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ジェミニ・クラッシャー!

#UDCアース #眼鏡

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#UDCアース
#眼鏡


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●顔の装飾と言えばやっぱりさあ!
「うっわーーーー!!」
 歓喜の叫び。男は眼鏡だらけの特殊な空間に感涙するばかり。
 こんな特殊な体験なんてめったに出来ないぞ、という気持ちとこんなご褒美合っていんですか?という疑心暗鬼。
「顔に掛ける眼鏡一つアレば十分なのに、これは一体どれほどの金銭が発生するんだ?」
 その空間には、何処を見ても眼鏡眼鏡眼鏡。
 非常に不可解な空間が広がってしまっていた。
「えらべないえらべない!でも、っああーーーーー!!」
 最高オブ最高!『自分に似合う眼鏡を掛けないと出られない部屋』ってなんだよ!
 男は何故か備え付けられた鏡を見つめて、あれでもないこれでもないとメガネを合わせてみて、ニコニコする。
 でも、男は解っている。
 眼鏡というコンテンツを愛しすぎている自分は、『自分に似合う眼鏡』をたった一つ。
 眼鏡というジャンル自体を愛する男は、一つなんて選べない。
 この頭のおかしな空間からの脱出など――出来ないのだ。
『……マジロ、マジロ。割るマジロ』
 ぱりん、ぱりん。
 ぐしゃり。ぱりん。ぱりん。
 時々ガラスを割る音が聞こえるのは、きっと、きっと気のせいだろう。

●めがねはかおのいちぶですよね!
「……狂った人の趣向ってわからないものよね」
 ジュウラ・ガイロストール(旋律の駆け手・f30194)は、じろり、と眠そうな瞳を猟兵へ向ける。
「自由な思想を膨らませていた人物がいたそうよ。ただ、周囲からはとても浮いていて、仲間が居たという話は無いわ」
 変人。奇人。呼ばれ方は様々で。
 ただ、言動に耳を傾けるものは一人としていなかった孤独の男がいたという。
「彼の思想に応えたものは邪神だった。残念な話よね」
 はあ、とため息。
 ジュウラは深めに息を吐く。
「真面目に聞いて、真面目に聞かないで欲しいのだけれど。邪神の力の一端が流れて漏れている門(ゲート)がね、発生しているの。……一般男性の家に」
 現場はとても局地的。
 UDCエージェントたちもおかしな事態に気が付きつつも、手が出せないでいる。
「門(ゲート)は邪神と半ば融合しているから、破壊に手を伸ばすことも――調査に踏み込むことも用意じゃないのよ。状態が状態だから」
 被害者は、確定で一名。
 自由思想を持つ男。家主。ただ一人。
 巻き込まれた被害者が少ないことは、良いことだ。
「……門(ゲート)の影響で変貌した特殊な空間があるのだけれど、『指定された行動』を行わないと、出ることも進むことも出来ないそうよ。今回指定された行動は『自分に似合う眼鏡を掛ける事』」
 猟兵たちの視線から、ジュウラは視線を逃がす。
「眼鏡よ。今回はどれも眼鏡が絡んでいるそうだから」
 男は、眼鏡をこよなく愛しすぎている眼鏡狂信者である。
 人に害を成すタイプではなくオタク気質が強い、眼鏡萌に狂う男だ。
「被害者は、無類のメガネ好きなの。脱出する手立ては、お題を達成することだけれど……選べなくて、狂気空間から脱出できないみたいね」
 まあ、男からしたら眼鏡だらけ空間は楽園かもしれないので、放って置いても害はないだろう。彼と出会わず、UDC職員たちに対処を任せても何も問題ないはずだ。
「貴方たちが向かうなら、貴方たちも『似合う眼鏡』を見つけ、身につけないといけないわ。まあ……呪いの眼鏡らしいから、事件中はずっと眼鏡が取れないらしいけれど」
 さらりと恐ろしい事を口にしたジュウラは涼しい顔をする。
 とれないということは、全員が平等に『眼鏡越しの世界』を見つめることになる。
「……ああ、呪いの眼鏡というのも強ち冗談じゃないのよ?」
 眼鏡を掛けると世界が変わる。邪神の眷属の群れがやってきて、素晴らしい眼鏡着用者である君の眼鏡を奪う、または全力で割ろうとするだろうから。
 驚きの眼鏡への執着。
「邪神の眷属も、邪神に取り憑かれた可哀想なUDCも『眼鏡を愛しすぎて壊したい一派』なの。ちょっとだけ邪神の力も使うみたい……うん、やっかいね。これは。地球に顕現したら、眼鏡の人が全体的に一方的な理不尽を被ることになるから、やはり阻止を行った方がいいと思うの。今なら門(ゲート)からはまだ、ちょっと漏れているだけだから……」
 門(ゲート)を完成させた男はメガネ好き(萌え)。眼鏡好きの男に同調して知識を与え、門(ゲート)を作らせた側の邪神もメガネ好き(ただし好きすぎて似合うやつ皆破壊したい)。
「……世の中の素敵な眼鏡を護るために、まあ、ちょっと世界を救ってきて貰っても?」
 小さな小さな嫌な事件の予知を口にするジュウラは終始誰とも視線を合わせようとはしなかったという。
 着用したら外せない眼鏡を割られてみろ、君の顔がひどい目に合うんだぞ。
 誰かのつぶやきに、猟兵達は生唾を飲むことだろう――(なんて、嫌な事件なんだ)。


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 眼鏡とUDCアースと時々邪神。

●一章:『自分に似合う眼鏡を掛けないと出られない部屋』
 めがねだらけのしろいへや。
 さあ、好きな眼鏡を選びましょう。形状はプレイングに記載してください。
 この部屋で発生した眼鏡は、呪いの眼鏡なので外れなくなります。
 もとから眼鏡をかけている人は、貴方が望むのならこの空間内で全く同一の形状を見つけることが出来、今かけている眼鏡をスッ、と外すことができるでしょう。
 あなたのめがねは、この事件の一連で壊れるべきではない運命がおありのようですね。
 事件を解決した時、掛けた眼鏡が無事なら持って帰れてしまうかもしれません。
 度あり、度なしに差はないのでお好みでどうぞ。

●二章:集団敵
 眼鏡を、奪います。
 猟兵から奪えないなら、周囲の大量眼鏡から先に奪い力を蓄える事を考えるようです。でも一番は、敵対者が掛けた眼鏡が好物(うばいたい)。

●三章:ボス戦『眼鏡割るマジロ』。
 眼鏡を、割ります。
 眼鏡割るUDCアルマジロ。

●マジロの持つ「邪神能力」
「邪神能力」として、既存ユーベルコード『アリスナイト・イマジネイション』の改変したモノを扱います。マジロのPOW、SPD、WIZ以外でも平然と扱うようです。
 邪神能力――『眼鏡割れろさあ割れろ』。
 無敵の【眼鏡】を想像から創造し、戦闘に利用できる。
 強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。

●その他
 あたまはからっぽのほうがきっとたのしいです。
 依頼の雰囲気は、OPな感じです。ふわふわ。
 お知らせは、タグで行う予定です。眼鏡は世界を換えるんだ。
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第1章 冒険 『××しないとでられない空間』

POW   :    物理的解決を目指す

SPD   :    できることがないか模索する

WIZ   :    賢さを生かして解決を目指す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

尾守・夜野
…どういう…事…だい?
後方に宇宙を背負いつつ向かうのは人格内からは人嫌い腹黒で通っている僕だよ
…僕が眼鏡かけてる率が高いから…だって
酷いよね


UC使うときに大体半分の視力差し出してるからね
単眼鏡か片方にだけ度のあるメガネが良いのだけれど…

…似合ってるか確認する為に試着とかしたいのだけどこれは外れないに入るのかな…あ、外せた…合わないという事かね?
度が自在に変わる眼鏡とか探せばあるのかな…呪いの何だし

…本当にあった…UCで差し出す対価率で度が変わる…これは是非とも欲しい…これを手に入れる為絶対解決せねば…
黒縁オーバルがあったよ
くっ…予備で複数欲しい…
どうにか持てないだろうか?

未練たらたら向かおうか



●眼鏡の魅力(まりょく)

 尾守・夜野(墓守・f05352)の頭の上には疑問符が浮かんでいた。
「……は?どういう事、…………だい?」
 その空間は眼鏡がぎっしりだった。
 ――眼鏡が好きで好きで好きだからってこんな異常な場所ができる?
 後方に宇宙を背負いつつ、視線は何処にもぶつかる要素を持たない。
 宇宙のキャットにさえなれそうだった。
 ――人嫌いで腹黒、そんな僕がこの場に来たのは運命だって?
「……僕が眼鏡掛けてる率が高いから?」
 ――はあ、ひどい人選方法だよ。全く。
「まあ、ユーベルコードを使うときに大体大半、戦術の都合で視力を差し出してるからね」
 眼鏡は必要といえば必要。
 掛けるのに一番適しているからというだけだけども。
 ――個人的に、単眼鏡か片方にだけ度がある奴が良いんだけど。
 掛けるならやはり、好ましいと思えるものが良い。
 ちらほらと、視線を泳がせて見て取れるのは眼鏡として成立しているものばかり。
 確かに奇形、眼鏡に分類されそうなモノクルなど色んな物があるが、少々夜野の理想には遠い。
「……落とし所は作ったほうが良さそうだけど、これ、試着ってできるのかな」
 鏡が色んなところに置いてあるのが見える。
 掛けて、試して自分に似合う眼鏡を心置きなく探せということだろうか。
 自分に似合うとは、どういう状態を言うのだろう。
 意を決して、眼鏡を掛けて、これは違うと眉をひそめた。
「……あ、外せた。思った通りの理想に合わないと外せるって事かね?」
 ――魔法が絡んでいるような、度が自在に変わる眼鏡とか探せば在るのかな。
 この空間が通常ではない力で発生したというのなら、ありえるかもしれない。
「呪いの何だし……?」
 しかし"外れなくなる呪い"とも聞いた。
「……なんだこれ」
 黒縁オーバル、よく見かけるような、夜野が今しがた掛けている眼鏡によく似た眼鏡と視線が合った。
 眼鏡の度を変えられる――ようだが、これは視力検査で用いるようなグラスを手動で差し込むタイプ。テストレンズで度数を換える、眼鏡自体にやや分厚いギミックを搭載する代物である。
「……ユーベルコードで差し出す対価率で度数をオートで変えられるように改造できないかな」
 テストレンズを多く揃えて、対応させたなら。
 可能かもしれない。現状、テストレンズの持ち運びだけが難点だ。
「試作から完成品までよくもまあこんなに眼鏡を多種多様に詰め込んだもんだ……」
 呆れる。しかし、これは夢が詰まった空間なのであって全てが空間を作り出した男の"所有物"ではないのだろう? 誰のものでもないのなら、問題ないのではないか?
 夜野はわくわくそわそわと、眼鏡に思いを馳せ始める。
 理想がガッチリとハマったこの眼鏡は、何故か顔から外せなくなったけれど。
 探せば予備を複数手に入れられるのではないか。装着したものだけだろうか。
 ――ん、式に探させて持たせるか……?
 未練が残る。きになる、ああ、でも、と落ち着かない。
 そこまでしたくなるものが眼鏡。
 そう、夜野自身はそう考えていないようだがこれもまた、眼鏡の魔力(みりょく)に取り憑かれし者の姿である――。

成功 🔵​🔵​🔴​

メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。

その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!



●貴方の魅力に眼鏡を添えて

「大層賑やかな場所ですね」
 姫神・咲夜(静桜・f24808)は、大量の眼鏡の有り様を口に零す。
 賑やかである、と。床を埋めるように賑やかでもあり、無秩序のようで規則的に並べられたようにも見える。
 大切にされているような気配があり、観賞用のために一番美しい姿で置き去りに合っている、とも言えた。この狂った状況さえ愛せるという眼鏡好きにとっては、楽園のような光景なのだろう。
 咲夜にとっては、美術品を鑑賞するような気持ちだ。
 ――このようにして、他者に伝えたい感情があるのですね。
 相互理解はもしかしたらないかもしれない。
 だが、眼鏡の数は相当の熱量を感じる。
 考えるな、感情で悟れ――。
「これが、ええと……オカルトに通ずる"萌え"、みたいな…………?」
 メイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)はオカルトを嗜む。
 常人の理解を超えた現象は図らずとも狂気に触れる。
 つまり、この現象はオカルト案件であると飲み込めれば、異様な光景だって可愛く思えるものだ。
「この中から、"似合う眼鏡を探す"のは大変そうですねぇ」
 どうしましょうか、と咲夜は尋ねる。
 ひとつひとつを、地道に手にするか。
 好みの色や形が見つかるまで手当たり次第を検討するか。
 方法はいくらでもあるだろう。
 そこでメイリンが出した答えは――人前に出ていることで控えめな、提案だ。
「あの……お互いに合いそうなモノを探す、とかどうでしょうか」
 ふたりとも旅団『薔薇園の古城』に所属する者同士。奇跡的に?はたまたふとした拍子に同時に身を投じたのだから、どうでしょう、と尋ねる。
「良いですね。ふむ、では少々互いに自由に探してみましょう」

 桜の大樹の精霊はくつくつと喉を鳴らすように桃色の瞳を細めてメイリンを眺め、色合いから似合いそうな眼鏡を探していくことにした。
 ――彼女は、控えめな印象が強い方ですから……。
 丁寧な物腰で、飾られた眼鏡をひとつ手に取る。
 大きめなグラスに、メイリンの髪色に溶け込むような赤の縁。
 ――ああ、でも。
 赤い色を好んでいると思うが、しかし好ましい代物かどうかはわからない。
「ああ、これは……」
 ふわり、と笑みを浮かべて赤、桃色、オレンジ色と複数の色違いを手にとって、咲夜はメイリンの元へ戻っていく。

 メイリンはふわふわと溢れそうになる対人恐怖症の気持ちを落ち着けるように息を吐いた。
 ――大丈夫、怖くないデス。だいじょうぶだいじょうぶ。
 ドラゴンと心を通わす気持ちを持てばと気を逸し、明るく眼鏡探しの行動に移っていく。楽しみながらなら、気が楽になるから。
「……咲夜さんは、フレームの色が強いものよりも、控えめまたは無い方が映えそうですよね」
 縁無しの眼鏡は、今度はグラスの形や眼鏡自体の重さ、好みが分かれていく。
 彼女はそこに気を払う人だろうか。
「重さはナシの方向で、軽い方がいいですよね!……あっ」
 これは素敵な眼鏡だ!メイリンの直感が働いた。
 きっとこれは、好んでもらえるのではないか、と。
 緊張を胸に彼女もまた、咲夜の元へ戻っていく。

「これはどうでしょうか」
「あ、あの……咲夜さん!これを!」
 二人で持ち寄った眼鏡を、仲良く眺める。
 メイリンが持ち寄ったのは、桜の花びら模様が刻印された薄桃色の眼鏡だ。
 見た目よりもだいぶ軽く、常に笑顔の彼女の上品さを損なわせない。
 初めからそこにあったもの、とさえ思える代物である。
 咲夜が選んできたのは、この場に限る眼鏡だということを念頭に置いた――釣り上がり気味の眼鏡だ。
 端から見たならば、それはドラゴンの目つきのようにも見えるだろう。
 赤のフレームに、ドラゴンのような眼差しを搭載する眼鏡。
「「……ふふ」」
 二人して笑い合う姿は、こんな奇妙な場所でなければほんわかとした素敵な雰囲気だというのに眼鏡好きはこのような光景も好むというのだから、狂信する心というのは侮れない。
 お互いが眼鏡を掛けると、呪いの眼鏡は外れなくなった。
 でも、この事件の間取れなくなるだけで実害はない。
 それはそれは、お洒落で可愛い眼鏡であり、なんだから世界が余計に華やかに思えてくるのだから不思議なものだ。眼鏡というものは、不思議とロマンを視界に広げる魔法道具の一種なのではないだろうか?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

柊・はとり
眼鏡割る奴とかマジ世界の敵じゃね
日本人の約三人に一人は近眼なんだぞ?
俺達にとって眼鏡は生命線だ
裸眼で行動する事はマジ命に関わる

しかし何だこの部屋…寒気が…
眼鏡は度数が合う事を重視
恥ずかしくないデザインなら何でもいい(お任せ
自前の眼鏡は万一にも壊す訳にはいかない…
試着可なら入念に試す

つか別にかけたくて眼鏡かけてる訳じゃねえし
萌え属性みたいに言われんのも超不快だわ
コンタクトにしようと考えた事もあるが
俺はコンタクトが合わない体質だった…

ちなみに弁護士の兄貴と医者の姉貴も近眼だが
コンタクトの使用者は兄貴だけ
兄貴はいつも小馬鹿にしていた
コンタクトすら使えないお前は柊家の恥…と

クソッ無限に腹立つ
絶対許さん



●眼鏡無しは世界崩壊を意味する(重要)

 異常な光景をその目で見て、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は目を疑ったしそれこそ頭痛がする思いだった。
「眼鏡を割る奴とかマジ世界の敵だろふざけてんのか」
 いいや、敵はおそらくふざけていないのだ。眼鏡愛なのだろうが、それこそ常人のそれはと思えない。
 ざわり。背中を奔るのは悪寒だろう。
「……日本人の約三割が近眼なんだよ」
 自身の眼鏡をクイ。落ち着け、俺は冷静だ。
 眼鏡をあげるはとりの独り言は視界という命が掛かった為に殺意が高い。
「裸眼行動を余儀なくする?愛ゆえに?……裸眼で行動することは命に関わるんだよ!眼鏡無しどんだけ悲惨になると思ってるんだ!」
 これは事件解決に動くべし、という猟兵や探偵らしい真っ当な思い胸に秘めながら、しかし眼鏡は顔の一部であり生命線であると断言する男のマジレスである。
 眼鏡眼鏡眼鏡だらけの狂気的な空間で、こんなマジレスする奴こそ狂っていそうなものだが――。

「……まあ、自分に似合う眼鏡ならそりゃあ」
 はとりは第一に眼鏡の度数を、考える。
 とにかく見えなければ活動にもセルフで制限がかかり、話にならない。避ける為には度数が必要で――かちゃ、と手に取った眼鏡はふわりと羽のように軽かった。
「氷のように澄んだ青っぽい色のフレームで、軽い。俺の眼鏡くらいのレンズの分厚さあって、しかし度数は……」
 ぼやあ。試しに掛けた眼鏡は盛大に霞んでいた。
 これは見せかけだけで、伊達メガネらしい。
「惜しい。これなら丁度いいと思ったんだが」
 はとりは自前の眼鏡を付け直し、更に探すことにする。
 足元に無造作に散らばる眼鏡さえあるこの冒涜的な空間において、一発屋眼鏡など視線を合わせてもいけない。
 ――誰が2022眼鏡なんて掛けるんだ。
 ――そんなの視界妨害だろ!
 ふざけた眼鏡は大量にある。まるでツッコミを期待する眼鏡とでもいいたげに、どーんと目立つところに落ちている。わざとか?わざとなんだろそれ!
 ――……クソッ、誰がツッコミ担当だっていうんだ!
 探偵は色んなものに"視られ"るもの。
 期待も興味も、平等以上に与えられるものなのだ。
 眼鏡を愛用する男ならばこそ、眼鏡達は期待する。
「おい、意識があるとかないとか俺は知らないからな」
 だからそんな目で見るな、まで言おうとしてはとりは頭を軽く振る。
 狂気的状況の中で、自分まで狂気を貰うなど探偵としてよくないと理解したのだ。
「……つーか、別に掛けたくて眼鏡掛けてる訳じゃねえし!」
 眼鏡愛が強すぎて眼鏡萌えしてる男がいる?
 眼鏡好きすぎて破壊したいヤバい奴が現れそう?
「眼鏡イコール萌え属性みたいに言われんのも超不快だわ」
 可愛い、と口を滑らせる奴はたまにいる。
 だがはとりだって好きで眼鏡置き場になっているわけではないのだ。
「……コンタクトにしようと考えた事もあるが、俺はコンタクトとは…………」
 仲違いした。方向性の違いにより、同じ道を歩めない同士だった。
 はとりは落胆せず、眼鏡を選んだが活動するために必要だった、今では第一にそう思っている。
 弁護士の兄と、医者の姉も近眼で、柊家は家系的な近眼ばかりであった。
 そればかりは恨んでも仕方ない。血筋を恨んで裸眼が活性化するならそれはもう人間をやめている。
 ――コンタクトの使用者は、兄貴だけだったな。
 はとりの兄はいつも、何かにつけて小馬鹿にしながら言っていたものだ。
『コンタクトすら使えないお前は柊家の恥』と。

「――はぁ」
 ため息が先に出た。
 頭を掻き毟ること暫し。やはり苛立ちが込み上がってきた。
 此の世に不可思議などあり得ないんだ。
「クソッ無限に腹立ってきた――あ、全体的に許さないわ」
 眼鏡眼鏡眼鏡って、じゃあこれでいいだろ。
 かちゃり、と愛用眼鏡を外して、似たような黒フレームの眼鏡を掛ける。
 殆ど同じテイストの眼鏡だ、これで似合わないはずがない。
 コキュートスに応えさせても言うだろう。
『眼鏡は 性能と性質上どれも同じです』
 ――……クソッ、言いそうなことを想像したら本当に外せないじゃないか!
 探偵は、こうして見えていたはずの罠に陥る存在である。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『強欲の傀儡『烏人形』』

POW   :    欲しがることの、何が悪いの?
対象への質問と共に、【自身の黒い翼】から【強欲なカラス】を召喚する。満足な答えを得るまで、強欲なカラスは対象を【貪欲な嘴】で攻撃する。
SPD   :    足りないわ。
戦闘中に食べた【自分が奪ったもの】の量と質に応じて【足りない、もっと欲しいという狂気が増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    あなたも我慢しなくていいのに。
【欲望を肯定し、暴走させる呪詛】を籠めた【鋭い鉤爪】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【欲望を抑え込む理性】のみを攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●眼鏡は顔の一部ですよ??

 眼鏡を装着すると不意に感じるざわざわと、した鳥肌が立つような気分。
 壁の隅や至る隙間から、何者かが立ち上がるように漏れ出てくる気配。
 猟兵達が気がついたときには、門(ゲート)から漏れ出る力から発生したらしい、邪神の眷属の群れが、じぃ、と此方に視線、もとい意識を向けてきている。
『すてき。すてき。それ、ちょうだい?』
 人形は求める。
 人間の顔を飾る魅力あふれる素敵の外部パーツを。
 欲深き者は、周囲の有象無象よりも、じぃ、と顔を眺めて来るように思うのだ。意識という圧力を、寒気という感覚で君たちは感じるはず。
 猟兵の顔を彩ったそれこそが欲しいと声を掛けてくる。
『ねえ、いいでしょう?』
 周囲の眼鏡よりも、貴方のそれが、欲しいの。
 ――ねえ、ちょうだい?
 だが猟兵たちは呪われた眼鏡を掛けている。
 これは何故かどういう力が働いているのか顔から外すことが出来ず、どうぞと渡したくとも渡せない。眼鏡を愛しすぎて奪い取とろうと動き出しそうな人形たちを、はやくどうにかしなくては――。
七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
 羅刹の魔法戦士。
 普段の口調は男性的、仲間にはフレンドリー

行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わる。
パッと見た印象では自身過剰に見えるかもしれないが戦場を渡り歩いてきた経験からの発言
戦闘は戦場で敵の技術を盗み自身が扱えるものに昇華させるため戦場を探してる竜殺し。
戦場では弱肉強食、故に弱者に手を差し伸べる者への優しさと敬意は無くしていない。
力押しから技術比べまで多彩な戦闘可能。
猟兵の妻と二人の娘がいる。
 ユーベルコードはどれでも使用、怪我は厭わず行動します。
例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしく!


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。


エダ・サルファー(サポート)
アックス&ウィザーズ出身の聖職者で冒険者です。
義侠心が強く直情的な傾向があります。
一方で、冒険者としての経験から割り切るのも切り替えるのも早いです。
自分の思想や信条、信仰を押し付けることはしません。
他人のそれも基本的に否定はしません。
聖職者っぽいことはたまにします。
難しいことを考えるのが苦手で、大抵のことは力と祈りで解決できると言って憚りません。
とはいえ、必要とあらば多少は頭を使う努力をします。
戦闘スタイルは格闘で、ユーベルコードは状況とノリで指定のものをどれでも使います。
ただ、ここぞでは必殺聖拳突きを使うことが多いです。

以上を基本の傾向として、状況に応じて適当に動かしていただければ幸いです。



●眼鏡は必需品なので、気軽に壊すんじゃない

「まあまあ、こんなところで顔を合わせたからにゃあ」
 お互い覚悟を決めようや、七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)は豪快に笑った。
 訪れた時点で龍厳は面白がってサングラスを掛けていて、隅っこがキランと光る。
「郷に入っては郷に従え、というだろう!」
 眼鏡の分類ではあるだろう。
 これが似合うと信じてやまない表情に言葉の重みが乗った。
「……油断は禁物だ」
 アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)は指摘する。
 その顔には、愛用品の暗視機能もついた高性能サングラス――とほぼ同一のこちらもまたサングラスだ。
 見た目の年の差、そして性能の違い。
 二種は似たようで全く異なる様相だった。
「あちらは容赦ないようだ。俺たちが隙を作ろう」
「娘や妻が居る身だとな、率先して危険な目に遭わせたくない性別というのは定まってくるんだ」
 それぞれに見える、女性への信頼の形。
「私?うーん大丈夫だと思うけど」
 からりと、笑うエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)。
 普段のまあるい眼鏡と同じ形状の眼鏡をくい、と僅かに上げて、でもそれ以上否定を口には出さない。
「悪い気はしないし、攻守の形が上手く収まるならオーケーの気持ちかな~」
 ――パワーで押し切る、のが一番いいかなー、とも思うんだよね。
 じゃあ、と二人共先鋒囮役よろしくとウインクで返答する。
 これ以上敵は大人しく待とうとする気配もなさそうだから――。

『ねえ、ちょうだい?とっても素敵な眼鏡さん』
 呪われた強欲の傀儡はその両手を大きく広げる。
「断る」
 ばっさりと否定され、烏人形は近場の誰のものでもない眼鏡を奪い口に放り込み、ばりばり、むしゃりと腹へ詰め込む。
 壊して咽んで、呑み下して。
 大切にしたいものを、身体の中に詰め込んでいく。
 シンプルな眼鏡、ふざけた形状の眼鏡、お構いなしに奪って隠して、宝物の様に傀儡は腹を撫でた。
『……足りないわ。やっぱりあなたのが、欲しいの』
「これだけあるのだから、好きに奪って喰らっていればいいものを」
 やだやだ、頂戴。
 絶対欲しいと願望を口にする傀儡たちは、鋭い鉤爪を届かせる為。
 地面を強く蹴り込んで、両翼の羽撃きで把捉する。
 素早く相手の周囲に入り込み、物理的な強奪が達成できれば、届くのは足でも口でもなんでも良いのだと。
 欲しい、欲しいと願う声に狂気の強さが増して、会話など到底通じようもない。
「これが一体だけなら、良いものを……」
 そう。猟兵の眼鏡を欲しがる狂気の群れは、一体に在らず。
 烏が弱った猫を襲うように、周囲で同じ様に声を上げて鳴く群れが完成している。
「飛び跳ね、撹乱したった一つを奪うなんて」
 ――……無意味だ。結局、奪い取ったら興味を無くすんだろう。
 アスは愛用の銃を構える。
「敵対する限り、お前たちは獣。俺は狙った獲物は逃さない」
 ただ一度しか言わない。さあ、その腹に収めたモノをぶちまけろ!
 CODE:サジタリウス(コード・サジタリウス)――欲しがる思いが認識を阻害ているのだろう?
 傀儡を害すると思わぬ妄執の烏たちの腹に、盛大な風穴を。
 ブルーブラスターの熱線ビームは傀儡たちの腹に孔を開けていく。
 たからものを奪われた鳥たちは、悲しそうな悲鳴を上げた――。
『あなたたちも欲しかったの?あなたも我慢なんて、しなくていいのに』
 奪われたものは、猟兵達が欲したものだから、強奪された。
 狂った価値観は、拒絶を受けたのだと認識しない。
「そうはいうがなあ、そんなに大量の廃品は流石にいらんのだよなあ」
 口から捕食した傀儡達に人のような理論を問うのは愚問だろう。きっと何故の理由はわからない。欲しいだけが考えのひとつである烏人形たちには。
「何も腹に無いのは辛かろう!奪いたいなら、此方へ来ると良い!俺のをやるぞ!」
 龍厳は呼ぶ。孔を開けられた傀儡達に――それでも欲するのなら俺を狙え、と。
『貰っていいの?ありがとう、今、今。取りにいくわ!』
 わあ、っと群がる烏人形。
「まあ、――数が数なら俺も対応させて貰うがね」
 なにしろ、先着一名様だ。くれてやらないが、喧嘩はよくない。
 ほしいのならば、勝ち抜くことだな。
 スペルマジック、竜の呼び声(コール・オブ・ドラゴン)!
 小型の戦闘用の過去に戦った様々なモノが竜に変じて襲いかかっていく。
 誰も寄せ付けない――そのひとつひとつが、程々の強さを持っているが故。
 それが今や一撃必殺の竜の弾丸でも在るが故。
 一撃で消滅するため、後の先は彼女が行うことだろう。
 これだけ手傷を負って、数が減ったなら――危険は相当減ったはず。

『くれないの?どうして、どうして』
 泣き崩れるように、くれるって言ったのに、と騒ぎ囃す烏たち。怒っているわけではない。ただ、納得できず、理解が出来ない狂気の淵から語るのだ。
「そりゃあ、この眼鏡は私達の"私物ではない"し、おいそれとはあげられないんだ」
 今や呪われた眼鏡となって、外したくとも外せない。
 聖職者らしく困った者へ施しとして与えてやりたいものだがまあ、今回は得られないと諦めてもいいんじゃない?
「その辺に在る眼鏡は好きにするといいんじゃないの?私のだったら全部あげるだけどな~」
『いやよ。あなたのそれがいいわ』
「ふうむ、他人の物のほうが好く見える理論って奴かね~」
 傀儡たちは奇妙なほど難しい事をいうものだ。
 機能や形状の好みを除けば、大抵の眼鏡はほぼ顔を飾るものなのに。
『だからこんどこそ貰うわ。あのひとも、あのひともくれなかったから――あなたからは、ぜったい!』
 アスや龍厳の対応から、強欲の烏はエダの眼鏡こそ至高なのだと思い込み、地面を強く蹴ってその鉤爪をドワーフ故の小柄な立ち姿に叩き込まんと飛び込んだ。
「んー、いや。この子以外動くんじゃ、ない」
 烏人形の狙いは、蹴りさえ当たればよいのだと言わんばかりの腹狙い。
 やられたことをやり返そうとしていたように思えた。
 だから、エダは――そのまま飛び込んできた傀儡に叩き込んでやった。
 ドワーフ力(ちから)をタイミング合わせてごちそうしてやったのだ。
 速度を一気に殺されて、烏人形は踏み抜かれる。
 ドワーフ式震脚(ドワーフシキシンキャク)は、振動や地割れを周囲に発生させて、宣言通り烏人形たちは動けなくなる。
「みーんなこうなりたかないだろ?壊れた眼鏡は愛せるのかい?」
 それとも、壊れても眼鏡は眼鏡だというのかい?
「奪うなら奪うで!壊さない方法を選ぶと良いと思うねぇ」
 エダは笑って地割れに巻き込まれた大量の眼鏡の姿を見た。
 ――これって損害おいくらになるんだろうねぇ?
 ――普通の眼鏡好きなら、これだけで冒涜的なもんだが。
 烏人形たちの関心は、どうしても奪えない『猟兵の眼鏡』にしか意識がどうしてもいかなかったようである。
「眼鏡は、視界の補完が出来てなんぼだろ?あとは多少のお洒落要素だろうけどね」
「他人のを奪ったって、使わないならガラクタさ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

尾守・夜野
「…その手?はなんだい?勝手をしないでくれたまえ」
壊されそうになる眼鏡を庇い後ろに下がり彼らを呼ぼうか
「さぁご飯のほうが来てくれたらしい。君達鳥は好きだろ?」

僕は指示出したら犬達の中でじっとするよ
鉤爪にせよ烏にせよ近寄らないと攻撃できないからね
僕にくる前に犬が邪魔するよ

彼らは僕みたいな混ざり物より鳥のが多分好みだよ
理性がなくなっても食欲の方にいくと思う
よりブーストさせる為スキットルの中身ぶち撒けよう

僕?理性なくしたら逃げると思うよ
…異形混ざってても人型取ってる時点で…うん
その間に辉夜で回復するね

「…君らは眼鏡に…というか職人に敬意を示した方がいいと思う
壊す物じゃないよ
だから来ないでってば!」



●眼鏡よりお前たちを砕こう

 無邪気な様子を見せながら、翼の腕を尾守・夜野へ伸ばしてくる。
 がしゃり、ぐしゃりと辺り周囲の眼鏡を強欲な傀儡は興味関心を示さないまま。
 無慈悲にも踏み潰し、例外と言わんばかりにただ一つ、夜野の顔にあるひとつだけを求めてくる。
「……その手はなんだい」
 夜野は一歩に歩と近づかれた分だけ、後退る。
「勝手をしないでくれたまえ」
 当然だ、ただただ欲しがる傀儡人形に、与えてやるものはなにもない。
『ええ、だって。ほしいのよ。ほしいの、ちょうだい?』
「だめだね」
 呪いでハズれない眼鏡をあえて夜野は手で抑え、そしてぼそりと声に紡ぐ。
「さぁご飯のほうが来てくれた。君たち鳥は好きだろう?」
 ――喰らいて疾走れ、屠れ。
 死属性を孕む黒剣を触媒に、ぞぞぞと黒妖犬が召喚されていく。
 黒々と広がる漆黒は深淵に連なり揺れて、増えて、墓荒らしに助力する。
 溢れ出る黒妖犬達に埋もれるように、その数は増えていく。犬の中にじっとして、夜野は、黒い獣達が傀儡達に勇んで牙を向けるのを、眺めた。
 ――まあ、鉤爪攻撃にせよ。翼での奪取を考えるにせよ。
 ――距離を取れば恐れるものはないからね。
 眼鏡欲しさに本当に果敢なものだと、ため息もでる。
『ねえちょうだいよぉ!いたいのよぉ』
 なんでくれないのぉ、我慢しなくていいのにぃ(わたしにくれてもいいのに)。
 烏達は囀る。噛みつかれ、壊されていく人形に慈悲を向けることはなく。
 (眼鏡愛への)欲望を解き放てば良い。
 眼鏡を着用する者へ、遣われる獣達へ、傀儡はそう投げかけるのだ。鋭い鉤爪で飛び上がり、黒妖犬を蹴り飛ばそうとした足はズズズと餐われ毟られる。
「僕に来る前に犬が邪魔するよ。諦めたほうが早いかもね」
 ――ほら、眼鏡が好きだと言うんなら、もっと周囲を眺めてご覧よ。
 僕みたいな混ざりものよりも、烏のほうが好みなのさ。
 反撃に対象を疵付けない理性だけに貫通する攻撃一部の黒妖犬が受けたとして。
 欲望が解き放たれるだけだ。枷が外れて、貪欲にその力を振るうのだ。
「理性きかなくなっても、意識は食欲の方にいくと思う」
 きゅぽん、と音を立てて、だばだばとスキットルの中身をぶちまけ解き放たれた欲望に更に燃料を足す。
 恐るべきは猛獣の食欲。眼鏡?はははそんなの意識から除外されるだろ?
 意識在る傀儡達。欲しい物に手が届かず。
 喰らい散らされ破壊されていく中で、眺める僕の眼鏡はどう映る?
「……君らはさ、そもそも眼鏡に、というか、眼鏡を作ってる職人たちにも敬意を示した方がいいと思う」
『どうして?わたし大事にしているのよ』
「いやだって壊そうとするじゃない」
『奪いたいと壊すはイコールだけれど、私たちは欲しいだけよ』
 その過程で一度物理的に眼鏡として再起出来ないくらい壊してしまうけれど。
 些細な問題じゃない?きょとん、としたほのぼのとした空気感もまた、狂気の沙汰であった。
「えー……」
 だから来ないでってば!
 追い払う夜野の話を烏人形たちは全く聞いてくれなかった。烏を獣達が暗い潰しながら、夜野はぱたぱたと逃げるように駆けていく――。

成功 🔵​🔵​🔴​

柊・はとり
うおっ危なっ
眼鏡を取ろうとするのはやめろ
眼鏡を取ると…首ごともげるぞ
マジ割と簡単にもげるから
やめろ

いや…首取れても身体は動かせるが
なんていうか…そういう依頼じゃないだろこれ
俺の行方不明の首から上
この手の変態が持ってったんじゃなかろうな…と
一瞬想像し鳥肌
俺の首は眼鏡置き場じゃねえんだよボケ
偽神兵器で鴉を撃退しながらUCを使い
何か閃くまで逃げる

あ?
欲しがる事の何が悪いって
お前ら目に包帯巻いてるだろうが
眼鏡かけても面白くなるだけだぞ
考え直せよ!
…説得してどうする…

難事件すぎて何も閃かないんで
代わりに俺の拳が閃け
物理攻撃で顔面を殴って破壊する
これで眼鏡もかけられなくなったな…
疲れた…真犯人早く来てくれ



●だってそれは、素敵な眼鏡置きでしょ?

 伸ばされた羽は、手として上手く機能していた。羽毛であり、隠れ蓑として機能する黒の翼に、柊・はとりは間一髪で躱してみせた。
 より正確には、羽を叩き除けた、ともいうが。
「うぉっ、危なっ!?」
 強欲の傀儡は、ひょいと手を伸ばしてとりあげちゃえ、そんな可愛らしい動作を繰り出しただけのようだ。
『え?欲しがることの、何が悪いの?』
 こてん、と首を傾げて、一様になんで?と烏人形は子供のような反応を返す。
「眼鏡を取ろうとするな。やめろ」
『どうして?どうしてなの?』
 眼鏡を渡すものか、ではなく、はとりはやめろという。
 烏人形たちは不思議な事をいうものだと、両手でばさばさと話をせがみ、ひたすら煽る(物理)。ばさばさと黒い翼から溢れて堕ちる黒の獣。
 同質の強欲さをその存在全てに凝縮したカラスが『カァ』と更に囀る。
『さあ満足する答えを頂戴?ついでに眼鏡も頂戴よ』
 はとりの顔色は特に変わらない。
 ただ、静かに自身の首元を撫でる。
「この眼鏡は何故か外れない。よって、この眼鏡を取ると……首ごともげるぞ」
 此処から、と首を指さしてやればカラスも傀儡もどちらもギャアギャアと賑やかに面白がる。返答に満足したわけではないようだが、言語化するならそう、"なにそれ面白い"、"みたい"、"欲しい"という奴だ。
『もげる人!ねえ、どうして?』
「何だその呼び方!どうしてもこうしてもあるかマジ割と簡単にもげるから」
 一息で言わせるな。そして手を出すんじゃない、やめろ。
 はとりの言葉は重めに。睨みを聞かせ、眼鏡のすみっコをキランと光らせた。
 頭空っぽそうな応答をしてくるこの傀儡共は逆にやってきそうだから困る。
 じゃあ試させてね、なんていいだしかねない。
『死にそうにないのに、困るの?』
 ねえねえ、たくさん教えてよ。あと眼鏡頂戴?
 カラスたちが鋭い嘴でつんつんつんつんと突付いてくるのがマジしつこい!
 眼鏡を愛する強欲さは、なんでもいいからとにかくその頭よこせというのである。
 ――まったく、鳥頭だな。
「いや別に、……首取れても身体は動かせるが」
 ――なんていうか、……そういう依頼じゃないだろ。
 そこまでピンチならな、作戦の一つとして考慮するが。
 ――眼鏡欲しいだけなんだろ。……やらんわ!
『じゃあ頭なくても大丈夫じゃない?』
 まるでコイツら聞いちゃいねぇ。
『首ごと貰えば持っていって良いのかしら、ねえねえねえ?』
 カラスたちの鳴き叫ぶ声もなかなかうるさい。
 デッドマン相手に、光り物(眼鏡)目的に死体漁りしてんじゃねえ!
 ――そういやあ俺の行方不明の首から上……。
 はとりの脳裏の隅で思い出す、紛失物の存在――。
 烏が面白がって持ってた可能性は、あるのだろうか。
 ――例えばこの手の趣向愛拗らせた変態が持ってんじゃなかろうか……。
 持ち去り主が、仮に変態だとしよう。
 趣向愛拗らせた者、に該当する場合それは――生首フェチということになるが。
 ざわぁああああと冷たい気配が背中を駆け抜けていく。
 想像してしまったからには鳥肌がたつ。
『中古の眼鏡置きがついてると思えば、それはそれで愛しいと思うのだけど、どう?』
「俺の首は眼鏡置き場じゃねぇんだよボケが!」
 ――いい加減、落ち着いた質疑応答は無しだ!
 ――むしろ俺、よく会話だけでなんとか退けてやろうとしたな!クソ!!
 悪態は内心にボロクソつぶやくはとりは、召喚されたカラスたちをコキュートスを使って雑に薙ぎ、存在を絶つ。生き物とも幻影ともいえない手応え。
 それから――かしゃり、とぱりん、が重なる不思議な効果音。
 傀儡人形の足元に、剣に両断された壊れた眼鏡がぼろぼろと陳列されていく。
 ――カラスの正体は、眼鏡、だと……。
 ――は?こいつらどんだけ眼鏡好きなんだよ!
 ――好きすぎて初めから壊れてんじゃねえか攻撃武器に使ってるんじゃねぇよ。
 探偵、無惨にも精神過労を多発。
 この状況証拠の揃った確信犯共を捌いて誰も得をしない事件。
 ――むしろ放置でいいんじゃないか?無視だ無視、困るのはコイツらだけだしな。
「あー、最初の疑問に応え損ねてたな。"欲しがることの何が悪いか"だって?」
『そうよそうそう。やっと応えてくれるのね?どうして?』
「お前ら目に包帯巻いてるだろうが!ガラクタ(廃品)をたくさん集めても、眼鏡掛ける気ないだろ!」
『掛ける気はあるわ?だって大好きだもの、素敵だもの?』
「包帯の上に眼鏡かけても面白くなるだけだぞ、おい考え直せよ!」
 ――あれ、どうして俺は諦めずに説得を……?
 こいつらは強欲の化身なのだから、これはきっと意味がない。
 烏人形たちの表情は納得できないと言わんばかりにずっと傾げられている。
 堂々巡りだ。
 手に入れるまで納得しないやつだこれ!!

「……ああ、カラスを増やすな啄まれるとかマジ勘弁だから」
 探偵にも解けないこの難事件。
 解決策は――思いつかないので、あとはもう物理解決を目指そう。
 自身を護るため、これはそう。

 正 当 防 衛 だ。

 囀るように近づく傀儡共は餌を欲しがる人形で。
 手招いてやれば簡単に懐に飛び込んできた――だから、探偵の拳が顔面に激しく叩き込まれるのを、傀儡達は回避することはできなかった。
 仕方がないのだ、だって彼がくれると思ったのだもの(傀儡談)。
「眼鏡をかける顔が無くなった。こうしてほしい奴は前に出ろ」
 俺の首を賭けて、お前らの頭を順番にこうしてやるぞ。
 ――ホント疲れる……真犯人はやく来てくれ。
 ため息を雑に吐きながらフラグを建てる探偵は、そこからしばらく傀儡破壊のクラッシャーへと成り果てる――探偵はとり、そろそろ胃痛がマッハである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『眼鏡割るマジロ』

POW   :    眼鏡割れろ
【眼鏡を割る】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
SPD   :    眼鏡割れろ
予め【眼鏡を割る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    眼鏡割れろ
【眼鏡を割る】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●愛ゆえに 割ろうじゃないか アルマジロ

 猟兵達は気がつく。
 大量の眼鏡に囲まれて、頬が緩みまくる被害者約一名の姿がある、と。あれは放っておいていい、――事件の流れからも確かに問題ないだろうと理解が追いつく。
「君たちナイス眼鏡だね、良いと思うよ!」
 びっ、と親指を立てて、君たちの様相を軽率に褒め称えてくるのだが。

 ぱりん。
 ぱりん。
 ぱりん。

 何処からともなく聞こえる眼鏡破壊音は決してこの空間のBGMではない。
 手元や足元に想像から発生させた眼鏡を割砕き、此方を視ているアルマジロ。
 あれと目が遭ったのだから、君たちは理解できる。

 あれこそが、眼鏡愛を言葉にしながら破壊の限りを尽くす割るマジロ。
「眼鏡全部割れマジロ」
 割らぬなら、割ってやるから顔面差し出せや。
 あれはそんな、アルマジロ。大変凶暴で見過ごせば、邪神顕現が達成してしまう。
 守れ、世界の眼鏡を愛用する者達の為に――!
仇死原・アンナ(サポート)
鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います

UCは指定した物をどれでも使用

普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)

処刑人として敵と戦います
同行者がいれば協力
メインは鉄塊剣で攻撃
鉄塊剣の使用が不向きな相手・場所では刀剣をメインにして相手をします。
拷問具や鞭を使い敵の行動を阻害、鉄塊剣や刀剣で敵を攻撃します。影朧にはできる限り説得しますが説得不能と判断すれば容赦なく屠ります
キャバリアを操縦したり生身でも戦います


蒼月・暦(サポート)
 デッドマンの闇医者×グールドライバー、女の子です。

 普段の口調は「無邪気(私、アナタ、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 嘘をつく時は「分かりやすい(ワタシ、アナタ、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で明るい性格をしていて、一般人や他猟兵に対しても友好的。
可愛い動物とか、珍しい植物が好き。
戦闘では、改造ナノブレード(医療ノコギリ)を使う事が多い。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●眼鏡が逃げるよ何処までも

 ぱりんぱりんぱりんぱりん。
 想像から発生させた"眼鏡"を目の前の生き物は割っていた。
 小さな子に翻弄されて、悲しみを紛らわせるようにガンガンと。
 大量に散らばる無惨の眼鏡は膨大な量になっていく。
 どれもが眼鏡であると硬い意思で彩られているため、全く消える様子がない――。
『あ、ああ!!その飾りも割るマジロ!!』
 処刑人が仮面、ペストマスク風の黒色の仮面を見て、アルマジロはすぐに破壊対象だと言ってのけた。
 仮面も眼鏡の中に含むらしい。当然これは本物ではない。
 在ると望まれたことで空間内に発生したUDCの力で発生したもの。
 仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)の私物に、本物に極めて似ているが本物ではない絶妙な偽物である。
 どうにも守備範囲が広いようで、やっかいな判定だ――。
「これは本物ではないが……それでも割られるのはいい気分はしないね」
 アンナは仮面越しに、マジマジと小柄な生き物に視線を投げつける。
 何を見せつけられているんだ、という至極全うな気分と。
 奇妙な世界に紛れ込んでいる自身から目を背けたい気持ちが、同居した。

「割るほど好きって相当なのね!ふふふ、よーくみると可愛らしい!」
 肯定的に言葉を発した蒼月・暦(デッドマンの闇医者・f27221)は大きめなモノクルをひとつをその顔に。
 やはり眼鏡としては特殊な物を選んでいた。
 暦は目が大きな娘。眼鏡でその魅力が損なわれるのをヨシとしなかったのである。
 眼鏡はあくまで装飾品。じゃまにならず、でも可愛らしいもの、を選んだ結果がモノクルだ。
 手をパン、と叩いて。
「じゃあ私とするのは追いかけっこね!貴方が鬼、私は逃げるのよ?」
 良いかしら、とは暦の言葉。
『マ?』
 アルマジロはきょとんと首を傾げてみせたが、パッ、と手元に眼鏡を発生させてぐしゃりと握り潰す。
 次々に眼鏡を発生させて、今度は脚で踏み潰す。
 いいよ、という合図であったのかもしれない。
 絶対眼鏡を割る意欲を堂々見せつけてくるのだから、気合の入れ方が違う――。
「ふふふ!捕まえられるかしら!」
 明るく笑う暦は、その手に改造ナノブレードを握っていて、最低限の対処を行えるようにしていた。
 ――だって、あのこよくみると可愛い顔をしているのだもの!
 やっていることはよく考えるとなにも可愛くないのだが。
 きゅっ、と喉を鳴らして追いかけてくる姿はまあまあ可愛いアルマジロ。
 事前準備もやる気も十分。しかし、アルマジロの手が暦を捉えることは――叶わない。何しろ動きが単調だ。狙う場所がまるわかり。
 狙いをつけて飛び上がる前にかならず鳴き声を上げる。
 失敗したらすぐに眼鏡を大量に出現させてバリバリ大量に砕く。
「失敗しても、何度でも繰り返してみるのもいいと思うのよ?」
 ――さあこっちへおいで!
 明るく励ますモノクルは、曇っているようでその瞳の色を隠してしまっていたけれど。血祭りの処刑(チマツリノショケイ)は此処からだ。
 アナタが失敗した時は、こちらが逆に真っ赤に彩るオーラを見せて切り込んであげましょう。がっ、と腹に食らわせて――しかし硬い身体は断つには至らない。
「諦めないで何度も挑戦してご覧よ。ほら、私も見ているから」
 処刑人は肉体から生じる地獄の炎を待機時間中チャージしていた。
 故に、発揮された力は多大なるものを喚び起こす。
 それは――アンナの熾天使の軌跡(ブレイズフレイム・ネハシム・セラフィム)。
「燃え盛る蛇よ……天空を這い廻り仇なすものを喰らい尽くせ……ッ!」
 これは眼鏡を救う戦いだった。だが、――敵は敵だ。
 蛇のように蠢き、追尾する天の雷と地獄の炎に追い立てられては、アルマジロも手出しは出来ない。
 焼け焦げるマジロは、二人から愛すべき目を飾る装飾品を奪えない! 奪おうと強引に突き進んだならば、それはもう見事な焼きマジロが完成してしまうから――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
 人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
 普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●もしかして、近眼なのですか?

 変わり種、仮面が一人だけとは限らない。
 レイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)が身につけているのはマスカレード・パレード――幻想的な愛用品の複製だ。
 ゆるり、とウェーブヘアを手で払いながら、装飾品が外れないのは一人ではないと並び立つ。
「顔を隠すものならば、だいたい眼鏡の様相なのでしょうか?」
 落ち着き払ったその動作。
 アルマジロは目をギランと輝かせて――高速戦闘モードに移行する。
 そうだ、マジロは事前に眼鏡を割った。なんなら割り続けて異音を響かせている。
 鋭い詰めで眼鏡をぐしゃり。
 体を丸めてごろごろごろごろと、突進攻撃に移行したのだ。
 狙いはレインにおびき寄せられるように――。
「ええ、ええ、そうでしょう」
 努めてクールに、そして丁寧に。
 まるで催眠に掛けるかのようにさあお出でなさいとレインは靴音を鳴らして床を踏む。かつん、とよく響いた音をきっかけにダーク・ヴェンジャンスを発動。
『割るマジロ!』
 それはここだ貰ったぁ!という叫び、だったのだろう。
 しかし狙いは顔面であると、誰もが弱点を認識していた。
 早いのなら、狙われる箇所を的確に防げばそれ以上の問題はおきぬもの』
 レインはふわふわと、ロリータファッションの身形が乱されぬように障壁のように張られた漆黒の粘液で受け止め、そして跳ね返す。
 多少全力の体当たり威力に後退するようにたたらを踏んだが――それはほぼ、硬いボールを自力で跳ね返したような気分だ。
『――マ、マジローッ!?』
 ひゅーーん、と吹っ飛んだ身体を丸めたマジロは何があったかわからないようだった。悲鳴もなかなか愉快な生き物である。彼、または彼女は、自分の理想よりも遥かに出てしまったスピードでぶつかった為、反動さえ考慮していなかったようだ。
 どっごーんと激しい音を立ててぶつかる音が遠く聞こえる。
 レインはマジロがぶつかった威力分の生命力を流れるようにかすめ取り、そしてほっと胸を撫で下ろす。外傷は無い。
 ただ、迫り来る獣の熱意に、苦笑を浮かべるばかりだった。
「ほんとうに、割るためだけに全力なのですね……」
 愛ゆえに。
 そう言われれば、あのつぶらなひとみは、真っ直ぐすぎるほどであったけれど。

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・クレスケンス(サポート)
「大抵のことはこなせますので、何でもお申し付けください」

◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける

◆戦闘
【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾等の詠唱銃による攻撃や、魔術による攻撃を得意としている

◆猟兵になる以前の経歴から、情報収集・操作や追跡、索敵もお手の物

◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている
同じく追跡が得意(魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は鋭い牙や爪を用いて行う

◆口調
・シン
僕/相手はさん付け(使役は呼び捨て)
~です、~ます、~ですか?等丁寧で穏やかな話し方
・ツキ
俺/お前、呼び捨て。
~だぜ、~だろ、~じゃないか?等男性的な話し方



●眼鏡があれば隙間だって見渡せる

 シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)は眼鏡を割る生き物を、感慨深い視線で眺めていた。
 普段の眼鏡と殆ど同一。しかし、空間内で見つけた眼鏡越しにUDCを眺めるのはいつものことだ。
 少々、普段の眼鏡から見る世界ではない、というだけのこと。
 殆ど同じ形状の眼鏡で敵を眺めているのだから、結局のところ――さほど重要なことじゃない。
 他の猟兵と同じく、眼鏡を割る為に生まれたようなUDCと視線が遭えば、同じような目に合うのだろう。
『……マジーロ?』
 鼻をふんふんと鳴らし、アルマジロは何かを探すような動作を行っている。
 その脚が一歩、とあるき出せば何故かそこには当たり前のように眼鏡があり、ぱりんと割れる。
 割れる音に合わせてアルマジロは楽しそうにニッコリ笑った。
 割れる音も好きなのだろう。
 水たまりでぴょんぴょん飛び跳ねるような動作で、ぱりんぱりんぐしゃりと眼鏡を楽しく破壊するさまは、実に猟奇的。
 大量に割り砕く時間に応じて楽しみ、そしてアルマジロは見つけるのだ。
 穏やかな青年の顔に、素晴らしい一品が存在することに(わりがいのあるあいすべきめがねだ)。
「差し上げることは致しかねます。邪悪の気配を溢れさせている所大変申し訳ありませんが……」
 ダッ、とマジロはシンの顔めがけて飛びかかった!
 余計な鳴き声も挙げず先制の一撃を鋭い爪を伸ばして、あとちょっと――眼前に滑り込んだ瞬間。
「……いえ、問題ありませんよ」
 闇色の狼が横っ面から喰らいつかん体勢を取っていたのを、静止させる。
 狙いはツキではなく、シン自身。しかも眼鏡だなんて究極にピンポイントな箇所だ。これは逃れたとしても、同じ場所が狙われるだけ。
「だから、これを行うのはやはり仕方がないことでしょう」
 割られるわけにはいかない。
 外れない眼鏡に、触れられるわけにもいかない。
「邪神の力は、それこそ邪悪なものでしょう――ですから、此方で返答とさせて頂きます」
 破魔の力を全力で注ぎ込み、魔を撃ち抜く銃弾(シルバーブレッド)は放たれる。
 詠唱銃から放つ魔力を込めた高威力の銃弾は、一射と二射と続けざまに。
 一射目は威嚇射撃。
 より正確に叩き込むために、あえて直接狙わず硬い鎧に当てた。
 軌道が一度逸れていったが、二射目がぶつかり軌道を修正。
 跳躍弾となって、死角からもう一度マジロ目掛けて跳ね返る。
 放たれた銀の弾丸は、邪悪さを抱く獣に炸裂するように降り注ぐ。
 眼鏡好き過ぎる邪な感情よ、邪心抱く質量を落とし給え――そしてあわよくば、眼鏡破壊活動自体をやめ給え。

成功 🔵​🔵​🔴​

尾守・夜野
「…だからどうして君たちは…」
愛故に壊す…【僕】には理解出来ないね
人もいるらしいし僕、関わりたくないから適任だと思われる【私】…女性人格に変わるよ
「…あら貴方いい趣味されてるわね
えぇ好きな物程壊したくなる…わかるのだわ…!!
なら私が好きな物を壊しても受け入れて下さるでしょう?
貴方…かわいい!壊したくなっちゃう!」
何故か他の人格には受け入れられないのだけど私好きな物程壊したくなるのよ
でも今回はお相手もでしょう?

ふふ!趣味が合う人は貴重だから嬉しくなっちゃう!
出来るだけ綺麗に壊す為毒をあちこちばら撒くわ
…人がいるから直接死にはしない程度に薄めるけどね
「ずぅっと一緒にお喋りしましょうよ」



●じわじわとその身で味わえ

「……はぁ、どうして君たちって奴は…………」
 現代人でさえない、邪神の眷属達。
 そして、此処に現れつつあるらしい邪神の力を有したアルマジロ。
『眼鏡は皆、悪マジロ』
「好きすぎて使われてる物の方が優先的に割りたいわけね」
『イエスマジロ、サー!』
 キラキラ顔で、そんな返事を繰り出して自身の手に出没させた眼鏡をぐっと握りつぶす。ぱりん!そしてサラサラと落ちてくるガラスを浴びている――しかもなんか嬉しそうだ。
 なんだこれは。理解してはいけないやつだ。
 冒涜的だ、こんなのは。
「『僕』には理解できないね、愛故にだなんて理由なら……」
 尾守・夜野は目を伏せて、そして呟く。
 誰かの声が聞こえた。此処に誰かが居るというのなら、――関わりたくない。
 適任を出すから、それでいいでしょ。
 雰囲気が柔らかめになり、ぱちっと瞳を開けたときには別の人格に替わっていた。
「聞いていたわよ。……いい趣味、されてるわね」
 頬を撫でて、良いじゃないと肯定する女人格。
『ロ?』
 少し雰囲気が代わり、眼鏡がより似合うのは何故だろう。
 アルマジロは首を傾げ、足元に発生させた創造の眼鏡をパリンと割砕く。
 停めなければこの生き物は邪神能力で発生させる眼鏡を永遠と割り続けるのだろう、夜野の顔面のそれを割るまで。
 挑発的態度にも見えるが、ワクワク期待を溢れさせて予行練習しているようにも見える。尋常ではない握力で割れるし、踏み砕く事も可能だと見せつける。ずっと顔は可愛く、心底楽しんでいる顔をしているのがなんとも戦闘意欲を削いでくる。
「あらあら、ええ。ええ好きな物ほど壊したくなる……わかるのだわ……!!」
 あまりの見せつける行動に、夜野の目がいきいきとした色を映した。
 かつ、かつと近づいてくるアルマジロに、夜野は優しいお姉さんのような声のトーンを保ちながら、濁流のように言葉を流す。
「なら、ならそうね。私が好きなものを壊したとしても、受け入れてくださるのでしょう?」
 ぐしゃり、とその足はアルマジロが作成した眼鏡を割砕く。
 無造作に踏み、そして、マジロの瞳を覗き込む。
「貴方……ああ、かわいい!壊したくなっちゃう!」
 ゾゾゾ、とまあるい背中をしているアルマジロの背筋がまっすぐになったように見えた。錯覚だろうか。妖艶な笑みを浮かべた夜野の表情に、正真正銘の怖さでも感じたのだろうか。
 ――何故か他の人格には受け入れられないのだけど。
 ――私、私ね。好きな程壊したくなるの!
 こんなに愛しい、壊したくてたまらない子も久々!
 今回は眼鏡狂の偏愛邪神――まあ、似たようなものよ。
『マジロはマジロ、悪マジロ。宣言通りに割るマジロ!』
「どうぞご自由に。ふふ!趣味が合う人は貴重だから嬉しくなっちゃう!だって愛故に、なんでしょう?」
 毒霧が眼鏡なんてお構いなしに充満していく。その特徴は扱う夜野しかわからない。縲絏呪毒(マーキング・アナフィラキシー)――その領域は、毒に侵された。
「じゃあ私からも愛を!愛を!」
 できるだけ隅々まで威力が充満するように、毒は広域にばら撒かれた。
『なんかちょっと違う気はするマジロ!』
 愛の重さについて物申してるような声を残しながら、マジロは機敏に身体を丸めて転がりだす。眼鏡を割り続けた時間に応じて、"避ける"という行動の成功確率を跳ね上げたのだ。毒の粒がない領域へ、コロコロ逃げるアルマジロは防戦を強いられる。
 ――此処には人がいるから。
 広域といっても、際限なく埋め尽くす事は出来ない。
 ――直接死ぬ原因を作っては事だから、死なない程度には薄めるけどね。
「そうかしら。じゃあ私がもっと理解するまでずぅっと一緒にお喋りしましょうよ」
 女の人格は喉をクツクツ鳴らして笑う、嗤う。
 毒からたとえ逃げられても。
 貴方がやりたくてたまらない事象は絶対達成できないのだ。
「私は此処。さあ、はやく来て?此処まで。ね?」
 毒霧の中を恐れず。壊れる瞬間まで、その愛を語り尽くして。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
な〜〜〜にがナイス眼鏡だ
ほっとけとは言われたが
万一死なれたら寝覚めが悪すぎる…
一応変態野郎に被害が及ばないよう留意

出たな真犯人
こうなったからにはお前の罪を告発させてもらう
証拠なら足下に山ほど転がってる
眼鏡を割る事は罪…!
近視遠視弱視老眼その他
視力に問題を抱えた人類全てへの冒涜的行為…!
そうだろ変態!(威圧
ほらテメェの召喚者からも言質取ったぞ
眼鏡を割る暇も与えず叩き潰す

敵は俺の眼鏡を狙ってくるだろう
脅威だが動きがバレバレという弱点がある
偽神兵器を盾にして眼鏡を守りつつ
死角から別の攻撃を行う

降霊だ…
眼鏡使用者達の生き霊を割られた眼鏡の残骸に集め
眼鏡属性の光線を照射し敵を焼却
酷い事件だった…俺寝るわ



●そして世界の眼鏡が救われた

 ひゅう、とアルマジロは息を大きく吸っていた。
 その空間に満ちた要素を大きく身体中で接種した。
 毒をその身に含んだマジロと空間崩壊、作戦失敗までのカウントダウンが始まった。身体中に毒が周り終わるのが先か、猟兵の眼鏡を一つでも割砕くマジロが誕生するのが先か――。
 はたまたそれ以外か――。


 そんな中、探偵は、かちんと来ていた。
 憂さ晴らしは大変丁寧に物理で行ったが、何だ今聞こえた言葉は。
「……な~~~にがナイス眼鏡だ」
 似合わない眼鏡つけるやつが世の中に居たら、そいつは眼鏡に用事なんて無いんだ。柊・はとりの持論、似合う眼鏡は必要だから付けるもの。
 ――面白い眼鏡ってのは、だな。
 ――"笑わせようとする"奴がつけようとするから似合うんだよ。
 そんな事も分かんないのか、と思いつつ、眼鏡の事一色の思考に嫌気さえさしてきた。それもすべて、この空間とあの変態野郎のせいだ。
 がさごそと、自分に似合いそうな眼鏡とやらを物色する背中。
 たまにわあきゃあと女子高生みたいな声を出している無害らしい変人男。
 猟兵達とアルマジロが立ち回る空間内には入り込みそうにはないが念のため。
 ――少しは気にしておくか。
 ――万が一にでも死なれたら、目覚めが悪すぎる……。
 主に、眼鏡を見る度に思い出す呪いをマジ寄りに受けそうで嫌だ。
 はとりの思う呪いの変質化は、実際その通りになるだろう。
 ――普段の眼鏡を見る度に、眼鏡空間を思い出すとかどんな嫌がらせだ。
『マジーロ?ナイス眼鏡割るマジロ!』
「うるせえ黙れ!」
 一括。びくぅ、とその身を揺らしたアルマジロは色んな意味でとばっちりだ。
 探偵がどんな意図で声を荒らげたのかだってよくわからない。
『いいやマジロはやると決めたら、やるマジロ!割るマジロはなんでもするマジロ!眷属たちのぶんまで首を捕るマジロ!』
「……聞いてたのか真犯人……!!」
 なんて嫌な地獄耳なんだ。
 つーか人の頭をボールみたいに扱ったような言葉を口にだすんじゃねえ。
「つーか現在進行系で侮辱罪が増えたな、こうなったからにはお前の罪を嫌というほど告発させて貰おう」
 逃げようったってそうはいかない。
『勝手にするマジロ。マジロはそれよりはやく、割るマジロ!』
 眼鏡を割る事で準備を整えていたアルマジロは、硬い鎧をくるりんと丸めてごろごろと転がりだした。外に目がついてんのかと疑う程に、スピードを上げて転がる中、はとりは告発を聞かせる。
「証拠ならお前が転がり轢き潰す足元に山程あるだろ!お前が今も尚現在進行系で増やし続ける罪!」

 眼鏡を 割る現象が 罪なんだよ!!

「今轢き潰したのは近眼用。そして今遠視弱視老眼その他の希望を終了させた!」
 本当にそうかは知らない。あれらは全てレプリカかもしれないが、そんな事はどうでもいい。勇気と知恵を絞れ。
「視力に問題を抱えた人類全ての冒涜的行為だ!そうだろ変態!」
 キツく睨み、言葉の暴力圧でその横っ面を叩く。威圧はパワー。眼鏡越しなら寄りキツさは度数を上げて、アルマジロに突き刺さる!
「防御がたとえあろうとも!お前の精神性は裸眼だろ!!」
『ぐぬぬ、痛いところを付くマジロ……流石に見えない眼鏡は"愛せない"マジロ……!!!』
「それにほらテメェの召喚者からも言質取ってんだよ」
 動揺に溢れるマジロの高速化は若干遅くなるのが見えた。
 だが、破壊に動くマジロは急に止まらない。
『だからなんだっていうんだマジロ!割れば!マジロは!全ての眼鏡破壊の権利を得たようなモノ!』
「世界の規模が迷惑レベルたけえのに色々ちっせえわ!!」
 つい口が悪くなる探偵であったが、顔面狙いの反則タックルはコキュートスを盾にすることで不正だ。
 どんなに重たいタックルだろうと、受けて流せばただの通り抜ける風に同じ。
「狙いが分かる分、いくらでも対応可能なんだよ学べよ!!」
『きゅう……』
 しょぼんと表情が一気に弱まった。
 眼鏡好きだけど眼鏡好きにたくさんお叱りの言葉を受けるのは邪神……ではなく獣としての『UDCアルマジロ』には効きすぎた。
「学べないなら帰れ。お前らに割られるほうが眼鏡も迷惑だわ!」
 一方的愛なんて見せられて窮屈なものはない。
 コキュートスを鋭く向けても、アルマジロは――戦闘意欲を無くしていた。
「あー……」
 ああいうの、ほんと勘弁して欲しい。
 はとりは、悪いのはとりあえず『邪神の力』だろうと判断し、周辺の眼鏡の残骸を集める。手を使うのは嫌だったので、それは全部コキュートスで。
 小言のように名を呼ぶ声が聞こえ続けていたが、はとりは完全無視を決め込んだ。
「眼鏡使用者たちの怒りを買い、量産し続けたお前に勝利の文字はないし、……顔面破壊も出来ない」
 眼鏡属性が集約し、割られた眼鏡がキラキラピカピカ輝き出す!
 すごい!かがやくのちからがここにあつまったみたい!
「喰らえ、これがお前が好きな眼鏡で作られた未来を映す力だ」
 割れた眼鏡から、眼鏡大好き割るマジロへ放たれた一撃は光を集約した眩しい光線だった。
 マジロは偶然か門(ゲート)の前に居た――つまり、一緒に焼かれる事となる。
 一直線に飛んでいく輝きは、どこか色んな眼鏡を想起させる――言うなれば本当に雑念だらけの眼鏡ビームだった。

 そんなビームに身を焼かれたマジロは、何故か満足げであったという。
『眼鏡が!光の中に眼鏡が!全部全部割るマジロ!』
「いや全部割れてんだよ……」
『絶対割るマジロ』
 門ともども焼却されるまで、アルマジロはその両手両足で幻の眼鏡を置い続けた。
 狂う程の偏った愛は最後まで見えていたが、邪神諸共除霊できたことを祈ろう。
「ああ、……酷い事件だった」
 気分の疲れが以上を突破したはとりはユーベルコードの力もフルに活用していた為に膝から崩れ落ちる。しばし、休息が、必要だ――。


 すぅう、と徐々に消えていく眼鏡だらけの異常な空間に。
「ああ!愛しい眼鏡が消えていく!!」
 平和的に生き延びた誰かの悲鳴と、夢の終わりの実感が絶叫となって響く。
 もとに戻っていく世界改変の予兆は、こうしていともたやすく終わっていった。
 世界は密かに救われたのである。
 猟兵達が手に入れた眼鏡は、何故か消えずに手元に残っていたらしいが――。
 それもそれぞれに似合う品がたった、ひとつだけ。
 ご丁寧にメガネケースに入っていて、ケースには諸注意と書かれたシールが一枚。

『割れ物。取り扱いには注意が必要です』。

 この事件は一体なんだったのだろう。
 眼鏡が割れ物扱いなんて、――当たり前じゃないか。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月15日


挿絵イラスト