●
「集合に感謝する。今回も殲神封神大戦の案内だ。皆には農耕と医療の祖とされる神、三皇『神農』の祠へと向かって欲しい」
猟兵達の様子を確認し、呉・深(星星之火・f30169)が口を開く。少し緊張した声色から、今回の案内は有力敵のもののようだ。
「『神農』は魔獣『兀突骨』と合体し、『神農兀突骨』なるオブリビオンとして祠に待ち構えている。祠の内部は戦闘に支障はないくらいに広いが、大量の巨大食肉植物が蠢いているため足場は安定しないだろう。更に厄介なのが……」
深は話を続けつつ、グリモアで祠の内部を映し出す。
無数の植物達の中央に立つのが神農兀突骨だろうが――彼は不可思議な装備を纏っているようだ。
「神農は所持する『ユグドラシルブレイド』なる装備を藤の蔓に変え、それで鎧を編み上げたそうだ。いわゆる藤甲という装備だが……これはあらゆる攻撃を通さない、とんでもない鎧らしい」
流石仙界の藤の蔓で編んだ装備ということだろうか。
敵の纏う藤甲はあらゆる武器や魔法を防ぎ、精神に作用するような攻撃すら防ぐのだ。
「更に肉体のコントロールは兀突骨へと明け渡すそうでな。何かを企んでいる神農と違い、兀突骨は遠慮や容赦というものを知らない。不安定な足場を物ともせずに、ひらすらに突撃してくるだろう」
地の利は相手にある以上、先制攻撃は免れない。
不安定な足場、ひたすらな突撃、絶対の鎧――それらが合わさった相手に勝つには、僅かな勝機をどうにか掴むしかないだろう。
「幸いなことに、藤甲には一つだけ弱点があるんだ。それはこれが『藤の蔓を編んだだけのものである』ことで……隙間になる部分も存在している。猛攻に対処しつつ、どうにかその隙間に攻撃を叩き込んでくれ」
武器や魔法によるものは勿論、音やエネルギーのような見えない攻撃でもきちんと隙間を狙わなければ通らない。
針に糸を通すようなか細い希望だが、それを掴まなければ勝ち目はないのだ。
「厄介な仕事を頼んで申し訳ない。けれど皆なら、この強敵相手にも勝利すると信じている」
話を締めくくりつつ、深は転移の準備を整える。
完成したゲートを潜れば、その先は敵の塒だ。
「それじゃあ気をつけて。無事を祈っている」
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
仙界の植物って凄いですね。
当シナリオは『やや難』となります。
●プレイングボーナス
「先制突撃」に対処しつつ、藤甲の隙間を狙う。
戦場は蠢く植物達に覆われた祠になります。足場は不安定です。
敵への攻撃は藤甲の隙間を狙わないと通らないでしょう。
相手の強力な攻撃に対処しつつ、どうにか戦い抜いて下さい。
●『『神農兀突骨』藤甲態』
三皇『神農』と魔獣『兀突骨』が合体したオブリビオンです。
必殺の剣を絶対の鎧に変えて挑んできます。
身体のコントロールは兀突骨が担当するため、獰猛かつ苛烈に攻めてくるでしょう。
●
オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『『神農兀突骨』藤甲態』
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POW : 魔獣兀突骨・超加速形態
【超加速形態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 魔獣兀突骨・暴走捕食形態
【兀突骨の飢餓が限界を越える】事で【暴走捕食形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 魔獣兀突骨・植操形態
【祠内に生え狂う巨大食肉植物】と合体し、攻撃力を増加する【植物宝貝】と、レベルm以内の敵を自動追尾する【誘導藤甲突撃】が使用可能になる。
イラスト:key-chang
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
唯嗣・たから
■心情
ドラゴンさんの逆鱗探しに似てる。ほんのちょっとの弱点探す…人海戦術…?
■行動
鎧の隙間、探したい。人手がほしい。でも…小さいクロは攻撃される。だから…助っ人は、足場も関係なくて、当たらないひと。
【降霊】で土地にいるひと、仲間たちの関係者、いろんないろんなお友達呼んで…探してもらう。先制攻撃…【幸運】を信じる。避けれたら、やった。
弱点、見つかったら…鎧の隙間、UCのお手手の爪先で、突く。【腐敗】攻撃で…身体、腐らせる…。お肉、溶けたら…鎧、ぶかぶかになって…外れない、かな。
腐って…還ろう…たからは、きらいごう。死者が忌む、あの世からの、お迎え。骸は、骸へ…あるべき場所へ、還る時間。
●
神農兀突骨は神と魔獣が合わさった存在。その巨体や威圧感は凄まじいものだ。
そんな敵の姿を目の当たりにし、唯嗣・たから(忌来迎・f35900)はきゅっとからくり人形の手を握る。
あの圧倒的な化物の僅かな弱点を見出し、そこに攻め込む。なんだかドラゴンさんの逆鱗探しに似てる、なんてことを思いつつ。
(ほんのちょっとの弱点探す……人海戦術……?)
たからだけでは弱点を探す余裕はない。小柄な人形であるクロでも近づけば容赦なく攻撃されてしまうだろう。
ならば攻撃されないような人手が欲しい。その準備を整えたいところだが――それよりも早く、神農の笑い声が周囲に響いた。
「はは、随分小さな猟兵だな。ゆっくりと戦う様を見てみたくもあるが……兀突骨は待ってくれまい」
次の瞬間、たからの聴覚が捉えたのは風を切る音と地響きのような足音だ。
超加速形態へと変貌した神農兀突骨は蔓延る植物を物ともせずに、たから目掛けて一直線に駆け出している様子。
たからは左右を見回し、周囲の植物の様子を見遣る。避けるなら開けた空間か植物側か――ここは幸運に賭けるしかない!
「……っ!」
たからが全力で植物の元へ飛び込めば、彼女が立っていた場所は神農兀突骨が轢き潰していった。
植物をクッション代わりに飛び込んだから、衝撃もある程度は和らげることが出来た。相手が再び突進してくるより早く、どうにか行動しなければ。
「お願い、この土地の人達、みんなのお友達。たからと一緒に、あの人の弱点を探して」
呼びかけに応じて現れたのは、この世界に眠る人々の魂だ。
彼らは再び駆け出そうとする敵の元へと殺到し、必要な情報をたからへと与えてくれる。
『たからさん、あいつがもう一度走り出した瞬間に足元を狙うんだ。その瞬間に隙間が出来るはずだよ』
「わかった、ありがとう」
幽霊達にぺこりと頭を下げて、たからは腕を前へと構える。
それと同時に神農兀突骨が駆け出せば、合わせて発動するのは――。
「……凌遅実行」
凌遅腐敗ノ刑、たからの意思に合わせて呼び出された怨霊の腕達は、次々に敵の足元を掴みだした。
腕から溢れる腐敗の呪詛は、鎧の隙間越しに兀突骨の足を腐らせていく。その度に隙間も大きくなって、更に呪詛が広がるだろう。
悶え苦しむ神農兀突骨へ、たからが紡ぐのはどこか優しい声だ。
「腐って……還ろう……。たからは、きらいごう、だから。死者が忌む、あの世からの、お迎えだから。骸は、骸へ……あるべき場所へ、還る時間」
死者は然るべき裁きを受けて、それから再び巡るべき。
たからの想いと意思に合わせるように、怨霊の腕達は神と魔獣を還るべき過去へ近づけたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK
あの剣は、ほんとにすごいものだね
世界樹の名前を冠するのも、よく分かるの
でも、「鎧」なら、付け入る隙はありそうだね
まずは攻撃を耐えないと、なの
(内ポケットのサシェに触れて)
桃の精さん、また、力を借りるね?
桃の闘気に魔力を混ぜて、強力な結界を身に纏うの
【オーラ防御・結界術・狂気耐性・呪詛耐性・落ち着き・ジャミング・限界突破】
まともに受けない様に結界で逸らす様に、【第六感】と狼の脚力【ダッシュ・ジャンプ】で耐えて鎧の隙間を【情報収集】
次で、決めるの
【勇気】があればできるはず
当たる直前、UC発動!
鎧の隙間という隙間の位置に合わせて出現させて、
そのまま突き刺すの
●
神農の武器であるユグドラシルブレイドは、少しでも触れたなら即座に相手を倒す必殺の剣なのだという。
それだけ強力な武装ならば、世界樹の名前を冠するのもよく分かる。けれど今はその剣も姿を変えて、絶対の鎧と化しているようだ。
「あの藤甲も凄い魔力だけど……『鎧』なら、付け入る隙はありそうだね」
ひらりと戦場に舞い降りつつ、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は身体を起こす敵を見遣る。
神農兀突骨は先の戦いの傷を癒やすため、自身の神威を使っているようだが――。
「おお、またしても小さな猟兵よ、可哀想に。今の兀突骨は餓えておる、どうなるか分からんぞ」
神農がそう語った瞬間、彼らの身体はより大きく凶暴な姿へ変身していく。
今の敵は完全な餓えた獣、こちらに対する遠慮などは一切なしに狩り尽くしに来るだろう。
「まずは耐えないと、なの。桃の精さん、また、力を借りるね?」
ロランは内ポケットに入れたサシェに触れ、そこから溢れる柔らかな香りと闘気を集めていく。
そうして生み出した結界に自身の魔力も編み込めば、戦いへの準備も万端だ。
けれど安心する暇はない。既に神農兀突骨は植物を蹴って駆け出し、ロランの元へと迫ってきているのだから。
強固な結界を展開したとはいえ、相手の攻撃は強烈だ。
凄まじい勢いで繰り出される突進は掠るだけでも損傷を免れないだろう。
ロランは全神経を研ぎ澄ませ、姿勢を低くし敵を見据える。
「――今!」
ギリギリまで相手を引きつけ狼足で地を蹴って、ロランはどうにか衝突を回避する。
それでも巻き起こる風圧や衝撃はかなりのもので、結界がなければ容易く吹き飛ばされていただろう。
兀突骨が踏みしめた植物はズタズタに裂け、凶暴な姿は間近で見ると尚恐ろしい。
それでもロランは――決して敵から目を逸らさなかった。
「勇気を出して……ぼくなら大丈夫なの。次で、決める!」
フィルム・アイで相手を見据えて情報を解析し、藤甲を観察すれば僅かながらも隙間は見えた。
敵は方向を転換し、再び此方へ迫ってきている。
その進行ルートの上に、ロランは堂々と立ち塞がった。
「電脳空間アクセス。剣戟プログラム起動。天狼の魔剣【ルプス】生成、プログラム同期」
淡々とした詠唱と共に魔剣を複製し、その刃を神農兀突骨へと向けて。
そして相手が最接近した瞬間に――。
「……オペレーション【狩狼】開始」
術式は完成し、無数の刃が次々と藤甲の隙間を貫いていく。
その衝撃で兀突骨の足は鈍り、決してロランの元まで届くことはない。
ロランの勇気ある行動と魔術が、絶対の鎧に打ち勝ったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎
HAHAHA!
バトルが好きデスカ、兀突骨?
ワタシも楽しいデース!
全力でお相手いたしマース!
超加速形態の突進は確かに脅威!
シンプルゆえに圧倒的デスガ、それだけ挙動を見切りやすいというもの!
羅針盤戦争で滑走靴を得て、習熟してきたワタシの滑空性能で食肉植物に触れずに空中戦を展開!
地の利を乗り越え、突進を飛んで回避しマース!
壁などにぶつかるよう誘導して隙を作り、反撃のUC!
「骸式兵装展開、剣の番!」
あの戦争にて得た力、ピサロ将軍の力を披露しマース!
八艘飛びの超高速機動力で兀突骨を翻弄!
無差別攻撃が追いついていマセンヨ!
藤甲の隙間を見切って飛び込み、ファルシオンで貫くであります!
●
神農兀突骨は再び傷を癒やしつつ、ゆっくりと立ち上がる。
その度に彼らの力は削れているようだが、圧倒的な威圧感は今も健在だ。
兀突骨の部分が逸るように脚を動かせば、神農がくつくつと笑いを零す。
そんな彼らの前に堂々と姿を現すのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)だ。
「HAHAHA! バトルが好きデスカ、兀突骨? ワタシも楽しいデース!」
「ほう、元気な娘だ。兀突骨にとっても不足はないようだ。それでは……参ろうか」
「全力でお相手いたしマース!」
双方楽しげに声を弾ませたかと思えば、次の瞬間には空気が一変。
神農兀突骨はより疾い姿に変わり突進を開始していき、バルタンは視線を敵へと向けたまま屈み込む。
「事前に話は聞いていましたが、確かにこれは脅威デスネ! シンプルゆえに圧倒的デスガ、それだけ挙動を見切りやすいというもの!」
しゃがんだ姿勢のまま足元に装着した滑走靴を起動すれば、バルタンの身体も凄まじい勢いで動き出す。
海の世界で得た靴は、それこそ海の上でも走れるように改造されたもの。
それに合わせて習熟されたバルタン自身の技術も合わさり、彼女の身体は少し浮遊した状態で突き進んでいる。
その速度に振り回されないよう気をつけて、意識を集中すれば――。
「ここデスネ!」
追突の瞬間に、ふわりと空へ逃げることだって出来るのだ。
敵を見失った神農兀突骨はそのまま突き進み、周囲の植物に脚を取られているようだ。
ならば反撃のチャンスは今しかない。バルタンは空に舞い上がったまま、埒外の力を発揮させた。
「骸式兵装展開、剣の番!」
力の発動に合わせ、バルタンの纏う衣服が姿を変える。可憐なメイド服から征服者――『邪剣』ピサロ将軍を模した姿に変身したのだ。
彼女が変えたのは服装だけではない。戦闘スタイルも『邪剣』に合わせたものに変えれば、バルタンは更に縦横無尽に戦場を駆け回る。
「それではお見せしまショウ! これが八艘飛びデース!」
蔓延る植物すら足場に変えて、バルタンが目指すのは神農兀突骨の方向だ。
相手も再び加速し突進してくるが、既に高い機動力を手に入れたバルタンには追いつけないだろう。
少しずつ相手を翻弄し、じわじわと距離を詰めていけば――見えるのは藤甲の隙間だ!
「やっぱりバトルは楽しいデース! これで……貫くであります!」
的確に弱点を狙い、バルタンはファルシオンを振りかぶる!
その刺突は見事に神農兀突骨の肉体を貫き、深々とした傷を刻み込んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ共闘歓迎
桃源世界を救う為に…
そして…半神半魔獣を討ち倒す為に…
行くぞ…我が名はアンナ!処刑人が娘也ッ!
[足場習熟と悪路走破]で不安定な足場を[ダッシュ]で駆け抜け
天獄甲冑と地獄の炎によるジェット噴射の[ジャンプ]で
戦場を飛び回りながら行動しよう
敵の突進と藤甲の隙間を[視力で見切り情報を収集]して
ジェット噴射で空に舞い[空中機動と推力移動]の急旋回で
攻撃を回避したらそのまま[空中戦]を仕掛けよう
【吊るし首の刑】で細剣巻き付けた鎖の鞭を
[ロープワーク]で操り隙間に目掛けて振るい投げ
細剣を[串刺し貫通攻撃で傷口をえぐり]半神半魔獣を
仕留め、その息の根を止めてやろう…!
●
戦いの影響を受けてか、祠に蔓延る植物達もずたずたに裂けてきているようだ。
そんな足場を踏みしめつつ、仇死原・アンナ(処刑人 魔女 或いは焔の花嫁・f09978)は堂々と神農兀突骨の元を目指す。
「桃源世界を救う為に……そして……半神半魔獣を討ち倒す為に……」
一歩進むごとにアンナの気迫はより大きくなり、それを眺める神農はくつくつと笑みを零す。
相手が圧倒的な化物だろうと退くことは選ばない。アンナがやるべきことは一つなのだから。
「行くぞ……我が名はアンナ! 処刑人が娘也ッ!」
「勇ましき娘よ。この神農、そして兀突骨が相手をしよう!」
双方は名乗りを上げ、勢いよく戦場を走り出す。
それに合わせるように植物が更に裂けて崩れるが――そんなこともお構いなしで、ただひたすら戦うだけだ。
神農兀突骨は超加速形態へと変身し、凄まじい勢いで戦場を駆け回る。
アンナも自身の技術で悪路を気にせず立ち回るが、いつかは相手の速度に追いつかれるだろう。
ならば――走ることに拘らなければいい。
「こういう時のために、こういう装備もあるからな……!」
そう呟きつつ、アンナは自身の纏う『天獄甲冑』に意識を向ける。
それに応えるように内蔵された天使核が熱を帯びれば、吹き上がる地獄の炎がアンナの身体を空へと持ち上げた。
同時に神農兀突骨が全力で飛び込んでくるが、空へと逃げたことで初撃は回避出来たようだ。
けれどアンナの飛翔はジェット噴射によるもの。再び地上に近づけば、追撃が来てもおかしくない。
「チャンスはあまりないだろうが……それでも、全力で立ち向かうのみだ」
甲冑に地獄の炎を送り出し、アンナは再び空の上を駆けていく。
そのまま相手に接近し目を凝らせば――固く編まれた鎧の隙間だって見つけることが出来た。
けれどその際に動きが少し止まってしまったのだろうか。再び神農兀突骨はアンナ目掛けて突っ込んできたようだ。
「――ッ!」
咄嗟に上空へと避難は出来たが、甲冑の動力も限界が近い。
ならばここで攻め込むしかない!
「鉄鎖の首飾りを巻いてやろう……!」
アンナは少しずつ下降しつつ、鎖の鞭を敵の方へと振り回した。
棘の生えた鉄球が器用に藤甲の隙間に引っかかれば、その衝撃で神農兀突骨の動きも鈍ったようだ。
そのまま鎖を手繰り相手との距離を詰め、更に大きく隙間を開いてやれば――。
「その息の根を止めてやろう……!」
アンナの振りかぶった禍々しい細剣が、見事にその隙間へと突き刺さる!
響く半神半魔獣の苦悶の声を聞き、アンナは確かな手応えを実感するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
龍守・火狩
【ティラノ&バンカー】チームで参加。
アドリブ・改変歓迎です。POW
超防御って言われるとぶち抜きたくなるよな!やらないけど。
隙間があるならそこを尖った杭で撃ち抜けばいいだけだし。
接近は蛇無ちゃんにまかせられるから、ピンポイントで撃ち抜くことに集中!
大きくなった蛇無ちゃんに飛び乗ってチャンスを伺うぜ!
植物を燃やす炎のおかげで相手の姿もはっきり見える。
合図にあわせて背中から跳躍!
翼で姿勢を制御。
高速でのすれ違いざまなら大きな回避はできないはず!
藤甲の隙間目掛けてパイルバンカーを射出してUCを発動!
変形したドリルで藤甲の内側に攻撃するぜ!
蛇無・杏珠
◎チーム【ティラノ&バンカー】で参加!
アドリブ・改変歓迎!POW
うっわぁ、すごい変な植物が沢山……それにガードの硬い相手とか、蛇無ちゃん1人じゃ無理だったよ!火狩くんありがとー!
じゃあ早速作戦実行だ!コソコソするのは止めてUC発動!
「思う存分暴れ回っちゃうぞ!」
巨大ティラノに変身して、飛び回りながら炎で食肉植物を燃やしてまわるよ。多分相手は蛇無ちゃんに向かって突っ込んでくると思うから、こっちもフルスピードで逃げる!
さりげなく狭くて避けにくい場所に誘導して、火狩くん、今だよ!
背中にこっそり乗せてた火狩くんに合図を送る!後は任せた!
●
神農兀突骨は残った力で傷を癒やし、再び祠の中に立つ。
それに呼応するように周囲の植物が蠢けば、より一層不気味な光景が広がっていく。
「うっわぁ、すごい変な植物が沢山……それに、あれが神農兀突骨……!」
敵の姿と蠢く植物達に息を呑みつつ、祠を進むのは蛇無・杏珠(暴走恐竜配信者・f35795)だ。
彼女は友人である龍守・火狩(パイルバンカーマニア・f36155)の服を掴みつつ、共に戦いの場所を目指している。
「ガードの硬い相手とか、蛇無ちゃん一人じゃ無理だったよ! 火狩くんありがとー!」
「いやいや、俺の方こそ。超防御って言われるとぶち抜きたくなるよな! ……やらないけど」
二人の様子は仲の良い友人同士そのもので、会話からも和気藹々とした雰囲気が伝わってきている。
けれど二人の気持ちは同じ。悪いオブリビオンをやっつけて、一緒に帰らなくては!
「隙間があるならそこを尖った杭で撃ち抜けばいいだけだし、攻撃は任せてくれ!」
「移動は蛇無ちゃんに任せて! それじゃあ……早速作戦実行だ!」
火狩の言葉を受けて杏珠が大きく頷けば、発動するのは埒外の力。
「がおー! 思う存分暴れ回っちゃうぞ!」
杏珠の身体はみるみる大きく変身して――姿を現したのは翼を持つ巨大なティラノサウルスだ!
そしてその背にこっそりと火狩が乗れば戦いの準備も万端。二人の視線の先には、笑い声を上げる神農兀突骨の姿があった。
「ほぅ、恐竜とな! 面白い猟兵もいるものだな、兀突骨よ!」
楽しそうな神農とは裏腹に、兀突骨は戦いに向けて逸る気持ちが抑えられないらしい。
その足が大きく動き出せば、彼らも超加速形態へと変身していく。戦いはこれからだ。
「蛇無ちゃんは逃げるのと炎を撒くのに集中してくれ。敵の動きは俺がよく見る!」
「分かったよ! 頑張って暴れちゃうし逃げちゃうからね!」
友人の声を聞き、恐竜と化した杏珠が大きく翼をはためかせる。
そのまま勢いよく空を駆け、観察するのは周囲の様子。戦場を埋め尽くす植物は不気味だが、あれを利用することだって出来るはずだ。
凄まじい勢いで突っ込んでくる神農兀突骨の攻撃をどうにか飛翔で回避しつつ、杏珠は大きく息を吸う。
「せーのっ……燃えろ―っ!」
そしてそのまま吐く息は炎のブレスへ。放たれた炎は植物達を糧にして、どんどん祠の中に広がっていく。
神農兀突骨も多少の炎は気にしないだろうが、全く無視するという訳でもないだろう。
それに炎の揺らめきを見れば、敵の動きだって観察出来るのだ。
「……蛇無ちゃん、三時の方向から来るよ!」
「火狩くんありがと!」
二人は連携しつつ敵の攻撃を避け続け、更に周囲の様子を探り続けた。
炎は十分に広がって、敵が踏み越えられるルートも減ってきている。
そろそろ頃合いだろうか。杏珠は一際大きく翼を動かし、敵へと大きな声を発した。
「ほらほら、こっちだよー!」
「随分ちょこまかと逃げ回っているな。兀突骨。そろそろ追い詰めるぞ」
疲弊した神農兀突骨は、少し苛立った声と共に突進を繰り出してきたようだ。
けれど敵が向かうのは炎で出来た一本道。ここならば、大きく回避行動を取ることも難しいだろう。
そして接近の瞬間を見定めて――。
「――火狩くん、今だよ! 後は任せた!」
「ありがとう蛇無ちゃん! ここからは……俺の番だ!」
大きな恐竜の背中から、小さな竜が空を駆け出す。
翼を広げた火狩が迫る神農兀突骨目掛けて突進し、狙うはすれ違いのタイミング。
炎の道、互いに行う高速での移動、生まれる接近の瞬間。相手が回避出来ない状況は出来る限り揃えた。
二人で作ったチャンスを逃すまいと、火狩は腕に装着したパイルバンカーに意識を向ける。
「恐竜の娘の背に隠れていたとは。怖気づいていたのか?」
「違うぜ、神農兀突骨。蛇無ちゃんは俺を信じて、俺は蛇無ちゃんを信じた……二人で編み上げた作戦だ!」
嘲笑うような神農の声を一蹴し、火狩は敵の姿をしっかりと睨む。
最接近の瞬間まで、あと3,2……1!
「いっけー、火狩くん!!」
蛇無の声に背中を押され、火狩は全力でパイルバンカーを振りかぶる!
その先端は見事に藤甲の隙間に突き刺さるが、それでも致命傷には至らない。
それに対して神農が口を開こうとするが――それよりも先に火狩が猛る。
「穿て螺旋! 貫け! 《螺旋廻天・蜿蜿長蛇(ドリライズ・エンドブレイカー)》ッ!!」
次の瞬間、パイルバンカーの先端は円錐状のドリルへと変形し、更に藤甲の隙間を抉じ開ける!
こうなれば如何に強い怪物であろうとも逃げることは出来ないだろう。
ドリルは更に突き進み、神農兀突骨の身体を貫いて――再び火狩が空へ飛び出すと同時に、悪しき神と獣は骸の海へと還っていく。
無事に勝利を収めた猟兵達は手を取り合って、喜びを分かち合う。
その様子は和気藹々とした友人同士らしくもあり、共に戦い抜いた戦士達のものでもあった。
●
こうして猟兵達は神農兀突骨を倒し、戦争の勝利に一歩近づいた。
猟兵達の諦めない意思は、絶対の鎧すら打ち砕いたのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵