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大祓百鬼夜行⑦〜ネコチャンはご満足モードになりたい

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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「おなかすいたニャン。お肉たべたいニャン」
「お魚たべたいニャン」
「…………遊びたいニャン」
 ニャン語尾で話す三首猫ニャルベロスたち。
 けれども今は骸魂と月の影響で凶暴化しているのか、その欲求は凄まじい模様。
 ススキ野で瞳孔を開きつつごろんごろんとしていたり、通りかかった火鼠をいたぶったり、通りかかった竜神に喧嘩を売るように炎を吐いてみたり。
 見つけた者を獲物として見ているニャルベロスたちの横暴は、今宵を境に拡がるばかり――。


「大祓百鬼夜行、お疲れさま! 今回は皆さんにお願いしたいのだけど、ネコチャンと遊んできてほしいの」
 カクリヨファンタズムへ行く猟兵たちに声を掛けるポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)。
 ネコチャン……?
 猟兵たちの足が止まる。
「猫?」
「猫。正確には妖怪の三首猫ニャルベロスっていうんだけど」
 カクリヨファンタズムのオブリビオンは、骸魂が妖怪を飲み込んで変身したものだ。
 ニャルベロスも飲みこまれてしまったのか凶暴化しているようで、今回その所在が明らかとなった。
「彼ら、ススキに隠れて獲物を狩ろうとしているからどうにか対処をお願いしたいのよね。皆さんで逆奇襲を仕掛けて行きましょう」
 材料は用意したわ、とポノ。猟兵たちがそれらを見ていく。
「材料って」
「猫じゃらしがあるね」
 りんりん、しゃらんしゃらん、と可愛らしい音の鳴る猫じゃらしを振る猟兵。
「これは串に刺さった生魚だね」
「こっちは焼きやすいようにカットされたお肉だ」
「なんでマシュマロがあるん……?」
「これ新たまねぎってやつでは……」
 焼魚焼肉セットを指差して言う猟兵に、いるでしょ? と鉄網を振りながらポノは応えた。
 はい、と手渡す。
「ニャルベロスって魚が美味しく焼ける程度の炎を吐くらしいし、非戦闘行為に没頭すると眠っちゃうみたいだし、なんやかんや凶暴化したネコチャンを宥めて骸魂を祓うって流れでいいと思うのよ」
 骸魂を剥がせば『三首猫』も普通の妖怪に戻る。
「まあ、爪も鋭いし、本気噛みだから痛いし、凶暴に輪をかけて暴れて手に負えない個体もいてそこは注意しながら、気楽に行ってきて頂戴」
 よろしくね。
 そう言ってポノは様々なアイテムを持った猟兵たちを送り出すのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 三首猫が凶暴化した妖怪の群れとなってしまったようなので、その対処をお願いします。
 大祓百鬼夜行の戦争シナリオとなります。
 集団戦です。

 プレイングボーナスは、『妖怪軍団を逆奇襲する』こととなります。
 プレイング送信の締切などはなく、プレイングの不採用もあります。
 たぶん、4~8人くらいの採用になると思いますが、なるべく頑張るな感じになるやも。
 さらっとするっとやっていきます。
 それではよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『三首猫ニャルベロス』

POW   :    猫炎殺(ニャルベロスファイア)
【3つ首の1つから吐き出された炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【魚が美味しく焼ける程度の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    猫接種(ニャルベロスフード)
戦闘中に食べた【よく焼けた何らかの肉】の量と質に応じて【ご機嫌に尻尾を揺らして】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    猫凍結(ニャルベロススリープ)
非戦闘行為に没頭している間、自身の【首の1つが】が【ぐっすりと眠り】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。

イラスト:瓜瓜の狭間

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィリオ・グラースラム
まぁまぁ、首が三つもある猫さんなのですか
すごいにょです。フィオ、頑張って遊んであげますのよ

…にゃ?フィオはケットシーですの!
ニャルベロスさんではございませんにょー!?
ね、ねこじゃらしをこちらに向けないでくださいまし
何だかソワソワしてしまうにょです

フィオが遊んでもらっている場合ではありませんの
ねこじゃらしで三首猫さんをじゃらじゃらするにょです

雪ちゃん、(ドラゴンランス)全力疾走ですにょ
さぁ、三つ首猫さんたち、狩猟本能を全開にして追いかけていらっしゃいまし!
見事にこのねこじゃらしを捕まえる事ができたら、美味しいお魚タイムが待っていますの
一杯運動した後のご飯の美味しさを思い知らせてあげるにょです



 骸魂に飲みこまれ凶暴化した三首猫のニャルベロスたちは、ススキ野を縄張りに走り回っていた。
「あっ、火鼠! 追いかけろにゃ!」
「ぢゅううぅぅ……!」
 すっかりチンピラ猫となってしまった妖怪猫が追いかけていくと、「まぁまぁまぁ、落ち着いてくださいにょ」とのんびりとした声が彼らを止めた。
 背高のススキ野の間からひょっこりと出てくるのは、真白のドラゴンに騎乗したフィリオ・グラースラム(煌氷の刃・f10324)だ。ふわふわの毛が月明りに照らされてキラキラと輝いている。
「にゃんだよ! お仲間のお嬢ちゃんだにょ」
「にゃ、首いっこしかないにゃ」
「どこに落っことしたんだにゃ」
 ニャルベロスたちはチンピラのようにフィリオを取り囲んだ。戸惑い、少しおろおろとするユーキオーングランオルムの頭を撫でながら、フィリオは首を傾げた。
「……にゃ? フィオはケットシーですの! 頭はひとつだけで、ニャルベロスさんではございませんにょ?」
「うんにゃ、そのとがったみみ、ふんわり尻尾、おひげも口もオレたちといっしょにゃー」
 証明してやんにょ! とニャルベロスがススキを持ってフィリオの前でひらひらふわふわと穂を振り動かす。
「ほら、どうにゃ、こんにゃろ!」
「ねこじゃらしにゃ!」
 ぴしりぱしりと穂先がたまにユーキオーングランオルムの顔に当たってしまって、大らかなドラゴンは困り顔。
「にゃ。ね、ねこじゃらしをこちらに向けないでくださいまし! 何だかソワソワしてしまうにょです……」
 ぎゅう、とユーキオーングランオルムの首に抱きついてフィリオがニャルベロスたちの攻撃(?)を避ける。
「こ、このままではいけませんにょ。雪ちゃん、一緒に三首猫さんたちをじゃらじゃらするにょです」
 アイテム・ねこじゃらしを構えたフィリオの掛け声に合わせて、ユーキオーングランオルムは尾を振りながら緩やかに駆け出した。
「あっ待つにゃ!」
「あ、ぁ、ぁぁにゃぁぁぁん勝手に追いかけて回しちゃうにゃぁぁん……!」
「ぞくぞくするにゃぁぁん」
 ふるりふるりと猫をじゃらすモノが動けば、ビリビリと狩猟本能を刺激されたニャルベロスたちが全力疾走へ移行したユーキオーングランオルムを追いかける。
「見事にこのねこじゃらしを捕まえることができたら、美味しいお魚タイムが待っていますの!」
「にゃ!?」
「おさかながっ!?」
 野原に魚はいない。故に凄い反応を見せてニャルベロスたちは言葉に喰いついた。
「そうですにょ。じゅわっと脂が音を立てて、焦げた皮がほんの少しパリッと破れかぶれに、そこから真っ白のふわふわな身ののぞく焼き魚ですにょ!」
「はんにゃ!」
「たまらないにゃ!!」
 いーっぱい運動したあとのご飯の美味しさを思い知らせてあげるにょです!

 楽しい運動。
 美味しい食事。
 フィリオの巧みなあやしに満足する猫たち――激しい運動の疲弊と共に骸魂たちも剥がれてしまったのだろう。
 元に戻った妖怪・三首猫たちは、ごろんと寝ころび伸びをして次々にひと休みしていくのだった。
「ふぁ、たくさん動きましたにょ。……フィオたちもちょっとだけひと休みしましょう」
 ね。雪ちゃん。
 くっと伸びをして言ったフィリオにユーキオーングランオルムも寝そべって。
 ススキ野にちょっとした猫溜まりが出来上がったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
にゃるべろす……

つーか、なにがどうしてこうなった
(ポノが用意してた串に刺さった魚の綺麗な眼と目があった)
……どうしてこうなった

ま、いっか

拘束術使用
魚の串に拘束術で出した鎖を巻きつけて
巻きつけて巻きつけて巻きつけて
巻きつけてから、忍び足で射程範囲内まで接近
漁網投げ込む要領でススキ野に投げ込む

これ、逆奇襲になりゃいいけどな……
はいはい、疾風も折角だから遊んできな

犬(正確には送り犬の妖怪)と三首猫の追いかけっこ
案外と壮観だなぁ……

お?魚焼けてんじゃねぇの?
しっかり焼いてくれてるじゃん

遊ぶつーか、ニャルベロス構うのは疾風に任せよー
塩ふりゃ良かったかな(焼けた魚もぐぅ)

はいはい、にゃんこも疾風も魚喰いな



「あっ、あやしいやつにゃ!」
「にゃ! にゃ!」
「火鼠にゃ! いじめるにゃ」
 ススキ野に身を潜ませて、周囲を窺う篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)の耳に入ってきたのはそんなひと騒動。
 たのしそう!!
 疾風がキラキラと倫太郎を見上げてくるのだが、そんな仔狼を宥めるように頭を撫でる。
「あれがにゃるべろす……」
(「つーか、なにがどうしてこうなった……」)
 そう思って何となく持ってきた串に刺さった魚へと視線を落とせば、魚の綺麗な眼と目が合った。
 指に挟んだ串が計八本、八匹の魚たち。
 骸魂に取り込まれオブリビオン化した妖怪と戦うために、カクリヨファンタズムへ入る日々。
 今日の敵はにゃんこのようだ。
 魚は何となく流れで持ってきたが――。
「……どうしてこうなった」
 猫カフェというかふれあい野原みたいな感覚が拭えない倫太郎。戦いとは、と哲学的なことにまで思考は飛んだが、結局は「ま、いっか」と深く考えないことにした。
 もう一度真剣に魚たちと目と目を合わせて、発動させる拘束術。見えない鎖でぐるぐる巻きにする倫太郎。
 巻きつけて巻きつけて巻きつけて――単純な作業だが終わりが見えない。
(「こんくらい巻きつけりゃ大丈夫だろ」)
 そして駆け回るニャルベロスたち目掛けて、魚たちを放った。
 満月のススキ野原で魚たちが飛ぶ。
「にゃ、ふらいんぐふぃっしゅにゃ!」
「おっさかなさん!」
「ニャルベロスファイアにゃー!」
 首の一つから吐き出された炎が魚を炙る。
「これ、逆奇襲になるのか……?」
 ニャルベロスたちの心を確りと掴んだのだから大丈夫! ついでにいえば疾風もまだかまだかと前脚で地面を掻いている。
「はいはい、折角だから疾風も遊んできな」
 許可が貰えたその瞬間、黒い毛玉も走り出した。
「はにゃふぃふぃくふぁんほひゃ!(訳:はにゃ鬼畜わんこにゃ!)」
 魚をくわえたニャルベロスが叫ぶのだが、網漁のように拘束術に捕らわれたのか伏せしたまま動かない。
「ここは俺に焼くのを任せてゆけぇ!」
 別の首が叫び、他のニャルベロスたちが脱兎のごとく疾風から逃げていく。
「ウェルダンにゃ」
「レアにゃ」
「みでぃあむ? も、よろしにゃ」
 何体かのニャルベロスが魚を焼き上げていき、場は焼き魚の美味しそうな匂いが漂った。
 その時。
「お? そろそろいー具合に魚焼けてんじゃねぇの? しっかり焼いてくれてるじゃん」
 ニャルベロスの頭を押さえるように撫で、倫太郎はひょいっと焼き魚を取り上げた。
「にゃ!?」
 ほかほか湯気の立つ焼き魚。
 じゅわっと音の立つ脂に、少し破れかぶれとなった焦げた皮にかぶりつけば、ふわふわな身と食感。しっかりと火の通った魚をはふはふと食す。
「塩ふりゃ良かったかな」
「あっ、にゃっ、ひどいにゃ!」
 せっかく焼いたのに、とほろほろ涙を零すニャルベロス――非道な仕打ちに心を痛め絶望したのか、涙と共に骸魂が剥がれていく。
「あー、大丈夫、大丈夫。ホラ、魚、いっぱいあるからさぁ」
 元の妖怪・三首猫へと戻ろうとしている彼らに倫太郎が魚たちを軽く振るように指差した。
「た、食べていいにゃ??」
 食べていいわん?
 いつの間に戻ってきたのか、猫と一緒に倫太郎を見上げてくる疾風。
「はいはい、にゃんこも疾風も魚喰いな」

 炎を吐いたり、駆け回ったり、食べて満足して、と。
 たっくさん狩りの本能を発散させたニャルベロスたちは、骸魂を祓い三首猫へと戻っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

臥龍岡・群青
猫ちゃんは可愛いよな、分かるぞ
だが悪い猫ちゃんは退治せねばならんな……
そして逆奇襲か、何をしてやろう?

まずは身を屈め、すすきの中に紛れよう
そして借りてきたのは……猫じゃらしに生魚に肉
これらの道具をいっぺんに差し出してみたらどうなるかな?

3つの頭がそれぞれの道具に反応するだろうか?
それとも獲物を巡って喧嘩とかしてしまうか?
何にせよ、多少は気を引けるだろう
目の前で全部の道具をふりふりしてやるぞ

至近距離で見るとやっぱり可愛いなぁ、ふわふわで……
だがこの子も骸魂に取り憑かれているのだ
心を鬼にして、骸魂を祓ってやろう!
という訳で道具に気を取られた猫ちゃんへ鰭をびたーんってするぞ!
これで目を覚ますがよい!



「おい、この火鼠にゃろうめ。ここを誰のなわばりだと思ってんにゃ!」
「ちゅうううぅぅ……!」
 妖怪火鼠や鳥たちを追いかけまわす三首猫ニャルベロスたち。
 ススキ野を征服して横暴に振舞い、野原へ入った者を脅している。
 どんなに悪ぶっていても、猫の姿は変わらず愛らしい。
(「猫ちゃんは可愛いよな、分かるぞ」)
 ネコチャンと連呼したくなる気持ちも分かる、と臥龍岡・群青(狂瀾怒濤・f30803)はひとり頷く。
 しかしそれはそれ、これはこれ。
「だが悪い猫ちゃんは退治せねばならんな……」
 背高なススキ野で身を潜め、群青はふむりと考える。
 こちらの手持ちの武器は――猫じゃらしに生魚に肉。猫じゃらしを指先で弄びながら、少し遠くを横切っていくニャルベロスを観察した。
 三つの首はそれぞれが思考を持って動いているようで、視線はあちこち。
(「――よし!」)
 ススキ群を掻き分けるように猫じゃらしを差し出し、群青が振ればしゃらんしゃらん、しゃりりりりり、と巧みな鈴音が披露された。
「にゃ!」
「にゃにかいるにゃぁぁん♪」
 警戒の一声は伸びた語尾と共に霧散し、にゃ、にゃ、と音に向かって駆けてくるニャルベロス。
 三首の意識は猫じゃらしに集中して前脚が伸ばされ――たところで、今度は生魚が一頭の前を横切った。
「にゃん!」
 端っこの頭が魚を追えば、真ん中の頭とごっつんこ。
「にゃ、にゃにするにゃ!?」
「今、ふらいんぐふぃっしゅが!!」
「ふふふふ。更には肉もあるぞ」
 ススキ群の中から姿を現わした群青が串刺しの肉を振れば、頭の一つが反応して同じように動く。
「め、め、目が回るニャ!」
「み、みっつを追うものは一つも得られずっていうにゃ」
「で、でも、僕、お肉食べたいにゃ……」
 しゃらん! と猫じゃらしを高く振れば、ニャルベロスの身体は追うように。後脚で立ち上がって前脚をかきかき。
「至近距離で見るとやっぱり可愛いなぁ、ふわふわで……」
 肉球もつやつや。
 興奮に膨れ上がった口元がひくひくとヒゲを動かしている。
 湧き上がる、撫でたい気持ち――それをぐっとこらえ、群青は頭を振った。
「だがこの子も骸魂に取り憑かれているのだ――きっと妖怪の三首猫はつらいにちがいない……心を鬼にして、骸魂を祓ってやらねば!」
 これで目を覚ますがよい!
 そう告げて鰭を「びたーん!」と叩きつければ、頭からお腹にかけてクリーンヒット。
 叩き飛ばされた勢いで骸魂は祓われ、三首猫はへそ天ポーズで倒れてしまった。
 そのままスヤァと眠りにつく猫ちゃん。両端の頭が上手い具合に支えとなり、意外と寝心地は良さそうだ。
「おや? 眠ってしまったか。まあ、ここは寝心地が良さそうだし――うむ、疲れたであろう。今はゆるりと休むが良い」
 凶暴化の反動もあるだろう。
 にゃむにゃむと口を動かす三首猫に群青は穏やかな笑みを向ける。
 ススキ野の満月が見守るなか、穏やかな風が子守唄のように吹き抜けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィッダ・ヨクセム
ふむ、良い月が出ているだろうに勿体ない
折角だから、見上げていればいいものを

闇に紛れれて近づくぜ?姿はUCで全身変異させて忍び寄る
月明かりでも影は影、俺様は標的の群れに武器(臨時)を向けてやる!

猫じゃらしを、である

ハイエナ姿だし、口に加える形にしかならねェな!
ふよふよ揺らして猫共が釣れるなら、ヨシ!
ジュッ、と俺様の毛並みを燃やそうとするなら、手加減無しの全力魔法で火属性のブレスを吐くだけだが?
俺様は火炎には自信有りなんだよデカネコ共!
一度は殺気を込めて脅すだけ
それでも戦闘をやめねェんなら凶暴化が静まるまで、喧嘩に興じておくわ
ガチな奴ではなく、遊び感覚で笑いながら

これでも、野生の勘は働く方なんでね



「おらおらにゃ!」
「ここはニャルベロスさまたちのなわばりにゃ!」
 火鼠を追いかけまわし、その身で飛びこんではコオロギたちの演奏を止め、暴虐の限りを尽くす三首猫ニャルベロスたち。
「ふむ、良い月が出ているだろうに勿体ない」
 そんな猫たちをどこか冷めた目で眺めるのは、鬣犬――ハイエナの姿へと変異したフィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)であった。
 ススキ群に身を屈めて潜み、交差させた前脚に顎を乗せての観察。
「折角だから、見上げていればいいものを」
 そう呟いてフィッダが上向けば夜の空に大きな満月。
 秋の匂いと涼しい風、虫たちの合唱。
 常ならばこの風流な世界を味わっているのかもしれない、けれども今は……。
 観察を終えたフィッダは闇に紛れてそっと音なく進み、横切ろうとするニャルベロスの前へと飛び出した。
「にゃっ、にゃに者!?」
「ふぎゃっ、あ、あれはッ!」
「――勝負だデカネコども!」
 どこかふわっとした声になってしまったフィッダ――そう、彼は今、武器をくわえているのだ。
 覚悟しやがれ! という気迫を前面に出し、フィッダが仕掛ける。
 猫じゃらしを。
 口にくわえた猫じゃらしを頭を振って激しく振るえば、先端はふよんふよん。
 ふよんふよんとしている猫じゃらしに前脚を繰り出すニャルベロスを避け、誘うようにふよんふよん。
「にゃぁぁぁぁん♪」
 ふよんふよんとした猫じゃらしに、ふよっふよっとひらりひらり避けるフィッダに我慢の限界も来たのだろう、ニャルベロスが跳躍し炎を吐いた。
「!」
 放たれた炎を呑みこむように、フィッダから炎のブレスが吐き出される。
 猫じゃらしは焼け落ちた。
「にゃっ!??」
「俺様は火炎には自信有りなんだよデカネコ共!」
 殺気を込めて脅せば、わなわなとニャルベロスの身が震え出す。
「猫じゃらしを殺るにゃんて!」
「なんてひどい犬にゃ!?」
「そっちかよ!?」
 ゆるせないにゃぁぁん! と飛びかかって来るニャルベロスたちをぺしりと前脚でいなせば、ごろごろとフィッダも一緒に転がった。
 かくして始まったわんにゃん戦争。

 狩猟本能も休みなくビシバシと働き、疲弊していくニャルベロスたちにやがて骸魂も剥がれてしまって、凶暴化がおさまり妖怪へと戻った三首猫たちが「疲れたニャ」と丸くなって眠りについていくのだった。
 フィッダもひと休み、と伏せて。
「猫のお守りも楽じゃねェなァ」
 お月様を見上げて、くつくつと笑みを零すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

重松・八雲
荒ぶる御猫様方をお鎮めすれば良いんじゃな!
安らかにご満足頂けるよう、もふりすととして全力を尽くそう!

(野生の勘で御猫様の位置を読み、珍しく自らの狐尻尾を出して振ったり、じゃらしをひょこひょこりんりんしたりして気を逸らし)

――ふ、かかったのう!
(囮にかかった所をカウンターでもふん!と捉え、そのままなでたりじゃれたり全力でふるもっふたいむへ!)

よしよし可愛いのう可愛いのう!
(猫ぱんちが飛んでこようが我々の業界では御褒美とばかりに、オーラ防御と気合で受け止め肉球をぷにぷにと!)

おお、腹ぺこか?
ではこんがり肉を分け合おう!(猫の炎とUCで程好く焼き)
何、強化されようともとことん付き合い通すまでよー!



 しゃらん、しゃりりりりり。
「にゃ!」
「荒ぶる御猫様方をお鎮めすれば良いんじゃな! 安らかにご満足頂けるよう、もふりすととして全力を尽くそう!」
「……にゃっ!?」
 しゃらんら――優雅な音色を立てて虚空を舞う猫じゃらし。
 ふるりふるりと振るって時に繊細な捻りを含ませて動く猫じゃらし、を、摘むのは武骨な指先。告げる声は太め、猫じゃらしを全力で使役する七十歳児、重松・八雲(児爺・f14006)に、ややビビリながらも三首猫ニャルベロスが巧みな猫じゃらしさばきに飛びかかってきた。
「おっと」
 もふり、と猫を受け止めたのは八雲の狐尻尾。ぽんと弾けば空中でニャルベロスが一回転。見事な着地を披露する。
「ほれ、ほれ」
 声をちょっぴり柔らかくさせて尾を挑発するように振れば、ニャルベロスは喰いついた。
「お覚悟にゃー!」
「――ふ、かかったのう!」
 腕振らば、しゃらららーん! と猫じゃらしも応じて鳴った。八雲の手が捉えたのはニャルベロスの胴。
「にゃふん!?」
「くすぐったいにゃ」
「よしよし可愛いのう可愛いのう!」
 お腹を撫でてお尻を撫でて、尻尾の付け根を触られて一瞬力の抜けたニャルベロスへと寝技(?)を仕掛ける八雲。撫でるとニャルベロスは地面で伸びていった。
「にゃにをするんだにゃ!?」
 仲間のニャルベロスが屈んだ八雲の背に乗り上げて猫パンチをするも、猫クラスタ・モフリスト・ジェントルな彼にとってはそれも嬉しきもの。
 我々の業界では御褒美です。
 つややかな肉球、御猫様自ら触れられに来られた時は至福です。
 確りと気合いで受け止め、防御として纏うオーラは薄めに。
 肉球はぷにぷにとしていた。
「ふにゃあん!?」
 慌てて捕まった前脚を抜き、ぺぺぺぺっと振るニャルベロス。
「おさわり代を要求するにゃ!」
「コバンザメを所望するにゃ!!」
「――おお、腹ぺこか? 生憎、コバンザメは持ち合わせておらぬが、ここに――肉がある」
 スッと真顔で八雲が肉を取り出せば、「冷めたのは嫌ニャ」とニャルベロスがぷいっと三つの顔を背けた。ツン。だがそこが良い。
「そうかそうか。では少ぉし熱して……」
 と、自ら狐火で熱したこんがり肉を分け合って食べる八雲とニャルベロスたち。
 はぐはぐと噛む彼らの様子を、じーーーーーーっと八雲は見つめる。
 そしてお腹いっぱいになったのか、ことんと眠った頭一体に続き、他の頭も共にぐっすりと眠るニャルベロスたち。起きなさそうだ。八雲はもふもふを穏やかに堪能する。
 あちこちに猫が落ちているふれあい広場と化していた。
 疲労を感じ、満喫した三首猫たちから少しずつ骸魂が剥がれていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

石神・カガチ
ニャルベロスだってよ、サーベラス
欲求でも凶暴化してたら助けるしかねぇな
よし、相手してやるよ

奇襲準備として串に刺さった生魚を地面に数本並べる
それから……バディペットのサーベラスも置いておくか
動物使いも活用して、囮になるように指示
お前も三つ首なんだ、仲間みたいなもんだろ?
遊んで貰いつつ俺の所に誘導して来てくれ

魚に反応したり、サーベラスに反応した所を狙って咎力封じ
本気で噛まれたり爪で裂かれる訳にはいかねぇからな
何らか封じさせて貰ってからの方が安全なもんで

よーしよし、大人しくしろよ?
そこの骸魂を祓うってだけなんだ、ほんの一瞬だ
これが俺の仕事なんでな

鬼棍棒でドカンと一発
順番に片っ端からやっていくぜ



「ここはおれらのにゃわばりにゃー!」
「うにゃにゃにゃ!」
 何かを威嚇し、何かを追いかけているのか、ススキ群が激しく揺れて本来穏やかな野原が騒がしい。
 ふぅん、と周囲を見回しながら石神・カガチ(収監所の所長代理・f28275)が付き従う妖怪犬ケルベロスへと声を掛けた。
「ニャルベロスだってよ、サーベラス。欲求でも凶暴化してたら助けるしかねぇな」
 サーベラスは子供故か、辺りの騒がしさにどこかそわそわとしている様子。三つ首の頭を撫でて「行くか」とカガチは野原に身を潜めるように歩を進めた。

「怪しい奴はいないかにゃ?」
「入りこんだ火鼠は追っ払ってやったニャ!」
 横暴の限りを尽くす三首猫ニャルベロスたちがパトロールの歩みを行う。
「……なんかあるにゃ!」
「アッ。お魚さんにゃ!」
「アッ。新入りがいるにゃ!」
「お前、何て言うニャ?」
「わ、わふ……」
 並べられた串の刺さった生魚、そして同じ三首のケルベロスを見つけたニャルベロスが魚をくわえ、声を掛け、辺りを探って、と忙しなく動き始めた。
 やがて何もいないと思ったのだろう魚をくわえて歩き出す。
「お前、変な声にゃ。こうにゃ。ニャン!!」
「わ、わふん」
 歩くサーベラスを取り囲みながら同じく進み、指導を始めるニャルベロス。困り顔になったサーベラスは一つの首を動かした。
 ――お前も三つ首なんだ、仲間みたいなもんだろ? ――カガチの言いつけ通りにサーベラスは頑張った。
 その時、手枷と猿轡、拘束ロープが罠よろしくニャルベロスたちを捕らえた。
「にゃが?!」
「ふにゃっ、あ、あるけないにゃ!」
 ころんと手枷と拘束ロープに縛られて転がるニャルベロス。轡は嫌なのか伏せるニャルベロス。
 抵抗の術を失ったニャルベロスたちの前に現れたのはカガチだった。
「よーしよし、大人しくしろよ?」
 トン、と鬼棍棒を地につけて屈み、彼らの纏う骸魂を見遣る。毛の隙間からほんのりと焔の色。
「にゃ、にゃに。痛い事するにょ??」
「嫌だにゃん!」
「くっころだにゃん!」
「待て。人聞きの悪い事言ってんじゃねぇ。何、そこの骸魂を祓うってだけなんだ、ほんの一瞬だ。これが俺の仕事なんでな」
 そう言ってカガチは鬼棍棒を振りかざし――。

 にゃあぁぁぁん!

 ニャルベロスたちの叫びがススキ野に響き渡った。
 骸魂を祓われて、妖怪へと戻る三首猫たち。
 ――よく頑張ったね、とでもいうようにサーベラスが確保していた魚を三首猫たちに返し、自身はわんわんジャーキーを噛み、頬張る。
「お前、あの獄卒の下で頑張ってるんにゃね」
「ファイトだにょ」
「?」
 何故か激励を受けるサーベラスなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴丸・ちょこ
【猛獣注意】
こんな玩具で釣れるなんざ、凶暴どころか可愛いもんじゃねぇか――なぁ、ぷりん
ふふん、本物の狩りを見せてやろう
(ぷりんことUC獅子と共におめめを爛々、爪をぎらぎらと輝かせつつ――おしりふりふりハンティングモード)
おい、俺じゃなくて獲物を見ろ
野生の世界じゃ余所見は命取りだぞ

早業や残像でしゅばばっとじゃらし
気が散った瞬間にぺちーんとW猫ぱんち奇襲

野生の勘で肉察せば横から早業でがぶり
強化許さずぺろりと平らげてくれよう
(可愛い顔に反し腹ペコ大食い猛獣――炎の余波で若干髭がくるりんしてるのはご愛嬌)

後は遊び疲れて眠り果てるまで
存分に可愛がってやろうじゃねぇか
(もふもふぺしぺしとっくみあいたいむ)


呉羽・伊織
【猛獣注意】
野生のオッサンは言う事が違うな~ハハハ
(猛獣てか毛獣てか何このふるもっふ猫対決――凄んで見せても可愛いって何コレ??
と、もふもふふりふりにふにゃりと緩みかけ)
いや~腐っても忍、奇襲はお手の物ダヨ――ハイ、しゃきっと頑張るんで此方への一撃必殺猫パンチはご勘弁を~!

UC使い早業や残像にフェイントも交え、好奇心刺激するように先制撹乱
もとい三首の気がじゃらしで散り散りなった瞬間、もふっと奇襲
野生を鎮めごろにゃんふにゃーんとご満悦頂けるように、顎や腹のツボをもふもふ

ちょこニャン――可愛い顔して肉貪った挙句に、ドヤ顔でくるりん髭とか色んな意味で破壊力がヤバイヨ!

ホント何このキャットファイトー!



「うにゃうにゃにゃ!」
「おれらのにゃわばりにゃー!」
 何かを威嚇し何かを追いかけているのか、ススキ群が激しく揺れて、いつもは穏やかな野原が騒がしい――そんな場へと降りた鈴丸・ちょこ(不惑・f24585)は、ふっとやや呆れたように息を吐く。そしてしゃらっと猫じゃらしを弄る呉羽・伊織(翳・f03578)の手元を見遣った。
 は、と再び吐かれる呼気。
「そんな玩具で釣れるなんざ、凶暴どころか可愛いもんじゃねぇか――なぁ、ぷりん」
 そう言って隣の黄金のライオン、ぷりんの大きな身体にもふりと手を当てた。声は重低音、しぶい声が愛らしい黒の子猫から発されていてそのギャップに伊織はくっと笑いを堪えた。
「野生のオッサンは言う事が違うな~、ハハハ」
「おうよ。ふふん、暴れ回るこわっぱどもに本物の狩りを見せてやろう」
 ちょこは音なくススキ野を進み、ぷりんも後をついていく。
 獲物を狙う時はまばたきもせず、じっと相手を見つめて。
 屈めた身体はいつでも行けるよう、瞬発に備えた体勢。
 尻尾をふるりと振ってタイミングを計る。
 そんなちょことぷりんの姿を目の当たりにすれば、伊織の表情筋も緩んでしまうというもの。
(「猛獣てか毛獣、てか何このふるもっふ猫対決――凄んで見せても可愛いって何コレ??」)
 思わずじいっと眺めてしまう。けれども伊織の気配に気付いているのか、前を向いたままちょこの渋い声が飛んできた。
「おい、俺じゃなくて獲物を見ろ。野生の世界じゃ余所見は命取りだぞ」
「いや~腐っても忍、奇襲はお手の物ダヨ」
「…………」
 伏せの姿勢からおすわりの姿勢となったちょこが、伊織を見上げて前片脚を鋭く振った。
 しゅっ。
 これ以上軽口叩けば……分かってんだろうな? というしぐさだった。
「……――ハイ、しゃきっと頑張るんで此方への一撃必殺猫パンチはご勘弁を」
 ある意味業界的にご褒美な気がしなくもないが、ちょこのぱんちは普通に痛そうだ。
 音鳴らぬよう、伊織は抜刀の構え――持っているのは猫じゃらしであったが。

 しゃり。
「この気配は……!」
 鈴の音にぴくりと反応する三首猫ニャルベロスたち。そわそわとして音の出所を探るように見回し、うずうずと爪を出し始めている。
 タッ!
 音を立て、跳躍したちょこがニャルベロスの前へと着地し、残像を残して飛び退いた。
「にゃにもんにゃ!」
「にゃ! にゃ!」
 しゅばばっと跳び、前脚を揃えて残像を押さえるニャルベロス――けれども空振って不思議そうな表情に。
「こっちだ!」
 ぺしんぺちん! と前脚を駆使したちょこのダブル猫ぱんち。
「に、にゃにゃーん……!」
 しゃりん、しゃりりりん。
 優雅な音色を渡らせて伊織が猫じゃらしを振るえば、瞳孔を開き、口元を膨らませてニャルベロスたちが飛びかかって来る。
「はは、こっちだよ~」
 刹那のじぐざぐから弧を描く巧みな猫じゃらし捌き。伊織の腕いっぱいに振るわれた動きに、ニャルベロス自身の三首の反応も様々だ。
 前脚が彷徨い、跳躍ののちべしょりと地面に落ちる。
「どうだ参ったか~?」
 ニャルベロスの目前で猫じゃらしを振れば、寝転んだ体勢のまま前脚がぱしりぱしり。
 横腹から腹。そのまま後足の太腿を伊織は撫で、もう片方の手で三首の顎下や喉をくすぐればいかにニャルベロスであろうともひとたまりもないらしい。
 ごろにゃんふにゃーんと鳴いている。ごろごろと喉が鳴って、指先に振動が伝わってきた。
「にゃにをする――ふにゃぁ」
 そう鳴いて伊織の手を連続で蹴るニャルベロスであったが痛くもかゆくもなかった。
 一方。
「ぷりん」
 ニャルベロスが炎を吐き、肉を程よく焼いて食べようとしていたところへ飛びかかるぷりんとちょこ。
「その肉、頂くぞ」
「アッこの泥棒猫ーー!」
「首が一つしかないくせに!」
「わっるい奴だにゃん!」
 にゃんにゃん鳴けば、ケルベロスよろしく地獄の炎が吐き出される。
「おお、ちょうどよく焼けてるな」
「くぬやろー!」
 ニャルベロスたちの肉を奪って平らげて、口元を動かすちょこのヒゲは彼らの炎の余波でくるりん。
「ちょこニャン――可愛い顔して肉貪った挙句に、ドヤ顔でくるりん髭とかさあ、色んな意味で破壊力がヤバイヨ!」
「…………」
 言われてヒゲへ前脚を伸ばす。確かに感覚がちょっとおかしいような?
「おいたが過ぎるな。おい、遊び疲れて眠り果てるまで存分に可愛がってやろう」
「にゃが」
 黒の毛玉と三毛玉がごろんごろんと駆け回り、立ち上がってぱんちしあい。
「キャットファイトー! ホント何、可愛すぎなんだケド!」
 完全に猫の喧嘩だ。
 伊織は頬を緩ませて、和やかな(?)空間を満喫している。

 ごとりと電池が切れたが如く、寝落ちる猫たち。
 骸魂が祓われ、三首猫たちが元の妖怪へと戻っていった。
「うわ、あちこちに猫が落ちてるよ」
 ちょこニャンは、と探す伊織。猫がいっぱいいすぎてどこにいるのやら――。
 彼はどっしりと香箱座りをして、きりりと前を向いている――ように見えて、こくり。
 体力は無限ではないのだろう。
 共有されているぷりんも横たわり、ひと休み。
 夜空には満月。穏やかな風吹くススキ野で様々な猫が寛ぐ――そんな光景に伊織は微笑み、お疲れさま、と声を掛けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

か、かっっわ!
あんなに可愛い猫ちゃんを襲っても許されるんです?
やったー!!
アヤネさん
うち昔、猫飼ってたんですよ
25年も生きたすごい長生きにゃんこで
猫じゃらしテクニックはその子に鍛えられたので結構自信あるんです
さぁ奇襲を仕掛けましょう!

首が三つに増えても猫ちゃんは猫ちゃん
猫is可愛い

手首のスナップを効かせた猫じゃらしの動きで三首猫の興味を惹いていく
はいは〜い
遊びましょうねぇ〜
ほれほれ〜♪

アヤネさんが猫ちゃんの炎で食べ物を焼いている
…美味しそう
あの
もしよければ私の分も焼いといて下さい(猫をじゃらす手は止めずに)
猫はじゃらしつつモフることも忘れない
かわい〜!

あ、勿論骸魂はしっかり祓いますよ!


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

よくこんな平和なオブリビオンが存在できるネ
気が抜けそう

しかし焼き加減には注意を要する
両手の指に串八本
肉肉肉マシュマロ肉肉肉肉

へえ猫ってずいぶん長生きするのネ
ソヨゴが生まれるずっと前からいたのか
逆に猫から教えられたこともありそうネ
ふふふ
張り切るソヨゴを微笑ましく見守る

いざ勝負
炎に合わせて串を差し出し
焼く
ちょっとまだまだちゃんと火を通して!
と猫に注文をつける
戦闘よりこっちに集中させよう
肉が上手く焼けたら分けてあげる
美味しいかい?
じゃあ次ネ!
ソヨゴにはマシュマロをあげよう

ソヨゴの猫じゃらしには感心して見入りつつ
僕もじゃれたらダメ?
ちょっとうずうずしてしまう
いやしないけど



「お腹が空いたニャ」
「火鼠ぱくりといっちゃうにゃ?」
「うぅん……おにく」
 ススキを掻き分けて歩む三首猫ニャルベロスたち。骸魂に飲みこまれ凶暴化した彼らはここを縄張りとし、様々な悪さをしていた。
 火鼠や鳥を追いかけまわしたり、月に喧嘩を売ったり、ススキの穂をぼろぼろにしたり。
 やっていることは小さいがこれがススキ野を出て広範に渡れば――。
 背高のススキに身を潜ませて、城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)はふるふると震えていた。
 オブリビオンという敵を前に、抑えられないこの衝動。
「……ッ、か、かっっわ! あんなに可愛い猫ちゃんを襲っても許されるんです??」
「あー、ウン、合法(?)らしいネ」
「やったー!!」
 アヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)の許可(?)に小さく万歳をして喜ぶ冬青。
「アヤネさん、アヤネさん。うち昔、猫飼ってたんですよ」
「そうなんだ」
「二十五年も生きたすごい長生きにゃんこで、猫じゃらしテクニックはその子に鍛えられたので、結構自信あるんです」
「へえ、猫ってずいぶん長生きするのネ。ソヨゴが生まれるずっと前からいたんだ」
 きっと大事にされた家猫だったのだろう。愛情を受けて、ストレスもなく、気ままに日々を過ごして、元気に生きた。
「逆に猫から教えられたこともありそうネ」
「はいっ。私が小さなころから、一緒にたくさん遊んでくれるきょうだいみたいなにゃんこでした。――さぁ早速、奇襲を仕掛けましょう!」
 張り切る冬青を微笑ましく見つめて、アヤネはそうだネと応じ、すちゃりと装備を整えた。
 両手の指と指に串を挟んだ、計八本。……なんか投擲武器のようにも見えるが、突き刺さっているのは左から順番に肉・肉・肉・マシュマロ・肉・肉・肉・肉である。
 ある意味、アヤネも張り切っているのだろう。

 しゃりん、しゃりん。
「あっ、アレの音がするにゃ!」
「にゃっ!」
 目を見開いて音を頼りにニャルベロスたちが駆け寄ってくる。
「はいは~い、こっちだよー♪ 遊びましょ~ねぇ~」
 しゃりりりりり。
 優雅な鈴の音が左から右へと渡り、羽根をふよふよと動かす冬青の巧みな猫じゃらし捌き。
「ふにゃっ!」
 はっと呼気を吐き、後脚で立ち上がっては前脚をぱたぱたと。
「こっちにゃ!」
「ああっ、抜けてったにゃ!」
 瞳孔を開き、口元のウィスカーパッドも膨らんでニャルベロスたちが猫じゃらしを追い回す。
「ほれほれ~♪」
 手首のスナップを効かせて、さらに紐のついた猫じゃらしをしゅーっと地面で滑らせればニャルベロススライディング。
 一方アヤネは。
「よくこんな平和なオブリビオンが存在できるネ――気が抜けそう」
「にゃにおう!」
「にゃめるにゃよ!」
「はいはい、凄い凄い、自分で肉が焼けるってとても凄いネ」
 冬青の猫じゃらしを満喫し、お腹を空かせ始めたニャルベロスたちを上手くのせて彼らの吐く炎で肉を焼いていた。
「上手に焼けたら分けてあげるからネ。でも、まだまだちゃんと火を通すべきだ」
「はいにゃ」
「ごはんにゃ」
 ぼうぼうと炎を吐いて、肉とマシュマロを焼いていく。
「こっちはビーフ、こっちはチキン」
「はにゃ」
「美味しそうな匂いになってきたにゃ」
 そろそろ頃合かな? と鶏肉をあげて、アヤネは牛肉の方を――食べればぎゅっとつまった肉の旨味が口の中に広がった。
「デリシャス! そっちも美味しいかい?」
 おいひいにゃ。話すのも惜しいらしく、はぐはぐとニャルベロスは懸命に食べている。
「うぐっ……美味しそうな匂いが……。アヤネさん、もしよければ私のぶんも焼いといてください~」
「オッケー! じゃあ次ね、ソヨゴのマシュマロ」
 そんな会話をしながらもしゃらんと猫じゃらしの動きは止めない冬青。
 三首の猫だが、いかにも猫。つやつやもふもふの毛並みに肉球、お腹も柔らかで、ちょっと個体によっては筋肉質な張ったもの。
「かわい~!」
 喉を撫でればごろごろと。
 肉球を揉めば、包む冬青の手からぴっと自身の前足を抜き、びびびびっと振った。
「あっちょっと嫌だったかな? ごめんね~」
 お詫びに、いっぱい遊ぼう! と冬青が猫じゃらしを振る。
 冬青の技にはニャルベロスたちも大喜び。すぐに夢中になる様子にアヤネは感心した。
「僕もじゃれてみたいなぁ、……ダメ?」
「えっ、ええー? アヤネさんがですか?」
「うん、楽しそう。いや、まあ、しないけどネ」
 ちょっとうずうずしてしまうネ、とアヤネはにこやかに言うのだった。



 遊び疲れて、お腹がいっぱいになったニャルベロスたち――疲弊によるダメージを受けて骸魂が剥がれていく。
 凶暴化した三首猫ニャルベロスを宥めて骸魂を祓った猟兵たち。
 ひと休みとばかりに満喫した妖怪・三首猫たちが眠る姿は、ススキ野原の猫があちこちに落ちているようだ。
 満月の光が降るススキ野に再びの平穏が訪れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月16日


挿絵イラスト