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大祓百鬼夜行㉕〜忘れ去られし究極妖怪の愛

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #5/28シナリオ公開 #プレイング受付終了しました

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#大祓百鬼夜行
#5/28シナリオ公開
#プレイング受付終了しました


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●UDCアース・東京スカイツリーにて
 大都市の夜景を見下ろす東京スカイツリー。その最上部に突如として出現した巨大な構造物。
 その内部はUDCアースから失われた、古き良き時代を感じさせる光景が広がっていた。

 舗装されていない道を土煙を上げながら走るオート三輪車。紙芝居屋さんの自転車の前に集まり目を輝かせる子供たち。
 豆腐の移動販売がラッパを吹きながら住宅街を巡回し、商店街では買い物かごを持った大勢の主婦が行き交う。
 電気屋の店先のテレビには庶民たちが群がり、プロレス中継に歓声を上げていた。

 ノスタルジックな光景が浮かんでは消えていく。それはすべて過去の幻影。
 人は新しいもの、便利なものを求め、古いものを時代遅れな不便なものとして捨て、忘れ去ってきた。
 その中には捨ててはいけない、忘れてはいけない、失ってはいけない、「大切なもの」もあったのではないですか?

 少女の姿をした、誰からも忘れ去られた究極妖怪は、誰にともなく問いかける。

 愛しきUDCアース。
 あなたを思う、私の愛は揺らがない。
 だから、私は帰ってきたのです。

 少女は懐から短刀を取り出し、刀身に自らの顔を映す。
 この刀は時間をかければ、どんなものでも殺すことができる。
 殺したものはすべて過去となり、骸の海で永遠となる。

 愛するUDCアース。あなたを永遠にしたい。
 それはUDCアースを「不変の世界」にするということなのだろう。
 骸の海では、新しきものが生まれることはない。
 古きものが忘れ去られることもないのだ。

 少女の赤き瞳は、過去を断ち切り、未来に進もうとする者たちの代表――猟兵たちに向けられていた。
 電波塔の頂上であなたたちを待っています。
 猟兵たちよ。止められますか。

●グリモアベースにて
「いよいよ最終決戦ですね。皆さん、いままでお疲れ様でした……」
 グリモア猟兵の紡木原慄(f32493)は、招集に応じたくれた猟兵たちに頭を下げる。

 カクリヨファンタズムの妖怪たちと、猟兵たちによる共闘作戦は最終局面を迎えていた。
 大祓骸魂を行方を追いながら繰り広げられた約一ヶ月にわたる戦いにより、百鬼夜行に加わった善良な妖怪たちの多くが救出されている。
 そして、ついに大祓骸魂の出現場所が予知されたというわけだ。

「大祓骸魂が出現する場所はUDCアースの東京スカイツリーの最上部。大祓骸魂はそこを最終決戦の場所に選んだようね」

 大祓骸魂は、東京スカイツリーの最上部にアンテナを収納した高さ約140メートルの巨大構造物「ゲイン塔」を設置し、膨大な「虞」の力によって東京上空をカクリヨファンタズムの如き空間に変異させ、猟兵たちを迎え撃つつもりのようだ。
 この空間では、この戦争に存在した「あらゆる手段」が使用可能になり、大祓骸魂は猟兵たちを殲滅するために手段を選ばずに攻撃してくる。
 猟兵たちもこの戦争で体得した攻撃方法や対抗手段を活用し、大祓骸魂に対抗することが求められるだろう。
 また、ゲイン塔にはまだ骸魂に呑み込まれたままの妖怪たちも集結しており、大祓骸魂を援護してくることが予想される。

「百鬼夜行の勢力は落ちても、大祓骸魂は十分にカタストロフを引き起こせるだけの力を蓄えているはず……だから、皆さんには一刻も早く大祓骸魂のところに赴き、その野望を阻止してもらいたいの!」

 一刻も早く大祓骸魂を倒し、この戦争に終止符を打つこと。それが今回の依頼だ。それはUDCアースとカクリヨファンタズムへの脅威を取り除き、二つの世界を救うことと同義だった。

「それでは皆さん、よろしくお願いします。私はここで御武運をお祈りしてるね……」
 慄は神妙な顔で見送りの言葉を紡ぐと、祈るように手を組んで目を閉じ、猟兵たちを決戦の地へと送り出すのだった。


刈井留羽
 こんにちは。刈井留羽です。
 今回は『大祓骸魂』との決戦シナリオ(1章完結)になります。
 「ゲイン塔」の内部では、この戦争に存在した「あらゆる手段」が使用可能になります。
 というわけで、このシナリオのプレイングボーナスの条件は、『この戦争に登場したすべてのプレイングボーナスから好きなものを指定し、お書きいただくこと』となります。

 リプレイではプレイングに記載された内容に合致するような攻撃を大祓骸魂がしてくるように描写します。
 たとえば、「カード弾幕に対処する」場合には、大祓骸魂はカードで攻撃してきますし、「ビックリ身体能力に対処する」場合には大祓骸魂がビックリ身体能力で攻撃してくることになります。
 もちろんシンプルに真の姿になって戦ったり、複数の猟兵で連携して戦ったりすることも可能です。
(戦闘フラグメント以外のボーナスは戦闘に組み込むのが困難であるため、採用できない可能性が高いです)

 ちなみに、骸魂の元凶である大祓骸魂は、これまでのように救うことはできません。
 世界を救うためには、情けをかけずに全力で倒すしかないのでしょう。

 シナリオ公開後すぐにプレイング受付開始。
 週末ということでシナリオ数に余裕がありそうですが、6月1日16:00まで完結を目指します。
 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:菱伊

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フロッシュ・フェローチェス
なるほど、強敵、だね。……ならここは、【真の姿を晒して戦う】ことを、選択させて、もらおうか。

加速式、励起……戦闘開始だ。通常のダッシュと、残像付きの方向転換……織りまぜて使って、周囲を駆け巡りながら、相手のペースを乱す。
接近可能なら早業で通り過ぎつつ、切断する勢いで手刀での2回攻撃や、衝撃波をともなう足刀を撃ち込む。
無理そうなら、反撃を拳の乱れ撃ちでそらしたり、カウンターの応用で落としたりしながら、クイックドロウの要領で拳から衝撃波を撃つ。

UC……ならこちらも、UCで対応させてもらうよ。純粋な、限界突破……速度アップだ
この力と、野生の勘を総動員して、刀の攻撃を見切り……翡翠の雷を叩き込む……!



 東京スカイツリーを駆け上がり「ゲイン塔」の内部に足を踏み入れたフロッシュ・フェローチェス(疾咬スピードホリック・f04767)は、運動会の装飾が施された無人の学校グラウンドに佇む大祓骸魂に対峙する。
 厳かな雰囲気を醸し出す白無垢姿の女は、狂気じみた赤い瞳をフロッシュに向け、小さく微笑む。

「あなたは随分、『かけっこ』に自信があるようですね。それではこちらも、相応の相手を用意しないといけませんね」

 大祓骸魂が猛烈な虞を発し、手下のオブリビオンたちを呼び出す。
 現れたのは5人の女。一様に長髪で耳元まで口が裂けている。それは「口裂け女」の骸魂に呑まれた妖怪たちだった。
 口裂け女は走行する自動車に追いつくとされる脚力自慢の妖怪だ。
 女たちは両手に鋭利なハサミを持ち、殺意を滾らせて猛然とフロッシュへと向かってくる。

 その刹那、翡翠色の雷光が煌めき、フロッシュの「真の姿」が解放される。
 超速術理「加速式」は既に発動し、その肢体には術式の文様が浮かんでいた。
 瞬時に臨戦態勢を整えたフロッシュは口裂け女たちを見据える。

(前座というわけね。でも、相手は罪のない妖怪……ここは手っ取り早く眠ってもらおうかな)

 殺意のままに猛進してくる口裂け女たち。正面から5人を同時に対処するのは骨が折れるだろう。
 それならばと、フロッシュは地面を蹴って相手との距離を一気に詰め、寸前で左に切り返す。
 正面に残されるのは残像のみ。そこに飛び込んだ口裂け女たちのハサミが空を切る。
 その瞬間を見逃さず、フロッシュは振り向きざまに足刀を振るう。足刀とともに放たれた衝撃波が口裂け女たちを襲い、直撃を受けた2人が弾き飛ばされる。
 残り3人の口裂け女は突然の反撃に怯み、一瞬動きが止まる。そこへ飛び込んでいくフロッシュ。そのまますれ違いざまに首筋に手刀を打ち込み、次々と気絶させていく。

 前座の5人を圧倒的な速さで無力化したフロッシュを牽制するように飛来する千羽鶴。
 フロッシュは咄嗟にそれを拳の乱れ打ちで撃ち落とすと、さらに速度を上げ、相手のペースを崩そうと、細かいターンを繰り返しながら残像を残し、不規則に走り回る。
 だが、大祓骸魂も接近を許すまいと千羽鶴と鞠を念力で操作し、フロッシュにけしかけてくる。
 足元を適確に狙ってくる鞠。そして視界を塞ぐようにいくつもの群れを成して飛んでくる千羽鶴。
 走行を巧みに妨害する波状攻撃に、フロッシュは苛立ちを募らせる。

「邪魔をするなら、ふっとばす!!」

 ダダダダッ。千羽鶴に向かってマシンガンのように繰り出される拳。なんとか目の前の千羽鶴を撃ち落とすも、足元には多数の鞠がゴロゴロと転がってくる。フロッシュはそれを飛び越えながら、大祓骸魂に向かって渾身の拳を繰り出す。
 すると拳から衝撃波が生じ、大祓骸魂へとまっすぐに向かっていく。
 ところが……バチッ。大祓骸魂の正面に差し出された「黒い巨大な手」が衝撃波を弾いた。
 それは虞が具現化したような、禍々しい虞を纏う異形の手だった。

「ここまでのようですね。それでは終わりにしますか。この刀で……」

 勝ちを確信した大祓骸魂は懐から取り出した愛刀を複製し、動きの止まったフロッシュに向けて放つ。
 その刹那、ユーベルコード・碧血暴速『ストロング・バーサーカー』が発動し、異能の右眼から迸らせた雷流を纏うフロッシュ。
 だが、能力の代償でフロッシュの全身に出血が起こり、激しい痛みが走る。それを歯を食いしばってこらえながら、彼女は大地を蹴る。
 
 この敵には普通の攻撃は通用しない。
 多少のリスクを覚悟で、突っ込むしかない。
 流れ出る血も蝕む痛みも、今だけは彼方において。
 ただ速く、もっと速く……!

 翡翠色の雷流を纏うフロッシュの体は限界を突破し、さらに輝きを増し、急加速し、やがて雷光そのものとなる。
 すると、一気に距離を詰める彼女に、襲い掛かる短刀。
「くっ!」
 野生の勘が働き、咄嗟に姿勢を低くして躱すと、フロッシュはそのまま地面を蹴って跳躍する。
 落下の先には、巨大な黒い手を突き出してガードする大祓骸魂。
 フロッシュが振り下ろした雷流を纏った拳と、大祓骸魂の黒い手が衝突し、虞と雷が弾ける。
 そして、フロッシュの拳は黒い手に遮られて止まった――かに見えた。

「アタシは!! お前を、この拳で、叩きのめす!!」
 
 咆哮とともに右眼から奔流のように迸る翡翠色の光。
 流血しながらも、絶対に敵を倒そうという執念が、フロッシュにさらなる力を与える。
 ズバババババッ。激しい放電現象が周囲に起こり、彼女の拳に翡翠の雷が収束する。
 そして、膨大なエネルギーを纏った拳が黒い手を貫き、翡翠の雷が大祓骸魂の体を穿つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
【真の姿で戦う】
この世界は俺の愛する人が暮らす世界だ
身勝手な愛で永遠になんてさせるものか

イグニシオンに【騎乗】
真の姿となりUCを起動
装甲を犠牲に攻撃特化の形態をとる

【戦闘知識】による予測を【視力】による観測と【第六感】で補正した心眼で敵軍の動きを【見切り】
【残像】を織り交ぜて回避
避けきれない部分は【オーラ防御】を【結界術】でコーティングした多重防御壁で受け薄い装甲を補いつつ
被ダメージは結界で受けた敵の攻撃から【生命力吸収】で回復

【空中戦】で碧き劫焔を纏った両掌による【斬撃波】【範囲攻撃】でその統率を乱つつ骸魂だけを【焼却】していくぜ

数が減り弱体化したら本体を焔の太刀で断ち切る
さよならだ



 東京スカイツリーの最上部に出現した巨大構造物「ゲイン塔」の内部は、墓地のような空間に変質していた。
 それは、かつてお墓で肝試しに興じる若者が多かった時代を懐かしむ、大祓骸魂の心象風景を映し出した幻影空間だった。
 等間隔で墓石が並んでいるが、それは幻影に過ぎず、今となっては触ることすらできない。

「忘れ去られてしまえば、懐かしむことすらできない。それは悲しいことです。だから私は、愛するこの世界のすべてを永遠にするのです」
 墓地の中央に立つ大祓骸魂は、イグニシオンに騎乗して目の前に現れた久遠寺・遥翔(f01190)に狂気じみた思想を語る。遥翔はその身勝手な物言いに憤慨し、叫ぶ。
「この世界は俺の愛する人が暮らす世界だ。身勝手な愛で永遠になんてさせるものか!」 
「そうですか。それなら決着をつけねばなりませんね……」
 最初から話してわかる相手ではない。猟兵とオブリビオン・フォーミュラは相容れぬ存在なのだから。

 かくして戦端が開かれ、大祓骸魂は両手を広げ、猛烈な虞を周囲にばら撒いた
 すると、墓場から蘇ったかのように、剣を携えた黒いスケルトンの群れが現れる。それは東洋妖怪のがしゃどくろが、西洋妖怪のスケルトンの骸魂に呑み込まれて誕生した「ダブル髑髏」と呼称される巨大な骸骨兵だった。
 
 対する遥翔は「真の姿」を晒し、イグニシオンをイグニスモードに変形させる。
 装甲がパージされ、それを補うように噴き出したオブリビオン・イグニスの焔が激しく燃え上がる。
 それは装甲を犠牲にすることで実現する攻撃特化の形態だった。

 これで臨戦態勢は整った。だが、遥翔はすぐに突っ込まずに敵陣の動きを観測していた。
 よく見るとダブル髑髏の軍勢は、横に並んだ兵の両翼を先行させて三日月型の陣を敷く「鶴翼の陣」で進軍してくる。
 中央の軍勢は密度が高く、特に守りが堅い。中央の軍勢の背後にいる大祓骸魂を狙って中央突破を仕掛ければ、両翼の兵によって包囲攻撃を受けることになるだろう。
 それならば、「急がば廻れ」の戦術が得策だ。
 そう判断した遥翔は漆黒の刀身を持つ太刀を構え、比較的兵の数が少ない左翼に向かって突っ込んでいく。
 
 ガキッ。突進した勢いのままに薙ぎ払うと、硬質な音とともにダブル髑髏の軍団が吹き飛び、左翼の陣営が半壊する。
 左翼を崩され、中央の軍勢の一部が援護にやってくる。さらに、吹き飛ばされたダブル髑髏たちが起き上がり、イグニシオンを包囲していく。
 薙ぎ払っても薙ぎ払っても、次から次へと押し寄せてくるダブル髑髏。
 予想外の大乱戦だが、遥翔は敵の攻撃を見切って回避し、回避しきれない攻撃を装甲代わりに張ったオーラと結界による多重防御壁によって防ぐことで、損傷を受けずにやり過ごせてはいた。
 しかし、このままでは埒が明かないだろう。

 遥翔は地上戦に見切りをつけ、脚部の熱噴射を最大にして空へと飛び上がると、敵の密集地に照準を定め、碧き劫焔を纏った両掌から斬撃波を放っていく。
 圧倒的な破壊力を持つ斬撃波による空爆攻撃。起死回生の大技は膠着状態だった戦場に風穴を開け、敵軍を狂乱状態に陥らせる。
 そして、機を見た遥翔はイグニシオンの機神焔砲"天照"の砲門を開き、ダブル髑髏の軍勢に向けて火炎を放射した。
 
 邪悪を焼き尽くす煉獄の焔。イグニスの焔に焼かれたダブル髑髏は、突然、糸が切れたようにバタバタと倒れていく。
 見ると、体表をコーティングしていた黒色の表皮が剥がれ落ち、体表は元の象牙色に戻っている。
 それはがしゃどくろたちが骸魂の支配から解放されたことを意味していた。
 その後も戦場を飛び回り、憐れな髑髏兵を解放するために焔を放ち続けるイグニシオン。
 やがてダブル髑髏の群れもまばらになり、遥翔はついに本命の大祓骸魂を視認した。
 
 一気にカタをつける。
 黒煙を上げるダブル髑髏の群れを横目に、イグニスの焔を全身から吹き出させながら突進していくイグニシオン。
「私は負けません。愛するこの世界を永遠のものにするために!」
 狂気の赤目を滾らせ、虞が具現化したような巨大な両手を正面に突き出す大祓骸魂。
「そんなことは絶対にさせない。これで貴様とは、さよならだ!」
 大切な人たちの住むこの世界を守るため、遥翔は焔を纏いし太刀を渾身の力を込めて振り下ろす。 
 そして、信念の籠もった焔の太刀により、虞が具現化されし巨大な手は切断され、大祓骸魂はイグニスの焔に焼かれるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アスカ・ユークレース
真の姿:JC参照、淡々とクールで機械的、スピード、機動型

どんなのが出てくるかと思ったらとんでもない無理心中図ってきてんじゃない。いくら好きだからってやりすぎよ

虞は視力をこらしてUCで相殺し対処
ヒガンバナは耐えられない程の狂気ではないだろうがドローンを飛び石代わりにしたジャンプステップと紐状の流体金属を利用したロープワークで極力直接踏まないよう避ける

大祓骸魂本体へは武器改造したbinary starにて鎧を砕く威力を込めた砲撃を見舞う
その呪詛と狂気じみた愛…断ち切らせてもらうわ

アドリブ絡み歓迎



 東京スカイツリーの最上部に出現した巨大建造物「ゲイン塔」。その内部へと踏み込んだアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)は、その光景に目を見張る。
 月灯りで煌々と照らされる、だだっ広い荒野。白無垢姿の究極妖怪はそこに一人で佇んでいた。
 アスカはピストル式機械弩・フェイルノートを構え、臨戦態勢を取りながら口を開く。
「ずいぶん殺風景なところですね。もっと賑やかな場所を想像していたんだけど」
「殺風景ですか。でもここには忘れ去られるものは何もない。私の愛するこの世界もいずれこうなります。それに……ここはもうすぐ賑やかなお花畑になりますよ……」
 大祓骸魂は意味深につぶやいて小さく微笑むと、赤い瞳に狂気的な殺意を滾らせ、虞を具現化した無数のヒガンバナを鏑矢のように放つ。

 それを視認したアスカは、瞬時に「真の力」を開放した。
 周囲に展開された電脳空間でアスカの体が再構築され、コンマ数秒でスピード・機動性が強化された「真の姿」に変貌を遂げる。

「目標確認、正面に無数の飛行物体。撃ち落とします」

 感情を伴わぬ声で誰にともなくつぶやき、ユーベルコードを発動させるアスカ。
 能力の発動により、彼女の視界には無数のターゲットマークが表示され、フェイルノートの照準がヒガンバナの大群に合わせられる。
 的確に弱点を狙った超精密射撃。揺るぎない照準で機械的に放たれた弾丸がヒガンバナを次々に打ち抜き、地面へと落下させていく。
 そして、すべての標的を排除し終えたアスカの目の前には、血の色をした花の群生地ができている。それは撃ち落としたヒガンバナが根付いたものだった。
 
「ふふふっ、綺麗なお花畑でしょう。この花は私の愛の結晶。あなたは私の愛に満たされて死んでゆくのです」

 獲物が術中にハマったと見て、笑みをこぼす大祓骸魂に、アスカは眉根を寄せる。
 敵が放つヒガンバナを撃ち落としても、地面には虞の力を帯びた花が咲き誇り、大祓骸魂を強化していく。
 しかもその花はアスカにとっては害となるものである。
 このまま手をこまねいていれば、状況は悪化していくばかりだろう。
 それならば多少の危険を犯しても短期決戦を仕掛けるのが上策だ。

 状況を見て冷静に判断したアスカは小型ドローン「Cluseter」をヒガンバナの上に展開する。そのドローンはヒガンバナに触れずに標的に近づくための「足場」だった。
 アスカは地面を蹴って1つ目のドローンに飛び乗ると、そのドローンが重みで沈む前に、次のドローンへと飛び移り、さらにそのドローンが沈む前に次のドローンに飛び移る。
 その後もドローンの足場を飛び石のように軽快に飛び移りながら進んでいくアスカ。それは忍者のような大胆かつ軽やかな移動だったが、当然、大祓骸魂も黙って見ているはずはなかった。
 
 アスカを落下させるべく、大祓骸魂は容赦なくヒガンバナを放つ。
 その動きをいち早く視認したアスカは、フェイルノートで撃ち落として事なきを得るも、ドローンの上を飛び跳ねながらの射撃では想像以上に困難だった。
 そして、アスカはついにバランスを崩し、足を踏み外してしまう。
 あっ、と小さな声を上げるアスカ。その刹那、彼女は咄嗟に懐から液体金属を取り出してロープ状に変化させ、頭上に移動させたドローンに向かって放つ。
 さらにアスカはドローンに巻きついたロープを、ターザンロープのように使って空高く飛び上がる。
 その先には、階段状に並んだドローンの道。その端に着地したアスカは「binary star」をチャージしながらドローンの階段を一気に駆け上がり、その頂点から大祓骸魂を見下ろす。
 完全に虚を突かれた大祓骸魂は、正面に両手を伸ばした姿勢で硬直する。それは数瞬のことだったが、アスカにはそれで十分だった。目標までの射線を遮るものは何もなく、射角も悪くはない。
「チャージ完了! その呪詛と狂気じみた愛……断ち切らせてもらうわ!!」
 そして、アスカが構える大型光線弩から閃光が放たれ、虚空を切り裂く光の束が、大祓骸魂を貫くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
忘れてはならないものは確かにある。だが……今あるものから目を背けて、過去に囚われる。それに、どんな意味があると言うんだろうな

大祓骸魂と相対すれば、念動力で動く懐刀に、カードの弾幕が襲いかかってくる
これは、流石に敵の手数が多すぎる――弐の型【朧月】で防御の構えを取って、まずは悉くを弾いていく
かつての戦いの経験を活かしてカードは上手く捌いて、自分が使えるように集めておく
……それにしても、大祓骸魂があの見た目でカードを大量に投げてくるの、何か違和感が凄いな

そして、機を見て大祓骸魂へと一気に接近。随時カードを投げつけて牽制と飛んでくる懐刀を弾き落として、刀による渾身の一撃を叩き込む



 東京スカイツリーの最上部に出現した巨大建造物「ゲイン塔」の内部はデュエルスペースと化していた。
 観客のいない闘技場の中央で一人佇む大祓骸魂は、闘技場に現れた夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)に好奇の目を向ける。

「……あなたは確か、『かあどでゅえる』が好きなのですよね。私は新しきもののことに興味はありませんが、花札のことなら知っています。せっかくですから、お相手しましょう!」

 大祓骸魂は手元に大判の花札の束を呼び出し、殺気を放つ。
 それに反応した鏡介が鉄刀に手をかけて鯉口を切ると、大祓骸魂も懐から短刀を取り出し、それを頭上に放り投げる。短刀が分裂し、切っ先を鏡介に向けたまま虚空で静止する。
「……あなたにはこちらも必要ですね。さあ、はじめましょう」
 開戦を告げると、大祓骸魂はまるで遊び友達を得た子供のように微笑みながら、目にも止まらぬ速さで花札を放っていく。
 
(花札の弾幕に加えて『匕首』の投擲か……これは流石に手数が多すぎる。特にあの匕首が厄介だな。まずは守りを固めて……)
 
 鏡介は落ち着いて状況を分析すると鉄刀を抜き放ち、弐の型【朧月】の構えを取る。それは防御・反撃特化の構え。同時にユーベルコードが発動し、鏡介は数段強化された視力と見切りの技能で迎撃態勢を整える。

 視界を埋める鮮やかな花札の群れ。鏡介にはその軌道が手に取るように見えていた。
 一ミリ程度の硬質な板が風を切って高速回転しながら向かってくる。その動きは一様に直線的だ。
 カード弾幕に囲まれないように速やかに移動。烈風の如く飛んでくる花札を鉄刀で弾き、薙ぎ払い、受け流すことで危なげなく無力化していく。
(よっと……これもあの戦いで体得したんだよな)
 鏡介は見えざる闘技場での戦いのことを思い出し、飛んでくる花札を上方に弾き、空中でキャッチして懐に入れる。
 今の鏡介はカード弾幕への対処もお手の物だ。
 ところが、今度は未知の攻撃が鏡介を襲う。
 シュッ。視界を塞ぐカード弾幕の背後から飛んでくる匕首。
 鏡介は反射的に鉄刀で弾くも、カード弾幕によって生じる死角を利用し、匕首が次々と飛んでくる。
 大祓骸魂は匕首を念力で自由に操作できる。カード爆撃で注意を引き、相手が隙を見せた瞬間を狙って匕首でトドメを刺す算段なのは明らかだった。

 さすがに一筋縄ではいかないなと思いながら、鏡介は弐の型【朧月】を崩さずに匕首を危なげなくさばいていく。
 とはいえ、敵の攻撃は想像以上に苛烈だった。 
 侮ってはいけないのは匕首が纏う虞の力。直撃を受ければ死に直結するダメージを受けるだろう。一撃も喰らわず、すべての攻撃を防がなければ。
 鏡介は感覚をさらに研ぎ澄ませ、花札の弾幕と匕首の波状攻撃を確実に受け流していく。
 それは薄氷の上を踏むような苦しい防戦だったが、嵐のような攻撃を無傷で防いでいると、ようやく好機が訪れる。

 (弾幕が止んだのか? なんだか露骨な気がするが……)
 
 それでもこのまま防戦一方で体力を消耗するよりはマシだろう。
 鏡介は覚悟を決め、地面を蹴って一気に距離を詰める。
 すると待ち受けていたのは、大祓骸魂を護るように集結した匕首の壁。

「お遊びは終わりです。これであなたは骸の海へと墜ちるのです」
 
 赤い瞳を狂気の光でギラつかせ、大祓骸魂はトドメとばかりに匕首を放つ。 
 鏡介は落ち着いて懐から花札の束を取り出すと、匕首の軌道を塞ぐように花札を投じていく。
 キンッ。硬質な花札が匕首に衝突し、空中で幾つもの火花が散る。撃ち落とすことはできなかったが、匕首は大きく弾き飛ばされ、正面の「壁」に風穴が空いた。
 鏡介は速度を上げてそこに踏み込むと、襲ってくる匕首を鉄刀で受け流しながら、強引に切り込んでいく。
 ついに壁を突破した鏡介は残りの花札を素早く放って牽制する。わずかに怯む大祓骸魂。だが、鏡介の背後には多数の匕首。彼はそれに気づいていたが、立ち止まって対処する余裕はなかった。
 この一太刀で決める。鏡介がさらに前に踏み込むと、大祓骸魂の正面に「虞」が集束していくのが見えた。
(虞でガードするつもりか……だが、その前に断ち切る!)
 鏡介は集中を切らさず素早く鉄刀を振るう。ザシュッ。渾身の力で放たれた斬撃が大祓骸魂の胴を切り裂くと、鏡介を追いかけていた匕首は力を失い、地面へと落下していく。

「忘れてはならないものは確かにある。だが……今あるものから目を背けて、過去に囚われる。それに、どんな意味があると言うんだろうな……」

 鏡介は苦しげに膝をつく究極妖怪を見据えてつぶやくと、ため息をつくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
ああ、ああ!狂しいまでのその想い、素敵よ♥
でもでも、この世界は永遠になんてならないわ!
だって……

【㉓トレンディ形態】
お金で買える古今東西のあらゆる凶器を買って大祓骸魂にぶっ放すわ!
剣やハンマーで滅多打ち?機関銃で蜂の巣なんてのもいいかも?それとも火炎放射器で丸焼きがいいかしら?
どれでも好きなやり方で壊(あい)してあげるハート
向こうの攻撃は、大きな鉄板やトラックのような障害物になりそうな物を買って盾代わりにさせてもらうわね。
どれも壊れたって平気平気!使い捨て感覚でどんどん新しいものに買い替えていきましょ♥

ねえ、ねえ、私も貴女の事が“好き”になっちゃったの♥
だから…私の中で永遠になって頂戴?



 東京スカイツリーの最上部に現れたゲイン塔の内部は、煌らびやかな装飾が施された悪趣味な空間に変貌していた。
 それは新し親分バズリトレンディが作り上げたゴージャスな御殿を模した幻影空間だ。
 大祓骸魂は少し居心地が悪そうだが、その手には「妖刀村正」が握られている。
 それはかつてこの世界に存在していたされる名刀だが、この空間では無尽蔵に噴き出す「お金」を消費することでイメージしたものがすぐに入手できるのだ。

 対するフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は、両手にサブマシンガンを装備していた。完全にヤル気満々である。
「この世界は私の愛で骸の海に沈み、永遠になるのです。あなたならこの気持ちがわかるのではないですか?」
 大祓骸魂は狂気的な笑みを浮かべ、フィランサに問いかける。
「ああ、ああ!狂しいまでのその想い、素敵よ❤️ でもでも、この世界は永遠になんてならないわ! だって……あなたは、わたしが壊(あい)してあげるんだから ❤️」
 大祓骸魂をまっすぐに見つめるフィランサの瞳には純粋な好意が浮かんでいる。
 だが、その好意とは裏腹に彼女は突然、サブマシンガンを乱射し始めた。
「あなたなら、わたしの『愛』を受け止めてくれるよね☆」
 愛のカタチはひとそれぞれ。愛する者を壊す愛もあるのだろう。
 それを受け入れるかどうかは、相手次第。身勝手な愛だという非難は、フィランサには通用しない。
 彼女はただひたすらに「好き」の感情を暴走させていく。
 
 大祓骸魂は、サブマシンガンを乱射しながら突っ込んでくる少女に表情ひとつ変えず、正面に巨大な和鐘を出現させる。分厚い鉄の鐘がマシンガンの弾丸を弾く。さらに大祓骸魂は宙に懐刀を投げて分裂させ、フィランサに向かってけしかける。 
「愛に障害はつきものって言うよね♪」
 フィランサは楽しげに言うと、目の前に大型トラックを出現させる。巨大なコンテナが短刀の群れを弾くと、彼女はグレネードランチャーを出現させ、トラックの上から発射する。
 放たれた砲弾は発煙弾だ。戦場にモウモウと白煙が立ち込め、その隙にフィランサはダッシュで距離を詰める。
 それでも念力に操られた短刀は、次々に襲って来る。フィランサはそのたびに鉄板やガードレールやらを盾として出現させ、激しい攻撃を凌いでいく。
 そして、近距離まで接近したフィランサは、新たに出現させたロケットランチャーを放ち、巨大な鐘を吹き飛ばすと、目の前には無防備な大祓骸魂。現代兵器の威力をまざまざと見せつけられ、唖然とした様子だ。
 
 愛の獲物を追い詰めたフィランサは満足げに微笑み、サブマシンガンを乱射する。
 ガガガガガッ。激しい発砲音が鳴り響き、土煙が吹き上がる。
 だが、敵は倒れることはなかった。それもそのはず、大祓骸魂は虞を具現化させた「巨大な黒い手」を使い、弾丸をすべて弾いていたのだ。
 それでもフィランサは壊れた人形のように満面の笑みを浮かべ、サブマシンガンを乱射し続ける。
「わたしの愛を受け取って ❤️」
「無駄ですよ。そんな攻撃など……がふっ」
 フィランサの声とともに頭上に出現した大型トラックが、大祓骸魂を押し潰す。
 その手からこぼれ落ちた妖刀村正を拾い、フィランサは恥ずかしげに頬を染める。
「ねえ、ねえ、わたしも貴女の事が“好き”になっちゃったの❤️ だから……私の中で永遠になって頂戴?」
 ザクッ。鋭利な長刀が倒れ伏す大祓骸魂の体に無残に突き刺さり、白い着物が鮮血に染まる。
「剣やハンマーで滅多打ち? それとも火炎放射器で丸焼きがいいかしら? どれでも好きなやり方で壊(あい)してあ・げ・る❤️」
 こうして狂気的な愛情を持つ者同士の対決は、フィランサに軍配が上がったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

他の猟兵と連携して戦う。を選択。

家族で力を併せてこの独りよがりの愛を押し付ける傍迷惑な奴をぶっ倒すよ!!真の愛の在り方を見せてやろう。

妖怪達が集まることで強化されるなら集まる前に蹴散らせばいい。炎の戦乙女と【残像】【見切り】【戦闘知識】で変幻自在に戦場を駆け回ることで大祓骸魂と妖怪達の視認を狂わせることで意志の統一を邪魔。妖怪達が大祓骸魂に集まる前に【衝撃波】【範囲攻撃】で蹴散らす。本体に対しては【ダッシュ】で一気に接近して【怪力】【グラップル】【気合い】で思い切り殴り飛ばす。続いて【二回攻撃】で全力の槍での【串刺し】【重量攻撃】だ。

囮は引き受けるよ!!後詰めは任せた!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

他の猟兵と連携して戦う。を選択。

世界を壊す程の愛ですか。愛情深いお母さんに育てられてますから、大事な存在を愛する気持ちは分かるんですが、重すぎますよね。

はい、私は上を抑えます!!彗星の一撃を発動、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】で防御を固め、飛びながら複数の剣と【衝撃波】【二回攻撃】で攻撃します!!家族で思いあい、力を併せる、これが真の愛です!!自分勝手な愛で世界を滅ぼされては堪ったもんじゃありません!!この世界に溢れる愛を護る為、貴女を倒させて頂きます!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

他の猟兵と連携して戦う。を選択

僕も母さんの愛情に支えられてここまで来ましたから、大事な人を愛するというのは理解できなくはないですが、その大事なものを殺すのは如何なものか。いずれにせよ、止めないと。

はい、攻撃の補助は任せて下さい!!【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】を仕込んだ【結界術】を【高速詠唱】で展開し、裂帛の束縛で更に敵の攻撃を制限。【魔力溜め】【多重詠唱】【全力魔法】で最大出力の【衝撃波】を【範囲攻撃】化して飛んでくる刀を【吹き飛ばし】し、あわよくば本体への巻き込みを狙います。吹き飛ばしきれなかった刀は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。



●開戦
 東京スカイツリーの最上部に現れたゲイン塔の内部は、まだ解放されずに骸魂の支配下にある妖怪たちでごった返していた。
 百鬼夜行を率いる究極妖怪・大祓骸魂は、夜空に浮かぶ巨大な月を背景にした荒野の中央で満足げに微笑む。
「決戦の場に集いし妖怪の皆さん。愛するUDCアースを骸の海に沈め、永遠にするのです……それを邪魔するものはすべて愛の使者たる我らの敵! さあ、出陣の時間です。邪魔者を即刻排除するのです」
 その瞳に狂気的な愛を宿した大祓骸魂は妖怪たちに自らの思想を伝え、猟兵たちの排除を命じる。

 そこに現れた真宮家の3人は大祓骸魂の身勝手な発言を聞き、一様に憮然とした表情になる。
「世界を壊す程の愛ですか。愛情深いお母さんに育てられてますから、大事な存在を愛する気持ちは分かるんですが、重すぎますよね……」
 真宮・奏(絢爛の星・f03210)は傍らに立つ神城・瞬(清光の月・f06558)に同意を求める。
「僕も母さんの愛情に支えられてここまで来ましたから、大事な人を愛するというのは理解できなくはないですが、その大事なものを殺すのは如何なものか……いずれにせよ、早く止めないと!」
 瞬は愛情深き母さん――真宮・響(赫灼の炎・f00434)――に視線を向ける。
 響は瞬に大きくうなずき、二人の背中をポンと叩く。
「家族で力を併せてこの独りよがりの愛を押し付ける傍迷惑な奴をぶっ倒すよ!! 真の愛の在り方を見せてやろう」
 そして、響は妖怪たちが跋扈する戦場へと駆け出す。
「囮は引き受けるよ!! 後詰めは任せた!!」
「はい、私は上を抑えます!!」
「はい、攻撃の補助は任せて下さい!!」
 家族の先陣を切る母の背中を見て二人の子供たちはうなずき合い、戦場に身を投じるのだった。

●囮
 戦場の妖怪たちの一部は敵を排除するために動き出した。
 だが、その他の妖怪たちは大祓骸魂の周囲に集合しようとしていた。大祓骸魂は虞の力を集めることで、自らと周囲の妖怪を強化する力を持つ。要するに集まれば集まるほど手強くなっていく厄介な敵なのだ。
 それならば、妖怪たちが大祓骸魂のところに集まる前に蹴散らせばいい。
 響は囮として戦場を駆け回りながら、妖怪の集結を阻止するために次々と衝撃波を放っていく。
 
 ドゴッ。響が繰り出した拳から放たれた強烈な衝撃波がぶつかり、巨大なたぬきのような妖怪「ムジナ」の群れが半壊する。すると、残ったムジナたちが一斉に「鬼」の姿に化ける。鬼は無骨な金砕棒を持ち、血相を変えて響のほうに向かってくる。
 しかし、響は次の獲物に視線を向けていた。視線の先には重厚な鎧を着て大剣を持つ骸骨兵。西洋妖怪リビングメイルの骸魂と合体した東方妖怪「がしゃどくろ」のオブリビオンだった。
「向こうのほうが手強そうだ。ここはアンタに任せるよ!」
 響は握りしめた魔法石に魔力を込め、「炎の戦乙女」を召喚する。
 顕現した女騎士は灼熱の槍を構え、鬼たちに突撃していく。
 響はそれを横目に、髑髏兵の軍団との距離を一気に詰め、衝撃波を放つ。
 ドガッ。衝撃波が前衛の髑髏兵数体を弾き飛ばす。だが、前衛の骸骨兵が盾になり、後方の兵は無傷だ。
 吹き飛ばされた骸骨兵もすぐに起き上がって軍勢に合流する。

 頑丈な上に軍隊のように統率が取れている。正面から戦えば手こずりそうだ。さてどうしたものかと響が思案していると、鬼の討伐を終えた戦乙女が後方からやってくる。
「おかえり。ちょうどいいところに帰ってきたね。左右から挟み撃ちにするよ!」
 戦乙女に一声かけると、響は素早く敵軍の左側に回り込み、衝撃波を連続で放つ。さらに、敵軍の右側から戦乙女のランスチャージが炸裂し、敵陣が崩壊する。
 そこを狙って距離を詰めた響は、拳を振るい、近距離から衝撃波を放つ。骸骨兵の鎧がはじけ飛び、骸魂から解放された「がしゃどくろ」たちが糸が切れたように倒れていく。
「次、行くよ!」
 一つの戦闘が終わり、響の視界にはさらなる敵の姿が映る。すぐさま地を蹴り、戦乙女とともに駆け出すのだった。

●空中戦
 地上での遊撃戦に赴く響の背中を見送った奏は、空に視線を向ける。
 そこには大勢の妖怪たちの影。奏は地面を蹴り空へと飛び上がり、空中戦を挑む。
 
 最初に現れたのは空飛ぶ生首「飛頭蛮」の群れだった。飛頭蛮たちは奏を見つけると、悲鳴のような声を上げながら口から火球を吐き出してくる。
(火球……火属性の妖怪なのね。それならこの剣で……)
 奏は火球を躱しながらアクア・セイバーを抜き、「火頭蛮」の群れに衝撃波を放つ。
 衝撃波は火頭蛮が吐き出した火球を相殺し、そのまま群れを薙ぎ払う。 
 すると、さらに背後から飛頭蛮の群れが現れる。今度は口から水球を吐き出してくる「水頭蛮」だ。
 奏は今度はブレイズセイバーを抜いて火属性の衝撃波を放ち、水球を相殺。そのまま水頭蛮の群れを壊滅させる。

 その後も、奏は複数の剣を使い分けて空中戦を優位に進めていくも、唐突に飛来する無数のヒガンバナの矢。
 それは大祓骸魂が放った「虞」が具現化したものだった。
 奏はすぐさまユーベルコード「彗星の一撃」を発動させる。
 すると虚空に無数の輝く剣が出現し、幾何学模様を描きながら宙を舞い、ヒガンバナを撃ち落としていく。
 しかし、息つく暇もなく、逆方向から矢の大群が飛んでくる。
 その方角を見ると長弓を持ったハーピィの軍勢。その向こうには飛頭蛮群れ、さらに烏天狗と思しきシルエットも見える。
 空中での戦いはどうしても目立ってしまう。派手な戦いは敵の目印となり、奏は空中戦を得意とする妖怪たちに集中攻撃を受けることとなった。

「さすがに数が多すぎるわね。ヒガンバナの対処もしなきゃいけないし……」
 奏は思案しながら、瞬のいる地上に目を向ける。すると瞬も奏を見上げていた。
「奏、こちらにおびき寄せてください! 一網打尽にしますから!」
「うん、ありがとう。兄さん!」
 
 作戦が決まり、奏は集まってくる敵に向かって牽制の衝撃波を放ちながら、空中を自在に飛び回る。目立つように飛びながらも防戦一方のように振る舞うと、敵軍は勢いづき、奏を包囲しようと集まってくる。
「今です。奏は僕のそばに!」
 奏が急降下して瞬の隣に降り立つと、瞬の高速詠唱による「結界術」が発動し、彼を中心にドーム状の結界が広がっていく。結界に触れた空中の妖怪たちは、雷撃に打たれたように体中に損傷を負い、次々に落下していく。
 そして、巨大な結界が完成したときには、上空の妖怪たちは一掃されていた。
「すごい……さすが兄さんね」
「奏ばかりに負担を強いるわけにはいきませんからね。母さんの戦いも一段落しそうですし、急いで合流しよう」
 そして、二人は最終決戦に向け、響の元へと急ぐのだった。

●決戦
 大祓骸魂は自らを倒すためにやってきた猟兵たちに狂気じみた赤い瞳を向ける。
「どうして私の愛を邪魔するのですか。永遠の愛を手に入れたい。愛する者と永遠に一緒にいたい。愛する者を永遠にしたい。人なら誰しも抱く当たり前の欲求ではありませんか? 私はこの世界を誰よりも愛している。だから、骸の海に墜とし永遠にするのです!」
「家族で思い合い、力を併せる、これが真の愛です!! 自分勝手な愛で世界を滅ぼされては堪ったもんじゃありません!! この世界に溢れる愛を護る為、貴女を倒させて頂きます!!」
 奏は身勝手な演説に憤然と反論し、手に持った剣の切っ先を大祓骸魂に向けた。
 響と瞬も奏の言葉に頷くと、それぞれの武器を構える。
 そして、決戦の火蓋が切られた。
 
 最初に動いたのは、大祓骸魂だ。全身から虞を発散し、宙に放り投げた懐刀を分裂させ、ヒガンバナの矢とともに前方に放つ。それは膨大な虞の奔流と化し、三人に向かってくる。

「ここは僕が対処します。二人は後詰めをお願いします!」

 瞬は前に出ようとした二人を制し、詠唱を始める。
 そして、高速詠唱によって完成した魔法の衝撃波が最大出力で放たれる。その高密度の衝撃波はヒガンバナと懐刀の群れを飲み込み、そのままの勢いで真っ直ぐに敵に向かっていく。
 だが、大祓骸魂も無防備というわけではない。
「私にこんなものは効きません!」
 大祓骸魂は虞を具現化させたような巨大な黒い手を正面に突き出して衝撃波を受け止めるも、その余波で後方に吹き飛ばされる。
 そこへ猛然と飛び込んでいくのは響。彼女は隙だらけの大祓骸魂の胸ぐらをつかみ、そのまま上に向かって殴り飛ばす。
「瞬! 頼むよ!」
 響が叫ぶと、上空に打ち上げられた大祓骸魂に、瞬の「裂帛の束縛」が放たれる。
 植物の蔓や枝が幾重にも絡みつき、空中で拘束される大祓骸魂。その上空を飛翔する影は奏だ。
「奏、今です!!」
 瞬の声に導かれ、奏は上空からシルフィード・セイバーで衝撃波を放ち、大祓骸魂を地面に叩き落とす。
「お母さん!」
 地上で待ち受けている響に向かって叫ぶ奏。
「任せときな! これで終わりだよ!!」
 そして、響は急落下してくる大祓骸魂の体に、渾身の力を込めて槍を突き立てた。
 ザクッ。鬼神の如く繰り出された槍での一撃で串刺しにされ、大祓骸魂は断末魔の悲鳴を上げるのだった。


●終結
 猟兵たちの活躍によってついに大祓骸魂は倒され、UDCアースとカクリヨファンタズムは滅亡の危機を脱することができた。UDCアースへの愛のために世界の滅亡を目論んだ究極妖怪は、その狂気的な愛とともに滅びたのである。
 大祓百鬼夜行。今回の戦争は誰も犠牲にならずに終結した。
 長かった戦いが終わると、猟兵たちは帰路に就き、百鬼夜行に加わっていた妖怪たちはカクリヨの平穏な日常へと戻っていく。
 今回の戦争を通じてカクリヨの妖怪たちと親交を深めた猟兵も少なくはない。
 カクリヨの妖怪と猟兵との間で結ばれた新たな絆。それは今後のカクリヨを変えるきっかけになるのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月02日


挿絵イラスト