皆でひと夏の思い出を
ここはカクリヨのとあるビーチ。先日までこのビーチでは猟兵達による水着コンテストが実施されていた。大盛況のうちに幕を閉じたコンテスト、それを見ていた妖怪達も大盛り上がり。そんな中、妖怪親分達も後夜祭も兼ねて、と妖怪花火なる特殊な花火を用意してくれた。話によればこの花火には乗る事が出来るらしい。一緒に打ち上げられたり、打ち上げられた花火が作り出す模様の上を歩いたりとかも出来るみたいだ。
「不思議な花火もある物なのですねぇ・・・」
その花火に魔力を注ぎ込み、打ち上げようとする炎武・瑠美(天然系お嬢様…らしき者・f31245)。
「まぁ、親分さん達のとっておきなんだろうねぇ・・・。って、あんた、どこ向けてっ!」
上空でない方向を向けたまま魔力を注ぎ込んでいた瑠美を慌てて諫める魔女。二人は妖怪花火を打ち上げるお手伝いをする事になっていたようだが・・・。
「あ、すみません。ついうっかり・・・」
「しっかりしておくれよ・・・。まぁ、危険はないだろうけれど、ねぇ・・・」
天然な瑠美に思わず苦笑する魔女であった。そして、そんな打ち上げられる花火を見上げる妖怪達もいる。
「わぁ!お父さん、お母さん、あれが花火?!凄いや!」
雷獣の子供がはしゃぐ姿を父親と母親が微笑ましく眺めている。
「こうして、皆で花火を見られるのも猟兵の皆さんのおかげだな」
「ええ、皆さんの助けがなかったら・・・私達は今でも離れ離れのままだったでしょうね」
このひと時を過ごせるのも自分達の為に助力してくれた猟兵達がいてくれたから・・・。その思いを噛みしめながら花火を見上げる雷獣の親子であった。
そんな和やかなムードの後ろの方では・・・。
「くっ、貴方、なかなかやるわね!今度は外さない!・・・、また、ダメだったぁ!」
悔しがる蛟と、どこかドヤ顔の天狗。二人は浜辺でスイカ割をしていたようだ。だが、あちらこちらで棒を振り回していたせいだろう・・・。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!私は別に暴れているわけじゃ・・・。ほら、貴方も事情を説明してよ?って、この天狗、あの時も寡黙だったわねっ!」
浜辺で暴れていると思われたのだろうか?蛟がビーチの警備にあたっていたガーゴイル達に囲まれてパニックを起こしている。
「なんか、賑やかねぇ・・・。あ、焼きそば一丁注文が入ったよ?」
「あ、了解です。はい、猫娘さん」
「はい、お待ち~。・・・って猟兵さん、あんたは海の家を手伝ってもらって良かったのかい?せっかくのビーチなのに」
「まぁ、報酬で猫娘さんのカレー食べれるなら」
「・・・余程悔しかったんだねぇ・・・」
自分がまき起こしてしまった騒動を思い出しながら、どこか遠い目をする猫娘。ここはビーチに設置された海の家。普段カクリヨの一角でカレー屋台を出している彼女は、その腕を買われ今回は海の家を任されていた。そして、そこへ報酬目当てで手伝いを名乗り出た腹ぺこグリモア猟兵の鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)。猫娘が骸魂に体を乗っ取られる騒動の後、知り合いにお土産で届けてもらったカレーが美味しかったらしい。ひりょとしては是非現地へ食べに行きたかったようだが・・・。それも出来ないままに大祓百鬼夜行も終結。その後もバタバタしているうちに屋台へ赴く事が機会を逃していたのだ。これはチャンスとばかりに今回は猫娘の手伝いを名乗り出たのだ。
「まぁ、もしかしたら途中で休憩に入らせてもらうかもですしね。その時はよろしくです。無論、猫娘さんが休憩の際は俺がメインでやりますし」
「それはありがたいけどねぇ・・・。ま、なるようになるかね」
そんなこんなでビーチは妖怪や猟兵達で大賑わい。さて、皆はどう楽しむ?
●参照(この場にいる妖怪達、及びグリモア猟兵について)
妖怪達について。
(災難続く猫娘)
猫娘:カレー屋台の店主。骸魂に体を乗っ取られる事、2回。猟兵達のおかげで無事に救出された。ちょっとツンデレ気味。今回は海の家でカレー以外も作っています。
天狗:猫娘の屋台の常連客。寡黙。竹藪での蛟との戦いに参戦。今回は蛟と共にスイカ割りをしている。結構格闘センスがあるのか、スイカ割りでガンガンスイカを割っているらしい。
魔女:猫娘の屋台の常連客。結構お喋り。天狗と同様、竹藪での蛟との戦いに参戦。今回は瑠美と共に妖怪花火の打ち上げの手伝い中。
蛟:水神の妖怪。竹藪での戦いで猟兵達と交戦し敗北、無事に骸魂から解放された。今回はスイカ割りを楽しんでいた。だが、天狗に調子を狂わされ只今、絶賛惨敗中。
(雷獣一家の帰還物語)
雷獣親子:UDCアースに辿り着き彷徨っている所を猟兵達によって救出された。一時は一家離散状態であった親子であったが、猟兵達の尽力により一家が無事に集結。猟兵達に見送られる形でカクリヨに帰還していった。今回は妖怪花火を見に親子で立ち寄ったようだ。
(霊山攻略作戦)
ガーゴイル:竜神の霊山に住み着きドラゴン化していた石像。今回はビーチの警備役を務めている。無口(というか喋れないので、周りとの交流は身振り手振りで行うらしい)
グリモア猟兵について。
鳳凰院・ひりょ:海の家で猫娘の手伝い中(手伝いの報酬はカレーらしい)
炎武・瑠美:海岸沿いで妖怪花火の打ち上げを手伝っている。
黄昏空
去年この時期のシナリオに参加していた時には、まさか自分が物語を紡ぐ方になっているとは思っていませんでした。MSの黄昏空(たそがれ・そら)です。
このシナリオは第1章の【日常】だけで構成されるシナリオです。カクリヨファンタズムの夏のビーチを、みんなで遊び尽くしましょう!
このシナリオには当方が大祓百鬼夜行にて執筆の際に登場した妖怪達も登場します。
その妖怪達や参加された猟兵の皆さん同士、また当方のグリモア猟兵と・・・、ビーチでのひと時を過ごしましょう。
登場する妖怪達の詳細については、シナリオ上部のタグに関連シナリオへリンク出来るよう、念の為記載しておきました(無論、接点がなかったり内容を確認していなくても交流していただいて問題ありません)
特に猟兵からのお誘いがなかった場合の各自の予定はOPの末尾に記載の通りです。
●このシナリオでやれる事
海の家で食事したり、妖怪花火を打ち上げたり、打ち上げられたり。ビーチなので泳ぐのもあり。グリモア猟兵や妖怪達に声を掛けて一緒するのも歓迎です。もちろんお友達と誘い合わせでワイワイ、も大歓迎です。
(何か役割を持って行動していた妖怪・グリモア猟兵達をお誘いしたとしても、その抜けた穴はひっそり他の妖怪達が代理してくれているので、その辺りの心配はいりません)
●妖怪花火って?
妖怪親分達が準備してくれた特殊な花火。
この花火はその上に乗る事が出来ます。猟兵も乗って一緒に打ち上げられたり、花火で空中に生じる模様の上で空中散歩を楽しんだりも可能です。
●シナリオ運営に関して
少しOP公開時期を当初の予定より早めました。実際の運営に関しては、現在進行中のシナリオ完結後となります。早めの公開をし、プレイング受付までの時間を十分に取る事で、皆さんの相談期間を少しでも取ろうという試みです。
8月4日(水)8:31より受付開始。8月7日(土)の8:30まで募集予定。
執筆に関しては、当方は従来だと週末にシナリオ完結させる形を取っていますが、今回は週明け後の平日もまとまった時間の確保が出来た為、万一週末に完結しなくとも引き続き執筆は進め完結させるつもりです。
それでは皆さんのご参加、お待ちしてます!
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
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POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
これはまた、楽しそうですぅ。
折角ですし、猫娘さんの『海の家』にお邪魔させていただきますねぇ。
【豊饒佳饌】で[大食い]と[早食い]を強化しつつ、今回も『全メニューを端から端まで』でお願いしましょう。
楽しみですぅ。
ただ、『海の家』となりますと、普段の『屋台』より在庫も少なそうですし、鳳凰院さんの報酬分が足りなくなっても困りますからねぇ。
宜しければ、お手伝いしましょうかぁ?
【豊饒佳饌】で[料理]も強化されておりますから、猫娘さんの休憩中等を含めて其方のお手伝いなり、『FTS』による[運搬]を活かした買出しなり、色々と対応出来ると思いますので。
お入り用でしたら仰って下さいねぇ。
厳・範
他世界見聞中なお爺、夏休みとは何ぞや?状態だが、雰囲気に合わせて人間形態の水着姿で来た。
ふむ、こうして休むのもよいものだとは思う。思うゆえ、花火を見つつ海の家にて肉少なめのカレーを食べる。
カレーというのは初めてだが、なかなかに美味しいものだな。
ああ、興味を惹かれた食物は、一通り食べることにしている。食べることにした。
故郷にはないものだと、なおさらだな。
まったく、慌ただしい日々ではあるが。わしは歩みを止めぬよ。
水着コンテストの終わったビーチでは、沢山の猟兵や妖怪達が詰めかけ、思い思いの時間を過ごしているようだ。夏場といえば妖怪達にとっても肝試しやらの季節だったりするわけで…。元来は自分達の活躍する季節でもあるせいなのか、猟兵達同様に気分が高揚しているようだ。
自分達の世界の恩人である猟兵は、同時に自分達の姿が見える存在でもある。自分達以外の存在と接する事が出来るのが嬉しいのもあるのだろう。
そんな楽しい雰囲気に触発された夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も会場を見渡しながら笑みを浮かべる。
(これはまた、楽しそうですぅ)
会場を見渡しどこへ行こうか迷うるこる。ふと見ると、その視界の先に海の家が。
「あそこにいるのは…。では、折角ですし海の家に向かう事にしましょうかぁ」
るこるの目線の先にいたのは、以前大祓百鬼夜行の際に関わった猫娘、そしてそれを手伝うグリモア猟兵のひりょの姿だった。見知った顔を見つけたるこるはそのまま海の家にお邪魔する事にした。
「こんにちわぁ、失礼しますぅ」
「おぉ、るこるさんじゃないか!いらっしゃい!」
「えぇっ、あ、貴女は…っ!」
骸魂に体を乗っ取られていたとはいえ、その際の記憶もばっちり残っていた猫娘。るこるの事も覚えていたようだ。
「猫娘さん、その節はお疲れ様でしたぁ。お元気そうで何よりですぅ」
「まぁ、ね…。貴女には仰天させられたけれど、実際助けられたしね。あ、ありがとうね」
照れ臭そうにしながらも礼を言う猫娘。ちょっとツンデレモードのようだ。
「せっかくお邪魔させていただきましたし、メニューを一通りお願い出来ますかぁ?」
「えっ!?あ、貴女、カレーだけじゃないのね?!」
「はいぃ、よほどの物でない限り、大体のものは食べられますねぇ」
若干引き気味の猫娘だが、その隣のひりょは慣れたものである。
「じゃあ、順番にお出ししましょう。猫娘さん、スタンバイお願いします」
「…貴方は、なんか凄く冷静ねぇ」
「俺は俺自身結構食べる方ですし、見慣れていますしね」
そんな話をしている間にどんどんメニューを平らげていくるこる。いつの間にかギャラリーが…。カレー屋台での情景が再び、である。
(夏休みとは何ぞや?と最初は思ったが、どうやら夏という季節を楽しむ期間、であって合っているのだろうか)
人間形態で水着を着用した厳・範(老當益壮・f32809)が会場を眺める。猟兵、妖怪、また猟兵…。会場は人やら妖怪やらでごった返している。
「こういう賑やかな雰囲気もいいものだな。む?あの人だかりは?」
その会場の一角で、特に妖怪達が詰めかけている場所があるようだ。何事だろう、興味を持った範はその場へ向かう事にした。
「なんの騒ぎだ、ここは」
「あぁ、範さん、でしたね。いらっしゃいませ!あの人だかりは…ね」
「ふむ、確かグリモア猟兵のひりょ殿、であったか。…これは、なかなかにいい食べっぷりだな」
範が訪れた一軒の小屋というか出店のようなものには、妖怪達が詰めかけおり声援を送っていた。そこにいたひりょに事情を聴くと、その視線の先に物凄い速さで屋台のメニューを平らげていくるこるの姿があったのだ。
「おや、こんにちはですぅ。鳳凰院さんが以前に予知された封神武侠界での際に、顔を合わせた気がしますぅ」
「おぉ、あの時に一緒に任務に就いていた中に、確かに貴殿も居られた気がするな」
「ええ、間違いないですよ。お2人共、俺が依頼した任務に参加してくださってましたね」
ひりょもそう言っている事から、お互いに気のせいではなかったようだ。
「そういえば、今日は範さん、水着姿なんですね。かなり決まってますよ!」
ひりょが範の姿を見ながら感心する。範の姿はとても高齢の者とは思えない引き締まった肉体美をしており、全く歳を感じさせないものだった。かなり様になっている。
「そうか?まぁ、わしも仙人だからな。…それにしても、ひりょ殿はまた料理に専念しているようだな」
先の封神武侠界の時も料理を担当していた気がする。そんなに作るのが好きなのだろうか?
「あぁ、今回は報酬に目が眩みまして…あはは」
苦笑いするひりょに首を傾げる範。話を伺ってみると、この店の主である猫娘の手伝いをする事で報酬として彼女の作った力作のカレーを後で食べさせてもらえるようだ。
「ふむ、報酬として欲しいくらいのものか、そのカレーなるものは。ならば、わしも一ついただけるか?」
「えぇ、大丈夫ですよ!っと、そう言えば範さんはお肉は少なめの方が良かったんでしたね」
「あぁ、頼めるかな?」
「もちろん!」
すぐさま範の元へカレーが届けられる。その刺激的な香りは範も今までに体験した事がない物だった。一口、口に含んでみるとこれまた刺激的だ。だが、癖になる味。
「なるほど、これはなかなかに美味しいものだな。初めて食べるが、ひりょ殿が食べたくなるのも頷けるというものだ」
「ええ、そうなんですよ!実は以前にこの世界であった戦争に際にですね…」
そう言って範に自分が予知したカレー屋台での騒動の話をし始めたひりょ。
「なるほどな、そのような事が。ひりょ殿達と封神武侠界で会った後、わしも他の世界も見て回るようになってな。今、絶賛他世界を見聞中なのだ」
カレーを食べ終え、それ以外にも脅威を惹かれた食べ物を注文しながらひりょと会話を交わす範。時折、その背後に撃ちあがっている花火も見上げながら会話を楽しむ。
「本当に外の世界は驚きで一杯だな。故郷にない物が沢山ある。慌ただしい日々ではあるが充実した日々であるぞ」
どこか満足げな、これからも歩み続けて行くといった表情の範を見てひりょも嬉しそうに頷いた。
「ええ、きっと、もっと沢山の驚きが待ってる思いますよ?」
そんな話をしていると、一通りメニューを平らげ終わり満足したるこるがやってきた。
「御馳走様でしたぁ。ですが、よくよく考えてみますと海の家では食材の在庫が少なそうですねぇ。私の方で買い出しに行ってきましょうかぁ?」
「あ、るこるさん。…う~ん、そうですね…。確かに材料のストックが少し心許ない感じになるかも…?」
「鳳凰院さんの報酬の事もありますしぃ、お手伝いさせていただきますねぇ」
そう言うと浮遊する4つの宝玉を取り出したるこる。
「この中に食材を貯蔵可能ですのでぇ、遠慮なく言ってくださいぃ」
「あ、じゃあ…。これと、これが、ちょっと足りなさそうかな…?お願い出来ますか?」
素早く足りなくなりそうな食材をメモし、るこるに見せるひりょ。
「はいぃ、承りましたぁ。戻って来たら料理の方もお手伝いさせていただきますぅ」
「ありがとうございます!助かります」
「ふむ、食べるだけではなく作る方も出来るとは…食の達人のようだな」
思わず感心する範であった。
尚、帰還後のるこるはその料理の腕前を発揮し、瞬時に作り上げるUCも発動させつつ料理の作成に勤しむのだった。それを見た猫娘がちょっと羨ましそうに眺めていたが、「もし、あの時猫娘さんがこのUCを持っていたら、状況はかなり厳しかったかもですぅ」とるこるに言われると苦笑いしていたそうだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
馬県・義透
【外邨家】
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
まあねー、蛍嘉と(クルワと)のんびり夏編ということですよー。
おや、雷獣一家ではないですかー。お久しぶりですー。
ああ、蛍嘉とは(一瞬の間)双子です(一番説明しやすい関係)。
下から見る花火も風情あっていいものですねー。
陰海月も、花火は見る方に傾くみたいですねー。光る物が好きなんでしょうか…?
(以前、ゲーミングカラーに光るかき氷食べて、ゲーミング陰海月になった)
※
陰海月も「ぷきゅぷきゅー(お久しぶりー)」と鳴いてから、「ぷきゅぷきゅ(お友だちー)」と陽凪と霹靂紹介する。
霹靂、陰海月の友好範囲広くてびっくり。クエッ
外邨・蛍嘉
【外邨家】
義透のことは、基本呼び捨て。
クルワは中から見てる。
そういえば、今年はいろいろ一緒に出掛けようって約束してたっけね。
ん?義透の知り合いかい?
あー…戦争の時に話してた一家なんだ。
初めまして、私は蛍嘉っていうよ。
そうそう、義透とは双子。私の方が妹さ。
(なお、他は弟子、手合わせ相手、茶飲み友だちになる。ややこしい)
ほんと、いいよね。しかも、一緒に打ち上がって、歩けるっていうじゃないか。
不思議だよね、妖怪花火って。
陽凪は音にびっくりしてたけど、今は見惚れてるね。
※
陽凪、悠々と空中を泳ぐ。話せないので、ジェスチャー駆使。
陰海月とは友だち。霹靂とはあまり面識なかった。
ちなみに陽凪は女の子。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)は連れだってビーチを訪れていた。空を見上げると花火が打ちあがっている。そんな景色をのんびり二人で歩きながら眺めていると、義透はどこか見覚えのある妖怪達に遭遇する。
「おや、雷獣一家ではないですかー。お久しぶりですー」
「あっ、あの時の猟兵さんだ!」
「ん?義透の知り合いかい?」
雷を纏った妖怪の獣の集団に声を掛ける義透。その中の小さな子供が元気よく返事をしたのを見て蛍嘉は首を傾げた。
「前に助けた雷獣の親子ですよー。この世界の戦争の際でしたねー」
「あぁ、前に義透が話をしていた一家なんだ?」
義透は大祓百鬼夜行の際に、UDCで彷徨っていた雷獣の親子のカクリヨへ帰還させる任務に就いていた事を蛍嘉に話していたのだ。
「おぉ!あの時の猟兵の方ではないですか!」
「その節はお世話になりました、本当に感謝いたします」
雷獣の子供に続きその両親からも礼の言葉を投げかけられると、義透も笑顔で挨拶を交わした。
「その様子だと、3人とも元気でやっていたようですねー。それはなによりですよー」
「うん!猟兵さんのおかげだよ!…あ、そっちの人も猟兵さんなの?」
雷獣の子供が蛍嘉に気が付きぺこりとお辞儀をする。元気一杯だが礼儀正しいその仕草に思わず蛍嘉も笑顔がこぼれる。
「初めまして、私は蛍嘉っていうよ。よろしくね。話は義透から聞いているよ。UDCで大変な目に遭ったらしいね」
「ええ。ですが猟兵の皆様のおかげで、一時体を乗っ取られていた私もこうして無事に妻と子供と共にこの地に帰還する事が出来ました。本当になんとお礼を言ったら良いか…」
「無事だったなら良かったよ。一時は一家離散状態だったって話だしね。帰還してからは落ち着いたかい?」
「ええ、帰還してから夫の方は一時療養しておりましたが、それも先日終わりまして。今日はこうして花火が打ちあがるという話を聞いてやってきたのです」
義透と蛍嘉から見ても一家はとても元気そうだった。
「義透は確か帰還していく所までは見送ったって話だったけど、その後はどうなってるか気に掛けていたものね」
「ええ、こうして無事に居てくれるのがわかってホッとしましたよー。家族が一緒に居られるならそれが一番ですからねー」
自分の両親と二人の猟兵の会話を聞いていた雷獣の子供がふと、義透と蛍嘉を交互に見ながら話を振って来た。
「ねえねえ、猟兵さん達も凄く仲が良さそうだね。お友達なの?」
「ああ、蛍嘉とは…、双子ですねー」
「そうそう、義透とは双子。私の方が妹さ」
一瞬義透はどう言ったものか考えたが、一番説明しやすい関係を出す事にした。
実際の所は義透は4人が1人に合わさった複合型の悪霊である。それ故、蛍嘉と義透を構成する4人とはそれぞれ異なる関係があるが、それを一つ一つ説明し始めるとややこしい事になるのだ。蛍嘉に関していえば、その内にはクルワという名の鬼がいるが、今はひっそりと蛍嘉の中より外の様子を眺めている。全てを説明しようとすると途方もない時間が掛かってしまうだろう。
「双子なんだ?それで雰囲気が似てるんだね!」
どこか雷獣の子供も納得したようだ。義透と蛍嘉の二人とも一度死した身という点で共通点もある。そう言う意味で似た雰囲気を纏っているように見えてもおかしくはない。それも双子の兄妹というなら尚更だ。
「今日はそっちと同じように花火があがるという話を聞きましたのでー、見学に来たんですよー。蛍嘉とのんびり夏を過ごそう、と話をしていましたからねー」
「そうだったね。今年はいろいろ一緒に出掛けようって約束してたっけね」
「そっかぁ、2人も家族、なんだねー」
自分達と同じく家族でやって来た事に雷獣一家も親近感を得たようだ。その場の流れで一緒に花火を見学する事になった。
すると義透の影より二つの影が飛び出し、蛍嘉の元にもいつの間にか浮遊するガラ・ルファが待機していた。
「あ、その海月さん、あの時の!」
「覚えていてくれたのですかー。陰海月ですよー」
「陰海月はこの子達と知り合いだったのか。なるほどね」
義透の影より飛び出したのは水海月とヒポグリフ。水海月の陰海月は、雷獣の父親がオブリビオン化し戦闘となった際にその場で戦っている為、雷獣たちも顔見知りであった。
陰海月も嬉しそうに「ぷきゅぷきゅー」と鳴いている。どうやら「お久しぶりー」と言っているようだ。再会を喜んでいるのが伝わったのだろう、雷獣の子もはしゃいでいる。そんな子供に陰海月は近くへ寄って来たヒポグリフの霹靂とガラ・ルファの陽凪を紹介し始めた。「ぷきゅぷきゅ」と陽凪と霹靂を紹介する陰海月。それに「クエッ」と応える霹靂。どうやら陰海月の交友の広さに霹靂は驚いているようだ。陽凪の方はどうやら会話は出来ないらしく、必死にジェスチャーで交流を図っている。陰海月は霹靂と陽凪の両方と面識があるものの、霹靂と陽凪はあまり面識がなかった。今回は陰海月を介して2匹は交流するきっかけを得たようだ。そんな3匹と雷獣の子供は意気投合したのか、ワイワイと楽し気に話をしている。
そんな様子を横目に見ながら、義透と蛍嘉は雷獣の夫妻と一緒に空を彩る花火を見上げている。
「下から見る花火も風情あっていいものですねー」
「ほんと、いいよね。しかも、一緒に打ち上がって、歩けるっていうじゃないか。
不思議だよね、妖怪花火って」
「親分方が準備してくださったとか…。我々妖怪もこうしてこのような機会を得たのは嬉しい限りです」
そうこうしている内にひと際大きな音と共に空に大輪の花が咲く。
「うわぁ、凄く大きい!びっくりしたぁ」
会話に夢中になっていた雷獣の子も思わず空を眺める。陽凪も音にびっくりしたものの、その幻想的な様子に見惚れて空をじっと眺めている。
「陰海月も、花火は見る方に傾くみたいですねー。光る物が好きなんでしょうか…?」
陰海月も会話を切り上げて食い入るように空を見上げている。そんな陰海月の様子を見ながら、ふと義透は以前に陰海月がゲーミングカラーに光るかき氷食べて、ゲーミング陰海月になっていたのを思い出したのだった。
こうして賑やかな団体は、皆で和気藹々と交流しつつ大輪の花を観賞しながら過ごすのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蛇塚・レモン
今年のコンテストの水着(※真の姿ではない
やっほー、ひりょ君っ!
海の家で手伝いしてるって聞いたから、あたいも助太刀に来たよっ!
あっ、猫娘さん!
配膳作業なら任せてっ!(UCでしゅぱぱっと済ませる
その代わり、あとでひりょ君を借りるね……っ?(顔真っ赤
ようやく店が落ち着いて
まずはひりょくんと一緒にまかないのカレーを食べたいな
ひりょ君、結構食べるねっ!?
腹が膨れたら2人きりで花火鑑賞
ひりょ君ってさ
……あたいのこと、どう思ってる?
あたいはね~
――好きだよ、ひりょ君のこと
だから、もっとひりょ君のことが知りたいな
それに、あたいの事も知ってほしいな
もっと仲良くなりたいもん
だめ、かな……?(じっと見詰めて顔寄せる
「やっほー、ひりょ君っ!海の家で手伝いしてるって聞いたから、あたいも助太刀に来たよっ!」
海の家にやって来たのは蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)。真の姿こそ解除したもののコンテストの時の水着のままだったレモンは、店に来ていた妖怪達からの視線を集める事になった。
「やあレモンさん、コンテストもお疲れ様でした。凄かったね」
「ありがとっ、ひりょ君や皆の応援もあったからね。頑張った甲斐があったよ!」
気恥ずかしさも感じつつも笑顔で応えるレモン。そんな会話をしている所へ店の奥から猫娘が顔を出す。
「あっ、猫娘さん!配膳作業ならあたいに任せてっ!」
UCを発現させたレモンが見えない鎖を遠隔で動かし、出来上がったメニューの品を次々と配膳していく。
「こりゃ凄いね…。人手が欲しい時間帯だから、ありがたいや。じゃあ、配膳は任せるね」
「うん!その代わり、あとでひりょ君を借りるね……っ?」
顔を真っ赤にしながら提案するレモンを見て、何かを察した猫娘。にやにやとしつつも、その提案を了承するのだった。
皆で役割分担をし、忙しい時間帯を順調に乗り切っていく。
「二人ともお疲れ様。あとは私だけでも何とかなると思う。これはお礼ね」
猫娘のご厚意もあり、ひりょとレモンはまかない料理を食べてひと休憩する。
「あ、これが噂のカレーかー。美味しいねひりょ君!」
「うん、美味しい。お手伝いしてよかったぁ」
「これは確かに食べたくなるかも…。って、ひりょ君、結構食べるねっ!?」
二人で歓談しながらの食事の時間は、あっという間に過ぎてしまった。そして猫娘に見送られながら、レモンはひりょと共に海の家を後にするのだった。
穴場になる観賞場所を見つけた二人は、並んで打ち上げられる花火を鑑賞する事にした。
2人でしばらく眺めている間にレモンは気持ちを必死に落ち着け、ついに伝えたかった事を口にする。
「ひりょ君ってさ。……あたいのこと、どう思ってる?」
驚いて振り返るひりょの前には、少し緊張気味のレモンの姿があった。
「あたいはね~」
一度、深呼吸をしたのち、想いを伝えるレモン。
「――好きだよ、ひりょ君のこと」
一度想いを口にしたレモンは気持ちを溢れさせていく。
「だから、もっとひりょ君のことが知りたいな。それに、あたいの事も知ってほしいな。
もっと仲良くなりたいもん」
贈られたリングに触れながら、レモンは必死に全てを伝えきった。
「だめ、かな……?」
突然の告白に頭が真っ白になったひりょ。彼は今まで誰かに明確な好意を告げられた事などなく…。自分の事になると、とにかく鈍感で不器用になるひりょ。それでも、今出来る精一杯の言葉でレモンに応えようと思った。
「ありがとうレモンさん。こうして誰かに想いを伝えられるのは初めての事で。物凄くびっくりしている」
「正直、俺はレモンさんの『好き』とどのくらいの差があるのか、わからない。でも、最低でも…レモンさんの事は好きだと思う」
「嫌いな人の事を気に掛けられるほど器用じゃないしね」と苦笑いし。
「だから、俺もこれからレモンさんの事をもっと知っていけたらな、と思う」
不安そうにひりょの顔を間近で見上げていたレモンに、笑顔が浮かんだ。
「良かった、あたいの一方通行の想いじゃなかったんだね」
「うん、これからもよろしくねレモンさん」
二人の関係は、この夏、一つの大きな変化を迎えたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
こうして、カクリヨのビーチでのひと時はあっという間に過ぎ去った。各自が思い思いに過ごした夏。振り返れば素敵なひと夏の思い出になってくれる事を願うのみである。
【完】