10
暗黒の森の番犬

#アルダワ魔法学園 #猟書家 #猟書家の侵攻 #ヴァルサリッサ・アフトクラトラス #ファーストダンジョン #ダンジョンメーカー #暗黒の森の番犬 #TEAM『R』 #死ぬがよい #連携フィニッシュ #VOID

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園
🔒
#猟書家
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#ヴァルサリッサ・アフトクラトラス
🔒
#ファーストダンジョン
🔒
#ダンジョンメーカー
#暗黒の森の番犬
#TEAM『R』
#死ぬがよい
#連携フィニッシュ
#VOID


0




 かつて彼女は英雄だった。しかし、今は暗黒の森の番犬。
 過去と言う名の鎖が彼女をここに繋ぎ止めているのか。

「キガ ツク トワ タシ ハコ コニ イタ ワタ シハ イエ ニカ エラ ナケ レバ ナラ ナイ ケレ ドジ ヤマ ヲス ルヤ ツガ イル」

「奇妙な感覚だ。奴は私であって私ではない……ミッションの概要を説明する」
 (自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)がいつもの如くゆったりと椅子に座って手を組んでいる……が、今日は落ち着かない様子。
「現場はアルダワ魔法学園。『ファーストダンジョン』の隠しフロアだ。標的は二体、片方は猟書家『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』自称、超魔王だ」
 『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』の立体映像を投影する。見た目は年端も行かぬ少女のようだ。
「超魔王は割と伊達で言っている訳でも無い。ダンジョンメーカーを自在に操り凶悪なダンジョンを作り上げただけでなく、自身の戦闘能力も高い。特に厄介なのは運命操作の魔力か……何か、猟兵にとってとても重要な戦略資源を奪われる。何とは言わないが。まあ、見れば分かる。それ、アリなのかと」
 オブリビオンの見た目と強さはほぼ一致する事は無い。言い淀んだが、何か酷く危険なユーベルコードを使うのだろう。
「が、正直問題はそっちじゃない。ヴァルサリッサはダンジョンメーカーで強力な災魔を呼び出し、自ら作った迷宮を守らせている」
 ヴァルサリッサの映像を横に退け、もう一つの立体映像を投影する。
 ブローディアの花が咲き乱れる紫の髪をした、オラトリオのウィザードと言う外見だ。しかし、高度な機械技術を有しているようでもある。
 と、言うか何となく目の前のえらそうな奴に似ている。
「……奴の名は、『レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット』……いや、今回は私の事ではなくだな? いや、私がレイリスなのだが。とにかく、私のパチ物と言うか、そういうアレだ」
 どうも、相手は本当に『レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット』と言う名前らしい。パチ物はどっちだ。
「戦法も私とよく似ている……多数の召喚戦闘機を使う。ハッキングは使わないようだが、私と違って本体も普通に戦えるようだ。戦闘機を前衛にして、後方から高出力長射程の一撃で狙い打つ、そういう戦法のようだ。だが、本体の戦闘力は決して高い方じゃない。接近戦に持ち込めれば楽勝だろう」
 猟兵としての(自称)レイリスを知っている者なら確かに似ていると感じるだろう。しかし相手はオブリビオン。猟兵ほどの多彩さは無いが、一つ一つの精度が高い。
「厄介な問題がもう一つ。ヴァルサリッサはダンジョンメーカーで作った迷宮だが……あまり長時間滞在すると良くない事が起こる」
 随分と回りくどい言い方だ。問題の迷宮の内部偵察画像を表示する。とても暗くて深い森の様に見える。樹木の様な物が並んでいるが、淡く琥珀色に発光している。
「具体的にどうなるかは分からん。オブリビオンを倒す位の時間なら影響はないが、何らかの理由で出られなくなると極めて危険だ。持久戦もお勧めできん。とっとと討伐しさっさと脱出するが良い」
 光源は怪しげな琥珀色の光のみ。暗黒の樹木が超自然の迷宮を作り出している。
「厄介なのはそれだけではない。この暗黒の森の中ではレーダーやソナー等の電子的索敵や広域探知魔法の類はすべて無力化される。基本頼れるのは己の目と耳だけになる。ただし、ユーベルコードを使った索敵ならば妨害されない。その点を利用してか、相手はユーベルコードによる召喚戦闘機を索敵にも使っている。こちらもユーベルコードによる索敵手段を持っておいた方がいいだろう」
 索敵を怠れば側面や後方からの奇襲を許し、連携を断たれる。何より倒すべき相手が見付からない。
「そうそう、勇敢と言うべきか無謀と言うか……この迷宮に踏み込んで帰って来たアルダワの学生も居る。幸い、殆ど相手にされなかったお陰である程度の地形情報は持ち帰って来たので聞き出しておいても良い……現状、隔離措置をして治療中なので差し入れでも持って行くといい」
 最後にしれっと不穏過ぎる言葉が出たが、ただ偵察しただけでもこの森はそれだけ危険と言う事だ。
 すっと、横に手を振り全ての映像を消すと椅子に座って偉そうに腕を組み直すレイリス。
「常の事だが、私は見えた事件を解説するだけだ……どんな相手であろうともな」
 そして、眼前に暗黒の森へと繋がる転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」


Chirs
 ドーモ、Chirs(クリス)です。今回は皆さんに悪夢に挑戦して頂こうと思います。FINAL2も出ましたしね。
 どこかの誰かに似ているオブリビオン再び。でも、今回はコイツの宿敵では無いんです。
 内容的にはボス2連戦なのでほぼ戦闘シナリオですが、第1章は同時に暗黒の森を攻略する必要があります。通常の索敵手段は役に立ちません。何らかのユーベルコードでゴリ押しするか、学生から地形情報を聞き出して何とかしてください。その辺の対策が無いと何も出来ずに終わります。まあ、誰が一人でもちゃんと対策していれば何とかなります。
 第2章では幹部猟書家の『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』との戦闘になります。第1章で攻略できていれば純粋な戦闘に持ち込めますが、こちらも手強いです。
 プレイングボーナスは『学生達と協力する』となっております。非常に危険な迷宮なので連れて一緒に入るのは止めておいた方がいいでしょう。なんらかの形で協力は出来る筈です。
 今回もいつも通りアドリブも連携もマシマシになります。ある程度の人数が集まってから書き始めます。皆さんに最高の悪夢を提供出来れば良いなと思う所存でございます。
 7/29(木)9時からプレイング受付を開始します。それ以前に頂いたプレイングは採用できないのでご注意ください。プレイング受付期間はタグで表示します。
51




第1章 ボス戦 『レイリス・スカーレット』

POW   :    CARNAGE WEAPON KAMUI
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【電撃】属性の【空間ごと消し飛ばす破壊光線】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD   :    CARNAGE WEAPON RAY
自身の【魔力と触媒となるフィギュア】を代償に、1〜12体の【誘導レーザー兵器を搭載した特務戦闘機】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    CARNAGE WEAPON BLACK
レベル×5体の、小型の戦闘用【最終平和兵器たるビーム砲搭載戦闘機】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォーネリアス・スカーレットです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

叢雲・凪
キツネさんチーム

レイリス=サンと同名?それに戦い方まで…深い縁があるようだが、ボクがやる事はただ一つ。

『オブリビオン殺すべし』

まずウタくんと一緒に暗黒の森に関して学生に聞き込みをしよう(情報収集)

「ドーモ ジンライ・フォックスです」(礼儀作法)

「ふむ… キミたち靴底の形状を見させてもらっていいかな?」
(オブリビオンの元から逃げてきたのなら地面に足跡が残るはず。それを辿れば必然的に相手の元にたどり着ける)

それに合わせて
「久々にマホウを使うか… インドラヤ・ソワカ!」(雷音) 跪いた形で素早く腕を地面に叩きつける。黒雷のマフラーを桜の花弁にし霧散。花弁から電磁波を発しソナーめいて敵を補足しよう。


木霊・ウタ
キツネさんチーム

心情
災魔を海へ還すぜ

学生
蒸気加熱機能付き饅頭を手土産に面会し
情報収集
探査のヒントってある?

学生の状態から森に滞在時の影響を推測

サンキュ
助かったぜ

探索&戦闘
学生の情報を頼りに探索

時々はギターを爪弾いて反響定位
一応、破魔とか浄化を込めた音

聞きつけて戦闘機がやってくるよな

探索音にそのまま炎の属性加えて撃破だ
敵さんの目を少しずつ潰していくぜ

で、その間に影を
情報を元に森の奥へ向かわせている

俺に注意が向く程
影が進みやすくなるし
守りが薄くなる

敵を発見したら機をみて影が奇襲

同時に俺も爆炎で一気に間合いを詰めて
ギターからの音圧&炎攻撃で
戦闘機ごと花と翼を紅蓮に散らせる

事後
鎮魂曲を奏でる
安らかに



●虚無
――暗黒の森突入前、魔法学園隔離病棟 廊下
「レイリス=サンと同名? それに戦い方まで……深い縁があるようだが、ボクがやる事はただ一つ」
 叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は隔離病棟への道を歩みながら改めて宣誓する。
 ちなみに、グリモア猟兵の方は自称なので厳密には同じ名前ではない。オブリビオンの方はそれが本名だ。
 奇妙な縁で繋がってはいる……が、宿敵の相手は彼女の妹である。
「オブリビオン殺すべし」
 最も、そんな事情は凪にとっては関係の無い事だ。
「ああ、災魔を海へ還すぜ」
 隣を歩くのは木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)。何やら手土産をもっている。
「やあ、君達が猟兵かな?」
 二人を出迎えたのは白衣を着た研究員らしき人物。医者には見えない。それに、二人は見覚えがある。
「主任=サン?」
「アレアレ? どうして知ってるのかなァ? ま、いいや。僕は主任って呼ばれてる。君達もそう呼んでくれ」
「なあ、アンタ猟兵じゃないんだよな?」
「違うよ。だったら自分で行くしね」
 主任。幾つかの世界で遭遇した同じ呼称を持つ別の人物。ならばもう一つ確認する事がある。
「TEAM『R』の人だよな」
「あっれれー? そんな事まで知ってるなんて光栄だなァ」
 猟兵であっても別な世界を自由に移動する事はできない。オブリビオンも移動したケースはいくつかあるが簡単には移動できない。猟兵もまた単独で世界を移動する事は出来ない。グリモア猟兵を仲介する必要がある。
 確かに神隠しのような例外は存在する。それでも世界を越えると言う事は一際条理を覆す行為だ。
 ならばこの『主任』は何者なのか。凪とウタは複数の世界で何人かの『主任』を名乗る人物と会った事がある。全ての人物は人相が異なり明らかに別人だ。一先ずオブリビオンではない事は確かだ。
「アンタら主任って一体何なんだ?」
「僕は僕さ。それ以上でもそれ以外でも無いよ」
「ウタ君。オブリビオンでは無い以上、ボク達が戦うべき相手じゃない事は明らかだ」
「じゃあ、一つだけ聞かせてくれ。TEAM『R』は何をしようとしてるんだ?」
「いい質問だァ……とてもいい質問だよ。今回の事件と大きな関係がある」
 主任は、口端を大きく吊り上げて弧を描いた。
「VOID兵器の研究、そして全てのVOID兵器を消滅させる事さ」
「VOID兵器?」
 その名称は初めて聞いた。
「オブリビオンの一種さ。伝染する病の様な物でもあって、君達が乗ったユニオンデバイスもVOID兵器の一つだ」
「待ってくれ、アレに乗ったのはスペースシップワールドだ。どうしてアルダワの人がその事を知っているんだ!?」
「頼めば話を通す位の事はしてくれる人は居るさ」
「レイリス=サン、か?」
「その一人だね」
「そのVOID兵器ってのは何なんだ?」
「有機物、無機物を問わず、ありとあらゆる物に融合侵食する物。形の無い物、人の精神、時間、空間ですら融合し侵食するオブリビオン。何より一番厄介なのは……ま、見れば分かるか」
 隔離病棟の一室の前で足を止める主任。
「この子は末期のVOID汚染者だ。正直、こんな隔離なんて意味は無いんだけどね」
 物理、機械、魔法の三重のロックを開錠すると二人に部屋に入るように促す。
「あまり騒がないでくれよな」
 オブリビオンの気配は、確かにそこに在った。だが、オブリビオンと断定するには希薄で、異質だった。
 凪とウタは僅かに目配せをして、扉を開けた。

●異形
「アタ ラシ イイ シヤ カナ」
 そこに居たのは、異形の肉腫で出来た人型の怪物だった。
「ハヤ クコ コカ ラデ ラレ ルヨ ウニ シテ クレ ナン ノイ ジヨ ウモ ナイ ジヤ ナイ」
「こ、これは……!?」
「オブリビオン……いや、違う」
「そうだよ、彼はただの学生だ。運悪く、踏み込んでしまっただけのね」
 その部屋すら異形の肉腫に侵食され始めている。だから主任は言ったのだ。こんな隔離など意味はない、と。
 治せる見込みなど何処にも無く、汚染を広げるだけなのだから。
「これが……こんな、オブリビオンなんて」
「ハヤ クコ コカ ラダ シテ クレ ヨイ エニ カエ ラナ イト」
 彼は平然としている。自分がどうなっているのか自覚が無いのだ。
「これがVOID兵器に犯された者の末路だ。そして、これから君達はその汚染源に踏み込まなきゃならない」
「なるほど、確かにな……こんな物はあっちゃいけない」
 ウタは獄炎を手に収束し、一本の剣を成型した。『焔摩天』の梵字が刻まれた巨大な剣。
 ウタはそれを振り上げて、振り下ろした。

「そんな理不尽は」

 【ブレイズアッシュ】肉体を傷付けずに理不尽な未来だけを焼き払うウタのユーベルコード。地獄の炎は彼を包み込み、部屋全体に燃え広がっていく。

「灰にして消し飛ばしてやるぜ!」

 ウタが手を払い、『焔摩天』も消すと後には殺風景になった部屋と、一人の学生が残された。
「え、何? 突然どうしたんだよ」
「……こいつは、驚いた……」
 主任は愕然としていた。”未来”のみを破壊するユーベルコード。その存在は聞いていたが、こんな事まで出来るとは。
「何をしたのか分からないけど、なんか身体が楽になった気がするよ。ありがとう」
 ただ一人、当事者だけが事態を理解できていなかったが、ウタには十分だった。
「凄い、凄い力だ……これが、猟兵。これがユーベルコード……!」
「他の感染者も居るのか?」
「居るよ!」
「じゃあ纏めて焼き払っちまおう。集めてくれ」
「そうだ、ボク達はオブリビオンを殺す。オブリビオンだけを」

●手土産
――暗黒の森突入前、魔法学園隔離病棟 食堂
「これを引っ張ると温まるんだ」
「へー、便利だな!」
 ウタは持参した蒸気加熱機能付き饅頭を振舞いながら屈託なく笑った。
「……いや、もう、そんなちょっとした便利グッズ所の騒ぎじゃないんだけどね……」
 他の汚染者も全員あっさりと浄化されたとあってはもう主任も笑うしかない。
「魔獣のお肉いるです?」
 ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)もここで合流した。ブルーアルカディア出身のエンジェルのパイロットだ。手土産として持参したのは主に携帯用糧食として使われる魔獣の干し肉。
 魔獣と呼ばれる存在はアルダワの迷宮内にも存在する。しかし、ブルーアルカディアの魔獣は肉質が良く、狩猟と加工の技術に秀でている。それは保存用の干し肉であっても遜色はない。調理した生肉では出せない歯応えと、香辛料の香りが食用をそそり……
「……じゅるり」
 持参したヴィクトリア自身が一番食べたそうにしていた。
「あの……無理しなくていいですよ?」
「いえ、他の世界の事はさっぱりだから、ちゃんと細かい話を聞かせてもらうのです……その為の、お代、なので……じゅるりぃ……」
「あー、だったら代わりにウチの学食で出る弁当と交換って事で」
「いいのですか! 頂きます!」
 冒険者の一人が自身のバックパックから弁当を差し出すとヴィクトリアは喜んで受け取り、早速蓋を開けて食べ始めた。情報交換はどうした。
「鬼さんパッケのしっとりクッキーもあるよ」
 凪はすかさず持参したクッキーを差し出す。長期保存する関係上塩気の多い保存食に甘い物の喰い合わせは嬉しい。
「あら、なんか変わった食感のクッキーね! 美味しいわ!」
「そうだろう? 所で、あの森を探索してどうだった?」
「うーん、なんか帰って来てから今までずっと閉じ込められてたけど……そうね、すばしっこい機械系のモンスターが出たわ」
「一発で落ちるんだけど、早いし攻撃力もあって厄介だったよな」
「後なんか、全体的にダークゾーン的な感じだった」
「ダークゾーン?」
 ヴィクトリアが聞き慣れない単語に疑問符を付けると、学生の一人が得意げに話し始めた。
「ダークゾーンとは迷宮内でたまに見かけるトラップの一種です。ありとあらゆる光源を無効化し、辛うじて輪郭だけが見える程度にしてしまいます。ここを踏破するにはとにかく歩いて地図を作るしかありません。即ち、私の様なマッパーが大事な領域です」
「ああ、地図さえ作っておけば大丈夫だったよな。あの時作った地図あったよな?」
「ええ、勿論」
 迷宮攻略に置いて地図の重要性は語るまでも無い。迷宮に挑む冒険者にとって地図とは財産だ。自ら歩み、到達した印。
「それ貸してくれるか?」
「いいですとも」
 迷宮に挑んだ学生達は自分たちがどうなっていたのかは理解していなかったが、何か凄い事をされたと言う事だけは何となく分かっていた。
「ありがとう、助かるぜ」
「その代わり、あの迷宮の攻略は頼みますよ」
「ああ、任せてくれ」
「後、君達は迷宮の主と遭遇したか?」
 凪は学生がオブリビオンと接触していたらその足跡を追跡すればオブリビオンの元へとたどり着けると踏んでいた。
「いや、雑魚だけだな。ボスらしいボスは見なかった」
「そうか」
 これに関しては当てが外れた。そもそも標的のオブリビオンと遭遇していなければ彼らの靴を調べる意味は無い。

●SELECT YOUR PARTNER
――暗黒の森突入直前、ファーストダンジョン 暗黒の森領域前
「……と、言う事があった」
「で、こっちが貰った地図だぜ」
「不気味な森ってレベルじゃなかったわね……夢に出てきそうだわ」
 ウルル・マーナガルム(グリムハンター・f33219)は地図を受け取ると事前調査した地図と照合する。
「迷宮自体の構造は変わってないようね。そのまま使えるわ、この地図。中に入ると見えなくなるだろうから今の内に頭に叩き込んでおいて」
 ウルルは【ムーンドッグス・ア・ゴーゴー!】(ムーンドッグ・シュツゲキジュンビカンリョウ)で作り出した子機を迷宮内に送り込み事前偵察をしていた。
『今の所件の汚染を受けた子機は居ないようです』
 ウルルの相棒兼お目付役の猟犬ロボット・ハティが帰って来た子機達と情報を並列同期化し、AIをフルスキャンしてそう結論付けた。
『具体的なタイムリミットは不明ですが、3時間程度の作戦行動であれば問題無いと結論付けられます』
「仮に汚染されてもウタ君が居れば対処は出来る」
 黒い狐面を付けた凪、いや、ジンライ・フォックスは言った。
「いや、過信は禁物だ。多分、俺自身への汚染は排除できない」
 ウタは何かを確かめるようにして言った。
「分かるんだ」
「だったら君だけここに残ってくれないかね?」
 主任は名残惜しそうに言ったが、ウタは首を振ってはっきりと否定した。
「根本を断たないとこの理不尽な未来は消せない」
「そうかい、まあ、そうだよね……」
「大丈夫だ、我々は猟兵。必ずオブリビオンを殺し、生還し、次のオブリビオンを殺す」
「ちょっと死亡フラグっぽいわよそれ」
『非論理的です』
 マークスマンライフル『アンサング』の最終点検を終えながらウルルが茶化すと、ハティが否定した。
「どうせ飛ぶのは無理だし、エル・セプスは外装形態にして纏っておくです」
 ヴィクトリアは可変型飛空艇『エル・セプス』を外装形態にして纏う。
「フォワードはウタくんとヴィクトリアちゃん、ジンライ・フォックスは遊撃で、ボクがバックアップするよ。乱戦にならない様に気を付けて陣形を保ちながら進みましょう」
 それぞれが各々の形で了解の意を示す。

●SEI-MEI
――暗黒の森入り口、突入後
 猟兵達は隊列を組み、周囲を警戒しながら暗黒の森へと侵入した。
 事前情報の通り、森の中は非常に暗い。単に暗いだけではない。ウタが試しに周囲を照らそうと炎を出したが、その光は深い闇へと吸い込まれてしまった。ウルルがコンバットライトを付けてみるも結果は同じ。光源が無力化される。
「これは、本気で互いに誤射をしない様に注意が必要ね」
 暗黒の森、と呼ばれてはいるが生えている樹木めいた物もまた奇妙だ。幹は太く根と枝は大きく広がっているが一切葉が無い。幹は時折琥珀色に発光し、僅かな光源となっている。
 樹木と言うより、まるで得体のしれない生物の内臓のようでもあった。
 行軍は暫く静かな物であった。敵は一切姿を見せず、ウルルの索敵にも引っ掛からない。
「やはり、奥まで誘い込む気ね」
 ウルルが広域に展開した子機は未だ一切会敵していない。戦闘力は無いので先に見つかればそのまま破壊、こちらが先に見付けても隠れてやり過ごすしかなかったが、そのどちらも起きていない。
『相手に主導権を握られたままと言うのは癪ですが、虎穴に入らずんば虎子を得ずでしょう』
「フライパンから逃げて火に飛び込む、か」
「……どこの諺よ?」
「平安時代の剣豪ミヤモト・マサシだ」
「あっはい」
「コジキかも知れない」
「はっきりしてよ……ストップ」
 ウルルが声をかけると、即座に全員が全方位警戒態勢を取る。
「コンタクト。7時方面……が、どっちかもよく分からないけど」
 ウルルはジャケットの迷彩機能をアクティブ化しその場に伏せる。ウタが『焔摩天』を構え、ヴィクトリアは『エル・セプス』の強化外装拳をかち合わせる。
「確認した、カラテタイムだ」

◆ 一時中断な ◆
 現在預かっているプレイングを書き切るまでプレイングの受付を一時中断します。
 もちろんこの後にも出番はあるので少々お待ちください。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウルル・マーナガルム
連携、アドリブ歓迎
不気味な森だね
なんか、夢に出てきそう……
『事前通達の通り、長居は無用です。素早く任務を果たしましょう』
UCで喚んだ子機を2つの隊に分ける
片方の隊には周辺の索敵とか観測、地形把握をしてもらおっと
あと退路の確保もお願いね
ちょーっとだけ嫌な予感がするんだ
もう片方はハティと一緒に囮役
ホログラムも交えながら
相手を翻弄して圧をかけてもらおう

やる事はいつもと同じ
ハティ達が前衛
ボクは後衛
ジャケットの迷彩も使って隠れて
狙撃のチャンスを窺うよ
ほんの少しの隙さえあれば十分
そっちが森の番犬なら
こっちは月を喰らう狼(ムーンドッグ)だ
『終止符を打って差し上げましょう』
ヲヤスミ、ケダモノさん!


ヴィクトリア・ノウェム
……「暗黒の森の番犬」……なんかやな響きです

他の世界の事はさっぱりだから、現地の人にちゃんと地形とか細かい話を聞くです
手土産に魔獣(ブルーアルカディア産)のお肉いるです?

それで、どうせ飛ぶのは無理だし、エル・セプスは外装形態にして纏っておくです

索敵はあんまり向かないから、もっぱら力仕事を担当する、です
でも一応【ハウンド・ライトニング】をマメに使っておくです
察知後放つ13の雷は地形に対しては反射するから、察知さえすれば逃がさないです

それと、必要なら『ケルベロスファング』を何かに打ち込んで《怪力》で引っこ抜いて、盾とか障害物として使うです

後相手に打ち込んで、引っ張りだしたりぶん回してもいいです



●Born To Be Free
――暗黒の森内部、突入開始から約一時間後
 先鋒を切るのは黒い戦闘機。それは、戦闘機と呼ぶにはあまりに異形だった。ビーム砲にロケットエンジンをくっ付けて飛ばしただけ、そんな感じだ。大きさはフィギュアサイズだが、その戦闘力が本物なのは良く知っている。
 【CARNAGE WEAPON BLACK】最終平和兵器。戦闘準備完了。僕らは、もう、引き返せない。
「ドーモ、ジンライ・フォックスです」
 先手を打ってオジギしたジンライ・フォックスに帰って来たのはビーム機銃!
「機械にアイサツは不要だったか。イヤーッ!」
 当然の様にそれを回避したジンライ・フォックスは稲妻の速度で踏み込み、ジャブを喰らわせる。一機撃墜! だがその一機を囮にし三方向からの同時ビーム射撃!
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスは紙一重でブリッジ回避! タツジン!
「イヤーッ!」
 そのまま攻防一体のメイアルーアジコンパッソで再び一機撃墜! しかし。
「数で押してくるタイプのユーベルコードか」
 飛来する影はますます増える。元から耐久力は無い戦闘機。ジンライ・フォックスのカラテはオーバーキルだ。ジリー・プアー(徐々に不利)か?

 ウタがギターを爪弾く。勿論、ただのギターではない。破魔や浄化を込めた音色だ。
 確かに、光源が無い暗い場所なら反響定位は有効な手段だ。この森ではその音すら吸い込まれてしまう。反響が聞こえなければ反響定位は出来ない。
 だが、それは森の地形の話だ。森の一部ではない戦闘機はそうならない。ウタはギターを背に、獄炎から『焔摩天』を抜いた。そのまま横にフルスイングする! 剣先から獄炎が走り、戦闘機を纏めて焼き払った。【ブレイズブラスト】だ。
「数で攻めてくる相手なら範囲攻撃だ。纏めて還してやる、紅蓮に抱かれて眠れ」
 ウタが『焔摩天』を振るう度に起る炎の嵐が戦闘機を焼き払っていく。
 だが、それでも。
 ウタは咄嗟に剣の側面を向けて、戦闘機から放たれたビームをガードした。だが、左右の側面から同時にビーム射撃が襲い来る!
「もう対応してきている!?」
 ウタは前方にダイブロール。起き上がりの隙を獄炎で払って消すと、炎の壁を形成して続け様のビームを防いだ。

 ヴィクトリアが探知魔法を走らせる。
「猟犬の電撃は」
 【ハウンド・ライトニング】だ! 補足した戦闘機に向けて13本の雷が走る!
「見付けた獲物は逃がさねーです!」
 雷は次々と連鎖して標的を貫いた。地形を遮蔽に逃れようとした敵機も、その地形を反射して追跡し破壊! キャバァーン! 大量得点ボーナス!
「とりあえずで撃てるのがコレのいい所ですね」
 続けて襲い来る編隊に向けて再び探知魔法を走らせ、稲妻を撃つ! 放たれた稲妻は側面も、真後ろに居た編隊すら追跡し、破壊した。
「ゲージ一本でも小出しにして撃つのです」
 次々と襲い来る編隊を撃墜していくが、それでも数が減らない。

「久々にマホウを使うか……インドラヤ・ソワカ!」
 ジンライ・フォックスが跪いた形で素早く腕を地面に叩き付けた。黒雷のマフラーを桜の花弁となって散る。高密度の花弁の弾幕。一見すると、ダメージが無いように見える。だがそれはほんの一瞬。それこそ、ジンライ・フォックス自身位しか認識できない程の一瞬だ。
「イヤーッ!」
 その一瞬で花弁を張り付けてソナーめいて位置を特定した戦闘機を全て蹴り砕いた! ワザマエ!

(おかしい)
 ウルルははっきりとした違和感を認識する。ウルルは迎撃を味方に任せ、索敵と状況の俯瞰に徹していた。
(このダークゾーンは相手もユーベルコード抜きでは索敵できない筈。その目になっているのはこの黒い戦闘機)
 他の猟兵は次々と戦闘機を撃墜しているが、数が減る様子が無い。
(奇妙な点は二つ。一つ目は目になる戦闘機をこうも易々と使い潰している事)
 ウルルは逆に【ムーンドッグス・ア・ゴーゴー!】(ムーンドッグ・シュツゲキジュンビカンリョウ)で呼び出した子機は一切戦闘行為はさせずに隠れてやり過ごし、情報収集に徹している。元から攻撃能力が無いからでもあるが、この暗黒の森でユーベルコードによる索敵は半ば必須だ。
 にも拘らず索敵に使える戦闘機を使い潰している。確かに数を出せるユーベルコードではあるが、無限ではない。再召喚をすれば自分の位置を晒す可能性も出る。
(二つ目、本体は近くに居ないにもかかわらず黒い戦闘機の統制が取れ過ぎている)
 相手の位置が分からなければ編隊を組んでタイミングを合わせ、別編隊を囮にして側面や後方を突く事は不可能だ。事前に叩き込んだ地形情報から障害物の少ない、挟撃される危険が少ない道を進んでいる。戦闘しながらも交戦地点を入り組んだ場所に誘導している。
 にも拘らず四方八方から挟撃を受け続けている。これは相手に位置が筒抜けである根拠。
(ヴィクトリアちゃんの射程に入る敵なら即座に迎撃できている。ウタくんの守りも万全。ジンライ・フォックスの遊撃も効いている。こちらは下手を打っていない筈)
 この暗い森の中で、一体何処から。
(……違う。こういう時は発想を逆転させるのよ)
 ウルルは一人身を隠しながら呼吸を整える。
(どうやって見ているかじゃない。こちらの位置を掴めるのは何処か)
 黒い戦闘機自体にも視界がある。大まかな位置さえ分かっていれば挟撃は出来る。
(大まかな位置を、戦場を、俯瞰する……位置!)
 ウルルはマークスマンライフル『アンサング』を構え、透過型ヘッドマウントディスプレイ『S.K.O.R.』を最大望遠にしてその場所を見た。
 迷宮内と言う先入観からか誰も警戒していなかった、空を!
「鞍なき馬に跨りて我らは疾く駆け出さん、しかして剣を掲げ戦うべし」
 狙撃のルーティン【ドルズの歌】(コマッテナクテモトナエテクダサイ)遠距離を狙撃するユーベルコードなら、遠くでも見通せる! ウルルは空に浮かぶそれに向けて銃爪を引いた。

●Above Ota City
――暗黒の森内部、突入開始から約一時間半

―黄武が、堕ちたか。こちらの手が暴かれたようだ。まあいい、まだ一枚目だ。手札は二枚、駒は十二機。敵を仕留めきるには十分。それに、最も警戒していた相手が姿を現した―
 十分な魔力を蓄積した雷杖を、その方向に向ける。
―対人類殲滅用神双槍杖、神威解放。死ぬがよい―

 その瞬間、猟兵達は己の猟兵第六感を信じて状況判断した。
「マズいのです!」
 ヴィクトリアは『ケルベロスファング』を近くの木に打ち込んで外装形態『エル・セプス』の怪力で引き抜いて倒し、遮蔽物にした。
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスは殆ど殴り飛ばす勢いでウルルを突き飛ばした。
 その直後、白く輝く雷光がウルルの射点を貫いた。一直線にぽっかりと空いた穴はその雷光が暗黒の森の木々を強引に突き破り、射線上にあった物全てを消し飛ばした事を物語っていた。
「すまない、非常時故乱暴になった」
「いえ、助かったわ」
 もし、ヴィクトリアが遮蔽を一つ増やしていなければ。もし、ジンライ・フォックスが庇っていなければ。ウルルは確実に消滅していただろう。そして目を失った他の猟兵はなす術もなくこの森で果てる。
 だが、そうはならなかった。そして、ウタは木々に空いた穴に影を送り込む。程無くして射撃位置が割れ、ようやく本体の居場所を掴めるはずだ。
 だが、その前に。

―外した? いや、避けられたか。勘がいいな……前衛にBLACKを使い、神威で狙撃して終わらせるつもりだったが……まあいい。なら出し惜しみは無しだ。作戦名”レイストーム”先鋒、蒼穹紅蓮隊。交戦開始せよ―

「上空に指揮官機が居る! 空からこっちの様子を見てたのよ!」
 ウルルは自分の位置を晒したリスクを払って得た情報を伝えた。
「そうか、空から見られていたのか」
「迷宮内だし、こう暗いんじゃそもそも空がある事自体忘れてたぜ」
「空中戦なら任せるのです!」
 ヴィクトリアは『エル・セプス』を飛空艇形態に変え、暗黒の森の空へと飛び上がった!
「空中戦になるとは思って無かったんですが、飛空艇パイロットに空中戦を挑んだ愚を教えてやるのです!」
 暗黒の森の上空もやはり暗い。地上と違って樹木も地面も無い分下手をすると地面がどっちにあるのかも分からなくなる危険な領域だ。
 だが、ヴィクトリアはブルーアルカディア生まれのエンジェルで飛空艇パイロット × ロケットナイト。挑まれた空中戦で負ける道理は無い!
「簡単に終わってくれるなよ、です!」
 手始めに【ハウンド・ライトニング】を放つ。索敵魔法に引っ掛かった敵の指揮官機は三機。赤、青、緑の戦闘機だ! 三方向に展開する三機に向けて13本の雷が迫る! だが、三機は目の前に雷が迫った瞬間、物理法則を無視したような勢いで進行方向から90度直角に動きこれを回避!
「ホーミングレーザーは直前で直角に動いて回避。常識ですね」
 装甲を展開した赤の戦闘機と緑の戦闘機が重粒子弾を発射する! 補足した相手を確実に破壊する誘導弾! だが、ヴィクトリアは目前まで引き付けて一気に舵を切り、これを回避! ワザマエ! そのまま青の戦闘機に向けて一気に距離を詰める!
「遠距離なら避けられても、近距離じゃ避けようがないのです」
 だが、青の戦闘機も装甲を展開! 一点集中のレーザー照射がヴィクトリアを貫く! だが!
「生憎と、こっちはシューティングゲームじゃねーんですよ!」
 装甲でそれを受け止め、『ケルベロスファング』を撃ち返す! 放たれた地獄の猟犬は一噛みで青の戦闘機を粉砕!
「火力が足りねーのです! んでもってお前は!」
 一旦距離を取ろうとする赤の戦闘機を猛追!
「真後ろへの攻撃手段が、無い!」
 回避先を読んで【ハウンド・ライトニング】を撃ち込み破壊! だが、残った緑の戦闘機が!
「イヤーッ!」
 地面から上に向って落ちた漆黒の稲妻によって打ち砕かれた。
「お前は遅い」
「一機取られたのです」

●ORIGIN
――暗黒の森内部、突入開始から約二時間弱
―蒼穹紅蓮隊を返り討ちか……やるな―
 触媒が必要な【CARNAGE WEAPON RAY】は何度も使えない。堕とされたのは4機。手元に残るフィギュアは9体。
―残りは一気に投入する。クリムゾンクローバーtypeⅠ、Ⅱ、Ⅲ。R-GRAY1、R-GRAY2、R-GEAR、R-GRAY0。Armed Saboteurs、神威―
 四つ羽の戦闘機、星を砕く者、決戦兵器。いずれも誘導兵器を搭載し、高い機動性を持つ特務戦闘機体。
―そして、13機目。”蛇使い”―
 最後に出したのは半壊した戦闘機。光り輝く6枚の翼を展開している。12体の13番目。
―さあ、蹂躙してやろう。いよいよもって死ぬがよい―
 その背後には大量の黒い戦闘機。

「見付けたぜ、オブリビオン」
 ウタの放った【影の追跡者】がその位置を特定した。
「悪いニュースも一つ。退路を確保してた子達と連絡が取れないわ。こうならないようにする為だったんだけどね」
 恐らくは、何らかの手段で出口が塞がれたのだろう。もう撤退は出来ない。迅速に『暗黒の森の番犬』を倒し、その背後に待つ『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』を討たねば活路は無い。



◆ 情況変更な ◆
 これよりプレイング受付を再開します。
 引き続き第1章ですが、敵の位置を特定したので索敵の重要性が下がりました。ただし、索敵を怠ると特務戦闘機からの奇襲を許す事に繋がるので奇襲への警戒は必要です。
 また、既に暗黒の森に突入しているのでもう『学生達と協力する』事は出来ません。その代わりに『暗黒の森の地形を利用する』事でプレイングボーナスが得られます。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジーク・エヴァン
先に他の猟兵達が敵の索敵をしてくれてるらしい
俺も後に続いていくとしよう

しかし本当に暗いな
俺はあんまり索敵する類いの力はないけど、奇襲を受けてもすぐに対処できるように結界術を俺の周囲に展開して、警戒しながら進んでいこう
出来るだけ木陰に隠れ、木に傷を付けて目印にしながら道を覚えていくしかないな

敵は機械仕掛けの…なんだあれ?人形?
よく分からないけど、飛ぶなら鉛の銃で撃ち落とす!(属性攻撃、重量攻撃)
簡単には捕まらないなら、物量戦法だ
【竜盾の軍勢】を発動!
数枚を俺の周囲に展開
他に猟兵がいれば数枚を彼らの周囲に結界と共に展開しよう
残りを操りあの飛ぶ奴を追い込む
あえて作った逃げ道の先に、鉛の銃を撃ち込む!


叢雲・凪
『キツネさんチーム』
※ジーク・エヴァンさんとも連携

「なるほど…予想はしていたが恐ろしい弾幕と物量だな…」
ダッシュ+残像+リミッター解除を用いた高速移動をするが実際 狭い迷宮では動きが制限される。

「この状況を想定して助っ人にコンタクトを取った…『彼(ジークさん)』が来ればこの戦況も変わるはず」


ジークさんが参加次第

「ドーモ ジーク=サン ジンライ・フォックスです。突然の連絡に応えてくれて嬉しいよ ありがとう」

ボクはボクで索敵に徹しよう。目立たない+忍び足+暗視を用いて気配を消し 地形の利用で木々に乗り移りながら索敵だ。ニンジャらしいニンジャムーブ

苦無を投擲して進行を妨害しつつオブリビオンを目指す!


夜乃・瞳
ごめんなさい、貴方を家に帰してあげる訳には行かないのですよ
だからせめて、ここで眠らせてあげるのです

コールオプションを使って戦闘用のテンタクルフォースとスタンダードフォースと、索敵用のカメラビットを召喚、戦闘に備えるのです
初めに複数のカメラビットを飛ばし、敵の位置と地形の確認、さらに上空の警戒を行うのです
そして、テンタクルフォースをシュート、自動で戦闘させて注意を引くのです
次にバリア弾を敵の周囲に打ち込んで表面を鏡面化したシールドを展開
そこにスタンダードフォースから反射レーザーを掃射
地形やシールドなどに反射させて全方位から狙い撃つのですよ



●NO REFUGE
――グリモアベース内、突入開始から約二時間後
「やはり、退路を断ってきたか……」
 レイリス(自称の方)は朧気に状況を見ながら言った。グリモア猟兵は現場に行く事はできない。だが、転送による支援は出来る。本来なら双方向で転送可能だが、いつでも確実に使える訳では無い。今回の場合、転送は出来ても送還が封じられた。
 ある程度は状況が見えないと転送が不可能なのである程度は見えるが、それも現場の状況次第。
「帰り道の保証は出来なくなった。あの森に行けば、最深部のダンジョンメーカーを取り返すまでは出られない。出られなければどうなるかは見せた通りだ」
 異形の肉腫で出来た人型の怪物、VOID汚染の成れ果てを見せながら言った。
「それでも行く事に変わりはない。死中に活を求めよ、だ」
 フルプレートで既に完全戦闘態勢のジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)が言った。
「ここで臆してたら猟兵やってないのですよ」
 夜乃・瞳(ミレナリィドールのスターライダー・f01213)は当たり前の様に表情を変えずに言った。
「善かろうと悪かろうと魔女は困った人を助けるものだ」
 五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)は魔女術触媒を取り纏めて言う。
「そういうシリアスなの、本当はキャラじゃないけどねー」
 御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は少しお道化て。
「レイリスには迷宮災厄戦のグリモア猟兵として世話になっている、借りを返すぞ。そうでなくともVOID兵器などという悪意の存在を許さん」
 大門・有人(ヒーロー・ガンバレイにして怪人・トゲトゲドクロ男・f27748)はリーゼントを整えながら。
「そうか……そう言えば迷宮災厄戦の時は結構色々してたな……行くのであれば送るだけだ。生きて、いや……出来ればそのままの姿で帰って来てくれ」

●History's on my side
――暗黒の森内部、突入開始から約二時間後
「増援を出して来たわね。こっちでも本体の位置は特定した」
 ウルルは『ムーンドッグス』達にホログラムで一瞬ナビゲーション表示を出させる。
「結構足が速いわ、移動し続けてる。こっちも何とか補足し続けるから本体を叩いて」
「承知した、と言いたい所だが。イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスはウィンドミル旋回めいた回し蹴りで3機の黒の戦闘機を叩き落しながら言った。
「なるほど……予想はしていたが恐ろしい弾幕と物量だな……」
 一度はある程度減らした黒の戦闘機だが、本体が位置を晒した時に再召喚したらしく更に数が増えていた。
「そこかッ!」
 ウタが『焔摩天』を大きく横薙ぎに一閃し、炎の嵐を巻き起こす。数機の戦闘機は巻き込める物の遮蔽を利用して回避される事も多くなって来た。
「対応され始めてる」
「防戦一方じゃ勝てる筈もねーですよ!」
 ヴィクトリアも牽制の【ハウンド・ライトニング】を撃つが、様子見程度の適当撃ちでは捉えられない程回避パターンを確立されて来た様子。
 状況は明確に不利である。時間をかければ汚染が進み、そうでなくてもさっきの様な狙撃が飛んでくるだろう。
「この状況を想定して助っ人にコンタクトを取った……”彼”が来ればこの戦況も変わるはず」

「そうだ、もう心配ない。イヤーッ!」
 黒い戦闘機を蹴り砕く白い影!
「見参ッ! ガンバレェェエイッ!」
「ガンバレイか! 助っ人ってのは」
「……うむ!」
 ジンライ・フォックスが呼んだのは別な人物だったが、なんかガンバレイの勢いに負けて違うと言えなかった。何だか知らんがとにかくよし!
「俺を呼んだか、ジンライ・フォックス!」
 その直後、古式小銃の銃声を響かせながらフルプレートの騎士がエントリー!
「ドーモ、ジーク=サン。ジンライ・フォックスです。突然の連絡に応えてくれて嬉しいよ、ありがとう」
「ドーモ、ジンライ・フォックス=サン。ジークです」
 戦場でこのような挨拶が突如始まった事を不審に思う猟兵諸君も居るだろう。しかし、古事記に記された正式な作法の挨拶はオブリビオンであっても不可侵であり挨拶中は攻撃をされない。もちろん、攻撃を避ける目的で挨拶をすると言うのは言語道断なのだが。
 挨拶の作法は奥が深いのである。
「お疲れー。情報関係引き継ぐよ」
 ひっそりとエントリーした(前二名が派手に行っただけ)幸村がウルルの肩を叩く。
「助かるわ。ここからは狙撃に専念させてもらうわね」
 ウルルがデータ転送ケーブルを差し出すと、幸村は自分のデバイスに繋いで共有する。
「子機への一時的命令権限も渡すから索敵よろしく」
「頼まれたよー。護衛はよろしくねー!」
「分かったぜ、後衛組は俺が守る。皆は本体を!」
 ウタが『焔摩天』を振り、炎の壁でビームと戦闘機自体を防ぐ。攻勢に出るのは厳しくても守りに徹するのであれば話は別!
『んじゃ、おじさんのターンだ。ここまでの戦闘ログから分かった事が一つ』
 幸村が当たり前の様に猟兵全員の視覚と聴覚にアクセスしてAR表示と音声伝達を行う。
「これは……!」
 索敵情報の共有化。誰かが敵を見えるのならば別の味方もその位置に敵がいる事を理解させる情報共有。ユーベルコードではない、ただの戦闘補助行為。
『情報の伝達は阻害されない』
「助かる! イヤーッ!」
 さっきまで完全な暗闇の中での戦いを強いられていた猟兵達にははっきりと敵の位置が見えるようになる。遠距離からの射撃だけではなく、相手との間合いが重要な近接組も相当戦いやすくなる。
『あくまでも誰かが見ている敵を可視化してるだけ。誰も見ていない敵は見えないから気を付けてねー!』

●Transparent Stream
――暗黒の森上空、突入開始から約二時間後
「空中戦がアリなら空から行くのですよ」
「私もお手伝いするのです」
 ヴィクトリアが再び暗黒の森の上空に戦地を移すと、瞳もそれに追従した。
「ケルベロスファング、シュートです!」
「テンタクルフォース、行くのです!」
 ヴィクトリアが三本爪のフックショットを飛ばし、瞳が金属触手の球状エネルギー体を飛ばす。
「む?」
「おや?」
 と、なると二人とも同じ物を意識している事に気付く。
「”漆黒の雷撃者”装備ですか」
「そういうそちらは”戦嵐捉える信天翁”」
「いえいえ、”伝説を受け継ぐもの”も用意してるのです」
 言いながら次いで召喚したスタンダードフォースで機銃弾をブロックして対空レーザーを撃ち返す。
「二種のフォースを同時制御って凄いのですよ」
「折角だから帰還組で迎えに行こうと思いまして」
「喋りより戦いに集中してくれんかね?」
 『魔女の落涙』をまな板状に成型し、暗黒の森の上空を滑空するグレンに突っ込まれた。
「すまねーのです。なんかこう、色々と被っているので」
「被ってない所を先にはっきりしておいた方がいいかなと」
「確かにそんな気はするが取ってる戦法は全然違うからな?」
 とか何とかやっている内に【CARNAGE WEAPON RAY】で創り出された四つ羽根の戦闘機が三機、高速接近中。
「クリムゾンクローバー、強敵なのです」
「青いのは任せるのです」
「じゃあわたしが赤いのを」
「俺は黄色だな。任せろ!」
 三人が三方向に散開する。しかし相手はそれに付き合う気は無い様子。的が大きいグレンを集中攻撃で落としてからのようだ。
 三機の戦闘機がそれぞれ4機のビットを追従させながら機銃掃射!
「弾幕量えげつないな!?」
 グレンは『魔女の落涙』の切っ先を90度旋回して回避、と見せかけ即座に元の向きに戻すカットバック。そこから更に右手で端を掴んで左手を伸ばしボード事飛びながら後方宙返り! カットバックドロップターン!
「それだけ発射レートの高い機銃弾はな」
 避けながら、伸ばした左腕でそれを掴む!
「紐みたいに見えなくも無いよな!」
 紐に見立てた黄色の四つ羽根戦闘機の放った弾痕! 本来、それを掴んだ所で放った側に干渉する事など不可能。だが、ユーベルコードを使う戦いに置いては話は別! それが出来るユーベルコードならば出来るのだ! 【イマージナリー・びったんびったん】により掴まれて投げ縄めいて捕らえられた黄色の四つ羽根戦闘機が巨人の怪力で振り回される!
 だが、黄色の四つ羽根戦闘機は更に16機のビットを射出! 赤と青の四つ羽根戦闘機からも誘導レーザーと誘導ミサイルが発射される! だが!
「そうは」
「させないのです」
 瞳が誘導レーザーにバリア弾を割り込ませてブロック! ヴィクトリアは【ハウンド・ライトニング】で誘導ミサイルを纏めて迎撃! しかし、ビット射撃は?
「ぐっ!」
 防ぐ者がいない。だが、グレンは対処可能と踏んだ。何故ならば。
「見た目が派手になるほど、実際の威力は伴ってないみたいだなぁッ!」
 巨人の耐久力に任せた力押しである。実際、この三機の攻撃は見た目は一番派手であった。だが、他の特務戦闘機より強いのかと言われればそうはならない筈だ。派手な分、単発の火力は低いと。それは実際その通りであった。
「潰れろ!」
 掴んだ機体を、樹木に叩き付け爆発四散させる! まず一つ。

◆ 一時中断な ◆
 締め切りの分のプレイングを採用していますが、全員纏めて描写するので採用者の出番があったりなかったりしますが後で出ます。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五ヶ谷・グレン
◼️PL心境バVOID兵器、簡単に勝てちゃいけないと言うか。
こうなる未来しか思い付けなかったし一人位必要だと思います!
最初は森から生きてないのに感じる意思見たいのとか訝しんでました、最初は。
アドリブ、からみ、アレ、重症歓迎

◼️各種対応
魔女の落涙(空飛ぶまな板(非物理)で滑空
UCで何かを掴んで引き寄せる反作用で移動。
索敵は敵のUCの繋がりで感知。
攻撃は同じく繋がりを掴んで機体を振り回してぶつける。
もしくは、釜を紐状の毒生八ツ橋で釜フレイル

◼️独白
俺は無理矢理釜から引きずり出してると思ってたが、
実際は釜の中身と、願いを握り込んで一つにしてたんだ。
あ、誰に話してるって?
いや、迷子だろう?迷子は家に?


大門・有人
不採用含め全て歓迎だ。
レイリスには迷宮災厄戦のグリモア猟兵として世話になっている、借りを返すぞ。
そうでなくともVOID兵器などという悪意の存在を許さん。
見参、ガンバレェエイ!

しかし知り合いと言えど攻め手が分からなくては敵の攻撃も分からんな。
ガンバレーダーで索敵するが、UC程の有効性はないだろう。近くに味方がいれば援護射撃を中心に敵の出方を挫く作戦で行く。
敵本体とは直接戦わない。特殊な環境下にはそれ相応の専門家がいるという事だ。
地形を利用して身を隠し、UC使用。猟兵に敵対する相手ではないから、上手く手数を稼いでくれるだろう。見つかったらこっちが危ない。
死んだ所でそれまでだ。奴らも覚悟はしている。


ヴィクトリア・ノウェム
むぅ……しぶといです
おなかがすくけれどそれは後で考えるです
……ここからは、出し惜しみなし、です

『エンジェリックドライブ』《リミッター解除》
さっきと同じく【ハウンド・ライトニング】で牽制しつつ、
『A.F.C.』の溜め撃ちも狙っていくです
下手な攻撃や地形なんか《貫通》してやるです

さっきと同じように回避するつもりなら、軌道を変える事で生じる態勢の崩れに付け込んで、追随型の4つの魔法剣『ミスリルセイバー』を出現させ《追撃》するです

それと……噛み付くだけが『ケルベロスファング』じゃないです
本体でも子機でも障害物でも、喰らい付かせたら思い切り《ぶん回し》て盾にしたり地形に叩きつけたりしてやるです!



●maelstrom
――暗黒の森上空、突入開始から約二時間後
 一機失った四つ羽根の戦闘機達は仕切り直しと距離を取ろうとする。だが、そうはさせない。瞳とヴィクトリアが追跡する。
 索敵情報の共有化によって敵の補足はしやすくなった。だが、暗闇が見えるようになった訳では無い。特に、地上と違って上空は殆ど索敵されていない。暗黒の森の上空はやはり闇で覆われている物の、遮蔽物は何もなかった。そして、ダンジョンの中とは思えない程不自然に広い。
 物理的にあり得ない広さだった。この暗黒の森自体が異空間として独立している、その証明である。
「上空からの脱出は不可能って事ですかね」
 瞳はカメラビットを展開し、上空の索敵を行う。【コールオプション】で創り出されたカメラビットは情報収集に特化したビット兵器であり、ユーベルコードにより作り出された物なので暗黒の森の暗闇の影響を受けにくい。
 そのカメラビットがさらに上空から飛来する4機の戦闘機を捉えた。
「アレは、マズいのです」
 その形状からどんな機体であるかを一瞬で察した瞳は上空へと上がっていく。
「と、なるとこの二機は私が止めなきゃいけねー訳ですね」
 青の四つ羽根機体に加えて、赤の四つ羽根機体。見た目ほどの攻撃力は無い事をグレンが証明したが、当たらないに越した事はない。【ハウンド・ライトニング】を青の四つ羽根機体に向けて放つが既に動きを見切られた様子。後方を取っているにもかかわらず断続的に誘導ミサイルが飛んでくるがこれは【ハウンド・ライトニング】で迎撃できる。
 お互い、決め手に欠ける。千日手のような状況だが時間はかければかける程猟兵側の不利である事は明白。
「むぅ……しぶといです」
 だから、ヴィクトリアも札を一枚切った。
「おなかがすくけれどそれは後で考えるです……ここからは、出し惜しみなし、です」
 推力源と動力源を兼ねる天使核ロケットエンジン『エンジェリックドライブ』の超過駆動。光の翼めいたエネルギー放出跡を空間に刻みながら加速し、距離を詰める。近距離では避けられない事は実証済み。
 だが、四つ羽根戦闘機も状況変化に対応して来る。相手が一人に減った事で、赤の戦闘機が後方に回り込むべく追撃。蒼の戦闘機は相手が加速した事を見越し、急上昇を仕掛ける。
 この暗黒の森にも重力は当然ある。明らかに通常の推進システムを使っていないとは言え、重力と逆方法への急加速は失速の危険性はある。だから、青の戦闘機は唐突に失速した。狙い通りに。
「なっ、木の葉落とし!?」
 それは伝説のマニューバーと言われる木の葉落とし。背後を取られた際に急上昇。意図的に失速を起こす事で相手の目を眩ませて後ろを取り返す戦闘機動。ヴィクトリアも知ってはいたが、この状況、この場面でオブリビオンが取る事を予測していなかった。相対的に急後退してきた相手に反応が遅れ、後ろを取られる。
「それが、どうしたっていうんですか!」
 だが、ここで戦闘機と飛空艇の差が出る。垂直離着陸機に近い飛空艇はそもそも相手の後ろを取る事に固執する必要はない。光の翼で半円を描いて急旋回しながらサイドブースターを全開にして横へスライドするように急加速。その寸前を貫きかけた誘導レーザーが通り抜けていく。
「この瞬間でケチを付けるのです!」
 【ハウンド・ライトニング】を放つ。避けられるのは承知の上。回避機動の先を突き、エル・セプスの携行型魔導砲『A.F.C.』を拡散モードで発射。放たれたエネルギー弾が空中で花を咲かせるように拡散する。この拡散を読み切れず赤の戦闘機は撃ち抜かれて爆散した。
「一つ!」
 だが、フリーになった青の戦闘機から放たれた誘導ミサイルがある。このタイミングでは再度ハウンド・ライトニングを放ち迎撃する事は不可能。ヴィクトリアはそれも承知の上だ。
 グレンのように攻撃を受け切るのか? それも一つの手ではあるが、パイロットとしての矜持がそれを許さない。
 一発当たったら堕ちる。それがルール。
「セイバー、行くのです!」
 追随型の魔法剣『ミスリルセイバー』四本を青の戦闘機の放ったミサイルに放ち相殺。
「アンカーシュートです!」
 青の戦闘機の連れている子機に向って『ケルベロスファング』を放つ。それはこの青の戦闘機のフォーメーションだからこそ打った手だった。
「バイパーフォーメーションなら回避は遅れるのです」
 赤の戦闘機が両サイドに翼状に展開、黄色は前方に盾の様に展開。どちらも4機の子機を連れているのは同じだったが別な陣形を取っていた。青の戦闘機は親機を先頭に蛇の様に連なるバイパーフォーメーション。通った道を追従するように子機が追うフォーメーションは子機その物を狙われたら回避が遅れるのは当然。
 ヴィクトリアはそれを見越して青を仕留める宣言をしていた。最後尾の子機を貫いた『ケルベロスファング』は串刺しにするように次々と子機を貫いていく。
「シューティングゲームのオプションは無敵だけど、お前はそうじゃねーのです」
 それは遂には親機まで到達。
「ようやく捕まえたのですよ」
 機械の魔獣の顎となった『ケルベロスファング』を引き戻し、ヴィクトリアはその場でぐるぐると旋回する。逃れようとスラスターを吹かし、機銃を撃つ戦闘機だが最早苦し紛れだ! 殺戮螺旋観覧車めいたジャイアントスイングから今更援護に駆け付けた黒の戦闘機群に向けて投げ放つ!
 青の四つ羽根戦闘機は黒の戦闘機も巻き込んで爆散した。

●CATHARSIS
――暗黒の森上空、突入開始から約二時間後
 更なる上空へと昇った瞳が補足したのは、やはりと言うべきか思い通りの相手だった。
「クリムゾンクローバーは囮? いや、こっちは保険かもですね」
 三つの機首を持っているかのような特徴的な形状の戦闘機。星を砕くモノ。
「12機編成でRAYの単語を出す以上、コイツらが居ない訳が無いのです」
 上昇して来る瞳に対して4機の特務戦闘機は誘導レーザーを放つ。瞳はフルチャージしたバリア弾を放ってこれを迎撃。しかし。
「威力が全然違うのですよ!」
 四つ羽根の戦闘機も見た目は似たようなレーザーを撃ってきたがこっちは一撃の重さが違う。
「最低でも同高度まで持ち込まないと勝負にもならないのです!」
 上への攻撃手段はない筈なので上が取れればなおいいが、簡単に取らせてはくれまい。
「いくのです、テンタクルフォース!」
 こちらは上に攻撃できない理由はない。まずはテンタクルフォースを送り出し、攻撃させる。それで出来た隙を突く。
 そのつもりだった。しかし、青の特務戦闘機が放った稲妻がその考えを打ち消した。即座に追加のバリア弾を撃つ。チャージする時間が無い分小出しにして撃ち続ける。
 放たれた稲妻は獰猛な蛇めいて次々と放たれるバリア弾に食い付いていく。
(発射後に標的を変えられる追尾レーザーって敵に回すと厄介すぎなのですよ!)
 更に飛んでくる16本のレーザーをギリギリまで引き付けてから全力で横に飛び回避。
「こっちを避けるコツはもう掴んだのでひゃあ!」
 まだあるぞ、とばかりに機首部分を切り離し、直進レーザーを発射。しかも休む間もなく連続で発射される。
「4機同時はちょっとキツかったのですよ!」
 とは言え、ここは主戦場のはるか上空。もう援護は期待できない。
 防戦一方になりながらもなんとか避け、バリア弾を使い防ぐ。少なくとも下にいる仲間をはるか上空から狙い撃ちされる心配はなくなったが、ここで排除できなければ意味がない。
 だから、倒す為の状況を整える為に防戦一方の振りをした。し続けた。4機の戦闘機は散開せずに瞳を仕留めるつもりだ。瞳はその周囲を、あたかも何も打つ手が無いように振舞いながらバリア弾を撒いて旋回し続けた。
「これで」
 そして、反撃の一手を投じる。
「終わりなのです!」
 スタンダートフォースから放たれる青いレーザー。それは追尾するでも誘導するでもなく、弾速も早くはない。
 それでいい。何の問題も無い。
「反射角の計算、大変だったのですよ」
 続けて青のレーザーを撃つ。撃ち続ける。スタンダートフォースから三方向に向けて放たれる青のレーザー。それは、中空の何もない所で突然角度を変えた。
 バリア弾、カメラビット、テンタクルフォース。その全てを障害物として使い、反射する反射レーザー。
「シューティングは狙って撃つ物です」
 誘導レーザーは狙いが正確だ。だから避けられる。だがこの反射レーザーは? 正確に相手を狙う訳では無く、この視界の悪い中で何かに当たって反射して来る。それを続け様に撃たれたらどうなるか。
 作られた檻の中をすべて破壊するまで止まらない反射レーザーの結界。4機の特務戦闘機は遂には避け切れなくなり爆散した。
「な、何とかなったのです……」

◆ 一時中断な ◆
 締め切りの分のプレイングを採用していますが、もちろんまだまだ続きます。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●Surfacing: Unknown Underground Ruins
――暗黒の森上空、突入開始から約二時間後
 深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ。
 幸村は【幸村的時空門の創造】(パラレル・ドッペルゲンガー)で5分後の自分を召喚できる。5分後の自分が更に使えば10分後、15分後、20分後とどこまでも未来に起きる可能性を知る事が出来る。
 索敵情報に頼らない未来予知による情報収集。本来ならばかなり強力な情報収集手段だが、今回はそれが仇になった。
「ウタ君! アレ全部焼いて!」
「いきなりどうし……うわ、何だそれ!」
「5分後のおじさんだったモノ!」
 ウタは即座にそれを焼き払い事無きを得た。
「助かったー」
「敵を増やさないでくれよ。どうしてこんな事に?」
「んー、ちと原因調査するわ」

 VOIDは有機物、無機物を問わず、時間や空間ですら侵食する事が出来る。だが、少なくとも後続組の幸村が汚染されるのは5分後と言う事はあり得ない筈だ。なのに、結果として5分後の幸村は一人残らず汚染され切っていた。
 これは幸村が5分後に汚染されるという意味ではない筈だ。焼き払われた自分の残骸から何枚もの防壁を挟んで情報を抜き出す。
「なるほど、完全に汚染が進むまで未来へ進んじゃうとアウトなんだ」
 VOID汚染は自覚症状が無い。他人が見れば一発で分かる程異形化が進み切っていてもそれを自分自身と何の違和感もなく受け取ってしまう。何よりどちらも幸村であると言う事がこの場合何より不味かった。未来で受けた汚染が現在に向って戻る度にどんどん濃縮されていき、5分後まで戻った時には完全なVOID汚染体と成り果ててしまっていたのだ。
 5分後に死亡しているならば召喚出来ない。負傷していてもどうやって負傷したかは分かる。だが、一切の自覚がないままに汚染体と接触してしまったら? その結果がこれだ。
「未来から呼べば呼ぶほど不利になるって訳か……」
 本来【幸村的時空門の創造】は93体の5分後の自分を呼び出す事が出来る。93通りの未来を知る事が出来る。だが、93人居れば汚染も93倍早く進んでしまう。呼び出したモノが完全に汚染され切っていたから判別できたが、もし重度に汚染が進行した状態で見た目の変化がまだ起きていなかったら完全にアウトだった。
「さて、どうしようかなー……」
 となれば、汚染が軽度な内に引き上げさせればいいのだが、それでも呼び出した分一人だけ汚染が進行してしまう事に違いはない。VOIDとの相性があまりに悪過ぎる。
「多分、この場は凌げると思うんだよねー」
 まだ奥に『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』が控えている状態で重度のリスクは犯すべきではない。そう判断した幸村は30分後の情報までを一人に絞って受け取るに止めた。
「うん、やっぱりこの場は勝てるね」
 敵が現れるタイミングを味方猟兵に共有していく。布陣としては盤石。だが、今は何の違和感もない事が逆に恐ろしかった。

●価値の無い生き物
「しかし本当に暗いな」
 ジーク、ジンライ・フォックス、ガンバレイの三人は暗黒の森を本体に向けて直走っていた。
「肉眼じゃ殆ど何も見えない」
「ガンバレーダーでも余り見えないな」
「イヤーッ!」
 右から迫り来る黒の戦闘機の一団をジンライ・フォックスは木の上から投擲したクナイ・ダートで撃墜。左をガンバレイの『回転弾倉式大型拳銃』で、前方の待ち伏せにはジークの古式小銃『鉛の銃』で対処する。
「来る位置とタイミングが分かっていれば単なる的当てゲームだがな」
 幸村から送られてくる索敵情報だ。ウルルが広域に渡ってカバーしている索敵情報を統合し、未来予知も加えたその情報精度は極めて高い。だから、このタイミングで残る特務戦闘機が仕掛けて来るのも分かっていた。
「来るぞ、厄介なのが三体」
「一人一体、一番最初に倒した奴がそのまま本体を仕留める」
「承知した。イヤーッ!」
 予知の精度はこの戦いの勝ち方まで完全に当てる事が可能だった。ここが暗黒の森でなければ。

●Visitor
「何だコイツは、機械仕掛けの……なんだあれ? 人形?」
 ジークが相対したのは白を基調に青が入る少し複雑な形状をした機体。鳥と呼ぶには翼が短く、左右に騎兵槍を携えたかのような形状をしている。
「よく分からないけど、飛ぶなら鉛の銃で撃ち落とす!」
 古式小銃『鉛の銃』をその移動先へとむけて放つ。当たり前の様にローリングでこれを回避すると、無数の誘導レーザーを撃ち返してくる。ジークは『竜眼の盾』でこれをしっかりと防ぐ。大した攻撃ではない。だが、戦闘機はそのまま真っ直ぐこちらに向ってきた。僅かな違和感を覚えたジークは下手に迎え撃たずに盾をしっかりと構える。
 直後、戦闘機の携える槍が光り輝き二刀の光剣となって斬りかかって来た。
「コイツは接近戦もするのか」
 居合斬りめいた光剣のクロス斬撃に盾を押し出して受け流そうとする。そのまま盾の打撃に繋げても良かった。だが、戦闘機は居合斬りが入らないと見ると即座に踵を返して誘導レーザーを乱れ撃ちながら距離を取る。
「厄介な戦い方をする」
 あの居合斬りは防げなければフルプレートメイルとて両断されてしまうだろう。宛ら空飛ぶ暗殺者か。
「簡単には倒せないなら、物量戦法だ。来たれ! 竜の牙を退け、竜の息吹を払いし大いなる守護の軍勢よ! 我と共に、悪しき竜の侵攻を押し止めよ!!」
 ジークの『竜眼の盾』が魔法の光で輝き、複製の盾が産まれる。生きた盾めいて宙を浮かぶ盾はジークの念じた通りに動き、誘導レーザーを弾き飛ばしていく。【竜盾の軍勢】(ドラゴニック・レギオン)だ。
 宙を飛ぶ盾が戦闘機を追跡して追い立てる。だが、戦闘機は接近する盾に居合斬りを叩き込み、両断する。両断された複製盾は消滅。
「あの光剣、複製とは言え『竜眼の盾』を斬れるのか」
 やはり厄介だ。このままでは追い詰めきれない。もう一手が必要だ。
「なら是非も無い。来たれ! 竜の一撃を受け止めし鉄壁の軍勢よ! 我と共に、集いて竜の進撃を弾き返せ!」
 ジークは更に【巨竜退ける砦盾】(フォートレス・アイアス)を発動させる。”Ⅹ”と刻印された巨大なタワーシールドが召喚され、戦闘機の行く手を阻む! 再び光剣の居合斬りで切断を試みたが、今度は一撃では斬れない! 切断を諦め、踵を返すと先端にエネルギーが収束される。
 バスターランチャー。この機体最大の威力を持つ貫く光砲。それをジーク目掛けて一直線に放つ!
「騎兵突撃を受け切れなければ重装歩兵の名折れだ!」
 だが、ジークはこの攻撃を読み、砦盾を三枚自身の前方に展開しそれを防ぐ! 二枚は貫通されたが、最後の一枚は耐え切る!
「好きに逃げたつもりだろうが」
 そしてジークは『鉛の銃』を撃った。複製された『竜眼の盾』へと! 盾に弾かれた銃弾が飛び、別な盾に当たって飛ぶ。盾に当たる度に勢いが減る所か更に加速し、バスターランチャーの反動で大きく機動性を減らしていた戦闘機を一撃で貫き、爆散させた!
「人形に負ける気は無い」
御宮司・幸村
先ず学生、猟兵諸君がユベコや事前調査で得た情報をメモリにぶち込み状況の精査をした上で行動開始

パラレルドッペルゲンガーで5分後のおじさんを
更にその5分後のおじさんが使うことで理論上は何時間でも何年でもイケるけど
まぁ、舐めプにならない程度適当に

これにより索敵と奇襲対策の両立を可能に
解ってる奇襲なんて怖くないしねー!

ついでにパラレルおじさんが得た敵や地形の情報はその場でデータベース化して猟兵に共有
ジャミングで出来なかったらパラレルおじさんを口頭説明で直接向かわせるよー!

おじさんは支援特化だからオリジナルがやられなきゃ良いし回避に専念

戦闘は戦闘向けの猟兵さんに任せて
おじさんはお先にドロンしちゃうねー



●高貴なる鷹
――暗黒の森上空、突入開始から約二時間後
「俺の相手はお前と言う訳か」
 特務戦闘機の一機。青をメインカラーとした機体だが、妙な威圧感を感じる。酷く曰く付きの機体である事は確かだ。もっとも、ユーベルコードで作られた存在がそこまで再現しているかは疑問だが。
「まずは様子見と行こう」
 片手で構えた『回転弾倉式散弾銃』を撃つ。やはりこの相手も耐久力は低いのだろう。だが、この戦闘機は避けも受けもしなかった。猟兵第六感で咄嗟に横に飛ぶ。
 放たれた銃弾を消し飛ばし、空間ごと貫く様な轟音。一直線上に全てを消し去るレーザーが放たれた。
「コイツ、単独でさっきの狙撃と同じ武器を!?」
 とは言え、威力は明らかに劣っている。それでも絶対に直撃はしたくない攻撃だった。だが、あの手の攻撃は一発撃てば、と思っていたら即座にもう一発飛んで来て連続側転で回避する羽目になる。
「貯め時間も無しにあんなの連発できるとか反則だろ!」
 さっきの狙撃ほどの威力は無かったので樹木を完全に貫通はしない。遮蔽を取れば一旦は安全になる。
 と、言うのは完全に相手の思惑通りだった。一瞬の捜査光が走り、16本の誘導電撃が放たれた。
「ちぃッ!」
 幹を蹴り、誘導電撃を回避すると再び青の戦闘機が正面を向き、装甲の一部を展開している。
「隙が無ぇッ!」
 連続側転でそれを回避し、再び遮蔽を取る。
「仕方ねぇ、本体まで取っておきたかったが」
 緊急時用極秘通信回線を繋ぐ。
「特殊な環境下にはそれ相応の専門家がいるという事だ」
「さぁ! 新鮮な草を摘む時間だ!」
 ユーベルコードにより作られた特殊転送ゲートから全身を異形の強化外骨格で覆った特殊部隊が四名現れた! 通常、世界を移動するにはグリモアベースを経由しなければならない筈だが、そう言う事が出来るユーベルコードならそのプロセスを省略してその場に呼び出せるのだ。
「目標確認、各員攻撃準備。我々が行うのは撃退ではなく殲滅である。全てのUDC及び敵対行動者を排除せよ!」
「ウサギが草を食べに来た……」「噛じれ……喰らえ……」「すこしは楽しめそうだ……」
 【対UDC用排撃系強化外骨格装着部隊】(ユーツー・エスレム・ユニット)で呼び出された専門家達は特注品のアサルトライフルで戦闘機を攻撃する。
 数が多い、そう判断した戦闘機は誘導電撃を発射。強化外骨格が電撃を弾く。完全に無効化できる訳では無いがかなりダメージを減らしているようだ。怯まずに射撃を続ける。
 射撃を避けながら戦闘機が装甲を展開する。空間ごと貫く”雷刀”の予備動作。強化外骨格装着部隊はそれを避けるでもなくただ只管に撃ち続けた。放たれる光、貫く轟音。一人が強化外骨格ごと貫かれて、体積の三割を削り取られて死んだ。
「武器だけは良さそうだ……」「いい武器だ……褒めてやる……」
 その時には既に積んでいた。”雷刀”を撃つ時は極端に機動性が低下する。先行して潜んでいた別動隊が側面からコンバットショットガンを浴びせた。数発は何かしらのシールドで防がれたが、フルオートで放たれる散弾の嵐にシールドを貫かれて爆散した。
「さて、任務は終わってないよ。ふざけた事しやがったガンバレイがその辺に居る筈だ、探せ!」
 どういう理由かは知らないが、強化外骨格装着部隊は召喚者のガンバレイも敵視している。他の猟兵を狙う事は本来ない筈だが。こうなる事を知っているガンバレイは呼び出した直後から暗黒の森の中に逃げ込んで身を潜めていた。

●Final Hour
――暗黒の森上空、突入開始から約二時間後
「ようやく、か」
 ジンライ・フォックスは遂に本体の位置へと到達した。即ち、『レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット』の元へと。
「イヤーッ!」
 樹の上からヤリめいたサイドキックを放つ。レイリスはひらり、と軽やかな羽根を思わせる動きでこれを回避。
 ここですかさず、ジンライ・フォックスは先手を打ってお辞儀した。
「ドーモ、ジンライ・フォックスです」
「ドオ モジ ンラ イフ オツ クス サン レイ リス ミイ リヴ アア レア キラ スカ アレ ツト デス」
 レイリスはこの挨拶に応じた。その言葉は不明瞭で歪。だが、先に見た重度の汚染者と違って見た目の上ではオラトリオの姿であった。その、奇妙に輝く琥珀色の瞳を除けば。
「ココ マデ トウ タツ サレ ルト ハフ カク ダツ タガ」
 挨拶成立から0.5秒。レイリスは左手で三本の鉤爪付きの球体を投げ付ける。ジンライ・フォックスは側転し回避。
 ブロックするのは簡単だったが、この相手の攻撃は何一つ受けてはならないと猟兵第六感が告げている。多少大げさでも大きく回避しなければ危険。
「ライ ゲキ」
 レイリスが手にした二股の雷杖から16本の誘導電撃を放つ。
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスは連続側転でこれを回避。木の幹を蹴り、トライアングルリープで再び槍めいたサイドキックを放つ!
 その蹴りの軌道に何かが割り込んだ。再び、猟兵第六感が告げる。この相手に攻撃してはならないと。
「イィ……ヤァーッ!」
 空中で蹴り脚を戻し、逆の足で最小限の衝撃で蹴り離れる。
「ヌゥー……!」
 後転して着地の隙を消す。左足に違和感。まるで、蹴った勢いそのままに蹴り返されたかのようだ。
「イヤーッ!」
 蹴りに割り込んだ六枚の光の翼を持つ光球に向け、クナイ・ダートを投じる。だが、投じたクナイ・ダートはそのままの勢いでジンライ・フォックスに向けて帰って来た。
「やはりか」
 こうなる事を予測していたジンライ・フォックスは二本指でクナイ・ダートを摘まむ。
 仕掛けた攻撃をそっくりそのまま反射される。ユーベルコードには無い13番目の機体の能力。だが、光球が一瞬輝きを消すと、摘まんで止めた筈のクナイ・ダートが動く!
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスはギリギリでブリッジ回避。異常発光したクナイ・ダートはジンライ・フォックスの背後の幹へと深々と刺さっていた。
「弾くだけではない。受けた攻撃を、強化するのか」
 ならば先に蹴った左脚は? 何かに操られるような気配はない。格闘攻撃には効果が無いのだろう。
「ココ マデ キタ コト ハホ メヨ ウカ」
 暗黒の森に蠢く無数の影!
「ダガ ムボ ウダ ツタ ナシ ヌガ ヨイ」
 黒の戦闘機が上下左右からビーム砲を放つ!
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスは連続側転で回避しながら黒の戦闘機にクナイ・ダートを投げ返し撃墜していく。だが、投じたクナイ・ダートに割り込む光球! クナイ・ダートが異常発光し、ジンライ・フォックスに襲い掛かる!
「イヤーッ!」
 【疾雷】(シツライ)で自身をほぼ黒雷化しこれを回避。だが、逃しはしないと16本の誘導電撃が迫る!
「分かって、来たぞ」
 ジンライ・フォックスはカラテを構えた!
「イヤーッ!」
 ミニマルな木人拳めいた短距離打撃で誘導電撃を決断的に弾いた! それに続く轟音放つ破壊光線は側転し回避!
 そして、クナイ・ダートを光球に向けて投じる!
「イヤーッ!」
 光球は当然それをジンライ・フォックスへ向けて弾き返す。だが、ジンライ・フォックスは決断的であった。帰って来るクナイ・ダートをショウジ一枚分の隙間で除け、光球にショートジャブを返す!
「イヤーッ!」
 否! 命中の寸前で握り手を開き、光球を掴み取った! 掌を僅かに黒雷化し、光球の熱に耐えながら地面に叩き付ける!
「イヤーッ!」
 それを踏み付け、動きを封じた!
「分かっているぞ。お前が反射した物を動かすにはそのバリアを一瞬解除する必要がある」
「ソレ デフ オト ンブ ラス タア ヲム コウ カシ タカ」
 だが、それでは。
「ソレ デハ オマ エハ ウゴ ケン ナア」
 攻撃が、回避出来ない。
「そうだな。だが問題無い」
 ジンライ・フォックスは挑発的キツネサインを突き付けた。
「お前の負けだ」
 とん、と。何かがレイリスの頭を貫いた。

「一発で十分なのよ」
 伏せていたウルルが、遥か彼方の狙撃対象の頭を撃ち抜いた。直接の射線が通らずとも、幹を、盾を、敵も味方も利用して跳弾し、正確無比に頭を撃ち抜いた。
「ヲヤスミ、ケダモノさん!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』

POW   :    不滅進化~超魔王には同じ手は通じない~
【受けた攻撃の属性に耐性を持つドレス姿】に変身する。変身の度に自身の【攻撃に付与される属性】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD   :    運命逆転~弱者は超魔王に抗う事すらできない~
【運命操作の魔力】を解放し、戦場の敵全員の【プレイングボーナス】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    創世魔術~超魔王の意に従い世界は作り変えられる~
【ダンジョンメーカーの光】を降らせる事で、戦場全体が【敵の最も苦手な物で埋め尽くされた戦場】と同じ環境に変化する。[敵の最も苦手な物で埋め尽くされた戦場]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●The End of Reflection
――暗黒の森上空、突入開始から約二時間半
 『レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット』が倒れると、彼女が使役していた戦闘機の全てが力を失い、消滅した。
「えらく手古摺らせてきたかと思ったら最後はあっけなかったな」
 猟兵達は一度全員で合流した。まだ『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』が残っているとは言え、即座に仕掛けてくる様子はなかった。
「ヴァルサリッサの位置はもう掴んでるから」
 ウルルが事も無げに言った。この森をこれ以上うろうろする必要はないと。さっさとヴァルサリッサを倒し、ダンジョンメーカーを取り戻すべし。
「俺は無理矢理釜から引きずり出してると思ってたが、実際は釜の中身と、願いを握り込んで一つにしてたんだ」
 グレンが、言った。
「グレン? 誰と話してるんだ?」
「いや、迷子だろう? 迷子は家に?」
「迷子? 何の話ですか?」
「うん? いや、すまん。なんだっけ?」
 グレンの様子がおかしい。
「それにしてもこの森にも夜明けは来るんだな。見ろよ、太陽が昇りかけてるぜ」
 他の誰にもその太陽は見えなかった。グレンの瞳の奥には僅かに琥珀色の輝きがある。
「どういう事ですか!? 先行組じゃなくてどうしてグレンだけ汚染が進んで……」
「……傷口から、汚染が進んだのかもです」
 瞳が状況を分析してそう言った。グレンはその巨体を生かし、力押しで黄色の四つ羽根戦闘機を破った。その際、機銃掃射をその身で受けていた。傷は浅い。既に治療もしている。目に見えるダメージは無い。
「兄弟子=サン。どう思う?」
「ああ、俺にも太陽が見えて来たぜ」
「不味いわね。私も何だか明るくなってきた気がするわ」
「やっぱり、時間経過もマズいのです……」
 先に突入した四人。ジンライ・フォックス、ウタ、ウルル、ヴィクトリアにもその兆候は僅かに現れ始めていた。
 これ以上この森に居るのは危険だ。だが、退路は後ろには無い。猟兵達はこれから前に進んで『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』を討ち取る事でしかこの森から生還する道は無いのだ。
 戦え。
 戦うのだ。
 敵を全て滅ぼすのだ。

●VOID
「バン ケン ヲタ オシ タカ ダガ コノ チヨ ウマ オウ ヴア ルサ リツ サア フト ラト ラス ニカ ナウ ハズ モナ イナ」
 『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』は琥珀色の瞳を輝かせて楽し気に嗤った。
「ハヤ クコ イリ ヨウ ヘイ オマ エタ チモ コノ モリ ニモ マレ ルマ エニ」


◆ 状況変化な ◆
 第2章は最深部で待つ『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』との戦いになります。非常に強力なオブリビオンなのでユーベルコードに対する対策が必要です。
 特に【運命逆転~弱者は超魔王に抗う事すらできない~】は極めて厄介なユーベルコードなのでこれを攻略せずに勝つ事はできません。
 プレイングボーナスは『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』のユーベルコードを攻略する事です。
 第2章は8/19(木)9時から受け付け開始します。
御宮司・幸村
まずは相手のUCを観察
恐らく敵のUCは賭け狂いの応用と判断

奪った総量に応じた幸運が付与される…
逆転の発想!
奪った分がマイナスだとしたらどうだろ?
アンデッドに吸血とかすると逆にこちらがダメージって言うのがゲームでは定石

そして奪う対象はズバリ「行動指針」と見た!
つまり評価のマイナスになる行動指針を打ち出せば良いんだねー
ただ他の人への妨害はアレだから
おじさんは終わるまで寝てるねー

《UC発動と同時にプレイングの放棄》
以降PC「御宮司・幸村」はMSの操作へ譲渡し
操られるがまま適切な活性化UC/技能を使い対象と戦闘を行います
無意識状態は一切の感覚はなく、どちらかが倒れるまで継続し
決着が着いた時解除されます


ヴィクトリア・ノウェム
……お腹すくのが予想より早いです……それになんだか「ゲテモノですらない到底食べられそうもないし相手するのも面倒な物」が増えてないです?うへえ、です……

極力、遠距離からA.F.C.やファング撃ち込み→ぶん回しとかで消費を抑え最低限の道を作りつつこの嫌な森を抜けるです

敵はいたけど正直限界近い、です
でも、借金返して、ばか両親に一言文句言ってやるまで
こんなとこで斃れてらんない、です

(機体出力異常活性、UC)

そう、です。汚染が。死が。運命が

(“ヴィクトリア”の名の下に)

私達を阻むというのなら

(彼らを阻む、全ての死と苦難、病と異常とを打ち払い)

全部ぶっ壊して、越えていってやるだけです…!!

(―――勝利を)


夜乃・瞳
魔力というエネルギーを媒体に力を行使しているなら、そのエネルギーにこちらも巨大なエネルギーをぶつけて相殺し、ユーベルコードの無効化を狙うのです。波動砲、発射なのです

まずいのです。想定よりもVOIDの浸食が早いのです
機体がまともに動かないのです

何ですか、『夏の夕暮れ』ってプログラムが勝手に起動してシステムを書き換えているのです

よくわからないけど、武装周りのシステムや名称が全部書き換わったのです
でも、機体が動くのです。これなら戦えるのですよ

なんか、波動砲がハート形になったり機体からツタが伸びたりするのです
よくわからないけど、速攻で戦闘を終わらせてこの機体を即刻破棄しなくちゃいけない気がするのです


ジーク・エヴァン
【きつねさんチーム】

まずいな…
時間経過だけじゃなくて攻撃を受けても侵食が進むのか
敵も一筋縄じゃいかないだろう

ジンライ・フォックス!?ウカツだ!

ウタさん、多重詠唱結界術で貴方を守る
攻撃や苦手なものを結界で遠ざけるから構わず進んでくれ

ジンライ・フォックスが復活した!
よし、彼女と兄弟子のために敵の周囲に取り囲むように多重詠唱した無数の結界の足場を形成
組手に使ってくれ!

お前の運命を操作する力も分かった
だがお前が歪めた運命も、真の太陽の光の前では正される!
【天空竜の神眼盾】発動!

ここからは、俺達の物語だ!

鉄馬、俺を奴の元に…!
せめて角砕きの一太刀を浴びせてやる!
(騎乗突撃、推力移動、重量攻撃、限界突破)


叢雲・凪
【キツネさんチーム】

「ドーモ ヴァルサリッサ=サン ジンライ・フォックスです」
「時間をかけれない…か 最速で挑ませてもらう…」(リミッター解除+ダッシュ+残像を用いた踏み込み!)

しかし…

「なに!?」

ウカツ! 最速の動きが運命操作によって仇になるとは…


爆発四散しかける中で見えるソーマト・リコール

「ボクはここで終わるのか… ハイクを…」

夜見ノ雷狐を自動発動

「あ… 兄弟子…さん?」

「ありがとう 兄弟子さん… 昔のように… 」
(挟撃する形で亜音速の組手を兄弟子さんと行う! 組手に巻き込む形で【意識外のカラテを行う】のだ!)

「叢雲流 究極奥義! 弐極双雷トビ・ゲリ!」(兄弟子さんとの同時トビゲリ!)  



●たった一つの冴えたやり方
 御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』のユーベルコード、特に【運命逆転~弱者は超魔王に抗う事すらできない~】をよく観察した。ウルルの”目”も借りてよーく観察した。
「奪った総量に応じた幸運が付与される……逆転の発想! 奪った分がマイナスだとしたらどうだろ? アンデッドに吸血とかすると逆にこちらがダメージって言うのがゲームでは定石」
 アンデットに回復魔法を使うとダメージを与えられるいう表現は原初のロールプレイングゲームであるダンジョン&ドラゴンズから存在する概念だ。ちなみに、逆にアンデットを回復して生者にダメージを与える回復呪文も存在する。
「そして奪う対象はズバリ「行動指針」と見た!」
 【運命逆転~弱者は超魔王に抗う事すらできない~】は戦場の敵全員の『プレイングボーナス』を奪うというあまりに荒唐無稽なユーベルコードだ。これに対処しようとすると手段は二つしかない。
 一つは全くプレイングボーナスを得ないで戦う事。一見難しいようでやろうと思えば出来なくはない。どんな相手でもどんな状況でもそれに構わずに己のやりたい事だけを打ち出せばいい。だが、相手を見ずに勝てる戦い方などあり得るだろうか。
「つまり評価のマイナスになる行動指針を打ち出せば良いんだねー。ただ他の人への妨害はアレだから、おじさんは終わるまで寝てるねー」
 もう一つは、根本的に”何もしない”事。これなら何も吸い取る物は無い。幸村はこちらを選んだ。だが、当たり前だが何もしなければオブリビオンを倒す事は出来ない。
 だが、何もしなくてもオブリビオンを倒せるユーベルコードが存在するとしたら? 幸村はそれを持っている!
 【Metafiction †Ambivalent†】(シンジツハキョコウ)自身の意識を手離す事で、天からの意志に全てを委ねるユーベルコード。これならばヴァルサリッサが吸い取れるものは何もない。
 ……それにしても、幹部猟書家とは言えとんでもないユーベルコードを持ち込んだ物である。それに対してこうも完璧にハマるユーベルコードを持っている猟兵も猟兵なんだが。

●苦手な物はなんでしょう
「……お腹すくのが予想より早いです……それになんだか”ゲテモノですらない到底食べられそうもないし相手するのも面倒な物”が増えてないです?うへえ、です……」
 ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)が悪態をつくのは無理も無い。暗黒の森の様子はヴァルサリッサに近付くにつれて様変わりしていった。
 暗黒の森の中ではあるのだろうが、気が付くと巨大な工場のような場所に出ていた。【創世魔術~超魔王の意に従い世界は作り変えられる~】の効果だろう。室内になったので空は無いが、結構な広さがあり空中戦も出来る、と言うか空中戦を想定した作りに見える。時折歯車の様な形状の機械や空中を飛ぶ戦車が襲い掛かって来る。歯車の様な機械は攻撃を加えると凄い勢いで突っ込んでくるので【ハウンド・ライトニング】で冷静に対処。硬い空中戦車には『A.F.C.』の貯め撃ちと【ケルベロスバイト】で落ち着いて対処。
 しかし、この地形唐突に床や壁が動く。動く壁は電動鋸のような物で覆われていて、電流まで流れている。今までの様な森では無いので壁抜きは中々困難だ。パーティが分断されそうになった事もあるが、ウルルと幸村の適切なナビゲーションによってそれも回避。倒すべき相手は一人。戦力の分散は意味がない。
「この地形って、完全にアレですよね」
 夜乃・瞳(ミレナリィドールのスターライダー・f01213)はヴァルサリッサが何を作り出したのか見当が付いた様子。
「うん、どう見ても”資源採掘場”なのです……」
「資源採掘場? オブリビオンが何の資源を採掘してるんだ?」
「そういう訳では無いのです」
 五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)はその巨体故にこの動く壁鋸に苦戦していた。
「俺な、巨人でもかなりでかくて重い方だからな。普通に歩くだけでも踏み抜いたりするんだよ。だから、俺の嫌な物がこの場所だと思ったんだが」
「それも一因だとは思うのです」
「私達にとってはこの地形自体それほど厄介でも無いですし」
 そう、この地形で困るのは殆どグレン一人だけだ。今の所は。
「ヴァルサリッサがアレを模しているならこの先に待っているのは」
「アレ、ですよねぇ……」
 もちろん、二人の予想は的中する事になる。

●超魔王高速機動戦車ヴァルサリッサ・アフトクラトラス・ライオス
「よく来たな、猟兵達よ。私が、ヴァルサリッサ・アフトクラトラスだ」
 猟兵達はその最奥部へとたどり着いた。即ち、『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』とダンジョンメーカーのある場所へと。
「ああ、一応突っ込んでやるのです……ソレは何の冗談なのです?」
「お前達の目的はダンジョンメーカーだろう? ならば、ダンジョンメーカーその物を戦えるようにした方が都合がいい」
「そこじゃないのです! なんで、そんなバカデカい戦車の上に乗ってるんだって話ですよ! しかも、全速力で後退しそうな奴に!」
「フハハハハ! 私がどれだけ逃げようと、お前達は私を追うしかない! そうだろう?」
 そう言い残し、ヴァルサリッサが乗った戦車は全速力で後退し始めた!
「やっぱりコレ私達の一番嫌な奴じゃないですか!」
「DLCで馬鹿みたいに強くなって帰って来たアイツなのです!」
「ここで逃がす訳にはいかねぇ!」
 グレンは一足飛びに接近し、戦車に掴みかかろうとする! しかし、目の前に突如出現した壁に阻まれる!
「ぐわッ! どういう事だ?」
 ヴァルサリッサはまるで壁など無いように後退し続けている。だが、グレンは壁に阻まれ迂回を余儀無くされている。半数はただの分厚い金属製の壁だが、半数は表面を電動鋸の様な物で覆われた殺意の壁。
「まずはパターンを覚えるのです。大丈夫、奴は必ず一定周期で地形を生成するのです」
「サイバーコネクトシステム《天使の棺》接続なのです」
 ヴィクトリアは『エル・セプス』の飛空艇形態で、瞳は【天使の棺】(エンジェルパック)で呼び出した異相次元機動兵器に乗り、壁を躱しながらヴァルサリッサを追跡し始めた。
「フハハハハ! 超魔王に後退は無いのだ!」
 と、全速力で後退しながら5WAYビーム砲を放つヴァルサリッサ。
 ヴィクトリアと瞳が迫り来る壁を避けた先に的確に置きにいくビーム。殺意が高い。だが、寸前の所でこれを回避。
「待ちやがるのです! それ、正面はこっち側なのバレバレなのです!」
「後退は無い所か後退しかしてないのです!」
 ヴィクトリアが【ケルベロスバイト】を放って捕まえようとするも壁に妨害されて届かず。瞳のテンタクルフォースもやはり壁に阻まれる。
「お前絶対許さないのです! 大体のフォースが役に立たないのです!」
「地形接触で死ななくなったから弱体化したかと思ったら平然と当たったら死ぬ壁出してくるとかふざけんなです!」
 射線が通るタイミングで『A.F.C.』を叩き込む。コアに命中はしてもあまりダメージは受けていない様子。

●夏の夕暮れ
 瞳は激怒した。必ずかの超魔王を除かなければならぬと決意した。そして、機体がその意思に答えた。
 答えてしまった。
『クロス・ザ・ルビコン 承認認識 系列解放 ―夏の夕暮れ―』
「な、何ですか、機体が勝手に動くのですよ!?」
 コクピット内部にピンク色の液体が満ちていく。その液体に触れた瞬間、機体の全てが己の手足の様に機敏に反応するのを感じた。
「何だかよく分からないけど、武装周り、いえ、機体のシステム全部が書き換わったのです」
 さっきまであんなにうっとおしかった壁が簡単に避けられる。ビームもミサイルも止まって見える。
「これなら簡単に勝てるのです」
 瞳は波動エネルギーを収束し、解き放った。
「フリント地獄突きなのです!」
 波動エネルギーによって急速成長した植物の蔦が、ヴァルサリッサの戦車を貫いた。
「何ぃ!?」
 蔦から花が咲き乱れる。
「簡単なのです死ぬのですよ」

●勝利を齎す者
「カン タン ナノ デス シヌ ノデ スヨ」
 ヴィクトリアはその瞬間を見ていた。瞳の機体が完全に飲まれて、化け物へと転じる所を。
「それは、その川を越えるのは」
 だからヴィクトリアは切り札を使った。
「駄目なのですッ!」
 『エル・セプス』がその意思に答え、超過駆動を開始する。機体の後部から巨大な光の翼が出現する!
 この超過駆動はヴィクトリア自身への負荷も大きい。空腹か、疲労か、汚染か。気を失いそうになりながら踏み止まる。
 瞳の機体がサカナのような姿になって亜空間に突入。壁をすり抜けてヴァルサリッサの目前で復帰し、無数のスピリット体を放出する。
「コワ スノ デス シヌ ノデ スヨ」
 もはや一刻の猶予も無し!
「そう、です。汚染が。死が。運命が」
 光の翼がその輝きを増していく!
――【勝利を齎す者】(ヴィクトリア)の名の下に
「私達を阻むというのなら」
 殆ど光の輝きになりながら迫り来る惨殺壁に衝突し、粉砕! 【ブルズアイ・マニューバー】!
――彼らを阻む、全ての死と苦難、病と異常とを打ち払い
「全部ぶっ壊して、越えていってやるだけです……!!」
 その光が瞳を、ヴァルサリッサを、グレンを覆う。
――――勝利を!

「馬鹿正直に後ろから追う事は無いだろ」
「貴様、いつ後ろに!?」
「逆だよ、お前がこっちに来たんだよ!」
 グレンがその辺の物を掴んで引っ張り掻き集めた即席バリケードによって減速し、グレン自身の力によって押し止められる! グレンの背中に縄めいた筋肉が浮かび上がる!
「巨人の力持ちにパワー勝負とはな!」
『そう、そいつは凄いスピードで逃げているように見えるけど、実は同じ所をぐるぐるしてるだけだよ。だから待ってれば向こうからやって来る』
「パイルバンカー帯電式H型!」
「突き破れ! 『エル・セプス』ッ!」
 瞳のパイルバンカー帯電式H型波動砲が戦車のコアにヒビを入れ、ヴィクトリアの【ROCKET DIVE!】がコアごと戦車を粉々に破砕した!
「助かったのです。この機体は即刻破棄しなきゃいけない気がするのです……」
 ヴィクトリアの光の翼は瞳とグレンの汚染も祓っていた。それは、完全ではないがこの戦闘中を持たせるには十分。
 だが、ヴィクトリア自身は最早動けない程に疲労していた。
「正直限界近い、です……でも、借金返して、ばか両親に一言文句言ってやるまで、こんなとこで斃れてらんない、です」
「十分だ、後は任せて休んでくれ」
 その肩を彼女が叩いた。
「アイサツがまだだったな。ドーモ、ヴァルサリッサ・アフトクラトラス=サン。ジンライ・フォックスです」
「ドーモ、ジンライ・フォックス=サン。ヴァルサリッサ・アフトクラトラスです。戯れは終わりだ」
 ヴァルサリッサは不敵に嗤った。


 逃げ道は封じた。後はここで近接戦闘で仕留めるのみだ。
 何、カンタンカンタン。勝つのは難しく無いよ、勝つのはね。
 さーて、おじさんは……どうやってここから出るのかを調べないとね。

◆ 続きます ◆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五ヶ谷・グレン
◼️苦手なものと対策
あー、俺な、巨人でもかなりでかくて重い方だからな。普通に歩くだけでも踏み抜いたりするんだよ、
結界やらで誤魔化してるが、んで、多分足元がそんな感じになってる、幸村さんに注意を促してもらおう。相手もでかくなるらしいけど
◼️対策
なんか吸われるな?みんなのもだが、UCで掴んで別の形を与えればなんとかなるか?
まあ、力比べで力持ちが負けるわけにもいかないし、
なんだカミ ンナ タス ケテ クレ ルシ
なんでか焼き払われた気もするが、効力は問題ないだろう
◼️
あー、デカブツ(まだ自分のがでかいが気にしない)相手に押さえるなら俺の出番だな。足元を結界術で補強して上から押さえつけるように地形破壊だ


ウルル・マーナガルム
連携アドリブ歓迎

思った以上に時間使っちゃった
なるべく速攻を意識したいけど
そう簡単に仕留めさせてくれないか
それでも
戦況を覆す奇跡を起こせてこその猟兵、だよね

自分や味方への攻撃に対して
狙撃を合わせて妨害したり
位置を特定されないように
跳弾を混ぜたりしながら
相手に隙が生まれるのを待つよ
一流スナイパーは不運を言い訳にしないし
キミの幸運だって永遠じゃない
狙撃のチャンスは必ずやって来る
それに
いくらキミが運命を捻じ曲げてしまったって
ボクらの技術や経験
不屈の心までは
奪えないでしょ?

銃声は一発
でも放たれた弾丸は一つだけじゃない
とっておきの早業だよ
マグレの幸運だけで避け切れるかな?


木霊・ウタ
キツネさんチーム

心情
心強い仲間や面子が増えたし
イケる気がするぜ(ぐっ

戦闘
全員へUC

理不尽な未来を燃やし尽くしてやる
これで得た幸運はチャラだ

序にVOIDの影響も焼却
ちょいと時間を稼ぐぜ

さんざん手間を駆けさせられたからな
時間もないし力押しでやらせてもらう

ジークの結界に防御を任せて
迦楼羅の炎翼で一気に間合いを詰めて
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う

初撃を無効化されても
しつこく畳みかける

矛と盾って話だ
魔力にも限界ってのがあるよな

地獄の炎は
魔王の魔力をも燃料として燃え盛り
ドレスの「属性への耐性」そのものを焼却するぜ

耐性や魔力に綻びが生じたら大焔摩天一閃
灰に帰す
紅蓮に抱かれて眠れ

事後
レイリスや魔王へ鎮魂曲
安らかに



●蘇る悪夢
「イヤーッ!」
 アイサツ成立からコンマ3秒。叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は決断的に踏み込み低空からのランスキックを放つ!
(時間をかけれない……か。最速で挑ませてもらう!)
「イヤーッ!」
 だが、何かがその軌道にインタラプト!
「な、バ、バカな……!」
「「「ドーモ、ジンライ・フォックス=サン」」」
 見覚えのある人、見覚えのある構え。なのに、何故。
「「「ビャクライです」」」
「バカナーッ!?」
 ジンライ・フォックスはあまりの衝撃にその場に立ち尽くす。
 ビャクライ。それはジンライ・フォックスの兄弟子にして、過去にオブリビオンとして倒した相手。ジンライ・フォックス自身の手で、確かに還した筈の相手。
 それが、何故。しかも一人ではなく無数に。
「ハハハハハ……ハハハハハハハッ! 楽しいなぁ」
 その答えは知れた事。【創世魔術~超魔王の意に従い世界は作り変えられる~】により現れた紛い物。オブリビオンですらない。
「貴様……よくも、よくも兄弟子さんを愚弄したなぁッ!」
 ジンライ・フォックスは殆ど地面と平行になる程の前傾姿勢からヴァルサリッサにランスキックを放つ!
「ジンライ・フォックス!? ウカツだ!」
 ジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)が警告を発した時には既に遅い。
 否、これに関しては早いか遅いかが問題ではない。その対策をしていなかった事が問題。
「「「イヤーッ!」」」
「グワーッ!」
 怒りのあまり見え透いた直線的な動きになり、ビャクライ達に易々と阻まれる。蹴り脚に、軸足に、頭部に強烈なケリを叩き込まれて地面をごろごろと転がるジンライ・フォックス。
「間に、合わせるッ! 炎の理を秘めた宝珠よ!」
 カイシャクを入れようとするビャクライの群れに割り込み、ジークは宝玉と盾が融合した天空竜の神眼盾を高々と掲げる!
「原初の炎を我が盾に宿し、あらゆる厄災を焼き払う太陽の加護で我らを照らせ!」
 【天空神の神眼盾】(ティアーズ・オブ・ウラノス)ジークの生命力を代償に、敵のユーベルコードを無効化する結界を作り出す強力なユーベルコードだ。
「「「グワーッ! サヨナラッ!」」」
 光で焼き滅ぼされたビャクライ達が爆発四散する。だが。
「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」
「「「「「ビャクライです」」」」」
 ナムサン! 敵はいくらでも出現する!

「ナメるなよ、猟兵はこっちにも居る」
「大切な思い出を踏み躙るような真似をしやがって! 許せないぜ!」
 大門・有人(ヒーロー・ガンバレイにして怪人・トゲトゲドクロ男・f27748)が飛び掛かり、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が『焔摩天』を振り上げて突撃する!
「「イヤーッ!」」
 ビャクライが立ち塞がり、鋭い蹴りを放つ!
「再生怪人など襲るに足らん!」
 ガンバレイはクロスカウンターでビャクライの頭をケジメする!
「本物より断然遅いぜッ!」
 本物の鋭さを知っているウタは蹴り脚を見切り、肩で弾くとフルスイングで一刀両断!
「「サヨナラ!」」
 爆発四散!
「ふふふ、お前達には何もしないと思っているのか」
「居たぞ! ガンバレイだ!」
「耳を立てて、よく澄ませな! あれが例の怪人・トゲトゲドクロ男だ!」
「対UDC用排撃系強化外骨格装着部隊(ユーツー・エスレム・ユニット)だとォ!?」
 それは先の戦闘でガンバレイが呼び出した特殊戦闘部隊。しかも召喚者であるガンバレイ自身も標的としている。
「何故こんな時に!」
 掃射する特務アサルトライフルの射線から飛び退き退避しつつ、反撃の機会を伺う。
「危険レベル:高!」
「どんな武器を持っても、ウサギには草に過ぎない……」
 そして、彼らはウタも標的にしている! 炎の壁で射撃を遮りつつ、遮蔽を取る。
「なんだアイツら、味方じゃないよな?」
「俺以外には攻撃しない筈だ。こっちも偽物か」
 然り。先の戦闘でガンバレイが呼び出した固体とは異なる。しかも、明らかに12体を超える数が居る。
「フハハハハハ! 貴様らは私に指一本振れる事すらできない」
「それはどうかなッ」
 ウルル・マーナガルム(グリムハンター・f33219)のマークスマンライフル『アンサング』が銃声を奏でる。二度三度、跳弾の音を響かせ、正確無比にヴァルサリッサの額を直撃した。
「ふむ、つまらん攻撃なら当たってやらんでもない」
 ヴァルサリッサは額から血を流しながら、不敵に嗤う。そのドレスが傾斜装甲の様な形状を取り、傷が塞がっていく。
 【不滅進化~超魔王には同じ手は通じない~】受けた攻撃への耐性を得る上に負傷まで回復する恐るべきユーベルコードだ。
「やっぱり、そう簡単に仕留めさせてはくれないか」
 そうなるのは予測していたウルルは動じない。この一発で終わるなら、という速攻勝負の一発だ。
 だが、一発で倒せないなら続けて撃つ意味は薄い。それよりも今は。
「戦況を覆す奇跡を起こせてこその猟兵、だよね」
 再び銃声が響き、強化外骨格装着部隊が体制を崩す。
「今だ!」
 ガンバレイが正面から躍り掛かり、炎の残像を残しながらウタが背後に回る。
「コンタクト!」
 強化外骨格装着部隊はサバイバルナイフを抜くが、遅い。ガンバレイの拳が外骨格ごと砕き、ウタの『焔摩天』が胴を両断した。
「「「イヤーッ!」」」
 そこにビャクライが飛び掛かる! 対応を強いている間に別の強化外骨格装着部隊が十字砲火を浴びせんとする。
 そこに再びの銃声。今度はビャクライを撃ち抜いた。一発の銃声で全て頭部を貫通!
「「「サヨナラ!」」」
 放たれた矢の如く二方の強化外骨格装着部隊に飛び掛かったガンバレイとウタが蹴散らす!
「戯れは終わりじゃなかったのか?」
「フハハ、それなりにはやる。だが、お前の仲間はどうした?」
「それなら、そろそろ立ち上がってる頃だぜ」

「ヌゥー……」
 何というウカツか。いくら動揺したとはいえあんな紛い物のサンシタ相手に不覚を取るとは。
 猟兵とオブリビオンの戦闘は一つのミスで勝敗が決まる事がある。ジンライ・フォックスが受けたダメージは軽くない。
「ボクはここで終わるのか……ハイクを……」
 ジンライ・フォックスは、己の未熟に精神的セプクをせんとした。
「ドーモ、ビャクライです」
――否! ここで終わる訳には行かない! 兄弟子を愚弄した者を許す事など出来ようか! 奴を道連れねばジゴクで合わせる顔が無い!
 ジンライ・フォックスは強いて己を奮い立たせて爆発四散を堪えた。そして、鋭い眼でそれを見た!
「イヤーッ!」
「「「グワーッ! サヨナラ!」」」
 爆ぜる白き稲妻を! だが、ジンライ・フォックスは驚愕に再度目を見開く事となる!
 ビャクライが、ビャクライを攻撃している。攻撃するのはただ一人。だが、その技の冴えを誰が見紛うか。その一挙手一投足を再び見紛う物か!
「イヤーッ!」
「「「グワーッ! サヨナラ!」」」
「情けないぞ、ジンライ・フォックス=サン!」
「あ……兄弟子……さん?」
 そう、そこに居るのは超魔王が作り出した紛い物と見た目は変わらないが動きはまるで別物の白き稲妻!
「こんな、俺の偽物程度に心惑わされ、追い詰められるとは」
 そして、そのままジンライ・フォックスに向けて決断的にツカツカと歩み寄る! ナムサン! このビャクライも敵なのか?
(どうする、動くか……?)
 ジークは、判断に迷った。猟兵第六感がアレは敵では無いと告げている。だが、ならばこの抑える気の無い殺意は何だというのだ。
「イヤーッ!」
 ビャクライは右脚でヤリめいたサイドキック!
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスはこれを左腕で外に払う。だが、そうする事を知っていたビャクライは弾かれる動きを乗せて追撃の左ネックカットキック!
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスはブリッジ回避、と見せかけてのサマーソルトキック! ビャクライはバックフリップジャンプで回避し、再び畳一枚分の距離が開く。
「イヤーッ!」
 着地と同時に浴びせ蹴りを仕掛けるビャクライ。最小限の動きで横に躱したジンライ・フォックスはカウンターの右フックを見舞う!
「イヤーッ!」
 ビャクライは拳をブロック! 反撃の左拳!
「イヤァーッ!」
 ジンライ・フォックスは真正面から拳を叩き付けこれを相殺!
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤァーッ!」
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤァーッ!」
 雷光纏う凄まじい速さのラッシュの打ち合いだ!
「イヤァーッ!」
「イヤァーッ!」
 互いにハイキックが衝突し鉄道殺戮カラテバッファローがバッファロー殺戮武装鉄道に衝突したかのような凄まじい衝撃波が広がる! 再び距離を取った両者は畳二枚分の距離!
「「「サヨナラ!」」」
 そのカラテ応酬に巻き込まれた紛い物のビャクライが爆発四散した!
「まだ動けるようだな」
「当然、ボクは……ジンライ・フォックスだッ!」

◆ まだ続きます ◆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大門・有人
不採用含め全て歓迎だ。
運命など結果に過ぎん。俺に出来る事はただ一つ、命を燃やし尽くすだけだ。

UC始動。敵UCに対抗する術はない、我が身に刻みし正義を執行する。
真向から足を止め、拳打によって撃ち合う。
悪目立ち敵を引き付け激痛耐性、覚悟を持ち敵の反応を超える速度で拳を叩き込み続けるのみ。それが不可能だとしても。

拳打時に超高熱体液も放射、威力を上げ肩や大腿骨などの部位破壊で敵弱体化を狙う。
同時に敵の攻撃パターンを情報化しつつ自分の戦闘知識に組み込み、常に上を読むよう努める。全ては一つでも拳が奴の臓腑を抉らんが為に。

俺の身は刃、弱者の剣。例えこの身が折れるとも、志或る限り衝き立てた切っ先は、必ず届く。



●描くは必勝への軌跡
「よし、ジンライ・フォックスが復活した! 後は、タイミングを合わせるだけだ」
「こっちはオーケーだよ」
「ヴィクトリア、戦線復帰なのです」
「瞳も行けるのですよ」
 強化外骨格装着部隊と偽ビャクライを蹴散らしながら、猟兵達がヴァルサリッサの元へ集結していく。
「ふは、ふははは……ハハハハハ! まだ私は何度でも変身できるぞ! 分かるかこの意味が!」
「十二分に分かっている。俺に出来る事はただ一つ、命を燃やし尽くすだけだ」
 ガンバレイの出した結論は一つ。ユーベルコードへの対抗手段など無い。ただ、死ぬまで殴り続ければどんな敵でも理論上殺せるという決断的な結論だ。
「無駄無駄ァ! そんな方法ではこの超魔王は倒れぬ!」
「だろうな」
 【ファイヤー・ガンバレイ】を起動し、赤熱するガンバレイ。
「手段ならあるぜ。お前を一撃で倒せばいい」
 ウタが獄炎纏う『焔摩天』を正眼に構える。
「我を一撃で倒すだと。確かにそれが出来れば倒せるな」
 ヴァルサリッサはここに来て未だに余裕であった。慢心と言うべきか。
「さあ、我を一撃で沈める超勇者はどいつだ!」
「全員だ」
「えっ」
「全員の連携攻撃を以て一撃とし、オヌシを殺す」
「いや待って、連携攻撃なのに一撃とは如何に!?」
『連携攻撃ってダメージ判定は一回なのはもう常識だよねー?』
「そんな常識は聞いた事が無いぞ!?」

 そもそもがおかしい。【運命逆転~弱者は超魔王に抗う事すらできない~】によってこいつ等の力は奪った筈だ。それによって得た幸運で私には触れる事も出来ない筈。なのに何故こいつらは自由に戦える?
『幸運なんて結局乱数の範疇だよね』
 そうだ、猟兵が一人足りない。奴は何処で、何をしている?
『5分後のおじさんが96通り。どう動けばどの結果を得られるかが分かる』
 何を、バカな。
『乱数調整が出来るおじさんにはそんな物何の意味も無いんだよなー』
 ありえない、何かの間違いではないのか。

「ハイクを詠め。ヴァルサリッサ=サン」
 総攻撃は今しかない!

●Metafiction勝利を齎す天空神のイマージナリー・ブレイズ恐るべき冬のファイヤー・弐極双雷の棺
『さあ、これが俺達の必勝への軌跡だ!』
 御宮司・幸村の【Metafiction †Ambivalent†】(シンジツハキョコウ)
 全員への的確な攻撃タイミングをアシストするオペレーション。乱数調整により幸運をほぼ無意味化!
「もう一度、この翼が必要ならば! やるのですッ!」
 ヴィクトリア・ノウェムの【勝利を齎す者】(ヴィクトリア)
 汚染を払い、その場の全員が適切なタイミングで動く行動機会を得る!
「お前の運命を操作する力も分かった。だがお前が歪めた運命も、真の太陽の光の前では正される! ここがお前の幕切れだ!」
 ジーク・エヴァンの【天空神の神眼盾】(ティアーズ・オブ・ウラノス)
 天空竜の神眼盾から放たれた結界がヴァルサリッサの運命逆転、不滅進化を無力化する! 長くは続かないがこの一瞬だけ無力化出来れば十分!
「俺は何だって掴める。超魔王なんか掴みやすい方だ」
 五ヶ谷・グレンの【イマージナリー・びったんびったん】(マジョトシテチカラモチトシテ)
 ヴァルサリッサを掴み、地面に叩き付ける! 持ち上げて叩く! 持ち上げて叩く!
「終わりだ、お前と言う理不尽は丸ごと灰にして焼却するぜ!」
 木霊・ウタの【ブレイズアッシュ】
 魔王の魔力をも燃料にして喰らい、ヴァルサリッサの耐性そのものを焼き滅ぼす!
「いくらキミが運命を捻じ曲げてしまったって、ボクらの技術や経験。何より不屈の心までは、奪えないでしょ?」
 ウルル・マーナガルムの【恐るべき冬の死神の後継者】(ヴァルキュリア・スルーズル)
 一つの咆哮と共に放たれた多数の銃弾が群がり貪る!
「俺の身は刃、弱者の剣。例えこの身が折れるとも、志或る限り衝き立てた切っ先は、必ず届かせるッ!」
 ガンバレイの【ファイヤー・ガンバレイ】
 新造臓器のみ活性化し、赤熱しながら凄まじい速さの拳を繰り出し、超高熱体液も接射! ドレス装甲を剥ぎ取っていく!
「ジンライ・フォックス! アレをやるぞ!」
「承知! 叢雲流 究極奥義! 弐極双雷トビ・ゲリ!」
 ジンライ・フォックスとビャクライの【弐極双雷トビ・ゲリ】
 完璧にタイミングを合わせた双方向からのトビゲリ! 追撃の全速力のガトリングケリ! ゴウランガ!
「BLAST OFF AND STRIKE THE EVIL VOID EMPIRE! なのです」
 夜乃・瞳の【天使の棺】(エンジェルパック)
 華のように開いて放たれた波動エネルギーが一点に収束し突き抜ける!
「ヤ・ラ・レ・ターッ!」
 ヴァルサリッサは爆発四散……しない!?

●静かに息を吸う 真っ暗な世界
「くくく、ははは……確かに、これは敵わんなぁ……」
 ヴァルサリッサはしかし、耐え切った訳では無い。爆発四散は間違い無し!
 ダンジョンメーカーもその機能を停止する。
「暗黒の森は、消える……だが、お前達は……出られる、カナ」
 そして、呪詛の様な言葉を残してヴァルサリッサは。
「サ・ヨ・ナ・ラ!」
 爆発四散した。

●蝕まれてく心 満たされないまま
「何だ、どういう事だ?」
「今なら、見える筈なのです……あの琥珀色の太陽が」
「ああ、暗黒の森が琥珀色に染まっていく」
「綺麗な、綺麗な景色だ……」

●広すぎた空に あてもなく さまよいつづける
「だー! それがダメなんだ! ウルル入って来た出口どっち!」
「こっちだよ! 急いで脱出しないと!」
「暗黒の森が、消える……」
「俺達も一緒に、消える……!?」

●つかみたくて ツカメナクテ
「邪魔だ!」
 崩壊する採掘場の外壁を掴み、投げ捨てる!
「急げ、こっちでいいんだな!」
「マズい、樹が……」
「俺が抑える! ウタ!」
「焼き払って道を作るぜ!」

●ソレ デモ サガ シテ ミツ ケテ
――終わったか。この森も、骸の海に還るんだな……ああ、そうだな。まだ、やる事がある。

●ワタ シハ ワタ シヲ トリ モド シタ クテ
「この先が出口だよ! でも、道が!」
「分かっているのです! 波動砲、フルチャージ……突き破るのです!」

●ガム シヤ ラニ タタ カツ テタ ノ
「弾かれた!?」
「もう一発だ、今度は全員の攻撃を合わせるんだ!」
「帰るぞ! この森から全員で帰るんだ!」
「ああ……駄目だ」

●ワタ シハ ワタ シノ ココ ロヲ イツ カラ カミ ウシ ナツ テイ タノ
「駄目って……」
「駄目なんだ、何度やっても、この先が見えない。この森から出る方法が分からない」
「そんな! そんな理不尽ッ! ……くそっ、効かない!」

●タチ ツク スイ ミモ ワカ ラズ
「こんな時にッ!?」
「どうした!」
「後ろから熱源反応! レイリスが、生きてる!」
「駄目だ、倒しに戻る時間は無い!」
「どうして、確かに倒したはずなのに……」
「いや、倒しに戻る必要はなさそうだよ。一発のユーベルコードに全魔力を、存在その物すら込めて一発に撃ち出そうとしてる!」
「何とかして避けるのです!」

●遠くから 私を ただ見ていたの
「外した……?」
「見ろ! 今ので脱出口が開いた!」
「全員今すぐ飛び込めッ!」



●モノクローム
「全員、生きてるか……?」
「おじさん、生還したよ。やったねー……」
「ヴィクトリア、生きてるのです……でも、死ぬのです……誰か食べ物を……」
「ひ、瞳も無事なのです。機体だけ持ってかれたけどアレはもういいのです」
「グレン、大丈夫だ。俺も腹減ったな……」
「ウルル、無事だよ。ハティも……」
「ジーク、無事だ。ハードな任務だった」
「ジンライ・フォックス、無事だよ。兄弟子さんは行っちゃったけど、きっとまたどこかで会える」
「ウタ、無事だ。すぐに汚染を祓わないとな」
「ガンバレイ、任務完了……だ。流石に疲れたぜ……」
 猟兵達は点呼を取り、互いの無事を喜んだ。VOID汚染を祓い、疲れ切った体と心を休める為に暫しの休息が必要だろう。
 だが、それでも全員無事に生還した。

「月明り 揺らめく影 探してた 光の粒」
 暗黒の森は完全に消え去り、今はただウタの鎮魂曲だけが響く。
「届くような 気がしていた のばした 小さな手のひら」
 それでも、あの暗黒の森は……骸の海のどこかに眠っているのかもしれない。

「何を見てても 何を聞いても 君は遠くて 届かなくて」

「戻らない刻 追いかける これが全て夢なら いいのに」

●Result
『こうして我々の第一次VOIDミッションは無事完了と言った所かな。やっぱり猟兵は凄いねぇ……ちゃんと帰って来るんだから。ああ、VOIDの除染が出来る事も確認した。原理は……まあ、再現は無理かな。ユーベルコードは別格だねぇ。ミッションデータはちゃんと取って来てくれたし、今後のVOIDミッションにも活用できるだろう……そうだね、次がいつ何処で起きるかが問題だ。骸の海に汚染核があるなら猟兵でもどうしようもない。今は、ね』
 主任は、そこで暗黒の森の合った方向を見る。今そこに在るのは苦いチョコレートだけ。主任は一口、それを齧る。
「私達は決して、VOIDを逃しはしない。それが、私達に出来る唯一の……」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月25日


挿絵イラスト