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【サポート優先】もふもふ愛を取り戻せ!

#シルバーレイン #もふ太郎

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#シルバーレイン
#もふ太郎


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)


「会長、どういう事ですか!何故、何故こんな事を!」

「何故?それは君達が『サバト』の生贄だからだよ。君達の血肉は私の力となる。ありがたく思うといいよ」

「じゃあ・・・今日、こうして『もふもふの集い』があったのも・・・」

「ご名答。まんまと釣られてやって来た君達が悪いのさ。まぁ・・・私とて、もふもふを愛する身だ。君達の心境もわからないではないがね」

「珍しいもふもふと触れ合えるっていう口車に乗ってしまったというわけか・・・」

「さぁ、そろそろ君も永遠の眠りに就くといい。さようなら、だ」

 そうしてその場で立っている者は「会長」と呼ばれていた男一人となった。


 炎武・瑠美(天然系お嬢様…らしき者・f31245)は集まってくれた猟兵達に一礼すると早速状況説明に入る。

「皆さん、ご苦労様です。今回はシルバーレインの世界へ向かっていただきます。かつてはゴーストと呼ばれる脅威が存在していたそうですが、現地の方々の尽力によりゴーストに勝利。一旦、脅威は全て取り除かれたようなのですが・・・」

 こうして猟兵達が駆け付ける事態になっているという事は、再び脅威がシルバーレインの世界に訪れているという事だろう。

「私達猟兵とは異なる『能力者』と呼ばれる方々が現地にはおられますが、その方々の中にも猟兵として覚醒される方も出てきておられるよう。ゴーストに代わりオブリビオンが脅威として現れたから、なのでしょうか?」

 そう、シルバーレインの世界に現れた脅威はオブリビオン。かつてゴーストであった者達がオブリビオンとなって甦り、再びシルバーレインの世界で人々に牙を剥き始めたのだ。

「オブリビオンとなったゴースト達は、必ずしもかつてのゴーストそのものではないようです。オブリビオンとなったからなのか、それとも別の要因があるのかは、わかりませんが・・・」

 つまり、ゴーストと似て非なるもの、であるという事だろうか。どちらにせよ、猟兵達が出向かねばシルバーレインの世界で悲劇が発生する事になるのだ。

「今回、猟兵の皆さんに討伐していただくのはリリス化オブリビオンです。リリスは、かつてシルバーレインの世界に居たゴーストの一種との事ですが、オブリビオンとなった事でその概念は崩れつつあるようです」

 リリスの外見は「蛇を連れた女性型」だったようだが、オブリビオン化した事で女性型とは限らない存在となったようだ。かつては性的な欲望が強い存在であったが今はそうとも限らず、「欲望のままに他者を支配したい」という要求のみが極大化した状態との事だ。

「予知によるとオブリビオンが潜伏しているのは『もふもふ同好会』と呼ばれる同好会のようです。その会長がオブリビオンらしいのですが・・・」

 オブリビオンをその場で問答無用で撃破する・・・というわけにはいかないようだ。

「オブリビオンが最終的にサバトと呼ばれる儀式を行おうとしている場所、そこを特定する必要があります。既に小規模のサバトは発生していたのか、行方不明者が出ているのです。もしかしたら、その儀式の場に・・・」

 万一生存者がいるのであれば、救出する必要があるかもしれない。

「オブリビオンは普段は一般人として振舞っていて非常に用心深いようです。相手の拠点を探るにしても一旦は相手の警戒を緩める必要があるかと思います。そこで・・・皆さんには『もふもふ同好会』へ入会し、同好会の方々と親睦を深めつつ相手の警戒を解いてくいただきます。ちょうど親睦会として世界遺産の観光が計画されているようです。その場に参加し、皆と共に過ごせば・・・」

 なるほど、オブリビオンの周囲の者達とも打ち解ければ・・・相手もこちらをシンパと見做し、警戒を緩めるかもしれない。

「オブリビオンの周囲の方々からも何か証言も得られるかもしれません。親睦を深めておく事は損ではない筈。情報が得られましたら、相手の拠点へと侵入していただく形になるでしょう。相手も侵入者が現れれば姿を現し本性も曝け出す事でしょう」

 そうなれば、後は討伐するだけか。

「相手はリリス化する事で通常のオブリビオンの個体より強力になっていると思われます。特に小規模の『サバト』で、既にある程度のパワーアップをしている可能性がありえますので。そこで・・・、相手の欲望を利用する手を提案します」

 どうやらリリス化する事で自分の欲望には勝てなくなっているらしい。自身の生存よりも欲望を優先してしまう傾向が強く出るようだ。

「相手の欲望は『もふもふを愛でる事。もふもふを独り占めしたい』という物のようです」

 ・・・なるほど、『もふもふ同好会』に集う者達はもふもふ好きだろう。オブリビオンにとっては独り占めを邪魔する存在となるのだ。サバトでその存在を一掃すると共に自分を強化する・・・というわけか。どちらにせよ、その場で何か相手の心を揺さぶるものを見せるなりすれば、隙を作る事が出来るかもしれない。一考の価値はありそうだ。

「それでは、シルバーレインの世界の脅威を取り除く為、よろしくお願いします」

 そう言うと瑠美は現地へと皆を送り出すのであった。


黄昏空
 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)MSの黄昏空(たそがれ・そら)です。たまには今まで描いた事のない世界を描いてみたい欲求に駆れまして・・・ダイスの女神様に選んでいただいた結果、シルバーレインの世界をお送りする事になりました。ちなみに当方は、シルバーレイン未プレイ者です。シナリオ運営を通常にするかサポート優先にするか、迷ったのですが・・・。当方のスケジュールが押している為、執筆出来る時に執筆していく形を取る事にしサポート優先の形式を取らせていただく事にしました。

 リリス化オブリビオンが潜む「もふもふ同好会」へ潜入し、最終的に同好会に潜んでいるオブリビオンを討伐してもらいます。とはいえ、普段は相手も一般人のフリをしており警戒もしています。まずは同好会で交流し相手の警戒を解く必要があります。

 第一章では「もふもふ同好会」の親睦会として世界遺産の観光に行きます。場所は北海道。フラグメントを参考にしつつ観光を楽しんでください。同好会のメンバーと交流しても良し、猟兵の皆さんでわいわい過ごすも良し。同好会に同行し楽しいひと時を過ごす事でオブリビオンの警戒を解きます。ちなみに観光場所に関してはお店の名前等は具体的に表記せず暈した感じで描写します。通常参加を検討される方はその旨、ご了承ください。

 第二章では、最終的にオブリビオンがサバトを行おうとしている場所へ侵入してもらいます。そこにはちょっとしたトラップ(?)が。詳しくは第二章の断章で。

 第三章ではリリス化オブリビオンとの戦闘となります。オブリビオンはリリス化している事で通常の個体より強力となっています。ただし、リリス化による影響で自分の欲望に対して実直に動きます。オブリビオンの欲望は「もふもふを愛でたい。独り占めしたい」です。相手の欲望を上手く突いて隙を作り出し戦闘を優位に持って行ってください。

 OP公開より時間の出来た時にサポート採用し執筆を進めていきます。3月中頃に完結させるつもりでいます。
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第1章 日常 『世界遺産の観光』

POW   :    できるだけ多くの見所を巡る

SPD   :    ガイドに案内してもらい、効率的に見て回る

WIZ   :    自分でプランを計画し、楽しむ

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やあ、初めまして。皆さんが今回『もふもふ同好会』へ入会される皆さんだね。俺は会長の諏訪っていうんだ。よろしく」

 猟兵達が同好会へ接触を試みた所、諏訪と名乗る男が出迎えた。この男がオブリビオンなのだろうか?パッと見、そんな感じはしない。これは偽装なのか?もしくは他に『会長』というニックネームで呼ばれる者がいるとか?その辺りは交流しながら探ってみてもいいのかもしれない。ただし、相手に疑惑を持たせるのは厳禁だ。まずは、相手と同じように同好会へ馴染む事が最優先。

「じゃあ、これから北海道へ向かうから移動用の費用はこちら持ちだから安心してね」

 諏訪はそう言うと皆に移動時に使う費用やチケットを手渡した。
 
 さて、まずはこの観光を目一杯楽しもう。情報収集はその後でも十分に出来る。
ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
 UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
 『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
 ※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。

 ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
 痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
 公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
 記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。



「…やっと一息つけるにゃん」

 自由行動の時間となり、緊張した状況から解放された気分となったミルディア・ディスティン(UDCの不可思議メカニック・f04581)は、大きく伸びをした。生粋の技術肌であるミルディアにとっては、道中の時間はかなり精神面での消耗が激しいものとなった。人は手を加えた通り素直に反応してくれる機械達とは違う。こちらが想定していたのとは全く真逆の反応が返される事もある。相手の感情を把握するのが苦手なミルディアには、大勢の前で自己紹介をするだけで精一杯であった。

「しかも、今回のオブリビオン。普段は人のフリをしているという話にゃ…」

 グリモア猟兵の話では、同好会の会長が怪しいという話であったが…。自分の事で精一杯だったミルディアから見たら、本当に会長がオブリビオンなのか…判断が付かなかった。下手に様子を窺おうものなら相手に見透かされそうな…、そんな気がした。

 幸いにしてミルディアは「ちょっと人付き合いが苦手な方」というくらいで同好会のメンバーには認識されたようだ。

「でも、あたしがやるべき事はひとまず終えられたにゃ」

 そう、ミルディアは同好会のメンバーに気付かれぬよう、こっそりと他の猟兵達に同一規格の通信機を手渡していた。急ぎ作ったものなので本格的なものではないが、この任務中くらいは使えるだろう。

「これで各人が情報を入手した時に連絡が取り合えるはずにゃ!」

 メカニックとしての腕を見せたミルディア、ひとまず自分の役目はしっかり果たしたという所であろう。

「…はっ、しまったにゃ!自由行動をどうするか、考えてなかったにゃ!」

 同好会のメンバーに不審がられないようにする事、通信機を皆に手渡す事、その二つに注力するので精一杯であったミルディアには、この後の事を考えている余裕がなかったのだ。もう自由行動は開始している。周りには…誰もいない。

「そういえば、確か会長が現地でガイド役に案内を頼む事も出来るって言ってたにゃ。背に腹は代えられないにゃ!」

 ここでぼ~っとしているわけにはいかない。必死に記憶を辿り、ガイドが雇えるという案内所まで辿り着くのであった。


「ご利用くださり、ありがとうございます。私の方がお客様の観光案内を務めさせていただきますね。特に行ってみたいご要望の場所はありますか?」

 ミルディアがやっとの思いで辿り着いた案内所では、気さくな感じの女性が出迎えてくれた。人付き合いが苦手な身としては大勢で回るよりは、まだ気が楽だ。
 とはいえ、どう話をしたらいいのかわからなくなる部分があるから、ミルディアとしては…。

「そう、にゃね…。色々な所が見て回りたいにゃ!」

 一か所に長く滞在するよりは気が紛れそうである。その箇所その箇所を案内してもらう方が、相手との話が途切れる事も少ないであろう。

「わかりました。では、時間の許す限り色々な所をご案内いたしますね」

「あ、あと…。可能なら…」

「はい?どうされましたか?」

「ジャンクパーツとか…見られる所があれば、見てみたいにゃ。掘り出し物とかが見つかるかもしれないにゃ」

 ちょっとびっくりした感じのガイドであったが、まぁ、そういうお客も時には居るのであろう。すぐさまミルディアの要望に応える形で観光スポットを選んでくれた。

 こうしてミルディアはミルディアなりに自由行動の時間を過ごす事が出来た。結果的に、ややジャンクパーツを見て回る時間に割かれた時間が多かった事は…。まぁ、ミルディアがメカニックである事から考えてもごく自然な流れであったかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ

狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る

主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ

怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの



 ソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)は、目的地を特に定めず気の向くままに観光を楽しんでいた。狂気的な博愛精神の持ち主であるソフィアにとっては、その地に住む人々の日々の営みでさえ愛おしく思えてくるのだ。
 この世には愛が満ち溢れている。この世界にある全ての命は救われるべきであり、愛するべきものなのだ。それが例え罪人であろうとオブリビオンであろうと、だ。

 そうして気の赴くままに散策を続けていると、ふと視線の先に見知った顔を見つけた。それは先程、自由行動となった際に分かれたはずの存在の一人。

「確か、諏訪さん…でしたわね、同好会の会長さん。グリモア猟兵のお話ではオブリビオンである可能性が高いという話のお方」

 道中の彼は、もふもふした動物への愛について熱心に語る姿が印象的であった。愛され望まれたからこそ自分はこの世に存在し、この世の全ては愛すべき存在だという認識のソフィアとしては、特定の存在に対する愛というのはわからない部分ではあるが…。愛するべき存在に対する熱意だけは理解出来た。愛すべきものを愛する、そこに理由などいらないのだ。

「あの方、確か自由行動の時間は一人で行動されると、話しておられましたわね。どこへ行かれるのかしら?」

 無理に近付かず、視線で諏訪の姿を追っていると…、不意に諏訪が人通りの多い道から外れ裏道へと入っていく。

「先程買った地図で確認しても、あの先には特に何もないはずなのですが…。気になりますわね」

 特に何かがある場所ではないはずだ。不審な行動、とも受け取れる。そっとソフィアは諏訪の入っていった裏道へと足を踏み入れる。周囲に人の気配はない。諏訪も裏道の奥の方へと進んでいったようだ。

「現状では、深追いは避けるべきでしょうが…少しだけ確認してみましょう。情報は得ておくに越した事はありませんですしね」

 ソフィアは周囲に人がいない事を確認した後、そっとUCを発動させる。ソフィアはその姿を透明にし周囲から視認出来ないようになると、足音を忍ばせ裏道を進んでいった。

「この先は行き止まりの筈ですわね。…、いましたわね諏訪さん。誰かと会話中ですの?」

 あまり近付くと気取られる可能性がある。ソフィアのUCは姿こそ透明になり視認出来なくなるが、物音や体温は消せない。もし諏訪がオブリビオンであるというのなら、一般人が感じ取れないような気配も感じ取れる可能性があるのだ。
 慎重に様子を窺うが、諏訪の声は聞き取りにくく…。誰かと話をしているようだが、その相手の姿が見えない。

「いえ…、あれは…。モーラット、ですの?」

 確かに猟兵として覚醒しているモーラットもおり、実際に接してみると会話は可能なのだが…。何故、このような場所で?

「これ以上の詮索は、この場ではまずいですわね。ここは一旦引く事に致しましょう」

 諏訪がオブリビオンである確証は得られなかったが、不審な行動を取っていた事だけはわかった。他の猟兵達と情報共有をしておいた方が良いかもしれない。

「諏訪さん、あなたが実際にオブリビオンなのかどうかは、まだわかりませんが…。今すぐに元のあるべき場所へ還してあげる事が出来ず歯がゆいですね」

 「蘇った過去はあるべき場所へ還るべき」という考えのソフィアにとっては、この場で直ぐに対処出来ないのが心苦しい。だが、オブリビオンに捕らわれの身となっている人々がいるかもしれない、という情報もある。

「もう少し、待っていてくださいませ。必ずや元の場所へ還して差し上げますわ」

 手渡されていた通信機で連絡を取りつつ、ソフィアは笑みを浮かべるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

愛野・黒子(サポート)
「んー?戦いー?冒険ー?それともお祭りー?まぁやるかー。がんばるぞー」


ブラックタールのゴッドペインター×どろんバケラー、女性です。
普段はスライム状の不定形ですが、人間用の物を扱う時や何かしら人の姿の方がいいかなーと思うと女性の姿になります。
 普段の口調はおっとり

自身の体を軽視している節があり、ゴッドペインターとしての塗料は自分の体です。
また、自身の体を色々な姿に変えることができ、どろんバケラーと間違えられるようになりました。

行動方針としては、「いつの間にか関わったしー、まぁー、単純な作戦を立ててやってみるかー」
よくも悪くもあまり考えず行動します。

あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。



「ん-?この世界って、私が住んでいた所にどこか似てる気がするなー」

 愛野・黒子(ブラックタールらしきもの・f13343)が物心ついた頃に居たのは、UDCアースのスラム街だ。この世界の文明レベルは、そのUDCアースとそう変わらないくらいの感じに思える。だからだろうか、見知らぬ場所のはずなのに、どこか見慣れた風景にも思えるという不思議な感覚を黒子は感じていた。
 とはいえ、黒子の幼少期は文明的な暮らしをしていたわけではない。なので、今こうして見ている風景は、あの頃住んでいたスラム街とは比較にならないくらい眩しく見える。
 黒子は自由行動となってから、とにかく沢山の場所を見て回っている。

「お?新入りさんじゃないか。ここで鉢合わせするなんてね。この先の名所を見に来たのかな?」

 数多くの場所を見て回っていれば、当然同じようにあちこちを見て回っている同好会のメンバーとも鉢合わせする。

「どうもー。この先はどうでしたー?」

「あぁ、凄く見所が沢山だったよ。ここは来てみて正解だったな」

「そうなんだー、それは楽しみー」

 こうして他の人と普通に話をしているのが、黒子には不思議に感じる事もある。猟兵となる前はスライム状の不定形の姿でいれば、スラム街の住人から化け物呼ばわりされていた。今、このように人と普通に会話など到底あり得ない状況だったのだ。
 これも、猟兵となった者が誰しも兼ね備える事になる世界の加護の恩恵だ。「全ての世界で言葉が通じ、どんな外見でも住人に違和感を与えない」、この恩恵は黒子にとって計り知れないものがあったといえるだろう。

「あはは、しっかり堪能してくるといいよ新入りさん。この観光が終わった後も、会長さんが何か企画してくれているみたいだしね」

「そうなんだー?どんな企画を考えてくれてるんだろー?」

「う~ん、詳しくは聞かされていないけれど。なんか珍しいもふもふと会いに行くとかなんとか…」

「じゃあ、またその時を楽しみにするとしますかー」

「そうだね。…っと、この後他を見て回るから、この辺で。じゃあ、また後で!」

 黒子に挨拶をすると、同好会のメンバーは連れ立ってその場を離れていった。

「珍しいもふもふ…。グリモア猟兵さんが予知で見た内容に、そういう会話があった気がー」

 先程他の猟兵から通信機で送られてきた情報に、会長が不審な行動を取っていたという話もあった。この情報も、他のメンバーへ連絡しておいた方がいいのだろうか?

「ひとまず送るだけ送ってみるかー。考えるのは他の方へお任せしようー」

 良くも悪くも、考えるよりも行動するタイプの黒子としては、こういう情報整理とかはあまり得意ではない。だから入手した情報を他の人へ送るだけ送って、後の判断は任せようと思った。
 手早く情報を通信機で他猟兵へ伝えると、やるべき事は終わったと観光を再開する黒子。

「まだ集合時間までしばらくあるしー。後、どれくらいの所がまわれるかなー」

 この後には、オブリビオンの拠点を調査する仕事があるだろう。だが、それは後の話だ。後の事はその時に考えればいい。今はとりあえず、沢山見て回ろう。
 同好会のメンバーは気さくないい人達と黒子は感じていた。その人達がオブリビオンの犠牲になる事は避けたいなー、とは思いつつ…。ひとまずその時が来るまでは、しっかりと今の状況を楽しんでおこうと思う黒子であった。

 その後も、同好会のメンバーとは時折遭遇し交流しつつ…。黒子は自由時間を目一杯満喫するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『野良モーラットを捕まえろ!』

POW   :    全力で追いかける

SPD   :    罠を張って待ち構える

WIZ   :    隠れていそうな場所を探す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「今日は皆、目一杯楽しんでもらえたみたいだね。企画した俺としても嬉しい限りだよ。また、近いうちに楽しんでもらえそうな企画を考えているから、その時にまた。じゃあ、今日はこれで解散!」

 諏訪の一言で『もふもふ同好会』の親睦会はお開きとなった。猟兵達も一旦その場を離れる事になるが…。これまでの中で入手した情報を基に、オブリビオンの拠点を探し出す仕事が待っている。

「珍しいもふもふ」「会長の不審な行動」、決して得られた情報は多いわけではないが…、根気よく調査を重ねていく猟兵達。同好会のメンバーも、今回の親睦会を経て猟兵達新入りと親睦を深めた。その為、少しずつだが情報を引き出す事も出来…。

 やっと割り出す事が出来たオブリビオンの拠点らしき場所。普段人が立ち寄る事もなさそうな廃墟なのだが、時折その廃墟へ立ち寄る男の姿が周辺住民に目撃されている。容姿は…諏訪らしき人物。どうやらここでビンゴのようだ。

 猟兵達はその拠点へ慎重に足を踏み入れる。すると…奥の方から話し声が微かに聞こえてきた。気を引き締め直す猟兵達。そして、猟兵達が見たものは…。


 モーラットの群れであった。珍しいもふもふの正体とは、モーラットの事だったのか?一人(一匹?)のモーラットに話を聞いてみる。

「あぁ、3食昼寝付きで面倒見てくれるっていう話だったからな。せっかくだから、そいつの話に乗ってやって来てみたんだ。同じようにここへ来た仲間達も多いしな。野良の俺達には天国だぜ、ここは」

 という事は、観光先で見かけたモーラットと会長の会話は…、恐らくここへの勧誘、だったのだろう。
 だが、彼ら自身をこのままこの場に置いておくわけにもいかない。ここはこの後、戦場となるのは明らかであるし。説得を試みてみるが…。

「嫌だね。こんな好待遇な所を離れるのは、な。それに…」

 何かを言い淀むモーラット。

「まぁ、どうしてもこの場から俺達を引き剥がしたいっていうなら、俺達を捕まえてみるんだな。俺と違って隠れてたりする奴もいるだろうが…。全て捕まえられたなら、俺達も観念してやろう」

 まぁ、穏便に事が済むというのならそれに越した事はない。モーラット達の挑戦を受ける事にした猟兵達。さて、野良モーラット捕獲作戦の始まりだ!
桜井・乃愛(サポート)
 桜の精のパーラーメイド×咎人殺しの女の子です。
 普段の口調は「元気(私、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく天真爛漫で、少し天然ボケな感じの少女。
一番好きな花は桜で、その他の植物も好き。
強敵にも怖気づく事は少なく、果敢に挑む。
人と話す事も好きなので、アドリブ歓迎。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「オブリビオンを転生させるためにここに来たのに…、なんで追いかけっこする事になったんだろう」

 桜井・乃愛(桜花剣舞・f23024)は困惑しながらもモーラット達を捕まえる為に行動を開始した。こうしてモーラットと一括りで言っても、素早く空中を滑空する者、ふわふわと、とにかく上へ上へと逃げようとする者、などなど…色々な個性の者達がいるようだ。

 乃愛は廃墟内の様子を冷静に観察する。野良モーラット達はそれなりの数がいるから、猟兵がある程度分散しつつ捕まえるのが良さそうだ。

(じゃあ、私は…。捕まえるのに手古摺りそうな、隠れている個体を捕まえる事にしようかな)

 モーラット達が隠れていそうな場所を探し始めた乃愛。そんな様子を先程猟兵達に挑戦状を叩きつけた個体が真剣な表情で観察していたのだった。


「モーラットって、結構小さいし…。私達じゃ入れなさそうな狭い隙間とかも隠れられそうだから注意しないとね。ん~…暗がりとかも隠れやすいのかな」

 暗視機能付きの双眼鏡で、暗がりの狭い隙間を見て回る乃愛。足音を立てないよう忍び足で歩を進める乃愛の耳元に、風に乗ってひそひそと話す声が聞こえてきた。じっと耳を澄まし、会話に耳を傾ける乃愛。

「かくれんぼだ、かくれんぼ!」

「し~っ、見つかっちゃうよ。見つかっちゃったら、何されるかわからないじゃない」

 どうやら隠れているのは二体のモーラットのようだ。話している口調からするとまだ幼い個体なのだろうか?一方はこの状況を楽しんでいるようだが、もう一方は掴まってしまった後の事を考えてかなりビクビクしているようだ。

(こういう展開にはなっちゃったけど、極力怪我はさせたくないしね…。よし!)

 乃愛は黒い桜吹雪のマントを纏い、声のする方へと静かに近寄っていくのであった。


(確か、この辺りよね…声がしたのは)

 乃愛はモーラットが隠れられそうな小さな空間を発見した。そして…。

「わっ!」

 唐突にモーラットが隠れている空間に顔を入れ、相手を驚かせた。

「うわっ!見つかった!」

「えっ、ひゃぁぁ…」

 元気の良い方の個体は慌ててその場を逃げようと試みたが、もう一方は驚かされたせいで腰が抜けてしまったのだろうか。硬直してその場を動かない。硬直している方の個体をそっと捕まえた乃愛は、もう一方の手でUCを発動させる。

「目一杯手加減しつつ…。『心を砕く桜の嵐』!」

 逃げようと試みた個体を桜吹雪が襲い掛かる。

「うわっ、なんだこれ!あ、あれ…体が…」

 桜吹雪に巻き込まれた個体が、力なくぽてりと落下してくる。乃愛が慌てて駆け寄り、地面へと落下する前にその個体をキャッチした。軽くマヒさせただけだから、体に異常はないはずだ。

「あ、ありがとうお姉ちゃん」

「ううん、怖い思いさせてごめんね」

「俺は楽しかったよ!でも掴まっちゃったな~」

 どうやら逃げ出そうとしていた個体の方は、かくれんぼの延長戦上で逃げようと思っていただけのようだ。乃愛が謝る姿に、気にしないで!という感じで応えた。
 だが、もう一方は…。

「ね、ねえお姉ちゃん…。私達、どうなっちゃうの?」

 硬直していた方の個体は、この後自分達がどういう扱いを受けるのか、不安で仕方ないようだ。そんな雰囲気のモーラットを安心させるように乃愛は笑顔で語りかけた。

「大丈夫、私達は貴方達に危害を加える為にここに来たんじゃないの」

「そうなの?」

「うん。今も驚かせちゃったけど、怪我はさせてないよね?」

「う、うん…」

「じゃあ、他の皆が掴まるまでの間、お姉ちゃんと一緒にお話しようか?」

 もともと人と話をするのが好きな乃愛。他の猟兵達を待つ間、二体のモーラット達と会話を楽しむのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

無明・柘榴(サポート)
 強化人間のレトロウィザード×魔弾術士、16歳のレディさ。

ワタシはか弱い乙女だからね。後方からの支援を得意としてるよ。
基本的には狙撃と錬金術の組み合わせで盤面を操るように立ち回るのが得意だねぇ。
回復、強化に弱化、足止め、爆撃なんでもござれさ!
まぁ近接戦闘をお望みならある程度はしてあげるけど期待はしては行けないよ?

※アドリブ共闘歓迎です!



 廃墟内を駆けまわる猟兵達の様子を、真剣な表情で観察する一匹のモーラット。そのモーラットの視線がぴたりと止まる。その先には、モーラット捕獲に加わらず先程から何やら床や壁を確認してまわっている一人の猟兵がいた。

「お前は、我々の捕縛に参加しないのか?先程から何をしている」

「ワタシには調べ物があるんだよねぇ。そっちが終わってからさ。…そういうキミこそ、逃げなくていいのかい?」

 モーラットから声を掛けられた無明・柘榴(深淵の錬金銃士・f36048)は、相手の方も見ずそっけない返事した。

「お前達の行動を観察する必要があったからな。お前達が本当に信頼に足る存在なのか、どうか…。これでもこの群れのリーダーだからな」

「ふ~ん、あの諏訪って男とワタシ達、どっちを信じるべきか秤に掛けてるってわけだねぇ…」

 モーラットとのやり取りの最中も止まる事無く動いていた柘榴の手が、ぴたりと止まる。そしてしばらく考え込んだ後、険しい表情を浮かべ通信機で他の猟兵達へ連絡を取った。

「やっぱりこの建物を覆うように儀式的な魔術が施されているねぇ。何が起こるかわからないから、モーラットを捕縛する際はくれぐれも気を付けてくれ。怪我はさせない方がいいだろうねぇ」

「儀式?どういう事だ?」

「盗み聞ぎとは感心しないねぇ。まぁ、魔法使いの端くれだからねぇ、こういう術式についての知識があったのさ。さて、流石にそろそろワタシも捕縛に参加しないとねぇ」

「詳しく聞かせろ?何が起こっている」

「まずはやるべき事をやってからさ。…キミがこの場で捕縛されてくれるかい?そうすればワタシも役目は果たせるのだけどねぇ」

「それでは示しがつかない。こちらも精一杯抵抗はさせてもらうぞ」

 こうして、柘榴とモーラットのリーダーの攻防が開始された。


(数十分経過し)

「ぜぇぜぇ…、意外と…すばしっこい…ねぇ、キミ」

「そういうそちらは、もう息があがっているのか。そんなものか?」

「そうは…言うがね…。ワタシは元々…遠距離からの支援が…得意…なんだよ。こうして…走り回るのは…畑違いさ」

 思っていたよりも素早い身のこなしのモーラットリーダー、それに付き合う形で柘榴は追いかけまわしたが…捕まえる事叶わず。既に柘榴は息が上がっていた。

「まったく、か弱い乙女を…なんだと思ってるんだい。あぁ、もう追いかけっこはやめだ、やめだ!こっちはこっちのやり方でやらせてもらうさ」

「ほぅ、まだ諦めないと?」

「勿論さ。さぁ、ここからはこっちも『空中戦』だよ」

 柘榴が『魔法の箒』に跨った。そして取り出したるは機関銃。

「お、おい。そんな物騒なものを持ちだすのか!」

「別に当てるつもりはないさ。こう…するのさ!」

 柘榴がUCを付与した弾丸をばら撒く!その弾丸はモーラットの背後にある壁へと着弾し、その形状を変える。

「なっ!?動ける場所が!」

「動き回るスペースを減らしてやれば。ワタシでも十分に勝ち目はあるのさ」

 柘榴の撃った弾丸が作り出したバリケードに、身動きを封じられたモーラットリーダー。そこへ悠々と浮遊しながら近付いた柘榴が、今度こそモーラットの捕獲に成功する。

「さて、これでワタシの勝ちだね。キミも観念したまえ」

「あぁ…こっちの負けだ。…、先程話していた事について、詳しく聞かせてくれないか?内容次第では仲間達を説得する事も検討するつもりだ」

「…まぁ、全部掴まるまで、しばらく掛かりそうだからねぇ。掻い摘んで説明してあげるよ。詳しい話は他の猟兵にでも聞いておくれ」

 魔法の箒に乗りつつ、柘榴は膝に抱えたモーラットにここに至った経緯を説明するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

燈夜・偽葉(サポート)
★これはお任せプレイングです★
『ぶった斬ってあげます!』
妖狐の剣豪 × スカイダンサー
年齢 13歳 女
外見 黄昏色の瞳 白い髪
特徴 長髪 とんでもない甘党 柔和な表情 いつも笑顔 胸が大きい
口調 元気な少女妖狐(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)

性格:
天真爛漫年下系ムードメーカー(あざとい)

武器:
刀9本
黄昏の太刀(サムライブレイド)を手に持ち
場合によっては念動力で残り8本を同時に操る

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います

敵の動きは見切りや第六感を生かして回避
避けられなければ武器受けで対処します

多彩な技能を持っていて、問題に対していい感じで組み合わせて対処します


コノハ・ライゼ(サポート)
UCの使用/不使用お任せ。

態度口調、一人称までも気分次第、嘘吐きで気紛れなお調子者。
オブリビオンは喰らうもの、猟兵業は餌場で狩場。悪食で酒好き。
楽しい事と人の笑顔が好きで戦闘中も飄々と笑みを絶やさない。
バルの店主。

※妖孤だが耳尻尾は晒さない

・以下PC口調
未知のコトには興味津々、大体の事は楽しめるし悪戯も大好きネ。
魔道系には鼻が利く方、推察は得意ヨ。ケド推理は苦手、悪巧みなら大得意ナンだけどねぇ。
愛想イイと思うし人に話聞くのも得意ダケド地道な作業は嫌いだわ。
「子供は幸せに」が信条なの。子供には優しくするケド、汚い大人には遠慮しねぇヨ。
あと料理は職にしてる位得意、使える場面では積極的に使ってくネ。



「これは…何かの…骨?」

 隠れているモーラット達を捜索するつもりであちらこちらを探し回っていた燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)が思わず表情を曇らせる。普段は元気な妖狐の少女だが「ここであったかもしれない」と予めグリモア猟兵から聞かされていた内容を思い出し、当たって欲しくはない予想が頭を過ったのだ。

「先程、他の猟兵からの通信にもあったけど…。この建物全体に施されている儀式魔術の犠牲者かもしれないねぇ。よくよく調べてみると、魔術が一度発動した痕跡もあったからネ」

 同じくモーラット達を捜索していたコノハ・ライゼ(空々・f03130)が告げた事実は、既に一度、犠牲者が出ているという真実を告げていた。

「この事…モーラットさん達は知っているんでしょうか?」

「知らないと思うネ。もし知っていたならばここがいかに好待遇で住める場所だとしても、流石に居ついていたりはしないだろうしねぇ」

「確か、モーラットのリーダーさん捕まった、って言ってましたね。通信機越しだけど聞いてみましょう」

 偽葉は先程流れてきた情報で、モーラットのリーダーが既に捕獲されている事を把握していた。今なら、こちらの情報を通信機越しに伝える事も出来るだろう。今二人が得た情報を通信機で皆へ伝える偽葉。すると通信機の向こう側からモーラットのリーダーらしき者の声が応答してきた。

「骨が見つかったというのは本当なのか?…やはり、ここには以前に何かが住んでいたのだな」

「リーダーちゃんはその事を知っていたのかい?」

 ライゼの質問に、若干の間をおいて応えるリーダー。

「…いや、明確に把握していたわけではない。諏訪にここに連れて来られた時、無人の廃墟だったが…。最近まで何かが住んでいた痕跡があちこちにあったんだ。俺が一番最初に連れて来られたから気が付いた事だったから、後から連れて来られた他の奴らはその辺りを把握はしていないだろう」

「じゃあ、なんでさっきこんなゲームをやろう、と言い出したです?その段階で『危ないからすぐにここを逃げ出そう』という事をリーダーさんが言っていれば、こんな事にはならなかったんじゃないですか?」

「…そうは言うがな、今の所俺達が実害を被っているわけじゃない。若い奴らには諏訪は『ただの好待遇でここに住まわせてくれているいい奴』でしかないのさ。それを俺が何の抵抗もなくあっさりとお前達の話に同意してしまえば…」

「なるほどネ、リーダーちゃんの意見に反対して強硬手段に出たり…より面倒な事になったかもしれないわけだねぇ」

「…そういう事だ。ここに来るまでの間に、色々と辛い目にあった者達もいる。この天国のような居心地の良い場所を離れたくない一心で暴れる者も出る可能性があった。それに、実際に接してみてお前達がどんな存在なのか、自分達に危害を加えようとする存在なのかを身をもって知る機会になるだろう、とも考えたんだ」

「…そういう事なら…仕方なかった…のかもしれないですね」

「じゃあ、後は残った子達を捕まえるだけネ。リーダーちゃん達の大立ち回りが影響したのか、すっかり皆身を潜めてしまっているからねぇ」

「それは…すまなかったな。だが、そのおかげでこうしてお前達から貴重な情報を聞く時間も作る事が出来たのだが…」


 一旦通信を切り、偽葉とライゼは考え込んだ。あまりにこの『ゲーム』に時間を掛けすぎるのも得策ではないだろう。モーラット達を全て捕縛する前に諏訪がこの場へと来てしまえば…、強制的に儀式を発動させたり面倒な事になる可能性も0ではない。しかし、ジッと身を潜めているモーラット達をどう見つけ出し捕まえるか…。

「…ここは、自分達から出てきてもらうように仕向けてみるのもいいかもしれないネ」

 ふと何かを思いついた表情でライゼが呟く。

「何か良い手があるんですか?それなら、私も協力させてください!」

「じゃあ、共闘するとしようかねぇ。作戦はこうだよ」

 ライゼから作戦を伝えられた偽葉は頷くと、静かにその場を動き出す。偽葉とライゼの作戦とは一体?


「…静かになっちゃったね。もう皆捕まっちゃったのかな?」

「僕達が捕まらなければあいつらの勝ちはないよ。大丈夫!」

「でも…、リーダーも捕まっちゃったのよね?私達、乗り切れるのかな?」

 暗がりの狭い空間に、身を寄せ合って複数のモーラット達が隠れていた。先程リーダーの叫び声がして騒々しい音がしていたが…。今はその音も鳴りやみ、静寂が辺りを包み込んでいる。

「大丈夫さ!…っ!?足音が聞こえた!」

「えっ!?」

「しっ~。見つかっちゃう」

 コツンコツン、と静寂の中を何者かが歩く音が響いてきた。浮遊して移動出来る自分達モーラットならこんな音はさせない。間違いなくこの場に侵入してきた連中の足音だ。
 だが、その音が不意に近くで止まる。こちらを探しているのだろうか?

 しばらく息を押し殺して身を潜めていたモーラット達。すると、足音が徐々に遠くなっていく。どうやら諦めてくれたみたいだ。

「よかったぁ、見つからなかったみたい」

「でも、ここは怪しいと勘繰られてるかもしれない。今のうちに移動しよう」

「そうだね、そ~っと、そ~っと」

 モーラット達はそろそろと空間より抜け出し、移動を開始しようと準備を始める…。そこへ。

「モーラットちゃん達、この後どこに隠れるつもりなのかねぇ」

「?!誰っ!?どこっ!?」

 突然自分達に掛けられた声に目を見開き、周囲を警戒するモーラット達。
 だが、周囲に人影は一切ない。それに、先程この場から離れていく足音がしたではないか。ここに誰かがいるなんて…。

「君達の目の前にいるじゃないか」

「っ!?お、お化けだぁぁっ!?」

 何もない空間から声が掛かっている事に気が付いたモーラット達は大混乱。腰を抜かす者もいれば、我先にと逃走を試みようとする者もいる。

「は~い、かくれんぼは終わりですよ?捕まえた」

 逃げた先に立っていた妖狐の少女が、逃走を図ろうとしたモーラットを素早く抱きかかえる。

「えっ!?もう一人いたの?」

 突然の事にパニックを起こしているモーラットを落ち着けながら、偽葉はライゼへと声を掛ける。

「こっちは終わりました~」

「無事に『どっきり大作戦』成功したみたいだねぇ」

 UCで透明となり身を潜めていたライゼがUCを解除し、その姿を現した。その表情は悪戯が成功して少々嬉しそうだ。先程モーラット達に声を掛けたのは、姿を消したライゼであったのだ。偽葉の周囲にもいつの間に召喚したのか管狐達が追従している。

「わぁ、可愛い…」

 パニックを起こしていたモーラットの内の一体が、その管狐達に目を奪われている。

「管狐達と遊んでみる?」

「え?いいの?」

 戦闘力の無い管狐達だが今は戦闘ではないし、そもそもモーラット達を傷つけたくはない現状では、モーラット達と交流させて信頼を得る意味ではかえって好都合である。

「じゃあ、この子達の事はそちらに頼むネ。こっちは、ちょっと儀式魔術の発動妨害の細工を試みてみるヨ」

 他の魔術に心得のある猟兵達にも声を掛け、一手講じてみるのもありかもしれない、とライゼは通信機へと連絡を入れるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『スワンプマン』

POW   :    抗体覚醒
【生命根絶の使命】に覚醒して【光と闇を放つ異形】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    スワンプマンは誰だ?
自身の【血液】を代償に、1〜12体の【スワンプマン】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    ゾンビボール
全身を【人間に擬態していた弱いスワンプマンの群れ】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:クラコ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「…つまり、諏訪はそのオブリビオンとかいう存在、で…。俺達は諏訪が行おうとしている儀式の為にここに集められたって事か。なんて事だ…」

 猟兵達から諏訪の正体、そして彼が行おうとしていた事を聴かされて、動揺が隠し切れないモーラット達。生きる場所を失い彷徨っている所を諏訪が手を差し伸べてくれた…、良い人だと思っていたのに…。ショックのあまり放心状態になってしまう者もいた。だが、ここに長居は無用だろう。急ぎこの場を離れる必要があるのだ。
 残念ながら、生存者は居なさそうだ。以前に儀式が行われた際に犠牲となったのだろう。これ以上被害を出させないためにも一刻もこの場を…。

「おや?どこへ行くつもりなんだい?」

 廃墟の入り口から聞きなれた声が掛けられた。

「諏訪…、俺達を騙していたのか!」

「ふむ、ご不満だったのかな?ここの住み心地は快適なように整えておいたつもりなのだけれど…。おや、君達は…」

 そこでやっと諏訪もモーラット達と共に居る者達に気が付いたようだ。

「同好会の新入りの皆さんじゃないですか。どうしてここに?」

 あなたの企てを阻止する為、と猟兵が応えるとゾッとするような声で諏訪は言葉を紡いだ。それは普段の気さくな感じの彼を知っている者からすると、まるで別人のようで…。

「そうか、俺の正体を知っていたんですか。…なら、もう素の私を出しても良さそうだ。しかし…、私の計画実行まであと少しという所で邪魔をしてくるとは…」

 忌々し気な表情でこちらを睨みつけて来る諏訪、いやオブリビオン。

「ならば、覚悟してもらおう。私はスワンプマン、人とは根源から異なる存在。ここでモーラット共々君達を始末し、私の血肉としてあげよう」

 オブリビオンとしての本性を現した諏訪。その雰囲気に飲まれ、幼いモーラット達はガタガタと震え立ち竦んでしまう。これでは、この場からモーラット達を脱出させる事も厳しいかもしれない。止むをえまい、このスワンプマンを倒すまで彼らを守りつつ戦う事になりそうだ。

「若い奴らは幼子を守るように構えろ!万一に備えるんだ。あいつは俺達を生かして帰すつもりはないらしい。俺達も覚悟を決めるぞ!」

 モーラットのリーダーの号令に若手の者達が行動を開始する。震える幼子達を守るように身構え、警戒する。

「お前達、俺達が出来るのは精々あいつの気を引く事くらいだが…。俺達も精一杯抵抗させてもらうぜ」

 リーダーも覚悟を決めたようだ。猟兵達に助力する事を宣言する。諏訪はモーラット達をここへ集めていたという事は、彼の好みにモーラットという存在は合致していたのだろう。無理はさせられないが、一瞬の注意を引く事くらいは頼めるかもしれない。

 誰一人欠ける事なくこの場を脱出する為、猟兵達とモーラット達は力を合わせスワンプマンに立ち向かうのであった!
深影・アシッドドロップ(サポート)
 貴種ヴァンパイアの霊媒士×妖剣士、12歳の女です。
 普段の口調は「とても冷めてる(わし、呼び捨て、言い捨て)
家族には 冷たい(わし、貴様、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ルドラ・ヴォルテクス(サポート)
それは亡霊。
オブリビオンを狩りに現れ、狩が終わると忽然と姿を消してしまい、捉える事はできない。
もう肉体的な終焉は迎えた筈だが、その意志が、平穏な世界を破壊する者に終わりを告げに再臨させているのだと言う。

戦闘は嵐のように激しく、されど、無言のまま、生前のものと思しき武器やUCが振るわれる。

復興の妨げになるものがあると、力を振るい障害を破壊するが、たちまちの内に砂塵の向こうに消え、言葉を発する事はない。

主な武器は生前所持していた武器類、ユーベルコードは制限なく使用可能。

※ 他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。



「諏訪よ、観念して骸の海へ還るがいい」

 深影・アシッドドロップ(影に立つ狂信者・f36021)が、紅光を手にスワンプマンへと切り掛かる。小柄な深影は、その素早さを活かした先制攻撃を仕掛けるが…。

「ふっ、軽いですね。確かに君は素早いようですが、パワーはこちらの方が上ですよ」

 深影の一撃を、手に持った刀で軽々と受け止めるスワンプマン。体格差もあるが…それだけではない。

(これがリリス化による恩恵というわけか。奴の放つ一撃一撃が重い…。ならば…)

 刀から素早く対の短剣へと切り替えた深影は、素早さと手数で勝負に出た。怒涛のラッシュを浴びせる深影に、流石の敵も堪らず防戦一方となる。

「君はなかなかに面倒な相手のようですね。ならば、これならどうでしょう?」

 突然手首を切ったスワンプマン。滴り落ちる血液が次々と人の形を生み出していく。その数は5体。

「今の私ではこれが限度ですかね。残念です、今回行う予定だったサバトの後であれば、最大人数の召喚も可能だったのですがね」

 スワンプマンと見分けがつかないレベルの分身体が5体!これでは1対6の戦いだ。分身体の内の一体が切り掛かって来た所を何とか対の短剣で切り払い、深影は難を逃れる事に成功する。

「本体までの力はないようだが、それでもこのパワーか…。まずいな、これは」

 先程までこちらが優勢の戦いが出来たのは、ひとえに1対1の戦いだったからだ。相手の動きを上回る素早さと手数で深影が圧倒すれば、敵のパワー押しの攻撃へも対処は出来た。だが…これでは…。

 深影は一旦、6体のスワンプマンから距離を取る事にした。戦いは仕切り直しになるが、致し方あるまい。距離を取りながら深影は頭の中で作戦を練り直す。

(奴は分身体を血で召喚した。という事は、分身体は血で出来ている可能性があるか…。ならば、その血を吸い尽くしてやれば…)

 敵は自身の血によって分身体を作り出した。まずはこの分身体を処理しきれれば相手の戦力ダウンは狙えるだろう。ならば、貴種ヴァンパイアである深影の本領発揮の時である。

「ふっ、作戦を練る暇など与えるか!一気に畳みかけてくれる!」

 間合いを取った深影に追い打ちをかけるようにスワンプマン6体が迫りくる!その集団のど真ん中へ不意に深影はUCを放った!

「なにっ!コウモリだと?」

 慌てて敵はコウモリの群れから逃れようと分散する。だが、その内の一体が逃げ遅れ、コウモリの群れの餌食となった。

「…まずは一体」

 吸血コウモリに血を吸いつくされた分身体が崩れ落ち、姿を消した。不意を突いた一撃で何とか一体を倒す事が出来たが…、同じ手は通用しないであろう。

「暗闇ならば纏めて倒せるやもしれぬが…」

 その深影の呟きに反応した者がいた。

「なら、俺があいつらを引き付けてみるよ!」

 勇気を振り絞り敵集団の前に躍り出たのは、一体の若手のモーラット。

「馬鹿者!何をしておる、さっさと逃げるのだ」

「俺達だって出来る事をしたいんだ、だからっ!」

 モーラットに釣られ、スワンプマン達がふらふらと廃墟の暗がりの方へと移動し始める。

「やむを得ん。ならばこの好機に敵を纏めて仕留めてくれる。食らうがいい」

 リリス化による影響で、自分達から逃げるモーラットにしか注意の行き届かなくなってしまったスワンプマンの群れ。その横っ面を深影の吸血コウモリの大軍が襲い掛かる!

「これで…さらに2体。っ!まずい、追いつかれるぞ!」

 流石に全てのスワンプマンを倒しきれない!残ったスワンプマンがモーラットへと迫る!そして…。


「?!…何者だ奴は…。いつの間に」

 深影は暗がりの中からモーラットを抱え飛び出して来た一人の男に、驚きを隠せずにいた。

 いつの間にその場にいたのであろう。長身の男がモーラットを抱え、スワンプマンの追撃を振り切り暗がりから飛び出して来たのだ。
 その男の名は、ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)。いや、正確には『かつてルドラ・ヴォルテクスと呼ばれていた者の亡霊』なのだろう。ルドラには既に肉体が存在せず、電脳霊化した存在として時折戦場へ姿を現していた。平穏な世界を脅かす破壊者を葬り去る…、その彼の意思が…こうして今また、この場へと顕現したのであろう。
 ルドラは抱えていたモーラットを深影へと追いやる。後は任せておけ、というように。

「馬鹿者が、命を粗末にするではない。…だが、助かったぞ。今はわしの後ろにでも隠れておれ」

 逃げ延びてきたモーラットを回収した深影が、ルドラを見やる。この突然現れた存在は敵ではないようだ。その証拠にスワンプマンと交戦を開始したのだ。

「くっ、君は一体何者だ!私の所有物を奪うとは…許さん!」

 モーラットを奪われる形となったスワンプマンが激昂し、ルドラへと一斉に切り掛かる。6体だったスワンプマンも本体を含め3体まで減っているが…、その戦力は未だ脅威だ。だが、それにも臆する事無く相対するルドラ。

「馬鹿め、こちらは3体だぞ!君に勝ち目はない」

 3体のスワンプマンが各々手に持った刀や短刀が…ルドラに深々と突き刺さる。

「これで後は後ろの女を片付ければ…な、なんだと?!」

 自分達でトドメを刺したと思った男が、何事もなかったようにこちらへと切り掛かって来る。動揺し対応が遅れた分身体の一体が、ルドラの持ったビーム斧によって首を刎ねられた。
 慌てて反撃した2体のスワンプマンが、今度こそトドメを刺した…はずだったが。

「君は…なんなのだ!傷をつけた矢先に回復しているだと?」

 体に付けられた傷が、一瞬にして回復している。ルドラのUCによる超高速修復だ。そして高速なのは回復だけではない。

「くっ、刀が突き刺さったまま…抜けない!」

 残った最後の分身体はルドラに突き刺さった刀が抜けず、一瞬だけ身動きを封じられた。その一瞬の隙を突き、ルドラの手に装着された爪牙が唸りを上げ敵の心臓に深々と突き刺さり…。最後の分身体もその場で死を迎えたのであった。
 ルドラはそれでも手を止めず、風を纏う剣で上段から切り伏せ圧殺した。

 ルドラの一撃を回避し距離を取ったスワンプマンの本体。この突然の介入者によって、数的有利があっという間に覆されてしまった事に驚きを隠せずにいた。
 そして件のルドラは…というと…。

「…あとは任せた、という事か。登場も唐突だったが、去る時も唐突であったな」

 深影の呟きの通り、役目を終えたというかのようにルドラはその姿を消してしまった。

 ひとまず深影とモーラットに迫っていた危機は回避出来、敵を消耗させることに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陽殿蘇・燐(サポート)
バーチャルキャラクターの寵姫×国民的スタア?いいえ、これでも(元)ラスボスな悪女NPCよ。
基本は高性能スマホを利用して、配信しつつの行動になるわね。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用するし、多少の怪我は厭わず積極的に行動するの。これでもバーチャルキャラクターだもの。
悪女たるもの、その行為は健全な世界あってこそなのよ。だから他の猟兵に迷惑をかける行為はないわ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしない。配信垢BANされちゃう。
あとはおまかせ。よきに計らいなさい(思い出した悪女ムーブ)


キマフュ出身なので、トンチキでも適応していきます。


ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
 人間のマジックナイト×電脳魔術士、女の子です。
 普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「強力な分身体が消滅した今、好機とみて良さそうですわね」

 ルーンソードを手に、スワンプマンへと切り掛かるローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)。

「さぁ、楽しませて下さいますわよね」

「ふっ、分身体を倒した事は褒めてあげましょう。ですが、私にはまだまだ手が残っているのですよ。それに…」

 ローズの一撃を手に持った刀で受け止め、二人は鍔迫り合いとなる。が、それも一瞬の事。敵はローズのルーンソードを切り払うと追撃の一撃を放ってくる。その一撃を食らうのはまずいと瞬時に判断したローズは、敵の一撃を紙一重で回避する!
 ローズの直感は当たっていた。敵の一撃は深々と地面を抉る、とてつもない攻撃であった。

「分身体がいなくとも、この私の力が君達に劣るとは思わない事です」

「くっ…、あなたの方が純粋な力勝負では、まだ上のようですわね」

 だが、ローズはマジックナイトである。たとえ力では負けていても、魔法と剣技を合わせれば勝機は見出せるはずである。

 そこへ…廃墟の入り口の方から声が掛かる。

「会長、遅くなりました。集合するのに少々手間取りまして」

 間合いを取った状態から、一瞬だけ視線を入り口の方へ走らせるローズ。

「…同好会のメンバーや、聞き込みの際に顔を合わせたメンバーが混じっているようね」

 陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)が、廃墟の暗がりより姿を現す。燐は仕込みを終えて戦線に合流するつもりでいたが、不意の乱入者達に一瞬目を見開く。

 今、このような場所へ一般人が!ローズは彼らを守る為に行動を開始しようとするが、それに燐が待ったをかける。

「…なるほど。『あの方々』も諏訪様、あなたのお仲間という事かしら?」

 燐は元悪女という立場故に、乱入者達の変化に気が付いていた。彼らは本性をひた隠し猟兵達に接していたが…、今はもうその必要もないという事だろう。

「な…、あれだけの数が人の中に紛れ込んでいたというのですか」

 乱入者達の人数は数人の事ではない。その数に思わずゾッとしたローズ。

「私達は来る時の為に人間の中に紛れ、溶け込み、機会を窺っているのですよ。まぁ、彼らはまだまだ私に比べれば、サバトを行う前の大した力を持たぬ者達ですが…」

 徒党を組んだ乱入者達が、諏訪の元へと合流しようと疾走する。

「させないわよ?」

 燐が炎属性を纏わせた蝶を放ち乱入者達を迎撃する。ローズも応戦しようとするが、諏訪をフリーにするわけにもいかない。ここは燐に乱入者達の事は任せるしかない。

「ふふふ…この数を相手に対処を試みようとするのは大したものですが…。やはり多勢に無勢のようですね」

 燐が必死に乱入者達を迎撃するが、あまりにも数が多すぎる。
 予想以上に素早い乱入者達にその場を突破され、まんまと諏訪に合流されてしまう。

「さて、遅れてきた分、君達には私の役に立ってもらいますよ?」

 諏訪の号令に、乱入者達が次々と諏訪と一体化をし始める。見る見るうちに…スワンプマンの群れは一つとなり、球状の存在へと姿を変えた。

「大きくなった分、狙いやすくなったわね」

「ええ、火力を集中いたしましょう!」

 燐の蝶々とローズの精霊銃がその球状へと攻撃を仕掛けるが…。

「びくともしない?それだけじゃないわね…、回復しているの?」

 二人の猟兵の攻撃を受けて、敵は傷を回復しているようだ。この状況では攻撃するだけ相手を回復させてしまうだけになるだろう。

「ふふ…回復だけではありませんよ。君達の攻撃を受ける事で私はさらなる強化を得るのです!このように!」

 球状となったスワンプマンが二人に向けて、襲い掛かって来る。巨大な球状となった相手は動きこそ単純だが、その重量に押し潰されれば猟兵とてただでは済まなさそうだ。

 なんとか相手の攻撃を回避した燐とローズ。だが、こちらの攻撃が効かない上に強化されてしまう状況ではいずれ…。

「ここは大技を叩き込んで、何とかしたい所ですわね。ですが、あの攻撃を仕掛けるには少し時間が掛かりますし…」

「それならば、私の方でその時間は稼ぐわね。こちらの仕込みは既に済んでいるから」

「感謝いたしますわ。少々制御に難がある攻撃ですので…」

 ローズが瞳を閉じ、全神経を集中し始める。その前に立ち、球状となった敵へ向き直る燐は揚羽擬蛾を召喚し、高らかに宣言する。

「この攻撃は、穢れに満ちた貴方達にはかなり有効でしょうね。『炎術:大炎蝶』!」

「くっ、この力は?!」

 球状となった敵を大質量の蝶型炎が包み込んだ!
 穢れと呪詛を燃やし尽くす燐のUCが、諏訪と呼ばれていた存在を包み込んでいたスワンプマンの群れを焼き払っていく。
 取り巻きのスワンプマン達が受けたダメージを自身の回復と強化に転化する呪詛は、その効果を失い…。球状となった取り巻きのスワンプマン達がボロボロと崩れ始める。

 だが、流石に全ての取り巻き達を消滅させられたわけではなかった。消滅したスワンプマン達の穴を埋めるように、球状がみるみる小さくなっていく。大きさこそ小さくなるが、このままでは再び球状となってしまう!

 だが、その状況を打開する一手が舞い込んできた!

「ここは、任せろ~!」

 今までスワンプマンの攻撃に隠れていたモーラット達の数体が、スワンプマン達の前に一瞬躍り出る。そのモーラット達に気を取られたのは諏訪だった個体。取り巻き達が自分を包み込もうと行動するのを無視し、モーラットの群れに向けて駆け抜ける!

「本能に釣られたわね。ナイスアシストよ?」

 単独で特攻してきたスワンプマンを、一瞬ではあるが超重力を伴った燐の紅紋揚羽が足止めに成功する。そして…。

「…お待たせしましたわね。『万象招く凛彩の薔薇』!」

 廃墟に突然出現した光の竜巻。それはローズが作り出したUCによるものだ。その竜巻は諏訪を、そして取り巻き達を飲み込んでいく!

「…今のうちにモーラット達は下がりなさい。その場にいては巻き込んでしまいますわよ?」

「お、おぅ…。皆、下がるぞ~!」

 わらわらとローズの竜巻の傍から撤退するモーラット達。
 しばらくすると竜巻は徐々に勢いを無くしていき、姿を消した。竜巻によって廃墟の天井一部が吹き飛んだが、その場にいるモーラット達には被害はなかったようだ。


「…この一撃で決着がついてくれればいいのですが…」

「…やはり、そうもいかないみたいね」

 後から合流した者達は今の燐とローズの一撃で全て消滅したようだ。だが…、まだ諏訪だった者は生きていた。

「まさか、この私の回復をも上回る攻撃を放ってくるとは…」

 分身体、そし手取り巻き達を打倒した猟兵達。まだ敵は健在ではあるがかなり戦力を削ぐ事が出来ただろう。敵にもはや増援は見込めない。

 燐とローズは油断なく武器を構える。スワンプマンとの戦いもいよいよ佳境を迎えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。

亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」

動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。

また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。

なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。

依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。



「分身体も援軍も尽きた貴殿に、もはや勝機はないだろう」

 厳・範(老當益壮・f32809)は槍を構え、スワンプマンに向き合う。

「まさか、ここまで私を追い詰めるとは…。やむを得ませんか、君達には奥の手を使うとしましょう」

「ほぉ、まだわしらと戦うつもりか」

 範の言葉を意に介さぬ様子で、スワンプマンは不敵に笑う。その様子に、範も敵の動きへ全神経を集中させる。猟兵達とのこれまでの戦いである程度消耗している筈の相手に、打てる手とは一体…。

「正直、この姿になると寿命が縮むのでね、使いたくはなかったんですよ。ですが…、ここで君達を血祭りに上げ…、その血肉でサバトを行えばお釣りが来る事でしょうからね」

 そういうとスワンプマンは光と闇を纏った異形の姿へと変貌する。

「ほぅ、それが貴殿の奥の手か!武人として全力でお相手するとしよう!」

「ふっ、余裕でいられるのはここまでですっ!」

 スワンプマンが恐るべき速度で範に肉薄する!範の獲物は槍、それに対して相手は刀であり…本来ならば武器の射程では範に分があるはずだ。だがっ!

「ぬっ、速い!」

 範が槍を振るうよりも速く、敵は範の懐まで接近すると斬撃を繰り出して来た!範はかろうじて槍の柄で防御するも、その一撃の重さに手の感覚が無くなる。

(なんという…速く、重い一撃だ。これほどまでとは!)

 範は比較的大柄な猟兵の部類に入るだろう。その範より小柄なはずの相手に、力で圧倒されているのだ。とはいえ、範も幾多の戦いを経験してきた猛者だ。致命傷になりそうな一撃は紙一重で避け、なんとか敵の攻撃に対処していく。

「ほぉ、この私の攻撃に対応してきますか。ですが、反撃の機会など与えませんよ!」

「くっ、防戦で手一杯とは…。これはまずい」

 相手は寿命を削っての攻撃故、時間さえ稼げればこちらの勝ちともいえるが…。ここまで圧倒され、反撃する隙もないようでは…そこまでもたない可能性が高い。


「…どうやら、出番のようだな!」

 突然、範を庇うように目の前に飛び出したのは一体のモーラットであった。

「貴殿は…、モーラットのリーダー殿か!危険だ、相手の攻撃に曝されれば…」

「奥の手は…こっちにもあるのさ。今こそ、見せてやる!お前は少し離れていてくれ!」

 範にさらなる攻撃を仕掛けようとした矢先に、突然目の前に飛び出して来たモーラットに、思わず視線が釘付けになるスワンプマン。その顔面に向けて…、モーラットリーダーが電気を放つ!

(ぬっ!?あれは…不完全ではあるがモラスパークか?!)

 そう、モーラットリーダーが放った一撃は、猟兵となったモーラット達が使うモラスパークに似た攻撃であったのだ!超近距離で放たれたその一撃にスワンプマンは見事に巻き込まれてしまう。

「な、なんだこれは…。か、体が痺れて…」

「!?これは好機!ならば、この一撃で!」

 作り出された一瞬の隙、その一瞬に範は力を解放する!黒麒麟へと姿を変化させた範は、高々と嘶く!その鳴き声は音波となり身動きの取れなくなっているスワンプマンへと降り注ぎ…一気にその体を燃やし始めた!

「ぐ、ぐあぁぁぁっ!か、体が、私の体がぁぁっ!」

 一瞬の麻痺状態から解除されたスワンプマンは、必死に体に纏わりつくように燃える炎を振り払おうと必死に足搔く。

(無駄だ、その炎は直ぐには消えはせん!これはおまけだ!)

 漢気あふれるモーラットリーダーに触発された範は、その想いに応えるように敵へと黒麒麟状態のまま特攻する!そして炎を振り払おうと足搔く敵へ、強烈な蹄での蹴りを叩き込むのであった!

成功 🔵​🔵​🔴​

キャロライン・メイ(サポート)
ダークセイヴァーの貧民街の生まれ。生きるため、悪事に手を染めてきた。ある日商人から一振りの剣を盗み出す。剣は呪われており、その邪悪な魔力によって、呪われし黒騎士へとその身を堕とす。その冷酷な様を人々はアイスドールと呼ぶ。

自身の半生に強いコンプレックスを持ち、心の中では常に自己を否定し続けている。死に場所を探しているかのような言動をとることがある。

ダーインスレイヴ~漆黒の魔剣による強力な一撃。
ライフドレイン~魔剣の血塗られた鉄鎖が無数の棘に変形し敵に突き刺さる。


※エロやグロNG
※5人以上まとめたリプレイNG


藍原・蒼夜(サポート)
 人間の學徒兵×力持ち、20歳の女です。
 普段の口調は「おっとり系(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 偉い人には「敬語(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびり、おっとりした性格で、多少天然ボケな面もあります。
武器は主に退魔刀を使用して戦います。
好きな物は、可愛いぬいぐるみ、綺麗な花、静かな場所。
趣味は小説等の読書。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「どうやら奥の手とやらも、これで封殺されたようだな」

 キャロライン・メイ(アイスドール・f23360)は冷徹にスワンプマンに言い放つと、魔剣を手に切りかかる!
 猟兵の放った炎に巻かれた際、一時的に異形の姿を解除していたスワンプマンは必死に刀で魔剣を受け止めるも…。先程の鍔迫り合いの時のようにキャロラインの一撃を押返す事は叶わない。邪悪な魔力を放つ魔剣とキャロラインの身体能力、その二つが合わさり、消耗してきているスワンプマンの力を上回ったのだ。

「馬鹿な、馬鹿な…。この私が、サバトによって力を得た私が!」

「そのサバトとやらは、小規模なものだったのだろう?所詮はその程度という事だ」

 かろうじてキャロラインの一撃を捌き切ったスワンプマンは、一旦彼女から距離を取る。

「おのれ、おのれ!…、……、そうだ、その手があった。…ふふ…、本来は生贄となる人間達を大量に招き入れてから使うつもりだったが…。今なら、私の分身や仲間達の血肉を代償に、私は力を増す事が出来るはず。そうだ、その手があったのだ!」

 どうやらこの廃墟に施された儀式魔術を発動させるつもりのようだ。だが、その行動を冷めた目で見つめるキャロライン。

「やれるものなら、やってみるがいい。やれるものなら、な」

「あぁ、やってやるとも。君達を代償にする事は叶わなくとも、そこのモーラット達も生贄として生命力を吸い取れるかもしれないですしね。そうなれば、まだ私に勝機があるのです!さぁ、サバトよ!」

 両手を天に掲げ、スワンプマンは高らかに魔術発動を宣言する!だが…。

「…、どういう事だ…。何故発動しないのです」

「それは…儀式魔術発動の妨害処置を施してあるから、じゃないかしらね?」

 何故か発動しない魔術に焦るスワンプマンへ、藍原・蒼夜(蒼き宝刀・f23131)が語りかける。

「なん…だと?君達が何かしたのですか!」

「そういうのに詳しい人達がさっき手を加えてくれていたのよ。残念だったわね」

 蒼夜の言う通り…諏訪が現れる前、この廃墟に施されている魔術に猟兵達は仕掛けを施していた。
 無理やり儀式魔術を破壊してしまうという手もあるが、何が起こるかわからない。 こういう魔術は、施した本人を倒せば消滅する場合も多いのだろう。
 ならば…「発動を妨害する程度にしておき、敵をこれ以上強化させる事さえ無くしてしまえばいい」と考えたのだ。その一手が今、ここで効いてきていた。

「いよいよ運にも見放されたようだな。そろそろ骸の海へと還るがいい」

 死刑宣告ともいえるキャロラインの一言に、スワンプマンの中で何かが弾けた。

「…、……。ここまで、ここまで慎重に事を進めてきたというのに…。ならば…、一人でも多く道連れにしてあげましょう!」

「あらあら、とうとう自暴自棄になってしまったみたいね」

 おっとりした普段の口調のままながら、蒼夜もキャロラインに続き自身の獲物である退魔刀を抜き放ち構える。

「私はここでやられるつもりはないわね。それに…」

 蒼夜は周囲にいたモーラット達に一瞬視線を移す。

「この子達も一人だって犠牲になんてさせないわよ?ぬいぐるみみたいに可愛いこの子達の事は、絶対守り抜いてみせるわよ」

「私としても、ここで貴様に倒されるつもりはない」

 かつてダークセイヴァーの貧民街で生活していたキャロラインとしては、自分が生き残るために何でもやる…という事に対して何かいう事は出来ない。魔剣を手にし呪われた黒騎士となった後も、冷酷な行動を取る事もあった彼女は、その反省に強いコンプレックスを感じている。
 だから、スワンプマンの行動自体に何か物申すような事は出来ない。

 だが、一つ言える事は…。「ここで死ぬつもりはない」という事だ。時折「死」という選択肢に魅入られそうになる自分に抗い、今は帰るべき場所ともいえる一人の少女の元へ無事に帰還するのだ。魔剣から漂ってくる邪悪な魔力に屈さぬよう、キャロラインは必死に気持ちを律する。

 スワンプマンは再び自分より滴り落ちる血より、分身体を呼び出した。もはや玉砕覚悟の彼には出し惜しみするという考えはないようだ。

「本当に見境なくなったみたいね。でも、1体増えただけならっ!」

 もう余力自体がないのだろう。召喚出来た分身体も1体だけ。2対2の戦い…になるか、とも思われたが…。今の敵の分身体では、蒼夜の動きにはついて来られない。

「確かに、あなたの分身体の方が力は上かもしれないけれど…。反応速度はこっちが上よ?」

 自暴自棄になった分身体の動きは単調であり、ましてUC『ポジティブ・マインド』が発動した蒼夜の前には、分身体では相手にならない。
 敵の攻撃を紙一重で避けた蒼夜はカウンターで刀を一閃!分身体はその一撃で切り裂かれ消滅した。
 続けてスワンプマンへと切り掛かるが、流石に分身体よりは手強い。蒼夜と切り結ぶスワンプマンの視線が、ふと蒼夜の後ろにいたモーラットへと移る。


「っ!?危ないっ!」

 スワンプマンの視線の先を直感で感じ取った蒼夜は、モーラットを庇うように立ち塞がりスワンプマンの特攻を防ぎきる。

「せめて…、一体でも道連れにしてやるっ!」

「いいかげんに…しなさいっ!」

 のんびり屋の蒼夜も流石にこの行為は許せず、渾身の力でスワンプマンの一撃を押し返した!

「モーラットさん達はやらせないって言ったでしょ!」

「ぐっ、馬鹿力めっ!」

 闘気を纏った当身を蒼夜が追撃で食らわせると、スワンプマンも若干吹き飛ばされ体勢を崩した。そこへ…、魔剣の力を解放したキャロラインが迫る!

「一撃で決めてやる。…これでもくらえ!!!」

「おのれっ!」

 スワンプマンは残された力を使い再び異形の姿へと姿を変えようとするが、もはや時すでに遅し。体勢を崩された状態のスワンプマンには、キャロラインの一撃を防ぐ事が出来ない。

 強大な力を纏った魔剣がスワンプマンを真っ二つに切り裂いた!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●エピローグ
「…ば、馬鹿な…。こんなはずでは…」

 人間達に紛れ、水面下で力を強化して来たスワンプマン。だが、その企みも猟兵達によって阻止され、討伐されるに至ったのだ。

 真っ二つに切り裂かれたスワンプマンが、塵になり骸の海へと還っていく…。

「どうやら、終わったみたいだな」

 モーラット達も張り詰めた緊張の糸が切れたのだろう。ホッとした表情の者やらわんわん泣き出す者やら…大変な事になった。

 さて…、彼らをこの後どうするべきだろうか?
 諏訪ももはやいない今、この場に住むという選択肢を取るにしても今までのように三色昼寝付き、とはいかない。

 ふと、そこで猟兵達は思った。先程モーラットのリーダーはUCに近い力を使っていた。捕獲する際にもなかなかの身体能力を持っていた。
 もしかしたら…、中には猟兵として覚醒する者もいるのではないか?と。

 この世界の組織である銀誓館学園に連絡を取り、野良モーラット達の保護を頼んでみた猟兵達。そういう事ならば、と彼らは一時的に銀誓館学園預かりの身となったのだった。

 猟兵達と接し、自分達に危害を加える者達ばかりではない事を体感した彼らは、銀誓館学園で新たな生活を開始した。その後の彼らの話は、また別の機会に語られる事があるかもしれない。

【完】

最終結果:成功

完成日:2022年03月17日


挿絵イラスト