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羅針盤戦争〜海へ叫ぶ想いの熱(バレンタイン仕様

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #メロディア・グリード #季節もの #S23E28 #情熱の島 #コンキスタドール

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●それでもなお、残るもの
 異世界から落ちてきた様々な個性的な島が海に浮かぶ世界『グリードオーシャン 』。
 この世界に落ちてきた大地の一部……『島』は、落下時の衝撃で多くの文明が失われてしまっている――。

 ……ここはカラフルな廃墟が転がる『情熱の島』。
 この島には遥か昔からある、不思議な発電装置によって電力が保たれていた。
 そんな島の周囲の海がじんわりと染まり甘い香りが広がっていく……。

「この辺りで良いでしょう……この海域でさらなる増殖を行い、十分な数を以て猟兵へ一斉攻撃をしかける……これが私の成すべき事」
 現れたのは『スイート・メロディア』。
 七大海嘯である『桜花』の『メロディア・グリード』が放った、残滓達だ。
 スイート・メロディアはチョコレートと化した海から、ポコリポコリと増えてその数を増していく……。
「私たちの本体たるメロディア・グリードは言いました。私を娶い姫君とした、あの男、カルロスを死なせる訳にはいきませんと。あの男を想っての事では無く、飽くまでも利害関係として……」
 そう言いながらも、『スイート・メロディア』はなかなか固まらない自身の体を見下ろした。
「……其れにしてもこの暑さは何なのでしょう。いくら私達が残滓とはいえ、炎や日光の影響を受ける事などありますまい……いいえ」
 『スイート・メロディア』は首を振ると成すべき事を思い直す。
「今はあの男の生存のために猟兵たちを叩くのが先。モタモタしては、奴らのグリモアに先を取られてしまう……」

●増殖する残滓の脅威
「――果たして想っておるのか、そうでないのか。心の内は言の葉にしなければ解らんものよな」
 グリモア猟兵の夕月・那由多(f21742)は生命を与えた創造物による人形劇で状況を説明すると、最後にそう言った。
 那由多は海を演出していたチョコクリームの塊をボウルへ戻すと、今回の戦場の説明を開始する。

「さて……此度の敵は『桜花』から切り離されし残滓……『スイート・メロディア』となる。こやつチョコや飴で出来ておって耐久力は、まあ低い」
 そう言いながら、那由多はボウルの中身に生命を与えた。
 すると、ポコポコリと人型のチョコレートが生まれては整列していく。
「じゃが『攻撃力は大海嘯たちと同格』。つまり一斉に攻撃されるとめちゃくちゃヤバいのじゃ」
 やがてチョコ人形は鉄甲船の模型にたどり着き、そして、メキョリと船を破壊する。
「こんな火力の大群が揃ってしまえばいくらなんでも不味い。故に、こやつらが『数をそろえる前に』近くの島から先手攻撃を行うんじゃが……」
 ここで那由多は、島の模型を指した。
「ここ、キマヒュの島みたいなんじゃ」

●あっ、こんな所に都合のいい装置が!!
 那由多は島の説明を進めた。
「この島は落下の衝撃でコンコンなど大半のものが壊れて機能しておらん。じゃが、どういう訳か『気持ちの高ぶりを吸収して熱に変える装置』があり、今も海水を沸騰させてタービンを回す装置として動いている様じゃ」
 その装置が『不思議な熱』を常に生み出しているためこの島は常夏のように暖かいらしい。
「コンコンが壊れる前になんか出来たんじゃろうな……この装置、謎のテクノロジーで動いておって、この場の『スイート・メロディア』たちは火や熱に耐性をつけているにも関わらずこの熱の影響を受けておる」
 ……なんて都合のいい装置なのだろう。
「そしてこの島にはまだカメラや配信の装置も生きており、住民のキマイラたちは『恋物語』に飢えておる……」
 そして、なんて都合のいい文明の残り具合なのだろう。
 つまり――。
「『海に向かって想いを叫んで』みれば、その様子が島中に中継されてイイネが集まるが如く海水温が上がってブクブク海が沸騰! 敵にダメージを与えるじゃろう。ついでに攻撃もしたら効果は倍増じゃな」

 説明を終えた那由多は袖口から小さな鳥居を取り出した。
「さて、予知できた内容はこんなもんじゃ。準備ができたら飛び込むが良い。わらわは転移のため同行できぬ故、ここでお主らの吉報を心待ちにしておるぞ」
 それはみるみる大きくなり猟兵を転移させるための門となる……これをくぐれば目的の世界に着くだろう――。


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 二週間ほど休みをいただきました。ここからまた、いつもの週ごとに執筆するペースで再開していきます。ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。


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 プレイングボーナス……一斉攻撃を受ける前に、可能な限り多くの「増殖する私の残滓達」を倒す。
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 プレイングボーナスその2……海に向かって想いを叫ぶ(恋に関するものだと効果が大幅アップ)。
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 二つ目はこのシナリオ独自のバレンタイン仕様のボーナスです。

●お得情報
 この依頼は特に連携の指定が無ければ、一人ずつ順番に入れ替わりながら戦う描写になる予定です。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
 よろしくお願いいたします。

●依頼について
 都合により、リプレイの受付は02/14(日) 10:00までとなります。
 断章はありません。

 6人以内なら02/14(日)中に完結します。
 また、キャパシティの都合により、採用は最大でも10人ほどになる予定です。
 『書きやすそうなプレイングから採用する』ためプレイングは不採用になる場合がありますことをご了承ください。
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第1章 集団戦 『増殖する私の残滓『スイート・メロディア』』

POW   :    スイート・エンブレイス
【甘い香りと共に抱きしめること】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    キャンディ・ラプソディ
【肉体を切り離して作った毒入りキャンディ】を給仕している間、戦場にいる肉体を切り離して作った毒入りキャンディを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    チョコレート・ローズ
対象の攻撃を軽減する【融解体】に変身しつつ、【毒を帯びた薔薇の花型チョコレート】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:hina

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『情熱の島』の戦い
 チョコで満ちた海。
 異様なほどに甘い香りの源は、七大海嘯『桜花』が放った残滓の『スイート・メロディア』……。
 このメロディアの大攻勢を防ぐために猟兵たちは鉄甲船に乗り『情熱の島』へ降り立った。

 炎や熱に耐性のあるメロディアに何故か効く謎のテクノロジー装置『気持ちの高ぶりを吸収して熱に変える装置』。
 この装置を活用するため、それぞれの思いを胸に浜辺に立つ。
 ……浜辺にカメラ付きのドローンが浮遊している。
 カメラの向こうでは、島の住民たちが海の異変と共に現れた猟兵たちが何をするのかと興味津々に見守っていた。
 海水温が徐々に上がっていく――。
栗花落・澪
愛…愛はいいとして…
何故全公開されなければならないのか(倒すためです
うぅ…もう、やるよぉ!
こ…恋人の話、しましゅ…

僕は正直愛とか恋とかよくわかんなかったけど
救われたあの日から
ただ役に立ちたいって想いが段々物足りなくなって
僕の料理で喜んでほしい、頭を撫でてほしい
名前を呼んでほしい、ずっと側にいてほしい…
それをあの人は叶えてくれたから
だから…だから僕は…
ッ……貴方の事が、大好きですううぅぅ!!
(必死な涙目の【誘惑】もろとも全公開)

もうっ!あんた達のせいだからね!
【高速詠唱】で【破魔】を乗せた光魔法の【属性攻撃】後
召喚した破魔の鳥でメロディア達を一斉攻撃
毒薔薇も全部溶かしちゃうもん
ばかばかー!!(照



●世界が変化した日
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は小さな後悔を抱えて浜辺に立っていた。
(愛……愛はいいとして……何故全公開されなければならないのかな)
 ここに来る前は、熱い想いに浮かされていた気がする。
 けれど海で甘いそよ風で徐々に冷静になり島中に中継されている事を意識し始めた澪は、いまは照れと恥ずかしさに包まれていた。

 けれどこうしている間にも、『スイート・メロディア』は数を増やしているのだ。
 いち早く先手を取らなければ。
 意を決した澪はちいさな拳をぎゅっと握って――。
「うぅ……もう、やるよぉ! こ……恋人の話、しましゅ……」
 ――顔を真っ赤にした。

「僕は正直愛とか恋とかよくわかんなかったけど」
「救われたあの日から、ただ役に立ちたいって想いが段々物足りなくなって」

 救われたあの日――澪の世界はその日から変わった。
 澪は、自分の中で彼の存在感が大きくなっていったことを語る。
 ちょっとずつして欲しいことが増えていったことを話す。
 積み重なっていく、小さな願い。
 けれどたくさんの、小さな願い。

「――それをあの人は叶えてくれたから」

 とても恥ずかしいけれど。この思いに嘘は無い。
 必死な涙目を浮かべながらも、澪は真っ直ぐと前を見て、声をはり叫ぶために息を吸う。
 そこに、ほんのひと匙の『倒すためだから』という理由を添えて。
「だから……だから僕は……」
「ッ……貴方の事が、大好きですううぅぅ!!」

 チョコの海がぐらぐらと沸騰して『スイート・メロディア』が解けた。
 そこに続けて光の魔法が撃ち込まれる。
「もうっ! あんた達のせいだからね!」
 恥ずかしさが最高潮に達した澪は、続けて召喚した破魔の炎の鳥で『スイート・メロディア』に追撃を加えていく。
「毒薔薇も全部溶かしちゃうもん! ばかばかー!!」

 恋の熱で崩れた『スイート・メロディア』は、増殖を上回る崩壊によって数を減らし始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィエン・バハムート
正気で言っておられます!?

とりあえず【先制攻撃】で爆鳴気炎を【範囲攻撃】でぶっぱなしますわ!
敵は増殖するようですが私の攻撃も増殖する!特殊な爆鳴気が爆発する際に生じる【衝撃波】で吹き飛ばせるだけ吹き飛ばしてやりますわ!

…敵が少しでも溶けてた方が効きますわよねこの攻撃…うーあー…もうっ!!

今は捨てた故郷で向かいの家に住んでたゴンズイの深海人のシャオロンくーん!!
あなたのこと!実はちょっと気になってたアルー!
故郷を飛び出す日に引き止めてもらったこと、忘れないアルーっ!
でも、私は夢に生きることを選んだアル…選んだんですのーっ!
さようならーっ!!

はぁ…はぁ…乙女の決別した過去を弄り回して満足ですの!?



●だから、さよなら
 船を降りて浜辺に到着し、ドローンのカメラが浮遊する常夏の如き海でチョコの潮風を受けながら。
 ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)は二度目となる台詞を言った。
「正気で言っておられます!?」

 一度目はグリモアベースで説明を聞いたとき。
 二度目は浜辺に到着して聞いた説明が現実味を帯びてきた、今この時。

 つまり海に向かって想いを叫ぶ(特に恋の想い)ことで『スイート・メロディア』が死ぬということに対してである!

 しかし来てしまったからには言わねばならない。
 何故なら、この海域に現れた妙に炎や熱に耐性のあるメロディアに対して、何故か効く謎のテクノロジー装置『気持ちの高ぶりを吸収して熱に変える装置』をフル回転させるために。
 浜辺を飛ぶカメラ付きのドローンによって島中に中継されて住民たちの熱狂を生み出すために!

「……敵が少しでも溶けてた方が効きますわよね」
 ニィエンはとりあえずユーベルコードによる特殊爆鳴気炎をぶっ放してみた。
 それは無限に増殖する特殊な炎。だが……まだ敵の増殖速度の方が上回っていそうだ。
「……うーあー……もうっ!!」
 やるしかないと覚悟を決めたニィエンは深く息を吸う。

「故郷で向かいの家に住んでたゴンズイの深海人のシャオロンくーん!!」
「あなたのこと!実はちょっと気になってたアルー! 故郷を飛び出す日に引き止めてもらったこと、忘れないアルーっ!」

 それはもう帰らないと決めた故郷。
 今は捨てた生まれ育った場所。
 彼が引き留めた時、それはニィエンにとって人生の分岐点だったかもしれない。
 あるいはよくある初恋として途中で終わる恋だったかもしれない。
 それでも――。

「でも、私は夢に生きることを選んだアル……選んだんですのーっ! さようならーっ!!」
 それでも。
 ニィエンは故郷を出たことを選んだのだ。
 もしも彼がニィエンと共に故郷を捨てることを選択したなら或いは――。

 けれどそうはならなかった。
 だから、『さよなら』。

 チョコレートの海がぐらぐらと沸騰してまとめて『スイート・メロディア』を溶かしていく。
 そんな海面を、再び特殊爆鳴気炎が迸った。
「はぁ……はぁ……乙女の決別した過去を弄り回して満足ですの!?」
 竜王を称する乙女の炎が『スイート・メロディア』の群れに止めを刺していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
えくるん(f07720)と参加

わたしのえくるんがこんなに可愛い!
可愛いって言うと帰ってくるリアクションがとっても可愛い!
照れてるえくるんもやっぱり可愛い!
でもでも時々見せるナイトのようなえくるんがとってもカッコいい!
辛い時とか、悲しい時とか、大変な時に支えてくれて、励ましてくれて、包み込んでくれるような優しさのえくるんが大好き!
えくるんと一緒に暮らせる毎日がとっても幸せ!

これからもずっと一緒にいられたら、嬉しいな……♪

【果実変性・ウィッシーズラブ】を発動。
アマービレでねこさんをたくさん呼んだら【多重詠唱】【全力魔法】【一斉発射】、更に展開したセプテットとオラトリオも【乱れ撃ち】して【蹂躙】を。


七那原・エクル
七那原・望と参加

できる限りチョコの軍勢を減らします。

数で攻めてくるならこっちだって数で勝負だっ!

敵との距離に注意しつつ

射程範囲内全ての「増殖する私の残滓達」を対象にユーベルコードで召喚した火砲兵器で攻撃。大火力の兵器で一斉攻撃後、討ち漏らした残敵は小回りの効く兵器で掃討、このルーチンを繰り返して迎撃します

望の愛の言葉は、言われた当人からするとめっちゃ恥ずかしいけど、ボクはその想いに応えなくちゃいけない!望のことを想うボクのこの気持ちは本当だからっ!いつも献身的に尽くしてくれてありがとう♪その小さな身体から向けられる沢山の愛にボクはいつも助けられているよ♪そんな望がボクはずっと大好きです!



●確かな気持ち
 チョコレートの波が打ち寄せる浜辺で手をつなぎ合う二人。
 七那原・エクル(ツインズキャスト・f07720)と、七那原・望(封印されし果実・f04836)は一見すると姉妹の様にも見えるけれど。
 二人は互いに好き合っており交際をしている。
 望はぎゅっとエクルの手を握っていた。
 視覚が封じられ視覚以外の五感で生活する望にとって、相手の存在を感じるのに肌のぬくもりは欠かせないだろう。
 手から伝わる熱が、汗が、そして望の聞き耳が捉える鼓動の音が、隣の想い人の照れを感じさせる。
 その照れの理由は、決してこの浜辺のデートだけが理由ではない。
「えくるん、じゃあはじめるのー」

 なぜならば。これから、えくるんの素晴らしさを発表するのだから。
 この島のすべての住民と、ついでに『スイート・メロディア』へ!!
 望はすぅと息を吸うと、一気に想いを吐き出した!
「わたしのえくるんがこんなに可愛い!」
 すると、照れた手がきゅっと握り返してくる。
 望は続けた。
「可愛いって言うと返ってくるリアクションがとっても可愛い! 照れてるえくるんもやっぱり可愛い! でもでも時々見せるナイトのようなえくるんがとってもカッコいいのー!」
 隣の鼓動が大きくなるのが聞こえる。
 ものすごく、恥ずかしがっているのが解る。
 けれど、望はエクルがちゃんと受け止めてくれるであろうと知っている。
「辛い時とか、悲しい時とか、大変な時に支えてくれて、励ましてくれて、包み込んでくれるような優しさのえくるんが大好きなの! えくるんと一緒に暮らせる毎日がとっても幸せなのー!」
 想いを一気に吐き出した望は、呼吸を整えてほほ笑んだ。

 どんなに世界でも、例えそこが残酷だとしても。
 望は確かな『愛』を知っているから。

●応える気持ち
 海は早くもふつふつと煮え始め、広範囲の『スイート・メロディア』を溶かし始めていた。
 望の言葉が、島の住民たちを沸かせ『気持ちの高ぶりを吸収して熱に変える装置』をフル稼働させているのだろう。

 エクルは恥ずかしさに心臓をバクバクさせながら、望の言葉を最後まで聞いた。
(望の愛の言葉は、言われた当人からするとめっちゃ恥ずかしいけど……)
 耳の良い望の事だから、カメラ付きドローンにも気づいているだろう。
 その上で胸を張って愛を言い切った、その想いに。
(……ボクはその想いに応えなくちゃいけない!)
「望のことを想うボクのこの気持ちは本当だからっ!」
 エクルも想いを語った。
 隣の小さな身体を見失わないように、けれど傷つけてしまわない様に。
「いつも献身的に尽くしてくれてありがとう♪ その小さな身体から向けられる沢山の愛にボクはいつも助けられているよ♪」
 照れていることもきっとお見通しなんだろうなと思いながら。どんな脅威や絶望が来ても、それを打ち砕いて護っていきたいと願いながら。
「そんな望がボクはずっと大好きです!」

 チョコの海の温度が上がっていく。
 増殖を優先する『スイート・メロディア』が、攻撃に転じる前に。
 反撃される前にできる限りチョコの軍勢を減らすために。
「いこう、望」
「はい、なのー♪」
 エクルがユーベルコードで対ウォーマシン用の大型火砲兵器を構えると、同時に望も鈴の付いた白いタクトを掲げた。
「数で攻めてくるならこっちだって数で勝負だっ!」

 溶けかけの『スイート・メロディア』へエクルの一斉射撃が降り注ぐ。
 横殴りの嵐のような弾丸の、その隙間を望が召喚した魔法猫が飛翔して確実に止めを刺していく。
 つづけて、小回りの利く兵器や、エクルベージュ色の影、自律して宙を舞う銃による追撃も始まった。

 チョコレートの海を包む愛の熱に溶かされてまともに増殖できない『スイート・メロディア』は、二人の火砲にすり潰されてその群れの数を減らしていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
【花狼】
想い、それも恋の話をすればいいのね?

恋といっても、わたくしが生まれた場所は
未だ吸血鬼に支配された闇の世界
故郷も家族も既になく、猟兵として戦いに身を投じた後も
吸血鬼たちの仕掛ける卑劣な罠に、何度も心を苛まれもしたわ
その道行きは決して楽しいことばかりではなかったけれど……

それでもヴォルフがいてくれたから
今もわたくしはこうして生きて行ける
どんな悪意も乗り越えて、さやけき星の如く輝く希望を信じて
世の幸いを願い立ち向かうが出来るのです

祈りと共に歌うは【涙の日】
死せる魂を慰めて
絶望と悲哀を洗い流して
そして愛する喜びを分かち合う

全ての善き人々の未来に
光あれ


ヴォルフガング・エアレーザー
【花狼】
恋物語か……正面切って語るのも照れ臭いが、必要とあらば

生まれた時から独りだった
実の両親は死んだのか、捨てられたのかも分からない
幼い頃は狼に育てられ、群れと離れ人として暮らし始めた後は
傭兵として戦場を駆ける日々

追われるヘルガを救った時から、俺の人生は変わった
花や歌の美しさを、人を癒す優しい心を知った

ヘルガを手酷く痛めつけられ、彼女の理想を踏み躙られた時は
烈火の如く怒りもした
それでも、この胸の奥には彼女のくれた暖かな灯火があるから

胸の「フェオの徴」に帯びる熱を感じ
【守護騎士の誓い】を抱いて
気合いと覚悟を込め、この剣で敵軍をなぎ払う

これからも俺は守り続ける
彼女と、彼女の愛した世界を……!



●蒼と白の出会い
 甘い香りが満ちる砂浜。
 本来であればこの島も美しく透き通った海だったのだろう。
 寄せては返すチョコレートの波が独特な雰囲気を放っているが、それが却ってヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)の白い姿を浮き立たせている。
 その白い雪の様な姿に寄り添うのはヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)。

「この辺りか……」
 ヴォルフガングはそう呟くと、足を止めた。
 増殖していく『スイート・メロディア』は随時殲滅されてはいるが、なるべく散って対応した方が良いだろうとヴォルフガングは考えていた。
 そのためのポイントを探して、二人はしばらく浜辺を歩いていたのだ。
 これは物心ついた頃から戦場にいたヴォルフガングの勘でもある。
 周囲に人影は無く、二人しかいない。
 海へ視線を向ければ遥か遠くに増殖に集中する『スイート・メロディア』も見えるが、それは織り込み済みだ。
 もしも、『スイート・メロディア』がこちらに気付き攻撃を仕掛けてきたとしても――。
「ヘルガは俺が守り抜く」
 ヴォルフガングは自身の『守護騎士の誓い』を言葉にするのだった。

 そんなヴォルフガングの背中を指先でそっと触れ、ヘルガは今回の作戦の要を開始する。
「想い、それも恋の話をすればいいのね?」
 この海域に現れた炎や熱に耐性のあるメロディアに対して有効打となる、謎のテクノロジー装置を稼働させるために、この島の住民たちに恋の話をするのだ。
 目を閉じれば今もなお浮かぶ苦難と希望。
 ――あの日々をそのまま語りましょう。

「恋といっても、わたくしが生まれた場所は、未だ吸血鬼に支配された闇の世界……」
 故郷を滅ぼされた事。
 その際にヴォルフガングと出会い、守られたこと。
 この出会いの際にヴォルフガングが受けた傷をヘルガが奇跡で癒して、そこから二人で旅路を歩んでいくことになる。
「――吸血鬼たちの仕掛ける卑劣な罠に、何度も心を苛まれもしたわ。その道行きは決して楽しいことばかりではなかったけれど……」

 ヘルガは二人の物語を語っていく。

●分かち合う暖かさ
 ヘルガは、ヴォルフガングの背中を見つめた。
 海上の『スイート・メロディア』が向かってきても対処できるようにと身構えるヴォルフガングの、その力強さに幾度助けられただろう。
「それでもヴォルフがいてくれたから、今もわたくしはこうして生きて行ける。どんな悪意も乗り越えて、さやけき星の如く輝く希望を信じて……」
 ヘルガは指先の指輪を撫でた……それは災厄を退け幸運を願う魔力が込められた、ヴォルフガングとペアの水晶の指輪。
「……希望を信じて、世の幸いを願い立ち向かうが出来るのです」

 この物語に心を打たれた住民たちの気持ちの高ぶりがチョコの海の温度を上げていく。
 続けてヴォルフガングも、ヘルガの想いに応えるように自らの想いを話した。
「恋物語か……正面切って語るのも照れ臭いが、必要とあらば」
 余り饒舌ではないが、しかしその言葉には誠実さが見られる。そんな語り口だった。
「生まれた時から独りだった。実の両親は死んだのか、捨てられたのかも分からない」
 幼い頃は狼に育てられたこと。
 やがて人として暮らし始めたが、常に戦場に身を置いていたこと。
 そこに仲間はあれど、死が近く弱いものは生き残れない世界であった。

 そしてヘルガとの出会い。
「――追われるヘルガを救った時から、俺の人生は変わった」
 血と戦いに塗れたヴォルフガングの人生に、花や歌の美しさが増えた。
 人を癒す優しい心を知った。
 ヘルガと出会ったことで知ったそれらは、ヴォルフガングの胸で暖かな灯火になっている。
 その暖かさはヴォルフガングにとってかけがえの無いものだ。
 もしもヘルガが手酷く痛めつけられたらヴォルフガングは烈火の如く怒るだろう。
 しかし、もしヴォルフガングが我を忘れてもこの暖かな灯火が、彼を繋ぎ止めるに違いない。

 ヘルガはヴォルフガングに寄り添うと歌を歌った。
 祈りと共に歌う静謐なる聖歌が光を放つ――。
 その裁きの光は愛の熱で煮える海に溶けゆく『スイート・メロディア』を消し去っていった。

 死せる魂を慰めて。
 絶望と悲哀を洗い流して。
 そして愛する喜びを分かち合う。
 全ての善き人々の未来に。
 光あれ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 こうして増殖する『桜花』の残滓の脅威がひとつ退けられた。

 『七大海嘯』の拠点も次第に見つかっており、羅針盤戦争は佳境に入りつつある……。
 しかし猟兵たちに残された時間もあまり多くは無い。
 この世界が『侵略形態』へ回帰がする前に、オブリビオン・フォーミュラであり『王笏』であるカルロス・グリードを止めるべく猟兵たちの激しい戦いは続く。

最終結果:成功

完成日:2021年02月15日


挿絵イラスト