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ボーイズ ミーツ ヴィジランテ

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #ラグネ・ザ・ダーカー #ヴィジランテ #デッドマンズ・ハンド

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●ヒーローズアース
 坊主、ひでえ顔だな?
 この世の全てにナイフを突き刺してやるって面だ。
 ……俺も同じ? そうだな、多分同じだ。
 話は聞いている、父親を殺されたそうだな?
 お前の親父は坊主にとっては良い父親だったんだろう。
 けれど、仕事が良くなかった。
 Mr.カスタマーサービス……世界中のヴィランに武器を都合する、死の商人だったからな。
 だが……刑務所に入る理由はあっても殺される理由はない。
 坊主、分かっているだろう?
 自分の親を殺したタフネスガールが偽物だってことに。
 正解だ、奴の本当の名はラグネ・ザ・ダーカー……ヒーローに成り代わって殺人を侵す猟書家って奴さ。
 俺は奴を追ってここに来た。正体を暴き、奴を殺すために。
 俺か? 俺の名は――。

「デッドマンズ・ハンドだ」

 とはいえ奴は強敵だ、武器が必要だ……ほう? どうやら当てがあるようだな。
 じゃあ案内してくれ、坊主。

●グリモアベース
「グリモアが呼んでいる、皆の力を必要する者の叫びを聞いて!」

 グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)が左手の包帯を解いてわざわざ左手にあるグリモアの紋章を輝かせた。
「今回は猟書家案件だ、ヒーローに化けて人々に不和をもたらす者――ラグネ・ザ・ダーカーを追うヴィジランテの手助けを頼む」
 少年がペンを握りホワイトボードに書き込みを始める。
「猟書家を追うヴィジランテの名はデッドマンズ・ハンド。以前、俺が予知したヴィジランテだ」
 書かれた文字の名は『Dead man's Hand』
「今回は殺されたヴィランの子供と協力してラグネ・ザ・ダーカーに対抗するために武器を作っている。みんなはそれに協力しつつ、彼と一緒に猟書家を倒してほしい」
 グリモア猟兵が左拳を掲げると開かれるのはヒーローズアースへのゲート。

「彼は再び真実にたどり着いた。けれど今は武器を持っていない。みんなの力で彼に武器を授けて、そして――子供の願いを聞いた彼の怒りとアヴェンジに助けてやってくれ」
 猟兵を見つめる少年の目は、戦い続ける男の生き方へのやるせない何かに満ち溢れていた。


みなさわ
 ヴィジランテの戦いに終わりは無い。
 こんにちは、みなさわです。
 今回は一人の子供の無念を晴らす男の話をご用意しました。

●デッドマンズ・ハンド
 前作『デッドマンズ・ハンド ストーキング ザ スナーク』に登場した黒いコートのヴィジランテです。

『https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=29559』

 猟書家を倒す武器を持っていませんが、子供の願いを聞きラグネ・ザ・ダーカーを倒すべく作戦を練っております。

●子供
 Mr.カスタマーサービスという名のヴィランの息子でした。
 父親の商売を知りつつも家庭仲は良好でした、それ故に復讐心に燃えています。

●最初の舞台
 二人が武器を作ろうとしている工房から始まります。
 二章では猟書家の本拠地への突入からのホットスタートです。

●ラグネ・ザ・ダーカー
 今回の敵にして猟書家。
 タフネスガールという、パワーと飛行能力を持った女性ヒーローの姿で人々に不和を巻いております。
 戦闘時は正体を現し、ラグネ・ザ・ダーカー本人として戦います。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『超兵器を作ろう!』

POW   :    接近戦やパワーを上げる武器を作る。

SPD   :    射撃武器やスピードアップができるアイテムを作る。

WIZ   :    相手の能力を封じ込める武器や、特殊なパワーを秘めた秘宝を作る。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●リベンジャー ボーイ

 親父は確かに悪党だった。
 誰にでも『公平』に武器がいきわたる様に仕事をしていた。
 だからこそヴィランに武器を渡し、時にはヒーローにも融通した。
 でも、家ではただの父親だった。
 クリスマスカードは欠かさず、プレゼントの為に四方八方に走り回って、将来親父のようになりたいと言ったら真剣に悩んでいた。

 けど、それはもう終わった。
 ヒーローの姿をしたニセモノが腕を振り回した時、親父の頭はアスファルトに叩きつけたトマトに変わった。
 過失に見えたかもしれない、でも分かっていた。
 あいつは笑っていたのだから。

 デッドマンズ・ハンドがなんでアイツの正体を知っているか分からない。
 でも力を貸してくれるっていうなら、オレも力を貸す。

 ――ダークポイントが残した銃火器。

 普通の人間なら扱いきれない代物。
 でもバケモノなら聞くかもしれない。

「手を加える必要があるな……」

 あの男が考えている間に、オレは一丁のリボルバーに手を伸ばした時……。

「猟兵――また、お前等か? ちょうどいい手伝ってくれ。武器が要るんだ」

 デッドマンズ・ハンドが苦笑した。
 どちらにしてもチャンスは増えたってことか?
 ならオレは――

 Get my revenge.
 復讐を果たすのみだ。
ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と行動
父を失った子と、子を失った父親か・・・何の因果だろうな

俺は武器なんて作ったことねぇが、
その拳銃がダークポイントのモノだってんなら、
どんな攻撃に使われていたか教えることはできる。
思い出したくもないような厄介な攻撃だがな。

「全方位・超連射・物質透過 弾丸の放射」
それがヤツの拳銃を使った攻撃の一つだった。
現実的に作れそうなのは超連射あたりなんじゃねぇか?
どれか一つでもその効果が発揮できるなら、
かなり強力な武器になるだろう

復讐なんて止めとけ、と言いたいところだが、
何を一番望むかは人それぞれだ。
だが、命を落とすような真似だけはさせたくねぇからな。
協力は惜しまないぜ


織部・樒
ザフェルさん(f10233)と行動
アドリブOK

WIZ
ダークポイントの遺産……
確かに彼には手を焼いた記憶があります
何処までお役に立てるか分かりませんが、出来る限りお手伝い致しますね

先ずは息子さんとお話ししましょうか
他愛のない会話から、徐々に今回敵と武器の改造の話へ
どのような能力でも、発動出来なければ(乃至当たらなければ)無意味です
その短筒(リボルバー)或いは弾丸に符か、直接呪(しゅ)を刻むのは如何でしょうか
可能なら私が七星七縛符か、九字真言の呪を刻みましょう
少しでもお役に立てれば幸いです



●ダークポイント レガシー

「父を失った子と、子を失った父親か……何の因果だろうな」
 ザフェル・エジェデルハ(流離う竜・f10233)の呟きは狭い室内では遮るものがない。
 リボルバーから手を離し少年がデッドマンズ・ハンドを見ると、男はただ銃を分解するのみ。
「そういう事情があったんだ……」
「勘違いするな」
 復讐者の言葉をヴィジランテは否定する。
「俺はラグネ・ザ・ダーカーを殺しに来た。それだけだ……参ったな、生体金属が使われてるぞ。これを排除しないとこっちが武器に取り込まれちまう」
「ダークポイントの遺産……」
 錫杖の環が音を立てると、そこに立つのは織部・樒(九鼎大呂・f10234)。
「確かに彼には手を焼いた記憶があります」
 白天目茶碗のヤドリガミの視線は生きた金属が蠢く武器へ。
「何処までお役に立てるか分かりませんが、出来る限りお手伝い致しますね」
「とりあえず、このまま使えると思うか?」
 樒の申し出に武器を指さすのはデッドマン。
「俺は武器なんて作ったことねぇが」
 ザフェルが言葉を挟む。
「無理だな」
 竜の使い手の言葉に黒いコートのヴィジランテは肩を竦めた。

「その拳銃がダークポイントのモノだってんなら、どんな攻撃に使われていたか教えることはできる」
 ジェネシスエイトの遺産を前に、ザフェルは口を開いた。
 その武器の使い方を知る者の言葉は金貨より重い。
「全方位・超連射・物質透過 弾丸の放射――それがヤツの拳銃を使った攻撃の一つだった」
「すげえな」
 竜の使い手の言葉に少年は驚きを隠せず。
「手こずったろう」
 男はその恐怖を想像し問う。
「ああ、思い出したくもないような厄介な攻撃だ」
 答え、そしてザフェルは話題を切り替える。
「けど現実的に作れそうなのは超連射あたりなんじゃねぇか?」
「だろうな。他のはジャスティス・ワンとかマジェスターズの分野だし。連射ならこの怪しい生体金属の世話にならなくても済みそうだ」
 ヴィジランテは早速武器の調整に乗り出し、その傍らで樒は少年に歩み寄った。

「お悩みですか?」
「……悩んでねえよ」
 陰陽師の言葉に小さな復讐者はぶっきらぼうに応える。
「では、どうしてその短筒を取ろうとしないのです?」
「タンジュツ……?」
 呆けたように呟いた少年は金の瞳の先にあるリボルバーに気づいた。
「あなたは復讐の為に彼に武器を提供しました。あなた自身の心はどこにありますか?」
 樒は拳銃の横に転がっていた弾丸に呪を施す。
 それは破邪の真言、そしてスイングアウトしたシリンダーを七曜に満たて、護符と為す。
「オレの心……」
 差し出されたリボルバー、それを手に取ろうとした小さな復讐者。
「――おい」
 それを止めるのは黒いコートの男であった。

「子供に殺しをさせるのか?」
 デッドマンの言葉に皆が視線を向ける。
 それは生き方と文化の違いなのだろう。
「復讐なんて止めとけ……と言いたいところだが」
 今もなお復讐を成そうとする男を横目にザフェルが口を開く。
 少年へと向かって。
「何を一番望むかは人それぞれだ」
 男へ向かって。
「だが、命を落とすような真似だけはさせたくねぇからな、協力は惜しまないぜ」
 ヴィジランテは応えを返さない。
 竜の使い手の言葉も真実であると承知しているのだから。
「だから、私達は選択肢を用意します。あなたが……貴方達が死なない道筋を」
「デッドマン……」
 悩みし小さな復讐者は、黒いコートの男へと言葉を投げる。
「俺は反対だ。父親の悪い仕事をお前が受け継ぐ必要は無いからな」
 かつて息子を失った男は敢えて拒絶の言葉を投げる。
「けれど強要はしない。異邦より来た彼らの言葉も真実だ……けっして舗装された道ではないけどな」
「少なくとも石畳は敷いてあったぜ」
「私も杖は片手にありましたよ」
 デッドマンズ・ハンドの比喩に対し、ザフェルと樒も自らの言葉で返した。
「オレは……」
 少年は迷う。
 子供のままで居るか。
 大人となるために手助けを受けるか。

 呪を施された武器が小さな復讐者にはまだ重く感じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月待・楪
よォ、また会ったなおっさん
今度はガキの復讐に手を貸してんのか?
面白そうだから、俺も手を貸してやるよ

つーか、武器調達からかよ
ダッセーなおっさん

おい、ガキ
お前が使うならこの銃は重いし反動がゴツい
お前が使うんだ、改造手伝えよ

【武器改造・防具改造】
銃だけをガキ向けに改造したら威力が落ちる
まずはまともに撃てるようにするか

腕と肩を強化しつつ反動を逃がすような防具
靴に推進付けて撃った時に倒れないようにするか

銃にも反動軽減の改造
威力が落ちねェように弾丸の方にも手を加える

あとは重さか
なァ、カスタマーサービスの過去の記録とかねェの?
改造の参考にはちょうどいいし
…お前も自分の親父の仕事がどんだけ凄いか知りたいだろ?


ティオレンシア・シーディア
ハァイ、リベンジャーさん。お久しぶりねぇ。お変わりないかしらぁ?
まあ、連中を猟兵以外が普通の武器で倒そう、ってのはちょっと無謀よねぇ。

とはいえあたし武器改造とかそっち方面の心得なんてないし。となると、別方面からのアプローチかしらぁ?
●忙殺でフレグラント・スタイルに○早着替え、ゴールドシーンにお願いして魔術文字のエンチャント。ラド(チャンス)とかシゲル(成功)とか摩利支天印(戦勝滅敵)とかで○誘導弾でっち上げるわぁ。
直接当たる弾丸に刻むのが一番効果的だけど、銃本体に刻んでも効果はあるはずよぉ?

公私で顔が違う、なんてのは珍しいことじゃないし。
この世界ではよくあること、なのかしらねぇ。



●メモリー オブ カスタマーサービス

 選択肢を増やす次の使者は男と女。
「よォ、また会ったなおっさん」
「また会えるとは思わなかったよ……一応ヴィランだよな?」
 月待・楪(Villan・Twilight・f16731)に対し、デッドマンズ・ハンドが返す言葉はスパイスが効いていた。
「で、今度はガキの復讐に手を貸してんのか? 面白そうだから、俺も手を貸してやるよ」
 次に少年の視線が突き刺さった。
「気にするな、こういう男だ。お前の父親はこういう相手も上手くやっていた。勿論、尊敬すべきものを持っていればそれにふさわしい商品を用意していたから顧客には困らなかったがな」
「で、こいつは?」
 窘めるデッドマンに小さな復讐者は問う。
「これからだな?」
 やはり言葉にはマスタードが詰まっていた。

「ハァイ、リベンジャーさん。お久しぶりねぇ。お変わりないかしらぁ?」
「This is a pokerってところだな、イエロー・パロット」
 男が変わりないことに安堵したのかティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は笑みを返す。
「こっちは?」
 少年が問う。
「お前がお前であるのなら、信頼足りうる人間だ」
「よろしくねぇ」
 デッドマンの言葉にティオレンシアはいつものように間延びした言葉で返した。

「つーか、武器調達からかよ、ダッセーなおっさん」
「お前のようにユーベルコードが使えるわけじゃないからな。格好だけで敵は殺せないんだよ」
 楪の言葉に対し、返すものは同じかそれ以上。
 その意味を知るのはヴィランたる彼のみ。
「まあ、連中を猟兵以外が普通の武器で倒そう、ってのはちょっと無謀よねぇ」
「だからダークポイントの武器を使おうと思うんだ。これ、使えるかなイエロー・パロット?」
 糸目の女に言葉に小さな復讐者が問いかける。
「そうねえ……彼に聞いてみたらどうかしらぁ?」
 その言葉に少年の顔の眉が歪んだ。
 少なくともティオレンシアの視線の先に居る楪への印象は良くないようだ。

「おい、ガキ」
「ガキじゃない、レイジ・マークスマンだ」
 自分を貫くというのは何かを伴うものだ。
 少なくともこのヴィランが少年の好感を得ることは無い……今のままでは。
「お前が使うならこの銃は重いし反動がゴツい……お前が使うんだ、改造手伝えよ」
「嫌だ」
 故に得られるのは拒絶。
「親父は言っていた。人の名前を呼べない奴とは相手をするなと……アンタはどうなんだ?」
 レイジと名乗った小さな復讐者の言葉にデッドマンは笑みを浮かべる。
 少年が己の意志を見せたことへ。
「分かった……トワイライトだ。手伝えレイジ、お前の武器だ」
 こめかみを指で叩きながら楪は少年の意志を尊重した。
 頭痛がするのは気のせいだろうか……。
「で、どうするんだトワイライト?」
 その痛みを切り裂くようにレイジは問うとヴィランは答えた。
「お前がその銃を使えるようにする」

「あっちは上手く行きそうねぇ」
「お前も案外……いや、それよりも――なんで服装変わってるんだ?」
 ティオレンシアに問いかけるデッドマン。
 女は笑みを返すと男はそれ以上の詮索を止めた。
「あたし武器改造とかそっち方面の心得なんてないし。となると、別方面からのアプローチかしらぁ?」
 シトリンのペンを手の中で回し、分解された銃身へと魔術文字を刻み込む。
「ᚱ……ᛋ……機を得て成功するって意味か……もう一つは分からないな、ゼンの言葉か?」
「戦勝滅敵……これだけ組み合わせればわかるでしょぉ?」
 ルーン文字を読み取ったヴィジランテにいつもと違った笑みを見せてから、糸目の女は逆に問いかける。
「チャンスを勝ち取り、敵を倒せる銃と言ったら昔から決まっている」
 青白く光る銃身を組み込みながら男は答えた。
「必ず当たる銃だ」
 ちょっとしたリドルを解いたデッドマンに対し、ティオレンシアは軽くウィンクを返した。
 もっとも、細い目のそれが他人に分かるかは定かではない。
「なァ、カスタマーサービスの過去の記録とかねェの?」
 そして楪の言葉が空気を変える。

「改造の参考にはちょうどいいし……お前も自分の親父の仕事がどんだけ凄いか知りたいだろ?」
 トワイライトの言葉にヴィジランテは眉を上げた。
「Mr.カスタマーサービスという男は有能なヴィランだった」
「つまりは無いってことか」
 男の言葉をヴィランは理解する。
「仕事の詳細は奴の頭の中だったからな。だから商売相手も様々だ、プロヴィジョン・オブ・スキル、R.E.D、そして――政府。白黒問わずこういう超兵器を流通させていたのさ」
「流石にこれから知っているところに向かうのも難しいわねぇ」
 ティオレンシアが溜息をついた。
「それにしても……公私で顔が違う、なんてのは珍しいことじゃないけれど」
 糸目の女がレイジへと視線を向け。
「この世界ではよくあること、なのかしらねぇ」
 少年の前で良き父親であった男の姿を想像する。
「マスクを被れば、誰でもヒーローになれるように」
 マスクを被らない男が独り言のように口を開く。
「マスクを被れば、ヴィランにもなれるさ」

 それはどっちづかずの自分を皮肉るようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
親を殺された。
しかも、理不尽に。
怒り、悲しみは測り知れないよね。
復讐したいのは当然だと思う。

でも、全面的に肯定できないのは何故だろう。
どこか、彼に暗い翳りが見えるから…かな。

こんにちは、わたしは八重!
今回はあなたたちのお手伝いに来たよー!

空気を読まないように明るく声をかけるね。
武器の相談をしながら父親との思い出を聞き、
怒りも悲しみも憎しみも、真摯に受け止める。

お父さんは、悪い人だったのかもしれない。
でも、君にとってはいいお父さんだったんだよね。
お父さんは、君の幸せを願っていた。
だから、お父さんの心に顔向け出来くなることは、
しないでね。

ヴィラン拘束用の手錠を発見。
これ、使えないかな…?



●ファザーズ サイド

 親を殺された。
 しかも、理不尽に。

 御桜・八重(Sakura-Comet・f23090)は少年の心情を想像する。
 復讐したいという心は当然だろう。
 けれど、全面的に肯定出来ない何かがあった。
 だから――

「こんにちは、わたしは八重!」
 直接、聞くのが彼女のスタイル。
「今回はあなたたちのお手伝いに来たよー!」
「サクラ・コメットまで来たのか!?」
 デッドマンズ・ハンドは思わず弾倉を床に落とした。

「おおー、なんかすごくなっている!」
 小さな復讐者――レイジが身に着けている防具に八重が目を丸くした。
「これで大きい銃も撃てるみたいだ。しかも重くない」
 少年がヴィランに仕立てられたスーツの右腕を動かす。
 アシストギアが稼働し、機械音が漏れた。
「材料はここにあったの?」
「ああ、親父の商売道具から作ったみたいだ」
 年代が近いのか、レイジの言葉も少しくだけている。
「これで奴を殺せるよ」
 その言葉にデッドマンと――八重が表情を曇らせた。

「どうしたの?」
「話を聞いてやれレイジ。そのお嬢さんの言葉はお前に必要だ」
 床に転がったマガジンを拾い、デッドマンが話を促した。
 助け船に感謝し、桜の巫女は口を開く。
「お父さんは、悪い人だったのかもしれない。でも、君にとってはいいお父さんだったんだよね?」
「ああ。プレゼントも忘れなかったし、それ以上に――オレの話をいつも聞いてくれた。毎週買ってくるヤングアームズのコミック・ブックだけは好きになれなかったけれど」
 少年が話す聞いたことのある名前に八重は乾いた笑いを返すしかなかった。
「お父さんは、君の幸せを願っていた」
 気を取り直すように桜の巫女は言葉を続ける。
「だから、お父さんの心に顔向け出来くなることは……しないでね?」
「親父の心に顔向け出来ないこと……」
 レイジがリボルバーへと視線を落とす。
 デッドマンズ・ハンドが最初の来訪者の前で言った言葉を思い出す。

 ――俺は反対だ。父親の悪い仕事をお前が受け継ぐ必要は無いからな。

「確かに……オレのすることは親父に顔向けできないことかもしれない」
 独白するように小さな復讐者はリボルバーへと手を伸ばす。
「けれど、誰かに任せっぱなしなんて出来ない!」
 吐露するのは感情。
「もしデッドマンに全てを任せたら、オレはオレであれない――一生、誰かに頼って生きていくことしかできなくなる」
 握った銃は激情。
「もう一人なんだ……だから、誰かの手を借りたとしても最後はオレがやらないとダメなんだ」
「そっか……」
 八重は受け止める。
 けれど全てを受け入れたわけではない。
 理解は出来るが、感情はまだ呑み込めないでいた。
「……ん?」
 ふと、机にあった手錠に指が触れ、視線を向ける。
「これ、使えないかな……?」
 特殊金属で出来た拘束具を手に取り、桜の巫女は少年に手渡す。
 せめて直接手を汚さない方法を取れるようにと。
「……分かった」
 レイジが応え、手錠を握りしめた。

 少女の言葉をその胸に受け止めながら……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
暫くぶりね、デッドマン。
再会を喜べるような状況じゃあないけれど、健勝そうでなによりだわ。
手伝う……いいけれど、どう料理すればいい?

持ち前の「怪力」で重量物の移動や武器の加工を手伝う
手先の器用さは精密とは言えないけれど悪くはないレベル
子供には様子を見て話しかける

貴方、奴に復讐したいのね……いいんじゃない?
私はその心を肯定するわ。
ただ、怒りと憎しみに呑み込まれないように気を付けなさい。
冷静さ、冷徹さを失ったら奴のカモよ。

もし、自分の手でケリをつけたいなら今からちょっとでも身体を鍛えときなさい。
(【頒布版・超★筋肉黙示録】を渡す)
奴を倒せる銃は威力も反動も相応。
扱うには筋力が必要よ。


トリテレイア・ゼロナイン
子供を戦いに巻き込むのは騎士の行いではありませんが
その方に止まる気が無い以上、協力致します
デッドマンズ・ハンド

さて、私からは小煩いお説教を
商いで武器を扱う貴方の御父上と違い、貴方は殺意で武器を用意します
その得物握る者、向けられた者、向けるべきで無かった者
故意過失問わず生じた全ての運命に責任の一端を負うのです

怪物でなく復讐者として
努々忘れず製作に臨んで下さい

私のマルチセンサーのパーツです
かの敵は疾い
握るグリップから発する刺激の大小で敵の位置と脅威を示すのも手でしょう
戦いの最中、捉えるにせよ逃れるにもせよ使用者を導く筈です

討つべきモノのみを討つ攻撃精度と共に

(男に)
彼の意志と責を、お頼みします


木常野・都月
父親…か。

巣立ち前の子供が持つ武器は、慎重に考えないと。
多分今回選ぶ武器は…この子にとって、将来自分や誰かを守る「牙」になる。
守ってくれる親がいないならば尚更だ。

子供の力で振り回すなら、小さくて軽いもの。
それなら何でもいいと思う。
俺は使った事ないけれど、小型の銃がいいんじゃないか?

武器は大きければ大きいほど、練習と力が必要になるからだ。
ビルみたいな大きい剣を振り回すのが大変って言えば、イメージが湧くか?

問題は大きさじゃない。
君の意思と相手の身体を貫く為の牙の威力だ。
道具が揃えばすぐにでも練習出来るしな。

……俺も実の両親に会って日が浅いけれど、あの人達がトマトみたいに潰れるのは、見たくないな。



●ザ リベンジャー ウィル

「暫くぶりね、デッドマン」
 最後に訪れるは鬼と戦機と狐。
 その内の一人、鬼たる荒谷・つかさ(Rakshasa・f02032)がデッドマンズ・ハンドへと呼び掛ける。
「再会を喜べるような状況じゃあないけれど、健勝そうでなによりだわ」
「そうだな、お前達とはいつも血なまぐさい時にしか会わないのが残念だ」
 強力なスプリングと格闘しながら黒いコートのヴィジランテが応える。
「で、お前達としては今回の事をどう考えている?」
 男の問いかけ。
 最初に答えたのは戦機であった。
「子供を戦いに巻き込むのは騎士の行いではありませんが、その方に止まる気が無い以上、協力致します」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の言葉はホットドックからソーセージとケチャップを抜いてマスタードをたっぷり塗ったものだった。
「手厳しいな」
 苦笑するデッドマン。
 トリテレイアの視線は少年――レイジ・マークスマンへと突き刺さる。
「さて、私からは小煩いお説教を」
 どこの世界においても騎士はやはり騎士であった。

「商いで武器を扱う貴方の御父上と違い、貴方は殺意で武器を用意します」
 言葉にするのは情という獣。
「その得物握る者、向けられた者、向けるべきで無かった者。故意過失問わず生じた全ての運命に責任の一端を負うのです」
 形にするのは責任という武器の重さ。
「怪物でなく復讐者として、努々忘れず製作に臨んで下さい」
 望むのは人としての意志。
 レイジはその言葉に強く頷きを返す。
「でも、私はその心を肯定するわ」
 続くつかさは有るがままの意志を尊重する。
「ただ、怒りと憎しみに呑み込まれないように気を付けなさい――冷静さ、冷徹さを失ったら奴のカモよ」
「……わかった」
 小さな復讐者は全ての選択肢を受け止め、そして自らの意志で復讐を選ぶ。
「…………」
 その姿をデッドマンズ・ハンドは見守ることしかできなかった。
 大人になろうとする者を止める権利を既に失っていたのだから。

 その間、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は武器へと視線を巡らしていた。
 狐たる都月には復讐という概念はまだ理解は出来ない。
 だからこそ、巣立とうとする者に対する牙を選ぶことに意識が向く。
 選ぶのは少年が持つリボルバーではなく、掌に収まるくらいの小型拳銃。
「武器は大きければ大きいほど、練習と力が必要になる」
 狐は拳銃をレイジへと手渡す。
「ビルみたいな大きい剣を振り回すのが大変って言えば、イメージが湧くか?」
「うん、だからこうやって右腕に仕込んでもらった」
 都月の問いに小さな復讐者はアシストギアが取り付けられた右腕を動かす。
「でも、左手は何もないだろ?」
 その言葉に少年は瞬きをし、左腕に視線を落とした。
「問題は大きさじゃない」
 狐が諭すは強き力ではなく。
「君の意思と相手の身体を貫く為の牙の威力だ」
 牙の鋭さ。
「道具が揃えばすぐにでも練習出来るしな」
「そうか……そうだよな」
 小さな復讐者もその意味を悟り、小型拳銃を左手に取った。
「……俺も実の両親に会って日が浅いけれど、あの人達がトマトみたいに潰れるのは、見たくないな」
 ベルトに銃を差し込むレイジの姿を見つめながら、都月は呟いた。
 家族と触れ、獣は次第に人へと変わりつつある……。

 その間、デッドマンズ・ハンドは強力なスプリングを納めるために銃と格闘していた。
「手伝う?」
「……頼む」
 つかさの言葉にヴィジランテは甘えることにした。
 いくら調整してもやはりオブリビオンの遺産は人の手には強力なのだ。
「いいけれど、どう料理すればいい?」
「とりあえず、このスプリングが嵌るように手伝ってくれないか? 二人がかりなら……」
 羅刹の女は何気なく銃と手に取るとあっさりとスプリングをはめ込んだ。
「これでいいかしら?」
「……それでいい」
 デッドマンはそれ以上は何も言わず、完成したサブマシンガンをターゲットへと構えた。
 次につかさは拳銃を何度も構える少年へと歩み寄る。
「銃の使い方を覚えるのも良いけれど」
 レイジに手渡すのはダンベルより重い本。
「自分の手でケリをつけたいなら今からちょっとでも身体を鍛えときなさい」
 リボルバーを落とし、アシストギアが悲鳴のようにモーター音を上げて筋肉書籍を受け止める。
「奴を倒せる銃は威力も反動も相応、扱うには筋力が必要よ」
「デッドマン……」
 小さな復讐者は黒いコートの復讐者に助けを求める。
「……頑張れ」
 男は少年の巣立ちを見守った。
 単に巻き込まれたくないだけに見えるのは気のせいかもしれない。

 どうにか本をテーブルに置いたレイジ。
 その隣には落としたはずのリボルバー。
 よく見ると見慣れぬ機器が取り付けられていた。
「私のマルチセンサーのパーツです」
 トリテレイアが兜のスリットからセンサーアイを光らせる。
「かの敵は疾い」
 既に知った敵だからこそ。
「握るグリップから発する刺激の大小で敵の位置と脅威を示すのも手でしょう」
 対策は如何様にも立てられる。
「戦いの最中、捉えるにせよ逃れるにもせよ使用者を導く筈です」
 そのために必要な目を騎士は授けるのであった。
「――討つべきモノのみを討つ攻撃精度と共に」
 そう、真実を射抜く鷹の目を。
 そして戦機はヴィジランテへと視線を向ける。
「彼の意志と責を、お頼みします」
「勿論だ」
 デッドマンズ・ハンドは騎士の意を受け、そして立ち上がる。
「準備は出来た。皆にはまた世話になったな」
 黒いコートのヴィジランテは猟兵に礼を述べる。
「お前達には足手まといかもしれないが……これは俺とこいつがやらなきゃいけないことなんだ。そうでなければこいつは前に進めないし、俺は……」
 何かを言いかけて、そしてデッドマンは頭を振った。
「行こう、そして思い知らせてやろう――ビブリオマニアのシナリオ通りには行かないってことを」

 それは復讐の狼煙。
 スナークを狩る死人の手札が再び切られる時。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ラグネ・ザ・ダーカー』

POW   :    ダーカー・インジャスティス
全身を【鮮血の如きオーラ】で覆い、自身の【悪意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    侵略蔵書「キル・ジ・アース」
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【侵略蔵書「キル・ジ・アース」】から【具現化された「死のイメージ」】を放つ。
WIZ   :    マッド・デッド・ブラザーズ
【死せるヴィラン】の霊を召喚する。これは【強化された身体能力】や【悪辣な罠】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●トゥ シグナル ア カウンターアタック

 タフネスガール。
 10トンもの物体を持ち上げる怪力と鋼鉄のような肉体、そして飛行能力を持ったスーパーウーマン。
 今日も彼女は悪と戦う……のは過去の話。

 既にタフネスガールなどという存在は居ない。
 ここに居るのはその女の姿を借りた私。

 ――スナーク

 全てはその言葉の為に。
 人々は疑念を生み、そして生み出すのだ――スナークを。
 それまで私は……タフネスガールを演じてやるのさ。

 ほら、また今日の獲物だ。
 黒いコートの男が銃を向けている。
 しっかりと殺してあげな――

 GaGaGaGaGAッ!!

「やったの? デッドマン」
 復讐に燃える少年、レイジが俺に駆け寄った。
「いいや、まだだ」
 警戒は緩めない。
 視界の先に居たタフネスガールは無数の弾丸を受けてもなお立ち上がっているのだから。
「流石に一撃じゃ死なねえな」
 俺は傍にいる、猟兵へと視線を向けた。
 ヒーローのように気高くもなく、ヴィランのように悪辣でもなく、オブリビオンのような古臭いインクの塊ですらない。
 そんな俺のようなヴィジランテと戦ってくれる第四の力。
「御覧の通りだ。やはり俺やレイジだけじゃ倒せない。けどお前達の力を借りれば――奴に死を刻み込める」
 右手のアシストギアを起動させてレイジも武器を抜く。
「オレもやるよ、デッドマン!」
「当然だ」
 もうこいつを止める気はない。
「お前と猟兵、全員の力を借りて――こいつを殺す」
 子供でいる時間が終わったのなら、それを手助けをしてやるのが先に歩く大人の務めだ。
 さあ、カードは切った。
 どっちがブージャムか教えてやる!

 反撃の狼煙があげられる中、白衣を羽織った女――ラグネ・ザ・ダーカーは薄気味悪く嗤っていた。

 ……猟書家を打ち倒すには猟兵とヴィジランテ、両方の力が必要だろう。
 故に猟兵よ――デッドマンズ・ハンドとレイジ・マークスマン、二人のヴィジランテと共に戦え!
荒谷・つかさ
さて、懲りずにまた出て来たわねパチモン女。
何者にも成り切れないお前には躯の海の底がお似合いよ。

【超★筋肉黙示録】発動し前衛を務める
デッドマンとレイジ、二人の援護を受けつつ突撃
悪意に比例した戦闘力増強、時速数百㎞を余裕で超える飛翔能力、なるほどどちらも厄介
しかし所詮は「その程度」
私の筋肉は「最強」にして「無敵」
私の筋肉信仰はその悪意を圧倒するし、どれだけ速くとも私の筋肉なら捕まえられる(圧倒的自信)
捕まえたらそのまま壁や地面に力任せに叩きつけまくってボコボコに
トドメはレイジが刺せるよう、手足は念入りに潰しておくとしましょうか

やりすぎ?
私は「ラクシャーサー(羅刹)」よ、これでも手を抜いた方だわ。


木常野・都月
今回は、猟兵の仕事とは別に、俺はデッドマンとレイジの牙として戦いたい。
今の俺は彼らの武器の1つ。
主役は彼らだ。

UC【俺変身「九尾の狐」】で九尾の力を借りよう。

空を高速で飛び回ってる敵を、地面に叩き落としたい。
遥か上空に、雷の精霊様を集めよう。
[属性攻撃、範囲攻撃]で、網状に雷の精霊様を組ませて、敵を絡んで欲しい。
広い範囲の雷の網なら、捉えやすい…はずだ。
多少でも痺れてくれると嬉しいな。

捕まえられたら、雷の網を地面へ叩きつけたい。
必要なら[二重攻撃]で落雷を追加しよう。
雷の精霊様で捕捉してるんだ、当てやすいはず。

地面に落ちれば、復讐の機会もあるかもしれない。

あとは、2人と他の猟兵に任せよう。



●ランドスケープ ウィズ ザ フォール オブ イカロス

 デッドマンズ・ハンドの脳内が式を弾き出す。
 ルーンとマントラの加護を受け、超高速の弾丸を叩き込めるサブマシンガンの一斉射で化けの皮は剥がしたが、致命傷に至らない……。
 おそらくは銃の特性――弾丸をばらまく短機関銃という性格が一発の威力ではなく複数の弾丸を叩き込むことで死を刻み込む方向に強化されているのだろう。
 必要な数は伝承を信じれば九回の斉射か百八の弾丸。
 となると、頼りは自然と傍らに立つ若者のリボルバーの一発。
「……どうした?」
 少年が問う。
「楽は出来ないなって思ったのさ」
 男は苦々しく笑った。

 ラグネ・ザ・ダーカーの前に立つのは一人の羅刹。
「さて、懲りずにまた出て来たわねパチモン女」
 猟書家の前に立つのは荒谷・つかさ。
「何者にも成り切れないお前には骸の海の底がお似合いよ」
「……言ってくれるな」
 握った拳から音を鳴らすつかさに対しダーカーは笑う。
「何度、私を殺したか分からないが……今も生きている私がいる……君ならその意味が分かるだろう?」
 発するは鮮血の如き赤きオーラ――ビブリオマニアの反撃が始まった!

「来たぞ!」
「どうする?」
 黒いコートのヴィジランテと小さな復讐者が武器を構える。
「大丈夫だ」
 木常野・都月が前に出る。
「俺が牙になる」
 都月の身に何かが宿る。
 それは狐、それは九尾。
 妖の化生。

 I transform Nine tailed Fox
 俺 変 身 ――『九尾の狐』

 九尾の力を借りた狐が空を支配し、青空を暗雲で隠す。
「雷の精霊様!」
 請われた精霊が雷の網となりて猟書家を捕えんとする。
「させるか!」
 けれどラグネ・ザ・ダーカーも叫び、速度を上げて網を抜ける。
 直後であった。
 稲光が猟書家を撃ち、ビブリオマニアのシナリオを修正させる。
 雷の網と落雷の二重攻撃。
 さしものラグネ・ザ・ダーカーも対処できない。
 だからこそ、狐の一手を封じる。
「――飢えて死ね」
 動物にとっての身近な死である餓死
 飢餓の苦しみから死に至るイメージを精神に刻まれた都月がその場に膝を着く。
「大丈夫?」
「……大丈夫、だ」
 荒い息を吐きながらレイジに応える狐。
「助かった、あとは任せろ。行くぞレイジ!」
 その肩に手を乗せた黒いコートのヴィジランテは少年に戦いを促し、そして銃の引鉄を引いた。
 低空を疾走するように迫るダーカー。
 悪意の侵攻を食い止めるは魔法の弾丸による嵐。
 だが猟書家は鼻で笑い、空高く舞い上がることで逃れる。
 そこを狙ってリボルバーが火を吹いた。
 真言が込められた銃弾。
 しかし身を捻ったビブリオマニアによって銃弾は惜しくも空を切り裂き、逆襲に転じるべくラグネ・ザ・ダーカーがヴィジランテ達へ向かって急降下を始めた。
「悪意に比例した戦闘力増強、時速数百㎞を余裕で超える飛翔能力、なるほどどちらも厄介」
 けれど、それを食い止める者がいた。
 荒谷・つかさ。
 その手に本を持った彼女は空に居た。

 つかさは力に優れた羅刹。
 それだけの人間であり、飛行能力を持っているわけではない。
 けれど、届かない空などなかった。
 地面を蹴って跳びあがるには十分すぎる筋力があり、それを補う知識がその手にある。

 Hyper Muscle Apocalypse
 超 ★ 筋 肉 黙示録

 想像より創造された筋肉書籍にはこう書いてあった。

 ――空を飛ぶ相手には同じ高さまでジャンプすればいい。さすれば敵はその手の中につかみ取らん。

「しかし所詮は『その程度』」
 猟書家を片手で掴み自由落下の勢いで廃ビルに叩きつける羅刹。
「私の筋肉は『最強』にして『無敵』」
 ラグネ・ザ・ダーカーの身体で建材である鉄筋コンクリートを削りながら着地するつかさ。
「私の筋肉信仰はその悪意を圧倒するし、どれだけ速くとも私の筋肉なら捕まえられる」
 言葉の通り、筋肉の化身は捕まえたビブリオマニアを何度も地面に叩きつけた。
 ユーベルコードが如く勢いで。

「……」
「……ねえ」
 沈黙するデッドマンズ・ハンドにレイジが問う。
「オレの右腕でもアレ出来るかな?」
「馬鹿言え」
 少年の問いに男は苦笑を隠せない。
「あんなのが出来るのはパワー系のヒーロー……カピタン・クラフトでも無理だ」
「やりすぎ?」
 二人の問答を聞いていたつかさが猟書家を空彼方へと放り投げて問う。
 男と少年は首を振り。
「私はRakshasaよ、これでも手を抜いた方だわ」
 羅刹の女は胸を張って答えた。

「まあ、それくらいにしましょう。戦いはまだ終わっていません」
 ふと遠くから聞こえる声。
 その声色と近づく姿につかさは反射的に背筋を伸ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



●ミスター・サムライ

「僕は普通の猟兵だよ」
 口元を襟巻で隠した羅刹の男が呟き、ヴィジランテ達の元へと歩く。
「名前はそうだね――シルバー……いや、ミスター・サムライとしておこう」
 世界の空気を読んだ徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は自らをそう名乗り腰に差した一刀を抜く。
「その業物。あんた……何者だ」
「話はグリモア猟兵から聞いています。僕はそうですね――騎兵隊というところかと」
 デッドマンズ・ハンドの問いに家光が応えるとヴィジランテは周囲を見回した。
「……どうしたの?」
「世界というのは時に息苦しい物なのさ。お前も勉強すればわかる」
 少年に対し苦々しく応える男の姿に何かを考えながらもサムライの耳は空気を切り裂く音を捉えていた。
「――来ます!」
 三者三様、羅刹と男と少年が武器を構え、迫りくるラグネ・ザ・ダーカーへと備えた。

「おのれおのれおのれぇ!」
 怨嗟の声と共に低空を這うように飛ぶのは猟書家。
「お前達には死をくれてやる。そうだ……残酷なる集団によって殺されるのが良いだろう」
 侵略蔵書片手にラグネ・ザ・ダーカーは三人の男達へと目を向ける。
 サムライ、ヴィジランテ、ボーイ、彼らを殺すに適したもの。

 ――チェンジリングス

 変装に優れたヴィラン集団。
 人を幻惑する姿を以って悪を成したかつてのヴィランが成り代わるのは無辜の市民。
 だが、ここはアメリカだ。
 罵声や投石だけでは戦わない。
 猟銃を構え、ギターを携え、斧や散弾といったマスターキーの種類には事欠かない。
 手に武器を携えた一見するとただの人々の姿にヴィジランテ達が一歩下がった。
「これは手ごわいですね」
 家光が片眉を吊り上げた。
 偽物とはいえ、視界に入ると刃先は一瞬鈍る。
「この人たち……ヴィランだよね」
「ああ、だがレイジ、お前は殺すな。死したヴィランとは言え汚名を背負うのは俺だけでいい」
 躊躇するレイジと呼ばれし少年。
 同行せし、黒いコートのヴィジランテが小さな復讐者を制し、自ら戦いに赴こうとすれば、先に舞う影一つ。
「いえ、誰にも殺させません――貴方達が力を振るうのはあの猟書家のみ」
 非道を許せないサムライは刀片手に飛び込んだ。
 人の皮を被った悪意を相手に。

 弾丸が舞い、斧が家光を襲う。
 けれど舞う様に動く練達の運足は致命傷を避け、ただ傷だけを作る。
 しかしサムライは意に介さない。
 武勇に優れた将軍であるが、それ以上に猟兵でもあり、そして――悪を許せぬ人間だから。
「刃の囀り月をも酔わす」
 歌を諳んじるように砂流しが描かれた刃文を指でなぞり、微かな刃鳴りを響かせつつ大天狗正宗を振るう。
 鈴のような軽やかな音色がヴィラン達へと浸透し、やがて彼らは夢に囚われ姿を消す。

 Butterfly Effect
 胡 蝶――酔 月

 それは眠りのユーベルコード。
 意志を失った霊は存在を失い、残るはラグネ・ザ・ダーカーのみ。
「今です!」
 家光の言葉に従った男と少年が猟書家へと鉛弾を叩き込んだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
元保安官の貴方と違いレイジ様も戦闘に参加するのは想定外でした
(戦機として戦闘経験皆無を危惧)
こちらを
騎士としてガイドとフォローはお任せを
実戦経験を積んで頂きます

(レ)銃が教える敵位置を常に把握、銃口で牽制を…右に跳躍!
(デ)三時方向、カバーを!
(UCを二つの口とし同時並行指示)

彼らをかばいつつ武装習熟と連携、立ち回り練度向上

…!
(一人かばう内にもう一人襲われ牽制で武装投擲、得物喪失、攻撃迫り)

…意地の悪い貴女のことだ
二択を迫るのは分かっていました

物資収納Sの煙幕手榴弾で目潰し

余裕が無いもので、ご容赦を

センサーで捉えた二丁の銃の十字砲火指示
鉄拳で追撃

タフネスガールの名誉を汚した報い
受けて頂きます


月待・楪
デッドマン、新米ガンナーの教官はアンタだ
さっさと死なない程度に戦場に慣らせよ?
ヴィランじゃなくてヴィジランテなんだからな…アンタも、レイジも

くそ、柄じゃねェ
ストレス発散に付き合え、ビブリオマニア
【制圧射撃・乱れ撃ち】で距離を維持
攻撃を【見切り】かわしつつ【念動力】で【衝撃波】をぶつけて潰す
ついでにさっき撃ちまくった弾丸を念動力で操って再利用して【カウンター・2回攻撃】
罠への【破壊工作】にもちょうどいいだろ

アスファルトの代わりにとびきりの炎で舗装してやる
【P. granatum】発動
対象はビブリオマニア
真っ赤に燃えて、石榴みてーにその頭を弾けさせちまえ

お膳立てはここまで
覚悟を見せてみろ、レイジ



●アスファルト カラーリング ウィズ フレイムズ

「元保安官の貴方と違いレイジ様も戦闘に参加するのは想定外でした」
「命を奪う心得を説いておいて何を言ってやがる」
 トリテレイア・ゼロナインに答えを返すデッドマンズの表情は戦機の予想通り。
「かと言って放っておいたら、何をするか分からん。目の届く範囲で武器を持たせるしかないのさ」
 共に少年の命と戦闘経験の無さを危惧していた。
「ならばこれを」
 トリテレイアが手渡すのはカメラ付きの小型インカム。
「C4Iか?」
 意図を察したヴィジランテが問う。
「そんな骨董品ではありませんが、近いものです」
 戦機の言葉に男はインカムを二つ手に握り、そのうちの一つを少年へと手渡した。

 幕間は長くは続かない。
 鮮血の如き悪意を身に纏ったラグネ・ザ・ダーカーが軍勢を率いているのだから。
 従者の名はアサシンズ。
 中東より流れ、東洋にて技を身に着けた暗殺集団の亡霊である。

「デッドマン、新米ガンナーの教官はアンタだ」
 暗殺者の集団に眉をひそめたデッドマンへ月待・楪が呼びかける。
 あの忍者コスプレの奴らがどんな実力かは分からないが、ヴィジランテには動いてもらわないとならない。
「さっさと死なない程度に戦場に慣らせよ?」
「分かっている、レイジ……弾が勿体ない。銃は撃たずに敵の動きを見てくれ」
 男の言葉は弾丸にも魔術が込められている少年の武器は取っておきたいが故の判断。
 訳を悟ったレイジは頷き、戦況を見守る。
「ヴィランじゃなくてヴィジランテなんだからな……アンタも、レイジも」
 楪の呟きが聞こえることは無かった。
 サブマシンガンの叫びがそれを上書きしていったのだから。

「くそ、柄じゃねェ」
 舌打ちしつつ、デッドマンに合わせるようにヴィランが引鉄を引く。
 二丁拳銃と短機関銃のカクテルは俊敏に動く暗殺者を捉え、そして霞へと変えていく。
「ストレス発散に付き合え、ビブリオマニア!」
 放たれるのは念動衝撃の波。
 空気が割れる音が響き、見えない何かを叩きつけられたアサシンズへ向けて楪は指を向けた。
「二度に死にやがれ」
 ヴィランとヴィジランテ、二人が放った弾丸が意志を持つように襲い掛かる。
「――見えたよ!」
 その間隙の中、少年は猟書家を見つけ。
「行くぞ」
 黒いコートのヴィジランテは彼を伴って暗殺者の中を駆け抜けた。

 デッドマンとレイジ。
 死人と怒り。
 二人のヴィジランテは悪意と対峙する。
 その名はラグネ・ザ・ダーカー。
 ヒーローに成り代わり、悪を倒すと称して無辜の犠牲を増やし、人々にヒーローへの猜疑心を生み出そうとするビブリオマニア。
『――散開!』
 インカムから戦機の叫びが鼓膜を叩く。
 デッドマン、そして遅れてレイジがその場から跳ぶと遅れて衝撃波が走った。
 ラグネ・ザ・ダーカーが音速を超えて飛翔したのだ。
「大丈夫ですか!?」
「問題ない」
「動けるよ」
 トリテレイアの声に、二人のヴィジランテが武器を構える。
「指示をくれ、俺は若くないからコンピューターの操作は苦手なんだ」
「分かりました。騎士としてガイドとフォローはお任せを」
 皮肉交じりの男の言葉に騎士は快く応じた。

「銃が教える敵位置を常に把握、銃口で牽制を……右に跳躍!」
「わかった!」
 指示を受け少年が右へと跳べば、悪意の拳が大地を壊す。
「三時方向、カバーを!」
「ああ、任せとけ」
 男はすぐに動き、猟書家の側面へとサブマシンガンを斉射した。
「ちょこまかと……戦場をコントロールしている奴がいるね」
 右腕で弾丸をカバーしつつ、ラグネ・ザ・ダーカーは戦況を見極める。
 ヴィジランテの弾丸と言えど何度も喰らえば死に至ると分かっているから。
 やがて、視界に戦機の姿を認めれば、猟書家は口角を吊り上げ距離を詰めた――騎士ではなく少年に対して。
「レイジ!」
「レイジ様!」
「……!?」
 戦闘経験の無さが少年の反応を遅らせた。
 咄嗟、トリテレイアが剣を投げる。
 ビブリオマニアの視界を塞ぐ剣、白刃に映る騎士の姿。
 それを見た醜悪な笑みを浮かべラグネ・ザ・ダーカーは方向転換、トリテレイアめがけて飛翔する。
「……意地の悪い貴女のことだ、二択を迫るのは分かっていました」
 だがカードを隠していたのは騎士も同じ。
 手首の格納スペースが展開し、その手に転がった煙幕手榴弾を投げるとラグネ・ザ・ダーカーは煙に囚われた。
「今です!」
「いちいち、叫ぶな!」
 トリテレイアへと言い返したのは楪。
 既に紡いだユーベルコードは炎の弾丸。
 柘榴が弾けるように破壊の種は煙を打ちぬく。

 P. granatum
 ザクロのように

 ――爆ぜろ!

 弾丸に撃ち抜かれたラグネ・ザ・ダーカーがアスファルトに叩きつけられる。
「やって……くれる……この炎もユーベルコードか?」
 周囲を彩るは生命力を奪う呪いの炎。
「お膳立てはここまで。覚悟を見せてみろ、レイジ」
 アスファルトが灼熱に染まる中、迫るのは――影三つ。
「余裕が無いもので、ご容赦を」
 トリテレイアを中心に走る二人のヴィジランテ。
 猟書家はその動きを捉えることが出来ない。
 炎がそして、戦機のコンピューターが計算したタイミングがそれを不可能にしているのだから。

 Machineknights Conductor
 機械騎士の――臨時前線指揮

「タフネスガールの名誉を汚した報い」
 デッドマンのレイジの十字砲火がラグネ・ザ・ダーカーを食い止める中、騎士の鉄拳が――
「受けて頂きます」
 ビブリオマニアの顔面に叩き込まれ、猟書家は炎を檻から吹き飛ばされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
ヴィラン用の手錠を改造したチェリー・ワッパーは、
短時間だけど対象の力を弱体化してくれる。
ラグネ・ザ・ダーカーがいくら強くて早くても、
これをかければ手が届くはず。

「こんのぉ~っ!」
レイジくんと並んで魔法の箒で砲撃戦。
だけど真っ赤なオーラに包まれたラグネは、
予想通り早すぎて当たりやしない。

優位に驕ったラグネが突っ込んで来たら、
自分に来るなら正面から受けて立ち。
レイジくんを狙うなら割り込んで庇う。
そしてラグネのパンチを受ける瞬間、身を桜吹雪に変える。

「今だよ!」
ラグネの視界を塞いでいるうちに、
レイジくんがチェリー・ワッパーをラグネにかける。
エネルギーが強制排出され弱体化したところに、
二人の集中砲火!


ティオレンシア・シーディア
選抜射手の憤怒…なかなかいい名前じゃない。

多少の小細工はしたけれど、さすがに音速越えの超スピードで飛び回られたらそうそう当たらないわよねぇ。まずは足を殺しましょうか。
ゴールドシーンにお願いしてソーン(阻害)とオセル(不動産)で障害物を生成、機動力を削ぐわぁ。完全に止めるのは無理でも、多少スピード落とさせるくらいはできるはず。
あとは●圧殺で徹底的に足引きしましょうか。
これはレイジ君の仕事だもの、あたしはあくまで仕掛け。
思う存分、ブチ撒けちゃいなさいな。

…ああ、それと。この後の身の振り方、ちょっとは考えておいたほうがいいわよぉ?
物語の復讐譚と違って、世界はこの後も何食わぬ顔して続いていくんだから。



●トゥ メイク ア プライマリー フォー レディース

 炎の中を二人の男が歩く。
 一人は自分が自分であるために。
 もう一人は自分を捨て、ただひたすら狩りをするために。

 そのお膳立てをするのは二人の女。
「多少の小細工はしたけれど、さすがに音速越えの超スピードで飛び回られたらそうそう当たらないわよねぇ」
 そのうちの一人、ティオレンシア・シーディアは立ち上がりつつあるラグネ・ザ・ダーカーを横目に勝利への算盤を弾く。
「まずは足を殺しましょうか」
 算はすぐに出た。
 基本にして王道、故に揺るぐものは無し。
「ゴールドシーン!」
 シトリンのペンを空に走らせると、祈りに応え鉱物生命体は戦場にルーンを刻みこむ。

『ᛟ』――大地よ
『ᚦ』――彼の者を阻め

 大地が隆起し、廃ビルがしだれ桜のように捻じ曲がる。
「――ッ!」
 鮮血の如きオーラを身に纏い飛翔していた猟書家は軌道を塞ぐ障害物に舌打ちを隠せない。
 苛立ちまぎれにビルを壊し、正面突破を図った時だった。
「安心していいわよぉ」
 リボルバーの銃口にグレネードを取り付け、糸目の女は構えた。
「よっぽど運が悪くなければたぶん死にはしないから」
 引鉄が引かれ、発射された弾頭が閃光と轟音に姿を変え、障害物に反響しビブリオマニアを捉えた。

 Arrest
 圧 殺

 相手の動きを阻害するユーベルコードが時を、機会を、作り出す。

「これはレイジ君の仕事だもの、あたしはあくまで仕掛け」
 促す様に二人のヴィジランテに視線を送るティオレンシア。
「思う存分、ブチ撒けちゃいなさいな」
 頷き、走りだそうとした男達。
「――レイジ君」
 その時だった。
 糸目の女が少年を呼び止める。
「この後の身の振り方、ちょっとは考えておいたほうがいいわよぉ?」
「この後のこと?」
 不思議そうに問う少年。
「物語の復讐譚と違って、世界はこの後も何食わぬ顔して続いていくんだから」
 イエローパロットが見つめるのは世界が続いてもなお歩き続けるデッドマン。
「……わかった」
 憤怒の射撃少年はただ一言、応え。
 黒いコートの背中を追っていった。

「こんのぉ~っ!」
 もう一人の少女、御桜・八重がヴィジランテと共に銃撃を叩き込む。
 超高速の鉛弾、真言のマグナム、エネルギー弾が次々とラグネ・ザ・ダーカーへと降り注ぐが防御に専念した猟書家はその鮮血の如きオーラを以って、猟兵達の攻撃を阻む。
「あの女、不利と悟ったら守りに徹しやがった。今までは隙を見て撃ち込めたが、こうなったら別のカードを切るしかねえ」
 空になった弾倉を蹴飛ばし、デッドマンズ・ハンドが新しい弾を装填する。
 同様にレイジもシリンダーから空薬莢を落とし、新たな弾丸をリボルバーに叩き込む。
 だが銃の種類が二人の動きに差を生み出す。
 黒いコートのヴィジランテが銃を構えてる間に小さな復讐者はやっと弾を込め終えてシリンダーをフレームへとしまい込む――ワンテンポ遅れて。
 その一瞬を逃さないラグネ・ザ・ダーカーでは無かった。
 紅い殺意が一直線にレイジを襲う。
「――させない!」
 立ちふさがるは桜の巫女。
 食い止めようと弾丸を叩き込むデッドマン。
 そして邪魔な猟兵を排除すべく拳を振るう猟書家。
 全てのタイミングが重なった時、八重桜が舞った。

 Cherry Blossom Metamorphose
 桜 吹 雪 化 身 ノ 舞

 それは八重のユーベルコード。
 その身を桜吹雪へと変えることで、幻惑する桜花幻想の技。
「今だよ!」
 その声に気づいたレイジが銃を構えるより速く左手を動かし、手錠でラグネ・ザ・ダーカーを拘束する。

 チェリーワッパー

 桜の巫女が見つけ改良した対ヴィラン用手錠はエネルギーを強制排出させ、相手の弱体化を狙う。
「急げ!」
 ヴィジランテの叫びに少年は衝動のままに動く。
 目の前に――敵が居るのだから。
 アシストギアで強化されたレイジの右拳がビブリオマニアへと叩き込まれ、力を失いつつあるラグネ・ザ・ダーカーは地面を転がり、そして小さな復讐者の右腕が小さく爆発した。
 代償は大きい。
 アシストギアを損傷した今、少年はリボルバーを握ることは出来ない。

 ――だが勝利への光明は、今、照らされた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

織部・樒
引き続きザフェルさん(f10233)と行動
アドリブ歓迎

今回はデッドマンズ・ハンドさん並びにレイジくんの想いを遂げられるよう
補佐と援護・援護射撃をメインに
ええと…エンシェント・椀、参ります

事前に【式神使い】にて身内の護衛・援護をお願いします
敵行動を【見切り】つつ【高速詠唱】【早業】併用して身内を護るようにUC発動
此方は必要に応じて随時展開
可能なら【結界術】も発動
詠唱中の援護はザフェルさんや式神に一任
又は【ジャストガード】【武器受け】【オーラ防御】にて凌ぎます
隙があれば【マヒ攻撃】【毒使い】を付与した武器にての攻撃も

大人の務めとなったかは分かりませんが、前に進める切欠となれば良いと思います


ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と共闘
ヒーローの皮を被って悪行三昧か
さぞかし楽しいんだろうが、泣き寝入りするヤツばっかだと思ったか?

樒が術を完成させるまでは樒とデッドマン、レイジのガードに徹する。【力溜め】して【武器受け】で【かばう】、【オーラ防御】【吹き飛ばし】などを駆使。
敵の【悪辣な罠】は【視力】【暗視】で【情報収集】し、対策を取る。

樒の術完成後は、ラグネと召喚された霊にまとめて影竜に喰らわせるが、デッドマンとレイジがラグネへの攻撃に集中できるようサポートしていく

その銃の重みも、自分の想いも、全部受け入れたみたいだからな
貫けよ



●ボーイズ ミーツ ヴィジランテ

「……立てるか?」
 煙を吹いた右腕を抑えている少年へと男は問う。
「ダメだよ、デッドマン……もう銃は持てない」
「立てるかどうかを聞いている」
 レイジの言葉に怒鳴るでもなく静かにヴィジランテは言葉を重ねた。
「右がダメなら左腕がある……猟兵も言っていただろう、必要なのは大きさではない――牙の鋭さだと」
 デッドマンズ・ハンドの視線の先。そこに有る物に気づいた少年は頷き、リボルバーを両手で持った。
「猟兵頼りは情けないところだが、チャンスは一回っきりだ。決めるぞ」
 ヴィジランテの言葉に小さな復讐者は頷き、そして二人は歩き出す――終わらせるために。

「ヒーローの皮を被って悪行三昧か」
 たたらを踏んで立ち上がるラグネ・ザ・ダーカーの前に立つのはザフェル・エジェデルハ。
「さぞかし楽しいんだろうが、泣き寝入りするヤツばっかだと思ったか?」
「思わないさ」
 竜の使い手の言葉に猟書家は笑みを返す。
「そんな奴は、皆、この手で殺したのだから」
 直後、薙ぎ払う様に振るわれたザフェルの戦斧。
 ビブリオマニアは後ろに跳んで回避すると侵略蔵書を開いた。
「見たか」
「ええ」
 竜の使い手の言葉に頷くのは織部・樒。
「もう、彼女はオーラを纏う事も空を飛ぶこともできません」
 負傷と動きからラグネ・ザ・ダーカーの状況を判断したヤドリガミは背後へ振り向いた。
「ああ」
 そこに立つのはデッドマン。
「終わらそう……子供が見るにはろくでもないし、大人が知るには不愉快なこの悪夢を」
「必ず、奴を殺す!」
 そしてレイジ。
「では、助太刀いたしましょう――ええと……エンシェント・椀、参ります」
 樒の言葉に二人のヴィジランテは顔を見合わせ、互いに笑みを浮かべた。

「幕間は終わりだ」
 侵略蔵書を指でなぞり、猟書家は嗤った。
「一瞬で殺す。光より速いタキオン一刀流によってな――名はタキオン・エッジランナー」
 現れし死せるヴィラン。
 コートを纏い、ミラーシェードで顔を隠した二刀流の剣士が刀を振るうと――空間が割れ、そこに有ったものが二つに裂けた。
「なんだ!?」
「タキオン・エッジランナー……あらゆるものを切断してのける殺人狂だ。気を付けろ、あのカタナはバリアもアーマーも通用しない」
 飛ぶ斬撃に舌を巻くザフェル。
 かつて保安官だった記憶を頼りにデッドマンがヴィランの攻撃に対し警告を発する。
「問題ありません」
 けれどヤドリガミは冷静に状況を看破した。
「要は遮るものを用意すればいいのですから」
 掌に乗せた呪符へと息を吹きかければ、それは式神となって姿を成し、四人を囲む。
「ならばこちらも!」
 式が切り裂かれる隙を突き、竜の使い手が飛び込んで戦斧を振るえば、刀で受け止めたエッジランナーが膂力に負けて吹き飛ばされる。
「体勢を崩しちまえば、剣も振るえないだろう……樒!」
「一分……いや三十」
 相棒の応えに全てを理解したザフェルは式神を引きつれ、ヴィランへと飛び込んだ。

 エッジランナーが文字通り刃の上を走るかのようにバランスと素早さでザフェルの攻撃をよけ、式神を切り裂く。
 隙を着いて、竜の使い手が斧を振るえば、音もなく距離を取り、体勢を整える。
 しかも位置はラグネ・ザ・ダーカーから着かず離れず。
 主を狙っての攻撃は難しいだろう。
 そしてヴィジランテ達にも頼れない。
 彼らの一撃は最後に取っておかないとならないのだから。
「どうした? さすがの猟兵も斬鉄のヴィラン相手には手こずるか」
「抜かせ!」
 猟書家の笑いにザフェルも笑った。
「物事はちゃんと準備しないと後で痛い目を見るって、その本に書いてないのか?」
 竜の使い手の挑発にビブリオマニアの片眉が上がった。
「――殺せ、タキオン・エッジランナー」
「遅い」
 ラグネ・ザ・ダーカーの言葉に対し斧を持った戦士が一言。
 それは勝利の宣言でもあった。
「青龍、白虎、朱雀、玄武、勾陳、帝台、文王、三台、玉女」
 響きわたる樒の真言。
 それは破邪、それは封魔。
 真言の壁が猟書家とヴィランを囲い、結界が紡がれる。
 名は――

 Mantra of Nine
 九 字 真 言

 結界が輝き、照らされたヴィランが消えた時、飛び込むのは三つの影、そして竜。
「大人の務めとなったかは分かりませんが」
 飛び込むザフェルとヴィジランテ達の背中を見つめつつ。
「前に進める切欠となれば良いと思います」
 樒は呟いた。
 彼らのこれからが良き道であるように。

「決めるぞ、デッドマン!」
「ああ、行くぞレイジ。タイミングを合わせろ」
「分かった!」
 竜の使い手の言葉に黒いコートのヴィジランテと小さな復讐者が答える。
 呼応するかのように影のような竜が走り、その牙でラグネ・ザ・ダーカーを捕える。

 Shadow――watch
 影 視 る 竜

 それは受けた悪意の反発。
 漆黒の幻影竜は悪意の持ち主を決して逃さない。
「今だ!」
 ザフェルが叫び
「レイジ!」
 デッドマンが少年を呼ぶ
「デッドマン!」
 レイジが両手に持ったリボルバーをヴィジランテに投げるとデッドマンはそれを受け取り二丁拳銃で弾丸を叩き込む。
 超連射の短機関銃が猟書家の一点に叩き込まれ、真言の弾丸が同じ箇所に孔を穿ち広げる――ワンホールショット!
「その銃の重みも、自分の想いも、全部受け入れたみたいだからな」
 ザフェルの視界に入るのはアシストギアを捨て、小型拳銃を持った少年の姿。
「貫けよ」
 レイジ・マークスマンが放った牙は寸分違わずにデッドマンズ・ハンドが作り上げた孔へと吸い込まれ――ビブリオマニアのシナリオは塵一つ残らず消えた。

 ……その骸のように。

「やった……やったよ、デッドマン!」
 歓喜と共にレイジが振り向く。
 だが、傍らにいつも居たヴィジランテの姿はもう無い。
「……デッドマン? どこだよ、デッドマン」
「彼は行ってしまいました。次の敵を探して」
 樒が代弁するかのように説明し、一枚の紙片を渡す。
「このメモに連絡するようにとの伝言です。デッドマンズ・ハンドさんの知り合いのケースワーカーに繋がるそうです」
「そんな……」
 置いて行かれたことに、独りになったことに、膝を着く少年。
「しょぼくれんな」
 そんな姿にザフェルが喝を入れた。
「一人で生きていくために全部を受け入れたんだろ? デッドマンだってお前を一人の人間として考えての行動だ。そうだろ?」
 俯いていた少年は右腕で顔を拭い、そしてメモを受け取る。

 Boy Meets Vigilante.

 少年は男と出会い、そして大人への階段を歩く。

 これは一人の男と男になろうとする少年の物語。
 失ったものを互いに補おうとしたひと時の交差点に集まった猟兵達の物語である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月25日


挿絵イラスト