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殲神封神大戦⑤〜僵尸に成りて望む

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●殺戮蹂躙
 不気味なる青白い肌をした兵士たちが騎馬を駆り、荒野を往く。
 オブリビオン『僵尸兵士』たちは皆、一様に黙りこくっていた。言葉はない。意志はない。その額には本来在りし魂を封じた護符はない。
 魂を封じた護符があるからこそ『僵尸兵士』は自我を持ち、行動する。
 けれど、その護符が失われたことにより自我を喪失した彼等はオブリビオンへと変貌する。
「――」
 声にならぬ声。
 その声が求めるのは如何なるものか。
 自我無き者は、より強力なオブリビオンの命令に従うだけである。

 それが彼等の末路であった。
 強力なオブリビオン『王翦大将軍』の命令はシンプルであった。たった一つ。
『あらん限りの殺戮と蹂躙』
 唯一であった。
 それ以外の何物も必要ではない。『僵尸兵士』達が行なうべきは鏖殺のみ。
 生きとし生けるもの全てを殺戮の惨禍へといざなうことだけが、彼らの喪失した自我を埋める命令であったのだ。

 彼等が騎馬を駆りて向かうは『北京』。
 かつて司馬炎による統一前はこの地は複数の戦闘遊牧民族によって常に狙われる地であった。
『僵尸兵士』たちは、嘗ての彼等である。
 大陸統一によって破れた彼等は僵尸となりて、魂封ぜられた護符をも失ってオブリビオンへと堕した。
「――」
 それを悲しむ者はもう何処にもいない。

 この地上の何処にも、最早彼等を知る者たちはいない。
 その空虚を代弁するかのように彼等に与えられた命令を実行する。
 生命あるもの全てに鏖殺を。
 虐殺を持って、蹂躙することだけが彼等の存在意義である。人界を踏みにじり、統一前の光景に戻す。

 いや、そんなことすら最早どうでもよかったのだ。
 ただ生命を殺すこと。
 ただそれだけが望みであるというように『僵尸兵士』たちはただひたすらに『北京』を目指し、荒野を疾駆するのだ――。

●殲神封神大戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。封神武侠界、その人界における『北京』に向かって騎馬を駆る『僵尸兵士』たちの軍勢が移動をはじめました」
 ナイアルテの言葉に、オブリビオンの軍勢の数が尋常ではないことを猟兵たちは知るだろう。
『僵尸兵士』は、本来動く死体である『僵尸』に存在する魂を封じた護符を喪失した存在である。
 自我はなく、ただ上位存在の命令に従うだけである。

 その命令は唯一。
『あらん限りの殺戮と蹂躙』である。
「オブリビオン『王翦大将軍』によって命令された『僵尸兵士』たちは騎馬を駆り、『北京』へとなだれ込もうとしています」
 言うまでもないことであるが、もしも『僵尸兵士』たちが『北京』へと至れば虐殺と蹂躙が引き起こされるだろう。
 戦う術を保たぬ人々も、戦う術を持つ人々も、皆須らく鏖殺される。
『北京』は血の海に沈む。

「屈強な騎馬に乗った『僵尸兵士』たちは凄まじい速度で持って常に移動し続けています。彼等の強みは騎馬に乗ることによる機動力。これに対処しなければ、如何に皆さんと言えど攻撃を当てることは難しいでしょう」
 尋常ならざる機動力を持つ『僵尸兵士』たち。
 彼等は恐怖も痛みも感じない。だからこそ、どんな敵にも恐れず迫るだろう。その突進力は機動力と合わせても凄まじいものとなる。

「彼等は元は戦闘遊牧民族でした。生前は、と言うべきでしょうか。そのため、騎馬による戦い方も熟知しています」
 自我を失っているからと言って油断することはできない。
 さらには膨大な数でもって迫るがゆえに、包囲されれば猟兵であれど危ういだろう。

 厳しい戦いになることを承知の上であるが『北京』に住まう人々を救うためにも猟兵たちは転移しなければならない。
「死して望むものが虐殺と蹂躙など、許されていいわけではありません。皆さんの力で、この大軍勢を退けてください」
 頭を下げ、ナイアルテは猟兵たちを送り出すのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『殲神封神大戦』の戦争シナリオとなります。

『北京』に迫る騎馬を駆る『僵尸兵士』たちの大軍勢を押し止めるシナリオになります。
 彼等の機動力と突進力は突出したものであり、この高速機動に対処しなければ攻撃を当てることも、軍勢を押し止めることも叶わないでしょう。
 彼等を打倒し、『北京』を守る戦いとなります。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……馬に乗った敵の高速移動に対処する。

 それでは、『北京』に迫る騎馬を駆る大軍勢と相対する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『僵尸兵士』

POW   :    僵尸兵器
【生前に愛用していた武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    僵尸鏡体
【硬質化した肉体】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、硬質化した肉体から何度でも発動できる。
WIZ   :    僵尸連携陣
敵より【仲間の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:鹿人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リオ・ウィンディア
高速移動、ね。でも動物であるからには
きっとこれがよく効くから・・・

UC発動
私の兵力もまた忠実なる呪詛の僕
そのおぞましい一つ目の姿と、大量の幽霊で【呪詛、恐怖を与える】ことによって一斉に馬達を怯えさせるわ
そして足止めしたところに触手で攻撃
呪殺していく
私も、付け焼き刃かも知れないけれども、目玉の上から指揮をとりつつ
戦場を解読
あまり得意ではないけれどもやってみるわ
敵の攻撃はほぼ無効化できると思うけれども、私の兵力が固まらないように、
満遍なく広い戦場を生かして縦横無尽に戦えるように戦場を見渡すわ

さぁ、北京を守りましょう
死霊術師の腕前とくとご覧あれ!



 戦場に喪服がなびく。
 それはこれより行われる葬列へのいざないであったことだろうか。答えは否である。これより行われるのは、迫る死の軍勢より生命を護る為の戦いであることをリオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)は喪服に身を包んだ体で持って示すのだ。
「Bienvenidos!この世ならざるもの達よ!」
 あらゆる呪いが幾重にも重なった触手で武装した首なしの幽霊たちが彼女の言霊を受けて大地より招来せしめられる。
 彼等が対峙するのは『北京』へと迫る死の軍勢『僵尸兵士』たちが駆る騎馬であった。

 その機動力と突進力は凄まじいものであったし、容易に止めることはできなかったことだろう。
 五百を超える兵を揃えたとしても、『王翦大将軍』が虐殺を命じた大軍勢に勝ることはない。
 しかし、リオの瞳はユーベルコードに輝く。
 彼女が立つのは巨大な一つ目。
 首なしの幽霊たちはおぞましき一つ目に乗り、機動力で勝る『僵尸兵士』たちへと向かうのだ。
「騎馬の機動力は凄まじいもの、ね。でも、騎馬は動物であるからには、きっとこれが良く効くから……」

 彼女のユーベルコード、Mundo alienígena(モンド・アリエニジナ)はグロテスクな怪物と共に戦場に呼び寄せるものであった。
 巨大な一つ目は、ただ見ているだけで恐怖を与えることだろう。
 オブリビオンである『僵尸兵士』たちには意味のない姿であったが、彼等が駆る騎馬にとっては、おぞましさゆえに動きが止まるだろう。
「そう、良い子ね。あなた達の怯えは正しいもの……生きるからこそ、理解できるのね」
 おぞましき怪物たちを前にして騎馬たちは戸惑い嘶き、足を止めるだろう。

 そこへ襲い来るのはあらゆる呪いが幾重にも重なった触手を放つ首なしの幽霊たちである。
 一つ目の怪物たちの上から触手を放ち『僵尸兵士』たちを捉えては呪殺していくのだ。
「あまり得意ではないけれども……それでもやらないといけないのなら」
 リオは戦場を俯瞰する。
 幼き彼女にとって、それは難しいことであっただろう。
 一つ目に乗り、戦場を見下ろす。
 戦況は芳しくはない。けれど、此処を乗り越えなければならない。背後に守る北京に『僵尸兵士』たちがなだれ込めば、起こるのは虐殺である。
 それは防がねばならない。

「さぁ、北京を守りましょう。死霊術師の腕前とくとご覧あれ!」
 俯瞰した戦場は『僵尸兵士』たちの機動力を活かすべく横に長く広がっている。騎馬の突進力は歩兵の数倍である。
 あの突進力でもって防衛線を突き崩されてしまえば、即座に戦線は瓦解するだろう。
 だからこそ、リオは己の招来せしめた兵たちを固まらぬように満遍なく配置する。幽霊である兵たちは『僵尸兵士』たちの攻撃を全て無効化するだろう。
 だからこそ兵を失うリスクを恐れなくていい。
 あらゆるものを呪殺する触手は『僵尸兵士』たちを騎馬より引きずり下ろす。
「――」
 声ならぬ声は怨嗟であろうか。

 彼等が何を思い、何を失ったのかをリオは知らない。
 けれど、失った彼等の器に満たされているのは生命在る者たちへの殺戮という欲望だけである。それを許してはならないからこそ、リオは己のユーベルコードでもって迫る軍勢を押し止めるのだ。
「生者の領域を脅かしてはならない。それが死した存在の不可侵。ヒトの生命は失われてしまうかもしれないけれど……」
 奪っていいものではないのだと言うようにリオの歌声が響く。

 死霊を手繰る歌声が戦場に響き渡り、自我を失いし殺戮装置と化した『僵尸兵士』たちをなぎ倒す死霊を手繰るリオは己の役目を十全に果たすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

楊・宵雪
UCで高速で飛翔して敵に追いつく

敵に連携を取られるとまずいなら[地形破壊]で転倒させて一部を孤立させましょう
[気絶攻撃]で戦える個体を減らすのも有効かしら
高速で走っているところをうまく転ばせられたらそれだけでもダメージが高そうだけれど
起き上がられる前に[空中浮遊]で空から、[弾幕]で大雑把に刈り取るわ

それでもなお戦える者がいたらやるしかないわね
[オーラ防御]でダメージを軽減しながら、[破魔]の力をこめた符術で応戦するわ



 北京へと迫るオブリビオンの軍勢。
 騎馬を駆る『僵尸兵士』たちの進軍は止まらない。彼等に意志はない。あるのは命令だけである。
 すなわち『あらん限りの殺戮と蹂躙』。
 ただそれだけである。考える力など最早ない。駆る騎馬の力を持って、圧倒的な機動力を得た彼等は疾くその命令を果たすべく生命ある者達めがけて飛ぶ矢のようでもあった。
「敵に連携をとられるのはまずいわね」
 そんな『僵尸兵士』たちの軍勢に空より飛来するのは、金銀錦の戦装束に身を包んだ楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)であった。
 高速回転する炎の足輪から噴出する赤が空に刻まれる。
 彼等が矢のように北京へと迫るというのならば、それを押し止めるのは己の役目であるという世用に宵雪は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 手にした火華尖槍が桜色の火の粉を振りまき、金の輝きを解き放つ。
 五色の糸でかざされた儀礼的なそれは、武装というよりも術具であった。しかし、彼女のユーベルコードに寄って強化された槍は術具以上にして武装そのもの。
「――」
 声なき声を上げる『僵尸兵士』たちが空を舞うようにして飛来した宵雪を前に己達が手にした武装を掲げる。
 凄まじい速度で飛ぶ宵雪に彼等の攻撃が届くことはない。
 翻弄するように彼女はオブリビオンの軍勢の中を縦横無尽に駆け抜け、軍勢の中心にあって己の槍を大地へと叩きつける。

「転んじゃいなさいな!」
 叩きつけられた槍の一撃に寄って大地が割れ、騎馬達がいななく。それに振り落とされるようにして『僵尸兵士』たちが次々と地面に降り立つ。
 機動力が削がれたとしても、宵雪を取り囲む彼等の数が減ったわけではない。高速で走り抜ける彼等にダメージをと思っていたが、彼等は元は戦闘遊牧民族である。
 魂を封じた護符が失われ、自我を失っていたとしても、その肉体に宿った経験は消えないのだ。
「――」
 一斉に襲い来る彼等を宵雪は戦装束を纏い、その美麗なる舞を思わせる飛天の舞(ヒテンノマイ)でもって躱す。

 足輪から噴出する炎が『僵尸兵士』たちを寄せ付けず、空へと飛び上がり、ばらまく炎の弾丸でもって彼等を打ち据えるのだ。
「これでもまだ倒れないというところがオブリビオンらしいと言うべきか、僵尸らしいというべきかしらね」
 大雑把な弾幕は『僵尸兵士』たちの連携を分断する。
 彼等は己たちの仲間が多ければ多いほどに敵対者への攻撃の精度を高めていくのだ。
 まずは分断することこそ肝要であろう。
 宵雪はそれを知るからこそ、大雑把に弾幕を張り巡らし、敵の軍勢を分断し、孤立させるのだ。

 土煙が上がる中、『僵尸兵士』たちは己達が孤立させられたことを知る。仲間との連携は取れず、視界は土煙で遮られている。
 戦うことは出来るが、これでは十全なる力を発揮することもできないだろう。
 そこへ飛び込んでくるのが、炎と金銀錦のきらびやかな装束を纏う宵雪であった。手にした槍を振るい、なぎ倒しながらばらまく破魔の力込めた符術でもって『僵尸兵士』たちを強かに打ち据える。
「おいたが過ぎたわね」
 飛翔する彼女の炎が軌跡を描き、空へと飛び上がった瞬間、土煙が風でふきとばされる。

 そこにあったのは膨大な数の『僵尸兵士』が倒れ伏す光景であった。
 騎馬の機動力を殺し、敵の連携を分断する宵雪の戦い方は、個でもって群を圧倒する戦い方であったことだろう。
「これでもまだ向かってくるのなら」
 容赦はしないと再び炎の弾幕と共に宵雪は舞うだろう。
 その手にした力が誰かを守るためのものであるのなら、眠たげな瞳はユーベルコードに輝く。
 彼女の微笑みは守るためのもの。如何に暴力を好まぬとは言え、暴力に晒される生命を捨て置くことなどできようはずもなく。

 噴出する炎の軌跡が封神武侠界の空に刻まれ、北京に迫るオブリビオンの軍勢を尽く蹴散らすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリューズ・アビスマリア
成程、あの速度と力強さ、相手するにはなかなか骨の折れる相手よね。
でも、あくまでも地に足をつけた存在であるなら。弱点はそこよね。

母なる海の抱擁を発動、戦場に大波を起こすわ。
直撃はしなくても、地面には大量の海水が溢れるし、地面自体もぬかるんでしっかり踏み締めることはできなくなる。
それまでの速度で走り回ることはできなくなるはずよ。

波を直撃させるコトのできた相手にはそのまま締め付けでの追撃を。
直撃を逃れた敵には、海蛇竜形態のセレニアに氷の【属性攻撃】の【ブレス攻撃】を仕掛けて貰って周りの水ごと凍らせたり、深淵鏡からの【レーザー射撃】で焼き払ったりするわ。

虚ろなその身、或るべき処へお還りなさい。



『僵尸兵士』――それは嘗て北京の地を狙う戦闘遊牧民族たちの成れの果てである。
 彼等は戦い敗れ、そして僵尸となった。
 己たちの魂を封じた護符を額に貼り付けるからこそ、彼等は死した屍であったとしても自我を保っていた。
 しかし、護符がなければ彼等の肉体はただの屍。
 意志無く。
 そして、ただ命令に殉ずるためだけに存在する兵である。
「――」
 声無き声を上げながら騎馬と共に戦場を疾駆する。その機動力と突進力は特筆すべきものであったし、何より彼等は遊牧民族であるがゆえに馬上より放つ弓をこそ得意としていた。

 駆け抜ける速度は凄まじく、何処からでも移動し矢を射掛ける力は集団においてこそ最大の力を発揮することだろう。
「成程、あの速度と力強さ、相手するにはなかなか骨の折れる相手よね」
 ふわりと浮かぶ巨大な海月の上部に人型が乗る影。
 その影の主はマリューズ・アビスマリア(Lullabyss・f26351)であった。彼女は深海人。この封神武侠界ならざる世界より訪れた海洋における魂の安寧を齎す一族の者である。
「でも、あくまでも地に足を付けた存在であるなら」
 弱点は其処であると彼女の瞳がユーベルコードに輝く。

 召喚された海水が荒野に満ちる。
 それは大波となって『僵尸兵士』たちが駆る騎馬たちの圧倒的な機動力を刈り取ることだろう。
 大波にさらわれ、運良く躱したとしても戦場には大量の海水が溢れて地面がぬかるむ。そうすることで騎馬の機動力を完全に殺すのだ。
「これまでの速度では知り抜けることはできなくなるわね」
 彼女のたおやかな微笑みは、泥に塗れる『僵尸兵士』たちを見下ろす。ふわりと海中にあるように浮かぶ彼女の瞳は未だユーベルコードに輝く。

 まさに母なる海の抱擁(タイダルウェイブ・スクイーズ)とでも言うべき力。
 溢れる波は次々と『僵尸兵士』たちを飲み込み、海水が収束されて彼等を締め上げるのだ。
「大海の腕に抱かれて眠るといいわ」
 死して残る器だけの存在。
 そこに魂の安寧はすでにないだろう。失われた護符に宿った魂は新たなる輪廻へと旅立ったのかもしれない。 
 されど、その器たる肉体が生命あるものを脅かすというのならば話は別である。

 締め上げた『僵尸兵士』たちが霧散していくのを見送りながらマリューズは海蛇を招来し、その氷のブレスでもって周囲のぬかるみに嵌った『僵尸兵士』たちを周辺ごと氷漬けにし動きを止める。
「あなたたちの器には最早魂はない。安寧がもたらされるのかもわからない。けれど、その空虚な器に宿る命令の主をこそ私は討たねばならないのならば」
 マリューズの背後に現れる身の丈ほおの巨大な鏡。
 その鏡に映る光景を『僵尸兵士』たちは見ただろう。

 鏡の中は深淵。
 深淵を見返す者は、深淵に見つめられるものである。
 放たれる光は光線となって『僵尸兵士』たちを穿つだろう。
「虚ろなその身、或るべき処へお還りなさい」
 せめて肉体が安らかに眠るようにと、放つ光線が彼等を霧散させていく。強大なオブリビオンの命令に反応するだけの傀儡。
 その悲しき楔をこそマリューズは解き放つべく、その光でもって彼等を霧消させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

董・白
騎馬による高速戦闘ですか、侮れませんね。
足が遅いので策を考える必要がありますね。
うん。私にいい考えがあります。

騎馬がその足を活用するには広大で平坦な地形が必要です。
つまり障害物があれば駆けれません。

宝貝「十絶陣:紅水」を展開します。
この迷宮の中にはいっちゃったら酸性の壁が邪魔して駆けれませんよ。
迷宮の出口に『道術』で『破魔』の力を付与した霊符を貼っておきます。
出てきた騎馬兵はこれで討ちます。

かつてお爺様は涼州で異民族の騎兵と知己をもち戦友だったと聞きます。
決して油断できない相手です。
そして、そんな強兵を北京に行かせるわけには絶対させません。



 戦場はいつだって疾き軍勢を求めるものである。
 遅きことはどんな兵でも出来ることだ。速ければ速いほどに戦場を蹂躙することが出来る。機動力とはすなわち突進力にも置き換えることができるだろう。
 どんな戦場にも出没し、引き際を過つことのない軍勢は、一騎当千の強者よりも得難きものである。
 そして、同時にオブリビオン『僵尸兵士』たちは物言わぬ兵である。
 痛みも、苦しみも感じない。
 考えることもない。疑問に思わない。それは命令を下す者にとって、どれほど好都合な存在であろうか。
「――」
 声無き声と共に進む『僵尸兵士』たちの駆る騎馬は大地を疾駆し、北京へと迫る。

 彼等の目的は『あらん限りの虐殺と蹂躙』である。
 それだけが彼等の空虚なる器に残されたたった一つの為すべきことだ。
「かつてお爺さまは涼州で異民族の騎兵と知己をもち専有だったっと聞きます」
 董・白(尸解仙・f33242)は生前の己の祖父のことを思い出す。
 暴虐と贅の限りを尽くした暴君の孫娘である彼女はこの世の考える全てのものを与えられて育った。
 すでにそれは遠き過去である。

 けれど、彼女は騎馬の恐ろしさをよく知っていた。
 騎馬による高速戦闘は侮ることは出来ないし、己自身の足がそれを上回ることがないことも分かっていた。
 知るということは対策を採れるということでもある。
「うん。私にいい考えがあります」
 騎馬とはすなわち、その足こそが最大の武器である。
 その素早く動ける機動力を最も活用するためには広大で平坦な地形が必要となる。

「つまり、障害物があれば駆けることはできません。
 白の瞳がユーベルコードに輝く。
 宝貝「十絶陣:紅水」(パオペイジュウゼツジンコウスイ)が展開され、扇状全体に酸性を帯びた紅水の靄で出来た迷路が生み出される。
 展開された宝貝の中に突っ込む『僵尸兵士』たちは、何も理解していなかった個だろう。
 いや、彼等には思考するという考えはない。
 あるのは虐殺と蹂躙のみ。それだけが彼等の器を満たすたった一つの命令出会ったからだ。

「やっぱり。彼等は考えない。どれだけ目の前に障害物があっても、そこに飛び込むことしか考えていない。なら――!」
 宝貝による靄の迷宮は、酸性を帯びている。
 すなわち、迷宮の中に存在すればするほどに、飛び込んだ『僵尸兵士』たちは酸性によって腐食していくのだ。
 それに迷宮の壁が邪魔をして思うように駆け抜けることもできないだろう。
 かの大軍勢を押し止めるには最適な宝貝であった。

「決して油断できない相手です……必ず抜けてくるはず」
 白は油断しない。
 彼等は強兵である。そんな彼等を北京に行かせればどうなるかなど想像に難くない。
 ゆえに白は迷宮の出口に道術で生み出した破魔の力を付与した霊符を張る。
 迷宮を駆け抜けてきた騎馬はこれで打ち倒せばいい。
 次々と出口より飛び出してくる『僵尸兵士』たちに破魔の霊符が力をほとばしらせ、騎馬より振り落としていく。

 出口が一つしか無く、同時に破壊することも難しい迷宮においては、脱出出来なかった『僵尸兵士』たち溶け落ち、霧消していくことだろう。
「これで数は減らせたはず……でも、それでも敵はまだ迫ってくるのなら!」
 白は手にした霊符をばらまく。
 どれだけ敵が多かろうが関係ない。敵の最大の武器である機動力を潰したのだ。それは同時に突進力をも奪ったことにほかならない。

 ならば恐れることはない。
 知らぬことは恐れにつながる。けれど、どんなに恐ろしいものも知ってしまえたのならば、人は乗り越えることができるのだ。
 白は霊符でもって『僵尸兵士』たちを打倒しながら、その軍勢を前にして一騎たりとて北京に向かわせぬと奮闘するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
ははーん、なるほど。高速移動。
私が乗ってる赤兎馬の速度には負けますね!

というわけで、赤兎馬といく戦場。七色竜珠を全て合成、白日珠へしまして。
そして、UC発動!白日珠に炎を纏わせて…発射!

まあ、回避上がってるでしょうが。これ、追尾するので無駄なんですよ。
…さて、僵尸兵士はともかく。馬の方は、この炎にビビらずに耐えられるんでしょうかね?消えないんですよ、この炎。
一瞬でも怯んだら、白日珠の餌食ですよ。

赤兎『わたしはやるぞ!』
やる気一杯な赤兎馬であった。



 戦場となった北京周辺の荒野を走り抜け、土煙を上げる軍勢があった。
 それは強大なオブリビオン『王翦大将軍』が放った『僵尸兵士』たちの駆る騎馬の軍勢である。
 彼等の虚ろなる器にくだされた命令は唯一。
『あらん限りの虐殺と蹂躙』である。
 魂を封じた護符無き『僵尸兵士』たちにとって、それだけが為すべきものであり、それ以外の何物考えることはない。
 疑問に思うこともなければ、己たちの身を省みることもない。

 ただ、騎馬を駆り、生命在る者たちを死へと至らしめる。
 それだけのために彼等は存在しているのだ。
「――」
 声なき声は何処にも届かない。騎馬の駆け抜ける音。迫るは猟兵の駆る赤き閃光の如き疾駆。
 その名を『赤兎馬』と言う。
「私の『赤兎馬』の最高速度には負けますね!」
 荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は一日千里を行くと言われる名馬中の名馬を駆りて、一気に北京へと迫るオブリビオンの大軍勢に肉薄する。

 騎馬の機動力は侮ることはできない。
 檬果はそれを知っている。騎馬とはすなわち突進力である。彼我の距離を詰め、敵を打ち倒す。
 速ければ速いほどに戦場を蹂躙し、敵を分断することができる。
「さあ、いっきますーすよー!」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 招来されしは、刮目将『呂蒙』。その魂と合体し、彼女の力は消えぬ炎で出来た『炎纏い』を翻し、戦場を疾駆する。

 手にした七色竜珠が全て合成される。
 光り輝く色は重ねれば重ねるほどに鮮やかに。その色は白へと代わり、炎と共に放たれるのだ。
「士、別れて三日なれば(ゴカノアモウニアラズ)! そう、刮目せよ、でーすよー!」
 彼女の放つ炎は戦場を疾駆する『僵尸兵士』たちを追尾する。
 どれだけ機動力があるのだとしても追いすがる炎を躱すことなどできはしない。彼等の軍勢は圧倒的に猟兵達と比べ、数の有利がある。
 ゆえにその機動力も攻撃を交わす力も底上げされているのだ。

 だが、問題はそこではないのだ。
「どれだけ躱す力があるのだとしても――『僵尸兵士』はともかく。馬の方は、この炎にビビらずに耐えられるでしょうかね?」
 消えぬ炎は煌々と原始的な恐怖、その本能に訴えかけるものであったことだろう。
 騎馬は『僵尸兵士』と違い、生き物である。
 彼等の本能において炎とは忌避するものだ。例え、思いとどまったのだとしても、一瞬でも怯んだのだとしたら、追尾する炎の餌食となる。

 放たれた炎を受けて『僵尸兵士』たちが火達磨になって騎馬より落ちて、大地に叩きつけられ霧消していく。
「恐怖なき『僵尸兵士』に負ける道理などないのです。それに赤兎もやる気いっぱいですしね」
 檬果はやる気に満ち溢れた『赤兎馬』の首筋をなでて労りながら、戦場を疾駆する。
 まだまだ敵は多い。
 ならばこそ、彼女は放たれる炎と共に戦場を征くことをやめないだろう。
 戦いは始まったばかり。
 世界を脅かすオブリビオンを赦してはおけぬと、己の名馬と共に戦場を駆け抜ける姿は、まさに一騎当千の強者そのものなのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
弓を携えた遊牧騎馬民族か。難敵ね。この数の差からひっくり返さないとならないし。
でもまあ、大軍相手はお手の物ってね。

飛鉢法で敵集団を追跡し、進行方向に回り込む。射かけられる矢は「オーラ防御」で防いで。
「高速詠唱」「全力魔法」衝撃の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「竜脈使い」「地形の利用」「仙術」「道術」で地烈陣。攻撃回数重視で。
大地を砕き、屍者の軍勢を相応しい奈落に叩き落とす。一度で駄目なら何度でも。一撃ごとに範囲を広げながら。
地形をここまで砕けば、後続の集団も容易には通過出来ないでしょう。

魂魄を失い身体だけが利用される屍人の群。終わった生命に、更なる終わりをあげるわ。
布瑠部由良由良止布瑠部。



 戦場を駆け抜ける姿は嘗ての己たちの姿を写したものであったことだろうか。
 その答えを『僵尸兵士』たちは持たない。
 魂を封じた護符は失われ、自我のない彼等は器でしかない。強大なオブリビオンである『王翦大将軍』より発せられた命令『あらん限りの殺戮と蹂躙』、ただ一つのためだけにある器であるからだ。
「――」
 声無き声は、かつての彼等の残滓であったのかもしれない。
 荒野を征く騎馬は、かつて彼等の肉体にやどりし魂たちが駆け抜けた姿と同一。 
 青白い肌には精気はなく。
 あるのはただ徒に生命を弄ぶ行いのみ。

 構える弓矢は戦闘遊牧民族出会った頃の名残。
 放たれる弓矢は猟兵たちを威嚇するように宙を切る。
 それを鉄鉢に乗り、『僵尸兵士』たちを追撃していた村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は鉄鉢の底でもって弾きながら飛ぶ。
「弓を携えた遊牧騎馬民族か。難敵ね」
 数の差は圧倒的である。
 彼等の強みは数と機動力。そして突進力である。
 騎馬を駆る彼等にとって戦場は縦横無尽に駆け巡るものである。猟兵たちは、この如何ともし難い大軍勢から北京を守らねばならない。

「でもまあ、大軍相手はお手の物ってね」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 一対一で戦うわけでもなく、多数との戦いはすでに心得たものであろう。彼女のユーベルコードは軍に対してこそ初めて強烈な威力を発揮するものが多かった。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ。疾!」
 荒野に在りて、戦場が大地であるというのならば、その戦場全てを地震でもって砕き、地表の崩落に『僵尸兵士』たちを巻き込むのだ。
 地割れによって戦場の様相は一変するだろう。

 次々と地割れに飲み込まれていく『僵尸兵士』たちは尽くが霧消していく。
「地形を此処まで砕けば!」
 後続の『僵尸兵士』たちも容易には突破できないだろう。
 彼女の目的は敵の殲滅であるが、同時に北京に敵を近づかせないことにもある。敵が一騎でも侵入すれば、人々は抗う術を持たない。
 そうなって失われる生命は少なくはないのだ。

 取りこぼすことなど考えられないゆかりにとって、それはどうあっても防がねばならないことであったのだ。
「魂魄を失い、体だけが利用される屍人の群れ。終わった生命に、更なる終わりをあげるわ」
 ゆかりは己のユーベルコードの輝きを持って大地を揺らす。
 ゆらり、ゆらりと揺れる。
 それは祝詞のように紡がれる言葉であったことだろう。もはや意味はない。あるのは肉体という器だけである。

 ならばこそ、その虚ろなる器に魂の救済は必要なく。
 慰撫もなく。
 ただひたすらに殺戮を行なうだけの器に終わりを齎すべく、ゆかりは己のユーベルコードの力をふるい続ける。
「布瑠部由良由良止布瑠部」
 その祝詞と共にゆかりは割れ崩れる地表の底に沈む『僵尸兵士』たちの姿を見送るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
自我がなくとも強大な騎馬兵隊……なるほど厄介な相手だ
そちらが馬ならこちらは鉄馬だ。バイク『八咫烏』を持ち込ませてもらおう

神刀を抜いてバイクに乗る。全速で敵の隊列最前列へと向かい、蒼の神気を刀に纏わせて解放
漆の秘剣【蒼鷹閃】――馬を狙って斬撃波を放って攻撃
隊列先頭の連中を落馬させてやろう
騎乗戦闘に慣れていると言っても、隊列の先頭を崩されたらそのまま突っ込んで転ぶか、或いは停止せざるをえないだろうから、どちらにせよ勢いは殺せる

敵が混乱から立ち直る前に、素早く敵陣に突貫
斬撃波で牽制から、近付いた所にいる敵に切り込んではバイクを翻して離脱、別の敵へ攻撃を仕掛ける
体勢を立て直す前に、出来るだけ多く倒そう



『僵尸兵士』の本領は恐怖なきところにある。
 一度死した肉体に魂封ぜられし護符を貼り付けることに寄って、痛みや恐怖を無視する。さらにオブリビオンである彼等は護符を喪失している。
 ならば、それはただの屍に過ぎないのだ。
 騎馬による機動力を得た彼等は恐怖知らぬ軍勢となって北京を目指すのだ。
「――」
 声無き声はただの反応であろう。
 しかし、その虚ろなる器に注がれた『王翦大将軍』の命令は、『あらん限りの虐殺と蹂躙』である。
 一体でも北京に向かわせれば、人々は鏖殺されるだろう。

 それをさせぬと荒野を征くのは、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)の駆る鉄馬――ならぬ大型のバイク『八咫烏』であった。
「自我がなくとも強大な騎馬兵隊……なるほど厄介な相手だ」
 鏡介は『八咫烏』を駆り、神刀を抜き放つ。
 喘息で走り抜けるバイクの上げる土煙は『僵尸兵士』たちにとって奇異に映ったことだろう。
 だが、彼等に意志はない。
 あるのは目の前の障害を排除するという至極まっとうな判断であった。

 その最前列めがけて鏡介の瞳が輝く。
 瞳にあるユーベルコードに寄って手にした神刀の封印はほどかれる。
「神刀解放。刃は流れるが如く――漆の秘剣【蒼鷹閃】(シチノヒケン・ソウヨウセン)」
 その蒼い神気は刀に宿り、放つ斬撃は『僵尸兵士』たちの最前列へと殺到する。
 よどみなく放たれる斬撃波は『僵尸兵士』たちが駆る騎馬へと放たれ先頭のオブリビオンを落馬させるのだ。

 どれだけ騎馬戦に慣れているとは言え、戦列を崩されれば敵は立ち止まるほかないだろう。
 だが、彼等は元は戦闘遊牧民族である。
 手にした弓を引き、放つ矢でもって鏡介を襲う。雨のように降り注ぐ矢を『八咫烏』の上げるエギゾーストの轟音が吹き飛ばしながら走り抜ける。
 敵が混乱している今こそが切り込む絶交の機会である。
「体勢は整えさせはしない」
 鏡介にとって多勢と戦うということは容易なものであったが、一体足りとて北京へと到達させてはならぬのならばは話は別である。

 敵の注意を己にひきつけ、混乱に乗じて敵の軍勢を削ぐ。
 バイクで突貫するのは、斬撃波での牽制と同時に敵陣を切り崩すためだ。
「こちらだ!」
 バイクは土煙を上げて一撃で離脱。
 さらに再び別の『僵尸兵士』を強襲し、鏡介は混乱の最中にある彼等を打倒していくのだ。
 敵の軍勢は未だ数を誇る。
 されど、己の役割を違えるつもりはないだろう。

『王翦大将軍』の軍勢を此処で突き崩す。
 強大なオブリビオンにとって、この軍勢は強大な力を支えるものであるだろう。同時に北京を守るために、この戦いは必要なことなのだ。
「この道の先に、まだ出来ることがある筈だ。なら、それを俺は為す」
 煌めくユーベルコードの輝きが荒野に蒼い神気となって放たれる。
 斬撃はよどみなく。
 絶えること無く。
 振るわれ続ける一撃一撃が、『僵尸兵士』たちの体を霧消させていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…魂無き傀儡とはいえ、死者の亡骸を悪戯に傷付けるのは気が引けるけど…致し方ない

…この世界に生きる人達の為に、そして貴方達の死後の名誉の為にも、
その悪しき目論見はここで止めさせて貰うわ

敵のカウンターUCに備えて全身を「影精霊装」の闇に紛れるオーラで防御して覆い、
火の魔力を溜めた「炎の精霊結晶」を投擲し爆発と爆音で騎馬の体勢を崩して隙を作り、
追撃の「呪宝珠弾」を連射して敵の集団戦術を乱し混乱を加速させた後、
UCを乱れ撃ちして敵軍に吸血鬼化の呪詛を付与して太陽光を浴びせ浄化して回る

…影が存在しない荒野を戦場に選んだのは失敗だったわね

…ここは既に私の術中よ。太陽の下で眠るが良いわ、せめて安らかにね



「……魂無き傀儡とはいえ、死者の亡骸を徒に傷つけるのは気が引けるけど……」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は北京を目指し荒野を疾駆する『僵尸兵士』の姿を見やり、息を吐き出す。
『僵尸兵士』たちはその肉体を器として、その身に強大なオブリビオンである『王翦大将軍』の命令を宿す。
 あるのは『あらん限りの虐殺と蹂躙』という命令だけである。
 それを為すためだけに彼等は騎馬を駆りて大地を疾駆している。

「……致し方ない」
 リーヴァルディは吐き出した息の意味を彼等が理解しないことを知っている。
「……此の世界に生きる人達の為に、そして貴方達の死後の名誉の為にも、その悪しき目論見は此処で止めさせて貰うわ」
 彼女の全身が『影精礼装』によって、闇に紛れていく。
 警戒しているのは『僵尸兵士』たちのユーベルコードである。彼等は己たちの肉体を硬質化することによって、他者のユーベルコードを防御しコピーすることができる。
 ならばこそ、リーヴァルディは己のユーベルコードを防御させぬと火の魔力を込めた『炎の精霊結晶』を投擲し、爆発させる。

 凄まじい爆音に驚き、嘶く騎馬たちが一斉に前足を持ち上げ体勢を崩した。
 それを彼女は見逃さなかった。
 闇に紛れるオーラと共に戦場をひた走る彼女が放つ『呪宝珠弾』が二連装マスケット銃より放たれ、その呪いの力を発露させる。
 彼女の放った弾丸は如何に硬質化した『僵尸兵士』たちの肉体であったとしても、召喚された死霊の命令に割り込み、同士討ちを誘発させる。
「――」
 声なき声。
 それはより強大なオブリビオンに支配されるだけの存在である彼等にとって、割り込まれた命令は、ただの反応でしかない。

 同士討ちを命ぜられた『僵尸兵士』たちは次々と同胞であるオブリビオンへと襲いかかり、軍勢に混乱を齎すだろう。
「……器だけの存在。死して尚魂を縛る護符を失った肉体……されど、その肉体に嘗て宿りし魂の名誉は守らねばならないわ……」
 ゆえに北京は襲わせはしない。
 彼等が齎す力は虐殺を呼ぶだけである。

 だからこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「……其は人ならぬ穢れた血脈、汝は呪わしき咎人、ヴァンパイアなり」
 リーヴァルディのユーベルコードは弾丸を打ち込んだ対象をヴァンパイアへと変貌させる。
 あらゆる死角から『僵尸兵士』たちを吸血鬼化する血液魔法陣を召喚せしめ、その呪詛でもって太陽光による浄化を齎すのだ。
「これが、吸血鬼狩りの業・偽証の型(カーライル)……この荒野、そして晴天……影が存在しない荒野を戦場に選んだのは失敗だったわね」
『僵尸兵士』たちの混乱は凄まじいものである。

 或る者は呪いの弾丸により命令を上書きされ、同士討ちを演じる。
 或る者は吸血化の呪詛により、晴天の元、太陽光に寄って浄化され霧消していく。リーヴァルディは闇のオーラに紛れてそれを見つめるだけでいい。
 彼女の思いは唯一である。
「……此処は既に私の術中よ。太陽の下で眠るが良いわ、せめて安らかにね」
 死して肉体を縛られる。
 その苦しみはすでに魂無き存在である彼等にはないだろう。

 これは感傷であるのかもしれない。
 けれど、それでもリーヴァルディは思うのだ。
 彼等に安らぎがあっていいはずであると。滅ぼし、滅ぼされるだけの間柄であったのだとしても。
 そこに哀しみだけではなく、安らぎを与えることができたのならば。
「……嘗て宿りし魂も、きっと安らかに眠れるでしょう……」
 そう願いながら、リーヴァルディは霧消した軍勢に背を向けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
ここもUDCアースで聞いたことのある地名ですね。世界はまるで違えど共通点がある、というのは面白いものです……さて、やりましょうか。

僵尸ではありませんが、似たようなものやそれを作り出す者ならば故郷にも多くいる。当然対処法も持っています。

【コールドスペル】を使用、凍てつく冷気で騎馬と僵尸兵士の体や筋肉を凍てつかせ、機動力を封じます。
どれだけ駆けたところで、冬からは逃れられるものではありません。

動きを鈍らせたところを「フィンブルヴェト」で騎馬や僵尸兵士の足などを狙い落馬させ、凍り付いた体を砕きます。

痛みを感じない……体の異変に気付かないというのは、必ずしも利点ではありません。



 オブリビオンである『僵尸兵士』たちが騎馬を持って迫るのは北京である。
 その地名を聞いた時、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)、数多の世界を知る猟兵として、奇妙な共通点を見出した。
「ここもUDCアースで聞いたことのある地名ですね。世界はまるで違えど共通点がある、というのは面白いものです……」
 彼女の見出した共通点は、たしかに不可思議なものであったことだろう。
 世界が違えば、たどる歴史も違う。
 種族だって異なるだろう。
 だからこそ、地名が同じであるという共通点に何かしらの意味が在るように思えてならないのだ。

 だが、それ以上にセルマは己が為さねばならぬことを知る。
「……さて、やりましょうか」
 彼女は知っている。
 この封神武侠界にありて『僵尸』とは一度死した肉体を用いるものである。
 まったく同じであないが、似たようなものやそれを作り出す者を彼女は知っている。己の出身世界で嫌というほど見てきたのだ。
 当然、その対処法も持っていて当然なのである。

「これが、冬の始まりです」
 きらめくはユーベルコード。
 迫る騎馬の大軍勢を前に彼女が構えたのはマスケット銃『フィンブルヴェト』であった。その銃口より放たれるのは凍てつく冷気であった。
 敵味方を識別する力は、コードスペル。
 彼女のユーベルコードはあらゆるものを凍てつかせる冷気を放つものであったが、敵だけを凍りつかせる力は、騎馬を凍結させ、その最大の力である機動力を削ぎ落とすのだ。
「どれだけ駆けたところで、冬からは逃げられるものではありません」

 そう、それが彼女の持つ冬の力である。
 季節は確実に近づき、生命を冬の暗黒へと叩き落とす。それは如何なる世界でも変わらぬことであろう。
 常闇の世界にありても、それは変わらぬことであり、その厳しさをこそ彼女は知っているのだから。
「痛みを感じない……それが『僵尸』……」
 凍りついた騎馬にマスケット銃を向ける。
 放たれる弾丸は騎馬の足を狙い、倒れる騎馬より『僵尸兵士』たちを落馬させ、さらには凍りついた体を砕くのだ。

 如何に強固な肉体を持つのだとしても、防御すら許さぬ冷気は彼等の体を凍りつかせ、マスケット銃に備えられた銃剣でもって砕いていく。
「……体の異変に気が付かないというのは、必ずしも利点ではありません」
 凍りついたことすら感知できぬ屍の体。
 恐怖を感じることもなく、考える力もない。
 器だけの存在。
 命令だけを遂行すうるだけの存在に成り果てた彼等の末路は言うまでもない。セルマは、『僵尸兵士』たちの凍りついた肉体を砕き続ける。

 彼女を中心にしてはなたれ続ける冬の冷気は、逃れ得ぬ軍勢となって『僵尸兵士』たちを凍りつかせていく。
 己が攻撃されているということすら知覚できぬ冷気。
 それこそが、セルマの言う対処法である。
「……どれだけ強大であろうとも。オブリビオンの為すことに正しさなんてない。殺戮と蹂躙を為すことが、正しいことなどあってはならないのです」
 悪戯に奪われる生命。
 世界が違えども、それはオブリビオンによるものである。

 理不尽に奪われぬための力を誰もが持っているわけではない。
 己がそれを手にしていることは幸運であったのかもしれない。ならば、その幸運の責務をこそセルマは果たすべきなのだろう。
「振るう力はいつだって冬……逃れ得ぬ冬、その身、砕かせていただきます」
 また一体とセルマは冬の冷気を味方につけ、凍りついた『僵尸兵士』を砕いて進むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
肉と鋼の違いあれど、あの様では最早ヒトでなく道具以下
彼らの刃と蹄が血で染まる前に終わらせるのが騎士の務めというものでしょう

騎馬を駆るのは遊牧民だけに非ず
真正面よりそれを示すと致しましょう

ロシナンテⅡに騎乗しUCの巨大機械槍を構え突撃
展開したバリアで矢を弾きつつ、加速力と重量を乗せた相手と同じ…そして完全に上回る威力の騎馬突撃で当たるを幸い轢き潰し●蹂躙

完全に部隊を貫いたようですね
では、後背を突かせて頂きます!

瞬間思考力による推力移動方向の微細な制御
保持する馬上槍を制御する怪力
暴れ槍を転倒寸前で御しつつ反転
縦横無尽に軍勢を食い荒らし

我ら猟兵ある限り『北京』に辿り着く事能わず
ここで果てて頂きます!



 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は『僵尸兵士』と己との違いを知る。
『僵尸兵士』たちは器である。
 その空虚なる器に満たされるのは『あらん限りの虐殺と蹂躙』のみである。
 彼等が騎馬を駆るのは、かつて在りし過去のように荒野を駆け抜けるためではない。手にした弓は獲物を得るためではない。
 生命を蹂躙するためだけのものである。

「肉と鋼の違いあれど、あの様では最早ヒトではなく道具以下」
 トリテレイアは、彼等をそう評する。
 同時に憐れみもまた感じることであろう。すでに魂を封じた護符は喪失している。ただの道具以下へと堕した存在を前に彼は手にした艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)を振るい上げる。
 機械馬『ロシナンテⅡ』に騎乗したトリテレイアは戦場を疾駆する。
「騎馬を駆るは遊牧民だけに非ず。真正面よりそれを示すと致しましょう」
 彼ができることは唯一つである。
『僵尸兵士』――かつての彼等の刃と蹄が血で染まる前に終わらせるのが騎士の努め。
 彼等の誇りが、矜持が血に塗れることこそが、魂の冒涜であると知るからこそ、トリテレイアは戦場を疾駆する。

 飛来する弓矢は膨大であり、雨のようでもあった。
 しかし、それらの尽くを展開された馬上槍の穂先のバリアでもって弾きながら加速する。
 その加速は互いの駆る騎馬の速度においては互角であったことだろう。
 だが、トリテレイアの方が上手であったことだろう。加速に重量を載せた単騎による突撃は、降りしきる矢の雨を物ともせず、あらゆるものを吹き飛ばし、蹂躙していく。
「完全に部隊を貫いたようですね」
 トリテレイアの突撃はまるで巨大な槍の一撃そのものであった。
『僵尸兵士』たちの軍勢を吹き飛ばしながら、その最後尾にまで到達したトリテレイアは『ロシナンテⅡ』を翻し、背後を突く。

 騎士らしからぬ戦いと言われるかもしれない。
 だが瞬間的に戦局を把握する。巨大な機械槍の重量に振り回される膂力と微細にコントロールされる推力移動の慣性を利用して機体を立て直すのだ。
 暴れる機械槍を御することこそが彼のウォーマシンたる所以であろう。
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……御してみせましょう」
 馬上の槍は唸りを上げる。
 まるで獲物を未だ食い足りぬというように凄まじい勢いで持って振るわれる一撃は再び軍勢の背後を突き、縦横無尽に戦場を駆け抜けていく。

「我等猟兵ある限り『北京』に辿り着くこと能わず」
 そう、トリテレイアは守ると決めたのだ。
 彼等の矜持は既に失われたもの。
 取り戻すことなどできようはずもない。ならば、彼等が蹂躙しようとしている生命を守ることこそ、彼等の嘗て在りし矜持を守ることに繋がる。
 転倒寸前の機体を立て直しながらトリテレイアは馬上槍を掲げてみせる。
 その槍の穂先を恐れることすら忘れた哀れなる傀儡を前にトリテレイアは改めて宣言するのだ。

「ここで果てて頂きます!」
 煌めくアイセンサーがユーベルコードに煌めく。
 それは『今』と誇りを守る騎士としての矜持であると示すように、戦場に迸るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
高速戦闘か
彼らも狩猟民族だというならば
狩人の集団で挑むとしよう
UC発動
【戦闘知識】
騎馬軍団の陣形と動きを冷徹に分析する
60機
【遊撃・弾幕・貫通攻撃・属性攻撃・重量攻撃】
ドリルビットとガンドライド展開
更にキャノン法も構え
火炎弾の銃撃弾幕展開
避ける事を赦さぬ面の銃撃嵐で蹂躙
更に薙ぎ払うように重力波砲を乱射
残りと本体
【二回攻撃・早業・串刺し】
槍を持った機体は串刺しに
剣を持った機体は切り刻み
本体は剣で切り裂きつつ切り替えて槍で貫いて

お前らが何だったのかは知らない
だけど…その練度…どれだけの修練を積んで…自我を失っても失わなかったそいつをおれは忘れないよ
(それが戦士の供養になると信じたのだった



『北京』に迫るオブリビオン『僵尸兵士』たちは嘗て此の地を攻めていた戦闘遊牧民族の成れの果てであるという。
 彼等が騎馬を駆り、弓矢を持って迫る姿は、嘗て在りし過去を思わせるであろう。
 だが、すでに魂を封じた護符はない。
 喪失した護符。
 彼等の体を突き動かすのは強大なオブリビオンの命令のみである。
 すなわち『王翦大将軍』の命ずる『あらん限りの虐殺と蹂躙』だ。ただそれだけのために彼等の体は突き動かされるのだ。
「彼等も狩猟民族だというのならば――」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は、『僵尸兵士』たちの虚ろなる器へと成り果てた姿に憐憫の情を抱く前に瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。

「『ウィザードモード…起動!我招くは嵐の夜!冥府へ導く魔女達の群れよ!今こそ狩りの時間だ!存分にその力を示せっ!!!」
 己の駆る三界神機『へカティア』より放たれるドリルビットとガンドライドが展開され、空に浮かぶは60機。
 その威容は凄まじいと言うに他ならず、魔女達の騎行『ガンドライド』(アラシノヨル)とでも呼ぶべき光景であった。
 5mを超える戦術兵器のアイセンサーが煌めく。
「狩り人の集団で挑むとしよう」
 テラは冷静に戦局を見極める。

『北京』の地を襲うオブリビオンの大軍勢。
 彼等を一騎でも『北京』に到達させてしまえば、失われる生命は少なくないものとなるだろう。
 血の一滴すらも失わせてはならぬと奮戦する猟兵たちの願いは、戦う力となって宿る。『へカティア』より放たれたキャノンの一撃が軍勢を吹き飛ばす。

 さらに次々とビットから火炎の弾丸が放たれ、避けることすら許さぬ面での銃撃の嵐が蹂躙していくのだ。
「逃しはしない! 一騎足りとて!」
 重力波砲が乱射され、戦場に爆炎と轟音を轟かせる。
「お前らが何だったのかは知らない」
 テラにとって、戦う相手のことを知ることは戦うことと同義であったことだろう。
 知りたいと願うことはあれど、知る術はないのだ。

 いや、だからこそ、テラは刃を交えるのだろう。
 5mの戦術兵器は戦場を疾駆する。騎馬を蹴散らし、その手にした槍でもって打ち抜き、剣でもって『僵尸兵士』の肉体を切り刻み、手にした武装を変えては騎馬を駆る彼等を打倒していくのだ。
 霧消していく体。
 彼等の魂を封じた護符はない。
 あるのは肉体という器のみ。
 そこに哀しみを感じることはない。
 けれど、テラは感じていたのだ。何を、と問われたのならば、彼女は応えるだろう。

「…その練度……どれだけの修練を摘んで……自我を失っても失わなかったそいつをおれは忘れないよ」
 それが戦士のための供養になるとテラは信じる。
 世界にありて、人の生命は絶えず消えていくものである。だが、連綿と紡がれてきた歴史が伝えるところがある。
 人の生命が消えたのだとしても、残り、受け継がれていくものがあるのだと。
 だからこそ、テラは彼等の技量をこそ覚え、戦場を駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
戦争の結果であるならば
過去の経緯自体は同情できるのかもしれないけれど
今を生きる人達を虐殺させる訳にはいかないね
皆と協力して街を守るよ

高速の騎馬突撃は厄介だね
なのでその足を奪わせて貰うよ
馬もオブビリオンだろうから遠慮はいらないよね

邪神の慈悲を使用し
馬ごと凍らせて動きを停めようか
いくら早くても神気に触れずに
駆け抜ける事はできないよ

連携攻撃も凄まじいんだろうけど
動けなくしてしまえば
命中も回避もダメージも関係ないからね

動きを停めたらガトリングガンで
まとめて薙ぎ払おう
元々こういう戦場で使う武器だしね
存分に威力を発揮できると思うよ

周囲の敵は他の猟兵達に任せるとして
神気の届く範囲内は
絶対に通したりはしないよ



 人の歴史は戦争の歴史と置き換えることができるだろう。
 他より優れたるを、他より広き領土を、他より肥沃なる大地を。
 求めるものは違えど、その戦いは確かに人の歴史を推し進めてきたことだろう。無為に終わる争いがあるのだとしても、それは人の歴史を撚り合わせて太く長くつなげていくものであったと信じるものであった。
「戦争の結果であるならば、過去の経緯事態は同情できるのかもしれないけれど」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は『僵尸兵士』たちが如何にして、死せる後に動く屍として存在しているのかを知る。

 彼等は嘗て在りし戦闘遊牧民族の成れ果てである。
 この大地を騎馬でもって疾駆し、多民族と争った。その歴史は争いばかりが彩るものであったことだろう。
 平穏に生きることを許されぬ時代があったのだと知るからこそ、後の時代を生きる者は、彼等に憐れみを感じるのかもしれない。
「でも、今を生きる人達を虐殺させるわけにはいかないね」
 晶は立ち塞がる。
 どれだけの事情があるのだとしても。
 どんな理由が在るのだとしても。虐殺だけは止めなければならない。

 騎馬でもって迫る『僵尸兵士』たちは厄介の一言に尽きる存在である。
 その機動力、突進力は容易に軍勢を食い破るし、放たれる矢はこちらの攻撃よりも遥かに早く遠くに打ち込まれるものである。
「なら、その足を奪わせてもらうよ」
 晶の瞳がユーベルコードに輝き、宵闇の衣より放たれる万物に停滞を齎す神気が迫る騎馬を停止させるのだ。
 邪神の慈悲(マーシフル・サイレンス)。
 それは邪神の権能であった。

 どれだけ機動力を誇るのだとしても、神気にふれることもなく戦場を駆け抜けることはできない。
「動けなくしてしまえば、その強みも関係ないからね……」
 騎馬の嘶きは聞こえない。
 邪神の神気によって戦場は領域へと変貌を遂げた。神気満ちる場にあって、彼等の動きは停止させられている。
 如何に物量で迫るのだとしても、動かぬ騎馬ほど的でしかないものもない。

 構えた携行式ガトリングガンの銃口が轟音を奏でる。
 纏めて薙ぎ払う弾丸の斉射は次々と騎馬ごと『僵尸兵士』たちを貫き、なぎ倒していく。
 もともとガトリングガンは、戦場において絶えず弾丸を放ち、効率的に、そして圧倒的な暴力でもって制するための武装である。
「君たちが、どんな思いであったのかなんて、それはもうわからないことなのだろうけれど……」
 僵尸であるための魂を封じた護符は損失している。
 ただの器に成り果てた彼等に意志はない。
 考える力も、痛みも恐怖もない。
 だからこそ、哀れであると思うのだ。肉体だけがこの世に縛られている。

 幸いと思うことは、その肉体の魂はすでに此処にはないということ。
 己たちの器が砕けて霧消する様を見る哀れなる者はいないということだ。
「絶対に通したりはしないよ」
 彼等がこれ以上の虐殺と蹂躙を行なうことのないように。
 空虚なる器に満ちた悪意の矛先を無辜の人々に向けさせぬように、晶は手にしたガトリングガンの斉射、その轟音の向こう側に彼等を追いやり、その肉体を霧消させて骸の海へと還すんであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
馬に乗るとは生意気な!
いや、つまりこれは…レース…?
妨害有りの猛レース的な…
ルール無用な大陸横断レース的な…
まあ、馬より早く動けば問題無しって事で

EX:I.S.T[BK0001]に騎乗
そっちが馬ならこっちはバイクに乗っちゃうもんね
そして片手に《RE》Incarnationを抜刀して【Link=Ex:I.S.T】起動
馬とバイクでスピード勝負する?する?
残念私はしない、という訳ですれ違いざまや追い抜きざまに『なぎ払い』攻撃
距離のある敵には『斬撃波』を飛ばして牽制をかけて、バランスを崩させてからの接近して『串刺し』!

スロットル全開
爆走しながら軍勢に攻勢を掛けていこう
あ、特攻服でも用意しとけば良かった



 北京の大地を目指すオブリビオン『僵尸兵士』たちの軍勢は圧倒的な速度で持って大地を疾駆する。
 その姿は嘗て在りし過去の姿を想起させるものであった。
 しかし、すでに魂を封じた護符は喪失している。
 あるのは肉体という器だけである。
 その器を満たすのは『王翦大将軍』の命令のみ。すなわち『あらん限りの虐殺と蹂躙』だけだ。
「――」
 声無き声は、何の感情も乗っては居なかった。
 ただ己たちの器に満ちる悪意の矛先を生命に向ける。ただそれだけのために彼等は大地を疾駆していた。

 しかし、それをさせぬと戦場を凄まじい速度で駆け抜ける黒い弾丸が蒼い残光の軌跡を刻む。
「馬に乗るとは生意気な! いや、つまりこれは……レース……?」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は自身の開発した特殊仕様のバイクを駆り、封神武侠界の大地を走り抜ける。
 妨害有りの猛レース的な。
 いや、ルール無用な大陸横断レース的な。イェーガーボールラン的な。
 そんなことを考えながら玲は『僵尸兵士』たちの大軍勢の眼前に滑り込むようにして飛び込む。
 土煙を上げて、大地に刻むは一文字。
 傾けたバイクより見るは、未だ大軍勢を誇る『僵尸兵士』たちの騎馬。

 己めがけて迫る軍勢を前にしても玲は不敵に笑う。
「そっちが馬ならこっちはバイクに乗っちゃうもんね」
 特殊仕様のバイクは模造神器を運用するための機構が備わっている。ずらりと引き抜かれる模造神器の蒼光が戦場に煌めく。
『BK0001、戦闘支援モードに移行。リンク開始』
「馬とバイクでスピード勝負する? する?」
 北京がゴールだ。
 いや、しかしながら玲はかぶりをふる。意志なき存在となった器だけの『僵尸兵士』たちが言葉をはっしないことを知っていたからだ。

 だからこそ、玲は言うのだ。
「残念。私はしない」
 バイクが唸りを上げて蒼い残光を走らせながら、迫る大軍勢へと真っ向から飛び込むのだ。
 手にした模造神器より放たれる斬撃波が『僵尸兵士』たちを薙ぎ払う。
 すれ違いざまに切りつけ、薙ぎ払う。
 それはまさに一騎当千。
 彼女が走り抜けた後にあるのは『僵尸兵士』たちの駆る騎馬が空中にふきとばされながら大地に失墜する光景だけだ。

 それはあまりにも理不尽な暴力とでも呼ぶべきものであった。
「スロットル全開……あ」
 玲は模造神器の刀身を『僵尸兵士』に突き立て吹き飛ばしながら思いつく。いや、思いついたというより、用意しそびれたとでも言うべきか。
 彼女の頭の中にある方程式はこうである。
 バイク足す猛スピード足す荒野に火花を散らす模造神器イコール。

 どういうことであろうか。
 答えは――。
「特攻服でも用意しておけば良かった」
 !?

 そう、彼女は特攻服(とっぷく)を用意することを忘れた己に歯噛みするのだ。
 !?
 殺気から彼女の頭上や顔の横に『!?』が浮かんでいるのは気のせいだろうか。気の所為である。

 !?――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
(直立不動で敵の軍勢を目視で追いかけている)
……速いな。これは、少しでも目を離したら串刺し地獄だ。
されど、こういった素早い敵の対処法は心得ている。
■前
速い者を見逃さなくなる【鬼獣】形態になればいい。
……少々気乗りはせんがな。

発動時は敵を目視しながら発動し、他の何かが目に
入らないよう注意する。

■闘
目まぐるしい動きで向かってくる軍勢を強化された【怪力】
全開の【グラップル】で次々と投げ飛ばし、無防備になった
ところを鋭い猛禽の爪で【切断】してやろう。
要は、『投げては千切る』の繰り返しだな。

敵の攻撃は強化された防御力と生来の【激痛耐性】で
耐え抜き、直後に【カウンター】の一撃を与えて仕留める。
直後に一声叫び、おびき寄せを試みるのも一興か。

※アドリブ歓迎不採用可・発動後の台詞は咆哮のみ



 戦場にありて一人、直立不動のまま敵の軍勢を見やるのは愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)であった。
「……速いな。これは、少しでも目を離したら串刺し地獄だ」
 迫るは北京を目指す大軍勢『僵尸兵士』たちの駆る騎馬である。
 その速度は尋常ならざるものであり、一瞬でも気を抜けば己の五体は弓矢によって射抜かれてしまうことだろう。
 それを想起させるには十分すぎるほどの軍容であった。
 だが、清綱は素早い敵への対処を心得ている。

 一騎たりとて『北京』へと到達させてはならない。
 彼等の一騎でも『北京』へと入れば、その虚ろなる器たる肉体に宿った『王翦大将軍』の命令である『あらん限りの虐殺と蹂躙』を持って、人々の生命は失われてしまうことだろう。
 多くの生命が失われ、血が流れることを厭う清綱は己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
 己の身に宿した獣が咆哮する。
 獣の殺意が身に満ちて、開放される。己の姿が鬼。
 一匹の獣であると同時に鬼である。
 悪鬼羅刹の如き様相を醸しだすのは、鬼獣(キジュウ)たる所以。
「獣となる時が来た……」

 大地を踏みしめる。
 瞬間、大地は割れ、凄まじい衝撃波が戦場に迸るだろう。それは清綱が、否――鬼が一歩を踏み出した瞬間であった。
「――」
 気乗りはしなかったのだ。
 けれど、民を守るために気が乗らぬという理由はない。
 彼は己の咆哮を何処か遠くで聞いていたことだろう。己の中にある獣が咆哮している。喜びに震えている。
 宿す殺意を抑えていた枷がほどかれているからだ。

 飛び出すようにして清綱は戦場を疾駆する。
 己を狙う『僵尸兵士』たちへと飛びかかり、矢よりも早く弾丸のように手にした爪でもって引き裂き、その肉体を掴み上げては投げ飛ばす。
 馬上を蹴って飛ぶ鬼は、まさに爛々と輝く瞳を残光のようにほとばしらせながら、戦場を駆け抜ける。
 投げ飛ばし、切り裂き、霧消させていくのだ。
 その戦いぶりはまさに『投げては千切る』という言葉がしっくり来るものであり、あらゆる攻撃を躱し、寄せ付けぬ鬼そのもの。

「――!!!」
 咆哮が轟く。
 どれだけ遠くに聞くものであったとしても、これが己であると清綱は知る。
 己の視界にあるのは敵のみ。
 未だ残るオブリビオンの軍勢はどうあっても打倒しなければならぬ存在である。多勢に無勢などと言っている暇など何処にもない。
 己が一瞬遅れれば、それだけ人の生命が失われる可能性が高くなるのだ。
 それをさせぬために己がいる。

 己の中にある獣の如き殺意と、鬼の如き暴力性はなんのためにあるのかを清綱は知っている。
 誰かを守るためである。
 戦う力を持たぬ者のために振るう力を己が持っているからこそ、己を律する心が必要なのだ。
 嵐のように投げ放つ『僵尸兵士』たちの肉体が軍勢の中にありて、連鎖するようにふきとばされ、放つ爪の衝撃波が軍勢を引き裂いていく。
「――!!!!」
 声ならぬ声。

 それは『僵尸兵士』たちが上げるものと同じであったのかもしれない。
 けれど、決定的に違うところがあるのもまた事実である。
『僵尸兵士』たちには魂がない。
 自我もなければ、恐怖もない。

 されど、清綱にはある。魂有り、そして同時に己の力に対する恐れもある。それこそが互いを隔てる決定的な要因である。
 超克なき意志に力が宿ることがないように。
 清綱は今、己の中にある鬼をこそ超克していくのだ。
「――!!!」
 咆哮におびき寄せられるように『僵尸兵士』たちが殺到する。
 あらゆる攻撃を寄せ付けない。
 弓矢が射掛けられようとも、その痛みは忘れる。己の痛み以上に失われる生命を悼む心こそを覚えるべきであったからだ。

 鬼は獣に。獣は鬼に。
 そして、人はそれら全てを超克していく。
 それこそがオーバーロードの示す光である。清綱は、その殺意と本能をこそ、一喝し己の力を振るう。
 鬼でも獣でもなく。人として戦うからこそ、己の力は輝くのだ。
 咆哮は誇りを以て。
 ゆえに、清綱は越えていく。
 あらゆる暴力を、殺意を、飲み込まれることなく越えていくからこそ、彼の歩んだ轍に残るのは、霧消したオブリビオンたちのみ。

 清綱は見ただろう。
 己の戦いが示した結果を。オブリビオンの大軍勢は霧消した。
 迫る軍勢はもはやなく。彼の背後を見やれば、悪意に触れられることなく未だ残る人々の生命の煌き。
 その煌きことそ愛するものだと知るからこそ、清綱はオーバーロードの先にてある生命の輝きを知るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月06日


挿絵イラスト