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Sol Invictus

#クロムキャバリア #地下帝国 #紅血皇国ヴァンペリウム #機動獣(モビルビースト) #機動巨獣(モビルメガビースト) #機獣士(ナイトビースト) #サンライザー #宿敵撃破

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●地底魔城ザイオン

『……以上、地上人めに女王陛下よりの寛大なる警告を行いましても、依然として地下資源の吸い上げが止む気配がないとご報告いたします』
『報告、ご苦労であった。もう暫し力を蓄えたいところであったが……こうも人工血液の生産量が激減すれば、やむを得なしか』
 女王と呼ばれた十代半ばの姿である少女が玉座に仰々しく体重を預けさせながら、白魚のような指先で静かに薄い唇をなぞった。臣下はその様子を、頭を垂れながら戦々恐々の様子でいたが、簡潔なねぎらいの言葉と下がれの言葉を受けてホッと胸を撫で下ろしながら後にする。

『オルクスよ、最初からお主の進言に耳を傾けておれば良かったな。憂国の刻に備え、棺で眠りにつきしブラッドクロスを目覚めさせる準備を済ませているのであろう?』
『流石はミネルバ様。すべてお見通しの彗眼にてあらせまする。このオルクスめが女王陛下のお手を煩わせることなく、既に準備済ませております……これへ』
 謁見の場に集められた臣下らの最前に立つ者こそが、大宰相オルクス。女王に次ぐ権力者たる執事風な出で立ちである男の口角がにやりと釣り上がる。
 そこから覗かせる犬歯は鋭く尖っており、彼らはかつて地上に帝国を築き上げて君臨していた種族、吸血鬼であることを雄弁に物語っている。部下に命じて女王が王座から見下ろす中で持ち運ばれてきたのは、棺を模した冷凍睡眠装置である。
 既に解凍は済まされており、残すは女王自らが執り行う『復活の儀』のみだ。

『流石、長年私に仕えていることがある。意を的確に汲み取り、忠義なるアーガスを選出するとはの?』

 ──忠義なるアーガス!?
 ──『赤い翼』の異名を持つ、あのアーガス卿を先陣に!?
 臣下らがどよめくのも無理はない。地上侵攻は決して女王の気まぐれではなく、最初から最大戦力を持って蹂躙する確固たる意思を示したのだ。

『お褒めに預かり光栄の極み。各機動獣(モビルビースト)の出撃準備も、このオルクスめが既に手筈を整えております。あとはミネルバ様の手で騎士をお目覚め頂ければ、いつでも出陣可能であります』
『オルクスよ。その前にひとつだけ確認をする。我が皇国が有するプラント……エキドナより産出された"アレ"に、忌まわしき陽の光へ抗う処置は万全に済ませているのであるな?』
 彼ら同様に製造するキャバリアも陽光を浴びればただでは済まない。女王直々の詰問を受けた大宰相は臆することなく、淡々と返答をする。

『はっ。何時しか病魔に蝕まれた卑しき地上人のゴロツキめが、永遠の命と引き換えに我が皇国へもたらした蒼きレアメタル……ラズカルクム。これを元にヴァンペリウムが誇る科学力にて、太陽の陽を防ぐのみならず地上人のみを苦しめる素子を発する有毒装甲を開発しておりまする。仮に地上人の抵抗が激しくとも、10年もゆうに戦えるであろう備蓄量でありますので、ミネルバ様がご心配されることはございません』
 大宰相が述べる事柄に嘘偽りがないことを確認するよう女王が頷いてみせると、鷹揚に玉座から立ち上がった。それを目した大宰相を始めとする臣下一同は、一斉に片膝を着いて頭を垂れる。

『……実に永かった。ザイオンの民が栄華を極めた頃、血袋らの反乱によって我が父と母、叔父叔母らは私のみを残して散っていった。だが、我が皇国は滅びておらぬ! 永遠なる闇の帳を失った我らは地下へと追いやられたが、今こそ喪われた栄光を取り戻すべく皇都奪還を果たす時が来たのだ!』
 幾千の時を経て、遂に悲願が達成されようとしている。還都の宣言を下した女王ミネルバは臣下らを眺臨すると、両側に従者を連れ、上座から下座へと続く階段を降りて、騎士が眠りし棺の前へと立った。控えていた臣下が棺のコンソールを操作すると、冷凍睡眠装置の扉が開放されて冷気が周囲に立ち込め始める。
 従者から儀礼用のナイフを手渡されたミネルバは、自らの指先に鋭い刃先を走らせた。ぷっくりと膨れ上がる血球を暫し眺めると、それを長き眠りで血を渇望している騎士アーガスの口元へとゆっくりと差し出す。

『私に忠誠を誓いし吸血騎士よ。今こそが目覚めの時……我が血を糧とするがよい』


●グリモアベースにて
「……っていう奇妙な白昼夢を見ちまったが、コイツが噂に聞く予知って奴なんだな」
 グリモアベースに集った猟兵たちを前に、サブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)が自身が視た世界の危機の予兆を語り終える。

『恐らくだが、古代魔法帝国が遺した遺産であるアイリーゼとの精神的同期によるものだろう。かつて帝国と覇を争った亡霊が蘇ろうとする兆候を探知し、それを現在のマスターであるサブに送ったっと言ったところだ』
 普段は運び屋を営むサブリナの相棒であり、その正体はサイキックキャバリア・アイリーゼの外部端末モジュールでもある小型球形猫型アドバイザーロボットのタマロイド、MK(ミーケー)が目を点滅させながら説明を付け足す。

「近頃、クロムキャバリアの小国家で地下帝国の襲撃が相次いでっけど、この……なんつったか。そう、紅血皇国ヴァンペリウム。シルバーレインの世界にも居る種族、貴種ヴァンパイアによく似た奴らで構成されている地下帝国だ」
『だが、まるっきり同じというわけではなく、奴らは陽の光に弱い。元々は夜にしか活動できない闇の種族だったが、領土を明けることなき永遠の夜とする結界装置を開発して勢力を拡大させて行った。最後は血袋として家畜同然に扱われ、古代魔法帝国の支援を受けて反旗を翻した奴隷の人間たちによって滅亡を迎えた……に見えたが、その残党は地下へと潜伏して今へと至るわけだ』
 そして、サブリナが付け加える。予知で視た会話から、どうやら希少金属目的でキャバリア・マフィアに支配されてたミドの街、突如としてオブリビオン・プラントと化した洋上プラント『エンデカ』それぞれに関与しているらしい。ともなれば、以前から彼らとの戦いは始まっていたということになる。

「大義名分は枯渇しつつある地下資源起因な生存権の確立っぽいんだがよ。例に漏れずのオブリビオンマシン案件で、目的がかつての領土を取り返す戦いにまで話が膨らんじまってやがる。奴らが出てくる場所は、遠い昔に皇都が位置した地点……現在の傭兵国家ヘキサだ。まず奴らが行うのは地上侵攻の橋頭堡確保で、ヘキサが所有するプラントを奪いにやって来やがる」
 だが、ヘキサはプラント近郊の遺跡より発掘された古代魔法帝国時代のキャバリア残骸から得られた情報から、いずれヴァンペリウムが復活すると察知している。
 かつて吸血鬼を地下世界へと追いやった朽ちたキャバリアをリバースエンジニアリングし、3つのマシンが合体するスーパーロボット・サンライザーを建造がされている。

「オリジナルには遠く及ばねぇが、ヴァンペリウムの機動獣に対抗できるだけの力は十分ある。普通のキャバリアでも有毒装甲の毒素を防げるが、コイツを利用するのも手かも知れねぇぜ?」
 事態は緊急を要する。サブリナがそう締め括ると、目で合図を受けたMKが大きく弾んで彼女の肩へと乗った。それと同時にMKからグリモアの光が溢れ出すと、一面を照らして猟兵たちを飲み込んでいく。
 ドラ猫の運び屋から導かれ、一同は地下帝国からの襲撃を受ける直前であるヘキサの地へと降り立つのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 年度末と年度始めの多忙さに加えて初夏のような陽気の暑さに若干バテ気味でありましたが、何とか身体が慣れてきました。
 ですが、夜は例年の気温に戻ることを考えますと、まだまだ寒暖の差が激しい気難しい天気ですので、体調管理には気をつけねばと思う次第です。


●シナリオ解説
 第一章は【集団戦】フラグメントです。
 国境には険しい山々が連なる天然の要害に守られた傭兵国家ヘキサへ、紅血皇国ヴァンペリウムと名乗る地下勢力からの襲撃を受けました。
 ヘキサの主力キャバリア、ピースメーカーで編成された守備隊はプラント防衛を行っていますが、有毒装甲で覆われた地下帝国の量産マシン軍団『機動獣』の前に苦戦を強いられています。防衛戦力の助力は殆ど期待できない中、猟兵のみで戦闘を行う流れとなります。

 第二章は【ボス戦】フラグメントです。
 地下勢力の誇る「巨大オブリビオンマシン」との決戦です。
 有毒装甲の他に特異な能力を備わっているため、それらに対抗する手段を講じながらの戦闘となります。

 第三章は【ボス戦】フラグメントです。
 巨大マシンを送り出した「地下勢力の幹部」が乗るオブリビオンマシンとの決戦となります。

 第二章と第三章については、現時点で開示出来る情報はありません。
 章が進展する毎の情報開示となりますので、ご了承下さい。


 また、当シナリオは下記の過去シナリオと一部設定を共有しております。
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=30297 )
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=36518 )
 特に読まなくても支障はありませんが、ご興味あれば一読ください。

 今回のレンタルキャバリアは、太陽エネルギーを動力源とするスーパーロボット「サンライザー」となります。
 車両型のAメカ、Bメカ、Cメカらが、オーバーフレーム、メインコクピット、アンダーフレームとなって合体するスーパーロボットです。
 各形態は、陸戦型で白兵戦を得意とし、必殺技が「ライザービーム」のライザー1。
 空戦型で機動戦を得意とし、必殺技が「パイルバンカー」のライザー2。
 水陸両用型で最大のパワーを誇り、必殺技が「怪力」のライザー3。
 最大3人乗りですが、単機運用も可能です。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『クラッシュモール』

POW   :    BXS-Aビームスクレイパー
単純で重い【ドリルエネルギー弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    EPパワーオブカジバ
自身の【弱点であるキャタピラ】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    RS-Fスターマイン
【真上に打ち上げた弾が爆撃ドローン】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【爆弾投下】を放ち続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「3、2、1……弾着、今!」
 キャバリア隊後方で控える指揮車両に搭乗しているオペレーターの入電とともに、大地は大きく揺れ大気が震えた。
 傭兵国家ヘキサの主力キャバリアであるピースメーカーが抱えている大砲は、本来は砲兵が運用する野戦砲を現地改修でキャバリアが携行して運用できるよう現地改修を施したのが由来とさせる『バントライン砲』だ。長銃身で取り回しが利かないが、野砲ならではの射程の長さによって攻城戦や今回のような防衛戦では最適な火器である。並のキャバリアでは大質量の砲弾による直撃弾はおろか、着弾によって生じる炸裂片や衝撃波によって何らかの損傷は受けるのは必定であった。そう、並のキャバリアであれば、だ。

「やったか!?」
「……目標の生存、ならびに反撃の飛翔体を確認! 各機、防御態勢を!!」
 砲火は確かに数十キロ先の地点にまで届く攻撃手段ではあるが、同時に発射音や落下音で事前に到来するのは予見しやすい。とは言え、その音は並の人間であれば死神が奏でる笛の音色に他ならなく、どこに着弾するか分からない心理的恐怖を引き起こすが、人間相手ではなく怪物が相手であればそうとはならない。

 ──キィ! キィ!
 砲撃によって朦々と立ち上る土煙から黒い群れが飛び出してきた。
 プラントの防衛、および各国へ派兵されているヘキサの傭兵に送られる改良型の評価試験を演習を通して評価試験を行う部隊、マーモット隊の所属を示す山ネズミが描かれたピースメーカーのモノアイがそれらを捉えた。
 それは、機械仕掛けのコウモリ型ドローンであった。その下にぶら下がっているのは爆弾状のものであり、何が起きるかは考えなくとわかる。

「くそ、また潜りやがったか!?」
「来るぞ!」
 マーモット隊は、ピースメーカーの基本装備であるキャバリア一機を覆い隠すほどの大盾を構えて爆撃に備えた。それと同時にコウモリ型ドローンより爆弾は投下され、落下に伴う空気抵抗によって外装が割れる。木の実が弾けて中の種子が散らばるように、内封されていた子弾がマーモット隊のピースメーカーへと降り注がれた。
 着弾とともに子弾が炸裂し、小規模の爆発が一斉に起きたことで機体が大きく揺れた。

「チッ……外部との通信回復はまだか!」
「まだです。アレの出現に合わせて発生した謎の妨害電波が強すぎます!」
 突如地下より現れたモグラ型のキャバリア。恐らくだが、この電波障害は奴らの出現に関係するものだるだろう。
 だが、マーモット隊の隊長には理解できない点がまだあった。相手の目的はプラントの襲撃に違いないであろうが、一向にプラントの破壊や奪取を行って来ないからだ。
 まるで、そう。何か別の目的で時間を稼いでいる。長年の実戦経験による勘がそう告げている。

「敵キャバリアに反応!? 前進してきました!!」
「遂に動き出したか……。救援発信は続けろ。各機、ここからが正念場だ!」
 土煙より姿を見せたのはモグラ型のキャバリアである、クラッシュモールと呼ばれるものに告示している。だが、明らかに違うのはそれらが機械的な緩慢な動きではなく獣のような機敏さを誇っていることだ。

『ガオォオオオオンッ!!』
 機械の獣が咆哮を上げる。それに続けとばかりに、幾多の獣が土煙から姿を見せたのであった。
ユーリー・ザルティア
※連携・アドリブ歓迎

吸血鬼か…
このクロムキャバリアにそんな種族がいたなんて知らなかったよ。
しかし、戦争しないと邂逅できないなんて…相変わらずこの世界という奴は…!!

オブビリオンマシンの『シビリアンジョー・イェーガーカスタム』を『操縦』して出撃するよ。
量産型キャバリアの『パールバーティ』には学習型AI『ARICA』を搭載して無人運用で『援護射撃』を担当してもらうよ。

さて、まずはゼロ・ジェネシスを使用。
防衛隊を回復させて、プラント防衛に専念してもらう。今のうちに防衛戦を再構築して!!

さて、『瞬間思考力』で敵の行動を『見切り』回避しつつ、背中に装備したダークマンティスの『レーザー射撃』で迎撃するよ。



「吸血鬼か……このクロムキャバリアにそんな種族がいたなんて知らなかったよ」
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)が驚くのも無理の無い話だ。この世界、クロムキャバリアにおいての種族は主に人間であるが、ロボット生命体であるロボットヘッドを除けば出自は違えどアンサーヒューマンとレプリカントは見かけ上では人間と何ら変わりない。
 それは、彼女自身は悪名高いレプリカントが支配する管理社会国家サルディア統一帝国第二皇女『ユーディ・サルディア』その本人であるが、帝国の後継者争いが原因の政争に倦厭をして素性を隠し『ユーリー・ザルティア』との偽名を名乗り、猟兵として第二の人生を歩んでいることが何よりの証明である。
 初めは古代魔法帝国文明が栄えた時代にに存在していた吸血鬼の帝国が地下へと逃げ延び、それが今なおも存在している事自体が半信半疑であった。しかし、迷信レベルとは言え、クロムキャバリア各地で語られている吸血鬼に纏わる伝承やそれを元にした創作物にキャバリアのことを鑑みれば、かつて彼らが存在していた名残が今現在でも脈々と語り継がれていることに成り得るのだろう。

(しかし、戦争しないと邂逅できないなんて……相変わらずこの世界という奴は……ッ!!)
 だが、現実は非常であった。悠久の時を越えて地上に舞い戻って来た彼らが取った選択は『侵略』に他ならない。たとえ、それが相手側なりの正義や大義に基づいているとしても、今起きようとしているのは血に飢えた吸血鬼による一方的な殺りくの序章なのだ。
 また、陽の光に弱いという弱点があるものの、彼らは吸血鬼特有の強大な力によってあたかも人類よりも優越的な思想によって、支配地域から『血袋』と称して数多くの奴隷を得ていたとも聞く。それはまるで、レプリカント至上主義を掲げていたサルディア統一帝国と否応にも姿が重なり、コックピット内でユーリーは無意識にレバーを握り込む力が強まっていた。

『グォオオオオオッ!!』
「チッ、すばしっこいモグラ野郎だ」
「足だ! 足の履帯を狙え!!」
 残存するマーモット隊に迫りくる紅血皇国ヴァンペリウムの尖兵、機動獣クラッシュモール。ピースメーカーの標準装備であるハンディマシンガンでは分厚い装甲を撃ち抜けないと悟った彼らは、持ち得る最大火力のバントライン砲で応戦する。
 だが、それをあざ笑うかのように機動獣は軽快な動きを発揮させ火砲の砲撃を縫うように躱していく。この戦線が背後にそびえ立つプラントの最終防衛ラインであり、彼らにとってはアラモである。
 むざむざと突破されるぐらいならば……いっその事、刺し違えてでも阻止して見せる。各隊員が自らの使命を全うする覚悟を決め始めたその時、バントライン砲とは別の砲火が側面から放たれた。

『ガァアアアアアッ!?』
 伏兵か? 援軍か?
 両者が目を向けた先に佇むは、オブビリオンマシン『シビリアンジョー・イェーガーカスタム』。禍々しい外装のそれをモノアイで捉えたマーモット隊の一部には、該当データが存在しないそれが迫りくる敵の指揮官機に見えたかもしれない。
 しかしながら、その背後に控えている良くも悪くも白兵戦、砲撃戦、遠距離射撃戦を対応すべくアンバランスなキメラめいた外見のタンクもどきが敵に攻撃を与えたのは紛うことなき事実である。果たして敵の援軍であれば、同士討ちをするであろうか?
 その疑念は、通信障害が起きにくい近距離用周波数帯の共通チャンネルですぐさま氷解した。

「……撃墜女王、ユーリー・ザルティア。これより本機ならびに僚機が、君たちの援護をしちゃうよ!」
 ついに援軍が来た。その報せを受けた孤立無援の中で奮戦していたモーマット隊は自然と士気が沸き立ち、共通チャンネルを通してユーリーに感謝の言葉を送る者さえ居た。

『ガァオオオオオン!!』
 同じオブリビオンマシンとして認知していたクラッシュモールであったが、皇国の悲願を阻止する障害と認知すると威嚇するように咆哮を唸りはじめる。それを黙らせるかのように、学習型AI『ARICA』を搭載して無人運用を行っているかつての乗機『パールバーティ』が両肩に設けられた双砲の砲撃音で唸り返した。
 増援はたかが二機。機動獣の人工知能がそう判断し、接敵をすべくキャタピラが土煙を舞い上げさせる。速度をより加速させ、ドリル型口吻部を回転させながら機動獣は乗り捨てられたピースメーカーの残骸を利用し、ユーリーを目掛けて跳躍した。

「そんな攻撃、単純すぎてあくびが出ちゃうね」
 常人ではキャバリアサイズの鉄の塊が時速数十キロの速さで目の前まで迫ってくれば思わず萎縮してしまうが、コンマ数秒の中での数多くの処理をこなす彼女の瞬間思考力をもってすれば子供だましも同然である。行動パターンを予見した上でレバーを傾け、シビリアンジョー・イェーガーカスタムは回避行動を行いながらも、背面部に取り付けられた二門の超巨大荷電粒子ビーム砲『BS-S-BL09ダークマンティス』で狙いを付けて機動獣クラッシュモールを撃ち抜く。
 実弾への耐弾性はあれど、至近距離からの超巨大荷電粒子ビーム砲の直撃を受けた機動獣は為す術もなく爆破四散せしめ、その残骸が周囲へと飛び散った。

『ギャオオオオン!!』
 だが、単機性能ではこちらが上なのは間違いないが、多勢に無勢の状況下でもある。ユーリーはヴァンペリウムの機動獣も太陽の光を苦手としているが、新開発された有毒装甲で克服していることをふと思い出す。

「だったら……禁忌の兵器も…使い方次第だね!」
 彼女がUC発動の意思を固めると、シビリアンジョー・イェーガーカスタムが虹色に輝き始めた。その光を受け、思わず機動獣クラッシュモールらは目を背けるような仕草を取るが、彼女の目的は単なる目眩ましではない。

『ガァアアアアアッ!!?』
 戦場全体に広がり拡散する虹色の光を浴びた機動獣が苦しみだすのも無理はない。この光の正体はナノマシンである。それらは本来環境浄化用なのだが、自らの判断によって全てを塵に還す攻性用ナノマシンとなり、全ての状態異常を癒す医療用ナノマシンともなり得る。
 機動獣の有毒装甲に付着したナノマシンは、それから発する人体にダメージを与える素子から分解すべき物質と判断して侵食しているのだ。また、有毒装甲が綻びればそこから剥き出しとなるのは機動獣の素体である。吸血鬼同様に陽の光を浴びればただでは済まされず、侵食を続けるナノマシンと素体を灼こうとする陽の光から逃れるべく地面に潜るものさえ居る始末だ。

「おお……損傷を受けた箇所が」
 同時にナノマシンはモーマット隊の損傷を受けたピースメーカーを修復していく。流石に大きな損傷を修復するには時間がかかるが、細かい部品レベルや脱出の際に有毒装甲から発する素子を浴びて倒れたパイロットを癒やすには十分と言っても良いものであった。

「今のうちに防衛戦を再構築して!!」
「了解した! 快復した者は稼働するようになった機体に乗れ!!」
 ユーリーによって部隊と戦線を再編できる時間と人的資材を確保したモーラット隊の動きが慌ただしくなり、パールバーティの支援砲撃と連携するよう十字砲火を敢行して機動獣を動きを封じ、そして撃破していく。
 一時は圧倒的不利となったプラント防衛であったが、戦局はモーマット隊と猟兵側に傾きつつあるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「随分御大層な軍団だけれど、精密機械なのは間違いなさそうね」
だったら天敵で攻撃しましょうか。

キャバリア【ゲファレナー・エンゲル】に乗って空から登場。
敵から距離をとってまずは[念動力]で敵戦闘ロボをひっくり返しましょう。
「先頭を転がせば後続も動きが鈍くなるでしょう?」

敵攻撃は[空中戦]仕様を活かして回避。
敵攻撃は見たところ地上向けのようだから、ドローンとかもさらにその上空へ移動して攻撃を受けないようにしましょう。

そして隙を見てユーベルコード【ジャッジメント・クルセイド】
「電流にロボは耐えられるかしら?」



「随分御大層な軍団だけれど、精密機械なのは間違いなさそうね」
 猟兵の支援を受けて部隊と戦線を再編したプラント防衛隊『モーマット隊』の苛烈な抵抗により、当初は地上侵略を有利に進めていたヴァンペリウムが有する機動獣『クラッシュモール』の進行速度に陰りを見せ始めた。
 希少鉱石ラズカルクムを含有した有毒装甲とそれから発する人体に深刻なダメージを与える素子によって、元来は光に弱い機動獣に遮光性をもたらした。有毒装甲の非常に高い耐弾性と素子による光学兵器に対する一種のバリア機能で敵なしと思われたが、それも数多の世界で数多くの世界を滅ぼす敵を相手にしてきた猟兵にとって、苦戦を強いられる相手ではない。
 しかしながら、自分たち猟兵が介入せねばならないほどの相手であるには変わりない。ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は、上空で眩しく輝いたグリモアが発する世界転送の光から自らの愛機、サイキックキャバリア『ゲファレナー・エンゲル』の中から戦場を見下ろした。
 機動獣と呼称された地下帝国のキャバリアは、獣のような俊敏性と獰猛性を持っているようだが、彼女は生物兵器の類ではなく精密機械の塊であると推測する。それが何故、ゲファレナー・エンゲルが背にしている太陽の光に弱いのかまでは決定的な結論が導きでなかったが、何せ古代魔法帝国文明が栄えていた頃のキャバリアである。自分たちの常識では図りきれない技術体系を保有していてもおかしくはない。

「相手は地面に潜るのとキャタピラで不整地の走破性を高めたモグラであれば、天敵で攻撃しましょうか」
 ヴィオレッタは上空より戦場全体を俯瞰し、手薄な防衛線を突破しようとする機動獣の群れへ目掛けてゲファレナー・エンゲルを急降下させる。風切り音を奏でながら空から強襲する捕食者たる鉄の猛禽を察知したか、機動獣クラッシュモールは頭を上げて威嚇をし始めた。

『ギシャアアアアッ!』
 空気を震わせる唸り声とともに、機動獣の背後で噴煙があがった。ゲファレナー・エンゲルを迎撃すべく放たれたのは、先程モーマット隊に爆撃を行ったコウモリ型ドローン兵器である。これらにはミサイル兵器といった誘導兵器は搭載されていないようだが、裏を返せば爆弾を抱えたままこちらに向かってのカミカゼ、自爆攻撃を仕掛けてくる可能性は拭いきれない。

「無理して抜けようとしても、直ぐ側でぶら下げた爆弾で自爆されたら面倒だし……予定変更ね」
 翼を展開して要撃すべく迫る黒い群れを前にして、ヴィオレッタは眉をしかめながらゲファレナー・エンゲルの軌道を上空へと変えさせる。黒地の装甲に青紫の呪術文様が刻まれたサイキックキャバリアは、主の命を受けて機体を翻す。だが、このままおめおめと反転するのも癪である。

「よそ見運転はダメよ?」
 ヴィオレッタが呟くと、ゲファレナー・エンゲルによって増幅された彼女の念動力が疾走る。藍色の瞳が映し出す視点の先には先頭を走るクラッシュモールが捉えられており、脚部でけたたましく回っているキャタピラが見えない坂を登ったかのように念力で機体を大きく仰け反らせて転覆させた。突然のことで高い俊敏性を誇る機動獣と言えども、意識を上空のゲファレナー・エンゲルに注視していたのもあって、後続が次々とひっくり返った先頭と激突していく。

「あとは……しつこいコウモリをどうにかしなきゃね」
 脚部がキャタピラであればすぐに起き上がれないであろうし、これ以上ドローンを打ち上げられることはない。とは言え、機械仕掛けの翼を慌ただしく羽ばたかせながら爆弾をぶら下げたコウモリ型ドローンは執拗にゲファレナー・エンゲルへ体当たりしようと迫ってくる。
 それぞれが連携し、逃げ道を塞ぐように黒い塊が空で蠢きあう。何とか閉塞される前に突破をしているが、追い詰められるのも時間の問題となろう。ゲファレナー・エンゲルの進路上で爆発が起きた。

「このっ、邪魔よ!」
 進路が広がる黒煙で視界が塞がれ、ヴィオレッタは思わず操縦桿を大きく傾かせて上空へと急上昇をする。ゲファレナー・エンゲルが本来持つ性能をいかんなく発揮させて一気に振り切りたいところだが、この世界では高速飛翔体は上空より殲禍炎剣が無差別に撃ち落とすというジレンマがある。ゲファレナー・エンゲルもコウモリ型ドローンも殲禍炎剣を裁きを受けるかどうかのギリギリで飛翔しているだけあって、あとはどちらかがミスをして失速してしまえば負けとなる。上を取られて爆弾を落下させないべく、より高く逃れようとしたヴィオレッタだったが、レーダーを見るとコウモリ型ドローンとの距離はどんどんと離れていくのに気づいた。

「一体どうしたっていうの?」
 あまりにも突然のことで数々の疑問が彼女の脳裏をよぎったが、それは視線を前部カメラが映し出すモニターの映像を見て氷解した。

「そうなのね……太陽を背にすれば!」
 コウモリ型ドローンも有毒装甲によって遮光処理されていたものの、そのカメラまでは太陽の光に耐えきれないようである。ゲファレナー・エンゲルが映し出す映像は、画像処理でフィルターを掛けられているが、彼らにとっては眩しくて溜まったものではないのだろう。
 そして、地上を照らす陽の光に向かってゲファレナー・エンゲルは高度を上昇させる。レーダーではコウモリ型ドローンの機影は映し出されておらず、反撃をするには今がその時だ。

「電流にロボは耐えられるかしら?」
 太陽を背にしながらゲファレナー・エンゲルが反転し、指先を地上へと向ける。その先にはカメラを灼かせながら迫るコウモリ型ドローン、そしてどうにかして立ち直そうとしている団子となった機動獣の塊がある。ゲファレナー・エンゲルを通してヴィオレッタの力が増幅され、UC『ジャッジメントクルセイド』の雷光が陽の光とは異なる眩い光とともに迸った。
 高圧電流を帯びた光が上空のコウモリ型ドローンを、地上で藻掻く機動獣へと落とされ人工知能回路が焼き切れてしまう。そして、飛行能力を喪ったドローンが爆弾を抱えたまま落下し、それがクラッシュモールへと激突する。機体内部に搭載されてた残りのドローンや爆弾に誘爆したのか、激しい爆轟とともに音速を超える衝撃波が四周に広がる。
 その威力は、遙か上空で地上を見下ろすゲファレナー・エンゲルのコクピットを大きく揺らすほどであり、ヴィオレッタは機動獣を撃破したことを確信すると機体を翻して再び降下させたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UCは業火の一撃や灼熱の束縛を中心に使用
攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる

逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター

みんな大丈夫?助けにきたよ!

そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!

技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態

アドリブ絡み歓迎

サクラミラージュの影朧などの場合は説得もしたい


政木・朱鞠(サポート)
確かに集団相手の対応は厄介だけど悩む時間が勿体ないし、困っている人をほったらかしにしてたら、あっと言う間に未来が過去に喰い潰され無いように、今は目の前のターゲットを倒すことに集中しないとね…。
死ぬこと以外はかすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけには行かないよね。

戦闘
相手は多勢…手数で押し負けないようにしないとね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして、『咎力封じ』を使用して動きを封じて、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い【傷口をえぐる】でダメージを与える戦法を取ろうかな。

アドリブ連帯歓迎


徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



『我が皇国が誇る機動獣が次から次へと撃破されているだと?』
 部下からの報告を受け、『赤い翼』アーガスは唸った。大型モニターには地上侵攻の様子を観測しているコウモリ型ドローンより齎された戦況が映し出される。初めはマーモット隊が駆るピースメイカーに優勢だった機動獣クラッシュモールであったが、上空で突如発生した光の中から現れた謎のキャバリア相手に次々と撃破される光景が続く。

『単機で多くの機動獣を屠るとは……相手は中々の手練と見受けた』
 だが、アーガスはこの失態に憤るどころか地上人もやりおるとばかりに尖った犬歯を剥き出しながら口角を吊り上げらせる。
 彼らが今居る場所は地下……地上侵攻の移動式前線基地『地底要塞ギガスモール』の内部だ。管制室には将たるアーガスと数人の吸血鬼兵が居るのみ。
 彼ら吸血鬼はその不老さから時間がかかりすぎる生殖行為での繁殖を重きとせず、血を吸った相手を任意に眷属とさせることでその数を増やす生き物だ。アーガス自身は種の最上位にあたる純血たる貴種ヴァンパイアであるが、ヴァンペリウムが紅血皇国と呼ばれるだけあって階級を示すヒエラルキーは血の純粋さをもって区分される。
 頂点は勿論、皇国の真祖で亡き先帝の遺児たる女王ミネルバ。次点は代々皇帝の補佐を行う家柄で正一位の官位である大宰相オルクスと正二位の重鎮たち。アーガスはそれらの近衛であり武を司る吸血騎士で、正三位の位を持つ身分となる。その下は臣下の役職によって細かく区分されているが、所謂貴族身分と上級階級はここまでとなる。
 そこから下は下級階層……即ち皇国に忠誠を誓い、自ら進んで吸血鬼へと成り果てた元人間の眷属ヴァンパイアによって構成されている。血の純潔さによって身分が決まるという社会故に、貴種からはその血の卑しさから蔑まれる存在だ。
 だが、アーガスは違った。彼は血による貴賤上下の差別なく、自らの眷属を兵士として扱っていた。更にはその高潔さから眷属ヴァンパイア層からの人気は強く、また皇国への揺るぎなき忠義から先帝や現女王からの信頼も厚い。臣下団らがどよめいたのも無理はなく、彼ほどの者が地上奪還の先陣を任されるのは異論など出なかった。

『だが、私は再び破れる訳には行かぬ。お前たちの今後もかかっているのだからな?』
 どこか冗談めいた言葉に兵たちの顔が綻ぶ。
 アーガスは冷凍装置の棺より目覚め、女王直々に今作戦が成功した暁の褒美を問われた際に願い出た。

 ──長年に渡り付き従った兵たちへの血分けを許して欲しい、と。
 血分けとは、貴種が眷属に自らの血を分けることで新たな貴種を生み出す行為を指す。生まれついての貴種ヴァンパイアではないので、謂わば名誉貴種ヴァンパイアとなるが身分上は名実ともに貴族となる。
 勿論、その行為は自らの力を蓄える事に結びつく。無断に行えば皇国に対する反逆の意図ありとまでに咎められる重罪であり、正三位の官位を持つアーガスと言えども女王の許しなきには行えないのだ。

『良かろう。他ならぬお主の申し出だ。此度の地上外征が成功したた暁には好きにすると良い』
 しかし、恐れも多い申し出に女王はあっさりと許可を下した。彼女にしてみれば、先帝が存命していた幼き頃に無理を言ってよく遊んでくれたという身内同然の者である。反逆の二心なしと即断即決によって、彼の申し出は快く受け取られたのだった。

『ところで、"アレ"の引き上げは今どこまで進んでいるのか?』
『はっ! 現在、無人機動獣らによる牽引が進み……あと数十分で地表に到達します』
 報告を受けたアーガスは思わず眉間にシワを寄せた。アレこそは地上侵攻の橋頭堡を築くために必要不可欠なモノ。可能であれば作戦遂行への障害を排除した上で地上に出したいところであるが、戦況は芳しくないと言ったのが実情である。

『……よろしい。ギガスモールに搭載されている機動獣を全て出撃させよ。状況によっては、私自らが出撃をする』







「これが……キャバリアのパーツ?」
「すっごーい! どれもカッコいいレーシングカーだ!!」
「この流線型のボディ……。どちらかと言えば、飛行機の類と似ていますね」
 進撃する機動獣軍団への対処とそれらに対抗するマーモット隊の支援を仲間の猟兵たちに委ね、百地・モユル(ももも・f03218)、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)の三名はプラント近郊にある研究所へと向かった。
 敵が奪取する目標であるプラントは無傷であったが、研究所とその近辺の工廠は機動獣が放ったであろうコウモリ型ドローンの爆撃を受け、大きな損害が生じている。火の手が上がっての消火活動や多くの怪我人が爆撃を凌げる壕の中で応急処置を受けているなどで騒然とする中を、三人は助けたいのは山々であったが脇目をよらずに走り抜けた。ここで救助活動をしても全ての元凶は止まらない。降りかかる火の粉を払うべく、彼らは研究所員に猟兵であることを告げた。
 そうして連れて行かれたのは、地下格納庫。開発責任者であるティム教授の案内の元で三人が目にしたのは、それぞれがキャバリアのオーバーフレーム、コックピット、アンダーフレームであるとは思えぬ三機のマシンであったのだった。

「全てはボロボロに朽ち果てた異形のキャバリアを、あの遺跡から発掘されたのが始まりだった。先史文明、古代魔法帝国次代のキャバリアに記録された情報を得た瞬間から、奴ら人類の天敵たる吸血鬼との戦いは始まっていた……となる。だが、紅血皇国ヴァンペリウムへの対抗手段となる機体の復元までには多くの時を要した。何せ、失伝した古代魔法帝国の技術を残骸から解析し、一から理論を築かねばならなかったのだからそれ以上は言うまでもない」
 何やらブツブツと難しい理論を語り始めたティム教授であったが、三人はそれをそっちのけて分離状態のスーパーロボットを物色し始めていた。

「へぇ……やっぱり、それぞれが一人乗りなんだ」
「ねぇねぇ、見て。このヘルメット! ものすっごくカッコよくない?」
「もしかして、これは……それぞれが組み合わさって合体するスーパーロボットなのでしょうか?」
「  そ  の  通  り  ! !  」
 突如として格納庫に響き渡った大声にぎょっとする三人に対して、ティム教授はメガネを光らせて鼻息を荒げながら詰め寄り、弾むような調子で次々と解説を続ける。

「ライザーの発掘は、私が長年夢見てきたロボットアニメの合体変形を実現するための画期的な大発見であった。だが、その操縦は並のキャバリア乗りでは到底務まらない。ようやく専属パイロットの錬成が終えて、マーモット隊との模擬戦に漕ぎ着けたと思ったら吸血鬼の連中に先手を打たれてしまった……。が、天は私を見捨ててはなかった。何故ならば、君たち猟兵が変わりのパイロットとなってくれるからだ。しかもどうしてか、熱血漢な少年、どこか只者でない雰囲気を醸し出している青年。極めつけに紅一点のお姉さん。ロボットアニメの王道配役が、今まさに、現実として再現されようとしているのだ!! ……ゴホッゴホッ! ……失礼、弁に熱が入りすぎてしまったようだ」
 白衣から携帯用の酸素ボンベを取り出して酸素吸引をしている教授の姿を尻目に、不安な表情で三人はお互いの顔を見合わせたのだった。
 大丈夫か? このヘンな教授が作ったマシンは、と。







『機動獣隊、地上へと出ます!』
『『ギュワォオオオンッ!!』』
 大地を突き破って地上へと躍り出た機動獣クラッシュモールの群れが、忌々しい太陽に向かって一斉に吠え立てる。
 増援された機動獣は総勢12機で、マーモット隊と連携する猟兵の防御線の中で最も手薄な地点へと出現した。機動獣の眼前には無防備同然のプラントが聳えており、いち早くプラントを奪い取れば地上人はおいそれと攻撃を加えることはないと判断しての起死回生ともいえる奇襲作戦であった。
 騎士として正々堂々たる戦いを挑むのを是とするアーガスであったが、不利な状況であると判断を下し己の矜持を曲げての決断である。

『……これは?』
『どうした?』
『地上人のプラントより、複数の機影がこちらへ迫ってきます!』
 その様子は上空に控えているコウモリ型ドローンがつぶさに観測をしていた。赤、白、青……所謂トリコロールカラーでそれぞれが彩れた地面スレスレに空を飛ぶレーシングカー、ライザーマシンが機動獣を迎撃すべく出撃したのだ。

「くっ……こンの。ヘンな教授が作ったのに、凄い速度を出してくれて……ッ!」
 蒼く塗られたマシン、β号に搭乗しているのは朱鞠であった。軽くアクセルを踏んだだけというのに、計器を見ると時速300キロを優に越えている。いつものように軽口を叩こうとすれば、思わず舌を噛んでしまうかのような殺人的な加速力であった。

「流石に、この食い込んでくるGは身体に堪えますね……ッ!」
 純白に塗られたマシン、γ号に搭乗したのは家光。武家政権の棟梁たる徳川幕府の将軍として日頃から肉体の鍛錬を怠らない彼であったが、それでもこの加速力は身に堪えるものであったのだった。

「すごい、すっごーい! ものすっごくはやーい!!」
 紅く塗られたマシン、α号に搭乗しているのはモユルである。モンスターマシンが生み出す殺人的な加速力に音を上げつつあるふたりに対し、こちらはその疾さに目を輝かせながら感動している。というのも、彼は難病を克服するために身体をほぼ全て機械のサイボークと化している。生身の身体である朱鞠と家光とは異なり、頑丈すぎる身体はライザーマシンに最適なパイロットと言えよう。

「……どうだね? 私が作り上げたライザーの乗り心地は?」
 そんな様々な心境の三人が乗るライザーマシンに通信が入った。声の主は、あのティム教授だ。

「最悪よ!」
「もう少し手心というものですね……」
「うん! すっごく楽しい!!」
「そうか。楽しんで貰えて何よりだ」
 ティム教授の反応を見るに、どうやらモユルの感想のみ受け取っている気がしてならない。それにムカッと顔に不満を浮かべる朱鞠と、苦笑いを浮かべる家光であったが、教授の言葉はそれを汲みせずに続けられた。

「ライザー……いや、サンライザーはそれぞれのライザーマシンが合体することで、本来の姿となる。乗る前にも説明したが、自分が乗るライザーマシンが機体の制御を司るメインコックピット。あとは機体の補助を司るオーバーフレームにアンダーフレームとなる。即ち……」
「自分が他のマシンに挟まれるように合体する、でしょ?」
「ご名答だ、モユルくん」
 何たる狂気。満足に指すらも動かすことがままならない殺人的なスピードの中で、ドッキングしろと?

「無理無理、マジで無理! そんなコトしたら、ペッチャンコじゃないの!!」
「一か八か……嫌いな言葉じゃありませんが、流石に訓練も無しにぶっつけ本番はちょっと……」
 朱鞠と家光の申し出は至極当然だ。いくらコンピュータ制御の補助があるとは言え、未訓練状態で有人操縦同士でのマニュアル合体は猟兵と言えども自殺行為に等しい。

「そうだと思って、こんな事もあろうかと」
 三人が操縦するライザーマシンの後方から、無人操縦モードのライザーマシンが接近してくる。こちら出している速度よりも速いのは、コックピットにパイロットが居ないためか。自分が乗るβ号を追い抜く無人のα号を朱鞠が見るや否や、これで精一杯なのにまだまだスピードが出るモンスターマシンを目の前にして、見る見ると血の気が引いていく。
 本来であればこれに乗るはずであった正規のテストパイロットは、一体どんなバケモノパイロットであったのか?

「三人の心を一つにして無限の力を引き出すスーパーロボット、サンライザーの真の力を引き出せないのが残念だが、ぶっつけ本番での合体は不可能と見て仕方ない。よって、無人機がエスコートしての合体だ。気を引き締めて頑張ってくれ給え」
「うん、分かった!」
「それなら、まぁ……」
「ねぇ、ちょっと良いかしら?」
 意気揚々に返事を返すモユル。それならばと、納得する家光。だが、まだ納得しきれていない朱鞠は、素朴な質問をティム教授に問いかける。

「無理してこの速さで乗ったまま合体しないで、研究所の中で合体しておけば良かったんじゃないの?」
「…………では、スタッフ一同で諸君らの健闘を祈っている」
「ちょっとぉ!?」
 暫しの沈黙の後、ティム教授が通信を切った。流石に触れてならなかった話題だったのか。それとも、その考えがあったかという沈黙であったのか。何はともあれ、三人はこのまま合体せねばならないのは変わらない事実である。

「じゃあ、朱鞠さん。お先に!」
「色々と察しますが……お互いがんばりましょう」
 そんな朱鞠を他所に、モユルが乗るα号と家光が乗るγ号が無人機のライザーマシンとの合体シークエンスに移行するため、機首を上空へと向けて上昇していく。まだ踏ん切りが付かない彼女を急かすように、先を走る無人機から送られてくるビーコンのサイン音が無情にもコックピット内で鳴り響いていた。

「……いいわ。覚悟してやってやるわ!」
 とうとう腹を決めた朱鞠が操縦桿を握って力いっぱいに引き絞ると、緩やかにβ号は機首をもたげ、無人機もそれと連動するように上昇したのであった。

『敵飛翔体、進路を変えて上昇していきます!』
『あの接近速度……ミサイルではなかったのか?』
 アーガスの疑念は最もであった。速度、形状からしてプラントを防衛する地上人が苦し紛れに放ったミサイルの類であると、彼自身も信じて疑わなかったからだ。ギガスモールの管制室に設けられた大型モニターが、飛翔体が上昇していく様を映し出す。

 ──もしやアレは?
 その時、アーガスに既視感が生じた。だが、彼はすぐにその可能性を脳裏から拭い去ろうとした。何せ、今と過去とは大きな差が生じている。アレが今も現存するとなれば、古代魔法帝国は今も存在している筈なのだから。

「「「チェーンジ!!」」」
 モユル、朱鞠、家光らそれぞれが乗るライザーマシンで、音声承認システムが合体の合言葉を読み取る。何故叫ばなければならないかというと、それがスーパーロボットの浪漫であると、後にティム教授は熱弁を振るうだろう。
 一見すれば、完全なる衝突事故。だが、合体シークエンスが働いたことでそれぞれの三つのマシンが一つになり、手足がある人型へと姿を変えていく。

「ライザー1!!」
 青のβ号、赤のα号、白のγ号。中心のコックピットにはモユルが座する機体は、ライザー1。クロムキャバリアにおいては主戦場となる地上において、汎用性に優れた陸戦形態である。

「ライザー2!!」
 白のγ号、青のβ号、赤のα号。中心のコックピットには朱鞠が座する機体は、ライザー2。腕が古典的なロボットアームと巨大なパイルバンカーでライザー1と比べて汎用性に欠けるが、ライザーマシン状態の速度にも劣らぬ機動力で敵を翻弄するのが得意とする空戦形態である。

「ライザー3!!」
 赤のα号、白のγ号、青のβ号。中心のコックピットには家光が座する機体は、ライザー3。マッチョなライザー1、細身のライザー2と比べるとずんぐりむっくりな姿をしているが、その外見通りに堅牢な装甲と怪力を誇る水陸両用形態である。

「サン!」「ライ!」「ザー!」
 無意識にそれぞれの形態を総括する呼称『サンライザー』の名を叫んだ三人は、それぞれの武器を構えて上空より機動獣を強襲する。

「いっけー! ライザーホークだっ!!」
 モユルの叫び声に音声入力システムが反応し、肩部より柄のような棒がせり出してそれを引き抜けば、トマホークの形を展開する。刃は瞬時に赤熱化して、機動獣クラッシュモールの頭部はおろか、ボディすらも一気に斧の質量に任せて溶断せしめる。

「これで串刺しにしてあげるわ! ライザーバンカー!!」
 ライザー2のブースターユニットに火が灯り、一気に加速して急降下。機動性に長ける機動獣さえも翻弄する速度のまま、先端が赤熱化したパイルバンカーを動力部へと突き刺す。そして止めに、突き刺した杭を通じて敵内部にサンライザーの動力源である太陽エネルギーによる衝撃を叩き込む。

「こちら華々しい武器は特にないようですが、逆にそれが良いかもしれませんね!」
 特に目立った装備という装備がないライザー3。サムライブレイドを得物として扱う家光としては剣があればこの上無いが、無いなら無いで伸縮自在のフレキシブルアームの拳を組んで大きく振り上げ一気に振り下ろすのみ。その力は絶大なもので、落下スピードと自重も合わさった一撃に、ヘルメット型の装甲で保護された機動獣の頭部がおおきくへしゃげた。

『て、敵飛翔体、キャバリアに変形!?』
『クラッシュモール、立て続けに撃破されました!』
 予想だもしなかった事態に、地底要塞ギガスモール内の管制室が騒然とした。爆破四散した機動獣の炎に包まれながら映し出される三機のスーパーロボットを目にしたアーガスに激しいフラッシュバックが蘇る。

(ま、まさか……。いや、細部は異なるが間違いない……皇国を地に追いやったヘリオスか!?)

『ガォオオオオンッ!』
 仲間の仇を打たんとばかりに、機動獣が吠え立つ。咆哮とともにコウモリ型ドローンが射出され、爆撃の嵐が三機のライザーへと襲いかかる。

「おっと。ちょっと揺れるだけってのも凄いものですね」
 モユルのライザー1、朱鞠のライザー2は躱してみせたが、家光のライザー3は陸上での鈍重さが仇となって爆弾の雨に晒される。しかし、強固な装甲は至近距離の爆発をも物ともせず、お返しにとばかりに家光は自らのUC、『神州因幡白兎殺』を解き放つ。
 キャバリアサイズの巨大ザメが回転ノコギリ状の皮剥ぎ刃を唸らせ、三体の機動獣目掛けて一斉に襲いかかる。ライザー3にも劣らぬ硬さを誇り生命体に有害な粒子を浴びせる有毒装甲であったが、あらゆる環境に適応するサメの前には有毒装甲の毒粒子などは効かない。ましてや、鋼鉄をも容易く斬り裂く皮削ぎ刃が機動獣の素体を太陽から守っている有毒装甲を剥がしにかかる。剥き出しとなった素体に太陽の光を浴びたクラッシュモールはドロドロに溶解していき、最後には激しい爆発とともに消失したのであった。

「私の紅蓮の宴……篤と味わいなさい……。貴方の罪が煉獄の炎で燃え尽きるその時まで……チェーンパンチ!」
 スーパーロボットに乗りながらも自らのUCを使用できる。家光が行った反撃方法を目にした朱鞠は、その応用に打って出る。
 UC、『忍法・煉獄炮烙の刑』。彼女の場合は、ライザー2のロボットアームに有線型ロケットパンチとも言える鎖が仕込まれたチェーンアタックと呼ばれる機能との合せ技だ。古典的なハサミ状のロボットアームをアンカーとして、UCによって炎を纏い熱を帯びた鎖が機動獣を纏めて絡め取る。そして赤熱化する鎖で有毒装甲を融解させ、ブースターユニットの噴射で一気に引き絞ると機動獣は断末魔の咆哮とともに溶断された。

「ボクたちの進む道、誰にも邪魔はさせないよ!」
 家光と朱鞠の活躍ぶりに後押しされ、モユルは意気揚々に第二の身体とも言えるライザー1を走らせる。そして機体はモユルが発現させたUCによって灼熱の炎に包まれ、肩アーマーに仕込まれたライザーホークの柄でもあるスパイク部を機動獣の群れに向けさせた。モユルの必殺技『オーバーヒートバッシュ』である。

『グワォオオオオンッ!?』
 仲間たちの勇姿に士気が最高点にまで上がったモユルによるショルダーアタックを受けた機動獣が相次いで吹き飛ばされ、激しく大地と激突するや否や爆破四散した。

『じ、12機の機動獣隊……全滅しました!』
『ものの三分も立たずに、か。……バケモノめ』
 カメラユニットのみが辛うじて機能しているクラッシュモールから送られる映像が、地底要塞ギガスモールの管制室に映し出される。かつて永遠の夜を手中に収め栄華を極めた紅血皇国ヴァンペリウムを地底へと追いやり、決戦に挑んだ数多くの吸血騎士を率いる先帝が刺し違えて共に果てたはずの忌々しきキャバリアが復活を遂げていた。
 その事実にアーガスが怒りを露わにして、皇国に仇する怨敵を睨んだのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『アンノウン』

POW   :    クラッキングコード
命中した【右腕から延びるコード】の【先端】が【クラッキング用の有線式端末装置】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    ハッキングコード
【左腕のハッキング用接続用電子コード】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ   :    ミダス・タッチ・フラッシュ
【メインカメラ】から、戦場全体に「敵味方を識別する【光信号】」を放ち、ダメージと【移動不可】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はユーリー・ザルティアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 プラントを襲撃していた地下帝国ヴァンペリウムの地上侵攻尖兵たる機動獣『クラッシュモール』は、善戦むなしくも猟兵たちの前に、サンライザーの前に敗れ去った。その様を、上空を飛行するコウモリ型ドローンらが捉えている観測映像が遙か地下に移動式前線基地『地底要塞ギガスモール』へと届けられ、作戦司令官の吸血騎士アーガスはおろか兵らにも動揺が広がっている。
 地上侵攻の足がかりとなる橋頭堡を築くために展開されていた作戦の前段階は失敗に終わったのは明らかであるが、親愛なる女王陛下に必ずや作戦成功の勝利をもって凱旋すると約束したからには、結果を出さぬままおめおめと逃げ帰るわけにもいかない。こうなれば全ては自らが招いた失策として、そのケジメをつけるべく希少鉱石ラズカルクムにより生まれ変わった自らの愛機で決戦に挑むべきか?
 厳しい顔持ちで刻々と変化する状況への選択を迫られていたアーガスであったが、そこへ慌ただしくも新たな報告が送られたのであった。

『機動巨獣(モビルメガビースト)・アンノウン、こちらの制御コードを受け付けず地上へと出ようとしています』
『何だと!?』
 今回の作戦における地上のプラントをオブリビオンプラントへと作り変える要たるオブリビオンマシン、アンノウン。ヴァンペリウムが所有する地下プラント『エキドナ』より生み出された正体不明の素体は尚も成長を続けており、機動獣とは別のカテゴリーを表す機動巨獣の名が新たに名付けられた。未知の怪物にヴァンペリウム技術陣は苦心して制御下に置くことを成功し、数々の実験によってプラントをオブリビオンマシン・プラントへと作り変える特殊性が判明されている。
 なにせ、何の前触れもなくトリアイナ領海内の洋上プラント『エンデカ』がオブリビオンマシン・プラントと化したのも、この実証実験によるものである。このデータを元に数々の改良が施され、プラントと一体化することで機動獣の地上生産拠点だけではなく再び『永遠の夜』を展開するための装置となるのだ。だが、未だに未知なる存在であることには変わりなく、このギガスモールで制御を行うという厳重なる首輪がかけられていた。それが今こちらの制御を受け付けず、地上付近まで牽引した無人機型機動獣の静止を巨体に任せて振り切ろうとしている。ギガスモールをぶつけようにも、巨大すぎる。

『……地上侵攻作戦は予定通り継続する。各員、各々の使命を全うせよ』
 下手に止めようとすれば、こちらも侵食されるのは明白である。アーガスはそのように決断を下すと、吸血鬼兵らは指揮官の命令に従いコウモリ型ドローンから送られるデータの報告に専念し直すのであった。


「なんだ、この地響きは!?」
 一方その頃、猟兵とともに押し寄せる機動獣軍団からプラント防衛の任を果たしたマーモット隊にも衝撃が走っていた。地上には激震が走り、各々が何が起きるのか身構える中でプラント前方の大地に亀裂が走ったかと思えば、生きるモノ全ての耳を聾する悪魔の産声とともにそれは姿を現した。

『ギュオオオオオオオオンッ!!』
 その姿を見上げた全ての者が戦慄する。立ち昇る土煙の中、巨大な目玉がギョロリとこちらを見下ろせば、蛇に睨まれた蛙の気持ちが否応なく分かってしまうものであろう。
 だが、数々の戦場と地獄を渡り歩いた傭兵国家の一員であるマーモット隊は、臆することなく……いや、コレをどうにかせねばならないという本能が訴える警鐘によって無意識にバントライン砲を構えて一斉射を敢行した。

『撃て! 兎に角、撃ち続けろ!!』
 無数の阻止砲火が対象に命中したことを現す炸裂音と閃光で大気が激震したが、それを嘲笑うかのように巨獣は鷹揚と触腕をしならせ、大地をえぐりながらマーモット帯のピースメーカーを薙ぎ払ったのだ。
 自らにインプットされた命令を邪魔立てする障害を一掃した機動巨獣アンノウンは、ゆっくりと巨体を揺らしながら土煙と爆煙によって包まれたその姿を現した。全長は40メートル……いや、50メートルはゆうに超えていようか?
 まさに巨獣。まさに厄災の獣。
 しかし、巨大なコードの触腕によって薙ぎ払われて大きく損傷したマーモット隊のピースメーカーには興味はおろか脅威と認識していないのか一瞥もせず、目標であるプラントへと前進し始める。この機動巨獣の生体脳にあるのは、プラントとの融合のみ。かつて地上に君臨していた吸血鬼が統治する紅血皇国ヴァンペリウムの再興のみであるのだから。
編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」

囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。

戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。

『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』


中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。性格は享楽的な戦闘狂
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】を【早業】で繰り出す
ドラゴンランスを使うことがあれば、相手を【串刺し】にするか、竜に変えて【ブレス攻撃】
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します

あと、虫が苦手


メイスン・ドットハック(サポート)
『めんどーじゃけど引き籠る為に』

アメジストのクリスタリアンで、熟練の電脳魔術師
攻撃手段は電脳魔術・もしくは電脳魔術や現代技術を使ったトラップ
電脳魔術はミサイルや機銃、大型兵器も精製可能
トラップは地雷、機雷、ワイヤートラップなど様々
またハッキング技術も長けており、機械コンピュータはもちろん、電脳魔術を応用することにより、空間に直接ハッキングを仕掛け、情報を収集することもできる
正々堂々よりかは、搦手で弱点を的確に攻撃するタイプ
心理誘導をしたり、囮を使ってなどもする
仲間との連携は歓迎

喋り口調は広島弁
「じゃけん→じゃけー」「じゃけえのう→じゃけーのー」と語尾を伸ばすのが特徴的


ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)

ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。


虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えて自爆活動さ
アドリブ連携等ご自由に

登場即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
そう、自爆だ
僕に自爆をさせるんだ!
僕もろとも鏖殺だ
これぞ鏖殺領域なり

ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する怪奇現象
もはや災害である

技能:捨て身の一撃を用いての
メッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆

射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
大事なのは自爆までのスピード
有無言わせぬスピードで自爆する
これ最重要だね

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能



「何だ、あの巨大なキャバリアは!?」
 プラントに併設された研究所の観測モニターに映し出される機動巨獣『アンノウン』。割れた地面から音もなく浮上してきたそれに対し、残存するモーマット隊が野砲を改修してキャバリアに携帯できるようにした最大火力とも言えるバントライン砲の集中砲火を浴びせかけられる。だが、装甲化された巨獣は炸裂する砲火のを物ともせずに地に這う虫を払うが如く両腕から伸びたコード群により、モーマット隊は壊滅的被害が発生した。

「なるほどじゃけーのー。どうやらもんすごいエネルギー障壁、所謂バリアで防ぎおったかのー」
 驚きを隠せないティム教授と研究所員の傍ら、アメジストのクリスタリアンにして熟練の電脳魔術師であるメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は、ホログラムモニターより映し出される映像の解析結果を説明する。
 曰く、巨体故に生身の人間が近づくだけで即死するレベルの有毒装甲より発する素子が磁場を形成したことによる現象であるという。幸いにもキャバリアに搭乗すれば即死級の有毒装甲による被害は抑えられるので接近は可能だか、野戦砲級の実弾兵器すら弾き返してしまうエネルギー障壁を破るのは至難の業だと広島弁混じりに報告した。

「つまり、強固な隔壁を突破し装甲に損傷を与えれば綻びが生じる、と?」
「大正解じゃわー、教授。それとたいぎいけぇことに、連中のいびせえ目的も分かったけんのー」
 クロムキャバリアに到底無い未知なるスペースシップワールドの技術に関心を寄せてながら頷くティム教授へ、メイスンは別モニターを展開して見せた。内容は雑音としか言いようがないものであるが、これは電脳魔術の力を持ってハッキングを試みた際に得られたオブリビオンマシンの『声』である。彼女自身もオブリビオンマシンに搭乗するので、それによって得られた情報を元にデコーダーソフトを作っている。それでもって、この雑音を解析にかければ……こちらの世界の共用語に変換された文字列が浮かんでくる。

「こ、これは……」
「そうじゃのー。アレの目的は『プラントとの融合』……早い話がオブリビオンマシンプラント化じゃけんのー」







『ギュオオオオオオオオンッ!!』
「こ、こんな怪物……倒せるの?」
 研究所より遙か数マイル先とは言え、聳え立つ機動巨獣の姿とここまで大気を震わせる唸り声にティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)が、思わず怖気づいてしまう。通常であるならば5メートル前後のキャバリアであるが、その十倍近くもある巨体が現れてしまえば、誰でも果たして倒せれるのかと不安となろう。

「すぐに終わってしまってはもったいないものでしてよ? 寧ろ、あんな怪物を相手にできるだなんて……ああ、ゾクゾクしてしまいますわ」
 そんなティモシーとは対象的に、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)の別人格である『シルヴァーナ』はニヤリと笑みを浮かんでみせた。もし主人格である裕美であったらば、彼女はティモシーと同じかそれ以上に弱気となっていたであろう。

「……あれ、とてもイヤな感じ」
 一方、編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)はというと、オブリビオンマシンから放たれる邪悪な意思を感じ取ってか、継ぎ接ぎの黒猫人形を両腕で強く抱きしめながらキツく睨んでいる。彼らがキャバリアに乗らずに出撃していないのは、もしもの時のために備えて後方であるプラントとその隣に併設された研究所を守るためである。機動獣と呼ばれる無人キャバリアをもってヴァンペリウムは侵攻したが、何らかの手段で陽の光を防いでいる別働隊がプラントを制圧する可能性があってのことであった。
 幸いにしてそのような事態には至らなかったが、プラント防衛線において役割を果たしていたモーマット隊は、巨獣のひと薙ぎにより壊滅的被害を受けた。ともなれば、プラント防衛戦線最後の頼みの綱は、ここに控えていた猟兵である彼らにかかっているのだ。

「待たせたのー」
 そこへハッキングと観測、それと電脳魔術によって急場しのぎながら迎撃ミサイル発射装置やら迎撃機銃群などをプラント周囲域に設置を終えたメイスンが、O-Ⅸ型機動強襲用二足歩行戦車型キャバリア『KIYOMORI』を駆って合流する。依然として巨獣は前進を続けており、今も点在しながら残存するモーマット隊のピースメーカーが放つバントライン砲が着弾しているが、虚しくもその進撃を留めることすらできていない。
 機動巨獣アンノウンがプラント最終防衛ラインを巨体に任せて突破すると、再び激しい咆哮を唸りあげ、両腕を掲げると無数に分岐したコードが生きているかのように地面へ叩きつけられるとのた打ち回り、大蛇の群れさながらに押し寄せてくる。

「うへぇ……気味悪い」
 生理的に嫌悪してしまう光景を前に、思わずティモシーが身震いする。それと同時に、後方から噴煙を立てながら発射された飛翔体が彼の頭上を通り抜けていく。メイスンが電脳魔術で複製し設置した迎撃ミサイルである。

「教授から貰ったデータを元に、僕が即席ながら作った太陽エネルギー弾のお味はどうじゃー?」
 ミサイルが着弾すると、太陽の如く眩い光が爆轟とともに発する。同時に遠く離れたアンノウンが苦痛に満ちた叫びを上げた。彼女の解析結果では、装甲化された部位には強固なエネルギー障壁が展開されているといった話であったが、逆に言えば非装甲化されていない部位ではそれらが発生していないこととなっている。即ち、アンノウンの攻撃手段であるコードには太陽光を防ぐ被覆が施されているが有毒装甲化はされていない。故に太陽光を浴びると致命的被害を受ける吸血鬼と彼らが作り出したキャバリアである『機動獣』にとって、克服する手段が有毒装甲から発する素子が陽光を遮る機能であった。だが、その有毒装甲が地下でも容易に算出されていない希少鉱石が原料となれば、潤沢に使用することは出来ず削るべき箇所は施されていないともなる。
 現にこれらのコード類は半生体兵器の素体とは切り離された機械化されている部位にあたるので有毒装甲が施されておらず、エネルギー障壁も展開されていない。その証左に、炸薬が炸裂したと同時に太陽の如く燃え盛る火球が発生すれば、その熱量をもってしてコードは焼き爛れている。だが、蜥蜴が尻尾を切り落とすかのように、先端の損傷部位が自動的に切り離されると無事な部位が再びプラントを目指して迫り来る。今は回復と再生が追いついていないようであるが、それも時間の問題である。ここで自分たち猟兵が押し寄せるコードを食い止めねば、あっという間にプラントはハッキングされるとともに機動巨獣のメインデータと一体化してしまうのだ。

「……見えたっ。今度はそちらから押し寄せて来ます!」
 UC『UDC神拳:確率論回避(カクリツノナノモトニ)』。本来であればヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れ、なるべく負傷を避けがちなティモシーが確率論で最も確度の高い相手の攻撃を避けるために使うものだ。だが、裏を返せば『そこに敵の攻撃が来る可能性が極めて高い』ともなる。今も多くの世界でオブリビオンによる危機が多発している以上、どうしても少数精鋭となりがちで猫の手も借りたい猟兵側としては無駄なく行動が出来るという次第でもある。

「ビンゴ! 普段はポンコツ占い師でも、力の使い方次第で凄腕占い師になるじゃない」
 褒めているのか貶してるのか微妙なところだが、確かにティモシーの予想通りにコード群が再び押し寄せて来たのをシルヴァーナが彼女なりに褒め称える。享楽的な戦闘狂の殺人鬼は待ってましたとばかりに、手にしていた黒槍を掲げるとそれを勢い良く投擲する。そして穂先が複雑に絡み合ったコードの塊に刺されば、これがキーとなってUC『ドラゴニック・エンド』が発言する。黒槍……ドラゴンランス『覇空竜スカイフォール』が体高30セントメートルほどの黒い小型竜となれば、力強く翼を羽ばたかせて飛翔し、吐かれた灼熱のブレスがコード群を滅却する。

「めんどーじゃけど、引き籠る為に僕も頑張れねばじゃけーのー」
 メイスンはコックピットの中で気だるそうな声でコンソールを操作し終えると機体から降りて、UC『大いなる虞は顕現し、幻想を祓う(オソレハラエ・カクリヨノツルギ)』によって電脳展開させたあらゆる狂気を与奪する魔剣『虞祓幽世剣』を手にする。彼女お手製ソフトウェアAIによる遠隔無人操作モードが起動すると、KIYOMORIは搭載された数々の兵装をもって主であるメイスンの援護を敢行する。とめどなくコードが押し寄せるこの防衛戦においては、いくら人手があっても足りない。全ては安心して引き籠もるため、楽したいがために。LPL(長距離プラズマレーザー)砲、電脳ミサイル&多目的榴弾、浮遊追尾型電脳レーザー砲ユニットなどといった全兵装が展開される中、あらゆる狂気を与奪する魔剣が戦場を支配する狂気を喰らいながら究極妖怪『大祓骸魂』の残滓が封じられた刀身が妖しさと斬れ味を増していく。

「……来た」
 熾烈を極める攻防を黒猫の人形を抱きかかえながら最後の守りの要として見守っていた希亜がふと空を見上げると、劈くエンジン音とともに三機の機影が彼らの頭上を通り抜けていく。それはどれもが純白で彩られたライザーマシンであった。

「時間稼ぎは成功ってところね。もうちょっと斬り裂きたかったけど!」
 まだ暴れ足りないと舌打ちするシルヴァーナであったが、作戦通りであれば自分たちの仕事はここまでである。名残惜しそうにコードをナイフで斬り裂くと、これから始まる反撃の狼煙の巻き添えを喰らわないよう、一歩でも遠くへ逃げなければならない。
 各々がプラント側へと撤退していく中、機動巨獣アンノウンの直前でライザーマシンが合体をして、全身が白色のライザー1へと変形した。

『ガォオオオオオンッ!!』
 突如として行く手を遮るスーパーロボット、サンライザーの出現にアンノウンは咆哮で威嚇し、損傷が少ない左腕からハッキング用接続用電子コードを向かわせる。だが、ライザー1とはというと、合体後は微動だにせず只々立ちすくむのみ。
 それもその筈で、このサンライザーは合体プロセスの確認用に建造された、謂わばプロトタイプ。武装は積まれていないのだ。反撃する術は最初から持たぬスーパーロボットの装甲に容赦なくコードが突き刺さり、オイルがとめどなく溢れ出る。勝ち誇った巨獣が雄叫びを上げながら機体ごとコードを掲げ上げ、引きちぎって残骸とすべく傷口を広げた所でライザー1の目が力強く光った。
 まだハッキングの影響が起きていない稼働する腕を、コードが貫通して広げられた孔に手をかけると更に傷口を広げ、内部からサンライザーの動力炉である太陽エネルギー炉が引き抜かれた。

「自身諸共、一爆鏖殺。目指すは文字通りの鏖殺領域。これまでもない自爆、とくとご覧してみせよう」
 プロト・サンライザーのコックピットに座しているのは、ブラックタールの虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)であった。自爆の極みを目指す変態が目論んでいるのは、ロボットアニメでもお馴染みの『自爆』である。マッドサイエンティスト気質のティム教授によってこのプロトタイプには故意的な自爆機能は搭載されているが、流石にそれは危なすぎるとのことで現行機ではオミットされている。
 既に役目を終え、今は倉庫の片隅で眠る運命であった試作機。これをもってサンライザーを稼働させる太陽エネルギーを臨界させる自爆は、うつろぎにとって興味が尽きないものであり、同時にティム教授にとっても自らの理想を成就させる願ったり叶ったりと言わんばかりである。
 しかしながら、果たしてその破壊力はどれ程であるかはシミュレーションはしているものの、実際のところは誰も知り得ない。だから、仲間の猟兵たちは1メートルでも遠くにまで逃れようとしている訳であったのだ。

『グァアアアアアアッ!?』
「うつろぎ式・切宮殺戮術『一爆鏖殺』。これが僕の鏖殺領域さ」
 目の前で太陽、いやそれ以上に眩い光が迸ると、巨獣が苦痛に満ちた叫びを唸った。煌々と輝く太陽そのものを掴んでいるサンライザーであったが、熱によって装甲が融解をし始めている。暴走状態となった太陽炉は、なおも光を強め……そして、ついに限界を迎えた。熱核兵器、もしくはそれ以上の閃光が発し、巨獣諸共呑み込んだ。

「流石にUCと相乗させた効果は凄まじーのー」
 だがしかし、本来の自爆とうつろぎのUC『ウツロギ(メッサツモード)』が合わさった威力は、メイスンのシミュレーションを遥かに上回っていた。計算では安全圏であった場所にまで光、熱、衝撃波が迫ろうとしている。このままでは自分たちはおろか、プラントも甚大な被害を受けてしまうのは必定。

「やっぱり、私の力が必要になったのね。……痛いの怖いの全部、返してあげる」
 どう足掻いても逃れない破壊を前にし、希亜は込み上がる恐怖心を継ぎ接ぎの黒猫人形を抱きしめながら正対をする。これを成功するためには完全な脱力状態でなければならない。瞳を閉じて深く深呼吸し、彼女もまた光に呑まれる……そうなるはずだった。
 UC『仕返し(オペラツィオン・マカブル)』。この爆風は仲間である、うつろぎのUCによって倍増したもの。ならば、完全な脱力状態でこのUCを受ければ無効化できることになる。出来れば使わずに越したことはないのだが、こうなった以上は自らの手で何とかせねばならなかった。プラントにまで達すると思われた閃光はひとりの少女によって無効化されたが、完全に消滅した訳では無い。
 今まで抱きしめていた黒猫人形を放り投げると、そこから無効化した爆風が継ぎ接ぎを破って迸る。指向された閃光は爆心地に居た巨獣を再び呑み込んで見せる。スケープゴートとなった黒猫人形が地面に落ちると、無惨にも真っ二つとなって詰められていた綿が外へと飛び出ていた。

「……ごめんね。ごめんね……」
 何時ものようにまた縫うだけだが、このように傷まれない姿となれば罪悪感が否応にも込み上がってしまう。仄かに焦げた臭いが染み付いた人形を抱きしめ、希亜は涙を浮かべながらも何度も謝罪の言葉を口にしていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ユーリー・ザルティア
だ・か・ら・なんでこの世界の国のトップは正体不明な機体を考えなくほいほい使うのよ!!制御出来てから、理解してから使いなさい!!!
いや、ボクも拾ったオブリオンマシン(シビリアンジョー)使ってるけどorz

プラントをオブビリオンマシン化なんて絶対させないから!!
引き続き、ボクはシビリアンジョーで出撃。ARICA搭載のパールバーティには無人運用で『援護射撃』を担当してもらうよ。

コードが危険ね。
『瞬間思考力』で間合いを『見切り』、自慢の『操縦』テク回避。
ウルティメイトキャノンによる『砲撃』で攻撃するよ。


アンタたちにはアナタたちの正義があるんでしょけど…プラントに手を出すことだけは許せないから!!


四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


禍沼・黒絵(サポート)
『クロエと遊んでくれる?』
 人間の人形遣い×ビーストマスター、13歳の女の子です。
 普段の口調は「無感情(自分の愛称、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」、独り言は「ちょっと病んでる(自分の愛称、アナタ、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

一人称はクロエ、人からクロエと呼ばれると喜ぶ。
ちょっと暗い感じの無表情なキャラ
武器は装備している物を自由に使って構いません。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


シホ・イオア(サポート)
『前へ進む、痛みと祈りがシホの背中を押してくれるから』
怖くなって緊張すると 口調が硬くなる
背中の聖痕で相手の悩みや痛みを感じ取ってしまうため
敵でも癒したい・終わらせてあげたいという方向で動く
罠や防衛戦では建造物を作り豪快に解決することが多い
自衛手段を持たないものがいる場合は救助を優先
ユーベルコードは遠距離戦に強いものが多いが
残像を纏い剣と銃を使って接近戦も行ける
輝いているため隠れるのは苦手
一人称は「シホ」
連携アドリブ歓迎



 類を見ない規模の自爆を受けた機動巨獣アンノウンであったが、その姿はグラウンド・ゼロにおいて健在であった。だが、流石に強固なエネルギー障壁をもってしても間近で発生した人工の太陽による威力を前にして、素体全身を覆う有毒装甲が融解するという甚大な被害を齎すに至った。至る箇所には亀裂も生じ、有毒装甲が発している素子も減少していることから日光を遮ることもままならずに身を焦がす傷みに苦痛の咆哮を上げていた。

「プラントをオブビリオンマシン化なんて絶対させないから!!」
 強固なシールドを破壊させる決定打となりうる自爆攻撃の知らせを受け、一時的にプラント側へと撤退していたユーリーが愛機シビリアンジョーと学習型AI『ARICA』を搭載した量産型キャバリア『パールバーティ』を僚機として再出撃を図った。
 だが、巨獣は敵機の到来を察知するや、自爆攻撃による熱から逃れるべく地面に潜らせていたハッキングコードをしならせて反撃に打って出る。

「ッ!? このっ!」
 機能不全に陥ったと思われるアンノウンの奇襲を受け、自慢の瞬間思考能力と操縦テクニックによる認知判断操作によってギリギリに回避できたが、不整地を突破するためのキャタピラが仇となってパールバーティは餌食となってしまう。キャバリアの装甲をも尽き抜いたコードの先端から伸びた電極が電子装置を介してハッキングを行う。辛うじてARICAその物はハッキング対策のファイアウォールで完全に乗っ取りはされていないが、部分部分の操作となれば話は別となる。動作不良を起こしたかのようにギクシャクとした動きで両肩のキャノン砲が上下し、照準が定まらない状態でユーリーに向かい砲撃を行って来た。

「ARICA、しっかりして!」
 無線越しにハッキングに抗う人工知能ARICAを励ますものの、システムが塗り替えられて完全に乗っ取られるまでは時間の問題であるかもしれない。他に襲いかかってくるコードの猛攻を躱しつつ彼女の脳裏に思い浮かんだのは、敵の手中に落ちてしまうのならばいっその事自分の手で……。
 時は一刻も争うとユーリーは覚悟を決めてウルティメイトキャノンの照準を向けようとした矢先、割り込むように無線が入電する。

「ライザーホーク、ブゥゥメラン!!」
 何処ともなく投げ放たれたセラミック系高分子化合物の刃が赤熱化したキャバリア用の手斧が、パールバーティに突き刺さったコードを断ち切る。ハッキングから逃れたパールバーティがシステムの再起動を図るために静止したのを確かめると、ユーリーは斧が投げ放たれた方角へとメインカメラを向ける。そこには彼女たちを追って出撃したライザー1の姿があった。

「ふふ、クロエに感謝してね?」
 メインコックピット担当の禍沼・黒絵(災禍の輩・f19241)が不敵な笑い浮かべる中、病んでいそうな口ぶりの彼女とは真逆にはつらつとした元気のいい声が無線に割り込んできた。

「クロエ! 前、前! あーもう、間に合わないじゃない! 符よ七色の力を顕現せよ。混沌の輝きにて敵を討て!」
 オーバーフレーム担当の四王天・焔(妖の薔薇・f04438)が新たな獲物を感知して迫りくるコードに対し、不慣れな操縦の中で慌ただしくも自らのUC『混沌七彩符(カオティックレイ)』を発現させて迎撃にあたる。

「わかってる。こんなコードなんて、全てを浸食する呪われた黒百合の舞を受けてみると良いの」
 機体を中心として放たれた炎・冷・雷・光・闇・心・無と七種類の属性の光線で襲いかかるコードを焔に迎撃させながら、クロエが先程投げたライザーホークを手に取り直すと自らもUC『呪われた黒百合の舞(カースド・リリー)』を発現させて応戦する。無骨な手斧の形状が崩れると、無数の呪術が込められた黒い百合】の花びらへと変わり、風もなく舞い上がるとコード群をズタズタに切り裂いていく。

『ガァアアアアアアッ!!』
 アンノウンが埒が明かないと判断したか、咆哮とともに巨大な目玉状のメインカメラをこちらに向けてくる。

「そうはさせない。世界を癒せ、シホの光!」
 満身創痍の機動巨獣アンノウンを前にして共鳴を受けた背中の聖痕が傷みで疼く中、小柄な妖精種族故に自動操縦モードとなっているアンダーフレーム部分担当のシホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)も自らのUC『レインボーフラッシュ』を発現させた。
 彼女の聖痕を通して溢れ出る癒しのオーラが、ライザー1の機体全体をも包んで淡い光を発させた。この光を浴びたアンノウンは思わずして動きが止まってしまう。UCによる魅了か脱力の効力もあるであろうが、眩い光を敵視する中で始めて出会った優しい光に戸惑いの色を隠せないようでもあった。

「動きが止まった……? 今なら、行ける!」
 ライザー1に登場する三人の乙女たちの華麗なる連携により、機動巨獣の動きが止まった。それを見逃さず、ユーリーはハンドルを握り直して機体を疾走らせ、動力炉があると思わしき最も熱量が高く感知された箇所へとウルティメイトキャノンの砲身を向けさせた。

「クロエたちも力を合わせて行くわよ」
「うん! えーと、日輪の力を借りて今必殺の、だったかな?」
「それは流石に違うかと……」
「はぁ……いい? クロエに合わせて、三人の心をひとつに合わせるのよ」
 という、三人乗りならではのやり取りをしつつ、サンライザー必殺技を放つべく頭部をユーリーが狙う箇所に合わせて向けさせる。

「アンタたちにはアナタたちの正義があるんでしょけど……プラントに手を出すことだけは許せないから!!」
 ユーリーが自らの祖国と姿を重ねるまでに理不尽な理由をもって地上を侵略する地下帝国への批判を叫び、物質化するほどの膨大な質量の荷電砲……ウルティメイトキャノンのトリガーを引き絞る。

「せーの……」
「「「ライザービーム!」」」
 それに合わせ、三人の乙女たちが心をひとつにさせ、極限にまで増幅された太陽エネルギーの奔流が頭部の発射孔から迸った。ふたつの光が並列し、辛うじて展開されていたエネルギー障壁は容易く貫通され、膨大な熱量を前にした有毒装甲も貫いてみせる。

『グギャアアアアアアッ!?』
 有毒装甲によって守られていた素体内部の巨大な動力部が融解し、また致死量を超える太陽エネルギーによって徐々に巨体が崩れていく。紅血皇国ヴァンペリウムが誇る地上侵略用決戦兵器たるオブリビオンマシン、機動巨獣(モビルメガビースト)が苦しみ悶える断末魔とともに爆破四散という終焉を迎えたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ワルプルギス』

POW   :    バタフライエフェクト
自身の【未来】を代償に、【世界を滅ぼしかけたキャバリア】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【相手を埋葬するナノマシン】で戦う。
SPD   :    フラッシュバック
自身の【過去】を代償に、1〜12体の【強力なキャバリア】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    スーパーヴォイド
対象のユーベルコードを防御すると、それを【無かった事にして】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠朱皇・ラヴィニアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地下帝国が放った決戦兵器、機動巨獣(モビルメガビースト)アンノウンは猟兵たちを前に敗れ去った。周囲には素体である有機物組織が付着した鉄くずが散乱し、肉片が彼ら吸血鬼が忌むべき陽光に灼かれると、何とも形容し難い悪臭を醸し出して泡立ちながら蒸発していく。その光景を研究所内のモニターより観測していたティム教授は、今後のヴァンペリウムとの戦いに備える研究材料となる機動獣の生組織サンプルを確保できないことに深く残念がっていたが、それも再び起こった地響きによって消し飛んだ。

「新手か!?」
 誰もが再び巨獣が出現したかと思ったが、その意に反してロボット怪獣が開けた大穴から上空に向かって飛翔した物体は通常サイズのキャバリアであった。

『女王陛下より賜った機動巨獣が無惨な姿となってしまったか……』
 今も観測を続けているコウモリ型ドローンから送られる映像で、地下の移動式前線基地『地底要塞ギガスモール』よりアーガスと吸血鬼兵らも機動巨獣が爆破四散した様を騒然としていた。当作戦の要となる機動巨獣を失ったことで凱旋を果たせなくなり、このまま敗走すれば自分はおろか部下にまで叱責は免れない。
 ならば、最前線を預かる司令官として全ての咎は自らにあると、この生命と引き換えに示すことが『高貴な身分に伴う義務』となろう。それと領地奪還の旗艦たる地底要塞ギガスモールは、今も冷凍睡眠装置たる棺の中で女王陛下の命を控えている同胞のブラッドクロ、吸血騎士らが引き継ぐこととなる。
 故に事態が急変した時に備えて搭載していた愛機たる有人型機動獣、機獣士(ナイトビースト)『ワルプルギス』が単機出撃と相成ったのだった。

『聞こえるか! 地上人、血袋よ! 私の名は、吸血騎士の忠義なるアーガス。赤き翼のアーガスなり!』
 それぞれの共通無線チャンネルに、赤き翼の異名を現す朱色の飛行翼を展開しながら太陽を背にしたワルプルギスからの通信が入ってくる。

『貴君らの戦いは見事であった。だが、敬愛すべき女王陛下より地上侵略の命を受けた以上、私もこのまま引き下がる訳には行かぬ。皇国の新たな驚異と認識した貴君らを、忌々しい過去より復活せしヘリオス共々、消えて貰おう!!』
 感情を昂ぶらせるアーガスの精神と同調し、機獣士ワルプルギスに禍々しいオーラが帯びていく。その光景をモニターから眺めていたティム教授は、不敵にも笑みを浮かべると猟兵たちへと無線を送った。

「諸君、どうやらアレが地下からのお客様のようだ。今までの相手は無人機だったようだが、今回は吸血鬼が載っている。……物は相談だが、アレを破壊せず鹵獲してくれ。ライザーを改良する研究材料として、機体とパイロット共々に格好の実験材料であるからだ」
 それに相手はデータ通りの吸血鬼であれば、そう簡単に死ぬようなものではない。ティム教授は簡単に言ってくれたものの、相手が徒手空拳で武装は見当たらないとなれば機動性に富んで格闘戦を得意としたキャバリアと予想される。ましてや、古代魔法帝国時代のキャバリアとなれば、どういった機能が備わって隠されているのか想像もつかない。
 とは言え、確かに機体をパイロットを捕獲すれば謎めいた地下帝国、紅血皇国ヴァンペリウムの詳しい情報を得られるのは確かであり、捕虜とすれば今後の交渉材料にも成り得よう。問題は、相手は誇り高い騎士となればむざむざと虜囚の身となってくれないというところで、激しい抵抗は必然となろう。

『皇国の興亡、この一戦にあり……。いざ、推して参るッ!』
政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。

SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
ちょっと中抜けしちゃったけど、最後はしっかり締めるわよ。
味方と連携しつつサイキックキャバリアごと迷彩+目立たない全開で隠れてまずは様子をうかがうわ。

集中しながらチャンスを見計らって適宜ユーベルコード千里眼撃ち。
「狙い撃ちよ」
一度射撃したら距離を取って隠れ、再び射撃。
もし近づかれるようなら【へクセンシュス】で[カウンター]気味に攻撃して[鎧無視攻撃]した[マヒ攻撃]。
動きを封じて距離を取るわね。

「残念ね、貴方たちの進撃はここで終わってしまった、なのよ?」



「ふーん、やっと、ボスのお出ましか……」
 既にライザー2へと合体済みで、単座操縦を行っている政木・朱鞠はモニターに映し出される機獣士ワルプルギスを前にポツリ呟く。通信越しに聴こえたアーガスと名乗る人物の様子を伺う限り、恨みを晴らすためでなく悦に入るため圧政を強いる者へ天誅を下す咎人殺しのターゲットとは程遠い武人然めいた。
 だが、女王陛下の命に忠実の僕であるのは自明の理であり、それによって不安撒き散らした咎を清算するに値する。とは言え、アレがオブリビオンマシンであれば何らかの変化を齎すのは確かなことで、そうなれば研究材料として捕虜にするというティム教授の提案は妥当な線とも言えよう。尤も、相手の激しい抵抗でこちらもただでは済まない茨の道であるが。

『ヘリオス……過去のみならず、今なおも我が皇国に仇をなすか!』
 しかし、何故か相手が『ヘリオス』と呼んでいる、このサンライザーに並々ならぬ恨みを抱いている様子でもあった。ならばこれを上手く利用し、相手の隙を見てカウンターを決めるのも良いだろう。幸いに、朱鞠が乗っているライザー2は空中戦を得意として機動戦に富んだサンライザーの一形態だ。紅の翼を展開し、どういう原理で飛んでいるか分からない相手と互角に戦えるに違いない。そう確信して、パイルバンカーの杭を赤熱化させつつライザー2のブースターユニットを展開し、一気に距離を詰める。

「貰ったわ、ライザーバンカー!」
 更に加速を強め、朱鞠は先端部が赤く染め上がったパイルバンカーを打ち込む。これも先に戦った機動獣や機動巨獣同様、ジャイアントキャバリアめいた素体によって大部分が構成されてれば、彼らが苦手とする太陽エネルギーは効果が抜群であろう。
 だが、ワルプルギスの装甲をパイルバンカーが穿った瞬間、朱鞠はハッとした。手応えがない。まるでこれは、彼女が日々処理する『咎忍』が用いる分身の術と同じ、目の前に姿があるのに霞を払ったかのような感触であったのだ。

『莫迦め、それは残像だ!』
 次の瞬間、コックピットに座する朱鞠の背後から激しい衝撃が伝わった。互いに空中戦を展開していたが為に地面へと落とされようとされたが、ブースターユニットを再点火させて機体の制動を取り直す。そして、再びワルプルギスと正対すれば何をされたかの答えが判明する。さながら分身の術でも使ったが如く、寸分違わぬ同型機が追撃を仕掛けていたのだ。
 朱鞠はサブモニターを横目にしたが、確かに様々な情報を感知して映し出すセンサーにも機影が表示されている。つまり、質量を持った残像ともいうべき、オブリビオンマシン由来のユーベルコードであろう。

「でも、さっきの様子だと本体は『ひとつ』のようね!」
 先程穿った残像はまるで手応えがなかった。ともなれば、全てが実体を伴う分身の術ではなく、目を欺くデコイを生み出す分身の術の類だ。そうであれば、機器が映し出す情報に惑わされずに忍びの本能を研ぎ澄まして戦うのが正解だろう。本来は相手の僅かに起こる布擦れの風を感じ取って攻撃を予想するUC、『柳風歩』をもって五感ならず第六感をも研ぎ澄ます。ライザー2のロボットアーム接続部から炎が漏れると、彼女が愛用する拷問具『荊野鎖』と扱い方が同様である先端部をアンカーとしたチェーンアタックを薙ぎ振るった。ヒートバンカーと同じく鎖が赤熱化され、並のキャバリアの装甲ならば容易く溶断できる熱量をもって残像が払われていく。

『万策尽きた、か。無駄な足掻きを』
 アーガスは機体に漂う妖しく輝くオーラをより強く迸らせると、それが分離して新しい残像を形勢さようとした。だが、その矢先にワルプルギスの後方で爆発が鳴り響いた。装甲が薄くなる背面だが、強固な有毒装甲によって致命傷は免れてはいるものの体制は大きく崩れて制動を取り直す他ない。

『しまった。伏兵か!?』
「そう。目を欺くのはこっちも得意なの。それに、マーキングされた今は狙い撃ちよ?」
 ヴィオレッタ・エーデルシュタインが駆るサイキックキャバリア、ゲファレナー・エンゲルが光学迷彩を解除させて姿を見せた。ワルプルギスにセンサーにも感知されず、あたかも存在していないまでであったが、これもひとえに黒地の装甲に刻まれた青紫の呪術文様によるものか。
 人の目も、機械の目をも欺く質量を持った残像といえども、本体が特定されてマーキングされればあとはそれを目印とすればいいだけである。これも朱鞠によって残像を減らされたからこそ、大まかな当たりを付けた直感頼みとも言える両者の連携によるものだ。

『おのれ、小賢しい真似を!』
 もはや残像が機能を果たさないと分かれば解除をして、ワルプルギスが拳を唸らせながらゲファレナー・エンゲルへと強襲しようとする。だがしかし、ライザー2のチェーンアタックによって鎖で腕を絡まれ、ましてやゲファレナー・エンゲルも再び光学迷彩機能を発動させて青空と一体化する。

「小賢しい真似をするのは、そっちも同じでしょ!」
 朱鞠は獲物を確かに捕らえると、ブースターユニットを加速させながらライザー2の左腕を大きく振るう。アーガスは抵抗をするも、ライザーマシンに備わっていた底が知れぬ推進力任せに振るわれれば、為す術もなく上空から引きずり落とされて地表へと叩きつけられるしかなかった。

「残念ね、貴方たちの進撃はここで終わってしまった、なのよ?」
 そして、土煙を舞い上げながら叩きつけられたワルプルギスを見下ろすよう、ヴィオレッタは再び姿を現した。念にはと距離を十分に取った上だったが、それも今や杞憂であった。如何に身体能力が人間よりも優れ、パイロット殺しと呼ばれる無茶な機体をも乗りこなす吸血鬼と言えども、機体ごと叩きつけられれば体に広がる衝撃で即座に反撃へ打って出ることは容易くないからだ。
 かつて世界を闇に閉ざして栄華を極めた吸血鬼。それも奴隷として血袋とされた古代人の叛乱によって終焉を迎え、陽の光が届かぬ地底に地下帝国を築き上げた吸血鬼。しかしながら、彼らはその長命さから雌伏して時の至るをを待ち、オブリビオンマシンに狂わされながらも母なる地上を奪還しようと侵略を仕掛けてきた。
 吸血鬼にとって致命的な太陽の光を絶大な科学力をもって克服した彼らのことを鑑みれば、それほど追われた地上の記憶に恋焦がれていたのやもしれない。そうなれば同情は拭えないが、それも結局他者の犠牲によって成り立つ社会である以上、地上に害を為す存在以外に他ならない。
 ヴィオレッタはそんな思いを巡らせたものの、UC『千里眼打ち』を発現させると雑念を断たせる。僅か10秒という刹那の中、時が静止したかと錯覚してしまう集中を持って、サイキックキャバリアならではの非実体なエネルギーによって形成された矢を射つ。射たれた非実体の矢は無防備同然となったワルプルギスのいかなる攻撃をも退ける強固な有毒装甲を穿ち、装甲によって護られた機獣士の素体へと確かなダメージを与えるに至ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユーリー・ザルティア
ヤレヤレね。
注文するほうは好きに行ってくれるものだ。
やれるだけやって見せるさ!!

引き続きシビリアンジョーで出撃するよ。
ARICA、まだいけるねパールバーティの『援護射撃』引き続きお願いね。

世界を滅ぼしかけた?
そんなキャバリア…産ませる未来なんて否定してやるさ。

攻撃を『瞬間思考力』で『見切り』自慢の『操縦』で回避するよ。
『カウンター』にショックアンカーを射出する。
高圧電流による『マヒ攻撃』とコンピューターウイルスによる『ハッキング』で機体の動きを封じて、同時に『情報収集』。
機体に必要最低限のダメージで機能停止できるポイントを見つけて、そこをイニティウムで『切断』するよ。



「ヤレヤレね。注文するほうは好きに行ってくれるものだ」
 溜息混じりにユーリーが愚痴を零すのも、ティム教授から『可能な限り鹵獲を試みる』と乞われれば無理もない。とは言え、彼女が携わってきた数多くのオブリビオンマシン案件においても、オブリビオンマシンのみを破壊しつつ哀れな被害者でもあるパイロットの救出を何度も行っているのも確かである。
 ましてや、長く続いた内乱でプラント以外の主要産業が壊滅したが故、外からの物資輸入と元手となる外貨を得るために各国へ傭兵派遣を行う傭兵国家ヘキサのことだ。人知れず活躍している猟兵を得て、彼らは猟兵がオブリビオンマシンへの対応能力に長けた存在と認知していても可笑しいことでもない。

「でも、それだけボクらの実力を買っているってことでもあるか。なら、やれるだけやって見せるさ!!」
 とは言え、猟兵の使命はオブリビオンマシンの殲滅である。教授はあのマシンにも興味を抱いている節があるが、仮に機獣士ワルプルギスをほぼ無傷で回収できたとしても、オブリビオンマシンが存在している限り新たなオブリビオンマシンが生み出されるだけだ。容易く予想される最悪の事態であれば、あの試作型合体スーパーロボットのサンライザーがオブリビオンマシンと化してしまうことか。技術屋としては未知の技術というものは喉から手が出るほど欲しいとは思うのであろうが、やはり危険すぎるということで辛うじて解析が可能な程度の残骸にすることが最善の答えであろう。幸いにも、地下帝国製キャバリアは日光から素体を護る有毒装甲さえ破壊してしまえば、生体パーツは日に焼かれて溶けてしまうのは先程の戦いで実証済みだ。
 なので、ユーリーにしてみればパイロットの確保が最優先事項で、機体回収は二の次となる。それを伏せつつ、やれるだけやってみるとプラント側に通信を送り終えると、先程の戦いでハッキング攻撃を行われた僚機『パールバーティ』に搭載されている学習型AI『ARICA』の状態を端末越しに確認する。

「ARICA、まだいけるね?」
 ユーリーの問いかけに、音量が低いからか弱々しく感じ取れる電子音が応えた。パールバーティにメインカメラを向けると、今はケーブルが抜けているが装甲に穿たれた穴が痛々しい。だが、自律プログラムを修復し終えた人工知能ARICAは健気ながらも主人の期待に答えるかのように、再び機体を再起させたのであった。

『くっ……中々、やるな』
 一方、地面に叩きつけられた上に追撃を受けたアーガスは、朦朧とする意識の中で気力を振り絞りながらワルプルギスを立ち上がらせていた。エネルギー状の矢は既に霧散していたが、確かにそれは実在していたのを表す貫通孔から血のような赤黒い液体が滴り落ちている。素体の人工筋肉を駆動させるための燃料とも言える血色の液体が、外気に触れるにつれて粘度が増され、次第にかさぶた状となって傷口を塞いでいく。
 紅血皇国ヴァンペリウムの科学力が生み出した、機獣士の称号を冠する半機半生のスーパーロボット・ワルプルギスが立ち上がるや否や、機体が爆轟と爆煙に包まれた。

『攻撃は支援機からのようであるな。となれば……本命は別か!』
 この砲撃が陽動であると見抜いたアーガスが天を仰げば、ユーリーが駆るシビリアンジョー・イェーガーカスタムが奇襲を仕掛けようとしていた。同時にワルプルギスの機体から溢れ出る禍々しい光が強く輝くと、シビリアンジョーのコックピット内に機体全体にダメージが発生していることを示す警告とアラームが鳴り響いた。

「これは、ナノマシンによる分解効果!?」
『左様。このワルプルギス、世界を滅ぼす力を秘めた機獣士であることを、その身をもって識れ!』
 1秒のことが10秒と錯覚してしまうまでな集中力に伴う瞬間思考力を働かせていたユーリーの脳裏に、先程の分身技を実現させていたトリックが氷解する。
 ナノマシン……高度なナノテクノロジーによって、目に見えない微生物サイズにまでダウンサイズさせた機械の総称である。クロムキャバリア内でも国によっては幅広く活用されている技術ではあるが、ナノマシンが活動するためのエネルギーをどこからどうやって供給されるかの問題、増殖する細菌と同等な自己増殖を行うためには外部から高エネルギーを供給されるような特殊環境でなければならないという技術的課題が多く課せられている。各国はそれらの問題を乗り越えるべく日夜研究に勤しんでいるが、今も完全とは言えないのが実情である。
 しかし、今起きているのは、まさにエネルギー供給を満足に受けているナノマシンによる無機物の分解作用である。どういった理屈なのかまでは分からないが、これも古代魔法帝国時代にあったロストテクノロジーと思えばなんら不思議なことではないだろう。問題は、このまま何も対抗しなければ外部装甲を侵食している分解性ナノマシンが機体内部にまで到達するのも時間の問題であろう。

(どうする……どう対処する? 考えるんだ、ボク)
 静止したかのような時間の中、ユーリーは自問自答をひたすら繰り返す。パールバティの支援攻撃を受けて剥ぎ落とすにしても、一時しのぎにしかならない。まるで目に見えない雲霞の如く機体を標的にするナノマシンを払ったとしても、キリがないのが現実的な見解である。ならば、答えはひとつだ。

──世界を滅ぼしかけた? そんなキャバリア…産ませる未来なんて否定してやるさ。
 彼女が導き出した答えは、やられる前にやる。
 これほどの高エネルギーを、無数のナノマシンに送っているのはワルプルギスに他ならない。ならば、その機能を静止させるために攻撃を与えるのが最善の策だ。
 ナノマシンによって相手の劣化していく装甲を拳で砕くべく、ワルプルギスが翔んだ。迫り来る敵機を前に、ユーリーもまた加速を強めた。ふたつの軌跡が互いにぶつかり合う直前に、彼女はシビリアンジョー・イェーガーカスタムの軌道を僅かに反らして振るわれた拳をギリギリなところで躱して見せる。

「直撃してたらあぶなかった、かもね!」
 躱してみせたものの、放たれた剛拳の衝撃が機体全体を否応なく震わせる。仮にナノマシンの攻撃を受けず装甲が万全であったとしても、あの一撃をまともに喰らえばただでは済まないところだ。そして、すれ違いざまに機体を急旋回させると、先程に仲間の猟兵が穿った穴で今はかさぶた状の生体装甲で蓋がされた箇所を狙いすまし、UCと併せた『ショックアンカー』を放ったのだ。

「これならどう? これ以上は暴れさせない!!」
 アンカーの先端部が赤黒い痂皮を穿つと、内部の生体組織へ深々と突き刺さる。再び赤黒い液体が噴き出したのを目視したユーリーは、反射的に操縦桿のスイッチを押し込む。
『がぁ……ッ!?』
 ワルプルギスの素体へと侵入したアンカーから数万ボルトの高電圧電流が流れ、コックピットに居たアーガスにまで襲いかかる。それと同時に機動巨獣からハッキング攻撃を受けた際のデータを元に即席で作成したコンピュータウイルスが、ワルプルギスの機械部にハッキングを仕掛けてくる。
 訓練された獣といえども飼い主に噛みついてくることも踏まえ、予め機動巨獣対策のワクチンシステムは導入されていたが、そこは自ら学習型AIであるARICAのメンテナンスを行っていてプログラミング言語にも明るいレプリカントであるユーリーのことである。全く同じではなく幾分かの改良を施した、謂わば亜種のコンピュータウイルスとなれば完全には防ぎきれない。
 現にその目論見は当たり、歯を噛み締めながら屈強な肉体で高圧電流に耐えているアーガスと言えども、満足に機体を動かすことはままならない。

「来た来た。えーと、装甲が薄い箇所は……そこだね!」
 シビリアンジョー・イェーガーカスタムの端末に、ワルプルギス内のショックアンカーから情報が届けられる。それはハッキング攻撃によって得られたワルプルギスの設計図とも言えるもので、強固な有毒装甲によって守られた機体に決定的なダメージを与えるための情報でもある。
 ショックアンカーの内部電源が切れるまで残り数秒、今がワルプルギスの戦闘能力を削ぎ落とすタイミングに他ならない。抵抗しようとどうにか各部を駆動させているワルプルギスへと、シビリアンジョー・イェーガーカスタムがRX-イニティウムの刀身を疾走らせて振り抜ける。ここが限界と判断したのか、ナノマシンの影響が及ばない距離にまで仕切り直そうとするユーリーは、確かにワルプルギスの片腕が肩部から切断されるのを尻目にしながらバーニアを噴かせたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七星・天華(サポート)
 羅刹のガンナーで元気娘。
 仲良しな人には優しく楽しく。

『一般人に過度な期待はしないでよね。』
自分は才能など無い平凡な存在だと思っているが実は天才。
二丁拳銃「白雷」と「黒雷」をメインにナイフ系も扱える。
二丁拳銃を使った近接戦闘もできる。
遠近両方の距離でも戦闘を成立させる。
装備の影響で帯電しているが自由自在に扱える。
世界を放浪して手に入れたアイテムで出来る事の幅が広い。
少々過酷程度の環境は即座に対応適応するサバイバル能力。
左肩に生まれつき痕がある。
美人な元気娘だが暗殺もするデンジャラスな一面も。
家族のみんなが好きだが特に姉が大好きで姉の一番のファン。
自分にもファンが居るとは微塵にも思っていない。


ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。


スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、21歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


七星・桜華(サポート)
『天魔流免許皆伝、更なる高みへと!』
『一か八かの勝負?必要無いね!私達の勝ちだ!』
『後は派手に騒ぐんだ!誰も倒れないようにね!』
隠れ里に伝わる『天魔流』歴代最年少であり派生流派も含めての免許皆伝。
腰に挿している六振りの刀と扇子を使い戦闘する。
物理的な技術を異能のUCにまで昇華させた。
闘う姿は艶やかな舞踏が如く空中戦もできる。
第六感も鋭く見切るまでも早い。
先手後手問わず。
殺気や覇気を残像に残し分身と勘違いさせる事も。
常に最善を最短で気づき勝ってきた。
防御無視の内部破壊を当たり前に行う。
柔剛の技を扱い両立させる。
消耗を生命力吸収で補う。
優れた第六感で賭け事も強い。
家事も万能。
両親と妹も猟兵である。



『腕の一本、二本失ったところで……ッ!!』
 機獣士ワルプルギスが猟兵の手によって肩からバッサリと腕を切り落とされた。生体ユニットである素体の人工筋肉を稼働させるためのおびただしい鮮血じみた燃料液体が、断面から勢いよく噴き出して大地を赤く染め上げる。
 しかし、戦いの意思はまだ衰えていないことを示さんばかりに残った片腕で切断面を押さえながらも、アーガスは再び立ち上がろとする。

「往生際がわるいにゃー!!」
 そこへミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)がメインパイロットとなったライザー1から、赤熱化した斧が投げ放たれた。
 だが、アーガスが咄嗟にワルプルギスの体躯を捻らせ、致命的な箇所であった頭部を護るよう残った肩部を盾として刃を受け止める。赤々と熱せられたライザーホークの刃は強固な有毒装甲を融解させながら素体部分へと達し、伝導する光熱を持って生体部を容赦なく焼く。
 しかしながらも、アーガスは満足に動くこともならないワルプルギスの攻性ナノマシンを再び稼働させ、幾体ものの有毒装甲から放たれた粒子によって形成された質量ある残像を生み出していく。

「ミーヤ、ライザー上半身の操作をこちらに回して! サクラ姉は……」
「皆までいうな。機体全体の反応速度の上昇だろ? 数多の天に住む者よ、数多の魔に潜む者よ、我が身に宿りて我が力とならん!」
 慌ただしく叫ぶ妹の七星・天華(自覚無き天才・f36513)と、落ち着きを持って自らのUC『天魔・神降ろし』によって機体全体を超強化させた姉の七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)。サンライザーを構成する上半身部と下半身部に搭乗する七星姉妹のやり取りに挟まれながらも、コックピット担当のミーヤは分かったにゃと操縦権を天華へ一時的に移させた。

「サンキュー!」
 まるで自分の身体を動かすような滑らかさを得た天華がライザー1の両指をワルプルギスの分身体に突きつけると、その先端から眩い光弾がマシンガンさながら矢継ぎ早に撃ち放たれる。腹部から撃たれるライザービームを転用した、ライザー1の飛び道具『フィンガーマシンガン』だ。威力は速射性を重視して牽制用ではあるが、サンライザーの動力源であり吸血鬼と彼らが作り出すキャバリアには絶大な効果を発揮する太陽エネルギーの光弾となればそうとも言えない。
 更には二丁拳銃を使った近接戦闘を普段から得意とする天華の操縦も加われば、鬼に金棒である。攻性ナノマシンの群体で構成されたワルプルギスの質量を持った残像は光の弾幕を前に霧散され、それを好機と見たミーヤが一気に距離を詰め寄る。

「ミーヤ、上半身の操縦権はそっちに返したよ。オマケしてUCも乗せておいたから、後は任せたよ」
「お任せされたにゃ!」
 徒手空拳のライザー1が拳を大きく振り上げれば、アーガスも切断面を押さえて止血させていたワルプルギスの剛拳を振りかざし迎え撃とうと出た。

『この忠義なるアーガスを見くびるな! 刺し違えようとも、貴様だけは破壊してみせるぞ。ヘリオスッ!!』
 この場合は合体分離機構のために装甲が薄いサンライザーよりも、キャバリア同士の殴り合いを念頭に設計されたワルプルギスが有利となろう。だが、下半身部に搭乗する桜華によって神霊、邪神、幻獣がライザー1に宿っている今、単純なスペック差を覆す超強化がなされている。更には上半身部に搭乗している天華によってUC『千鳥抜き』が発現されており、ライザー1の拳には紫電を帯びたエネルギーの塊で包まれている。あとはミーヤの手によって真っ向勝負に打ち貫くのみ。

「必殺、ライザーパーンチ!!」
 ついに拳と拳が激突し合い、互いに纏ったエネルギーが反発しあって周囲は閃光に包まれる。伝わる衝撃によってライザー1の関節部が悲鳴を上げたことにアーガスは勝負あったと確信しようとした矢先、ワルプルギスにも異変が生じる。

『な……ッ!? このワルプルギスが……!』
 ワルプルギスの装甲に亀裂が走り、ひび割れると有毒装甲下の素体が陽光の元に晒されてしまう。

『……もはや、ここまで』
何とも言えない臭いとともに素体が焼けていき、溶けていくさまを目の当たりにされるアーガスが自爆スイッチを手に掛けようとした。が、その時に彼しか居ないはずのコックピット内で女性の声が響いたのだった。

「そうはさせないわ」
 声の主はスフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)である。だがしかし、彼女の姿は何処にも見えない。それもそのはず、UC『霊体変化』によって霊体と化しているのだから。
 こうなれば最大で三人乗りが限界なサンライザーに乗り込むことができ、また機体同士が接触しあえば霊体を良いことに機体表面を伝い移り、また幽霊状態であるために有毒装甲の生命体に及ぼす悪影響も避けれるといった訳だ。
 彼女の仕事は、自決を阻止である。具体的には、自爆装置を稼働させる前に脱出装置を稼働させること。その目論見は上手く行ったという所で、思いがけない侵入者に虚を突かれたアーガスが自爆スイッチを押す前に指を止めたお陰で、その前に脱出装置をスフィアが手にかけたのであった。

「どうやら成功したようだね」
 自身のUCによって疲弊した身体を奮い立たせながら、ワルプルギスの胴体からコックピットブロックが分離したのを桜華が確認する。吸血鬼もその長命さから繁殖がままならずに数が少ないのであれば、人的資源の損耗を抑えるようにするだろう。そんな予想によって脱出装置が設けられているとの賭けでもあったが、見事的中して自爆は阻止された。
 あとは、オブリビオンマシンの悪影響を残さないまで、この機体を残骸にするだけである。

「ちょっとだけ集中して、三人の意思をひとつにするんだにゃ……。チャージ完了、今にゃ! いっけえにゃー!!」
「「「ライザービーム!!」」」
 ライザー1の腹部から太陽エネルギーの奔流が放たれ、主を失ったオブリビオンマシンがそれに呑み込まれる。そして、続けて大爆発が起き、紅血皇国ヴァンペリウムの地上侵攻作戦は失敗に終わったのだった。

『あのアーガス卿が……やられただなんて』
 その様子をコウモリ型ドローンによって齎されたワルプルギスの最後を見届けた吸血鬼兵らが、互いに長年仕えて来た自分たちの主君を悔しさを漏らしながら涙する。だが、彼らは敵討ちなどをせず、主君が残した最後の命に従うのだ。


 ──もし、自分がやられたら移動式前線基地『地底要塞ギガスモール』をザイオンにまで後退させよ。そして、伝えるのだ。我が忠義なる最期を、敬愛する女王陛下に、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年06月20日
宿敵 『アンノウン』 を撃破!


挿絵イラスト