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ゴーストタウン浄化作戦:北海道美唄市給食センター

#シルバーレイン #【Q】 #ゴーストタウン #廃墟めぐり

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#シルバーレイン
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#【Q】
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#ゴーストタウン
#廃墟めぐり


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●帰らずの廃墟
 北海道美唄市。
 かつて、そこには1970年代より、食品関係の大きな施設があったという。開業時期は不明だが、当時は主に学校の給食を作っていたようで、かなりの規模を誇る施設だった。
 だが、やがて時が流れ、少子化に伴い施設はいつしか廃業した。2000年を過ぎた頃には廃墟と化し、現在は敷地の大半を草木に覆われ、積雪により倒壊したと思しき給水塔や、放置された廃車なども残っている。
 そんな廃墟と化した施設には、奇妙な噂がつきものである。
 曰く、興味本位で施設跡地に入ったモーラット達が、1体も却ってこなかった。
 曰く、夜な夜な施設跡地から、人の悲鳴が聞こえて来た。
 それらの噂を聞きつけて、新たな廃墟マニアや心霊スポットマニア達が施設に足を踏み入れたが……彼らもまた、誰一人として、生きて帰っては来なかった。

●給食センターは人を喰う
「北海道の美唄市で、ゴーストタウン現象が確認されたみたいだね。既に犠牲者も出ているみたいだし、これは放ってはおけないんだよ」
 その日、穂村・耶子(甘党残念剣士・f35497)から告げられた、ゴーストタウン現象発生の報。シルバーレイン世界では、人のいなくなった廃墟や廃村などが、時として危険なゴーストが跋扈する異界に変貌するらしい。
「このゴーストタウン現象を引き起こしているのは、間違いなくオブリビオンだね。能力者でも、猟兵でない人だと手に余る相手だから、君達の力を借りたいんだ」
 耶子の話では、現象が確認されたのは、かつて美唄市にあった給食センターの跡地だという。今ではすっかり寂れて廃墟と化し、怖い物見たさに訪れる廃墟マニアや心霊スポットマニアもいるようだが……当然のことながら、足を踏み入れた者達は、誰も帰っては来なかった。
「他にも、美味しそうな匂いに釣られて施設に入った野良モーラット達が、そのまま行方不明になったなんて噂もあるんだ。元が給食センターだから……まさかと思うけど、みんな給食にされちゃったとか!?」
 あまり想像したくはないが、ゴーストタウンを牛耳るオブリビオンゴーストの性質によっては、さもありなんという話である。実際、この地にはオブリビオンゴーストの犠牲者となった者達の残留思念も渦巻いており、彼らは新たに廃墟を訪れた者達を、自分達と同じ目に遭わせようと襲い掛かって来る。
「残留思念といっても、相手はオブリビオンじゃないからね。猟兵や能力者の攻撃なら普通に倒せるし、上手く説得すれば、そのまま消滅させられるかも……」
 もっとも、これはあくまで前哨戦。廃墟の奥には、より危険なオブリビオンゴーストが跋扈しているはずなので、それらと戦う際に油断は禁物。
「僕も詳しくは分からなかったんだけど……なんだか、モーラットみたいな影が見えたよ。ただ、本物のモーラットじゃないみたいだから、可愛い見た目に騙されないようにしないとね」
 それら、全てのオブリビオンゴーストを統括する存在は、廃墟の最深部に隠れ潜んでいるらしい。未だ正体は不明だが、大量の血が付着した壁や床が予知されていることから、話し合いで解決できる相手ではなさそうだ。
 このまま放っておけば、更なる犠牲者が出ることは確実。そうなる前に、なんとしてもオブリビオンゴーストを撃破し、ゴーストタウン現象を鎮めて欲しい。
 そう言って、耶子は猟兵達を、北海道の美唄市へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 北海道の美唄市で、ゴーストタウン現象が確認されました。
 場所は、かつての給食センターの跡地です。
 内部に潜むオブリビオンゴースト達を撃破し、この地を浄化するのが最終目的になります。

●第一章(冒険)
 犠牲者達の残留思念が渦巻く場所を突破します。
 力技で強行突破しても構いませんし、説得や浄霊によって消滅を狙っても構いません。

●第二章(集団戦)
 廃墟内を徘徊するオブリビオンゴーストの群れと戦います。
 敵の正体は、現時点では判明していません。
 ゴーストタウン内部の地形を上手く利用して戦うと、プレイングボーナスが得られます。

●第三章(ボス戦)
 廃墟の最深部で、事件の元凶であるオブリビオンゴーストと戦います。
 血の大量に付着した床や壁が確認されている以外、敵の正体は分かっていません。
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第1章 冒険 『負の残留思念が渦巻く場所』

POW   :    力尽くで残留思念を倒す

SPD   :    言葉や行動で残留思念の負の感情へアプローチする

WIZ   :    神秘的な力で残留思念を祓う

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴乃宮・影華
給食センターかぁ
銀誓館は購買・学食だったので、私には縁が無かった施設です

E『野良モーラットが給食にされちゃったかもですって!怖いわねぇ』

そうね、あの子達ほぼ毛玉だから
あんまり美味しくなさそう

E『…………』


『サルウェ』からE.N.M.Aの何とも言えない思念を感じますが
まずは残留思念の対処ですね
指定UC起動
「皆――全部食べていいよ」
蟲達には思い思いに飛び回ってもらい、思念を食い荒らしてもらいます
私は『大蘭華』で呪殺弾の弾幕を張って強行突破
とりあえず奥に行けば何かあります、ゴーストタウンはいつもそうでしたから


ところで『錬銀』をパッパと振りかければ思念が詠唱兵器に……ならないでしょうね、多分



●ゴーストタウン・リターンズ
「給食センターかぁ……」
 廃墟へ足を踏み入れるのと同時に、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は、かつての自分の学び舎でのことを思い出していた。
 銀誓館学園では、昼食は購買か学食で済ませるのが基本だった。給食は存在しなかったので、影華には給食センターも縁のない施設だ。
「野良モーラットが給食にされちゃったかもですって! 怖いわねぇ……」
「そうね……あの子達ほぼ毛玉だから、あんまり美味しくなさそう」
 AI端末から発せられた言葉に、影華は率直な感想を返す。
 いや、もしかしなくても、モーラット食う気かよ!?
 さすがに、ドン引きしたのか……どうかは分からないが、AI端末はそれ以上何も言わなかった。そして、そんな会話に割り込むかの如く、多数の残留思念が姿を現す。
「うぅ……た、助けて……くれ……」
 それは、時にゴーストの犠牲者となった哀れな者達の成れの果てであり。
「グルル……グゥゥ……」
 また、よくよく見れば複数の動物の頭や身体が寄せ集まって作られた、奇怪な肉塊も混ざっていた。
「まずは残留思念の対処ですね」
 大元を叩くにしても、目の前の障害を払わねば先に進めないと判断し、影華は黒き蟲の群れを召喚する。学生時代から彼女の相棒を務める、全てを食らい尽くす黒燐蟲を。
「皆……全部食べていいよ」
 襲い掛かって来る残留思念の群れを、影華は黒燐蟲に食らわせながら突き進んで行く。それでもなお、目の前に立ちはだかる相手には、ライフルから呪いの弾丸を発射して蹴散らして行く。
「道が開けましたね。とりあえず、奥へ行けば何かが分かるはずです」
 かつて、自分が銀誓館で戦っていた時も、ゴーストタウンというものはそう在った。ついでに、残留思念に詠唱銀を振りかけてもみたが……残念ながら、こちらは詠唱兵器になることはないようだ。
 オブリビオンゴーストの生み出すゴーストタウンは、影華の知っているゴーストタウンとは、少しばかり勝手が異なる部分もあるらしい。ならば、この先も油断はでいないと気を引き締めつつ、影華は朽ち果てた給食センターの内部に足を進めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

穢宮・風月
WIZ

この世には…なまじの覚悟で入り込んではいけない「場所」がある…
同情します…けど、こうなってしまった以上どうしようもありません。
せめて…わたしの力で根こそぎ祓って差し上げます…

スーツの懐から取り出した土蜘蛛神札の束を扇状に広げ、念を込めると、札の一枚一枚が体の周囲を円の軌道に沿って回り始める

参ります!

そのまま犠牲者達の残留思念に突っ込み、破魔の力で除霊開始
敵の攻撃を忍びの体術「忍体術」で華麗に避け、受け、流し、印を結んだ指先で目標を指すことで神札を飛ばして祓う

祓い給え、清め給え、神ながら守り給え、幸わえ給え…

祝詞を唱えつつ、廃墟にローファーの靴音を響かせ駆け抜ける
とどめは破魔矢迅雷撃で一掃



●禁忌に触れた代償
 生暖かい風が、廃墟と化した給食センターの跡地を吹き抜ける。
 穢宮・風月(巫女忍・f36880)の前にもまた、この地に未練や痛みを残す、数多の残留思念が現れていた。
「この世には……なまじの覚悟で入り込んではいけない『場所』がある……」
 禁足地。それは、何の力も持たない者が、迂闊に足を踏み入れてはいけない禁断の場所。本来であれば、それらは忌み地とされ封印を施された上で、誰も近寄れないように結界や囲いがされるはず。
 だが、オブリビオンゴーストの出現によって再び多数のゴーストタウンが発生するようになった今、日本全国の様々な場所に、禁足地が出現する可能性があった。
「同情します……けど、こうなってしまった以上どうしようもありません。せめて……わたしの力で根こそぎ祓って差し上げます……」
 問答無用で襲い掛かって来る残留思念の攻撃を軽く避けつつ、風月はスーツの懐から土蜘蛛神札を取り出した。束になったそれを扇状に広げて念を込めれば、神札はまるで生きているかの如く浮遊し、風月の周囲を周回し始め。
「……参ります!」
 そのまま犠牲者達の念の中へ飛び込めば、弱い相手は神札に触れただけで消滅して行く。オブリビオン化したゴーストであればまだしも、単なる残留思念では、風月の使う神札の前には赤子同然。
「祓い給え、清め給え、神ながら守り給え、幸わえ給え……」
 印を結んで神札を飛ばせば、それらは風月の狙った目標へ寸分狂わず飛んで行き、命中した相手を消滅させた。だが、それでも敵は無駄に数だけは多い。進めば進むほどに、奥から大量の残留思念が湧いて出る。
 これは、個々に片づけても埒が明かない。ならば、同一直線状に並び立つ目標を、纏めて消滅させるのみ。
「つみといふつみはあらじ……と!」
 瞬間、稲妻を纏った破魔矢が駆け抜け、風月の進むべき道を切り開いた。渦巻く残留思念の向こう側。廃墟と化し、魑魅魍魎の巣窟となった、かつての給食センターの建物へと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川村・育代
あたしも似たような者(負のエネルギーの塊)だし、力で消し飛ばすよりは何とか対話して浄化するなり取り込めないかやってみるわ。
負の残留思念にもそうなった原因があるだろうし、それが何であれ、見捨てるような真似はしたくないから。
ねぇ、似たもの同士、少し話さない?


剣未・エト
「やぁこれは、中々に溜まっているねぇ」
ちゃりちゃりと鎖を鳴らしながら中等部の制服姿で残留思念の前に姿を現す
痛み苦しみ怨嗟殺意…生命にとっては悍ましいかもしれないが、僕にとっては残留思念はその内容に関係なく、同族を生み出す尊いものだ

「そのままでは喋りづらいだろう、待っててね」
腰のポーチから取り出した小瓶に詰めた詠唱銀をふりかけ、彼等をゴーストにする
「くーちゃん、いいかい?」
形を得て襲い掛かるのを適当にいなし肩のミニ視肉の肉を分けてもらい彼等の口へ放り込む
「強制的に生を終わらされるのは辛かったろう。でもこの世界には死の先があるんだよ…おいで、仲間に会わせてあげる」
UC発動させ彼らをマヨイガへ


シン・クレスケンス
【SPD】

闇色の狼姿のUDC「ツキ」と梟の姿の精霊「ノクス」を帯同させて現地へ。

残留思念しか残っていないようですね。生きている方が居るのなら助けたかった。

力尽くで消滅させるのは簡単ですが、オブリビオンの犠牲者である彼等にはなるべく手荒なことはしたくない。
「あなた達の無念は僕達(猟兵)が晴らしますので、ご自分の意思で退いて頂けませんか?」
飽くまでも穏やかに接し、相手の感情に寄り添って説得します。

僕達を襲うつもりの方々もいるようですが
「あなた方では僕にも此処に居るツキにも勝てないでしょう」
と余裕の笑みで。
UDCの得体の知れない気配だけで彼等に【恐怖心を与え】てしまっているようです。



●対話の先に
 ゴーストタウンと化した給食センター。その奥へ進むためには、周囲を渦巻く残留思念を鎮めねばならない。
 彼らは既に生者ではない。故に、力技で調伏させることも可能であったが、しかしそれを良しとしない者達もいた。
「やぁこれは、中々に溜まっているねぇ」
 周囲を飛び回る有象無象の残留思念。それらを前に、どこか意味深な笑みを浮かべる剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)。
 新世代のゴーストである彼女にとって、残留思念とは同族に等しい存在だ。できれば、因果の枷から彼らを解き放ち、仲間として迎え入れたいところではあるが。
「残留思念しか残っていないようですね。生きている方が居るのなら助けたかった……」
 人間の生存者が一人もいないと察し、シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)は視線を落とした。
 遊び半分でこの地を訪れ、異形の者の餌食になってしまった犠牲者達。彼らの痛みと苦しみがどれほどのものだったのか、今のシンには想像することしかできない。
 だが、それでも彼らを放置しておくことや、ここで消滅させてしまうことは気が退けた。人間ではなくなったとはいえ、彼らもまたオブリビオンの犠牲者であることに変わりはない。
「グ……ギギギ……」
 苦悶の表情に顔を歪めながら、全身のあちこちを欠損させた男の思念がシンに襲い掛かって来る。しかし、シンは余裕の表情で残留思念の前に立つと、傍らに連れた狼のような姿のUDCへと視線を向けた。
「止めておきなさい。あなた方では僕にも、此処に居るツキにも勝てないでしょう」
「ウ……ゥゥ……」
 残留思念の足が、ピタリと止まる。この世界に住まう異形とはまた別の異形存在。UDCであるツキの発する異様な雰囲気に、残留思念達も手が出せないようだ。
「ねぇ、似たもの同士、少し話さない?」
 怯える残留思念達に、川村・育代(模範的児童・f28016)が問いかけた。彼女は人の痛みや苦しみを理解するために作られた存在。あまりに負の感情を吸収し過ぎて悪霊と化してしまったが、それでも自我を失うことなく、今もなお他者へ寄り添おうとしているのだ。
「ァァァ……」
「オォ……ォ……ォ……」
 親身になって語り掛ける育代の姿に、いつしか残留思念達の中から敵意や憎しみは消えていた。だが、彼らは既に喋るための言葉さえ奪われてしまっていたのか、まともに会話ができる者はいなかった。
「そのままでは喋りづらいだろう、待っててね」
 見兼ねたエトが、腰のポーチから取り出した詠唱銀を使い、彼等をゴーストとして確立した。これで彼らは単なる思念ではなく、人間とは別の高次存在として再誕したわけだが。
「あぁ……身体が……戻った……!」
「声が……声が出せる……!」
 肉体の欠損していた者達は、その身体と言葉が戻ったことに歓喜していた。その一方で、中には鳥やら豚やら、おまけに牛といった動物のゴーストもおり、彼らは未だ悲しみに満ちた目で猟兵達を見つめていた。
「うぅ……。なんで……なんで……僕達を殺したの……?」
「誰にも食べてもらえなかった……。だから……作り直してもらったはずなのに……やっぱり……食べてもらえなかった……」
 命を奪うだけ奪い、なぜ捨てたのか。そう問いかける動物たちの前世に、育代はどこか心当たりがあったようだ。
「あれ、もしかして、給食にされた動物さん?」
「恐らく、そうでしょうね。ですが……『作り直してもらう』とは、どういうことでしょうか?」
 既に残留思念と化した彼らを、果たして誰が再び調理などできるものか。そんなことができる者がいるとすれば……それこそが、この地に巣くうオブリビオンゴーストなのかもしれない。
 どちらにせよ、彼らをこのまま放置はできない。これ以上、人に仇なす存在になる前に、彼らには在るべき場所へと向かってもらった方が良い。
「くーちゃん、いいかい?」
 肩のミニ視肉から肉を分けてもらい、エトはゴースト達の口へ放り込んだ。それと同時に現れるのは、マヨイガへと繋がる門。この門を抜けた先に行けば、そこはゴースト達にとっての安住の地。
「強制的に生を終わらされるのは辛かったろう。でもこの世界には死の先があるんだよ……おいで、仲間に会わせてあげる」
「ほ、本当かい? それなら……」
 まずは人の姿をしたゴースト達が、一斉に扉へと向かい駆け出した。動物のゴースト達も、それに続く。中にはモーラットの影が混ざっていたような気もするが、気のせいだろうか?
「あなた達の無念は僕達が晴らしますので、ご自分の意思で退いて頂けませんか?」
 それでも未だ躊躇う者には、シンが代わりに無念を払うと約束した。シンの力を肌で感じた彼らもまた、何かに納得したように頷いて、マヨイガの門へと向かって行き

「これでいいんだよね。負の残留思念にも、そうなった原因があるだろうし……」
 それがどのような理由であれ、見捨てるような真似はしたくない。そう言って、育代が廃墟と化した給食センターへと向かい歩き出せば、他の二人もそれに続く。
 この先に待つ者が、彼らをあのような姿に変えた元凶だ。何も知らない人々を悍ましい方法で殺害し、使い捨てられた食材の無念を延々と使い回しては、幾度となく破棄してきた冒涜的な存在。
 果たして、それはどのようなゴーストなのだろうか。一刻も早くこの地を浄化すべく、猟兵達は先を急いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
【零花】

寂しくて悲しくて
ほんの少しだけ空気がひんやりとしているような気がする

――こっちかな?
零、零!こっちに道があるよっ!

残留思念が此方に襲い掛かって来ようとしたら
にっこりと笑みを見せて

こんにちはっ、俺はクラウン!
少しだけお話しする時間ほしいな!
もし、お構いなしに襲い掛かって来たとしても
躱しながらお喋りを続ける

わわ、零
みんなとお話するんだよね?
本気で捉えちゃった俺もぱたぱたと身体を動かすけれど
冗談だと分かったら笑顔を咲かせ

今から俺達でね
こんなことをした悪者のお仕置きをしようと思ってるんだ
だから、此処を通してほしいな

みんなの想いを持って行って悪者にぶつけちゃだめかな?
――それに、これ以上犠牲者を増やしても何の得も無いよ!
残留思念に向ってとん、と胸を叩いて
ふふー、任せて!俺達とっても強いから!

零の言葉にこくりと頷き
だめなことはだめだよってちゃんと伝えなきゃ
少しでもみんなの笑顔を取り戻せたら良いな

うんうん、お仕置きしに行こうっ!


天星・零
【零花】

『全くこういう場所は興味本意で来たらこうなるに決まってる。誰かをこれ以上巻き込むなら…』

『魂ごと滅するよ?』

ため息混じりでその様子に首を振ってちょっと残留思念に若干怒り口調

まぁ、脅しなのだが…
言った後は微笑んで

『全く、君達が手を汚す必要はないり
復讐する対象を見誤ってはダメだよ。
君達の代わりに僕達が代わりにちゃんと怨みを晴らすからさ。
大丈夫、任せて僕も君たちと同じようなものだから。

もし気になるならついてきても良いし、そのまま僕に任せて安心して眠ってもいい。
みんなに任せるよ』


自分も彼らも誰かに傷つけられて死んでいったことには変わらないから理不尽に殺された彼らを見て少し複雑な気持ちになる

因みに説得がダメ若しくは成仏する場合指定UCを使って除霊

『どうして、皆んなこんなことばっかり。
誰かを理不尽に傷つけて…ほんと、だから嫌なんだよ。』

『笑顔を取り戻すね…。
さて、と。悪い子達にはお仕置きしないとね。
ね、クラウンさん?』

クラウンさんの笑顔を取り戻すという言葉に微笑む

『ここからは僕たちの仕事だ。



●在るべき場所へ
 かつては多くの子ども達のため、市内の学校の給食作りを一手に引き受けていたであろう巨大施設。
 だが、廃墟と化した今となっては、そこは危険なゴーストの巣窟だ。そこは、何も知らない一般人が訪れるのを大口を開けて待っている、正に地獄の入り口である。
「……こっちかな? 零、零! こっちに道があるよっ!」
 瓦礫を乗り越え、藪を押し退け、クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)は天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)に手招きした。
 夏場だというのに、空気がどこか冷たい。この場で非業の死を遂げた者達の思念が渦巻いているからだろうか。そんなことを考えていると、どこからともなく現れた無数の残留思念が、二人に襲い掛からんと迫って来るが。
「こんにちはっ、俺はクラウン! 少しだけお話しする時間ほしいな!」
 それでもお構いなしに、クラウンは満面の笑みを彼らに向けた。だが、残された思念達の心を支配するのは痛みと苦しみ、そして無念だけなのか、クラウンの言葉にも耳を貸さず、彼を仲間に引き入れんと襲い掛かる。
「まったく……こういう場所は興味本意で来たらこうなるに決まってる」
 見兼ねた零が、哀れな犠牲者達の魂へ、大きな溜息を交えて静かに告げた。
 だが、世界結界がオブリビオンとして復活した今、何の力も持たない一般人の中に、超常の存在を信じる者は殆どいない。少し前までは人とゴーストが手を取り合って生きて来たことさえ忘れらた今、凶暴なゴーストの危険性もまた、人々の脳裏から消えて久しい。
 零の言葉に更なる怒りを覚えたのか、残留思念達は次々と雄叫びを上げながら、彼を仲間に取り込まんと迫って来た。もっとも、オブリビオン化したゴーストならいざ知らず、有象無象の残留思念などに捕まるような零ではなく。
「誰かをこれ以上巻き込むなら……魂ごと滅するよ?」
 激しい敵意を込めた視線を向け、残留思念達を一喝する。勿論、それは脅しに過ぎない。しかし、全身から発せられるただならぬ気配に圧倒されてか、犠牲者の魂はそれ以上、零に近づこうとはしなかった。
「わわ、零! みんなとお話するんだよね?」
 慌ててクラウンが止めたが、それはそれ。零も、元より最初から、彼らを消滅させるつもりなどない。
「まったく……君達が手を汚す必要はない。復讐する対象を見誤ってはダメだよ。君達の代わりに僕達が代わりにちゃんと怨みを晴らすから」
 先程とは打って変わった優しい口調で、零は残留思念達に告げる。本来ならば、彼らも犠牲者なのだ。人や動物の意思が残り、生者とは別の存在として具現化する世界において、世界結界という名のヴェールに翻弄され、世界の理を見誤らされた故の末路である。
「今から俺達でね、こんなことをした悪者のお仕置きをしようと思ってるんだ。だから、此処を通してほしいな」
 零に代わり、今度はクラウンが思念達に告げた。
 この世に留まり続けてなお、新たな犠牲者を生まんとする理由。それは、恐らく彼らをこのような存在に変えた黒幕に、彼らの力では太刀打ちできないからに違いない。
「みんなの想いを持って行って悪者にぶつけちゃだめかな? ……それに、これ以上犠牲者を増やしても何の得も無いよ!」
 痛みを共有する者を一時的に増やしたところで、その先にあるのは更なる苦痛。他人に自分と同じ苦痛を味わわせることで得られるものは、ほんの一時の慰めでしかない。それは麻薬の快楽にも似た魔性の味であり、一度でも嵌ってしまったが最後、自力で抜け出すのは難しい悪魔の囁き。
「大丈夫、任せて。僕も君たちと同じようなものだから」
 もし、結果が気になるようならばついて来ても良いし、そのまま自分達にまかせて眠ってくれてもいい。選択するのは、全てそちらだと残留思念達に告げる零だったが、彼らの中に二人の後をついて来ようという者はいない。
 それならば、彼らはここで、在るべき場所へ還ってもらうのが良いだろう。死してなお、この地に留まり続ける魂達。彼らを安息の地へと導くべく、零は彼らの人生を原稿用紙に記しながら、輪廻転生を促す棺を召喚する。
「この世界の誰もが君を忘れても、隣で笑ってるから怯えなくていいんだよ。そのままの君でいてくれれば、それでいいんだよ」
 人にも戻れず、自力ではゴーストにも慣れない魂達。彼らが再び人として生を授かれるよう、零は優しく導いて行く。このまま無に帰せば、いずれ彼らもまた骸の海に取り込まれ、オブリビオンゴーストとして蘇ってしまうかもしれない。そのような悲劇の連鎖もまた、ここで断たなければならないと。
「おぉ……光だ……光だ……」
「あぁ……痛みが消えて行く……」
 浄化の光に誘われ、残留思念達は消えて行った。そして、彼らを全て見送ったところで、零は大きな溜息を吐いた。
「どうして、皆んなこんなことばっかり。誰かを理不尽に傷つけて……ほんと、だから嫌なんだよ」
 世界は本当に不条理だ。人間でさえ、欲望のために他者を平気で傷つける者がいる。ましてや、それが超常の存在となれば、もはや人の理屈など通用しないのかもしれない。
 この先に待つ存在もまた、それは同じ。迷い込んだ人間を見境なく殺しているとなれば、放っておける話ではない。
「だめなことはだめだよって、ちゃんと伝えなきゃ。少しでもみんなの笑顔を取り戻せたら良いな」
「笑顔を取り戻すね……」
 あくまで対話を優先するクラウンの姿勢に、零は思わず苦笑した。
 この廃墟の主は、先程の残留思念達とは違う。恐らく、話など絶対に通用しない相手だ。問答無用で戦いを挑まれるのが関の山だが、そうなった時は、そうなった時である。それに、誰かのために何かをしたいという姿勢は、決して悪いものではない。
「さて、と。悪い子達にはお仕置きしないとね。ね、クラウンさん?」
「うんうん、お仕置きしに行こうっ!」
 静けさを取り戻した廃墟の外観だったが、朽ち果てた建物の中には、未だ異様な空気が充満している。この先に待つのは、いったいどんなゴーストなのか。互いに頷き、微笑んで、二人は足を揃えて給食センターの棟内へと歩を進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『モーラビット』

POW   :    兎の牙がモーラットを喰らう
戦闘中に食べた【捕縛したモーラットの肉】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    兎の耳は剃刀よりも鋭い
【モーラットの毛を一瞬で刈り取る鋭さ】を籠めた【兎の耳】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【毛髪】のみを攻撃する。
WIZ   :    モーラットとなって誘き寄せる
全身を【丸めモーラットそっくりの姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:イツクシ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その獣、危険につき
 廃墟と化した給食センターの中は、思いの他に何もなかった。
 かつては、様々な給食が作られていた場所なのだろうが、今となっては道具も食材も何もない。ただ、無機質な廊下が延々と続く中、奥から何かの影が姿を現した。
「……モキュゥ……」
 よくよく見ると、それはモーラットの集団だった。野良のモーラットが、運悪く迷い込んだのだろうか。愛くるしい表情と仕草を前に、思わず気が抜けてしまいそうになるが、しかしここは既に敵の勢力圏。
 能力者や猟兵であればいざ知らず、野良のモーラットがこんな危険な場所で、何体も生き残っているはずがない。更に目を凝らして見ると、彼らは何かの肉を咥えており……それはまるで、今しがた剥ぎ取ったかの如く、赤い血が滴るものだった。
「……モギュゥ……」
「ウゥゥ……グルル……」
 不気味な唸り声を上げて、モーラット達が一斉に立ち上がり、こちらを見た。いや、これはモーラットなどではない。煌々と光る紅い瞳。そして、ウサギのように真っ直ぐに伸びた長い耳。温厚なモーラットとは似て異なる、危険なオブリビオンゴーストだ。
 モーラビット。モーラットに擬態することで群れの中に溶け込み、モーラットを好んで捕食する恐ろしい妖獣。この地に迷い込んだモーラット達が帰ってこなかったのは、きっと彼らによって、全て食べられてしまったからだろう。
 こんな危険な獣が万が一にでも野に放たれれば、もっと被害が広がってしまう。正体を明かした以上、彼らもまたこちらを逃すつもりはないはず。可愛い見た目に騙されることなく、彼らの爪を牙を掻い潜り、施設の中央へ続く道を確保しよう。
穢宮・風月
なんだこれ……なんだこれ……あなたたち、何食べてるの……?
……弱肉強食の世界なのかもですが、ちょっとこれは見逃せませんね……

多勢に対して、開けた場所から狭い廊下等の、少数(できれば1対1)で対峙せざるをえない閉所に、逃げ出したふりをして誘導し、敵は一匹残らず殲滅させるという強い意志を以て、その場に留まり迎え撃つ

さあ……来なさいっ!

霊刀「八握脛」を振るい、1体ずつ攻撃を分散させずに、容赦なく確実に敵を屠っていく
華麗な体捌きで敵と一定の、刀の距離で戦い、懐に潜り込んで接近戦を挑んできた相手に対しては、UCを使用して吹っ飛ばし、戦闘の主導権を握る

可愛かろうが何だろうが、一切の容赦は致しませんっ……!



●もふもふを食す者達
 愛らしい姿をしながら、しかしその本性は狡猾にして獰猛なるモーラビット達。そんな彼らが食している肉を見て、穢宮・風月(巫女忍・f36880)は思わず言葉を失った。
「なんだこれ……なんだこれ……あなたたち、何食べてるの……?」
 考えたくない。想像を思考が全力で拒絶する。人も、そしてモーラットも、この地を訪れた者は決して戻っては来なかった。そして、目の前のモーラビット達が食べているのは、紛れもなく今しがた狩ったばかりと思しき獲物の肉。と、いうことは……あれは他でもない、犠牲となった何者かの肉に違いない。
「……弱肉強食の世界なのかもですが、ちょっとこれは見逃せませんね……」
 目の前で肉を屠り続ける妖獣の群れに対し、風月は静かに刃を抜いた。
 もっとも、これだけの数を相手にするのは、さすがに彼女一人だけでは荷が重い。一匹ずつであれば問題なく駆除できるだろうが、集団で襲いかかられればその限りではない。
「……モギュ……」
「……ギュ……ギュ……」
 モーラビット達が、一斉に立ち上がって風月の方へと視線を向けた。紅い瞳の奥が、不気味な輝きを放っている。血に飢えた獣のそれと同じものを湛え、モーラビット達は風月を次なる獲物と見定め、本能のままに襲い掛かって来た。
「……っ!」
 思いの他に強力な跳躍力に、風月は咄嗟に近くの細い廊下へと飛び込む。脚力に任せて逃げるのは駄目だ。本気で走れば、スピードは敵の方が上。だが、幸いにしてこの廊下ならば、そこまで横幅も広くない。
 恐らくは何らかの連絡通路だったと思しき場所で、風月は一転して敵を迎え撃つ体勢に入る。どれだけ俊敏で脚力に優れていても、この細い廊下の中では、そこまで有利に働かないはず。
「さあ……来なさいっ!」
 飛びかかって来たモーラビットを、風月は霊刀の一撃で斬り伏せた。確かな手応えがあったが、それでも敵は腐っても妖獣。再び体勢を整え脚に力を込めると、今度は他の仲間達と共に、立て続けに風月へと跳びかかる。
「くっ……! この……」
 連続で襲い掛かって来た内の二匹を斬り捨てたところで、三匹目が風月の持つ霊刀の刃に食らいついてきた。これでは、強引に斬り捨てることもできないが、風月はそれさえも読んでおり。
「やはり、最後はそう来ますか。ですが……」
 咄嗟に武器の柄から片手を離し、その掌を通じてモーラビットの体内に螺旋状へ練り上げた水気を送り込めば、それらは中から敵を破砕すべく駆け巡る。
「練・気・成・龍っ! はぁぁぁぁ……!」
「ぎゅ!? もぎゅぎゅ……ぎゅぶりゅ……!!」
 途端に、モーラビットの身体が風船のように膨らんだかと思うと、最後は木っ端微塵に爆ぜてしまった。風月の送り込んだ水気が体内で螺旋を描いて動き回り、内部から相手を粉砕したのだ。
「可愛かろうが何だろうが、一切の容赦は致しませんっ……!」
「「「……っ!! もぎゅぅぅぅぅ……!!」
 殺気の籠った視線を向けて告げれば、残るモーラビット達は一目散に逃げ出して行く。本当なら一匹残らず始末したいところだが、今はそれよりも施設の中枢へと向かう道を探すのが先決だ。
 逃げた敵は、きっと他の者達が駆除してくれるだろう。未だ姿を見せないゴーストタウンの主と邂逅すべく、風月は朽ち果てた給食センターの、更に奥へと進んで行くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴乃宮・影華
あら、お食事中に失礼
さっきの奇怪な肉塊、使われた部品の一部はアナタ達の食べ残しかしら?
――まぁ、別に答えは必要ないんですけどね
「アナタ達を駆除するのは、もう決定事項だもの」
血と肉の味を覚えてしまった彼らは、もう銀誓館もマヨイガも受け入れられない危険生物ですからね

向こうの牙や爪を『大蘭華』『赫左』で防ぎつつ
斬撃波で攻撃
まだ血が滴るような新鮮な肉を食べて戦闘力が増加しても
その強化したという事実が指定UCの餌食です
「好き放題食い散らかしたんですし、食中りの一つくらい甘んじて受けて下さい」



●暴食の代償
 朽ち果てた棟内を走り回る、獰猛なモーラビット達の群れ。一度は追い散らされた彼らは、しかし直ぐに周りが安全であることを知ると、再び捕らえた獲物の肉を取り出して、それを租借し始めた。
「モギュ……」
「モギュ……ギュ……」
 何も知らない者が見れば、可愛らしいウサギの食事風景に見えるかもしれない。だが、彼らの食べている物の正体を知れば、そんなことも言ってはいられないだろうが。
「……あら、お食事中に失礼」
 そんなモーラビット達の集団に、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は声をかけた。瞬間、多数の紅い瞳が影華に向けられるが、それでも彼女は気にすることなく問い掛ける。
「さっきの奇怪な肉塊、使われた部品の一部はアナタ達の食べ残しかしら? それとも……」
 食べられずに捨てられた給食の怨念かと言いかけたところで、影華は止めた。目の前の獣からまともな答えを得られるとは思えないし、そもそも答えなど必要ないと、彼女自身が一番良く理解していたから。
「……アナタ達を駆除するのは、もう決定事項だもの」
 愛らしい姿に惑わされることなく、影華の口から告げられたのは宣戦布告。どれだけ人畜無害そうな容姿をしていても、血と肉の味を覚えてしまった以上、モーラビット達は銀誓館でもマヨイガでも受け入れることのできない存在だ。
「ウ……ゥゥ……」
「モギュガァァァァッ!!」
 鋭い爪と牙を剥き出しにして、モーラビット達が一斉に影華へと跳びかかって来た。だが、その攻撃を手にした鞄を盾にして防ぐと、影華は続け様に左腕の小手を使って弾き飛ばした。
「彼の力を以て世界を騙す――それでは、束の間ご静聴願います」
 それでもなお、迫り来るモーラビット達へ、影華が繰り出したのは地獄の如き叫び声。戦場全体へと広がる黒燐蟲と共に、それらはる黒い靄へと姿を変え、モーラビット達の身体をも包み込み。
「ウ……ギ……ィ……」
「モ……モギュ……ゥ……」
 今までの勢いが嘘のように、モーラビット達は身体を振るわせ、動くことさえもできなくなっていた。
 黒燐幻想劇弾・記憶再現『燕馬』(イマジンファース・マイクラッシュ)。影華の放った黒燐蟲の力によって生じたる黒い靄は、肉体強化の力を猛毒へと反転させる性質を持つ。獲物の肉を食らって身体を強化していたモーラビット達にとって、これはさぞかし強烈な苦痛を与えているに違いない。
「好き放題食い散らかしたんですし、食中りの一つくらい甘んじて受けて下さい」
 痙攣して動けないモーラビット達へと、影華は左腕の籠手を構えて淡々と告げた。軽く腕を振るうだけで斬撃が波動となって生じ、それらはモーラビット達の身体を切り刻んで行くが、この程度で消滅する相手ではないということは、なにより影華自身が知っている。
 危険な異界の存在に、情けや容赦は必要ない。切断されたモーラビット達の残骸を、影華は籠手に仕込まれた火炎放射装置で、灰になるまで焼き払った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

剣未・エト
「生命ではなく妖獣を狙う妖獣だなんて興味深いね」
ポーチから取り出した小瓶の詠唱銀に自身の戦う意思を反応させてUC発動
襲い掛かる兎の耳を短剣で受け止めるもそれだけで粉砕されてしまう
けれど慌てることなく反対の短刀で斬りつける、ダメージは与えるもこちらも直ぐに砕ける
無手になった所を襲ってくるなら直ぐに次の小瓶を出して武器を作りだす
さらに頭を狙ってくるようなので地縛霊の鎖を天井に伸ばして巻き付け一気に天井へ
天井や壁を蹴ったり鎖で飛んで行ったりして舞うように踊るように直ぐに砕ける武器を、砕けた粒子から再創造させながら戦い続ける



●新種覚醒?
 人間ではなく、モーラットを好んで捕食するモーラビット。妖獣を食らう妖獣というのも珍しいものだと、剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)は目の前のウサギ達を見回して呟いた。
「生命ではなく妖獣を狙う妖獣だなんて興味深いね」
 このような存在は、かつての世界には存在しなかったと聞いている。悪しき神秘が狙うのは、あくまで生命を持つ者だけ。だが、新世代のゴーストが生まれ、しかし世界結界が再びオブリビオンとして復活したことで生じた歪みが、このような存在を誕生させてしまったのかもしれない。
「僕が息切れするのが先か、君が受けきれなくなるのが先か、勝負といこうじゃないか!」
 ポーチから小瓶を取り出すと、エトは中に入っていた詠唱銀に己の戦意を反映させて、短剣の形を作って行く。それは鋭利な刃物と化したウサギの耳を受け止めると即座に折れてしまったが、エトは慌てることなく、もう片方の手に握られた短剣で斬り付ける。
「モギュッ!!」
「……まずは一匹」
 攻撃を当てると同時に、また短剣が砕けた。生成に要する時間は短いが、とにかく脆いのがこの武器の欠点だ。しかし、エトは直ぐさま次の小瓶を取り出すと、再び剣を作って身構える。
「モギュ……」
「モギュギュゥ……」
 攻撃と攻撃の合間に隙があると見抜き、モーラビット達はタイミングをずらしながら襲い掛かって来た。さすがに、これだけの数を相手に無双はできない。咄嗟に地縛霊の鎖を天井に伸ばし、それを利用してエトは一気に上昇し。
「狙いは僕の髪の毛かい? 狙ってくる部位が分かっていれば、その分だけ攻撃の軌道も読み易いよ」
 下から迫って来るモーラビット達に、ありったけの短剣を投げつける。
「……ギュァッ!!」
 櫓を組むようにして仲間を踏み台にしていたモーラビット達が、攻撃を額に受けて崩れ落ちた。その身体を蹴って距離を取り、エトは更に短剣を創造し、投げつけて行く。
「これだけ砕ければ、材料はそこら中にあるからね。どんな間合いからでも、即座に再生成できるよ」
 気が付けば、辺りは砕けた短剣の破片が銀色の粒子になって舞っていた。
 エトの狙いは、最初からこれだった。砕けたとはいえ、この破片もまた新たな短剣を創造するのに利用できる。そんな粒子がそこら中に拡散すれば、もはや小瓶を取り出す手間も要らない。
「ギュ……」
「ギュギュ……」
 異変に気付き、後退りするモーラビット達。しかし、もはや全てが遅い。銀の霧に覆われた彼らに待っているのは、哀れな獲物として、狩る側から狩られる側へと転落する運命しかなかったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
【SPD】

引き続き、闇色の狼姿のUDC「ツキ」と梟の姿の精霊「ノクス」を伴い。
【指定UC】で風を纏ってこちらの気配を断ちながら探索。

⋯この先に敵がいますね。血がまだ新しい⋯。
ツキ、もしかしたら建物内にはまだ生きているモーラットさんがいるかも知れません。あなたの嗅覚(魂の匂いを嗅ぎ分ける)で彼等を【探し】て頂けませんか?
『残っていると思うのか?遊び半分のバカなニンゲン共も全員喰われちまったんだろう?』
と渋るツキに捜索を任せ。

オブリビオンゴーストに気付かれる前に、【指定UC】を竜巻に切り替え【先制攻撃】で引き付け【範囲攻撃】。
「話が通じる相手ではなさそうですね」
「戦うしかないならば容赦はしません」



●廃墟を駆ける風
 荒れ果てた給食センターの棟内を、一陣の風が吹き抜ける。小さな竜巻を纏ったシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)。今の彼は風に守られ、視覚や嗅覚では捉えられない存在になっている。
「……この先に敵がいますね。血がまだ新しい」
 壁にベッタリと付着した血痕を見て、シンは思わず顔を顰めた。
 これは犠牲になったモーラット達のものだろうか。それとも、迂闊にこの地へ足を踏み入れ、帰らぬ人となった哀れな廃墟マニアのものだろうか。
 その、どちらでも、シンにとって大した差はなかった。
 大切なのは、生存者がいるのであれば、命を奪われる前に助け出すこと。だが、彼らを探すための術を、今のシンは持ち合わせておらず。
「ツキ、もしかしたら建物内にはまだ生きているモーラットさんがいるかも知れません。あなたの嗅覚で彼等を探して頂けませんか?」
 狼型のUDCに告げ、探索を任せようとするシンだったが、しかし話を振られたツキは、あまり乗り気ではないようだった。
「残っていると思うのか? 遊び半分のバカなニンゲン共も全員喰われちまったんだろう?」
 モーラビット達が率先してモーラットを狙う以上、真っ先に襲われるのはモーラットである。殆ど生存は絶望的だと吐き捨てるツキだったが、それでも僅かな可能性にかけ、シンはツキを探索に向かわせ。
「さて……どうやら、まだ気づかれてはいないようですが……」
 朽ち果てた廊下を徘徊しているモーラビット達を見つけ、風の勢いを強めて行く。
 ツキを探索に向かわせてしまった以上、戦闘力の低下は否めない。ならば、ここは先手必勝。周りを集団に取り囲まれる前に、とにかく数を減らさねば。
 敵の武器が爪や牙、そして鋭利な刃物と化す耳である以上、迂闊に近づくことは死を意味する。ならば、ここは遠距離から攻撃すべきだと判断し、シンは纏っている竜巻をモーラビット達に向けて解き放った。
「……ッ!? モギュ!」
「モギュ!? モギュギュゥゥゥッ!!」
 いきなり突風に煽られ、そのまま空中に巻き上げられたことで、モーラビット達は困惑しながら手足をバタバタさせている。その光景だけ見れば愛らしいものがあるが、しかし彼らは危険なオブリビオンゴースト。
「……ギュゥゥ……グルル……」
「ウゥ……モギュゥゥ……」
 攻撃を受けたことを察すると、一斉に牙を剥き出しにして、獰猛な本性を露にする。相手が人間で、しかも敵対する意思を持っているのであれば、モーラットのふりをする必要もないということか。
「どうやら、話が通じる相手ではなさそうですね」
 竜巻を飛ばしたことで姿を晒してしまったシンだったが、彼が慌てる様子はなかった。再び竜巻を纏ったところで、逃げるつもりは最初からない。己の姿を隠すのに使う竜巻を、敢えて最初から周囲に広げ、迫り来るモーラビット達を弾き飛ばして行く。
「……ッ!? モモギュゥゥゥッ!!」
 不用意にシンへと近づいたモーラビット達が、瞬く間に空中へ巻き上げられてゆく。ある者は風の勢いによって壁へと叩きつけられ、またある者はカマイタチの如く鋭い風の刃で、全身をズタズタに斬り裂かれ。
「……戦うしかないならば容赦はしません」
 やがて、風が収まったとき、そこには一匹のモーラビットも残っていなかった。それを確認したシンが竜巻を静めたところで、探索に向かわせたツキも戻って来た。
「どうでした? 何か、収穫は?」
「残念だが、期待するようなものは、なにもなかったな。この廃墟にいるのは、あのウサギどもだけじゃない。もっと凶悪で邪悪な何かが、奥で牙を研いでやがる」
 生存者は見つけられなかった代わりに、何かを引き摺ったような血痕を見つけたとツキは報告した。そして、その血痕を辿って行けば、遠からず事件の元凶にも出会えるだろうと。
「では、先を急ぎましょうか。その、血の痕があったという場所まで案内してください」
 道案内をツキに任せ、シンは更に奥深くへと進んで行く。廃墟の深部に近づくにつれ、何とも生臭い風が吹き始め、それに乗って微かな血の匂いもまた鼻先に漂ってきていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
【零花】

わわ、モーラットさんに
良く似たうさぎさんがいる!

俺も、俺もお友達になりたいなっ!
ぴょんと飛び跳ねてみるけれど
攻撃されそうになってふわりと躱そうと

とっても可愛いけど、モーラットを食べちゃう悪い子には
めってお仕置きしなきゃだね!

――さあさあ、ちょこっとだけでも
楽しんでもらえれたら嬉しいな!
小さな火の輪を沢山くるくる回して芸を披露!

ふふー、あちちだけれど慣れてるから大丈夫っ!
それをモーラビットに投げつければ
きゅきゅっと拘束しちゃうよ!

そして、零の鏡の雨に俺もびっくりしちゃう!
わ、凄い凄い!これなら怪我してもへっちゃらだね!

よーし、俺も頑張らなきゃ!
その隙に黒剣でモーラビットをぺちんと攻撃だ!


天星・零
【零花】
基本的に常に【第六感】を働かせてどんな状況になっても対応できる様にしておく

使う武器

虚鏡霊術
零域鏡界
Ø

【行動】
クラウンさんにも気を配り戦況を把握して上記武器を臨機応変に使い対応


『うさぎさーん!!傷つけるのやめて僕とお友達になろうよー!』
無理だとは思うので

『あまり、戦わない方がいいと思うんだけどなぁ…
でも、仕方ないよね。』

クラウンさんと共闘
クラウンさんがUCを発動したらそれに合わせて自分も発動

戦場全体の敵の時間を止めて、相手へ攻撃しつつ
手加減なしで相手を攻撃
味方は時間を巻き戻し、回復させる

『だから、戦いたくないって言ったのに。
 さて、次行こっか!次はどんな子かな!』

終わったら笑顔で奥へ



●危ないお友達
 姿形だけならば、マスコットと言われても納得してしまいそうな容姿のモーラビット達。そんな彼らを前にして、クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)は思わず歓喜の声を上げた。
「わわ、モーラットさんに良く似たうさぎさんがいる!」
 このウサギ達が危険なゴーストだなんて信じられない。ましてや、モーラットを好んで捕食する、獰猛な性格の妖獣だなどと。
「うさぎさーん!! 傷つけるのやめて僕とお友達になろうよー!」
 どうせ、止めても勝手に近づくだろうと察し、天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)はクラウンに先駆けてモーラビット達に声を掛けた。その声に反応し、モーラビット達の耳が一斉に直立したかと思うと、赤い瞳が怪しく輝き。
「……モギュ」
「……モギュギュ……モギュ……」
 何かを咀嚼するような仕草を見せつつ、二人を睨みつけて来る。いったい、何を咀嚼しているのかは、あまり考えない方が良さそうだ。
「俺も、俺もお友達になりたいなっ!」
 そんなモーラビット達を前にしても、クラウンはあくまで友好的な態度を崩さず、両手を頭の上に立てて軽く飛び跳ねてみた。
 ウサギの物真似をすることで、仲間だと思ってもらう作戦だろうか。しかし、現実は非情である。モーラビット達にとって、クラウンは警戒心の欠片もない、間抜けな獲物に見えたようだ。
「……モッギュゥゥゥゥ!!」
「うわ! あ、危ない!!」
 咄嗟に身を翻して避けたものの、クラウンの前髪の先端が敵の耳に触れ、数ミリだけ斬り裂かれてパラパラと落ちた。
 冗談じゃない。こんなものをまともに食らったら、髪の毛どころか首と胴体まで泣き別れだ。
「とっても可愛いけど……モーラットを食べちゃう悪い子には、めっ! てお仕置きしなきゃだね!」
 これ以上は話しても無駄だと悟り、クラウンも攻撃の姿勢に入った。柔和で純粋な笑顔の中に、微かな決意の意思が浮かぶ。周囲をモーラビット達に囲まれてしまっても、全く気にすることなく燃え盛る輪を取り出して。
「……さあさあ、ちょこっとだけでも楽しんでもらえれたら嬉しいな!」
 それらを軽く回して見せるが、曲芸を披露することが目的ではない。油断して遅し掛かって来たモーラビット達には、炎のリングをお見舞いだ!
「……ッ! モギュッ!!」
「ンギュッ! モガガ……」
 ある者はリングによって手足の自由を奪われ、またある者は燃え盛るリングを口に嵌められ、そのまま情けなく床に転がって行った。クラウンの使う炎のリングは、敵に向かって投げつければ、そのまま自由を奪う拘束具に早変わりするのだ。
「ギュ……ギュ……」
「モモ……ギュゥゥ……」
 迂闊にクラウンへ近づくのは拙いと察したのか、残るモーラビット達は零に狙いを定めた。しかし、零もまた一歩も退くことなく、苦笑しながらモーラビット達を視界に捉え。
「あまり、戦わない方がいいと思うんだけどなぁ……。でも、仕方ないよね」
 警告はした。だから、これから先のことは、全て敵対する方が悪いのだ。そう、モーラビット達に告げつつ、鏡の破片を雨のように降らせて行く。
「今日も何処かで誰かが涙を流して、悲しみに溺れる。気づいてもその時にはもう遅いのさ。その時にはもう手遅れだから」
「「「……ッ!?」」」
 瞬間、破片の直撃を受けたモーラビット達の動きが一斉に止まった。拘束の類ではない。零は鏡の破片を食らった相手の時間を操作し、完全に制止させたのだ。
「わ、凄い凄い! これなら怪我してもへっちゃらだね!」
 いつの間にか斬られた髪の先端が元通りになっていることを知って、クラウンが思わず声を上げた。
 零の繰り出す鏡は、なにも敵の動きを止めるだけではない。味方には時間の巻き戻しを行うことで、受けたダメージを『なかったこと』にしてしまう。
「悪いけど、手加減はできないよ。そっちが僕達を食べるつもりなら、僕達にも抵抗する権利があるからね」
 一切の情けも容赦もなく、零は降り注ぐ鏡の破片でモーラビット達の身体を斬り刻んで行く。それを見たクラウンも黒剣を構え、動けないモーラビットへと狙いを定め。
「よーし、俺も頑張らなきゃ!」
 黒剣を勢い良く叩きつければ、愛らしいウサギの姿をした妖獣は、問答無用で真っ二つ! 気が付けば、辺りにはモーラビット達の倒された跡が積み重なり、不快な匂いが漂っていた。
「ああ……。だから、戦いたくないって言ったのに……」
 やがて、全てのモーラビットが倒されたところで、零は誰に言うともなく呟いた。人形のような愛くるしい姿は血に染まり、獰猛な本性を剥き出しにした顔は醜悪に歪み、モーラビット達の残骸にはかつての面影など欠片もない。
「さて、次行こっか! 次はどんな子かな!」
 それでも、直ぐに気を取り直し、零はクラウンと更に奥へと進んで行く。
 給食センターの廃墟に巣食うオブリビオンゴースト。あらゆる侵入者を決して生かしては帰さなかった危険な存在と、邂逅するまでは、もう少しだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『料理忍』

POW   :    暗殺料理術
自身が装備する【フライパン】から【劇毒物を仕込んだ料理】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【胃痛・嘔吐・痙攣・昏睡・心筋梗塞・吐血】の状態異常を与える。
SPD   :    決戦の料理フィールド
【様々な食材と調理道具】を降らせる事で、戦場全体が【料理バトルの決戦場】と同じ環境に変化する。[料理バトルの決戦場]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    食事を拒む事は許さない
【フライパン】から、戦場全体に「敵味方を識別する【呪術の波動】」を放ち、ダメージと【何か食さねば発狂し七転八倒する程の空腹】の状態異常を与える。

イラスト:もとい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテラ・ウィンディアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●解体部屋の料理忍
 獰猛なウサギ達の群れを抜けた先。そこは、かつて給食センターの中枢として、多くの給食を生産していたはずの場所。
 だが、今となってはその場所も、埃を被って見る影もない。いや、それどころか、周囲の壁には血がベッタリと付着し、それは何かを置くための台も同じだった。
 部屋の中は、異様なほどの生臭さが支配している。それだけ、この部屋で命を奪われた者が多いということだろう。そして、そんな部屋の中央には、今もなお包丁を振るい、何らかの調理を続けている男がいた。
「……おやおや、これは良いところへ」
 男がゆっくりと振り返る。その顔に、在るべきはずの場所に目鼻がなく、螺旋を描く奇妙な仮面に覆われている。
「今宵は随分とイキの良い食材がやって来てくれたものだ。丁度、新しいメニューを思いついたところでね。君達の身体を使えば、さぞかし素晴らしい料理になるだろう」
 そう言って、男はフライパンを片手に猟兵達へと近づいて行く。間違いない。こいつがこの廃墟をゴーストタウン化させ、侵入者の命を次々と奪った元凶だ。
 ふと、彼の後ろにある台を見れば、そこは真新しい血がブチまけられ、台には手錠のようなものもついていた。足元のバケツには、これまた何の肉か分からない塊が、赤い血に染まって無造作に放り込まれている。
 まさか、あの台に侵入者を拘束し、生きたまま解体したというのだろうか。だとすれば、もはや対話の予知はない。あのオブリビオンゴーストを放っておけば、哀れな犠牲者が増えるだけ。
 料理忍。調理の技術と忍術を融合させ、殺しの技術へと昇華させた存在が、最後の敵として猟兵達の前に立ち塞がった。
穢宮・風月
SPD・他猟兵との共闘OK

料理忍……?忍術と料理の技を殺しの技に昇華?……ふざけているんですか?
貴方のような不届き千万、この巫女忍が成敗して差し上げます!!

忍小太刀を片手に取り、スピードに物を言わせた接近戦を仕掛ける
敵の攻撃をよく観察し、受け、流し、躱しつつ、華麗なステップを踏みながら、
攻防一体の身のこなしで的確に傷を増やしていく

……料理バトルの決戦場?よく分かりませんが、貴方をフルーツに見立ててカットフルーツを作ればいいんでしょうか、ね!

クロスレンジの距離から、一足飛びで間合いを空けつつ、活性UCを発動
107本の水流手裏剣で敵の料理を含めて纏めてみじん切りに仕上げる

これで……どうですかっ!!



●料理バトル! 食材はお前だ!?
 料理忍。忍びの技術と料理の技術を融合させ、殺しの技法として確立した恐るべき存在。
 このゴーストが、果たして本来はどのような者の残留思念だったのか。今となっては、それを知る術さえないのだが、どちらにせよ倒さねばならない相手ではある。
「料理忍……? 忍術と料理の技を殺しの技に昇華? ……ふざけているんですか?」
 どう考えても奇をてらったようにしか思えない存在に、穢宮・風月(巫女忍・f36880)は怒りを露にした。
 銀誓館学園にも多くの忍者がいたが、その力は人を殺すためのものではない。料理に関しては、言わずもがな。料理を武器にする能力者も次々に覚醒し始めているとはいえ、その力もまた人殺しのための道具ではない。
「貴方のような不届き千万、この巫女忍が成敗して差し上げます!!」
 そう言うが早いか、風月は一気に料理忍との距離を詰めた。元より、会話の成り立つ相手とは思っていない。危険なゴーストであり、なによりオブリビオンである以上、目の前の存在を倒すのみ。
「ふっふっふ……実に、イキの良い得物だねぇ。これは、さばき甲斐がありそうだ」
 しかし、そんな風月を前にしても、料理忍は全く臆することなくフライパンを構え、彼女の攻撃を受け止めた。
「ほう、なかなか鋭い踏み込みだ。その筋肉、煮込みにしても美味そうだなぁ」
「……ッ!?」
 仮面の奥で、料理忍が気色の悪い笑みを浮かべるのが分かった。瞬間、頭上に殺気を感じて風月が飛び退けば、彼女が数秒前にいた場所には、巨大な包丁が刺さっていた。
「おや、これを避けるとは、なかなか良い反応をしている……ますます、君の身体を食材にしたくなったぞ」
「それはどうも……。ですが、あなたのような者に解体される趣味はありません!」
 料理忍の言葉に合わせ、次々と降って来る調理道具や様々な食材。それらを華麗に避けつつ料理忍を斬り付けて行く風月だったが、しかし何故か料理忍は動かない。心なしか、与えた傷も随分と浅い気がする。風月にしてみれば、決して手加減したつもりなどなかったのだが。
(「間合いを狂わされている? それとも、私の攻撃が見切られているのでしょうか……?」)
 妙な違和感を覚え、風月は一度、距離を取った。気が付けば、辺りは調理道具や食材で埋め尽くされ、なんとも不思議な空間が広がっており。
「ふっふっふ……これぞ、決戦の料理バトルフィールドだぁ! この空間では、優れた料理を作れる者だけが有利に戦える! つまり……この私は無敵! 君達には、私の食材にされる運命しか残されていなぃぃぃっ!!」
 両手を大きく広げ、勝ち誇った様子で料理忍が吠えていた。
 なるほど、この調理器具や食材は、全て敵のユーべルコードか。もっとも、その効果を自ら口にしてしまった以上、突破口はいくらでも見つけることができるわけで。
「料理バトルの決戦場? よく分かりませんが、貴方をフルーツに見立ててカットフルーツを作ればいいんでしょうか、ね!」
「……なにっ!?」
 自分を調理せんと襲い掛かって来た料理忍に対し、風月は更に距離を取った。この空間においても、俊敏性は彼女の方が上なのか。いや、違う。この空間の特性を理解したからこそ、彼女と料理忍の間に大きな格差がなくなったのだ。
「霧影水刃、蓮華が如くっ……!」
 離脱と同時に放たれた100本以上の水手裏剣が、料理忍の身体を情け容赦なく斬り刻む。それらは、先程まで風月が刻み込んでいた傷口に殺到し、より大きく広げる形で内部を穿ち。
「ぐぁぁぁぁっ! おのれぇぇぇぇっ!!」
 全身から得体の知れない何かを噴き出して、料理忍は吹き飛んで行った。
 互いに互いを食材と見立てて戦う料理バトル。まずは猟兵側が、一本先取といったところだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴乃宮・影華
うーん……昔此処で働いていた給食のおじちゃんのゴーストが変貌したというところでしょうか
「すみませんがお断りします。私、美唄市に給食費払ってないので」
何せ10年以上前から鎌倉市民ですし

『サルウェ』からE.N.M.Aのそーじゃないだろ的なツッコミの気配を感じますが
気付かなかった事にして『ペルフェクティオ』をキメた後指定UCの準備を依頼
今現在の私や他の猟兵の状態を「原状」と設定してもらいます
その上で『ラディウス』をぶん投げて攻撃
お残しは許さんとばかりに呪術の波動が飛んでくるのでしょうが
都度UCで原状に戻れるはずです

後はせっかくなので『閃閃狂鋏』を飛ばし
彼自身を調理しやすい大きさに解体しましょうか



●お前が調理されるんだよ!
 給食センターの跡地にて、その奥で包丁を研ぐ料理忍。なんとも奇妙な、しかしある意味では場所にマッチした存在に、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は思わず首を傾げた。
「うーん……昔、此処で働いていた給食のおじちゃんのゴーストが変貌したというところでしょうか?」
 果たして、それが真実か否かは誰にも分からないが、本当にそういう可能性もあるのが恐ろしいところだ。ゴーストとは、残留思念が具現化した存在。思念が残る条件に必ずしも人の生死は関係ないため、この場所で給食を作ってた者が存命であっても、彼らを模したゴーストは誕生してしまう。
「ふふふ……私の正体など、些細なことだ。私の前に立ったからには、君も新たな食材となってもらおうか!」
 フライパンを片手に、料理忍がいきなり影華へと襲い掛かって来た。正面から振り下ろされたフライパンの一撃を、影華は寸前のところでスウェイして避け。
「すみませんがお断りします。私、美唄市に給食費払ってないので」
 よって、給食にされる筋合いはないと告げながら、禁断の秘薬を口に含む。途中、AIが何か突っ込んでいたような気もするが、細かいことを気にしている暇はない。
「おのぇぇぇぇ! ちょこまかとぉぉぉっ!!」
 怒りのままにフライパンを振り回す料理忍だったが、その攻撃が影華を捉えることはない。その間に、準備は全て整った。どれだけ酷い負傷をしようと、全て『現状』へ回帰させるための究極の秘策が。
「あなたこそ……一度、身体を捌かれてみてはどうですか?」
 空飛ぶ槍を投げつけて、影華が料理忍に問いかける。真正面から槍が突き刺さり、料理忍の身体を壁に貼り付けるが、さすがはゴースト。人間であれば致命傷となる攻撃を食らっても、平然と立ち上がって来る。
「ぐぐぐ……小癪な! こうなれば、まずは私の料理を是が非でも食らい、その素晴らしさを堪能してもらおうか!」
 腹に突き刺さった槍を引き抜いて投げ、料理忍がフライパンから呪詛の波動を放って来た。全方位に放たれるため、今度の攻撃は逃げ場がない。おまけに、これを食らってしまったが最後、何かを食らわねばいられない程に耐え難い苦痛に襲われる。
 それこそ、目の前にあるのが腐った料理や、人の死体であっても構わずに手を出したくなる程に。それさえもない場合は、土やゴミですら口に入れたくなる程に。
 しかし、そんな恐ろしい攻撃が来ることを、影華は最初から読んでいた。この時のために準備して来た黒燐蟲。今こそ、その力を解放する時だ。
「我が友の教えを此処に――顕現せよ、回帰の呪!」
 瞬間、影華の身体から飢餓感が消え失せた。あらゆる存在を食らい、破壊する黒き蟲。その力を事象の破壊に用いれば、どれだけ酷い傷を受けようとも、呪いに全身を蝕まれようとも、全て『元通り』にできるのだ。
「な、なんだとぉぉぉっ1 何故だ! 何故、私の料理を食べたいと思わないのだぁぁぁぁっ!!」
 困惑する料理忍が波動を無差別に飛ばしてくるが、その度に状態がリセットされるため、もはや虚しい抵抗だった。そんな料理忍に向け、影華は二振りの剣を取り出すと、それを重ねて本来の姿へと変えて行く。
 閃閃狂鋏。曰く付きの鋏が変じた双剣は、重ねられることで在るべき姿を取り戻し……自在に宙を舞いながら、料理忍の身体を縦横無尽に斬り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川村・育代
そんなご自慢の料理だったら、まず自身で食べてみたらどうかしら?
攻撃を出させたところを魔法少女のステッキで受けて複製した料理を敵に食べさせるわ。
本当だったら自身がしてきたように食材にしてやりたいところだけど、あたしにはそういう技術が無いから。ご自慢の殺人料理を食べてのたうち回ってるところで盛大におちょくってやるつもりよ。
自分でも食べれないような物しか作れないくせによく料理忍なんて名乗れるわね。
小学校の家庭科からやり直したら?



●修行のやり直しを命じます
「おのれぇぇぇぇっ! どいつも、こいつも、私の料理を拒絶しよってぇぇぇっ!」
 食材か、あるいは自分の毒料理を試食させるだけの存在だと侮っていた猟兵から、悉く手痛い反撃を食らった料理忍。その事実を認めることができず、彼は感情のままに料理を次々と作っては、周囲に散乱させて行く。
 およそ、調理師としてはあるまじき行為に、川村・育代(模範的児童・f28016)は思わず顔を顰めた。
 実際に食べずとも、あの料理が毒であることくらいは育代にも分かる。しかし、それでも調理師の名を騙るのであれば、そこに料理への愛情はあっても良いはず。
 ところが、料理忍の行動は、蓋を開けてみれば人を殺したいという殺戮衝動に起因するものばかり。少しでもイキのいい人間を解体したい。食材にしたい。それらを使って作った料理で、新たな食材候補を毒殺したい。そういった、歪んだ感情の果てにあるものが彼の作る毒料理なのだとすれば、もはや調理師の名を騙る資格もなし。
「そんなご自慢の料理だったら、まず自身で食べてみたらどうかしら?」
 目の前に飛んできた料理をステッキで受け流し、育代は床に叩き落した。一瞬、勿体ないという感情が頭をよぎるが、これを食べるわけにはいかない。どうせなら、まずは本人に味見してもらおうと、育代は料理忍の繰り出して来た料理を複製し、彼の顔面に叩きつけた。
「……っ! むぐぐぐぅ!!」
「自分の技を味わう気分はどうかしら? 味と効果は、作り主のあなたが一番良く分かっているわよね?」
 挑発的な笑みを浮かべて料理を押し付ける育代だったが、料理忍の口から答えは返ってこない。仮面のせいで料理が口に入らずとも、触れるだけで害を成す程の劇物が仕込まれた料理は、仮面越しに料理忍自身を蝕むだけの効果を持っていた。
「……ぶはぁっ! こ、この私の料理を……返品するとは……許すまじ!」
 最後は自らの料理を強引に払い除けることで立ち上がる料理忍だったが、消耗しているのは明白だ。人間ではないので即死することはないが、それでもユーべルコードによって作られた特殊な料理で、ゴーストでありながら肉体を蝕まれるんは致命的だった。
「自分でも食べれないような物しか作れないくせに、よく料理忍なんて名乗れるわね。小学校の家庭科からやり直したら?」
 追い打ちをかけるようにして嘲笑する育代に、料理忍は返す言葉もない。全身を蝕む毒素に耐えることで精一杯の彼には、強がりを言うだけの余裕は勿論、育代に新たな料理を食べさせようとするだけの力さえ残っていなかったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

剣未・エト
「くっ、これは…」
波動に晒されて激しい飢餓感を呼び起こされる
思わず膝を付いて苦しそうに息をする
「このままじゃ不味い…くーちゃん力を貸してくれ!」
UC発動(詠唱台詞無し)、姉貴分のミニ視肉が自分の体を千切って食べさせてくれる
(痛みを感じている様子は無く、千切って減った分の質量は一瞬で回復する)
視肉はゴーストの殺戮衝動(うえ)を抑える物……嚥下しながら勢いよく立ち上がる
「そして視肉は生命(ひと)も問題無く食べられる食材なんだ、くーちゃん!」
詠唱銀で包丁型詠唱兵器を生成し、他の苦しんでる猟兵にも食べさせる

「君もこれを使って調理してみるかい?」
視肉を敵に放りフライパンを本来の使いかさせて攻撃を封じる



●衝動と本能の狭間で
 己の料理を拒否され、全身をズタボロにされた料理忍。彼の怒りは頂点に達し、ついに無差別攻撃に出始めた。
「うぉぉぉっ! 誰でも構わん! 私の料理を食ぇぇぇぇっ! そして、私に料理されるのだぁぁぁぁっ!!」
「くっ、これは……」
 フライパンから放たれた波動を諸に受け、剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)は思わず顔を顰めた。
 身体の内から込み上げて来る恐ろしい飢餓感。食べたい。とにかく、何かを食べたい。このまま何も食べなければ、それこそ自分で自分の腕に齧りつき、自分で自分を食べてしまいそうになる。
「このままじゃ不味い……くーちゃん力を貸してくれ!」
 咄嗟に、ミニ視肉を呼び出して、その肉を分けてもらうことで、エトは辛うじて理性を保った。
 視肉はゴーストの殺戮衝動を抑える効果がある。新世代のゴーストであるエトにとっても、それは同じ。未だ完全に空腹から脱せたわけではないが、少なくとも誰かを殺して食べたいという、恐ろしい考えは頭から消えた。
「……そして、視肉は生命も問題無く食べられる食材なんだ、くーちゃん!」
 詠唱銀を包丁の形に変え、エトは更にミニ視肉の身体を細かく切った。そのまま、肉片を敵の持つフライパンに投げ込んで、エトは改めて料理忍に問う。
「君もこれを使って調理してみるかい?」
 オブリビオンとはいえ、料理忍とてゴーストであることに変わりはない。視肉の効果で殺戮衝動を押さえれば、あるいは少しでも話が通じると……そう、思っていたのだが。
「ぐ……ぐぐ……なるほど、確かに素晴らしい食材だ。……だが!」
 ミニ視肉を軽く焙って調理した後に、料理忍は静かにエトの方を振り返った。
「我が破壊の衝動は……このようなものでは打ち消せんぞ!」
 視肉料理を脇に除け、料理忍は再びエトと対峙する。
 オブリビオンは、その存在に限らず世界に対する破壊衝動を持っている。いかに殺戮衝動を抑え込んだところで、世界そのものを破滅に向かわせたいという本能までは、容易に打ち消せるものではない。世界を壊したいという感情を満たすのであれば、必ずしも自ら直接人を手に掛ける必要はないからだ。
「私の調理の邪魔をするというのであれば……私は、この世界そのものを調理してくれよう! もはや、生命か否かなど関係ない!」
 ゴーストの内なる衝動を失った今、料理忍は完全にオブリビオンの本能一色に染まってしまった。だが、それでも彼のフライパンから放たれる飢餓衝動を、防ぐための手段を得られたのは幸いだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・クレスケンス
【SPD】

「命を冒涜するあなたには料理を作る資格はありません」

蒼く灯る魔法陣(【指定UC】)で降ってくる調理器具の速度を10分の1に減速させ、銃や【属性攻撃】(魔術)で撃ち落とす、躱すなどして対応します。
自身の詠唱銃の銃口付近には3倍の効果の魔法陣を纏わせ、速度を高めておきます。
敵がこちらとの戦いに気を取られている間に、ツキに敵の死角から奇襲させます。
普通に撃ち落としているように見せても、写り込みなどで気付かれないよう計算しています。

「見立てる」どころか、彼(ツキ)にとって、オブリビオンは食材そのものですよ。

残留思念の方々の無念は少しでも晴らせたでしょうか。
彼等の魂の安寧を【祈り】ます。



●冒涜者への裁き
 オブリビオンの本能が全開になったことにより、世界の破滅を望むようになってしまった料理忍。
 もはや、彼の暴走は止まらない。このまま廃墟の外に飛び出したが最後、生命か否かに関係なく、あらゆる存在を調理して回る危険な超存在となってしまう。
 そんなものを、むざむざと野に放つわけにはいかなかった。なにより、今まで命を散々に冒涜して来た存在に、これ以上、料理に関わって欲しくはない。
「命を冒涜するあなたには、料理を作る資格はありません」
 世界を塗り替えんと降り注ぐ調理器具や様々な食材。それらの動きを蒼く光る魔法陣の力で減速させつつ、シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)は的確に銃で撃ち抜いて行く。
「止めろぉぉぉっ! 私の食材が! 調理器具がぁぁぁっ!」
 自慢の道具や食材を破壊され、料理忍は発狂しながらシンへと襲い掛かった。それは、ゴーストの殺戮衝動というよりも、自らの食材や調理器具を破壊された怒りから来る殺意。
 なんとも人間臭い異形もいたものだと、シンは苦笑しながら銃を構える。だが、それも仕方のないことなのかもしれない。人の残留思念が具現化した存在がゴーストなのであれば、そこから殺戮衝動を奪ってしまえば、オブリビオンゴーストは『人型のオブリビオン』と何の大差もないのだから。
「申し訳ありませんが、あなたに調理されるつもりはありません。そもそも……」
 魔法陣を纏わせることで弾速を高めた銃を構え、シンはそれを料理忍に向けて連射する。拳銃にも関わらず、マシンガン並みの速射性能だ。それでも、料理忍は弾の隙間を縫いながら、シンへ軽々と肉薄するが。
「……そもそも、『見立てる』どころか、彼にとってオブリビオンは食材そのものですよ」
「……な、なにっ!?」
 眼前に迫るフライパンにも微動だにせず、シンが料理忍に告げた時は遅かった。
 咆哮と共に、鋭い牙が料理の腕に深々と突き刺さる。そのまま力任せに嚙み砕けば、料理人の腕は軽々と千切り取られ、狼型のUDCの口に咥えられていた。
「ぬぉぉぉっ! わ、私の腕がぁぁぁっ!」
 これには堪らず、料理忍も背中を向けて逃げ出す他に方法はなかった。そんな料理人を追うことはせず、シンは静かに殺された魂達へと祈りを捧げる。
(「残留思念の方々の無念は……少しでも晴らせたでしょうか?」)
 このまま背中を撃ち抜いてやっても構わなかったが、シンは敢えて銃を降ろした。
 どうせ、あの先に待っているのは、料理忍にとって絶望でしかない。この地に猟兵が踏み込んだ時点で、彼の命運は決まっていると知っていたから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
【零花】

――俺達は材料になんかならないよっ

犠牲者になった人達の代わりに
おしおきしに来たんだ!

警戒は解かずに黒剣を向けて問いかける

ね、君にとって『料理』って何かな?
俺はね、みんなの笑顔が見たくて
みんなを喜ばせたくてピエロしてるんだ!

君はなんで料理をしてるの?

話が通じないことはわかってるけれど
どうしても聞きたくて

君のその仮面を外したら分かるのかな、なんて

うん、うん!戦わなくちゃだね!
複数の黒剣をジャグリングしながら
降ってきた調理道具を弾き飛ばし
火の輪を使って料理忍びの動きを封じて

零にアシストありがとう!とお礼を伝えつつ
零の動きに合わせて
君に斬りかかろうとした

――何時か、君の作る料理が食べてみたいな


天星・零
【零花】
基本的に常に【第六感】を働かせてどんな状況になっても対応できる様にしておく

使う武器

虚鏡霊術
零域鏡界
Ø

【行動】
クラウンさんにも気を配り戦況を把握して上記武器を臨機応変に使い対応

『僕とお友達になろうよー?
 こんな事はやめてさ!』
戦う前に質問。
実はこの質問は指定UCを用いてのもの

否定した場合体力を奪い
肯定した場合相手の能力値を全て奪う


基本、戦闘方法については基本的に前章と同じ
呪術に耐性がある+半分幽霊な為、飢餓がないため、気にしない



クラウンさんをアシスト
料理バトル。相手に都度質問しながらお話

料理されるのは君だったね

理解ができないなら部位を奪う

因果応報
-なんで、分かり合えないんだろうね。



●相容れぬ存在
 腕を捥がれ、完全に追い詰められた料理忍は、ついに逃走を図り始めた。
 このゴーストタウンを捨ててでも、彼は世界の全てを毒料理に変えるつもりなのだろう。失われた腕も、命ある者を狩って食らえば直ぐに元通りになる。オブリビオンとしての破壊衝動だけに突き動かされ、料理忍は廃墟の中を突き進む。
「ぬぅっ! 何者だ! そこを退けぇぇぇっ!!」
 片手でフライパンを振り回しながら、料理忍は目の前に立つ影に向かって叫んだ。そこにいたのは、満面の笑みを浮かべるクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)と天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)。通路を塞ぐ形で立ってはいるものの、いきなり仕掛けて来るつもりはないようで。
「僕とお友達になろうよー? こんな事はやめてさ!」
 まずは零が、両手を広げて料理忍に尋ねた。交戦の意思はないという現れだろうか。もっとも、そんな態度を前にしても、料理忍の考えが変わることはないのだが。
「ふざけるなぁぁぁっ! 貴様も食材になりたいのかぁぁぁっ!!」
 完全に錯乱している料理忍に、もはや零の言葉など届かない。が、しかし、それで良いのだ。一見して無防備を晒しながら、それでいて答えが二択になる質問をすることこそが、零の切り札となるユーベルコードの発動条件なのだから。
「……っ!?」
 突然、身体の力が抜け、料理忍が膝を突いた。
 いったい、何が起きたのか。理解できないまま、更に身体の力が抜けて行く。いつもであれば軽々と振り回せるはずのフライパンが、まるで巨大な鉄塊を抱えているかの如く重たく感じて持ち上げられない。
「ね、君にとって『料理』って何かな?」
 既に立ち上がることもできなくなった料理忍に、今度はクラウンが尋ねた。
「俺はね、みんなの笑顔が見たくてみんなを喜ばせたくてピエロしてるんだ! 君はなんで料理をしてるの?」
「何故……だと? それは……私が料理忍だからに……決まっているだろう!」
 もっとも、返って来たのはやはりというか意味不明な解答。料理をする忍者だから料理を作る。それは、確かにそうだろう。クラウンが尋ねたのは、もっと本質的な部分に関わる問いだったのだが、それを理解するだけの何かを料理忍は持っていなかったらしい。
「貴様達が……何者かは知らぬが……私は、ここで倒されるわけにはいかないのだぁぁぁぁっ!」
 最後の力を振り絞り、料理忍が虚空から無数の調理器具や食材を落下させてきた。
 これで周囲が埋め尽くされれば、料理忍は再び力を取り戻してしまう。そんなことはさせないと、クラウンは黒剣を軽々と投げながら、次々に調理器具へとぶつけて粉砕して行く。
「ぬぅぅ……な、なんということだ……」
 力を取り戻そうとするも上手く行かず、気が付けば料理忍は壁際に追い詰められていた。そこを逃さず、クラウンの投げた火の輪が迫る。炎のリングに拘束されてしまっては、もはや逃げることも叶わない。
「さて、折角だから、君の趣向に合わせてあげよう。僕の作ろうとしている料理の食材、いったいなんだと思う?」
 身動きの取れない料理忍に、再び零が尋ねた。見たところ、彼は手にした剣以外、調理に使えそうな道具も持っていなければ、何の食材も持っていない。
 そんな者が、いったいどうやって料理バトルをするというのか。仮面の奥で失笑する料理忍だったが……次の瞬間、零の振り下ろした剣が料理人の腕を斬り落とし、続けて仮面を強引に引き剥がした。
「ぬわぁぁぁぁっ!!」
「残念。料理されるのは君だったね」
 質問の内容が理解できない場合は、相手の部位を強制的に奪う。それこそが、零のユーベルコードの持つもう一つの能力。両腕を捥がれた料理忍に、もはや料理バトルで戦う力も、目の前の猟兵達を食材として調理するだけの力もないわけで。
「零、ありがとう! 後は俺に任せて!」
 最後はクラウンの振り下ろした黒剣が、料理忍の身体を真っ向から両断する。仮面の奥にあった漆黒の空間。悠久の奈落とも呼べる虚無諸共に、完全にこの世から断ち切った。
「……終わったね」
「そうだね。でも……なんで、分かり合えないんだろうね」
 刃を納めるクラウンの隣で、どこか寂し気に呟く零。
 命を奪い、世界を壊すことが存在意義であるオブリビオンは、あらゆる世界において、その世界に住まう本来の住人と分かり合えることはない。ならば、せめてこれ以上の悲しみが生まれないようにすることが、猟兵として果たせる数少ない役割なのかもしれない。
 かくして、ゴーストタウンと化した美唄市の給食センターは、再び何の変哲もない廃墟へと戻った。
 だが、これで全てが終わったわけではない。世界結界が復活した以上、新たな場所に、新たなゴーストタウンが発生するのは時間の問題。
 それら、全てを浄化して、いつか再びこの世界にて、人と異形が手を取り合えるようになれば良い。その願いが果たされる日は、まだ少しだけ先のことになりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月21日


挿絵イラスト