●機械文明のオーパーツ
「はっはっはー!! やっぱりここが伝説の『宝島』だったねぇ。機械文明の財宝がたんまりだ」
島の真ん中に大きく口を開けていた遺跡の最奥には、鋼色の物品がそこかしこに転がっていた。値打ちも気になるところだが、真に求めしはその実用性。グリモアベース侵略という盛大な目的を果たすのに少しでも役立ちそうなアイテムを、メリー・バーミリオンは探している。
とは言え持って帰れるものは有難く頂戴するのであり、メリーの荷物袋も大きく膨れ上がっていた。
「……ふっ……んー? これは取れるのかい?」
メリーは壁から突き出た取っ手のようなものを引っ張っていた。しかし力任せでは抜けそうもなく、上下左右にぐいぐい動かしながら引っ張り続けていくと。
不意にガコンと壁の中で何かが外れ、ずるりと取っ手が引き出された。壁に埋まった先には引き金と円筒があり、取っ手部分は折り曲げられるようになっていた。
「ははぁ……こいつぁ、なかなかいいものだ」
これまで拾ってきた財宝のどれよりも実用的そうで、メリーはニヤリと笑んでいた。
●グリードオーシャン・1stラウンド
「宝島探索をしましょう!」
グリードオーシャンにはまだまだ未知なる島が眠っている。ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が案内するのは、その一つである宝島だ。
「『メリー・バーミリオン』が伝説の宝島とされる島を発見し、島の財宝を根こそぎ持ち去ろうとしているようです! その中にはこのグリモアベースを侵略するのに役立ちそうなアイテムも含まれていそうですので、皆さんにはメリーより先に財宝に辿り着き、彼女が財宝を奪っていくのを阻止してほしいんです!」
先の大戦で颯爽と現れた彼女は今、レディ・オーシャンが掲げるグリモアベース侵略に手を貸している。偽物の骸の月が浮かぶ世界にて、その動きは猟書家の如く。侵略の芽は一つ残らず摘まなければならない。
「財宝があるのは島の中央に位置する機械遺跡であることがわかっています! おそらくスペースシップワールドより落下した島かと思われますが、その中は長い月日を経て獰猛な肉食の危険生物の棲家にもなっているようですので、探索の際は注意してください! また、若干ながらセキュリティが生きている可能性がありますので、そういうのに見つからないことも大切ですね!」
セキュリティを起こせば、内部の危険生物が嗅ぎ付けて向かってくる可能性もある。それらを解除する方法を身に付けてもいいし、そうでない者達には頼もしい助っ人がついている。
「今回の探索ですが、冒険商人のケルビンさんという方が皆さんに手を貸してくれるそうです! メリーとの戦闘においては遠くで応援しているくらいになってしまいますが、探索においては経験と知識を駆使して皆さんをサポートしてくれるはずです! ですから探索に不安のある人は頼ってみてもいいのではないでしょうか!」
猟兵とて誰もが万能ではない。必要な時は力を借りる。助け合いの精神だ。
「グリモアベース侵略は絶対に阻止しないといけませんからね! それではよろしくお願いします!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
しばらくは色々な世界を改めて運営していきたいかなーと思いまして。
●フラグメント詳細
第1章:冒険『機械遺跡を探険しよう』
宇宙船の中にいるような雰囲気の機械遺跡です。
冒険商人のケルビンが同行しますが、プレイングで触れて頂いた場合に限りリプレイに登場するかと思います。
ケルビン「皆様に救われたこの命、皆様の世界を守るためなら惜しむことなどありません。私の力が必要であれば何なりと」
ダンディーなおじさんだと思います。あとは皆さんの想像にお任せします。
第2章:ボス戦『メリー・バーミリオン』
財宝のある部屋で待ち構えているとやってきます。
まぁ倒すしか選択肢ないんで……倒してください。
第1章 冒険
『機械遺跡を探険しよう』
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POW : 内部に住み着いた危険生物を排除しながら進む
SPD : まだ使えそうな機械や、保存食を回収しながら進む
WIZ : まだ生きているセキュリティを解除しながら進む
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラモート・レーパー
「巫女服やシスター等の清楚感のあるコスにしようかと思ったけど……機械に揉みくちゃにされるメリー……悪くない」
お宝よりもメリーの写真にしか興味がない猟兵
お姉さんの姿で挑む
UCと???で技術と道具を補填し、道中の罠を魔改造していく。改造した罠は全てメリーが出ようとすると発動し罠にかかった姿を写真に収めるというもの。
罠の内容は下から吹き飛ばされない程度の突風が吹いたり、上から液体をかけたりたり(液体はただの水や服が溶けるやつ、低濃度の媚薬の類)。あとは別の意味で肉食になるよう薬漬けにされた生物に襲われるくらいである。
魔改造で余ったパーツで電気マッサージ器を作っておく
「ちょっと頑張りすぎた」
●文明の価値を知る者はもう
「巫女服やシスター等の清楚感のあるコスにしようかと思ったけど……機械に揉みくちゃにされるメリー……悪くない」
お宝に釣られてやってくる者こそがお宝なのだとラモート・レーパー(生きた概念・f03606)は言っている。つまりラモートの目当てとは機械遺跡に眠る文明品のあれやこれやではなく、メリー・バーミリオンそのものであった。
今日のラモートは妙齢と思しき女性の姿。その手に一見取り合わせが悪そうな工具を持って機械遺跡をずかずか進む。遠慮をまるで感じさせないラモートを、果たして遺跡は歓迎してくれるのかどうか。
外界の者を宝へ近づけさせないセキュリティは、宇宙の彼方から落ちてきてなお僅かに生きていた。壁に埋め込まれていたセンサーのいくつかは赤外の網を張り、獲物がかかるのを待っている。
そんなことを知ってか知らずか、ラモートは諸手を振って通路の真ん中を。そして踏み込んだ足が網を通過した瞬間、天井にカモフラージュされたレンズがぎょろりとラモートの顔に向いた。
カメラのフラッシュが焚かれたかのような眩い光線が放たれていた。ラモートの眉間を狙っていた光線がそこへ到達するまでは一つ数える間もなかったが、ラモートは咄嗟の反射で頭を大きく左に振って光の軌跡を視界の右隅に流すと、飛び退き光線の着弾地点近くに着地する。
一発必中を目指した設計思想だったために追跡まではしてこなかった。ラモートは深呼吸で精神を整えてから、今し方踏み込んだ場所を観察する。
「あれと、あれ……なるほど」
世界知識からはセキュリティの類型を呼び起こして眼前のセキュリティの構造を把握し、戦闘知識によってその有効性を計る。ラモートが描く罠の全容において、センサーはそのまま流用できそうだった。
「後は……」
レーザー射出などという危険極まりないセキュリティを許してはいけない。ラモートはセンサーに引っかからぬよう壁に飛びついて天井目掛けて蹴り出し、レンズと天井の隙間に工具を思い切り突き入れた。
圧迫感を覚えながら、てこの原理でレンズを抉り出す。ごりっと外れたレンズは地面に落ちると、衝撃でひび割れて使い物にならなくなった。
「センサーと連動させるから……液体を仕込んでいこう」
ラモートが手にしたそれは、メリーのあられもない姿を激写するために必要な、実に都合のいい薬だった。レンズがはまっていた窪みに無理矢理捻じ込んで、センサーの信号で割れて中身が飛び出るようにした。
「……よし、次いこう、次」
生きているものはたとえセキュリティだって利用する。隙間があれば風が流れるように仕向け、注意しろと言われていた危険生物を取っ掴まえては薬漬けにした。
そうしてメリーのためだけに魔改造した罠は十を超えた。メリーが機械遺跡から逃走しようものなら、ラモートの力作が盛大に発動する算段だ。どの罠にも付随してメモリーが仕込まれ、メリーが罠にかかる様を写真として収めてくれる。全自動メリーパパラッチの完成であった。
「……で、余ったこれは……」
罠制作は行き当たりばったりなところもあり、パーツがいくらか余ってしまっていた。そこでもったいない精神を発揮したラモートがちょちょいと組み上げたのが、電動のマッサージ器だった。凝った肩に当てても良し、固まった腰に当てても良し。使用者次第でどうにでもなるマッサージ器を乗った気分に任せて自作してしまい、
「……ちょっと頑張りすぎた」
一度は正しく、張りを感じた肩に当てておくことにした。
成功
🔵🔵🔴
真宮・響
【真宮家】で参加
実はアタシ達家族は探索に向いてないんだよね・・・「罠は嵌って踏みつぶす」だからね。アタシと奏は。そういう訳だから経験者のケルビンの助けは必要だ。助けを借りるよ。
スペースシップワールドから落ちてきたんならまだ動いてる機械とかあるかね?赫灼の戦乙女の力も借りて運んでいくよ。まあ、持てる大きさなら【怪力】【気合い】で持っていける。探索は苦手だが、ケルビンの助けと家族の力を併せて進んでいこうか。
真宮・奏
【真宮家】で参加
まあ、探索は苦手ですよね。私達。「罠は嵌って踏みつぶす」ですから。ケルビンさんは頼りにさせて貰いますね。あ、危険ですから私から離れないでくださいね。
風の妖精騎士の助けも借りて【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】で防御を固めながら家族の前に立ち、【衝撃波】【範囲攻撃】で危険生物を排除しながら進みます。ケルビンさんが危なくなれば【かばう】しますね。はい、道を拓くのはお任せを!!どんどん進みましょう!!
神城・瞬
【真宮家】で参加
まあ、本当に僕達家族は探索に向いてませんからね。母さんと奏は「罠に嵌って踏みつぶす」ですし。フォローが大変ですよ。全く。そういうことなので、ケルビンさんの力をお借りしますね。
月白の使者を召喚、更に【式神使い】で鴉の朔を飛ばして偵察。危ない罠や僕の手で解除できるセキリュティはなるべく解除します。衝撃を与えて大丈夫なら【誘導弾】を使いますね。母さん、奏、張り切るのはいいんですが、未知の遺跡ですから突っ走りすぎは禁物ですよ?元々僕達は探索に向いてませんしね・・・慎重も過ぎた方がいいかと。
●猟兵とは人の枠の外に在る者
つい先日終結を迎えた大戦においては四天の一角の討伐を始め、数々の武勲を立てた真宮家の面々。しかし彼らにも不得手とするものが存在する。
罠は嵌まって踏み潰す――踏み潰せる程度の可愛げのあるものならよいものの、猟兵の冒険においては優しい相手ばかりではない。本気で命を狙ってくる罠相手には回避する選択肢が重要であり、真宮・響(赫灼の炎・f00434)と真宮・奏(絢爛の星・f03210)はその類の行動がとれないタイプだった。
「さぁて、メリーとやらに宝を奪われないようにしないとね!」
「遺跡ってなんか凄いものがありそうだし、悪用されたら大変だものね!」
「母さん、奏、張り切るのはいいんですが……未知の遺跡では危険も多いでしょうから、突っ走りすぎは禁物ですよ? ただでさえ僕達家族は探索に向いていないんですから」
フォローするのは神城・瞬(清光の月・f06558)の役目。しかし身一つで二人のフォローをこなすのはなかなかに骨が折れる。
「……まあ、探索は苦手ですよね。私達」
「そこはほら……頼れるものは頼っておく、ってことでさ」
そういう事情があって、三人はこの冒険に同行する冒険商人、ケルビンに助力を要請する。培ってきた知識と積み重ねてきた経験が猟兵達の冒険に生きるとあらば、ケルビンとしては願ってもないこと。
「不肖ながらこのケルビン、冒険商人として最大限のサポートをお約束致しましょう」
ケルビンの快諾の下、三人は機械遺跡を進むことになった。
「母さんと奏のことがあるので、セキュリティはなるべく解除していきたいのですが」
「その判断は正しいかと。このような機械遺跡では光学系のセキュリティがつきもの。高出力かつ小型化が実現しやすく、その技術を持ち合わせていたでしょうから」
瞬の提案に賛同し、ケルビンは機械遺跡に未だ息づくセキュリティの危険性を説く。
「そしてそれは――おっと、皆様、少し足を止めて頂けますか?」
ケルビンは道なりに角を折れたところで三人を制した。そこはメタリックな床と壁と天井が収束していく様を見て取れるほどの長い通路となっていた。
「侵入者を排除するためのセキュリティとは往々にして見通しの良い場所に仕掛けられているもの……何もない、という視覚情報が先走って警戒心が薄れてしまいますので」
「あーわかるわかる。こういうところはぱーっと突っ切っていきたくなるよ」
「だよね。あ……でも、そういうのがよくないんでしたっけ」
「……一度その目でご確認されるのが早いでしょう」
ケルビンは銅貨を1枚取ると、床を滑らせるように強く投げ放った。カン、カンと数度跳ねて飛んでいった銅貨は次の瞬間、壁から通路を輪切りにするが如く迸った熱線に焼き切られ、断面の綺麗な半月の残骸が出来上がった。
「あれでは、皆様とて無事では済みません」
「どうすれば解除できますか? 衝撃などは与えても?」
「感圧式ではありませんし、飛び道具があるのであればそれで潰してしまうのが早いでしょう。我々は知恵比べをしに来たのではないのですから、丁寧な無力化を心掛ける必要はないのです」
「なら……朔、行っておいで。それと、月白の使者――頼みますよ」
瞬は鴉の「朔」を飛ばし、同時に召喚した白い鷲を放つ。鷲が瞬と五感を共有することで通路の先まで見通して、鴉が式神の如く、主たる瞬の意のままに動きセキュリティの露出部を探る。
上部より俯瞰すれば、壁に紛れて見え隠れする感知部分。人の指先程の小さな水晶体が、人の視線の届きにくい壁の下部に埋め込まれていた。
熱線を走らせたのは壁の溝に沿って設置された出力動体。物体を感知すると上から下へ一気に落ちて、冷却時間を経てまた上へと戻るようだ。
「なるほど……わかりました」
二羽の連携により仕掛けられたセキュリティの全貌が明らかになると、瞬は杖を掲げて魔力を溜める。狙うべき場所は遠く小さいが、誘導性能を高めた魔力弾であれば――。
杖の先端を突き出すようにして放った魔力弾は吸い付くようにセキュリティの露出部へと飛び込んで、小爆発を引き起こした。水晶体が砕け散って通路に飛び散り、セキュリティが沈黙する。
「瞬、やるじゃないか。これでここはもう安全なのかい?」
「まだ隅々まで見てはいませんから……セキュリティ地帯を抜けるまでは、僕が偵察で先導しますよ」
しばらくはゆっくりとした行軍になりそうだったが、ケルビンの助けを借りた瞬の慎重
すぎるほどの慎重さのお陰もあって、生きたセキュリティは悉く破壊されていった。
長い通路の先、ケルビンのマッピングを頼りに分かれ道を進んでいくと、複数の扉で閉ざされた小部屋に辿り着いた。部屋の真ん中には円形の台座があり、薄型のノートパソコンを思わせる不可思議な機械が鎮座する。
ディスプレイが立っているが、その前にあるキーボードにあたるものは文字列のキーの代わりに角張った図形がパズルのように組み上がって、大きな長方形を成していた。
「やっと遺跡らしいところに来たね。さて、扉はあるけど……」
「開くの? これ……んんーっ……ダメ、動かないよ」
響と奏がそれぞれ別の扉に近づいて、叩いてみたり引き戸のように引っ張ってみたりと力に任せて挑んでみたが、扉はうんともすんとも言わない。
「これは……おそらくこの機械を操作して扉を開くのでしょう。それも、複数のスイッチを組み合わせて押すことで開くものと見受けられますが……他に情報がありませんので、少々運を試すことになりますね。皆様には申し訳ありませんが、お時間を頂くと共に、万が一の時の備えをして頂ければと。方向で言えば奏様が触れているものが我々が進むべき道になりますが、扉の先に何か待ち受けているやもしれませんので」
扉から戻ってきた響と奏、そして瞬へと注意を促し、スイッチを操作し始める。端から順に組み合わせを調べていくと、ディスプレイに奇怪な文字列が並びながら、全く触れてもいなかった扉がガコッと開いた。
「あちらが開きましたが」
「しかし、あの方向では遺跡の外側に向かってしまいますね……調べるにしても、最後でよいかと」
引き続きパチパチとスイッチを操作していくと、ディスプレイの文字列が目まぐるしく変わるのに合わせて扉は閉まり、また別の扉が開く。それを何度か繰り返していくうちに、
「――あっ」
奏が声を上げていた。目的の扉が開いたのだ。
「やった!」
思わず奏が走り出そうとしたが、ケルビンが闇の中に猛獣の姿を見ていた。
「いけません!」
声と同時に四つ足の獣が開いた扉から飛び出してきた。黒毛で胴がすらりと長い、ヒョウのような獣。鉤爪でカチンカチンと床をかき鳴らして迫ってくる獣を前に、そこはさすがの反射神経を見せて奏は魔法石を握り砕く。
『風の妖精さん、力を貸して下さい!!』
散っていく魔法石の欠片が一瞬鋭い光を放ち、刹那、現れたのは風を纏う妖精騎士だ。妖精騎士が風の力を与えることで奏が張るオーラの壁は広く拡散し、四人を包み込み凶爪から守っていく。
獣は奏が剣と盾で支える壁に、身をバネにして飛び掛かってきた。だが風はオーラの表層で暴風の如き威力を発揮し、伸身を高々と宙へ弾き返した。
「そっちには……行かせない!」
舞い戻る獣に奏は反撃の刃を向ける。出てきたほうへ向かわせては道が拓けない。ぶん、と奏が薙ぎ払った刃からは三日月状に広がる衝撃波が放たれ、獣の落下地点に突き刺さってその体をなお宙に打ち上げた。
獣は衝撃波に押されて通路上部の壁へ打ち付けられる。そのまま磔にされては敵わない、と獣は壁を蹴り部屋の大外を回っていく。
「どうにか獣をあちらの通路へ押し込んでください! あの通路であれば扉を閉じるスイッチの配置を覚えていますので!」
「任せて! やあぁっ!!」
奏はオーラを操って常に獣の正面に壁を作りながら、衝撃波を範囲に乱射し逃げ場を塞ぐ。横っ飛びで身を翻す獣だが、次第に行き場を失ってついに衝撃波に捕らえられた。
「ギャウウ!?」
顎先に命中した衝撃波が獣を仰け反らせ、口を開けた通路の向こう側へ。それを見てケルビンがスイッチを素早く操作し扉を閉じた。姿の見えなくなった獣はガン、ガンと体をぶつけて扉を破ろうとしていたが、やがて無理と悟ったか、忽然と静寂に変わっていった。
「奏! よくやったね!」
響は活躍した奏を労いながら、ディスプレイに現れた文字列を覗き込む。スイッチの押下の違いでころころと変わるようだが、一見しての意味はよくわからない。
「ケルビン、この機械、持っていけたりはしないのかい?」
「持っていく、ですか……おや、この台座、床とは固定されていないようです。両手で台座ごと抱え上げれば、あるいは……しかし相当な重さがあると見ますが」
「その点はなんとかなるよ。さあ、戦乙女、共に行くよ!!」
奏が妖精騎士を呼び出したように、響は真紅の戦乙女を呼び出した。そして戦乙女と共に台座を囲むように抱えると、
「ふっ――うううぅぅぅっっ!!」
気合いに任せて怪力を発揮すると、ずずず、と摩擦のかかった音を響かせながら台座がゆっくり持ち上がり、中心の軸から抜けて自由になった。
「……っと、なかなかだね……! これは運び甲斐があるよ!」
響は上体を反らして重心を保ちながら通路に向かって歩き出す。通路のほうが若干幅が広く、窮屈にはなるがそのまま運んでいけそうだ。
「やはり皆様は私の想像を超えていかれますね……私もさらに気を引き締めて、ご案内致しましょう」
四人は機械を運ぶ響を前後で挟むように隊列を作り、不測の事態に可能な限り備えていた。ケルビンと共に前に立ち、セキュリティを解除する瞬。殿に立ち、後方からの襲撃に備える奏。家族が力を合わせて進む様にケルビンは胸を打たれ、己が役目を全うしていた。
そうして苦難を超えた先に、財宝はひょっこり顔を出す。
「……この部屋は、もしや」
「えぇ、まさに。機械遺跡に眠る宝に相応しく」
見る者が見れば金よりも価値のある、機械文明の粋が小高い山を作っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『メリー・バーミリオン』
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POW : 野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : 大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「十六夜・巴」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●単身、メリーは乗り込んだ
「宝島と聞いて来てみれば……なんだい、先客がいるのかい」
メリーが機械遺跡の財宝の前に姿を現したのは、猟兵達が辿り着いてから少し後のこと。しばし部屋を眺める猶予くらいはあったので、軽く物色などしていたところだった。
「だが、海賊ってのは奪うのが仕事さ! 財宝も、命も、みーんな纏めて奪ってやるさ!」
サーベルが輝きを放つ。財宝を手にするのは、猟兵か、それともメリーか――。
火土金水・明
「あなたにこの島の宝物を略奪させる訳にはいきません。もちろん、命を奪うことは絶対にさせません。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀色の一撃】で、『メリー・バーミリオン』を攻撃します。相手の攻撃には【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
●したっぱは所詮したっぱ
「あなたにこの島の宝物を略奪させる訳にはいきません。もちろん、命を奪うことは絶対にさせません」
「口だけなら何とでも言えるさ。ここは戦場なんだ、信念を貫くなら力で示しな! ほら、野郎共、仕事の時間だ!」
火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)の前に現れた海賊船団員達は各々サーベルを持ち、押し寄せる波の如く群れを成して突っ込んでくる。
したっぱとは言え大軍勢。そのまま素通り、とはいかない。かと言って律儀に相手をしてしまうのも時間と体力が消費されるだけで何にもならない。
明が仕掛けるのは正面突破。オーラの守りを張りながら、素早いサイドステップを絡めた残像で軍勢の形を崩しにかかる。
「おらぁっ!」
したっぱ達が次々とサーベルを振り回す。各々が見る明の姿を斬り裂いていくがどれもが手応えなくすり抜けてしまう。
「残念、それは残像です」
「ふざけやがって!」
そうして左右へ海賊船団員達を振り回していくうちに、統率の取れていない軍勢はぶちぶちと千切れ、蛇行する空間が出来上がる。
明は海賊船団員達の流れを見切り、刹那的に生じた空間へと飛び込んだ。海賊船団員達の壁と肉薄する中、二、三振り抜かれたサーベルがオーラに命中し魔力の残滓を散らしながらも、明は足を止めることなく抜けきった。
「ははっ、そうこなくっちゃねぇ!!」
メリーはまるで明が海賊船団員達を突破してくるのをわかっていたように吼え、肉厚のサーベルを薙いできた。明は携える銀の剣を中段に振って、挨拶代わりに火花を散らす。
互いの刃が宙に弾けた。反動から立ち直って次の一撃を放つのは――明が僅かにメリーを上回り、銀の剣による突きを繰り出す。
受けるか、切り返すかの二択。メリーは後者を選択し、突きの射線から逃れるべく身を翻す。
その瞬間、突き出されようとしていた剣先がぴたりと止まり、メリーを追って方向を変えた。攻撃を確実に通すためのフェイント。メリーはまんまと引っかかる。
「――ぅぐっ!?」
明と距離を取ろうとしたが間に合わず、メリーは右脇腹に鋭い突きを食らい悶絶する。背中側へと貫通した剣身を無理矢理引き抜き明から遠ざかったが、刃がずっと埋め込まれているかのように傷口から痛みが響いてきた。
「はは……やるじゃないか……」
傷は肋骨の直下。衝撃で1本くらいは持っていかれたか――メリーの威勢は少し鳴りを潜めているようだった。
成功
🔵🔵🔴
真宮・響
【真宮家】で参加
何か物騒な罠が周りにあるような気がするが・・・罠は出来るだけ解除したはずなんだが?まあ、まずは財宝を奪おうとしているお嬢さんを止めないとね。威勢がいいのはいいことだが、思う通りにはさせないよ。
まず【忍び足】【目立たない】で敵の背後に回り込み、敵の背後から【不意討ち】【気合い】【怪力】【グラップル】を込めた渾身の正拳を入れて体勢を崩した後、奥の手で捕縛。さて、この状態でアタシの技は真似出来るかい?まあ、真似されてUCを封じられても、動けない身体で【衝撃波】【範囲攻撃】で抗ってやるさ。
真宮・奏
【真宮家】で参加
何か物騒な罠が周りにあるような気がしますが、今は目の前のメリーに財宝を持ち逃げされるのを防がないとですね。ええ、ここは譲れませんので、戦いで決着を付けましょう!!
トリニティ・エンハンスで防御力を上げ、大量の海賊船団員の攻撃を【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】で凌ぎ切り、【範囲攻撃】【衝撃波】で纏めて吹っ飛ばします。数に任せての攻撃は脅威ですが、凌ぎ切れば、下っ端の集団ごとき纏めて吹っ飛ばして見せます!!さあ、観念してください!!
神城・瞬
【真宮家】で参加
(仕掛けられた罠を見て遠い目)まあ、まずは目の前のメリーを倒すことに専念しますか。ここまで来たからには財宝は死守してみせますよ!!
まず【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【結界術】を敵に向かって展開、【高速詠唱】【武器落とし】【吹き飛ばし】を仕込んだ【誘導弾】で敵のサーベルを狙います。強化される津波に対抗して【魔力溜め】【多重詠唱】【全力魔法】を重ねた月光一閃で攻撃。飛んでくる攻撃は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。
所でこの仕掛けられた罠、解除しなくて大丈夫ですか?
●メリー・ゴー・ホーム
財宝の持ち主とて誰かへのプレゼントに財宝を置き去ったわけではない。むしろ、財宝に目が眩んで無警戒に踏み入った者達を嘲笑おうとしている腐った性根の人物のようで。
よくよく調べてみれば財宝の周りには罠がいくつも。しかし、解除する間もなくメリーが乗り込んできてしまった。
他の猟兵がメリーと乱戦を繰り広げる中、真宮の面々もまた動き出す。
「財宝の持ち逃げは許しませんよ!」
「持ち『逃げ』ときたかい……随分下に見られたもんさ! 野郎共、海賊の矜持ってものを見せてやりな!」
海賊は奪うのが仕事。コソ泥と一緒にされてたまるか、とメリーは再び海賊船団員を召喚し奏へと差し向けた。サーベル片手に現れた海賊船団員達が機械遺跡の固い床を喧しく踏み鳴らしながら押し寄せる。
「炎よ、水よ、風よ――私達を守る盾となれ!」
奏は三属性の魔力を撚り合わせ、海賊船団員達を遮るオーラの防波堤を作り上げた。守護すべき財宝を拠点と見なし、剣と盾を交差させて弾き返さんと突き出す攻性の受けを繰り出す。海賊船団員達が振り回すのは技術も何もないただの凶器。刃が接触する瞬間に力を籠めれば、正面から来た者達はガツガツと弾かれ床に転げ、斜に斬り込んできた者達は勢いを受け流されてバランスを崩す。
やはり海賊船団員達と「したっぱ属性」は切っても切り離せぬもの。オーラに堰き止められた海賊船団員達は群がってくるが、1+1が2にならないのではどうしようもない。
奏は響と瞬の動向を伺う。各々が得意分野の行動でメリーを封じ、討つ。奏はそのための切り込み隊長のようなものだ。時間を稼ぎ、押し切るための着火剤の役を担う。
「こんな下っ端の集団ごとき――纏めて吹っ飛ばしてみせます!!」
いい頃合いだった。奏は集まってきた海賊船団員達目掛けて薙ぎの衝撃波を真一文字に放っていった。広範囲に生じた衝撃は海賊船団員達を絡めとる網となり、攫って一気に吹き飛ばす。
「さあ、観念してください!!」
「引導を渡される筋合いはないね!! 虚仮にされた分、きっちり返してやるよ!!」
召喚した海賊船団員達をあっさりとあしらわれた屈辱を乗せて、メリーはサーベルを真っ直ぐに振り下ろした。
現れるのは津波だ。屈辱の分だけ膨れた津波が襲ってくるのを、今度は瞬が前に出てオーラの守りを固める。
威力の読めない津波に対し、瞬は説明しがたい直感のようなもので判断を下して、足りるだけの魔力を注ぎ込みオーラの壁を構築する。津波がオーラの壁と衝突して持ち上がり、場は一瞬海底の様相を呈していた。
波立ち揺れる景色の中でも瞬はメリーの姿を見失うことなく、仕込み結界を展開させる。
「閉じ込めようったって――そうはいかないね!」
メリーの足元に組み上げられた方陣から立ち上がる半透明の壁。動きを封じられて黙っているはずもなく、メリーはサーベルを袈裟に薙ぎ払い斬り飛ばそうとした。しかし結界はそれ自体が強力な攻撃能力も持つ。サーベルの鋭い刃が結界へとぶつかったが逆に鋼の如く跳ね返されて、押し負けたメリーは後方へよろめき結界に背中から落ちてしまった。
「ぎゃああぁぁ!!」
雷に打たれたかのような痺れが全身に走ると共に、視界が暗く閉ざされる。結界に身を焼かれているメリーの元へ、今度は誘導弾が飛んでいた。
隙を逃さず瞬が高速で撃ち出した誘導弾は弧を描きながらメリーの持つサーベルへと向かっていた。当然それは目を潰されたメリーにはわからない。故に、「不意に」サーベルを横殴りする衝撃に耐えられず、宙へと弾き飛ばされてしまった。
「この――」
「おっと、思う通りにはさせないよ」
サーベルを失ったメリーが何か仕掛けようとしていたところへ陰から伸びる腕。派手な立ち回りを見せていた奏と瞬を隠れ蓑に、響が音無くメリーの背後へと回っていた。怪力を余すところなく乗せた気合いの不意打ちでメリーの腰を砕くように突き崩すと、
『余り使いたくないんだけどね。いざという時は必要なのさ!!』
手枷、猿轡、拘束ロープという三種の拘束具を素早くメリーの体に引っかけて捕縛する。瞬の結界で体の自由を阻害されていたこともあり、メリーはあっけなく捕まった。
「これじゃあ弱点を指摘しようが、実証はできないだろう?」
「う、ぐっ……ぐぅぅぅっっ……!!」
メリーは詰まった呻き声を上げる。両腕を後ろに捩じり上げられ屈辱的な姿を晒していることは、視界がなくとも容易に想像できた。
「瞬! トドメにきついの、一発お見舞いしてやりな!」
「わかりました。月の力よ――!」
瞬は杖を掲げ、詠唱と共に魔力を高める。放とうとする破壊光線がメリーを滅ぼすのに足る威力まで到達したところで、瞬は響へ視線を送り、小さく頷いた。
響が怪力からグラップラーばりの投げでメリーの体を宙に放った。枷をつけられたメリーは為すがまま、訪れた浮遊感を味わうしかなく。
「貫け!!」
瞬の声は反響し、斜め上方に射出された光の破壊光線は何層にも重ねられていた。十分な太さを備えた破壊光線はメリーを全身丸ごと飲み込んで、遺跡の壁、天井付近まで到達した。
「ぁぁ……」
光線はメリーの声までも破壊したか。か細い断末魔など三人の耳には入るはずもなく、メリーは光の中で跡形もなく消滅するのだった。
大成功
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