ウォークアラウンド・サイバーザナドゥ
#サイバーザナドゥ
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グリモアベース。グリモア猟兵であるムルヘルベル・アーキロギアは、いつになく真剣な面持ちで猟兵の前に現れた。
「うむ……さっそく集まったようであるな。オヌシらも例の世界目当てか?
……違う者もいるかもしれぬから、一応説明しておくとしようか」
ムルヘルベルは大きな本を脇に抱え、おほんと大仰に咳払いした。
「このたび、新たな世界が見つかった。名を『サイバーザナドゥ』と呼ぶ。
……サイバーパンク、という物語のジャンルを知っておるか? 平たく言えばアレだ。
この世界では、国家よりも巨大企業群(メガコーポ)が力を有する。
そして彼奴らは、欲望の赴くまま、骸の海を……発展のコストに消費してきた」
ムルヘルベルは顔を顰めた。
「当然そんなことをして、世界が無事であるわけがない。この世界は滅亡しかけておる。
文明は高度に発展しているが、その代償として法は力を失いモラルは消し飛んだのだ。
この世界では、人々を護るべき警察すら、企業の一部門であり、堕落しておる。
あまりの汚染により、人々は身体を機械化せねば生きられないという始末……」
ムルヘルベルは拳を強く握りしめた。
「ワガハイ達がこの世界を見出したのも、すべてはオブリビオンを倒すがため。
滅亡に瀕した世界を救えるのは、我々しかいないのだ。わかっておるな!?」
猟兵の使命。それは、骸の海より来るオブリビオンを滅ぼし、未来を護ること。
ムルヘルベルの言葉は、忘れてはならぬ使命を改めて強く意識させるものだ。
つまり彼の予知は、それだけの強大にして邪悪な敵を見出したのだろう……。
「まあそれはそれとして飲みに行かぬか?」
???
「いや、なんとなく真面目なふりしてみたんだけども、ワガハイほれ、あれだ。
新年が戦争であっただろう? 思い返すとまともに正月とかしておらぬでな。
バレンタインは、まあいくつか招待してもらってチョコをもらったりしたのだが、
やっぱりこう、な? 甘いものだけでは足りぬであろう? な、こう」
??????
「というわけで、サイバーザナドゥに飲みに行こうと思うのだ。付き合ってくれ」
こいつ、クソなんだ!
え? さっきまでのシリアスな前置き? ウソウソ、ウソでーす! 全部ウソー!
いやウソではないし、ムルヘルベルは本来シリアスなキャラなんだけども、
どこかで「サイバーザナドゥにはいろんな飲み屋がある」という話を聞いて、なんかもう理性が吹っ飛んじゃったらしい。
「だってさあ! ワガハイさあ! カクリヨファンタズムの戦争でさあ! あの無限屋台行けなかったんであるよぉ!?」
なんか急にキレ始めた。
「ワガハイが送り出した連中、やれ酒が美味かっただの鉄板焼が美味かっただの自慢話始めおるし! かといって月見ではワガハイ酒で溺れさせかけられるし!
飲みたいの! のーみーたーいーのー!! ワガハイも遊びたいー!!!」
ついには子供みたいにジタバタし始めた。ウソみたいだろ……102歳なんだぜこれ……。
「というわけで飲みに行く。ついてくるのだ」
キリッ。さっきまでの醜態がウソみてえなシリアス顔でムルヘルベル。
「まずは、ガード下にあるというサイバー居酒屋に行こうと思うのだ。美味いらしいぞ。
そのあとは……そうだなあ、何かイベントをやって楽しむのもよさそうであるな!
オヌシらからアイデアがあればそれを生かしたい。娯楽施設もたいそうあるそうでな。
そのあと? もちろん二次会に決まっておろうが! 夜がこれからであるぞ!!」
もしかしたら、グリモア猟兵となってから一番ウザい期に入ったかもしれない。
「一人飲みも飽きたので付き合ってほしいのである。祭りだぁ~~~!!」
最初から最後まで、本は開かれなかった。ちょっと悲しそうに見えた。
唐揚げ
実験シナリオと聞いては黙っていられない。がんもです。
本シナリオは、3章ともに日常フラグメントとなっております!!
1章:呑む。
2章:遊ぶ。
3章:二次会。
内容は以上です! 2章でどこに繰り出すかは1章でプレイングしていただければ、それを拾うかもしれません!!
戦闘はありません。一切ありません。でもサイバー居酒屋とかカジノとか行くかもしれないので、なんかうだつの上がらないワンダラーヤクザやワンダラー企業警察などと喧嘩したりはあるかもしれません。でも仕方ないよねサイバー飲みだもの。
御大層な目的もクソもなく、飲んでは次の店へ、的なへべれけ珍道中を楽しみたい方におすすめです(つまりギャグシナリオのようなものでもあります)
でもアレすぎるプレイングは採用しかねるので、そこはよろしくおねがいしますね!
あ、あと、日常フラグメントしかないし戦闘もないので、OPの通りムルヘルベルもついていきます(というかむしろ率先して飲みを運営していきます)
絡んでいただければリプレイにのこのこ出てきますし、別に絡まず一人飲みをしても、どなたかご友人や大切な方と楽しんでもいいでしょう。
ただし、ほとんどろくでもない施設です。なんか洒落たバーとかは出ないのでお察しください。酒盛りだよ酒盛り!!
※未成年の方の飲酒・喫煙は禁止です。それをご了承の上でご参加ください。
プレイング締切は、開始時点では設けません。
が、人の入りによっては、締切を告知するかもしれませんので、マスターページおよびTwitterの告知用アカウントをご参照ください。よろしくお願いします。呑むぞ!!
第1章 日常
『サイバー居酒屋の夕暮れ』
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POW : 好きなメニューを好きなように飲み食いする
SPD : 店主や他の客のオススメを頼む
WIZ : 他の客との世間話を楽しむ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●サイバーザナドゥ:とあるサイバー下町のガードレール下
しとしとと、骸の雨が降る。
人々は歩きながら精神をサイバースペースにダイブさせ、虚無的な表情で歩いていた。
「HEAVEN³」「潤い工場」「BAR美楽流」などのネオンサインがバチバチと明滅し、澱んだ水たまりをキャンパス代わりに、ビビッドな電光アートを描く。
「あなたの生活が危ない! 今、家庭用ミニガンの時!」
街頭ARウィンドウでは、絶えずメガコーポの扇情的コマーシャルが繰り返される。CMが明ければ、始まるのは敵対メガコーポの株価を低下させるためだけに編成された欺瞞ニュース番組だ。
空を見上げれば、月も見えない曇り空を切り裂いて、メガコーポ広報エアシップのサーチライトが、威圧的に雲間を照らす。
だが、誰も空を見上げることはない。そこに希望などないと、彼らは知っている。
そんな猥雑な大通りから少し入ると、ガード下には無数の居酒屋が軒を連ねる。
骸の雨による浸食で、いつコンクリートが崩壊してもおかしくない。そうなればここに軒を連ねる店は、まるごとX.Y.Z(おしまい)だろう。
だが、誰もそんな未来のことは考えない。今日を生きるだけで精一杯なのだ。
うらぶれた店ばかりだが、酒と料理の種類は豊富だ。価格も実際安い。
もっとも足元を見られることは多いだろうし、ぼったくりに引っかかることなど日常茶飯事だろう。
さらに路地裏の暗がりからは、危険なサイバーパーツを装備したヤクザ崩れがジロジロとこちらを値踏みしている。
こうした場所でしか味わえない酒の味というものが、世の中にはある。夜はこれからだ。
●業務連絡:2022/02/26 17:59
本シナリオ1章のプレイング受付期限を「02/28(月)08:30」までとします。
ご参加を予定されている方は、それまでにプレイングしていただくようお願いします。
花邨・八千代
酒が飲めると!聞いて!!!
さいばーぱんくとかは良く知らんけどビカビカしてて派手で良いな!
モラル消し飛んでるんなら無礼講で行こうぜ!
一杯目はやっぱビールで優勝だろー!
いくら寒かろうがやっぱビールはキンキンなのが良いな!
なぁオッサン!
(特に知らないワンダラーヤクザに絡む)
ビールでエンジン掛けたら次はハイボール!
相方はからあげで決まりだぜ~~~!
無限に飲めるし食える~~~!
なぁオッサンその2!
(特に知らないワンダラー企業戦士に絡む)
そしてやっぱり外せない冬の味方!熱燗のポン酒!
五臓六腑に染みる…!ぐいぐい行ける…!
ガード下の店ってなんでか妙に酒が美味いんよ…
なぁオッサンその3!
(ムルヘルベルに絡む)
●モラル消し飛んでなくてもいつも無礼講ですよね?
「酒が飲めると! 聞いて!!!」
ザッ! 宴の気配を嗅ぎつけ、花邨・八千代がやってきた。
なお、彼女は「さいばーぱんく」のこととかは、よく知らない。
よく知らないが、なんかどこもかしこもピカピカしてるし、
なんなら酒もピカピカしてるのがあるし、食べ物もピカピカしてるので、
それは派手でいいな、と思った。小学生並みの感想である。
「この世界ってモラル消し飛んでるんだろ!? なら無礼講でいこうぜ!」
「どういう理屈だオヌシ……」
ムルヘルベルは、八千代に呆れた。まるで子供みたいだったから。
それはさておき、適当な店に飛び込んだ八千代は、ノリノリで頼みまくる。
「やっぱ一杯目はビールで優勝だろー! なぁオッサン!」
「ア?」
いきなり話しかけられた一人飲みのヤクザが、じろりと睨み返す。
が、八千代は気圧されない。というか睨まれたことすら認識してない。
「いくら寒かろうが、ビールはキンキンなのがいいな!」
「ダッテメコ」
「いえーい! かんぱーい!!(ガチーン)」
「なんだこの女???」
こちらの話をまったく聞いていない(無視してるのではなく本当に聞いていないだけ)八千代のノリに巻き込まれ、ヤクザはなぜか乾杯していた。
そして、おもいっきりビールをグッと行く。ぐびっ、ぐびっ、ぐびっ……。
「っぷは~~~!! こののどごしがたまらないぜ~~~!!」
「おい姉ちゃん、面白いじゃねえか。しかし俺を誰だと思って」
「(どん)はい二杯目な。いえーいかんぱーい!!(ガチーン)」
「ちょっと待てさっきよりジョッキデカくなってねえかコラー!?」
やっぱり八千代は聞いていない!(無視してるのではなく本当に聞いていない)
ヤクザはまたしてもジョッキを掴まされ、乾杯させられ、グビグビ行く。
ビールとはいえ、この勢いで一気飲みするのは、かなりの負担だ。
一気にアルコールが周り、酩酊する。八千代は気にしてないけど。
「はい三杯目~!」
「待てコ」
「いえーいかんぱーい!!(ガチーン)」
「誰か助けて!!!!」
このへんでヤクザは酔いつぶれた。
たっぷりビールでエンジンをかけた八千代の前に、ハイボールがドン。
さらに唐揚げもドン! ハイボールには唐揚げだ! やったぜ!
「相方は唐揚げで決まりだぜ~~~! 無限に飲めるし食える~~~!!
居酒屋の料理って、どうしてこうスルスル入るんだろうな、なぁオッサン!」
「ちょっとあなた、ここは我々の席なのですが?」
「我々をどこのメガコーポの社員だと思って」
めちゃくちゃ迷惑そうにしている、さらりまんの皆さん。
見た目は七三分けにサイバーサングラスでスーツ姿だが、
泣く子も黙るメガコーポの社員だ。下手に関わると社会的に死ぬ。
「店員さーん! このオッサンたちにもハイボール持ってきてー!」
「「「聞いてない!」」」
だが八千代は気にしない! そしてハイボールドン! ドン! ドン!
「いえーいカンパーイ!」
「「「だから話を」」」
カチーン! 強制乾杯! そしてイッキ! 唐揚げむしゃあ!
「(ダンッ)っく~~~、うめ~~! 油を炭酸で流すの最高~~~!!」
「「「うっぷ……」」」
羅刹かつ20代の健康的な胃袋を持つ八千代と違い、さらりまんはおじさんだ。
なので、こんな勢いで油と酒を摂取すると、こう、たいぶ胃がもたれる。
「はいじゃあ二杯目いってみっか~!!」
「「「誰か助けて!!」」」
だが八千代は気にしない。企業戦士たちはその後、トイレに駆け込んだ。
唐揚げ&ハイボールで腹を満たしたら、ここらで日本酒にスライドだ。
「ビールやハイボールは冷たいほうがいいけど、ポン酒は熱燗がいいよな~。
これで冷えた腹をあっためるわけよ! くぅ~、五臓六腑に沁みる~……!」
きゅっ、と溢れた酒をちょい飲みし、八千代は熱っぽい吐息をこぼした。
いくらでもいけそうだ。酒が酒を洗い流してくれる。何を言っているかわからないと思うが、本当に酒に酒を合わせると美味しいんだから仕方ない。
酒ってなんなんだろう。万能飲料じゃない? これだけあれば生きていけるでは?
「ガード下の店って、なんでか妙に酒が美味いんよ……なぁオッサン!」
「オヌシそのノリであっちでこっちで絡んできておるの!?」
そして餌食にされたのは、ムルヘルベルだった。
「まあまあいいから飲めって! 今日は無礼講なんだって!」
「オヌシが無礼講でない日などあるのか??? いや呑むが」
「はいイッキ! イッキ! イッキ!」
「誰か助けて!!!」
だが誰も助けてはくれなかった。もう犠牲者が出ていたので、絶対関わらんとこ……と目をそらされたからである。
おかしい。楽しい飲み会がどうして初手からこんなことに???
「いえーい! さいぱーばんく? さいこー!!」
八千代はすっかり出来上がっていた。ついでに言うと、名前も間違っていた。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
お、そうでござるな
じゃあ拙者と飲みに行こうか!
という訳でアーキロギア氏を連れて繰り出したのだ!
拙者もシリアスキャラだからな…たまにハジケるのもアリと思うんでござるよね!
新世界だしここの金は持ってないでござろう?拙者がおごるでござるよ
早速道行くヤクザに弾丸を速射で叩き込み金を強奪!ようはアポヘルとかデビキンとかな感じでいけばいいんだろ!しけてんな…
適当に寿司でもいくか
適当に頼んで…ネクラ=剛性細胞培養マグロにケミカルに輝く酒?よくも猟兵やってる我々にこんなモンを出したな?これだよこれ!サイバーパンクに求めていたのは!
金はとってくればあるんだしどんどん飲もうぞ!
拙者?拙者は酒強いので酔わないけど?
●顔が赤いアイコン頼まないんですか?
「じゃあ拙者と呑みにいこうかアーキロギア氏!」
「だれかー! だれかたすけてー!! だれかー!!!」
「アーキロギア氏が言い出したことでござるぞ! 逃げられると思うなよ」
エドゥアルト・ルーデルは泣き叫ぶムルヘルベルの襟首を掴みあげた。
残念ながら、誰も手を差し伸べなかった。ここはサイバーザナドゥ……人間の暖かさなんて、クローム鋼の冷たさの前にははかないもんさ……(精一杯のサイバーパンク要素)
「拙者さぁ、普段シリアスじゃん? こういうときこそハジケるのもアリと思うんでござるよね~」
「オヌシそれマジで思ってそうなのが心底怖いんであるが……」
「まあまあ! アーキロギア氏、そんな嫌そうな顔をされると凹みますぞ~」
「オヌシの場合それ逆側が出っ張ってるだけであろうが」
ムルヘルベルはジト目だが、エドゥアルトはニコッと微笑んだ。
元サラリーマンに「私でも強くなれますか?」って言われたときのプロ格闘家みたいな笑顔である。なっなんだあっ!?
「新世界だしここの金は持ってないでござろう? 今回は拙者がおごるでござるよ!」
「そ、それはありがたいが……いや待てエドゥアルト、じゃあオヌシは金を持って」
「おっヤクザ発見! オラァ!(BRATATATATAT!)」
「アバーッ!?」
「おいエドゥアルト何やっておるかー!?」
コワイ! エドゥアルトは道行くワンダラーヤクザに弾丸を叩き込んだ!
そして斃れたヤクザにしゃがみこみ、懐を漁っている。オブリビオンかな?
「チッ、しけてんな……次のヤクザ襲うでござるか」
「待て待て待て待て! オヌシ金持ってないんであるよなやっぱり!?」
「ようはアポヘルとかデビキンみたいな感じでいけばいいんでござろう???」
「いいわけあるかばかもの!!!!!」
ヤクザは一命をとりとめた。オブリビオンかな??
どうにか隙を見つけて逃げ出そうとしたムルヘルベルだが、なぜかこういうときのエドゥアルトに限って目ざとく、残念ながら逃げられなかった。
「ほらスシでござるよアーキロギア氏! 適当に選んだ店でござるが!」
「この時点で嫌な予感しかしないのである……なあなんであるかあの生簀で泳いでる16本足がついて8個頭のある魚らしき何か」
「大将! 適当におすすめ握ってほしいでござる!」
「オヌシさあ! それ絶対ワガハイに食わせるんであろうなあ!!?」
エドゥアルトは物怖じしない。こいつは無敵だ。
「ヘイオマチ」
なんとなくメダルを払い出しそうな声とともにドンとお出しされたのは、ネクラ=剛性細胞培養マグロと病的かつケミカルに輝く謎の蛍光飲料だった。
どちらも虹色である。ムルヘルベルは食欲が減退してげんなりした。
「おい貴様! よくも我々にこんなもんを出したな!」
「そうだそうだ! 言ってやれである!」
「これだよこれ! サイバーパンクに求めていたのは!!」
「言いたいことはわかるがやっぱりこれであるか! 誰か助けて!!!」
誰も助けてはくれない。なぜならそういうプレイングだから。
「ほーらアーキロギア氏、この常に色を変える蛍光日本酒を呑むでござる!」
「せめて毒味してから勧めてくれんかなあ!?」
「金はとってくればあるんだしどんどん飲もうぞ!」
「だから! デビルキングワールドみたいなノリで動くな!?」
「はいイッキ! イッキ! イッキ!」
「ワガハイこの流れ既視感ある!!!!!」
ムルヘルベルは案の定酒を流し込まれた。なお、エドゥアルトはケロッとしていた。こいつ無敵か??
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
よもやよもや、こんな映画でしか見た事のない世界にまで
足を運ぶ事になろうとは……。
リアルで見ると凄いですね……。
折角ですから写真を撮っていきましょう。
(お上りさん状態)
僕も一杯飲りたい所ではありますが、
いかんせんこの体ではそうもいきませんね。
ミルクを頼んでヤクザ崩れに笑われてみるのも一興。
絡まれたら【グラップル】で関節を外して
大人しくしてもらいます。
気を取り直してノンアルコールカクテルとかそういうのを
頼みましょうか。
それに寿司と焼き鳥も頼んでみましょう。
僕が知るそれとどう違うのか?
味が良ければ折りに詰めてもらってお土産にします。
ギャンブルの類は弱いので次はこの世界のゲーセンに行ってみたいですね。
●サイバーパンク、フォー・R・E・A・L
「リアルで見るとすごいですね……これがサイバーザナドゥですか」
山吹・慧は、珍しくおのぼりさん状態で、キョロキョロあちこちを見渡す。
傍から見ると、上層から物見遊山で降りてきたいいところのぼっちゃんか、
さもなければよほどの僻地で暮らしていた田舎者のようにしか見えまい。
それが、宿星を宿した比類なき拳の使い手であることなど、誰にもわからない。
「せっかくですから写真も撮っておかないと。次がいつになるかわかりませんし」
この世界において、こんなダウンタウンをわざわざありがたがるのは、
そういう「恵まれた者」か「何も知らない者」ぐらいである。
そのぐらい、サイバーザナドゥの世界は、下へ降りるほど過酷なものとなる。
だから、パシャパシャ写真を撮る慧の姿は、現代日本で言えば史跡をめぐる外国人観光客よりも浮いていた。
そんな少年が、よもや酒場に足を運んだとなれば、いよいよ白眼視される。
慧はまったく物怖じせずにカウンター席に座ると、バーテンダーににこりと微笑んだ。
「すみません、ミルクをひとつ」
「……あいよ」
寡黙そうなバーテンダーはむっつりとした顔で愛想もなく頷く。
が、それを聞いていた近くのヤクザ崩れの集団が、これみよがしにゲラゲラと笑い飛ばした。
「おいボウズ、ここがどこだかわかってんのか? ア?」
「飲食を摂る場所でしょう? 僕も一杯飲りたいところなんですけどね」
「ギャハハハ! 何背伸びしてやがんだ! カートゥーンでお勉強したのか?」
ヤクザ崩れはぞろぞろと慧を取り囲み、口々にからかった。
「ママからもらったお小遣い、ちゃんとポッケに入れてあっか? ヒャハハ!」
「おじさんが盗まれてないか確かめてやるからよぉ~、財布よこせや!」
ヤクザ崩れの手が、懐に伸びる……が、そこで慧の手が煌めいた!
「エッ?」
「「「エッ!?」」」
ハヤイ! 慧は一瞬にして不埒なヤクザ崩れの腕を極めている!
「アイデデデデ!?」
「いけませんよ、そういうのは。せめて僕以外を狙ってください」
「「「テ、テメェ!?」」」
気色ばむヤクザ崩れ仲間を、慧は一睨みで黙らせた。そして、ごきり。
「グワーッ!?」
「それと、喧嘩を売る相手は選んだほうがいいです。僕からのアドバイスですよ」
関節を外されもんどり打つヤクザ崩れを解放してやると、もはや誰も慧を笑いはしなかった。
底知れぬ実力を、さすがの奴らでも感じ取れたのだ。
「「「スンマセンデシタ!」」」
「気にしないでください。……改めて、ノンアルコールカクテルを頂いても」
「あいよ」
バーテンダーは何も言わず頷く。あるいは彼は、ヤクザ崩れよりも先に、慧の実力を見抜いていたのかもしれない。
さらに慧が寿司と焼鳥を頼んでみると、出てきたのは彼のよく知るものとはある程度似た……そう、「ある程度は」似た品々だった。
「……すみません、これはなんという魚ですか?」
「マグロだよ、お客さん」
「いや、マグロは赤いはずですが……」
シャリに乗ったなにかの肉は、紫である。
「……本当にマグロなんですか?」
「このあたりで手に入るマグロつったら、そういうもんなんだ、お客さん」
さらに青いタマゴ、緑色のイカ、蛍光色のイクラ、明らかに鶏肉ではない焼き鳥。
さすがの慧もちょっと気が引けたが、意を決して食べてみる。
「……癖になる味、ですね……」
ストレートに美味いとは言い難いが、なんというかこう、シチュエーションも相まってどうしようもなく惹きつけられるものがある。
そして間違いなく身体に悪い。だが、それもまた魅力なのかもしれないと、慧は心の中で思った。
大成功
🔵🔵🔵
レモン・セノサキ
色々◎
えー……その飲み屋もメガコーポの傘下だったりしない?
ムリヘリッッッ……てて、舌嚙んだ、ムル・ヘル・ベルさん?
まぁ潜入調査としてもちょうどいいか
注文は……アイスミルク、ストレートで(ドヤァ)
しょうがないでしょ、こんなナリなんだから!
ヤドリガミだから平気?
ふふん。実は私、"聖獣の加護"を賜っててさ
アルコールは唇に触れた瞬間"めんつゆ"に変わる――
マジ要らねェ加護だわ!!
まぁそんな訳だ、私に感想聞かせておくれよ
いや
あの
ムルムルベルさん?
幾らカクリヨで飲めなかったからって飲みすぎじゃね?
ムリベロベロじゃん!
潜入捜査どうすんのよ?!
――へ?
そんな話はしてない?
ぐあああ、私また早トチったのか……!
●西部劇世界もほしいですよね
「あのさ、ムリヘリ……ッッッ」
レモン・セノサキは口元を押さえてじたばたもんどり打った。
「……何してるんであるかオヌシ」
「いてて、舌噛んだ……えっと、ムル・ヘル・ベルさん?」
「ああ、ワガハイのことを呼ぼうとしておったのか。ムルヘルベルであるぞ」
「ムリュヘッッッ」
「……難しそうならアーキロギアでもよいから。で、どうした?」
涙目のレモンは、声を潜めて耳打ちした。
「あのさ、この飲み屋って、メガコーポの傘下だったりしないの?」
「? それがどうした。この世界で、メガコーポに繋がりのない店などめったにないと思うぞ?」
「ええ……?」
てっきり潜入捜査だと思いこんでいたレモンは、「でも逆にちょうどいいのか」と思い込んだ。ムルヘルベルは「?」と首をかしげる。すれ違いが起きていた。
そんなわけでカウンターに座ったレモンは、ドヤ顔で注文をする。
「アイスミルク、ストレートで」
「おい聞いたか、アイスミルクだってよ!」
「そンな上等なモン、ここにゃねえよ!」
「帰って合成ミルクでも飲んでな!」
ギャハハハハ! と笑う酔っぱらいども。レモンはむくれっつらになった。
「しょうがないでしょっ、こんなナリなんだから!」
「ヤドリガミは不便なものであるなぁ。もちろんそれでよいのだぞレモンよ、酒は厳禁である」
「だよね……いやでも実はね、私、それ以外にも飲めない理由があってさ」
レモンはムルヘルベルに語った。
「"聖獣の加護"っていうのを賜っててね」
「なんだそれは」
「アルコールは、唇に触れた瞬間……"めんつゆ"に変わるんだよ!!」
「…………は???」
「いやマジ要らねぇ加護だわ!! 解けるなら是非解きたいぐらい!!!」
「駄目であるぞ」
「だよね……」
レモンはしょんぼりした。だが、法は絶対である(世界設定とかそんなレベルは超越しているので)
結局出してもらったアイスミルク(店主がわざわざ近くの市で仕入れてきた)をちびちびやりつつ、レモンはムルヘルベルの飲みを見やっている。
「まぁそんなわけだしさ、私に感想聴かせておくれよ」
「ん~? 感想であるか。美味いぞ。美味い。特にこの……ん? これなんの酒であるか? ビール? 焼酎?」
「いや、あの、ムルムルベルさん?」
「ムルヘリュベルであるな」
「ムルベルベルさん?? 言えてないけど???」
レモンから見ても、ムルヘルベルはすでに酔っていた。
「飲みすぎじゃね?」
「飲みすぎでないぞ。ところでこれなんの酒であるか。ワイン?」
「わかってないじゃん! もはやムリベロベロじゃん!」
「無理でないぞ」
「いや無理してるって」
「あのなレモン」
急にシラフの顔になったムルヘルベルは、訥々と語った。
「ワガハイがこういう席を設けるとな、必ずワガハイにすさまじい量を呑ませる輩が何人か湧くのだ」
「えっじゃあ余計駄目なんじゃ」
「なんならさっきすでに連れ回されて盛大にアレした。だからもうこうでもないとやってられんのであるよクソが!!!!!!!」
「ワッ……ワァ……」
かなり情緒がアレしてるムルヘルベルの飲みっぷりに、レモンはなんか小さいやつになった。酒って怖い。レモンはそう思った。
「い、いやでもさ。飲まされることはさておいてね?」
「ワガハイのこと助けてくれぬの???」
「それはまあ自業自得っていうか……いやそうじゃなくて、潜入捜査どうすんのよ!?」
「は???」
「へ???」
お互いに首をかしげるふたり。
「そんな話しておらぬぞ? 今日のはグリモア一切関係なしの飲みである」
「…………」
レモンは両手で頭を抱え、カウンターに突っ伏した。
「ぐあああ、私また早トチったのか……!!」
「なんかよくわからぬが、あれか? 飲むか?」
「いや気遣ってくれるのはありがたいけどだから私は飲めな」
「めんつゆ」
「逆にめんつゆそのものなら嬉しいってわけじゃないよ!!!!!!」
めんつゆをわざわざ仕入れてきた店主は、しょんぼりしていた。
大成功
🔵🔵🔵
霞末・遵
【幽蜻蛉】
新しいお酒と聞いたら行くしかないでしょ
飲めりゃなんでもいいんだけどね
でもどこいっても惟継さんは目立つよねえ
それバーチャルなんとか扱い? かっこいいじゃない
ファンサービスしたげなよ。人気出るかもよ
うんうん、おじさんサイボーグなんだ。ほんとほんと
あっ、お酒とおつまみはおすすめでお願い
惟継さん乾杯するから早く座って
かんぱーい
ここは何が美味しいんだろうなあ
どんな場所にだってひとつくらい美味しいものってあるからね
とりあえずお酒。そんでお酒。あと別のお酒
飲み比べって大事じゃん? だんだんわかんなくなってくるけどね
ねえ惟継さーん、そっちのお酒も気になるなあ。あとえびちょーだい。えび
鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
酒だ!
酒を楽しまず、世界を楽しめようか!
どのような味なのか、知ってる世界と似た味なのか
考えるだけでも楽しいものだな
おぉおぉ、何やら囲まれたぞ!
半人半竜は珍しいか、そうかそうか
ばーちゃる?ぷれいきゃらくたー?
なんだかよく分からんが多分違うぞ!
しかし人に囲まれるのは悪い気はしないな
足なり、尻尾の鱗なり触るのを許そう!
そのばーちゃるとさいぼーぐみたいなので構わないので
美味い酒とつまみを何種類か用意してくれ
俺達は沢山飲むし食べるぞ!
遵殿と並んであれこれ頂く
酒は少量で様々な種類を頼んでおこう
価格も安い上に美味いとは素晴らしいな
酒も初めて飲んだ味だがなかなか良い
えびか?仕方ないな、俺のもやろう
●酒を知るもの、世界を知る
新しい世界。そこは、未知と冒険と、危険に溢れたフロンティア。
猟兵ならば心踊らずにはいられまい。世界を渡る醍醐味はまさしく……。
「酒だ!」
「お酒だねぇ」
あれ? お話聞いていらっしゃいます? おふたりさん。
「酒を楽します、どうして世界を楽しめ用か! なあ遵殿!」
「そうだね。まあ飲めりゃなんでもいいんだけどね私。新しいお酒と聞いたらね」
霞末・遵と鈴久名・惟継のふたりは、ただ飲みたいだけだった。
でも飲みたくないのにこのシナリオ来てる奴いる!? いねえよなぁ!!
というわけで、特に問題はなかった。だってそういう集まりだから!
しかしそんなふたりも、さすがに堂々と歩いていれば、いろんな意味で目立つものである。
「すげえ、なんだあのサイバーパーツ! どこの企業の新作だ?」
「いや、もしかしてバーチャルキャラクターなんじゃね?」
「レプリカントかもしれないぞ! ほら、広告モデルとかさ!」
ストリートの住人……特に、最新のムーブメントに目がないエッジなストリートキッズが、こぞって惟継らを取り囲み、騒いでいた。
「おぉおぉ、なにやら囲まれたぞ遵殿!」
「惟継さんは目立つからねぇ、どこいっても」
「ところで、ばーちゃる? ぷれいきゃらくたー?? とはなんだ?
なんだかよくわからんが、多分違うぞ! なにせ俺は竜なのでな!」
「「「すげー!」」」
「でもさ、そのバーチャルなんとか扱い? かっこいいじゃない」
「まあ、悪い気はせんな!」
「ファンサービスしたげなよ、人気出るかもよ」
「ふうむ……ならば、足なり尻尾の鱗なりであれば、触るのを許そう!」
「「「やったー!」」」
こんなストリートで無警戒でいれば懐を掠め取られそうなものだが、さすがにそこまで惟継も遵も無防備ではない。
なによりも、普段なら骸の雨を避けてあくせく生きるストリートキッズも、豪放磊落な惟継の気性にほだされたか、子供らしくはしゃいでいた。
「平和だねぇ」
遵はそんな様子を、ニコニコしながら眺めていた。本当に平和である。
さておき、店にやってきたら、今度は遵のほうが店主からジロジロと見られる。
「あんた、どの程度サイバーザナドゥ化してるんだ? 胃腸は?」
「え? あーうん、そうそう、おじさんサイボーグなのよ。ほんとほんと」
「いやだから、どの程度サイバーザナドゥ化してるかによって出すメニューが」
「あっ、注文の話? お酒とおつまみはおすすめで」
「美味い酒であればなんでもいいぞ! 何種類か用意してくれ! 俺たちはたくさん飲むし、食べるからな!」
「いやだから種類……」
「多めで頼むぞ!」
「……アッハイ」
会話が成立しているようでしていないので、店主は諦めた。
サイボーグ用の食事と生身の臓器持ち用の食事がどちらも運ばれてくるのだが、もともと妖怪と竜神であるふたりには、あまり関係のない話だった。
かくしてふたりは、なぜか蛍光色に輝いているビールジョッキを握り、がちーん! と勢いよくグラスを鳴らした。
「「乾杯!/かんぱーい」」
そして物怖じせず、一気飲み。見た目はケミカルだが、味わいはむしろそこらのビールよりもマイルドだ。最初の一杯にはちょうどいい。
「面白い見た目に面白い味だな! これがこの世界の酒か!」
「すごいねぇ惟継さん、私美味しいってことしかわかんないや」
酒飲みはそんなもんである。なお、つまみもやけにケミカルな色合いだったり、合成肉なのでトラス構造をしていたり、得体の知れない謎の魚が生けられていたりする。
「惟継さん、そのえび? ちょうだい、えび」
「これか? 尾がなくて頭がふたつあるのだが、おそらくえびだな」
「うんそう、それそれ。まあ味がえびならなんでもいいでしょ」
そしてやっぱり、ふたりは物怖じしない。なんだかんだ美味しいから。
だが明らかに身体には悪そうな味がした。しかしそれも気にしない……なぜなら、つまみも酒も、もともと身体に悪いもんだから!!
「遵殿、こちらの酒も面白いぞ。炭酸が入ってないはずなのに舌がぴりつく!」
「えーなにそれ絶対内臓ヤバくなるやつじゃん。私も飲むー」
危険な火遊びも、ふたりにとっては気分転換のスパイスといったところか。
安価で美味しい(諸説あり)酒とつまみをたっぷり楽しみ、出だしからご満悦のふたりだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジフテリア・クレステッド
再手術のお陰で人に迷惑かけずに食道楽できるようになった私は、一つの智慧を得たよ。
…居酒屋の料理は、なんか美味しい!
というわけでお酒は飲めないけど!ご相伴にあずからせてもらうよ!
そんな訳でグリモア猟兵のムルムルヘル…ムルベルベル……ムルと一緒に飲食するよ!私はジュース!あとなんか揚げ物!
ムルのお話を聞きながら私も自分のお話させてもらおうかな。
…実は最近!彼氏ができました!これ写真ね!本当、食べちゃいたいくらい可愛くてさー!なでると気持ちよさそうにしてくれるのも、私のこと受け入れてくれるんだなって嬉しくてー。
あっ、ちなみに今日は武器持ってきてないから変なのに絡まれたら対処全部お願いします!
●身体に悪いもんはだいたい美味い(真理)
「おや? オヌシ、マスクはどうした」
「実はねー、色々あって毒素の排出を制御できるようになったんだ!」
いえーい、とピースするジフテリア・クレステッド。
彼女がガスマスクを外すのは、もっぱら転移したあと。つまり、今までムルヘルベルがそのご尊顔を拝んだことはほとんどない。
「おお……それはよいことであるな! まあ、ノーコストというわけではなさそうだが……」
「まーそこはねー。でもほら、マスクがなくていいから食道楽も出来るんだよ私」
ジフテリアは、腕を組み、ドヤ顔で言い放った。
「だから知ってるんだよね。居酒屋の料理は、なんか美味しいって!」
「あー、そちらに目覚めてしまったかー。よいことだがよくないことであるなー」
ムルヘルベルは遠い目をした。居酒屋料理とは、ようは酒に合うつまみだ。
そしてつまみは味が濃い。味が濃いってのは脂とか塩分とか、まあとにかく身体に悪いということであり、つまりはそういうことだ。だが美味しい。仕方ない。
「まあよいか、今日は食べようではないか!」
「やったー! じゃあ早速乾杯しよう!」
こうしてふたりは、お酒とジュースで卓を囲むことになったのである。
「「かんぱーい!」」
かちーん! と、グラスが音を鳴らす。もちろんジフテリアはソフトドリンクだ。
そして卓上には、唐揚げ、イカフライ、串揚げ……揚げもんばっかりだこれ!
「ムルムルヘル……ムルベルベル……あー、ムルでいい? よろしくね!」
「よいよい、いやあこの店も実にジャンクな味わいであるな。これでこそである」
「いかにも身体に悪そうだよね! まあ私にはいまさらだけど!」
なにせこんな世界だ。イカフライも本当にイカなのか疑わしいものだが、とりあえず美味いことは美味い。そして酒が進む。であればジュースだって進む。
グラスの中の液体はなんか光ってるし、秒単位で寿命が縮む音がした。でも美味しいんだから仕方ないよね!
「しかしオヌシにもそんな変化があったか。オヌシ、ワガハイの予知した仕事でだいたい変な目に遭っていたであろう」
「え? あれムルがわざと選んでたんじゃないの??」
「いやワガハイ、今回みたいな機会でないと基本的に予知でやむを得ずなんであるが……」
完全に偏見を持たれていたことに少ししょんぼりするムルヘルベル。
「そーなのかー。グリモア猟兵って大変なんだね、やっぱり」
「他に実例があるのか??」
「んー、ちょっと違うけど……実は最近、私、彼氏が出来てさ!」
「ほほう」
「その子がグリモア猟兵なんだよね。あ、これ写真!」
「どれどれ……」
ムルヘルベルは、ジフテリアの差し出した写真を興味津々で覗き込んだ。
「どう? 可愛いでしょ?」
「えっ? あっいやたしかに可愛いが、いやこれオヌシ、そのなんだ相手をけして見くびったり揶揄するわけではないのであるが、こちらの方賢い動物で」
「いやもう、本当、食べちゃいたいくらい可愛くてさー」
「待て待てそれ洒落にならんが!? 比喩になっておらんが!!?」
「なでると気持ちよさそうにしてくれるのも、私のこと受け入れてくれるんだなって嬉しくてー」
「それはそのままの意味であるな!? かなりややこしいが色んな意味で!」
「褒めてあげるとすごく喜んでくれて、キュンとしちゃうんだよね!」
「うんまあ褒められると喜ぶであろうなあ種族からしてそうであるもんなあ!」
同じ猟兵ならば、種族の垣根など関係ないのだろう。ムルヘルベルはそう思った。どうあれ、相思相愛で幸せそうなら喜ばしいことである……。
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
【ワイルドハント】
りょーだんちょーとムルヘルベルも!
おしょーがつから忙しかったもんね! めいっぱい遊ぼう!!
初公開! 大人モードな真の姿に変身だ! しゃきーん!
身長もぐいっと伸びて、おっぱいもばるんばるん! せくちー!
ふふー、これならお酒も……(ネタばらしされて)えぇー、ダメ―?
ちぇー、ムルヘルベルは元の私と同じくらいの見た目なのにー
マッポー極まってんのに、みょーなトコだけ律儀な世界だなー
しゃーなし、そんじゃそのコーラっぽいのちょーだい!
むぉー! なんかぴかぴかしてるー! 身体に悪そー!!(面白がる)
(ごくごく)ぷぁー! 甘っ! 砂糖の塊に申し訳程度のフレーバーの匂い!
白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●劉と一緒にムルヘルベルと
あーあー、そうですわ
よくよく考えたら、特にグリモア持ちは新年早々クッソ忙しかった形かァ
ま、おたくもせいぜい羽伸ばしゃいっスよ
●サイバー居酒屋へゴー
酒だァ?
何アホなコト言ってるんスか16歳
背丈伸ばしたってダメですっつの
正々堂々あと4年待ちなさいや、ったく
ァ?
そっちのすげー若々しく見える102歳はどうなんだって?
……とりあえず、劉は違うモン飲んでなさいや
ヘイ店主、このゲーミングノンアルコールカクテルからテキトーなのをコイツに一杯
(以降も劉にあれこれ注文してやって飲ませて――ぶっちゃけ毒見に使っている)
(安全性が確認出来たやつを俺めも後追いで注文&のむ)
●歴史の闇に触れることは得策ではないと申し上げておこう
今年の正月は、のっけから戦争という非常に慌ただしいものだった。
であるからして、新年の飲みが3月にスライドしても、仕方がないことなのだ。
2月にやれって? ただの飲みたいためのこじつけだろ?
そんなことはない。まったくない。他に理由が思い浮かばなかったからとかじゃない。
「あーあー、そうですわ。よくよく考えたら、特にグリモア持ちはクッソ忙しかった形かァ」
「そーそー! ムルヘルベルもだけど、りょーだんちょーもね!
おしょーがつから忙しかったんだし、今日はめいっぱい遊ぼう!!」
幸い(?)白斑・物九郎と劉・涼鈴は、その理屈で納得してくれた。ありがたい。
「いやぁ、オヌシらは話が早くて助かるのである。いつも力を借りておるしな」
「ま、おたくもせいぜい羽伸ばしゃいっスよ。俺めもテキトーしますわ」
物九郎はいつも通りのフランクかつアバウトな感じで、ひらひら手を振った。
「うんうん、それじゃあさっそくサイバー居酒屋に行ってみよー!」
「……ところで、なんであやつめがワガハイら先導してるんであろうか??」
「なんか今日、妙に張り切ってんスわ。未成年なのに」
「うーん??」
首を傾げつつ、ノリノリの涼鈴についていくムルヘルベルと、大して気にしていない物九郎だったが……。
実際に居酒屋にやってきてテーブルにつくと、涼鈴は急にこう言った。
「それじゃあとりあえず生! 3つね!」
「待て待て待て!?」
ムルヘルベルが咄嗟に止めに入った。
「え? どうしたのムルヘルベル」
「どうしたも何も、ワガハイの話聞いておった?? ここに来る前の!」
「お酒飲もうって言ってた!」
「いやそうではあるが!」
「酒だァ?」
物九郎がぱちり、と片目を開いた。
「何アホなコト言ってるんスか16歳、未成年飲酒は禁止でしょうや」
「ふふーん、そこで私、考えました!」
涼鈴はなぜか得意げにほくそ笑む。
「ずばり! 真の姿で大人モードになればいいんだよ!」
「「は??」」
「身長もぐいっと伸びて、おっぱいもばるんばるんなせくちーな大人にね!
そうすればお酒だって問題ないでしょ! 大人モードなんだからね!」
「……だそうであるが保護者殿、いかに?」
「背丈伸ばしたってダメですっつの。正々堂々あと4年待ちなさいや、ったく」
さもありなん。ムルヘルベルは頷いた。物九郎は「保護者」というワードは意図的に聞き流した。
「えぇー、ダメー? ちぇっ、ムルヘルベルは私と同じくらいの見た目なのー」
「ァ? そんなのお前さん、そりゃあ……」
物九郎はムルヘルベルを見た。ムルヘルベルは目をそらした。
「……とりあえず、劉は違うモン飲んでなさいや」
「そうであるな。というわけで生ひとつと」
「ヘイ店主、このゲーミングノンアルコールカクテルから、テキトーなのをコイツに一杯」
「今流した!? ねー流したよね!? ものすごい間あったよねー!?」
「オヌシ他に何飲むであるか? このコーラっぽいのとかどうであるか?」
「あっ美味しそー! じゃあこれも飲むー!」
涼鈴はチョロかった。これで平和は守られた……!
というわけで酒と、1677万色7216種類に輝くシュワシュワノンアルコールカクテルコーラ(???)が運ばれてくる。
「おや? 物九郎よ、オヌシのぶんはよいのか?」
「あー、俺めは後追いで頼みますわ」
「ふむ」
「じゃあムルヘルベル、まずはかんばーい!」
「うむ、乾杯である」
かちーん。グラスとジョッキが音を鳴らし、ぐびぐびしゅわしゅわ。
「ぷぁー、甘っ! 砂糖の塊に申し訳程度のフレーバーの匂い! 見た目通り身体に悪い味だねー!」
「まァそうですわな。んじゃ店主、次はこのレインボーノンアルコールカクテルを」
「オヌシこやつめを毒味に使っておらぬか???」
「見なさいや劉を、楽しんでるからノーカンっスわ」
「否定はせんのな!?」
その後、物九郎も同じのを頼み、とりあえず再度の乾杯をして、これまたケミカルな色合いのつまみを囲んでぎゃあぎゃあ騒ぎ続けたという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベルト・ラムバルド
ふふん…猟兵としての初仕事か…
このベルト・ラムバルド、精一杯の働きをしよう…
…何?飲み会?初仕事が吞みまわるだけだとぉ!?
…ええい!いいだろう!やるだけの事はやろう!
飲み会だ!どんちゃん大騒ぎだ!飲めや歌おう!
寂びれた店だが…まぁそれなりに旨いじゃないか…
軍隊時代の飯に比べればそれなりに旨い…見た目はあれだが…
この酒も…きつい!だが…かなり効く…!
思ってた以上にいい店だ…いい場所だ…気に入った!
あちらの常連の方から?これはありがたい!
さっそく頂こう…がぁーキツい!さぞや上等な酒と見た!
…何?サイボーグ用のスゴイ酒?人工胃でないと胃が解ける?
……むぐッ?!
(口を押えて慌ててトイレに駆け込む)
●これが初仕事で本当によかったんですか??
「……飲み会が初仕事など、聞いていないぞぉ!?」
勢い余って、あまり話を聴かずに転移に名乗りを上げていたベルト・ラムバルド。
実際に飛んでから、ようやく話の全体像を理解して声をあげた。
「おるのだよなあ、ワガハイの話あんまり聞いてくれぬ者……」
ムルヘルベルは慣れた面である。よほど前例があるらしい。
「仕方がないだろう! 新たな世界と聞いて正直テンションが上がっていたのだ!」
「まあ、下戸ということであれば送り返すが……」
「……いや! このベルト・ラムバルド、二言のある男ではない!
やるだけのことはやろう! 飲み会だ! どんちゃん騒ぎだ!!」
「オヌシやけになっておらぬ??」
「そんなことはないぞ!!!」
後光がさしているあたり、とりあえずノッてはいるのだろう。
で、実際にサイバー居酒屋にやってきたベルト。
お出しされたのは、あきらかに人間が食べる色合いではない刺し身だった。
なお、生け簀を見ると、捌かれる前の魚が泳いでいるのだが……なんか触手ついてる上にピラニアみたいに生肉食ってねえかアレ。
「……見なかったことにしよう!!!」
ベルトは色々脳内から押し出し、ぱくりと思い切って食べた。
脂のせいなのかそれとも別の何かか、ケミカルな色合いをしていた刺し身だが……食べてみると、美味い!
「むむむ、軍隊時代の飯に比べればそれなりに美味い……この酒も……」
これまた蛍光色に光るお酒をぐびり。脳天に駆け抜けるアルコールの味!
「ぐっ! 美味い、が……かなり効く……! そして、きつい……!」
しかし、ベルトはそこが逆に気に入った。初めての世界という状況もあるのだろう。
「寂れた店だが、いい場所だ……気に入った!」
再び後光が差し込む。すると、彼は周りの客からも注目を浴びた。
「おい兄ちゃん、いい食べっぷりだな。奢ってやるからこれ飲みな!」
「おお、これはありがたい! ……がぁーキツい! さぞや上等な酒と」
「いやそれ俺らが日常的に飲んでる合成ビールだぜ。こっちはどうだい?」
「むむむ。これも……かなり、いやだいぶ……!」
「おおすげえ。サイボーグ用の酒飲んでら」
「あれ人工胃じゃないと溶けるんだけど大丈夫かね?」
「…………むぐッ!?」
ベルトは口を押さえ、顔を真っ青にし、トイレに駆け込んだ。
「「「あーあ」」」
常連客は案の定だよ、という顔で見送った。しばしの間、トイレからは呻き声が響き続けたとか。
大成功
🔵🔵🔵
深山・鴇
【大人組】
来年は雲珠君も夜飲みに誘おうか
こうなることくらいわかってただろうに…
(この後のヤベェ飲み食いに巻き込まれるムル君を予想した顔)
白黒の二人には負けるが俺もそこそこに呑むし食べるよ
馬刺しと天然だか養殖だかわからんマグロの刺身は外せない
あと焼き鳥と…メニュー上から下まで!(面倒になった)
金はなぁ、そもサクミラはチケットでなんとかなるんだよな
スキアファール君と茜崎君もそうじゃ? ってめちゃくちゃ食うな
食べる子は育つから…(ね、という目でムル君を見る)
さて、俺はちょいと煙草でも吸ってこようかね
おっと、毒をこっちに向けないように頼むよ
煙草くらい付き合ってくれてもいいだろう?
そうそう、連れ煙草だよ
朱酉・逢真
【大人組】
心情)まさかの予知ですらないたァふっきれたねェ。坊は来年な。まァ俺も呑めンのだけど。その分ほかの3人…2人がめちゃくちゃ飲むだろ。
行動)カネならいくらでもあるが、こんな世界だ。錆びない金や、電気伝導率の高い銀のほうがイイかもな。サイバネやらマシンに使えるし、そちらサンで売れるしさ。てことでこの3人と賢者先生の分は俺のおごりだ。好きに飲み食いおし。俺は"邪魔"が入らンよに外で番してるよゥ。四肢損壊したくなけりゃ来なさんな。…オイ来るなッつったろ、火は貸せンぞ? 仕様がねェな、店と旦那をまとめて結界ン中。あとはテキトウ毒漂わして邪魔者牽制だ。かわいい"いのち"らは宴の最中。邪魔はさせん。
スキアファール・イリャルギ
【大人組】
飲んで良いと聞いて(キリッ)
あっ、ムルヘルベルさんあの時は本当にすみませんでした……(※カクリヨの月見)
今日はね、深山さんもいらっしゃいますしそこまでは暴れない筈――
おぉ深山さんも大分いけるんですね?
私もメニュー上から下まで!
お酒もここからここまで!
朱酉さんのお言葉に甘えて沢山飲み食いします
サアビスチケットは本当に便利ですからねぇ
おかげで両親や先生への仕送りと自分の趣味に費やせてます
(むしゃあぐびー)
ふふふ、どんどこ食べますよー。ね、トーさん
深山さん立ち去り方がスマート……!
ヨシ、ムルヘルベルさんも溺れない程度にどんどこ行きましょう!
来年は雲珠さんが大人の仲間入りか……楽しみですねぇ
茜崎・トヲル
【大人組】
やったー!かみさまは話がわかるっ!
飲みホ食べホだよあーさん!みゃーさん!!むるべ……むるへぶ……ムーさん!!!
おれもおれもー!メニューとりあえず全部くーださい!
おれの胃はアイアンストマックだぜ!
サアビスチケット便利だよねえ!( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”
旅行もたのしーし、ふらっとカフェー入ってさー( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”
シベリアチョウトキューだけ乗ったことねーけど( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”
あ、ちゃんと飲み込んでからしゃべってるよ!
ふふふー、みんなたのしそーう!ムーさんもふにゃふにゃしてんねえ!
どんどこ食べるよ!ねっあーさん!みゃーさんいってらー!
来年は兄ちゃんも来れる……たのしみーっ!
●どうして手加減をしてくれないのですか??
「こうなることくらいわかってただろうに……」
「言うな、鴇よ。ワガハイすでに覚悟は決めているのである」
ものすごくなにか言いたげな深山・鴇に、ムルヘルベルはふるふると首を振った。
「というかだな、あれらを避けたところでどうせワガハイ連れ回されるのである。
っていうかもういっぺん連れ回された。ワガハイね、もうね、諦めたのである」
「それはそれで嫌な達観だな……」
「ひひ。賢者先生もふっきれたねェ。こないだの飴玉が効いたかい?」
「オヌシマジでいずれ一泡吹かせてやるであるからな!!!!」
「諦めろムルヘルベル君、それは不可能だ……」
朱酉・逢真相手に飛び上がってぷんすこ怒るムルヘルベル。彼の肩に手を置き、鴇は首を振った。世の中、逆立ちしたってどうにもならないことはある。
「まァまァ、今日のとこは俺のおごりだ。おおかた、他のやつに金のアテにされて困ってたりすンだろ?」
「オヌシこういうときの察しはよいな……」
「ひひ。俺は呑めンし、ほれ……よく飲む奴らがいるンでね」
逢真が指差した先を見て、ムルヘルベルは某ホラー漫画の巨匠みたいな顔になった。「ギャッ!」ってセリフが似合う感じのあれ。
「飲んでいいと聞いて!」
「やったー! かみさまは話がわかるっ! というわけで飲みホ食べホだー!」
スキアファール・イリャルギ、そして茜崎・トヲル!
あちこちを色んな意味でお騒がせし、親分をKOし、グリモア猟兵もKOし、妖怪や悪魔やついでにオブリビオンもOKするモノクロブラザーズの登場だー!! ヒューマンディザスターか何か???
「あっ、ムルヘルベルさんあのときは本当にすみませんでした……」
スキアファールはぺこぺこと頭を下げた。どうやら、似たような案件をやらかしてマジ土下座をキメたのが効いているらしい。
「えっあっいや気にしなくてよいのである。別にワガハイ嫌ではないのだ」
「あ、そうだったんですね。気にしなくていいそうですよトーさん!」
「やったねあーさん! それにみゃーさん! 今日はたくさんのもーねむるべ……むるへぶ……ムーさん!!!」
「ワガハイ前言撤回してよい???」
「大丈夫です! 大丈夫ですから! 深山さんもいらっしゃいますしそこまでは暴れないはずですから!」
「保護者みてェなこと言ってっけど、お前さんも暴れる側だよなァ」
「というかだな、俺を頼られても困るし、俺もそこそこに飲むし食べるよ」
「えっ! じゃあおれ達もたっくさん食べていいってことじゃん!!」
「ワガハイ諦めてよい???」
「だ、大丈夫ですから! なんとかなりますから!!」
スキアファールは必死にフォローを重ねようとしたが、信頼というのは積み重ねに比例する。ついでに言うと、逢真の指摘がすべてだった。
まあそんなこんなで、「メニューの上から下まで!」とかめちゃくちゃなことを言って店主を絶望させつつ、一息つく一同。
「おや? そういえば、雲珠はどうしたのであるか?」
「坊は来年ってコトで、店には連れて来ずだぜ。フォローで手一杯になるのが目に見えてるしな」
「オヌシあやつには割と甘いのであるな……」
「いや騙されちゃいけないぞムルヘルベル君、あの子も大概被害を受けてるからな」
鴇はしみじみと言った。信徒(ルビ:ひがいしゃ)の言は深い。
「ひひ……人聞きが悪いぜ旦那……俺ァこンなに裏方なのによ……」
逢真はテーブルにつくことなく、カネということで金やら銀やらを雑に前払いし、店の外へ。
「てことで、無礼講だからよゥ。好きに飲み食いおし」
「お、おう……? オヌシは……」
「俺は"邪魔"が入らンよに外で番してるよゥ」
「だ、そうだ。ふたりのお酒の注文は……」
「ここからここまでで!」
「おれの胃はアイアンストマックだぜ! メニュー全部くーださい!」
「だそうだ。まあわかりきっていたことだね」
鴇は達観していた。ムルヘルベルはマジかこいつらという顔をしていた。
「ご、合成馬刺しと七色マグロの刺し身、お待ちィ!」
すでに青い顔をしている店主が頑張って料理を運んでくると、
「おお、来たな。この天然だか養殖だかわからないマグロの刺し身は外せないな。
……というか七色というだけあって、本当に光っているな? 食べれるのかこれは?」
「私とトーさんで毒味してみましょう!(むしゃあ、と自分の前に来た刺し身を一口で食べる)」
「えっ今飲っ」
「おーうまそー! いただきまーす!( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”」
「なんで皿空になっておる上に食べてるはずなのに喋っておるの!?」
「うん、問題なく食べれそうですよおふたりとも!」
「おれもちゃんと飲み込んでるよー! ぎょーぎは大事だもんね!」
「うん、食べる子は育つから。ね」
「それで終わらせてよい話かこれ???」
言いつつ鴇も、なんだかんだもりもり食べていた。ムルヘルベルは唖然とした。
「や、焼き鳥おまちぃ!」
「どうも。しかしカネか、サクラミラージュなら、例のチケットでなんとかなるんだがね」
「サアビスチケット、本当に便利ですからねぇ(むしゃあ)おかげで両親や先生への仕送りと(ぐびー)自分の趣味に費やせてます(むしゃぐびぃ)」
「旅行もたのしーし( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”
ふらっとカフェー入ったりできるもんねー( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”
シベリアチョウトキューだけ乗ったことねーけど( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”」
「ワガハイの知ってる飲み会の概念ぶっ壊さないでほしいのであるが???」
飲み会、飲み会ってなんだ。飲み会を知りたい。
「食べる子はよく育つんだ。それで片付けておいたほうが色々楽だよ」
などと言いつつ、鴇もかなりいいペースで飲んでいた。けろっとしているのが恐ろしい……。
と、ある程度経ったところで、鴇はふと立ち上がる。
「さて、俺はちょいと煙草でも吸ってこようかね」
「「いってらっしゃーい」」
「えっあっ待て鴇よそうするとワガハイが残され」
「大丈夫ですムルへルベルさん! 溺れない程度にどんどこ行きましょう!」
「そーそー! おれらガクシューしたからだいじょぶだよムーさん!」
「全力で不安掻き立てるのやめてくれぬかなあ!? ……信じるぞ? よいのだな?」
「もちろんです! 来年は雲珠さんが大人の仲間入りですし、今日はそれを楽しみにしつつ、雲珠さんのぶんまで楽しみませんと!」
「ねっあーさん! 兄ちゃん来るのたのしみだなーっ! というわけで食べようねムーさん!(ごそっ)」
「寄せてきた食事の量がおかしいのであるが!?」
「そこそこですよムルヘルベルさん、溺れない程度が肝心です(ズズイ)」
「だから酒の量もおかしいが!? 溺死は飲み会で起きる現象ではあっあっあっだから酒こぼれるこぼれるこぼれる!!!」
(「身体に気をつけてくれ、ムルヘルベル君……」)
鴇は振り返らなかった。巻き込まれたくないからではない。ないったら。
「……あン?」
店外。煙管を喫っていた逢真は、鴇を見るなり怪訝そうにした。
「おい旦那、四肢損壊したくなけりゃ来なさんな、って伝えたよな?」
「おっと、毒をこっちに向けないように頼むよ」
「……オイ、たく……仕様がねェな」
逢真は少しだけ、本当に少しだけ仕方なさそうに言うと、結界を貼り、おとなしく受け入れた。
「煙草くらい付き合ってくれてもいいじゃないか。飲んで食べるだけが、宴ではあるまいよ」
「煙草かい」
「ああ、煙草だよ。連れ煙草ってやつさ。別になんのことはない、一服だよ」
「……そォかい。ならマ、好きにすりゃいいさ」
逢真はそれ以上言わず、その距離も縮まらず、火を貸すこともなく。
常にきらめき続けるネオンの星を見上げて、ふたりは煙をくゆらせた。
「旦那は変わりモンだよ、本当ォに」
聞こえるか聞こえないかの逢真の呟きにも、鴇は口元に少し笑みを浮かべるだけ。
猥雑な街の喧騒をBGMに、男たちはしばし、紫煙を楽しみ続けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
結・縁貴
俺は年齢的に飲めないけど、賢者さんに気持ちよく飲んでもらえるよう酌しに来たよ!
店は雰囲気に飲まれて酒が進みすぎる店!
俺は饗しは得意だよ
笑って頷いて同調して肯定して【言いくるめ】
好いタイミングで酌をして杯を気持ちよく開けさせ【奉仕】
酔いが回ってきたところで促そう【精神攻撃】
賢者さんと話せるなんて光栄だなァ
折角の酒の席だ、こう言う時しか出来ない話、しましょうよ
…いや、恨まれる程の話を聞き出したい訳じゃなくてね
唯、「その話を知ってる俺の、些少なお願いに頷きやすくなる」くらいの御話が聞きたいなって
性癖とか黒歴史の話とかね!
そう言う話って、同調する相手にすると気持ち好いだろう?
酔いが覚めた後はさておき!
●なんで皆さん性癖を聞き出そうとするんですか???
「やあ賢者さん! 気持ちよく飲んでもらえるように酌しに来」
「おぉ~ゆやんではぬぁいかぁ~」
「……もう出来上がってるじゃん!!!」
完全にへべれけになっているムルヘルベルを見て、結・縁貴は舌打ちした。
おかしい。雰囲気に呑まれて酒が進みすぎる店にうまいこと持ち込ませて、その手管で酒ガンガン呑ませて酔いを回すはずが、もう完全に潰れている。
「一体誰がこんな面白いやひどいことを……ハッ」
「わからんか?」
ムルヘルベルは突然真顔になった。
「教えてやろうか? 知りたいか? というかあやつらまだ食っておるしオヌシそっち混ざるか???」
「よし賢者さん、お水飲んですっきりしたら飲みなおそう! 俺は年齢的に呑めないけど、饗しは得意だからさ!」
「よいのだぞ? 聞いたらオヌシも結ばれるぞ??? 縁がな???」
「そういう方向で俺の名前使わなくていいよ!? ほら気を取り直して! ね!!」
縁は全力でフラグを回避した。おばけなんてないし、おばけのようにもりもり食べてぐびぐび飲む白いのと黒いのなんていないんだと思いこむことにした。
本当は巻き込んでもよかったんですが、今回は勘弁してやったぜ!(?)
何はともあれ、ムルヘルベルがある程度回復したところで、縁は今度こそ目論見通りいい感じの店に。
「さァさ、たっぷり飲もうよ賢者さん! こうして話せるなんて光栄だなァ!」
「オヌシのその笑みからこの上ない邪気を感じるのであるが……」
「そんなことないって、ほらまずは一杯」
「ワガハイなぁいい加減そういうセンス冴えてきたんであるよなぁ(言いつつ飲む)」
「いい飲みっぷり! 無理はしないでね、お酒は楽しく、でしょ?」
「裏を感じるなぁオヌシなぁ! 感じるがまあ飲むか(やけ酒)」
縁の手管はすさまじかった。言いくるめと精神攻撃の力……いや待て酌で精神攻撃ってなんだよオイ!
「うーむ、また酔いが回ってきたのである……」
「賢者さん、せっかくの酒の席だ、こういう時しか出来ない話、しましょうよ」
かかった。縁はにこりと人当たりのいい笑みを浮かべ、核心に迫る。
(「ここで"些細なお願い"に頷いてもらいやすくなる御話を聞けば……そう、具体的には性癖とか黒歴史の話を聞けば、都合……じゃなくて、お得だよね!」)
お酒は口を回らせる。そして、ここだけの話というのは気持ちがいいものだ。
酔いが覚めたあとはさておき。そして縁にとっても便利である。
すべてはこのためだったのだ! ムルヘルベルは据わった目で、語り始めた。
「そうであるなぁ……昨年の、あのいかがわしい本の島での話であったか」
「うんうん!(来た!)」
「ワガハイ、身体を椅子に縛り付けられて、ひたすらいかがわしい本を見せられ続けてな」
「うんう……うん? え?? なんて???」
「性癖を明かすまで絶対に解放しないと言われて、結局夜までそのままにされたのである」
「なんで??? 新手の拷問???」
「あとは突然裁判にかけられ、あやうく死刑にされかけたりもしたな。いかがわしい本の島で」
「なんで??? 新手の奇祭???」
「ダウジングマシン代わりに首根っこ締められてエロ本探知機にされたこともある」
「何? 何……何探知機って???」
「光れと言われたのだ。エロ本を探して」
「??????」
おかしい。期待していた話の方向となんか違う。ていうかぜんぜん違う!
ちなみにそのうちのひとつの主犯は、縁をさんざん苦しめた(※語弊あり)どこかのかみさまによるものだ。
「あとは例の白いのと黒いのに関していくつか話があるが聞いてくれるか縁よ」
「うーんもう少し飲もうか賢者さん! ね!」
「あれは月見の席でのことであったなあ!」
「ほら美味しいお酒来たから! ね!!」
結局、ムルヘルベルはまた酔いつぶれることになった。縁が弱みを握れたかどうかは彼のみぞ知る。
大成功
🔵🔵🔵
ユーザリア・シン
【壁】カンパ~~イ!!イェーイ新世界イェーイ!これがサワーザナドゥか!最高であるなムハハ!(そのへんで買ったサイバーな電飾を纏ってビカビカさせながら)
親父よ酒もツマミもばんばん出してまいれ!金ならそこのムルヘルベルが払う!無いなら妾の金やるからそれで払うがいいぞムハハ!人に金を払わせて呑む酒はウマイのお!サイコ~~~!
あーっ?!なにぃ!?妾に酒が出せぬというのか~~!?
かーっ!まったく!この世にサイバー義理人情や電脳ツケというものは無いのか!?おのれザナドゥ!ゆるせんぞ骸の海!!
じゃあアレだ。妾が踊るゆえ、それで代金とせぬか?
できぬ?
じゃあ50人目も含めた妾たち全員で踊るからそれで
だめか?かーっ!じゃあ呑むしかないのお!
あっ妾はそのドブみたいな芳しい香りの揚げ豆腐ほしいなモグモグ
ウマイ!!(オーバーロード状態で生浦の張った障壁から飛び出し、雨の中で踊り始める)
(自由とは…)
(そういうものかもしれない)
明石・鷲穂
【壁】
新世界に乾杯!
よく分からんがユーザリアに付いてきたぞ。
新世界すごいな。看板すごい眩しい。酒もすごいに違いない。早く飲み食いしようぜザナドゥ。
まずは体内をアルコール消毒だな。
お勧めの酒を…ユーザリアとキガ(鳥獣戯画)とおれの分と、おれの予備の分を頼む。
折角だから新世界ならではのツマミに挑戦すべきだな!誰か食ってくれ。よし、バレッタ。お腹痛くなったら栴に言うんだぞ。だいたい何とかしてくれる。
おれは既にサイバー厚焼き玉子が食えるものなのか不安だ。
えっ ここムルヘルベルの奢りなのか!?悪いなぁ~助かる。
踊りも代金になるなら……これ(酒樽)制限時間内に飲むとタダになるチャレンジとか無いのか?
生浦・栴
【壁】
換金は済ませたのでオヤジ、女王に一番強い酒を一杯
それから濡れぬように魔法で薄い障壁を張っておくので
…誰も聴いておらぬな?何処に行ってもマイペースよな
後は皆、好きに云うておるので良いか
(投げた。酔っ払い勝てぬというのは世界を跨いだ真理である
ゲーミング卵としか形容出来ぬ物体が見えたが見なかった事にしよう
俺もアレスの(=バレッタ)もまだ飲めぬので飲料はそれなりで
此方は串揚げや焼きナスの類、それから奥に見えた点心もどき等
大体予想の付く食料を選んで摘まんでは料理の無いへ回したりする
山羊のは何気に安牌狙いよなあ
団長…に限らず止めようが無いな
オヤジ、女王は踊って貰った方が盛り上がるし客も喜ぶぞ?
バレッタ・カノン
【壁】あちこちピカピカで面白いな。これがサイバーか。目移りして道に迷いそうだ。
どうせなら新世界の珍しいものを食べ飲みしたい。飲み物は酒以外の何か甘いにしよう。全部大盛りだ。育ち盛りだからな。今に女王みたいに育つから見てろ
勢いで注文してみたけどサイバー厚焼き玉子ってなんだろう?
鷲穂の料理の味見役、受けて立つぞ。サイバー厚焼き玉子と交換でどうだ
栴が回している料理にサイバー厚焼き玉子を混入させる
オヤジ、団長の席にシャーッと滑らせて、あちらのお客様からですってやつを頼む
サイバーデザートをお供に大人組の曲芸を手拍子で観戦。んまーい。サイバー……クセになりそうだ
桜田・鳥獣戯画
【壁】祝・新世界!ふははは乾杯だ!!私の駆けつけサイバー(三杯)を見るがいい女王(f03153)!!はい今から語尾ザナドゥな!二月おつかれザナドゥ~~!!何ッここの払いはムルヘルベルが行うというのか!!さすがグリモア猟兵…なんと頼もしい!頼りにしている!!ガシッ(握手) 店主よチヂミを!あと明太ポテサラと枝豆ガーリック炒めとお好み焼き的なサイバー案件を頼む!!女王や鷲穂に私の酒が飲めんのかしたり、栴やバレッタに枝豆あーんしたりと絡みに行かせてくれ!!何せ皆での宴会が久しぶりでな。
何だ貴様一人で来ておるのか飲め!ついでにうちにお試し入団していけ!祝・50人目の壁侵入者!乾杯~!!
●壁の人々、新世界で大いに飲む
「カンパ~~~イ!!」
「「「「乾杯!」」」」
ノリノリのユーザリア・シンの音頭のもと、旅団『ザ・ウォール』の面々は乾杯した。
「イェーイ新世界イェーイ! これがサワーザナドゥか! 最高であるなムハハ!」
「新世界に乾杯! よくわからんがついてきたのでここがどこだかもわからん!」
明石・鷲穂は笑顔だ。ユーザリアが名前を間違えていることにすら気付いていない。
「あちこちピカピカで面白いな。これがサイバーか……目移りして道に迷いそうだ」
バレッタ・カノンが飲むのはドリンクである。むしろ彼女は食べるタイプだ。
「祝・新世界! ふははは私の駆けつけサイバー(三杯)を見るがいい女王!! ウオオオッ!!」
桜田・鳥獣戯画、ザバザバ飲む! 蛍光色のビールを!
「誰もツッコんでおらぬから俺がツッコむが、サイバーザナドゥだぞ。それとサイバーという単語は駆けつけ三杯の代替語にはならないぞ団長」
生浦・栴もジュースを飲みつつ、冷静にツッコミを入れた。おっこれは常識人枠に期待……!
「よし、換金も済ませたしツッコミも入れた。女王のに障壁も張ったしこれであとはよいな」
駄目だこれ秒で投げた! ムルヘルベル出撃!!
「そうそうサイダーノムゥ! 最高であるなムハハハ!」
「サイバーザナドゥであるが!? というかオヌシなんだその電飾! どこで手に入れてきた!? なぜ身体に巻いておる!?」
「おお、看板だけじゃなくユーザリアも眩しいとは。すっかりサイバーなんだな!」
頑張ってツッコむムルヘルベルの横で、鷲穂は一瞬で受け入れていた。こうでなければ壁の面子としてはやっていけないのだ(?)
「よし名前覚えた! というわけではい今から語尾ザナドゥな! 二月おつかれザナドゥ~~~!!」
「ムハハハ親父よ酒もツマミもばんばん出してまいれザナドゥ! カネならそこのムルヘルベルが払うザナドゥ!」
「なんであるかその語尾! えっていうかワガハイ払い!?」
「本当か!? 悪いなぁ~助かる! ありがたいな!」
「さすがグリモア猟兵! なんと頼もしい!! 頼りにしている!!!(ガシッと握手)」
「払わぬが!? ワガハイまだこの世界のお金ないのであるが!?」
「仕方ないでは妾の金をやるからそれで払うがよいぞムハハ!」
「それオヌシが払うのと何が違うの!?!?!?」
「賢者の……無理はやめておいたほうがいい。女王の言っていることにツッコんでいるときりがないぞ」
栴が諭すように言った。彼も彼でこの状況で泰然自若なので恐ろしい。
「あ、きりがないぞザナドゥ」
「オヌシも語尾つけるのか!?」
「それよりわたしは料理が食べたいザナドゥ。全部大盛りだ。育ち盛りだからな。ザナドゥ」
バレッタの語尾は雑にもほどがあった。
なにはともあれ(?)自由すぎる面々はこれまた自由に酒も料理も頼み、次から次へと身体に悪そうな(そしてたいていケミカルな色合いの)料理がどんどこ運ばれてくる。
「勢いで注文してみたけどサイバー厚焼き玉子ってなんだろ?」
「店主よこちらにチヂミを! あと明太ポテサラと枝豆ガーリック炒めとお好み焼き的なサイバー案件を頼む!!」
「サイバー案件ってあたりが新世界って感じするな! やはり新世界に来たなら新世界ならではのツマミに挑戦すべきだ! というわけでおれも注文するから誰か食べてくれ」
「オヌシが食べるんでないの!!?(ツッコミは律儀にするムルヘルベル)」
「こちらは串揚げと焼きナスのサイバー案件を、あとは……奥に点心もどきとしかいいようがないのもあったな、そちらも頼む」
「ムハハハ! 妾には酒を出せ酒を! もっともってこい!」
「いやすみません酒は今出してるのが全部で」
「あーっ!? なにぃ1? 妾に酒が出せぬというのか~~~!?」
頑張って注文物を運んできているサイバー店主にキレるユーザリア! めんどくせえ!
「かーっ! まったく! この世にサイバー義理人情や電脳ツケというものはないのか!?」
「ないですが……」
「おのれザナドゥ! ゆるせんぞ骸の海!! しかたないなじゃあアレだ、妾が踊るゆえ、それで代金とせぬか???」
「この人何言ってるんで???(心底わかんねえって顔で残りのメンバーに振るサイバー店主)」
「オヤジ、女王は踊ってもらったほうが盛り上がるし客も喜ぶぞ?」
「それで代金になるわけがねえですよね???」
「わかったわかったワガハイが払うから、なんでか金渡されたのでワガハイが払うからとりあえずそこで収めてほしいのである」
「じゃあ妾踊るぞ! なんかもう代金とかいいから踊りたくなってきた!!」
「オヌシは座ってろマジで!!!」
飯どころではなかった。
しかしザ・ウォールの方々は心臓がごわごわの剛毛で出来ているので(※諸説あり)踊り狂っていたと思ったらシラフになって戻ってきたユーザリアを混ぜて、普通に宴会も楽しむ! なんだこいつら!
「よし、バレッタ。お腹痛くなったら栴に言うんだぞ、だいたいなんとかしてくれる」
「山羊の、それは無茶ぶりというのだぞ。ところでこの点心もどきを食え。美味いぞ」
「そういうところが頼れるんだよなぁ! 助かる」
「このサイバー厚焼き玉子、ゲーミングとしかいいようがないな。よし、その点心もどきに混ぜよう」
「アレスの、混ぜるのはよせ。それでは女王しか食べられない」
「フハハハ何を言う私だって食べれるぞというわけでいただきまーす!! うわっ舌ピリピリするこれ喉しびれてきた!!」
「ムハハハそういうときは酒だ! 酒である!!」
「なんであるかこれ……」
ムルヘルベルはもはや唖然としていた。だが彼らは平常営業だ。
「女王! そして鷲穂!! 私の酒が呑めんのか!! おぉん!!?」
「もう飲んでおるぞムハハハハ!」
「おれもだな! もちろんギガの酒は喜んでいただくぞ!」
「何ぃ!? 仕方ないなでは栴! バレッタ! はい枝豆あーん」
「久しぶりの宴会だからと大はしゃぎだな団長。まあいただくが」
「もぐもぐもぐもぐ(もぐもぐしながらさらにもぐもぐし、鳥獣戯画のさらにサイバー卵焼きを乗せる)」
「だからこれさっき食べたが!? 仕方ないからまた食べるか! うおおお唇が痛い舌も痛い!!」
「フハハハ楽しいなあ!! ウオオオ美味い!!!!!」
テンションの上がったユーザリアは栴の障壁を飛び越え、外で華麗に踊り始めた。
自由……それが、合言葉……それが、サイバー……つまりは……そういうことなのかもしれない……。
「なんだこれ」
ムルヘルベルは唖然としていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
賀茂・絆
色仕掛けの練習に付き合ってクダサイ!
あ、いや、変なことするわけではないのデス。酒の席の接待程度のものデスヨ。
この世界では使うことも多そうなので実践で練習したいなと。
(膝を付き合わせるように向き合い)
ムルヘルベルさんの話は遮らず最後まで聞き、そしてわざとらしくなったとしてもしっかり褒めマス。お互いにRPのようなものだと分かっていても褒められるのは嬉しいものデス。
その上で分からないことは本当に分からないと言い、質問しマス。これで相手にきちんと興味を持っていると示せるのデス。
あと、ベンジャミンフランクリン効果による好感度上昇を狙って「お願い」をしてみマス。「このお酒頼んでもいいデスカ。ムルヘルベルさんと一緒に飲みたいのデス」みたいな感じで。
相手が照れているようでも笑顔で人懐っこく接し続ければ好意の返報性で好印象を与えることができるはずなのでめげずに最後まで明るく接し続けマス。
手を繋いでこちらの膝の上に乗せる…はムルヘルベルさんの酔い方次第デスかね。
あ、邪魔者には容赦なく対処し「分からせ」マス。
●どういう訓練??
「色仕掛けの練習に付き合ってクダサイ!」
「うむわかった! うむわからんが???」
賀茂・絆の唐突すぎる申し出に、ムルヘルベルはおバグりかけた。
「あ、いや、変なことをするわけではないのデス」
「色仕掛けの練習自体が変であろうが!」
「酒の席の接待程度のものデスヨ。この世界では使うことも多そうでショウ?」
「あー、なるほど、そう言われると……いやでもなんでこの機会に?」
「ムルヘルベルさんは練習台にちょうどイイなと」
「どういう意味であるか???」
とりあえずやってみることになった。
膝を突き合わせるように向かい合い、ムルヘルベルがとりあえず飲むことに。
「何かお話を聞かせてくだサイ」
「うーむ、そうであるな……今の流れだと主に愚痴しか出んのであるが」
「それでもいいデスよ」
「では……いやな、ワガハイもな、誘ってもらえるのは嬉しいしなんだかんだ楽しんでいるのである。だがな? 相変わらず溺れる一歩手前まで飲ませはするし食べ物の量はやっぱりおかしいし、黒髭の奴なぞワガハイのことをボロ雑巾か何かとしか思っておらぬし挙げ句ワガハイから妙なことを聞き出そうとする輩まで」
(「あれっ練習のつもりがガチのやつ出てきマシタね?」)
しばらくムルヘルベルの愚痴は続いたが、絆はきちんと遮らず最後まで聞いた。
「……まあそういうわけだ。いや、ワガハイも楽しいのであるよ? 楽しいのだがな??」
「なるほどデス。ムルヘルベルさんは、とっても偉い方なのデスね」
「む」
練習とわかっていても、いきなり褒められると嬉しいものだ。
「それに、お話がとっても上手デス。ワタシ、思わず聴き続けてしまいましたヨ」
「なるほどそう来たか……とはいえこういう話ばかりでは面白くあるまい。
オヌシでも相槌を打ったり出来るよう、もう少し別の話をするのはどうだ?」
「練習に積極的でいてくださって助かりマス。学術的な話でもいいデスよ」
「そうか。ではワガハイがこの間手に入れた禁書についてなのだが……」
やや話の難易度が上がってくると、絆は合間合間に「わからない」「知らない」と自らの不足を認め、その上でムルヘルベルに質問を返した。
前者だけで終わればただの無興味だが、そこに質問という促しを挟むことで、「興味があり、さらに話しやすくする」というアピールが出来る。
「……であるからして、この書に記された理論というのは……」
「ワタシも興味深いのデス。ムルヘルベルさんは知識も幅広い方なのデスね」
「そうであるか? そうであるかもしれぬなあ、ハハハ!」
酔いも相まって、ムルヘルベルはすっかり乗せられていた。
そこで絆はすかさず、こういう。
「このお酒頼んでもいいデスカ。ムルヘルベルさんと一緒に飲みたいのデス」
「おお? いやしかし、練習でそこまでするのは……」
「楽しませてくださったお礼みたいなものデス。どうせなら一緒に楽しく飲みマショウ?」
「……そういうことであれば仕方ないであるな!」
ベンジャミンフランクリン効果は見事に炸裂していた。絆は笑顔で人懐っこく接し続け、完全にムルヘルベルの心に忍び込んでいる!
「じゃあこれ、ムルヘルベルさんにお支払いいただいてもいいデスカ?」
「うむうむそのぐらいお安い……ハッ!」
「いまのは露骨すぎマシタネ。そろそろ十分かなと思いましたノデ」
「……オヌシ怖いなあ!?」
ムルヘルベルはゾッとした。絆はにこりと笑うだけである。それが余計恐ろしかった。
「いえいえ、練習デスカラ。それはさておき、お酒は飲みマショウ!」
「オヌシのそれがもはや練習なのかマジのやつなのか普通の提案なのかわからんのである……」
とりあえず飲みはした。絆の笑顔は一切変わらなかったという。恐ろしい女……!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『サイバー遊技場』
|
POW : とにかく全力で遊びまくる
SPD : 自分の得意な分野で勝負する
WIZ : 策を巡らせ、一瞬の勝負を狙う
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
飲んで呑まれて飲まされ飲んで。
各々へべれけになったり平気な顔をしているところで、ムルヘルベルは提案した。
「よし、ゲーセンに行こう」
と。
そこでやってきたのは、カジノとゲーセンが併設された総合アミューズメント施設だ。
カジノでは本格的なギャンブルが、ゲーセンではサイバーザナドゥの技術力をふんだんに生かした、それでいてキマイラフューチャーよりもややエキセントリックでデンジャラスなゲームが楽しめる。
具体的に言うと、意識を完全没入させて遊ぶVRゲームだとか(意識を没入させるのでたとえば敵からダメージを受けるとマジで痛いし脳が灼ききれる危険性もある)相手がヤクザだったりするので連勝してるとリアルファイト必至の格ゲーとかだ。
カジノのギャンブルはルーレットをはじめ、ポーカーやブラックジャック、バカラといった定番のカードゲームに、金網の中で殴り合う拳闘士を使ったデスマッチギャンブル(乱入可能)、やけにプリティな獣耳が生えたレプリカントたちのレースを観戦するダービーなど、色々ある(これはゲーセンにもある)
ポケットマネーを賭けて一攫千金を狙うなり、乱入して暴れるなり、ゲームでひたすらヤクザやキッズをボコして泣かせるなり、遊び方は自由だ!
●業務連絡
プレイング締切:03/06(日)19:59まで。
試作機・庚
突然デスが「拳客の楽園」とかいうデスマッチ型ギャンブルに参加者登録してきたデスよ。
グリモア猟兵さんの名前で(登録名はしっかり書いてある。)
たしか武器UCその他諸々禁止の完全ステゴロ系だったデスかね?知らんけど。
え?私は賭ける側でしか参戦しないデスよ何言ってるんデスか?
大丈夫デスよちゃんと相手側に賭けとくデスから!儲けは半々でいいデスかね?
じゃ!あとよろしく!
以下補足
庚さんは見た目文官のムルへルブルがステゴロで勝てるとは思ってないように思える
報復を受けるとも思ってないので行うようであれば何でもどうぞ
エンジョイアンドエキサイティング!
●そういうこと 忘れちゃダメだよ
「突然デスがグリモア猟兵さん」
「えっなんであるか」
「拳客の楽園、とかいうデスマッチ型ギャンブルに参加者登録してきたデスよ」
「おお、そうか……大変かもしれぬがまあ猟兵であるオヌシなら敵はな」
「グリモア猟兵さんの名前で」
「なんで!?!?!?!?!?!?!?」
試作機・庚は、なんで? と言われたことがなんで? みたいな顔で首を傾げた。
「えっと、ルールは武器・ユーベルコード・その他諸々禁止の完全ステゴロで」
「いやルールの確認をしたわけではないが!? Why、なんであるが!?」
「??? 参加登録もせずに乱入したら面白みがないのデハ?」
「えっなにこれ怖いワガハイパラレルワールドに迷い込んだ?」
ムルヘルベルは震え上がった。会話が、会話が通じていない!
「……あ、ナルホド!」
庚はようやく理解したらしく、掌をぽんと叩いた。
「どうして私が参戦していないのか、が不思議なんデスね!
なあんだ、そんなことなら最初からそうとはっきり言ってほしいデス!」
「むしろなんではっきり言わねばわからぬの????」
「もー、グリモア猟兵さんは変なところを気にするデスね」
「?????」
「私は賭ける側でしか参戦しないデスよ、何を言ってるんデスか!
あ、大丈夫デスよ、賭けるほうは決まってるデス! ご安心を!」
「あっ、あーなるほど! あれか、ワガハイが勝てると信じてなのかな!?
だがなー、ワガハイ見ての通りステゴロ苦手でなー! いやー信頼は嬉しいが困」
「ちゃんと相手側に賭けとくデスからね」
「まずオヌシをぶっとばしてよいか!!???」
「儲けは半々でいいデスかね?」
「しかも取り分少なっ!! 勝手にデスマッチに参加登録したらダメであるよ!!」
「は? 私の勝手でショウ……」
「なんで開き直れるんであるか……」
ムルヘルベルはもはや恐怖していた。なんなんだこのドッジボールは。
だが店の方々が現れ、ムルヘルベルの両脇をガシッと掴み上げる。
「エッ」
「じゃ! あとよろしく!」
「えええええ……誰か助けてぇええええ……」
ムルヘルベルはずるずると引きずられていき、金網の中に放り込まれた。
「いやー、E&Eの精神は最高デスね!」
庚はたんまり儲けたという。人の心とかないんか??
大成功
🔵🔵🔵
撒菱・しのぶ
配信の王道といえばゲーム実況でござる。ここはストリーマーとして連勝に連勝を重ね、チャンネル登録者数を増やさせて貰うでござるぞ。
何を隠そう拙者のゲームのワザマエはタツジン級……
(めっちゃカッコよくコイン投入)
さあ、誰でもかかってくるでござる!
んっ?
あ、ちょっまっ…
それハメ技だぞよ!?
………
いや違うでござる。久々だから調子が出ないだけでござる。
何故か登録者は増えたからヨシ!今回の配信はここまででござる。ニンニン!
●あったまってるあったまってる!
配信の王道。それは――ゲーム実況だ。
絵面の派手さを確保しつつ、配信者のリアクションで工夫が出来、プレイ済みであれば思い出の共有を、そうでなければゲームの内容自体でリスナーを引き込める。
そしてなにより、リーズナブル! ゲームさえ買えばいいのだから、リアルで鉄球熱したりしなくてもいい。室内でも出来るから相当楽!
まあそのぶん、配信者のリアクションとか、ゲーム選びのセンスが問われるシンプルながら難しい題材でもあるのだが。
しかし、幸いにもここはゲーセンである。
撒菱・しのぶは格ゲーに挑戦し、連戦連勝でチャンネル登録者数を稼ぐつもりだ。
「何を隠そう、拙者のゲームのワザマエはタツジン級でござる」
フッ、とカメラ目線で、カッコよくイキるしのぶ。
今回選んだのは、「ゴルディーゴア・イグジスタンスシャープレクエイム・アルティメットコアザイン・スラッシュリボルヴァー」である。
ものすごいマイナーバージョンアップをしていることから分かる通り、長い間各ゲーマーから愛される名作2D格闘ゲームだ。
「今日はこのゴルディーギア、イグジスタンス……いや長いでござるな、GGEX#RACSSRを遊ぶでござる」
アルファベットにしても長い。格ゲーってそういうの、あるよね。
ちゃりーん。しのぶは無駄にカッコよく、コインいっこ入れた。
「さあ、誰でもかかってくるでござる!」
使用キャラは、もっともオーソドックスな(いわゆる波動キャラ)赤い主人公だ。
主人公ながら割とダイヤグラム上位で、上級者にも愛されている。
愛されすぎてて使うだけでクソキャラ扱いされる向きも、なくもない。
格ゲーってそういうの、あるよね。
HERE COMES NEW CHALLENGER!!
「むむっ、来たでござるな早速! 相手は……なんと、拙者を相手にニンジャの「ゼップ」で? いい度胸でござる!」
ゼップは動きが超素早いが、その代償にめちゃめちゃ紙装甲で有名だ。
これなら、勝てる。しのぶはウキウキと対戦を始める、が……!
「んっ? ……あ、ちょっまっ、み、見えないでござる! あれぇ!?」
相手が割とガチのゼップ使いだった! ボコボコにされるしのぶ!
「それハメ技だぞよ!? ちょ、初心者に手加減……あ゛ーーー!!」
YOU LOSE……。
「…………」
バッ。しのぶはカメラに振り返る。
「いや違うでござる。久々だから調子が出ていないだけであって、拙者はこのゲーム初期からやりこんでるでござる。というかあれはハメ。大人気ないぞよ」
『早口になってて草』
『あったまってるあったまってるw』
『大丈夫? プラクティスやる?』
「むきー!! うるさいでござる!! 今からが本番でござるー!!」
煽りまくりのコメント欄にキレ散らかしつつ、しのぶは連コし、そしてまた負けた。
「なーんーでーでーごーざーるーかー!!」
なんやかや、その姿をあまつところなく写したおかげで、チャンネル登録者数は爆上がりしたそうな。
大成功
🔵🔵🔵
レン・ランフォード
やぁムルヘルベル…今晩は
これは少し遅いバレンタインチョコ…
今年はネタ切れでね…それは普通のだから安心して…
じゃさっそくポーカーしよう…
大丈夫…ディーラーはれんにサマかけようとしたから殴り倒したから
代わりに蓮がやってくれる…不正はないよ
後は錬とモブの4人で勝負勝負
(結果はお任せ)
ん…じゃあ結果良かった人から選んで
当日はネタ切れだったから今しよう…ロシアンチョコを
4個中1個だけセーフ「あ、てめぇはずれ増やしやがったな!?」
たっぷり山葵とやべー辛子と抜いてない渋柿…死なないから大丈夫
あ、ディーラー殴ったから邪魔が入らないよう周り式鬼で囲んでるんだ
逃げられないね?
さ、選んで選んで
(結果はお任せ)
●だからチョコは危険物を混ぜるお菓子ではないと
「やぁムルヘルベル……こんばんは」
「おお、レンではないか。どうしたのだ改まって」
レン・ランフォードはにこりと笑い、チョコの包みを取り出した。
「へ? チョコ?」
「これは少し遅い、バレンタインチョコ……渡しに来ようと思って」
「……これは何が入って」
「それは普通のだから安心して……今年はネタ切れでね……」
「ならいいんであるが、いや待て「それは」って言ったであるな今」
「じゃ、さっそくポーカーしよう……」
「話の流れがめちゃくちゃなんであるが??? ねえ今「それは」って」
「大丈夫……ディーラーはれんにサマかけようとしたから殴り倒したから、代わりに"蓮"がやってくれる……不正はないよ」
「というかだなそもそもチョコは危険性を競うようなものではないのだが聞いておるかー!?」
聞いてなかった。
そしてムルヘルベルと、そこらにいたモブの方も入れて、れん・錬・ムルヘルベル・モブの四人で卓を囲むことに。
「いやなんですかこの卓。あの、なんか周りに怖い鬼がいるんですけど」
「すまぬな、命の覚悟を決めてほしい」
「ナンデ!? デッドリーナンデ!?」
名もなきモブは失禁しかけた。コワイ!
「俺こういうの苦手なんだよな……つか、チップなくねえか?」
錬が首を傾げると、ディーラー役の蓮がにこりと笑った。
「何を言ってるんですか錬、代わりにチョコを選ぶんですよ」
「それつまりロシアンチョコってことじゃねーか!?」
「だからなんで危険性の高いチョコに走ったんであるか!?」
「大丈夫……当たりを増やしておいたから……」
れんが、なぜかぐっとサムズアップした。
そして肝心の結果はというと。
「やったーフルハウス! ワガハイが勝利であるー!」
「チッ、スリーカードまではいけたんだがな……」
「……ワンペア……」
「アイエエエ!? ブタ!? ブタナンデ!?」
といった具合だった。きゃっきゃと喜ぶムルヘルベルだが、4つのチョコを選ぶことになると一気にチベットスナギツネみたいな顔になった。
「さあムルヘルベルさん、どうぞ選んでください」
「勝ったところで救いはないんであるなこれ……でも当たりは増えてるんであるよな? つまり確率的には1/4、ならばこれとーっぴ! である!」
「うん……当たり、増えてるよ……たっぷりわさびと、やべー辛子と抜いてない渋柿……」
「えっ当たりってそっち!? 1/4の確率で無事なだけ!?!?!」
「ていうか最初の案だと1/2だったはずだよなぁ!?」
錬は抗議したが聞き入れてもらえなかった。
「アイエエエ!? 鬼!? 鬼で逃走防止ナンデ!?」
選ぶ自由さえ与えられないモブ。かわいそう。
ものすごい嫌な顔をするムルヘルベルと錬。だがいっせーのーせ、で一気に食べることに。
その結果は……!
「グワーッ山葵! 山葵グワーッ!!(ムルヘルベル)」
「グワーッ辛子!? 辛子グワーッ!!(錬)」
「……グ、グワーッ……! 渋柿……!(れん)」
「ええ……」
なんの罪もないモブ以外がしっかり当たりを引いていた。
「ふふっ、皆さん楽しそうですね。少し遅いハッピーバレンタイン、です」
「こんなののどこがハッピーであるかあ!!!!!」
ムルヘルベルはスパーン! とカードを卓に叩きつけつつキレた。かわいそう。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
飲むの次は打つ、アーキロギア氏も好きネ…
という訳でアーキロギア氏とゲーセンに来たのだがここの没入型VRつまんね!拙者合法非合法問わず全部生で体験したことあって新鮮味がねぇ!
刺激を足さないと客も満足できまい…思いついた!
VRシステムをハッキング、拙者の体験をデータにしてドゥビドゥバ流し込んでやった!
VR客にやって貰おう!アーキロギア氏もやろうぜ!
なんかあっても死ぬほど痛いだけだヨ、では手始めにオブリビオン・フォーミュラのボスラッシュを…
人々の頑張ってる姿を見るのは生の映画を観てるようなモンでござる…しまったギャンブルしてない!
今からプリティなダービー行こうぜ!拙者このトーショーちゃんって娘好き!
●異常者きたな…
「つまんね!!!!」
没入型VRをプレイしていたエドゥアルト・ルーデルは、あっさりプレイをやめてしまった。
「えっどうしたんであるかエドゥアルト、ワガハイもうオヌシには関わり合いになりたくないのだがせめて放してくれぬ??」
「何を言ってるんでござるかアーキロギア氏、アーキロギア氏も同じ気持ちでござろう? こんなVR、合法非合法問わず全部生で体験したことあるから新鮮味がござらぬよ!」
「オヌシどういう人生過ごしておるの???」
内容がかなりハードコアなので、エドゥアルトの半生がだいぶ心配になったムルヘルベル。だが絶対ろくな流れにならないので早く放してほしかった。
「いや、みなまで言わずともわかるでござるよアーキロギア氏。刺激が足りないんでござろう?」
「足りないのはオヌシとのコミュニケーションであるかなー!!」
「そこで拙者、思いついたでござる。というわけではいハッキング~」
「あーもーほらこうなるー!!」
エドゥアルト、すっげーキモい笑顔でデータ改竄!
色んな意味でヤバすぎる自分の体験をデータ化し、ドゥビドゥバ流し込む!
「これでエンジョイかつエキサイティングなVRの出来上がりでござる!」
「そ、そうであるか。じゃあまあオヌシはそれで楽し」
「アーキロギア氏も他の客と一緒に体験するでござるよ(ぐいっ)」
「やーだー!! ワガハイ楽しい遊びするーーーー!!」
だが逃げられなかった。ちみっこいから。
無理やりVR没入させられたムルヘルベル、その前に現れたのは……!
「えっ黒騎士!? なんで黒騎士が!?」
「拙者の体験と聞き及んだデータをもとに再現したオブリビオン・フォーミュラと有力敵のボスラッシュでござる!」
「オヌシさあ! 本当さあ!!」
「なんかあっても死ぬほど痛いだけだヨ、拙者猟兵、強いネ……」
「ワガハイも猟兵なんであるが!!?」
他のモブ客も頑張って挑んだり即殺されたりしていた。ムルヘルベルも悲鳴を上げていた。
「いやあ、人々の頑張ってる姿を見るのは、生の映画を観てるようなモンでござるなあ!」
エドゥアルトは、さもいいことをしたって感じで額の汗を拭う。
「あっプリティ・サイバー・ダービーやってるでござる! 拙者このスウィーティーサイショーちゃんって娘好き!!!」
「おいエドゥアルト助けてほしいのであるがVRが暴走してあー! あーーーー!!」
「やっぱギャンブルは最高でござるなぁー!!」
「あーーーーーーーーーーー!!」
VRゲームが撤去されるまで、悲鳴は止まなかった。地獄かな?
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
おぉ、さすがにこの世界のゲーセンは凄いですね。
あの格ゲーも実にこの世界らしいと言えますが、
そういうのは現実で間に合っていますので……。
あの獣耳レプリカントレースがおもしろそうですね。
僕はあの狼耳の方に賭けてみましょうか。
ムルヘルベルさんはどうしますか?
……あんな感じの方がムルヘルベルさんの
タイプなのですか?
……こんな所で男子がコイバナ(?)しても
仕方ないだけですね。
全然ダメですね……。
やっぱりギャンブルは弱い人は
手を出してはいけませんね……。
弁えているので痛手ではありませんが。
ムルヘルベルさんはどうでしたか?
ていうかこれって出来レースとか
そういうのだったのでは……?
●ザナぴょい! ザナぴょい!
色とりどりのライトと、全方位から聞こえる騒がしい電子音。
どんな世界でも、ゲームセンターの光景は変わらないものだ。
サイバーザナドゥの場合、そこにホログラムやAR映像などが加わる。
あとは店員が人外の見た目をしたドロイドだったりもする。
「おぉ、さすがにこの世界のゲーセンはすごいですね」
山吹・慧はやや驚いた様子で、周りを見渡した。
「どうであるか、オヌシはどのゲームを遊ぶのだ?」
「僕ですか? そうですね……」
慧が最初に興味を惹かれたのは、大型の格ゲー筐体だ。
この世界の技術なら、VR没入して実際に「殴り合う」ことも可能だが、
あえてレトロなゲーセンらしい筐体にも人だかりが出来ている。
対戦風景が筐体上部にAR投影され、さらに白熱していた。
「あの格ゲーも、実にこの世界らしいといえますが……」
慧は苦笑し、頭を振った。
「そういうのは現実で間に合っていますので。他のにしましょう」
「現実の戦いと、ゲームの戦いは違う気もするがな?」
「僕は何も、戦うことそのものが好きなわけではないですよ」
慧は謎めいて微笑んだ。
ややあってふたりがやってきたのは、獣耳レプリカントがレースする、アレだ。
そう、ぴょいぴょいするアレだ。こう言えばわかってくれるはずだ。
「これは面白そうですね。僕は……あの狼耳の方に賭けてみましょうか」
「あれは……ナルトブライカンであるか。一匹狼の硬派な性格らしいぞ」
「少し親近感が湧きますね、フフ……ムルヘルベルさんはどうしますか?」
「ワガハイは~……うーむ、ではあれだな」
ムルヘルベルが選んだのは、頭がやけにデッカいレプリカント娘だ。
正しく言うと、頭がデッカく見えるぐらい、髪がモフモフな娘である。
ちなみに、名前は「ビアハヤイゼ」だ。メガネもかけている。
「……あんな感じの方が、ムルヘルベルさんのタイプなのですか?」
「は!? なんでそういう話になる!?」
「いえ、こういう時は好みが出るものだと話に聞きまして」
「別にそんなわけはないが!? ていうかそれならオヌシだって」
「いえ、僕は違いますが(さらっ)」
「なんだオヌシ!?!?!」
いきなりぶっこまれたので、ムルヘルベルはキョドった。
「こんなところで男子が恋バナしても仕方ないですね」
「だからそういうのではないが!? ただあの頭が大きくて目立つからうわっ睨まれた」
「NGワードのようですね。まあ、あとはおとなしく観戦しましょう」
慧はどこまでもマイペースだった。
で、実際レースがどうだったかというと。
「うおー! いけ! ビアハヤイゼー! そこだー! 追い越せー!!」
「ムルヘルベルさん、熱くなりすぎでは……?」
「こちとら鬱憤貯まりまくりである! やれー! コロセー!!」
「これはレースなのでは……」
「いけいけいけ! そこでまく……アアアアーッ!!?」
「ダメでしたね」
ダメだった(慧も)
結局、一位になったのは泣き虫レプリカントの「ウィナーズティケット」だった
「やっぱりギャンブルは弱い人は、手を出してはいけませんね……」
「…………」
「ムルヘルベルさんはどうでしたか?」
「…………」
「ムルヘルベルさん? ムル……」
うなだれるムルヘルベルの肩に触れた慧は、愕然とした。
「し、死んでる……」
酒飲んだばかりの102歳に、レースは血圧が上がりすぎてアレだったようだ。なお、その後、無事に蘇生した。
大成功
🔵🔵🔵
ベルト・ラムバルド
酷い目にあった…あんな店もう行かん!
金さえあればもっといい店に…金か…
キャバリアの修理・修繕費、生活費、えとせとら…
金がないのは辛い…こうなったら一攫千金いざ勝負!
全然勝てん!どういう事だムルヘルベル!?
メタになるがこーゆー場合はMS殿が気を利かして
ベルト君に大金が!やったね大成功青丸3!とかならんのか?!
ならない!?ぐぬー公平な判断だ!
だがここのギャンブルは不公平だ!イカサマだ!
ちっ黒服共が来たか…だったら!
さぁ皆さん!私とこの黒服共のどちらが勝つか?!さぁ張った張った!
鬱憤溜まった周囲の客を悪目立ちで煽動し乱闘騒ぎを起こそう!
UCを使って黒服共をボコして金を取り戻してやるぞ!うわはははー!
●負けるところまで含めて大成功なんですよねこれが
「勝てん!! 全然!! 勝てん!!!!」
ドン! テーブルを殴りつけ、ベルト・ラムバルドは天を仰いだ。
さっきまであったはずのチップは、すべてディーラーの手元だ。
何故だ、何故勝てない? ベルトはぎりりと拳を握りしめる。
彼には勝たねばならない理由があった。それは……!(ここでコマの外が黒塗りになる)
飲みが終わった直後のこと。
「うう、ひどい目に遭った……」
トイレで盛大にリバースしたベルトは、よろよろと歩いていた。
「あんな店、もう行かん! やっぱりまともな店は相応の場所にあるものだ!
そうだ、金さえあればもっといい店に行けるんだ! 金さえ、あれば……」
ベルトは懐を漁る。手持ちが少ないわけではない。
が、頭の中でカシャカシャと、色々な経費を弾き出してみると。
キャバリアの修理・修繕費。
生活費(これには娯楽としてのお酒なども含まれる)
他、テンションアガって無駄に買い占めたパーツのローンとか、
あとはオシャレのための費用とか、もしもの時のための積みパーツとか……。
「……金、か……」
もっと気にするべきところがある気がするが、それはさておき。
「金がないのは、辛いな……一体どうすれば……」
「なんだ、手持ちの悩みかベルトよ。これからカジノが併設されたゲーセンに行くぞ?」
「!」
ムルヘルベルの台詞で、ベルトは名案を思いついたようだ。
「そうだ、一攫千金だ! うおおおお!!」
「……いやあの、遊ぶのだからな? そこは忘れるでないぞ!?」
残念ながら、賢者の箴言は届いていなかった。
そして今。
「どういうことだムルヘルベル!? 全然勝てないが!?」
「ワガハイの忠告やっぱり聞いておらなんだなオヌシ!?」
「くっ、世界は公平だ……猟兵だからって勝てるとは限らないのか……!」
そう、世界は公平だ。別に日常シナリオだからって思い通りにはならない。
たとえ🔵がいくら手に入ろうが、ベルトの懐はあったまらないのだ!
「いや、しかしそれはそれとして、ここのギャンブルは不公平だ!!」
「えーっオヌシ何言い出しておるの!?」
「私にはわかる! イカサマだ!! そうに違いない!!」
「えっ根拠は?」
「…………凄腕パイロットしての! カンだ!!!」
「オヌシそんなんで騒ぎ起こしたの!!!?」
こんな騒ぎを起こせば、当然店のほうが黙っていない。
「テメッコラお客様! 他のお客様のご迷惑となりますので騒がないでください」
「スッゾコラお客様! 当店のイメージを毀損する言動は謹んでください」
「ザッケンナコラお客様! 場合によっては退店いただきます」
コワイ! クローン黒服の皆さんだ!
「ちっ、黒服どもが来たか……だったら!」
「お、おいベルト、今日は楽しみに来たのだからあまり騒ぎは」
「さあー皆さん! 私とこの黒服どものどちらが勝つか!?
さぁ張った張った! 見事当てれば大量の賞金をお渡ししますよ!」
「えーっそんなのありー!?」
ムルヘルベルはドン引きした! だが野次馬は!
「「「ワオオオーッ!」」」
大興奮でチップを放り投げる! オッズはベルトが100倍だ!
「「「ダッテメコラーお客様!」」」
「我はベルト・ラムバルド! 暗黒騎士で未来の大金持ちだ! 思い知れ!!」
しかもベルトは大人気なくユーベルコード発動! なんてやつだ!
ギラギラに後光が輝き、クローン黒服をちぎっては投げちぎっては投げる!
「「「グワーッお客様!」」」
「「「ワオオオーッ!」」」
「うわはははー! 私の勝ちだ! 金も返してもらうぞー!!」
金貨が乱れ飛ぶ! ベルトは上機嫌だ!
「オヌシモラルという概念はないのか???」
モラルが失せたこの世界で、なお野蛮なベルトにドン引きのムルヘルベル。
なお、実際にイカサマは行われていたので、なんやかや上手く収まりはしたようだ。
大成功
🔵🔵🔵
花邨・八千代
☆いつもの面倒くさい酔っ払いです☆
上下左右前後どこもかしこもギラギラでご機嫌だなぁ
テンション上がってくるぜ~~~!
でも俺あんまゲーム得意じゃねーんだよなぁ、(ゲーム機が)弱いし
あ、金網デスマッチギャンブルだ!
これ金網に電流流したり火ぃつけたり毒の棘生やしたりしてんだろ!
マンガで読んだことあるぞ!
いいないいなー!俺も混ぜろ!
さぁて、全身全霊かけてかかってこいよ
気を付けな、俺にとっちゃテメェらは絹ごし豆腐みてーなもんだ
うっかりくちゃっとされねぇように気張りやがれ!
あとは【怪力】【恫喝】【なぎ払い】【2回攻撃】とかでドッタンバッタン大暴れだ
殴って蹴って投げて締めて楽しむぞ!
あ、配当はきっちりしろよ!
●い つ も の
ギラギラのネオンライト。バリバリの電子ゲーム音。
そして、店内を歩くカワイイなレプリカント、あるいはサイボーグたち。
この世界では、ヒトらしい外見なんて多様性のひとつでしかない。
キマイラとも違う、そもそも人型ですらないサイボーグも割といるのだ。
そういうエッジな見た目で個性を競うのも、サイバーザナドゥの文化である。
「上下左右前後! どこもかしこもギラギラでご機嫌だなぁ!」
花邨・八千代はテンションアゲアゲ、肩で風を切り歩いていた。
が、あいにく八千代は、ゲームは得意でないようだ。
「弱いからなぁ、ゲーム」
と、残念そうに言う八千代だが、勘違いしてはいけない。
八千代の腕が弱いのではなく、ゲーム機が(物理的に)弱いのだ。
頭の中で、旦那の買ってきた新しいゲーム機をぶっ壊してマジでキレられた記憶が蘇る。下手すると出会ってから一番キレたまであったかもしれない、あれ。
「もうちょっと強いゲーム機がありゃいいのになー!」
そんな悩みを抱く者は、おそらく八千代の他には誰も居ない。
いるとしたら、頭がちょっと弱いけど心優しいジャイアントとかである。
「お、おで……」とか喋るやつ。力加減誤って悲劇起こすやつ。そういうの。
それはさておいて、八千代が目をつけたギャンブルはというと。
「あ、金網デスマッチギャンブルだ!」
はいお察しでしたね。八千代がテーブルゲームとかやるわけがなかった。
八千代の漫画で得た(偏った)知識が正しければ、金網に電流が流れたり、火をつけたり、毒の棘が生えたりするはずだ。いや何読んだの??
「いいなーいいなー! 俺も混ざろ!」
ちょうどその時、リング内では巨漢が借金のカタに連れてこられたおっさんをぶちのめし、観客からの声援を浴びてアピールしているところだった。
「おい、これ乱入していいんだよな?」
「ワオ! 見ろよ、次の相手は女だぜ!」
「しかも若ぇな! ろくなサイバーザナドゥも入れてねえようだ!」
「ハハー! こりゃ今日一番の見世物が見れそうだぜー!」
下品な観客が手を叩き、囃し立てる。
八千代はニヤリと獰猛な笑みを浮かべ、恐れることなくリングイン!
「ようねーちゃん……俺は紳士だからよ、忠告しておいてやるぜ」
7フィートをゆうに超える巨漢の片腕は、違法改造された巨大サイバーアームだ。
どうやら心肺機能も強化されているようで、フンーッ! と鼻から蒸気が吹き出す。コワイ!
「あぁん? 忠告? なんだよ、言ってみな」
「なんのつもりか知らねえが、ここは姉ちゃんの来るようなとこじゃねえ。
怪我しねぇうちに、回れ右して帰りな……さもなきゃぺしゃんこにするぜ」
ウィーピピー! 観客が指笛を鳴らし煽る!
八千代はフン、と鼻で笑い、こう言い放った。
「なら俺も、お礼に忠告してやるよ。全身全霊かけてかかってきな」
「……あ?」
「俺にとっちゃ、テメェらなんざ絹ごし豆腐みてーなもんよ。
うっかりくちゃっとされねぇように、気張りやがれっつってんのさ!」
「「「ワオオーッ!」」」
なんたる不敵! 観客のボルテージは最高潮だ!
「やれーマッスル・トム! コロセー!」
「若い女がバラバラになるところが見てえよォー!」
「ウヒヒーッ! 血ィーッ!」
巨漢、もといマッスル・トムは鼻・目・耳からブシュウー! と煙を吹き出す。
「俺は紳士だが……紳士にも我慢の限界ってもんがあるぜぇ!!」
ドウッ! 脚部に隠されたブースターを起動し、トムがチャージを仕掛けた!
八千代は……避けない! グーパンで……顔面に、カウンター!
……SMAAAASH!!
「アバーッ!?」
「「「ワオオオーッ!?」」」
加速力イコール衝突力! 高速チャージはつまり拳骨に突っ込んだも同然!
八千代の鉄拳をまともに食らったマッスル・トムは反発力でまっすぐ吹っ飛び、
金網に背中を打ち付ける! パパパパパン! 電流が火花を散らした!
まるでそれは、ジャックポットしたスロットマシンのフィーバー演出のようだ!
「だから言ったじゃねえか、気張りやがれってな」
八千代はボキボキと首を鳴らし、唖然とする聴衆に言った。
「ひとりずつじゃ埒が明かねえ、全員総出でかかってきな!」
「「「ウ……ウオオオーッ!」」」
順番待ちしていたサイボーグ闘士がリングになだれ込む! 乱闘開始だ!
「ワハハハハ! たーのしー!!」
八千代はハイテンションで殴り、蹴り、投げ、締め、大暴れする!
……この日のマッチングは、八千代ひとりによってぐちゃぐちゃにされてしまった。
大穴に賭けていた観客は割れんばかりの歓声を上げ、ほとんどの観客はブーイングか、泡を吹いて気絶してしまったという。
高額配当を得てほくほくの八千代だったが、運営側が青い顔をしていたのは、言うまでもない。
大成功
🔵🔵🔵
レモン・セノサキ
うぷ、めんつゆロックとか二度と飲まないぞ私は
でもしょんぼりされると無碍に出来ないんだよなぁ
ポーカー? 私あんまりやった事ないけど
ビギナーズラックを期待しよっかな
あドーモ、ヤクザ=サン、お隣失礼して宜しいかしら?
毎度手札がクソわよ?!!
こうまで負けが続けば流石に気付く
へーぇふーん、なるほど
このゲームに必要なのは運じゃない、確率計算だ
チェック&コールで機を伺ってレイズで刺す
これは狙撃の応用だ
役無しの手札でも眉一つ動かさずレイズ
ブラフを利かせてフォールドを誘う
何時もの私の戦い方だな
おっと、負けの込んだヤクザが立ち上がったぞ
此処はサイバーらしくカラテで行きますか
……所でアーキさん、ポーカー勝てた?
●飲んだんだ、めんつゆ……
「うぷ……」
レモン・セノサキは口元を押さえ、吐き気をこらえた。
いくらロックだからって、めんつゆだけを飲むのはそりゃ胃にクる。
しかししょんぼり顔を無碍に出来なかったらしい。いい子かよ。
「すまぬなレモン、てっきりワガハイ、オヌシがめんつゆ好きなのかと」
「あの話の流れでその誤解ありえる??? いや、いいんだけどさ!」
申し訳なさそうなムルヘルベルに、気にしないでと笑うレモン。
だが、それはそれで立つ瀬がないので、ムルヘルベルはこう言った。
「せっかくだ、ここで楽しむゲームのタネ銭は、ワガハイが出そう」
「えっ、本当? でもなあ、私ギャンブルとか全然で……」
「であればポーカーであるな。さすがにポーカーはわかるであろう?」
「まあ役ぐらいなら……」
ではやってみよう、ということで、ふたりはポーカーをすることに。
「じゃあ私はこっちね。ドーモ、ヤクザ=サン。お隣失礼しても?」
「ア? ……ドーゾ」
で、実際に卓についてみたところ。
「またブタぁ!?」
ビギナーズラックを期待していたレモンだが、結果は散々。
いいとこワンペア、しかもそれだって8以下のカードばかり。
対して、さきほどアイサツしたヤクザは、順調に稼いでいる。
「毎度毎度手札がクソわよ! どうなってんのこれ!!」
キーッ! とヒスを起こしかけたレモンだが、そこで気付いた。
「……へーぇ、ふーん、なるほど」
自信満々でレイズしていたヤクザは、見事なブタ。
つまりこのゲームに必要なのは、運ではない。確率計算だと……!
それからのレモンは、まるで別人のような雰囲気を纏った。
「チェック」
けして大きな勝負には出ず、獲物を狙う猛禽めいて静かに息を潜める。
そして同じ卓の参加者の顔色や目の動き、手先の動きなどから、
どういう手なのか、またどれだけの確率で自分のハンドが勝てるかを推理する。
「レイズ」
たとえブタでも、眉一つ動かさずに大胆に打って出る。
平然としたレモンの威圧感にやられ、何人もの参加者がフォールドしていく。
(「いつもどおりやりゃいいだけなのよ、うんうん」)
いわば狙撃の応用。こうなると、もはやレモンの独壇場だった。
そうすると、対面にいたヤクザがイライラし始めた。
「ザッケンナテメッコラー! 八百長してやがんなコラーッ!!」
「「「アイエエエ!?」」」
そしてキレた! レモンは不敵に笑い、立ち上がる。
「なら、やる? いいわよ、カラテでケリをつけても」
「スッゴコラー!」
ヤクザのストレートパンチ! レモンは王者の風を纏い、掬い上げるように腕をいなすと、そのまま柔術の要領で弓なりに投げ飛ばした!
「イヤーッ!」
「グワーッ!?」
ガッシャーン! ヤクザはスロットマシーンに激突! テレテレテレ、ガチーン! BAR・BAR・BAR! ジャックポット!
「ヤケを起こしたら負けなのよ、ギャンブルってのは」
パンパンと手をはたきつつ、ふふんと勝ち誇るレモンだった。
こんな感じで、大量のチップを抱えホクホク顔のレモン。
合流地点に戻ってきた彼女が見たのは……。
「ねえアーキさん、ポーカー勝て」
「しにたい」
「……アッハイ、あの、チップちょっと分けてあげようか?」
この世の終わりみたいな顔をした、哀れなチビだったという。
大成功
🔵🔵🔵
ジフテリア・クレステッド
カラオケはないのかな?
…まあ、あってもなくてもいいや。良さそうなステージがあるし。(ガスマスク装着)
ムルもマスク…元々顔の下半分隠してるし、そのままでいいか。
よし、それじゃ一緒に金網デスマッチに乱入しよう。
ジーフジフジフジフ!なんて低レベルな試合なんだろうね!
私たちヘルイェーガーズが真の闘争というものを教えてあげるよ!
…ほら、ムルもムールムルムルって笑って。そして乱入者っぽいこと言って。プロレスはそういうものだってどこかで見た。
そんなこんなで乱入して拳闘士たちを一通り念動力とかでぶっ倒したら…マイクパフォーマンスで、私、歌います!
ムルも一緒に歌おう。ここからは私たちのステージだよ。
●世界観とキャラ性が変わりすぎて風邪引きそう!
「うーん、カラオケはないのか……じゃああそこでいいや」
「いや待て」
ムルヘルベルは、ジフテリア・クレステッドの腕をガシッと掴んで止めた。
「え? どうしたのムル」
「どうしたの、ではない。オヌシ、カラオケということは歌いたいのであるよな?」
「うん。それ以外にカラオケで何するの?」
「……その代わりとして、あそこに行こうとしてるんであるよな?」
「うん。だってほら、ちょうどよさそうじゃんあのステージ」
「あの金網デスマッチのどこがちょうどよさそうなステージなのだ!?!?!」
ジフテリアが指差すのは、ムキムキマッチョの野郎どもが血みどろで殴り合う危険な金網デスマッチギャンブルのヘキサゴンステージだった!
なお、一度別の猟兵のせいで興業がめちゃくちゃにされており、番狂わせが続いたせいで色んな意味で熱気が充満している。
「あ、大丈夫大丈夫。ガスマスク着けるから」
「そういう話ではないが!?」
「ムルもマスク……いや、もともと顔半分隠してるしそのままでいっか」
「ワガハイのマフラーそういうのではないが!? いや耐性はついてるが!」
「というわけで、ムルも一緒に乱入しよう!」
「ワガハイの話聞いてる!!!???」
聞いてもらえてなかったし、襟掴んで引っ張られるのはムルヘルベルのほうだった。
んでまあ、嫌そうな興行主を黙らせて乱入したふたり。
「ジーフジフジフジフ! なんて低レベルな試合なんだろうね!
私たちヘルイェーガーズが真の闘争というものを教えてあげるよ!!」
「……あの、ジフテリアよ? オヌシそのキャラは何??」
「いやいや、ムルも「ムールムルムル」って笑ってよ。で、乱入者っぽいこと言って」
「キャラ付け雑すぎんか!? えっもしかしてマスクってそのため!!?」
びっくりだった。別に毒素をガードするとかではない! キャラ付けだ!
「だってプロレスってそういうものだってどこかで見たもん!」
「オヌシ、深夜に放送してるアメリカンプロレスの録画でも見たのか???」
それかなんかキン肉な漫画を読んだ可能性が高い。
「テメエーッ! よくもほざいたなーッ!」
「ドッソイオラーッ!」
「ソマシャッテコラー!」
コワイ! 拳闘士たちはブチギレて連合軍を組み、ヘルイェーガーズに襲いかかる!
「ジーフジフジフジフ! 雑魚がいくら集まろうが雑魚は雑魚よ~~~~ッ!」
「え、あ、ム、ムールムルムル! ワガハイらにかかれば鎧袖一触である!」
「はいじゃあムルヘルベル、前に出て。いいとこでアシストするから」
「えっあっワガハイなんで先鋒アバーッ!?」
ボコボコにされた。ジフテリアはおっとり刀で念動力を使い、雑に拳闘士を倒す。雑!
「「「グワーッ!」」」
「フーッ……さあ、ここからが私たちのステージだよ!」
マスクを投げ捨てたジフテリアは、マイクパフォーマンスの構えだ!
「お……オヌシ……プロレスを誤解しすぎであるが……」
「ムルも一緒に歌おう。ここからが、私たちのステージなんだよ」
「なんで急にアイドルみたいなこと言い出すのだ……がくり」
気絶するムルヘルベルが最後に耳にしたのは、楽しそうにアイドルソングを熱唱するジフテリアだった。観客の皆さんはその無法ぶりにドン引きしていた。
大成功
🔵🔵🔵
賀茂・絆
ムルヘルベルさん、練習にお付き合いいただきありがとうございマシタ。
あんまり変な空気にしすぎてもあれデスし、遊ぶ時は普通にしマスネ。
ムルヘルベルさん(五月蝿い場所で名前を頻繁に呼ぶことでカクテルパーティー効果による心理的影響を与えることを狙う)、ルーレットでも一緒にやりマセンか?
ルーレットでは玉に低級霊を降霊することで玉の動きを操りムルヘルベルさんを勝たせマス。勝率は7〜8割ぐらいで。そしてムルヘルベルさんが勝ったら我が事のように喜びマス。肩とか腕に軽く触れる程度のスキンシップはムルヘルベルさんに隙があったらしマス。
(店の人はイカサマ疑った瞬間にワタシのUCの餌食デス)
…今は何も企んでマセンヨ?
●企んでる! めっちゃ企んでる!
「ムルヘルベルさん、練習にお付き合いいただきありがとうございマシタ」
「あ、いや……ワガハイもこう、いい経験になったのである」
賀茂・絆がぺこりと頭を下げると、ムルヘルベルはなんとも言えない苦笑いめいた表情を浮かべた。
いい体験というのはもちろん、女性ってマジで怖いとか、本気のハニートラップは理性がどうこうの話じゃないとか、マジで気をつけようとかそういう話だ。
「イエイエ! あんまり変な空気にしすぎてもあれデスから、気にしないでクダサイ」
「……ほんとであるよな? もう練習は終わったんであるよな??」
「なんでそんなに疑り深いんデス?」
「オヌシのあれこれが完璧すぎて油断ならぬからであるよ!!!」
多分褒め言葉なので、絆は喜んでおいた。いやそうじゃねえよ!
で、まあ他のメンバーと同じようにカジノにやってきた絆。
なぜか金網デスマッチに巻き込まれ、心身ともにボロボロになったムルヘルベルを見つける。
「ムルヘルベルさん? ムルヘルベルさん!」
「はっ! あ、ああ絆か……どうしたのであるか?」
「ムルヘルベルさんこそ、どうしマシタ? ギャンブルに負けたトカ?」
「いや、負けはしたが勝ったというか、ワガハイは勝ってないというか……」
「?? まあ、いいデショウ。それよりもムルヘルベルさん」
「なんであるか? ……あとなんでワガハイの名前いちいち呼ぶの??」
「他意はないデスヨ、ムルヘルベルさん。ルーレットでも一緒にやりマセンか?」
「まあ、よいが……」
「では行きマショウ、ムルヘルベルさん」
「だからなんでワガハイの名前いちいち呼ぶの???」
絶対なんか裏あるだろこれ、と身構えずにはいられないムルヘルベルだった。
肝心のルーレットだが、絆はここでも奸計を発揮していた。
「ムルヘルベルさんはどこに賭けマス?」
「うーむ……では20にしておくか。きりがよいし」
「20デスね」
絆はにこにこしながら、こっそりとルーレットの玉に低級霊を降霊。
おなじみの巫術で、玉の動きを操っている。……イカサマだこれ!!
「おお!? 当たったぞ絆よ! 運がよいなこれは!」
「そうデスネ、さすがデス! ワタシも嬉しいデスよ!」
絆は両手を上げてぴょんぴょん飛び跳ねた。
顔のいい誰かが親身になって一緒に喜んでくれる。これで笑顔にならない奴はいないというものだ。
「いやーなんだかさっきから当たり続けておるなあ」
「油断してはいけマセンよムルヘルベルさん」
もちろん、常勝では意味がない。時々(特にムルヘルベルが堅実な策に出て少なめにチップを賭けた時)には、ちゃんと外して勝率7割5分をキープ。
イカサマを疑う者がいないわけではなかったが、さりげなーく発動した催眠巫術で洗脳され、悪感情を取り除かれていた。おいこいつ悪女だぞ!!
「こいこいこい……よし! 来たー!! 13にド命中である!
「やりマシタネ、ムルヘルベルさん! 大当たりデスよ!」
絆はムルヘルベルの肩に手を置きつつ、きゃあきゃあと喜ぶ。
「いやー、カジノ最高であるな!」
ムルヘルベルはもう疑ってすらいなかった。なんせ、
デスVRゲームに放り込まれたり、
金網デスマッチでヒールコンビの片割れやらせたり、
プリティなレプリカントのダービーで高血圧起こして死にかけたり、
よかれと思って助言したのに聞いてもらえず大暴れされたり、
やっぱりポーカーで素寒貧になるまで負けまくったり、
激辛山葵チョコをなぜか今食わされたりしたからだ。
こうして列記するとろくなことなってないですね。日常シナリオとは?
「ムルヘルベルさん、楽しいデスカ?」
「楽しいのである! よし絆よ、次のゲームへいこう!」
「はい! お供しマスヨ!」
一度警戒させた上でガードを緩ませ、完全に掌握する。プロの手並みだった。
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
ゲーセン! 格ゲー……ん?
あっち(カジノ)じゃリアル格闘やってんじゃん!
さっきは待ったがかかったけど、今度こそ大人モードに変身!
拳闘士に登録して乱入だー!
スタイルばつぎゅんの大人モードで、ポーズを決めてアピール!(パフォーマンス・誘惑)
いぇーい! 鉄拳公主のお出ましだっ!
今夜は私に全賭けオススメ! 伝説の始まりを3D録画しよう!
お客へのアピールはそのまま対戦相手たちへの【挑発】になる!
掴みかかってきたのを【受け流し】、カウンターで【劉家奥義・神獣撃】!
【功夫】の差を見せつけて、金網を足場(地形の利用)に【ジャンプ】とかショー的な面白さも忘れず活躍するよ!
●何事も功夫で解決するのが一番だ
「とーうっ!」
「「「!?」」」
突如としてステージ上に降り立った可憐な花、劉・涼鈴に、野郎どもは目を奪われた。
「いぇーい! 鉄拳公主のお出ましだっ! 乱入歓迎なんだよね!?」
「おいおい、乱入だって?」
「あんな女がか?」
「サイバーザナドゥらしいものも着けてないし、いくらなんでも無茶だろ」
ざわざわ。観客のざわめきも、涼鈴はどこ吹く風だ。
ナメられていればナメられているほど、あっと言わせるのが楽しいもの。
涼鈴は意気揚々と演舞し、こう言い放つ!
「今夜は私に全賭けがオススメだよ! 伝説の始まりを3D録画だ!」
「おもしれえ! 乗った!」
「あんな女が勝てるわけがねえ、俺はチャンピオンに全賭けだ!」
たちまちに賭けが加速! ギャンブルにトラブルはつきものだ!
が、肝心の対戦相手は、それを聞いて黙ってられない。
「ドッソイオラー! 女が何言ってんだオラーッ!」
コワイ! 全身を重サイバネ置換したスモトリ・レスラーが現れる!
「最初の相手はあなたかな? かかっておいで!」
「ハッキヨホ!」
ブースターで加速した恐るべき速度のブチカマシだ! アブナイ!
「そんな速度じゃ、止まって見えるよ!」
「ドッソイグワーッ!?」
「「「ワオオオーッ!?」」」
だが! 涼鈴は自慢の功夫でスモトリ・レスラーを投げ飛ばし、イポン!
予想だにしない展開に、湧き上がる観客! 冷や汗をかく選手たち!
「次は俺だ! この古代ジャッカル拳に敵うかーッ!」
「そっちがジャッカルなら、こっちは神獣だーッ!」
「グワーッ!?」
鉄拳カウンター炸裂! 反発力で吹き飛び、金網に大の字に叩きつけられる古代ジャッカル拳マスター!
「「「ウオオオーッ!」」」
「全員で来る? いいよ、全員やっつけてあげるよ!」
もはやバトルロワイヤルめいた乱戦状態のなか、涼鈴は金網でトライアングルリープし、わざと掴ませてアクロバティックに脱出し、組技、極め技、足技と自在に技を操り、選手を倒す、倒す、倒す!
「グ、グワーーーーッ!」
「「「ワオオオーッ!」」」
そしてもっとも巨漢のチャンピオンが倒され、涼鈴が折り重なった選手たちの山の上で片手を突き上げると、観客のボルテージは最高潮に!
「これが劉家拳だよ! 私が最強だぁーっ!!」
またしても金網デスマッチの興行はぐちゃぐちゃになり、興行主は顔を覆って突っ伏していた。儲けは出たが、色々と面子が丸潰れである。
その後裏格闘技界では、謎の鉄拳公主の名が独り歩きし、一種のリビングレジェンドとして扱われるようになったとか、ならなかったとか……。
成功
🔵🔵🔴
エンティ・シェア
やぁやぁ賢者殿
何やら楽しそうなことを企てたと聞いて後輩(f31387)を連れて遊びに来たよ
件の島の話題にしか食いつかない奴だと思われても困るしね
所で賢者殿
我々は遊びにきたわけだがどちらかというとあちら(カジノ)向きでこちら(アーケード系)は不慣れでね
ぜひとも賢者殿に手ほどきをして頂きたいんだ
お手本を、見せてはくれないかな
とかなんとか言いくるめて短気でガラの悪そうな方々と格ゲーで対戦して頂こう
賢者殿のゲームの腕前は知らないのだけど
ぜひとも華々しく連勝して頂きたいなぁ!
リアルファイト?大丈夫、頼もしい勇者殿がついてるからね
むしろそちらが目的と言うか?
ははは心配いらないよ賢者殿
倒した相手からは金銭やアイテムが手に入るのは勇者として基本だろう?
つまり何も問題はない
軍資金を得たらカジノで遊ぼうかな
いやぁ、人の金なら遠慮なく賭けられるからね
駆け引き必須なカードゲームは得意だよ
読心術と演技もしっかり活用して大いに楽しませてもらおう
上手く稼げたら賢者殿に還元しようね
二次会も楽しんでおいで
ルクアス・サラザール
エンティ(f00526)…
あなた、俺をただの用心棒か何かだと思ってません?
魔王の右腕ですよ右腕。忙しいんですよ俺
というかこのゲーセン、クレーンゲームとかないんです?
陛下へのお土産に可愛らしいマスコット的なぬいぐるみでもあれば許しますか…
俺の仕事はリアルファイトを制する事だけなので気楽に見てますね
ムルヘルベルさんがゲームお得意でないなら変わりますけど
連敗してキレ散らかせばいいんでしょう?お任せください
勝っても負けても地獄?ははは何をおっしゃいますやら
流石に一般人相手にユーベルコードはやりすぎでしょうから
ここは陛下のお知恵をお借りしましょう
どのような手段で金を巻き上げ…もとい、快く詫びて頂きましょう
穏便に話し合って法外な額を吹っ掛ける?なるほど、ワルですね白星様
潔く暴力で全てを解決する…あぁそれも良いですね黒星様
うーん、でしたらここは…
穏便に話し合って法外な額を吹っ掛けたうえで納得してくれない方々を暴力で制して適当に金品を巻き上げましょう
(デビルキングワールド脳の考える)平和的な解決方ですね
●なにか目的を勘違いしておられる???
「やぁやぁ賢者殿」
「おや、エンティではないか。そちらの者は?」
エンティ・シェアに声をかけられ、ムルヘルベルは首を傾げた。
「ルクアス・サラザールと申します。はじめまして、ムルヘルベルさん」
ルクアスはにこりと微笑んで慇懃に一礼した。
「なにやら楽しそうなことを企てたと聞いてね、後輩を連れてきたんだ」
「なるほど。そういえばオヌシもグリモアを持っていたのだな」
「あの島の話題にしか食いつかないやつだと思われても困るからね」
「いやそんなこと思っておらぬが!!? どうしたエンティ!?」
ムルヘルベルは困惑した。
「というかだな、それはむしろワガハイが言いたいぐらいである。
ワガハイ今回ですら、性癖がどうだの好みがどうだの言われてだな……」
ムルヘルベルの顔が暗くなり、ブツブツと何か呟き始めた。
「……なんか深いダメージを負ってるみたいですね」
「色々あるんだよ。大変だよね、人生って」
やや戸惑うルクアスと、さらっと笑顔で流すエンティだった。
「まあ、それはさておき。賢者殿、我々は遊びに来たわけだけどさ」
「ブツブツ……お、おう。どうしたのだ?」
「どちらかというと、あちら(カジノを指差す)向きで、こちらは不慣れでね。
ぜひとも賢者殿に手ほどきをしていただきたいんだ」
「むむ……そうは言うが、ワガハイもそこまで得意なわけでは」
「お手本を、見せてはくれないかな」
エンティは笑顔で詰め寄る。ルクアスは「あーあ」という顔で見ていた。
(「全力で面白がる構えですね、あれは。まあ俺には関係ないですが」)
先輩も先輩なら後輩も後輩! ルクアスの基準は愛する主人で回っている!
そもそもここに来たのも、割とエンティに無理やり連れてこられたからであり、
「なんか陛下へのお土産に最適な可愛らしいぬいぐるみとかあれば許してやるか」ぐらいのテンションだった。なのでそもそもムルヘルベルの方を見ていない。
「うーん、クレーンゲーム、クレーンゲームはっと……」
「賢者殿、君は教え諭す者だろう? 私たちは教えを求めているんだ」
「むむ、そう言われると……やるしかないか? いやしかし」
「あ、あそこにあるじゃないですか。どれどれプライズは」
「賢者殿だからこそ頼んでいるんだ。その智慧を見込んでね」
「……よし、任せておけ! ワガハイに不可能などないのである!!」
「うーんまあ及第点ですかね(この人チョロいなという顔で偵察から戻ってきた)」
見事に言いくるめられてしまった。技能レベルは正義だ。
まんまと口車に乗せられたムルヘルベルは、「見ているがよい!」と言って、ある昔ながらの格ゲー筐体に座り、最初のステージの敵をレバガチャで倒してドヤァ……と得意げな表情になっていた。
「どうであるか? ワガハイにかかればこの程度、簡単である!」
「いやあすごいなぁ。でも、この手のゲームって対人戦が花だよね?」
「え? う、うむまあそうであるな」
「というわけで連れてきたよ、腕自慢のプレイヤーの皆さん」
「わざわざすまぬなエンティならばワガハイがボコボコにえっ」
ムルヘルベルは、エンティが連れてきたガラの悪そうな方々を三度見した。
クソデカサイバーアームを増設した、明らかにヤバげなヤクザとか、
頭に試験管みたいななんかがぶっ刺さってて痙攣してるヤバそうなのとか、
目が両方あらんほうを向いていて「ヒヒヒーッ!」って笑ってるのとか、
蛍光色モヒカンヘアにグラサンをかけたマッチョマンとか、
どう考えてもお知り合いになるべきでない方々がいらっしゃった。
「「「ドーモ、よろしくお願いします」」」
「アイエエエ!? 悪漢!? 悪漢ナンデ!?」
ムルヘルベルは恐怖した。さっきのウカツな台詞をばっちり聞かれていたので、ガラの悪いゲーマーの皆さんは青筋をビキビキ浮かべている。コワイ!
「ぜひとも華々しく連勝していただきたいなぁ! いやあ楽しみだ!」
「い、いや待てエンティ、これ絶対リアルファイト必至……」
「大丈夫、頼もしい勇者殿がついてるからね」
エンティに水を向けられると、ルクアスは「そんなことだろうと思った」とでも言いたげな顔で、盛大に嘆息した。
「エンティ……あなた、俺をただの用心棒か何かだと思ってません?
魔王の右腕ですよ、右腕。本来なら忙しいんですよ俺」
「とか言いつつクレーンゲームでばっちり景品確保しておるではないか!?」
「それはだって、陛下のために必要なことですから。すべてに優先されます」
「ええ……」
初対面時のまともな様子はどこ行ったんだよと呆れ返るムルヘルベル。
「まあいいでしょう。俺の仕事はリアルファイトを制すればいいんですね?」
「なんか目的変わっておらぬ??? リアルファイトしろと言っておるのではないが???」
「あ、代わったほうがいいですか? 問題ないですよそれでも」
ルクアスはさらっと言った。
「連敗してキレ散らかせばいいんですよね? お任せください」
「だから目的変わっておるが!?」
「え? じゃあなんでゲームを……?」
「ゲームは楽しむためのものであろうがぁ!?」
「じゃあ代わらなくていいですね! 頑張ってくださいムルヘルベルさん」
「あっちょっ待っ」
「さあ始まるよ賢者殿! あちらはビキビキ来てるしやる気のようだね!」
「オヌシワガハイがツッコミ入れてる間なんか煽ったな? 煽ったな!!?」
ムルヘルベルは半泣きで画面に向かった。小鹿みたいに震えていた。
勝っても負けても地獄である。こんなスパルタなゲームある??
しかも運が悪いことに(いいことに?)ムルヘルベルはビギナーズラックが発動したのか、それとも「わあーーーーー!!」と半泣きでレバガチャしまくったおかげなのか、まさかの連勝をキメてしまう!
「あーキレてますね、あれはキレてます。そろそろ台パンしそうですね」
「いいいいちいち実況してワワワワガハイをビビらせるなあ!?」
ルクアスは平然としていた。そんな外野(諸悪の根源ともいう)たちの煽りもあって、ヤクザは「スッゾコラー!!」とブチギレる! コワイ!
「アイエエエ!」
「お、期待通り始まった。さあ出番だよルクアス」
「期待通り!? いま期待通りと言ったかエンティ!?」
「はははまさかそんなことはないよ」
エンティはめっちゃニコニコ笑顔である。悪魔かな?
「ナンオラー? スッゾテメッコラ!」
「ふーむ、こうして間に入ったはいいですが……」
凄むヤクザも大して気にせず、ルクアスは口元に手を当てて悩む。
「さすがに一般人相手にユーベルコードはやりすぎですよね」
「と,ととと当然であろう! でも助けて!」
「よし。ここは陛下のお知恵をお借りしましょう。陛下~」
「「わたくしです」」
ちょこーん。ルクアスの掌の上に現れる、白と黒の魔王様。
「陛下、お知恵をお貸しください」
「「いいですよ。なんなりともうしてください」」
「では……どのような手段で金を巻き上げればよいでしょう?」
「オヌシ何聞いておるの!!??」
「あ、間違えました。快くお詫びしていただくための最適な方法とは?」
「「なるほどー」」
白と黒の魔王様(手乗りサイズ)は両手の人差し指をこめかみに当て、うーん、と首を傾げる。
ぽく、ぽく、ぽく、ちーん!
「「ひらめきました!」」
「おお、ではまず白星様から」
「おんびんにはなしあって、ほうがいながくをふっかけるべきです!」
「なるほど、ワルですね白星様」
「ちょっと待てあれ常識的な行動を囁くはずのユーベルコードであるよな??」
「まあデビルキングワールド基準だからねぇ(エンティ)」
「では黒星様は?」
「なにごともぼうりょくでかいけつするのがいちばんです!」
「なるほど、それもいいですね……」
「よくないが!!?」
考え込むルクアス。その間にも、イライラしていたヤクザの取り巻きがぞろぞろ集まって凄んでいる。コワイ!
「テメッコラ! いい加減にしねえと全員ボコに」
「よし、決めました!」
ぱちん! ルクアスは指を鳴らして顔を上げた。
「ここは、穏便に話し合って法外な金額をふっかけた上で、納得してくれない方々を暴力で制して適当に金品を巻き上げましょう!」
「えーーーーーーーっ!?」
まさかの全部乗せ! ムルヘルベルは飛び上がった! 垂直に。
「というわけで、ざっとゼロが6つか7つつく感じの慰謝料をいただけると」
「「「ザッケンナテメッコラー!」」」
「おや、全員襲いかかってきたね。どうするのかな、ルクアス?」
エンティに問いかけられ、ルクアスは笑顔になった。
「全員ボコります」
コワイ! ルクアスはその笑顔のまま、ヤクザの顔面を殴る! 殴る! 殴る!
「「「アバーッ!!」」」
「ア、アイエエエ……」
ムルヘルベルは腰が抜けてへたりこんでいた。エンティは笑顔だった。
そして、完全にノビたヤクザの皆さんから、容赦なく金品を剥ぎ取るルクアス。
「ざっとこんなところですかね。はい、分け前です」
「ありがとう。いやあ、頼りになる後輩がいると助かるね」
「って待てぇい!? 当然のようにカツアゲしておるが犯罪だぞ!?」
「それはつまりワルですよね?」
「なら問題ないよね、勇者たるもの金銭やアイテムを手に入れるのは基本だし」
「はい。そういうことです」
ムルヘルベルは震えた。こいつらマジで言ってやがる、と。
デビキン脳と(正しい意味での)確信犯。最悪のベストマッチだこれ!
「じゃあこれを軍資金にカジノへ行こうかな。儲けは賢者殿にも還元してあげるから、安心しておくれ」
「別の要件で安心出来ておらぬのだが!?」
「人の金なら遠慮なく賭けられるし、スッてもプラマイゼロだから最高だね!」
「最悪だが!!!!??」
その後、エンティは悪魔的な読みと言いくるめでカジノを荒らしまわり、見事に元手を数倍にまで膨らませ、その一部をムルヘルベルにも渡した。
「二次会も楽しんでおいで」
「俺もぬいぐるみが手に入りましたし、来た意味は一応ありましたね」
「アイエエエ……」
ムルヘルベルは半泣きで震えていた。ヤカラより恐ろしいものがここにいた……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雨野・雲珠
【八重】
探偵事務所で煮卵作ってたら神隠しされました
みなさま!
今日はお酒の席だったのでは?
もう飲んできた?
あっお酒くさ
ムルへルベルさまご無事かしら
わあ、かみさまありがとうございます!
孫にお小遣いくださるおじいちゃんのように…
調整中の機械が多いですね。繊細だからかな
ハイテクすぎて何が何だかなので
深山さんとうろちょろ覗いて回ります
ゾンビ!ひえ…無理無理無理です
あっでもシャコってするの楽し、ああー!(死)
後ろからスーくんを覗きます
すごい、指先に合わせて光が溢れて魔法のよう
…なんか指増えてる気が(目をこする)
クレーンゲームは思った以上に難しくて
トヲルくんに託します
なんと…ニンジャいるんですねこの世界…!
茜崎・トヲル
【八重】
ゲームセンター!だー!!
あーさん!兄ちゃん!見て見て!ゲームセンター!
あっでもお金ない……わーかみさまありがとー!
(なんか壊れてる……)(直したほーがいいかな……)(ケガに見立てて引き受けたらなおる……?)(チャレンジ)
スーさんはなにやるー?
てかゲーセンうるせーけど耳だいじょーぶ?耳栓あるよ!(クロークから出して、どーぞ!)
あっクレーンゲーム!よーし!ブラザーズになんかとったげる!
(技能!肉体改造!)(動体視力と器用さを強化!)(気持ち悪いくらい細かく位置を合わせて――取る!)
やったー!はい、これ兄ちゃんとあーさんに!ニンジャの……ぬいぐるみ!
あとこれー!ムーさんに!スシのクッション!
深山・鴇
【八重】
(えって顔で逢真君を二度見した)
ああ、うん(諦めた顔で雲珠君に手を振る)
ゲーセンは小銭しか使えないからね…何したんだい、君
ああ、イカサマ…虫はスキャンしても虫だからバレないのか
うん?あー…(君、機械と死ぬほど相性悪いからなって顔)
モノクローズはゲーセンかい?
俺はスロットでもって全部壊れてるな(犯人はかみさま)
大人しくゲーセンにご一緒しようか
雲珠君ほら、ゾンビ撃つやつだよ、やろう
逢真君はちょっと縛りきつくして付いてきなよ
やることない?見てるだけでもそれなり楽しいものだよ
ほら、クレーンゲームで好きな物取ってあげるから
サイバーダイオウグソクムシとかあるよ
サイバースネークの方がいいかい?
朱酉・逢真
【八重】
心情)飲みンときにさァ、周り見てて思ったンだわ。"もっとふざけていいな"ってさ。よォし、旦那白いの黒兄さん坊(*ユベコを使って召喚) 遊ぼォぜ。虎兄さん居るかねェ。
行動)ゲーセン来たはいいがカネがない。ヨシちょっとカジノ行って増やすわ。元手はさっきの店の釣り銭。ほォら4人とも、お小遣いだよ。ブラックジャックで増やした。なンで勝てたって? 後ろの壁に虫が這ってても誰も気付かンからよォ。みィんな遊んでおいでェ。俺が往復したトコのマシンぜンぶイカれちまってっから気ィつけてな。オヤ旦那、俺を誘うって?(*軛ギチギチ) じゃあグソクムシの方取っとくれ。賢者先生にプレゼントする。射撃うめェな坊。
スキアファール・イリャルギ
【八重】
軽い感覚で雲珠さんが神隠しに(手振り
大丈夫ですムルヘルベルさんは溺死はしてません
実はゲーセンに入るの初めてなんです私
とても賑やかで楽しそう
朱酉さんいいんですか?ありがとうござ――
(うわぁ機械が沢山壊れてる
(そんな自分も長時間近くにいると機械に不調を起こす霊障持ち
(気を付けよう…な顔
助かりますトーさん、耳栓お借りしますね
雲珠さんと深山さんの射撃すごいですねぇ
私は何をやろう…おや、あれは音ゲー
この世界の音楽はどんな物なのでしょう
沢山あるボタンを押す…音楽のリズムを覚えて、怪奇で指を増やして伸ばせばいけそうだ
とりゃー(しゅぱぱっ
おぉートーさん流石です!
ふふ、家に帰ったら飾りますね、ありがとう
●なんで反面教師にしてブレーキ踏んでくれないのかな???
「飲みンときにさァ、周り見てて思ったンだわ」
ふー。煙管を喫みながら、朱酉・逢真は微笑んだ。
「"もっとふざけていいな"ってさ」
「「えっ」」
深山・鴇とムルヘルベルは、素の顔で逢真を見た。
逢真は笑っている。鴇とムルヘルベルは顔を見合わせ、また逢真の顔を見て、また顔を見合わせ、また逢真の顔を見た。そして、諦めた顔になった。
「「そうか……」」
「というわけでだ、旦那、白いの、黒兄さん、遊ぼォぜ」
「実はゲーセンに入るの、初めてなんですよ私! 遊びましょう!」
「あそぼーあそぼー! ゲーセンだゲーセンだー!」
スキアファール・イリャルギと茜崎・トヲルは大はしゃぎ。子供かな?
「なあ鴇よ、今こやつなんて」
「諦めろムルヘルベル君、諦めたほうが精神衛生上いい」
「ワガハイさっき命の危険に見舞われたんであるが???」
「大丈夫ですよムルヘルベルさん、現に溺れなかったでしょう?」
「だから「溺れる」という表現は普通飲酒には使わんのだが???」
「えー! でもおさけにおぼれるって言うじゃん! あれ違うの??」
「それは比喩であってだなあ!!!」
「あ、あと坊もな(ひょい)」
「えーーーーーーーっ!?」
当たり前のように空間に裂け目を作る逢真にマジびっくりするムルヘルベル。
ところ変わって、ここはサクラミラージュ。
「今日の煮卵の出来は抜群ですね!」
浸け置いた煮卵の色艶を確かめて、雨野・雲珠はにんまりと微笑んだ。
きっと師匠も喜んでくれるに違いない。つまみにいいらしいし。
つまみと言えば、そういえば彼らは酒盛りに行ったのだったか。
「俺も来年になれば、かみさま達と一緒にお酒を飲めるのでしょうか……」
雲珠は不安なような、楽しみなような、やっぱり不安なような。
その時が来ることが嬉しいような、寂しいような……複雑な気持ちだった。
「でもきっと、大人になればもっと楽しいことがウワーッ!?」
そして神隠しされた。はいシリアスおしまい。
「あっ兄ちゃんだ! 見て見てゲームセンター!」
「軽い感覚で雲珠さんが神隠しに遭いましたね」
「神隠しってこういうことではないはずであるが!?」
「ムルヘルベル君、諦めるんだ。諦めが肝心だ」
「みなさま! 今日はお酒の席だったのではあっお酒くさっ」
「ええーなんで連れてこられた雲珠も平然と受け入れてるんであるか……」
「あ、ムルヘルベルさま! ご無事だったんですね!」
「飲み会でそんな驚かれ方することある???」
ツッコミが……ツッコミが追いつかない……!
鴇は完全に諦め、流れに身を任せる顔をしている。卑怯だぞコイツ!
「虎兄さんは……いねェようだなァ」
「ワガハイさんざっぱら飲まされたのである。めっちゃ酌上手くて怖かったぐらいである」
「ひひ。なるほどねェ」
逢真の笑顔の意味を判じかねるムルヘルベルをよそに、一行はぞろぞろとゲーセンに乗り込むのであった。
が、ここでひとつ問題が発生する。
「あ! そーだ、お金ないじゃん!!!」
そう、トヲルにしては珍しく一番に問題に気付いた。お金が、ないのだ!
「あーそれならだな、さっき非常に非合法に近い方法で渡された金が……」
「そいつは賢者先生の懐に入れときなァ」
「いやでもこれヤクザから巻き上げた金をタネ銭に膨らませた奴で……」
「むしろなんでそんなものを受け取ってるんだいムルヘルベル君は」
「ワガハイが聞きたい……」
返そうにもボコボコにされたヤクザの皆さんは泣きながら退店してしまったので、ムルヘルベルは渡された大量のお金を持て余していた。
が、ここは俺が出すぜ、とばかりに、逢真が微笑んだ。微笑むとこの人怖い。
「ちょっとカジノ行って増やしてくるから待ってなァ」
「……元手はあるのか?」
「さっきの店の釣り銭があるぜェ」
「それでなんとかなるものなんですか? 一発逆転しないと無理なのでは」
怪訝な顔をするスキアファール。と、質問した鴇。
「かみさまだからそんなことないんですけど、やってることだけ聞くと完全に借金で首が回らなくなったヤバい方みたいですね!」
「それよりひどいことが起きる予感しかせんのである」
けろっとした雲珠に、ムルヘルベルは不安げに言った。
「じゃーさじゃーさ、その間にみんなでどのゲームやるか見よーぜー!」
「オヌシ楽しそうであるなあ!」
「トーさんが楽しそうだと、私たちも笑顔になっちゃいますよね」
「朗らかに言っておるけどワガハイあの笑顔にさっき殺されかけたんであるよなあ!!!」
「やっぱり無事ではなかったんですねムルヘルベルさま……(ほろり)」
「失敬な! ムルヘルベルさんは一度も溺れていませんよ!」
「そーそー! ちょっと顔青くなってただけでちゃんと食べたもんね」
「オヌシらどうあったら己らの業自覚するんであるか???」
ゲームやってなくても騒がしい集団である。
しばらくして。
「ほォら4人とも、お小遣いだよ」
「「「わー」」」
あっさり大金抱えて戻ってきた逢真が、眷属たちにお金を配らせる。
「……うん? 君、何したんだい? まともに勝負したわけがないだろう?」
「ひっでェなァ旦那、別に細工なンざこれっぽっちもしてねェよ」
逢真はあっけらかんと言った。
「ただちと、後ろの壁に虫を這わせただけだぜ。気付かれたら終いさ。
けどマ、真剣勝負の最中に、虫っころ一匹気にする奴ァおらんわな」
「やっぱりイカサマじゃないか……」
鴇は呆れたが、別に叱りはしなかった。あと金ももらう。
理由はみっつ。どうせ店もろくでもないというのと、もらえるもんはもらうというのと、あとなにより言っても無駄だからである。そういうとこ!
「みィんな遊んでおいでェ」
「孫にお小遣いくださるおじいちゃんみたいですね」
「朱酉さんにとっては私たち全員子供みたいなものですしね!」
「えっワガハイも? いやまあそうかもしれんが!」
「ムーさん子供じゃん!(見た目が)」
「いやワガハイ102歳……まあよいか」
深く考えるのはやめよう。そう思ったムルヘルベルに、鴇は深く……深く深く頷いた。こうやって人は大人になっていくんですね(語弊)
さっそく「わー」と喜び勇んでゲーセンに突入するわんぱく小僧ども。
が、よく見るとなんだか、妙にあちこちの機械が故障している。
「調整中の機械が多いですね。テクノロジーが発達してるぶん繊細なんでしょうか」
「……私まだ何もしてませんよ? してませんからね?」
「なんでワガハイのほうちらちら見ながら言うんであるか???」
「いや、私機械と相性が悪い霊障持ちで……」
「……あー、うん。なるほど」
逢真のほうを見る鴇。逢真はこくりと頷いた。
「機械と死ぬほど相性悪いからな逢真君は。スキアファール君も気をつけたまえ」
「もしかしてケガに見立てて引き受けたらなおるかな? どうかな??」
「やめておけオヌシ火に油を注ぐつもりか」
「おれの肉はあんま脂ないよ失礼だなー!」
「オヌシ逆に器用に聞き間違いするのなんなのだ???」
ボケツッコミをさておき、雲珠は見るものすべてがハイテクでわけがわからない。AR! ホログラム! 摩訶不思議な見た目のレプリカント店員!
「ど、どれから遊べばいいのか……!」
「雲珠君、これなんかどうだい? ゾンビ撃つやつだよ」
鴇は優しく、大人として導いてあげた。
「ゾンビ! ひぇ……無理無理無理です」
「なに、俺も一緒にやるよ。協力プレイだ」
チャリーン。デッドオブハザァード フィフティーン……(タイトルコール)
「だ、大丈夫でしょうか? これを使うんですか? こう??」
「そうそう、銃口を向けて……」
「「「マァアアア~~~~(ヨロヨロ)」」」
「さっそくゾンビが出てきたぞ雲珠君!」
「えっえっどうすればいいんですかトリガーを引けばいいんですか! えいっ!」
BLAMN!
「「「アバーッ!」」」
「うひゃあっ!?」
雲珠はのけぞった! サイバーザナドゥのガンアクションゲームは反動もリアルだ!
「なかなか本格的だな。両足を踏ん張って肩の力を抜くんだ。そして、こう!」
BLAMN!!
「「「アバーッ!」」」
「わあ、かっこいいです深山さん! よーし俺も!」
BLAMN! BLAMN!! BLAMN!!!
「「「アバーッ!」」」
「ふふふ慣れてきましたよ! あそこのゾンビも(カチッ)あれ?」
「リロードだ雲珠君! ここのポンプを、こう(シャコッ)」
「こ、こうですか!?(シャコッ)えいっ!(BLAMN!)」
「「「アバーッ!」」」
「な、なるほど! これ楽しいですね!(シャコッカチッシャコッカチッ)」
ポンプアクションが楽しくなってきた雲珠。水鉄砲にはしゃぐ子供かな?
ステージをガンガン進んでいき、ついにボスに! 巨大ゾンビだ!
「オボボーッ!」
「くっボスの攻撃だ! 物陰に隠れるんだ雲珠君!」
「うおー!(シャコッカチッBLAMN!シャコッカチッBLAMN!)」
あっダメだこれ聞いてないな、という顔になる鴇。
「イヤーッ!」
SMASH! 巨大ゾンビボスの薙ぎ払い炸裂!
「ああーっ!?」
ゲイムオウバァ……コンテニュー?(システム音声)
「くっ、負けられません! コンティニューです!」
「……雲珠君、将来拳銃は持たないほうがいいな」
「えっなんでですか?(シャコッBLAMN!)」
将来がなんとなく不安になった鴇だった。楽しそうだからいいけど!
一方、モノクロブラザーズはというと。
「おふたりの射撃、すごいですね! それにしても騒がしくて耳が……」
「スーさん、これ使って! 耳栓どーぞ!」
「あ、ありがとうございますトーさん」
きゅぽっ。いい感じにノイズがキャンセルされ快適だ。
「これなら音も聞きやすいですね。よし、私はあの音ゲーを!」
「おー! これ、リズムにのってぽちぽちするの?」
「みたいですね。この世界の音楽がどんなものか気になります」
スキアファールは特に説明書も読まず、ゲームを始めた。
すると筐体がガション! と変形し、ただでさえ多いボタンが四倍に!
「ウワーッ!? なんだこれ!」
「えーと何々? 腕部増設サイボーグ向けエキスパートコース??」
ウカツ! スキアファールは、サイバーアームを増設したサイボーグのみがクリア可能な超絶難易度のコースを選択してしまったのだ!
しかも音楽はBPMがクッソ早いバキバキのハイスピードハードコアだ!
「くっ、こうなったら……怪奇を使うしかありませんッ!」
ぐにゃり。スキアファールの姿が歪んだかと思うと、指がめっちゃ生える! キモい!
「おー、あーさんすげー! その手があったかー! 手だけに!」
「今日はギャグが冴えてますねトーさん! うおおー!」
シュパパパパパ! 超高速譜面を物理的に演奏するスキアファール!
「えっなんだあのプレイヤー」
「あそこまで指増設してる奴みたことねえ」
「ガチ勢すぎる……」
音ゲーに造詣のあるプレイヤーの皆さんですらドン引きしていた。
「ふう、なんとかクリア出来ました。この世界の音楽はハードですね!」
「いいなー、じゃーおれもクレーンゲームやろっと!」
トヲルは両手をこめかみに当て、めきめきと嫌な音をさせる。
見た目にはあまり変化はないが、頭の中の視神経あたりをアレして動体視力を超強化しつつ、指の骨の関節もめちゃ増やしているのだ。キモい!
「ふう、雲珠君が完全にトリガーハッピーになってたな……おや?」
そこへ通りがかった鴇は、逢真がいないことに気付いた。
さては店外か、と思い向かうと、思ったとおり自ら待ちぼうけしている。
「オヤ旦那、どうしたい。また一服か?」
「違うよ、君も来たらどうだい。ちょっと縛りきつくすれば入れるだろ?」
「……仕方ねェな」
拒んでも諦めないであろう様子に笑い、逢真は色々ギチギチにアレして店内へ。
とはいえ触れるとさっきの要調整ラッシュの二の舞になり、スタッフの皆さんが泣く。
いやもう本当に、ゲーセンの故障って大変なんですよ。なにせ通常業務しながら修理しないといけないから、お客様に呼ばれたらそちらに向かわないといけないんですよね。だからって当然修理のために呼び出しを無視するわけにはいかないし、専門のスタッフを常に抱えていられるほど人的余裕もない。だから筐体と店内を行ったり来たりしないといけなくてつまり何が言いたいかというと故障中の張り紙貼られたまま放置されててもそれは放置ではないのでどうか暖かく見守ってあっはい話戻しますね。
で、逢真は鴇と一緒に店内にやってきた。
「うおー!(シャコッBLAMN!)」
「坊射撃うめェな。才能あンじゃねェのかあれ」
「目覚めさせてはいけない才能な気がするんだよな俺は……」
ユーステージクリアー! コングラッチュレーション……(システム音声)
「見ましたか深山さん、かみさま! やりましたよ! クリアです!」
「やっぱり目覚めさせてはダメだと思うんだよな、あれ」
「ひひ。おっかねェなァ」
はしゃぐ雲珠を暖かく(?)見守る保護者(??)達である。
「うおおー! ゲットだー!」
「オヌシそれ何個目であるか!? っていうか微調整完璧すぎて若干キモい!」
クレーンゲームコーナーでは、トヲルの無双をスキアファールとムルヘルベルが見物していた(そしてムルヘルベルはヒいていた)
「ひひ、白いのもはしゃいでやがるねェ」
「君も見てるだけでもそれなりに楽しいんじゃないか? ほら、俺もクレーンゲームで好きなもの取ってあげるから」
「無理やり家連れ出された子供みたいな扱いすンなよゥ。ンじゃ旦那、あのサイバーダイオウグソクムシ取ってくれ」
逢真が指差したのは、機械で出来たサイバーなグソクムシだ。サイバーなのでLED発光するし、ゲーミングに光る(約1677万色正しくは1677万7216色に光るという意味)
「よしいいだろう。それにしてもトヲル君はすごいな」
「でしょー! あっ兄ちゃん! これどーぞ! あーさんにもね!」
「わあ、ありがとうございますトヲルくん! ……なんですかこれ?」
「ニンジャ、ですかね……」
「ニンジャの……ぬいぐるみ!」
ゴウランガ! それは片目がセンコめいて細まったジゴクめいたニンジャのぬいぐるみだ! コワイ!
「魔除けになりそうですね!」
「いい夢が見られそうです。ありがとうございます、トーさん!」
「どーいたしまして!」
「このぬいぐるみで見れる夢って絶対それ悪夢ではないか……??」
「あ、ムーさんにはこれあげる! スシのクッション!」
「なんでこんなもんまであるのだ……??? いやありがたいが……」
困惑しつつ贈り物は素直に受け取るムルヘルベル。
「……よし、取れたぞ! サイバーダイオウグソクムシ」
「ひひ、ナイスだぜ旦那。じゃ、それ賢者先生にプレゼントな」
「えっオヌシがほしいのではなかったのか!?」
「俺ァそういうの持ってても(物理的に)腐らしちまうからよゥ」
「あ、ありがとうであるうわっ足ワシャワシャ動いておるこれ!」
とりあえず楽しい……楽しい? ゲーセン行脚にはなったようである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーザリア・シン
カジノ名物である金網バカ酒飲みデスマッチと、唐揚げ大食いコロシアム
どっちに出る?
妾は両方出る
さっき酒飲んでる時に意気投合した愉快なカジノ元締めの粋な計らいで、今宵は特別ドリーム無制限バトルである「ウルトラ唐揚げ酒飲みサバイバル」が開催される事と相成った
ルールはひとつ!美味しく食べて楽しく呑む事だ
パフォーマンス点も入るので、一発芸を合間に挟むと良いぞ
じゃあ呑むかぁ!カンパーイ!イェーイ!(唐揚げと超電導電気ブランをイッキ)
カーッ!犯罪的なのどごし!ウチのシマでは唐揚げは飲み物であるからのう!よし踊るかぁ!
一瞬だけ冷静になるが、これはただの宴会ショーではないか?
まあ良いかぁ!カンパーイ!
桜田・鳥獣戯画
【壁】
豪奢なコロシアム観戦用VIP席やゲーセンの椅子やサイバー床で寝
いや仮眠を取っている。
寄る年波に勝てないせいではないと本人は主張している。
もちろんアドリブでアクロバティックな寝言を言っているし寝相でツッコミも可能だ! 団長だから! フフフ待っておれ三章いや二次会!!
あと唐揚げは飲み物だと思っている。
鬼桐・相馬
【壁】
皆と合流
栴とムルヘルベルは頑張ったのが表情から窺える、偉いぞ
よく解らんが鷲穂も偉いな
金網バカ酒飲みデスマッチなんて出るしかないだろう
いや……それではユーザリアと戦うことに……まあいいか
鷲穂はもう腹いっぱいか、なら鷲穂との酒飲み勝負は次に持ち越しで
ギガはエンゲル係数がそもそも高そうだしこれ以上は……まあいいか、団長だしな
新たな一発芸はまだ企画段階止まり
なので何処かでやった一発芸その壱でこの場を凌ぐよ
酒を少量の着火剤に、体内に宿る冥府の炎を使った火吹き芸を披露
このまま乾杯をしよう
バレッタの差し出された手には黙って頷きおにぎりを焼く
栴、いつも世話かけるな……火を吹いたまま感謝の眼差しを
バレッタ・カノン
【壁】入店した時から中華料理屋みたいな匂いと思ってたけど、唐揚げ食べ放題大会なんて夢みたいだ。勿論、参加。あ、わたしはご飯セット追加で
ジョッキ唐揚げでカンパイ。作法には則っておこう。カラアゲイッキ!カラアゲイッキ!栴もどうだ?カラアゲイッキ!ほんとに唐揚げが飲める気がしてきたぞ。いざとなればレモン消失マジック(握りつぶし)があるし、これは勝機ありだな
顔色の悪そうな出場者へ口直しの唐揚げおにぎりを。力いっぱい心を込めて握った。今なら相馬の炎で焼きおにぎりにもできそうだ。お互いにベストを尽くそう。な?
決勝戦は宴会乱闘だな。まさか奥の手を隠していたとは、流石団長だ。鷲穂、私も行くぞ。
明石・鷲穂
【壁】
小腹満たして遊ぶって最高だな。
相馬もお疲れさん。おれも頑張ったから労ってくれ。
大食いコロシアム開催…開催させるんだな?
腹一杯だし、応援に回るぞ。
バレッタは無限消化胃袋だし、ユーザリアは存在感でいけるだろう。
酒飲みは相馬でるのか!?…出るか……いや、胴元どこだ?手持ち全部賭けよう。頼む。倍にしておれの酒代を援助してくれ。
まあスっても懐の広い団長が何とかしてくれるはずだな!
腹一杯でも酒とツマミは別腹だ。唐揚げ食ってないやつには配りに行くぞ。カラアゲイッキしてるか?これはサイバーな唐揚げだがきっと美味い。美味いな?よしおれも摘もう。
乱闘の方は賑やかになってきたなあ……混ざりに行くか!
生浦・栴
【壁】
済まない、頭脳労働が消費するのはブドウ糖であってタンパク質では無いのでな
とりあえず胃薬の準備に止めさせて貰…誰だだからチビだと云うた奴は
此れでも一応団長は超えたのだぞ
っと、山羊のは観戦組か、珍しいな(隣の席を作りつつ
というか観戦席でも結局喰うのか…
ところで今回も突っ込み処しかないな
壁で一々突っ込んで居ったら過労死するのでする気も起らぬのだが
まあ気が向けば実況でもしておくか……(アドリブお任せ)
アレスのの檸檬汁攻撃はもう請けぬぞ(眼鏡&結界
というか獄炎の、火を噴いたまま人の方を向くなとあれほど(云ってない
まあいつも通りよなあ
●おい……なんで……断章に書いてない競技が増えている……?
「やあみんな、遅くなってすまないな」
飲み会に出れなかった鬼桐・相馬は、どうやら仲間たちと合流の約束をしていたらしい。
足早にやってきた彼は、しかし、ぐったりしたムルヘルベルと生浦・栴を見て何かを察した。主に、ツッコミ役の苦労を。
「よく来たな獄炎の、今度はゲームセンターとカジノに行くそうだぞ」
「ああ、みたいだな……それにしても栴、頑張ったな。ムルヘルベルも」
「オヌシら頭の中どうなっておるのだ……(煽りとかでない純粋な疑問)」
「賢者の、壁(ここ)でいちいちツッコんでおったら過労死するぞ。
なので俺はする気も起きない。だが胃薬の準備はしておくとしよう」
「そういう細やかなところが栴の長所だな」
「もっと言うべきことほかにないのであるかオヌシら……!?」
ムルヘルベルは愕然とした。もはや狂気は蔓延しているのだ。手遅れ!
「いやぁ、それにしても、小腹を満たして遊ぶって最高だな。相馬、お疲れさん。
となみにおれも頑張ったから、労ってくれ。労ってくれればそれでOKだ」
明石・鷲穂は、ほろよい気分でよくわからないことを言っていた
「そうか。よくわからんが、鷲穂も偉いぞ」
「ありがとう。相馬はいい奴だ」
これが、ツッコミのいないアラサー同士の会話である。どうなってるの??
しかし、彼らはまだ会話が可能な、常識がある人々と言わざるを得ない。
肝心の女性陣がどうなのか、あまりカメラを合わせたくないが見てみよう。
「このゲームセンター、いやカジノ……中華料理屋みたいな匂いがしないか?」
バレッタ・カノンは、あんだけ食ったのにまだ飯のことを考えていた。
まだ入る。顔にそう書いてある。入るのはいいがまともに食べてもらいたい。
「どういうことだバレッタ! 私にはまったくわからん!!!!
それと私はついてきたはいいが色々限界だ! 三次会まで寝させてくれ!!!」
いつものテンションで押し切ろうとしている桜田・鳥獣戯画だが、その赤い瞳はわりとあらぬほうを見ており、疲労困憊なのが見てわかった。
学生の頃の気分で徹カラとかやると、マジですぐに電池切れますよね。
あと、歌のレパートリーから色々察して死にたくなる。すげえわかります。
そういう話じゃない? そういう話ってことにしておいてください。
「ワハハハハ! へばっている場合ではないぞ皆の衆!!
このカジノには、名物と言われる面白い出し物がふたつもあるのだ!!」
一方、一応30超えのはずのユーザリア・シンはピンピンしていた。
そもそもこいつの体力が切れる瞬間なんてあるのか? 赤ちゃんなのに?
いや、いつかの凶行を肯定しているわけじゃなく、あんなこと(※シナリオ「オブリであそぼ!」参照)をしでかすモラルと行動力を揶揄した皮肉である。かわいくないね!!
「なんだと!? 女王よ、一体それはなんだ!? 教えてくれ!!
教えてくれないのであれば……私は寝る!! 教えてくれても寝るが!!!」
「わたしにはなんとなくわかる。おそらくそれは料理に関係しているはずだ」
「それオヌシの願望でないか??? ここ普通の(?)ゲーセン&カジノだが???」
「でも中華料理屋の匂いがするんだムルヘルベル、わからないのか?」
「なんでワガハイがおかしいみたいな顔されるの???」
まあ普通のカジノに金網デスマッチはねえだろという声もなくはないが、それはそれ。ここはサイバーザナドゥだ。モラルがマッポーなのでそのぐらいはある。
「それはだな、金網バカ酒飲みデスマッチと、唐揚げ大食いコロシアムだ」
キリッ。ユーザリアは、シリアスなシナリオに出るときの顔で言った。
場が静まり返った(男性陣も真顔になっている)
「……なるほど!!!(せめて大声でテンションを維持する鳥獣戯画)」
「そうか、それはどちらも魅力的だな(平然と受け入れる相馬)」
「やっぱり中華料理屋みたいな匂いがするのは間違ってなかった。夢みたいだ」
「うーん、おれは腹一杯だから、どちらも出ずに応援に回るかな」
「山羊のは観戦組か、珍しいな。そして、やはり胃薬は必要なようだな」
「って待て待て待てぇえーーーい!!!!!!」
ムルヘルベル、黙っていられず立ち上がる!
「どうしたムルヘルベル!! 入るか!? 壁に!! なるか!! 51人目!!」
「いや話の脈絡!! なるかならないかは置いておいて脈絡! ていうか内容!!!」
「? どうしたムルヘルベル、酔ってるのか? 話にとりとめがないぞ」
「なんでワガハイが酔っぱらいみたいな扱いされておるの!? 相馬はまだ飲んでおらぬのだからむしろそっちが受け入れておるのがおかしくない!!?」
「わたしは、出る。出るしかない。唐揚げ食べ放題と聞いたら、黙っていられるわけがないんだ」
「バレッタは無限消化胃袋だもんな。ユーザリアは……存在感でいけるだろう」
「いやだからなんでそんなもんが存在する前提で話が」
ぽん。ムルヘルベルの肩に手を置いた栴は、ふるふると首を振る。
「頑張らなくていいんだ、賢者の」
にこやかなその瞳には、穏やかな諦観の色があった。悟りを開いていた。
「ええ……」
ムルヘルベルは困惑した。普段からこんななの? という意味で。
「ウハハハ!! ちなみに妾は両方に出るぞ!! いやあ楽しみである!!」
「ところでユーザリア、それ本当に存在するのか?」
「あることになった。というかさっきの飲みでカジノの元締めと意気投合してな。
粋な計らいで、今宵は特別ドリーム無制限バトルと相成ったわけよ!」
「全部! オヌシの!! せいじゃん!!!!!!!」
ムルヘルベルは叫ばざるを得なかった。鳥獣戯画はもう寝こけていた。
マジでそんなもんはビタイチ存在していなかったのだが、ユーザリアがそんなことをプレイングした上に、しかも他の猟兵も割と無茶をやらかしているのを採用している以上、採用せざるを得ないのであることになってしまった。
カジノってなんだ? わからない、本当にわからないんだ……。
「おい、今日は特別なマッチがあるらしいぜ!」
「しかも酒を飲んだり唐揚げを食べまくるらしいぜ!」
「ワオ! こいつはエキサイティングだぜ! 興奮しちゃうね!」
「それはペンですか? 私はトムです」
観客も大盛りあがりだ! なんでこれで盛り上がれるの?
「まさか本当に開催する……いや、開催させるとはな。面白くなってきたぞ」
なんか少年漫画でトーナメント展開が始まる時、出場者のプロフィールを詳しく解説してくれる人みたいな顔をした鷲穂が言った。
「俺は金網バカ酒飲みデスマッチに出るぞ。バレッタの真似ではないが、出るしかない」
「何? 相馬出るのか!? ……出るか……?」
鷲穂はもはや状況をなんら疑わず受け入れており(※これに関しては全員がそう)相馬の意外な出場宣言に揺れていた。
「やはり出るのか山羊の、ウコンのなにかも用意しておいたほうがいいか?」
「……いや、ここはやめておこう。だが、代わりに相馬に全額賭けるんだ。そして相馬、頼む。倍にして、おれの酒代を援助してくれ」
「任せておいてくれ。だが考えてみると、ユーザリアと戦うことになるんじゃ……いや、まあいいか」
酒飲み勝負が持ち越しになったのは残念だが、鷲穂の期待を一身に受けて、相馬はいつもよりもやる気だ。やる気の前に常識を発揮してくれないものか。
「うーんむにゃむにゃ……唐揚げは飲み物……」
「なんだって。唐揚げは……飲み物だった……?」
鳥獣戯画の寝言(※観客席で寝ている)に、愕然とするバレッタ。
固形物なのに、飲み物? まさにこれこそ、ディスカバリー……!
「うーんむにゃむにゃ……あと私は寝ていない……仮眠してるだけだ……」
「寝ながら自己主張とは器用だな団長。俺よりも小さい団長なのに」
「たしかに7センチ低いが年齢は上……いや寝ているのは年齢のせいじゃない……そもそも私は寝ていない……寝ていない!!!! ……むにゃむにゃ……」
「なんかそういう呪いにでもかかっておるのかこやつは」
ガチ寝……いや仮眠しながら会話を成立させるという器用な真似をする鳥獣戯画に、色々と常識が揺らぐムルヘルベル。
「……飲み物であれば、ジョッキで行くしかないな……(ゴクリと息を呑むバレッタ)」
「何が??? 飲み物ではないのであるが???」
「うむ! では今から種目を「ウルトラ唐揚げ酒飲みサバイバル」にしようと思う!!」
「えーーーーーーー!!!???」
ユーザリアの唐突な宣言に湧き上がる観客! なるほどその手があったか! みたいな顔をする壁の面々! 全力でツッコミを入れたいが「ワァアアアア」ってオノマトペに完全に台詞を妨害されるムルヘルベル!
「ルールはたったひとつ! 美味しく食べて、楽しく呑むことだけだ!!」
「美味しく、楽しく……シンプルだが、奥が深いな。これは戦略が試されるぞ」
「酒飲みに戦略とか戦術という概念があったとは初耳だ、負けてられないな」
神妙な面持ちのバレッタに、謎の対抗心を燃やす相馬。
「ところで山羊の、もしスッたらどうするつもりだ?」
「……懐の広い団長がなんとかしてくれることだろう!」
「うーんむにゃむにゃ……それはどちらかというと女王に……あと三次会はまだか……うーん……」
「ギガはエンゲル係数がそもそも高そうだが大丈夫なんだろうか」
「心配するところそこではないと思うのだが相馬???」
だがムルヘルベルの声は届かない。彼らは狂っていた。
「あ、あとパフォーマンス点も入るので、一発芸を合間に挟むといいぞ」
「「なるほど……」」
相馬とバレッタは神妙な顔で頷いた。戦略が大事なのだ。
「じゃあ呑むかぁ! カンパーイ! イェーーーイ!!」
「「イェーーーイ!!」」
そして特に戦略もクソもなく、ジョッキをかち鳴らした。秒で自分の発言裏切るのやめろ。
ところで、バレッタとユーザリアは、マジでジョッキに唐揚げをぶちこんでいる。そして呑む。唐揚げを。唐揚げを飲むって何??
ちなみに本当にまったく関係のない余談だが、恐ろしいことにジョッキに唐揚げをぶちこむバーは実在している。人間って……面白!!(死神顔)
「カラアゲイッキ! カラアゲイッキ!」
バレッタは場の作法(??)に則り、イッキコールを入れる。
するとユーザリアは、一応美女という設定のはずの女性キャラ(しかもしつこいようだが彼女は33歳だ。赤ちゃんではなくいい大人だ)がしてはいけない顔で大口を開け、うわあ本当に飲んでる! ピンクの悪魔かこいつ!
「プハー! 美味い!! ワハハハハ!!」
「唐揚げのイッキコールなんて、俺は初めて聞いたな。サイバーザナドゥの文化は奥深い」
「しみじみとした顔で言うことではないぞ栴!!!?」
「栴もどうだ? カラアゲイッキ! 言っていると唐揚げが飲める気がしてきたぞ」
「というか、もう飲んでるからなユーザリアが。どういう原理なんだあれは」
酒を手にしつつ、相馬は比較的常識的なことを言った。
「あと俺に水を向けるのはやめるんだアレスの。俺は食べないし呑まない」
「脂っこいからか? レモンならあるぞ。こんなこともあろうかと持ち込んだ」
「だからレモンを向けるなアレスの。メガネも結界もあるが、やめるんだ」
「消失マジック、出来るぞ。やるか?」
「やめるんだアレスの。少しは話を聞くんだ」
「ウワハハハ! 犯罪的なのどごし! ウチのシマでは唐揚げは飲み物であるからのう! そしてそここの超電導電気ブランをシューッ! ウワハハハハ!」
「わたしのパフォーマンスなら勝機がある。行くぞ(ブシャッ)」
「「グワーーーーッ!!」」
バレッタのレモン消失攻撃! ユーザリアとムルヘルベルの目に大ダメージ!
「バレッタ、それは一発芸ではなく攻撃だ」
「なんだって……ち、違、わたしはそんなつもりじゃ」
バレッタは相馬の言葉に困惑した。ムルヘルベルとユーザリアは目を押さえてのたうち回っていた。
「悲劇は繰り返されてしまうのだな……(レモンまみれの眼鏡を拭いてる栴)」
「だがおかげでいい感じに唐揚げの脂が中和されたぞ。食べるか、栴?」
「待て山羊の。結局食うのか」
「? 腹一杯でも酒とツマミは別腹だろう?」
何いってんだ? みたいな顔でむしゃむしゃ唐揚げを食べる鷲穂。
「そうか、そうだな。ここは観客席だがな」
「観客席だからって食べてはいけない決まりはないだろう。なあ団長」
「うーんむにゃむにゃ……それじゃロールスロイスやないかーい!!(ビシィ)……むにゃむにゃ……」
「どういう夢を見てるんだ団長は」
「唐揚げを食べたいということだな。よし(ズボッ)」
「うーんむにゃオゴッ……もぐもぐ……」
「寝ながら食べるのか……(困惑)」
寝てる鳥獣戯画に唐揚げ突っ込む鷲穂もヤバいが、それを普通に食べてる鳥獣戯画もヤバかった。だが栴はいつものことだなと受け流した。防御術である。
そんなこんなで(?)サバイバルはヒートアップしていた。
というか壁の面々の食いっぷり&飲みっぷりに、なんだかんだで常人である他の出場者がついてこれるわけもないのだ。
「グワーッレモン汁! レモン汁グワーッゴクゴク!」
ユーザリアは目を押さえてのたうち回りながら唐揚げを飲んでいる。器用だ。
「ここは俺も、一発芸を決めなければ追いつけないな……!」
相馬は意を決した。まだ新たな一発芸は企画段階止まりだ。
ゆえに彼は、すでに実践したことのある一発芸で一発逆転に出る!
一発芸で一発逆転に出る! 一発芸だけに! 一発芸だけに!
話を戻しますね。
「む? 獄炎の、よもや……」
「そうだ。この酒を少量の着火剤をしてだな。俺の体内の冥府の炎で燃やす」
「なるほどやはりか。ところでなぜ俺たちのほうを見て解説する」
「以前よりも火力アップだ。見ていてくれみんな」
「だからなぜこっちを見ながら酒を(ボォオオオオオ)獄炎の!!!!」
相馬も話を聞いていない! 冥府の炎が観客席ギリッギリまで届く! コワイ!
「む、その炎……ひらめいたぞ」
バレッタはおもむろにご飯たっぷりのお櫃を手に取ると(※最初から用意されていた。されていたったらされていた。もうここまで来たらなんでもありだろ)唐揚げを具材におにぎりを作り出した!
丼二杯ぶんぐらいのご飯を、掌サイズまで力いっぱい心を込めて凝縮している。ブラックホールでも作るつもりかな?
「相馬、その炎でこれを焼きおにぎりにするんだ。お互いにベストを尽くそう」
ボォオオオオ!! 相馬は黙って(※炎吹いてるからそもそも喋れない)バレッタのおにぎりを焼く! 唐揚げ焼きおにぎりの完成だぜ!(醤油は???)
「香ばしい匂いがしてきたな! あれは美味そうだ」
「ああ、だがここに来てご飯物を追加するとは、もはや他の参加者に対する嫌がらせでしかないな」
栴は冷静に実況した。ツッコミもしてほしい。
「さあそこの顔の悪い出場者のみんな、口直しに食べてくれ」
「いやご飯は口直しに食べるようなもんじゃ」
「力いっぱい心を込めたぞ(ズボッ)」
「オゴゴーッ!?」
口の中に凝縮焼きおにぎりを突っ込まれ、出場者は白目を剥いて撃沈!
「ち、違……わたしそんなつもりでは……」
「ボォオオオオオ(気遣わしげな表情をする相馬)」
「獄炎の、炎を止めろ。何を言っているかわからない」
「ボォオオオオオ(いつも世話をかけるな、という感謝の眼差しを栴に向ける)」
「だから目で語ろうとするな。賢者のが撃沈してるから俺がツッコまざるを得ないんだが」
「そういえばユーザリアも倒れたままだが大丈夫か?(唐揚げを食べながら首をかしげる鷲穂)」
「(スクッ)よおし踊るかぁ!!!!!」
「大丈夫だったな」
「そうだな」
鷲穂と栴は特に気にしなかった。ユーザリアは104人のインド人を召喚し、踊る! 流れ出すのはサイバーザナドゥらしいハードコアテクノだ! オウイエー!
「ところで妾は思った。これはただの宴会ショーではないか?」
「いまさらすぎるやろがーーーーい!!(スパーン)……むにゃむにゃ」
「まあいいかぁ! カンパーイ!!」
「いやよくないが!? ワガハイ完全にレモン食らっただけなんであるが!?」
「ならムルヘルベルも食べるか、唐揚げ焼きおにぎり」
「要らぬが!?」
「そうか……(しょんぼりするバレッタ)」
「ああもう仕方ないな!! オヌシらこのあと三次会って分かってる!?」
ムルヘルベルのツッコミに鳥獣戯画が目を見開いた!
「来たか三次会!! ここが三次会だ!!!!」
「団長が何を言ってるのかまったくわからん(栴)」
「いや、これはつまり俺も乱闘に混ざれということだな。よし、行くか!」
「まあ山羊のは観客席にいるだけでやってることは同じだったのだからな……」
「宴会乱闘か。さすがは団長だ。私も行くぞ」
「ボォオオオオオ(ならば俺も、という顔をしているが、炎を吹いたままなのでそこら中にダメージを与えている)」
「ワーハハハ! ウェーイ!! 踊れ踊れぇい!! 祭りである!!!」
踊るユーザリア。炎を吐き続ける相馬。おにぎりを両手に装備して戦う(何と?)バレッタ。サイバー唐揚げ(???)を手に乱入する鷲穂。眼鏡を拭いている栴。立ったと思ったら胸焼けを起こしてダウンする鳥獣戯画。
「誰か助けてくれー!!」
ムルヘルベルは叫んだ。あいにく助けは来ないし、サバイバルはどがちゃかになったので、金網デスマッチは今日で撤去と相成った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『二次会パーリナイ!』
|
POW : 思いっきり夜更かししてあれこれ楽しむ
SPD : 面白そうな店やイベントに顔を出してみる
WIZ : 飲み物と会話を楽しみながらのんびり過ごす
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「つかれた」
ムルヘルベルは、心の底から、本気で、ぽつりと、しみじみ、色んな感情を込めて呟いた。
「飲もう。もう飲むしかない。二次会? いや三次会? よくわからんがゴー!!」
そしてテンションもぶっ壊れていた。狂気に晒されるとこうなる。
で、一行が次に繰り出したのは、ちょうどなんかのカーニバルをやっている最中の大通りだ。
ヨーロッパでは2月末から3月にかけてカーニバルをやる。だからサイバーザナドゥの下町でカーニバルをやってたって何もおかしくない。わかるかこの算数が、エエッ?
通りにはそこかしこに露店が並び、ビアガーデンも解放され、派手なAR花火がパパンと空を彩り、様々なパフォーマーがあちこちで芸を競っている。
食べ歩いてもよし、今度は開放的な気分で飲んでもよし、パフォーマーに混ざってもよし、逆に店を出す(?)のもよし。
もはや時刻は0時を回りつつあったが、サイバーザナドゥの夜に終わりはない。さあ飲もうぜ!!!
●プレイング受付期間
3/12(土)08:30まで。
山吹・慧
ムルヘルベルさん、大丈夫ですか?
さっきは焦りましたよ。
屋台でラーメン食べましょう。
僕に御馳走させて下さい。
ところで今回僕達はずっと遊んでるだけですが
怒られないでしょうか?
僕は新世界の調査と情報収集の仕事のつもりで来たのですが…。
まあ最初に撮った写真も新世界の資料ですからね。
後で騎士団への報告書も仕上げますし…報告書?
飲み屋でヤクザに絡まれました。
珍妙な料理を食べました。
ザナぴょいで大負けしました。
なんかムルヘルベルさんが死んでました。
締めにラーメン食べました、美味しかったです。
おしまい。
ダメですね、これ。
一緒に上に謝って頂けません?
言い出しっぺというかOPで「付き合ってくれ」
と言いましたよね?
●ものすごいアクロバティックな責任転嫁を見た
「ムルヘルベルさん……大丈夫ですか?」
山吹・慧は気遣わしげにムルヘルベルの様子を伺う。
「ああ、すまぬな慧よ。ちょっとこう、年甲斐もなくはしゃいでしまったのでな」
「大丈夫ならいいんですが、あれは焦りましたよ……」
「クリスタリアンはそういうところがあるのだ」
「僕はクリスタリアンについて詳しくないんですが、その発言は間違いなく同族の方への風評被害になることはわかります」
慧は真顔で言った。
「……まあそれはそれとして、せっかくですし屋台で食事でもいかがです?
ムルヘルベルさんはだいぶ飲まれたようですし、こういうときはラーメンかと」
「おお、よいな! やはり宴会の〆はラーメンよな。まあワガハイまだ飲むけど」
「まだ飲むんですか? どれだけお酒好きなんですか?」
「いやワガハイの意志によらず他の者が放っておいてくれんというか」
「……それは遠慮すればいいだけなのでは?」
「グリモア猟兵たるものそうはいかんというか……」
「グリモア猟兵ってそんな過酷なお仕事だったんですか???」
などと会話しつつ、ラーメン屋台に座るふたり。
「せっかくですし、今回は僕にご馳走させてください」
「なんだかすまぬなぁ、迷惑かけてばかりだというのに」
「いえ、気にしないでください。それよりも……」
慧は真顔で、深刻そうに、シリアスに切り出した。
「……僕たち、怒られないでしょうか?」
「えっなんで?」
「いえ、僕は新世界の調査と、情報収集の仕事のつもりで来たんです」
「ワガハイそんなこと一言も言っておらぬけど???」
「でも報告書が必要なんですよ、騎士団への報告書が」
「それはオヌシの事情なのでは……」
ムルヘルベルは困惑した。むしろなんであの呼びかけで真面目に調査するつもりで来てんだおめえ、と思ったので。
が、慧は指折り数えて、これまでの出来事を挙げていく。
「呑み屋でヤクザに絡まれました」
「うむ」
「珍妙な料理を食べました」
「そうだな」
「ザナぴょいで大負けしました」
「その呼び方危険な気がするがまあ事実であるな」
「なんかムルヘルベルさんが死んでました」
「ワガハイ行き倒れ扱い?? いやそうとしか言いようがないけども」
「締めにラーメンを食べました(ずるずる)……美味しかったです」
「(ずるずる)たしかに美味いなあこのラーメン」
「おしまい、ですね」
「うむ」
沈黙。
「ダメですねこれ」
「……まあ報告書としてはそうであるな」
「一緒に上に謝っていただけません?」
「オヌシの組織がどんなところかは知らんが大へなんで????????」
ほんまなんで??? という顔で二度見するムルヘルベル。
「だって言い出しっぺはムルヘルベルさんですし」
「いやだからワガハイ最初から飲みって言っておったが!?」
「付き合ってくれ、と言いましたよね?」
「あっそういう形で言質取る!? ワガハイその責任も負わないとダメなの!!?」
「まあそれもグリモア猟兵の仕事ということでひとつ……」
「オヌシそれ了承させるために奢ったなさては!!? まあよいけど!!!!!」
だいぶヤケが入ってる言い方だったという。
大成功
🔵🔵🔵
花邨・八千代
かーにばる!お祭りは大好きだ!
賑やかなのは最高だなぁ、よーし俺も盛り上げるか!
さっきデスマッチで稼いだ金をそこらのビアガーデンにドーン!
ここにあるだけの酒持ってこーい!飲み比べだ!
俺に勝てたらこの金まるごとくれてやる!
負けたらここの支払いは敗者もちな!
さぁて、肝臓に悲鳴を挙げさせる準備はできてっか?
エチケット袋の用意はOK?
ついでに信仰してる神様でも居ればお祈りしときな
内臓いじくってようがなんだろうが容量オーバーでゲロ吐かせてやるよ
対戦相手が席に着いたらガンガン飲むぜ~!
ついでにムルヘルベルも巻き込んで飲むぜ~!
あ、おつまみで枝豆と唐揚げ頼も
とりあえず全員の肝臓倒すぞ!
対ありぃ!
●盛り上がってないタイミング1秒とてありました???
「かーにばるかー! お祭りっていいよな! 賑やかなのって最高だ!!」
と、子供のように目をキラキラさせてはしゃぐ花邨・八千代。
「よーし、俺も盛り上げるか!」
やる気である。この女がやる気になると10割ろくなことがない。
……あれっ? それってつまりやることなすこと大迷惑の大旋風??
「お祭りは大好きだからな! みんなで楽しまないとなー!!」
言ってること自体はなんか優しげに聞こえるのがなおさら怖かった。
で、八千代が何をしでかすかというと。
「おらぁ!!」
大量の硬貨お札素子その他が入ったズタ袋をどーん!
「アイエエエ! お客様これは一体?」
ビアガーデン店員はズタ袋を受け止めて困惑した。
「ここにあるだけの酒持ってこーい! で、飲み比べだ!」
「アイエエエあるだけ!?」
「そーだ! おい野郎ども! 俺に勝てたらこの金、まるごとくれてやるぜ!!」
まるごと! ずっしりとしたズタ袋に、野郎どもはざわめいた。
「ヨー姉ちゃん、その言葉嘘じゃねえだろうな? ア?」
「やっちゃうよ? 俺ら、やっちゃうよ?」
「ヌフハハハ……サイバー増強肝臓を持つ俺に勝てるかね」
「いいぜ! ただし負けたらここの支払いは敗者持ちな!」
「「「面白ぇ!!」」」
かくして、結果がわかりきっている飲み比べが始まった!
「さぁて、肝臓に悲鳴を上げさせる準備は出来てっか?
エチケット袋の用意はOK?
ついでに信仰してる神様でもいれば、お祈りしときな!」
どこの武装執事だよお前、みたいなことを言いながら卓につく八千代。
その前に、ずしんと座る巨漢! サイバー増強心臓を持つ大酒飲みだ!
「ヌフハハハ! 姉ちゃん覚悟してもらうぜ!」
「おうおう来いや! 内臓いじくってようがなんだろうが容量オーバーで下呂吐かせてやる!」
どん! 両者の前に置かれる酒! 酒! 酒!
ビール! サワー! チューハイ! 日本酒! とにかく酒の乱舞だ!
「デュエル開始ィイイイ!!」
「「「ワオオオーッ!」」」
なぜか変な黒服の号令のもと、八千代と大男はガンガン酒を飲み始めた!
それを遠巻きに見つつ、ちびちびこそこそと酒を飲むムルヘルベル。
「ええ、何あれこわ……どっちが勝っても大惨事であるが……?」
「ウ、ウグ、グ……アバーッ!!」
「あーあ」
案の定、大男は容量オーバーで虹色のなんかを噴出して斃れた。
「ワハハハ! おら次来い次! もういっぺんに来い!」
「八千代は相変わらずであるなぁ、まあワガハイは特に参加せずゆっくり」
「おっムルヘルベルじゃ~ん^^ムルヘルベルも飲み比べするか~^^」
「アイエエエ!? ナンデ!? 強制連行ナンデ!?」
八千代は善意100%だ! だってお酒をみんなで飲むと美味しいから!
だからなおさらたちが悪い。
「あ、枝豆と唐揚げも頂戴!」
「飲んでる上に食うのか!?」
「? つまみは酒飲む時に食うもんだろ?」
「いやそうだが! そうではなく!?」
「まあまあ細かいこと気にせず飲むぞ! いえー!!」
「やだぁワガハイ最後ぐらいはまともに飲みたゴボボボボ!!」
「いえー! 全員肝臓倒すぞ! 対ありぃ~!!」
その後、ビアガーデンは死屍累々の墓場めいた有り様となった。
男たちの周りには虹色のなんかが飛び散り、衛生的には最悪だった。南無阿弥陀仏。
大成功
🔵🔵🔵
試作機・庚
あ…うん…ごめんね…?(ここまでの惨状を見て流石に居た堪れない気持ちになった)
とりあえず…取り分どうぞ。
私が賭けて儲かった半分(7割)と正式に登録して対戦したデスから…ファイトマネー(全額)デス。
まぁさっきのみたいなのは今回はしないデスしゆっくり休むといいんじゃないデスかね…?
えっ?そこで手を止めるから二流?本物なら手を抜かず追撃しろ?
しょうがないデスねぇ…仕方ないデスから甘やかしてやるデスよ。
はい、グラブジャムンとラグドゥネームを使った骸の海パフェデス。
口直しに普通のツマミ類も用意してるデスけどそのパフェは食べきってもらうデスよ。
食べきったら…まぁ、好きにするといいデス。(甘やかす構え)
●休めるといいですね。休めてないけどな!
「オゴゴーッ!」
「うわぁ」
強制飲み連行からの限界を越えた飲み行脚により、虹色のなんかにまみれたムルヘルベルを見て、さすがの試作機・庚もいたたまれない気持ちになった。
驚くべきことに、あんなことをしでかしておいて悼む気持ちはあったらしい。
「あ……うん、なんか……ごめんね……?」
「よ、よいのだ庚よ、しかしできればワガハイにあんなことさせる前にそう思ってほしかったのである……」
ムルヘルベルはギリギリで立ち絵通りの顔に戻りつつ、よろよろと立ち上がる。
「……というかなんでこんなことになってるんデス?」
「ワガハイが聞きたいそれマジで。オヌシもなんであんなことしたの???」
「なんとなくデスが……?」
「なんで聞かれたこと自体が不思議そうな顔しておるの???」
断絶は深かった。
それはさておき、庚も多少は反省したようで、おとなしく取り分を渡す。
「私が賭けて儲かった半分(※実際は7割)と、ファイトマネーの全額デス」
「お、おお、すまぬな庚……いやすまぬっておかしいな? 受け取るのである」
なんでいま自分一瞬遠慮した? と自分で疑問に思うムルヘルベル。
「そういうところに苦労性が表れているのデスね、大変そうデス」
「その言葉自体はありがたいのであるがオヌシも攻撃しておるからな???」
「それはもう反省したデスよ! だからさっきみたいなのはしないデス。
ここではゆっくり休むといいんじゃないデスかね……? ここからも大変デショウし」
「うんまあそれはそうであるな。ワガハイもなんとなくわかる」
たとえ庚ひとりがいたたまれない気持ちになっていても、他のお客様からの追撃は待っていた。多分これもグリモアの予知なんじゃない?(適当)
が、このまま穏やかに終わるかと思ったらそんなことはない。
「ところで、酔い醒ましというわけではないデスが、こちらをドウゾ」
「おやパフェであるか、いやーワガハイ甘いのに目がな甘ッッッッ!!!?」
なんの気なしにひとくち食べたムルヘルベル、悶絶!
甘味も行きすぎるとなんか頭キーンなる! ていうかそもそも身体に悪い!
「あっま!? いやなんであるかこれあっま! あッッッッッッッま!!!」
「グラブジャムンとラグドゥネームを使った骸の海パフェデス」
「えっ!? 世界でもっとも甘いと言われるお菓子と、砂糖の30万倍甘いと言われる人工甘味物を!?!!?!!?」
ムルヘルベルはきーんなってる頭をおさえつつ驚いた。
「なんで!? なんでそんなことした!?」
「甘やかしてあげようと思ったデスよ」
「甘やかすってそういうことではないが!?」
「でも本物なら手を抜かず追撃するものだって……」
「オヌシさっきのしおらしい様子どこ行った!!?!?!? 本物って何!?!?!?!」
「口直しに普通のツマミもあるデスけど、そのパフェは食べきってもらうデス」
「なんで!?!?!?!」
ムルヘルベルは泣き顔になった。
「も、もう甘いものは、こりごりであるよ~~~!!」
画面(?)がムルヘルベルの顔を包むように黒くなる。ちなみにあれ、アイリスアウトというそうです。勉強になるね。
そしてちゃんちゃん♪と終わりそうなところだが、地獄の二次会(三次会)はまだまだ続くのだ。ねえ日常フラグメントって毎回こうなの???
大成功
🔵🔵🔵
新田・にこたま
ミニパトで颯爽登場です!
ホールドアップ!総員動くな!警察です!
あなたたちには命乞いをする権利と辞世の句を詠む権利があります!大人しく投降しなさい!
…ん?あれ?
あー…猟兵さん御一行でしたか。
嫌に騒ぎが多いのでまたどこぞのメガコーポが暗躍しているのかと…早とちりでしたね。失礼しました。
しかし、せっかく私の正義を炸裂させる機会だとミニパトにガトリングやミサイルランチャーを装備してきたのに無駄になってしまいました…よし、ついでなのでこのままカーニバル会場をパトロールしていきます。この装備で巡回すれば騒ぎの抑制にもなるでしょう。
…猟兵さんたちのこともしっかり見張っていますからね。(ミサイルをチラ見)
●正義(フラストレーション)では?
ウーウーウー! けたたましく鳴り響くサイレン! そして赤い警告灯!
「ホールドアップ! 総員動くな、警察ですッ!」
「うおうっ!?」
突然銃口を向けられ、ムルヘルベルは恐る恐る両手を上げた。
「ま、待ってほしいのだ。我々は純粋に祭りを楽しんで……いや純粋かは怪しい者もおるが、一応非人道的なことは……してないとは言い切れない者もいるがとにかく」
「あなたたちには命乞いをする権利と辞世の句を詠む権利があります! おとなしく投降しなさい!」
「って待て待て待てぇーい!!」
ムルヘルベルは思わず突っ込みを入れた。
「は? なんですか? 口答えですか? 正義の弾丸叩きつけますが?」
「いや正義の概念誤解しすぎであるが!?」
「もう面倒なので撃……ん? あれ?」
そこでようやく、新田・にこたまは相手が猟兵であると気づいたようだ。
「あー……猟兵さんでしたか。ということはあちこちで騒がれている方々も?」
「う、うむ。だからワガハイさっきそう言おうと……」
「すみません。またどこぞのメガコーポが暗躍しているものかと」
にこたまは銃をしまった。
「早とちりでしたね、失礼しました。私も同じ猟兵ですので、お気になさらず」
「そうか……いや早とちりとか関係なかった気がするんですが???」
「? 正義を執行するのが私の義務であり責務ですが?」
何言ってんだおめえみたいな面をするにこたま。その目に曇りはなかった。
「……しかし、そうなるとちょっと残念ですね」
にこたまはミニパト(※四輪装甲車)を振り返り、腕を組んだ。
「せっかく私の正義を炸裂させる機会だと、ミニパトにガトリングやミサイルランチャーを装備してきたのに……無駄になってしまいました」
「いやいる?? それいる!?」
「要りますよ! あなたはメガコーポの悪事をなめていますね!?」
にこたまは力説する。
「奴ら相手には、この程度では生ぬるいほどです!
……まあ仮に過剰火力だったとしても、正義の執行なので問題ありません!」
「えっなにそれこわ……」
「よし、ついでなのでこのままカーニバル会場をパトロールしましょう。
この装備で巡回すれば、騒ぎの抑制にもなると思いますしね!」
「抑止力としてちらつかせる火力ではないと思うのであるがそれ……」
にこたまはいいこと思いついたとウキウキとミニパトに乗り込む。
が、扉を開けて乗り込もうとしたところで、じろりとムルヘルベルを見た。
「……」
「え? 何? なんであるか怖いのであるが」
「……猟兵さんたちのことも、しっかりと見張っていますからね」
「ミサイルチラ見しながら言わないのでほしいのであるが!?」
「あと、どうやらこの場の責任者はあなたのようなので、そのあたりもよろしくおねがいしますね」
「えっ!!?」
ばたむ。にこたまはカーニバル会場を走り出した。正義の武装警官に、休む暇はないのだ……!
「…………コワ~」
賢者は震え上がった。
大成功
🔵🔵🔵
レン・ランフォード
蓮とれんには露天巡りに行かせて自分は式鬼に手伝わせて焼き鳥屋台を
ようムルヘルベル、さっきは散々だったな
横にテーブル席があるから座っていけよ
これは奢り…大丈夫焼き鳥は商売、というか俺の好物だから遊んでない
ただこの世界で買ったヤツだから…
うん、これ普通に食ってるの大丈夫かこの世界
持ち込んでたオーガニックな肉にするか?
屋台やってるのは、まぁ俺らは飲めんからな
なんで提供する側に回ろうと思いついて
この祭りは渡りに船だったわけだ
まぁ酒も出してるから飲んで休んでけ
どうせ後にエライ目に合うだろうから今のうちにな
その内二人も帰ってくる
珍しいもん買って来るとは言ってたが…
まぁろくでもないのはないだろう多分
●さっきのは遊んでたんですね???
「ようムルヘルベル、さっき(2章)はさんざんだったな」
と、式鬼をこき使って屋台を開いていたレン・ランフォードが言った。
「オヌシは……"錬"か。いやまあさっきと言わず常にさんざんであるがワガハイ」
「なんで付き合ってんだ……? いやまあいいか、そこのテーブル席座ってけよ」
わざわざ飲み会開いてボロクソに振り回されてることに疑問を覚えつつ、
錬はじゅうじゅうといい音をしている焼き鳥を盛り、テーブル席へ。
「はいこれ。奢りだから気にしないで食べてくれ」
「……」
「……いやこれは商売だし、俺の好物だから遊んでねえよ!」
「あ、いや、うん。すまぬな人の厚意を疑ってしまって」
「よっぽどなんだなムルヘルベル……」
錬は少し哀れに思った。今回は彼女も遊ばれた側なので。
「なにはともあれ小腹が空いていたところである。ありがたくいただこう!」
「おう、食ってくれ。ただ……」
「あーん(もぐもぐ)って食べてから言うのであるか!?」
「いや、これこの世界で買ったヤツだから……なんの肉かわからないんだよな」
「焼き鳥屋なのに!?」
「牛串とかあるからそこは大丈夫かと思ってさ」
「……あ、味見はしたんであるよな!?」
「これ普通に食ってるの大丈夫か? この世界」
「ねえなんで!? なんでそんなもん売っておるの!?」
味は大丈夫そうだったのだが、ムルヘルベルはあとが怖くなって震えた。
で、結局、錬が外から持ち込んだオーガニック鶏肉を頬張ることに。
「最初からこっち出してほしかったのである……」
「まあそう言うなって。やっぱコストの問題があるからさ」
「……というかオヌシ、なんで屋台やってんのであるか?」
「あー。ほら、俺らはまだ飲めないだろ? なら提供側に、って思ってさ」
だから渡りに船だったんだ、と明るく語る錬。
「それもそうか。オヌシらとも飲める日が来るのは楽しみであるな」
「あ、でも酒は出してるぜ。出すぶんには問題ないだろ?」
「……それもちゃんとしたヤツであるよな?」
「大丈夫だろ、多分」
「だからなんでオヌシそういうところ雑であるの!?」
「まあまあ、どうせあとでえらい目に遭うんだから今のうちに休んどけって」
「もうえらい目に遭わされておるし今も大概だと思うのであるが……」
とりあえず比較的マシそうな日本酒らしき何かをちびちびやるムルへルベル。
「そのうちふたりも帰ってくるさ。珍しいもん買ってくるってよ」
「不安になる情報増やさないでもらえぬか???」
「ろくでもないものではないだろさすがに」
「まあさすがにここまで来たらな」
「……多分」
「だからなんで不安材料増やすの!!? そういう遊びなの!!??!」
ちゃんとしたお土産、買ってきてくれたそうです。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
お労しやアーキロギア氏
お疲れモードとは大変な目にあったでござるな
せっかくだからパレード見渡せる高層ビルの高級店に行こうぜ!
店は事前にハックしてあるので顔パスでござる、安心して入店してくだされ
高級なスシ!ステーキ!酒!ここならアーキロギア氏好みのコンパニオンとかいるんじゃない?
ほら向こうから人が…【知らないおっさん】だこれ!誰なの!?怖いよぉッ!
拙者はデキル男なので場にあった完璧な所作で酒を楽しみ…お、エレクトリカルな山車が来てるじゃん、襲撃に行こうぜ
なんでって山車に乗る奴って大帝偉そうな奴だろ?むかつくのだよ…偉そうな奴と偉くないのに偉い奴が
決意の直滑降だ!ガラスぶち割ってエントリィィィィ!
●乱高下が激しすぎる(物理的な意味でも)
「つかれた……」
もう何度目だろう。この台詞を言うのは。
そしてあと何度言うのだろう。この台詞を。
ムルヘルベルは遠い目をした。飲み会ってこんなんだったっけ?
「おいたわしや、アーキロギア氏……」
そんなムルヘルベルを見て、心優しいエドゥアルト・ルーデルは涙ぐんだ。
「お疲れモードとは、大変な目に遭ったでござるな……!」
「…………」
「だが安心するでござる、拙者がアーキロギア氏をもてなすでござるよ!」
「………………」
「さあ、夜の街へ繰り出して、その疲れを癒やすでござる! ヒアウィゴー」
「オヌシそれシラフでやってんだからマジですごいな」
素の声であった。
そして逃げようとしてもエドゥアルトからは逃げられない(そういうプレイングなので)ことをムルヘルベルは知っているので、おとなしく連行される。
「というわけでやってきたでござるよ、高層ビルにあるとある高級店!」
ひときわ高いビルの屋上階近くにある三ツ星な感じのクラブだ!
「さあアーキロギア氏、今日は無礼講でござる。お金は気にしなくていいでござるよ」
「う、うむ。それまたヤクザから巻き上げた金とかではあるまいな?」
「え? いや大丈夫でござるよ。ハッキングして顔パス状態にしたでござる」
「何が大丈夫なんであるか!!?!?!?」
「安心して入店してくだされ。誰も拙者らには気付かんでござるよ」
「安心できる要素どこにある!?!!?」
だがエドゥアルトは完全無視! 仕方なく(だって放置してるともっと悪化するから)ムルヘルベルに入る! そして出てくるスシ! ステーキ! 酒!
「金があればなんだって手に入るでござる!」
「品性は金で買えんしオヌシ金使ってないであろういよいよ……」
「ここならアーキロギア氏好みのコンパニオンとかいるんでないでござるか?」
「オヌシワガハイのことエロ本島で拘束したこと忘れておるのか?」
「あっ見るでござるアーキロギア氏! 向こうから人が!」
「こんなことに巻き込まれる前に追い返さねば……」
ムルヘルベルは振り返る。そこには……!
「誰!?」
なんか知らないおっさんがいる! 誰!?
「誰なの!?」
「オヌシも知らんの!? 怖いよぉッ!」
「あっちへ行くでござるッ!」
「いやマジでなんだったんであるかあれ……」
首にギブスを着けた謎のおっさんは、あっちへ去っていった。
「……それにしてもオヌシ、テーブルマナーだけは完璧なんであるな」
完璧な所作でワインを楽しむエドゥアルトを胡乱げに睨むムルヘルベル。
「当然でござる? 拙者はデキる男……」
「デキる男はヤクザのカツアゲもハッキングもせんのである……」
「お、エレキトリカルな山車来てるじゃん! 襲撃に行こうぜ!」
「デキる男はパレード襲撃とかせんのであるが!? ていうかなんで!?」
「は? 山車に乗るやつってたいてい偉そうなヤツだろ?
むかつくのだよ……偉そうなやつと偉くないのに偉いやつが……!」
「何!? その憎悪! どろどろに濁ってて怖っ!!」
「さあ決意の直滑降でござるよアーキロギア氏!」
「せめて普通にビル降りぎゃあああああーーーーーー!!」
パリーン! ガラスぶち割り大通りへダイレクトエントリー!
その後エレキトリカルな山車は見事に破壊され、死屍累々の有り様のなか、エドゥアルトは「ビクトリー!!」と謎の輪っかを掲げていた。狂気!
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
件数なぞ気にするな!
今日という一日単位でいいではないか
片や竜、片や幽霊、時間はあるようでないようなものだ!
はっはっは!
よしよし、沢山飲め
この蛍光色を放つよく分からんものも一緒に飲め、ピカピカだ!
これは本当に酒だったかな?まぁ、目の前にあるのだから酒だろう
花火か、やはり宴には欠かせんよなぁ
うん?上では無くて下か?なるほど、遵殿らしいと言えばらしいか
ならば俺の背に乗るがいい、打ち上げている場所まで連れて行こう
周りの花火さえ落としてしまうのならば特大且つ勢いがあるのがいいな
特殊な火薬を使っていたり、花火の玉の中に何か仕込むのはどうだ?
あぁ、勿論、人に害がないものにしてくれよ
霞末・遵
【幽蜻蛉】
二件目いえーい
三件目? 四件目? もっとだっけ?
やだーおじさん数わかんなーい。妖怪だからー?
飲んだ数はいっぱいかなー? 妖怪だからわかんなーい
ねーおじさんおかわり欲しいなー。混ぜたらもっと面白くなるね違いないねー
ねーえー惟継さん花火上がってるよ花火花火
近くに行って見てみようよう。いや上じゃなくて下の方
どんな装置で打ち上げてるのか気にならなーい? なるー
折角だから改造させてもらっちゃってー、もっと派手なやつにしたら楽しくなーい?
飛んでるやつぜーんぶ撃ち落とすくらいのやつにしちゃお。ねっ
そうだなー。カクリヨ仕込みのびっくり玉なんてどうかなー
どうせみんな酔ってるしバレやしないさあ
●おそらくこの中でもっとも飲みを楽しんでいらっしゃるおふたりの顛末
すっかりへべれけになり、よたよた千鳥足で歩く霞末・遵。
そんな遵の肩を担ぎ、鈴久名・惟継ははっはっと呵々大笑していた。
「二件目いえーい。……あれ? 三件目? 四件目? もっとだっけ??」
「件数なぞ気にするな遵殿! 今日という一日単位でいいではないか!」
「そぉだねぇ~……あれ? もう一日経ってる? 二日??」
「そこまでか遵殿! はっはっは!」
「やだーおじさん数わかんなーい。妖怪だからー?
飲んだ数はいっぱいかなー? 妖怪だからわかんなーい!」
「そうだそうだ! かたや竜、かたや幽霊、時間はあるようでないようなものだ!」
「今何時ー? わかんなーい。妖怪だからー」
「はっはっは! 俺もわからん! 竜なのでな!」
あっ平気なように見えるけど割と惟継も酔っ払ってんなこれ!
酔っ払っていないとしたら大したものだ。だが、飲みとはそういうもの。
浮世のあれこれを忘れ、酒というひとときの夢に溺れる。
ああ、天晴なり、酒。天地がもたらした最高の滋養、この世の救い!
「ねーおじさんおかわりほしいなー。次いっちゃうかー!」
「うむ! 行くぞ遵殿! はっはっは!」
実に気持ちのいい、理想的な酔い方をしているふたりだ。
で、もはや何件目かもわからない、適当な店に転がり込むふたり。
店? いや、ビアガーデンかもしれない。そんなのは些末な話だ。
そこに酒があれば、それでいい。つまみもあればもっといい。
「ほら遵殿、たくさん飲め。この蛍光色を放つよくわからんものもだ!」
「えーなにこれピカピカしてる~。こっちの虹色のもお酒~?」
「ああそうとも! 味はすごいぞ! 舌と喉にとても来る!」
「えー辛口ってことー?」
「いや刺激的な味ということだな! ……これは本当に酒だったかな?」
「おじさんわかんなーい。混ぜたらもっと面白くなるのはわかるねー」
「はっはっは! そうだな! 目の前にあるのだから酒に違いない!」
楽しい酔い方をしているのはいいが、色々大丈夫なんだろうかこれ。
「はっはっは! 混ぜるとすさまじい味だなこれは!」
「えーでも美味しいよー。だってお酒なんだからー」
「それはそうだな! ではこれはやはり酒ということだ!」
「これもお酒だねー美味しいからー」
「それは水だ遵殿」
ダメそうですね。
浴びるように飲みまくったふたりは、そのまま大通りへ。
もうもつれるように歩く状態だが、それがおかしくてふたりして笑う。
わっはっは、と背をのけぞらせて笑っていたら、遵が空の花火に気づいた。
「ねーえー惟継さん」
「おう、どうした遵殿」
「ほら見て。花火上がってるよ、花火花火」
「花火か、やはり宴には欠かせんよなぁ。俺たちのために花火まで上げてくれるとは!」
惟継はナチュラルに勘違いをしていた。
「そうだねぇ、せっかくだしさー、近くに行って見てみようよう」
「うん? では少し変化して」
「いやいや上の方じゃなくてさ、下の方ね」
「下か?」
「そーそー。どんな装置で打ち上げてるのか気にならなーい? なるー!」
「はっはっは、なるほどな。遵殿らしいといえばらしいか」
ひとりで合いの手を入れてる遵を見て、らしさにくしゃりと笑う惟継。
「ならば俺の背に乗るがいい! 上でも下でもそちらのほうが早い!」
「そーだねー。いえーい! みんな見てるー! 惟継さんかっこいいよー!」
完全竜体に変身した(わざわざ)惟継の背に跨り、手を振る遵。
その姿は、まるでよいこだねんねしなと子供を寝付かす昔話のアレのようだ。
さて、花火といっても、発射しているのは本物の花火ではない。
サイバーザナドゥの技術で作られた、本物そっくりのAR花火なのだ。
「わーすごーい、せっかくだから改造してもっと派手にしちゃおー」
「そうだな! どうせなら本物の火薬を使うのがいいのではないか?」
「そだねー、飛んでるやつぜーんぶ撃ち落とすくらいのやつにしちゃお!」
特に了承も取らず、勢いでキコキコ改造を始める遵。
AR投影器も、遵の早業にかかれば本物の花火打ち上げ台に早変わりだ!
「特大かつ勢いがあるやつがいいな! 花火の中に何か仕込むのはどうだ?」
「いーねー! カクリヨ仕込みのびっくり玉いってみよっかー」
「うむ! だが人には害のないものにしてくれよ」
「もちろんだよー。どうせみんな酔ってるしバレやしないよねー」
なにやらアブそうな花火玉を放り込み、導火線に火を付ける遵。
ジジジジジ……ボンッ! ヒュルルルルル……パァン!!
「うわっなんだ!?」
「砲撃!?」
「えっあれ本物の花火!?」
「すげー! 他の花火全部消えちゃった!」
「空が七色に染め上げられたみたいだ……!」
案の定、大騒ぎになっていた。七割がたいい意味でだけど。
「はっはっは! バレバレだなこれは!」
「バレバレかーそっかー。じゃあ二発目いっちゃおー」
「うむ! こうなれば一も十も同じだからな!」
「そだねー、おじさん妖怪だから数わかんないしねえ」
そうして、サイバーザナドゥの空を、特に迷惑でないびっくり玉が染め上げる。
下町の人々は、遺伝子に刻まれたような懐かしい輝きに、あるものは慌てふためき、あるものはけらけらと笑い、あるものは酒を酌み交わしたという。
「「乾杯!」」
あ、これ遵と惟継だわ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベルト・ラムバルド
ふふふ…
ギャンブルで勝ちに勝ったので懐も温かい…!
という訳で喧騒から離れ大人な雰囲気のBARに来た訳だ
大人というのはこうでなくては…(サングラスかけつつ)
懐温かいから今の私は懐も深い!
コミュ力と礼儀作法をかまして大人な会話をしてみたり
麗し人に奢ってあげたり…ふふ…なんてカックイー自分!
代金?…こんなの易々…
安くない!?にゃにいー!なんで?一桁多い!?
いっつの間にこんな高いの頼んだんだー!?
…あ、突然の通話!ハイモシ!何?
ワイフが入院?オーマイガー!
産婆が大名行列で捕まった?ナンマイダー!
ならば行かねばイェーガー!
とりあえず今の全額分!残りはツケだ出世払いだー!
フローターの乗り都会の喧騒に消ゆ…
●大人はカジノで暴れた金を「勝ち」とは言わない
カランカラーン。洒落たバーのドアベルが、密やかに鳴った。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
「カポエ……いや、違う。マスターのおすすめを」
なぜかサングラスをかけたベルト・ラムバルドは、大人な雰囲気を纏って入店。
微妙にギクシャクした動きで(本人的には華麗に)チェアに腰掛ける。
そうだ、これだ。こうでなくては。23歳、少々イメージが甘い気がする。
(「ふふふ、ギャンブルで勝ちに勝ったから、懐も温かいぞ……!」)
とかなんとか上機嫌なベルトだが、勝ったといってもそれは主に素手ゴロの話であり、ギャンブルといっても自分主催で自分に賭けさせたお金の話である。
ギャンブルは胴元が一番儲かる。あれってマジだったんだな、と思うベルト。
それ以前の話なのだが、あいにくここにツッコミ役はいなかった。
「ねえ、お兄さん。おひとりでいらっしゃったの?」
すると、そんなベルトに、麗しの美女が微笑みかけてきた。
ベルトはサングラスの下で、ちらりと美女を見る。ワオ、ナイスプロポーション!
「ええ、少しばかりカジノで遊んできたばかりでしてね」
「まあ素敵。ギャンブルを嗜む殿方って、とてもカッコいいと思うわ」
「大したことではありませんよ。私の日常は……戦場にありますので」
ベルトはサングラスをちょっとだけ外し、キランと歯を光らせた。
「道理で……あなたからは、とてもワイルドで危険な男の香りがしましたの。
私、そういう殿方に目がなくって。よければ、ご一緒させてくださらない?」
「お安い御用ですよ、麗しの方。マスター、こちらの方にも同じものを」
「かしこまりました」
シャカシャカとシェイカーを振るうマスター。ベルトはサングラスを掛け直しつつ、内心で「決まった……!」とガッツポーズしていた。
なお、ベルトが頼んだ酒はかなり高いのだが、そもそも明細をろくに見ていないベルトは気づくわけもなく、気安く奢る奢る。
懐が深いのはいいのだが、用心も深くあってほしいところだ。
で、そんな迂闊なことをしてるもんだから……。
「ふう……そろそろお暇させてもらおうかな。マスター」
「はい」
サッと差し出される一枚の紙。ベルトはニヒルな笑みを浮かべてそれを手に取り……サングラスから目玉が飛び出そうなほど驚いた!
「にゃにいー!? なん、なんだこれは! ゼロがひとつ多いぞマスター!」
「いえ、当店の適正価格でございます」
「にゃんだとー!? いっつの間にこんな高いのをー!?!?」
いまさらすぎる雄叫び! だが色々後の祭りだ!
「お客様、もしやお支払いいただけないのでは……?」
「え? あー……いや待て! ちょっと電話が! ハイモシ!」
特に鳴ってない端末を、さも着信があったかのように手に取るベルト。
「え、何? ワイフが入院? オーマイガー!」
「お客様?」
「産婆が大名行列で捕まった? ナンマイダー!」
「お客様、時代設定が色々」
「ならば行かねばイェーガー! というわけでこちら今の全額分!」
どん! ベルトは持ってるお金をとりあえずそこに投げ出した!
「残りはツケだ! 出世払いだー!」
「お客様! おいバウンサー! 捕まえろ!」
「それでは退散サヨウナラー!」
屈強なバウンサーを躱し、ベルトはフローターに乗って都会の喧騒に消ゆ。
その背には危険な男の哀愁が……特に宿ってはおらず、すごすごと背中を丸めており、とても哀れで情けなかった。
黒騎士ベルト23歳。大人の色気はまだ身につかず……。
大成功
🔵🔵🔵
カナエ・トリニティ
【スペクターズ】
ロア・パラノーマル
ギンジロー・カジマ
の二名と参加します
【プレイング】
ちょっとギンジロー! 聞いてますの!? まったくあなた、最近のうちの組織についてどう思って居るのかしら? 仁義も人情も良いですけれど、大事な事は適切な労務内容だと思いませんこと!? なのに最近は……ああ、ロアさん。そうですわね。今は無礼講と言えども職場の仲間同士の親交の場。楽しむべき時間ですものね。焼酎のお湯割りもう一杯ですわ! じゃんじゃん持って来てくださいまし!
あら、シースー? シースーがあるって言いましたの? わたくしにも、わたくしにもくださいまし!
ロア・パラノーマル
【スペクターズ】
……ふむ、なかなかのウィスキーだ。ツマミもなかなか悪くない。
其方も愉しんでるかねギンジロー、カナエ……
カナエ?
些か酔い過ぎではないかね?
ギンジロー、彼女がなかなかの有様だが人間の尊厳的に大丈夫かねこれは?
……何やら色々と大変だったのだな、うむ(曖昧な相槌)
問題ない、大丈夫だカナエ
辛いことも何もかも酒と一緒に飲み干してしまえ
酒が全てを赦してくれる
(凄まじく優しい笑顔と言葉でダメ人間への路へ誘う)
ははは、いいぞカナエその調子だ。痛快だな。
何、どうせここまで飲んでるのだ、愉しんだもの勝ちだろう?
では私もウィスキーをもう一杯と……
む、ギンジロー、スシもある。
折角だしそれも頂くとしよう。
ギンジロー・カジマ
【スペクターズ】
水割りのウイスキーをちびちびと飲みながら、カナエの愚痴を話半分に聞く。
そうだな、大変だったな。お前は頑張っているよ。
(「ワシらみたいな稼業(ギャング)に適切な労務内容を求められてもな」と内心では思いつつ)
ああ、おい。これ以上酒を勧めるな。これ以上は後が大変だ。
カナエの痴態は見れたもんじゃない。
(と、ロアを止めるが時既に遅く)
……まぁ、仕方ない。
後の事は後で考えるとして、今は酒と飯を楽しむか。
ワシも酒の追加だ。じゃんじゃんと持ってきてくれ。
●電子の幻霊(スペクター)ども
とある隠れ家的高級クラブ。そこは、大通りの喧騒ともほとんど無縁だ。
ムーディな曲がしめやかに流れるなか、あえて騒ぐような酔漢はいない。
いたとしてもそんな無礼な客は、即座にバウンサーに蹴り出される。
そう、ここは、大人による大人のための空間。
言うなれば、サイバーザナドゥの喧騒に疲れ果てた奴らが、魂を慰める休憩所……。
「……ふむ、なかなかのウィスキーだ。このナッツベーコンも悪くない……」
ロア・パラノーマルがグラスを傾けると、ロックアイスがからん、と鳴った。
琥珀色の液体は、電脳存在である彼のかりそめの命をより賦活してくれる。
まさしく命の水だ。酒の味を楽しめることは、物理(マンデイン)ならではだろう。
店の雰囲気も、実にいい。ここは、贔屓にしてもいいかもしれないと思った。
醸造されたスモーキーな香りを堪能し、ナッツを一口。
燻製されたナッツが、ウィスキーによく合う。ふふん、と鼻息が漏れる。
「其方も愉しんでいるかね、ギンジロー、カナエ……」
カウンターに座るロアは、何気なくふたりの同行者を振り向いた。
「ちょっとギンジロー! 聞いてますの!?」
「ああ、聞いている(水割りウィスキーをちびりと飲む)」
「本当に聞いていますの!? あなたはどうも信用なりませんわ!」
「まったくその通りだ。大変だな(明らかに聞いていない)」
「そうですわ、大変ですのよ! 最近のうちの組織ときたら本当にもう!」
「うむ、ワシもそう思う。お前の言う通りだ」
「やっぱりあなたもそう思っていますのね。はあ、本当に嘆かわしいですわ。
仁義も人情もいいですけれど、大事なことは適切な労務内容でしてよ!
なのに最近は……いえ、やっぱりあなた、話をまともに聞いていませんわね!?」
「そんなことはない。お前は頑張っているよ。大変だったな」
「あなたねぇ! そうやって大事な話を適当に躱していればいいと思って……」
雰囲気もクソもなかった。
ガミガミぎゃあぎゃあとやかましいカナエ・トリニティと、ウィスキーをちびちびやりつつ、時々オイスターをつまみながら、完全に話半分に聞き流しているギンジロー・カジマ。
クラブの静寂もクソもねえ有り様だが、誰も彼らを排斥しようとはしない。
恐るべきギャングの構成員に手を出す愚か者は、ここにはいないのだ。
「あなたといい他の方々といい、最近のうちの組織ときたら本当に……」
「うむ。そうだな。大変だったな(ギャングに適切な労務内容求められてもな)」
……恐るべきギャングの構成員の会話か? これが……?
「……カナエ? いささか酔いすぎではないかね?
ギンジロー、彼女がなかなかの有り様だが、その、これは人間の尊厳的に大丈夫なのかね?」
「いや、こういうときは適当に……」
「ロアさん。おっしゃらなくともわかっていますわ。大丈夫ですの」
カナエはサッ、と手を挙げた。
「今は無礼講と言えども、職場の仲間同士の親交の場。楽しむべき時間ですわ」
「う、うむ。それはまあそうなのだが、カナエ、私はまず酒の具合をだな」
「わかっていますわ。ご心配なく。焼酎のお湯割りもう一杯ですわ!」
「こっちもこっちで話を聞いておらんなこれ」
「じゃんじゃん持ってきてくださいまし!」
「むしろ私が加速させているのか? これは?」
「下手に話しかけるとこうなるんだ。カナエはな」
ギンジローは遠い目をしていた。サングラスかけてるけどよくわかる。
「それで、ロアさん。あなたにも色々聞いていただきたいことがありますの」
「え? ……ああ、そうか。なにやら色々と大変だったのだな、うむ」
ロアは秒で曖昧相槌聞き流しモードに入った。
「そうですわ。大変ですのよ! 適切な労務内容をまとめることがどれほど大事か、ギンジローならともかくあなたならご理解いただけるはずですわ!」
「ワシの扱いどうなってるんだ」
「いや、ここは私に任せておきたまえギンジロー。……問題ない、大丈夫だカナエ」
ロアはにこりと微笑んだ。よくない笑みである。
「辛いことも何もかも、酒と一緒に飲み干してしまえ。酒がすべてを許してくれる」
「ああ、おい。これ以上酒を勧めるな。これ以上はあとが……」
「日本酒! 熱燗で!!!!」
「……時既に遅しか……」
ギンジローは眉間に手をやって、はぁ、と嘆息した。
こうなるともう、ロアは完全に面白がって酒を飲ませまくる。
へべれけになるカナエを肴にする始末だ。しかしこれも、酒の場の愉しみ方というものか。
「む、ギンジロー。スシもあるぞ。せっかくだしいただこうではないか」
「仕方ない。ワシも酒の追加だ。焼酎を頼む」
「シースー? シースーですの? わたくしも食べますわ!!」
ギャング団って、なんなんだろうね。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レモン・セノサキ
臨時収入いぇーい☆
アーキさんにも半分押し付けたけど、暫く弾薬代に困らないぞ
よーし、今日は私もサーロイン串焼き買って食べちゃおっかなー♪
両手の串焼き食べつつ露店を適度に冷やかし
んー?サイバー射的?いいね、やってやろうじゃん
別に、的を全部撃ち落としちゃっても構わないんでしょ?
お、アーキさん丁度いい所に
串焼き持ってて、食べちゃってもいーから
ゲーミング発光コルク弾を矢継ぎ早に連射
跳弾狙って発砲、軌道を変えて複数の的を狙う
あれ、流れ弾?
ゴメンね、ワザと☆
景品はゲイシャ=ドロイドのグラビアポスター?
『セクシーヤッター』で人気急騰中……ねぇ
アーキさん、今日は楽しかったよ
お礼に受け取ってくれる?(押し付け)
●ほとんどイリーガル行為
ドンツクドンツクブブンブーン。ドンデッドンデッギュギュッギュワーン。
「500ドル~」
どこからか、退廃的なトランスミュージックが流れてくる。
最近巷で話題のドロイドアイドルグループ、「ニャンチャンカワイイ」の新曲だ。
「臨時収入いぇーい☆こういう贅沢が、日常の癒やしなんだよねぇ~」
喧騒激しい大通りを、両手のサーロイン・ケバブを交互に食べながら歩くレモン・セノサキ。やや行儀が悪いが、もう十分いい子したので今日はいいのだろう。
お酒を飲めないレモンならではの、ちょっとした悪ふざけだ。
「しばらく弾薬代にも困らないだろうし、露店を冷やかしてみよっかな~」
あぐ、とケバブをかじりながら、レモンは通りの露店を適当に眺める。
露店といっても、レモンがよく知る日本的なそれらだけに限らない。
たとえば異国情緒めいたフルーツ屋もあれば、生パンを売る店もある。
中には、どこでサルベージしてきたかわからない、サイバーパーツを売る輩や、
「合法だし影響は一切ない」と欺瞞的ノボリを掲げた、電脳使用者向け論理ドラッグを売っているような闇商人もいるのである。
まともな警察がいれば即座に両手が後ろに回るだろうが、この世界においてそんな輩はめったに居ない。
……一応、正義の武装警官を名乗る猟兵がパトロールをしていたが、彼女の正義は色んな意味でぶっ飛んでいるのでここでは置いとこう。
そこでレモンが興味を引かれたのは「サ」「イ」「バ」「ー」「射」「的」のノレンである。
「射的? どのへんがサイバーなのかわかんないけど、いいね」
射撃に自信のあるレモンは、左手に持ったケバブの最後の一口を放り込むと、ノレンをくぐる。
「イラシャイマセ! あるよ、豪華景品あるよ!」
奥行きのある露店はこじんまりとしたシューティングレンジめいていて、左右には「実際豪華」「一攫千金」「なせばなる」「米俵」といったネオンショドーが光る。
どうやらサイバーというのは、射的に使う銃のことを指しているらしい。
オーセンティックでアナログなコルク銃以外に、サイバーザナドゥと直結することで驚くべき精度を発揮する、簡易型のサイバーライフルがあるというわけだ。
なお、プレイ料金は後者のほうが二倍近い。
「エイッ!」
「ヤダー当たらなーい。ヤーダー」
当たりやすいということなのだろうが、実際にそれを使ってプレイするカップルがろくに当てられていないのを見ると、逆に当てにくくしてありそうだ。
「お客さん、ヤる? 豪華景品、あるよ。表に出してないの、スゴいよ」
「やるやる。でも、使うのはこっちのアナログなやつね」
「マ? お客さん、チャレンジブルね。でもおすすめ出来ないよ、障害物出るよ」
なるほど店主の言葉通り、射撃を邪魔する小型ドローンがヒュンヒュンとランダムに飛んでいる。なかなか難易度が高いようだ。
「別に、的を全部撃ち落としちゃっても構わないんでしょ?」
「お客さん自信家ね! 構わないよ、弾これね」
店主は代金を受け取ると、七色に発光するコルク弾を手渡した。
「おや、レモンではないか。オヌシ何をやっておるのだ」
「お、アーキさんちょうどいいところに。これ持ってて」
レモンは、かじりかけの右手のケバブを手渡した。
「え?」
「両手使わないと射的出来ないでしょ? 食べちゃってもいーからさ」
「食べるかばかもの! しかし射的か……」
レモンはアナログなコルク銃を構え、片目を閉じて照準を合わせる。
ヒュン。ヒュンヒュン。ドローンがその軌道を網膜の動きから読み、的確に妨害する。これでは豪華景品に当たるわけがない。
「……ここだ!」
パパパパン! レモンはなんと、「なせばなる」のネオンショドーにコルク弾を連続ヒットさせ、見事な跳弾で的を撃ち落とした!
パワリオワー! ハッピーな電子音とともに、「鯛焼き」のネオンショドーが七色に点滅する。中央のフクスケが小首を傾げ、ウィンクした。ジャックポット!
「アイエエエ!? お客さんハッカー? ありえない!」
「サイバー銃じゃないのにハッキングなんて出来るわけないじゃん。どんなもんよ」
レモンは店主にふふんとドヤ顔をした。店主は額の汗を拭い、肩を落とした。
見事景品を得たレモン。いそいそと店じまいをする店主に、半ば追い出されるような形で再び大通りへ。
「ただいまアーキさん! 持っててくれてありがとね」
「気にせずともよい。しかし見事であったな。景品はなんだったのだ?」
「えっとね~……なんだこれ? ドロイドのグラビアポスター?」
ちょうどそれは、今大通りに流されるニャンチャンカワイイの、かなりホットなホロポスターだった。
「セクシーヤッターで人気急騰中……ねぇ」
「オヌシそんなものが欲しかったのか……?」
「いいや、あげる」
「は?」
「今日は楽しかったからさ。お礼ってことで」
「今「いいや」っていったであろう!? 押し付けるなワガハイに!」
「まあまあそう言わず」
「オヌシが手に入れたものなのだからオヌシで処分せんかー!!」
押し問答の上で、パパパン! と、カクリヨ仕込みの不思議な花火玉が弾けていた。
大成功
🔵🔵🔵
ジフテリア・クレステッド
ご飯食べて、遊んで、夜遅くで…なんだか眠くなってきちゃったよ。
ムルは好きに飲んでてよ。私は適当に寝てるから。じゃ、おやすみー。
(あとはお任せします。)
●無茶振りが過ぎる!
「じゃ、おやすみー」
「待て待て待て!」
スムーズに寝ようとしていたジフテリア・クレステッドは、ムルヘルベルに慌てて起こされると、低血圧の人の寝起きみたいな感じでじろりと藪睨みした。
「何? 私寝るつもりなんだけど」
「いやいや、こんな治安の悪い世界で雑魚寝なぞ、オヌシ正気か?」
「だってご飯食べて遊んで、もう日付も変わってるし……12歳には辛いよ」
「ならせめてオヌシを安全な世界に送り届けるから、それまで我ま」
「おやすみー」
「話を聞け話を! だから寝るな!!」
「もー……ムルってばお節介焼きだなぁ」
ジフテリアは半眼(眠いしイライラしているからだ)でムルヘルベルを睨む。
「ムルは好きに飲んでていいよ。それなら危なくないでしょ?」
「それワガハイに子守せよと言っておるのも同然ではないか……」
「子供じゃないよ! 彼氏持ちだし真の姿になれば大人なんだけど!?」
「そういうところだそういうところ。いいからまずここでは寝るな」
「なんでさー、もー」
「……オヌシさあ」
ぶーぶー不満を垂れる様子を見かね、ムルヘルベルは言った。
「そんな感じで何度かポカやらかしたこと、あるんではないのか? もしかして」
「…………あっ」
ジフテリアの脳裏によぎる、いつかの風景。
ユーベルコードのバックファイアで気絶する自分、色々甲斐甲斐しく世話してくれた、様々な世界の優しい方々……。
「……あー、うん。たしかにあるね。おかしいなぁ、毒を出さないようになったはずなのに、その頃のクセがついてたみたい」
さすがにジフテリアも多少反省したようで、寝ぼけ眼をこすりつつ起き上がった。
「わかればよいのだ、わかれば」
「その言い方、おじいちゃんっぽいよ? 実際おじいちゃんなんだけど」
「オヌシだって子供であろうが。ほれ、テレポートさせるから待っておれ」
「え? そこらへんの宿泊施設で寝るのじゃダメなの?」
「アポカリプスヘルよりはマシだからってナメておるなこの世界のモラルを。
遊び回るのはともかく、オヌシのような子供ひとりでいたら何が起こるか……」
「いや、でも私猟兵だし」
「オヌシがよくとも周りがよくない。寝ぼけて毒蒔いたら大変であろう」
「私の毒は寝ゲロかなんかか!?」
ジフテリアはぶーぶー言っていたが、そういうところだそういうところ、と言いつつムルヘルベルは相手にしない。
結局ねぼすけなお嬢様は、安全に寝られそうな拠点がある場所(おそらくアポカリプスヘルかスペースシップワールドだろう)に転移して、事なきを得た。
送られる間、彼女は3回ぐらい「年寄だなあ」としみじみこぼしたという。
大成功
🔵🔵🔵
生浦・栴
【壁】
音楽の盛り上がりから察するに女王が参加してそうだな
此の侭では飲み喰いしかしておらぬ故
説明に困るので土産を探しに行こう
矢鱈出力のあるペン型スタンガンやらホログラムカード
振り幅が広いというか無秩序ぶりがらしいな
無難にサイケ色の菓子でも買おう
たこわさは無かったが
つまみ用の串モノ等も適当に見繕って戻れば…まあ、な
喰える物を追加するので飲み続けぬように
もう潰れておる者も居るか
賢者のには此れを進呈しよう
(ガワだけサイケな炭酸水のボトルを
ん、盛り上がりが足りぬ?
では景気づけくらいはしよう
(手榴弾型の爆竹を通りへぽい
ふ、山羊の
云われるまでもな…あ
(握力がないのでうっかりぽろり落とし
よし、逃げよう
鬼桐・相馬
【壁】
ビアガーデンでカーニバルを鑑賞しつつ飲む
つまみにたこわさは絶対に欲しい、神のつまみだ
ユーザリアは口から煙が出ているがきっと大丈夫だろう、乾杯
鷲穂とギガが復活しているのならサイバーな酒を注ぐよ、乾杯
バレッタはちゃんと手を洗ってレモン汁を落としたか
セロリには手を上げ席を知らせよう
ツッコミ不足……?
誰かボケていたかな、まあ乾杯
栴、俺にも爆竹をくれ
指先から炎を滲ませ着火
テーブルの下、皆の足元にスッと置いて(投げて)もいいだろうか
ムルヘルベル、俺は正しく理解した
サイバーザナドゥは沢山飲み食いできる世界なのだと
――で、ここで終わりなんてないよな
ビアガーデンは飲みにおいて始まりの地
次は何処に行く?
セロリ・サーティーン
【壁】
皆さん遅れました、何かツッコミ不足の気配を感じたので俺がツッコミしに来ましたよ。……えーっとサイバーザナドゥにカーニバルあったんですね?まずそこからですよ、場の雰囲気今から掴んでるんですよ俺は。察して下さいよー、うー……(既に酒に酔っている)
……サイバー酒って何ですか?16進数味だったりしますー?ではそれもー……(ごくごく)
なんでもサイバーつければいいってもんなんですかぁ……うぇーぃ……
(説明しよう!セロリは酒に弱いのである)
ほらおれがツッコミしにきたのでぇ……だれかぼけてくださいよー……Zzz。
はっ!爆竹!?出撃ですか軍曹!?……あれ?俺、酔って寝てました?こんなつもりでは、あれ??
バレッタ・カノン
【壁】眠気はするが夜更かしってワクワクしてくるな。確保した新世界っぽいデザートと共に皆のところへ。道中にカーニバルの見物をしようと思ったんだが、人混みで全然見えなかったぞ。土産に買った『光るDXサイバー木刀』を旗にして、ちょっと通りまーすしなければ間違いなく迷子だったぞ。
女王、お疲れ。さっき見つけたサイバーおやつ置いとく。ちなみに1個は激辛だ。セロリもいる?団長は……団長?
手はちゃんと洗ったしデザートをいっぱい食べるまで寝ないぞ。ところで、鷲穂の手にある唐揚げはバクっとしていいのか?
む、殺気。どさくさで飛んできた爆竹にサイバー木刀をフルスイング。アチョー!!タマヤー!!
明石・鷲穂
【壁】
おかえりユーザリア。バトルってなんだ?まあ優勝したんだろう!水分補給だな!
セロリもお疲れさん。待ってたぞ。即戦力だな!相馬のサイバーな酒をありがたく貰おうな。
夜も更けてきたがバレッタ眠くないか?ギガはもうさっきから寝落ちてたからな!
眠気覚ましにさっきの唐揚げやろうな。
ムルヘルベルも疲れたよなあ。唐揚げやろうな!
それじゃ、おれは酒を求めて出店の酒を渡り歩いてくる。
土産!大人には地酒。正直飲めるかわからんが、ご好意でもらった。頑張って飲んでくれ。
未成年はジュースな。蛍光色な色合いだが飲めるだろ!1口くれ。
栴は相馬に爆竹渡すなよ。爆竹大好きだから絶対なんか仕掛けてくるぞ……手遅れかあ。
桜田・鳥獣戯画
【壁】
フハハハ桜田鳥獣戯画復活ッッ!!
ひと眠りしてクリアな頭に何ですかこのカーニバル地獄は!!
鷲穂「唐揚げやろうな」って何!?唐揚げは動詞なの!?
だからセロリおぬしはボケ側だと言っておろうが!!しかも天然のつく方だ無理をするな!!
相馬!寄る年波には勝てぬと言ったではな(酒を注がれグビグビプハー)いか!!
爆竹男子三名ちょっと待ちなさい
これっバレッタ夜更かしではないか許す!!
……女王、これがサイバーザナドゥか。少々蛍光色なだけでいつもの宴会とまるで変わらん気がする。いやそうか…それこそが電脳理想郷……
尚、私は寝起きなので飛んできた爆竹を避けられない可能性がある
ムルヘルベルを盾に!?まさかそんな!!
ユーザリア・シン
【壁】(サンバとインドとフラメンコの全面ダンスカーニバルバトルを終え、意気揚々とビアガーデンに戻ってくる)うむちょっとグビグビ休憩するかプハー!おかわり!カンパーイ!
お、コレうまいな。サイバネ豚の丸焼き(違法コピーデータの事。頭脳戦車がよく食べる)らしいがまあ肉に変わりあるまい。ウマイ!
ビールもウマイし、まこと最高の(ホップが口内でポップに小爆発)夜で(爆発)あるな……(満足げな吐息とともに吹き出る黒煙)
うむ。この世界はいつまでたっても明けぬ夜に覆われているようだ。夢など亡く、造り物の光でさえ、そこらの路地裏を照らすことも出来ぬ。
だが、だからこそ、酒の味も、飯の味も、他所と変わらぬ。ならばヒトは変わりない。まこと愛しき命の輝きよ。乾杯!
●呑んではハイに、醒めては……
「フハハハ桜田・鳥獣戯画復活ッッ!!」
がばり。完全に寝入っていた鳥獣戯画が、ようやく起きた。
飲み会とか泊りがけの旅行とかで、なんかもう夕方の段階でさっさと寝ちゃうんだけど、そのせいで夜中に目を覚ましてひとりで騒ぐ人みたいな感じだ。
「一眠りしてクリアな頭になんですかこのカーニバル地獄は!!!」
そして、驚愕した。大通りを行く謎のカーニバル集団に!
たしかにカーニバルとは書いたが、カーニバルといってももっとこうヨーロピアン的な感じであって、別にリオのカーニバルみたいな感じではなかったのだが、でもあれもカーニバルではあるし、そもそもユーザリア・シンというなんでスカイダンサーじゃないのか本気でわからない女がいるので、まあそういうことになった。なのでサンバもフラメンコもある。サイバーザナドゥだからだ。
「インドの舞を見るがよい! ワハハハハ!」
ダークセイヴァー生まれのダークセイヴァー育ちなはずのユーザリアは、なぜかインド仕込のハッピーな踊りでサンバやフラメンコに対抗している。
ダークセイヴァーにインドはない。あったとしても、別にハッピーな踊りをするような文化はない。だがユーザリアはなぜかインドしている。なんで?
「うむ、おはよう団長。見ての通り、宴だ」
生浦・栴は平然と言った。
「そうとしか言いようがないがざっくばらんすぎではないか!!?」
「ギガはさっきから寝落ちてたから仕方ないな! 眠気覚ましに唐揚げやろう」
「唐揚げは動詞なの!? いやでもなんか食べた記憶はあるな、なぜ?」
明石・鷲穂に唐揚げを差し出され、もぐもぐ食べつつ悩む鳥獣戯画。
当然、寝ながらツッコミを入れたり、寝ながら唐揚げした(※唐揚げを食べるか、飲むこと。またはそのさま)記憶はない。
「鷲穂もギガも復活したようだな。つまり、ここからが三次会だ」
「そうだな。眠気はするが、夜ふかしってワクワクしてくる……!」
まだまだ飲むつもりの鬼桐・相馬と、まだまだ食べるつもりのバレッタ・カノン。ここに来るまでの間に、すでに酒もメシも確保している。さすがだ。
「って待ってください、そもそもサイバーザナドゥにカーニバルがあるのはおかしいのでは? あと、さっきまでゲーセンとカジノにいたんではないのですか?」
遅れて合流したセロリ・サーティーンは、困惑しながらツッコミを入れた。
「セロリ、お疲れさん。待ってたぞ。即戦力だな! まあ、とりあえず相馬のサイバーな酒をありがたく呑んでくれ」
「サイバー酒ってなんですか、なんでもサイバーをつければいいというものであないのはうぇーい……」
そして、鷲穂に酒を飲まされ、秒で酔っていた。セロリは酒に弱いのだ。
「おお、せっかくツッコミを入れてくれそうな人材が来たというのにすでにへべれけではないか……」
ムルヘルベルはそれを見て、眉間を揉みながら空を仰いだ。
「ツッコミ不足……? 誰かボケていたかな、みんな?」
「いや、わたしにはわからない。だってわたしは、いつだってシリアスだ。特に食べ物が絡んだ時はそうだ。あの唐揚げしていた時は、本気と書いてマジだった」
相馬の言葉に、バレッタはキリッとした顔で言った。
「ああ。俺も酒に対しては、常に真面目だ。そうでないと酒に失礼だからな。
ということは……もしかしてボケていたというのは、ギガや栴じゃないのか?」
「せめてそこは女王の名前を挙げてくれないか獄炎の。いや構わんが」
「待て!! なぜ私について弁護しないのだ栴!!!!」
「まあ……団長は団長だから、な」
「そうであるな」
「そうだろう賢者の」
「そこ!! 勝手に味わい深い顔で納得しない!!!!」
そういうとこだよ、という顔をする栴とムルヘルベル。鳥獣戯画の属性は、まるでドリルのように高速回転する。団長ってこた一番やべえじゃんね。
「ワハハハ! さあ次は……ほうおぬし、なかなかのワザマエよな! サイバー日本舞踊とは気に入ったぞ! 妾のダークインドダンスを見るがよい!!!」
「女王も白熱してるな。ダンスに対してシリアスだ」
バレッタは尊敬の眼差しを向けた。尊敬するしかない相手というのは、いる。
「あれはボケとかそういうのを超越してるからな! 理不尽の極まりだ」
はっはっは、と笑い飛ばす鷲穂。おおらかというレベルではない。
「それってつまり、より厄介ってことじゃないですかぁー……うぃー……」
「セロリ、細かいことは気にするな。さあ飲むんだ」
「獄炎のが全力で酒ですべてを洗い流そうとしておるな。
仕方ない、俺がつまみを買ってこよう。あと、ついでに土産物もな」
「えっオヌシいなくなったらワガハイの負担増えぬ!?」
「仕方ないんだ賢者の。このままだと飲み食いしかしておらぬゆえ、旅団などに戻ったあと説明に困ってしまう」
「飲み食い以外の事象のほうがより説明に困ると思うのであるが……」
「そこ!! まるで我々が理不尽が服を着た百鬼夜行みたいな集まりだとか言わない!!!!」
「自覚があるならもう少し自制してくれぬかマジで……」
「でもカーニバルが当然のように存在するこの世界も……(ぐびり)おかしいんじゃないですか……」
「まあまあとにかく飲めセロリ! お疲れ様だから、な!」
「ムッそこな輩は……何!? 六本腕コサックとな!? 面白い、妾のダークインド奥義を披露するに不足なしよ! さあ踊(や)ろうではないか!!」
「女王、輝いているな……! わたしもこの「光るDXサイバー木刀」を振って応援だ」
「そうすれば、女王にもバレッタの気持ちが届くはずだ。あと栴、たこわさを頼む。あれは神のつまみだ、絶対に欲しい」
「俺は土産を買いに行くつもりなんだが、まあいいだろう」
会話がさっそく渋滞いや玉突き事故を起こしていた。いつものことである。
サンバ、インド、フラメンコ、日本舞踊、インド、コサック、サンバ、部族の舞、インド、ソーラン節、インド、インド、サンバ、インド、インド。
カーニバルは異国情緒が混じり合うカオスすぎる流れになっており、そこをユーザリアのダークセイヴァー仕込みのインドが(※繰り返すが、ダークセイヴァーにインドは存在しない。もう一度言うが、断じて、存在しない)侵食したことでまだら模様のさらなるカオスとなり、誰もがハッピーに躍っていた。
今は、サイバー・インダストリアル・インディー・テクノがドゥンデッドゥンデッピュルリ~ララ~ピロリロドンデッデッデッデッと流れており、人々はリズムに合わせたり合わせなかったりして自由に躍っている。カーニバルだからだ。
「うむちょっとグビグビ休憩するかプハー! おかわり! カンパーイ!」
「おかえりユーザリア! 乾杯の前に呑んでるとはさすがだな!」
そこらで酒を呑みながら酒を呑みに来たユーザリアに、酒を差し出す鷲穂。酒という文字がゲシュタルト崩壊を起こしそうだ。酒ってなんだ?(哲学)
「女王、お疲れ。これ、さっき見つけたサイバーおやつだ。約1677万色に光る、サイバーシュークリームらしいぞ。ちなみに、ひとつは激辛だ」
「それどちらかっていうとゲーミングじゃないですか……あと発光するお菓子とか絶対やばいやつだし、しかもロシアンルーレットじゃないですか……!」
バレッタが出した絶対ヤバそうなお菓子を見て、ドン引きしつつ頑張ってツッコミを入れるセロリ。だが、顔は真っ赤になっておりすでに辛そうだ。
「よせセロリ! おぬしはボケ側だといつも言っておろうが!! しかも天然のつくほうだ無理するな!!!」
「そんな……俺のどこがボケだっていうんですか……! やり遂げてみせますよツッコミを……うっぷ」
鳥獣戯画の実際的を得たツッコミに反論しようとするセロリだが、思わずなんか虹色のをアレしかける。
「うん、そうだな。まずは酒を飲もう。戻しそうになったら酒で押し流せばいい。ボケとかツッコミとか、そういうのもすべて酒は洗い流してくれる」
「オヌシ真顔でさもいいことみたいに言っておるけどそれただのクズの発言であるからな???」
せっかく空になったグラスに新たな酒を注ぐ相馬。ムルヘルベルに指摘されると、彼はそのいい顔のまま「?」と首を傾げた。自分の罪を数えろ。
「おお、女王が戻ってきたか。俺も帰ったぞ、カーニバルも胡乱なら土産も胡乱だなこの世界は」
と、色々な戦利品を引っさげて、栴が帰還した。
「おかえり栴。たこわさはあったか? たこわさがあるかないか、それは重要だ。つまり、いうなれば生きるべきか死ぬべきか、そういう話でもある」
「オヌシシェイクスピアに喧嘩売っておるの???」
「待ってくれ、それにはもっと大事なことがある。だってわたしはデザートが食べたい。ゲーミングシュークリームやサイバーようかんでは足りないんだ」
「ちなみにおれは、さりげなく出店の酒を渡り歩いてきてゲットしてきたぞ! これで相馬が酒を切らせても問題ないな! 地酒も厚意でもらってきた!」
「わたしはデザートを食べきるまで寝ないぞ。あと、手はきちんと洗ってある」
「これっバレッタ夜ふかしではないか! 許す!! というかもうだいぶ寝に入ってる子供みたいなこと言い出しておるな!! 許す!!!」
「とにかくたこわさだ。で、どうなんだ栴」
「安心しろ獄炎の。たこわさは……なかった」
「なかったのに安心できるわけがないが」
「だが串モノはある。というか出店にたこわさがあるわけないだろう。なぜかやたら出力のあるペン型スタンガンやら、ホログラムカードやら、約1677万色に光る奇妙な焼きそばやら、同じように光るりんご飴などはあったが」
「買ってきたのか!? サイバーりんご飴」
「いや買ってきてないが」
「そうか……(しゅんとなるバレッタ)」
「ええい待っていろ私が買ってくるわただいま!!!!!」
会話が玉突き事故を起こしていた。いつものことだ。
とにかく、栴の買ってきたつまみを囲みつつ、頼んでもいないのに相馬がドボドボと酒を注ぎ、一同の前に並ぶ(※言うまでもないがバレッタと栴にはジュース)
「うむ! ビールがうまいな! なんだこのサイバネ豚の丸焼きは! これも美味いぞ!! 違法コピーデータらしいがまあ肉は変わりあるまい!」
「女王、せめて乾杯は待たないか。というかなぜつまみが増えているんだ」
音頭を取ろうとしていた相馬は、ユーザリアを二度見した。こいつ酒の種類まで変えて……!
「ユーザリアだからな、そういうこともあるさ! なんか口から煙出てるけどな!」
「山羊のは泰然自若すぎぬか。まあいつものことだが」
「大丈夫、この光るDXサイバー木刀があれば、たとえ迷ったとしても必ず戻ってこれるはずだ」
「オヌシのその蛍光色の木刀に対する信頼何???」
「そうだ、賢者のにはこれを進呈しよう」
「なんかガワだけサイケなボトル渡されたんであるけど中身なんであるか」
「炭酸水だ。割材になると思ったが普通に飲んでも美味しいだろうからな」
「オヌシ未成年にしてはやけに酒に詳しいな……いやまあいただくが」
栴の謎の知識人ぶりに首を傾げつつ炭酸水を飲むムルヘルベル。普通に美味しい。
「よし、それでは今度こそ乾杯だ。乾杯!」
「せめてグラス掲げる間ぐらいは待ってくださいよ……うぃー……」
「セロリの顔が赤を通り越して青くなってきたな! いいぞ酒はそこからだ! 乾杯!!」
「ワハハハ乾杯である! このビールも美味いしまこと最高の(KBAM!)夜で(KBAM!!)あるな……(ボファ)」
「女王が口から煙を出した。というか口の中で爆発してたぞ。まさかそういうデザートが?」
「アレスの、デザートに食いつきすぎだ。あれは爆発するビール……待て、爆発するビールってなんだ」
「ホップが口内でポップに(KBAM!!)小爆発(KBAM!!)とあるな」
「しかもさらに飲んでいるのか女王の……(困惑)」
「むしろなぜダメージがないんだ女王!! いやまあ女王だからな!!!」
「サイバーザナドゥは奥が深いな……俺もまだまだ見識が足りないようだ」
「あれで世界を学ぼうと思うのやめてほしいのであるが???」
各々地酒、ビール、ワイン、ウィスキー、唐揚げ、ビール、ようかん、唐揚げ、シュークリーム(激辛)ワイン、地酒、唐揚げ、ビールを呑みまくる。
もう2章で唐揚げは飲み物ということになってしまったので、集められたつまみやデザートを飲んでいてもまったく問題がないことになってしまった。斯様に世界は歪んで狂っていくんだろう。
「おれがツッコミするので安心してボケてくださ……Zzz……」
「完全に潰れておるな。ところで爆発といえば、景気づけになるかと思ってこんなものを買ってきたぞ」
机に突っ伏して寝ているセロリを横目に、手榴弾型の爆薬を通りへぽいする栴。頭九州県民かな?
パパパパパン! KBAM!! 空で咲き誇る花火めいて盛大な爆竹の音が!
「はっ! 爆竹!? 出撃ですか軍曹!!?(ガタッ)」
「ワハハハ騒がしくてよいな! ムッ爆発のリズムに合わせて踊りたくなってきたぞ」
「ユーザリアオヌシ座っておれマジでここで踊るな飲み会に流れを収束させろ!!」
「飲み会だからこそ踊らねばならぬのであろうが!! サイバーザナドゥがダメになるかどうかの瀬戸際なのだ!!」
「オヌシ何が見えておるの!!?」
インド(※何度も書くがダークセイヴァーにインドは存在しない。香川などもってのほかだ)しようとするユーザリアを必死でなだめるムルヘルベル。
「栴、俺にも爆竹をくれ」
「おいおい栴、相馬に爆竹渡すなよ。爆竹大好きだから絶対なんか仕掛けてくるぞ」
「うむ、安心してくれ山羊の。もう手渡した」
「そっかもう手遅れかぁ」
相馬はいい顔のまま指先から炎をにじませ、テーブルの下に爆竹を置いた!
パパパパパン! 盛大な音に、寝ぼけていたセロリは「うへぁ!?!?!」と涎を拭いながら立ち上がる! かわいいいたずらだ!
「こら爆竹男子三名!! 何をしている!!!!」
「やはり踊るしかない!! ウワハハハハ!!(また現れるインドダンサーの皆さん)」
「ああもうせっかく沈静化した流れがまたダンスに!!!」
「よし。獄炎の、山羊の、逃げよう」
「おれもか!? いや仕方ないな! 逃げるか!」
「待て、まだあるんだ。とう(ぽいっ)」
「む、さっき。アチョーッ!!」
SMASH!! 相馬の投げた爆竹をサイバー木刀でフルスイングするバレッタ! 空に舞い上がり花火とともに爆ぜる!
騒がしいサイバーザナドゥの夜のなかでも、壁の面々はいつもどおりだった。
大成功
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賀茂・絆
まあまあ、ムルヘルベルさん。
ヤケにならず落ち着いて、ちょっとお休みしマショウヨ…ネ?
落ち着ける場所で休みながらムルヘルベルさんにお薬を勧めマス。(アイテム:万能透析剤)
こちら酔い止め兼胃薬デス。今はどうにもならなくても明日の体調が少しはマシになるはずデスヨ。
あ、警戒されてもいいようにUCも使っておきマス。
(吐血が始まったらお手洗いなりに連れて行って介抱する。終われば体調は整うはず。)
大丈夫デス…大丈夫デスヨ…(背中を優しく撫で)
申し訳ありマセン…この世界のケミカルな飲食物と薬の飲み合わせが悪かったのかもしれデス…。
でも、体調がマシになったのなら良かったデス。
この後も、あまり無理はしないでクダサイネ。
(さて、ワタシが原因とはいえ、恥ずかしい姿を晒しながらも介抱されたことで心理的な距離感は縮まったデショウ。体調も良くなったことで最終的にワタシに抱く印象はいいはずデス。)
(目先の利益はありマセンが、好印象を残しておくことで後々何かに使えるかもしれマセン。今日のところは、それで良しとしマスヨ。)
●まずそこまでの手順を思いつく時点でヤバい
「つかれた……」
ムルヘルベルは疲れていた。
なんとなく提案した飲み会、まあどう考えても大惨事になる確信はあった。
酒を飲まされまくったり、食べさせられまくったり、ツッコミ入れたり、
そのぐらいは想定していた。想定していたが、猟兵(やつら)は上を行った。
「なんで飲みに来ておるのに、悪役プロレスラーみたいなマイクパフォーマンスさせられたり、格ゲーでリアルファイトするハメになったり、高級レストランから地上に向けてダイブしたり、生死の境を彷徨うようなVRゲーをやったりせねばならんのだ。ワガハイなんかしたか? したのか???」
「まあまあ、ムルヘルベルさん。ヤケにならず落ち着いて」
そんなムルヘルベルに、優しい言葉をかける賀茂・絆。
これまで、けして焦ることなく、段階を踏んで警戒心を解いてきたのだ。
いまさら警戒されることもないだろう。普通はない。普通じゃなくてもない。
「ひいっ!?」
が、ムルヘルベルは途端に怯えた。
「ひい? その反応はまったく想定してなかったんデスが???」
警戒されることは織り込んでいたが、ビビられるってどういうことだ。
「お、オヌシもワガハイをボロ雑巾みたいに扱うんであろう!? ボロ雑巾みたいに! ボロ雑巾みたいに!」
「別に上手いこと言えてないデスよムルヘルベルさん」
「嫌だーッ! ワガハイもう振り回されたくないーッ!」
(「これ疑念っていいんデスカね」)
警戒されたらエア友達でなんとかするつもりだった絆だが、これ疑念っつーか恐怖じゃねえの? と首を傾げつつ、一応巫術を発動した。
「分かりましたから落ち着いてクダサイ」
「アッハイ……ムルヘルベル宙に浮きます……」
「浮かなくていいデスから、とりあえず落ち着きマショウ」
なんか介抱するまでもなかった。
とりあえずムルヘルベルを落ち着かせ、背中を撫でて労る絆。
なんかちょっと途中の流れは違ったが、とにかくこれで目的である好印象を与えることには成功したはず……。
「うっ、うっうっうっ」
「えっどうしたんデスか今度は泣き出して」
かと思ったらボロボロ泣き出したので、いよいよ絆はヒいた。
「だ、だって、ワガハイ、ワガハイこんな優しくされるとは思わず……うぐっ、ふぐうう、オヌシはよいヤツであるな絆ぁ~~~」
(「距離感縮まったどころじゃないデスねこれ、好都合デスが」)
「……まあとにかく、このあともあまり無理はしないでクダサイネ」
「ワガハイだってしたくないが? 無理なんぞ?」
「えっ」
「そもそもワガハイが無理したくてしてるわけではないのであるが!?!?!?」
「アッハイ」
「だいたいだなあ!! せめて騒ぐなら飲みに関係したレベルで落ち着かせ」
(「長くなりマスねこれ」)
しばらくムルヘルベルの愚痴が続いたが、絆は「大丈夫デスヨ」と優しく言い聞かせ、おじいちゃんの愚痴に付き合ってあげた。優しい孫かなんかかな?
紆余曲折はあったものの、絆に対する信頼が大きく増したのは確かだ。そのうち利用されそうだけども!
大成功
🔵🔵🔵
茜崎・トヲル
【八重の縁】
わーいヤタイだ!デミセだ!ロテンだー!!
あーさん!かたっぱしからたべてこーぜ!焼きそば!リンゴアメ!フランクフルト!
兄ちゃんと射的をして……ウワーッ兄ちゃん楽しそう!
スーさんとアルミ型抜きでばとるして!負けて!
みゃーさんに射的で取ったPS5(パチモン・ステーション)をあげて!
やーさんに型抜き残念賞でもらったリンゴアメ(品種:ムーンふじ)をあーんして!
ゲーミング狐お面つけて、あーさんと無害薬液風船ぱしゃんぱしゃんしてたら
なんかムーさんがピーチな姫さま状態に?!
おれたちがカーニバルデモエンニチ・ドーリを一週している間に、いったいなにが……?!(レインボーたこやきをほおばりながら)
わあ……でっけー……タイタン……!今回おとなしーなって思ってたら……!
あははふ、初めてバディ組んだときに、いきなり宇宙につれてかれたの、思い出しちゃった……
いっつも、こう、ね。スケールがおかしいの。とりあーえず!ムーさんをかいほーしなさーい!かわいそーでしょ!
あっ銃ありがと!よーしっ!いくぞー!
深山・鴇
【八重の縁】
楽しく飲み食いして、ゲーセンで遊んで、意外な雲珠君の才能も見つけ出して
縁君とも合流して、締めがカーニバルってどうなってるんだい、もう好き勝手して暴れていいよっていう天の声かな
いや、だからって巨〇兵作っていいわけじゃないしオブリビオンムーブしていいって訳じゃないんだよ、逢真君
ムルヘルベル君もどうして攫われたお姫様みたいなポジションに…ああ、うん…うちのかみさまがすまないね…(謝り慣れた保護者の顔)
ちょっと待っててくれるかい、遊んだら程よくお腹が空いたっていうモノクロブラザーズの屋台に付き合うから
サイバーりんご飴と綿あめとたこ焼きとか食べて、射的とかやってからどうにかするから
PS5、これトレイのところにミニゲームがあるやつだろ(意外と楽しいミニゲーム)
ん?そろそろあれを倒す?そうか…(現実逃避終了)
ヤン坊君は巨〇兵の上で調子に乗ってる逢真君を連れてきてくれ、お説教だよ
ムルヘルベル君は茜崎君が…スキアファール君が助けるだろ
チャカで射撃か、通報待ったなしでは?(抗争みたいな絵面)
結・縁貴
【八重の縁】
顔と口車と異能をフル活用して金策と調達してたら遊び損ねた!
賢者さん元気?酔い潰れてるね
介抱してあげよう、はいあーん(ゲーミングに輝く氷菓
大丈夫、綺麗な金(※騶虞基準)で買ったよ
噫、皆も来てたんだ、…は?
哎呀!?何だ此れオブリビオン!?
ちょ、賢者さん予兆あるなら言ってよ!違う!?
じゃあ何…かみさまァ!?
其れカーニバルと絶対違ェよ!
鴇帅哥、屋台巡り再開しようとすんの正気!?
トヲル帅哥は謎の物体口に突っ込まないで!
光ってるじゃん、本当に食い物??
うん、スー帅哥の評価は全然信用出来ないんだわ
嗚…この面子だしな…
(吹っ切った顔)
【言いくるめ】【騙し討ち】で調達した拳銃を複数出そう
射的やる人、手ェ挙げてー!はいどうぞ!
的はかみさまが出した奴ら!
この誰でも使える高殺傷性の武器、一回使って見たかったんだよなァ
人の方と賢者さんに向けない分別はあるよ
せーの、バーン!
おっと小雲珠が反動で転んだ。尻尾で支えよう
はは、捕まって罰せられてからが罪だ。捕まんなきゃ罪じゃない!(※古代中国基準、ヤケ混じり)
朱酉・逢真
【八重の縁】
心情)よく食べて・よく呑んで・よく遊んだ。いよいよこの楽しい時間も仕舞いだ。カーニバル。謝肉祭。禁欲に備えて欲望を解放する祭り。つまりだ、俺とはとォっても相性がイイ。こォんな楽しい時間にさァ、混じれないのはカナシイじゃないか。なァ賢者先生? とびきりのお祭りにしよう。大将はもちろん賢者先生、お前さんだよ。
行動)大通りのあちこち、裏通りのそこかしこに捨てられ積もるお前たち。壊れた鋼、止まったマシン、ジャムって捨てられたマシンガン。おっとケンカかな? 破損した義体もそのままだ。
さァさ未練宿した妖し魂ども!祭りだ祭りだ、ひととき戻りてあれらに宿れ! 復活せよ、"不要の物(*ヤクタタズ)"ども! ひィひひ、賢者先生どうだい見晴らしがいいだろう。捨てられ物の集まった巨人、その肩に居るンだぜ。もちろん一般人・建物は結界で絶対傷つけねェ。楽しく脅かすだけサ。味方は巻き込むがなァ。ひっひひ…行くぜェ大将、とっときのヒーローショウだ!(*金属部品の寄せ集めなので弱いし、ほっといてもすぐ壊れる)
雨野・雲珠
【八重の縁】
目一杯遊びました…あ、縁さん!
(つやっつやで手を振って合流)
(着物の合わせからニンジャぐるみが覗いている)
カーニバルといえばつい先日、
べねちあで痛ましい依頼を終えたばかりですが。
でも今回は楽しいばかり…の…
えっ
えーーーー!?
えっ敵!?えっかみさま!?何してるんですか!?
ああームルへルベルさまがあんなところに
いけない、避難誘導を…はっ!?
絶妙に安全対策が成されている…無駄に洗練されたすごい無駄
こういう線引きについては
帝都の下手な業者よりよほど細やかに気を配るんですよね。
お見事と讃えるべきでしょうか、叱るべきでしょうか…
というかあの、深山さん。待たせてる場合では…
トヲルくんトヲルくん。あれをなんとか…えっ射的?(やる)(楽しい!)
スーくんスーくんあれ見てくださ、わぁメンダコかわいいです
──ってお話聞いて下さい!
ほら!ムルへルベルさま泣いちゃうでしょ!
玩具だと思って狙い撃って、反動でひっくり返ります
縁さん、実弾!実弾なんですけど!
もーーー!そのうち本当に討伐されますよかみさま!!
スキアファール・イリャルギ
【八重の縁】
この世界にもカーニバルの概念があったとは…
おじいさん(※朱酉さん)からのお小遣いもまだありますし
音ゲーでほどよくお腹も空いてきた所です、全制覇しちゃいましょうかトーさん!
射的は皆さん本当に上手でカッコいいですし
トーさんとアルミ型抜きバトルしたら勝ってしまって
しかも偶然にもうまくできて景品が、えっなんだこれ(※手乗りサイバーメンダコぬいぐるみ
食べ物ですよ美味しいですよ、縁さんも如何です?(レインボー焼きそば頬張り)
ゲーミング狐お面を付けて、一緒に無害薬液風船ぱしゃんぱしゃん
これ楽しいですね…って、えっ
なんですかあの巨○兵!?
しかもムルヘルベルさんがヒロインに!?
なんで新しい世界に来て早々にフォーミュラムーブしてるんですかあの人はッ!
ハレの極みというかトンチキの極み!!(一緒にレインボーたこ焼き頬張り
えっ宇宙に? 初バディで宇宙に??
ほんっと、不思議なかみさまですね…
あっはい私も(挙手)
お借りた銃で撃ちつつ呪瘡包帯を伸ばしてムルヘルベルさんを助けます!
射撃第2ラウンド、行くぞー!
●いつものやつr……方々の、いつもの大あb……大はしゃぎ
「わーい! ヤタイだ! デミセだ!! ロテンだー!!!」
まるで子供のようにはしゃぐ33歳、もとい茜崎・トヲル。もう一度言うが33歳。
いまさらな話だが、一回り以上年下の雨野・雲珠のほうが、よほど大人だ。
「そうですねトーさん。しかし、この世界にもカーニバルの概念があったとは……」
スキアファール・イリャルギは比較的落ち着いおり、古今東西の文化をミキサーにかけてぶちまけたような無秩序なパレードに、目を白黒させていた。
サイバーザナドゥにおいて、和洋の概念はほとんど存在しない。
少なくとも、このダウンタウンでは、そうなっているようだ。
「よーしあーさん、かたっぱしから食べてこーぜ! お小遣いまだあるよね!?」
「ええ、おじいさんから頂いたぶんは、ちゃんと取っておいてありますよ」
おじいさんというのは、朱酉・逢真である。夏祭りにきた幼稚園児と小学生のきょうだいかな?
「やったー! 焼きそば! リンゴアメ!! フランクフルトー!!!」
「ふふっ、全制覇しちゃいましょう!」
両手をバッと突き上げ、きゃっきゃとはしゃぐトヲル。そんな彼をニコニコと微笑ましく見守りながら、どこから攻めるか考えているスキアファール。
どちらも人間的にはアラサーであることを除けば(いやある意味逆に)微笑ましい光景だ。まあ、露店の皆さんは青い顔をすることになるのだが。
「……あやつらは、相変わらず元気であるなぁ」
すっかり疲れ果てたムルヘルベルは、成人男性とは思えないノリではしゃいでいるモノクロブラザーズを横目に、はぁ~と枯れ果てたため息をついた。
寄る年波には勝てない、ということだろうか。いや、どう考えても自分のことを振り回す猟兵どものせいだ。どうしてこうなった?(答:ネタシナリオだから)
「賢者さん、元気? 酔い潰れてない? 二日酔いにはまだ早いよ」
そんなムルヘルベルの隙を目ざとく見つけ……もとい、見かねた結・縁貴が、胡散臭い笑顔で何かを取り出した。七色に輝く、氷菓である。
「なんだそれは!?」
「綺麗だから買ってみたんだ。賢者さんにあげるよ。はいあーん」
「待て待て待て! ワガハイに毒味をさせるな!」
「いや違うんだって。ちょっと(顔と口車と異能をフル活用して)金策と調達をしてたら、遊びそこねちゃってさぁ。賢者さんもお疲れでしょ? だからはいあーん」
「それつまりワガハイで遊ぶつもり満々ウゴゴゴゴ!!」
「大丈夫大丈夫、きれいな金(※騶虞基準)で買ったやつだから!」
会話が成立しているようで、していなかった。
同じ頃、このグループの中では比較的まともな方と言えなくもない(※あくまで「比較的」「ほうといえなくもない」であり、まともとは言わない。なぜかというと、こんなヤバい連中とつるんでいる時点でもうだいぶヤバいし、それ以前にこいつもこいつでろくでもないところがあるからだ。ところでこのこの注釈、長くない?)深山・鴇は、なにやら手でひさしを作り、訝しげに周りを見渡していた。
「うーむ……一体どこに行ったんだ……?」
「?? どうしたんですか、深山さん?」
目一杯遊んでお肌がつやつや、ご満悦の雲珠が、こてんと首を傾げた。
「いや何、さっきから逢真君の姿が見えなくてね」
「……それは、大変ですね」
「ああ、大変だ。嫌な予感しかしない。まあ、姿が見えてても嫌な予感しかしないが」
「それはそうですね。かみさまは、別に監視があっても好き放題しますし」
「うん。というか、俺たちが監視したところで、なんの意味もないからな」
「はい……」
雲珠と鴇は、色々と諦めた顔をしていた。鴇もどちらかといえば人間としては割と道を踏み外している感がなくもないが、雲珠は100%巻き込まれ&からかわれの完全被害者であり、彼については「比較的」とかまだるっこしい表現をせずとも、十分まとも側といっていいだろう。あれ? もしかして雲珠しか常識人いない?(いまさら)
しばし考え、ふたりはなにやら意味深に目配せすると、頷きあった。
「こういうときはアレだな、雲珠君」
「そうですね、深山さん!」
被害者なりの知恵があるというのか? 彼らの答えは!
「「諦めよう(ましょう)!」」
知ってた。(いつもの)(おまたせ)(なんか書いとけ)
「というわけで、縁さーん! こんばんはー!」
「お、小雲珠じゃん。晚上好!」
両目と口からゲーミング発光(約1677万色、正確には1677万7126色の色合いで光を放っていることを指す新語)しているムルヘルベルをほっぽり、縁はにこりと手を振った。
「みんなも来てたんだね。俺はちょっと(限りなく非合法な)金策をしててさ」
言いつつ、縁はちらりと雲珠の懐を見やる。片目がセンコめいて細まったジゴクめいたニンジャぐるみが、縁を睨んでいた。コワイ!
「えっ待ってなにそれ」
「あ、これですか? 気になりますよね! ゲーセンで取ってもらったんです!」
「ええ……? どう見ても呪いの儀式の祭具にしか見えないんだけど……??」
あまりのアトモスフィアに軽くヒいている縁。サイバーザナドゥの文化は不思議だ。
「ところで、後ろのムルヘルベル君がかなりゲーミングな色合いに染まっているんだが?」
「え? あー、美味しそうな氷菓で介抱したらこうなったから、この世界だとこういうものなんじゃない?」
「どう見てもそんな気はしないんだが、まあ、いいか……」
鴇はツッコミを放棄した。諦めが人を殺す、とはどこぞの吸血鬼の談である。
「それにしても、相変わらずスー帅哥とトヲル帅哥もはしゃいでるなぁ」
縁は、出店という出店を襲撃……もとい、食べ歩いているふたりを見て複雑な表情をした。
あのモノクロブラザーズに襲われたとあっては一瞬で品物が消えてしまう。
まあ、それはそれで出店冥利に尽きるのだろう(なにせふたりは縁と違って汚くない金でちゃんと支払うからだ)のだろうが、それはそれとして注文量が異常すぎて忙殺されるのは言われるまでもなし。どの出店の店主も死にそうな顔だ。
「いえーいスーさん! アルミ型抜きバトルしようぜー!」
「受けて立ちましょう! 景品は私のものですよ!」
と思ったら、今度は子供みたいに無邪気に(※彼らに限ってはいつものことだが)型抜きなどやっている。
しかも、トヲルは再び肉体を(内側だけ)改造し、スキアファールは怪奇モードになってカカカカカカ! とやるというガチっぷりだ。
「うおー! おれだって負けな……あっ」
だがトヲルには誤算があった。肉体改造していたせいでパワーが有り余ってしまっており、勢いでバキッと型ごと粉砕してしまったのだ。
結果、精密動作性A(超スゴイ)なスキアファールが、見事に型を抜く。ちなみに型の内容は、腕が16本あり頭が5つあるメガコーポ製バイオ殺戮モンスターの絵柄だ。バイオ殺戮モンスターって何?
「やった! 私の勝ちです! 見ましたかトーさん!」
「くっそー、スーさん強いなー!」
「やるね兄ちゃん。はいこれ、景品ね」
「あ、ありがとうございま……えっなんだこれ」
店主から渡された、手乗りサイバーメンダコぬいぐるみ(サイバーなのであちこちが機械化されており、機械化部分からはレーザーなどが出る。無害)を二度見するスキアファール。なお、サイバーなのでうねうね動く。キモい。
「負けちゃったけど、パレードってたーのしー! 次は何食べる!?」
「そうですね……って、縁さんじゃないですか。縁さんはどれ食べます? あのレインボー焼きそばとかどうですか?」
「あー、お誘いはありがたいんだけど俺はちょっと……ていうかそれ光ってるじゃん、本当に食い物??」
「光ってる食べ物をワガハイに食わせただろうオヌシ!?」
縁のツッコミにさらにムルヘルベルがツッコむ。忙しい空間だ。
「皆さん楽しそうですね! カーニバルというと、どうしても先日の"べねちあ"でのことを思い出してしまうのですが……」
そんな彼らをニコニコ見守っていた雲珠は、サクラミラージュでの物悲しい一件を思い出し、わずかに表情を翳らせた。
「痛ましい事件だったな。けれど、こちらのカーニバルはそんなこともなさそうだ。なにより、あの事件は無事に解決出来ただろう? 雲珠君」
「……そうですね。悩んでばかりではいけません! 今日は僕らも楽しみま」
雲珠がそう言った、まさにその瞬間!
「マァアアアア~~~~」
「えっ」
ズモモモモ、と突如大通りに出現するガラクタの塊……いや、巨人!
「バァアアアア~~~~」
「えーーーーー!?」
あまりにも突然なアンブッシュに、雲珠は思わず叫んだ!
「えっ敵!? 敵ですかムルヘルベ あっいない」
「哎呀!? なんだこれオブリビオン!? ちょ、賢者さん予兆あるなら言って あれっいない」
「……うん、あそこを見るんだ、みんな」
鴇は何もかも諦めた面持ちで、両腕を振り上げて雄叫びを上げる巨人の肩のあたりを指し示した。
「さァさ、未練宿した妖し魂ども! 祭りだ祭りだ、ひととき戻りてここに宿れ!
復活し、ここに集まりな、"不要物(やくたたず)"ども!」
と、演説する大統領のように両手を広げ、喝采を上げるのは、お察しの通り逢真である。
彼の呼び声に応じ、サイバーザナドゥの捨てられたガラクタ……たとえば壊れた鋼や、止まったマシン、あるいはジャムって捨てられたマシンガンといったものが霊性を得て、ガラガラと音を立てて巨人のもとに集まり、融合していく。
オブリビオンか何かかと思えたガラクタの巨人は、そうした不要物が集合して作り上げられた、いわばスクラップ・ゴーレムだったのだ!
「ひィひひ、賢者先生。どうだい? 見晴らしがいいだろう」
「ウワーッ!? な、ななな何をやっておるかオヌシぃ!?」
で、ムルヘルベルは、その肩の上に拉致られていた。そういうプレイングなんだからしょうがない。
「何をって、異なことを言いなさる。今日はカーニバル、つまり謝肉祭だろう?」
逢真はすぱー、といつものアルカイックスマイルで煙管を吹かす。心なしか、ご機嫌なように見えなくもない。
「謝肉祭てェのは、禁欲に備えて欲望を解放する祭り……俺とはとォっても相性がイイのさ」
「だからってこんな暴れ方をする奴があるかーッ!?」
「ひひひ。こォんな楽しい時間にさァ、混じれないってのはカナシイぜ? 違うかい、賢者先生?」
「ぐ、むむむ……!」
これまで、居酒屋でひとり外に居たり、ゲーセンで出来るだけ影響を出さないよう(イカサマはしてたが)配慮してた様子を知っているだけに、ムルヘルベルは口ごもった。
「だからよ、とびきりのお祭りにしようって思ったのさ。なンせお前さんの誘ってくれた祭りだ、大将はもちろん賢者先生だぜ」
「な、なるほど、それなら納得……出来るかーッ!? こんな大騒動起こす理由にはならんだろうがーッ!?」
「ひィひひ! オット、あンなとこに破損した義体がありやがる。あれも回収だなァ」
「話を聞けーッ!?」
聞いていなかった。ガラクタの巨人は、どんどん巨大化している……!
「わぁ……でっけー……タイタン……!」
「なんですかあの巨(ピー)兵!? しかもムルヘルベルさんがヒロインに!?」
屋台ではしゃぎまわっていたモノクロブラザーズ(※頭にお面、両手にアイスと焼きそば装備)ですら、さすがに唖然とするほどの巨大さだ。
「お、オヌシらーッ! 助けてくれーッ! ワガハイではどうしようもないー!!」
「あー、ムルヘルベル君。どうもすまないね、うちのかみさまが」
鴇はいつもの様子で謝った。
「謝らんでいいから助けてくれーッ!!」
「うん、ちょっと待っててくれるかい。まだモノクロブラザーズが屋台回りたいみたいだし、射的とか回ってくるから」
「はーーーーーーー!?!?!」
ここでまさかの出店巡り開始に、さすがのムルヘルベルも白目になった!
「というわけで、俺はサイバーりんご飴を食べてみようかな。雲珠君はどうする?」
「えっ、いや避難誘導とかしないと……」
雲珠はそこまで言って、気づいた。
まわりの一般人の皆さんや建物(もちろん出店もだ)には、いつもの結界がびっしりと構築されており、ガラクタの巨人で殴っても傷一つつかないようになっている。
ユーベルコードでもない技能でそこまで出来んのかよという疑問はなくもないが、いままでさんざっぱら通してきたんだし、そもそもこれネタシナリオ(おまけに日常章)なんだから気にする必要ないよね! ということで、問題なくなった。
「絶妙に安全対策がなされている……! 無駄に洗練された、すごい無駄な……!」
雲珠が肩の方を見上げると、逢真はにこにこ笑顔で手を振った。こういうとこの気配りを、もう少しグリモア猟兵とかに払ってほしい。マジで。
「てなわけで安心しな賢者先生、楽しく脅かすだけサ」
「まずワガハイが楽しく脅かされておらんのだが?!」
「そりゃそォだぜ、猟兵(みかた)は結界で守る必要ねェだろう?」
「えっ」
「なァに、大将はこっち側だ。つまり、共犯ってコトだな」
「えっ」
「ひっひひ……まずはしばらく、盛り上げるために行脚しようじゃねェか」
「え~~~!?」
アンコウ並に捨てるところがなさすぎる言葉の数々に、ムルヘルベルは悲鳴を上げた。が、逢真は完全にスルーし、巨人で進撃を始める。
もちろん結界により、ダメージはゼロだ。しかし市民は悲鳴を上げ逃げ惑う! パニックムービーだこれ!
「あの、深山さん。待たせてる場合ではないのでは?」
「だそうだが茜崎君」
「おー! じゃあ射的やろーぜ兄ちゃん!」
「じゃあも何もないですけど!? えっでも射的、射的かぁ……!」
雲珠、あっさり懐柔された。射的屋台に目ぇキラッキラさせて駆け込む!
「なんで新しい世界に来て早々にオブリビオンフォーミュラムーブしてるんですかねあの人は」
ボインボインボイン、と無害薬液風船をヨーヨーみたいに弾ませながらキリッとするスキアファール。表情と風体がまったく合ってねえ。なんならレインボーたこ焼きもぐもぐ食べてる。シリアス顔で。
「あのさスー帅哥、それ本当に喰って大丈夫な奴??」
「え? 大丈夫じゃないですか私」
「いやスー帅哥の評価は全然信用出来ないんだわ(性格的な意味でも身体的な意味でも)」
縁は呆れていた。ズシーンズシーンと進撃している巨人は見なかったことにしている。
「うん、この綿あめもおいしいな。しかしあの射的屋台の景品、PS5とは……?」
普通に菓子を食ってる鴇は訝しんだ。この世界にそんなものがあるわけ……。
「よっしゃーゲットー! みゃーさんあげるー!」
「いや、これはどう見ても」
「うん、パチモン・ステーションでPS5だって!」
「あっ……そうか、そうなんだな……というかパチモンと標榜してるんだなこれ。トレーにミニゲーム入ってるやつじゃないか」
割りと楽しいやつだ。昔ありましたよね、携帯ゲーム機の形したなんか水で輪投げするやつ。あれ本物のゲームよりハマるまでありませんでした?
「いやー、トヲルくんもなかなかやりますね。さて次は何で遊びましょうか」
「たすけてー! たーすーけーてー!!」
「あっ」
つやつや笑顔で次に繰り出そうとしていた雲珠、ムルヘルベルの必死の声で我に返る。
「これはいけません、トヲルくんでダメならスーくんです! あれ見てくださ」
「これ見てください、さっきのアルミ型抜きで手に入れたんですよ」
「わぁメンダコかわいいです!」
雲珠、あっさり懐柔された。うねうね動くサイバーメンダコに興味深々だ!
「やー、さっきの型抜きで残念賞にもらったこのリンゴアメ美味しいし、ゲーミング狐お面はピカピカしててかっけーし、風船ぱしゃんぱしゃんするのもおもしれー!
カーニバルデモエンニチ・ドーリってサイコーだね、スーさん!」
「そうですねトーさん、カーニバルって楽しいです!」
「スゲェなこの人ら」
意図的に見てみぬふりをしているだけの縁は、ナチュラルに巨人の進撃を忘れ去っているモノクロブラザーズに恐怖した。
「このミニゲーム面白いぞ、やってみるかい?」
「鴇帅哥も別の意味ですげェな正気??」
「やーさんリンゴアメあげるー!」
「おいトヲル帅哥待って! 待てって! 謎の食べ物俺の口にねじこもうとしないで!」
「たーすーけーてー!!!」
ムルヘルベルの悲鳴は無視されていた。かわいそう(いつもの)(おまたせ)(なんか書いとけ)
5人が現実逃避(ルビ:おまつり)してる間にも、さらに無数のスクラップを吸収し続けて巨大化している巨人!
「ウオオオオーッ!」
KRAAAAASH!! 巨大アームで地面を殴る! 結界で守られているので地形ダメージはゼロ! むしろ自壊して瓦礫が吹っ飛び、いかにも特撮もので光の巨人が地面に着地した時的な感じで粉塵(※壊れたガラクタの破片です)が舞う!
「ひっひひ……いい感じだぜェ大将、さすがだなァ」
「えっなんでワガハイが操作しておるみたいなふうにしておるの!?」
「俺はチョイと呼び水になっただけさァ。大将ならコレ、止められンだろ?」
「すごい勢いでワガハイが黒幕にされてるんであるが!?」
「ところでよゥ、大将のこと助けてくれねェあいつらに……逆襲したくねェかい?」
「それはしたい(即答)」
「じゃアとっときのヒーローショウ、やるしかねェな! ひひひ!」
「こ、これが力……! 力さえあれば、なんでもできる……! やれーっ巨人ーッ!!」
「ウオオオオーッ!」
ムルヘルベル、キレた! 直接指示を出されると巨人は雄叫びを上げ、5人に向き直る!
「ちょっと皆さん! ムルヘルベルさまが泣いちゃうどころかキレちゃいましたよ! いい加減止めましょう! ねえお話聞いてください!」
「ハレの極みというかトンチキの極みですよね。じゃあそろそろ行きましょうか」
「あははふ、今回おとなしーなって思ってたら、最後にこれだもんなー! 初めてバディ組んだ時、いきなり宇宙に連れてかれたの思い出しちった!」
トヲルはけたけたと笑い、ようやくやる気になった。
「いっつも、こう、ね。スケールがおかしいの。かみさまってさ」
「毎回つきあわされる側の身にも……ならないな、逢真君は。よし。ヤン坊君、あそこで調子乗ってる逢真君を連れてきてくれ、お説教だよ」
え? マジ? みてえな顔で呼び出された八岐大蛇の二度見(*8)。
「……よし! 射的やる人、手ェ挙げてー!」
色々吹っ切れた縁が、なんかガチの拳銃取り出して妙なこと言い始めた!
「射的!? やります!」
「あ、私も」
「おれもおれもー!」
「はいどうぞ! 的はあれね、かみさまが出したあれ」
ニコニコしながらチャカ(本物)を配る縁。銃といえば、女子供でも使える殺傷性の高い現代の生み出した負の遺産だ。古代中国勢としてはぜひとも使ってみたかったらしい。
「じゃ、せーのでな。せーのォ!」
「「「せーのー!」」」
BBBBLLLLAAAAMMMMNNNN!!
「ウワーッ!?」
おもちゃだと思っていた雲珠、反動でひっくり返る!
放たれた実弾は巨人を貫通! 割りと中身がスカスカな巨人は大きくダメージを受けた!
「ちょ、縁さん、実弾! 実弾なんですけど!!」
「え? 別におもちゃとは言ってねェじゃん?」
むしろ何言ってんの小雲珠、みてえな面で尻尾で支えつつ首を傾げる縁。こいつヤバい(いまさら)(いつもの)(なんか書いとけ)
「……これ、絵面が完全に抗争そのものでは? 通報待ったなしじゃないか?」
「はは、捕まって罰せられてからが罪だ。捕まんなきゃ罪じゃない!」
「古代中国基準の罪悪観、恐ろしいな」
「皆さんのおかげでヤケ入ってんの言わないとわかんない!? もうとにかく騒ぐしかないんだよ騒ぐしか!」
BLAMBLAMBLAMBLAM!! 銃撃! 巨人! 殴打! 衝撃! 悲鳴! 叫び声! なんだこの状況!
「こらー! ムーさんをかいほーしなさーい! かわいそーでしょ!」
「そうですよ! ムルヘルベルさんを助けてみせます!(キリッ)」
「さんざっぱら無視しておいて何言っておるかオヌシらは! 巨人よ、やってしまえーい!!」
「あァ大将、こいつはあくまでガラクタだからよゥ、アイツらと真正面から殴り合えるほど強かねェぜ」
「えっ」
「そして俺はそろそろ連れ戻されっから維持も出来な(「き」と「な」の間あたりで、八岐大蛇の首に襟首噛まれてギュンッと消える)」
「え?」
「もーーー!! そのうち本当に討伐されますよかみさま!! そしてムルヘルベルさま、皆様のためにもお覚悟ください!」
「えーーーーー!?」
BLAMBLAMBLAMBLAM!! 崩れる巨人! 悲鳴を上げるムルヘルベル! 銃声! 大笑いする猟兵たち! 説教される逢真(びくとも効いていない)! なんだこの状況!
「も、もう……カーニバルなんて、こりごりであるよぉ~~~!!」
ガラガラと崩れゆく巨人から転げ落ちながら、ムルヘルベルは泣き顔で叫んだ。アニメなら、ムルヘルベルの顔に向かってアイリスアウトするところである。
なお、きちんとスキアファールとトヲルにキャッチしてもらえたので無事だし、逢真はきちんとお説教を喰らい(※効いていない)縁はものの見事に警察の目から逃げおおせた。悪は絶えないって、こういうことなんだね!!
大成功
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