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羅針盤戦争〜黒霧の向こうに潜む獣

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #カルロス・グリード #オブリビオン・フォーミュラ #一の王笏島

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●グリモアベース:ゲネ
 グリードオーシャンにて繰り広げられている『羅針盤戦争』。
 順調に探索を進める猟兵達は、早くもいくつかの敵本拠島を発見していた。
「今回発見されたのは『一の王笏島』。諸君には速やかにこの島に向かい、カルロス・グリードと事構えて欲しい!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)はホロモニターに、貴族めいた黒い洋装のカルロス・グリードの姿を映し出した。
 『一の王笏』カルロス・グリード。数ある形態の一つである。
 一の王笏はダークセイヴァーの力を具現化している。分身体の一人ではあるが、襲撃してきたと時とは違う、新たな紋章を身に着けてパワーアップしているようだ。
 『餓える狼の紋章』『略奪者の紋章』『凍影竜の紋章』。いずれも強力な紋章だが、今回は表面に露出しておらず王笏の体内に潜んで動き回っている。狙い撃ちをするのは難しいため、王笏自身を地道に攻撃していくしかないだろう。
 問題は、当の王笏の姿を把握すること自体が困難だという点。
「決戦の舞台では、島全体が「視界を遮る黒い霧」に覆われている。なんの用意もなく突っ込むと、五感に頼っての行動はほぼ不可能。そのくせカルロス・グリードは普通に視界を保てるらしいから厄介だ」
 一の王笏は当然先制を取ってくる。暗闇の中でどこからともなくユーベルコードを浴びせられ、一方的な戦いに持ち込まれるのは必定である。
 つまり今回は「黒い霧」になんらかの対応策を講じた上で、敵の先制ユーベルコードにも対処しなければならないのだ。
「今回の戦いを制すれば、本拠地以外の、七大海嘯支配下の島をひとつ解放できるはずだ。強敵だが、八ある王笏の本拠地を全て制圧しなければこの戦争に勝利はない! 準備だけは怠らず、大いに気張って決戦に挑んでくれ!」
 ゲネの展開した転送術式が猟兵を導く。戦乱の青き大海原へと。


そらばる
 グリードオーシャン『羅針盤戦争』、一の王笏決戦。
 黒い霧に覆われた島を舞台に、一の王笏との決戦を制してください!

●ボス戦『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』
 グリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラの分身体。
 ダークセイヴァーにしかないはずの「紋章(取り付いて宿主を強化する寄生虫)」を装備し、黒い霧の中で襲いかかってきます。

 戦場となる島全体が「視界を遮る黒い霧(カルロスは普通に視界を保てる)」に覆われています。
 また、敵は必ずユーベルコードで先攻撃してきます。
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プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと「黒い霧」に対処する。
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(どのユーベルコードに対処するかは【POW】【SPD】【WIZ】いずれかを明記してもらえると助かります)

 敵は光源になるものを持っていませんが、暗闇の中でも視界を保っています。
 また光源になるような行動も一切しません。
 襲いかかってくる時も極力気配は消してくるでしょう。
 紋章は表に出ていないので狙い撃ちはできません。

 リプレイ完成後、七大海嘯支配下の島(今回の戦場である敵本拠地以外)をマスターが一つ解放できます。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    餓える狼の紋章
【紋章の力】を使用する事で、【身体のあちこちに牙を思わせる鋭い角棘】を生やした、自身の身長の3倍の【黒狼】に変身する。
SPD   :    略奪者の紋章
【筋力を奪う爪】【速さを奪う爪】【意志の力を奪う爪】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    凍影竜の紋章
戦闘用の、自身と同じ強さの【触れる者を凍てつかせる氷の身体のドラゴン】と【影に潜み精神を喰らう黒影のドラゴン】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●獣の如き暗闇
 敵本拠の一つ、『一の王笏島』。
 猟兵が足を踏み入れたそこは一面が貼り付くような黒い霧に覆われていた。
 右も左も瞬く間に見失う、一寸先さえ見えない闇。
 ……その奥に、気配とすら呼べないような、不吉な予感が確かにある。
 まるで、周囲の霧そのもの、全てがこちらを窺う獣であるかのように。
 気配を隠し、殺意を隠し。
 ただ猟兵を殺すためだけの牙を研ぎながら。
シズホ・トヒソズマ
黒霧だらけとはいかにもダークセイヴァーって感じですね
ですが闇の救済者としては闇に屈する訳にはいきません

マインドテンタクルで複数の人形を◆早業で◆操縦

黒霧は王劾で周囲に炎の獣を78召喚
マジェスの熱で強化した大量の炎による上昇気流で一時的でも霧を空へと巻き上げて視界を確保します

敵の攻撃は召喚した獣たちやデザイアキメラの◆オーラ防御で防御
いくらか当たっても人形で◆武器受けすれば
筋力も意志も人形自身には無いので効きません!
速さは私の指次第ですし!下がってもリベルの反応強化でカバーします

UCでウインドゼファーの力を使用
霧のあるところに逃げても追いながら巻き起こす風で吹き飛ばす!
竜巻からの車輪剣でトドメ!



●闇を晴らす炎
「黒霧だらけとはいかにもダークセイヴァーって感じですね」
 シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は暗闇の中で、恐れげなく笑う。
「ですが闇の救済者としては闇に屈する訳にはいきません」
 ぼう……と灯った炎が、その不敵な口許を暗闇に浮かび上がらせた。
 炎獣牙剣『王劾』が召喚したのは、実に七十八体の炎の獣。
 暗闇の質感が変わる。こちらを窺う獣が、手始めに襲う獲物を定めた感触──
 シズホは即座に身に纏う大量の触手を蠢かせ、素早く操り糸を繰った。
 躍り出た五英雄再現戦闘人形『マジェス』が光熱を放射し、強化された獣達の炎が闇の中で激しく燃え上がる。大量の炎に一気に熱せられた空気が風を巻き起こし、黒い霧は上昇気流に巻き上げられ──
 一気に、周囲の視界が晴れた。シズホを中心に、台風の目のような間隙が暗闇のフィールドに生じたのだ。
 同時に知る。獣はすでに、思いのほか間近に接近していたのだと。
「──ガァッ!」
 全身に棘を生やした異形の黒狼が勢いよく爪を振り下ろし虚空を引き裂いた。生み出された鋭い空圧が、禍々しい力を帯びて宙を疾駆しシズホへと襲いかかる。
「人形にその攻撃は効きませんよ!」
 シズホの早業が人形を巧みに操り、爪を受け止めさせた。人形に筋力と意志は最初から存在しない上、速さは本体であるシズホの指捌き次第。事実上の無効化だ。
 巨腕型強襲人形『クロスリベル』とデザイア・キメラの補助も駆使して攻撃の第一陣を全て凌ぎ切ると、シズホは即座にユーベルコードを開放した。
「人形が吸いし過去の影、我が身に宿り力となれ。応報を持って因果を制す!」
 からくり人形の中から立ち昇ったのは、かつてキマイラフューチャーで倒した暴風とスピードを操るオブリビオンの幻影。
 荒れ狂う暴風が霧を吹き飛ばしながら逆巻き、霧の中へ隠れようとする黒狼を追い詰める。
「──逃しません!!」
 全身に風を纏い、瞬時にして肉薄したシズホの剣が、黒狼に痛撃を叩き込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…成る程、此処が私の故郷の世界を模した島

…他の世界の島とはやはり勝手が違うわね
闇に覆われて紋章を使うなんて…随分と"やり易い"

両眼に魔力を溜め強化した暗視能力で闇霧を見通し、
第六感を頼りに闇に紛れた黒狼の殺気を見切り、
残像が生じる早業で離脱して攻撃を受け流しUCを発動

…闇の中での闘いには慣れているもの
お前の動きは手を取るように分かる

…なればこそ、時間を掛けるつもりは無い
この一撃を以て、骸の海に叩き返してやるわ

自身の肉体を生命力を吸収する"闇の炎"化し武器改造
限界突破した黒炎鳥に変身し超高速の空中戦機動で突撃
黒炎のオーラが防御を貫き体内に切り込み闇属性攻撃の爆発を起こす

…消え去れ。この世界から…



●闇を貫く翼
「……成る程、此処が私の故郷の世界を模した島」
 一面黒い霧に覆われた暗鬱な戦場に、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はそっと吐息を落とした。
「……他の世界の島とはやはり勝手が違うわね。闇に覆われて紋章を使うなんて……随分と"やり易い"」
 瞬間、見開いた紫色の両眼に魔力が灯る。
 リーヴァルディの視界に、何もかも黒に溶けていた物体の輪郭がくっきりと浮かび上がる。辺りは殺風景な荒野であるらしい。身を隠すのに手頃な岩場が幾許か。しかし敵の姿は──
「────っ!」
 第六感の表層に微かに触れる、抑えきれずに漏れ出した殺気。
 リーヴァルディは視線を巡らす間もなく直感に従って離脱した。一瞬前に立っていた場所に残した残像が、紙一重で異形の黒狼の牙に引き裂かれた気配に、背筋が粟立つのを覚えながらも、即座に己が血に秘められた力を解放する。
「……闇の中での闘いには慣れているもの。お前の動きは手を取るように分かる」
 リーヴァルディの姿がほどけるように変じていく。銀の少女から、黒々と燃え盛る闇の炎へと。
「……なればこそ、時間を掛けるつもりは無い。この一撃を以て、骸の海に叩き返してやるわ」
 黒炎が描き出したのは、漆黒の翼広げる黒炎鳥。
 限界突破した翼が雄々しく羽搏き、黒い霧を大きくかき乱しながら舞い上がる。黒狼の生み出す爪の空圧を超高速機動で躱しながら一気呵成に突撃、加速するほどに黒炎のオーラが激しく燃え上がる──
「……消え去れ。この世界から……」
 一本の矢の如く集約された黒炎鳥が、闇に潜む黒狼の生やした牙棘をへし折り、一息に貫く。
 激痛に満ちた獣の咆哮が、闇の中にこだました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライカ・ネーベルラーベ
先が見えないなんて、いつもだよ

相手の先制は召喚
稼がなきゃいけない時間はそう長いものじゃない

愛機の前照灯をつけて霧の中を全速走行
更に心臓のメガリスと帯雷体質をジギタリスのエキスを使ってまで強制励起
光源がないなら光源に成ればいい
前照灯の効果で前から来たら判るし、走行中に後ろからは効果が薄い
だから奇襲は左右からだね
両方から来てもサブアームに握らせた鋸剣が迎撃する

準備が整ったら即こっちのUCを起動
島は霧で覆ったろうけど上空はどうかな?
それにわたしはパラシュートで落ちないけど
あっちは落ちてダメージ入った瞬間UC解除

「それを防ぐには竜にカバーさせる
影のは遠い地表だから、氷のが入る」

これでお前は無防備だ
死ね



●疾るイカズチ
「先が見えないなんて、いつもだよ」
 諦観にも似た声音でそっと呟き、ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)は愛機を駆る。
 前照灯を頼りに暗闇の中を全速でひた走るミリタリースタイルの二輪車。貼り付くような闇が冷たい。
(「稼がなきゃいけない時間はそう長いものじゃない。光源がないなら光源に成ればいい」)
 闇がいっそう濃くなった感覚を覚えた瞬間、ライカはアンプルを逆手に翻し自分自身に打ち込んだ。
 ドグン……ッ
 強制励起された心臓のメガリスが不吉な鼓動をひと打ちし、湧き上がる力が全身に波及すると、電流となって一気に放出された。
 バチバチと絶え間なく爆ぜる白い電流に全身を輝かせ、ライカは敵の襲撃に備えた。来るなら正面……いや、左右!
 衣擦れに似た音が微かにしたかと思えば、鞭の如き影が暗闇から走行するライカを愛機ごと絡め取ろうと襲いかかってきた。
「見えてる」
 ライカの背中のケープがはだけ、突如として立ち上がった一対の機械副腕が影の鞭を鋸剣で迎撃した。
 おそらく、敵は間近。
 斬り捨てられた影の鞭を置き去りにして、ライカはユーベルコードを発動する。
「島は霧で覆ったろうけど上空はどうかな?」
 ……遥か頭上で、何かが砕けた音がした。
 瞬間、闇を割って降り注いだのは、大量の空の欠片。
 闇の中に澄んだ青色が幾多閃き、黒霧にその色を映し出していく。虎視眈々とライカを狙っていた黒狼が暴き出され、さらに、文字通り霧が晴れるように戦場が塗り替わっていく。
 辺り一帯に広がったのは、雲ひとつない大空だった。
「ナニッ!?」
 獣の声帯を酷使して、黒狼は驚愕の声を上げた。
 足元に大地はない。終着点の見えない自由落下が始まる。
 黒狼の焦燥は明らかだ。ドラゴンを召喚して今は戦えない状態。さらにこの高さ、オブリビオンとてただでは済むまい。傷を受ければ召喚も解除される……
「それを防ぐには竜にカバーさせる。影のは遠い地表だから、氷のが入る」
 淡々と、黒狼の行動を先読みする声。
 黒狼が視線を返して空を見上げれば、パラシュートを広げて大空に悠々と適応しているライカの姿があった。
 その全身は、未だ活発な帯電状態を保ったまま。
「これでお前は無防備だ。死ね」
 落雷の速度は、氷竜の援護の速度を上回る。
 雲ひとつない蒼穹を、鋭い雷が切り裂き、直後、黒い獣は力なく大地へと叩き落された。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
何も見えないとは厄介ですね
ですが何かが動くなら風が吹き音が鳴るでしょう
(『怪力』から繰り出された『衝撃波』をも生み出す蹴撃で地面を砕いて瓦礫を作り『念動力』で瓦礫を操作して自身を護る壁を作る)
踊るならこれぐらいの広さで良いですね
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
さて、かくれんぼの鬼はいずこからくるのやら
砕かれた壁の方向に合わせて攻撃を回避すると共にUC【蠱の冬】で『呪詛』を喰らわせてやりましょうか



●踊りと呪い
「何も見えないとは厄介ですね……」
 黒一色の視界に、ぼんやりと首を傾ける播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)。
「ですが何かが動くなら風が吹き音が鳴るでしょう」
 敵を見つける算段を立てながら、クロリアは足元の質感を確かめる。目には見えないだけで、ごくごく真っ当な地面のようだ。……これならば。
「よいしょ」
 無造作に、地面に足を振り下ろす。
 一拍ののち、轟音が鳴り響き、衝撃波が同心円状に駆け抜けた。その何気ない所作からは想像もつかない怪力によって、大地が大きく抉られたのである。
 クロリアは大量に作り出した瓦礫を念動力で巧みに操り、自ら作り出したクレーターを瓦礫の防壁で整形していった。
「踊るならこれぐらいの広さで良いですね」
 完成したのは、ドーム状の壁に覆われた即席舞踏場だった。
 納得の行く出来に大いに満足すると、クロリアは目を閉じた。
 す、と手を上げ、真横にピンと伸ばす。
 突如として響き渡る絢爛の旋律。蒼天に輝く太陽、強い陽射しに照らされ輝く大地、その美を、豊穣を、躍動を、肯定し賛美する栄華のリズム。
 クロリアは踊る。時に優美に、時に激しく、型にはまらぬ自由なダンスでリズムを刻む。
(「さて、かくれんぼの鬼はいずこからくるのやら」)
 これは一種の籠城戦だ。
 三百六十度をドーム状の壁で覆われた敵陣を、黒狼はどこからどう攻めるだろうか。ダンスのピッチを上げながら、クロリアは全ての壁に神経を研ぎ澄ませる。
 情熱的なステップが最高潮に達した──その瞬間。
 ──ドゴォッ!!
 突然の轟音がリズムをかき消した。
「……北北西」
 襲撃の方角を音で正確に聞き分けて、クロリアは華麗なステップで突撃してきた黒狼の強襲を回避した。牙棘が足をかすめる痛み。小さく散る鮮血。
 だが、こちらとて攻勢の準備はとうに終えている。
 クロリアは空中で身を捻り、黒狼の姿をしかとその目に捉えた。
「ぼやっとしてると冬が命を刈り取りに来ますよ?」
 瞬間、夥しいまでの蠱の幻影が膨れ上がり、黒狼へと襲いかかった。
 ダンスのエネルギーをたっぷりと含んで反転させた呪詛に溺れ、黒狼の姿は蟲団子向こうに呑まれて消えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱鷺透・小枝子
【SPD】
回点号に搭乗、そして、ディスポーザブル03を遠隔操縦
例え視界が効かなくても、撃てる対象はいる……03、撃て。
誘導弾一斉発射、目標…回点号!

範囲攻撃、自搭乗機を中心に周囲を爆破。
自分は持てる超能力シールドを最大展開しオーラ防御。機体を爆発から守り、周囲を吹き飛ばし、近付く敵を攻撃する。仮に近くにいなくても、破片と爆炎がUC発動の時間を作ってくれる!

【眼倍】発動、この眼は、視界で見るのではなく、第六感で見る力だ!
視力×1km半径内の敵の挙動を把握、瞬間思考力、みつけた!

推力移動、爪を回避して、小銃形態の戦鎌でスナイパー。狙い撃つ!
早業、小銃形態を戦鎌形態に変形、なぎ払い、敵を切断!
断て!



●的は敵とは限らない
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はクロムキャバリア『回点号』に搭乗し、一の王笏島の大地を踏んだ。傍らには遠隔操作のディスポーザブル03もいる。
「例え視界が効かなくても、撃てる対象はいる……」
 冷静な声が、予想だにしない命令を下す。
「03、撃て。誘導弾一斉発射、目標……回点号!」
 回点号から十分な距離を取ったディスポーザブル03は、躊躇も容赦もなく全弾発射した。
 回点号を中心に広範囲に広がる盛大な爆発。火を噴きそうなアラートがコックピットに幾重にも満ちる。
 小枝子は持てる限りの超能力シールドとオーラで機体を保護して機体の警告を無視し、爆発に騒がしいモニターに視線を走らせた。
 目的の影を捉えていたのは、ディスポーザブル03から一拍遅れて送られてくる映像だった。
 爆発を遠景に映す映像の中、回点号に攻撃を仕掛けようと跳躍しかけた黒狼が、吹き飛ばされた破片と爆炎に押し返されて再び闇間に消える姿が、おぼろげに記録されていたのだ。
 敵は姿を消したが、これで十分だ。
「爆撃中止! ──眼倍起動……!」
 小枝子は爆破の余波にけぶる景色に向けてユーベルコードを発動した。
 両眼に透明な力場が展開し、知覚が拡張する。それは視力だけではない、第六感と瞬間思考力をも内包した新たな知覚の形──
「──みつけた!」
 敵の挙動を把握した瞬間、小枝子は即座にバーニアを噴出し回避行動を取った。
 さすがに無傷とはいかなかった機体の挙動は、ほんの半瞬重い。しかし跳躍から果敢に突っ込んでくる敵の爪の連撃を、一撃目は躱し、二撃目は引っかき傷でやり過ごし、三撃目は装甲の剥離で抑えたのは大きかった。
「狙い撃つ!」
 空中で一瞬無防備になった黒狼を小銃形態の戦鎌で狙撃。即座に戦鎌形態に戻して一気に薙ぎ払う。
「断て──!」
 豪速で宙を疾った一文字が、牙棘を砕きながら黒狼を鋭く斬り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

夷洞・みさき
【WIZ】
【霧】
召喚されるのを待ってUC使用。
戦場を海水で覆い尽くし、波の揺らぎ、凍結で位置を把握。
海水、及び範囲内の水気自体が攻撃判定を持つので触れればダメージを与える。触れればダメージ。

凍っても同様。海面に移る影は歪むのでドラゴンの形状も曖昧となる。
波の揺らぎで影を散らせる。口元を中心として。
そうして【喰らう】事を制限。

13の分身体を禊いできた感覚から、海面上の存在から一の王笏を特定する。

本体とは言え、僕で殺しきれるかな?
嫌なら、他の所に逃げると良いさ。
逃す気はないけどね。

それでも結局は自身からは逃亡されるような気がする。
ので
【ロープワーク】【踏みつけ】などで逃亡阻止して殺す。



●海で死ね
「やれやれ本当に何も見えやしない。敵さんが動くのを期待してるんだけどね……」
 四方を霧に閉ざされて、夷洞・みさき(海に沈んだ六つと一人・f04147)はぼやく。
 気配すら闇の奥に包み隠したこの状況、敵は隠密裏に技を行使してくる可能性が高い。果たしてこちらにわかる形で攻撃を仕掛けてきてくれるかどうか……
 逡巡するみさきの頬を、不意に冷たい空気が撫ぜた。
「イチかバチか! ──彼方より響け、此方へと至れ、光差さぬ水底に揺蕩う幽かな呪いよ。我は祭祀と成りて、その咎を禊落とそう!」
 直感的にユーベルコードを紐解けば、みさきの足元から呪詛を含む海水が溢れ出した。一瞬にして冷たい水が膝上までせり上がり、一面を暗く澱む海で侵食していく。
 広がっていく界面の一方向が不自然な波を描き、先触れが凍結し始めている。
 運がいい。みさきは薄く笑う。
 波の向こうには大質量がある。敵の召喚した氷竜に違いない。
「この海水は触れたものを侵食する。凍らせても無駄だよ。それに、影竜君も姿を保てないだろう?」
 水面に映る影は歪み、波の揺らぎに拡散する。影竜は何かを喰らうほどの体積を保てない。
 二体のドラゴンを封じたみさきは、さらに神経を研ぎ澄ませる。
 十三体の分身体を禊いできた感覚が、海の向こうに気配を捉える。ひどく抑制された、しかし明確な敵意を秘める、黒い獣──
「──!」
 みさきの感覚が黒狼を捉えた瞬間、敵もまたその事実を悟った。消耗をおして海水に潜むのをやめ、脱兎の如く距離を取ろうとしているのがわかる。海水の影響範囲から離れるつもりだろう。
「その判断は正しいよ。他の所に逃げると良いさ」
 しかし澱んだ海はみさきの領域。波に足を取られてもがく黒狼へ、血刺青の七尾鞭が伸び迫る。
 肉を裂く音と、哀れな獣の悲鳴。
「逃す気はないけどね」
 捕縛した黒狼を踏みつけ、みさきの振り上げた八寸釘が、暗闇にギラリと危険な輝きを放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナギ・ヌドゥー
【SPD】
視覚が封じられるのなら第六感に頼るしかあるまい。
ドーピングにより限界突破した超感覚で奴の殺意を感じ取るのだ。
紋章の強すぎる力は感じとり易い、反応さえできれば急所への一撃は外せる筈。
オーラ防御を常時纏い、ダメージ軽減。
爪全てを躱せなくてもいい、致命傷さえ受けなければ反撃可能!
今の攻撃で奴はオレの血を浴びただろう、なら攻撃を当てられる。
この呪獣、ソウルトーチャーなら闇の中でもその血を感知できるのだ。
コイツはオレの呪詛が混じった血を常食してるからな。
UC禍ツ骨牙で奴の紋章を抉り穿つ!
呪獣の骨牙に掛かった者は犯した咎を暴かれる……
埋め込んだ紋章と共にその罪を曝け出せ!



●血を求める獣
「なるほど完全な闇、ですか」
 黒い霧の内部を見渡してナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)は呟く。手の中に仕込んだアンプルから針を出し、無造作に自身の皮膚に打ち込みながら。
「……視覚が封じられるのなら第六感に頼るしかあるまい」
 戦闘へと意識を切り替え、正面に眼差しを鋭く据える。
 その瞬間、ナギの知覚が急激に増大した。限界突破した超感覚が、周囲三百六十度の情報をつぶさに捉える。
 そして、暗闇の奥。今にも牙を剥こうとしている獣の、隠しきれない殺気をも。
 ──瞬間、殺気は一息に距離を詰め、ナギの後方から頭上へと躍り上がった。
 だが、紋章の強力な力は、近づくほどに感知しやすい。
「──捉えた!」
 ナギは即座に身を捻り、背後から振り下ろされる爪を紙一重で躱した。
 すぐに追撃が来る。ナギはオーラを纏わせた腕で我が身を守る。突き抜けるような鋭い痛み。腕の筋力が削がれた感触。だが致命傷からは程遠い。
 そして、敵はナギの返り血を浴びた。
「生ある者は皆、必ず咎を背負う……その重さにいつまで耐えられる?」
 即座に発動したユーベルコードに誘い出されるように、どこからともなく不気味な呪獣が現れた。自動駆動で戦う拷問兵器『ソウルトーチャー』。
 呪獣は闇に消えた黒狼を追う。まるで敵の動きが見えているかのように、一寸違わず軌道をトレースして。
 思いがけぬ追跡者に虚を衝かれ、黒狼の足が一瞬鈍った。その隙に猛然と追い上げる呪獣。
「馬鹿ナ……ッ」
「コイツはオレの呪詛が混じった血を常食してるからな。闇の中でもその血を感知できるのだ」
 黒狼の焦燥に、ナギの声が無慈悲に断じる。
「呪獣の骨牙に掛かった者は犯した咎を暴かれる……埋め込んだ紋章と共にその罪を曝け出せ!」
 高々と跳躍する呪獣。その全身から放たれる大量の禍ツ骨牙が、黒狼の全身を抉り穿つ。
 己が咎に貫かれた黒狼の絶叫が響き、傷から覗ける紋章の輝きが苦しげに明滅した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
果報は寝て待て、つまり食材探しは待つ事も大事☆
おいでおいで♪

事前に「肉体改造」で自身に再生力強化を付与!
敵の角棘を受けたらすぐに再生して、角棘が抜けなくなるようにするよ!
「オーラ防御」も組み合わせて角棘を受ける場所を誘導!
角棘が抜けなくなれば、敵はこちらから離れられなくなるハズ!
「カウンター」として『シェフスカリバー』を突きさしてUC【猫の手も肉肉しい万能包丁】を発動☆
後はどうあがこうが敵は自動的に調理されて「料理」されちゃうね♪

勝利の暁には狼肉で宴会だよ♪


クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可

辺境伯の紋章……気になる所ではありますが、余計な事を考えた状態で勝てる相手でもなし
今は目の前の敵に集中しましょう

此方も暗闇での戦闘は慣れているし、敵が『暗殺』を狙ってくるなら狙いもある程度推測できる
『暗視』で周囲を窺いつつ『オーラ防御』を張って攻撃に備え、致命傷にならないよう敢えて受ける
先制攻撃を受けた後は自身のUCで負傷を回復。更に自身の影を分裂させつつ操れるように

影のうち一つは武器に変化。自身の持つ黒剣、鎖と共に空中を自在に飛び回らせつつ攻撃
もう一つは潜ませたまま、敵の注意を地面から逸らした所で『だまし討ち』
敵が暗視能力を持っていても、暗闇で影を見切るのは容易ではないはず



●影と包丁
 ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は思い切った策に出た。
「果報は寝て待て、つまり食材探しは待つ事も大事☆」
 暗闇への対処の一切を投げ捨て、その大きな身体を黒い霧の中心で無防備に晒すことを選んだのだ。
 その少し離れた傍らには、闇に溶かすように身をなじませているクロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)の姿もある。
(「辺境伯の紋章……気になる所ではありますが、余計な事を考えた状態で勝てる相手でもなし」)
 す、と瞼を下ろすと同時、クロスの気配がより闇そのものの本質に近づく。
(「今は目の前の敵に集中しましょう」)
 暗闇での戦闘には慣れている。敵が暗殺を狙ってくるのならば、なおさらあたりをつけるのは容易い。
 辺りには痛いほどの静寂が横たわる。闇の向こうに確かに何かがこちらを見ているとわかるのに、その正体は掴めない……
 ……ハカァ……
 微かに聞こえた。闇の向こう側、獣の呼吸音。
「────ッ」
 瞬間、死角から音もなく襲いかかった黒い獣を、クロスは首を掻っ切られるすんでで認識した。激痛、鮮血。
「おや☆ 大丈夫かい?」
 通り魔じみた強襲を敢行した黒狼が再び闇の中に消えたのち、ラヴィラヴァはなんとも悠長に傍らの闇に声を投げかけた。ええ、なんとか。苦しげなクロスの声が返る。
 ……咄嗟に腕をかませなければ、首どころか頭部まるごと持っていかれていたかもしれない。身に纏うオーラで致命傷こそ避けられたものの、鋭い牙に抉られた傷口からはどくどくと大量の鮮血が溢れて止まらない。
「っ……これより始まるは、世界を覆う影の動乱」
 静かな詠唱と共に、クロスの姿が見る間に魔人化していく。傷口が蒸気を上げながら癒え始め、その足元で黒々とした影が蠢き始める……
 一方、獣の強襲はまだ終わっていない。
「おいでおいで♪」
 闇の奥へ、挑発ともつかない手招きをするラヴィラヴァ。
 獣の唸りはどこからともなく響き──次の瞬間、思いもよらぬ方角から跳躍した黒狼の牙がラヴィラヴァに襲いかかった。
「おおっとっとっと♪ そこじゃないよー」
 分厚く展開した力場の盾に強運も手伝って、全身凶器じみた黒狼の突撃を無傷で凌ぐラヴィラヴァ。
「グル……ガァッ!?」
 一度距離を取った黒狼は息つく暇なくさらなる攻撃を仕掛けようとして、突如飛来した別の影に飛び退いた。
 それはまさしく影から生まれた刃だった。魔人と化したクロスに操られ、黒剣と鎖と共に空中を自在に飛び回っては黒狼を執拗に追いかける。
 その隙に、ラヴィラヴァは「ここ、ここ!」とジェスチャーでクジラ型の自分の腹部を仲間に指差して見せた。
 おぼろなシルエットから瞬時にして意図を汲んだクロスは、空飛ぶ武器を適度に操り黒狼を誘導していく。
「──グルァッ」
 苛立ちが頂点に達した黒狼が短く吠えた。空中を掻いた爪が三種の武器を叩き落とし、その隙にラヴィラヴァの特徴的な身体へと正面から突撃を仕掛けた。
 しなやかに跳躍する禍々しき黒狼。ラヴィラヴァは黒狼の軌道上、上半身の前に、あえて可視化したオーラを展開して身を守る。
 黒狼はそれを突き破るのではなく、その手前、より攻撃しやすいクジラ型の腹部に爪を食い込ませると、全身の角棘をハリネズミのように逆立ててぶよぶよのゲル状の肉体に深々と突き刺した。
 ……だが。
「──!? ガッ、ガァッ」
 黒狼が激しい動揺を見せながら全身を何度となく揺さぶり始めた。突き刺さった角棘が抜けないのだ。
 当然、それはラヴィラヴァが周到に用意した罠である。
「ビンゴ☆ おいらの身体、便利でしょ♪」
 改造した肉体にまんまと引っかかった獲物に、魔王は自動調理機能付きに変形した聖剣シェフスカリバーを振り上げた。
 その致命的な脅威を直感し、黒狼はなんとしてもゲル状の沼から逃れようと突き刺した角棘を放棄し──ようとした、その瞬間。
 殺到した影が、黒狼の全身を捉えて魔王の肉体に縛り付けた。
「──!? キサマ……ッ」
「黒い霧の影響がないとはいえ、この影を見切ることはできなかったようですね」
 黒狼が翻した視線の先で、クロスは淡々と黒狼の命運を見送る。
「勝利の暁には狼肉で宴会だよ♪」
 決して抜けなくなる呪いと共に、聖剣製万能包丁は容赦なく黒狼の背に突き立てられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
キャバリア相当の「ダイウルゴス」
無数の彫像の集合体
内部の隙間に入って、視界はゼロ
【第六感】で知覚して【念動力】で動かしているから

乗ってる時は視えてないので、問題なし、です!

光を噴いての【推力移動】
全身の隙間から【生命力吸収】する「聖なる光」を【レーザー射撃一斉発射】
で霧を【浄化なぎ払い】ながら【重量攻撃】接近戦にかかります

その紋章は恐ろしい、ですが……!

念動力【オーラ防御】で軽減し、通常のキャバリアと違い彫像の塊でしかないという装甲厚で爪を止め、私に届かせず
【だまし討ち】彫像達が動き、半端に刺さった状態で拘束して【カウンター】
私が、光となって

『瞬断撃』

【鎧無視切断】

私は、生身でも戦える、です



●動く彫像
 黒い霧に閉ざされた暗闇に、ぼう、と巨体が浮かび上がる。
 SOD-71D「ダイウルゴス」。遠目にはキャバリアに見えるそれは、無数の彫像の集合体である。
 内部にコックピットと呼べるものはない。ただ人が入れる隙間はある。当然モニターもないので、視界はゼロだ。
 だが、このおよそ搭乗する意義のないはずの巨体の内部に、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の姿はあった。
「乗ってる時は視えてないので、問題なし、です!」
 暗闇の中のさらなる暗闇で、ナイは己の力を発動させた。念動力が速やかに巡り、巨体が動き出す。
 燦然たる光を噴きながら、その推力によって闇の中を迷いなく突き進むダイウルゴス。知覚の不備は、第六感で賄って十分に足る。
 あとは闇の中に潜む黒狼を炙るのみ。
 彫像同士を整合させる全身の隙間から、一気に聖なる光が噴き出した。
 レーザーの如き直進的な光が幾条となく辺りを照らし出し、黒い霧を浄化しながら薙ぎ払っていく。
 何もかもを濁らせる闇が退いたそこに、くっきりと浮かび上がる獣の気配。
「見つけました!」
 逃すまいと突撃を仕掛けるナイ。
 黒狼は潜伏の利を失ったと悟るや、腹を決めて先制を仕掛けた。急接近しようとする巨体の動きを牽制するように距離を取りながら、機先を制して爪を閃かせる。
 宙を掻いた爪の残像が空圧となって飛来し、ダイウルゴスの装甲を深々と斬りつけた。通常のキャバリアとは異なり彫像の塊でしかないがゆえの異常に肉厚な装甲に、いともやすやすと罅が入る。
「っ……その紋章は恐ろしい、ですが……!」
 ナイはなおも速度を上げてダイウルゴスを突っ込ませる。その重量を持って全身で激突しようというのだ。
「愚カナ」
 黒狼は巨体の突撃を野性的な跳躍でやすやすと躱すと、空中で姿勢を変えてさらに爪を閃かせた。狙うは装甲の薄い関節部──
「──それを待っていました」
 彫像集合体の体内で静かに呟き、ナイは念動力のベクトルを一気に切り替えた。
 集合体を形成している彫像達が一斉に動き、黒狼の爪を隙間に捉えた。
「!? バカナ……!」
 半端に刺さった状態のまま拘束された黒狼に、燦然たる輝きが注ぐ。
 見上げたそこに浮遊する光の塊は、全身を光子化させたナイ自身だった。
「私は、生身でも戦える、です」
 一瞬の閃光が、闇と黒狼を斬り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

愛久山・清綱
俺は幾多に渡り、あの世界で戦ってきた。
此処で敗れれば、俺は彼の地を支配する者達に敵わないと
証明することになる……負けられぬな。
■霧
先ずは刀に【破魔】の力を籠めて光を宿し、刀を振るって
【衝撃波】を発し、一時的に霧を払う。
視界の確保は二の次。あえて居場所を晒して敵を誘き寄せ、
【カウンター】を仕掛ける作戦だ。

■闘
霧を払ったら全神経を耳に集中し、【聞き耳】を立てる。
獣の足音と思わしき音がしたら【残像】を見せつつ、
音がない方向へすぐさま退避。

そこから一瞬で体制を整え【山蛛・縛】の構えを取る。
まるで蜘蛛の巣を張るような【マヒ攻撃】を仕掛けた直後に
無数の刃を放ち、滅多切りにするのだ。

※アドリブ歓迎・不採用可



●剣士と獣
 黒い霧の生み出す暗闇は、既視感を喚起する。
 夜と闇に覆われし、異端の神々の地、ダークセイヴァー……
「俺は幾多に渡り、あの世界で戦ってきた」
 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、静かに愛刀を握りしめる。
「此処で敗れれば、俺は彼の地を支配する者達に敵わないと証明することになる……負けられぬな」
 構えた刃に、破魔の光が満ちる。
 一閃。
 輝く刃が横一文字の衝撃波を生み出し、闇を駆けて霧を払った。
 一時的に明瞭になる視界。しかし限定的な効果に留まり、すぐさま闇は勢力を取り戻す。一瞬の間隙に掴めた情報は皆無に等しい。
 しかし、それで良い。清綱は全神経を聴覚に集中させた。
 先程の一閃は、言わば誘蛾灯。
 闇に濁った静寂が横たわる。だが、動く者があれば、完全な無音ではありえない。
 鼓膜を震わせる、微かな……本当に微かなそれは、足音に違いない。規則正しく徐々にテンポを釣り上げていく──
 ──ガァッ!
 間近な闇から突如として現れた黒狼が、牙と角棘を剥き出しに襲いかかってきた。
 だが禍々しい凶器が切り裂いたのは、実体なき残像。清綱はすんでで音のない方向に退避し、即座に体勢を整えている。
「捕らわれたが、最期……秘儀・山蛛」
 静かな構えから繰り出される、蜘蛛の巣を張るが如き空間斬撃。
 打ち据えられた黒狼が、強烈な痺れに時を止めたかのように動きを止めた。
 ……チン。涼やかな鍔鳴りを最後に、刃の輝きは鞘の向こうに消える。
「終いだ」
 ──瞬間、突如現れた無数の斬撃が、嵐となって黒狼を蹂躙した。

●一の王笏、討伐
 ガァッ……
 しわがれた唸りを上げて、黒狼の肢体がどさりと地に落ちる。
 その全身を黒い霧が取り巻き、黒狼の姿が徐々に変化していく。
 本来の人型……カルロス・グリードの写し身の姿へと。
「オ、のれ……猟兵……ぐ!? あが、がぁぁァァアぁぁ──!!」
 恨み言を途切れさせ、王笏は突如として苦しみ始めた。
 体中の傷口から不気味な光が漏れ出し、滅茶苦茶に明滅した。体内に隠した紋章が、王笏の身体を突き破らんばかりに暴れまわっているのだ。
 耳に不快な断末魔を残して、一の王笏の全身は破裂した。
 肉片も紋章も、散らばったそばから黒い霧にほどけて、跡形もなく消え果てた。

 かくて一の王笏島に居を構える分身体の一人は斃れた。
 猟兵は新たな島を自陣に加え、さらなる航路を求めて欲望の海に漕ぎ出すだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月15日


挿絵イラスト