大祓百鬼夜行⑭〜見世物小屋に巨大土偶を見よ!
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「来てくれてありがとう。今回も大祓百鬼夜行だよ、どんどん行こうね」
集合した猟兵達へ笑顔を向け、説明を開始するのは花凪・陽(春告け狐・f11916)だ。
「今回向かって貰いたいのはUDCアースに出現した『殺戮の見世物小屋』だよ。この建物は猟兵なら認識することが出来て、中には骸魂に取り憑かれた妖怪の座長が待っているよ。その妖怪は……強い殺戮衝動に苛まれているんだ」
見世物小屋の座長は、骸魂に取り憑かれることで、邪神『大祓骸魂』の元へ猟兵達を導こうとしている。
けれどその代償は重く、湧き上がる殺戮衝動はかなりのものとなってしまっているようだ。
「皆には見世物小屋に赴いて、その妖怪と戦って欲しいんだよ。妖怪も皆を見れば全力で『ビックリ殺戮ショー』を行おうとするから、それに立ち向かって欲しいんだ」
全力で戦い骸魂を消滅させれば、座長がこれ以上苦しむことはない。
その上『大祓骸魂』に近づく一歩にもなるというのなら、行かないという選択肢はないだろう。
「今回の座長さんは、『遮光器土偶妖怪』アラハバキという妖怪だよ。遮光器土偶の姿をした妖怪で、『アラミタマ』の骸魂に取り憑かれてしまっているんだって」
簡単に言えば大きな土偶のような妖怪だ。
元々は惑星開拓用巨大ロボだったらしく、バリアやビームといった手段を使ってくるらしい。
「それで……見世物小屋の妖怪はね、ビックリ身体能力ってものも持っているみたいなの。アラハバキさんの場合は――なんていうか、すっごく大きい」
元々のアラハバキさんもかなりの大きさなのだが、小屋にいるアラハバキさんはもっと大きいらしい。
具体的に言うと5mくらい。キャバリアサイズである。
「大きい分対処も大変だけど、その分技の隙だって出来ているよ。規定サイズより大きいからバリアには隙間が出来るし、テラフォーミングに本人も対応しきれなくなってる。狂えるアラミタマの力も上手く制御出来ないんじゃないかな」
相手の体格も大きい分、狙いを定めたりもしやすいだろう。
しかしそれだけ質量も凄いということだ。思い切りぶつかられたりすれば大怪我は免れない。注意も必要だ。
「説明は以上だよ。皆で頑張っておっきなアラハバキさんを助けてあげてね。それじゃあ、気をつけて!」
話をそう締めくくり、陽は猟兵達を送り出していった。
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
見世物小屋に巨大土偶、どちらかというと骨董市みたいですね。
●プレイングボーナス
ビックリ身体能力に対抗する。
●『遮光器土偶妖怪』アラハバキ
『アラミタマ』の骸魂に取り憑かれた遮光器土偶の妖怪です。
ビックリ身体能力により巨大化しており、大体5mの大きさになっています。
大きくなっている分重く頑丈になっていますが、その分隙も生じています。
POW:規定サイズより巨大なため、バリアで全身を覆うことが出来ません。バリアの隙間を狙って攻撃出来るでしょう。
SPD:ビームの効果で戦場全体が古代の地球っぽくなります(それっぽい植物が生えたり)が、アラハバキ本人も戦場に適応しきれなくなってます。戦場全体にデバフがかかるイメージです。
WIZ:『狂えるアラミタマ』によって苛烈なビーム攻撃等を放ちますが、動きはより鈍いものとなります。狙いやすいです。
これらの状況に対処したりしなかったりしつつ、頑張って戦いましょう。
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オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『『遮光器土偶妖怪』アラハバキ』
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POW : 》敵性存在ヲ確認、力場反転装置ヲ起動。
全身を【物理&射撃攻撃のダメージを反射するバリア】で覆い、自身の【稼働年数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 》管理者権限ニヨリ、惑星初期化ヲ実行。
【【混沌】属性のテラフォーミングビーム】を降らせる事で、戦場全体が【原初の惑星】と同じ環境に変化する。[原初の惑星]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : 》エラー発生。直チニ上位管理者二連……ピ……ガ…
骸魂【狂えるアラミタマ】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【内部メモリストレージの容量】を消費し、無くなると眠る。
イラスト:井渡
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「黒玻璃・ミコ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
…でかいね
だけど二つの世界を救う為にも
ここを突破させて貰うぞ…!
私は処刑人だ…!
イシュ・タブを地中から召喚
【リビング・アーマードゴーレム】で起動させて
その肩に乗り敵と相手しよう
冥府の巨人たる死神ならば原初の世界を突破出来るだろう
マカフトゥ振るわせ敵を[鎧砕きで重量攻撃]
拳や蹴りを放ち[暴力と踏みつけ]で攻撃し
敵を押し倒し[体勢を崩そう]
[オーラ防御]を身に纏いながら宙に舞い敵の巨体へ飛び移ろう
鉄塊剣を抜き振るい[鎧無視攻撃と怪力]でその巨体を
真っ二つに[切断]してやろう…!
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目的地である見世物小屋も大きいが、それ以上にインパクトがあったのは――やはり巨大な土偶の妖怪だろう。
「……でかいね」
巨体を見遣り、思わず呟きを零すのは仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)だ。
だけどぼんやりもしていられない。二つの世界を救う為にも、ここは突破しなければ。
「私は処刑人だ。骸魂を必ず処刑しよう……!」
執行人としての意識を集中し、アンナは視線を下へと向ける。
そこから姿を現すのは――巨大なキャバリア『イシュ・タブ』だ。
「鋼鉄の巨人よ……心の臓に地獄の炎を宿し、動くがいい……!」
地獄の炎を機体の心臓部に灯せば、その口は重い唸り声をあげる。
イシュ・タブが力強く立ち上がると同時に、アンナもその肩へと飛び乗った。
アラハバキの方も巨大な存在の接近を感知したのか、赤く輝く瞳を静かに明滅させている。
明滅と共にビームが小屋の中を照らせば、内部の環境はあっという間に原初の惑星と同等のものへ化した。
だが、原初より深い場所――冥府の巨人たるイシュ・タブならば、この程度の環境変化は意に介すようなものではない。
「イシュ・タブ、構わず突っ切れ……!」
アンナの声に応えるよう、機体は雄叫びと共に大剣『マカフトゥ』を構える。
敵もまたこちらへと向かってきているが、向こうから近づいてくれるなら好都合だ。
接敵の瞬間を見計らい、イシュ・タブは勢いよく剣を振るう。その衝撃で相手が傾けば、すかさず繰り出されるのは鋭い蹴りだ。
そのまま土偶の身体が地面へと倒れ伏し、そこへ振り下ろされるのはイシュ・タブの靭やかな足だった。
相手の身動きが取れなくなった瞬間を見計らい、アンナはイシュ・タブの肩から飛び降りる。
「今が好機、だな……」
手には『錆色の乙女』を握りしめ、身体はしっかりと結界術で防護する。
落下と同時に見つめるのは――アラハバキの輝く瞳だ。
骸魂に取り憑かれているが、その瞳の奥に見える輝きは確かに猟兵を信頼している。
ならば応えるのが筋というものだろう。
「ああ、真っ二つに切断してやろう……!」
着地と同時に、アンナは全力で鉄塊剣を振るう。
女性の細腕から繰り広げられたとは思えないような、そんな重い斬撃は見事にアラハバキの身体を切り裂く!
けれどその刃が断ったのは悪しき骸魂だけ。アラハバキ本体はきっと無事だ。
確かな手応えを感じつつ、アンナは再びイシュ・タブの背へと戻るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ジェムス・ゴールドシップ
どう見ても土偶だな…
そういえば土偶や埴輪の類は考古学的に価値があるとは言うが…まぁこれは偽物だからぶっ壊しても問題ないだろう
つーわけで、だ。断続的な爆破による波状攻撃で徹底的にやらせていただこう
相手がパワーアップしようがそもそも有限であるなら延々と爆破し続けることで時間稼ぎ、爆風による煙幕で攻撃阻害辺りまでやっておけば相手の活動限界まで粘れるだろう
相手が事切れてからが破壊の本番だな。
…しかし考古学か
博物館を作って儲けるのもありだな…今度プラン練るか
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受けた傷を再生しつつ、再びアラハバキは立ち上がる。
改めて目に入るその巨大な姿に、ジェムス・ゴールドシップ(経済界のラスボス(多分)・f32116)は思わず唸り声をあげていた。
「どう見ても土偶だな……」
土偶や埴輪の類は考古学的に価値があるとは言うが、このアラハバキはあくまで妖怪。
大元はロボだとかいう話もあったが、とりあえず古物商に売るようなものではないだろう。
やるべきことは骸魂の破壊。依頼を再確認し、ジェムスは高く手を掲げた。
「ま、ぶっ壊しても問題ないだろう。つーわけで、だ」
ひらり、ジェムスの手元から舞い踊るのは蝶のような疑似生命体だ。
その羽ばたきに反応するように、アラハバキの内からも邪悪な魔力が立ち上る。恐らく取り憑いているアラミタマが意識を表出させたのだ。
するとアラハバキの瞳がジェムスと蝶達の方を向き、赤い光が溢れていく。
その光に吸い寄せられるよう、蝶達は土偶の周囲をひらひらと舞い踊りはじめた。
「おっと、ビームでも撃とうってのか? 残念だったな、俺の方が早いぜ」
呟きと同時に炸裂したのは凄まじい爆撃だ。
ジェムスが舞い踊らせていた蝶達はただの愛らしい生命体ではない。その身に籠められた魔力は断続的な爆破を促し、敵を追い込むのだ。
慌てて土偶も体勢を立て直そうとするが、それよりも早く蝶達は土偶の周囲を飛び回る。
ビームが撃たれそうになれば再び爆撃、相手が動くというなら続けて爆撃。ジェムスの攻撃は途切れることなく敵を攻める。
「どんどん魔力も弱まってるな。有限っていうならもうちょっと待てばいいか」
伝わる気配を感じつつ、ジェムスは爆撃の様子をじっと見上げる。
すると――バキン、と大きな音と共に、上空から何かが飛来してきたようだ。
「おっと、これは……?」
落ちてきたのは青黒い金属のような不思議な物質だ。恐らく爆撃によって剥がれたアラハバキの一部だろう。
アラハバキ自体は妖怪だからいずれ再生出来るだろう。ならばこの破片は持って帰っても大丈夫だろうか。
破片を手に取りまじまじと眺めつつ、ジェムスは少し考え込む。
「……しかし考古学か」
こういうものにも好事家というのは存在している。もしかすると、これも新しい商売のチャンスかもしれない。
「博物館を作って儲けるのもありだな……今度プラン練るか」
商人らしく考え込むジェムスの傍らで、爆撃作業は更に続く。
骸魂の気配が薄れれば薄れるほど、ジェムスは次の商機について考え込んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
冬原・イロハ
アドリブ・連携歓迎
はわ、妖怪さん……
いいえ、妖怪さんの思いにしっかり応えていきましょう……!
魔法のブーツを使って空中浮遊と空中機動
「アラハバキさんこんにちは! 私はイロハっていいます!」
と、まずは初めましての御挨拶をしながら携帯ランプを振りますね
こっちですよ~、と注意を引きつけてアラハバキさんの周りを飛びます
あまり速く飛べないと思うのでゆっくりめですが
引きつけが足りなければ斧で攻撃も
動きが大きくなりましたなら、きっとバリアの隙間も見えるはず
鋭く身を翻してUCを叩きこみますね
風属性のドラゴンの一撃が、アラハバキさんへの助力となりますように
風伝い、あなたの優しさに応える猟兵の力や声が届きますように
●
戦いは少しずつ苛烈さを増しているが、アラハバキの存在感はまだまだ圧倒的なものだ。
その気迫を小さな身体で受け止めつつ、冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)はじっと巨大な土偶を見上げる。
「はわ、妖怪さん……」
アラハバキも他の妖怪も、世界のために命を駆けて骸魂と融合している。
彼らの悲痛な決意を思うと耳や尻尾が垂れそうになるが、だからといって悲しんでばかりはいられない。
「いいえ、妖怪さんの思いにしっかり応えていきましょう……!」
決意と共にイロハは魔法のブーツの踵を叩いた。すると風の魔法陣が彼女を包み、ふわりと空へ導いていく。
そのまま上昇を続けていけば、赤い光――アラハバキの眼光がイロハを射抜いた。
「アラハバキさんこんにちは! 私はイロハっていいます!」
ぺこりと挨拶をしつつ、イロハは夜光石のランプを振るう。
ランプを左右に揺らせば、アラハバキの視線も合わせて動いた。相手はこちらを視認してくれているようだ。
「さあ、こっちですよ~」
そのまま風の魔力で身体を動かし、イロハはアラハバキの周囲を飛び回る。
同時に見えたのは、彼の身体を包む不可思議な光だ。あれはきっと攻撃を反射するバリアだろう。
「まずは隙間を作らないと、ですね」
イロハはゆっくりと、けれど着実に飛翔を続ける。合わせてアラハバキの身体も動き――アラミタマの意思によるビームが、イロハ目がけて狙いを定めていた。
赤い閃光と共にビームが弾ける。その一撃はバルディッシュで精一杯受け止めて、そのまま決して動きは止めない。
「アラハバキさん、私は大丈夫ですから……!」
相手の巨体や気迫に押されないよう、イロハは更に空を舞う。
そうして攻防を続けていけば――ふいに、不思議な光の切れ目が青い瞳に映し出された。
「風のドラゴンさん、力を貸して下さい……!」
戦斧の刃に風の魔力を乗せつつ、イロハはしっかりと土偶を見た。
出来るなら一撃で。狙うは光の隙間だ。
えいっ、と小さく掛け声も出しながら、勢いよく刃を振るう。鋭く放たれた斬撃は見事にバリアの隙間を縫って、アラハバキの身体を強かに打ち付けた。
けれどこの刃に乗せたのは魔力だけではない。
風が誰かの想いを伝えるように、あなたの優しさに応える猟兵の力や声が届きますように。
「皆であなたも、そして世界も救います……!」
イロハのその祈りに、アラハバキの赤い瞳がちかちかと明滅を返す。
それはまるで、感謝の言葉のようだった。
大成功
🔵🔵🔵
神崎・ナオ
うっわ、ほんとにでっか!?
ふっふっふ~、でもね、巨大化は負けフラグって聞いたことあるよ!
つまり君は既に戦わずして負けているのだぁ(ドヤぁと宣言するも御付きの蝙蝠はやれやれといった感じで後ろで「はぁ」とため息つきながらも、こっそりナオを守る様にオーラ防御を展開しています)
バリアの隙間を的確に狙うんでしょ?
そんなの魔王(見習い)の私にとって造作もな~い!
動き回りながら相手の隙に魔法を叩き込んであげるよ!
ふははは~、私の前では大きな土偶なんてただの的だよ!
(なんて魔王ムーブしているナオに合わせて、周囲に隠れた魔王軍がこっそり攻撃していきます。ナオ本人は自分が攻撃してると思ってます)
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「うっわ、ほんとにでっか!?」
まんまるになった瞳で巨大土偶を見上げ、神崎・ナオ(魔王と勇者のハーフな悪魔・f32386)は思わず叫ぶ。
けれどナオの表情はすぐに得意げなものへと変わり、うんうんと頷いている様子。
「ふっふっふ~、でもね、巨大化は負けフラグって聞いたことあるよ! つまり君は既に戦わずして負けているのだぁ」
びしぃっ! と土偶を指差せば、相手の瞳はちかちか明滅している。その感情は読み取れないが、とりあえず言葉は通じているらしい。
きっと相手が怖気づいたんだ! とドヤ顔するナオの後ろでは、治水蝙蝠が頑張って飛び回っていた。
蝙蝠さんが頑張ってオーラ防御を展開していることも、大きな溜息を吐いたこともナオは気付いていない。
未来の大魔王はひたすら前を見て突き進むのだ。きっと。
「それで、あの土偶はバリアを展開するんでしょ。それでバリアの隙間を的確に狙うんでしょ?」
ナオは後ろで頑張っていた蝙蝠を引き寄せ、共に土偶をじーっと観察していく。
見れば相手の身体は不可思議な光に包まれているが、その光の切れ目も見つけることが出来た。きっとあれがバリアの隙間だろう。
「このくらい魔王(※見習い)の私にとって造作もな~い! よーし、行っちゃうよー!」
『魔杖アヴェントス』を構えつつ、ナオは土偶の周囲を駆け回る。
同時に杖に仕込まれたGPSがぴこぴこと起動すれば、見世物小屋の中にはこっそり隠れた魔王軍の皆様も姿を現していた。
「まずは一発、構えはこんな感じで……、降り注げ~、ミーティアライト!」
ナオがぶんぶん杖を振るえば、降り注ぐ隕石のような魔力がバリアの隙間へ突撃していく。
魔力は着弾と同時に炸裂、土偶の身体を大きく揺らした。
「やった、当たった! この調子でどんどん行こ~!」
ぴょんぴょん跳ねて成果を喜ぶナオだが、彼女は気付いていない。
ナオが格好良く呪文を唱えた魔術は、実は発動していない。隠れ魔王軍の皆様がそれっぽい攻撃をこっそり繰り出してくれただけなのだ。
そんな事実にも気づかずに、ナオは再び杖を振るう。
「もう一発、ミーティアライト!」
詠唱に合わせ、再び隕石型の魔力が土偶を射抜く。またしても凄まじい衝撃が巻き起こり、見世物小屋も大きく揺れた。
「ふははは~、私の前では大きな土偶なんてただの的だよ!」
腰に手を当て渾身のドヤ顔を披露するナオ。
魔王軍の皆様は、そんな彼女に溜息を吐きつつも元気な様子に安堵していた。
大成功
🔵🔵🔵
岩永・勘十郎
「またでっかい図体の奴だな」
と敵を見上げる勘十郎。その【挑発】に乗ってか全身にバリアを張る。
聞いていた通り隙間があって攻撃できるかもしれないが、急所を隙間にするほど戦闘が不慣れではあるまい。
「最初に言っておく、ワシは根競べが大嫌いだ。攻撃が利かないなら捻じ込むまで」
と刀を抜いてUCを発動。物凄い速度で移動する敵も勘十郎の【瞬間思考力】の前では止まって見える。そのまま数え切れないほどのパターンを予測し、その中で最適解を選び出し【残像】が残る程のスピードで敵の“物理&射撃攻撃のダメージを反射するバリア”という存在や事象、概念その物を斬り裂いた。一緒に内包している骸魂諸共。
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ふらり、まるで遊びに来たかのように、岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)は何てことない足取りで小屋の中を進んでいく。
「またでっかい図体の奴だな」
そのまま頭を上げれば、見えるのは巨大な土偶の姿。
けれどその言葉はただの呟きではない。内に籠められた戦意、或いは挑発か。その声色に呼応するよう、土偶も身体を震わせる。
次の瞬間巨体を包んだのは、不可思議に輝く光のバリアだった。
「確かに隙間はあるようだが……戦闘が不慣れな訳でもあるまいな。成程、上手くやっているようだ」
敵の姿を観察しつつ、勘十郎は目を細める。
確かにバリアの切れ目は存在しているが、瞳や関節部分といった弱い部分はしっかり防御しているようだ。
その事実に、勘十郎はむしろ安堵しているようにも見えた。
相手がそれなりの手練れなら、こちらも相応の手段を取るだけだから。
「最初に言っておく、ワシは根競べが大嫌いだ。攻撃が利かないなら捻じ込むまで」
『小銃兼正』を鞘から引き抜き、同時に発動するのは埒外の力。
凄まじい仙力が勘十郎を覆っていけば、敵も異変を察知し動き始めたようだ。
5mの巨体とは思えない速度で土偶だが、勘十郎の表情に焦りの色は滲まない。
彼の瞬間思考力の前では、高速で動き回る相手など恐れるに足りないのだ。
少し目を伏せ、静かな呼吸と共に意識を集中する勘十郎。
彼の脳内では無数の行動パターンが浮かび上がっては消えていく。
小屋の大きさや物の位置、敵の移動パターンと自分の攻撃範囲。これらを計算する上でバリアは別に考慮すべきものではない。
ただひたすら、叩き切ってしまうのだから。
最適解が弾き出された瞬間、勘十郎の身体はほぼ無意識に動いた。
残像が残る勢いで刀を振るい、目指すは相手の身体の中心。
「――万有を返す!」
その一閃は肉体以外や事象、概念のみを斬る神速の一太刀。
仙力を乗せて振るわれる斬撃はバリアごと切り裂き、土偶の内部へ浸透し――骸魂を強かに斬り付ける。
衝撃で土偶の身体は大きく揺らめくが、明滅する瞳からは不思議と暖かな光が覗いていた。
あれはきっとアラハバキ本人の意思だろう。
「次に戦うなら、お前さん本人と戦いたいな。その方がきっと楽しいだろう」
妖怪と手合わせというのも面白そうだ。
そんな勘十郎の言葉にも、アラハバキは小さく瞬きを返していた。
大成功
🔵🔵🔵
二條・心春
UDCアースに住む者として、どちらの世界も妖怪さん達も助けたいです。私も頑張りますね。
これだけ大きいと圧がすごいですね……私の攻撃なんて効かなさそうです。ここは【召喚:蛇竜】でワームさんを召喚して、乗って一緒に戦いましょう。
アラハバキさんの攻撃は強力ですが動きは鈍いようなので、空を飛びながら私の「第六感」で攻撃を予測して伝えて、ワームさんのしなやかな動きで回避します。もし攻撃が当たったら、そう考えると怖いですが……この子が一緒なら、きっと大丈夫。
攻撃を避けながら、こちらは毒の息で反撃です。UDCの呪詛が籠められた毒はアラハバキさんよりは骸魂にはよく効くはず。できる限りダメージを与えたいです。
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生まれ育ったUDCアースにて、骸魂に取り憑かれた妖怪が出現した。
その報せを受け、二條・心春(UDC召喚士・f11004)はすぐに現場へと急行していた。
妖怪達もUDCアースとカクリヨ、双方の世界を救おうとしてくれているのだ。
その想いに報いたい。そう考えると、タブレットを持つ手にも力が入る。
「どちらの世界も妖怪さん達も助けたいです。私も頑張りますね」
決意と共に歩を進め、いざ見世物小屋へ。
その中央には――巨大な土偶妖怪・アラハバキが鎮座していた。
教科書で見たことのある土偶が、そのまま巨大化して佇んでいる。改めて認識した状況のインパクトに、心春の目は思わず丸くなっていた。
「これだけ大きいと圧がすごいですね……私の攻撃なんて効かなさそうです」
ビックリしてばかりもいられない。これは猟兵としての戦いなのだ。
心春は手早くタブレットを操作して、今必要な術式を展開しはじめた。
「力を貸して? 私と一緒に戦ってほしいの」
操作の完了と共に魔法陣が展開されれば、中から飛び出したのは巨大な蛇竜(ワーム)だ。
心春はワームの背に飛び乗ると、共に上空――アラハバキの眼前を目指した。
彼女達の動きに呼応するように土偶の目が輝き、邪悪な魔力が小屋を覆う。骸魂『アラミタマ』が動き出したのだろう。
直後、土偶の瞳が一際大きな輝きを放つ。頬を掠めた熱量からも理解は出来る、あれはきっとビーム攻撃だ。
「ワームさん、攻撃が来ます! 反対側まで飛びましょう!」
心春の叫びにワームが頷けば、その身体は一気に加速していく。
土偶が狙いを定めるより早く動き回れば、ビームが心春達を撃ち抜くことはない。
内心恐怖も渦巻いているけれど、それ以上に心春の気持ちを占めているのはワームへの信頼だ。この子と一緒なら、きっと大丈夫。
敵の動きはゆっくりで、回避を続けていけば隙も生じる。そろそろ反撃の時だ。
ビームの射出が緩やかになった瞬間を見計らい、ワームは翼を一際強く羽撃かせる。
再び相手の眼前へと飛び込めば――。
「……今ですっ!」
ワームが大きく口を開けば、中から溢れるのは毒のブレスだ。
UDC特有の呪詛を含んだ毒は強烈だが――その分、妖怪本体よりも骸魂にとって効果は覿面。
少しずつ薄れる邪悪な気配に、心春も安堵の息を零す。
ブレスの向こう側、滲むように輝く土偶の瞳も、感謝を伝えるように明滅している。
「大丈夫です、貴方も世界も絶対に救いますから……!」
心春の決意は、アラハバキにもきっと強く伝わっていた。
大成功
🔵🔵🔵
久瀬・了介
オブリビオンは殺す。必ず殺す。
身を呈してくれた土偶の妖怪の為にも、確実に仕留める。
怨敵への【呪詛】と怒りを心臓代わりに埋め込まれた「ヴォルテックエンジン」に込め、高圧電流に変換。
電力で身体能力を高め加速し、【早業】で【ダッシュ】し一気に間合いを詰め【先制攻撃】を狙う。飛び立たれる前に一撃を叩き込んでやる。
UC【武装異形化】を仕掛ける。「ハンドキャノン」の攻撃回数を半減、攻撃力を五倍化。
【視力】を凝らしバリアの隙を見抜く。
【スナイパー】技能で的確に隙を狙い、オブリビオンへの憎悪を込めた【呪殺弾】を撃ち込んでやろう。
●
見世物小屋の中に漂う、骸魂の邪悪な気配。
それを肌で感じつつ、久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)は一歩一歩前へと進む。
「オブリビオンは殺す。必ず殺す」
己に課した誓いを言葉で紡ぎ、見上げるのは巨大な土偶・アラハバキだ。
確かにあの土偶の内には骸魂――オブリビオンの気配がしている。その事実が了介の内から怒りを湧き上がらせ、機械仕掛けの心臓が強く脈打った。
けれど同時に思うのは、身を挺して道を作り上げようとしてくれたアラハバキのことだ。
「身を呈してくれた土偶の妖怪の為にも、確実に仕留める」
だから、暫く待っていてくれ。
怨敵への呪詛と怒りを胸に、更にヴォルテックエンジンが唸りをあげる。同時にバチバチと火花が上がり、了介の周囲を高圧電流が包み始めた。
それを動力にして、ひたすらに身体を突き動かす。全てのオブリビオンを殺す、そのために。
目にも留まらぬ速さで前へ、前へ。土偶が動き出すより先に、了介が構えたのはハンドキャノンだ。
けれどバリアは既に展開されてしまっているようで、不思議な煌めきが視界をちらりと掠めた。
「普通に撃ち抜くだけでは殺しきれないか。ならば……」
武器を握る手に力を籠めれば、異形の力が了介自身とハンドキャノンを覆っていく。
あの骸魂を殺すにはどうするのが最適か。思考を巡らせ、了介が出した結論は――。
「攻撃回数を半減、攻撃力を五倍。一撃で、着実に終わらせる」
持ち主の想いに応えるように、ハンドキャノンはどんどん形を変えていく。
銃身はより重く、弾の数は減らす代わりに弾丸の口径はより大きく。
より禍々しく、そして無骨になった銃を構え、了介は敵を睨んだ。
あまり時間は残されていない。土偶はもうすぐ自在に小屋の内部を飛び回るだろう。
それより早く、着実に仕留めなければ。
目を凝らし呼吸を整え、怒りを抱きつつも冷静に。
了介の赤い瞳が土偶のバリアを凝視すれば、狙うべき場所も自ずと見えた。
その方角へ銃口を向け、引き金を引けば、放たれるのは強烈な呪殺弾だ。
「――ああ、今すぐ殺してやる」
オブリビオンを憎悪し、奴らを殺すためだけに作られた弾丸。それは煌めくバリアの隙間を潜り抜け、土偶の身体を見事に撃ち抜く。
衝撃で凄まじい火花が舞うが、傷付けられているのは土偶の内部に潜む骸魂だけだ。
了介の放った強烈な一撃は、確かにオブリビオンを殺す一手となっていった。
大成功
🔵🔵🔵
白斑・物九郎
●SPD
混沌属性の使い手だァ?
ワイルドハント、白斑物九郎
この混沌を統べし砂嵐の王を差し置いてデカいツラ(実際でかい)してくれましてからに
上等ですわ
おたくの混沌と、俺めの混沌
どっちが世界を呑むに相応しいか、直々に相手してやりまさァ
者共、俺めの半径101mから下がりなさいや
アイツが変えた地形、押し流して地形条件をまずイーブンに戻してやりますからよ
・敵の挙動に【野生の勘】で先読みを掛けながら、巨体の股下やらを【ダッシュ】ですり抜け立ち回る
・変じた戦場を【なぎ払い/蹂躙】し、地形デバフを洗い流す目的で『ワイルドドライブⅤ』発動
・同時アラハバキにもブチ込み精神を撹拌(精神攻撃)、アラミタマを引き剥がさん
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カラコロと下駄を打ち鳴らしつつ、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)も見世物小屋へと足を踏み入れる。
佇む巨大な土偶を見上げる彼の表情は、どこか不機嫌そうに見えていた。
何やらこの土偶、混沌属性のビームを放つらしい。物九郎からしてみれば、決して見過ごせることではない。
「ワイルドハント、白斑物九郎。この混沌を統べし砂嵐の王を差し置いてデカいツラしてくれましてからに」
物九郎の言葉に呼応するよう、文字通り大きな頭が重々しい音と共に向きを変える。
赤い瞳が激しく明滅しているのは、アラハバキが怒っているからだろうか。
「上等ですわ。おたくの混沌と、俺めの混沌――どっちが世界を呑むに相応しいか、直々に相手してやりまさァ」
その挑発に乗ったと言わんばかりに、土偶の瞳から眩い光が瞬いた。
真赤な輝きが周囲を照らし、次第に薄れていけば――小屋の内部には見たこともない植物が生えていき、不可思議な気配が周囲を包む。
重苦しくなった空気を肌で感じつつ、物九郎は周囲を一瞥した。
小屋の内部も相当な広さとはいえ、戦う猟兵の数は多い。
「者共、俺めの半径101mから下がりなさいや。アイツが変えた地形、押し流して地形条件をまずイーブンに戻してやりますからよ」
仲間達が後方へと下がったのを確認すれば、あとはひたすら戦うだけ。
物九郎は身を屈め、キマイラの瞬発力を以て地を駆ける。
土偶の方もすかさずビームの射出を行ってきたが、素早く駆け回る相手を射抜くことは難しいようだ。
相手の動きに隙が出来た瞬間を見極め、物九郎は両腕へと力を籠める。
「デッドリーナイン・ナンバーナイン・ダッシュ」
詠唱と共に溢れ出たのは、周囲の色彩と輪郭を狂わすモザイク状の空間だ。
物九郎が腕を振るえば、同時にモザイクも小屋の内部を覆い始めた。
繰り広げられる光景はまさに彼の宣言通り、混沌と混沌のぶつかり合いだった。
最初は小屋全体を覆っていた植物達はあっという間にモザイクに呑まれ、どろりと姿を失っていく。
その混沌の真っ只中を駆け抜けて、物九郎はただひたすらに土偶を目指す。
射程距離まで辿り着いたなら腕を振り上げ、狙いはただアラハバキのド真ん中。
「そんじゃ……アラハバキ、お前さんにも一発ブチ込ませてもらうっスわ。すぐに終わらせまさァ」
振るうは王の一撃、モザイクを纏った重い拳。
その一撃はアラハバキの身体を揺らし、精神を撹拌するが――衝撃でアラミタマとの融合も薄れたようだ。邪悪な気配は確かに薄らいでいる。
混沌同士の戦いを制したのは物九郎の方だろう。先程とは違う穏やかな明滅を返す赤い瞳に、物九郎もまた笑みを返した。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
むぅ…超巨大ドグウ妖怪アラハバキ…!
拙者思うんだ…通常サイズのモンが急に巨大化してやたらビカビカとビーム乱射したらもうエライことになるって…処理的な問題で
ほら見ろ【物理演算の神】がお怒りですぞ!内部メモリ云々どころじゃねぇ!処理落ちだ!【お戯れのバグ】が来るぞォ!
小屋の中全ての物の挙動がおかしくなる!ガタガタと小刻みに震える土偶!と思ったら急に弾けて小屋の壁内をびったんびったんとぶつかって荒ぶっておる!制御不能なんでござるな
自重が重い分よりダメージがでかそうでござるね!頑丈だろうが所詮は土器だしな…
拙者?拙者は今土遁のジツで壁にめり込んでおるよ
神は平等でござるからねシカタナイネ
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「むぅ……超巨大ドグウ妖怪アラハバキ……!」
ごくりと喉を鳴らしつつ、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は巨大な土偶妖怪を見上げていた。
元々の妖怪も大きかったらしいのだが、目の前で暴れるキャバリアサイズの土偶も相当な存在感を放っている。
真赤な瞳からはビームが射出され、土偶が身体を揺する度にドドドと小屋が揺れている。
確かに凄まじくインパクトのある光景だ。だがゲーマーであるエドゥアルトにとって、目の前の光景は別の事象も思い起こさせるものだった。
「拙者思うんだ……通常サイズのモンが急に巨大化してやたらビカビカとビーム乱射したらもうエライことになるって……処理的な問題で……」
そんな風に遠い目をするエドゥアルトの頭上を、突如土偶ビームとは別の光が照らし出す!
慌ててそちらへ視線を向ければ――降臨していたのは、神だった。
その神々しくも禍々しい姿を見遣り、エドゥアルトの額にじわりと汗が滲む。あれは降りてきてはいけない神だ!
「こ、これは……神がお怒りでござる!! ほら見ろ『物理演算の神』がお怒りですぞ!」
ぶんぶん指を振って土偶に指摘するも、土偶はきっと物理演算の神とか分からない。
こうなってしまっては内部メモリ云々どころじゃねぇ。処理落ち祭りだ。
「『お戯れのバグ』が来るぞォ!」
慌てて小屋の外へ逃げ出そうとするエドゥアルトだったが、時既に遅し!
小屋の内部の挙動は完全に狂い、ありとあらゆるものの挙動がおかしくなっていた。
土偶はヤバい痙攣の如くブルブル震えているし、地面とか戦闘の余波で生まれた色んなものの残骸が物理法則を無視して飛び回っている。
かと思えば土偶も合わせて跳ね回り、なんかこう壁とか床とか天井とかにびったんびったん身体をぶつけているではないか。
「ひぃ、巻き込まれたらひとたまりもないでござる! あの土偶、完全に制御不能なんでござるな!」
巨大化している分、土偶も自分の身体を上手く扱えないのだろう。
あの質量で色んなところにぶつかっていたら、その衝撃はかなりのものになっている。
土偶が身体をぶつける度に破片が零れ、それもまた物理演算を無視してぴょんぴょん跳ね回り――完全にカオスなことになっていた。
混沌とした光景を目の前に物理演算の神はただ微笑み、気がつくとエドゥアルトの身体は壁と一体化していた。
バグというのは誰にだって降り注ぐものなのだ。エドゥアルトだって例外ではない。
「神は平等でござるからね、シカタナイネ」
やれやれといった風に肩を竦めるエドゥアルトの傍らで、まだまだ土偶は跳ね回っている。
この状況がいつ収束するかは――神のみぞ知ることだろう。
大成功
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鬼面坊・羅剛
アドリブ歓迎
見るからに頑丈そうな相手だな。
殴り倒すのは骨が折れそうだ。別の手段を講じるとしよう。あまり使いたくはない手だが、戦時とあれば仕方あるまい。
「憑依合体! 鬼面武者ダイラゴウ!」
呼び出した武者髑髏に取り憑いて、巨大な鬼面の武者と化す。
一分と持たない奥の手だが、十秒もあれば十分だ。
矢を番え、弓を引き絞り、意識を集中する。
この一矢の本質は呪詛の塊だ。周囲の環境も遮蔽物も関係ない。
たとえ暴風吹き荒れる嵐の中でも、相手が他人の身体に入っていたとしても、己が対象を認識していさえすれば届く。
狙うは当然、アラハバキに取り憑いているアラミタマ。
災禍を以て、災禍を制す。その一念を込め、撃ち放つ。
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猟兵達との戦いを経て、アラハバキの身体にはいくつもの傷が刻まれてきていた。
けれどその存在感はまだまだ強い。圧倒的な巨体を見上げつつ、鬼面坊・羅剛(幽世の守護者・f29378)は顎を撫でた。
「見るからに頑丈そうな相手だな。殴り倒すのは骨が折れそうだ」
だとすれば別の手段を講じるのがいいだろう。普段はあまり好まない戦法でも、幽世を守るためなら仕方がない。
羅剛は手にした錫杖をそっと地に置き、草臥れた僧衣を脱ぎ捨てる。
御仏の加護を一時的に手放し、悪霊としての力で敵を討つ。これが羅剛の講じた戦い方だ。
「憑依合体! 鬼面武者ダイラゴウ!」
その叫びに呼応して、巨大な骸骨『武者髑髏』が見世物小屋へと降り立った。
羅剛は勢いよく地を蹴り飛ばし、武者髑髏の頭部へと身を寄せる。そのまま悪霊として憑依すれば、武者髑髏は巨大な鬼面の武者と化した。
小屋の中に現れる、自分とは別の圧倒的な存在感。
土偶もそれを感じ取り、瞳を真赤に輝かせている。
その輝きに合わせ、小屋の内部には見たこともない植物が生え始めた。テラフォーミングが始まっているのだろう。
けれどその程度のことは気にすることでもない。むしろ羅剛にとっては、過去の存在へ近づくことによる負荷の方が大きかった。
(一分と持たない奥の手だからな……だが、十秒もあれば十分だ)
鬼面の武者は羅剛の意思に合わせ、手にした弓を握りしめる。
そのまま禍々しい輝きを放つ矢を番え、弓を引き絞り、瞳はただ真っ直ぐに敵を見る。
武者の構える矢は呪詛の塊だ。この矢ならば原初の環境だろうと、戦いの影響で転がった様々な残骸だろうと、無視して敵を射抜くだろう。
しかしアラハバキはそんなことも露知らず、ひたすらビームで周囲を撃ち抜く。
その余波が羅剛の頬を掠めても、集中は決して途切れない。
嵐の中だろうと、何者かの内に存在するものだろうと、羅剛が認識さえしていれば――この矢は必ず届くのだから。
羅剛の内にあったのは強い守護の想いだ。
故郷の妖怪達が命を懸けて世界を救おうとしてくれた。そんな彼らを庇護するのは、きっと自分の役割だ。
「災禍を以て災禍を制す。アラハバキ殿、今助けよう」
一念を籠め、矢を撃ち放つ。
呪詛の塊がひたすらに突き進んでいけば――その先端が土偶の胴を打ち据えて、内部に潜む邪悪な魂だけを見事射抜いた。
衝撃でアラハバキの身体も倒れるが、その瞳からは優しい赤い光が零れていた。
「アラハバキ殿、改めて感謝しよう。この戦い、必ず己達が勝とう」
守り抜いた仲間に頭を下げて、羅剛は見世物小屋を後にする。
目指すは、次の戦いの場だ。
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こうして猟兵達は戦いを制し、アラハバキに取り憑いた骸魂を倒した。
大祓百鬼夜行はまだまだ続く。けれど猟兵達は、着実に前へと進んでいくだろう。
大成功
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