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殲神封神大戦⑮〜因果覆らぬは必殺剣

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑮ #神農兀突骨

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●神農
 目の前に広がる世界に有り様を見たのは、どれほどの振りであったことだろうか。
 仙界、三皇神農の塒に『神農兀突骨』在りて思う。
「ほほう、今の世はこうなっておるか……」
 己が顕現する依代となった魔獣『兀突骨』の体は見事な傑物であると言えた。
 神農をして、そう言わしめる南蛮の魔獣。
 その息吹を感じながら『神農兀突骨』は興味深げにうなずいた。
 この魔獣を三国時代において退けた者がいるという事実もまた興味深いことであった。

「人の世よ、美しくあれ、光あれ。輝かしき未来を収穫するは、農耕を司る我『神農』の何事にも換え難き喜びである」
 封神武侠界において『神農』とは農耕と医療の祖とされる神。
 その祠にありて、魔獣『兀突骨』と合体し、『神農兀突骨』として蘇ったのだ。
 彼の神威によって祠の周囲は大量の『巨大食肉植物』が生え狂い、蠢き回る脅威なる有り様へと変わり果てていた。

「カタストロフによる収穫は拙速に思えるが……この『神農』、フォーミュラの決定には逆らわぬ。それに猟兵とやらは……異界においてザンギャバス氏を退け、ワーム氏を滅ぼしたとか。つまり――」
『神農』は己の下半身である『兀突骨』の嘶きを聞く。
 それは強者に対する武者震いのようなものであった。強者に相まみえ、これを打ち倒す悦び。それに打ち震えているのだ。
「彼等は今の我より強いという事」
 端的な事実。
 猟兵達は個としてはオブリビオンに及ばない。

 されど、個としてではなく『猟兵』という存在でひとくくりにした時、その総量はオブリビオンを凌駕する。
『神農兀突骨』が知る『ザンギャバス大帝』、帝竜『ワーム』が倒されたというのであれば、それは認めざるを得ない事実である。
「ならば、全力を以て相対し、出来得る限りの収穫を、骸の海に持ち帰ろうぞ」
 煌めくは必殺剣『ユグドラシルブレイド』。
 その剣呑なる輝きは、猟兵達に対する絶対と為る――。

●殲神封神大戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。仙界、『三皇神農の塒』への道が開かれ、南蛮の魔獣と合体した『神農』……オブリビオン『神農兀突骨』との戦いが始まっています」
 ナイアルテの瞳が見た予知は、ただ一つ。

 必殺剣『ユグドラシルブレイド』。

「オブリビオン『神農兀突骨』は強大なオブリビオンでありますが、先制攻撃をしてきません。それは皆さんの戦闘方法を知りたがっているためです」
 先制攻撃を仕掛けてこないことは猟兵たちにとって朗報であった。
 しかし、ナイアルテの表情が暗いことを知り、猟兵達はこの戦いが一筋縄では行かぬことを悟るだろう。
 そう、必殺剣『ユグドラシルブレイド』。
 それは例え、かすり傷であっても、触れた瞬間に一撃で猟兵を倒す、まさしく必殺の剣である。

「『神農兀突骨』の放つ必殺剣『ユグドラシルブレイド』の脅威はどんなに頑強なる肉体を持っていようと、どれだけ強固な防御の力を持っていたとしても、触れてしまえば必ず倒す必殺の剣なのです」
 恐るべき力である。
 おそらく刀身に触れさえしてしまえば、どんな防御も無意味。
 その先にあるのは戦闘不能という結果だけだ。

「『神農兀突骨』が皆さんの戦い方を知りたいと思っていることが、鍵となります。彼は皆さんの攻撃を受け切った後、もしくは同時に必殺剣『ユグドラシルブレイド』を放ってきます」
 つまりは、必殺剣『ユグドラシルブレイド』を放たれる前に一撃を叩き込み、かすらせることもせずに離脱する必要があるということだ。
 もしくは、それ以外の対処法を見いださなければならない。
 敵は強大なオブリビオンだ。
 一撃離脱だけでは到底倒しきれぬだろう。

「ですが、皆さんは猟兵。一人ではないのです。私はこれまでも見てきました。皆さんの戦いを。数多くの強敵を。途方も無い敵もいたことでしょう。ですが、今の皆さんが在るということは、これらを倒してきたという証」
 頭を下げるナイアルテの瞳が輝く。
 どんな窮地、死地に在りても帰ってきた猟兵達に全幅の信頼を寄せるからこそ、彼女は彼等の背を送り出す。
 そう、猟兵の戦いは繋ぐ戦いだ。
 数珠つなぎのように一つの生き物となるように、先に向かった者、後に続く者が連なって強大な存在を打倒する。

 ゆえに、彼等は猟兵と呼ばれる。
「一人で倒せぬというのならば、皆さんで倒しましょう。私ができることは、皆さんを送り出し、信じることだけ。ならば、私は信じるのです。如何なる必殺剣であっても、届かぬものがあることを」
 送り出すナイアルテは微笑む。
 はにかむような笑顔は、死地に向かう猟兵たちの背中を押す。

 生きてまた笑い合うことを約束するように――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『殲神封神大戦』の戦争シナリオとなります。

 仙界、『三皇神農の塒』に赴き、座す『神農兀突骨』を打倒するシナリオになります。
 オブリビオン『神農兀突骨』は、『神農』と南蛮の魔獣『兀突骨』と合体した姿ですが、上半身の『神農』が主導権を握った状態であり、恐るべき必殺剣『ユグドラシルブレイド』を振るう強敵です。

 先制攻撃はしてきません。
 ですが、必殺剣『ユグドラシルブレイド』は触れたものを一撃で倒します。どんなかすり傷であっても、必ず倒されてしまいます。
 強敵です。

 皆さんは、この必殺剣『ユグドラシルブレイド』に対処する必要があります。
 あらかじめ、これを放たれることを想定して、『神農兀突骨』に打ち勝てる行動を選びましょう。
 重ねますが、強敵です。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……必殺剣「ユグドラシルブレイド」に対処する(猟兵が先に攻撃できます)。

 それでは、恐るべき力を振るう『神農兀突骨』との戦い、死地に赴く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『『神農兀突骨』ユグドラシルブレイド態』

POW   :    三皇神農・変幻自在剣
【変形させた必殺剣「ユグドラシルブレイド」】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    三皇神農・無限複製剣
自身が装備する【必殺剣「ユグドラシルブレイド」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    三皇神農・絶対制御剣
【必殺剣「ユグドラシルブレイド」】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に生え狂う巨大食肉植物を剣と融合し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

東雲・深耶
神農ときたか…ユグドラシルブレイド、我が秘剣として押収出来ないものだろうか…
先制攻撃がないならば名乗ろう
我が名は時空間切断剣術・空閃人奉流流祖、東雲・深耶
貴様を討つ魔剣を振るうものだ
黒後を構え、UCを発動
貴様は異世界の強者の事を知っていると見た…ならば見るがいい
黒騎士を超越したこの魔剣をな!

黒後による『斬撃を受けた過去』という因果が『斬撃を受けた過去』由来の無限増殖する傷を持ってユグドラシルブレイドを持つ手ごと神農を切り刻んでいく
先制攻撃が行われないならば、こちらが受けた時点で詰みのUCを放つのみ

これが私の剣(ブレイド)…母上の遺した剣の道だ



 農耕と医療の祖。
 それが『神農』である。しかし、今はその顕現の依代となった南蛮の魔獣『兀突骨』と合体し、『神農兀突骨』として『三皇神農の塒』に座す。
 そこは『巨大食肉植物』が蠢き、跋扈する異様なる光景に覆われていた。
 足を踏み込めば、ぶよりと嫌な感触を足裏に伝えてくるだろう。
 不安定な足場。
 そして、煌めくのは必殺剣『ユグドラシルブレイド』。その一撃はかすり傷であったとしても、触れたとしても一撃で持って猟兵を戦闘不能のものとする因果覆らぬ力である。

「『神農』ときたか……『ユグドラシルブレイド』……」
 それこそが絶対なる必殺の剣。
 ゆえに、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は名乗るのだ。
「我が名は時空間切断剣術・空閃人奉流祖、東雲・深耶。貴様を討つ魔剣を振るうものだ」
 彼女の言葉にオブリビオン『神農兀突骨』は、その魔獣の体を揺らして頷く。
 そこにある表情から読み取れるものはない。
 あるのは、興味深げな視線のみ。値踏みするような視線であり、彼にとって猟兵事態が強者そのものであることの現れであった。
「名乗るか。ならば、我も名乗ろう。すでに知っているのだろうが、我こそが『神農兀突骨』。この依り代たるは南蛮の魔獣『兀突骨』。強者に相まみえ、武者震いをするが、恐れではないことを理解して頂きたい」
 悠然と構える『神農兀突骨』は、手にした必殺剣『ユグドラシルブレイド』を下ろす。

 まるで、何処からでも打ち込んでこいというような姿に深耶は手にした日本刀を構える。
「黒後増殖・それは存在しない過去より流出する無尽の傷――貴様は異世界の強者の事を知っていると見た……ならば、見るがいい。黒騎士を超越したこの魔剣をな!」
「魔剣、秘剣、絶剣、他世界にも数多存在するものを披露するか。良い、収穫にはもってこいだ。その力を見せてくれ。猟兵」
 嬉々とした声色。
 迫るユーベルコードの輝きを宿す深耶の瞳が『神農兀突骨』へと迫る。
 
 敵に先制攻撃はない。
 あるのは同時攻撃か、もしくはこちらの攻撃を受け切ることのみ。
 そして、『神農兀突骨』は猟兵の攻撃方法を知りたがっている。ゆえに、この一撃に掛けるのだ。
「黒後増殖・黒き久遠にて無尽する斬の痕跡(クロアトゾウショクノムジンノキズ)……『斬撃を受けた過去』という因果を放つが、我が魔剣」」
 打ち込まれた一撃。
 それは『神農兀突骨』の持つ必殺剣『ユグドラシルブレイド』は放たれれば、対峙するものに確実なる打倒を齎す剣。

 ならば、その剣を放たせなければいい。
「ほう、『斬撃を受けた過去』を増殖させるユーベルコードか。なるほど、たしかにこの依り代たる『兀突骨』は敗北を知っている。この体に刻まれた傷跡が存在するのならば、そこから因果を逆転させるか」
 面白い、興味深いと、放たれた深耶の斬撃を受け止める。
 必殺剣『ユグドラシルブレイド』を持つ手に放たれた因果は、過去に受けた斬撃を元に無限増殖する傷でもって、『神農兀突骨』の剣を振るう手を止める。

 巨大な体躯から吹き出す血。
 それは嘗て三国時代に置いて南蛮の魔獣『兀突骨』が受けた傷跡を増殖させるものであった。
「先制攻撃が行われないというのならば、こちらは受けた時点で詰みのユーベルコードを放つのみ」
 攻撃をさせない。
 ゆえに、こちらかの攻撃で持って一切の防御を許さない。

『神農兀突骨』が猟兵の攻撃を受けるのを慢心だというのならば、それを逆手に取るのだ。
「面白い。此方の反撃を一切許さぬ絶え間ない傷の増殖。こういう攻撃の仕方もあるのだな」
「これが私の剣(ブレイド)……母上の遺した剣の道だ」
 深耶は己の道を辿る。
 遺され、託されたものがあるのならば、これを継ぐ。
 それが人の道というものである。これまでもそうであったように、これからも。

『神農兀突骨』の腕に刻まれ、増殖する傷口は必殺剣『ユグドラシルブレイド』を封殺するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ歓迎!

ドーモ、神農&兀突骨!
バルタンデース! いざ尋常に勝負であります!

強力無比な必殺剣。脅威的デスネー!
デスガ、当たらなければ良いのデース!
回避? 遠距離攻撃? それも良い手デスガ……そもそも、傷一つ負わなければ良いのでは?
「骸式兵装展開、岩の番!」
絶対物質ブラキオンを模倣した岩の鎧に岩の拳!
貫けるモノならやってみよ!

……と拍子抜けさせておき、気が緩んだところへチェインハンマーを射出して、ユグドラシルブレイドを絡めとりマース!
当たったらアウトっていう概念攻撃だと知ってるでありますからな!
攻撃される前に、触れぬように封じ込めるのデース!
岩翼にて抑え込み、岩腕で殴りかかりマース!



 増殖する腕の傷を見やり、オブリビオン『神農兀突骨』はじっくりと傷跡が開き続ける様を観察していた。
 それは猟兵の放った斬撃であり、同時に過去にこの顕現するための依代となった南蛮の魔獣『兀突骨』に刻まれた傷跡でもあった。
 今を侵食するオブリビオンとなっても、過去に刻まれた傷跡を体は覚えているようであった。
「斬撃を持って過去の因果を開かせるか。面白い。そして、君は何を見せてくれるのだろうか」
 そう言って『神農兀突骨』は、己の拓く傷を覆うように周囲に在りし『巨大食肉植物』でもって傷口をえぐり、そして蔦でもって腕を再構成し、必殺剣『ユグドラシルブレイド』を手に取る。

 目の前に対峙するのは、猟兵バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)であった。
 彼女は恭しく一礼する。
「ドーモ、神農&兀突骨! バルタンデース! いざ尋常に勝負であります!」
 バルタンにとって、必殺剣『ユグドラシルブレイド』は凄まじ力を宿した剣である。
 どんなかすり傷であっても、手傷を負わされた瞬間に猟兵は戦闘不能へと陥る。
 強力無比と言わざるを得ず、驚異である。
 彼女の頭の中でめぐるのは、その必殺剣『ユグドラシルブレイド』を如何にして攻略するかという思考ばかりであった。

 回避。
 遠距離攻撃。
 かすらせもせず、こちらの攻撃を一方的に『神農兀突骨』へと与えることこそが肝要。
 こちらは、ただ一撃でも受けてしまえば、その時点で終わりなのだ。
 そうするしかない。けれど、バルタンの選択は違った。
「骸式兵装展開、岩の番!」
 それは『大天使ブラキエル』を模した姿に変貌し、頑強なる岩翼と二対の岩腕を生やす。
 絶対物質ブラキオン。
 その鎧に似た岩鎧をまとったバルタンが、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 それこそが、模倣様式・絶対岩腕(イミテーションスタイル・ブラキエル)である。

 彼女が取った択は一つ。
 躱す、遠距離で打ち込む。それ以外にも、そもそも傷一つ追わねばよいのだと彼女は絶対物質ブラキオンを模した岩の鎧に岩の拳でもって『神農兀突骨』へと対峙するのだ。
「絶対物質ブラキオン。なるほど。確かに傷を負わせることもできず、その鎧の隙間に攻撃を通さねばならない」
「ええ、そのとおりデース! 貫けるモノならやってみよ!」
「拍子抜けだな、猟兵。我の必殺剣『ユグドラシルブレイド』は――」
 そう、触れただけで必ず倒す剣。
 猟兵が如何に頑強なるもので肉体を覆うのだとしても、触れた瞬間に戦闘不能へと至らしめる力。

 ゆえに、刀身が触れるだけでいいのだ。
「ならば、君に興味はもはやない。倒れるがいい。我が必殺剣『ユグドラシルブレイド』によって」
 放たれる斬撃の一撃。
 それは不可避なる一撃であった。命中率を高めた一撃がバルタンがに迫る。しかし、バルタンは笑っていた。
 放たれる一撃。勝利を確信した一撃だった。だからこそ、そこに慢心が生まれるのだ。
 気が緩むと言ってもいいだろう。
 其処に放たれるのはチェインハンマー。鎖が『ユグドラシルブレイド』を絡め取り、剣閃の機動をずらずのだ。

「あたったらアウトって知ってるでありますからな! その概念攻撃! 攻撃される前に、触れぬように封じ込めるのデース!」
 岩翼が機動のズレた『ユグドラシルブレイド』を抑え込み、さらにその上からバルタンは大地を蹴って『神農兀突骨』へと迫る。
 握られたのは絶対物質ブラキオンを模した岩拳。
「我の気を緩めさせる方策か」
「そのとおりデース! 確かにあなたは強い。けれど、強者故に慢心する。初手を譲っても勝てるという自信があるからこそ、侮るのデース!」
 そして、その侮りこそが、猟兵の活路を開くのだ。

 打ち込まれた岩拳の一撃が『神農兀突骨』を吹き飛ばし、大地へと叩きつける。
 どれだけの強者であろうとも、そこに絶対はない。
 バルタンは己の拳を掲げ、必殺剣『ユグドラシルブレイド』恐れるに足りずと宣言するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
先手を許してくれるというならアマービレでねこさんを可能な限り呼んで彼らの多重詠唱全力魔法でわたしの身体能力をリミッター解除しつつ限界を超えて強化し、わたしを起点に結界も展開。
用が済んだらねこさん達には撤退してもらいます。

こちらを狙ってくるなら迎撃は容易いですね。

第六感と野生の勘で必殺剣の挙動を見切りつつ接近し、スタッカートを用いた早業の絶・蘇威禍割で必殺剣を粉砕します。

概念的に砕いてしまえばもうそれは必殺剣ではなくただの鉄片です。
相手が先に動こうと後に動こうと関係ない。敵の得手を潰して打ち倒す。それがわたし達の戦いです。

破片を結界で防ぎつつ相手が体制を整える前に早業で斬り伏せましょう。



 岩拳の一撃がオブリビオン『神農兀突骨』の体を打ち据える。
『三皇神農の塒』に蔓延る『巨大食肉植物』の蔦がうねり、その体を受け止めた。南蛮の魔獣『兀突骨』を依り代として顕現した『神農』にとって、猟兵の存在は興味深い存在の一つでしかなかった。
 確かにオブリビオンとして猟兵は滅ぼさなければならない。
 この世界にありて、『神農兀突骨』は彼等の攻撃方法を知りたいがために先制攻撃すらしてこない。

 何故ならば、彼には必殺剣『ユグドラシルブレイド』があるからである。
 触れれば如何なる頑強な猟兵であろうが、戦闘不能へと陥らせる恐るべき力。
 それがあるからこそ、先手を譲り、敵の攻撃を観察するのだ。
「やはり必殺剣『ユグドラシルブレイド』の力を知るか。知った上で対策を立ててくる。力の在り方とはこれまた面白い。猟兵とは生命の埒外にあるもの。ならばこそ、法則性が見いだせぬ」
 それでも『神農兀突骨』は興味深げな姿勢を改めることはなかった。

 刈り取り、収穫するのであれば、目の前の成長具合を正しく知らねばならない。
 青田刈りなどもってのほかである。
「先手を許してくれるというのなら」
 鈴のついた白いタクトが、その音色と共に振られ、数多の魔法猫たちが飛び出していく。
 それは、七那原・望(封印されし果実・f04836)の振るう力。
 呼出sれた魔法猫たちが詠唱を紡ぎ、魔法でもって望の身体能力のリミッターを解除し、限界を越えて強化していく。
 さらに彼女を起点に結界が展開され、魔法猫たちが退散していく。

 その様子をみていた『神農兀突骨』の威容は衰えることはなかった。
 むしろ、数多の力を手繰る猟兵の姿を観察することが、『神農兀突骨』にとって大切なことであったのかもしれない。
「他者を呼び出し他者で己の限界を超える。幼子であっても、これほどの力を手繰るとは。面白い。成長すれば、これ以上になるのか?」
 揺れる必殺剣『ユグドラシルブレイド』。
 それは触れた瞬間に戦闘不能へと陥らせる恐るべき力。

 だからこそ、望は第六感と野生の勘でもって、揺れる『ユグドラシルブレイド』の切っ先を感知する。
 手にするのは対をなす黒き妖刀と白き聖剣。
 敵に必ずや戦闘不能を齎す必殺剣に相まみえるは、新たなる世界の夜明けを齎す二振り。
「こちらを狙ってくるなら迎撃は容易いですね」
 その剣がユーベルコードに輝く。
 望は己の視界を閉ざして放つ高精度かつ神速の一刀を放つ。
 打ち合っては負ける。
 だからこそ、概念を粉砕する無数の剣閃でもって『ユグドラシルブレイド』を圧倒する。

 目の前に迫る『ユグドラシルブレイド』は触れた猟兵を戦闘不能へと陥らせる。
 一度でも触れれば、かすり傷でも負えば、その時点で猟兵は終わる。
 だが、それは概念を押し付ける刃。
 その必ずや戦闘不能に陥れるという概念そのものを粉砕する剣閃でもって応対する。
「敵の得手を潰して打ち倒す。それがわたし達の戦いです」
 概念が砕けて破片となっていくのを望は知覚する。

 その概念に触れてもおそらく己は打倒されてしまうだろう。
 だからこそ、結界が砕ける音が聞き、雨のように降り注ぐ概念の破片を躱す。
「概念自体を切り裂く刃か。敢えて敵の得手を潰す。真っ向勝負というわけだな。良いだろう、やってみせるがいい、幼子よ」
 迫る『ユグドラシルブレイド』の刃を躱し、望が飛ぶ。

 見えぬ視界の中にありて、感じる強大な力の塊。
 このまま剣戟が続けば、負けるのは己。
 ならばこそ、『神農兀突骨』が体勢を整える前に一瞬で切り伏せる必要がある。
「絶・蘇威禍割(アブソリュートリィ・ディバイド)――」
 放たれる無数の剣閃。
 ユーベルコードの煌きが世界に迸る。
 その剣閃は紛れもなく、必殺剣を砕くだろう。二振りの妖刀と聖剣。相反する色でもって望は彼女が望む明日を描く。

 絶対なる力を前に、それでも力を振るうことを躊躇わない。
 その力でもって切り拓く明日は、きっと輝かしいものであると信じるからこそ、望の手にした剣は『神農兀突骨』を十字に切り裂くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…私の力が見たいというならば、好きなだけ見るが良い

…その間に此方は此方で観させて貰うだけよ。勝利の可能性をね

積み重ねてきた戦闘知識から体勢を崩さない足場を見切りつつUCを発動
大鎌を武器改造し時間分岐の神剣化を行い時間流の魔力を溜め、
カウンターを受け流して敵を切断する極小の可能性を降霊して切り込み、
空中機動を行う敵UCの乱れ撃ちを回避しながら時属性攻撃の斬撃波を放つ

…来たれ、数多の可能性を呼び寄せるⅨの剣
時の揺らぎを手繰り寄せ、約束された未来を我が手に

…既に未来は決まっている。その剣が私を傷付ける事は決して無いと知れ

…万に一つ、億に一つの可能性であったとしても私の剣には関係無い。残念だったわね



「ふむ。なるほど。我に必殺剣『ユグドラシルブレイド』を振るわせずに攻撃を叩き込む。もしくは、戦闘不能にするという概念のみを切り裂くか」
 オブリビオン『神農兀突骨』はこれまで猟兵達が繰り広げてきた戦いをつぶさに観察していた。
 収穫の時が来たのならば、いかに拙速であろうとも『神農兀突骨』は躊躇わない。
 猟兵たちの攻撃を見るために敢えて先手を譲っている。
 余裕があるのは当然のことだ。
 彼にとって猟兵たちとは収穫物そのもの。

 収穫物が何を言おうと、何をしようとも、刈り取る決定は覆らぬ。
「中々に面白いことをする。猟兵に法則性を見いだせぬというのも無理なからぬこと。しかして、まだ例が足りぬのもまた事実。ならば、見せてもらおうか、君らの実力というものを」
 帝竜『ワーム』を滅ぼし、『ザンギャバス大帝』を退けた力。
 それを『神農兀突骨』は知りたいと願ったのだ。

「……私の力が見たいと言うならば、好きなだけ見るが良い」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は『巨大食肉植物』が蔓延る『三皇神農の塒』を走る。
 不安定な足場であれど、これまで彼女が積み上げてきた戦闘知識は、その不安定さをこそ超える。
「……その間に此方は此方で観させて貰うだけよ。勝利の可能性をね」
「良いとも。見せてくれ。我が必殺剣『ユグドラシルブレイド』を如何にして躱すのか。そして、君らの力を。骸の海へと持ち帰るに値するのか。多くを持ち帰るに値するのかを」
 笑う『神農兀突骨』を前にリーヴァルディは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

「……名も無き時の支配者、天の獄に座する異端の神の力を此処に……来たれ、数多の可能性を呼び寄せるⅨの剣。ときの揺らぎを手繰り寄せ、約束された未来を我が手に」
 手にした大鎌を変貌させる。
 時間分岐の神剣へと換え、魔力を溜め込んでいく。
 代行者の羈束・時間王の神剣(レムナント・クロノルーラー)。
「その剣は時間を手繰るか。面白いものだ。実に興味深いものだ。時間を手繰りてどうする。過去は決定している。逆巻くことはない。分岐した未来を見て、君は何を掴む」
 その言葉にリーヴァルディは、手にした神剣を掲げる。
「……既に未来は決まっている」
 迫るは天を覆うほどの膨大な数に分裂した必殺剣『ユグドラシルブレイド』。その剣は一度触れてしまえば、猟兵を戦闘不能へと追い込む恐ろしき力。

 ならばこそ、リーヴァルディは分岐された未来に手を伸ばす。
 一歩進む。
 その度に振るわれる必殺剣『ユグドラシルブレイド』が飛来する未来を見る。半歩をずらし、上体をひねる。
 かすらせることすらさせず、リーヴァウディは己が手にした未来を示すのだ。
「その剣が私を傷つけることは決して無いと知れ」
 見える未来は膨大なものである。
 飛来する必殺剣『ユグドラシルブレイド』の力は言うまでもない。

 触れてしまっただけでリーヴァウディは倒れてしまう。
 その未来を否定する。
 彼女が手にした神剣は、あまたある可能性の中から、迫りくる必殺剣『ユグドラシルブレイド』を全てかわした未来を選び取るための力。
「……万に一つ、億に一つの可能性があったとしても、私の剣には関係ない」
「可能性に見ているな、猟兵。選び取るか。それが茨の道だとしても」
 その言葉にリーヴァウディは告げる。 
 ただ一言。

「残念だったわね」
 彼女が臆する未来はない。
 膨大な可能性の中から一筋の光明を見出すこと、それは暗闇の世界在ったからこそ見ることのできた光景である。
 故に、リーヴァウディは振るう。
 神剣より放たれる時を手繰る斬撃波の一撃は、如何なる必殺後からも寄せ付けず、『神農兀突骨』の体へと打ち込まれるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
いやー、まさか神農がごっさん(兀突骨のこと)と合体してるとは。
そんでもって…うん、ごっさん退けた人、知ってる。

基本行動は『見てから』なんですよね?
では…これはいかがです?

七色竜珠を白日珠[方天擊形態]に変化。そしてUC発動ですよ。
そう、姿が見えない。故に『観察しようがない』。

こっそり赤兎馬を出して乗って…騎乗突撃ですね!赤兎馬も見えなくなってますし。
ええ、私の速度を測ってたかもしれませんが、それも意味はなく。

そして、最大に怖いのは。この状態で攻撃すると、私と対峙してたことを忘れるんですよ。
どう考えても、一時間より短いので。

残るのは、意味不明な傷だけですね。



 オブリビオン『神農兀突骨』は、医療と農耕の祖である『神農』と南蛮の魔獣『兀突骨』とが合体した存在である。
 その手にあるのは必殺剣『ユグドラシルブレイド』。
 触れるだけで相対する猟兵に戦闘不能を齎す恐るべき力。
 その力を振るえば、如何に猟兵達が強いのだとしても、全てを打倒することも可能であったことだろう。
 だが、『神農兀突骨』は猟兵達に先手を譲る。
「収穫するにしても、それが如何なるモノであるかを見定めることは必要であろう。実りは十分であるか、不要なものが混ざってはいないか。我等に毒在るモノではないか。そう観察する時間が必要なのだよ」

 猟兵達によって打ち込まれた打撃は確かに『神農兀突骨』を消耗させている。
 しかし、未だ彼に余裕があるのは必殺剣『ユグドラシルブレイド』の絶対的な優位が揺らがぬからであろう。
「いやー、まさか神農がごっさんと合体しているとは」
 ごっさんとは、すなわち『兀突骨』のことである。
 荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、三国時代の歴史について世界は違えどよく知る猟兵である。
 彼女が、ごっさんと呼ぶ『兀突骨』を退けた人物に心当たりはある。
 この封神武侠界では違うのかも知れないが、おそらく似通った存在であるかもしれない。
 
 だからこそ、檬果は手にした七色竜珠を白日珠に束ね、方天戟へと変貌させる。
「我が顕現の依り代となったのが南蛮の魔獣『兀突骨』。これもまた傑物。故に、強者との戦いに武者震いをしている。さあ、見せてくれ、猟兵」
「では……これは如何です?」
 檬果は手にした方天戟を構え、瞳をユーベルコードに輝かせる。
 武人、欠片のみ残し(デンナキモノノジセキ)、その名のみが残る存在、湮滅将『宋謙』を憑依させる。
 焔闇のオーラが体を覆い、『神農兀突骨』からの視聴嗅覚からの感知を不可能にする。
『神農兀突骨』からすれば、目の前の猟兵が突如として消えた用に見えたことだろう。

「超スピードというわけではない。視覚、聴覚、嗅覚から存在を消すユーベルコードと見た。なるほどな。我の手に必殺剣『ユグドラシルブレイド』があろうと、捉えられぬ者は斬れぬ」
 考えたものだと『神農兀突骨』は感心していたが、檬果にとっては、それだけではない。
 赤兎馬を駆る。
 一気に勝負を決める時であった。
「私の速度を測っていたのかもしれませんが、それも意味はなく」
 手にした方天戟が『神農兀突骨』へと叩きつけられる。
 しかし、攻撃を叩きつけた瞬間に視聴嗅覚で捉えれずとも、己に打撃を与えた存在を感じることはできるだろう。

 なにせ、触覚は残っているのだから。
「……はて」
 しかし、『神農兀突骨』は動かない。
 己の体に傷が残っている。だが、直近のことを思い出せないのだ。何故か生命力が失われているが、どうしてそうなったのかがわからない。

 それは彼にとっては不可解なことであったが、檬果にとっては簡単なことであった
「ええ、この焔闇のオーラは私と対峙していたことを忘れるんですよ。どう考えても、一時間よりは短いので。残るのは意味不明な傷だけですね」
 そう、彼女のユーベルコードによって放たれる焔闇のオーラは、触れたものの生命力や運気を奪うだけではなく、触れる前の記憶を奪うのだ。
 これでは、どれだけ先行した猟兵たちの動きを『神農兀突骨』が覚えていたとしても、水泡に帰す。

 忘れ去ってしまえど、その身に刻まれた傷跡は消えない。
「理解できないでしょう。それが私達猟兵というものです。どうして傷が打ち込まれたのかも、どうやって必殺剣『ユグドラシルブレイド』を私達が躱したのかも、りかいできぬまま、ここで潰えて頂きます」
 赤兎馬と共に檬果は駆け抜け、『神農兀突骨』の記憶と生命力を奪い、その目的の根本から断ち切るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
ははは。一撃必殺の剣か
正に俺みたいな武芸者が追い求める理想の姿だな
それが相手となってはいやがおうにも燃えるってもんだ
てめぇの剣と俺の剣。どちらが上か、いざ尋常に勝負!

三皇神農・変幻自在剣で剣が変形して襲いかかってきたら、腕の動きを注視し、それから軌道や位置を推測し、第六感、見切り、残像で避ける
こちらの攻撃は、勇気で反撃を恐れず、グラップルとダッシュで食虫植物の床を駆け抜け、捨て身の一撃を叩き込む
「お前の剣ほどじゃないが、俺の剣も結構効くだろ?一撃必殺といかないのが、悔しいがな」



 必殺剣『ユグドラシルブレイド』は、かすり傷であっても、触れただけでも猟兵を戦闘不能に追い込む恐るべき力である。
 抵抗はできず。
 そして、どれだけ頑強なる肉体を持ち、強固な加護を持つのだとしても無意味。
 それは一撃必殺と呼ぶにふさわしい剣であった。
「ははは。一撃必殺の剣か」
 笑う声が『三皇神農の塒』に響く。
 蔓延るようにうごめく『巨大食肉植物』たちがのたうつ中、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は笑っていた。

 目の前のオブリビオン『神農兀突骨』は、たしかに強大な存在である。
「何を笑う、猟兵。よほど良いことがあったように思える。喜ばしいことであるか。それとも、我に収穫される悦びに振るえているか」
「いいや。ただ思っただけさ。その必殺剣『ユグドラシルブレイド』は正に俺みたいな武芸者が追い求める理想の姿だな、とな」
 そして、刀也の瞳にあるのは恐れではなかったのだ。
 あるのは喜び。故に『神農兀突骨』は目の前の猟兵が己に収穫されることをこそ喜んでいるのだと思ったのだろう。

 しかし、それは間違いである。
「それが相手となってはいやがおうにも燃えるってもんだ」
 刀也は手にした刀を構える。
 その構えは最上段。一見すれば隙だらけであったことだろう。『神農兀突骨』にとって強者とは収穫に値するものであった。
 だからこそ、防御を捨てたような構えを取る刀也の姿に、手にした必殺剣『ユグドラシルブレイド』を躊躇いなく振るった。
 猟兵の戦いを見るために先手を譲るが、目の前の猟兵の構えは最上段からの一撃を狙ったもの。

 ならば、その剣速をこそ知りたいと思ったのだろう。
 変幻自在なる剣が刀也を襲う。
「てめっぇの剣と俺の剣。どちらが上か、いざ尋常に勝負!」
 開かれた瞳がユーベルコードに輝く。
 手にした刀の切っ先を一擲となして、乾坤を賭す。
 それが、雲耀の太刀(ウンヨウノタチ)である。斬撃の一撃は、互いに最速を以てして行われるもの。

 ならばこそ、刀也は『神農兀突骨』の腕の動きを注視し、その振るわれる斬撃の軌道と位置を推測する。
「結局の所、最後は」
 己の第六感に頼らざるを得ない。
 触れれば、それだけで己は倒れるだろう。残像を残すほどの速度で踏み込む。触れれば倒れる。
 恐れは踏み込みを浅くしてしまう。だからこそ、刀也は勇気を以て駆け抜ける。
 捨て身。
 唯一できることは、己の自身を一振りの一閃と為さしめることのみ。

「お前の剣ほどじゃないが」
 振るわれる一撃は縦一閃に振るわれ、『ユグドラシルブレイド』を手にしていた『神農兀突骨』の腕を切り裂く。
 それは一撃のもとに両断し、『巨大食肉植物』の床へと落とすものであった。
「俺の剣も結構効くだろ? 一撃必殺といかないのが、悔しいがな」
 目指す先にある剣の頂き。

 一撃必殺。
 求道者であるのならば、一度は夢見る言葉である。それを体現した存在と相まみえるからこそ、己の心は燃え上がるのだ。
 刀也は、己を一刀と為さしめ、一閃でもって剣の極地へと至る光明を見るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
三皇にしては随分と低俗なお姿ね。
いいわ。村崎ゆかり、陰陽師。一手お相手仕る。

わざわざ先手を譲ってくれるとは、舐めてくれる。手加減はしないわよ。
「全力魔法」虚の「属性攻撃」「範囲攻撃」「精神攻撃」「弾幕」「制圧射撃」で落魂陣。
神農様はともかく、兀突骨の精神はこの絶陣に耐えきれるかしら?
兀突骨が下半身で移動を司っているなら、そちらを落とせば足は動かない。その状態で剣を振るえるかしら、神農様?
出来れば神農様の意識も刈り取れれば、もっと安全。
魂を刈るのは御身だけの技ではないのよ。

それでも反撃が来るなら、「式神使い」で折紙から大量の式神を作り、身代わりにして退却する。
あたしは捧げ物になるほど柔じゃない。



 魔獣の下半身を持ち、三皇に数えられる『神農』は、オブリビオン『神農兀突骨』として世界に顕現する。
 その姿は醜悪と呼べるものであったことだあろう。
 いまや『三皇神農の塒』は『巨大食肉植物』が蔓延る魔境の如き様相を見せていた。うごめくようにして成長し、のたうち回るように蔦が這う中、切断された腕から必殺剣『ユグドラシルブレイド』を手に取り、隻腕となってもなお『神農兀突骨』は薄く笑っていた。
「面白いな。これほどまでに多様なる力を見せるとは。収穫のし甲斐があるというものだ。何か忘れているような気がしないでもないが……」
 猟兵の一撃でもって切断された片腕。
 そして、記憶を奪われても尚、『神農兀突骨』は余裕を保っていた。

 それは手にした必殺剣『ユグドラシルブレイド』の絶対的な優位を知るからである。
「三皇にしては随分と低俗なお姿ね」
「そうかね。我はそうは思わぬよ。これほどの傑物を顕現の依り代にできたこと、そして強者を前にすることができるのは喜びである。相対するものが強者であれば、あるほどに収穫の喜びも多きものであるがゆえに」
『神農兀突骨』は、己の前に立つ村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)の姿を認め、また笑った。
 彼にとって猟兵とは骸の海に持ち帰る収穫物に他ならない。
 農耕と医療の祖。
 それが『神農』である。ならばこそ、彼は優位であるがゆえに猟兵に先手を譲るのだ。

「さあ、遠慮はいらない。君らの攻撃を見せてくれ。それを我は知りたいと思うのだから」
「わざわざ先手を譲ってくれるとは、舐めてくれる。手加減はしないわよ」
「いいとも。加減などしたところで、君らの運命は変わらぬのだから」
 煌めくは必殺剣『ユグドラシルブレイド』の剣呑なる刀身。
 それは触れただけで猟兵を戦闘不能に陥らせる必殺剣。ならばこそ、ゆかりは瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。心身支える三魂七魄の悉くを解きほぐし、天上天下へと帰らしめん。疾!」
 魂魄を吹き飛ばす呪詛を込めた呪符より放たれる光線が、『神農兀突骨』を襲う。

 それは肉体を傷つけず、魂魄のみを攻撃する落魂陣(ラッコンジン)。
「『神農』様はともかく、『兀突骨』の精神はこの絶陣に耐えきれるかしら?」
「肉体ではなく魂魄事態を攻撃するか。面白いな。呪符によって光線を放つ……ならば、魂の総量を見誤るべきではなかったな」
 確かに魂魄に傷をつけられて、ただでいられるわけがない。
 彼女のユーベルコードは、そういう力だ。肉体の頑強さではなく、魂を直接傷つけることによって敵の動きは止まる。

 ゆかりの言葉通り、魔獣たる『兀突骨』は呪符より放たれた光線でもって動きを止める。下半身となっているからこそ、動けぬままに呪符より放たれる光線は『神農兀突骨』へと中注するだろう。
「我も、この『兀突骨』もまた傑物。魂魄の強大さは言うまでもないことよ!」
 放たれる必殺剣『ユグドラシルブレイド』がゆかりの体を穿つ。
 その一撃は、どんなかすり傷であろうと猟兵を戦闘不能に陥らせる。ゆかりの体がそれに貫かれた瞬間、彼女の体は煙とともに一枚の式神へと変わる。

「――……式神か」
「ええ、身代わりのね。あたしは捧げものになるほど柔じゃない」
 ゆかりの声が空より響く。 
 式神によって高度を保ち、睥睨する。
「魂を刈るのは御身だけの技ではないのよ。どちらの意識も十分に消耗したでしょう。その状態でいつまで剣を振るっていられるかしら」
 ゆかりは後に繋ぐ。
 あの『ユグドラシルブレイド』の力は本物だ。
 どうあがいても、あの必殺剣は防ぐ手立てがない。躱すか、放たせないか。そのどちらかしかない。

 だからこそ、ゆかりは放たれても己の身代わりによって躱すことを選択した。
「無駄に消耗した体であれば、あとに続くものの道を拓くことができる。あたしたち猟兵をあんまり舐めないでほしいわね」
 ゆかりは、猟兵という存在が繋がり、紡ぐ者であることを示す。
 人の歴史がそうであったように連綿と紡がれるからこそ、得られる未来があるのだと、その光明をこの戦いにて示すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

董・白
まさか伝説の神農と相まみえようとは…
しかし兀突骨と融合ですか…チョイスが謎です。
あと兀突骨といったら藤甲兵ですが…火計で燃えないかなぁ…。

強烈無比な必殺剣。
あたれば恐ろしいですが、当たらなければ勝機はあります。
神農。崑崙派竜吉公主派閥が仙人の董・白がお相手いたします。

『道術』で霊符に『破魔』の術をかけて『投擲』しユグドラシルブレイド一撃を撃てないように牽制します。
準備が整いました。
雷公鞭を取り出し、宝貝「雷公天絶陣」で雷の『属性攻撃』を降らせます。
感電してしまえば、満足にその必殺剣も振れないでしょう。
御覚悟を
打神鞭による『精神攻撃』で融合した神農へと集中攻撃です。



『三皇神農の塒』は『巨大食肉植物』がはびこり、不安定な地形へと変貌していた。
 それこそが神威。
 その力は確かに強大なオブリビオンであることを知らしめるだろう。
 しかし、それ以上に驚異であったのは手にした必殺剣『ユグドラシルブレイド』である。触れたものに確実なる戦闘不能を齎す剣は、今の猟兵をしてまともに打ち合うことができぬものであった。
 かすり傷であっても、触れた瞬間に戦う力を奪われてしまう。
「まさか伝説の神農と相見えようとは……」
 董・白(尸解仙・f33242)は、オブリビオンとして蘇り、南蛮の魔獣『兀突骨』と合体した姿で顕現した『神農兀突骨』の姿に驚きを禁じ得なかった。

「ほう、我の名を知るか」
『神農兀突骨』は片腕を失い、その魂魄に傷を付けられても尚、次々と現れる猟兵の姿に笑っていた。
 彼が欲するは多くの猟兵たちの戦い方である。
 それゆえに彼は、必殺剣『ユグドラシルブレイド』を持ちながら、先手を猟兵に譲るという余裕さえ見せていた。
 例え、今己が消耗させられているという事実を差し引いても尚、その態度を改めるところがなかった。

「『兀突骨』と融合しているチョイスが謎です……」
 白は、顕現の依り代となった魔獣の選択に疑問を持っていた。
『兀突骨』と言えば、藤甲兵とは、蔓によって生み出された軽く強靭なる鎧をまとった兵である。
 刃も弓矢も通さぬ強靭さでありながら、水にすら浮く特性を持っていた。
 しかし、火計によって燃えるという植物ならではの弱点もあったのだが、白は下半身を担当する『兀突骨』の装甲が燃えないかと考えていたのだ。

 だが、今警戒すべきは必殺剣『ユグドラシルブレイドである。
「我が依り代もまた傑物。猟兵、君たちにも負けぬほどのな。それはそうと見せてもらおうか、猟兵の戦い方を。我は知りたいのだ。収穫物がどれほどの実りを見せているのかを」
『神農兀突骨』は笑っている。
 先手は譲るというのは、予知通りの行動であった。それほどまでに必殺剣『ユグドラシルブレイド』は強力無比な必殺剣。
「『神農』、崑崙派竜吉公主派閥が仙人の董・白がお相手いたします」

 白は伝説の存在と相対し、そこに彼と同じような余裕を持つことはなかった。
 手にした霊符がばらまかれ、その破魔の術でもって隻腕となった『神農兀突骨』の手にある『ユグドラシルブレイド』を押さえつけるのだ。
 しかし、それは牽制でしかない。
 相手は『神農』である。
 如何にオブリビオンと化しているとは言え、その力は本物であろう。さらには、大地にうねるようにしてうごめく『巨大食肉植物』の足場は不安定である。

「こちらの武器を封じるか。だが、それは一時凌ぎに過ぎないとわかっているのだろう」
「ええ、ですから、これは準備です」
 手にするのは、宝貝『雷公鞭』。
 白の瞳がユーベルコードに輝く。雷の力であれば、如何に南蛮の魔獣『兀突骨』と言えど、その肉体に走り抜けるだろう。
 煌めく、宝貝「雷公天絶陣」は天より降り注ぐ雷となって『神農兀突骨』を穿つ。感電によって、その体が動かけないことまで白は織り込み済みである。

「御覚悟を」
 雷の力で体がしびれて動けなければ反撃の『ユグドラシルブレイド』も振るえない。
 白の手にあるのは新たなる宝貝『打神鞭』。
 その力は肉体ではなく、精神にダメージを与えるところにある。南蛮の魔獣『兀突骨』と融合しているからこそ、その強靭な肉体に損傷を与えることは難しい。
 さらには決定打になるほど白の膂力は高くはない。
 ならばこそ、その傷ついた魂魄をさらに打ち据えるのだ。

『神農兀突骨』にとって、それは内蔵を打ち据えるのと同じ痛みを走らせることだろ。融合した『兀突骨』にとってもそうだ。
「その魔獣の肉体を依り代としているのならば、その魂ごと打ち据えてみせましょう!」
 放つ一撃が『神農兀突骨』の精神を打ち据える。
 肉体ではない魂に打ち据えられる一撃一撃が、感電し動けない『神農兀突骨』を叩きのめし、『三皇神農の塒』に打倒するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「…ふぅ。」
煙草を一本吸ってからUCを発動。

先ずはUCの効果で身体を作り変える。
聴覚、味覚、嗅覚を遮断し、その代わりに視覚と反射神経を限界を超えて強化。
強化された視覚と反射神経、あと第六感を駆使して敵の攻撃を見切り、次の動きを瞬時に判断。
攻撃出来そうなら万物切断の能力を使いながら二振の大鎌で敵を斬り、回避が間に合わない場合は二振の大鎌で武器受けし、敵の剣を怪力も駆使して全力で跳ね上げて隙を作る。
それで隙が出来るなら即座に次の攻撃に繋げる為に敢えて大鎌を手放し、万物切断の能力を纏った手刀で敵を斬る。狙いは首か腕。
攻撃後は一旦距離を取り、強欲髪を伸ばして大鎌を回収して仕切り直す。

「シネ。」



「……ふぅ」
『三皇神農の塒』において、紫煙が立ち上る。
 それは、須藤・莉亜(ブラッドバラッド・f00277)の手にした煙草から立ち上るものであり、けだるげな雰囲気を醸し出していた。
『巨大食肉植物』がうごめく不安定な足場。
 そこは『神農兀突骨』の神威が溢れる証でもあった。ゆえに、莉亜はけだるげに、その瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
 己の吸血衝動が薄れていくのを感じる。それこそが彼のユーベルコードの力であり、代償でもある。
 そう、今の莉亜は憂鬱な殺人鬼(メランコリッパー)に変貌を遂げる。

 その表情は今から戦いに赴くものとは思えないほどに陰鬱な表情であった。
「ほう、己の姿を作り変えるか。その在り方も。生命の埒外に在る者。これだけの数の猟兵を相手取ったが誰一人として法則性を見出すことなどできないな」
『神農兀突骨』は笑っていた。
 これまで猟兵たちの攻撃に寄って消耗を重ねられているが、それでも彼は笑っている。
 そこにあるのは余裕であったことだろう。
 無理なからぬことである。
 その手に在るのは必殺剣『ユグドラシルブレイド』。
 かすり傷であっても、触れるだけでも猟兵を戦闘不能に陥らせる絶対必殺の力。その力があるからこそ、『神農兀突骨』は余裕を保っていられる。

「我は収穫物が如何為るものかを見定める者。ゆえに、見せてもらおうか、猟兵。君たちの力を」
 先手は譲る。
 だが、莉亜にとって、それは言葉を交わす理由にはならない。
 すでに聴覚、味覚、嗅覚は遮断している。
 必要なのは視覚と反射神経である。研ぎ澄まされた感覚は、鋭敏に。鋭き刃を思わせるまでに強化され、踏み込む。

「――……早いな。吸血鬼ではない、殺人鬼。鬼というやつであるか」
 手にした『ユグドラシルブレイド』を振るう『神農兀突骨』。すでに片腕を失い、その魂魄に傷を追っていても、振るう斬撃は凄まじい速度であった。
 しかし、莉亜には見えていた。
 あらゆる行動が今の彼にとっては、遅いものであった。
 見えているのだ。振るわれる剣の切っ先が。
 ならば、躱すことは億劫であっても容易。剣閃の煌きをみるまでもなく体は動いていた。

 二振りの大鎌が『神農兀突骨』の体を切り裂く。
 噴出する血潮すらかぶることなく莉亜は戦場を走り抜ける。足場が不安定であっても関係ない。
 跳ねるようにしてうごめく『巨大食肉植物』のたわみすら利用して、『神農兀突骨』の眼前へと迫るのだ。
「シネ」
 ただそれだけであった。

 言葉をかわす必要性を感じていないのだ。
 相対する『神農兀突骨』の振るう剣が遅すぎるとさえ感じていた。防御できない斬撃であろうと、躱せぬものではない。
 ならば、莉亜は、その巨体を駆け上がりながら大鎌の斬撃を見舞い続ける。
 己に今断ち切れぬものは存在しない。
 今の彼は『神農兀突骨』を切り裂くためだけの体へと作り変えられているからである。

 手放した大鎌が宙を月光の如く舞う。
 くるり、くるりと得物を手放したことに『神農兀突骨』は困惑するだろう。
 しかし、莉亜は己の手刀でもって『神農兀突骨』の胴を引き裂く。さらに宙を舞っていた大鎌を髪が伸び、回収し、さらに振るう。
「面倒だから」
 だから、死ねと端的につぶやき莉亜は己の斬撃を持って『神農兀突骨』を切り刻む。
 あらゆるものを切断せしめる殺人鬼にとってさえ、『神農兀突骨』は切り裂く対象でしかない。

 本来の彼であれば、血潮を浴びることだろう。
 だが、今の彼は血潮の一滴すら浴びることのない殺人鬼。
 血の雨を躱し、濡れた手刀を払い、大鎌の刃の煌きの中に消えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
(礼儀として相手に拱手しますが)強そうな人が出てきたなあ<トホホ>。

とても怖いけど頑張ります、怖いけど(大事な事なので二度言いました)。
UC:勇気の発露を使用。

翼で空を飛び、UC効果と空中戦・見切りでユグドラシルブレイドを回避します。かすってもアウトだから気をつけないと。
…巨大食肉植物と融合して、更にエグくなっちゃった<汗>。
ここは仙術で分身を多数作って幻惑しよう。

このままじゃじり貧なので、竜脈使いで『三皇神農の塒』に満ちる気を吸収、雷の属性攻撃・道術・全力魔法・高速詠唱にUC効果を上乗せして、この世界で学んだ五雷正法の秘奥義を発動。
どでかい雷をスナイパーでぶっ放して撃ち抜きます(貫通攻撃)。



 いかなる時も礼節を忘れぬということは尊ばれるべきことである。
 しかして、その相手がオブリビオン『神農兀突骨』であるのならば、仕方のないことであったのかも知れない。
 封神武侠界において人類の祖。それが三皇であり、医療と農耕の祖でもある『神農』においては礼儀を欠かせぬ相手であるとリューイン・ランサード(乗り越える若龍・f13950)は思ったことだろう。
「強そうな人が出てきたなあ」
 強大なオブリビオンは個として猟兵に勝るものである。

 それに加えて、『神農兀突骨』の手にあるのは必殺剣『ユグドラシルブレイド』である。
 かすり傷であっても、例え触れただけであっても猟兵を戦闘不能へと陥れる凄まじき力。
 その切っ先が自身へと向けられている。
 その恐ろしさは言葉にしがたいものであった。
「ほう、敵であっても礼節を忘れぬとは大した胆力である。猟兵とは斯くも面白いものであるな。収穫物として比類なきものである」
『神農兀突骨』は、先手を譲る。
 彼にとって猟兵とは収穫物。その攻撃方法を知りたいと思うからこそ、先手を譲るのだ。

 リューインは翼で空を飛ぶ。
 勇気の発露(ユウキノハツロ)そのもの。ヘタレだけど、勇気を振り絞って戦うことこそが、彼の本質であったことだろう。
 迫る『ユグドラシルブレイド』の切っ先を躱す。躱す。
「怯えを力に変えるか。面白い。我が剣の切っ先が掠りもしないとはな」
 その回避力は凄まじいものであったことだろう。
 外れた『ユグドラシルブレイド』の切っ先が大地に当たる度に『巨大食肉植物』が蠢き、はびこっていく。
「うぅ……とても怖いけど頑張らないと、怖いけど」
 目の前で『巨大食肉植物』がうごめく様は恐怖でしかない。けれど、それでも戦うと決めたのならば、リューインは躊躇わないだろう。
 戦術で分身を多数作って幻惑しながら飛ぶ。しかし、それはジリ貧である。それはリューインも分かっていた。

 このままでは必殺剣『ユグドラシルブレイド』によって押し切られてしまう。
 だからこそ彼は、この『三皇神農の塒』に満ちる気を吸収していく。龍脈の力を用いるのならば、それは膨大な雷の力へと変わって行く。
「怖いけど、怖いけど……! 自分なりに頑張って先に進みます」
 目の前のオブリビオンは壁だ。
 どうしようもなくそびえる壁だ。これを乗り越えなければ、手を伸ばしたい未来すらつかめない。
 だからこそ、満ちる気を束ねた雷の一撃を『神農兀突骨』へと放つのだ。

「これが君の言うところの勇気というやつであるか。美しいものであるな。健気であるな。この美しさが世界を彩るもの」
『神農兀突骨』へと降り注ぐ雷の一撃。
 それは南蛮の魔獣『兀突骨』と融合した『神農』すら貫く一撃となって迸るだろう。
 恐ろしさは乗り越えることができると知っている。

 もとより強大な存在には理解できないものであったかもしれない。
 けれど、か弱き、小さなものであるからこそ、強者に勝る勇気を得ることができる。
 リューインはそれを示すように、その瞳にユーベルコードの輝きをともしながら、己の勇気を振り絞るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクレツィア・アストリュード
真に一撃必殺の剣。『全て』を『殺す』剣。
…ボクの『答え』とは、また違う結論。
であれば、尚の事。ボクの『答え』――『全て』を『斬る』ことを、示してみせないと。

払暁巨刃、発動。
生成されるユグドラシルブレイドの複製。
その数、配置、飛翔速度。そこから導き出される、ボクが刃を振るう前に着弾するブレイドの数、取るべき回避機動のタイミングと方向。
【限界突破】した【瞬間思考力】を以て、全てを把握し【見切り】躱しきる。

と同時、巨大化させた刃を振るう。
複製と本体、ユグドラシルブレイドの全てを弾き飛ばし、神農兀突骨自身にも斬り込む。

今はまだ、及ばないけど。いつかきっと、その剣を超えてみせる。『答え』を示すために。



 必殺剣『ユグドラシルブレイド』。
 その力は言うまでもなく絶大である。かすり傷どころか、触れただけで猟兵を戦闘不能へと陥れる力。
 謂わば、後手の先。
 敵の優位性は依然変わらない。
 どれだけ猟兵が『神農兀突骨』を消耗させたとしても、一手で全てが覆されてしまう。
 それが『ユグドラシルブレイド』という恐るべき力。
「真に一撃必殺の剣。『全て』を『殺す』剣……ボクの『答え』とは、また違う結論」
 ルクレツィア・アストリュード(終極フラガラッハ・f30398)は『巨大食肉植物』が蠢き、蔓延る『三皇神農の塒』に在りてオブリビオン『神農兀突骨』を見据える。
 かの敵は強大そのもの。

 ならばこそルクレツィアは対峙しなければならない。
 恐ろしさがないのかと言われれば、嘘になるだろう。だからこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「であれば、尚の事。ボクの『答え』――『全て』を『斬る』ことを、示して見せないと」
 その言葉に『神農兀突骨』は笑う。
 片腕を失い、その身に数多の傷跡を刻まれて、さらには魂魄にすら傷を負いながらも未だ倒れることなき強大なオブリビオンは笑ったのだ。
「『答え』という収穫物を望むか猟兵。ならば、示してくれ。君の『答え』を。如何なるものであるか。我は望む。その『答え』の正誤など今はどうでもいいことだ。見せてくれ」
 手にした『ユグドラシルブレイド』の切っ先は大地に向けられている。

 そう、先手を譲ると言っているのだ。
 それを見たルクレツィアは構える。
「この刃は、闇を払う」
 周囲に放たれた剣閃が巨大化し、戦場に満ちる。
 しかし、同時に宙に浮かぶのは全天を覆うかのような膨大な『ユグドラシルブレイド』の複製。
 あまりにも強大。
 これが『神農兀突骨』と己の差異。
 しかし、ルクレツィアには見えていた。
 己が刃を振るう前に迫る『ユグドラシルブレイド』の数を。そして、取るべき回避軌道という名の踏み込みのルートを。

「今はまだ、及ばないけど」
 つぶやく。
 それは言葉にしてしまえば、簡単なことであったのかもしれない。僅かな間であったかもしれないけれど、その実力差は埋まらないことは明白であった。
 頭が焼ききれるほど思考を重ねる。
 イメージと現実が重なり合った時、ルクレツィアは踏み込む。
 熱いと思う。思考が限界を越えて、回転した結果、彼女は数多を得て空になる。走る剣閃は『ユグドラシルブレイド』を躱して飛ぶ。

 己自身が剣閃となるような感覚。
 それは錯覚であったかもしれない。
 けれど、それでもルクレツィアは至るのだ。
「いつかきっと、その剣を越えてみせる」
 己が言葉にした瞬間、振るうは払暁巨刃(エッケザックス)。
 その剣閃は煌めくままに巨大化し、『神農兀突骨』へと振るわれる。
「『答え』を示すために」
 それだけが己の存在意義であると言うようにルクレツィアは在らん限りの力を持って刃を振るう。

 その斬撃は『神農兀突骨』へと振るわれ、袈裟懸けに傷を負わせる。
 噴出する血潮。
 そして、白熱する脳で彼女は見たのだ。己が至るべき『答え』、その一端を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
掠ってもアウトってのはちょっと面倒だけど、先制攻撃してこない分むしろいつもより楽まであるのよねぇ。あたしただの人間だもの、普段からモロ喰らったら一発だし。

ラグ(幻影)と摩利支天印(陽炎)で認識ズラして〇迷彩と残像を形成、回避を最優先しつつ煙幕と閃光弾で〇目潰しして射撃と○爆撃…


――まあ、うん。無理よねぇ。知ってた。
いくら回避に意識割いたってあくまで遅延策、一発で状況ひっくり返せるような手札がない以上どっかで捕まるわよねぇ。さんざ○範囲攻撃撃ちこんだし傷の一つや二つはできてると思いたいけど。

…ええ、「だからこそ」あたしの刃は、あなたに届く。
「ただの人間」、舐めないでちょうだいな?



 隻腕となったオブリビオン『神農兀突骨』は笑っていた。
 心底愉快そうに笑っていたのだ。
「世界は美しいな。ここまで力を育てた存在がいるとは。骸の海へと持ち帰るべき多くが此処にはある。喜ばしいことである。これが猟兵。もっと、もっと、みせておくれ。君たちの力を」
 彼は先手を譲る。
 猟兵たちの多くを知るために。力を、そのユーベルコードを知るためだけに己の身がどれだけ傷つこうとも関係ない。
 何故ならば、最後に勝つのは己であると信じて疑わないからだ。

 必殺剣『ユグドラシルブレイド』はかすり傷だけではなく、触れるだけで猟兵を戦闘不能へと陥れる恐るべき力である。
 ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は細めた目をさらに細める。
 掠ってもアウト。
 それは面倒なことであると彼女は思っていた。しかし、強大なオブリビオンがそうであるように力量差ゆえに先制攻撃を仕掛けてくることがないのは、ともすればいつもより楽であるとさえ彼女は思っていた。
「あたしただの人間だもの、普段からモロ喰らったら一発だし」
 だからこそ、油断もなにもない。

 己の持てるものすべてを用いて、戦う。
 それがただの人間のできる戦い方である。残像を生み出し、煙幕と閃光弾でもって『神農兀突骨』の視界を塗りつぶす。
 放つ弾丸、爆撃。
 轟音と閃光が『三皇神農の塒』に明滅する。炎が『巨大食肉植物』に燃え移り、のたうつすように周囲を包み込んでいく。
 これだけの攻撃を打ち込んでも尚『神農兀突骨』は揺らがない。
「――まあ、うん。無理よねぇ。知ってた」
 これは遅延策であることは百も承知である。

「これで終わりかい? これで? 本当に? まだあるはずだろう、猟兵。君の力を見せてくれ、こんな小手先ではなく」
『神農兀突骨』の手にした『ユグドラシルブレイド』が振りかぶられる。
 どれだけ回避に専念していたとしても、必ず捕まる。
『ユグドラシルブレイド』は一発で状況をひっくり返すものである。
 だからこそ、ティオレンシアは笑う。

 細められた瞳が見据えるのは『神農兀突骨』に刻まれた僅かな傷。
 散々に打ち込んだ弾丸と爆撃によって生み出されたものだ。
「……ええ、『だからこそ』あたしの刃は、あなたに届く」
 ティオレンシアが膝をつく。
 振るわれる一撃。それwこそがティオレンシアの狙いであった。

「それはない。我は『神農』、『神農兀突骨』。強者を屠り、骸の海に収穫物を持ち帰ることこそ、我の――」
 その瞬間、ティオレンシアは笑いながら倒れ込む。
 それは、笑殺(バイツァダスト)。
『神農兀突骨』は己の勝利を確信していたことだろう。だが、己の肉体に迫る異変に気がついたのだ。

「何を、した?」
「考えなさいな。『ただの人間』、舐めないでちょうだいな?」
 膨れ上がっていく違和感。
 その正体をつかめず『神農兀突骨』はたじろぐだろう。徐々に、徐々に、確信めいた勝利が揺らいでいくのを彼は感じただろう。
 ティオレンシアは笑っていた。

 その行く末が必ずや『何も得られずに消滅するしか無い』という未来であることを確信し、笑みを強めながら猟兵が辿る勝利への道筋を掴んだのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
俺とて剣士の端くれ。必殺剣とやらに対する興味はあったが……それが技術ではなく得物の力とは
いや、俺も尋常ならざる剣を持つ身だが……どちらの得物が上か比べてみるか?

神刀の封印を解いた状態で、肆の型【砕牙】の構え。
即ち、相手がどう動こうがそれより速く断ち切るだけ……なんて事は、当然読まれてるよな
奴に対して付け入る隙があるとすれば、既に奴が負傷している事と、もう一つ

踏み込み、神刀の居合いからの斬撃……と見せかけてそのままの勢いで神刀を投擲
神農自身、或いはブレイドに対して投げ付けて奴の攻撃タイミングをずらし、その隙に改めて接近。利剣による【砕牙】を叩き込む
――刀を投げるなんて、生まれて初めてだっての



「なんだ? 猟兵は何をした? 我の知らなぬ攻撃を我に仕掛けた? 一体、なんだ、これは? この違和感は」
 オブリビオン『神農兀突骨』はうめいていた。
 これまで多くの猟兵達が紡いできた戦い。
 数珠つなぎのように一つの存在として『神農兀突骨』へと与えた消耗が膨れ上がるようにして彼の中で揺らがぬ勝利への道筋を食い破り始めていた。
 
 誰もが欠けていては得られぬ道筋であったことだろう。
 だからこそ、その手にした『ユグドラシルブレイド』を隻腕のまま握りしめた。動揺している。それを知るからこそ、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は戦場を走る。
「俺とて剣士の端くれ。必殺剣とやらに対する興味はあったが……それが技術ではなく得物の力とは」
「手にした力を如何にして振るうかもまた技術というものだ。力と技術の境目、その境界を乗り越えるものこそ」
『神農兀突骨』の瞳がユーベルコードに輝くのを鏡介は見ただろう。

 同時攻撃。
 それを覚った瞬間、鏡介は己の神刀の封印を解き、構える。
「いや、俺も尋常ならざる剣を持つ身だが……どちらの得物が上か比べてみるか?」
 その構えをした瞬間、鏡介は悟ったことだろう。
『神農兀突骨』はわかっているのだ。相手がどう動こうが、それより早く断ち切るだけ。
 それだけの構えであると。
 だからこそ、『ユグドラシルブレイド』が振るわれる。
「当然読まれているよな」
 だが、と鏡介はつぶやく。
 そう、猟兵とは紡ぐ戦いをする者たちである。先に立ち向かった者たちが刻み込んだ傷跡を見る。

 そのどれもが浅からぬものである。
 どれもが『神農兀突骨』を追い込む傷であることは明白。そして、もう一つあるのだ。
 己達が負けぬ理由が。
「知りたがっていたな。その意識の差だ。すでに俺たちは知っている。お前がどれほど強大なものかを。対してお前は知らないな。俺たちがどんな存在かを」
 抜刀。
 神速の居合から斬撃に見せかけた、投擲。

 凄まじき勢いで放たれる投擲の一撃。
 それは間合いを詰めることすらさせぬ、雷の矢の如き一撃。
 雷鳴迸るほどの音を立てて放たれた神刀の一撃が『ユグドラシルブレイド』の刀身と激突し、そのガードを跳ね上げるのだ。
「投擲――!」
「噛み砕く――肆の型【砕牙】(シノカタ・サイガ)」
 空中に回転する神刀を手にし、振るわれるは鋭き一撃。返す刃からの三連撃。

 刻み込まれた傷跡は『神農兀突骨』の頭部から胸部に欠けて走り抜けた。
「――刀を投げるなんて、生まれて初めてだっての」
 猟兵の戦いは常に更新されるものである。
 戦いの最中で成長することなど、当然といえば当然である。
 目の前の敵を超えるために、常に限界を超えてきたからこそ、『今』がある。未来が可能性に満ちているというのならば、『今』を超える瞬間にこそ力が宿るのだと知らしめるように鏡介は己の刀を収め、神速の斬撃を『過去』の化身に見舞うのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…うーん…油断がない相手が一番強敵なんだよね…
先手を取れそうなことだけが唯一の救いか…

…先手を取れるなら遅発連動術式【クロノス】で『仕込み』をしておこうか…
…まずは黎明剣【アウローラ】で攻撃を仕掛けて絶対制御剣を誘おう…
…ユグドラシルブレイドによる攻撃が迫ってきたらそれをトリガーに『仕込み』を発動…
即ち、【その符号、我が書中にあり】による封魔の書を剣の軌道上に出現…
…攻撃一回分の全て、つまりユグドラシルブレイドを含めて封魔の書に吸収してしまうよ…
…そして術式組紐【アリアドネ】で書を回収…じゃあ…帰すね…
…封魔の書からUCを解放して剣と…外れた場合は剣が融合した食肉植物で神農へ攻撃するよ…



「素晴らしい。ユーベルコードの輝き。これぞ生命の集大成。収穫の実り! 我は得たり、我は見たり。これが猟兵というものだ。法則性も何もなく、縛られることなく己たちの未来を信じて疑わぬ力! これこそ収穫に値する!」
 オブリビオン『神農兀突骨』は笑う。
 何処まで言っても彼にとって猟兵とはそういうものであった。
 吹き荒れる力の奔流を感じ、下半身の南蛮の魔獣『兀突骨』もまた武者震いの如き嘶きでもって大気を震わせる。

『巨大食肉植物』がのたうちながら、『神農兀突骨』と力を高めていく。
 凄まじい力。
 手にした必殺剣『ユグドラシルブレイド』は触れてはならぬ力である。
「……うーん……油断がない相手が一番強敵なんだよね……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は先手が取れることが唯一の救いであると感じていた。
 彼女は『神農兀突骨』の力がこれまで数多の猟兵たちの攻撃に寄って消耗させられていることを知って尚、予断を許さない状況であるとしる。
 何故ならば必殺剣『ユグドラシルブレイド』はともすれば、一手でこの状況をひっくり返す事のできる力であるからだ。

 遅発連動術式『クロノス』を仕込み、手にした黎明剣『アウローラ』と共にメンカルはのたうつ『巨大食肉植物』の足場を蹴って進む。
「ほう、何かを仕込んだな? 面白い。我が身に刻まれた傷跡も面白い。猟兵とは斯くも多種多様なものを仕掛けてくる。どれもが我の想像を超える。良い、実に良い」
 放たれる斬撃を受けて尚、『神農兀突骨』は笑う。
 振りかぶられる必殺剣『ユグドラシルブレイド』の切っ先が放たれる。

 それこそがメンカルの狙いであった。
 先手を譲る『神農兀突骨』の必殺剣『ユグドラシルブレイド』を誘い込むことが彼女にとっての先手であったのだ。
 放たれる封魔の書。
 それは放たれたユーベルコードを防御することであった。
「魔を掴む書よ、集め、封じよ、汝は封印、収奪。魔女が望むは写して記す封魔の書」
 そして、瞬時に解き放つ。
 吸収された『ユグドラシルブレイド』の一撃が、メンカルの手にした封魔の書より放たれる。

 術式組紐『アリアドネ』にてつながっていた封魔の書が引き戻され、同じ『ユグドラシルブレイド』が激突し、互いの傍の大地をえぐる。
「……ここまでやっても、なお慢心しないか。いや、すでに先手を譲ってる時点で慢心と言えるのかも知れないけれど……」
 ここからがメンカルの本領である。
 互いに外れた必殺剣。
 そのえぐった大地に立つ者の力を増幅させる『巨大食肉植物』がのたうつ。

 そこに駆け込むのは黎明剣『アウローラ』。
 融合した力は、その剣で持って放たれる。
「我の力を受け止め、吸収し、解放するか! 面白い!」
「……一度だけだよ。けれど、その符号、我が書中にあり(ユーベルコード・キャプチャード)」
 放たれる一撃は『ユグドラシルブレイド』を躱して『神農兀突骨』へと叩き込まれる。
 切り裂く肉体から血潮が噴出する。
 さらにその傷跡が広がっていく。自分だけの力ではない。他の猟兵が刻み込んだ傷跡が徐々に致命傷へと昇華していくのだ。

 これが繋ぐ戦いである。
 たった一人では辿り着くことのできぬ境地。
 これをこそ、『神農兀突骨』は求めたのかもしれない。巨大な個は、必ず弱者の群によって滅ぼされる。
 それが必定。
 ゆえにメンカルの剣は夜明けの如く東雲色を経て白色に輝く。
 これこそが黎明。
 神との決別、そして人の世が紡ぐ世界の明日を切り拓く刃であること示し、メンカルは『神農兀突骨』に癒えぬ致命的な斬撃を刻むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
予め『燎原の劫火』発動、既に魔眼稼働率は【限界突破】状態。

痛みなんかより、敵に対する怒りが、この【闘争心】の方が勝る…!

【残像】超能力で神農兀突骨の背後に瞬間移動。【早業】双剣変形フォースサーベルで斬り掛る!

だから問題なんてないッ!

超能力【第六感】未来視と【視力】千里眼の力で、必殺剣を感じ取り瞬間移動による回避を繰り返して神農の傍から離れず【切断】攻撃。

一撃。厄介だ。
だがその刃はお前自身にも牙を向いているだろう!

刃に触れれば神農自身も危険な筈だ。
【瞬間思考力】だからその操作には、細心の注意が必要!自滅を恐れれば攻撃の手数は緩まざるをえないだろう!?

そして自滅を恐れないなら!
【念動力】の衝撃波で必殺剣の操作をほんの少し妨害。

これだけで、致命的な傷になりうる。対処できるか?するだろう!!
だが隙はできる!!!

再度の瞬間移動を行い、双剣フォースサーベルの片方を突き立て、もう片方を連結。【エネルギー充填】刀身を無敵斬艦刀形態に変形させ、【怪力】で神農兀突骨の肉体を斬り開く!



 燎原の劫火(マージナル・ユースレス・レックレス)が立ち上る。
 人工魔眼が限界性能まで稼働し、その瞳より燃え盛る炎はユーベルコードの輝きの領域をとうに越えていた。
 瞳から伝わる熱量が、頭を揺らす。
 熱い、痛い。熱い。痛い。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はされど、己の人工魔眼を駆動させ続ける。
 痛みはある。
 熱が頭を揺らす。けれど、それ以上にオブリビオンに対する怒りが勝る。
「痛みなんかより、この闘争心の方が勝る……!」
 すでに限界を超えた人工魔眼。
 炎を噴出させながら小枝子は戦場へと駆け出す。

 己は兵である。
 ならばこそ、この生命が燃え尽きる時こそが、敗北。
「だから問題なんてないっ!」
 残像すら残す速度で駆け抜ける小枝子は、一瞬で『神農兀突骨』の背後へと回り込んでいた。
 手にしたフォースサーベルが双剣へと変貌し、その背中を斬りつける。
 刻み込まれた『神農兀突骨』の体が血潮が噴出するが、それ以上に小枝子の放つ熱が強い。
 大気の水分すら一瞬で水蒸気に変えるほどの熱量を放ちながら、小枝子はただ只管に斬撃を叩き込む。

 第六感と未来視、そして千里眼の力を宿す人工魔眼が振るわれる必殺剣『ユグドラシルブレイド』の切っ先を感知し、躱す。
 だが、大げさに躱すことはなかった。
 掠りでもした瞬間に自分が倒れることはわかっている。
 恐れがないわけではない。
 けれど、全てに凌駕する闘争心がある。
「壊れろ」
「己の自壊を顧みないか。猟兵。それではだめだ。せっかくの実りが、熟れ過ぎてしまう! それでは収穫に値しない!」
「壊れろ!」
「己の姿を見ろ、その熱を、己の体を壊すものを。敵ではない、己自身で君は壊れてしまうぞ!」
「壊れろ!!」
「我に収穫をさせぬつもりか、この『神農兀突骨』に! 許しがたい! なんとしても、『それ』は持ち帰る! 猟兵! 我に! 収穫――」
「壊れろォオオオ!!!」
 迸る叫び。

 それは収穫を拒絶する炎であった。
 一撃は厄介である。
 必殺剣『ユグドラシルブレイド』はたった一手で状況をひっくり返す力である。恐るべきものであった。
 だからこそ、『神農兀突骨』は己の刃を振るうことに最新の注意を払う。
 小枝子にはわかっていた。
 彼が何故、『ユグドラシルブレイド』を連発しないのか。それは己の身を慮っているからである。
「こ、の……!」
 だが、しかし。
『神農兀突骨』にはこれまで数多の猟兵たちの攻撃が刻まれている。一つ一つが致命傷ではない。

 けれど、今此処に至って、全ての猟兵たちの攻撃が致命傷に至る。
 すでに『神農兀突骨』は負けている。
 だが、その敗北を確実なものにするために小枝子は走る。
「――」
 迸る咆哮は唯一。
 壊れろ。
 その一つだけだ。小枝子はあらゆる駆け引きをしていた。念動力で必殺剣『ユグドラシルブレイド』の切っ先を妨害する。
 その一手に『神農兀突骨』は対処せざるを得ない。そうすれば、必ず隙が生まれるのだ。
 双剣のフォースセイバーより放たれるはあらゆる防護を無視する斬撃。
 初撃が弾かれる。
 
 絶死のユーベルコードは完成を見ない。
 けれど、構わなかった。
 己の斬撃が楔になればいい。この強大なる『神農兀突骨』を穿つ楔となればいいとさえ、小枝子は持っていた。
 放つ二撃目。それも弾かれる。
 そして叩きつける一撃も、『神農兀突骨』の腕に阻まれた。

 しかし、貫いたのだ。
「壊れろ――!!!!」
 咆哮が轟く。
 双剣のフォースセイバーが煌き、連結する。
 姿を変えたフォースセイバーの刀身は斬艦刀。無敵の一撃は、極大なるフォースセイバーの刀身となって『神農兀突骨』の体内で弾けるようにして爆発を引き起こし、小枝子は咆哮と共に渾身の力を持って下半身の『兀突骨』の肉体まで一気に斬り下ろす。

 その一撃をして、『神農兀突骨』は呻くだろう。
 己の自壊すら辞さぬ一撃。
 楔と呼ぶにふさわしい。ゆえに小枝子は己の存在全てを超克し、その強大なる存在を切り裂くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
この世界は未だ成長期、収穫はお待ち頂ければ幸いです
それでも為す、というならば…この相対を、骸の海へお持ちいただく献上品とさせて頂きます

剣と盾を構え、待ちの姿勢
…只それだけ

これこそがUC
視線、微細な挙動、体重移動の兆候
相手の攻めを此方の思惑に誘う舞踏
尋常の要素のみにて構成された“必殺剣”

攻め来たる神農、その刃の変形を瞬間思考力にて見切り
後は狙い通りに“振らせた”必殺剣を緩やかに、歩むような歩法にてその刃の間合いより逃れ

瞬時に踏み込み剣握る手を大盾殴打
必殺剣を手放させ

其方の権能は生死司る農耕
ウォーマシンが、騎士が
神と言えど“戦”にて、簡単に遅れを取る訳には参りませんので

剣が地に突き立つ前に剣を一閃



 数多の猟兵達が打ち込んだ傷跡は、それ一つ一つでは致命傷に成り得なかったかもしれない。
 しかし紡がれ、つなぎ、そしていまここに楔の一撃が打ち込まれたのならば、その傷跡はつながっていく。
 強大なものを滅ぼすのは、より強大な力でなくてもいい。
 弱者と呼ばれたのだとしても、その力が束ねられれば、個としての力すら穿つものとなるであろうから。
 ゆえにオブリビオン『神農兀突骨』は讃歌する。
「素晴らしきかな。やはり世界は美しくあればいい。そうすれば、我さえも超える力が生まれる。収穫の時は来たれり。ここに我は収穫を為さしめる。この世界の収穫が拙速などと、最早誰にも言わせはしまい!」

 だが、その言葉を否定する者がいる。
「いいえ、この世界は未だ成長期。収穫はお待ちいただければ幸いです。それでも為す、とおっしゃられるのでしょうね」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は機械騎士の躯体を持って立ちふさがる。
 敵は強大にして、必殺剣『ユグドラシルブレイド』を持つオブリビオン。
 猟兵を一撃の元に必殺せしめる力。
 それを恐れぬわけではない。
 されど、ここで退いてはならぬを知る。
「ならば、この相対を、骸の海へお持ちいただく献上品とさせていただきます」
 構える姿は剣と盾。

 特別なところは何一つなかった。
 ただそれだけであった。
 それがトリテレイアのユーベルコード。
 機械騎士の戦闘舞踏(マシンナイツ・バトルワルツ)は此処に始まる。仙術モードを戦場全域の連続予測に最適なものに換え、自身の動きで持って『神農兀突骨』の振るう『ユグドラシルブレイド』の切っ先を誘う。
「徒に速度に恃まず、敵を誘い、撃たれる前に射線から外れ、死角に移動…理論は単純、実行は至難。さて、私の予測演算で何処まで踊れるか…」
 簡単なことは何一つない。
 だが、トリテレイアはやらねばならない。

 迫る『ユグドラシルブレイド』の斬撃は鋭いものである。だが、それは『振らせた 』ものだ。
「我の収穫を阻むか。ならば、君の存在事態を持ち帰るとしよう。その躯体、その技術、たしかに骸の海へ持ち帰るには十分な代物だ」
 振るわれる斬撃をトリテレイアは見切っていた。
 いや、躱すという言葉すら不適切であった。
 トリテレイアはただ歩みを進めただけ。だが、その斬撃はトリテレイアを捉えることはなかった。

 瞬時に踏み込んだかのような、それでいて、ただの一歩を踏み出したかのような挙動。
 それを『神農兀突骨』は理解できなかったことだろう。
 隻腕となった『神農兀突骨』の『ユグドラシルブレイド』を持つ手を大盾で殴打し、スラスターを噴出させながら飛ぶ。
 その切っ先が大地に触れるまでの僅かな時間。
 だが、その僅かな時間にこそ、トリテレイアはすべてを賭けるのだ。

「其方の権能は生死司る農耕。ウォーマシンが、騎士が、神と言えど“戦”にて、簡単に遅れを取るわけには参りませんので」
 煌めくはアイセンサー。
 迸るは、己の躯体に流れる誇り。
 騎士道精神は此処に極まる。如何に神と言えど、己の領分を侵すことなどできようはずもない。
 煌めく剣の刀身が『神農兀突骨』へと振り下ろされる。

 戦いの技術。
 その全てを集め生まれた躯体。それがウォーマシンであるというのならば、如何に人類の祖たる三皇神農であっても到達できぬものがると知らしめるように、トリテレイアは斬撃を繰り出す。
 その一撃は過たず。
『神農兀突骨』の顔面を切り裂き、必殺剣『ユグドラシルブレイド』すら届かぬ頂きに居たりし、騎士の一撃を示すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

厳・範
お爺、足場の安定をとって半人半獣形態にて参戦。

お前が神農兀突骨か。よくも同胞を糧にしようとしたな?
こちらが先手を打ってから来るというか。なんという慢心よ。

だが、遠慮なくいこう。【使令法:豹貓】にて呼び出す者らは、睡魔を呼ぶ。それは神とて変わらぬよ。
剣に当たらぬよう突撃せよ、豹貓。

わし自身は焦熱鎗を振るいていくが…見切ったと思うなよ?
見切りはある種の未来予測。なれば、未来予測を妨げる八卦衣の作用でどうしてもずれる。
それに、わしだけに集中すると…豹貓の睡魔の一撃を食らうぞ?
まあ、わしもその後、焦熱鎗で刺すのだがな?



 咆哮が迸る。
 それはオブリビオン『神農兀突骨』の咆哮であった。
 すでに数多の猟兵たちの刻んだ攻撃は、どれもが致命傷に至らぬものであった。しかし、この局面に来て打ち込まれた楔の如き攻撃は、強大な個を穿つ一撃と昇華する。
 致命傷ではないと思われた傷全てが、致命傷へと昇華する。
『神農兀突骨』は未だ手にある必殺剣『ユグドラシルブレイド』を手放さない。
 隻腕成り果て、その顔、肉体全てに刻まれた傷を得てもなお、彼は己の敗北を信じなかった。
「如何に猟兵が収穫足り得るものであったとしても、我が敗れることなど。我は、『神農兀突骨』。強者との戦いに奮え、強者の収穫を為す者。だというのに、我が敗れる?そんなことがあるわけがない。我が手にあるのは必殺剣『ユグドラシルブレイド』。まだ、まだ、負けたわけでは」

 だが、その敗北を信じぬ心を貫く者が『巨大食肉植物』蔓延る『三皇神農の塒』に走る。
 それは半人半獣たる瑞獣であった。
「お前が『神農兀突骨』か」
 そう告げるのは、厳・範(老當益壮・f32809)であった。
 白髪をなびかせ、その白くも美しき髭を蓄えた姿は、『神農兀突骨』にとってどのように映ったことだろうか。
「よくも同胞を糧にしようとしたな?」
「収穫物を持ち帰るだけの話。何を咎められる。収穫である。我は『神農兀突骨』。骸の海へと多くを持ち帰る者なれば!」

 走るは必殺剣『ユグドラシルブレイド』。
 その一撃を躱す。
 すでに多くの猟兵達が刻み込んだ傷は、消耗となって真綿のように『神農兀突骨』を蝕んでいた。
 如何に触れれば一撃のもとに戦闘不能へと陥れる力であっても、振るう者が己の消耗すら測れぬというのならば、躱すことなど容易であった。
「招来」
 使令法:豹貓(バオマオ)によって召喚されたベンガルヤマネコたちが戦場を走る。
 睡魔を呼ぶ力を持つベンガルヤマネコたちが『神農兀突骨』へと睡魔を齎す。それは如何に神の名を持つ存在であったとしても変わらない。

「我が、眠る、など……! 未だ微睡みのときではない! 午睡は未だ訪れず!」
「わし等を読み切った、測り知ったなどと思うなよ?」
 確かに『神農兀突骨』は猟兵よりも強大な存在である。
 それは認めるところだ。
 しかし、猟兵達は個で劣るのだとしても、個を群に変える。それは束ねられ、強大なものへと変わっていくだろう。
 この場に駆けつけた誰もが欠けていては為すことのできぬものであると知る。

 そして、『過去』に在りし者を超えるのは『未来』もつ『今』に生きる者たちのみ。
 可能性を蝕む者があるのならば、これを打ち破る牙と為る。
 それが猟兵であるのならば、範は己の手にした槍より浄化の炎を噴出させながら、『三皇神農の塒』をひた走る。
「これは、わしと親友の約束ごとよ――『神農兀突骨』、この浄化の一撃を持って、骸の海へと還るがいい。お前が持ち帰れるほどにわしらの力は容易いものではないと知れ」
 放つ焦熱槍の一撃が『神農兀突骨』の胸を穿つ。

 衝撃波がほとばしり、『巨大食肉植物』を吹き飛ばし、燃やし尽くしていく。
「――これが、実り。これが世界の美しさ。ああ、我はこれを求めていたのだ。我をも超える者たち。収穫できぬは、あまりにも……されど、これが世界の有り様。収穫することができずとも、世界は回る……」
「収穫と嘯き、世界を滅ぼすだけであろう、お前達は。ならば、わしらは護るのみよ。世界を、そして、『今』を生きる者たちをな」
 振り下ろされた浄化の炎の一撃が、今度こそ『神農兀突骨』の体を霧消させる。

 強大な存在を打倒せしめた猟兵達は、崩れ落ちていく様を見つめる。
『今』も必ず『過去』になる。
 されど、『未来』は不定形。
 その形定まらぬを輝けるものとするか、それとも闇に染まるものとするか。
 それを決めるのもまた己達ではない。
 より良き未来を掴む者のために戦う。それが己たちの使命であるというように範は、浄化の炎と共に新たなる戦場へと飛ぶのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月22日


挿絵イラスト