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7thKING WAR⑩~シリアス? 知らない子ですね

#デビルキングワールド #7thKING_WAR

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●忍び寄る影
 7thKING WARの開催により始まった悪魔王遊戯――。
 数多ある遊戯の中で、オブリビオンたる『セラフィムブラスター』が目を付けたのは『思いの詰まったアイテム』を持ち込むとアイテムの中に眠る『小さな異世界』に飛び込めるという巨大工房。
『ふふ、ふははは! ちっぽけなつまらぬ世界など、私が壊し尽くしてやろう!』
 悪魔達が持ち込んだアイテムから作り出された小さな異世界に片っ端から飛び込んでは、セラフィムブラスターがこれでもかと荒らしては去っていく。
「す、すげー! ワルだぜ!」
 悪魔達からすれば、なんともワルな行動。憧れちゃう、とばかりに瞳をキラキラさせている。
『さぁ、次に私に壊されたい世界は何処だ!』
 ワルなポイントを爆上げしているセラフィムブラスターが、高笑いをして次の獲物へと飛んでいくのを、悪魔達はただ見守るばかりであった。

●グリモアベースにて
「と、まぁこんな感じでオブリビオンが暴れまくってるんよ。悪魔達はスゴーイ! ワルーイ! って感じで褒め称えつつ見てるんやけど」
 デビルキングワールド、改めて見るとやっぱりおもろい世界やねぇ、と八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が笑いながら集まった猟兵達を見遣る。
「悪魔達が喜んでるんやから、放っておいてもええんちゃうかなって思うやろ? それもそうなんやけど、まぁ……迷惑行為やからな」
 普通に迷惑なんよ、これがと菊花が頬に手を当てて溜息をついた。
「それでな、まぁ倒してきてなって話なんやけど、このセラフィムブラスターってオブリビオン、シリアスに死ぬほど耐性があるみたいでな」
 シリアスに耐性がある、とは。
「シリアスな展開にはめちゃくちゃシリアスで返してくるよってに、ダメージが与え難いんよ。その代わりと言っては何やけど――」
 ちょっとばかり溜めてから、菊花が口を開く。
「トンチキに弱くってな、それはもうめちゃくちゃ弱いんよ」
 トンチキに弱い、とは。
「あるやろ? 何かこう、トンチキな小さな異世界になりそうなアイテム」
 例えば程よい中二病が詰まっていそうなものとか、なんで作ったの? みたいなアイテム。
「ひとつやふたつ、持ってるやろ?」
 曇りなき眼で菊花が猟兵達を見つめると、なんとなく目を逸らす猟兵がちらほら。それを見て、菊花がにんまりと笑う。
「な! そういうのを持ってって、トンチキな小さな異世界を作ってセラフィムブラスターを待ち伏せしてほしいんよ!」
 ほな、あんじょうよろしゅうな~~! そう一方的に締め括って、菊花が摩訶不思議な巨大工房へ繋がるゲートを開く為に柏手をひとつ打つのだった。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 ちょっと出遅れた感じ満載ですが、戦争シナリオとなります。
 トンチキです、トンチキ! 死ぬほどふざけて大丈夫な自由度高めのやつです、トンチキと銘打っておりますので、シリアスなものは採用難しいかと思います。
 よろしくお願いいたします!

●プレイングボーナス
 自分の「小さな異世界」を利用して戦う。

●プレイング受付期間について
 公開されてからすぐの受付となります。受付〆切はこちらのタグでお知らせします、プレイングが送れる間は送ってくださって大丈夫です。
 できるだけ戦争期間内で完結させたいと思いますので全採用できるかはわかりません。頑張りたいとは思いますが、その点だけご了承くださいませ。

●同行者について
 同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【異3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。

 それでは、皆様のトンチキなプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『セラフィムブラスター』

POW   :    銃撃の使徒
自身の【翼】を代償に、【空飛ぶデビルガトリング】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【魔力弾の銃撃】で戦う。
SPD   :    セラフィムブースト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【デビルガトリング】から【銃弾の雨】を放つ。
WIZ   :    スマイルガトリング
自身が【微笑んでいる】いる間、レベルm半径内の対象全てに【デビルガトリングの掃射】によるダメージか【セラフィムの加護】による治癒を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
トンチキ…なるほど

『†漆黒の苗木†』持ち込みます
※非活性化アイテムのため備考
漆黒の羽を思わせる葉が芽吹いて伸びる不思議な苗木だそうです
いただきものです

確か最初は僕が「白毫押すとブラスター出す仏像の形を模したハーブの塊」贈り付けた
ちなみに命中した相手は語尾が強制的に「おハーブ」になる仕様だった

で、そのお返しに届いたのがこれ
なんとこの苗木、巻き付き力も凄いんですよね
武器としても使える万能アイテムなんですよ
でも名前は†漆黒の苗木†です

大丈夫、僕にも意味がよくわかってない

え、相手?
まだ会った事無いです
これは一体どういう関係なんだ

多分世界が出来るとしたら一面おハーブなのでしょう多分
さぁ存分にツッコめ



●おハーブ、生えてましてよ
 トンチキ、そう言われて栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は思慮深げに頷く。
「トンチキ……なるほど」
 何がなるほどなのかは分からないけれど、とにかく澪には思い当たるものがあったのだ。
「そう……この『†漆黒の苗木†』です」
 もう『†』これが付いてる時点で割りと察するものがある、強い。
「これは漆黒の羽を思わせる葉が芽吹いて伸びる、不思議な苗木だそうです」
 だそうです、と言うからには貰い物である。
「そう、あれは――」
 待ち伏せするべく『†漆黒の苗木†』が作り出した異世界に佇みながら、澪はこのアイテムを手に入れた経緯を思い出していた。
「確か最初は僕が『白毫押すとブラスター出す仏像の形を模したハーブの塊』を贈り付けたんです」
 なんて?? それはハーブなの仏像なのブラスターなの……こいつはトンチキの匂いがするぜ。
「ちなみに命中した相手は語尾が強制的に『おハーブ』になる仕様だった……」
 儚げな風情で言う言葉ではない、あと語尾が『おハーブ』ってことは多分草生え散らかしてるってことではなかろうか。
「で、そのお返しに届いたのがこれ、『†漆黒の苗木†』です」
 目には目を、歯には歯を、トンチキにはトンチキを――。
「なんとこの苗木、巻き付き力も凄いんですよね、武器としても使える万能アイテムなんですよ」
 これ、このように。
 そう言った澪の視線の先には、『†漆黒の苗木†』によって捕らえられた『セラフィムブラスター』の姿が――!
『何だこれは! どうなっている!?』
 シリアスには強いがトンチキには弱い、つまりアドリブ力が弱いオブリビオンはこの状況にジタバタするしかない。
「でも、名前は『†漆黒の苗木†』です」
 いったい前世でどんな業を背負えばこんな名前になるんでしょうね、この苗木。
『このっ、わけのわからない事を言ってないで離せ!』
「大丈夫、僕にも意味がよくわかってないから」
 何も大丈夫じゃない、これはおハーブ。
『く……っこんな異世界を作り出すようなアイテムを寄こすなんて、どんな奴なんだ……っ!』
「え? 相手?」
 相手、と言われて澪は困ったように微笑んで。
「まだ会った事無いです」
『え?』
「まだ会った事無いんですよね……」
 一体どういう関係があれば会った事も無い相手にトンチキアイテムを贈り付け、トンチキアイテムを贈り返されるというのだろうか。謎は深まるばかりだが、一面おハーブが生い茂った異世界ではそうも言ってられない、だっておハーブだもの。
「さあ、存分にツッコめ」
『私は、私はツッコミ役ではない!!!』
 またまたそういうフラグでしょう? 知ってるんですよ、と笑った澪が歌声を響かせて、無数のおハーブの刃をセラフィムブラスターへと浴びせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター

私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

申し訳ありません!私は魔王なのでシリアスの塊なのです!

(水たまりの写真を掲げると繁華街と深めの水たまりがある世界が広がる)
ここは私が罪なき悪魔さんの視線を奪い
水たまりを踏ませたという大罪が生まれた場所…
ここで貴女は私とどれだけ多くの悪魔さんに
水たまりを踏ませるかを勝負していただきます!

同じ過ちを繰り返すなど愚の極み…
ですが私にはこれしかないのです…
(悲しそうに目を伏せながら{きわどい服}に着替える)
さぁ貴女も準備して!さもなくば穢れた力が貴女を襲うことになるわ!
(UC【佞悪!煌珠汚濁瘴霧】発動)



●シリアスという名のトンチキを携えて
 ここが巨大工房……、とダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)が意味深な感じで重々しく頷く。そして、並み居る悪魔達を前にして、高らかに宣言した。
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター!」
 その声に、悪魔達がなんだなんだと振り返る。
 掴みはバッチリな上に視線も集めた事に、ダーティが笑みを浮かべる。
「凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
 おお、悪そうなやつがきたぞ! あのさっきから異世界壊しまくってるやつより悪いかな? なんて声が聞こえて、ダーティは自信たっぷりに水たまりの写真を掲げ――小さな異世界を発生させるとその中へと飛び込んだ。
「でも、謝らなくてはなりません」
 魔王といえど、これだけは。
「申し訳ありません! 私は魔王なのでシリアスの塊なのです!」
 トンチキだなんて、とてもとても……!
「ですから、シリアスバトルをさせていただきます!」
 ご存じだろうか、人はそれをフラグと呼ぶことに。
 そして、ダーティのアイテムが作り上げた異世界、つまり彼女が立っている異世界は繁華街と深めの水たまりがある世界。どう考えたってトンチキの始まりである。
 そして現れたのはシリアスには耐性があるがトンチキには滅法弱い、『セラフィムブラスター』である。
『何だこの世界は! み、水たまり?』
「ここは私が罪なき悪魔さんの視線を奪い、水たまりを踏ませたという大罪が生まれた場所……」
 ヤバい、めっちゃワルい! 悪魔達ならそう言ってくれるだろうが、今ここに居るのはオブリビオンである。
『水たまりを踏ませたからってなんなのだ!』
「靴がびしょ濡れ、ひいては靴下や服の裾までも濡れるのです、これは大罪以外のなにものでもないでしょう!」
 ええ……という困惑に満ちた顔をしたセラフィムブラスターに、ダーティが指先を突き付ける。
「ここでは貴女と私、どれだけ多くの悪魔さんに水たまりを踏ませるかを勝負していただきます!」
『そんなもの、ガトリングのひとつでも喰らわせて水たまりにぶち込めばいいだろう!』
「同じ過ちを繰り返すなど愚の極み……ですが私にはこれしかないのです……」
『聞いてるか、おい!』
 聞いているわけがない、シリアスに見せかけたトンチキぞ?? だがしかしダーティはどこまでも真面目、悲しそうに目を伏せながらも、きわどい服に着替えた。
『何故着替える必要が……?』
「これは私の魔王としての衣装ですから! さぁ貴女も準備して! さもなくば穢れた力が貴女を襲うことになるわ!」
 際どさならわりと負けていない衣装ではあるが、準備と言われてもその、困る、とセラフィムブラスターがたじろぐ。
「さぁ! おいでになって悪魔の皆様方!」
 ダーティの呼び掛けにより、彼女が作り上げた異世界へと悪魔達がやってくる。その視線はダーティに釘付け! 足は深めの水たまりにどぼん!
「ああ、また罪もない悪魔さん達の視線を……っ!」
『え、いや、え?』
 そしてダーティから放たれるは赤紫色の矢印の姿をしたオーラ、完全に戸惑うセラフィムブラスターに重い一撃を喰らわせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬飼家・ヤング
トンチキならまかせろー(パーパラッパッパー)

さーて取り出しましたるはこの「便所スリッパ(新品)」!
ツッコミの際に頭はたく小道具にしたり物ボケのネタにもなるスグレモノ!
とっておきのギャグでナニワの爆笑アホアホ劇場へ引きずり込めー

このスリッパ履いた瞬間、速攻で滑って転んで大分県!
そらもうスリッパだけに、スルっとスリップしてもーたがなー!

(……しーん)

……もしかしてこれ、盛大にスベってる?(汗)
でも真顔になってる間は攻撃も治癒も飛んでこーへん
これはだまし討ちのチャーンス!

両手にスリッパ持ってジュリアナ扇子の如く振り回し
暗黒舞踏のステップ踏んでクネクネムーブでシリアスブレイク!
(すぱこーんと脳天直撃)



●本場のトンチキ見せたろか
 トンチキと聞いて飛んできたのは馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)で、BGMを携えての登場である。高らかにパーパラッパッパー♪ と響かせて、テナモンヤ・ナニワ・シティからやってきた我らがテレビウム!
「キャー、ステキ! てなもんやろ」
 裏声でそう言いつつ、取り出したのは『便所スリッパ』である、勿論新品! つやっつやの緑のあれ!
「ツッコミの際には頭はたく小道具にしたり、物ボケのネタにもなるスグレモノや!」
 ではいざ行かん、ナニワの爆笑アホアホ劇場! という名の小さな異世界へ――。
「ええやん、めっちゃ理想的な舞台やん」
 ナニワシティでも有名な、ナニワグランドフラワームーンみたいな舞台の上、観客は勿論悪魔の皆様。そしてヤングが迎え撃つのは既にトンチキの気配を感じ、表情を曇らせている、『セラフィムブラスター』だ。
「あんたをわいの笑いに引き込んだるで!」
 見さらせ、わいの渾身のスリッパギャグ!
 ヤングが軽やかなステップと共に、そのキュートな足を便所スリッパにイン! そして鮮やかに、顔の画面を煌びやかに光らせながら――転んだ。
「滑って転んで大分県!」
 チラッ。
「そらもうスリッパだけに、スルっとスリップしてもーたがなー!」
 チラッ。
 チラリと会場とセラフィムブラスターを見るが、どうにも静かな空気が漂っている。
「どや! この渾身の小粋な大爆笑ギャグ!」
 見たか、わいの力! とむくりと起き上がるが、どうにもこのヤングのハイレベルなギャグは悪魔達に通じていない。
「……おかしいな、大分とおーいたを掛けてんのやけどな」
『おおいた、とはなんだ?』
 至極真顔でセラフィムブラスターがヤングに問うと、悪魔達もうんうんと頷いているのが見えた。
「はっ、まさか……大分を……知らん!? ってことは……もしかしてこれ、盛大にスベってる?」
 デビルキングワールドだもの、ヤング。
「いや、でも真顔になってる間は攻撃も治癒も飛んでこーへん!」
 そう、この渾身の小粋なギャグ、ヤングのユーベルコードでもあるのだ! なんで?? やっぱりテナモンヤ・ナニワ・シティの人って皆そうなの? タコ焼き機家に一台あるんでしょう?
「あるに決まっとるやんけ!」
 そう誰にともなく叫びながら、ヤングは今のこの状況はだまし討ちのチャンスだと機敏に動く。
『く……っ身体が動かない……っ』
 シリアス顔をしたセラフィムブラスターに向かい、両手に持ったスリッパをバブリーな羽根扇子の如く振り回す! 更にキュートな足で暗黒舞踏のステップを踏み、待って暗黒舞踏のステップヤバすぎでは?? ってくらいに踏み、クネクネとしたヤバいムーブでセラフィムブラスターのシリアスを力一杯叩き折る。
「喰らえー!」
 すぱこーん! とセラフィムブラスターの脳天を便所スリッパが直撃し、ズッコケるかのように彼女が床へと倒れた。
『なんかよくわかんないけどワルーい!』
『ヤバい、よくわかんないけどヤバワルい!』
 やんややんやの盛り上がりを見せる観客に、ヤングも笑みを浮かべてスリッパを振り回すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
◆アイテム『藍と平和』
これは藍するおねーさんからいただいた本当に大切な宝物……。
そう!
超!
巨大!
ステレオスピーカーなのでっす!
というわけで!
藍ちゃんくんの声がどこにいてもガンガン届くスピーカーワールドにようこそ!
歌いますよー、歌っちゃいますよー!
藍ちゃんくんの抜群の歌唱力はデスボイスをも可能にするのでっす!
シャウトなのでっす! デスメタルなのでっす!
セラフィムのお姉さんが気持ちよく高笑いできないくらい大声で!
藍ちゃんくんDっEATHっよおおおおおおおおおおおおおおおおお!
微笑んでなんかいられないうるささで挑発ソング!
うるさいでっすかー?
うるさいでっすよねー!
ではでは永遠にアンコールなのでっす!



●エンドレスデスメタル
 その世界はそう、例えるならばライブ会場とでも言えるような世界。
 演者が縦横無尽に駆け回れるステージ、演者をより魅力的に見せる為の照明、観客席と思われる場所ではペンライトが光って見えた。
 そして何よりも、演者の声を世界全体に響き渡らせる為の――巨大なスピーカーが無数に置かれていたのだ。
「これは藍ちゃんくんが藍するおねーさんからいただいた本当に大切な宝物……」
 胸の中の藍を確かめるように、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が両手を胸の前へと当てる。
「そう! 超! 巨大! ステレオスピーカーなのでっす!!」
 何よりも誰よりも藍の事を考えて作られた超巨大なそれは、でかくて重い。
「まるでおねーさんの藍のようなのでっすよー」
 藍は愛よりも藍、つまりこのスピーカーと共にある藍ちゃんくんは無敵に等しい、百人力どころの騒ぎではない。
「というわけで!」
『何が『というわけで』なのかさっぱりわからないのだが!?』
 先程から、藍のさりげないアイテム紹介から流れるような惚気を聞いていた『セラフィムブラスター』が我慢できなくなったのか、そう突っ込む。
「藍ちゃんくんの声がどこにいてもガンガン届くスピーカーワールドにようこそ!」
『うう、聞いていない! そしてまたわけのわからない世界に来てしまった……!』
 いやしかし壊してしまえば同じこと、と気を取り直したセラフィムブラスターが笑おうとした瞬間だった。
「ではではでっすねー、歌いますよー、歌っちゃいますよー!」
『えっ』
 歌う、とは。戦うのではないか、聞き間違えただろうか、とセラフィムブラスターが藍を見るけれど、藍はマイクを片手に歌う気満々である。
「藍ちゃんくんの抜群の歌唱力はデスボイスをも可能にするのでっす!」
『ですぼいす』
 デビルキングワールドにだってデスボイスはある、それはセラフィムブラスターも知っている。しかし大抵は厳つい、いかにも悪魔な連中が出している声であって、可憐な乙女にも見える藍から出るとは思えなかったのだ。
「いっきますよーっ! シャウトなのでっす! デスメタルなのでっす!」
『ですめたる』
 世界にある全てのスピーカーが音を放つ、重低音で流れるそれは確かにデスメタル。
 藍が息を吸い込み、ギザギザ歯を輝かせて。
「藍ちゃんくんDっEATHっよおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 地を這うようなド低音を響かせた。
『うあああああ、うるっさい!?』
 これにはセラフィムブラスターも顔を顰める、高笑いで対抗しようにも掻き消されるし笑ってる場合でもない。これぞ、藍が考え出した微笑んでなんかいられないくらいのうるささで挑発し、相手の力を削ぐ戦法である。彼にとっては戦法というよりは歌であるけれど、これがまたセラフィムブラスターに効いていた。
「うるさいでっすかあああああああ?」
『うるさーーい!!!』
「うるさいでっすよねええええええ!」
 デスボイスを響かせながら、召喚した藍ちゃんくん愛用マイクを握り。
「ではでは永遠にアンコールなのでっす!!」
 具体的に言えばお前が負けを認めるまで――認めても終わらない! という事である。
『うわああああん!!』
「アンコールありがとうなのDっEATHっよおおお!」
 藍のデスボイスの前には、セラフィムブラスターのデビルガトリングですら敵わなかったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

隠神・華蘭

アイテム:狸の使い魔『小女郎さん』
小女郎さん! 貴女の頭の中の世界見せてくださいせっかくですから!
そんな無茶なって顔したって駄目です行きますよほら!

ほほうここが小女郎さんの思い出ですか……おや?
あそこの可愛らしい女の子って小女郎さんですかねぇ、で彼女に寄り添って優しくしてあげてるやたら輝いてる女性は……まさかわたくし?
いやいや美化しすぎでしょう確かに普段お世話はしてますけどわたくしあんなのじゃないですよ!?

ってあーいい所なのに敵が進入してきちゃいましたか。
ちょっと眩しい方のわたくし! あいつぶっ飛ばしますから力貸しなさい!
二匹がかりで鉈を媒介に怪雨招来です、子供の夢ぶっ壊すんじゃねーですよ!



●ぽんぽこ狸の頭の中は
 持っているアイテムが小さな異世界になる、そんな話を聞いて隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)は閃いた。
「小女郎さんの頭の中の世界ってどうなっているのでしょうか?」
 これは実際に見るチャンスだと――!
「小女郎さん! 貴女の頭の中の世界見せてください、せっかくですから!」
 華蘭に食い気味で言われた小女郎さん、幾らご主人の言う事でもそんな無茶なって顔をして首を横に振る。
「そんな無茶なって顔したって駄目です行きますよほら!」
 ええ、と反論する暇も無く巨大工房へ連れられて、あれよあれよという間に小さな異世界への扉が開く。
「それじゃ、いってきますね!」
 うきうきしながら華蘭が小女郎さんの世界へ飛び込むと、そこは山の中。
「ほほう、ここが小女郎さんの思い出ですか。狸ですからね、山や森は基本というものでしょう」
 わかります、と頷きながら華蘭が散策すると、ちょっといい感じの巣穴とか、どんぐりや栗の木などが見えた。
「……おや?」
 見晴らしのいい場所まで辿り着くと、小さな女の子がいるのが見えて華蘭が首を傾げる。
「あそこの可愛らしい女の子って、小女郎さんですかねぇ?」
 それから、女の子の隣に寄り添って優しく微笑む女性は誰だろうかと、更に首を傾げた。
「なんだかやたら輝いて、いまいち顔が見えないのですけど……まさかわたくし?」
 いやいやいや、それはないと華蘭が首を横に振って笑う。
「確かに普段お世話はしてますけど、わたくしあんなのじゃないですから」
 えっ、違いますよね? と二度見して近付くと、小女郎さんらしき女の子が女性の名を呼ぶ。
「華蘭さま」
 あっれ~~~?? 確かに自分の名前が聞こえたぞ、と華蘭が天を仰ぐ。
「いやいや、美化しすぎでしょう!?」
 それでもまぁ、小女郎さんは嬉しそうだし、彼女がそう思ってくれているのならいいかな、なんて思った時だった。
『ふはははは! よかったこの世界はトンチキじゃないようだな!』
 本音が駄々洩れになった『セラフィムブラスター』が、異世界を壊そうとやってきたのだ。
「って、あーもう!」
『えっ』
「いい所なのに、邪魔しないでくださいよ!」
『えっいや』
 待ち伏せていたのでは? とセラフィムブラスターがまごつく。
「まったく……敵が侵入してきちゃっては仕方ないですね。ちょっと眩しい方のわたくし! あいつぶっ飛ばしますから力を貸しなさい!」
 呼ばれた光り輝く華蘭が立ち上がり、華蘭の隣に立つ。
「ちょっと、本当に眩しいですね……」
 そう言われて微笑む姿も眩しい、無駄に負けた気分になるのは何故でしょうかと思いつつ、華蘭が鉈を媒介にして怪雨を招く。
『雨ならば負けぬ!』
「やっかましいですよ! 子どもの夢をぶっ壊すんじゃねーですよ!」
『えっ』
 理不尽では!? と反論する余地もなく、セラフィムブラスターの銃弾の雨すら叩き落す鉈の雨が降り注いだ。
『何故鉈の雨が降るのだ!?』
「何故ってそりゃあ……」
 トンチキだからに決まっているでしょう、と華蘭と眩しい華蘭が微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス

晴夜お兄さんf00145と

トンチキといえばニッキー君でしょう
可愛…(絶句
まあ、うん。そうね。いいよそれで

…(すっごい目に毒な世界
この音楽長く聞いてると多分病むな…)
はいはい。遊ぼう
あの動きながら悲鳴を発するジェットコースターとか
血の急流すべりとか
いいんじゃない?
はい、お兄さんにニッキー君の被り物
…ゎぁぃ。嬉しいな

うんうん可愛い。ねえ。あなた(敵)もかわいいと思うでしょう
だめ?そっかー
じゃあしょうがない。あなたにこのトンチキ具合は合わないということで。逃がさん
さっさと倒そう。そしてさっさと帰ろう
うん?…うん、もちろん可愛いと思ってるよ
ただ、お兄さんの理解できないところがまた一つ増えただけさ……


夏目・晴夜

リュカさんf02586と
異世界:ネオンと血とニッキーくんにまみれた夜の遊園地

ううむ、トンチキなんて持ってな…は?ニッキーくんは可愛いでしょ
しかし良い案です、リュカさん!
『優しく可愛いニッキーくん』から作られる世界…確実に可愛い筈

うわ、最高…
可愛いですね、案の定!
BGMが不協和音すぎて耳が痛い所も可愛いですねえ

よし、待ち伏せしつつ遊びますか
では最初はジェットコースターで!
なんと可愛い被り物…!なんか頭が痛いですけど
リュカさんはニッキーくん耳カチューシャをどうぞ
完璧。ハレルヤもリュカさんも可愛い

あ、敵ですか
楽しんでたのに空気読めよ
仕方ない、まず片付けますか!
さっさと帰る?こんな可愛い場所から!?



●B級トンチキホラーがやってきた
 グリモアベースでトンチキ、と聞いた瞬間にリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)は夏目・晴夜(不夜狼・f00145)だなと思っていたし、晴夜はトンチキアイテムなんて持ってないんですよね、困りましたとか考えていた。
「お兄さん、持ってるでしょう」
「え? 何をですか?」
「え……? トンチキなの」
「残念ながら思いつかないんですが……ううむ、トンチキアイテムなんて持ってないですね」
 本当に? ちょっと自分のアイテム欄見てみて、一際目立つのが右端の角にいるから――とは言わず、リュカは晴夜を真っ直ぐに見て口を開いた。
「トンチキといえばニッキーくんでしょう」
「は? ニッキーくんは可愛いでしょ」
「可愛……」
 真顔で言われてしまって、リュカは思わず絶句する。
 百万歩譲っても多分キモ可愛いという奴じゃないかな、だってあのからくり人形、人形っていうかヤベー施設とかでエネミーとして出てくる改造された奴でしょう、あと喋るのも大分キてるじゃない――と言う前に、晴夜がぽんと手を打つ。
「しかし良い案です、リュカさん! 『優しく可愛いニッキーくん』から作られる世界……確実に可愛い筈ですからね!」
 あ、心の底から思ってるね、さすが晴夜お兄さんとリュカが言葉を全て飲み込んで頷く。
「まあ、うん。そうね。いいよそれで」
 間違いなくトンチキになるはずだし、目的は果たされるんだし。うん。
 そんな訳で、二人は巨大工房へとやってきて、優しく可愛いニッキーくんから作り出された小さな異世界の中に立つことと相成ったのでありました。
「うわ、最高……」
「………………」
 感極まったような晴夜の横で、リュカは只々沈黙を守っていた。
 夜の遊園地、それはいい。夜の遊園地というのは綺麗にライトアップされて、夜だと言うのにまるで不夜城のように光り輝く楽しい場所……のはずなのだが、ここは目に痛いほどのネオンが瞬いていた。
「どうしてピンクとか紫とかなんだろう」
「赤いネオンもありますよ、リュカさん」
 更にはあちこちに血がブシャーしたような跡がある、そして極めつけは全てのアトラクションがニッキーくんをモチーフにしているところ。
「可愛いですね、案の定! BGMが不協和音すぎて耳が痛い所も可愛いですねえ」
 時折ノイズが走って何を言っているか分からなくなるところも! と晴夜はにっこにこだ。
「…………」
 あまりにも目に毒な世界、物理的に目は確実にやられる。あとこの音楽を長く聞いていたら多分病む、夢に見るレベルだとリュカは目を細めた。
「よし、リュカさん! 待ち伏せしつつ遊びますか」
「はいはい。遊ぼう」
 ずっと同じところで立ち止まっているよりは、多分動いた方がマシだ。
 どれにしようかと見回して、どれもエグさ的には同じだなとリュカが達観したような微笑、アルカイックスマイルを浮かべる。これはもうよっぽどである。
「あの動きながら悲鳴を発するジェットコースターとか、血の急流すべりとか」
 断末魔みたいな悲鳴を上げてジェットコースターが通り過ぎ、血飛沫を上げて丸太に見立てたボートが滑り降りてくるのを眺めながら、晴夜にどっちがいいかと問う。
「では、最初はジェットコースターで! やはり一番に乗りたいアトラクションナンバーワンですし」
「それは知らないけど、いいんじゃない?」
 どれに乗ってもヤバいのは同じだし、とリュカが思いながらキャラクター商品が置かれた移動ワゴンに視線を向けて、すたすたと歩いて迷わずニッキーくんの被り物を手にして晴夜へと渡す。
「はい、お兄さんにニッキーくんの被り物」
「なんと可愛い被り物……!」
 早速、と晴夜がニッキーくんの被り物……見た目はファンシーにも見えるけれど、細部がヤバい被り物を被った。
「なんか頭が痛いですけど」
「サイズそれしかないから」
 サイズがあっていないのか、締め付けられてるのかは知らないけど。
「まあいいでしょう! さ、リュカさんはニッキーくん耳カチューシャをどうぞ!」
「……ゎぁぃ。嬉しいな」
 なんか赤い染み付いてるけど。
「完璧。ハレルヤもリュカさんも可愛い、つまりはニッキーくんは可愛い……!」
「うんうん可愛い」
 晴夜の渾身の可愛いにリュカが棒読みの可愛いで返し、視線を現れた人影へと向けた。
「ねえ。あなたもかわいいと思うでしょう」
『何なのだここは!! どこもかしこも血だらけで、頭がおかしくなりそうな音が! あとそいつは可愛くはないだろう、普通だ!』
「だめ? そっかー」
 あ、ニッキーくんは許容範囲なんだ? と思いつつリュカが現れた『セラフィムブラスター』に付け耳をピコッと動かす。
『まあ……悪魔達に似たようなのがいるからな』
「ニッキーくんを他にどなたか達と一緒にしないで貰えますか???」
 セラフィムブラスターの返事に晴夜が食い気味に言い、おや? と動きを止めた。
「あ、敵ですか」
「そう、敵。可愛くはないってさ」
「可愛くないとか、美的センス狂ってますね。それにこちらはこの世界を楽しんでたというのに……空気読めよ」
『いや?? 待ち伏せしてたんじゃないのか!?』
 何かさっきも似たような事言われたと、セラフィムブラスターがやや涙目だ。
「しょうがないしょうがない。あなたにこのトンチキ具合は合わないということで」
『合うと思ったのか!?』
「まあ、うん」
 逃がさねぇぞ、という意気込みを背に、リュカが愛用の改造アサルトライフルを構えた。
「仕方ない、まずは片付けるとしますか!」
「さっさと倒そう。そしてさっさと帰ろう」
 早くして、お兄さん。とばかりに敵に向けて星の弾丸を放つ。
「さっさと帰る? こんな可愛い場所から!?」
 信じられないとばかりに、晴夜がニッキーくんに全てを託してリュカに詰め寄る。その間にも、ニッキーくんはその剛腕をセラフィムブラスターに思い知らせていた。
「うん? ……うん、もちろん可愛いと思ってるよ」
 リュカがリッキーくんに追い詰められ逃げていく敵を眺めながら言うと、晴夜がじゃあどうして! と被り物をしたまま返す。
「そうだね、ただ……お兄さんの理解できないところがまた一つ増えただけさ……」
「ハレルヤが悪いみたいに言うのよくないと思いますよ!?」
 ちなみにこのやべー遊園地、悪魔達には大好評だったとか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラファン・クロウフォード
敵を異世界に誘い込む時くらいは、ワルくかっこよく挑発してみよーっと

おまえの実力を認めよう。神が創造した異世界
壊せるものなら壊してみせろ(赤ベコのミノ吉)

恥ずかすぃ。だが、デビルたちが見てるしワルく努めねば

天と地の間にある全てが赤ベコ化した異世界
蛇口をひねれば赤ベコが出るレベル(感動)
装備品とか問答無用に赤ベコ化、オウ、ファンタスティック!(歓喜)
赤ベコ化して赤ベコ世界に紛れ、攻撃の回避と間合いを詰める
赤ベコロボのパーツを生やしたダイオウイカサイズをありったけ召喚合体!
超弩級赤ベコロボ爆誕!
高速首振り攻撃だ
フリッパーによるアクティブな高速アクションでピンボールのごとく
赤ベコたちと敵を弾きまくるぜ



●無限ヘッドバンギング
 折角だから、ちょっとばかりワルくかっこよく挑発してみようとラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)が赤ベコのミノ吉を手にして思う。どうせこの後はありったけのトンチキをかき集めた展開になるのだから、敵を異世界に誘い込む時くらいはいいかな、と考えたのだ。
「ミノ吉もそうだって頷いているしな」
 赤ベコ、それは頭部に触れると頷くように揺れ動く郷土土産の一つだ。元は魔除けとして古くから親しまれたもので、その姿形の愛らしさから今も人気のあるお土産。これを手に入れた経緯は語ると長くなるし、可愛さについて語ると終わらなくなるので割愛するところである。
 要はそう、首を横に振ることのないラファンの可愛いイエスマンなのだ。
『はぁ、う、うう、酷い目にあった』
 既に散々ひどい目にあっている『セラフィムブラスター』が姿を現すと、ラファンが嘗て無い程の決め顔でセラフィムブラスターに指先を突き付ける。
「来たな、セラフィムブラスター」
 悪魔達がかっこいー! ワル? ワル? と期待に満ちた瞳をラファンに向ける。正直とても恥ずかすぃ、と決め顔の裏で思いつつ、悪魔達が見ているしワルく努めようとラファンが頑張る。
「おまえの実力を認めよう。神が創造した異世界、壊せるものなら壊してみせろ」
 そう、ラファンの種族は神なので。でも手に持っているのは赤ベコである。
『おお……やっと私に相応しい敵が来たようだな! いいだろう!』
 シリアスな展開になる! と、ちょっと顔が喜んでいるセラフィムブラスターがラファンの作り出した異世界へと飛び込んだ。
『ここが……ここが?????』
 ラファンに誘い込まれ、彼女が訪れた世界は天と地の間にある全てが赤ベコと化した世界――蛇口をひねれば赤ベコが出るレベルといえばお分かりいただけるだろうか。そう、トンチキです。
「おお、赤ベコが無限に流れて」
 感動を噛み締めつつ、ラファンが赤ベコの形をしたビルの窓ガラスに己の姿を映し、装備品とか衣装の全てが赤ベコをモチーフにしたものに変化していることに気付く。
「オウ、ファンタスティック!」
 つまり、セラフィムブラスターの装備も赤ベコになっているということである。
『わ、私のデビルガトリングが!?』
 赤ベコの形である、弾が出る。
「あれもいいな……いや、己の赤ベコを信じろ」
 赤ベコに紛れ、寧ろ俺が赤ベコだという気概でラファンが敵へと迫る。
「こい! 赤ベコダイオウイカ!」
 何それ。セラフィムブラスターがなんとか高笑いしようとした瞬間、赤ベコロボのパーツを生やしたダイオウイカがこれでもかと現れて合体していく。
「超弩級赤ベコロボ、爆誕!」
『なにそれ』
 思わず口から零れ出た敵の言葉を無視し、ラファンが高速首振り攻撃を仕掛ける!
『いやだから本当になんだそれは!!』
 セラフィムブラスターの叫びも虚しく、フリッパーによるアクティブかつアグレッシブな高速アクションにより、ピンボールの如く彼女は弾き飛ばされ――星になったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カンナハ・アスモダイ




トンチキかどうかはわからないけど、これならどうかしら?
魔法少女の必需品!変身アイテム!

形作る異世界は勿論!
アイドルの主戦場1ライブステージよ!

【UC・悪魔法少女★武道館☆展開】!

セラフィムハート!早速だけどアンタと私でライブバトルよ!
異論は認めない!ここでは歌とパフォーマンスが全てよ1

この世界をぶっ壊したかったら、銃器じゃなくてマイクでかかってきなさい!

このトンチキ空間に相手が混乱してるうちに……
私のライブを期待して待ってくれる契約者(ファン)の皆に、
歌と<ダンス><パフォーマンス>でライブ会場を更に盛り上げるわ!
観客の興奮が最高潮に達したところで、締めの<全力魔法>!
スーパー乙女ビームよ!



●アイドル☆オンステージ!
 トンチキ、トンチキと言われてカンナハ・アスモダイ(悪魔法少女★あすも☆デウス・f29830)は自分の持つアイテムを眺める。ステージ衣装から、普段着、武器にと眺め、他にないかと色々考えた挙句に選んだのは魔法少女の必需品――。
「そう、変身アイテムよ!」
 正直トンチキかどうかはわからないけれど、カンナハはサクラミラージュで国民的スタァ『悪魔法少女★あすも☆デウス』としてアイドル活動を行う身。敵がシリアスを土俵にするならば、こちらはアイドルを土俵にしてやろうという心意気だ。
「さぁ、私にアンタの異世界を見せてちょうだい!」
 変身アイテムにカンナハがそう言うと、まるで今から変身が始まるかのように眩いピンクの光が放たれ、カンナハは小さな異世界の主――いや、スーパーアイドルとして降臨する。
 形作られた世界は勿論、アイドルの主戦場たるライブステージ! 観客席は悪魔達で埋まり、キラキラと煌めくペンライトの明かりがまるで光の海のよう。
「これが私だけのステージ! 誰にだって止められないんだから!」
 ステージには煌びやかなライティング、その中央に立つカンナハが小さな異世界を壊さんとやってきた『セラフィムブラスター』にマイクを突き付けた。
「セラフィムブラスター! 早速だけどアンタと私でライブバトルよ!」
『何故だ!? 普通に戦えばいいだろう!!』
「異論は認めない! ここでは歌とパフォーマンス、そして観客の皆が全てよ!」
 わああ! と湧きあがる歓声、波のように揺れるペンライト。
『なぜ、何故私が……!』
「往生際が悪いわ、アンタが入り込んだ世界なんだから……この世界をぶっ壊したかったら、銃器じゃなくてマイクでかかってきなさい!」
『うう、ううう』
 呻きながらもセラフィムブラスターがマイクを握る、だがしかし歌なんか歌わないしアイドルパフォーマンスなんてしたことがない。
『ど、どうすれば』
「あら、アンタが来ないなら、私から行くわよ!」
 カンナハがこのトンチキ空間ならぬアイドル空間に相手が混乱している内に、と先手を取るように観客に向けて声を掛けた。
「お待たせ、私の契約者達!」
 契約者という名のファンが、歓声を上げる。その途端に始まる音楽、そしてそれに合わせてカンナハが躍り、歌い、最高のパフォーマンスを見せ付ける!
 観客の興奮が最高潮に達する瞬間、つまり歌い終わった瞬間にカンナハが手にした二丁拳銃を敵へと向けた。
「これが私の全力、喰らいなさい! スーパー乙女ビーム!」
 銃口から放たれた光り輝くピンクのビームがセラフィムブラスターに直撃し、憐れ彼女はマイクを握り締めたまま異世界の外までぶっ飛ばされたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章


僕は旅人
きみを未知の世界へ招待しよう
この『エンゲル係数』
銛でね

鵜飼章の無人島生活世界へようこそ
僕と無人島サバイバル力で勝負しよう
嫌がってもUCで強制参加だ

まず火を起こせないと話にならない
乾いた枝や枯れ草を集め持参した火打石で着火
この島は銃火器NGだ

快適な拠点作りも大事だね
鴉達に雨風を凌げる岩影と水源の捜索を頼み
僕は食料の確保に向かう
勿論素潜り漁をするんだよ
きみも来るといい

鮪、鯛、伊勢海老、鮑、うに等々
高級食材が沢山獲れたね
中でもこの鮫は強敵だった
解体士なら全て捌けて当然
もう夜か…星が綺麗だね
海水から塩を作り焚き火で炙っていただきます

どうだった?無人島生活
ところでそのフグ毒抜いてないんだ
ごめん



●突然の無人島生活がオブリビオンを襲う!
 もうわりとぐったりした感のある『セラフィムブラスター』を出迎えたのは、宗教画にでも出てきそうな繊細な容姿の男、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)であった。
『……何故水着なのだ』
「僕は旅人、きみを未知の世界へ招待しよう」
『いや、何故水着なのかと』
 黙って聞けとばかりに、章が取り出したのは銛、その名も――。
「この『エンゲル係数』でね」
『いや名前!?』
 エンゲル係数全く関係ないじゃないか、とセラフィムブラスターが言おうとした瞬間に小さな異世界は開かれた。
「鵜飼章の無人島生活世界へようこそ」
『むじんとう』
 青い空、どこまでも広がる美しい海、そして無人島!
「今から俺と無人島サバイバル力で勝負しよう」
『断る! 何だこんな世界、私のデビルガトリングで……』
「きみはそう思う。≪同調圧力≫」
『あっ何だかすごくサバイバルがしたくなって!? 何故だ!』
「そうだろう? さ、サバイバルと行こう」
 何故だー!? というセラフィムブラスターの叫びも虚しく、レッツ無人島である。
「無人島でまずするべきことは何か知っているかな?」
『知らないが!?』
「では特別に教えてあげよう、火だ」
 まずは明るいうちに火を起こす事が肝心、火さえあれば暖が取れるし調理もできるし、水が見つからなかった場合に工夫次第で飲み水だって作り出せる。
「乾いた枝や枯れ草を集め、火打石で」
 さすが無人島で勝負をする男、手際がいい。持参した火打石であっという間に火を熾してみせた。
『こんなもの、私のデビルガトリングで』
「ああ、この島は銃火器NGだ」
 そんなー……そんなー……そんなー……という、彼女の悲鳴交じりの声が響く中、章は快適な拠点作りの準備に取り掛かっていた。
「頼んだよ、鴉達」
 雨風を凌ぐ為の岩陰と水源の捜索を章の周囲を徘徊する鴉に頼み、さて食料の確保だと章が銛を手に立ち上がる。
『何処へ行くんだ』
「勿論素潜り漁へ。きみも来るといい」
 丁度水着みたいな恰好してるんだし、いいよね? と章が微笑んだ。
『さては貴様親切に見せかけて辛辣系だな!?』
 くそー、と言いつつもセラフィムブラスターも海へと向かう、だってサバイバル力で勝たないといけないから。銛を片手に次々食料をゲットする章に続くべく、セラフィムブラスターも食材確保へと動いた。
「うん、鮪、鯛、伊勢海老、鮑、うに等々……高級食材が沢山獲れたね」
『もう無理……無理……』
「中でもこの鮫は強敵だった」
 一大スペクタクルムービーになりそうなボリュームがある為割愛するが、鮫に銛一本で立ち向かう章にセラフィムブラスターは控えめに言っても頭がほにゃらら、と思っていた。
「それじゃ、捌いていこうか」
 解体士なら全て捌けて当然、とばかりに鮮やかな手付きで魚を捌き、鮫すらも綺麗に解体していく。海水から作った塩をまぶし、いい感じの木の棒に刺した魚を炙る。
 あっという間に夜になった空は、見上げれば満天の星。
「もう夜か……星が綺麗だね」
『そうだな……』
 もう帰っていいかな、と思いながらセラフィムブラスターが渡された魚を齧る。
「どうだった? 無人島生活」
『二度とごめんだ』
「そっか。ところでそのフグ」
『ふぐ』
「毒抜いてないんだ」
『あばーーーー!?』
 泡を吹いて倒れたセラフィムブラスターにごめん、と形ばかり謝って、章は星空を眺めながら明日は珍しい昆虫探しをしようと心に決めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライトラピス・グレイトガーデン
はぁーっはっはっはー!
デビルキングワールドの記憶は薄いが、魔王がどうとかなら僕を差し置いて貰っては困るなあ!

で、僕のアイテムはこれだ!
『魔王の白衣』
日々の研究発明にとりかかる僕の愛用品だな!
これを用いた小さな異世界では次々と無理難題が降りかかるだろう!これを叡智の力(或いはとんち力)で乗り切る必要があるのだ!
例:「大変だ!3分後に隕石が落ちてくるぞ!」→「こんなこともあろうかと!隕石破壊爆弾を用意しておいたぞ!」
僕の日々のイメトレの賜物だな!
他にも五丁目のタマちゃん捜索、はじめてのおつかいサポートなど問題は尽きないぞ!

セラフィムブラスターよ、問題解決の反復横跳び、果たして付いてこられるか?



●それはオーバーキルでは?
 デビルキングワールド、それはライトラピス・グレイトガーデン(ラスボスの魔王・f36114)にとって、確か故郷だったと思うんだよな、というくらいに記憶が薄い。だがしかし、魔王だというならば――。
「はぁーっはっはっはー! 魔王がどうとかなら僕を差し置いて貰っては困るなあ!」
 魔王ぞ? 我、強大な力と優秀な頭脳を持つ魔王ぞ? といったムーブを見せながら、ライトラピスが巨大工房の中で自信満々に取り出したのは一着の白衣であった。
「僕のアイテムはこれだ! 日々の研究発明にとりかかるぼくの愛用品だな!」
 その名も『魔王の白衣』という、そのまんまな名前である。
「わかりやすいというのは大事な事だろう? ラスボスアーマーとか魔王笏とか、めちゃくちゃわかりやすいだろ」
 説明を見なくてもなんとなくわかる、確かに大事。
「でだ、これを用いた小さな異世界では次々と難題が降りかかるだろう! これを英知の力と書いてとんち力と読む、で乗り切る必要があるのだ!」
 ふふん、と得意気に説明するライトラピスの前に、ほんのり日焼けしたセラフィムブラスターが姿を現す。
「来たな、話は聞いていただろう、セラフィムブラスター! それでは早速行くとしよう!」
『全く聞いてなかったが!?』
 問答無用である、だって魔王だからね!
 セラフィムブラスターが半ば強引に連れ去られた小さな異世界は特におかしなところも見当たらない、普通の世界に見えた。
『はは、なんだ普通の世界ではないか!』
 これならば勝てる、この世界をグチャグチャにして――!
「おおっと大変だ! 三分後に隕石が落ちてくるぞ!」
『なんでだ!?!?』
 何でもどうしてもない、トンチキ世界だもの。
「なんだ、説明を聞いていなかったのか? 仕方ないな」
 もう一度説明してやろう、とライトラピスがトンチキ世界の切り抜け方を伝授する。
『と、とんち』
「最初だからな、手本を見せてやろう! おおっと、こんなこともあろうかと! 隕石破壊爆弾を用意しておいたぞ!」
 カウントダウンの後に発射すれば、見えていた隕石に見事命中、世界は救われた!
「ふっ、これも日々のイメトレの賜物だな!」
『貴様普段何を考えているのだ!?』
 まぁ大体こんな事ばっかり考えてますね、ええ。
「次の難題だ! 五丁目のタマちゃんを捜索しないと世界が滅ぶ!」
 カクリヨファンタズムくらい気軽に滅びる異世界、まさにトンチキ。
『タマ……タマと言うからには猫、猫だな!?』
「いや、こう……名状しがたい何かだ」
『難易度が、難易度が高い……!!』
 心が折れそう、だってアドリブ力がないから!
「もたもたするな、その次ははじめてのおつかいサポートだ、勿論これも失敗すると世界が滅びる!」
『うう、何故私がこんな目に!』
 小さな異世界を壊して回っていなければ、等と言うタラレバ話をしても仕方がない。
「ふっ、セラフィムブラスターよ、問題解決の反復横跳び、果たして付いてこられるか?」
 首を横に振るセラフィムブラスターを連れ回し、ライトラピスは高笑いをしながらどこまでもトンチキな世界平和に貢献するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
【海鮮レース5】◎
あーっ!あんたが!しょーちゃん!はじめましてー!でかいねー!
プランクトン食べr あーっかみさま!また変なもの飲ませて!害はないんだろーけども!

わあ……海だあ……
兄ちゃんがかんぺきに""理解""ってしまった
これもせいちょーってやつなのかなあ……ね、スーさん
やーさんがすごい真剣フェイスだ!それだけレースを楽しみにしてた……ってコト?!
負けられねーよなー!

おれは何に……あっ!メチャデカタカアシガニ=サン!乗せてくれるの?ありがと~!
わーい視界がたかい!波を切って走る!かっこいー!!(高まる少年心)(感覚がロボ)
みんなを録画しながら走るよ!

負けたら語尾が「それと便座カバー」になります


結・縁貴
【海鮮レース5】◎
ジンベエザメでっっっか

(小さな世界に入ったら何かを踏んだ)
なんか居る…巨大ウーパールーパー??なんで??
乗れって?し、謝謝…

(わァどれも要死了乗り物ォって顔)
まァトンチキ空間で敵を嵌め殺す訳だし、嵌める方が狼狽しててもね
敵は「飛翔力」の御縁を斬って一度海に叩き落とす
海鮮に乗れ。競技しろ。そういう規律だよ見て分かるだろ!(自信に満ちた目)
それでも飛ぶか。悪手だねェ
「飛翔力」の御縁を競技中何度か斬るよ
何度も入るほど海が好きィ?

…えっ
なに其の規律聞いてないですよかみさま!?
泳げウーパールーパー!泳いでください!
真剣だよ悪いか!俺は笑う側がいい!

(レース勝敗、負けた場合の語尾お任せ)


朱酉・逢真
【海鮮レース5】◎
心情)よっしゃこの"語尾がおかしくなる毒"を…オ・黒兄さん、そこのジンベイザメお借りしても? 無害なこの毒をジンベイザメにかけて、異世界になってもらう。1位以外は語尾の尊厳が死ぬトンチキレース開催だァ!
行動)タコに乗って水中に。水上は明るいからヤだ。ジンベイに寝台もくくりつけたし、全員なンかしら乗ってっし問題なかろ。レース開始ィ!
オット後ろでヒトデに乗るっつか、ヒトデ抱えて飛んでるロックなお嬢さん。レース中の攻撃はルール違反だ、そのガトリングからは快音とリボンしか放てないよォ。あと攻撃の罰則、スピード半減だ、ちなみ最下位は爆発します。空に笑顔が浮かぶ。負けたら語尾エセ外人。


スキアファール・イリャルギ
【海鮮レース5】◎
こちら全長25m、横幅2m弱の大型ジンベエザメ、しょーちゃんさんです
出会いはグリードオーシャンのとある島
トンチキな海洋生物に乗ってトンチキレースを繰り広げる島でした……(遠い目
あっ、ハイ嫌な予感しかしませんがどうぞ

…さらにトンチキが混ざった――!(遠い目アゲイン

それはしてはいけない成長だったのでは…?
では私はしょーちゃんさんの背の端に…えっ
レースだから自分の背に寝台を乗せて、それに躰を括り付けた方が安全?
あぁ…(死んだ目がさらに死ぬ
(ジンベエさんは久々のレースではしゃいでいる!

…もうどうとでもなーれ!
(日焼け防止でサングラス装着
しょーちゃんさん頑張れ…!

負けたら語尾お任せで!


雨野・雲珠
【海鮮レース・5】◎

わあぁ…ジンベエちゃんだ!
にゅーとしたお口がなんとかわいらしい
…と思った矢先に頬をなでる潮風。
謎のレース会場とやる気のお魚たち…

…最近『わかって』きました。
いちはやく適応しないと大変なことになると!

あっかみさま潜っちゃった…
蟹はでっかすぎて怖いし、
まともなお魚に乗ってるのスーくんくらいでは!?
縁さんに至ってはその子なんですか!?かわいい!

俺を乗せてくれる子はいるでしょうか
…汐くん!?でっか!
はっ…乗れと言わんばかりのまなざし
わかりました、きみは俺の相棒ですもの
巨大化した白蛇汐くんに乗ります!

うねる!すごいうねる!
落ちる…!
負けたら語尾が「それと明日はゴミの日です」になります



●混ぜるな危険って言葉をご存じない???
 トンチキ、という言葉が出た瞬間には誘う面子が脳裏に浮かんでいたし、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は通信手段として用いる霊障を発動していた。
 そして呼ばれた精鋭がこちら、という訳である。
「わー! とんちき!」
 一番、茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)!
「何してもいいって聞いたんだけど」
 二番、結・縁貴(翠縁・f33070)!
「トンチキと聞いて」
 三番、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)!
『ペヨ~~~』
 四番、角笛を吹いていたところを呼ばれた雨野・雲珠(慚愧・f22865)!
 以上、かみさまとトンチキな仲間達の五名の皆様でお送りします!
「さっそくだがお前さん達、トンチキなアイテムって持ってるかい?」
「俺は素敵アイテムしか持っていないのですが、強いて言うなら弟分の角で作った笛か……猫の言葉がわかるお薬に触ると鶏の絶叫が聞こえるアイテムとか」
「没有、生憎そういうのは持ってないんだよね」
「私も特には……敢えて言うなら昔から酷使していたヘッドフォンでしょうか」
「えー、とんちきって言ったらかみさまでしょ」
 四人の視線が逢真に集まるが、逢真がひらひらと手を振る。
「俺あンま奇天烈な品は持ってねェのよ」
 その一言に全員が『嘘でしょ???』という視線を向けるが、なんと事実。かみさま、嘘吐かない。
「必要なときに作って渡すからさァ……」
 宵越しのトンチキアイテムは持たない、みたいな答えになんとなく四人が頷いて、じゃあどうしようか? となったところでスキアファールが思い出したように手を上げた。
「はい黒兄さん」
「あの、生物系だったら居るんですけどね、とってもでっかいジンベエさんが……」
「はい採用」
 即採用、話が早い。
「いいんですか? では……」
 そう言いながらスキアファールが呼んだのは全長二十五メートル、横幅二メートル弱の大型ジンベエザメ、その名もしょーちゃんである。
「こちらがしょーちゃんさんです。出会いはグリードオーシャンのとある島で……話せば長くなるので手短に説明すると、トンチキな海洋生物に乗ってトンチキレースを繰り広げる島でした……」
「あーっ! あんたが! しょーちゃん! はじめましてー! でかいねー!」
「ジンベエザメでっっっか」
「わあぁ……ジンベエちゃんだ! にゅーとしたお口がなんとかわいらしい」
 この時、スキアファールの説明はトヲルや縁貴、雲珠の声で所々逢真には聞こえていないし、逢真が毒をその場でパパっと作り上げたのを四人はジンベエザメを見ていたので見ていない。
「よし、黒兄さん。そこのジンベエザメお借りしても?」
「あっ、ハイ嫌な予感しかしませんがどうぞ」
 嫌な予感には従わないべきではないか、けれどここにはジンベエザメに夢中な子達しかいなかった。そして、こういう時の逢真は何故か行動が早い、普段はよちよち歩きの赤子よりも遅い癖に。
「無害なこの語尾がおかしくなる毒をジンベエザメにかけて……異世界になってもらう」
「あっ、待ってくださいかみさま! あっ、ああ~……」
「しょーちゃんプランクトン食べ……あーっかみさま! また変なもの飲ませて! 害はないんだろーけども!」
 雲珠とトヲルが気付いた時には既に遅く、こうしてジンベエザメと語尾がおかしくなる毒により、小さな異世界の扉は開かれたのであった。
「わあ……海だあ……」
「わぁ、海です……!」
「一足早い夏みたいだね」
 燦々と照り付ける太陽! その光を受けて輝く海! 白く美しい砂浜! どう見てもグリードオーシャンの何処かの島だ。
「ああ、やっぱり……トンチキレース勝負の会場ですね」
「……真夏の海じゃねェか」
「ええ、グリードオーシャンのとある島で出会ったと言ったはずですが」
 全く聞いてなかった、という顔をした逢真がうへぇ、という顔をしながら日陰に入る。夏の太陽は敵、いいね?
「頬を撫でる潮風が気持ちいいですね……それから、謎のレース会場とやる気のお魚たちも……」
 居並ぶ魚介類、そのサイズは様々であるが人を乗せられる大きさではある。雲珠がレース会場と魚達から、トヲルとスキアファール、縁貴……日陰で死にそうな顔をしている逢真に視線を移す。
「俺ね……最近『わかって』きました。いち早く適応しないと大変なことになると!」
「兄ちゃんが完璧に『理解』ってしまった。これもせいちょーってやつなのかなあ……ね、スーさん」
「それはしてはいけない成長だったのでは……?」
「小雲珠も苦労してんだね……ってことは、早く乗る海鮮決めた方がいいってこと?」
 何と言ってもトンチキだ、最初からトンチキだとわかって来ているので縁貴はいつもよりちょっと落ち着いていた。
「じゃあさっさと選ぶが吉……うわっ」
 何かぐにょっとしたものを踏んで、縁貴は咄嗟に踏んだ方の足を上げる。
「なんか居る……巨大ウーパールーパー?? なんで??」
 こないだ行った戦場でそれっぽいの見たから? 縁ができた? 俺最近こんなのばっかじゃない?? と思っていると、巨大ウーパールーパーが縁貴に『乗りな』みたいな視線を向けてきた。
「え、乗れって? し、謝謝……」
「やーさんはウーパールーパー? かわいいね!」
「お色も翠と桃色で、なんだかピッタリですよ縁さん」
「はい! 大変おかわいらしく!」
 一番手で乗り物が決まった縁貴に続き、スキアファールがしょーちゃんに近付く。
「では、私はしょーちゃんさんの背の端に……」
 よいしょ、と乗ろうとしてしょーちゃんがジタバタと動く。
「どうしたんですか、しょーちゃんさん」
 まさかの騎乗拒否かとスキアファールが心配気に見ると、しょーちゃんがじっとスキアファールの瞳を見つめた。
「……えっ、レースだから自分の背に寝台を乗せて、それに躰を括り付けた方が安全? いえ、でもここに寝台は……」
『黒兄さんや心配するなィ、俺がチョチョイと寝台括りつけたからサ』
 離れた場所にいる逢真の声が近くでして、日陰を見れば逢真が手を振っている。
「あぁ……」
 スキアファールの死んだ目が更に死んだ、人でなし! うん、まあかみさまだもんね。
「俺は何にのろーかなー……あっ! メチャデカタカアシガニ=サン!」
 かっこいー! と近寄れば、俺に決めたのかい? なら乗んな! ってな感じでタカアシガニが乗りやすいように甲羅を下げた。
「乗せてくれるの? ありがと~!」
 わーい! とトヲルがタカアシガニの背に乗ると、雲珠がどの子にしようかと視線を彷徨わせる。
「蟹はでっかすぎて怖いし、まともなお魚に乗っているのスーくんくらいでは……!? 縁さんに至ってはウーパールーパーですし……でもかわいい……!」
 可愛らしい子がいいだろうか、でもお魚の方が早いでしょうか、そもそも俺を乗せてくれる子はいるのでしょうか? と雲珠が悩み始めると、近寄ってくる白い何かが視界に映った。
「……えっ、汐くん!? でっか!」
 そういえば異世界に入る前には首の辺りに居た白蛇がいなくなっている、目の前の大きな白蛇は間違いなく雲珠の汐だ。にょろりと動き、その頭をすっと下げて己の主を見る汐に雲珠が瞳を瞬かせる。
「はっ……乗れといわんばかりのまなざし……! わかりました、きみは俺の相棒ですもの。俺は巨大化した白蛇の汐くんに乗ります!」
 いそいそと頭の上に乗り、雲珠がその高さに子どものように笑う。
「乗り物は決まったようだな、お前さんたち」
 全員決まったのを見届けてから、逢真がのそのそと日陰から出てきて残った魚介を見遣る。
「かみさまはどれにするのー?」
「ああ、俺はコイツだな」
 逢真が巨大タコを選ぶと、タコも心得たものでそうっと逢真を足で掴むと頭の上に乗せた。
「賢い子だね、それじゃ俺は水中から参加するぜ」
「水中からですか?」
 スキアファールが寝台の上から声を掛けると、逢真がひひ、と笑って答える。
「水上は明るいからヤだ」
「あぁ……」
 納得したようなスキアファールの声に、雲珠もトヲルも同じような顔でああ、と頷いていた。
「え、かみさまは太陽が苦手で?」
「そォそ、焼けっちまわァ」
 そう言ってタコと共に逢真が海へと入っていく逢真に、縁貴は色白いもんな、と勝手に納得した。
「それじゃあ皆々様、そこのキョドってるロックなお嬢さんも」
「「「「えっ」」」」
 誰、と後ろを向けば『セラフィムブラスター』がもう帰りたい……って顔で立っているのが見えた。
「お嬢さんも参加するんだろォ? 丁度いい、そこに巨大ヒトデがいるからそれにしときなァ」
『きょだいひとで』
「じゃ、一位以外は語尾の尊厳が死ぬトンチキレース開催だァ!」
 珍しくちょっと叫んだものだから、軽く咳き込みながら逢真が海中へと消えていく。
「かみさま潜っちゃいましたね……って、一位以外は!?」
「ふつーは最下位だけじゃないのー!?」
「……さらにトンチキが混ざった――!」
「なに其の規律聞いてないですよかみさま!?」
 セラフィムブラスターを置いてきぼりにしながら、四人が海に消えた逢真に叫ぶ。真っ先に勝てばいいんだと気付いた縁貴がセラフィムブラスターを見遣り、指定されたヒトデに乗らず飛んで逃げようとした彼女の縁を呼び出した鋏で断ち切った。
『!?!?』
 何をされたのかわからないまま、砂浜に落ちたセラフィムブラスターに縁貴が言い放つ。
「逃げるな、海鮮に乗れ。競技しろ」
『な、何故だ! 私はこんなレースに参加する気は……』
「空気読め、そういう規律だよ見てわかるだろ!」
 何せこんなトンチキ空間で敵を嵌め殺すわけだから、嵌める方が狼狽していても始まらない。何よりも、道連れは敵であろうと多い方がいいに決まっている。
「やーさんがすごい真剣フェイスだ! それだけレースを楽しみにしてた……ってコト?!」
 ちっちゃいかわいい生きものみたいな顔でトヲルが言うと、スキアファールと雲珠もそれならばと頷く。
「これは負けられねーよなー!」
「はい! 俺たちも頑張りましょう!」
「ええ、こう見えても私は一度このレースに出ていますから……負けませんよ」
 盛り上がるモノクロブラザーズ! 海の中で待機しながら様子を見て笑う逢真! 本当にどれも要死了乗り物ォって顔をしつつ、縁貴が叫ぶ。
「真剣だよ悪いか! 俺は笑う側がいい!」
 だって語尾に変な言葉が付くんだろ! その叫びに他の三人がハッとした。
 そう、これはただのトンチキ海上レースではないのだ、負けた時の罰ゲームが酷い。トンチキ方面に酷い。負けられない戦いがここにある――!
 レース開始の合図が鳴り響き、走者一斉にスタートです。流れる音楽は運動会などでお馴染み、Csikos Postでお届けだ! 先ず飛び出したのはジンベエザメのしょーちゃん、久々のレースではしゃいでいるしょーちゃんに対し、乗っているスキアファールの瞳はちょっと死んでる。
「ああ……もうどうとでもなーれ!」
 日焼け防止のサングラスを装着し、心を無にして寝台に括りつけられている。
 二番手はタカアシガニに乗ったトヲルで、それはもう楽しそうだった。
「わーい視界がたかい! 波を切って走る! かっこいー!!」
 気分はロボット操縦者、少年心が高鳴って止まらない! そして三番走者は雲珠を乗せた汐、うねうねと海の上を走っている。
「うねる! すごいうねる!! し、汐くん……!」
 お、落ちる、と思った瞬間に枝絡みの枝で自身と汐を落ちない程度に結び付け、なんとかしがみつく。その姿はそう、日本昔話のOPシーンを思わせるような……。
 四番走者は縁貴で、ウーパールーパーの外鰓に掴まりながら必死の様子。
「泳げウーパールーパー! 泳いでください!」
 懇願に近い声を出しつつ、この焦りを最後尾のセラフィムブラスターにぶつけていた。そう、ヒトデにしがみつきながら飛ぼうとする彼女の飛翔力の縁を斬り続けているのだ。
「それでも飛ぶか、悪手だねェ。何度も入るほど海が好きィ?」
 勿論煽りも忘れない、ヒトデには負けられない。
 そして五番走者は逢真で、ゆったりと海の中をタコに任せていた。
「ああ、そうだお嬢さん。中の攻撃はルール違反だ、そのガトリングからは快音とリボンしか放てないよォ」
『えっ』
 後ろに居るのだから、今の内に撃てば良いのでは? と、今まさに攻撃をしようとしていたセラフィムブラスターのデビルガトリングからリボンが飛んだ。
「あと攻撃の罰則、スピード半減だ、ちなみ最下位は爆発します」
『えっ』
「「「「えっ」」」」
 ちなみに海中の逢真の声は他の皆に聞こえるようになっている、霊障パワーってすごいね。
 それはともかくとして最下位が爆発とか聞いていない、これは更に負けられないレースへと進化する――!
「進化もクソもなくない!? 退化じゃない!?」
「しょーちゃんさん頑張れ……!」
「汐くん、頑張ってください!」
「わーー! タカアシガニ=サンがんばえー! みんながんばえー!!」
「ひ、ひひ。愉快だねェ」
 パン、パンパパン! ゴールを切った合図の空砲がなる、栄光のゴールを切るのは果たして誰か――!!
「や、やりましたー! 汐くん、最後の汐くんの追い込み、すごかったです!」
 一位は雲珠!
「おや、俺は二位かい? 健闘したってもンだデーース!」
 二位は逢真、語尾は『エセ外人』!
「私は三位ですね、しょーちゃんさんはよく頑張ってくださいました、ダイエットは明日からです」
 三位はスキアファール、語尾は『ダイエットは明日からです』!
「わはー、負けちゃったけど楽しかったねーそれと便座カバー」
 四位はトヲル、語尾は『それと便座カバー』!
「真的假的? あんなに頑張ったのに……俺が笑う側のはずだったのにジャンガリアンハムスター」
 五位は縁貴、語尾は『ジャンガリアンハムスター』!
 そして、最下位は――。
『あばーーー!? 大空に笑顔で決めッ!』
 憐れ爆破したセラフィムブラスター、語尾は『大空に笑顔で決めッ!』であった。そして、その言葉通り大空に笑顔と共にキラリと光って消えていったのであった。
「うわァ……ビリじゃなくてよかったジャンガリアンハムスター」
「あれでしょ、ジュゴンじばくれーっていうんだよね、それと便座カバー」
「トーさん、それを言うなら自業自得では……? ダイエットは明日からです」
「ひ、ひィ、コイツは思った以上にトンチキデース!」
「……負けた方が楽しかった気がしてきました!」
 一位になったのに、なんだかちょっと寂しいような、と雲珠が汐の頭の上で言うと、逢真が毒の残りを雲珠に差し出した。
「これを飲めば俺も……!!」
「小雲珠、折角勝ったのに飲むの!? ジャンガリアンハムスター!」
 ひと思いに、とグイっと飲んだ雲珠が目をぱちりと瞬かせ。
「どうでしょうか! これで俺も皆様の仲間入りです、それと明日はゴミの日です!」
 こうして、皆で仲良く語尾がおかしなことになったのでありました。とんちきとんちき。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スピーリ・ウルプタス

※所持アイテム:魔眼の貴石 の世界へ

無事小さな異世界到着です
思った通り、主様のお屋敷ですね。少し懐かしいです
※大正テイストの立派な屋敷のイメージ。他描写お任せ☆

さて。UCにて姿を消しておきつつ
…ああ、やはり感じます、“そこかしこからの視線”を!
まだヒトの身を得ていなかった頃は、貴石の力をお借りしてよく主様を盗み見ていたものです(しみじみ)
こういう感覚だったんですかねぇ主様は
(※常人であればとてもとても落ち着かない怪しい視線の気配が、屋敷内どこを行ってもついて回る)

いらっしゃいませオブリビオン様!(←待ち伏せなので一応心の中で
常に付き纏う視線の心地はいかがでしょうかね私自身のも感じて下さってますかね
こういう事も出来るんですよ(にっこり
(麻痺付与。たまに主様に構って欲しくてやらかしていた模様)
ぁっ、この世界に居る私自身にも生身だからか麻痺飛んでくるんですねっ!
主様が感じた痛みが今っ私にもっありがとうございます!(悦)
(時々共にマヒる変人)

基本、視線たちに紛れての姿くらまし鎖攻撃頑張ります!



●それはもうホラーハウスなんよ
 グリモアベースの片隅で、ひっそりと話を聞いていたスピーリ・ウルプタス(柔和なヤドリ変態ガミ・f29171)はなるほど、と小さく頷く。
「アイテムによってはより良い世界が作り出せる……ということですね!」
 そう、スピーリにとってより良い世界、つまり敵にとってはもう勘弁してくださいってなる世界ということ!
 勿論、スピーリにはそんな考えはない。全身全霊を込めて歓待しなくては、と張り切ってどのアイテムにしようかと悩みだす。
「そうですねぇ、この鎖も捨て難いですよね……」
 きっとありとあらゆる場所から鎖が飛んできて、拘束してくれるに違いない。
「ウトピア様も、きっと素敵な世界になるでしょうし」
 多分巨大インコがみっちみちに詰まった世界か何か、そこに挟まれるとかご褒美間違いなし。
「ああ、でもやはり……」
 これでしょうか、とスピーリが己の本体たる禁書の裏表紙を撫でる。そこには美しい瞳のような魔石がはめ込まれていた。
 そうと決まれば早速巨大工房へ、と案内されるままに足を踏み入れる。
「ここが巨大工房……さぞ色々な世界があるのでしょうね!」
 時間があれば全てお邪魔してみたい、あわよくば好みの異世界に滞在したい。しかしそんな時間はないと、スピーリは『魔眼の貴石』を媒体にして小さな異世界を作り上げ――その扉を開いた。
「ふう、無事小さな異世界到着です」
 そこは大正浪漫溢れるような、レンガ造りの立派な洋館。玄関の扉はアンティーク感のある、艶のある木造の大きなもの。ドアノブは真鍮で細やかな細工が見て取れた。
「思った通り、主様のお屋敷ですね。少し懐かしい気がします」
 何処か儚げな笑みを浮かべ、スピーリが扉を開ける。まず目に飛び込んでくるのは赤い絨毯が敷かれた階段、踊り場にはステンドグラスがあり、スピーリが懐かし気に手摺に手を掛けた。
「この先に主様の書斎があるんですよね……っと、いけない。待ち伏せをするんでした」
 待ち伏せと言うからにはまずは姿を隠すところから、とスピーリは手にした本体から伸ばした鎖を己に巻き付ける。巻き付けずとも、触れているだけでいいのだが……まぁあれです、セルフ緊縛&マジックミラー的背徳感みたいなあれ。
「さ、これで身を隠すのはいいとして……ああ、やはり感じます、『そこかしこからの視線』を!」
 突き刺すような視線というよりは、どちらかというと盗み見られている……覗かれているという感覚。
「ええ、私がまだヒトの身を得ていなかった頃は、貴石の力をお借りしてよく主様を盗み見ていたものです」
 しみじみと言い、甘やかな溜息を零す。
「こういう感覚だったんですかねぇ、主様は」
 何処へ行こうとも付いて回る視線、常人であればとても落ち着くことなどできないような怪しい視線の気配。これが長期間続けば、確実に発狂するのではないかというような視線と言えば伝わるだろうか。
 でもスピーリからすれば見られているという感覚はご褒美、とてもイイ! と思いながらオブリビオン『セラフィムブラスター』が訪れるのを待った。
『何だ此処は、洋館か? はは、最後の最後にとうとうおかしくない異世界を引き当てたぞ!!』
 残念ながら、他の異世界とは別ベクトルみたいな感じでトンチキなのだが、そんな事とは知らぬセラフィムブラスターがどこから壊してやろうかと洋館の内部へ足を踏み入れた。
 途端、感じる視線にセラフィムブラスターが辺りを見回す。
『何だこの……視線……? ハッ、誰か隠れているのだな!? 出てくるがいい!』
 くく、あからさまな視線を向けていればバレバレだ! とセラフィムブラスターが自信満々で叫ぶ。それをにこにこと微笑みながら隣で眺め、スピーリはいらっしゃいませオブリビオン様! と心の中で歓待していた。
『隠れても無駄だ、出てこないならば蜂の巣にしてくれる!』
 脅し半分で叫んでも、誰も出てこない。それどころか、付き纏うような視線が増えたような気さえする。
 ああ、気丈に振舞ってらっしゃいますけれど、目が怯えていらっしゃいますね! 私自身の視線も感じて下さってますよね! 特別サービスしちゃいましょう!
 スピーリとしてはもう大盤振る舞いの気持ちで、魔眼の貴石の力を放つ。
『なっ!?』
 まるで金縛りにでもあったかのように、身体が動かない。焦るセラフィムブラスターの様子を眺めながら、たまに主様に構って欲しくてやったりしてたんですよねぇ、と過去の記憶にスピーリが浸る。
 浸っている間に、セラフィムブラスターの顔色がどんどん悪くなっていた、控え目に言ってもここはもしかしてホラーハウスなのではと思い始めたのだ。
 麻痺が解けると、怯えたチワワみたいな感じで辺りを恐る恐る見て回りだす。もう一回くらい麻痺らせてもいいですね、と思っていると、今度はスピーリに麻痺が入った。
 ぁっ!? って顔をして、じわじわと頬を紅潮させながら、この世界にいる私自身にも生身だから麻痺が飛んでくるんですねっ! と黒曜石のような瞳を煌めかせる。
 ああ、主様が感じた痛みが今っ! 私にもっ!! ありがとうございます、ご褒美です!! なんて感じ入りながら、麻痺が解けるまでその感覚を堪能した。
『も、もう帰るぞ! この屋敷は何か変だ!』
 誰もいないし、とっとと壊して帰ろうとしたセラフィムブラスターに、スピーリが姿をくらませたまま鎖による攻撃を放つ。
『ひっ!? やっぱり誰かいるのか!?』
 叫べど帰ってくるのは視線のみ、こっちかと視線を感じる方に向けば背後から鎖が飛んでくる。これは間違いない、ホラーハウスだとセラフィムブラスターは背筋を震わせた。
 実際はHENTAIハウスなのだが、知らぬが仏である。散々麻痺と鎖による攻撃を受け、泣きながら異世界を飛び出す頃にはM嬢みたいな事になっていたし、スピーリはスピーリで姿を隠す代償によりヘロヘロになっていた。
「ああ……っセルフで色々出来てしまうなんて、小さな異世界侮れませんね!!」
 ヘロヘロになりつつも瞳の輝きだけは失わない、この勝負スピーリの勝利――!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月15日


挿絵イラスト