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殲神封神大戦⑩〜トゥルーネイチャー

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑩ #オブリビオンマシン『哪吒』

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#オブリビオンマシン『哪吒』


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 封神武侠界を流れる大きな長江はその下流域、赤壁のダムを越え、増援を送る事がようやく可能になった建業の都。
 そこは今や、火の海を化そうとしていた。
 太古の昔より、何者かによって遣わされたとも言われる大怪物『哪吒』を模して造られたというそれらは、なぜか封神武侠界に蘇ったオブリビオンマシンの量産型。
 その体躯は5メートルを誇り、三面六臂の威容は死角を持たず、鋼の皮膚を持ち、足には燃えるような車輪を携えて地を疾駆するという。
 列を成し、一糸乱れぬ統率によって市街を支配するその戦力、まさに一機一機が必殺兵器。
 よもやこれほどとは。
 増援部隊として司馬炎より派兵された者どもは、絶望的な戦力差を前に膝を折る。
 誰ぞ、あの鋼の怪物群を討伐せぬものか。
 あれなるは、人の敵う相手に非ず。
 或は、彼の者に匹敵する大鎧でもあるのならば……。

「……封神武侠界にオブリビオンマシンですか」
 グリモアベースはその一角、桜柄の着物がトレードマークの刹羅沢サクラは、自らの見た予知の内容に嘆息する。
 戦争に限った話ではないが、オブリビオンの有力敵というのは、何故か他所の世界の特性を得た者が現れるという現象が、ままある。
 これもそうだとするなら、なんとも残酷な話である。
「いえ、細かなことに茶々を淹れても詮無き事。今は現状の打開が最優先ですね」
 大きく息をつき肩をすくめると、予知の内容について説明をし始める。
 戦いの舞台は建業の都。UDCアースにおける南京の昔の呼び方と似ている。
 そこを実質支配し、建業を破壊し尽くさんとしているのは、オブリビオンマシン『哪吒』の陸戦量産型だという。
「幹部クラスが自律機動のオブリビオンマシンというのも不可解ですが、よもや既に量産されているとは、恐ろしい話です」
 何者かが悪意を持って用意したとしか思えぬが、とにかく今回は、哪吒本体ではなく、言わばそのコピー版を排除せよという話である。
 絶大な性能を誇り、風火輪によって飛翔する能力を持つという哪吒本体とは異なり、量産型は陸戦タイプ。つまり、本物程強力ではなく、飛翔能力ももたない。
 ただ、オブリビオンマシンであるというだけでも、この世界の住人にとっては脅威であるが、その機械制御じみた統率力は高く、三面六臂の怪物たちは連携をとって建業の街々を破壊せんとしている。
「哪吒本人(?)のような、単騎での絶大な戦力で以て先制などはしてこぬようではありますが、彼の者を模した影の数や知れず、またキャバリア相当の戦力は、こちらも同じだけのものを用意するかせねば、厳しい戦いを強いられることでしょう」
 こんな時に、キャバリアを貸し出せるほどの余力があればよかったのだが、今回はそんな状況を持ち合わせているどこかの喫茶店の給仕が担当ではない。
 戦況を覆すのは、あくまでも猟兵本人である。
「満足な戦力支給が儘ならぬ事、恥じ入ります。しかし、皆さんならその差を埋めるに相応しいものをお持ちであると確信いたします。
 ご武運を」
 そうして、サクラは猟兵たちを戦地へと送り込む準備に取り掛かるのであった。


みろりじ
 どうもこんばんは、流浪の文章書き、みろりじと申します。
 ついに出てきましたね。武侠世界で巨大ロボ。お前、本当にそれでいいのか。
 九龍でいい。
 とまぁ、冗談は置いておいて、今回は『哪吒』本体ではなく、陸戦量産型複数体を相手にする集団戦、市街戦となっております。
 量産型とはいえ、彼らが模するのは幹部相当のオブリビオンマシンであります。並の相手ではない筈です。
 サクラちゃんや、冒頭でもちらっと言っていたかもしれませんが、キャバリア相当の相手に対する戦い方を考える必要がありそうです。
 例にもれず戦争シナリオですので、1章完結のシナリオとなります。
 プレイング募集期間などは設けませんので、いつでも好きなタイミングでどうぞ。
 また、個人的な事情になりますが、15日前後で例のお注射の関係でぶっ倒れる可能性がありますので、今回ばかりは遅刻を余儀なくされる可能性が万一にもあるかもしれません。ごめんよ。
 というわけで、皆さんと一緒に楽しいリプレイを作ってまいりましょう。
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第1章 集団戦 『陸戦量産型『哪吒』』

POW   :    EP金磚(きんせん)
自身の【増加装甲】から、戦場の仲間が受けた【ダメージ】に比例した威力と攻撃範囲の【装甲炸裂弾】を放つ。
SPD   :    RXS火尖鎗(かせんそう)
【槍から「破滅の炎」】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    BS-B混天綾(こんてんりょう)
自身の【胸部】から【高出力のエネルギー波動】を放出し、戦場内全ての【液体(生物の血流を含む)】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。

イラスト:雲間陽子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜刀神・鏡介
自前のキャバリアなんて持ってないが、なに。以前戦ったフルスロットルの奴も同じくらいの大きさだったし、どうにでもなるさ
――等と言ってみるが、今回は集団相手だからな。まともにやれば分が悪いにも程がある

今回は市街戦かつ陸戦型……なら、出来るだけ地形を活用したい
神刀を抜き、参の秘剣【紫電閃】を発動。紫紺の神気を纏う事で自身の行動速度を大きく強化
まずは適当な建物の屋上へ、そこからダッシュとジャンプで哪吒の身体に飛び移る。
できれば顔面など弱そうな場所に攻撃を叩き込んだ後、近場の建物や別の哪吒に飛び移って移動しては攻撃を繰り返す

敵が放った炎は斬撃波で切り裂き威力を殺しつつ、他の敵や建物を壁にして回避だ



 建業の街々を、火の轍が駆ける。
 それはこの世界にはおおよそ存在しない、装甲と砲塔を履帯にて運搬する戦車のそれに似ていた。
 量産型『哪吒』の威容。その鬼神の如き立ち姿が列をなす様は、さながらどこかのお堂のようでもあるが、スケールの大きさはまさに圧巻の一言に尽きる。
 仮に彼らが武装せず、自律機動もしないただの仏像に過ぎなかったなら、もう少し悠長に情緒を語れたかもしれない。
 穏やかな時間はもうとうの昔に過ぎている。
 建業の建物の陰からその様子を伺っていた夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、どこか気楽な面持ちでこの戦いに臨んでいた。
 相手はキャバリア相当。とはいえ、自前のキャバリアなど持たずとも、これまでに体格で勝る相手とは幾度も刃を合わせてきたつもりだ。
 最近で言えばヴォーテックス・フルスロットルという人間戦車も、実際はかなりの体格とパワーを誇っていた。
 だが今回は……、
「どうにでもなるさ。──などと言ってはみるが、あんなに居るのか。真正面からぶつかるのは、分が悪いにも程がある」
 猟兵としていくつもの戦場を駆けてきたとはいえ、ちょっと物量差があり過ぎる。
 慢心があったわけではないと思いたいが、無謀にその身をさらけ出すには、少しばかり慎重になる相手と思うところであった。
 だが引き下がることは無い。
 このまま捨て置けば、建業はおろか、この世界全土に火の手が上がってしまいかねない。
 フォーミュラに近いパワーを持つオブリビオンマシン『哪吒』本体よりは劣ると言えど、キャバリア相当の戦力を量産できる時点で、文明を壊すに足る。
 本気でやらねば、死ぬ。
 命を削るため、普段は必要十分の鉄刀を手に戦う鏡介であったが、今回ばかりは上品なことを言ってはいられない。
 覚悟を決め、神刀を納める白鞘に触れると、自分の中の何かが吸われる感覚と共に鯉口が鳴り、封を解いた神刀から神気が流れ込んでその余白を埋めるかのように全身に力が湧き上がってくる。
 正気を失いそうなほどの全能感。そして、自身が別の何かに書き換わっていくかのような躊躇と恐れ。
「恐れるな。迷うな」
 今は目的の為に。
 義烈と意思を保ち、刀に向き合うことで、鏡介はその力を制御し、『参の秘剣【紫電閃】』の紫紺の神気を纏う。
 引き上げられた身体能力と共に、その思考速度はクロック数をも上昇させ、飛躍した認識は周囲の時間を遅延させているようにも感じさせる。
 相手は三面六臂の怪物。そこに死角はないのかもしれないが、少なくとも相手の三倍以上の思考速度とスピードで動けば、認識できまい。
 建業の中でも比較的背の高い建造物に目星をつけて、その外壁を駆け上がりつつ考える鏡介の策とは、なんとも凄まじい力技である。
 ひと気のない街の景色の中に、鏡介の姿は目立つことだろう。
 いや、見えていなくとも、この気配を察する機構が相手に無いとも限らない。
 だが構わない。こちらの方が光速い。
 じゃり、と屋上の床を踏む鏡介の靴の周囲を、迸る紫電が爆ぜる。
「刹那の瞬き、受けてみろ──」
 建物から哪吒の姿はやや遠い。だが、今の鏡介なら届く。
 ただの人間一人。鉄の巨人には取るに足らぬ者であろう。
 だが見ろ。見えるものなら。
 赤く青く、その余波を刻み付けつつ、鏡介は屋上から踏み込み、紫電と鳴る。
『──!?』
 その瞬きはほんの一瞬。死角のない筈の三面の一つがぼんっと紫電と共に爆ぜ、更に近場の建物の壁に円状の衝撃波が広がると共に鏡介は着弾する。
 その全身には慣性が重力のようにかかり、強い負荷が足腰を軋ませるが、だがそれで止まるわけにもいかない。
 再び跳弾し、はじけ飛ぶ鏡介に、もう気付いたのか哪吒の一体が槍穂を向けている。
 火尖鎗の穂口から放たれる猛烈な炎と、紫電と化した鏡介がぶつかり合う。
「うおおっ!」
 雷と炎が虚空で渦を巻くようにねじれ、その剣圧が降りかかる炎を掻き消して、なおも鏡介は哪吒に飛び掛かる。
 その三面六臂が大きいほど、振るうには力も速度も必要だろう。
 首を落とすには刃幅がやや足りぬが、顔を潰せば、こいつらはお互いを認識できなくなるのではないか。
 猛然と加速し、その中で考え、鏡介は敵味方問わず降りかかるようになった火尖鎗の業火の中を掻い潜るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダビング・レコーズ
5万の兵力と言えど、これは常人が対処可能な範疇を優に超えています
急ぎ退避を

空対地攻撃を主体に戦闘を行います

目標の火尖鎗を特に警戒
高度を取る事で相対距離を確保し攻撃範囲外へ逃れます
跳躍などで追撃を受けた場合はソリッドステート形態に変型し離脱
その際にはメテオリーテを連射
迎撃行動を誘発させ追撃を阻止します

長距離戦の都合上相互に攻撃の兆候を見定め易くなりますが、こちらは電磁加速投射狙撃砲を使用し対処
目視確認後の回避が困難な高速弾体で攻撃を行います

上空から目標を見下ろす位置取りの都合上、視認性が非常に良好となりますので狙撃には絶好の条件となるでしょう
地形に射線を遮られる場面も少なくなるものかと思われます


朱鷺透・小枝子
敵だ!オブリビオンだ!マシンだ!!
出番だ主よ!!

亡国の主を【操縦】吶喊。
『揺れ刃』を発動し【オーラ防御】障害無視の力で破滅の炎の中を突っ切り、そのまま竜骨爪を哪吒に突きたて【貫通攻撃】壊す!
貫いた哪吒を【怪力】で振り回し盾にして【呪詛ブレス攻撃】なぎ払い放射。ユーベルコードを封じつつ【解体】

吼えたてろ!!この戦場を揺らせ!!!
壊して壊して壊して壊して壊せぇえええええ

【継戦能力】朧影で【エネルギー充填】敵機残骸からエネルギーを吸収。
スラスターで高速【推力移動】戦場を跳びまわり、ブレス攻撃で敵陣を崩し、双剣変形フォースサーベルで【早業切断】。



 火を撒き上げる街、建業。
 仏像を連ねたお堂のように戦列を成す量産型『哪吒』は、単体に於いても脅威であるが、その威容、空を飛ばぬ風火輪による行軍が街を燃やしている。
 サイズ差、戦力差は、司馬炎の兵にとって大きく不利であることは明白であった。
 ただ、そこから逃げ出すにも、建業の民たちを見捨てられはしない。
 民の退路を作る兵たちに、巨大な機影が迫るころ、そこに割って入る新たな機影。
 直立した竜のようにも見えるジャイアントキャバリアが、人と機械の間に入り、その手に生える爪を三面六臂の怪物に突き立てた。
「敵だ……! オブリビオン! マシンだ!」
 そのコクピットの中、かち合う腕同士を映像越しに睨みつけながら、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、片目を燃やす。
 戦うために作られたクローン人間である彼女は、目の前に敵があればその身を焼きながら戦いに赴く。
 その身が既に人ならざるものに変異している異にも気付かないシンプルな思考を持つ小枝子は、もはや片目に埋もれた魔眼が熱を帯びる事など気にしない。
 『亡国の主』を繰り、あまりにも無茶な戦いを、防御フィールドを展開して強引に攻め込む。
 哪吒の火尖鎗がその穂口を向けると見るや、爪による一撃でそれを押し上げ、そのまま押し込んでいく。
 戦場を無理矢理押し上げるのは、シンプルな彼女なりの気遣いであり、残された兵たちは、
「5万の兵力と言えど、これは常人が対処可能な範疇を優に超えています。
 急ぎ退避を」
 同時期にやって来たダビング・レコーズ(RS01・f12341)の誘導で、退路を確保する。
 元からウォーマシンであるその体躯は大柄ではあるが、敵のキャバリアに合わせこちらも『アークレイズ』を装備している。
 いくら目立たぬように誘導したつもりでも、目にはついてしまうだろう。
 冷静にそれらを分析していたダビングは、民の誘導をある程度終えると、敢えて身を晒すように飛び上がり、マイクロミサイル『メテオリーテ』を展開する。
 煙が無数の尾を引いて小型ミサイルの弾雨を形成する。それらは、一発一発はそれほど威力の高いものではないものの、注目を浴びるには十分な演出であった。
「空対地戦闘を想定」
 煙の奥で、スリットのようなアイカメラが青く光ると、人型のシルエットが次の瞬間には戦闘機のような形態に変形する。
 ミサイルによる攻撃を浴びた哪吒たちは、それにつられ、空高くに飛翔する『アークレイズ』戦闘機形態『ソリッドステート』を追うように火尖鎗を向ける。
 紅蓮の炎が空を燃やす。
 しかし、距離があまりにも遠い。その炎は、実体弾などよりも弾速が出るものではないようだ。
 そして、量産型『哪吒』の中が上に向いたのを見計らい、『亡国の主』が吶喊する。
「吼えたてろ!! この戦場を揺らせ!!!」
 凄まじい突撃スピードと、【揺れ刃】による超振動を帯びた竜骨爪が、無防備な哪吒を貫いた。
 そのまま貫いた哪吒を盾にするようにして振り回し、さながら本物の獣のように暴れまわり、その口から放たれるブレスは装甲を腐食させ、あらゆるものを分解するというその性質で以て、火尖鎗による炎すらも分解してしまう。
 腕が六本もある都合上、哪吒の関節は複雑だ。それだけに、亡国の主のブレスによってすぐに障害が出てしまう。
 とはいえ、彼我の戦力差、物量差は大きい。暴力の坩堝と化した亡国の主がいくら暴れたとしても、哪吒たちの統率は容易く崩れはしない。
 瞬く間に陣形を形成され、ある程度距離を取られてしまうが……。
「FCS切替、照準補正開始」
 そんな時にタイミングよく、空を切り裂くような銀の翼が青い軌跡を残して通り過ぎていく。
 そして、それと同時に、それはただ横切っただけではなく、アークレイズによる攻撃行動であったことを知る。
 この世の理外にあるユーベルコードを用いたそれは、もはや未来予知にも近い高い照準補正と、発射後即着弾する【電磁加速投射狙撃砲】による空からの狙撃が、プラズマのような弾道の形跡のみを残し、小枝子を囲う哪吒の数体を撃ち抜いていた。
 堤が開いた。
 戦士の本能で機を見た小枝子は、手の中で半ば半壊する哪吒の残骸を放り捨てると、足元に転がる残骸に背から伸びるコードを突き刺し、エネルギーを補給しつつ、戦列が崩れたところに飛び掛かる。
 哪吒から吸収したエネルギーを使い尽くす勢いで、亡国の主はスラスターを吹かし、その両手にはフォースサーベルを出現させ、斬りかかっていく。
 ダビングによる空からの火力支援。そして至近距離で暴れまわる小枝子との連携により、多くの哪吒の残骸が、建業の街に散らかされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

結城・有栖
哪吒の量産型が相手ですか…。
出てくる世界を間違えてませんか?

「流石に晋の兵隊さん達には荷が重いネ。
トラウムの準備もできてるし、こっちもキャバリアで対抗しヨウ。」

そうですね。では、行きますよ、オオカミさん、トラウム。

今回はトラウムに搭乗して戦闘を行います。
まずはシュトゥルムシステムを使って飛翔し、UCを発動してトラウムの手から幻惑の雷さんを放って攻撃です。
感電の効果で敵のシステムを乱し、催眠の効果で惑わして同士討ちさせてあげましょう。

敵の連携が乱れたら烈風の刃を飛ばして切り裂いてあげます。
飛んでくる炎は【野生の勘】で察知して【見切り】【操縦】して避けるか、風の【オーラ防御】で受け流します。



 街々にそびえる三面六臂。それは彫像のようでもあるが、作り物の顔や腕には意思が宿り、目的の為に戦い続ける怪物の威容を示していた。
 人の身の丈をゆうに超えるキャバリアの体格は、建業の人々の恐怖を掻き立てるには十分すぎるものであった。
 あれなるは神か悪魔か。意志ある機械人形の襲撃に、逃げ惑う人々のなんと無力な事か。
 そんな中、街々を逃げ惑う人々の流れに逆らうように、列をなして押し寄せる『哪吒』の量産型を見上げる人影が一つ。
 結城・有栖(狼の旅人・f34711)は、自身の頭の上にいつのまにか生えていたわんちゃんっぽい耳を揺らし、うーむと唸る。
「哪吒の量産型ですか……。出てくる世界を間違えていませんか?」
 封神武侠界という幻想的な世界の中に、金属の手足を軋ませて街々を襲うその姿は、鉄の機械油の匂いがする。
 この世界には似つかわしくないが、その名はこの世界に轟いている。
 一体いつから、この哪吒というオブリビオンマシンはこの世界にいるのだろうか。
『流石に晋の兵隊さん達には荷が重いネ。
 トラウムの準備もできてるし、こっちもキャバリアで対抗しヨウ』
 素朴な疑問を抱いているところ、有栖の内面に住み着いたオオカミさんが建設的な意見を出してくれる。
 オウガブラッドである彼女は、普通なら正気を失ってしまいかねないオウガの呪いと共存し、内面に巣食うオオカミさんとは良好な関係を築いているという。
 流石に今回の相手は、同じくキャバリアに搭乗して戦う他ない。
「そうですね。では、行きますよ、オオカミさん、トラウム」
 思考は取り敢えず中断し、魔女のようなシルエットを持つサイキックキャバリア『トラウム』に乗り込むと、有栖は住民たちの被害が出ないような位置取りを確保しつつ、距離を取って量産型『哪吒』たちと相対する。
 魔女のような装いは伊達ではなく、トラウムに組み込まれたシュトゥルツムシステムは風を操り、機体を飛翔させる。
 激しい風を伴うトラウムの機動は、哪吒たちに捕捉されるのには十分なものであり、上方を取るトラウムに向けて、次々と火尖鎗の穂口を向ける。
 槍を持ち上げた!
 その瞬間、有栖のユーベルコードが発現する。
「来て、幻惑の雷さん」
 アリスラビリンス出身の彼女は、多くの夢幻に触れてきた。それはいつの間にか、自分でも発現できるような、生きる術として身についてもいた。
 【想像具現・幻惑の雷】によって、イメージから呼び起こされた雷が、振り上げられた火尖鎗にまとわりついて、その腕を伝い感電させていく。
 神話に語られるような存在であっても、彼らはオブリビオンマシン。その身を構成するのは機械のはずだ。
 激しく迸る幻惑の雷は、哪吒たちの探知機能や命令系統をかき乱し、三面六臂の怪物たちは敵味方の認識が曖昧になったのか、味方同士で攻撃し合い、戦列が乱れていく。
 それでも被害が軽微な者たちは、槍の先から地獄の炎を吹き出し、空中の飛ぶトラウムを撃ち落そうとするが、
『来るヨー! 落ち着いて避けるンダ! おちちち……』
「落ち着いて。わかってますよ」
 薙ぐように放たれる炎の筋を、その射線を見切ってひらりひらりと回避していく。
 頭の中でオオカミさんが騒がしくしているが、そのお陰で有栖はかえって冷静になって攻撃をかわしつつ、空中からシュトゥルムシステムによる風の刃で応戦する。
 不可視の風の刃をその身に受けてたじろぐ哪吒。
 量産型ゆえにパワー不足もあるのだろうか。
 いいや、油断は大敵。
「ッ、まだまだですよ……!」
 避け損なった炎の筋が、風の防御フィールドによって逸らされるが、機体が大きく揺れる。
 だが、ここで退くわけにはいかない。
 後ろにはまだ建業の民や晋の兵士たちが居るのだ。
 有栖の冷静な白い頬に、にわかに汗がにじんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
阿修羅マンがたくさん!
えっ…あれが哪吒?中国なのにカレー風味。

一機でも強いのに困るなあ<汗>。
すんごく怖いけど飛び込む方が却って安全なんだろうなあ。
身を捨ててこそ浮かぶネタもあれとか、誰か言ってたし。
等と色々悩み、恐怖を克服してUC使用。

UCのバリア+光の属性攻撃とオーラ防御を身に纏い、両手でビームシールドを前面にかざして盾受けの体勢。

仙術で分身をばら撒いて幻惑しつつ、UC効果の最高速度11500km/h(=マッハ9.3)で突撃。
こっちはUC効果で衝突の損傷は無いけど、向こうは唯では済まない。
空中戦&瞬間思考力を駆使して、動きを読まれないよう急旋回や方向転換を重ねて次々と敵機にぶつかって倒す。


黄泉川・宿儺
POWで挑むでござる
※アドリブ連携等歓迎です

この数と大きさ……驚異でござるな
何としても止めなければ!

大きさでは劣っているかもしれないでござる
だけど、力勝負ならオブリビオンマシンにだって負けないでござるよ!

【UC:完全掌握】発動
小生自慢の<怪力>で量産型哪吒をバッタバッタと投げ飛ばしていくでござる

装甲炸裂弾は<第六感>で方向を<見切って>被弾範囲を最小限に抑えつつ、被弾部位の痛みは<根性>と<激痛耐性>でひたすらに我慢!でござる!

例え、
疲労と痛みで体力が尽きたとしても
限界のその先へ<限界突破>!

小生はまだまだ元気でござる
さぁ、投げ飛ばされたい奴からかかってくるでござるよ、オブリビオン!



 轟音が反響し、犇めく鉄塊が怪物たちの威容を、その現実感を伴って武侠の世界を壊しつつあった。
 修羅を模したその姿に憐憫や愉悦は無く、ただ彫り込まれた意匠のまま無機質に破壊行動へと勤しむだけである。
 まさしく怪物。まさしく阿修羅。
「阿修羅、そうだ! 阿修羅マンがたくさん!」
 リューイン・ランサード(乗り越える若龍・f13950)は、建業の街々に火の手が上がる中、逃げ遅れた民や負傷した晋の兵士たちを避難させつつ、ふと昔読んだ書物に出てきた三面六臂の怪人を思い出す。
 よせ。そいつの話題を出したら、やたらと自爆ダメージのありそうな投げ技をやらなくてはならなくなるぞ。
「阿修羅マン……それは何でござるか?」
 同じく民たちを放っておけなかった黄泉川・宿儺(両面宿儺・f29475)が、そのちょっと危険なネタに乗る。
「え、ああ、ええとですね。フィクションにはそういったレスラーの方が……」
「ほほう、では、同じようにあの哪吒を倒す手立てになるのでは?」
「えっ、あれが哪吒……? 中国なのにカレー風味……」
 キャバリアを持たぬ生身である彼らは、あくまでも直接戦闘は避けて逃げ遅れた民の救助などに当たっていたのだが、猟兵との戦闘も激しさを増していくにつれ、戦火は広がるばかりである。
 やはりキャバリアは、戦場を広げてしまう。
 救助ばかりでなく、量産型哪吒の数を減らさねば、被害は留まりそうにない。
 どうでもいいが、腕や顔の数が多い神は確かにエスニックな神話に多い。
 彼らの元ネタは、ひょっとしたらこの封神武侠界に存在するかどうか、天竺に由来しそうである。
「なるほど、顔面をすべて破壊……この数と大きさでは難しい。でござるが、なんとしても止めなければ!」
「あぁ、やっぱりやるんですね……やらなきゃダメですよね。一機でも強そうなのに、困るな……」
 情に厚く、困っている者を放っておけない性分の宿儺は、今までもそうしてきたがゆえに生じた不器用の証でもある体中の痣をものともせず、至る所にほつれや補修跡の残る桜學府制服を翻す。
 女性ながらに雄々しく潮流に逆らが如く立つ宿儺に隠れるように、リューインはかなり頼りない物言いをしつつも、戦うつもりはあるようだった。
 基本的にヘタレと呼ばれるリューインであるが、そんな彼でもおっかなびっくり戦場を駆けた年数は多く、猟兵として少なくない戦果を上げている。
 いくら何でも貫禄くらいは出てもいい筈なのだが、どんな戦場を経験しても、やはり戦うとなると身が竦む。
 大丈夫かな。と最初こそリューインを護る様な公算も視野に入れていた宿儺であったが、戦いを恐れながらも冷静に戦況、敵の脅威を分析しつつ、敢えて踏み込む事の方がかえって安全か等とブツブツ考えをめぐらす視野の広さには、やはりこの人も戦う人なのだと感心してしまう。
 こういったタイプはたぶん、覚悟を決めたときが一番頼りになる。
「大きさでは劣っているかもしれないでござる。
 だけど、力勝負ならオブリビオンマシンにだって負けないでござるよ!」
 きっとこの人は大丈夫。そう信じてみて、宿儺は前だけを見て居並ぶ神像の如き脅威を見据え、駆けだす。
 その体格差、約4倍。重量差は10倍でも足りぬであろう。
 しかしながら、宿儺ははなから負ける公算など視野に入れていない。
 ただ己の剛力を信じ、己の頑丈さを信じ、不器用に前に進むだけである。
 無手のまま猛然と突き進む宿儺の姿を脅威とみなしていないのか、哪吒の一体がその辺の瓦礫を弾き飛ばして迎撃しようとするが、それを拳で受けつつ尚も突き進む。
 そしてその手が届くよりも前に、そのユーベルコードが先に発現する。
「掴まえた、でござるよ」
 まるで吸い寄せられるかのように、【完全掌握】によって哪吒の一機が宿儺の腕に掴まれていた。
 台パン不可避の驚愕の投げ間合いである。
「でぇぇいっっ!!」
 気合一閃、掴み取った哪吒を、思い切り別の哪吒へと投げつける。
 体格差とはいったいなんだったのか。
 怪奇人間、宿儺の怪力は、キャバリアサイズの敵すらも放り投げる。
「すごいなぁ。でも、僕にはそんな勇気はない。だから、ちょっとずる賢くやりますよ!」
 キャバリアという脅威、絶対的な数量差。それがもたらす恐怖を、冷静さで以て克服するリューインは、随分と付き合いの長いビームシールドを自身の前方に展開、ドラゴニアンの翼を広げ高度を保つと、
 この封神武侠界で会得した仙術で自らの分身を多数用意すると、ユーベルコード【フル・アヘッド】を発現すると共に、哪吒の集団へとけしかける。
「行こう、未来を切り開くために!」
 ビームシールドの青白い光跡を残しつつ突撃する分身含めたリューインは、まさに流星雨。
 ただまぁ、分身そのものに質量はないので、それらはあくまでもかく乱用なのだが、しかしリューイン本人はそういう訳にもいかない。
 フル・アヘッドで強化され最高時速約マッハ9.3を誇る体当たりは、いくらオブリビオンマシンといえどもひとたまりもあるまい。
 それじゃあ自分もただでは済むまいが、その為にリューインは防備を固めた上で突撃したわけであり、今や恐怖を乗り越えた状態のリューインはその肉体に些細なダメージを受ける事は無いようだ。
「うおおっ!!」
 流星のような体当たりを敢行するリューインと打って変わって、闇雲に哪吒たちへと掴みかかりに行く宿儺は、少なからずその身に手傷を追っていた。
 生身で巨大ロボを投げようというのだからそれも当たり前の話だが、あれだけの怪力を見せられた哪吒も今更ただでは近づかせてはくれない。
 何よりも、追加装甲を爆ぜさせて散弾のように飛散する部品を体中に浴びて、その拳や腕などには尖った部品が突き刺さっているが、その程度で止まって等いられない。
 負傷して尚、疲れを超えて宿儺は奮い立ち、根性で相手をつかみ取り、投げつける。
 致命的なダメージを受けないよう、被弾個所は選んでいるとはいえ、血まみれになりながらも巨大な相手を投げつける様は、果たして機械にはどう映っただろう。
「御無事ですか!?」
 宿儺の背後を護るように、リューインがシールドを張りつつ回り込む。
「まだまだ……小生は、まだまだ元気でござるよ」
 戦場を恐れながら、尚もそれを乗り越えあまつさえ助けに来てくれるリューインの姿を頼もしく思いつつ、宿儺は傷だらけの姿でニヤリと笑う。
 その笑顔ですら、リューインはちょっと怖かったりするのだが、それは敢えて顔に出さないでおく。
「さぁ、投げ飛ばされたい奴からかかってくるでござるよ、オブリビオン!」
 空気を震わせる雄叫びのような声を上げる宿儺は、尚も自らを奮い立たせ、突撃していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
封神武侠界にオブリビオンマシンですか!
これはびっくりです。
しかし、兵馬俑も量産型キャバリアみたいなものでしたから、登場してもおかしくはない……のかな?

ともかくキャバリアの相手はキャバリアでしないと手が痛くなります。
ここはこちらもキャバリア出します。

キャバリア『エクアトゥール』で戦います。
相手は飛んでこないので、BX-Sエール・ノワールで上空に陣取ります。
そこから、翼の刃を使って敵を一撃離脱の形で切り裂いていきます。
敵がある程度集まってきたところでUC【乱舞雷花】を発動。
敵を電撃で一網打尽にします。

キャバリア世界と違って、空を堪能できるのはいいですね。


オリヴィア・ローゼンタール
まさかこの世界で機械の大軍勢を見るとは……

白いパイロットスーツに身を包み、兵たちを鼓舞する
あれの相手は私たちが
皆さんは民の避難をお願いします

天来せよ、ヘラクレス!!

鋼の巨躯で街道を疾駆
槍の扱いは心得ている
振るわれるそれを【見切って】【受け流し】、迸る炎を別の敵へ浴びせる
槍を逸らされて【体勢を崩し】た敵へ、鋼の拳を叩き込む(カウンター・功夫)

しかし敵は高性能かつ大軍勢
すべてには対応できない、蓄積するダメージ、瓦礫の山に叩き付けられる
――まだだ!(因果超越・永劫の勇士)
【気合い】と【根性】で【限界突破】
瓦礫の山から立ち上がる
【怪力】を以って殴り、蹴り、叩き付け、投げ飛ばし、【蹂躙】する
ぉおおおッ!



 炎を発する風火輪。軋みを上げる6つの腕。振るわれる炎の槍。
 それらが列を成し、建業の街々を火の海にする。
 民はその脅威に恐れおののき、晋の兵たちももはや戦いどころではなく、立ち向かうことはすなわち死を意味していた。
 雑草を払うかのように倒れていく兵たち。
 だが、その最中、白い戦着を着込んで立つ麗しき銀髪の影。
 破邪の槍を手に、ひたすらに防戦に徹し、民たちを誘導する兵士たちを護るオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、機を伺っていた。
「あれの相手は私たちが。
 皆さんは民の避難をお願いします」
 目立つ姿は、敢えて目を引き兵たちを誘導する為。そして、目の前の量産型哪吒たちを対抗する前準備のための服装でもあった。
 本来、修道女たるオリヴィアは、貞淑な……貞淑な……意外と肌色多いぞ。
「こちらの退路は十分に確保できましたよ」
 決死の防戦の最中、人知れず民たちを安全な場所まで退避させる順路を確保していたらしい黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)がやってくる。
 民たちを晋の兵士たちに託し、量産型哪吒の進行を何とか防いでいたのは、実際問題大変なものだったが、周辺の気遣いはそろそろ必要なさそうである。
「それにしてもびっくりですね。封神武侠界にオブリビオンマシンとは」
「ええ、まさかこの世界で機械の大軍勢を見ることになるとは……」
 既に生身での戦いに於いてオリヴィアは少なからず手傷を追っているのだが、まだまだ戦える様子である。
 むしろキャバリアサイズの相手に防戦一方ながら致命的な手傷一つ負っていないのは僥倖であろう。
 だが、ここから先は、条件はさほど変わらない。
「では、こちらもキャバリアを出しましょう。あんなの相手にしてたら、手が痛くなります」
「そうですね、ならば──」
 お互い、あちこち飛び回ったりでずれた眼鏡をくいーっと直しつつ、同条件に揃えるべく、キャバリアの手配をする。
 摩那はその辺に不可視迷彩で待機させていた『エクアトゥール』に乗り込み、
「天来せよ、ヘラクレス!!」
 偉大なる英雄の名を告げれば、雷光と共にオリヴィアはいつの間にか『ヘラクレス』のコクピットに搭乗していた。
 筋骨隆々の英雄そのままの姿に相応しく、オリヴィアの意思の赴くまま、ヘラクレスは雄々しい足取りで量産型哪吒へと立ち向かう。
 その姿を見送るように、摩那のエクアトゥールは両肩のシールドバインダーからサイキックエネルギーの翼『エール・ノワール』を噴射形成し、空を飛ぶ。
 陸と空からの二枚攻撃。
 ただし、キャバリアを用いているとはいえ、最も危険なのは前線にたつオリヴィアであろう。
 猛然と駆けるその白い姿に向けられる火尖鎗。
 狙いがヘラクレスに向いた瞬間を見計らい、空を飛ぶエクアトゥールはヘラクレスを追い越して、最も距離の遠い者からその翼で以て火尖鎗を切り裂いていく。
 そしてヘラクレスが接敵した哪吒がその槍穂から炎を繰り出すより早く、ヘラクレスはその手首を柔らかくしならせ、その穂先を押しのけつつ脇の下に潜り込むように踏み込む。
「槍の扱いは心得ている!」
 屈み込み、踏み込みとバネを利用した崩拳が哪吒の横腹に突き刺さると同時に、ようやく逸らされた火尖鎗から炎が迸った。
 逸れた槍の向かう先は別の哪吒であり、そちらは今しがた槍を破壊され、標的をエクアトゥールに向けようとしていたところであった。
 そうして、二機の連携を以てすれば、誘導を奪い合って翻弄できるだろうと、最初は感じていたのだが、どうにも嫌な気配がする。
 考えてもみれば、連中は一度も二人から視線を外してはいない。
 元より三面六臂。死角はほとんどないのである。
 簡単に射程外に逃れられるエクアトゥールはまだしも、オリヴィアの駆るヘラクレスは常に前線。
 誘導を切るにも限度があった。
 地獄の炎を放つ火尖鎗は確かに恐ろしい威力を誇るが、それをたとえ失っても、哪吒はその手数と性能を如何なく発揮する。
 一撃二撃なら受け流しもできよう。しかし相手の腕は6本もある。
 功夫の一撃が綺麗にきまったのは最初の方だけで、ヘラクレスによる徒手格闘はその手数の差で圧倒されるようになり、一体に対して実に三倍の拳を受けきるほどの対応力は即座に用意できず、胴体部に三つの拳を同時に受けたヘラクレスはついに吹き飛ばされ、叩きつけられた家屋を倒壊させ崩れ落ちる。
 意思を同調させているオリヴィア自身にも、その衝撃はいくつか伝わり、名状しがたい苦痛が全身を駆け巡るのだが、
「……まだだ」
 軋む腕が地を掴む。大英雄の名がこんなことで倒れてなるものか。
 10の試練を乗り越えた英雄は、こんなことでは倒れない。許されない。
「──まだだ!」
 オリヴィアの強い意志に呼応するかのように【因果超越・永劫の勇士】が発現、その機体は限界を超える。
「うおおっ!!」
 獣のような咆哮を上げ、その性能を飛躍的に上昇させる。
 それに警戒する姿勢を見せた哪吒を見計らったかのように、ヘラクレスを取り囲んでいた哪吒の周辺に花びらが舞っていた。
「励起。昇圧、帯電を確認……散開!」
 上空に留まっていたエクアトゥールの、その光輝くサイキックの翼の飛沫は、七色の花びらとなって舞い散り、それらは摩那の合図とともに電撃を発し、居並ぶ哪吒たちへと伝播していく。
 【乱舞雷花】によって強いショックを受けた哪吒たちは、ほんの一瞬だけ機能をショートさせる。
 だが、只のそれだけで十分であった。
「ぉおおおッ!」
 加速したヘラクレスの拳が哪吒の三面を首ごと殴り飛ばし、突き倒すような蹴りで踏み抜き、隣り合った二体を掴んでは挟み込むように叩きつけ、投げ飛ばす。
 その最中、混乱から復帰せんとする哪吒を片っ端から翼で斬りつけていくエクアトゥールも、ヘラクレスの死角をカバーしつつ、暴れまわる蹂躙に巻き込まれないよう立ち回っていた。
「思ったよりも元気そうですね……それにしても、キャバリア世界と違って、空を堪能できるのはいいですね」
 風を感じる操作感。それは、クロムキャバリアの世界は、なかなか味わえない感覚であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

楊・美帆
ファルルカ君(f32779)と

こんなの人の軍隊じゃ敵いっこないヨ……。ボク達の出番だネ!いくヨー、ファルルカ君!太歳君!

太歳君の背中にしがみついて機会を待とう。太歳君!ボクのことは気にせず動いていいからネ!熱線と爆風は【火炎耐性】の服と【オーラ防御】で耐えるカラ。

激しい撃ち合いの最中、ひたすら炎の拳に力を溜めていく。どんなに敵が大きくたって、その分強い力でブン殴ればいいんだヨ!

太歳君が組み付いたら背中を登って、敵に飛びかかる。ブッ飛べーッ!頭もげろーー!!大きな火の玉みたいに膨らんだ拳を振り上げて、三面の顔に叩きつける!

やったネ、ファルルカ君!この調子でドンドンいこー……アレ、ファルルカ君?


ファルルカ・ウェレマイン
【メイファンさん(f33513)と】

まさか。このようなカタチで己がルーツと向き合うとは――

量産型とはいえ全てがオブリビオンマシン
それに相対し封じるがこそ、我が役割と心得ます
我が半身。白乖太歳の邪視にて迫る彼方より迫る哪吒に呪印を付与
人の身であれば、圧倒的な間合い差であれ。キャバリア同士であれば既に射程の圏内
【呪詛】【砲撃】【誘導弾】……そして【一斉発射】
計二十門の誘導式火行熱線砲
焼き穿つ炎鎗でその脚を留め接近。組み付けば――巨躯はあるいは、大きな的と呼べるやも

血液の滞留――苦しくともボクの役割がマシーンのコアであるならば
彼女が安全に接近できるまでの間、撃ち続けるになんら支障はないはず、です



 街々を火の海に染めていく、戦の為の仏像。量産型の哪吒とは、おおよそそのようなものであった。
 しかしながら、外観はそうであれ、彼らの中身は高度な機械であり、その精神は精密機械の塊とも言えた。
 思想も理念も、オリジナルの哪吒から書き写された複製品に過ぎず、その三面に浮かべる瞳の輝きに知性の片鱗こそあれ、魂が介在するかどうかは怪しいところだ。
 己が目的の為だけに量産された存在である事は理解しているし、生まれた理由ですらもどこかドライに受け止め、むしろ邁進する第一存在理由として重要視する中で、アイデンティティそのものとも言える自らの在り様。
 即ち、三面六臂たる完全無比のシルエットと、まるで似せて作られたかのようなコンセプトの機体が立ちはだかれば、無機質な冷酷さを兼ねた哪吒たちの感慨にも多少の起伏はあろうというものであった。
 多くの武装を背負い、或はその手に持たせた武神像のような在り様の哪吒に対し、その黒い六腕のキャバリアは、何も手にしていない。
 いいや、しいて言うならば、そのキャバリアは4本の巨大な腕を背部ユニットとして装備していた。
 或は、全てが腕でなく、より簡略に、より機能的にと順当に生産性と共にブラッシュアップを重ねた先に生まれたと言えども不可思議な話ではない。
「まさか。このようなカタチで己がルーツと向き合うとは――」
 黒い六腕のキャバリア『白乖太歳』のコクピットの中、ファルルカ・ウェレマイン(月のフラジャイル・f32779)の言葉は誰にも届かず、口の中でこぼれるのみ。
 誰にも話す必要のない事だ。
 声変わりもまだまだ、性別もあやふやな美しい少年の姿をしたファルルカは、自らの機体の背に隠した味方を心配させまいと、心中の密やかな動揺を口の中にのみ零したのであった。
「ひどい、街が燃えてるヨ……。こんなの人の軍隊じゃ敵いっこないヨ……。ボク達の出番だネ! いくヨー、ファルルカ君! 太歳君!」
 『白乖太歳』の背部にしがみ付いたもう一人の猟兵、楊・美帆(デッドハンド・f33513)が見渡す景色は、哪吒たちが備える陸上滑走兵装、風火輪により炎上する街々と、その火の手から逃れる民、それらを護りながら戦う晋の兵士たち……。とにもかくにも地獄の様相であった。
 戦う理由には十分である。
 美帆とファルルカ。そして彼女たちを乗せた太歳による、対多数の哪吒に対抗する手段とは、実にシンプルであった。
 物量差は歴然。差し当たって火力差も歴然。であるならば、泥沼の消耗戦は余儀なくされるは必然。
 唯一の救いは、彼の哪吒なるオブリビオンマシンが本物よりも数段劣る量産機である事と、その本物ですら、古の昔から蘇った旧型である事。
 機械は生まれながらに完成している。その完成度を上回るならば、より最新のものへと生まれ変わるしかない。
 もしも、もしも太歳のルーツがそうだとするなら、より新しさを活かせば、その道は活路となり得る筈である。
 よって導き出される結論は、多数の火砲を牽制し、より強力な攻撃で一機ずつ破壊していく。
「八卦サーチャー、ロック」
 赤く妖しく輝く太歳の邪視頭部センサー。【番天印】が呪いの印を、居並ぶ哪吒たちに植え付けていく。
 相手が地上を素早く移動しようとも、これで狙いを外すことは無いだろう。
 背部の巨大な腕部に内蔵された武装、誘導式火行熱線砲の一斉射が哪吒たちに先制攻撃を仕掛ける。
 指先より放たれるそれらは、一見すれば巨大なマシンガンかキャノン砲にも見えるかもしれないが、火行の仙術を基とした炎の槍であり、一度印をつけた相手ならば、その追尾が可能であるという。
 その飽和的な砲撃を続ける限りは、数で勝る哪吒とて、対応をせざるを得ない。
 太歳はその間にも距離を詰め、その背に乗る美帆は、密やかに力をためている。
 両手を失い命を落としたキョンシー、美帆は、失った両手を地獄の炎で補っている。
 普段は長い袖で隠しているが、その拳が振るわれるときは、地獄の炎が力となる。
 そう、より蓄えた力をぶつければ、たとえ体格差があろうとも、通用する筈である。
 火砲による撃ち合いは徐々に激化していき、集中する美帆の周囲は激しい銃弾の行き交う物騒な喧騒が増していくが、力をためる事は止めない。
 装甲を剥離させ散弾の如く撃ちだす哪吒の攻撃が、砲火を掻い潜って飛来するが、太歳の両腕が盾となり、美帆を護る。
 そして、美帆の【爆拳】はもはや自分の頭よりもずっと巨大な握り拳になっていた。
「掴まえた、メイファンさん──!」
「アイアイッ!」
 火砲を広げる四つ腕、そして正面の防御を固めていた両腕が、やがて肉薄した哪吒の一体を捉え、組み付くと、タイミングを合わせた美帆が、太歳の背を駆け上がり飛び上がると、振り上げた太陽のような拳をそのまま振り下ろした。
「ブッ飛べーッ! 頭もげろーー!!」
 その熱量を全て押し付けるかのように叩きつけた拳が爆ぜ、文字通りに哪吒の三面を首ごと叩き潰してしまう。
 巨体から力が抜け、倒れていくのを見送り、反動で太歳のほうへと戻る美帆の顔は確かな手ごたえを感じていた。
「やったネ、ファルルカ君! この調子でドンドンいこー……アレ、ファルルカ君?」
 改めて顧みた太歳のその姿は、オブリビオンマシンたちの猛攻を一身に受け、あちらこちらに痛々しい損傷を受けていた。
 当然、彼を半身とするファルルカは、コクピットの中で一人、そのダメージを共有し、全身のあちこちが悲鳴を上げている。
 或はどこかの骨が折れ、こみ上げようとするものは胃の内容物ではないのかもしれない。
 が、ああ、まだ駄目だ。彼女の笑顔が曇ってしまう。
 大丈夫だよ。太歳には自己修復機能があるんだ。
「大丈夫、ですよ。まだ、撃ち続けられます」
 喉が泡立ちそうになるのを堪えながらの声は、さぞ無様であったろう。
 だが、この矜持が彼女にわかってもらえるだろうか。
「ドンドン、いきましょう……!」
「わ、……わかったヨ!」
 その装甲越しにも伝わる意志の強さを、強がりを、美帆もまた炎の拳を握りしめることで受け止めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユリウス・リウィウス
【天剣絶刀】

何だってこんなところまで来て、あんな絡繰人形の相手をせにゃならんのだ、なあ、おい。
いや、団長が愚痴ってても締まらねぇな。全力でいくぞ、皆。

俺は今まで。生身であの絡繰人形どもを何体も屠ってきた。敵わないなんてことはない。
全力をぶつけてぶっ倒してやれ!

俺は先陣を切って「切り込」むぞ。血統覚醒でヴァンパイアの力を湧き上がらせ、皮翼で飛翔して「生命力吸収」「精神攻撃」の双剣で、体力を補充しつつ敵機の制御系を壊していく。
敵の動き方は「集団戦術」で「見切」れるだろう。
敵の攻撃は、バックラーで「盾受け」して防ぐ。あとは泰花からの支援が頼りだ。

まったく数だけはいるな、こいつら。明孝達は大丈夫か!?


土御門・泰花
【天剣絶刀】※アドリブ歓迎

転送直後、【早業/多重詠唱】で構成員全員に【オーラ防御/結界術】展開、常より堅固な守りを。
同時に【高速/多重詠唱】でUC発動、構成員の攻撃力底上げを。

対キャバリア戦の様なもの、油断大敵と参りましょう!

移動は【軽業/早業】で俊敏に。
攻撃は【第六感/聞き耳/戦闘知識】で察知し、回避。
回避できないものは防御結界で弾くか薙刀で【武器受け】し、薙刀or黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。

明孝さんとリィンさんの消耗具合に特に注意しつつ、自身も含めて負傷した仲間へ、何度でも【高速/多重詠唱】でUC発動、回復と攻撃力強化の支援を。

生身だからこその機動力、ですよ。……ふふ♪


常坂・明孝
【天剣絶刀】

武侠世界にオブリビオンマシンとは。紛れ込んだか連れてこられたかは知らんが、敵は敵。
仲間の足を引っ張らんように気合いを入れよう。

UCを発動し、リィンと合体。俺自身は動けなくなるが、リィンは動けるからな。
しっかりと前衛での守りを遂行しよう。

鎧化した俺は無敵だがリィンはそうもいかない。「オーラ防御」で俺(鎧)が覆ってない所を防ぎ、「早業」「見切り」、避けられるものは避けさせる。
ユリウスと土御門に攻撃が向かないように縦横無尽に動いてもらい、刀での攻撃や「誘導弾」による「継続ダメージ」で嫌がらせだ。
効果があるなら「生命力吸収」も用いて持久戦に備えよう。

さあ、鉄屑にしてやる…行くぞ、リィン!



 まったく厄日か何かだろうか。
 建業の街々を改めて見やるに、予知で見た様子よりも実際はかなり敗色濃厚と言った様子だった。
 さもありなん。
 相手はヒンドゥーの神像めいた怪物なのだし、それがうようよと街を練り歩いていちゃあ、寝つきも悪くなろうというものだ。
 果たしてご利益は何だろう。
 いや、まったくもってツキに見放されたという訳でもあるまい。
 物量差はあれど、量産型『哪吒』の性能は、オリジナルよりも数段劣ると聞く。
 いやぁだがしかしだ。偉い人は、こうも言っていた。戦いは数であると。
「考えてもみりゃあ、俺が得意な戦法でもあったな。まったく何だってこんなところまで来て、あんな絡繰人形の相手をせにゃならんのだ、なあ、おい」
 戦火の煤が飛び交う、懐かしい戦場の匂い。だというのに、いいや、だからこそなのか、甲冑に身を包む男、ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は疲れた様な表情になお険しい皴を作って嘆息する。
「あら、また一人で愚痴ってますよ、ウチの団長さん」
「ほっといてやれよ。男は一人でいると愚痴を言いたくなる生物なんだ」
 誰の影響なのか、一人でキャバリアを相手にすることも少なくない状況に追いやられた事もあってか、ややおセンチな愚痴を吐いてしまうユリウスであったが、おっといけない。今回は珍しく彼を慕って集まった仲間と一緒であった。
 陰陽師らしい狩衣姿に身を包んだ妙齢の女性、土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)が茶化すように目を細めると、軽い調子でそれを嗜めるのは、ブラックローブから覗く骸骨の男、常坂・明孝(青春ガイコツと青春ゾンビ・f36001)。
 それぞれに事情はあろうが、今回は同じ名の下に集った仲間であり、協力関係。その信頼感からか、ここへやって来た当初の目的はひとまず置いておいて、彼らはまず身を潜めて行動していたようだ。
 やっていたのは主に住民や負傷した兵士の避難誘導及び、被災救助であった。
 無論、近くで他の猟兵があの量産型『哪吒』と熾烈な戦いを繰り広げてもいたが、安易に手を加える事はしなかった。
 何故ならば、ここにいる彼らはいずれもキャバリアを持たず、巨人同士の戦いに連携を取るにしても味方に気を使わせては猟兵の名が廃る。
 ならば、ある程度は気心の知れた仲間と呼吸を合わせるタイミングを見計らうのが最大効率であろう。
 尤もらしいことを言っているが、他に生身で戦う猟兵も居た気もするが、まぁ、その、なんだ。野暮なことを言ってはいけないぞ。
 そうして影ながら他の猟兵を支援しつつ行動していた【天剣絶刀】の面々は、再び集う。
 その姿はいずれも煤で汚れていた。きっと、多くの人命救助に貢献したに違いない。
 そう、今や愚痴っている暇は無い好機なのである。
「そうだな。俺がこんなじゃあ、締まらねぇな。全力でいくぞ、皆」
 防戦の時は過ぎた。ユリウスを旗頭に集った今こそ、あの『哪吒』を倒すべく打って出る時。
 そうと決まれば泰花は味方に術をかけ直す。
 高名な陰陽師の家系の出であるその術は、今度こそキャバリアと戦うための術式であり、人の身をより強固に、より鋭く。
「対キャバリア戦の様なもの、油断大敵と参りましょう!」
 【治癒符・荒療治【改】】は、一時的に小さな傷を即座に回復させ、その力を何倍にも引き出すという。
 あくまでも荒療治である為、一時的でしかないが、この戦いを生き抜くには十分であるはずだ。
 そう、この戦いでは生き抜く事こそが大事。若干死んでるっぽい奴もいるが。
 オブリビオンマシンと生身で相対するということは、即ちそういう事である。
「まずは先陣を切ろう。なに、俺は今まで生身であの絡繰人形どもを何体も屠ってきた。敵わないなんてことはない」
 ついてこい、と言わんばかりに、ユリウスはその身に流れるヴァンパイアの【血統覚醒】により、その背から皮翼を生やして飛んでいく。
 本当に飛んでいくものだから、普通ならそんな容易くついていくなんて無理だろう。
 しかしながら彼らは猟兵。多少の常識外れはお手の物である。
「おっと、置いていかれては困るな」
 さっさと飛んでいくユリウスを追うように、明孝も行動を開始する。
 道すがら、傍らに連れる物言わぬゾンビにその身を預けると、さっそくユーベルコードを発動させる。
「なにがあっても俺が守る……」
 【屍骸同体・守の法】により、骸骨である明孝はほとんど身動きが取れなくなってしまうが、無敵の防御力を手に入れたその骸骨をパーツのようにしてゾンビの恋人「リィン」に装着させる事により、自身の不動を補う。
 明孝はその素性がほとんど知れぬ骸骨だが、青春真っただ中の内に非業の死を遂げ恋人と共に死の淵から蘇ったという話を実しやかに話すが、真実の程は知れていない。
 ただ、彼自身は凄腕のネクロマンサーであり、彼であるからこそ死に体の女性を瑞々しいままの姿で連れて歩けるのだろう。
 実際問題、その話の成否はともかく、彼女を大切にしている事には違いはなさそうだ。
 その証拠に、強固に固めた自身の骨を纏わせる他、泰花による防御術をかけられた上で更に、自らも防御の薄い部分に念入りに防御魔法を設置しているのである。
 キャバリアを相手にするという以上に、念の入った話である。
「うおおっ!!」
 飛翔し、滑空するユリウスの双剣が『哪吒』に食らいつく。が、間合い勝負ではどうしても分が悪い。
 手数が三本。その守りは硬く、双剣はボディまでは届かないが、それでも打ち合う傍からその剣は精神と生命力を啜る。
 相手が機械とはいえ、それを動かしている何かから、命を引き出すことは可能らしい。
 だが敵も然るもの。生身相手と見るや、武器による大振りは避け、自身の装甲を剥離させ散弾のように撃ちだして接近を阻もうとするが、
「リィン、俺を盾にしろ!」
 明孝を鎧としたリィンが前に出て、それらを弾くと、その波が去ったのを見計らい、薙刀の穂先が伸びる。
 装甲の隙間、複雑そうな六臂の付け根を狙った泰花の薙刀がその接続を断つと、哪吒は途端に膂力を失う。
 その隙を補う様に黒揚羽の式が舞い、それを突き破るようにして再びユリウスが飛び込み、首根っこへと双剣を突き入れて機能停止に追い込む。
 見事な連携。相手が三面六臂ならば、こちらは三人がかりである。
「よし、一体一体はそれほどきつい相手じゃないな! まったく数だけはいるな、こいつら。明孝達は大丈夫か?」
「ああ、しかし今更だが、本当にオブリビオンマシンなんだな。紛れ込んだか連れてこられたかは知らんが」
「ですが、対処可能なのはわかりました。生身だからこその機動力、ですよ。……ふふ♪」
 空を飛ぶユリウスによる遊撃を主軸に、時に泰花が牽制、防御に回り、時に明孝が魔術による牽制、リィンの剣術による部位破壊など戦術や手段を変えて挑み、集団による戦術を組み替えることで一概に学ばせずに倒すことに成功していく。
「さぁて、お歴々。まだやれるか?」
「おべべが汚れてしまいますが、それでよろしければ」
「問題ない。鉄屑にしてやるさ……行くぞ、リィン!」
 懐かしい戦火の匂いが、いよいよもって猟兵たちに馴染んできているようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミフェット・マザーグース
街を襲うワルのロボット軍団!ティエル(f01244)と迎え撃つよ!
ミフェット一人じゃ戦えないから
直立ポーズがかっこいいグレートパンダラーZに乗せてもらうね

〈メカニック・操縦・見切り〉でコントロールをお手伝い
多勢に無勢もなんのその!

UC【楽器のオバケの演奏隊】
グレートパンダハーモニー!ライドオン!の掛け声で、背中にズドンとステージがライドオン、楽器の幽霊さんたちが、パンダのマーチを奏でるよ
♪パンダ、パンダ、つよいぞパンダ、グレートパンダラーゼーーット♪
高出力のエネルギー波動だって衝撃波で弾き飛ばしちゃうぞ!

今だチャンスだ、ジェットパンダラークロース!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


ティエル・ティエリエル
むむむっ、わるのロボット軍団!つまり、グレートパンダラーZの出番だ!
ミフェット(f09867)も一緒に搭乗して頑張るぞー!おー!

グレートパンダパンチにグレートパンダキック!
操縦席からわーわー叫んで「操縦」するよ!いけいけボクらのグレートパンラダーZ!

まだまだいっぱい出てくるみたいだね!それならお空から一気に殲滅だ!
2人と1体の心を合わせて、飛行パーツと合体だ!ジェットパンダラークロース!
【妖精姫と空飛ぶ大熊猫ロボ】でパンダミサイルを放って一網打尽にしちゃうぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



 戦火の上がる建業の街。大規模な城塞を築いていた筈の街々は荒れ果て、蹂躙するはキャバリアに相当する巨大ロボ。
 その姿は太古に描かれたかもしれない神像のそれにも似ていたが、行う所業はまさに悪魔。
 だが、彼ら量産型『哪吒』は、本来の深い知性を持ち合わせているわけではないようだ。
 とりあえずは結果を出すためにそのボディを量産し、動かせるだけの知能を積んだだけの、それは言うなればオリジナルをして張りぼてに過ぎぬのだろう。
 しかし未知の金属の塊が意思を持って動くのであれば、それはこの封神武侠界のいかなる戦車にも該当せず、いかなる攻城兵器すら意味を成さぬ。
 これにささしもの勇猛を誇る晋の兵士とて、建業の民とて退却を余儀なくされるも然り。
 しかししかし、街々を燃やして回る哪吒たちは、ふと、街に住人が居なくなっている事に気づく。
 これまでも猟兵たちの介入により、着実にその数を減らしてはいるものの、目標は建業を破壊し尽くす事。
 人の減りなど些末事。逃げたく逃げればいい。
 どこまでも追いかけ、どこまでも追い詰め、量産を重ね、いずれはこの世界をも喰らい尽くそう。
 まさしく悪魔の所業。
 オブリビオンとは世界を食らい尽くす悪魔にほかならぬ。
 ならば、それを阻むもまた、正義の悪魔。神にも悪魔にもなれる、そう、それこそが──。
 西の空がきらりと星の如く煌めいて、何かの落下を予見する。
「グレートパンダキィィィック!!」
 それはやがて、流星のように降り注ぎ、登場と同時に哪吒の一体を蹴っ飛ばしつつ着地……しようとして、うっかり転んだ。
 それはまぁ無かったことにして、びしっと登場ポーズをとった姿は、神にも悪魔にも……いや、パンダであった。
 それはティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)の乗り込むスーパーロボット、『グレートパンダラーZ』
 遊園地やデパートの屋上でコイン入れると手足を動かしてゆっくり動くパンダカートに限りなくソックリではあるが、そいつは二本の足で直立し愛嬌のある顔でどやっとポーズを決めつつ、周囲を睥睨する。
 さながら、怪人に囲まれたヒーローの様であるが、その中心にいるのはあくまでもパンダだ。言うほどパンダか?
「むむむっ、わるのロボット軍団! つまり、グレートパンダラーZの出番だ!」
 もう一撃くれちゃってるが、ティエルはなんかノリの乗るまま説得力もかなぐり捨ててとりあえずキャバリアで出撃した次第であった。
 だが、だいたいあってる。
「ふふふ、かっこいい」
 そして今回はパンダラーの独壇場に加え、お助けヒロインとしてティエルの親友、ミフェット・マザーグース(造り物の歌声・f09867)も同乗している。
 とりあえずポーズを決めつつ、これからどうしようと朗らかに考えるパンダラーの残心に、ミフェットは素直に賛辞を送りつつ、操縦席のコントロールパネルにアクセスする。
 普段はティエルの大雑把な指示を汲み取って、なんかノリでごり押しつつ戦うパンダラーだが、機械操作にも強いミフェットが火器管制などの細かい補助を入れることによって、いつもよりも動きにキレがある。らしい。
 そんなパンダラーの突然の参戦に、哪吒たちは一瞬だけ面食らったようだが、なんかやばそうだし近づかない方がいいんじゃない? とばかりに胸部装甲を開いて次々とビームを放ってくる。
「うわわ、よけてー! ビームだー!」
 コクピットで喚くティエルに反応し、パンダラーは野生を取り戻したかのように四つ足で横っ飛び回避して見せるが、次々と飛んでくるビームの雨を躱し続けるのには限度がある。
「ううー、ボクなら飛び込むけど、パンダラーはクマさんだから……えーと」
「だーいじょーぶ、まーかせて! 多勢に無勢、なんのその!」
 チームワークに任せて数的有利を見せつけてくる哪吒の攻撃に対し早くも劣勢に立たされるティエルたちパンダラー。
 だがしかし、ミフェットは諦めず、ユーベルコードを発現する。
 壊れた楽器の幽霊がパンダラーの周囲に浮かび上がり、奏でる音楽と共に奮い立たせる歌声を放つ。
「グレートパンダハーモニー! ライドオン! の掛け声で、背中にズドンとステージがライドオン、楽器の幽霊さんたちが、パンダのマーチを奏でるよ♪
 パンダ、パンダ、つよいぞパンダ、グレートパンダラーゼーーット♪
 高出力のエネルギー波動だって衝撃波で弾き飛ばしちゃうぞ!」
 パンダラーを通し、スーパー音波兵器と化した【楽器のオバケの演奏隊】の衝撃波で、哪吒のビームを中和すると、その時が来たとばかり、ティエルとミフェットの視線が合わさる。
「今だ!」
「チャンスだ!」
「ジェットパンダラー」
「クロース!」
 二人と一体の呼吸が重なり、一つとなった心がユーベルコード【妖精姫と空飛ぶ大熊猫ロボ】を完成させる。
 虚空よりやって来たジェットパンダラーと合体する事で、グレートパンダラーZはティエルと同じ空を手に入れるのだ!
 衝撃と爆発の中から、空へと飛び立つパンダラーは、そのまま群がる哪吒たちへと無数のパンダミサイルを発射する。
「このまま一気に殲滅だ! パンダラーミサイル!」
 轟音と爆発。迫力のセル画を思い起こさせる爆炎と共に、多くの哪吒が灰燼と化す。
 街ごと壊さないでね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夕凪・悠那
まさかのキャバリア
世界観どうなってるのさ
まあ、哪吒ならある意味アリ……なのかなぁ……
ていうか誰だ、こんなの量産したの

『エルドリッジ』に搭乗
電脳魔術で機体周囲の情報を改竄
機体と搭乗者にかかる負荷を無効化すると共に慣性を制御
【Overdrive】と併せ、埒外の機動を可能に
(ハッキング×瞬間思考力×操縦)

敵は陸戦型だし[迷彩]機能と固有武装のレールガンで空中から急襲(空中機動×先制攻撃)
『黄金瞳』の観測で火尖鎗の軌道や攻撃範囲を見切り、こちらは3次元機動の強みを活かして翻弄する



 炎を上げる建業。オブリビオンマシン『哪吒』の量産型が投入された地上は、この建業を始まりとして、この世界中に量産型を放り込まれて炎の轍によって蹂躙され尽くす。
 筈であった。
 多くの猟兵が戦っていった。
 多くの哪吒が、この建業に沈んでいった。
 おいおい、何を終わったみたいに言っているのだ。
 だってだって、まだ敵は残っているじゃないか。
 今や建業の街は取り戻されようとしていた。今まさに、晋の兵士たちは勝利を目前にしていた。
 建業を焼き尽くさんと押し寄せ、列をなしていた哪吒は猟兵たちの活躍で全て……。
 全て? いいや違う。今からまた建業にやってくるのだ。
 人は勝利に酔いしれた瞬間が、最も危ない。
 勇気ある、恐らくこの世で最もカッコイイ蛙の勇者もそう言っていた。
 後詰としてあらかじめ用意されていた『哪吒』が建業の街の外側に隠されていて、それが別の目的、即ち、勝利者に強襲をかけるために起き上がる。
 だが、遅い。その程度では、まったくに、音速い。
 居る筈のない敵の存在を、『哪吒』は感じ取り、その三面を巡らせる。
 そうして、やがて、虚空に光の粒子が収束するのを観測する。
 夕凪・悠那(電脳魔・f08384)は電脳魔術の使い手であり、そして、ゲーマーだ。
 その黒髪によく映える黄金の瞳には、しばしば物理現象以外の電脳魔術の術式、或はソースコードと呼ばれるものもよく映るという。
 マイペースな彼女は、本当を言えば今回の戦争も、それほど乗り気ではなかったようだが、実際に存在している、知っているはずの歴史の中が、どうにもゲームじみてきているためか、興味を持って飛び込んだのだ。
 何しろ張角の部下に哪吒? その哪吒も、なんて姿をしているのだろう。
「まさかのキャバリア……世界観どうなってるのさ」
 電脳世界からその形を現実に出力するのは、当然の権利のようにキャバリア。
 もはや派兵されたこの世界が、本当に封神武侠界なのかどうかすら疑わしくなる。
 だって、こちらに目を向ける視線には、生命の息吹を感じないのだから。
 無機的な三面の視線が、実に合理的にこちらを圧倒せんと隊列を組み始めているのだから、まったくもう、哪吒ってそんな奴じゃなかったような……ん?
「まあ、哪吒ならある意味アリ……なのかなぁ……」
 史実がとんでもない異形を成していると、時に実在したとされる者でも、神様のように語られることもある。
 ゲームの世界では特に、まったく傷つかなかった謂れのある武将は巨大ロボにされるし、かつて風を読んだ天才軍師は扇からビームをぶっ放す。
 まして哪吒は、生まれからして少年神だ。
 いやでも、だからって、本当に神像みたいにしなくたっていいだろうに。
「ていうか誰だよ、こんなの量産したの」
 物量を前に思わず距離を取ったところで、悠那は考える。
 が、その答えは一人ではわからないし。今となっては、もうどうだっていい。
 この場をどうにかしなきゃいけないのは、どうやら自分らしいし、放っておいたら壊されまくった街が更に壊される。
 人命なんて、この際どうだっていい。ただ、気になるのだ。
 だって、
「敵は全滅させなきゃ、クリアにはならないもんね?」
 電脳より生じたサイキックキャバリア『エルドリッジ』は、主の要請に応え、周囲の情報を書き換えると共にその姿を空間に溶け込ませると共に、飛翔する。
 傍目にそれは、視界を切るように建物か地面に伏して姿を隠したかのようにも錯覚したことだろう。
 ならばそこを焼けばいい。とばかり、哪吒の火尖鎗が槍穂を向けると、吐き出された炎が筋を作ってその周囲を焼いていくが、当然そこにエルドリッジの姿は無い。
 その間に、悠那はコクピット内の空間情報を書き換え、脳内から溢れ出る電脳術式を展開、編纂し、あらゆるパラメータを自分好みに変化させてエルドリッジ周辺の情報データを改竄していく。
 じじじっ、と脳髄が焼けるように熱を帯びる様な重さを感じるが、そんなものは忘れたとばかり、【Overdrive】による強化プログラムは、負担をものともしない空間を作り上げて、エルドリッジのスペックを埒外の存在に仕立て上げていく。
 もはや、エルドリッジにとってこの空は、重力も慣性も関係がない。
 さあ飛ぼう、武侠の空を。
 作り物の神が横暴を働く世界に、さらに危険な機械でさらに横暴を用いて、滅茶滅茶に壊してやるんだ。
 世界を? いいや、神のほうをさ。
 建業の街は、今や勝利に酔いしれようとしている。
 彼らが集い、納めたものに冷や水をかけるような、そんな無粋な神に、今は居場所を提供してやることは無い。
 不可視迷彩をその身に掛けたまま、エルドリッジは固定武装のレールガンの銃身を展開し、電磁誘導バレルが磁界形成に伴い仄かに迸らせる稲妻。程なくして射出される超音速。
 空間を裂いて見えるのは、マズルフラッシュじみた爆ぜるプラズマの輝き。
 いかに平地に於いて優れた機動性を持つ陸戦モデルの量産型とはいっても、それは平面でのお話。
 空という3次元の舞台を手に入れたエルドリッジの視界からすれば、地を這う者に対して的当てをしているに同じだ。
「なんだったかな……そう、『ひよっこめが。地面にへばりついていればいいものを』だったかな」
 あらぬ方向へ火尖鎗を向ける哪吒に対し、天から地に縫い付ける様なレールガンの一撃が脳天を打ち、機体は崩れ落ちる。
 それを立て続けに連発。
 建業の街に奇襲を仕掛けようと起き上がった量産型哪吒は、瞬く間に排除されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月20日


挿絵イラスト