4
厳島争乱再び

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #望月鈿女 #メガリス #戦巫女 #弥助アレキサンダー #魔軍転生

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#望月鈿女
🔒
#メガリス
🔒
#戦巫女
🔒
#弥助アレキサンダー
🔒
#魔軍転生


0




 厳島神社。
 徳川の世になるはるか前にこの国を支配していた武家「平氏」が建造を企画した神社で、今も彼らが奉納した美術品がほぼ完全な状態で残っている場所である。
 ただエンパイアウォーでは「平和ボケした」魔軍将・コルテスにあっけなく蹂躙されてしまい、その防衛力に一抹の不安が囁かれている場所でもあった。
「メガリスの力があれば、全ての巫女も救われましょう」
 そんな歴史ある神社に戦巫女の祖の一人ともされる、人柱として海神に捧げられた者は自分のような犠牲者をこれ以上生まぬために、魚骨と化した半身を海中で翻して迫っていた。

「一部の方からしてみると『あの』コルテスにボコボコにされた神社としての記憶の方が強いかもしれませんね」
 「あの」の意味に幾分の皮肉を込めつつルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は集まった猟兵達に今回の状況を説明し出した。
「今回厳島神社に向かって進軍している猟書家は『望月細女』。その目的は『奉納されている品々の中にメガリスが無いか探し、あった場合は奪取する』ことです」
 彼女を止めるためにはまず魔軍将「弥助アレキサンダー」を憑装した、渡来人より伝来された異教に身を捧げた信者達を一掃する必要がある。
 関門海峡と戦った時と違い、その手元にメガリスはない。猟兵達を苦しめた渦潮や巨大化した体による打撃などを警戒する必要はないが、馬上から放つハルバードの一撃や神罰の雷などは警戒しなければならないだろう。
「そして本題である望月細女についてですが、巻物に記された相手が今までに犯してきた罪を詰問することで精神にも肉体にも傷を与えることが出来るそうです。それを難癖と取るか痛恨の一撃と取るかは皆様次第ですが……流石は戦巫女の始祖、といったところでしょうか」
 そう言ってルウは唇を真一文字に結んだ。
 ここまで苦々しい表情を浮かべているのは彼女がクルセイダー側についた理由が、戦巫女を心から案じているが故の行動だということだということが分かっているからだ。
 かつて海神を宥めるためとして荒れ狂う海に沈められて死んだ彼女は呪いの秘宝「メガリス」を見つけ出し、自らの戦力にすることで多くの戦巫女達の命を守ろうとしているという。
 彼女を死に至らしめた「人柱」「生贄」という文化は今もあちこちに残っており、その犠牲には戦巫女を始めとするうら若き女が選ばれることが多い。
 もし幕府が法案で規制したとしてもそれが行われないように見張ることは物理的に難しく、言っているだけの物となってしまうことが目に見えている。
 ならば初めから全部壊してそういう文化がそもそもない世界に作り直すしかない、というのが彼女の導き出した結論だ。
「話し合いによる解決策もあったかもしれませんけどね……正気であれば」
 そう。もう彼女は深い海の底で狂ってしまった。
 狂ってしまった彼女には言葉は通じるようで通じない。彼女の信念を変えることは神にも仏にも出来ぬことだ。
「真の意味で彼女を安心させて眠らせることは出来ませんが……それでも眠っていただきましょう。皆様、本日もよろしくお願いします」


平岡祐樹
 厳島神社の鹿に小突かれたことがあります。お疲れ様です、平岡祐樹です。

 今案件にはシナリオボーナス「戦巫女と協力して戦う」がございます。
 厳島神社の戦巫女はあのコルテスにボコボコにされた実績があるほどの実力しかありませんが、周辺の潮の流れなどを熟知しており、猟兵達の助けとなってくれることでしょう。
 これに基づく対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。
95




第1章 集団戦 『切支丹武者』

POW   :    騎馬突撃
自身の身長の2倍の【軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    後方支援
【切支丹女武者】の霊を召喚する。これは【鉄砲による援護射撃】や【一斉掃射】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    主の裁き
【ハルバード】を向けた対象に、【天からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

紬雁・紅葉(サポート)
『業邪…御鎮めします』
基本戦闘場面に参加

破魔、属性攻撃、衝撃波、薙ぎ払い等とUCを適宜組み合わせて攻撃

見切り、残像、オーラ防御、武器受け等とUCで防御や回避

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

範囲攻撃と2回攻撃での雑魚払いが得意だが
ボスとの戦闘も遜色なく行えるし行う


羅刹紋を顕わに戦笑み
傷負っても笑みを崩さず
何処までも羅刹の血と"剣神"の導きに従い
災魔業邪を打ち倒す

敵の最期に
去り罷りませい!
の言葉を

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 大海原を覆いつくさんとばかりに十字の旗をはためかせた木造船が迫る。その様を紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)は厳島の海岸線から眺めていた。
「流石に切支丹の者とはいえ海の上を天馬で駆けてくる、とはいきませんでしたか」
 先頭を進んでいた船の舳先に立っていた騎士がハルバードを掲げると青が広がっていた空が黒く曇り出す。
 紅葉は静かに柄と鞘にそれぞれ手をかけ、目を閉じ、深く息を吐いてから抜き払った。
「業邪……御鎮めします」
 雷鳴が響き渡る中、木造船から飛び出てきた騎士達が浅瀬の海水を蹴るように走り出す。
 しかし顕わとなった叢雲を思わせる羅刹紋を体に顕わとした紅葉から放たれた威圧感がその動きを鈍らせる。
『八雲立つ、出雲…!』
 そして生まれた隙を逃すことなく、叢雲が象りし九本の剣が先頭にいた騎士達を薙ぎ払った。
 水上に描き出された巨大な九曜紋を揺らしながら紅葉は遠距離からでも小突けるハルバードの叩きつけを見切っては、砂に刃を取られて体勢を崩した懐に潜り込んで豪快に斬り飛ばす。
「さあ、去り罷りませい!」
 攻撃の勢いそのままに紅葉は敵陣の深くまで突撃し、囲まれて背後から叩かれても笑顔を崩さず目の前の騎士を確実に葬っていく。
 だが息子を信仰する者達を助太刀するかの如く、紅葉目がけて降り注いできた雷を浴びたところでその足は止まった。
 普通の者なら感電して為す術なく沈む。
 しかしどれだけ傷を負おうと笑みを崩さず、何処までも羅刹の血と剣神の導きに従い、災魔業邪を打ち倒す。それが剣神を奉る御社を頂く鎮守の山森の戦巫女としての矜持。
 逆襲の火蓋を切ろうと迫ってきた騎士のハルバードの先端を掴み、自分の元に引き寄せた紅葉は間近に迫った騎士の顔面を兜関係なく殴り飛ばす。
 その衝撃で兜を高々と飛ばされた騎士は脳震盪を起こしてその場に崩れ落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

斑鳩・椿
もう何が正解なのか分からないわね
それはともかく、戦巫女の端くれとして…見ているだけ、は出来ないわ

ねえ、自分達の手で敵に痛い目を見せて見たくない?…と誘惑
戦巫女達にUCを付与
飲み込みが早い子は敵の元に届くでしょうし、そうでない子は後ろの弾除けになるのではなくて?

彼らの後ろから地形の利用をしつつ動き、オーラ防御でかばったり
第六感と見切りで危ないところを避け時にはおびき寄せ

隙を見つけて破魔を乗せた薙刀を一線、
鎮まりなさいな?



「もう何が正解なのか分からないわね」
 望月の悲しい過去と、それを土台に造られてしまった理論を前に斑鳩・椿(徒花の鮮やかさ・f21417)は頭を横に振る。
「それはともかく、戦巫女の端くれとして……見ているだけ、は出来ないわ」
 覚悟を決めた椿は足を地面に勢いよく叩きつけ、影から飛び出した薙刀を掴み取る。
 そして前に出ようとしたところで立ち止まり……後ろ姿を見守っていた厳島神社の戦巫女達に視線をやった。
「ねえ、自分達の手で敵に痛い目を見せて見たくない?」
 突然話が回ってきた戦巫女達は動揺しながら互いに顔を見合わせる。
「私は当時何が起きたのか知らないのだけど……ついこの間『コルテス』って人に好き放題やらされてから別の神社の子にバカにされているんでしょう? 『過去の栄光に胡座をかきすぎて落ちぶれた』とか言われてるってルウくんに聞いたわよ?」
 痛いところを突かれた戦巫女達が一斉に渋い表情を浮かべる。どうやら口から出まかせなどではなく、そういう点はちゃんとリサーチしているらしい。
「ここでしっかりと望月の軍を叩いて、2年の歳月で立ち直ったんだぞ、ってところをバカにしている子達に見せつけたいと思わない?」
 あまりにも甘美な誘いに、戦巫女の曇っていた表情に決意の炎が灯り出す。
「契約成立ね。じゃあ、始めるわよ」
 見ているだけで済む気にならなくなったのを肌で感じ取った椿が薙刀を持っていない方の手を振るうと、戦巫女達の手足が黄金の毛に急激に覆われていく。
 そして掌や土踏まずに肉球が浮かび上がり、本数が少なくなった指の先には鋭利で長い爪が生えた。
 困惑する戦巫女達に向けて椿はそう言ってウインクをした。
『呪い?祝福?あなたは何も考えなくていいの…』
 飲み込みが早い者は敵の元にたどり着けるだろうし、そうでない者も弾除け程度にはなるだろう。
「さあ、いきましょう!」
「え、あ、うえっ!?」
 椿の号令に従い、戦巫女達の足が勝手に走り出す。そして勢いそのままに跳ぶと、敵の船の先端に着地して爪で殴りかかった。動揺した者は手前で落ちて海水をモロに飲んで咽せた。
「もう、何も考えなくていいって言ったのに」
 出来の悪い子を見守るように微笑みながら、椿は切り掛かってきた騎士の腹部を柄で突いて船から落とす。
 一緒に張ったオーラによる防壁によって騎士達の後方から放たれている修道女達による援護射撃は無事に弾かれているようだ。とはいえ跳ね返るたびに起きる音はやや不愉快である。
「鎮まりなさいな?」
 一斉に弾を込める、という隙を突いて肉薄し、破魔の気を乗せた薙刀を一閃する。
 たったそれだけで、実体を持たない修道女達は銃ごと歪んで消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大倉・新月(サポート)
アドリブ・連携歓迎
キャラ解釈幅広くどうぞ!
噛ませ展開も歓迎です

スカルロードの満月(ミヅキ)ちゃんを溺愛しています
新月→満月の一方的なヤンデレですが連携はきちっとこなしていきます
主に脳筋な行動で何とかしますが、知ってそうなことは出し惜しみしないタイプです

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動や性的な絡みはしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 強くなってきた潮風を浴びながら大倉・新月(トータルエクリプス・f35688)はふと、隣に立つスカルロードを見遣る。
 猟書家・望月細女と大倉・満月、形は違えど死してもなお強い想いを持ち続けて現世に戻ってきたという点では重なる物がある。
 ただじっと騎士達を乗せた木造船の群れを見つめ続ける満月を新月は後ろからぎゅっと抱きしめた。
「だーいじょうぶ。たとえ私が犠牲になってもミヅキちゃんはこんなことはしないって知ってるから」
 猟兵に覚醒したスケルトンと違い、満月に生前の意思が残っているかは分からず、話すこともない。
 だが新月を確かに一瞥した満月は再び正面を向き、死神めいた大鎌を取り出した。
「いってらっしゃい、ミヅキちゃん!」
 邪魔にならないよう後ろに下がった新月が手に持った水晶玉を掲げれば、山の方から骨が剥き出しとなった蛇竜が現れる。
 満月を背に乗せた蛇竜は騎士達による異常気象で荒れ狂う流れに怯むことなく、猛然と海に入っていった。
 巨体が突っ込んだことで起きた大きなうねりによって木造船は大きく揺れ、騎士達はへりに縋り付くように身を寄せる。そんな何気ない動きで外に出てしまった頭を満月は大鎌で刎ね飛ばした。
 宙を舞った仲間の首を目撃した騎士達は慌てて端から距離を取るが、波による揺れが短時間で終わるわけがなく耐えきれずに甲板に転がっていく。そこに追い討ちをかけるように蛇竜がぶつかると木造船は横転し、乗っていた騎士達は抵抗すら出来ずに皆等しく海に落ちていった。
 そんな中で苦し紛れに上げたハルバードによる雷の加護が満月の大鎌の刃に直撃する。
 もたらされた高圧の電流は鎌を握りしめていた満月の全身を駆け巡ったが、骨と魔力しかない満月は一切反応せず平然と目の前で立ちあがろうとしていた騎士を袈裟斬りにしてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

タカシ・セイヒ(サポート)
元アルダワの生徒異端児セイヒです
感心は魔術探求にありますが猟兵としての仕事を疎かには致しません
場を乱さず他の猟兵の皆さまと協力して事件の解決に従事して参ります
魔術師なのであまり前に出ての近接戦は得意ではありませんが魔術の撃ち合いや後方支援や援護等で皆さまのお役に立ちたいと思います
珍しい魔術や遺跡等には好奇心が先走りたまに暴走することもありますが出来るだけ自制して参ります
腕が四本も有りますので素早い作業等もお役に立てると思います
本業は魔術研究者なのでその知識をいかして対魔術や対魔獣でもお役に立つと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。



「ほほう、かつての支配者が納めた品々にいくつかメガリスの可能性がある物が混ざっていると……。それは興味深い」
 話を聞き終えたタカシ・セイヒ(探究者の成れの果て・f37132)は腕を組みつつ、もう一つの右手で綻ぶ口元を隠した。
 そもそもセイヒは真新しいモノや珍しいモノに目がなく、興味を持つと周りが見えなくなる直情型の気がある。
 だが今回の任務はあくまで望月細女軍を退けること。本殿に先に踏み入って、貴重な品々を望月細女よりも早く奪取して逃げ切ることではない。
「それに、この一件にケリがつけば急かされることなく観察も出来ましょう?」
 関心や興味はあれど物事の優先順位は間違えないセイヒは槍と剣を構えつつ、反抗の竜から渡された魔術書をパラパラとめくった。
「さあ、始めようか『燃える唄と星屑の童謡を』」
 呼び出された反抗の竜が空へ放たれ、立ち込める暗雲を切り裂く。そして露わになった青空から降り注ぐ太陽が木造船に火をつけた。
 自分達の体に火が燃え移る前に飛び降りた騎士達は浅瀬を水飛沫を立てながら走り、セイヒへハルバードの切っ先を向ける。
 するとチタノナスカの力によって散開させられながらも残っていた雲から雷がセイヒに降り注いだ。
「残念でしたね。僕がまだ人間だったら一撃でトドメをさせていたかもしれませんが!」
 しかし雷を浴びた程度で動かなくなるようなヤワな体ではなくなったセイヒは勝ち誇るような笑みを浮かべながら何かの合図のように杖を振る。
 すると轟音と共に落ちてきた隕石が水の抵抗で素早く避けられない騎士の体を捉え、押し潰した。
「あとでこの石は十字に削ってやりましょうかね。あなた方の墓標はそういう物なのでしょう?」
 そう一方的に言っている間にも流星群は降り注ぎ、訂正する余裕が無いまま騎士達は鎧ごと挽き肉にされていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



 降り注ぐ日光によって船が次々と灰燼と帰す中、騎士達に続いて飛び降りた女武者達による掃射は未だに続いていた。
「……いい腕だ。神の教えを遮ろうとせん者達から自分の身や仲間を守るために磨いてきたのだろう」
 それを避けつつ水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は、素直な感想を述べる。
 しかし流れるような身のこなしで避けながら紡がれる賛辞は女武者達からしてみればただの煽りにしか聞こえない。女武者達は顔を真っ赤にしながら必死に真峰に銃口を向け続けた。
 だが女武者の筋力で海水につけないよう膝をつけずに立ちながら撃った時の反動、発射位置、角度、銃身の長さなどからどのような軌道を描いてくるのかは積み重ねてきた知識と経験から齎される勘で大体見当がついてしまう。真峰はただそれに基づいた動きを繰り返しているだけである。
 それを必死になって撃ち破ろうとした女武者であったが、いくら引き金を引いても弾が出てこなくなってしまいその攻勢は突然止まった。
 弾が切れたのか、中で詰まってしまったのか……もし落ち着いたままでいれば引き金を一度引いた時点で原因を探ろうとするか打撃に切り替えるなり出来ただろう。
 しかし一度見出した隙を逃すほど相手は悠長ではなかった。
 真峰は目線が逸れた瞬間に自身の複製を百本近く作り出すとその場で乱舞させることで女武者を撹乱させる。
 その過程で鞘が飛び、露わになった刀身で目や足を斬り付け、武器を落とさせたところでこれまでのどさくさに紛れて回り込んでいた真峰は短く持った薙刀で女武者の首を背後から貫いた。
「済まぬな」
 もっと安らかに止めを刺せなかったことを詫びながら刃を抜けば、苦しそうな声を漏らして首元に手を伸ばしていた女武者はその場で跪き浅瀬に沈む前に消失していった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『望月鈿女』

POW   :    巫覡載神の舞
対象の攻撃を軽減する【寵愛と加護を齎す海神を降した神霊体】に変身しつつ、【万象を裂く花弁を操る神楽舞、強烈な水流】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    貴方様の罪が赦されるとお思いですか?
対象への質問と共に、【対象の人生が全て書かれた巻物】から【罪状を読み上げ、罪に適した変幻自在な神霊】を召喚する。満足な答えを得るまで、罪状を読み上げ、罪に適した変幻自在な神霊は対象を【精神的に追い詰めるのに最も効果的な手段】で攻撃する。
WIZ   :    貴方様は犯した罪の数を覚えておいでですか?
【抗えない、魂を絡め取るような玲瓏たる声】が命中した対象の【喉の内部、咽頭や食道】から棘を生やし、対象がこれまで話した【嘘、食事を含む奪ってきた生命】に応じた追加ダメージを与える。

イラスト:静谷

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠雅楽代・真珠です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……なぜ」
 焼け落ちた船団の下から1人分の巨大な影が海中から飛び出す。
「なぜ、あなた方は抗うのですか」
 かつての戦巫女が身につけていた装束の下からは骨となった魚と化した下半身が見える。
「私は、あなた方を救うためにこの地にあるメガリスを求めているだけなのに」
 非業の死を遂げた創始の戦巫女の1人は、布越しに哀れみを込めた目で猟兵達と戦巫女達に語りかける。
「このまま人々の業を押し付けられ、死にゆく運命を受け入れるのはやめましょう。……どうか私の邪魔をしないでください」
 望月細女はこれだけの抗戦を受けてもなお、自身の認識に何の疑いも持っていなかった。
徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



「……人身御供ですか」
 そう呟いた徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)の表情は硬かった。
 この国は四方を囲む海と内に流れる河川によって、度々洪水の被害にあっている。
 人々がそれを鎮めようと非力な女子供を河川に投げ込んだり川の傍に埋めたりしていることは為政者の子として知らないわけがない。
 だがそれを良しとせず、堤を作るなど対策は練っている。ただそれを声高々に訴えたところで彼女が納得する答えになっていないのが分かっているからこその、沈黙と苦い顔であった。
「……そうですか。あなた方が何か良からぬことを吹き込んだのですね」
 家光の姿に気づいた細女は袖から取り出した巻物を取り出し、ゆっくりと開いていく。
「徳川家光。あなたは父がまだ健在だからといって度々城を抜け出してはあちこちに遊び歩いているようですね。今もそうなのでしょう」
 次代の将軍が直々に迎え討つと聞けば、間違いなく周辺の大名全員が出兵しているはずである。しかしこの場にいるのは猟兵と厳島神社の戦巫女達だけである。お忍びでの出陣なのは火を見るよりも明らか。
 淡々と家光が城内からいなくなったことによる人々の混乱を読み上げるたびに四方八方から声がし始める。
「殿、何故このような地にいらっしゃるのですか!」
「ああ、また若様に逃げられた……」
 聞き馴染みのある怒り声、聞き覚えはないが疲れ切った者の声、口々にそれらを発する霊体達に囲まれた家光は右の口角だけを上げて呟いた。
「……本で読んだ罪と比べたらまだ生優しい方ですね」
 同姓同名の他人だろうと、世界が違えば事情も変わってくるだろうと割り切っていてもやはり気持ちが良いものではない。
 自分が死ぬまでが書かれていてこの程度で済んでいるならば、どうやら自分は彼のようなことをせずに済んだのだろうと思いながら家光は指笛を作って思いっきり吹いた。
『火産霊丸よ、焔の底より出ませい!』
 どこからともなく走り込んできた炎を纏った白馬が霊体達を轢き、霧散させる。白馬が横切った瞬間、手を伸ばして手綱を掴んだ家光はそのままの勢いで鞍に跨った。

成功 🔵​🔵​🔴​

隠神・華蘭(サポート)
※えっちなのはよろしくないと思いますぅ。それ以外でしたら割となんでも。

化け狸の華蘭と申しますぅ。
一人称はわたくし、お名前呼びは〇〇様で口調は丁寧語、カタカナ表記の単語は人名以外はひらがなで喋りますよぉ。

化術や逃げ足を駆使して駆け回りながら攻撃は鉈での切断と小判ばらまきや狸火での範囲攻撃をめいんに使っていきますよぉ。
UCは何でもいけますねぇ、『山口霊神』や『怨み狸』辺りはとっておきですので強敵さんに当たってしまったらそれも使用考えましょう。

他の妖怪さんをはじめ、人間以外は優先的にお優しく接しますよぉ。
普通に接するだけで別に人間にきつく当るというわけではないですのでご安心を。



 家光が突き出した切っ先を海に沈んで避けた細女は自身に寵愛と加護を齎す海神を降した神霊体となって再び浮かび上がる。
「またあの狐野郎を呼び出すかと思ったら……何か神々しいお姿になっちゃいましたねぇ」
 目の前の切支丹教徒を鉈で屠った隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)はその血糊を拭いながら嘆息した。
 以前別の神社で対峙したことがあった故にここに呼ばれたのだが、伊予国で生まれ育った華蘭にとってここ厳島神社の騒動は対岸の火事ではない。メガリスついでに占領されてしまって、四国への前線基地にされたらたまったものではない。
「まあ、どちらかというと安芸の方が狙われるでしょうけどねぇ」
 そんな呟きに反応することなく細女が神楽舞を踊り出すと、扇に描かれていた花吹雪が実体化して舞い散り始めた。
 だがその一枚一枚は万象を裂く刃であり、吹き荒れた突風によって放たれた花弁は容赦なく猟兵や戦巫女の体を切り裂いていった。
「心配なさらないでください、急所は外しました。……あなた方が道を阻むのがいけないのです」
 心底残念そうに語りながら、傷だらけで浅瀬や砂浜に倒れ伏した戦巫女の上を細女は悠々と進もうとする。
「待たんか」
 その行く手に華蘭が割って入る。だがその足元には全く瓜二つの、もう1人の華蘭が血だらけで転がっていた。
「貴様の願いも理解出来るが、上が大問題なんだよ。メガリスを託したら貴様が使った搾りかすを悪用されるのが目に見えとるんだこちとら」
「ははっ……。『あんまり喚びたくはないんですけれど、貴女の方が強いんですよねぇ……。』」
「怪我人は黙っとれ。……『全く、こんなおちゃらけた女が未来のこの華蘭とは情けない。』」
 露骨に舌打ちする過去の自分からの見下す視線を受け止めた華蘭は力無く笑う。
「だが、この華蘭はそう簡単には通さんぞ。覚悟しろ」
 過去の華蘭が生み出した青白い火の球が花弁を焼き尽くす。細女はその炎を消すべく鉄砲水を引き起こし、華蘭や戦巫女達を陸地まで押し流す。
 その強烈な一発を避けた過去の華蘭の振るった鉈は細女が咄嗟に閉じた扇を切り裂いて水没させた。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



 持ち手だけになった扇を落とした細女を中心として凄まじい波が起き、周囲にいた者全員が押し流される。
 思いっきり口に含んでしまった海水を吐いた真峰は口を拭いながらも、細女の周りに舞っていた何物でも裂き散らす花弁が止んだのを視認した。
「花吹雪が止まった……さて、真剣勝負といこうか!」
「水心子真峰。もう研げぬ程まで擦り切れるまで数多の戦場を駆け抜けてきた業物。だが折れずに生還し続けたということは、それだけ他人を切り捨ててきたことと同義でございます」
 再び巻物を開いた細女が囁くとともに、霊体の形が様々な鎧を身につけた武士の姿へと変わっていく。鎧も立派な物から今にも紐が切れてしまいそうなほどボロボロなものまで多種多様である。
 水上に突如として現れた大軍に囲まれた真峰はその場でじっくりと見回しながら波に飲まれてもなお地面に突き刺さったままになっていた複製のうちの一本を抜き取った。
「なるほど、私が今まで屠ってきた者達か。ただな……私が手を下したのではなく、私は使われただけだからな。斬った者を恨むならまだしも道具の方に殺意を向けられても、なあ?」
 そう困惑していると一部の霊体の形が揺らぎ出し、鎧を着てない人間だけでなく魚や妖精の形を取り出す者が現れ出した。おそらく今まで対峙してきたオブリビオンを象ることで真峰の意見を封じようとしたのだろう。
 しかしすでに武器を展開し終えた相手を前に隙を見せるのはただの自殺行為。
 変化のためにその場で動けなくなった霊体へ一気に距離を詰めた真峰は自身の複製で鞘から抜かぬまま切り捨てた。
 実体の無い相手に対して刃の有無は関係なく、宿られた破魔の力によって真っ二つにされた霊体は復元することなく霧散していく。
 形を変えず武士の姿のまま切り掛かる者もいたが、先程の切支丹と同じように目や足の腱を飛び交う複製体に突かれて動けなくなったところを真峰に討たれていく末路を辿っていくのみ。
「いい意味でも悪い意味でも、割り切られているようですね」
 これ以上の追及は意味がないと思ったのか、細女はゆっくりと首を横に振りながら真峰のために用意された巻物を袖の中に戻した。

成功 🔵​🔵​🔴​

火土金水・明
「多くの戦巫女さん達の命を守ろうという思いは分かりますが、猟書家になってしまった今のあなたの行動は邪魔をさせてもらいます。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【新・コキュートス・ブリザード】で、『望月鈿女』を攻撃します。相手の攻撃には【残像】【オーラ防御】【第六感】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



「多くの戦巫女さん達の命を守ろうという思いは分かりますが……」
 手をかけた魔女帽の庇越しに火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は冷めた目で細女を見つめる。
 彼女の最期や、戦巫女の周りにつきまとう現状から考えれば過激な思想に陥るのも無理はないかもしれない。
 だが今の彼女にメガリスを与えることは、戦巫女の待遇改善に止まらず、サムライエンパイアを始めとする世界の崩壊に直結する愚策でしかない。
「猟書家になってしまった今のあなたの行動は邪魔をさせてもらいます」
「これだけ割り切られているのに、なぜあなた方は分かってくださらないのでしょうか」
 心底不思議そうにしながら細女は再び海の中へ沈んでいく。
「自らが破滅の道に進んでいることを。私がその道から救い上げようとしていることを。なぜ私の手を払い除けるのですか」
 霊体と化した彼女の声は海中であっても、明達の鼓膜を響かせる。だが明は眉間に皺を寄せるだけで何も返さない。
 どうせ一方的に話すだけ話して、こちらの話は聞いてくれないのだ。徒労に終わることが分かっていることにわざわざ脳のリソースを割く余裕など、この場にはない。
 勢いよく宙へ飛び出した半神半霊となった細女を中心として波が押し寄せる。明は七色に光り輝く杖を手元で回し、天に翳した。
『新しき冷たき力!』
 七色の杖から放たれた氷属性の魔法が周囲に浮かんでいた木造船を木っ端微塵にした波をそのままの形で凍らせると、それに留まらず細女の潮水に濡れた衣をも氷に包み込む。
「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事ですから」
 重石がついたことで流れるようだった細女の舞が少しだけ強引になる。そんな美しくない舞に神の気持ちが冷めたのか、先程華蘭達をズタズタにした花弁は刃とならず、力無く海上に揺蕩う。
 そんな花弁や氷、木屑を巻き込みながら再び巻き起こった大波が迫り来るが、それらも氷漬けとなってその場に沈んでいった。
「これだけの力があるなら、なぜ反逆しないのですか。なぜ愚かな民の言いなりとなって命を落とすのですか」
「私が戦巫女か否かの区別も、もうつかないのですね」
 目を細めた明は緩慢な細女の手元に握られた扇を魔法で撃ち落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高柳・源三郎(サポート)
旅芸人一座の座長、それが高柳源三郎じゃ!!(まだ零細なんじゃがな......)。
性格は酔いどれおやじじゃが旅芸人一座の座長なので本番(戦闘)では酔いが殆ど覚めて戦うことが出来るんじゃ。
武器である【不思議なたぬき人形「はな」】【暗殺用たぬき人形「たろう」】を使いまるで踊りや人形劇をするかのう様にユーベルコードを使い戦うのじゃ。時々【竜珠】に封じ込めてある骸魂・八岐大蛇に乗っ取られて暴れて回ってしまうんじゃ。
情報収集は芸をして道行く人の足を止めて人達の噂話を聞けば集められると考えてとるんじゃ。
宴会技能が高いので戦場で宴会をするんじゃ。
口調は(わし、~殿、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)です。



「この場でまさかやることになろうとは……」
 大鳥居越しに安芸の地が見渡せる本殿にて、高柳・源三郎(幕府公認?の飲んだくれ野郎な|旅芸人座長《飲兵衛》・f15710)は床の強度を確かめるように強めに踏み込んでいた。
 かつて神座たる本殿では巫女が人々の穢れを祓い、死者の魂を鎮めるために舞を奉納していた。その余興として本殿の下で行われていた曲芸は舞台芸へと発展し、いつしか「太神楽」と呼ばれ、神楽舞と同等とされるまでに至った。
 此度は過去の悪しき風習の犠牲者たる戦巫女を弔うべく、源三郎は呼ばれたのだ。
「この高柳源三郎、この大役しっかりやらせていただきましょうぞ!」
 酒精のせいか興奮のせいか、顔を赤らめつつ胸を叩いて神主に笑いかけた源三郎の背後で明の寒波から逃れてきた細女が跳ね上がった。
「罪ある者が鎮魂の儀を行おうとそれは単なる自己満足でしかありません。それでもなお祈りたいというのなら、犯した罪の数を直しなさい」
 驚きつつ自分の姿を見上げる源三郎達を一瞥した細女の口から魂を絡め取るような玲瓏たる声が響き渡ると、神主や巫女が顔を歪ませ、喉を押さえながら這いつくばった。
「うぐっ……!?」
 その一方で源三郎は倒れず必死に足を動かしていた。
「う、うっ『......うぼっ!!』」
 そして本殿の端に縋りついたところで限界を迎え、酒と胃液などが混じった物体は天高く虹を描いた。そしてその嘔吐物は内陸の宝物殿に突っ込もうとした細女の体を偶然にも捉えた。
「なっ!? 貴方様、なんたる真似を!」
「本殿に、まくよりかは、ましじゃろうて……。ともかく、ここは通せぬ! うぶっ」
 青い顔で呼吸も絶え絶えになりつつ叫んだ源三郎の気持ちに応えるかのごとく1体のたぬき人形が舞台袖から現れて浅瀬を直走っていく。
 その足音に気づいた細女がどれだけ破綻した正論を述べようと無機物たる人形に届くことはなく、抱きついた人形の体内に忍ばされていた刃は無抵抗な細女の体を貫いた。
「ああ、また、不幸な戦巫女達が……」
 鎮痛な声音で手を伸ばす細女の体が服ごと崩れ落ちていく。その粉は海に沈む度に皆波に流されて散っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年08月12日


挿絵イラスト