アポカリプス・ランページ⑯〜しゅごしゅごルーン
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「よっす、皆お疲れ!」
気楽な様子で片手を上げ猟兵を出迎えたのは、ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)という名の猟兵だ。
「お疲れんとこ悪ィんだけどさ、『フィールド・オブ・ナイン』の最後の一体、マザー・コンピュータの場所に向かう道が開けたわけよ。折角ならこいつも仕留めておきてえよな。というわけで、急いで現地に向かって欲しい」
ジャスパーは手元のスマートフォンを操作しながら話し続けている。グリモアの機能を内蔵させたもので、ジャスパーはこれを用いて転送を行うのだ。
「マザー・コンピュータ。その名の通り、自身が創造した超巨大コンピュータの生体コアでもある女だ。あらゆる物質・概念を『機械化』する能力を持っていて、このままほっとけばアメリカ大陸でさえアイツの戦闘機械獣と化しちまいそうなんだ。
既にマザーは、デトロイトの都市全てを『増殖無限戦闘機械都市』っていう、厄介なモンに変化させちまってる。都市そのものが敵を排除する要塞みてえなモンだ。そん中に突っ込んでコアを叩くって作戦だから、並大抵のモンじゃねえぜ」
というわけでさ、とジャスパーは続ける。
「俺はいつも通り安全な場所で待機して、あんたらを送り迎えする役に徹してる。厳しい戦いになるだろうけど、あんたらならやれるって信じてるぜ――ん?」
ジャスパーが眉根を寄せ、スマートフォンの画面を注視する。
――何かがおかしい。何かが。
「駄目だ。なんでか切り離せねえ」
どういう事か。顔を覗き込む猟兵へと、ジャスパーは告げる。
「俺もあんたらと一緒に、機械都市のド真ん中に一緒に飛ばされる事になりそうだ」
転送の光が輝きを増し、猟兵達を包んでいった。
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超巨大な要塞都市。その中枢に、マザーはいた。
侵入者を発見した都市は、みるみるうちにその姿を変えていく。コードが空を覆い尽くすように絡み合い、猟兵達の退路を塞いでいく。
「……さっきマザーはあらゆるものを機械化させちまうって云ったが、それじゃ説明不足だったな」
空を仰ぎながら、ジャスパーは自嘲気味に笑った。
「機械になったモンは、コアたるマザーの身体の一部ってわけだ。マザーの腹ン中にのこのこ獲物になりにきたのが俺らってシチュエーションらしいぜ、これは」
『ええ。そして私は、貴方達がどこにでも自由自在に行き来する、その力を識っています』
厳かなるマザーの声が、機械都市に響き渡る。
『グリモア。その力なくては、貴方達は私達の元に辿り着くことが出来ない。故に私はシンプルな計画を立てました。その加護を持つ者を、確実に死滅させる、と』
「はっはーん。確かに俺が死んだらこの都市から出る事も出来ねえし、悪くねえ作戦だなァ」
狙いを定められたグリモア猟兵は、ささっと猟兵達の影に隠れる。
「ってなわけで悪ィけど、俺のコト護ってくんね? あんな痛い目に遭わせてくれそ……じゃなかった強敵相手に護られっぱなしってのもキャラじゃねえんだけど、今はそうも云ってらんねえみたいだ」
ion
●お世話になっております。ionです。
マザー・コンピュータの作戦のひとつ、『増殖無限戦闘機械都市によるグリモア必殺計画』をお届けいたします。
タイトルは楽しげですが、リプレイはちゃんと真面目なバトルのはずです。
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プレイングボーナス……グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う。
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物理的な退路が断たれているので、グリモア猟兵が死んだら帰れなくなります。
(他のグリモア猟兵が参加していたとしても、予知した地点との転送を出来るのは基本的に予知をしたグリモア猟兵だけのようです)
ジャスパーは基本大人しく守られているので、攻撃には参加しませんし、リプレイでも積極的な描写は致しません(掛け合い台詞などを入れて頂いた場合、ひとことふたこと喋る可能性はあります)。
ですが超狙われます。本人も自分の身を護る事に全力は賭していますが、皆様の護りがあるとより安全です。
●プレイングについて
進行中の他リプレイと兼ね合いを見ながらの受付開始となります。タグやMSページにてご案内予定です。
第1章 ボス戦
『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』
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POW : マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD : トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:有坂U
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ガイ・レックウ
【POW】で判定
【拠点防御】と【戦闘知識】でグリモア猟兵の周りに防衛線をはるぜ!
【オーラ防御】でさらに強度を高めて、アサルトウェポンによる【制圧射撃】とユーベルコード【絶刀鬼神『破天修羅王』】を展開した後での【怪力】での【なぎ払い】と【鎧砕き】で相手の機械兵器群を撃滅しながら攻撃していくぜ!!
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マザー・コンピュータ。
人間の女性の姿を持つ“コア”が周辺の機械都市群を取り込み、巨大な戦闘機へと変形を遂げる。
「しっかり護られてろよ、グリモア猟兵!」
真っ先に躍り出たのはガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)。妖刀を携えた武士然とした佇まいの青年だが、彼が得意とするのは剣術に留まらない。
その証拠に、真っ先に火を噴いたのはアサルトウェポン。独自のカスタムを施した突撃銃の巧みな機銃掃射が“女だったもの”に降り注ぐ。
機械の身体は銃弾を難なく弾き返すが、それもガイの計算のうちだ。目的は負傷を与える事ではなく動きを止める事。市ひとつをそのまま取り込めるでたらめな力相手に、銃ひとつでまともにやりあえるとはハナから思ってはいない。
戦闘機が動きを止めた一瞬、ガイが施したのは防御の術。グリモア猟兵の護りを強固なものにしながら、ガイは天に向かって吼える。
「天に轟け! 天下無双の鬼神伝説よ!! 我が名のもとに降臨せよ!!」
空は。マザーのテリトリーの筈だった。戦闘機に、夕闇も視えぬほどに伸ばされた機械腕。だがその渦中、何かがガイの声に応えるようにちかりと瞬き――マザーの手を逃れながら飛来してきた。
地響きを轟かせ、瓦礫を撒き散らしながら現れたそれは、漆黒の武者鎧に一本角の鬼神だ。大気を劈くような方向と共に、鬼神はガイの携えるものとよく似た妖刀を鞘走らせる。
機械と刃がぶつかり合い、火花が散る。マザーが微かに息を呑む気配がした。
『召喚術ですか。やはり猟兵は……いえ、ヒトというものが持つ力は、永遠を破壊する可能性を秘めているのですね』
「ああ、おかげさまでな」
ガイの言葉にマザーが眉を顰める。
「お前達オブリビオンの実験が俺から全てを奪い、この力だけが残った」
ありとあらゆる拷問を施され、耐性を身につけた身体が共鳴した妖刀。力を得たガイは脱出にこそ成功するが親は既に殺されており、ガイ自身もまた、今でも時折呪詛に苛まれている。
『そうですか』
さして興味のなさそうな声。戦闘機から放たれた機械兵器の数々が鬼神へと降り注ぐ。
「俺は必ずこいつを打ったオブリビオンを探し出す。この程度でじゃ、俺を止めることは出来ないぜ!!」
剣閃。ガイの動きをトレースし振るわれた神速の一撃が、戦闘機の主翼を叩き割った。
大成功
🔵🔵🔵
夜鳥・藍
ジャスパーさん宜しくお願いします。若輩者ですが頑張ります。
護衛というものに慣れては居りませんのでできればそばにいて下さいね。
きっと無事に送り届けますから。
青月をかかげ雷公天絶陣を放ちます。
機械と言えば電気でいかようにもなるので絶縁が必要ではありましょう。だからどこまで効果があるかわかりません。ですが何も一撃で何とかすると思わなければいいのです。
絶縁体にも限度がある。過度に力がかかれば絶縁体と言えど破壊は可能なのです。
破壊できるまで串刺しの勢いで、何度も何度も雷公天絶陣を放ちます。
敵が複数いれば命中精度を上げる事は難しいでしょうけれど、それでも制圧射撃の勢いと、攻撃の回数でカバーいたします。
栗花落・澪
なんか一瞬ジャスパーさんから凄い言葉が聞こえかけたような気がするんだよ
まずは自分に【オーラ防御】し【空中戦】
常に【聞き耳】で周囲の機械音を聞き取り
機械兵器の種類や火力を予測
優先順位を付けて確実に破壊していく
【指定UC】発動
召喚した炎の鳥達を全方位に飛ばし
同時に自分も【高速詠唱】で炎魔法の【属性攻撃】
これだけ機械が密集してたら誘爆も狙いやすい
生成も間に合わないくらい一気に薙ぎ払いつつ
隙を見てマザー本体狙いたい
もー、僕だってか弱いんだから手加減してよぅ
オーラ防御をジャスパーさんに移し
この時点で残ってる鳥達を一斉に本体に向かわせ
同時に風魔法で炎を煽り火力を上げて
道中の機械も薙ぎ払いながらどーんします
蛇塚・レモン
おっけーっ!
任せて、ジャスパーさんっ!
あたいの傍から離れないでねっ!
街全体がマザーの武器で
更に対猟兵戦闘機械なんて代物が出るなら……
ジャスパーさん、ジャンプしてっ!
そのまま念動力でジャスパーさんを頭上へ空中浮遊させて緊急避難っ!
結界術の護りで覆って、あたいはUCを踊るよっ!
狙いを定めなくていいのは楽だねっ!
1120本の霊光線を半径112m半径内へ乱れ撃ち!
対猟兵戦闘機械を無効化&機械都市を破壊!
すかさずマザーへ向かって進撃開始して光線の雨を浴びせるねっ!
すると、マザーに不幸な事故が起きて……
破壊した機械都市の一部がシステムダウン&マザーの機器がフリーズ!
機に乗じてあたいも蛇腹剣で斬撃波だよっ!
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主翼を破壊され、墜落する戦闘機。
だがマザーたる戦闘機械が地面に叩きつけられるよりも早くその変形が解かれ、卵を思わせるポットに鎮座する女の姿を取り戻す。それと同時に周辺の地形がまためまぐるしく姿を変えていった。
「あれが、マザー……」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が息を呑む。神々しささえも感じさせる外見とは裏腹に、巨大な機械群を手足のように操る現代の戦神。
――いやそんな事よりも。
「なんか一瞬ジャスパーさんから凄い言葉が聞こえかけたような気がするんだよ」
「気のせいなんだよ」
言葉尻を真似しながら、でかい身体を折り畳むようにして澪の背後に隠れるジャスパー。ほんとかなあと澪は返すが、取り敢えずこの状況で無駄に自分を危険に晒す気はないらしい。……たぶん。
「おっけーっ! 任せて、ジャスパーさんっ! あたいの傍から離れないでねっ!」
「ジャスパーさん宜しくお願いします。護衛というものに慣れては居りませんので、できればそばにいてくださいね」
多重人格者の蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)。藍晶石のクリスタリアン、夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)。二名もジャスパーを背後に庇いながら、マザーへと向き合う。
「若輩者ですが頑張ります。きっと無事に送り届けますから」
「美女三人に護られるシチュエーション。俺役得」
「ちょっと待って」
思わず振り返って抗議する澪だが、ほのぼのタイムは長くは続かなかった。
『……その男の他にも、グリモアを持つ者がいますね?』
マザーの無機質な視線がレモンを見定める。
「だったら、どうするつもりっ!?」
『一度に複数のグリモアを破壊できるのは僥倖です。無限の思索を阻む災厄の芽は、早いうちに摘み取っておくべきでしょう』
機械都市が脈打ち、鳴動している。まるで巨大な怪物のように。
藍が打刀をかかげる。雷との親和性が高い青月は最強とも名高い宝貝の如く光り輝き、迸る雷を全方向に放つ。
雷を受け、火花を散らしながらも、其処彼処の地面から戦闘機械たちが這い出てくる。全方位を見渡せるよう、レモンと藍はジャスパーを挟む形で背中合わせの陣形を取る。
白く爆ぜる光に紛れ、翼をはためかせ飛び立った者がいる。澪だ。空という広い視界、そしてシンフォニアゆえの耳の良さを活かし、戦闘機械達の挙動を予測、把握する。
詠唱と共に放つのは炎の鳥。大小様々な鳥を模した炎達は、現れたばかりの戦闘機械に飛び掛かって爆発する。追撃として放った炎魔法が爆風の勢いを更に強め、周辺の機械も巻き込んで赤々と燃え上がった。
紫電と爆炎。だがそれらが巻きあげた煙の向こう、機械兵が腕を振り上げた。
「! ジャスパーさん、ジャンプしてっ!」
レモンの声に従ったジャスパーの身体が、そのままふわりと宙に浮かび上がる。彼女の念動力によって浮遊するジャスパーの下、機械兵の腕に装着されたガトリングが地面を蜂の巣にしているところだった。
跳弾を藍の雷が叩き、レモンは更に結界術を施してジャスパーの護りを強固なものとする。だが次々と現れる戦闘機械たちは、炎と雷を受けても尚無事なままだった。
「うわ、硬っ」
『その程度の電気や雷で、私の機械は止まりません』
「やはり絶縁体などの対策は施されていますね」
藍は動じない。機械武装とは切っても切り離せない弱点だ。当然それを阻むものは仕込まれているだろう。
「じゃあ、これはどうかなっ?」
レモンが神楽を舞う。レモンだけではない。勾玉に宿る妹の魂、レモンと共に在る蛇神も共に舞えば、最初の方こそ伝統的な神楽の流れを組んでいた舞も、まるでそれそのものが武術であるかのように激しい演舞へと変化していく。
繰り出される霊光線は全方位目掛け。何せここは機械都市。マザーの術中の真っただ中だ。視界に移る猟兵以外の全てが敵なのだから狙いを定める必要さえない。脳筋ガール的に最高にゴキゲンな戦場である。
畳みかけるように藍が雷を放つ。機械兵の銃弾を弾き、繰り出される物理攻撃の狙いを逸らす。澪の炎も合わされば、流石の機械兵もショートしその動きを止める。
「やはり、絶縁体といえど万能ではありませんね」
過度に力がかかれば破壊は可能だ。炎に霊的な波動、性質の異なる攻撃全てを耐えきれるものなどありはしない。
「藍さん、さっすが!」
「そんな……恐縮です」
「これはあれだよねっ、押して駄目ならもっと押せ、だよねっ!」
「えー、かよわい僕としてはそういうのはちょっとぉ」
か弱いだろうか。ド派手に燃え上がる炎と、今も尚戦場を飛び交う無数の炎の鳥たちを見て藍は思わず首をかしげたが、口には出さなかった。
「!」
新たな守護の術が自分を優しく覆うのをジャスパーは感じた。澪が今まで自身を護っていた術をすべてジャスパーに移したのだ。
残る全ての鳥を群れのように束ね、マザー目掛けて放つ。更に施した風魔法が炎をより煌々と燃え上がらせる。迎撃しようと迫る機械たちは、巨大な炎の槍に薙ぎ払われるように吹き飛ばされていった。
藍の雷がダメージの進んでいた機械を完全に停止させ、反撃の芽を潰していく。護りを失ったマザーはすぐさま新たな戦闘機械を召喚しようとするが。
『――?』
応答がない。マザーを覆う卵殻のような装置の内部には次々とエラーメッセージが表示される。
「これがあたいたちの力だよっ」
レモンの神楽が齎すのは破壊ではない。“不運”だ。ユーベルコードを無効化させるそれが一時的なシステムダウンを呼び寄せていた。
「鳥たちよ。どうか僕たちを導いて――!」
炎鳥の群れがマザーに次々と体当たりし、爆炎が周囲を呑み込んだ。
蛇腹剣の斬撃破が、降り注ぐ雷が続く。ドーム状に広がる炎が辺りを焼き尽くしていった。
大成功
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フィッダ・ヨクセム
【城獣】
ジャスパー?護られようッて顔してねェぞ
UCで半獣人程度に留めてカガリより素早い機動で受け持とう
機械は苦手なんだがこの姿だと超耳障り
代償分は笑いたくなる気分と激痛耐性で後回しだ
アホっぽい見た目だがパチパチ火花を口に咥え
(火以外は苦手なんで暴発対策だ)
雷属性魔法を使う呼び水に全力魔法として本体バス停に纏わせる
存在感を示して誘惑だ
潰したいんだろ…全力で来いよ!
わざわざ雷を纏うワケ無いだろ
手当り次第にぶん回しで雷属性を叩き込む!
毛並みがぼわッとしてんの笑ッたかよ――絶対許さないからな!
機械操作がお得意ならなァ!不意なショートで絶望しな!
門を不意に炎魔法で爆破させて
不意打ちと腹いせを同時に狙うわ
出水宮・カガリ
【城獣】バス停の(f18408)と
知り合いだったのか、バス停の。
護ってくれと言うならば、もちろん。
例え、痛みを望もうとも。閉じ込めてでも護るぞ、カガリは。
【錬成カミヤドリ】で盾を最大数複製。
いくらかを角の(ジャスパー)の壁に回して(拠点防御)、残りを自分達の壁と攻撃へ回そう。壊れ次第補充を。
迫る戦闘機械は押し返す(【拒絶の隔壁】【不落の傷跡】)
こういうのは。雑な破壊が、効くと思うので。
【鉄血の明星】でまざーへ至る道中の破壊を(鎧砕き、鎧無視攻撃、怪力)
街の壊し方は、ようく、ようく。知っているのだ。
はは、煩くてすまないなバス停の。ふわふわ、もこもこ。愛らしいぞ。
(腹いせの盾爆発にはびっくりする)
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「ジャスパー? 護られようッて顔してねェぞ」
紫髪。ひと房だけが白。彼の姿はすぐに鬣犬の憑依によって半獣化していくが、元の姿にはジャスパーも見覚えがある。
「だってこんな状況じゃなかったら思う存分ブチのめされ、違ったブチのめしたかった所だぜ、フィッダ」
やれやれと肩を竦めるフィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)の様子に、もう一人の青年がおやと眉を持ち上げる。
「知り合いだったのか、バス停の」
「おー、カガリまで来てくれたのか」
頼もしいぜと笑うジャスパーに、出水宮・カガリ(死都の城門・f04556)も笑みで返す。
「例え、痛みを望もうとも。閉じ込めてでも護るぞ、カガリは」
「……はぁーい」
ジャスパーが二人を知っているのは、彼らの予知に駆けつけた事があるからだ。つまり。
『こちらにも、グリモアの気配がしますね』
マザーが金色の眼差しを向け、周囲に戦闘機械の群れを顕現させる。
『グリモア。未来視の源。永久の思考時間に至る路を閉ざす存在――今、排除しましょう』
機械兵達が、一斉に牙を剥いた。
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電磁ナイフ。光線銃。あらゆる武装で身を固めた絡繰たちが迫りくる。
往く手を阻むように聳え立つのは、複製されたカガリの“本体”。黄金都市を護り続けてきた城門は、都市が滅びた今も誰かが痛みを覚えることを拒むために立ちはだかる。
その中を獣の如きスピードでフィッダが駆ける。彼が通った道が箒星の如く輝く軌跡を残しているのは、その口にパチパチ花火が咥えられているからだ。
“アホっぽい見た目”だとフィッダ自身思う。けれど暴発対策にはコレがうってつけなのだ。
ただでさえ炎以外の魔術適性は持ち合わせておらず、おまけに機械ってやつは苦手だし、更に云えば獣人化の因果か奴らの駆動音がいつも以上に耳に障って煩くて仕方がないし、ここまでくればおまけのようなものだが急激な肉体変化に全身が悲鳴を上げている。
不利要素ばかりが積み重なっているんだから、これはもう力の反動なんざなくたって笑うしかない。牙の奥から漏れ出た笑いが、いつの間にか爆笑に変わっていた。
「ヒャハハ、ハ――潰したいんだろ、全力で来いよ!」
本体たるバス停に纏わせた全力の雷魔法。電磁ナイフを振り翳してきた機械兵の脳天目掛けて振り下ろしてやった。ぐしゃりとひしゃげたところからショートして動かなくなる。
狙いを惹きつけるように動き回るフィッダ。だがマザーの眼差しは未だ赤角の男を注視している。
カガリの護りを突破しようと吶喊する機械兵たちは、何十もの鉄門を巧みに操るカガリによって押し返され、あるいは押し潰されて破壊されていった。
「やはり。こういうのは、雑な破壊が、よく効くな」
更にカガリ自身も綺羅星のような鉄塊を繋いだ武器を振り回し、機械兵達を蹴散らしてマザーへの道筋を切り拓いていく。
「街の壊し方は、ようく、ようく。知っているのだ」
傷跡刻まれた城門は、その一部始終を見届けてきた。人の心が。モノの身体が。どんなに回復術を重ねても、消えぬ跡と癒えぬ無念。
鼓舞のような笑みと共に『本体』を躊躇なくぶん回す勇ましいフィッダの後ろ姿を視界に収めたカガリは、ついふふっと笑みを漏らしてしまった。彼の毛並みが帯電してぽわっぽわに膨らんでいたからだ。
「――あ゛?」
戦場真っただ中だというのに、その微かすぎる笑みをフィッダの耳は聞き洩らさなかった。
「毛並みがぼわッとしてんの笑ッたかよ」
「はは、煩くてすまないなバス停の。ふわふわ、もこもこ、愛らしいぞ」
後ろではジャスパーもうんうんと頷きながら笑いを堪えている。――こいつら。
「絶対許さないからな!!」
やけくそ気味に叩き込んだ一撃が巨大な機械兵を一瞬で仕留めた。おお、と感心するカガリのすぐそばで、城門がいきなり爆発した。これは雷ではない。フィッダの十八番である炎魔法だ。
巻き込まれた機械兵も損傷しているが、カガリとジャスパーの心臓も多少なりとも衝撃を喰らったかもしれない。
「不意打ちも腹いせも同時にこなすとか、やるなあアイツ」
そんな呑気な感想が漏れる中、機械兵は着実に数を減らし、中核たるマザーにも二人の術が浴びせかけられたのだった。
大成功
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ルベル・ノウフィル
お怪我はございませんか?
医術の心得があるので、ひよこさん柄の絆創膏を貼りますぞ
ジャスパー殿は痛いのがお好き?
消毒で染みるぅー!ってなるのとかも、お好きだったりするのでしょうか
オーラ防御と結界術をジャスパー殿に
UC 四威で見た目ファンシーなふわふわもこもこ系あにまる死者の群れを呼び守護させます
ジャスパー殿、動物はお好きですか?
気に入った子がいたら守護ペットとしてお持ち帰りできますぞ
攻撃は最大の防御と申します
僕はひと暴れいたしますゆえ、応援してください
お子さまランチの旗みたいな旗を渡し
こう、ふりふり振って頂いて
そうそう
攻撃は妖刀墨染で切り込み鎧無視攻撃
機械を壊していると破壊工作って感じがしますね
リーヴァルディ・カーライル
…あまり機械には詳しく無いけれど、
雷の力で動いている事に変わりは無いはず
…ならば、この術を試してみましょうか
雷の精霊を降霊した「精霊石の耳飾り」により周囲の機械の索敵を行い、
肉体改造術式により強化した動体視力と第六感で敵の行動を見切り、
自身やジャスパーへの攻撃を大鎌のカウンターで迎撃してUCを発動
…敵の攻撃は此方で引き受ける
…退路の確保は任せたわ、ジャスパー・ドゥルジー
…刃に満ちよ、雷の理。我に叛く諸悪の悉くを断罪せしめん
全ての魔刃に雷の魔力を溜めて武器改造を施し、
空中機動の早業で魔刃を乱れ撃ちする集団戦術で敵軍をなぎ払い、
敵の生命力(電力)を吸収して追撃を行う雷属性攻撃を行う
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斬っても。爆破しても。ショートさせても。
マザー・コンピュータはその度に機械都市の一部を組み込み、新たなる武装を得て猟兵達へと立ちはだかる。
彼女の目的は真理へと至る事であり、彼女の興味は思案に浸る無限の刻を手にする事にしかない。
その為の付随効果ですらおまけのようなものであり、グリモアの破壊もその手段のひとつでしかない。
「お怪我はございませんか?」
颯爽と現れたルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は、ジャスパーの頬にほんの小さな擦り傷があるのを見逃さなかった。
「ご安心ください。僕には医術の心得がありますゆえ」
えへんと胸を張り、取り出したのは――消毒液と、ひよこさん柄の絆創膏。
「……医術」
思わず目を瞬かせたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の視界の隅で、彼女より頭ひとつでかい男の頬にファンシーな絆創膏が貼られていった。
「ジャスパー殿は痛いのがお好き?」
「好き好き。その消毒液、ちゃんと染みるタイプだよな?」
「はい。残念ながらお子様には不評なタイプでございます」
「……和気あいあいも結構だけど。……来るわよ」
リーヴァルディの静かな声に、二人がぴっと気を引き締める。
女性型のコアを取り込むように、顕現する機械仕掛けの戦闘機。それを護衛する無数の機械兵の群れが、三人を取り囲むように無数に湧き上がってきた。
「あまり機械には詳しく無いけれど……奴らは雷の力で動いているのよね……」
――ならば、この術を試してみましょうか。
リーヴァルディの耳元で揺れる精霊石が、雷を宿してちかりと瞬く。同時に彼女の全身を駆け巡るのは肉体改造術式。
研ぎ澄まされた五感、その先にある第六感を駆使したリーヴァルディが、機械達の放つ銃撃の軌道を正確に読み取っていた。
「索敵もできる、けど……その必要もなさそうね……」
何せ敵影だけで視界を覆い尽くすほどなのだ。禍々しい大鎌が銃弾を弾き飛ばす。過去を否定する刃が彼らを蹂躙するのに合わせ、ルベルも死者に語り掛け、その狼耳で彼らの声に耳を澄ます。
ルベルの願いを聞き届けて現れたのは、ふわふわもっこもこなあにまる死者の群れ。その気になればちょっとした集落さえも築き上げられる数と知能を持つ彼らが、わっふう! とジャスパーを取り囲むように陣形を組む。
「ジャスパー殿、動物はお好きですか? 気に入った子がいたら守護ペットとしてお持ち帰りできますぞ」
「どっちかってーと好きな方だけどさァ、ルベルが喚びつけたって事はつまり」
にこり。返ってきた無垢な笑みにジャスパーは身を竦ませる。この男、悪魔を自称するくせにおばけの類がてんでダメなのだ。
「……敵の攻撃は此方で惹きつける。……退路の確保は任せたわ、ジャスパー・ドゥルジー」
「おう、任されたぜ、リーヴァルディ」
なぜかお子様ランチの旗みたいなものを振りながらジャスパーが答える。これもルベルから贈られたものらしい。
(「……なんだか調子狂うわね」)
微かに溜息を洩らしながらも、リーヴァルディの眼差しは真っ直ぐにマザーを捉えていた。
ルベルの妖刀墨染が閃き、機械の群れを薙ぎ払っていく。何十何百と刻まれても、無機質な機械たちは妖刀に引き寄せられる魂さえなく。
ただひたすらに繰り返される破壊に、妖気だけが冷たく冴え渡っていた。
「……刃に満ちよ、雷の理。我に叛く諸悪の悉くを断罪せしめん」
機械兵たちを大鎌で打ち倒しながら、リーヴァルディが無数の魔刃を召喚する。その全てに雷を宿した結晶達が降り注ぎ、激しいスパークを引き起こす。
あらゆる環境に左右されず、速やかに的確に敵を討つリーヴァルディの力。闇の世界においては吸血鬼を。彼女の往く手を阻むのであれば、他の何者であっても。
機械の群れを蹂躙した妖気と雷の勢いは止まらず、そのままマザー目掛けて振り下ろされる。白と黒が激しく明滅し、轟音とともに爆ぜていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リアム・ペンタス
【エイリアンツアーズ】
あたし、お友達を殺されるのは嫌いなの
ジャスパーは可愛いアリスであたしにも優しくしてくれるいい子なのよ
殺すなんて絶対に許さないわ
数が多から数で勝負かしら
UCで化け物兎ちゃんたちを呼びましょう
さあ、あのカラクリちゃんたちの……首がどこかわからないわね
なんでもいいから刎ねて突き刺してめちゃくちゃにしてやってちょうだい
皆が範囲攻撃してくれてるから、あたしは逃げ出してきた敵中心に潰しましょ
見つけたらランスチャージで突っ込んで、数がいたら薙ぎ払う
トドメは串刺しにして確実に仕留めるわ
攻撃されたら幸運に身を任せたり
倒した敵を盾にするわ
多少の痛みは平気よ
ジャスパーと一緒に皆で帰りましょうね
伊能・龍己
【エイリアンツアーズ】
ジャスパー先輩、ご無事でなによりです
俺も、頑張ってお守りしますね
刻印伝いに暗雲を手繰り、マザーコンピュータさんの機械に影を落とすように大きくして、UC[遣らずの雨]で範囲攻撃っす
頼れる先輩狙われて、後輩的に黙ってられねぇんす
先輩の所には行かせねぇっすよ
視界を混乱させたり、水で機械壊れないかな、ていうのもあるんですけど。本命は束縛の呪だったりします。ジャスパー先輩に機械の攻撃が届きづらくするのと、一緒に来た先輩方が、攻撃当てやすいように、です
それでも雨を掻い潜ってくる機械には、刀を抜いて迎撃の姿勢を取っときます
雨のち雷とか、隕石……とか。色々。覚悟してください、っす
青和・イチ
【エイリアンツアーズ】
グリモア必殺計画って…ジャスパー先輩狙った時点で、アウトだと思うけど、ね…
エイツア敵に回すとか
マザーさん?君もう、消滅するしかないと思う
くろ丸は、ジャスパー先輩の護衛ね
危機察知、刀での攻防…あと先輩抑える役
…ジャスパ-先輩、出てきちゃダメだよ
先輩の体は、先輩だけのものじゃないんだから
言って、ジャスパー先輩を背にかばう位置へ
うわ、みんなが超かっこいい
僕も頑張ろ
掌に力を集め―【玖星】発動
周囲の機械、増殖する機械、皆が止めてくれてる機械…片っ端から潰していくよ
この街全部が敵なら、全部壊せばいい
…視界も開けていいでしょ
笹塚先輩、いいの?ありがとう…!(キラッキラしながら隕石を拾う
笹塚・彦星
【エイリアンツアーズ】
よォジャスパー。生きてる?怪我とかしてねェ?ってタバコ更かしながら笑って声掛ける。
さてはて、機械やらコードでごちゃごちゃしてるし邪魔だったらありゃしねぇ。龍さんごめんね、こっちではお留守番。
真の姿を開放し、UC『滅星の雨』を使う。あっ隕石落とすけど味方にはダメージないから気にしないでネ?豪快でいいだろ?
ぼんぼん隕石落としてくんだけどさァ、ジャスパーの守りはパウルの旦那や龍己とかに任せるから。
俺はじゃんじゃん隕石落とす。マザーも潰せたらいいなぁ、てか潰す。悪友に手ェ出されて怒ってるから。
イチ、隕石の欠片欲しいン?なら気をつけて持ちなよ。熱いゼ。
蓮条・凪紗
【エイリアンツアーズ】
あーあ、逆鱗触れたっちゅうか、地雷踏み抜いたなぁオバハン
理論とか機械とかよぉ知らんけど、人間の情捨てた奴が勝てる思うたら大間違いやわ
ジャスパーに御守りや、とタロットの札投げ寄越し
「恋人たち(LOVERS)」――取って置きの式神、預かっといてな
さて、機械仕掛けにはコイツが多分効くんやろなぁ
龍己が雨降らしたし効果バツグンやろ
最高に痺れる奴プレゼントしたる
UC発動
符の代わりにばら撒くありったけのトルマリンさざれ石が光の楔となって敵に打ち込まれ
電撃の包囲網が攻撃手段を封じよう
そーでなくとも電気仕掛けに過負荷はよぉ無いんやろ?
さ、皆でいてこましたれ
タコの旦那の愛は宇宙一やし、なぁ
樹・怜惺
【エイリアンツアーズ】
ジャスパーに手ェ出すのは間違いだったなァ。アイツは髪の毛一本残さず連れて帰らせて貰うぜ。
守るのンはパウルに任せて、いけすかねェババアぶん殴るわ。
ジャスパーは大人しく守られとけよー、絶対手ェ出させねェから。
向こうの攻撃は光の籠手を盾に変えて受け流す、近くでくらいそうな味方がいたら庇うわ。
まあまあ頑丈だからなー。
範囲攻撃は得意なん沢山いるしな…っつか、全部ぶっ壊せば一緒じゃね?
Colpo di distruzione
範囲攻撃の隙間を縫って前に出て、光の籠手を分厚くしてから拳に纏わせて地面ごと破壊する。
ふざけた真似してくれんなババァ!!
ダグラス・ブライトウェル
【エイリアンツアーズ】
マザー・コンピュータ
何を腹に入れるか、
貴方はもう少し考えるべきだったと思いますよ
ジャスパーさんにはニコリと
帰り道の方はいつも通り、お任せしますね。では
頼もしさと戦る気漲る皆さんの列にUCで加わりましょう
攻撃の合間を縫い新たな戦闘機械を創られても、
ただの鉄塊にすればいい
影蛇の群れの何割かは戦闘機械へ
融合させる程でないコード等は斬ってお片付け
残りは勿論マザーへと
解体包丁も使って部位破壊と行きましょう
すみませんね
生身と機械の割合が気になって、知りたくて
そういう性分なんです
それと、勝手かつ強引に招待するのは駄目ですよ
悪い事をしたら怒られる
当然ですよね?
パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】
テメェはオレが一番触れられたくない存在を狙った。
だから一番惨い手段でヤる。
差支えない範囲で
ジャスパーに【手をつないで】貰えたら嬉しいな。
Faustを発動させて護りを厳重にしておこう。
起動させたKrakeで
全幅を寄せるクルーの皆の【援護射撃】に努めるね!
【スナイパー】宜しく全方位に注意を払い
射程内に入ったゴミ共は全部塵にしていくよ☆
マザー本体を確認出来たら
Herzを握り―UC発動!
意味不明の音の羅列にしか聴こえないリリックは
かつてこの街で発掘した
『音源』を逆再生したモノ。
アンタのファンが遺したアンタの曲を
グッチャグチャにして贈ってやるよ。
慈悲?まさか…そんなワケないじゃん。
●
エイリアンツアーズ。
宇宙世界に母体を持つ旅行会社であり、今回転送を担当したグリモア猟兵の住居兼勤務先でもある。
既知の仲であるジャスパーの元へ駆けつけたのは、八人。
「やっべ、皆来てくれてちょー助かる!」
「ジャスパー先輩、ご無事でなによりです。俺も、頑張ってお守りしますね」
あまり動かぬ表情に、確かな安心を滲ませて声をかけたのは伊能・龍己(鳳雛・f21577)。雨を喚ぶ鱗模様を介し、空へと念を届かせる。
「グリモア必殺計画って……ジャスパー先輩狙った時点で、アウトだと思うけど、ね……」
ぽつりと呟くのは青和・イチ(藍色夜灯・f05526)。横に並ぶ同僚たちの顔を見ずとも、そこに宿る感情がびりびりと伝わって来るほどだというのに。
「エイツア敵に回すとか……マザーさん? 君もう、消滅するしかないと思う」
「よォジャスパー。生きてる? 怪我とかしてねェ?」
紫煙ふかして気軽な調子で笑いかける笹塚・彦星(人間の剣豪・f00884)だが、その眉間に刻まれた深い皺に浮き出る青筋はジャスパーにだって一目瞭然であったし。
「マザー・コンピュータ。何を腹に入れるか、貴方はもう少し考えるべきだったと思いますよ」
穏やかに微笑むダグラス・ブライトウェル(Cannibalize・f19680)だって、心の奥底まで穏やかだとは限らない。レンズの奥の眸は、その先まで見透かされることを拒むよう。
「あたし、お友達を殺されるのは嫌いなの」
すらりとした長身を貴婦人のドレスに包んだリアム・ペンタス(星屑の道標・f19621)が、歌うように告げる。
「ジャスパーは可愛いアリスであたしにも優しくしてくれるいい子なのよ。殺すなんて絶対に許さないわ」
「ジャスパーに手ェ出すのは間違いだったなァ。アイツは髪の毛一本残さず連れて帰らせて貰うぜ」
拳と拳を打ち合わせ、樹・怜惺(Guardiano della Dea Verde・f31737)が不敵に笑う。おちゃらけた言動も今ではどこかへ吹き飛んでしまったかのようで。
「あーあ、逆鱗触れたっちゅうか、地雷踏み抜いたなぁオバハン」
そんな彼らを順に見遣りながら、蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)が苦笑する。もし仮に自分がオブリビオンだったとして、そして猟兵がどんなに目障りだったとしても。あの『オバハン』のような悪手は絶対に打たない。断言してもいい。
オブリビオンというのは命がいくつもあるようなものかもしれないが、それにしたって足りないだろう。この渦巻くような怒りたちをすべて受け止めるには。
「――テメェはオレが一番触れられたくない存在を狙った」
最後に響いた地を這うような声は、いつも笑顔を絶やさない運転手から。おそらくこの中でも彼のこのような声を聞いたことがあるものは極めて稀だっただろう。ジャスパーですら、一瞬目を丸くしていた。
「だから一番惨い手段でヤる」
パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)の隻眼は、ナイフのように鋭くマザーを射抜いていた。
●
「理論とか機械とかよぉ知らんけど、人間の情捨てた奴が勝てる思うたら大間違いやわ」
空気を震わす程の殺意に肩を竦めながら、凪紗はジャスパーに一枚の札を投げる。
「取って置きの式神、預かっといてな」
「式神? ……随分洋風じゃん。というか」
縦長のカードに描かれていたものは、占術の類に疎いジャスパーだって知っている。大アルカナ。カード番号6――『恋人たち(LOVERS)』。
顔を見合わせるジャスパーとパウルに、凪紗はにやりと笑みを向ける。
「タコの旦那の愛は宇宙一やし、なぁ」
『グリモアの気配が致しますね。四、五……永遠に至れば効率などは無意味ですが、現段階では纏めて排除出来る数は多いに越したことはありません』
呼び寄せる機械仕掛けの兵士たちの数は、地上を覆い尽くす程。都市に飛び込んできた者達を一人たりとも逃さないというマザーの意志が感じられた。
『シンプルに行きましょう。命令はただ一つ――殲滅です』
「本当にいけない子ね」
リアムの声は相変わらず穏やかだったが、その胸中は本人よりもバロック達が雄弁に物語っている。彼を取り囲むように現れる化物兎たちが糧と出来るのは、バロックメイカーたるリアムの“敵愾心”だけなのだから。
リアムの心に燃える感情に突き動かされて、兎たちは刃物の角を振るう。
「頼れる先輩狙われて、後輩的に黙ってられねぇんす」
龍己の想いが暗雲を手繰り寄せ、呪いを込めた雨を機械仕掛けの街へと降り注がせる。
「先輩の所には行かせねぇっすよ」
――遣らずの雨。その呪いが発動するよりも早く、機械達の動きに乱れが生じる。暗雲がマザーの視界に大きく影を落とし、視覚での細やかな統制を乱れさせたのだ。
すぐさまレーダーを起動させ補うが、その時には既に龍の呪いが機械の隙間から沁み込み、じわじわと侵食を始めている。
「ね、ジャスパー。手を繋いでいてくれる?」
恋人を見上げるパウルの表情は、どこか不安そうですらあった。けれど握り返された温かさが心の靄を撥ね飛ばせば、残るのはあの雨と同じくらい激しい怒りの渦。
ブラックホールを思わせる盾が護りを固め、全幅の信頼を寄せるクルー達を狙う不届き者からKrakeの餌食となっていく。出力は常に最大だ。ゴミ共はさっさと鉄屑に、いや塵になってしまえばいい。
万一にでもジャスパーに危害が及ばないようにと、イチの愛犬くろ丸も二人の側で臨戦態勢だ。咥えた刀での攻防に、鋭い嗅覚や反射神経での危険察知。
あと、くろ丸には大事な仕事がもうひとつ。
激しい攻防戦にそわそわしているジャスパーが懐の折り畳みナイフを玩ぶたび、だめ! とばかりにひと吼えして静止に入る。
「……ジャスパー先輩、出てきちゃダメだよ。先輩の体は、先輩だけのものじゃないんだから」
「はあい」
イチも一緒に釘を刺しつつ、ジャスパーを背後に庇えるような――或いは何かあったらすぐに止められるような場所に立つ。
「ジャスパーは大人しく守られとけよー、絶対手ェ出させねェから」
イチとくろ丸に、パウル。護りの厳重さに笑みを零しながら、怜惺が裡から溢れだす陽光の如き光を籠手のように纏っていく。
「俺はいけすかねェババアぶん殴るわ」
「帰り道の方はいつも通り、お任せしますね。では」
雨に砲撃。機械兵の群れを蹴散らす範囲攻撃の数々は、慈悲なき無差別にも見えてその実誰一人として味方を巻き込まない緻密さに満ち溢れている。ダグラスはそんな気漲る彼らに並び立つように、そっと。怜惺はその力強さに後押しされながら、一直線にマザーへと駆けていく。
突出してきた怜惺へと、マザーが眼差しを向ける。それぞれの武器を一斉に向けられても、怜惺は怯むことはない。
ダグラスの生まれ持った闇がそっと放たれる。それは獲物を捕らえて離さない為に最も適した姿に――影色の蛇の群れへと変化する。
噛みついて、縫い付けて。あるいは彼ら同士を融合させてしまえば、あとはもう見た目が仰々しいだけのただの鉄塊。振り下ろされた怜惺の拳が、まとめて全部破壊する。
仮にそれらがまた都市の一部となり、兵として再生されたとしても。物質である以上蛇の牙から逃れる事は出来ないし、怜惺も立ちはだかるものは何であれ“ぶっ壊す”と決めている。
それはダグラスも然り。怜惺の吶喊を阻む鉄塊を、武骨な解体包丁が鮮やかな手つきで切り刻んでいく。分かたれる骨と血はなくとも、奪える命はなくとも、この心が満たされずとも――彼らは正しく悪なのだから。
「ええ雨やな」
龍己の雨に込められた力を、陰陽師は人一倍感じ取っていた。電磁ナイフを振り翳した機械兵の動きがもつれる。銃を構えた者がそのまま動けなくなる。
動きを阻害する力だけでも凄まじいが、雨という物理的な影響も機械と相性がいいのだろう。
「なら、多分コイツも想定以上に効くやろなぁ」
石を愛する凪紗が符の代わりに四方へとばら撒くのは、ありったけのさざれ石。様々な色合いが混在する石たちは、その実たったひとつの名前で呼ばれている。
トルマリン。またの名を、電気石。
光の楔となって放たれた石たちは、命中の瞬間激しい電撃を炸裂させる。龍己の雨と同じく行動阻害に長けた術だが、雨の下で電気仕掛けの兵たちに当てれば破壊力もとてつもないものとなる。
「さ、皆でいてこましたれ」
「さてはて、機械やらコードでごちゃごちゃしてるし邪魔だったらありゃしねぇ」
まともに歩くのだって億劫な地面。転がる残骸を蹴飛ばして、彦星は腰元へと目線を遣る。
「龍さんごめんね、こっちではお留守番」
真の姿を解放し、星の装束纏う少年へと変化した彦星が召喚するのは強大な龍。転瞬、空を裂くように降り注ぐのは無数の隕石たち。
「すっげェ」
「あ、見た目は仰々しいけど味方には絶対当たんないから気にしないでネ?」
――豪快でいいだろ?
肩を揺らす彦星に応えるように、龍がひときわ猛々しく咆哮し、無数の流星を地に落とす。
「いいねェ。遠慮は要らない」
次々に動きを止めていく機械を眺めながら、彦星は云った。半分は頼もしき龍に。半分は己自身に。
護りは充分すぎるほど。何があってもこの力が味方を巻き込まない事は知っている。渦巻く怒りをぶつける事を、躊躇う理由はどこにもない。
破壊の化身の如き隕石を、きらきらした眼差しでイチは見つめていた。
(「……きれい」)
夜色列車で旅するイチが、宇宙から飛来する鉱石に目を奪われるのも当然で。
無表情の奥、高揚するイチを彦星は見逃さなかった。
「イチ、隕石の欠片欲しいン? なら気をつけて持ちなよ。熱いぜ」
「笹塚先輩、いいの?」
「いくらでも拾えるだろうし」
「ありがとう……!」
取り敢えず近場に転がっていた隕石から形のよいものを見繕って、あとは彼女を討った後にでもじっくりと、じっくりと選び取ろうと心に決めるイチだった。
「雨のち雷とか、隕石……とか。色々。覚悟してください。っす」
それひとつでは呪いに過ぎない忌むべきものが、愛すべき人々の活路を繋いでいるのを、龍己は確かに見ていた。
そしてそれらを逃れて迫って来る者達に、誰も欠かされる事がないように。静かに抜いた退魔刀の切っ先が、油断なく機械の群れを見定めている。
今は歳の差が逆転したような最愛の人が見せる頼もしさに、彦星が微かに笑みを浮かべ。
銃を振り翳す機械を、横一文字に斬り捨てる。その背を狙う者を、刃物の角持つ化物兎が串刺しにした。
「カラクリちゃんの首はここかしら。わからないけれど、急所だったのは確かみたいね」
だって一撃で仕留められたもの。艶然と笑むリアムの『敵』へと、兎たちは何度も何度も突っ込んでいく。
「ええ。いいわ。なんでもいいから刎ねて突き刺してめちゃくちゃにしてやってちょうだい」
たおやかな立ち居振る舞いと言葉だけでは包み切れない、剥き出しの敵愾心。不安定なバロックたちを、今は抑え込む必要さえない。
――こんなところがアリスに怖がられてしまったのかしら。
でも、ね。
残骸たちがでたらめに飛び散る中を、白銀の槍持つリアムが駆ける。無限に進化する槍はリアムが望むように敵を蹴散らし、串刺しにしていった。
あの子がいなくなってしまっても、私はアリスを守らなければならないの。
阻む者に死を。容赦なんてとっくの昔に棄ててしまったわ。
「リアム!」
光線銃がリアム目掛けて放たれていた。バロックたちの補助も間に合わない。咄嗟に掴んだのは敵だったものの残骸。無駄に頑丈な鉄塊がリアムの負傷を防いでいた。
「ひゅー、かっけェ」
口笛吹いて賛辞するジャスパーに、にっこりと笑顔を向けて。
「皆で一緒に帰りましょうね」
「ええ。彼もご馳走をたくさん用意して待っていてくださっていますよ」
ダグラスの言葉に、皆が頷く。
「せや。おもちとか、ぎょうさん買うてきてくれはるって」
「俺が好きな焼き餅にあんことか」
「あと、あったかいお汁に入ってるやつも!」
未だ青筋浮き立つ触手で油断なく迎撃しながらも、パウルがへにゃりと笑って見せる。
「一仕事終えた後の糖分っていいよなぁ。ちょっとしょっぱいスナック菓子も添えとくか」
「おかえりって、最高のご褒美な、気がします、ね」
どこかほくほく顔のイチ。ジャスパーも笑顔になる。
「じゃ、ただいまって皆で云わねえとな」
「その為に、頑張らないとっすね」
「僕も、皆に負けないように、頑張ろ」
掌に力を集め、イチが放つのは超重力のサイキック。鈍重な機械兵たちはすぐにぐしゃりと潰れ、空を跳ぶ者は地面に叩きつけられ。
街を形成する機械群もあちこちで軋む音を立てる。この街全部が敵なら、全部壊せばいい。
「……視界も開けて、いいでしょ」
イチが壊した先、見えるのは卵のようなポットに鎮座するマザーの姿。
「――潰す」
音が出るほどに奥歯を噛みしめた彦星が、ありったけの隕石を降り注がせる。
「悪友に手ェ出されて怒ってンだ、こっちは」
マザーの視線と指先が機械群に指令を送り、彼女を庇うように覆いかぶさった機械達が隕石を浴びてばらばらに散っていく。
かっ、と彦星の中で何かが爆ぜた。
「マザーとか名乗ってる癖に、手前のガキを盾にするのかよ」
『永遠が訪れれば、彼らもまた同義となるでしょう』
ふざけるな。罵倒の代わりに龍が大地を揺るがす。マザーがまた機械達に庇わせようとするが、それを届かせるためのコードを黒蛇の群れが食いちぎっていた。
『!』
がん、と音を立てて包丁がマザーの玉座へと突き立てられる。女の姿をした本体とはやや離れた部分にも関わらず、彼女自身がびくりと身体を硬直させた。
只の機械にしか見えなかった玉座から、どろりと体液のようなものが流れ出る。
「ほう。これは……外見よりも複雑に、生体と機械が絡み合ってひとつの生命となっているのですね」
顎に手を当て考え込むダグラス。衝動に突き動かされる殺人鬼というよりも、興味深い被献体を見つけた研究者のようでさえあった。
「ああ、すみませんね。生身と機械の割合が気になって、知りたくて。そういう性分なんです」
時間が充分にあったら、思う存分解体してみたかったところだが。
怒りに燃える仲間達を見れば、それも難しいでしょうかと肩を竦める。猟兵達が怒りの牙を剥けば、きっとオブリビオン・フォーミュラ“如き”、遺体の欠片も残らないに違いない。
「勝手かつ強引に招待するのは駄目ですよ。悪い事をしたら怒られる。当然ですよね?」
それこそ親が子に言い聞かせるように微笑むダグラスの声に、マイクで増強されたRAPが重なる。
意味を成さないでたらめな音の羅列。パウルの放つ不可解な“それ”に、他ならぬマザーだけが目を見張っていた。
「へえ、まだ覚えてたんだ」
に、とパウルが目を細める。
「そうだよ。これはかつてこの街で発掘された『音源』を逆再生したモノ」
記録した音楽を、まるで録音データを逆回転するかのように正確になぞっていく。機械さながらの緻密さは男の特性であるが、普段それがこのような形で発揮されることはない。
――何故ならば、パウルは音楽というものを心から愛しているから。
たとえオブリビオン相手であろうと、誰かの作品に敬意なきリミックスを施すなど。
「わかる? ここにアンタのファンがいたんだ」
『――遠い、昔の話です』
マザーは否定するが、不可解で不愉快に成り果てたでたらめな音と音階は、彼女の神経を搔き乱しコアと機械の連携に更なる支障をきたしていく。
「過去を切り捨てやれるヤツなんていないよ」
ぎゅ、と最愛を抱く掌に力が籠る。握り返される熱を享受しながら、パウルは続ける。
「だからアンタが遺した名曲を――グッチャグチャにして贈ってやる」
慈悲? ……まさか。
でも、歌を棄てて機械都市のコアになった人と、予測演算装置が人格を得て歌とヒトを愛するようになったオレと。実はそんなに、変わらないかもしれない、よね。
目を灼くほどの光が、空を照らし出す。それは機械の群れの中を駈け抜けて跳躍した怜惺であり、彼を照らす光輪の如き光であった。
光のオーラを更に分厚く籠手の形に練り上げ、卵めいたポットの真上から振り下ろす。
「ふざけた真似してくれんな、ババァ!!!」
気分屋な言動も、ちゃらけた笑みも、今の怜惺からは消え失せていて。
ただ純然たる怒りに翠をぎらつかせるゴッドハンドだけが、そこに在った。
極限まで研ぎ澄まされた“破壊”が、彼女のポットを打ち砕き、コアへと届かせる。喀血するマザーの姿はすぐに機械の吐き出した煙に覆われ、視えなくなっていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リリ・リーボウィッツ
既に大切な人がいる(「大切な人」が戦場にいたら、指さしておく)ジャスパーさんを素っ裸で誘惑するなんて、破廉恥極まりないコンピュータですねー。(ベタな勘違い)
特大シュークリームでまっくろにゃんこ(オウガ)を召喚し、協力して戦いましょー。
私はディフェンス。ジャスパーさんの傍から離れず、バールを振り回したり念動力を駆使したりして、ゾーショクムゲンナントカの攻撃を弾き返していきます。
そして、まっくろにゃんこはオフェンス。いってらっしゃーい!(POWのUCで巨大化したマザーめがけて、オウガを【怪力】でブン投げる) ビッグマザーの体のどこかにしがみついて、ゼロ距離からじゃんじゃん攻撃しちゃってください。
●
「既に大切な人がいるジャスパーさんを素っ裸で誘惑するなんて、破廉恥極まりないコンピュータですねー」
あっちで見てますよ、なんてどこかのタコさんを指差しつつ、ベッタベタな勘違いをかます女性がひとり。リリ・リーボウィッツ(CROWBAR CAT・f24245)である。
「いや、まあ、確かに露出度の高い女の子は好きだけど」
……ある意味では勘違いではなかったのかもしれない。
「ていうかリリにあいつの話したっけ」
「水着の時にお話を聞かせてもらいましたよ」
「そうでした。うみょ~ん」
「うみょ~ん」
謎の奇声と共に跳びはねる二人。
でも空気が読めないマザーはほのぼのタイムの最中であっても仰々しいメカに変身して突っ込んでくる。空気が読めないだけであって破廉恥呼ばわりされた事を怒っているわけではない。多分。
「まっくろにゃんこさん、おいでませ♪にゃんにゃんにゃ~ん♪」
クリームたっぷり特大シュークリームを差し出せば、リリに憑依するおっきなまっくろにゃんこが分離する。にゃーんと愛くるしく鳴くにゃんこをリリはむんずと掴み上げて――放り投げた!
「いってらっしゃーい!」
にゃんことはいうものの、ライオンくらいのでかさはあった。いとも簡単にブン投げる怪力にジャスパーは目を丸くする。
『このような愛玩動物如き……』
マザーはアームを伸ばして振り払おうとしたり、銃口を発生させてにゃんこを撃ち抜こうとするが、器用にマザーの体表を駆けまわるにゃんこは全く捕まらない。逃げられるたびに爪や牙によるダメージが積み重なっていく。
ならばと術者の方を狙おうとしても、振り回したバールが機械群の攻撃をすべて薙ぎ払っていく。血の沁み込んだバールにキルマークがひとつ増えるのも時間の問題だろう。
「ゾーショクムゲンナントカ? も、落ち着いて対処すれば問題ありませんね」
駄目押しとばかりに、飛来した銃弾を念動力が弾き返してマザーの装甲に突き刺さる。
「俺、リリだけは怒らせねえようにするわ」
大人しそうな女性の過激な、いやさ頼もしい一面に、ジャスパーは身を竦ませるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ビスマス・テルマール
ジャスパーさんは、わたしの大切な恩人の一人です、それにダイレクトアタックなんて事を看過できる訳が無いでしょう
と言う訳、相手も大物で来るなら
●POW
初手オーバーロードで真の姿
ドラゴナイトロードビスマスに変身した上でUCで、その上に鮪、バナナ、アボカドの鎧装纏い巨大化
(UCの姿にフルフェイスが開き、そこは真の姿の顔に)
『オーラ防御&激痛耐性』で備え、ジャスパーさんを護りつつ『第六感』で『瞬間思考力&見切り』【なめろうフォースセイバー】で取り巻きやマザーの攻撃を『武器受け&なぎ払い&ジャストガード』
【ディメイション・なめろうブレイカー】で『オーラ防御&属性攻撃(重力)』込めた『砲撃&弾幕』を『範囲攻撃』展開、弾幕を『念動力』で遠隔操作して『盾受け』もしつつ
【ジュリンプル・グレネドフォート&ディメイション・チョップスティック(レールガンモード)】の『誘導弾&レーザー射撃&砲撃』を『鎧無視攻撃&貫通攻撃&2回攻撃』の『範囲攻撃&弾幕&一斉発射』でマザー達に御見舞いです
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●
マザー・コンピュータを包むポットが再び肥大化し、機械都市群を呑み込んでいく。
姿を現した巨大な戦闘機の往く手を阻むのは、たった一人の少女。
「ジャスパーさんは、わたしの大切な恩人の一人です、それにダイレクトアタックなんて事を看過できる訳が無いでしょう」
真の姿を解放するビスマスに、マザーの無機質な声が響く。
『それが、未来と希望を求める人の意志が辿り着いた境地――オーバーロードですね』
永遠を破壊しかねない力。マザーが危惧するもの。
『未来などというあやふやなものを、私は好みません。今この瞬間に存在する脅威は、ここで摘み取っておきましょう』
「いいえ。停滞だけを望むあなたに、わたしたちは絶対に負けません!」
ドラゴナイトロードへと変化を遂げたビスマスを、更に三種の力が鎧装となって覆っていく。鮪、バナナ、そしてアボカド――それは宇宙世界においても人々が育み繋いできた大地の恵みであり、ビスマスがご当地ヒーローを志すきっかけとなった味でもある。
彼女にとって原点であるなめろうの姿。四メートル強へと巨大化したビスマスのフルフェイスが開き、複眼を思わせる鮮やかな翠の眼差しが討つべき敵を見据えていた。
マザーたる戦闘機の砲台たちが一斉に光り輝いた。放たれる衝撃の数々を、ハワイアンなめろうの力を宿したフォースセイバーが薙ぎ払っていく。
「ビスマス!」
ジャスパーが放つ炎の盾の護りも受けながら、戦闘機の放つ砲撃の数々を往なしていく。ミサイルなどの物理的なものは重力のオーラが捻じ曲げ、念動力で操作する弾幕で爆破させる。その影響を逃れるほどの光線ならば、フォースセイバーで叩き伏せる。
いくら今のビスマスが巨大化を遂げているといっても、都市そのものを取り込み巨大戦闘機へと変貌したマザーに比べればあまりに矮小だ。一撃一撃が即死級の破壊力を帯びてビスマスに牙を剥く。
(「長期戦は危険ですね……!」)
だが、これだけの力を惜しみなく賭してくるということは。それだけマザーも猟兵というものを危険視しているのだろう。
「あなたの危惧が現実となるところを、人々の夢が過去や現在を乗り越え未来を繋ぐところを、見せてさしあげます……!!」
二本のグルメツールが突き出したガントレットをレールガン形態に変化させ、アームドフォートと同時に構える。ビスマスの渾身の一撃を支えるように、炎の盾がぐにゃりと姿を変え、アームドフォートへと寄り添った。
「これは……」
「折角のなめろうに“火”を通しちまうのも勿体ねえかなって防御に徹してたけどよ」
炎を操るグリモア猟兵が、にやりと笑う。
「海老の力ってんなら、こういうのもアリかなって」
チャージされていく海と大地の力を込めたマイクロプラズマグレネードに、更に炎を合わせ。こんがりと香ばしい馨さえ漂う戦場に、ビスマスが微笑んだ。
「ビスマスが追求するグルメの力、俺にも見せてくれよ」
「では、合体技と参りましょうか!」
研ぎ澄まされていく“食”への探求心は、戦闘機の装甲さえも突き抜ける強力な衝撃となって炸裂する。
巨大戦闘機が核爆発めいた爆炎に包まれ、濛々と煙を噴き上げながら墜落していった。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「私、どうしてもマザーと話したいのです」
UCで飛行しながら制圧射撃
他の猟兵の防御が整うまでグリモア猟兵を護衛したら一路マザーの所へ
進路は第六感で選択
敵の攻撃は第六感と見切りで躱す
マザーの居場所に到達したら高速・多重詠唱で聖属性と雷属性の精霊召喚
桜鋼扇に破魔と雷の属性攻撃付与
マザー破壊まで最前線で機械群及びマザーと殴り合う
「貴女を知りたい…今の貴女は、貴女の願いに1番遠いから」
「新しい理論の構築には。既存の理論からの飛躍が必要です。飛躍に必要な気付きは、観察や討論から得られます。世界が全てが貴女になったら、その気付きは永遠に得られません」
「歌は相対的な表現です。その表現を選択した先には、影響の大小はあれ、必ず他者が存在します」
「全を一にして引き籠って思索して。それでは何も得られない。傷すらも癒せない。貴女の本当の願いは何ですか」
「在る事は願う事。貴女の願いを叶えられるの貴女だけ。貴女の本当の願いを強く思い出して下さい。そして、それを叶える為に、何度でも骸の海からお戻りを」
最後は鎮魂歌で送る
●
戦闘機械達の群れを、軽機関銃の雨が阻む。
猟兵の護りは十分であり、自分ひとりが離脱しても支障なしと判断した御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は飛翔の高度と速度を上げ、一気にマザーの元へと距離を詰める。
迎撃しようと機械を差し向けるマザー。桜花は聖と雷の精霊を召喚し、その身に纏う。桜花精として覚醒した姿は戦闘能力自体も上がるが、一番研ぎ澄まされるのは飛行速度と、それに伴った回避力の大幅な上昇だ。
「待ってください。私は貴女と話をしに来たのです」
マザーの攻撃を掻い潜りながら桜花は告げる。卵のようなポットの周りの機械が桜花へと叩きつけられるのを桜鋼扇が防いだ。
「貴女を知りたい……今の貴女は、貴女の願いに1番遠いから」
『どういう事でしょうか?』
マザーの反応は冷淡だった。構わず桜花は続ける。
「新しい理論の構築には。既存の理論からの飛躍が必要です。飛躍に必要な気付きは、観察や討論から得られます。世界が全てが貴女になったら、その気付きは永遠に得られません」
世界が変わっても、桜花の願いは変わらない。幻朧桜が存在しない世界にも、桜の救いはもたらせる筈だと信じている。
『何が仰りたいのですか?』
応酬。言葉と、暴力の。マザーの返答は短く、代わりに返される攻撃は熾烈の一言だった。その全てを類まれなる回避能力と扇に乗せた破魔や雷の力で桜花は耐え続ける。
「歌は相対的な表現です。その表現を選択した先には、影響の大小はあれ、必ず他者が存在します。……全を一にして引き籠って思索して。それでは何も得られない。傷すらも癒せない。貴女の本当の願いは何ですか」
『……なるほど。少しずつわかってきました』
マザーが思案する。
『あなた達は、私の過去を断片的に知っている。おそらくそれも猟兵の力に由来するのでしょう。そこに存在する歌という言葉から、私を篭絡できると踏んだ』
「篭絡だなんて……」
『違いますか?』
「私は、貴女に本当の望みを叶えて欲しいのです」
必死に言葉を紡ぐ桜花に、マザーはこの時初めて笑みを向けた。だがそれは友好的とは程遠い、嘲るようなものだった。
『わかっておりませんね。私の望みはシンプルです。真理に至る事。思案にふける永遠こそが、私の望むすべて』
「でも」
『そして、無限を手にした私がよもや他者に興味を抱けるとも思いませんが……真理を求める思索にあなたが仰るような観察や討論が必要となるならば、それらも十分に“在る”のですよ』
――世界は。滅ぼされて、そしてサルベージされるのだから。そして、それもまた永遠になる。
「……それは本当に、正しい姿なのでしょうか?」
『さあ。私には興味がありませんね』
どんなに言葉を尽くしても、マザーは揺らがない。
『……話したいことは以上ですか?』
直後、無数の機械が桜花へと迫る。回避するために桜花は大きくマザーから離れる事を余儀なくされるが、その眸は未だ彼女を真っ直ぐに捉えていた。
「在る事は願う事。貴女の願いを叶えられるの貴女だけ。貴女の本当の願いを強く思い出して下さい。そして、それを叶える為に、何度でも骸の海からお戻りを」
揺らがないのは、桜花も同じだ。
元より敵対存在なのだから、想いを通わせる事が困難なのはわかりきっている。それでも“救いたい”。それが、桜花を桜花たらしめる礎なのだから。
マザーが倒れるその時まで、桜花は心を砕き、言葉を重ねつづけるだろう。
そして、彼女が滅びゆく時には。安らかな癒しを受け容れてくれると信じて、鎮魂の歌を贈るだろう。
大成功
🔵🔵🔵
鬼桐・相馬
解った、守る
だが痛い目に遭うというのにどこか嬉しそうに見えるのは気のせいか
角の生えた鬼がふたり
本来ならば追う側、それが今回は追われる側――少し新鮮だ
ジャスパーに頼みごとをしよう
派手に囮になってくれないか
攻撃がジャスパーに届く前に俺が必ず対処する
痛くなりたい時は言ってくれれば加減しよう
[結界術]の障壁をジャスパーに張り、彼に向かってくる機械達を≪冥府の槍≫による近接攻撃と≪ヘヴィクロスボウ≫の遠隔攻撃で殲滅する
敵を探さなくていい分攻撃に力や意識を注げる
俺への攻撃は[武器受け]で往なし[カウンター]に繋げたい、攻撃は最大の防御と言うしな
機械達の数が減ってきたら≪モモ≫と護衛交代だ
モモを成竜に戻しジャスパーを守らせ、俺は[ダッシュ]でマザーの元へ走る
身の危険を感じれば奴も巨大化し対応せざるを得ないだろう
ヘヴィクロスボウからフック付きのワイヤーを射出、奴に引っ掛け跳躍し一気に距離を詰める
[怪力]と全体重をのせ引っ張り体勢を崩したところへUCを発動しよう
最後は鬼が「捕まえた」をして終わらせないとな
●
機械都市のあちこちで断裂したコードが火花を上げている。中央に位置するマザーも卵膜のようなポットが割れ、生体部分の損傷も激しい。
それでもマザーは“永遠”という目的と、”抹殺”という手段を忘れてはいなかった。
ならば。
「お前を護ろう」
と、鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)はグリモア猟兵に云いはしたものの。
(「どこか嬉しそうに見えるのは気のせいか。痛い目に遭うというのに」)
無限に湧き出てくる機械兵器たちに、救護対象は明らかにわくわくしている。戦闘狂というよりも、傷つくこと自体が目的となっているような。
相馬自身も負傷を厭わない性質であるが、気にしないのと進んで負傷したいのでは全く別物である。理解は及ばないが、それが作戦に支障をきたさないのならわざわざ追及する必要もない。
――むしろ、それを利用して戦況を有利にしてみせるのがこの鬼だ。
「頼まれごとをしてくれないか、ジャスパー」
「おう。何でも」
「派手に囮になってくれないか」
ぴく、と尻尾が揺れた。
「攻撃が届く前に、俺が必ず対処する」
「目の前にご馳走をぶら下げられてオアズケって?」
「痛くなりたいのなら、危険が及ばない範囲で加減するが」
「おっしゃ、そっちのプランで」
攻撃を和らげる結界術の障壁をジャスパーに張り巡らせた相馬は、彼の元に集う機械の群れを確かに見定めていた。
「角の生えた鬼がふたり。本来ならば追う側、それが今回は追われる側――少し新鮮だ」
「鬼だってたまにゃ違う遊びがしたくなるもんさ」
のこのこと現れた標的目掛け、大小さまざまな銃口が、電磁ナイフが、機械の腕が、一斉に襲い掛かる。
相馬の長身が、軽やかに地面を蹴った。
その瞬間――四方八方から飛び掛かって来ていた筈の無数の兵器たちがあるいは分断され、あるいは破壊され、ばらばらに散っていった。一瞬としか思えない早業は、紺青の炎を排出し続ける冥府の槍と、相馬の怪力によって片手で易々と放たれる巨大なクロスボウの連撃によるもの。
仁王立ちで余裕綽々と待ち受ける獲物には、銃弾のいくつかが掠った程度のダメージしか入らなかった――そのように、マザーは認識しただろう。実際は二人のやり取り通り、相馬は“手を抜いて”いる。その気になれば保護対象を無傷で帰す事も不可能では無かった。その分の傷を自分が背負う覚悟はとうに出来ているのだから。
更に云えば囮として有効な存在が自分だった場合、たとえ護り手がいなくとも敵前に身をさらけ出す事を相馬は厭わない。索敵に神経を裂かずに済むのは効率がいい。
ぶら下げられた餌に、機械達は実によく食らいついた。あっという間に数を減らした機械達からの護衛を六芒星の痣を持つドラゴンに任せ、相馬はマザーへと距離を詰める。
本体を狙われ、マザーはその身を巨大兵器へと変化させる。だがそれすらも相馬の狙いの裡だった。放たれたフック付きワイヤーは機械の身体に容易く引っ掛かり、跳躍ひとつで一瞬のうちにマザーへと距離を詰められる。
『――!』
不意打ちに巨体がぐらりと傾いだ。一瞬の隙を的確に見定めた相馬の槍が、その破壊衝動をすべて吸い上げて純然たる力へと昇華させる。
「最後は鬼が「捕まえた」をして終わらせないとな」
虚火祓い。
永遠と真理のみを追い求める虚ろな機械を、冥府の炎が打ち据えた。
大成功
🔵🔵🔵
月守・ユア
【月守】
アドリブ可
フー…と煙管”月魄幻影”で一服をしながら敵を見る
「ふぅん。グリモアを壊してボクらを確実に潰す…だなんてよく考えたもんだねぇ
けど、残念!
きっとそりゃ叶わない計画だ
グリモア猟兵達の傍にはいつだって猟兵(ぼく)らがいる
で、このジャスパーさんはユエのお友達?
なら、共に守ろうか
キミが守りたい人は、ボクの守りたい人
…なんで、戦闘は任せな
ユエは彼と一緒にいて。狩りはボクの役割だ」
・戦闘
使用UC:殺月歌
”生命力を吸収”する”呪詛”を刃に付与
「ばっこーんとぶった切ってやろう♪」
・敵への対応
機械相手っていうのはどんな時も厄介
敵の攻撃を月呪刀で受け流し
万が一、己をすり抜け
敵の攻撃がユエとジャスパーさんの方に行くなら
”かばう”
この身で2人の盾になる
吸っている煙管の煙を戦場に舞わせる
死の魔力を込めた煙は、”精神攻撃”を織り
敵の行動を”ジャミング”できないか試みる
少しでも動きが鈍くなりゃ他の猟兵も叩きやすいだろ?
隙を見て、殺月歌を叩きこもう
「計画は叶わない
代わりに、お前の命をいただくぜ?マザー」
月守・ユエ
【月守】
アドリブ可
ジャスパーくんを背中に守り
ユアと一緒にマザーを見上げる
「あなたの計画のために、ジャスパーくんもみんなも殺させないよっ
ジャスパーくんの力はみんなを導いて、未来を守る大切な力
僕達、猟兵にとっても大切な存在を簡単には奪わせない。
うん!お友達ですっ
…ありがとう、ユア
後ろは任せて!ジャスパーくんを守って、マザーの計画も止めて
みんなで無事に帰ろうね!」
ね。とジャスパーくんにも
いつものように無邪気に笑いかける
・戦闘
ジャスパーくんを守る事を優先
奏創で漆黒の竪琴を召喚すると
放つ力強い音色で”オーラ防御”を展開
使用UC:狩猟女神ノ戦歌
”歌唱”による”全力魔法”で皆を鼓舞する
常にジャスパーくんは背中にかばう
・連携
ユアが敵にジャミングを試みるなら、それを手伝おう
属性攻撃”月”…頭上の月の光に”ジャミング”効果を含ませて
敵の動きを鈍らす”呪詛”与えん
「神聖な唄だけが取り柄だと思った?
ごめんね…。月の音も、怒れば魔曲と化するの」
月眸に刹那、紅の輝き瞬かせる
唄で護り、歌で惑わす
――月の唄に溺れなさい
●
三日月と十字架が刻まれた煙管から、煙が揺れて散っていく。
その先に在るのは、かつて世界最高峰と謳われた歌姫の成れの果て。今は時間質量論に基づき、真理に至るための永遠だけに興味を抱く機械群のコア。
「ふぅん。グリモアを壊してボクらを確実に潰す……だなんてよく考えたもんだねぇ」
迎え立つ双子の姉妹。白銀と金の姉、月守・ユア(月影ノ彼岸花・f19326)が目を細める。
「けど、残念! きっとそりゃ叶わない計画だ。グリモア猟兵達の傍にはいつだって猟兵(ぼく)らがいる」
「あなたの計画のために、ジャスパーくんもみんなも殺させないよっ」
漆黒と金の妹、月守・ユエ(皓月・f05601)もまた、マザーを見上げる。
「ジャスパーくんの力はみんなを導いて、未来を守る大切な力。僕達、猟兵にとっても大切な存在を簡単には奪わせない」
後ろでは当のジャスパーが「なんか照れるなァ」と頭を搔いていた。冷徹なるマザーの眼差しが三人を見下ろす。
『未来を視る力。そして望む未来を手繰り寄せる猟兵達。この世界に、未来などは不要です』
無限の思案を積み重ねるための永遠だけが、あればいい。マザーのオーダーに合わせ、戦場そのものが変化していく。ビル群は複雑に絡み合ってマザーを運ぶ戦艦となり、残された地面からは無数の機械兵たちが顕現する。
「……で、このジャスパーさんはユエのお友達?」
誰かの魂欠片が宿る大太刀を構えながらも、ユアは気楽な様子でユエに問う。
「うん! お友達ですっ」
「それも、とびっきりのな」
同調するジャスパーに、ユエが笑みを深める。そうか、とユアも目を細めた。
「なら、共に守ろうか。キミが守りたい人は、ボクの守りたい人」
「……ありがとう、ユア」
寵愛と穢れを分け合った姉妹は、今もこの世界で共に在る。愛する妹の安堵に応えるよう、ユアがぽんと己の胸を叩く。
「……なんで、戦闘は任せな。ユエは彼と一緒にいて。狩りはボクの役割だ」
「わかった。後ろは任せて! ジャスパーくんを守って、マザーの計画も止めて……みんなで無事に帰ろうね!」
ね、と振り返るユエの顔は、戦闘時である事を忘れさせるほどの無邪気さで。
そこに姉妹の信頼を感じ取ったジャスパーは、「仲が良いんだな」と笑みを返した。
●
「ばっこーんとぶった切ってやろう♪」
大太刀に纏わせるのは生命力を吸収する呪詛。命を護る危険信号の一切を持たないこの身は前線を張り続けるには便利だが、気づかぬうちに限界を迎えてしまうリスクも孕んでいる。
辿り着いた彼岸/成し遂げた悲願の果てに散るのならば悔いはない。けれどそれは今ではない。戦好きの番人は敵の猛攻を刀ひとつで受け流し、命を喰らっていく。
そんな彼女を支えるのはユエの歌声だ。小さなストラップから召喚した漆黒の竪琴は、流麗かつ力強い音色を奏で。どんな強大な敵にも立ち向かえるオーラの多重障壁を創り出す。
勇猛たる戦士たちを鼓舞するプレリュードに、ユエの歌声が重なる。いかなる荒廃した大地にも光を齎せる猟兵達を称える歌声は、ユアやジャスパーだけでなく戦場全ての猟兵達を励まし、潜在能力を引き出していった。
ただ一人、希望も未来も抱けぬマザーだけが、そしてその配下たる物言わぬ機械達だけが、その恩恵から零れ落ちて。
機械の母が眉を顰める。ユアの剣技はより研ぎ澄まされ、負傷を与えても与えても機械達から生命力を吸い上げてその刃を振るい続けている。
『――埒があきませんね』
鬼神の如き番人から、マザーは目線を流す。代わりに鼓舞の歌声を放つ歌姫へと狙いを定め、無数の砲身を光らせた。
すう、と息を吸い込んだユアが、前に躍り出る。払えるものは月呪刀が払い、出来ないものは――その身で全て受け止めた。
「ユア!」
全身から噴き出す血。ジャスパーの光がユアを包んでいく。歌声で強化された治癒の光でも全ての負傷を癒しきるには到底足りないが、手放しかけた感覚が全身に戻って来るのをユアは感じた。まだ、動く。戦える。
紅く染まった視界を乱暴に拭い、ユアが刀を構える。マザーの砲身はぴたりとユエを――その間に立ちはだかるユアを狙っていた。思わず前に出ようと一歩踏み出したジャスパーをユエが制止する。
「大丈夫」
ユアが煙管を口元へと運ぶ。吐き出す煙が戦場へと広がっていく。死の魔力を込めた煙が機械群の動きを乱していった。
『ジャミングですか。この程度ならば……』
すぐさまマザーが力の特性に気づき、解除を試みる。だが容易に解除できる筈の妨害が、予想を上回る速度で機械達に沁み込み、根を張っていた。
――おかしい。訝しむマザーの上で何かが淡く瞬いていた。目線を上げる。
それは月だった。戦場全体を照らす月光がユアの煙と絡み合い、複雑で強力な呪詛を成している。
その光を手繰り寄せたのは、他ならぬユエの歌声。
「神聖な唄だけが取り柄だと思った? ごめんね……。月の音も、怒れば魔曲と化するの」
月は。古来より人々を見守ってきた静かなる神であり、狂気の象徴でもある。
その二面性を示すように、ユエの月眸が刹那、血のように紅く輝く。
「唄で護り、歌で惑わす――月の唄に溺れなさい」
「云っただろ? 計画は叶わない」
ユアの刀に宿る力が、輝きを増していく。命蝕む死と呪いの力。
穢れと疎まれ、ユア自身にも牙を剥く禁呪術。だが月守の番人として、最愛を護る者として、あらゆるものを死に還す力を振るう事に恐れはない。
「代わりに、お前の命をいただくぜ? マザー」
黄泉へおくる歌声のように、ユアの声が響いて。
一閃が、巨大なる機械兵器ごとマザーを両断していた。
●
『――ここまで、ですか』
虚空に、マザーの声が響いた。
『いいえ、そうではない。私の仮説は正しい筈です。いずれ、その立証を――』
声は最後まで放たれる事無く、ノイズがかき乱し、消えていった。
後に残るのは、母を失い動きを静止した機械達の残骸。
かつてデトロイトと呼ばれたその地は、無数のがらくただけが転がる廃墟へと成り果てた。
いずれそこには奪還者たちが集い、その部品を拠点へと持ち運んでは、荒廃世界を生き延びる為の様々が作り出される時が訪れるのかもしれない。
けれどそれは、未来の話。
永遠なる停滞に拘ったマザー・コンピュータがそれを認識する時は、訪れないのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵