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仮想現実の花が咲く

#キマイラフューチャー #【Q】 #戦後 #バーチャル遺跡

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#【Q】
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#バーチャル遺跡


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「集まってくれてありがとう。今日はみんなに古代バーチャル遺跡の探索をお願いしたいんだ」
 集まった猟兵達に緩く笑みを向けつつ、そう語り出すのはユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)だ。
 彼女の話す古代バーチャル遺跡とはキマイラフューチャーの地下に存在するなんだかすごい遺跡のことであり、猟書家キング・ブレインを含めたオブリビオン達が狙っている場所のことである。
「少しでもボクらが遺跡のことを掌握しておけば、後の戦いにも使える可能性があるからね。という訳で、探検に行こう!」
 にっこり笑顔と共に、ユェンは遺跡の様子を映し出す。
 そこにあったのは――鮮やかな花弁の舞う美しい光景だ。

「今回見つけられたのは『花の迷路』のマップだよ。色んなお花のCGで構築されたマップを進んで、奥に発生した本物そっくりのCG怪人をやっつけて欲しいんだ」
 バーチャル遺跡はその名の通り、全てがCGで出来たバーチャル空間となっている。けれどキマフュの技術は凄まじく、その全てが本物そっくりでもあるのだ。
 花の柔らかな質感や甘い香りも再現されているだろうし、NPCがいれば普通に会話もすることが出来る。
 その代わり怪人のCGも本物のオブリビオンそっくりであり、しっかり討伐しなければならないだろう。

「最初は迷路マップを抜けなきゃいけないね。壁や天井はお花で覆われてるし、舞い散る花弁が視界を塞ぐこともあるから気を付けないといけないよ。ああ、でも案内役のキマイラNPCもいるらしいから、彼らから情報を聞きながら進んだりも出来るかな」
 キマイラNPC達が出来るのはあくまで迷路の案内や雑談だけであり、遺跡の成り立ちなどについて聞くことは出来ない。
 それでも広い迷路の中で、誰かが近くにいるというのは心強いかもしれない。
 勿論自分達の力だけで踏破することも可能だ。
 迷路には危険もないため、花を眺めながら進んでいくのもまた楽しいだろう。

「迷路の奥は開けた空間になってて、そこに目的の怪人達がいるよ。彼らはバグみたいにわらわら湧いてるけど、そんなに強くないから思いっきりやっつけちゃおう!」
 怪人達はCGとはいえ殴れるし殴られる。
 バトルに関してはいつも通りになりそうだ。
「案内はこれくらいかな。それじゃあそろそろ転移するよ。気をつけて行ってきてね!」
 話をそう締めくくり、ユェンは猟兵達を送り出していくのであった。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 ゆるっと冒険にいきましょう。

●一章『アドニスの花園迷宮』
 本物そっくりのCGで出来た花の迷路を探索します。
 造りは複雑ですが地道に進んでいけばゴールまで辿り着けるでしょう。
 また、内部には案内用のキマイラNPC達もいます。彼らに道を聞くのも一つの手段です。

 ガチ攻略するも良し、綺麗な花を眺めつつ楽しく行くも良し。
 能力値は気にせず楽しんでいただければと思います。

●二章『フルーティートリオ』
 迷路の奥に湧いた本物そっくりのCG怪人達です。
 やっつけましょう。


 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
 締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『アドニスの花園迷宮』

POW   :    とにかく走り回って、出口を探す。

SPD   :    手をついて壁沿いに歩き、出口を探す。

WIZ   :    地道に地図をつくって、出口を探す。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 バーチャル遺跡に足を踏み入れた猟兵達を出迎えるのは、色とりどりの花達だった。
 壁は様々な草花の生垣によって作られ、天井は藤棚やフラワーアーチが覆っている。
 ふわふわそよそよと舞い散る花弁からは、優しい香りも漂ってきていた。
 これらの花は全てCGの作り物。
 異なった季節に咲く花達が集まる光景は、まさに仮想現実の夢だからこそ成り立つものだろう。

 迷路の内部には花の世話をするNPC達がおり、彼らからも情報を集めることが出来る。
 そして迷路の最奥には倒すべき敵もいるのだ。
 時に誰かと言葉を交わし、時に花を楽しみつつ。
 まずは迷路の奥を目指そう。
鳴上・冬季
「せっかくの花園、のんびり楽しまなくては勿体ないでしょう?」

風呂敷に菓子や茶道具まとめ、護衛の黄巾力士にも茣蓙や道具持たせ参加

「本格的な野点までするつもりはありませんが、最近少しばかり生き急ぎ過ぎたように思うのですよ」
式神をばらっとばらまき迷路探索命じたら茣蓙広げ菓子と茶でバーチャル花見を楽しむ
案内役達も勿論誘う
時折目を瞑って式神からの迷路情報を受け取りつつ最奥部に達した式神が出るまでのんびり花見

「仙界以外で桃源郷を体験できるとは思いませんでしたからね。存分に英気を養いませんと」
菓子を食べ寝転がって花を見上げながら待つ

「着きましたか…行きますよ、黄巾力士」
案内人達にはそのまま花見続行させ向かう




 頭上から降り注ぐ様々な色の花弁を見上げ、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は小さく息を吐く。
 この花の迷路、進むだけでは勿体ない。のんびり楽しまなくては損だ。
「よっと……それでは参りましょう、黄巾力士」
 冬季自身は菓子や茶道具を纏めた風呂敷を背負い、護衛である黄巾力士には茣蓙や様々な道具を持たせ、いざ道を進む。
 咲き誇る花々を楽しみつつ、まず探すのは開けた場所だ。
 迷路も入り組んではいるが厄介な罠などはなく、ただただ進んでいけばいつかはゴールに辿り着けそうだ。
 時に花の生垣を楽しみ、時にアーチを潜りながら進んでいけば――見えたのは小さな広間のような場所だ。

「よし、この辺りにしましょうか」
 荷物をその場に置いて、冬季は懐から数枚の式神符を取り出す。
 式鬼神招来急急如律令、さっと言葉を唱えれば符から出てくるのは頼もしい式神達だ。
 彼らは主人からの命を受け、迷路の中へと散開していく。これで道順探しに関しては心配要らないだろう。
「……最近少しばかり生き急ぎ過ぎたように思うのですよ」
 黄巾力士から受け取った茣蓙を広げ、その上に改めて荷物を置いて。
 そうやって支度をする冬季の側を、数人のキマイラNPC達が通りがかっていく。
『ん、お花見かな?』
「ええ、本格的な野点までするつもりはありませんが、せっかくの機会ですので。よければ皆さんもどうですか?」
『楽しそう! 混ぜて混ぜて!』
 冬季の笑顔の誘いを受けて、キマイラ達も一緒に茣蓙の上に腰掛けていく。
 一緒にお茶やお菓子を摘めば楽しいバーチャル花見の始まりだ。

 キマイラ達はNPCでありながら、かなり精巧な会話を行うことが出来ていた。
 彼らもある意味ドン・フリーダムに作られた式神のようなものなのだろうか。そんなことを考えつつ、冬季はごろりと茣蓙の上へ寝転がる。
 眠るように瞳を閉じれば、迷路を進む式神達の様子もしっかり確認して。
 一段落したところでそっと目を開ければ――ふわりと桃の花弁が、冬季の額に舞い降りた。
 鼻を擽る甘い香りに微笑みつつ、冬季は改めてほっと息を吐く。
 仙界以外で桃源郷を体験できるとは。楽しい会話、美味しいお茶や菓子、それと美しい花々。
 此度の休憩は、英気を養うのに最適だっただろう。
 けれど休んでばかりもいられない。再び目を閉じた時、見えたのは迷宮の最奥で手を振る式神の姿だったのだから。
「着きましたか……行きますよ、黄巾力士。キマイラの皆さんはもう暫くゆっくりしていって下さいね」
『お兄さんもう行くの? 気をつけてね』
「ええ、またいつか」
 別れの言葉を告げて、冬季達は再び花の道を進んでいく。
 その足取りは、軽やかなものだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

驚堂院・クリル
バーチャル世界を冒険じゃ。
冒険もひとりでは寂しいのう。
キマイラのガイドがいるらしいから迷路を共に彷徨うのも一興じゃ。
キマイラと手をつなぎ探索する。
美しい花を愛でながら【ショウ・マスト・ゴー・オン】を使って歌を歌いながら冒険じゃ。
青春よのう。

花の種類の違いとかで入口とか区別をつけておるかの?まあ進んでみればわかることよ。
キマイラに花をつけたりしながら分岐があれば審美眼を駆使してより綺麗な花の生えている方に向うのじゃ。




「おお、これがバーチャル遺跡か。凄い光景じゃのぅ」
 咲き誇る仮想現実の花々を前にしつつ、驚堂院・クリル(アイドルグループ【九姉妹神】メンバー・f33676)はぱぁっと表情を華やがせる。
 風に乗って伝わる甘い香りも、ゆらゆら揺れる花弁の質感も本物そっくりで。
 ここを冒険するというのは楽しみだけれど――ひとりきりだとちょっと寂しい。
 そんな思いが過ぎった瞬間、クリルの瞳に留まったのは散歩中のキマイラNPCだ。
「ちょうどよかった。そこのキマイラ、良ければわらわと迷路を進んでみないかえ?」
『わっ、楽しそう!』
「乗り気で嬉しいぞ。迷路を共に彷徨うのも一興じゃ」
 クリルが笑顔で手を差し出せば、キマイラNPCもふわふわの手を差し出す。どうやら猫がベースらしき手はふかふかのもふもふだった。
 二人で一緒に手を繋いで、いざ迷路へ。薔薇のアーチを潜ったのなら、様々な花の生垣の道を進んでいこう。

「~♪」
 ふわりと咲く椿を横目で見つつ、クリルはのんびりと歌を口ずさむ。
 彼女の歌声には埒外の力が宿り、聞く者を存分に楽しませるのだ。
『お姉さんのお歌、素敵だね』
「これでもアイドルじゃからな。おぬしも一緒に歌うかえ?」
『うん! 歌う歌う!』
 二人で歌声を重ねつつ、足取りは更に弾むようで。なんだか青春よのう、としみじみしつつ行進は続いていく。
 最初に踏み入ったのは椿や柊といった冬を彩る植物のゾーンだったようだ。
 そこを道なりに進んでいけば、桜が降り注ぎツツジの咲く道が見えてきた。
「冬かと思えば春が来たのじゃ。季節ごとに纏められておるのかのぅ?」
 クリルはツツジの花を一輪摘み取り、そっと柔らかな花弁を撫でる。
 こうやって手にとってみても本物そっくりだというのは、なんだか嬉しいものだ。
「……これはおぬしにプレゼントじゃ」
 花をキマイラの耳元につけてやれば、キマイラの表情もぱっと花咲く。
『ありがとう、お姉さん! 似合うかな?』
「うむ、よく似合っておるぞ。わらわもお揃いにしてみようかの……」
 自身の髪飾りにもツツジの花を差して、二人はニコニコ笑顔を浮かべ合う。
 おそろいの花、一緒に重ねる歌声、それと周囲を包む美しい光景。
 大変な道のりでも、こうやって楽しむ手段はいくらでもあるのだ。
「今度は秋の花を探してみるぞ。キマイラよ、まだまだ楽しく先に進もう」
『うん! どんどん行こう!』
 高らかに歌声を紡ぎつつ、クリルとキマイラの冒険はまだまだ続く。
 二人の頭に揺れるツツジも共に弾んでいるかのようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

疾風・テディ
‎✿改変・アドリブ歓迎。

「うわぁ、すっごく綺麗だね!これがCGなんて信じらんない!」

【だいふく】!折角だからお花を世話してる人たちに話しかけてみようよ!
(ぽっぽー!)

「とっても素敵な花園ですね!貴方はなんのお花のお世話を?」

お話しながら、近道のルートを聞くよ!
とはいえ迷路はちゃんと攻略したいから、教えてもらった近道を通りつつも低空飛行で、……あっそうだ!

「ここのお花って摘んでも大丈夫ですか?」ってお世話してる人に聞いて、大丈夫そうならだいふくのために花冠を作る!

CGだからここを出たら消えちゃうかもしれないけど、はいどうぞ!(ぽっぽー♪)

__そんな感じで途中で遊んだりしつつ迷路の出口を目指すよ!




 転移して辿り着いたのは、美しい花々が咲き乱れる迷宮だ。
 風に乗って漂う微かな甘い香りも心地良い。まるで夢のような光景に、疾風・テディ(マイペースぐだフェアリー・f36106)はニコニコ満面の笑みを浮かべていた。
「うわぁ、すっごく綺麗だね! これがCGなんて信じらんない!」
 手近なカスミソウの花弁に触れてみれば、その柔らかな感触も本物そっくり。
 そんな光景を前にして、テディが呼び寄せたのは友人の白鳩・だいふくだ。
「だいふく、今日はいっぱい楽しもうね!」
「ぽっぽー!」
 ふかふかのだいふくの背に乗って、テディも迷宮の中を進んでいく。
 視線を移す度に目に飛び込む彩りは、心を弾ませてくれるかのようだ。

 暫く迷路を進んでいけば、薔薇の生垣の手入れをしているNPCの姿も見える。
「ねえだいふく、せっかくだからあの人とお話してみようよ!」
 テディの提案を受け、だいふくが返したのは元気な鳴き声。白い翼をはためかせ、だいふくがNPCの元まで飛んでいけば相手も此方に気付いたようだ。
『おや、可愛らしいお客さんだね』
「こんにちは! とっても素敵な花園ですね、ここは薔薇のゾーンなのかな……?」
 きょろきょろ周囲を見渡してみれば、見えるのは様々な色の薔薇だ。
 赤色、桃色、白色といったよく見る色もあれば、鮮やかな青いものもある。そのどれもが心地よい香りを漂わせ、ゆらゆらと風に揺れていた。
 もう少し見ていたい気持ちもあるけれど、迷宮の奥にもどんどん進んでいかなくては。
「あの、わたし達は迷路の奥を目指していて。よければ近道のルートを教えてもらえませんか?」
『それならあっちのムクゲの生垣の方へ進んでいけばいいよ』
「ありがとうございます! それじゃあそっちに行ってみますね!」
 NPCに教えてもらった言葉の通り、テディとだいふくは再び迷宮の中を進んで行こうとするが――その前に。

「……あっそうだ! ここのお花って摘んでも大丈夫ですか?」
 テディはふと気になった質問をNPCへと向けてみた。返ってきたのは笑顔だ。
『うん、少しくらいなら構わないよ』
「そっちもありがとうございます! だいふく、ちょっと待っててね……」
 NPCの言葉を受け、テディはムクゲの花を数輪摘み取る。
 それを組み合わせて出来るのは――可愛らしい花冠だ。
 それをだいふくの首に掛けてやりつつ、テディはにっこりと微笑んだ。
「CGだからここを出たら消えちゃうかもしれないけど……はい、どうぞ!」
「ぽっぽー♪」
 だいふくも思わぬプレゼントに上機嫌。先程よりもパワフルに迷宮を進んでくれそうだ。
 二人の楽しい探索は、ゴールまでまだまだ続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

オルト・クロフォード
【WIZ】

遺跡と言うとなんというか,暗くて難しそうなイメージがあるけれド、そこはやはりキマイラフューチャーだナ! とても綺麗で楽しそうな所ダ! 私の知らない花とかもありそうで楽しみダ!

そうだな……積極的に色んなところを見て、NPCに花の名前とか、本来どんな季節に咲く花が咲いてる場所かを聞いて【情報収集】シ、マッピングしながら進んでいくゾ!

こうしてノートに場所の名前やどんな花が咲いているどんな所かを書いていけば……迷路攻略の役にも立つだろうシ、何より後で見返していい思い出にも出来ると思ウ。うン、やはり楽しい遺跡探索になりそうダ!(めっちゃはしゃいてうろちょろするドールの図


アモン・スメラギ
●連携、同行OK

キマイラフューチャーのVR技術ってのはすげぇな。中がどんな迷路になってるのか、楽しみだ。
迷宮の中に瑠璃色の蝶を放ち、内部を《撮影》《情報収集》して、マップを作りながら進むぜ。仮に意地悪なトラップがあったとしても、この地図があればなんとかなるだろ。これは…なんて名前の花だろう。そこらにいるキマイラNPCに、話を聞いてみよう。俺が生まれ育った世界には、あまり花が咲いてなかったからな。それにしても、花の香りまで忠実に再現できるなんて、やっぱこの世界はレベルが違うな。さて、あとは何かよさげなアイテムとか見つかるといいんだがなー。




 地下にある遺跡、と聞けば大抵の人は薄暗くジメッとした場所を思い浮かべることだろう。
 それはオルト・クロフォード(クロックワーク・オートマトン・f01477にとっても同様で、果たしてバーチャル遺跡とはどんなものかと思ったが――。
 いざ自分達を出迎えるのは鮮やかな花々と甘い香りだ。日光も再現しているのか、迷宮内部は思っていたよりも明るいし暖かい。
「……うム、やはりキマイラフューチャーだナ! とても綺麗で楽しそうな所ダ!」
 知らない花なんかも探せるかも、とオルトはウキウキ笑顔を浮かべている。
 その隣ではアモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)が生垣をじっと覗き込みつつ、咲き誇る花々を観察していた。
「キマイラフューチャーのVR技術ってのはすげぇな。見た目も香りも触感も全部本物そっくりで……いやぁ、中がどんな迷路になってるのか、楽しみだ」
「はっ、そうだナ。探索のこともしっかり考えねばダ……」
 アモンの言葉を受けてハッとするオルト。このまま花を楽しむのもいいけれど、迷宮の攻略も忘れてはいけないのだ。
「それなら俺に良いアイデアがあるぜ。これを使ってマッピングしていこう」
 アモンが手を掲げれば、そこから飛び出すのは機械仕掛けの瑠璃色の蝶だ。
 蝶はひらりと舞い上がると同時に、猟兵達に先行するように迷宮の中を進んでいく。常に送信されるデータを参照すれば、道に迷う機会も減るだろう。
「マッピングは明暗だナ。それなら私も地図を作ろうカ……」
 オルトも愛用のノートを取り出して、さらさらと周囲の様子を描いていく。
 そういえば――周囲に咲いている花はなんだろう?
「……そういえば、アモンはこの花の名前を知っているカ?」
「実は俺も分かってないんだ。花については詳しくなくって……」
 外の世界について勉強中のオルトと荒廃した世界で生まれ育ったアモン。
 二人共花を愛でる心はあるけれど、名前を知っているのは有名な花ばかりかもしれない。
 さてどうしたものか、と首を捻っていれば――通りすがりのキマイラNPCが、とことこと二人の元へと歩み寄ってきた。

『お兄さん達、どうしたの?』
「いや、この花の名前はなんだろうかト……」
「せっかくだから教えてもらえないか?」
 猟兵達の視線を受けて、NPVが返したのは人の良さそうな微笑みだ。
『構わないよ。この白とピンクの小さい花はアベリアで、あっちの黄色いのはカロライナジャスミンって言って……』
 NPCの案内を受けつつ、猟兵達はこくこく頷き道を進む。
 オルトは懸命にノートにスケッチを描きつつ、アモンは蝶からの情報も受け取りつつ。
 作業を行いながらも、二人の表情には常に楽しげな笑みが浮かんでいた。
「アベリアの花は可愛らしいナ。本来ならばいつ頃咲く花なのカ?」
『大体は春から秋にかけてだね。多分迷宮以外の場所でもよく見かけると思うよ』
「ふむふむ、なるほド……これは地上に帰ってからも探してみなくてハ!」
 花のスケッチの横に『帰ってからも要チェック!』としっかり記し、オルトは満足げに笑みを浮かべる。
 アモンもまたカロライナジャスミンの香りを嗅ぎつつ、のんびり過ごしているようだ。
「ほんといい香りだよな……ここまで再現できてるなんて、やっぱこの世界はレベルが違うな」
 アポカリプスヘルにも様々な技術はあるけれど、やはりキマイラフューチャーのトンデモ技術には敵わない。
 それでもいつかは、VRメディアの中を花で満たしたり出来るだろうか。考えてみると、なんとも夢のある話だ。

「なんかこう、花を持ち帰れはしないけど……何かこう、持って帰れるものがあると嬉しいな」
「それならやっぱり記録を残すのが一番じゃないカ?」
 少し考え込むアモンに、オルトがニッコリ笑顔とノートを向ける。
 ノートの中にはこれまで通ってきた道筋と、咲いていた花々の情報がしっかり記されていた。
「こうやって記録を取れば道にも迷わないシ、何より後で見返していい思い出にも出来ると思うんダ」
「……そうだな。仮に再現するにしても、花の情報は沢山欲しい」
 オルトの言葉にアモンも頷き、飛ばしている蝶へと意識を向ける。
 記憶領域はしっかり稼働しており、通った道も咲く花々もしっかりとカメラが捉えているようだ。
 これなら帰ってからも、再び花の迷宮の記録を楽しめるだろう。
「誰かと情報を共有するのもいいな。俺は自分のSNSの皆にも、今日の光景は拡散するつもりだぜ」
「それも楽しそうダ! 私もノートを誰かに見せてみたいナ!」
 方法がデジタルでもアナログでも、素敵な思い出は確かに残せる。
 そしてそれを誰かに伝えたり、あとで見返したり――何度だって楽しむことが出来るのだ。
「そのためにも、まずは怪人をやっつけないとな」
「うム! それではもう少し頑張ろうカ!」
 猟兵達は笑顔を向け合い、再び花の道を進んでいく。
 その歩調に合わせるように、楽しい記憶もどんどん花咲いていくのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

乱獅子・梓
【不死蝶】
地下遺跡と聞くと岩壁に囲まれた薄暗い空間を想像するが
CGの花で出来た遺跡とは、流石キマイラフューチャーだな…
仮にお宝があっても、それもCGじゃないか?

効率良く探索する為に助っ人を呼ぼう
UC発動し、好奇心旺盛な小型ドラゴンを10体ほど召喚
手分けして探索すれば、より早くゴールが見つかるだろう!
…ハッ、だがゴールしたドラゴンと落ち合えないと意味がない…?
おぉ、ナイスだ綾!

そうだな、今はまだ危険は無いようだし
こんな光景、今しか楽しめないだろうしな

こういう時こそ、お前の大好きな写真の出番だろう?
悔いのないように心ゆくまで撮っておけ
えっ、俺も撮る気か!?
花をバックに立つ俺…我ながら似合わない…


灰神楽・綾
【不死蝶】
遺跡の探検だなんて何だかワクワクしてくるよねー
奥の怪人達を倒したらお宝とか出てこないかな?

それならいい方法があるよ
UC発動し、ドラゴン一体につき一羽紅い蝶をつかせる
この蝶は俺と位置情報を共有出来るから
ゴールしたドラゴンを追いかけるのも容易いはずさ

じゃ、俺達はのんびりと花を楽しみながら進もうか
この花は何だろうなー?と予想したり
スマホで調べてみたりするのも楽しい
桜、ひまわり、コスモス、山茶花…
本当に季節問わず色々あるんだねぇ
記念にいくつか持って帰りたいけど
CGだからそれは出来ないのがちょっと残念

そうだね、いっぱい写真に残して帰ろう
というわけで梓、焔と零と一緒にそこに並んで並んで




「地下遺跡と聞くとこう、岩壁とかに覆われた薄暗い場所を想像するが……流石キマイラフューチャーだな」
 目の前に広がる心地よい光と花の舞う迷宮を前にして、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が零した第一声はこうだった。
 日光を模した光の暖かさも、柔らかな草花の香りも全てCGによる再現技術だというから尚更驚きである。
 そんな風に感心している梓の隣では、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)もまた穏やかな笑みを浮かべている。
「遺跡の探検だなんて何だかワクワクしてくるよねー。綺麗な場所で嬉しいし……でも、奥には怪人がいるんだよね」
「そうそう、それを討伐するのが仕事だからな」
 真面目な顔で頷く梓に対し、綾が返したのは少し悪戯っぽい微笑みだ。
「……奥の怪人達を倒したらお宝とか出てこないかな?」
「仮にお宝があっても、それもCGじゃないか?」
「そっかぁ。残念だけど、それならこの景色は楽しんでいきたいね」
 残念なことに、この遺跡を構築するものは全て幻のようなもの。何かアイテムを拾えたとしても、地上に戻れば消えてしまうだろう。
 けれど「仲間と共に花々を楽しんだ」という思い出ならたっぷり残せる。
 それなら思い出をより良いものにするためにも、きちんと迷宮を攻略しなくては。

「俺達でも十分進めるとは思うが、ここは助っ人を呼ぼうか」
 入口である花のアーチの元まで移動しつつ、梓は右の手の甲に刻まれた刻印を堂々と掲げる。
「数多無双なる竜よ、此処に集いてその威を成せ!」
 呼びかけに応じ姿を現したのは――可愛らしい花属性のドラゴンのようだ。
 彼らの大きさは小型犬ほどで、数は10体。これならば迷宮にいるNPC達にも迷惑はかからないだろう。
「よし、それじゃあ手分けして迷宮を……いや、待てよ?」
「ん? どうしたの?」
 梓の命令が途切れたのに気付き、綾もアーチの元まで歩み寄る。一体どうしたのだろうか。
「……ゴールしたドラゴンと落ち合えないと意味がない?」
「ああ、そうだね。呼び出せても連絡を取る手段がないんだ」
 それならば、と言葉を紡ぐ代わりに綾がぱちんと指を鳴らす。その音に合わせ現れたのは、艶やかな紅い蝶達だ。
 彼らは埒外の力で呼び出された魔法の蝶。綾と位置情報を共有出来るため、迷宮内部に散開していても問題はないだろう。
「この蝶をドラゴン達それぞれにつかせよう。ゴールしたドラゴンを追いかけるのも容易いはずさ」
「おぉ、ナイスだ綾! それじゃあ改めて……皆、頼んだぞ!」
 主人の命令を受けて、ドラゴン達と蝶は一斉に迷宮の中を進んでいく。
 後は彼らからの情報を受け取りつつ、猟兵達も進んでいけばいいだろう。

 改めてアーチを潜り、生垣で出来た道を梓と綾はのんびりと歩いていく。
 気候は穏やか、危険はなし。奥にいる怪人も今すぐ誰かを襲ったりはしないため、焦る必要もない。
 それならば――綾は愛用のスマホを取り出しつつ、花にじーっと視線を向ける。
「……何か気になるのか?」
「この花は何だろうなー、とか考えたり調べたりしてるんだよ」
 ちょうど綾が見つめていたのは大きな桜の木だ。
 桜と一口に言っても種類は様々だし、よく花弁を観察してみるのも面白い。
「あ、あっちにはひまわりが咲いてるよ。その奥にはコスモスも……もっと先は山茶花かな。四季を再現してるみたいだね」
「おお……なんというか、ここまで揃っていると圧巻だな」
 異なる季節に咲く花が一堂に会している光景は、なかなか見ることが出来ないものだ。
 キマフュらしい無秩序感があるようにも思えるし、それでいて何かしらの拘りも透けて見えるような。
 けれどそれは決して不快なものでなく、実際迷宮を進む猟兵達の顔には笑顔が浮かんでいる。
「こんな光景、今しか楽しめないだろうな」
「うんうん、本当は記念にいくつか花を持っていきたいけど……それが出来ないのがちょっと残念だね」
 少し寂しそうに息を吐く綾を見遣り、梓は少し考え込む。
 持ち帰ることが出来ないならばどうするか――答えはいつもの行動の中にあった。

「こういう時こそ、お前の大好きな写真の出番だろう? 悔いのないように心ゆくまで撮っておけ」
「なるほど、それは名案だ。いっぱい写真に残して帰ろう」
 梓の答えに綾はぱっと笑顔を咲かせ、いつものようにカメラを取り出す。
 そしてそのレンズを向けるのは――梓の方だ。
「というわけで梓、焔と零と一緒にそこに並んで並んで」
「えっ、俺も撮る気か!?」
「ほら、可愛い仔竜達と花の組み合わせ、見たいでしょ?」
「それは確かに……ならば仕方ない」
 なんだか上手く乗せられた気はするが、こうなれば流れに乗ろう。
 梓は相棒の仔竜達を呼び寄せて、共に生垣の前に立つ。
「花をバックに立つ俺……我ながら似合わない……」
「気にしない気にしない。はい、チーズ」
 少し困った風に笑う梓と、楽しそうにはしゃぐ仔竜達、そして美しい花々。
 それらをシャッターに収める綾もまた、その景色に溶け込んでいるようで。

 こうして楽しい思い出を残しつつ、猟兵達は迷宮の奥へ向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『フルーティートリオ』

POW   :    スイカ怪人・ウェポン
【スイカ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レモン怪人・ジェノサイド
【レモン攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    リンゴ怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【リンゴ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 迷宮の最奥はかなり開けた空間になっていた。
 ここにも花々は咲いているようだが、それよりも強く感じられるのは――爽やかな果物の香りだ。
 その正体はこの広間に蔓延る怪人、フルーティートリオによるものだろう。
「スイカーッ」
「レモンッ!」
「リンゴッ」
 怪人達は奇妙な鳴き声のようなものを上げ、猟兵達に容赦なく襲いかかってくる。
 彼らもCGで出来た存在だが、存在感はオブリビオンそのものだ。
 この遺跡を掌握するためにも戦闘は避けられない。
 気合を入れて戦おう!
鳴上・冬季
「いいですねえ。貴方達なら倒しても気に病まずにすみそうです」
嗤う

「出でよ、黄巾力士火行軍!奴らを鏖殺しろ!」
黄巾力士117体召喚
13体で1組とし
3組を下記のよう運用して1隊とする
・砲頭から制圧射撃
・砲頭から火行で鎧無視・無差別攻撃で蹂躙
・上記2組をオーラ防御で庇う

3隊を波状攻撃で運用
1隊が定数に満たなくなったら次の隊に前進させ3隊目まで前面に出たら1隊目と2隊目の残機を再編
3隊目が定数に満たなくなったら交代する
敵が全滅するか全機全損するまで継続
自分は空中から戦場鳥瞰
護衛の黄巾力士に自分をオーラ防御で庇わせながら竜脈使い黄巾力士達の能力高め継戦能力上げる

「花見の後の腹ごなしにはちょうどいい」
嗤う




 此方に向かう怪人達は迫力満点ではあるが、そもそもの姿かたちが滑稽だった。
 体つきはしっかりしているが、頭は大きな果物で甘い香りを漂わせている。そんな相手が真剣に戦おうとしているのだから、思わず笑みが溢れるのも当然のことだろう。
「いいですねえ。貴方達なら倒しても気に病まずにすみそうです」
 カラカラと嗤い声を上げながら、鳴上・冬季は黄巾力士と共に空を舞う。
 そんな彼を追いかけるように大きく前に出たのはスイカ怪人だ。
「スイカーッ!」
 怪人は自身の頭をぱかっと開き、そこから勢いよく種を射出していく。その光景もやはりシュールだけれど、威力だけは本物だろう。
 だから冬季は更に高く飛翔しつつ――手早く術式を組み上げる。
「出でよ、黄巾力士火行軍! 奴らを鏖殺しろ!」
 呼びかけに応じ、ざっと空を覆い尽くしたのは赤熱し炎を纏う黄巾力士の軍団だ。彼らの熱は飛ばされた種を撃ち落とし、空気をゆらゆらと揺らしていた。
 呼び出された数はなんと117体。彼らは手早く13体の組を作り上げ、作戦を開始していく。
 そんな彼らを指揮するべく、冬季自身は護衛の側へ。下方を見てみれば怒っている様子の敵が見えるが、それ以上に気になるのは――世界を巡る気の流れだ。
「電子の遺跡ですからあまり期待はしていなかったのですが、ここにも竜脈は流れているのですね」
 火行軍を龍脈に沿って降下させ、そのまま彼らに強化の術を。
 準備が整えば作戦の始まりだ。

「ス、スイカッ」
 怪人も火行軍の圧倒的な様子に怖気づいてはいるようだが、諦める気配もなさそうだ。
 彼らは再び種を飛ばし、どうにか応戦しようとしている様子。
 それに合わせて数体の黄巾力士がオーラの壁を作り上げ、更に後方で別の力士が砲頭に力を集中させていく。
 そのまま放たれるのは――凄まじい威力の砲撃と火行の術!
 ここが本物の花園ならば炎を使えば大惨事だけれど、周囲の花々は炎の中でも変わらず咲き誇っている。
 けれど悪しきオブリビオンと同じ怪人の幻ならば、猟兵の力似よって攻撃されればひとたまりもないだろう。
 砲撃と炎は次々に怪人達を燃やしていき、それに合わせて果実の焼ける香りがした。
 時折防御をすり抜け力士が攻撃されても、後方にはまだまだ他の隊が控えているのだ。
 冬季の的確な支援指揮と力士達の圧倒的物量がある限り、この戦いに負ける理由など存在しない。
「花見の後の腹ごなしにはちょうどいい。もう暫く鳥瞰させてもらいましょう」
 からから、からから。燃える炎と怪人達、その合間で美しく咲く花を見ながら、冬季は楽しげに嗤うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

驚堂院・クリル
最近のCGは良くできておるのじゃ。
それにしても美味そうな果物じゃ、さっそくつまようじをよういせねばな。

高速詠唱で【ミゼリコルディア·スパーダ】を発動じゃ。数多のつまようじ魔法剣が果物怪人に襲いかかる塩梅じゃ。

久々に見せるは真の姿よ。
でっかい木製コンパスをもった数学教師!
今よりずっと大人で知性と気品をもった存在になる。

「今から授業を始める……戦闘の授業じゃ。」
ダメージで弱ってるのからとどめを刺すのじゃ。マヒ攻撃でしとめていく。
木製コンパスで攻撃し、黒板消しを投げたりするのが数学教師じゃ!
リンゴ怪人よ、おぬしは見切る事ができるか!?




 同行したキマイラに別れを告げて、驚堂院・クリルもまた戦場に躍り出る。
 先程まで通ってきていた迷宮も凄かったけれど、目の前に現れた怪人のCGもやっぱり本物そっくりで。
「最近のCGは良くできておるのじゃ。香りも本物そっくりじゃのぅ」
 鼻を擽る甘酸っぱい果実の香りにほっこりすれば、自然とその味わいもイメージ出来る。
 あの怪人、是非とも美味しそうな感じでやっつけたい!
「さっそくつまようじを用意せねばな。という訳で……ミゼリコルディア·スパーダ発動じゃ!」
 クリルは手早く術式を組み上げ、周囲に無数のつまようじ魔法剣を生み出していく。
 そのまま魔法剣は勢いよく空を飛び、複雑な軌道を描きつつ怪人達の元へ。無数のつまようじが迫る様に怪人も思わず驚いているようだ。
「リンゴッ!」
 仲間を守るべく、走り出したのはリンゴ怪人。彼の必死のリンゴガードは次々につまようじを撃ち落としていくが、それでも物量には敵わないだろう。
 一体、また一体と怪人達はつまようじに貫かれ、皿の上に並べられたフルーツの如く地面に倒れ伏していく。
 それでも必死にリンゴ怪人は防御を続けるが――彼の元に、迫る一つの影があった。

 ざっと、無数のつまようじの中から姿を現したのは一人の女性だ。
 その正体は真の姿に変身し、より大人びた数学教師となったクリルだ。
 いつものクリルは可愛らしくどこか悪戯っぽい印象があるけれど、こちらのクリルはより気品と知性を纏った姿をしている。
 そんな彼女は巨大な木製コンパスを掲げ、一気に敵の元へと迫っていた。
「この姿は久々じゃな。今から授業を始める……戦闘の授業じゃ」
 クリルは堂々とコンパスを掲げ、魔法剣と共にリンゴ怪人の元へと迫っていく。
 相手も必死にガードしていたとはいえ、その身体には既に数本の剣が刺さり甘い果汁の香りが漂っている。
 そのままトドメを刺すためにクリルは更に踏み込むが――。
「レモンッ!」
 どうにか猛攻の中を生きていたレモン怪人が、不意打ち気味に飛び込んできたようだ。
 けれど不測の事態も問題ない。クリルはすぐにレモン怪人へと意識を向け、懐からさっと黒板消しを取り出した。
「邪魔はさせんぞ!」
 そのまま黒板消しは勢いよく投擲され、レモン怪人を大きく吹き飛ばす!
 流れるような動きでリンゴ怪人の方へと向き直りつつ、クリルは改めてコンパスを構える。
「リンゴ怪人よ、おぬしは見切る事ができるか!?」
 そのままコンパスによる刺突を繰り出せば、その一撃は見事にリンゴ怪人を貫いた!
 一層強く漂う芳香は、クリルの勝利を祝っているかのようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

疾風・テディ
‎✿ ‎アドリブ・連携歓迎。WIZ

【だいふく】!見て見て!フルーツだよ!美味しそう……だけど歩いてる?!しかもなんか攻撃して来た!
もしかしてこのフルーツたちがオブリビオン……?

頷くだいふく。

「そうなのかー、じゃあ遠慮なく!フルーツ狩りだぁ!」

UC発動!
「風が吹くよ!どいてどいて~!」
風属性精霊【だいふく】に風起こししてもらう。だいふく、よろしくね!

えぇぇ、リンゴでUC相殺!?
……なんて、そっちは囮だよ!

【空中機動】で素早く飛び上がって、上空から【全力魔法】を込めた【風属性攻撃】!

カットフルーツにしちゃうよ!




 迷宮の最奥に足を踏み入れた瞬間、疾風・テディは白鳩・だいふくの背を軽く叩く。
 だって目の前には美味しそうな果物がいっぱい。CGなのは分かっているけど、なんとも楽しい光景に興奮が抑えられないのだ。
「わっ、だいふく! 見てみて、フルーツだよ! フルーツがいっぱい!」
「ぽぽっ」
 一緒にわいわい楽しく果物を眺めるテディとだいふくだが――彼女達の様子と裏腹に、果物の様子がなんだかおかしい。
 よく見ると彼らには身体がある。そしてこちらに歩いてきていて、先頭のリンゴがなんか石みたいに硬そうなリンゴを構えていて。
 それが全力で投げ込まれた瞬間、テディは己の危機を悟った。
「あれ、もしかしてこのフルーツたちがオブリビオン……?」
「ぽぽぽっ」
 だいふく、頷く。
 いくら美味しそうな果物でも、凶悪なオブリビオンならば放置はしておけない。
「そうなのかー、じゃあ遠慮なく! フルーツ狩りだぁ!」
 元気いっぱいのテディの声に合わせ、だいふくは勢いよく空を飛ぶ。
 その背から振り落とされないように、そして投げ込まれるリンゴに撃ち落とされないように気をつけて。
 そのままある程度の高さまで飛んだのなら此方の番だ。

「風が吹くよ! どいてどいて~!」
 テディは自身の魔力をだいふくに分け与え、風の精霊としての力を高めていく。
 そのままだいふくがシャキーンとした顔で羽ばたきを起こせば――その風は凄まじいかまいたちと化して、怪人達の元へと迫った!
 しかし怪人の負けてはいない。彼らは咄嗟に巨大なリンゴの盾を生み出し、その後ろに隠れたのだ。
「リンゴッ」
 リンゴ怪人の表情は見えないが、なんとなくドヤ顔をしているように見えた。
 その様子にテディは思わずしょんぼりとした顔を浮かべ――すぐにいつものように明るい笑顔へと戻る。
「えぇぇ、そんなのずるいよ! ……って言いたいけど、そっちは囮なんだよね!」
 すかさずだいふくが羽を動かし、テディ達は更に高く空へと舞い上がる。
 そのままリンゴの盾の裏手に回れば、頑張って隠れている怪人達の姿が見えた。
 今度はだいふくがテディへと魔力を受け渡し、巨大な術式を組み上げれば――。
「今度はわたし達の番! カットフルーツにしちゃうよ!」
 テディの発動した風の大魔法が、怪人達を盾ごとバラバラに切り刻む!
 その衝撃で弾けた甘酸っぱい芳香は風に乗って上空まで届いたようだ。
 良い香りと確かな戦果にほっこりしつつ、テディはだいふくと顔を見合わせる。
「やったね、だいふく! あとはあのフルーツが本物だったら良かったんだけど……」
 帰ったらお腹いっぱいフルーツが食べたいな。
 そんなことを考えるテディとだいふくであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アモン・スメラギ
●同行・連携OK
ここがゴールっぽいな…あれ?
果物の頭した変な奴らがわらわら出てきたぞ。
ははっ、ウケる
あとはあいつらを倒すだけだな!

見るからにザコっぽいとはいえ、敵はかなり数が多いからな。
ここはあいつらの力を借りるぜ。
ウイングキャット、カモーン!
翼の生えた、ミュータント猫軍団を召喚。
一緒に戦ってもらうぜ。
猫は空中をふよふよ飛び回り、味方に光のバリアを張って
《オーラ防御》したり、猫パンチで怪人共を叩いて攻撃してくれ。
俺はソーシャルレーザーの《レーザー射撃》で、
いつものように遠距離主体の戦闘だぜ。
怪人が猫にリンゴをぶつけてきたら、俺が《クイックドロウ》で
迎撃してやるか。ほら、もっとちゃんと狙えよ!




 長くも楽しい道のりを経て、アモン・スメラギもまた開けた空間へ。
 花はまだまだ咲いているけれど、それ以上に気になるのは周囲の様子だ。
「ここがゴールっぽいな……あれ?」
 妙な殺気を感じたのでそちらに視線を向けてみれば――わらわら迫るのは果物頭の怪人達。
 殺気は彼らが発しているものだろう。その気迫は本物だが、見た目があまりにもシュールすぎないだろうか。
 だってでっかい果物に身体がついてて、なんか声を発しながら迫ってきているのだ。思わず笑いが溢れてしまうのも仕方のないことだろう。
「ははっ、ウケる。あいつらがここのボスだな。それじゃあ……あとは倒すだけだな!」
 アモンは楽しげに笑みを浮かべたまま、堂々と叡智の杖を掲げる。
 敵は滑稽な見た目だしあまり強くもなさそうだが、厄介なことに数だけは多い。
 ならばこちらも――数で応戦だ!
「ウイングキャット、カモーン!」
 杖から溢れた光がゲートを構築すれば、そこから飛び出すのはふわもこのミュータント猫軍団。
 彼らに輝く天使の輪を翼を施せば、たくさんの敵に包囲されずに自由に戦うことが出来るだろう。
「あいつらは好きにやっちゃっていいぜ。一緒に戦おう!」
 にゃーん! 元気いっぱいの返事と共に猫達は一斉に怪人へと飛びかかる。
 あとはもう、しっちゃかめっちゃか賑やかバトルの始まりだ。

 迫る猫達から仲間達を守るよう、最初に飛び出したのはリンゴ怪人だった。
「リンゴッ!」
 彼らは特製のリンゴシールドを構え、攻撃に備えたが――けれど所詮は果物だ。
 猫軍団は次々にリンゴの元へと殺到し、ふわふわねこぱんちや鋭い猫ひっかきでどんどんリンゴを削っていき、美味しそうな香りを周囲に漂わせていた。
「そりゃ動物相手に果物だったらそうなるよな……っと」
 アモンもまたソーシャル・レーザーで猫達を守るべく、援護射撃を続けていく。
 そんな彼には戦場の様子もよく見えていた。
 例えばそう――こっそり動く悪い怪人の姿なんかもよく見える。
 怪人は小さい分めちゃくちゃ固いリンゴを取り出して、ふわふわ飛び交う猫ちゃんに狙いを定めているが――。
「ほら、もっとちゃんと狙えよ!」
 怪人が攻撃を始めるより早く、アモンのレーザーが閃光を発する!
 悪いリンゴを焼きリンゴにしつつ、アモンは更にカラカラ笑った。
「いやぁ、なんか果物が食いたくなってきたな。帰ってからの楽しみにしておくか!」
 戦いの後の楽しみなどにも想いを馳せつつ、アモンは更に武器をしっかりと握りしめる。
 そんな彼の意思に応えるように、猫達もどんどん敵を倒していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
花の迷宮なんだからオブリビオンも
フラワートリオとかにすれば良かったのに
何で果物なんだろうね?
まぁどっちもいい香りという共通点はあるけど

CGで出来た敵を倒すって何だか
UDCアースとかにあるVRゲームみたいだよねぇ
俺好みの血なまぐさい戦いは期待出来なさそうだけど
これはこれで面白そうかも

取り出した武器はハンマーポムグラネイト
相手が果物ならこっちも果物繋がりでザクロだよ
UC発動し、自身のスピードを強化して
軽快に武器を振り回して殴って吹っ飛ばしていく
スイカ割りだねコレ

梓の方からこんがり焼けたリンゴの香りが漂ってきて
何だかお腹空いてきたかも
梓ぁ、あとでアップルパイとか作ってよ


乱獅子・梓
【不死蝶】
それはまぁ、きっとあれだ
この迷宮にオブリビオンのCGを配置する際に
いい感じの花の怪人のデータが無かったんだ(適当

綾が暴れるたびにザクロ汁とかスイカ果肉とかが飛び散って
血じゃないのに何かすごくアレな絵面だな…
うわぁって横目で見つつ

まずは敵の群れに成竜の零を突撃させて
氷のブレスの先制攻撃を仕掛ける
その瞬間UC発動、敵の動きもユーベルコードも封じてやる
あとはひたすら蹴散らしていく
零の体当たりや頭突きで薙ぎ払ったり
更には焔の炎のブレス攻撃で一気に焼き尽くしたり

相変わらずフリーダムなお前は!
ツッコミ入れつつも、この仕事が終わったら
材料買って帰らないとな…とか考えてしまうのだった




 戦いも佳境に入り、戦場となる広間は花と果実の甘い香りですっかり満たされていた。
「これはこれで悪くないけど……花の迷宮なんだからオブリビオンもフラワートリオとかにすれば良かったのに」
 何で果物なんだろうね、と灰神楽・綾が首を傾げれば、隣の乱獅子・梓はうんうん頷き言葉を返す。
「それはまぁ、きっとあれだ。この迷宮にオブリビオンのCGを配置する際にこう、いい感じの花の怪人のデータが無かったんだ」
「あー、なんだか世知辛い感じ……でも全部倒しちゃうし結局同じかな?」
 苦笑いを浮かべつつ、綾がひらりと一歩前へ躍り出る。
 その手に握るのはハンマーポムグラネイト、巨大ザクロのハンマーだ。

「CGで出来た敵を倒すって何だかゲームみたいだよね。俺の好みとはちょっと違うけど……これはこれで面白そうかも」
 血なまぐさい戦いを好む綾だけれど、今回のような戦いだって嫌いじゃない。
 何せ相手は好戦的な果物怪人だ。今も大きなスイカ頭の怪人が綾へ向かって駆け込んでくるが――。
「という訳で、スイカ割りだね!」
 怪人が動くより早く、綾の身体が前へと飛び出す。
 ヴァーミリオン・トリガー、自身の血液を代償にした身体強化で圧倒的なパワーとスピードを得た綾は止まるすべを知らない。
 一気に敵へと肉薄し、片手で軽々とハンマーを振り下ろせば――その軽やかな動作と裏腹に、響いたのは重い打撃音。
 スイカ頭は一瞬にして木っ端微塵に玉砕され、衝撃を受けたハンマーも鮮やかなザクロ汁を舞い散らしていた。
 そのままの勢いで、綾は更に攻撃を繰り出し迫る敵を打ち砕いていく。
 その度に赤い果汁が飛び散り、その中で綾はとても楽しそうにはしゃいでいた。
「梓、本当にスイカ割りみたいで楽しいよ! ちゃんとついてきてね!」
「あ、ああ、そうだな……」
 仔竜達を呼び出し術式の準備をしていた梓だが、呼びかけられて思わずそちらに視線を移す。
 綾が楽しそうなこと自体はいいのだが――彼の周囲、あまりにも真っ赤じゃないか。
 いや、散乱しているのが美味しいザクロの果汁だとか、美味しいスイカの果肉であるのは分かっているのだけれど。
「……あまり焔と零に見せたくはない光景かもしれないな」
 ここは気を取り直し、自分の戦いに没頭しよう。

 梓は仔竜達の頭を撫でつつ、彼らに力を分け与える。
 すると彼らはみるみるうちに成竜の姿に変身し、勇ましく翼を羽ばたかせた。
「それじゃあ、まずは零!」
 呼びかけに応じ、先陣を切ったのは零だ。
 見れば綾の猛攻から逃れ、どうにか梓を狙おうとしていた怪人達もいる模様。彼らを逃すわけにはいかないだろう。
 零は主人を守るべく大きく息を吐くと――怪人達へ向け、吹雪のようなブレスを吐き出した。
 それに重ねるように、梓もすかさず埒外の力を発揮していく。
「絶対零度の鎖よ、招かれざる過去を囚えろ」
 プリズンゼロ、氷の息吹は敵を逃さぬ檻と化し、次々に怪人の足を止めていく。
 怪人達も所詮は果物で植物、寒さにはどうしても弱いのだ。
「よし、焔も頼んだ!」
 零が追撃を仕掛けようとするのに合わせ、焔もまた戦陣の中へと飛び込んでいく。
 二体の竜が揃えばもう負けることはない。彼らの放つブレスは怪人を凍らせ、燃やし、見事に打ち砕いていった。

 ……という状況自体は格好いい感じなのだが、やはり相手は果物。
 炎のブレスで焼かれれば、やっぱり美味しそうな香りがする訳で。特にリンゴ怪人なんかはこんがり焼けば香ばしい香りが漂っている。
「あー、楽しい……ん?」
 ザクロとスイカの香りには流石に慣れたのか、戦いに没頭していた綾も新たに漂う焼きリンゴの香りに思わず反応を示した。
 ここまで良い香りはいっぱい嗅いできたけれど、本能的に『美味しそう』と思う香りはやっぱり別腹で。
「……何だかお腹空いてきたかも。ねえねえ梓ぁ」
「どうした? 今戦闘中だぞ?」
 ちょっとのんびりした声で呼びかける綾に対し、梓はきりっと戦闘モード。
 相棒達に指示を出しつつも、綾の方にはちらりと視線を向けて、一瞬逸してまた向けた。まだ真っ赤だからね。
 そんな梓の様子に気付きつつも、綾はにっこり笑顔を浮かべる。
「お腹空いたよ。あとでアップルパイとか作ってよ」
「相変わらずフリーダムなお前は! いいから早く片付けるぞ!」
「はぁい」
 口調はゆるゆるながらも、綾は再び戦いに没頭し周囲を更に赤く染めていく。
 そんな彼の様子に思わず溜息を吐く梓だけれど。
「……えーっと、パイ生地の材料は足りてたか? リンゴは絶対に買い足さないとだな、それから……」
 頭の中ではすっかりアップルパイを作成モードに。
 仕事が終わったら、大きなアップルパイを作らないとな。頑張って戦ってくれた焔と零にもお腹いっぱい食べてもらわないと。
 そんなことを思わず考える梓であった。

 やり取りは緩くとも、猟兵達の戦いは着実に進んでいく。
 そして最後には――全ての怪人が消え去ったのだ。


 こうして猟兵達は『花の迷路』を攻略しきる。
 これで再びバーチャル遺跡に訪れる際も、このエリアは安全に通ることが出来るだろう。

 いつまでも変わらず花が咲き誇る迷路だけれど――これからは、通っていく猟兵達の笑顔も咲くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月10日


挿絵イラスト