9
Light the pumpkin~燭火

#ダークセイヴァー #お祭り2021 #ハロウィン #魔女領主戦争

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー
🔒
#お祭り2021
🔒
#ハロウィン
#魔女領主戦争


0




●燭
 ダークセイヴァーにおいて、楽しい事は殆どヴァンパイアに奪われてきた人類だ。
 御伽噺や伝承、噂話。その程度の認知しか齎されない、架空の話。
 その一つにハロウィンは当てはまる。
「支配者が居たら生活するのもやッとな場所が、多いからな」
 フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)は愉快そうにニッと笑う。
 今は必ずしも吸血鬼の支配下に存在する人類ばかりとは言えないからだ。
 フィッダは、その場所を知っている。
「闇の救世主達の活躍があるからな、自由を得た地域というものが存在するんだよ」
 ヴァンパイアにとって、人類に盛大な祭りを行わせる理由など無く。
 人類にとっても南瓜をそれ以上のことに用いる余裕など、なかった。
「都合のいいことに、俺様の知るある一つの地域の近くに、南瓜が群生しているという予知を得たぜ」
 アンタ知らない事を他人に伝えるのは得意?
 なんて冗談めかして楽しげにするフィッダ。
 実際冗談ではない。君は、人々に"ハロウィンを伝える者"になれるのだ。
「南瓜があるのは、異端の神々が徘徊している場所だ。食料としてだッて有用な野生の南瓜だぞ、確保するべきトコだと思うんだよ、俺様」
 たくさんの南瓜があれば飾りにしたり、振る舞ったり色んな楽しみ方を伝えられる。
 ハロウィンの楽しみに使う為の南瓜は大いに越したことはない。
「確保の為には、まずは異端の神々たるオブリビオンを排除しないといけねェけどな」
 辺境に居るだろうオブリビオンのことも当然予知に掛かっているとフィッダは言う。
「丁度群生地に居るのは、"高き森の怪物"。昏き闇に潜む異端のなるもの。誰かが想造した、架空かもしれない巨大な化け物がいると思う」
 オブリビオンとして立ち上がったそれは、昔何処かで正しい存在であったかもしれないが今は、恐怖を生み出す化け物だ。狂える今は、目につくものに恐怖を与えんと、襲ってくることだろう。
 御伽噺は真実になる、その先駆けとして奇妙な縁があると言っても良い。
 ただ、狂っているからこそ、こちらの説得は届かない。
 倒すことでしか、化け物がしたいことを拒絶する術はないだろう。
「――そうそう、肝心な場所なんだがな。二つ並んだ領地の片割れなんだ、かつて魔女と呼ばれた者が君臨していた場所さ」
 革命に動いた燭火は今も尚、灯っている。
 彼らの日々に労いを。燃え続ける彼らの為に、収穫祭を。
「楽しい日にしようぜ?彼らにとッちャあ、ちョッとした記念日になるかもだからよォ」


タテガミ
 いえーいはっぴーはろうぃーん!
 ダークセイヴァーからハロウィンもお届けしちゃいます。

 舞台はかつて魔女領主から解放された領地です。
 (弊シナリオ『Witch Lord War~燭火』にて開放した土地ですが、特に把握する必要はありません)。
 (もしご興味がありましたら、『#魔女領主戦争』のタグからどうぞです)。
 第一章にて異端の神を討伐し、第二章にて領地の民とハロウィンを楽しみましょうって感じの、シナリオになります。

 里音MSとの合わせシナリオですが、『以前同時解放した場所』という共通点のみですので、どちらのシナリオにも問題なく参加頂けます。
 また、里音MSと同じく、第一章は🔵の必要人数程度で執筆(場合によってはサポートさんのお力もお借りします)し、第二章をメインで受付の予定です。

 最終章が日常章ですので、お声掛けいただいた場合フィッダも描写可能のつもりです。皆様のプレイングを、お待ちしていますね。
156




第1章 ボス戦 『高き森の怪物』

POW   :    光輝にて闇を照らす
全身を【輝かせ、周辺地域を鬱蒼とした森林地帯】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    高きより歩み征く
【自身の巨体】を披露した指定の全対象に【得体の知れない強烈な恐怖】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    大地の法則を書き換える
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アウル・トールフォレストです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サンディ・ノックス
この土地も久しぶりだな
前回来た時は、後始末があったから解放の喜びには一緒に浸れなかったんだよね
皆元気かな、会うのが楽しみ
一緒にお祭りするためにも南瓜の確保といこう
居座っているオブリビオンには骸の海に還ってもらわないとね

これは…なかなかに巨大な存在だね
見た目だけじゃなくて力も
嫌な予感がする、UC絶望の福音を使って未来を視ながら敵の攻撃は全て躱していこう
この後はお祭りなんだ、怪我して参加はごめんだもの

敵を見た俺が猛烈な恐怖を感じて動けなくなり、攻撃されるままになる、か
敵を全く見ないのは難しいけれど、朔(フック付きワイヤー)を敵に投げつけそれを引き一気に距離を詰めて、暗夜の剣を全力で突き刺してやろう



●森が襲い来る

 じゃり、と足元を確認する。
「うん」
 ――この土地も久しぶりだな。
 おおよそ半年以上前か?と月日の流れに息を呑むサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)。
 前回来た時は、魔女領主から開放した後――すぐに訪れた第五の死角からの対処に当たった。
 憶えている。後始末があったから、開放の喜びを一緒に分かち合えなかった。
「……皆元気かな、会うのが楽しみ」
 笑顔がちらほらとあると救ったって感じがするんだけどその確認は後だ。
 一緒にお祭りをするために、確保するべきモノを優先しなければ。
「南瓜の確保、なんて不思議だけど……」
 居座っているオブリビオンには、骸の海に還って貰わないとね。
 ずずううぅん……。
 地響き。辺境に出て、すぐに大地が揺れるような感触が足に伝わる。
『――』
 色を例えるなら、煙のように溢れ出る黒に近い緑のオーラ。
 怪物の巨体から溢れていた其れは、狂気の現れ。
 サンディはそれを、まずは錯覚の類だと思ったもの――ただ視線を上げていくと輝く炎の瞳が見下してきている。
「……排除するべき敵だ、って認識したから来てくれた?」
 ――これは……なかなかに巨大な存在だね。
 異端の神々と称されるオブリビオン。巨人よりも高い背丈があるかもしれない。
 人間の大きさや、吸血鬼の大きさからは比較できない巨大さだ。
 ゆっくりと、腕を振り上げて足元の虫でも潰すような叩く動作でサンディを襲う。
「おっと」
 緩慢に見えた動きを見切り、サンディは後方に飛び退いて高きより歩み征くその存在の全体像をようやく視界に収めた。
 得体のしれない巨大さ。得体の知れない破壊衝動。
『――』
「潰せなくて悔しい?潰させるわけないよ」
 嫌な予感がしていた――絶望の福音は、敵の動作を"緩慢さ"としてサンディに伝えた。まるで未来を見たように、その動きに理解を示して簡単に避けたのである。
「俺の目は、未来を少し視ているからね――地面を抉る威力の攻撃を、受けたりはしないよ」
 悔しげに地団駄を踏み、逸れた南瓜を一つ二つ、踏み潰す。
 荒らして砕く事が容易いほど、"高き森の怪物"は目の前の存在しか視ていない。
「まあまあ、落ち着いてよ」
 この後は、壊されなかった南瓜でお祭りなんだよ。
 ――全部を壊さないで欲しいかな。
『――!!』
「……ああ、それが君の特有の力?」
 びりびりと、身体を震わせる感覚がサンディの身体に奔る。
 化け物が吼えた途端のこれだ、敵を見ただけで――猛烈な恐怖を感じさせて、感覚を麻痺させているとでも言うのか?
「得物を動けなくさせて、両手で満足するまで殺るって?」
 びりびり。纏ったオーラ同色の殺気に、なんとなく識らず共感してしまうサンディ。しかし不意に彼の口角は釣り上がる。
 少しの間だけなのだ、動けないのはきっと――。
「冗談でしょ、その場に縛り付けて振り上げたその両手の拳……」
 両手を組んでハンマーのように振り下ろさんと化け物が掲げた姿。
 がらあきの胴体にフック付きワイヤーを無理やり投げて絡ませて。
 動かない身体を化け物と綱引きする要領で一気に距離をゼロにする。
 相手は考える頭を持たない。
 急激に接近を赦してしまえば、その後の対処は必然と遅れる。
「きっちり俺に、ぶつけられるはずがないよ」
 敵からの攻撃を受ける前に。
 接近したサンディは、暗夜の剣で思い切り巨大な胴体を全力で突き刺す!言葉ではない発狂した絶叫。耳障りな声を上げて、化け物が騒ぐように無作為に暴れる。
 ――怪我して参加、なんてごめんだからねッ!
 暴れだした化け物に囚われないようサンディは突き刺して作り上げた真新しい傷口を思い切り蹴って、化け物の間近を離脱した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UCは業火の一撃、灼熱の束縛に加えて
自分たちが押し切られそうになったらオーバーヒートバッシュ
🔴の数が多い場合はバーニングリベンジャーだ

攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる

逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター
こいつがボスか…
みんな大丈夫?助けにきたよ!

そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!

技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態

アドリブ絡み歓迎

影朧などの場合は説得もしたい


隣・人(サポート)
『隣人ちゃんは隣人ちゃんですよ隣人ちゃんと呼んでくd』
バーチャルキャラクターの殺人鬼 × 四天王
年齢 22歳 女
外見 158.4cm 赤い瞳 茶色の髪 色白の肌
特徴 囚われていた 実は奴隷だった ハイテンション! いつも笑顔 刺激に敏感
口調 ビハインド(自分の名前+ちゃん、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)
本音で話す時は 収容違反(私、アンタ、ね、よ、なの、かしら?)
人型のオブリビオンが相手だと三半規管を狙います
それはもう執拗に狙います
相手が『見せられなく』なるまで

真の姿の際は『殺人』特化
普段とは違い、シリアスな感じでお願い致します



●炎の一撃を受けよ

 ずしんずしんと、たたらを踏んだ巨人の地獄なような雄叫び。
 言葉として誰も聞き取れぬ。狂人であり空想の怪物の声は空に空気に響く。
 輝く歩みは此処に。此処に。
 全身を光輝に染め上げて、大地を草木が闇を照らされて急成長する森が生成されていく。
 この場所に木々などなかった。
 その証言は、百地・モユル(ももも・f03218)が出来るだろう。
「今の……見た?」
 視たものが信じられないのか、身長を更に超えて森林地帯が形成されていく様子にモユルは声を掛けるのだ。
 隣りにいたハズの、もうひとりの猟兵に。
「鬱蒼としてますね、隣人ちゃんもこれには気分があがります」
 鬱蒼とした森が広がる前に、輝いた存在を隣・人(🌈・f13161)も見ていた。
 輝く瞳をギラつかせた、空想上の怪物を。
 その姿が森林の内側に隠れるように消えたことを。
「確かに今、敵は前方に居たよな?」
「いましたいました。見ましたよ?ただこれは……」
 輝く存在が自分の動きを制限することで森林地帯は破壊不能オブジェクトのような要素を得ているだろう。
 人が触って見ても、森に殺生能力のようなものは感じられない。
 ただ、囲って――朽ち果てるのを待つような、気の長い檻に閉じ込められたのだ。
 森の奥に隠された巨人の輝きは、森に対する妨害を受けても簡単には失われず。
 しかし森林地帯から出てくることもなく。
『――』
 何処までも響き渡るのは呻くような異端の叫びだ。猟兵たちを捕らえ、じわじわと森中に蔓延する狂気のオーラで毒していこうというのか。
 闇の色を深めた緑の煙が周囲にどんどんと湧いてくる。
 異端の力は侮れない。ずっとこの場に身を止めれば、何が起こるか――。
 ――簡単には越えられそうにない、困難な壁……!
 モユルの勇気に、闘争心に気合に、一気に火が付いた。
 好奇心旺盛な小学生な彼だからの発想。
 敵が逃げずに佇むならば――群生しているはずの南瓜が踏み荒らされる被害が出ようものか。
「よおし此処は正面突破だ、おねーさん!」
 ぐっと握り込む、ルーンソードがぼぼっと炎の精霊の力を反映して燃え上がる。
「此処へ集え――業火の一撃」
 灼熱の束縛を、汝に与えん。
「ボクたちの進む道、誰にも邪魔はさせないよ!」
 灼熱の炎を纏ったルーンソードを手に、モユルは正面の木々に突進する。
 オーバヒートバッシュの影響で、周囲の木々に灼熱の炎は燃え広がり、不動の化け物の森を徐々に熱量が埋め尽くす。
「さっき確かに……此処に光が見えたんだ!見えるまでボクは攻撃をやめない!」
「ふふふ見えた瞬間が隣人ちゃんの出番というわけね」
 ごおお、と激しい炎が豪炎となって広がる中で、化け物が耐え凌ごうとする森林をモユルは灼く。
「さすがボスだね、硬い……!」
 ――焼き払えない森だなんて、そんなはず……!
「硬いだけで、此方に手が届くわけではない様子」
 モユルの突進に、森林地帯の壁に僅かな孔が空き始める。
 サーカス団の炎の輪のような、危なげな孔を通り抜け、ハイテンションの女は更に気分良く笑うだろう。
「そこで耐えていれば痛みはないと?燃え続けても、隣人ちゃんの揺さぶりにも?」
 ――そんなはずはないのですよ。
 女は此処までずっと持参した回転椅子で回っていた。
 モユルは突っ込んだりしなかったが、ずっとずっと遠心力によりたまに遠のく声と会話をしていた。
 隣・人と呼ばれる女は遠心力の力で"高き森の怪物"に張り付いている。
 既に三半規管はピークを超えて、出るものが出そうな気分を超えそうだ。
「逃げないということは隣人ちゃんに狙ってほしいのでしょう?欲しいのよね」
 人型といえば、人型の巨人が動けないのをいいことに、三半規管を狙い六六六番外・隣人知闇流殺人技芸・超説斬新回転増強(ロクロクロク・バンガイ)を仕掛けて行く。体制を崩すように、ゆらゆらゆらゆら執拗に腕を絡ませて徐々にでも三半規管が揺さぶられるよう、暴力的に勝手にその体を時計回りに回転させる。
 回転木馬は人自身。楽しくるんるん回りましょう。
 回転する軸となった化け物が、二人の同時攻撃に耐えられなくなって無敵状態を解くまでそう長い時間は掛かるまい。
 人によって振り回され続けた分、三半規管がイカれて足元がふらつくその瞬間。
 モユルの二回攻撃の二撃目がその身を襲うなど――化け物だって考えもしなかっただろう。大きな巨体が、喰らった攻撃の重さにぐらりと傾き、狂気に吼える事で踏みとどまった。吼えて痛みを無視した、そんな姿として映り込む――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桜雨・カイ
南瓜をおいしく食べられてハロウィンとしても楽しめるのはいいですね
その前にやらないといけない事がありますが…

その巨体に恐怖を感じたとしても、私は己を【鼓舞】して引き下がりません
異端の神々と聞きましたが……あなたは本当に人々を怖がらせたいんですか?

あなたが何を望むかはきっと分からない、
それでも…人は怖がるより笑って欲しいと思うから

【援の腕】発動
私もあなたを想像します。
大きくて穏やかな森の生き物を。
与えようとしてくる狂気を浄化していきます

あなたが人を怖がらせる事が、本当の役目ではないと信じたいから
もうこれ以上恐怖を与えなくていいんですよ


リオン・リエーブル
ダークセイヴァーね
宅配バイト繋がりで人類砦に知り合い…でもないね
ちょっとだけ知ってるご家族がいたりするからね
おにーさんもひと肌脱いじゃうよー

まずは怪物退治
敵の姿を視認する前に先制攻撃と高速詠唱でUCを完成!
作るゴーレムさんは爆薬背負った小人さんと可燃性オイル背負った小人さん
怪物の死角から体をよじ登らせるよ
おにーさんは恐怖を覚えてもゴーレムさんは心がないし
根性で全力魔法で火の魔法を乱れ撃ち
ゴーレムさんに引火させよう
森の怪物は木でできてるみたいだし
よく燃えるよね

南瓜は美味しくて腹持ちよくて栄養満点
この世界の人達を救う作物かも知れないんだ
今日のおにーさんは宅配便さんだからね
南瓜をお届けさせてもらうよ



●この声を"届けて"

 ずずぅん――振動だけで音が耳に降れる。
 存在するだけで空想は空間を揺らすのだ。
 闇を連れて、その声は洪水のように猟兵たちを狂気の淵に誘わんと喚ぶ。
「うん。化け物感がクライマックスしているね」
 ダークセイヴァーか……なんて訪れてから思うのは遅いだろうか
 リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)が思うに、寂寥感が先にくるのは間違っている。
「おにーさんが来たのは配達バイト繋がり、みたいなものでね」
 ちょっとだけ知ってるご家族がいたりする地だからこそ。
 楽しい時間を過ごせるひと時を、届けられるなら人肌脱ぐくらい易いものだ。
「カイさんは?誰か知り合いが?」
 ずずんと遠くで聞こえる音だけだ。リオンの目にはまだ、現況が入り込んできてはいない。 だから隣の君に問おう。
 辺境の地で、お喋り――をする時間はあまりないけれど。
 問われた桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は頭を横にふるだろう。
 特に誰か、が居たわけではない。
 処刑劇を好み、断頭台での斬首を好んだ魔女が収めていた領地。
 演劇、演者――中身のない人形(ひと)の命が幾つも潰えた地だというが、そこまでだ。希望を見ようとしている。希望を得ようと未来を見ている。
 小さな希望、その提案。それを良しをカイは思ったのだ。
「南瓜を美味しく食べられてハロウィンとして楽しめるのは良いことですね」
 ――その前に、やらないといけないことがありますが……。
「南瓜は美味しくて腹持ちがよくて、栄養満点だものね!」
 この世界の人達の餓えた心まで、纏めて救える優れた作物かも知れない。
 リオンが自信有り気に語るものだから、カイはこくりと頷くばかり。
「つまりハロウィンは知るべきだね、笑顔のお届けが出来るかもって、もう役得感が満載だよ」
 ――今日のおにーさんは宅配便さんだからね。
 幸福感、なんて大仰なものは形がないけれど。
 ――雰囲気を込めた提供は出来るからね。
 大事なことは、"やろう"と決めて"実行する"ことだ。
「南瓜は確実に、お届けさせて貰うからね?さあそろそろお出ましかな」
 まずは化け物退治から。
「……はい、足音はだいぶ近づいてきたかと思われます」
「じゃあ此処はおにーさんの出番だね」
 敵を視認してしまう前に、リオンは軽く深呼吸。こういう場面で詠唱を噛むなんて可愛い事件は引き起こさないで、完成させるはユーベルコード。
「……今なにを?」
「答えはこの通り。さあ、出ておいで!」
 ニシシ、といたずらっ子の笑みを浮かべたリオンの試験管の薬品はゴーレムとなって出没する。創られたゴーレムは、爆薬を背負った小人となんだか不思議なオイルを背負った小人を搭載していた。
「此処でゴーレムさんたちを準備できたことはきっと、良いことなんだ」
 指をパチン、と鳴らしてゴーレムさんを怪物が出現する前に、移動させる。
 出した命令は一つだけ。あとはゴーレムたちの仕事次第。
「……?リオンさんがいうなら、そうなのでしょうね」
『――ウォオオオオ』
 腹に響くような重低音。
 狂った声は言葉にすらなっていない。
 遮蔽物さえない場所から、突然大きな影が歩み寄ってくる――。
「……こんにちは?」
 巨体は猟兵たちの前に全てを披露するように、立ちふさがる。
 巨人種族より大きく、それでいて見上げる程の得体の知れない感じが悪寒となって猟兵の背中を伝う。
 猛烈な恐怖感は、足を竦ませて、声を奪うのだが――。
 己を鼓舞して踏み留まったのだ。
 リオンは気圧されて数歩下がって絶句している様子。
「その鋭い爪を振り下ろしますか?」
 異端の神々のひとつ。山のように巨大で、見下されているのがよく分かる。
 その轟々と燃えるような瞳に、正気の欠片が見えないこともカイには分かった。
「……あなたは本当に人々を怖がらせたいんですか?」
 歩く空想、悪夢の幻想。
 破壊の象徴へ、異端者へと昇華してしまった"化け物へ"語る。
「あなたが何を望むかは、わかりません。私達の破壊でしょうか、それとも……」
 森を作り森を護る"守神"のように、誰かに振興されたいのでしょうか。
 ――人が見れば、怖がる姿で迎えるでしょう。
 ――私は……怖がるより、笑って欲しいと、願いますよ。
「……カイさん」
 リオンの言葉は微かに聞こえるのだ。
 どんなに話しかけてみても、あれは応えないし、聞く耳も――。
「はい。でも、……空想上の化け物と呼ばれていても、私はあなたを想像します」
 ――大きくて、穏やかな森の生き物を。
 援の腕(タスケノカイナ)――両腕から、浄化の光を召喚し返答のない化け物を、暗い世界を優しい光で包み込む。
「……伝わるでしょうか」
 攻撃のために振り下ろしてきた手に向けて、光は化物に手を伸ばす。
 ――あなたが与えてくる強烈な恐怖も、狂気も。
 高き寄り歩み征く幻想は、他人の正気を犯せない。
 鋭い鉤爪が、カイに降り注ぐことはなく――高き森の怪物は不思議とピタリと行動を止めた。
「あなたが人を怖がらせる事は、本当の役割ではないはずです」
 ――もうこれ以上、必要以上の恐怖を与えなくて、良いんですよ。
 森は森で在っても良い。
 現実となった森は、静かな森へ戻って、良いはずだ。
 ――私は、そう信じたいんです。
 ――駄目でしょうか?
「そうそう。怖くない仔が、辺境で徘徊する分には別に誰も咎めないだろうからね」
 カイが押し留めた化け物へ、リオンのお届け物が届く。
「お話が貰えて何を考えてた?おにーさんたちはそちらの言葉は分からないよ」
 でもね、君が自分に登るモノを払い除ける気さえないものとは思わなかった。
「だから、此処に居ちゃ駄目だよ、とおにーさんは主張しまーす」
 強烈な恐怖感を、根性で跳ね除けて放つ力は、全力魔法の火の魔法!
 見るからに木のような姿をしているから、そちらの本質は"森"だろう?
「悪いね。おにーさんは恐怖を憶えても、躊躇ってもそのゴーレムさんは心がないからさ」
 チッ、と軽い音が爆薬に引火する。
 ゴーレムが背負った小人さんたちの私物に、魔法の弾丸がぶつかったのだ。
「少しでも、正気を取り戻せた?それなら、良いんだけどね」
 ――森の怪物さん。山火事ってご存知?
「あの不思議なオイルは、よおく燃えやす加速装置……油ともいうね」
 油と爆薬、そこに火だ。
 ずどん、と大規模に顔面近くが爆発するようにもうもうと煙と炎を上げ始める。
「よく燃えるよね。それでお引取りを、お願いできないかな」
 燃え上がる炎を木の身体で消火出来ますか?
 叫び声で沈静化を測れますか?
 暴れに暴れて、燃え尽きるまで――破壊の限りを、尽くしますか?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎

…あの領地の近くで過去の残滓が徘徊しているのならいずれはそちらも解決しないといけないと思うしね
行こう、セリオス
領地の皆に新しい灯火を伝える為に

張り切るセリオスを援護しようと盾を構える
…が
彼をかばうように立つのが精一杯になる程の強く不可解な畏れが込み上がる
何とかセリオスの方へ視線を向けて…気づいた
――セリオス
手を伸ばし、彼の手をつよく握る
…心に動揺はまだある
けれどセリオスが震えているのなら
…何かに囚われそうになってるなら
手を伸ばして掴みに行く…導く
決意を宿し真っ直ぐ彼と目を合わせる
大丈夫。今は僕を見ているんだ

――うん、僕も君を見ているよ
それに…君と繋いでいるこの手は絶対に離さないから
反対の手に持つ盾の代わりに
彼の剣に極光を集束させる
君となら…僕らふたりが揃えば何が相手だろうと立ち向かえる
…強くなれる
そうだろう?
一緒に…【天破空刃】で斬り祓おう!


セリオス・アリス
【双星】アドリブ◎

ああ、アレス
南瓜もあの辺の平穏も
纏めて得てやろうぜ!

歌を歌って身体強化
これならでっけえ南瓜をたくさん持って帰れるし
何より敵を見つけたらすぐ叩けるからな!
…って思ってたのに
ああ、この奥からこみあげてくる恐怖はなんだ
なんとか剣を振るおうにも
震えていつものようにいかない
けど…きつく握る手がこちらへ、戦場へ意識を引き戻してくれる
アレスと目が合う
その目に僅かに動揺が見られるなら
お前を支えるのは俺の役目だ
…そんじゃ、お前は俺だけ見てろ、アレス

けど手を繋いでちゃいつもみたいにいきそうにはないから
歌い上げるは【囀る籠の鳥】
こっちへ来いと誘い出し
アレスとふたり、剣に魔力を注ぐ
一緒にぶちかまそうぜ、アレス!
―ああ、大丈夫
アレスの声が、目が、存在があれば俺は…
ふたりなら、俺達は無敵だ



●この手は希望を抱(いだ)くのだ

「暗闇を裂く、灯りが点るよう……」
 昏い辺境の地で、炎が轟々燃えていた。
 こちらには、まだ、気がついていないだろう。
 体が燃えているものだから、小さな物音程度では、何かが居ると認識さえ出来やしない。それから奇声のような叫びが、大気を震わせて怒っている。
 高き森の怪物。その存在は猟兵たちが見上げる巨体を揺らしていた。
 あの領地の近くで、こんなにも過去の残滓が徘徊しているだなんて――。
 アレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)はふと、あの日を想う。
 あの日――魔女領主の元に、大量の配下達が付いていた。
 部下、というよりは、口車に乗せられて使われていた者達という印象が離れない。
 頭を隠し"神が"と口々に告げていた彼らの元に、あの領地に、"神"などそもそも存在して居なかったのだと。
 ではあの集団が信仰していたのは"何だ"?
 ――……まさか、この声の主が?
 狂気に呑まれたオブリビオンが、あの時の信仰者達が信仰していた対象だったなら……狂った異端の神々は小さな寄る辺も無くしたことになるのだろうか。
 今や怪物は――どこまでも、孤独なのだろうか。
 信仰を失った亡霊は、信仰されることも語られることもなくなって。
 御伽噺以下の、怪物だ。猟兵に認知された時点で、空想ではもういられない。
 名実ともに化け物へ至った彼は、南瓜を時折踏み荒らし、自分の領域――森林――を広げては、自らの手で破壊する。
 芸術家が気に食わない絵を壊すように、呆気なく、だ。
 ――ああして、手当たりしだいにその力を振るうだけ。
「あんな痛々しい灯台なんて、誰が望むもんじゃねーだろうけどな」
 セリオス・アリス(青宵の剣・f09573)が、事前準備に歌う声が耳に馴染む。
 もう彼は歌っているから、駆ける足は既に羽のように軽いはずだ。
「……何か心配が?」
 こちらは二人。眉根を下げる必要なんて、無いのだけれど。
「ううん、解決しないといけないことが、こうして目と鼻の先にあるんだなって」
 こつ、とセリオスがアレクシスの胸に拳を突きつける。
「目の鼻の先に居るのは、俺」
「……そうだね」
 ――やっぱり、君はそうじゃないとね。
「行こう、セリオス。領地の皆に、新しい"灯火"を伝えるために」
「ああ、アレス。南瓜もあの辺の平穏も纏めて得てやろうぜ!」
 準備運動を軽く、屈伸するセリオスは、――ああ、今日も強気に笑ってる。
「ん?なんだその顔。こうしておけばでっけぇ南瓜をたくさん持って帰れるだろ!」
「うん、そうだね!」
 張り切るセリオスを、いつもどおりに援護しよう。
 アレクシスが盾を構えて。あとはそう、セリオスの攻撃に続くだけ――。

『――ォオオオオ!!』

 気づかれた。ほんわかムードも此処までだ。
 燃える瞳が、炎に燃やされるその身体が、こちらへぐるりと向いて、のしりのしりと歩いていくる。
 怪物が、猟兵を"認識"して吼えた。
 一歩一歩を踏みしめて、仰ぎ見よ。見上げて絶望を感じよ。
 人類の小ささを、その身に刻め。高き森が、こうして聳え立つその前で。
 破滅の凶星が、すべてを見て闇深き緑の狂気の色を呑め。
「……ッ」
 アレクシスが咄嗟に、庇うように敵とセリオスの間に割って入る。
 ゆっくり歩いてくるあれが、巨人の悪魔にも見えてくるものだ。
 燃えているのに死にもしない。人の言葉を話もしない。
 ――瞳に映した、瞬間の、悪寒が……ッ!
 強く不可解な、畏れの洪水が否応なしに流し込まれるような。
 しかもそれだけで威圧完了とするなんて。
 ああ、ああ。化け物だ。
「怪物?……生易しいな、化け物、じゃないか……」
 たどたどしく喋るのが精一杯。どうしてもその場から、身体が動かない。
 ――すっかり竦み上がって、異端の神々にされるがままに成れと……?
 そんなわけにはいかない。いかないんだ。
 ――……セリオス!
 どちらかの喉が、ひゅう、と音を鳴らした。
 うまく呼吸が出来てない、そんな音。こんな時に、誰の音だ……?
 ――敵をすぐ叩けるように、って思ったのに!
 呼吸が浅くなる、ハッ、ハッ、と無様な息を吸うのは誰だ。
 ――……お、れ…………?
 高き森の怪物の全景を見た途端、得体の知れない強烈な恐怖が全身を駆け巡る。
 強化して、戦闘や運搬の準備を施した時間が解けるような、奇妙な感覚。
 握った剣が――カタカタと大きく震える。
 ――いつもこんなことなんて、ない、のに……!
 いつも通りに空を疾走り、先手必勝の物理を決めるつもりで居たセリオスの膝までも笑うのだ。
 見ていられないのに目を離せない。
 立っていられない、なんて――ありえないのに。
 震える手を、これまた震える手が掴んでくる。
「……!」
 剣を握る手に、震えるからとキツめに握る手の主は。
 此処が戦場で、心まで折れていない事を示すような暖かさをセリオスに示す。
 ――手を伸ばせる距離に、君は居るから。
 心に動揺という不調は、まだある。
 いや敵が近づいてくるにつれて、増しているような感覚さえある。
「(大丈夫だよ)」
 震えるセリオスの手を、手を伸ばして掴んだからには。何かに囚われそうになっている彼を、救い――そして導くのがアレクシスの役目だ。
 ――僕は君を、見ているから。
 アレクシスの決意を宿した瞳に、正面から映り込む君に。
「(……そんじゃあ、お前は俺だけを見てろ、アレス)」
 うまく口が回らない気がして、セリオスは言葉を視線に込めた。
 キツく握られた手の頼もしさだ。
 ――お前はきっと、いつもみたいに返答してくるんだろう?
 ――「それは、セリオスもだよ」ってさ。
 動揺は、見られなかった。
 奮い立つ君の手は、隠しようがないくらい震えているというのに。
 ――お前が俺を見ているなら。
 支えるのがセリオスの役目。

 二人同時に戦闘意識を奮い立たせている間に。狂気の声は頭の上から振ってくる。
 もう高き森の全景は、見えない。
 頭の上から落としてくるだろう、鋭く貫き壊すその両腕を――。

「(――――っ)」
 手を繋いでいては、いつもみたいな攻守で別れるのは不可能。大きく息を吸い込んで、力を言葉として吐き出しながら思い切りアレクシスを引き寄せる。
「(見てるんなら、超近距離がお勧めだ!)」
 ついでに、こつんとおでこをぶつけて意思疎通。
 囀る籠の鳥の歌(レイド・セレナーデ)は、強烈な恐怖を越えて歌を紡ぐ。
 持ち得る技能を跳ね上げて、二人一緒にやればいいとお誘いは強引に。
「(またすぐそういうことを……!)」
 利き手とは反対の手に持った大盾。
 それから利き手に握ったセリオスの――剣を握った手。
「(でも、一緒なら"斬り祓えるだろう"って思えるから不思議だね……!)」
 黒を裂く極光の輝きが、セリオスの手に収束する。
 一気に吹き出す、他世界のような太陽を超えた輝き。
 ――君となら、……僕ら二人が揃えば、何が相手だろうと立ち向かえる。
 ――……強く、なれるよ。
「(そうだろう?)」
「(トーゼンだろ!)」
 ――アレすの声が、目が、存在があれば……。
 ――俺は……おれたちふたりなら。
 ――俺たちは、無敵だ。
 アレクシスとセリオス、二人で剣に魔力を注ぐ。
 恐ろしい爪?そんなもん見えるもんか!
 見えるのは、お互いの顔くらい。
「(一緒にぶちかまそうぜ、アレス!)」
 たっぷりの恐怖感でお互いの言葉は口から紡がれなかったが、当たり前のように二人は何を言っているか理解しただろう。
 その顔には、恐怖に怯える色ではなく。
 信頼と、勝機を信じる夜明けを越えて朝を飛ぶ白い鳥の群れを思わせる光の一閃でふっ飛ばすだろう。
 二人が届くと視認した距離に、怪物の頭が合ったはずだ。
 輝ける剣の輝きが、天破空刃(テンハクウジン)が斬り堕とすのは、頭部と身体その間。すぱん、と斬られた頭部に叫ぶ口は炭と化して吐き出されることは既に無く。
 頭を失った幹のような身体は、ぐらりと傾き、燃える炎に包まれるように――力ない倒木になるのみだ。



 潰れずの南瓜はたくさん見える。
 威圧的狂気など、薄れて霧散すればもう其処に留まれない。
 呼吸を整えて、少し休んで……さあ――領地へと秋の実りを運ぼう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『ささやかな華やぎ』

POW   :    料理をいただく

SPD   :    会場作りを手伝う

WIZ   :    様子に想いを馳せる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●南瓜と微笑う

 異端の神々を退けて、入手した南瓜は大小様々。
 一人で持てる大きさと言っても大小は異なる。
 手のひらサイズから小顔サイズもう少し大きいもの、色々だ。
 得体の知れない恐怖から、開放された猟兵達の働きぶりは、祭りの楽しさを伝えんとするワクワク感から来るものだろうか。領地の闇の救世主達は歓迎したものだが、次々に運び込まれた南瓜を見て怪訝な顔をするものも居た。
「これほどの南瓜の対価を、我々は出せるのか……?」
「いいやそんな利益云々で彼らは動きはしないだろう」
 備蓄のための搬入ではないらしい。南瓜だけあっても、利用方法は食すしかしらない彼らだ。
「なんでも、"ハロウィン"には必要なのだとか」
「ハロウィン……?」
 祭り事。楽しくて、夢のあること。
 言葉のいつか聞いた憶えのある大人たちは、遠く空を見上げるようにする。一体何処で聞いたのだったか。年長者の婆様が聴かせてくれた御伽噺、だったか……。
「指示されたモノを可能な範囲用意してほしいとも言われたぞ」
「ああ。工具類はもう準備しておいた。これ……料理に使うのか?」
 南瓜の飾りを作ったり、ハロウィンという催しを伝えるためには必要なのだと。
 彼らは、知らないのだ。ハロウィンにはどのような事をするのかを。この領地で開催されるハロウィン祭りは、猟兵達の教えが盛り上がりの一端を担うだろう。
 自ら仮装を楽しんで、こういうことだと伝えるでも良い。
 領地内にジャック・オー・ランタンを作り飾るのも、構わない。
 お菓子と悪戯の魔法の言葉を、実演込みでしてもいい。
 この地はいまや、自由な土地なのだ。
 もう自由を勝ち取った土地なのだから――支配時代では出来なかった事をしよう。
 笑って過ごそうではないか、燭火のように笑って過ごせる記念日を――。
サンディ・ノックス
UDCアースのあるテーマパークで買った、黒猫耳のカチューシャをつける
ハロウィンって仮装して楽しむんだよ
仮装ってわかる?
うーん、何かを模した変装といえばいいかな
俺はこうして猫の格好
物が少ないこの世界でどんな変装ができるのか、あまり思いつかないから
名案持ってる同業者に任せよう(居なかったらシーツお化けとか教える)

こんなに持ってきた南瓜はハロウィンのマスコットを作るんだよ
中身をくりぬいた外側で作るんだ
中身は食べる、無駄が無くていいでしょ?
慣れないとちょっと怖い顔かな? 見慣れれば愛嬌を感じるようになるよ
中に蝋燭を立てる
寒いこの世界において蝋燭の炎は安らぐものだと思う
この灯を何個も並べて会場を彩るんだ


リオン・リエーブル
トリック・オア・トリート?

お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ♪っていう決り文句なんだけどね
仮装した子供たちが家を訪ねてお菓子を貰って回るんだ
大人も仮想して子供たちを出迎えようよ
お菓子はこのカボチャを使ったクッキー作ってさ
てなわけで、トリック・オア・トリート?
(いたずらっ子の目で猟兵又は大人に手を差し出して)

まあ本来の意味は収穫祭だね
ご先祖様の霊が帰ってくるからもてなそう
一緒に帰ってくる悪い霊から仮装で身を守ろう
っていうのもあるみたい
死んだ人には会いに来て欲しい
でもオブリビオンは勘弁
どの世界でも一緒だね

さあ乾杯しようよ!
明日からまた日常が始まるからさ
だから今日はご先祖様を思いながら楽しもうよ



●君たちにお届けものです

 ちら、ちらと視線を感じる。
 それもとてとてと近づいてきて、間近で見上げてくる。
 サンディ・ノックスの頭上を見上げてくる領民の子供の視線だ。
「ねえそれなーに?」
「これ?黒猫耳のカチューシャだよ」
 UDCアースのあるテーマパークで購入した一品だが、気軽な気分替えを行う装飾品としては丁度いい。
「ハロウィンっていうのはね、仮装して楽しむんだよ。あ、……仮装って、わかる?」
「わかんなぁーい」
 どこの世界でも子供は子供。とても素直な反応だ。興味がある印。
 触りたそうに手を伸ばすので、少しばかり屈んで対応を心がける。
「うーん、何かを模した変装、といえばいいかな」
 小さい子供だ、伝わるだろうか。
 そこそこ落ち着いた洋風な衣服を身に纏っているから、あとは知識の問題だろう。
「うーん……?」
 ――ああ、演じる領主が居ても配役一つ割り振られていなかったのか。
「俺は猫の格好をしているのさ、にゃあん」
 者が少ないこの世界で、既製品の仮装を伝えるのは難しい。
 ――あまり思いつかなかったからね。
「それはいいアイディアだね、いいお耳」
「ありがとう」
 同業者の声だ。しかも何故か始めから楽しそうな。
「サンディさん、トリック・オア・トリート?」
 控えめに、リオン・リエーブルが声をかけると、サンディはクス、と笑う。
 ――その言葉がこの領地に伝わっているかさえわからないのに、先制攻撃かい?
「……とりっくおあとりーと?」
「ああ、その言葉はね。"お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ♪"っていう決り文句なんだけどね」
 サンディは手持ちにお菓子類を持っていない。
 降参するように両手を上げて、リオンの言葉を待つ。
「仮装した子どもたちが、家を訪ねてお菓子を貰って回る時に言うのさ」
 仮装は、それを行う参加証と同じだよ。
「まあサンディさんは持って無かったみたいだから、この後お菓子作りに協力お願いしまーす」
 悪戯としてはだいぶ軽く、片目をぱちっとするウインク付き。
 手元には収穫したての南瓜が一つ。飾りも何も、ありません。
 ――わかるよね。楽しくやろう?
 言葉の隠れた合図だけれど、サンディも勿論分かった。
「そうだね。いいよ、俺が出来る範囲ならね」
 悪戯っ子の目をしたエルフに、笑いかけてそして子供に向き直る。
「こういう感じで、アピールするのに仮装をするのさ……黒猫じゃなくてもいいんだけど」
「うん。此処ならでなら、領主不在の無礼講を掛けて"各々想像する怖くない吸血鬼"の仮装をしてみるとかね」
「シーツとか、白い大きな布があるよね。黒い大きな布でもいいけど……羽織るだけで随分違うと思うよ」
「……!!分かったぁ、おかーさんたちに聞いてくるね!」
 アイディアを聞いて、ぱたぱた駆けていく子供。
 ああ元気そうな後ろ姿だ。サンディとリオンの話を聞いていたらしい他の子どもたちも家にパタパタ帰っていく。
 みんな真似して、この祭りを楽しもうとしているのだ。
「大人も何人か行っちゃった……のかな」
「まあ、何人かがおにーさんたちの話を聞いててくれれば問題ないよ」
 ――ねえ?闇の救世主さんたち?
 ちらとリオンが視線を投げかけると疲れ気味な顔をした大人の男たちと目が合う。
「そんなに難しい顔をしなくて大丈夫だよ。邪教じゃないし、お祭りの一種だから」
「……というと?」
「本来の意味は、収穫祭、でね」
 ご先祖様の霊が帰ってくるからもてなそう。
 一緒に帰ってくる悪い霊から仮装で身を守ろう。
「大きくざっくり、そんな意味があるみたいだよ」
「……しんだひと」
「うん。おにーさんが思うに、死んだ人との縁がある人は会いに来てくれたら嬉しいでしょ?」
 ――オブリビオンは勘弁、って人だらけだろうけどね。
 何でもかんでも過去から押し寄せる百鬼夜行はよろしくない。
「……そうだな。それは、嬉しい方に気分を寄せる者は多いだろうな」
「ふふ、どの世界でもお祭り騒ぎで迎えたいのは一緒ってやつだね」

「リオンさん、ざっくりとした説明は終わった?」
「終わったよ。あ、おにーさんは人数分のカップと飲み物を調達してくるね」
「それは皆が各々持ち寄ってきてくれたよ、リオンさんはそこで笑っていてね」
 サンディの先制攻撃。リオンが話し込んでいる間に、あれとこれを持ち寄ってきて欲しいと大人たちに頼んで、今帰ってきたのだ。
 机に椅子、工具類。なんでも持ち寄れるものを持ち込んで貰ったのだ。
 悪戯のお手伝いといっても、やるならば徹底的に、である。
 とん、とん、とん、と手のひらより少し大きい小ぶりの南瓜を机に並べて。
「こんなに持ってきた南瓜。全部料理用にするには、多いからね」
 よく聞いて、と言いながら間違いがアレば指摘が欲しいサンディだ。
 ちらちらと視線を投げかければリオンはによによと此方を見ている。
「"ハロウィン"にはマスコットがあるんだ、それを皆で作ろうよ」
「マスコット……?中身は、どうするの?捨てちゃうの…………?」
「中身をくり抜いた外側で、マスコットを作るんだよ。中身は食べる、無駄がなくて良いでしょ?」
 南瓜に筆記具で、下書きを施すサンディ。
 この後くり抜く予定の箇所を、絵で表すとおお、と感心の声。
 おばけのような顔だ、怖い顔……と、怯える子供の声も聞こえてくる。
「慣れないとちょっと怖い顔かな?見慣れれば愛嬌を感じるようになるよ」
 自分たちで作ったら、もっとハロウィン南瓜と親しく出来るんじゃないかな。
「下からまあるく、くり抜いて。中の種と取り出して……」
 下書きした部分を切り抜いて。
「中に、火を付けたろうそくを立てるんだ」
 小柄のジャック・オー・ランタンの目に、ぼんやりと灯りが点る。
「簡単だよ、さあ皆。作ってみよう?失敗なんて気にしないで、いっぱいいっぱい、あるからね」
「「はーい!」」
 子どもたちが大人に付き添われて、ランタン作成に乗り出していく。
「悪戯以上の働きだね、お疲れ様――さあさ、乾杯しようよ!」
「……あれ?もう出来上がってるの?」
 ――寒いこの世界において、蝋燭の炎は安らぐものだと思う。
 これが点々と点在したら、ふんわりと領地が明るく見えるかもしれないね。
「この灯を、何個も並べて会場を彩るんだ。ハロウィンはそういうお祭りでもあるよ。これが終わったら、知らない子たちにも伝えてあげてね」
「はは、サンディさんは真面目だねぇ。明日からまた日常が始まるからさ~」
 ――現実を忘れよう、って話じゃないよ。
「だから今日はご先祖様を思いながら楽しもうよ。迷わず此処へ来れるようにね」
 ハロウィンの灯火を増やして。
「……あ、クッキー作りにはおにーさんも協力するよ」
 くり抜かれた南瓜の中身を、クッキーへ。
 ジャック・オー・ランタンを作り出した者達への報酬を、用意しなくては。
 ――あんなに楽しそうな笑顔が溢れてるんだもの。
 ――宅配便おにーさんの、アフターサービス、というやつだよ。
 楽しいって記念日へ。南瓜を見たら、きっと思い出して。
 君たちは、――自由なんだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
まずは南瓜のランタンづくりから
小さい子にも中をくりぬいてもらったり、みんなで楽しく作りたいです
周囲を照らせるように、自分も小さいランタンを複数作ります

これをもって大人達の所へ行って(先にお菓子は渡しておく)
「とりっくおあとりーと」と言ってですね、お菓子をくれないとイタズラしますよと……そういえばイタズラはどんな風にすればいいんでしょう?

ちょうどいいところにフィッダさんが!
すみません、例として私にイタズラしてください!
と、にこにこしながらイタズラをリクエスト(内容はおまかせします)

……こんな感じです
では行きましょうか。フィッダさんも一緒に楽しみましょう。
私にはみんなの笑い声が何よりもの対価だから



●燈火はその頭に揺れて

 ざっくりとした教えにランタン作りが始まる。
 その中に混ざる桜雨・カイは領地の子どもたちとわいわいとお喋りしながらだ。
「お顔、上手にかけたよぉ」
「ぼくが上手にくり抜くんだよぉ~」
 呑気な男の子の声と、しっかり者の女の子の声。
 猟兵が先に作ったお手本を眺めてから、南瓜のお尻をナイフでザクザクと切り抜いて。それから見様見真似で、大きなスプーンを使って種や中身をくり抜いていく。
「……あれぇ?!おにーちゃんの南瓜、お顔がちがーう!」
「思い思いの顔を作ってもいいんですよ。個性があっても、いいんです」
 くり抜き作業を手伝ってくれますか?と南瓜を見せると彼らは揃ってニコリと笑った。いいよー!と声を揃えて、スプーンで中身をくり抜いてくれる。
 ――楽しそう、ですね。
 カイが作り出したランタンは彼らに頼んだモノで合計六つ。
 自分の手のひらより大きい、小さめのランタンはニッコリしていたり、ムッとしていたり様々な表情だ。
 どれもが内側に蝋燭が灯されていて、ふんわりとした優しい光で温かい。
「出来たよー!」
「ありがとうございます。……おや?」
 カイが書いた憶えのない、南瓜の顔がくり抜かれていた。
 ウインクしている、可愛らしい顔だ。子供っぽい表情でなかなか愛嬌がある。
「蝋燭を立てて、完成ですね」
「わぁあかるーい!かわいいー!」
 きゃっきゃとはしゃぐ子供たちが今度は一人で作るよー!と果敢に次の南瓜に手を出したのでカイはひとまずその場所から移動する。

 その手にはまだ蝋燭に火を付けていない未灯火のジャックが幾つか。
 闇の救世主たちの元にも、ハロウィンを持ち込んで行こう。
 彼らが休む屯所のような施設の扉を、軽くノック。
「ご苦労さまです」
 ぺこり、と会釈をしながら何気なく、手土産と共に差し入れを大人に渡していく。
 それはどれもが南瓜性のクッキーだ。ふんわり甘く、ほろりと熔ける領地で焼き上げたもの。
「……ああ。何という言葉を聞いたら、これを渡せばいいのだったか」
「"とりっくおあとりーと"です。この南瓜を持った子や、不思議な仮装をしている子がきっとこの後此処へ訪れるはずですよ」
 お菓子を用意している場所に、この南瓜は置かれる。
 そう教えて居たからこそ、彼らには事前にお菓子を所持していて貰わなくては。
「そうだったな。お菓子か悪戯か選べという内容であるとも聞いたが……悪戯とは」
「……言われてみれば、イタズラはどんな風にすれば良いんでしょう」
 カイと大人数人が顔を見合わせてうーん?と悩んでいるところに、追加のランタンを持ってきたバス停が訪問する。
 さりげなく、クッキーの追加付きだ。
「丁度いいところにフィッダさん!」
「……はい?」
 名前を呼ばれて首を傾げている。
 先程までの会話は聞いていなかったのだから、当然といえば、当然だ。
「すみません、例として私にいたずらしてください!」
 にこにこしながら注文が入る。
「んー、と……ん、ん…………」
 対応の順番に困ったのか、顎に手を当ててシンキングタイム。
 数分間ぶんじっくり待たせて。
「とりっくおあとりーと、カイ。お菓子を寄越せ、くれねェといたずらするぞ」
 ニヤニヤと企み顔を十分に見せるバス停は、手を差し出してくる。
「……フィッダさん?」
「あー、くれない、ワケね。じャあ悪戯な!」
 サクサクと事実を言葉にして、フィッダはポケットをごそごそ。
 きゅっ、ぽん、と軽い音を立てた水性ペンらしきもので壁にびぃいいと落書きを開始。黒い白、色んな色を使って沢山の線を縦横無尽に書きまくる。
 何をしてるんだ、と狼狽える大人たちを無視して落書き行動は続く。
 服の上から怪しい波線を引いたフィッダは楽しそうに笑っている。
 カイの頬にも星型の落書きを素早く残して、やりたい放題だ。
「あ、あの……!?」
 フィッダの奇行に闇の救世主が狼狽える。
 悪戯の度を超すと奇行に至るのだが、それは――。
「ハッピーハロウィン?悪戯のお味はどうだい、今度はお菓子をたくさんくれよなァ?さて、この線全て俺様の魔力で発生させたモンだから指先一つでこの通りだぜ」
 ぱちん。
 高らかになった音が響き渡ると、これまで描かれた落書きの線が全て一気に消え果てる。任意で消して、悪戯完了。ニシシ、と声を出して彼は笑った。
「……こんな感じです。お菓子を渡せなければなにかされてしまうんですよ」
 ふふふ、と笑うカイだがフィッダは闇の救世主にしぃいと余計なことを言うなよ、と内緒のポーズ。闇の救世主はこくりと頷いて、余計なことをいうのをやめた。
「成程。お菓子の必要性は、理解した」
「準備しよう。お祭り騒ぎを、成立させるために」
 悪戯に対する対策と、お菓子欲しさに悪さをしようとする子供への対処を検討しよう。彼らはとても真面目な簡易会議を初めだしたが、それはそれで楽しそうに笑っていた。お祭り感のあるハロウィンは大人も子供も楽しいものだと、きっと理解してくれただろう。
「では行きましょうか、フィッダさん。一緒に楽しみましょう」
「ほーう、俺様と楽しむともれなくとりっくおあとりーとを言う側になるんだぞ」
「良いですね、折角伝えたのですから実践して貰いましょうか」
 ――私には、みんなの笑い声が何よりもの対価だから。
 ほら、聞こえますか。この領地には活気と、笑いが点るように点在しています。
 生きようという意志と、楽しもうという活気。
 薄暗い世界の中で、たしかに灯火は灯っているのだ。
「……フフ」
「楽しい悪戯案が思い浮かんだんですか?」
「内緒」
 バス停がやった魔法を使った書いた線の実体化。
 カイに言わないで消していない一つが、頭の上と背中の方でふよりと揺れている。
 それは――ふわふわとしたちょっと大きなウサギ耳。
 それは――ふわふわとしたまあるいウサギの尻尾。
 笑うと揺れて、風に揺れて――白い兎はこれから出会う人々の笑顔を誘うのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】アドリブ◎
やっぱハロウィンと言えばあれだろ
ジャックオランタン!
作って見せてやろうぜアレス
南瓜は当然でっかいヤツだ!
でかいは強いからな
ふふんと気合いを入れて彫り出すけれど…
でかいの…飽きてきたな
穴開けばいいんならこう…拳でどーんといっちゃえばよくねぇか?
歌で身体強化を重ねよう
…と思ったらお菓子!?
この南瓜もお菓子になるのか!?
ならちゃんと
たくさんとれるようにくりぬかねぇと!

でかすぎるランタン(?)に火を灯したら次は仮装だ
けど…あんまこったのだと大変だよなぁ
…そうだ!
こういう仮装もいいんじゃねと
アレスとマントの交換
ふふん今は俺が騎士だから
アレスをちゃぁんと守ってやるよ
アレスの仕草を思いだし
跪いてその手をとる
そのまま手の甲に口づけを―…って
何でとめッ!
…これじゃあいつもとかわんねえじゃん
口では文句を言うけれど
悪い気はしねえから困ったもんだ
アレスの手に手を重ね
ハロウィンを伝えにいこう
小さいやつらを見つけたら
魔法の呪文を教えてやると囁いて
アレスに向かって言ってやる
トリック・オア・トリート?


アレクシス・ミラ
【双星】アドリブ◎

この世界だからこそ、皆で素敵なハロウィンに出来ると嬉しいな
僕はミニ南瓜でランタンを二つ作るよ
…あ、セリオスが飽き始めてる
ほら、完成したら南瓜でお菓子を作るから頑張ろう、と鼓舞
終わったら調理場を借りよう
煮て柔らかくした南瓜を潰して…
南瓜クッキーと小さな南瓜のパイを作ろう

ハロウィンといえば仮装だが…吸血鬼や魔女等は…なるべくやんわりと逸らそう
ああ、これも立派な仮装だね
交換したマントのフードを被って黒歌鳥…なんて
其方も頼もしい騎士殿だな
…でも
彼が僕の手の甲に唇を寄せる前に
手を引き寄せ抱き止める
すまないね。マントと一緒にそれも譲ったつもりはないんだ
それ《君への誓い》をやるのは…
代わりに僕が彼の手の甲に口付けを
騎士《僕》の特権だから

ふふ、悪いがこれは譲れなくてね
と言うことで、騎士のもう一つの特権を
一度手を離し、誘うように差し出す
どうぞお手を
歌うように、魔法と悪戯の呪文を広めに参りましょう
南瓜ランタンを手に一緒に行こうか
お菓子の準備は整っている
勿論、君の分もね
呪文はいつでもどうぞ?



●Fixed casting

 机に、ごろごろと南瓜が転がる。
 形の良いものばかりが、転がっておお、と驚きの声が歓迎した。
 それらは全て、セリオス・アリスたちが元気よく運び込んだ採りたてだ。強化していた分、討伐後の体がとても軽かった、というのは本人談。
「たくさんあって悪いことは一つもない!」
 震えた気持ちは、運搬作業中に何処かへ吹き飛ばしてやったとも。
 アレクシス・ミラ共々、辺境から大量に南瓜を持ち込んで、セリオス渾身の一言が炸裂する。
「これだけあれば十分だろ!やっぱな、ハロウィンといえばあれだろ!」

 そう――ジャック・オー・ランタン!

 既にいっぱい存在する?そんなの知るかという気持ち。
「作って見せてやろうぜ。俺たちの、俺達によるランタンを!」
「この世界だからこそ、皆で素敵なハロウィンに出来るように努めたいからね」
 ぼんやり点るランタンの燈火では、小さい。
 もっと数が必要だ、もっと作って良いはずだ、アレクシスも同意できる事だ。この領地は自由を過ごして良いのだから、もっと"明るくしよう"。
 アレクシスが手にとったのは、小ぶりのミニ南瓜。膝の上にはもう一つ。合計二つの南瓜をランタン化しようと運搬中から目星を付けていて、机の上に紛れ込まないように気をつけていた代物である。
「そうと決まれば当然デッカイやつだろ!」
 一番運搬に時間が掛かった特大の南瓜をセリオスは指名する。
 むしろ俺しかお前をランタンに出来るものか、そんな自信付きだ。
 此処からセリオスとデカ南瓜との戦いが幕を上げるのである。
「いいか……?俺に格好良くされる事を光栄に思えよ?」
 ガッ、と突き立てるナイフで、ダイレクトに顔面予定の絵柄を彫り込む。どうせあとでくり抜くのだから、少々傷をつけても問題はない!
 だいぶ大胆な方法を取るセリオスの気合が入った鼻歌交じりの作業風景に、アレクシスは思わずふふ、と笑う。
「一応聴かせて?なんで、大きいのを?」
「でかいは強いからな」
 セリオス理論は単純明快。自然界の法則だって、でかいと強いは当たり前。別の要素が交じるから"絶対強い"が保証されないだけ。
 でっかいと強いんだ。ランタンだって同じだろう。
 ただの調理用ナイフじゃ分厚い皮がうまく彫り込めないと分かるやいなや、楽しそうに気合を入れて楽しんでいたセリオスの顔色がみるみる曇る。南瓜の尻をくり抜くだけだ、ぐっ、と突き刺してやったんだが――びくともしなくなった。
「アレスー……?」
 突然電池が切れるように、セリオスの顔にはバーンと飽きた、と描かれているように見える。
「要するに、穴開けて蝋燭立てたランタンにするんだし、拳でどーんとやっちゃってもよくねぇか?」
 代用なんて別の南瓜の底でも詰め込んで置けばいいだろ。
 ああでもそれだ抉る手間が無くなる……?中身まで吹っ飛びかねねぇか。うんうん唸りながら歌を紡ぎ、身体強化を重ねながら予備動作でぶんぶん腕を回し始める様がランタン作成中に発生し始めるとは。貫通したらどうするつもりだろう。作業が初めからになってしまうのだが――。
 ――……あ、セリオスが凄い勢いで飽き始めてる。
 はやい、はやいよ!思わず突っ込みそうになるが、ぐっと飲み込んで。
「ほぉら、完成したら南瓜でお菓子を作るから頑張ろう?お菓子作りにはセリオスの協力が不可欠なんだけどなぁ?」
 アレクシスは示す、二つのランタンを。
「これの中身だけじゃ足りなくてね。その大きいのも合わせたらセリオスも満足の品が出来るんじゃないかな」
「……え、は?え?お菓子!?」
 協力という言葉でピタリと拳でどごぉの危機を阻止して見せたアレクシスは、自分の手元のランタンの造形を拘っている。
 ――目は少し、大きめに……。
 ――口元は、不敵な笑みを浮かべる感じが良いね。
「この南瓜もお菓子になるのか?!」
「うん、お菓子。厳密にはくり抜いた中身を利用するんだよ」
「――ンならちゃんと沢山取れるようにキチンとくりぬかねぇと!」
 ぐっ、とやればやれないことはねぇんだからな!とやる気を再燃させたセリオスは、物理解決ではなく正攻法でくり抜いて、中身を綺麗に調理用ボールに山盛った。
「凄い量になりそうだね、僕は調理場を借りる交渉をしておくから」
 カタ、と席を立ち闇の救済者達に話を通す。
 困難な事は何処にもなく、是非家でどうぞと挙手してくる領民まで居たほどだ。
 お祭りだというのなら、遠巻きに見学せて欲しいという頼みまで飛んでくるほど――君たちの制作作業は楽しそうに見えたのだろう。
「全部見守っていたら、後の楽しみがなくなってしまうかもだよ?」
 悪戯っぽくアレクシスは笑って、後のお楽しみ(必要ならレシピの提供)を行う事を約束して料理準備を整えた。
 煮るために必要な鍋、小麦粉に砂糖とパイシートと、卵とエトセトラ。
「おーいアレス!これ此処に置くぞ!」
「ありがとう。今呼びに行こうと思ってたのに」
「善は急げ!早いほうが良いだろ」
「そうだけどね」
 型の準備は整えておいたから、順番にクッキーと小さな南瓜のパイを作っていこう。
 ――セリオスの分もあるからね?
 つまみ食いの心配はしてないけれど。わくわくそわそわ覗き込んでくる顔に、頬がゆるりと緩むのだった。

「でかすぎるランタンは後は火を灯したら完成だからな!次は仮装だ!」
 手持ち無沙汰になったセリオスが、腕を組んで悩み始める。
「あんま凝ったのだと大変だよなぁ」
「ハロウィンといえば仮装だが……」
 この領地で魔女だ吸血鬼だなんだという仮装もあると教えるのは憚られる。だから内容を選ばなくては――。
「でも簡単すぎると仮装っぽくなくなるし」
「仮装のクオリティを高めたい?」
 問いかければ、肯定の返事がおう!と返ってくる。
「やっぱ俺たちといえばっていうのがいいよな!」
 そうだ、と最高にいいアイディアを思いついた顔をするセリオス。
 提案内容はそう、お互いのマントの交換だ。
 お菓子作りが一段落して、あとはもう少し冷えるまで待機。
 バッ、とマントを渡してくるセリオスはニコニコが止まる様子がない。
 アレクシスも、自分のマントを変わりに差し出して、受け取る。
「ああ、そうだね。これも立派な仮装だね」
 君が"僕"に。僕が"君"に。交換したセリオスのマントのフードを被ってたアレクシスが此処で一言。
「見てみて、黒歌鳥……」
 なんて言えば、セリオスはアレクシスのマントを羽織ってその手をとってその場で跪く。ふわりとマントを軽く払って、騎士のように振る舞う。
 ――アレスの仕草は、何度も見ているからな。
「ふふん、今は俺が騎士だからアレスをちゃぁんと守ってやるよ」
 ――だって"今は俺がアレスの騎士"だから。
 自分がされる姿を映すように、そのまま手の甲に口を寄せて――。
「其方も頼もしい騎士殿だな、……でも」
「……!?」
 ぐい、と物理解決するいつもの君(セリオス)のように手を引いて、立ち上がらせて抱き止めて。咄嗟な事にされるがままなセリオスの頬を軽く撫でて、顔に掛かる髪をゆるりと払う。
「すまないね。マントと一緒にそれ《君への誓い》も譲ったつもりはないんだ」
 代わりに、アレクシスが彼がしようとした事を、やり返す。
 セリオスの手の甲に口づけを落とすのは、あまりにも自然で。
 強く指摘も出来やしない。ああ、これは――。
「何でとめるんだよ……これじゃあいつもとかわんねえじゃん」
 普段の視点からぼそりと呟やかれてしまうのも仕方がない事だ。
 ――悪い気はしねぇんだけどさあ!
 困ったな、これも顔に出てるか?
 アレクシスの顔がいつも近い。ああきっとバレている。
「そうは言ってるけどセリオス?」
 ――君、顔が笑っているよ。
「騎士《僕》の特権だからね」
 そろそろお菓子が冷めた頃だろう。
 君と出かける準備はこれで、整った。
「さあ、もう一つの特権を行使させて貰おうかな」
 一度手を離して、今度は手を差し出して君の名を呼ぼう。
「セリオス、どうぞお手を――私と共に歌うように、魔法と悪戯の呪文を広めに参りましょう」
 その為の小さなランタンだ。君の分も用意しておいたよ。
 どことなくアレクシスっぽい面影があるようなランタンの蝋燭に火を灯して一緒に手渡しながら誘う。アレクシスの手元にはどことなくセリオスっぽい面影がある。なんて妙に意匠。細かい。
「アレス、――じゃあ行くか」
 手をそっと重ねて、ハロウィンを伝える鳥は伝承を実現させる詩を紡ぐだろう。領地に咲き誇れ、ハロウィンという日を告げる歌を。

 調理場から手を引かれながら外へ出ると――。
「……お?」
 簡単なシーツを被ったおばけ達が歩いてくるのが見える。
 おばけたちの手元には、ゆらゆら揺れる、空っぽの小さな籠。
 お菓子を集める冒険と悪戯の時間を過ごし始めたばかりなのだろう。
「……あれ、なんて言葉をいうんだっけ」
「とりっく……?」
 全部が子供のようだがどうやら魔法の言葉を忘れてしまったらしい。
 耳なじまない響きだったのだろう。
 猟兵達は視線がぶつかったのを理解した。
 すぐに反応したのは騎士のマントを揺らしたセリオスで、こそっと子供たちに駆け寄って耳打ちだ。
「魔法の言葉を教えてやる」
 囁いた言葉まで、アレクシスには聞こえなかっただろう。
「なあアレス!トリック・オア・トリート?」
 滑舌よく、はっきりと宣言するセリオスに。
「お菓子の準備は一緒にしただろう?――勿論、君の分もね」
 セリオスがどこかのタイミングで呪文をぶつけてくる気がなんとなくしていた騎士は作り上げたお菓子をセリオス用にきっちり準備していた。
 他の配る分のお菓子とは別で。ひとつふたつ、お菓子が多く入っている。ランタン作成を頑張っていた分の報酬プラスのおまけ付きだ。
「セリオス、ハッピーハロウィン。さあ君たちの言葉も――聴かせてくれるかい?」
 二つのマントは重なるように翻る。ジャック・オー・ランタンの灯りを、頼りに悪戯者たちを呼び込まんと領地の中で彷徨うだろう。 

 見事な見本と例は示された。
 さあ次は、君たちの番。
 この地で燃える燭火は、優しく点る。
 領民たちを明るく照らし、日々の彩りとなるのだ。
 通り合う領地と共に、消えることのない"自由の灯火"は――ハロウィンという記念日を。"楽しい日"として、彼らの胸に尊い燭火を灯していくだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月01日


挿絵イラスト