お嬢様のお時間deathわよ!
●お嬢様といえば大富豪
オブリビオンの中にもお嬢様はいる訳で、その中でも『悪役令嬢・イレーヌ』は生粋のお嬢様。
『おーっほっほほ! こちら、端から端まで頂くわ!』
魔界でも有数のショッピングモールである『デビデビモール』で余りある『D』――財力を以てして、豪遊を決め込んでいた。
『お嬢様、そろそろカタストロフ級の儀式魔術を……』
『お黙りなさい! 儀式魔術を行ってなお余りあるわたくしの財力を舐めているのかしら!?』
大富豪なれば、自邸宅に宝石商やあらゆる魔界ブランドの商人を呼びつけて買い物をするもの。けれどイレーヌはお嬢様だからこそ下々の施設に乗り込み、財力を見せ付けるという悪行を行っているのである!
『さぁさぁ、わたくしに買われたい物はどこかしら~? なんなら、このモールの品物全て買い上げてもいいですのよ!』
お嬢様の高笑いがどこまでも高く、モールに響いていた。
●お嬢様にはお嬢様をぶつけんだよ
「デビルキングワールドでの戦争お疲れ様やったんよ! 7thKINGの地位は猟兵皆でってことなんやけど、とりあえず代表決めとこかって話もあるみたいやねぇ。興味ある人はお知らせ見てくるとええんよ」
そう、八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が猟兵達に向かって笑う。
「それでな、戦争は終わったけどまだまだオブリビオンの残党がその正体を隠してな、大富豪として君臨してるらしいんよ」
今回予知で見つかったのは間違いなくオブリビオン、その名を――。
「悪役令嬢・イレーヌって言うんやって。令嬢言うからにはお嬢様みたいなんやけど」
このお嬢様、余りある『D』によって『カタストロフ級の儀式魔術』を行おうとしているのだと菊花は言葉を続ける。
「してるらしいんやけど、今やってるんはお金……デビルキングワールドで言うところの『D』やね。これで豪遊を決め込んでるんよ」
満足したら儀式を行うつもりのようで、今は魔界有数のショッピングモール『デビデビモール』を練り歩いているらしい。
「お付きの悪魔達が『D』の入ったアタッシュケースを抱えてるらしいんやけど、彼らは悪魔やよって『よりお嬢様』な人の方に付くらしいでな、あんまり気にせんでええよ」
気にするべき――倒すべきはイレーヌのみ。
「このお嬢様なんやけど、悪役令嬢だけあってお嬢様力が強いんよ」
お嬢様力、とは。
「お嬢様じゃない人とは会話もせぇへんし、戦うこともせんのよ」
つまり?
「皆にはちょっとお嬢様になってもらわんとあかんってことやね!」
この場合のお嬢様とは、お嬢様言葉を使えばなんとかなるのだと菊花は言う。
「勿論、恰好から入ってもろてもええと思うんよ。よりお嬢様であればあるほど、戦いは皆に有利になるよってな」
力技のお嬢様からメンタルお嬢様まで、お嬢様だと言い張ればまかり通るのがデビルキングワールド。
「でな、このお嬢様を倒したあとは『D』をパーっとつこてきてほしいんよ」
何せそのままにしておくと儀式に使われる可能性がある、それくらいなら猟兵達に散財して来てほしいのだ。
「ちょうどええことに、お嬢様のおる場所はショッピングモールやし、お買い物を楽しんで来たらええと思うんよ」
様々な種族に対応した店があり、必ず自分にぴったりの洋服や水着に浴衣が見つかるはず。
「これから水着や浴衣の季節やし、見てくるんもええんとちゃうかな」
勿論、衣服の他にも様々な物が販売されている。コスメや家電に始まり、モールに入らないものはカタログ販売という形で取り揃えられている。
「フードコートも充実しとってな、庶民向けからVIP向けまで店舗も様々あるんやって」
ハンバーガーから高級コース料理まで、食べたいものを食べて飲んで、買い物を楽しんで。
「ほな、あとはよろしゅう頼んだよってな!」
パン、と一つ柏手を打って菊花が手の中に現れたグリモアに触れる。
「いってらっしゃい、お嬢様方~!」
ゲートを開き、朗らかに微笑んだ。
波多蜜花
閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
お嬢様ですわ~~~! ということで、皆様お嬢様になってきてくださいませ。おわかりかとは存じますけれども、これはネタシナリオでございましてよ! あと「7thKING決定戦」の対象依頼でもあります、よろしくお願いいたしますわ!
●プレイング受付期間について
断章投下後にタグやMSページ記載のURL先にてご案内しております、参照いただけますと助かります。
また、参加人数やスケジュールの都合、予期せぬ出来事によっては再送をお願いする場合がございます。なるべく無いように努めますが、再送となった場合はご協力をお願いできればと思います(この場合も、タグとMSページ記載のURL先にてお知らせ致します)
オーバーロードについてはMSページに記載があります、ご利用をお考えの方がいらっしゃいましたらお手数ですが確認していただけると幸いです。
●できること
・一章
お嬢様となって敵と戦います。お嬢様判定はガバガバですが、よりお嬢様! って感じだと楽しいかと思います。
・二章
ショッピングモールで楽しく散財してください、大抵のものはあります。だってデビルキングワールドだもの! 使用金額に上限はない物とします、パーっと使おうぜ人(オブリビオン)の金。
お買い物、お食事等々、好きに過ごしてくださいね。
お嬢様言葉を使いすぎてお嬢様になっている可能性はあるかと思いますが、この章ではお嬢様である必要はありません。
普通に楽しむもよし、勿論引き続きお嬢様として楽しむもよしです。
プレイングでご要望があれば菊花がお付き合い致します、なければふらっと買い物を楽しんでいるかもしれません。
●同行者について
同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名】+【人数】でお願いします。例:【散財3】同行者の人数制限は特にありません。
プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。
それでは、皆様の素敵なお嬢様プレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『悪役令嬢・イレーヌ』
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POW : やっておしまいなさい!
戦闘力のない、レベル×1体の【取り巻き】を召喚する。応援や助言、技能「【精神攻撃】【物を隠す】【略奪】」を使った支援をしてくれる。
SPD : 自分がこの場にふさわしいと思っておいでかしら?
対象への質問と共に、【自分の背後】から【取り巻き】を召喚する。満足な答えを得るまで、取り巻きは対象を【あんまり痛くない攻撃か、冗談のような罵倒】で攻撃する。
WIZ : ちゃんと話を聞いていたかしら!?
【指さした指先】を向けた対象に、【眩しいけどあまり痛くない稲妻】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ニャコ・ネネコ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●集え、百満点なお嬢様!
庶民の強い味方でもあるショッピングモール、しかし高級志向の人々――ここで言えば悪魔達だが――の為に富裕層を対象にした区画も勿論存在する。『悪役令嬢・イレーヌ』もまた、最上階に位置する富裕層向けの通りを闊歩していた。
『ふぅ、そろそろお買い物にも飽きてきましたわね』
可愛らしい小動物のような耳をぴこりと動かし、数々のドレスや宝石にブランドコスメの名だたる名店を見遣る。
『そろそろカタストロフ級の儀式魔術を行ってしまいましょうかしら』
暇潰しですわ! と高笑いしようとした瞬間、イレーヌの前に立ちはだかったのは彼女を倒さんとやってきた猟兵達であった。
『何ですの、あなた達。猟兵? 幾ら猟兵といっても、お嬢様でもない者とはわたくし相手は致しませんの!』
逆を言えば、お嬢様であれば相手をするという事。そしてそれが、ガチの戦闘行為でも、どんなトンチキな勝負であってもである。
今ここに、未曽有のお嬢様勝負が始まる――!
ダーティ・ゲイズコレクター
ちょっとお時間よろしくて?
わたくしはダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王でお嬢様なダーティとは
わたくしのことですわ!
「庶民」の方にとやかく言うのは信条に反するものですが
お嬢様を自称する方の振る舞いとしては目に余るものがありまして
先ほどから沢山お買い物をされているようですが
素直に支払うとはワルに対して疎かではありませんこと?
お嬢様なら店員を跪かせ高笑いをしながら商品を強奪し
品ぞろえに文句を言い、後ろを振り向かずに去っていく
これが悪魔の紳士淑女としてあるべき姿ですわ!
まず貴女はお嬢様の前に悪魔としての振る舞いをお勉強なさい!
(UC【梟悪!穢瞳瞬刻禍】発動)
●ダーティキュートなお嬢様!
踏み心地の良い絨毯が敷き詰められた富裕層エリアにダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)が足を踏み入れる。
「さすがデビデビモールの富裕層階、やりますわ」
悪くない踏み心地だと笑みを浮かべながら、ダーティはアタッシュケースを持つ配下の悪魔を引き連れた『悪役令嬢・イレーヌ』に向かって歩を進め、高らかに声を響かせた。
「ちょっとお時間よろしくて?」
『このわたくしを呼び止めるなんて、一体どこのどなたかしら!?』
「わたくしはダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター!」
イレーヌと視線を合わせ、ダーティがふっと笑みを浮かべる。
「凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王でお嬢様なダーティとは、わたくしのことですわ!」
『肩書が多いですわね!? く……わ、わたくしは悪役令嬢でしてよ!』
肩書からして既に劣勢であるが、このお嬢様は『D』をめちゃくちゃ持っている。それが揺るがぬ自信となって、イレーヌがいかにもお嬢様な笑みを浮かべた。
「悪役令嬢と仰るの? そうですか、わたくし『庶民』の方にとやかく言うのは信条に反するものですけれど」
『しょ、しょみん!?』
「ええ、お嬢様を自称する『庶民』の方のふるまい、少々目に余りましてよ」
『わたくし、正統派な悪役令嬢、つまりはお嬢様ですわ!』
力こそパワー、じゃなかった、『D』である。どれだけ『D』を持っていると思っておりますの、とイレーヌが憤る。
「そこですわ! 先程から沢山お買い物をされているようですが……素直に支払うとはワルに対して疎かではありませんこと?」
『な、なんですって!?』
盲点、確かに盲点である。イレーヌが動揺を見せる中、ここぞとばかりにダーティが畳み掛ける!
「このデビルキングワールドのお嬢様なら、店員を跪かせ!」
このように! とダーティが近くのショップの店員をその魅力で跪かせる。
「高笑いをしながら商品を強奪し!」
オーッホッホッホ、と声を響かせて気に入った商品を手にして。
「品揃えに文句を言い!」
もう少し質をお上げになった方がいいですわよ? なんて店員にダメ出しをして颯爽とイレーヌの元へ戻ってくる。
「このように後ろを振り向かずに去る、これが悪魔の紳士淑女としてあるべき姿ですわ! 散在するだけがお嬢様ではないと知りなさい!」
『んぐうううう!』
これにはイレーヌもぐうの音も出ない、出てるけど。
「まず貴女はお嬢様の前に悪魔としての振る舞いをお勉強なさい! それこそが悪魔お嬢様でしてよ!」
わたくしが叩き直してさしあげますわ! と、ダーティの両目から赤紫色の矢印がイレーヌを襲った。
反撃しようにも、この場にふさわしいのはどう見てもイレーヌよりもダーティ、取り巻きの悪魔達も顔を見合わせる始末。
「オーッホッホッホ、わたくしと争おうだなんて百万年早いですわ!」
ビシッと指を突き付け、ダーティは高笑いを続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
バルボラ・ペストア
オーーッホッホッホッホー!!
お嬢様ってんならアタシ様だってお嬢様だぜ!
ちょーっと、そこのアナタぁ!?
なんでもお嬢様としかバトらねえとか!
ホーッホッホッホ!高慢でいらっしゃいますこと!
ですが……よくってよ!!
それならアタシ様の出番ですわぁ!
お嬢様といえば!そう、魔法ですわぜ!!
魔法の一つも使えないお庶民では!
お嬢様はふさわしくなくってよ!
高笑いしながら、ウィザードミサイルですわあ!!
稲妻程度にビビってちゃあ、御里が知れるってもんですのよー!
ホーッホッホッホ!オォーーッホッホッホッホ!!!
●天使ちゃん? なお嬢様!
お嬢様たるもの、先ずは高笑いで相手の意識を惹きつけるべし。
「オーーッホッホッホッホー!!」
みたいな勢いのある高笑いを繰り広げるのはバルボラ・ペストア(天使ちゃん・f14667)である。その真白な翼をゆらりと羽ばたかせ、お嬢様? お嬢様ってんならアタシ様だってお嬢様だぜ! と、このお嬢様勝負に名乗りをあげたのだ。
「ちょーっと、そこのアナタぁ!?」
『なんですの!? この無視できない高笑い、高慢なお嬢様みを感じますわ……!』
く、と眉根を寄せつつも『悪役令嬢・イレーヌ』は己の矜持を掛けて優雅に振りむく。
『なんですの、わたくしに用がおありなのかしら?』
「ええ、ええ、なんでもお嬢様としかバトらねえとか!」
『当り前ですわ! わたくし、お嬢様ですのよ? お嬢様でもないものと戦う必要などなくってよ!』
ふふん、とドヤ顔をしたイレーヌに負けぬくらいのドヤ顔でバルボラが返す。
「オーッホッホッホ! 高慢でいらっしゃいますこと! ですが……よくってよ!!」
ええんかい、というツッコミをしたそうな配下の悪魔を視線だけでいなし、バルボラがイレーヌへと黒い爪先を向けた。
「それならアタシ様の出番ですわぁ! お嬢様と言えば――何が必須かおわかりですわよねぇ?」
『当たり前でしてよ! お嬢様と言えば気品! そして有り余るほどの『D』ですわ!!』
自信満々に答えたイレーヌへ、バルボラの容赦ない魔法の矢が飛ぶ。
「な、何ですのいきなり!!」
『甘い、甘いですわ! お嬢様といえば! そう、魔法ですわぜ!!』
魔法???? と、イレーヌがクエスチョンマークを頭上に浮かべる。
「あらあら~~? もしかしてアナタ、魔法の一つも使えないお庶民でいらっしゃるのかしら~?」
お嬢様にふさわしくなくってよ! と、バルボラがガンガンにイレーヌを煽っていく。
『甘く見ないでもらいたいですわ! わたくし、魔法だってお手の物ですのよ!! 喰らいなさい!』
イレーヌがバルボラへと指先を向けると、眩いばかりの閃光が迸る。
『オーッホッホッホ、吃驚して声も出ないのかしら?』
「く、くくく、アッハ、オーッホッホッホ! この程度の稲妻にビビッてちゃあ、お里が知れるってもんですのよー! ではこちらからいきますわよお!」
高笑いをするバルボラが、煌々と燃える魔法の矢をイレーヌへと降り注がせる。
『あつっ、あつ、あっついですわ!!!』
「ホーッホッホッホ! オォーーッホッホッホッホ!!!」
ゲッホ、と時折咳き込みつつも、バルボラは高笑いと共に炎の矢を放ち続けた。そう、イレーヌが捨て台詞と共に逃げ出すまで――。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
純白のワンピースを着用
髪留めはレースの白リボンに
仕草はモデル業の姉譲り
演じる事くらいわけなくってよ
…私お「嬢」様ではないですが(ぼそっ
足元に★花園を生成し舞い上がる花弁で美を演出
微笑にも視線を惹く【誘惑】を乗せて
可愛らしいお方
私と一曲踊ってくださる?
【オーラ防御】を纏いつつ
イレーヌ様の攻撃は【ダンス】と翼の飛行で回避
【催眠術】を乗せた【歌唱】で思考力を奪う
あっ、痛い
酷いですわ…服が焦げたらどうなさるの?(稲妻攻撃には泣き真似
【演技】で油断を誘い【指定UC】
生成した花園にも【破魔】を乗せて
【高速詠唱】で紡いだ風魔法で舞い上げた花弁をUCに組み合わせ【属性攻撃】
お嬢様たるもの、戦い方も可憐に…ね
●純情可憐なお嬢様!
お嬢様、という言葉を聞いて栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が思い浮かべたのは純白のワンピース。となれば、髪留めはレースの白リボンがマスト。
「清純派のお嬢様……これだね」
仕草だって嫋やかな乙女らしく、可愛らしく小首を傾げて。
なんといってもモデル業の姉譲りの仕草、お嬢様を演じる事くらい澪にとってはわけないことだ。
「まあ……私、お『嬢』様ではないですが」
ぼそりと呟き、フリルで飾られた純白のワンピースに袖を通し胸元を赤いリボンで飾る。艶々の靴を履いて、どこからどう見てもお嬢様だけれど――澪は歴とした男の子。これは強い。
「さて、ひとつお嬢様らしく参りましょうか」
ショッピングモールの富裕層階へと足を踏み入れ、『悪役令嬢・イレーヌ』を探す。
「……あの子かな?」
高笑いと共に手下を引き連れて歩いてくる少女を見つけ、澪が即座に足元を飾る花園を生成していく。舞い上がる花弁の中、現れた澪の姿はイレーヌばかりではなく手下達の目も惹いた。
言葉を投げかけるよりも前に、視線と微笑みで意識を惹きつける。
「可愛らしいお方ですわね」
『わたくしの事かしら? ええ、なんてったってお嬢様ですもの!』
「なら……私と一曲踊って下さる?」
お嬢様たるもの、ダンスの一つも出来て当然。踊れぬとあればお嬢様即失格! その意図を読み取り、イレーヌは澪へと歩を進めた。
『よろしくてよ、その勝負受けて立つわ!』
「ふふ、勝負だなんて」
ただのダンスですわ、と微笑みながらしれっとその身にオーラを纏い防御力を高めつつ、澪もまたイレーヌへと足を一歩。何処からか聞きつけ現れたショッピングモールお抱えの楽団が音楽を奏でると、イレーヌと澪が可憐な動きで踊り出す。
それはダンスと攻撃を合わせたお嬢様勝負、イレーヌが仕掛ける攻撃を澪がひらりとターンで躱し、楽団が奏でる音色に合わせて歌い酔わせた。
『く……っこの……っ』
指先から稲妻を放ち、イレーヌがふふんと笑う。
「あっ、痛い……っ! 酷いですわ……服が焦げたらどうなさるの?」
『新しいお洋服をお買いになられたらよろしいのですわ!』
「そんな……私、このワンピースをとても気に入ってますのに……私によく似合う、でしょう?」
ね? と配下の悪魔に微笑めば、うんうんと頷かれて澪が笑みを浮かべる。
『わたくし、一度着たお洋服には二度と袖を通しませんの!』
そうは言うけれど、明らかにイレーヌが劣勢である。
悪役令嬢と清純派お嬢様では圧倒的に清純派お嬢様に軍配が上がるもの、そう――転生悪役令嬢でもない限り!
澪の風魔法と共に舞い上がる花弁がイレーヌを襲う、その可憐な技にイレーヌが花弁と共に押し流されていく。
「ふふ、お嬢様たるもの、戦い方も可憐に……ね?」
悪魔達からの拍手を一身に受けながら、澪がふわりと微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「ご主人サマ!お嬢様だよ!もうお嬢様をするしかないよ!」
うっがぁぁぁぁ!
【変装】
2021南瓜行列SDの様な黒のドレスを装着
メルシーはメイド服
「お嬢様にはメイドだよ☆と言う訳でお嬢サマ、いきましょう☆」
(ぐぎぎ)…そうですわね(口元をふわふわ扇子で隠す
ふん!唯金に物を言わせるのは真のお嬢様ではなくてよ!
そんなの唯の成金ですわ!(心で涙
「こちらこそ真のお嬢サマでございます☆」
今こそ…お嬢様としての武で粉砕して見せますわ!
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の動きと能力を分析
【属性攻撃・迷彩】
光学迷彩で隠蔽
どうやらわたくしのお嬢様度に見る事が出来なくなりましたわね!
UC発動
連続斬撃や念動光弾で大蹂躙!
●メイドとご一緒お嬢様!
お嬢様……? 何それ怖い、近寄らんとこ……なんてカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は考えていたが、彼と運命を共にするサイキックキャバリア――銀髪の乙女にも変身できる『メルシー』は違った。
「ご主人サマ! お嬢様だよ! もうお嬢様をするしかないよ!」
熱烈なお嬢様推しである、これは確実にお嬢様をするまで引かない、カシムは遠い目をしながら叫ぶ。
「うっがぁぁぁぁ!!」
「わーい♪ さっそくお嬢様になるんだよ☆」
あれよあれよという間にカシムは黒を基調としたレースの飾りが美しいドレスに着替えさせられ、ドレスと揃いのレースの手袋にリボンの髪飾りを身に着ける事となったのであった。
「そしてそしてー、じゃじゃーん♪ お嬢様にはメイドだよ☆」
オーソドックスなメイド服に着替えたメルシーがくるんとターンを決めて、その姿をカシムにお披露目する。
「と言う訳でお嬢サマ、いきましょう☆」
「……そうですわね」
ぐぎぎぎ、と歪んだ口元をふんわりとした羽根扇子で隠し、いざお嬢様勝負です!
「お嬢サマ、あそこ!」
「また随分と趣味の悪い買い物してるな」
「言葉遣いがなってないよ!」
「また随分とご趣味のよろしくないお買い物をなさっておられますわね!」
その調子、と応援するメルシーを従えて、カシムが『悪役令嬢・イレーヌ』の前に立ちはだかった。
『なんですのあなた! 邪魔でしてよ!』
そう吠えるイレーヌを上から下まで視線を向け、カスムが鼻で笑う。
「ふん! ただ金に物を言わせるのは真のお嬢様ではなくてよ!」
『真のお嬢様じゃないですって? お嬢様たるもの、お金は持っていて当然ですわ!』
「あら、ご存じありませんの? それは……ただの成金ですわ!」
引き攣る口元を扇子で隠し、視線は冷たく、そして心では滂沱の涙である。何故……なぜ僕がこんなことを……とカシムは打ち震えていた。それでも仕方ないのである、だってこれはお嬢様勝負ですもの! ごめんあそばせ!
「こちらこそ真のお嬢サマでございます☆」
格が違います☆ と、メルシーがイレーヌを煽る。
「ええ、今こそ……真のお嬢様としての武で粉砕してみせますわ!」
こうなったら自棄だ、とばかりにカシムが敵の動きと能力を即座に分析し、そこから導き出された最適解を基にして光の屈折と反射を利用し自身をイレーヌの目から隠す。
『き、消えましたわ!? イリュージョンですの!?』
「ふふふ……どうやらわたくしのお嬢様度とあなたのお嬢様度、大分差があるようでしてよ? わたくしを見ることができない……つまりはあなたのお嬢様度が低いということ!」
『そ、そんな馬鹿な!』
「いきますわよ、メルシー!」
「承知いたしましたわ、お嬢サマ♪」
見えない今のうちだとばかりに、カシムがメルシーと魔力と思考をリンクさせ、これでもかとイレーヌを翻弄する。
『いたっ! 痛いですわ!』
「フルボッコですわよ!」
「お任せくださいお嬢サマ!」
カシムとメルシーによる大蹂躙は、イレーヌが泣いて逃げ出すまで続いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
お嬢様は女の子だけの専売特許じゃねぇぜ!!
お嬢様とは心意気の問題でござる…つまる所お嬢様と思えばお嬢様であり拙者はお嬢様なんでござる、いいね?
という訳でお嬢様ぢからを拙者と比べてもらいますわよですぞ!ゲーミングマウント勝負だこのお嬢様野郎!
なんでってお嬢様とはゲームしながらマウントを取り合うものでござるますわよ?そんなこともご存じではなくて!?
おハーブかなにかやられてらっしゃるですって?平常運手でござるますわー!
ゲーム内容はこれ!お嬢様格闘ゲームですわ!登場キャラ全員お嬢様でおビンタで戦いますわ!
いきますわよ~お嬢様パンチ!お嬢様キ…踏みつけ!
コマンド入力もできなくって?賢さGであらせられる?
●ゲーミングで力技なお嬢様!
既に数名の猟兵とお嬢様バトルを繰り広げていた『悪役令嬢・イレーヌ』は、ここに来てエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)と対面していた。
『……あなたはどう考えてもお嬢様ではないのではなくて?』
黒い髭を揉み上げから顎に向けて蓄えた、どちらかと言えばおじ様なのではないかとイレーヌは訝し気にエドゥアルトを見遣る。
「ふっ、お嬢様は女の子だけの専売特許じゃねぇぜ!!」
『女の子の専売特許ですわよ!?』
「わかってないでござるな、お嬢様とは心意気の問題でござる……!」
『心意気』
「つまる所お嬢様と思えばお嬢様であり拙者はお嬢様なんでござる、いいね?」
完全な力技である、ではあるのだが――イレーヌが混乱したまま頷いたので問題はなかった。いいね?
「という訳で、お嬢様ぢからを拙者と比べてもらいますわよですぞ!」
『中途半端なお嬢様言葉ですわね!?』
「細かいことを気にするお嬢様でござるますわね! そんなお嬢様にはゲーミングマウント勝負だこのお嬢様野郎!」
お嬢様野郎は完全にエドゥアルトの方なのだが、勢いに押されてしまってイレーヌは何故ですの!? と叫ぶことしかできない。
「なんでって、お嬢様とはゲームしながらマウントを取り合うものでござるますわよ?」
『わ、わたくしの知っているお嬢様と違いますわ!!』
「あ~~ら、そんなこともご存じではなくて!? お嬢様の名が泣きますわよですぞ!」
そう言われてしまってはもう受けて立つしかなく、それでもお嬢様としての矜持からかイレーヌが噛み付くように叫ぶ。
『もしかしてあなた、ちょっと非合法なおハーブとか決めてらっしゃるんじゃなくって!?』
「おハーブか何かやられてらっしゃるですって? おかしな事を仰るお嬢様ですわ! これが拙者の平常運転でござるますわー!」
この時点で逃げていれば良かったのだと、後にイレーヌは語る。が、それは時既に遅しというやつなのだ。
エドゥアルトが颯爽とゲームを取り出し、高級家電が並ぶ中の一番大きなTVに繋ぎ出す。
「大迫力画面ですわ!」
『店員に断りもなく、やりますわね……!』
これは悪ポイントが高い、と配下たちも唸る。
「ゲーム内容はこれ! お嬢様格闘ゲームですわ!」
『え?』
「お 嬢 様 格 闘 ゲ ー ム、ですわ! 登場キャラ全員お嬢様でおビンタで戦いますわ!」
『いちいち強調してくださらなくて結構ですわよ!? お嬢様でおビンタ??』
コントローラーを渡され、あれよあれよという間にゲームが始まる。
画面いっぱいに広がる『お嬢様っ! ファイッ!』の文字と音声、イレーヌがあわあわしている内にエドゥアルトが先制攻撃を仕掛けた。
「いきますわよ~! お嬢様おパンチ! お嬢様おキ……お踏みつけ!」
『おビンタじゃありませんこと!? それよりもこの、操作、あっあぁあっ、ああ~』
「あら、コマンド入力もできなくって? もしかして賢さGであらせられる~?」
エドゥアルトの技が次々と決まり、容赦ない口撃による煽り、遠回しにあほの子なのかと言われてイレーヌは涙目である。
『ふ、う、ううう!』
「ほらほら、大技でしてよ! お嬢様往復おビンタでござるますわー!」
画面に打ち出される『K.O』の文字、このお嬢様勝負――エドゥアルトの完全勝利で幕を引いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
プリ・ミョート
よいしょ。ユーベルコード……っと、これで準備OKだべ。おらこそは四天王随一のお嬢様! カワイイ級四天王のプリチャンだべ! 今からお嬢様バトルを挑むべさ。まさか逃げねえよな……ふふ、勝負は始まる前から決してるべさ。
この世界は普段のデビキンじゃねえ、先の戦争で試されたクセの強い四天王しぐさが求められるんだべ。そんなピリッとするだけのビリビリにはあんまり四天王ヂカラを感じねえなあ、おーっほっほ。そろそろやっちまっていいかな? やっておしまいなさい、なんてな!
くらえっキラキラお嬢様ヂカラパンチ、という名のわちゃわちゃした肉弾戦。参ったと言わせるまでぼこぼこにしてやりますわだべ!
●四天王随一のお嬢様!
なるほど、お嬢様だべかとプリ・ミョート(怪物着取り・f31555)は被った知恵の布の中から視線を『悪役令嬢・イレーヌ』へと向けた。
「そんならまずはユーベルコードだべ」
よいしょ、とデビデビモールが誇る富裕層向けの階を善意に満ちた悪魔犇めくデビルファンタジーな世界へと交換していく。
「っと、これで準備OKだべ」
行くべ、とてちてちとっとと歩いてプリがイレーヌの前へと立った。
『何者ですの!?』
「問われたからには答えるべ! おらこそは四天王随一のお嬢様! カワイイ級四天王のプリチャンだべ!」
カワイイ級四天王――!? ざわり、と周囲が騒めくのも仕方のないこと、何せプリはとっても可愛いので!
「今からおらがあんたにお嬢様バトルを挑むべさ。まさか逃げねえよな……?」
『ふ、笑わせないでくださる? そんな粗野な言葉遣いのお嬢様モドキに負けるようなわたくしではなくってよ!』
「知ってるだべか? そういうのを負けフラグって言うんだべ!」
お嬢様破れたり……! と言わんばかりの雰囲気を醸し出しつつ、更にプリがイレーヌへ畳み掛ける。
「ふふ、勝負は始まる前から決してるべさ」
『わたくしの勝ちは揺るぎませんわよ!』
「まだ気が付いてないんだべ? この世界は普段のデビキンじゃねえ、先の戦争で試されたクセの強い四天王しぐさが求められるんだべ」
プリが交換したこの世界、なんと攻撃前に四天王しぐさをキメなければデバフがかかるという法則を持つ世界。違反すると行動に著しく制限がかかるのだが――そもそもイレーヌにとって四天王しぐさってなんぞやって話である。
『な、なんですの? わたくしお嬢様のしぐさしか知りませんわよ!』
「四天王しぐさも知らないんだべか? とんだ田舎者だべ!」
『なんですって!? 許しませんわ!』
喰らいなさい! とイレーヌがプリに向けて指をさすと眩しい稲妻が放たれた。
「そんなピリッとするだけのビリビリにはあんまり四天王ヂカラを感じねえなあ、おーっほっほ」
『わたくしの電撃をいなしたですって!?』
「そもそも電気風呂くらいの威力しかないだべ! そろそろやっちまっていいかな? やっておしまいなさい、なんてな!」
もちろんやっつけるのはプリの仕事、丸っこいフォルムの拳を握りイレーヌへと駆ける。
「くらえっキラキラお嬢様ヂカラパンチ! という名のわちゃわちゃした肉弾戦ですわだべ!」
『あっ痛い、カワイイ見た目に反して痛いですわ!』
見た目詐欺ですわよ!? と叫ぶイレーヌだが、プリは一切気にしない。更に拳を加速させていく。
「参ったと言うまでぼこぼこにしてやりますわだべ!!」
小柄で可愛い四天王お嬢様プリ、イレーヌが捨て台詞を吐いて逃げ出すまでそのキュートな拳を振るい続けたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
陽殿蘇・燐
トンチキ歓迎
あらあら、舐められたものね
でも、抗戦条件を言ってしまうのも…またお嬢様
愛しのイレーヌ様。私もまた、お嬢様なのよ。そう、『蝶が周りに飛ぶ、和風お嬢様にしてラスボス』ですわ
ところで、愛しのイレーヌ様はもちろん、周りの方も。生配信をしていいかしら?きちんと筋を通して許可を求めるのも、お嬢様
OKなら高性能スマホで生配信。一人でも断られたら、撮影を含め一切しませんわ
それでは、一度優雅に芭蕉扇で口元を隠し。それから典雅に扇いでのUCですのよ
眩しくとも痛くとも、そこに悠然と立つのもお嬢様なの
※『愛しの~』呼びは『敵だと認めた者』へのものですが、それにプラスしてお嬢様っぽいので使っています。
●和風で悪女なお嬢様!
同じお嬢様でなければ相手はしない、そうはっきりと言い切った『悪役令嬢・イレーヌ』に陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)は唇の端を持ち上げる。
「あらあら、舐められたものね」
かつてはとあるゲームの悪女NPCであったバーチャルキャラクターである燐からすれば、イレーヌの行いは悪役としてもお嬢様としても児戯のようなもの。
「でも、交戦条件を言ってしまうのも……またお嬢様」
ならばこそ、私が相手をするに吝かではないと燐はイレーヌの前へと歩を進めた。
「ごきげんよう、愛しのイレーヌ様」
『どなたですの? わたくし、あなたに愛しの、だなんて言われる覚えありませんわよ!』
そうは言うけれどちょっと頬が赤い、これは言われなれていませんわね、と燐が口元を隠して笑う。
「お気になさらないで、これは私が『敵と認めた者』への敬称のようなものですの」
『敵と……ふん、それなら許して差し上げてよ!』
何それお嬢様っぽい、とイレーヌが内心思いつつ、鷹揚に頷いた。
「ふふ……愛しのイレーヌ様はお嬢様としか戦わないのですって? 私もまた、お嬢様なのよ」
『そのようね』
「ええ、私こそが『蝶が周りに飛ぶ、和風お嬢様にしてラスボス』ですわ」
これは今までに相対してきたお嬢様の中でも本格的なお嬢様、イレーヌはごくりと息をのむ。
「ところで、愛しのイレーヌ様はもちろん、周りの方も。生配信をしていいかしら?」
『生配信』
生配信??? お嬢様が配信?? とイレーヌが辺りを見回すけれど、最近ではお嬢様が配信をするのも珍しくないこと。そして悪魔達はデビチューバーが好き! 断る理由は何一つないと頷いている。
『ま、まあよろしくてよ!』
イレーヌがちょっとばかり空気を読んでそう言うと、燐が悪女っぽさを崩さぬままに笑う。
「ええ、勝手に配信を始めてもこの世界であれば文句は言われないでしょうけれど……きちんと筋を通して許可を求めるのもまた、お嬢様ですもの」
お嬢様としての自覚と格が高い……! これにはイレーヌ配下の悪魔達もにっこり。
「よろしいようね? では失礼して……」
するりと取り出した高性能スマホを手慣れた手付きで配信モードへ、それから芭蕉扇を手にすると優雅に口元へと当てた。
「ふふ、愛しのイレーヌ様?」
『何かしら!?』
「これから格の違いをたっぷりと見せて差し上げますわね」
既にかなりの差を見せつけているとは思うのだが、やるからには徹底的にである。
「今からお見せするのは炎術……いえ、炎蝶術の基本ですわよ」
芭蕉扇を華麗に扇ぎ、現れたのは炎を纏うクロアゲハ。それは美しくも妖しく舞って、イレーヌと取り巻きである配下へと襲い掛かった。
『あっつい、あっついですわ!?』
「あら、これくらいで音を上げてはお嬢様とは言えませんわ」
悪役を名乗るのであれば、どんなに眩しくとも痛くとも、そこに悠然と立つのがお嬢様というもの。
『えっ』
一層火力を上げたクロアゲハに追われ、まるでコントのような焦げを作りつつイレーヌが逃げていく。
「……愛しのイレーヌ様、もしかしなくてもコメディ枠の悪役令嬢ですわね?」
覚えてなさい! という捨て台詞を聞きながら、燐はスマホに向かって『悪役令嬢と悪女の対決、私の完勝でしたわね』と悪女にふさわしい笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
新山・陽
ほほほ【演技】 私こそは、遠き世界よりまかりこしたる通りすがりのお嬢様ですわ。私兵を侍らさずに街ぶらするのが趣味ですの。
あら? 今どき、そのような少額のお買い物遊びだなんて、まだまだお嬢様力が足りないのではなくて?
そんな貴女に、お嬢様力が限界突破すると全世界で噂の『浄水』はいかがかしら。これを飲めば、はいこの通り…と【気合い】で【覇気】を漂わせ優雅な【礼儀作法】を披露しましょう。
お近づきのしるしに、特別に、今だけ、貴女だけに舞い降りたこの機会…貴女、オークションはお好きかしら? と【取引】によってお水を売りつけ颯爽と【逃げ足】で去ります。
儀式の素材を削ぐのも仕事のひとつでしょうから。
●通りすがりのお嬢様!
ぴったりとしたラインのスーツを身に纏い、上品な仕草と姿勢で新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)がデビデビモールの富裕層階を歩く。
「少し柔らかすぎな気もしますけれど、悪くないですね」
高すぎないヒールの先がほんのり沈む感触に笑みを浮かべつつ、陽は目的の人物――『悪役令嬢・イレーヌ』の姿を見つると颯爽と彼女の前で歩みを止めた。
「ほほほ、私こそは遠き世界よりまかりこしたる通りすがりのお嬢様ですわ」
実際、陽も富裕層のお嬢様ではあるのだけれど本人は至って気さく。けれどイレーヌが相手となれば常日頃から鍛えた演技力――猫被りを発動するのも吝かではないというもの。
『お嬢様? お嬢様がおひとりで何をしてらっしゃるのかしら?』
「私、私兵を侍らさずに街ぶらするのが趣味ですの。現金払いもいいですけれど、カード一枚あれば充分でしょう?」
現金をそのまま持ち歩くなんてお嬢様としてはナンセンスでは? と陽が微笑む。
『それは……お嬢様であれば持っていて当然のブラックカード!』
「ええ。これがあれば大抵のものは買えますから。それに……今どき、そのような少額のお買い物遊びだなんて、まだまだお嬢様力が足りないのではなくって?」
『少額』
少額?? わたくし、結構高価な物をじゃぶじゃぶ買っておりましてよ? という顔をしてイレーヌが陽を見遣る。
「庶民の方から見れば高額でしょうけれど、お嬢様からすれば……はした金でしょう?」
お嬢様たるもの、庶民と同じ物を買うなんてと陽が笑う。内心は庶民というか下町のお団子屋さんのお団子とかとても美味しいですけどね、と思ったりしているけれど。
『お嬢様……力……!』
わたくしにはまだ足りないというの? みたくイレーヌがじっと手を見ている。今だ、と陽の目が鋭く光った。
「そんな貴女に、お嬢様力が限界突破すると全世界で噂の『浄水』はいかがかしら」
おっと、いきなり胡散臭くなったぞ! これは間違いなくそう、詐欺の手口では?
『浄水? お嬢様力が限界突破……』
「ええ、証拠をお見せしましょう。これを飲めば、この通り……」
何の変哲もなさそうな水を飲み、陽がエレガントでファビュラスな覇気を漂わせ、この場にいる誰よりも優美で完璧な礼儀作法をイレーヌへと見せる。
『ほ、本物だというの……この、この浄水を飲めばわたくしはよりお嬢様へと……』
チョロい~~このお嬢様チョロすぎますね、と思いつつ陽は笑みを崩さない。
「ええ、よければお近づきのしるしに、特別に、今だけ、貴女だけに舞い降りたこの機会……貴女、オークションはお好きかしら?」
完全にそういう手口である、どうして彼女がそんな事に手慣れているのかはまた別の話だが手慣れすぎてはいませんかね??
『オークション? ええ、勿論参加したこともありますわ!』
「では……これこのように」
さらりと値段を釣り上げつつ、取引を駆使して陽がかなりの額で浄水を売りつける。
『これでわたくしのお嬢様力があがりますのね?』
「ええ、勿論ですわ。さて、それでは私はこれで……」
失礼いたしますわね、とモデルも真っ青なウォーキングを見せつけて陽が離脱する。何せあの浄水、本当にただの美味しい水なのでばれる前にトンズラしようという腹なのである!
「儀式の素材を削ぐのも仕事のひとつでしょう?」
そう笑う陽の手には、イレーヌから騙し取ったアタッシュケースが輝いていた。
大成功
🔵🔵🔵
アルテミシア・アガメムノン
あらあら可愛らしいお嬢様だこと。
ところでどこのお嬢様かしら?
社交界でお会いしたことありませんわよね?
魔王国のキングオブお嬢様こと女王アルテミシア参上!
それにしてもDを誇示し過ぎでちょっと品がないのではないかしら?
ちょっと指導してあげましょう!
敵POWUCで召喚された軍団に対して召喚するのは『氷炎の魔王軍』。
ガチの軍隊である。
敵の「やっておしまい」に対して「教育してあげなさい」で蹴散らしてしまいましょう!
取り巻きを消滅させた後はイレーヌさんですね。
ほほほ、骸の海に還ってお嬢様道を勉強しなおしてくるのですね!
●女王様で、お嬢様!
お嬢様であることを求められるのであれば、やはり衣装は真紅のドレスがふさわしいとアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)はドレスの裾を美しく捌きながら歩く。
「いつもの軍服も威厳があっていいのですけれど、オブリビオンなお嬢様を潰すなら断然こちらですわね」
動きにくそうなドレスであっても、軍服を纏い歩くのと変わらぬ美しい所作でアルテミシアは『悪役令嬢・イレーヌ』の前で足を止めた。
「あらあら可愛らしいお嬢様だこと」
扇で口元を隠す様も優美、視線だけで笑みを伝えてアルテミシアが首を軽く傾げる。
「……ところで、どこのお嬢様かしら?」
『!? わたくしを知らないのですか? とんだモグリですわね!』
咄嗟に大きな口を叩いてはみたけれど、この広いデビルキングワールド、生半可なお嬢様では埋もれるというもの。イレーヌはアルテミシアを睨み付けながらも、これは格が違うのではと薄々感じ取っていた。
「あら……でも社交界でお会いしたことありませんわよね?」
『わたくし、社交界にも顔を出しておりますわよ? お嬢様の嗜みですもの!』
「そうでしたの? でもわたくしが主催するものやお誘いを受けたところでは見たことも聞いたこともありませんわね……イレーヌさんでしたかしら?」
初耳ですわ、と微笑みながらアルテミシアが扇を閉ざす。
『わ、わたくしだってあなたの事なんて知りませんわ!』
「あら? わたくしの事をご存じないなんて……」
閉ざした扇子の先を口元にあて、これだから田舎者はと嘲笑を浮かべる。
「わたくしは魔王国のキングオブお嬢様こと女王アルテミシア! お嬢様として少しばかりあなたに教える事があるとわざわざ参上致しましたの!」
『わ、わたくしに?』
魔王国ってどこだったかしら、と考えていたらお嬢様としての教えと言われてイレーヌがたじろぐ。
「ええ、お嬢様だと仰いますけれど、『D』を誇示しすぎで品がないのではないかしら? わたくしが直々に指導してあげましょう!」
『わたくし指導されるようなことは何もありませんわよ!?』
イレーヌの言葉など耳に届いていないとばかりに、アルテミシアが臣下の悪魔軍団を召喚する。現れたのは『氷炎の魔王軍』で、どうみてもガチの軍隊である。これにはイレーヌも涙目。
『な、なんですのー!? こ、こうなったら……お前たち、やっておしまいなさい!』
取り巻きを召喚し、イレーヌが叫んだ。
「ふふ、教育してあげなさい」
特に力のない取り巻きがガチの軍隊に敵うはずもなく、あっという間にイレーヌの取り巻きが蹴散らされる。
『はわ……』
次はイレーヌの番だとばかりにアルテミシアが扇を開き、艶やかに微笑む。
「ほほほ、骸の海に還ってお嬢様道を勉強しなおしてくるのですね!」
『う、うわーーん!!』
ほほほ、と響くアルテミシアの笑い声を背に、イレーヌは泣きながら逃げるしかなかったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
朱酉・逢真
【お嬢様戦隊5】◎
心情)お茶会(*ルビ:バトル)の時間ですわねェ。皆さま、ドレスと湿布は身につけられまして? ドレスこそはお嬢様の戦闘服。皆様似合ってらっしゃいますわ。わたくしもお嬢様なので今回は象に乗って登場ですわァ。お嬢様、つまり金持ちなので。悪魔は踏んでも死にません。
行動)ではお茶会を始めましょう。あっつあつのお紅茶をお嬢様らしく飲むことができれば高得点。こぼしたりカップが傾いたり小指が曲がっていたりで減点ですわァ。こっそり敵お嬢様の紅茶を骸の海に変えておきますわ。そういう技ですわ。わたくしは飲めますので。ついでに最後爆発させますわ。爆発オチですわ。たぶん骸の海のせいですわ。
雨野・雲珠
【お嬢様戦隊5】◎
んしょ(短い髪をなでつけ)
よし…(貼るとお嬢様言葉になるふしぎな湿布もそっと貼る)
…平和のため、お仕事のため。
わたくし、頑張りますわ!
意外となんとかなってるだけに
迫力ありますわぁ。大女の集団…
かみさ…お姉さま、床が抜けましてよ!?
お手洗いで中座なさるなら流石に見逃します。情けですわ
買い占め…まあ、そんなこと可能ですの?
そしてお嬢さまといえば『強くて大好きなお父さまにお任せ』!
というわけで【UC】発動
「わたくしのお父さまに勝てると思ってますの?」
父君扱いを内心必死に謝りながら、
取り巻きさんと神鹿がげしげししてるのを後目に
後ろで爆発が起きようと
涼し気な顔で皆さまとお茶を飲みますわ
茜崎・トヲル
【お嬢様戦隊5】◎
おほほほー!おっほっほっほ!おーっほっほっほー!(三段高笑い)
茜崎・トヲ子でございますわ~!
(お嬢様湿布!)(お嬢様ドレス!)(お嬢様RP!)
お嬢さまならショッピングモールごと買ってしまうのですわ~!
(いままでぜんっぜん使ってこなかった猟兵のお給金で!)
これでお金的なぱわーで勝ち!ですわ~!
わー!スーお嬢様似合う~!ですわ!かわいい~!リボンもつけましょうですわ~!
兄ちゃんお姉様もかわいーし、かみさまお嬢様はちょっと象しか見えねーけど
やーさんお嬢様は普段からきてるの?ってくらい似合うね!ですわ!
おrわたくしはもう勝ったので!お茶を飲みながら応援しますわ~!
がんばれ~ですわ!
スキアファール・イリャルギ
【お嬢様戦隊5】◎
ごっ…ご機嫌よう、お茶の時間ですわー!
(※トンチキ湿布使用。動揺で声量ちぐはぐ
み、皆様装いが素敵…
雲珠お姉様は可愛らしく縁お姉様は大層麗しい…
私はその、こういう装いは初めてでして…
トー…トヲルお姉様、褒めても何もでませんわ…しかも力技を…(リボンは抵抗せず付けられる
目を向けるなら他の――朱酉お姉様存在感ありすぎですわよ!?
こ、ここは助っ人を…!
お嬢様といえばもふもふ猫!
(何やってんだご主人、な顔のねこさん
そしてラウル、お力を貸してくださいまし!
(何やってるのだ主よ、な顔のヘラジカさん
雲珠お姉様のお父様とラウルに全てを任せ
私は優雅にラトナを撫でて現実とうhお茶を楽しむのですわ!
結・縁貴
【お嬢様戦隊5】◎
ドレスは初めて着たな
まァ、やるなら本気でやろうか
(※女装経験者、湿布未使用。所作は上流階級の女性の演技)
小雲珠お姉様も愛らしいし、スーお姉様も高身長が映えて漂亮よ
トヲルお姉様は今日も元気に…力技…!
逢真お姉様の衣装の選別は確かで、あら何処に…ちょ、建物内に持ち込みます!?
お茶会の準備は整えておきましたわ
お茶の嗜みがあってこそのお嬢様でしょう?
(テーブルの下でイレーヌと「握力」の御縁を斬る)
…無作法ですこと
所作の乱れてましてよ?(マナー講師の如く突き回す)
ふふ、元気なお父様と鹿様!無力なわたくし達にお力添え下さいまし!
あら綺麗な花火ですわぁ(お茶の給仕をしながら空を見て笑う)
●五人いれば戦隊だと思ってやがりますわね? お嬢様方!
やるからにはとことんやるべきだろォ? という朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)の鶴の一声ならぬ、かみさまの一声で彼らはお嬢様になることを決めた。
半ば流れのままにお嬢様になった者もいるが、かみさまからすれば些事。楽しければよかろうなのだ、という精神の元に彼らは今デビルキングワールド有数のショッピングモールへと訪れていた。
いや、これ楽しいのはかみさまだけでは? と脳裏に過りはしたが、なんだかんだ最終的には楽しくなってるので問題はないのだ。
「はい、問題ありません!」
「いい具合に自己暗示かけてンなァ」
雨野・雲珠(慚愧・f22865)は朱に交わればなんとやら、楽しそうなことには自分から染まりに行く傾向があるのでマジで問題を感じていない。僅かに感じていても、自己暗示みたいに己に言い聞かせ、いける! という境地まで持ってきているのだ。
「私はお嬢様、私はお嬢様……おじょ」
「たいへん、スーさんが壊れそう!」
「你开玩笑吧、まだ女装もしてないのに?」
自己暗示に失敗しているのはスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)で、隣で茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)がだいじょぶ? 手とか繋ぐ? とかしてるので多分大丈夫だろう。
それを眺めながら、結・縁貴(翠縁・f33070)は今日も楽しいことになりそうだなぁと他人事のように思っていた、何せ女装はやったことあるし上流階級の女性とか死ぬほど見てきたので真似るだけならいけるいける、と思っているからである。まあ、好きで死ぬほど見てきたわけではないが思いもよらぬ所で役に立つものだな、猟兵稼業と少しばかり遠い目はしていたけれど。
「ホレホレ、お前さんたち。好きなドレスを選びなァ」
ちょちょいと己の影からドレスをずらりと出して、着替えもできる休憩室を貸し切った逢真が笑う。
「いっぱいあります! わあ……なんて煌びやか」
「これー、どれにするかめっちゃ迷うやつー!」
「あ、あの、私はどれでもいいので……」
「哦、沢山あるね。それなら、揃いのドレスにしたら? 色違いでさ」
沢山のドレスを前に、選ぶだけで日が暮れそうだと縁貴がそう提案する。
「いい案だな、虎兄さん。そンなら……そら」
揃いのデザインのドレスだけを残し、ほかのドレスが影へと沈む。残った五種類程のドレスを眺めて真剣な顔で四人が顔を突き合わせ、どれがいいかと相談する。
「こちらは肩が出ていますから、さすがにごつく見えるのでは……」
「それならのどぼとけも隠してくれるタイプはー?」
「首から袖までレースになってるやつ? いいんじゃない?」
「あの、私はできればスカート部分も長いものだと嬉しいです」
それならこれだと、逢真が指さしたのは揃いではあるがそれぞれ細部のデザインが異なるドレスだ。
「かみさまはどれがいいとか無いんですか?」
「俺はどれでもいいからなァ」
縁貴の問い掛けに笑い、影を使ってそれぞれにドレスを渡していく。
「着替えて準備ができたらお言いよォ」
自分は編み直すだけでいいので、ひらりと手を振って四人が仕切りのある個室へと消えていくのを見送る。着替えた彼らが出てくると、手を叩いて喜んだのは言うまでもないことであった。
「さ、皆様お茶会の時間ですわねェ」
お茶会と書いてバトルと読む、まさにお嬢様の戦場である。
「皆さま、ドレスと湿布は身に付けられまして?」
お嬢様っぽい所作と言葉遣いで逢真が四人へと問う。
「おほほほー! おっほっほっほ! おーっほっほっほー! 茜崎・トヲ子でございますわー!」
まずは形から! とばかりにトヲルが手を口元に当てて三段高笑いを披露する。お嬢様湿布……貼るとお嬢様言葉になるというトンチキ湿布を張ったトヲルはすごく楽しそうである。
白を基調としたドレスは首からデコルテまで細かな模様のレースで覆われ、肩からはシフォンレースでとろみのある袖になっている全体的にふんわりとしたもの。所々に赤いリボンが飾られていて、ついでに頭の角にもリボンが結ばれていた。
「ドレスは初めて着たなァ……っと、着ましたわ」
ほほ、と扇を手にして縁貴が微笑む。藤色を基調としたドレスは全体的に華やかさのあるレースで彩られ、尻尾が揺れるたびに裾のレースが揺れて、大変に優美である。
「んしょ……これでよし、と」
雲珠は短い髪を綺麗に撫で付け、お嬢様湿布もそっと見えぬ場所へと貼り、準備万端と顔を上げる。
「……平和のため、お仕事のため。わたくし、頑張りますわ!」
きらりと輝く瞳は純粋無垢、そんな雲珠の身に纏うドレスは水色と桜色を基調としたホルターネックのドレス。膝下からはハイローヘムラインとなって、健康的な足が見えているのも雲珠らしい。
「みっ、皆様装いが素敵……雲珠お姉様は可愛らしく縁お姉様は大層麗しいですわ……私はその、こういう装いは初めてですの……」
こちらはお嬢様湿布を使用し、けれど動揺のせいで声量がちょっぴりちぐはぐなスキアファール。ドレスは黒を基調とし、首から指先までしっかりとシルクの布地で覆われたもの。裾も足元まであり、赤いファーを上品に肩にかけていた。
「皆さま似合ってらっしゃいますわ。わたくしもお嬢様なので今回は象に乗って登場ですわァ」
象??? 象???? と、お嬢様に扮した四人が頭の中でクエスチョンを浮かべる中、逢真が颯爽と象に乗って登場する。鞍もやたらと煌びやかな、インドかな??? みたいな奴だ。
黒と深緋を基調とし、体のラインに沿った淑やかなドレスは至る所をまるで軛のようにリボンで締めていて、まさにハイソサエティなお嬢様である。
「かみさ……お姉さま、床が抜けましてよ!?」
「ちょ、建物内に持ち込みます!?」
「大丈夫ですわァ、ここは様々な種族犇めく悪魔の世界でしてよ? これくらいで床は抜けませんことよォ」
「はっ、言われてみれば……ごめんなさいお姉さま、雲珠が浅慮でしたわ」
「驚くくらい馴染んでますわね」
縁貴が逢真と雲珠のやり取りを眺め、やはり小雲珠は順応性が高い……としみじみしている。
「兄ちゃんお姉さまかわいーですわー! スーお嬢様も似合う~! ですわ! かわいい~! リボンもつけましょうですわ~!」
「トー……トヲルお姉様、褒めても何も出ませんわ……しかも力技を……」
おそろい! と赤いリボンを首元へと結ばれて、スキアファールが照れたように笑った。
「やーさんお嬢様は普段からきてるの? ってくらい似合うね! ですわ!」
「ありがとうございますわ、トヲルお姉様は今日も元気に……力技……! ですわね。小雲珠お姉様も愛らしいし、スーお姉様も高身長が映えて漂亮よ」
似合わないと頻りに気にしていたようだけれど、最終的に顔がよければなんとでもなると縁貴は知っている。そしてここにいる面子は自分も含めて顔がいい。つまり――やったらレベルの高いお嬢様が揃っているということ――!
「逢真お姉さまの衣装の選別は確かでしたわね」
「そんな、目を向けるなら他の――朱酉お姉様存在感ありすぎですわよ!?」
「かみさまお嬢様はちょっと象しか見えねーですわ~!」
「意外となんとかなってるだけに迫力ありますわぁ」
それぞれ形は少しずつ違うけれど、揃いで仕立てたと思わせるデザインは秀逸。これならば今回の敵も簡単に蹴散らせるに違いない。いざ、と五人が富裕層階へと足を踏み入れる――!
『なんですの!? 象? 象がこちらへ向かって……?』
思わず二度見してしまったが、紛れもなく象だと『悪役令嬢・イレーヌ』が動きを止めた。
『どうして象に乗ってますの!?』
「愚問ですわァ。わたくし、お嬢様……つまりお金持ちなので」
お金持ちっていったら象に乗るんだよ、という圧がすごい。思わずイレーヌが連れであろう思われる四人を見遣った。
「おほほほほー! わたくしもお嬢さまでわ~!」
「わたくしもお嬢さまですわ!」
トヲルの宣言に続き、雲珠も頷きながら言う。
「ご、ご機嫌よう、私もお嬢様ですわよ」
「ええ、そしてこのわたくしもお嬢様!」
全員お嬢様である、お嬢様がゲシュタルト崩壊しそう。
『お、お嬢様揃いすぎですわ! 戦隊じゃありませんのよ!? でも色が若干被ってますわね……』
「生憎今日はレッドが欠席でしてねェ?」
やんごとなき理由がありますの、と逢真が扇を片手に笑う。
「おっほっほ、一人いなくても五人いればなんとかなるものー! まずはお……わたくしが勝負をいどみましてよ!」
『負けませんわよ!』
さてその勝負とは果たして。
「おかいもので勝負ですわー! お嬢様ならショッピングモールごと買ってしまうのですわ~!」
今まで全然使ってこなかった猟兵のお給金、相当なものになっているはずとトヲルが笑う。足りないところがあったとしても、そこはかみさまがなんとかしてくれますわー! という楽観的な考え! そしてその通り!
「これでお金的なぱわーでおrわたくしの勝ち! ですわ~~! おほほほー!おっほっほっほ!おーっほっほっほー!」
デビデビモールのオーナー権を買い取ったと、トヲルが三段高笑いを決める横で、イレーヌが崩れ落ちるように膝を突く。
『オーナー権を買う……どうしてわたくしは思いつかなかったのかしら……!?』
「あなたがお嬢さまじゃないからですわ~~!」
お金的なぱわーで勝ち! ですわ~~!! と高笑いを続けるトヲル、まずは一勝である。そしてトヲルが勝負をしている間、残された四人は何をしていたかというとお茶会の準備をしていた。なんで???
「お嬢様と言えばお茶会ですわァ」
「ええ、わたくしたちでお茶会の準備は整えておきましたわ」
逢真の言葉に続き、縁貴が笑みを浮かべて頷く。
「さァさ、白いお嬢様もそっちのお嬢様もお座りになって?」
席を勧められてしまっては、お花摘みですわと誤魔化すこともできずイレーヌが席へと着く。
「トヲルお姉さまはどうやって勝たれたのです?」
「おほほ、簡単なことですわー! 買占めましたの、このショッピングモール!」
「買占め……まあ、そんなこと可能ですの?」
「今までの貯金全ぶっぱですわ~! また貯めたらいいことですわ、よいしょのぜんはもちつもたれつですわ~」
「トー……トヲルお姉様、それは宵越しの銭は持たない……だと思いますわよ」
モノクロブラザーズならぬモノクロシスターズがほわほわしている中、逢真がイレーヌへと紅茶を勧める。
「どうぞォ、お嬢様。ああ、言っておきますけれどもちろんただのお茶会じゃありませんわよォ?」
『いただきま、えっ』
「あっつあつのお紅茶をお嬢様らしく飲むことができれば高得点。こぼしたりカップが傾いたり小指が曲がっていたりで減点ですわァ」
「えっ」
俺たちも? みたいな顔で縁貴が逢真を見る。
「わたくしとこちらのお嬢さまとの勝負ですわ、それに皆さまはお嬢さまでしょうからァ、きちんと飲めますでしょォ?」
まったく自信がない、みたいな顔をしてこっちを見るんじゃない、笑っちまうだろ、と逢真が扇子で口元を隠しながらモノクロシスターズを見遣った。
そそくさと視線を外した三人を眺めつつ、縁貴がそっとテーブルの下でイレーヌと『握力』のご縁を断ち切る。これでイレーヌが粗相をするのは間違いない。
「さ、お茶の嗜みがあってこそのお嬢様でしょう? 遠慮なさらずどうぞ」
『舐められたものだわ! お嬢様たるもの、これくらいの……っあっつ、あっついですわ~~~!』
握力0と化したイレーヌがカップを取り落とし、あっつあつの紅茶が零れだす!
「あらあら、無作法ですこと。所作が乱れてましてよ?」
オホホホホ、と縁貴がマナー講師の如くイレーヌを突きまわす横で、雲珠、トヲル、スキアファールは適温の紅茶を美味しく飲んでいた。平和。
「あらまァ、仕方のないお嬢様ですわねェ。もう一度チャンスを差し上げますわァ」
寛大な笑みを浮かべ、逢真がもう一杯と紅茶を用意する。
『う、うう、今度こそきちんと飲んで見せますわよ!』
「その意気ですわよォ」
マ、その紅茶の中身骸の海なんだけどな、と逢真が優雅に紅茶を飲む。逢真のカップの中身も骸の海なので、疑われることなくイレーヌが紅茶を口に含む。
『ブバーーー!?』
「お汚いですわー! これはお仕置きが必要ですわ、いらしてくださいませ! わたくしの強くて大好きなお父さま!」
ここだ、と雲珠が迷わず神鹿を召喚する。
「はっ、こ、ここは私も助っ人を……!」
お嬢様といえばもふもふ猫だと、ラトナを呼び寄せる。何やってんだご主人顔のラトナを胸に抱き、スキアファールが雲珠の神鹿に合わせるようにラウルを召喚する。
「ラウル、お力を貸してくださいまし!」
呼び出されたラウルがスキアファールを二度見して、何やってるのだ主よ顔をしながらも神鹿と動きを合わせてイレーヌをその蹄でげしげしと小突き回す!
「おほほ、わたくしのお父さまに勝てると思ってますの?」
お強いんですのよ! と言いつつも、心の中では父君扱いを必死に謝っているのが雲珠らしい。
「わー! おれくしはもう勝っちゃったから、お茶を飲みながら応援しますわ~! がんばれ~ですわ!」
「ふふ、元気なお父様と鹿様! 無力なわたくし達にお力添え下さいまし!」
わーつよーい、これ神様だー、と思いながら縁貴も拳を控え目に振って応援する。雲珠は紅茶を口に含みながら、これどうやって収拾付けるんだろう……と思っていた。
多分誰もが思っていたことだろう、逢真を除いて。
「あ、そろそろ爆発しますわよォ」
「「「「爆発」」」」
爆発???? なんで???? 四人の心が一つになった瞬間、イレーヌが爆発とともに吹っ飛んでいく。
『ば、爆発オチなんてサイテーですわーーーーーーーーーー!!!!』
「由緒正しい戦隊のオチですわァ」
ひひ、と逢真が笑う。
「あら、綺麗な花火ですわぁ」
お茶を給仕しつつ、縁貴が笑う。かみさまのすることだもの、爆発もするさという心境だ。
「戦隊のオチってばくはつだったっけ、兄ちゃんお姉さま、アーお嬢様」
「さあ……わたくしあまり詳しくなくて……」
「私も……」
そんなわけないだろ、という突っ込みが不在のまま、イレーヌが吹っ飛ばされた後も現実逃避という名のお茶会は暫しの間続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アパラ・ルッサタイン
◎
お嬢様になればよろしいの?
ええ、よろしゅうございましてよ!
鉱石ちりばめた黒のドレス
希少な鉱石を品よく使ったアクセサリーをを身に着けて
デビデビモールをランウェイしましょう
ブランド力には頼りませんことよ
全てわたくし自身が作った一点モノ
自身でオーダーメイドしてこそお嬢様ですわ
お年寄りやお子様がいれば席や道を譲り
イレーヌ嬢の爆買いにも微笑まし気に見遣り
お付きの方々にもねぎらいの言葉をかけましょう
お嬢様とは財を見せつけるにあらず
心のゆとりも持つべしですわ
ふう、少々疲れてしまったかしら
ジョセフィーヌ!(水晶馬)いらして下さらない?
お嬢様ならばマイ馬も当然
横乗りでショッピング再開ですわ
――コレであってる?
●優雅な煌めきお嬢様!
今回の敵はお嬢様、そして自分もお嬢様にならねば敵と相対することができない――なんていう、ちょっとよくわからない依頼ではあったけれど、アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)はなるほどと頷く。
「お嬢様になればよろしいの? ええ、よろしゅうございましてよ!」
大変ノリがよかった、これは期待のできるお嬢様!
「お嬢様というからには……やはり恰好から入るべきですわよね」
いつもの言葉遣いもお嬢様言葉に変えて、アパラが衣装を選ぶ。
「上品さと気品さを兼ね備えた……こちらにしましょうか」
手に取ったのは鉱石を鏤めた黒のドレス、まるで夜空のような美しさはクリスタリアンたるアパラによく似合っていた。
「アクセサリーはこれで」
希少な鉱石を品よく使ったアクセサリーは三点で揃いのもの。耳飾り、首飾り、腕飾り――ひとつでも美しいけれど、三つ揃うとアパラの美しさをよく引き立ててくれた。
「戦闘準備はばっちりですわね、それでは……行きましょうか」
夜の女王のような美しさを見せながら、アパラがデビデビモールの富裕層階をランウェイの如く歩く。その魅力に視線を奪われる者も多く、アパラは彼らに笑みを返しながらイレーヌの元へと向かった。
「あなたがイレーヌ嬢ですわね?」
『どなたですの?』
「わたくしはアパラと申しますわ、お分かりの通り……お嬢様ですわ」
優雅な笑みを浮かべているアパラに対し、その眩いお嬢様力にイレーヌがたじろぐ。それもそのはず、アパラの着ているドレスはブランド力に頼らず自分で作った一点モノばかり。完全オーダーメイドな上に、何よりも自分の魅力をどう引き出すかわかっているのだから追随を許すわけもない。
『それは……オーダーメイドでして?』
「ええ、自身でオーダーメイドしてこそお嬢様ですもの」
当然でしてよ、と微笑むアパラがふと視線をイレーヌから外す。その先には迷子と思わしき子どもの姿があり、アパラは驚かさぬように近寄って子どもを迷子センターへと送り届ける。戻る道すがら、お年寄りが困っていればそっと助け、その間にイレーヌが爆買いをしていれば微笑まし気にこちらの方が似合いましてよ? と助言を入れる。
「皆さまもお疲れではなくて? 交代で休憩を取るのも時には必要ですわ」
なんて、イレーヌのお付きの悪魔達にも気遣いを見せる――まさにパーフェクトお嬢様!! という姿をイレーヌに見せつけていた。
『ぐぬぬ、わ、わたくしだってお嬢様ですのに……!』
「お嬢様とは財を見せつけるにあらず! 心のゆとりを持つべし、ですわ」
『こ、心の余裕……!』
戦わずしてイレーヌに膝を突かせたアパラは最後まで笑みを崩さず、小さく小首を傾げる。
「ふう、少々つかれてしまったかしら。ジョセフィーヌ! いらして下さらない?」
ジョセフィーヌと呼ばれた水晶馬が音もなく現れ、アパラの元に駆け寄るとその背を差し出した。
『う、馬……! しかも綺麗……!』
「ふふ、お嬢様ならばマイ馬も当然ですわ」
では失礼、とアパラがジョセフィーヌの背に横乗りし、優雅にショッピングの続きを再開する。そして、水晶馬に揺られながらポツリと呟いた。
「――コレであってる?」
完璧ですわ、お嬢様!
大成功
🔵🔵🔵
ラファン・クロウフォード
【箱2】◎
正統派デビお嬢様になりきりダンス衣裳で女装
説明しよう。悪役令嬢とは、恋愛ゲームにおける噛ませ犬
俺の若奥様に色目を使う暇など与えない
楽団などの手配を整え、ゲリラ社交ダンス対戦を申し込む。トンチキである
費用は奪ったDでお支払い。勝たねば、戒とバイト地獄
それもいい。とは、思ってないよ?
手を繋ぎ、視線を重ね、立体的に地形を活用し戦場を跳ね巡る求愛ダンスで翻弄
戒の台詞がいちいちカッコイイ!惚れ惚れする
視線が恥ずかしいけど、楽しい気持ちいい気分は最高!もっと速く!
勿忘蓮華の氷結でスケートリンクにして、一気にイレーヌと間合いを詰めて息を合わせて攻撃を叩き込む
フィニッシュは、お姫様だっこでキメるぞ
瀬古・戒
【箱2】◎
相変わらず似合いすぎだし背中キレイだなおい
で……この楽器もった皆さまは…?ツッコミどころ満載か
バイト地獄は勘弁なんで超真剣
社交ダンスなら俺は燕尾服で男役を
青い炎を揺らし華麗に蹴り交え舞い闘ってやんよ
おおっと足が長くてゴメンあそばせ
有名な歌劇団は男装の麗人が男役をやってるモンだしトップスターだし
カワイイばかりがお嬢さまってんのはもう古いぜ?カッコいいお嬢さまをご存じかレディ
残念だったな、俺達とお前では決定的な差があんだよ
いくら金積んでも買えない最強のカード、…それは「愛」だ
…愛してるよ、ラファン
くっっっそハズイけど堪えろ俺!呼吸合わせて攻撃を
最後に大階段降りてお姫様抱っこしてキメポーズ
●正統派をいくお嬢様!
魔法少女がいるのならば、悪役令嬢もいるだろう。そしてお嬢様になることだってあるさ、とラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)は背中が大きく開いたドレスを着て思う。
「やるからには正統派デビお嬢様になろうと思う」
「なんて?? っていうか相変わらず似合いすぎだし背中キレイだなおい」
突っ込みが追い付かないとはこの事、瀬古・戒(瓦灯・f19003)は旦那様の女装に慣れてしまったことに嘆くべきか、嘆くよりも面白いから写真を撮るべきかと考えて秒で写真を撮っていた。
別に嘆く必要もなかった、俺の夫は女装が似合う。
「で……この楽器持った皆さまは……?」
ラファンの女装キレイだなー、背中もツルスベだなー、と敢えて見なかった楽団の皆様について諦めたようにラファンが問う。
「ダンスバトルを挑もうと思ってな」
「だんすばとる」
「正確に言うとそうだな……ゲリラ社交ダンス対戦を申し込もうと思って」
「げりらしゃこうだんすたいせん」
対ありでしたってやつか? と戒が頭に入ってこない字面に対して思う。
「悪役令嬢とは、恋愛ゲームにおける噛ませ犬だろう?」
「あー、確かにそうだな」
「という事はだ、俺の若奥様に色目を使う可能性がある」
は??? 許さんが???? という、想像だけでラファンがギリィと奥歯を嚙む。
「なくね??」
「あったらどうするんだ、俺の、俺の若奥様を見るだけでも万死でございましてよ」
「中途半端にお嬢様ぶっこんでくんな」
ラファンの事情、事情? はわかった、ダンスバトルなのもまあ、なんとか。
「で、この楽団の方々は?」
「社交ダンスといったらBGMが必須だろう?」
「費用は?」
「費用は奪ったDでお支払い」
「奪えなかったら?」
「戒とバイト地獄」
見切り発車~~~~~! すっげ見切り発車じゃん!? 行動力だけはすごいから仕方ない、これは妻としての連帯責任。妻として、いい響きだな。
「わかった、バイト地獄は勘弁だからな。社交ダンスってんなら相手が必要だよな? 俺が燕尾服で男役をやってやる」
「戒……!」
キラキラした瞳で見つめてくるラファンをいなし、急遽デビデビモールで燕尾服をレンタルする。勿論これも奪ったDで後払い!
「準備はできたな?」
「もちろんでしてよ」
いざ、敵の元へ――!
『社交ダンス?』
「そうですわ、あなたもお嬢様ならば踊れて当然ですわよね?」
『馬鹿にしないでくださるかしら! よろしくてよ、その勝負受けて立ちますわ!』
「こんなにチョロくて大丈夫か? このお嬢様」
思わず戒が本音をポロリするけれど、ラファンガードが固いので『悪役令嬢・イレーヌ』は戒の姿を未だ見てすらいない。徹底している。
「楽団の皆様、よろしくて?」
ラファンの声にずらりと揃った楽団のメンバーが頷き、富裕層階の広場を陣取り、いざ社交ダンスバトルの開始である。
戒がラファンの手を取り、ラファンが戒に視線を重ね――音楽に合わせて踊り出す。戒の青い炎が揺れて、なんとも優美なダンスに観客が溜息を零した。
『負けませんわよ!』
イレーヌも配下の悪魔を相手とし、スピードを合わせて迫りくる。
「おおっと、足が長くてゴメンあそばせ!」
すれ違いざま、ターンと同時に蹴りを放った戒が得意げに笑った。
『キィ! もつれて転べばよろしいのですわー!!』
「そんなヘマするかよ、なぁラファン」
「その通りですわ、わたくしたちの息ぴったりのダンスをとくとご覧なさいませ!」
コイツお嬢様言葉も会得しやがったな……と思いつつ、戒がラファンをリードするとお返しだというようにラファンが戒の手を引く。
立体的に地形を活用し、まるで戦場を跳ね駆け巡るような動きで求愛のダンスをラファンがリードすれば、緩急激しいダンスに息をつく暇もないほど。
『っていうかですわ、あなた達もしかして男女逆じゃなくって!?』
「おっそ!! 気が付くのおっそ!!」
「それだけわたくしの女装と戒の男装が完璧だという事ですわね」
前向き、どこまでもポジティブシンキングである。
「知らないのかい? 有名な歌劇団は男装の麗人が男役をやってるモンだしトップスターだし、カワイイばかりがお嬢さまってのはもう古いぜ? カッコいいお嬢さまをご存じかレディ」
「そうだぞ、俺の戒がこんなにカッコイイ! 惚れ惚れする! いや惚れ直す!」
「お嬢様言葉どこいった」
くるりくるりと情熱的なダンスを見せる二人に、観客もやんややんやの手拍子だ。
『み、認めませんわよ!』
「残念だが、レディに認められる必要はなくってね」
な、ラファン! と戒が笑う。
観衆の視線は恥ずかしいけれど、目の前の戒はカッコイイし可愛いし綺麗だし俺の嫁だし。気分は最高! もっと速く! とばかりにラファンがスピードを上げていく。その速度についていく戒は確かにカッコイイお嬢様だった。
『こうなったら……!』
イレーヌが配下に目配せをすると、観客にまじった配下がダンスの邪魔をするかのように前へ出る。
「ラファン!」
「任せろ!」
戒の合図と共に広場を蒼く凍て燃える蓮華草の花畑で氷結させ、スケートリンクのように舞台を変える。そして、一気にイレーヌとの間合いを詰めて――!
「残念だったな、イレーヌ。俺達とお前では決定的な差があんだよ」
『差なんてありませんわよ! わたくしが一番のお嬢様ですわ!』
「ハ、いくら金積んでも買えない最強のカードがこっちにはあるとしても?」
『な、なんですの!?』
「……それは『愛』だ」
愛、と戒が言い、上半身を倒すラファンの腰を支えて顔を近付ける。
「……愛してるよ、ラファン」
くっっっそハズイ!! と思いつつも、戒が堪えながら姿勢をキープしイレーヌへと迫る。
「俺もだよ、戒」
演技も何もかも捨ててラファンがそう言うと、姿勢を戻して二人息を合わせイレーヌへと蹴りを喰らわせた。
『ふぎゅううううううう!』
人の恋路をなんとやら、蹴り飛ばされたイレーヌを尻目にし、ラファンが戒をお姫様抱っこしながら大階段を下りていく。
「最後はお姫様抱っこでキメ!」
「いやこれハッッッズ!」
恥ずかしいけれどきっちりとポーズを決める戒、満足そうなラファンの姿がそこにはあったのである――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
百鳥・円
【まる】2◎
ぶっつけ本番なお嬢様言葉……
お世話になっている喫茶店で体験した事があるような、無いような……
はいはーい、ストッププリーズですわよおにーさん
……此処はお兄様にチェンジ致しましょうね
ともあれ、お逃げになるのは許されませんことよ!
解れば宜しい
って、あらら。なんだか妙なことになっていましてよ……
この感じはアレですね、人格交代のお時間ですわね!?
(手際の良い身支度につきましては中略ですわ)
お初にお目に掛かります
お褒めに預かり光栄ですわ
ゼロのお兄様には良くお世話になっていますの
お姉様の事は如何お呼びすれば宜しいかしら
(姿も声も普段とは異なるのに、お兄様の影が拭えなくてカオスな現状に大混乱ですわ〜〜!!)
こほん(現状整理です)
お嬢様はお嬢様でもお金に目ざとくてはいけませんわ!
清く正しく美しく!正々堂々と参りましてよ
(御御足から繰り広げられる踏み付け攻撃だわ〜!!)
(最早お嬢様では無く女王様では?)
円お嬢様は遣いの蝶々でお相手致しますわ
美しさのみならず、とても強いですわよ
おくたばりあそばせ!
ゼロ・クローフィ
【まる】◎
はぁ?お嬢様になれ?
………
良し、俺は帰る
お前さん一人で頑張れ
ガシッと掴まれてにこにこ笑顔
俺は男だぞ?
お前さんなら何とかなるだろ!
って口調が変だぞ?
あーわかったよ!
いいか?今から起こる事は忘れろいいな?
ふっと意識が無くす
自分の中の別人格
あらあら
私と入れ替わるなんて珍しい
手鏡で自分を写す
本当にダラシない男
せっかくの顔が台無しよ
テキパキとまつ毛など化粧をしつつ髪を整え
服装もダサいわ
お嬢様なんだからドレスがいいかしら
あら?可愛い子
初めまして貴女が円ちゃんね?
両手で彼女の頬を包んで
まぁ、なんて美しい肌!
化粧したら台無しね?
ベニを取り出して彼女にそっと塗る
ふふっ、可愛いらしわ。食べてしまいたいくらい
どちらが真のお嬢様か示しましょう
こんにちはお嬢ちゃん
オカマ?私はお嬢様よ?
貴女、気品一つも無いわね
お嬢様ってお金だけ使えばいいと思ってるかしら?
お嬢様とは誰よりも気高く居なくては今の貴女はただのお嬢ちゃんね
飛脚魔
悪魔の脚で敵に華麗に攻撃し、ピンヒールで踏む
ふふっ、お仕置きの時間よ
円お嬢様も素敵よ
●清く正しく美しいお嬢様方!
「はぁ? お嬢様になれ?」
聞き間違いか? と、ゼロ・クローフィ(黒狼ノ影・f03934)が思う横で、要約すれば皆お嬢様になーあれ! という依頼ですねえ、と百鳥・円(華回帰・f10932)は思う。
「ぶっつけ本番なお嬢様言葉……お世話になっている喫茶店で体験した事があるような、無いような……」
「喫茶店でお嬢様言葉を使うことなんてないだろ」
それがあるんですよねえ、と焼き肉の味を思い出しそうな記憶を探りつつ、円は死ぬほど渋い顔をしているゼロを見遣る。その視線を受けて、ゼロがふいっと横を向いた。
「……良し、俺は帰る」
「なんと」
「お前さん一人で頑張れ、いけるだろ? ああ、何だったら待っててやるから終わったら合流で……」
そうしよう、と背を向けて歩き出したゼロの腕を円が逃がすものかとむんずと掴む。
「ここまで来ておいて一人だけ逃げようなんて、許しません」
「何を言ってるんだ、お前さんが連れてきたんだろう。ともかく、それよりも前に俺は男だぞ?」
お嬢様にはどう考えても無理があるだろう、はい論破とばかりにゼロがにこにこと笑みを浮かべる。勝った、という表情をするゼロを見上げつつ、円が唇を尖らせた。
「お前さんならなんとかなるだろ?」
「はいはーい、ストッププリーズですわよおにーさん!」
「って、口調が変だぞ?」
「お嬢様の道も一歩から、ですわ、おにーさ……此処はお兄様にチェンジ致しましょうね」
こほん、と小さく咳払いをして円がお兄様、と微笑む。
「ともあれ、お逃げになるのは許されませんことよ!」
重罪ですわよ! と迫る円にとうとうゼロが両手を上げて降参する。
「あーわかったよ! お嬢様になりゃいいんだろ、お嬢様に」
「あら、物分かりがいいですわねお兄様。解れば宜しいですわ」
「よく言う……! はー……いいか? 今から起こる事は忘れろ、いいな?」
え? という顔をした円に何の説明も無くゼロが目を閉じ、迷わず意識を手放した。
「この感じはアレですね、人格交代のお時間ですわね!?」
ある意味逃げましたわね、お兄様! と思わなくもなかったけれど、既にゼロは違う人格へと変わっていて――。
「……あらあら、私と入れ替わるなんて珍しい」
どこか儚げな雰囲気を醸しながら、柔らかさのある笑みを浮かべてゼロがすっと何処からともなく手鏡を取り出す。そして鏡の中の自分を覗き込んで、きゅっと眉根を寄せた。
「いやだわ、本当にダラシのない男。せっかくの顔が台無しよ」
そのセリフには同意する気持ちもあるが、円からすれば人格は違えどゼロ。テキパキと髪を整え、指先でまつ毛を弄る姿にちょっとばかり混乱しながらも、彼……いや、彼女のする事を横で見守り続ける。
「化粧道具なんてこの男が持ち歩くわけないものね、幸いここはショッピングモールみたいだしコスメも揃ってるでしょうし……」
そう言いながら、ゼロは近くにあったコスメショップへと飛び込む。勿論円もその後を追った。
「タッチアップしてくださる? そうね……艶のあるものがいいわ」
今の時代、男性も化粧を嗜むことも多い。ここデビルキングワールドも例に漏れず、BA……ビューティアドバイザーも慣れたもの。ゼロの肌に合うファンデーションからチークにアイメイク、ルージュと並べていく。
「そうね、ファンデはこれで……アイシャドウはこっちのオレンジにラメが入っているものがいいわね」
それから、と最後にレッド系のマットリップを選んで後はBAに任せるように目を閉じる。あっという間に華々しくも品のある化粧をしたゼロが出来上がり、満足そうに鏡を覗き込んで笑みを浮かべた。
「一式いただくわ」
お会計を済ませ、背筋を伸ばしてモデルのように歩くゼロの後ろを円が黙ってついていく、なんというか声をかける隙はいくらでもあったのだけれど――。
「違う人物なのはわかりますけれど、ゼロのお兄様の影が拭えなさすぎますわ……!」
つまり、めちゃくちゃ混乱していたのだ。
「化粧はこれでいいけれど、服装がダメね。ダサいわ」
ばっさりと彼のファッションセンスをぶった切って、彼女はお嬢様なんだからドレスがいいかしらとブティックへと入っていく。
「いけない、追いかけなくては……!」
そして今度こそ声を掛けなくては! と円は大混乱から抜け出せないままながらも、ゼロを追い掛けた。
「やっぱり赤かしら……うん、これにしましょう」
赤いドレスに黒のヒール、着替えて軽く髪を整えればゴージャスな美女の出来上がりである。鏡の前でチェックするゼロに、今ですわと円が声を掛ける。
「お初にお目に掛かりますわ、お姉様」
「あら? あらあら、可愛い子」
「お褒めに預かり光栄ですわ」
ゼロの瞳がパッと輝き、円に向けて笑みが零れる。
「初めまして、貴女が円ちゃんね? もしかしてずっと一緒にいてくれたのかしら、ごめんなさいね。つい夢中になってしまって……」
「構いませんわ、お姉様が綺麗になっていく姿は眼福でしたもの」
ゼロのおにーさんってば美形だったんですねえ、と改めて思ってしまったほどだ。
「ふふ、ありがとう」
「ゼロのお兄様には良くお世話になっていますの、お姉様の事は如何お呼びすれば宜しいかしら」
そうね、と笑いながらゼロが円の頬を両手で包む。
「お姉様で構わないわ。それにしても……なんて美しい肌!」
「えっ、あっ、ありがとうございます?」
まじまじと見つめられ、円がほんのりと頬を赤くする。
「毛穴レスの陶器肌……化粧したら台無しね? でもこれくらいならいいかしら」
円に似合う色のグロスを取り出し、ふっくらとした唇へと塗っていく。
「ふふっ、思った通りね。とっても可愛らしいわ……食べてしまいたいくらい」
妖艶に細められた目は円からすればやはりゼロのもの、別人だとは思えど彼の影が重なってコンフュ状態だ。
「あ、ありがとうございます! ん、こほんっ」
ンン、と喉の調子を整えるようにして、円が現状を整理する為にゼロへと問う。
「こちらへはお仕事できたのはご理解いただけてますかしら?」
「ええ、悪いお嬢様にお仕置き……でいいのかしら」
「その通りですわ、お姉様! いざ参りましょう、わたしたちのお嬢様力で成敗ですわ!」
うふふ、元気で可愛らしいわ、とご機嫌なゼロを連れ、円が富裕層階に向かえば少し疲れた感じの『悪役令嬢・イレーヌ』を見つけてゼロを見遣った。
「あの方……で合ってますわよね?」
「ええ、オブリビオンだと思うわ」
何かくたびれている気がするけれど。
「敵に情けは無用ですわね、参りましょうお姉様!」
カツンとヒールの音を響かせて、円とゼロがイレーヌの前へと立つ。
「こんにちは、お嬢ちゃん。貴女がイレーヌさんかしら?」
『そうですわ、なんですの貴女方。わたくし、お買い物に戻るところですの。邪魔なさらないでくださる?』
ソファーに座ったイレーヌがゼロの顔も見ぬままそう答え、手を横に振る。
「お買い物、お買い物ですか」
ふうん、と円が笑う。
「お嬢様はお嬢様でもお金に目ざとくてはいけませんわ! 清く正しく美しく! 正々堂々と参りましてよ」
『あーら、お嬢様であればお金はついてくるものでしてよ!』
反論するようにイレーヌが立ち上がると、ゼロが溜息交じりに首を横に振った。
「貴女、気品の一つも無いわね。いいわ、どちらが真のお嬢様か示しましょう」
『!? お、オカマさんですの!? お嬢様ではありませんわね!』
「オカマ? いいえ、私はお嬢様よ?」
圧倒的なお嬢様オーラを放ちながらゼロが微笑み、諭すようにイレーヌへ語り掛ける。
「お嬢様ってお金だけ使えばいいと思ってるかしら? お嬢様とは誰よりも気高く居なくては。そう、今の貴女はただのお嬢ちゃんね」
『なんですって? いいですわ! わたくしのお嬢様力を見せて差し上げますわよ!』
イレーヌがビシッとゼロに向かって指を突き付けると、指先から稲妻が迸る。大した威力もなさそうなそれをターン一つで躱し、ゼロがその美脚を見せつける様に足を上げ――ピンヒールで踏みつけた。
「ふふっ、お仕置きの時間よ」
『いったぁ!? いったいですわ!!!』
「さっすがお姉様、素敵な御御足ですわ!」
繰り広げられる踏みつけ攻撃に、もはやお嬢様ではなく女王様では?? と思わなくもなかったが、今のゼロには似合っているのでよしとした。
「それでは、僭越ながら私も」
指先を優雅に空に滑らせ、炎と氷の蝶々をイレーヌへ向けて放った。
「円お嬢様は遣いの蝶々でお相手致しますわ」
『蝶? 綺麗ですけれど、大したことなさそうですわね!』
「あら? おわかりにならないです? 私の蝶は美しさのみならず、とても強いですわよ」
ひらひらと、遊ぶように蝶が舞う。それは次第に数を増やし、イレーヌに向かって飛び掛かる!
「おくたばりあそばせ!」
『あつっ! あっつ、止めてくださいましー!』
毛先を焦がしながら、イレーヌが配下と共に逃げていく。
「お嬢様力を鍛え直してらっしゃいませ!」
ふふん、と笑う円にゼロが手を叩いて褒めそやす。
「ふふ、円お嬢様もとっても素敵だったわ」
「あらそんな、お姉様に比べれば私なんて」
うふふ、おほほ、この後はどうしましょうかしら? と二人で顔を突き合わせる。
「折角ですから、お買い物していきます?」
「あら、いいわねえ。ここに『D』もたっぷりあることだものね」
いい案だわ、とゼロが笑い、円も欲しかったもの全部買ってしまいましょ? と、弾けたように笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レディ・アルデバラン
(優雅に歩きながら登場)
あら、奇遇ですわね。あなたもお嬢様?
何を隠そう、わたくしもですわ。
名乗らせていただいてもよろしくて?
わたくし、第九地獄に名高きキング・アルデバランの子。
第九地獄の悪魔姫ことレディ・アルデバランでございますわ!
これも何かの縁、お嬢様同士仲良くできれば……と思ったのですけれども。
あなたはオブリビオン。
わたくしは猟兵。
戦う運命にあることは明白。悲しいことですわね。
(赤いマニキュアの映える指をパチンと鳴らし配下を呼ぶ)
我が第九地獄の精鋭達よ、ここへ!
儀式に必要な『D』を奪い取りますわよ……邪悪な手段で!
そう!
『アルデバラン・アンテナショップ』の開店ですわー!
(物凄い勢いでショッピングモールの広場に仮設店舗を建設)
第九地獄特産、アルデバランまんじゅう!
獄炎庭園のデビルフラワーで作ったアロマオイル!
ペナント!タオル!キーホルダー!わたくしのサイン色紙!
さあお買い求めになって、そして気に入ったら第九地獄にお越しなさい!
わたくしが直々におもてなしして差し上げますわ!!
●商売上手なお嬢様!
何せこの世は広いので、お嬢様と一口に言っても本当に色々いるもの。オブリビオンにだって様々なお嬢様がいるのだから、猟兵にだって様々なお嬢様がいてもおかしくはない――そのことを痛感しながら『悪役令嬢・イレーヌ』は心底疲れたような顔をして、配下の悪魔達を引き連れ歩いていた。
『少し休憩するべきではないかしら、わたくし』
ほう、と憂い気な溜息を零すのも悪役令嬢なお嬢様としては満点ね、なんてイレーヌが内心満足気にしている時だった。前方から限りなく優雅に品よく、一人の少女がこちらに向かってくるのが見えたのだ。
そして音もなくぴたりとイレーヌの前で止まると、こてんと可愛らしく首を傾げて薔薇の蕾のようなちょん、とした唇を開いた。
「あら、奇遇ですわね。あなたもお嬢様?」
『ええ、そうですわ。わたくしはお嬢様……悪役令嬢・イレーヌでしてよ!』
お嬢様かと問われれば、そうであると答えてしまうのがこのイレーヌである。何せお嬢様なので!
「何を隠そう、わたくしもですわ。名乗らせていただいてもよろしくて?」
『よろしくてよ』
これは中々できるお嬢様が来たわね、とイレーヌは思う。もう散々トンチキなお嬢様やら後から考えてみればそれはお嬢様ではないのではなくて? と思うようなお嬢様達を相手にしてきたイレーヌからすれば待望のお嬢様である。
「ふふ、では失礼して……」
くいっと顎を軽く上げ、少女がイレーヌを見下ろすような視線を向ける。
「わたくし、第九地獄に名高きキング・アルデバランの子。第九地獄の悪魔姫ことレディ・アルデバランでございますわ!」
口元に優雅に手を当て、レディ・アルデバラン(第九地獄の悪魔姫・f31477)が可愛らしい声を高らかに響かせた。
まあこの広いデビルキングワールドのこと、王国も山ほどあるのでイレーヌは彼女の事を知らなかったけれど、お嬢様としては自分と同等、またはそれ以上の実力を持っていると肌で感じ取っていた。そう、これは間違いなく未曽有のお嬢様勝負になるに違いないはずだと――!
「これも何かの縁、お嬢様同士仲良くできれば……と思ったのですけれども」
ちらり、とエメラルドの中に星の瞬きを隠し持ったような瞳でレディがイレーヌを見遣り、つい、と艶やかな赤いマニキュアの映える指先をイレーヌへ向ける。
「あなたはオブリビオン」
白く滑らかな手を自分の胸へと当てて。
「わたくしは猟兵。戦う運命にあることは明白……悲しいことですわね」
それはまるでロミオとジュリエットのように、なんて儚げな笑みを浮かべたレディにイレーヌも、ふっと笑う。
『そういう運命にありますのね、わたくしたち』
盛り上がりは最高潮、いざとばかりにイレーヌが取り巻きを召喚した。
『でも遠慮はいりませんわ、わたくし達はお嬢様ですもの!』
「それを聞いて安心しましたわ」
すっと手を頭上に上げ、指先をパチンと鳴らす。
「我が第九地獄の精鋭達よ、ここへ!」
レディの呼びかけに応え、第九地獄の悪魔達が首を垂れて現れる。
「儀式に必要な『D』を奪い取りますわよ……邪悪な手段で!」
邪悪な手段! イレーヌのときめきは最高潮! ああ! お家へ帰らなくて良かった、ここでわたくしのお嬢様力を見せつけて――!
「そう! 『アルデバラン・アンテナショップ』の開店ですわー!」
『えっ』
おほほほほ! と高らかな笑い声を響かせるレディの指示に従い、悪魔達が物凄い勢いでショッピングモールの広場に仮設店舗を建設していく。許可? デビルキングワールドで何言ってんだおめー、である。
「まずはこちら、第九地獄特産、アルデバランまんじゅう!」
白く可愛らしいお饅頭にアルデバラン印――牛である、がぽんっと焼き印されている。中は漉し餡と粒餡、白餡にカスタードクリームと味も豊富!
『えっ!?』
「次はこちらですわ、これはわたくしの自信作ですのよ!」
エメラルドのさざれ石をあしらった小瓶を手にし、きゅぽんと蓋を開けると漂うフローラルの香り。
「獄炎庭園のデビルフラワーで作ったアロマオイル!」
元気よくヘッドバンキングをするアグレッシブかつかなりワルイい植物から採ったアロマオイルで、一番人気ですわ! とレディが生き生きとイレーヌへ捲し立てる。
「勿論、ド定番のお土産も外してはおりませんわ! ペナント! タオル! キーホルダー!」
アルデバラン印が入った物から、レディを模したマスコットキャラクターの刺繍が入った物まで!
「わたくしのサイン色紙もありましてよ、直筆ですわ!」
お嬢様が夜なべしてサイン書いたかと思うと可愛すぎると思います、買います。
「さあお買い求めになって!」
『えっ、えっ、えっ!?』
ずずい、と詰め寄られたイレーヌは狼狽の声を上げるばかり。だってこんなの、だってこんなの!
『思ってたのと違いますわーーーーーーー!!!!』
「ギャップ萌えですかしら? オホホ、お饅頭はサービスでしてよ」
わーー! と開いたお口にレディがお饅頭を放り込む。
『んぐっ、むぐ、もぐ……あ、これ美味しいですわね』
「そうでしょう、そうでしょう! 気に入ったら第九地獄にお越しなさい!」
わたくしが直々におもてなしして差し上げますわ!! そう言いながらレディはあれもこれもとイレーヌにアルデバラン・アンテナショップの商品をまんまと全て買わせたのであった。
素寒貧になったイレーヌが大量のお土産を取り巻きに持たせ、デビデビモールを去る姿が目撃されたとかしないとか――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『魔界ショッピングモール』
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POW : フードコートでお食事だ!
SPD : ここはショッピングを楽しもう!
WIZ : どうせなら施設を利用してみよう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●人の金で食べる焼肉は美味いって言うじゃない
自分の懐が一切痛まない、というのはいいものである。しかも罪悪感を一つも感じることのないお金、即ちオブリビオンが悪用しようとしていた『D』! 遠慮する必要もないなんて、パラダイスみたいなものである。
オブリビオンからあの手この手で『D』を回収した猟兵達はそのまま持って帰るわけにもいかない……ということで、さっそくデビデビモールへと繰り出していく。
このデビデビモール、デビルキングワールドでも屈指のショッピングモール……つまり馬鹿でかい。すべて見て回ろうと思うと一日あっても足りないくらいなのだ。
疲れぬようにと動く歩道――ムービングサイドウォークがあったり、乗り物に乗って移動する者も少なくはない。とは言ってもモールの中なので使い魔などが圧倒的に多く、事故もないように配慮されている。
行先に迷ったら、至る所にあるコンシェルジュに相談すれば欲しいものがある場所へと的確に案内してくれるはず。
おおよそ欲しいものは揃うショッピングモールなので、いろいろ見て回るといいだろう。夏到来の気配を感じる昨今、水着や浴衣を見て回るのもきっと楽しい!
ショッピングに疲れたら、巨大なフードコートで休憩がおすすめだ。
軽食からスイーツまで様々揃っているし、高級志向のレストランなども和洋折衷問わず隣接している。ありとあらゆる食の集まる場所と言ってもいいだろう。
それではどうぞ、デビデビモールを目一杯お楽しみくださいませ――!
アルテミシア・アガメムノン
ほほほ、この大量のDはオブリビオンさんの集めたモノ。
何処から集めたかと言えばそれは一般悪魔の皆さんですわよねえ。
ならば還元するのが筋というモノでしょう!
先程『氷炎の魔王軍』で召喚した臣下達。
彼等に引き続き働いてもらいましょう。
まずはショッピングモール内にある全ての飲食店に本日の支払いはすべてわたくしが行うと伝達を指示。
その上でショッピングモールの放送で「本日、魔王国のアルテミシアの奢りで無料食べ放題」とアナウンスいたしましょう!
他人のDで人気取り。ワルワルですわね!
(万が一、Dが足りない場合はアルテミシアは自費で出します。イレーヌさん、やっぱりたいしたことありませんでしたわねえとか思いながら)
ダーティ・ゲイズコレクター
素直に支払うのはワルに対して疎かと申し上げましたが
これは他人のお金!
使わないなんて選択肢存在しませんわー!おーほほほほ!
(お嬢様モードのまま高笑いする)
散財するにしても目立つ使い方をしたいですわねぇ
お店の商品全部購入…店員さんしか驚きませんわね
あっそうですわ!フードコートの高級焼き肉店を1日貸し切り
誰でも食べ放題!これならお客の皆さんも驚きますわね!
そうと決まれば早速…
お買い物中の悪魔の皆さん!
私はダーティ・ゲイズコレクター!
今から高級焼き肉店を1日貸し切って誰でも食べ放題に致しますわ!
他人の金で肉を食べたい方!このダーティの後についてきてくださいまし!
(UC【逆悪!理穢命捻災禍煌】発動)
●彼女達のノブレス・オブリージュ
大量の『D』が詰め込まれたアタッシュケースを前にして、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)とダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)はちらりと互いの顔を見合わせていた。
感じ取れるのはお嬢様としての気品、つまりはこの方も『悪役令嬢・イレーヌ』とお嬢様バトルを繰り広げたのでしょうね、と推測するのは簡単なことだった。
そして今、この大量のDをどうするかという点で二人は同じような考えに達していたのもまた、互いの表情を見ればわかること。お嬢様はお嬢様を理解するのだから――。
「私、素直にDを支払うのはワルに対して疎かとイレーヌさんに申し上げたのですけれど」
「いい判断ですわ、デビルキングワールドのお嬢様であればワルを徹底するのもまた道理」
ダーティの言葉に同意を示すようにアルテミシアが口を開き、頷く。
「ええ、ですがこれは他人のお金!」
「ほほほ、その通りですわね。この大量のDはオブリビオンたるイレーヌさんの集めたモノ。何処から集めたかと言えばそれは一般悪魔の皆さんですわよねえ」
で、あればだ。
「使わないなんて選択肢、存在しませんわー! おーほほほほ!!」
「ならば還元するのが筋というモノでしょう!」
お金は使ってなんぼである、経済を回すのに人も悪魔も関係ないのだ!
「これもお嬢様として、魔王としての務めですわ!」
「ふふ、わたくしも魔王国の女帝として立派に果たしてみせましょう」
同じ魔王としてお嬢様として、ひと時協力体制を取るのも悪くない。これもそう、デビルキングワールド流のノブレス・オブリージュの一つであるとアルテミシアは思っていたし、ダーティもまた魔王としての自分を見せるには絶好の機会であると認識していた。
昨日の敵は今日の友、別に敵になったこともないけどね!
ではまずはどうするか、という事で二人は顔を見合わせる。
「散財するにしても目立つ使い方をしたいですわねぇ」
ちょっとやそっとで使い切れるものではない金額ですし、とダーティがアタッシュケースをぽんっと叩く。ずっしりと重いそれは鈍い音をダーティへと返していた。
「そうですわね……わたくし達が目立ち、尚且つ悪魔の皆さんに還元もできる方法……」
知名度を上げるには、とアルテミシアが優雅な仕草で口元に指先をあて、悩まし気に目を伏せる。
「お店の商品全部購入もできますけれど……店員さんしか驚きませんわね」
買った物をそのまま悪魔達にばら撒くのもありだろうか、でも好みでもない物を貰っても嬉しくはありませんわよねぇ、とダーティが言い、ハッと気付きを得たような顔でアルテミシアを見た。
「あっ、そうですわ! フードコートの高級焼き肉店を一日中貸し切りというのはどうかしら?」
食べ物ならば好きな物を注文できるし、何より他人の金で食う飯は美味いと聞き及んでおりますわ! とダーティが笑みを浮かべる。
「なるほど……いい案ですわね。それならいっそのこと、ショッピングモール内にある全ての飲食店にしてしまえばいいのではございませんこと?」
それならば肉は食べられない悪魔でも大丈夫、菜食主義の悪魔だっているしスイーツしか食べない悪魔もいるだろうから、全方向に向けてカバーができますわ、とアルテミシアが華やかな笑みでダーティーを見た。
「確かにそうですわね、誰でも好きな物を食べ放題!これならお客の皆さんも驚きますわね!」
自分達によし、皆によし、この案には二人もにっこりである。
「ではさっそく、臣下達に働いてもらうとしましょう」
アルテミシアが先の戦いで召喚した臣下を伝令役に仕立て、飲食店に向けて本日の支払いは全てアルテミシアとダーティがするという伝達を行うように指示する。
「あとは宣伝ですわねぇ……これは私達が表立ってやった方がインパクトありますわ」
「顔が売れるということですわね? 全てを練り歩くのは難しい広さですからアナウンスも使いましょう」
二人で近場のコンシェルジュの元へ訪れ、モール内へのアナウンスも手配するとコンシェルジュが快く引き受け放送を掛けてくれた。
「遠方はこれでよし、あとはこの付近で堂々と呼びかけると致しますわ!」
これにはダーティの力が強く働き、人々の意識を惹きつける。
「お買い物中の悪魔の皆さん! 私はダーティ・ゲイズコレクター!」
「わたくしは魔王国のアルテミシア・アガメムノン!」
二人の可憐にして力ある声が響くと、道行く人々が足を止める。
「本日、わたくし達の奢りで無料食べ放題となっていますわ!」
「他人の金で肉……こほん、食事を楽しみたい方! この私達の後についてきてくださいまし!」
先頭を切って歩く二人の後ろを、ぞろぞろと悪魔達が付いていく。さながらハーメルンの笛吹きのように悪魔達を従えて、二人はフードコートへと向かう。
「ふふ、他人のDで人気取り。ワルワルですわね!」
「これ以上はないほどワルですわ!」
イレーヌさん、やっぱり大したことありませんでしたわねえ? なんて話ながら、万が一Dが足りなければ自腹も辞さないお嬢様達は高笑いをしながらショッピングモールを練り歩くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
銭まくど!銭まくど!風流せい風流せい!
銭まくさかい風流せい!仕事忘れて風流せい!
これ?見ての通りデビデビモールの高い所からDをとにかくばらまいてるんでござるよ
何しろお嬢様から搾り取ったあぶく銭でござるからな!下々の者にぶちまけるのが妥当でござろう!金持ちマウントはお嬢様の基本だよね!!
普通に飲む食う買うなんていう真っ当な経済活動なんぞつまんねぇだろ!
銭さばらまいてモール中の通行人や店員の仕事を手につかなくさせてやる!
これぞ悪徳金持ちの醍醐味でござる!いいだろ?デビルキングワールドでござるよ?
なので二度とないこの機会を風流せんかい!ばらまく金に群がって拾えや騒げ!踊れや唄え!
風流せい風流せい!
●これぞ風流だと男は言った
オブリビオンの脅威も去った、お嬢様の振りをする必要もない。エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は『D』がたっぷり詰まったアタッシュケースを手にデビデビモールの富裕層階中央、吹き抜けへと向かっていた。
「そう、戦乱の世は終わったのでござるよ」
デビルキングワールドでの戦争も先日終結した、取り合えず今回の敵も倒した、デビデビモールは平和そのもの、じゃあもう戦乱の世じゃないでござるね! という似非三段論法みたいなものである。
「ここなんか絶好のロケーションでござるな!」
下を見下ろせば悪魔達が楽し気に歩いているのが見えた、カップルも家族連れも見える。
「人が蟻のようでござる! じゃない、いっちょ景気よくいくでござるよ!」
エドゥアルトがアタッシュケースをパカっと開けて、吹き抜けとなった場所へと勢いよくばら撒いた。
「銭まくど! 銭まくど! 風流せい風流せい!」
めちゃくちゃ傾奇くじゃん。
「チッチッチ、拙者オタクであるからして! 銭まくさかい風流せい! 仕事忘れて風流せい!」
札が舞う様は上から見ても下から見ても、中々に壮観。悪魔達も上から降ってくる『D』に気が付いたのか、指をさして上を見上げている。
「何しろお嬢様から搾り取ったあぶく銭でござるからな! 下々の者にぶちまけるのが妥当でござろう! 金持ちマウントはお嬢様の基本だよね!!」
僅かに残ってたお嬢様思考、そこから導き出されたエドゥアルトの答えが『デビデビモールの高い所からDをとにかくばら撒く』であった。
確かに祝い事や節目の折に、家の屋根からお菓子とかお金を撒く風習はある。これはちょっと規模が違うだけで!!
「普通に飲む食う買うなんていう真っ当な経済活動なんぞつまんねぇだろ!」
あっ、すごい本音を。
「銭さばらまいてモール中の通行人や店員の仕事を手につかなくさせてやる! これぞ悪徳金持ちの醍醐味でござる! いいだろ? デビルキングワールドでござるよ?」
デビルキングワールドは無法地帯だヒャッハー!! ってなものである、自分の懐が一切痛まないのもエドゥアルトのヒャッハーに拍車をかけていた。
「なので! 二度とないこの機会を風流せんかい! ばらまく金に群がって拾えや騒げ! 踊れや唄え!」
風流せい! というエドゥアルトの言葉に応えるように、悪魔達が笑って、踊って、歌っている。それを見てエドゥアルトが満足そうに笑って、また一層Dを撒き散らす――お嬢様になったり傾奇者になったりと、忙しいエドゥアルトの一日はこうして幕を引いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
陽殿蘇・燐
【炎蝶城2】◎
~生配信継続中~
さて、『D』を使わなきゃね。
でも私、この世界には詳しくないのよ。
ならば、どうするか。決まってるわ。何のために生配信継続していると思って?
視聴者参加型ショッピングよ。荷物の量?気にすることないわ。
何のために『彼』を呼んだと思っているの?
ああ、トーシロー…ではなく、利司郎。せっかくなのだから、あなたも何か買いなさいな。
そうね、浴衣なんかどうかしら?あなたのサイズもあるようよ?
気にしなくていいのよ、派手に使うのも仕事なのだから。
※
利司郎相手には、例外的に呼び捨て。孤児だった利司郎を拾ったのが燐というのが『原作ゲームの設定』です。
勝守・利司郎
【炎蝶城2】◎
燐様から呼び出されて、何かと思ったら。荷物持ちですね、わかりました!生配信なのは承知の上です!
…どれだけの量になるんだろう…。
…あと燐様と一緒に他世界に出掛けるの、これが初めてでは…?今まではすれ違いくらいで…。
って、はい、燐様?私も買ってよいと?
浴衣…そうですね、私のサイズはなかなかないので、こういうのも…(示された紺色の浴衣。値札の0の数が多い)
燐様、さすがにこれは…!え? そうなのですか?
いえその…『呼び出された』ということで頭が一杯でして、『D』使用の話がすっぽ抜けておりました…。
※
取るものとりあえずで駆けつけました。
燐への『隠している恋心』は隠したまま。
●新しいスタイルを追求していく配信お嬢様!
華麗な手腕でオブリビオンを追い払った陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)の生配信は視聴者数も増え続け、悪女なお嬢様がすごい! として盛り上がっていた。
「さて、そろそろ『D』を使わなきゃね、皆様もそう思うわよね?」
燐がカメラの向こうの視聴者に呼び掛けると、コメント欄に『爆買いして』や、『ファッションショーして』などの声が届く。
「ふふ、爆買い……ファッションショー……それも面白いかもしれないわね」
何せこのデビデビモール、燐が普段から嗜んでいる和装もあれば、洋装にチャイナ風の服にロリータゴシックなんでもござれとばかりに揃っているのだ。
「でも私、この世界には詳しくないのよ。そこで……視聴者参加型ショッピングをしてみようと思うの」
視聴者参加型ショッピング、という燐の言葉にコメントがざわつく。
「色々あると思うのだけど、これを買って使ってみてほしいでもいいと思うし……そうね、買った物を視聴者プレゼントなんていうのも楽しそうだと思うわよね?」
楽しそう、面白そうという声に押され、燐は試しにやってみましょうと唇の端を柔く持ち上げた。
「え? 荷物?」
コメントを送ってくれる視聴者の声に返事をしながら、燐が荷物の量ね? と頷く。
「気にすることないわ、荷物持ちを呼ぶから」
その言葉に『お嬢様~!』とか『さすが元悪女! ぬかりない!』などのコメントが流れていく。
「いらっしゃい、トーシロー……ではなく、利司郎」
名を呼べば現れたのはふんわりもっふりな尻尾とキュートな三角お耳を持った男性――勝守・利司郎(元側近NPC・f36279)であった。
「お呼びになりましたか燐様!」
取る物も取り敢えず、といった風に上がる息をおさえて利司郎がその橄欖石のような瞳を輝かす。
「ええ、これから視聴者参加型ショッピングを行うのよ」
その言葉だけで呼ばれた理由を察した利司郎はなるほど、と頷く。
「荷物持ちですね、わかりました! 生配信なのも承知の上です!」
その屈託ない声と表情に『キツネと思ったらワンコだった』『お嬢様のワンコ可愛いよワンコ』と、コメントが流れていく。
「ワンコではないのですが……」
ワンコみたいなものでは? と視聴者は思ったが賢明だったのでコメントは控えていた。
「それじゃ、行くわよ」
さっそく買い物開始である、まずは何を見るか視聴者に問い掛けると、やはり夏という事もあって水着や浴衣の声が多い。
「水着ね……着るか着ないかは別としても、一着くらい持っていてもいいかもしれないわね」
水着ファッションショーを望む声も多かったが、肌の露出は今のところNGということで割愛された。
「水着も色々あるのね」
下着と何が違うのかと思いつつも、可愛らしいものや綺麗なものも多く、またサマードレスのように見える水着もあって目にも楽しい。あとさりげない利司郎のこの水着なら大丈夫ですチェックもありつつ、水着のコーナーを後にする。
「次は浴衣ね」
「浴衣ならこっちです、燐様」
ショップの袋を手にしつつ、最終的にどれだけの量になるんだろう……? と思いつつ利司郎が燐を案内していく。生配信という、こちらからは見えないがこちらを見ている人々がいるものの、燐と一緒に他の世界に出掛けるのは何気に初めてのこと。今まではすれ違う程度だったが今回はがっつり一緒、しかも買い物というのだから利司郎のテンションも秘かに上がり気味。
「浴衣ならファッションショーをしても構わないわ」
どの浴衣がいいか、と幾つか映してコメントで決めていく。
「四つほど着てみましょうか」
黒地に花の柄が鏤められた浴衣に赤い帯、赤と黒が混ざり合うような布地に流水文様の入った浴衣に黒い帯といったものから、レトロモダン風の柄の浴衣、和風ロリータを取り入れた浴衣……どれも燐に似合う仕立てのものばかり。
「ふふ、お買い上げ? ええ、そうするわ」
値段を見ることもなく、燐が店員に買うと決めたものを渡していく。
「利司郎」
「はい、燐様」
「せっかくなのだからあなたも何か買いなさいな」
「え? 私も買ってよいと? でも何を……」
何を買えばいいのやら、と利司郎が困ったように燐を見る。
「そうね、ここは浴衣を扱っているのだし、あなたも浴衣にしたらどうかしら? 大きめのサイズもあるようよ?」
「浴衣……そうですね、私のサイズはなかなかないので……」
反物から仕立てれば問題はないのだが、既に出来上がった形のものというと百九十近い身長の利司郎に合うものは少ない。けれど、このデビデビモールではサイズを気にすることなく買うことができるのも魅力の一つ。
「これなんて似合うんじゃない?」
渡されたのは紺色の浴衣、一見シンプルだが細かな紗綾形の模様が織り込まれていて、かなりの品であることが見て取れた。
「こういうのもあるんですね……って燐様、さすがにこれは……!」
ちらりと見えた値札に、利司郎が首を振る。考えていたよりも0の桁が多いのだ。
「気にしなくていいのよ、派手に使うのも仕事なのだから」
「え? そうなのですか?」
「そうよ? あなた何だと思っていたの?」
「いえその……『呼び出された』ということで頭が一杯でして、『D』使用の話がすっぽ抜けておりました……」
ドジっ子? 天然? 萌え~! なんてコメントが流れて、利司郎が慌てて否定する。
「大丈夫です、私はそういうキャラではないので……!!」
その横で選んだ浴衣をさくさくと店員に渡し、たまになら二人配信も悪くないわね? と燐が思っていたとかいないとか――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
新山・陽
【審美眼】で選定した美術品ひとつを買い取り、手入れ維持管理をデビデビモールさんにお任せし、非売品として富裕層向けの一角にしばらく展示の場を借りる…という契約を交わせば、身の丈に合わない財はキレイに流れるかと思います。
このテの掃除を済ませたら、お買い物を楽しむことにしましょう。
まずは、上質な印伝のフォーマルバッグ、古代唐草紋の一点物を購入しましょうか。職業柄、盛装が和でも洋でも合う小物があれば便利ですね。
やがて、一般のモールで死ぬほど驚くの売り文句惹かれ、ご当地のいたずらグッズを買ってバッグに仕込み本日は満足です。
あとの時間は、美術品を引き取る次の機会に何を買おうかしら…と品定めを楽しみます。
●スマートなお金の使い方
鮮やかな手口でイレーヌから『D』巻き上げ……もとい、奪い去った新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)は手にしたアタッシュケースをどうしようかと思考を巡らせる。
「ふむ……ここはひとつ美術品をひとつ買い取るとしましょうか」
何でもあるというからには、画廊のひとつもあるのでしょうと陽がコンシェルジュに尋ねると、富裕層階……つまりは今いる階にあるとのことで、彼女はそちらに足を向けることにした。
「デビルキングワールドの芸術、どんなものでしょうね」
ちょっと興味がありますと画廊に足を踏み入れると、地獄絵図を描いたようなものからこの世界で美しいとされる名所を描いたもの、静物画に肖像画、抽象画にどこか宗教を思わせるものまでと幅広い種類の絵画が飾られているのが見えた。
「世界が違えど美術品は共通の物のはず、美とは変わらぬもの……であれば、です」
審美眼が狂うことはないはずだと陽はゆっくりと絵画を見て回り、これと思った絵についてバイヤーに聞いてみる。
『さすがですわお客様、こちらはこの画廊でも一流品の絵画です』
詳しい説明も受けつつ、値段を聞けばそっと0の桁が多い値段が提示される。
「いただくわ」
『ありがとうございます!』
「手入れと維持、管理をこちらにお任せできますか? できれば非売品として富裕層向けの一角に展示をしたいのだけれど」
一定期間、画廊ではなく人目に付く場所でという陽の条件を快諾し、さっそく作ってもらった契約書に目を通せば不備もなかったのでさらりとサインを済ませた。
「では、あとはよろしくお願いしますね」
身の丈に合わない財はこれでキレイに流れましたね、と陽が笑む。これは……出所不明のお金をキレイキレイする手口……!! さすが帝王学を学んだデキる女はやることが違うぜ!
「さて、お掃除はこれでよし。ここからは普通にお買い物を楽しむとしましょうか」
まずはフォーマルバッグが欲しいとショップを覗けば陽の目を引いたのは印伝革を用いたバッグで、黒というシックな色の中に細やかな古代唐草紋の模様が入ったもの。勿論一点物で、今彼女が着ているスーツにもよく似合う。
「職業柄、盛装が和でも洋でも合う小物は貴重ですから」
着物でもドレスでも、この鞄は間違いなく合う。他にもないかと見て回り、デザインの気に入った装飾品や名刺入れなどを買い回った。
「こんなところでしょうか、後必要な物は……ん???」
富裕層階から下に降り、一般的な品物が売られているモールへと足を踏み入れた陽の目を引いたのは『死ぬほど驚く!!! これで悪魔の心臓もイチコロ!』という売り文句のジョークグッズであった。
「ほうほう……なるほどなるほど」
少々刺激が強いものの、ジョークグッズの範囲だし何より面白い。
「あれとそれと、こちらも」
色々買いこみ、気に入ったものをバッグに仕込んで陽は今日一番の笑みを浮かべる。
「あとは……次に来た時に買うものでも見て回りましょう」
ウィンドウショッピングというやつですね、と誰にこのジョークグッズを試そうかと考えながら、足取りも軽く陽は次なる品定めへと足を踏み出すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
UC継続中
「ご主人サマ!お買い物だよ☆また水着買おうよー☆」
しゃーねーなっ!
後は美味いものでも探すか
と言う訳でD使いまくりの買い物です
今回は夜影ちゃんのご飯やモラカーのご飯も探すとしますか
「ねぇねぇご主人サマ!これなんてどうだろ☆」
ってなんで僕までサマ-ドレスきねーといけねーんだっ!?
「だってお嬢様してた時はとっても可愛かったよ☆」
だぁぁぁぁ!!まぁ変装技術の修練にもなるか…仕方ねぇ付き合ってやる!
御飯
折角なので高級レストラン的な所で存分にお腹いっぱい食べます!
とは言えデビキンだとどういうのがあるのか心配になりますが
「見た感じきちんとしてるしきっと大丈夫だよ☆」
ステーキとか存分に食す!
●デビデビモールを満喫!
ご主人サマ! とカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の相棒たる『メルシー』がその腕にくっついてキラキラとした瞳を向ける。
『ご主人サマ! お買い物だよ☆ また水着買おうよー☆』
水着は何着あってもいいものだと、メルシーがぐいぐいとカシムに迫った。
「しゃーねーなっ! 金はあることだし好きな物買っていいぞっ!」
『やったー☆』
早速、とばかりにメルシーがカシムを連れて水着売り場に足を踏み入れると、そこには様々な水着がこれでもかとばかりに並んでいる。
『かわいーのから際どいのまで、いっぱいあるよー☆』
「この辺は水着なのか服なのかよくわからんな」
オーソドックスなビキニから、布地がちょっと薄目なドレスと言われてしまえば通るようなものまで、メルシーが楽しそうに自分の体に当てて鏡を覗き込んでいる。
『これも可愛いし、こっちもいいなー☆』
「気に入った物全部買えばいいんじゃないか?」
『わっ☆ ほんとに? じゃあ……ご主人サマ! これなんてどうだろ☆』
白いサマードレスのようなひらりとした水着を手にし、メルシーが笑う。何故か同じものを色違いで二着手にしている事に関しては見ない振りをしよう、とカシムはそっと視線を逸らしつつ、いいんじゃないか? と頷く。
『やっぱりご主人サマもそう思う? じゃあこれ、ご主人サマのぶんもっ☆』
「って、なんで僕までサマードレスきねーといけねーんだっ!?」
嫌な予感がしっかりバッチリ当たってしまったとカシムが叫ぶと、メルシーが満面の笑みで答えた。
『だってお嬢様してた時はとっても可愛かったよ☆』
「だぁぁぁぁ!! それを言うな!!」
うう、と唸ってはみたものの、カシムからしたってあの女装……もとい変装は堂に入っていた。
「……まぁ、変装技術の修練にもなるか……仕方ねぇ付き合ってやる!」
『やったぁ☆ じゃあ、あとはこれとあれも二着ずつお買い上げだよっ☆』
好きにしろ、と手を振るとメルシーがその通り好きに買い捲り、両手にいっぱいの袋を下げる事になったのは言うまでもない。
「あとは夜影ちゃんとモラカーのご飯を買って……その前に食事にするか!」
『やったー☆』
ここはやはり肉、高級レストランに入って思う存分肉を! ステーキを! と頼んでいく。
「デビルキングワールドでも肉は肉……なんだよな?」
『見た感じきちんとしてるし、きっと大丈夫だよ☆』
一抹の不安は残るけれど、運ばれてきたステーキは特大でなんとも食欲をそそる香り。食べ始めてみればその美味しさに手も口も止まらないほどで、二人は満腹になるまで美味しくお肉を頂いたのでありました。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
私…わ、わた……もう僕でもいいかな!?
今日は一つ、決めて来た事があるんです
いつもは義理の姉さんに先手を打って用意されてしまう私服
でも少しくらいは、自分で選んでみるのも楽しいんじゃないかと
なんなら廃墟だった大きな屋敷を改装して掃除した我が家(龍狼師団)なら
空き部屋まるっと衣装部屋にしても文句は言われないんじゃないかと
なんならコンテストで着るかは別としても
ちゃんとした浴衣だって買っていいんじゃないかと
ちゃんと男らしいかっこいい服
頭から足先まで自分をしっかりコーディネートするつもりで沢山買います
さぁ分身達
他のお客様の邪魔にならないように、荷物持ちよろしく
分身使いが荒いとか言うな今日だけだ
我慢して
●全身コーディネートを楽しんで
イレーヌを花で押し流した後に残されていた『D』がたっぷり詰まったアタッシュケースを手に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は真剣な顔をしてショップのウィンドウを眺めていた。
「私……わ、わた……もう僕でもいいかな!?」
お嬢様バトル終わったよね!? とウィンドウに映る可憐なお嬢様姿の自分を眺めて息を吐く。うっすらとガラスに映る自分はどこからどう見ても可愛らしい女の子だけれど、澪が好んでしている恰好ではない。
「似合うとは思うんだけどね……。けど、今日は一つ、決めてきた事があるんです」
澪のクローゼットに並んでいる服は全て義理の姉が先手を打って用意したものばかり、女の子の洋服であったり中性的な洋服が多い。折角あるのだし、姉が喜ぶからと着ていたけれど、でも――と澪は思う。
「少しくらいは、自分で洋服を選んでみるのも楽しいんじゃないかって」
だから今日は、きちんと男の子に見えるかっこいい服を買おう、と。
「当分服は買わなくていいってくらい買っちゃおうかな」
洋服を仕舞う場所なら心配ない。廃墟だった大きな屋敷を改装し、掃除した我が家なら空き部屋の一つや二つ、まるっと衣裳部屋にしたって文句は言われないはず。
「一つに姉さんが用意してくれる服、もう一つに僕が今日買って帰る服を仕舞うのもいいよね」
なんなら、毎年恒例の夏のコンテストで着るかは別としても、きちんとした男物の浴衣だって買っていいはず! 何を着るのだって澪の自由だと思うとなんだか楽しくなってきて、澪はショップへ足を踏み入れた。
「頭から足先まで、自分をしっかりコーディネートするつもりで……!」
特にこれから夏まっさかり、ゆるめなアイスTシャツに黒のスキニーとスポーツ系サンダルなんかはきっと活躍するはず。オーバーサイズのメンズパーカーは色をシックなモノクロに、白と赤や配色切り替えだってカッコイイ。
「ネイビーのサマーニットもいいよね、裾からシャツを出して……うん、いける。僕絶対似合うよ」
長い髪は編んで結んで帽子に隠すのだってきっといい、ベースボールキャップでスポーティにだってキャスケットでお洒落にだって似合うはず。
「ふふ、楽しくなってきちゃったな」
マネキンのコーディネートも参考にしつつ、少年っぽさのあるプルオーバーにゆるっとしたハーフパンツも、ダブルカラーのジップシャツも、いいと思った物をどんどん買い求めていく。
「さぁ分身達」
荷物は他のお客さん達の邪魔にならないように動いてね! と、召喚した小さな自分の分身達に任せ、いざ次の店!
「分身使いが荒いとか言うな」
ぶーぶー! と小さな自分に文句を言われつつ、澪がピッと指先を立てる。
「今日だけだ、我慢して」
頑張ったら後で甘い物を食べようと、ご褒美だって忘れない。
「いくぞー、次は浴衣だよ!」
シックな矢絣やストライプ柄もいいよね、と澪が楽しそうに笑った。
大成功
🔵🔵🔵
アパラ・ルッサタイン
◎
いざゆかん、爆買いの旅へ!
……という事でお高い焼肉もお高いパフェも食べてしまったワケだが
ひとりで美味しいもの食べてると何だか申し訳ない気分になるなァ
家の土産に良いお肉と果物を買っておこう
大量に買い込んだ食材はジョセフィーヌ(まだ居る)の背に積んで
コンシェルジュさん、こちらは鉱石は扱っている?
あるならば行ってみたいのだけど
お!流石デビルキングワールド屈指のショッピングモール!
うむ、このアイオライトは質が良いな
ダイオプサイトも色が美しい
その分価格は美しくないが、今のあたしには『D』がある!
ようし調子乗って来た
普段変えぬような貴重な石を買いまくって
家に帰ったらランプ作り三昧だ!
●満足するまで爆買いは止まらないっ!
ジョセフィーヌの背に乗ったまま、ついでにまんまと虜にしたイレーヌの配下から渡されたアタッシュケースを手にしたアパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)は迷うことなくフードコートへと訪れていた。
「まずはお高い焼肉を食べるべきだね」
爆買いの旅の前に腹ごしらえだよと笑って、見るからに高そうな焼き肉店へと入る。おひとり様専用テーブルへ座り、まずはタン塩を頂き、希少部位とされる特上カルビにイチボにサガリ、シャトーブリアンと制覇する。
「肉が口の中で溶けるってわけがわからないね……」
噛まずに飲み込めるお肉、これは本当にお肉なのかと哲学寸前まで思考を飛ばしつつ、焼肉を堪能。その後はデザートとして、旬の果物を使った高級ミニパフェ三種盛り。
「桃にメロンに……マスカット、んんん、どれも美味しいね……!」
ハァ……と悩まし気な、それでいて満足そうな溜息を零しながらアパラが店を出た。
「……という事でお高い焼肉もお高いパフェも食べてしまったワケだが、ひとりで美味しいもの食べてると何だか申し訳ない気分になるなァ」
やはりこういうのは誰かと共にするのが一番、今度はそうしようかとアパラが頷く。
「折角だ、家の土産に良いお肉と果物を買っておこう」
精肉店と青果店、どちらも今食べたお店と提携している店だから外れはないはず。大量に買い込んだ食材を大人しく待っていたジョセフィーヌの背に積んで、アパラは大本命の買い物をする為にコンシェルジュに声を掛けた。
「コンシェルジュさん、こちらは鉱石は扱っている? あるならば行ってみたいのだけど」
ございますわ、お客様という言葉と共に案内された先は鉱石に宝石、装飾品からルースまで扱う専門店。
「お! 流石デビルキングワールド屈指のショッピングモール! 良い品ぞろえをしているじゃないか」
わくわくしながら店内のショーケースを覗き、アパラが目を止めた鉱石を出して貰って直に目利きをしていく。
「うむ、このアイオライトは質が良いな。ダイオプサイトも色が美しい」
あれもこれも、どれもアパラの作り上げるランプに相応しいものばかり。
「フォスフォフィライトの原石? こっちはグランディディエライトじゃないか!」
希少価値が高いとされる美しい石も多く見られ、アパラは目を輝かせる。
「その分価格は美しくないが、今のあたしには『D』がある!」
このアタッシュケースの中のDを全部使いきってやろうと、アパラは創作意欲を掻き立てる石をすべて買い求めることにした。
「ようし調子に乗ってきた」
普段は手も足もでないような貴重な石を迷うことなく買い上げて、焼肉を食べた時よりも満足そうな笑みを浮かべて店を出る。
「うんうん、家に帰ったらさっそくランプ作り三昧だ!」
身も心も満たされて、大満足のアパラは意気揚々とジョセフィーヌを連れてデビデビモールを後にするのでありました。
大成功
🔵🔵🔵
雨野・雲珠
【お嬢様戦隊5】◎
あ!忘れてましたわ…
(ぺりりと湿布も剥がし)…ふう。
かみさま、お借りしました!
また後でねって解散するのはなんだか楽しいですねえ
…あ、あれは言葉の綾で!
決して父上と思ってるわけでは…
弁解しつつ、動く歩道を流れていくトヲルくんと俺です
途中かみさまをお見かけしますが
見なかったことにします
縁さんもお見かけし(以下略)
輩…輩がいますわ…
何でも買っていいんですか?本当に?
なら、バネが飛び出た事務所の長椅子を新調したいです…!
よいソファって高いんですもの
あとはお宮のお客さま用に肌触りのよい寝巻とか
綺麗な絵の具とか
トヲルくんは?何か欲しいもの
あとでスー君と一緒に夏服でも見繕ってあげたいなあ…
結・縁貴
【お嬢様戦隊】◎
トヲルお姉様、オーナーの威光のある一筆頂いても?
謝謝!権威の一筆だァ!
(着替えて)じゃあまた後程
この世界と言えばUCを扱える稀有な種族、構築要素不明の謎物質、ワルい方が尊ばれる嗜好
無茶ぶりし放題だなァ!
通信器具の店の扉を蹴破って入店
他世界に行っても電波が通じて悪魔王に殴られても壊れず不具合出たら担当と即座に質疑応答できるスマホをくれ
ない?作れ
金ならある、尽力しろ!(Ðを積み上げる)
五月蝿ェ俺は此処のオーナーと懇意だぞ!経営権を奪われてもいいのか!※オーナーはこの件に未関与です
入手したスマホのスペックはお任せ
スマホ片手に笑顔で退出
皆を探して見つけたら声をかけよう
好い買い物出来た?
朱酉・逢真
【お嬢様戦隊5】◎
心情)ン、もうお嬢サマはいいのかい? 諒ォ解。(服を編直し) じゃ、戦闘後の和やかな時間を過ごそうかね。
《植》で蔦の壁作り、即興の更衣室だ。隙間ないから安心サ。
行動)で、着替えたら頂いたDを配分して。後ほどそこの噴水で集合な。サテ・俺が欲しいもの…ああ、あったァ。ここらのやばい呪物、ぜェんぶおくれ。悪魔は頑丈だからぴんしゃんしてンだろォが、人間が触ったら衰弱死するようなンばっかだ。いいね、彼岸で愛でてやろう。店出たら…オヤ・虎兄さんみっけ。ついてったらみィんな居た。ひ、ひ…集合場所いらンかったか。どれ、買ったものでも見せ合おうか。大きなモンは配送だろから、軽いモンだけだがな。
スキアファール・イリャルギ
【お嬢様戦隊5】◎
…はっ、着替えないと
ありがとうございますトーさん、これで心穏やかに買い物ができますわ…
あれ、剥がしたのに言葉が
えぇと、私は…そうだ
両親や先生に座り心地の良い椅子を
自分用には高性能マイクとゲーミングPC
霊障にも長時間耐えうる性能だと嬉しいです(トーさんのお手紙渡し無茶ぶり
あと以前から気になっていたゲーミングチェアとやらを…
はっ、折角なら
トーさんに普段着として使えるTシャツや
雲珠さんが好きそうな人形も
縁さんや朱酉さんには何が良いだろう…
八重垣さんや深山さんにも…
(うろうろちょろちょろ
…ふぅ
何だかんだで沢山買ってしまった
フードコートでお腹を――あ、トーさん良い所に。食べましょう!
茜崎・トヲル
【お嬢様戦隊】◎
かったー!!レイジョーズの勝利!!
よーしっ、じゃあ変身かいじょ!(きがえ!)
いーいよ!(やーさんへ!)
あっ、スーさん、湿布!(お伺い立ててから、ぺりっ)
じゃー買い物ごー!
おれがここのオーナー!なのでー、みんなにいっぴつを書きます!
できればこの人のお願いきーたげてね!のお手紙です
じゃーまたあとで、噴水前で!
スーさんはー、買いたいものいっぱいあるっぽい!
にいちゃーん!いっしょにいこー!
何かおっか!パパさんにお土産買っちゃう?鹿のパパさん!
えっ、おれ?おれはあんまり……
あ!あれ買お!チームTシャツ!おそろ!
おわったらフードコート!
あっスーさん!いっしょにたべよー!(約束された大食い)
●~レイジョーズ、そのオフの姿~
爆発でイレーヌが吹っ飛んでいった後も、レイジョーズの五人はお茶会を続けていた。何故って、お茶がまだカップに残っていたから……!!
「いやー、かったねー!! レイジョーズの勝利!!」
小指を立てつつ茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)が紅茶を飲み切り、すっと立ち上がる。
「よーしっ、じゃあ変身かいじょ!」
トヲルがドレスを脱ごうと背中のファスナーに手を掛けたところで、雨野・雲珠(慚愧・f22865)が立ち上がりそれを止めた。
「わ、わー! ダメですわ! こんなところでお着換えなんてはしたないこと!」
「えー、だめ?」
ダメです、と雲珠に止められてしまったら、さすがのトヲルもファスナーから手を放す。
「ン、もうお嬢サマはいいのかい?」
「……まァ、もう倒したしね」
面白かったのにという朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)の声が聞こえた気がしたけれど、敢えて聞かぬ振りをして結・縁貴(翠縁・f33070)も空になったカップを置いて立ち上がった。
「はっ、私も着替えないと」
無心でラトナを撫でて紅茶を飲んでいたスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)も自分はいったい何をしていたのかと我に返り、着替え……とトヲルや雲珠を見る。
「諒ォ解。じゃ、戦闘後の和やかな時間を過ごそうかね」
一足早く服を編み直した逢真がやっぱ惜しいな……と言いつつも、ちょいと指先を魔法の杖のようにして、周囲から見えぬよう蔦を操り壁のように一面を覆った。
「即興の更衣室だ、隙間がないから安心サ」
プライバシー保護? とか言うんだろォ? と、逢真が着替えを促す。
「ありがとうございます、かみさま!」
んしょ、と雲珠が背中のファスナーへ手を伸ばし――瞬き一つもしないうちに着替えを済ます。
「えっ、着替えんの早くない? 小雲珠!」
「これはわたくしの特技の一つ、早着替えですわ……!」
とは言ってみたものの、これもユーベルコードの力の一つ。
「そんなのあるの……猟兵って謎に満ちてんね……」
「きがえっていうかー、もうへんしん! って感じだよねー!」
レイジョーズに必須じゃん、と既に着替えを済ませたトヲルが笑った。
「お待たせしました、私も着替えが済みましたわ」
すっかりいつもの服装だし、これならラトナもラウルも変な顔はしないはずだとスキアファールが安堵したように微笑み、ラトナを見ればお猫様はまだまだ宇宙猫な顔をしていた。
「……何故ですの!?」
「あっ、スーさん、湿布!」
「あ! 忘れてましたわ、湿布ですわ!」
雲珠もすっかり忘れていたと、貼った湿布をぺりりと剥がす。
「あんまりにも馴染み過ぎてて……お嬢様言葉恐るべし、です」
「スーさん、はがすねー?」
「お願いしますわ」
スキアファールの湿布をえいっとトヲルが剥がしてやると、スキアファールがほっとしたような顔をして笑う。
「ありがとうございます、トーさん」
「どういたしまーして!」
「かみさま、お借りしましたお洋服、どうしましょうか」
「ンー、こっちで回収しとくかねェ? 必要になったらいつでも取り出せるしなァ」
影の手を伸ばしドレスをそれぞれから回収すると、とぷん、とぷんと沈めていく。
「やっぱりいつものかっこーが一番だよねー!」
「それよりまた必要になる事があるのかって事の方が疑問だよ、俺は!」
あるかもしれないし、ないかもしれない。多分あるんじゃないかな、知らんけど――そんな言葉が全員の脳裏をよぎる。
「ま、まあまあ! ここは気分を切り替えてお買い物と参りましょう! 何か一人ひとつアタッシュケースがありますね……」
開ければ『D』がぎっしり詰まっていて、雲珠はその大金に目を瞬かせた。
「丁度いい、一人ひとつの分配だ」
一応、と逢真が中を見て、概ね同等の金額だと太鼓判を押す。
「そうだよ買い物だ! トヲルお姉様……じゃなかった、トヲル帅哥」
「なーにー?」
「オーナーの威光のある一筆頂いても?」
「いーいよ!」
何せオーナーである、ある程度の無理は通るに違いない。
「さらさらさら~のさら~~!!」
「漫画みたいな擬音を言いだしたけど、ちゃんと一筆になってるんだよなァ!」
トヲルからすれば難しいことは書いていない、できればこの人のお願いきーたげてね! のお手紙だ。
「どーうぞ!」
「謝謝! 権威の一筆だァ!」
「ありがとうございます、トヲルくん!」
「ありがとうございますトーさん、これで心穏やかに買い物ができますわ……あれ、剥がしたのに言葉が」
「だから俺がいいましたのに、お嬢様言葉恐るべし、と……」
うっかりポロリするお嬢様言葉、感染力が高すぎる。
「ひ、ひ。ありがたく貰っとこうかねェ」
さて、と逢真が四人を見遣って。
「お前さん方、何を買う予定なんだい?」
そう問われ、四人が顔を見合わせた。
「俺はスマホを見に行こうかと思ってますよ、かみさま」
高性能なスマホ、トヲルや雲珠が弄っているのが便利そうだったのでと縁貴が頷く。
「えぇと、私は……ゲーミングPCとかチェアとかですかね」
他にも欲しいものはありますが、とスキアファールが微笑む。
「俺はまだ決めてないので、見ながら考えようかと」
「ん-、おれはなーんにも考えてないよー!」
四人の返事を聞いて、逢真がふむふむと何やら考え、よし、と唇の端を持ち上げた。
「そンなら、それぞれ好きなモンを見に行って、後ほどそこの噴水で集合ってのはどうだい?」
「原来如此、それは確かに合理的でいいですね」
「待ち合わせですね! 俺もすごくいいと思います!」
「焦らずゆっくり見れるでしょうし、いい案だと思います」
「じゃーまたあとで、噴水前で!」
けってーい! とトヲルが笑って、それぞれ散らばっていく彼らを見送る。縁貴は足取りも軽くコンシェルジュの方へと歩いて行ったし、逢真は軍馬ほどの大きな子猫の背に乗って何処へやら、スキアファールは座り心地の良い椅子……両親や先生にも是非とラトナを頭に乗せ、てってけ家具売り場へと向かっていった。
「あの、トヲルくんは?」
ふと、残った雲珠がトヲルを見上げる。
「おれー? おれはどうしよっかな、スーさんは買いたいものいっぱいあるっぽいしー」
「あの、じゃあ俺とご一緒しませんか?」
欲しいものが特に決まっていない仲間です! と雲珠が言うと、トヲルが笑って。
「うん! いっしょにいこー! にいちゃーん!」
「はい! ふふ、また後でねって解散するのはなんだか楽しいですねえ」
約束があるのは嬉しいと、雲珠が頭の枝にぽこりとひとつ、桜の花を咲かせて微笑んだ。
さて、解散したレイジョーズのレイジョーブルーこと縁貴はめちゃくちゃウキウキ気分でモールを歩いていた。
「この世界と言えばUCを扱える稀有な種族、構築要素不明の謎物質、ワルい方が尊ばれる嗜好」
と、言うことは?
「無茶ぶりし放題だなァ!」
ありがとうデビルキングワールド! と、唇を舌でぺろりと舐めて縁貴は通信器具を扱う店の扉を思い切りよく蹴破った。
「你好! 早速だけど他世界に行っても電波が通じて悪魔王に殴られても壊れず不具合出たら担当と即座に質疑応答できるスマホをくれ」
めちゃくちゃ早口で捲し立て、まずは相手を威圧する。
『お、お客様、当店での最高峰機種ですとこちらになりますが……』
「他世界に行っても電波が通じて悪魔王に殴られても壊れず不具合出たら担当と即座に質疑応答できるスマホ?」
『いえそれはその……』
はー?↑ みたいな声と上から見下すような視線を店員に浴びせ、縁貴がアタッシュケースをカウンターにドンッと置いた。
「ない? 作れ。金ならある、尽力しろ!」
パカッと開けたアタッシュケースの中にはDがぎっしり! ひれ伏せ、とばかりに縁貴が笑う。
『その、順番とかですね』
「五月蝿ェ俺は此処のオーナーと懇意だぞ! 経営権を奪われてもいいのか! アン?」
ヒェェ、と悪魔達を震え上がらせて、少々お待ちくださいと言われて椅子にドカリと座る。そして、そんな姿を桜の精に見られているとは露知らず、縁貴は出された高級茶を満足気に啜っていた。
「輩……輩がいますわ……」
「ん? どーしたのにいちゃん!」
「しっ、見ちゃいけません」
あっちに行きましょう、と雲珠はトヲルを連れて反対方向に歩き出すのであった。
時を同じくしてこちら、レイジョーペンタブラックこと逢真は少しばかり目を閉じて、ちびすけに揺られていた。
「サテ・俺の欲しいもの……と」
呪力の流れを感知し、あっちだとちびすけに指示すれば、大きな子猫がとてとて歩く。
「ン、ここいらだなァ……ああ、あったァ」
店構えからして死ぬほど怪しいし、張り紙だって相当なもの。何せ『呪物有り〼』だの、『呪いの人形新入荷!』だのと書かれていたのだから。
「ひ、ひ……いいねェ、全部本物じゃねェか」
大抵は嘘っぱちの偽物の中に数点本物が紛れているものだけれど、ここにあるのは全てが全て呪物として一級品のものばかり。
「ここらのやばい呪物、ぜェんぶおくれ」
『全部ですか? へぇ、そりゃ構いませんが……大丈夫で?』
「それを俺に聞くかい? マ、わからんでもないが」
何せ、何かのはずみで人間が手にしたら衰弱死に発狂死、原因不明の死因のオンパレードになるようなものばかり。
「悪魔は頑丈だからぴんしゃんしてンだろォがよ」
『へへ、その通りで』
「俺には子どもの玩具みたいなモンさァ」
あれもこれも、そっちもと買い求め、逢真が慈愛に満ちた瞳で呪物に微笑む。
「いいね、彼岸で愛でてやろう」
そうすりゃ、もっと立派な呪物に育つだろうさと囁いて、自分の影にガンガン放り込む。そして、そんな姿を桜の精に見られてるとは……気が付いていたので、ウィンクをひとつ飛ばしていた。
「わあ、ウィンクがお上手で……」
「ん? どーしたのにいちゃん! うぃんなー?」
「いえ、何でもないです! ここにも欲しいものはなさそうなのであちらに行きましょう!」
雲珠は賢いので、ヤッベー呪物を買い漁って影にポイポイしていく逢真の姿は見なかったことにしたのであった。
さて、ラトナを頭に乗せたレイジョーブラックことスキアファールはといえば、とても、とても健全に買い物を楽しんでいた。
「この椅子、とてもいいですね……長時間座っても腰が痛くならない……腰痛持ちでも座れる椅子……」
両親と先生にはこれだと、真剣な顔で吟味した椅子を買い求め――。
「三つ……あ、私の普段座る椅子としても……お客さん用にも一つ……」
順調に買う量を増やしていた。
「これでよし、あとは高性能マイクとゲーミングPC、こちらは動画編集ソフトも入っている物を……」
いざいかん、魅惑の家電の中でもパソコン関係に特化したお店!
「おお……本当に光ってますね……」
カラフル過ぎてちょっと目に痛い、自分のは光らない物にしようと店員に声を掛けた。
「すいません、このお店で一番高性能なもので、霊障にも長時間耐えうる性能の物を見せてください」
さりげなくトヲルから渡された一筆を渡し、無茶ぶりをしていく!
「あとは以前から気になっていたゲーミングチェアとやらも……」
ヘッドフォンにマウスも一番いい物をと、実際に座ったり触ったり、操作してその使い心地を確認して購入を決めていく。
「やはり実際に触ってみるのが一番ですね」
堅実な買い物である、そして粗方欲しい物を手に入れて、配送まで頼んだスキアファールはまだまだDの入っているアタッシュケースを手にし、さてどうしようかと考え込む。
「はっ、折角ならトーさんに普段着として使えるTシャツや、雲珠さんが好きそうな人形を……!」
何かゆるい魔界キャラの入ったTシャツとか、三十路って書かれたTシャツとか、幼女って書かれたTシャツとか。鹿とか鹿とか、鹿の人形とか……!!
「縁さんや朱酉さんには何が良いだろう……」
スマホを買うと言っていたから、ストラップとか? 朱酉さんは何に喜ぶか……ハッ、ここはトンチキグッズ……? なんて考えながら、魔界のちょっとアレなジョークグッズを買ってみたり、それならば案内してくれた八重垣さんや今日はやんごとなき理由とかで来られなかった深山さんにも……! と、あちらこちらをうろちょろしていた。
そして勿論、それを桜の精は見ていたのである。
「スーくん、楽しそうで何よりです……!」
「わー、なんかいっぱい買ってるね!」
「はい、俺たちも負けてはいられません!」
別に勝負などではないけれど、こうなったら良い物を買うぞと雲珠が張り切った。
ではこちら、レイジョーサクーラこと雲珠とレイジョーホワイトことトヲルの買い物のターンである。
「にいちゃん、何かおっか! ええとほら、パパさんにお土産とか買っちゃう?」
「パパ……?」
パパ? と雲珠が思わず首を傾げると、トヲルがほら! と言葉を続ける。
「鹿のパパさん!」
「……あ、あれは言葉の綾で! 決して父上と思ってるわけでは……」
恐れ多いです、と言いながら雲珠がぴたりと動きを止めた。
「どしたの?」
「トヲルくん! 見てください、動く歩道です……!!」
「わー、なっげー! 見えないとこまで続いてんね!」
「……乗りましょう!」
目をキラキラさせた雲珠がぴょいんと乗って、わーいとトヲルも続く。
「なんだか不思議ですね、自分で歩かなくても進む……」
「走ったらたのしそー!」
「あっ、ダメですよ! 転んだら大変なことになりそうでしょう?」
「たしかに……」
多分トヲルの勢いで走ったら大惨事だ、トヲルは平気だけど雲珠はきっと平気じゃない。だからトヲルは大人しく雲珠の隣に立つことにした。
「うーん、何でも買っていいと言われると逆に迷ってしまいますけど……何でも買っていいんですよね? 本当に?」
「そーだよ! 何でも買っていいんだよー!」
「なら、バネが飛び出た事務所の長椅子を新調したいです……!」
よいソファは高いのだと、雲珠が力説する。今使っている長椅子も何処かから貰ってきたもの、それ自体は良いしありがたいのだけれど、さすがにバネが飛び出てしまっては寿命も寿命だ。
「にいちゃん、あそこはー? 家具いっぱいあるよ!」
「いいですね、ではこの歩道から……んしょっと」
ぴょん、と下りれば地面はもう動いてなくて、自分の足で歩く感覚になんだか不思議と思いながらソファを見る。
「たっっっか! えっ、思っているよりも桁が多い……!」
「だいじょぶ! Dいっぱいあるから!!」
トヲルが付いてきてくれて、本当に良かったと雲珠は思う。一人ではきっと桁の多さに慄いて何一つ変えぬままだったかもしれない。
「わー、こっちはふかふかだよー!」
「し、沈む……!」
沈み過ぎず、座り心地がよく、立ち上がる時も苦にならない、そんなソファを探してあれでもないこれでもないと、やっと見つけた逸品を買い求める。
「にいちゃん、ほかにはー?」
「あとはお宮のお客様用に肌触りの良い寝巻とか……綺麗な絵の具とか」
「全部見よーよ!」
「はい! トヲルくんは? 何か欲しいものないですか?」
「えっ、おれ? おれはあんまり……」
そう言いかけて、トヲルがオリジナルTシャツ屋さんを見つけて足を止める。
「あ! あれ買お! チームTシャツ! おそろ!!」
「ああ、いいですね! 俺達、チームにも色々ありますし」
モノクロブラザーズに白蛇衆に、お嬢様戦隊に。
「やっぱり背中におじょーさま戦隊ってはいっててー、前の方には色のなまえかなー!」
自己主張が激しいTシャツではと思いはしたが、わかりやすさではナンバーワンである。はしゃぎつつデザインを決めるトヲルを眺め、雲珠はあとでスーくんと一緒に夏服でも見繕ってあげようと心に決めるのであった。
「たンまり買ったなァ」
満足気に逢真が店を出ると、縁貴が手にスマホを持って上機嫌で歩いているのを見つけて声を掛ける。
「よォ、ご機嫌だなァ虎兄さん」
「あ、かみさま。それはもう、いいスマホが手に入りましたから」
ほぼほぼ望んだ通りのスペックで、通信量も前払いで全て済ませた縁貴はスマホを懐にしまって歩く。
「そいつは何より……ン、ありゃ黒兄さんだな」
「背が高くて目立つって才能だなァ……スー帅哥!」
「あ、縁さんに朱酉さん。今からフードコートに行こうと思ってたんですけれど、ご一緒に……あ、トーさん! それに雲珠さんも!」
「あっスーさん!」
続々と集まった皆に、逢真が笑う。
「ひ、ひ……集合場所いらンかったか」
「待ち合わせ場所で落ち合うのも素敵ですけれど、偶然出会えるのも素敵ですね! 皆さん、何処かへ行く途中でしたか?」
「啊、スー帅哥がフードコートに行こうって」
「はい、良い所で会えました。一緒に食べましょう!」
「いっしょにたべよー!」
約束された大喰らいの伝説が、今始まろうとしていた――!
「俺は端っこにいるとしようかねェ。ああ、それと買ったものの見せ合いとかどうだい?」
「いいですね! 俺も見せたいです!」
逢真の提案に雲珠が頷き、あそこのテーブルにしましょうと動く。
「その様子だと、好い買い物出来たみたいだねェ」
皆、と縁貴が笑うと、四人がそれはもう、と今日の戦利品に笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レディ・アルデバラン
(アンテナショップを畳む手伝いをしながら)
さあ、悪く正しく稼いだ金はパーッと使いますわよ!
ではこれはあなた達の分(几帳面に等分したDを部下達に配り)
いいです?皆様は第九地獄の誇りを背負う煉獄の軍勢。
ここに名を刻む勢いで豪遊するのですわ!
さて、菊花さん?
わたくし、今年は浴衣を仕立てようと思っていましたの。
出会ったばかりで不躾なお願いと思いますが、その……あなたなら和装に詳しいと思いまして。ご教授いただけるかしら。
Dは沢山ありますから、菊花さんも一緒にショッピングしましょう?
(浴衣の希望を聞かれて)
わたくしはほら、偉大な魔王の父を持つ悪魔の中の悪魔ですもの。
似合うのはこう……悪魔的にブラックで邪悪で……スプラッタな……?
(ふわふわっとした内容を伝える。レディは自分であまり服を買わないのだ!)
(アドリブ歓迎。キャッキャしながら菊花ちゃんと一緒に服を買う様をお願いします!)
●この後めちゃくちゃ意気投合した
イレーヌに諸々売りつけ……もとい、全てお買い上げいただいたその後も、レディ・アルデバラン(第九地獄の悪魔姫・f31477)のアンテナショップはめちゃくちゃ繁盛していた。
「ありがとうございますわ、こちら自慢の品ばかりですの」
一般悪魔達にも第九地獄の特産品は受けがよく、慌てて取り寄せた品も瞬く間に売れていきガッポガッポって感じである。
「本日完売、本日完売ですわ! よろしければ第九地獄までお越しくださいませね!」
宣伝も忘れず、レディは率先してアンテナショップを畳む手伝いをし、売り上げの精算を済ませると本日分のお給料だと部下達に手渡した。
「さあ、悪く正しく稼いだ金はパーッと使いますわよ! ではこれはあなた達の分」
几帳面なまでに等分した『D』を渡された悪魔達は、ありがとうレディ様! とうっきうきだ。
「いいですわね? 皆様は第九地獄の誇りを背負う煉獄の軍勢。ここに名を刻む勢いで豪遊するのですわ!」
おー!! という雄叫びを残し、悪魔達が俺達のレディ様ほんと推せる、次も頑張ろうと散財する為に散らばっていく。それを見送って、ふう、と一息ついてレディが第九地獄特産のアルデバラン饅頭を齧っている菊花に向き直った。
「さて、菊花さん?」
「ふぁい?」
「食べてからで大丈夫ですわ」
こくこく、と頷いて菊花が小さいお口にすっかり饅頭を詰め込んでしまうと、さりげなくお茶を渡したりしてくれている。優しく気遣いもできるお嬢様、それが第九地獄の悪魔姫なのだ!
「ん-、美味しかったぁ!」
「そうでしょう、そうでしょう、ふふふ」
「ご馳走様でした! それでうちにご用事ってなんやろか?」
そうでしたわ、という顔でレディが頷きちょっぴり恥じらいの仕草を見せる。
「わたくし、今年は浴衣を仕立てようと思っていましたの」
「浴衣! ええねぇ、どんなのにするん?」
「それが……わたくし、和装には詳しくなくて……」
もじもじするお嬢様かわええな、と菊花が次の言葉を待つ。
「ですから、出会ったばかりで不躾なお願いと思いますが、その……あなたなら和装に詳しいと思いまして」
「せやねぇ、それやったら多分力になれると思うんよ」
菊花の言葉にパッと顔を上げてレディが白い頬を薄紅に染める。
「では、ご教授いただけるかしら」
「勿論、大船に乗ったつもりで安心してええよ!」
「頼もしいですわ! Dは沢山ありますから、菊花さんも一緒にショッピングしましょう?」
水着に浴衣、普段使いの洋服だってと二人笑って浴衣を売っている場所を聞くべくコンシェルジュの元へ歩き出した。
どうせならば富裕層向けの、ちょっと……それなりにお高いお店にしようと踏み入れたのは浴衣から小物まで揃うお店。あっちを見てもこっちを見ても、浴衣がずらりと並んでいてレディがどれから見ればと目を瞬かせる。
「レディちゃんは、どんな浴衣がええの?」
「そうですわね……わたくしはほら、偉大な魔王の父を持つ悪魔の中の悪魔ですもの」
うんうん、と聞きながら菊花が気品ありそうな浴衣やろかと思っていると、レディが迷いながらもイメージを伝える。
「似合うのはこう……悪魔的にブラックで邪悪で……スプラッタな……?」
「そんなデビルキングワールドの大地に俺が立つ、みたいな浴衣を……?」
「まぁ、わたくしはデビルキングワールドの大地に立っているのですが……」
普段から自分で服を買うという事をしないレディの要望はふわっふわであったが、なんとなく取り入れつつレディに似合う浴衣を探すことにした。
「これなんかどうやろ、やっぱりレディちゃんは黒い浴衣が似合うと思ってな」
菊花がこれとこれとこれ、それとこっちも、とレディの前に出したのは全て黒地の浴衣であったがデザインが違うもの。赤い可憐な花の咲くもの、清廉な白い花の咲くもの、よろけ縞の入ったモダンなもの、和装を損なわない上品な紫色の薄いレースを重ねたゴスロリ風味のもの……等々である。
「あら……まあ、まあ……!」
素敵、と顔に書いてあるような表情でレディが菊花を見る。
「気に入ったんあった?」
「ええ、どれも素敵で迷ってしまいますわ……」
だったら全部買ってしまえばいいじゃない、どうせ使ってしまわなくてはいけないDだもの!
「でもこんなに……着る機会があるかしら」
「夏祭りとかしたらええんとちゃうやろか、第九地獄で」
「……ビジネスチャンスですわね?」
お色直しで色々な浴衣を着たっていいし、連日祭を開催して日替わりで着るのもきっと楽しい。
「あら、それなら菊花さんも是非いらして」
「ええなぁ、あの美味しいお饅頭も売るんやろ?」
勿論ですわ! とレディが花のような笑みを浮かべる。
「屋台で第九地獄のマスコットの人形焼きとかな」
「いいですわね、早急にデザインを決めて金型を発注しなくては」
そう、全て今あるDで!
でもその前に、もう少し浴衣だけでなくお洋服も見たいですわ、とレディが菊花の手を取ってはにかんだように微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
百鳥・円
【まる】2◎
そうそう、おねーさんの名前をお聞きし損ねたんです
おねーさんのお名前は?
ラナのおねーさん、ですね
んふふ、しっかりと覚えましたよう
ゼロのおにーさんにノートのおにーさん
様々なおにーさんの人格にお会いをしました
新しいご縁も嬉しいものですねえ
ショッピングは大好きですよう
わたしもラナのおねーさんに見立てたいです
楽しく手を繋いで参りましょ!
好きなものはたくさん
嫌いなものはほんの少しですよう
おねーさんの好みに着飾って下さいな
ゼロのおにーさんに掛け合わされた人格、ですものね
言葉には表さずに心の中で呟きます
おにーさんも、おねーさんも
皆自由になれる時が来たらいいのに、なんて
らしくも無いことを思ってしまいます
甘いものも楽しい時間も大好きですよう
もちろん、喜んで。最後の時間まで楽しみましょ
こちらこそ、ありがとですよ
ぎゅうっとおねーさんを抱きしめて
手を振って見送りましょう
おや、おにーさん。お目覚めですか?
化粧落としのシートは必要です?
んふふ。なんにも言ってないですよう
楽しかったことに違いはないですけど
ゼロ・クローフィ
【まる】2◎
私の名前を言い忘れてたわね
私はラナよ
美しいモノを愛する乙女、よろしくね
ゼロもノートもなかなか癖ものだからだから大変でしょう?
私も素敵な縁が出来て嬉しいわ
女の子同士ショッピングを楽しみましょう
彼女の手を繋いでお店へと回る
服屋へと入ると片っ端から何着か手に持ち
彼女の身体に合わせて確認する
色々コーディネートしたかったの
貴女の好みって何かしら?
好みは沢山、嫌いなのは少し
わかったわ
あら?私も見立ててくれるかしら?
美少女を着飾るって心癒されるわ
今の身体じゃ普通の女性モノ着れないもの
無駄に筋肉あり過ぎよ
気にしてくれてるのかしら?
ふふっ、優しい子ね。ありがとう
お礼に甘いモノ食べに行きましょう
激甘盛りパフェよ
ふふっ、いいわぁ
美味しそうに食べる姿も可愛いわ
色々ありがとう
また遊んで下さる?
仲良しのハグよとぎゅぎゅとしながらゼロの人格と交代
アイツめこの状態で変わりやがって
彼女から離れてゴシゴシと顔を拭いて化粧を取りつつ
あっ?彼女の姿を見て
はぁとため息をついた後
楽しかったか?そりゃ良かったたなと笑って
●内緒の女子会
オブリビオンを追っ払って、たっぷりと『D』の詰まったアタッシュケースを手にした百鳥・円(華回帰・f10932)はそう言えば、とゼロ・クローフィ(黒狼ノ影・f03934)――今はゼロではないけれど、の顔を見上げた。
「どうかしたかしら、円ちゃん」
優雅に首を傾げた相手に、円はこくりと頷く。
「はい、おねーさんのお名前をお聞きし損ねたんです、わたしとした事がついうっかり!」
「あら……言われてみればそうね、私も名前を言い忘れてたわね」
「んふふ、では改めて! おねーさんのお名前は?」
「私はラナよ」
ラナ、と名乗った彼女は円の知るゼロとは違う笑みを浮かべ、左右で色の違う円の瞳を覗き込む。
「ラナのおねーさん、ですね」
「ええ。美しいモノを愛する乙女、よろしくね」
「んふふ、しっかりと覚えましたよう!」
三人目、と円は笑う。一人目はゼロ、二人目はノート、そして三人目がラナ。
「ゼロのおにーさんにノートのおにーさん、ラナおねーさん!」
様々な人格を持つ彼は自分がだれで、どれが本当の自分なのか、名すらも忘れてゼロを名乗っている。円がよく話すのは主人格たるゼロだけれど、違う人格を見せてもいいと思ってもらえるのは嬉しいものだ。それに――。
「新しいご縁も嬉しいものですねえ」
「私も素敵な縁が出来て嬉しいわ」
ゼロ、いや――この場ではラナと呼ぶべきか。
ラナが悪戯っ子のような笑みを浮かべ、ゼロもノートもなかなかの癖ものだから大変でしょう? と内緒話をするかのように円の耳元でくすくすと笑いながら囁く。
「そうでもないですよう! よく遊んでもらってます」
「うふふ、円ちゃんはいい子ねぇ」
ゼロが聞いていたら、俺が遊ばれてるんだと言いそうな会話をしながら何処へ行こうかと二人が笑う。
「円ちゃん、ショッピングはお好きかしら?」
「もちろんです! ショッピングは大好きですよう」
「良かった、私も大好きなの。それなら、女の子同士ショッピングを楽しみましょう」
エスコートをするようにラナが円の手を繋ぎ、何から見ましょうかと視線を向けた。
「やっぱりここはお洋服ですかね、水着と浴衣も気になるところですが」
「いいわね、良さそうなショップに片っ端から入りましょう」
ここなんてどうかしら? と、ショーウィンドウに飾られた服を見てラナが円の手を引く。中に入るとカジュアルなものからフェニミン系、モード系と幅も広く円にもラナにも似合いそうな服がたくさん並んでいる。
「そうね……これとこれ、それからこっちと……これもいいわね」
ラナの視線が円と洋服を行ったり来たりして、最終的に何着か手にした服を円の身体に合わせていく。
「私ね、色々コーディネートしたかったの」
「コーディネートですか?」
「ええ、可愛いものに綺麗なものを……あら嫌だ、私ったら貴女の好みを聞いていなかったわ」
貴女の好みって何かしら? と服を手にしたラナが円に問う。
「うーん、そうですねえ。好きなものはたくさん、嫌いなものはほんの少し、ですよう!」
だからおねーさんの好みで着飾ってくださいなと、円が微笑んだ。
「あら、いいの? うふふ、張り切っちゃうわ」
好みは沢山、嫌いなのは少し、でもきっとどんな服でも着こなしてしまうんでしょうねとラナが笑う。
「それなら、いろんなファッションからこれぞ! ってものをひとつずつ選びましょうか」
まずはカジュアル系、と着回しの利くロングワンピース。大きなサマーフラワーを大胆にあしらったワンピースは初夏から夏の終わりに掛けて大活躍すること間違いなし。
「羽織を変えるだけで印象もがらりと変わるから、あのカーディガンとデニムジャケットも必須よ」
「あら、とっても素敵ですね!」
実際に着てみれば円の好みにもぴったりで、ラナの慧眼に感心するばかりだ。
「モデルの素材が良いからよ」
次はこれ、と渡されたのはプチハイネックのオフショルダーブラウス。黒という重ための色だが、袖がレースになっているのと肩が出て円の白い肌がよく映えることで甘くなり過ぎない、少し大人向けのフェミニンコーデになっていた。
「スカートはハイウェストのミニスカートも合うし、デニムもいいわね。ゴールドのチェーンネックレスで首回りを華やかにして……うん、似合うわ!」
楽しそうなラナの様子に、着飾られる円もご機嫌だ。
「ああ、やっぱり美少女を着飾るって心癒されるわ……!」
「おねーさん自身はいいんです? わたしもラナのおねーさんに見立てたいです」
「あら? 私も見立ててくれるかしら? でもそうね、今の身体じゃ普通の女性モノ着れないもの、無駄に筋肉あり過ぎよ」
見て、ムキムキ! と、ラナが笑う。
「確かにムキムキですねえ、無駄な脂肪がないともいいますけれど」
ふふ、と笑いながら円が思うのはラナのこと。
ゼロのおにーさんに掛け合わされた人格、ですものね。おにーさんも、おねーさんも、皆自由になれる時が来たらいいのに、なんて自分らしくも無いことを思ってしまうほど、ラナは楽しそうだったから。
言葉には出さずとも、ラナには伝わっただろうか。優しい目をして、こちらを覗き込んでいる。
「……気にしてくれてるのかしら?」
それに言葉は返さずに、円はふんわりと微笑む。
「ふふっ、優しい子ね。ありがとう」
「そう思って下さるなら、一着くらいは見立てさせてくださいな」
ゼロの肉体であっても、ラナに似合う服。
「モノトーンコーデなんていかがです? 黒のシンプルなトップスシャツに白ストライプのワイドパンツで腰に太めのリボンベルト! 靴はおねーさんの瞳の色と一緒のパンプスなんて似合うと思いますよう!」
「あら……あらあら、素敵ね! これならムキムキも隠れるわね」
素敵なコーデを楽しんで、あれもこれも買い求めてあっちへふらり、こっちへふらり。
二人の両手がショッパーでいっぱいになる頃には、笑顔で満ち溢れていた。
「ああ、楽しかった! ねぇ、お礼に甘いモノ食べに行きましょう」
「甘いもの! 甘いものも楽しい時間も大好きですよう」
「決まりね、激甘盛りパフェよ」
「もちろん、喜んで。最後の時間まで楽しみましょ」
二人でつつくなら、ジャンボサイズもなんのその。パフェパーラーに入ってメニューと睨めっこをしながら季節のフルーツ盛りパフェを頼み、その大きさとキラキラと輝く宝石のようなフルーツに二人の瞳も煌めいて。
「桃にマンゴーに苺にメロン! 贅沢ですねえ」
「どれも生クリームやアイスと合って、美味しいわ」
こっちも、あっちも、この部分も美味しいとパフェを堪能して円がほっぺたが落ちそうです、と満足そうに微笑む。
「ふふっ、いいわぁ。美味しそうに食べる姿も可愛いわ」
「おねーさんもですよう!」
あら、私も? と、パフェスプーンを手にしたラナが笑った。
楽しい時間はいつか終わるもの、パーラーを出て噴水広場の前でラナが円の手を握る。
「色々ありがとう、とっても楽しかったわ」
「こちらこそ、ありがとうですよ」
「また遊んで下さる?」
「もちろんですよう!」
嬉しい、仲良しのハグよ、とラナが円を抱きしめて親愛の情を伝えると、円もお返しをするようにぎゅうっと彼女を抱きしめた。
「それじゃあ、またね円ちゃん」
「はい、またです」
円が手を振って、ゼロと意識を交代するラナを見守る。目を閉じて、もう一度開いた時には――。
「……アイツめ、この状態で変わりやがって」
「おや、おにーさん。お目覚めですか?」
ハグしたままの態勢に眉を顰めつつ、ゼロが円から離れる。
「何か顔がベタベタするんだが」
「化粧落としのシートは必要です?」
ゲェ、という顔をしてゼロがシートを受け取ると、顔をゴシゴシ拭いて化粧を取った。
「……何か言いたそうだな」
じっと自分を見ている円の姿を見て、溜息交じりにそう言うと彼女が笑う。
「んふふ。なんにも言ってないですよう」
ああ、でも。
「楽しかったことに違いはないですけど」
「楽しかったか? そりゃ良かったな」
きっとアイツも楽しかったんだろうよ、とゼロが笑った。
「ところでゼロのおにーさん」
「なんだ?」
「お着替えもなさいます?」
「……あっ」
自分の恰好を見たゼロが苦虫を嚙み潰したような顔になったのに笑って、円はこっちですようとゼロの手を引いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
瀬古・戒
【箱2】◎
立ち入り禁止のテープをぐーるぐる
メガホン片手に放送を「こっからここまでショッピングセンターの商品と場所は買いました俺のでーす」 てコラ余計な放送すなッ!
服このままでもいーんだけど…しゃーねぇなぁ飾ってやろう
宝石やら何やらでラファンを飾り付けそのまま買い
ひゅーお姫さま!てか音楽付きてハズイじゃんよ
……ぇ、待ていつの間に身も心もジョブも魔女に???えっ可愛いこの子は…スイとレン!?ちょ、もう!ばっばかぁ!…ぐ………ありがと
エスカレーターに逆走用看板取り付け逆走
ショッピングカートをキックボードにしてシャーして店内爆走しつつ肉を放り込み店内でBBQしちゃおう、ワルなので
俺らでBBQしてもアレだし手伝って貰った楽団の皆様も誘って
腹が膨れたところで、全部持って帰れねぇし、買った菓子やらタンスやらテレビを餅投げみたく屋上から放り投げオラァもってけーする
頑丈なデビルの皆様ならへーきっしょ?はー楽し!
俺も投げちゃうの???……しゃーねぇな大事にしろよな!!!
覚悟決めてラファン目掛け飛び降りる
ラファン・クロウフォード
【箱2】◎お嬢様は、続行で
戒を抱き寄せ「俺達、新婚です。BBQパーティーと餅撒きをするんでよかったら楽しんでってくださーい!」
楽団の皆さんに音楽で盛り上げてもらう
買い物前に、着替えたい!とダダこねる
戒にゴシックな男衣裳、俺はゴシックな姫魔女衣装、スイはお姫様、レンは王子様
更衣室でスイとレンに欲望具現化魔法を使って5歳くらいの子供に変身させる
この為だけに、魔女に転職した
遊園地で羨ましそうにしていたからさ
戒へのサプライズ、喜んでくれるかな
蒼い炎の髪がふわふわして可愛いっ!
スマホ構えて視線こっちください!!
買い物カート、安全運転お願いぃぃ!!
子供達が興味を持ったもの全て購入、売約済のシールの舞
逆走エスカレータに挑戦するスイとレンを、ゴールで応援
腕を広げて飛び込んでオイデ!
妻と子が満腹になるまで肉を焼きまくる。楽団の皆さんも召し上がれ
餅撒きの景品は、魔王城の権利書、援軍増援セット、ダミー宝箱など、対勇者なグッズを投げる
地上に降りて、俺にも投げてと両手を振る
飛び降りてごらん、抱きとめて離さないぜ!
●これもひとつの家族の形
悪役令嬢・イレーヌを蹴り飛ばし、観衆の皆様を満足させるようなフィナーレを決めたラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)と瀬古・戒(瓦灯・f19003)、イレーヌの手下が落としていった『D』がたっぷりと詰まったアタッシュケースを手にし、悪い顔をしながら見つめ合っていた。
「これで俺達がこのDを使いたい放題ってわけだな」
「楽団の皆さんに払う金は残しておけよ、ラファン」
そうだった、先に払っておこうとラファンが楽団の皆さんへと支払いを済ませる。それから、二人で顔を突き合わせて『このDをどうやって使い切るか』という相談を始めた。
「どうせなら、ここでしか出来ないことをパーっとやりたいよな」
「やりたいこと……バーベキューがしたい」
ラファンが腹減った、と戒に訴える。
「バーベキューか、いいな。やろやろ」
「戒は?」
「俺はそうだな……こっからここまでを、規模をでっかくしてやってみたい」
ケーキのショーケースのここからここまで、というのも憧れの一つだが今回手にした『D』は中途半端な使い方では使い切れないもの。それなら、いっそ――。
「あの店からこの店まで!」
「面白そうだ」
さすが俺の嫁、さす嫁であるとラファンが頷いた。
行動力なら誰にも負けないこの二人、さっそくとばかりに規模の大きな買占めを行い、半径五百メートルほどをお買い上げである。
「こっからここまで、ショッピングセンターの商品と場所は買いました! 俺のでーす!」
立ち入り禁止と黒字で書かれた鮮やかな黄色いテープをぐるぐるに張り巡らせつつ、戒がメガホンを片手に叫ぶ。
「さすがに半径五百はやり過ぎたか?」
「Dのほとんど吹っ飛んだな。でも戒」
こっからここまでの半径五百メートルが俺達のものということは、人目も何も気にすることなく色々やれてしまうという事だとラファンが晴れやかに笑う。
「……エスカレーターで逆走とか?」
「ショッピングカートをキックボードにして店内を爆走もだぞ」
ワルじゃん! と戒が目を輝かせる。
「一度はやってみたい、でも倫理観が邪魔して出来なかった事ができる……!!」
しかもここはデビルキングワールド、ドデカイ悪事が歓迎される場所――!
これはやるしかない、今すぐやろうと駆け出しそうになった戒をラファンが引き留めた。
「何だよ、善は急げだろ?」
やる事は悪事だけれど。
「やる前に着替えたい!!」
「え、着替え? 服このままでもいーんだけど……」
ま、いつもの服装の方が動きやすいけどさ、と思っていた頃が戒にもありました。
「なんで???」
買い占めた一画の中にあるブティックの鏡の前で、戒は宇宙猫顔を決めていた。
「さすが戒、似合うな」
ラファンが戒に選んだのはゴシックな男性衣装、中世風の意匠の細かいフロックコートがやたらと似合っている。
「普段着に着替えるんじゃなかったのかよ!」
「え?」
そんな事誰も言ってませんけど? みたいな顔をしながらラファンが戒を着飾って、満足そうに笑みを浮かべた。
「にゃろう……しゃーねぇなぁ、こうなったらラファンも飾り付けてやんよ!」
「お姫様で頼む」
「任せろ!」
お嬢様からお姫様にランクアップである、戒の衣装に合わせた中世ゴシック風のスカート部分が膨らんだドレスはフリルもたっぷり。更にそこから戒のチョイスで宝石やらリボンやらで飾り付けていく。
「似合うか?」
「似合う、さすがラファン!」
さすが俺の旦那、さす旦那である。
「ひゅー! お姫様! ってか、なんで楽団の皆さんが音楽奏でてくださってんの?」
ハズイじゃんよ、と戒がちらりと楽団の皆さんを見遣る。
「払ったDの分は仕事してくれるって」
「律儀だな!」
あと多分見てて面白いのと、悪事をかっけー! って思っての事である。
「戒、ちょっとスイとレンを貸してくれないか」
「ン? いいケド」
ほれ、と戒から双子の水子霊である鬼火を借り受け、ちょっと待っててくれと更衣室へ向かう。何をするのかさっぱりわからないまま、戒はラファンに似合いそうなティアラを物色するべく店内を再び歩き出す。
一方更衣室では、ラファンがスイとレンを前にして欲望具現術を使い子どもの姿へと変身させていた。
「かっわ……」
語彙力を無くし、うっかり崩れ落ちそうになったところを何とか耐えてラファンがスイをお姫様に、レンを王子様へと着替えさせる。スイとレンは言葉を発することはなかったけれど、その表情からして楽しそうなのは間違いない。
完璧なコーディネートを二人に決め、ラファンが戒の名を呼んで更衣室から出る。
「戒!」
「おー、終わったか? ……え? え???」
お姫様衣装のラファンの左右の手を握るのは可愛い王子様とお姫様。
「産んだ????」
「違う」
「えっ、じゃあ可愛いこの子達は……」
よく見れば、王子様には角が二本、お姫様には三本あって――。
「スイとレン!?」
正解! とばかりにスイとレンが戒に飛びつく。
「うぉあああ、か、可愛い!」
「そうだろう、そうだろう」
「えっ、どうやったんだ?」
「戒、俺は」
神妙な顔をしたラファンに、戒がごくりと喉を鳴らす。
「この為だけに、魔女に転職した」
「はい?」
魔女に??? >>神の魔女×クレリック<<
「……ぇ、待ていつの間に身も心もジョブも魔女に???」
マジじゃん、と戒がラファンを二度見する。
「今の俺は姫魔女ということだな」
お姫様は魔女!!!
「戒、この間行った遊園地で羨ましそうにしていたからさ」
サプライズだと、ラファンが笑う。
「ちょ、もう! ばっばかぁ! ……ぐ……ありがと……」
スイとレンを抱きしめて、戒がラファンを見上げる。
「どういたしまして」
ちなみに、この『どう』の辺りでスマホを取り出し、『いたしまして』の部分でラファンはカメラを起動し写真を撮っていた。
「蒼い炎の髪がふわふわして可愛いっ!」
戒の耳の部分から溢れる炎のように、スイとレンの髪は蒼い炎でふわっふわ。三人の笑顔を余すところなく捉え、シャッターを切る。
「視線こっちください!!」
「お前も写れ!!」
店員さんに頼んでスマホを戒の分も渡し、フォルダがパンパンになるまで撮ってもらうと、二人と二体――いや、四人は手を繋いでショップを出て、次はバーベキューだと声を上げた。
「スイとレンの教育に悪い気もするが、今日はワルイことをする!」
「デビルキングワールドだからな」
「具体的に言うと――店内でバーベキューしちゃおう、ワルなので!」
「これはワル!」
よーしやるぞー! と戒とラファンが拳を振り上げると、スイとレンも真似して拳を上げる。ヤバい、可愛い。スマホのデータ容量0になっちゃう。
「まずはエスカレーターに逆走用看板取り付けて逆走!!」
「一度はやってみたいやつだな!」
スイとレンもやる! と気合充分、ラファンはゴールで応援する為に待機し、戒はお手本とばかりに華麗な逆走を見せた。それに続くように、スイとレンも走り出す。
「く……かわいい……!」
シャッターを切りながら戒が呻き、ラファンが蕩けきったチーズみたいなでろでろに甘い顔でゴールはここだと腕を広げ、逆走しきったスイとレンを抱き締めた。
「仰げば尊死」
これが尊い死ってやつか……と戒が三人の姿を連写で納めていく。
「戒、次は?」
「っと、そうだった。次はショッピングカートをキックボードにしてシャー! して店内を爆走!!」
一番大きく安定性もばっちりなカートにスイとレン、そしてカゴをのせて今スタートです!
「ひゅーーー! 楽しーーーー!」
「買い物カート、安全運転お願いぃぃ!!」
ラファンの叫びも考慮しつつ、あっちへシャー! こっちへシャー! 籠の中に積みあがる肉! 野菜! 肉! 肉! 肉! 更にはスイとレンが興味を持ったお菓子などが放り込まれていく。
「子ども達が興味を持ったものは全てカゴに放り込め! 支払いは済んでる!」
「任せろラファン!!」
あれよあれよとカートに物が積み上がり、いっぱいになったカートはラファンがバーベキュー会場にしたモール内の屋外と繋がる広場へと運び、新しいカートで戒がビュンビュン爆走を決めた。
「いやー、堪能したぜ……お待たせ、ラファン」
「いや、丁度いいタイミングだ」
アウトドア用品を広げ、立派なバーベキューコーナーを作り上げたラファンが肉を焼きながら戒とスイ・レンを迎え入れる。
「俺らだけでバーベキューしてもアレだし、手伝って貰った楽団の皆様も誘おうぜ」
「よしきた」
トングをテーブルへ置き、ラファンが戒の腰をぐっと抱き寄せると何処からか取り出したメガホンを手にする。
「えっ!?」
『俺達、新婚です。バーベキューパーティーと餅撒きをするんでよかったら楽しんでってくださーい!』
さすがデビルキングワールドの拡声器、音がでかい。楽団の皆様のみならず、一般悪魔の皆様も集まって一大バーベキューイベントの始まりだ!
「コラ、余計な放送すなッ!」
「事実だからな!」
「事実だけどな!!」
餅撒きどっから出たんだ、でも買った物は全部持ち帰れねぇし餅投げの如くばら撒くのはありだなと、戒がせっせと皿に運ばれる肉を食べながら頷く。
「これも焼けた、こっちも。これは特上カルビ」
「ンメェ」
妻と子を満腹にさせるのは俺の役目だとばかりに、ラファンが肉を焼き続ける。合間に戒と子ども達にあーんして貰っているので幸せゲージも溜まるというものである。
「メチャメチャ食ったな……」
あれだけあった肉も野菜も、皆で綺麗に食べ尽くして。片付けも全員でやる事になったので、あっという間に元通りだ。
「よし……ここで最後の仕上げだな」
そう、餅撒きならぬ買った物撒きである。
「そーれマジカルラファる~~~と」
「お前魔法の呪文それでいいの???」
買った物を屋上に集め、今餅撒きスタートです!
「餅一個もねェけどな」
おらッ! と、戒がお菓子に始まりタンスやテレビを投げ飛ばす!
「オラオラオラ、もってけー!」
受け取るのは頑丈な悪魔の皆さん、怪我することもなくガンガン受け止めているのが見える。
「はー楽し!」
まだまだいくぞー! と、魔王城の権利書に援軍増援セット、ダミー宝箱に対勇者グッズ、これで今日からあなたも魔王セットが次々と投げられていく。
「投げた投げた、もう投げるもんないぞ!」
「よし、俺はちょっと下へ」
ラファンがえいっと飛び降りて、軽やかに着地を決めると戒とスイ・レンの三人へ手を振る。
「戒! 俺にも投げて!」
「いやもう投げるモンねェけど!?」
ぴっとラファンが三人へ指を向け、腕を広げた。
「え、俺? 俺も投げちゃうの???」
きゃー、とスイ・レンが戒より一足早くラファン目掛けて飛び降り、それを見事キャッチすると、ラファンが戒も! と叫んだ。
「……しゃーねぇな、大事にしろよな!!!」
女は度胸! とばかりに飛び降りれば、スイとレン、そしてラファンの嬉しそうな笑顔が飛び込んで。
「離さないぜ、戒」
「おまッ、だーー! もう!!」
ぎゅっと抱き締められたところへ、スイとレンが自分達もと抱き着いた。
「ここが天国か……」
デビルキングワールドだけれども。
俺の、俺達の家族が尊い――!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
灰神楽・綾
【不死蝶】◎
今日はお財布のこと気にせず買い物出来るだなんて
いやぁ~何買ってもいいなんて逆に悩んじゃうなぁ~
あっ、あのデビクレープ美味しそう(駆け出し
ベンチに座ってデビクレープを堪能
うんうん、すっごく美味しい
中のアイスにデビルの顔が描かれているのも可愛いよね
他の味も食べたくなってきたなぁ
というわけで、追加でもう一つ注文
人のお金で食べるクレープ最高っ
梓、次はあの店に入ってみようよ
指差した先にあるのはハンバーガーショップ
しかも、お手頃なファストフード店じゃなくて
パンも具材もこだわりぬいた高級志向のやつ
こういう機会でも無いとなかなか入れないでしょ
それに梓が料理する時の参考になるかもしれないよ~?
さすが高級ハンバーガー、見た目の迫力からして違う
高級感溢れる佇まいを色んな角度から写真に収めたあと
大きく口を開けてガブリ
ん~~パンもパティも柔らかくて美味しいっ
梓も満足しているようで良かったと横目で見ながら
あわよくば今後も高級ハンバーガーショップに行けるかも…と
ほくそ笑むのだった
乱獅子・梓
【不死蝶】◎
お前はいつも財布のこと何も気にしてないだろう??
ことごとく俺にたかっているからな!
それにタダより高いものは無いと言うし
いくら使い放題とはいえ少しは節制して……おい聞けよ!
(ご機嫌で駆け出す綾を追いかけ
デビクレープなんて言うから
口に入れた瞬間パチパチしたり激辛が仕込まれていたりするのではと
少し身構えたが、そんなことはなく普通に美味いなコレ
おい!そんなに買ったら……まぁいいか
金はいくらでもあるし(だんだん毒されてきた
高級ハンバーガー……た、確かにハンバーガーって
ファストフード店で安く食べられるものというイメージがあるから
高い料金を払って食べるのはなかなか抵抗がある
それだけにどれだけ美味しいのか気になるのも本音
…よし行くか!
おぉ…!すごいな、このパティの肉汁!
トマトもレタスもみずみずしくて
新鮮なものを使っているのがよく分かる
これらを一口で食べるだなんてすごく贅沢なことをしている気分だ
高級ハンバーガーの素晴らしさを味あわせてくれた
オブリビオンには感謝しないとな…!
●突撃フードコートご飯!
鼻歌でも歌いそうなほどにご機嫌な灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)が乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)に向かって、『D』の詰まったアタッシュケースをポンっと叩く。
「今日はお財布のこと気にせず買い物出来るだなんて、いい所に来ちゃったよね~」
「……お前はいつも財布のこと、何も気にしてないだろう??? ことごとく俺にたかっているからな!」
自分のお財布出したことあったか? というか、お前財布持ち歩いてるか?? そんな疑いの眼差しを梓が綾へと向けるけれど、綾はどこ吹く風。視線をあっちこっちへ向けて、どの食べ物がいいかなとサングラスの奥の瞳をキラキラと輝かせている。
「いやぁ~何買ってもいいなんて逆に悩んじゃうなぁ~、ね? 梓!」
「はー……、楽しい悩みだな? それよりもな、タダより高いものは無いと言うし、いくら使い放題とはいえ少しは節制して……」
「あっ! あのデビクレープ美味しそう!」
ビールジョッキサイズのジャンボクレープを見て、綾が駆け出していく。
「って、おい! 聞けよ!」
「梓もおいでよー、美味しそうだよ!」
ぶんぶんと手を振りながらご機嫌な様子で走る綾を追い掛け、梓もデビクレープ屋さんまで走った。
「ったく……どれにするんだ?」
「ん-、やっぱりここはデカデビクレープだよね」
片手では持ちきれないような大きさのクレープは、ミルクレープのように数枚のクレープと生クリームが交互に重ねられ、そこへアイス、カスタードクリーム、チョコクリーム、と盛りに盛られ、バナナや苺などが飾り付けられていた。
「ジャンボパフェみたいなクレープ、味も美味しい~」
ベンチに座り、綾が大きなクレープを躊躇う事無く食べていく。
「ほら、梓も食べなよ」
あーん、なんて言いながら綾が梓に大きなクレープを差し出す。
「……いや本当にでかいな?」
小振りなメロンくらいないか? と思いながら、デビルキングワールドのクレープか……と取り合えず一口齧る。黙ったままもぐもぐと咀嚼して、飲み込む。
「どう? 美味しいでしょう」
「デビクレープなんて言うから、口に入れた瞬間パチパチしたり激辛が仕込まれてたりするんじゃないかと思ったけど」
現にちょっとばかり身構えたりもしたのだけれど、普通に、いやそれ以上に。
「美味いな、コレ」
「うんうん、すっごく美味しい」
それに、とスプーンで生クリームを掬って食べていた綾が、出てきた中のアイスを梓に見せる。
「見てみて、アイスにデビルの顔が描かれているのも可愛いよね」
「戦争の時に見たような悪魔だな?」
これ、悪魔って言うよりも首が三つある柴犬じゃないか?? ご丁寧なことに、アイスはそれぞれ味が違っていて全部美味しかった。
「こうなってくると、他の味も食べたくなってきたなぁ」
「他の味? 何にするんだ」
「甘いのは堪能したから、お食事系クレープとか? それかほろ苦系の抹茶クレープもいいなぁ。あ、ほうじ茶クレープとハーフ&ハーフもできるって!」
「おい! そんなに買ったら……まぁいいか」
嬉々としてデビクレープへ並びにいった綾を梓が視線で追って、軽く息を零す。
「金はいくらでもあるんだしな」
アタッシュケースの中には、この店のクレープ全部買ったって余りある『D』が入っているんだし。ちょっとばかり毒されてきた梓は、自分の財布が痛むわけじゃないしなと綾の買い食いを見守ることにした。
「というわけで、追加で注文してきちゃった」
「どっちも買ったのか」
「選べなかったんだよね、お食事系クレープか抹茶とほうじ茶のハーフ&ハーフクレープ!」
まずは溶けるからとハーフ&ハーフの方に齧りつく。抹茶クリームとほうじ茶クリームがたっぷり詰まった中には、抹茶ゼリーとほうじ茶ゼリー、そして白玉などが入っていてクレープながら和風パフェ極まれりといった風情だ。
「勿論甘みもあるけど、ほろ苦さもあって飽きが来ないね」
「お前飽きる事あるのか……?」
同じ味ばっかりだと飽きる事もある、多分。なんて笑いながら、綾がペロリと食べきって、次はお食事系パフェだと梓が手にした方を覗き込んだ。
「こっちのお食事系ってのも美味いな」
「エビにツナにアボカドサラダ、合うよねぇ。んー、人のお金で食べるクレープ最高っ!」
朝食に食べたいな~、なんて綾が梓を見ながら言えば、なるほど朝食にもいいな……と梓が思案顔。しめしめ、と思いながら食べきって、今度は何にしようかと立ち上がる。
「丼物も美味しそうだし、鉄板焼きも美味しそうだなぁ……あっ!」
「どうした?」
「梓、次はあのお店に入ってみようよ」
そう言って、綾が指さしたのはハンバーガーの看板を掲げたお店。
「ハンバーガー? ここまで来てハンバーガー?」
「ただのハンバーガー屋さんじゃないよ、梓」
ほら、と綾がショーケースを指させば、ずらりと並んだハンバーガーはその辺のチェーン店ではお目に掛かれないようなビッグサイズかつ、高級志向なものばかり。
「パンも具材も拘りぬいた……って感じでしょ?」
「高級ハンバーガー……」
100%オーガニック魔界ビーフ! 無農薬魔界野菜! 店内焼き上げのオリジナル魔界バンズ! 心惹かれるキャッチフレーズに、確かにと梓も頷く。
「こういう機会でもないとなかなか入れないでしょ」
「た、確かにハンバーガーって言われるとファストフード店で安く食べられるものってイメージがあるからな」
ハンバーガーに五千円とか払う気にはなれない、それならステーキでも食べるかってなるものである。
「だよね、でもそれだけのお値段なら味が気になったり……しない?」
「する」
高級志向というだけあって、お値段はかなりのもの。懐石料理とか食べられるのでは? みたいなお値段だ。
値段に見合った味のするハンバーガーなのか、気にならないわけがない。
「それに梓が料理する時の参考になるかもしれないよ~?」
「……よし、行くか!」
Dならあるのだ、Dなら!
「やった~!」
さっそく、と扉を開ければハンバーガーショップとしての雰囲気と親しみやすさのある、いわゆるファミレスのような配置となってはいるものの、テーブルや椅子などのインテリアは一流のレストランとさほど変わりはない。
「座り心地いいな……」
これは高い椅子、と思いつつ梓がメニューを開くと綾が向かい側から覗き込む。
「どれにする? やっぱり肉厚ビーフバーガーかな。こっちのフィッシュバーガーも気になる~」
フィッシュバーガーと一口に言っても、白身魚のバーガーと魔界サーモンを使ったものがあってソースもそれぞれにあった物を使っている。
「迷うな……いっそ食べたい物を色々頼んでシェアするか」
それなりの大きさではあるが、成人男性たるものハンバーガーの一つや二つや三つ、軽々というものだ。
「じゃあ、こっちの最高級ビーフ使用の肉厚ビーフバーガーと~」
ビーフ系のハンバーガーの中では一番値が張るやつだ、抜け目ないなと梓が思いつつ、ならばこっちの自家製ベーコンチーズバーガーとフィッシュバーガー二種類だと指をさす。
「いいね、あとは……こっちのチキンバーガーかな」
フライドチキンに野菜とクリームチーズを挟んだハンバーガーも美味しそうだと、綾が笑う。
「よし、頼むとするか」
店員を呼んで注文を伝え、ハンバーガーにはやっぱりコーラだよねという綾の一言でビッグサイズのコーラも頼む。届いたハンバーガーもコーラも大きく、食べ応えに飲み応えも充分。
「わ、さすが高級ハンバーガー、見た目の迫力からして違う」
高級感溢れる佇まいを色々な角度から写真に収め、半分こということでナイフを入れる。すると切った肉厚ビーフから溢れ出すのは――。
「おぉ……!すごいな、このパティの肉汁!」
じゅわりと溢れ出た肉汁をバンズが吸って、更に美味しそうだと梓が手を伸ばす。その手も一緒に写真に収めると、綾も負けじと手を伸ばした。
「ん~~パンもパティも柔らかくて美味しいっ」
「トマトもレタスもみずみずしくて、新鮮なものを使っているのがよく分かる」
味わって食べたい気持ちと、次の一口を早く食べたいという気持ちがせめぎ合う……と、梓がハンバーガーって奥が深いなと唸る。
「これらの食材を一口で食べるだなんて、すごく贅沢なことをしている気分だ」
「ハンバーガーって贅沢な食べ物だったんだねぇ」
しみじみと言いつつ、ぺろりと肉厚ビーフバーガーを平らげた綾が今度はフィッシュバーガー食べ比べ~♪ と半分に切り分けていく。
「ん、白身はあっさりしているところを濃厚チーズとマヨが絡んで美味しい!」
「サーモンの方はトマトベースのソースだな、程よい酸味と甘さ、それからスパイスが効いてて美味いぞ」
チキンバーガーはカリカリの衣に野菜と濃厚ながらもあっさりとしたクリームチーズがベストマッチしていて食が進むし、自家製ベーコンは極厚切りでビーフパティに負けない食べ応えだと二人で頷き合う。
「高級ハンバーガー、今までは食べようとも思わなかったが……この素晴らしさを味あわせてくれたオブリビオンには感謝しないとな……!」
「梓も満足してくれて、俺は嬉しいよ」
ポテトを摘まみつつ、もう一個くらいいけるなとメニューを眺めながら、あわよくば今後も高級ハンバーガーショップにいけるかも……なんて思いながら綾が笑う。
「しかしあれだな、さすがに食だけじゃ使い切れないな……」
「じゃ、この後はショッピングでもする? 新しいコートが見たいんだよね」
「コートか、色々見に行ってみるか」
食後の腹ごなしも兼ねて、と二人が顔を見合わせて笑った。
大成功
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