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羅針盤戦争~終の死闘、強欲の体現者たる絶対の王~

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #カルロス・グリード #オブリビオン・フォーミュラ #終の王笏島 #プレイング受付中 #執筆は先着順ではありません #プレイング締め切りました

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●ラストバトル・スタンバイ
 羅針盤戦争も佳境に差し掛かり、蒼海羅針域もついに全ての島を発見することができた。
 あとは七大海嘯を全て撃破すれば猟兵たちの完全勝利となる。
 しかし、オブリビオン・フォーミュラ『カルロス・グリード』は本体を含めた7体の分身でグリードオーシャンの各海域の島を支配していた。
 これら全てを倒さなければオブリビオン・フォーミュラを撃破したことにはならない。

「ついに『終の王笏島』が発見されました。皆さんには『カルロス・グリード』の討伐に向かって頂きます」

 終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)がモニターに移したのは終の王笏島の外観、そしてカルロス・グリードと――いくつかのメガリスと思しき物体。
 一つは必ず奴が持っているであろう青い宝玉のようなものだ。

「このメガリスは、僕が予知した光景でカルロスが用いていたものです。
 この青い宝玉――『オーシャンオーブ』は皆さんがご覧になった予兆でも持っていたものです。見覚えがあるかと」

 メガリス『オーシャンオーブ』はどうやら自身のあらゆる行動を100%成功させる擬似的な因果改変能力が宿っているという。
 ただし、代償として自らの王宮で保管している大量のメガリスを代償にしなければ効果が発揮されない代物らしい。
 オブリビオン・フォーミュラは必ず猟兵たちより先にユーベルコードによる攻撃を行う特殊フィールドを所有している為、逆に言えばこれを利用すれば悪用されるメガリスの数を減らすことができる可能性もある。

「とはいえ、その為にこれの能力を使わせるのはかなりリスクが高いですけどね。
 もう一つは『さまよえる舟輪』というメガリスです。これはメガリスで武装した幽霊型コンキスタドールを乗せた幽霊船を呼び出すモノになります。
 圧倒的物量で攻める上に幽霊――アンデッドですので、幽霊船は叩けても場合によっては幽霊だけが残るかもしれません。霊体をも突き通す能力や魔術等で攻めるのが良いかと。
 そしてもう一つ、これが一番厄介なものになります」

 メガリス『鉄鎖ドローミ』――これこそカルロスの対猟兵用に特化した武装と言っても過言ではないかもしれない。
 何せこのメガリスは猟兵にとっての切り札でもあるユーベルコードを封印する能力を持つ上、一度相手を縛り上げたら決して離さないという捕縛能力も備えた代物なのだ。
 オブリビオン・フォーミュラ程の相手だ、ユーベルコードを封印されてしまえば勝ち目は著しく低くなってしまう。
 これを用いた攻撃だけは決して受けてはいけないと、日明は強く念を押す。

「ユーベルコードさえ封印されなければ、我々に逆転の機は十二分にあります。
 今まで数多の世界での戦争を乗り越えてきたんですから、ここでやられるなんてことはない……僕はそう信じています。
 グリードオーシャンの平和を取り戻す為に、この戦争――必ず勝ちましょう」

 羅針盤戦争、最終決戦――ここに開幕。


御巫咲絢
 ※注意:このシナリオは難易度「やや難」です!
 何てこったい2月もあと一週間だって!?恐ろしい話です。
 こんにちはこんばんは、あるいはおはようございます!初めましての方は初めまして御巫咲絢と申します。
 当シナリオをご閲覧頂きありがとうございます!御巫のシナリオが初めてだよって方はお手数ですがMSページをご覧頂いてから以下にお目通しをよろしくお願いいたします。

 羅針盤戦争も佳境でございます!というワケで最終決戦、『終の王笏』カルロス・グリード討伐シナリオをお届けします。
 おそらく今回の戦争でお届けできるシナリオはこれが最後の一本になりそうです。遅筆で申し訳ないグフゥ。
 最終決戦らしい皆さんの熱いプレイングをご投函頂けたらなと思います。
 至ってシンプルな(!?)先制UC対処だけのボス、今回は結構少ない気がしますね。

●シナリオについて
 当シナリオは『戦争シナリオ』です。一章で完結する特殊なシナリオとなっています。
 また、このシナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。

●プレイングボーナス
 敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

●プレイング受付について
 今回は「OP承認と同時に受付を開始」し、締切は「クリアに必要な🔵の数に達するまで」とさせて頂きます。
 執筆につきましては「NOT先着順」とさせて頂きます。
 開始日以前にご投函頂いたプレイングは全てご返却致しますのであしからずご了承ください。
 少なくとも6名様まではご案内予定ですが、それ以上の人数になりますと不採用になる場合もあります。
 予めご了承の上プレイングをご投函頂きますようお願い致します。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ち致しております!
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『終の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    メガリス『鉄鎖ドローミ』
命中した【対象1体のユーベルコードを封じる鉄鎖】の【全長】が【対象を束縛するのに充分な長さ】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    メガリス『オーシャンオーブ』
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【王宮にある大量のメガリス】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    メガリス『さまよえる舵輪』
【様々なメガリス】で武装した【コンキスタドール】の幽霊をレベル×5体乗せた【空飛ぶ幽霊船】を召喚する。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大豪傑・麗刃
とにかく敵の攻撃をくらってはいけない。
先制攻撃が一発だけなら手段はある。敵の攻撃がわたしの服に刺さり、その後肉に到達までの間に早業で早着替えを応用した早脱ぎで服を犠牲にして脱出する。気合を入れ限界を突破し、「服に刺さった動いた」じゃなく「動いた服に刺さってた」ぐらいの反応速度で動く。

ユベコ解禁後は分身の術を用いる。スーパー変態人2を発動。右手に刀2本、左手に脇差2本(というには大きすぎるバスタード・ヒーローソード)を装備。我が身を覆う黄金のオーラに存在感をもつわたしの残像を乗せ、高速飛行しながらあちこちにばらまく。これで敵が分身に気を取られ、攻撃目標がわたしから逸らされた隙を狙って突撃、斬る。



●ギャグアニメの途中にシリアス展開はよく挟まれるが一個一個の距離は離して入れた方が良い
「(――とにかく敵の攻撃を喰らってはいけない)」

 大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は普段のノリとはかけ離れたシリアスな空気を纏い刀を構える。
 流石にユーベルコードを封じる奴が相手なら、いつもよりキリッとした佇まいでいつも真剣だがそれ以上に真剣に。事を構えなければならないと判断したからである。
 普段ギャグの世に生きる身なれど彼は先祖代々武人の家系たる大豪傑家の次期当主。武人としての戦いの遺伝子はしっかりと受け継がれどう対応すべきかははっきりとしていた。
 まずは初手を凌ぐこと、それに注力すべし。

「我に立ち向かう最初の猟兵は汝か。我がメガリスの力に抗えるものなら抗って見るが良い」

 カルロスのメガリス『鉄鎖ドローミ』がまるで意思を持つかのようにうねり、伸びる。
 それは麗刃の身体を捉えきるには十分な長さへと変化し、一直線にこちらへと向かってきた。
 一度当たればその鉄鎖は身体に突き刺さり、脱出することは不可能、ならばどうするか。
 いかにして"この後の攻撃を凌ぎ切る"か、に全てがかかっている。
 麗刃は鉄鎖の動きを瞬き一つせず追い続ける。フェイントをかけているのか不規則的な軌道を描いて飛んでくる鉄鎖がこちらにくる瞬間を見逃すまいと――

 そして、その鎖は突き刺さった。

「……ふん、他愛も――ん?」

 カルロスは少しだけ目を見開く。
 確かに麗刃を捉えたと思ったのだが、その姿が残像の如くかき消えて……後に残ったのは鎖で雁字搦めにされた彼が着ているであろうジャージのみだった。

「変わり身の術か?いや、これは……」

 ある意味変わり身と言えば変わり身だろう。鎖が麗刃を捉え、その身を身体に突き立てるまでのその刹那の間に彼はとてつもない早業で服を脱いで脱出したのだから。
 早くこのシリアスな空気を終わらせたいという切なる願いを気合に変えて、神業とも呼ぶべき速度にまで昇華させて凌いだのである。
 最早「服に刺さった瞬間動いた」ではなく「動いた服に刺さっていた」と表現する方が相応しい速度で残像を残して脱した麗刃は真っ直ぐ突撃しながら分身の術の印を切る。
 分身を増やした上で右手に刀2本、左手に脇差――と言うには余りにも大きいバスタードソードとヒーローソードだが――2本構え、ユーベルコードを発動!

「うおおおおおお!!!!!わたしは超怒ったのだ――――――――――!!!!!!!!!!!」

 【スーパー変態人2】。
 かれこれどこもかしこもボス戦はシリアス一辺倒ばかりでボケに対して塩対応……それを逆手に取ったりとかもした―――だが。

 ――だが!!!!!しんどい!!!!わたしは早くシリアスを終わらせてギャグがしたいッ!!!!!!!!!!!

 そんな切なる願いを力に変えたブルーライトスパーク+ゴールデンオーラを纏った麗刃とその分身たちが空を翔ける。
 最大10100km/hの速度で高速飛行しカルロスの撹乱を試みたのだ。
 とんでもねえ速度で飛び回る麗刃はまるで飛び回りながら多重に分身の術を重ねて人数を次々増やしているようにすら見え、カルロスは歯噛みする。

「ちょこまかとよく飛び回ってくれる……目障りな」

 カルロスが『鉄鎖ドローミ』を薙ぎ払うように振るえば、多くの麗刃たちが残像の如くかき消える。
 下手な鉄砲、数撃ちゃ何とやら。確かに通常なら振り回していれば残像をかき消し狙いを定めやすくすることはできるだろうが、今回はそれよりも遥かに麗刃の飛行速度が上回っていた。
 薙ぎ払っても薙ぎ払っても次々増える麗刃の分身に最早苛立ちすら覚えつつあり――

「――斬」
「っ、が……!?」

 再び残像目掛けて鉄鎖を飛ばそうとしたその瞬間に本物の麗刃の刃をモロに浴びることとなった。

「わたしは怒っているが、それ以前に元より武人。ならばやることは斬るのみ」

 そう、シリアスを早く終わらせたいという渇望をエネルギーに変えているだけの、ただの武人。
 先祖代々受け継がれる血脈はそう簡単に海賊の王には負けなどしないのである。
 グリードオーシャンが平和になり心ゆくまでギャグができるようになるその日まで、彼は決して立ち止まらないだろう――!

成功 🔵​🔵​🔴​

家綿・衣更着
アドリブ連携歓迎

「衣更着参上っす!『オーシャンオーブ』はずっと持ってるほど重要なんすね!」

どろんと妖怪煙を大量噴出し【迷彩】、体毛を【化術】で【残像】に変化させる分身の術で囮にしドローミ対策

「その発動条件、崩させて貰うっす!メガリスを守るため消費するがいいっす!」
王宮内へ【ダッシュ】しメガリスを探して『収納鏡』(フレーバー)に放り込むか破壊する作戦

【結界術】と【破魔】と【罠使い】で幽霊対策を兼ねた壁を作ったり【化術】で【おどろかし】て【時間稼ぎ】
攻撃は【見切り】と【結界術】でダメージ軽減

「最後はオーシャンオーブも消費させるつもりで攻撃っす!」
『綿ストール・本気モード』で【なぎ払い】【乱れ撃ち】



●あらゆる行動に成功するという魔法の言葉(ただし落とし穴つき)
 カルロスの眼前でどろん!と煙が大量に上がる。

「煙……いや、妖怪煙か」

 カルロスはグリードオーシャン中のあらゆる島を制圧していたオブリビオン・フォーミュラである。
 各島で発生されている落ちてくる前の世界所以であろうものも当然何度も目にしてきたのなら、煙がただの煙でないこともわかるのだ。
 煙が薄れると猟兵の姿が見えるようになる。

「衣更着参上っす!」


 姿を現したのは猟兵、家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)だ。
 彼の周囲、そして煙にまだ隠れる中には大量の分身がいるのが見て取れる。妖怪煙で迷彩を施すと共に分身の術を使ったのだ。

「ほう、忍者か。面白い。だが分身を生み出しただけでは我が鉄鎖からはそう簡単には逃れられぬぞ」

 先程はカルロスの反応速度を上回っていた故に対応できなかったが、この鉄鎖対策に何かしらのダミーなり分身なりを用いることを完全に想定できなかったカルロスではない。
 そして当然衣更着もカルロスがそれぐらいを見抜くであろうことは察していたし、鉄鎖ドローミの対策もだがそれよりも注力すべきものがあると彼は見ていた。

「その『オーシャンオーブ』、ずっと持ってる程重要なんすね!」
「汝にこれの重要性を説く必要性はないがな。……何を企んでいる?」
「企んでなきゃこんな話はしないっすよ。いいんすか?おいらの方ばかり見てて」
「何……?」

 カルロスの横を何かが通り過ぎる。
 煙のせいでまだ視界は不明瞭故にただ通り過ぎたように見えたが、それだけで彼は確信した。
 何故ならカルロスの背後にあるのは――王宮だ。

「――そういうことか!」
「ご明察!!その『オーシャンオーブ』の発動条件、崩させてもらうっす!メガリスを守る為消費するがいいっす!!」

 そう言って衣更着は再び妖怪煙を発生させ、カルロスの視界をより困難なものとしたのち先に派遣させた分身たちの後を追うように王宮へと向かう!
 メガリス『オーシャンオーブ』はカルロスのあらゆる行動を成功させるが、代償として王宮に保管してあるメガリスが必要になる。
 そのメガリスを破壊する行動に出れば、カルロスは当然このオーブの力を使って"メガリスの破壊を止める為の行動を成功させる"ことでより確実にそれを阻止する方向に出るより他にない。
 そう、今この瞬間も使っているならば"妖怪煙で見失うことなく衣更着を追いかける"ということに成功し、その分の代償メガリスを消費させている――現に煙をくぐり抜けた自分たちの後を追ってきているではないか。
 手にしているオーブは青く光っている。

「賢しい真似を、だがそれで止められると――」

 かち。カルロスの足元から音がすると共に不可視の壁が展開された。
 もちろん、衣更着がこの短時間の間に仕掛けた結界術の罠、その結界に使われた破魔の魔力を検知しカルロスは歯噛みする。
 手元にあるメガリスの力を使って幽霊を呼び寄せることを封じられたも同然なのだから。
 ならばと鉄鎖を叩きつけ、結界を打ち砕くが今度は――

「ばぁ――――っ!!」
「っ……!?」

 目の前から突然ミミックが不意を打つかのように大口をあんぐりと開けカルロスの頭にがぶり――と噛み付いたと思ったら一瞬にして消え去った。

「どこまでも猪口才な……!」

 突然の出来事に思わず足を踏み止めてしまったうちに衣更着は王宮の奥へと入り込み、カルロスは苛立ちながらそれを追いかける。
 『オーシャンオーブ』は青く光り続け、カルロスの行動を確定させ続けていた。
 故にカルロスは衣更着を決して見失うことなく追いかけ続けることができている――だが、攻撃を仕掛けると衣更着はそれらを躱し続けるのだ。
 当たったかと思えば変わり身であったり、分身であったり。それでも当たったと思ったら結界術に阻まれたり――カルロスの苛立ちはさらに加速する。
 その苛立ちから視野狭窄に陥り、完全に衣更着のぺースに乗せられていることも気づかない。
 メガリスの破壊を阻止する為に衣更着に攻撃を仕掛けてはいるが受け流され続け、『オーシャンオーブ』は少しずつその輝きが弱まっていく。
 その輝きを目にし、衣更着は逃げながらのメガリス破壊、あるいは収納――しまえそうなモノは全部『収納鏡』にしまってきていた――から攻撃に転ずる決意をする。

「そろそろメガリスの量も限界みたいっすね!なら最後は――っ!」

 自らの一部である綿ストールを手にユーベルコードを発動!

「オーシャンオーブも消費させるつもりで攻撃っす!"打綿狸の本領発揮、誰にもこの綿は捉えられない"――これがおいらの本気っすよッ!!」

 その硬度、威力、射程、あらゆる性能を3倍に跳ね上げた【綿ストール・本気モード】が一切の摩擦抵抗を受けずまるで生きているかのようにうねる!薙ぐ!乱れ撃つ!!
 最早綿ストールが何本にも分裂してすら見えるそれを、カルロスは『オーシャンオーブ』の能力を使ってでなければ躱すことはできなかった。
 しかし、カルロスはひとつだけ見落としていたことがある。
 『オーシャンオーブ』の力は「行動を成功させる"だけ"」でしかないのだという、そのことを。

「!しまっ――」

 自らが回避し、ダメージを受け流すことができた"結果、その後どうなるか"までを確定させることはできなかい。
 綿ストールが『オーシャンオーブ』をカルロスの手から跳ね飛ばしたその時に、彼はそれを嫌でも思い知らされたのだ。

「よしっ……!」

 これで相手の手を一つ、少なくともこの間だけは封じることが可能だろう。
 それ以上の深追いはやめ、次なる猟兵に後を託して衣更着はグリモアベースへと帰投した。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可

今回の戦場は特殊な環境ではないですが、だからと言って与し易い相手ではなし
一切の油断はせず、全力で相手をさせてもらいます

敵の先制攻撃で放たれた鎖には『ダッシュ』と『残像』で撹乱しつつ、此方のピックを『投擲』、壁か床に縫い付けて動けないようにしてしまう

一先ず鎖を封じたら、UCを使い自分を強化しながら、一気にカルロスへ接近。残ったピックを『投擲』で『毒使い』『マヒ攻撃』の状態異常を与えつつ、『串刺し』にしたそれが『継続ダメージ』を与える
近付いたなら黒剣を接近戦、自分の鎖を自在に操る『フェイント』とピックによる『不意打ち』で動きを封じたところで『捨て身の一撃』を叩き込む


ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

俺のメガリスを封じられると思うなよ
お前にはこれしか渡さない!しっかり味わえ

POWで判定
UCは封じられたとしてもメガリスの力はそのまま使えるはずだ
先制攻撃は銀腕を【武器改造】で俺の体を覆う様に変化させて防ぐ
ただ、内部には隙間を作り自分には突き刺さらないようにする
【クライミング】【ジャンプ】で覆いから抜け出し、義眼のメガリスの藍の災い:圧壊【重量攻撃】を鎖に対して【スナイパー】【全力魔法】を使って発動し【時間稼ぎ】をする
【ダッシュ】【悪路走破】で一気に近づき、銀腕を剣状にして敵に【突き刺す】
そのまま左腕を代償に指定UCを発動し攻撃【捨て身の一撃】【限界突破】



●閃雷と蝕黒
 カルロスの持つメガリスを大量消費させ、『オーシャンオーブ』の力を最大限弱らせることに成功したことにより段々と猟兵側へと利が傾きつつあった。
 だがまだ油断してはいけない、確かにオーブの力を奪うことはできただろうが、それでもまだカルロスは強力なメガリスを備えているのだから。

「我の所有するメガリスに目をつけるとはな……流石は猟兵、どこまでも油断はできぬ者共よ。それも麗しの姫君が恐れしグリモアの成せる業か」
「さあな。だが、グリモアの力だけで俺たちがここまできているワケじゃない」

 ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)はそう言って構えを取る。
 グリモアは確かに強力で、それを元に予知を行うグリモア猟兵が先導するということがどれだけ影響を大きく与えているかは明らかだ。
 だが、それだけで勝てたら苦労はしない……全てはその予知の下に猟兵たちが力を合わせ、幾多もの困難を乗り越えてきたからこそ。

「グリモアと、猟兵たち全員の力。その2つが揃って初めて俺たちは勝利を手にする……一切の油断はせず、全力で相手をさせてもらいます」

 クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)もそうとだけ告げていつでも応戦できるよう構える。
 これまでのグリードオーシャンの戦場と比べて、この『終の王笏島』は決して特殊な環境下にあるワケではない、だからといってこの『王笏』が与し易い相手でもない。
 数だけ見れば2VS1、人の形をしているが故に見た目だけでは猟兵側の利になるように見えるが、二人相手でも圧倒するからこそオブリビオン・フォーミュラ足り得るのだ。

「いいだろう。汝らが旅に我が終止符を打ってやるとしよう」

 カルロスの背後から『鉄鎖ドローミ』が獲物を求めて姿を現し、不規則的な軌跡を描いて飛翔。
 最初に狙ったのはクロス、だが彼は敢えて前へと踏み込んだ――いや、踏み込んだように"見せた"。
 わかってて無謀にも飛び込んだように見えたクロスの姿がふ、と掻き消えたのだ。
 実際のクロスは鉄鎖の軌道から大きく横にズレたところで迎撃の機を伺っている。ならばそちらにターゲットを伸ばすよりはとカルロスは鉄鎖をルイス目掛けて放つ。

「――!」

 ルイスの右腕を鉄鎖が捕らえる。

「他愛もないな」
「そいつはどうかな」
「何?」

 ここでカルロスが左腕を捉えていたならば文字通り「他愛もないな」と吐き捨てる結末になったかもしれない。
 ルイスの右腕は義腕である。流体金属で作られた銀腕は彼の意思に呼応して臨むがままに形を変える――故にカルロスはここで左腕を捉えておくべきだった。
 銀腕は右腕を離れ、人一人だけならすっぽり覆える小型のドーム状と化して鉄鎖をその身に巻きつける。僅かに空いた隙間がルイスを鉄鎖から護り、ユーベルコードの封印を阻止するに至った。

「ユーベルコードは封じられても俺のメガリスを封じられると思うなよ!」

 クライミングの応用でルイスはドーム内から脱出、反撃に転じようと銀腕を再び右腕に戻す。
 自由になった鉄鎖をカルロスは再び見舞おうとするが、同時にルイスが自らに埋め込まれたもう一つのメガリス『藍の災い:圧壊』を発動させ重力波で押し返す!

「ぐ……!」

 流石にオブリビオン・フォーミュラとはいえ人型であり世界の重力に縛り付けられている以上、上から重圧をかけられてはそう簡単には動けない。
 重力波の影響が出ている間にルイスは一気にカルロスに接近を試みる。
 だが鉄鎖までは影響を受けているワケではない。念じればすぐに反撃に出られると踏んだカルロスであったが。

「忘れてもらっては困りますね……!」

 クロスが後方から投擲した数本のピック『【哭装】虚風』がドローミを床に縫い付け、動かすことは叶わなかった。
 視野狭窄とはまさにこのこと。ルイスの対応に負われるあまりクロスがより自由に動き回れる状態を作っていることに気づかなかったのだ。

「(これで鎖は封じた。後は……っ!)」

 クロスの瞳が赫く染まる。
 ユーベルコード【赫の激憤(レイジ・オブ・ヴァーミリオン)】で身体を蝕む血を覚醒させたのだ。
 闇を纏い、ヴァンパイアと化したクロスはルイスに続くようにカルロスへと接敵する。
 同時に『藍の災い』の効力が弱まりカルロスが自由に動けるようになるも既に遅く、クロスが投擲した『【哭装】虚風』が肩を貫いた。

「ちっ……っぐ!?」

 肩を刺された程度では表情を僅かにしか崩さなかったカルロスだったが、ピックに塗り込まれた毒が痛覚をより強め、顔を歪める。

「(身体が動かん……ちっ、麻痺毒も含まれているな……!)」

 段々と体中の筋肉が麻痺し、動くこともままならないカルロスと二人の猟兵の間はどんどんと縮まるばかり。
 最早回避は難しい、ならば防御で何とか凌ぐよりあるまいとカルロスは防戦の構えに入った。

「防がせはしない……!」

 クロスが自らの血を吸わせた『【冥装】罪茨』の鎖をその守りを崩さんと飛ばした。
 身体は動かないが視線は動くと、カルロスはその鎖の軌道を限界まで見極めんとする。
 まるで意趣返しのように描かれる不規則的な軌道を描かせてカルロスを翻弄するクロスだが、これだけでは終わらない。
 奴の視界の死角へと目掛けてさらに『【哭装】虚風』を投げつけ毒をより強める!

「ぐ……ぬ……っ」

 毒がより一掃進行し、最早手を上げることすらままならぬカルロス。
 そこにルイスが銀腕を剣へと変えて突進、その刃を身体に深く突き立てた!

「が、は……っ!」

 麻痺により痛覚は鈍くなるが、それでも内蔵に損害を与えられれば吐血の一つや二つはするもので。
 カルロスの撒き散らした鮮血がルイスに飛び散るが、それも気にも留めず。

「お前にはこれしか渡さない!しっかり味わえッ!!」

 ユーベルコード【デッドマンズ・スパーク】の凄まじい電流がルイスの左腕をも諸共に吹き飛ばすかのように炸裂。
 迸る電流にその身を包まれるカルロス。そしてルイス自身も自らの左腕を代償として失うことになる、デッドマン(死者)ながらもまるで生命の閃光を放つかのような閃雷が溢れ出す。
 今その状態で飛び込めば誰だってタダでは済まないであろう、そんな中をクロスがさらに追撃をかける為に迷うことなく飛び込んだ。

「これで……ッ!!」

 ルイスの剣と変えた銀腕と交差するように、カルロスの身を貫くクロスの黒剣『【葬装】黒羽』。
 金属は電気を通す――魔力によりその姿を変える剣ならば尚更のこと。
 銀剣と黒剣、双方を伝って迸る雷は、カルロスを外側からも内側からも、焼き尽くした――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
恐るべき敵だな
だが挑まない訳にはいかねぇよなぁ?

【戦闘知識】
是までの戦い方から彼の動きの癖の把握

対POW
【見切り・第六感・残像・空中戦・属性攻撃・遊撃・レーザー射撃】
重力属性を全身に付与

重力障壁を纏いつつ機動力を強化!
是までの戦闘記録から攻撃の癖の把握
残像を残して幻惑しつつ飛び回りながら全力で回避を優先

あれは絶対当たっちゃダメな奴だっ

更にガンドライドのレーザー射撃の迎撃も併用!

【二回攻撃・早業・串刺し】
剣と太刀での連続斬撃から更に槍へと切り替えての串刺し
その場で機動力を奪い

だんっと上空へ飛べば
UC発動
【重量攻撃】
にて強化した上での全力の踵落とし!

我が全霊!たっぷりと受け取れぇぇぇ!!!


ヴィクトル・サリヴァン
沢山王笏いたけど最後のは小細工なしなんだね。
と言っても厄介さは変わらないというか純粋に強い。
…さあどう崩すか。

俺の体中心に破魔の力込めた結界を展開。
幽霊達の接近を防ぎつつ、結界遠くからぶち抜いてきそうなメガリス持ちを高速詠唱からの聖属性付与した水圧カッターで浄化していく。
包囲されそうな気配感じたら王宮の地形利用し狭い通路に潜り幽霊船自体に距離詰められないようにしよう。
十分時間稼いだらUC起動し生命活動を活性化、多少の傷は覚悟の上で聖水まとわせた銛で幽霊達蹴散らしつつカルロスへ接近、全力の一投を打ち込んでやろう。
ただもし負傷した味方がいるならそっちの回復優先するね。

※アドリブ絡み等お任せ



●鯱と流星
 カルロス・グリードの分身体はこれまでに各世界所以の様々な能力を駆使してきた。
 中には猟兵たちのトラウマともなったであろうものを想起させるものもあり、それぞれが猟兵たちに苦戦を敷いてきたのである――が。

「沢山王笏いたけど最後のは小細工なしなんだね」

 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は率直な感想を述べた。
 確かに分身体と違ってこの『終の王笏』は強力なメガリスこそ持っていれど、他の世界の力を顕現させた分身体と比べると至極シンプルであり真正面から相対する性能を備えているだろう。
 とはいえ、厄介さは変わらないというか、純粋に強さで正面から向かってくるタイプである。

「恐るべき相手だな……だが、挑まないワケにはいかねぇよなあ?」

 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は瞳に炎を宿して目の前のオブリビオン・フォーミュラと対峙する。
 純粋に強さで真正面から圧するタイプが一番恐るべき相手というのは事実だ、戦闘に一切の小細工を使用せず、真っ向から立ち向かって倒せるというのは純粋に戦闘力が著しく高いということの示唆なのだから。
 だが、だからこそ立ち向かわねばならない。
 これまでの猟兵たちの攻撃により大分消耗してきてはいるが、まだカルロスは立っている。油断をすればどちらが負けるかは明らかだ。

「次から次へと王の首を狙う愚か者共め……だが、我はまだ立っている。故に汝らに勝利の二文字はないと心得よ!」

 先の戦いから時間が経過し、解き放たれた『鉄鎖ドローミ』が暴れ出す。
 束縛から解き放たれた解放感を味わうかのように暴れ、二人に襲いかかるそれをテラは重力障壁で叩き落とした。

「(グリモア猟兵が言っていたメガリス……!あれは絶対当たっちゃダメな奴だっ)」

 一度命中すれば獲物を決して逃さず、ユーベルコードを封印し永遠に蝕み続ける呪いの鉄鎖。
 いかにしてアレに当たらずに事を凌ぐかがまず問われる。
 鉄鎖は一度重力で押し返された後、ヴィクトル目掛けて飛んでいくが彼もまたテラの重力障壁による防御で生まれた時間で破魔の結界術式を展開しており、鉄鎖はそのまま弾き飛ばされた。
 だが、カルロスの手は当然これだけではない。

「汝らの王たる我、カルロス・グリードより命ずる!冥界の軛より解き放たれ今こそ集え、我がコンキスタドールたちよ――!」

 メガリス『さまよえる舵輪』を天高く翳す。曇り一つ無き青空が暗雲に覆われ、現世と冥界を繋ぐ次元の扉が開かれる。
 おどろおどろしい幽霊船に乗った500体近くものコンキスタドールの亡霊たちがメガリスを構えて現世に再び顕現したのだ。

「たくさん呼んできたな!?」
「ここからが本番だね……さあどう崩すか」

 ヴィクトルの破魔の結界術式の範囲が広がる。アンデッドを寄せ付けない結界で幽霊船の漂着そのものを阻害する試みだ。
 当然、幽霊船を阻んだところで幽霊というものがそれがなくとも浮遊して移動してくるのでこちらに襲いかかろうとしては片っ端から破魔の力を受けて浄化されていく。
 しかし幽霊ばかりに気を取られていては、もちろんカルロスが不意を狙ってくるし幽霊たちも後方から攻撃をしかけてくるワケで。

「危ないっ!」

 テラの重力障壁がヴィクトルの死角から襲いかかる鎖を退ける。

「ありがとう、助かったよ。……ふむ、そうだね。ここは二手に分かれるのが良さそうだ」
「そうだな、こんだけ数がいるとなると……けど、あいつの戦闘の癖はだいたいわかってきた。おれがカルロスの相手をする」
「なら俺は、このまま幽霊の対処だね」

 ここから猟兵たちの反撃が始まる。
 ヴィクトルは後方へ、テラは前方へ。戦場たる終の王笏島の王宮の中でも狭い通路を見つけ、ヴィクトルは敢えて破魔の結界を解除して駆け込む。
 当然幽霊共は忌々しい破魔の結界が消えれば殺到するし、結界を使える彼を優先的に狙うだろう。
 一気に通路に駆け込もうとするが、あまりにも単純すぎるその動きを読んでいたからこその行動であり通路の入り口をヴィクトルはすぐさま高速で詠唱し再び結界を展開し、幽霊たちの進行を阻む。
 もちろん、幽霊たちとて全員が全員考えなしに突撃するかと言われると否だ。
 幽霊のうち何体かは銃や弓など、見るからに遠距離用であろう形をしたメガリスを構えて結界の突破を試みるが、当然結界で防戦に出る以上はそれらもヴィクトルからすれば想定通りの動きでしかない。
 結界の術式を展開しながらもう一つ高速詠唱で術を紡ぎ、聖属性を混ぜ込んだウォーターカッターを飛ばして的確に仕留めていく。

 幽霊がヴィクトルの対処に追われている中、テラはカルロスと対峙する。

「このまま二人で共にかかってくると思ったが、まあ良い。どちらにしろ倒すという結果が残れば同じことよ」
「余裕見せていられるのも今のうちだ!お前の攻撃の癖は完全に見切った!」
「ほう……ならその言葉に偽りがないか証明してみせるがいい、猟兵よ」

 カルロスは『鉄鎖ドローミ』を再びテラへと目掛けてけしかける。
 当然真正面からぶつけたところで重力障壁に阻まれるのはカルロスも最早わかりきっており、故により軌道を不規則的にすることで撹乱させるつもりだった。
 しかし、まるでそれを読んだかのようにテラはそれを回避。
 残像をも残す程の速度で飛翔し、次々と鎖の一撃を阻みつつテラが『ガンドライド』によるレーザー射撃で迎撃を開始すればカルロスは鉄鎖を盾にして阻む。
 敢えて迎撃は強めず、適度に隙を作ることで反撃を敢えて許す度に残像を作って幻惑し、テラのペースに段々と相手を乗せていく。
 強力なオブリビオン・フォーミュラではあるが、身体が一つしかなく脳もまた一つしかない以上、反応できる範囲は限られている――なら、その反応速度を上回ることで相手のペースを崩すのが最適だ。
 グリードオーシャンを航海し続けてきた王であるが、恐らく『七大海嘯』の海賊たち全てを従えるようになってからは想定外の敵に遭遇したことがないのだろうか、あるいは『オーシャンオーブ』の力があったからか。
 基本的に「自らの想定した範囲での行動」の範囲を出ることはなく、カルロスの動きには全て一定の行動が規則正しく行われているようにテラには思えた。
 故に、そのルーチンでは対応しきれない反応を示せば一気に猟兵側の利になる。

「く……!」
「海賊って割には規則正しい奴だな、カルロス・グリード!その隙もらったッ!!」

 ドローミの鎖をかいくぐったテラの『グランディア』と『錆鞘之太刀』による怒涛の連撃がカルロスを直撃!

「ぐっ……!」
「まだまだッ!!」
「調子に乗るなよ猟兵ッ!!」

 テラの背後からカルロスを守るように飛んできた鉄鎖ドローミが『錆鞘之太刀』を捉える!

「!」
「このメガリスは何も人体を捕らえねば使えぬというワケではない、その刃を起点とすることも――」
「何言ってる、おれの武器がこれだけだと思ったら大間違いだ!」

 ドローミが太刀を握る腕を縛り付けるよりも早くテラは太刀から手を離し――もう一つの武器である紅龍槍『廣利王』でその身を貫いた!
 『廣利王』の刀身は床に深々と突き刺さり、カルロスをその場に縛り付ける。
 しかしカルロスもこれだけでは終わらぬとドローミで捕らえた太刀の切っ先を真正面からテラに向けた!

「しまっ――」

 まさに間髪入れずのカウンター、一気に攻めに転じたことが災いしてすぐに護りに入れなかったテラの右肩を太刀がかすめる。

「隙ができたのは汝であったな……終わりにさせてもらおう!」

 すぐにバックステップで距離を取るが、カルロスはこれを好機とみて鉄鎖で縛り上げようとして――敵わなかった。
 浄化の力が籠められた銛が真正面から鎖ごと奴の手を貫いたのだ。

「なっ……」
「2対1ってことを忘れちゃあダメなんじゃないかな?」

 テラの背後からユーベルコード【活力の雷(ガルバニズム)】で彼女の傷を癒しながらヴィクトルが姿を見せた。
 彼もまたテラがカルロスを圧倒している間に彼も攻勢に転じていたのである。
 自らの生命活動を活性化させ、多少の被弾を覚悟の上で突貫しながら全身全霊で聖水を纏わせた銛を投擲し、幽霊ごと巻き込んだというワケだ。
 幽霊が全て祓われ、再び七の王笏島を陽の光が照らし始める。

「ぐ……おのれ、猟兵……っ――何?」

 陽の光を逆光のように浴びた物陰が視界に映る。テラだ。

「カルロス・グリードッ!!」

 【メテオ・ブラスト】で流星の力を纏い、大気圏に突入するかのように空気を押し潰し、熱を纏って強襲し――

「我が全霊ッ!!たっぷりと――受け取れぇぇぇッ!!!」

 超重量の踵落としが槍に貫かれたその身体を押しつぶすかのようにカルロスを捉え、圧倒的爆発力を生み出す!
 その衝撃は王宮すらもクレーターの中に押し潰す程の壮絶な威力。
 カルロス・グリードはその身をひしゃげさせたかのような姿で地に伏していた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御桜・八重
【雷桜】
来たね、ここまで。
うん、行こうっ!

「っ!」
迫るドローミを前に、わたしを抱え込むように庇う通くん。
彼の意を察し、すかさず足元から滑り出すように鎖の外へ抜け出すと、
「てえいっ!」
渾身の気合いで鎖を切り飛ばす!

通くんを解放したら、彼に続いて走り出す。
彼の陰に隠れて二発目のドローミを躱し、
「桜彗星、いざ突貫っ!」
鎖をすり抜けざま、桜色のオーラを纏って走り出す!

通くんが一緒に走っている。
それを思うだけで胸の炎が燃え上がり、
いつもよりオーラが輝きを増していく。

高速で駆ける通くんの流星とわたしの彗星。
目標を絞らせないように二方向から迫り、
交差するようにカルロスにアタック!

「もう一矢、追加だよ!」


雷陣・通
【雷桜】
さて、ここが終盤……行こうぜ八重

八重を抱えて、真正面から
ドローミは正面から受け止める
あいつの前だ
激痛耐性と飛び込む勇気があれば、一回は耐えられる
まだ二発目は撃たせねえ、グラップルで引っ張りつつ八重のフォローで脱出

ここからが本番だ
走るぞ、八重!

分かってる、そこで二発目が来るんだろ?
だから、ここで限界突破
殺気の籠った俺と八重の残像でフェイントをかける
遅せえよ、あいつはもう――走ってる
そして、俺も!

『雷流星』

二方向から攻めることで的は絞らせない、しかもこっちの軌道はめちゃくちゃだ
八重との絆を力にして、今、ここにぶつける!

流星と彗星が交差するようにアタックだ!


「終の王笏に一矢打ち込んだり!」



●雷桜煌めく双つ星
「……きたね、ここまで」

 二人の若き猟兵、御桜・八重(桜巫女・f23090)と雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)が終の王笏島へと降り立つ。
 七大海嘯の戦力はほとんど削れてきており、猟兵たちの勝利まであと僅か。
 『終の王笏』を倒せば、全てが終わる。

「さて、これからが終盤……行こうぜ八重」
「うん、行こうっ!」

 決意を確かめ合うように互いに軽く拳を握ってみせて。
 目指すは終の王笏島の最奥、カルロス・グリードの王宮――。


「まだだ……まだ我は倒れておらぬ」

 攻撃を受けても尚、カルロス・グリードは立っていた。
 これまでの猟兵たちの攻撃により大分消耗してきてはいるが、決して油断することはできない――そんなラインだ。
 隙を見せればあっという間に逆転されてもまだおかしくはなかった。

「七大海嘯は、我が名にかけて、終わらせぬ……!」

 当然、そんなオブリビオン・フォーミュラが少年少女の猟兵を眼前にしたところで油断などするワケがない。

「次なる猟兵は、汝らか……最早言葉は不要。ここまできたならば雌雄を決するのみ……!」

 姿が目に入るや否や先手必勝と言わんばかりに『鉄鎖ドローミ』が意思を持ったかのように動き出す!
 当たればユーベルコードを封じるメガリスの鎖。避けなければと八重が動くよりも早く、通が彼女を抱え込んで鎖をその身に受ける。

「っ!」

 ドローミの対象とされるのは狙った相手一人のみ……こうして抱え込むように受け止めれば片方は脱出できる。
 八重は通の意を察して足元から鎖の外へと抜け出した。カルロスは当然彼女へと意識を向けるが、通がドローミを引っ張り、意識を強制的にこちらへと向けさせ――

「てえいっ!」

 渾身の力を込めた八重の一刀が切り飛ばす!
 人で言えば身体の一部を切り離されたようなもの、通を縛っていたドローミの一部であったそれは地に落ち力を失った。

「この鎖の対象人数を利用したか――賢しい真似を!」

 一度切り飛ばしたとてドローミのメガリスとしての力が失われたワケではない。
 元よりその長さを可変とするそれはまだまだ獲物を求めるかのようにうねり、カルロスの意思に従う。

「ここからが本番だ、走るぞ八重!」

 オブリビオン・フォーミュラの放つユーベルコードによる先制攻撃は凌いだ。ならば今度はこちらの番だ。
 通はカルロス目掛けて真っ直ぐに走り出し、八重も頷いて彼に続く。
 ひたすら真っ直ぐに向かってくる二人を、格好の的と見てカルロスは引き続き鉄鎖ドローミを差し向けた。
 焦りと消耗から視野が狭くなっていることに気づかないまま……

「っ――!?」

 通の翠色の視線が自らの視線と交差した刹那、背筋を寒気が走る程の殺気を覚えてカルロスは一瞬だけ踏み留まる。

「(バカな、我が殺気に怖気づくだと……!)」

 従来のカルロス・グリードであれば、この程度の殺気で圧されはしないだろう。
 だが、度重なる猟兵たちとの戦いによる消耗と思うままに行かぬ焦燥感から無意識のうちに最悪の事態を想定し恐れるようになっていた。
 そのことに気づいてしまったカルロスは、その"恐怖"を覚えてしまったことに狼狽える。だがそれを自らに許せば許す程少年少女との距離は縮まるのだ。

「認めぬ。我が恐怖するなど。我が敗北するなど!我は決してこの航海を、終わらせるワケには――ッ!!」

 迷いを振り払うように再び通と八重へ迫る鉄鎖ドローミ。
 しかし戸惑いを決して隠し切れぬ一撃は、二人を捉えられないだろう。
 まだ13歳という若すぎるとさえ言える年齢で既に猟兵として命を賭している二人を、迷いの見える攻撃では決して捉えられはしない。

「遅ェよ、あいつはもう――走ってる」
「何……っ!」
「――そして、俺も!」

 迸る紫電、その後ろから咲き誇るような桜色の光。

「桜彗星、いざ突貫っ!」
「雷流星――吶喊ッ!」

 【桜彗星】と【雷流星(ライトニング・シューティングスター)】、文字通りの彗星と流星がフィールドを駆ける!

「(――通くんが一緒に走っている)」

 ただそれを想うだけで八重の胸の内に秘められた炎は燃え上がる――絆を感じれば感じる程、桜色の輝きはより強く、眩くなる。
 そしてそれは当然通も同じで、八重との絆を感じれば感じる程紫電はより眩く、激しく迸るのだ。
 絆が強ければ強い程、無限に能力を増すユーベルコード。二人の絆の証の一つ。
 眩しい紫電が、眩い桜色が、双方向からカルロスに迫る――!

「く……おのれッ!!」

 カルロスが双方向から迫るその双つ星を捉えるには、肉体的にも精神的にも余力は残されていないにも等しかった。
 片方は真っ直ぐに、もう片方は非常に不規則的に。

「(八重と俺の絆の力――今、ここにぶつけてやる!!)」

 空を彩るかのように描かれ、想いに比例してより強く加速するそれは最早カルロスの眼前にまで迫り、そして。

「――終の王笏に一矢打ち込んだりッ!!」

 極限まで加速された雷が、まず先に懐に飛び込み――

「もう一矢――追加だよっ!!」

 ――輝く桜色が、それに交わった。

「か、は……ッ!」 

 紫と桜の雷光、それに伴うエネルギーはカルロスの身体を勢いよく吹き飛ばして王宮の最上にあるバルコニーへと身体を叩きつけて。
 カルロス・グリードがそれから起き上がることは二度となかった。
 砕ける壁とガラスの音と共に上がる土煙は、まるでオブリビオン・フォーミュラの敗北を告げるかのように空へと登っていく――。

「……終わったね」
「ああ。俺たちの勝ちだ」

 ぱん、と互いを労い、勝利を喜ぶハイタッチの音が終の王笏島に響き渡る。
 この戦いを経て、二人はきっと互いの絆をより強く感じて。
 そして、これを糧としてさらにこれからも成長していくのだ……何せ二人の前にはまだまだ道が続いているのだから。

 羅針盤戦争、最終決戦――これにて閉幕。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月25日


挿絵イラスト