7thKING WAR㉒〜三つ首竜の地獄唄〜(作者
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#デビルキングワールド  #7thKING_WAR  #東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』 


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#東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』


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●三つ首竜の地獄唄
「オ……? カオスの具現たるオレサマに挑戦者かァ? 久し振りダな。腕が鳴るゼぇ……って、これ違うよナぁ?」
 逆鱗を貫いた白羽の矢を鋭利な鋼爪の先で撮み、混沌の具現体、スーパーカオスドラゴンは、それが何かを推測した後、得心し、三つの竜頭で首肯した。
「オレサマが選ばれたって事は、もう一人は多分アイツだよなァ? 成程、コレは、全力で暴れ回るのに、絶好の口実だゼぇ! そうと決まれば、ヤることをヤらねえとナぁ!」
 混沌魔法によって世界にカオスの暴走をもたらした功績により、7代目魔王争奪戦に選ばれたニセ乱暴者は、これ見よがしに含み笑い、冷静に戦場となる集落や町々を割り出し、防衛網を築く。特に自身が赴く最前線の防衛拠点には、住民の好悪を把握した上で、最適な土産物を持って自らが訪れ、丁寧な立ち退き交渉を実施して回る。其れ等の地道な活動は見事、功を結んだ。
「アレだけで退くなんてな、ホント、チョロい奴等だゼぇ」
 誠実な感謝を胸中に秘め、約束した新都市と交通インフラの構想を練りながら、スーパーカオスドラゴンはニタリと嗤う。
「ゲヒャ〜ッヒャッヒャ! ヨク来たナ! と言いテェトコロだが、オレサマに挑もうなんザぁ、テメエ等には百年早ぇ! テメエ等がナニをヤろうとも、無駄だからヨぉ。ぜんぶカオスにしてヤるゼぇ!」
 住民が退避し、朽ち果てた市街地に、唸り声にも似た、混沌の歌が響く。それに詩は非ず、魔界全土から集結、増大し続けるカオスエネルギーによって、三つ首の鋼竜は、無限に力を高めていく。耐えきれなくなった地面が砕け、ビルが崩れようとも、地獄の詩が紡がれる。

●グリモアベース
「デビルキングワールドで7代目キングを決める為の戦争が始まった……問題の解決まで、もう少しみてえじゃな。皆、有難う」
 海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は、資料を配り、取り寄せた飲食物を自由に食べて良いと案内し、デビルキングワールドについて説明を進めていく。
「知っとる人はその辺の物でも食べながら、本題に入るまで聞き流しとって。さて、デビルキングワールドは、魔界とも呼ばれる世界で、悪魔って人種が暮らしとる。住人は大体オブリビオンより強えし、猟兵レベルの力量とユーベル・コードが使える……んじゃが、真面目で善良って言うのが特長じゃな。その所為で滅びかけたけー、デビルキング法が制定された。今回とは直接関係無えけど、これは4代目キングの時代に制定されとる。猟兵なら多分耳にしたことあると思うけど、今は猟書家の傘下に居るキング・ブレインじゃな」
 最も目的が見え辛い猟書家であるとぼやきながら、鎮は説明を続けていく。
「すまん。続けていくな。このデビルキング法は端的に言って ”悪い奴は格好良い” って物じゃ。事情としては、多分知っとる通り、今回の問題に繋がるが、初代キング、ガチデビルの悪意で、悪魔が滅びかけたけー、それに対抗する為の闘争心を生むためってのが主らしい。実際、勇者も居って、対立構造も出来たし、乱暴とは言え、一応は成功しとると考えるべきかなあ」
 情報が増えれば増えるほど分からなくなると、小休止も兼ねて、諦めた様に三色団子を囓る。
「そう言う訳で、真面目に悪事に励むのが一般住民って状況の世界じゃな。勿論、悪事を働けば働くほど尊敬されるけー、オブリビオンが悪事を働いたり、悪事を企んだりしとると喜んで無償で手伝うって状況でな。猟兵も大きな悪事を働く事が推奨される。こっちも今回はあんまり関係無えけど、一応知っといてな。文明は中世ヨーロッパ風じゃけど、技術はUDCアースと大差無え。貨幣精度はあるが、言った通り悪魔は皆大抵のこと出来るけー、意味を成してねえ。精々ワル度を測るバロメーターって感じじゃな」
 改めて資料を捲り、伝え忘れを確認した後、一つ頷いて、鎮は顔を上げた。
「本題じゃ。要は初代キング、ガチデビルがオブリビオンとして顔を出し、7代目を決める戦争に候補として選ばれた。侵略蔵書によって悪魔を洗脳して、他世界に輸出する計画を立てようる。悪魔は平均能力高え上に、監獄に収監されとる一部の悪魔なんかは、そう言う事に使われると、本当にやべえ。他世界の崩壊現象が容易に起きる。これは阻止せんといけん。じゃけー、良かったら、手を貸して欲しい」
 幸い、有力候補として白羽の矢が立てられた東西の魔王は非常に理知的だ。戦争の中段では無く、続行はこの二人の判断でもある。
「まあ、そんな戦争じゃけー、色んな事が起きとったけど、大体解決してくれたみてえで、本当に有難うな。今回は東のラスボス、スーパーカオスドラゴンを倒して貰う事になるよ。遠慮は要らんと言うか、状況的にも出来ん、と思う。それこそ人によるんじゃろうけど」
 スーパーカオスドラゴンは現在、老朽化の進んだ市街地で混沌魔法、カオス・メロディを詠唱し続けている。
「詠唱中はデビルキングワールド全土からエネルギーが集結して、無限に力を蓄え続けるよ。三つ首じゃけー、それぞれ役割が別れとる」
 一つ目はデスボイス、カオス・メロディの詠唱担当。二つ目は、口からカオスビームを放つ担当。三つ目は、ラスボスらしく真面目に猟兵を挑発する担当だ。
「言いてえ事は分かるよ……真面目よな。戦場も元々老朽化しとった市街地じゃし、何か丁寧に立ち退き交渉進めとるけー、誰も巻き込まん。ただ、強敵なのは確かじゃ、どれかの首にきちんと対応すりゃあ、勝機に繋がる筈じゃ。脱力しそうになると思うけど、なんだかんだ、そう容赦はしてくれんと思うけー、覚悟だけはしっかりな。宜しく頼む」
 最後に鎮は丁寧に頭を下げ、猟兵達を送る準備をし始めた。



●挨拶
 紫と申します。引き続き、【デビルキングワールド】より【戦争シナリオ】のご案内となります。

●シナリオについて
・シナリオ目的
 スーパーカオスドラゴンを倒す事(または無力化すること)です。

・ギミック
【戦場:老朽化の進んだ市街地】
 老朽化の進んだ現代チックなボロボロな市街地です。この区画はその様な趣でデザインされたのでしょう。スーパーカオスドラゴンが気分とテンションの赴くままに破壊を進めています。
(再建の為の解体作業を兼ねているのでしょう)

【強敵】
 とても強いです。後述する【プレイングボーナス】を意識した方が、良い結果を得られやすいです。

【プレイングボーナス】
 今回の戦場のプレイングボーナスは【3つの頭部、何れかに対応する】ことです。

【長大な三つ首】
1:デスボイス(カオス・メロディ)の詠唱担当
2:口からカオスビームを放つ担当
3:ラスボスらしく真面目に猟兵を挑発する担当

 それぞれ、この様に分担されております。スーパーカオスドラゴンは非常に大きく、遠目からでも一目で、どの首がどの担当なのか、判別出来ます。

●その他
・強敵です。プレイングボーナスを意識しつつ、好きに動いてみて下さい。

●最後に
 なるべく一所懸命にシナリオ運営したいと思っております。
 宜しくお願い致します
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第1章 ボス戦 『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』兇』

POW ●ウルトラカオスレイジ
【湾曲した無数の角や爪を生やしたカオスな姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD ●ダブルカオスビーム
【詠唱している口以外の2つの口】から、戦場全体に「敵味方を識別する【カオスビーム】」を放ち、ダメージと【ランダムな効果】の状態異常を与える。
WIZ ●カオティックデスボイス
【『悪魔ならカオスに染まれ』】の主張を込めて歌う事で、レベルm半径内の敵全てに【敵味方識別不能】の状態異常を与える。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


鐘射寺・大殺
あやつが噂の東のラスボス、スーパーカオスドラゴンか。
勢い任せなように見えて、かなり用意周到な作戦を立てておるな。
三つの首をちゃんと使い分けるとは、器用な奴よのう!

吾輩メタルは好きだからの、奴の歌はBGM代わりに聞き流して、
ビーム攻撃に対応しようかのう!
【メタリックデビル】を発動させ、自身を巨大な悪魔ロボットへと
変身させる。空中を飛翔し、一気にスーパーカオスドラゴンの元に
接近していくぞ。
相手は当然カオスビームで迎撃してくるだろうから、
そのタイミングに合わせてこちらも正面から破壊光線を発射。
閃光がさく裂した瞬間、旋回して側面から回り込む!
一気に加速してから、狙うは暗黒剣での近距離《重量攻撃》よ!


アルテミシア・アガメムノン

ほほほ、流石は魔界随一のニセ乱暴者さん。
見事な前準備です。お陰様でわたくしも遠慮なく暴れられますわね!

『氷獄の魔帝』を発動。真の姿へ。
変身後の強さは無限の魔力に比例……つまり、無限の強さです!
相手をするのは詠唱担当にしましょうか!

質問です。悪魔ならカオスに染まれと仰いますが、何故でしょう?
行き過ぎたロウなどディストピア感ありありでワルだと思いません?

等と質問すれば律儀なので多分、歌が止まるんじゃないかしら?

まあ、そんな隙をつきつつも歌は【氷獄】の魔法(全力魔法)を以て空気の振動を凍結。歌が響くのを防いだ上で『クロノスの大鎌』を振るって首を刈りましょう!


ベルベナ・ラウンドディー
時限爆弾を周辺散開後に急速離脱
市街地を粉塵にするまで【爆破】を続けるなか、【敵を盾にする】位置から強襲に臨む
粉塵で歌唱、視界を封じたセルフ挟撃強襲ですよ

挑発担当よ、暢気に歌わせていい場合じゃないでしょう?
首は三つ、体は1つ
そいつの口に瓦礫が入れば貴方もただではすみませんよ?

ユーベルコード使用、生命波動のボールで「回数重視」の砲撃を行う
逆鱗の部分を矢が貫いてくれた?…優秀な予知者で助かりますよ
左右に揺さぶり【体勢を崩す】
動き回る奴の体からその部分を【視力・情報収集】で探す
急所が見つかれば「命中重視」の球種に切り替えブチ放てばいい!
いかに超耐久と言えど逆鱗を貫ける急所であれば狙わぬ手はあるまい


バルタン・ノーヴェ
POW ◎
アドリブも絡みも歓迎!

何という(ニセ)乱暴者!
この街(崩壊済み)の平和を守るためにも、立ち向かいマース!
おっと。(口の端の食べ残しを拭いて)
勝負であります!

せっかくの市街地戦ということなので、地の利を利用しマショー!
幸い、スーパーカオスドラゴン殿は大きいし、場所はすぐ特定できマース!
狙える廃ビルを見出したら、屋上からアームドフォートを展開してカオスビームを放つ首にめがけて一斉発射!

「六式武装展開、氷の番!」
装填している必殺の弾丸は、相手の血液を凍結させて氷の棘を形成する文字通りの殺す技!
デスガ、ラスボスであるこの方なら大丈夫デショー! サイズもビッグデスシ!
足止めならぬ口止めデース!


村崎・ゆかり
あら、なんだか調子に乗ってる人がいるわ。
ハロー、元気がいいわね。何かいいことでもあったのかしら?
でも、そのラックもここで尽きる。あたしに会っちゃったんだからね。
あなたの楽しい時間はもうお仕舞い。

こういう相手なら、化血陣で行きましょう。
さて、このデッキの中から抜き取ったカード、一体何かしら?
スーパーでカオスなあなたなら、透視ぐらい余裕でしょ?
(答えは常に白紙)

はい、アウト。ってわけで、ファンシーなぬいぐるみになってちょうだい。
後は無抵抗な相手に殴る蹴る突き刺すの蹂躙をしてあげるわ。ストレス発散に丁度いい。元に戻るまでの間、口にするのも憚られる暴虐無人をしてあげる。

皆も一緒にどうかしら?


出水宮・カガリ
【箱庭】ふぃだ、西洋鏡のと

これは……かおすの解体らいぶ……というやつ、なのかな……?

カガリはカオスビームを引き受けよう。
兆候があれば、『鉄門扉の盾』を【錬成カミヤドリ】で最大枚数展開して仲間を囲うぞ。
当たらなければおかしく(状態異常)なることもあるまい。
『不落の傷跡』『拒絶の隔壁』『隔絶の錠前』で強化しておく。
返せそうなら、カウンターでの反射も試してみよう。
(結界術、オーラ防御、拠点防御、盾受け、念動力、限界突破)

カガリはかおすというより、境界を定める門なのでな。
ぼすの律儀な所は、嫌いではないがなぁ。
箱庭の掟に満足するものは、それを壊そうとはしない。
安寧を破る英雄とは対極で、カガリは好きだぞ。


フィッダ・ヨクセム
箱庭】

デスボイス詠唱頭狙いだ
化術を利用して自身の姿を半分獣の姿へ変える
「俺様は悪魔より妖怪の方が近ェんだよ!」
普段魔法を使う詠唱はしないが
今日はララバイを謳うように朗々馬鹿笑いしながらUCの準備を仕込む
「デスボイスじャ耳障りだろーがよ!」
フレーズ在りで詠唱するッてんなら律儀に否定する詠唱だ
俺様の魔術(UC)とは何の因果関係もない

ただ、俺様はこれでもバス停
因果が無ければ、縁を導いて結ぶ(殴る)だけ
敵味方識別出来なくなるッてんなら
俺様の(獣)耳が拾う一番うるさい奴の口をUCで閉じさせる
どうだい、主張を遮る俺様はワルの中のワルだ

ニィと口角あげて笑ッておく
鏡吾の言葉なんて、マジその通りだろ!ハハハ!


禍神塚・鏡吾
【箱庭】
挑発の首を担当

味方の流れ弾は火炎耐性で防ぎつつ、東のラスボスに挑発を返します
目的は論戦ではなくUCの発動です
敵が共感せず味方が共感すればOK

「魔法の威力に冷静な判断力、細やかな気配り
成程貴方は王の器の持ち主です
然し諦めなさい
貴方は新時代を拓く王とはなれません」

淡々と語ります

オブリビオンはデビルキング法を逆手に取って勢力を伸ばした
法制定の発端、ガチデビルは猟兵が倒す
ならばこの法の意義を捉え直す改革が新王の第一の仕事になる筈

だが、カオスを主張しつつ彼の心は秩序と共にある
混沌を齎す前に近隣住民を避難させ、挑発も真面目さが言わせているだけ
「優等生は変革者たり得ません
わかりますか? ニセ乱暴者」


●作戦会議
「あやつが噂の東のラスボス、スーパーカオスドラゴンか。勢い任せなように見えて、かなり、用意周到な作戦を立てておるな。三つの首をちゃんと使い分けるとは、器用な奴よのう!」
 魔界でごくたまに開催されるデスメタル・フェスさながらの圧倒的な音量と、遠目にもはっきりと映る竜の姿に大笑し、詰襟姿の鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)は羽織っている赤い外套を翻す。
「本当、見事な前準備ですこと。流石は魔界随一のニセ乱暴者さんですわ」
 アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は市街地の洋装をひとしきり眺めてから、穏やかな笑みを浮かべた。
「いくら魔王候補に選ばれたとは言え、なんだか調子に乗っている様に見えるのは、あたしだけかしら……?」
 荒れ果てた市街地に響く、大音量の詠唱に耳を抑えながら、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は迷惑そうに顔を顰めた。
「あら、ゆかりさんの耳にはお気に召さない様ですわね?」
「この機会にデスメタルには慣れておくと良いぞ。あれは実に良い文化である故な!」
「付いて行けない世界だわ……で、二人はどうするのかしら」
「吾輩メタルは好きだからの。ビームを吐く首めに対応しようかのう! 目には目を、力には力を、デカブツにはデカブツを、と言った具合にな。派手に行かせて貰うぞ」
「実際、わたくしも遠慮無く暴れらる環境ですからね」
 思案する様に顎を軽く撫で、アガメムノンは改めて、ゆかりの方に視線を遣る。
「では、折角のご縁ですし、ゆかりさんさえ良ければ、共謀と言うのは如何でしょう?」
「わざわざワルっぽく言わなくて良いわよ。宜しくね、アガメムノン。あたしは陣の展開だけど、貴女は?」
「提案の快諾、感謝致しますわ。わたくしも同じ様なものですから、陣の概要について、お伺いしても宜しいかしら?」
「OK、じゃあ、やることだけ話すわね」
「後ろの心配は要らぬか。頼もしい限りよ」

●9番目
「何という乱暴者! この街の平和を守るためにも、立ち向かいマース! おっと」
 モノトーンの給仕服を乾いた風に揺らめかせながら、好物の食べ残しを白手袋を嵌めた腕で雑に拭う。一見正義の様に見える言動は、敵方の準備と、老朽化し、崩壊し掛かっている建造物の数々を見れば、まるで筋が通っていない。淑やかな服装も、艶やかに結わえられた若草色の三つ編みも、怪しい言動と仕種で台無しだが、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は特に気にした様子も無く、浮遊させたギアモノクルと集音センサで、周囲の状況を滞り無く探っていく。
「皆さんはその様に動くのデスネー! それから高速移動する生体反応が一つデース! これの意味する所は、つまり、事件は現場で起こっていることデショー……幾ら何でも仕掛けるのが早過ぎでありますが、トラップ戦術で有りますね。何となく同類の気配がしマース! それではいざ、勝負であります!」
 自身の役割を後方からの火器支援と決めていたノーヴェは、靴に仕込んだ推進機構を起動させ、瓦礫の間を駆け抜ける。

●者・物・モノ
「これは……かおすの解体らいぶ……というやつ、なのかな……?」
 紫の瞳で、状況を見据えながら、のんびりとそんな事を口にする。出水宮・カガリ(死都の城門・f04556)、の整った顔立ちに残る痛々しい傷跡を、気にするモノは此所には居ない。
「大体合ッてる。たぶん、おそらく」
 良く見ずとも、隈が残る赤茶の瞳、口元をマスクで隠したフィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)は、カガリに気怠げに返答しながら、陣の刻まれたスマートフォンの保護カバーに触れ、小さな声で起動せよ、と封印している心臓を呼び覚ます。赤白の塗料とコンクリートの台座で誤魔化された、軸の歪んだ詠唱銀に、フィッダは手慣れた様子で回転動力炉を取り付ける。
「良い挑発ですね。是非、丁寧に返していきたい所です」
 感情を感じさせない、何処か暗い微笑みを湛え、禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)は人差し指を立て、自身の周囲に無数の金属板を出現させる。
「ふむ、ふむ。では、カガリはビームの首を引き受けよう」
「デスボイス詠唱狙いだ。耳障りで仕方ねェ……!」
「他の方も準備を終え始めている様ですし、私達はカガリさんに合わせて動くとしましょう」
 そうして、三つの影が、崩壊を続ける市街地で動き出す。

●倒壊破嵐
 白亜の竜頭に緑の鬣を靡かせながら、崩壊を続ける市街地の物陰に身を隠しつつ、時限爆弾を設置し、熱量を持つ生命波動によって着火。離脱を繰り返す。腹に響く重低音も、視界を遮る噴煙も、気にする様子も無く、ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)は市街地の建造物を躊躇無く爆破し続ける。
 立ち込める黒煙が十分に達した所で、高層建築物に爆弾を仕込み、物陰から、三つ首竜の死角へと紛れ込む。
「挑発担当よ、暢気に歌わせていい場合じゃないでしょう?」
「ハッハァ! 御陰で喉がガラガラするぜェ! 細工は流々って感じだなァ? ご苦労サン!」
「戯言を。首は三つ、身体は一つ。そいつの口に瓦礫が入れば貴方も、只では済みませんよ?」
 着火。派手な爆発音と共に、高層建築が目標の頭上へと崩落する。掌よりも少し大きい、緑色の光弾を練り上げ、目標を囲う様に展開し、一斉射。
(資料では逆鱗を矢が貫いたと。情報を纏めてくれた皆様に感謝しますよ)
 潰えた視界で襲来する首三つを交わし、竜翼をはためかせ、高速の三次元軌道を維持、首を左右に揺らし、僅かに重心が崩れた所で、それがハッキリと視界に映る。
(……見えた!)
 たった一つ、変幻自在の軌道を描く光弾が、螺旋を描き、巻き付くように、喉元の逆鱗を捉え、穿つ。
「何でか良く勘違いされるんだがよォ……オレサマのコレは弱点でも何でも無ェんだよなァ……目論見が外れて残念だったなァ! 」
 資料に目を通したのならば、白羽の矢が逆鱗に突き立った時の反応を、もう少し重く受け止める必要が有った。報せとは言え、あれは曲がりなりにも、魔界の裁判長によって放たれた魔法の矢である事も、考慮すべきだった。
「そもそも、瓦礫で傷付く様な身体なら、こんな事してねェんだよォ! ゲヒャ〜ッヒャッヒャ!」
「……いいえ、私の目的は、十分に果たされました」
 ベルベナは潔く前戦から離脱し、姿を変貌させていく三つ首竜の鉤爪から逃れ、再び、物陰へと身を隠す。
「そうだのう! 御陰でこの様に、斬り込み易くなったからの!」
 全長14mの鉄の悪魔へと身を変じた大殺が、黒煙を切って竜へと肉薄する。淀みなく鉄の悪魔を捉え、放たれた光線に、鉄の破壊光が鬩ぎ合う。
(何とも、これは凄まじい……!)
大殺は迫るエネルギーの大きさに、強く歯を噛んだ。機体に達する寸前で、拮抗し続けたエネルギーが負荷に耐えきれず、炸裂する。灼光が周囲を呑み込む中、鋼の悪魔は黒色の諸刃を構え、旋回。側面に滑り込む。
「これが、吾輩の乾坤一擲よ!」
 圧倒的な質量。火の構えから、無骨な暗黒の諸刃が一閃。研がれた筈の刃は意味を成さず、ただ、鈍い音を響かせる。
「あァ、確かに、痛かったぜェ……実際、オレサマと真っ向から力比べでココまでってのは大したモンだ。テメェの名は覚えといてやる。さァ、それで次の手はあんのかヨ? まさかコレで終わりなんて、シケたコト言わねぇよなァ!」

●メイド・メイク・アイスローズ
「皆サン本当にグッジョブデース! 御陰で特等席を簡単に確保できたのデース。バッド……洒落になっていない頑丈さで有りますね」
 倒壊を免れた廃ビルの一角、アイセンサ内部に投影されるタスク・スケジュールを把握しながらら、身体に格納していた携行型固定砲台、遠距離武装を展開し、照準をギアモノクルを通し、定めていく。
「派手に参りまショー。六式武装展開、氷の番!」
 腹に響く重低音。大口径の鉋台が、黒煙と共に砲弾を一斉に吐き出し、宙空に弧を描く。直後に灼光と衝撃の余波、着弾音。押し寄せる情報を、ノーヴェは全て把握していく。
「全弾命中。さあ、お楽しみはこれからデスヨー!」
 此方を瞬時に認識し、口中に放り込まれた凝血弾頭が口内で静かに炸裂する。入り込んだ血液冷凍弾は有無を言わさず血管を瞬く間に支配し、体内に氷状の茨を形成する。体組織を引き裂き、凍結する首は、氷結を口から垂らしながら、それでも哄笑を絶やすことは無く、首が下がる事も無い。
「流石デース……」
 目を見張る耐久力に、ノーヴェは今後のために、別の切り札を今から模索し始めた。

●善戦維持
「あれでもまだ、折れぬのだなぁ。此所より先は不落の境界。隔絶の城、高き壁、錠前を以て、定めよう」
 感心した様に目を閉じて、カガリは117の小型の城門扉を展開し、草花の彫刻が施された錠前で疑似世界ごと隔て、施錠する。直後に吐き出されたカオス・エネルギーは突如出現した理自体を消滅させんと食らい付く。
「……なるほど、”かおす” とはつまり、元に戻す力、なのだな」
 遙か過去の果ての果て、辿れば骸の海も通り過ぎるであろう、原初の状態に遡行する力だと、真っ向から受け止めたカガリは、直感的に理解した。そして、増大し続ける筈の力が、先程よりも弱まっている事も。
(耐えることは出来ても、返せるものでは、ないなあ……)
 世界を隔絶し、境界を定める城門の性質と、世界ごと回帰させ、無力化する混沌は、余りにも相性が悪い。衰えた筈のエネルギー波ですら、容赦無く、安寧を齎す壁に浸透し、桜花となって少しずつ散って行く。
「魔法の威力に冷静な判断力、細やかな気配り、成程、スーパーカオスドラゴン、貴方は確かに、王の器の持ち主です」
 少しずつ崩れ行く境界で、後ろ手に纏めた銀髪を靡かせながら、鏡吾は挑発をする首に向け、楕円形の西洋鏡を向ける。すると中の鏡が、淡々と語り始めた。
「オブリビオンはデビルキング法を逆手に取って勢力を伸ばした。法制定の発端、ガチデビルは猟兵が倒す。ならば、この法の意義を捉え直す改革が新王の第一の仕事になる筈。だが、カオスを主張しつつ、彼の心は秩序と共にある。混沌を齎す前に近隣住民を避難させ、挑発も真面目さが言わせているだけ」
「オ?」
「優等生は変革者たり得ません。分かりますか? ニセ乱暴者」
「……オレサマが体得したカオスの深淵は、ソッチじゃねーんだよなァ! そもそも秩序の無ェ世界で善悪なんて誰が決めてんだァ? 結局なにもかも、其処に居る奴等の、主観と誰かの都合で、何となく、勝手に決まって行くモンだぜェ!」
「……五月蠅ェんだよ。良い加減にしろよ手前ェ……何で、よりによってデスボイスなんだよ。耳障りだろーが!」
 化けた人型の鬣犬が、喉を唸らせ、並べられる言葉を否定する。ララバイの旋律の様に紡がれる朗々とした馬鹿笑い。心臓に取り付けた動力炉が回転する。狐火が消し飛んだ地面に真円を描く。
 規則 時刻表通りに事を運べ
 定刻は俺様だけが識る
 炎のデッドラインで示そうか
 識らない安寧の日々が、続くように
 識らずにいる木漏れ日が、ダレかに注ぐように
「俺様が在る限り、規則や秩序は、此処にある……!」
 紡がれるのは、子守歌にも似た、唸り混じりの馬鹿笑い。フレーズに意味を込めながらも、その唄の意味はフィッダのみが解する物だ。呼応して描かれた法陣、高温のデッドラインが三つ首竜の身体ごと、戦場を包囲する。耳が拾う五月蠅い口を、炎を介して操作し、無理矢理閉じさせる。
「どうだい、主張を遮る俺様はワルの中のワルだ! 反論してるケドよォ、鏡吾の言葉なんて、マジその通りだろ!」
 口角を釣り上げて、鬣犬は犬歯を覗かせて得意気に嘲笑う。同意する事によって発せられた鏡吾の力を得て、詠唱は完全に鎖されていく。
「カガリは境界を定める門なのでな。ぼすの律儀な所は、嫌いではないがなぁ。安寧を破る英雄とは対極で、カガリは好きだぞ」
 鬩ぎ合いを続けながら、力が緩んだ所で、カガリは首肯する。
「いいぜェ……的確だぜェ、手前ェ等は確かに強ェ! 戦争(祭り)は、こうでなくっちゃあなァ!」

●黄金の粘土
「どの様なお祭りにも、終わりは訪れるものです。カーテン・コールと参りましょう」
 劇場の主役は自分で有ると言わんばかり、遠目で鬩ぎ合う彼等へと、大仰に一礼する。同時に、六対十二枚の翼を持つ熾天使へと自らを転身し、アガメムノンは瞬時に戦場を黄金色の魔力で満たし、共謀相手と法陣の構築と、力の経路を同期する。
「まるで、黄昏色の海ねぇ……」
「無限を自称できる程度には、量も質も保証しておりますよ」
「頼もしいけれど、スケールが違い過ぎて酔いそうになるわ……良いけど。古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。これなるは遊興の知ろしめす世界。生死も運命の振る賽に過ぎぬ。ここにて運を消尽し、果てよ」
 霊力を練り上げる必要も無く、自身の霊力が削れる感覚も無く、自由に黄昏色の粘土と化した空間を捏ね、作り替える。描かれる五芒星は当然の様に黄金色に染まり、陰陽魚は曖昧な境界を自由に泳ぐ。それが呪であると、ゆかりが認識するのは、難しい者が在った。
「あまりにも、これは簡単過ぎるわ。疾!」
 世界を如何様にも変え得る力は、自身の手には余る事を実感しながら、ゆかりは戦場を思う通りに作り替える。最早結界と言う代物では無く、小世界の構築の域に達した広大な黄金造りのカジノの住民は見慣れた怨霊では無く、この世界が現存する間、生を獲得した、魔界の住民の姿を得た、歴とした生命体だ。
「さあ、皆様、ご注目。これからが目玉の勝負事、ゆかりさんとスーパーカオスドラゴンさんのカード当て、で御座います。イカサマなどは一切、御座いません。ただし、規定時間の間、口頭で回答が不可能な場合、敗北と致します。敗北された方には一寸した罰ゲームも有りますので、見応えも有るでしょう、さあさ、皆様、ベットを!」
(あたしが言えた事じゃ無いけど……本当、エグいわねぇ)
「今、このデッキの中から抜き取ったカード、一体何かしら? あなたなら、透視ぐらい余裕でしょ?」
 問い掛けと同時、空気振動が凍結する。賭博場の喧噪は誰の耳にも通ること無く、無理矢理、炎によって閉じられた口から僅かに漏れ聞こえるデスボイスも、口が僅かに上下するのみだ。規定の時間が過ぎた後、二指で見せられたカードは、愛用している白一色だ。
「スーパーカオスドラゴンさんの無回答により、勝者はゆかりさんとなりました! それでは、お待ちかね、罰ゲームの時間ですわ」
 空間に満ち、溢れ出しそうな黄金色の魔力が、巨躯に押し付けられ、包み込み、身体を作り替えて無理矢理、圧縮する。両掌に収まる、緑色のスーパーカオスドラゴン縫いぐるみに作り替えられ、スーパーカオスドラゴンは、いよいよ、腹の底から楽しそうに嗤う。
「所で、行き過ぎたロウなど、ディストピア感ありありで、ワルだと思いません?」
「一理あるが、それは少し捻くれすぎてるぜェ。皆、行き過ぎたロウに行き着くような奴等じゃないぜェ。何だかんだ、この世界、オレサマは好きなんだがなァ。ただ、他世界に行っても、スケール感が絶対合わねェし、互いに迷惑なだけだとは思うぜェ」
「それは、その通りでしょうね」
「どうも、気軽に煮るなり焼くなり出来る様な縫いぐるみじゃ無さそうねえ」
「この姿を解けば、直ぐに元に戻りますわよ」
「でも、五月蠅かったのは事実なのよね、少しだけストレス発散させて貰っても良いかしら?」
「あぁ、まァ勝者の権利だ。少しなら、好きにすると良いぜェ! それから、オレサマに出来る範囲なら、何でも願いを3つくらいまで叶えてやるぜェ!」
 本人に了承を得てから、三つ首竜のミニ縫いぐるみの竜頭三つの顔を、一つずつ両手で数回引っ張って、ゆかりは溜飲を下げた。

●終幕
 鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)は広大な黄金色のカジノで縫いぐるみと化したスーパーカオスドラゴンに、握手とサインを求めた。
 ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)は無害化を確認すると、少しだけカジノで遊び、持ち前の洞察力で稼いだ後、何時の間にか姿を消した。
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は暫く賭博場で用意された遊戯をひとしきり楽しんだ様だ。儲けたかどうかは彼女のみが知る事だ。
 出水宮・カガリ(死都の城門・f04556)、フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)、禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)は、置かれた状況を理解し、先ずはスーパーカオスドラゴンの姿を確認した。敗北を素直に認め、一時ではあるが縫いぐるみと化し、鷹揚な態度の竜を、どう扱い、どの様な事を語り合い、何を望んだかは、彼等のみが知る事だ。
 ゆかりは何となく、白一色の霊符越しに、羅睺に語り掛けた。あの様だったのかと。意外にも、そこまで潤沢では無かったと、否定の言葉が返って来た。弱音みたいなモノであり、内緒にして欲しいと、珍しく拝み倒され、ゆかりは思わず吹き出した。
 アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)はひとしきり、皆がカジノを楽しんだ所で、何時もの姿に戻る。同時に、縫いぐるみ化が解け、スーパーカオスドラゴンは元の姿に戻り、単独での解体工事に戻って行く。
 七代目魔王を決める戦争の結末は近い。猟兵達が何時もの日常に帰るのは、そう遠くない未来だろう。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2022年05月17日
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