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大祓百鬼夜行⑨〜♪雪やこんこん かぐややこんこん~

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #プレイング受付締め切りました #トンチキシナリオ

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●十二単だから多分寒くない理論
 カクリヨファンタズムにある竹林は、夜になるとやたらめったらでたらめに光ることに定評があるという。
 すぱん!と切ってもそこにはお姫様がいるワケではないのだが、それになぞらえたものであることは間違いなく、一部の地域ではかぐや姫のシーズン(時期いつだよ)になぞらえてお祭りも開かれることがあるぐらいだそうだ。

 ――その竹から、なんと本当にかぐや姫が生まれてくるとは誰が思ったか。

「ゆきだー」
「ゆきだわー。わー。きゃー」

 竹から出てきた二頭身の光るかぐや姫の大群――とんでもなく強い言霊(パワーワード)である――は季節外れに降り注ぐ雪に大はしゃぎ。
 雪原でせっせと雪を固めては雪だるまを作ったり雪合戦をしたりしていて、それを一人の雪女――もちろん、骸魂に取り込まれた妖怪がオブリビオンとなった者だ――は微笑ましく見つめていた。

「かぐや姫も雪には興味あるのね……」

 何かいきなり生まれたかぐや姫の群れにまるで赤ん坊が最初に見た相手を親だと認識するようなノリで「おねーさま!」と懐かれて雪を振る舞ってやったら大喜びな様を見て案外季節問わず雪には需要があるもんだな、とかしみじみ思いながら、猟兵の到来を待っているのである。

「こんだけいれば猟兵たちの邪魔ぐらいはできるでしょうね。かわいいし」

●予知した以上は見たまんまのことを伝えなきゃあかんワケでありまして
「――とまあ、そのような感じでオブリビオンが妖怪竹林にて待ち受けていますので、討伐をお願いします」

 何じゃそりゃ、と言いたげな視線を向けられても終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)は淡々と説明を続けていた。

「かぐや姫の大群ですが、生まれたばかりの東方妖怪で骸魂に飲み込まれオブリビオンとなっているワケではないようです。赤ちゃんが初めて見た人間を親だと思うようなアレです。
 ですので、く れ ぐ れ も 殺傷行為は行わないようお願いします。
 あくまで利用されているだけで罪はありませんからね――まあ、戦闘能力は半端ないので手加減したら危険なのは確かなんですが」

 さらっと難しい要求をしてくるが、多分この少年兵士は何の根拠もなしにそんなことは言わないので信頼されている証だと思って良い。

「それともちろん、オブリビオンとなっている雪女も骸魂を剥がせば元の妖怪に戻りますので、骸魂を剥がす程度に留めて頂きますようお願いします。
 それと、雪女の能力により妖怪竹林の一帯は雪原となっています。UDCアースの日本基準の5月の感覚で向かうと寒いなんてものじゃありませんのでご注意を」

 現在かぐや姫の群れは雪女と一緒に雪合戦を楽しんでいるらしい。平和だな。

「かぐや姫たちは雪に興味津々なようなので、面白い雪遊びを提案したらもしかしたら気を取られてくれるかもしれません。僕はそういった遊びに疎いので月並みな雪合戦や雪だるましか提案できないのですが……一考の余地はあるかと思います。
 では、ご武運を」


御巫咲絢
 ※注意:このシナリオはトンチキシナリオです。
 今回の戦争フレームが戦争フレームなのでトンチキのつもりがなくても俺の書き方ではトンチキシナリオと化してしまう(言い訳)!!
 こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
 御巫のシナリオが初めてだよって方はお手数ですがMSページを一度ご一読の上ご覧くださると幸いです。

 大祓百鬼夜行シナリオ2本目をお届け致します。
 大量のかぐや姫とかいうパワーワード。
 普段のカクリヨファンタズムでの扱いと同じく、オブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」の為、骸魂を剥がせば元の妖怪に戻すことができます。
 かぐや姫の大群を上手いことかいくぐり、骸魂を撃破して元の妖怪かつ元の5月の気温に戻してくださいませ。

●シナリオについて
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結する特殊なシナリオとなっています。
 このシナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。

●プレイングボーナス
 かぐや姫の大群に対処する。
 尚、かぐや姫のサイズは「二頭身」です。
 ただし、二頭身だからといって小さいとは限らないかもしれません(?)
 そこは皆様のプレイングで希望があればそれぞれ反映した状態で執筆させて頂きます。

●プレイング受付について
『5/11(火)8:31』から受付を開始し、締切は「クリアに必要な🔵の数に達するまで」とさせて頂きます。断章の投下はありません。
 開始前に頂いたプレイングは一度全てご返却致します。
 最低でも6名様はご案内させて頂きますが、それ以降は不採用になる場合もありますので予めご了承の上プレイングをご投函頂きますようお願い致します。

 それでは、皆様のプレイングをお待ち致しております!
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第1章 ボス戦 『『薄氷』の雪女』

POW   :    吹雪
【吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    薄氷の折り鶴
【指先】から【薄氷の折り鶴】を放ち、【それに触れたものを凍結させること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    氷の世界
【雪】を降らせる事で、戦場全体が【吐息も凍りつく極寒の地】と同じ環境に変化する。[吐息も凍りつく極寒の地]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

空亡・劔
この最強の大妖怪出ある空亡劔を差し置いて大異変とか生意気よ!

だけど…此処は割と涼しくていいわねー

【天候操作】でより雪を降らせまくる

対かぐや
かまくらを作るわよ
是だけ大きいかまくらならあんたら中に入っても大丈夫よ!
あとバニラアイスバーも用意しておくわ!

という訳でかまくらに夢中なかぐや姫達をしり目に雪女と対決よ

あたしも雪は好きよ
だから…氷勝負ね
【属性攻撃】で氷属性を二刀に付与して強化

時刻み発動
あんたもまた人類の脅威に堕ちている
だから戻すわよ
【戦闘知識】で動きを【見切り】
【残像】を残して回避
超高速で飛び回り
【結界術】で雪女を閉じ込めてから
時空ごと切り裂く斬撃による【二回攻撃】で攻め立てる!



●かまくらで釣ってみた。
 空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)は怒っていた。

「この最強の大妖怪である空亡・劔を差し置いて大異変とか生意気よ!」

 まったくもう、とふくれっ面の劔さん。
 最強の大妖怪を差し置いて百鬼夜行なんて百年早い、というお気持ちである、のだけど。

「此処は割と涼しくていいわねー」

 季節は5月。暑さが段々しんどくなり始める頃合い。
 UDCアースの日本は5月からもう暑さが語彙を無くす程にヤバくなる時期でもあるのでこの地帯が涼しくなっている――いや、最早涼しい通り越して寒いハズなんだけど――のはとても好ましかった。
 人間も妖怪も暑さには弱いからね。

「わ、あたらしいひとだわー」
「こんにちはー」
「あそびましょ、あそびましょ」

 そんな最強の大妖怪を前にしても二頭身のかぐや姫の大群は動じないどころか興味津々そうにわらわらと集まってきた。
 みたことないひとだわー、とかそんなことを言って構って欲しそうなかぐや姫たち。経緯とかそこらは首を傾げたくなるものであるがそれはさておき割と愛らしい。
 素直で人懐こそうな姿を見せられると悪い気分はしないものだ。

「いいわ、遊んであげる。でもそうね……この雪の量じゃまだ足りないわ、ちょっと待ってなさい!」

 劔がす、と指を天にかざすと、オブリビオンの雪女が降らせていたのとは比べ物にならない量の雪がどんどこ降ってくる。
 かぐや姫の群れ、それに対して驚きもせず「わー、すごーい」と大はしゃぎ。随分と肝が据わっているようだ。

「ちょちょちょ何よこれ私こんなに降らせてないけどーっ!?」

 雪女、かぐや姫たちが埋もれてもいけないと自重していたら逆にめちゃくちゃ雪の量を増やされて困惑不可避。
 しかしそんなこと最強の大妖怪の前では些細なこと。満足いく量雪を降らせ終えた劔はどっからかスコップを取り出した。

「かまくらを作るわよ」
「かまくら?」
「かまくらってなにかしら?」
「見てなさい。今にわかるから」

 劔は取り出したスコップを雪原にざくっ!と突き刺し適当に大きく円を描き始める。
 かまくらを作る時に大事なのはまずサイズ決めなのだ。少なくともこの大量のかぐや姫たちが入ってもぎゅうぎゅう詰めにならない程度の範囲が必要になるので、雪がもっと必要なのは当然の帰結である。
 描いた円に沿って雪をざっくざっくと掘っては積み上げ、時折水を散布してスコップで叩きながら固め、その上ちゃんとドーム上の形になるように整えて、空洞もしっかり作ってと地道な作業を重ね……

「……え、何あれ。でかっ」

 いつしか妖怪竹林の開けた雪原には、遠目から形がわかるぐらいのどでかいかまくらができあがっていた――!!

「わー、すごーい!おっきい!」
「なかにはいれるー!はいっていいー?」
「これだけ大きいかまくらならあんたらが中に入っても大丈夫よ!あとバニラアイスバーも用意しておくわ!」
「わーい!アイスたべるー!」

 かまくらの中になだれ込んでいくかぐや姫の大群。一斉に乗り込もうとしたが、入り口が流石にそこまで大きくないのでちゃんと並んで順番通りに入っていく。かぐや姫なだけにお行儀が大変よろしい様子。
 バニラアイスバーの魔性の魅力もあり、かぐや姫たちはすっかりかまくらに夢中である。ここまで気に入ってもらえたなら作りがいもあったというものだし、本来の目的も問題なく達成できるだろう。
 今のうちにと劔はこの雪原の元凶の下へ。

「きたわね猟兵。……よくあんなかまくら作った後に戦う気になれるわね?」
「最強の大妖怪がこの程度で疲れるワケないでしょ」
「そ、そう……」

 かまくら作製により多少疲労しているだろうという雪女の期待はあっさりと砕かれた。だが戦うしかないので迷わず気分を切り替える。
 劔も二振りの刀――自身の本体たる殺神魔剣『空亡・紅』と常に携えていた永久凍剣『二世氷結地獄・極』に氷の力を纏わせ、臨戦態勢を取った。

「雪女。あたしも好きは好きよ。だから――氷勝負ね」
「ふんっ、いいわよ。よりにもよって雪女に氷勝負を挑んだこと、後悔させてあげるわ」

 先手を取ったのは雪女だ。
 指先から放たれた薄氷の折り鶴は、まるで生きている鶴と変わらぬ自然な動きで飛翔、劔を凍らせんと降りかかる。
 薄氷故に空気の抵抗が薄く、素早く飛んでいった折り鶴を劔は避けなかった……否。

「なっ……!」

 折り鶴が確かに劔に当たったと認識したその時、彼女の姿がふっとかき消えたのだ。
 雪女はここで初めて既に劔が動いていたことに気づく。そう、質量のある残像が残っていたが故にこちらが先手を取れたと勘違いしたのである。

「くっ、どこにいっ――」

 そして雪女はまたしても気づく。自身の周囲を淡い光が覆っている――これは結界か。
 相手の動き、思考速度を遥かに上回るスピードで劔は周囲を飛び回っていた。
 ユーベルコード【時刻み(クロノスブレイド)】により時をも超越せんばかりの速度で行動し、既に逃げられぬよう包囲結界を展開。
 その結界は強固なもので、雪女がどれだけ吹雪をぶつけてもびくともしない。

「あんたもまた人類の脅威に堕ちている――だから、戻すわよ」

 劔の本体である『空亡・紅』は時空を操ると伝えられた遠い異世界の魔剣。
 その一撃は、人類の脅威となるものを時空と諸共に切り裂くとされる。
 それが相手が把握できぬ速度で瞬く間に何回も刻まれるのだ。

「"我が身、我が真体は時を統べし魔剣なり!今こそその力を解放せん"!!」

 当然――それに追いつける程の反射神経と思考速度を持っていない者は為す術なく無数の斬撃の前に倒れるより他に選択肢はない。
 詠唱と共に力が解放された人類の脅威を討ち滅ぼす斬撃は、確かに雪女の骸魂に大打撃を与えたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブや連携等も歓迎

ここの
かぐや姫さん達…
何だか楽しそうです…♪

『かぐや姫さん達…雪を見るのは初めてですか…?』

かぐや姫さんの大群への対処
として
雪遊びをご提案

攻撃等は
【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】【氷結耐性】で
防御・回避

『そうだ…「雪うさぎ」を作ってみませんか?…雪で作ったうさぎさんですけど…簡単でとっても可愛いんですよ☆』

雪うさぎ作り等をして
かぐや姫さん達が
雪遊びに
夢中な内に
雪女さんの所へ

自身の魔鍵
クイーンオブハートキーでの
極力外傷を与えない【精神攻撃】を用いた
【属性攻撃】【誘導弾】等での【浄化】系魔法攻撃・UCで
雪女さんと戦闘

『雪女さんも…骸魂から解放して差し上げますから…』



●雪うさぎを作ってみようと誘ってみた。
「アイスバーおいしいねー」
「ねー」
「でもたくさんたべたらうんどうしなきゃふとっちゃうわ」
「うごかなきゃ」

 かぐや姫の群れ、生まれたばかりなのにダイエットの概念を知っているらしい。よーし、と次々かまくらから出てきて雪で遊び始めました。

「わ……ここのかぐや姫さんたち……何だか楽しそうです……♪」

 そこに駆けつけた次なる猟兵、アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)。
 二頭身かぐや姫の大群という記述すればとんでもなく強い言霊(パワーワード)な光景だが可愛らしい光景に心を和ませながら、かぐや姫がただ雪を掘ったり丸めたりしているだけな様子が気にかかって声をかける。

「かぐや姫さんたち……雪を見るのは初めてですか……?」
「はじめてー」
「さっきべつのおねーさまがかまくらつくってくれたけどとってもよかったー」

 人懐こいかぐや姫たちはアリスの問いに素直に答えた。
 見た目は二頭身でかつ十二単を着ていて、それが何十人もいるとかいうカオスな風景だが、その中にいるかぐや姫たち全員はこうしてアリスら猟兵がくる度に目を輝かせて集まってくる。
 ある意味では託児所のような光景なのかも……いやないわ。十二単着てる子供早々おらんわ。

「わたしたちもゆきでああいうのつくれるかしら」
「つくってみたいわ」
「ねー。なにかつくれるものしらない?」

 どうやら先程から雪を丸めているのはかまくらに憧れて自分も作ってみたいと思ったからの様子。
 このまま大きく丸めていけば雪だるまを作ることができるが、とアリスは考える。
 ――雪で作るのにうってつけのもの、ありました。ぴこんとアリスの脳内で電球の明かりがつくかのような天啓が下りた。

「そうだ……雪うさぎを作ってみませんか……?」
「ゆきうさぎ?」
「雪で作ったうさぎさんですけど……簡単で、とっても可愛いんですよ☆」
「そうなの?わー、つくるつくるー!」

 雪兎を作るのはとても簡単である。雪を細長く丸めて葉っぱで耳をつけて南天の実を目に見立ててちょんちょんとつけるだけ。
 一切何の工夫も凝った技術もなく、生まれたばかりのかぐや姫たちでも簡単に作れるお手軽芸術。
 今回は妖怪竹林にいる為竹の葉を耳に見立ててつけてみれば、あっという間に完成だ。

「わー、できたー!」
「かわいいわ!とてもかわいいのだわ!」
「ほかにかわいいもののつくりかたはないかしら?」
「じゃあ、雪だるまさんの作り方も……」

 結局雪だるまの作り方も教えたアリスであった。
 みんなで頑張ればとっても大きいのができると思う、と告げれば「おねーさま(※雪女)におっきいのつくってみせよー!」という話になり、みんなで協力して雪だるまを作り始めた。
 すっかり夢中になった様子を見て、アリスは今のうちにと雪女の下へ向かう。

「……子供?こんなところに何の用かしら。ここは貴女みたいな子がくるところじゃないわよ。さっさと帰りなさい」

 先程手痛い攻撃を喰らった雪女であるがまだ骸魂は剥がれない。
 しっし、と払うような仕草をしてはいるものの発言がどう聞いても子供の身を案じるソレである。それは先程受けた一撃の影響か、はたまた。

「いいえ、帰りません……私は猟兵ですから……」
「……マジ?こんな子供と戦闘とか勘弁してよ……」

 嫌々そうに口にするが、それは子供が嫌いというよりは子供を傷つけたくない、という気持ちの方が強く現れているようにアリスには見えた。
 でなければあんなたくさん、そう、あんなたくさんのかぐや姫がいくら人懐っこいと言えど集まりはしないだろう。仮に洗脳を受けていたとしてもその片鱗が見えるハズ。
 ならば尚更、早く彼女を骸魂から解放しなければならない。

「雪女さんも……骸魂から解放して差し上げますから……!」

 アリスのその美しい金色の髪からまるで桜の精のように桜が咲き乱れる。
 手に構えた魔鍵『クイーンオブハートキー』に咲き乱れる桜の花弁とオラトリオの生まれながらの光の力が集い、舞う。
 雪原の中、ただ一人だけが春の様相を醸し出す。
 それに何かしらの予感を察知したのか、雪女は思わずそれを呆然と見つめ続けようというところで我に返り、慌てて吹雪を呼び寄せた。
 しかし不思議と出力は弱い。アリスが元より氷結に対する強い耐性を持っているからかもしれないが、もしかしたらかぐや姫たちを気遣ってのことなのかもしれない――そう思うと少し温かい気持ちになる。

「雪女さんは、とても優しい妖怪さんですね……」
「そんなことないわよいきなり何言い出すのよ攻撃してんのよこっちは!?」
「でも、私にはそう見えました……ですから、貴方に憑いた……邪な心魂や因果事象等を……祓ってさしあげます……!」

 【ブロッサムミラージュ・ハートキー】による浄化の光が雪女を貫く。
 しかし貫くといっても、外傷は一切与えないどころか痛みすらない。それもそうだ、対象を縛る悪しき因果や概念、魂の穢れを取り払うもの故に。
 段々と春に近づき花が芽吹き始めるようなぽかぽかした暖かさがこみ上げてきて、雪女は思わず上の空と化す。雪女なだけに心が春の暖かさに包まれても思考が鈍るのかもしれない。
 だがそれは確実に彼女に張り付いた骸魂を弱めていることの証明に他ならなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリジ・グッドウィン
【特務一課】
仕事上同僚のティオと

雪遊びで気を惹くか。ティオお前なんかねぇの?やりたい遊びとか
雪自体が初めてとかマジか
……じっとしてると動きが鈍るしぱっと決めろ
他のは次また機会があるだろ

イグルー作りか。ビバークくらいならあるけどな
周りを確認しつつ悪路走破で地面固めて円形に穴掘り
おいティオ、これが床な。つーわけでブロック頼む
2つ作るからきりきりと(現場監督面

後は組み立て。おいそこの二頭身のちんまいの休憩場所作ってやるからお前らも手伝え
…サイキック万能だなオイ

出来たらかぐや姫と雪女を誘導。あぁ雪女のアンタは専用のこっち
【使用UC】でそれを崩して生き埋めにしてやれ

で、初めての雪遊びの感想はどうだったよ


ティオ・ブリューネ
【特務一課】
わ、わ、冷たい、脆い!なるほど、これが雪っ!
知識では知ってたけど、本物を見るのは初めてだよっ

え、アタシが雪遊び考えるの…?ええと…
遊びかどうかは怪しいけど雪でやってみたいことがあるんだ
キリジさん、ちょっと付き合ってくれない?

念動力で周囲の雪を集めて圧縮
直方体型にしてキリジさんが整えてくれた場所に螺旋状に配置
ブロックの作成と配置はミニカグヤちゃんたちにも遊びとして手伝ってもらうのもいいかもね

雪女への対処?
もう一つイグルー作って生き埋め…?
…誘導するほうだけちょっと脆くしておこう

んえ?雪遊びの感想?
冷えで集中が切れかけるのが怖いかなぁ…
あぁでも思ったような形が作れるのは楽しかったかも!



●イグルー作りで釣ってみた。
「わ、わ、冷たい、脆い!」

 ティオ・ブリューネ(舞い射す光条・f31200)は空からしんしんと降ってくる雪が触れる感触に目を輝かせる。

「なる程、これが雪っ……!」

 辺り一面の白銀の景色はとても新鮮な光景で戦争中でありながらも彼女の好奇心を強くくすぐってくる。
 その向こうにはかぐや姫たちがせっせせっせと大きな雪だるまを作っているのが見える。
 既に雪遊びに興じている群れの様子を見ながら、ティオの同僚であるキリジ・グッドウィン(proscenium alexis・f31149)が口を開いた。

「既にしてんなら尚更雪遊びで気を惹くか。ティオお前なんかねえの?やりたい遊びとか」
「え、アタシが雪遊び考えるの……?ええと……ちょっと待って、初めてだから考える時間が欲しいかな」
「雪自体が初めてとかマジか……」
「うん。知識では知ってたけど、本物を見るのは初めてだよ」

 ティオはサイキックキャバリアとの適合の為に生み出されたアンサーヒューマンであり、適合後も超能力サンプリングや並列情報処理訓練等により研究施設を転々とする生活を続けていたのもあり疎いところがある。
 知識自体は研究施設にある書物等から知ることはできるが、それだけで世間に強くなれるなら誰も苦労はせず、今彼女はまさに百聞は一見に如かずという言葉の意味を身を以て実感しているところであった。 

「ううーん、雪遊びって確か雪合戦とか、雪だるまとか、かまくらとか色々あるよね……」
「……じっとしてると動きが鈍るしぱっと決めろ。他のは次また機会があるだろ」

 尚そのうちの二つはもう既に遊んでいるのだが、もちろんきたばかりの二人は知る由もない。とはいえやったことないものはやってみたくなるものである。
 ぱっと書物に見た知識を抜き出していくだけでも割とたくさんで思わず目移りしてしまいそうになるティオであるが、キリジの鶴の一声ですぱっと意識を切り替えた。
 これも訓練の為せる技であろうか(?)

「うん、決めた。遊びかどうかは怪しいけど雪でやってみたいことがあるんだ。キリジさん、ちょっと付き合ってくれない?」

 かくして特務一課の二人は雪遊びに興じ始めたのであった。


「おねーさまおねーさま、おおきいゆきだるまができたわ」
「みてみてー」
「うわでっか。よく作ったわねあんたたち。偉い偉い」
「えへへー」

 雪だるまを見せてきたかぐや姫たちを褒めてやる雪女。ふとその視界に別の人物が入る。

「あら……また猟兵かしら。あんたたち、また新しい人が遊びにきたみたいだから行ってきなさい」
「はーい」

 てしてしとかぐや姫の群れは新しくやってきた(オブリビオン的には)招かれざる客人の元へと向かう。

「おいティオ、これが床な。ブロック頼む」
「了解」
「2つ作るからキリキリとな」

 二つ程大きく雪原に円形の穴を開けたキリジが現場監督の顔でティオにてきぱきと指示を出し、ティオはそれに従って持ち前の念動力を用いて周囲の雪をあっという間に圧縮、直方体の形に整える。
 所謂圧雪ブロックという奴である。次にティオは、指示に従って念動力により言われた通りてきぱきと螺旋状に円を囲うように積み上げ始めた。
 これは所謂イグルーと呼ばれる狩猟の旅先等で用いられる一時的なシェルターの作り方であり、ティオがやってみたいと言ったのはこのイグルー作りのことであった。
 幸い、キリジがビバークでイグルーを用いた経験があったこと、ティオが強力なサイキッカーであることが相まって雪遊び的な感覚で取り組むことができているといったところである。

「……サイキック万能だなオイ。――ん?」
「まあ、おとこのひとがきたのははじめてなのだわ」
「なにをしているのかしら」
「あそびましょ、あそびましょー」

 目的通り気を惹かれたのかはたまた、二頭身かぐや姫の群れが接触。
 積み上げて作っている途中のイグルーやティオが圧雪ブロックを作っているのを見て目をきらきらと輝かせておりまさに当初の計画通り。

「おいそこの二頭身のちんまいの。休憩場所作ってやるからお前らも手伝え」
「きゅうけいばしょ?」
「うん。雪で作るんだけど、中は暖かいんだよ。一緒に作ってみない?」
「いいの?わーい、つくるつくるー!」

 人懐こいかぐや姫、何の疑いもなく流れに乗っていく。
 キリジやティオの指示通りにせっせこ雪を集めて、手伝ってもらいながら圧雪ブロックを作っては積み上げて「こんなかんじでいいのー?」と首を傾げてくる姿は何とも愛らしい。
 竹から生まれたかぐや姫の群れ、という前提がなければ素直に可愛いと思える光景だ。
 現場監督さながらのてきぱきとした指示と数による力押し、そこにサイキックと合わさればイグルー二つを作る程度然程時間はかからなかった。
 そう、それが片方はかぐや姫全員が入るスケールのどでかいイグルーだとしても。
 できあがったイグルーにかぐや姫たちはますます目を輝かせてみんなで万歳ポーズ。

「……また何かでかいのできてるッ!?」

 雪女、しびれを切らしたのか自分からこちらにやってきた。そのスケールのでかいイグルーとそれに入っていくかぐや姫の群れを見て呆然。

「雪だるまといいかまくらといいこのイグルーといい、何で猟兵はこうもスケールがでかいの作りたがるのよ!!!!」
「別にそういうつもりじゃないんだけど……」
「つーかこんだけのちんまいの普通のサイズじゃ入んねえだろ」
「それはそうだけど!!!!」

 猟兵二人のマジレスに雪女は返す言葉が何もなかった。
 そう、別に作りたくてスケールがでかいのを作っているワケではなく、数の都合上どうしようもないのである。
 別にそんなつもりはキリジにもティオにも、それどころかここまできた猟兵たち全員にもない。数の問題を解決しようとするとどうしても大きくなるだけなのだ。
 物量というものは恐ろしいものである(?)。

「おねーさまー、おねーさまもはいりましょー」
「え、あ、ええっと」
「ああ、雪女のアンタは専用のこっち」
「えっちょ、あたしまだ入るって言ってないけど!?」

 かぐや姫たちが入るのとは別に作ったイグルーに雪女を誘導するキリジ。
 その間にティオ二頭身ちんまいかぐや姫ーズを「あっちの方が涼しくなるように作ってあるから」と上手いこと言いくるめて全員イグルー内に入らせていく。
 実際人口密度が高いと自然と周囲の温度は上がるので間違ったことは言っておりません。
 雪女をイグルーに入れた後、キリジはかぐや姫がティオの誘導で全員イグルーに入ったのを確認する為に巨大イグルーを一瞥。

「ちょっとちょっと、何勝手にこんなとこに閉じ込めてくれてんのよ割と居心地悪くないけd「ぶっ潰れちまいな!!」

 そして雪女のブーイングなぞ知るかと言わんばかりにユーベルコードを発動。
 【スカッシュ・フィストカフ】による鋼拳の一撃が雪女のいるイグルーに叩き込まれ――がらがらがらと音を立てて崩れ落ちていく。
 もちろん、雪女が反撃できたかと言われるとNOである。ほぼ間髪入れずしてのキリジの一撃は最早奇襲と変わらず、なす術もなく生き埋められることとなったのだ。

 当然だが、このイグルーを作る時にキリジとティオは予め生き埋めにするつもりでもう片方のイグルーを作っていた。
 雪女を誘導する方は敢えてブロックの接合も脆くなるよう、かぐや姫に気取られぬ程度に密かに工作。
 誘導する過程でかぐや姫に色々と見られては後々都合が悪いので――と言いつつ、もしかしたら生まれたばかりの子供のような彼女たちへの気遣いもあるのかもしれないが――、ティオにかぐや姫たちの誘導を任せ、キリジが崩して生き埋めにしたというワケだ。

「で、初めての雪遊びの感想はどうだったよ」
「んぇ?感想?うーん……」

 巨大イグルーの中、かぐや姫に構ってあげていたティオはキリジの問いを受けて少しだけ考えて。

「冷えで集中が切れかけるのが怖いかなあ……ああでも、思ったような形が作れるのは楽しかったかも!」
「――そうかい」

 ふっ、とキリジは笑う。
 ずっと訓練やサンプリングに明け暮れていた彼女の感想とその感情の動きは、満足していると言っても良いだろうし、満足できているのならそれはきっと良いことなのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

片桐・公明
【POW】
かぐや姫についてはUCで対応する
周辺の雪をUCで巻き上げることでかぐや姫が投げる雪玉を防ぎ
UCで固めて作った大量の雪玉をかぐや姫に向けて射出する
ついでに射角を調整してかぐや姫が戦場から離れるように誘導する
遊びの範疇としては全力を出すが、
戦闘としてはかなり手加減してかぐや姫に対応する


上記の通りかぐや姫を無効化しつつ前進し
敵に接敵したら妖刀を中心としたガン=カタで戦う
敵UCは[オーラ防御][吹き飛ばし]、そして妖刀による切り払いでガードを試みる
(絡み、アドリブ歓迎です。)



●ここまで意外と用いられなかった雪合戦
「ぜー、はー、ぜー、はー……」

 生き埋めから何とか脱出した雪女は非常にぐったりしていた。
 そらそうだ、いくら雪女だからって圧雪ブロック崩された中から簡単に出られたら苦労しません。
 めちゃくちゃ硬かったおかげで掘り起こすのも一苦労なおかげで大分体力を消耗した。だがまだ骸魂は剥がれない。大分弱まってんのに地味にこびりついて離れない汚れの如く元の妖怪にひっついていた。

「おねーさま」
「おねーさまー、あそぼー」
「あそんで、あそんでー」

 イグルーでたっぷり休憩したかぐや姫たちはそんな雪女とは正反対に元気いっぱいの様子である。
 流石に先程起こったことをこの生まれたての妖怪たちに話すのは気が引けたのか、雪女は苦笑い。

「あ、ああうん……遊んであげたいんだけどもうちょっと休憩しても……ん?」

 雪女、ここで新たな猟兵の気配を察知!

「まあ、あたらしいひとがきたのだわ」

 早速新たな猟兵の元へとわらわら寄っていくかぐや姫。
 偶然にしろ必然にしろこの時程このタイミングで猟兵が訪れたことに感謝したことはない雪女、今のうちに体力を回復しようと試みる。
 が、しかしそんな目論見は歴戦の猟兵にはお見通しであるということに気づく余裕がなかったのが彼女の運の尽きというより他にない。
 わらわらと寄られ、雪女から距離を必然的に離され遊びをせがまれた片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)はかぐや姫たちにこう言った。

「よし、じゃあ雪合戦しましょう」
「ゆきがっせん?」
「雪玉を投げてぶつけあうのよ。例えばこんな風に……それっ」
「きゃー、つめたーい」

 説明がてら雪玉を丸めて軽くぽふんとぶつけてやるときゃっきゃとはしゃぐかぐや姫たち、よーしと一斉に雪玉を丸めだした。
 ……この人数のかぐや姫が一気に一人に雪玉をぶつけるのは軽く暴力なのでは?そう思われる光景であるがここでグリモア猟兵の言葉を思い出して頂こう。
 彼はこう言っていた――戦闘能力は半端ないので手加減したら危険だと。
 つまり、可愛らしい光景だがその雪玉が人数分一斉に投げられたらめちゃくちゃ痛いどころの話ではないのである!
 そしてそれはどういうことか、戦闘としてはかなり加減するとはいえ遊びの範疇としてはめちゃくちゃ大人げない容赦なき全力を出さねばならないのだ!!

「なげるわよー」
「なげるよー」
「それっ」
「それーっ」

 二頭身サイズのかぐや姫の大群が一斉に雪玉を投げる!結構な速度出ている!戦闘能力半端ないと言われただけあるぐらいのやべー速度だ!!
 しかしこれぐらいの窮地(?)、歴戦の猟兵である公明からしたら割とよくあること。しれっとユーベルコードを発動して周辺の雪を一気に巻き上げて防いだ!!

「わー!そんなのありー!?」
「ふっ……そうよ、こういったのもありなのよ。だからあなたたちがこれから私が投げる雪玉を飛んで避けたり何でもしても許されるのよ!」

 引き続きユーベルコードを使用し、巻き上げた雪を一気に雪玉サイズに固める公明。
 巻き上げた雪で作った雪玉とかぐや姫たちが投げた雪玉となると数はそりゃもう膨大である。その膨大な量を何と大人気なく一気に投げつけた!!!

「きゃー!」
「きゃー、にげろー!」

 かぐや姫たち、きゃーきゃー言いながら楽しそうに雪玉の嵐から逃げる。ぴゅーんぴゅーん。
 【サイコキネシス】で投げつけた雪玉は適宜精確に射角を変えて追尾するかのように射出され、それから逃げる度にかぐや姫たちは段々と今いる一帯から離れていく。
 もちろん、それは公明の計算の内だ。こうして戦場から話しておくことで彼女たちに被害が及ぶことはない。
 完全に遠ざかっていくまで雪玉の射出を続けながら、公明はじりじりと雪女に接近する――!

「怖い!!何この猟兵怖い!!!」

 雪玉を方向を見ずにかぐや姫に遊びの範疇で全力で射出しながら妖刀を構えてじりじりと寄ってくる姿、本来ならそこまで怖がるものではないが雪女は体力的に大分キていた。
 身体の疲弊に精神が引きずられるというのは元が妖怪のオブリビオンでも変わらない様子。
 だからといって容赦してくれる程猟兵が甘くないことも知っているので、雪女はぴえーと泣きながらユーベルコードで吹雪を呼び寄せ叩きつけるが、オーラの防御膜はそれらを弾いて吹き飛ばし公明に傷は及ばない。
 それどころか妖刀の一閃が吹雪そのものを切り裂き、道が開かれた。
 ガン=カタとは極めれば吹雪の軌道すらも一定の定理に基づいて予測、回避し死角に回り込めるのだ。

「ぴえ……」

 吹雪を斬られると同時に背後に回り込まれた雪女に、公明の妖刀が迫る。
 当然なす術はなく情けない声を上げるしかなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

隠神・華蘭
二度もお子様にもみくちゃは勘弁ですからねぇ。
という訳でUCを発動。
お子様達に対抗できる数の化け狸を喚び
彼らを保母さんの格好に変化させお相手してもらいましょう。
……もはや嫁入り関係無い気がしますがまぁ良いのです。

その間に化術で上の笹の葉をお子様達が入れるさいずの大きな日よけの傘に変えましてと。
狸達、皆をその下に誘導しておいてくださいな。

さて、そちらが環境を変えるのでしたらこちらも上書きしてさしあげましょう。
UCのもう一つの力、天候操作を始動!
では参りましょう、今日のお天気は……砂漠の熱波ですぅ!
雪女にとってはまさに地獄でしょう?
いやこれわたくしもうるとらやばいです!
さっさとぶっ倒れてください!!



●雪が(強制的に)溶ければ春どころか真夏がきた件
「……もうやだ。疲れた……」

 ぱたりと雪原に寝っ転がる雪女。それでもまだ骸魂が剥がれない辺り相当しぶとい。しぶとすぎるぞこいつ。

「おねーさまどうしたの?」
「ちょっと昼寝……猟兵きたら起こして……」
「わかったー」

 お昼寝の邪魔をしてはいけないと、かぐや姫たちの群れはちょっと離れたところで遊び始めた。
 雪合戦をするグループ、雪だるまや雪うさぎを作るグループ、かまくらやイグルーをもう一度作ろうとするグループと綺麗に班分かれし楽しんでいる。
 とはいえ。

「二度もお子様にもみくちゃは勘弁ですからねぇ……」

 隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)は二度目のかぐや姫のお守りを考えるだけでげんなりした。
 それはもう、ハイパーやんちゃな生まれたての妖怪が群れでやってきたらどれだけ若かろうが疲れるものであり、子供が苦手な人だったら尚更ぐったりしていることだろう。
 故にこうして動くことができる華蘭はまだ症状としてはマシなのだ。でもやんちゃすぎてできれば相手はしたくない。

「よし、ここは猫の手ならぬ狸の手を借りるとしましょうか」

 自身が狸ならば協力要請するもまた狸。八百八の末席は伊達ではない。
 華蘭はユーベルコード【狸の嫁入り】で化け狸の嫁入り行列――を形成する内の何人、いや何匹かを呼び出した。
 最早嫁入り関係なくない?と言われると本人がまあいいんだよ、というスタイルなのでセーフとします(?)。

「読んだかしら?」
「お子様達の相手をお願いしたいのですぅ……あれだけの人数私一人じゃ無理ですから……」
「あらあら凄い数可愛い子がいるわね。遊んであげたらいいのかしら?」
「はい。あと大きな日除け傘用意するのでその下に誘導しておいてくださいな」
「はいはい、これは腕が鳴るわねえ」

 化け狸たちは保母さんの姿にぽん、と化けてかぐや姫の群れに三手に分かれて接触。
 恐らく嫁入り行列の中にいる姑ポジションといったところなのか、生まれたばかりの子供も同然なかぐや姫たちの興味をあっという間に惹いていった。
 その間に華蘭は妖怪竹林から適当に竹が比較的密集しているところを見繕い、化術を使って上の方にある笹の葉を巨大な日除け傘に变化させる。
 竹がいくつも集まった中にできた日傘はまるでフラクタルのよう。
 用意ができたら華蘭は雪女の元へ向かい、保母さんと化した化け狸たちがかぐや姫の群れを誘導したのを確認してから行動に出ようとしたのだが……

「お昼寝とは随分と肝が据わってますねぇ……」

 雪女、何と爆睡中。
 何でかって起こしてって伝えたかぐや姫の群れが保母さん狸に構ってもらうのに意識が傾いて連れていかれたからね、そら疲れてるし起きませんわな。

「……まあいいです。それでしたらそれで私はド外道さんに一時的に戻るだけなのです。環境を変えるのでしたらこちらも上書きしてさしあげましょう」

 華蘭のユーベルコード【狸の嫁入り】にはもう一つ効果がある。
 それは周辺の天気に干渉することでその場の天候をまるっと変えてしまう天候操作能力だ。
 一度天候が操作されれば、その不可思議な力により窮地に陥る度に華蘭がパワーアップするある意味で諸刃の刃とも取れるし一石二鳥とも取れるユーベルコードなのだ。

「今日のお天気は……砂漠の熱波ですぅ!!」

 瞬間、妖怪竹林に陽の光が差し込んだ――それはもう、燦々照りの太陽である。
 砂漠の熱波はひどければ50度越えなぞザラであり、その熱波が雪女に襲いかかるとかオブリビオンでなければ即死モノ、それを寝ている間に使うのもある意味外道行為に等しいところは確かにあった。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っづぅううううううううううううう!?!?!?!?!?」

 雪女びっくりして飛び起きたーッ!!そりゃびっくりするのも当然である。
 さっきまで雪原でひんやりお昼寝してたと思ったら背中が焼けるように暑くなるんだもん飛び起きるに決まってますよね。眠気なんて吹っ飛びますわ。

「い゛――――や―――――――!!!!!!!あづい―――――――――!!!!何なのよこれえええええええ!!!!」
「雪女にとってはまさに地獄でしょう……?」
「鬼!!!!!!!!!!悪魔!!!!!!!!!!!猟兵!!!!!!!!!!」
「いやこれわたくしもうるとらやばいですから!!!!!」

 最後の猟兵は悪口のつもりだろうか雪女。ともあれ、それだけの熱波となると華蘭にも当然ダメージが及ぶ。
 一応ユーベルコードの効果で自身が苦境に立てば経つ程パワーアップできるからって暑さまでしのげるワケじゃないんです。

「さっさとぶっ倒れてください!!!!!」
「ひぎゃ――――――いや――――――あづいよ――――――――――溶ける――――――――――――溶けアッもうダメ」

 チーン。
 騒ぎ立てるだけ騒ぎ立てた後、ふと糸がぷつんと切れたかのように雪女ダウン。骸魂が剥がれて元の妖怪に戻ったのを確認し、華蘭はユーベルコードの天候操作効果を解除する。

「はぁ……はぁ……暑かったですぅ……」

 華蘭も疲れてその場にへたり込む。暑かったからね。

「おねーさま、まだおひるねしてるー?」

 そこにやってきたかぐや姫ーズ。手には恐らく保母さん狸が用意してくれたであろうアイスバー。どっから用意したのかは化け狸なので多分どこからでも用意できる。

「おねーさまおきたらいっしょにたべよーとおもったんだけどなー」
「心配しなくても、すぐに起きると思いますよぉ……」
「たぬきさんもいっしょにたべよー」
「あはは……じゃあありがたくご同伴に預かりますねぇ……」

 何か冷えたものを口にしないと立てそうにないと思った華蘭は、ありがたくかぐや姫からアイスバーを受け取って口にした。おいしい。
 雪女から元に戻った妖怪も華蘭の言う通りすぐに目が覚めたので、同じようにアイスバーを食べていた。

「あー……おいしー……めっちゃ暑い後にアイスバーは沁みるわぁ……」
「ホントですねぇ……」

 かぐや姫の群れは雪女だった妖怪が責任もって住処とかそこらを用意したりあれやこれやするとのことで、アイスバーを食べ終えた華蘭はそそくさとその場を離れたのであった。
 暑さでぐったりした後子供にもみくちゃにされたら余計に体力がヤバいからね。仕方ないね。


 ――その後、妖怪竹林の一部にかぐや姫たちが暮らすお家が建てられて、彼女たちは幸せに暮らしたのであった……という話になるかどうか。
 それは猟兵たちがこの大祓百鬼夜行を制することができたかどうか次第である。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月13日


挿絵イラスト