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7thKING WAR㉓〜胎動せし黒天(作者 冬伽くーた
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#デビルキングワールド  #7thKING_WAR  #召喚魔王『パラダルク』  #プレイング受付終了致しました、ありがとうございました! 


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●包容に渇望
 かつて星々の海を開いた天船は、今は異郷の片隅、狩りをする魚の様に息を潜めていた。その内側に不釣り合いな熱を宿して。
 美しく尖った強化窓からは人影の群れが姿を覗かせる。ひとり、ひとり。色や僅かな差異は見られども、何処か似通った面差しで、けれど人ならざる美貌を持つ娘達は艶(つや)やかに宙を舞う。その笑みに咲かせた忠誠と耽溺は毒花の如き艶(あで)やかさ。
 白魚の様にくゆる指と指、天を目指す様に揺れる舞、そして蠱惑的な眼差し。静かな熱狂を酷く詰まらなそうに受け止める男もまた、美しい面立ちをしていた。
「詰まらない」
 男の注目を引こうと色めく娘達を邪険に払い除ける。苦み走る顔には若さに不釣り合いな鬱屈が覗き、皮肉にもその美貌を引き立てていた。
 事実、男は飽いていた。神にすら隷従を強いる強大な権能を持つが故に。誰しも恍惚に染めるが故に、飽いていた。
「何処だ、あの男は」
 けれど、求めるものが一つだけあった。
「何処にいる、碎輝…!」
 かつて自分に恥辱を与えたもの。絶対の力を大いなる躍進で打ち砕いた忌まわしき男。
 見えざる仇敵に苛立つ声には、けれど隠しきれない高揚もまた存在していた。

●過去に邪念
「というわけでして、僕は碎輝×彼を推しているんです。クソ重感情持ちは右理論ですね」
「ねえ何の話?」
「リバはなー、ありな時はありですが今回は左右固定したい少年心です!いえ、逆派の気持ちも理解できますが」
「だから何の話!?」
 集まった猟兵の絶叫がグリモアベースに響き渡る。初めてのグリモア猟兵としての責務(と邪な何か)に頬を紅潮させていた鷺宮・陸(神薙鳥・f35287)は、周りの叫びに漸く冷静さを取り戻したようだった。

「失礼しました、取り乱しちゃいましたね。初予知で緊張していまして…」
「いや、そういう感じじゃなかったよな?」
「今回は危険な戦いとなると思います…」
 そう言って、陸は憂いを滲ませた眼差しを伏せる。おい爆弾発言するだけして流したぞこのグリモア猟兵。
「ガチデビルが特級契約書で呼び寄せた「異世界の魔王」ことパラダルクの撃退、または儀式の舞を執り行うドラグナーガールの撃破をお願いしなければなりません」
「ドラグナーガール?」
「万物を女の子に変えるパラダルクの力で具現化した驚異の存在です。複数体が存在し、パラダルクの背後で儀式の舞を捧げています」
「何故女の子」
「それは僕にも分かりかねますね…」
 一見トンチキな存在であるが、魔王たるパラダルクもドラグナーガールも強大な存在。油断は禁物であろう。
「加えてパラダルクは僕達猟兵の動きを察知しているようです。転移した瞬間に攻撃を仕掛けてくるでしょう、それを回避した上でカウンターを仕掛ける必要があります」
 パラダルク自身は動かず、ドラグナーガールを介した力を扱うようだ。逆にその動き自体に付け入る隙を見出だせるかも知れない。
「無理をお願いしてすみません、どうか力をお貸し下さい」
「それは分かったが、で、何の話を」
「ありがとうございます今からゲートを開きますね!」
「最後までスルーした!」
 物言いたげな猟兵達ににっこり微笑み、辺りに巻いた原稿が光を放ち、異界へと誘っていく。辺りをくるくる回る原稿には闊達な少年が、傲岸な雰囲気の青年を押し倒す場面が描かれていたのは言うまでもない。
 いやここまで描いたら言ったも同然だろ。


冬伽くーた
 TW1時代から左右は変わっていません冬伽くーたです。なお、私は左右は違ってもおいしく食べる雑食派です。全く必要ないなこの情報。

 今回は佳境を迎えるデビルキングダムワールドより戦争シナリオをお届け致します。グリモア猟兵の案内(と私のせいへき)のせいでコミカルな印象がありますが、パラダルク自身は強敵のために相応の判定となります為ご注意下さい。プレイングはコミカルでもシリアスでも構いませんので、お好きな方をお選び下さって構いません。

 また、今回より諸事情から採用方法を試験的に変更させて頂いております。詳しくはタグ、マスターページでお知らせさせて頂きます。宜しくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』

POW ●パスト・ガールズ
レベルm半径内を【ドラグナーガールの大軍】で覆い、[ドラグナーガールの大軍]に触れた敵から【ユーベルコードの使い方の記憶】を吸収する。
SPD ●リピートコード
【戦場内のドラグナーガールのいずれか】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、戦場内のドラグナーガールのいずれかから何度でも発動できる。
WIZ ●パラダルク・パラダイム
【水光土火樹薬風毒氷闇の十属性】によって【ドラグナーガールの軍勢】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


彼方霧・白蓮
あれこれ考えていたが、結局シンプルな方向に落ち着いた。そんな器用なことできないし。
攻撃系UCは使わず、ひたすら避けてひたすら●グラップルで殴り倒し、ドラグナーガールを丁寧に各個撃破する。以上。

まずは●集中力、見切り、第六感、幸運で避けるのみ。多少の負傷には●オーラ防御がある。余裕があればドローンには自律的に●誘導弾による●制圧射撃、●時間稼ぎをしてもらおう。何がいつ来るっておおよそわかっていても、こう多いと大変だ。
UCが発動したら本格的に攻勢に転じ、といってもやること自体は変わらないんだが。流れてくるデータが異様に多いのが一周回ってもはや面白い…あとは、儀式の場所まで行って一撃入れるだけ。


「あれこれ考えていたが、結局シンプルな方向に落ち着いた。そんな器用なことできないし」
 転移は僅かに上空から。光が収まると同時に降下が始まるが彼方霧・白蓮(雷雨、台風、その他悪天候・f35350)は、しなやかに膝を折り危なげなく着地を決める。
 靴底が甲板を叩く乾いた音が響いた。下した結論は率直、即ち……真っ直ぐ踏み込んでぶっ飛ばす。
 跳ねた視線の先、やはりグリモア猟兵が予知した様に、先程の音色に勝るとも劣らぬ渇きを湛えた男がしどけなく椅子に腰掛けていた。……その名をパラダルク、異界に在りし王という。

 無言で拳を引く白蓮を認めた男は、何を想ってか僅か首を傾げるが、それを音にする事はない。ただ、白蓮を見据え。
「……ゆけ」
 その交錯する視線が戦いの幕を切って落とす。気だるげに振るパラダルクの指を合図に、艶やかに笑う娘達が白蓮へとその手を伸ばす。いくつも、いくつも。
(まるで蜘蛛の糸のようだな)
 美しく、けれど同じくらいに醜悪さを湛える白。
 一度捕らわれたなら、骨の髄まで貪るであろう繊手を捉えた白蓮は、逆に身を屈め、大きく踏み出す。
 ごうと風を切る音、蠢くドラグナーガールの指、浮世離れした顔に佩いた恍惚の笑み。過集中を極めた白蓮には感じる世界全てが緩やかで『あまりに遅い』。駆け抜け、ひた走る。
 自分の体もまた水の中にあるかの様に緩慢で、重く、響く足音すら現実感がない。けれどたゆまぬ鍛練の日々こそが、着実に白花の足を突き動かす。
 しかしパラダルクも手をこまねいていたわけではない。今ある娘で捉えられぬのならばと指を鳴らせば、風の力を宿す新たな娘が立ち塞がった。
「ユーベルコードすら用いぬとは、舐められたものだな!」
「いいや、タイミングを見ていただけさ」
 ーーそれは間違いなく今、この瞬間。
「回路接続、認識拡張」
 『四方一撚』(クウツマビラカ)……電脳魔術で相手より一歩先、横たわる空間をより深く認識する力。
(やること自体は変わらないんだが。流れてくるデータが異様に多いのが一周回ってもはや面白い)
 異脳を駆動した白蓮の前には脳が擦り切れそうな程の情報の群れ、群れ。
 パラダルクが操る水光土火樹薬風毒氷闇……十属性があらゆる物質を通し、成り立ちを通し、つまびらかに並び立って好き勝手に語り掛けてくるのだ。
(面白いけど、今必要なのは…)
 ーー王へと至る道、それのみ。
 白蓮は極彩色の世界を捩じ伏せ、最後の娘もひらりと躱し、導いた最適解に従いパラダルクへと肉薄する!
 男の瞳から初めて鬱屈が引き、代わりに満ちるのは驚愕。か細き人の身で、と動いた唇に返す言葉は1つだけ。
 パラダルクの指は間に合わない、白蓮も見た異次元の力に満ちた世界が為に。あまりに多い選択肢に僅か、惑った故に。間に合わない。
「シンプルなのも大事って事だ」
 ただ一撃の為に、真っ直ぐに前を見た白蓮には追い付けない。

 その花、鮮烈にして苛烈。

 鍛練と異能を乗せた拳撃は、異界の魔王にすら届き、過たずその体を撃ち抜いた。
大成功 🔵🔵🔵

キング・ノーライフ
そろそろこやつも撤退しそうだから好き勝手に行くか。
我も自分の従者の力を見せたいしな。

初手は煙幕や神の後光による【目潰し】で攻撃を封じ、後は範囲攻撃として【衝撃波】で足止めし、連携取る前に【誘導弾】で確実に数を減らして【時間稼ぎ】していくか。

我の反撃は【従者転身】、とりあえず狸塚に化けて妖術で幻惑していくか。さて、問おう。貴様らは異なる属性や物を扱うのは得意か?更に言うと慣れぬ男の体で使った事の無い技を扱えるか?我は従者の事はよく見知っているし、戦い方も心得ている。このようになっ!と暴れるか。

この手のUCは変身系や複数の色を持つ技と相性が悪い。その辺を理解せぬからああいう妄想をされる側なのだ。



 かつり、こつり。此処が戦場であるのを忘れてしまいそうな程に、落ち着いたリズムを刻む靴音が響く。
 目映い転移の光が収まる中、姿を表したのは端正な面立ちの青年……キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)の面差しは靴音と同様、落ち着きを孕んだもの。
「そろそろこやつも撤退しそうだから好き勝手に行くか。我も自分の従者の力を見せたいしな」
 淡々と事実を告げる声に嘲りの色はなくも、時に覆せぬ事象こそが心蝕む毒ともなる。その言葉を聞いた異界の魔王は声を上げる事こそないが、その瞳に燃え上がる様な激情が灯るのが青年には見て取れた。ノーライフが告げた様に、青年期の魔王だけでも既に幾体もが猟兵達の活躍によって退けられているのだ。恥辱である事は疑いようがない。
「――従え、そしてあの男の口を閉ざせ!」
 目前のパラダルクもまたその事を感知している様だった。空気を震わせる怒号じみた号令と共に十の娘が次々と現れ、艶やかな笑みと共にそれぞれの司る力を振わんとする。
 ノーライフの機先は己が神性、機構司る神威の光に在った。念じると共に、一際強く輝く後光はさながら地上の太陽。強い光が娘達の目を灼き、苦悶の声が上がった。それでも薄目を空け、青年を捉えようとした娘達の視界は煙幕で覆われ、青年を捉える事は叶わぬ。
「風の、力を解き放て!他の個体がどうなろうと構わん、後で再構築する!」
「仰せの儘に…!」
 ユーベルコードではない策略の数々は魔王自身には強い影響はない様子であった。幾らか忌々しそうに目を細めたものの状況を把握し、風のドラグナーガールへ暴風を命ずる。頷いた娘が躍る様に身を捩らせれば、さながら台風が如き風が荒れ狂う。他の娘達は留まる事が叶わず、四方に吹き飛ばされ。
「力が有り余っているのも考え物だな」
「!」
 衝撃波を巻き起し、風を相殺したノーライフが放つ誘導弾で1人、また1人と撃ち抜かれ消えていく。

 まんまと青年に欺かれた要因は分かり易いものだ、即ち傲岸なる魔王の矜持。…故にこそ、パラダルクは別の手を交える事を無意識下で避けた。目前の神を降すのはあくまで力で無ければならぬのだと、瞳を更に鋭く細める。
(若いな)
 自身、人の紡ぐ小説を編む言の葉から生まれ出た比較的新しい概念の神性であるノーライフであったが、恐らく自分よりも旧い存在であろうパラダルクの狭窄に感じるのは稚気であった。これが壮年の魔王であれば、冷静さを持っていたのなら結末は変わっただろうか。
「さて、問おう。貴様らは異なる属性や物を扱うのは得意か?」
「…何が言いたい」
「更に言うと鳴れぬ男の体で使った事の無い技を扱えるか?」
 問うノーライフの顔が、そして姿が変貌していく。黒髪の美丈夫の容貌は瞬くに明るい髪色の青年へと…従者そのものへと移り変わる。
 神たるものが己が身を配下に落とす。その発想に驚嘆を禁じ得ない、魔王にとって所詮従者とは替えが効く歯車に過ぎぬが故に。
 動揺が後を引きつつも反撃を予測したパラダルクが毒の娘を修復し、差し向けんと命じようとしたその時、既に魔王は青年の術中にあった。
 変化は唐突だ。パラダルクの視認する世界が捻じ曲がり、その眼差しは霞掛かった様にはっきりとしない。魔王が青年の体に馴染み、その機能を存分に使っていればこう評しただろう。まるで霧の中を歩いている様な心許ない感覚だ、と。
 全能を称する男は人の形を取りながらも人では有り得なかった。しかして愚かではなかった。結果は言語化出来ずも、奇怪な感覚の原因には即座に辿り着き、歯噛みする。
「…小賢しい、幻術か!」
「言っただろう、自分の従者の力を見せたいと」
 パラダルクが苦し紛れに潰した毒の娘の喉、そこから迸る毒霧は僅かノーライフを蝕むが、正確に捉える事の叶わぬ知覚ではそれが限界であった。
「この手の力は変身系や複数の色を持つ技と相性が悪い」
 それを自覚せぬが故の敗北であり、侮られる原因。高い授業料としてその事を教えた青年が放つ誘導弾は、目論見通りに幻惑の男の腹へと突き立った。
成功 🔵🔵🔴

木常野・都月

左右…は、前にどこかで聞いた事があるような…
確かカップリングがシチュ萌え殺すやつだ。
同人即売会だっけ?
…人の萌えは凄く深くて、難しかったんだよな。

ってそれどころじゃなかった。
とりあえず、戦わなきゃ。
あの時と同じように、真の姿で戦おう。
グリモア猟兵の人、強敵って言ってたし。

敵の先制攻撃は、コピーできるならしてみろ。
仮に俺の中の骸魂をコピーできたとしても、最後疲れ切って眠くなるからな?
万が一があったら、激痛耐性で我慢しよう。
致命傷さえ負わなきゃそれで良い。
野生の勘、第六勘でうまく立ち回る事が出来ればいいな。

UCは俺変身「九尾の狐」で挑もう。
眠くなる前に畳みかけたいな。

風の精霊様に情報収集を頼もう。
魔王と召喚している女の子の場所の把握をお願いします。
敵のそばにそっと控えていて欲しい。

[属性攻撃、範囲攻撃、集中力、



 異界の王は疲弊していた。慣れぬ体、慣れぬ世界とはいえ、個の力では圧倒出来るであろう筈の猟兵達に翻弄されて。原因は幾つも挙げられるだろう、追った傷が浅くはないこともある。しかし、その最たるものがーー
「左右…は、前にどこかで聞いた事があるような…確かカップリングがシチュ萌え殺すやつだ」
「何の話だ」
「同人即売会だっけ?」
「何の話だと言っているのだが?」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)を始めとする、一部の猟兵達から発せられる謎の言葉と視線であった。不可知の悪寒がパラダルクの背筋を伝う、それは多分本能的な拒否感に基づいていた。

「ってそれどころじゃなかった。とりあえず、戦わなきゃ」
 とはいえ、都月自身はパラダルクを侮る意図はなく、純粋な気持ちを話していただけである(他方、それが最も心を抉る場合もあるが、残念ながらこの場には指摘する者はいなかった)。傍に付き従っていた風の精霊を情報収集へと旅立たせ、意識をはらりと翻しその姿を変貌させていく。背丈とうねるぬばたまは伸びやかに在り、卵型を描いていた輪郭は何処か鋭利さを帯びる。
「姿が変わった…いや、力も増している様だな」
 花開くように姿を変えた青年に魔王は言葉と共に無数の娘達を差し向ける。その力、我が身に寄越せと告げる顔は傲岸そのもの。
「コピーできるならしてみろ」
 言葉と共に都月は駆け出す。先程までに確かにヒトのもので会った四肢を、その全てを力ある獣へと変貌させながら。
 『俺変身「九尾の狐」』――己が身に眠る骸魂と融合し、いと高き存在へと変貌を遂げる異能。揺れる尾は神に弓引く九を数えるにまで達す。進路に立ち憚る娘達を時に咆哮で、時にその神通力の衝撃で弾き飛ばし突き進んでいく。
「我が異能は万能、それを教えてやろう」
 対するパラダルクは執拗なまでに配下を差し伸べる。1人、1人が潰えようとその力を手中に収めんと幾つもの仮初の命が潰え。降り積もり…やがて遂に青年へと届く。
 血染めの手が獣の四肢を捉える、気の狂った蜘蛛糸の様に。無法図に伸びる蔓草の様に。
 力が抜ける、奪われる。
「これで――!?」
 魔王は勝ち誇って唇を釣り上げようとして――続く倦怠感によろめく。
 全能を称するだけあり、九尾の狐と言う概念をあらゆる角度から掌握・鹵獲するに至ったパラダルクは――けれどその「代償」の馴染みの無さに適応するに至らない。
 竜の強靭な肉体は「微睡みの感覚」とは程遠い。生物としての優位性こそがその喉元を無防備に浚す事となった。
 その隙を見逃す程、都月の経験は浅くない。娘達の拘束が緩んだ瞬間、高く空を飛び。
「ーー精霊様」
 魔王の傍に潜んでいた風精と巻き起こした暴風で、魔王を地へと叩き付ける!

 何とか立ち上がったものの肩で息をする魔王を前に、都月は情報収集から帰ってきた風の精霊の力に包まれる。趨勢は青年に傾いているが、やはり相手は強大だ。自身の消耗を含め、これ以上の戦いは危険であると青年の勘が告げていた。
 何より猟兵達は独りで戦っているわけではない。現に青年の後方では、既に別の仲間が戦いに挑む体制にあると精霊が彼の耳元で囁く。そして、(パラダルクにとって)不吉な内容もまた耳打ちの一つ。
「……パラダルク、一つ言っておく事がある」
「はっ、人の子の言葉なぞに誰が耳を」
「この後はこう、色んな意味で辛い戦いになると思う」
「……」
「一応、言っておく」
 そのまま地を蹴り、都月は風に包まれて去っていく。風の精霊は娘達の儀式場も正確に突き止めていたが、ユーベルコードの代償が青年の身を侵しつつあった。残念ではあるが、儀式場攻略は今の自分には難しかろう。けれどパラダルクに一矢報いた事は戦局を有利に進めるに違いない。
 霞掛かる意識の中、それでも青年は難なく術を制御しつつ。
(…人の萌えは凄く深くて、難しかったんだよな)
 過去、感じた感慨がまた脳裏に浮かんでいたのだった。退路を維持するグリモア猟兵と後方の猟兵の会話があまりにあまりで、全てを理解する事は難しくとも、その煮えたぎった熱意は間違いなく彼の魔王に向かう事は手に取る様に分かった為に。

 ――後日、グリモア猟兵から上がった報告書を読んだ青年の胸に去来した感情は、青年のみぞ知る。
大成功 🔵🔵🔵