った。
氷の翼で守備を固めるか? それとも起動の暇を与えぬように眼前の猟兵に対して速攻を仕掛けるか?
一瞬の逡巡。しかしそれは致命的であった。
「判断が遅い」
片方の頭へと平手打ちを浴びせるエドゥアルト。その頭はクリスとステフ、果たしてどちらだったのだろうか。
「なりふり構わず全力で逃げるべきでしたな」
ということで、カウントなしの即ゼロ起爆だ。
「ヒャア、がまんできねぇ! 爆破だ!」
残った部屋も跡形もなく消し飛ばすほどの大爆発が起こる。
そういえばこれだとクリステフ以外にも若干名が爆発に巻き込まれてしまうわけだが、まあ特に心配は不要だろう。
大成功
🔵🔵🔵
サハリエ・ステーロ
えーっ、視聴者の皆様
この度は悪魔達が実力を試しに挑戦するトラップハウスを破壊してしまい大変申し訳ございませんでした
今回のお詫びとしまして第二のトラップハウスを準備しております
フーハッハッハッ、土地の権利が曖昧だった為この兎魔王サハリエ様が買い取らせて貰ったよ(技能【悪のカリスマ】)
UC【兎の魔王軍】使用
なんという事でしょう他の猟兵達が戦ってる間にボロボロだった邸宅の隣へ新たに立派な邸宅が建っているではありませんか
突発故まだ中は作業中だけどね、庭先のトラップぐらいはもう準備完了だよ
僕の自慢の配下には【氷】属性も【建築】属性だっているからねこれぐらい朝飯前さ
なお、建築の様子はいつも通り編集して配下の1人『ダイク・イッカク』の個人チャンネルで公開する予定だ
そしてこのトラップハウスの最初の挑戦者はクリステフ君、君だ!
って、庭先の小手調べとはいえ簡単にトラップを回避するんじゃない!
僕の自慢の配下達がせっかく作ったんだぞ!
(技能【全力魔法】の『メテオ』で落とし穴へ叩き込む)
邸宅に残った最後の部屋が爆破されて完全に消し飛ぶよりも、少し前。惨状の元凶(その2)ことサハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)は、邸宅から離れてご近所周りをしていた。
菘のドローンカメラ群がスタンバイしている中で、周囲に居るご近所の悪魔の皆さんと動画視聴者に向けて、視聴者向けの謝罪会見を行っているのだ。
「えーっ、視聴者の皆様、そして近隣の皆様。
この度は、猟兵たちが悪魔の皆様が実力を試そうと挑戦するトラップハウスを破壊してしまい、大変申し訳ございませんでした」
やや俯きがちな視線、いかにも反省しているように見える顔つき。しかし言葉を区切り、聞きとりやすいようにゆっくりと喋る。そしてしれっと実行犯の主語が大きくなっている。責任転嫁っぷりが実にワルい。
それに対して、どうしてくれるんだとノリノリでヤジる住民たち。
「皆さんのお叱りはごもっとも! ですのでお詫びとしまして……わたくし共は第二のトラップハウスを準備しております!」
勢いよく顔を上げ、にっこり笑うサハリエ。そんな彼を写していたカメラの視点がスライドしていく、その先には……、
「なんという事でしょう(本件2回目)!
他の猟兵たちが戦ってる間に、ボロボロだった邸宅の隣へ、新たに立派な邸宅が建っているではありませんか!」
ドッカーン!(本物の効果音)
某黒髭がやらかした大爆発が、お隣からまるで祝砲のように響いてくる。まだ建築途中の部分も見えるが、威容を誇る氷の屋敷がそこには鎮座していた。
「フーハッハッハッ! 土地の権利が曖昧だったため、この兎魔王サハリエ様が買い取らせて貰ったよ」
高笑いをキメるサハリエ。地上げ屋もかくやと言わんばかりのダーティな暗闘――実際には、住民たちに事情を詳しく説明して、誠実に説得や懇願をした賜物なのだが――を行い、短時間でここまで仕上げたのだ。
なお屋敷の外観だけはほぼ完成しているが、突発的な事態ゆえにまだ内部は建設の途中である。サハリエの召喚した魔王軍の手下たちが一生懸命働いており、その建築の一部始終については現場監督でもあるサハリエの配下の一人『ダイク・イッカク』の個人チャンネルで公開予定となっている。
「僕の自慢の配下には、氷属性も、建築属性の者だって居るからね。これぐらいは朝飯前さ」
部下を褒めるのを忘れない。良いリーダーだ。
すると、そんなお披露目会を行っている中へと、爆破を食らってお隣から飛ばされてきたボロボロのオブリビオンが一人。本題を忘れそうになっていたが、主賓がようやく登場だ。
「なんだお前らは」「いつの間にこんな建物が!?」
知らないうちにお隣に巨大建造物ができていたらそりゃ驚く。しかしそんなクリステフの驚きを無視して、サハリエは独演会を続ける。
「……そして! このトラップハウスの最初の挑戦者は……クリステフ君、君だ!」
「「はあ!?」」
有無を言わせずサハリエは畳みかけ、困惑が解けないクリステフを庭園部分へと蹴っ飛ばす。
カチリと、スイッチを踏んだクリステフへ次々と射出される雪玉の弾丸。とはいえ、さすがにその程度であれば今のクリステフでも対応は難しくはない。
「って、庭先の小手調べとはいえ、そんなに簡単にトラップを回避するんじゃない!」
「「するに決まっているだろうが!」」
デビキンだし、序盤とはいえ雪玉には石を入れるぐらいの悪辣さは必要か、などと分析をする。
「まったく、僕の自慢の配下達がせっかく作ったんだぞ! 頭を冷やしてくれ!」
「「なっ、うわーッ!!」」
さり気ない調子で、しかし確実に敵意を籠めて、全力でクリステフへと魔法を叩き込む。降り注ぐ流星はクリステフを吹き飛ばし、落とし穴へと導いた。
他とは異なり、クリステフにトドメを刺すためだけの殺意全開のトラップ穴だ。奥底には無数の氷の刃、穴を埋めるように流し込まれていく大量の雪崩。
穴が完全に雪で埋まり何の反応も示さなくなっても、ある程度待ってから……サハリエはようやく警戒を解く。
「さて、トラップの難度調整はまだこれからだね。期待していてくれ!」
高らかに宣言するサハリエ。戦いの終結であった。
猟兵たちはご近所の皆さんに挨拶をして帰還していく。自分の動画の宣伝も忘れない。
オブリビオンは姿を消し、新生トラップハウスはこれからも新たな挑戦者を迎え入れていくことだろう。
大成功
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