【猟書家戦】京の都に扇が舞う
●サムライエンパイア 京の都
「皆さん、早く逃げてください!」
空から襲いかかるオブリビオン『雨告が羽』から人々を守りつつ、陰陽師の女性、舞香が声をかける。
「でも、アンタは……」
逃げようとする町民の一人が舞香に声をかける。自分達を逃した後、彼女はどうするのか心配になったようだ。
「大丈夫、私はヤドリガミですから。本体が無事なら大丈夫です」
そう言いながら扇を振るい、風を起こす舞香。その言葉に一応の納得はしたのか、振り向くことはやめ、走ってゆく町民。
「本体が無事なら……果たしてそうかな?」
空を飛んでいる雨告が羽の一帯が口を開く。
「今の我はクルセイダー様の手により『安倍晴明』の力も得ている。お主の肉体を刻んだ後、魂が本体に戻る前に術にて縛り付け、骸の海に沈めることもできるのだぞ」
不死身だと思っている相手に絶望を与えんと煽る。だが、舞香の表情は曇ることはない。
「町の人が逃げてくれれば、それで問題ありません。死はもとより覚悟の上です」
かつて分身体ごと本体を殺すことができるオブリビオンと戦ったことがあるのだ。腹はくくっている。
「ならば、望み通りクルセイダー様の軍門に加えてやるわ!」
一斉に雨雫の矢を放つ雨告が羽達。
「修行をしようと京都に来たものの、とんでもないことに巻き込まれちゃったわね」
そして自嘲する様な表情をした後、舞香は手にした扇を振り、風を巻き起こすのだった。
●グリモアベース
「サムライエンパイアで猟書家の活動を予知したっす。場所は京の都っすよ」
そう話すのはヒーローマスクのグリモア猟兵、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)だ。
「『江戸幕府の転覆』を目論む猟書家、クルセイダーが標的にしているのが京の都っす。あそこは古くからあるサムライエンパイアの中枢都市っすからね。ただ、もちろん古いだけじゃないんすけどね」
京には、古代より密かに『対オブリビオン戦闘』を想定してきた『陰陽師』達が、数百年掛けて張り巡らせた結界がある。だからこそ、今までもオブリビオンから多き被害を受けずに済んでいたのだ。
「ただ、攻め入ってくるオブリビオンがクルセイダーの秘術『超・魔軍転生』で配下のオブリビオンに『安倍晴明』の魂を憑依させたことで状況は変わるっったっす。奴等は結界を打ち破って攻め込もうとしているんすよ」
陰陽師達も手をこまねいている訳ではない。新たに結界を張り、敵の動きを鈍らせてはいる。
「ただ、それでも良くて善戦。一般人を逃す時間稼ぎくらいにしかならないっす」
今回予知した戦場でも、ヤドリガミの陰陽師が奮闘しているようだが、このままでは倒れるのは時間の問題だ。
「そんな訳で、みんなには攻め込んできたオブリビオンを倒して欲しいっすよ」
今回攻め込んでいるオブリビオンは2種類いる。クルセイダーの秘術を受け、『安倍晴明』の魂を憑装しているオブリビオン集団『雨告が羽』。鴉のように黒いオブリビオンで、空を飛んで『雨雫の矢』と言うものを飛ばす範囲攻撃が得意だという。
「シンプルに飛び道具の物量で攻める他にも、高速移動や攻撃音で間隔を狂わせたりと、そこそこ多彩みたいっすから、ちゃんと対策はして欲しいっす」
その辺りは、猟兵の使おうとするユーベルコードによっても、どの攻撃をしてくるか余地が分かれるため、うまく対応して欲しいとのことだ。
「そして、後方から指揮している猟書家幹部の『大天使ロロサエル』っす。刀による攻撃や呪言などを使うから注意っす」
ロロサエルは雨告が羽が倒され続ければ前線に現れるらしい。そしてロロサエルさえ倒せば、指揮するもののいないオブリビオンの掃討は容易だという。
「なので、現地の陰陽師と協力して頑張って欲しいっすよ。京の都が守れるかはみんなにかかってるっすから、頼んだっすよ!」
そう言うとリカルドは準備のできた猟兵から順に京の都へと転送してゆくのだった。
麦門冬
どうもこんにちは。マスターの麦門冬(むぎとふゆ)です。今回は京の都で狼藉を働く猟書家を倒しに行ってもらいます。過去のリプレイに登場したNPCが登場していますが、特にそのリプレイを知らなくても問題なく参加可能です。
第1章では、『安倍晴明』の魂を憑装した集団敵『雨告が羽』と戦ってもらい、第2章で猟書家『大天使ロロサエル』と戦ってもらいます。猟兵が到着する頃には一般人の避難が済んでいるものと思ってください。
また、今回のシナリオは章全体を通して以下のプレイングボーナスがありますので、うまく利用してみてください。
プレイングボーナス……陰陽師と協力する(戦力としては不足ですが、結界で敵の動きを鈍らせることができます)。
以下、補足事項です。
●舞香
かつて陰陽師が使っていたとされる扇子が命を得たヤドリガミであり、彼女自身も陰陽師です。陰陽術で結界を使う他にも風を起こすことも得意です。陰陽師としての修行をしに京にきたところで今回の事件に巻き込まれたようです。
彼女が過去に登場したリプレイは『#ヤドリガミの陰陽師・舞香』で検索可能です。
●雨告が羽
朽ちて滅びた屋根のあやかしで、かつて己の元にあった温もりを求めて、生者を誘います。『安倍晴明』の魂が憑装されていますが、特に生命の意識がある訳ではないようです。
オープニングで晴明の術で舞香の魂を本体へ戻せなくできると言っていましたが、真偽は定かではなく、もしできたとしても猟兵がいる前ではそのような術を行なう隙を見せることはありません。
●大天使ロロサエル
サムライエンパイアに現れた、『大天使』のひとりです。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『雨告が羽』
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POW : 嵐軋みの夜戸
【広げた翼を嵐風を起こす巨大な翼】に変形し、自身の【雨雫の矢への耐性】を代償に、自身の【周囲に降る雨雫の矢】を強化する。
SPD : 忌み雨の樋縁
【光を周囲から奪い、胸に抱いて動かぬ姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【雨雫の矢を降らせる『暗雲』】を放ち続ける。
WIZ : 遠鳴りの呼鈴
【降る雨雫の矢】から【反響する雨音】を放ち、【空間の知覚能力にズレを生じさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:烏鷺山
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第四『不動なる者』まとめ&盾役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀形態)
属性:重力
京の都は悪霊的には苦手なのだが、放っておけぬのよ。
一方的であるが、親近感あるしな。
※父親が『陰陽師の使っていた黒曜石の鏡』のヤドリガミだった『不動なる者』
そこな陰陽師の方(舞香殿)。共闘いたそうぞ。
その風で、ある程度の雨雫の矢は散らせるだろうか?
ああ、知覚能力をずらし、わしの動きを止めても無駄よ。
【四更・雷】を使用。これは知覚がずれたとして、追尾し追いかける。必ず当たるのよ。
そして、わしの重力属性で地に落ち、もとよりついておる雷属性で痺れるがよいよ。
●雨、風、そして雷
「そこな陰陽師の方。共闘いたそうぞ」
オブリビオンと戦う舞香にそう声をかけたのは柔和な笑みを浮かべた男。その名は馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、四人の人間の魂が混ざり合った悪霊である。
「貴方は……恩に着ます」
苛烈な戦場を前にしての佇まい。舞香は過去の経験からか義透が猟兵であること察すると、軽く会釈し礼を言う。
「京の都は悪霊的には苦手なのだが……放っておけぬのよ。一方的であるが、親近感あるしな」
「……私に何か?」
「何、気にするな。こちらの話なのでな」
義透の現在表に出ている人格『不動なる者』。その父親が『陰陽師の使っていた黒曜石の鏡』のヤドリガミであったことが、同じく陰陽師の扇子のヤドリガミである舞香に対して思うところがあったようだ。
「援軍か。数が増えようと新しい的が増えただけのこと!」
だが、感慨に耽る間も与えず、『雨告が羽』は『雨雫の矢』を義透逹目掛けて飛ばす。
「おしゃべりはここまでにしておこう。その風で、ある程度の雨雫の矢は散らせるだろうか?」
「散らせることはできます。ですが、私の風では彼らを落とせないので、あくまで散らすだけですが」
義透の問いに舞香がそう返す。風を使えるということで、結界の力も手伝い、飛び道具を使う相手に舞香は善戦できている。逆に言えば決定打に欠けるために善戦止まりであり、次第にジリ貧になっていただろう。
「ならば問題ない。そなたの風がわしらを護る盾となってくれるのであれば、わしは刃となり、かの者達を撃ち落として見せよう」
そう言うと、義透の手からバチリと雷が迸る。舞香が風を起こして雨雫の矢を吹き散らす中、義透は雷を天へ目掛け飛ばす。すると、雷は無数の矢となり飛んでゆく。
「愚か者め。どこへ飛ばしていると言うのだ」
馬鹿にしたような声を上げる雨告が羽。それもそのはず。彼らのユーベルコード【遠鳴りの呼鈴】により、義透の空間知覚能力にズレが生じ、攻撃はあらぬ方向へ飛んでいっているのだ。だが、義透は落ち着き払っている。
「ああ、知覚能力をずらし、わしの攻撃をずらしても無駄よ」
その言葉通り、雷の矢【四更・雷】は急に軌道を変えて雨告が羽に襲いかかる。
「ぐわああああ!!」
「そして、わしの重力属性で地に落ち、もとよりついておる雷属性で痺れるがよいよ」
義透の言葉通りに地面へと急降下してゆくオブリビオン達。
「すごい、あれだけの敵を……」
「とはいえ、防御の対策はなかった故、風の守りがなければわしも危なかっただろうて。感謝するぞ」
感嘆する舞香に向けて柔和な笑みを浮かべると、そのまま地面へ落ちていった敵へトドメを刺しに義透は向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
七詩野・兵衛
アドリブ等歓迎
とりあえず『大声』で名乗る。
「我輩はアルダワ魔法学園応援団団長『七詩野 兵衛』である!」
「特に縁はないが、我輩が助太刀に参った!」
ごく普通に善意で助太刀に来た。
嵐対決ッ!
雨告が羽の「嵐軋みの夜戸」に対し、「応援殺法『轟砲雷落』」で真っ向勝負!
足場が荒れているなら『悪路走破』と『足場習熟』で対応。
溜めの間は負傷する『覚悟』と団長服の『結果術』でしのぎ、
『集中力』で少し『限界突破』した得意の『槍投げ』で、
奴の広げた巨大な翼を狙って団旗を投擲する!
撃墜できれば耐性を犠牲にした奴に【周囲に降る雨雫の矢】を、
団旗『霹靂一声』のドラゴンブレスと陰陽師さんの風で巻き込んで叩き込めるだろうか?
●嵐VS嵐
「我輩はアルダワ魔法学園応援団団長『七詩野 兵衛』である!」
そんな大声と共に戦場に現れたのは学ランに身を包んだ七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)である。
「特に縁はないが、我輩が助太刀に参った!」
「助太刀、感謝いたします。敵は空から攻撃してきますので、気をつけてください」
兵衛に礼を言うと共に敵への注意を促す舞香。
「ほう、新手か。猟兵が増えられても困るのでな。早々に片付けさせてもらおう!」
相手が強者と判断してか、『雨告が羽』達はユーベルコード【嵐軋みの夜戸】にて翼を大きく変化させ、強くはためかせると周囲に降り注がせていた『雨雫の矢』を兵衛へと集中させる。
「嵐対決ッ! ならばここは真っ向勝負!」
応援団旗『霹靂一声』を敵目掛けて投げようとする兵衛だが、それよりも早く矢の嵐が兵衛へと降り注ぐ。
「ッ……間に合わない!」
舞香も咄嗟に風邪を起こしてガードに向かわせようとするが、勢いの増した嵐を抑え切ることはできず、矢が兵衛へと容赦なく突き刺さってゆく。
「ッ!!」
その光景に息を呑む舞香だったが、
「その程度か!」
大量の矢が刺さっているにも関わらず、兵衛はそのまま団旗を空の敵へ向かって投げる。
「我が力お前に託す。行ってこいレキ! 応援殺法『轟砲雷落』ッ!」
その言葉に応えるかのように団旗『霹靂一声』は雨告が羽へと飛んでゆき、その翼を突き破る。
「何だと!」
バランスを崩し、地へと落ちてゆく雨告が羽。
「レキ、今だッ! それと陰陽師さん、風をあいつに!」
「は、はい!」
そして兵衛の合図と共に敵の上方へと飛んでいった団旗はドラゴンへと姿を変貌させ、衝撃波を伴った咆哮を下にいるオブリビオン達へと叩きつける。更にはそこへ舞香が風を起こし、墜落する相手目掛けて雨雫の矢を集めて飛ばしてゆく。
「グアアアアアアア!」
翼を巨大化させて的が大きくなった分、大量の矢が雨告が羽達へ突き刺さる。そしてしばらくして動かなくなる。
「嵐対決は俺達の勝ちだッ!」
その様子に高らかに宣言する兵衛。
「あの……大丈夫ですか?」
そんな兵衛に向けて舞香が声をかける。敵の矢を大量に受けていたのだ。心配するのも無理はない。
「問題ないッ! 団長服が守ってくれたからな!」
兵衛の着ている『アルダワ魔法学園応援団団長服』は着ている者の気合いで結界が展開される為、よく見てみると矢はほとんど刺さっていない。刺さっているのも気合と覚悟で何とかなるレベルだ。
「心臓に悪い……。猟兵の方々は無茶しすぎです」
そうは言いながらも舞香はほっと胸を撫で下ろすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
クロム・エルフェルト
飛び道具相手はやり辛いのだけど
幸いにも、佳い風が吹いている
矢を押し留める風に紛れ
▲早業で敵の身体を斬りつける
――久しいね、舞香殿。
真柄直隆を斬った時以来、かな。
助太刀させて貰う、ね。
周囲から光が奪われ始めれば
「流水紫電」を励起、縮地の如く▲ダッシュ
舞香の風を背に受けて更に加速する
敵のUCが成るよりも早く▲先制攻撃
【蓮華躑躅】を先に当て、忌み雨を不発としたい
乱戦になれば敵の全ては封じきれない
舞香に激しい下降気流で援護して貰い
地に抑えつけられた敵は精確に頚を刎ねよう(▲切断)
――前みたいな無茶はするな?
……。
ん、善処する。
(しない、とは言わない)
(武士たる者、出来ない約束はしないもの)
●再会
猟兵達の活躍により、大分数を減らしている『雨告が羽』達。
「おのれ猟兵。このままでは済まさぬぞ」
先程、猟兵の繰り出した竜と舞香が起こした風による下降気流。全滅を免れた雨告が羽達がそれに抗い再び高度を取ろうとするが、再び高度を取ろうとするが、
「遅いよ」
疾風一閃。飛び上がろうとした雨告が羽達を斬り捨てたのは一人の妖狐。
「クロムさん!」
クロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)の姿に舞香は思わず声を上げる。
「――久しいね、舞香殿。真柄直隆を斬った時以来、かな」
クロムは淡々と言葉を返すと、刻祇刀『憑紅摸』を鞘に収める。
「助太刀させて貰う、ね」
「こうなったならば、次はこの手だ!」
二人がそのような会話をしている間に、斬撃を免れた雨告が羽が周囲から光を集め始める。ユーベルコード【忌み雨の樋縁】の予備動作だ。
「――舞香殿。風を」
その動きにいち早く気づいたクロムは舞香にそれだけを言い残すと、建物の屋根の飛び乗り、足捌きの秘奥『流水紫電』を励起させ、そのまま駆ける。足元に紫電と蒼い粒子が舞う。
「はい!」
意図に気づいた舞香は雨告が羽目掛けて旋風を巻き起こす。それと共に助走で加速したクロムは跳躍。舞香の風を背に受けてさらに加速し、敵へと肉薄する。
「神速剣閃、肆ノ太刀――闘気を砕く」
正面からの袈裟斬り、左右からの胴薙ぎ、そしてすれ違いざまの背後からの逆袈裟。【仙狐式抜刀術・蓮華躑躅】による四斬撃は、その速度に対応できぬものが見れば、ほぼ同時に斬ったとしか見えぬ神速の斬撃。それは猟兵ではない舞香にとってもそうであり、『安倍晴明』の魂を憑装しているものの存在も実力も晴明そのものではない雨告が羽にとってもそうだった。
「ば、馬鹿な……」
クロムが納刀すると共に、雨告が羽の体が裂け、バラバラとなって地に落ちてゆく。
「――次、行こう」
次の標的を見定めつつ、クロムは舞香にそう声をかける。
「ええ。ですが、前みたいな無茶はしないでくださいね」
「……」
舞香の言う『前みたいな無茶』とは、猟書家『真柄十郎左衛門直隆』を討つ際に相手の攻撃で満身創痍になりながらも一撃を入れに行った行為のことである。
「ん、善処する」
「しない、とは言わないんですね」
「――ん」
武士たる者、出来ない約束はしないもの。そう言った彼女の意思を汲み取り、舞香はため息をつく。
「では、善処お願いしますね」
「――ん」
舞香の言葉に短くそう応えたクロムは残っている敵への追撃を再開するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ(サポート)
鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います
UCは指定した物をどれでも使用
普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)
処刑人として敵と戦います
同行者がいれば協力
メインは鉄塊剣等大剣で敵を攻撃
鉄塊剣の使用が不向きな相手・場所では刀剣をメインにし敵を攻撃
拷問具や鞭を使い敵の行動を阻害、鉄塊剣や刀剣で敵群を倒す
守護対象がいれば武器受けでかばい、敵をおびき寄せ注意を惹いたりします
キャバリアを操縦したり生身でも戦います
赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可
合わせ等も自由にどうぞ
●掃討戦
「こんなはずでは……ッ!」
猟兵達の追撃を逃れ、遥か上空へと逃れた『雨告が羽』達。京の街を地獄絵図に変えようと意気込んではみたものの、突然の猟兵達の参戦で無様な様子を晒している。
「だが、ここまで上がってくれば、流石の奴らも追ってはこれまい」
見下ろせば、京の街並み。人々などは米粒のようだ。
「このまま逃げ帰ってはクルセイダー様に合わせる顔がない。せめて奴らに一泡吹かせるとしよう」
そう言うと、【忌み雨の樋縁】によって周囲に闇をもたらし、体から暗雲を放つ。
「狙いは定まらぬが、ここから『雨雫の矢』を降らせば反撃もできまい。一方的に攻撃してくれようぞ」
「随分とこすっからい手を使うんだね」
「そもそも、ワタシ達から逃れられると思っているのか」
「……ッ!」
声のした方を見れば、そこにいるのは二人の猟兵。【ガジェットショータイム】で召喚した飛行型ガジェットに跨った赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)と、【シュバルツァ・リッター】によって呼び出された亡霊馬『コシュタバァ』に乗った仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)である。
「猟兵ッ!! ここまできていたとは!」
猟兵達の実力は身に沁みている。ならば取るべき手段は……、
「おっと、逃さないよ」
猟兵達から距離を取ろうとする雨告が羽達に対し、緋色は蒸気ガトリングガン『ミニさん』を構え、大量の弾丸を吐き出す。
「ぐっ」
緋色の弾幕に飛行ルートを遮られ、思うように逃げられない雨告が羽達。
「邪魔を、する……」
「余所見とは、随分余裕ね」
振り切ることを諦め反撃に転じようとした雨告が羽達だったが、時すでに遅し。弾幕に紛れてアンナが既に肉薄し、鉄塊剣『錆色の乙女』を振り上げているところだった。
「ガッ!?」
高質量の塊を叩きつけられた衝撃に、身体を弾けさせ墜落し、夢散してゆく雨告が羽。
「死から逃れる事は出来ない……!」
緋色の援護射撃によって飛行に制限されている中、アンナの死刑宣告から逃れられるものなどいなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『大天使ロロサエル』
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POW : 月閃乱撃
【日本刀による隙無き連撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 月呪審判
【三日月の如き刃】【朧月の如き羽】【月蝕の如き呪言】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 月焔邪視
【魔眼や呪言】を向けた対象に、【精神や身体の内側から蝕む焔】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:秋城結花
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠筧・清史郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●猟書家『大天使ロロサエル』
「ひとまず、終わったみたいですね」
戦闘が終わり、舞香が一息つく。空を飛んでいた雨告が羽達も、ある者は重力や烈風に叩き落とされ、ある者は刀によって斬り捨てられた。上空へと逃げていった者もいたようだが、空を飛んでいた猟兵達が追撃し、見事討ち取ったようだ。
だが、これで本当に終わったわけではない。
「ふむ、やはり興味深いですね」
そんな声とともにどこからともなく舞い降りたのは、その背に大きな翼をはためかせた美丈夫『大天使ロロサエル』である。
「クルセイダー、超・魔軍転生、それにこの京を守る陰陽師達。私の興味が尽きることはない」
そこまで喋り、猟兵達を見渡す。
「ああ、もちろん貴方達猟兵という存在も興味深いですね。同じ生命の埒外にありながら、我々とは似て非なる者」
そしておもむろに三日月の如き刃の刀を抜く。
「ですが、こちらもクルセイダーに頼まれた任務がありますから、悠長にことを構えることはできません。非常に残念ですね」
どこか穏やかでありながら、その立ち振る舞いには隙がない。
「クルセイダーの為にも、この京を、落とさせていただきます」
高らかな宣言と共に戦いの火蓋が切って落とされる。
(※この章でも陰陽師である舞香と協力することでプレイングボーナスが得られます。それでは皆様のプレイングをお待ちしております)
ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。
口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。
ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ティエン・ファン(サポート)
シルバーレイン出身の除霊建築士です。
モットーは「明るく楽しく元気よく」で、自分にできることがあるならば、できる限りを尽くそうとします。
通常は【道術】【竜脈使い】【仙術】の技能を主に駆使して問題解決に取り組みます。
戦闘時は主武器のT定規と副武器の浄銭貫を用いて、近距離戦も遠距離戦もこなします。
キャバリアが必要な場面、若しくは有効な場面では、『蚩尤』を使用します。
『蚩尤』は普段イグニッションカードに収納しています。
ユーベルコードは『蚩尤』搭乗時は”蚩尤”とついたものを、そうでないときはそれ以外のものを状況に応じて使用します。
以上を基本として、シナリオに合わせて思うままに動かして頂ければと思います。
七星・天華(サポート)
羅刹のガンナーで元気娘。
仲良しな人には優しく楽しく。
『一般人に過度な期待はしないでよね。』
自分は才能など無い平凡な存在だと思っているが実は天才。
二丁拳銃「白雷」と「黒雷」をメインにナイフ系も扱える。
二丁拳銃を使った近接戦闘もできる。
遠近両方の距離でも戦闘を成立させる。
装備の影響で帯電しているが自由自在に扱える。
世界を放浪して手に入れたアイテムで出来る事の幅が広い。
少々過酷程度の環境は即座に対応適応するサバイバル能力。
左肩に生まれつき痕がある。
美人な元気娘だが暗殺もするデンジャラスな一面も。
家族のみんなが好きだが特に姉が大好きで姉の一番のファン。
自分にもファンが居るとは微塵にも思っていない。
●これが猟兵
「恨みがある訳ではありません。ですが、ここで死んでいただきましょう」
猟書家『大天使ロロサエル』はそう話すと、背中の大きな翼を広げ朧月のような羽根を猟兵達、そして舞香に向けて飛ばす。だが、
「当てられるとは思わないでよね!」
その声と共にどこからともなく飛んできた弾丸が羽根を全て撃ち落とす。
「間に合ったみたいだね」
姿を見せたのは羅刹の少女、七星・天華(自覚無き天才・f36513)。その手には2丁の拳銃『白雷』『黒雷』が握られている。そして、この場に駆けつけたのは彼女だけではない。
「結界で守られている京の街は除霊建築士としても興味深い場所だよ。だからこそ、攻め落とされるわけには行かないよ!」
「そういう訳です。大人しくやられてください」
続けて現れたのは除霊建築士の女性、ティエン・ファン(除霊建築学フィールドワーカー・f36098)とレイピア『リトルフォックス』を構えた少女、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)だ。
「ふむ、新たな手勢ですか。なるほどなるほど。それではあなた方の実力を見せていただきましょうか」
新たな相手の存在を確認したロロサエルは3人の猟兵目掛け、再び【月呪審判】による朧月の如き羽根を飛ばす。
「一般人に過度な期待はしないでもらいたいんだけどさ」
そう言いつつも天華は拳銃を構え、素早く連射。
「でも、さっきそれを止められたのを忘れたのかな?」
複雑な軌道を描き発射された【リフレクティングショット】による銃弾の嵐はロロサエルの羽根を全て撃ち落としてゆく。だが、ロロサエルは気にすることなく刀を構え、地を駆ける。
「ーー疾く、燃えよ」
「!! 浄銭よ、過たず我が敵を射貫け!」
ロロサエルが何かを呟く。それに気づいたティエンがすかさず【八卦浄銭弾】、清められた古銭を飛ばす。古銭は天華とロロサエルの間に割り込み、昏い炎を天華の目の前で上げる。
「ほう、気付いたか」
「除霊建築士を舐めないでください」
ロロサエルの【月焔邪視】の効果が乗った呪言をティエンの古銭が防いだのだ。呪言に浄銭は相性が良かったのか、呪言による心身を蝕む焔は誰にも届くことなく燃え尽きる。
「こちらの攻撃はまだ終わっていませんよ」
燃え尽きる焔を突っ切り、ハロがレイピアによる刺突をロロサエルに向ける。
「ええ、こちらの攻撃もまだですとも」
ロロサエルも三日月の如き刃の日本刀で応戦し、斬り結ぶ。翼による攻撃、呪言だけでなく、剣の腕前もなかなかのものだ。
「何故、こちら側の力がありながらそちら側にいられるのか。中々興味深い」
「おしゃべりしている暇は、あるんですか?」
ロロサエルと鍔迫り合いに持ち込むハロ。これで相手の動きの一瞬止まる。
「避けれると思わないでよね!」
「我が敵を射貫け!」
そこへ今度は天華の【リフレクティングショット】とティエンの【八卦浄銭弾】が撃ち込まれる。
「それがどうかしましたか?」
今度はロロサエルが迎撃する形で【月呪審判】による羽根と呪言で弾丸と古銭を撃ち落とす。
「隙あり!」
そこへ迎撃の旬を見逃さんとハロはレイピアを手放し、掌底をロロサエルに叩き込もうとする。が、
「それは私に届きませんよ」
ロロサエルはいち早く反応し、ハロの手首を掴んで掌底を止める。。
「いえ、この一撃で逆転です!」
止められたハロの右手、その掌……手袋に仕込まれた魔法陣から【窮地を穿つ秘匿の雷剣】による刃が飛び出す。
「ッ!!」
思わずハロを突き飛ばして後ろへ飛び退くロロサエル。
「手応えは……ありましたね」
手放していたレイピアを拾い上げ、ハロはロロサエルへと視線を向ける。致命傷には至らなかったようだが、ロロサエルの体から雷のヤイバによる傷らしきものと、そこから上がる煙が見える。
「成程、そのような手があったとは。ますます興味深いですね、猟兵とは」
傷口を抑えながらもロロサエルはどこか楽しげに笑うのだった。
成功
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七詩野・兵衛
アドリブ絡み歓迎
言ってないので、『覇気』と『威厳』を込めて言わせてもらおう。
「我輩の名は七詩野 兵衛!
アルダワ魔法学園応援団「轟嵐会」団長である!」
「我輩も、助太刀に来た者として此処を全力で守らせてもらおう」
・・・出来る事ならば、応援を介して分かり合いたいのだがな。
月閃乱撃に、応援殺法『極限崩券』(誤字)を使用。
奴が降りてきたなら地上戦か?
飛んでもスカイダンサーとして対応して見せる。
連撃を可能な限り『オーラ防御』と『受け流し』でさばく。
陰陽師さん結界術で援護を頼む。
隙が無いならばいっそ『覚悟』して斬撃を殴るか?
「これが我輩の『気合い』と『情熱』を乗せた
全身全霊の一撃である!」
クロム・エルフェルト
舞香殿、風を止めて欲しい
私が危うくなっても
どうか、信じて合図を待っていて
敵UCの対処は舞香を背に庇い
【朱八仙花】で斬撃すらをも▲切断する
縮地の▲ダッシュで距離を詰め、大天使と斬り結ぶ
▲早業にて斬りかかり、敵の斬撃を▲受け流したうえでの▲カウンター
太刀嵐の中、響く刃の音に少しずつ五感をずらす▲催眠術を織り交ぜ
敵に僅かな隙を作り出す
舞香殿、今!!
隙を逃さず声を張り上げたなら
舞香には砂塵含む突風を起こして貰いたい
初歩的な目潰しでも、それが決戦中の不意打ちならば
僅かな隙は致命的な隙に拡がり得る
思い切り踏み込み、二度目の八仙花は「大天使のすぐ傍で」発動
敵より放たれようとするUCごと
其の身体を微塵に断つ
馬県・義透
引き続き『不動なる者』にて
さて、お前の思うようにはやらせぬよ。
…すまんが舞香殿、霹靂が体当たりに活用する、というので風で援護してくれんかの?
ああ、ちなみに。UCを使いつつロロサエルの真正面に立ち、黒曜山で斬りつけつつ、わざと効果全てを受ける。
このUCは返しの性質。それは状態異常であるからな、全て跳ね返ろう。だてに『鏡』を親にもっておらぬよ。
さて、わしにばかり気をとられると…他に目が届かなくなるぞ?
例えば…上や横から風を伴って体当たりしてくる存在とかな?
※
霹靂、影から出て来て体当たりする気満々。風があったら、さらに速くなって威力上がる。クエッ!
実は密かに護衛している陰海月。ぷきゅ。
●興味の果てに
「我輩の名は七詩野 兵衛! アルダワ魔法学園応援団「轟嵐会」団長である! 我輩も、助太刀に来た者として此処を全力で守らせてもらおう」
大天使『ロロサエル』への挨拶がまだだった。と言うわけで七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)はその大声を以って挨拶をする。
「ふむ、名乗りはまだでしたね。我が名はロロサエル、大天使にして猟書家なり。我が盟友クルセイダーの野望の為、この京を落とさせてもらいましょう」
「出来る事ならば、応援を介して分かり合いたかったのだがな」
律儀に挨拶を返すロロサエルに兵衛はそのような感想を抱く。だが、相手としても譲れない理由がある以上、実現はかなり難しいだろう。
「舞香殿、風を止めて欲しい」
一方でクロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)はヤドリガミの陰陽師である舞香にそう語りかける。
「私達が危うくなっても、どうか、信じて合図を待っていて」
「……すまんが舞香殿、その時は霹靂が体当たりに活用する。と言うので風で援護してくれんかの?」
「成程! ならば我輩からも頼む! それまでは結界で我輩達の防御を頼む」
舞香の提案に県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と兵衛も続く。
「……分かりました。信じていますからね」
そう言うと舞香は起こしていた風を止め合図に備える。
「さて、話は終わりましたか? ならば、始めましょうか。さあ、燃えるがいい」
猟兵達の動きを確認したロロサエルはユーベルコード【月呪審判】にて呪言を放つとともに、翼から羽根を飛ばし、自身も前へと駆ける。
「まずはわしに任せぃ! ぐぬっ!!」
義透が矢面へと立ち、羽根と呪言を受け止める。その身にロロサエルの朧月のような羽が突き刺さり、身体から焔が噴き上がる。
「その意気や良しとしましょう。ですが、それだけで仲間を守れますか!?」
「その為の我輩達だッ!」
「斬撃すらも切断する!」
崩れ落ちる義透の左右から飛び出してきたのは兵衛とクロム。ロロサエルは日本刀による隙無き連撃【月閃乱撃】を放つが、兵衛のオーラを纏った拳とクロムの【朱八仙花】による迎撃でロロサエルの斬撃を受け流し、捌いてゆく。
「なかなかやるようですね……ッ!」
このまま斬撃を押し切ろうとしたロロサエルの胸元に焔が噴き上がる。たまらず後退して体勢を整えるロロサエル。
「わしのこのユーベルコードは返しの性質。それは状態異常であるからな、全て跳ね返ろう。だてに『鏡』を親にもっておらぬよ」
なんとか起き上がりつつ義透が説明する。舞香の結界のおかげが致命傷は避けれたようだ。
義透のユーベルコード【四悪霊・『鎧』】は自身が受けた状態異常や行動制限を跳ね返す効果がある。これにより、ロロサエルのユーベルコードの効果が反射され、ロロサエル自身にも攻撃力低下の効果がもたらされたわけだ。最も、反射できるのは行動制限や状態異常の類だけなので物理的なダメージなどは受けてしまった訳ではあるが。
「面白いことをしますね。ですが、呪詛使いたるもの、呪詛返しに対策をしていないとでも?」
そう言うと、ロロサエルの胸元……首にかけていた十字架が燃え落ちる。状態異常を軽減できるよう対策を怠っていないのはさすが猟書家というべきか……。
「舞香殿、今!!」
「はい!!」
だが、攻撃が止まったのも事実。その隙を逃さず、クロムが合図を送り、舞香が風を送る。
「霹靂一声ッ!!」
「さて、わしにばかり気をとられると…他に目が届かなくなるぞ? 例えば……上や横から風を伴って体当たりしてくる存在とかな?」
兵衛の声と義透の忠告と共に飛び出してきたのは二つの影。その正体は兵衛の竜『霹靂一声』と義透のヒポグリフ『霹靂(かむとけ)』だ。それぞれの名に『霹靂』の文字を掲げる二匹の幻獣は奥義のヤドリガミの風を受け、まさに稲妻のようにロロサエルへと迫る。
「そのような伏兵を抱えていましたか。しかし!」
ロロサエルは【月閃乱撃】を飛ばし、攻撃を寄せ付けないようにする。万全の状態であれば、二匹の攻撃を迎撃しつつ、猟兵達への牽制になっただろう。だが、少なからず義透の呪詛返しで切っ先の鈍ったロロサエルの斬撃に隙が出来た。
「神速剣閃、陸ノ太刀――万象を断つ」
その隙を見逃さず、クロムが縮地の歩法でロロサエルの眼前へと迫り、ユーベルコード【仙狐式抜刀術・朱八仙花】で全身の力を抜き、迎撃体勢へと入る。ほぼ自動的にロロサエルの斬撃を切り払うクロム。打ち続け合う剣戟の音が響く。
一見この斬り合いは拮抗しているように見えたが、徐々にロロサエルの方が押される。
「そういう……ことですかっ!!」
ロロサエルが何かに気づいた時にはすでに遅く、ロロサエルの斬撃をすり抜けるようにしてクロムはロロサエルに自身の斬撃を浴びせ、刀を弾く。
「これが我輩の迸る「気合い」と「情熱」を乗せた全身全霊の一撃である!」
さらにそこへ。兵衛が飛び出し、【応援殺法『極限崩券』】をロロサエルの身体へと叩き込む。
「おおおおおおっ!!!」
なすすべもなく重厚なる一撃を受けたロロサエルは武器とばされる。周囲の建物の壁に激突し、そのまま崩れ落ちる。
「まさか……催眠術も重ねていたとは……」
「ご名答」
息も絶え絶えのロロサエルにクロムが答える。
ロロサエルの【月呪審判】の効果を義透が反射していた頃から仕込みは始まっていた。クロムはロロサエルの斬撃を受けていた時から、その剣戟に相手の五感をずらす催眠術を仕込み、気づかないうちに相手の攻撃の精度を落としていたのだった。催眠術で自身の想定以上に弱体化していたことに気づいていれば、ロロサエルも立ち回りを変えていただろうが、気付いた時にはもう手遅れであった。
「見事な連携でした。やはりこの世は興味深いもので溢れている。惜しむべくはこの体験を次の私が覚えている保証がないと言うこと。これは非常に残念なことです」
そのような言葉を残しつつ、身体を崩してゆくロロサエル。
「猟兵、そしてそこの陰陽師よ。機会があればまた会いましょう。そして、私にまた面白いものを見せてください」
そう言葉を残し、ロロサエルは骸の海へと還っていった。
「猟兵の方々は無茶する人ばかりなんですか?」
「それを言われると耳が痛いな!」
「心配をかけてしまって申し訳ないな」
「今回、私はそこまで無茶していなかったけれどね」
戦闘の後、猟兵達の怪我を治療しながら小言を言う舞香。その周りでは、応援に駆けつけてくれた陰陽師達が壊れた建物の修復をおこなっている。
「しかし、舞香殿が結界を張ってくれたおかげでこうして無事でいられた。研鑽の賜物であるな」
「そういう言い方は、ずるいですよ。はぐらかすのによく使う言い方です」
義透の言葉に少し口を尖らせる舞香。
「ああ。結界だけでなく風の力もだ! 舞香嬢が頑張った成果だ。これからも己を鍛えるのであれば、このアルダワ魔法学園応援団団長が応援しよう!」
「あ、ありがとうございます……」
兵衛の勢いに少したじろぐ舞香。
「何にせよ、とりあえずはこうして街を守れたんだし、今の所はこれで良しとしとこうか」
クロムはそう呟きつつ、舞香は修復されつつある今日の街を眺める。対オブリビオンの為に古くから研鑽を積み上げてきた都市。その街並みには舞香や陰陽師達、そして人々の芯の中にある強さというものがあった。
大成功
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