7thKING WAR㉓〜享楽のパラダイスシフト
●実験艦隊ガルベリオン
「まずは、よくぞここまで来たと称賛しよう」
男の声は凛々しかった。
『パラダルク様~、行かれてしまうの~?』
「……だが六番目の猟兵達よ、ここは行き止まりだ、他をあたれ」
我は、いや、私は忙しい。
やるべきことはお前たちの殲滅でも返り討ちでもない。
「何故ならば、私は魔王パラダルクであり、お前達が私に勝つことは不可能だからだ」
相手になどしてやるものか。
それでも相手をせよというのなら、己が申し立てた言葉の意味を理解せよ。
「……」
男は眉を顰め、猟兵達を視て嫌な顔をする。
失われた記憶の中で、"強い意思を灯す瞳"に苦い敗北を負わされたような気さえする。
だが、お前たち等ではない。
「成長する敵は私を殺す。"成長"する存在に、対策を測ってこその死だろう」
小物を相手に何故それを披露せねばならぬのか。
――歴史を書き換えさせはせぬ。
――上回る成長など、させてやるものか。
「『享楽』の力は、何者も抗うことはできない無敵の支配能力。今も、昔も……」
だからこそ、去れ。
此処は行き止まり。
仇敵"碎輝"を探すのだ。"我"は今や、無敵なのだから。
●吠え立てるRebellion
「彼は倒せない可能性が高いんだよ。復讐のような感情を懐き、しかし、相手の足取りをつかめないままの彼は、自身の窮地というものをよく理解していてね、絶対倒せないかもしれない、のだけど、……とは言え、野放しには出来ないよね」
ソウジ・ブレィブス(天鳴空啼狐・f00212)は厄介な敵の話を君たちに語る。
「魔王『パラダルク』……彼はイケメンだね。あ、そこは重要じゃないか。僕が予知した彼は、女の子を侍らせている。竜人の眷属"ドラグナーガール"とはよく言ったものだね。彼が魅了した万物は、平等に女の子の姿になる。そうだなあ、白い子と、黒い子。あの2種類のみ、大量にね」
でも戦場に付き従い、常時べったりと密着している黒いドラグナーガールは存在する。
特殊な個体、アンヘルブラック。
「白い子と、その他大量に魅了して集めたドラグナーガールたちは"実験戦艦ガルベリオン"の中で何らかの儀式をしているみたい。まあ、多分、……踊ってるんじゃない?」
見た目からいって、儀式とはそういうものだ。
達成まで時間がかかり、発動まで時間がかかる。
「ドラグナーガールは、パラダルクの力でその姿を得ているものだからね。儀式を停めるなら、パラダルク本人を倒そうとすればドラグナーガールたちは当然、パラダルクを連れて逃げ出すよ。儀式なんて放り投げてね」
儀式自体を破壊しても同じ。
パラダルクはドラグナーガールを残してでも、一時退却を選ぶだろう。
「戦場はそう、"実験艦隊ガルベリオン"の中さ」
人影が見えたらそれは全部ドラグナーガール。
陽気な音や楽しげに笑う声がとかが聞こえるかもしれない。
「パラダルクの呼びかけに応えて、彼女たちは君たちに微笑みを向けるかもしれない」
竜の眷属というのは侮れないものだよ、とソウジは添える。
「儀式を優先している個体が多いとは言え、君たちが相手にするのはカクリヨの"碎輝"と同じくらい強い存在さ。成長する速度を加速させて、君たちは彼を押し破るしか無いだろうねぇ」
攻撃は自然現象や時間さえも魅了させて操り、ドラグナーガールの個体数を増やすことだろう。儀式の達成を加速させるようなものだ。
「彼の力を理解して挑むなら"過去の力を身に宿した若い姿のパラダルク"相手に、乗り越えるべき困難だらけの『試練』だと思った方が建設的だと思うよ」
その室内は――なんだか妙に甘い匂いが漂っている――――。
むせ返るような花の香り。年齢次第ではそういうレベルかもしれない。誰もが魅力的に見えて、誰もが魅力されてしまいそうな、甘い匂いが空間を占める――。
タテガミ
こんにちは、タテガミです。
これは戦争に属する一章完結のシナリオ。
プレイングボーナスは下記になります。
敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す。
●簡単な概要。
パラダルクは魅了属性攻撃を持つ、超強敵に属します。
ですが、戦場は儀式場そのもの。大きさを明記しませんが、室内戦闘。
魅了の力が溢れています。油断すると男女それ以外を問わずあの人(パラダルク)格好いい!って気分にさせられちゃうことでしょう。
「儀式の舞」を踊るドラグナーガール達を殲滅し、儀式を崩壊させ阻止する事でもシナリオは成功します。倒すか、儀式を破壊して撤退させれば勝利です(パラダルクは、戦力を0にしても完全な撃破は難しいようです)。
殺す内容のプレイングを採用することは怪しい感じです。
集団戦みたいな気持ちで挑む、タテガミが分かれば問題ありません。
●パラダルク。
"碎輝"捜しの儀式にご執心な竜人の男。
この依頼上では既に若い姿のパラダルク。ちょっと幼い感じ。ドラグナーガールもなんだか心持ち幼い姿みたいです。かわいい。
パラダルクには、ドラグナーガールたち最低一体、必ずくっついていますが彼の行動制限になるような事はないようです。慣れてるんですね。
『万物をドラグナーガールに変える』とは、この依頼上では白い子(ディアブロ)か黒い子(アンヘル)、どっちかの見た目に換えられてしまう、という感じ。女の子です。一つの大きな炎をだした、なら総計一体、みたいな、そういうレベルでぽこぽこ増えます。
万物全て対象です。エネルギーでもキャバリアでもなんでも『魅了されたら人間サイズ等身大女の子(ドラグナーガール)に』なります。
●先制攻撃
パラダルクは、ユーベルコードの内容の『前半までを(~、)(ひとつめの句読点の位置までを)先制発動し』猟兵が行動した後放ちます。対処がない限り、プレイングボーナス通りに仕様になります。
●その他。
OPをよくご確認ください。公序良俗に反する内容が強い場合は反映が出来ずお返しする場合があります。なるべく頂いたプレイングは採用できればと思いますが、描写の期待に応えられない場合は内容に関係なく採用を見送らせて頂く場合があります。
第1章 ボス戦
『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』
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POW : パスト・ガールズ
レベルm半径内を【ドラグナーガールの大軍】で覆い、[ドラグナーガールの大軍]に触れた敵から【ユーベルコードの使い方の記憶】を吸収する。
SPD : リピートコード
【戦場内のドラグナーガールのいずれか】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、戦場内のドラグナーガールのいずれかから何度でも発動できる。
WIZ : パラダルク・パラダイム
【水光土火樹薬風毒氷闇の十属性】によって【ドラグナーガールの軍勢】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
空澄・万朶
碎輝様は元竜神であるオレにとっても大事な親分なんでね
絶対に阻止してみせる!
ドラグナーガール達に囲まれたら究極体(風を操る、長大な東洋龍型のファードラゴン)に変身し、彼女達に触れられないよう暴風による【範囲攻撃】で【吹き飛ばす】
また儀式中の個体は真空波で手足を切り刻み、踊れなくする
魅了を上回るように変身を繰り返し、成長する
もし相手に触れられたとしても、ユーベルコードの使い方の記憶を吸収され尽くす前に記憶を増やして取り戻す
魅了されそうになったら碎輝様の言葉を思い出し、自身を奮い立たせよう
「昨日より今日、今日より明日! オレは……私は、どこまでも強くなる……!」
パラダルクへの【挑発】も兼ねて、ね
●Growing gale
響き渡るのは、話し声ではなくクスクスと笑う声。
ドラグナーガール達は視線を時折視線を投げかけて来るものの、踊ることに忙しいようだ。
その中で極めて異質な存在が無言で睨みを利かせる男。魔王パラダルク。
「小耳に挟みましたが……探しもの、ではなく捜し人がいるそうですね」
空澄・万朶(忘レ者・f02615)は帽子をぐっと深めに被る。事前に聞いた通りなら、自身こそは"無敵"故に猟兵は今すぐ追い返したい存在のはずだ。
『手助けは要らぬ。私は自分で探し当てる。忙しいのだ』
「……捜し人は"碎輝"様と聞きましたが」
『仇敵の所在なぞ、我が突き止めるだけ。口添えも、真実も要らぬ』
『パラダルク様ぁ~、もうやっちゃいましょぉ~?』
アンヘルブラック――パラダルクにべったりとくっつく黒の娘は、ねだるように囁く。ねえねえ、この人邪魔をする人よ、と囁くが、パラダルクは反して顔色を変えることはなかった。
『私達、いーっぱい頑張っちゃうんだから~!』
すぅ、とパラダルクの手が上がると、合図に気がついたドラグナーガールの大軍が、踊りながら万朶を囲うように集ってくる。
魅了の力で従う彼女たちは、誰かを傷つける事も指先一つで聞いてしまう。
「オレはこれでも元竜神――、俺にとっても大事な親分なんでね!」
こんな逆境も、乗り越えられなくちゃ話にならない!
「絶対に阻止してみせますよ!どうぞお覚悟を!」
翼を広げ、力強い風を喚ぶ。ドラグナーガールの大軍の中で突風を吹き荒らして、万朶の姿が変わっていく。
真の姿を超えた究極体――それは、真を超えし者(マコトヲコエシモノ)。
吹き荒れた風の中で、長大の東洋龍型のファードラゴンが怒号のように吼える声を響かせて圧倒するのだ。
かつて失った記憶を一時的に取り戻し、風圧を浴びせることでドラグナーガールたちの必要以上の接近を拒む。
『うあぁ~ん、近寄れな~い!』
「簡単には触れさせやしないよ!」
風の流れは制御された暴風へ至る。
わざと暴れ狂わせて、広範囲に彼女たちを吹っ飛ばす力はパラダルクによって集められた踊るドラグナーガールの妨害を達成させた。
勢いよく吹っ飛び、壁に叩きつけられれば踊り続ける人数が、欠ける。
『……もう、もう!ひどいじゃないの~!』
「此方も阻止の為に動いてるんだよ」
儀式に集中する個体に近寄り耳元で囁く。
万朶は真空波でドラグナーガールの手足を切り刻み、踊る意思よりも痛みを与え、動きを停める。
『触ったな』
『うんうん触ったね、皆~!集まって~!』
切り刻まれた個体はパスト・ガールズを呼び万朶にぺたぺた触る。
ユーベルコードで得た姿、その使い方と蘇る一時的な記憶が――奪われる。
「単純で、でも的確に嫌なことをするね……!!」
大軍で寄ってたかって奪われれば倒すべき相手が増えるばかり。
「でも、俺にも考えがあるんだよ」
万朶の使ったユーベルコードは、変身の度に一時的に無くしていた記憶を蘇らせて大きさを倍増させる。
失う前に、補完する。
『……私の傷痕を抉る精神攻撃のつもりか?』
舌打ちをした男は、露骨に嫌そうな顔をした。
パラダルクの魅了の力は、ガルベリオン内――空間自体にばら撒かれている。
彼が言う精神を蝕む攻撃こそ、パラダルクが行っているものだ。
この場で戦うだけで、戦う意欲がじわじわと蝕まれるよう。
しかし、万朶は自身を奮い立たせる。
"あの言葉は勇気を喚び起こす"そんな言葉だと、信じているから。
「昨日より今日、今日より明日!オレは……私は、どこまでも強くなる…………!」
成長する変身は、負傷をも回復させて成長する。
挑発するように声を上げたファードラゴンは大量の風をばらまいて、巨大化した姿で暴れまわる。ドラグナーガール達に力を奪われそうになれば、変身――成長を重ねて、どこまでも強くなり、脅威として立ちふさがった。
どこかの誰かを思い出させる万朶の"成長"は、パラダルクの眷属達を風の力で薙ぎ払い、踊り手としての機能を着実に停止させていく――。
大成功
🔵🔵🔵
狸塚・雅紀
今回は狐塚のみで行くっすよ。
しかしご主人様っぽい敵っすね、イケメンで美人はべらせてるのとか何でも配下にするのとか。
先制攻撃対策は【仙術】で煙をぼふんと出して視界を一瞬でも遮ってその間に【化術】でドラグナーガールに化け、自分に【催眠術】も使って一定時間なりきって踊って紛れ込んでやるっす。パラダルクもドラグナーガール全てを瞬時に見て看破とかはないっしょ。パラダルク様の為に踊らないと、素敵なパラダルク様の為に可愛く他の子と一緒に煽情的に…。
紛れ込んだら【狐の誘惑】を【騙し討ち】で放ってメロメロにして踊り子をけしかけて儀式の邪魔をしてやるっすかね。誰もが魅了される甘い空間、利用させて貰うっすよ。
●狐を隠すなら女狐のなかに
――今日は俺だけっすよ。
狸塚・雅紀(キング・ノーライフの従者・f29846)は、そわりと狐の耳をパタリと動かす。儀式に集中する角を生やした女の子たちの踊る様は、狐塚雅紀にとっても不思議さが勝つ。
「しっかし、ご主人様っぽい敵っすね」
紛れもなく純粋な感想だった。
『パラダルク様は素敵な人よぉ~?』
『だってとーっても格好いいもの。こんなに強くて格好いい人はそう居ないわ~』
クスクスと笑うが雅紀に反応して、そう声を返してくる。
「イケメンで美人はべらせてるのとか何でも配下にするのとか」
支配者属性バリバリじゃないっすか。
魅了させてどんどん増やす?国家建設も夢じゃない奴っすね?
『私は忙しいのだ。邪魔をしようというのなら、容赦はしない――我は無敵』
威厳たっぷりの声で、しかし見た目はちょっと幼気な魔王パラダルクはキツめに雅紀を睨む。無造作に掲げた手の周辺に、属性の一部を発生させてばちりばちりと、音を爆ぜさせる。
まるで属性の宝珠のようだ、とさえ思えるだろう。
同時に十の属性発生させそれらを全てドラグナーガールへと換える。
『十だけでは心もとない。客人の相手は、相応の数が行うべきだろう』
軍勢、と呼べる数まで呼び続けるパラダルクは、本当に猟兵に邪魔をされたくないのだろう。
しかし、雅紀はクスクス笑って、待ってましたと言わんばかりの煙をどろん。
「これだけたくさんいたら、壮観っすね~!」
科学的で支配する枠組み?独自理論のパラダイム?
雅紀にはそんな理論、通用しない。だって雅紀は"狐"。
どろんと煙を発生させたなら、その姿はドラグナーガールの中に混ざっている。
十ずつ増えた個体のハズなのに、どうしてだろう。
なぜだか"一体多い"。
『奴は何処へ消えた?』
『ええ~?パラダルク様見失っちゃったの~?』
『私達もどれが偽者かわからないかも~』
それもそのはず。
雅紀は、戦術の煙を発生させた時、ドラグナーガールに姿を変えて――自分に催眠術を掛けることで"魅了されてドラグナーガール化した存在"となって、わいわいと踊る輪の中に混ざっているからだ。
紛れ込む為の作戦は、難なく成功したのである。
パラダルクの目的は、儀式の達成――邪魔者を見失ったとしても、さほど問題ではない。
儀式達成までドラグナーガールが踊り続ける時間が保てば良い。
『探さずとも良い。踊り続けろ』
『は~い!』
――流石の魅了を振りまくパラダルクも俺を看破出来ないようでなによりっす!
「パラダルク様のために踊らないと~!」
衣装も姿も他のドラグナーガール達に合わせている為、煽情的な踊りは過激さを増す。露出の多い胸元を、隙間から覗く太ももを見て、見て、とパラダルクに見せる彼女たちはどこまでもパラダルクに捧げる踊りしか踊っていない。
べったりと、くっつけるポジションをドラグナーガールたちは皆狙っているのだ。
アンヘルブラックやディアブロホワイトが隣を独占していても、魅了された全員がパラダルクの視線を奪えたらそれだけで十分だと笑うのだ。
――ほんっと、恋は盲目って感じっすね。
紛れ込んだ雅紀は行動を開始する。
それは狐の誘惑(キツネノユウワク)。甘い声で、囁いて。
「さあ傍に行きましょう?大丈夫よ、優しくしてあげるから~」
ドラグナーガールを演じながら、周囲の子たちを誘惑する。
誘惑の幻術は彼女たちの目にどんな"ご褒美"を映した事だろう――甘い甘い最愛のパラダルクの魅了の香りに存分に充てられて。
雅紀のことをパラダルクだと誤認したらいい。
「ずっと傍に居るから、もう踊らなくてもいいっすよ~?ふふふ」
素の口調で囁いてもドラグナーガール達は違和感を感じた様子を見せず、パラダルクを見るような瞳にメロメロなハートを映してコクリと頷き、返答する。
『はぁい、パラダルク様~!』
「その場で動かず待機。良いっすね?」
『はぁい、皆もパラダルク様の言葉のとおりにしましょ~?』
誰もが魅了される甘い空間で、偽物のパラダルクに騙される眷属の様子にさていつ気がつくだろう。
回復も、再行動も意味をなさなくされては、
――さあ、どんどん減らしてやるっすよ!
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
インド映画っぽい踊りでござるかね?
戦場内にドラグナーガールを呼び出してコピーする準備をしてるんだよな
つまりこの場にガールが大量発生してるって訳で拙者のそばに近寄るなァーッ!
大量のガールにより戦場が重くなる!するとどうなる?処理が重いと【物理演算の神】がお怒りに!お戯れのバグがくるグエーッ!!
拙者の体が異様に伸びながら室内を飛び跳ね回るッ!ガールに受け止めるっていうか激突するでござろう?すると神のバグが染るんでござるな
つまり室内が神の戯れで飛び跳ねるドラグナーガールズwith拙者の地獄絵図に!タスケテ!
アッまだ神が怒り顔してる!儀式の邪魔は果たしたからそろそろ止めてくだち!後レベル秒って何秒!?
●ゴットクライシス
こそこそと、戦場に置いてステルス行動を行う怪しい男。
その名もエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)。
他の猟兵たちの暴れる様を、手で作った片手の単眼鏡(別によくみえるわけではない)で眺めて呟く。
「いやー、なんかインド映画っぽい踊りでござるかね?」
集団でひらひらした衣装でゆらゆら戦場的に踊るってもうそれだろ、と頭に湧いて溢れるのだ。
これは、誰も邪魔しなかったら仏頂面をみせまくる魔王パラダルクもアンヘルブラックとディアブロホワイトに手を引かれて、主演になるのでは。
「まさか。そんなおもしろ愉快ムービー拙者激写しまくりたいのでござるが!?」
『曲者か。客人だ、持て成して溺れさせろ。そして儀式を続けろ』
戦場内のドラグナーガール達が、くるりとエドゥアルトの姿を見つけて微笑む。
踊りの手を休める事なく、手招く様においでませ、と笑うのだ。
「……くっ、拙者のステルスを見破るとは」
『隠れても居ないだろう。いい加減その胡散臭いポーズで私の儀式の(精神的)妨害を行うのをやめろ』
「はーーーーっ!?」
戦場内のドラグナーガールたちが、エドゥアルトの出方を探っている。
呼び出し、招集し、使われたユーベルコードをコピーする言わばコピーコード使いたちが、罠に掛かれと笑っているのだ。
ついでに何故か眉間にシワを寄せたやや若い姿のパラダルクからポーズ指摘まで入った。直訳するとこうなる――お前の立ち姿の造形美がこの場にふさわしくない。
「パラダルク氏、拙者のセンセーショナルさを全面に押し出した阿修羅のポーズを馬鹿にしたでござるか?」
おっとそれは聞き捨てならないぞ。ガールがいっぱいの中で直立不動の男なんぞ、魔王以外に居てみろ!不審者だろうが!
戦場における最適なポーズを選出したというのに……。
「あーあ、拙者傷ついたー、……ってわけでそばに近寄るァーッ!」
突如と響く叫び。そして、何故か踊る動きの描画速度が一気に重くなる。
振り上げた手の速度が鈍る。大量に発生したガールの数だけ、空間の処理速度ががくんとレッドラインに突入した。
カクつく動作。声も、体感速度も、すべてズレたり遅れて聞こえる。
なんだか画素数さえ悪くなったような。それほんとに美女の集団でござるか??
『貴様、何を、した……!』
「おっおっ?お偉い方がこの状態をご存知ない?時代遅れでござるなーーーー!」
腐れ外道はケラケラ笑う。
神のお戯れ(カミノオタワムレ)は男のコミカルさに比例しない。
自身の体内の電脳戦士なら使えて当然の力を講師する通称物理演算の神(とエドゥアルトは言う)が戯れに、遊びだしたのである。
処理が重くなると、お怒りになるのだ。つまり、理不尽に、神はバグった。
「グエーッ!」
『……なんだ、こいつは』
パラダルクの呆気に取られた顔など、録画案件だったかもしれない。
エドゥアルトは異様にその躰をびろーーーーんと伸ばしながら室内を飛び跳ね、バウンドして転がりまくる。
『きゃあっ!?こっちにこないで!?』
『ちょっと、私達動けな……』
どーーんとガールにダイレクトに受け止めてもらう、もとい――激突するエドゥアルトは内心ニヤリと笑うだろう。
――バグ発生中の拙者とぶつかるとどうなる?
――するとですな、神のバグが伝染るんでござるな。
コピーコード使い達へパラダルクが命じていた内容はまだ更新されていない。
エドゥアルトの使用しているユーベルコードをコピーして、ドラグナーガールたちはバグって伸び縮みする伸縮可能な姿となって、エドゥアルトを追いかけ始める。
進行方向に居る別のドラグナーガールたちを無秩序に巻き込んで、だ。
室内にあふれかえる神の戯れで飛び跳ねまくるバグだらけの地獄絵図。
ドラグナーガールwithエドゥアルト。
地獄絵図を見ても呆気に取られないものがいるのなら、君は精神から発狂に魅了されているので暫く休め。
「やっばもう阿鼻叫喚じゃん!?タスケテ!パラダルク様~!!」
『貴様を助ける筋合いこそ無いわ!!』
飛び跳ねまくる集団に触れないよう、竜翼を広げ上空に逃げたパラダルクの判断は正しい。
アンヘルブラックをしっかり抱き寄せているのだから、あの男ホント魅了に堕ちた女の子に優しすぎない?
「ちぇー……って、アッ!まだ神が怒り顔してるじゃないの!?儀式の邪魔は果たしたからそろそろいいよね、ね!?止めてくだち!」
お願い!と命乞いスタイル(精神)で鎮まりたまえと呼びかける。
ドラグナーガールもといパラダルクのレベル秒は耐えたでしょ拙者!!
ところでレベル秒って結局何秒だったのか。地獄絵図を作り出した時点で、その秒数さえぐっちゃぐちゃにバグっていたら、どうする?
美貌も魅了も、儀式妨害も加えて空気から台無しに。
それは大変偉大なことだとは思わないか。
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
青く燃える鉛の翼による【空中戦】
先制攻撃は敵UC効果範囲を【見切り】出来る限り距離をとり
二門機関銃『バリスタ』の【限界突破】した【弾幕】での【制圧射撃】で迎撃
三十六計逃げるに如かず。
UC効果範囲が本人の周囲半径である以上外側は当然手薄
そもそも万物を対象にできるとて生えてくるのは人間サイズ
一度に此方を襲える面積つまり人数には限界はある、要は包囲網を築かせないように高速【空中機動】で掻き回せばいい
先制攻撃を凌げたならばUC【黒騎士が宣告する火刑】での【属性攻撃】
此方に触れる前にその五体、我が一部に変換してくれよう
そもそも奴に攻撃を集中させる必要はないのだ。
その軍勢、遠間から延々と削り続けてやる
●薪を焚べよ
ぶわあ、と青く燃える鉛の翼を大きく広げ、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は儀式の場へと入り込む。
意図しない形にヂヂ、と焦がすように燃える音を立て、翼の一部が揺らぐ。
「……なんでも魅了させる力か」
踊るドラグナーガール――魅了されて姿を変えた竜の眷属達を見れば、異質さは十分に理解する。
中でもアンヘルブラックにすり寄られても、顔色一つ変えない男。
魔王パラダルク等、その筆頭だ。
ディアブロホワイトが負けじと逆側からくっついても、やはり顔色ひとつ変えない。やや幼い顔立ちに、長髪。何でも落とす魅了の力を極めた魔術師。
魅了の力を空間内に充満させる以上の事はしようとしていないようだ。この場所に長居すれば誰もが享楽の中に沈んでいく。だからこそ手を出す必要はないのだと、言わんばかりに不動であった。
不用意な接近は、何が起こるか分からぬとルパートは距離を取り続ける選択をする。
『貴様も我が力に墜ちて、儀式に加わり私の手駒の一人として働くが良い』
言葉一つに力を込められていたように。
周囲のドラグナーガールたちが一斉に上空のルパートを囲うように集まりだす。
「笑止」
翼を持たないように見える女達がどうやって空中へ届くというのだ。
大軍だからといって、積み重なれば届くと?――それは女のすることではない。
素早い羽撃きで囲み込もうとする大軍を見切ってその場を離脱。
じゃきん、と天使核内蔵二門機関銃『バリスタ』を向ければ、天使核は機敏な感情の揺らぎを検知した。
「囲むと言うならば、蹴散らすだけに決まっている」
元が一体なんなのか。人なのか、単なる属性なのかそれ以外なのか。
アンヘルという黒い様相の個体とディアブロという白の様相の個体二種しかいない歪さと、幾度も聞いた名称を思考の隅に想いながら、バリスタは燃える熱線と実弾を同時に噴いた。
二門機関銃の限界突破さえ促したのだ、この弾幕は等しく制圧を達成させる力を発揮して女達を穿つ。
『きゃあ!』
悲鳴の数々は甲高く、女達の数も多い。
竜の眷属なのだから、儀式に必要な踊り子なのだから。
ルパートの迎撃が緩むことはなかった。
――三十六景逃げるに如かず、とはいうな。
弾幕を撃ち続けたルパートはパラダルクからだいぶ距離を取った。
効果範囲は周辺範囲だと看破した為、範囲の外に出たならば――当然手薄であると思ったのだ。
思惑は――当たっていた。
踊るドラグナーガールたちばかりが見える。
戦いの参戦に応じたガールたちは、皆パラダルクの傍から離れようとしない。
「そもそも万物を対象にできるとて、生えてくるのは人間サイズなのだろう」
『それがどうした』
「そうも威圧的な態度で要られるのは相当だな。だが当方は考える。一度に此方を襲える面積、つまりは人数。それには限界があるのだと!」
魅了して、人間サイズに置き換える。
相当なサイズ感を手に入れるのだ。
周辺を埋め尽くすガールの壁は、パラダイスこそ創るだろうが、今必要なものではないだろう。
「要するに包囲網は既に、当方の為ではなくそちらの防御陣形にしかなっていない」
高速で移動する青い炎の鳥戦場を飛ぶ。
空中機動を駆使して、あちらこちらとわたわたついてくるガールたちは赤子のように手を出せずにドミノ倒しに成る始末。
――それでは当方に触れることさえ出来まい。
先制攻撃は防がれた。
「我が名にもはや正義はなく。されど我が手は傲慢を執行する」
視界に入るものは全てドラグナーガール。パラダルクにくっついたアンヘルとの距離はあるが、それ以外の者達を次々に青く燃える鉛へと変換する呪詛を与え、その五体を人鉛に変えていく。
ぼ。ぼ、と燃えるように溶ける鉛は当然ルパートに変換される。
「そもそもやつに攻撃を集中させる必要はないのだ」
軍勢を少しずつ、遠間から延々と削り続け火の海へ変えていくだけで十分すぎるほどなのだから。
ドラグナーガールの数はもう相当減っている。
パラダルクの願い。儀式の成立はそろそろ不可能になるほどに――。
大成功
🔵🔵🔵
アン・カルド
夜刀神君(f28122)と。
万物を魅了して人に変えるなんて…全く驚くべき力だねぇ、僕の紡ぐ言葉もその気になれば奪われてしまうのだろうか。
…気にしても仕方ないね、さぁ彼女たちがやってくる、迎え撃とう夜刀神君。
ま、僕は相手を直接たたくわけじゃないけどね…精一杯【銀の羽根】を広げて最低限の防御だけは固めておこう。
一気呵成と攻め立てるUCじゃなくてよかったよ…おかげで【間者】を仕込む時間が出来た。
右に左に混乱を、裏切り者が紛れているぞ、君の属性の相克が儀式を止めよと暴れてる。
…これで儀式の邪魔の邪魔は取り払った、後は任せたよ。
全部を取ろうなんて、傲慢さ、邪なモノが入らないわけがない。
夜刀神・鏡介
アン(f25409)と
言霊の存在を信じるのなら、言葉に宿った霊を操り変化させる事もできるのかもな
尤も、それを知った所でなんとやらだが
神刀を抜いて、アンを守るように前衛に。敵の数は多いし、一体ずつを相手にしても仕方ないので、基本的には防御優先
楽な状況ではないが、落ち着いて受けに回れば対処できる。アンの狙いを考えれば時間を稼ぐ必要があるし、精々耐えるとしよう
アンの行動にあわせて、儀式担当のドラグナーガールへ突貫
パラダルクがUCを使うならば、絶技【無為】……属性の流れを断ち切る事で妨害して、そのままガールに刀を突き立てよう
領分を犯す者に降りかかるのはいつだって災いばかり、ってか?
●儀式崩壊のカウントダウン
「万物を魅了して人に変えるなんて……全く驚くべき力だねぇ」
アン・カルド(銀の魔術師、或いは銀枠の魔術師・f25409)は。
空間に広がる匂いは蠱惑を極めた魔術の発動さえ、感じるのだ。
魔力を注いだ者の事が魅力的に見えてくる、それだけに特化した術なのだと。
「姿を置き換えるのは所有物化による副作用か、はたまた独占の現れか」
「どちらにせよ、魔王を名乗る存在としては相応だな」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は唯一存在する魔王、パラダルクを睨む。
不思議と"アレは大変魅力的なカッコよさを持つ存在だ"と二人共思っている。
これは空間内にあふれかえる匂いと連動した作用だろう。
『褒め言葉なら受け取るが、それ以外なら受け取る必要を感じないな』
空間を撫でるようにするパラダルクの手元に、ぼおう、と属性の弾が顕れる。
莫大な量の十属性を混ぜ合わせて無敵の"魅了"属性を作り出しているらしく、多少分離させても効果はさほど減少する様子を見せない。
長く留まれば、戦意さえも魅了に屈して失われてしまう――。
取り出した十属性に合わせた数のドラグナーガールが軍勢として発生させられていく。時間はあまり、裂いてもいけない。
「術士としては褒めるところかもだけど、そんなつもりはないねぇ。……僕の紡ぐ言葉もその気になれば奪われてしまうのだろうか」
純粋な問に、返答したのはパラダルクではなく鏡介。
「認識を奪えるなら、言霊という存在も"在る"と言えるのだろう――言葉に宿った霊を操り変化させる事もできるのかもな」
万物を魅了し、姿かたちを変えてしまうというのなら。
"存在する"事は魅了できる証明に――なるのかもしれないと。
『試してみるか』
「冗談言わないでよ」
「試した所で、手駒を増やさせるだけだろ」
知った所でなんとやら。試すよりも、実践だけがこの場で必要な事柄。
「そうそう……気にしても仕方ないね、さぁ彼女たちがやってくる、迎え撃とう――夜刀神君」
クスクスと笑う彼女たち。
ドラグナーガールは笑みと絶やさない。
『パラダルク様のご命令だもの~』
『私たちは儀式を成功させたいだけだもの~』
魅了された踊り子たちは、踊りの勧誘に手を伸ばす。
魅了に堕ちた彼女たちは、当然"この場所に無抵抗で留まらせる"事を優先する。
『居てもいいのよ~、その代わりパラダルク様の元で、ご命令を聞きましょ~?』
大量に作り出された軍勢が、パラダルクの代わりに動く。
「ま、僕は相手を直接たたくわけじゃないけどね」
へらりと笑いながら純銀の翼を大きく広げて、最小限の防御体勢をとるアンより前に進み出る鏡介。
神刀を既に抜き、背に護るように立ちふさがる鏡介の見据えるはパラダルク――ではない。
周囲にあふれかえるドラグナーガールたち。
儀式のパーツとして機能を与えられた者達の、排除を狙うのだ。
「……にしても多いな、数ばかり」
一体一体を相手にしては、防衛は間に合わない。
これは攻め入る為の戦闘ではない。来るものを撃つ、そんな防御を優先した戦い。
「楽な戦いではない、が――」
『おにーさんもこっちで踊りましょうよ~、ね~?』
伸ばしてくる手は、腕を掴まんとする縋る手。
「断る。"大事な殿方"の前でナンパな態度を取るのはいいのか?」
よくないだろう、と鏡介が良い返せば一斉にガールたちは不安げな表情を見せて、パラダルクの方に視線を送る。
どうなの?ねえ、私達どうなっちゃうの?焦った彼女たちとは裏腹に、魔王は冷静そのもの。
『お前たちが思う通りに、堕とせ。儀式を中断させるな』
『……!はぁ~い(はーと)』
恐れを捨てて、彼女たちは一気に鏡介の元へ詰め寄ってくる。
手をつかもうとし、足をつかもうとしその場に留めてやろうという魂胆。
斬りつけられ、再行動さえ不可能なほどの怪我を負ってもパラダルクがアシストしてくる。
――足止めに手慣れすぎている……!
――だが、アンの狙いを考えれば時間を稼ぐ必要がある。
だからこれでいい、と鏡介は果敢に攻めることをやめない。
享楽と魅了がどどどと攻めに回っても、屈するわけにはいかないのだ。
「僕はね、思うんだよ。一気呵成に畳み掛けるような、攻め力の強いユーベルコードじゃなくてよかったって」
『……何』
「……おかげで【間者】を仕込む時間が出来た」
言葉は武器。はじめに仄めかしただろう?
アンはニィと笑みを称えて、パラダルク・パラダイムの崩壊準備を整えた。認識の枠組みは壊れる。統一された個体しかいないという"固定概念"は認識を狂わせる。
「さあ派手にやってくれ」
よくわからない通信機器から伝達――さあ、動き出せ"ドラグナーガール"に偽装したスパイたち。
大量のドラグナーガールに起こったのは軍勢内側からの内部崩壊。
左右に混乱が置き、ぽかぽかと叩き合う個体が出始めた。
『パラダルク様は私を見ているのよ~!』
『違うわ!私よ!』
些細なすれ違い。
アンヘルブラックとディアブロホワイト、二種の顔しか持たない個体達は盛大に意見の相違を攻撃に変えて争い出した。
「……では、行動開始だ」
鏡介はアンの行動と同時に動き出した。
神刀を持ち、目指す先は踊る事を優先する個体の方へ。
壁でも創るように十の属性から生み出されたドラグナーガールたちは、鏡介のことを気にせず敵意は間近の存在へ移る。
今は猟兵の相手をしている場合ではない。ましてや、踊っている場合でもない。
この場にいる最も近場の"馬鹿(みうち)"からなんとかしなくては、と意識がすり替わっていく。
『裏切り者が混ざっているな。探せ、処罰しろ』
『今は隣の子をなんとかしてからでいいでしょ~!儀式はその後、一致団結して行うから~!』
『んもうっ、パラダルク様の命令は絶対なのよ~!最優先は儀式なの~!』
ドラグナーガールの姿になった属性の相性、相克。アンはそれを利用した。
火属性から姿を変えた個体に、水属性の個体が仲良く過ごせるわけもない。
光も闇も、同じこと。アンヘルと、ディアブロという過去と未来の属性に分かれた個体同士で争いだしたのだ。
「……全く、一人を取り合っているのも考えものだねぇ。これで儀式の邪魔は取り払った、後は任せたよ」
これではもうこの集団は正しく機能しない。壊し合うだけで、協調性を失った。
正しく機能させるためには、一度白紙化するしか方法はないのだ――。
パラダルクは無様な争いを行う軍勢の負傷を回復させようと手を伸ばしていた。
個体がこれ以上減るのも、儀式の妨害をこれ以上受けるのもまずいのだと、魔王は理解していた。
『儀式を続けろ。隣の奴に、それから猟兵に構うな』
回復させて新たな"命令"を宣言する事で彼女たちの認識を自身への魅了で上書きしようというのだろう。
「……いいや、此処まできたら構って貰おう」
我が刃にて、その一撃を絶つ。これは――絶技【無為】の誘発。
力の流れを見極め、刃は風を薙ぐように振るわれる。
魔王を相手に行われた剣術ではない。
それは、ドラグナーガールの胸にずぶりと深く突き刺さり、引き抜くと同時に次の個体に孔を穿っていく。
回復させることができない。根源の力、繋がりを極端に弱められた上で絶たれているのだと、男が気づいたときにはもう遅い。
「どれもがお気に入りだとしても、――全部を取ろうなんて、傲慢さ、邪なモノが入らないわけがない」
「領分を犯す者に降りかかるのはいつだって災いばかり、ってか?」
じゃあさっさと切り上げて帰りな。
此処での儀式は不可能だ。
属性の流れを絶たれてしまっては、充満していた魅了の属性も無敵を絶たれて無くなっていく。
猟兵達が疵付けなくとも、ドラグナーガールたちは自然に消えてしまうのだ。
魅了を無くしてしまえば軍勢を保つことさえままならない。
『……チッ。邪魔をするなと言っただろう』
無敵を突破された幼い様子の顔には、明らかに不快を貼り付けているパラダルク。
パラダルクはこの場に発生させた属性から作り出したドラグナーガールたちの処遇を放棄した。
後は勝手に消えて、勝手につぶしあい何も残らないだろうと、見切りをつけた。
『もういい。別の場所で状況を立て直す……ガチデビル?私は忙しいんだ、後は奴の好きにすれば良い』
大きく翼を広げ、飛行体勢を取る。
猟兵達をキツくにらみ、落胆のようなため息を一つ落としながら。
『ひとまず此処を放棄する。今度こそ追いかけてくるな』
ほかを当たれ。何度も言葉を重ねたパラダルクは両脇に白と黒のドラグナーガールを二人だけ連れて、脇目もふらずに飛び去っていった。
邪魔に邪魔を重ねられた分、速度は怒りが載っていたようですぐにその姿は見えなくなる。飛び去った彼が次に動き出す日にも、また魅了――"享楽"は猟兵たちの前に立ちふさがる事だろう。
甘く、ココロを魅了に堕としもて弄ぶ力を存分に振るいながら――。
大成功
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