羅針盤戦争〜救済者の試金石
●一の王笏島
闇夜が支配する世界。
それがダークセイヴァーである。ならば、『一の王笏島』は謂わば擬似的な世界であったことだろう。
視界を遮る黒い霧は島全土を覆い、陽の光すら通さぬ。
それはダークセイヴァー世界を知る者であれば、知っている。
陽の光差さぬ世界。
隷属だけが生きる事のできる世界。吸血鬼が統べる世界である。
「来るか、猟兵。我が島へ。ならば応えようではないか。この『一の王笏』たる我が。お前たちを迎え撃とう。加減を期待するな。我は我の全力を持って、貴様らを葬りさろう」
『一の王笏』カルロス・グリードは黒い霧の中で、その身に宿した紋章を輝かせる。
それは猟兵達が開放した島で戦ったカルロス・グリードの分身体が身につけていた寄生虫型のオブリビオン、紋章のそれではなかった。
今まで見たことのない紋章。
その胸に輝くのは『飢える狼の紋章』、『略奪者の紋章』、『凍影竜の紋章』であった。
「掛け値なし、我が紋章の力を持って、王たる我がな!」
黒い霧は視界を覆い続けている。
謂わば、この島はグリードオーシャンでありながら、ダークセイヴァーと同じ環境であるのだ。
故に猟兵達は苦しめられるだろう。
闇夜に紛れて必ず先制してくるオブリビオン・フォーミュラ、カルロス・グリードの強大なるユーベルコードに。
だが、それでも征かねばならぬ。
何故なら――。
●羅針盤戦争
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。遂に、『一の王笏島』が発見されました。この島はオブリビオン・フォーミュラであるカルロス・グリード、その『一の王笏』の本拠地。この島を制圧することによって、この羅針盤戦争の最大の目的の一角に手を伸ばす事ができるのです」
ナイアルテの瞳は輝いていた。
羅針盤戦争は七大海嘯との戦いや、コンキスタドールに掛けられた賞金など、猟兵たちにとっては長く険しい戦いになっている。
だからこそ、この羅針盤戦争における最大の目標に一歩前進したことが喜ばしいのだ。
「すでに一度戦われた方もいらっしゃるかと思われますが、『一の王笏』はダークセイヴァーの力を具現化しています。ですが、以前現れた分身体が持っていた紋章、寄生虫型オブリビオンとは異なる新たな紋章でパワーアップしています」
その力は言うまでもなく、分身体の比ではない。
さらに悪いことに、この島は視界を遮る『黒い霧』で覆われており、ダークセイヴァー世界と同じように暗夜に包まれているのだ。
故にナイアルテは注意を促す。
「オブリビオン・フォーミュラは言うまでもなく強大なオブリビオンです。故に皆さんに必ず先制してユーベルコードを放ってくるでしょう。さらに視界不良。この黒い霧はカルロス・グリードにとっては何の制約も齎しません」
けれど、猟兵達はもう知っているはずだ。
ダークセイヴァー世界。
陽の光届かぬ世界での戦いを経験したものもいるだろう。出身世界である者だっているだろう。
ならばこそ、ナイアルテはうなずく。
「これらの制限を乗り越えて、『一の王笏』を撃破してください。私はみなさんならば出来ると信じています」
ナイアルテは力強い瞳の輝きで持って猟兵たちを見つめる。
強大な敵であることは重々承知している。さらには視界を遮る黒霧。けれど、そんなものなど物ともしないと、集まった猟兵達が、それらさえも踏破することができると信じている。
何故なら――。
「そう、これは試金石です。未だオブリビオンから開放されぬ世界、ダークセイヴァー。その世界を救えるかどうか。この『一の王笏』を打倒できなければ、ダークセイヴァーを救うことなどできはしないでしょう」
だからこそ、ナイアルテは送り出す。
いつか必ずと信じる者たちを信じる。
戦いに挑む者たちがいる。例え、強大な敵を前にしても怯まぬ心を持つ者たちがいる。それを知るからこそ、彼女は猟兵たちの背を見守り続けることができるのだから――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『羅針盤戦争』の戦争シナリオとなります。
視界を覆う黒い霧に包まれた『一の王笏』の本拠地へと攻め込み、『一の王笏』カルロス・グリードを打倒するシナリオになります。
オブリビオン・フォーミュラであるカルロス・グリードのこれまで現れた分身体とは違い、さらなる紋章の強化でもって凄まじい難敵となるでしょう。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと「黒い霧」に対処する。
それでは、羅針盤戦争を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』
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POW : 餓える狼の紋章
【紋章の力】を使用する事で、【身体のあちこちに牙を思わせる鋭い角棘】を生やした、自身の身長の3倍の【黒狼】に変身する。
SPD : 略奪者の紋章
【筋力を奪う爪】【速さを奪う爪】【意志の力を奪う爪】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 凍影竜の紋章
戦闘用の、自身と同じ強さの【触れる者を凍てつかせる氷の身体のドラゴン】と【影に潜み精神を喰らう黒影のドラゴン】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
果報は寝て待て、つまり食材探しは待つ事も大事☆
おいでおいで♪
事前に「肉体改造」で自身に再生力強化を付与!
敵の角棘を受けたらすぐに再生して、角棘が抜けなくなるようにするよ!
「オーラ防御」も組み合わせて角棘を受ける場所を誘導!
角棘が抜けなくなれば、敵はこちらから離れられなくなるハズ!
「カウンター」として『シェフスカリバー』を突きさしてUC【猫の手も肉肉しい万能包丁】を発動☆
後はどうあがこうが敵は自動的に調理されて「料理」されちゃうね♪
勝利の暁には狼肉で宴会だよ♪
紋章の力とは、ダークセイヴァー世界に存在する寄生虫型オブリビオンが齎す超絶為る強化である。
紋章を持つオブリビオンは、通常のオブリビオンすらも一撃のもとに鏖殺せしめる力を持つ。それ故に強大な存在、オブリビオン・フォーミュラが紋章の力を使うというのであれば、それが『一の王笏』、カルロス・グリードの分身体であったのだとしても、より絶望的なまでの存在へとなることは言うまでもなかった。
「我の本拠地まで到達するとはな。コンキスタドールの名が泣く……だが、此れ以上はやらせん」
カルロス・グリードの身体が黒い霧で視界を阻害された島の中を駆ける。
その姿は身体のあちこちから鋭い棘角を生やした黒狼であった。
このダークセイヴァーを思わせる島において、その黒狼の姿は見えざる敵と言っていいだろう。
それこそが餓える狼の紋章の力である。
鋭い爪、鋭角なる棘角、さらには闇夜に紛れる姿。
そのどれもが猟兵にとって脅威であることは言うまでもない。
「果報は寝て待て、つまり食材探しは待つことも大事☆」
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は暗闇に包まれた視界がほぼ遮られた『一の王笏』の本拠地に在りて、落ち着いていた。
彼女にとってあらゆる者が食材である。
故に対するオブリビオン・フォーミュラの分身体である『一の王笏』であったとしても彼女の瞳に映る世界は変わらない。
視界は遮られているが、彼女にとってそれは不利にはならなかった。
彼女のゲル状の身体。
それらはすでに再生能力を強化されている。
「おいでおいで♪」
まるで挑発するようにラヴィラヴァは手にしたナイフとフォークを揺らす。
如何に彼女がラスボスであろうとも、カルロス・グリードが変じた黒狼の棘角の一撃は防ぐことはできなかった。
「招かれたのならば……いや、王たる我を招くのならば、質を用意するのだな!」
カルロス・グリードの変じた黒狼の棘角が瞬間、ラヴィラヴァのゲル状の身体を貫く。
「ぐっ……でも、誘導されたでしょ」
そう、あちらからはこちらが見えている。
だが、こちらからはあちらが見えてない。ならば、敢えて自身の死角を作り出すことに寄って、視える者、即ちカルロス・グリードの攻撃を誘導したのだ。
「お前の身体は貫いた。その余裕がどこまで……何?」
棘角が抜けない。
何故、と考えるより疾くカルロス・グリードの黒狼の身体が跳ねた。棘角の一部を即座に切り離して離脱する。
だが、それよりも早いのはラヴィラヴァのユーベルコードに輝く瞳だった。
ここでカルロス・グリードを逃してしまえば、二度とこの手は通じない。敢えて自身の死角を作り、攻撃を誘導し、同時に再生能力を強化したことによって棘角を抜けなくしたのだ。
「聖剣シェフスカリバー! ちょっと手が離せないから猫の手オートで調理するよ☆」
放たれるはあらゆる食材……ラヴィラヴァが食材と認識したものを真っ二つに出来る包丁っぽい聖剣が黒狼へと振り下ろされる。
黒狼となったカルロス・グリードにとって、その一撃は不可避ではなかったけれど、それでも棘角を自切する僅かな隙があった。
「我を食材というか!」
「うん、そうだよ。みんなみんな食材だよ。美味しくなぁれってね!」
猫の手も肉肉しい万能包丁(ラ・クトー・デ・ラ・ヴィアンド)。
それこそがラヴィラヴァの持つユーベルコードである。突き刺さって抜けなくなった聖剣シェフスカリバーが黒狼となったカルロス・グリードの毛皮を、爪を、骨をと削ぎ落とさんと自動的に調理し始める。
それは恐るべき自動調理。
ラヴィラヴァにとってオブリビオン・フォーミュラですら食材でしかない。故に彼女のユーベルコードは、『飢える狼の紋章』の力すらもカルロス・グリードから引き剥がすように、圧倒的な速度で彼を調理という名の斬撃を強化された力を削ぎ落としていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
宮落・ライア
黒い霧ねー。まぁダークセイヴァーの解放の試金石なら…やらないとね。
ところで素のカルロスってどのくらいの強さなんだろうな。
さて、黒い霧で視界不良なら視覚はいらないから目を閉じる。
その他の感覚と野生の勘に集中。
巨大であれば、それだけ空気が動くのだからわかりやすい。
あとは……片腕喰わせてその目ん玉に刃を突き込むだけだ。
魔獣殺しは慣れっこだぜ。
噛みつかないならそれはそれで、鋭い角棘って引っ掛かりやすそうだな?
存分に引っ掛かってやるぞ?
そんでもって根元からへし抜いてやるぞ?
『飢える狼の紋章』が輝く。
それまで暗闇と言っていいほどの視界が一瞬であるが明滅していた。猟兵がオブリビオン・フォーミュラである『一の王笏』カルロス・グリードの分身体を捉えた瞬間であった。
一度は解除された紋章の力であったが、再び黒狼の姿となったカルロス・グリードは闇夜の中を駆ける。
その姿は確かにダークセイヴァー世界を疾駆する強力なる存在であったことだろう。
彼の瞳にはしっかりと猟兵達の姿が見えていた。
彼の姿は猟兵達からは見ることはできない。けれど、逆はそうではないのだ。この島を覆う黒い霧。それは視界を阻害するものであるが、カルロス・グリードはそうではないのだ。
「我の紋章の力を解除するか……だが、それでも我の優位は覆らぬ。猟兵よ。我が牙の前に倒れ伏すがいい!」
俊敏なる黒狼が黒い霧の中を疾駆する。
「黒い霧ねー。まぁダークセイヴァーの開放の試金石なら……やらないとね」
宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は瞳を閉じた。
視界を阻害されるというのならば、視覚は捨てる。
その潔さは、一瞬の判断が必要とされる場面では重要なことであった。即断即決。その一瞬が運命を決める時だってある。
それが今だ。
カルロス・グリードのオブリビオン・フォーミュラとしての力がどれだけの強さであるのかをライアは知らない。
知ったところでどうなるわけでもないことは彼女自身が一番よく理解していたことだろう。
己の身に宿る野生の勘、そして視覚以外の感覚を研ぎ澄ます。
聴覚が巨大な獣が駆ける音を拾う。
触覚が風を斬って空気を押し出してくる重圧を教えてくれる。
「巨大であれば、それだけ空気が動くのだからわかりやすい……!」
ライアは己の感覚を頼りに、己の頭から巨大なる顎が迫るのを認識した。わかっている。それは絶命の一撃であることは。
だからこそ、ライアは己の腕を犠牲にしてでも、カルロス・グリードの動きを止めるのだ。
叩き込んだ拳が黒狼の口腔へとすっぽりと収まり、牙が彼女の肩口へと突き立てられる。
「――ッ!」
そのうめき声は果たしてどちらのものであったことだろうか。
ライアは笑った。
笑っていた。
「魔獣殺しは慣れっこだぜ」
そう、慣れている。肩から噴出する血も、痛みも。だからこそ、ライアは黒狼の体中に生えた棘角を掴み、ひねるように握力を込める。
「鋭い棘角って引っかかりやすそうだな? 存分に引っかかってやるぞ? そんでもって――」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
己の拳は、己がもつ最小にして最短なる武器である。故にライアのユーベルコードは、剣刃一閃の如く振るわれ、黒狼に生えた棘角をねじり切るようにひねり上げるのだ。
「――う、お、お、き、貴様……! 我が玉体に……!」
「根本からへし抜いてやるぞ?」
ライアの渾身の力を込めた怪力が黒狼の棘角を一気に引き抜く。それは黒狼の身体から血を噴出させ、黒い霧の中にカルロス・グリードの絶叫と共に迸るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
俺はダークセイヴァーの出身で
世界に選ばれ猟兵になり
世界のために戦うのが使命だと思っている
だから
「一の王笏を打倒できなければ、救うことなどできはしない」
なんて言われたら行くしかないよ
出身地の性質上、暗視はある程度できるけど
問題なく動けるとは過信せず慎重に行動
魔力を高めオーラを発生させ攻撃に備える
神経を集中させて迫る敵の気配から攻撃方向を予測
接近してきた敵から一撃を喰らったらオーラで衝撃を抑え
更に激痛耐性で耐えてなんとしても身体を動かし
両手で玉桂の小刀を敵に突き刺して捉える
引き抜かれる前にUC解放・紫を発動、刃をその身に食いこませてやる
続けて小刀から手を放し暗夜の剣を抜き
同じ箇所を狙い斬り続けよう
黒い霧の中を黒狼が疾駆する。
その胸に輝く紋章は『飢えた狼の紋章』である。この黒い霧が覆う島において視界が確保できるのはオブリビオン・フォーミュラである『一の王笏』カルロス・グリードだけである。
彼はオブリビオン・フォーミュラとしての分身体の一つに過ぎないが、それでも有り余る力を持って猟兵を迎え撃つ。
「なるほどな。猟兵はこの闇の中であっても、我の姿を捉えるか。視覚以外で……同時に視覚を奪われても尚反撃を狙っている。言う成れば後の先……それを狙うか、猟兵!」
カルロス・グリードは即座に理解した。
この黒狼の姿での襲撃は二度。
二人の猟兵を襲って、己が負った傷は深くはない。けれど、彼らのユーベルコードが確実に己の身体を消耗へと追いやっていることは真実だ。
認めなければならない。
彼らは奪われるだけの存在ではないのだと。
「故に、我はお前たちを侵略する!」
黒狼が黒い霧の中を疾駆し、その瞳でもって新たなる猟兵を捉える。
「俺は……」
サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は小さく呟いた。
彼はダークセイヴァー世界の出身の猟兵である。
世界に選ばれた戦士である猟兵。故に、彼は世界のために戦うのが使命だと思っている。
故に、彼には選択肢はなかった。
あっていいわけがなかった。彼の心に芽生えた物は一体なんであっただろうか。
「一の王笏を打倒できなければ、救うことなどできなはしない……なんて言われたら行くしか無いよ」
恐れないのかと問われれば、その答えは否であろう。
誰もが抱える感情を持って、サンディは前に進む。
この黒い霧の包み込む島の雰囲気は確かに彼の出身世界と同じであったことだろう。彼は猟兵となるまで陽の光が降り注ぐ世界を知らなかった。
今、彼を取り巻く暗黒だけが日常だった。
だからこそ、己の瞳が暗きを見通す力を持っているということはわかる。
「黒狼……!」
視界の端で疾駆するカルロス・グリードがユーベルコードによって変じた黒狼の姿を捉える。
あれこそが、このグリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラの分身体。
『一の王笏』と呼ばれる存在であるとサンディは自覚した。
あれを倒す。
怖気が走るほどの重圧は、あの異様なる鋭くも無数に生えた棘角からだろうか。けれど、サンディは己の暗視を過信しなかった。
見え過ぎれば、足元を見失う。
「そこかっ!」
サンディが叫んだ瞬間、彼が張り巡らせた魔力に寄って高められたオーラが黒狼の爪の一撃を防ぐ――いや、防げては居なかった。
オーラの力すらも容易く切り裂く爪の一撃が、彼の眼前に迫る。
その煌き、その鋭さ、どれもがオブリビオン・フォーミュラと呼ぶにふさわしい力だった。まるで絹を裂くように、容易く己のオーラを打ち破ってくる。
これがオブリビオン・フォーミュラである。
だが、サンディは諦めなかった。
爪の一撃が彼の身体を抉る。痛みと鮮血が迸るが、サンディの瞳に合ったのは勝利への渇望だった。
「これくらいどうでもないかな?……なんてね」
傷みが走る。
熱を帯びた傷跡がまるで燃えるようにサンディの神経を焼く。けれど、それでサンディは耐えた。常人であれば傷みでショック死するであろうほどの傷み。
けれど、その両手によって支えられた玉桂の小刀、その黒剣が深々と黒狼へと突き立てられた。
その瞳がユーベルコードに輝く。
突き立てられた黒剣の刀身が黒狼の内部で枝分かれし、さらに釣り針状に変形し、食い込むのだ。
「グ、ぉっ――! 貴様っ、我が玉体に傷を……!」
カルロス・グリードの呻く声が聞こえる。
浅い。
サンディは確信していた。解放・紫(カイホウ・ムラサキ)によって黒剣は黒狼から抜けない。
けれど、枝分かれした刃が食い込んでいたとしても、カルロス・グリードを追い詰めるためにはまだ一手足りない。
即座にサンディは手を離した。
己の武器、己を守るための武器を手放した。捨てたと言ってもいい。何かを得るためには、己の手は空でなければならない。
「救ってみせるさ、俺、できることは精一杯やろうって思っている! だから!」
放つは暗夜の剣。
朱の輝きが黒い霧を切り裂いて、黒狼に突き立てられた黒剣が刻んだ傷跡をさらに深くするように振るわれ、カルロス・グリードの絶叫の如き咆哮が黒霧の中にて響き渡るのだった。
それはサンディが希望と己を生んだ世界を救うという意志でもって為した鋭き一撃であったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
演説は仕舞いか
では退場しろ
戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし掻き消す
無限に超え続けて尚、先は無限と知れ
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
破界で掃討
対象は召喚物含む戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無
高速詠唱を『刻真』で無限加速、『再帰』にて無限に重ね瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成・斉射
それを途切れることなく無限回実行
戦域の空間を魔弾の軌跡で埋め尽くす
創世し最古の理に例外はない
加減など考えただけで消え失せることになるぞ
回避の余地のない飽和攻撃で全て圧殺する
※アドリブ歓迎
猟兵の放った斬撃の一撃が『一の王笏』カルロス・グリードの黒狼へと変貌した姿を切り裂く。
迸る血潮と絶叫が黒き霧に包まれた『一の王笏島』に響き渡る。
「許さぬぞ、猟兵! 我が玉体に傷をつけるだけに飽き足らず、我が血潮すらも流させるか!」
その怒号と共に輝く紋章は凍影竜の紋章であった。
触れるもの全てを凍らせる氷影竜と影に潜む影竜がカルロス・グリードから走る。それは強化されたカルロス・グリードから放たれ、彼が使役する最大の戦力であったことだろう。
「尽くを蹂躙せよ」
王の命を受けて二匹の竜が黒霧の中を走る。
彼らの死角はカルロス・グリードと同じである。この黒霧の中では猟兵達はカルロス・グリードを視認することは出来ない。
巨大な竜が獲物を狙わんと顎をもたげる。
「演説は仕舞か。では退場しろ」
その言葉は、短く響いた。
アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は眼前に凍影竜と影竜が突っ込む。それは触れれば肉体を凍らせ、影より襲う影竜は精神を蝕む。
けれど、それが如何なる存在であったとしても、例え見えなかったのだとしてもアルトリウスにとっては関係がなかったことだろう。
まとう十一の原理を無限に廻し彼に触れようとする顎の尽くをそらすのだ。
「無限に超えて尚、先は無限と知れ」
世界の外側から常時供給されるのだという魔力で持ってユーベルコードが輝く。
「行き止まりだ」
破界(ハカイ)――障害を無視し万象から根源を消去する影響を受けることのない創世の権能が顕す蒼光の魔弾が影の竜を照らし消滅させる。
「俺の精神に影響するものは無視される。影響は皆無」
一歩を踏み出す度に互いの距離は縮まっていく。
姿は見えなくても判る。
気配がするのだ。凍影竜はぐるりととぐろを巻くようにしてアルトリウスを狙う機会を待っていた。
だが、アルトリウスにとって、その時間は永遠にも思える無為なる時間だった。
どのような反撃の手段に出てくるのであろうかという期待もあったのかもしれない。
いや、一欠片とてなかったことだろう。
無限に加速する高速詠唱と無限に重ねた魔弾の生成は天を覆うほどであった。
途切れることなく斉射される魔弾の数々は無限回実行されると言われる。
戦域の空間を魔弾の軌跡で埋め尽くす一撃は、この黒霧のどこに凍影竜がいようとも関係なかった。
「全てが俺の射程だ」
故に、凍影竜の姿は魔弾の軌跡の上にはすでにもう無い。
「創世し最古の理に例外はない。加減など考えただけで消え失せることになるぞ」
降りかかる火の粉は全てが魔弾の飽和攻撃で圧砕してのける。
アルトリウスの目に映るのは未だ黒霧に包まれた世界のみ。
これが猟兵達の救わねばならぬ世界の一つを象るのであるというのならば、それを救わねばならない。
そのために猟兵は在り、世界の悲鳴を聞く者であるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
天御鏡・百々
紋章だけでも大変であるというのに
この黒霧は厄介だな……しかし、手が無いというわけでは無い
先ずは神鏡から放つ浄化の光にて
周囲の視界を確保しつつ2体の竜への牽制の目潰しだ
(浄化、目潰し)
それで怯ませる間に次の行動が間に合えば良いが
そうで無ければ神通力の結界で防御する(オーラ防御、結界術)
そこからは『天鏡破魔光』で黒霧を浄化しつつ視界を切り拓き
闇に潜むカルロス本体を狙うぞ(破魔、浄化)
攻撃を当てることが出来れば、竜は消えるからな
竜が盾になるのであれば、天之浄魔弓の曲射をカルロス本体にお見舞いしてやろう
(誘導弾、スナイパー)
●神鏡のヤドリガミ
●本体の神が髪へのダメージ描写NG
「ほう、我が凍影竜の二体を圧殺せしめる者が在るか」
『一の王笏』カルロス・グリードは驚くわけでもなく、むしろ当然であるというふうに気配の消えた黒影竜と凍影竜を再び紋章の力でもって召喚せしめた。
どれだけ強大な存在であったとしても、そのユーベルコードにはメリットもあればデメリットもある。
事、この『凍影竜の紋章』におけるデメリットとは即ち、カルロス・グリード事態が動けなくなるというものであったが、今は猟兵に寄って消耗させられた力を取り戻すことが先決であった。
「この黒霧に包まれた我が本拠においては猟兵は消耗していくばかり。我は我の財をもって迎え撃つばかり……すでに奴らの恐ろしさは知っている。一人ひとり潰していく。個としての力は我が上であるが、奴らの真の恐ろしさはつなぐ戦いをすることだ」
カルロス・グリードは知っている。
分身体と言えど、己を打倒せしめた猟兵達の真価を。故に侮ることはしない。
黒影の竜と凍影竜が再び紋章から迸るように黒霧の彼方へと消えていく。
戦いの音が黒霧の向こうから響き、同時にカルロス・グリードは目を細めた。
「紋章だけでも大変であるというのに。この黒霧は厄介だな……」
彼の視線の先に居たのは、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)であった。
その幼き姿であれど、彼女が歴戦の猟兵であることは疑いようがない。同時に身に秘めた神聖なる輝きもまた同じである。
視界を遮る黒霧の中にありて、百々は冷静であった。
己の手にした神鏡に宿した浄化の光を放つ。
それは彼女の周辺の視界を確保するだけではなく、凍影竜と黒影の竜の視界を遮るものでもあった。
「しかし、手がないというわけではない。汝ら悪しき竜に浄化の光は眩しいものだろう」
一瞬の隙。
二匹の竜を怯ませるに至る程度の光であったが、それでも時は十分に稼げた。百々が張り巡らせた神通力による結界が彼女を守る。
だが、凍影竜は触れる物を全て凍らせる力を持つ。爪先が結界に触れた瞬間、如何なる力の作用か、その結界事態が凍りついていく。
さらに黒影の竜が影より飛び出し、その凍りついた結界すらも噛み砕くのだ。
「破るか、これを……! だが、時は十分に稼いだ。悪しき者よ、我が破魔の力によりて滅び去るがいい!」
百々の本体たる神鏡がユーベルコードに輝く。
それは妖魔、死霊を浄化する破魔の光であった。迸る浄化の輝きは、先程放った浄化の光とは比べ物にもならぬほどの強烈なる光。
天鏡破魔光(テンキョウハマコウ)と呼ばれる百々がヤドリガミに至るまでに蓄積された人々の信仰と願いが、祈りが彼女自身の力となって悪しき二匹の竜を黒霧ごと浄化し、切り開くのだ。
「――……その神聖なる輝き。なるほど、貴様自身がメガリス、いや、宝物そのものというわけか」
百々の放った光の先にカルロス・グリードが居る。
次の瞬間には黒霧は再び百々の切り拓いた黒霧を塞ぐように元に戻ってしまうだろう。
だが、百々の瞳には確かにカルロス・グリードを捉えていた。
引き絞るように構えた神力を蓄えた光の矢が神弓に番えられる。
「我は人の助けとなり導くことを信条とする者! 何かを侵し、奪うだけも輩に敗ける理由などあるものか!」
放つ光の矢が黒霧を切り裂いて、一直線にカルロス・グリードへと走る。
二匹の竜が既に消えたカルロス・グリードにとって、その矢は躱すことは容易いものであったことだろう。
だが、百々の放つ光の矢は誰かの願いと祈りである。
誰かのためになりますようにと願った無垢なる光は、誰かから理不尽に奪う侵略を旨とする物を逃しはしない。
空中で軌道を変え、光の矢はカルロス・グリードの背面から、その背を撃つのだ。
「がっ……! 我の背後を取る、だと……!?」
「それが神罰と知れ、傲慢なる者にして強欲なる者よ!」
百々は再び光の矢を放ち、追尾する曲射でもってカルロス・グリードを黒霧の中、追い詰めていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
クネウス・ウィギンシティ
※アドリブ&絡み歓迎
「敵確認、戦闘開始」
【WIZ】
●準備
クロムキャバリアに搭乗します。
●UC対抗
「出力臨界、オーバロード開始」
【リミッター解除】で凍らないよう熱を生産し続け、キャバリアの機体中のライトを利用して光ることで周囲の影を減らします。後は機体の装甲で【盾受け】し防御に徹します。
●戦闘
「GEAR:DEUS EX MACHINA。機械仕掛けの神話は今此処に顕現する」
キャバリアの肩のミサイルポッド、熱【誘導弾】にAI・ブースターを追加し、ひたすら連射しミサイル【弾幕】で攻撃します。
「傷さえ与えられれば……」
氷と影に生命としての熱が無ければ、残る熱を発する対象はカルロスのみ。
光の矢による曲射が『一の王笏』カルロス・グリードを黒霧の中襲い続けていた。
それは猟兵が放った誰かの祈りであり、願いが結実したものであった。
この視界を奪う黒霧の中にあて、カルロス・グリードの視界だけが唯一他者を見通す力を持っていたが、迸る閃光が確かに彼の姿を一瞬であるが浮き彫りにしていた。
「敵確認、戦闘開始」
クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)はクロムキャバリア『アルゲス』を駆り、分厚い装甲に守られながら黒霧の向こうに一瞬見えたカルロス・グリードを目指す。
キャバリア『アルゲス』に装備されたライトによって己の周囲の黒霧は霧散するが、それでもなお光源が足りない。
「敵の位置が一瞬でも見えた……他の方が戦っている――!?」
瞬間、クネウスの視界に見えたのは凍影竜の大顎であった。
触れたもの全てを凍結させるカルロス・グリードの持つ紋章の力によって放たれた竜の顎は、『アルゲス』ごとクネウスを飲み込まんと襲いかかるのだ。
回避を、と思った瞬間、『アルゲス』のアンダーフレームに食いつくのは、黒影の竜であった。
足を取られた、とクネウスが悟った瞬間、機体装甲を包み込むのは圧倒的な冷気であった。
どれだけ分厚い装甲に守られていても凍らされてしまえば如何なクロムキャバリアと言えど食い破られてしまう。
だが、クネウスは己の為すべきことを為すのだ。
「出力臨界、オーバーロード開始」
リミッターを瞬時に解除し、己の装甲から伝わる熱で凍結させぬと熱を精算し続けながら、絡みつく黒影の竜を振りほどき装備した盾で打ちのめす。
だが、それだけでは足りない。
この二匹の竜を打倒しなければ、クネウスはカルロス・グリードを捉えることはできない。
視界が塞がれていたのだとしても、この『アルゲス』には熱源センサーがある。この黒霧の中にあってクネウスが猟兵以外の熱源を感知できるのであれば、それこそがカルロス・グリードである。
目の前の竜は生命のようであって生命ではない。
故に、目指す熱源は唯一なのだ。
「GEAR:DEUS EX MACHINA(デウス・エクス・マキナ)。機械仕掛けの神話は今此処に顕現する」
『アルゲス』のアイセンサーが輝く。
それはまさしくユーベルコードの輝きであった。キャバリア用のAI、重力制御ユニット、増設用ブースターが『アルゲス』に搭載され、行く手を阻む凍影竜と黒影竜をひたすらにミサイルの弾幕でもって黙らせるのだ。
ミサイルの弾頭が弾け、爆炎が黒霧の中に立ち込める。
それでもなお、追いすがる凍影竜と黒影竜を鋼鉄の巨人が叩きつける。すでに二匹の竜を呼び出す紋章の力は、これを含めて3回目。
ならばこそ、カルロス・グリードは追い詰められているはずだ。他の猟兵達がソウであったように、カルロス・グリードの力を消耗させている。
「この紋章だけしか未だ使っていないということはないでしょう! ならば、傷さえ与えられれば……!」
鋼鉄の巨人『アルゲス』が戦場となった黒霧の中を駆ける。
追いすがる黒影竜がアンダーフレームの脚部を噛み砕くが、クネウスは構わず前進する。
「来るか、猟兵! 我が竜を退けてでも!」
「声で私を惑わそうとしたとしても!」
クネウスは己のキャバリアを信じた。
どれだけ声のする方角が違ったのだとしても、熱源センサーはカルロス・グリードの存在を捉えていた。
トリガーを引く。
ためらいはなかった。
放たれたミサイルが爆炎を黒霧の中に立ち上がらせ、その炎のゆらめきの向こうに炎に包まれるカルロス・グリードを見た。
「やはり、そこでしたか! 例え、私が仕留められなくても、傷さえ与えれば、私の後に続く猟兵が必ず!」
機体のアンダーフレームが砕かれ、大地に失墜したとしても、再び『アルゲス』は増設されたブースターで飛ぶ。
そう、何度でも飛ぶだろう。
猟兵は個として戦うのではなく、次へとつなぐ戦いによって強大なる者を必ず討つのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…故郷の世界にいる時は考えもしなかったけど、思えば皮肉なものね
…闇を打ち払う為に闘っている私が、
闇の中でこそ本領を発揮するなんて…ね
…だけど、今は有難い。此処ならば太陽の光を気にする必要も無いもの
黒霧の中を動かず気配を探り強化した第六感で敵の殺気を見切り、
闇に紛れた敵の爪撃を"血の翼"を羽ばたかせる早業で空に離脱し、
風の魔力を溜めた暴風で黒霧を吹き飛ばして視界を確保しUCを発動
…来るが良い、カルロス・グリード
お前の全力、この私の全力を以て、断ち斬る…!
超高速の空中戦機動の早業で敵の切り込み、
数多の魂を降霊して強化した大鎌を怪力任せになぎ払い、
同時に限界突破した血の魔力を溜めた"血の斬撃"を放つ
爆炎の向こうに『一の王笏』カルロス・グリードがいる。
それを知ることができたのは、その爆炎を放った猟兵だけであったことだろう。だが、それほどの炎に包まれても尚、カルロス・グリードは笑っていた。
確かに消耗させられている。
だが、それだけだ。
「我を滅ぼすには足りぬ。いや、例え我を滅ぼしたのだとしても、ただ『一の王笏』を滅ぼしただけだ」
そう、オブリビオン・フォーミュラであるカルロス・グリードを滅ぼすためには八つある本拠地全てを制圧せねばならない。
このダークセイヴァー世界と酷似した暗闇を齎す『一の王笏島』において、確実なる視界を有するのはカルロス・グリードのみであった。
だが、暗闇の世界で生きているのが己だけであると思うのは傲慢である。
「……故郷の世界にいる時は考えもしなかったけど、思えば皮肉なものね」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はそう呟いた。
そう、皮肉であった。
彼女が使う業は、全てが吸血鬼を狩るためのもの。
必然、暗闇が支配するダークセイヴァー世界での戦いを考慮に入れての技法ばかりであったことだろう。
故に、この黒霧によって視界を奪われた島においてこそが――。
「……闇を打ち払う為に闘っている私が、闇の中でこそ本領を発揮するなんて……ね」
それは一瞬であった。
リーヴァルディが掲げた大鎌が闇より突如として現れたカルロス・グリードの爪を受け止め、火花を散らしたのだ。
「ほう、我の一撃を受け止めるかよ、猟兵」
「……だけど、今は有り難い。此処ならば太陽の光を気にする必要もないもの」
そう、リーヴァルディはダークセイヴァーにて戦う者。
故に、彼女の視界は常に制限されるものである。彼女は暗闇の中でこそ戦う物であれば、視界に頼らぬ戦いが出来る者である。
殺気。
それは言葉にすれば簡単なものであったが、それを鋭敏に感じ取れるかどうかは別物であった。
一瞬で血の翼を展開したリーヴァルディが空へと離脱する。
あの爪の連撃は正しく紋章の力によるものであった。
「空へ逃げるか! だが――!」
しかし、カルロス・グリードは追撃できない。
風の魔力を込めた暴風でもって黒霧を吹き飛ばさん限り翼を羽ばたかせ、カルロス・グリードを大地に押し止める。
黒霧こそが、この島におけるダークセイヴァーの力の顕現であるというのならば、リーヴァルディは、それが日常の世界で闘ってきた経験こそがある。
「……限定解放。忌まわしき血に狂え、血の寵児」
鮮血の仮面がリーヴァルディの顔を覆う。
吸血鬼としての魔力が身に染み渡っていく。身体が、忌むべき吸血鬼へと変化するのをリーヴァルディは感じただろう。
限定解放・血の寵児(リミテッド・ブラッドアニマ)と呼ばれる所以である。
開放された姿で相対するカルロス・グリードとリーヴァルディ。
二人の視線は黒霧が晴れた一瞬のみ交錯する。
「来るがいい、カルロス・グリード。お前の全力、この私の全力を持って断ち斬る……!」
超高速の空中戦。
それは黒霧の世界にあって、火花散る凄まじい戦いであったことだろう。
対するカルロス・グリードはオブリビオン・フォーミュラ。分身体とはいえ、紋章の強化なしであったとしても凄まじい力を持っていたことだろう。
爪の連撃がリーヴァルディの斬撃とぶつかる度に、魔力の奔流が走るのだ。
「己を吸血鬼化してでも吸血鬼を討つ業か! 面白い! ならばこそ!」
走る爪の一撃がリーヴァルディを大地へと叩きつける。
土煙と黒霧が立ち込める中、リーヴァルディは血の翼を持って鋭い爪の一撃が振り下ろされた大地から空へと舞い戻る。
「限界は超える……! 此処が私の限界だとは認めない。私は――!」
超える。
今此処で超えなければならぬ限界が在る。それをリーヴァルディは知る。数多の魂を降霊させ強化された大鎌を怪力のままに任せて振るう。
血の魔力を籠めた、血の斬撃が三日月のごとく黒霧の世界にきらめいた瞬間、カルロス・グリードを捉え、最後の爪を届かせることなく、大地へと失墜させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ギヨーム・エペー
地元の空気には慣れているけども、濃い霧だな……おれの夜目は精々、冬の夕闇を昼同様に映せるくらいだ
太陽、煙幕への対処を覚えているか? あれの応用だ。黒霧の粒子一つ一つに水を同調させて包み込む。上書きして、大地に落とすんだ
今の形態は狼か? なら鼻先を狙おう
図体がデカくて攻撃範囲も広いが、的が大きいことは利用させて貰わないとなー!
UCは攻撃力を意識して発動する。敵からの攻撃はバイクを利用して、足場習熟とクライミングで回避行動を取ろう
被弾しそうになったらバイクには悪いが、囮にする。射程範囲であればシートからジャンプして更に接近を。カウンターとして、氷槍をぶち込んでやらないとな
紅き三日月の如き斬撃の一撃が『一の王笏』カルロス・グリードをも大地へと失墜させる。
その強烈なる斬撃の一撃を受けても尚、カルロス・グリードは消滅しない。それがオブリビオン・フォーミュラたる事実でしかないことを猟兵達は知るだろう。
この視界が阻害される黒霧の島において、全ての猟兵の動きを把握せしめるのは唯一カルロス・グリードだけであった。
大地に叩き落されたという屈辱も在れど、けれど、カルロス・グリードは己が今何をしなければならないのかを理解していた。
「小賢しい猟兵め……! 我が本拠にて、小細工を弄するか!」
それは何故か。
カルロス・グリードは理解していた。
猟兵、ギヨーム・エペー(Brouillard glace calme・f20226)が何をしようとしているのかを。
「地元の空気には慣れているけれども、濃い霧だな……おれの夜目は精々、冬の夕闇を昼同様に写せるくらいだ……だが、太陽、煙幕への対処を覚えているか? あれの応用だ」
ギヨームは精霊へと語りかける。
その言葉は優しげであったけれど、カルロス・グリードにとっては己のアドバンテージを喪う一手でもあった。
黒霧の粒子一つ一つを水の精霊の力によって同調させ包み込む。そう、上書きして大地に霧の粒子全てを落とすのだ。
「貴様――!」
獣の咆哮がカルロス・グリードの喉から迸った。
黒狼の紋章が輝き、鋭き棘角を幾多も生やした黒狼が、ギヨームの喉元を食いちぎらんと疾駆する。
「おっと、今の形態は狼か?」
ギヨームの視線は確かに落とされた黒霧の彼方から彼めがけて牙をふるおうとする黒狼を見据えていた。
あれが紋章の力。
鋭さと速度、そして圧倒的な力を兼ね備えたカルロス・グリードが変じた黒狼。ならば、とギヨームはその瞳をユーベルコードに輝かせる。
「太陽とともにまわる」
un tournesol(アントゥルヌソル)――それは水の精霊、氷の魔力、火の魔術によって構成されるユーベルコードである。
どれ一つとしても掛けては成せぬユーベルコード。意識するのは力だ。
強大なる敵を打ち据えるための力。
的は大きい。
躱されるかもしれないが、それは己がしっかりと狙えばいいだけの話だ。ギヨームは瞬きすらしなかった。
今尚己を食いちぎらんとする大顎を見ても尚、怯まなかった。
頼むぜ、太陽。
そう呟いた瞬間、ギヨームのユーベルコードが炸裂する。
「オオオ――!」
カルロス・グリードの咆哮が迸る。
3つの力が混ざりあったユーベルコードの一撃は黒狼の身体を焼き、凄まじ衝撃と共に大地へと叩きつけるのだ。
だが、それでは終わらない。
ギヨームは海の上さえ駆けるオフロードバイクを駆り、大地を疾駆する。太陽、水の精霊が為すのは、黒霧を大地に失墜させる力だ。
これを走り回りながら、黒霧を無効化させる。
そうすることで、他の猟兵たちも大いに助けられるはずだ。だからこそ、黒狼はギヨームを執拗に狙う。
「させるものかよ――!」
黒狼の速度は一瞬でオフロードバイクをも抜き去り、正面から鉤爪を振り下ろす。
ギヨームにとっては、それはあまりにも予想外の速度であった。バイクを囮にするように蹴り飛ばして、身を翻さなければ、三枚に下ろされていたのは己であった。
「悪いが――カウンターだ。打ち込むぜ?」
水の精霊の力を借りる。黒霧は無効化できなくなってしまうが、ここでやられるわけには行かない。
それに、今こそがある意味でカルロス・グリードを消耗させられる最大の好機でもあった。
だからこそ、出し惜しみはしない。
極大にまで紡がれた氷の槍が一斉に黒狼を刺し穿ち、その身を盛大に吹き飛ばす。
その一撃を持ってギヨームは己の戦いを、次なる猟兵へとつなぐのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ハロ・シエラ
なるほど、ダークセイヴァーの。
だとすれば、ここで戦っておくのも良いでしょう。
この世界の為にもなりますしね。
視界不良は厄介ですが、私もダークセイヴァーの人間です。
闇の中でも【第六感】で致命傷を避ける事は出来るでしょう。
ましてや相手は巨大な狼、音や振動は感知しやすいはず。
全身の棘や牙は近接攻撃。
やられても【激痛耐性】で耐え、動けさえすれば構いません。
【カウンター】のユーベルコードで一撃入れ、すぐに離脱するとします。
こちらの武器も巨大化できます。
敵もじっとしてはいないでしょうが、攻撃のショックですぐには追い縋れなくても【気合い】を込めて剣を振るう事さえ出来れば、当てる事くらいは出来るはずです。
『一の王笏島』を包み込む黒霧が一瞬晴れたと思った瞬間、再びそれらは力を取り戻したように再び島全土を覆う。
それが猟兵の一人によってもたらされた好機であり、他の猟兵たちにとっては今何処で戦いが起こっているのかを認識させるには十分なものであった。
氷の槍が黒狼へと姿を変じた『一の王笏』カルロス・グリードを穿つ。
血が噴き出し、滴り落ちながらも再び視界を阻害する黒霧が満ちていくと、黒狼は紛れるようにして態勢を整えた。
「我が此処まで追い詰められるか……だが!」
だが、それでも尚、分身体と言えどオブリビオン・フォーミュラであるカルロス・グリードの力は健在であった。
「なるほど、ダークセイヴァーの。だとすれば、ここで戦っておくのも良いでしょう。この世界のためにもなりますしね」
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は幼いながらも、かの世界で吸血鬼と戦いを繰り広げてきた猟兵である。
だからこそ、この『一の王笏島』を包み込む黒霧が齎す視界不良たる戦場に身をおいても、落ち着きを払っていた。
巨大な何かが己を狙って疾駆している。
その感覚はある意味で懐かしいものであったのかもしれない。常に彼女は狙われ、命の危険に脅かされる側であった。
だからこそ、生き残ってきた彼女にとって、戦場における勘所は冴え渡っていた。
音、振動、空気の流れ、あらゆる情報を論理的ではなく直感的に理解する。そんなハロであるからこそ、生き延びて来これたのだ。
鋭い棘角がハロを切り裂くように速度を持って迫る。
けれど、それはハロにとって察知するの用意であった。風を斬る音が聞こえるのだ。
「甘い……いえ、貴方は見えているからこそ、攻撃は単調になる」
頬をかすめる棘角。
傷みが走るも、ハロにとって、それは傷みとさえ認識されることはなかった。
「この視界で躱す……! 見えていないはずだ!」
カルロス・グリードの驚愕なる声が響く。
彼はこれまでも見てきたはずだ。ハロだけではなく、数多の猟兵がそうであったように、視界を阻害された程度で攻撃を躱すことのできなくなる猟兵などいないのだ。
「例え、躱すことができなくても――傷みは乗り越える。乗り越えられる。動けさえすれば構いません」
その瞳がユーベルコードに輝く。
ハロは一撃に懸ける。
例え、己のほぼ全ての体力、魔力を代償にした一撃がカルロス・グリードを打倒できなかったのだとしても、それでも次に繋ぐことができる。
この戦いに転移してきた次なる猟兵に託すことができる。彼女がそうであったようにハロは、次に繋ぐのだ。
「相打ちを覚悟しているとでも……!」
「いいえ、相打ちではありません。私は次につなぐのです」
スターブレイカー。
それこそが彼女のユーベルコードの名である。巨大に変形させたレイピアは全てを断つ。
その力が籠められるからこそ、その名で呼ばれるのだ。
星すらも砕く一撃。
それがハロの持てる全力の一撃であった。
カルロス・グリードが変じた黒狼、その胴へと一瞬で間合いを詰め、凄まじい一撃を見舞う。
それは黒狼の胴を穿つほどの一撃であり、同時にカルロス・グリードの絶叫を迸らせる。
「ぐ、ぁぁ――!? これが、っ、星を砕く、一撃、だと……!?」
カルロス・グリードをして、驚愕せしめた一撃。
その一撃を放つ代償をハロは既に放ち、ぐらりと体が揺れる。カルロス・グリードは穿たれながらもハロを討たんと迫る。
しかし、それでもなおハロは立ち上がる。
膝を折ることはしない。
「ちぇえすとぉおぉおぉおぉぉぉぉ!」
裂帛の気合とともに剣を振るう姿に、カルロス・グリードは、己が感じた脅威がそれであると知る。
強大なユーベルコードでもなければ、猟兵の持つ特別な力でもない。
ただ敵を討つという意志。
それだけのためにあらゆるものをなげうつことができる信念。
それこそがカルロス・グリードが脅威に思うべきたった一つのことであると知らしめるようにハロの斬撃の一撃は、彼を退けさせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガーネット・グレイローズ
さて、いよいよ直接対決だな。会いたかったぞ、カルロス・グリード!
【SPD】
相手は紋章の攻撃でこちらの力を奪ってくるか。
爪はアカツキと、ブレイドウイングの《武器受け》でガードを試みる…
が、すべては躱しきれないだろう。たとえ筋力と意志の力を奪われても、
一か八か、残された「速さ」に賭ける!
【イデア覚醒】で《第六感》を極限まで研ぎ澄まし、黒い霧の中
攻めてくるカルロスの動きを《瞬間思考力》で先読みし回避。
ブラッドエーテルの力を増幅させ、《カウンター》《グラップル》で
エーテル波動の《鎧無視攻撃》をカルロスの体内に直接叩き込む!
さらにカルロスの腕を掴みながら、《念動力》を使った合気道で
投げ飛ばしてやるぞ。
オブリビオン・フォーミュラ、七大海嘯『王笏』。それらの名で呼ばれるカルロス・グリードにとって、この『一の王笏島』は分身体に任せた八つある本拠地の一つに過ぎなかった。
だが、その全ての本拠地を制圧しないことには羅針盤戦争は終わらない。
一体一体が凄まじいオブリビオン・フォーミュラとして侵略する世界の力を顕現させる力の前に猟兵達は必ずは苦戦を強いられる。
「だというのに、何故だ……何故、此処まで我に追いすがることができる……!」
黒狼の体に穿たれた一撃を受けて、カルロス・グリードは人間の体に戻っていた。紋章の輝きは未だ失せていない。
けれど、確実に消耗させられている。
それを示すようにカルロス・グリードの動きは徐々に鈍くなってきていた。
視界が阻害される黒霧が包む島にあってなお、猟兵は己を打倒せんと次々と転移してきている。
「さて、いよいよ直接対決だな。会いたかったぞ、カルロス・グリード!」
黒霧の中を疾駆するのは、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)の紅い宝石のような髪だった。
このダークセイヴァーと見紛うばかりの島の様相の中で彼女の髪はきらびやかな輝きを放っていた。
だが未だ彼女は視界を奪う黒霧の中でカルロス・グリードの姿を一瞬見ただけに過ぎない。
けれど、それで彼女には十分だった。
先行した猟兵達が紡いだ瞬間。
この瞬間に彼女は一気に駆け込むのだ。
「我を名指しするか、猟兵! だが、我が紋章の力を見よ!」
輝くは略奪者の紋章。
その爪は筋力、速度、意志を奪う爪である。その爪の一撃は鋭く、ガーネットをしても全てを防ぐことはできない。
それほどの相手なのだ。
「くっ……!」
妖刀・アカツキの刀身が赤く輝き、爪の一撃を防ぐ。だが、さらなる爪の一撃が彼女の胴を薙ぐように振るわれるが、マントの中に秘匿した液体金属の翼が硬質化し、その一撃を防ぐのだ。
いや、防いだと思っていた。
今、彼女が相対するのはオブリビオン・フォーミュラの分身体である。
例え分身体であったのだとしても、その攻撃力の高さは己の防御を容易く貫いてくる。
ブレイドウィングの硬質化した液体金属の翼を切り裂いて、ガーネットの筋力が奪われてしまう。
「受けたな、我が爪を! 貴様の筋力は損なわれ! そして!」
喪った筋力では続く爪を受けることなどできずに妖刀・アカツキは押し切られるようにして、その頬に爪の傷跡が刻まれる。
「これは……意志、か……!」
意志。それは如何にしてもカルロス・グリードを打倒するという意志。
それが爪の一撃に寄って損なわれてしまったのを感じる。けれど、どれだけ意志を削がれたのだとしてもガーネットは猟兵である。
彼女が猟兵である以上、相対するオブリビオンを滅ぼすという意志は消えない。
最後に残るは、それだけであった。
故に、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「今の私には、この戦場のすべてが視える!」
そのユーベルコードの輝きを持って、イデア覚醒(イデアカクセイ)は為し得るのだ。
物質の本質と先行きを瞬時に知る力がみなぎってくる。
極限まで研ぎ澄まされた第六感。
視覚や聴覚、触覚を超越した、人智の及ばぬさらなる高次の感覚に目覚めたガーネットはカルロス・グリードの放つ最後の爪を視界利かぬ黒霧の中にあって尚、既のところで躱すのだ。
「何……!?」
驚愕に見開くカルロス・グリードの顔を見た瞬間、ガーネットの体を駆け巡るサイキックエナジーのエーテル体が増幅する。
エーテル波動を纏った妖刀・アカツキが赤く、紅く輝く。
その斬撃の一撃をカルロス・グリードは視認することはできなかったことだろう。
斬撃の前に放たれた拳の一撃。
それがカルロス・グリードの胴を撃つ。それは先程までのカルロス・グリードの攻撃を凌いだガーネットの動きではなかった。
今まさに彼女の体の中を駆け巡るエーテル体は凄まじい勢いで循環し彼女の力となっている。
瞬間思考をも追いつかせぬ刹那の一撃。その一撃で持ってガーネットはカルロス・グリードのみぞおちへと拳を叩き込み一気呵成に斬撃を叩き込むのだ。
「馬鹿な……戦う意志は、っ、奪ったはずだ……!」
「いいや、お前にも、カルロス・グリードにも侵略できぬものがある。それはお前たちオブリビオンを滅ぼすという意志。それだけはお前であっても奪えぬのだ!」
ガーネットの腕が伸び、カルロス・グリードの腕を掴む。
それは念動力をも利用した合気。
軽々とカルロス・グリードの体を投げ飛ばし、ガーネットは己の体に渦巻くエーテル体と共に咆哮するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソナタ・アーティライエ
暗闇に包まれた世界に、希望の光を……
力も速さも、もとよりわたしには無いもの
ゆえにそれらへの対処は捨てます
祈りによって高めたオーラの守りを盾のように範囲を絞りさらに強化し
意志の力を奪う爪のみを集中防御します
倒れ伏し、ほとんど動かない身体でも
演奏そのものはアマデウス自身が補助してくれます
アマデウスが変化したフルートへ、己の意思の全てを込めた一息を
呼びかけに応えてくれたラヴェルに、後を託します
貴方の光を……闇を貫く光の槍となって一念通天の一撃を、かの敵へ
この一撃が、後に続く人たちへ贈る光さす道とならんことを……
アドリブ・連携歓迎です
必殺の間合いに寄って放たれた投げ技は『一の王笏』カルロス・グリードの体を易易と投げ飛ばし、徐々にオブリビオン・フォーミュラさえも追い込んでいく。
その体が分身体であることを猟兵達は知っている。
かのオブリビオン・フォーミュラは八つの本拠地を制圧しなければ滅びない。
だからこそ、猟兵達は止まらないのだ。
必ずやこの海洋の世界たるグリードオーシャンを救う。
その成り立ちが、侵略世界からなし得たものであったとしても、今を生きる島の人々には、この世界こそが世界なのだから。
「暗闇に包まれた世界に、希望の光を……」
それは同時にこの世界だけではなく、暗闇が支配するダークセイヴァーの世界を救う燈火にもなることだろう。
ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)の心に在るのはそれだけであった。
破壊も、滅びもない。
在るのは力なきものを救いたいという願いだけであった。
故に彼女の願いと祈りは何物にも代えがたいものであった。
「祈るばかりではな――!」
即座に立ち上がったカルロス・グリードが駆ける。
その姿は人の姿をしていたが獣のような俊敏さでもってソナタを襲う。
「力も速さも、もとよりわたしには無いもの。故に――」
そう、ソナタには力も速さもない。
いいや、言い換えるのならば必要のないものであった。対するオブリビオン・フォーミュラたるカルロス・グリードの力と速度は凄まじいものである。
力に力で、速度に速度で。
対するのはあまりにも愚かであった。自身が保たぬが故に、ソナタは祈るのだ。
オーラの力を盾にして迫る爪の切っ先を見据える。
「容易いな、猟兵! この程度のまもりで!」
爪の一撃がオーラを突き破る。だが、次なる守りのオーラが張り巡らせる。それも爪の一撃が破壊する。
散々に砕けていく。
だが、それでもソナタの瞳は、蒼い瞳はユーベルコードに輝いていた。
何も絶望していない。恐れてもいない。
彼女の瞳が写すのは、たった一つだけであった。
意志を奪う爪。
それだけがソナタの狙った守りのオーラの一点狙い。迸る力の奔流とカルロス・グリードの爪の一撃が激突し、火花を散らす。
「あなたは知らないのでしょう。人の心が欲望だけで成り立っているわけではないことを。己のためだけではなく、誰かのためにと言えることを」
ソナタの瞳が輝き、総ての力を使い果たして爪の一撃を防ぐ。
「だからなんだというのだ。その欲望の前に貴様は破れるのだ。一度、防いだくらいで……!」
だが、その次なる攻撃は届かない。
ソナタを背に乗せるのは浄化の光宿す真珠色の角を持つユニコーン。
いや、いつからだろうか。
音色が流れている。黒霧が包む島にあって、流れる音色。
それは、幻獣交響曲第126番『神鎗』(オトメニヨリソウシュゴノケモノ)である。ソナタがかなで、アマデウスが紡ぐ曲。
それこそが彼女のユーベルコード。
アマデウスが銀のフルートへと姿を変え、ソナタは最後の力を振り絞って吐息を吹き付けた瞬間、ラヴェルと呼ばれたユニコーンが雄々しく嘶く。
それは瞬間、ラヴェルの力を増し、真珠色宿した一角を以てカルロス・グリードの体を穿つ。
痛烈なる一撃。
防ぐことのできぬ黒霧を振り払うかのような極光の前にカルロス・グリードは吹き飛ばされていく。
「貴方の光を……ラヴェル。闇を貫く光の槍となって一念通天の一撃を、かの敵へ……」
ソナタの微笑みと力なく、その背に身を預ける暖かさで持ってユニコーンであるラヴェエルは極光を放ち続ける。
光を通さぬ黒霧の闇にあってなお、その光はソナタの後に続く猟兵達に送る光指す道となって紡がれていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
無明の闇……かの世界では珍しい物でもありません
その出身の猟兵ならば対処も心得たものでしょう
マルチセンサーを赤外線暗視モードに切り替えつつ、声の反響をアクティブソナー代わりに●情報収集し瞬間思考力で解析
狼の接近を●見切り爪牙の一撃を●怪力盾受けで盾を犠牲に防御
そして私も見えておりますよ、王よ
一の王笏、折らせて頂きます
UCの充填開始
脚部スラスターの●推力移動で爪牙を潜り抜けつつワイヤーアンカーを角棘に射出し巻き取り●ロープワークで手綱替わりに狼の背に●騎乗
この剣は少々そのお身体には当てにくい物で
無礼はご容赦を!
表皮に押し付けUC解放
巨大光剣で刺し貫きそのまま頭まで切り裂き
極光の如き輝きが黒霧包む『一の王笏島』を光で照らす。
それはこの島に転移してきた猟兵たちをも照らす極大なる光であった。ダークセイヴァーを思わせる暗闇にあって、その光は篝火のように猟兵たちを次々と集結させる。
誰かのためにと、後に続く者のためにと紡がれた戦いがあった。
それは猟兵達の戦いである。
個の力ではオブリビオン・フォーミュラを打倒することはできない。
けれど、個の力を繋げていくことによって猟兵達は自分たちよりも強大なる敵を打倒するのだ。
グリモアの力が在るとか、そういうことではない。
もっと大きな力の流れとなって、オブリビオン・フォーミュラすらも打ち倒すのだ。
「無明の闇……かの世界では珍しいものでもありません。その出身の猟兵であれば対処も心得たものでしょう……あの光も一瞬の輝き。ですが、それでもカルロス・グリードの位置情報さえつかめれば――!」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、そのアイセンサーに『一の王笏』カルロス・グリードの姿を捉えていた。
再び、黒霧が視界を阻害したとしてももはや、トリテレイアにとっては無意味である。
瞬時にマークしたカルロス・グリードを終えるようにとマルチセンサーを赤外線暗視モードに切り替え、己の声の反響をアクティヴソナー代わりに駆け出す。
その進撃に迷いはなかった。
数多の猟兵達の戦いがあった。そのおかげでこうしてオブリビオン・フォーミュラの分身体とは言え、強大な力を持つカルロス・グリードに肉薄出来る。
「我を追うか、機械じかけの騎士!」
黒狼へと姿を変じたカルロス・グリードが黒霧の中を疾駆する。
すでにその体は数多の傷が刻まれている。だが、トリテレイアから逃げるのではなく、向かってくるところが、その力の自負を伺わせる。
「私にも見えておりますよ、王よ。この暗闇を照らした光がありました。それが私達猟兵の戦い……一の王笏、折らせて頂きます」
トリテレイアは迫る黒狼が振るった爪を大盾で受け止める。
だが、その爪の鋭さは未だ健在である。受け止めた大盾が一瞬で引き裂かれ、彼の腕すらも粉砕する。
「なんたる一撃……!」
「容易いな、機械仕掛けであろうとも! もはや遅れは取らぬ! ここで朽ちろ!」
続けて放たれる牙の一撃をトリテレイアは破損した腕を突き出して受け止める。
砕けた腕から放たれる信号の途絶が電脳に己の存在の危機を伝える。
けれど、それでも尚、トリテレイアはアイセンサーをユーベルコードに輝かせる。
ここで破損を、己の存在に大破を思うほどトリテレイアは愚かではなかった。
「無礼はご容赦を……!」
トリテレイアの体からワイヤーアンカーが黒狼の棘角に絡まり、巻き取りながら距離を詰める。
それはカルロス・グリードにとっては不可解な行動であった。
力で勝るカルロス・グリードにとって、トリテレイアの行いはあまりにも自殺行為であった。
彼の爪はトリテレイアの鋼鉄の体を飴細工のように易易と引き裂くだろう。
牙を突き立てれば、即座に彼を機能停止に追いやることもできる。
だというのに、トリテレイアは何を思ったか己を引き寄せたのだ。
「貴様、何を狙って――」
「この剣は少々お体には当てにくいもので……!」
コアユニット直結式極大出力擬似フォースセイバー(ダイレクトコネクトセイバー・イミテイト)。
それこそがトリテレイアの必殺の一撃であった。
格納スペースから取り出した刀身の無い柄だけの剣。
ケーブルに繋がれたそれに充填されるは、擬似的なフォースセイバーを生み出すエネルギーであった。
「まさか……!」
やめろと叫ぶ暇すらなかった。
押し付けた柄から放たれるは、極大なる出力で持って放たれる刀身。
巨大光剣が黒狼の体を貫き、明滅する大出力のエネルギーの本流と共に一気に縦に振り抜き、その黒狼の体を両断せしめる。
それは一条の光なって黒霧包む島に勝利への道筋を照らすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
ダークセイヴァー…今だ訪れた事はない。
生身の状態で、その場に静止。呼吸を落ち着かせ、神経を尖らせる
聞き耳、第六感、で周囲の音を聞く。風の音、空気の流れ
爪が風を切る音!
瞬間思考力、シールドを展開し、爪を防ぎ、カウンターで刀を振るい撃ちあう。だが!その世界にもオブリビオンがいるというなら…!
『マルチプル・キャバリア』自身を取り囲むように、三機のキャバリアを召喚。敵は此処に入る!撃て!!
遠隔操縦、弾丸の貫通攻撃が、ミサイルコンテナからの誘導弾が、破壊の呪詛ブレス攻撃が、カルロスと、自身に目掛けて一斉発射
こんな所で、躓く訳にはいかない!
早業、カルロスを蹴り、後方へ推力移動
爆心地を離れシールドで身を守る
光条の如き極大なる光剣の一撃が黒狼の体を両断する。
それは凄まじき一撃となって『一の王笏』カルロス・グリードの体をさらなる消耗へと追い込む。
黒狼の紋章の輝きが一瞬消え失せ、その身体が人間の身体にもどりながら、カルロス・グリードは黒霧に包まれた島という戦場を駆ける。
「くっ……確かに、貴様たちの戦いは見事だよ。だが、我は滅びぬ。我が紋章の輝きが在る限り、貴様たちは――!」
だが、カルロス・グリードは知るべきであった。
この島に、ダークセイヴァーを模した暗闇にどれだけの猟兵達が駆けつけたのかを。
彼らは皆数多の世界が在ることを知っている。
そして、ダークセイヴァー世界がどれだけ危険な世界であるのかを知っている。だからこそ、猟兵達は戦う。
いつか救わねばならぬ世界のために。
「ダークセイヴァー……未だ訪れたことはない」
けれど、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)に訪れたことがあるとかないとかは関係なかった。
そこにオブリビオンがいるのならば滅ぼさなければならない。破壊しなければならない。
その衝動だけが彼女を突き動かすのだ。
暗闇の中にあって小枝子は意識を研ぎ澄ます。
呼吸を落ち着かせ、生身のまま佇む。耳を澄ませる。周囲の音を良く聞くのだ。己の感覚に頼る。
この状況にあって視覚は頼ることが出来ない。
故に聴覚一点に絞り込む。
風の音、空気の流れ。そして――。
「爪が風を斬る音!」
瞬間、小枝子が身体を翻した場所へとカルロス・グリードの爪の一撃が振り下ろされた。
「これを躱すかよ……! だが!」
二撃目が小枝子の胴を薙ぐ。その腕を小枝子は受け止める。身体の骨が軋む音が聞こえる。
だが、構わない。
傷みなど知ったことではない。
吐血する口の中が苦々しい味で満ち溢れる。けれど、それさえも振り切って小枝子は刀を振るい、カルロス・グリードの爪の一撃と打ち合うのだ。
火花が散り、互いの爪と刀がひび割れていく。
「お前たちは今を蝕む。それは確かに私の知らぬ世界であるのだろうが、それでも。その世界にもオブリビオンがいるというなら……!」
壊す。
ただその一点が小枝子を突き動かす。
刀が砕け、爪の破片が頬を割く。鮮血が迸るが知らない。傷だらけに成りながら小枝子が叫ぶ。
「キャバリア、起動。敵は此処に居る! 撃て!!」
ユーベルコードに輝く小枝子の瞳。
それはマルチプル・キャバリアと呼ばれる複数のキャバリアを召喚し、脳波コントロールによって操る術である。
彼女とカルロス・グリードを取り囲む三機のキャバリアから放たれるミサイルコンテナの誘導弾が、破壊の呪詛のブレスが、弾丸が、カルロス・グリードと己にめがけて放たれる。
「くっ……! 取り囲んでの一斉射……! だが、我を甘く見るな!」
その速度、力はオブリビオン・フォーミュラであると言わざるを得ない。三方向からの一斉射撃であってもカルロス・グリードを捉えることはできないだろう。
だからこそ、小枝子は飛ぶ。
飛び退ろうとするカルロス・グリードへと蹴りを見舞い、その衝撃で爆心地を離れる。
「貴様、我を足蹴に……!」
「私はこんなところで躓くわけにはいかない! 壊さなければならないものがある……! 私には、私の衝動を突き動かすもののためには!」
吹き荒れる爆炎と呪詛の彼方にカルロス・グリードを押し込みながら小枝子はシールドで身を守りながら三機の飽和攻撃の爆発から生還する。
傷だらけで、お世辞にも無事とは言えない。
けれど、これでいいのだ。
己という猟兵は、これからもこうするだろう。どれだけ絶望的な戦いであっても、己の心に宿る衝動を持ってオブリビオンを破壊し続ける。
それだけが己の証明であるというように、小枝子は戦い続ける宿命を持っているのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
ダークセイヴァーって、ここまで暗かったかしらね。
ともかく先制攻撃を凌がないと。
『鎧装豪腕』を呼び出しておいて、「盾受け」でドラゴンの攻撃を受け止めさせるわ。
『鎧装豪腕』がもっている間に、「式神使い」で折紙から作った鷹を放ち、カルロス・グリードの居場所を探らせる。そのまま一撃入れてしまえばこちらのもの。
ドラゴンが再召喚される前に、巫覡載霊の舞で神霊体に変化。どれだけダメージ減らせるかしら。
ドラゴンの攻撃を「受け流し」ながら、「破魔」の「衝撃波」でカルロス・グリードを狙っていく。
ドラゴンがいない間に間合いを詰めて、「衝撃波」纏う薙刀で「なぎ払い」「串刺し」に。
紋章に頼りすぎたわね。これで終わりよ。
吹き荒れる爆風が『一の王笏』カルロス・グリードを飲み込む。
それは爆心地と呼ぶに相応しい攻撃の嵐であった。己を巻き込むことも厭わぬ攻撃はカルロス・グリードにとっては予想外なるものであったのだろう。
傷は深い。
もはや、王として取り繕うことなどできぬほどにカルロス・グリードは追い込まれはじめていた。
故に、その紋章が輝くのはある意味で必然であったのかもしれない。
「『凍影竜の紋章』よ……! 時を稼げ……! 我は動かぬ。だが、猟兵の首を取れ」
輝く紋章と共に現れるのは、触れれば凍結する凍影竜と黒影の竜であった。
二匹の竜が、視界を包み視覚を阻害する黒霧の中を蠢く。
それは王たるカルロス・グリードを守るためでもあり、同時に疲弊した身体を休めるためでも合った。
「ダークセイヴァーって、ここまで暗かったかしらね」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は何度も訪れた暗闇が支配する世界、ダークセイヴァーを思い返す。
昼のない世界。
その世界のことを思い出すだけで陰鬱とした気持ちになるかもしれない。
けれど、今はそれどころではない。
呼び出した鎧装豪腕に組み付く凍影竜と黒影の竜。
受け止めることができたのは、ほとんど偶然であった。呼び出した瞬間に、ゆかりへと迫っていた二匹の竜が飛び出してきたのだ。
「流石にオブリビオン・フォーミュラ。分身体とは言え、その力は本物ね……!」
暗所に在りては、式神使いとしての知恵の見せ所であろう。
防いでいる鎧装豪腕が音を立てて凍結し、黒影の竜が絡みついては砕こうと締め付けを強める嫌な音が響く。
その間にゆかりは折り紙から作った鷹を放ち、黒霧包む島を見下ろす。
残る時間はわずかだった。
鎧装豪腕を盾代わりに使っているとは言え、あの二匹が再び己を狙えば、己もまた同じ末路をたどるだろう。
「そうはさせるものですか」
巫覡載霊の舞によって神霊体へと変身し、ゆかりは式神の鷹から送られてくる資格情報と、二匹の竜が放たれた方角からカルロス・グリードの存在を割り出す。
「そこね……今は消耗を抑えようっていう腹積もりなのかもしれないけれど、それをさせないのが猟兵の戦いってやつでしょう!」
手にした薙刀を振るう。
その衝撃波は鎧装豪腕を完全に砕いた二匹の竜を打倒し、崩れ行く二体の隙間を縫うようにしてゆかりが駆ける。
鷹の式神が見せる視界はもはや暗闇だ。
だが、ゆかりには確信があった。この先にカルロス・グリードが居ると。
「紋章に頼りすぎたわね、カルロス・グリード!」
振るう薙刀が再び衝撃波を放ち、黒霧の奥に隠れたカルロス・グリードを強かに打ち据える。
「くっ……! 此処まで追いつくか……! 紋章よ!」
再び放たれる二匹の竜をゆかりは薙刀を振るって打倒する。
もしも、これが万全の状態から放たれた紋章に寄る攻撃であったのならば、ここまで打ち倒すことはできなかっただろう。
「消耗している……やっぱり遅いッ!」
けれど、数多の猟兵達が紡いだ戦いの軌跡がそれをさせない。
ゆかりもまたつなぐ者である。
戦いを、世界を壊させぬという祈りと願いを受けて刃を振るう。上段に振りかぶった薙刀が神霊体となった彼女の力を籠め、一刀の元に振り抜かれ、カルロス・グリードの身体を袈裟懸けに切り裂くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月白・雪音
…かの者の紋章、あれは此処までに戦を交えた者の中で最も力の在るものですね。
されど、あの闇の世界を解放するに繋がる試金石とあらば是非も無し。
暗視で霧を見通せるなら周囲を見渡し、魔性染みた野生の勘を以て
敵の位置、攻撃の方向、タイミング、回数をブラフも含めて正確に予測、
全ての攻撃に対し回避と共にカウンターを叩き込む
初撃を凌げばUCを発動
敵が闇に紛れようと野生の勘にて位置を補足し残像の速度で追従
怪力、グラップルにて捉えて放さず、攻めに対してもカウンター
部位破壊にて紋章を破壊する
…貴方との戦は、私共にとって通過点となりましょう。
されど、今ここに在っては。
貴方との戦ただ一つに、この身を相対させて頂きます。
この『一の王笏島』は言うまでもなくダークセイヴァー世界を模した様相を齎す。
暗闇に支配された世界。
陽光を知らぬ世界にありて、人々は隷属を強いられる。いや、隷属する以外の選択肢がないのだ。
強力なるオブリビオン、吸血鬼によって支配される以外に生きる術がない。
ダークセイヴァーは未だ危険極まりない世界であり、猟兵であっても救うことのできていない世界でもあった。
故に、この島は試金石。
『一の王笏』カルロス・グリードはオブリビオン・フォーミュラである。八つ在る本拠地の一つを任された分身体であれど、その力は些かも衰えることはない。
「くっ……消耗が激しい……猟兵共め……!」
その体に紋章の輝きあれど、その身に刻まれた斬撃の痕は数知れず。それが数多の猟兵達が紡いだ戦いの軌跡であることを、月白・雪音(月輪氷華・f29413)は知る。
「……かの者の紋章、あれは此処まで戦を交えた者の中で最も力在る者ですね」
ですが、と雪音は頭を振った。
例えどれだけの力を持つ者であったとしても、必ず滅ぼす。
それは己が猟兵である以上に、虐げられる者がいるからだ。あの闇の世界を開放するための試金石であるというのならば――。
「――是非も無し」
「吠えたな、猟兵! それを後悔させてやろう!」
消耗激しいオブリビオン・フォーミュラ、カルロス・グリードをしても未だその速度は全てに置いて猟兵を上回る。
雪音はけれど、その速度を前にしてもたじろぐことはなかった。
黒霧は未だ彼女の視界を覆い、カルロス・グリードの姿を捉えさせることはなかった。
けれど、彼女はその身に獣性を宿す者である。
彼女の体に流れる虎の特徴を宿すアルビノの白き姿は暗闇に有りても尚、光を発するようであもった。
見開いた赤い瞳が見えぬはずのカルロス・グリードを捉えた。
「――!?」
見られている。
それは魔性染みた野生の勘であった。己を狙う者を見据える瞳。決して見えていぬはずであるというの見透かされているかのような感覚に陥ったカルロス・グリードはしかして、己の爪を放つ。
見えているはずがないのだ。
はったりである。だが、その爪の一撃を超える速度で放たれる拳があった。
それは後の先とも呼ばれる超絶為る拳であった。
「がっ――!? な、に……!?」
「……弱きヒトが至りし闘争の極地こそ、我が戦の粋なれば」
それは拳武(ヒトナルイクサ)。
確かに人はオブリビオンよりも弱いだろう。だが、今刮目するがいい。
練磨した技術が、武へと昇華する瞬間を、雪音の瞳に輝くユーベルコードの光を。
その紅き瞳が捉えるのは、カルロス・グリードの姿であった。
「くっ! だが、偶然であろう!」
再び闇に紛れるカルロス・グリード。だが、もはや、雪音はその姿を捉えている。正に魔性。
その足運びは一切の迷いなくカルロス・グリードを追う。
踏み込み、残像を生み出す程の速度で持って追従し、放たれる爪の一撃をも躱した瞬間に雪音は拳を叩き込む。
「何故、我を捉えることが――!」
理解不能なる業であった。
その拳が、蹴撃が本来カルロス・グリードに届くはずはなかった。けれど、確実に攻撃を放った瞬間に雪音の拳はカルロス・グリードを撃つのだ。
「……貴方との戦は、私共にとっては通過点となりましょう。されど、今此処に在っては」
踏み出す足運びは流麗にして精緻。
雪音の名の如く。
その踏み込みに寄って放たれる怪力と拳の一撃は正しく必殺の一撃となってカルロス・グリードの紋章へと叩き込まれる。
「貴方との戦ただ一つに、この身を相対させて頂きます」
亀裂の走る紋章。
それは砕けぬはずのものを砕く拳。
その一撃を持って、雪音は試金石を打ち砕くように激烈なる拳をカルロス・グリードへと打ち込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可
この世界の為にというのはもとより、闇の世界に生きる者として。自らの世界の為にも……その紋章を見逃す事はできません
一つ残らず、破壊させてもらいます
『暗視』と『環境耐性』で視界を確保しつつ、慎重に敵の気配を『追跡』
敵が来る方向を見定めて『オーラ防御』『激痛耐性』で敵の攻撃を防ぎつつ、UCを発動した黒剣で、『捨て身の一撃』による反撃。クリーンヒットしなくても攻撃が通れば敵の体内から追加攻撃で体内から『串刺し』に。体内からの攻撃で少しでも怯んだならば、追加で更に攻撃を加える
強大な支配者であるからこそ、多くの人を犠牲にしてきたのでしょう。それが、今まであなたに虐げられた人の痛みです
痛烈なる打撃が紋章に亀裂を走らせる。
それは猟兵たちにとっては、遂に訪れた好機であったことだろう。紋章の力を持つ『一の王笏』カルロス・グリード。
彼の齎すダークセイヴァーの力は紋章の力に集約される。
ダークセイヴァーにおいてのみ確認された寄生虫型オブリビオン、紋章。
その力が齎すには同族であってさえも容易く屠る強化の力である。それを3つも同時に備え、オブリビオン・フォーミュラとしての分身体であったとしても、強大なる力を振るうカルロス・グリードは猟兵にとって未だ脅威であった。
「我が紋章に傷を……! 許さぬ……!」
迸る重圧。
『黒狼の紋章』を輝かせながら、満身創痍なるカルロス・グリードが黒狼へと姿を変貌させ、黒霧に塗れた暗闇の島を疾駆する。
「この世界のためにというのはもとより、闇の世界に生きる者として」
クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)は暗闇に佇む。
彼にとってこの空間は慣れ親しんだものであった。
自らの世界、ダークセイヴァー世界は常にこの光景が広がっている。陽の光のない世界。その世界にありて、彼はずっと迷い続けていた。
けれど、それでも彼は選んだのだ。
前に進むことを。故に、彼の瞳に迷いはない。
あるのは決意だけだ。
「……その紋章を見逃すことはできません。一つ残らず、破壊させてもらいます」
駆け出す。
それはこれまでの猟兵とは違う動きであった。
これまで多くの猟兵は暗闇の中、カルロス・グリードの攻撃を迎え撃つ待ちの構えであったが、クロスは違った。
己が感じ取った気配を追跡するのだ。
走る。お互いの空気が揺れ、彼我の距離を知らせる。
「我を追うか! なめるなよ、猟兵!」
それは突如としてクロスの目の前に現れた。一瞬の邂逅。巨大なる黒狼の瞳が彼を射抜く。
張り巡らせたオーラと黒狼が激突し、けれど、防ぐことはできなかった。
強烈なる辺りがクロスの体を撃つ。
激痛が走り、己の体のあらゆる箇所を粉砕されたかのような傷み。けれど、クロスは足を大地に刻むように踏みしめる。
「っ、ぐ……!」
迷いだらけであった。
傷みも、苦しみも、悲しみも。何もかもが彼を迷わせた。けれど、彼は傷みすらも乗り越える。
己の身を捨ててでも為さねばならぬことがあると知る。
それは前に進むということだ。
「因果には応報を。その棘が、お前の罪の証だ」
突き立てる黒剣の一撃。
それが黒狼の毛皮を突き破り、カルロス・グリードの身へと突き立てられた。
不死穿ちの茨棘(イモータル・スレイヤー)。
打ち込んだ傷跡から、その身のうちに広がる棘。
「ぐ、ぉっ! ……おのれっ! 貴様ぁ!」
振りほどくように黒狼が暴れ、クロスを吹き飛ばす。
けれど、彼はむせ返る血の匂いと共に吐き出すように言葉を紡ぐ。
「強大な支配者であるからこそ、多くの人を犠牲にしてきたのでしょう……それが、今まであなたに虐げられた人の痛みです」
クロスの瞳は痛みにあえいではいなかった。
彼が言葉を紡ぐ度に、カルロス・グリードの体中を棘が串刺しにしていく。
それは拭えぬ欲望の因果である。
欲望を叶えるためには代償がいる。他者を侵略し奪う者であるのならば、それの犠牲になった人々の傷みがあったはずだ。
省みることなく、今まで他者を虐げた傷みの応報を受けるときなのだ。
「己の傷みにばかり敏感だから、そうなるんです。誰かの傷みを思いやれるものにこそ――!」
『黒羽』と銘打たれた黒剣を振るう。
その一撃はカルロス・グリードのこれまでを示すように、身の内側から刺し穿つような痛みでもって彼を打ち据える。
クロスは知る。
迷い在れど、前を向くことを。
見果てぬ旅の途中。彷徨う心が叫ぶのだ。
誰かのためになれるようにと。
その一歩を積み重ねるようにクロスは、いつかの誰かの痛みを代弁するようにカルロス・グリードへと剣を振るうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
日の光を通さない……いや通さなさすぎ……
…これで相手からは見えるのだから性質が悪い…どうにか対応する必要があるか…
…ドラゴンからの攻撃に対しては遅発連動術式【クロノス】により攻撃に自動的に反応して発動する術式障壁や接近を感知して発動・拘束する術式罠を多数仕掛けて対応、時間稼ぎをしよう……
…さて、問題は相手がどこにいるかだけど…【縋り弾ける幽か影】を発動…カルロスを追尾するステルスガジェットを放って爆破してしまうか
…自分だけが闇を見通せると油断しているならこれで傷が付く…すなわち、ドラゴンが消える…
…あとは自動照準を頼りにカルロスに【アヌエヌエ】で追撃しよう…
「陽の光を通さない……いや、通さなすぎ……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は『一の王笏島』の様相を見て眉根をしかめた。
この島は『一の王笏』の本拠地にして、ダークセイヴァー世界の如き暗闇が支配する。
視界は閉ざされ、猟兵達は『一の王笏』カルロス・グリードの姿を捉えることができないでいた。
「これで相手からは視えるのだから性質が悪い……」
どうにか対応する必要がある。
けれど、メンカルがそう思った瞬間、彼女を襲ったのは二匹の竜であった。
そう、『凍影竜の紋章』から放たれたカルロス・グリードのユーベルコードである。
視界の効かぬ暗闇の中に在って、カルロス・グリードからは此方の所在が丸わかりというのは、メンカルが思う以上に厄介なものであった。
これまでの戦いによって猟兵達の攻撃はカルロス・グリードを消耗へと追い込んでいたが、それでもなおこの力である。
「……でも、甘い。対抗策を此方が用意していないと思っている時点で、一手遅れている」
そう、既にメンカルを始め猟兵達はグリモアの予知によってカルロス・グリードが持つ紋章の力についての知識がある。
知識が在るということは対策を立てることも容易である。
とりわけ、豊富な術式を持つ彼女の前にしてみれば、カルロス・グリードが放った二匹の竜への対策など造作もない。
触れる物を氷結させる凍影竜。そして、精神を蝕む黒影の竜。
そのどちらもが触れなければ効果を発揮できぬ存在である。ならばこそ、触れさせなければいい。
「遅発連動術式『クロノス』……この程度の術式障壁で防げるほどに消耗させられているんだね、カルロス・グリード……」
数多の猟兵達がいた。
この暗闇の島を舞台に、かのダークセイヴァー世界を救う試金石として戦いに身を投じ、カルロス・グリードをさらなる消耗へと引きずり込んだ戦いの軌跡が結実しようとしていた。
「……さて、問題は相手がどこにいるかだけど……」
それさえも問題はない。
この島に満ちる黒霧。これがカルロス・グリードの余裕の一つである。これまでも猟兵たちに追い詰められても、黒霧の中に逃げ込み態勢を整えてきたのだ。
だが、メンカルはそれをさせるつもりなどさらさらなかった。
「忍び寄る破滅よ、潜め、追え。汝は炸裂、汝は砕破。魔女が望むは寄り添い爆ぜる破の僕」
彼女が放つは、縋り弾ける幽か影(ステルス・ボム)。
そのユーベルコードはカルロス・グリードを追尾するステルスガジェット。
「自分だけが闇を見通せると油断しているなら……それが命取り」
静かにメンカルは術式装填銃『アヌエヌエ』を構える。
そう、アルゴスの眼が伝えている。
あの二匹の竜が襲ってきた方角、そして自動追尾たるユーベルコードが生み出したガジェットが飛ぶ方向。
そこにいるカルロス・グリードが未だ癒えぬしょうもうを癒そうとして息を潜めていることも。
けれど、その目論見は御破算となる。
此処にあるのは、三つの世界の技術を統合せし魔女である。ガジェットが齎す自爆攻撃を前にカルロス・グリードは動けぬままに傷つき、メンカルの構えた術式装填銃の銃口の前に姿を晒すほかないのだ。
「……ドラゴンが消える、即ち……其処だね」
自動照準機能が働き、ガジェットから送られてきたデータと共に銃口を補正する。
瞬間、メンカルはためらいも、疑念もなくトリガーを引く。
放たれた術式装填された弾丸がカルロス・グリードを捉え、その体を穿つ。
驚愕に見開いたカルロス・グリードの顔を前にメンカルはつぶやく。
「あのドラゴンたちがいる間、お前は動けない。だから容易くガジェットの自爆攻撃も受けてしまう……」
「きさ、ま……!」
怒りに震えるカルロス・グリードの表情を見据え、メンカルは手をかざす。
瞬間、無数のステルスガジェットが飛来し、怒りから驚愕の表情へと変えたカルロス・グリードを飲み込むように自爆の爆撃が彼を包み込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティノ・ミラーリア
陽の光が届かない暗闇…この環境は、僕のステージでもあるかな。
島を包む影から眷属を生成して「情報収集」で索敵。
周囲を広く纏影の影響下に置いて自律防御での「拠点防御」と眷属による「かばう」で先制攻撃を防御。
影で受けることで自身へのUC影響を防ぎ、同時に影槍の自律攻撃で「串刺し」に。
カウンターに≪支配の影≫を発動して周囲から鎖や拘束を放ち無力化を狙おう。
この場は、自分だけに有利な場所だと思った…?
回避されても「追跡」で逃さず、操作した影で「範囲攻撃」を行い「蹂躙」。
この島みたいに、あの世界もいつか……。
無数のガジェットが黒霧に包まれた暗闇の島に飛来し、自爆攻撃に寄る爆風を吹き荒れさせる。
『一の王笏』カルロス・グリードは、数多の猟兵達の攻撃によって消耗させられていた。満身創痍なる肉体。
亀裂の入った紋章。
そのどれもがこれまで数多の猟兵達が紡いできた戦いの軌跡だ。
例え、一人が仕留められなくても続くものたちがいる。
それを多くの猟兵達が知るからこそ、次へとつなぐのだ。爆風が黒霧を一瞬吹き飛ばすが、それでも即座に傷を再生するように、辺りは再び暗闇に包まれていく。
「陽の光が届かない暗闇……この環境は僕のステージでもあるかな」
ティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)は静かに『一の王笏島』の黒霧が見せる暗闇の中を歩む。
島を包む影はティノにとって眷属を生成するための素材でしか無い。
あらゆる場所で纏影の影響下に置く。そうすることでカルロス・グリードの所在は手にとるように判るのだ。
例え、カルロス・グリードが唯一この島に置いて良好なる視界を持つ者なのだとしても、ティノは眷属と化した影によって彼の位置を突き止める。
「此処に居たか、猟兵!」
鋭き爪。
その爪に宿る『略奪者の紋章』の力は確かにオブリビオン・フォーミュラと呼ぶに相応しいものだったことだろう。
これまでも猟兵たちを苦しめてきたに違いない。
意志を、筋力を、速度を。
それらを奪う爪の一撃は確実に猟兵に先制でき、この視界を阻害する暗闇の中にあっては絶対的なアドバンテージであった。
だが、カルロス・グリードは知るべきであった。
猟兵にもまたダークセイヴァー世界を支配する吸血鬼、そのダンピールと呼ばれる存在もまた猟兵に居るのだということを。
「この場は、自分にだけ有利な場所だと思った……?」
ティノの瞳が煌めく。
それは夜天に輝く星よりも輝いていた。
ユーベルコードの輝き。
眷属と化した影が折り重なるようにしてカルロス・グリードのはなった爪の一撃を防ぐ。
それはカルロス・グリードにとって驚愕為る光景であったことだろう。
これまでも猟兵たちの防御を容易く破ってきた爪。
けれど、ここに来て消耗させられている事実が、猟兵たちに後押しの風となった。確かに影の眷属だけでは爪を防ぐことはできなかったかもしれない。
けれど、数多の猟兵たちに消耗させられているのなら話は別だ。
「もうなにも、勝手にはさせない……」
周囲の影が影槍へと変貌し、鋭き切っ先をカルロス・グリードの体へと突き立てる。
本来であれば地面の影から現れる影槍であったが、今ここに在りては周囲の暗闇全てが彼の眷属である。
故に彼の放つ影槍は全方位からカルロス・グリードを固定するように放たれたのだ。
「がっ――! こ、の……! 我をなめるな!」
影槍の固定の全てを薙ぎ払ってティノに迫るカルロス・グリード。
だが、その進撃を止めるのは、新たに放たれた鎖と手枷、そして首輪であった。
「我を縛るか……!」
そう、支配の鎖(ドミネイト・リストレイント)。
それこそがティノの持つユーベルコードの力である。紋章の力とは言え、ユーベルコードである。
三つの影がカルロス・グリードの力の源である紋章のユーベルコードを封じるのだ。
だが、それすらを振り切ってカルロス・グリードは暗闇の中へと逃げ込む。
「逃さない……」
この暗闇はティノのステージである。
何処へ逃げたとしてもカルロス・グリードの所在はわかる。その上、周囲の暗闇が生み出す影は全てがティノの眷属。
故に次々と放たれる影の槍がカルロス・グリードの背から、足元から、あらゆる場所から穿たれ、蹂躙するのだ。
「この島みたいに、あの世界もいつか……」
ティノは願わずにはいられない。
猟兵になって知った陽の光。
それが指しこむ世界をいつか、ダークセイヴァーにも。それはきっと遠くない未来。それを思って、ティノはこの試金石を穿つように影の槍を放ち続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
大狼:白瑛と出撃
すまない、白瑛。俺と一緒に探ってくれ
いざとなったらお前だけでも逃げろよ
SPDで判定
白瑛に【騎乗】して戦闘に臨む
俺も【暗視】【聞き耳】を使うが、彼の方が五感が優れているから一緒に【情報収集】し【索敵】する
銀腕を拾い盾のような形状に【武器改造】、【盾受け】【オーラ防御】で防ぐ
白瑛にはその攻撃を【悪路走破】で【追跡】してもらい、俺はそのまま防御
姿が見えれば地面に降りて銀腕を【武器改造】で剣にして攻撃に入る
白瑛には敵の【追跡】を続行、いる場所を吠えて教えて貰う
戦いは未だ続いていた。
これまで多くの猟兵達が『一の王笏島』へと降り立ち、オブリビオン・フォーミュラの分身体であるカルロス・グリードを追い詰めてきた。
そのどれもが欠けても、この状況を引き出すことはできなかったことだろう。
猟兵達は個でオブリビオンに劣る。
それは言うまでもなく、オブリビオンが過去の化身であり強大なる存在であるからだ。オブリビオン・フォーミュラと呼ばれる更に力在る者の力の前ではこれまで練磨してきた猟兵の力量であっても打倒することは難しかっただろう。
それほどまでの相手であるのだ。
『一の王笏島』はダークセイヴァー世界のように黒霧に包まれ、周囲は暗闇となり見通すことも難しい。
けれど、カルロス・グリードだけは唯一の例外である。
彼だけはこの暗闇の中にあって猟兵達の姿を正しく認識していた。
「すまない、白瑛。俺と一緒に探ってくれ」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)はサムライエンパイアで出会った雄の狼と共に暗闇の中を駆ける。
その背に騎乗し、暗視と聴覚に寄ってカルロス・グリードの位置を探る。
だが、それだけでは完全なる暗視を持つカルロス・グリードを捉えることはできない。それほどまでに、カルロス・グリードは強大なオブリビオンであるのだ。
そして、同時に己よりも協力してくれる白瑛の感覚の方が優れているとルイスは認めていた。
任せろというように吠える白瑛を頼もしく感じながら、銀の腕を盾のような形状に変えながら襲い来るであろうカルロス・グリードの斬撃に備える。
「ほう、狼か。美しい毛並みであるが……猟兵に与するのであれば、容赦はいらんな」
その声がした瞬間、ルイスたちに襲いかかるは、紋章の輝きと爪であった。
略奪者の紋章と呼ばれるダークセイヴァーにしか存在しないはずの寄生虫型オブリビオンの力を発言させたカルロス・グリードの爪の一撃がルイスの盾にふれる。
「やはり消耗しているな……! 防げ、た……!?」
がく、と腕の力が落ちる。
そう、カルロス・グリードの放つ爪の一撃は受けてはならない。
触れた瞬間に筋力を奪う爪がルイスの筋力を減退させる。
「受けるのではなく、躱すべきであったな、猟兵!」
だが、続く爪の一撃を白瑛はルイスを背に載せたまま躱す。俊敏な動きで駆ける白瑛にしがみつきながらルイスは白瑛から飛び降る。
「いざとなったらお前だけでも逃げろよ。俺は……俺の為すべきことを為す……!」
地面に下りて銀の腕を剣へと変える。
筋力は落ちきっている。
だが、こちらにはユーベルコードが在るのだ。
「メガリス・アクティブ!」
銀の腕。
それはいつからか彼が手にしていたメガリスである。その特性は時に盾に、時に剣にと変形させられることになる。
故にルイスは迎え撃つのだ。
本来であれば、最初の一撃でルイスは両断されていたことだろう。
わかっている。
だが、盾で防ぐことができたということは、カルロス・グリードもまた消耗しきっているのだ。
これまで他の猟兵達が紡いできた戦い。
後につなぐ戦いを己をするだけだ。その瞬間、白瑛が吠える。ルイスは一瞬で判断した。今しかない。
己を狙っているカルロス・グリード。
最初に一撃で己の筋力を奪った爪。やつは己の筋力を真っ先に奪ったのは、己に抵抗をさせぬためであった。
だが、今は違うユーベルコードによって無理矢理に銀腕の筋力だけは戻っているのだ。
それが慢心であり、驕り高ぶるカルロス・グリードの隙を突く一点。
「そこか――!」
放つ銀色の斬撃が閃光のように暗闇の世界に走り、カルロス・グリードの胸を貫く。
それは驚愕為る一撃であったことだろう。
「これは偶然でもなければ、幸運でもない。お前が招いた慢心だ……! カルロス・グリード、滅びろ――!」
放つ斬撃はカルロス・グリードの持つ紋章、『略奪者の紋章』を貫き、その力を削ぐ。
倒しきれない。
わかっている。けれど、それでもルイスは渾身の力を持って剣と変わった銀の腕を振り抜き、カルロス・グリードを追い詰める一手を加えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
安里・真優
【心境】
「ここはグリードオーシャンであってダークセイヴァ―ではありません。」
なので…あなたが帰ってください!!
【行動】
黒い霧に対し『情報収集』魔法を使用します。
霧の内部まで調査できなくても、周囲の地形や気候から大体の差異を予想して攻撃します。
『オーラ防御』で防御魔法を展開。同時に『多重詠唱』で攻撃魔法も準備します。
ドラゴンの攻撃を防いで動きを止めた瞬間にカルロスへ『属性攻撃』(雷)+『スナイパー』の攻撃魔法です。
ドラゴンは邪魔です。消してください!!
さて、『救助活動』による回復魔法で一通り回復しました。
あとは『魔力溜め』+『全力魔法』による強化型シャークネス・ボルテックスです!!
「ここはグリードオーシャンであってダークセイヴァーではありません」
安里・真優(巨人の冒険商人・f26177)は暗闇が包む『一の王笏島』にて呟いた。
彼女は巨人である。
5mほどもある長身。けれど、見た目は普通の少女のようでも在ったが、それでも巨人としての体躯は誇るに値するものであった。
彼女が思うグリードオーシャン。
それは故郷であると同時に守らねばならぬ世界であった。だからこそ、彼女は猟兵たらしめるのであろう。
「この黒い霧……その内部まで調査できなくても、周囲の地形や気候から大体の差異を予想すれば……」
真優の魔法が張り巡らされていく。
多重詠唱に寄って生み出されたオーラの防御魔法。攻撃魔法も準備し、彼女は巨躯故に何処からでも攻撃されるという危険性を排するように準備に準備を重ねる。
これまで多くの猟兵達がカルロス・グリードと戦っていた。
その戦いの激化するような音は真優にとって、どれほどの意味をもたらしただろうか。
そして、彼女は知っている。
消耗したカルロス・グリードは必ず、紋章の力……『凍影竜の紋章』から凍影竜と黒影の竜、その二体を召喚させ、猟兵達の相手をさせるようにして己の消耗を回復させようとすることを。
「だから、次なる一手はドラゴンを呼び出すこと……ほら、来た!」
オーラの防御魔法に凍影竜と黒影の竜が衝突する。
凄まじい衝撃が防御魔法を突き抜けてくるが、真優の防御を砕くほどの力がもはや彼らには残っていなかった。
これまで激化した猟兵との戦いによって紋章事態も、カルロス・グリードもまた消耗しきっているのだ。
十分な威力が出せていない。
「だったら、私がするべきことは!」
回復魔法で周囲に傷ついた猟兵たちを癒やす。
己の消耗もまた癒やされていく。あちらが消耗を癒そうとする暇は与えない。
「海よりも深きモノ…水よりもなお尊きモノ…深海の悪夢となりて、敵を討たん。その力は深海の鼓動。かの力は深淵の使者。その力を解き放て」
魔力を溜め込んだユーベルコードの輝きが真優の体画から満ち溢れていく。
詠唱時間を長くすればするほどに威力の上がる深淵なる無限破壊波動が模った鮫型の魔力弾の群れは彼女の言葉と共に解き放たれる。
「ドラゴンは邪魔です。消して下さい! そして――あなたが帰ってください!!」
放つは、シャークネス・ボルテックス。
雷の力を持つ魔法がほとばしり、二体の竜を吹き飛ばしながら、シャークネス・ボルテックスの無限破壊波動がカルロス・グリードをも巻き込みながら魔力弾の群れに飲み込んでいく。
それは海洋世界に在りては、渦巻く破壊の奔流であった。
此処は確かにダークセイヴァーに似た島である。
だが、海洋世界であるグリードオーシャンの一部でもある。ならば、この世界を故郷に持つ真優にとっては守るべきものであり、カルロス・グリード、オブリビオン・フォーミュラから開放すべき島でもあった。
彼女は容赦しない。
己が持てる力のすべてを持って、オブリビオン・フォーミュラを放逐してみせる。
その意志と共に鮫の魔力弾の群れがカルロス・グリードを襲い続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
やあ、会いに来たよ。しかし、闇夜に紛れてとは大した王様だね。
ハハハ、いや、獅子搏兎とも言う。立派な心掛けと褒めるべきかな?
黒い霧、および敵POWUC先制対策
身に纏うオド(オーラ防御)を広範に展開。防御目的ではなく、その範囲内に入ったモノを察知する為。
範囲内に入った巨大な黒狼の攻撃を神変万化の剣術でオーラセイバーを振るって防ぎます。
直観(第六感×見切り×瞬間思考力)で攻撃を読み切り、それに合わせた反撃(カウンター)を。
それでは受けたまえ、カルロス・グリード。
『シドンの栄華』の『創造の魔力』『破壊の魔力』により闇を祓う魔を滅する破邪の輝きをオーラセイバーの刀身に纏わせて渾身の一撃を。
鮫型の魔力弾の群れが『一の王笏』カルロス・グリードの分身体を飲み込み、暗夜に沈む島の大地の一部を抉りながら彼を吹き飛ばす。
すでにカルロス・グリードの体は満身創痍であったが、黒狼の紋章を輝かせ、巨大なる黒狼へと変じた彼は暗闇の中を疾駆する。
「我が追い込まれるだと……! 在ってはならぬ……! だが、ここまで追い込まれたのもまた事実……ならば、一人ひとり確実に仕留めるまで!」
消耗したのはカルロス・グリードだけではない。
これまで戦いに参じた猟兵たちもまた同様である。
ならばこそ、弱ったものから仕留めていく。一人でも多く、猟兵を潰す。ここに来て王たるカルロス・グリードは方針を変えた。
もはや己の敗北は必至である。
ならばこそ、他の王笏を攻める猟兵の数をここで減らそうというのだ。
「やあ、会いに来たよ。しかし、闇夜に紛れてとは――」
瞬間、カルロス・グリードは黒狼の体を翻し、暗闇の中に佇む真紅のスーツに身を包む、偉丈夫へと爪を叩き込んだ。
だが、その爪の一撃は彼が身にまとうオドによって防がれた。
十全の状態であれば問題なく切り裂くことができたオーラであったが、消耗しきったカルロス・グリードにとって、それは容易くはなかった。
「大した王様だね。ハハハ、いや、獅子博兎とも言う。立派な心がけと褒めるべきかな?」
シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は笑っていた。
これほどまでに強大なる存在であるオブリビオン・フォーミュラを此処まで追い詰めた猟兵達の執念、そのつなぐ戦いへ惜しみない称賛を胸に抱き、彼は戦場を駆ける。
もはやオーラは必要ないとばかりにオドを解除し、手にしたオーラセイバーを振るう。
その残光が走る暗闇の中、黒狼へと変じたカルロス・グリードとシーザーは一進一退の攻防を繰り広げるのだ。
「抜かせ。我は我の力を持って貴様たちを滅ぼすのみ。我はお前たちを兎だとは思っておらぬ。ましてや獅子であるともな――化け物どもめ!」
生命の埒外である存在。
それが猟兵である。それを化け物と呼ぶのは心外であるとシーザーは微笑みを絶やさずに、爪や牙の攻撃を交わしながらカウンターを放つ。
だが、俊敏なる黒狼を捉えるには至らない。
ここまで消耗させても尚、オブリビオン・フォーミュラたる威厳は損なわれていない。それは恐るべきことであったが、シーザーは小さく頷いた。
「ならば、受け給え、カルロス・グリード」
その瞳がユーベルコードに輝く。
言う成れば、今まで本気ではなかったということだ。シーザー・ゴールドマンの実力、それは有り余る魔力の力である。
「シドンの栄華(デウス・アニマ)――私に勝てるかね?」
その身に纏う創造の魔力、維持の魔力、破壊の魔力が彼の体を包み込み強化していく。
手にしたオーラセイバーが闇を祓い、魔を滅する破邪の輝きに満ちていく。
真紅のスーツが暗闇に閃光となって走る。
「この魔力……! 貴様、これまで手を抜いていただと……! 獅子博兎と、よくいった!」
真っ向からぶつかる黒狼の爪とオーラセイバーの刀身。
迸る力の奔流が暗闇の中にあって明滅するように照らし出し、シーザーとカルロス・グリードの間に火花を散らせる。
十全の状態であっても、この魔力の前に勝てたかどうか。
確かにシーザーは個としての力はオブリビオン・フォーミュラに及ばぬだろう。だが、このユーベルコードは一体なんだというのだろう。
理屈に合わない。
ただ、今まさに己の力が押し切られそうになっているという純然たる事実がカルロス・グリードを戦慄させる。
「貴様は、なんだ、なんだというのだ――!」
迸る絶叫とともにシーザーは応えることなく、破邪の輝き放つオーラセイバーの一刀をカルロス・グリードの黒狼たる体へと叩きつけ、その力を削ぎ落とすように切り払うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
俺は、幾度もダークセイヴァーに足を運んできた身。
此奴に負ければ、俺はあの日約束を交わした『兵』たちに
合わせる顔がない……!
■霧
暗闇で足を踏み外したら、一瞬で終わりだ。
【念動力】で若干足を浮かせておく。
移動の際は敢えて耳だけに神経を集中させ、全方位に【聞き耳】を
立てる。闇に紛れようとも『音』を隠すことはできまい。
■闘
音を探りつつ戦場を探り、一瞬でも獣の足音が聞こえたら
『足音が聞こえなかった』場所に【残像】を伴う一瞬の短距離
【ダッシュ】で退避、棘が刺さらぬようその場から離れる。
そこから【早業】の手つきで抜刀、自身の周囲に【空薙】による
【範囲攻撃】を放ち、斬撃に巻き込むのだ!
※アドリブ歓迎・不採用可
破邪の一撃が黒狼の体を薙ぎ払う。
だが、その一撃をもってしても未だ『一の王笏』カルロス・グリードは健在であった。いや、健在と呼ぶには最早、満身創痍以上の傷を負っている。
ここで逃がすことはならず、同時に消耗を回復させることもあってはならない。
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は駆けた。
戦場たる暗闇に包まれた大地を念動力によって空中に浮遊させながら、猛禽の翼をはためかせ、一瞬でカルロス・グリードへと間合いを詰めたのだ。
「俺は幾度もダークセイヴァーに足を運んできた身。此奴に負ければ、俺はあの日約束を交わした『兵』たちに合わせる顔がない」
オブリビオン・フォーミュラたるカルロス・グリードへと肉薄する清綱。
確かに敵は強大である。
例え満身創痍であったのだとしても、彼の力は未だ清綱を上回っている。
一瞬でも間を取り違えれば、大地に倒れ伏すことになるのは己であると知りながらも彼は駆ける事をやめない。
恐れがないわけではない。
彼が恐れるのは、約束を違えることだ。
あの日に交わした約束。
あの闇夜に支配されたダークセイヴァー世界にあって人の生命は軽いものであった。だから奪われていいというものではない。
「集中……!如何に闇に紛れようとしても無駄だ、カルロス・グリード!」
「次から次へと……! 貴様たちは……!」
カルロス・グリードの身体が再び『黒狼の紋章』に輝いて、黒狼へと変ずる。棘角を震わせ、迫る清綱と交錯する。
刹那の瞬間、清綱の胴を薙ぐ棘角の一撃。
消耗させられきってもなお、己の身を裂く一撃は痛烈なるものであったが、清綱はにじむ血を振り払うように歯を食いしばる。
倒れるわけにはいかない。
何よりも己自身がそれを赦しはしない。
「――やはり、そこだな。その間合いだな、カルロス・グリード……受けよ、我が剣。我が、空薙(ソラナギ)を!」
その耳はすでに黒狼の足音を拾っていた。
如何に姿を暗闇に紛れさせようとしても、すでに大地を踏みしめる音で、カルロス・グリードの位置を清綱は知る。
「ハッタリを! 貴様たち一人仕留められずに何が王か! 死して我が覇道の礎になるがいい、猟兵!」
迫る大顎。
牙がぞろりと生え揃い、その鋭さは言うまでもない。
一噛みで生命が喪われる。
だが、それでもなお、清綱の瞳は閉じたままであった。抜き払うべき太刀の柄に手を掛け、静かに佇む。
明鏡止水の心。
絶え間なく流れてくる外界の情報を遮断し、己の心に水鏡を張る。
恐れが心を波立たせる。怒りが水を濁らせる。
ならば、己は刃となりて、かつて交わした大切なものを護るために刃を振るうのだ。
「空薙……」
居合の構えから一瞬にして放たれる脱力から来る一撃は空間すらも断ち斬る一太刀となって黒霧ともども黒狼であるカルロス・グリードを一刀のもとに猟団せしめる。
カルロス・グリードには理解できなかったことだろう。
力を求め、財を求め、理不尽に奪い侵略する者にはわかるまい。
その力の意味を。
救いを求める者たちと交わした約束の意味を。
故にここで清綱の剣は空へと至る。鋭き斬撃と共に、いつかあの暗黒の世界を切り裂き、陽光あふれる世界にするため、その試金石を見事刃こぼれさせることなく清綱は乗り切ったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
星野・祐一
成程ね
まあ他の世界も救えないんじゃ自分の世界を救える訳ないからな
いっちょやったろうじゃねえか!
[SPD]
まず先制攻撃が来る方角を【第六感】で察知
【瞬間思考力で見切り】紙一重で避けて対処な
…なんで見えるのかって?俺は宇宙民なんでね、夜目は効く方なんだよ
【暗視】もあるしな
さて次は此方の番だ。おっと暗闇に紛れても無駄だぜ?
あんたの居場所は【索敵、情報収集】で常に把握済みさ
奇襲の為にEsに姿を晒したのは悪手だったな!
後は敵のUCに気を付けながら
【マヒ攻撃付き誘導弾の弾幕】を浴びせて【体勢を崩したら】
UC付きの雷鳴をダブルタップで撃ち込むぜ(貫通攻撃、2回攻撃
この黒い霧諸共、ぶっ飛びやがれ!
アドリブ歓迎
暗黒の世界ダークセイヴァー。
確かに『一の王笏島』は、ダークセイヴァー世界と酷似していた。多くの猟兵がそうであったように、かの世界を救わんとする者たちの気持ちは痛いほど判ると、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は呟いた。
「成程ね。まあ他の世界も救えないんじゃ自分の世界を救える訳ないからな」
祐一は気合を入れるように戦場へと駆け出す。
「いっちょやったろうじゃねえか!」
暗闇に在りても、彼の在り方は変わらない。
どれだけ素早く動くものであったとしても、己に攻撃が来るとわかっているのならば、瞬間思考で見切ることなど造作もない。
「それは驕りというやつだ。我が傲慢の前でも、それを晒すか、猟兵」
暗闇から迫る爪の一撃。
それは確かに鋭い攻撃であり、闇夜に紛れて放たれては誰もが躱すことが困難であったことだろう。
だが、祐一は落ち着きを払った様子で、紙一重で爪の一撃を躱す。
「……なんで視えるかって? 俺は宇宙民なんでね、夜目は効く方なんだよ」
鋭い爪が二度、三度と振るわれる。
だが、祐一は気がついていた。カルロス・グリードは十全の状態ではない。明らかに消耗しきり、満身創痍だ。
これまで多くの猟兵がそうしたように、次へとつなぐための攻撃を此処まで繋げてきたのだ。
逃がすこと無く、消耗を癒やさせることなく。
弛みなく続く攻撃に寄ってオブリビオン・フォーミュラたるカルロス・グリードを此処まで追い込んだのだ。
ならばこそ、祐一もまたそれをつなぐ。
「さて、次は此方の番だ……おっと暗闇に紛れても無駄だぜ? あんたの場所は」
すでに掌握済みだと、祐一はつぶやく。
サポートAIドローンである『Es』の前に姿を表したのは悪手であった。祐一を奇襲し、闇討ちのままに、この場を離脱するつもりであったであろうカルロス・グリードは、すでに『Es』によって補足済みであった。
「小賢しい真似を……!」
「ああ、小賢しいだろうさ。けどな、こんな暗闇に紛れて闇討ちしようなんてしていた王様が言うことじゃあないぜ!」
手にしたリボルバー型熱線銃から弾幕を浴びせ、暗闇の中でカルロス・グリードの耐性を崩させる。
「この一撃雷で終わりにしようぜ…!」
放つは、冬雷(トウライ)。
貯め込まれたエネルギがーが青白い輝きを放ち、明滅するように黒霧に包まれた暗闇を切り裂く。
それは稲光のように周囲を照らし、カルロス・グリードの姿を浮き彫りにする。
「この黒い霧諸共、ぶっ飛びやがれ!」
放つ弾丸は稲妻のようにほとばしり、カルロス・グリードの身を穿つ。
その身に宿した『略奪者の紋章』を砕き、紋章の力の一角を突き崩す。
凄まじい力の奔流がほとばしり、祐一をも巻き込んでカルロス・グリードは吹き飛ばされていく。
黒い霧は未だ晴れない。
けれど、手応えを確かに感じながら祐一は爆炎の如き燃え盛る紋章型オブリビオンが霧散していくのを見つめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
この前の分身体ですら厄介だったからね
警戒して戦いに臨むよ
ドローンを飛ばし周囲の情報収集しゴーグルに転送
視界が悪くても熱や音波は通らないかな
氷の竜は直撃を貰わない様に逃げつつ
緊急時はワイヤーガンを使って躱そう
触れられても氷結耐性があるし
邪神の体だから凍ったまま普通に動けるよ
影の竜は神気を精神に集中させ防御
精神を喰らうという事は
邪神に直接触れる事になりそうだけどどうなるんだろうね
攻撃を凌いだら女神降臨を使用
ガトリングガンの弾幕で本体を狙うよ
もう慣れたのが悲しいけど
ドレスから覗く素肌が冷凍マグロみたいだ
あら、とても綺麗だと思いますの
美しい形のまま固定されて素晴らしいですの
思わず後ろから抱き着きますの
「この前の分身体ですら厄介だったからね……」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は長く続く『一の王笏島』での戦いの推移を確認しながら戦場となった暗闇が包む島を走る。
ドローンを飛ばし、周囲の情報を収集し、ゴーグルに転送しながら視界を阻害される黒霧の中、『一の王笏』カルロス・グリードを探し走っていた。
戦いの光はあちこちで明滅する。
ひときわ大きな稲光のような光が、周囲に放たれ晶は、そこにこそカルロス・グリードがいるのだと確信した。
「視界が悪くても熱や音波は通る……なら!」
次に襲い来る者がなんであるかを晶はよく理解していた。
紋章の輝き、カルロス・グリードが放つユーベルコードの輝きであった。それは『凍影竜の紋章』。
二体の竜を解き放ち、己は消耗を回復させようとしているのだろう。
その意図を見透かし、晶はワイヤーガンを構え、迫る凍影竜と黒影の竜の顎から逃れる。
「黒影の竜……! 精神を喰らうということは……!」
精神を蝕む竜。
それが黒影の竜の力だ。
凍影竜は触れさえしなければいいが、影を伝って己の精神を蝕もうとする黒影の竜の力は、晶にとって警戒するに越したことのない攻撃であった。
邪神と融合した己の体にある邪神の精神にふれるということは、如何なる影響が現世にあふれるかわからない。
故に晶はワイヤーガンを解き放ち、空を舞うようにして暗闇の中を駆けるのだ。
「小っ恥ずかしいけど、我慢我慢」
女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)によって宵闇の衣を生成し、可憐なドレス姿へと変じた晶はガトリングガンの弾幕でもって二体の竜を薙ぎ払いながらカルロス・グリードを狙う。
「もう慣れたのが悲しいけど……!」
魂が男であっても女性の肉体。どれだけ可憐に着飾られたところで、やはり慣れぬものは慣れないのだ。
「くっ……! このままでは……!」
カルロス・グリードは弾丸を躱す。けれど、それも長くは続かない。何故なら、邪神の神気とこれまで猟兵達が紡いできた傷跡が、彼の動きを鈍らせるのだ。
胸に輝く紋章、すでにひとつは喪われた紋章であるが、さらに追い込むように晶の放った弾丸が『凍影竜』の紋章を砕くのだ。
膨れ上がる力の奔流が、爆発するようにカルロス・グリードを包み込む。
それはダークセイヴァー世界に在るはずの寄生虫型オブリビオンが霧散した証であった。
「紋章、を……! このままえは終わらせぬ!」
だが、晶は距離を詰めない。
手にしたガトリングガンの斉射を行いながら、宵闇の衣を翻し、カルロス・グリードを寄せ付けないのだ。
それと同時に晶は己の心のうちにある邪神との戦いもまた繰り広げられる。
とても素敵だと思いますの、とか美しい形のまま固定されて素晴らしいですのだとか、そんなことを言いながらテンションが上がったのか、顕現して背後から抱きついてきたりする邪神に邪魔されながら晶は叫ぶのだ。
「あー! もー! ほんとに今戦ってる最中だから後にしてくれー!」
だが、その言葉は逆を取れば今でなければいいということであろうと邪神にいらぬ言質を取らせる事になったことは言うまでもない。
故に、晶は後悔しつつも、途切れさせぬ弾幕でもってカルロス・グリードを追い詰めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ナギ・ヌドゥー
ダークセイヴァーの闇はこの霧よりも遥かに深い……。
深淵に挑むに今更何の躊躇も無い!
殺気の呪詛を漲らせ暗黒オーラの結界を周囲に展開
触れた者を蝕み継続ダメージを与える結界術だ。
だが、この結界に入らねば致命の一撃は当てられんぞ?
……覚悟を決めて間合いを詰めて来い。
呪いの結界に触れた者を第六感で感知し敵の位置を掴む、
その瞬間に早業で切り込み、爪撃を斬撃で相殺する!
そしてUCオーバードース・トランス発動
アンタはオレから何も奪えやしない。
超スピードで爪、紋章、身体を全て斬り刻んでやる。
「くっ……紋章の二つを喪ったか……!」
『一の王笏』カルロス・グリードは歯噛みした。
すでに喪われた『略奪者の紋章』と『凍影竜の紋章』。そして亀裂の走った『黒狼の紋章』の力は損なわれ、満身創痍である。
これも全ては猟兵という生命の埒外にある存在と戦ってから得た傷であることをカルロス・グリードは認めざるを得なかった。
個としての力はオブリビオン・フォーミュラの方が言うまでもなく上である。
だが、これまでもそうであったように猟兵達の戦いは言うまでもなくつなぐ戦いである。一人が消耗させ、また一人が回復をさせない。
逃さぬための戦いを繋げ、カルロス・グリードは誰ひとりとして猟兵を仕留めることはできなかった。
「だが、我は滅びぬ……滅びてたまるものか。未だ我の本拠地全ては喪われてはおらぬ。このまま、奴らを消耗させれば……」
確かにカルロス・グリードの言うことは尤もであった。
だが、全ては遅きに失する。
猟兵に、グリモアに補足された時点でオブリビオンの滅びは必定である。
そして、最後の猟兵が降り立つ。
暗闇の世界に在りてなお、その歩みに淀みはない。
「ダークセイヴァーの闇はこの霧より遥かに深い……」
ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)は奴隷であった。その過去は変えられない。
何が在って今の己へと改造を経て成ったのかさえもわからない。
強烈なる殺戮衝動に苛まれながらも、ナギは己が猟兵であること、同時に『暴力を厭わぬ者』だけを殺すという縛りによって最後の理性を保っていた。
故に、彼の瞳に映るのは、略奪と侵略の権化たるカルロス・グリードだけであった。
「深淵に挑むに今更何の躊躇いも無い!」
殺気の呪詛が漲り、暗闇の中にありても尚ナギの魂から、殺戮衝動は揺るぎなかった。
暗黒のオーラとして顕現した呪いと殺気の波動は、あらゆる生命を蝕む。
それはカルロス・グリードであっても例外ではない。
「……我が生命を欲するか、猟兵。だが――」
「ああ、だが――!」
互いの視線が交錯する。
このオーラの間合いに入らなければ互いに致命傷を与えることはできない。故にナギ一歩を踏み出す。
相対するのは、例え満身創痍となった者であったとしても、オブリビオン・フォーミュラである。
紋章の力なくとも、その力は強大といって有り余るほどである。
故に互いは覚悟を決める。
「……覚悟を決めて間合いをつめてこい」
互いの言葉は同じであった。
奇しくも。けれど、同時に二人は駆けていた。相手最寄りも己の刃を尽き立てんと疾駆する。
振るわれる爪の斬撃を鋸のような刃をもった鉈で打ち払い、火花散らせる。
暗闇に咲く剣戟の華であった。
明滅するように互いの視線が絡み合う。
片時も互いから目を離さず、あるのは純然たる殺意のみ。
「加速しろ――限界を超えて!」
強化人間の精神を安定させる薬物がオーバードース・トランスされ、その瞳がユーベルコードに輝く。
それは刹那の瞬間であった。
一瞬視界が明滅する。それは己に施された改造の痕跡であったことだろう。強大な殺戮衝動が、己の肉体の限界を引き上げさせる。
限界など無いのではないかと思うほどの強烈なる力の奔流。
「超えるか、我を! 侵略者たる我を!」
「ああ、アンタはオレから何も奪えやしない――」
凄まじい速度で振るわれた鉈の一撃が最後の紋章に走った亀裂をなぞるように切り裂く、魔力の奔流を迸らせながら爆発する。
だが、それで終わらない。
その身を、切り刻むまで。
全て切り裂くまでナギの斬撃は止まらない。
これまで数多の猟兵達が刻んできた傷跡。
それらをなぞり、ナギは裂帛の咆哮と共にオブリビオン・フォーミュラ、『一の王笏』カルロス・グリードの身を尽く霧散するまで鉈を振るい、霧散させ……。
そして、黒霧に包まれた『一の王笏島』の闇を振り払い、かの世界を救うための試金石として、己の力を示すように、陽の光を受けるのであった――。
大成功
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