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The beginning of the end

#ダークセイヴァー #第五の貴族

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#ダークセイヴァー
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#第五の貴族


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●仄暗き夜の奥底で
 ダークセイヴァー、地底都市。
 第五の貴族との戦いを重ねるうちに、紋章の製造場所が見つかった。

 紋章……ヴァンパイアに特別な力を与える、皮膚に現れる特殊な文様のことを指しているが、その実態は寄生型オブリビオン。製造される場所があるだろうと、これまでに何度も何度も探索が続けられた。

 そしてようやく見つけたのが、紋章製造を許可された第五の貴族『狂乱のルドヴィグ』の根城。
 多数の人々を甚振ることを趣味とする彼は、人々に『憎悪』を与えることさえもたやすく行っていた。
 同じくヴァンパイア達に『憎悪』を根付かせ、更には別の第五の貴族に『憎悪の紋章』『絶望の紋章』さえも与え、その様子を楽しんでいた。

「さて、今日の材料は……」

 ガラリと、何処かの扉を開くルドヴィグ。
 その奥から滲み出た薔薇の香りを辿るように、こつこつと、階段を下って……赤黒く濡れた壁に、ゆるりと指をなぞらせる。

 痛みに、苦しみに、哀しみに嘆く声が響く奥の部屋。
 そこにあるのは、命という命を乱雑に扱う祭壇――。

●紋章製造を潰せ。
「集まってくれてサンキュー。……今回も、第五の貴族絡みの事件になる」

 神妙な顔をして伝える木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)は、ダークセイヴァーで起こっている『紋章』絡みの事件についての予知を得たと猟兵達に伝えた。

 以前、『憎悪の紋章』をばら撒いた第五の貴族がいたのだが、今度はそれを作る第五の貴族の存在が明るみになったと言う。
 これまでは地底都市の奥深くを探っても紋章の製造についてはよくわからなかったのだが、多数の猟兵達による探索の結果、予知がより深くの存在に辿り着くことが出来るようになったのだと。

「今回出向いてほしいのはダークセイヴァーの……『狂乱のルドヴィグ』という第五の貴族が住んでいる屋敷だな。その屋敷の内部はまあ罠だらけで、何かを隠しているって感じでな」
「俺が見た限りでは、地下へ行く様子が見て取れた。おそらくそこが、紋章の製造場所って感じになる」

 しかし、潜入後には何が起こるかわからないとサライは言う。
 紋章とは寄生型オブリビオンのこと。それすなわち、『失敗した例が存在する』可能性も無きにしもあらずということらしい。

「俺が予知出来たのは奴さんが製造場所に入るまで。そこから先は見えなかったから、現地で確認をとってほしい」
「……胸糞悪い事件になりそうだが、頼んだ。お前さん達だけが頼りだよ」

 そう言ってサライは猟兵達を戦場へと送り届ける。
 美しくも汚れた、紋章の祭壇のある屋敷へ。


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 前作「Battle with Oblivion」の続きになりますが、前作を知らなくてもOKです。
 とりあえず紋章製造場所ぶっ壊しに行こうぜ!! ってシナリオになります。

 初めての方はMSページをご確認の上、ご参加ください。
 オーバーロードについての記載もあります。

●第一章:冒険シナリオ
 第五の貴族の屋敷内部に潜入し、製造場所を探すシナリオ。
 内部はあまりにも寒く、長時間存在すると凍死の危険性もあります。
 なお夜のような情景が室内に広がっています。

●第二章:集団戦シナリオ
 集団戦の敵『失敗作の少女達』との戦いです。
 この現場では紋章の製造を間一髪で免れた生き残りの人々が存在します。
 詳細は断章にて。

●第三章:ボス戦シナリオ
 ボス敵『狂乱のルドヴィグ』との戦いです。
 『憎悪の紋章』を纏っており、まともに戦っては勝ち目がありません。
 弱点やら詳細については断章にて。

 皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
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第1章 冒険 『凍える夜』

POW   :    強行突破…気合と共に歩む

SPD   :    一刻も早く抜ける為に脇目も振らずに走り抜ける

WIZ   :    魔法で暖や光などを取りながら進む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山理・多貫
今日、はずいぶ、んと冷えます、ね。
こういうと、きマントがある、と便利です。
さ、て今日のおしご、とは潜入調査です、か。
なる、ほど。得意分野、です。

謎の自信をもとに潜入調査を行います。
本人は人目を避けているつもりですが結果として「POW」
多少の罠は食らいつつも気にせずに。
人に見つかった場合は速やかに気絶させ踊る肉団子を使用し、穏便に済ませます。

アレンジ歓迎、マントが修復不可能レベルの破損以外NGなし
グロ・エロ、他PCとの交流他なんでもOKです。



●えっへん
「今日、はずいぶ、んと冷えます、ね……?」
 第五の貴族、狂乱のルドヴィグの屋敷へと潜入した山理・多貫(吸血猟兵・f02329)。室内が異様に寒く、下手をするとこの場で凍死しかねないほどの冷たさが肌に突き刺さっていた。
 しかし多貫には常に身につけている大きなマントがある。ボロボロとは言え、多少上手く重ねれば穴も気にならないほどに暖かくなるため、彼女は一度床に寝そべってゴロゴロと転がり、大きなマントを重ね着しておいた。

「さ、て今日のおしご、とは潜入調査です、か。なる、ほど」
 得意分野だと鼻を鳴らし、いそいそと屋敷内を探索する多貫。マントのおかげでぬくぬくとしているが、手足の先は未だ冷たくて痛みが迸る。それでも気にすることなく、壁や床を丁寧に調べていった。
 普通の扉をコンコンと叩いては、中に誰もいないことを知り開けてみる。その扉が普通の部屋であることを知った時の多貫は少々悲しそうに眉を下げたが、いいや、まだまだ探す場所はあるだろうとめげずに調べた。
「どこかにあ、るはずなんで、すよ、ね。……んんん」
 首を傾げ、こういう場合は何処にあるのだろうと考える多貫。事前情報では扉を開いているのは確定しているため、少なくとも床や壁に擬態したものではないことがわかっている。だからこそ余計に、調査の邪魔になっているようで。
 冷たさが手足の先から徐々に身体の中へと浸透を始める頃、多貫は本棚や薬品棚など、棚という棚すべてを動かしてみた。誰もいないことは先の調査でわかっているため、おかまいなしに。
「……む??」
 ふと、多貫はある本棚を手に掛けようとして違和感を覚えた。それは、寒さによって出来た霜がその本棚が設置されている壁には異様に少ないのだ。
 これはなにかあるんじゃないかと閃きを得た多貫。構わず、他の棚と同じように動かすと……。
「みつけ、た」
 彼女が動かした棚の先には、他の部屋の扉とは意匠が違う扉があった。その先にあるものはこれまでの部屋とは違う、という意味合いで別の意匠の扉が設置されているのだろう。心の奥で、多貫は笑った。
「か、くしきれて、るようで、隠しき、れてない。……勝ちま、したねこ、れは」
 何をもって勝ったと確信したのかは、多貫にしかわからない。だが彼女にとっては既に第五の貴族に勝利しているという、安心感のようなものを得たそうだ。

 冷たい夜の中、彼女は威張る。
 第五の貴族に勝ったぞ、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼桐・相馬
……寒いな
暑さ寒さには耐性がある方だが此処はまた別格だ

UCを発動し黒隼を喚ぶ
一羽でいい、仲間がいればその数だけで十分だろう
彼らのオーラで身体を覆えば寒さもかなり和らぐに違いない
≪冥府の槍≫から排出される炎を灯りに探索を始めるよ

屋敷内部の罠は[暗視]で捉えられるものは回避、予想外のものは[野生の勘]で感知後[瞬間思考力]で回避や防御等適した対処を
槍や蹴りで破壊しても問題ないだろうが、極力音を出したくないので最終手段に
屋敷の造りを[情報収集]し製造場所の凡その位置を導き出したい

薔薇や血の匂い
呻き声や悲鳴
それも重要な情報源
[聞き耳]や黒隼の挙動でも得られる情報は逃さずに進みたい

※アドリブ・連携歓迎



●夜闇を駆ける黒い隼
「……寒いな……」
 ふう、と1つ息を吐く度に、目の前の空気が白く染まる。鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)は広がる夜空を見上げ、ここから何処を探すかと考えた。
 ユーベルコード『芥火鶻』を使って鈍く光る黒い隼を呼び出し、周囲の寒さを和らげるオーラで包んでもらう。そのおかげで喉を通る空気が多少暖かくなり、突き刺さるような痛みが無くなった。更に冥府の槍を包む紺青の炎で身体を温めながら、室内の探索を開始する。

「暑さや寒さには耐性はある方だが……ここは、別格だな……」
 第五の貴族の屋敷内部は広く、寒さの度合いが部屋によって移り変わる。黒隼と冥府の槍の補助があってようやく立つことが出来る場所が多く、内部の調査を阻んでいるというのがよくわかる。
 そんな中で相馬は暗視で夜闇の中を探り、見つけた部屋から順繰りに調査を行う。室内に備え付けられた罠類はすべて野生の勘で感じ取り、瞬間思考力を用いて回避と防御を使い分けて調査を行った。

「流石にここではないか……」
 いくつかの部屋を探った後、軽く思案。屋敷の造りをだいたい把握し終えた相馬は、今度は視界からの情報ではなく、音と匂いの情報に集中してみる。
 廊下をゆっくりと歩きながら耳を傾け、部屋の中に充満した匂いを辿ってゆく。時々集中しすぎて既に感知し終えた罠の存在を忘れて引っかかることもあったが、そこはご愛嬌ということで。
「いっ……集中しすぎた……っ!」
 罠で傷ついた足をそっと抑え、べち、と罠を叩き壊した相馬。冥府の槍の炎と周囲の寒さの温度差で脆くも壊れる罠は2度と起動することはなく。黒隼も大丈夫? と首を傾げて様子を見届けていた。
「大丈夫だ……。それより、何かわかったことはないか?」
 相馬の問いかけに大きく鳴いた黒隼は、くるくると宙を飛び相馬を案内する。オーラによる防御を途切れさせるわけにはいかないため、相馬はすぐさま黒隼の後を追いかけた。

 廊下を走ること数分、普通の部屋の前で黒隼は円を描いて場所を示す。既に一度調べている部屋のため、扉を開けて中に入り目を閉じて音と匂いに感覚を集中させた。
「……!」
 僅かに漂う薔薇の香り。研ぎ澄まさなければ聞こえない異音。どちらも部屋に入らなければわからないほどうっすらとしているもので、何処から漏れているのかをすぐに探し始めた。
 目を開けると、黒隼がある本棚に乗っている。黒隼がまるでここになにかありそうだ、と言う様子でツンツンと本棚の縁をつついていたため、相馬は本棚に手をかける。

「なるほど……これは、見つけづらいわけだ」
 奥に現れた他の部屋の扉とは意匠が違う扉。それを見つけた時の相馬の顔は、大層嬉しそうな顔をしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。

情報収集が必要なら他の猟兵の手の回らない所に赴き集めて聞き込みをしてからメイン参加者に渡し、足止めが必要ならガラスのラビリンスを展開し、一般NPCがピンチなら白馬の王子様で救出…みたいな手の足りない所に何故か居るみたいな感じです。

説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?

ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。

武器はリボルバー銃メイン。

「手伝いが必要かい?
「この程度なんて事はないさ
「君は君のやるべき事を



●気づけば、そこにいる。
「ふぅむ……寒いな」
 第五の貴族・狂乱のルドヴィグの館。その廊下は侵入者を拒むように冷たく、風の通りが少ない部屋の中はもはや冷凍庫にも等しい場所に、彼――アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)は来ていた。
 ここでは自分が出来る限りの調査を行うだけだと、いつものように部屋の中の探索を開始する。

「まずは……すべての部屋を探ってみるとするか。館の構造からなにか導き出せるかもしれん」
 トレンチコートの襟を正し、部屋の中に充満する冷たさを身体に伝えないように着こなす。長時間この場にいては凍死の危険性もあることから、彼は急ぎ館の内部を調査した。
 もう一度調べることになる可能性を考慮し、扉を開けるのは1回だけ。あとは閉まらないように部屋の中に放置された物品でドアを止めておいて、調査完了の証拠も残す。
 結果、部屋はいくつもあってどの部屋も寒さが止まる気配はない。この寒さを作り出している何らかの装置があればと頭の片隅では考えていたが……どうやらこの寒さの原因は魔力で作られたもの。狂乱のルドヴィグ本人を倒さなければ消えることはないようだ。
「となれば、さっさと地下の入り口を探す必要があるか……」
 寒さで凍える前に、痛みを感じられなくなる前に、急いで探す必要がある。アランは館全体の構造と部屋の構造を頭の中でシミュレーションしつつ、体を温めるために少々動き回りながら入り口が何処かを考察した。
 アランが見て回った部屋は、本当院様々な部屋があった。なにもない部屋、本棚がある部屋、生活感のある部屋などなど、誰かが住んでいることを知らしめるように。
「……ん?」
 だが、ふとアランの頭の中に組み上がっていた部屋の構造が違和感を晒す。というのも……ある一箇所の部屋だけ、異様に狭いのだから。
 その部屋は本棚と机とベッドがおいてある、使用人が使うような小さな部屋。使用人が使うのであればその狭さにも納得はいくのだが……それならば、何故他の部屋は広いのか?
 考えたら最後、調べてみなければ気がすまない。アランはその部屋に足早に向かい、すぐさま部屋の壁を調べてみた。
「……奥に、何かあるな?」
 音が若干違う。それだけでも、アランには良い情報だ。後は何処から奥へ向かうかなのだが……その目星もとっくにつけていた。その壁に設置されている、本棚に。

「ま、こういうのはこうすりゃ、な」
 軽く本棚を動かし、奥の扉を見つけたアラン。
 飄々としたその表情は、どこか嬉しそうで……楽しそうに見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

館野・敬輔
【一応SPD】
アドリブ連携大歓迎

紋章の祭壇は全て潰す
それだけだ
…吸血鬼め、待っていろ

長時間いると容易に凍死しかねない寒さだな
手早く探さないと凍えてしまう
気休め程度に漆黒の「オーラ防御、氷結耐性」を纏っておこう

指定UC発動、左の赤目で数秒先の未来視を可能に
罠は「第六感」と未来視で危険そうな場所を察知し「視力、暗視」で観察し見破ろう
叩き潰せそうなら「怪力」で叩き潰すが
無理なら「地形の利用、ダッシュ」で一気に走り抜け突破しようか

…確か、紋章の祭壇がある部屋は、悪臭と薔薇の香りで満たされているはず
棚の隙間や床の隙間など、臭いが漏れ出ている場所はないだろうか?
…隠し扉と隠し階段は、もはやお約束だからな



●必ず、殺す。
「紋章の祭壇は、すべて潰す……!」
 ギラリとその目に殺意を宿す館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)。彼は過去、とある3人組の吸血鬼に隠れ里を滅ぼされたこともあり、吸血鬼は必ず殺すと決めているのだ。
 小さく、待っていろ、と呟いた敬輔。屋敷の中へと入るための、扉に手をかける。

「……何だ、この寒さは……」
 ふう、と小さく息を吐くだけで息が白い。相当の寒さがこの屋敷の廊下と部屋を包み込んでいるようだ。チリチリと痛む指先から、じんわりと身体の中へと寒さが入り込んでくるのがよくわかる。
 流石にこの寒さの中を対策も取らずに歩くのは自殺行為にも等しいだろう。多少の緩和が効く事を信じ、耐性を高めるためのオーラ防御を展開させておいて室内の探索へと移った。
 ユーベルコード『絶望の福音』を使い、10秒先の未来を見えるようにした状態で廊下を歩き、部屋を覗く。覗いた時点で未来が見えなければなにもないということで探索済みの印を付けて次の部屋へ、を何度か繰り返した。
「と、流石に罠もあるか」
 手早く部屋を見て回るだけでなく、仕掛けられた罠の未来視をした場合にも的確に処理。発動を察知した瞬間に第六感で罠の性質を感じ取り、怪力でねじ伏せておいた。
 いくつかの部屋を見て回った敬輔。ふと、ここへ到達する前に聞いていた情報――紋章の祭壇がある部屋は悪臭と薔薇の香りで満たされている、という情報を思い出す。
「…………」
 たった今開けた部屋をぐるりと見て回り、匂いを嗅いでみる敬輔。しかし息を吸い込んだその瞬間、肺に氷の空気がたくさん詰まって痛みを感じ、更には鼻にも痛みが生じてまともに匂いを感じることが出来なかった。
「仕方ない……壁と床を見て回ってみるか……」
 既に調べ終えた部屋も、これから探す部屋も、全ての床と壁を探る。未来視による予知も含め、くまなく部屋の内部を探し回った。

 やがて、ある部屋の壁の霜が薄いことに気づいた敬輔。
 他の部屋の壁に比べて霜の付き方が異様に少なく、この奥に何かがある、あるいは壁になにかこすり当てたからこそ、壁の霜が薄れているのではないかと考察。側に設置されていた本棚を調べた。
「……なるほど、これは一目見てはわからんな」
 横にずるずると動かしてみれば、その奥には他の扉と違う意匠の扉。その奥に何があるのかは、もはや一目瞭然だ。

 敬輔は拳を握りしめて、その扉を開く。
 何が何でも、祭壇を壊すという絶対の意志を持って。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『失敗作の少女達』

POW   :    ひとのからだとさようなら
自身が戦闘で瀕死になると【埋め込まれた外なる神の部品】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    かみさまのちから
【埋め込まれた外なる神の部位】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    ひとのきもち
【人間部分の肉をちぎって投げたもの】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に呪いをばらまき】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 意匠の違う扉を開き、その先へと進んでみれば……むせ返るほどの薔薇の香りに入り交じる血の匂いが、短い通路を包み込んでいる。
 その先に進めば地下へと続く階段。……耳を済ませると、奥から悲鳴が聞こえて来た。

「ああ、誰か助けて! 誰か、誰か……!」
「いやだ、いやだ、死にたくない……死にたくない!」

 急いで階段を駆け下りれば、悪臭を放つ元へと辿り着く。
 中は実験施設のように、手術台がいくつも並んで人々を縛り付けていた。

 悪臭の元はぐちゃぐちゃに潰れた死んでいる人々。それを消すように周囲に薔薇の香りを発生させる装置を設置していた。
 悲鳴を上げたのは、生き残りの人間達。紋章の製造には生命が大量に必要で、逃してはならないのだろう。縛り付けられた人々がいた。

 そして……紋章の製造工程で何らかのミスが生じ、失敗作として確立してしまった少女達の姿。
 彼女達も生き残りの人々と同じく生贄にされたのだが、製造途中のミスが原因でオブリビオンと成ってしまったようだ。

 少女達は生き残りの人々を同じ道に歩ませようと、手を伸ばす。
 紋章になるか、あるいは同じ失敗作になるか。それはどちらでも良い。
 ただ、生き残るのは許さないと言わんばかりに笑みを浮かべて、生を奪おうとしていた。

 ――守らなくては。


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 プレイング受付:10/9 8:31~
 プレイングボーナス:生き残った人々を守る

 集団敵『失敗作の少女達』との戦いです。
 この場所は手術室ほどの広さの部屋の中で行われるため、キャバリアの使用は難しいです。
 設置された12台ほどの手術台+悪臭消し用の芳香装置が部屋に置かれており、固定されています。取り外しには相応の怪力が必要です。

 失敗作の少女達は生き残った生贄達を同じ道に歩ませようとするため、猟兵達が駆けつけようともまずは生き残った人々に襲いかかります。
 生き残った人々に関する記載がない場合は特に描写はありませんが、一応生き延びます。ボーナスは入りません。

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館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

…黒剣の中の少女たちの魂が騒めいている
あの子たちは自分たちと同じ境遇だと戸惑っている

…ああ
今はあの少女たちを止め、生き残った人々を解放しよう
俺が君たちを斬って解放した時のようにな

指定UC発動、白い靄と化した魂を纏う
迫る少女たちだけに「衝撃波」を狙い撃ち牽制してから
UC効果の高速移動で生き残りの人々に接近
「戦闘知識、世界知識、視力、暗視」で装置の構造上弱い箇所を見極め
「怪力」任せに黒剣の柄で叩き壊すか引きちぎるかして解放
救出した人は小脇に抱えて入り口の扉付近まで運ぼう

避難させられたら少女たちに再度接近
「早業、2回攻撃」で斬り伏せる
反撃は部位の動きを「見切り」回避



●狂わされる前に。
 隠し扉を進んだ部屋の奥。紋章の製造場所として鎮座するこの場所で、失敗作の少女達は敬輔を取り囲んでいた。
 充満する薔薇の香りと血の匂いが鼻の奥を貫いて、刺激で頭が狂いそうになる。そんな状況下ではあるが、敬輔は構えた黒剣がかすかに震えていることに気づいた。
「……あの少女達が、同じ境遇……か」
 黒剣の中に眠る少女達の魂がざわめく。紋章の製造で失われた生命が、再び同じ状況を見てしまって騒いでいる。また同じ出来事が繰り返されるのかと、嘆いていた。
 敬輔はそんな中でも冷静にユーベルコード『魂魄解放』によって生まれた白い靄を纏い、軽く黒剣を振るって失敗作の少女達を吹き飛ばす。たった一度の振りでも強靭な一撃を生み出し、失敗作の少女達を壁に打ち付けてダメージを与えていた。
 黒剣の中にいる魂たちは、敬輔に向かって何かを叫ぶ。敬輔は冷静に少女達の攻撃を回避しながら、その言葉に答えた。
「……ああ。今はあの少女達を止め、生き残った人々を解放しよう」

 少女達の笑い声が響く。
 少女達の異形の部位が敬輔に襲いかかる。
 生命をこの場所に残すのは許さないと、生き残った人々にも異形を伸ばす。
「お前達の相手は……こっちだ!!」
 黒剣を振るって衝撃波を生み出し、失敗作の少女達を吹き飛ばす敬輔。生き残った人々に伸びた異形を切り落としつつ、人々を拘束する装置の構造を解析、無理矢理怪力で引きちぎって壊し救助する。
「入り口まで運ぶ。舌を噛むんじゃないぞ」
 小脇に抱え、出入り口へと救助した人々を運び出す敬輔。その間にも失敗作の少女達は敬輔に異形の部位を伸ばすのだが、黒剣に眠る魂達がそれを阻むように敬輔に注意を促していたため、寸前で回避することに成功していた。
 1人、また1人と救助活動を行いながら少女達を倒す敬輔。室内に存在している救助すべき人々を全員救出し終えると、彼らの前に立って黒剣をしっかりと握り、魂達に語りかけた。
「同じ現場は、2つもいらない。……力を貸してくれ」
 魂達は彼の言葉に呼応し、さらなる力を引き上げる。その状態が"危険"だと理解しているのか、失敗作の少女達は追加の援軍を呼び寄せて、敬輔へと襲いかかる。

 1歩、足を下げて異形の部位の攻撃を回避。
 1歩、前に出て異形の部位を切り落とし。
 最後の1歩、黒剣を振り下ろして失敗作の少女達をバラバラに切り裂く。
 早業による連続攻撃の軌跡は誰にも見抜かれることはなく、敬輔の周りに失敗作の肉を散らせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マグラ・ユメノミヤ
「驚いた――まだ、私に、『義憤』の感情が遺っていたとは」
・失敗作の少女達と対峙しながら、マグラはかつて吸血鬼たちによって研究を強いられていた過去を喚び起こす。人間を『家畜』としてより効率的に管理する方法を開発するべく、時には人体実験もあったからである。彼女らの苦痛と無念はかつてそれを「与える側」としてよく知っている
・手持ちの戦闘用球体関節人形《ドグラ》と《マグラ》を起動。巧みな「操縦」技術で二体の人形を魔糸で操り「フェイント」を加え「不意打ち」を喰らわせる。互いが互いの「陽動」をとり、少女達の『解放』にとりかかる
・なお《ドグラ》と《マグラ》には「呪詛耐性」加工が施され、それぞれ鉈と鋸を持つ



●過去を呼び起こし、義憤を晴らせ。
「驚いた――まだ、私に『義憤』の感情が遺っていたとは……」
 第五の貴族・狂乱のルドヴィグの屋敷へと突入したマグラ・ユメノミヤ(堂巡魔眩の人形師・f35119)。義憤――すなわち、道義に外れたこと、不公正なことに対する憤りのこと。この紋章製造の工程に対しての道義外の動きに、彼は心の奥に燻っていた怒りが表に出てきたようだ。
 マグラの脳裏に蘇るは、かつて吸血鬼達によって研究を強いられていた記憶。人間を家畜としてより効率的に管理する方法を開発するためにあらゆる手を尽くし、時には人体実験もあった忌まわしい過去の出来事。
 その非人道的な研究に嫌気が差した彼は、主に逆らった。その影響もあって研究所は破壊され、大切な部下と愛する妻を亡くしてしまったことは今も記憶に新しい。
「……与える側として、私はよく知っている……」
 研究者として懺悔をするようにつぶやくマグラ。そんな彼に対し、失敗作の少女達は待つことなんてしない。むしろ黙って立っている方が格好の的で、丁度よい材料にもなる。
 ぶちぶちと肉の千切れる音が聞こえたかと思えば、失敗作の少女達からちぎれた人間の部位がマグラに向けて投げつけられる。それは直接ぶつかることはなくとも、床に飛び散るだけで呪いをばら撒き少女達の戦闘力を上げていた。
「ふむ……もうこれでは、『解放』させる他ないな」
 鋭い緑色の瞳が少女達の状況を確認する。こうなってしまっては救う手段は限られているため、マグラは素早くユーベルコード『処刑操法「胎児之夢」』を発動させ、戦闘用の球体関節人形《ドグラ》《マグラ》を呼び寄せた。
「胎児よ! 胎児よ! なぜ踊る!――いや、まあじつのところ、私にもわからんのだが」
 くるくると踊る《ドグラ》《マグラ》に対し、マグラは自分の詠唱に少々疑問を浮かべた。ともあれ床を呪いで汚されている以上、《ドグラ》《マグラ》の2つの人形に呪詛耐性を付けて、巧みな操縦技術を用いて戦わせた。
 少女達が投げつける肉の破片を華麗に回避し、その手に握る鉈と鋸で飛び交う肉片を弾いて不意打ちを食らわせる。時折フェイントを混ぜることで少女達の視線を惑わせ、動きを鈍らせてから身体を切り裂いてやった。

「あなた達の無念と苦痛。私は、それをよく知っている。――だからこそあなた達をこの場所から『解放』しましょう。この場で痛みはあれど、その後の苦しみは無くして差し上げますよ」
 魔の糸を操る男は、優しい声をかける。
 紋章の製造で苦しんで死んでいった、失敗作の少女達に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー(サポート)
※絡みアドリブOK
※感情が尻尾や耳によく表れる
※人見知りだが【優しい】性格で育ちのいいお坊ちゃま
※戦闘時は魔術器官と電脳空間の演算力を用いて知略で戦う
※「ぼく」「~なの」「~さん

体のあちこちにつけた魔道具の回路を起動し(【高速詠唱】)、
狼の嗅覚聴覚視覚(【聞き耳】【暗視】)を駆使した【情報収集】と、電脳空間からの【ハッキング】で敵戦力を分析(【学習力】)

適切な魔術(UC)を組み合わせたり【乱れ撃ち】する
防御は【結界術】で作る【オーラ防御】壁や、
小柄な体系と狼の機動力(【ダッシュ】【残像】)を使う

仲間を守り、敵には【勇気】をもって容赦ない作戦・攻撃を行う(【全力魔法】)



●紫闇の檻は失敗を逃さない。
 紋章製造の現場、第五の貴族・狂乱のルドヴィグの屋敷地下。その製造に必要なものは『大量の生命』であり、今もなお捕らえられた人々がその生命を無理矢理捧げられて紋章が造られている。
 その大量の生命が消費されていることを隠すように、辺りは強い薔薇の匂いが漂っており……ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は鼻を抑え込んだ。
「うぐぅ……鼻がもげそうだよ……」
 人狼である彼にとって、匂いというのは刺激でもあり、痛みにもなる。今回のようにあまりにも強い匂いとなると、刺激が棘となってしまって割かれる場合もあるため気をつけなければならない。
 匂いを軽減させるために鼻に詰め物を詰めて、口で息をする。多少の刺激は緩和されたが、呼吸だけでも少し痛い。早いうちに周囲に存在する失敗作の少女達を倒し、先へ進まなければ身体にも多大な影響が出てしまうだろう。

 人狼としての耳を頼りに、少女達が投げてくる人間の部位を回避。
 人狼としての目を頼りに、少女達がどう動くかを計算して立ち回る。
 生き残っている人々を少しずつ救助しながらも、ロランはある一定量の魔力を含んだ魔術陣を設置して少女達の攻撃を免れていた。
「魔術回路装填……。1号、2号……」
 魔術陣を設置する毎に、その回路がきちんと動いているかを確認。さらには部屋の隅から隅までしっかりと発動出来るように、発動の範囲と距離を計算して設置。なるべく偏らないようにするために、星型の頂点のように魔術陣が設置された。
「3号、4号……5号投下」
 やがて部屋の隅に敷かれた魔術陣が5つになると、ロランは少女達を集めるために部屋の真ん中へと移動し――集まった少女達が襲いかかろうとした瞬間に、ユーベルコード『浸し潜る紫闇の檻』を発動させる。
「――回路接続。励起。複合魔術陣、発火」
 淡々と、AI音声のように告げるロランの詠唱と共に、設置された5つの魔術陣から漆黒の雷が放たれる。
 失敗作の少女達の悲鳴が上がると、彼女達は雷から生まれた電撃と重力の檻に閉じ込められた。
 どうにか逃げ出そうと足掻いている少女達だが、その檻からの脱出は叶わない。更に人間の部位を投げ込んでも電撃によって焼かれてしまい、呪いをばらまくことさえもできなくなってしまった。


「……実験で巻き込まれた可哀想な人達だけど、敵だしね」
 憐れむように、しかしすぐに容赦なく呟いたロランはその手に集めた魔力を一斉に開放し、檻に閉じ込められた失敗作を全力で焼き尽くしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルタ・ユーザック(サポート)
ダンピールの16歳女性です。
ユーベルコードを使える場面では、指定したユーベルコードを使用し、直接攻撃系か精神攻撃系で敵を攻撃します。
一人称は「わたし」(ひらがな)です。口調は「~だわ」や「~だな」の様なものではなく、「○○…。」の様に…で終わり語尾に何もつけない口数少な目のクールタイプの話し方です。
服装・体型・容姿・持ち物などは、ステータスシートの参照お願いします。

上記内容以外は全てNGなど無しでアドリブ・連携などもOKです。
よろしくお願いします。



●氷の花びら舞う頃に。
「……ちょっと、寒い……?」
 グリモア猟兵から直接地下へテレポートを受けたアルタ・ユーザック(クール系隠密魔刀士・f26092)。上階から流れ込んでくる冷たさに、少々体を震わせたが……目の前からむせ返るような薔薇の匂いと血の匂いが流れ込んでくるのを確認すると、上階の冷たさもこれを隠すためなのだと理解した。
 これだけの匂いなら、相当の人数の生命が失われている。あまり想像したくはなかったが、アルタの頭の片隅に『生き残りは絶望的』の一言が流れてしまった。
「……それでも、行かなきゃ……」
 ここで紋章の製造現場を壊しておかなければ、犠牲者がもっと増える。それだけは避けたいという願いを胸に、アルタは先へと進む。

 刀身にルーン文字が刻まれた刀・氷桜丸を片手に先へ進めば、紋章の製造で失敗作となってしまった少女達が生き残っている人々を取り囲んでいる。次の犠牲者を押さえ込み、逃げることは許さないという光景がアルタの目に写り込んだ。
 同時に、アルタの身体はバネに弾かれたように飛び出した。ユーベルコード『氷雪嵐』によって氷桜丸を変化させた氷の花びらで辺りを覆い尽くし、自分の姿を隠しながら失敗作の少女達に向けて一斉に攻撃。捕らわれている人々を救出しながら、無尽蔵に少女達を制した。
「大丈夫……? 動けるのなら……早く、逃げて……」
 生き残った人々に逃げ道を示し、少女達は自分が食い止めることを伝えてアルタはもう一度製造現場へと向き直る。
 無数の氷の花びらによって失敗作の少女達は近づくことすらままならないようで、どうにか人間の部位を投げてアルタに攻撃するものの、それも届かず。アルタの目の前には落ちた人間の部位によって造られた呪いの海が広がっていた。
「これは……」
 呪いの海は少女達の力を上げる効力があると気づいたアルタ。素早く氷の花びらの挙動を変更させて、少女達の足が一歩でも、足指先でも触れないようにと少女達への攻撃をさらに増す。
 ここで自分が倒れては、先程逃がした人々がまた捕らえられてしまうかもしれない。それだけは何があっても起こしてはならないため、アルタは少女達の動きを牽制し続けた。

「……でも、上は寒いから……あなたたちは、きっと凍えちゃうかも……?」
 上階の冷たさは、階下にいたアルタでもかなり厳しいものだった。
 故に、アルタはこう思うのだ。――失敗作の少女達の身体はすぐに凍ってしまうのでは? と……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」

楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷

神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する

バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ

戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる



●森の怪物は無邪気に遊ぶ。
「うー……寒い! 低い!」
 少し屈みながら階段を降りるアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)。上階から降りてくる寒さと、少し低い天井に色々と文句を言いながらも彼女は気味の悪い匂いの先へと向かっていた。
 グリモア猟兵から話を聞いてやってきたはいいものの、アウルの身長では少々屈まないと進めなかったため、ゆっくりと降りていた。
「それにしても、すごい匂い……。薔薇かな?」
 薔薇の匂いに加え、人々が流したであろう血の匂いが織り混ざって眼前からやってきている。決して心地よい匂いとも言えず、むしろアウルは鼻を押さえていた。

 製造現場にたどり着くと、たくさんいる失敗作の少女達の中から生き残りがいることに気づいたアウル。そういえば助けてやってくれと言われていたことを思い出し、思いっきり左腕を振るった。
「ここはわたしがなんとかするから、みんなは早く逃げて!」
 人々の盾になり、失敗作の少女達を振り払うアウル。まだまだ屈んだままで動いているため、多少動きづらさはあるが……目の前の敵を振り払うぐらいなら、どうということはない。
 それどころか彼女はユーベルコード『打刻・弱肉証明』を発動させていたために、先に振り払った失敗作の少女達に『獲物の刻印』を付与させることに成功させていた。おかげで、アウルの半径110mの範囲にいる間は刻印を付与された少女達は規模縮小による追加ダメージで身動きがほとんど取れず、人間の部位を投げる力も無くなっていっていた。

「逃げられないんだから。わたしからは、どうやってもね」
 失敗作の少女達は恐れた。森から現れた怪物が、いつの間にやら自分達を掌握しているという事象に。
 獲物の刻印さえ付けられなければ、エネルギーの灌流の乱れは無く自身の力をいかんなく発揮できる。だが相手が、その存在との相性が悪すぎる。
「ん、んー。あと付けてない子は誰だろー?」
 自分達を見下ろし、部屋の隅々まで見渡せる巨体。何処に隠れようが、何を盾にしようが、アウルという怪物には見えてしまう。まさしく、森の怪物が無邪気に部屋に遊びに来た状態だ。
 失敗作の少女達は恐れた。遊びに来た怪物に、全てを壊されることを。道具に貼ったシールのように、無邪気に刻印を付けられることを。

「これで全員、貼り付けたかな?」
 全員の刻印付与を終わらせたアウルは、それでは、と改めて体勢を整え直す。
 少し屈みながらだったが、彼女は失敗作の少女達に向けてこう宣言した。

「がおー! 捕まえたらたべちゃうぞ~!」
 無邪気にはしゃいだ彼女の声に、失敗作の少女達は逃げ惑った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『狂乱のルドヴィグ』

POW   :    伝染する狂気
攻撃が命中した対象に【いずれ狂気に至る癒えない傷痕】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【自傷、傷痕が生み出す激痛】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    包囲する狂気
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【狂気に陥る呪詛を撒き散らす己の複製剣】で包囲攻撃する。
WIZ   :    侵蝕する狂気
自身の【長剣】を【強い狂気と錯乱状態を付与する蛇腹剣】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はハルア・ガーラントです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 失敗作の少女達は敗れ、祭壇の機能も停止した。
 これにて一件落着……というわけではなく、最後の最後、この製造現場を指揮する者――第五の貴族・狂乱のルドヴィグが姿を表した。

「――……ついに、ここまでやってきたか」

 紋章の祭壇を荒らされ、狂乱のルドヴィグは憎悪する。
 この場を荒らしに来た存在に。猟兵という存在に。世界に。全てに。
 両手の甲に現れた紋章――『憎悪の紋章』が奇妙にも揺らめいていた。

 紋章の力は、計り知れない。
 与えられた者に無限の力を与えるだとか、力を引き出すだとか言われているが、その実態は未だにつかめないまま。
 このまま普通に戦ったところで、勝ち目はないことはわかっている。

 だが、ほんの一瞬、僅かな瞬間に彼の顔が歪んだ。
 戦闘の衝撃で砕けた装置の一部が、彼の両手の甲に突き刺さったのだ。

「っ……!」

 すぐさま彼は両手の甲を振り、突き刺さった装置の一部を払って平常を保つ。
 敵を前に、無様な姿は見せられないと。

 しかし猟兵達はすぐに理解する。
 憎悪の紋章を『突き刺す』ことが、突破口になるのだと。
 『突き刺す』ことで多少の弱体化を狙えるのではないかと。

 ――第五の貴族を倒すための、一筋の光が見えた。

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 プレイング受付:11/4 8:31~
 プレイングボーナス:憎悪の紋章を突き刺す

 ボス敵『狂乱のルドヴィグ』との戦いです。
 場所は第2章と同じ部屋ですが、装置類は破壊されたため遮蔽物は無いです。
 あるとしたら破壊された時に出来た破片ぐらいで、視界を覆うようなものはありません。

 プレイングボーナスである『憎悪の紋章を突き刺す』は断章文中にある部位を貫くことで成立します。
 なお突き刺すと表現していますが、殴ったり、銃で撃ち抜いたり、魔法で焼いたりなどでもOKです。
 要は『紋章の部位を攻撃する』形であれば、突き刺したと同義で捉えます。

 最後の戦いとなりますので、思う存分に戦ってください。

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ベッジ・トラッシュ(サポート)
◆戦闘時
戦うのは怖い!
なのでボス戦ではだいたい逃げ回っている。
(味方の手助けになる行動や、囮になるなどの功績を得ることはあるがだいたい無意識)
「こ、ここ…怖いのではないゾ!ベッジさんは様子をうかがってイタのだ!!」

手の届かない相手にはパチンコで苦し紛れに絵の具弾を飛ばすこともある。

◆冒険時
基本的に好奇心が強く、巻き込まれ体質。

敵味方関係なく、言われたことには素直に従う。
怪しいような気がしても多少なら気にしない。
後先考えずに近づいて痛い目を見るタイプ。

◆他
口癖「ぎゃぴー?!」
お気に入りの帽子は絶対にとらない。
食べ物は目を離した隙に消えている系。
(口は存在しない)
性能に問題はないが濡れるのは嫌い。


カイリ・タチバナ(サポート)
困った人を放っておけない純情ヤンキーヤドリガミであり、露出の高い女性には慣れていません。
本体は銛です。生クリームののったケーキが好きです。

守神勾玉の異空間は『蒼き守神の神域』のため、他人への避難には使用しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。むしろ積極的に前に立ちます。
攻撃は本体の銛でなぎ払ったり、『守神』とつくアイテムを念動力で動かしたりと様々です。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●逃げ回るのも策の内。
 憎悪の紋章を両手に宿した狂乱のルドヴィグは長剣を構え、やってきた猟兵――ベッジ・トラッシュ(深淵を覗く瞳・f18666)に向けて怒涛の連続攻撃を放っていた。
「ぎゃぴーー!? こ、こわ、怖いわけではないが! 怖いワケではないノだがーー!」
 口ではそう言っているが、気が弱く恐怖心が強くなってしまったベッジは逃げながらも上手くルドヴィグの長剣を回避し、致命的な傷を逃れている。
 だが、そんな回避も長くは持たない。壊れた装置の破片に足を取られたベッジは思いっきり転び、更には植え付けられた恐怖心が彼を立ち上がらせるのを拒んでいた。
「ひ、ひぃ……!」
 もはやここまでなのだろうか。そう思った矢先、ベッジの視界にはルドヴィグの他に別の猟兵――カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)の姿が映り込む。
「っらぁ!!」
 銛を伸ばし、ルドヴィグの身体を貫いて体勢を崩したその隙にベッジを逃がしたカイリ。危ないから隠れてろ! と叱られたベッジはひとまず壊れた装置の土台の後ろに隠れ、ふるふると震えていた。

 ここからはどうしたものかとカイリは悩みに悩んだ。相手の弱点を知るほうが優先だが、どこをどう動いてみたものかと。
 だが思考を長く許すほどルドヴィグも馬鹿ではない。巧みな剣術でカイリの思考を阻み、ベッジをこの場から逃さぬように隙のない動きで2人を翻弄していた。
「ぎゃぴー!? な、な、なんでオレまで~~!!」
「そりゃあ猟兵だったら狙われるだろうよ! いいからテメェは逃げ続けてろ!」
 カイリの言葉通り、ベッジは壊れた装置の影から出てずっと逃げ続けていた。恐怖心が彼の身体を支配しているのは、もはや慣れたものだ。
 だがふと、何の気なしにベッジはルドヴィグと戦うカイリを見た。戦うことよりも恐怖心が勝るベッジではあるが、それよりも勝るのが野次馬根性。カイリとルドヴィグの戦いの行く末は野次馬根性に火を付け始めたようで、僅かな一瞬でもベッジが見たいと思うようになっていた。
 そんな中でベッジの目に映り込んだのは、両手の憎悪の紋章に銛が僅かに突き刺さった瞬間のルドヴィグの顔。他の部位に攻撃を与えても特段表情を変えなかった第五の貴族が、両手の紋章に突き刺さる瞬間だけ苦痛の表情を見せたという情報がベッジの中に入り込んだ。
「か、か、カイリさーん! じゃっ、じゃくて、弱点は、両手の紋章デスーー!!」
 逃げ続けながらも自身の野次馬根性で見つけた弱点を必死で伝えるベッジ。弱点を知られたことでルドヴィグの表情に少々焦りが見られ、カイリよりもベッジを始末するほうが優先だと動き出した。
「なるほどね。助かったぜ、ベッジ! それがわかればあとはこっちの番だ!」
 貴重な情報を伝えてくれたことに感謝の言葉を向けたカイリは銛でルドヴィグの長剣を弾き、ベッジを護る。この繰り返しもそろそろ厳しいと思っていた矢先に、カイリはルドヴィグの剣の様子がおかしいことに気づく。
「……蛇腹剣か……!」
 鞭のように長くしなり、剣の如き鋭さを持つ蛇腹剣。さらにはルドヴィグの持つ狂気を伝染させる力もあると感づいたようで、逃げ続けるベッジに触れないように注意を促しつつカイリは蛇腹剣を銛で弾く。
「……流石にもう銛だけじゃ難しくなりそうだな……!」
「ひ、ひぃ……どうすると言うんデスか……!」
「ちょいと本気を出す必要があるな。……ベッジ、テメェは無理せずに逃げ続けろよ?」
 一呼吸、息を整えて落ち着くカイリ。ユーベルコード『守神雨羽』を発動させたその瞬間、守神の一柱『海鈴響命』として覚醒。辺りに空から蒼色に輝いた雨が降り注ぎ、ルドヴィグを包み込みながら攻撃を続ける。
 蒼の雨はルドヴィグの視界を遮り、カイリとベッジの存在を覆い隠す。視界が良好でないままに蛇腹剣を振るえばどうなるかぐらいは、紋章で憎悪を引き起こされた第五の貴族といえど理解している……はずだった。
「ギャピーッ!?」
 その声の場所があまりにもわかりやすくて、あまりにも単純だったから、ついつい振るってしまった蛇腹剣。だが振るった場所には声の主はおらず、むしろ声の主ベッジは足元を通り過ぎる程に素早く動き回っていた。
 ベッジのユーベルコード『怖がりの集大成』は逃げの天才となったベッジが蠢く絵の具を振りまきながら脚力とパラシュートで逃げ続けるという力。視界が見えない今、ルドヴィグが頼りにするのはベッジの声なのだが、その声さえも逃げに特化した速度で出せば居場所は割り出せない。
「な、なな、なんか上手くいってマス!? 上手くいってマス!?」
 逃げるだけでも効果があることにちょっとだけ喜びを覚えたベッジ。それを無言で見つめながらも微笑んだカイリ。

 蒼の雨が降る中で暴れた絵の具。
 2つの力は憎悪の紋章に多少の傷みを与えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エリー・マイヤー(サポート)
どうもエリーです。
手が必要そうなので、手を貸しに来ました。
【念動力】で解決できる事なら、お任せください。
遠くから押したり引いたり掴んだりとか、
持ち上げたり回したり投げたりできますよ。
包み込んで動きを封じたり、破裂させて攻撃したりもできます。
微弱な念動力をばら撒けば、ソナー代わりにも使えます。

後はスプーンを曲げに曲げて、コルク抜きにしたりとかですかね?
タネなし手品で子供を喜ばせるとか、朝飯前です。
子供は煙草の臭いで逃げる気もしますが…
まぁ、それはさておき、状況に応じて色々できますよ。

あ、運動は苦手なので、
殴り合いとか派手な運動は期待しないでくださいね。
たぶん息切れして倒れちゃいますよ。


ジェイソン・スカイフォール(サポート)
おもに「正当防衛」「衛生小隊」を使ってメイン参加者の援護を行います。

▼行動例

「下がってください!」
メイン参加者が不利な状況に登場し、かばう。ボス敵の相手を引き受け、味方が態勢を立て直すための機会をつくる。

「救護します!」
衛生小隊にボス敵の牽制を命じ、その隙に、負傷したメイン参加者を安全圏に撤退させ、応急手当を行う。必要に応じて「生まれながらの光」で治療する。



●互いの長所を活かしあえ。
 壊れて散らばった装置の破片を念動力で動かし、狂乱のルドヴィグに向けて攻撃を続けるエリー・マイヤー(被造物・f29376)。運動が苦手な彼女はなるべく逃げ続けるという行動を取らないように、ルドヴィグの視界を阻みつつ距離をとっていた。
 だがそれも長くは続かない。ルドヴィグはエリーの気配を探りつつも長剣を複製、室内に向けて幾何学模様を描きながら飛翔させて無尽蔵の攻撃を開始した。
「うわ、流石にそれはこっちに不利ですって!」
 目の前に複製剣がやってきた。ああ、これはもうダメだろうなとエリーが目をつぶって痛みに耐えようとしたが……痛みも無く。
 何事かと目を開けてみれば、ジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)が彼女をかばうように前に立っていた。
「大丈夫でありますか!?」
「えっ、あ、はい。大丈夫です。守っていただいたおかげで、なんとか」
 あんなに高速で動き回っていた複製剣を一身に引き受けたジェイソンの身体はかなり痛手を負っている。エリーは少々心が痛くなったが、気にすることはないとジェイソンが告げた。
 というのも、彼はユーベルコード『衛生小隊』で呼び寄せた戦闘技術も持つ衛生兵が共にいる。エリーの支援はおろか、己の傷を手早く治療するのもお手の物という状態になっているのだ。
「ですので、エリーさんは攻撃に専念を。自分はエリーさんの行動を支援する故、お好きなときに盾として使っていただきたい」
「じゃあ、そうですね……今からちょっと、試したいことが」
 飛び交う複製剣を念動力で弾き返しながらも、エリーはジェイソンに簡単な作戦を告げる。それは己の能力も有効活用しながら、ジェイソンが呼び出した衛生兵達に協力を得るというだけの作戦。
「……なるほど、それは面白そうでありますな」
「でしょう? ということで……前、お願いしますね」
「了解であります」
 複製剣で遮られぬようにジェイソンが前に立ち、衛生兵に指揮をとってルドヴィグを撹乱。エリーはユーベルコード『念動アーマー』を使って衛生兵の全身に念動力の装甲を纏わせ、戦闘能力を強化させる。

 憎悪の紋章の話は2人も聞いている。だが、その紋章を壊す術が未だにわからないままだ。故にエリーとジェイソンは衛生兵による攻撃だけでなく、防御面も特化させてから突撃させるほうが良いと判断をした。
 紋章の弱点さえわかれば、あとはエリーの念動力で辺りに散らばる破片を武器として使って戦うだけでも十分な効果が期待できる。そのため何が何でも、衛生兵には生き残っていてもらわなければならないのだ。
「でも流石に両手の甲となると、条件厳しい気もしますね……」
 両手の甲を狙おうとすると複製剣が盾となり、衛生兵の攻撃を弾いてしまう。どうしても攻撃されたくない意志があるのは目に見えてわかるが、そこから先の行動を阻まれては次の動きを展開させることも難しい。
「あの複製された複数の剣が邪魔でありますな。……となれば、撃ち落とすのが早いかもしれません」
「でも周囲の破片だとちょっと弾くのは難しそうなので、ジェイソンさんにお願いしても?」
「そのための準備も、もう完了しているであります」
 エリーの問いかけに対し、ジェイソンは7つの銃口を円環状に展開させた銃火器――アサルトウェポン:Seven Trumpetsを構える。全方位に射撃可能なこの銃火器であれば、無数に飛び交う複製剣を撃ち落とせるだろうと。
「総員、かかれ!!」
 その掛け声と同時にSeven Trumpetsの引き金を引き、全方位の射撃で衛生兵を支援するジェイソン。ルドヴィグ諸共複製剣に向けて射撃をするものだから、その両手の甲は隙だらけになってしまう。
「っと、隙あり!」
 射撃を冷静に振り払うルドヴィグに対し、エリーは辺りに散らばる破片を念動力で動かして両手の甲を貫き、ルドヴィグに痛みを与えた。
 ジェイソンの射撃で身体を貫かれても痛みの表情を見せなかった第五の貴族。そんな強気の姿勢だったはずなのに、手の甲に付与した憎悪の紋章をたった小さな破片で貫かれただけで表情を変える。その大きな収穫物にエリーは素早く情報伝達を行い、ジェイソンの衛生兵への通達も任せた。
「了解! 総員、両手の甲を貫くように狙え! 周辺の剣は自分がなんとかする!」
「動けない方は下がってください! 私がこちらまで引き寄せますので!」

 2人の連携行動は部隊を活かし、敵を穿つ。
 後に来るであろう仲間のために少しでも第五の貴族を押さえつけるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

生憎だが
俺は紋章持ちと何度か対峙しているから
弱点は「紋章そのもの」だと既に知っているのさ
…ここで果ててもらう

指定UC発動
「視力、暗視」で両手の甲の紋章の形状を把握後
「ダッシュ、地形の利用」+UC効果の高速移動で一気に肉薄
紋章の片方は黒剣で「串刺し」して一気に貫き
もう片方は串刺しと同時に発射した刺突の「衝撃波」で貫いてやる

狂気に陥る呪詛か?
剣そのものは「残像」を囮にしつつ「見切り」で回避するが
掠められても俺は「狂気耐性、呪詛耐性」持ちだ
耐性を上回る強烈な呪詛でも気にしない
そもそも第五の貴族に真っ向から喧嘩を売っている俺が
闘争の狂気に侵されていないと誰が断言できる?



●穿て、憎悪を。
 第五の貴族、狂乱のルドヴィグを前に敬輔は冷静な表情で見据えていた。彼は何度も紋章と対峙しているために、紋章そのものが弱点であることは知っていると小さく笑った。
 紋章がどうやって生まれ、どのような形態を持つのか。そして紋章は『生きている』ということさえも知っている敬輔。数多の命が亡くなった末がこの紋章なのだと知っているからこそ、彼は第五の貴族に挑む。
「……ここで果ててもらう!」
 ユーベルコード『魂魄解放』を発動させ、以前より黒剣に喰わせていた魂をその身に纏う。己の命を与える代わり、強い力を与えて欲しいと願いを込めて大きく剣を振るった。
 振るわれた黒剣は魂に呼応し、部屋全体を覆い尽くすほどの衝撃波を放つ。ルドヴィグはおろか周囲に散らばった装置の破片さえをも飲み込み、その身に大きなダメージを与えた。
「――見えた!」
 衝撃波を受けた際の動きでルドヴィグの両手の甲に備わっている憎悪の紋章を見つけ出す敬輔。それを一気に穿てばこちらの勝利だと判断したのだが、足を一歩踏み出したところで一度動きを止めた。
 ――気づかぬうちに、部屋全体にルドヴィグの複製した剣が飛び交っている。
 あと数ミリ踏み出していたら肉片となっていたところだったが、間一髪のところで回避した敬輔。衝撃波を軽減させるための複製剣だったようだが、攻撃に転じられた今は部屋の中を縦横無尽に飛び交っていた。
 更には狂気に陥る呪詛をばらまいており、触れただけで常人ではすぐに発狂してしまうような状況が出来上がっている。本来であれば怖気づくところだが、むしろ敬輔は笑っていた。
「面白い。耐性持ちの俺が耐えるのが先か、貴様が落ちるのが先か。勝負しようか」
 辺りに金属音が鳴り響く。黒の剣と複製された剣がかち合う音と、速度を失った複製剣が落ちる音が乱雑に音を奏でている。1つ、また1つと複製剣が落ちるたびに、ルドヴィグに焦りが見いだされていた。

「まずは1つ!」
 差し迫ってきた敬輔に対して防御態勢を取ろうとしたルドヴィグだったが、左手の甲に張り付いた憎悪の紋章が黒剣によって貫かれる。
 痛みに表情を歪ませたルドヴィグ。まだ右手の紋章があると信じ切っていたのだが……その右手も、数秒後には貫かれる。
 敬輔が行動を起こす前に放っていた刺突の衝撃波。それが、時間差で右手の甲に突き刺さったのだから。
 辺りに呪詛がばらまかれているのに、なぜ通用しないのかと嘆き苦しむルドヴィグ。それに対して敬輔は冷ややかな目で1つだけ告げる。
「そもそも、第五の貴族に真っ向から喧嘩を売っている俺が闘争の狂気に侵されていないなんて……誰が、断言できるのだろうな?」
 暗がりに浮かぶ小さく冷たい笑顔は、黒剣を振り下ろし――。



●憎悪、陥落。
 第五の貴族・狂乱のルドヴィグが作り出していた憎悪の紋章。
 その製造現場である貴族邸は猟兵達の手によって陥落。
 製造用の材料も逃げてしまったため、この現場では二度と憎悪の紋章が作られることはなくなった。

 だがこの現場がなくなったからと言っても、憎悪の紋章が完全に世界から消えるわけではなく、製造の勢いを多少減らすことに成功しただけ。
 今後とも憎悪の紋章の動きには注意を払わなければならないだろう……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月16日


挿絵イラスト