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彗星を捕まえろ!

#ヒーローズアース #戦後 #知られざる文明

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●ヒーローズアース・30thラウンド
「久し振りにヒーローズアースの宇宙文明『ラグランジュポイント』のご案内をしたいと思います!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が暇を見つけて調べていたラグランジュポイントの文明の不思議はまだまだ存在する。今回はその一つ、「水」について。
「ラグランジュポイントの皆さんはどうやって水を手に入れているのでしょう? 地球上では海があり、川があり、雲ができて雨が降る……といった自然のサイクルの中で水は当たり前のように存在していますが、ラグランジュポイントはそうもいきません。超テクノロジーが発達しているので水は簡単に合成できるのですが、今度は原料となる酸素と水素が貴重なので、技術面というより資源面で心許ない部分はあるようなんです」
 宇宙と地球上の環境の違いはこれまでいくつも取り上げられている。猟兵達は熱心に耳を傾けているようだった。
「ですが、私が調べたところ、別に水を手に入れる手段として『すいせい集め』ということをたまに行っているようなんです。すいせいとは『コメット』のほうの『彗星』ですね。確かに核は氷――即ち水なのでそれを入手できれば手っ取り早いのですが、それは住人の皆さんの生活圏からは遥か高地にしか落ちておらず、それも周りの宇宙船に衝突して砕け散った破片を拾い集めているだけなので、大変且つ割に合わなくてやる人があまりいないとか……。ですから今回、宇宙空間で生活するという大変さを学びつつ、住民の皆さんのお役に立つために、彗星を拾いに――いえ、何なら彗星を捕まえて、水を大量確保しちゃいましょう! 集めた彗星は住人の皆さんのところへ持っていけば飲料水として浄化してくれるので皆さんは集めるだけでいいのですが……こういう『人の来なさそうな場所』にはオブリビオンの残党が隠れている例がほとんどです! もしかしたら彗星の衝突で壊れた宇宙船の中とかに潜んでいるかもしれませんので、彗星集めもしつつ、周りも探ってみてください! 見つけたら、宇宙に住む方々にも良い年越しをしてもらえるようバシッと倒してしまいましょう! それではよろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 窓の外を見ればもう冬です。

●フラグメント詳細
 第1章:日常『知られざる文明のススメ』
 そこらに落ちている彗星の欠片を集めて回ったり、何なら流れてくる彗星をそのままキャッチしたり……なんてことも、猟兵なら可能なのかもしれません。
(細かいこと言うとアレなので、とりあえず彗星は「流れてくる間に、猟兵がどうにかすれば受け止められるくらいの大きさになっている」と思ってください。それでも結構な大きさかもしれませんが)
 でもまあ無理のない範囲で。衝突した後、砕けて宇宙空間に逃げていく彗星を受け止める、くらいでも相当な貢献をしている気がしますよ。
 あとはオブリビオンが潜んでいそうな入口(壊れて穴の開いた壁とか)などを探っていけば、オブリビオンの気配とかがわかるのではないかと。

 第2章:集団戦『ブルマニオン・ソルジャー』
 宇宙にもしブルマ少女達が巣食っていたら……萌えませんか?
 それはそれとして彼女達はオブリビオンですので倒しましょう。
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第1章 日常 『知られざる文明のススメ』

POW   :    体力や筋力を活かして文明を調査・体験する

SPD   :    身に付けた技能を駆使して文明を調査・体験する

WIZ   :    知識や魔力を活かして文明を調査・体験する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・焔
アドリブや連携歓迎

■心情
焔達にとっては水は当たり前の様に手に入るけど
水が貴重な場所も結構あるんだね。
彗星から水が手に入るなら、頑張って集めるよ。

■行動
宇宙空間も【環境耐性】で適応しておくよ。
フォックス・アシストを使って、狐のぬいぐるみと協力して
手分けして彗星集めをしておくね。
「わぁ、凄い速さで飛んでくるね。受け止めるのは大変そうだよ」
大き目の袋を用意しておき、彗星を沢山貯めておくね。

後はオブリビオンの気配も感じないか、【第六感】で察知してみるね。
彗星集めの最中は、邪魔されない様に此方からも
迂闊に戦いにならない様に注意しておくよ。

「これだけあれば充分かな?どれだけの水が採れるか楽しみだよ」



●宇宙の山脈で彗星探し
 ラグランジュポイントの宇宙船群――通称「島」は、強大な重力場を基に地球上とよく似た大気を構成することで人の居住を可能にしているのだが、それすらラグランジュポイントに存在する超テクノロジーの恩恵であることは、他文明の者達にはあまり知られていないようだ。
 水もまた地球上とは勝手の異なる資源の一つ。何処かから湧いてくるものでもないので人工的に水を生み出しては排水を回収、浄化して再利用するというサイクルを作り上げてはいるものの、永久機関とはいかないので貴重な資源を慎重に消費しながら生活している。
 それとは別に外界から水を得る方法がないかを模索した時、遠い宇宙より飛来する彗星に目を付ける動きはあったが、人の手には負えぬとされて見送られてきた面がある。そう――埒外の存在である、猟兵が現れるまでは。
 四王天・焔(妖の薔薇・f04438)が訪れている「彗星の落ちる場所」は、地球上で言えばかなりの高峰に位置付けられる高地であり、大気は薄く過酷な環境だ。本来であれば極限の寒さに震え上がり固まってしまうのだが。
「ちょっと肌寒いくらい……だね」
 あらゆる環境に耐え得る技能を身に付けていた焔は、この環境を秋から冬にかけての季節の移り変わり程度にしか感じていないようだ。はぁっと息を吐き出せば白むのを楽しんでいる節さえある。
「よーし、麓で待ってる人達の為にも、貴重な資源の彗星集め、頑張ろー! 狐さんも、一緒にお願い!」
 彼女にとっての当たり前が、当たり前でない人達がいる――彼らを思えばこそ、焔は彗星集めに一層張り切るのだ。焔は背格好が同じくらいの白狐のぬいぐるみを召喚すると、二人纏めて入ってしまいそうな大きな袋をばさっと広げて、彗星の衝突で荒れてしまったであろう宇宙船の残骸の上を駆け出していく。
 空を流れる様は尾を引く箒星であり綺麗なものだが――果たして彗星とはどんなものか。辺りをきょろきょろ見回してもそれらしい姿はなかなか現れないが、焔がよいしょと金属の坂を上った先に、中央のドーム部分が砕けた円盤型宇宙船が埋まっていた。
 それは他の宇宙船と大差ないガラクタのようでもあったが、焔は試しに割れた内部を覗き込んでみた。中はスイッチとランプだらけのコックピットのような空間で、
「……あっ! あれ……かな?」
 座席に座った時に足を入れるための小空間に、サッカーボール大のごろっとした、黒カビの生えたような薄汚い塊が転がっていた。よくよく目を凝らしてみればそれは確かに氷のようであったが、混ざり物があってとてもそのままでは使えそうにない。
 しかしそれこそが流れる彗星の正体。焔は中に入ると、一つ目の彗星を抱え上げて袋に転がし入れた。ひやっとしたざらざらな感触は、まだ雪の厚く積もらぬ内に作った雪だるまの、砂利を巻き込んだ肌に似ていた。
 焔が最初に手に入れた彗星は、落下した衝撃で砕けたもののごくごく一部に過ぎない。宇宙船を抜け出してぬいぐるみの元へ戻ると、焔はまた次なる彗星を目指していく。もっとたくさんの彗星を――それこそプレゼントをいっぱいに詰め込んだ、サンタクロースのプレゼント袋のように。
「……あれ? この辺に転がってるの……」
 また少し歩いた先で、一見すると黒焦げた宇宙船の一部のような物体があった。拾ってみると、じんと冷たさが手に伝わってくる。
「やっぱり! 彗星だね! あっちにも、こっちにもたくさんあるよ! 狐さん、急いで集めよう!」
 そこはまさに彗星の群生地であった。砕けてからそう間も経っていないであろう彗星達は多く形を残しており、焔とぬいぐるみは二手に分かれて搔き集めては、袋にがらがら流し入れていく。大物小物も様々で、なんだか宝探しをしているような気分。
 その最中、ふと見上げれば満天の星空の中に、一際大きな星が流れ飛んでいく。
「わぁ、飛んでる彗星だよ! 飛行機みたいにすっごい速そう……もし落っこちてきたら、受け止めるのは大変そうだよ」
 焔が指差した先をぬいぐるみも見上げ、しばし彗星の流れゆく様を見届けて、二人はまた彗星集めに戻っていく。
 何度も何度も袋の周りを行ったり来たり。そうして一帯にあった彗星を集め終わると、膨れた袋は焔一人では持てなくなっていた。ぬいぐるみと二人掛かりで持ち上げて、わっせわっせと移動する。限界が近いけどもう少しなら――焔が彗星を貪欲に追い求めていくと、
「わ! おっきな穴!」
 近づいて見れば、焔が三人繋がってもまだ向こう側に辿り着けないくらいの大穴が開いていた。宇宙船の構造を滅茶苦茶に破壊してめり込んだ何かは、かなり深くまで潜っているらしくすぐには見えてこない。
「彗星が埋まってたら、きっと凄い大きさだよね! ……でも、なんでだろう」
 大穴の中に進入するのがどういうわけだか躊躇われる。はっきりとは口に出せない漠然とした感覚だが、そこには彗星とは違う何かが紛れ込んでいるような気がして。
「……一回ちゃんと、彗星を持って帰ってからにしよっか! この袋にあるだけでも十分な量だと思うし……どれだけの水が採れるのかな? 楽しみだね!」
 焔の言葉にぬいぐるみもこくこく頷いて、大穴の調査は一旦保留。焔は大穴から少し離れた場所に突き刺さっていた彗星の柱を見つけて引っこ抜くと、最後の一押しとばかりに袋にぐいっと捻じ込んで、口をぎゅっと固く結んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

実はアタシ達家族は宇宙空間での戦闘は余り経験が無い。今後の為に、と来たが、彗星から水を得るのかい?随分ダイナミックな方法とるね。まあ、猟兵の仕事の範疇だろうね。

奏と瞬に細かい作業を任せてアタシは力仕事を担当しようかね。すなわち、飛んでくる彗星を直接キャッチして回収する作業だ。!!

もちろん方法はある。母の底力で強引に体を強化して彗星をキャッチ。何か子供達が怯えた顔で見てるが気にしないで置く。さあ、どんどん飛んできな!!どんなでかい彗星でも受け止めてやるよ!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

へえ、彗星って水が入ってるんですね。今後水の精霊術も鍛錬してみようかな。宇宙の皆さんの生活の為です、なれない宇宙空間の作業も頑張ります!!

何か鬼神みたいになっている母さんは怖いので見ないようにして風の妖精騎士で手数を増やして飛ばされないように足を踏ん張りながら地道に彗星を拾っていきます。彗星が山にぶつかってるなら結構破片が散らばっていると思うので。星はお友達ですし。お友達との出会いはワクワクしますね。

兄さん、どうしましたか?え?廃棄された宇宙船の中に悪の気配が!?


神城・瞬
【真宮家】で参加

まあ、ある限りの資源を利用するのは大切な事です。でもその資源が彗星ならば回収は猟兵の仕事ですね。まあ、宇宙に慣れてない僕達家族には大変な作業ですけどね。

今の母さんの姿は怖いのでそっと目を逸らして月読の同胞の力を借りて飛んできて砕けた彗星の回収を。ある程度回収したら回収作業は母さんと奏に任せて月読の同胞と共に周りの調査を。調査に一番向いてるのは僕ですしね。

むむ、この宇宙船に怪しい気配が感じられますね?



●家族の結束が彗星を討つ
 彗星とは不純物を含んではいるが基本的には氷であり、回収が可能ならいくらでも純度の高い水を得られる。地球上でもろ過や蒸留といった精製方法で綺麗な水を作ることができるのだから、超テクノロジーが詰まったラグランジュポイントでは朝飯前――話はわかる、が。
「彗星に目を付けるダイナミックな学者もいたもんだね。でも、それは猟兵の仕事の範疇だろうさ」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)が指摘するように、超テクノロジーでも人の恐怖を全て取り除くことや、艱難辛苦を乗り越える図太い精神を作り出すことには至らない。かつて、類稀なるチャレンジャー精神を以って彗星の回収に当たった者もあったようだが、今日日根付いていないことからも人の選択肢から外れてしまったことがよくわかる。
「そうですね。彗星がここの方々にとって得難い資源というなら、その回収は僕達猟兵の仕事です。……とは言え、流石に寒さが酷くなってきましたか」
 神城・瞬(清光の月・f06558)の体に震えが走る。宇宙には慣れていないと危惧していた彼らだったが、ラグランジュポイントは「重力の罠」の上に成り立っている環境であり、「地に足をつける」という意味では地球と然して変わりはない。問題は荒らされた宇宙船群に尖った金属部が多く見られて足の踏み場に困るのと、高所による寒冷化だ。猟兵と言えど耐えるのは相応の労力が要りそうで、体がどこまで自由に動いてくれるかが目下の悩みの種だった。
「まあ、寒いのは何とか我慢して頑張りましょう! それはそれとして……彗星は水を多く含む……だったら、水の精霊術を鍛えると彗星も操れるようになりますかね? 今度やってみようかな……」
 ラグランジュポイントの人々の為に、と意気込みを見せる真宮・奏(絢爛の星・f03210)だが、ふと別の思惑も湧いてくる。宇宙に眠る力は莫大だ。その一端に触れることができるのならば――奏が思い描く光景はまだ果てしなく先であろうが、たゆまぬ努力を続けていればいつか、きっと。
 さて、登り詰めてやってきた「彗星の落ちる場所」。三人が辿り着いた一帯は彗星が絶賛到来中で、遥か頭上ではあるが飛行機よりはずっと低空を彗星が飛び抜けていた。一筋、二筋通り過ぎ、より重力に引かれて早く落ちてきた次の彗星は彼方に見えていた宇宙船の空に突き出た船体にぶち当たると、互いに砕け散りながら三人の元へ嵐の如く襲い掛かってきた。
「――っ!! 月読の同胞!!」
 瞬は咄嗟に詠唱を短縮し反応していた。召喚されたのは月読の紋を付けた戦士達の霊だ。彼らは三人の前に並び立つと、矢射掛け剣で受け弾いて飛来物から三人を守っていく。
「っと、派手に来たね! 瞬、持ちこたえられるかい!?」
「何とか……してみせます……!」
 戦士達の霊を維持しながら、瞬は急速に体が冷えていくのを感じていた。消耗が普段よりも早かったが、倒れれば家族まで危険に晒す。あまり見せたことのない姿だが――歯を食いしばってでも耐えなければならなかった。
 戦士達の霊が射ち落としたものはその足元に転がり、弾いたものは三人を避けるように脇へと流れていった。やがて嵐は収まり、後に残ったのは宇宙船の残骸と砕け散った数々の彗星の欠片。
「瞬! 根性見せたじゃないか!」
「凄いです! あれだけの量を受け止めきるなんて!」
「はぁ……はぁ……僕、も……やるときは、やる……と、いうことで……」
 瞬は耐えた。そしてなお立ち続けるだけの力は残したが、何度もあっては身が持たない。本人も感じるところであり、息子の姿は母である響もよく知っている。
「なら、今度はアタシが根性見せる番だ。アンタ達は散らばった彗星を集めておきな!」
「はい! でも、あの、母さん、もしかして……」
 そして母の姿は、娘の奏もよく知るところ。その背中は偉大であり豪快。頼れるが故に、その行動は破格であった。
「子供達の為なら、何でもやってやるさ!! どんだけだって飛んできな!!」
 肩甲骨の辺りからぐにゅりと二本の腕が新たに伸びて、身長も倍に伸び上がる。人を超えた異形は鬼子母神と言うべき子を守る神で、その呼び掛けに応じたかは知らぬが、新たな彗星が轟々とまさに響の正面に流れ落ちようとしていた。
 響は四つ腕で頭上に真四角の器を作り、飛び込んでくる彗星をがしりと受け止めた。足場は通常の大地よりは頑丈な金属だが、それでもべこんと一段沈む。しかし瞬が耐え抜いたのだ。たかだかその身の数倍程度、受け止めきれぬはずがない。
「はああああっっ――だあっ!!!」
 響は彗星の勢いを丸ごと捻じ伏せて眼前へ叩き落とした。その動作はラグビーのトライにも似ていて、確実に止まった彗星は殻が割れたように綺麗な真っ二つになる。
「次だよ次!! どんなでかい彗星でも受け止めてやるよ!!」
 四つ腕でも足りぬ――足りぬのは響の気迫を受け止める器のほうだ。さらに倍々と変身を遂げる響。鬼気迫るなどでは言葉が足りない。我が子にも見せたことのない鬼の形相がそこにはあった。
「……兄さん、私達は、私達のできることをしましょう……」
「そう、ですね……散らばってしまった彗星も、貴重な資源ですから……」
 悪いことをしたわけでもないのに、奏と瞬はこそこそと隠れるようにして周辺に散在する彗星の破片を集め始める。見ない振り、見ない振り――知らぬが仏とはまさにこのこと。
「風の妖精さん、力を貸して下さーい」
 魔法石を光の粒子に変えながら奏が囁くように呼んだのは、風を纏う妖精騎士達だ。彗星の回収作業は戦闘力を必要としない分、少ない代償で大勢の妖精騎士を賄えた。
「今の母さんに触れてしまうと、きっと木っ端微塵ですからね。注意しながら集めましょう」
 妖精騎士達にしっかりと念押しをして奏は回収作業に当たる。屈みこんでは手の届く範囲を拾い集め、また少し立ち上がって移動し、拾い上げた彗星を小脇に抱える。
 その最中、ずずん、と地震の如く足元が揺れ動き、奏は慌てて踏ん張り耐える。何事かと思えば、それは響がまた巨大な彗星を受け止めて叩き落としたことで発生した振動であった。
「危なかったぁ……皆さんは大丈夫ですか?」
 奏は同じく回収作業を続けていた妖精騎士達を気に掛ける。うっかり転んで彗星を落としてしまっていたら大変だ。しかし妖精騎士達は纏った風で少し浮きながら作業しており特段の影響はなさそうで。奏はホッと胸をなでおろしつつ、自身も回収作業を再開する。
「~~~♪」
「……楽しそうですね」
「えぇ、星はお友達ですから。彗星とも、いつかお友達になれるように」
 地道な作業だが奏は全く苦にしない。それならば、と瞬は拾い集めた分を集積場所に固めて回収作業から一時離脱。召喚していた霊達もそれに追従する。
「少し周囲を探ってみます。案内の時にあった話が気になりますので」
 彗星集めという作業の陰には、良からぬ者達の存在が示唆されていた。居なければ居ないに越したことはないが、グリモア猟兵の語る言葉に偽りがあったことなど終ぞ見たことが無い。
 地上とも呼ぶべき目に見える範囲は凡そ把握している瞬が探査魔力を向けるのは、足元となっている宇宙船のさらに奥深く。宇宙船が折り重なる中にはいくつもの空間が発生しているようだったが、その中に矢鱈と真っ直ぐに伸びているものが一つ。瞬が立つ場所に対して少し傾きをつけながらどこまでも先へ続いているようだった。
 彗星が深くまでめり込んでしまっているのか。魔力をより狭い範囲に集中させて追っていくと――不意にぶつかってきたのは不快な雰囲気をごぽごぽと発しているマグマ溜まりのような場所。
「……む」
「……? どうしました? 兄さん」
「何か……ありますね」
 追っていった空間を今度は遡り、その入口となるべき場所を探し出す。そうして瞬が駆けていった先には地下に向かう大穴を開けた宇宙船の残骸が横たわっていた。
「この宇宙船……」
「……もしかして、何か悪の気配が!?」
「そう……でしょうね。この穴を下りていった先に、何かが……。母さんが――いつもの『母さん』に戻ったら、少し探索してみましょう」
「了解ですっ!」
 奏は元気よく返事して、それまでのしばしの時を彗星の回収作業に費やしていく。今では天を衝くほどの高さにまで巨大化した響は、どこか別の場所へ流れ落ちるはずだった彗星を鷲掴みにして無理矢理足元へ引き摺り下ろしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サカマキ・ダブルナイン
水とは貴重な物じゃからの、任されたのじゃ。
やっても良いならやって見せよう、彗星直キャッチ!
そのー、しくじったらすまぬの?

彗星なら複雑な軌道はせぬと思うが、真正面から来るとは限らぬ。
ならば軌道の予測をかけて先回りじゃ。宇宙船の残骸と彗星の間に立てるとベストじゃな!

では、いざ……「炎熱狐」起動、感情プログラム停止。
『99式未来演算』開始、彗星の軌道予測を行います。

軌道上に移動、彗星のロック完了……確保を実行。
……後方への多大な推力の発生が予測されます。

脚部への【エネルギー充填】を実行、「狐雷球」最大出力、擬似コイル形成。
電流による磁界を形成、宇宙船の外壁への接地を実行。推力の低減後、帰還します。



●彗星もまた眠るまで
 地球上では豊富であるとは言え、水もタダではない。浄化の手間暇を考えれば無駄遣いはできないのだ。
「水とは貴重な物じゃからの、任されたのじゃ」
 ラグランジュポイントの住人達の期待を背負って、サカマキ・ダブルナイン(ロボ巫女きつねのお通りじゃ!!!・f31088)は「彗星の落ちる場所」にやってきていた。暗黒に星の瞬く空では今も彗星が流れており、サカマキより一足早く流れ落ちたと思われる彗星の破片がそこかしこに散らばっていた。
 ともすれば岩石にも見えそうな濁った氷の彗星達。それが空では人が見入ってしまうほどに煌々と輝くのだから不思議なものだ。そして持ち帰った彗星は何らかの超テクノロジーで精製されて飲料に適するようになるのだから、宇宙とはやはり不思議なところであった。
 その彗星、落ちているものを集めるのでも良かったが、散らばりが酷く元の何割を回収できるかも不明瞭。そんな作業にあくせくするよりは――猟兵なら猟兵らしく、と。
「やってみせよう、彗星直キャッチ! ……まあ、しくじったら面目ないと、そこらの小片を集めて回るしかないがの」
 この場を訪れた意味が全くの無為になることはないだろうと保険は掛けたものの、やはり住人達に喜んでもらいたいと思うのが猟兵の性。ぽむっと肉球で両の頬を叩いて気合いを入れると、空を見上げ来たる彗星に狙いを定めた。
 相手は意志持つ物ではなく、宇宙の彼方で起こった爆発か何かの推進力で飛翔しているだけ。そして流れ落ちるとはラグランジュポイントが持つ重力の罠に嵌まっているだけで、複雑な軌道は取るまいと。しかしそれはサカマキを目指して飛来しているわけでもないことを意味しており、万有の法則に導かれた彗星はラグランジュポイントの何処かへと落ちようとしていた。
「軌道の予測をかけて先回りじゃ。宇宙船の残骸と彗星の間に立てるとベストじゃな! では、いざ……」
 彗星を迎え撃つに、クロックアッパー「炎熱狐」を起動させたサカマキの感情はしばし眠りにつく。その間に起こる出来事は膨大な演算に基づいて予測される事象であり、制御不能なパラメータが介在しなければ極めて精度の高い現実となる。
 彗星の軌道は重力加速と大気摩擦により定められたベクトルの先にあった。未来を示す破線を繋いだ先にある着弾地点までの猶予は十秒。サカマキは最短経路となるよう着弾地点を真正面に見据えて飛び出した。
 体勢は可能な限り低く前傾を保って空気抵抗を抑え、宇宙船の凹凸、起伏は許容範囲に収まるように着地、踏み出しの位置を判断。捻出した時を消費してサカマキが至った地点には、彗星がもう間もなく――。
「ロック完了。確保を実行します」
 両手で目一杯大きな窓を作って、その先に彗星を覗いた。瞬く間もなく巨大化した彗星に触れた刹那、上体が押し流されて足が地を離れ、サカマキは完全な自由となった。
 彗星の勢いを受けて飛翔するサカマキ。そのままでは押し潰されてしまうだけだが、サカマキは圧迫される腕を押し返すべく両腕にありったけの力を籠め、その反動を利用して足を後方へ振り出す。何処までも後方へ飛んでいってしまう体へのストッパーとして充填されたエネルギーは特定の経路を通った分だけ早く溜まり、スタンパッド「狐雷球」を迅速に最大出力まで引き上げた。
 生み出された電流は渦を巻きながら重なりを作り、サカマキの足を疑似コイルへと変化させた。それにより生じた磁界が宇宙船を構成する金属と作用してサカマキの体を急激に引き付ける。それでもすぐさまぴたりと止まるわけではなく、バリバリと電流の火花を散らしながらサカマキは宇宙船の上を滑っていた。
 迫り来るデッドラインは、埋まった宇宙船から垂直に張り出していた翼だった。そこへ到達するまでに止められなければ押し潰されるか諸共粉砕されるか――いずれにせよ大被害は免れない。磁界に摩擦力も加わって彗星の推進力は減衰の一途であったが、背後から来る翼の圧も増している。もう幾許もない時間の中で、サカマキはギリギリまで堪えてから再び、今度は自らの力で地を離れて足を水平方向まで持ち上げた。
 電流の流れる向きが変われば、必然、磁界の向きも変わる。サカマキは宇宙船の翼を壁ではなく地として活用しようとしたのだ。狐雷球は衝撃を吸収しながら翼を踏み締め、彗星を受け切る姿勢のサカマキを支えていた。
 膝もクッションとなり押し潰されるのを際どく耐えて、サカマキはついに彗星の推進力を完全に無力化した。後は重力のまま真下へ落ちるところ、両手をうまく返して受け止めサカマキ自身も本来の着地を果たす。楕円球に近い彗星は巨大だが、一体どれほどの水へと生まれ変わるのか。
「彗星の確保に成功しました。損傷は軽微、これより予定通り帰還します」
 しかし確実に、サカマキが持ち帰る彗星はラグランジュポイントの住人達へ大きな恩恵を齎すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
宇宙での生活は大変そうだよね
UDCアースの技術力じゃ
まだまだ厳しいしね

世界を超える猟兵にならなきゃ
見る事もできない世界だったんだよね

それを幸運と言っていいかどうかは
非常に悩ましいけれど

さて、感慨にふけるのはこれくらいにして
彗星の欠片を集めようか

使い魔を呼び出して鉑帝竜に搭乗しよう
金属製のワイバーンみたいな形状だよ
巨竜形態で質量を稼げば楽になるかな

神気で彗星の欠片の速度を停滞させつつ
巨体で受け止めよう
これはオーラ防御みたいなものだよ

作業をしつつ周囲を探索してみようか
壊れた宇宙船があるって事は
デブリだらけなのかな
戦闘の際には気を付けないとね

事故の結果なのかもしれないけれど
宇宙でもごみ問題は大変だね



●宇宙文明のお悩み解決
 複数の世界を訪れることができる猟兵だからこそ気付けることだが、世界の文明発展度はそれぞれ違っている。ヒーローズアースとUDCアースというよく似た世界の間でも、一方はラグランジュポイントという宇宙文明が発達しているが、他方で人類は宇宙に到達したものの、恒久的な居住は未だ実現していない。
 その違いは猟兵とならなければ見ることが叶わなかったもの――それを幸運と捉えるべきかどうか、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は己の境遇を重ね合わせながら、ふと感慨に耽っていた。
 今、晶が立っているのはまさに宇宙の世界である。と言っても超高度に発達した文明が宇宙空間に重力場を作り出しているため地球上と大差ないかと思えば、その足元はメタリックな輝きを帯びた宇宙船群。人々は人工物だらけのこの「島」で、無数の超テクノロジーを駆使して生活を続けている。
 ここでは地球上にある「自然の恩恵」をほぼ得られない。水といった人の生存に関わる資源はそれこそ究極的な死活問題にまで発展する。今は文明の破綻を回避できているが、この先も永遠に続くとは限らない。住人達は日夜、明日を生きるために熱心な研究を続けていた。
 その苦労を少しでも緩和すべく、今回、猟兵達は「彗星集め」という途轍もないことをやってのけようとしている。宇宙の何処かで生成された水が巨大な氷核へと成長して宇宙を飛び抜ける――それが彗星だ。ある意味、ラグランジュポイントが受け取れる数少ない「自然の恩恵」だがそれは通常の人の手に余りある存在。こうして晶や他の猟兵達が出張るのは必然と言えた。
 それでも身一つで彗星を捕まえようというのは難易度が高く――晶が頼ったのは使い魔であった。それは通常召喚するものとは異なり、騎乗用装具と兵装を搭載している。試製竜騎「鉑帝竜」は背を屈めた状態で待機していたが、晶が乗り込むと、ぐおっと身を起こしてぐんぐん巨大化していった。
 あたかもビックリ箱から飛び出したバネ人形のような驚かせ力を持つ巨竜形態。それは巨竜というだけで十分な価値があった。質量の嵩増しは一般物理法則の範疇にある彗星へ対しての正攻法の一つ。質量を以って速度を抑え込もうという魂胆だった。
 彗星が重力に引き寄せられて流れ落ちてくる。空気摩擦で削り取られていく氷が長く尾を引くところへ晶はその身より発せられるオーラを拡散させた。巨竜で受け止める前の下準備。厚く層を成すオーラに飛び込んできた彗星は水中を進むが如く徐々に速度を緩めていく。
 オーラは抵抗にこそなれど、一般物理法則を超えた存在であるため彗星の縮小化には寄与しない。静謐漂うオーラの中で彗星は次第に尾を縮め、ついに、ずん、と巨竜の体躯に激突した。巨竜が両腕を存分に広げてなお包み込むには至らない巨大な彗星だったが、晶が予め彗星の速度を落としていたことで巨竜は二十メートルほど宇宙船群の表面を摩擦して停止した。
「まずは一つ確保……と」
 巨竜は晶の指示に従い彗星を足元へゆっくりと下ろす。また次の彗星が降ってくるのを期待したいところだが、晶の望み通りに彗星が向かってくるわけでもない。しばしの暇、晶は彗星の気まぐれを待つ間に巨竜を操り周囲の探索を行うことにした。
 巨竜が彗星を受け止めるために足を滑らせていた宇宙船は比較的損傷の少ないものだったが、動いて回れば何かが突き抜けて破壊された宇宙船がいくつも見つかった。彗星、隕石、あるいはデブリ――いずれにせよ、宇宙からの落下物には注意を払っておく必要がありそうで、晶は度々空を見上げる。何度目かの彼方に彗星を見たが、非常に小さく映るそれはどうやらこの島を素通りしていくようだった。
「地球じゃごみ問題は深刻化する一方だけど、この文明はどうしてるのかな……」
 まさか宇宙に捨てているなんてことは――人の邪悪を濃縮したような思想を手にしかけて我に返った時、運良く二つ目の彗星がオーラの中に突入した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ブルマニオン・ソルジャー』

POW   :    ソルジャー一斉格闘
【周囲の味方との連携による格闘戦】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    目標確保
【周囲の味方との連携によって】【素早く目標を取り囲み】【ソルジャー達による抑え込みによる拘束】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    エマージェンシーコール
自身が戦闘で瀕死になると【新たなるブルマニオン・ソルジャーの増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:mozuku.

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●宇宙に転生した過去の残滓
 彗星を回収する猟兵達の中には気付いた者もいた。宇宙船の奥底に潜む何者かは、どういうわけだか体操着にブルマにハイソックスと、地球上のマニアックな嗜好を詰め込んだかのような姿をしていた。
 誰が呼んだか、ブルマニオン・ソルジャー。彼女達はいつの日か人の住む地を支配しようとしていたが、不運なことに巨大な飛来物によって隠しアジトは猟兵達の目に晒されることになる。
 重力の罠付近に眠る宇宙船の、大居住空間を改造して作られた隠しアジトの争奪戦が、今まさに始まろうとしていた。
サカマキ・ダブルナイン
マニアックな上寒そうな格好、何という奴らじゃ……ここは宇宙じゃぞ!
まぁそれを言ったらわらわも人のこと言えんのじゃがな、わっはっは……なーにがロボ巫女きつねじゃ父上母上方!!でも直してくれてありがとー!!

……さて、それじゃあやるかの。
アジトを見つけたからには、仕掛けられる前に叩く。恨んでも構わぬよ、人の世の平和は譲れぬのでな!

……「炎熱狐」起動、複数の敵対存在を確認。
『99式未来演算』発動……連携による拘束攻撃を予測、対処を実行します。

狐雷球、機能チェック完了……【属性攻撃】による電流投射を実行。
露出箇所の腕部を狙い、敵対存在1体への攻撃を実行。感電状態及び損害を確認後、包囲網を突破します。



●ドン! ドン! ドン! と属性三段重ね
 彗星の落ちる場所はしんと染み入る寒さがあった。そこと比べればブルマニオン・ソルジャー達の隠しアジトは島の内部にあるため、サカマキにとっては心地の良い環境だ。
 しかし相手は三分袖へそ出し体操着にピチピチブルマ、ハイソックスこそ足の大部分を覆ってはいるが、お世辞にも暖かい格好とは言い難い。
「マニアックな上寒そうな格好、何という奴らじゃ……ここは宇宙じゃぞ!」
 宇宙の民の需要の為か――真実は定かではないが、ブルマニオン・ソルジャー達はうふふ、きゃははと歯牙にもかけない。
「まぁそれを言ったらわらわも人のこと言えんのじゃがな、わっはっは……なーにがロボ巫女きつねじゃ父上母上方!! でも直してくれてありがとー!!」
 そしてサカマキ放った言葉はブーメランなのである。やっぱりマニア受けしそうな属性をてんこ盛りにしたサカマキであったが、その生あるのも両親という存在があったから。尤も、故郷について確かなことは未だ判明しておらず朧げな推測がいくつかあるのみなので、サカマキの言う父上母上とは生みの親より育ての親という意味合いが強い。
「……さて、それじゃあやるかの。アジトを見つけたからには、仕掛けられる前に叩く。恨んでも構わぬよ、人の世の平和は譲れぬのでな!」
 ともすれば女子高生とも見受けられるその外見も、れっきとしたオブリビオン。一度表に出れば災害は免れず、芽は早いうちに摘んでおくのみ、とサカマキは十八番とも言うべき炎熱狐を起動させた。
 騒がしかったサカマキがすんと静まる。
「――複数の敵対存在を確認」
 群れるブルマニオン・ソルジャー達の中にはサカマキを指差す者もいる。多数の赤く燃えるような熱源は、同時に敵対存在を示すアラートでもあった。
「いくよっ、目標確保っ!」
 戦いは流れるように始まっていた。サカマキが感情を封じて豹変したのをきっかけにブルマニオン・ソルジャー達も戦場に散る。互いに一定の距離を保ちながらサカマキを取り囲んでくる動きは熟練のそれで、サカマキが静かに見据えている内にブルマニオン・ソルジャー達の輪が出来上がった。
「いけーっ!」
 一人が号令を出すとブルマニオン・ソルジャー達は一斉に飛び出す。包囲を絞って脱出路を断つ――完璧な連携に見えたが、その動きはサカマキが十秒も前に捉えていたものだ。ブルマニオン・ソルジャー達も精密な連携を取るとは言え、100を100でこなす機械ではない。
 一方、ほんの僅かな違い、1の綻びを捉えて10にも100にも結びつけてしまうのが猟兵でありアンドロイドのサカマキだ。勇んで足並みが半歩先走ったブルマニオン・ソルジャーにサカマキは自ら突進した。そうすれば俄然力んで前に出てくるのがブルマニオン・ソルジャーの性で、輪は突然に乱れだす。
「ちょ――!?」
 両腕を広げて抱きすくめようとしてきたブルマニオン・ソルジャーの目の前で、サカマキはキュンキュンと雷の如く直角方向転換を繰り返し忽然と姿を消す。本来であればカバーに入るはずの他のブルマニオン・ソルジャー達だが、輪を崩されたことで彼女達の間にサカマキ一人通り抜けられるだけのスペースが出来上がっていた。
「狐雷球、機能チェック完了。電流投射を実行します」
 サカマキは電光石火で駆け抜ける最中、通り掛けの駄賃代わりに狐雷球の備わる肉球でブルマニオン・ソルジャーの露出した左上腕を掴むと、そのまま引き摺りながら包囲を脱出、さらに電流を流し込んでブルマニオン・ソルジャーの1体を倒そうとしたが、
「きゃあっ!!」
 左腕を掴まれてバランスを崩したブルマニオン・ソルジャーが別のブルマニオン・ソルジャーの左腕を掴む。咄嗟に掴めてしまう距離に居てしまったのが不運だが、ある意味ではブルマニオン・ソルジャー達の戦術を逆手に取ったサカマキの功績と言えた。
「投射――開始」
 狐雷球から迸った電撃が肉球を伝わり、溢れんばかりの電流がブルマニオン・ソルジャーに流し込まれる。その刹那、ブルマニオン・ソルジャー達はショートカットの髪を逆立て硬直。
「「「きゃああぁぁぁっっ!!」」」
 手から手へ、電流はブルマニオン・ソルジャー達が他を巻き込んで繋がった分だけ電流は流れ続けて被害が広がる。包囲の一端を切り崩すだけに留まらず、弧を切断したサカマキは熱源が冷めていくのを確認し、悠々と包囲を突破するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

まあ、動きやすい服装だが、寒くないのかね・・・まあ、オブリビオンには常識通用しないか・・・奇妙な恰好だが、害になるのは確かだね。とっとと蹴散らして彗星の破片を届けるよ!!

瀕死になると増援を呼ぶ?増援ごと始末すればいい。【オーラ防御】【残像】【見切り】で敵の攻撃をかわしつつ、【衝撃波】で接近する敵をふっばしながら光焔の槍で容赦なく攻撃。

服装は場にあったものでないとねえ!!その恰好で暴れられると見た目にも痛々しいからとっとと消えて貰おうか!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

うう、見ただけで寒くなります・・・この恰好で害を及ぼすと色んな意味で大変なので、とっと退場願いましょう!!

トリニティ・エンハンスで防御力を強化し、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【受け流し】【ジャストガード】で敵の格闘戦を一手に引き受けます。隙をみて【衝撃波】と【怪力】を併せた【シールドバッシュ】で吹き飛ばしますよ!!

えっと、その寒そうな恰好は昔は大好評だったらしいです?動きやすそうですが、流石にこの極寒の宇宙空間では不適当な服装かと・・・


神城・瞬
【真宮家】で参加

えっと・・・この極寒の地でその恰好は・・・奇天烈な恰好ですが、連携による攻撃は油断できませんね。見た目にも毒ですので、さっさと退場していただきましょう。

増援が無尽蔵ですが。なら、それ以上の速度で殲滅すればいいですね。最初から容赦なく【高速詠唱】【全力魔法】【魔力溜め】して氷晶の矢を。矢には【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【部位破壊】【武器落とし】付きです。敵の攻撃は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。

大分張り切ってるようですが、その恰好では痛々しいだけなので・・・やはり服装はTPOを考慮するべきですよ。うん。



●ブルマニオンVS家族
「ソルジャーの力を一つに!」
 およそ女子高生風の外見をした者達が発する言葉ではないが――寒かろうが場違いだろうが彼女達はオブリビオン集団なのであった。
「教育上、衛生上、精神上――どれと取っても害だらけだ! とっとと蹴散らすよ!」
「はい! いつも通りやれば相手にならない敵ですから……三種の魔力よ、ここに!」
 赤き炎、蒼き水、翠の風、三種を集めて防御力を強化した奏が颯爽とブルマニオン・ソルジャーの前に出る。統率の取れた格闘集団であるブルマニオン・ソルジャー達はまるで分身の術のように一列に並んでぐんと駆け出し格闘戦を挑んできた。正面からは正拳突き、左右から回し蹴りに組体操から跳び上がっての三角蹴りとバリエーション豊かな連続攻撃を繰り出し奏を攻め立てる。
「くっ……!」
 精霊の力が込められた盾が衝撃にがつんと響き、奏はじわり、押し戻されている。一つ一つは然したる攻撃でもないが、連続で、それも一人で受けるとなれば、オーラを張り、盾の技術を駆使しても受け切るのは容易ではない。
「最速で殲滅します! 氷晶の矢よ!」
 それでも奏が気合で生み出した攻撃のチャンス。無駄にはしないと瞬が全力全開の氷の矢を生成し、軽いフットワークで奏を左右に翻弄するブルマニオン・ソルジャー達へ一気に撃ち出していった。瀑布の如く流れ落ちる氷晶の矢群は右へ左へと跳ぶ者達や姿勢を低く突っ込んでくる者達まで、奏に降りかかる戦火を悉く消し去るようにその全身へと突き刺さっていく。
「きゃあぁ!! エ……エマー、ジェンシー……」
 針山のように矢の突き刺さったブルマニオン・ソルジャー達。虫の息だが散り際に放つ緊急コールが新たなブルマニオン・ソルジャーを召喚する。繰り返されれば果ては無く、響と瞬もこれを警戒していた。
「これが噂の増援だね! こうわらわらと集まって暴れられるのは見た目にも痛々しいよ! さっさと退場願おうか!」
 瞬が氷の矢なら響は光の槍を虚空へずらりと並べて装填する。ブルマニオン・ソルジャー達はランダムな配置で召喚されていたが、槍の装填数も十分に。
「さあ行くよ!! 避けられるものなら避けてみな!!」
 響が右腕を振り出すと同時、光の槍は宙を埋め尽くして奏が押し支えるブルマニオン・ソルジャー達へ雪崩れ込んでいく。
「いやああぁぁっっ!! ……エ、エマ――」
「させません!」
 奏だってただの壁役ではない。光の槍が突き刺さって息も絶え絶えになっていたブルマニオン・ソルジャーがさらに増援を呼ぼうとしたところに盾持ち怪力に任せて突進し、どがん、と面で叩き飛ばした。瀕死状態の召喚術が中断されてブルマニオン・ソルジャーはすっ転んだ後、未だ留まるところを見せない氷の矢が全身に刺さって消滅する。
「アタシ達三人ならこのまま押し切れる! 奏、瞬! 一気に畳みかけるんだ!」
 響の槍と瞬の矢が宙を飛び交って混ざり合い、宇宙の誕生にも似た嵐が巻き起こる。攻撃から逃れようとしたブルマニオン・ソルジャー達の前には奏が立ち塞がり、盾で殴りつけて片っ端から放り込んだ。
「あぁぁぁ……」
 ブルマニオン・ソルジャー達は滅多刺しになるまで宙を舞い、落ちてきた時には声も満足に出せずに消滅する。
 気付けばブルマニオン・ソルジャーも大きく数を減らしており、アジトの制圧まで、あと一息となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
何故にそんなマニアックな格好してるんだろう
どういう経緯で過去になったか知りたいような
知りたくないような

まあ、どうであれオブビリオンとして存在している以上
排除するしかないんだけどね

ガトリングガンを撃ちまくって大丈夫かわからないから
ワイヤーを使って攻撃しようか
ワイヤーガンによる拘束を行うよ

こちらを取り囲みにくるなら
ワイヤーガンを使って三次元的に回避しよう

相手が数を頼みに戦うのなら
こちらは一網打尽を狙うよ

静寂領域を使用して相手を金属の彫像に変えてしまおう
少しは資源の足しになるのかもね

彫像と化したブルマニオンソルジャーを運ぶのに
どこを持って運ぶか眺めて考えてるけど
改めて見るとほんとマニアックな格好だね



●物好きには堪らない一品
 過去より出でし怪物――ブルマニオン・ソルジャーのかつての人生は一体どのようなものだったのか。知りたい興味と知りたくない恐怖が混在する晶だが、必要なのは今、彼女達がオブリビオンであるという事実だけ。
 宇宙船を改造して作られているこの隠しアジト。理解不能だが機材に見える金属の箱がまだ隅に転がり壁に埋め込まれているところを見ると、射程があまりに長いものは戦場そのものを破壊しかねない。晶は念の為に常用しているガトリングガンに代えてワイヤーガンを取り出していた。
「みんな! まだまだ……いけるよっ!」
 勢力図は猟兵の優位に染まっていたが、ブルマニオン・ソルジャーも必死に抵抗する。こんな時こそ仲間同士の連携を頼りに。ブルマニオン・ソルジャー達は体操着姿の利点を生かして素早く展開、晶を包囲しにかかる。
「大人しく包囲される――わけにはいかないよね」
 ブルマニオン・ソルジャー達が晶を包囲する、その形状は二次元の円だ。広い戦場を平面に使う戦術は翼を持たぬ相手なら有効だが。
 ぐるり、円が完成しようかという時、晶は天井にあったフック様の金属部品目掛けてワイヤーを射出した。ピンと張ったワイヤーが一直線に飛んで先端のフックが天井にあったフックと噛み合うと、今度はワイヤーを巻き取って晶は疑似的に翼を得た。
 ブルマニオン・ソルジャー達は晶を捕まえるべく走り込んでいたが、あっという間に宙に逃げられ後ろ姿を見送ることしかできない。その間悠々と逃げ延びた晶は空中でワイヤーガンを操作してフックを外すと、重力と体を引き上げた慣性で山なりに落ちていく間に反転し、今度は晶を捕らえるために固まったブルマニオン・ソルジャーへとワイヤーを射出した。
 先端のフックがブルマニオン・ソルジャー達の傍を通過する間に晶は着地を果たすと、ワイヤーで挟み込むようにブルマニオン・ソルジャーの脇へと疾駆する。フックが壁の突起に引っかかり固定されたところで一周回れば、今度は逆にブルマニオン・ソルジャーの束の完成だ。
「うぐ……動けない……」
「動く必要はないよ。今から君達は彫像になるんだから」
 晶が宣言した刹那、戦場の雰囲気が変わった。虚空より流れ込んできた神気は森羅万象に停滞を齎す。骸の溜まりである海と世界の間を行ったり来たりしているオブリビオンもまた、神気の影響には逆らえず――。

「……さて、一団片付けてみたけど、どうやって持って帰ろうか」
 役目を全うした晶は一足先に、収穫物の運搬方法に頭を悩ませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・焔
アドリブや連携歓迎

■心情
ブルマニオンかぁ、何だかこの季節だと寒そうだね。
ともあれ、悪者は焔達が退治してあげるよ!

■行動
白狐召還符(UC)を使用して、白狐様に騎乗して戦うね。
【属性攻撃】で狐火属性を強化して【ブレス攻撃】を行うね。
焔も、白狐様の上からドラゴンランス【フローレ】で
【ランスチャージ】や【串刺し】などで
纏めて敵を倒していくよ。

敵の目標確保に対しては、焔も【第六感】で
周囲に気を配りつつ、取り囲まれない様に注意しながら
白狐様と【ダッシュ】で動き回る事で、抑え込みされない様にしておくね。

「そんな動きじゃ、焔は簡単に捕らわれたりしないよ!」



●寒い季節には狐火を
 ブルマ姿もそろそろ見納めになるであろうか。隠しアジトは機能的な意味では完全に崩壊しており、ただブルマニオン・ソルジャーが戦場に散在するのみ。
「何だか寒そうだね? 大丈夫?」
「――っ! 大丈夫に決まっているでしょう!? 私達を虚仮にして……許すものですか!」
 ブルマニオン・ソルジャーなりのプライドがあるのだろう。ブルマニオン・ソルジャーはひとしきり喚くと、残りの全員で焔を包囲すべく素早く動き出す。
 連携はまだ健在だ。焔は周囲の動きを察知すると、指先に白狐召還符を取り眼前に翳した。
「許してもらわなくても……悪者は焔達が退治してあげるよ! 符よ妖の郷への扉を開け。おいでませ白の御狐様」
 唱えると符が下から蒼炎に包まれる。そして宙に消えゆくと同時に今度は人魂よりもまだ大きい蒼炎がぼわっと現れて、その中から白狐が出現した。三メートル近い大きさを持つ白狐はブルマニオン・ソルジャー達が作り上げようとしている包囲を凌駕するほどの存在感があり、揺蕩う尾をそっと床に下ろして焔が背に乗る足場を作る。
「あんなのに……負けちゃダメ!」
 敵がどれだけ強大であろうと屈してはいけない、とブルマニオン・ソルジャーの一人が鼓舞すると、その気合いに当てられた場の全員が一斉に白狐に襲い掛かってきた。抑え込みさえしてしまえば、いくら体が大きかろうと敵ではないと。
「白狐様! 走って!」
 まだ完全に捕まっているわけではない。焔の声に白狐は微かに頷くと、前足、後足と連続的に床を蹴り走り出した。巨体であるが俊敏に飛び跳ねた白狐は輪を繋ぎ押し留めようとしていたブルマニオン・ソルジャー達の間を強引に振り切って逃れていく。
「そんな動きじゃ、焔は簡単に捕まったりしないよ!」
「くっ……まだっ!!」
「白狐様、一緒に、ブレス攻撃!」
 白狐に騎乗した焔は白狐のふわふわな背中に両手を押し当てて力を送る。騎乗したことでも戦闘力は強化されていたが、そこへ焔が持つ属性攻撃の強化技能をブーストさせて白狐の狐火属性を際限なく高めていく。
 白狐はくるりと振り返って宙に一つ鳴くと、眼下へ迫り来るブルマニオン・ソルジャー達へ青い狐火を吐き出した。床で反射した狐火は津波の如く立ち上がってブルマニオン・ソルジャー達に押し寄せていく。
「ぅぐ……ああぁぁっ!!」
 互いに互いを支えてブルマニオン・ソルジャー達は耐えようとしていたが、それも風前の灯火に等しく、あっけなく押し流され焼かれていく。白狐は首をゆっくり左右へ振りながら狐火を吐き続けて来る者全てを焼き尽くす。
「……槍は必要なかったかな?」
 焔は背上から狐火の先を見遣る。ドラゴンランス【フローレ】でブルマニオン・ソルジャー達の接近に応戦する気満々だったが、ブルマニオン・ソルジャー達がそもそも焔の槍の範囲まで到達できていなかった。白狐の巨体を前にしては無力――それはまさに火を見るよりも明らかで。
 一息吐き切って白狐がまた一つ宙に鳴く。役目を終えたと主張する白狐の前には、残り香のように散り散りの狐火が薄く舞っているだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月26日


挿絵イラスト