7thKING WAR㉓〜ワルワル・ハーレムシップ
●実験戦艦ガルベリオン
それは嘗て在りし大きな戦い『銀河帝国攻略戦』において猟兵たちの知るところとなった宇宙戦艦であった。
名を『実験戦艦ガルベリオン』。
その同一艦と見られる戦艦が何故かデビルキングワールドに停泊している。他世界の宇宙戦艦が何故、違う世界に存在しているのか。
何を目的としているのか。
猟兵達は、その何れも知ることはない。
けれど、ただ一つわかることがある。
この『実験戦艦ガルベリオン』にて存在する『魔王ガチデビル』が『特級契約書』で呼び寄せた『異世界の魔王』が尋常ならざる『超強敵』であることだ。
猟兵たちが転移した瞬間、『実験戦艦ガルベリオン』の周囲に生まれるのは無数の女性たちであった。
この七代目デビルキングを決めるための戦いが始まって以来、この戦場は無数の女性たちによって詳細がわからないままであった。この戦場への道が開かれた時、猟兵たちの道を阻むように女性たちが現れたのならば、この女性たちもまた『召喚魔王』の配下か、もしくは能力の一部であると知ることができるだろう。
「まずは、よくぞ此処まで来たと称賛しよう。だが『六番目の猟兵』たちよ。ここは行き止まりだ。他を当たれ」
その声はよく通る若々しい響きであった。
闊達たる言葉。漲る自信。それらを前に猟兵達は気がついたことだろう。
目の前の男こそが、この『実験戦艦ガルベリオン』を用いて何かをしようとしている『召喚魔王』であると。
「疑問に思っているな。何故、このようなことを言うのかと。何故ならば、私は『私』――『魔王パラダルク』であり、お前たちが私に勝つことは不可能だからだ」
言葉だけ捉えるのならば、何たる不遜であったことだろうか。
猟兵たちが一歩を踏み出す瞬間に、女性たちが数を増す。虚空から現れたのかと見紛うほどに一瞬で現れたのだ。
「不思議そうな顔をしているな。だが、これが『魔王パラダルク』の能力。万物を『女の子(ドラグナーガール)』に変える力。すなわち、森羅万象……あらゆる全てを『ドラグナーガール』に変える。お前達の武器も、ユーベルコードも、呼吸する空気さえも、全て私のものにできる」
証明するように生み出されていく『ドラグナーガール』たち。
決してハッタリではないことは、猟兵たちにも痛いほどに伝わるであろう。これほどまでに強大な力を持っていながら、目の前の存在がオブリビオンであることを猟兵達は同時に気がつく。
過去になったということは、敗れ去った事実があるということ。
「そのとおりだ。『六番目の猟兵』。私には失われた記憶の中に、苦い敗北の傷跡を持つ。私は嘗て『成長する敵』によって殺されたらしい。ゆえに私は、成長を打ち破る『ふたつの属性』を探し求め、それを獲得した」
『魔王パラダルク』のそばに現れる二人の『ドラグナーガール』。
一人を過去属性『アンヘルブラック』。もうひとりを未来属性『ディアブロホワイト』。
猟兵達は知っている。
それもまた『銀河帝国攻略戦』において現れたオブリビオンを想起させる名であったからだ。
「時間を操り、成長をも封じる。これで私はまことに『無敵』ということだ。副作用として『過去の私』と『未来の僕』が揺らぐ姿になったが」
揺らぐように『魔王パラダルク』の姿が若き青年と壮年の男性の姿に揺らぐ。
同時に未来と過去の力を操ることができないということだろう。だが、それでも猟兵達は戦慄する。
『魔王パラダルク』の言葉は正しい。
無敵の力は些かも揺るがない。そして、次なる言葉を発した時、猟兵達は覚悟を決めるだろう。
「かつて私を殺した仇敵……『碎輝』を捜す儀式を行う為だ」
その名を猟兵達は知っている。此処ではない他世界に存在する者の名である。ならばこそ、猟兵達は回れ右をすることを拒否するだろう。
猟兵たちの戦いは常に守るためであり、救うための戦いだ。
「ゆえに再度告げる。ここは行き止まりだ、他を当たれ――」
●7thKING WAR
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ついに魔王を冠する新たな『召喚魔王』、『魔王パラダルク』との戦場に至ることができました」
『召喚魔王』――それは『魔王ガチデビル』の持つ特級契約書によって召喚される異世界の魔王たちである。
その一人である『魔王パラダルク』は二つの姿に揺らいでいる。
今回、ナイアルテが予知したのは過去属性の力を体現した『若い姿のパラダルク』なのである。
「『魔王パラダルク』は必ず先制攻撃をしてきます。もしも、これに何の対策もしていないのであれば、今の皆さんであっても苦戦、もしくは敗北してしまうでしょう。『若い姿のパラダルク』は『ドラグナーガール』の大軍で戦場を覆い、皆さんのユーベルコードの使い方の記憶を吸収したり、受け止めt鮎ーベルコードをコピーし『ドラグナーガール』から放つこともできるようです。また『ドラグナーガール』を回復させ、さらに猛烈なる数での戦いを推し進めることもあるでしょう」
『若い姿のパラダルク』は、その力でもってあらゆる現象を『ドラグナーガール』に変換し、猟兵達に『実験戦艦ガルベリオン』で行っている儀式を邪魔させないようにするようであった。
「『魔王パラダルク』が狙うのは、『碎輝』――恐らく、カクリヨファンタズムの竜神親分こと『碎輝』さんのことなのでしょう。彼の所在をまだ『魔王パラダルク』は知らないのようなのです」
それを突き止めるために儀式を行っているのならば、『魔王パラダルク』の背後で『儀式の舞』を踊る『ドラグナーガール』たちを倒し、儀式を阻止することも健闘しなければならない。
検討しなければならないと告げる理由は簡単である。
「『魔王パラダルク』は完全に撃破することが難しいのです。儀式さえ破壊してしまえば、『魔王パラダルク』は撤退するでしょう」
ナイアルテは、その選択肢もまた勝利の形であると示している。
猟兵達は転移した後に知るだろう。その言葉が真実であると。これまでの強敵以上の強敵。その重圧を受け、なお彼らは瞳をユーベルコードに輝かせるだろう。
彼女はそれを知るからこそ、頭を下げ、猟兵たちを送り出すのだ――。
●アンヘルブラック
「そうか、『六番目の猟兵』達……お前たちは」
『魔王パラダルク』の瞳は諦めにも似た感情が浮かんでいた。
言葉で退くほど『六番目の猟兵』は弱者ではない。いや、その言葉も適当ではないと彼は知っているのだ。
「私の力を知っても向かってくるならば……『碎輝』と同じくお前たちも、私が乗り越えるべき『試練』という事だ!」
煌めくユーベルコードによって森羅万象あらゆるものが『ドラグナーガール』へと変わっていく。
大挙として現れうる『ドラグナーガール』たちを前に猟兵達は如何にして立ち向かうのか――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『7thKING WAR』の戦争シナリオとなります。
あらゆるものを『ドラグナーガール』に変える『魔王パラダルク』との戦いになります。
『銀河帝国攻略戦』にてみなさんが知ることとなった『実験戦艦ガルベリオン』にて『魔王パラダルク』は『碎輝』発見のために『ドラグナーガール』たちの『儀式の舞』を行っている最中です。
この儀式を止めるためには『儀式の舞』を踊る『ドラグナーガール』を全て倒さなければなりません。
ですが、『魔王パラダルク』は森羅万象やこちらの攻撃はもちろん、時間さえも女の子化し操って皆さんを阻むでしょう。
しかも先制攻撃に対策を取らなければ皆さんは必ず苦戦を強いられるでしょう。それほどまでに『超強敵』なのです。
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す。
それでは、マジでどういうことなのっていう状況の中、『7thKING WAR』を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』
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POW : パスト・ガールズ
レベルm半径内を【ドラグナーガールの大軍】で覆い、[ドラグナーガールの大軍]に触れた敵から【ユーベルコードの使い方の記憶】を吸収する。
SPD : リピートコード
【戦場内のドラグナーガールのいずれか】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、戦場内のドラグナーガールのいずれかから何度でも発動できる。
WIZ : パラダルク・パラダイム
【水光土火樹薬風毒氷闇の十属性】によって【ドラグナーガールの軍勢】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルテミシア・アガメムノン
ほほほ、万物を女の子に変える……
確かに凄い力ですけれど、欲望垂れ流しですわねえ。
まあ、それも一つのワルでしょう。
いずれにせよ、立ち塞がるなら排除するのみです!
先制対策
敵WIZUCの敵軍に対して『アルテミシアの翼』から十属性外の『雷』属性の魔力弾を乱射して弾幕を張り牽制。その上で再行動を含めた攻撃行動を見極め、(見切り×瞬間思考力)『クロノスの大鎌』で弾いたり回避したりして初撃を凌ぎます。
しかる後に『氷獄の魔帝』を発現。
真の姿となり、無限の魔力で実験戦艦自体を破壊する勢いで魔力爆発をおこしましょう。パラダルクさんは凌げても踊るドラグナーガールさん達が耐えるのは無理でしょうね!
召喚魔王『魔王パラダルク』の力は規格外のものであったことだろう。
あらゆるもの。
森羅万象、武器、ユーベルコードの尽くを『女の子』――すなわち『ドラグナーガール』へと変え、己の力とする。
「ゆえに『私』は『魔王パラダルク』である。『六番目の猟兵』達よ、お前たちに勝機はない」
ゆえに無意味な行いであると『魔王パラダルク』は告げる。
どれだけ言葉を尽くしても猟兵達は止まらない。
これは『試練』だと『魔王パラダルク』は呟いた。乗り越えるべき試練であると。苦い敗北の記憶が言っているのだ。
己がオブリビオンであるから猟兵を打倒しなければならない。それ以上に、目の前に迫る猟兵たちをこそ打ち倒さなければ、己の望みは何一つ叶えられないことを知っている。
「ほほほ、万物を女の子に変える……確かにすごい力ですけれど、欲望垂れ流しですわねえ」
それもまた一つのワルであるとアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は迫りくる『ドラグナーガール』の軍勢を見やる。
軍勢は分厚く、『実験戦艦ガルベリオン』を守っている。
あの中で行われている『儀式の舞』を止めなければ、『魔王パラダルク』の目論見は叶ってしまうだろう。
黄金に輝く光の翼から羽型の魔力弾が雷を持って走る。
『魔王パラダルク』の『ドラグナーガール』が司るのは、水光土火樹薬風毒氷闇の十属性である。
それ以外の雷の属性をまとわせた魔力弾で迫りくる『ドラグナーガール』たちを足止めする。
弾幕の如き魔力弾の乱舞は軍勢を押し止めることが出来ただろう。
けれど、それ以上に『魔王パラダルク』のユーベルコードが煌めく。なにせ、あらゆるものを『ドラグナーガール』に変えることができるというのならば、アルテミシアの放った魔力弾すら『ドラグナーガール』に変えてしまうのだ。
「無駄だ。お前達がどれだけ抵抗するのだとしても、『私』の力はあらゆるものを『ドラグナーガール』に変える」
「そのようですわね。ですが――」
アルテミシアは手にした大鎌で『ドラグナーガール』を薙ぎ払う。
敵の数は尋常ならざるものであった。
なにせ、こちらの攻撃すら『ドラグナーガール』に変えてしまうのだから。相対している時点で敵の『ドラグナーガール』を殲滅することは不可能であると思わしめるほどであったし、『魔王パラダルク』のユーベルコードは即座に行動不能になった『ドラグナーガール』を再行動させれる。
初撃を凌ぐことでアルテミシアは精一杯であった。
「――ここで退く、遠回りをするという選択肢は、わたくしにはありません」
アルテミシアの瞳がユーベルコードに煌めく。
諦めとは彼女の心の中にあるものではなかった。
どれだけ困難な道が目の前にあるのだとしても、それを避けて進むことなどない。いつだって正しいのは厳しく険しい難しい道だ。
「さあ、審判の時です」
氷獄の魔帝(サタン)が舞い降りる。
真の姿たる六対十二枚の翼を持つ熾天使へと姿を変えたアルテミシアがユーベルコードの力によって無限の魔力を持って掲げる。
手にするのは、『実験戦艦ガルベリオン』を飲み込むほどの魔力爆発。
「――無駄だ。お前の攻撃すら『私』は『ドラグナーガール』に――……いや、狙いは」
そう、アルテミシアが狙うのは『儀式の舞』を執り行っている『実験戦艦ガルベリオン』そのもの。
今、『魔王パラダルク』を完全に撃破することが難しくても、『魔王パラダルク』の目的そのものを阻害することはできる。
「ええ、パラダルクさんは凌げても踊る『ドラグナーガール』さん達が耐えるのは無理でしょうね!」
猟兵の戦いは個の戦い。
されど、連なり、つながり、紡ぐための戦いでもある。
アルテミシアの無限の魔力が引き起こす極大なる魔力爆発は、『実験戦艦ガルベリオン』を守っていた『ドラグナーガール』たちを消し飛ばし、さらには内部で行われている『儀式の舞』を一時的に中断させるほどの衝撃を生み出す。
「オブリビオンである貴方たちが求めるのは己の欲望に従った目的のみ。ならば、その目的を阻害することこそが、貴方の敗北」
苦々しい敗北の記憶が『魔王パラダルク』に蘇ることだろう。
アルテミシアは渾身の魔力を振り絞り、その切欠を刻みこむのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ええ…ハーレム自慢されても…困る…
いや凄いんだろうけどさあ…
それにやる事がストーカーじみた事とか…ええ…
まあ、今回は儀式の邪魔をさせて貰ってお帰り願おうかな
ま、次は倒すよ
何だっけ
昨日より今日
今日より明日…の精神だよ
●
出し惜しみ無し、超克…オーバーロード
模造神器全抜刀
大軍を相手にするのは嫌なんだけど…我儘言ってはいられないか
『オーラ防御』でオーラの障壁を複数展開
バリケード状に設置して足を止めさせよう
そしてこれが戦艦であるなら…隔壁があるはず!
『ハッキング』して隔壁を落として時間を稼ごう
後は『斬撃波』で迎撃しながら、近接されたら『なぎ払い』『吹き飛ばし』て迎撃していこう
使い方を覚える?
確かに厄介だね
けど…覚えるのは使い方まで
それで現れるモノの事まで分かる訳じゃないっしょ!
【Load[Summon Data]】起動
雷龍、不死鳥、機神…三重召喚
召喚した腕の動きを右腕とリンク
右腕でドラグナーガールを払い、不死鳥で突撃し道を切り開く
最後は雷龍
パラダルクは無視!
踊るドラグナーガール達に『ブレス攻撃』!
『魔王パラダルク』の軍勢は猟兵の極大なる魔力爆発の一撃で『実験戦艦ガルベリオン』より吹き飛ばされる。
衝撃に揺れる停泊していた『実験戦艦ガルベリオン』が傾ぐほどの威力。されど、その爆発の威力すらも『魔王パラダルク』は己の力によって『ドラグナーガール』へと変えていくのだ。
「無駄だと言った。『私』は『魔王パラダルク』ゆえに。あらゆるもの、森羅万象、全ては『私』のモノになる」
『ドラグナーガール』の軍勢を吹き飛ばしても、さらにそこから無尽蔵に『ドラグナーガール』たちが生み出されていく。
しかも、敵対する猟兵のユーベルコードの使い方の記憶すら吸収していくのだ。
「無尽蔵なる魔力がなければならないとはな……非効率的だ。だが、それが生命の拉致が至る『六番目の猟兵』の力であるというのならば」
『ドラグナーガール』たちが一気に『魔王パラダルク』の眼前に現れ、再び『実験戦艦ガルベリオン』への道が閉ざされる。
しかし、その閉ざされた道をさらに切り拓かんとする輝きがあった。
「出し惜しみなし、超克……オーバーロード」
「超克へと至るか、『六番目の猟兵』……だが、無駄だ。『私』は、お前たちの力の発露すら我がモノとできるのだからな」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)の瞳が超克の輝きに煌めく。
どれだけ相対する『魔王パラダルク』の力が尋常ならざるものであったとしても、如何に『ドラグナーガール』たちの大軍が己に迫るのだとしても。
「ええ……ハーレム自慢されても……困る……いや凄いんだろうけどさあ……それにやることがストーカーじみた事とか……ええ……」
いや、かなりげんなりしていた。
『魔王パラダルク』の目的は恐らく、カクリヨファンタズムに在りし竜神親分であろう。その彼を探すための儀式として『実験戦艦ガルベリオン』で『ドラグナーガール』たちが『儀式の舞』を踊っているのだ。
ならば、これを邪魔する以外の選択肢はない。
「今回は儀式の邪魔をさせてもらってお帰り願おうかな」
「ほざけ、どれだけ吠えたけるのだとしても、過去と未来の属性二つを手に入れた『私』の無敵性には些かの陰りすらない」
迫る『ドラグナーガール』たちの軍勢を前に玲は模造神器を抜刀する。
転送されてきた外装副腕を含め、四つの模造神器の刀身が煌めく。
オーラをバリケードのように展開し、障壁となす。けれど、それだけでは『魔王パラダルク』によって『ドラグナーガール』へと変えられてしまうだろう。
だからこそ、玲は猛烈なる勢いで『実験戦艦ガルベリオン』へと突っ込むのだ。
「大軍を相手にするのは嫌なんだけど……我儘言ってはいられないか」
攻撃ではなく、オーラ防御に頼ったのは『実験戦艦ガルベリオン』に突入した後のことを考えてのことであった。
戦艦であるというのならば、内部に隔壁をが存在しているはずだ。
迫りくる『ドラグナーガール』を切り捨てながら玲は『実験戦艦ガルベリオン』に侵入し、端末をたぐりハッキングを開始する。
案の定プロテクトが施されている。
「――使い方を覚えている? 確かに厄介だね……」
『実験戦艦ガルベリオン』は『魔王パラダルク』のモノになっている。ならば、こちらの手を読み切ることなど容易であろう。
ハッキングで隔壁を落としても、即座に解除し『ドラグナーガール』たちが迫ってくる。
模造神器の刀身が煌き、斬撃で『ドラグナーガール』たちを吹き飛ばしながら、己の力を読み解かれていることを理解する。
「けど……覚えるのは使い方まで、それで現れるモノのことまでわかるわけじゃないっしょ!」
煌めくはユーベルコード。
このユーベルコードすらも『魔王パラダルク』は読み解き、覚えるだろう。けれど、使い方を覚えたからと言って制御できるとは限らない。
「Load[Summon Data](ロード・サモンデータ)、起動。雷龍、不死鳥、機神……三重召喚!」
召喚されるは不死鳥。蒼炎で構成された不死鳥が波のように迫る。
百を超える不死鳥の群れ。
あらゆるものを切り裂く蒼炎の翼が『魔王パラダルク』に襲いかかる。『ドラグナーガール』たちによって防がれても、それに優る数がある。
これで押し止められるはずだ。
「無駄だと言った。『私』は『魔王パラダルク』だ。森羅万象、全てが私のモノだ」
すべての力が奪われていく。
最後の不死鳥が『ドラグナーガール』に変えられた瞬間、玲は召喚した機神の巨腕でもって、それらを打ち倒す。
「邪魔――!」
巨腕が薙ぎ払い、『ドラグナーガール』たちが吹き飛んでいく。だが、それでもなお、『魔王パラダルク』へと道は開けない。
いや、違う。
端から玲は『魔王パラダルク』を障害と見なしていない。見ていないのだ。
「『私』を見ないか、『六番目の猟兵』。そうか、狙いは『儀式の舞』だな!」
「ま、次は倒すよ」
玲は視界の端に『魔王パラダルク』を捉える。
けれど、彼女が見ているのは『儀式の舞』を踊る『ドラグナーガール』のみ。放たれるは最後の雷龍。
迸るように12体の雷龍が走り、その半数が『魔王パラダルク』のちからによって『ドラグナーガール』に変えられる。
「何だっけ、昨日より今日。今日より明日……の精神だよ」
半数残れば十分であるというように玲は雷龍たちに告げる。
目の前の敵を滅ぼせと。
「貴様――!」
「それじゃあね」
走る稲妻が『ドラグナーガール』たちを焼滅し、『魔王パラダルク』は己の苦い記憶を刺激されたかのように憤怒の表情で玲を見据える。
玲はその視線を受けることなく残った雷龍たちと共に『実験戦艦ガルベリオン』から飛び出すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
任務了解しました。ミレア・ソリティス、出撃します
隠密活動用の3型、及び近接格闘用の5型兵装を装備
敵先制攻撃に対しては『ジャミングミサイル』発射後『アクティブステルス』を起動、隠蔽効果とジャミングで凌ぎましょう
その後UC起動、リミッター解除し可変翼を副腕へと変形。
副碗と脚甲での打撃、セイバーの斬撃、狙撃用ブラスターライフルでの遠距離狙撃で周囲のドラグナーガールを3分の時間制限内に可能な限りの撃破を図りつつ敵艦へ接近します
3分経過時点で対要塞砲装備の「私」を戦場へと転送、先に居た「私」は自身を反物質へ変換、対消滅により周囲を巻き込んで自爆し、続けて転送された「私」が対要塞砲の砲撃を打ち込みます
『実験戦艦ガルベリオン』より雷龍が飛び出す。
その内部で行われている『儀式の舞』を構成していた『ドラグナーガール』たちの半数が滅ぼされる。
けれど、『魔王パラダルク』のちからは森羅万象そのものを『女の子』――『ドラグナーガール』へと変える。不足分はいくらでも補うことができる。
「無駄だと知りながら、それでもなお『私』を阻むか。おまえたちにとって『私』は壁ではない。『六番目の猟兵』、お前たちに対する敵……ならば、やはりおまえたちは『私』の『試練』だ!」
咆哮する『魔王パラダルク』のユーベルコードが煌めく。
一気に膨れ上がる『ドラグナーガール』たちの大軍。
大軍と呼ぶにはあまりにも膨大な数。あれだけの猟兵のユーベルコードで蹴散らしてもなお、数という点においては目減りするということはなかった。
「ゆえに無駄なのだ。森羅万象、尽くが『私』のモノになる。どれだけ滅ぼそうとも、塵芥となろうとも、そこから『私』は『ドラグナーガール』たちを生み出せる」
「任務了解しました。ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)、出撃します」
ミレアはウォーマシンである。
それも周辺資源で自身を複製し戦い続ける自立兵器。その特性は『魔王パラダルク』の森羅万象を『ドラグナーガール』に変える力と似通っていたことだろう。
彼女は軍にして個。
『実験戦艦ガルベリオン』へと飛ぶのは隠密活動用の3型兵装と近接専用の5型兵装を装備したミレアであった。
迫りくる『ドラグナーガール』たちの大軍に撃ち込むのはジャミングミサイル。
彼女たちの猛攻を凌ぐには、目を撹乱するしかない。
放たれたジャミングミサイルから撒き散らされるチャフが煌めく中、ミレアは現実改変機構を備えたナノマシンの複合迷彩システムを起動し、大軍を躱す。
だが、『魔王パラダルク』はさらに上を行く。
巻き散らかされたチャフの粒子すらも『魔王パラダルク』は『ドラグナーガール』へと変える。
森羅万象、ユーベルコードも、武器さえも『魔王パラダルク』は『ドラグナーガール』へと変えて己の力とするのだ。
「言ったはずだ。『私』は『魔王パラダルク』だからこそ、森羅万象の全てを己の力にする。我がモノとするのだ」
恐るべき力である。
大軍を躱そうとしたミレアは己の姿が見破られることに驚愕するだろう。けれど、彼女の感情が驚愕したとしても揺らぐことはなかった。
「同型機への情報通信及び転送準備完了、本機体のリミッター解除……“コード・ベルセルク:Ω”発令。カウント・スタート」
彼女は己の為すべきことを為す。
この戦いにおいて彼女がしなければならないことはなにか。それは『儀式の舞』の中断である。
先刻の戦いにおいて『実験戦艦ガルベリオン』の壁面には猟兵が突入した穴と雷龍が飛び出した穴が開けられている。
そこを目指してミレアは瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
機体のリミッターは解除され、可変翼を副腕へと変形させ、迫りくる『ドラグナーガール』たちを持てる兵装の全てでもって迎撃し、活路を見出す。
放たれるブラスターライフルの一撃が一直線に『実験戦艦ガルベリオン』への道を開くのだ。
しかし、その粒子ビームの残光すらも『魔王パラダルク』の力によって『ドラグナーガール』へと変えられてしまう。
「僅か三分。それだけの力で『私』と張り合おうなどと」
「いえ。それだけあれば十分なのです」
ミレアの兵装が傷つきながら、迫りくる『ドラグナーガール』を強引に押しのけて『実験戦艦ガルベリオン』へと突入する。
すでに己のユーベルコードのカウントはゼロになっている。
三分という僅かな時間では『実験戦艦ガルベリオン』に飛び込むことしかできなかった。
だが、それでいいのだ。
ミレアは個にして軍。ゆえに、彼女の『今』の個体がリミッター解除の反動で動けなくなったとしても。
「後は引き継ぎます」
ミレアの別個体が転送されてくる。
対要塞砲装備のミレアがぼろぼろになったミレアの元へと降り立つ。
「テンカウントを」
同期したミレアが状況を把握する。
既に役目を終えたミレアは己を爆弾へと変え、その爆発で持って周囲を巻き込んでいく。
さらに転送された対要塞砲装備のミレアは己の自爆に巻き込まれることのないように飛び出し、対要塞砲撃を『実験戦艦ガルベリオン』へと敢行するのだ。
「己の体を捨て駒にするか……!」
「私が……いえ、私“達”の取れる最適解を選び取ったまで。貴方の要は、この戦艦でしょう。ならばこそ、これに打撃を与えることで貴方の目論見は叶わなくなる」
たとえ、『魔王パラダルク』が強大な力を持っていたとしても、その望みを叶えさせないこと。
その一点に絞るのならば、ミレアは己の力の限りを持って、これを打ち倒す。それこそが彼女“達”という猟兵の在り方であるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
ふむふむ?行き止まりと?
ならば壊して進むまでですわ
参りますわよヴリちゃん!
いたいけな少女がワラワラと!お邪魔でしてよ!
群がるガールを尻尾や爪で千切っては投げるのですわ
ヴリちゃんは全身が格闘兵装ですわ
思春期の少年のように近寄るだけで皆傷付けますのよ
ですがキリがありませんわね
ヴリちゃん!滅亡の瞬光で纏めて吹っ飛ばしてさしあげるのですわ!
なんです?出せない?
あらー?わたくしUCの使い方を忘れてしまいましたわ
しかし心配はご無用でしてよ!
UCが使えずともジェノサイドバスター自体は発射できるのですわ!
かのドラグナーガールと言えどヴリちゃんから放たれる荷電粒子砲を浴びれば無事では済まないはず!
お受けなさい!
『実験戦艦ガルベリオン』より爆発が相次ぐ。
それは猟兵たちが『魔王パラダルク』の目論む『儀式の舞』を中断させるための戦いの軌跡であった。
膨大なエネルギーそのものを『魔王パラダルク』は己の能力で持って『ドラグナーガール』へと変えて己がモノとする。
「これより先は行き止まりだと言った。『六番目の猟兵』よ。おまえたちのやっていることはあまりにも不合理だ。『私』に勝てぬと知りながらも、なお『私』の壁となるか」
『魔王パラダルク』の生み出す『ドラグナーガール』の大軍は、凄まじい勢いで爆発から生まれていく。
あらゆるもの。
森羅万象。武器もユーベルコードさせも『ドラグナーガール』に変えてしまう『魔王パラダルク』の力は凄まじいの一言であったことだろう。
けれど、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は違う。
彼女は黒き暴竜『ヴリトラ』と共に『ドラグナーガール』の大軍へと突っ込む。
「ふむふむ? 行き止まりと? ならば壊して進むまでですわ。参りますわよヴリちゃん!」
その言葉に応えるように黒き暴竜が咆哮する。
迫りくる『ドラグナーガール』の数は凄まじいものであった。大軍と呼ぶに相応しい数が『実験戦艦ガルベリオン』を囲い、猟兵たちの突破を阻んでいる。
群がる『ドラグナーガール』たちを『ヴリトラ』の尻尾が薙ぎ払い、爪が引き裂く。
「ヴリちゃんは全身が格闘兵装ですわ」
それは思春期の少年の感性のようにとんがったものであり、近づくもの全てを傷つけるナイフそのものであった。
だが、それでも『ドラグナーガール』の数は尋常ではない。
猟兵たちが放ったユーベルコードや爆発、それらを『ドラグナーガール』に変えて支配することができる能力故に、未だ『実験戦艦ガルベリオン』で行われている『儀式の舞』を止めることはできていなかった。
「キリがありませんわね。ヴリちゃん!」
その言葉に『ヴリトラ』が答えようとしたが、『ヴリトラ』の困惑するような意志しかメサイアには伝わってこなかった。
「『私』の生み出した『ドラグナーガール』に触れたものは『ユーベルコードの使い方の記憶』を吸収される。お前のやろうとしていることはわかるぞ」
『魔王パラダルク』が言う。
彼のちからは『ドラグナーガール』を通してメサイアの、『ヴリトラ』のユーベルコードの使い方の記憶を奪い去ったのだ。
「あらー?」
メサイアは『ヴリトラ』のコクピットの中で困ったような顔をする。
こんなときでも余裕を忘れないのが彼女の善いところであろう。慌てふためいた所で忘れてしまったものは仕方のないことである。
だが、心配することなど何一つ無い。
『魔王パラダルク』の誤算があったのだとしたら、メサイア自身も知らぬことであったが、なんとなくボタンさえ押せば、兵装は展開されるということである。
キャバリアに意志が宿ろうとも、それが兵器であるのならば、人の記憶は介在しない。
故に、煌めくは滅亡の瞬光(ジェノサイドバスター・ラディカルレイ)である。
その口腔より覗く砲口。
そして、大地を踏みしめるかのように『ヴリトラ』の脚部の爪がアンカーのように突き刺さる。
「機械風情が……『私』の支配から逃れられると」
「あなたが如何に強大な力を持っていようとも、引き金を引けば放たれるのが荷電粒子砲ですわ!」
メサイアの瞳がユーベルコードに輝く。
使い方を忘れてしまっても、これまで幾度となく放ってきた引き金は軽いものであった。
暴風の如き破壊の力。
それこそが『ジェノサイドバスター』である。
極大の光を保ったまま収束する荷電粒子ビーム。メサイアは見るだろう。忘れてしまっていたとしても、その輝きは等しく破壊と破滅を齎す。
放たれたビームの光条が『魔王パラダルク』へと迫る。
その一撃は彼を滅ぼすことはできないだろう。森羅万象の全てを『ドラグナーガール』に変換するがために。
けれど、それ以外には力が及ばない。すなわち、『ドラグナーガール』の大軍を守ることはできないのだ。
「お受けなさい! これこそがヴリちゃんの力でしてよ!」
打ち込まれた荷電粒子ビームの一撃が『ドラグナーガール』の大軍を蒸発させ、凄まじい勢いの侭『ヴリトラ』は後方に吹き飛んでいく。
『魔王パラダルク』を打倒できずとも、為し得ることがある。
『ドラグナーガール』という軍勢を引き剥がした後、後に続く者達の道を暴威の黒龍は示したのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
執念ですよねー。そちらは、忍びとしてはわかるのですがー。
女の子の方はわかりませんね、深く考えないように。
先制攻撃は…おそらく性質上、必ずコピーしてきますね。
普通の攻撃は、戦闘知識からくる見切りで回避しますけどー。
さて、UC。まあ、コピーしてきますねー?
ですが、欠点が。これ、呪詛ですし。敵が多数の方が効果が高いので、そちらには微々たるものなんですよー。
そして、こちらにとって戦場とはこの戦艦内全てですのでー。パラダルクはもちろん、踊っているドラグナーガールも含みますよー。
はは、今は儀式を乱すのみ。なので、乱して手刀をね?
荷電粒子ビームの一撃が『ドラグナーガール』の大軍を撃滅する。
だが、その荷電粒子ビームの一撃を『魔王パラダルク』は己の力でもって受け止め、新たなる『ドラグナーガール』へと変えてしまう。
これこそが森羅万象、あらゆるものを『ドラグナーガール』に変える力。
恐るべき力である。
周囲に存在するもの全てを侍らせるかの如く『魔王パラダルク』は軍勢を生み出すことができるのだ。
『実験戦艦ガルベリオン』を守る軍勢は再び姿を顕す。
「これも全て、『私』の敗北の記憶を拭うため。耐え難き屈辱を。それを覆すためだ。そのために『私』は手に入れたのだ。この無敵たる力を」
過去と未来の属性。
それによって時間さえ抑え、『成長し続ける敵』をも超える。
「執念ですよねー」
理解できることだと馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『疾き者』は言う。
忍びとして理解できることだと。
己の失敗、己の失策、己の敗北。
オブリビオンとなって蘇ったからには、それらの全てを覆さなければならない。それをして『魔王パラダルク』は『試練』だと言った。
彼の前に立ちふさがるもの全てが『試練』。猟兵もまた同じであったことだろう。
「ですが、『ドラグナーガール』に変えてしまうというのは、わかりませんね」
深く考えた所で、理解が及ぶわけでもない。
『疾き者』は『ドラグナーガール』溢れる戦場に走る。
こちらのユーベルコードはコピーされてしまうだろう。これだけの数だ。ユーベルコードなしで対処できるものではない。
それ以上に『魔王パラダルク』にとってユーベルコードさえも『ドラグナーガール』へと変えるための素材でしかないのだ。
「四悪霊・『解』(シアクリョウ・ホドキ)――……我等は悪霊なり」
きらめくユーベルコード。
その輝きを見た『魔王パラダルク』は頭を振る。
それこそ無駄な行いであると。
「ユーベルコードをつかわなければ『私』を倒せない。だが、使った所で倒せるとも限らない。お前のやったことは『私』に『ドラグナーガール』という軍勢を与える機会でしかない」
『ドラグナーガール』が放たれた呪詛を受け止め、その体から排出する。
戦場の敵全てに運気、霊力、生命力を奪って不幸を与え、奪った総量に応じた幸運をもたらすユーベルコード。
確かにそれは強力な力であったことだろう。
ただし、それは敵の数が己より多ければの話である。
「必ずコピーしてくるとは思っていましたよ。ですが、その力……これは呪詛ですし、敵が多数の方が効果が高いのですよ」
対する猟兵の数は僅か。
『ドラグナーガール』たちと比べれば、幸運の量は歴然たるものであった。
膨れ上がっていく幸運。
『疾き者』に集まるのは『ドラグナーガール』たちの大軍全ての『運気と霊力、生命力』全てであった。
「だからどうしたというのだ。お前が放つ攻撃も、何もかもが『私』の支配下になる。止めようがないことだ」
「ええ、ですけれど、この戦場全てと言いました。ならば、わかるでしょう?」
『疾き者』の言わんとしていることを『魔王パラダルク』は理解した。
この戦場のすべて。
ならば『実験戦艦ガルベリオン』で行われている『儀式の舞』を踊る『ドラグナーガール』たちもまた同様である。
多くの量へ達によって『儀式の舞』は阻害されてきた。
立て直して入るが、儀式の進行が送らされていることはどうしようもないことであった。
「『私』に勝てぬからと――」
「いいえ、勝てぬとは思っていませんよー。ただ、こうした方がいい、と理解しているのですよー」
今はまだ完全に滅ぼすことの出来ぬ相手。
されど、その目論見こそが『魔王パラダルク』の欲望であるというのならば、それを叶えてやる義理も道理もない。
『疾き者』は溢れ出る呪詛によって『ドラグナーガール』たちを疲弊させ、大軍を御するのだ。
「おのれ……!」
「猟兵の戦いとは繋ぎ紡ぐ戦いなれば。はは、今は儀式を乱すのみ」
歯噛みする『魔王パラダルク』を前に『疾き者』は己の呪詛を飲み込まんとする力に抗うように、その溢れ出るオブリビオンへの呪詛を迸らせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
キング・ノーライフ
さて、万物を墜として好みの姿に変えて従わせる似たような相手。
何度もガールズと戦ったし、ここらで我もパラダルクに挑んでみるか。
機械の神たる我による【目潰し】の発煙からの【化術】でドラグナーガールに化け、終盤に来た事による【演技】と自己【催眠術】でなりきって身を隠す。
時限式で我に返ったら次はパラダルクに化けて【王の誘惑】、貴様のUCは「何でもパラダルクに魅了されたドラグナーガールにする」。純粋に【誘惑】特化したUCにガールズは耐えれるかな?コピーしても使うのは貴様ではない、貴様ならともかく格下の誘惑が束になっても効かん。後は同士討ちを高みの見物よ。
若きパラダルクよ、貴様も美しいな。
我の物になるか?
戦場は今や『ドラグナーガール』でもって埋め尽くされている。
森羅万象、武器、ユーベルコード、あらゆる力を『ドラグナーガール』に変えて我がモノとする力。
『魔王パラダルク』の力の発露は凄まじいものであった。
荷電粒子も、雷龍も、呪詛さえも『魔王パラダルク』は『ドラグナーガール』に変えて軍勢へと堕とす。
「『私』は此処に在りて全てを手に入れることができる。対する『六番目の猟兵』、お前たちは『私』を倒すことは出来ない。だからこそ、言ったのだ。此処が『行き止まり』だとな」
未だ『魔王パラダルク』の優位は変わらない。
『ドラグナーガール』たちは凄まじい勢いで大軍となって猟兵を襲うだろう。
触れてしまえば、そのユーベルコードを吸収し、己が力として放つ。堂々巡りの戦いに猟兵は引きずり込まれてしまう。
だが、キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)は威風堂々たる立ち振舞のまま戦場に降り立つ。
「さて、万物を堕として好みの姿に変えて従わせる似たような相手。何度もガールズと戦ったし、ここらで我もパラダルクに挑んでみるか」
キングは機械の神である。
吹き荒れる煙。
それは目潰しの煙であり、視界を阻害させるために発したものであった。けれど、それらは一瞬で晴れていく。
『魔王パラダルク』は森羅万象の全てを『ドラグナーガール』に変える。ならば、煙もまたその力の餌食となるだろう。
だが、『魔王パラダルク』は見ただろう。
目の前にあるのは『ドラグナーガール』だけ。
猟兵の姿が見えないのだ。
「――何を狙っている……」
己の虚を突くことだけは確かである。けれど、わからない。目の前にあるのは『ドラグナーガール』のみ。
そう、キングは己への自己催眠で持って『ドラグナーガール』へと姿を変え、なりきっているのだ。
「姿をくらませたか……それとも『私』の言葉に従ったか。いや、それはない」
『魔王パラダルク』は考える。
何が狙いなのか。言うまでもなく次に浮かぶのは『儀式の舞』の妨害である。これまで多くの猟兵たちがそうであったように、この『儀式の舞』こそが『魔王パラダルク』の執着にしてなしえなければならないことであったからだ。
「貴様の力は森羅万象を『ドラグナーガール』に変えるもの。だが、我の力は――」
その声が響いた瞬間、現れるのは『魔王パラダルク』であった。
いや、違う。
キングが化術でもって化けた『魔王パラダルク』であった。彼の瞳がユーベルコードに輝く。
しかし、ユーベルコードは意味がない。
なぜなら、『ドラグナーガール』たちに吸収され、彼女たちが放つからだ。
その放った力は『魔王パラダルク』に変じたキングへと放たれる。
「ふ――無駄だ。このユーベルコードは、王の誘惑(オウノユウワク)。純粋なる誘惑に特化したユーベルコードよ。コピーしても使うのは貴様ではない。ならば、格下の『ドラグナーガール』が使う誘惑に我が屈することなどない」
キングは『魔王パラダルク』から姿を元に戻し、笑う。
其処に在ったのは余裕であった。
『ドラグナーガール』から放たれる誘惑のユーベルコードなど意に介さない。
ただ、同士討ちになるのを高みの見物とするのみ。
王とはすなわち睥睨するもの。
眼下に在りしモノ全てを我がものとし、その全てをもって捧げさせるモノであるのならば、キングは告げる。
「若きパラダルクよ、貴様も美しいな。我の物になるか?」
返答はない。
美しきものは、収まるべきところに収まるべきである。ならばこそ、キングは、その美しさこそ己の手の内に在るべきだと問うのだ。
その問いかけに震える『魔王パラダルク』の怒りは、どれほどのものであったことだろうか。
誘惑のユーベルコードによって混乱する『ドラグナーガール』たち。
その混乱の中、キングは悠然と、そして王たる器を見せるように薄く笑むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
万物を女の子に変えて操る
途轍もない能力なんだけど
女の子の字面が強すぎるよ
UCすら対象になるなんて
強力だけど分かってるならやりようはあるね
これ、自分も味方も巻き込んで効果があるんだ
僕は氷結耐性と寒冷適応で耐えるけど
UCに耐性は含まれてないから
使ったドラグナーガールは凍ってお終いじゃないかな
たぶん、冷気を撒き散らし続ける氷像になるよ
見せつけるように絡んでたなら
パラダルクもただじゃすまないと思う
僕は相手が使ったのは神気で防御しておくけど
という訳でUCを使ってドラグナーガール達を凍らせて
儀式の邪魔をしようか
一人くらい持ち帰ってもバレなさそうですの
邪神の涙の子は割と迷惑になりそうだから
何とかしといてくれ
混乱に満ちる『ドラグナーガール』たちを鎮め、『魔王パラダルク』は忌々しげに呟く。
「何故、『私』の言葉を理解しない。此処は行き止まりだと告げたはずだ。お前達では『私』を倒せない。理解しているはずだ。肌で実感したはずだ。だというのに、何故『六番目の猟兵』、お前たちは『私』を邪魔する」
彼の言葉は最もであったことだろう。
『実験戦艦ガルベリオン』にて行われる『儀式の舞』は己の宿敵を探し出すためのものだ。
猟兵には関係ないはずだ。
そして、己を打倒することは猟兵たちにとっても現実的ではない。だというのに向かってくる。
「確かに途方も無い能力だと思うよ」
万物を『女の子』に変えて操る。佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はそれが尋常ならざる能力であると理解している。
今もなお『ドラグナーガール』の軍勢は増え、『実験戦艦ガルベリオン』を守る壁となり、また猟兵たちを襲う鉾となって迫ってきている。
「でもね、女の子の字面が強すぎるよ」
晶の中の邪神が喜んでいるような気がするのが良い証拠だ。けれど、油断はできない。
森羅万象、さらには武器、ユーベルコードすらも『ドラグナーガール』に変える力。強力だが、それでも晶はやりようはあると、その瞳を輝かせる。
「『私』は手に入れたのだ。未来も過去の属性も。『私』の無敵は揺らがない」
「ユーベルコードを吸収して自らも放つ、か……なら、これはどうかな?」
本当に無敵かどうか。
それは相対する者がいなければ確かめようのないことである。晶の瞳がユーベルコードに輝き、その邪神の涙(ゼロ・ケルビン)を発露させる。
自らも徐々に凍りつつ、周囲に極低温の物質を放ち無差別攻撃するユーベルコード。
晶自身には邪神という耐性を持つ存在が内包されている。
だからこそ、『ドラグナーガール』たちがこのユーベルコードを放つのだとしても、耐性がある分、晶にとっては庭のようなものだ。
「同士討ちを狙うか」
「そうだよ。ユーベルコードは必ず『ドラグナーガール』はコピーするでしょ。そして放つ。そしたら、自分自身も凍りついてお終いだよ」
冷気を吐き出し続ける氷像でしかなくなる。
『ドラグナーガール』の軍勢は晶の目論見通り、氷像と化すだろう。そして、その冷気は次々と伝播していく。
「君もそうやって侍らせているのならば、ただじゃすまないよ」
「『私』に忠告するか、『六番目の猟兵』。だが、冷気も凍気も『私』にとっては意味のないことだ」
瞬時に『魔王パラダルク』は極低温の物質さえも『ドラグナーガール』に変えてしまう。
確かに『ドラグナーガール』の軍勢は使い物にならなくなってしまった。
けれど、それが何だというのだ。
「そっか、君は無事なんだね。でも、その戦艦の中の『ドラグナーガール』はどうかな?」
晶は伝播する極低温の物質が『実験戦艦ガルベリオン』の内部にまで到達していることを察知する。
そう『儀式の舞』を止めることが今の猟兵たちが勝ち筋を見出すために必要なことであった。
欲望とはオブリビオンにとって存在する理由そのものである。『魔王パラダルク』が竜神親分を探しているのならば、それを阻害する。
そうすれば『魔王パラダルク』は撤退せざるをえないだろう。
「やはり、お前たちの狙いは『儀式の舞』そのものか……! ならば、ヤツが何処に居るのかも、その所在もわかっているな!」
「教えるわけがないよね。でも、そこで釘付けになるしかない」
晶は己から無差別に放たれ続ける極低温の物質を振りまきながら笑う。そう、互いに決定打がない。
その決定打がないことが猟兵たちにとって戦いの趨勢を傾けさせるものであった。
「一人くらい持ち帰ってもバレなさそうですの」
邪神が内側からポツリと呟く。
けれど、晶はやめといた方がいいよと諌めるのだ。だって、邪神の涙によって冷気を吐き出し続ける氷像になった『ドラグナーガール』は迷惑以外の何者でもないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
偉そうな奴でござるな
ムカつくのだよ…偉そうな奴と偉くないのに偉い奴が
ガールの大軍がでてきて取り囲まれたんでござるが拙者はもうヤバいと思う
増えすぎたガールは世界に高負荷を与えてしまうんだ!【物理演算の神】が現れる!お戯れのバグが来るぞ!
増えすぎたガール達の狂った動作でヤヴァイですぞ!高速で跳ね回って…これは…ぶつかったガール達が合体して塊になっていくでござるね!接触判定もバグったか!会場ぎっちりに呼びすぎたんだ!
因みに拙者に触れて記憶を吸い取っても無駄だ!拙者は使い方知らないんスよ、だって塊作ってるの神だし
この塊でパなんたらも巻き込んだらよくない?後で地面のテクスチャの隙間見つけて捨てようぜ!
「『私』に対して泥仕合を仕掛けるか、『六番目の猟兵』……!」
忌々しげに『魔王パラダルク』が吐き捨てる。
戦場は膠着状態であった。いや、正しくは『勝てはしないが、負けることもない』状況に猟兵達は持ち込んでいた。
完全なる撃破は恐らくできないと言われた『魔王パラダルク』を前にしても猟兵たちが立ち止まることも、後退することもなかった。
いわば、それは猟兵としての信念が『魔王パラダルク』の思惑を上回った瞬間であったことだろう。
「偉そうな奴でござるな。ムカつくのだよ……偉そうな奴と偉くないのに偉い奴が」
エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)の言い分は、めちゃくちゃであったが、それはこの際置いておくとしよう。
今や戦場は『ドラグナーガール』によって埋め尽くされている。
彼女たちは全てが『魔王パラダルク』によって姿を変えた森羅万象である。武器も、ユーベルコードも、何もかもが『ドラグナーガール』に変えられてしまう。
それほどまでに『魔王パラダルク』の力は凄まじいものであった。
エドゥアルトは、だからこそむかっ腹であったのだろう。
ふんぞり返った者を見れば、殴打したくなるほどに彼は苛ついていた。
「ですが、ガールの大軍に取り囲まれたんでござるが、拙者はもうヤバいと思う」
気がつけば、エドゥアルトを取り囲む『ドラグナーガール』たち。
彼女たちに触れられてしまえば、ユーベルコードの使い方の記憶を吸収されてしまう。
必ずこちらに先制してくるなんてずるい!
エドゥアルトは頭を振る。こんなチートが許されていいのか。いいんです。
「増えすぎたガールは世界に高負荷を与えてしまうんだ!」
追い詰められたがゆえであろうか、錯乱したのかと思うほどにエドゥアルトは叫ぶ。しかし、彼の瞳がユーベルコードに輝き、その叫びがなんで在ったのかを『ドラグナーガール』は知るだろう。
「物理演算の神が現れる! お戯れのバグが来るぞ!」
エドゥアルトのユーベルコードに触れた『ドラグナーガール』たちが一斉におかしな挙動を始める。
それこそが神の遊び(カミノアソビ)。
物理演算の神が奪った挙動は、そのままに『ドラグナーガール』たちは飛んだり跳ねたりを繰り返す。
狂ったかのような光景。
いや、実際狂っているのだろう。
もはやエドゥアルトには止めようがない。なにせユーベルコードの使い方を吸収されているからである。
戦いの場にあって満ちる『ドラグナーガール』は所狭しと存在している。
一体が激突すれば合体し、その大きさが増していく。まるで塊になるように膨れ上がっていく『ドラグナーガール』たち。
「接触判定もバグったか! 会場ぎっちりに呼びすぎたんだ!」
「何が、どうなっている……彼女たちは知っているはずだ、『六番目の猟兵』のユーベルコードの使い方を……!」
「無駄だ! 拙者も使い方知らないんスよ、だって塊作ってるの神だし」
エドゥアルトはあっけらかんと言い放つ。
そんなユーベルコード使うなという話であるが、そんなこと今更言った所でどうにもならんのである。
もはや『ドラグナーガール』の軍勢は一塊に。
見るに堪えない姿となった巨体の如き『ドラグナーガール』が、やはり『物理演算の神』に挙動の主導権を奪われたまま跳ね回る。
「後で地面のテクスチャの隙間見つけて捨てようぜ!」
収拾のつかなくなった事態にエドゥアルトは、パなんたら……多分『魔王パラダルク』にテヘペロって顔をする。
この事態をどうにかできるのは、もはや此処に在らず。
「貴様……おちょくっているのか!」
そもそもの地面のテクスチャって何。
そんなエドゥアルト時空に引きずり込まれた『魔王パラダルク』は、己の戦いに対する概念を突き崩されながら、途方も無いほどにやるせない戦いに引きずり込まれていく。
勝てずとも負けない。
この間に他の猟兵がなんとかしてくれるだろうと思いながら、エドゥアルトは叫ぶのだ。
「神だ!! これは神の仕業ですぞー!!」
制御すら効かぬユーベルコードは最早『ドラグナーガール』たちでは持て余し、そして、その持て余すがゆえに『魔王パラダルク』はいろいろなものを蹂躙されてしまうのであった。
尊厳とか、そんな感じのやつをね――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
ああ、こんなに女の子侍らせて羨ましい。ドラグナーガールもオブリビオンかしら? そうじゃなければ一人二人お持ち帰りしてみたい。
さて、真面目に行きましょうか。
最初は軍勢の展開だけで、直接攻撃してこないのね。
それなら、「目立たない」摩利支天隠形法で敵の認識から外れて動く。
どんな能力を持っていようと、自動発動でない限り、相手が『認識出来ない』ものに対処は出来ない。
実験戦艦に入り込み、儀式の物音を探って儀式場へ。
魔王のいない女の子相手なら、あたしでもひけはとらないわ。
薙刀で「斬撃波」を放ち、「衝撃波」と共に振るって「薙ぎ払い」、「貫通攻撃」で「串刺し」。
これで儀式は制圧ね。艦の拡声器で外に伝えましょう。
「ああ、こんなに女の子を侍らせて羨ましい」
一塊にされた『ドラグナーガール』を再び『魔王パラダルク』が再編して、軍勢として戦場を覆ったのを見た村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)の素直な感想であった。
森羅万象、武器、ユーベルコードに至るまで、全てを『女の子』に変える力を持つ『魔王パラダルク』にとって、それは当然のことであった。
侍らせているという意識もないだろう。
けれど、それは本人にそうではなくとも、他者から見ればそう見えるものである。
「『ドラグナーガール』もオブリビオンをかしら? そうじゃなければ一人二人お持ち帰りしてみたい」
なんとも欲求に素直なことであっただろう。
けれど、それはそれとして置いておかねばならない。今は戦いのさなかであり、対する『魔王パラダルク』は今の猟兵をしても完全に撃破することが難しい存在であったからだ。
「意味のないことを言う。お前達『六番目の猟兵』にとって、『私』は壁そのものだ。同時に『私』にとってもお前たちは『試練』そのものであろう」
乗り越えなければならないもの。
嘗て得た苦い敗北の記憶。
それを拭うために必要な『試練』であるというのならば『魔王パラダルク』は己の力の発露を持って、これを踏み潰すと決めたのだ。
溢れるように『ドラグナーガール』達が迫る。
彼女たちに触れれば、ユーベルコードの使い方の記憶を抜かれてしまう。だからこそ、ゆかりは揺らめく陽炎で己を覆い、姿をくらます。
視聴嗅覚では捉えることの出来ない力。
それでもって、ゆかりは迫りくる『ドラグナーガール』たちの軍勢を躱す。
これこそが、摩利支天隠形法(マリシテンオンギョウホウ)である。
「どんな能力を持っていようと、自動発動出ない限り、あたしを『ドラグナーガール』が捉えることはできない。認識を外すっていうことはこういうことよ」
ゆかりは即座に行動する。
彼女の目的は『儀式の舞』を行っている『実験戦艦ガルベリオン』の内部にある『ドラグナーガール』たちである。
今や『魔王パラダルク』は己を捉えることはできない。
彼を倒すことが出来なくても、彼の目論見を止めることは出来る。これがこの戦いの勝利の図式であるというのならば、ゆかりは『魔王パラダルク』を捨て置くのだ。
「魔王のいない女の子相手なら……!」
それに先行した猟兵たちが『儀式の舞』を阻害してくれている。
踊る『ドラグナーガール』たちも数を減らしているがゆえに、ゆかりは薙刀を奮って『実験戦艦ガルベリオン』の内部の隔壁を切り裂き、突き進む。
「儀式さえ中断させてしまえれば、この戦いに決着はつく」
けれど、ゆかりは見ただろう。
先行した猟兵達によって消耗させられていた『ドラグナーガール』たちが一新されていることを。
彼女たちは『魔王パラダルク』によって再編されていた。
予想以上の数にゆかりは呻く。
敵の能力は数。そして、あらゆる攻撃すらも己の支配下に変えてしまう力。それゆえに、数に意味はない。
「とは言え、数を減らせば儀式も潰せるでしょう」
ゆかりは薙刀を振るい、踊る『ドラグナーガール』たちを斬り伏せていく。半数を切り捨てた後に、また背後から『ドラグナーガール』の軍勢が現れる。
きりがない。
きっと『魔王パラダルク』は外からくる猟兵たちにかかりきりなのだろう。そして、『儀式の舞』を担当する『ドラグナーガール』が減った異変を察知して、また新たな軍勢を『実験戦艦ガルベリオン』へと差し向けたのだ。
抜け目のなさまで魔王と呼ぶべきであっただろう。
けれど、外と内。
両面からの猟兵の攻勢が続けば必ず『儀式の舞』は止められる。
「なら、やってやろうじゃない。うらやま……じゃない、女の子侍らせているだけの奴に負けるものですか!」
ゆかりは気合一閃に薙刀を振るい、『儀式の舞』を続ける『ドラグナーガール』たちを切り捨て、猟兵たちの戦いを支えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノーラ・カパストル
アドリブ歓迎
万物を妹に…
いや、なんでもない、なんでもないよ?!
…こほん
今回は騎士系のアイテムを装備してドラグナーガールだけを相手にするよ
初撃は巨人騎盾で防いでから指定UCを発動
相手と接敵したらUCの効果でドラグナーガールの防御力が上がるけど…
でもね、全員が全員「味方のダメージを肩代わりする状態」は単にダメージが拡散してるだけだと思うの
というわけで【範囲攻撃】主体で戦ってダメージを数倍に
使わないならそれはそれで防御力に勝るこちらが有利になるし…
一人や少人数使用に絞っても、受け持つ人数が多すぎてすぐにキャパシティオーバーになると思う!
カパストル家は伊達でこんな危ないUCを使ってるわけじゃないんだからね!
戦場を覆い尽くすほどの軍勢。
それらは全て『魔王パラダルク』によって変えられた『ドラグナーガール』たちであった。
彼女たちはもとを正せば、森羅万象であり、猟兵の扱う武器であり、ユーベルコードであった。
たゆたう塵一つからでも『魔王パラダルク』は『ドラグナーガール』を生み出して見せた。その力はまさに強敵。これまで対峙してきたオブリビオンをおいても類を見ないほどの無敵性を有していたことだろう。
「森羅万象の全ては『私』のモノである。『六番目の猟兵』、お前たちのやっていることは徒労に終わることである。だと言うのに何故、邪魔をする」
『魔王パラダルク』にとって、それは不理解の極みであった。
彼が求めるのは、己に敗北の苦い記憶を刻み込んだ仇敵への復讐であった。ならばこそ、猟兵たちの行動は、理解に苦しむものであった。
「万物を妹に……」
ごくり、とものすごい生唾飲み込む音が響き渡った。
いやに大きく響いたな!? と思ったのならば見上げるといい。そこにあるのは体高5mを超えるノーラ・カパストル(大きな大きなお姉ちゃん・f37196)の姿である。
ごくり、と生唾を飲んだのは『ドラグナーガール』たちの姿に『妹』を幻視したからであろう。彼女は世話焼きである。大抵の人にはお世話を焼きたがるお姉ちゃんなのである!
いいよね。わかる。
だがしかし。ここは戦場であり、『ドラグナーガール』は倒すべき敵なのだ。悲しいね。
「いや、なんでもない、なんでもないよ?!」
あまりのことにノーラはしばし意識をさまよわせていたが、今度こそ意識をしっかり保つ。こほん、と咳払いして仕切り直しである。
とはいえ、『ドラグナーガール』の軍勢が待っていてくれるわけもなく。迫る大軍勢。『ドラグナーガール』とは言え、巨人であるノーラを簡単に攻め落とせるものではない。
ましてや、今のノーラは巨人の甲冑に盾、重槍を手にしている騎士スタイル。いつもの世話焼きお姉ちゃんスタイルではないのだ! 残念!
手にした盾で『ドラグナーガール』たちの猛攻を防ぐ。数に優る『ドラグナーガール』たちは一気にノーラの体を押し込むようにして追いやるのだ。
これ以上『実験戦艦ガルベリオン』を脅威に晒すわけには行かぬとばかりに『魔王パラダルク』によって支持されているのだろう。
「カパストルの煌めきのもと、勇猛を示せ!金貨の盾!!」
煌めくはユーベコード。
彼女が持つのは大きな盾。
しかし、それは責務持つ者だけが振るう事のできるものである。ゆえに、彼女は高らかに宣言するのだ。
責務果たせ金貨の盾(エキュアーミン)と。
彼女のユーベルコードは味方のダメージを肩代わりする状態になることである。しかし、その代償に自身の防御力と味方の突撃衝力を強化する。
まさしくお世話好きなお姉ちゃんにはぴったりのユーベルコードである。
「この力の使い方を奪われてもね、私がお姉ちゃんであることまで奪えないんだよ!」
たとえ、ユーベルコードをコピーされたとしても関係ない。
味方全員が全員ダメージを肩代わりする状態は単にダメージが拡散しているだけだ。ゆえに、ノーラの重槍の一撃が振るわれる。
拡散されても、その巨人の槍の一撃は重たく鋭いもの。そして、衝撃波が『ドラグナーガール』たち全てに行き渡る。
分散されても、同じようにダメージが蓄積していく。
「――巨人の種族か……忌々しい。ならば、その力をつかわなければよいだけのこと」
「使わないなら、それはそれで防御力に優るこちらが有利になるし……一人や少人数がしようしたって!」
そう、この大軍をまんべんなく攻撃できる巨人のノーラの一撃は、すぐにキャパシティを超えてしまうだろう。
そうなっては『ドラグナーガール』の軍勢としての力は損なわれるし、また『魔王パラダルク』の操る過去属性の力もまた十全に発揮できないだろう。
しかし、味方のダメージを肩代わりするユーベルコードなど危険極まりないものである。ともすれば、自分だけが傷を追うことになるからだ。
そうなっては元も子もないだろう。
けれど、それでもノーラは胸を張るのだ。
「カスパトル家は伊達でこんな危ないユーベルコードを使ってるわけじゃないんだからね!」
振るう重槍の一撃が『ドラグナーガール』たちを吹き飛ばしていく。
全ての『ドラグナーガール』に叩きつけられる衝撃波は、勢いよく伝播していく。ユーベルコードを使用しなければノーラに瞬く間に道を切り開かれる。
かといって、ユーベルコードを使ってもジリ貧になるだけだ。
『魔王パラダルク』の力は凄まじい。
けれど、単体の力ではなく『ドラグナーガール』という軍勢の力をもって戦う以上、ノーラという巨人……いやさ、お世話大好きお姉ちゃんの前には無力と化す。
「みんなの道は私が開くよ! だから!」
今はカスパトル家の巨人騎士。
そして、何よりみんなのお姉ちゃん足り得るために振るう槍は金貨以上の輝きを放ち、戦場を切り開き、後に続く猟兵達を『実験戦艦ガルベリオン』へと導く旗印となるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
大言を吐く割にやることは盗人か
涙ぐましい努力だな
状況は『天光』で逐一把握
先制含め守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給
破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無
原理を廻し高速詠唱を無限に加速、循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、敵勢へ向け斉射
更に射出の瞬間を無限循環し戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす
世界を編んだ創世の理
万象一切、お前の力さえも、消え失せるしか許されぬと知るが良い
※アドリブ歓迎
十属性を手繰る『魔王パラダルク』のユーベルコードによって、瞬く間に『ドラグナーガール』たちは再編される。
どれだけ猟兵達がユーベルコードをふるおうとも、即座に『魔王パラダルク』は『ドラグナーガール』たちを生み出す。
これこそが森羅万象を操る『魔王パラダルク』の力であった。
強大な敵。
これまで対峙してきた敵のどんな者たちよりも、その数という力においては『魔王パラダルク』は群を抜いていた。
「だが、これだけの力が在っても『私』は嘗て敗北した。その苦い記憶を拭うためにこそ、『私』は手に入れたのだ。成長すら許さぬ未来と過去の属性をな」
それこそが『魔王パラダルク』の力。
時間の概念すら手繰る属性の力は、あらゆるものを『ドラグナーガール』へと変えていく。
「大言を吐く割にやることは盗人か。涙ぐましい努力だな」
アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は迫りくる大軍を前にそうつぶやいた。
ともにある淡い光は原理。
彼にとって、戦況が『勝てずとも負けない』状況に膠着していることは即座に理解できることであった。
『魔王パラダルク』を完全に滅ぼすことは現時点では現実的ではない。
ならばこそ、迫りくる『ドラグナーガール』を蹴散らすことこそがアルトリウスの戦いであった。
猟兵の一撃は確かに『ドラグナーガール』を打ち倒す。
けれど、ユーベルコードそのものすらも『ドラグナーガール』に変える『魔王パラダルク』の前では前進も後退も侭ならない。
ならば、やはり狙うべきは『儀式の舞』の破壊だ。
「言うではないか。『六番目の猟兵』。どちらが大言を吐いたか、証明しよう」
膨れ上がる『ドラグナーガール』たち。
その数は最早軍勢と呼ぶ以上の数となってアルトリウスを襲う。
だが、アルトリウスには届かない。
無限に十一の原理を回し、己に害在るもの全てを無限に破壊し続ける。
なお迫るとしても、加速によって躱し、膨大な魔力は世界の外側から汲み上げる。
きらめくユーベルコードは破界(ハカイ)。
「行き止まりだ」
それは意趣返しのような言葉であったことだろう。
放たれる万象を根源から消去する、創世の権能が顕す蒼光の魔弾が『ドラグナーガール』たちを消し飛ばしていく。
障害は己の魔弾を阻むに値はしない。
天を覆う数の魔弾が戦域全てを埋め尽くす。軌跡は蒼く光、けれど、地に『ドラグナーガール』の姿を為すことを否定するように消し去っていく。
「世界を編んだ創世の理。万象一切、お前の力さえも、消え失せるしか許されぬと知るが良い」
アルトリウスの言葉が響く。
『ドラグナーガール』たちは魔弾の中に消えゆく。
けれど、魔弾もまたユーベルコード。ならば『魔王パラダルク』にとって、それは『ドラグナーガール』に変えることのできるものである。
無限に加速してく破壊と再編。
その中でアルトリウスと『魔王パラダルク』は押し問答の如き戦いにひきずりこまれていく。
どちらが果てるか。
もしくは、他の猟兵たちが『儀式の舞』を破壊し、『魔王パラダルク』の目論見そのものの手段を失わせるか。
戦いはそのような局面に移り変わる。
魔弾の軌跡は雨のように戦場を、そして『実験戦艦ガルベリオン』を埋め尽くしていく。
永劫の如き戦いの中で、創世の権能だけが煌めく――。
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
ん?鏡?…あ!
それはUC【改悪!像魂堕鬼纏穢握】!
くっ!目を閉じても可愛い私が視界一杯に!
このままでは私に見つめられたままなぶり殺しにされます!
しかし私はあきらめません!
{ゲイズ・パワー}で作った『オーラ防御』で攻撃を凌ぎつつ私も【改悪!像魂堕鬼纏穢握】発動!
ただし囲まれた現状でこのUCは無意味!なので!
『地形破壊』と『トンネル堀り』で地中に退避!
『情報収集』で地中を伝わる振動からドラグナーガールさんの位置を割り出し強襲します!
視界一杯の私に見つめられたまま地中へ引き込まれるのを待っていてください!
『実験戦艦ガルベリオン』の内部で行われている『儀式の舞』をめぐる攻防は一進一退であった。
大軍のように迫る『ドラグナーガール』たちは、『魔王パラダルク』によって生み出された者たちである。
彼の力は森羅万象にさえ及ぶ。
猟兵の武器、ユーベルコードにさえ影響を及ぼす『魔王パラダルク』の力はまさに無尽蔵。『ドラグナーガール』たちを打倒しても打倒しても、次から次に溢れてくるのだ。
「まるで千日手だな。だが、『私』は諦めることはない。『私』の記憶にある苦い敗北を拭うまでは。終わらせるわけにはいかぬのだよ」
だが、そんな『魔王パラダルク』の言葉を前にして、響く前口上がある。
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
赤紫のオーラを纏いながら、ダーティが降臨する。
いつもの前口上。すでにこの七代目デビルキングを決める戦いが始まってから幾度となく戦場に響き渡ってきた。
おなじみと言ってもいいだろう。
視線誘導の悪魔らしいと言えばらしい。全ての『ドラグナーガール』たちの視線が彼女に突き刺さる。
けれど、ダーティは気がつく。
「ん? 鏡? ……あ!」
そう、ダーティが放ったユーベルコードは『ドラグナーガール』によって吸収され、放たれるのだ。
『ドラグナーガール』というよりは、『魔王パラダルク』の恐るべきユーベルコードであった。
何度でも放つ事のできるユーベルコード。
それは視界に映る、映像のダーティに赤紫色の矢印が生えたもの。戦闘力を増加し続ける力だ。
「それは、改悪!像魂堕鬼纏穢握(ゾウコンダッキテンアイアク)! くっ! 目を閉じても可愛い私が視界いっぱいに!」
ていうことは、幸せいっぱいということじゃあないか! 最高かよ! と言えたのならば、とても気が楽であった。
けれど、ダーティはこのままでは、とんでもなく可愛い自分に見つめられたままなぶり殺しにされてしまう。
怖い。
「しかし私は諦めません!」
自己解決までも早い。
ダーティは自称、凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王である。ならばこそ、己に集まる視線を持って力に変える悪魔。
通称、ゲイズ・パワー!
自称とか通称多いな。けれど、その力は本物である。自分自身に見つめられ続けるという羞恥。いや、羞恥かな。
まあ、ともかく視線がダーティに力を与えるのだ。漲る力は、オーラとなって膨れ上がり、『ドラグナーガール』たちを一気に吹き飛ばす。
「こうなったら!」
いつものやつである。ダーティは一気に地面へと飛び込み、トンネル堀の要領で地面を突き進む。退避したとも言える。
そして、同時に地中を伝わる震動でもって『ドラグナーガール』たちの位置を把握し、土の中から飛び出すのだ。
「呼ばれてませんし、特に擬音もありませんが、飛び出しまして!」
強襲するダーティの一撃が『ドラグナーガール』をぶっ飛ばす。
いや、ぶっ飛ばすだけでは飽き足らない。
掘り進めた地中はトンネルのような網目になっている。ならば、ダーティは、その自称の通り極悪な戦術を展開する。
「視界いっぱいの私に見つめられたまま地中にご案内します!」
ダーティはゲイズ・パワーによって強化された身体能力で次々と『ドラグナーガール』たちを地中へと引きずり込んでいく。
もぐら叩きというか、すでに別のゲームになっている。
それほどまでにダーティのトンネル堀りはモグラ以上であった。地中を這い回り、神出鬼没に飛び出しては引きずり込む悪魔。
もう視線誘導の悪魔という名だけではない、新たなる異名を獲得しかねない勢いであった。
「でたらめな……!」
『魔王パラダルク』が呻く。
思わずうめいてしまっていた。わかる。ダーティの戦い方は常識の外。生命の埒外たる猟兵だからといっても限度がある。
それほどまでにダーティの戦いは奇想天外の発想でもって次々と『ドラグナーガール』たちを引きずり込み『実験戦艦ガルベリオン』への道を切り開くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
碎輝には会わせない。
お前はオブリビオン、倒すべき敵だ!
『咆哮破壊』の【範囲攻撃】でドラグナーガールを破壊し突撃
そして自分は破壊をためらわない!
『咆哮破壊』とその霊物質の性質は無差別攻撃、
使えば周囲を巻き込み、ドラグナーガール化しても、その身に宿した【闘争心】は全てを破壊しに掛る。パラダルクにも、他ドラグナーガールやガルベリオンにも攻撃は波及する!
愛しかろうが、守るべきモノだろうが、関係ない!
戦塵霊物質が咆哮破壊を【受け流し】
破壊された壁からガルベリオン内部へ突入!
壊せ!何もかもを!!戦禍齎す物全て!!!
【念動力】霊障崩壊霊物質解放、
踊る『ドラグナーガール』達を崩壊させる!
敗北とは如何なる味であろうか。
敗北を知るものは語る。それは苦み走ったものであると。耐え難き苦痛にもにた味であると。ゆえに灌がねばならぬと。
されど、敗北を知りながら『何故』と問える者は多くはあるまい。
己が敗れたる因果を理解したからとて、何になるというのだろうか。敗北が死であるというのならば、その先に続く道などない。
あるのは結果という停滞のみである。
「だからこそ、選ばれた者なのだ。オブリビオンは。『私』はオブリビオンでありながら『魔王パラダルク』。これは『私』の『試練』だ。おまえたちを『碎輝』との戦いにおける試金石にせよと運命が囁いているのだ」
『魔王パラダルク』は告げる。
彼はあらゆるものを、森羅万象全てを己がモノへと変貌せしめる。『ドラグナーガール』の大軍がまさに、その力の結実であった。
「『碎輝』には会わせない。お前はオブリビオン、倒すべき敵だ!」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の咆哮が轟く。
人工魔眼が熱く燃えている。ユーベルコードの煌きは、小枝子の足を止めるには至らない。
彼女の咆哮破壊(カスラヴォイス)は『ドラグナーガール』たちに受け止められる。
周囲の物質を分解破壊する霊物質を放つ。
それが小枝子のユーベルコードであった。しかし、その一撃を受け止めた『ドラグナーガール』は同じように小枝子に咆哮を放つ。
「自分は破壊をためらわない!」
迫る霊物質。
それは小枝子を破壊するだろう。体が分解される。破壊される。凄まじき力だ。己さえも破壊する力を宿す小枝子の瞳は未だ残火のごとき揺らめきを残していた。
「己の力で滅びるがいい『六番目の猟兵』。お前たちは無意味なことをした。あまりにも無為。ゆえにお前たちと『私』は相争う定め。どちらかの滅びでしか戦いは終わらぬよ」
『魔王パラダルク』が告げる言葉を小枝子は何処か遠く聞いていた。
何も響かない。
何も感じない。
されど、心に燃えるのはオブリビオンに対する怨のみ。
ゆえに彼女を構成する戦塵の如き霊物質は尽きることはない。
「――アアアアアアッッ!!」
咆哮が轟く。
それは戦いに際しての咆哮でもなければ、滅びゆく己を嘆くものでもなかった。あるのは戦いの意志のみ。
『ドラグナーガール』の大軍は己が放つ霊物質でもって押しつぶされていく。
破壊の意志は波及する。
小枝子のユーベルコードを受け止め、放つ『ドラグナーガール』たちの体が砕けていく。それは止めようのないものであった。
破壊の亀裂は『実験戦艦ガルベリオン』にまで届くだろう。
生み出される闘争心は全てを破壊し尽くすまで燃え尽きることはない。
「愛しかろうが、守るべきモノだろうが、関係ない!」
破壊。
ただそれだけのために己の躯体があるのならば、小枝子は再び人工魔眼の揺らめく炎を噴出させる。
迫る霊物質すら取り込んで、戦塵霊物質は小枝子の体を、四肢をつなぎとめて疾駆させるのだ。
「壊せ! 何もかもを!! 戦禍齎す物全て!!!」
『実験戦艦ガルベリオン』へと壁面を破壊しながら小枝子は飛び込む。
『魔王パラダルク』は見ただろう。あれこそが破壊の権化である。過去と未来の属性を手に入れてなお、全てを破壊に導く力は、己の力さえも破壊していく。
小枝子の人工魔眼が煌き念動力が開放される。
破壊の力が走る先にあったのは『儀式の舞』を踊る『ドラグナーガール』たち。彼女たちを砕く一撃は、崩壊。
「お前たちが導く未来が戦いを呼ぶのだというのならば、全て壊す!」
自分が自分であるために。
己は何であるかを小枝子は定めている。
己は兵士だ。兵士は戦うものである。ならばこそ、小枝子は世界に叫ぶのだ。破壊こそが己の本質であると。
如何なる勝利も敗北も己の咆哮が必ず破壊してみせると、その激烈なる咆哮は『実験戦艦ガルベリオン』を崩壊に導くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ドウジ・ユークレナ
よし、あいつをぶん殴るであります。
ハーレムなんて獅子舞様でケンタウロスホイミであります。
元が何であれ、女性を操って戦わせるなんて普通に外道であります。
〇対先制攻撃
『存在感』ある『残像』を囮に、蜘蛛糸をドラグナーガールに射出して『捕縛』しコピーしているUCの攻撃から『敵を盾にする』ことで防ぐであります(注:お前も外道。だって怪盗だし)
〇反撃
スパイダーランベージで巨大化であります。
ノリに乗ったタップ『ダンス』の要領で繰り出す、『範囲攻撃』でドラグナーガールごと踏みつぶすのであります。
せめて祈ろう。汝の欲望に救いアレ。色んな意味で…。
ドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)は憤慨していた。
何に、とは今更であろう。
「よし、あいつをぶん殴るであります」
『魔王パラダルク』の力によって生み出される『ドラグナーガール』たちを見れば、それがまさしくハーレムの如き様相であるとわかるであろう。
森羅万象。武器。ユーベルコードさえも『ドラグナーガール』へと変貌させて我が物とする力。それが『魔王パラダルク』の恐るべきところであった。
そして、『ドラグナーガール』の軍勢は『実験戦艦ガルベリオン』を守るようにし展開され、さらに猟兵たちに襲いかかるのだ。
「ハーレムなんて獅子舞様でケンタウロスホイミであります。元がなんであれ、女性を操って戦わせるなんて普通に外道であります」
「『私』に王道正道外道を解くか」
『魔王パラダルク』は己を守る『ドラグナーガール』たちとともにドウジに迫る。
すでに多くの猟兵たちが『実験戦艦ガルベリオン』に痛手を与えている。『魔王パラダルク』にとって肝要であるのは『儀式の舞』である。
これを止めることでしか『魔王パラダルク』の目論見は阻止できない。
「そのとおりであります。とは言え、自分は怪盗! いちいち正論を説く暇などないのです。怪盗は語らず。己の行いのみで語るのみ、であります!」
ドウジの残像は囮である。
存在感を残す像が次々と蜘蛛糸を『ドラグナーガール』へと放ち、その動きを止めさせる。だが、その蜘蛛糸さえ『魔王パラダルク』は『ドラグナーガール』へと変える。
厄介な力である。
攻撃すら『ドラグナーガール』に変えてしまう。森羅万象を支配するという言葉に偽りはない。
ゆえに、此処で『魔王パラダルク』を滅ぼすことは現実的ではない。
「ならば、語ってみせよ。その尽くを『私』は己が物としよう」
迫る『ドラグナーガール』たち。
蜘蛛糸で捕縛し、敵を盾にするのもまた限界に近い。ドウジは追い詰められながらも、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「その不遜、その欲望、許してはおけぬのであります! 『恐れ慄き驚くがいいのであります。自分も吃驚であります!!」
己の体を巨大化させるドウジ。
スパイダー・ランページ。
その巨体を生かしてドウジはノリに乗ったダンスでもって放つ多脚。放つ一撃一撃が『ドラグナーガール』を次々と踏み潰していく。
衝撃波が走る。
それは『魔王パラダルク』へと届くだろう。けれど、その衝撃波すらも『魔王パラダルク』は『ドラグナーガール』に変えていく。
帯びただしい数の『ドラグナーガール』に守られながら『魔王パラダルク』は舌打ちする。
「生命の埒外……存外厄介なものだな。これが『私』の『試練』であるというのならば……!」
放たれるドウジの多脚の一撃。
その猛烈なる一撃を受け止めながら『魔王パラダルク』は呻く。されど未だ滅ぼすには足りない。
それでもドウジの攻撃は、『実験戦艦ガルベリオン』の内部で行われている『儀式の舞』を止めるために動く猟兵たちを導くだろう。
混乱に乗じて突入する。もしくは、『実験戦艦ガルベリオン』事態を破壊する。そうすることで『魔王パラダルク』は己の目的を失うだろう。
今はまだこのような手でしか『魔王パラダルク』を退ける術がない。
けれど。
「せめて祈ろう。汝の欲望に救いアレ。いろんな意味で――」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
わーい女の子がいっぱいだー!
アハハハハ!多すぎー!
●対策:極限的UC【神知】使用
そうこれは猟兵それも技能1マニアでもなきゃ意味が無い!
よしんば活用できたって使える手の多さでボクが圧倒する!(はず)
●対策:巨大[白昼の霊球]くんの特性を活用した認知外の攻撃
霊球くんの非透過設定を目標のドラグナーガールたちのみに設定!
光も空気もその他諸々も擦り抜ける彼らを彼らは認知できない!
そしてその超重量で持って儀式場の彼女らを…ドーーーンッ!!
キミは無敵かもしれないけれど…万能じゃなかったようだね!
ある猟兵は言っていたよ!
それが血を流すなら万能の神だって殺せるはずだってね!(怖い!)
『実験戦艦ガルベリオン』の周囲には『ドラグナーガール』たちが無数に軍勢として存在している。
倒しても倒しても、即座に『魔王パラダルク』は森羅万象から彼女たちを生み出す。それこそが『魔王パラダルク』の本領であった。
「わーい女の子がいっぱいだー! アハハハ! 多すぎー!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は目の前の光景に笑い声を上げる。
軍勢と言っても、底なしのような兵力。
それを前にして笑うしかなかったのかもしれない。ロニは笑いながら迫りくる『ドラグナーガール』たちを相手取り、そのユーベルコードを発現させる。
「すべての水たまりがよどんでたり、腐ってたりするとはかぎらないさ。たとえ、流れにとり残されていようとも」
神知(ゴッドノウズ)は恐らくロニ以外には意味のないユーベルコードであったことだろう。
例え、そのユーベルコードを『ドラグナーガール』たちが受け止めコピーしたとしても有用性を示すことはできなかったであろう。
あらゆる技能を最低限もたねば、その技能を強化できないユーベルコード。
使い勝手が悪すぎる。
よしんば活用できたとしても、使える手数が少なければ意味がない。その点、ロニは手数で言えば『ドラグナーガール』を圧倒するものであった。
「確かにそうであろうな。だが、これだけの数の『ドラグナーガール』を前にしては意味のないことだ。例え、『六番目の猟兵』、お前が神性であろうとな」
『魔王パラダルク』が言う。
彼の言葉もまた尤もであった。
彼には軍勢が在る。
数を頼みにするだけならば、これまでのオブリビオン達と変わらぬものであったことだろう。
けれど、彼の力は根本的に数でありながら、数を無意味とするものであったからだ。
森羅万象。あらゆるものを『ドラグナーガール』に変える。ユーベルコードさせも、攻撃さえもだ。だから、数という暴威を振るいながら数など意味がない。
「それはそうかもしれないね。けれど――」
ロニが手を掲げる。
そこにあったのは、ロニ以外認知することのできな球体の姿。
見えぬものを防ぐことはできない。
「はい、ド―――ンッ!!!」
光も空気もすり抜ける球体達は、『実験戦艦ガルベリオン』の直上にありながら、未だ『魔王パラダルク』さえも認識できていない。
「キミは無敵かもしれないけれど……万能じゃなかったようだね!」
振り下ろされる手とともに球体が『実験戦艦ガルベリオン』さえも透過し、その中で行われている『儀式の舞』を踊る『ドラグナーガール』たちへと迫る。
内部で轟音が響いた瞬間、『魔王パラダルク』は己が失策したことを知るだろう。目の前の猟兵に意識を向けるばかり、それ以外に意識をさくことをしなかったのだ。
ロニの言う通り、無敵であれど万能ではない。
『魔王パラダルク』を今打倒することは難しい。けれど、彼の目論見を砕くことはできる。
彼にとって最大にして唯一の目的。
それを探すための手段を押しつぶす。それを持って彼をこの戦場から退かせる。
「貴様……!」
「ある猟兵は言っていたよ! それが血を流すなら万能の神だって殺せるはずだってね!」
不可能を可能にする。
それは奇しくも『魔王パラダルク』の至りし結論であった。『成長し続ける』敵を打倒するためにならば、時間を操ればいい。
決して倒せぬ物など存在しないと証明するために己の無敵性を求める。
その矛盾を持って『魔王パラダルク』は、今、その目的の最たるものを失おうとしていたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…これはなかなか厄介な能力…だけどこの儀式には戦艦が必要…なるほど…
…ドラグナーガール達に対しては術式組紐【アリアドネ】を張り巡らせて重奏強化術式【エコー】で強化した結界を作って防御…時間を稼ごう…
…そしてガルベリオンのシステムに【ヤタ】を放ってハッキング…
…情報隠滅モード…つまり自爆モードを起動した…と言うアナウンスを流すよ…
…アナウンスだけだけど…散々戦艦を攻撃されてる現状…無視も出来ないだろう…
…その動揺の隙をついて【竜屠る英雄の詩】を発動…装備に竜殺しの概念を付与するよ…
…結界で攻撃を殺しつつ…黎明剣【アウローラ】から伸ばした魔力の刃で軍勢や儀式担当のドラグナーガールを切り伏せて行こう…
…充分に数を減らしたら…興味があるから少し実験をしてみるか…
…『竜殺し』と『女の子化』どっちが優先されるのだろうね…と…
…剣を振り抜いて竜殺しの刃をパラダルクに飛ばして攻撃をしよう…
…結果の如何に関わらず…これまでの稼いだ時間で『本当に』自爆モードを起動させて…箒に乗って急いで脱出するとしよう…
森羅万象の尽くを『女の子』に変貌させて我が物とする力。
それは言葉にすればあまりにも荒唐無稽なる力であったことだろう。その荒唐無稽さゆえに尋常ならざる力を手繰る『魔王パラダルク』の力の凄まじさを物語るものでもあった。
「……これはなかなか厄介な能力……だけど」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は多くの猟兵が切り開いた戦いの中にある勝利への切欠を見つめる。
これまで繰り広げられた戦いは、一進一退であった。
いわば泥仕合にして千日手のような戦い。猟兵たちの攻撃の尽くが『ドラグナーガール』へと変えられてしまう。
そして、『ドラグナーガール』を倒したとしても『実験戦艦ガルベリオン』が在る限り、『魔王パラダルク』は『儀式の舞』を諦めない。
「やっぱり儀式にはあの戦艦が必要……なるほど……」
十属性を持つ『ドラグナーガール』たちがメンカルへと迫る。
すでに『実験戦艦ガルベリオン』の中で行われている『儀式の舞』は幾度となく猟兵によって阻まれてきた。
けれど、『魔王パラダルク』は即座に『ドラグナーガール』を再編して儀式を続行している。
ならば、やはりあの『実験戦艦ガルベリオン』こそが必須なのだろう。
張り巡らせた術式組紐『アリアドネ』を重奏強化術式『エコー』で強化した結界で『ドラグナーガール』たちの猛攻を防ぎながらメンカルは時間を稼ぐ。
すでにあの『実験戦艦ガルベリオン』にハッキングを試みた猟兵が居た。
けれど、即座に対応されてしまっていた。森羅万象を操るのならば、ウィルスやプログラムさえも『ドラグナーガール』に変えられてしまう。
けれど、それは『魔王パラダルク』が認識すればこそだ。ハッキングされたと理解するまでのタイムラグ。
僅かな時間しか無い。現に試みた猟兵も僅かな時間であればハッキングできたのだ。ならばこそ、メンカルは、先行した猟兵の切り開いた道筋を走る。
プログラムが走る。
一瞬でいい。
『魔王パラダルク』を動揺させればいい。
「頼んだよ『ヤタ』……」
情報収集、巡回用の精霊AIが『実験戦艦ガルベリオン』のシステムの中に入り込む。作動させるのではない。
『情報隠滅モード作動』
それは一瞬の警告であった。そう、作動させるのではなく、アナウンスを流す。その言葉を聞いた『魔王パラダルク』は目を剥くだろう。
「『私』に二の轍を踏ませるだと……? 馬鹿め、二度も通用するものか!」
即座に『魔王パラダルク』はプログラムの中に入り込んだAIを『ドラグナーガール』に変えようとする。
けれど、その一瞬の動揺を付いてメンカルが迫る。
「厄討つ譚歌よ、応じよ、宿れ。汝は鏖殺、汝は屠龍。魔女が望むは災厄断ち切る英傑の業」
「貴様……その歌は……概念術式は!」
メンカルの手にした黎明剣『アウローラ』に宿るは、竜屠る英雄の詩(ドラゴンスレイヤーズ・バラッド)。
竜にまつわるものを殺す竜殺しの概念術式。
目の前の『魔王パラダルク』は竜の因子を持っている。『ドラグナーガール』が力そのものであるというのならば、その名を冠する以上、『魔王パラダルク』もまた竜である。
ならばこそ、メンカルは懸けたのだ。
アナウンスによる動揺。『ドラグナーガール』という力の振るい方。そして、『魔王パラダルク』が何を優先するのかを。
「『儀式の舞』は止められん!『私』が乗り越えなければならない『試練』がお前たちだというのならば!」
撤退という選択肢はない。
ゆえに判断を誤るのだ。メンカルの放つ斬撃が『儀式の舞』を行う『ドラグナーガール』たちを切り裂く。
一撃であった。
竜を、竜にまつわるものを殺す概念術式に強弱は関係ない。竜であるのならば、必ず殺す。そのユーベルコードを持って振るわれる斬撃を前に『ドラグナーガール』たちが如何なる属性を持っていようと関係ないのである。
「……少し興味があるから、実験してみようか……」
メンカルの立ち回りは『魔王パラダルク』にとって不可解であった。
儀式を中断させるだけなのならば、すでに目的は達せられている。己事態が無敵であるのだから、『魔王パラダルク』事態は殺さなくてもいい。
けれど、振り抜かれた剣の斬撃。
造作もないことだ。『魔王パラダルク』の力は森羅万象を『女の子』に変える力。
其処に宿る『竜殺しの概念術式』さえも変貌させる。
「無駄だ。竜殺しの詩を歌うものよ。森羅万象であるのならば、『私』は全て『ドラグナーガール』に変えてみせる。過去と未来の属性さえもそうであったようにな」
メンカルにとって、その結果はどちらでもよいものであった。
『竜殺し』と『女の子化』。
どちらが優先されたとしても、これは――。
「……――ただの時間稼ぎだからね」
メンカルは飛行術式の箒にまたがる。『魔王パラダルク』は訝しむだろう。今更逃げるのかと。
そう、逃げるのだ。
何から? 『魔王パラダルク』ではない。そう、『実験戦艦ガルベリオン』から脱出するためだ。
そこで『魔王パラダルク』は気がついたのだ。あのアナウンスは確かにただ、『流された』だけであった。
そして、それを為したプログラムを『ドラグナーガール』に変えようとして、遮るようにメンカルが迫っていた。
「――……!『私』を謀ったか!」
そう『実験戦艦ガルベリオン』に走るプログラムは未だ生きている。情報隠滅モード、つまりは『自爆モード』は確かに作動していたのだ。
重ねて張り巡らされた術策。
これまではまさに時間稼ぎでしかなかったのだ。
『儀式の舞』を阻害できても、即座に『ドラグナーガール』を補充することによって儀式を続行するというのならば、儀式の場そのものを破壊してしまえばいい。
走り込んだプログラムがテンカウントをまたずに『実験戦艦ガルベリオン』を自爆させる。
あの自爆の爆発で『魔王パラダルク』を倒せるとは思っていない。
「おのれ――『私』を、『僕』を、阻むとは……! いいだろう、お前たちもまた『私』の『試練』だ、お前たちは『僕』の敵だ――!」
けれど、猟兵たちが紡いだ戦いの軌跡は『魔王パラダルク』の目論見を阻止する。彼の欲望の根底にあるものを傷つける新たな傷跡として猟兵の名が刻み込まれたのでった――。
大成功
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