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銀河帝国攻略戦⑫~釣り野伏せは許さない

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「皆さんがド派手にやったおかげで、てんやわんやになってますねー」
 次々と黒煙が上がるエンペラーズマインドの映像をルウ・アイゼルネ(人狼の黒騎士・f11945)は片膝をつきながら見ていた。
「これに気づいた防衛艦隊は慌てて引き返したため陣形が崩れて、遊軍だったエンペライダーズも半壊状態。少なくとも艦隊戦の方はこちらに軍配が上がりましたね」
 解放軍も戦場が優勢になったことに気づき続々と残存兵達の掃討に向かっている。あとはエンペラーズマインドに侵入している猟兵達が宇宙からの砲撃に襲われないよう、徹底的に邪魔しながら撃退するだけである。
 ルウはのんびりと手持ちの端末で情報の確認を始める。しかしあるカメラからの情報を見た瞬間、その目が一気に開かれた。
 一方その頃、とある船のブリッジでは、戦闘中とは思えない安寧とした雰囲気が漂っていた。
 これ以上は逃げられないと観念したのか、追いかけていたエンペライダーズの部隊が反転し、こちらに攻勢に出ているが今の艦隊の戦力なら簡単にはね返すことが出来る。
 船員達の中にこの戦争の勝利を確信していない者は一人もいなかった。
「もしもし、応答してください!」
 そんな時、血相を変えた声が艦隊内に響いた。発信元はグリモアベース、ルウ・アイゼルネという猟兵からの物だった。
 艦長は余裕たっぷりの態度で受話器をあげて応じた。
「おう、アイゼルネ。どうした、そんなに血相変えて」
「今すぐに反転してください! その先に……」
 ルウの声が突然の砂嵐のような音に遮られる。それとほぼ同時にレーダーを確認していた船員が悲鳴をあげた。
「船長、前方から敵影! 数、200!」
「何!?」
 船員の冗談だと思いたかったが、レーザーに一気に映り始めた赤点が、その報告が本当のことだということを証明していた。
 テレポートしてきたのか、エンペライダーズが合流するまで擬態して隠れていたのか分からない敵艦隊を前にブリッジの空気は一気に凍りついた。


平岡祐樹
 はじめましての方ははじめまして、平岡と申します。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 とある家で有名な戦術をもろに食らってしまった艦隊を救うべく、戦場に突撃します。もちろん、その問題の艦隊内にいるというプレイングも大歓迎です。

 罠にかかったと思ったか? 残念、我々が乗っているんだよ。さぁ、第二ラウンドといこうじゃないか!
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第1章 集団戦 『クローン重騎兵』

POW   :    インペリアル・フルバースト
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    コズミックスナイプ
【味方との相互情報支援】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【狙撃用ビームライフル】で攻撃する。
WIZ   :    サイキッカー拘束用ワイヤー
【アームドフォートから射出した特殊ワイヤー】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

新納・景久
「ほう、釣り野伏が? おもしてか! 俺ら薩摩ん兵子んお家芸、おはんらに真似でくっとがね!」
「狼狽えっでなか! 良かが、多少ん被害は切り捨てッ! 陣形ば乱さんよにすっが最優先じゃ! 俺らは船じゃ、歩兵が何すぅもんぞ!」

艦内で檄を飛ばし、状況を整理、逆転の法を探る

「陣形維持! そんまま突っ切っがじゃ。左右からん挟み撃ちは、通り過ぎれば効果なんぞなか! 突っ切ったなあばそんまま左右に陣を広げ、敵ん布陣をば外側から方位すっよに包っ! そいから逆転じゃ!」
「俺も出っど! 良かが、倒れっなあば前のめりじゃ!」

甲板へ出て火縄銃を複製
敵兵を狙撃して敵数を減らしながら指示

「おはんら、鬨じゃ! チェストォッ!!」


大豪傑・麗刃
なんか【鬼神軍】にこの戦術得意としてた人がいたような。
それを逆にやられた事で、きっと燃えてるはずなのだ。
これはわたしも燃えねばならぬのだ!

はぁぁぁぁぁぁぁぁ(それっぽい気合)

(スーパー変態人発動)

昔から言うではないか。
肉の人もGの人も、いざという時は金色に光る、と。
ならばわたしも今がまさに金色に光るべき時なのだ!

あとは右手に刀と脇差(と呼ぶにはちょっと大きすぎる剣)を両方握り、左手には斧を持ち、敵陣に突っ込んで斬りまくるだけなのだ!

死角から攻撃されたら……みんなカバー頼むのだ!
わたしも敵がみんなのこと死角から攻撃しようとしてるのに気が付いたら攻撃防ぐなり、攻撃される前にそいつ斬ったりするから!


メテオラ・エルダーナ
宇宙!とっても広い星の海!!
星の数ほどいる敵を、ホントの星にしちゃいましょう!!!

包囲はむしろ好都合!
レーダーを流し見て敵の密集地帯に目星をつけたら、
出来るだけ早く外へ飛び出します

宇宙空間では『サイコキネシス』と【ダッシュ】を駆使して、不規則に飛び回りながら単独で敵の密集地帯を目指します
少数の敵は無視!

敵の密集地帯まで乗り込めたら、
精一杯の【範囲攻撃】を乗せた『滅びの風』で見える全てを壊しちゃいましょう!
「宇宙にだって嵐は起きるんです!!」

敵集団が艦に近すぎたり、他の猟兵さんとの混戦になってたら、
大人しく援護に回りましょう
それでも【範囲攻撃】は役立つはず!

※アドリブ、連携描写歓迎です


ヘスティア・イクテュス
流石に戦場…いつ不測の事態に陥るか分からないのに気を抜きすぎじゃないかしら?
艦長さん、迎撃に出るわ
(なお、映ってる通信の背後にはひっくり返した紅茶とお菓子が用意された部屋)

待ち伏せなんて古典的な罠
そう引っかかるほどやわじゃないわよ
…ちょっとタイツに紅茶がかかって気持ちわるいわね…早く片付けて着替えましょう…


ティターニアの機動力で勝負【空中戦&ダッシュ】

アベルに敵の機動を分析させて
そのルートにティターニアで射撃
ビームなら鎧ごと撃ち抜けるわ【鎧無視攻撃】

ついでにその相互情報支援…ジャマーさせてもらうわよ
アベル、情報【ハッキング】よろしくね


●ティンク・アベル
ヘスーお嬢様呼び
執事のような話し方



 クローン重騎兵に対抗しようと、何隻かの船が無断で方向を転換し、陣形が乱れていく。
 その隙間が出来るのを待っていたかのように狙いすまされた一撃が陣形を維持していた船を襲った。
「12番、16番が被弾!」
「22番も被弾! 弾薬庫から火災が発生!」
「敵の数、まだまだ増えてます! せ、千を超えました!」
 突然の強襲に恐慌状態に陥ったブリッジに怒声が響いた。
「狼狽えっでなか! 良かが、多少ん被害は切り捨てッ! 陣形ば乱さんよにすっが最優先じゃ! 俺らは船じゃ、歩兵が何すぅもんぞ!」
 足音をたてて入ってきた新納・景久(未来の親指武蔵・f02698)は顔を引きつらせていた船長を蹴飛ばすと船長席から見える画面を睨みつけた。
「陣形維持! そんまま突っ切っがじゃ。左右からん挟み撃ちは、通り過ぎれば効果なんぞなか! 突っ切ったなあばそんまま左右に陣を広げ、敵ん布陣をば外側から方位すっよに包っ! そいから逆転じゃ!」
「か、景久さん、それで本……」
「俺ら薩摩ん兵子んお家芸、おはんらに真似でくっとがね! 真っ向から相手してやる!」
 相手の戦法が自分達のお家芸である、という力強い宣言に、船員達はやや平静を取り戻す。
 そんな中、被弾した艦から通信が入った。
『流石に戦場……いつ不測の事態に陥るか分からないのに気を抜きすぎじゃないかしら?』
「おっしゃる通りで……。ヘスティアは大丈夫か?」
『心配されなくても、こっちは無事よ』
 そう冷静な様子で言うヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)だったが、服に特大のシミがついている上に「カチャカチャ」と割れ物を片付けている音が通信機越しに聞こえてきた。
 その様子に絶対戦争中に食事してただろオメー……と船長は言いそうになったが、言う前にとっさに喉の奥へ飲み込んだ。
『それはそうと、運転をアベルに任せて私は迎撃に出るけど構わない?』
「おう! 俺の作戦に乗ってくるっなら」
 通信用の画面に割り込んできた景久は先程よりも落ち着いた口調で対策を伝える。
『なるほどね。アベル、分かったわね?』
『了解いたしました。まずは現在の陣形の位置を維持しながら敵陣を突っ切ります』
 そんな会話をしている中、窓の先から金色の光が見えた。
「俺も出っど! 良かが、倒れっなあば前のめりじゃ!」
 その光を見た景久は何かを察すると、追いすがる船員の声を無視してブリッジを飛び出した。
 一方甲板には金色の光を全身に纏いながら、髪を逆立てている大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)と目をキラキラと輝かせるメテオラ・エルダーナ(まほうつかいキャット・f05337)の姿があった。
「【鬼神軍】にこの戦術得意としてた人がいたような。それを逆にやられた事で、きっと燃えてるはずなのだ。これはわたしも燃えねばならぬのだ!」
「星の数ほどいる敵を、ホントの星にしちゃいましょう!!!」
 ウキウキ気分で飛び立ったメテオラに大量の重騎兵達が襲いかかる。するとはるか彼方から細いレーザー砲が飛び、彼らを撃ち抜いた。
「アベル、情報のハッキングもよろしくね!」
 ティターニアに乗り込んだヘスティアは一撃を食らわせるとすぐに別の標的に向かって飛んでいく。それ遠目で見ていた麗刃は目を輝かせながら自分の得物を抜いた。
「おおお、カッコいい! これはわたしも負けておれぬな!」
 ド派手な金色の光はまるで誘蛾灯のように重騎兵達を引き寄せる。麗刃はその群れに真っ向から飛び込むと武器を振り回して敵を一気になぎ払った。
「ははは、さぁどんどんかかってくるのだ!」
「おはんら、鬨じゃ! チェストォッ!!」
「お、噂をすれば何とやら?」
 重騎兵の腹を蹴り飛ばし軽く一回転してると視界の端に火縄銃片手に暴れ回る景久の姿が映る。予想通り燃えている様子の景久に麗刃は思わず笑みを浮かべ、飛んできたワイヤーを切り飛ばす。
 その頃、メテオラは見た目はフワフワとしていながら、高速で重騎兵の軍団の中へ突入していた。
 その勢いに追いつかないものの、自分達の陣地に入り込んできた異物に気づいた重騎兵達がそれぞれに銃を構える。
「『それじゃ、ぜーんぶおしまいです!!』宇宙にだって嵐は起きるんです!!」
 メテオラが叫んだ瞬間、それから放たれた光線ごととてつもない風の暴力が重騎兵達を飲み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「従軍メカニックとして艦に同乗して居ましたが、出番のようですね」

【POW】

方針:敵と同じUCを原型とした、UCで艦の上から2回攻撃する。
技能:
(UC)一斉発射、スナイパー、誘導弾
(UC2撃目)2回攻撃、クイックドロウ

(仲間へ)
「こちら、クネウス。打ち漏らし・奇襲への対応はお任せを」

(敵へ)
「その手に持つのは、ライフルですか……こちらは狙撃銃型アームドフォート、射程勝負と参りましょうか」

(UC)
「艦に取り付かせはしない。光よ、全て貫け!」

(UC2撃目)
「エネルギー再チャージ完了。なぎ払わせて貰いましょうか」


マヤ・ウェストウッド
「宇宙空間には何も無いからクローン兵士も貴重なタンパク源さ……おい、そこのお前。アタシに喰われろ」
・連戦に次ぐ連戦を経て疲労している
・戦場のど真ん中で腹も鳴る
・食事ついでに超獣技法・飢餓咬をクローン重騎兵に繰り出す
・キマイラの野性と解放軍のマーシャルアーツを掛け合わせた技は食糧の現地調達も兼ねるサバイバル技術でもある
・宇宙バイクで重騎兵に肉薄し、右腕を猛犬の頭に変化させて頭から食らいつかんとする
・騎乗、ダッシュ、先制攻撃を攻撃に活用。途中の反撃は激痛耐性とオーラ防御でカバー
・(ここまでの緒戦でダメージも蓄積しており満身創痍、という演出もOKです。もちろんアドリブや連携も超歓迎です)


峰谷・恵
「発想は良かったよ?確かに引っかかった。でも200しかいないんじゃそのまま逃げるべきだったね」

敵がこちらの宇宙船を射程に収める前に迎撃するよう出撃。
敵が散開しない内に宇宙船へ突破を図る敵を可能な限り射程に収めて全射撃武器によるマキシマム・フルバースト(先制攻撃、一斉射撃、誘導弾、鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃)で撃破。
その後は空間戦闘用ベルトの補助で敵の高速ワイヤーを回避(空中戦)し、ダークミストシールド(盾受け)とマント、空間活動用改造ナノマシン、喰精紋、コード【神を穿つもの】の4重防具(オーラ防御)で敵の攻撃を防ぎながら宇宙船向けて突破を図る敵を優先して撃破し敵を前線に釘付けにする


キア・レイス
セシリアと参戦だ。

勇敢な者達だ、素早く生き残りを集め策を講じ命を懸けて打ってでる。
奴等から見たら私達の方が悪役なのだろうか。
とは言え私達猟兵はセンチメンタルに浸るほど甘くない。

姿を表した者達から先制でアサルトライフルで狙撃、一人ずつ確実に撃ち殺していけば敵は恐怖を覚えることだろう、何せ元々敗北を知っているのだから。
敵の数も減り攻勢が鈍ったところで、セシリアに声をかけ…

「セシリア…今だけでいい…私の所有者になってくれ」

首輪の鎖を持たせ、一緒に透明化。
彼女を抱えフックショットを隕石や戦闘の残骸に引っ掛けダッシュするが如く高速移動、セシリアを最前線へ送り、私は彼女の取り零しを援護射撃でトドメを刺す。


セシリア・サヴェージ
【POW】
【キア・レイスさんと共に行動】

このような状況でも諦めず攻勢に打って出るとは気骨のある者たちだ…ですが、それも我々の前では無意味だと思い知っていただきます。

「キア…ええ、共に参りましょう」
前線までの移動はキアに任せ、その間の流れ弾や障害物は我が暗黒による【オーラ防御】【念動力】で防ぎます。
前線に出たらUC【アンリーシュ】で我が鎧の力の全てを解放します。
敵陣のど真ん中で暴れて【存在感】を発揮すれば敵の目はこちらに向き、味方への攻撃も減るでしょう。
【怪力】【なぎ払い】でまとめて斬り伏せ悉く蹂躙して差し上げましょう。

申し訳ありませんが、この姿の私は少々荒っぽいですよ?


尾崎・ナオ
【拳銃早打ち】で仕留めるよ!(レベル分の1秒で【黒い拳銃】を発射できる)
「これ、見える~ぅ?」
相手を茶化しながら早打ち!技能【クイックドロウ48】も乗せて、高速の早打ちを仕掛けるよ!
弾薬が足りない?いやいや、大丈夫。拳銃自体が沢山あるから!同じ銃ちゃんと複数装備してるから!

あとは【ナイフいっぱい☆】も使って牽制していこうかなー。
こいつら、意思はあるんだよね?ちゃんと退いてくれると嬉しいんだけど!
ちゃーんと投げる前に【毒使い12】でしっかり毒を塗ってまぁす!
それを念力で【投擲11】!投擲フォームを使うって事で!



「え、自分達から突っ込むの? ……まぁ、そっちの方が被害が少ないならそれでいいけど」
 敵が突っ込んでくる前に撃ち落とそうとしていた峰谷・恵(神葬騎・f03180)は上の判断に驚きながらも、みるみる近づいてくる重騎兵の姿に標準を合わせていた。
『こちらクネウス、配置についた。打ち漏らし・奇襲への対応はお任せを』
「うん、お願い」
 クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)からの通信に答えながら泉は全兵装の引き金を引いた。
『フルチャージ完了。シュート!』
 向かってくる船を同じく全火力で撃ち抜こうとして動いていなかった重騎兵はその光線に蜂の巣にされて意思のない浮遊物となった。
「じゃあクネウスさん、僕は前に出るから支援お願いね」
『了解した』
 そして全弾撃ち放つと同時に泉は兵装をその場に脱ぎ捨てて宇宙空間に飛び出した。
 別の船では遠巻きにとんでもない竜巻が起こるのを眺めていたマヤ・ウェストウッド(宇宙一のお節介焼き・f03710)はとんでもなく大きなため息をついていた。
「この野郎……。せっかく美味しい飯を作ってくれてたのに……冷めちまうじゃねぇか」
 腹の虫がか細く鳴く音にキア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)とセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)は苦笑いを思わず浮かべてしまう中、マヤは不機嫌そうな顔を隠そうとせずにバイクのエンジンをかけて宇宙空間へと飛び出していった。
 自分達の包囲に徹底的に応戦しようとせず、猛然と通過を図ってきた船団を全速力で追いかけてくる重騎兵に向かって、尾崎・ナオ(人間のシーフ・f14041)は意地の悪そうな笑みを浮かべて拳銃を振っていた。
「ねぇねぇ。これ、見える~ぅ?」
 あからさま過ぎる挑発に何人かの重騎兵が目標を尾崎の乗っている船に変えようとする。その瞬間、重騎兵の頭部を一筋の光線が撃ち抜いた。
『尾崎、むやみやたらと挑発するな』
「えー、あれだけの量だったら私一人でも十分対処できるよー? クネウスくんは大人しく泉ちゃんに釣られている奴を撃っといで〜」
『お前一人の体だと思うな。お前の乗っているその足場には何十人もの命があることを忘れるんじゃない』
「おおこわいこわい」
 ナオはわざとらしく体を震わせるとクネウスからの通信を一方的に切って銃をまとわりついてきた重騎兵に向かって乱射した。
 次々と空になる拳銃をまるでわんこそばのように船の中に投げながら撃つ手を止めない。
「宇宙空間には何も無いからクローン兵士も貴重なタンパク源さ……おい、そこのお前。アタシに喰われろ」
 その刹那、ナオに銃口を向けていた重騎兵の上半身がまるで切り取られたかのように消え失せた。その横ではもぐもぐと口を動かす巨大な犬の頭を右手に持ったマヤの姿があった。
「ん、あれ……。まあ、丁度良いタイミングだし私も打って出ますか!」
 次の銃を取ろうとした手が空振り、もう撃てる銃がないことに気づいたナオは腰につけたナイフを指の間に挟んで構え、腕を交差させるように投じる。
「おい、毒なんてせっかくの肉が不味くなるじゃないか」
「ええ……いや、そんなの知らないですし」
 ナイフの刃が掠った瞬間、頭を抱え出した重騎兵を摘んだマヤは顔をしかめて吐き出し文句を言う。
 あまりに予想外な方向の苦情にナオは顔を引きつらせた。
 その一方、空間戦闘用ベルトの補助で敵の高速ワイヤーを回避しつつも、相手の射線に入って強固な防具でそれをはね返していた泉の周りにはクネウスとキアのライフルで頭や心臓を撃ち抜かれた重騎兵の死体が浮かんでいた。
「君たちの発想は確かに良かったよ?確かに引っかかった。でもそれだけしかいないんじゃそのまま逃げるべきだったね」
『泉さん、そこから敵の艦隊は見えますか?』
「敵? そうだね、敵は……」
 キアからのお願いに泉は辺りを見渡す。するとキアが見ているだろう方角からは見えない方向に遠ざかっている宇宙船の姿が見えた。
「キアさんの方から見て240度の方向に少なくとも一隻。それ以外はすまないけど見えないね」
『了解です』
 キアは通信を切ると寝そべっていた甲板から起き上がり、自分の首輪についた鎖をセシリアに差し出した。
「セシリア……今だけでいい……私の所有者になってくれ」
「キア……ええ、共に参りましょう」
 セシリアが鎖を握ったのを確認してから、キアは軽々とその体と片腕で持ち上げると同時に何かが回る音を残して姿を消した。
 そして数十秒が経ったと同時に問題の船の近くに浮いていた小惑星の上に二人の姿は現れた。
『全てを護ると誓ったのだ……そのためならどんな力でも受け入れよう!』
 セシリアが着ていた鎧が軋み、その姿を変えていく。そしてセシリア達の出現に気づいたのか戦艦の中から新たに重騎兵達が飛び出してくる。
 セシリアがその姿に気づくとまるで獣のような雄叫びを上げてその中に悠然と突っ込んでいく。
 取り残されたキアは体のどこに隠していたのかライフルを取り出して、改めて構え直した。
 重騎兵達の目的はもはや猟兵達の討伐ではなくいかに旗艦を逃すことにシフトしているようで、銃を撃たずにワイヤーでその動きを押さえにかかっていた。
「舐めるなぁぁぁぁ!」
 真の力を解放させたセシリアの大剣にワイヤーごとなぎ払われてしまうが、その僅かな時間すらも巨大な戦艦には大きく、飛んできたばかりの時から距離を大きく取られてしまった。
「エネルギー再チャージ完了。なぎ払わせて貰いましょう」
 しかし戦艦の推進部が大爆発を起こして動きが止まった。急に消えた二人の姿にいち早く気づき、追ってきた宇宙船に偶然乗っていたクネウスのClaíomh Solaisが的確に撃ち抜いたのだ。
『お前に救いの道などない。浄化などと、生易しいことは言わない…消えろ』
 動かなくなった戦艦はもはやただの巨大な的に過ぎない。
 セシリアが振り下ろした大剣は刀身よりもはるかに厚い戦艦をいともたやすく両断してみせた。
 戦艦全体が音を出さずに大爆発を起こす中、差し出されたクネウスの手を取ったキアは心配そうにその方を見やる。
 すると衝撃で吹っ飛ばされたのか、すさまじい勢いでセシリアの体が飛んできた。
 受け止めたら全身の骨がとんでもないことになってしまう、と二人はとっさに避けてしまいセシリアは戦艦にぶつかった衝撃で短い悲鳴を上げて甲板の上を転がった。
「そ、そこは受け止めるべきじゃないのか……」
「いや、私は機械なので受け止めてもどのみち同じことになると思い……」
「ごめんなさい、私も命は惜しいの……」
 申し訳なさそうにする二人に口を尖らせるセシリアをよそに甲板の下では歓声が起きた。

 数は優っていて、不意もつけた。
 しかし戦術に対する術を知られ、個々の能力が高い者を真っ先に叩けなければ意味がない。
 帝国が猟兵への対抗策として過去の猛将の戦術を用いた作戦によってもたらされたのはこの教訓と多大なる損失だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト