11
大祓百鬼夜行㉕〜天望む戀のさいはて

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#大祓百鬼夜行


0




●とある戀のさいはて
 天望回廊のさらに先、塔頂部の高みにとその身を置けど戀しきの全ては地にと在る。
 見上げればそこは昏き星をも塗りこめて繰る来る狂うと幽世ちりまぜた万華鏡。

『愛しきUDCアース。あなたを思う、私の愛は揺るがない。
 だから、私は帰って来たのです……』

 どれほどの祝祭に飾されようともこの戀は誰の眼にも留まらない。
 知られず、そして愛されず……それでも決して揺るがない。
 鈍ただ一振りを手に、
 この戀を『骸の海』の底へと沈め、そして永遠をと天に望む。

『愛するUDCアース。あなたを永遠にしたい……あとひと刺しで、それが叶います。
 猟兵たちよ、止められますか。
 電波塔の頂上で、あなたたちを待っています』

 ――あるいは、
 あなたたちであればこの『虞』すらもすべて『祓』得るのであろうか……?

●ファンタズムのいやはて
「『大祓百鬼夜行』もいよいよ最終決戦を迎えたみたいだね。四大妖怪親分が倒された事で究極妖怪『大祓骸魂』との決戦の地に雲の道が拓かれたんだ」
 示されたその地は東京スカイツリーの最上部、ゲイン塔。
 ふたつの世界の崩壊を止められるかどうかの瀬戸際にも巳六・荊(枯涙骨・f14646)のふんわり笑顔は変わらぬまま。
「UDCアースの東京上空はいまや完全にカクリヨファンタズム化した空間に変化していて、その中に存在する凡ゆる手段を選ばず『大祓骸魂』は猟兵のみんなを迎え撃ってくるんだ」
 凡ゆる手段とはすなわちここまでの『大祓百鬼夜行』における全戦場、そこで繰り広げられた『虞』との戦い全ての総決算なのである。
「そう、すべて! 思慕も連携も弾幕も宴会も二宮も駄菓子もデュエルも、ぜんぶ!!
 ……ああ、うん。フツーに真の姿とかで挑むのも決して止めはしないかなー。
 懐刀(ヤマラージャ・アイビー)とかでめっちゃ刺してくるだろーけど」
 猟兵の自由意志に待ったを掛けるような野暮はしないがそれでもグリモア猟兵としては実質難易度を鑑みれば他の手段と比べてワリに合わないと判断している様子だった。
「今までの妖怪や親分達みたいに『大祓骸魂』を救うことは出来ない。ま、もともとが、UDCアースの大いなる邪神ちゃんだしねー。
 キミ達がどーいう想いを抱いて彼女にぶっつけてくるかなんてボクは干渉しない。
 ……彼女の『愛』の刃さえ止めてくれるのであれば、ね」
 淡々とそう告げたヤドリガミの掌中から界渡りの光が拡がり始める。
 愛、ということばにだけじわりと不可視の熱が篭められていたような気もしたが……。

 気が付けばもうそこはスカイツリー。
 幽世の天望む塔の上。


銀條彦
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●プレイングボーナス
 今回は、
『この「大祓百鬼夜行」全戦場のプレイングボーナスから1つを選び、使用できる』
 ……です。
 大祓骸魂さんは『虞』の限りを尽くして何でもアリでやってくるのです。
 だから屋台も電話ボックスも真の姿もドンとこいなのです!

 それでは。
 良きさいはてにしていやはてがあらんことを。
77




第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:菱伊

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィクトル・サリヴァン
何でもできるなんて流石邪神だねー。
…勝てなきゃ二つの世界がさようなら、そんな結末は嫌だね。

ええとここは…海岸?
チャレンジ番組…あー一時流行ってたね。
暗譜で完璧な演奏できたら賞金的な。
で、今回の挑戦は…サメハント?
この海の人食いザメを仕留めた者が優勝、成程。
チャレンジャーに大祓骸魂いるのは見なかったことにしつつ全力でやろうか。
海に飛び込み音の魔法で反響定位しつつ泳ぎ回る。
でかいのがいる感覚…これか。
他の妖怪達が集まる前に一撃で仕留めないと。
全速で泳ぎ銛を投擲しUC起動、さあどーんと横腹どついて転がしちゃって。
とったどーって言うんだっけこういう時。

※アドリブ絡み等お任せ
⑯番組の企画に全力で乗っかる



 決戦の地はUDCアース、東京スカイツリーの最上部、ゲイン塔。
 ――で、ある筈だった。その点は確かに間違いない。
 ないが……そも、ゲイン塔とは何か?
 それは『スーパーゲインアンテナの為の塔』であり、このスカイツリーにおいては地上デジタル放送用の送信アンテナシステムである。
 詰まる所テレビジョン放送の為の塔なのだからして『それ』もまた必然の……???

『世界のさいはてまで炎の電波チャレンジャー伝説! ~これができなきゃ帰れま戦!』

「ええとここは……海岸? 何でもできるなんて流石邪神だねー」
 グリモアベースから究極妖怪『大祓骸魂』討伐に向かった筈のヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は今、自分が唐突にテレビ番組企画の真っ只中へ放り込まれたのだと理解した。
 ギラギラと照りつける太陽の下、エメラルドの海のぞむ白い砂浜の光景は美しく、南国リゾート気分を大いに盛り上げてくれる。
 だが、チャレンジのお題は『ヒト喰い巨大ザメをハントするまで帰せま戦!』。
 低予算B級映画並にも程がある。
「……勝てなきゃ帰れないどころか二つの世界がさようなら、そんな結末は嫌だね」
 サメで、世界を、救うしかない。
 どのみち今のヴィクトルには全力でこの番組企画とビッグウェーブとに乗っかる以外に選択の余地は残されていないのだ。
 大挙した妖怪チャレンジャーの一角から明らかにヤル気に満ちた『虞』がガンガン垂れ流されているような気がする点は全力でスルーしたいシャチであった。

 白黒の巨体がざっぷんと大きな水柱を作って海へと飛び込めば、画面もまた水中カメラ視点にと切り替わった。美しき流線形を描いて、ヴィクトルの潜水は加速する。

(でかいのがいる感覚……これか)

 ソナー能力を駆使しながら目指す獲物を求めるヴィクトル。
 彼から放射された響音は、ほどなく、巨大サメと思われる生体を検知した。
 どうやらサメの側も優れた鼻センサーによってこちらの存在に気づいて狙いを定めたらしく互いの距離はグングンと縮まってゆく。
 海のギャングVS海のギャング、真の海の王者ははたして――!?

(他の妖怪達が集まる前に一撃で仕留めないと)

 緊迫感を煽るBGMがヴィクトルの背後から大音量で流れ出した所為で、そろそろ他の妖怪チャレンジャー達にも気づかれそうなのである。
 逞しい片腕に三叉銛が握られ、渾身の魔力こめた一擲が巨大ザメの頭を貫く。
 突き刺さった銛を中心に渦巻いた潮流はヒト喰いサメを凌駕する巨大鯱のカタチを得、獲物は鮫(オマエ)だとばかり一噛みのもとに喰い千切った。
 海での狩りなら、たとえ相手が邪神であろうとおいそれと遅れを取る彼ではないのだ。

「とったどーっ!!!  ――て言うんだっけ、こういう時」

 水面めざして急浮上からの、決め台詞もバッチリ。
 スーパースロー&リピートで1カメ2カメ3カメすべて、
 ヴィクトル1人と横たわるかつてサメであったモザイクだけがすっかりと独占だ。
 ……というか『虞』効果で究極妖怪さんはそもそも1度もカメラに映ってない。涙目。
 ちなみに『勇魚狩り』振りかざして勝利をアピールするヴィクトルの後ろで軽快に流れ始めた魚捕りBGMの出典は某戦争映画なのでちゃんと最終決戦感はキープされている。
 と、いいな。

 ――打ち捨てられた小さな液晶画面に切り取られた、まばゆい大海原。
 鮫を南国の海に沈めることこそ鯱に先を越された究極妖怪だったが、そのかわり、この戀は確実に骸の海へと沈めてみせるといよいよ意気上がる彼女は磯の新鮮なワカメとともに、ズルリ、画面の外の東京へと舞い戻ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
人も妖怪も世界も生きていきたいんだ
大祓骸魂の身勝手さで骸の魂に沈められるのはごめんだ

ましてやスカイツリーの上に団地なんて造られたら
懐刀を使うまでもなく塔が折れちまう、って慌てる演技で
戦場を妖怪団地にするよう誘導する
骸魂と合体させられても団地武装団なら辛うじて意志を保って
大祓骸魂の地球を骸の海に沈めたい意思の統一の阻害の一助になると信じてる

オレも共闘魅魔で憎めない悪戯っ子に変身した魅魔と二人で別々に
迷宮のような団地中のピンポンをダッシュしてうるさい位押しまくって
集まった妖怪達に団地のどこに向かうべきか迷わせつつ分散させちまうぞ
大祓骸魂が強くなれない内にオレと悪戯っ子魅魔で挟み撃ち攻撃だ!



「人も! 妖怪も! 世界も! 生きていきたいんだ。
 大祓骸魂の身勝手さで骸の魂に沈められるのはごめんだ!」
 真っ直ぐに天辺へと駆け上がったグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)が発したのは、熱き魂の叫び。
 くるくるくる……、
 隠り世であるはずの光景が現し世へと重なり、そして――ドワーフの少女は、いつしか夕陽暮れなずむマンモス団地にと佇んでいた。
 マンモス団地とは、この場合、二重の意味が掛かる。すなわち広大な妖怪団地であり、そしてそこに住みついた『団地武装団』の妖怪達はいずれ劣らぬ巨漢揃いであったのだ。
「ちょっ!? 好都合ではあるんだが……お前、本気でスカイツリーへし折る気かっ!」
 骸魂と合体しながらもギリギリの所で己の意志を保ち続ける『団地武装団』ならきっと抗ってくれると信じ、どうにか大祓骸魂に妖怪団地を選ばせようと『まんじゅう怖い、お茶も怖い』的演技で見事に誘導したのはグァーネッツォ自身なのだが……まさかの展開に本気で焦りそうになっていた。
 いかなる物理法則にも囚われない異界を創りあげた当の大祓骸魂はといえば、マンモス団地のマンモスな住人達を、次々、己の百鬼夜行の列にと呼び寄せようとしており……。
「おっと、そうはさせないぜっ!
 おい、魅魔――って、ちょ、団地の暗がりに連れ込もうとするなコラッ!!」
 ユーベルコードが召喚したお助け魅魔(ヘルパーサキュバス)はグァーネッツォを前にガマンが出来ない様子だったが、最後にモノを言うのはやはりフィジカル。
 精気あふるる鉄拳制裁という最低限の代償(ごほうび)のみでキリキリ働かせることに成功したのだった。

 ――ピンポンピンポンピンポーン~♪
 ――ピンポンピンポンピンポーン~♪

 可愛い悪戯っ子ふたりがかりによるピンポンダッシュ攻撃が迷宮のようなマンモス団地のあちこちから賑やかにこだまし始める。
 猟兵と変身魅魔によるコンビネーション『団地闘法』は妖怪達を混乱の渦に陥れるのみならず、彼らの団地愛へ深く訴えかける事となる。
 一鬼たりとも夜行れなかった大祓骸魂のぽつねん……っぷりたるや、
 団地住まいのカギっ子(死語)もかくやという様相。
 夕焼けに染まる屋上給水塔で、彼女は独り、妖怪達の到来を待ち侘び続けた。

「さあ、お前が強くなれない今のうちにオレと悪戯っ子魅魔で挟み撃ちだっ!」

 逆光を背に、ドカドカと騒がしく乗り込んで来たグァーネッツォの姿に彼女はちょっとだけ微笑んでいたかもしれない。
 ちなみに、究極妖怪である彼女は強化が全くなされなくとも普通に超・強いので魅魔はわりとあっけなく倒されてしまった。
 相応の戦闘力を持たせれば今度はグァーネッツォの方が使い物にならなくなっていた(曖昧表現)可能性があったのだから仕方あるまい。

 そして――最後はやはり、フィジカルとフィジカルでの語り合い。
 誰そ彼深まる空をバックに殴り合う和傘と竜骨斧の打撃音だけが鈍く重く、
 ピンポン途絶えた妖怪マンモス団地にいつまでもいつまでも響き続けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディイ・ディー
最初から全力で行くぜ
――七式!

力を使い切っても問題ない
今の俺の隣には亡き相棒
まぼろしの橋で会った男、黒瀬・蒼がいる

蒼、前みたいにやれるか?
『ああ。俺が弓で、お前が刀で斬り込む。……懐かしいな』
あの頃以上に強くなったんだぜ
先に逝ったお前の分まで戦ってきたんだ
『行くぞ、ディイ』

おう!
俺達は世界を守るエージェントだ
今も昔も変わらない

蒼と共に戦った過去は心の中で生きてる
それを永遠にしたいとは思えない
未来に進めないなら意味がないんだ

鐐の焔、鐡の一閃
飛鳥の撹乱に斑鳩の爪撃
戰紗の呪詛に八和の鎖撃
そして、蒼の和弓から放たれる鋭い一糸
俺達の全て解き放って勝つ!

望むのは果てじゃない
未だ見ぬ先に続く、未来への路だ!



 くるくるくる……今宵、天望む回廊は黄泉へと繋がる架け橋ともなり――。
 浮かんだ微笑は、焦がれて酔うてされど何処かに諦観を滲ませた、紅き真闇。
 守るべき日常をひたひたと侵していつしか壊すであろう其れは、
 あまりにも圧倒的で底の視得ぬ、虚無。

「最初から全力で行くぜ――七式!」
 骰子遊戯の出目は最初から最悪(セブンアウト)、六の式神のみならずディイ・ディー(Six Sides・f21861)自身までもが加わればチップは命だ。

(……力を使い切っても問題ない)

 戦場は東京都心部、討伐指定された敵は邪神級UDC『大祓骸魂』。
 世界の存亡をかけた戦い故の覚悟だって?
 いいや、全然違う。だって、今の俺には――。

「安心して休めと約束したばっかりで悪いんだけどさ。蒼、前みたいにやれるか?」
「ああ。俺が弓で、お前が刀で斬り込む。 ……懐かしいな」
 紅に咲き乱れる彼岸花がどれほどの『虞』を集めようと何を恐れる必要があるのか。
 其の一矢にと導かれ、
 『鐐(シロガネ)』の蒼焔を纏うて『鐡(クガネ)』の一閃が放たれる。

 ――再びまぼろし橋へと足を踏み入れた今の俺の隣には、
 UDCエージェント黒瀬・蒼――亡き相棒。お前が、いるのだから。

 解き放たれた『飛鳥(ヒドリ)』と『斑鳩(イカル)』が揶揄うように紅き『祭』と『災』の童女の周りを旋回し時に撹乱を加え……、
「あの頃以上に強くなったんだぜ。先に逝ったお前の分まで戦ってきたんだ」
「そうか……そうだろうな……。だったら行くぞ、ディイ」
 ふたりでならばどんな最悪(セブンアウト)のいやはてすらも超えられると、
 頼もしきその掛け声はいっそ泣きたくすらなる程に記憶の侭のいつも通り。
 神智を超越せし邪神の細腕へと絡みついた『戰紗(イクサ)』の呪詛へと重ねて、
 『八和(ヤマト)』の鎖撃が縒り合わせ――ふと、凶星想わせる紅眸が哀憫にと瞬く。

『……愛しく戀しき、あなたたち。永遠を、望まないのですか?』
「望むのは果てじゃない。未だ見ぬ先に続く、未来への路だ!」

 さしあたって望む先は、
 眼前の任務を無事終えてふらりと、また二人、安飯屋にでも立ち寄る未来だなと、
 蒼が笑う――まぼろし橋の刻限は彼ももう知っているだろうに。それでも。

「俺達の全て解き放って、勝つ!」

 輝く天色に応えた六の式が紅き捨子花たちを儚く揺らして吹き散らし……。
 黒のスーツに弓削の古式にと則り誂えられた和弓が静かに構えられ、大祓の厄災祓えとまた一矢が番えられたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

戒道・蔵乃祐
結局は愛の相違か

親分達が、命を賭して世界を守ろうとしたように
大祓骸魂も愛故に世界を破壊しようとする
だからこそ世界は、大祓骸魂の物語を忘れ去った

僕達は、親分さん達の覚悟に報いるために貴女を滅ぼす
もし、貴女の物語が残されていれば…他の愛し方を知らない貴女に、他に道を示す事が出来たなら

しかし、今はただ貴女の愛の痛みを知り。想いを心の内に残すことしか出来ないだろう


真の姿で【生と死を繋ぐもの】の飽和攻撃に対抗

神威を纏う破魔と浄化の金剛身
見切りとグラップルが刃の嵐を拳足のジャストガードで弾き。一足一刀の間合まで切り込み

クイックドロウ+投擲で【置行堀】の指弾を撃ち込み
限界突破した怪力+除霊の正拳を叩き込む



 俄かに。まるで『虞』の塊それ自体が天そのものと化したかのように。
 くるる……狂狂狂、
 東京上空の万華鏡は何処を見渡せども、ただただ紅一色、
 究極妖怪『大祓骸魂』の戀のいろへと塗り込められていた。

 窮地とならずとも真の姿へと転じて戦う事ができる……とは、この『大祓百鬼夜行』における東・西・竜の三親分との戦場で幾度も見られた光景。
 だがしかし。
 数多の猟兵が数多の戦場を制圧してここまでにようやく最小限にまで削いだ『虞』凡てを取り戻したかのような究極妖怪と今、対峙せねばならぬ。
 ……まぁ窮地以外の何物でもなかろうと戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は不動心。

「結局は愛の相違か……。親分達が命を賭して世界を守ろうとしたように大祓骸魂も愛故に世界を破壊しようとする」
 其れ故に。
 世界は、彼女の愛という『物語』そのものを忘れ去る以外すべを持たぬのだろう。
(もし、貴女の物語が残されていれば……他の愛し方を知らない貴女に、他に道を示す事が出来たなら……)
 刹那、法師の双眸がそっと閉じられ――また見開かれた、其の瞬間、
 桁外れの『虞』にと触れた彼の肉体もまた真なる金剛身へと変化を遂げていた。
 蔵乃祐のただの一挙手一投足にさえ破魔たる神威が宿り、
 その一息さえもが浄化の神性を備える。
 されどもそれらすらも、
 世界さえ殺め得る大いなる邪神と対峙する最低条件に過ぎない。

 あまりにも濃密な『虞』の裡にと没した天から蔵乃祐へと注がれた無数の雨粒すべてが【生と死を繋ぐもの(ヤマラージャ・アイビー)】であった。

 只人は勿論の事、猟兵であっても数撃と耐えられぬであろう飽和攻撃が容赦など知らぬままにただただ蔵乃祐の全身を襲う。
 持てる心・技・体の全てで天にとのぞんだ彼は、だが、みるみると鮮紅に染めあがる。
「僕達は、親分さん達の覚悟に報いるために貴女を滅ぼす――!」
 されど決して【虞】にと沈もうとはしない蔵乃祐は、一歩また一歩と、
 最も『虞』濃きその中心にまで敢然と切り込んでゆき、そして。

「――無貌憑き。ストップザタイム!」

 抜き撃つように放たれた【置行堀(オイテケボリ)】の指弾が妖怪のっぺらぼうのあやかしメダルを飛ばす。
 大祓骸魂の無垢たる白袖を掠めて、ぺったり、右手の甲へ貼りついた途端に紅天は沈黙し懐刀の複製達もまた残らずすべて消え失せて。
 全身全霊すらも超越した限界突破の一撃は、膂力に任せた重き退魔の正拳突き。
 か細き身体を大きく揺るがせた童女は、

「今となってはただ貴女の愛の痛みを知り、
 其の想いを心の内に残すことしか出来ないだろうが……」
『嗚呼、私の愛へと触れ得たあなた』

 ともに、沈みましょう、と。陶然と。
 吐息すら届く距離へ迫った蔵乃祐の喉に、すぅと横一閃、真打ちたる鈍を奔らせて。
 ――くるくるくる、
 東京の空はふたたび万華鏡の如きカクリヨ空間を取り戻す。

 かくして、限界を越えて闘い抜いた蔵乃祐の体を帰還の浮遊感が包む。
 敢えて死線にと其の身を投じたかの悪僧が此の一戦のみで『祓』い去った『虞』の総量たるや、究極妖怪をして痛手という他ない程の戦果であっただろう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ジャック・スペード
㉕ターボ移動

Dorotheaの踵を三度鳴らせば
黒き機翼を展開し
ジェットの力でターボ移動

旧式の此の身が幾ら軋もうと
決して止まりはしない
大祓骸魂の許へただ駈ける

彼女の姿が見え次第
ターボの勢いの侭
雷纏わせた涙淵を抜き放ち
斬撃波を飛ばし手荒な挨拶

誰か独りに注がれる「愛」なんて
当機には分からない感情だ

だから――
お前の愛を否定はしない
だが、その愛情“表現”は間違っている

愛する者が育んだいのちの未来を
そして、愛する者の末永き繁栄を
如何して望んでやれなかったんだ?

隙が有ろうと無かろうと
機翼の出力上げ、捨て身で肉薄
渾身の怪力で涙淵を振い
彼女と其の愛を斬捨てよう

俺だって好きなんだ
数多の世界に暮らす“ヒト”のことが



 電波塔のはるかはるか彼方から、来る来る来る……。
 それはUDCアースを取り巻く、宇宙の何処か?
 もしかしたら――さいはてよりも遠く懐かしき、銀河の海?

 いずれにせよ、
 今宵かぎりと幕落とされた此の宙のハイウェイレースにとっては瑣末。
 だって、我等が英雄ジャック・スペード(J♠️・f16475)!
 『Dorothea』の踵を三度鳴らせばあなたははきっと、
 其の全てを置き去りにしてしまうだろうから。

 ――殺したものは過去となり骸の海で永遠となる。

 旧式の其の身が幾ら軋もうと……。
 黒き英雄、邪神という世界にとっての最悪の悪(ヴィラン)捉えたあなたは、
 もう決して止まりなどはしないだろう。
 彗星の如き煌めく粒子の尾を引いて、ジェットの限りにただ駈けてゆくその翼の加速はあらゆる二宮(ジャパニーズ・ヒーローズ)にさえ追随を許さない。

 ――愛するUDCアース、あなたを永遠にしたい。

「誰か独りに注がれる『愛』なんて当機には分からない感情だ。だから――」
 討つべき敵へと到る道しるべは、紅き紅き、彼岸花の馨。
 ぽつり、ぽつり。
 まるでエンジンオイルを溢すかのように発せられた『スペードのジャック』の音声は、
 波濤の如き、見えざる聞こえざる『虞』の到来を前にして徐々に熱を篭らせてゆく。

「だから、お前の愛を否定はしない。だが、その愛情“表現”は間違っている。
 愛する者が育んだいのちの未来を、そして、愛する者の末永き繁栄を、如何して望んでやれなかったんだ?」

 熱とは、怒り。あるいは決してすくいきれぬと断言された彼女への哀切か。
 捨身にも等しい機翼の急加速が『涙淵』の刃を回避不能な一陣の疾風にと変えて。
 涼やかな微笑のままに夢見るように、紅き『虞』が、黒き其の風を迎え容れる。

 ――ならば、あなたに止められますか? この最後のひと刺しを。

 勿論と。
 返答の代わり、彼女(ヴィラン)と彼女の愛を両断したひと太刀は、
 噎せ返るほどに其の絢爛を増した天竺葵(ゼラニウム)。
「俺だって好きなんだ。
 ……数多の世界に暮らす“ヒト”のことが」

 宙のハイウェイレースはいつしかすっかりと無謀なドラッグレースと化して、
 駆け抜けた勝者の名前は『スペードのジャック』!
 天翔る黒き機翼(チェロ・スターロ)に宿したあなたの『愛(ココロ)』は、
 あの『虞』の風すらも、越えてみせるのだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴォルフガング・ディーツェ
【プレイングボーナス「あなたの「想い人」を描写し、夜が明けるまで語らう」(8)】

漸く会えたね、愛に狂う者
そして…お別れだ

思い描く愛した者はアルダワ学園で知り合ったルーン魔術の師
若くして教鞭を執っていた、ケットシーの魔術師「リュステル」
少し理屈っぽくて、でも生徒に親身で涙脆かった男
酒を片手に議論したよね、君は堅苦しい口調と理論でさ…え、「お前が軽すぎるだけだ?」

名残は尽きないが…力を貸してくれ、師にして朋よ

師と共に「全力魔法」「高速詠唱」「多重詠唱」で「火」「太陽」「光」のルーンで黎明を描き、夜に終幕を
その光で大祓骸魂を灼き、一時視界を奪う

出来た隙に【指定UC】でその心臓を貫く
…左様ならだ、師よ



 くるりくるり、気紛れな万華鏡の空が、また再び、此岸と彼岸を繋ごうとしていた。
 まるで真夜中の月光浴びて生まれた虹(ムーンボウ)の様に、
 緩やかなで優美な弧を描き、スカイツリーの天頂へまぼろし橋が浮かび上がる。
 ――佇む人狼、ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)にとって、
 懐かしい顔と尻尾を引き連れて。

「やあ、師よ。佳き再会の夜に感謝だ。 ……残念ながら乾杯で、とはいかないが」

 彼の傍らにふわりと歩み寄った影を、ヴォルフガングが見間違う筈も無い。
 若くしてアルダワ学園で教鞭を執ったケットシーの魔術師にして、彼にとってのルーン魔術の師。
 ――我が師、『リュステル』。
 酒杯を片手に論を闘わせた過去の追憶から口にした、精一杯に洒落たつもりの挨拶は、
 戦場だぞといきなりの一喝を浴びるハメとなった。
「そうそう、あの頃の君もその堅苦しい口調と理論でさ……」
「お前が軽すぎるだけだ」
 やれやれとほぼ同時、肩を竦めた人狼と、生真面目な溜息吐いた猫人。
 そしてその一拍後、
 吹き出すように笑い合い出したのも、また、ふたり一緒のタイミングで。

「さて、名残は尽きないが……力を貸してくれ、師にして朋よ」
「了承だ。術式は――『太陽』のルーンを核にか?」
「流石、ハナシが早い。そうだな『火』と『光』も加えよう」
「なるほど『黎明』か」

(少し理屈っぽくて、でも生徒には親身で涙脆かった君……。
 この魔法の意味する処に――まぼろし橋へともたらす結果に、
 君ほどの魔術師が、ソレに、気がつかない筈はないのに)

 戦場に響き渡るふたつの詠唱は、
 全力・高速・多重と次々に接がれる高度化にも淀みなく。朗々と。

 二者の描いたルーンが創造した眩しき『黎明』は夜に突然の終幕を齎し、そして。
 その夜を支配する大祓骸魂の視界すらも、瞬間、灼然と奪い晦ませて……。

「漸く会えたね、愛に狂う者。そして……お別れだ」

 勘まかせ、全周囲にとデタラメに射放たれた懐刀の嵐を掻い潜り、
 焦がれる心臓へと狙い撃たれた、
 ――【主よ、戯手もて射貫かせ給え(インパイアティ・バレット)】!
 彼女がヴォルフガングの姿を完全に見失った瞬間を『這い穿つ終焉(スニークヘル)』の銃口が見逃す筈は無いのだ。
 そう。
 永遠にと時を止めるのでも、忘れないでと戻すでもなく、
 ふたりの魔術師は、互いに名残り惜しい筈の時間を自らの手で進めたのである。
 勿論その代償は、あまりにも早い別れだ。
 まぼろし橋が死者との語らいを許すのは『夜明けが訪れるまで』なのだから。

「……左様ならだ、師よ」

 簡潔な別れの挨拶に、返されたのは振り返らないまま掲げられた片手。
 涙脆いかの師を熟知するヴォルフガングはそれ以上を言葉にすることは、無かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴宮・匡
【他の猟兵と連携して戦う】
兄さん(f00472)と

それは流石に買い被りすぎじゃない?
……応えられるだけの仕事はするけどさ

地上から兄さんの道を切り開くよ
【影装の牙】で形成するのは射程を強化した銃器
防御力(装甲)を犠牲にはするが、問題ない
ここまで敵は届かせない

眼がいいんだ
地上から頂上まで余さず、射程に収められる
兄さんの道行きを遮る敵の排除が最優先
仕留めきれなくとも、動きが鈍れば兄さんが対処できる
数を減じて地上へ向かってくるものの排除はその次
地上に届く前には撃ち落としたいけどな

兄さんが大祓骸魂へ辿り着いたら
一撃を届かせるための援護射撃に徹するよ
狙撃で足を縫い留め、刃握る手を鈍らせて
最後の一撃を託す


クロト・ラトキエ
匡(f01612)と

竜神親分に、連携の有用性を再確認させられましたし…
共に征くのは最も頼れる五感と弾丸――匡。
正に『虞知らず』、ですね。

地より最も遠い頂、
ゲイン塔など何のその。
UCの風の魔力を防御力へ。
鋼糸を鉄筋へと掛け、巻き上げ、
団地?鳥居?宙では格好の足場。
上へと疾く駆け…視る。
大祓骸魂…
視線、意識の向き。本体及び周囲も。
どの位置、どの動きに何を差し向けるか…

骸魂妖怪達は移動に乗じて断ち斬り、数を減じれば、
彼へ届きはしないでしょう。
その視線、その弾丸こそ、証。

故に。目指すは唯、彼女。
左手の薬指に赤い糸…
小指でもなく繋がる先も無く、揃いで結ぶ相手も無い、
独りの証の様。
断ち斬り、弥終を――君と



 地より最も遠い頂、ゲイン塔など何のそのと観光よりも気楽な風情でクロト・ラトキエ(TTX・f00472)が目指すは、唯、ひとつ。
 其の道先で、くるくると。
 世界が何時ぞや制したカクリヨファンタズムの最下層・最弱封印の祠にと一変すれども、何せ、彼と共に征く鳴宮・匡(凪の海・f01612)は最も頼れるひとり。
「其の五感と弾丸は、正に『虞知らず』……ですからね」
 ふふ、と、我が事のように誇らしげなクロトはいつも以上に憚らない。
 竜神親分に連携の有用性を再確認させられたのと同じ戦場で、彼は、伝えたい言葉を尽すのに労を惜しんではならないという教訓もまた学び得て来たのだから。
 とはいえ、それを真正面から浴びせられ続ける匡はといえばやはり面映い。
「それは流石に買い被りすぎじゃない? ――応えられるだけの仕事はするけどさ」
 クロトの道を切り拓く。
 元よりそれが己尾の役割と任じる匡は【影装の牙(シャドウアームズ)】の銃器を長射程にと瞬時にカスタマイズさせた。
 装甲は犠牲となるが、問題は一切のところ見当たらない。
「だって、ここまで敵は届かせない」
 対照的に、天を望んで上へ上へと疾く駆けたクロトが纏った【トリニティ・エンハンス】の風の守性術式。
 うぞうぞと、あちこちから究極妖怪のもとへと馳せ参じ始めた骸魂妖怪の大群は躱す暇すらも惜しいとばかりに、するり、擦れ違う。
 連携する視線と弾丸が、視得たその端から敵を一掃しているとクロトは確信しているのだ。
 彼はただ射線憚る浮き駒だけを、するりくるりと、断ち斬り減じてゆけばそれで『本丸』への進軍は事足りる。
 否、むやみやたらにただただ数だけを掻き集めた迂闊な百鬼夜行など、己と彼にとっては道先案内人も同然。
 虚ろな妖怪達の視線、動線から浮かび上がる差配を逆算してゆけば……、

「ほら、ね」

 一軍の将でも王でもなくまるで囚われの姫君の如くに鎮座する、邪神『大祓骸魂』。
 愛らしくも不可思議な『祝祭』の数々は次々に遥か後方から撃たれる弾丸にと砕き散らされて。
 懐刀握る左の薬指に絡まる赤い糸だけを、そっと、庇うその仕草にこそいっそ彼女の永き孤独を物語る。
 繋がる先も、揃いに結ぶ相手も彼女には誰ひとり存在しないのだ、と。

「祠を移すぐらいならば、むしろ貴女は、連携を重んじる心こそを竜神親分から映すべきだったのでしょうね」
 さぁ、今こそその糸を。
 世界を殺すその刃ごと断ち斬り、弥終を――君と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神坂・露
【黒銀】四人。ボーナス:お花見。
「うん、これからお花見するわ!」
大祓骸魂と対峙中に宣言するけど…なんで呆れてるのかしら?
レーちゃん達だけじゃなくって大祓骸魂も目丸くしてるわ。
「東京の一番高いところでお花見するのも素敵よね、よね♪」
今回の戦いって命のやり取りじゃなかったし最後もまったりしたい。

「えへへ♪ ねえねえ、おーちゃんもこっち来て紅茶飲まない?」
大祓骸魂も手招きで呼んでレーちゃんにお茶を淹れて貰うわね。
「このね。黒服の子のお茶、すっごく美味しいのよ~♪」
で。大祓骸魂さんとお話しよーと思うわ。この世界のこととか。
大祓骸魂さんの想いを出す機会ってそんなになかったと思うし。
この場で言っちゃおう!


シビラ・レーヴェンス
【黒銀】四人。ボーナス:お花見。
「…な…に…?」
大祓骸魂と相対しいざ戦闘というところで緊張が解けた。
またなにか露がこの場の思い付きで妙なことを言ってるな。
「…ラスボスに茶をふるまえ? …何を考えているんだ…」
大祓骸魂は警戒しつつ心なしか呆れている雰囲気をだしてるな。

「やれやれ。仕方がない。…茶はダージリンでいいな?」
気を取り直して戦う気が失せた。武器を納めて茶の準備をする。
大祓骸魂を含めた5人分でいいな。茶請けは無い。我慢しろ!
露は大祓骸魂と楽しく会話か。…全く。誰とでも仲良くなるな…。

私は少し警戒を怠らずに大祓骸魂の挙動に注意しておこう。
…だが。さりげなくだ。雰囲気を壊しては茶が台無しだ。


浅間・墨
【黒銀】四人。ボーナス:お花見。
…大祓骸魂がどう出るか緊張しながらいましたが…。
露さんの突然の発言で私の気がそれてそういう雰囲気が飛びました。
シビラさん…私も慣れていますが大祓骸魂は面食らったようですね。
ふふ♪鯉口を切った『兼元』は納めた方がよさそうです。

紅茶を淹れるようなので私はシビラさんのお手伝いを。
露さん達は大祓骸魂へ近寄っていますが大丈夫でしょうか?
紅茶を淹れてから大祓骸魂さんとのんびりお花見を…します。
うーん。なんだか不思議な雰囲気ですね。最後の相手と茶とは…。

露さんと大祓骸魂との会話を聞いていたら私もふと口に出します。
「…愛おしい人の変化を受け入れられない場合も…ありますよね…」


ロベルタ・ヴェルディアナ
【黒銀】四人。ボーナス:お花見。
「うぇい? …お茶飲む?!」
露ねーって面白いことを即座に思いつく人だよねぃ。
まさか大祓骸魂とお茶しよーって…面白~い♪

シビラねーと墨ねーがお茶の準備するみたいだよねぃ。
なら僕は露ねーと大祓骸魂とお話してみよーと思う!
『恋』とかゆーのはわからないから、気になったことを。
綺麗な瞳だよねーとか着物の重ね着は重くないの?とか。
これからの季節には涼しそうだから髪型真似しようかなとか。

露ねーは恋とか愛のことをつっこんで聞いてて…それも面白い。
大祓骸魂がぐいぐい行く露ねーに戸惑ってるのが一番面白いじぇ♪
…僕も露ねーとか大祓骸魂とか墨ねーみたいに想いを解るのかな…。
うーん。



 はらりはらりと、天に望む丘からこぼれた幻朧桜の花びら。
 現世でも幽世でも無い異界からもたらされた不思議な樹々は百鬼夜行を包みこむ花吹雪によって、丘の制圧後からずっと猟兵達を大いに助け続けてくれている。

「うん、これからお花見するわ! えへへ♪
 ねえねえ、おーちゃんもこっち来て紅茶飲まない?」
 満開の桜花の下、
 仲間とともに雲の道を辿ってゲイン塔にまで達した神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は我ながら名案だとばかり、晴れやかに、ぽぽんと手を打った。

「……な……に……?」
 感情の存在をあまり覗かせぬ、理知的で平坦な喋りがもっぱらなシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)の声は、珍しく、驚きやら呆れやら前面に滲ませながら零れた。
「うぇい? ……お茶飲むぅっ!?」
 そしていつもなら自身こそがカゲキなビックリ箱、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)までもがすっかりとビックリ仰天。
 だが心底驚かされつつも、ロベルタはすぐにグイグイと元気に身を乗り出し、露と共に大盛り上がりである。
「さっすが露ねー! そんな面白い提案されたら、そりゃ乗っちゃうじぇ♪」
「カクリヨの丘もすっごくたのしかったけれど、東京の一番高いところでお花見するのも素敵よね、よね♪ 今回の戦いってぜんぜん命のやり取りじゃなかったし~」
 いや、割と死闘を繰り広げたり真の姿を解放したりといった激戦だってそこかしこにはあったのだが。今回、そこらへんの戦場とはほぼ無縁だった露はほのぼのと今回の戦争を総括する。
「最後もまったりしたいわね~♪」

 ところで改めて確認だが、『おーちゃんBy露』とは今回の「大祓百鬼夜行」ラスボスにして骸魂の元凶、UDCアースの大いなる邪神が一柱、究極妖怪である処の『大祓骸魂(おおはらえむくろだま)』ちゃんの事で間違いないのであしからず。

(またなにか露がこの場の思い付きで妙なことを言ってるな……)

 シビラはそのツッコミを言葉にこそ出さなかったが、露の口から『紅茶』という単語が出た時点でもう巻き込まれている予感がプンプンであった。
 そして露の手招き一つでノコノコと誘いに乗り、あまつさえガーデン・ティーパーティの設え一式をゴトゴトと天から呼び寄せて自ら並べ始めた大祓骸魂にもラスボスの自覚はあるのかと小一時間ほど説教したい気分であった。
 だが、それらよりも何よりも。

「ねーねー、レーちゃん~」
「やれやれ。仕方がない。 ……茶はダージリンでいいな?」

 露からのおねだり一つで持参の茶葉を取り出した自分が1番どうかしているとシビラは内心で頭を抱えたくなっていた。
 だって仕方が無いのだ。もうすっかりと、さあ気を取り直して戦闘開始だ!!
 ……などどいう気勢もタイミングも『虞』も何もかも全部、桜吹雪の美しさに紛れて、吹き飛ばされてしまったのだから。
 ラスボス権限によって用意された白磁のティーセットでコポコポと紅茶を注げば、ほわほわとましろい湯気が芳しい香を猟兵・オブリビオンの隔てなく運んでくれる。

「ほら、レーちゃんの……この黒服の子のお茶ね、すっごく美味しいのよ~♪」

 コクリ、無言で頷いた大祓骸魂がしずしずと最後に着席。
 たぶん合計年齢はものスゴいコトになってしまいそうな5人の少女達によるお茶会in東京スカイスリーのてっぺんのスタートである。

「シビラねー、菓子は? 菓子はなんか無ぇの~?」
「茶請けは無い。というか最終決戦にあってたまるか、我慢しろ!」
「だいじょうぶ♪ おーちゃんが……ほら、用意してくれたわ」

(……こうして4名揃った猟兵を前に大祓骸魂がどう出るか……緊張しながらの様子見、でしたが……)

 露の提案をきっかけにまさかまさかのこんな展開へと転がろうとは同行した浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)にとっても驚嘆の連続だったのが、控えめで大人しい気質のこの少女はここまでひたすらシビラを手伝って紅茶を用意したり、大祓骸魂が並べた卓に細やかテーブルセッティングを施す等、実にまめまめしく黙々と無言で働き続けてきたのである。
 小神社の巫女を務める彼女のそれはやや和風にと寄ったが、大祓骸魂にとってはむしろしっくりと馴染む居心地を感じさせる仕上がりとなった様だ。

(ふふ♪ 実はもう……『兼元』の鯉口は切っていたりしたのですが……納めた方がよさそうですね……)

 いちばん大人しそうに見えたのに。流石は戦士の一族出身。
 かくして露の主導で始まったお茶会はまたさらに何がどう転んだのかコイバナトークが花を咲かせ始める。
「おーちゃんが面と向かって想いを吐き出す機会ってそんなになかったと思うし。
 この際、この場でどーんと言っちゃおう?」
 もはやシビラもツッコミを完全に放棄し皆のカップへおいしい紅茶のお代わりを給するばかり。
 ――というのは建前で、本当は大祓骸魂の翻意に最大限の警戒を払い続けていたのだが、そんな気配は無い。
 露ねーのペースにさぞや面食らっているコトだろうとワクワク眼を輝かせながらロベルタも大祓骸魂の様子を見守ってきたが相手は予想外に順応しているというかむしろ協力的ですらあった。
(……だったら遠慮はいらねーのでは?)
 もとより遠慮するつもりなど皆無ではあったのがロベルタだって負けてはいられない。
 先から続いた『恋』がどーとかのハナシはちっっともピンと来ないのだし、どうせならもっと気になったことや話したいことが彼女にだって色々とあるのだ。
「綺麗な瞳だよねぃv ね~ね~この着物の重ね着とか飾りとか、重くないの?」
『愛しきUDCアースで、戴いたものですから……』
「あ~わかった、これがシュクサイってヤツなんだじぇぃ~。
 その髪型、これからの季節には涼しそうだから僕も真似しようかな♪」

(……全く。誰とでも仲良くなるな……)

 大祓骸魂の動向とは別にもう一つ、シビラには気がかりな事があった。
 何度も念を押した通り、大祓骸魂はラスボスで。
 つまりは近い将来、彼女かもしくは二つの世界が滅んでいるコトは確定しているのだ。
 そして、シビラの怜悧な頭脳はもうとっくに猟兵の勝利に確信を得ている。
 正直、露やロベルタはともかく墨までその点を失念して和やかに交流を推し進めたことが最も意外であったのだが……。

(また……露が泣くようなことにならなければよいのだが……)

『たとえ私を誰もが覚えていなくても、私が揺らぐことはありません。
 けれど……愛する彼らが忘れ去られ、失われるようなことがあってはなりません。
 ――私の幽世は、その為にあるのです』
「そっかぁ♪ つまり、おーちゃんはセーシンの時に戦った竜神さん達や妖怪のみんながとってもカッコイイってときめいちゃったのねv」
「……あの、ええと。興味深いお話……です。
 その……愛おしい人の変化を受け入れられない場合も……ありますよね……」
「やっぱり全っ然わかんないんだじぇ。うーん。
 ……僕も露ねーとか大祓骸魂とか墨ねーみたいにいつかそんな想いを解るのかな……」

 はらはらと、絶えることなく散り続ける花びらはいつしかスカイツリー内のフロアへとうっすら降り積もり……。

 花も命も、永遠ではなく終わりがあるからこそ尊く美しい、
 ……などと、人の仔らは好んで口にするけれど。
 ならば枯れる事を知らぬ幻朧桜たちは、何故にこれほどに美しく、そして心慰められる想い掻き立てるのであろうか――?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
余りお勧めではないようだったが……
大祓骸魂が究極妖怪であり邪神でもある以上
やはり、この姿で相手をしたい

竜神形態の真の姿を開放
邪神から人々を護った血脈の、その姿で

煉獄焔戯使用
槍状に変化させた神力で大祓骸魂を先制攻撃

妖怪達は天候操作で呼んだ吹雪や念動力で吹き飛ばす

氷結能力の属性攻撃を乗せた禮火で攻撃
距離がある場合は形状を神力と同じく槍状に変化させ振るう

敵の攻撃は見切りを用いて
空中機動とフェイントで回避
回避不能時はオーラ防御で凌ぎ
負傷は激痛耐性で耐える
以降の攻撃には生命力吸収を乗せて
攻撃の手は緩めない

その恋慕を否定するつもりはない
けれど、ただ独りが好きにしていい世界ではないから
好きにはさせない――



 ――嗚呼。私はもう、往かねばなりません。
 けれど、その前に――私の此の戀のすべてを余さず晒し、愛し……、
 ――そして今あなた達と、戦わねばならないのです。

「あのヤドリガミのグリモア猟兵にとっては余りお勧めではないようだったが……」
 なるほど、その言い分にも一理があると鈴久名・紡(境界・f27962)さえも納得せざるを得なかった。
 東京晴空塔の上に、天はもはや、存在しない。
 かつては大都会の喧騒に煤けた空が広がり、
 つい先まではくるくるとカクリヨの如き世界を映していたゲイン塔の上にひしめくは、妖怪妖怪妖怪また妖怪。
 すでに生と死は繋がれて世界は殺されてしまったかと見紛う程の規模の其れらは、
 すべて『大祓百鬼夜行』……その、大行列。
「俺のこの、真の姿――竜神形態に反応した途端に此れとは、な。
 だが、それでも……」
 此処までの彼の戦闘には、猟兵の一として先駆けたれ礎たれとの誠実と挺身がたびたび見受けられてきた。
 全のための一にと徹し、他者へ次へと繋げる……その働きを彼ほど的確に遂行できる者はそう多くは無いだろう。
 しかし。

「大祓骸魂、お前が究極妖怪であり邪神でもある以上、やはりこの姿で相手をしたい」
『――星辰の刻を待たずとも、我が身を飾る祝祭全てを擲とうとも。
 あなたは私を見て、私を覚え、そして、私を知っている』

 闘うのであれば、邪神から人々を護った血脈が繋いだ、真なる姿とその神力でと。
 天喪われた虚空にと飛翔する紡の望みは、その衝動だけは、
 決して抑える事かなわなかったし――抑える必要も無いものだ。
 そも、野暮なのだとグリモア猟兵も笑っていたではないか。

「欠片も残さず、灰燼に帰せ」

 今や紡という『蒼』こそが天そのものであり、世界の望み。
 邪しまなる外つ神滅する為の彼の『力』の全てが【煉獄焔戯】迸る神槍と化し、
 ふたつの世界に代わって童女の胸を穿つ。
 次いで、咆哮と共に放たれた吹雪は骸魂打ち破る清浄宿し、
 虚空埋め尽くす百鬼夜行に縛られた妖怪達の悉くを『虞』から容易く解き放った。

『嗚呼――やはり。愛しきあなたたちは、このUDCアースの地でこそ最も輝く……。
 なればこそ、骸の海へと沈め、二つの世界を永遠と致しましょう。
 愛しきこの地が、もう二度と、愛しきあなた達を忘れてしまわないように』
「その恋慕を否定するつもりはない。
 けれど、ただ独りが好きにしていい世界ではないから、」
 拮抗し鬩ぎ合う邪神と竜神の激突は、さながら忘れられた伝承の再来。
 世界から喪われた記憶が、今ようやく、永遠にと繋ぎとめられるのだと紅き童女は歓喜に打ち震える。
『さあ、あとひと刺し』
「好きには、させない――」
 あるいは。
 彼女にとって、世界を殺す歓喜と世界に殺される歓喜は等価であったのか。
 『禮火』の一閃が、大祓骸魂という存在の中に残された『虞』のすべてを刈り取れば、
 戀し愛しと唄うように囁く声とともに紅き瞳は閉じられた。
 蒼き深淵の眼差しにと、看取られながら。
 こうして大いなる邪神は猟兵たちのあまりに多彩な『祓』の前に完全に討ち滅ぼされ、まるで夢であったかのように掻き消えて。

 そして――生と死は、再び、正しく分かたれたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月03日


挿絵イラスト