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銀河帝国攻略戦⑲~その身を砕け、奇跡を起こせ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「集合ありがとう。早速だけど説明に入ろうか」
 グリモア猟兵のレン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)は集まった猟兵達に一礼すると、資料を配りながら説明を開始した。
「今回皆にやってもらいたいのは『オロチウイルスの抗体を開発』することだよ。既にオロチウイルスと戦った人もここにはいるんじゃないかな。話に聞いてるだけでも危険な代物だよね」
 ドクターオロチが開発した殺人ウイルス、オロチウイルス。死という概念そのものである恐ろしい存在であり、猟兵ですらその毒に浸されると命に関わる危険なもの。
 現在それを搭載した突撃艇群が解放軍へ向かってきており、このままでは解放軍に対して恐ろしいパンデミックが起きてしまうというのだ。
「ワープしたり隠匿されている突撃艇群を全て見つける事は不可能だし、このまま放っておけば解放軍は全滅必須だろうね」
 考えたくない未来を想像し、一瞬グリモアベース内に重い空気が流れる。しかし、レンは大きく手を振って皆を励ますような仕草を見せた。
「でも希望はあるんだ。コアマシンルームに行ってきた猟兵達がオロチウイルスのサンプルを取ってきてくれてる。これを元にミディアが『古代遺跡船』に技術を集結させ、なんとか抗体を作ろうとしてくれてるんだ。でもこれにも問題があって……」
 スペースシップワールド中の技術力を集結させても、突撃艇群の到来までに抗体を完成させる事はほぼ不可能。これが今出ている結論である。
 しかし、ここには猟兵達がいる。皆は奇跡を起こすために集められたのだ。

「ここからが本題だ。皆には『古代遺跡船に移動し、ユーベルコードを駆使して抗体を短期間で作成』して欲しい。中に運ばれている機材は好きなだけ使っていいし、何か足りないものがあれば船員に頼めば持ってきてくれるだろう。
 ただし一番大事なのは『ユーベルコードを使う事』だよ。技術よりも凄い奇跡の力で、なんとか抗体を完成させるんだ」
 例えば回復し続けひたすらウイルスに耐え体内で抗体を作る。
 たくさんの分身や配下に手伝ってもらってデータを集める。
 電子情報でも自然現象でも、強い力を以って情報を集める。
 抗体作りに関わりそうな手段なら少しくらいの無茶も許されるかもしれない。
「成果が集まったらミディアが集計してくれるよ。とにかくサンプルの数を増やして結果に導くのが大切だ」
 そう言うとレンは皆へ向かってもう一度礼をする。
「大変な仕事になるけど、沢山の人を救うための大事な仕事だ。皆にも無理はしないで欲しいけど……ともかく成功を祈るよ。頑張ってね」


ささかまかまだ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 こんにちは、ささかまかまだです。
 今回のシナリオは『⑲オロチウイルス突撃艇群』のためのものとなります。
 難しく考えず、それっぽい感じのプレイングをどんどん送っていただけたらと思います。
 それでは今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』

POW   :    オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます

SPD   :    圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します

WIZ   :    集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山梨・玄信
…わしが一番苦手な分野じゃのう。戦闘や探索なら貢献出来るんじゃが…。

【WIZを使用】
わしに出来る事はただ一つ。
他人の助手になって作業効率を上げる事じゃ。
他の人のやる事の効率を2倍にするため、ユーベルコードを先にわしに対して使ってもらい、ユーベルカウンターでコピーするぞい。
そして、目的に合わせて一緒にユーベルコードを使うのじゃ。

何人でも、出来る限り手伝うぞい。スキルも使える物は全て使うのじゃ。

「すまんのう。こんな事しか出来なくて。ユーベルコードは遠慮なく撃ってくれて良いぞ」


アドリブ、絡み歓迎じゃ。


アイゼル・ローエンシュタイン
WIZ希望

生物兵器に手を出すなんて、まったくどこまで悪趣味なのかしら

故郷で学んだ【医術】を生かし、船の科学者達の作業の観察・文献の読み込み
マウスに抗原を投与して抗体を生成し、それを植物に組み込んで育て量産……
すごいわ、最先端の科学ってこんなことができるのね!(人目を忘れ興奮気味)
……今のは忘れなさい!
こほんっ
これを私のUCで支援するわ
【ハイリヒシュッツェン】でマウスの体の重要器官を保護し消耗を抑え、抗体の生成を助ける
科学者に抗体を種子に組み込ませ、【グリューネブラット】で一気に成長させる
これで通常より速くテスト抗体を量産できるはず
あとはこれを体力のありそうな猟兵が試せば、良いデータが取れそうね




 古代遺跡船の中で慌ただしく人々が駆け回っている。
「どうしたものかのう……」
 その一角でドワーフの少年、山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)は困っていた。自分の得意分野は戦闘や探索。今回の依頼のような研究は一番苦手な分野だ。
 だからといってオロチウイルスを放って置く事は出来ない。何かできる事はないかと船内を見回している最中だ。
 そんな彼の目に一人の少女が映り込む。
「生物兵器に手を出すなんて、まったくどこまで悪趣味なのかしら」
 銀河帝国への怒りを隠さず、たくさんのケージと資料を運んでいるエルフの少女。彼女の名はアイゼル・ローエンシュタイン(駆け出し魔女・f09945)。この船に協力しに来た猟兵の一人である。
「お主、一人ではそれだけの荷物を運ぶのは大変じゃろう。良かったらわしも手伝うぞい」
「ありがとう、これからも大変だから協力に感謝するわ」
 二人で研究スペースまで道具を運んでいくと、早速アイゼルは文献の読み込みに没頭しだした。周りの科学者達にも話しかければ抗体生成計画が生み出されていく。
「マウスに抗原を投与して抗体を生成し、それを植物に組み込んで育て量産……最先端の科学ってこんなことができるのね!」
 すごいわ、と興奮気味のアイゼル。その横で玄信は道具の設置や医療用品の確保に尽力していた。ドワーフとしての力強さでどんどん荷物を運んでくる。
「はっ……い、今のは忘れなさい! こほんっ、荷物の運搬ありがとう……私の助手をしてくれるの?」
「そうじゃな。わしに出来る事はただ一つ。皆の助手になって作業効率を上げるのがいいと思ってのう」
 興奮した姿を見られた事に照れつつもしっかりお礼を言うアイゼルに、玄信も笑顔を返す。
 こうして準備が整えば本格的な抗体作りの開始だ。

「まずはマウスに抗原を投与するんだったかのう」
「ええ……でもマウスは守る。どんなものからだって守ってみせるわ」
 抗原を投与する直前、アイゼルはマウスに向かって手をかざし光の膜を纏わせた。彼女の『ハイリヒシュッツェン』によるものだ。
 その光はマウスの重要器官を守ってくれる。マウスを死なせず、できるだけ抗体作成を促すための技だ。
 いざ抗原を投与するとマウスは凄まじい勢いで苦しみだす。重要器官を守っても死そのものであるオロチウイルスにどの程度対抗できるだろうか。
 しばらく経ってもマウスはなんとか生き延びている。急いで血液を摂取し研究員に託すアイゼル。
「このあとはどうするんじゃ?」
「テスト抗体を量産しようと思うの」
 数分後、研究員は植物の種を用意して戻ってきてくれた。
 アイゼルはそれにも手をかざし魔法の言葉を詠唱、種はみるみる成長し蔓を伸ばしていく。
「『グリューネブラット』、こちらも成功ね。あとはこれを元にテスト抗体を作って……猟兵に試してもらいたいの」
 彼女の目は玄信へ向けられていた。
 酷なことを頼んでいるのは分かっている。だがここまでの行動から、体力のある彼に頼むのが良いと判断するしかなかった。
「任せてくれい。わしにはこんな事しか出来なくて。だから遠慮なくやってくれて良いぞ。ただ……よければさっきの技を貸してくれんかのう」
「ええ、わかった。二人でやればきっと大丈夫だと思うわ」
 アイゼルが再び光の膜を生み出せば、玄信がそれを吸収しだす。彼の『ユーベルカウンター』による効果だ。
 本来は防御のための技だが、『自分に作用するユーベルコードをコピーする』という性質を利用すれば防御の技も模倣する事が出来た。
 二人が生み出した光の膜は玄信を包み、オロチウイルスから守る盾となる。
「それじゃあ……お願い!」
 お互い目を見合わせ、一気に玄信へテスト抗体が投与され……抗原も投与された。
「ぐっ……これは……きついのう……!」
 ユーベルコードのおかげでなんとか意識を保てるが、油断すると一瞬で命を落としてしまうのが本能的に分かる。抗体が作用するまでなんとか耐えなければ。アイゼルも懸命に魔術や医術で玄信の身体を支えようと力を尽くした。
 一瞬か永遠かも分からない苦痛が玄信を苛んでいき……あっさりとそれから解放された。彼の身体は無事だ。抗体のテストが成功し、体内から抗原を中和する事が出来たのだ。
「やった……! お疲れ様、無事で何よりよ」
「お、お主の腕が良かったからのう……これ、ミディア殿に報告せんとなぁ……」
 実験の成功よりも玄信の無事を喜ぶアイゼルに、汗だくになりながらも笑顔で応える玄信。
 こうして二人は無事にテスト抗体を作り出せた。これはきっとオロチウイルスに対する強力な一手となるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雪生・霜逝
オロチウイルスー「死の概念」か、上等だ。ウイルスなら、所詮はウォーマシンと同じ作られた存在。オレとオロチウイルスのどちらがより強い「死」か教えてやろう!
メイン人格は囮。ウイルスを観察して叩くのは"ダミー人格(オレ)"だ。生体組織の一部をウイルスに感染させた上で、スタンドアロン状態に移行。自身の内部環境をモニタリングするぜ。ウイルスに殺されるギリギリまで、メイン人格には電脳防衛線を張ってもらう。どうやって死を齎すか、お手並み拝見といこうじゃあないか。限界が近づいたら―ユーベルコード、【尸解戦】!オロチウイルスにフラットラインを刻んでやるッ!分析で得たデータは他の猟兵と共有。オレのは力技だからな。




 研究が続く古代遺跡船。そこに一人の大男がやってきた。
「オロチウイルス――『死の概念』か」
 彼はウォーマシンの雪生・霜逝(冬錆・f06571)。本来は穏やかな青年なのだが、今はダミー人格を表に出している。『白亜偽憶・攻性忘劈』という攻性防壁も兼ねたその人格は、霜逝の身体を分割制御するための存在だ。
 彼はオロチウイルスに対してある気持ちを抱いていた。ウイルスなら、所詮はウォーマシンと同じ作られた存在。
 それならば機械の身であるオレとオロチウイルス、どちらがより強い『死』だろうか。それを教えてやらなければ!

 研究員にウイルスのサンプルを貰うと、霜逝は早速生成に取り掛かった。
 まずはメイン人格に交代し準備を整える。
「これがわたくしの役割ですから……こうするのが一番なのでしょう」
 自らを死の淵まで追い詰める囮、それが今回の彼の役割。覚悟を決めると蠢く生体組織にウイルスを投与した。
 瞬間、凄まじい衝撃が身を焦がす。一瞬で意識が飛んでいきそうだ。
 だがこのまま毒に浸される訳にはいかない。急いでダミー人格に交代すれば、一瞬でスタンドアロン状態へと移行する。
 その裏でメイン人格は電脳防衛線を維持し続ける。死がどんどん侵食してくるが、気を取られるのは危険。とにかく今は耐えるしかない。
(さて……問題はここからだな)
 彼が行うのは観察。自身の内部環境をモニタリングするという機械の彼ららしい手段だ。
 虎視眈々とウイルスの動きを見続ける。体内をどのように辿っていくのか。生体組織をどうやって潰すのか。
 メイン人格は苦しみ続けている。一つの身体なのに、片方の意識は冷静でもう片方は息も絶え絶え。
 奇妙な時間が続いていき……死がいよいよ目前に迫ってきた。
 こうなる事は想定済み。対策のための余力はきちんと残してある。
「異常発生。自己制御権限喪失。忘却機構、停止――」
 機械的な声が霜逝の口から発せられると、ユーベルコード『尸解戦』が発動された。
 彼の制御論理に何者かが現れ、心電図にフラットラインを刻むような攻撃と共にウイルスの活動を停止させる。
 気がつけば忘却機構は回復し、メイン人格の意識もはっきりしだす。
「あとはオレがやる。これを仲間に届ければいいんだよな? 力技のサンプルだからどこまで役立つかは分からんが」
 まだダメージの残るメイン人格を気遣ってか、あるいは戦果を報告するためか。ダミー人格のまま霜逝は立ち上がる。
 そして成果をさっとまとめると、報告者を探して歩き出していった。
 身をもって証明したデータは重要だ。オロチウイルス対策へとまた一歩近づいていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マックス・アーキボルト
オロチ…ジャミング装置のこともあわせて、あんな風に技術を使う人にやられっぱなしじゃいられない!

【ガジェットショータイム】発動、ウイルスに対処する抗体の製造実験ガジェットを学習心で理解、メカニックでアームキャノンと連結して操作。
ウイルスの中和実験を繰り返してデータを採取するよ。…普通じゃないやり方でだ!
【加速魔法式:攻性】発動!レベル分の一までガジェットの働きを加速させて大量のデータをとるよ。
火炎耐性と激痛耐性と氷属性攻撃でオーバーヒート直前までとことんガジェットを動かす!
「奇跡を掴めるなら、こんな痛みどうってことない!」
それと、船員さんたちには火傷しないように言っておこう。




 古代遺跡船の一角に注意を呼びかける少年の姿があった。
「今から熱を発する実験をするから、火傷しないようにして下さい!」
 彼はミレナリィドールのマックス・アーキボルト("ブラス・ハート"マクスウェル・f10252)。アルダワ魔法学園からやってきた少年だ。
 彼の眼差しは真剣そのもの。胸の内には強い気持ちが宿っていた。
(オロチ……ジャミング装置のこともあわせて、あんな風に技術を使う人にやられっぱなしじゃいられない!)
 非道な手段で人々を脅かす存在に対する怒り。マックスはそれを糧にして今回の作戦に参加しているのだ。

「それじゃあ……まずはこれを!」
 最初は『ガジェットショータイム』で必要な道具を作成。手にしたガジェットは何度も姿を変え、大きな実験装置の形で落ち着いた。
 この装置を自分の手足とすべく、マックスは左腕に装着した『スチーム・アームキャノン』をガジェットにも接続。アームキャノンを駆動させれば装置も連動して動き出した。
 これは抗体の製造実験を行う装置。ここにウイルスを入れて実験を行えば抗体が生み出せるはずだ。
 事前に借りておいたウイルスのサンプルを投入すれば、装置はゆっくりと動き出し内部で中和実験を行い始めた。
 だが……些か動きがゆっくりだ。このままだと時間がかかりすぎてしまう。
「だったら……普通じゃないやり方でだ! 加速魔法発動!」
 マックスの詠唱と共にアームキャノンが輝き出す。次の瞬間、凄まじいエネルギーが巻き起こりガジェットに力を与えた。
 『加速魔法式:攻性』。マックスが続けて発動したユーベルコードだ。アームキャノンから大量のエネルギー弾を発射する技を応用し、ガジェットの加速に利用したのだ。
 だが反動も大きい。ガジェット自体が高速で動き出した事により凄まじい熱が発生、マックスの身体を焦がさんばかりの力が生まれているのだ。
 しかしそれも想定済み。事前に加熱と激痛に対する防御術を用意してあるし、同時に氷の魔法も繰り出すことで自身と装置を冷やし続ける事も出来る。
 オーバーヒートにならないギリギリのラインで装置を駆動させ、何度も実験を繰り返す。これも人々の命を救うためやり切らなければならないことだ。
「奇跡を掴めるなら、こんな痛みどうってことない!」
 その決意は見事に奇跡を掴んだ。アームキャノンの輝きが収まる頃に、ガジェットの内部にも新しい物質が生まれていた。
 激しい実験の末にいくつかの抗体サンプルが生み出されていたのだ。
 マックスはそのサンプルを大切に持つと、ミディアの元へと駆けていく。身体こそボロボロになってしまったが、その顔は安堵と喜びの笑顔で溢れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・エクル
不可能なことも可能にしちゃうユーベルコードを使えるボクらにはうってつけの任務だね。

オロチウイルスに晒された状態でユーベルコードを発動するよ。生成されたガジェットからオロチウイルスに有効な対策を考え出そうと思う。ガジェットに関しては他の人たちより詳しいという自負がある、持ち味を生かすためにみ得意とするガジェット関係でオロチウィルスを攻めてみるよ




「不可能なことも可能にしちゃうユーベルコードを使えるボクらには、うってつけの任務だね」
 古代遺跡船を一人の少年が歩いている。多重人格者の少年、七那原・エクル(ダブルキャスト・f07720)だ。
 船内に使いやすそうなスペースを発見すると、実験の準備を開始しだした。
 肩に乗ったドラゴンランスの竜も気合十分、エクルの命がけの実験をしっかり手伝う心づもりだ。

「これで大丈夫……何かあったら、他の人をすぐ呼んでね」
 竜を肩から下ろし、ガジェットを握りしめるエクル。反対の手にはウイルスのサンプルが入った容器が握りしめられていた。
 準備が整うと……エクルはユーベルコードを発動、それと同時にウイルスを自らへ投与した。
 全身を死が浸していく感覚がする。身体は一気に力を失い、地に倒れ伏そうとしてしまう。それと同時に手にしたガジェットが変形していくのも見る事が出来た。
 大きな手術台のような姿に変形したガジェットは倒れかけたエクルを支え、その身体を診察し始める。
 彼が発動したのは『ガジェットショータイム』。戦っている対象に有効なガジェットを呼び出す技だ。
「これなら……ボクが戦っている相手は、オロチウイルスになるはず……!」
 その予想は見事に的中していた。彼が手にしていたガジェットはウイルスの対策を解析する存在に変形したのだ。
 ただしガジェットだけではカバーしきれない部分もある。ランスの竜が懸命にエクルを励まし、水を運んできてくれる。
「ありがとう……あと少し、かな?」
 運ばれてきた水を飲みながら解析の完了を待つ。身体は震え徐々に死が迫っているのが分かった。それでもエクルは自分の力を信じていた。
 ガジェットに関しては他の人たちより詳しいという自負がある。だからボクのガジェットは絶対に対策を見つけてくれる。
 そう信じて目を閉じれば口の中に何かが流し込まれる感覚があった。次の瞬間には身体の震えが止まり、少しずつ生の感覚が戻ってくる。
 目を開くとガジェットが小さなシャーレを差し出している。中には未知の物体があったが……エクルはこれが抗体のサンプルであるとすぐに理解出来た。
「よかった、成功だね。上手くいって本当によかった」
 そう安堵していると近くにミディアの姿が見えた。抗体のサンプルが出来たと呼びかけると、彼女は笑顔で駆け寄ってくる。
 エクルもそれに笑顔で応え、実験の成功を共に喜んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
【心情】
せっかく立ち上がってくれたスペースワールドの皆を…むざむざ死なせる訳には行かないよ
こういう時こそ、大釜の出番さ!

【行動】
ボクの演算領域を全て使って、解析を担おう

ユーベルコード「我は満たす、ダグザの大釜」から、
渾身のアイテムを取り出す!

「今のボクの資金リソースをフルに使って、
戦艦ティル・ナ・ノーグの演算領域を3600秒解放できる。コード承認、アクセス!」

オロチウィルスが死の概念というのなら、
概念変容を起こすだけのファクターがあれば…!

「…掴んだ! 構造(ストラクチャ)構築!」
上手く行ったらサンプル情報を即送信!

…ちょっとオーバーヒート気味だけど、大丈夫
皆のためなら、ボクは…やれるさ。




 古代遺跡船にて、一人の少女が決意を固めていた。
 その名はリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)、機動戦艦出身のバーチャルキャラクターだ。
 彼女にとってこの世界で共に戦う人達はかけがえのない存在。せっかく立ち上がってくれたスペースワールドの皆を……むざむざ死なせる訳には行かない。
 持てるリソースをフル活用し、銀河帝国の悪行を止めるつもりでここへ訪れたのだ。

 実験スペースへ移動すると、まずはウイルスのデータを譲り受ける。今回行うのはこれの解析だ。
 ヘッドセット『ハローワールド』を装着すれば、いざ電子の海へ。
「こういう時こそ、大釜の出番さ! Dag's@Cauldron、解析のためのアイテムをお願い!」
 リアは自身の演算機能をフル活用し、まずは自らのECサイト「Dag's@Cauldron」にアクセスする。そして『我は満たす、ダグザの大釜』を発動させるとサイト内を検索しだした。いつもならオススメ商品を取り出したりする技として使っているが、今回呼び出すのはもっと大きなものだ。
「今のボクの資金リソースをフルに使って……戦艦ティル・ナ・ノーグの演算領域を3600秒解放できる。コード承認、アクセス!」
 リアが呼び出したのは凍結された彼女の母艦ティル・ナ・ノーグの演算領域へのアクセス権。莫大なリソースを使用する事になるが、背に腹は代えられない。定められた時間をフルに使って解析を行わなければ。
 演算領域に自身を繋げると凄まじい勢いで頭に情報が流れ出す。この中からウイルスの解析に役立つものを選び、ウイルスの状態に応じて更に情報を引き出していく。

(オロチウィルスが死の概念というのなら、概念変容を起こすだけのファクターがあれば……!)
 リアが着目したのはウイルスの性質だ。『死の概念』さえ書き換える事が出来るのならば、ウイルスは大幅に弱体化するはず。一般的な毒レベルまで落とすことが出来たのなら、スペースシップワールドの技術力でも対応出来るはずなのだ。
 しかしウイルスの概念は非常に強固。ティル・ナ・ノーグの演算能力でもなかなか書き換える事が出来ない。
 頭がどんどん重く、熱くなってきている。少女一人が抱えるには過剰な負荷に身体がオーバーヒート寸前だ。
「大丈夫、皆のためなら、ボクは……やれるさ……」
 覚悟を決めて、全力で演算を続ける。ゴールは見えてきた、あと少し手を伸ばせば……。
「……掴んだ! 構造(ストラクチャ)構築! そして送信!」
 答えが分かれば一瞬だった。書き換えが出来たウイルスの情報をミディアへと送信すると、すぐに感謝の返事が返ってきた。
「リソースはたくさん使ったけど……皆の事が最優先だからね」
 返信に安心しつつヘッドセットを外すリア。その表情はとても穏やかであった。


 こうして猟兵達の手により多くの情報が集められた。
 それらは全てミディアが回収してくれている。
 集まったデータを活用すれば、きっとオロチウイルスへの対抗策が見つかるだろう。
 猟兵達は自らの力でたくさんの奇跡を起こせたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト