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地底の悪魔

#クロムキャバリア #円卓連合

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#クロムキャバリア
#円卓連合


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●不明区域調査
「皆、集まってくれてありがとう」
 グリモアベースの格納庫、鈍色の巨人の前で朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)は集った猟兵達に頭を下げる。背後の簡易スクリーンには作戦の概要が映されていた。
「今回も敵オブリビオンマシンの破壊が目的だけど、若干事情が混みあっていてね」
 つまり戦場はクロムキャバリア。混みあった事情とは何なのかと質問が飛ぶ。それを受け、ラヴィニアはスクリーンを操作して表示情報を切り替えた。
「表向きは以前ボクが予知をしたガフの谷が属する都市国家群、円卓連合を構成するドワーオ研究都市国家――その首長、ドクター・ヘルムからの調査依頼になる」
 大小幾つもの国家の集合体たる円卓連合、ドワーオはその中でも科学技術に抜きんでた異能の研究者集団らしい。そこのトップが猟兵へ依頼をしてくる予知だというのだ。
「同じ円卓連合のオブイエ王朝の動きが不穏なんだ。元々苛烈な粛清がお家芸の国だけど、ここの所周辺諸国からの呼び掛けに何にも答えないみたいで……その調査だね」
 その不穏な動きを察知したヘルムが自ら調査に乗り出す旅に同行して欲しいという事。ヘルム自体も凄腕のキャバリア乗り――自身が拵えた無敵のスーパーロボット『マカイザー』を操るという。だが一人では危険だと科学者の勘が察知したからこそ猟兵達に声が掛かった。ではその度に同行し、どのようにして敵地へ入るのだと質問が続く。
「敵地への侵入は高速地下鉄道を用いた各国家の物理的ホットラインを通じて行うよ。無論、敵の迎撃があるからそれを切り抜けて……って形になるかな」
 スクリーンには大仰な装甲列車の映像が。この中にキャバリアごと直接転送してそのまま敵地へ乗り込む。幸い車両には結構な数のキャバリアを搬入出来るが、地下鉄道の特性上大型兵器は投入が憚られる。そして最初の敵は詳細が不明……キャバリア程度のサイズだが、相手がキャバリアなのかは判断が付かないらしい。
「殲禍炎剣の影響を受けない分、天井の制限があるから高度や射角には気を付けてね」
 三次元的な機動は限定されるが、高機動戦闘は行える状況だ。空からの奇襲に怯えなくて良い分、いつものクロムキャバリアとは違う立ち回りが求められるだろう。
「続いて目的地へ到達したら敵の防衛網を突破しなきゃならない。何か物凄い数のキャバリアらしき影が見えたよ……機種は不明だけど、そんなに大きな機体じゃないみたい」
 続けて表示されたのは鳥の様な機動兵器。逆関節型アンダーフレームにも見えるが、これも実態が分からない。そして中には人間が乗っているとの事。これも先の戦いとは違う状況――確実に有人機が相手となれば、色々な判断に迫られる事は確実だ。
「ここの相手はオブリビオンマシンじゃないけど、相手は敵中枢を守る精鋭だから油断しない様にね。機体の性能より中身が問題なんだ」
 幸い目的地は天井が高い。地下施設である事を考慮すれば、先程よりは戦い易い地形である。無論、崩落しない様武装の選定は慎重に行うべきだと付け加えて。
「その後、敵のボスとご対面――って所かな。恐らく、常軌を逸したマシンが相手だ」
 最後に現れるオブリビオンマシンも、ラヴィニアの予知では全容が視えなかった。ただ僅かに判明している事――最後にそれを静かに伝える。
「巨大な人の形と、光。それと……声」
 先程までの異形と違い、確実に人型のキャバリアが相手だ。それ以上は分からない。
「神々しさと禍々しさ、それが綯交ぜになって……兎に角、危険な相手である事は間違いないよ。でも、きっと皆なら切り抜けられると信じてるから。どうかよろしくね」
 ゲートが開く。けたたましい駆動音と共に戦場の匂いが格納庫を支配した。


ブラツ
 ブラツです。
 今回の舞台はクロムキャバリアのとある国家へ、
 友軍と共に侵入し、異常を調査する事が目的です。

 第1章は冒険です。高速地下鉄道の進路を妨害する敵部隊を制圧して下さい。

 第2章は集団戦です。現時点で詳細は不明です。マカイザーと共に戦います。

 第3章はボス戦です。現時点で詳細は不明です。

 その他、詳細はオープニングに準じます。
 今回キャバリアの借用に関しては以下の機種になります。
 ■B.O.S.S型汎用機(Battle Operation Scrap Soldier)
 廃品再生量産型キャバリアです。何故か猟兵の動きを再現出来ます。

 アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
 単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
 同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。

 プレイング募集期間はタグをご参照ください。
 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 冒険 『クロムキャバリア地下鉄道護衛任務』

POW   :    障害物や敵からの攻撃から身を挺して庇う

SPD   :    障害物や敵を精密射撃で撃ち抜く

WIZ   :    防壁を構築し列車を守る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●強襲
『お、アンタらが猟兵か。話は色々聞いてるぜ』
 ガタガタと軋む不連続な音が響く格納庫、ツンツン頭の快活な青年がこちらを向いて手を振っている。白衣の下には戦闘服――恐らくは彼が予知で視た依頼者だろう。
『俺はドクター・ヘルム。でもってこいつがマカイザー……まあ』
 ヘルムの背後には漆黒の武人めいたキャバリアが蹲っていた。双眸に光を滾らせ、全身から太い血管めいたチューブが、揺れる格納庫――装甲列車そのものに繋げられていた。時折紫電が埃を巻き上げ、小さな爆発を起こしている。
『今はこの列車の動力替わりなんだがな。ていうのも早速敵襲がッ!?』
 ガクン、と車体が大きく揺れた。急ごしらえのモニタに怪物めいた機械の軍団が映し出され、ミサイルやら光線やらを立て続けに装甲列車へ放っていた。

『……てなもんで、主機がやられちまったんだ。幸い駆動系は無事だったから、今はマカイザーの動力で無理やり動かしてる。お陰で迎撃に出れねえそこでだ』
 早口でまくし立てるヘルム。本来ならば背後のスーパーロボット――マカイザーで迎え撃つ所だった。しかし敵の奇襲で今やそれもままならないらしい。
『この敵襲をどうにかして欲しい。突っ走ってりゃあ目的地には着くが、敵の攻撃を放っておけば今度こそお陀仏だ』
 つまり、その敵を排除する事が当面の猟兵の仕事という訳だ。走る列車の進路上に障害を排除する。単純にして明快だが、ヘルムは大声で注意を加えた。
『トンネルの中の戦闘だ、高さや武器の威力には十分注意してくれよな!』
 サムズアップして猟兵達を送り出すヘルム。そしてキャバリアを借りたければ幾らでもあるからと、マカイザーの後ろに居並ぶ不細工な量産型を指差した。
『B.O.S.S――見た目はアレだが実力はパイロット次第でどうにでもなる』
 ハッチが開き、ビュウと凄まじい風が車内に入り込む。どの道目の前の敵を倒さなければ先へ進む事は出来ない。ならばその威を示してやろう。
白峰・歌音
よし!それじゃあ任せてくれよ!ヘルム兄!(開いたハッチから空飛ぶ箒に乗って飛び出し)
……え?生身で戦う気かって?へへっ♪今まではそうだったけれど…思いついたんだよな。
オレはアリスナイト、想像から戦う術を生み出す騎士!それならキャバリアだって想像から作ればいいじゃん、ってな!
行くぜ、『シエル・ドゥ・クリール』!

UC発動、キャバリアを纏って線路上を【悪路走破】【ダッシュ】して敵陣を駆け回りアームで殴る、脚部ブーツで蹴る格闘で倒して行くぜ!

キャバリアイメージ(https://tw6.jp/gallery/?id=132233)
アドリブ・連携に関しては全てお任せ。


荒谷・つかさ


なるほど、トンネル内の敵機を掃除すればいいのね。
わかったわ、任せて頂戴。

スルトに合身して出撃し【竜巻旋風神薙刃】発動
本来は二刀を構えて高速回転し、竜巻と化して巻き込んだ敵を微塵切りにする技なんだけれど
今回は回転軸を90度横に倒して進行方向へ突撃する感じで運用するわ
言ってしまえばスルトそのものをライフル弾と化す感じね
もし装甲列車や他の機体に高エネルギー砲の類が搭載されてたら、それを撃ち込んで加速してもらえるとその分のエネルギーも回転に巻き込んでとてもゴキゲンな感じ(エネルギー纏った突撃)になるわ

荒谷流剣刀術、奥義……

竜巻ッ!
旋風ゥ!
神!
凪!
刃ッ!!!
破アアアアアアアアアッッッ!!!



●炎となりて
「なるほど、トンネル内の敵機を掃除すればいいのね」
『ああ。この有様じゃあ迂闊に速度も上げられねえ』
 開かれたハッチに流れ込む強風を浴びて、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)の『機煌炎神』スルトが唸りを上げる。通信越しにヘルムと言葉を交わし、つかさは目の前に迫る爆炎を睨みつけた。
「わかったわ、任せて頂戴」
 途端、各部の積層金属マッスルアクチュエーターが轟音と共にスルトを揺らす。手にした一対の巨剣が鈍い光を放って、スルトは半開きになった足場へスプリンターの様にしゃがみ込む。
『ゴツい機体だな。気に入ったぜ! それじゃあ頼むぞ』
 荒々しい鋼鉄の巨人を見やりニヤリと口元を歪めるヘルム。マカイザーが動けない今、頼りになるのは猟兵達だけだ。目の前の鋼鉄の巨人はそれに足る力があるとヘルムは確信した。
「荒谷・つかさ、スルト――出る!」
「行ってらっしゃーい! よし……」
 勢い良く跳躍し飛び出したスルトの後に、白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)が威勢良く続く。空飛ぶ箒に跨って、まるで発艦間近の艦載機の様に箒の先へ爆炎をしたためた。
「それじゃあ任せてくれよ! ヘルム兄!」
『任せろって、お前さん生身でやるつもりか?』
 幾ら猟兵とは言え相手は無数の機動兵器。年端の行かない少女の無謀とも思える行動にヘルムは困惑した。
「へへっ♪ 今まではそうだったけれど……思いついたんだよな」
 ごうと吹く強風に青い髪を棚引かせて、空飛ぶ歌音は微笑を浮かべる。背後の爆炎は更に広がって、いつの間にか巨大な魔方陣を空間に描いていた。
『――そういう事か!』
「行くぜ、『シエル・ドゥ・クリール』!」
 瞬間、魔方陣から鮮やかな空色の巨人が姿を現わす。歌音はアリスナイト、想像から戦う術を生み出す騎士。それならばキャバリアだって想像から作ればいい――金属製の優雅な翼を腰から生やし、海洋生物めいた可愛らしいフェイスは紛れも無いサイキックキャバリア――空間転移でマシンを出現させるとは。掛け声と共に一陣の風となったシエルを見送りヘルムは感嘆した。彼女達ならばきっとやれる、そう信じて。

「それにしても、数だけは多いわね」
 前線へ飛び込んだスルトは線路上の獣めいた機動兵器を熱線砲で薙ぎ払い、飛び掛かる伏兵を突き伏せては、空いた手の噴進爆砕鉄拳で無慈悲な制裁を下す。
「全くだ、つかさ姉。次から次へとキリがないって!」
 その背を守る様に立ち並ぶシエル。瓦礫が散らばる足場もシエルには関係ない。殲禍炎剣の無い地下だからこそ頭上を気にする事なく縦横無尽に動き回れる――スルトの位置をホームポジションに、全周へ遊撃に打って出るシエルの軌道はさながら鋼鉄のダンサーの如く、鋭く研ぎ澄まされた拳と脚の連撃が次々と機動兵器を制していった。だが敵は一向に減る気配が無い。
「……私にいい考えがあるわ」
 ふと、つかさが通信で歌音に告げる。そしてこういう時は大体決まって――。
「それ絶対ヤバいやつでしょ!?」
 苦笑いを浮かべてつかさへ返す。効果は抜群だろうが、つかさは相当危ない橋を渡るに違いない。そして。
「安全よ歌音。あと、一つ頼まれてくれるかしら」
「えっ…………」
 必ず勝利する。続けて送られた連携モーションパターンにざっと目を通し、溜息交じりに歌音はそれを了承した。
「……分かった。やってみる」
 確かに歌音は安全だ。それは歌音のコントロールにつかさの命が掛かるから。
「ありがとう。じゃあ行くわよ――荒谷流剣刀術、奥義……!」
 そしてつかさは絶対の信頼を歌音に預け、自らの剣を左右水平に持ち直し、スルトの五体をまるで独楽の様に高速回転させた。
「マニュアルコントロール、スラスターベクトル反転」
 同時に歌音はシエルのコントロールを切り替える。術式再構築、魔力力場仰角調整――瞬間、シエルの目の前に巨大な魔方陣の大砲が姿を現わした。
「竜巻ッ!」
「CTCS連動ッ! イマジネイションカノン!」
 裂帛の気合いと共にスルトはその身を浮かばせて、90度水平に――まるで砲弾の様にその身を倒し、回転する巨体はさながらドリルの如く猛烈な唸りを立てる。
「旋風ゥ!」
「ブッ飛ばすよつかさ姉ッ! ブラスト!」
 射線確保、進路上に集結した敵機は……沢山! 魔方陣めいた大砲が赤、黄、青と色を変えて、巨大ドリルと化したスルトの身を凄まじい魔力で射出した。

   神!!!!
            凪!!!!
                     刃ッ!!!!!!!!

 キャバリアを時速450km相当で飛ばす推力をそのままスルトの投射に利用したのだ。その威力は計り知れない。裂帛の気合いと共に飛び込んだつかさは、有象無象を尽く斬り伏せる。躱すにも間に合わず、防ぐにも耐えられない正に超常の一撃。
「破アアアアアアアアアッッッ!!!」
 本来ならば竜巻の様に水平移動で敵を巻き込み破砕する超常を、その身を弾丸と化す事で直線状の広範囲の攻撃を可能とした。クリアになった線路上を駆け抜けた列車を見送り、つかさは額の汗を拭う。
「ね、とてもゴキゲンな感じでしょ?」
「誰も動いてないよつかさ姉……いや……!」
 その背後には鋼の屍の山が――否、これで終わりでは無い。ここから先は殿の戦。再起動した鋼の獣達を見据え、鋼鉄の乙女は拳を再び固く握った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・雲雀


抵抗の熾烈化は隠したい秘密が有るからですかね。

敵の巣をつつけば湧き出しますね、ぞろぞろと。

【行動】交戦に成ったら、速度を上げた装甲列車と共にUCの牡牛さんで、敵を突き出していきます。正体不明でも敵に操縦席が在れば中は潰れないと信じてますよ♪(ガンガン行きます♪)

一本道では、数をいくら揃えようとも、振り切った者勝ちです!

「オトモはみんなで、牡牛に協力してください!総力戦です、容赦なく行きますよ!」

狐火に照らされて熱を宿すトンネル内の空気を纏って、弾丸列車の御通りです!


トリテレイア・ゼロナイン

※ロシナンテⅣ搭乗

この状況であれば『目』と『手』は長い方が良いですね
ドクター、運航速度はなるべく一定でお願いいたします

…騎士らしさは望めそうもなし…

列車屋根に位置取り機体ワイヤーアンカーで姿勢固定
UCで用意したコンテナから世界観→アイテム→RSロングレンジライフル取り出し移動半分、射程五倍で運用

この機体は格闘戦が身上ですが…SSWで改修したセンサー系は並みの狙撃機以上
後は…私の精密制御の技量次第ですね

車両と敵の相対速度等を観測手として●情報収集
狙撃手としての●乱れ撃ちスナイパー射撃に●瞬間思考力で反映
敵や障害物、ミサイル等『脅威のみ』を先んじて把握し迎撃

…前に出ている方が羨ましいですね…


陽向・理玖


へぇ…ガフの谷と同じ連合?
そんじゃ働かねぇ訳にはいかねぇな
それにその機体動くのも見てみてぇしな

トンネルだろうと問題ねぇ
むしろ俺とスタークドラゴンなら
威力も射角も関係ねぇし
いつも通り暴れてやろうぜ相棒

先行し列車の進路を確保
攻撃はジャストガードでオーラ展開し防御
出来れば敵の方へ吹き飛ばして跳ね返したい所だぜ
敵見つければ残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
進路外に吹き飛ばし
拳で殴ってぶっ壊す
しっかしわらわらだな
よほど先に進ませたくないのか…

UCは起動しつつも瞬間的な移動に活用
列車危ない時は即戻り体張り割り込み
やらせねぇ
大体この列車だってかっけぇしさ
もっと自由に走らせろっての
狙ってきた敵カウンター



●道を切り拓け
「……前に出ている方が羨ましいですね……」
 愛機『ロシナンテIV』のコクピットでトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はぼそりと呟く。レーダー・センサーに浮かぶ光点は未だ多数。それらが時折、機体が放つ轟音と共に姿を消しては、新たな光が続々と出現していた。
「多少揺れが激しくなりましたが、この程度」
 ガクン、と機体を固定している列車が振動した。屋根の上に陣取り、ワイヤーアンカーで固定されたロシナンテIVはさながら白銀の固定砲台。騎士めいた姿に不釣り合いな長大な砲を携えた姿は、遠目に見れば突撃槍を抱えて蹲る騎士の様にも見える。全く、騎士らしさは望めそうもなし……だが。
「デブリ帯の高機動戦闘に比べれば、止まっている様なモノです」
 固定された砲ならば照準も精密。遠い日の目まぐるしい三次元戦闘に思いを馳せて、トリテレイアは再びトリガーをゆっくりと引き絞った。

「へぇ……ガフの谷と同じ連合? そんじゃ働かねぇ訳にはいかねぇな」
『何でぇ、谷を知ってんのか』
「かつて共に戦いましたからね……連合も、ドワーオ国の事も存じております」
 数分前、ブリーフィングを終えたトリテレイアは陽向・理玖(夏疾風・f22773)と共にヘルムと話し込んでいた。かつての戦い――ガフの谷と同じ連合に属する諸国の事件とあっては、捨て置けないというのが偽らざる本心だ。
『だったら話は早い。連合ん中でもオブイエは元から怪しい連中だからよ……この際その秘密を暴くんだ』
「成程。抵抗の熾烈化は隠したい秘密が有るからですかね」
 その後にすい、と現れた天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)が畳みかける。隠したい秘密――その言葉にヘルムはうんざりした表情で返した。
『正直分からん。だが嫌な予感しかしねえ』
 分からないから調べる。科学者らしい好奇心と政治的な思惑が入り混じったヘルムの言葉。何事も無ければそれでいいし、何か悪しき事を起こす兆しであれば――早々に叩かねばならない。例えオブリビオンマシンの仕業であったとしても。
「だったら善は急げって奴だ。それにその機体動くのも見てみてぇしな」
 ヘルムの背後で佇むマカイザーに視線を送り、破顔する理玖。細かい事ばかり気にしても仕方がない。今やるべき事はただ一つなのだから。
「一気に片付けましょう、ドクター」
 続けてトリテレイアが早速愛機に飛び込んで、重々しい起動音が格納庫に響いた。
「この状況であれば『目』と『手』は長い方が良いですね。可能な限り運航速度は一定でお願い出来ますか?」
 トリテレイアから送られた戦術プランに目を通したヘルムは、了解のサムズアップを上げる。即座にハッチを開いて、びゅうと戦場の匂いが格納庫に広がった。
「振り切る時は手伝うよ。とっておきがあるから」
 雲雀は生身のまま、モニタに映る運行状況をつぶさに観察する。自分の出る幕はもう少し先――そして。
「トンネルだろうと問題ねぇ。むしろ俺とスタークドラゴンなら威力も射角も関係ねぇし」
 蒼き鋼が双眸に光を灯し、理玖のキャバリア『スタークドラゴン』が雄々しく立ち上がった。それらを見やり、ヘルムは笑顔で猟兵達を送り出す。
『頼もしいな。悪ぃがよろしく頼むぜ』
 ヘルムの声を聞き、三者三様にそれぞれが舞台へ降り立つ。先ずはこの危機を乗り越える為に。

「SSWで改修したセンサー系は並みの狙撃機以上。後は……」
 トリテレイアがコンソールを滑らかな手つきで叩けば、超常で空間を越え呼び出した必殺の狙撃銃をロシナンテIVが取り出す。自身をアンカーで固定し照準制度は格段に上がった。後は――。
「私の精密制御の技量次第ですね」
 今の自分の役割は騎士ではなくスポッター。車両と敵の相対速度等を電脳で演算し、導き出された脅威をロシナンテIVで排除する為の装置だ。
「さあ、いつも通り暴れてやろうぜ相棒」
 そして列車に並走する足元の理玖――スタークドラゴンも七色の光を帯びて、早速凄まじき威力を発揮する。奇襲を仕掛けてきた機動兵器の足を払い、流れる様な動作で肘打ちを喰らわす。加速に巻き込まれ爆散したそれを見る事も無く、スタークドラゴンは戦いの渦中へ飛び込んだ。
「しっかしわらわらだな。よほど先に進ませたくないのか……」
 加速した残像を振り撒いて、あわや立ち止まった敵機を一つずつ直突き、回し蹴り、勢いを殺さず飛び掛かり上空からの膝蹴りで頭ごと弾き飛ばす。獅子奮迅の活躍を見せる理玖もしかし、いつまでも増え続ける敵機に苛立ちを隠せない。
「敵の巣をつつけば湧き出しますね、ぞろぞろと――ならば」
 雲雀の赤い機械式義眼がぎょろりと遠くをフォーカスする。しばらくは直線――であれば、敵もこちらも畳みかけるならば今が最適。
「何だこれ、火が集まって……」
 ふわりと、列車の前方に無数の炎が集まって形を成す。それは雲雀の超常――巨大な牡牛の形をした炎の塊が、まるで列車を引っ張る様に加速した。
「オトモはみんなで、牡牛に協力してください! 総力戦です、容赦なく行きますよ!」
 続けて雲雀の手の内から赤と青の鬼火めいた『オトモ』が解き放たれて、炎の牡牛を更に加速させる。進路上の邪魔な敵は全て――轢殺だ!
「一本道では、数をいくら揃えようとも、振り切った者勝ちです!」
「大体この列車だってかっけぇしさ……もっと自由に走らせろっての!」
 爆炎を纏い加速する牡牛に弾かれる機動兵器達。その脇から果敢に応射する敵機はトリテレイアの正確無比な狙撃が撃ち落とす。側方から奇襲しようにも、七色の超常で加速した理玖の拳が尽くそれを往なす。今や装甲列車の行く手を遮るモノなど、どこにも存在しなかった。
「退きなさい! 弾丸列車の御通りです!」
 直線が終わる。張り巡らせた気で急制動を掛けたスタークドラゴンが曲がり角の敵機を打ち倒し、トリテレイアの予測射撃が出会い頭のヘッドショットで残りを屠る。熱気を纏い加速した猟兵達は、更に奥へと突き進んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェイルシア・インパーサ
アドリブ,連携はお任せします(してもしなくてもOKですわ)

私のあの子(キャバリア)ではこのような任務は不向きですわね……
私も騎士の端くれ、せっかくだから生身で挑みましょうか

【対応:WIZ】
キャバリアの中に生身の猟兵、私自身がウィークポイントとみられますわね
でしたら、イマジナリークレスト(ヒーローサイン)を見せつけデコイになって、
迎撃役の猟兵達の負担を和らげましょうか
後は魔力で防壁を構築し「盾受け」で受け止め
余裕があれば剣から風の刃を飛ばして迎撃しましょう
防壁が間に合いそうになければ[高速詠唱]を活かします

ユーベルコードを放ってくるのであれば
【悪戯好きな百合の華】で返して差し上げましょう


鏡島・嵐
列車に襲いかかる正体不明の敵と、それを迎撃、か。どっかのアクション映画みてーな展開だな。
スクリーン一枚隔てて見てる分にはワクワクするけど、自分が当事者ってなると単に怖ぇだけだ。
……まあ、おれだって肚は決まってっから、逃げたりはしねえけど……!

狭い場所だし、思い切ってキャバリアには乗らず生身で出撃するか。
味方をユーベルコードで強化し、キャバリア相手にも通じるように〈武器改造〉したスリングショットで〈援護射撃〉を撃ったり、味方を〈鼓舞〉したり、とにかくサポート第一で行動。
狙われたら〈逃げ足〉を活かして間合いを取ったり、他の〈敵を盾にする〉ことで巧くやり過ごしたり。



●騎士と風来坊
「列車に襲いかかる正体不明の敵と、それを迎撃、か。どっかのアクション映画みてーな展開だな」
 目の前にはまるでゾンビの様に続々と現れる獣めいた機動兵器群。それを見やり鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)はうんざりしたような表情を浮かべる。
「スクリーン一枚隔てて見てる分にはワクワクするけど、自分が当事者ってなると単に怖ぇだけだ」
 だからこそ、あえて列車の位置より遥か先の地点へ送り出して貰った。一等怖い所を先に押さえられれば、後に続く仲間達も容易に進む事が出来るだろう。そしてもう一人、生身の猟兵――フェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)が花の香りと共に現れた。
「私も騎士の端くれ、せっかくだから生身で挑みましょうか」
「……そういうもんか?」
 桃色の長い髪を揺らして微笑むフェイルシアに嵐が苦笑する。騎士といえば、友人のウォーマシンが黙ってはいないだろうと。
「ええ。私のキャバリアは、このような任務は不向きですから」
「狭い場所だしな。まあ、おれだって肚は決まってっから、逃げたりはしねえけど……!」
 刹那、前方の機械の群れが一斉に赤いカメラアイを点灯させる。気付かれたか――いや、元よりそうさせるつもりだ。
「して、私たちは恐らく……」
「ああ。こん中じゃウィークポイントに見えるだろうな」
 キャバリアの中に生身の傭兵。この世界の流儀でいえば明らかに戦力不足。それでも二人は猟兵。埒外の戦力はそんな予想をこれまでも易々と覆してきた。
「だが、聴こえるか……おれの音色が!」
 瞬間、嵐の背後に道化師のヴィジョン――頼もしい超常の援軍が奏でるウォークライが、二人を含め場にいる全ての猟兵を昂らせた。その旋律に合わせて先制のスリングを放った嵐は、線路上に陣取った機動兵器の頭部を即座に破壊する。その威に応え、返す刃の銃撃の雨が二人がいた場所を粉々に撃ち砕いた。
「敵が食いつきました。鏡島さん」
「応!」
 銃弾、ミサイル、破壊光線――どれ一つとっても当たれば致命になりかねない。だがこれまでも、幾度と無く死線を乗り越えてきた二人には些か物足りないのが事実。
「猟兵を舐めるなよ、図体だけが強さじゃないんだぜ?」
「あの子の願いを叶える為にも、折れる訳には参りません」
 ひらりと舞う様に火線を躱したフェイルシアが、雄々しいイマジナリークレストを空間に投影する。誇り高きインパーサ家の家紋を象った美しき花の文様に気を取られ、機動兵器はいつの間にか二人の姿を見失っていた。

「止まってりゃあただのデカい的だぜ……!」
 続けて嵐の反撃が始まる。キャバリアの装甲すら貫く強化タングステン弾は正確無比な嵐の狙撃で敵機の関節を穿ち、膝を付いた瞬間にフェイルシアの風の刃がその首を切り落とす。
「障壁をジャミング代わりに展開しました。一つずつ潰していきましょう」
 高速詠唱で複数の魔術を続けざまに放つフェイルシア。道化師の旋律が齎した増幅の超常はいつも以上にフェイルシアの能力を発揮させた。列車が通過する前にここの敵を始末する――たおやかな仕草で十重二十重に張り巡らせた魔力障壁が敵を幻惑し、たじろいだ隙を嵐のスリングが狙い穿つ。
「いい感じだ。この調子で――!」
 故に、敵も形振り構えなくなったのだろう。続けて現れた象の様な機械の獣が、その鼻から燃え盛る炎を勢いよく吹き出したのだ。
「成程、障壁の位置を探って私達を見つけるつもり――」
「ならば、あの間を抜けさえすれば!」
 火炎放射で面制圧をするならば、それが出来ぬ所まで駆け抜ければいい。すかさず駆け出した嵐の意図を悟り、フェイルシアは展開する障壁の数を更に増やす。
「鏡島さん、道を作りました。今ならば!」
「応、一気に抜けるぜ。ビビってられねえ!」
 その障壁は空中に浮かぶ不可視の道となって、敵群の方へと続いていた。その上に飛び乗って一気に駆ける嵐。巨大な敵の間をすり抜けて、それを追うように鼻を伸ばした機械の獣が放つ炎が、味方ごと巻き込むのに時間は掛からなかった。
「やったぞ! フェイルシア!」
「紡ぎます、風を!」
 そのまま火の勢いを線路から遠ざけて、障壁で嵐を守りながら焼け焦げる敵を見据えるフェイルシア。あの子――ガミザーヌの願いを叶える為にも、ここで折れる訳にはいかないのだ。
 過ぎ去る列車を見送って、二人は虚空で拳を重ねた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ガルヴォルン】
※アドリブ絡み連携歓迎
※愛機『ナインス・ライン』に搭乗
※『リリー先生』等別称を好む

実家の地下工業都市(企業支配のディストピア)にも
よく似た搬送路線あったから嫌な思い出が…むう

気を取り直して『ドミナント・バレル』両手持ち
ショートバレルでも立派な「対物ライフル」
ヤるのはオペ9番【セラフ・アンサラー】の狙撃っ

【瞬間思考力】で高速ロックオンしつつガンシュー状態
もちろん敵機だけじゃなくミサイルも撃ち落とすよっ

実家の「貨物9番線」なら耐爆仕様だし崩落ザマァ♡の精神で
遠慮なくミサイル撒くんだけど、ここは結構脆いっぽいしね

え?お仕置きとは人聞き悪いねえ錫華さん♪
…あ、2時方向斜め上のヤツお願い


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

キャバリアと地下の路線図も貸してもらいたいな。

機体はトレースタイプ?
ちょっと重そうだけど、装甲とパワーはありそうだね。

ま。スーパー系の相棒なら
このくらいないとってとこかな。

でも今回はそれが幸いかも、
地下だし、派手な爆発とか射線の確保とか難しそうだしね。

【脈動臨界チューニング】で、
装甲5倍、射程を半分にして近接仕様でいこう。

アミシア、敵の潜伏ポイントの予測できたら、こっちに回して。

【スネイル・レーザー】で牽制しつつ。
チューニングした装甲で相手の攻撃を受け止めて、
【天磐】の【シールドバッシュ】で遮蔽物から叩き出していこう。

隠れ家から出ると……ほら。
リリー先生のお仕置きが待ってるよ?



●プライベート・アーミー
「キャバリアと地下の路線図も貸してもらいたいな」
『ああ構わねえぜ。好きなB.O.S.Sを持ってってくれ』
 揺れる車内で戦闘服に身を包んだ支倉・錫華(Gambenero・f29951)は居並ぶB.O.S.Sを横目に、ヘルムへ機体のレンタルを申し出る。訳あって本来の機体を使えない現状、数多のマシンを乗り継いできた錫華にしてみればいつもの事であるが、今回は僅かばかり様子が違った。
「機体はトレースタイプ?」
『いや、操作はハンドルだ』
 最初は何を言っているのか分からなかった。
「ハンド……え?」
『ちなみに装甲は軽自動車並みだから気をつけてくれ』
「ちょっ……これ本当にキャバリアなの?」
 それは軽自動車って言うんじゃない? 喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、改めてB.O.S.Sをつぶさに観察する。骨格はがっしりしているが確かに装甲は薄い。これじゃ精々破片除けがいい所だ。
『アクセルとブレーキを踏み間違えるなよ。裁判沙汰になる』
「……冗談でしょ」
『冗談だ。だが本当だ。搭乗者の気力次第で如何様にも変わるんだ、コイツは』
 ヘルムが指差した先にはB.O.S.Sから生える得体の知れない結晶状の何か。これが生体エネルギーなどを変換するコンバーターらしく、これさえ付ければ並のキャバリアも(パイロット次第で)最新鋭機に引けを取らないらしい。
「そう……だったら良いわ。装甲とパワーは出せるのね」
 ジロリとヘルムを睨みつける錫華。まさかの欠陥機だったらただじゃあ置かないと念を押して、その勢いにたじろいだヘルムが真顔で返す。
『気迫で押し切れ』
「そういう事なら」
 ならば、いつも通りやればいい。操縦技術とやる気は幾らでもあるのだ。

「実家の地下工業都市にもよく似た搬送路線あったから嫌な思い出が……むう」
「でも今回はそれが幸いかも。地下だし、派手な爆発とか射線の確保とか難しそうだし」
 口を尖らせるリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)に淡々と返す錫華。二人はそれぞれ重キャバリア『ナインス・ライン』と再生キャバリア『B.O.S.S』に搭乗し、列車に先行して線路上を進んでいた。忌々しい管理社会がリーゼロッテの脳裏を過り――この先の国家も、正にそんな世界なのだろうかと思案して、デバイスを見もせずに機体の狙撃モードを選択する。
「アタシはそれがしたいのよッ。まあ仕方ない――来た」
「この子は武装以外借りものだからね。モード切替、過給機戦闘圧力に」
 スタビライザーと精密センサーを展開したナインスが捉えた敵情報を共有し、即座に戦闘態勢に移行するB.O.S.S。けたたましく開閉を続けるバルブの音が煙と共に空間に響いて、直後に錫華達の先制攻撃が開始された。
「ヤるのはオペ9番【セラフ・アンサラー】の狙撃っ」
「前に出るわ。アミシア、敵の潜伏ポイントの予測できたら、こっちに回して」
 ショートバレルでも立派な対物ライフル――二丁の『ドミナント・バレル』から放たれるナインスの先制打は突出した敵を呆気なく瓦解させ、その機に乗じて加速したB.O.S.Sが『スネイル・レーザー』で牽制しつつ、更に敵との距離を詰める。パートナーユニットのアミシアの演算を頼りに、ジグザグ軌道で迫るB.O.S.Sは地を這う雷の如し。その背後からはナインスの一撃必殺の狙撃砲が並居る敵機を狙い穿つ。
「実家の「貨物9番線」なら耐爆仕様だし崩落ザマァ♡の精神で遠慮なくミサイル撒くんだけど、ここは結構脆いっぽいしね」
「その割には派手に撃ってるじゃない……!」
 接敵してシールドバッシュ――装備だけは自前だからこそ出来る芸当。小刻みにミッションを操作してトルクを稼ぎ、定置旋回さながらに回転し飛び掛かる機械の獣を吹き飛ばすB.O.S.S。パワステでなければ次の日は筋肉痛かくやと言える錫華の強引な操縦は、想像以上にB.O.S.Sの実力を発揮出来ていた。
「隠れ家から出ると……ほら。リリー先生のお仕置きが待ってるよ?」
 先制のミサイルだろうか、錫華の正面で何かが爆ぜた。リーゼロッテの卓越した超常の狙撃が、そろりと身を出し放たれたミサイルを発射と同時に撃ち抜いたのだ。しかし広がる爆炎をものともせず、ぞろぞろと歩み出る機械の獣達は煙を吹いて立ち回るB.O.S.Sへ狙いを定め、一斉に破壊光線を放つ。
「え? お仕置きとは人聞き悪いねえ錫華さん♪」
 しかしそれも通じない。チューニングで反応速度を高め、入射角を微妙にずらして直撃を避けた錫華のB.O.S.Sは正に通常の5倍の耐久力はあると言っていい。おどけたまま言葉を重ねるリーゼロッテに苦笑して、反撃の光条が丁寧に敵機を潰していく。
「……あ、2時方向斜め上のヤツお願い」
「人使いが荒いわね。それじゃあ」
 引き続き害獣駆除の時間だ。私設軍事組織ガルヴォルンの威は止まる事を知らない。世界に平和を取り戻すまで。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルヴトー・シフトマン
委細承知、それでは天狼で出撃
しかし地下とは…なんだか親近感が湧きますね
慣れた雰囲気なのもあって、やりやすそうです
ひとまずは──招かれざる客を追い出すとしましょう

列車の屋根に陣取っておきます
<飛天揺光>を狙撃モードにして──『殺法』をお見せしましょう
こう見えて荒事は得意分野なので…武器の扱いには長けていますよ
この射程、この威力──ワンショットで沈められます
障害物には<崩砦一擲>を放って破壊…ついでに敵機も薙ぎ払いましょう
こちらも通常より遥かに強力なので、一撃でしょうか

列車の揺れによる照準のブレはご心配なく
俺は2秒先を見ています…どうブレるかなんて常に分かる
敵機の回避先すら俺には分かる…逃がさない



●孤狼
「委細承知。この戦場、機狼衆が預かります」
『機狼衆――餓狼の窖か』
 ヘルムに目礼したルヴトー・シフトマン(ズレた時の中で・f31792)は『如何にも』と言わんばかりに口元を歪ませて、戦場のマップを改めて確認する。
「しかし地下とは……なんだか親近感が湧きますね」
『俺はさっさと出たいよ。お天道様を拝まねえと、生きた心地がしねえぜ』
 現在列車は順調に進んでいるが目的地は未だ遠い。こちらの陣容をある程度把握した敵の攻勢も、今以上に苛烈になるだろう。だからこそ戦力を更に増やさねばならない。だからこそ、ルヴトーはここへ現れたのだ。愚痴るヘルムに苦笑して、ルヴトーは自らの機体――量産型キャバリア『天狼』に搭乗した。
「ひとまずは――招かれざる客を追い出すとしましょう」
 ジャケットに染みついた戦の匂いが、コクピットに広がった。

(慣れた雰囲気なのもあって、やりやすそうです)
 ガタガタと揺れる列車の屋根の上、ハンドキャノン『飛天揺光』を組み替えて狙撃形態に。暗い地下は自分達の縄張りに近い環境だ。それにこの程度の揺れならば十分補正が効く――顔色一つ変えずに、ルヴトーはこれから照星に映る敵を見据えた。
『一人で大丈夫か、少年?』
 突然の通信。ヘルムが心配そうに声を掛けてきた。確かにキャバリア単騎での狙撃戦、直掩も無しに溢れんばかりの敵を相手し続けるのは普通に考えて荷が重い。しかしルヴトーは動じる事無く、機狼衆の長として堂々と返答した。
「こう見えて荒事は得意分野なので……武器の扱いには長けていますよ。それと」
 続けてヘルムが伝えようとしている事も分かる。だからこそ先んじてルヴトーは伝えた。俺の心配はしなくていい――そう念じて。
「列車の揺れによる照準のブレはご心配なく。俺は2秒先を見ています……」
 同時に前方で何かが爆発した。天狼が放った初弾が敵の奇襲を制したのだ。僅か先の未来を見切る異能の証明。早業で次弾を装填し、続けて幾つもの敵機を穿つ。
「あのくらい、どれもワンショットで沈められます」
 それだけでは無い。線路に転がる残骸ごと群がる敵機をチェインハンマー『崩砦一擲』で一掃し、いつの間にか押し寄せる敵群は全てスクラップと化していた。
「敵機の回避先すら俺には分かる……逃がさないですよ」
『おお、怖……』
 少年離れした凄みにヘルムは嘆息した。この男が味方で本当に良かったと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
●アドリブ歓迎

アイオライト・セプテンバー、クロムキャバリアの本職パイロットよ
自前の軽量高機動型キャバリア『ブルーテイル』で参加させてもらうわ
どうぞ宜しく

これがマカイザー……心は乙女の私でも、なんか男の子の部分にグっとくる機体ね
事情は了解。窮屈な場所だけど、頭上の厄介者が居ないのはありがたいわ

武装は近接戦闘用のプラズマブレードと、ビームバリア【ハウリングホーク】を選択
【操縦】技能と【見切り】、そして使い慣れたこの機体を活かせばトンネル内でも十分高機動戦闘は可能!
ユーベルコード【ハイスピード・アサルト】でトンネルを上下左右と蹴り飛んで障害物や敵を切り捨てていくわ
この機体の軽さと速さを、見せてあげる


嗣條・マリア


“アストレア” 承りました


シルバートゥースⅡの射撃モードをセミオートに変更
列車の速度、向かい風の風圧を算出――入力
これによって発生する弾速、偏差を算出
遅延信管に誤差を入力
“タイラント” 射撃体勢へ移行

――――これより武力介入を開始します

“タイラント”は列車上で射撃体勢。片膝をつき、銃身を落とすことで精密性を増します
弾速、及び貫通力の高いライフルを使用し、進路上に存在する敵性存在を狙撃
“未来射撃”による正確な攻撃でこれを撃破していきます

シルバートゥースⅡで使用する弾丸は弾速と貫通力を増した特殊なAPHE弾
命中すれば、遅延信管によって装甲の内側で弾が炸裂し、確実に仕留めていくことができるはずです



●ネバーランド・チルドレン
「アイオライト・セプテンバー、クロムキャバリアの本職パイロットよ」
『本職かい。自分から申告するったあ大した自信だぜ』
 尾の様に長い青い髪をなびかせてアイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)が敬礼する。さっと手を上げてそれに応じるヘルム。華奢ながら自信に満ちたその姿を、ヘルムは頼もしく思った。
「まぁね。自前の軽量高機動型キャバリア『ブルーテイル』で参加させてもらうわ。どうぞ宜しく」
 片目を閉じておどけるアイオライト。ふわりとした佇まいに不釣り合いなフライトジャケットが目を引いて、ヘルムはその姿をそっと目で追っていた。
「これがマカイザー……うん。心は乙女の私でも、なんか男の子の部分にグっとくる機体ね」
『だろう。心は乙女でも……男の子の部分……ン……?』
 何かがおかしい。目の前の少女は……男の子? 乙女? 確かに声が嫌に低い様な……。ヘルムは混乱した。
「事情は了解。窮屈な場所だけど、頭上の厄介者が居ないのはありがたいわ」
 鋼の巨体を一瞥し、颯爽と自らの愛機『ブルーテイル・エクス』に乗り込んで、アイオライトは戦場に躍り出る。複雑な表情を浮かべてヘルムはその雄姿を見送るが。
『ちょっと待て! どんな事情だアンタ、男? 女!?』
「気にしない方がよろしいかと。“アストレア”承りました」
 叫ぶヘルム、それと同時に通信が――猫耳めいたヘッドセットを装着した真紅のキャバリアパイロット、嗣條・マリア(アストレア・f30051)が淡々と用件を伝えて。
『……ひょっとして、アンタもなのか?』
「ここが学園なら指導が入る所ですよ。タイラント、出ます」
 コクピット越しに冷たい視線を送るマリアに気付きもせず、ブルーテイルを追って飛び出した重厚なクロムキャバリア『タイラント』を目で追うヘルム。その真紅の巨体が列車の屋根に取り付いた振動が戦いの再開を告げて、事態は次のステージへと進行した。

「あらぁ、お嬢も一緒だなんて心強いわ」
「こちらこそ、いつも通り掃除はお任せしますね。では――」
 二人は新世界学園の“美化委員長”と“風紀委員長”――学内では一騎当千の腕前を誇る強者だ。いつも通りの役割分担、いつも通りの作戦行動。祝辞を読み上げる様な流麗な口調で、マリアが高らかに宣言する。
「――これより武力介入を開始します」
 瞬間、轟音と共に前方の敵群が続々と爆ぜた。マリアが駆るタイラントの精密連続狙撃――セミオートにした大型突撃砲『シルバートゥースII』を携えて射撃体勢に移行し、装甲を貫いた弾丸が入力した諸元を基にその奥で起爆する。さながら職人技の花火の様に、45mmの洗礼が鮮やかな爆光を描いて二人の視界を埋め尽くす。
「早速アリガト。ブルーテイル、コンバットマニューバ――GO!」
 その爆発を通り縋るブルーテイルは機体が纏う豪著なクロークをはためかせ、さながら幽鬼の如き尋常ならざる機動で更に奥の敵へ肉薄する。
「遅い、遅すぎるわ。それに醜い」
 そして手にしたプラズマブレード――『スラッシュ』が、機械の獣を一刀の下に伏せた。卓越した操縦センスは雑多な地形をものともせず、超常の加速はまるで意志を持つ弾丸の様に、立ち塞がる悪意の尽くを貫き、切り裂いた。
「流石の制圧速度です」
「お嬢もね。次、二時方向敵群」
 奇襲返しは成功。続く第二波も射程圏内。スラスター『ハルウェル』と『オーディンサイド』が翼の様な噴射炎を放てば、ブルーテイルは再び光の弾丸と化す。最早通り過ぎるだけで、その暴風が悪意を鉄屑へと変えていく。
「捉えてますよ……それに」
 列車の上で淡々と敵を見定めるマリアは超常の正確無比な狙撃によって、再び鮮やかな花火を打ち上げた。異なる世界の助言、知り得た結果を実行するだけの事――故に、この戦場の規律をこれ以上乱しはしない。列車は時刻表通りに走るべきだ。
「もう結果は見えてます」
「そうね。どんどん行きましょ」
 爆風が両機を撫でて、神業めいた手付きで諸元を再入力するアイオライトとマリア。刻々と変動する環境すら手玉に取って、列車の進路上に立ち塞がる悪意の群れを縦横無尽に喰い破る。
「この機体の軽さと速さ――そして強さを、見せてあげる!」
「APHE弾装填、パラドクス・ドライブ圧力正常――続けて行きます」
 子供達は戦い続ける。自らの手で未来を取り戻す、その日まで。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

泡夢・雪那
アスモデウス本社からの通信を待ち
リリスのプロモーション(軍事介入)遂行の許可が下りた後に参戦する。

キャバリアASM-C9「リリス」を起動
ミラージュユニットのシステムコンソールを素早く叩き
敵を惑わせる幻影を撒きながら、敵に突撃する。

敵兵装の有効射程外から
キャバリアエンジンのブーストレバー全開
機体の黒翼を展開、超加速で敵を蹴りつける。
視界に入る敵を殴って殴って殴り飛ばし
蹴って蹴って蹴り飛ばす
敵機が態勢を崩せば踏みつけて吠える。

味方と協力して敵機を掃討
敵兵の生死には興味はない、けれど殺す必要もない
止めは動力機関をダークネスクローで貫く
なお列車を攻撃する敵はUCを用いて最優先で排除する。



●悪魔が来たりて
「…………」
 艶めかしいスーツに身を包んだ泡夢・雪那(夢魔皇姫・f32415)は、ただ虚空の一点を眺めていた。
『どうしたんだアンタ、ボーっと天井なんか眺めて』
 呼び掛けられヘルムの方へ向いた雪那は、まるで神話から飛び出してきた悪魔の如き妖しさを放っている。
「……来ました」
『何が?』
 雪那の姿に見惚れて――魂まで持って行かれそうな涼やかな声に、ヘルムは僅かに緊張する。しかしその感情は、雪那の背後に蹲る漆黒のキャバリアの駆動音が無慈悲に打ち破った。
「お待たせしました。これより、リリスによるプロモーションを開始します」
 瞬間、悲鳴の様なけたたましいエンジン音が格納庫に響く。クロムキャバリア『ASM-C9「リリス」』――雪那が駆るアスモデウス社の最新鋭機。
『まるで、悪魔のようなキャバリアだな』
「ご心配なく」
 雪那の様に艶めかしいフォルムのキャバリア。するりとコクピットへ入り込み、双眸が妖しく煌いて。全てはプロモーション――軍事介入の為に。
「あくまでこれは、キャバリアなので」
 ゆっくりと立ち上がったそのシルエットは、正に悪魔の如き美しさだった。

「敵兵の生死には興味はない、けれど殺す必要もない」
 前方の敵機動兵器群は未だ雪那には気付いていない。今の内にと、ブーストレバーを全開にしてリリスは加速する。友軍の手が届かない敵を先んじて屠る為――スラスターの爆音と悲鳴の様なエンジン音が綯交ぜになって、地底は地獄めいた様相を示した。その音に気付いた時にはもう遅い。振り向いた敵機が最後に目にしたモノは、禍々しい黒翼を広げるリリスの姿。
「それでも、邪魔をするならば……手加減は不要」
 超加速で敵を蹴りつけ、反動で更に敵群へ飛び込むリリス。目に映る機械の獣をひたすら殴り、蹴り飛ばし、体勢を崩した所を踏み付ける所業は地獄の悪鬼さながらの姿。
「列車はやらせません。進路は確保致します」
 逃げる様にリリスを追いすがる一団へ、その眼から放たれた超常の光が浴びせられる。搭乗者を白日夢へ誘う催眠光――しかし敵機は止まる事無く、夢遊病者の如きのたりとした動きで、ぞろぞろと列車へ向かっていった。
「! これは無人機……いや、まさか……」
 内の一機を『ダークネスクロー』で貫いたその手には、予想だにしない恐ろしい残骸が残っていた。それは悪魔である雪那ですら悍ましいと思う所業。
「……どうやら本当の悪魔は、この先にいるようですね」
 黒いシルエットが闇の中で咆哮する。
 その声は怒りと、悲しみを秘めている様にも聞こえた。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々

王朝で進行している事態の詳細は判りませんが
オブリビオンマシンさんが関わっているのが確かならば
猟兵として
マシンさんを倒し
囚われのパイロットさんをお助けし
争乱を防ぎましょう

B.O.S.Sを拝借します

UC込めた弾丸
通称ツル弾を射撃
敵機の摩擦抵抗を極限まで減らし
体勢を崩させたり
将棋倒しにさせたり
武器や機体をバラバラに

装甲列車にも触れて
車輪や駆動系の摩擦係数をいい感じで操作

今まで以上にスピードが出たり
マカイザーさんへの負担を減らせるでしょう

脱線しないように十分に注意し
その危険性が高い場合
カーブの手前等ではUC解除

もし列車の摩擦係数操作の弊害が大きいようなら
そもそも行いません

さあ王朝へGO!ですよ~


吉岡・紅葉


円卓連合!国同士の腹の探り合い!
いいですね~、大人の事情のアレやソレの陰謀の匂いが
プンプンしますよ。さぁ、お仕事お仕事っ!
要は怪しい同盟国の調査ミッションってことですね!

愛機「くれはカスタム」で出撃。さて、敵さんはどこですかぁ?
操縦席に「烏天狗」のあやかしメダルを張り付けて、列車の前を先行。
命中率と回避率を向上させた《推力移動》で敵を翻弄しますよ。
《戦闘知識》で襲ってくる敵のタイプを確認しながら、
迎撃の準備をします。
「春日」を《クイックドロウ》で連射し、《属性攻撃》の
重力弾で撃破しつつ列車の安全を確保。
天香具山を抜いて《切り込み》、《早業》と《暗殺》テクニックで
撫で切りにして差し上げます!


キリジ・グッドウィン

閉じこもってだんまりねぇ。外に構えない程内側が荒れてるとか、粛清し合った結果だーれもいなくなったとかじゃね?

GW『(ここに今回のキャバリア名)』で。今日のレゾナンス値はそこそこってとこか
繋いだ瞬間から全身の神経が過敏になっていく感覚……"生きてる"ってこうじゃねぇとな
ぶん殴って暴れるだけが能じゃねぇってとこ、たまにはな。

列車からRSのレーザー射撃で応戦。外さねぇように慎重に
そこらに転がったモノは掴んで進路の邪魔にならねェように脇にでも投げとく。
線路に置き石禁止って習わなかったか?



●ジェットストリーム
「王朝で進行している事態の詳細は判りませんが」
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はヘルムから借り受けたB.O.S.Sに搭乗し、仲間と共に格納庫で待機していた。
「オブリビオンマシンさんが関わっているのが確かならば、猟兵としてマシンさんを倒し、囚われのパイロットさんをお助けし、争乱を防ぎましょう」
「本当に、それだけかねぇ」
 その言葉に疑問を浮かべたのはキリジ・グッドウィン(レプリカントの量産型キャバリア・f31149)。数多の戦場を駆け抜けた傭兵の勘は、最初からこの依頼に不信を抱いていた。
「閉じこもってだんまりってのはよ、外に構えない程内側が荒れてるとか、粛清し合った結果だーれもいなくなったとかじゃね?」
「ほうほう、要はそれだけ怪しい同盟国の調査ミッションってことですね!」
 そして吉岡・紅葉(ハイカラさんが通り過ぎた後・f22838)が言葉を続ける。百年の栄華を誇る帝都出身の彼女にしてみれば、国家間の諍い事などこれまで縁の無い話。故にそういう後ろ暗い話に興味津々だった。
「円卓連合! 国同士の腹の探り合い! いいですね~、大人の事情のアレやソレの陰謀の匂いがプンプンしますよ!」
 だからこその超弩級戦力の出番! 相手がテロリストでは無く国家そのものならば、来たるべき帝都の戦いにおいてもその経験はきっと役に立つだろう、と。
「中々難しい状況、かもしれないと」
「そうですね。さぁ、お仕事お仕事っ!」
「んじゃ俺は『ルーシィ』で出るぜ」
 そして三人はそれぞれのキャバリアで戦場に躍り出る。列車と並走した直掩配置、旅の終点は近いのだ。

「――今日のレゾナンス値はそこそこってとこか」
 量産型キャバリア『GW-4700031』は只のキャバリアでは無い。神経共振型コクピット『カルトゥーシュ』を内蔵し、その追従性はクロムキャバリア並みに引き上げる事も出来る。弾き出されたパラメータを鼻歌混じりに眺めながら、キリジはすぅ、と深く呼吸する。
「やっぱり、“生きてる”ってこうじゃねぇとな。さあ踊ろうぜルーシィ」
 繋いだ瞬間から全身の神経が過敏になっていく感覚――生を実感しながら、キリジはトリガーに指を掛ける。瞬間、心地よい振動が全身を駆け抜けた。
「行きますよB.O.S.Sさん。ターゲットはあの集団です」
 キリジの放った閃光が正面の敵を爆ぜさせて、その奥から続々と迫る機械の獣を照らし出す。仄々は続けて、借り物のライフルにユーベルコードで強化した特製の弾丸を仕込み斉射を敢行した。
「摩擦抵抗を減らした特製の弾丸、更に」
 弾頭の摩擦を減らし貫徹力を高めた逸品。これならば安物の銃が即座に強力な支援火器となる。ならば近付けばいいと言わんばかりに火線を潜り抜けた敵機は、思わぬB.O.S.Sの反撃に遭いその場で崩れ落ちた。
「迂闊に近付けば、こうです!」
「いい感じですね! そこッ!」
 それは摩擦を減らす超常の拳。元来機械とは摩擦が無ければ動く事が出来ないのだ。組み合わされた部品が力を伝える事無く、空転し立ち止まった所に紅葉の『くれはカスタム』が必殺の一撃を喰らわせた。
「烏天狗の権能、伊達ではありません!」
 超常のメダルが齎した加速の力は、くれはカスタムへ正に天狗の如き御力を与えていた。手にした機甲退魔刀『天香具山』が敵機の首を切り落とし、続けて迫る一群を幻朧ブラスタア『春日』の重力弾が撃ち落とす。これで立ち塞がるモノは無い。
「進路は確保しました、皆さん! 列車に戻って!」
「でしたら、次は私が」
 仄々が格納庫へ戻ると共に、超常が列車の表面の摩擦を弄る。空気抵抗を減らし、更に加速する為だ。ダウンフォースさえ確保出来ればリフトする事は無い。精妙なコントロールで装甲列車は、更にそのスピードを上げていく。
「列車の摩擦抵抗を一部下げました。浮力が出ない程度にね」
「箱乗りジェットコースターじゃねえかオイ! ハハッ!」
 高らかに笑うキリジのルーシィが手にしたライフル『チックル・エビル』の斉射で障害を尽く撃ち払う。加速している以上、敵機とかち合うリスクも上がっている。だからこそ安全に先へ進む為、キリジはライフルのチャンバーを特製の物に組み替えた。
「まだ出ますか。ですが遅すぎます!」
 その隙をくれはカスタムの重力弾がカバーして。先々で変動した重力に掴まった機動兵器が、置物の様にその場で蹲った。
「線路に置き石禁止って習わなかったか? 鬱陶しいぜ」
 それに止めを刺していくキリジのGW――レーザーライフルに換装したチックル・エビルは、凄まじい勢いで光条を連射してその尽くを破壊せしめた。
「流石の腕前です!」
「ぶん殴って暴れるだけが能じゃねぇってとこ、たまにはな」
 全ては確実に任務を成功させる為。歴戦の傭兵らしくニヒルな笑みを浮かべるキリジの目の前にはもう、敵らしき影は存在しなかった。
「さあ王朝へGO! ですよ~」
 勇ましく声を上げる仄々。終点まで、あと僅か。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

響・夜姫


ガフの谷には、借りがあるから。
「円卓連合への協力も、やぶさかではない」

ダイペンギンで列車の上に陣取り、嵐の砲火でサバーニャ(キャバリアサイズ)を複製。
射撃を封印し、複製自体を打撃武器兼遮蔽物として使用。
「ヨヒメパンチ(物理)、Ver【シールドバッシュ】」
敵っぽいのが見えたらとりあえず、列車の邪魔にならなくなるまで連打でぶち込んでみる。
時々うっかり、打撃の瞬間に【零距離射撃】暴発(自爆)が起きるけど、まぁ気にしない。
95セットあるし。

敵の攻撃はサバーニャの【オーラ防御/武器受け】と銃で迎撃。
ダイペンギン、サバーニャの制御はしてるけど。
腕組みして立ってるだけに見えるのが、ちょっと難点かも。


アダム・レイン
●【SPD】
「列車を防衛するんですね。わかりました。安心してください。ここにいる人は誰も死なせな…失礼、熱くなってしまいました。」とどこかで聞いた事がある台詞で発破をかけて出撃

ゲドン・ザウラーをヤモリのようにトンネルの壁に這わせて移動させ、【暗視】を駆使した【レーザー射撃】やブーメランアックスでの【投擲】での攻撃。【瞬間思考力】で精密に照準を合わせて攻撃する。敵に接近されたらスピア・テイルで敵に【貫通攻撃】

「ザウラーのトカゲっぽい身体の構造がまさかこんなところで役に立つとは思わなかったな。まあ、戦い方はあまりかっこよくないけどね。」と戦闘中に呟く

※アドリブ&連携OK


ワン・イーナ
●【渡り禽】

快適な乗り心地だぜ、マカイザーの分まで仕事するとしよう
リモート・レプリカントでエインヘリャルのみを出す

「ワルキューレ、援護を頼む。頭ぶつけんなよ」
『了解しました。マスターも足元にお気をつけて』

ローラー【ダッシュ】で移動と回避、【レーザー射撃】とライフルで迎撃・援護
その間に俺は車内で電子支援だ
ドルイドで【索敵】して【情報収集】しつつ敵に【ジャミング】するぜ

「各機とデータリンク、マップ更新、オペレーションスタート!」

エインヘリャルからの情報と【戦闘知識】をもとに仲間に情報を共有
距離と狙いから脅威度別に敵にタグ付け
敵の位置、優先対象、全体の状況を管制する


黒野・大我

【渡り禽】

にゃー! マカイザーかっこいいにゃ! 目的地に着いたらこいつと一緒に戦えるにゃ? 絶対に列車を守るにゃ!(ふんすふんす)

んーと、敵さんは一杯で有人機だからちょっと工夫が必要にゃね。とりあえずはプラズマミサイルの誘導弾の弾幕で疑似的な壁を作っておくにゃ。敵弾と相殺するような形で撃てばトンネルへの被害も少なく済むと思うにゃ。んで、敵弾の軌道などを「戦闘知識」で分析して「索敵」。この情報は随時仲間と共有し合って戦闘を有利に運べるようにするにゃ。

近くに寄ってきた敵は近接武器の「部位破壊」で無力化しつつ、まとまってる敵は手加減したニャンコノヴァで一網打尽にするにゃ! 


朱鷺透・小枝子
●【渡り禽】
マカイザー、きっと強いのでありましょうな…共に戦う仲間ならば、ええ、守りましょう!

回点号に搭乗操縦。スラスターの推力移動で列車前方へ。
センサーの動体視力で得た情報を瞬間思考力で解析、敵機を判別し、機体を通じて仲間と常に情報共有。
マシンガンから雷撃の属性攻撃、敵機を破壊しながら、早業、シールドを展開、列車への攻撃を機体を盾にオーラ防御。

折を見て列車先端へ機体を下ろし、『3番目の加速機』発動。

速くなくても良い。だから進め、敵の元へ…!
回点号と列車へメガスラスターを増設、列車の継戦能力を底上げして、回点号のサイキックシールドを列車前方全体へ広げシールドバッシュ。 障害物や敵の攻撃を弾く。


赤城・晶
●【渡り禽】

初依頼か。まあ気張っていくか!マカイザーか、男のロマンってやつかな。いろいろ気になってるし、護らせてもらうぜ

ヴェルデフッドで行くか。ハガラズの【弾幕】で壁をつくるぜ。撃破できれば儲けもの。避ける敵には回避行動を【情報収集】し、【索敵】からビームライフルで狙い撃つか【援護攻撃】。
まとまった敵にはキャノンモードに変更し、【範囲攻撃】で解決だな!

戦闘以外の情報はレーダーで【情報収集】、AIのウィリアムに任せるか。
「ウィリアム、移動中の【索敵】、障害物の有無、前方線路以外の脅威になるものをピックアップしてくれ。」
『OK、マスター』
仲間もいるから、他のやつと情報共有しよう。安全第一だからな!


ジェイミィ・ブラッディバック

さて、こういう時は多層的に防御陣を敷くのが一番ですね
13機のキャバリアによる集団戦術をご覧あれ
SERAPHIM LEGION、全機出撃

12機をそれぞれ4機ずつ3小隊に分け、それぞれ前衛・中衛・後衛を担当させます
前衛は斬艦刀主体の近接戦闘で足止め、中衛はアサルトライフルで前衛の支援及び前衛をすり抜けてきた敵の対処と戦線の維持、後衛はクリスタルビットで弾幕を形成し面制圧と支援射撃
私はTYPE[JM-E]に搭乗し、適宜レーダーによる偵察と情報収集で戦況を把握しながら各小隊の統括指揮と遊撃を担当します
トンネル内ですし、伊邪那岐とCRESCENT MOONLIGHTによる近距離戦主体で立ち回りますかね


サブリナ・カッツェン
●POW

目的地までは地下鉄道内か…すると、アイリーゼ自慢の機動戦は難しいな
しゃあねぇ、それまでポンコツを借りるか
MK、あたしのサポートをしながらアイリーゼの転送準備もきっちりしとけよ
『了解だが、サブ。こいつは廃品再生機だからか、ワイズマンユニット接続器がえらい旧式だ
。出来るのは、各種状態のチェックと飛来物の感知程度だぞ?」
へっ、そいつァは面白ぇ
そういや、実力は腕次第とか言ってたな

MKは各種情報を教えろ
そいつをあたしの【瞬間思考力】で計算して、機体の特性に見合った操縦でコイツの性能を引き出しながら迎撃にするぞ
ヴィーダーシュペンスティゲ・ズィーモン、本番前のじゃじゃ馬ならしと行こうじゃねぇか



●フルバレット・オーケストラ
「列車を防衛するんですね。わかりました。安心してください。ここにいる人は誰も死なせな……失礼、熱くなってしまいました」
『…………』
 装甲列車の格納庫、アダム・レイン(ダイナソーライダー・f30865)はヘルムに意気込みを伝え、自らのキャバリアに乗り込む所だった。
「……どうかしました?」
『いや……誰も死なせない、か』
 ここまで大変だったが、どうにか最後まで辿り着ける道筋が見えてきた。にも拘らず、何やらヘルムの顔色が優れない。
『どうにも、嫌な予感がしてな』
 喉に刺さった小骨のような違和感を感じる、と。だがそれを精査している余裕など残ってはいない。アダムは略式の敬礼でその場を後にした。僅かな違和感を、その胸の内に秘めたまま。

「にゃー! マカイザーかっこいいにゃ! 目的地に着いたらこいつと一緒に戦えるにゃ?」
「はい。きっと強いのでありましょうな……共に戦う仲間ならば、ええ、守りましょう!」
 黒野・大我(悪食猫・f30466)と朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はそれぞれが愛機に搭乗し、旅の終着点――最奥部手前の操車台前に到着していた。ここから複数の道に分かれ、それぞれの国へ続く路線に繋がっているらしい」
「初依頼か。まあ気張っていくか! マカイザー――男のロマンってやつかな。いろいろ気になってるし、護らせてもらうぜ」
「ああ。列車も快適な乗り心地だった。俺達もマカイザーの分まで仕事するとしよう」
 同じく、赤城・晶(無名のキャバリア傭兵・f32259)とワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)も愛機と共に、支援AIの齎す情報を監視しながら警戒を続ける。
『……警告、移動する熱源を多数確認』
『会敵まで残り十五秒』
 ほぼ同時に、それぞれのAI『ウィリアム』と『ワルキューレ』が淡々と警告を発する。その言葉を受け各機が戦闘態勢を整えて――間延びしたエンジン音が突如、獰猛な獣の咆哮じみたけたたましい音に切り替わった。
「んーと、敵さんは一杯で有人機だからちょっと工夫が必要にゃね」
「いや無人機じゃ無かったっけ?」
 大我の『ニャッグ』と小枝子の『回天号』がセーフティを解除して、警告の鳴る方へ銃口を向ける。これまでの情報から今の敵は“有人機ではないらしい”という事だけが分かっていた。それでも、大我の獣の勘が“それだけでは無い”事を暗に告げていた。
「……とりあえずはプラズマミサイルの誘導弾の弾幕で疑似的な壁を作っておくにゃ」
「そうだな、用心に越した事はない。ワルキューレ、援護を頼む」
 あくまでも様子を伺うという大我に同意し、ワンが愛機『エインヘリャル』の索敵精度を一段階上げる。幸い頭上は思ったほど低くはない――が、敵の攻撃手段は多彩。これも、用心に越した事はない。
『了解しました。マスターも足元にお気をつけて』
「俺もヴェルデフッドで行く。ハガラズの弾幕で壁をつくろう」
「三、二、一……会敵! 来ます!」
 晶が『ヴェルデフッド』の携える大型ガトリングキャノン『ハガラズ』を構え、小枝子が叫ぶと共に猛烈な火線の歓迎が始まった!
「トンネルもやらせたりはしないのにゃ!」
「お優しいこって……ウィリアム、周辺走査! 障害物の有無、前方線路以外の脅威になるものをピックアップしてくれ」
『OK、マスター』
 それは火薬と硝煙と、光線と破壊のオーケストラ。生身でいれば鼓膜が破裂しかねない、耳をつんざく様な轟音が辺り一面に広がって。トンネルの構造を破壊させない為に大我が放ったプラズマの弾幕が巨大なエネルギーの壁を作り、双方が光で分かたれると共に、渡り禽達の反撃が始まった。
「各機とデータリンク、マップ更新、オペレーションスタート!」
 ワンの言葉と共にまず飛び込んだのは小枝子。回天号の全身に超常のスラスターを生やして、加速する機体が足を止めて打ち合う敵機に盛大な斬撃を喰らわせる。
「加速します。ここから先へは……行かせない!」
 先の戦争を生き延びた小枝子はこの中でも指折りの手練れだ。まともに統制の取れていない機械の獣など、最早彼女にとっては路傍の石同然のがらくたに過ぎなかった。
「……大体分かったぜ。ウィリアム、キャノンモード」
『ラジャー。ライフル連結、射線確保。エネルギー充填100%』
 その背後、晶のヴェルデフッドが手にしたライフルを組み替えて、並居る敵群に照準を合わせる。自身は機体の操作に集中し、トリガーはウィリアムに預けた。
「カウント省略、まとめて薙ぎ払え」
『ラジャー。一気に畳みかけましょう』
 そして極太の光条が、小枝子の斬撃を潜り抜けた全ての敵に浴びせられる。何もかも飲み込む破壊の光――いつの間にか、攻守の形勢は逆転していた。

「ハァ……ハァ……」
「ウィリアム、どの程度片付けた?」
『200機です』
 戦闘開始から二分経過、猟兵達の猛攻は瞬く間に敵群を制圧した。大我のプラズマ弾幕が全ての攻撃を飲み込んで、ワンの管制で残る二機のヒット&アウェイが的確に敵を葬ったのだ。これで見た所、残る敵意の反応は無い。
「残りどんなもんだ、ワルキューレ?」
『…………』
 その筈だった。ワンの問いかけにワルキューレは答えない。チカチカと明滅するランプは彼女が動いている事を暗に示す。にも拘らず――焦らされたワンが再び強い言葉でワルキューレを問い質した時、事態は急変した。
「おい、どうした――」
「レーダーに感! 馬鹿な、どこにこれだけの数が!?」
 それは小枝子の声。斥候の役目を買って出た(それでも互いが目視出来る程度の距離で)彼女が察知したモノは、戦場の更に奥――終着点より這い出る無数の敵の反応。
『走査完了。残敵数、およそ300機』
 そしてワルキューレの無慈悲な宣告が猟兵達に絶望を告げる。先の戦いでどの機体も、エネルギーや弾薬をほぼほぼ使い果たしていたのだ。
「馬鹿げてる、ぜ」
「突出し過ぎたかニャ……!」
 不意に稲妻めいた破壊光線がニャッグに迫る。プラズマの弾幕は既に掻き消えた。己が身を守るものはもう無い――その時。
「ヨヒメパンチ(物理)、Ver.シールドバッシュ」
 空より飛来した無数の十字架が破壊光線を跳ね除けて、そのまま発射口たる機械の獣にぶち当たり強引に突き飛ばした。
「ガフの谷には、借りがあるから――」
 ぼうっとした少女の声――響・夜姫(通りすがりのチョコねじ込みメイド・f11389)が『南極皇帝ダイペンギン』(とお供のペンギンを引き連れ)で颯爽と現場に現れたのだ。
「円卓連合への協力も、やぶさかではない」
『グァーッ!』
 彼女のダイペンギンはガフの谷――円卓連合で手に入れたもの。連合の頼みとならば、断る道理はない。外套の様に纏った無数の十字架を切り離し、総勢90基を超えるシールドビット『サバーニャ』を広域展開。仲間達を守る様に布陣させた。
「友軍か。識別コード……“渡り禽”!」
「これより、武力介入……」
 腕を組んだまま一歩前に出るダイペンギン――そして中の夜姫の言葉を遮る様に、別の男の声が戦場に轟いた。
「さて、間に合いましたか」
 ダイペンギンの後ろより現れたシルエット――ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)が駆る流麗なモノクロームのクロムキャバリア『JM-E』が、多数の無人キャバリアを引き連れて戦場に介入する。
「こういう時は多層的に防御陣を敷くのが一番ですね。13機のキャバリアによる集団戦術をご覧あれ」
「ちょっと、被ってる……」
 無人兵器の展開による戦術行動――形は違えど全く同じ行動を取る二機の参戦は、瓦解しかかった戦線を持ち直すには十分。白と黒の両機が立ち並ぶ姿は、正しく戦場の福音そのものだった。
「ダイペンギン、もくひょーを乱れ……打つ!」
「アルファ、ブラボー、チャーリー、前中衛は交戦開始。後衛は直ちに友軍の救助を」
『Unknown program: SERAPHIM LEGION PROGRAM ver.6.6.6 Activated...READY』
 二人の号令に従って散開した無人兵器群は、瞬く間に多数の機動兵器群を押し返した。ジェレミィが放った超常は一個中隊分のセラフィム・リッパー。AIで制御された鋼鉄の軍勢は八機が前線に、残る四機が力を使い果たした仲間たちを守るべく壁となる。
「たまげたぜ、これなら、俺達だって……」
「よお、あんたら」
 更にもう一人……巨大なバックパックを背負ったB.O.S.Sが一機、ひょっこりと戦場に姿を現わした。
「……ここらで一つ、何が欲しい?」
「まんじゅう」
「違う……弾薬と、インゴットだ!」
 その正体は流浪の商人サブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)とサポートロボ『MK』。彼女は文字通り“商い”に現れた――その声に、我先にと補給物資を要求する先行の猟兵達。
「しかし何で、こんなポンコツに?」
「地下鉄道内でアイリーゼ自慢の機動戦は難しいからな。それまで借りてるって訳よ」
『こいつは廃品再生機だからか、ワイズマンユニット接続器がえらい旧式でな。出来るのは、各種状態のチェックと飛来物の感知程度だったもんで』
 補給しつつ事情を語るサブリナとMK。それに長期戦となれば必ずこういう役目が必要だろうと予め踏んでいたのだ。
『で、慣らすのに時間が掛かった、という訳さ』
「成程な――それじゃあお仕事再開と行こうかね!」
 空ッ穴寸前のインゴットを交換し弾薬を補充した四機のキャバリアが再び闘志を燃やす。補給をし終えたサブリナのB.O.S.Sの拳を握り、改めて戦線に加わった。
「全軍、ラウンド2だ!」
「奴等を片付けるぞ。渡り禽の力を思い知らせてやれ!」
 飛翔するサバーニャの猛烈な打撃に続いて、先ず飛び出したのは大我のニャッグ。ネコ科らしいしなやかな動きで前へ前へと突き進み、獅子の様な巨大なエネルギー塊を形成した。
『これでもくらえにゃー!』
 放たれたエネルギー砲――超常の『ニャンコノヴァ』が立ち塞がる敵を薙ぎ倒し、新たな活路を切り拓く。
「進むんだ……こんな所で、止まれない!」
 切り拓かれた道に続くのは小枝子。左右に散った機械の獣をサイキックシールドの突撃で吹き飛ばし、倒れた傍から光の刃を突き立てて。
「ヴィーダーシュペンスティゲ・ズィーモン、本番前のじゃじゃ馬ならしと行こうじゃねぇか」
『了解だサブ、派手に行こうか』
 補給物資を粗方放出したサブリナのB.O.S.Sも前線へ。超常で引き出された限界性能は、その拳一つであろう事か機械の獣を打ち砕いた。
「冗談みたいな威力だな……」
『現実だ。だが無理はするなよ』
「安全第一だ。データ更新!」
 暴れるサブリナを背にして、晶が改めて状況を更新し周辺の仲間達へ共有する。大勢は引っくり返った。残る敵機は50にも満たない。
「共有完了。優先攻撃対象選定――行くぞ皆!」
 そのデータを基にワンが攻撃対象を選定する。有機的に連動する彼等の戦術行動は、群れて狩りをする猛禽の如し。鋼の爪を突き立てて、キャバリア達は突き進む。
「データロード。フム……穴はここですね」
 選定されたデータからジェイミィが遊撃に打って出る。前線は無人機たちで十分に支えられているのだ……残りを潰せば、チェックメイトも同然だ。
「退きなさい。ダイヤが事故で遅延など真っ平御免なのですよ」
 サラリーマンにとってそれは命よりも重い、事もある。過去に思いを馳せて、ジェイミィは立ち塞がる悪意を斬り伏せた。
「ダイペンギン、は……立っているだけじゃない」
 戦場の入り口近くでぼそりと夜姫が呟く。制御している端末の数だけでいえば圧倒的に多いのだ。本来ならば浮遊砲台として使うべき物を、環境に配慮して直接それで殴るというセンシティブな方に舵を切った夜姫(とペンギン)は意外な程に疲れていた。時折暴発もしているが、気にしない。
「大体片付けた、かー……?」
 不意に爆炎の向こうからミサイルが飛来する。全ての端末は解き放たれて、回避が間に合わない――刹那、背後からの光条がそのミサイルを叩き落とした。
「ザウラーのトカゲっぽい身体の構造がまさかこんなところで役に立つとは思わなかったな。まあ、戦い方はあまりかっこよくないけどね。それよりも」
 壁を這う様に現れた機械の蜥蜴『ゲドン・ザウラー』が、アダムが間一髪夜姫を救ったのだ。立体的に壁を伝って戦場に躍り出たザウラーは、そのまま天井より光のシャワーを的に浴びせる。
「気をつけてみんな。この戦い、これで終わりなんかじゃあない」
 彼我戦力差は1:9を割った。敵の全滅は時間の問題……だが事態はそう簡単ではないと、アダムが告げる。
「余程、ヤバい奴が控えているみたいだ」
 破れかぶれで突撃をかます機械の獣へ、長い尾を伸ばして串刺しにするザウラー。その警告はヘルムからの受け売り……だが、共有しない訳にはいかない。
「列車も追いつきました。では参りましょう」
 本当に恐ろしい情報ほど、悍ましい真実ほど、
 その姿を普段は隠して悪しき牙を研いでいるのだから。
 最前線で剣を振るう小枝子に続いて、鋼鉄の猛禽達は更に奥へと進んで行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ロードランナー』

POW   :    コンバージョン・ウェポン
【各機体ごとに異なる多様な対キャバリア兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    モードチェンジ
自身の【汎用性に優れた形態のスタンディングモード】を【膝を下ろして機動力重視のヴィークルモード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    ハルダウン
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【身を隠しながら対キャバリア兵器や対人兵器】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●地の底より来たるモノ
『何だァ、ここは……』
 装甲列車の終着駅――オブイエ王朝地下深くのその施設は、巨大な円形闘技場めいた異質な空間だった。高度計はマイナス、計測不能の深さを示している。
『この高さ……いや深さ、昔のロケット発射施設か』
 天を見上げるヘルムの瞳に空は映らない。まるで煙突の中にいる様な不思議な感覚――走査した情報から、外壁もかなりの強度を誇る事が分かった。つまりここは何がしかの重要施設……形状よりかつてロケットを飛ばしていた、あるいは飛ばそうとしていた所だろうとヘルムは判断した。
『空を取り戻す為、あるいはここが空を……』
 ロケット関連という事は、恐らく殲禍炎剣に関連する施設であったのだろう。早速調査を始めようとヘルムのキャバリアが身を乗り出した瞬間、不意にけたたましい警告音がコクピットに鳴り響いた。

『! 出やがったな。だが今度は……』
 レーダーに感。施設中央の穴よりわらわらと敵機動兵器――武装したアンダーフレーム群が、まるでいきり立つ兵隊蟻の様に出現した。だが今回はもうエンジンの真似事をしなくても良い。こちらから打って出る事が出来るのだ。
『こっちから行くぜッ! カイザァァァァファイッ!!』
 叫ぶと同時に鋼鉄の巨人が格納車両より躍り出る。漆黒の装甲で全身を包み、炎めいた胸の真っ赤な装飾は放熱板なのか、ゆらりと陽炎が揺らめいている。鈍色の刺々しい兜を被り、双眸にギラリと光を漲らした雄々しき姿。スーパーロボット『マカイザー』が遂に動き出したのだ。ズシン、と一歩が地を揺らして、溢れるエネルギーが全身より紫電を放つ。それは正に破壊の化身――目の前のおびただしい数の敵に臆する事無く、マカイザーは土煙を上げて駆け出した。
『フォトンスクレイパー! ローストハリケーン!』
 音声入力インターフェイスはヘルムの声と視線に従って、正面の敵群をマシンの眼から放つ光で薙ぎ払い、上から飛び掛かる敵群を排気口から放つ灼熱の旋風で焼き尽くす。ドワーオが誇る最古のキャバリア、Z式人型実験兵器……それに代々改造を重ね、遂に究極へ至った無敵の魔改造皇帝――それがマカイザー。
『へッ、どんなもんだい……って、これはッ!?』
 恐るべき威力を見せつけ鼻を鳴らすヘルム。爆発し吹き上がる煙の奥で彼が見たモノはしかし、想像を絶する悍ましい真実だった。

 スクレイパーで削られた装甲の先、武装アンダーフレーム内には敵のパイロットがいた。否、それはパイロットというより『部品』と呼ぶのが相応しい。
『……キョウシュ……サマ』
 全身へ血管より太いチューブを挿入されて、マシンと一体化した人間だったモノ。それがこのアンダーフレームを操作していたのだ。
『まさか、さっきの無人機も……!』
 反応が無かったのではない。完全に機械と一体化していたから人間と見做されなかったのだ。このアンダーフレームは恐らく、先に遭遇した機械の獣の材料。
『ハイジョ……アシキハ……ハイジョ……』
 この状態なら、まだ生命は助けられるかもしれない。
『スベテハ……キョウシュサマノ……タメ……』
 しかし、肉体は救えても魂は救えるのだろうか。
『……考えても埒が明かねえ。皆!』
 くるりと振り向いたマカイザー――ヘルムが猟兵達に呼び掛ける。こういう時は悩んだら負けだ。それにどう転んでも、既に碌な事になっていない。
『アイツらは中央の穴の奥から出て来ている。列車は俺が守るから先に行ってくれねえか? それであのマシンを生み出している何かを止めてくれ!』
 だからこそ、これ以上の悲劇を防ぐ為に……人を人とも思わぬこの国の暗部を破壊する為に、ヘルムは猟兵達へ頼み込んだ。
『敵を壊すか助けるかは皆に任せる。ケツは俺が拭くから心配するな!』
 判断は猟兵任せ、だがこれは国同士の問題だ。ここで何が起こっても、全ての責任は自分にある――ヘルムは暗にそう告げていた。
『穴は結構深いから道中の迎撃に気を付けてくれ。済まねえが頼んだぜ!』
 最早一刻も猶予もない。敵を突破して穴に突入しこの施設の最奥部へ進むのだ。
箒星・仄々
お可哀そうに…
命を蔑ろにする敵さんを許せません…!
囚われの方々を何としてもお助けしたいです

B.O.S.Sの摩擦係数操作
ローラーダッシュ的な機動や回避運動
敵攻撃をつるっと受け流すボディで
穴の奥を目指します

立ち塞がる敵へツル弾
転倒させたり
将棋倒しにさせたり
機体や武装をバラバラに分解
更にチューブからつるっと解放
機外へ排出
解放後不穏なら
緊急避難として摩擦減で起き上がれない様に

今は介抱して差し上げる時間がとれず
申し訳ありません

元へお戻しできるのか判りませんが
それでも希望は持ちたいです
未来はこれから作り上げていくのですから

ドクターヘルムさんなら
何とかして下さるかも?

ともあれ今は突破目指しGOです!



●Shout at the Devil
「お可哀そうに……」
 無尽蔵に湧き出る敵群を見据え、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は苦い表情を浮かべる。その動きはまるで群れた昆虫の様に統制の取れた狂気。突出した仄々のB.O.S.S目掛けて、一様にヴィークルモードへ変形したキャバリア擬きは、方位陣形を構築し機動戦を展開する。
「命を蔑ろにする敵さんを許せません……!」
 土埃を舞い上げて中央のB.O.S.Sを嬲らんと、機銃の斉射が豪雨の様に降り注いだ。だがそのどれもがB.O.S.Sを貫く事は無い。限界を超えたB.O.S.Sのマニューバが紙一重で躱していたのだ。刹那、巨大な影が――超常で摩擦抵抗を限界まで減らされたB.O.S.Sの一撃が、包囲の一角を破らんと豪速で体当たりをブチかます。
「今は介抱して差し上げる時間がとれず申し訳ありません」
 その一撃で転倒した敵機は起き上がる事もままならない。機体を通じて発現した超常の権能が機械部品の摩擦を弄れば、虚しく空転の音が響くだけ。にも拘らず、味方ごと撃ち抜かんと止まない弾雨が再び仄々を狙う。
「元へお戻しできるのか判りませんが、それでも希望は持ちたいです」
 倒れた敵機へ弾を当てぬ様、加速して離れる仄々――手にした機関砲が群れる敵機の足元を狙えば、今度こそ包囲陣が続々と崩れていく。摩擦を操作した弾頭は敵よりも早くその牙を突き立てるのだ。最早、仄々の突撃を止められる敵はいない。
「……ドクターヘルムさんなら何とかして下さるかも?」
『無茶言うな。だが、俺じゃなくても――』
 通信越しに上ずったヘルムの声が聞こえる。向こうも向こうで迎撃に手一杯だ。それに俺は機械工学専門――こういう時、餅は餅屋だと付け加えて。
『何とかなる、かもしれねえ』
「了解しました。ともあれ今は突破目指しGOです!」
 背後で瞬く赤色灯を流し見て、仄々は更に奥へと突き進む。
 これからの未来を作り上げる為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

支倉・錫華
【ガルヴォルン】

気合とハンドルでの操作にも慣れたから、反撃って思ったけど、
これは見過ごせない感じだね。

あ、リリー先生が苦虫100匹くらい噛みつぶしてる。

ここはパイロットの安全を最優先かな。
動きの止まった相手のキャバリアからパイロットを引きずり出して、
リリー先生の呼びだした医療用キャバリアに押し込みつつ、
治療現場を攻撃されないように、こちらは盾として動いていこう。

チューニングは、装甲5倍、攻撃回数を半分にして、基本は防御戦。
接近されなければ、おっけーかな。
【盾受け】と【地形の利用】を【天磐】で使って、敵の攻撃を受け止めよう。

治療中は小さな振動でも危険だもんね。

リリー先生のところには行かせないよ。


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
●【ガルヴォルン】
※引き続き愛機に搭乗
※『リリー先生』等別称を好む

あー、生体コア措置か…でも随分雑な手際だね
コレじゃ長期運用なんか無理でしょ?

敵地で本業ヤるとは思ってなかったけど
持ってきて正解かな…仕方ないねえ

オペ6番【グレイ・アンビュランス】開始
ハイ、救急車通るよっ

錫華さん、無人機の護衛について流れ弾防御して
電脳経由の遠隔【医術】で脳神経を診るから
両手銃器での迎撃自体はともかく進軍速度がね…

…あーもう、誰が治療費払うのさっ

◆自動操縦キャバリア
列車格納庫内の直方体が『ヘンなの』に変形
赤色灯とサイレンを伴い猟兵後方で高速走行
背部の『イリーガル・メディック』に
専用ドローンで撃破機のパイロット?収容



●ハートに火をつけろ!
「気合とハンドルでの操作にも慣れたから、反撃って思ったけど」
 人型の挙動をかろうじで保っているのが唯一の救いだ――鈍色の銃口を向ける敵機を睨み、支倉・錫華(Gambenero・f29951)はしかし、しかめ面で独り言ちる。
「――これは見過ごせない感じだね」
「…………」
 B.O.S.Sのモニタに映るリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は言葉も無く、マカイザーが倒した敵機の残骸を睨み、剥き出しになった内部機構を――繋げられたパイロットの姿を見て、複雑な表情を浮かべていた。
「あ、リリー先生が苦虫100匹くらい噛みつぶしてる」
「潰した所で湧いて出るでしょ、コレ」
 溜息も無く、僅かながら得られた情報を全力で解析するリーゼロッテ。人機一体型のオペレーションシステム。しかも脊髄直結型の“効果は抜群だが生命と引き換え”モデル――にも拘らず、先の戦いで敵機の動きはどれも精彩を欠いていた。
「生体コア措置か……でも随分雑な手際だね。コレじゃ長期運用なんか無理でしょ?」
「空薬莢をリサイクルする様な涙ぐましい連中には見えないけど」
 つまり、彼等は即席で製造された鉄砲玉に過ぎない。本来ならば時間を掛けて熟成するか、これらを統御する指揮官機が必要。そのどれもが無いとすれば、良くも悪くも出来る事は――リリー先生がやるべき事は一つだった。
「敵地で本業ヤるとは思ってなかったけど、持ってきて正解かな……仕方ないねえ」
 溜め込んだ息を大きく吐いて、滑らかな手つきで端末を操作するリーゼロッテ。途端、列車に積んでおいた直方体の物体が多脚生物めいた歪な作業機械――“救急用四脚機『ヘンなの』”へと変形する。
「オペ6番【グレイ・アンビュランス】開始。ハイ、救急車通るよっ!」
 唸るサイレン、回転する赤色灯が静寂を切り裂いて、ヘンなのは戦場へ急行した。
      オ ペ
「これより緊急手術を開始する。道を開けろッ!」

「錫華さん、無人機の護衛について流れ弾防御して。電脳経由の遠隔医術で脳神経を診るから両手銃器での迎撃自体はともかく、進軍速度がね……」
 早口で指示を出しながら最初の患者を手早く検診、モニタに映る症状を流し見て、リーゼロッテはナインスの迎撃マニューバを選定する。マシン自体が生命維持装置だとしたら、最早一刻の猶予も無い。その声を聞き、錫華もB.O.S.Sの調整を済ます。回避プログラムを再調整、耐弾性を考慮しつつ敵を追い払う戦術――基本は防御戦だ。接近されなければOKだろう。
「了解。治療中は小さな振動でも危険だもんね」
 途端、ギラリと点灯したB.O.S.Sのカメラアイが殺到する敵機を睨み返す。抱えた二丁のライフルがすかさず火線のデッドラインを引いて、ヴィークルモードで懐に突入してきた敵機を見もせずに蹴り飛ばした。
「……あーもう、誰が治療費払うのさっ!」
『心配するな! そいつはウチでどうにか賄う!』
 飛ばされた敵機からコクピットを引き剥がし、急ぎリーゼロッテの元へ運ぶマカイザー。本来ならば争いは避けたかった所、不可抗力とはいえ殲滅戦を覚悟したヘルムにとって、リーゼロッテの存在は一筋の光明に他ならない。
「録音したからね! 次! 洗浄して強制麻酔。基準の1.1倍まで私が許す!」
「やー輝いてるよリリー先生……邪魔はさせないッ!」
 軽口を叩きながら飛来するミサイルを撃ち払う錫華。壊すだけがキャバリアの仕事では無いと言わんばかりに、徹底して敵の攻撃を食い止める。破裂した弾頭が花火の様に天を彩った。その行いを、天が祝福するかのように。
「処置が終わった患者は列車に! ドクター!」
『任された! こんな事もあろうかとB.O.S.Sをガッツリ持ってきて良かったぜ!』
 本当かよと疑問符を浮かべる二人を尻目に、無人のB.O.S.Sがゾロゾロと列車より現れる。難しい動きは出来なくとも、荷物を運ぶくらいならば問題無い。リーゼロッテが処置を施した敵パイロットは、そのまま列車へ続々と運ばれていった。
『載せたら自動で救急搬送だ。ここは絶対に抜かせねえ!』
「要救助者の確保は任せて。それにしても敵の数が多い……!」
 群がる敵を背負った盾で叩き落として、無力化した傍から他のB.O.S.Sへ投げる錫華。それでも溢れる敵は止まる事を知らない。だけど、とヘルムが言葉を繋ぐ。
『大丈夫だ、俺達もこれだけじゃねえだろう』
 準備は整った。ここから先は壊すだけじゃない。
 救う為の戦いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
これが……スーパーロボット、マカイザー!
改造を繰り返しているとはいえ、とても古いキャバリアとは思えない……
なんて強さなの、マカイザーッ!! 

って何よ、あの悪趣味な機体は……!
……ちっ、本当だったらここは敵兵の犠牲なんて飲み込むのが効率的なんでしょうけど
こんなもん見せられちゃ、どうも寝覚めが悪いっての!

ユーベルコード【ハイスピード・ゾーン】……!
極限の集中で高めた【見切り】と【操縦】技術、そして【瞬間思考力】
全てを活かし、可能な限り武装アンダーフレームのパイロットを活かしたまま
プラズマブレードで武装の無力化を試みつつ進む!

ちょーっと脳の負担はデカいけど
どうせなら、笑って勝ちに行きたいでしょうが!


嗣條・マリア


生体部品。その有用性は知っていますが……気に入りません
言われなくともやりましょう。徹底的に


“暴君の独立闊歩”
並行世界の自分からの“声”による簡易的な未来予知の支援を受け、敵の攻撃の間をすり抜けるように機動
危険度の高い敵機から優先で迎撃を開始

可能な限り、敵の戦闘能力だけを奪って無力化します
脚部とアーム、武器を破壊すれば足りるでしょうか

ただし、自分に向かってくる分だけ
他の味方のほうに向かって行った分までカバーしようと思い上がってはいません



構いません。死にたくなければ全力で向かってきてください
抵抗も、恨みも、“暴君”が許します



●HEAVEN'S DRIVE
「これが……スーパーロボット、マカイザー!」
 漆黒の巨人が群がる敵を吹き飛ばす姿に感嘆の声を上げるアイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)。魔改造の申し子は雄叫びの様な駆動音を上げながら、蟻の様に穴から這い出る無数の悪意を尽く捻じ伏せる。
「改造を繰り返しているとはいえ、とても古いキャバリアとは思えない……なんて強さなの、マカイザーッ!!」
 内臓ミサイルが火柱を放ち、灼熱の旋風が器用に駆動部を焼き切る姿で熟練の技を見せつける。一国を背負うと宣うだけの事はある――その相手、不完全な有人キャバリアを目にとめて、アイオライトは忌々しげに溜め息を吐いた。
「って何よ、あの悪趣味な機体は……!」
 敵機に対してではない。それは生命を操る悪意に。確かに戦場では紙切れ同然のモノかもしれない――だがもしも、それが願って与えられた運命では無いとしたら。
「こんなもん見せられちゃ、どうも寝覚めが悪いっての!」
 自らの在り方にも反する外道の所業。それを認められる程、アイオライトの青いハートは熟れてはいない。すかさずブルーテイルの制御ロジックを変更――途端に幾重にも張り巡らされたセーフティが、音を立てて外される。
「ちょーっと脳の負担はデカいけど――」
 超常の知覚――瞬間の判断をダイレクトに反映する光速を越えたコントロール。その軛を開放したブルーテイルは、まるで稲妻の様に青白い光を全身より轟かす。
「幸いメディックはいるみたいだし! 全開で行くわよッ!」
「言われなくともやりましょう。徹底的に」
 背後には真紅の巨兵、タイラント――嗣條・マリア(アストレア・f30051)が冷徹な表情でモニタに映る敵群を眺めていた。
「生体部品。その有用性は知っていますが……気に入りません」
 生命はそのように使うモノでは無い。殺す為の生命はされど、生かす為の力なのだから。それを無下に扱う事を、特に彼女達が認める訳が無い。
「行くわよお嬢」
「承知。道は開きます」
 瞬間、青と赤が爆ぜる。否――爆光を背に二色の鋼は、戦場を駆ける嵐と化した。

 可能な限り、敵の戦闘能力だけを奪って無力化する。マリアは心のままに、平行世界の声に従いタイラントを誘った。先ずは危険度の高い敵を優先し迎撃――目に映ったのは、巨大な砲を背負ったキャバリアの出来損ない。
「サーチ――荷電粒子砲を確認。エネルギーチャージなどさせません」
 すかさずレールガン『ライトブリンガー』が紫電を放つ。超高速の電磁投射砲は正確にその砲身を貫いて、続けて肉薄したタイラントが返しの付いた直剣で脚部を掬う様に断ち切った。巨砲を背負ったキャバリア擬きは、大音を立ててあえなく擱座する。これで先ずは一つ、特に危険な奴を葬った。
「これで十分でしょうか……!」
 制動と同時に、タイラントへミサイルの雨が襲い掛かる。視界に広がる炎――しかし真紅の重装甲はそれらをものともせず、反撃の対空砲火が一つ、二つと周囲に鮮やかな爆光を描いていった。
「構いません。死にたくなければ全力で向かってきてください」
 抵抗も、恨みも、“暴君”が許します。サブアームが返す刃の徹甲弾をばら撒いて――『エリミネーターII 』がタイラントへ雲霞の如く群がる敵機を続けて捻じ伏せる。そのまま円弧の機動でキャバリア擬き共を引き寄せて、マリアは大穴へ続く道をアイオライトへ繋げた。
「無茶しちゃ駄目よお嬢。でもアリガト……!」
 瞬間、稲妻が戦場を貫いた。翼の様なスラスターの炎がゆらめいて、すれ違い様の敵機を音より早く切り刻む。
「ターゲット、三ケタを越えると数えるの面倒だから――」
 極限の集中で高めた全てを活かし、可能な限りキャバリア擬きのパイロットを活かしたまま敵の無力化を試みつつ進む! 爆ぜた武装の爆光が花道の様に広がれば、後に残された敵機は棺桶同然。それをヘルムの放った無人のB.O.S.Sが救護部隊へ引き渡す。中の人の安否は任せたわよ。
「本当ならアンタ達の犠牲なんて飲み込むのが効率的でしょう。でもね」
 こんな死線は飽きるほど潜ってきたの。プラズマブレード『スラッシュ』の出力を絞り、更に細く長い光剣がブルーテイルの両手に現れる。これならば、通り縋るだけで全ての敵を切り伏せられるだろう。
「どうせなら、笑って勝ちに行きたいでしょうが!」
 積み上げたものは決して無駄にはしない。心に秘めた誓いと共に、アイオライトは真っ先に大穴へと飛び込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖


こんなん助けるたって
…ああくそっ
めちゃくちゃ胸糞悪ぃ

とりあえず無力化してから考える
やれるよな相棒

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波巻き散らし残像纏い間近の敵にダッシュで間合い詰めグラップル
ひとまず動きを止める!
細い足狙って足払い
追い打ちで部位破壊しUC
よく分かんねぇけどケツ拭くって言ってたし
何とかしてくれんだろ

モードチェンジは変形の瞬間狙って攻撃
動く前にぶっ壊せば自慢の機動力も形無しだな
蹴って吹き飛ばし同士討ち
変形した場合は半分になった弱点狙う
相手の得意なとこで勝負する必要ねぇ
何体かやってりゃ動きも読めるし
スタークドラゴンの力を借りれば
何となく瞬間的に分かるっつか
拳の乱れ撃ち


荒谷・つかさ
マカイザー……正にマシンの皇帝とも言うべき、凄まじい機体ね。
こんな状況でもなければ、肩を並べて共に戦いたい所だったけれど、仕方ないか。
ええ、任されたわ。列車の方はよろしく。
っと、その前に。積み荷を射出してもらえるかしら?

突入前に【黄昏の鉄巨神】発動
列車から追加パーツ群を射出してもらい、合体してパワーアップ
その後は全速力で穴へ突入、立ち塞がる敵のみをその推進力と装甲を活かした体当たりで蹴散らし道を切り拓く
わざわざトドメを刺す気はないけど、殺さないよう気を使うつもりもない
今は新たな犠牲者を出さないためにも、最奥部への到達が重要だろうから

志願してなら兎も角、そうでなかったなら……悍ましいものね。



●DIVE TO BLUE
「マカイザー……正にマシンの皇帝とも言うべき、凄まじい機体ね」
 神か悪魔の所業に相応しい、熱線、鉄拳、大暴風――黒鉄が放つ威力は尽く敵の力を削ぎ落し、無力化された鉄の骸がそこかしこに散らかされる。圧倒的なマカイザーの力を認め、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)は嘆息した。
『チクショウ、敵の数が多すぎる! すまねえがソッチに行った奴は頼めるか!?』
「ええ、任されたわ。列車の方はよろしく――っと、その前に」
 こんな状況でもなければ、肩を並べて共に戦いたい所だったけれど。今は他にやるべき事がある――スルトのコクピットで厳重に封じられたスイッチを見やり、つかさはぼそりと呟いた。
「積み荷を射出してもらえるかしら?」

「こんなん助けるたって……ああくそっ!」
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)は真っ赤に染まるレーダーを睨み、忌々しげに言葉を吐いた。人間を部品にするなんてめちゃくちゃ胸糞悪ぃ。それはかつての自身にされた事と同じ、人の心を捨てた悪魔の所業だ。それを黙って見過ごすなど出来る訳が無い。だから。
「とりあえず無力化してから考える。やれるよな相棒!」
 拳を前に突き出して迎え撃つ形を取るスタークドラゴン。溢れる理玖の闘気が機体を通して滲む様に空間を揺らし、コンデンサに溜め込んだ力が放たれた――その時。
「その意気よ、少年」
「少年って、おいおい……」
 傍らにもう一つの巨人――つかさのスルトが並び立つ。これでも十七歳だぜ、と言いかけた言葉を飲み込んで、理玖は続く凛とした声音に耳を澄ませた。
「レーヴァテインユニット、エンゲージ!」
 つかさの咆哮と共に列車の格納庫がガクンと展開する。途端にまるで臼砲めいた巨大な砲口が、スルト目掛けて無数の鉄塊を撃ち込んだ。
「! 一体何を!」
「ビルド・アァァァァップ!!!!」
 それは鋼の五体――肥大化した両腕、両脚部と胸部。それらがスルトを中心に引き寄せられる様に集い、スルトを包み込む様に展開――そして、結合した。
「全ユニット接続……完了!」
 号令一下、結合した各パーツがパズルの様に開いて、新たなスルトの身体を形成する。僅かに小柄なキャバリアだったスルトの真なる姿、異世界の超常が生み出した巨大なる奇跡のマシンがクロムキャバリアに顕現したのだ。
「KFG零型、オーバードライブ!」
 キマイラフューチャージェネレーターは心の力を形にする超常のエンジン。次元干潮力すら無視して励起したつかさの溢れるパワーを鋼鉄に替えて、黄昏を齎す鉄巨人――『スルト・ラグナロク』は、その巨体をまざまざとこの世界に見せつけた。
「『黄昏の鉄巨神』、見参ッ!」
「へッ……だったらこっちも!」
 荒ぶる戦神に心をときめかせながら、されど理玖も負けてはいない。
「変身ッ!」
 手にした龍珠が七色の光を放ち、澄んだ音色がコクピットに響く。途端、スタークドラゴンの青い装甲が虹色に輝いて――龍の闘気が空間を極彩色に染め上げた。
「さあ行くわよ、戦いの渦へ!」
「応ッ」
 目の前には無数のキャバリア擬き。二つの鋼の輝きはそれらを蹴散らさんと炎を吐く。まずは眼前の、無数の悪意を叩くまで。

「動く前にぶっ壊せば、自慢の機動力も形無しだな!」
 青白い火を噴いて先行したのは理玖のスタークドラゴン。真正面から音速の直突きが敵の動きを止めて、流れる様な動作でサブアームごと武装を圧し折る。しかしがら空きの背後を敵が急襲――されど、貫かれたのは残像。そのまま理玖に足元を掬われて、カウンターの一撃で下半身をぶち抜かれた。
「甘く見るなよ、目で追うから追い付かねえんだ!」
「爆熱鉄拳発射ッ! ホーミングクラスターッ!」
 その背後で全身の武装を絶え間なく展開するスルト・ラグナロク。赤熱化した噴進鉄拳が敵機の下半身を溶断し、天より放たれた無数の誘導弾が嵐の様に敵群を飲み込んだ。その雄々しき姿は正に、黄昏の鉄巨人の名に相応しい。
「志願してなら兎も角、そうでなかったなら……悍ましいものね」
 スルトに飛び掛かるキャバリア擬きを逆袈裟に斬り伏せて、迫るミサイルの雨を胸部の熱線が撃ち落とす。遠近万能のスーパーロボットはこの程度では怯まない。
「よく分かんねぇけどケツ拭くって言ってたし、何とかしてくれんだろ!」
 こういう時は出来る者に任せればいい。思考するよりも早くスタークドラゴンのストンピングが、変形中の敵機を地面に縫い付ける。
「相手の得意なとこで勝負する必要ねぇ。それに大体分かった!」
 感じるままに機体を動かし、それに応えてスタークドラゴンは敵機を次々と無力化していく。出来る限りの事はやる……後ろにゃまだ救助部隊が控えているんだ。何も遠慮する必要は無い!
「姉さん、先に行くッ!」
 そのまま、切り拓かれた穴への道を駆け抜ける理玖。蒼白の稲妻が地面を舐める様に、その速さにキャバリア擬きは最早、追い付く事も儘ならない。
「ええ、行きましょう」
 続いてスルトも一気に加速を。今は新たな犠牲者を出さないためにも、最奥部への到達が重要だろう――悪意渦巻く大穴に、二つの鋼は飛び込んだ。
 この悪しきの根源を、永遠に断ち切る為に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サブリナ・カッツェン
●POW

ヤるもヤらないも酷な話だが、キャバリア乗りの作法でラクにしてやるぞ
MK、アイリーゼに乗り換えるぜ
『あー、サブ。さっきの戦闘でハッチの開閉が出来なくなった。回路がショートしたらしい』
回路か…このジャンク回路で代用してみようぜ
胡散臭いが背に腹も変えられねぇ…おい、何が起きた!?
『これは…ENゲインが数倍に跳ね上がり、【封印を解く】ように武装が解禁されたぞ』
アレか、ヘルムみてぇに音声認識で技を繰り出せるようになったと
『そうだ、その名もスペシャルデラックスゴールデンデンジャ…』
舌噛むわッ!
『では…究極!B.O.S.S・ファイナル・ダイナミック』
それはいいが、腹の底から叫ばねぇとならねぇのかよ…


アダム・レイン
●【POW】
「敵は地上を高速で動き回れるけど、飛翔能力はない…ならこの方法を試そう。」

最初は敵の密集した場所目掛けてQuake strike。周辺の地形を破壊しつつ攻撃。次に敵達が崩れた地面に足を取られたり、空いた穴にはまったりしたらその隙に【レーザー射撃】やTyrannusによる【投擲】の攻撃で積極的に攻める

「怖かったけど思い切るのも大事か。まあ、敵がオフェンスを重視してるなら下手に後手に回るよりも攻めが激化する前に叩くべきだよね。」

上記の方法が失敗した場合は距離を取り、ひとまず【オーラ防御】で守りを固める

※アドリブ&連携OK



●賽は投げられた
「ヤるもヤらないも酷な話だが、キャバリア乗りの作法でラクにしてやるぞ」
「敵は地上を高速で動き回れるけど、飛翔能力はない……ならこの方法を試そう」
 サブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)とアダム・レイン(ダイナソーライダー・f30865)は並び立ってキャバリア擬きの群れを見る。敵の数は膨大――だが、ここまでの猛攻を凌いだ彼等にしてみれば、決して乗り越えられない壁ではない。ゲドン・ザウラーの中でアダムは攻撃モーションを選択。会敵予測をサブリナと共有し、先んじて敵群へ突っ込んだ。
「アダムが動いた。MK、こっちもアイリーゼに乗り換えるぜ」
『あー、サブ。その事なんだが』
 天井も高いここならば乗り慣れた『アイリーゼ』で十分に立ち回れる。その方が遥かに効率もいいだろう――しかし続いたMKの言葉がそれを許さなかった。
『さっきの戦闘でハッチの開閉が出来なくなった。機体も動かん。どうやら回路がショートしたらしい』
「とんだポンコツですねえオイ!」
 いっそブチ破って外へ出てもいいが、保険も保証も無い状態でレンタルした機材を自ら破損したとなれば今後の商売に影響が出かねない。しかし働かない訳にもいかぬ――止むを得ず、サブリナは閃いた打開策をMKに提示した。
「だったらいい考えがある」
『ここはキャンプじゃねえぞ。バーベキューにされたくはない』
 こういう事を言い出す時は大体ろくでもないのが戦場のお約束だ。しかしMKの懸念を無視して、サブリナはコートの中から怪しげな機械を取り出した。
「おいこの回路付けねぇか」

「怖かったけど思い切るのも大事か」
 先行したザウラーは密集する敵群に上空からその巨体を叩き付け、崩れた地形ごとそれらをまとめて飲み込んだ。亀裂の入った床に挟まれ、身動きの取れないキャバリア擬きを、恐竜じみた双眸から放つレーザーで真っ二つに両断する。
「まあ、敵がオフェンスを重視してるなら下手に後手に回るよりも、攻めが激化する前に叩くべきだよね」
 事実、不安定な形状のキャバリア擬きはザウラーの奇襲に成す術も無かった。足元を掬われれば幾ら武装を満載しようと、自在に動く四足の獣に立ち向かえる筈など無い。
『この場合は、思い切りというより……』
「動いたんだから、いいだろーがッ! 来るぞ!」
 ゆらりと異形が――否、かろうじで人型を保つ再生キャバリアB.O.S.Sがザウラーの前に現れる。だがその動きはどこかぎこちない。不思議に思うアダムが通信を開き、呆れた声音でMKが状況を説明する。
「そっちの事情か。大丈夫?」
『ショートした回路を交換したらENゲインが数倍に跳ね上がり、封印を解く様に武装が解禁された』
 千鳥足で敵機の残骸の上をふらつくB.O.S.Sを見やり、一応は大丈夫そうだと安堵するアダム。だがぼうっとしていれば、続く敵の攻撃は凌げないだろう。アダムは周辺を走査して再び情報を共有した。
「大丈夫そうだね」
「んな訳あるか! 動く度に大声出さねえと……」
 そういえば『行け!』だの『止まれ!』だのサブリナがうるさい。何かと思えば壊れた駆動系回路の代わりに音声認識型の得体の知れない何かを組付けたらしい。
「大丈夫じゃないね」
『仕方ないね』
「それに! 何だこの音声コマンド!」
 ただ動くだけで体力を削られるというのに、攻撃モーションも輪を掛けて複雑……なのだろう。モニタ越しの彼女の姿はハードワーク明けのアスリートみたいだった。
『そうだ、その名もスペシャルデラックスゴールデンデンジャ……』
「舌噛むわッ!」
 刹那、敵の第二波が二人を襲う。前に出たザウラーが急ぎバリアを張り巡らせて、辛くもB.O.S.Sは直撃を免れる。
「バリアでしばらく持たせるけど、大丈夫?」
『では趣向を変えて……究極! B.O.S.S・ファイナル・ダイナミック――』
「分かった。分かったから!」
 こうなればヤケだ。頬を叩いて気合いを入れ直し、サブリナは声高らかにコマンドを叫んだ。
「究極ッ! B.O.S.S・ファイナァァァルダイナミックッ!!!!」
 その叫びは空を揺るがし、白熱化したB.O.S.Sは輝きと共に拳へ力を溜め込んで――直後、B.O.S.Sの色が消えた。
「何も起きませんよ」
『マイクが壊れたなコリャ』
 モニタはERRORの大合唱。赤と黒が視界を埋め尽くしサブリナは頭を抱えた。MKは沈黙した。それでも敵の猛威は止まらない。振動と爆音が徐々にその威を増して、嫌が応にもここが戦場である事を分からせる。
「ハッチを直す時間は稼ぎます。早く」
「助かる。行くぞMK!」
 矢張り正攻法で直すしかあるまい。瓦礫を投げ、組み付いた敵を食い千切り奮闘するザウラーの後ろでサブリナは再び機体を修理する。
 この戦いが終わるまで、後戻りなど出来ないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白峰・歌音
NGなし、全てお任せ

……!?
こんな、パーツ扱いで人を……!ここから出てくるロボットみんな、みんなこんな状態だってのかよ!!
この理不尽、どんな理由があっても絶対許せねぇ……!
けれど、まずは、この人達を救える可能性を、繋ぐ!
「意志を奪われ望まぬ戦いに駆り出された操り人形!このシエル・ドゥ・クリールがその糸を断ち切ってやるぜ!」

敵の脚と武器だけを狙って無力化して、出来るだけの人達に、後で救える可能性を繋いで戦う!
【ダッシュ】して急接近しての格闘インファイト、離れた相手へは風の刃の【属性攻撃】と使い分け無力化するぜ。
敵が速度を上げてきたら、UCのイメージの道を作り上げて速度に対抗する!


鏡島・嵐

ッ、マシンと一体化ってのは、そういう意味かよ……悪趣味にも程があんだろ……!
……黒幕がどんな奴なんか、考えるだけで身震いしちまうけど、今はここを乗り越えることを考えねーと……!

《我が涅槃に到れ獣》でクゥに騎乗。
〈ダッシュ〉で他の味方に追随しつつ〈暗視〉と〈野生の勘〉で敵の接近をなるべく早く察知しながら、〈スナイパー〉ばりに精度を引き上げた〈武器落とし〉や〈マヒ攻撃〉で無力化を試みる。
……甘いのはわかってる。でも、なるべくなら殺したくはねえ。

近くにいる他の仲間にも、適宜〈援護射撃〉を飛ばして支援する。
なるべくなら同じような考えの奴が近くにいてほしいけど……そうじゃねえなら、覚悟を決めねーとな。



●Vivid Colors
「こんな、パーツ扱いで人を……!」
 大穴から無尽蔵に湧き出る敵を見やり、白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)はシエル・ドゥ・クリールの中で語気を荒げる。こんな酷い事が、あってたまるかと。こんな惨い事が、許されるのかと。
「ここから出てくるロボットみんな、みんなこんな状態だってのかよ!!」
 戦いの最中、動きを止めてゴロンと転がるキャバリア擬きの中から息を止めた部品――ヒトの形がぬるりと身を出す。それを見た歌音は溢れる怒りを止められない。この世界でも、弱者は虐げられるだけとでもいうのか。
「悪趣味にも程があんだろ……!」
 その傍で鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が歯を食いしばり戦場を睨んだ。こんな事をする黒幕がどんな奴なんか、考えるだけで身震いしちまう――だけど。
「この理不尽、どんな理由があっても絶対許せねぇ……!」
 嵐の心の内を代弁する様に歌音が叫ぶ。この悪しきの根源を叩かねば、望まぬ悲劇はこれからも続くだろうから。
「ああ。だから今はここを乗り越えることを考えねーと……!」
 視線も交わさず心を通わせた二人が戦場に躍り出た。眼前で繰り広げられる地獄に、終止符を打つ為に。

「……力を貸してくれ、クゥ!」
 生身で駆け出した嵐の声に応え、虚空より炎を纏った黄金のライオンが姿を現わす。その超常の生命は嵐と一心同体。互いに力を高め合い、獅子に騎乗した嵐は悪しきが渦巻く鋼の渦中へ身を投じた。
「……甘いのはわかってる。でも、なるべくなら殺したくはねえ」
 迫る弾雨を避けながら嵐が手にした特製のスリングショットが敵機の砲を穿ち、忙しなく動く関節を貫いて黙らせる。せめて戦う事を止められれば――味方の救護も展開している今ならば、決して無駄にはならない筈。
「そんな事無い! 甘くなんて無い!」
 その思いは歌音も同じ。むしろひと思いに敵を倒せない――敵味方入り乱れるこんな戦場においては、より困難な作戦目標だ。だからこそ成し遂げる。決してオレ達は一人じゃない……だからこそ、ここで全てを終わらせたりはしない!
「まずは、この人達を救える可能性を、繋ぐ!」
 光を纏ったシエルが虹色の跡を振り撒いてキャバリア擬きの直上へ。全身から放たれた魔力の風が追従するミサイルの雨をすかさず無力化し、筒状に鮮やかな火球が広がった。その爆光を貫いて、シエルの巨体が鋼の群れに舞い降りる。
「意志を奪われ望まぬ戦いに駆り出された操り人形! このシエル・ドゥ・クリールがその糸を断ち切ってやるぜ!」
 風の斬撃と共に放たれた鮮烈な蹴りが、キャバリア擬きのバックパックを吹き飛ばす。地面を転がりながらヴィークルモードに変形して逃げようものの、嵐の追撃が変形機構ごと機体をロックしてその場に止めた。最早戦う事など出来はしない。黄金と虹色の風が戦場を縦横無尽に駆け巡り、敵意は続々と沈黙していく。

 それでも、手数が足りない。動き回る敵機が一つ、二つと他の猟兵の手で爆ぜていく様を見やり、悔しそうに嵐は呟く。
「だが全員がそうじゃねえのも分かる。だから」
 全てを救おうなどと思い上がる気はない。誰かが手を下さねばならぬ時もある。だからこそ、やると決めたからには成し遂げる。可能な限り、自分達はここの生命を救うのだと。
「覚悟を、決めねーとな」
「うん。それでも……やれるだけの事は!」
 歯を食いしばる嵐の言葉に頷いて、歌音も再び飛翔する。幾ら無数の声無き悪意が牙を剥こうとも、シエルにも獅子にも届きはしない。この手が届く限り、この思いが潰えぬ限りは!
 超常の光は更に二人を加速させる。手を伸ばす悪意を振り払う様に、深淵に潜む悪意の源を断ち切るまで、止まる訳にはいかない。
 希望は未だ、潰えてはいないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジェイミィ・ブラッディバック

貴重な人的資源を使い潰すとは…非効率な事をするものです
…かつて亡国の決戦兵器として生み出され、神隠しでSSWの銀河帝国に流れ着いた私もあんな感じだったんでしょうか
だとすると…なおさら哀れですね
せめてもの慈悲です、苦しまずにその教えに殉じてもらいましょう

引き続きセラフィム・リッパー隊との13機態勢で臨みます
PROVIDENCEで全ての敵を索敵
WHITE KNIGHT、未来予測を行い伏兵の攻撃について情報収集を
セラフィム・リッパー隊及びマカイザーとデータリンクし情報を共有します
全機、クリスタルビット射出。私もビット兵器・VULTUREを射出します
全ての敵機体の急所を撃ち抜き、一撃で撃破しましょう



●Cureless
「貴重な人的資源を使い潰すとは……非効率な事をするものです」
 ジェイミィ・ブラッディバックは直結した電脳に流される情報を流し見て呟く。
「……かつて亡国の決戦兵器として生み出され、神隠しでSSWの銀河帝国に流れ着いた私もあんな感じだったんでしょうか」
 意思無き兵士の骸の軍団。生体ユニットとして、部品としてのみ存在が許された哀れな集団――かつての自身を顧みて、ジェイミィは去来する思いをそっと吐く。
「だとすると……なおさら哀れですね」
 その因果から逃れられた私は果たして幸せ、なのだろうか。あるいは迷いも恐れもせずに戦う彼等こそが、より兵器として相応しいのだろうか……否。
「せめてもの慈悲です、苦しまずにその教えに殉じてもらいましょう」
 これはかつての自身との戦いだ。あれは自身が乗り越えた過去の群れだ。今の己のアイデンティティを賭けて、白きマシンが戦場に舞い戻る。

「コード777A、アクティブ。WHITE KNIGHT、演算開始」
 全てに完全な決着を。己の意志か何者かの意思かは最早関係がない――自らのものとした白騎士の未来予測は、特に危険な敵機の機動を導いてジェイミィにフィードバックする。それと同時に背後の熾天使達へ攻撃の指示を――最速でこの悪夢を終わらせる為に。
「パターン解析完了。確かにこれは厄介だ……マカイザー」
『呼んだか? 悪ぃが今手が離せねえ!』
 続けてマカイザー――ドクター・ヘルムに情報を共有する。ここの頭はあくまで彼で、ケツを拭くとまで言い切ったのだ……ならば相応の動きは果たしてもらわねば。
「敵機の進軍ルートを策定しました。あなたは要救助者の確保を」
 友軍が稼働不能機体から敵パイロットを救助している事は把握済みだ。だがどうしても、それが間に合わない敵だって存在する。
『……それは構わねえが、アンタらだけで大丈夫か?』
「問題ありません。手を汚すのは我等だけでいい」
 それらが全てをひっくり返す事を防ぐ。それだけの事。通信を切り、再び眼前の敵を見据えるジェイミィ。展開したセラフィム・リッパーと合わせて総勢十三機の鋼の巨兵達が、要救助者が収納される列車を守る様に壁となる。
「全機、クリスタルビット射出。フォーメーション・ミセリコルデ」
 全て演算が導き出した通り、爆炎に紛れ側方からの奇襲とは芸の無い連中だ。号令一下、無数のクリスタルビット『VULTURE』が儀仗兵の様に整然と立ち並んだ。
「――作戦開始」
 そして慈悲の光が一斉に放たれる。正確にコクピットのみを狙う光条がまるで五線譜の様に虚空へ線を引き、沈黙と共に名も知らぬ生命へ終止符を打った。
 これ以上悲劇を奏でぬ様に。鋼は何も語らない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ワン・イーナ
●【渡り禽】

キョウシュ、ってのは……ま、奥まで行けばわかるか
『マスター。敵が来ます、対処は?』
撃破。仕事をするぞ、いつも通りな

エインヘリャルに搭乗してローラー【ダッシュ】しつつ回避は左右に【推力移動】

「また弾切れると面倒だ、電子戦で行くか」
『了解しました。オーディン、スタンバイ』

広域に【ジャミング】して時間稼ぎ後、手当たり次第【ハッキング】して敵味方識別の書き換えと火器管制を弄る
単純な仕掛けだが、機械化してンなら効くし攪乱になる。無差別に同士討ちしてくれよォ
あとは【索敵】して【情報収集】から【瞬間思考力】を活かして判断、味方のフォローと援護、【制圧射撃】で進路上の敵を破壊して突き進むぜ


朱鷺透・小枝子
●【渡り禽】
人が載っていましたか。
オブリビオンの影響なのか、自らの意志ならば、敬意を表しますが……どちらにせよ、破壊する。

ディスポーザブル02に搭乗操縦
『眼倍』起動
視力×1㎞半径内の情報、周辺の敵情報を把握し、得た情報は常に味方と情報共有

集団戦術・弾幕、02群を遠隔操縦し、数十砲のファウダーの一斉斉射、周辺の敵機を破壊し、中央の穴への道を開く

奇襲はさせない…!
眼倍の情報収集範囲を広げ、施設構造、更に最大範囲内の敵と味方の情報を瞬間思考力で把握。奇襲対策と回避と、オブリビオンマシンの位置を探し、進む道を示します
施設内を移動しながら、敵の機動を見切り、ファウダーとメクサラでの切断・弾幕射撃で破壊。


赤城・晶
●【渡り禽】

ここまでの外道は久しぶりだぜ…!一発思いっ切りぶん殴ってやらないと気がすまねぇ!

中央の穴の奥に行って発生源を止めにいくぜ。
道中はレーダーとウィリアムで【索敵】と【ジャミング】しつつ敵を探す。密集してるなら【ハガラズ】の【弾幕】で対応個々でくるなら【ビームライフル】で倒すぜ。一度壊れた精神は元に戻らねぇ。悲しいことにな。

ウィリアム、届く範囲での敵の索敵、潜んでいそうな場所をピックアップしてくれ。

機械と一体化しようが俺達をを排除するという殺意はあるはずだ。警戒しつつ【瞬間思考力】を使いUC、だな。
狙うはコクピット。せめて苦しまずに、な。
後は手に入れた情報は逐次情報共有するぜ。


黒野・大我

【渡り禽】

(ダルマ猫ではなく少年の姿になっていて)……すっげえ気分が悪い。さっき戦った敵も、今目の前にいる彼らと同じだったのなら。
こんな真似をした敵の親玉にもムカつくし、何よりしっかり判別できなかった俺に腹が立つ。
けれど、ここは戦場だ。泣いたり叫んだりするのは全部終わってから。今は……少しでも彼らが楽なまま仕留める、それだけだ。

【ブラッドガイスト】でニャッグと武装を強化。やることは単純。戦いの喧騒に「目立たない」ようにして紛れ、あるいは「早業」や「フェイント」で虚を突き、敵のコクピットを「不意打ち」の一撃で潰しての「暗殺」を繰り返すだけだよ。
久しぶりだよ、こんな戦いは。



●ROUTE 666
「キョウシュ、ってのは……ま、奥まで行けばわかるか」
 ワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)はコクピットで独り言ちる。敵群を突破して仲間と共に大穴へ降下――耳障りな風の音以外、ここまでは順調だ。しかし。
「人が載っていましたか」
「ここまでの外道は久しぶりだぜ……!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)と赤城・晶(無名のキャバリア傭兵・f32259)がそれぞれの思いを秘めてワンのエインヘリャルに続く。小枝子は六腕の異形のマシン『ディスポーザブル02』に乗り換え、晶は先と同じヴェルデフッドに。脳裏を過る凄烈な過去を反芻しながら、続々と壁面を駆け上がるキャバリア擬きに狙いを定める小枝子。地獄めいた戦場を思い返しペダルを踏みこみ加速する晶。対照的ながら根底に流れる思いは同じ、ここの地獄を地上に広げてはならない。
「……すっげえ気分が悪い。さっき戦った敵も、今目の前にいる彼らと同じだったのなら」
 不意に世界が赤に染まる。壁面の探照灯が赤い光へと変わり、敵群との距離も詰まりつつある。絵にかいたような緊急事態――それにも動じず、黒野・大我(悪食猫・f30466)がニャッグの中で荒い気を吐いた。ダルマ猫ではなく少年の姿になっていて、険しい表情が更に際立つ。
「こんな真似をした敵の親玉にもムカつくし、何よりしっかり判別できなかった俺に腹が立つ」
「ああ。その親玉を一発思いっ切りぶん殴ってやらないと気がすまねぇ!」
 軌道修正のスラスター音と機体が纏う風の音を浴びて、四機のキャバリアが地底深くへと降りて行く。会敵まで三、二、一……瞬間、眩い閃光が視界を覆い尽くした。

『マスター。敵が来ました、対処は?』
「撃破。仕事をするぞ、いつも通りな」
 迎撃のフラッシュバン。続けて機関砲のお出迎え――ありきたりな会敵パターンだ。銃弾が装甲を舐める甲高い音がコクピットに響いて、ワンは口元を歪ませたまま補助AIのワルキューレに言葉を返す。
「また弾切れると面倒だ、電子戦で行くか」
『了解しました。オーディン、スタンバイ』
 先陣を切ったエインヘリャルの片目がギラリと瞬く。視界が一時的に失われるくらいどうという事は無い。すかさず発現した超常――機体に仕込まれた『知恵の千里眼』が即座に敵の位置を詳らかにし、それは全ての味方機と共有される。
「オブリビオンの影響なのか、自らの意志ならば、敬意を表しますが……向かってくるならばどちらにせよ、破壊する」
 合わせて発動したディスポーザブル02の超常が全ての敵機の動きを捉え、ぬらりと姿を現わした同型機による一斉射が壁面のキャバリア擬きを一掃した。ディスポーザブル02は単体ではない。群体によるオブリビオンマシン――光学迷彩で姿を隠していた一群は音も無く異形を晒すと、溢れんばかりの弾幕を眼下に向けて展開する。
「泣いたり叫んだりするのは全部終わってから。今は……少しでも彼らが楽なまま仕留める、それだけだ」
 その間をすり抜けた敵機は大我のニャッグが――己の血をもって強化した超常の爪で音も無くコクピットを貫いて、そのままゆらりと姿を隠した。身を潜め虚を突き、突出した敵を潰すだけ。やる事は単純だと己に言い聞かせ、大我は余計な思考を除外する。
「ウィリアム、届く範囲での敵の索敵、潜んでいそうな場所をピックアップしてくれ」
『ラジャー。しかし良いのですか?』
 ガトリングキャノンで弾幕を張りつつ、よじ登る敵機を続々と撃ち落としていくヴェルデフッド。ワンと小枝子が齎した情報、それに自分のウィリアムの地形情報を組み込めば死角は無い。加速による重力とウィリアムの疑問を受けて、晶はぼそりと呟いた。
「誰かがやらなきゃならないんだよ。それだけの事だ」
 ここにいる敵群を放っておけば穴の外に溢れてしまう。そうなれば現状の救護戦力だけで果たして持つか――それに穴の中ならば、誰が何をしたかまで子細に把握は出来ないだろう。故にそれぞれがやるべき事を果たすだけだと言葉を紡ぐ。
「奇襲はさせない……!」
 不意に振動が晶を襲った。側方から突撃してきたキャバリア擬きを、間一髪で小枝子が捌いた衝撃だ。灼熱の光剣『メクサラ』が敵のコクピットを貫いて、爆発の後から迫る後続は六腕に備えたパルスマシンガン『ファウダー』の斉射が接近を許さない。そして害虫の様に壁面を器用に逃げ回る敵機を見据え、晶はゆっくりとトリガーを引いた。
「狙うはコクピット。せめて苦しまずに、な」
 攻撃と同時に感じた殺意――それさえ捉えれば後はどうという事は無い。超常の感覚が無意識にビームライフルを発砲すれば、伸びた光条は一撃で敵機の動きを止め、残骸を眼下へバラバラと落としていった。

「久しぶりだよ、こんな戦いは」
 もうすぐ地底――敵の親玉が居座るであろう決戦の地。動きを止めたキャバリア擬きが死骸の様に積み上がり、その脇にゆっくりと降り立った大我達。どれも一撃で仕留めた敵ばかり――動く事など出来よう筈がない。
「まあ動いた所で、アイツらの構造は把握したからな」
 言うが早く、ぞろぞろと奥より戦列を組んで現れたキャバリア擬きの群れ。背負った砲をずらりと並べて、対峙したワン達に狙いを定める。
「いいでしょう。こちらもまだ戦えます――」
「まあ待て。ワルキューレ、出来るな?」
『問題ありません。後はご命令を』
 銃を構え勇むディスポーザブルを制して、エインヘリャルが前に出る。片目の超常は未だ健在――即ち、ワンの力はまだ続いている。
「ではワルキューレ、奴らを踊らせろ」
 御意の侭に。瞬間、キャバリア擬きは左右背後の味方を続々と撃ち始めた。極限まで高められたハッキングは降下しつつ敵の制御系を把握――ワンは万が一の奇襲に備えその力を温存していたのだった。
「この通りさ。さて、どうする?」
 敵の制圧に五秒も掛からなかった。新たに積み上がった残骸の奥――恐らく、敵の首魁はそこにいる。
「静かに。ルート検索……あそこか」
 晶がぼそりと呟く。ロケットの発射台とヘルムが形容した通り、地底も上層の様に開けた空間が広がっていた。残骸の遥か先、晶はヴェルデフッドが把握した情報を皆と共有する――途端、全機がけたたましい警告を鳴らし始めた。
『マスター、正面に高エネルギー反応』
『プラント級のエネルギー体です』
 ワンと晶の相棒がそれぞれに口走る。この深さになるまで感知出来なかった程、仕掛けは周到に隠されていたのだ。
「馬鹿な、こんな所にプラントだって?」
 晶が苦笑する。確かにプラントならば――それもあんな非人道的な兵器を生み出すモノならば、この国がひた隠しにするのも理解出来る。
「あり得ない話では、無いかもしれません」
 プラントはクロムキャバリアでの最重要施設。どの国だって喉から手が出るほど欲しい代物だ。可能な限り秘しておきたいのは誰もが同じだろうと小枝子が続く。
「確かに……此処でこいつらが生み出されたってなら」
 だが、それが普通の――健全なプラントならば捨て置いてもいい。此処のそれがそうでは無いのだとしたら。大我が表情を殺し、闇の奥のそれを睨みつける。
「兵器の製造プラント、それも非人道的な奴だ」
 それは望まれるモノではない、排除すべき悪。言葉と共に、ワンが拳を震わせた。

 闇の奥、チカチカと瞬くそれは言葉を告げず。
 しかしてその守り人はゆっくりとその面を上げた。
 全てを終わらせない為に、全てを続ける為にと――光の巨人が立ち上がる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン

※ロシナンテⅣ搭乗

惨い…
ガフの谷の警備主任も、ここまでだと予想できたでしょうか…

ヘルム様、可能な範囲で無力化した敵の列車への回収を頼めますか
侵入の大義名分となる人道への罪のデータ…外交の手札は多い方が良いでしょう

…それに、まだ助かるやもしれぬのです
これを!(UC発振器投げ)
マカイザーには及びませんが列車の護りの一助となる筈です

UCを●投擲し穴の壁面に突き立て力場で新たな足場形成
●推力移動と力場踏みつけ、操縦技量による変幻自在な三次元挙動で翻弄

盾受け防御しつつサブアームの乱れ撃ちスナイパー射撃で武装ジョイント●武器落とし
接近し剣で四肢解体

複数体なら剣納めUC投擲
低出力放電で動き鈍らせ接近、一閃


響・夜姫


「違うな。間違っている、ぞー。私が真なる教主にして神、響・夜姫神。我が命じる、控えよ。我に、従えー」
【存在感】アピール。一応。従うなら、それでよし。案内してもらおう。


背面にサバーニャを集中し【オーラ防御/武器受け】で盾にし、【空中浮遊】して敵の射角を限定。
「撃っていいのは。撃たれる覚悟……完了済と、見た」
ダイペンギン、目標を狙い撃つー。
敵の攻撃を【カウンター】。
迎撃の弾幕で凌ぎ、一時的に動きを封じる弾丸(追撃のすたんぶりっとぉー)で動けなくなったところを狙い撃つ。
「ぺんぎんさん。努力目標、可動部狙い。脚と腕と、武装」
色々考えると、面倒になる。
物理的に動けなくしておけば、とりあえずおっけー。



●DAYBREAK'S BELL
「惨い……」
 目の前で起こる惨状はトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の想像を超えていた。チリチリと痛む電脳は怒りか、悲しみか――綯交ぜになった感情という信号が五体を通して、ロシナンテIVの巨体を震わせる。
「ガフの谷の警備主任も、ここまでだと予想できたでしょうか……」
「違うな。間違っている、ぞー」
 傍らのマシン、ダイペンギンの中から響・夜姫(通りすがりのチョコねじ込みメイド・f11389)が高らかに吼える。
「響様……」
「私が真なる教主にして神、響・夜姫神。我が命じる、控えよ。我に、従えー」
 瞬間、トリテレイアは我に返った。違うそうじゃない、そういう事じゃないんだと。その声に気付いた敵機は猛然と反撃の火線をダイペンギンに集中させる。炸裂した弾丸が濛々と煙を上げて、二人の機体を灰色の帳で包み込んだ。
「……惨い」
「ごめんなさい。何の成果も、得られなかったー」
 悪戯じみた表情を浮かべ、されど闘志は烈火の如く。夜姫はずらりと並べた巨大な浮遊砲盾サバーニャで火線を受けきっていた。ここからは反撃の時間だ。
「だから、この借りは、倍返し……!」
 駄目元の演説は振り返らずに、展開したサバーニャの奥から高々と飛翔するダイペンギン。付随するサバーニャが銃口を敵群へ向けて、迎撃の弾雨を浴びせ掛かった。
「撃っていいのは。撃たれる覚悟……完了済と、見た」
 凄烈ながら精確な射撃はキャバリア擬きの行動を阻害して、群がる敵意を大地に縫い止める。ここから先は冗談では済まされない――やるべき事は決まっているのだ。
「ヘルム様、可能な範囲で無力化した敵の列車への回収を頼めますか」
『勿論だ! お蔭さんで何人かは息を吹き返して……っと、危ねえ!』
 一方、トリテレイアは孤軍奮闘するマカイザーの元へロシナンテIVを寄せる。これまでの攻勢で敵の大半は落とされた。穴の奥より這い出るキャバリア擬きの数も減ってきた。それでも多勢に無勢は変わりない。側面より速射砲を乱射する敵機を内臓砲で迎撃し、マカイザーの前へ躍り出たトリテレイアは、接触回線で静かに自らの意思を伝えた。
「侵入の大義名分となる人道への罪のデータ……外交の手札は多い方が良いでしょう」
『アリガトよ。だがそう言うのは良いぜ。助けたいから助ける――だろう、騎士さんよ』
 その言葉で今度こそ、トリテレイアは目を醒ます。そうなのだ――理由などいらない。騎士として弱者を守る。取り繕う必要があろうものか。もう身体は震えていない。あるのは滾る闘志と、弱き生命を守るという己自身が課した使命のみ。
「……如何にも。それに、まだ助かるやもしれぬのならば、これを!」
 言葉のままに己が超常の一端を投げ渡すトリテレイア。多機能型電磁障壁発振器――いわゆるバリア発生装置だ。それを手に取りつぶさに観察したヘルムは、言葉は無くともトリテレイアの意図を十全に理解した。
「マカイザーには及びませんが、列車の護りの一助となる筈です」
『十分だ! パリンと割れる前にカタぁつけてやらあ!』
 ガツン、と発振器を地に突き立てると共に、薄緑色の障壁が列車を包み込む。少なくとも流れ弾の心配は無くなった。後はやれるだけ、この戦場の生命を救うのみだ。

「ぺんぎんさん。努力目標、可動部狙い。脚と腕と、武装」
 続けて敵機を引き付けた夜姫は淡々と狙いを定めていた。あの敵はかつてのこの子と同じ――悪しきモノに操られているだけならば、救わぬ道理などある訳がない。
『グアッ!』
 その意に応えて夜姫の宇宙ペンギンが叫ぶ。銀河帝国に改造され念動力を増幅させられた哀れな宇宙の戦士――だがそれはもう居ない。ここにいるのは正義のサイキックキャバリアのパイロット、そしてその相棒だけだ。
「色々考えても仕方ない。それに」
「お待たせしました。これで後顧の憂いはありません」
 障壁を足場代わりに跳躍したロシナンテIVがダイペンギンと再び並び立つ。列車の護衛は完璧。残る仕事は要救助者を運ぶだけ。
「ところでトリテレイア、どうやって、ここまで?」
「何、飛行装置が無くても三次元戦闘は出来るのですよ」
 言うが早く、再び跳躍したロシナンテIVは上空より無数の弾雨を敵群へ放つ。両肩部単装砲にサブアームで懸架したアサルトライフルは的確にキャバリア擬きのバックパックを破壊して、迎撃の対空砲火を障壁の八艘飛びで鮮やかに躱し切る。
「はい、遅い。追撃の、すたんぶりっとぉー」
 続けていつの間にか高度を下げて地面擦れ擦れを飛行していたダイペンギンが、サバーニャより猛烈な火線で地面を埋め尽くす。狙いは脚部駆動ユニット。トリテレイアが潰したバックパックと合わされば、最早敵が戦闘継続を望める筈はなかった。
「ダイペンギン、目標を狙い撃つー」
「せめて、人の身のままで……!」
 動けなくなればマカイザー率いる無人B.O.S.S軍団がそれらを回収する。更に救護班はまだ続いている。何も終わってなどいない。だからこそ。
 諦める訳にはいかないのだ、人が人として明日を迎える為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

中小路・楓椛

最後尾より追従

装備【ばーざい】全技能使用、【神罰・呪詛】併用でUC【こる・ばるぷす】起動。

生命と魂の双方が「終わってしまった」方々を他者に二度と利用されぬよう三界渡る浄火にて塵一つ残さず葬送しながら深淵へと進みましょう。

もしも生命の熾火が残る方が居られるのであれば、その方の生命力と運命力を信じてマシンとの通信機動火力系への接続を灼き切り生命維持措置を施し後続本体のメディックに任せましょう。

残存の脅威は【クロさん・ろいがーのす・谺】にて制圧無力化します。
状況に激怒している【クロさん】は完全自律稼働…可能な限り生命の火を消さない方向で。


この世界のニンゲンは愚かであり続ける事を選ぶのでしょうか?


フェイルシア・インパーサ
キャバリアを呼びましょうか……
ガミザーヌ、貴方なら何を成すべきかわかるはずです

【WIZ】
彼らを助けましょう
動力部を破壊すればマシンの機能を停止させることができるはずです

相手が狙い撃ってきたところから位置を特定させ、
逆に動力部を魔力弾で撃ち抜きますわ
こちらに気づいていないのでしたら
【悪戯好きな百合の華】で借用させて頂いたユーベルコードを利用させて頂きます

念のため守りも考えておきましょうか
あえて背後を晒して狙いやすいところに魔力の障壁を張って「盾受け」しておきますわ
張り遅れないように「高速詠唱」を

「祈り」をもってあなた達を救って見せます



●風にきえないで
 戦いは依然終わる気配を見せない。それでも湧き出る敵の量はもようやく減ってきた。無力化された敵の人々も順に救出されている。希望はあった。
「ガミザーヌ、貴方なら何を成すべきかわかるはずです」
 本来ならば生死の選択をされるだけだった……それすらも、埒外は軽々と凌駕する。フェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)はその様子をちらりと見て、自らもキャバリア――『ガミザーヌ』を戦場に呼び寄せた。
「彼らを助けましょう」
 風を巻いて現れた優雅な巨躯――赤紫の花弁の様な装甲から眩い光を放って、ガミザーヌが虚空より姿を現わす。動力部を破壊すればマシンの機能を停止させることができるはず――しかし、ガミザーヌに搭乗したフェイルシアが目にしたものは、群がる敵意では無く灼熱の赤。視界に広がる炎の海だった。
「全く、これだから」
 僅かに声が聞こえる……その赤の中心にぽつんと、小さな黒い影をフェイルシアは認めた。その影が炎の照り返しを受けて、悪魔の様に大きく伸びる。
「お待ちなさい、狐さん」
「はて、お呼びでしょうか?」
 その影は狐――中小路・楓椛(流しのダゴン焼き屋さん・f29038)だった。ギラリと鈍い光を放つ魔法の杖は、その炎を収束して逃げ惑う敵機を一つ、一つと焼き焦がしていく。
「――ここは火葬場ではありません」
 何という事を。確かに、彼等は敵だ。だが望むべくしてそうなった訳では無い……筈。身を潜めて破れかぶれの銃撃を試みる彼等を一瞥し、反撃の魔力弾を――水の威を込めた氷の弾丸を正確に動力へ撃ち込むフェイルシア。せめてもの介錯を……その一心が、凍てついた刃を四方へ放って。
「しかし骸です。終わったモノは、救えません」
 それを見ても、眉一つ動かさずに超常の炎を行使する楓椛。炎はキャバリア擬きを包み込んで、そして――。
「…………」
「安心なさい。何もコレは生命を奪う訳じゃあない」
 風が赤を掻き消したその中で、キャバリア擬きは煙を吹いて擱座する。あるいは、跡一つ残さず消滅を――その炎は、太陽の現身だった。

「この世界のニンゲンは――」
 ぼそりと呟きながら、未だ殺到する悪意を一瞥する楓椛。いつの間にかその手には神器たる銃『谺』と巨大十字手裏剣『ろいがーのす』、そして背後には人型の様な異形のキャバリア『クロさん』が……ある種の悪魔じみたその威容に、意思無き悪意どもが僅かに足を引く――刹那、クロさんがその渦中へと飛び込んだ。
「愚かであり続ける事を選ぶのでしょうか?」
 赤い三つ目を煌々と輝かせ、異形は縦横無尽にキャバリア擬きを続々と屠る。それは怒りに身を任せ暴れ狂う子供の様。鋼鉄越しに伝わる感情の熱を守らんと、フェイルシアもいつの間にか、その異形に向けて魔力の障壁を張っていた。
「それでも」
 人を護るという彼の願いを組んで、生命の冒涜者に憤る異形に同調して、フェイルシアは魔力を紡ぐ。不可視の障壁が空間を歪めれば、エイムしたまま面を上げる敵機の首をガミザーヌが易々と刈り取った。姿を隠せば必中のユーベルコードは最早、フェイルシアの手の内にもあるのだ。正確に戦闘力だけを奪い、コクピットは――中の人は残したままで。この世界だって、蔑ろにされていい生命がある訳が無い。
「祈りを以って、救って見せます。必ず」
 コクピット越しに柔和な――妖しげな笑みを浮かべる楓椛を見やり、フェイルシアは固く口を結んだ。あと少し、この戦場の生命を救い切るまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

吉岡・紅葉
私は異邦人で、異世界人ですから。この国の
科学者や偉い人が何を考えているかはよくわかりません。
それでも、あれは影朧兵器に匹敵する
非人道的なものだってことはハッキリとわかりますよ!

今ならまだ、パイロットを助けられるかもしれない。
《戦闘知識》で攻撃を当てる部位、避ける部位を慎重に見極めながら
「春日」で重力の《属性攻撃》。
敵の武装は可能であればバンディットアンカーで《盗み》、
弾数を節約しながら進みますよ。
苦しむ人の魂を救う……それが桜學府の精鋭である
私の使命!影朧じゃなくても、この技は通用すると信じてます!
「天香具山」にユーベルコヲドを伝達させて、
【強制改心刀】で機体を傷つけることなく無力化しますよ。


キリジ・グッドウィン
●(かつてコックピットの生体部品となる為に生み出された内のひとつであったQ-57は思案する。あれが自分の末路だったかもしれないと)

………ま、よくある話だな、教主様とやらに逆らわない物言わぬ兵が欲しいと
さっきまでトンネルで散々撃ってきたのを、蒲魚気取って手加減する程優しい心は持ち合わせてないんでね。救済は余所でやってくれ
感情のない相手なんざ燃えやしねぇが、真正面から堂々といかせてもらうぜ
その結果相手が死のうがオレが死のうがどっちでも

『ルーシィ』で。
推力移動で一気に接近。RX-Aでの近距離格闘戦に持ち込む。相手を掴んで殴って抉り倒す
負荷もダメージも激痛耐性で抑制。今更痛みが増えた所で変わんねェよ!



●Driver's High
 瞳を閉じれば脳裏を過る。揺れる水面――培養カプセルの中で、防護服に身を包んだ連中がこちらを指差し、ぶつぶつと話し込んでいる姿が。
 かつてコクピットの生体部品となる為に生み出された内のひとつであったQ-57――キリジ・グッドウィン(レプリカントの量産型キャバリア・f31149)は、忌々しげに頭を振って、再び正面のキャバリア擬きを見下ろした。
「………ま、よくある話だな」
 あれが自分の末路だったかもしれない。意思を持つ事を許されず、一つのシステムに組み込まれ、統制された兵器達。
「教主様とやらに逆らわない物言わぬ兵が欲しいと」
 しかし自分は抜け出した。心を殺して地獄を泳ぐくらいなら、道は自分で決めたかった――だから。
「救済は余所でやってくれ。生憎蒲魚気取って手加減する程優しい心は持ち合わせてないんでね――」
 感情のない相手なんざ燃えやしねぇが、真正面から堂々といかせてもらう。この世界では矢張り、生命はこんな風に、最後まで弄ばれるのだとしたら。その結果相手が死のうが、オレが死のうが……もう、どっちでもいい。

「否! 断じて否!」
 トリガーに指を掛けペダルを踏み込もうとした刹那、キリジの耳に明朗な少女の声が響く。それは暗澹たる世界に差した、一筋の光明。
「私は異邦人で、異世界人ですから。この国の科学者や偉い人が何を考えているかはよくわかりません……それでも!」
 芝居掛った所作でハイカラなキャバリアを前に出し、吉岡・紅葉(ハイカラさんが通り過ぎた後・f22838)は滔々と己が意思を語る。その言葉に迷いは無い。
「あれは影朧兵器に匹敵する、非人道的なものだってことはハッキリとわかりますよ!」
 紅葉の世界、サクラミラージュにも人の心を利用した悪しき兵器はごまんとある。その悪しきを討ち、世界に平和をもたらす事が自らの使命だ――故に。
「今ならまだ、パイロットを助けられるかもしれない」
「ハッ、あの状態になっちまったらもう無理だ」
 世界が変わろうとやるべき事は変わらず。その矜持がハイカラな輝きを益々増して――くれはカスタムは、あたかも太陽のように煌めいた。その光に怯んだ僅かな隙を紅葉は逃さない。
「苦しむ人の魂を救う……それが桜學府の精鋭である」
 瞬間、縮地と共に音も無く振るわれた巨大な太刀――『天香具山』がキャバリア擬きを見事に斬り伏せた。否、刃筋は通るも装甲は破れない。しかし僅かに桜の香気を飛ばして――キャバリア擬きはその場にがらりと崩れ落ちる。
「馬鹿な、触れもせず生体リンクを断ち切った……だと!?」
 自身も同じだからこそ分かるキリジの結論。ギラギラと瞬いていたアイセンサはその光を失い、唸りを上げていたサーボモータはしんと静まり返った。つまり生体部品からの入出力が全て、紅葉の一太刀でシャットダウンされたという事。
「私の使命! 影朧じゃなくても、この技は通用すると信じてます!」
 霞の構えで立ち向かうくれはカスタム。帝都桜學府學徒兵が学ぶ基本の形、強制改心刀は世界を超えてその超常を発揮した。邪心のみ――マシンがもたらす悪しき繋がりを、この刃は断ち切れるのだ。

「……嬢ちゃん、名前は?」
「帝都桜學府學徒兵、吉岡・紅葉!」
 ニヤリと口元を歪めてコンソールを操作するキリジ。ならばやる事は決まりだ。諦める必要が無いなら……盛大に暴れてやろうぜ、ルーシィ。
「よし、紅葉ちゃんよ……背中は守ってやる。だから」
 そうさ。オレは元々諦めが悪いんだ……だから、ここにいる!
「コイツらを、頼む」
「心得ました! いざ!」
 コンバットモーション『スカッシュ・フィストカフ』――機動を零距離戦闘に特化させたGWのスラスターが唸りを上げて、爆炎と共にキャバリア擬きへ突っ込んだ。迫る弾雨を物ともせず、重厚な装甲がドラムロールの様な甲高い音を上げて、火花を散らした鋼の拳が大地ごとキャバリア擬きを衝撃で吹き飛ばす!
「今更痛みが増えた所で変わんねェよ! 邪魔ぁすんじゃねえ!」
 限界を――あの時の諦観を超えて、キリジは戦場を駆け抜ける。動きを止めた敵機は紅葉へ。頭上で輝くハイカラキャバリアは太陽の如く輝いていた。
「さぁさぁ、寄らば斬る。寄らずとも……斬りますよッ!」
 重力弾で牽制し、天狗の如く高空より敵機を追い詰める紅葉。手にした『バンディットアンカー』で敵の武装をこそぎ取り、そのまま引き寄せ片手突きで悪しき因果を貫く――力を失い倒れる敵機を一瞥し、次の獲物を見定める紅葉。
「あと少しだ、一気に仕掛けるぜ!」
「承知! 一つでも多くの命を救う為に!」
 全ての戦いを終わらせる為に。一つずつ、猟兵達は道を切り拓く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エヴォルグ拾號機『Faith』』

POW   :    『信仰とは力であり枷である』人言書第一章13節
全身を【信仰心に比例した異教徒喰らう牙持つ十字架】で覆い、自身の【聖十字槍が高命中高威力となる。信仰心に】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    『人は神の行いにより信仰を変える』神行論序章2節
【異教徒の持つ信仰対象を疑う心を追うオーラ】を籠めた【聖十字槍で敵を串刺す。その後近距離で聖水】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【自身の信仰対象を疑う心】のみを攻撃する。
WIZ   :    『教えは理解する事に意味が有り』神教記第三章5節
【損傷したキャバリアに知能を与え修復。】【自身の教えを戦場の人、キャバリアに披露し】【信ずる者を信者にする。現信者数の信仰心】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●地底の悪魔
『あれは何だ、キャバリア……いや』
 キャバリア擬きの猛攻を凌ぎ、一同は遂に地下最奥部へ到達した。目の前にはぼうと光を湛える円筒形の施設――プラントと、それを守る様に正面に立つ光の巨人。キャバリアよりわずかに大きい生物的なその体躯は、明らかに通常兵器では無い。
『エヴォルグシリーズ、どうしてそんなモノがここに!?』
 マカイザーで駆け付けたヘルムが驚愕の顔を浮かべた。全身が浸食細胞で構成された生体キャバリア、それがエヴォルグシリーズ。オブイエの主力機でも無ければ、連合の勢力圏でこのタイプのキャバリアが出現したという報告はこれまで上がっていない。つまり、余所から誰かが持ち込んだ機体という事になる。
『これは神たる我の器なり。言葉を控えよ、ドワーオの小僧』
 不意に重々しい声音が地底に響く。それは目の前の天使型エヴォルグが発したもの。両手を掲げて『教主』と呼ぶに相応しい仕草で、そのマシンは言葉を続ける。
『そうか、テメェが教主……あんなマシンを作った元凶か!』
『否。あの棺はこの泉より湧き出し希望』
 あの棺も我同様、ヒトの生命をコアとして精神で制御するマシン。複雑な操作も思考もいらない――ただ信ずる心があれば、誰だって強力な兵士になれるのだ、と。
『だが泉は枯れ果てた……最早棺は湧き出ない。それでも』
 泉――教主の背後のプラントは、いつの間にかしんと静まり光を失っていた。寿命なのか故障なのか、その機械は最早キャバリア擬きを生み出す事は無いのだろう。だがそれは些細な問題だと、教主は力強く宣言する。
『この神の力をもってすれば、祝福されし棺の者は皆、我が国の力となる』
『何が祝福だ。何が我が国だ。全部テメェの使いにするだけだろうが!』
 一国の主として憤るヘルム。そもそもオブイエの王はこの事を知っているのか? そうだとしたら同じ連合として、国を治める者として見過ごす訳にはいかない。
『如何にも。それが最早生きるに値しない弱者を救済する為の、唯一の方法』
『テメェ、まさか……』
 弱者の救済、粛清国家、全てが繋がった――オブイエは不要になった人々を洗脳し、生体兵器のコアとする外道の所業を続けていたのだ。これまでも、ずっと。
『全てはこの世界で、生き残る為だ』
 そして行き過ぎた行為は国家の中枢すら蝕んで――最早この国にはまともな人間が殆ど残っていないのだろう。それが恐らく、音信不通の真相だ。
『では甦れ、我が下僕達……!』
 教主の言葉と共に巨人が十字架を掲げ、光が暗黒の地底を支配した。それは安らぎと狂気――精神を揺さぶる悪しき光の波動。全てを飲み込み、そして。

『……出力が、棺の数が足りない。どういう事だ!?』
 その言葉は呪いとなって、破壊されたキャバリア擬きを一つ、また一つと起き上がらせる。機体から呪詛めいた祝詞が響き、教主が駆るエヴォルグに悍ましい力を分け与えた――しかし。
『残念だったな! とっくに殆ど助けたっつーの!』
 本来ならば更に沢山のキャバリア擬きが破壊されて、あるいは洗脳したまま無力化される筈だった。しかし埒外の力は――猟兵の奇跡はそれすらも覆した。適切な医療行為と悪しき心を断ち切る刃。それを支援した全ての仲間達と、先んじて活路を開いた者達――迅速な侵攻は教主に時間を稼ぐ暇すら与えなかったのだ。
『あとはテメェだけだ。行くぞマカイザー、バリアントフォーメーション!』
 ヘルムの声が轟く。途端、列車の臼砲からいかつい無数の装甲が放たれて、それらが続々とマカイザーと合体――更に巨大なシルエットを生み出した。
『サイキックジェネレーター出力1000%、マカイザーバリアント!』
 青白い稲妻が強化されたマカイザーの全身から放たれる。対念動砲撃仕様マカイザー……『マカイザーバリアント』が巨大な体躯で地面を揺らした。これでサイズは教主と同等。パワーも十分、不足は無い。
『さあ……勝負だ!』
 雄叫びを上げるヘルム。僅かに残ったキャバリア擬きを侍らせて、光の巨人――教主の天使型エヴォルグが光の翼を広げ、ゆっくりと飛翔する。
 駄目だ。この地底の悪魔を地上へ上げてはならない。
 悪魔を地の底へ還すべく、最後の戦いが始まった。
アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎

ああ――やっぱり、一番反吐の出る手合いだったわ
神だの救済だのと大仰こいて、エゴの食い物にしているじゃない
生憎様、こんな手合いには、ほとほとウンザリしていてね

ユーベルコード――【バースト・モード】
ブルーテイルの全リミッターを完全解除。耐G制御機能、生命維持をカットし全操縦系統をマニュアルに
【真の姿】と可能な限りの超高速機動を解放

強烈なGは内臓を病み、全身のサブブースターと排熱口から上がる高熱の噴射炎は、機体と私を焼くが……些細な事よ
とっくに頭はカンカンに逆上せてるもんでね
アバラの2,3本くれてやる

行くわよ皆
行くわよマカイザー
作戦は単純

触らせもしない速さで、駆けて、迫って、ぶん殴る



●ブルーテイル
「ああ――やっぱり、一番反吐の出る手合いだったわ」
 アイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)は静かに怒りを吐きながら、ブルーテイルのコンソールを慣れた手付きで操作する。

----Opening up the systems. Are you OK? Yes / No

 イエス。言葉と共に解除されたセーフティが、モニタを滝の様に流れていく。

『無為に死せる魂へ有用性を与えているのだ。これを救済と呼ばずして何とする』
「冗談。神だの救済だのと大仰こいて、エゴの食い物にしているじゃない」
 静かに、されど熱く……自らを悪しきと認識すら出来ない教主へ思いの丈をぶつけるアイオライト。こんな奴は今まで何度も見てきた――人を人とも思わぬ輩だ。

----I can't guarantee your safety. Are you sure? Yes/No

 イエス。元よりそんな事は期待していない。途端、全てのリミッターが解除され、機体の放熱がチリチリと空気を焼き――高熱を帯びたフレームが七色に煌いた。

「生憎様、アンタみたいな手合いには、ほとほとウンザリしていてね」
 言葉を紡ぎながらステータスを流し見るアイオライト。最大稼働した動力が尋常では無い振動をコクピットへ伝え、フレームの七色は黄金色に集束していく。大気が歪み、陽炎がブルーテイルの全身を包み込んだ。

----System is up and running...... completed.

 機能解放完了。これで『バースト・モード』の準備は整った。頭上の巨人はこちらを一瞥する事無く、能天気にふわふわと上昇を続けている――だがそれも、終わりだ。

>>System full open "Soulboard Emulator"<<
>>System full drive "Ex-Brain"<<

 二つのシステムを完全開放すると同時に、全身のブースターから炎の翼が解き放たれる。青白い翼は、アイオライトの怒りの炎。

>>Caution! Maximum heat generation<<
「勿論。とっくに頭はカンカンに逆上させてるもんでね」

 抑える気はない。あばらの2、3本くらいくれてやるわ――発熱と振動が私達を焼き尽くそうが、その前にあの勘違い野郎を叩きのめす。
「行くわよ皆」
 ブルーテイルの双眸が一際輝く。ぎろりと、視線が空を――巨人を睨んで。
「行くわよマカイザー」
『応、取り巻きは追い払ってやらあ!』
 ヘルムが叫ぶと同時に、マカイザーが全身の巨砲を斉射して、巨人に纏わりつく残骸めいたキャバリア擬きを続々と叩き落とす。

>>Are you ready?<<
「イエス。最速でアイツをブッ叩く!」

 そして、青き疾風は炎の尾を引いて、空高く舞い上がった。否、それは逆さに放たれた雷の様に、轟音と共に巨人を一息に貫いた――刹那、交差した鋼が火花を散らして、拳の『ハウリングホーク』が巨人の槍を握り潰すと同時に、巨人から放たれた聖水がブルーテイルの高熱で霧散する。
『邪魔を……するな!』
 燃え盛る炎はアイオライトの心と共に、更なる勢いを持って巨人へ挑み掛かる。鼠花火の様にくるくると、激しい音を立てて全身から噴き出す炎は念動精神攻撃を伴うナノマシン入りの液体を無に還し、槍を握ったままその柄を飛び越える様に巨人へ飛び蹴りをかますブルーテイル。
「お生憎様、宗教の勧誘は間に合ってるのよ――!」
 すかさず槍を離した手を握り、無数の光速の拳が背中から巨人を叩き伏せた。最早浮上どころでは無い。巨大な質量は物理法則に従い、奈落へと沈んでいく。
「そこがお似合いよ、神様気取りのアンタにはね!」
 重たい音が地響きと共に地底を轟かす。落ちた悪魔を誰一人逃がす気など無い。
 二度と巨人が天を目指さぬ様、青白い炎が天に尾を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

嗣條・マリア
自分たちに都合のいい教義を掲げて、押し付けて
……これだから宗教は苦手なんです

何かにすがりたい、何かを信じようという人の心は貴方方の食い物ではありません


右腕の次元杭――ヴォイドバンカーをアクティベート
空間を破壊し、虚空への穴を穿つその一撃を以て敵機の破壊を狙います

接近のために射撃による牽制
敵機が攻撃のために接近してきた、或いは回避や方向転換の際に生まれる隙を狙い、
コフィンチョッパーによる攻撃で《拘束》
至近距離で捉えた敵機へ、ヴォイドバンカーを打ち込みます

次元の彼方に飛ばしてしまえば堅牢な装甲も意味を成しません
さあ、頭を垂れなさい



●アストレア
『救済を拒否するとは、愚かな……』
 地の底へ叩き落とされた巨人はゆらりと体を起こし、全身の振動で瓦礫を打ち払う。ダメージは甚大、飛翔しようにも上空を完全に押さえられた今、相対する敵キャバリアどもを倒さねば道は開けない。
『だが、まずは』
 ゆっくり片手を掲げる巨人――途端にキャバリア擬きから紡がれたエネルギーが、巨人の浸食細胞を活性化し欠損部位を直ちに再生させる。圧し折られた聖十字槍が元の形を取り戻し傲岸に立ち上がる巨人。その姿を赤いキャバリアが静かに睨み上げた。
「自分たちに都合のいい教義を掲げて、押し付けて……」
 嗣條・マリア(アストレア・f30051)はコクピットで静かに告げる。搭乗する真紅のキャバリア――タイラントは、鉤の付いた剣とソードオフした突撃銃を構え一歩前へ。見上げる様に巨人と対峙したまま間合いを詰める。
「これだから宗教は苦手なんです」
『選ぶのは人だ。選ばざるを得ないのも人だ。そこに違いはない』
 諭す様な穏やかな声音でマリアへ語る教主――巨人の口元が歪み、そのものが喋る様に悍ましい言葉を続ける。そこにあるのは慈悲でも救済でも無い。
『その祈りは我が血となり肉となり骨となる。やがて全ては一つになるのだよ』
 諦観が齎した絶望、人の心のエゴが具現化した巨人がにたりと微笑んだ。

「いいえ。何かにすがりたい、何かを信じようという人の心は――貴方方の食い物ではありません」
 瞬間、タイラントの突撃銃が火を噴いた。炸裂音と共に甲高い音――振り回された巨人の槍が斉射をかろうじで食い止めながら、タイラントを越える速度で一足飛びに間を詰めたのだ。
(そうです。近付いてきなさい……)
 サブアームの火砲が続けざまに火線を放ち、スラスターを噴いて引き撃ちの体勢へ移行するタイラント。巨人の左右を塞ぐ様に『ファイアー・ビー』誘導ミサイルがベアリング弾頭を炸裂させ突撃砲の榴弾が頭上を押さえれば、巨人は前に進む他に道が無い。向かう方さえ分かれば仕掛けるのも容易――しかし。
「だからこそ、正義の女神の名の元に――暴君が貴方を屠ります」
『それで動きを封じたつもりか――!』
 不意に、巨人の全身から十字架状のドローンめいた飛翔兵器が飛び出した。その十字架は弾丸を喰らい、ミサイルを千切り、巨人に仇為す数多の火砲を代わりに受ける。偽りの信仰心が生み出した異形の兵器は、そのまま巨人の道を切り開く。
『あなたにも分からせて差し上げましょう、私の教義を』
「結構です。それに私は取り締まる側――」
 ドローンが開いた道をくぐり、タイラントへ一気に飛び掛かる巨人。槍の穂先がブンと風を裂いて、タイラントの首筋を貫かんとした刹那――左腕の『コフィンチョッパー』が鉤の付いた切先でその機先を制する。同時にマリアはパラドクス・ドライブを臨界まで稼働――溢れた漆黒のエネルギーの波が虚無より超常の『ヴォイドバンカー』を右腕に顕現して、鈍く光る尖端を巨人の腹へと突き立てた。
『貴様、まさか最初から!?』
「レディ――――インパクト」
 そして無が爆ぜる。極太の金属杭は巨人の身体を貫いて、漆黒が巨人の全身を侵食――それは時空の亀裂。破断した浸食細胞が続々と漆黒の亀裂から次元の狭間へ飲み込まれ、変位したエネルギーが空を揺るがし巨人を砕く。ばちゃり、と派手な音を立ててそれらは、尽くが虚無へと飲み込まれたのだ。
「次元の彼方に飛ばしてしまえば、堅牢な装甲も意味を成しません」
 さあ、頭を垂れなさい。肉片を踏み付けた暴君の雄叫びが轟いた。
 正義の女神は、人の世を乱す者を許さない。

成功 🔵​🔵​🔴​

吉岡・紅葉

生体キャバリア…あんなものが出てくるなんて、
この私も予想できませんでしたよ。
ピカピカの光に包まれていますけど…
神々しさなんて感じられませんね。禍々しい!

あのキャバリアの力の源は信仰心…信じる心?
なら、こっちも精神論でいかせてもらいますよ。
【愛国進軍曲】発動!大音量でマーチを流し、
《元気》と《情熱》を込めて演説します!
「光には光で立ち向かいましょう!どっちの光が強いか、
教主様にわからせてあげるんです!」
共に戦う仲間に、力と勇気を与える光の軍旗を。
ドクター・ヘルムのマカイザーも頼もしい味方です!

聖槍の一撃をしっかり《武器受け》でガード。
天野香具山の《重量攻撃》で十字架を叩き折ってさしあげます!


トリテレイア・ゼロナイン

※ロシナンテⅣ搭乗

敵の挙動を●情報収集し●瞬間思考力で解析し●見切り出力・装甲に勝るマカイザーの隙埋める形でかばい
銃器乱れ撃ち射撃で牽制

これ以上の非道許さぬ為にも
攻防一体、あの十字架の壁を突破せねばなりませんね
神を称するあの悪魔の言によれば異教徒を阻むそうですが…

…ヘルム様、一瞬で構いません
あの機体を抑えて頂けますか

聖十字槍の穂先に剣先絡ませ手首関節回転
●操縦技量で武器落とし
弾いた槍を強奪

聖十字は信仰のシンボル
喰らう訳にも行きますまい

キャバリア、ウォーマシン、UC…
神にも悪魔にもなれる力持つならば…

私達は善の意志を以て、それを振るいましょう!

機体ハッキング限界突破
自壊前提怪力で聖十字槍を投擲



●鋼の魂
「生体キャバリア……あんなものが出てくるなんて、この私も予想できませんでしたよ」
 吉岡・紅葉(ハイカラさんが通り過ぎた後・f22838)は搭乗したくれはカスタムから、砕けた巨人の跡を見やり呟いた――だが、何か様子がおかしい。
「まさか……生体反応が増大している?」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の目の前で巨人の肉片がピクリと動いた。それらは再び光に包まれ、徐々にその数を増していく。
「ピカピカの光に包まれていますけど、神々しさなんて感じられませんね。禍々しい!」
「この期に及んで再生とは……全く、これ以上の非道を許さぬ為にも!」
 二人はマシン越しに頷く。記録映像の巻き戻しの様に増殖した肉片が徐々に集結して――再び、大地に悪魔が立った。手には聖十字槍、全身から牙を生やした十字架を飛ばし、猟兵達の前に雄々しく立ちはだかる。
「まずは攻防一体、あの十字架の壁を突破せねばなりませんね」
「あのキャバリアの力の源は信仰心……信じる心?」
 トリテレイアのロシナンテIVが身構える。盾を放り直剣を両手で構え、サブアームに懸架した突撃銃が火を噴いた。先制速攻、十字架の壁を破らんと一気呵成に攻め立てる。一方紅葉は敵の力の源泉を探り、それに対処せんと超常を発露した。
「なら、こっちも精神論でいかせてもらいますよ」
 突如、くれはカスタムの全身から勇ましい音楽が流れ始める。『愛国進軍曲』――サクラミラージュの精鋭の奏でるマーチは、聴く者全てに元気と情熱を分け与えた。
『喧しい……矢張り、棺の数が足りない分出力も伸びぬか。だが』
 思いの他、力が戻らず苛立ちを見せた教主が忌々しげに宣う。巨人と一体化した神気取りの悪魔は、精神と肉体をエヴォルグに取り込まれていたのだった。その心は、最早人間のものでは無い。ニタリと笑みを浮かべ、巨人が再び飛び上がる。
『ここを乗り越えるくらいは、やって見せよう』

「させません!」
 すかさず、くれはカスタムの重力弾が巨人の足を捕らえ、巨人を再び地面へ縫い付けた。続けて紅葉は仲間達へ更なる力を分け与える。
「光には光で立ち向かいましょう! どっちの光が強いか、教主様にわからせてあげるんです!」
 途端、猟兵達の機体に背には爛々と輝く光の御旗が掲げられた。共に戦う仲間に、力と勇気を与える光の軍旗――それはヘルムのマカイザーも一緒だった。
「……ヘルム様、一瞬で構いません。あの機体を抑えて頂けますか?」
『ああ、そのくらいやってやらあ!』
 合わせてトリテレイアが再び仕掛ける。狙いは槍――紅葉の援護で漲るこの力さえあれば、突破出来ない事は無い。頷くマカイザーがざっと巨人を見据え、両肩の砲門から凄まじい勢いで実体弾を撃ちまくる。
『バリアントバズーカ、一斉射!』
『まだ動くか、ガラクタの親玉が……!』
 それは念動力で加速した大型砲。直撃すれば大ダメージは免れない――ドローンが体当たりで砲撃を逸らし、迎え撃たんと巨人が槍を下段に構え直した刹那、蒼銀の機体が音よりも早く巨人の元へ吶喊した。
「聖十字は信仰のシンボル、喰らう訳にも行きますまい」
 ガシャンと穂先を直剣の切先で抑え、圧倒的な馬力でそれを巻き落とすロシナンテIV。機械ならではの動きは巨人には出来ぬ動きで力の象徴たる槍を封じ込め、回転する手首に合わせて射出されたワイヤーがガランと落ちた聖十字槍を奪い取る。
『槍を奪っただと!?』
「キャバリア、ウォーマシン、ユーベルコード……」
 その槍を手にしたロシナンテIV――信仰を力へと変える器物ならば、たとえ機械のこの身であろうと、内に秘めたる思いは変わらない。
「神にも悪魔にもなれる力持つならば……」
『な、何を……!』
 ギン、と漆黒の槍が白銀に染まっていく。悪しき意思では無い、トリテレイアの鋼の魂に祈りを力に変える槍が応えたのだ。それは甲高い澄んだ音色を伴って、紅葉が拡げた黄金の旗を更に煌びやかに輝かす!
「私達は善の意志を以て、それを振るいましょう!」

>>Machine Maximum Drive......All parts Overload
>>Danger, arm destruction...
>>Danger, arm destruction...
「構うものですか。アレを止める事さえ出来れば――!」
『お、おのれ……』
 体躯の倍はある巨大な聖十字槍を巨人へ投げ放ったロシナンテIV。圧倒的な力は代償に機体の自由を奪う。最大負荷で投擲を敢行した腕部は回路がズタズタに引き裂かれ、各部のバイパスが火を噴きながらかろうじで機体を大地に立たせていた。
『だが、槍はここに……!』
「させませんよ! それは二度と使わせない!」
 己の腹に突き刺さった槍を握って力を籠める巨人。徐々に白銀は黒く染まり、悪しき意思が再びそれを支配する。だがトリテレイアの放った意志は濁らない。超常にハッキングされた聖十字槍は今や誰の物でもない。力を持たぬ器物はそれ故に、ハイカラキャバリアの一太刀で真っ二つに叩き斬られた。虚空を掴む巨人――その身を守る物は無い。そして対峙するのは、漆黒の機械の魔神。
『正面、がら空きだぜ! サイキックブラスター!』
 ヘルムの雄叫びに合わせて、マカイザーの胸部放熱板が真っ赤に燃え上がる。その熱が、炎が、一直線に巨人の胸へと吸い込まれ――槍を失い茫然と立つ巨人は真紅に呑み込まれる。
 神は――神擬きは見誤っていたのだ。真なる信仰とは如何なるものかを。
 仲間達を信じ貫いた意志は、遂に巨悪の膝を付いたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック


(UCを発動、キャバリアの背面より三対六枚の白翼を生やす)
ほう?
ならばこの私は異端として裁かれるか?

貴様こそ口を慎めよ異端者
(脳裏に、自分を護るために次々と犠牲になる技術者や兵士たちが、己の信仰を貫き通す姿がフラッシュバック)
信仰への救済は犠牲の強制ではない
己の意思を信仰という形で貫くものへの報いとして救済は正しく行われる
故に、貴様のそれは救済に非ず、ただの人的資源の使い潰しだ
その誤った救済をこそ…この私が裁く!

WHITE KNIGHT、未来予測を行ってくれ
奴の攻撃を見切る
推力移動にて急速接近し、LONGINUSとCRESCENT MOONLIGHTで敵機を切り裂き、貫く

─ここに裁定は下った



●裁かれし者
『無駄だ。何度抗おうと……』
 焼き焦がされた肉塊が、再び人の形を取る。浸食細胞で構成されたエヴォルグシリーズの本領。偽りの魂が尽きぬ限り、奴は――教主は何度でも蘇る。
『神たる我が異端に屈するものか』
「ほう……ならばこの私は異端として裁かれるか?」
 ふわりと、白き機械の天使が――ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)が燐光を放ち、ゆったりと教主の頭上へ飛来した。
『無論。魂は等しく私の元へ――』
「貴様こそ口を慎めよ異端者」
 男の様な、女の様な歪な声色を一括し、ジェイミィは怒気の籠った言葉を続ける。
「信仰への救済は犠牲の強制ではない」
 そんな救済を認めるものか。国家を守る為、人々を守る為、テクノロジーに殉じ精魂を込めて紡ぎ出された鋼鉄を思うジェイミィ。
「己の意思を――信仰という形で貫くものへの報いとして」
 紡がれた思いはこの五体に宿っている。紡がれた威力はそして、終わりの無い戦いに身を投じたのだ。電脳を過る亡き戦友達の顔がジェイミィを奮い立たせる。
「救済は正しく行われる」
 目の前の偽りの神を決して許してはならぬと。スラスターの噴射炎が一層凄まじさを増して、大気をつんざく爆音が戦場を支配する。まるで失われた魂が怒りを表明するかの様に。
『ならば、私は正しい』
「否。貴様のそれは救済に非ず、ただの人的資源の使い潰しだ」
 奴の手にする聖十字槍がどす黒い輝きを一層増して――それに応える様に、ジェイミィの内なる機能が静かに発露した。

>>Unknown Error: Sanctus, Sanctus, Sanctus Dominus Deus Ex Machina<<

 コマンドが強制的に書き換わり、双眸に青白い光が点る。途端、三対の光の翼がクロムキャバリア『JM-E』の背中を貫いて、まるで花弁の様に雄々しく広がった。
「その誤った救済をこそ……この私が裁く!」
 悲鳴のように掻き鳴らされる警告を遮って、力強くジェイミィが宣った。この光は紡がれた思い。自分を護るために次々と犠牲になった技術者や兵士達が、己の信仰を貫き通した魂の形。この思いは決して、偽りの救済などに塗り潰されたりはしない!
「WHITE KNIGHT、未来予測演算開始――コード777Aアクティブ、各機散開。方位陣形を構築」
 途端、機械仕掛けの熾天使は音よりも早く戦場を駆け抜けた。背後に展開した無人機部隊が統制の取れた魚群の様に大きく広がり、教主を中心に渦巻の様に陣取ってそれを包囲する。
『紛い物の天使風情が、我が教義を否定するなど……!』
 突然の急襲に槍を構えて相対する教主。全周を包囲したジェイミィの無人機は徐々に包囲を狭め、一機ずつが四方より順に教主を攻撃する。
『口を慎め、人に造られしモノ風情が!』
 それを防がんと、キャバリア擬きの残骸を盾の様に揺り動かして――しかしそれこそがジェイミィの狙い。無造作に配された残骸はそのまま、教主の進路を奪う。
「――ここに裁定は下った」
 演算通り。瞬間、光の翼が音を越え、光よりも早い一筋と化す。リミッターを解除し限界を超えたJM-Eの機動――がら空きになり退路を断たれた教主の懐へ飛び込んだJM-Eが手にした光剣『CRESCENT MOONLIGHT』で槍を払い、必殺のパイルバンカー『LONGINUS』が轟音と共に教主のどてっ腹に風穴を空ける。
『裁定、だと……!?』
 命中、直撃。次弾装填、炸裂――工事現場めいた激しい音と振動が戦場に轟く。
 紡がれた思いは決して折れない。未来への道を開くまで。

成功 🔵​🔵​🔴​

アダム・レイン
●【POW】
「もしこの世界に神がいるなら僕の家族は死ななかっただろうし、ゲドン・ザウラーと出会う事はなかったはずさ。僕はこの世界に神なんかいないと思ってる。だから、お前はただのキャバリアだ…!」と恐怖を抑えて強がりつつ戦いに臨む

まずはブーメランアックスを敵に【投擲】。これは【フェイント】であり、アックスは敵を引きつける事が目的。敵がアックスに気を取られたら【オーラ防御】を展開しつつ【対空攻撃】と【レーザー射撃】で牽制ながら聖十字槍の持ち手あたりまで敵に接近し、至近距離からEx.roar

「槍が武器なら接近戦は分が悪いはずだ。零距離からのザウラーの必殺技を食らえ…!」

※アドリブOK


響・夜姫

「へるむ。アレ、どこまで残す?」
……機体は。完全破壊をおすすめする。

「私の前で神とは。片腹痛い。我こそ神、響・夜姫神とその身体、ダイペンギン」
ちなみに唯一神。
「即ちお前は。神ではなく、ただのハゲ。……では、ふぁいやー」
【空中浮遊】で上を取り、【精神攻撃】。
真なる神なら、こんなものには反応しない。
防御は考えず不死鳥は以下略の自動復活任せ。
サバーニャ全基と二挺の銃から【誘導弾/2回攻撃/貫通攻撃/乱れ撃ち/爆撃】。
復活時も攻撃力強化を選択。

「泣いて五体投地して懺悔するまで、撃つのを止めない」
教主の心をへし折るまで何度でもコンティニュー、エンドレス弾幕。
生き残るかは、教主次第。

「ぺんぎんを崇めよ」



●神殺しの刃
『……しかし、足りぬ』
 容赦の無い鉄槌でエヴォルグの胴体は巨大な洞へ変わり果てた。それでも、残った四肢が肥大化すると共にぐちゃぐちゃに潰された胴体が元の形を取り戻す。
『神を舐めるな。たかがキャバリア風情が、この身をどうにか出来ると思わぬ事だ』
「もしこの世界に神がいるなら僕の家族は死ななかっただろうし、ゲドン・ザウラーと出会う事はなかったはずさ」
 上擦った声音で傲慢な物言いをする教主へ冷たい一言が突き刺さる。アダム・レイン(ダイナソーライダー・f30865)は愛機ゲドン・ザウラーと共に偽りの神の前へ。鋭い爪をガチャガチャと鳴らしながらアダムは言葉を続ける。
「僕はこの世界に神なんかいないと思ってる。だから」
 本当に神がいて救いを齎すならば、こんな今にはなっていない。幾ら耳障りの良い言葉を紡ごうと――アダムにしてみれば全て世迷い言。大地を震わせ疾駆するザウラーと共に、アダムが吼えた。
「お前は……ただのキャバリアだ!」
 恐怖を押し殺し、絞り出した思いへ応える様にザウラーが咆哮する。同時に投げ放たれた漆黒の投斧『Tyrannus』が、空を裂いて教主の喉元へ迫り、手にした聖十字槍がかろうじでその一撃を打ち落とす。
『哀れな……私がいなかったばかりに』
 ガキン、と重い金属がぶつかる音。衝撃と共に叩き付けられた投斧の向こう、加速したザウラーが電撃弾をばら撒いて足元より躍り出た。身を低くして地を這う様な姿勢――機体特性を生かした奇襲が狙うは、聖十字槍ただ一つ。
「へるむ。アレ、どこまで残す?」
『残す、か。随分と優しい事で――』
 アダムと教主の交戦より僅かに離れた所で、響・夜姫(通りすがりのチョコねじ込みメイド・f11389)はヘルムのマカイザーと共に教主の様子を伺っていた。相手は強い。何よりしぶとい。生半な手段や覚悟で倒せる相手では無い。
「違う」
 だから、夜姫は覚悟していた。それこそが幸福である事をよく知っていたから。
「……機体は。完全破壊をおすすめする」
『奇遇だな。俺もだ』
 それはヘルムも同じ。生命を冒涜するあの存在は決して相容れない。オブリビオンマシン以前の問題――自身以外の生存の諦観は、一国の主として捨て置けるモノでは無かった。
「なら、いこう」
 バサリと外套めいた装甲を揺らして、ダイペンギンのスラスターに火が点いた。

『! 神の上を取るというのか、不遜な……』
「私の前で神とは。片腹痛い。我こそ神、響・夜姫神とその身体、ダイペンギン」
 槍の下段でザウラーを押さえながら、頭上の砲火――ダイペンギンの一斉射を牙十字で防ぐ教主。
(夜姫さんまた設定が生えてる……)
 火線を伸ばしつつ、顔色一つ変えないで夜姫の宣言を聞き流すアダム。上下同時攻撃にも教主は臆する事無く、持てる威力を展開し反撃の牙を剥いた。
『愚かな。ならばその物言いごと私が救って見せよう――!』
「夜姫さん!?」
 瞬間、ダイペンギンの背後を牙十字が貫く。一瞬の攻防――視界外からの攻撃は呆気なく夜姫の威力を地に墜とした。
『何も考えず、我が教義に身を委ねれば魂までも失う事は無かった』
「この…………!」
 がらんと、力無く落ちたダイペンギンは爆散し――溢れる炎の中から、新たな漆黒のシルエットが姿を現わす。それは紛れも無く、奴だ。
「即ちお前は。神ではなく、ただのハゲ」
 響・夜姫だ。炎の奥、いつの間にか地面に出現した巨大な土管の中から、腕を組んで現れたダイペンギンが急速浮上――纏った炎を両手に束ね、手にした大型拳銃が鈍色の光を放つ。
『私を侮辱するか小娘がッ!?』
「ハゲなんだ。どっちでもいいけど」
「……では、ふぁいやー」
 夜姫は生きていた。正確にはその場で直ちに再生したのだ。それが不死鳥のユーベルコード。銃口が、浮遊砲台が、逆襲の連弾を教主へ撃ち放つ。展開した牙十字がかろうじで弾幕を遮ろうとも、先程以上の圧倒的な火力を全て防ぐ事は敵わない。
「泣いて五体投地して懺悔するまで、撃つのを止めない」
 それでも、ダイペンギンは再び牙十字の一撃で地に落ちる――途端、今度は教主の背後に出現した炎と土管の中から、再び夜姫と共に姿を現わした。
「ぺんぎんを崇めよ」
 三度の一斉射。なりふり構わず撃ちまくられた夜姫の弾幕が教主を飲み込んで――そして、三度の業火が教主を焼き尽くす。
「チャンス……槍が武器なら零距離の接近戦は分が悪いはずだ」
 燃え盛る教主の足元、身を低くしたザウラーが音より早く飛び掛かる。牙十字はダイペンギンが制圧した。残るは槍のみ――かろうじでそれを握る手元目掛けて突進するザウラーへ、破れかぶれの振り回しがその行く手を遮った。しかし。
『こっちも忘れて貰っちゃ困るぜ! ブーストスマッシュ!』
 ザウラーの背後から飛翔する鉄拳が――マカイザーの一撃が弧を描く槍の穂先を跳ね上げて、教主の懐はがら空きになった。同時に加速したザウラーがそこへ飛び込む。バチバチと紫電がザウラーの全身を駆け巡り、溜め込んだ威力を放つ時。
「零距離からのザウラーの必殺技を食らえ……!」
 金属質の背鰭が青白く発光し、口内に集束した光が解き放たれる。ザウラー最大にして最強の攻撃『Ex.roar』――機獣王の咆哮は教主の身体を逆袈裟に貫く様に伸びて、一条の光が天へ登っていく。有り余る威力は施設の壁を破砕して、轟音と共に無数の瓦礫が教主の元へと降り注いだ。
「勝ったな」
『いいから、逃げろ!』
 不敵な笑みを浮かべる夜姫を制するヘルム。
 墓標の様に積み上がった瓦礫の上で、ザウラーが、アダムが吼えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒野・大我

【渡り禽】
(少年の姿のまま)あいつが元凶か。もう色々と元に戻せないことも沢山あるけど、ここであいつを止めればこれ以上悪い事は起きないよな。
なら、木っ端微塵になるまで破壊するだけだ!

【渡り禽】の皆も一生懸命戦ってくれる。なら、俺がやることは俺とニャッグが放てる最大最強の攻撃を叩き込むだけ。
戦闘の中を「闇に紛れる」ことで「目立たない」ように、あるいは「フェイント」や「早業」で敵の攻撃を躱しつつ、ニャンコノヴァのチャージ開始。
俺が攻撃に参加しない分手数は減るけど、そこは皆を信じて「高速詠唱」でチャージを続けてボスの動きが鈍ったところで皆に合図してニャンコノヴァを放つ。
この世界から消えてなくなれ!


赤城・晶
●【渡り禽】

あいにくと俺は無神論者なんでな、信仰なんて無く、信頼するは己と相棒、仲間のみだ。ではその分厚い顔を一発殴らせてもらおうか!

レーダーユニットの【ジャミング】をMAX、同時にミラージュ装甲をONに【迷彩】しつつ、敵を撹乱するぜ。親玉の意識がそれた瞬間にブーストユニット【ダッシュ】、【推力移動】で接近し、その分厚い顔面にビームダガー【先制攻撃】を突き刺すぜ!

後は回避に専念しつつ挑発、【援護射撃】や【威嚇射撃】で体力を削いでラストはお任せってな!


挑発語録
いやー、大分男前になったなぁ!
神様こちら、てのなる方へってな!
『ブリキに失礼かと粗大ゴミでは?』
ウィリアム、キレキレだなぁ!最高だぜ!


ワン・イーナ
●【渡り禽】

穴の底でコソコソと、チンケなカミサマだぜ
ワルキューレ、行くぞ
『了解しました。ブリキ野郎を破壊します』
ハハ、キレキレだなァ

電子支援に徹するか、殴るのは皆がやるし
【ジャミング】開始、ローラー【ダッシュ】しつつ【推力移動】
ワルキューレの【戦闘知識】から分析して【瞬間思考力】でオペレートだ

「んじゃ、支援するぞ! マカイザーにもな!」
『テュール、レディ』

代償は【激痛耐性】で耐えて味方に支援
【レーザー射撃】で迎撃しつつ回避を重視
力を合わす、強化ってのはこうやるのよ!
ここをお前の墓穴にしてやるぜ。もったいないくらいでかいがなァ!


朱鷺透・小枝子
●【渡り禽】
狂気耐性、小枝子は、機体も意志を持とうと
闘争心が、敵意が心を満たしているから
信仰心が入りこむ隙間は、ない

ディスポーザブル01を操縦
動体視力と瞬間思考力で敵機を認識、スラスター推力移動ダッシュ
前へ出てかばう、槍を自ら喰らい機体の継戦能力、ワン殿の能力強化で攻撃を無視

カウンターパルスアトラクター
マヒ攻撃と『戦場の怪談』で敵を無力化

呪詛、エヴォルグへの敵対心を
戦場を満たす霊物質で伝播させる

意志を、心を歪ませている。
敵だ!あいつこそが、自分達の敵だ!!壊せ、

怪力、プレスブロウで敵機を掴み、地へ叩きつけ重量攻撃
念動力フォースウィップで敵機を拘束

壊せ!!!

皆が攻撃を当てやすいよう投擲で位置調整



●業火を越えて
「あいつが元凶か――」
「穴の底でコソコソと、チンケなカミサマだぜ」
 炎に呑まれ、それでも再起を図る悍ましい物体――教主の姿を見て、黒野・大我(悪食猫・f30466)とワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)はぽつぽつと感情を露わにする。
「…………」
「あいにくと、俺は無神論者なんでな」
 一方、赤城・晶(無名のキャバリア傭兵・f32259)と朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は口数少なく、それぞれの機体が手にした得物をずらりと教主へ向けていた。小枝子の戦意が揺らぐ事は決して無い。敵意が心を満たしているから――信仰心が入りこむ隙間は、無い。
「信仰なんて無く、信頼するは己と相棒、仲間のみだ」
 それが真理。ぐつぐつと煮え滾るマグマの様な肉片が如何に人の形を取って、耳障りの良い言葉を述べても決して揺れ動きはしない。ヴェルデフッドのジャミングを最大にしてミラージュ装甲のスイッチを入れる。途端、晶の機体は薄汚れた外壁に溶け込む様に、その装甲色を同化させた。
「もう色々と元に戻せないことも沢山あるけど、ここであいつを止めればこれ以上悪い事は起きないよな」
「では――その分厚い顔を一発殴らせてもらおうか!」
 音だけをばら撒いて教主を牽制するヴェルデフッドに続き、ニャッグもゆらりと闇に紛れる。狙いは最大最強の攻撃を確実に当てる事――それまでは、己が信じる仲間達に全てを預け、自身は最大の力を溜め込むのみ。
「神様こちら、手の鳴る方へってな!」
 ぐらりと、顔を傾けて音のする方を睨む教主。だが誰もいない――その背後を『重装甲ディスポーザブル01』の音響兵器『パルスアトラクター』が襲う。徹底した攪乱戦術――狙いを定めさせず、スラスターの火を振り撒いて、あたかも自身が戦場の女王であるかの様に振舞う小枝子。
「D01エンゲージ。ワルキューレ、こっちも行くぞ」
『了解しました。ブリキ野郎を破壊します』
 そしてエインヘリャルが牙を剥く。駄目押しのジャミング――そしてユーベルコード。ワンの耳元で静かにワルキューレが宣戦を布告すると、晶のウィリアムが静かにそれに続いた。
『ブリキに失礼かと粗大ゴミでは?』
「ウィリアム、キレキレだなぁ! 最高だぜ!」
 教主の動きはまだ回復しきっていない。更に重ね掛けのジャミングが正常な動きを封じ、破れ被れに立ち上がった所へヴェルデフッドのビームダガーが顔面に突き立てられる。プラズマが肉を焼き焦がし、煤けた匂いが辺りに拡がる。そのまま超高速のヒットアンドアウェイ――超常の機動はヴェルデフッドの性能を限界以上に引き出して、さながら流星の如く戦場を駆け抜けた。
「ハハ、キレキレだなァ」
 親指を立てて影に紛れるヴェルデフッドを見送り、ニヤリと口元を歪ませてコードの発動準備を整えたワン。妨害と補助を同時にこなす代償は、脳神経に掛かる負荷は計り知れない。それでも。
「んじゃ、支援するぞ! マカイザーにもな!」
『ロジャー。テュール、レディ』
 やらねばならない。偽りの信仰では無く、真実の信頼が紡ぎ出す本当の力を見せる為に。途端、一斉に点灯した補助コンソールがワンの視界を埋め尽くす。機体ステータス、戦場コンディション、各機状況、戦術マニューバの相互リンク――やるべき事は幾らでもある。震える手に力を籠めて、ワンは雄々しく叫んだ。
「力を合わす、強化ってのはこうやるのよ!」

 おかしい。何も見えない。何も聞こえないのに、自身への攻撃が続いている。
 教主は戸惑っていた。重ね掛けされたジャミングが五感とセンサと信者とのリンクを断ち切って、己はただ一人、瓦礫の上で見えない敵に備えるだけ。
『一体、奴等はどれほどの数で……』
 精神を鎮め、浸食細胞では無く己が第六感で敵を探る教主。しかし聴こえるものは、ただ一つの怨嗟のみ。
 ――敵だ! あいつこそが、自分達の敵だ!!
 女の声だ。悪霊めいた女の声が脳髄にずっと響き渡る。
 壊せ! 壊せ! 壊せ!
 それは信仰と呼ぶには恐ろしい、ただ一つの衝動――意識の最奥にある破壊衝動そのもの。それだけが、己に向けられた敵意を十全に知覚させる。
『敵は一つ、なのか……いや……』
 最早、教主は正常な判断が出来る状態では無い。また一つ、巨大な衝撃が己が肉をこそぎ落とす。折角再生した浸食細胞が、まるで薄皮を剥がす様に一つずつ消し飛ばされて――意識をそちらへ向ける度に、今度は背後から光条と鉛玉が肉を抉るのだ。だがそれらは直に姿を消して――文字通り、成す術の無い状況。
『しかし、退く訳にはいかぬ――!』
 己を奮い立たせ、朽ちた信者たちへ檄を飛ばす教主。だがその声は届かない。悪霊が、あの悪霊の声が己が導きを遮るのだ。
『ならば、悪霊を滅さねば』
 がちゃりと、聖十字槍を水平に構え狙いを定める教主。向けられた破壊衝動と刺し違える――それで全て終わる、筈。
『……そこかぁッ!!』
 一閃――遂に教主は悪霊を、小枝子のキャバリアの動きを捉える。しかしそれこそが罠とも知らず――ディスポーザブル01の剛腕が槍ごと教主を握り締め、念動の鞭捌きが四肢を雁字搦めに縛り取った。
「……今です!」
 小枝子が叫ぶ。機は熟した――牽制の弾幕が途絶え、入れ替わる様に火を噴く鋼の拳が教主の腹を貫いた。
『コイツで終わりだ! 続けッ!』
 ヘルムが叫ぶ。ワンの支援を受けたマカイザーはジャミングの嵐を掻き分けて、正確に必殺の拳を教主へぶち当てたのだ。
「ここをお前の墓穴にしてやるぜ。もったいないくらいデカいがなァ!」
「後は、木っ端微塵になるまで破壊するだけだ!」
 散開したエインヘリャルとニャッグがゆらりと姿を現わして、ニャッグが紡ぐ獣を象った超絶のオーラが空間を震わせた。
「いやー、大分男前になったなぁ!」
 いつの間にか、教主の眼前には銃口を突きつけたヴェルデフッドの姿が。満身創痍のその姿を見やり、歌う様に晶が宣う。反撃は来ない――今が必殺の時。
「――壊せ!!!」
 小枝子が吼える。同時に教主を拘束したまま二機はその場を離れ、合わせてニャッグの頭上に顕現した超常のプラズマ塊が猛獣となって空を駆ける!
「この世界から――消えてなくなれ!」
 浸食細胞の弱点――再生速度を超える燃焼で再び焼き尽くす。大我の咆哮が威力となって、教主をプラズマが包み込み――星の終わりの様に鮮やかに爆ぜた。

「ミッション完了、か……」
 痛みに耐え、吐いた血を飲み込んで状況を確認するワン。
『ミッションオーバー。敵勢力は沈黙、ですがこちらも……』
 ワルキューレが静かに続く。誰もが満身創痍。紫電を散らして結集した仲間達を見やる。これ以上は望めない――だが、これ以上は無い。
 歪んだ信仰を越えて、仲間達への信頼が勝利を掴んだのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

中小路・楓椛
神も悪魔も都合の良過ぎる概念の雛型はニンゲンの心の中にしか存在しないのですが。

装備【ばーざい】全技能行使、【神罰・呪詛・封印を解く・限界突破】併用でUC【にとくりす】起動。
第六王朝最後のファラオの鏡の伝承を以て鏡面を狂気山脈地下の黒き粘液の沼へと接続。
攻撃をカウンターで相殺すると同時に再生暴食する不定形(ショゴス)による理不尽制圧です。

さて…動かないプラントはこの社会には不要ですよね?
ショゴスさん塵一つ残さず喰べて下さい。

ドクター・ヘルムさん、でしたか。
好奇心で死ぬのが猫だけで済めば良いのですが、この先ニンゲンのカガクが暴走を選択するなら…

私との不幸な再会が在り得るかもしれませんね?



●反神
『やった、のか……?』
 ぐつぐつと煮え滾るマグマの様に崩れた瓦礫の奥で蠢く黒い影。それを見やり、マカイザーは再び身構えた。まだ動くってんなら、もう二度三度ブッ叩くまでよ。
「神も、悪魔も」
 不意に冷たい声が耳を過る。同時に黒い影が焼け爛れた大地を破り、再び教主の姿となってヘルムの前へと現れた。
「都合の良過ぎる概念の雛型は、ニンゲンの心の中にしか存在しないのですが」
『何が、言いたい……化生めが……』
 いつの間にか。マカイザーの前には小柄な狐――中小路・楓椛(ダゴン焼き普及会代表・f29038)が姿を現わす。途端、空を破り放たれた黒雷が大地を穿ち、その中に佇む狐の姿は、名状し難い畏れを見る者全てに与えていた。
「神を神と初めて定義したのは誰でしょうか、ねえ」
『! 笑わせる、我に説教とは!』
 激高する教主。その声と共に残骸めいたキャバリア擬きが一斉に息を吹き返す。しかしそれらはその威を放つまでも無く、空を溶かし現れた黒い物体に成す術も無く取り込まれていった。
『何だ、これは!?』
「浸食細胞、その親戚の様なモノでして」
 狂気の山脈にて、蠢く黒き粘液の沼――再生暴食する不定形は、楓椛が紡いだ超常の産物。悪意の映し鏡である。蠢く黒は残骸ごと稼働する全てを飲み込んで、文字通り無へと還していく。そしてその手は更に奥――今や稼働を止めたプラントへと伸びていった。
「さて……動かないプラントはこの社会には不要ですよね?」
 テケリ・リと奇怪な音を立て、黒はこの世界の奇跡の産物を無慈悲に呑み込んでいく。ぞわり、ぞわりと伸ばされた不定形の触腕が津波の様にうねっては、覆い被さった機械の全てをどろどろに溶かしていった。
「ショゴスさん塵一つ残さず喰べて下さい」
『おい、アンタなんて事を! まだ使えるかもしれねえだろう!?』
 じとり、と冷たい目を向ける楓椛。その瞳に最早教主の姿は無い。あのような小物、外なる世界の彼等と比べるまでも無い――紛い物の神に過ぎないから。
「ドクター・ヘルムさん、でしたか」
 静かに、僅かばかりの圧を込めて楓椛が言葉を紡ぐ。
「好奇心で死ぬのが猫だけで済めば良いのですが、この先ニンゲンのカガクが暴走を選択するなら……」
 何を言いたい? と言わんばかりのヘルム。その驚愕の表情をまるで見越しているかの様に、狐はニヤリと口端を広げた。
「私との不幸な再会が在り得るかもしれませんね?」
 途端、音が消える。色も消える。後に残されたのは、呆然と立ち尽くす教主とマカイザー。神はいつでも見ているのだ。
 人がその道を踏み外す瞬間を、虎視眈々と、祝福する為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

白峰・歌音
全てお任せ

『最早生きるに値しない』だって?お前の独善で勝手に人の生き死に決めてんじゃねえよ。どれだけご高説を並べ立てたって、お前はただ数多の人の人生を我欲で理不尽に奪っただけだ。
お前を見てると怒りが止まらない。きっとお前は、オレの無くした記憶の根源にある、最も気に食わない奴と重なりすぎてる。
ヒーローなら、それでもお前に慈悲を与えるだろう。だから、オレは白峰歌音としてお前と対峙する。
お前に与える慈悲は、無い。


接近して格闘戦を挑みつつ、敵が槍を打ちこんで来るタイミングを計る。
打ちこんで来たら【オーラ防御】で固め【見切り】でダメージ軽減。そしてUC発動、カウンターにラッシュを叩き込んでやるぜ!


荒谷・つかさ
信仰は、言葉や目にしたものを通じて心の奥底より自然と湧き出るもの。
即ち、意思によるものに他ならない。
洗脳によって意思を奪われて生じる信仰なんて、ゴミ程の価値もない。
それを今、あんたに証明してあげるわ。
荒谷つかさ、任務了解……あのけったいな邪神像を破壊する!

【筋肉連結システム】発動
当初は各種火砲で以て射撃戦
奴が聖十字槍を当てるべく近づいてくるのを待つ
来たなら片腕一本犠牲にしてでも受け止め、そのまま残りの手足で組み付いて捕縛、味方からの攻撃も要請
巻き添えは装甲で耐え火砲類をゼロ距離で叩き込みながら、侵食されきる前にフレームを「怪力」で圧し折ってやる

お前にも味わわせてあげるわ……猟兵の恐ろしさをね!



●ゴッド・ブレス
『だが、我が意は未だ潰えず。信仰がある限り、我が肉体は不滅だ』
「――お前の独善で勝手に人の生き死に決めてんじゃねえよ」
 彷徨える魂を喰らい立ち上がった教主。まるで獣のようにうなり声を上げるそれを見て、白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)は怒りを露にした。
『否。こうして我が身と一つになり、彼等は世界を紡ぐ事が出来るのだ』
「どれだけご高説を並べ立てたって、お前はただ数多の人の人生を我欲で理不尽に奪っただけだ」
 何もかもが独善的な欺瞞。殺められた生命は二度と戻らないというのに――歌音の思いに応える様に全身を震わせるシエル。その傍らにもう一つの鋼が並び立つ。
「信仰は、言葉や目にしたものを通じて心の奥底より自然と湧き出るもの。即ち、意思によるものに他ならない」
 静かに、されど熱い思いを秘めて荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)が言葉を紡ぐ。健全な精神は健全な肉体に宿る。その過程で人は、己が信ずるものを見つけるのだ――自分の様に。
「洗脳によって意思を奪われて生じる信仰なんて、ゴミ程の価値もない。それを今、あんたに証明してあげるわ」
 だから、教主の様な精神も肉体も束縛して、無理やりに従わせるような行為を認められるわけが無い。そんな奴にやるべき事は、ただ一つ。
「きっとお前は、オレの無くした記憶の根源にある、最も気に食わない奴と重なりすぎてる」
 それは歌音の言葉。アリスとなる前の――己の根源にある戦う理由。それが魂を震わせて、大地を蹴って二つの鋼が疾駆した。目の前の悪しきを滅ぼす為に。
『最早言葉はいらず、か。ではどうする異教の民よ』
 迎え撃つように対峙した教主が面を上げて、全身から無数の牙十字を投げ放つ。シエルとスルトの進路を阻む様に、足元に、そして背後から、牙を突き立て抉ろうと悪意の束は嵐になって迫り来る。
「ヒーローなら、それでもお前に慈悲を与えるだろう。だから……」
 爆音と風切り音が交互に――迎撃の熱線と衝撃波が牙十字を蹴散らして活路を切り開く。吹き飛ばされた瓦礫の中を舞う様に駆け抜けて、二つの鋼は遂に教主の眼前へと立ちはだかった。
「オレは白峰歌音としてお前と対峙する」
「荒谷つかさ、任務了解……あのけったいな邪神像を破壊する!」
 この邪悪を滅ぼす為に。二つの赤き炎が燃えた。

『やれるものならやってみろ……フンッ!』
 瞬間、土埃を巻き上げてき教主の聖十字槍がスルトの胸元を抉る様に伸びる。偽りの信仰が刃をより鋭く磨き上げ、力を籠めた連撃を手にした大太刀で往なしながら、スルトは教主との距離を取った。
「成程、飾りじゃあないって事ね――ならば」
 迂闊に懐を狙えば槍が突き出される。距離を取り過ぎれば牙十字が飛んで来る。ならば一の太刀ごと封じてしまえばいい――口元を歪ませて呼吸を整えるつかさ。
「歌音、アレを使うわ」
「アレって何さつかさ姉!」
 奴よりも早く、奴よりも強く、奇跡を具現化したこのスルトならば出来ると信じて――ガランと大太刀を地に落とした途端、スルトから真紅の炎が渦巻いて立ち昇る。同時につかさは全てのリミッターを外すべく、祝詞の様な言葉を凛と言い放つ。
「キーワード、M・U・S・C・L・E――マッスル!」
 機械を越え、鬼を越えて出でよ――筋肉の戦士。
 全身の人工筋繊維が肥大化し、溢れるエネルギーが紫電となって磁気嵐を巻き起こす。途端、スルトを拘束していた数多の装甲がバチンと外れ、筋骨隆々の輝くスーパーロボットが暗い地底に顕現した。
「お前にも味わわせてあげるわ……猟兵の恐ろしさをね!」
『己の肉体そのものへの純然たる信仰――純化した思いを力に変えるか、猟兵!』
 唸りを上げて軽やかに宙を舞うスルトが狙うは聖十字槍ただ一つ。牙の十字架は突き立てる事すら敵わず、伸びた穂先ごとスルトが脇に抱えて――圧し折った。
『せ、聖十字槍が……』
「へちょすぎるわそんな棒……今よ歌音!」
「応! 叩き込んでやるぜッ!」
 教主の動きが止まった。否、止められたと言うべきだろう。筋肉の魔神と化した鋼の巨体は最早教主と同等の体躯。槍を離す事も出来ず両腕に力を籠めたまま、それを上回る怪力が教主の動きを完全に封じたのだ。
「CTCS、シンクロ率最大!」
 歌音の叫びと共にシエルの全身から嵐が吹き荒れる。操縦者との同調率を最大に――すなわち、歌音の思いそのものを全てシエルの力に変えて、解き放つ!
「マギステック・リアクター、スロットルマキシマム!」
 続けて紫と紅のオーラが止めどなく溢れ、まるで天に上る滝の様に神々しい光が地底を支配した。変換された力を増幅し、シエルそのものが巨大な魔力の塊となったのだ。これを止める事など、誰にも出来はしない。
「お前に与える慈悲は……無いッ!」
 刹那、歌音の流麗なマシンが稲妻と化した。迎え撃つ牙十字は全て見当違いの相手――シエルを象ったオーラにぶつかり、続々と爆ぜていく。圧倒的な存在感は敵の認識すら歪め、そして虹の魔神が狼狽える教主の眼前へ飛び込んだ。
「茶番は終わりよ、似非坊主」
「オラオラオラオラァッ!!」
 そして空間が破裂した。遅れて聞こえる音と共に放たれるはシエルの怒涛の連撃。直突き、回し蹴り、肘打ち、膝蹴り、裏拳、掌打――まるで機関砲の様な無数のコンビネーションが、教主を侵蝕細胞ごと細切れの肉片へと化す。
「止め……そこぉ!」
「これが本当の信仰よ……!」
 最後、高々と上げたシエルの踵落としとスルトの正拳突きが地面ごと教主を抉り散らす。言葉など無い。言う通り、偽りの信仰は地に堕ちたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キリジ・グッドウィン

自分の意志を消された信仰は殉教ですらねぇ。結局誰もいなくなってるんじゃねぇか
外からきたソイツは神授の賜物とでも言うのか?

……熱い展開は得意じゃねぇが、とにかくアイツはぶっ潰す。残ったキャバリア擬きも助けるんだろ?
無茶をさせるぜ、ルーシィ

RSでの威嚇射撃で好機を伺う
刺突武器は串刺しにしようって時が一番動きが読みやすい、そこを狙っていく

RX-Aのリミッターを解除、爪先からのグラップルで掴み痺れさせてエヴォルグの槍へし折ってやる。手前ェを掲げる為の十字架はもう無いぜ
そのまま顔でも腹でもここ一番の出力でぶん殴ってやる!

生憎信仰にも畏敬にも縁が無くてなァ、こっから先何かを妄信するつもりもねぇ!


陽向・理玖


変身状態維持

つーかよく分かんねぇけど
信仰って押し付けるもんじゃねぇよな?
ましてやあんな風に理不尽に使う為に
いや…狂信ってそんなもんか?

神とか見飽きてるしやっぱ分かんねぇ
けどほっといちゃいけねぇ事だけはよく分かる
行こうぜ相棒

残像纏いダッシュで間合い詰めUC
直前で加速
衝撃波フェイントにグラップル
拳で殴る

どうせ追われるなら離れんのも面倒だ
槍振り回されるより俺の間合いの方がやりやすいしな
そのまま自身の間合いで攻防
槍は予備動作見切り寸前で腕で武器受けしジャストガード
薄くオーラの膜で防御し聖水弾く
加速しカウンター
ハイキックで吹き飛ばし
追い打ちし蹴りの乱れ撃ち

俺の信じるモノは
俺自身と仲間だ
疑う余地はねぇな



●ジェノサイド・キラー
 肉の粒と化した教主はされど、未だ戦意を失ってはいない。それは戦う意思を凌駕した生存本能か――グチャグチャになった浸食細胞が蠢いて、人の形を取らんと影を伸ばす。
『そうだ……信仰は絶えず。奇跡はここに有る……』
 忌々しい言葉を吐きながら教主は元の形へ戻った。しかし最初の神々しさは最早無い。そこにあるのは、ひたすらに生きようとするだけの肉の塊。
「つーかよく分かんねぇけど、信仰って押し付けるもんじゃねぇよな?」
「自分の意志を消された信仰は殉教ですらねぇ。結局誰もいなくなってるんじゃねぇか」
 その悍ましい姿を見て、陽向・理玖(夏疾風・f22773)とキリジ・グッドウィン(レプリカントの量産型キャバリア・f31149)が言い放つ。片や生き方を歪められた強化人間、片や生き様を歪めたレプリカント。相反する様で似通った二人は、マシンの拳を握りしめ巨悪に敢然と立ち向かう。
『神に仇為す愚か者めが……まだ諦めぬというのか』
「バカ野郎。外からきたソイツは神授の賜物とでも言うのか?」
「いや……狂信ってそんなもんか?」
 嘲る様に言い放つキリジと理玖。何が真実かなど見てもいない教主という肉の塊には、最早何を言っても無駄だろう……だから。
「神とか見飽きてるしやっぱ分かんねぇ」
「凄ぇカムアウトだな。ま、世界はここだけじゃねえしな」
 言いながら滑らかな手つきでコンソールを叩くキリジ。リミッター解除/コンバットモーション選択/マニューバCCP1セットアップ――やるべき事はやり切った。傍らの理玖のスタークドラゴンを流し見て、口元をニヤリと歪ませる。
「ああ。それと――ほっといちゃいけねぇ事だけはよく分かる」
「……熱い展開は得意じゃねぇが、とにかくアイツはぶっ潰す。残ったキャバリア擬きも助けるんだろ?」
 拳を打ち付け、虹色の炎が空を灼く。ドラゴンのジェネレータはいつになく快調――まるで理玖の闘志が乗り移ったかの様に、青い装甲が鈍く輝いた。
「そうさ。じゃあ行こうぜ、相棒」
「了解。無茶をさせるぜ、ルーシィ」
 ターゲットは一つ。生存者も可能な限り救助して、全てを終わらせて見せる。
『ならば、その思いごと小火の内に消しておかねばな』
「生憎信仰にも畏敬にも縁が無くてなァ、こっから先何かを妄信するつもりもねぇ!」
「俺の信じるモノは俺自身と仲間だ――何も疑う余地はねぇな!」
 そして、鋼が火花を散らして疾駆した。眼前の巨悪を討つ為に。

『舐めるなよ小僧ども……遅い』
 しわがれた声と共に聖十字槍から飛沫が放たれる。二人の戦意を削ぐべく精神汚染兵器のナノマシンを散布して、距離を取って様子を伺う教主。
「そんな棒切れでどうにか出来ると思うなよ、ジジィ!」
 間合いを取って牽制のライフルを撃ちつつ隙を伺うキリジ。幸い牙十字の回復まで手が回っていない――今ならば距離を取って叩く絶好の機会。
『この聖なる槍を棒切れとは、不遜な輩め――!』
 瞬間、槍を扇風機の様に回転させて教主は突進した。無数の弾丸の尽くを弾き、放たれる飛沫は更に勢いを増す。しかし敵は一人では無い――不意に虹色の輝きが、教主の側面から襲い掛かった。
「どうせ追われるなら離れんのも面倒……だッ!」
『温いわ。横からしゃしゃり出ようなど!』
 ガキン、と金属音が地底に響く。強襲した理玖の飛び蹴りを槍の石突きで受け流し、返す刃を突き立てんと頭上で大きくそれを回す。
『せめて、信仰の素晴らしさを知って……死ね!』
「死なすかよバカめ、それを待っていた!」
 振り下ろされた聖十字槍が貫いたのはドラゴンの残像。槍を振り抜き姿勢を崩した間隙を、GWが突進で突き飛ばす。
「手前ェを掲げる為の十字架はもう無いぜッ!」
 瞬間、最大出力で振るわれたGWの剛腕が猛獣の如き威を持って槍を地面に叩き付ける。マニューバ・クロスレンジ・コンバット――パターン1、レディ!
『死に急ぐか、それで止めたとでも?』
「違ぇよ。こいつはただの捨て鉢なんかじゃねぇッ!!」
「そうさ――死に急ぐのはあんただ」
 Start Up Elimination――ドラゴンが更に輝いて、虹色の跡が視界を覆う。散布されたナノマシンは気を張り巡らせて無効化。これで零距離になっても怖くはない!
「出力最大ッ! 行け、ルーシィ!」
「ターゲットロック――落ちろ!」
 槍を握ったままの拳に力を籠めて、GWが全力のアッパーカットで教主を宙に飛ばす。それと重ねる様に、宙を舞うドラゴンが赤熱化した跳び蹴りを何度も、何度も、何度も喰らわせて。まるで工事現場の杭打機に叩き付けられたかの様に、無数の巨大な暴力の跡が教主の身体に刻み込まれた。刹那の連携、落下するまでの数秒に放たれた連続蹴りは、教主を再び地の底へ埋め潰した。
「ハァ……どうだい?」
「奴は沈黙。あと微弱な生命反応を検知。棺桶から生存者を引きずり出すか」
 教主は何も語れず。偽りの信仰を終わらせんが為に戦士は再び戦場を駆ける。
 それこそ己が信じるモノ――仲間との誓いだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フェイルシア・インパーサ
アドリブ,連携はお任せします(してもしなくてもOKですわ)


神を言い訳に罪無き人々を糧とするならば
最早ここに信仰は在らず。
貴方の掲げる祝福を私とガミザーヌは否定します

【対応:WIZ】
神教記第三章5節を唱えるタイミングで咎流しの曼珠沙華を発動し
無防備になったところにガミザーヌの全質量を込めて「重量攻撃」を叩き込みます

事故が起こらないように予め猟兵達と認識を合わせておきましょうか
使用するタイミングとしては追いつめて屍を盾にする時や、
こちらの攻撃が止まったところに総攻撃を仕掛けようとする時ですかね

―――貴方の信仰は私達が否定します


鏡島・嵐
出力1000%とか、無茶すんなぁヘルムのおっさん……! いやまあ、それくらい強ぇ相手なんはわかってるけどさ!

それにしても……信じる心は力になるっていうけど、そういう利用の仕方はなんか違ぇだろ!
こういう奴が居るから、戦うんは怖ぇってのにさ……!
ともかく、やるしかねえか……!

《笛吹き男の凱歌》で味方を強化。ヘルムのおっさんも無茶してるし、主に耐久面でなんとか支えねーとな。
おれ自身も皆を〈鼓舞〉したり、タイミングを合わせて〈援護射撃〉で支援したり。隙をついて〈武器改造〉したスリングショットで、〈野生の勘〉で見出した弱点っぽい所を突いて攻撃。時に〈フェイント〉も混ぜたりして、相手を攪乱する。



●赤き嵐
 それでも、巨大な人の手が地の底より這い出る。何度でも、何度でも……浸食細胞が強化した妄執は、最早本来の在り方など忘れさせて、教主だったモノを悍ましい何かへと変貌させた。
『神……神の国を……今こそ』
「神を言い訳に罪無き人々を糧とするならば、最早ここに信仰は在らず」
 這い上がった教主を見下ろす影――紅色のキャバリア『ガミザーヌ』とフェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)は、凛とした、そして冷たい声音で言葉を続けた。
「貴方の掲げる祝福を私とガミザーヌは否定します」
『否定……神の、言葉をか…………!?』
 その断絶の言葉に声を詰まらせる教主。対話すら無い。聞く耳も無い。それは昔の話だ。力無き頃のかつての私だ。だが今は……違う。
『やってみろ……出来るものならばッ!』
 悍ましい混沌色の巨人が吼えると共に、最後の戦いが幕を上げた。

「出力1000%とか、無茶すんなぁヘルムのおっさん……!」
『おっさんじゃねえ! これでも三十路だ!』
 僅かに離れた場所から様子を伺う鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)とヘルムのマカイザー。先程から教主を守る様に湧き出るキャバリア擬き――どれもが残骸に等しいゾンビめいた徒党を相手に、何とか活路を切り開こうと奮戦していた。
「ハハッ! いやまあ、それくらい強ぇ相手なんはわかってるけどさ!」
『ライトニングアバランチ! クソ……まだまだ湧いてくるってか……!』
 マカイザーの頭部から突き出た一対の角が青白い雷光をキャバリア擬きの群れに浴びせる。動力を焼き切って動けぬ様に――その度、教主の悍ましい祈りが再び残骸と化した彼等に力を与え続ける。まるで信じるモノは救われると言わんばかりに。
「それにしても……信じる心は力になるっていうけど、そういう利用の仕方はなんか違ぇだろ!」
 再生した装甲と駆動部が唸りを上げて、再び嵐をマカイザーを追い立てる。罪なき彼等に手を下したくはない。だがここにいる限り、その力は、心は教主に利用され続けるのだ。ならば、と。意を決しマカイザーの前へ躍り出る嵐。
「ともかく、やるしかねえか……!」
 手にしたブルースハープを奏でる嵐。その背後に力ある道化師のヴィジョンが顕現する。嵐の音色に合わせて道化師が手にしたヴァイオリンを掻き鳴らせば、超常の奇跡が傷だらけのマカイザーに新たな力を齎した。
『出力が、回復した! いやそれ以上だ!』
 音と共に、光と共に、鋼の魔神は蘇った威力を振るい、教主への道を切り開く。地を裂く閃光が視界を覆い、断崖の様にキャバリア擬きは左右に分かたれた。
『それでも、我が教義を否定するには足りぬ――!』
 刹那、悍ましい声が地底に響く。三度、引っくり返り動作を止めたキャバリア擬きが再び活力を取り戻し、まるで昆虫の群れの様に続々とマカイザーの方へと進軍を始めた――その時。
「動力変換完了、AMARYLLIS開放……」
 地面が、血の様な赤に覆われた。一面に咲き誇る曼殊沙華の花――彼岸に裂くおどろおどろしい植物が大波の様にうねり、蠢く数多の残骸を飲み込んでいく。
『一体、何を!?』
 それはフェイルシアの超常――『咎流しの曼珠沙華』は、全域の呪いめいた悪しき力の尽くを無力化する。静かに揺れる彼岸花の群れは、あたかも歌う様に波打って全ての行ける死者を永遠の眠りへと誘った。
「眠りなさい、美しい夢の中で」
 本来ならば、彼等はもう戦う必要など無い。これ以上を望むべくも無い――それを、信仰という免罪符で意のままに操って、己が欲の為に業を科す教主――そのような行いを、生命への冒涜を、フェイルシアとガミザーヌは――先立つものから願いを託された二人の戦士は、絶対に許さない。
「今だ、おっさん!」
『おっさんじゃねえ! サイキックトルネードッ!』
 道は開かれた。道化師の掻き鳴らす超常の調べに乗って、マカイザーの動力は限界を超えた力を発揮する。ラジエターめいた口腔部から念動の竜巻が放たれて、紫電と共に悍ましい教主の五体を空中に封じ込めた。
「がら空きだぜ、なあ!」
 すかさず特製のスリングショットを放つ嵐。逃がしはしない――教主の両目を潰す様に放たれた必殺の礫が視界を奪い、その間隙を駆け抜けるガミザーヌ。
「――貴方の信仰は私達が否定します」
 一閃。魔術回路が光を帯びて、超重の一撃が――ガミザーヌの『ルーンキャバリア』が教主を壁へと打ち付ける。途端、亀裂と共に裂けた大地に教主だった肉塊は飲み込まれる。
「そうさ……こういう奴が居るから、戦うんは怖ぇってのにさ……!」
 普通に生きる事まで怖くなったら、何を信じればいい。
 だからおれは戦うんだ――当たり前を守る為に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

箒星・仄々

未来は命が作り出すもの
その命を貶め食い潰そうとするとは
正にオブリビオンですね

海へ還し
内部の囚われの方をお救いしましょう

三度B.O.S.Sの摩擦係数操作
機動や回避運動
敵攻撃を受け流すボディで立ち回りながら
ツル弾で射撃
上手く追い詰められるといいですけれど

立ち向かう心に満ちるのは
疑心なんてとんでもない
過去の化身への怒りと憐れみです

槍の一撃に対しては
更に破魔の力をボディに付与し
つるっと受け流し
そのまま槍の柄を掴んでUC発動

聖水放射機構を作動不良にしつつ
更に装甲や武装、部品をバラバラ落としたり
転んだり墜落して頂きます

終幕
鎮魂の調べ
Oマシンさんの安らかと
囚われていた方の回復を願います


サブリナ・カッツェン
●SPD

…とうとう直らねぇまま、ここまで来ちまったな
『固定武装はない、頼みの綱だった音声認識装置もダメとなった。白旗でもあげるか?』
そうしてぇけど、まだ手段はあンだろ
猟兵ならではの力…UCってのがよ

ちっ、頭の中に奴の屁理屈がガンガン響きやがる
…そのキャバリアでは役不足だぁ?
へっ、馬鹿言うんじゃねぇ
コイツは確かにポンコツだ
だけどよぉ、ポンコツにはポンコツなりの意地ってもんがあるんだよ!
コイツの取り柄は馬鹿力の【怪力】だ
だが、殴ろうにもリーチも機動性も足りねぇ…ンなら、こうだ!
UCの魔改造で腕を際限なく伸ばし、伸びた腕で【グラップル】だ
コマのように回転して振り回し、遠心力をかけてぶん投げてやらぁ!



●スクラップ・ファイト
「……とうとう直らねぇまま、ここまで来ちまったな」
『固定武装はない、頼みの綱だった音声認識装置もダメとなった。白旗でもあげるか?』
 サブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)は溜め息を吐いて、無駄に広いコクピットをころころと転がるタマロイド『MK』に愚痴る。愛機たるアイリーゼが呼び出せれば、もう少しまともな戦いが出来たのに。しかし戦いは未だ終わらず、敵は動いている。見れば瓦礫より這い出た不定形の塊が、徐々に人型の形を取り戻しつつあったのだ。
「そうしてぇけど、まだ手段はあンだろ」
 故に、やらねばならぬ。十全ではなかろうと手を止める訳にはいかないのだ。ずらりと雑多なスイッチと計器が並ぶコンソールを流し見て、サブリナはニヤリと口元を歪ませた。
「猟兵ならではの力……ユーベルコードってのがよ」

「未来は命が作り出すもの。その命を貶め食い潰そうとするとは、正にオブリビオンですね」
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はB.O.S.Sの手に持った機関砲で立ち向かいながら、ありったけの思いをぶつける。しかし摩擦係数を操作した速射は肉の身に飲み込まれ、決定打を欠いている状態だった。内側から爆発しようにも、その傍から再生されてしまう……それでも、と、仄々は起死回生の時を狙い、機体を加速させ立ち回りを続ける。
「海へ還し、内部の囚われの方をお救いしましょう」
『笑わせる。我は神の身となった』
 救うなど、救われるなどとうに終えた事だ――散布された洗脳用ナノマシンがB.O.S.Sを取り囲み、剥き出しの吸気系が成す術も無くそれを吸い込む。
『救われているのだ、既に。そして……』
 心に渦巻く怒りが徐々に薄れていく。元より戦いを望む性根では無い――それでも、過去の化身への怒りと憐れみでこの場に立っている。聖十字槍の一撃をかろうじで避けながら、ずぶずぶと大波の様に姿を変える教主の悍ましい声を聞いて、仄々は歯を食いしばった。間合いがあれば、舐めなければ発動しないユーベルコードは届かない。故に避けながら反撃の瞬間を狙う他無いのだ。
『役不足の貴様らには、ご退場願おう』
「……このキャバリアでは役不足だぁ?」
 高らかに排除を宣う教主。それに応える様もう一機のB.O.S.Sが戦場へのっそりと姿を現わした。サブリナのB.O.S.Sだ。脱出を試みてそこかしこから部品が飛び出し、なにもされていないのに何かされたような出で立ち。だが、その眼に滾る闘志は些かの衰えも無い。
「へっ、馬鹿言うんじゃねぇ。コイツは確かにポンコツだ――だけどよぉ」
 サブリナが叫ぶと共に、ボスの両腕が大きくうねる。蛇腹状の関節が規格外の動きを――まるで蛸の脚の様にぐにゃりと伸びて、土煙を上げてどたどたと走り始めたのだ。
「ポンコツにはポンコツなりの意地ってもんがあるんだよ!」
 仮説コンソールには『DX』の文字が。サブリナのユーベルコードが起こした奇跡は、気合いで動くこのマシンに超常の神秘の力を与えたのだ。むせるようなタバコの煙がコクピットに充満する。百年の戦いの味――神にも屈しない戦士の味だ。灰に吸い込んだ戦場の匂いを思い切り吐き出せば、呼応したB.O.S.Sが凄まじい量の煙を戦場に充満させる。
『馬鹿め、自ら機体を壊すつもりか!』
「元よりスクラップよ。しぶとさだけにゃあ定評があるんでね!」
 突き出された聖十字槍を脇腹に受け、そのまま前進。一つや二つ部品が欠けようと止まらないのがコイツの良い所だ。元より当てにならない部品がざっと沢山ある――その程度で止まる訳がない。
『二段返しだ! 畳みかけるぞ、サブ!』
 敵は捕らえた。グンと伸びた腕が教主の顔面と大腿を挟み込む様に掴んで、途端、猛烈な勢いでサブリナのB.O.S.Sが回転を始める!
「あらよっとぉ! こいつでトドメだァッ!」
 まるで竜巻の様に勢いよく回り始めたB.O.S.Sに教主は面食らう。逃れようにもB.O.S.Sの両腕を引き剥がす事も叶わず、洗脳用のナノマシンは煙草に汚され効果も半減。何よりこの回転が思考を掻き乱す――慣性制御も何も無いこの肉体に、純粋な肉弾戦はそもそも不向きなのだ。ましてや中身が一流の格闘家でも無く、ただの宗教家では尚更の事。
「DXゴールデンアバランチダイナミックスペシャル改ィィィィィィ!!!!!!」
『噛まずに言えたな! やったな!』
『なん……だと……!?!?!?』
 そして、爆音と共に教主は彼方へ投げ飛ばされる。外壁にぶつかり、瓦礫がその肉体を飲み込んだ。最早、戦場も満身創痍――天に燃える青き炎が逃れる事を許さず、無数の猟兵のマシンは未だ健在。そしてこれ以上、地底に深くは無い。
「せめて、魂だけでも」
 この下は正真正銘の地獄だ。
 だから、せめてもの救いをと黒猫の旋律が戦場に響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
【ガルヴォルン】

上から目線の『神』なんて、面倒なだけだから、お帰り願おう。

先生の弾すら飲み込む……。
でも先生の弾を飲むなんて命知らずだね。

「リリー先生、ありがと! ならこちらも奥の手、かな」
相手は『神』だし、全力でいかないと失礼だよね。

「アミシア【B.C.L】使うよ」
『了解。ロック解除します』

B.O.S.Sで撃てるかはわからないけど、
気合の機体だっていうし、なんとかなるかな。

『錫華、ジェネレータ上限。出力が足りません』
「限界の向こう側を、見せてみなさい!」

【気合い】を込めてアクセルを踏み込み、
出力アップして、気合の一射。

『神』の癒やしより、リリー先生の治療だったね。
それが現実ってところかな。


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
●【ガルヴォルン】
※愛機搭乗&別称推奨

御高説痛み入るよ…
でも『災害救援』で疲れたし説教よりブドウ糖がいいな
後、生憎アタシは無宗教さ…救えるだけ救ったけどね

だから『神』でも遠慮なく銃撃っ
お、弾が飲まれる?浸食細胞製の生体モデルか…
錫華さん、アレは実体兵器に強いかもっ

でも敢えて『緑の弾』で狙撃
多分コイツも細胞が浸食するけど
実はソレ【ハート・ブレイカー】さ

強毒性励起中の特殊粒子を封入した結晶弾が
ナカで癒着したら装甲も喰うナノマシン起動
後はゾンビみたくグズグズだよ♪
時間制限?さあ?余さず喰ってるしね

アンタの弄ぶモノが何だったか、少し体験するといいよ
『神』の癖してアタシ達の救命に全く及ばないし(ククッ)



●システム・オブ・ア・ダウン
『終わりでは無い……始まりなのだ……』
 ぐらりと、肉片が寄り集まって人の形を取る。幾度となく抗い、敗れ、されどまた立ち上がるその姿は殉教者の如し。
『天に召されるのではない。全てを一つに……そこには不安も恐怖も無い』
 声と共に残骸が――キャバリア擬きが一斉に立ち上がる。教主が与えた力。偽りの救済と汚された魂が、現世を飲み込む津波と化して迫り来る。
『何故に、そこまで否定する。この救済を』
 最早教主は、浸食細胞に生かされ、洗脳を持って眷属を増やすだけのシステムと化していた。オブリビオンマシンが与えた力は思想ごと世界を歪めんと、その威力をまざまざと見せつけた。
「御高説痛み入るよ……でも『災害救援』で疲れたし説教よりブドウ糖がいいな」
 炸裂する爆光の中、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)が静かに宣う。その表情に普段のおどける姿は無い。モニタに刻々と表示される環境変化を精査して、これまでの戦いから奴を倒す最後の一手を探しながら、リーゼロッテは言葉を繋いだ。
「後、生憎アタシは無宗教さ……救えるだけ救ったけどね」
「うん。上から目線の『神』なんて、面倒なだけだから、お帰り願おう」
 その一手の選択と共に、傍らの支倉・錫華(Gambenero・f29951)が続く。搭乗しているB.O.S.Sも満身創痍。スクラップの寄せ集めたるこの機体でよく持ったものだと感心しながら、リーゼロッテのナインスを守る様にその前に立つ。
「リリー先生、準備は良い?」
「問題無い……それじゃあ最後のオペを始めようか!」
 瞬間、ナインスの対物ライフルが火を噴いた。殺到するキャバリア擬きをB.O.S.Sが捻じ伏せて、僅かに開かれた活路を飛翔した弾はされど、教主の身体にぐにゃりと飲み込まれた。
「お、弾が飲まれる? 浸食細胞製の生体モデル……厄介ね」
 信管が作動する前に取り込まれたナインスの弾頭。体表へのダメージは認められず……だが、そうなる事は先の戦いで分かり切っていた。
「先生の弾すら飲み込む……命知らずだね」
「錫華さん、アレは実体兵器に強いかもっ」
 ワイヤーハーケンのトラップが鋼の津波を押し退けて現在位置をキープ。分析通り、実体弾は喰らわれる……それが何を齎すかも知らずに、貪食の浸食細胞はその有り様をまざまざと見せつけた。故に、やるべき事は決まった。
「リリー先生、ありがと! ならこちらも奥の手、かな」
 迎撃の弾幕を張りながら後退するナインスを見やり、錫華はB.O.S.Sの得物を変える。背負った特大の煙突じみた巨砲――『ベクトル・コントロール・ランチャー』を腰だめに構えて、その照準に教主の姿をしっかりと納める。
「アミシア、B.C.L使うよ」
『了解。ロック解除します』
 これで終わりにする。固い決意と共に、錫華は巨大な影をゆっくり見上げた。

『無駄だ。現世の力のみで私を裁く事など、誰も出来はしない』
「本当にそうかな?」
 最早教主は動けないのか、残存するキャバリア擬きがそれを守る様に鋼を打ち鳴らして猟兵へ殺到する。しかし仲間は健在、それを上回る圧倒的な威力が続々と群がるキャバリア擬きを押し返す。可能な限り生命を奪わぬ様に、あるいはこれ以上悲劇を齎さぬ様に――爆音が遅れて響き、僅かにそれが途切れた刹那、リーゼロッテは低い声音で教主へ告げる。
「アンタの弄ぶモノが何だったか、少し体験するといいよ」
『何を……これは!?』
 瞬間、教主の身体が内側からぼとぼとと崩れる。再生しようと寄り集まる肉片が、まるで水と油の様に弾かれて、細切れの粒となって地面に落ちていった。
「所詮、生物なら――浸食細胞だろうが何だろうが、必ず殺せる」
 先の弾丸――リリー先生特製の『ハート・ブレイカー』は分解特化ナノマシンを封入した特殊粒子の結晶体。炸裂すれば生命を喰らう猛毒が全身に溶け込んで、生あるモノならば立っている事すら敵わない。
「後はゾンビみたくグズグズだよ……と」
 全身を震わせて悲痛な音を漏らす教主の中から、不意に漆黒の結晶体が姿を現わした。これまでの戦いでは観測されなかった不明な物体――それは教主の、浸食細胞の神経そのもの。分散していたそれ――細胞を制御するナノマシン製の生体コアが寄り集まり、遂にその姿を現わしたのだ。
「臓器すら囮、つまり……アレがコアよ、錫華さん!」
 教主の意志が結集し崩れ落ちる肉の身から逃れようとしているのだろう。浸食細胞の肉体がリーゼロッテの猛毒で崩れようと、精神を封じ込めた生体コアは無事。毒の効果が無くなるまで逃げ切ればやり直せる――だがそれを見逃す程甘くはない。
『錫華、ジェネレータ上限。出力が足りません』
 赤色灯とアラートの中、パートナーAIのアミシアが悲鳴を上げる。元より承知――それでも、このマシンの可能性はそんなものじゃ無い。強くアクセルを踏み込んで錫華が叫ぶ。
「限界の向こう側を、見せてみなさい!」
 周囲の残敵は他の猟兵達が食い止めてくれている。リリー先生のとっておきが発動している今、叩かねば後はない……だからこそ、迸る火線の向こうに浮かぶそれを睨みつけ、錫華は思いを込めてトリガーを引き絞った。
「全部見えてるのよ、これで終わりだってね!」
 B.O.S.Sのメインカメラに亀裂が入る。モニタが歪み、当てに出来るのは直前に見えた勝利への道筋のみ。瞬間、構えたB.C.Lのマズルから極太の光条が解き放たれて、教主だった黒いコアが成す術も無く飲み込まれた。
『そうだ……これで終わりだ……!』
 僅かでもその威を削ごうと殺到するキャバリア擬きを、マカイザーが決死の抵抗で食い止める。空より青い炎が稲妻となって、地底に蠢く有象無象を切り伏せる。真紅の暴君が無数の火器を開放して鮮やかな火球を紡ぎ出す。鋼の騎士が二人を守らんと割って入れば、輝けるマシンが頭上よりそれを援護して、鋼の徒党が防波堤の様に見事な陣で攻勢を集中させれば、高らかに鳴る勝利への凱歌が戦場を包み込む。無数の意志は誰一人語る事無く、誰一人駆ける事無く、神を騙るオブリビオンを叩かんと全ての力を結集した。それは偽りの教義には無い、生ける人の意志の力。
「ナノマシンの分解まで3、2、1――システムダウン! やったよ、錫華さん!」
 迎撃しつつモニタリングを続けていたリーゼロッテが叫ぶ。ハート・ブレイカーの効果終了ギリギリ、錫華の分子分解砲が教主のコアを完全に消滅させたのを見届けるのと同時に、暴れ回るキャバリア擬きが一斉にその動きを止めた。
「やった、のね……はぁ」
 火花を放つコンソールを眺めて特大の溜め息を吐いた錫華。間に合ったのだ。これ以上は本当に、マシンが持たなかったかもしれない。
「『神』の癖してアタシ達の救命に全く及ばないし」
「『神』の癒やしより、リリー先生の治療だったね」
 示し合わせたかの様に声を合わせ、二人はクスリと笑った。
 頭上には陽の光が僅かに差していた。
 暗澹たる地底を照らす、地上の光が。

『で、ドワーオとしてはオブイエへ続けて査察の必要があるという判断だ』
「知らないわよ。アタシ達の仕事はここまで。後はお好きに」
 くたびれた表情でヘルムに返すリーゼロッテ。同盟国家間の厄介事は猟兵の領分では無い。あくまでオブリビオンマシンの殲滅が目的だ。そしてあのコア――消滅の寸前に見えた望遠映像では、道化の様な紋が刻まれていた。
(前に見た奴と一緒――まさかね)
 錫華がB.O.S.Sから降りて、満身創痍の機体を眺める。
 よく戦ってくれた……ご苦労さん。心でマシンを労いつつ辺りを見れば、生き残れたキャバリア擬きの搭乗者が続々と装甲列車へ投降していた。
 この戦いが終わっても、戦争は未だ続く。
 それは果たして、いつになれば終わるのだろうか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年04月01日


挿絵イラスト