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今ひとたびと、哭く夜は

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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●誰か助けてと哭く声に
 愛した人がいた。妖怪と人間で、生きる時間も過ごした過去も何もかも違うけど、それは確かに私の凍った心を温めた。
 氷閉ざす白銀のせかいで、彼は太陽に眩しく。
 彼のそばにいるとき私のココロは穏やかなぬくもりで満たされた。
 幸せだった、はずだった。別離の日なんて考えてもみなかった。
 けれどいつも言葉を交わしていたあの人の目に、私は映らなくなった。
 ――どこにいる? どうして顔を見せてくれないんだ?
 ここにいるわ。貴方の目の前にいる。
 ――俺のことが嫌いになったのか? なぁ、もう一度話をしよう。もう一度だけでいいんだ。
 好きよ。愛してる。
 ……その声が届くことはなく、ヒトの時間でほどなくして私は幽世へ逃げ込んだ。
 会いたい、会いたい。忘れられないあの人に逢いたい。
 会えない、会えない。私の姿を見ることができないあの人にはもう逢えない。
 人は悲しいとき、こんな風に涙を流すのだろうか?
 やがてどれくらいの時が流れただろうか。あの人の思い出が幽世に流れ込んできた。
 これはまた、会えたということになるのだろうか?
「もうどこにもいかないで、そばにいて。どこかへいくなら……私もつれていって」
 みん な、つれて ク。 ずっと いっしょ ダよ。
 そんなひび割れたような声に飲み込まれるように私の意識は沈んでいった。

●過ちというには哀しすぎるその罪を
「集まってくれて有り難うさん。今日頼みたいのはカクリヨファンタズムでの救助活動だ」
 小金井・譲葉は髪をかきあげながらどこからどこまで説明するか悩むように一度口をつぐんだ。
「人間と恋に落ちた妖怪がいて、どうも人間の方が妖怪を見ることができなくなったってところまではわかってる。そいつとの思い出がカクリヨファンタズムに流れてきたところを骸魂に取り込まれちまったみたいだな。ひっぺがせば妖怪は救助できるはずだ」
 俺としてはできれば助けてやってほしい、と譲葉は金の双眸を宙へ逃がす。
 オブリビオンと化した妖怪のもとに辿り着くには『残酷なほど幸せな夢をみせる迷宮』を突破しなくていけないという。
「まぁ、叶わなかった夢が叶ったり、もう会えない誰かに再会できたり色々なんだろうけどな、内容。心に土足で踏みいられるようなもんだ。現実には叶わなかったんだからな」
 迷宮の奥で待つのは雪女だという話だ。
 妖怪の自我を呼び戻すためにも声かけは内容にもよるが有効かもしれない。
「で、迷宮探索と戦闘が終わっても若干終わりまでには余裕がありそうでな。妖怪の女が次の一歩を踏み出せるようにアフターケアを頼みたい。俺も声かけられたら手伝うからよ」
 別離だけが人生だとしても、出会いなくし別離はないから、一期一会と思って付き合ってやってくれ、と長身のグリモア猟兵はごく軽く頭を下げた。


秋月雅哉
 ものすごく久しぶりのシナリオリリースになります。
 今回は冬華ではなく譲葉にでてきてもらいました。
 三話目の日常パートでお声がけいただいた場合登場します。
 優しい悪夢、妖怪の救出、アフターケア、どれも心情に目一杯字数を割いていただいて大丈夫です。
 心情で殴りあうのが好きなMSなので殴りかかってきていただければ幸いです。
 それではよき物語を。
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第1章 冒険 『やさしくてひどいゆめ』

POW   :    自分で自分をぶん殴り、正気に戻る

SPD   :    状況のありえなさを見破り、幻覚を打ち破る

WIZ   :    自身の望みと向き合い、受け入れた上で幻覚と決別する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミリアリア・アーデルハイム
何が気になったのかは分からないが、
返事をしてもしなくてもずっと話しかけてきた。煩いくらいに。
そして、いつの間にか側に居るのが当たり前のようになって…

唐突に告げられる旅立ち。
「折角だから知ってるヤツが誰もいないところに行きたいと思ってる」
その方が面白いだろ。そう笑ってその人はあっさり旅立った。
「お前、いいヤツだよな。優しいし。変わんなよ」
一緒に行ってもいい?なんて訊けなかった。

『大好きだよ、ずっと一緒にいてあげる』?
そんな事あの人は言わない。にやりと笑ってこう言うだろう
『心配ぃ!?してない!!お前は案外やるヤツだよ』と。

【ミゼリコルディア・スパーダ】を使用して、八つ当たり半分で幻を攻撃



●飲み込んだ言葉と後悔
 思い出すのはうるさいほどに賑やかだった人とすごした時間。
 ミリアリア・アーデルハイムのなにが気に入ったのか、本人にはわからなかったし聞いたこともなかった。
 その人はミリアリアが返事をしてもしなくてもお構いなしに、自分の気がすむまで他愛のない話をして、豪快に、そして陽気に笑っていた。
(あぁ、これは……)
 ずっとそんな日が続くと、何の保証もなく信じていた、そんな日々の記憶。
 そばにいるのがいつのまにか当たり前になって、相手もそう思っているのだと疑うこともなかった。
「折角だから知ってるヤツが誰もいないところに行きたいと思ってる」
 一緒にいっていいか、と聞きたかった。けれど知っている人が誰もいない場所にいきたいという言葉を聞いて、自分の望みを口に出すことを諦めた。
「でも、お前と二人で新しい景色を見るのも悪くないな」
 言葉を飲み込んだときに下がった目線が上に上がる。照れたように頬をかくあの人とめがあった。
「お前のこと、好きなんだ。お前もそうならずっと一緒にいるよ。二人で旅をしないか?」
 言われたかった言葉。けれど……言われなかった言葉。
「あの人はそんな言葉はいわない。『心配ぃ!? してない!!お 前は案外やるヤツだよ』そういって人の気もしらないで風のようにどこかへいってしまう。それがわたしのしってるあの人」
 やつあたり気味に魔法剣で幻を切り開いて先へ進もうとするミリアリア。
『お前、いいヤツだよな。優しいし。変わんなよ』
 真実言われたその言葉を灯火のように胸に抱く。
「この先にいるやつのこと、助けてやってくれよ。お前が変わってない、あの頃のお前のままなら」
 幻の残した声は懐かしくて、最後の言葉も出来がよかったけれどミリアリアは振り返らなかった。
(そう願うなら、過去に足どめされる無様な姿は幻にだってみせられない)
 再会できるかどうかは、わからないけれど。もし叶うなら、あの人の前で誇れる自分でありたいというおもいがミリアリアの迷いを消し飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ〇
POW

義父さん?どうして…。
義父さんは俺が猟兵になるよりもずっと前に死んだはずなのに…。
物心ついた頃には孤児だった。無意識に使っていた聖者の癒しの力故に周りから悪魔付きと蔑まれていた頃。ちょうど村にやって来た神父に引き合わされた。それが義父さんだった。

俺を引き取って育ててくれた義父さん。
大きくなったな、って言ってくれてなんだか嬉しいや。
…でも、俺の記憶にある義父さんは「今のお前なら、あの頃自分を蔑んでいた者達を見返してやれるな」なんて絶対に言わない!

一瞬、もう周りに大事な人がいる人達を羨ましく思わないで済む、なんて思った自分を恥じるよ。
正気に戻れ、俺!

『悪夢は邪念を断つ』で打ち砕く!



●義父との再会
 鳳凰院・ひりょは物心ついたときには孤児だった。悪魔つきと呼ばれ、周りから蔑まれていたとき、『その人』と出会った。
「義父さん……? どうして。義父さんは俺が猟兵になるずっと前に死んだはずなのに」
「おいおい、勝手に殺すなよ」
『その人』は、義父はひりょの言葉に思わずというように苦笑いを浮かべる。
「悪い夢でも見ていたんだな。しかし息子に死んだはず、といわれるのはなにやら切ないなぁ」
「ご、ごめん……。そっか、夢、なのか。義父さんが死んだ夢なんて縁起が悪い夢をずっと見てたんだな」
 義父がひりょの頭を軽く叩くように撫でる。大きくて、温かな手だった。
 そうだ、すべては悪い夢だったのだ。
 もう周りに大事な人がいる人達を羨ましく思わないで済む。自分にも家族はちゃんといる。
「しかし……猟兵になる夢を見ていたのか。それが本当だったら、小さい頃のお前を蔑んでいた者達を見返してやれたのにな」
 それは本当の義父なら絶対に言わないだろう言葉。
 ひりょはそれによって、どれほど見ていたくても夢は夢だと、見たい分残酷で、聞きたくない言葉を、自分の中の醜さを突きつけるひどい夢だと気づかされる。
 これが現実だったらどれだけよかっただろう。
 自分の成長を喜ぶ義父と笑いあい、他愛のない会話をして。
 帰る場所がある、家族が、大事な人がいる。
 そんな人たちを妬むことなく暮らせる日々だったらどれほどよかったことだろう。
 けれど、夢は、夢。醒めるから、夢なのだ。
(一瞬でも気の迷いをみせるなんて、俺もまだまだだな。恥ずかしいけど、取り返しがつかなくなる前に気づけてよかった。……正気にもどれ、俺!)
 義父の姿の悪夢に別れを告げるように、邪心を断つ刃を一閃させる。
 二度と自分の心が迷わぬようにと、強い覚悟を込めた剣戟を受けて、ひりょの義父の幻は微笑んで、消えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリュウ・リヴィエ(サポート)
記憶喪失のダンピールだよ。
名前も年齢も本当かどうか、僕にも判らない。
ま、気にしてないけどね。

自分の過去は判らなくても、色々考えるのは好きだよ。
他人の行動とか状況とかに違和感があると、それに何か意味がないのか考えちゃうよね。
まあ、それで僕が有利になるかどうかは別問題だけど。

あとは食べることも好き。
食わず嫌いはしないし、残さないよ。

戦うときは、突っ込んで力任せに殴り掛かることが多いかな。
一応、剣も魔法も使えるんだけど、結局シンプルなのが性に合うね。



●喪われた物語
クリュウ・リヴィエには記憶がない。名前も、歳も、本当なのかわからない。
わからないけれど彼はあまり気にしたことがなかった。
思い出や記憶は一日経てば一日分増えるし、猟兵をしていれば出会いや別れには事欠かない。
「優しくて酷い夢を見せられるって話だったけど……」
記憶がないからか、クリュウの前に現れる、叶うはずがないからこそ切望するもの。
そして叶うはずがないと心の底では分かっているから絶望するもの。
それでももしそうだったら、と願わずにはいられない甘美なる悪夢の形は曖昧だった。
それはクリュウの知らない、けれど彼に似た顔立ちの男女になる。
「両親か、親戚とか? 自分のルーツを考えるのも嫌いじゃないけど、そこまで魅力的じゃないかな」
続いてクリュウが十代半ばだったらこんな姿だろうという少年が友達とふざけ合ってる姿が過ぎる。
「あぁ、忘れているけれど友達が僕にもいたのかな。だとしたら彼らには少し申し訳ないかもしれない。でも、生きていくうちに記憶は摩耗するからね」
そういって悪夢と決別していくダンピールに後ろから声がかかる。
「執着するもののない、寂しい人生かい? クリュウ・リヴィエ」
「そうでもないかな、自由でいられるし、いつか巡り会うのかもしれないだろう。出会いはある日突然に、ってさ」
もしかしたら、クリュウの、過去に執着できないところ。それを偽りでも過去に縋らせることが目的だったのかもしれないけれど。
彼はそんな思惑を超えていく。
バイバイまたね、もしかすると一片の真実があったかもしれない蜃気楼。

成功 🔵​🔵​🔴​

曽我部・律(サポート)
『この力を得たことは後悔していない……』
『私以外の人間が不幸になるところを見過ごすことはできないんでね』
『こういうのには疎いんだが……ふむ、こんな感じか?』
とある事件で妻子を失い、その復讐の為にUDC研究を続けているUDCエージェントです。ですが、UDCを強引に肉体に融合させた副作用として徐々に生来の人格は失われつつあり、妻子の記憶も彼らの写真によって辛うじて繋ぎ止めています。
多重人格者としての別人格『絶』は凶悪なオブリビオンの存在を察知すると、律に代わって表に出てきて戦います。その際、口調は『おい律……うまそうな匂いがするじゃねぇか。代われよ』みたいな凶悪な感じになります。



●そのさよならは誰のため
曽我部・律の中にある虚ろ。それは多重人格者として記憶が蝕まれることであり、引いては何より、誰より大切だった家族の思い出を写真でかろうじてつなぎ止めているという現実だった。
しかし今、優しくて酷い悪夢の中で、律は忘れてしまった声を聞く。
あなた、と呼びかけ微笑む妻と、おとうさん、と満面の笑みで遊びに誘う子供の姿。
狂い咲きの桜の中、思わず律は二人に向かって手を伸ばし、歩き出そうとした。
「おい、律よぉ……お前の目は節穴か? それともとうとう腑抜けになり損なったか」
自分の唇から零れた言葉に律は目を見開き、妻子は怯えたような眼差しを彼へと向ける。
「お前はもう覚えちゃいないだろうが、奴らの声を。名前だって自分が作り出したものじゃないと誰が言える?」
「夢から覚めないで、あなた」
「ここにいてよ、おとうさん」
「「そしたらずっと、一緒にいられる」」
皮肉なことに二人のその言葉が律が夢から目覚めるきっかけとなった。
こんな目にあうのは自分だけで十分だから。自分以外が不幸になるのは耐えられないから。
だからまだ、歩くのをやめるわけにはいかない。例えその悪夢(ユメ)が、枯れたはずの涙が溢れそうなくらい自分の心が求めるものだとしても。
「まだ、私は私でいなくてはいけない」
主人格面するなよなぁ、律。弱っちぃ癖によぉ。
別人格である絶はそう言いつつもめぼしい獲物の気配がなかったのか律の意識の中へと沈んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『薄氷』の雪女』

POW   :    吹雪
【吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    薄氷の折り鶴
【指先】から【薄氷の折り鶴】を放ち、【それに触れたものを凍結させること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    氷の世界
【雪】を降らせる事で、戦場全体が【吐息も凍りつく極寒の地】と同じ環境に変化する。[吐息も凍りつく極寒の地]に適応した者の行動成功率が上昇する。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

あの方がグリモア猟兵の言っていた雪女
恋に落ちた相手と会話をする事も出来なくなってしまった今の状況、辛いよな…
なんとか救い出してあげなきゃ!

手持ちのドロップを媒体に固有結界・黄昏の間を発動
【多重詠唱】にて火と風の疑似背霊を同時召喚
風の疑似精霊の力で自身の周囲に冷気を遮断する空間を形成
続けて火の疑似精霊の力でその空間内の温度を適温へ
これでこの戦場での環境への対策はばっちりなはずだ

続けて火の疑似精霊に力を借りて光陣の呪札に【破魔】と火の【属性攻撃】を付与、乱れ撃ちで攻撃する

雪女さんの心もこの場所のように凍り付いてしまっているのかもしれない
なんとか心を溶かしてあげたいな



●暗く、深く、冷たい場所
凍てついた空気は吐息すら凍らせる、白銀の檻。
雪女の居住地に相応しいその景色は心の底まで冷たく凍らせるようで。
愛する人の目に自分が映らなくなったことに絶望し、カクリヨファンタズムに逃げ込んで、彼の思い出がカクリヨに流れ込んできたことが今回の事件の発端だと聞いていた鳳凰院・ひりょは、なんとか彼女の心を溶かしたいと願う。
愛した人と種族が違うのは、それほど珍しいことではないとひりょは思っている。
(でも、恋に落ちた相手と言葉を交わすことも会うことも出来ないなんて、哀しすぎるだろ。それが原因で雪女さんの心がこの景色のように凍りついてしまったなら、何とかして助けてあげたい)
死に別れるのは辛い。忘れられるのも、辛いだろう。
けれど想いが通じあったまま、ある日突然声が聞こえなくなり、姿が見えなくなる。
そんな思いをした相手の人間も、彼の視界に映ることが出来なくなった雪女も。
一体、どれだけの間辛かっただろう。寂しかっただろう。切なかっただろう。
「場よ、変われ!」
ひりょがそう念じて冷気を断ち、風と火によってフィールドを作り替える。
「雪女さん、思い出してくれ! 愛した人と一緒に過ごした時間がくれたかけがえのない温もりや、その人が見せた笑顔を! 今、凄く辛いと思う、寂しかっただろうし、他の人の想像なんて足元にも及ばないくらい絶望したんだよね? 頑張れっていうことは、酷なのかもしれない。けどあえて言わせてくれ! その人は本当に貴方が愛した人なのかどうか、もう一度自分の記憶に問いかけて欲しいんだ」
「私たちはずっと一緒に……離れ離れになったから、これからはそんなことがないように……ずっと、ずっと、ずっと! 会いたかった人なの!」
邪魔をするなら、容赦はしない。
そんな想いの籠った悲鳴のような声があがる。
炎と氷がせめぎあい、意思はぶつかり合う。
醒めなければいけない夢から覚めた青年と、醒めなければいけない夢に縋る少女の間で。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミリアリア・アーデルハイム
生まれ育ちは極寒の地ではありますけれど
「吐息も凍る、と言われればどうでしょうね?箒」
意思持つ職人謹製棕櫚箒に尋ねてみる。
「少なくとも鼻水とよだれは凍ってた…!?」
もういいです。動けるかどうかやれるだけやってみましょう

彼女が起こす吹雪を利用(地形の利用)
「箒」に乗ってフェイントをかけつつ接近(空中機動、フェイント)
攻撃を受ければ「万里鏡」でオーラ防御

「貴女が辛い気持ちでいる事を、相手の方は望むでしょうか
貴女が悲しんでいると、貴女を愛した方を悲しませる事にならないでしょうか?」

UCに祈りと浄化を込めて発動

唯、哀しみだけを燃やして…私の蒼い花



●神経すらも凍るほど寒い夜が明けるまで
ミリアリア・アーデルハイムの生まれ育ちは極寒の地で、寒さにはそれなりの耐性があるつもりだった。
けれど雪女が拠点とするこの地の寒さはどこかが、何かが違う。
極寒の地の厳しい気候のなかで育ったミリアリアだからこそ感じた、言葉にできない違和感。
「吐息も凍る、と言われればどうでしょうね? 箒。むしろ身体的な寒さと言うよりは心象風景が寒々しい、に近いような……? いえ、寒くないとはいいませんけれども」
職人によって作られた意思持つ箒に尋ねてみれば すくなくとも鼻水とよだれは凍っていたという無慈悲な回答が返ってきた。
「な、そういうことはもっと早く言ってください! いえ、もういいです。やれるだけのことはやってみましょう」
吐息が凍るかはさておき、吐息のなかにある水分が髪に付着して前髪が凍り始めているくらいには寒いし、いつまでも雪女を放っておくわけにはいかない。
「氷獄に現の花が咲くならば柵木に花を告うものか……咲け!」
雪女の悲しみが浄化されるように祈りを込めてユーベルコードを発動させるミリアリア。
「貴女が一人で悲しむことを、相手の方が望んでいたとは、私には思えないのです。相手の方が貴女の姿をみることが出来なくなってお互いに感じた辛さと寂しさ、それからやるせなさ。それらを抱え込んだまま貴女が生き続けることは、相手の方も同じ思いでい続けることになりませんか?」
二人がどんな風に生きてきたかは、それを見てこなかったミリアリアにはわからない。
けれど大切に思っていた人がある日突然消えて。
大切に思っていた人の視界からある日自分だけが消えて。
そのままお互いの時が凍ってしまったなら、二人とも辛いままのように思えるのだ。
そんな救われないエンドマークで終わらせないために自分たちはグリモア猟兵に助力を請われた。だから。
「唯、哀しみだけを燃やして……私の蒼い花」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナリリス・シュヴァリエ(サポート)
何かお困りですか? 私は旅の聖剣使いです
誰かの力になりたい、そんな思いから猟兵活動をしています
私で良ければ力になりましょう。

お人好しな性格で、並みいる敵を聖剣でなぎ払い、罠やトラブルは体当たりで乗り越えていく
そんな突撃隊長的なキャラクターです。

あとはお任せで、よろしくおねがいします。



●祈れども祈れども
ルナリリス・シュヴァリエはオブリビオンと瞳を合わせると愁いに眉を寄せて呟いた。
「行き場を無くしてしまった想いが私にも伝わってくるようです……今は敵対しているとはいえ、あなた様もまた、お困りなのですね」
雪女は心まで凍ってしまったようにただただ無言でルナリリスを見つめ、無慈悲に攻撃を開始する。
凍てつく冷気が真実凍らせたのは、果たして周囲だけなのだろうか。心穏やかに過ごしていた雪女とその想い人の面影や思い出まで凍らせてはいないだろうか。
「私はあなた様の想い人ではございませんが……旅の聖剣使いとして、あなた様の憂いを打ち砕き悲しみを終わらせるお手伝いを致しましょう。たとえあなた様がそれを望んでいなくとも、私はそれをなすべきだと思うのです」
ルナリリスの清らかな想いと言葉が場に満ちるようにして広がっていく。
「悲しみも嘆きも、もう終わりに致しませんか?」
ここは寒くて、凍えるほど寒くて。いくらあなた様が冬と逝きと氷の化身だとしても、心が冷えきってしまいますよ。
そういいながら伸ばした指先を、雪女はほんのわずか戸惑うように見つめたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雲母坂・絢瀬(サポート)
ややおっとりめ、マイペース系関西弁女子ね。
臨機応変な柔軟さがモットーなんよ。
スキルやUCは使い時にはしっかり使うていく方針。
【見切り】【残像】【敵を盾にする】【フェイント】で相手を撹乱しつつ、間合いを詰めてからの【なぎ払い】が基本戦術やろか。
後は相手を【体勢を崩す】【武器受け】からのUCとかやね。
ヒットアンドアウェイ大事やね。
たまには【挑発】してもええかも。
UCは基本的には多数相手に【剱神楽】、とどめには【天狼】、牽制や巨大な敵相手には【白灼の殲刃】、無力化狙う時は【三弁天】【鬼薊】ってとこやね。まあ柔軟に、やわ。
基本お任せのアドリブ大歓迎でよろしゅうお願いします。



●夢見た日々は果てしなく遠く
「迷子みたいな顔してるなぁ、あんたさん。大切なものを探してる時間が長すぎてどこに行けばいいかわからなくなってしもうたんやろか」
なんぎなこっちゃなぁ、と雪女を見つめて雲母坂・絢瀬が軽く肩を竦めた。
「こないに寒いところにひとりでおったらあかんよ、あんたさんは雪女だそうやから、寒いところのほうがえぇんかもしれへんけど、ここはあかん。だって心がさむぅなる一方やん?」
雪女と言葉を交わした猟兵たちはそれぞれの言葉で彼女を思い、救おうとする。
「生きるためには燃料が必要やけど、悲しみや寂しさや、恨みつらみを燃料にした炎はきっといまのあんたさんみたいに知らず知らずのうちに大事なものを奪っていくんやろうなぁ」
猟兵たちは雪女と戦いながらも、言葉を交わすことをやめようとはしない。
救える命は救いたいと願うから、その信念の元に今は敵対している雪女へと何度も、何度でも言葉を紡いでいく。
「なぁ、ここにおったらあかんよ。ここにおっても、あんたさんの会いたい人には会えへんよ。一緒にさがそ? 手伝うさかい。な?」
その言葉を、まだ拒むように一際強く吹雪が吹き抜けたけれど、それはまるで助けてという悲鳴のようにも絢瀬には思えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花(サポート)
人探しや潜入を得意とする、UDC組織所属のエージェントです

■平時
『大切な人達の光の為に、私達が闇に立ち向かいましょう』
普段は礼節を弁え、理知的で物腰穏やかな対応を心掛けます
世間一般に「紳士的」とされる態度と相違ありません

■戦闘時
『我々は人類を邪悪や狂気から守る。その為には冷酷を貫く事も厭わない』
UDCや関連団体に相対した時は、非情に徹します
一人称は誇りをもって「我々」と呼称します

■行動傾向
日常・冒険:変装や演技、Dクラス職員や組織の支援を駆使した情報収集が得意です。自らの身を削る事にも躊躇しません
戦闘:機動部隊との連携を基本に、火器や状況を利用した奇襲・速攻を得意とします。ヤドリギは奥の手です



●途絶えそうな祈りへと手を伸ばし希うは星の息吹
火奈本・火花は眼鏡越しに苦しげに攻撃し続ける雪女をじっと、観察するように見つめた。
「あなたもまた、己と戦っているのですか? それともここで終わることで楽になりたいのでしょうか」
想像もできないくらい長い間、彼女は悲しみ、苦しんだのだろう。想い人との思い出を胸に抱いていても、会えなければ切なく寂しい。
「教えて頂けませんか、あなたの望みを。敵に情けをかけるほど生ぬるい性格ではありませんが……誰かのために流す涙がある相手を問答無用で倒すほど残忍でも無いつもりです」
火花のその言葉が真実である証拠に、彼女が本来戦闘の際に用いる口調ではなく普段の礼儀正しく思慮深い口調のまま、問いかけは続く。
「終わることで解放を選ぶことを、弱者の選択とはいいません。その人の苦しみも悲しみも、その人だけのもの。共感はできても完全に理解することは難しい。……ですから、聞かせてください。あなた自身が選んでください」
生きるための救済か、終わるための救済かを、他でもなくあなた自身の意思で。
火花の言葉は下手な刃より深く雪女の心を斬りつけるように揺らしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四十物・寧々(サポート)
サポートプレイングです。

ひとつの肉体に複数の人格を有し、人格ごとに別々の特性を修得でき、人格を切り替える事で様々な状況に対応できます。(多重人格者の種族説明より抜粋)

そのため、口調は「現在の状況に対応できる人格」です。
シナリオ進行に必要な内容など、喋らせたいことを喋らせて下さい。

使用するユーベルコードの指定はありません。
「成功」の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。

多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。



●遠き記憶の果ての
四十物・寧々は雪女と、彼女と刃を交わす仲間たちを見渡し、雪女へと視線を戻した。
「迷っているのですか?」
生きるべきか、猟兵の刃に倒れることで長い命を終わるべきか。決めかねているような雪女の躊躇いを寧々は正確に見抜いて端的に問いかけた。
「もっと有効的な戦い方を、やろうと思えば貴方はできるはずです。それなのに迷っているように見えますが……気のせいでしょうか」
凍えた仮面のような表情のまま、感情に任せて吹雪を操る雪女だったがやはり目標は甘く、勢いも中途半端だ。
「なにを躊躇い、なにに迷っているのでしょうか。救われる価値がないと思っていらっしゃいますか。それとも、救われたあと生きるだけの価値がこの世界にはないと絶望しておいででしょうか」
寧々は淡々と問いかけを重ねていく。そのたびに雪女の攻撃は正確さも威力も削がれていく。
「ご自身に救われる価値がないと思うなら、これから変わっていけば良いのです。この世界には生きていくだけの価値がないと見切りを付けたのなら、他の生きがいを探せばいい。思い悩んでいてはどこへも行けないですよ。どこかへいきたいから、変わりたいから、変えたいから。今まで諦めきれなかったのでしょう?」
願いながらも変わることなどないと、変えることなどできないと諦める、その幻想を。
「私たちが打ち壊して差し上げます」
玲瓏とした、声が響いた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『もう一度、あの頃へ』

POW   :    全力で遊びを極め尽くす

SPD   :    あれこれ欲張りに楽しんでみる

WIZ   :    のんびりとマイペースに遊ぶ

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●胡蝶の夢に、穏やかな祈りを
たくさんの祈りが雪女へと向けられた。柔らかな言葉だったり、厳しい言葉だったり、あるいは言葉ではなく武器をもって救おうとする意思だったり。その形は猟兵たちによって様々だったけれどどれもが雪女へと向けられたものだった。
骸魂から解き放たれた彼女へ、もう少しだけ、明日へと歩き出す勇気を分けてやって欲しい。
長身のグリモア猟兵はそういって軽く肩を竦める。
「一期一会ってやつだ、発破かけるなり静かに話すなり、自由に過ごしてくれ。それが済んだら帰るとしようぜ」
鳳凰院・ひりょ
なんとか救い出す事が出来たの…かな、それなら良かった
俺達猟兵は過去を変える事は出来ない
でも、「これから」を変えるお手伝いは出来る

雪女さん、未来は、これから、貴方自身が作っていく事が出来るんだ
その中で、忘れてはならないのは「過去」があったからこそ「現在」がある、という事
貴方の大切な人との思い出があるからこそ、今の貴方がいる
そしてそれは明日へ、未来へ繋がっていくんだ
俺も過去に辛い事があったけれど、それあっての俺だと思っている

俺達が貴方に関わる時間は時の中でほんのわずかなものかもしれない

貴方が彼を愛していたように、彼も貴方を愛していたのだろう
そんな彼の愛した貴方自身を大事にして欲しい、そう思います



●絶えない祈りを
どうなることかと思ったけれど、助け出す事が出来て良かった。
鳳凰院・ひりょはぼんやりした表情で辺りを見渡す雪女にそっと声をかけた。
彼女がこれから、新しい道を躊躇わずに歩み出せるように祈りを込めて言葉を紡ぐ。
「誰にも過去は変えることは出来ないけど、未来はまっさらだと思うんだ。貴方の身に起きた、耐え難い悲しみの記憶は長く貴方を苛ませ続けるだろうけど……未来にある可能性の光まで閉ざさないで欲しいと、願っていいなら俺は願ってるよ」
ここでこうして救出任務で知り合ったのもなにかの縁だから、と微笑むひりょに雪女は少し戸惑った顔をして、それから静かに頷いた。
彼女にとって、今思い出す過去は辛く悲しいものなのかもしれない。けれど、その過去で大切な出会いをしたからこそ現在があるのも事実で。
そして現在は明日へ、未来へと続いていくから、過去を否定したり未来を閉ざさないで欲しいとひりょは願い、雪女は受け入れた。
「俺達が貴方に関わる時間は時の中でほんのわずかなものかもしれない。それでも、縁は縁だよな」
きっと貴方が彼を愛していたように、彼も貴方を愛していたはずだから。愛した人に愛された幸福や、自分自身を大切にして欲しい。
そんなひりょの想いは雪女の心を仄かな光のようなあたたかさで満たし、照らしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミリアリア・アーデルハイム
折角たくさん雪があるので雪遊びをしませんか?
雪投げ、かまくらつくり、そり滑り・・・
二人ではさみしいので、お暇でしたら小金井さんもご一緒に。

お腹が空いたら何か食べて、
いっぱいお話しして、いっぱい笑いましょう。
大好きだったあのひとの、好きなところ、ダメなところ。
案外ダメなところも微笑ましく、好ましく感じたりしているものなんですよね。

遊びながら「オーロラアイズ」で彼女にとっての真実の恋人を読取り
最後に雪だるまをつくりましょう。

UCで、雪だるまを彼の姿に
きちんとお別れの時間を過ごして、さようならを言ったら
・・・振り返らずにお行きなさい

そうして誰も居なくなり、後に残るは雪だるま一つ

アドリブ連携◎



●止めていた時間を進めて、一歩先の未来へ
ミリアリア・アーデルハイムは雪女に向かって辺りを両手で示しながら雪遊びをしないか、と声をかけた。
「せっかく雪がたくさんありますし、なにかの記念になればと思って」
譲葉にも声をかけると男は微かに目を見張ったあとレディのお願いは断れないな、などと嘯きながら場に加わる。
小さなかまくらを作ったり、雪投げをしていると雪女が小さな声で歌を口ずさんだ。
「その歌、お好きなんですか?」
「……あの人に教えてもらったの。もう、歌うことはないと思っていたけれど」
「綺麗な歌だな。あんたの声も含めて。歌ってやらなきゃ歌が可哀想だ。これからも歌ってやりな」
「そうですね。とても綺麗なお声ですし、歌詞も魅力的です」
二人からの言葉に雪女は少しだけ嬉しそうに微笑んでから頷く。
会えなくなってどれだけ月日がたっても、忘れられない思いがある。胸に抱き続けた思い出がある。
お腹が空くまで遊んで、譲葉がどことなく遠い目をしながら非常食だ、と差し出した甘いお菓子を食べながらミリアリアと雪女は色々な話をした。
「いいところはもちろん魅力的に映りますけど、案外ダメなところが可愛かったりもしませんか?」
「わかる気がする。なにか失敗して、気まずそうにしていたりとか」
穏やかな時間の最後に、ミリアリアは雪女の思い出を読み取って恋人にそっくりの雪だるまを作り上げた。
「きちんとお別れをいって、さよならをしたら、どうか振り返らずにお行きなさい」
別離があったとしても、きちんとさよならを言えていたなら二人の間にも別の結末があったのではないかと考えたミリアリアからの、手向けだった。
「お別れに水を差すのは無粋だからな、俺たちは行くとしようか」
「はい。どうかお元気で」
譲葉とミリアリアが去った後、雪女は雪だるまをじっと見つめて、何かを告げて。
後ろを振り向くことなくその場を後にした。
あとに残るのは雪だるまだけ。雪女の言葉を守るように、何も言わない彼はいずれ雪女の言葉と共に溶けていくのだろう。
彼女の想いがやがて蒼空(ソラ)へ還る手伝いをするように。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月07日


挿絵イラスト