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Seraph of catastrophe

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #大天使ブラキエル #オウガ・フォーミュラ

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 遥か天の彼方より、一つの人影が降りてくる。
 その肉体は彫像めいて美しく、背には穢れなき純白の翼。纏うは色鮮やかなる花々と、眩き光の輪。
『天使』、その呼称に相応しき神々しき美を纏う者。
 なれど、その貌は暗く、重く。失望と、諦観に彩られていた。

「──我が友よ。君の願いは叶わなかった」
 今し方己が降りてきた天を仰ぎ、天使は嘆きの言を発する。今や遠き友へと向けて。
「君は『書架』へと帰るが良い。我は、天上界の扉を開く僅かな可能性を実行しよう」
 告げて、天使は再び地上へ視線を向ける。口元に浮かぶは、自嘲の笑み。
(──もっとも。ヴァルギリオスさえ見逃し、あまつさえ封印された愚か者共が、今更地上の危機に扉を開く事もあるまいが……)
 それでも、僅かでも可能性のあるならば。己の在る以上は。
 口元を決意に引き締め、眼下に見えた都市を見据えて。
 天使の纏う光輪が、一際眩く輝いた。



 その日、かの城塞都市は滅びの禍に飲まれた。
 突如現れた無数の悪魔じみた怪物達、それを率いる悪しきドラゴン。
 悪魔の石からなる剛腕は迎え撃つ騎士を鎧ごと叩き潰し、ドラゴンの肉体は矢にも魔法にも痛痒一つ感じぬ。
 圧倒的な、絶望的なまでの暴威が、人々を飲み込み、虐殺せんとしていた。

 そして今まさに。路地の一角、幼子を抱えた母親が悪魔より逃れんと駆け出して──足を縺れさせ、石畳に倒れ伏す。
 迫る悪魔。号泣する我が子だけは守らんと、その身を強く抱き締める母親。
 其を諸共に石畳の染みに変えんと、悪魔がその石腕を振り上げて──。
「させませんっ!」
 その時だ。母子の背後から駆け寄った騎士の女性が、彼らを庇おうとばかり立ち塞がったのは。
 振り下ろされた石腕は騎士を捉え──なれど輝くその姿、全てを砕かんばかりの剛腕にすら揺らぐことなく。
 直後、更に後方より放たれた矢の雨と、駆けてきたドワーフ戦士達の斧や鎚が、悪魔の総身を貫き砕き、以て打倒せしめた。
「大丈夫ですか?」
 悪魔の肉体が消滅してゆくのを確かめ、騎士は母親を振り返る。頷き、涙声で礼を述べる母親。
「擦り傷がありますね。失礼、手当てを」
 後ろから現れたエルフの一団、その一人が歩み寄って傷に薬を塗ってゆく。
「……しかし、よもや本当にこのような軍勢の襲撃があろうとはな」
 その様を眺めていたドワーフ戦士の一人が、視線を騎士に向けて呟く。この騎士から『近くこの都市に岩の悪魔と闇鉄の竜、そして眩き天使の軍勢が襲い来る』との神託を受けた、と聞いた時は半信半疑であったが。
「ええ。間に合って本当に良かった」
 応える騎士、しかしその顔は厳しい。雑兵ですら、ドワーフの鍛えた鋼鉄の鎧を紙屑の如く引き裂く剛力の持ち主だ。頭目ともなると果たしてどれ程の強さとなるのか。
 ──あの方々が、来てくれたなら。
 そんな淡い希望が脳裏を過ぎるのを、頭を振って否定する。彼らを当てにするより、まずは己らで為し得ることを。
「行きましょう、我々の力で出来得る限り、この街を守るのです」
 騎士の呼びかけに、エルフ達もドワーフ達も頷いて。一団は再び路地を駆けてゆく。



「皆様、ついにこの時がやって参りましたわ!」
 グリモア猟兵、アウレリア・フルブライト(輝くは黄金の闘志・f25694)が猟兵達に呼びかける声音は勇ましく。
「皆様の活躍のおかげで、アックス&ウィザーズの猟書家達の勢力は大きく減退。ついにかの世界の『骸の月』を沈黙せしめる事に成功しました」
 だが無論、これで終わりではない。
「作戦の失敗を悟ったオウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』は、自暴自棄とも言える作戦に出てきました。皆様にはこれを阻止し、そしてかの敵を討ち取って頂きたいのです」
 これが果たされれば、アックス&ウィザーズからの完全な猟書家勢力の放逐が成る。頷く猟兵達。

「ブラキエルはとある城塞都市の近郊に顕現、かの都市へ配下を放って住民達を虐殺せんとしています。皆様にはまずこれを阻止するべく、配下の兵たる『レッサーデーモン』を殲滅して頂きたいのです……が」
 そこには一つの懸念がある。アウレリアが続けて語るところによれば。
「かの敵は通常と異なり、岩でできた巨大な腕を有しているのです。これは単なる飾りではなく、ユーベルコードを大幅に強化する力を有しています」
 しかもどうやら単純な腕力強化という訳でもないらしく、腕を使わないユーベルコードであっても強化されるのだという。
 その上で、数も相当な人数がいるという。かなり厳しい戦いになりそうだが。
「ですが、戦うのは皆様達猟兵だけではありません。かの世界でかつて皆様と共に戦った人々が集い、既に戦っておられます」
 森を焼かれんとしたところを救われたエルフ達、洞窟王国を水没させられようとしたところを救われたドワーフ達。そして。
「彼らを纏めておられるのは、以前皆様と共に戦ったエギュレ神を信仰するパラディン、パティ様です」
 どうやら、再び神託を受けてこの街の危機を救いに駆けつけたらしい。彼らの力を借りれば、かの軍勢にも十分対抗できるだろう、とアウレリアは言う。

「レッサーデーモンを一通り片付けましたら、街の外にいるブラキエルのもとへ向かって頂きたいのですが……その前に、彼の腹心たるオブリビオンを倒さねばなりません」
 兵達の指揮官も兼ねているこのオブリビオンは『暴虐のマギステル』。残虐非道なるドラゴンである。
「彼もまた本来とは異なり『絶対物質ブラキオン』なる物質で出来た鎧で身を守っています」
 この鎧、あらゆる攻撃に対し絶対的な防御力を有する未知の単一分子製の鎧であり、如何なる手段を用いても破壊が叶わない。
「唯一の弱点は、背中の翼の間にある鎧で守られていない部分のみですが……実はもう一つ、この鎧の守りを崩す手段があるようなのです」
 その詳細は予知にては分からなかったものの、先の救援に駆けつけたエルフ達がその手段を知っているらしい。

「マギステルを討ち取りましたら、残るはブラキエルと戦いこれを打ち倒すのみです」
 しかし勿論、ブラキエルは強大なるオブリビオンである。少なくとも、これまで戦った猟書家達、その全てを上回る敵である事は間違いない。
「配下達が有していた『岩の腕』『絶対物質ブラキオン』も扱いますし、何より此方より確実に先にユーベルコードを繰り出してきます。その対処が必要となるでしょう」

 説明を終えたアウレリア、呼吸を一つ整えて。
「かの街の人々を守る為にも、そして猟書家の脅威をかの世界から根絶する為にも! 皆様、どうぞ宜しくお願い致しますわ!」
 そしてその手を掲げれば、己が家の紋章を模したグリモアを輝かせて。猟兵達を、大天使の軍勢迫る街へと送り出してゆく。


五条新一郎
 楽園の扉は開かれるか。
 五条です。

 というわけでいよいよやって参りました猟書家決戦。
 此度はアックス&ウィザーズのオウガ・フォーミュラ、大天使ブラキエルとの決戦でございます。

●このシナリオについて
 このシナリオの難易度は「やや難」です。
 通常より厳しい結果が出やすくなっておりますのでご注意ください。

●目的
 オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』の撃破。

●戦場
 アックス&ウィザーズのとある城塞都市及びその近郊の荒野。
 都市内は割と狭め。

●第一章
 城塞都市内部にて『レッサーデーモン』との「集団戦」です。
 敵は「岩石の腕」を持ち、通常よりユーベルコードの威力が大幅に高まっています。

●第二章
 城塞都市の城門付近にて『暴虐のマギステル』との「ボス戦」です。
 マギステルは「絶対物質ブラキオンの鎧」を装備し、あらゆる攻撃からの絶対的耐性を有します。
 唯一、背中の翼の間だけは鎧に守られていません。

●第三章
 城塞都市近郊の荒野にて、オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』との「ボス戦」です。
 ブラキエルはユーベルコードによる先制攻撃を仕掛けてきます。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章以降後断章投稿時点からプレイングを受け付けます。
 〆切日時についてはタグにて掲示致します。

 第一章は「援軍と共に戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。援軍内訳は下記NPCの項をご参照ください。
 第二章は「鎧に守られていない翼の間を狙う」ことでプレイングボーナスがつきます。また、もう一つプレイングボーナス条件がありますが其方は第二章移行後の断章にてお知らせします。
 第三章は「敵の先制攻撃ユーベルコードに対抗する」ことでプレイングボーナスがつきます。

●NPC
『パティ・ウヴァル』
 20代前半の人間の女性。古き知識の神エギュレを信仰するパラディン。
 温和ですが勇敢。今回もエギュレ神の啓示により救援に駆けつけたようです。
 参考シナリオ『Honor for Minor』

『ドワーフ戦士達』
 洞窟王国に住むドワーフの戦士達。斧や鎚で武装してます。
 参考シナリオ『Wave in Cave』

『エルフの戦士達』
 聖なる木のある森に住むエルフ達。主に弓で武装しています。
 参考シナリオ『Goblin's Gambit』

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 集団戦 『レッサーデーモン』

POW   :    悪魔の三叉槍
【手にした三叉槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    金縛りの呪言
【手で複雑な印を結んで】から【呪いの言葉】を放ち、【相手を金縛り状態にさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    呪いの鎖
【投げつけた三叉槍】が命中した対象を爆破し、更に互いを【呪われた漆黒の鎖】で繋ぐ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

テラ・ウィンディア
パティの助けに来たぞ!

久しぶりだな!この世界の危機とあればおれとて動かざるを得ないぞ!

【戦闘知識】
敵の動きと腕の性質と問題点の把握
既に交戦している援軍の情報も収集して分析

【属性攻撃】
炎を全身と武器に付与

UC発動
【見切り・第六感・残像・空中機動】
高速で飛び回り敵の攻撃を回避
更にパティと連携して
【リミッター解除・二回攻撃・早業・串刺し】
更に身体能力を増強して剣と太刀による連続斬撃から槍に切り替えての串刺し
【遊撃・弾幕・呪殺弾・貫通攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開
離れた敵は呪殺弾による弾幕で金縛りにすると共にドリルビットで貫通したり援軍による攻撃を通しやすくするぞ

ああ
お前らに好きにはさせないぞ!



「はぁぁ……っ!」
「オオオオオオ!!」
 携えた剣を構えれば、パティの身は鋼鉄が如き硬度を纏う。レッサーデーモンの岩腕が槍を振るい、周囲の煉瓦造りの建物を紙裂くが如く引き裂きながら迫る。
 叩きつけられたその一撃を、しかし聖騎士の守りは傷一つ負うことなく食い止める。大振りを止められ、悪魔の挙動が瞬間、止まる。
「グ……ッ!」
「今です……!」
 好機、ユーベルコードを解除し、守りの構えにあった剣を刺突の形に。石畳を蹴り、悪魔の胸を狙って跳躍――だが。
「甘イ!」
「あぐっ!?」
 悪魔が再び動きだすが早かった。振り回された岩腕が聖騎士の身を打ち据え、吹き飛ばす。砲弾じみて民家の外壁へ叩き付けられたパティ。地に膝つき、痛みからすぐには立ち上がれぬ様子。
「死ネ!」
 踏み込むレッサーデーモン。岩腕に握る三叉槍が、聖騎士の脳天目掛けて振り下ろされ――
「させるかぁぁ!!」
 その時。凛と響くは少女の勇ましき声音。迸る朱い剣閃が悪魔の総身を走り抜け、燃え上がる肉体。凍り付いたかの如く動けぬ肉体。既に、その命脈は断たれていた。
「良かった、間に合ったな」
 崩れ落ちる悪魔を背に、パティの前へ着地するは、太刀と長剣を左右に握る黒髪の少女。彼女の姿に、パティは見覚えがあった。
「――あ、あなたは……!」
 希望の光が差したかの如き顔と声音でパティ。そう、この少女こそは、かつて彼女が己の信仰の祖たる者――今は猟書家の一と堕したウィルオーグと対峙した折、共に戦った者の一人。そう。
「ああ。久しぶりだな、パティ!」
 快活なる笑みで以て、猟兵、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は応えた。
「この世界の危機と聞いて、居ても立っても居られなくてな」
「この世界の――ええ、まさにそう思える程の状況です」
 続けてのテラの言に、実感の伴う首肯を返すパティ。
「街には悪魔が溢れ、人々は逃げ惑うを余儀なくされ。私はエルフやドワーフの戦士の方々と共に救援に訪れたものの、戦況は厳しく」
 故に、テラの救援がとても心強いと。パティの笑みには確かな安堵が滲む。
「成程な……だが、おれが来たからにはこの戦い、必ず勝つ!」
 太刀持つ拳を握り気合を表するテラ。頷くパティ。と、そこに。
「人間共! 何処ニ逃ゲタ!」
「隠レテモ無駄ダ! 皆殺シダ!」
 レッサーデーモンの一団が、殺意も露に喚きながら迫り来た。やはり、いずれもがその腕を岩のそれとしている。
「させるものかよ! 行くぞ、パティ!」
「は、はい!」
 言うが早く、ユーベルコードの力以て飛翔するテラ。追ってパティも駆け出す。
「グラビティフィールド、展開!」
 飛翔するテラの身は超重力のフィールドに覆われ、敵する者をその力場に捕えれば挙動を阻害する。
「グ……ヌ、身体ガ……重イ……!」
「コイツ……チョコマカト……!」
 レッサーデーモン達は己の岩腕を重いとは感じていない。パティとの合流までにもかの悪魔と幾度か交戦してきたテラは、そう把握している。
 だが、その身に重力の枷をかけられれば話は別だ。三叉槍を振るう動作は先程までより明らかに鈍り、頭上を飛び回るテラを捉えられない。
 そこに。
「えぇいっ!」
「グアアア!?」
 晒された悪魔の背中を、パティの振り下ろした剣刃が斬り裂く。呻きよろめくレッサーデーモン。
「貴様ァァ……グオォ!?」
「余所見している場合じゃないぞ!」
 重力に苛まれる身を振り向けたレッサーデーモン、その背に今度はテラの振るう刃、無銘太刀と星刃剣の双つが立て続けに襲う。総身を膾と刻まれた悪魔へ、テラが体当たり気味に突撃。
「これで、終いだ!」
 一瞬にして得物は双刃から紅龍の槍へ。悪魔の背より胸を貫いた穂先が、心ノ臓を捉え致命の一撃を為した。
「オノレ、貴様……ガァァッ!」
 残るレッサーデーモン、背中を晒したテラを狙わんと槍を構えるが――そこに飛来するは無数の砲弾と二機のドリル型ビット。弾雨に打たれ、ドリルに抉られた悪魔はそのまま、何もできぬままに倒れ、果てていく。
 其を確かめたテラ、パティへと向き直れば。
「こいつらの好きにはさせない! まだまだ行くぞ!」
 笑みと共に力強く宣言。パティの頷く応えもまた、力強く。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
機神搭乗
やれやれ…解決したと思ったら今度は大決戦か
まぁいい
天上界は僕も興味があるしね
安心安全に行くのも面白い

【情報収集・視力・戦闘知識】
戦況と敵の動き
更に強化したその岩の腕の効果とその弱点や欠点を観察し分析
その情報を援軍や参加者に伝達
集団戦ならこれですね
UC起動
三体ずつ合体して強化
【属性攻撃・迷彩】
光属性を機体とダイウルゴスに付与
光学迷彩で存在を隠し
【念動力・スナイパー】
念動光弾で悪魔の岩腕を狙い破壊を試み
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
接近して鎌剣で切り裂き
可能な限り岩腕を切断して強化効果を無効化を狙
ダイウルゴス
【捕食】で襲い掛かり喰らい付き
そのまま食らうか動きを止めて援軍の攻撃を当てさせ



 城塞都市上空、岩腕の悪魔と其に対抗する戦士達の戦う様子を見下ろす白銀の鎧あり。機神『メルクリウス』、自意識有するサイキックキャバリアだ。
「やれやれ……解決したと思ったら今度は大決戦か」
 そのコクピット内にて戦況を把握せんと務めるはカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)、漸く骸の月を機能停止に追い込んだと思えばオウガ・フォーミュラの暴走じみた行動。最後まで故郷を荒らさんばかりの猟書家達の行動にはうんざり、とばかり溜息をつく。
「だが、まあいい。天上界は僕も興味があるしね」
 然し思考を切り替え、かのオウガ・フォーミュラが為さんとした行為の結果にも興味は及ぶ。未知の世界。或いは、盗賊たる身としての興味かもしれない。
「――さて。敵の戦力はだいたい把握しました」
 暫しの観察の末の結論。敵たるレッサーデーモンの挙動、岩腕の性質。凡そ理解はできた。ならば後は事を為すのみだ。
 然しカシムはその場を動かぬ。何もせぬ訳ではない。此度は安心安全に行く、そう決めただけの事。
「――万物の根源よ、帝竜眼よ――」
 メルクリウスの掌の上、青白く輝く水晶めいた球体を浮かべる。それはかつて帝竜戦役の折、帝竜ワームより強奪せし眼球。今やワームのみならず、他の帝竜達の魔力をも集積した、竜神兵器とでも言うべき代物と化している。
 そして、此度引き出す力は。
「――文明を構成せしめし竜の力を示せ……!」
 詠唱の結びと共に、白銀の機神の周囲に現れ出る無数の黒影。其は竜。石じみた硬質の漆黒を纏う竜。
 ダイウルゴス。帝竜が一にして文明形作る数多の竜の群体。現れ出たる其は、大きく力落とした小型の存在ではあるが。なれどかの敵に対抗し得ぬ存在でもない、とカシムは確信する。
 全部で105体現れたダイウルゴス、3体ずつに分かれてその身を結合させる。瞳に3の文字を浮かべた35体の小帝竜と、白銀の機神の姿が光に揺らめき、消える。

「ちぃ、まともに当たるにはやはり分が悪いか!」
 一方の地上。負傷したドワーフ戦士達が数名、レッサーデーモンの一団を前に身構える。
「くっ、回り込まれました……!」
 その背後ではエルフの戦士達が、側面へと牽制じみて弓を引き構える。回り込んだレッサーデーモン達が、弓射の隙を突いて攻め込まんと手薬煉を引く。
「エルフモドワーフモ、所詮無力ナ人類。我ラニ勝テル道理ナド無シ」
 勝ち誇るかのように笑みを喉より漏らすレッサーデーモン、一歩、また一歩とにじり寄る。ドワーフ達、獲物で牽制しながら退く。だがすぐに限度へ至る。エルフの戦士達がいる。
「死ネ」
 そして引導を渡さんと、三叉槍を掲げた――その時である。
「――ガァァッ!?」
 突如、岩腕に突き刺さった光の弾丸。其は着弾点で爆弾じみた魔力の炸裂を発し。その一撃を以てレッサーデーモンの岩腕を爆散せしめたのである。
 更には急速に降下してきた白銀の巨大鎧が、鎌剣を振り回し周辺の悪魔達を膾と斬り刻み。更には漆黒の竜の一団が飛び込み、その肉体へと食らいついて捕食せんとする。
「……な、何なのですか、これは……」
「ボサっとしとるでない! 今のうちに攻撃だ!」
 突然の援軍に安堵しつつも戸惑いを隠せぬエルフ。彼らを叱咤しながら、ドワーフ達が弱った悪魔達へ襲い掛かり、これを仕留めてゆく。
「さて、ここは大丈夫そうですかね」
 一気に攻勢に出た両種族の様子を見届けて、カシムは満足げに首を振る。次の領域を目指して、機神が再度飛翔を開始した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェイ・ランス
【POW】※連携、アドリブ歓迎
心情:
オウガフォーミュラ、その先兵ねえ……
猟兵は、世界を救うためにいるんだ。なら、今がその時ってね?
って、おあつらえ向きな尖兵だなあ。ま、さっさと【蹂躙】しますかね。
―――Ubel:Code Igel_Löwe Dame.

戦術:
UCにて光の玉に変身。
【世界知識】からの【情報収集】、にて都市の地形を把握。それらを傷つけないようにUCに【誘導弾】を付与し、敵集団に【制圧射撃】を仕掛けていきます。

光に臆せよ魔たるモノよ!……なんてね?


オリヴィア・ローゼンタール
大天使などと仰々しく号しておきながら、民を殺戮するとは!

悪魔に襲われる民のもとへ【ダッシュ】で駆けつける
吸血鬼の【怪力】を以って岩石の剛腕に抗し、聖槍で三叉槍を【受け流す】
【体勢を崩した】ところへ蹴りを叩き込み、援軍の方々と袋叩きにする
遅参失礼、その分は槍働きにて挽回します

聖槍に白き雷霆を纏い(属性攻撃)、【全力魔法】で【灼烈轟雷槍】を放つ
派手なのをいきます! 追撃をお願いします!

聖槍を構えて吶喊し、【鎧砕き】【貫通攻撃】の【ランスチャージ】
近接戦闘に長けるドワーフの方々と共に、悪魔の軍勢を【蹂躙】する
私が前で暴れて引き寄せ(おびき寄せ)ますので、確実に仕留めてください!



 城塞都市の大通りに、悲鳴と咆哮が響き渡る。逃げ惑う、力無き人々と、其を追い回す、岩腕の悪魔達。
 一人の少年が、足を縺れさせ石畳に転倒。背後を見れば、猛悪たる山羊頭は既に目の前。もう逃げられない。少年の本能が悟る。
 悪魔、鋭き牙の生え揃う口部を喜悦に歪め。その手の三叉槍を振りかぶる。最期を予期し、少年は固く眼を閉ざして――
「やらせん!!」
 凛と響く女の声。次いで、金属と金属のぶつかる音。覚悟した結末が来ぬ事に、少年が恐る恐る眼を開き――そして見た。己の前、白銀の槍を掲げ、悪魔の三叉槍を食い止めた修道女――オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の姿を。
「ぐ……っ、く……!」
 歯を食い縛り、衝撃に耐えんと踏ん張る足が石畳に罅を走らせる。悪魔に追い詰められた少年の姿を見たオリヴィア、迷うことなく疾走しその盾となり。岩腕以て振るわれた三叉槍を、己が聖槍で食い止めたが。その威力、鍛え抜いた彼女の膂力をも上回る。
「……はぁっ!」
 だが、無理に押し留めずとも対処は叶う。押し切らんと悪魔が三叉槍へ力籠めるのに合わせ、オリヴィアは聖槍を傾けて力を逃がす。聖槍の柄を滑って三叉槍が地まで滑り、予想外の力の流れに悪魔の姿勢が崩れ。
 よろめく悪魔に、オリヴィアは右脚を槍めいて繰り出す。突き刺さった蹴りで大きくバランスを崩し、如何にか転倒は回避せんともがく悪魔へ、更なる追撃。駆け付けたエルフの戦士達による弓矢の援護射撃。悪魔の胸へ、腹へ、何本もの矢が突き立ち。
 更に駆けてきたドワーフ戦士が斧を叩きつけ――苦悶に吼える悪魔の胸から、不意に人間の腕が突き出てくる。正確には、その背後――手刀以て悪魔の心臓を貫き砕いた金髪の青年――ジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)の腕が。
「オウガ・フォーミュラ、その尖兵。ねえ」
 言葉と共に腕を抜けば、悪魔が崩れ、その身は骸の海へと還る。人々を虐殺するとなれば、成程、悪魔というのはお誂え向きと言えるだろうか。
「――大天使などと仰々しく号しておきながら、悪魔を従え民を殺戮するとは」
 少年を助け起こしつつ応えるオリヴィア、その表情は険しい。修道女たる身にとって、天使を称しながら人々に庇護でなく殺戮を振り撒くかのオウガ・フォーミュラ、尚更に許しがたき存在と見える。
「……お前達も猟兵、か?」
 と、そこにドワーフ達が声をかけてきた。かつて猟兵によって助けられた者達、その存在は確と認識する処である。
「ええ、遅参失礼しました。この分は槍働きにて挽回します」
 少年を送り出した後、彼らに向き直ったオリヴィア。表情に先の如き険は無く柔和なれど、瞳に宿る闘志に変わりは無く。
「遅くなっておいて何だが、猟兵は世界を救うためにいるんだ」
 なら、今がその時ってね? と何処かおどけた調子のジェイ。なれど目つきは真剣そのもの。
「世界を――心強いことだ。此度も、頼りにさせて貰おう」
 その言葉に皮肉げな色は無い。実際に世界の一つも救えそうな力を持つのが猟兵であると、彼らはその目で知っているが故に。頷き応える二人。
 と、その時である。
『居タゾ! 人間共ノ群レダ!』
『殺セ! 皆殺シダ!!』
 更なる悪魔達の集団が、石畳を踏みしめながら迫りくる。その数、十は軽く超えるだろう。更に。
『コレハ我々ノ獲物ダ! オ前達ハ裏路地ニデモ回ルガイイ!』
 彼らと獲物を取り合わんばかりの声を上げ、逆方向からもレッサーデーモンの集団が現れた、無論、全員がその両腕を岩のものとしている。
 挟み撃ち。これがエルフとドワーフ達のみであれば、彼らと言えど倒しきるは無謀と言えそうな集団だ。だが、しかし。
「これくらい居た方が歯応えがある。こっちはオレが引き受けよう」
 エルフ達の後ろを守るかのように、ジェイが進み出る。いくら何でも一人では、と共闘を申し出るエルフだが。
「何、心配は要らないさ。さっさと蹂躙してやるよ」
 ジェイはあくまで自信満々。ならばと後方は彼に任せ。
「我々は前の敵を打ち崩しましょう!」
 前方からはオリヴィアがエルフとドワーフへ呼びかける。応え、彼女の後へ続く戦士達。
「初撃は私が派手にいきます! 皆さんは追撃を!」
 掲げた両腕が黄金の聖槍を高速旋回させる。槍身が白き稲妻を纏い、回転に合わせて電荷の弾ける音を辺りへ響かせて。
「轟け閃光、彼の者どもを灼き穿て――!」
 穂先を悪魔の群れへと向け、聖槍を構え直すと同時。纏われた稲妻が凄絶なる光を帯びて、敵群へと迸る。荒れ狂う轟雷は敵中で渦巻き、悪魔達の身を焼き焦がし痺れさせ。そのまま黒焦げの死体と化す者も少なからず。
「今だ! 一斉発射!」
 やがて雷が収まれば、そこを見計らってエルフ達が一斉射撃を敢行。前衛の頭上を超え、稲妻の一撃を受けて尚倒れぬ悪魔の身へと次々に突き刺さってゆく。稲妻を耐えたる悪魔達も、追撃の矢までは耐えきれず次々倒れてゆく。
『グォ……オノレェ!』
「滅びよ悪魔! お前達が好きにして良い命など、一つとて無い!」
 身を踏ん張らせ、悔しげに吼えるレッサーデーモンを目掛け、オリヴィアが疾走する。狙いは無論一点。繰り出した槍が、寸分の互いなく迫る悪魔へ突き刺さり、その身を鋭く、迷いなく、貫いてみせた。
「今だ、奴に止めを!」
「確実に仕留めてくれる……!」
 深手を負いよろめく悪魔から槍を引き抜き、次なる敵を目掛け駆けゆくオリヴィア。入れ替わるように賭けり来たドワーフ達の斧や鎚が、或いはエルフの矢が打ち倒してゆく。

 一方、後方を担ったジェイは敵集団を見渡し頷く。成程、結構な数だ。然し。
「魔たるモノ共は、光に臆し逃げ回るより他になし――なんてね」
 あくまでも余裕を崩すことなく、一つ頷けば。
「―――Ubel:Code Igel_Löwe Dame」
 唱えると共に、ジェイの身は輝きながら人の形を失い。数瞬の後、其処に在ったのは白く光輝く大きな球体で。
 光球が脈動じみてその輝きを明滅させた後、一際強く輝けば。その身から迸るがただの光だけではない。天を目掛け伸びゆく光線――レーザーが、地上の悪魔達を狙い撃たんとばかりに弧を描く。
 そして降り注ぎゆく光は雨の如く。なれど狙いは正確に。地上の悪魔達を、無数のレーザーが貫き抉り。彼らを次々と灼き滅ぼしてゆく。

 以て、悪魔の一大軍団もまた、都市に大した被害を与えることなく殲滅されていったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ハロ・シエラ
ようやく敵を追い詰める事は出来ましたが、どうやらそのせいで随分厄介な作戦を選んでくれたようですね。
ともかく私には戦う事しかできません、全力を尽くします。

敵のユーベルコードは強化されていますが、武器は槍。
私が敵を【おびき寄せ】ながら戦い、エルフの方々には距離を取って援護射撃をして頂くのが安定しそうですね。
岩なのは腕だけですし、そこ以外は矢も通るのではないでしょうか。
私は敵との距離と敵の槍の長さを【見切り】、ダガーを【瞬間思考力】でその時々に適した長さの槍に変えながら渡り合います。
ダガーの持つ【毒使い】の力で【マヒ攻撃】を行えば、一撃で仕留められなくても被害は抑えられるでしょう。


アナスタシア・ムスハルト
洞窟の親戚(ドワーフならみんな家族・親戚の認識)たち、お久しぶり~……なんて、言ってる場合じゃあなさそうねぇ

親戚たちと一緒に前線で戦うわよぉ
刀で槍を斬り結び……あら? 結構強いわね?
これは最初から本気出していかないと……ね!(怪力)
正面から鍔迫り合い(武器受け)してる間に、親戚に左右から叩いてもらうわぁ

うーん……尖兵でこれって、今回の相手は大変そうねぇ
敵の数は多いけど、一対一は避けて、必ず複数人でかかりましょうか

槍を「見切って」躱して、親戚と同時に斬りかかるわぁ
「剣刃一閃」で「切断」よぉ

もし他の猟兵がピンチなら、親戚製の斧やハンマーを「怪力」で投げつけて援護するわぁ



「洞窟の親戚の皆、お久しぶり~」
「おお、お前は!」
 レッサーデーモンの一団と交戦を開始せんとしていたドワーフ達の前に現れたアナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)の姿を見たドワーフ達は一様に明るい反応を見せる。心強い援軍、というより強い実感を帯びたる反応。
 かつて彼らの地下王国が猟書家『激流のリヴェンタ』の手で水没させられようとしていた時、彼らを救助し、リヴェンタ及び配下のオブリビオン達を打ち倒してみせた猟兵の一人こそが、このアナスタシアであったためだ。
「積もる話も色々ありそうだけど、今はそんな場合じゃなさそうねぇ」
「ええ、漸く敵を追い詰めたは良いですが、おかげで随分厄介な作戦に出たようで」
 アナスタシアのぼやきにハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が応える。アックス&ウィザーズ各地に戦力を送り込んでの殲滅。シンプルだけに厄介だ。
「ともかく私には戦うことしかできません。全力を尽くします」
「そうねえ、まずはあれをやっつけないとねぇ。親戚の皆、手伝うわよぉ」
 それでも、活路はかの悪魔達を倒した先にしか無い。ハロが決意を示すと共に、アナスタシアは『親戚』――彼女にとっては同族なれば血縁の有無を問わず皆親戚である――に協力を申し出る。無論『親戚』たるドワーフ達も、彼らと轡並べるエルフ達も、その申し出を拒みはしない。
 そうこうしているうちに、悪魔達が迫り来る。ハロは短剣を、アナスタシアは太刀を抜き、ドワーフ達と共に迎え撃つ。

「フハハ! ソンナ小サナ刃物デ何ガデキル!」
 ハロの得物を目にしたレッサーデーモンが嘲る声と共に三叉槍を繰り出す。後退ることで躱すハロ、敵の背丈と腕の長さ、そして得物たる槍の長さ――それらを確と見据え、即ち敵の間合いを把握せんとする。
「――侮りましたね。私の『槍』は、お行儀良くはありませんよ!」
 瞳を細め、ハロが身構える。短剣を用いるにしては随分と大きな挙動で。それはまるで、長柄の武器――それこそ槍を扱うかのような。
「――ナニ!?」
 デーモンが驚愕する。その短剣は見る間に柄の、刃の長さを増して。まさしく、槍となってハロの手に収まったのである。
「行きます!」
 サーペントベイン、の銘を持つその短剣は、今や槍と化し。レッサーデーモンを目掛け鋭く繰り出されてゆく。

 アナスタシアが太刀を振るい、レッサーデーモンへと攻めたてる。三叉槍で防ぐ悪魔だが、完全には防げずその身には刀傷が増える。
「エエイ! ワズラワシイ!」
 反撃とばかりに振るった槍を、アナスタシアは太刀にて受ける――が。
(――あら?)
 受け止めたその一撃、存外に重い。受け流し、反撃の刃で斬り捨てんとした意図を修正せざるを得ない程に。
(――これは、最初から本気出していかないと……ね!)
 なれど力勝負ならアナスタシアも望むところ。己の膂力を全開とし、押し込まんとする三叉槍を押し返し、鍔迫り合いの形を作る。その目的は即ち。
「隙ありよ!」
「グアッ!」
 その間にアナスタシアの脇を駆け抜けていったドワーフ達の斧が、悪魔の脇腹を直撃。傷に呻いたところで槍を押し切ったアナスタシア、刃を振り抜きその肉体を両断せしめた。
「皆、この敵思った以上に大変そうよぉ。一対一は避けて、必ず複数人でかかりましょうねぇ」
 尖兵でこれ程の強さ。流石にオウガ・フォーミュラたる者、従える配下も相応の強者ということか。共に戦う者達へ注意を呼びかけつつ、次なる悪魔へと向かってゆく。
 振るわれた槍は屈んで躱す。如何に早く重いとは言え、攻撃動作それ自体は通常の槍の術理の範疇。なれば見切るに特別な注意は要らぬ。
 立ち上がり、その勢いを利して踏み込む。側面からは別のドワーフが仕掛けるのが見える。ならば己も。ドワーフの振るった鎚の一撃を退き躱すレッサーデーモン、その反撃動作を狙ってアナスタシアは太刀を振り抜いた。
 迸る技は剣豪の基礎たる剣技、剣刃一閃。なれど基本故にこそ極めれば何よりも強力なる業。振り抜いた太刀の刃は、そのまま悪魔の身体を深く斬り裂き、その身を骸の海へと還していくのであった。

「グッ! オノレ……!」
 ハロの繰り出す槍を躱し、槍で受け流しながら悪魔は呻く。なれどその挙動は徐々に精彩を欠いてゆく。槍――となった短剣に備わる麻痺毒の力だ。やがてエルフ達の放った矢が降り注げば、払いきれなかった矢が胸に突き刺さり苦悶が漏れる。
「そこです!」
 好機。ハロが思いきり一歩を踏み込めば、突き出された槍は一気にその長さを増して。悪魔の喉元を貫き致命の一撃を与えた。
(やはり、岩腕は矢を通しませんか)
 巨大なる岩腕、見た目通りに防具としての活用も可能と見えた。なれど胴や脚には矢が通る。ならば討ちようはあるということ。そうハロは思案するが。
「貴様ァァ!!」
「っ!?」
 そこへ次なる悪魔の急襲。慌てて構え直すハロだが、敵の動きが一歩先んじると見え――たが。
「……ガッ!?」
 突如、後頭部に突き刺さった衝撃。見れば、地に転がる鋼鉄のハンマー。その向こう、何も持たぬ腕を大きく振り抜いた姿勢のアナスタシアの姿が在る。彼女が投げつけてきたというのか。
「隙ありです!」
 そしてそこで晒した隙が、彼にとっての致命傷となった。繰り出される毒蛇牙の槍と、降り注ぐ矢の雨。全てをまともに受けて、よろめき倒れるレッサーデーモン。
 再び別の悪魔との交戦に入ったアナスタシアの方へ、ハロは視線のみにて礼を告げ。自らも次の悪魔との交戦に入っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎

破れかぶれで大量虐殺…絶対させへん!
でもこんなんがなんで大天使名乗れるん?
こいつの言う天上界ってろくな所じゃない気がひしひしと…

援軍には隠れていて貰い鼓舞+結界術で保護強化

限界突破+先制攻撃で先手にてUC展開
薙刀と霊符から雷霆と火焔で派手に敵耳目を集める
敵が弱り注意をこちらに惹いたところで援軍にも攻撃参加を合図

範囲攻撃+マヒ攻撃+毒使い+鎧無視攻撃+破魔+フェイントで攻撃
援軍に敵注意が向いたら
ダッシュで駆けつけシールドバッシュで吹き飛ばす
こんな美女から目ぇ逸らしてどないしたん?
私の魅力(物理)、眩しすぎ?

敵攻撃は冷静に見切り、盾受け+武器受け+カウンター+敵を盾にするで対処



「破れかぶれで大量虐殺……絶対させへん!」
 そう決意を示すはクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)、彼女は今、独りで城塞都市の広場に陣取っていた。
(でも、あんなんが何で大天使名乗れるんやろ)
 ふと脳裏に浮かんだ疑問。如何に天使が慈悲深いだけの存在とは限らぬとて、罪なき人々を虐殺する等は流石に神の御使いたる者の行いとは思えぬし、思いたくもない。
(あいつの言う天上界って、ロクな処じゃない気がひしひしするわ……)
 或いは、単にかの大天使がオブリビオン化に伴って人格に歪みを生じたか。そうであって欲しいという気もする。
「フハハ、エルフガ一匹! 何ダ、逃ゲ遅レカ!」
「ナラバ先ニ死ヌガイイ! 家族ニモスグ後ヲ追ワセテヤロウ!」
 そこに現れ迫る、レッサーデーモンの一団、クルルの姿を見つければ、足音も荒く一目散に迫り来る。
「あらあら、随分がっついてどないしたん?」
 そない私に見惚れてしもたん――と悪戯めいて語りかけるが早いか、その全身から凄まじいまでの雷と炎とが溢れ出しデーモンを襲う。
「せやけど、私の好みと違うねえ。出直してや」
 嫣然と微笑むクルル、その手には薄紅と白の花が渦巻く柄を有する薙刀と、あでやかに赭い赭い花が漉き込まれた霊符。薙刀の刃が電荷を纏い、符は次々と炎と化して周囲を巡る。
「グ、キ、貴様……!?」
「オノレ、弱者ノ分際デ! 叩キ潰シテクレルワ!」
 突然の攻撃に激したか、レッサーデーモン達は一斉にクルル目掛け殺到する。雷が、焔がその身を焼き焦がすも構わず、クルルを仕留めんと三叉槍を投げつけるが。
「おっと、横着したらあかんよ?」
 浮かび上がるはクルルの身の丈より尚大きいと見える巨大盾。呪い帯びたる三叉槍を弾き飛ばす。なれど盾の消耗も大きく、何発も纏めて飛んでくれば持ち堪えられるかどうかは怪しい。そのような状況なれど、クルルがあくまで余裕を崩さず。
 嵩に着てクルルへの攻勢を重ねるレッサーデーモン、その一団が広場の中心に集まって来れば――クルルの口角が吊り上がる。
「――皆、出番やで!」
 呼びかけると同時。付近の建物やその影、細い路地から一斉に降り注ぐ矢の雨。エルフの戦士達が放ったもの。そして駆け迫るドワーフ戦士達が、突然の異変に動揺するレッサーデーモン達へと各々の得物を振り下ろす。それこそは、彼らに伏兵となって貰い己は単独で地上にての囮を務める――というものだ。
 策は見事にハマり、元々クルルの術で弱らされていた上に奇襲を受けては一たまりもない。次々に致命傷を受け斃れてゆく。
 一部の者は反撃を試みたようだが、援軍の者達へ視線を向けた隙に飛来した盾がその身を吹き飛ばしてゆく。
「こんな美女から目ぇ逸らしてどないしたん?」
 私の魅力、眩しすぎ? と、何処かの宣伝文句じみた言を以て。数を減らしゆく悪魔達の様子を見守るクルルであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユリウス・リウィウス
いよいよオウガ・フォーミュラご当人がお出ましか。
まずは前座を片付けさせてもらおう。

「恐怖を与える」「範囲攻撃」の死霊の霧でレッサーデーモンどもを恐怖のどん底に叩き落とす。霧の見せる幻影の人影で惑わし、狂乱を加速させてやろう。
エルフの戦士達、霧の中を狙って一斉射撃だ。

霧を抜けてきたなら、立ち直る暇は与えん。素早く「切り込み」、双剣で「生命力吸収」と「精神攻撃」を仕掛けて、手早く数を減らしていこう。
白兵戦ならドワーフの領分だな。奴らが恐怖に囚われているうちに、その重武装で叩き潰してくれ。

下っ端のくせに面倒な奴らだ。皆、無理はするなよ。
ふん、聖騎士殿の面前で屍術を使うのは、まずいよなあ、なあ、おい。



「グッ、オオッ!? オノレ、人間共、人間共……ッ!」
「ドコダ! ドコヘ隠レタ……ッ!!」
 立ち込める霧の中、狂乱した様子で手あたり次第に槍を振り回すレッサーデーモン達。その様相は、恐怖――他の存在に対する恐怖に駆られているかのようで。
 霧立ち込める一帯を前に、悪魔達の狂乱する様子を油断なく見据える騎士あり。ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)。今、かの悪魔を包んでいる霧は、彼のユーベルコードの産物。虐殺された死者の怨念を孕む冷たい霧。未だこの地で虐殺は起きていないものの、此れから其を為そうとしていた者には随分と効果覿面と見えて。時折霧の中に現れる人影に怯え、只管に槍を振り回していた。
「――さあ、皆。今なら奴らはお前達に手出しする余裕は無い。霧の中を狙って一斉射撃だ」
「……は、はい!」
 外からであれば、霧の中の悪魔達を視認することは可能。応えたエルフ達が一斉に弓を引き、矢を撃ち出し始める。全身に矢を受け、一体、また一体とデーモンが倒れていく。
「オ、オノレ……! ヌ、抜ケ出シタカ……!」
 狂乱の中、逃げるという選択を取った結果、辛うじて霧から逃れることに成功する悪魔も中にはいる。だが彼らにも、正気を取り戻す時間は残されていなかった。
「霧を逃れれば解放される、と思ったか?甘いな」
 彼らの目の前には、双の剣を構えるユリウスの姿。その剣――それぞれ『ソウルサッカー』『ライフイーター』の銘を持つ双の刃が踊るたび、悪魔達は魂を、肉体を削られ、その精神に再び恐怖を刻まれ。あたかも生きながらにして異形の怪物に喰われるような感覚の中、精神を破壊され倒れてゆく。
 その間にも、断続的にと悪魔達が霧の影響外へと脱出してゆく。だがその都度、ドワーフの戦士達がその周囲へと集まっては、これを集団で殴り倒し仕留めて回る。敵が恐怖を脱せぬうちに仕留めよ、というユリウスからの助言による。
「しかし――」
 ユリウスはふと思案する。此度の任務、最終目標はブラキエルの撃破。即ち、今戦っているレッサーデーモンは前座でしかないのだ。にも拘らず。
(圧倒的な攻撃力の岩腕。全く、面倒なことだ)
 油断すれば、ユリウスとて痛打を貰いかねない程の威力ある剛腕だ。前座でこれとなると、果たして続く指揮官戦、そして最終目標たる大天使は如何なる力を以て攻めてくるのだろうか。
 無理はするな、と友軍に呼びかければ、エルフ達もドワーフ達も、其々に同意の返答を返す。

(――そういえば。聖騎士殿は此方にはいないようだな)
 ふと、残る友軍であるパティの存在を思い出す。こことは別の領域にて、今もデーモン相手に戦っているのだろうか。だが、ユリウスにとっては都合が良いとも言えた。
「――ふん、聖騎士殿の面前で屍術を使うのは、まずいよなあ」
 故あって正道を歩めなかった騎士であるユリウス。如何にも正道の騎士と見えるかの聖騎士の存在には、些かならず思う処があるようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
何とも大変な状況ですねぇ。

まずは、少しでも被害を減らしましょう。
『F●S』各種を展開し『FBS』を四肢に嵌め飛行、【秤濤】を使用しますねぇ。
『魅了』で同士討ちを誘えれば最良ですが、狙いを私に集められれば十分、効きの弱い相手はパティさん達に『続く攻撃までの足止め』をお願いしますぅ。
或る程度此方に狙いが集まりましたら『超重力波』による広域への[範囲攻撃]を行いましょう。
強化されているとはいえ、攻撃手段が『槍』で有る以上『射程に入らず、重力波で投擲を防ぐ』ことで対処可能ですぅ。
後は、それでも放たれた攻撃を『FMS』のバリアで防ぎ『FRS』『FSS』の[砲撃]で仕留めますねぇ。



「皆さん、お手伝いに参りましたよぉ」
 パティ達救援部隊の本隊の前に現れた一人の猟兵。彼女の存在は、救援部隊の者達全員の知る処であった。
「おお、お前か!」
 ドワーフ達にとっては、激流の猟書家の操る水から逃れる手立てを与えてくれた者。
「貴方は……!」
 エルフ達にとっては、故郷の森を燃やそうとするゴブリンを己等に代わって殲滅してくれた者。
「……心強いです……!」
 そしてパティにとっては、猟書家と堕した己の信仰の祖に対し引導を渡してくれた者。
 それらの任務、その全てに彼女――夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は参戦していたが故に。
「はい、皆さんお久しぶりですぅ。然し、何とも大変な状況ですねぇ」
 彼らに応えつつも、るこるは現状を思案する。大幅な強化を受けたレッサーデーモン達が殺戮を試み回っているという現状。まずは、かの敵による被害を少しでも減らすことだ。
「ええ、状況は未だ予断を許しませんが、何とか一人でも多くの命を救わねば」
 パティの応えにるこるもまた頷き。四肢の戦輪の力で以て飛翔すると、都市の一角、少なからぬレッサーデーモンが闊歩する領域へと向かってゆく。

「フハハハ! 人間共ガ群レデヤッテ来たゾ!」
 その区画へ踏み込んだ一行を、早速とばかり多数のレッサーデーモンが迎える。士気も十分とばかりに、岩と化した手に手に槍を携え、るこる、或いは地上のパティ達へと迫ってゆく。
(これは早急に止めねばなりませんねぇ)
 成程、視認して尚更にその脅威を理解した。るこるは両手を組み、己の奉ずる豊穣女神への祈りを捧げ始める。
「大いなる豊饒の女神、その御力の欠片による裁きをお与え下さい――」
 祈りと共に、るこるの身を魅力高める乳白色のオーラが纏い。その身を基点に放たれた乳白色の波動が戦場を駆け抜けてゆく。
「グ、ヌ……ナン、ダ……?」
 訝しむような視線と共に、るこるを見上げるデーモン達。魅了効果を有するその術、同士討ちを誘うとまではいかなかったが、少なくとも己に視線を集中させることはできたようだ。それだけでも充分、るこるはそう判断する。そして。
「――これで、倒れてください!」
 再度、戦場を駆け抜けた波動。だが此度の効果は魅了ではない。即ち。
「――グオオオオ!? ツ、潰レル……!?」
 直立困難な程の猛烈なる超重力。その場のレッサーデーモン達の大半が、石畳の上に押し潰されるかのように倒れて戦闘行動不可能となり、残る者達も辛うじて立っているとさえ言える程の状態。攻撃も移動も侭ならぬ、と言える状態。
「そして、これで決めますよぉ!」
 展開されるは浮遊兵器群、放たれる砲撃。熱線と炸裂弾とが悪魔の身を打ち据え、撃ち砕き。然程時間もかけることなく、全滅に至らしめた。

成功 🔵​🔵​🔴​

レテイシャ・マグナカルタ
●設定
前回エルフの森を救った後、リストを手に入れて動き出すゴブリンが現れないようにソロ冒険者として巣を潰して周っていて偶々この都市に居た

●行動
面識のあるエルフ戦士達の戦う敵へ文字通り”飛び”蹴りで乱入して助けるぜ
間に合ったみてぇだな!オレも一緒に戦うぜ!
見た所あの腕が厄介か…だけど力を合わせりゃなんとでもなるさ!

岩だろうが鋼だろうが所詮は腕だ、つまり関節で動いてる
エルフ達に矢で目潰しや土の魔法で転ばせてもらいながら接近して関節技を決めるぜ
後は折る、もぎ取る、他の敵に投げつけると暴れさせてもらう!

油断すりゃ巣を潰すどころかこっちが捕まえられるような狡猾なゴブリンに比べりゃやりやすい相手だぜ



「おらぁぁぁ!!」
「グオォ!?」
 勇ましい雄叫びと共に、レッサーデーモンの後頭部に衝撃が走る。背後から飛来した何者かによる、文字通りの『飛び』蹴りだ。
 よろめき、たたらを踏むデーモン。その身にエルフ達の放った矢や刃が次々と突き刺さり、そのまま力尽きて骸の海へと還っていった。
「――どうやら間に合ったみてぇだな!」
「あ、あなたは!」
 金髪靡かせる青い翼と尾のドラゴニアンの女性。その姿に見覚えのあるエルフ達が声を上げる。
「ああ、久しぶりだ。オレも一緒に戦うぜ!」
 彼女――レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は、かつてエルフの森をゴブリンの軍団が襲った事件の中で彼らと友誼を得た。その後、ゴブリンがかの森を襲った原因――猟書家『チーフメイド・アレキサンドライト』が遺した襲うべき森のリストを入手したゴブリンが行動を起こさぬよう、この世界の冒険者に紛れて巣を潰して回っていたのだという。その中で偶々この都市に滞在していた処に、此度の事件に巻き込まれたのだとか。
「ありがとう! あなたが手伝ってくれるならとても心強いです……!」
「おう! で、あれが敵ってワケか」
 快活な笑みでエルフに応えてみせたレテイシャ、早速彼らの対峙していたレッサーデーモンに目線を向ける。筋肉質の肉体、山羊めいた頭と下半身。片手に三叉槍。そして何より、岩石でできた巨大な腕。明確に、あれが脅威と言える。
「ええ、あの腕のおかげか、ユーベルコードの効果がより強く……」
「なるほどな。だが対処法はある」
 岩腕について説明されれば、早速とばかり対処を提案してみせる。その対処とは。

「さあデカブツ!オレが相手だ!」
 作戦会議を経て、敵やるレッサーデーモンと対峙するレテイシャ。
「ハ! 愚カナリ人間共! 叩キ潰サレルガイイ!!」
 対するデーモン、三叉槍を思い切り振り下ろさんと、一歩踏み込んで――
「ヌオッ!?」
 突如ぬかるむ地面。足が流れてバランスを崩すデーモン。更に顔を目掛けて矢が降り注いできたとなれば、顔を庇うより他にない。好機。レテイシャはそんなレッサーデーモンへと飛び掛かって。
「捉えたぜ……!」
「ナニッ!?」
 そして捕まえたのは……何と岩腕。全身で相手の片腕に抱き着くかの如き、十字固めめいた姿勢だ。
「貴様、ドウイウツモリダ……!?」
「岩だろうが鋼だろうが所詮は腕、つまり関節がある」
「!」
 そう、材質が何であれ『腕』としての機能を果たす以上、手指の関節が存在しなければならない。そしてこの岩腕には関節が存在する。つまり。
「力を籠めれば、このまま圧し折るコトだってできるってコトだ!」
「ナ……!? ヤ、ヤメロ、ヤメ――アガァァァァァ!?」
 そして岩腕全体に伝わる粉砕音。実に89tまでの物体を持ち上げることが可能なレテイシャの膂力をまともに受ければ、如何に魔術的に強化されているだろう岩腕とて耐えることは不可能だったということか。
「へへっ、うまくいったな! それじゃ、こいつは返す――ぜ!」
 勝者の証じみて、折れた右岩腕を掲げるレテイシャ。そして当のレッサーデーモン目掛けて叩きつけ、以てかの敵の頭蓋を砕き、仕留めてみせた。
「確かに強けけどな。正直、ゴブリンよりはやりやすい相手だぜ」
 レテイシャの発言に、思わず納得してしまうエルフ達であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
最後の戦いだからこそ気を引き締めていくぞ
目標は当然全員生還だ!

UCで呼ぶ大地の巨人はダイヤモンドでありながら普段より細身にして
オレの視野の広さと関節の強さを補強するぞ
パティの無敵城塞と一緒にオレがレッサーデーモン達を引き付け皆も守る、
だから攻撃はエルフ達の遠距離攻撃やドワーフ達の遊撃に頼らせて貰うぜ!

攻撃重視の悪魔には槍の射程ギリギリまで引き付けて躱し、
命中率重視なら仲間やオレ、巨人の弱い箇所には当たらない様に巨人の巨大武器で受け止め、
攻撃回数が多いなら攻撃も狙いも低いのを逆手にとって向きを逸らし悪魔同士の相打ちさせるぞ
お前達は誰も殺せないし、どれだけ強くてもオレ達の友情で打ち砕いてやるぜ!



「気を引き締めて行くぞ! 目標は当然全員生還だ!」
「はい!」「「おおお!」」
 聖騎士パティと共に一団の先頭を征くグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)が、パティと後に続くエルフとドワーフの戦士達へ呼びかける。
 生身ではない。その身はユーベルコードにて呼び出した大地の巨人の中だ。肉体は煌めくダイヤモンドで形作られ、普段よりも細身の造形。以て、グァーネッツォ自身の視野と関節強度を確保した形だ。
「お前が来てくれた事、嬉しく思う。今回も頼りにさせて貰おう」
「ああ、任せておけ!」
 最前を駆けるドワーフの声に、自信滾らせ応えるグァーネッツォ。かつて猟書家『激流のリヴェンタ』の手で水没させられんとした地下王国を救った彼女の力は、ドワーフ達も認めるところである。
 程なく、通りを行くレッサーデーモンの集団を発見。グァーネッツォ達に気付けば、彼女の身を鎧う巨人に一瞬驚いたようだが、問題ないとばかりにその岩腕へ三叉槍を構え。戦闘態勢に入る。
「敵の攻撃はオレとパティで引き付ける! エルフとドワーフの皆、攻撃は任せるぞ!」
 各々の役割分担を伝え、グァーネッツォの乗る金剛石巨人とパティは一目散に敵中へ突入。戦闘の開始である。

「ソンナモノ、コノ槍で打チ砕イテクレル!」
 最初に相対したレッサーデーモンは、石畳を踏み砕かんばかりの勢いで力強く踏み込み、腰の入った刺突を繰り出しにかかる。如何に石巨人といえど、元々衝撃にはあまり強くないダイヤモンド、それも機動性重視で細身とした代物だ。まともに受けるべきではない。
 判じたグァーネッツォ、槍の長さから間合いを測り、ギリギリ間合いの外へと位置を取る。繰り出された槍、空を切る。
「隙ありだ!」
 そこへ横合いから飛び込んできたドワーフ騎士の一撃。岩腕を潜り抜けた小柄が斧を振るえば、脇腹を深く割かれた悪魔はそのまま倒れ、骸の海へと還ってゆく。
「オノレ! 小賢シイ!」
 直後、その後ろから新たなレッサーデーモンが踏み込んでくる。大きく薙ぎ払うような三叉槍の一撃は、ドワーフ達とグァーネッツォ、パティを纏めて薙ぎ倒さんとするものだ。
「させるもんか!」
 対してグァーネッツォは動く。己が鎧う巨人の手に握られた、竜骨斧を模したる金剛斧を地に突き立て、振るわれる三叉槍を受け止める。
「ぐ……っく!」
 岩腕によって強化されたユーベルコードの攻撃は、威力を重視したものでなくとも相当に重い。巨人の力でなくば吹き飛ばされていてもおかしくない程だ。だがグァーネッツォは食い止める。巨人の力を以て。
 そこへ降り注ぐエルフ達の矢が、悪魔の身へと次々と突き立つ。最後に飛来した一矢に額を射抜かれ、それが致命となったか悪魔の身体がゆっくり傾ぎ、地に伏した。
「「オオオオオ!」」
 間髪入れず、更なる悪魔の襲撃。今度は複数体が同時に突破を目論んでいるようだ。
「パティ、そっちは任せた!」
「はい! 引き受けます!」
 そのうちの一体に対しパティが斬りかかる――と見せ、悪魔の槍が繰り出される刹那にユーベルコードを発動。輝く身体は槍を受けても傷一つつかず、その衝撃を受け止めきる。
 グァーネッツォに対しては、二体の悪魔が次々と刺突を繰り出してきていた。最初の一体のような渾身の一撃ではなく、手数を重視したものだ。故に威力は低く狙いも粗い。
「そんな攻撃で、こいつは砕けないぜ!」
 ダイヤモンド装甲の斜面を駆使し、グァーネッツォは刺突攻撃を巧みに捌いてゆく。斜面を滑った槍先が、勢い余ってパティへ仕掛ける悪魔の背へ。
「グァ……!?」
「シ、シマッタ……!」
 予想外のダメージと、仲間に攻撃を当ててしまった事実に、それぞれ動揺を隠せぬ悪魔達。それは無論のこと、致命的な隙を生む。
 パティの背後から飛来した矢が悪魔の全身を穿ち、ドワーフ達の斧が悪魔の背を引き裂く。そして。
「お前達は誰も殺せない! どんなに強くなろうと、オレ達の友情で打ち砕いてやるぜ!」
 グァーネッツォの吼えると共に、金剛巨人の振るった斧が、悪魔達を纏めて吹き飛ばしてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ絡み連携歓迎

さて、市街地戦だけど…
古都すぎてキャバリアには狭いかな?
それにオカルトはまだまだ詳しくないからねえ
ってわけで基本的にパティさんを支援してイクよ♪

「アタシは医者さ。コイツは新しすぎる知識の産物だけど…」

大通りに一旦着陸したら彼女(&他の猟兵)を呼び寄せ
【アーマード・プレジャー】を無針注射器で手早く投与
『攻撃』と認識した心身の有害事象に幅広く対処を…
騎士なら耐久力も高いだろうし事故死は防げるさ

「OK、アタシはこの鉄人形で上から援護するよ」

後は『ナインス・ライン』に戻って離陸
『インパクト・ボルト』で滞空しつつ火器類で援護射撃
友軍を『ウインド・ミル』に庇わせたりもするよ


彩波・いちご
奏莉さんと

理緒さんから奏莉さんを守るよう言われましたし、しっかり支えましょう
…奏莉さんが転ばないように気を付けて見てますね

保護者気分はありますが、戦い自体は真面目に
エルフの方々とも協力して、まずは悪魔退治です

奏莉さんが前に行くので、私もいざという時は守れるよう前に
【異界の顕現】にて六尾の邪神雄依代体に変化し、鋭くなった爪で悪魔を切り裂いていきましょう
強化された身体能力で瞬時に懐に飛び込み、全力で爪を振るって薙ぎ払い、衝撃波を伴う範囲攻撃で周りの悪魔もまとめて吹き飛ばします

もちろん戦いながらも奏莉さんの様子には気を配り
要所要所で庇いつつ

…これで少しはお兄さんの威厳も保てましたかね?(くす


菫宮・奏莉
ついにラスボスですね!
ここは『エルフの戦士さん達』といっしょに戦うのですよ!

【禁足結界】でデーモンさんを足止めしたら、
エルフさんたちに弓で援護してもらいながら、
【オーラ防御】を纏って突撃です!

……さすがに今回は、コケたりしないですよ?

【怪力】をのせた【松葉杖】で【なぎ払】って、
デーモンさんを【吹き飛ばし】……て……。

いちごお兄ちゃんが真面目に戦っていますのです!?
す、すごいのです。ちゃんと強いのです!

『真面目なときははかっこいいんだよ』
っていうのほんとでしたのですね……。
お姉ちゃん疑ってごめんなさいなのですよ。

ではではお兄ちゃん!
あらためまして、デーモンさんをいっしょにやっつけるのです!



「おお、貴方は!」
「はい、今回も一緒に戦うのですよ!」
 城塞都市の大通りに次いで現れた少女猟兵。その姿にエルフ達が湧く。かつて彼らの故郷たる森へゴブリンの集団が焼き討ちをかけた際、其を阻止し多くのエルフ達を救った猟兵の一人が彼女――菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)であるが故に。
「然し相変わらず生傷の絶えぬ身でおられる様子。お気をつけ下さい」
 尚、ほぼいつも全身何処かしらを負傷している奏莉の姿については、猟兵として激しい戦いに身を置いているが故と認識している模様。
「大丈夫です、彼女のことは私がしっかり守り、支えますから」
 その奏莉の後ろから歩み来た彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が頷き請け負う。いちごとも親しい奏莉の姉、彼女から任されているというのもあるから、と。
「……転んだりしないよう、気を付けて見てますね」
「さ、流石に今回はコケたりしないですよ?」
 何しろ一挙手一投足ごとに転んだりぶつけたりグネったりするレベルで不幸とドジが付き纏う奏莉である。姉としてもいちごとしても、そこが心配ではあるようだが。今回のような状況なら大丈夫、と奏莉は少し憮然としつつ。
 と、その時。上空から響くは重々しい排気音と炎の噴き出る音。一同が見上げれば、上空より大通りに降りてくる、闇蒼色の重厚なる大型の人型機械――キャバリアだ。
 色めき立つ救援部隊の面々を、あれは味方だと説きながらいちごが制する。着地を果たした人型、その胸部装甲が展開されれば、中から現れるは一人の小柄なる少女――に見える女性。
「おー、いたいた。アンタがパティさんかな?」
「は、はい! あなたも猟兵さん……ですか?」
 地上の面々に視線を巡らせつつパティを呼べば、すぐさま応えた女騎士が進み出る。
「ああ、アタシは猟兵で、医者さ。正規の医者じゃないけれどもね」
 幼くも何処か艶めいた表情のリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は問いに答えつつ、いちご達を認めれば手招きする。二人が応えて近づけば。
「なんで、直接戦闘よりは支援がメインになるかな。こーゆーのとかさっ♪」
 一旦乗機から地上に降りた彼女、その手に取り出したるは一本の注射器――に似た器具。針を用いることなく薬液等を体内に注入する、所謂無針注射器である。
「それは……?」
 怪訝そうなパティ。リーゼロッテは更に笑みを深めながら応える。
「コイツは新しすぎる知識の産物。カラダが壊れにくくなるオクスリさ。敵の攻撃に対する備えとしてね」
 厳密には『攻撃』と認識される心身の有害事象に幅広く対処するものであること、依存性や後遺症は無いこと等、一通りその『薬』――己のユーベルコードによって生み出したそれの説明を為すリーゼロッテ。色々な意味で怪しい雰囲気の代物ではあるが、とりあえず害は無いと分かれば拒む理由は無い。
「こっちでお注射されることになるとは予想外なのです」
「ま、まあ特に痛みがあるわけではないようですし」
 奏莉といちごも含め、その場に居る者達が一通り『薬』の摂取を受けたところで。
「ナンダ、アノデカブツハ」
「人間ドモノ作ッタモノダロウ、壊シテシマエ」
 レッサーデーモンの集団が次々と歩み出てくる。これまでにない多勢。パティ達だけならば叶わぬだろう数での一斉攻撃だ。
「なんて数……! ですが、今は我々だけが戦うのではありません!」
 そう、猟兵達がいる。確信的な信頼をもってパティは頷く。
「ええ、悪魔退治と参りましょう」
 奏莉の保護者として参加という部分はありつつも、戦い自体は真面目に。確たる意思を以ていちごは頷く。
「ラスボスへの道を開くためにっ! 皆さん、一緒に戦うのです!」
 松葉杖を模した勇者の剣を掲げ、奏莉が呼びかければ。エルフ達も鬨の声を上げて応える。戦いの始まりである。

「OK、アタシはこの鉄人形で上から援護するよ」
 再び己の乗機――魔改造量産型キャバリア『ナインス・ライン』に乗り込んだリーゼロッテはそう告げ、機体を呼び出したヘリドローンと接続。双発型のプロペラ回転の力で以て巨大なる鋼鉄が地より浮き上がり、城塞都市の上空へ飛び上がってゆく。
「それでは突撃……の前に! あのデーモンさん達を足止めです!」
 奏莉が松葉杖を掲げれば、敵陣一帯を強烈な重力場が覆い、レッサーデーモン達の進軍速度が目に見えて低下する。
「……っとと。では改めて突撃です! 皆さん、援護はお任せします!」
 発動したユーベルコードの代償として血を失い、ふらつく奏莉。だがそんな場合ではない。己の身より闘気にも似たオーラを発し、デーモン目掛け駆け出してゆく。
「いあ……いあ……無限無窮の最奥より、夢見る力をこの内に……」
 いちごも黙ってはいない。彼女と共に前に出るべく、その身に宿す邪神の力を覚醒させる。妖狐たる身に元より備わる尾の数が合わせて六に増え、その身体能力を爆発的に向上。以て、デーモン達のもとへ駆けだしてゆく。
「ええーいっ!」
 奏莉が松葉杖を大きく振るう。デーモン、身を守ろうとするも重力場により動きの鈍い状況では些か遅く。
「ゴフォォォォォ!?」
 あどけない見目からは想像もつかない膂力を以て振るわれた松葉杖の一撃が、大きな悪魔達を薙ぎ倒し吹き飛ばす。それを乗り越え奏莉に迫らんとする悪魔達のもとへは、いちごが飛び込み。
「奏莉さんに手出しはさせません!」
 鋭さを増した爪を、全力で横薙ぎに振るえば。鋭きその一撃は悪魔の上下半身を泣き別れとさせ、伴って生じた衝撃波は周囲の悪魔達をも吹き飛ばす強烈無比な一撃。
「……す、すごいのです……!」
 そんないちごの攻撃する様を見た奏莉、目を瞬かせつつの笑みで、肯定的な驚きを表現する。
「いちごお兄ちゃんが真面目に戦っていますのです……! ちゃんと強いのです……!」
「ま、真面目に……って」
 しかしその表現にはいちごも思わずコケそうになる。呼び出した邪神の眷属が悉く暴走し、主に周囲の女性達に被害をバラ撒いている印象の強いいちご故に、致し方ないところではある。
「お姉ちゃんが言ってた『真面目なときはかっこいいんだよ』っていうのはほんとでしたのですね……疑って本当にごめんなさいなのですよ」
「あ、あはははは……」
 まさかそこまで実力の程を疑われていたとは。いちご、最早笑うより他になかった。
「貴様ラ……! 余裕ブリオッテ、グハアァァァ!?」
 そんなやり取りを見ていたレッサーデーモン達、反撃を為さんと槍を構え立ち上がるが。上空より降り注いだミサイルの雨が、再度その身を吹き飛ばす。
「悪いね、アンタらの動きは全部見えているよ」
 機体のコクピット内で言いつつ、リーゼロッテは構えた火器類を次々と放つ。ミサイルが、ビームマシンガンが、ライフル弾が。弾丸の雨がデーモン達を絶え間なく打ち据え。
「我々も負けずに行くぞ!」
 エルフ達の打ち放つ矢もまた降り注ぎ、デーモン達を射抜く。重力場によって満足に動けぬまま、次々落ちてゆくデーモン達。
「オ、オノレエエエエエ!!」
 それでもどうにか耐え凌いだ一団が、流血しながらも肉薄。槍を繰り出し、いちごや奏莉、その付近で戦うパティを襲う。
「くっ……!」
 いちごは爪を振るい、次々と悪魔達を薙ぎ払い貫き穿ってゆくが、あの弾雨を潜り抜けてきただけに敵もしぶとい。貫手で貫かれたデーモンが、最後のあがきとばかりに岩腕を振り上げ――他のデーモンと斬り結ぶ奏莉の背へ、その手の槍を投げんとする!
「危ない……っ!」
 別のデーモンを蹴り飛ばしたいちご、それに気づいて慌てて奏莉を庇いに入る。そしてデーモンが最期に投げ放った槍は、唸りを上げて飛翔。打ち落とす動きも間に合わず、いちごの肩に深く突き刺さり着弾。
「くぅ……っ!」
「いちごさん!?」
 苦悶の呻きで漸く事態に気付いた奏莉、デーモンを吹き飛ばして振り向く。だがいちご、槍を引き抜いたその直後も、呼吸は意外と荒くなっておらず。どころか、槍を抜いた傍から傷がみるみるうちに塞がってゆく。
「――大丈夫、思った程には痛くも苦しくもないです。寧ろ――」
『滾ってくる、って感じかな。効果はあるみたいで何より』
 何故か少し頬を赤らめながら応えた、いちごの頭上から声。リーゼロッテだ。先程投与した『薬』――ナノマシンによる治療が確かに機能していることに、安心したかのような笑みが声音に滲む。
 生ずる感覚には気恥ずかしさはあるものの、負傷の影響が減るのは有難い。そうリーゼロッテへ礼を告げるいちごに、奏莉は申し訳なさげに。
「うう、ごめんなさいです。私の集中が足りなかったのです」
 しかしいちごは首を振り、寧ろ微笑みかけて。
「いえいえ、戦いの中ではこういうこともありますとも。寧ろ――」
 お兄さんとしての威厳は示せましたかね、と笑みの形を悪戯っぽく変えれば。今度は奏莉が頬を赤らめて。
「も、勿論です……!」
 そして、改めてデーモン達を共に討たんと続ければ。いちごもまた頷き、迫り来る悪魔達へ、松葉杖と爪とを振るってゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『暴虐のマギステル』

POW   :    火のサンクトゥス
【ファイアブレス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を火の海に変えて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    鏡のラディウス
全身を【超反射モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    虚のレメディウム
自身が戦闘で瀕死になると【ドラゴンゾンビ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はマリス・ステラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の参戦によって、城塞都市を襲わんとした破滅は着実に回避されてゆく。
 デーモンの数は当初より格段に減り、纏まった集団はほぼ殲滅を完了したと見える。
「後は我々だけでも何とかなるだろう。猟兵達よ、こいつらを統率する敵がいるのだろう?」
 ドワーフ戦士の一人が問うのに、猟兵達が頷く。彼らの前線指揮を担うオブリビオン、そしてオウガ・フォーミュラたる大天使ブラキエル。それらの敵の存在も、既に予知にて知るところだ。
「ならば、お前達にはそちらを頼みたい。残ったデーモンは我々だけでも何とかなる筈だ」
「あ、少々お待ちを!」
 頷き駆け出そうとする猟兵達を、パティが呼び止める。彼女の後には数名のエルフが続く。
「皆さん、これをお持ちください!」
 と言ってパティが渡したのは、一枚の木の葉。何かと問う猟兵に、エルフ達が応える。
「皆さんが守って下さった私達の住む森、その奥にある『聖なる木』の葉です」
「此度の戦で必要になるだろう、とパティさんが仰るので摘んできたもの」
 袋から取り出した木の葉を一人あたり一枚、参戦した全ての猟兵に渡してゆく。
「もし、皆さんの力でも乗り越える事厳しい困難が訪れたならば。その時は、これを握り締めてイメージしてください。その困難を打破する、ご自身の姿を」
 具体的な使用方法もまた、パティの口より告げられる。もしかすると、これが予知にあった未知の対処法であろうか。
「聖なる木の力、必要な時来たらば必ず協力する。その約束、果たせそうで幸いです」
 得心いった様子の猟兵達に、エルフ達が微笑む。それはかつて彼らをゴブリンの魔の手から守った折に交わした約定。其を果たすべきは、まさに今であったのだ。
「それでは、我々は皆さんの後顧の憂いを断って参ります! 皆様にも、エギュレ神のご加護あらんことを!」
 パティがそう結ぶと共に、救援部隊の戦士達は路地へと駆けてゆく。残敵の掃討へ向かったのだろう。
 ならば、自分達は自分達の為すべきことを。猟兵達は頷き、都市の入口たる城門へと向かう。



「ファファファ……やはり来おったな、猟兵共!」
 城門前の広場へと辿り着いた猟兵達に、上空から声が降る。見上げれば、城門上から猟兵達を睥睨する一体の竜の姿。その身全てを、黒き未知の物質の装甲で鎧う竜。
「随分と調子に乗っておるようだが、それもここまでだ。この儂『暴虐のマギステル』の前には貴様らなど塵芥に等しいわ」
 己の優位を信じて疑わぬ傲慢極まりなき有様。なれど猟兵は知る。その性格に見合った実力をかの竜は有していること、そしてその源の一つは、かの存在の身を鎧う漆黒――『絶対物質ブラキオン』の鎧。
「己の無力を知り、絶望に沈むが良い! この都市の連中にも、すぐに貴様らの後を追わせてやろう!」
 翼を広げ、その身に魔力滾らすマギステル。かの敵を打ち倒し、大天使への道を切り開け!

※今回のプレイングボーナスは以下の二点となります。
・マギステルの背中、翼の付け根同士の間にある鎧で覆われていない部分を狙う。
・聖なる木の葉を拳かそれに準ずる部位に握り、敵の守りを打破するイメージを籠めて攻撃する。

※いずれか片方を満たしていればボーナスですが、両方達成してもボーナスが二重になったりはしません。ご了承ください。

※途中参加の方も木の葉は持っていることにしてOKです。
ユリウス・リウィウス
火吹き蜥蜴は黙ってろ。そして、大人しく討滅されろ。

血統覚醒でヴァンパイア化してから、ヴァンパイアミストで有毒の霧に変じ、ドラゴンの鎧の隙間から浸透しよう。「毒使い」で、霧の毒性を更に上げる。

霧に火炎は大敵だ。炎の吐息が履かれる前に霧化して、マギステルに取り付かなければな。
まさか自身にブレスを吐いて霧を振り払おうとはしないだろうが。

ブレスを吐く兆候がなければ、口から体内に入り込んでもいいだろう。
さすがに体内で実体に戻る気はしないな。その代わり、散々体内を毒に浸してやるさ。

そろそろ片付いたか? けりがついたら外へ出よう。この鎧、再利用は出来んか?

後は大天使ブラキエルだ。腕が高鳴るなあ、なあ、おい。


ジェイ・ランス
【POW】※連携、アドリブ歓迎
心情:
ファファファ!やっぱり来おったなマギマギ!
そっちが万全ならこっちも万全!さっさとその自信は破断してやるぜ。
―――Ubel:Code Nibelungen Dame.

戦術:
【世界知識】からの【情報収集】にてマギステルの弱点を見つけ、そこへ『聖なる木』の葉の思いを込めたUCを発動。【ブラキオンによる勝利への未来と、ブラキオンを得る現在に至るまでの過去】を破断します。
自身は"慣性制御術式"と"重力制御術式"でのクイックな挙動(空中戦、フェイント、ダッシュ1、滑空)や【残像】を使って、マギステルの攻撃をかわします。

オレの演算と聖なる力の合わせ技。くらってみやがれ…!


クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎

暴虐かなんか知らんけど
あんたごときで躓いとったら
あの澄まし顔の大天使ボコボコにできへんからなあ

キャバリア搭乗
聖木の葉を握りしめ
鎧どころか鎧ごと竜を押し潰すイメージを強く想い描く
敵飛行しても空中戦で追い縋る
ドローンで撹乱しながらフェイント・毒使い・マヒ攻撃・鎧無視と汎ゆる技能使うて殴る
ブレス来そうなら口許めがけシールドバッシュ
敵攻撃には盾受け・武器受け・見切り・オーラ防御

敵状態を冷静に観察
瀕死になる寸前を見切りUC発動
もう一匹?
あんた、はじめなんや偉そうな事言うてへんかった?
ふーん、おかわり禁止や
万が一敵UC発動してもても
ゾンビ無視して本竜をどつきまわすんを優先


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
竜に鎧とは別世界だと鬼に金棒か?
強敵だが引けばこの街も人々も滅ぶなら絶対に引かないぜ!

UC『商竜印の竜騎士装備』でオレごと冷凍させる出力で
氷竜のマフラーによる氷属性の防御力を身に着け
マギステルのファイアブレスに耐えるぜ
ブレスを躱したほうが楽だが躱せば邪悪な奴の事だから街を火の海に変えてくるはず
オレの野生の勘が人々の危機を告げている以上引けないぜ!
オレの肉体の氷結・火炎耐性、オレの魂の気合いと覚悟で
ブレスを拡散されない様に食らいながらも冷気で消火しながら進むぞ!

背が高かろうが飛ぼうが捨て身のジャンプ力で
ブレスを吐く喉にエルフから借りた葉っぱを握った拳で殴ってやる
未来を護る決意は絶望に負けないぞ!



 城塞都市の城門を前に、黒き鎧纏う竜と対峙する猟兵達。
「竜に鎧……別世界だと鬼に金棒、か?」
 元より強大な存在たる竜が、黒き絶対物質の鎧を纏う。紛い無く強敵である、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)の表情にも緊張が滲む。だが。
「ここで引けば、この街も人々も滅ぶ……絶対に引くものか!」
 己の背後には守るべき街と人々、そして己を信じてくれた戦士達がある。故にグァーネッツォは吼える。己を鼓舞するかの如く。
「あんた如きで躓いとったら、あの済まし顔の大天使ボコボコにできへんからなあ」
 何より、かの竜は通過点でしかないのだ。クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は冷ややかに言い放つ。
「ファファファ! さっさとその自信は破断してやるぜ!」
 先の暴虐竜の笑いを真似てみせつつ、ジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)は不敵に宣言し。
「火吹き蜥蜴は黙ってろ。そして、大人しく討滅されろ」
 ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は睨み上げながら言い捨てた。
「ファファファ! 身の程を知らぬ愚物共め、儂を殺すなどと夢を見ておるわ」
 そんな四人の様相を、その竜――マギステルは嘲笑で以て評し。
「その無知と無謀の代償、命で以て贖うが良い!」
 そして翼を広げ、空中に踊り出る。直後、徐に息を吐き出せば、それは激しき炎の波となって溢れ出し。地上に在る四人を襲う!
「はっ!」
 ユリウスは跳躍し、クルルも同じく。ジェイは自身の周辺重力を操作し浮遊、以てそれぞれにブレスを回避する。
 然しグァーネッツォだけはその場に留まりブレスを待ち受ける。なれど無論、無為に受けようというのではない。
「……今こそこいつの出番だな!」
 徐にその首元へ、蒼白色に輝くマフラーが巻かれる。それは、彼女が金銭にて契約した商竜よりレンタルしている装備品の一つ。高額なリース料金を払った代物だが、その性能は折り紙付きだ。故に。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 そのまま炎に包まれたグァーネッツォの身を、強烈なる冷気が包む。彼女自身をも凍り付かせんばかりの冷気は、浴びせられる炎を一瞬で冷却し。以て拮抗を為しブレスに耐える。
(オレが退いたら、街が、人々が……!)
 その身を苛む炎と冷気とに苦悶の呻きを漏らしつつも、グァーネッツォは耐える。ブレスを回避できるだけの判断力を有しながらも、敢えて受けたのはこの為だ。誰にも命中しなかった炎は広がり、街を焼き払わんとするだろう。故に、今ここで。
 そして、グァーネッツォのその行動は、他の猟兵達が動く猶予を生み出した。
「随分と彼女一人にご執心やないの」
 クルルは呼び寄せたるサイキックキャバリアに搭乗し迫る。『De profundis』、己の無力への悲歎と瞋恚が織り成す叫び、其を纏う機神。
「オレ達もいるって事、忘れてもらっちゃ困るな!」
 ジェイは身の丈を遥かに超える巨刃を以て、術式にて制御した重力の波に乗り黒鎧の竜を目指す。『ツェアライセン』、破断の概念を形とした武装。
「何をしようと無為、無駄。ブラキエル様より授かりしこの鎧、貴様らの力で抜くこと叶わぬわ」
 対するマギステルはグァーネッツォへのブレスを維持。迫る二人に対し何の行動も見せぬ。絶対物質ブラキオンの鎧、其を貫く術など無いと確信するが故に。
「ふぅん……随分な信頼やねぇ」
「だが、そっちが万全ならこっちも万全だぜ!」
 然し二人は、猟兵達は知る。かの鎧の守りを打破する術を。そしてその鍵を。クルルもジェイも、其々の拳の内に、鍵を――聖なる木の葉を握り込む。
 そして頭の中に想い描く。鎧ばかりではない、かの竜を鎧諸共押し潰すイメージを。かの竜の過去も未来も、全てを破断するイメージを、強く、強く。
「――受けてみぃや!」
 そしてクルルは機神の腕に大盾を構え。以て、暴虐竜を目掛けて吶喊――そして、衝突した!
「ぐわぁぁぁ!?」
 上がる声は苦悶以上に驚愕。完璧な守りを貫き襲った衝撃が信じられぬといった体。以て、マギステルの身は制御を失い弾き飛ばされる。その向こうへ、巨剣を以て飛翔するジェイが回り込み。
「―――Ubel:Code Nibelungen Dame」
 念ずると共に、剣刃が眩き輝きを放つ。其は運命を改変する力を籠めた聖なる輝き。跳躍したジェイ、巨剣の柄を掴み、慣性制御を以て翼持たぬ身を空中に保持する。
「次はオレだ! 演算と聖なる力の合わせ技、喰らってみやがれ……!!」
 吹き飛び来た黒鎧の竜を目掛け、渾身の力と慣性制御の限りを以て巨刃を振るう。振り抜かれた刃はその身を傷つけることは無く。だがしかし。
「が……ぁ……っ!? 馬鹿な、馬鹿な! 儂は、このような――!!」
 それまでの傲慢なまでの自信は何処へ行ったか、暴虐竜は目に見えて狼狽し喚きだす。かの刃が齎した破断は、己の纏う絶対の鎧を得るに至る過去と、其を以て勝利する未来を断った。即ち、鎧に由来する自信の喪失。彼は未だ鎧を纏いながら、その精神は完全なる丸裸となってしまったのだ。
 そして、その隙を狙って、今二人の猟兵も動く。
「あの状態ではブレスは吐けまい。仕掛けるならば今だ」
 真紅と変じた瞳で喚く竜を見上げるユリウス、その身が赤黒き血色の霧へと変じてゆく。霧に炎は大敵故、ここまでは切り出せなかったユーベルコードだが、今ならば。
「おう、ここからが反撃の時間だな!」
 ブレスを凌ぎきったグァーネッツォもまた駆け出す。その疾走、猛火のブレスと其を防いだ冷気とによる消耗を感じさせない速度。地に置かれた木箱や建物の出っ張り等を頼りに城壁と跳び上り、更に上へ。聖なる木の葉を握り締めて。
「おのれ……! おのれ貴様ら……がぁぁぁっ!?」
 クルルの放つビットの光線に苛まれながらも、血走った目で猟兵達を睨むマギステル。その口から、不意に苦悶の声が漏れる。内側から焼かれ、溶けていくかのようなその痛み。一体何が起きたのか分からず、悶えながら高度を下げてゆくマギステル。
(貴様には似合いの末路だ。このまま溶け落ち、腐れ果てろ)
 それはユリウスの変じた霧。強烈なる毒性を有したその霧は、マギステルの背――翼と翼の間、絶対物質の鎧の守りが唯一及んでいなかった部位より侵入、肉体を毒に侵し腐らせにかかっていたのだ。
「うごぉぉぉ……! お、おのれ、ならばかくなる上――ぐふぁぁぁ!?」
 見る間に削れてゆくマギステルの生命力。このままでは危険だ。そう判じたマギステル、次なる手を繰り出さんとしたが――その前に、再度機神の盾突撃を喰らう。
「偉そうな事言うときながら無様やなぁ。おかわりは禁止やで」
 衝突の瞬間、響いてきたクルルの声。己が瀕死になった時にのみ、強大なるドラゴンゾンビを生み出すユーベルコード。その発動を狙った暴竜の目論見は潰えた。
 赤黒の煙を棚引かせ、城壁の方へと吹き飛んでゆくマギステル。飛び来る其を、城壁上にて待ち受ける小さな影あり。グァーネッツォだ。
「未来を守る決意は、絶望なんかに負けないぞ! 喰らいやがれ!!」
 そして跳躍。突き出された拳は、狙い違わずマギステルの喉を捉え、絶対物質の守りを貫き痛打を与えたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
難敵ですが、退くわけにも参りませんねぇ?

『FBS』を四肢に嵌め飛行、【壊霧】を発動し戦場全体を『乳白色の霧』で包みますぅ。
更に『FMS』のバリアを展開し[結界術]で強化を施すと共に『乳白色』に見える様調整し『霧』が保護色となる状態にしましょう。
この状態であれば『ブレス』の狙いもつけ辛く、足を止めず動き続ければ捉えるのは難しい上、或る程度はバリアで防げますぅ。

そして『霧』で相手を覆えば、その一部は必ず『弱点』に触れるでしょう。
そこから『自壊誘発』の効果を流し込む共に『行動拘束』で動きを止められますので、『FRS』『FSS』の[砲撃]を『弱点』に集中し[部位破壊]しますぅ。



「無駄だ人間! 貴様ら如きではこの鎧の守りを抜く事叶わぬわ!」
 城塞都市の城門上空、翼もて飛翔する黒鎧の暴虐竜と、四肢の戦輪以て飛翔する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が激突を繰り返す。
 るこるに随い飛翔する浮遊兵器群が熱線を、炸裂弾を撃ち放ち攻撃するが、マギステルを鎧う黒き絶対物質には傷一つつけること叶わず。
「話の通りの難敵ですねぇ……」
 多少は効果があるかと思ったが、よもや全く通じぬとは。話の通りの絶対防御ぶりにるこるは舌を巻く。なれど表情に絶望感は無い。
「退くわけにも参りません、それに――」
 対抗策は既に備えている。確かなる意思を以て、対峙する暴虐竜を見据える。
「愚かしいな人間。貴様らの浅知恵で出来うる策など一切の無為!」
 なれど竜は彼女の策を無為と断ずる。先の猟兵達には不覚を取ったが、それは彼らのみが成し得たこと。彼ら以外の人間に同じことができる筈がないと高を括っているのだ。
「その足掻き、疾く終わらせてくれようぞ!」
 一気に決着をつけんとばかり、大きく息を吸い込むマギステル。その口中に燃える炎は、即ちブレス攻撃の予兆だ。
「良いですともぉ。――私のこの守りを抜けられたなら、ですけどぉ」
 だがるこるは確信を以て返す。そして両手を合わせ祈りの構えを取る。己の奉ずる女神への祈りを。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『霧の加護』をお与え下さいませ――」
 祈りが結ばれた、その直後。世界は白く染まる。僅かに黄味がかった白色――乳白色は両者の視界を満たし、互いの姿をその内へと隠す。
「この期に及んで目くらましだと? それが愚かしいというのだ!」
 なれどマギステルはその行為を無駄と断じる。今ならばるこるが動く前にブレスを浴びせることが叶う。ならば仕掛けるのみだ。
 吸い込んだ息を、肺腑の力の限りに吐き出す。炎を伴い放たれる息が霧を蒸発させ、或いは吹き飛ばし、空間を切り裂いて――その一点にて拡散してゆく。
「――何?」
 暴虐竜の瞳は、乳白色の霧の只中に、別の乳白色を捉えた。それは乳白色に輝く、光の障壁――るこるの浮遊兵器の一つ、銀の円盤を以て展開されたバリアだ。
 バリアは炎の勢いを抑えきれず、やがて光の粒子を残して砕け散る。だがその向こうにるこるの姿は無い。
「おのれ猪口才な! 何処だ。何処だ貴様ぁぁぁ!」
 吼えながら、暴虐竜のブレスが手あたり次第に撒き散らされる。霧を引き裂くような炎が、視界を切り開くが。そのいずれにもるこるの姿は無い。
 炎に煽られる霧は、吹き飛ばされるに従って流れを生み、空間を循環してゆく。そして。
「――ぐぁっ!? な、何だ……!? 身体が、背中が……っ!?」
 そこでマギステルは気付いた。霧を以て空中に固定されたかのように、身体が動かない。そして、背中から広がる、己の身体が腐り落ち、崩れてゆくかのような感覚。
「ま、まさか……貴様、これが狙いか……!?」
 そして漸く思い至る。それらが霧の効果によるものであると。空間全てを満たすが故に、己の纏う鎧の唯一の隙――背中の翼と翼の間、唯一鎧われていない一点にも接触し得るのだと。そして、そこから自壊齎す力を――
「そういうことですねぇ」
 声は正面から。霧の向こうに人影が見える。間違いない、るこるだ。
「あなたの弱点は見えています。そして、見えているならこの霧は届きます。そして――
 るこるは思念を籠める。数多の浮遊砲台群が、黒鎧の竜の唯一の隙――背中の非装甲部位を狙い、定めて。
「私はそこを撃ち抜き、仕留めてみせましょう!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」
 放たれた熱線と炸裂弾。暴虐竜の背を射抜き、爆ざしめ。その身を、地上へと叩き落とした。

成功 🔵​🔵​🔴​

アナスタシア・ムスハルト
……空、飛んでるのねぇ
我ながら対空の手札が少ないのは、いい加減改善するべきかしらぁ……

地を這う、弓も魔法もない、あまりにも隔絶した体格差
もともと横柄な性格みたいだし、これだけ有利と思えば饒舌に馬鹿にしてくるでしょうね
何か喋ってる最中に、顔面に向けて親戚から借りてきた戦斧を「怪力」で投げつけるわぁ
えいっ

効かないのは分かってるけど、怒らせるのと、対抗策がないと思わせるため(騙し討ち)よぉ
走り回ってブレスを避ける
地形効果を受けようと慢心して降りてきたところへ、城門「クライミング」からの背中へ飛び乗るわぁ
油断、したわねぇ?
絶対なんとかってのがなければ――この通り、よ!
「剣刃一閃」で鎧の隙間を「切断」



「……空、飛んでるのねぇ」
 城塞都市の上空で己を睥睨する暴虐竜マギステルを睨み上げ、アナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)は眉根を寄せる。剣豪たる彼女には、空を飛ぶ敵に対して切れる手札があまりにも少ないのだ。いい加減改善の術を考えねば――だが、今この場において、その時間はあまりに少ない。
「無様、実に無様! 少しばかり空を飛んでみれば忽ちに手出し叶わぬか! 全く以て滑稽よなぁ!」
 アナスタシアの苦慮を見て取ったか、勝ち誇ったかの如くマギステルが嘲笑を見せる。敵は空飛ぶ術を持たず、魔術どころか弓も扱えぬ、何よりその身はいっそ哀れにすら見える程の小柄にして矮躯。己に比して秀でる部分が全く見えぬのだ。
「大層な剣を担いでいるが、その様では飾りにしかならぬなぁ! 役立たずの剣などさっさと捨て――おっと」
 その時、マギステルの顔に何か重いものがぶつかってくる。響き渡る衝突音、なれどやはり暴虐竜は傷らしい傷を受けぬ。
「届いた……けど、まだ遠いわねぇ……!」
 地上、悔しげに歯噛みするアナスタシアの姿あり。今投げたのは、こういう時のためにとドワーフ達より借り受けた戦斧。せめてもの悪足掻き。だがやはり、かの竜の纏う黒き絶対装甲には傷の一つさえも入らない。
「分からぬか、無駄であると! よもやその事実すらも知れぬ愚物と言うのでなかろうな――うぬっ」
 勝ち誇ったかの如く傲慢に断ずるマギステル、だがそんな彼へ更に斧が投げつけられる。やはり効果は無い。
「見苦しいぞ娘! 貴様は無力、全ては無為! 足掻かず死を受け入れよ!」
 断続的に繰り返されるその投擲、苛立たしげに声を荒げるマギステル。吼える牙の合間から、ちろちろと炎が垣間見える。
(――来るわね!)
 ブレスだ。その予兆を見て取り、アナスタシアは駆ける。城門を目掛けて。
 吐き出された炎の波は、石畳を舐めて諸共にアナスタシアを呑み込まんとするが、その前に攻撃範囲より内側に飛び込むことで、大した損害を受けることもなく回避に成功する。
「今だ足掻くか! いい加減に理解したらどうだ、貴様に儂を傷つける手段など一つさえも無いと!」
 必殺のブレスを躱され、忌々しげに唸るマギステル。アナスタシアの姿は城門周辺の地形に妨げられ、今の彼からは見えぬが。何処であれど同じ。
「良かろう。ならば儂もまた地に降りようではないか。それでも我らの実力は隔絶しているのだからな」
 ならば待ち構え、確実に仕留めてくれよう。そう判じたかは定かではないが、マギステルは着地せんとその高度を下げてゆく。燃え上がる石畳の上へ着陸し、己の力を更に高めた上で先の愚物を討とうではないか。内心にて打算を繰り広げ――

 しかし、それが彼の致命的な間違いであると。即座に理解する。させられる。

 地に降り立とうとしたマギステルは、不意に己に影が差したことに気付く。雲の流れのせいか。否、違う。その影は紛い無く、小柄ながらに人の姿。一時姿を消していた、ドワーフの女性の姿――!
「油断、したわねぇ?」
「な……っ!?」
 愛刀を抜き放ち、嫣然と微笑んでみせるアナスタシア。先程疾走にてブレスを躱した彼女、そのまま城門を駆け上ってマギステルの効果を待ち構え。門の最上部よりも高度を落とした、その瞬間を狙って飛び出したのだ。
 果たして、アナスタシアの小さな身体はマギステルの広い背中へ着地する。翼と翼の間、絶対物質の守りが及ばぬ位置を捉え。
「絶対なんとかってのがなければ――」
 刀を構える。念を込める。多少狙いの正確さを要求されるのを除けば、それは至って普段通りの手筈。狙い、集中し、刀を振る。
「この通り、よ!」
 振るった刀は背中の露出部位を確かに捉える。振り抜くと共に、鮮血が噴き上がり。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!? き、貴様、貴様ぁぁぁぁぁ!?」
 あまりにも予想外の事態に、動転したかのようにマギステル。そのまま、半ば狂乱したかの如く、城塞都市上空を暫し飛び回り続けたとか、そうでもないとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ連携歓迎
※愛機搭乗

キャバリアでガチ竜狩りか
昔は想像してなかったよ…

まず【ウインド・ミル】が強襲
その上【ドミナント・バレル】で狙撃

「む、カタい…確かに『ほぼ』無敵?」

弾かれるけど想定内♪
超反射モードの反射角等を電脳解析
未知でも物質なら物理的反応は観測可能さ

「やっぱ正面突破は無理か」

後は一度退いた【ウインド・ミル】を広場外縁に配置
そして増長した瞬間…

「中身は別だけどね」

【バタフライ・エフェクト】発動
【ウインド・ミル】の張る障壁と
鎧自体にライフル弾を敢えて弾かせる事で
超高速思考の即時弾道計算による多重跳弾を実現
翼の間を高速狙撃で『目視せず』何度も貫くっ

「弱点はフォローが鉄則さ♡」



 浮遊兵器群の放つ機銃弾と、青き重装キャバリアがその手のライフルから撃ち出す対物弾頭が立て続けに、上空の黒き鎧纏う竜へと襲い掛かる。
「ファファファファ! 無駄だ無駄だ! 如何なる兵器を持ち出そうと、人間の武器でこの鎧は傷つけられん!」
 受けるマギステル、その攻撃の全てを躱すことなく受け止める。言葉通り、弾丸の全てを受けきって尚、黒の装甲には傷一つついていない。
「――なるほど、硬い。確かに『ほぼ』無敵?」
 攻撃の結果を確かめ、青のキャバリア『ナインス・ライン』の搭乗者、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は唸る。尤も、その結果は想定の内。未知とはいえかの鎧も物質は物質、物理的反応は観測できる。その性質を確かめ、後の攻勢への伏線とするのだ。
(――それにしても、キャバリアでガチ竜狩りか。昔は想像もしてなかったよ)
 彼女の故郷クロムキャバリアにおいて、竜は空想上にしか存在しない生物。竜を模したキャバリア等の兵器ならば知っているが、よもや本物の竜と戦う機会が訪れようとは。
 しかも、特定部位以外への攻撃を受け付けない装甲の持ち主。なかなかの強敵だが、故に落とし甲斐もある。敵の反応を確かめるように、リーゼロッテは射撃を続ける。
「……しつこいぞ人間! 効かぬというのが未だ分からぬか!」
 その攻勢に、マギステルの方が苛立ってきたか。城壁に降り立った暴虐竜、その漆黒の装甲が、煌めく艶を纏い輝きだす。
 そこへリーゼロッテの射撃が襲えば、生ずるはそれまでと異なる反応。ドローンとライフルからそれぞれ放たれ、命中した弾丸が異様な反射角度を見せ、そっくりそのままの力でもってリーゼロッテへ襲い掛かってきたのだ。
「っ!」
 慌ててナインス・ラインが回避行動を取る。弾丸が幾つか装甲を掠めるが、元々重装甲のキャバリアだ、致命傷には程遠い。
「しかし……やっぱり正面突破は無理か」
 攻撃を中断し、ドローンを退かせるリーゼロッテ。ライフルは構えたままだが射撃はせず。次なる策を考えるかのように挙動が一時止まる。
「無駄だ、一切が無駄だ! この鎧の守りを抜く術など存在せん!」
 ならば次は己の番だとばかり、再度飛翔しリーゼロッテへ迫らんとするマギステル。だが。
「といっても、中身は別だけどね?」
 思い出したようにリーゼロッテは笑う。と共に、再度ライフルを発砲。弾丸がマギステルを目掛けて飛翔する。
「今だ理解せぬか愚かしき猿め!」
 苛立ち混じりの嘲笑と共に、マギステルは再度その鎧に反射の魔力を帯びさせる。果たして、弾丸は再度装甲に弾かれリーゼロッテを目掛け飛翔を――
 その前に。空間にて再度反射された弾丸が、再びマギステルを襲う。再度反射するも、やはり跳ね戻ってくる。
「何!? こ、これは……何だ!?」
 あまりにも予想外のその挙動に、困惑の声を上げるマギステル。空間に、障壁が張られている……?
「ふふっ、ようこそ。アタシの弾丸牢獄へ――なんてね」
 悪戯に微笑むリーゼロッテ、そこにライフル弾を立て続けに発射。全てが装甲に弾かれ、そして周囲を囲む障壁に弾かれ、繰り返される弾丸の反射は即ち跳弾。暴虐竜を包囲する弾丸の渦だ。
 障壁を形作るのは、先程まで機関銃を撃って攻撃していたドローン群。退くと見せかけて城門広場の外縁に待機させていたものだ。
 そしてそこに弾丸を撃ち込むリーゼロッテも、瞬間的な思考能力を全開とし。即座に見出した『最適解』を狙って発砲を重ねてゆく。
「ぬぐっ、き、貴様……!」
 唸るマギステル。装甲の反射モードは解除したものの、堅固な装甲はそのまま跳弾を継続させ続けてゆく。
「そして、ゴールは……そこっ♪」
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!?」
 反射を繰り返した弾丸達が、最後に行き着いたポイント。それはマギステルの翼と翼の間、唯一ブラキオンの守りが届いていなかった部位。リーゼロッテは、そこを『目視することもなく』跳弾を以ての狙撃をやってのけたのである。
「弱点は、フォローするのが鉄則だよ♪」
 もがくマギステルを見上げ、リーゼロッテは益々笑み深くして言ってみせたとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
引き続き奏莉さんを守るように
聖なる木の葉はありがたくお借りします
塵芥などと侮る私たちの力が、合わさった時の強さを教えてあげます

奏莉さんが私を褒めてくれてますが、それをいうなら奏莉さんだって勇者ですからね
その力、最大限に発揮させてあげるのが、先達の務め
先ほどから継続して六尾の邪神の依代体に覚醒したままの私ですが
今回はそれで強化された魔力での支援に徹しましょう

「奏莉さん、私が奴の動きを止めます。あとは勇者の力を存分に発揮してくださいね」

【異界の抱擁】で奴の足元から触手を召喚
手足のように自在に動かし撹乱すると同時に拘束します
「今です!」

…って、あ、転んだ
あっちゃー……大丈夫かしら?(苦笑


菫宮・奏莉
【恋華荘】

みなさま、ありがとうございます!
デーモンをお願いしますのです!

『聖なる木』の葉を受け取り、
『マギステル』さんを見据えますですね。

塵芥ですか?
わたしだけならそうかもですけど、
お兄ちゃんや、他にも強い方がいらっしゃいます。

はい!わたしも勇者なのです!

『暴虐のマギステル』
勇者の名にかけて、あなたを倒しますです!

ありがとうございます!
かっこいいお兄ちゃんに頼っちゃうのです!

木の葉を握りしめて、イメージを膨らませて……見えました!

『聖なる木』の力を借りて、
勇者の剣がドラゴンを打ち倒します!

と、ダッシュをしますが、

あっ……。

躓いて、頭突きになっちゃいました!?

け、けっかおーらい、でしょうか……?



「みなさま、ありがとうございます! デーモンはお願いしますのです!」
 走り去ってゆくパティ達迎撃部隊の戦士を見送りながら、菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)は声を上げ謝意を伝える。その手に、彼らから受け取った聖なる木の葉を握りながら。
「さあ、次は城門前の敵でしたね……行きましょう、奏莉さん」
 同じように彼らを見送った彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)。先のユーベルコードの効果で六本に増えたままの狐尾を揺らしつつ、奏莉を促す。
 頷く奏莉、そして二人は城門を目指して駆けてゆく。

「ファファファ! 来たな猟兵共! 貴様ら如き塵芥、この儂の前では無力と知れい!」
 そして対面したマギステルは、傲慢なまでの自信を以て二人を睥睨する。己の敗北する可能性など微塵も考えていないだろう様相だ。
「塵芥……わたしだけなら、確かにそうかもですけど」
 見返す奏莉の表情に怯懦は無く。眼前の脅威たる暴虐竜に対する、確たる戦闘の意志がその瞳には宿る。
「でも! お兄ちゃんや、他にも強い猟兵さん達が沢山いらっしゃいますから!」
 此度の任務に参加する猟兵達は、いずれも多くの強敵と戦い抜いてきた強者達。無論、いちごもまた然り。
「それを言うなら、奏莉さんだって勇者ですよ」
 そのいちごから告げられ、奏莉の頬に紅が差す。純粋な実力は及ばずとも、彼女もまた猟兵であり、勇者なのだ。そして。
「あなたが塵芥などと侮る私達の力。合わさった時の強さを教えてあげましょう」
 いちごもまた、決意籠る瞳で彼の竜を見据える。対するマギステルはさも愉快そうに嗤う。
「ファファファ! 身の程弁えられぬは人間の性か! その増上慢、死を以て知るが良いわ!」
 翼を広げ、飛翔を開始するマギステル。その口蓋に炎が燃える。ブレスを吐かんとしているか。
「『暴虐のマギステル』! 勇者の名にかけて、あなたを倒しますです!」
 なれど奏莉も一歩も退かぬ。勇者の剣――という名の松葉杖を突きつけ、堂々と宣言する。
「では、私は奏莉さんの支援を。勇者の力、頼りにしていますね」
 いちごは、此度の己の役割をそう任ずる。邪神の依代体に覚醒した彼の身には、常より大幅に高まった魔力が宿るが故に。
「ありがとうございます! かっこいいお兄ちゃんに頼っちゃうのです!」
 奏莉は満面の笑みで以て応え。直後にいちご共々跳躍。そこに降って来たマギステルのブレスを躱す為だ。
「ファファファ! 逃げ惑え! 我が火炎に巻かれ燃え落ちるまでな!」
 地上を舐め尽くす炎を口より吹き下ろしながら、マギステルは二人に迫らんとする。炎が建物を舐め上げるたび、其を炎上せしめ一体を炎渦に飲み込んでゆく。
「チャンスは奴が一周して戻ってきた時……。そこで私が奴の動きを止めます、後は勇者の力を存分に発揮してくださいね」
 吐き出される炎を躱し、マギステルの姿を一旦やり過ごし。いちごは奏莉に提案する。頷く奏莉。
 都市上空にて旋回し、再度いちごを視界に捉えたマギステル。燃え盛る建物を背後としたその姿、容易に逃亡はできまい。
「とうとう観念したか! だが遅い、その愚昧は命にて贖うが良いわ!」
 再度口蓋に炎を集め、ブレスを吐かんとしたマギステル。だが、いちごもまた動く。
「ふんぐるいふんぐるい……星海の館にて微睡む我が眷属よ!!」
 冒涜的なる詠唱が結ばれると同時――炎を背に伸びるいちごの陰から、無数の触手が伸び出てきた!
「な……っ!? まさか貴様、これを狙って――ぐおぉぉぉ!!」
 其に気付いたマギステルが行動を起こすより早く、伸び出た触手は彼へと絡みつき。そして地面へと引きずり落とした。ダメージの一切を無効化するブラキオンの鎧も、ダメージを伴わぬその攻撃には無力であった。
「今です! 奏莉さん!」
「はい!」
 触手を振り解かんともがくマギステル、いちごは今こそ好機と奏莉へ呼びかける。応える奏莉の片手の中には、エルフ達より貰った聖なる木の葉。頭の中へ想い描くは、マギステルを打ち倒す己の姿――
「――見えました! 行きますよー!」
 イメージが結ばれるや否や駆け出す奏莉。松葉杖――型の勇者の剣にて、かの竜を打ち倒さんと。だが。
「……あっ!?」
「え!?」
 マギステルまで後2mもない処まで近づいたその時、奏莉の足が突如縺れ。そのまま躓くようにバランスを崩し、その身は前方へと投げ出され――
「あうっ!!」
「ぐほぁぁ!!?」
 触手に拘束されていたマギステルの腹へと、頭から突撃。触手が千切れ飛ばんばかりの強烈な衝撃が、かの竜を鎧う装甲をも貫いて打撃を加えたのである。
「あっちゃー……大丈夫かしら……?」
 しかし傍目にはドジの産物であることには変わりない。一部始終を目撃したいちごは、奏莉への反動が心配でならなかったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ハロ・シエラ
あの鎧に加えて超反射モードとやらですか。
攻め辛いですが……敵を動かせれば勝機があるでしょう。

と言う事でまずはユーベルコードで氷の刃を飛ばします。
【早業】で、とにかく沢山。
何発かは狙いを外し、ヤケになったと思われるくらいが丁度良いです。
命中しても当然敵には効かないでしょう。
反射される刃もあるでしょうが、それは回避したり【激痛耐性】で耐えます。
後は私が疲労と怪我で満足に動けなくなった、と思わせて【おびき寄せ】敵のユーベルコードを解除させます。
先ほど外した刃にはブーメランの様な角度をつけておきました。
それが【誘導弾】の如くこちらに戻り、【敵を盾にする】ように動けば敵の鎧の隙間を斬ってくれるでしょう。



「くっ……なんと攻め辛い敵ですか。かくなる上は……!」
 絶対物質の鎧を纏うマギステルの偉容に、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は思わず怯む。ならばと展開するはユーベルコード、手にした細剣が振るわれるたび、周囲の空間に鋭利なる氷刃が生成され。
「この刃で、その護りを斬り崩してみせましょう!」
 そして放たれる刃は鋭く素早く。かの暴虐竜を目掛けて殺到する。
「不可能、不可能よ! 貴様らの如き矮小なる刃で、我が護り、貫けると思わぬことだ!」
 嘲るマギステルの身が、黒き輝きを帯びる。その身に受けたユーベルコード、全てを無力とするばかりか、敵を目掛けて撃ち返さんとする代物。
 放たれるハロの刃は、まるで自棄を起こしたかのように乱雑で。弾かれるまでもなくマギステルの身を捉えられぬ。多くはかの竜をすり抜けて背後の空へと飛び去り。命中した何発かは全てが反射され、ハロへと襲い掛かる。
「くぅ……っ、この、程度……!」
 反射される刃が身体を斬り刻み、鮮血が滴る。なれどハロは尚も刃を生み出し撃ち出し続ける。まさに捨て鉢の攻勢。たとえ敵には当たることなく、どころか己の身へと撃ち返されてくると理解しても。
 だが、その身はついに膝をつく。負傷と疲労は最早無視できず。その紅瞳だけは変わらず暴虐竜を見据え続けているが、視線で戦況は動かぬ。
「ファファファ! 理解したか、己の無力を!」
 その有様をマギステルは侮蔑もて評し。守りに用いたユーベルコードを解除の上、ハロの傍まで飛び寄ってゆく。
「我らに楯突いたその無謀を後悔し、死ぬが良い!」
 その両手に魔力を集束させ、魔力弾を生成。ハロ目掛けて射出し、以て止めを刺さんとして……。
「……ぐはぁぁ!?」
 突如、マギステルの口から漏れる苦悶の声。今まさに生まれようとしていた魔力の弾丸も、その衝撃によって霧散した。
「な、何が……」
 マギステルは視線を背後へ向け、そして悟る。それは氷刃、先程散々に放ちながら、マギステルに当てることさえ叶わなかったユーベルコードの刃群。それがここにきて、一斉に飛び戻ってきたのだ。
「ブーメラン、です」
 膝をついていたハロが、ゆっくりと立ち上がり宣言する。この時間差での攻撃の為の布石であったと。ブーメラン状にした刃を、誘導弾が如く用いる。かの暴虐竜を討つべく、罠を張った。そして竜は、見事なまでにその策に嵌ったのである。
「……き、貴様……がはぁっ!?」
 即ち騙されていた。そう悟ったマギステルは激しかけるも、飛び戻った刃の群れに背中を次々と貫かれ、苦悶に呻くしかできぬ。
「己の弱点、敵の傾向。そのいずれをも理解すらしなかったあなたの負けです」
 苦鳴に喘ぐマギステルの背へ、尚も大量の氷刃が突き立ち続ける。その様相に、ハロは冷徹なまでに決然と告げてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
邪悪なドラゴンを討伐するは戦士の誉れ!

不遜なる邪竜め! 施しを受けて粋がるとは片腹痛い!
サンクトゥス(感謝)の意味を忘れた炎など、木の葉一枚燃やせまい!
圧政者の気質を感じ取り、殺気を籠めて嘲罵する

怒りと共に吐きかけられるブレスの只中で、【転身・炎冠宰相】
【火炎耐性】【オーラ防御】で自身と聖なる木の葉を護る
――この通り

炎の中から時速10400kmで飛翔し、その勢いのまま葉を握った拳で顎にアッパーカット
かち上げて【体勢を崩し】たところで、背後に回り込み(空中戦)、炎を纏った聖槍(属性攻撃)で鎧の隙間を突き穿つ(ランスチャージ・貫通攻撃・串刺し)
そして内側から炎の魔力を炸裂させる(全力魔法)



「不遜なる邪龍め! 施しを受けて粋がるとは片腹痛い!」
 続いて暴虐竜の前に対峙した猟兵達。その一人、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は殺気を籠めてかの竜の様相を嘲り、罵る。圧制者の気質を感ずるかの竜の在り方、尚の事彼女の敵意を掻き立てるものであるが故。
「見苦しいわ塵蟲めが! ブラキエル様より儂への下肢、忠義の証! 其を有する儂への嫉妬などとはな!」
 その罵倒は、マギステルの自尊を傷つけたのだろうか。声荒げ抗議する暴虐竜はその口中に炎を滾らせ。
「我が力を知り、己の浅薄を悔いて死ね!」
 そして噴き出されたブレスが、オリヴィアの身を押し包む。常人ならば数秒とかからず灰と化さしめるだろう程の炎の中、オリヴィアは。
「――天来せよ、我が守護天使。王冠を守護する炎の御柱よ」
 己の身を包むオーラで炎に抗いながら、祈りを捧げる。以て己の力を引き出すユーベルコードの祈りを。神の右腕たる万能の天使へ向けて。
「万魔穿つ炎の槍、不滅の聖鎧、そして天翔ける翼を与え賜え――!」
 祈りは結実し、その身は白き光に包まれる。炎吐きかけるマギステルの目からも分かる程に強く輝く光に。
「な……に!?」
 驚愕するマギステル。己の炎の中で、一帯何が。吐かれる炎が勢いを失い、消えたる後に残るは、神聖なる武装と破邪の霊気でその身を鎧ったオリヴィアの姿であった。
「サンクトゥス――その意を忘れた炎など、木の葉一枚燃やせはしない!」
 今の己の装いがその証、と。右手には穂先に炎纏う破邪の聖槍、左手にはエルフ達より託された聖なる木の葉が確と握られる。
「今こそ、悪しき竜を討ち果たす時! 覚悟!」
 かの神の教えに於いて、竜は悪魔の化身ともされる。其を討ち果たすは、信仰者としても、戦士としても、大いなる誉れ。その事実が、オリヴィアの信心と闘志をより強く、確かなものとする。
 跳躍したオリヴィアの身は、音より尚速くかの竜の間近へと到達する。マギステル自信が其に気付いたその時には、左手によるアッパーカットが、竜の顎を捉えていた。ブラキオンの護りを貫く一撃が、マギステルを揺さぶり墜落せしめんとする。
「ぐ……お……!?」
 空中にてよろめくマギステル。だがオリヴィアの追撃に容赦は無し。マッハ10にも迫る速度での機動は、容易く竜の背後を取らせしめる。
「逃がしはしない……此処で、仕留めてみせる!!」
 竜の背中、翼の合間の狙った渾身の飛翔突撃。掲げられた聖槍が、激突と共に深く、深く竜の背を穿つ。
「が……はっ!? ば、馬鹿な……このような……!」
 喀血し、己の現状が受け入れられぬかのように狼狽し呻くマギステル。だが、これだけではない。
 槍の穂先に熱い魔力が集束する。聖槍に纏われた炎の魔力、加えてオリヴィア自身が元より持つ魔力。その全てを注いだ、全力の一撃――
「――消し飛べ!!」
 爆発。天に咲いた炎の華が、暴虐の竜を吹き飛ばしてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

レテイシャ・マグナカルタ
翼で加速しながら真正面からのストレート!…通じない

以前この世界で出会った魔法使いの爺さんから教わった事。ただ魔力を無意識に放出するんじゃなく、意識して操って、収束させて放つっ!…通じない

別の世界で出会った仙人の爺さんが言っていた。気を巡らせるって奴、あれを魔力でやってみる…深呼吸、血が巡るように全身を魔力が駆け巡るイメージ、一回り、二回り、少しずつ大きく、速く、ゴールは聖なる葉を握った右拳、さっきと違って螺旋描いた魔力で鎧を突き砕くイメージでっ!!

ぜりゃあああっ!!
炎に巻かれる…が二つの教えを合わせ突き出した拳は炎すら粉砕して鎧をぶち抜くぜ


テラ・ウィンディア
竜が相手か
ならば挑むのが道理だな

【戦闘知識】
敵の動きと癖の把握

【属性攻撃】
全身と武器に炎付与

炎は我が友の一角
お前の炎も我が力に変えてやる!

【空中戦・見切り・第六感・残像】
空を飛び回りながら火炎は回避に努め

その上に立とうとしたら背中に降り立って隙間を槍で【串刺し】
【遊撃・弾幕・砲撃・呪詛弾・貫通攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開
呪詛弾の弾幕で鈍化の呪い
付け根を狙いドリルの突撃
【二回攻撃・早業】
剣と太刀による連続斬撃による猛攻

木の葉を握りしめ見下ろし
竜よ!
お前は強いかもしれないが紅龍の方が強いし
おれも負けたりしない!
メテオブラストぉ!

背中めがけて踵落とし!
【重量攻撃】で破壊力増強!!


カシム・ディーン
機神搭乗
おいおいお次は竜かよ
「大丈夫だよご主人サマ!メルシーがついてるぞ☆」
最悪お前を乗り捨てて逃げますか
「いやん鬼畜☆」

【情報収集・視力・戦闘知識】
竜の動きと癖
当人さえ気づかぬ攻撃の時の前動作などを冷徹に把握

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で熱源と共に隠蔽

【空中戦瞬間思考・スナイパー・二回攻撃・切断】
高速で飛び回り高速思考で攻撃の好機を見逃さず
ハルペーで背中の付け根の部分を切り裂く

対SPD
動けなくなるなら…

土属性を利用して高速で穴を掘り
落とす

解除して抜け出そうとしたところで
木の葉を握り力を篭めて貫くイメージを

わたぬき発動
その鎧と臓腑を強奪する!

「ホルモン焼きかな??」



「おぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 城塞都市の空に響く雄叫びと、その空を翔ける青と金の輝き。向かう先には漆黒の鎧纏う竜、激突すると共に爆音が空に轟き渡る。
「ファファファファ! 無駄だ無駄だ! 貴様ら程度に、この鎧の護りを抜くは叶わぬ!」
 竜――マギステルが嘲笑する。事実、己に激突せしその衝撃に、彼は何の痛痒も感じていないのだ。
「ちっ、話には聞いてたが本当に通じねぇか!」
 青の翼を羽ばたかせ距離を取りつつ、レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は表情を顰める。翼によって風を捕えての超加速、その速度を乗せての渾身のストレート。それで以てしても全くの無傷。単純な力だけでは突破し得ぬ敵であると理解せざるを得ない。
(それなら……!)
 以前、この世界で出会った魔法使いの老人の教えを思い出す。生来、絶大なる魔力を有していたレテイシャだが、物心ついた時には魔術など存在しないアポカリプスヘルに在ったが故、その扱い方といえば筋力の強化ぐらいしか知らなかった。だが、かの老人に教わったあの使い方ならば――?
 と、そこへ。重く、軽く。風を切る音が二つ。黒銀のキャバリアと、炎纏う少女。
「おいおい、お次は竜かよ……」
 キャバリアの中から響く辟易気味の声は、その搭乗者たるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)のもの。流石にかの帝竜には及ばぬであろうがそれでも竜、十二分の脅威と見て声音は硬く。
『大丈夫だよご主人サマ! メルシーがついてるぞっ☆』
 そしてそのキャバリア自体からも声。即ちキャバリアに宿る人格――否、神格。機神『メルクリウス』である。なれど、その声音は神と名付けられしものとは思えぬ程に軽く。
「……最悪お前を乗り捨てて逃げますか」
『いやん鬼畜☆』
 主人と呼ぶカシムからの扱いも軽かった。とはいえ、反応からすると慣れたもののようだが。
「竜が相手か。ならば挑むのが道理だな!」
 一方の少女、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は闘志を滾らす。竜を討つは戦士の誉ゆえに。
「ファファファ! 勝ち目無しと知って挑むか! 良かろう!」
 一方のマギステル、やはり猟兵達に打つ手があると知らず傲慢に言い放つ。ここまでの交戦で相当なダメージが蓄積している筈だが、その態度にも挙動にも陰りは見えない。
「我が炎にて、灰燼と化せい!」
 言い終えるや否や吐き出された炎は広範囲へと広がる紅蓮の大波。大気を焦がしながら三人の猟兵へと迫る。
「何の!」
『はーい、見えなくなりまーす☆』
 カシム操るメルクリウスは、その速度を利して大きく迂回するように回避。直後、黒銀の機体は風景に溶け込むようにして姿を消す。機体に付与した光と水の属性魔力によって形作る光学迷彩だ。
「炎は我が友の一角、お前の炎も我が力に変えてやる!」
 そう叫ぶテラも、炎を突っ切るわけではなく回避に努める。
「魔力を集束させて……集束……」
 レテイシャは飛翔ではなく、ひとたび手近な民家の屋根へ降りることで炎を回避。そしてそこで更にイメージを高める。己の身に満ちる魔力。それを一点に――掌へと集束させれば。白く輝くエネルギーの光が掌へと浮かび上がって。
「――放つっ!!」
 そしてその手を突き出せば、集束した魔力は矢の如き速度で上空の暴虐竜を目掛けて一直線に飛翔。そして命中する。
「何かしたか、貴様?」
 嘲笑と共に、マギステルの視線がレテイシャを向く。やはり効いていない。
「魔力を以てしての攻撃とは……こうするものだ!!」
 返礼とばかりに放たれるは、火球の形に集束したブレス。レテイシャ、再度飛翔し回避。入違いに民家へ着弾した火球は大爆発を起こし、建物を炎の中へと沈める。
「ファファファファ! 無様に逃げるしかないか!」
 尚も断続的にブレスを吐き、レテイシャとテラとを追い散らしてゆくマギステル。合間に嘲る哄笑を響かせながら。
「虫ケラが如き人間に相応しい有様――ぐおっ!?」
 だがその哄笑も、ブレスも、不意に中断させられる。翼と翼の合間、唯一の鎧の隙間を狙い澄ました一撃によって。
「隙だらけだな!」
『神サマの一撃なら届いちゃうもんねー☆』
 背後、空間に滲み出る黒銀の姿。メルクリウスだ。攻勢に紛れて背後を取り、得物たる鎌剣を背に振り下ろしたのである。
「ぐっ、貴様……うぬっ!?」
 翼を打ち振り、カシムを正面へ捉えるように移動せんとしたマギステルだが、そこで違和感に気付く。動きが重い。一体何が。
「いいぞカシム! これで反撃開始だ!」
 テラである。先の攻勢が止んだ隙に彼女が放った浮遊自走砲台群が、呪詛を籠めた弾丸をばら撒き始めていたのだ。ダメージ自体は無いが、そこに宿る鈍化の呪詛は確かな効果を及ぼしていた。なまじダメージが無いが故に気付くのが遅れた異変。
 更に。
「ぐぅっ!? ちぃ、小蠅じみて鬱陶しい……ぐおっ!」
 背中を狙い飛び迫る小型飛翔物体を辛うじて躱す。これもテラの操る兵器、ドリルビットだ。
 だが躱したことで再びカシムに背中を晒す。そしてそこを狙って斬撃が繰り出される。更なる傷を負いカシムから離れんとするマギステル。しかし今度はテラが迫る。
 両者の波状攻撃により、徐々に追い詰められてゆく暴虐竜。その攻勢を見据えながら、レテイシャは己の更なる攻め手の手がかりを探らんとしていた。

 別の世界で出会った仙人、彼の助言。己の身に宿る気を巡らせる術。これを魔力で以て行わんとする。
 深呼吸を、ひとつ、ふたつ。血液が体内を循環するかのように、全身を魔力が駆け巡っていく様をイメージしつつ。
 深呼吸を、みっつ、よっつ。その動きは少しずつ大きく、速く。やがては轟々と激流めいた魔力の流れとなってゆく。
 集束せしめるは右の拳、聖なる木の葉を握る拳。流れる魔力が、右拳を中心に渦巻くようにイメージされる。だが、これではまだ届かない。
 形作るは螺旋の渦。前方を鋭く、末端を大きく。回転する鏃が如き形。右腕を引き、腰を落とす。見据えた暴虐竜は、最早その命運風前の灯火と見えた。

「おのれ貴様らぁぁぁぁぁ!!」
 背中から夥しい血を流しつつも、マギステルはその身を旋回させ、周囲へ猛烈な火炎を撒き散らす。起死回生を期すとも、悪足掻きとも取れる攻撃。
『あっつーい!? ちょ、ご主人サマー!?』
「うるさい、ここが好機なんですから我慢しろっ!」
 メルクリウスの抗議をよそに、カシムは炎を突っ切る。その熱、コクピットにまで届く程だが、今は我慢。
「万物の根源よ……我が手に、全てを奪う力を示せ!」
 操縦桿を握る手に、聖なる木の葉を握り込み、念ずる。そして繰り出すは、得物持たぬメルクリウスの手。マギステルの腹を目掛け突き出されたその手は――鎧も、腹も貫いて。かの竜の腹中へとめり込んで。
「ぐふぉ……ぉお!? な、んだ、これは……!?」
 己の身に起こった事態が信じられぬとばかり、マギステルが呻く。果たして、抜き出されたメルクリウスの手には――未だ脈打つ臓器があった。
『ご主人サマ、今夜はホルモン焼きかな?』
「こんな事した後で食えるわけないだろ!」
 茶化すメルクリウスに怒鳴り返しつつも、カシムは機神を後退させる。臓腑を抜かれた痛みに悶えるマギステルの頭上、少女剣士が己の踵を高く掲げていたからだ。
「竜よ!」
 声を張るはテラ。その片手に、聖なる木の葉を確と握り締めながら。
「お前は強いかもしれないが! 紅龍の方が強い! そしておれも、お前に負けたりはしない!」
 宣言と共に、テラの踵に力が集束する。星の力、即ち引力――超重力。
「受けてみろ……メテオ・ブラストぉぉぉぉ!!」
 そして振り下ろしながらの急降下。その速度、弱ったマギステルでは最早躱すこと叶わず。
「ぐはぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 超重力を纏う踵が、暴虐竜の背を強かに打ち据え。そして諸共に、地上を目掛け急降下を開始。地上でその様子を見据えていた、レテイシャの前へ。
「来たな……! 三度目の正直! 今度こそ……打ち抜いてやるぜ!」
 跳躍。そして飛翔。目指すは暴虐竜の胸。右拳を突き出す。溢れ出す魔力が螺旋を描いて、拳を先端に、全身を包み込む。放たれた鏃が如く、一直線に敵を目指し。鎧ごと、その身を貫き打ち砕く。イメージを集束させる。
「ぐ……ぉ、おのれ……っ! 貴様などに、やらせは、せんぞ……!!」
 なれどマギステル、瀕死の身にありながらも尚動く。顎を開き、喉奥に火を熾し。一気に吐き出せば、劫火の吐息がレテイシャ目掛けて吐きかけられる!
「それが! どうしたってんだ!! ぜりゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 だがレテイシャは吼える。そして真正面から、燃える劫火へ飛び込んだ!
 激しい炎が、レテイシャの身を巻き、焼き焦がす。だがレテイシャの飛翔は止まらぬ。二つの教えと、その実践。合わさり、一つの形を成した拳は炎を突っ切り。螺旋の魔力が、劫火を、そして暴虐竜を――貫いた!
「が、は……ぁっ」
 漆黒の鎧ごと、その胸を貫かれ。傲岸と輝いていたマギステルの瞳が、光を失う。
「馬……鹿、な……人間……如きに、この、儂が……」
 搾り出す言葉は、未だ己の敗北を信じられぬ態。なれどその身は、無情に力を失い。致命を齎した二人の猟兵が離れると共に、地上への落下を開始。
「ブラ…キエル、様……申し訳、ありま……」
 主たる大天使へ詫びる言葉も皆まで言えず、地に落ちた暴虐竜の肉体はそのまま崩れ落ち、骸の海へと還っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『大天使ブラキエル』

POW   :    岩腕
単純で重い【岩石でできた巨大な腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    絶対物質ブラキオン
【「絶対物質ブラキオン」の鎧】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、「絶対物質ブラキオン」の鎧から何度でも発動できる。
WIZ   :    大天使の光輪
自身が装備する【大天使の光輪】から【破壊の光】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【徐々に石化】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 襲撃部隊の指揮官であった『暴虐のマギステル』を打倒した猟兵達。城門より外へと出れば、すぐにその姿は現れた。
「――やはり、来たのはお前達だったか」
 声と共に、荒野の只中へと降りてくる、神々しき装いの青年。なれどその碧眼は冷たく、何処か諦観の色も帯びているように見え。
「天上界の神々は、やはり地上を見捨てたと見える。人類があれ程危機に瀕しようと、あの扉を開こうともしないのだからな」
 そして、地表の僅か上にて滞空し、猟兵達を睥睨する。
「我こそは大天使ブラキエル。七大天使が一角にして、我が盟友『書架の王』の遺志を継ぐオウガ・フォーミュラ」
 名乗りを上げるその姿は、神々しさと共に凄まじいまでの力の気配を感じさせる。『書架の王』の後を継ぎアックス&ウィザーズを侵略せんとしただけの事はあるか、かの王にも迫る程の圧倒的な力が、かの大天使からは感じられた。
「最早、我が目的は達せられそうもない。だが、このまま退く事も、我が矜持が許さない」
 両手を広げれば、周囲の大気が鳴動する。空間に漂う魔力が活性化しつつある。
「我が盟友と、その夢の仇。このまま見逃すと思うな……!」
 その身の魔力と、心中の殺意を解放し。ブラキエルが襲い来る。
 アックス&ウィザーズにおける対猟書家戦、最終章の開幕である。

※ブラキエルは必ずユーベルコードで先制攻撃を仕掛けてきます。これに対処するプレイングにはプレイングボーナスがつきます。
※ブラキエルはイラストでは剣を持っていますが、今回は持っていません。
ユリウス・リウィウス
大天使か。屍術師の天敵みたいなもんだよなあ、なぁ、おい。
下手に屍術に頼るよりは、この双剣に勝利を託すか。

振るわれる岩腕をバックラーで「盾受け」しつつ、後方へ自ら飛んで、威力を殺そう。
さあ、「カウンター」の一撃、喰らっとけ。

戦いはこれからだ。
先の一撃から岩腕の攻撃精度や速度を「戦闘知識」から「見切り」、反撃に繋げていく。
とりあえず、腕の一本はもらっていくぞ。
「生命力吸収」「精神攻撃」「傷口をえぐる」「切断」の虚空斬だ。その腕を、動くことのない本物の岩にしてやろう。

神が見放したのどうの、つまらんことを言う奴だなあ、なぁ、おい。
神は自らを助くるものを佑く。最初から神頼みを目標にした結果がこれだ。


ジェイ・ランス
【POW】※アドリブ、連携歓迎
■心情:
大天使ブラキエル殿とお見受けする。なにゆえ、大天使がオブリビオンとなったかは知らぬが、我々が猟兵である以上は相容れぬもの。
その御身、躯の海に還っていただく。

―――Operation:Maßschneiden Lauf

■戦闘:
"慣性制御術式"と"重力制御術式"よって【残像】と共に敵の攻撃を掻い潜り(瞬間思考力、ジャミング、地形の利用、ダッシュ、空中戦、フェイント、滑空)、"事象観測術式"によって【情報収集】で得た【索敵】情報からUCを発動。
対象の【切断】を試みます。

貴公が破壊するモノなら、我々は護るモノ。世界は違えど、我々は防衛機構の役目を全うするのみ。


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
退けないのはお互い様ですねぇ。
始めましょう。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FMS』による複数のバリア、『FSS』のシールド、[結界術]による複数の障壁を私と大天使さんの間に間隔を空け形成し接敵までの時間を稼ぐと共に[結界術]+[化術]で形成した『身代わり』を配置、私自身は大きく離脱しますぅ。
どれかに『岩腕』を使わせられれば良し、順に対処し多少時間をかけるなら、射程外までの離脱で『岩腕』を防ぐとすれば、最小限のダメージに抑えられるでしょう。

そして、此処まで強力な相手なら【処檻】は最大級の効果が発揮可能ですぅ。
後は『檻』に捕えたところを『FRS』の[砲撃]で追撃しますねぇ。



「退けないのはお互い様ですねえ……!」
 その右腕を岩石へと変え、振りかぶりながら急降下してくるブラキエル。其を見上げ、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は表情を引き締める。
 かの大天使と己の間には、光盾を展開する浮遊砲台が密集防御陣形を組み、その手前には銀の浮遊円盤が形成する二重のバリア。更に大天使との間に、四重の防御結界を展開。以て、振り下ろされる岩腕の一撃に抵抗せんとする構え。
「……愚かしい」
 対するブラキエル、呟く言葉は淡々と、なれど掲げる腕は轟然と。岩の拳を握り込み、眼前の結界を目掛け――叩き込む!
「………!!」
 息を呑むるこる。四重の結界、一枚のみでも生半なオブリビオンのユーベルコードを退ける防御壁が、まるで硝子窓のように儚く割れ砕け、瞬く間に巨岩拳は銀盤のバリアへと到達。碧き火花を周囲へ散らし、数瞬の拮抗――なれど岩腕は突き抜ける。銀盤と碧光が弾け飛ぶ。
 拳はそのまま、最後の護り、光盾砲台と激突する。出力を全開として岩を押し留め、押し返しにかかる。光と押し合う岩拳が、僅かに押し返される。いけるか――
「無意味だ」
 なれど宣告は無慈悲。落下の勢いを乗せて拳を更に押し込めば、浮遊砲台群は一気に押し下がり。
「はうぅぅ!?」
 その下のるこるをも巻き込んで、拳以て大地へ叩き付ける。岩と地面の間、硬いものの折れ砕ける厭な音が響き渡る。
「隙ありだ……!」
 地に岩拳を叩き付けたその瞬間。右方から一つの影が飛び掛かる。ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)だ。左右其々の手に禍々しき呪いを湛えた黒剣を握り、大天使を目掛け降り抜かんと――
「甘いな」
 だがブラキエルは素早く岩腕を持ち上げると共に、ユリウス目掛けて無造作に振り抜く。巨大な石柱の如き腕が、ユリウスを薙ぎ倒さんばかりに襲い来る。
「ちぃ……っ!」
 攻撃を諦め、左腕に装着したバックラーを以て防がんとする。受け止めるのではなく、受け流す為の防御。衝突の瞬間、身体を後ろへ倒し、腕の角度、バックラーの丸みを上向ける。以て岩腕はバックラーの上部を滑り、ユリウスの鼻先を通過して振り抜かれる。
 だが全ての衝撃を受け流すことは叶わず、ユリウスの身は暴風に煽られるが如く吹き飛ばされる。受け流すに合わせてカウンターを決めんと狙っていたが、これでは叶わぬ。
 そのユリウスを追撃せんと構える大天使、だが頭上から響く風を巻く音、地に落ちる影を前に足を止める。見上げれば、随所に金色を纏う漆黒の巨影の降下してくる姿。多次元偵察電子機体『レーヴェンツァーン』、ジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)の真の姿たる情報戦用キャバリアである。
『大天使ブラキエル殿とお見受けする』
 響くは電子の音声。「V」の字を思わせる頭部中央の赤い発光体が声に合わせて明滅する。
 ブラキエルは沈黙。其を肯定と見做し、レーヴェンツァーンは告げる。
『何ゆえ、大天使がオブリビオンとなったかは知らぬが、我々が猟兵である以上は相容れぬもの』
 故に、その御身を骸の海へと還すと。戦闘意思を示すレーヴェンツァーンが身構える。その機体、一切の推進機関も武装も持たぬが、大天使は理解する――それらに頼らぬ、更なる戦闘手段があると。故に。
「まだ早い。お前達の幾人かでも、道連れが必要だ」
 背の翼以て地より浮き立ち、岩腕を振り下ろす。レーヴェンツァーンの身を、巨石腕がすり抜ける。残像。踏み込み、拳を突き出す。再度すり抜け――たかに見えたが。
『――腕部損傷。流石に、速い』
 躱し切れず、腕へと直撃。黒き装甲に亀裂。未だ致命とはいかずとも、数発受ければ持たぬだろう。その前に、反撃の暇を見出さねば。
 巨腕を振るう大天使と、漆黒のキャバリアが、激突する。

「――ちっ、大天使め。大した馬鹿力じゃないか」
 やや離れた荒野の一角、頭を振ってユリウスは起き上がる。全身が軋むが、まだ動ける。
 見れば、漆黒のキャバリアを巨腕以て追い詰めてゆく大天使の姿。残像を残しつつの機動で躱すが、紅きエネルギーラインの走る装甲が、岩腕の一振りごとにひび割れ、破片を散らすのが見て取れる。
 如何にするか。オブリビオンとて大天使、己の有する屍術は相性が悪かろう。ならば飽くまで、双剣を以て為す他にあるまい。
「でしたらぁ、私が足止めを試みましょう」
 思案するユリウスの横合いから声。見ればそこにはるこるの姿。先程岩腕に潰されたは飽くまで身代わりの幻、守りが破られると見て咄嗟に入れ替わったものだ。なれど入れ替わったのは寸前であったが故か、その身に纏う衣は随所が破れ、白き肌には血が滲む。
「――いいだろう。任せる。俺は仕掛ける隙を作りに行くとしよう」
 応え、ユリウスは再度駆ける。豪腕振るう大天使のもとへと。

『損傷増大……!』
 レーヴェンツァーンの装甲に傷が増え、一部は既に破損。電子の声音には焦りも滲む。
「その巨躯、如何なる鋼鉄に鎧おうとも。我が豪腕の前には玻璃が如し」
 対するブラキエルは平然と。更なる攻撃を繰り出さんと岩腕を振りかぶり――
「まだだ! 戦いはこれからだ、ってなぁ!」
 駆け迫るユリウス、双剣を再度構える。徐に振るわれた岩腕の速度、攻撃の精度。対する術は己の戦闘経験。見出した答え、一時身を屈めて回避。撹拌される大気にも怯まず、更に踏み込めば、反撃の連山を刻むべく。双つの刃が躍動を始める。
「……忌々しい」
 反撃の拳も空を切り。眉を顰めたブラキエルの周囲を、不意に乳白色の波動が駆け抜ける。直後。
「……っ!? ぐ、おぉぉぉ……!?」
 優雅とも見える滞空状態から、その身は徐に地へ這いつくばり。大天使の表情が苦悶に歪む。地へ這うを強いられる原因によってではない。
「やはり、効果は覿面でしたねえ」
 歩み寄りつつ、るこるが言う。強大なるオブリビオンに対してこそ高い威力を発揮するユーベルコード。ブラキエルにはこの上なく有効な一撃と化した。
『――Operation:Maßschneiden Lauf』
 今こそ反撃の機。レーヴェンツァーンが電子の声を響かせる。事象観測術式を以て、此処まで集めに集めた敵の情報。肉体組成、骨格強度、魔力形質、その他諸々。必要なデータは揃った。今こそ、切り札を切るべき時。
『貴公が破壊するモノなら、我々は護るモノ。世界は違えど、我々は防衛機構の役目を全うするのみ』
 見据える先は、かの大天使が振るう岩腕の付け根、肩口。其処を基点に、次元全体を破断。以て、彼の腕をも諸共に切断する。更に。
「神は見放したのどうの、つまらん事を言う奴だなあ。なぁ、おい」
 先のブラキエルの発言を思い返しつつ、ユリウスは跳躍。狙うは同じく、ブラキエルの岩腕支える肩。
「何……だと……?」
「神は自らを助くるものを佑く。最初から神頼みを目標にした結果がこれだ」
 嘲る笑み。このような手段に出た時点で、かの大天使の敗北は定まっていたのだと。
「何を、お前達が云うか……!神の庇護なくば何もできぬお前達が……!」
「いいえ、私達は神無くとも歩めますとも」
 反駁せんと呻くブラキエルに、るこるが応える。
「神に為せるは、ほんの後押しのみ。決断し、行動するは、人の意思に他なりませんから」
 己も奉ずる神の加護を以て戦うからこそ、その意味はよく理解する。それ故の言葉であった。
「禍太刀の一閃、喰らっとけ」
『次元破断、開始』
 黒剣の一閃と、次元断層の形成。二重の斬撃が、大天使の右肩へと食い込んで。
「がぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
 その岩腕が、肉体と泣き別れ。大天使の絶叫が、荒野に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎

天上界の神々は地上を見捨てた、か
ほんまにそうやろか?
今この瞬間、私らがこうやってここにおるのに?

キャバリア搭乗
限界突破+リミッター解除+
瞬間思考力+見切りで敵UCを可能な限り瞬時で見切り
少しでも自分や仲間がまともに浴びぬよう
キャバリアシールドと武器にて盾受け+武器受け+オーラ防御+結界術で全力で防御
石化は浄化で解除

反撃は聖木の葉を握りしめ
シールドバッシュ+迷彩で敵視界を狭め惑乱しつつUC展開
これが天と根の国からのあんたへの応えや!

通常攻撃は
フェイント+鎧無視+毒使い+マヒ攻撃+破魔
ダメージと弱体化

敵攻撃は冷静に見切り
盾受け+武器受け+カウンター城塞都市に被害が及ばぬようにする


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ連携歓迎
※愛機搭乗

◆意向
…見捨てた?ハッ♪
イイよ、何も問題ないさ
天から地を見守ってれば十分
ヒト目線が厭なら神も天使も…
手は出すな

◆先行対策
岩腕の質量攻撃か
『アーリー・バード』推力全開で薙ぐよ
盾兼剣とはいえ地面毎砕けるだろうけど
着弾点を街から更に離せば上等っ

◆反撃
破壊地域をホバーで脱出後DA33号【バルドル】起動
電磁弩の追加スラスターで素早く位置取り

後は温存した『聖なる木の葉』を握りつつ
超音速の徹甲杭を「鎧に」叩き込む

…コピーしたね?何本撃った?

残念、コイツの誘導装置はオブリビオン追尾専用
アンタは【神殺しの枝】をおかわりしたのさ
全弾、継目等「人型鎧故の構造上の急所」を狙うよっ



 片腕を失い呻く大天使を目掛け、二機の銕が飛翔する。片や、悲歎と瞋恚故に。片や、魔改造の果てに。異形と化した異界の機械鎧。
「天上界の神々は地上を見捨てた、か」
 片、『De profundis』の搭乗席。クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は眉を顰める。
「ほんまにそうやろか? 今この瞬間、私らがこうやってここにおるのに?」
 その声音は大天使にも届いたか、彼の視線がDe profundisを見据える。その表情も視線も、鋼じみて冷たく硬く。
「――猟兵こそ神の御使いと? 笑えぬ冗談だ」
「ハッ、アタシは笑っちゃうけどね」
 冷たい侮蔑に、皮肉げな笑いが被さる。今一方の銕、『ナインス・ライン』の搭乗者たるリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)のものだ。
「神サマは天から地を見守ってくれれば十分。ヒト目線が厭なら――」
 神も天使も、手は出すな。刃めいた鋭い意志が、大天使へと切っ先を向ける。
「ならば、天を仰ぐヒトに相応しい態度を示すのだな」
 大天使は返し、翼をはためかせ飛翔。その身に纏う光輪が、激しい光を放ちだす。
「この光……! リーゼロッテさん、私の後ろに!」
「ヤバっ、全周囲攻撃……! わ、分かった!」
 巨大なる機盾を構えたDe profundisの背後にナインス・ラインが滑り込めば、機盾は紫電を放ち、電磁結界を形成。限界を超えたエネルギーを注ぎ込むことで結界は更に拡大し、二機のキャバリアを丸ごと包み込む程となる。
 なれど荒れ狂う破壊の光は嵐の如く二機を呑み込む。結界の境界面を白き光が掠めては削り、紫電が弾け。衝撃と振動は、結界の内側までも伝わってくる。
「巨大なるヒトの似姿。古の悪しき巨人の如し。なれば石の内へと封じられるべし」
 結界を貫き迸る光が、De profundisの装甲を掠める。装甲が徐々に石へと変じてゆくのを、クルルは感じる。
「くぅ……このままじゃジリ貧やね……!」
 呻くクルル。光の圧力は想像以上に強く、前進が叶わぬ。思いきり踏ん張って初めて凌げる嵐、立ち上がれば直ちにこの機体も光に呑まれてしまうだろう。さりとてこのまま耐えるばかりでは――
 と、そこに。
「ちょっと待ってて、アイツに一撃叩き込めないか計算してみる!」
 ナインス・ラインの機内、コンソールを忙しなく叩きながら、リーゼロッテは荒れ狂う光のエネルギー流の計算を開始。強大なエネルギーとて流れがある以上、攻撃を徹せるだけの隙間が必ず生じる筈だ。
 同時、背部コンテナより巨大なクロスボウじみた武器が飛び出す。『DA-33バルドル』、キャバリア統一規格を外れた電磁弩弓。ナインス・ラインの目前、De profundisの頭上を通る形で展開される。
『閾値以上の強磁場……AI稼働率が低下……』
 ノイズ混じりの警告音声がナインス・ラインのコクピット内に響く。電磁弩の発射台が形成する磁場はあまりにも強く、通常規格のキャバリアならばAIなどの電子系に無視できぬ異常が生じる。が。
「いいからよく狙うっ。何、大丈夫さ……!」
 だがリーゼロッテは警告を捻じ伏せて発射準備を継続。発射台に弾頭は装填済。後は好機を待つばかり。
「ま、まだかっ!? もう長くは持たんよこれ……!」
 クルルの焦燥の声も遠く。リーゼロッテはエネルギー流の計測値に全神経を集中させる。機を違えれば、この矢は届かぬ。逃がさず捉えねば――

 そして。流れの内に見えた。破壊の力の間隙が。

「――そこっ!!」
 瞬間、リーゼロッテの指がトリガーを引く。電磁弩が弾頭たる徹甲杭を射出、電磁誘導に加えてロケットの推進力も加わった一矢が、破壊の奔流を突き抜けてブラキエルへと真っ直ぐに飛翔し――
「愚かしい」
 刹那。ブラキエルは無感動に呟く。その身は瞬く間に漆黒の装甲に覆われ、全身を鎧う。絶対物質ブラキオンの鎧、決して砕けぬ無敵の装甲。其を以て、迫り来る徹甲杭を弾かんとする。
 が。徹甲杭は、その装甲を貫き。大天使の肉体をも抉った。
「……が、は……!?」
 痛みよりも、寧ろ驚愕に。ブラキエルの表情が歪む。何故だ。何故、絶対物質の鎧が、人間の道具で貫かれた?
「アンタの部下も、コイツで鎧を使い物にならなくされて負けたんだよ。温存しておいた甲斐があったってモンさ♪」
 ブラキエルからは見えないが、リーゼロッテの手の中には聖なる木の葉が握られていた。先のマギステル戦では敢えて使わず、この局面で用いたのだ。
「ぐ……っ、だが、この攻撃……覚えたぞ……!」
 なれどもう一つの能力――敵のユーベルコードの複製は成功した。鎧に包まれた片腕を掲げると、その腕にクロスボウが形成され。リーゼロッテ駆るナインス・ラインを射抜くべく、横へと滑りながら射出を開始する。
「――コピーしたね? 今、何本撃った?」
 だがリーゼロッテはあくまで平然と言い放つ。
「――何……!?」
 ブラキエルの驚愕が早いか否か。ナインス・ラインを狙ったはずの矢は、宙返りするかのように彼の機体から逸れ――ブラキエル自身を目掛けて飛び来る!
「ソイツの誘導装置はオブリビオン追尾専用。アンタは『神殺しの枝』をおかわりしたのさ」
 オブリビオンを追尾する、という特性までも含めてコピーしてしまったが故に。この場にいる唯一のオブリビオンたるブラキエルを狙い飛来する、何本もの矢。
 更に。
「凌いだ……! 次は私の番や、堕落天使!」
 ブラキエルの破壊の嵐を凌いだDe profundisが、クルルの意思に応えて盾を掲げ突進してきたのだ。急速に視界を埋める巨盾に視界を塞がれ、迫る矢を視認できず。
「あんたには最早、天の御使いなんて名乗る資格なんぞ無い! 大人しく滅びるとええわ!」
 コクピット内にて、クルルは聖なる木の葉を強く握り。ブラキエルを打ち据える意志を固め。
「これが! 天と根の国からの!」
 そして戻って来た矢がブラキエルの三肢へと、鎧の隙間から突き立つと同時。
「答えやっ!!」
 クルルの大盾が、キャバリアサイズの巨大盾が、ブラキオンの護りさえ突き抜けて大いなる大天使を捉え。天より降り注ぐ光の焔、地より溢れ出す闇の奔流とが、かの大天使を灼き、腐らせていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
※引き続き六尾の依代体のまま

奏莉さんの言う通りです
このくらい、人の手で何とかできるという事ですよ
貴方を倒して証明してあげましょう

最初に飛んでくる巨大な腕は、その軌道を見切り、回避しましょう
直撃は回避できても衝撃だけでとんでもないことになりそうですが、全身に魔力を纏いオーラ防御を全開で衝撃にも耐えきります

避けきったなら、エルフさんの木の葉を握りながら【異界の邪剣】を召喚
不安げな奏莉さんを安心させるように力強く頷き、イメージを共有
奏莉さんの勇者の剣と私の邪神の剣の力を合わせて、
連撃で鎧の上からでも打撃を与えていきましょう
切り裂けなくとも、衝撃を浸透させ、内部から破壊しますっ!


菫宮・奏莉
【恋華荘】

神さまたちは見捨てたのではないのです。
わたしたちに預けてくれたのですよ!

それに昔から堕天使を倒すのは勇者と決まっているのです!
ですからあなたはわたしたちが倒します!

先制攻撃は【野生の勘】と【見切り】でなんとか回避したいのです。

それができたら、松葉杖を木の葉と一緒に握りしめ、
その手を【包帯】で縛ってから、【禁足結界】で足を止めて反撃です!

そして、イメージ……。
あ、あれっ?鎧が壊れるところが見えません!?

どうしよう、と、隣を見たらお兄ちゃんと目が合って……。

え? このイメージは?
そうですね。鎧は壊せなくても衝撃は与えられるのです!
お兄ちゃんと一緒に、めいっぱい打撃を加えていきますですよ!



 失った右腕に岩腕を形成し、ブラキエルは新たに戦場へ現れた猟兵へと迫る。その速度は尋常のものならず。なれど。
「神さまは見捨てたのではないのです。わたしたちに預けてくれたのですよ!」
 松葉杖型の勇者の剣を構え、菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)は叫ぶ。
「奏莉さんの言う通りです! このくらい、人の手で何とかできるという事ですよ!」
 その傍ら、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)もまた彼女と同義の主張を叫ぶ。天上界の神々は、己らを信じ託したのだと。
「健気なことだ。見捨てられた事実をそう納得しようとは」
 だが大天使は理解しない。神と人との間の信頼を。己の力への過信故に。
 岩腕を振り上げる。その速度、見目より伝わる質量。受け止めることは不可能と悟るには充分すぎる力。
「奏莉さんっ!!」
「は、はいっ!!」
 いちごが叫ぶのと、二人が横っ飛びで回避を試みるのは同時。直後、振り下ろされた腕が地を砕き、爆発と紛う衝撃の嵐が巻き起こった。
「はうぅぅぅっ!?」
「くぅぅぅ……っ!!」
 その爆風、直撃ではないにも関わらず、二人の身を強かに打ち据える。いちごが咄嗟に展開したオーラの障壁、狐尾を六尾に増やして力を高めた彼の護りがなくば、そのダメージは戦闘不能へ至る程のものであったろう。
「……っ、奏莉さん、大丈夫ですか?」
「は、はい……っ、なんとか……!」
 起き上がった二人、咄嗟の護りのおかげで、全身から血こそ流れるものの戦闘続行可能な域で踏み止まった。
「では反撃開始です!」
「はい!」
 呼びかけるいちご、応える奏莉。共にその懐から木の葉を取り出す。聖なる木の葉、先のマギステルを討つに用いた此れの加護を、再びこの身に。
「ふんぐるいふんぐるい、我が眷属よ来たりてその身を我が敵滅ぼす邪剣と化せ!」
 いちごの呪文が空間を歪め、脈打つ禍々しき邪剣が引き出されてくる。木の葉持つ手で柄を握れば、聖なる力と邪なる力が、いちごの手の中一つとなる。
「わたしも負けないのですよ!」
 奏莉は木の葉と共に松葉杖握る手を包帯で縛って固定。流れる血を開く手で拭えば、次撃を繰り出さんと迫るブラキエルを見据え。
「――あなたを、足止めです!」
 血濡れた指で大天使を指し示せば。その挙動が目に見えて鈍る。
「……超重力か……!」
 なれど完全にはその動き留まることなく。冷たい殺意に光る瞳、漆黒の鎧に覆われた姿が徐々に迫る。
「……あの鎧が壊れるイメージ……壊すイメージ……!」
 聖なる木の葉を用いてかの鎧を破壊するならば、そのイメージが必要不可欠。迫る大天使を見据え、鎧を壊す様を想い描く――
「あ、あれっ? よ、鎧が壊れるところが……」
 見えない。あの絶対物質の鎧の壊れる様が全く浮かばない。このままでは鎧が壊せず、かの敵が倒せない。
(ど、どうしよう、どうしよう――)
 彷徨う視線が、半ば本能で隣を向く。彼女の不安を感じたか、いちごもまた彼女を見ていた。
 頷くいちご。直後、奏莉の脳裏にひとつのイメージが浮かぶ。鎧越しに打撃を重ね、かの大天使に傷を重ねてゆくイメージ。
(――そうか、そういうことですね、お兄ちゃん)
 奏莉もまた頷く。斬れないなら、打てば良い。衝撃を浸透させてゆけば良いと。
 ならば、最早迷うことはない。どちらが合図するでもなく、二人は駆け出す。
「無駄だ……!」
 薙ぎ払うように岩腕を振るい、二人を退けんとするブラキエル、だが呪詛で鈍った挙動、回避するは容易い。岩腕の下を潜り抜けて肉薄。
 いちごの袈裟懸け。鎧に弾かれるも大天使は顔を顰める。
 横振りの奏莉の打撃。これも鎧に弾かれるが、大天使の表情には苦悶が見える。
 二人の立て続けの攻撃、全て鎧を抜くには至らぬが、その衝撃は確実に鎧を貫き本体へと至る。
「ぐっ……ぬ、うぅ……!」
 呻く大天使。十全なる反撃も叶わぬまま、少しずつ、だが着実に。その傷は積み重なってゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
ヘカテイア搭乗

…夢は大事だと思う
だけどな…その為に犠牲にされるってなら抵抗しない訳にはいかねーよな

なぁヘカテ

対POW
【戦闘知識】
岩腕の動きと方向性
敵の攻撃の癖などを全力で把握
【見切り・第六感・残像・空中戦・属性攻撃】
飛び回りながら残像を残してかつ闇属性を身に纏って複数の分身を作り出しての全力回避

最悪【武器受け】で直撃を避けてダメージだけは避け切る!

お前の夢も復讐もやるからって人を巻き込むな

UC発動
高速で飛び回り激突
【遊撃・呪詛弾・弾幕・重量攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開
ガンドライドで呪詛と重力の弾丸を乱射して動きを止め
【早業・二回攻撃・串刺し・貫通攻撃】
剣による連撃から槍で串刺しに!!


カシム・ディーン
機神搭乗

お前さー
夢だ仇だ言ってるけどんなもんで世界焼かれる方は溜まったもんじゃねーですよ
後…神が禄でもないって事は同意する
「メルシーは例外だぞ☆」
おめーもだ!

対POW
【情報収集・視力・戦闘知識】
強化された目で見据え鎧の構造から可能な限り間隙の把握
更に動きの癖も把握
「メルシーだって賢者の石だから負けないぞ☆」

【属性攻撃・迷彩】
光学迷彩で存在を隠しUC発動

ブラキオンに当たれば

即座に三倍加速
是はあくまでメルクリウスを加速
例えそれを押して尚敵も加速するなら

速さに慣れる前に
【念動力・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・スナイパー】
念動障壁展開しつつ慣れる前に間隙を中心に狙いながらの高速連続攻撃



 風を巻き、二柱の神が降り立つ。一瞬、その目を見開いたブラキエルだが。表情はすぐに失望の色に代わる。その神は、この世界の神ではなかったからだ。
 その身を鋼にて形作り、猟兵を身の内に乗り込ませた鋼の神――機神。名を『ヘカテイア』『メルクリウス』。
「……夢は大事だと思う、けどな」
 ヘカテイアのコクピット内、搭乗者たるテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が呟く。亡き盟友の夢を果たさんとしていた、かの大天使の意志。それ自体は理解できる。できるが。
「夢だ仇だ言ってるけど、んなもんで世界焼かれる方は溜まったもんじゃねーですよ」
 続けようとした言葉は隣のメルクリウスから。声の主はカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)だ。その声音、力ある者の横暴への辟易とも見えようか。
「小さき者の営みなど些事。恨むならば何も為さぬ神を恨むがいい」
 其を受けてもブラキエルは尚平然と。その在り方が最終的には世界の滅びへ結実するオブリビオンらしい在り方と言えば、そうとも言える。
「……ま、神が碌でもないって点だけは同意しますがね」
 その点だけは、カシムも身を以て実感していた。何故ならば。
『メルシーは例外だぞ☆』
「おめーもだ!」
 機神そのものからの声。実際にこの機神に振り回されているが故である。
「……何にせよ。犠牲にされようとしてるってんなら、抵抗しない訳にはいかねーよな」
 なあヘカテ、と己の搭乗する機神に呼びかければ。機神は静かな動力の唸りを以て肯定を返す。
「そうか。ならば……抗ってみせよ」
 対するブラキオン、失っていた右腕へ再度岩腕を形成し。その全身を漆黒の装甲――絶対物質ブラキオンにて鎧う。
「行くぞ!!」
 テラの吼えると共に飛翔する二機の機神、迎え撃つ大天使。
「この動き、見切れるか……!」
 飛び回るヘカテイアの身が漆黒の闇を纏い、その姿が何重にもぶれながら分かたれてゆく。分身だ。
「………」
 ブラキエルは動かない。否、見極めているのだ。本物のテラがいずれであるか。
(あの鎧、さっきの竜のものとは違うか。それなら……)
 一方のカシムは機体に光の迷彩を付与。以て風景に溶け込みながら、ブラキエルの纏う鎧の隙間が何処にあるかを見定めんとする。
 やがてブラキエルが動く。その岩腕を振りかぶって。
(……真っ直ぐこっちに来る……!?)
 驚愕するテラ。まるで数多の分身を分身と理解しているかの如く、一直線に本物のヘカテイアを目指し飛翔する。全力で回避を試みるテラだが。
「遅い。――砕け散れ」
 振り下ろされる岩腕の速度は、ヘカテイアの回避運動を圧倒した。回避して尚、直撃を免れぬ一撃。ならば。
「く……っ!」
 咄嗟に掲げたるは星刃剣。その刀身で以て、叩きつけられる巨岩腕を受け止めて――
「うわああぁぁぁぁぁ!!」
 堪えきれず、叩き落とされるヘカテイア。地面から巻き起こる土煙。それを皆まで見届けるより先に、ブラキエルは身を翻す。
「っ!?」
「風の音――聞こえていた」
 掲げた黒鉄の腕が、振り下ろされた鎌剣を受け止める。眼前の空間が歪み、メルクリウスがその場に現れる。光学迷彩を施していた己の接近に気付いたというのか。
 ユーベルコードによる超加速から一気に斬りつける、というカシムの狙いは妨げられた。更に。
「成程……こうか」
 以て彼のユーベルコードをコピーしたブラキエルが、凄まじい速度での飛翔を開始。その身の光輪から、夥しい数の光の矢弾を撃ち出してきた。
「ちっ、思ったより慣れるのが早いですね。ですが!」
 だが、そこまではカシムとしても想定の内だ。彼はもう一手、切り札を隠し持っていた。
「ぬ……っ?」
 ブラキエルは訝しむ。メルクリウスの速度がそれまでより更に高まり、撃ち放った矢弾の全てを振り切るかの如く回避していったのだ。このような使い方を、ブラキエルは再現できない。
 それもその筈。彼がコピーしたそのユーベルコードの効果は、その力量に比例した加速と、メルクリウスを加速させる効果に分かれる。後者を適用できるのは、あくまでメルクリウス――この場合、自らが操縦する乗り物のみ。生身で戦うブラキエルには活用不能の領域。
 以て、カシムは力量差による加速度の差を克服し。彼我の速度差はほぼ無に近づいた。
 更に、眼下にて爆音。高速上昇する白銀の機体。ヘカテイアだ。
「お前の夢も! 復讐も! 人を巻き込んでやるんじゃない!!」
 テラの吼えると共に、その周囲へ超重力のフィールドが展開される。更に随行する浮遊砲台が、大天使を包囲するかのように重力呪詛を纏った弾丸を乱れ撃つ。
「ぐっ……動きが……!?」
 それらの命中するたびに、ブラキエルの速度は目に見えて落ちてゆく。相対的に加速する二機のキャバリアに追随しきれず、徐々に翻弄され始める。
 そして。
「これで!」
「終わりだ!!」
 前からはカシムの鎌剣が左肩に。後ろからはテラの槍が翼の根の間に。装甲の隙間を縫う一撃が、捻じ込まれたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アナスタシア・ムスハルト
あら、勿体ない
なかなか切れ味の良さそうな剣だったのに、手放しちゃったのかしらぁ?
材質とか鍛法とか知りたかったんだけど

急降下してあの岩腕で殴られたら痛そうねぇ
突っ込んでくるのに目掛けて戦斧を投げつけるわぁ(怪力)
ぶつけて軌道を逸らしたら、修正するのは難しそうね
えいっ

やっと刀の届くところまで降りてきてくれたわねぇ
本当はあの剣を持った状態で斬り合ってみたかったんだけど、持ってきてないのなら仕方ないわねぇ
その使い勝手が悪そうな腕諸共――寸断するわ
「早業」で鞘から刀を抜き放ち、「鏖殺無尽剣」で岩腕ごと滅多切りにする(鎧砕き・切断)
なにか感傷があったのかもしれないけど、私の前で武器を手放すのは自殺も同然よ


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
普通なら直撃は論外だが、あの岩腕のデカさだと
ブラキエルが狙ってなくても荒野ごと近くの都市も破壊つくされかねない
なら覚悟を決めるしかないな!

オレの限界突破した生命力を解放し武装した竜の姿にしてオレに纏わせた真の姿に変身し、
強化したジャンプと空中ダッシュで滞空しているブラキエルの真上に移動だ
これでオレが岩腕の重い叩きつけを食らおうとも荒野も都市も壊させないぞ!
勿論ダメージを軽減させる為に怪力と衝撃波を伴った捨て身の一撃をしておくぜ

ブラキエルの一撃でオレが死にかけになっていれば
幸運にも奇跡が起きて助けに来てくれた未来のオレに後は任せるぜ
『過去のオレと同じ戦法だが、今度は競り勝ってみせるぞ!』



「あなた、剣は持ってきていないのね?」
 上空で態勢を立て直すブラキエルを見上げ、アナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)はふと口にする。
 予兆で見たブラキエルの姿。彼は身の丈程もある大剣を携えていたはずだ。しかし今、目の前にいるブラキエルは其を持たぬ丸腰。
「あの剣は先に『還した』。あれは、容易く血に塗れさせるものではない」
 応えるブラキエルの表情には、何処か猟兵達への敵意と異なるものが混じる。遠き友を想うかのような。
「あら、勿体無い。なかなか切れ味良さそうだったのに」
 一方アナスタシアは残念そうな様子。作るより使う方に天稟を有するが故に剣豪として在る身ではあれど、その材質、その鍛法、刀匠の里に生まれ育った身として興味を抱いている様子ではあった。
「怨敵に容易く教えると思うか。何も知らず、何も為さず。消え果てるがいい」
 ブラキエルを囲む光輪が仄かに輝く。放たれる光は矢と化して、宙空で弧を描き、そこからアナスタシア目掛けて振り落ちてくる。
「やっぱり空中から攻めてくるつもりなのね……!」
 雨霰と降り注ぐそれらを躱しながら、アナスタシアは眉根を寄せる。まずは彼を地上へ引きずり下ろさなければ――

 と、そこへ。
 風を斬り、上空を飛翔する黄金の影がアナスタシアの視界に映る。見上げれば、それは槍を携えた巨大なる黄金の竜人。実体ではない。オーラによって形作られた存在。その胸の中心、同じ槍を携えた者の姿が見える。
「この街を守り、お前を倒す! 覚悟決めて行くぜ!」
 それはグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)、限界を超えた生命力が齎す真の姿。文字通りに空を駆け、大天使へと肉薄せんとする。
「ちっ……」
 其を認めたブラキエル、舌打ちと共に失った右腕に岩の腕を再度生成。グァーネッツォを叩き飛ばさんと振り抜くが。
「何の!」
 グァーネッツォ、その腕が己の身を捉えんとした瞬間に自ら得物たる竜骨斧を当て、反動を以て更に跳躍。ブラキエルの頭上を取る!
「な……っ!?」
「荒野も都市も、お前なんかに壊させはしない! 喰らえぇぇぇっ!!」
 そして大上段に振りかぶった斧に、渾身の膂力を乗せて。大気をも斬り裂かんばかりの一撃を、大天使目掛けて……振り下ろした!
「ぐぁぁぁぁ!?」
 絶叫と共に、グァーネッツォ諸共に急速落下してゆくブラキエル。そして地へと激突すれば、爆発的な勢いで土煙が噴き上がり二人の姿を隠す。
「……やったかしらぁ?」
 もうもうと土煙立ち昇るそこへ、油断なく歩を進めるアナスタシア。直後、爆心地より轟音が響き渡る。
 飛び出す影。身構えるアナスタシア。高く飛翔し、急降下しながら巨大な岩腕振りかぶる天使――ブラキエル!
「貴様も、これで潰してくれよう」
 土煙の晴れゆく爆心地。オーラの護りも失い、地に半ばめり込むように倒れ伏すグァーネッツォの姿があった。アナスタシアも同じように地へ叩き伏せるつもりか。
「そうは……いかないのよ!」
 迫り来るブラキエル、未だアナスタシアの刀の届く間合いではない。なれば。
 アナスタシアの腕が、えいっ、と気合一つ。何かを大天使目掛け投げ放つ。胴を狙ったところで仕切り直されるだけ、なれば狙うは――
「ぐっ……!」
 ブラキエルの身が僅かに傾ぐ。岩腕に何かが刺さる。それは戦斧、今し方アナスタシアが投擲した代物。今も都市で戦うドワーフ達からかつて貰った品。
「……無駄だ」
 なれど崩れかけた身を強引に立て直す大天使。急降下と共に、その剛腕を――叩きつけた!
 轟音、爆音、立ち込める土煙。爆心地より立ち上がる大天使――その表情は、昏い。何故ならば。
「――やっと、刀の届くところまで来てくれたわねぇ」
 その足元に屈みこむ、小さな影。鞘の内の太刀を構える、小さな大剣豪。――アナスタシアだ。
「本当は、あの剣を持った状態で斬り合ってみたかったんだけど、仕方無いわねぇ」
 その身は衝撃波を受けて至る所が裂け、夥しい血を流すが。彼女の業、未だ十全の力を以て振るうことが可能な状態。
「その使い勝手が悪そうな腕諸共――寸断するわ」
「………!!」
 跳躍、距離を取らんとするブラキエル。だが、あまりにも遅すぎた。
 アナスタシアが踏み込む。愛刀を抜く。鞘走りが加速する。左下より右上。斬撃軌道を仮想する。
 完全抜刀。掌の感覚が報せる。ただちに腕を振り上げる。神速まで至ったその速度、逃れんとした大天使の胸を斬り上げる。左下から右上。
「がっ――」
 傷口が血を噴くより早く。大天使の咽喉が叫ぶより早く。アナスタシアが跳ぶ。
 迸る閃きは十重二十重。大天使の全身、岩腕を中心に貫く刃の軌跡。刹那の間に為された追撃。大天使の背に抜け、アナスタシアが着地――納刀。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
 直後、大天使の全身が裂け、血を噴いた。岩腕はまるで豆腐か何かの如く、美しくすらある断面を残して分解されて地に落ちた。
「貴様……っ!!」
 激した声と共に振り返る大天使、飛翔と共に光輪を輝かす。この距離ならばアナスタシアには手は出せまい――その算段は、しかし。
「喰らえぇぇぇぇぇっ!!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
 直後に飛翔した、黄金の竜人のオーラに貫かれ、その身諸共吹き飛ばされていった。
「――あら?」
 見上げたアナスタシアが瞳を瞬かせる。その姿、金髪褐色の親戚(=同族)。即ちグァーネッツォそのものである。だがグァーネッツォは、近くの地にて倒れ伏したままのはず――
「ああ、オレはちょっとだけ未来のグァーネッツォだ! 今のオレがピンチだってんで助けに来たぜ!」
 地に降り立ったグァーネッツォがその疑問に答える。それは窮地に陥った彼女の齎した奇跡、少しだけ未来の自身を呼び出すユーベルコード。
「――なるほどねぇ」
 未来の彼女が此処にいるというなら。この戦の行方は、即ち。得心いったように頷くアナスタシアであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
神が人間を見捨てた?
大天使などと名乗りながら、随分と軟弱な発想だな

白き翼の姿に変身し飛翔(空中戦)
聖槍に熱を光を纏わせ(属性攻撃)、斬り打ち穿つ
神は人間を信じているのだ
この程度の苦難、乗り越えてみせると!

光の護り(オーラ防御・呪詛耐性)で破壊の光を防ぐ
末端から徐々に石化しようと意志力(気合い)で戦う
石化、か
振り返りしロトの妻は塩の柱となりて
貴様の行いが主の思し召しであるならば、私は瞬く間に一握の塩となっている筈

【全力魔法】で【赫怒の聖煌剣】を形成
全霊を以って振り下ろし、叩き斬る(切断)
貴様はもはや「大天使」などではなく――「ただのオブリビオン」だ!
邪悪な企みを抱いたまま、骸の海へ消え去れ!


ハロ・シエラ
なるほど、この世界も神に見捨てられてしまっているのかも知れません。
あなた達がそれほどの危機とみなされていない可能性もありますけどね。

それはともかく、あの破壊の光は危険ですね。
光には光で対抗しましょう。
エッジ・オブ・サンクチュアリの力を借り、聖なる光の【結界術】で私を守る聖域を作ります。
また、手袋でバリアを貼って【盾受け】し、せめて上半身を石化から守りましょう。
下半身が石化しようと、行動不能にならないくらいに凌げればこちらもユーベルコードで反撃開始。
【破魔】の力を帯びる炎を全て合体し【焼却】するくらいの【気合い】を込めて攻撃します。
天使やその光輪を【浄化】できるのか興味のある所でもありますしね。


レテイシャ・マグナカルタ
空から襲う岩腕を両手で受け止める
「ぐっ…確かにオレの世界が滅んだ時も神様なんて何もしてくれなかったな…でも、だからこそ人間達は自分の知恵と力で乗り切るんだぜ。この衝撃吸収材みたいにな!」
2cm程度でも18mの高さから落ちた生卵を受け止める素材を分厚く靴底に仕込んでるんだ
「イケメンもダチ思いなのも個人的に嫌いじゃねぇ…だがうっぷん晴らししたいなら別な事にしな!」
そのまま振り回して空に投げて、自分も翼で飛んで殴り掛かる
「へっ!空のデートとしゃれこもうじゃねぇかイケメン!オメェの最期まで付き合ってやる。ダチへの思い全部ぶつけてきな!」
防御を考えずに岩腕を砕くぐらいのつもりでラッシュを叩きこみ続ける



「ぐぅぅ……っ!!」
 空から振り落とされた岩石の剛腕を、レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は両の腕以て受け止めた。
 なれど膂力に自信のある彼女をして、一瞬で膝を折ってしまいかねぬ凄まじい衝撃力。靴底に強力な衝撃吸収材を仕込んでいなければ、その身は荒野の染みとなり果てていてもおかしくなかった。
「……っく、確かにオレの世界が滅んだ時も、神様なんて何もしてくれなかった、けどな……!」
 己の育ったアポカリプスヘルの荒廃を思い出す。あの世界の神といえば、数多のカルト教団の自己弁護の産物ばかり。きっと本当の意味での神などいない、そう思いさえもした。
「この世界も同じだ。神は最早地上を見捨て、己らの閉じた理想郷に閉じこもるばかり」
 レテイシャを圧し潰さんとばかり、岩腕に力を込めながら。ブラキエルは淡々と語る。神への侮蔑と、失望に満ちた言葉。
「――大天使などと名乗りながら、随分と軟弱な発想だな」
「或いは、自分達をそれ程までに過大評価しているか、ですね」
 そこに、レテイシャの後ろから声。大天使は目を向ける。修道服の女性と、軍装の少女。
「――あなた達相手に、己らが出る必要は無いと。人間だけで対処できる存在であると。そう見なされている可能性もあるでしょう?」
 軍装の少女、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は冷たい視線を向けると共に言ってのける。
「そう。神は信じておられるのだ。人間の力を」
 修道服の女性、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が力強き声音で続ける。
「この程度の苦難、乗り越えてみせるとな!」
 吼えると共に、修道衣が内より裂けて。白き胴衣に四肢鎧、背より純白の翼生やしたる真の姿を露わとする。携えた聖槍は金色の焔を纏い、まさに神の敵を討つ能天使の様相。
「……ああ、そうとも。人間ってのは、こんな困難も、自分の知恵と力で乗り切るもんだ!」
 己を抑えつけんとしていた岩腕を持ち上げながら、レテイシャも続く。
「――哀れなことだ。己らが神に見捨てられた事実を、斯様な詭弁で誤魔化そうとは」
 なれど彼女達の矜持を切って捨て、ブラキエルは言い放つ。背の翼を一打ち、滞空すれば。
「なればせめて。その身、その姿のままで永遠としてくれよう」
 其は神を信ずる善き者が最後に授かるという永遠の命の、醜悪なる似姿か。大天使が身に纏う光輪が輝きを放てば、浴びたる者を石と変じせしめる破壊の光嵐が、荒野を満たしていく。
「あの光、危険ですね……! ならば!」
 ハロは腰の短剣を抜き、その輝く刃を地に突き立てる。込められた聖なる力が広がって、結界が聖域を形成。破壊の力を、石化の魔力を妨げにかかる。
 オブリビオンとはいえ天使、その力は光の側に属すものであろう。なれば、抵抗するならば同属性の力を以て為すが良し。それがハロの判断であった。
「レテイシャさんも、こちらへ! どれだけ持つか分かりませんが……!」
「お、おう助かる!」
 レテイシャへと呼びかければ、彼女もまた結界内へ。ハロは更に手袋のブローチに籠めた魔力を解放、更なる守護防壁を展開して災う光を食い止めんとする。
「おおおおおお!!」
 一方、オリヴィアは真向から破壊の光へと飛び込んでゆく。その全身に輝く護りの光を纏い、破壊の光を食い止める。
 それでも石化の呪いは浸透し、オリヴィアの手甲と脚甲とが徐々に石と変じてゆく。その下の、彼女自身の肉体までも。
「だが、それがどうした!!」
 咆哮するは、其を恐れて矛を退きなどせんとする確たる意志。飛翔する身を前へ、前へ。光の中心、大天使を――捉えた!
「何……!? この光の中を、真正面からだと!?」
「貴様の行いは神の思し召しに非ず! なればこの身は貴様にも届くという事だ!」
 驚愕する大天使に、オリヴィアは吼える。
 石化という現象に、己が親しんだ聖典の記述を思い返す。嘗て神の怒りに触れて滅びた悪徳と頽廃の街。かの街唯一の善き一家が逃げる最中、妻が神の言いつけに背いて振り返ったが故に塩の柱と成り果てた逸話を。
 もし、かの大天使の行いが神の意志に沿うものであるならば。己も既に、かの妻と同じ運命を辿っていただろうと。
 その胸に燃える信仰の熱が宿るかの如き、光に燃え滾る聖槍の穂先が振るわれ、大天使の身を裂き穿つ。聖なる熱は大天使にも届き、苦悶によろめくと共に破壊の光が薄れゆく。
「……光が! 何とか耐えきれましたね……!」
「おう、ここから反撃開始だぜ!」
 破壊の光が薄れ、結界を解いたハロがレテイシャと共に立ち上がる。彼女達も肉体の随所が石化しているが、戦闘には問題ない。
 レテイシャがその背の翼を広げ飛翔、ハロは地上にてユーベルコードの詠唱を開始。
「私の炎が、魔を……払います!」
 ハロの周囲の空間に、白き炎が次々と溢れ出す。その数合計105個。破魔の力帯びたる聖なる炎。魔性を滅ぼす為の炎ではあるが、果たして天使にこの炎は通じるのか。
(いいえ、できるかどうかではありません。やるのです!)
 其を確かめる為にも、試みるのみ。そして焼き払ってみせると。その意志を込めた炎を、全て合体させて。巨大な火球と変えて――大天使へと撃ち出す!
「!!」
 其を視界に収め、回避機動を取らんとしたブラキエルだが。直前に飛び掛かってきた青と金の影に組み付かれ動きを封じられる。レテイシャだ。
「イケメンもダチ思いなのも、個人的にゃ嫌いじゃねぇ……だが!」
 その岩腕を掴み、更に全身の膂力を全開として振り回しにかかる。90tもの物体を持ち上げ得るレテイシャの膂力は、ブラキエルといえど抗うこと叶わず、ただただ振り回されるばかり。
「うおおおおお!!? き、貴様……っ!?」
「うっぷん晴らししたいんなら! 別なことにしろってんだ!!」
 そして飛来したハロの火球目掛けて一気に投げ放つ。
 直撃。爆発。炎上。大天使と称されたオブリビオンの肉体は、今、聖なる炎によって燃え上がり、焼かれていた。
「ぐあぁぁぁぁぁ!! こんな、こんなことがぁぁぁぁ!!」
 身を苛む炎は、浄化という名の彼にとっては責め苦を齎す。もがき苦しむ彼は、やがて更なる激しき熱を、光を目にする。
「無窮の光よ! 絢爛たる勝利の煌きで天地を照らし、怒りの刃で遍く邪悪を斬り伏せよ!」
 それはオリヴィアが掲げる光の大剣。聖槍を核に、聖なる力を超高密度に圧縮することで顕現した光の大剣。邪悪に対する怒りの具象。
「ブラキエル、貴様はもはや『大天使』などではない――『ただのオブリビオン』! 邪悪なる世界の敵!」
 飛翔、肉薄。聖なる炎に悶えるブラキエルに、逃れる術は無い。
「邪悪な企みを抱いたまま……骸の海へ、消え去るがいい!!」
 そして、全霊の力以て光大剣が振り下ろされ。大天使と呼ばれたオウガ・フォーミュラの肉体を、真っ二つに斬り裂いた。溢れる光は広がって、炎と共にオブリビオンの身を包み。
「が……ぁ……っ……。すまない……友よ……。我は……君の為、何も……でき……ず……」
 光と炎の中に消えゆく身で、最期に口へ上ったのもまた、友と呼んだかの王への言葉。
 皆まで言うことも叶わぬまま、オウガ・フォーミュラ、大天使ブラキエルの肉体は燃え尽きて。骸の海へと還っていった。

 以て、この地に於いても大天使ブラキエルを滅ぼすことに成功。アックス&ウィザーズにおける猟書家との戦いは、終局へと向かってゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月17日


挿絵イラスト