羅針盤戦争〜Rage of Savage
「みんな、七大海嘯『三つ目』の本拠地が見つかったよ!」
グリモアベースに集う猟兵達に、グリモア猟兵、マレア・ソレッタ(風と海と太陽の子・f26497)が呼びかける。
七大海嘯『三つ目』ことバルバロス兄弟。隻眼の兄オルチと赤髭の弟ハイレディン、二人其々の意識を宿す双頭と、四本の腕、5mにも及ぶ巨躯を有する巨人のコンキスタドール。本拠に迫る猟兵達に対し、自ら打って出て迎撃していた彼らだが。遂に猟兵達が、その本拠へと至ったとなれば。
「バルバロス兄弟は間違いなく、ここで皆を待ち構えているはずだよ。攻め込んで、一気にやっつけちゃおう!」
ここで打ち倒せば、かのコンキスタドールを完全に滅ぼすことも可能なはずと。拳を握りマレアは語る。
「でも、相手は七大海嘯の一角にあるコンキスタドール。簡単に倒せる相手じゃあないから気を付けてね」
その巨躯はそれに相応しい膂力と体力を有し、更に見た目に反する俊敏さをも兼ね備える。
逞しき四腕には巨大で強靭な武器を携え、振るえば猟兵の肉体とて軽々と破壊し得るし、己より小さな相手との戦においてはよりその力を発揮できる。
そして最たる特徴が、弟ハイレディンの眼窩に嵌った『オルキヌスの瞳』だ。嘗ての七大海嘯の一角『森羅冠すオルキヌス』より簒奪したというその瞳は、凝視した相手を『退化』させるという尋常ならざる力を有する。その退化は肉体と精神の両面に及ぶ。受ければ弱体化は免れぬだろう。
「ここまでは、他の島で戦った時と変わらないんだけど……もう一つ。この島には厄介な仕掛けがあるんだ」
それが、島の中心に建つ『三つ目の石碑』。彼ら兄弟の眼を模したかのようなこの石碑は、オルキヌスの瞳と同様に生物を退化させる力を持った光線を放つ力を持つのだが。
「この光線が島の生き物に当たると、退化に退化を重ねた末の原初の姿――『原始の魔物』っていう怪物になっちゃうんだ」
原初の魔物はいずれも巨大かつ強大。極めて凶暴でもあるため、猟兵を見れば確実に襲ってくるだろう。尚、バルバロス兄弟は生物として格上と認識している故か襲わないらしい。
「それに、バルバロス兄弟は確実に皆より早くユーベルコードを発動するから……その両方への対策が必要になるよ」
バルバロス兄弟だけでも強敵であるのに加え、原始の魔物への対応も考えねばならないという、困難な状況。厳しい戦いとなるのは間違いないだろう。
けれど、これまでも数多の強敵を打ち倒してきた彼らならば、きっとこの戦いにも勝てるはずと。マレアは全幅の信頼を以て猟兵達を見回す。
「この世界の人達を脅かす七大海嘯、ここで確実に倒していこう! それじゃ、転送を始めるよ!」
そしてマレアのグリモアが太陽の如き輝きを放ち。
猟兵達を、かの海へと送り出してゆく。
五条新一郎
それはある種究極の兄弟仁義。
五条です。
羅針盤戦争、次なる戦いは七大海嘯戦。
『三つ目』バルバロス兄弟との決戦でございます。
●このシナリオについて
このシナリオの難易度は『やや難』です。
普段より厳しい結果が出やすくなっておりますのでご注意ください。
●目的
七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟の撃破。
●戦場
グリードオーシャン、三つ目島。
島の中央に三つ目の石碑が建っており、周囲は平原。
小さな森と、動物を模した石碑が疎らに存在しています。
●プレイングについて
OP公開直後からプレイングを受け付けます。
「バルバロス兄弟の先制ユーベルコードと『原始の魔物』に対処する」ことでプレイングボーナスが得られます。
双方に対処して初めてボーナスがつきますのでご注意ください。
●リプレイについて
現在執筆中の「Bust the Bust」の第二章移行後からリプレイ執筆開始、2/15(月)6時頃までに書ける限りで執筆して参ります。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』
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POW : フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ : バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:ちーせん
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
三つ目島の中心、聳え立つ巨大な石碑の下に座す一人の男――否、身体は一つだが頭部は二つ。この島の主にして七大海嘯が一『三つ目』のバルバロス兄弟。
「――来たみてぇだぜ、オルチ兄」
左半身寄りに生えた頭、赤髭を蓄えた方。弟ハイレディンが呼びかける。
「おう、俺にも見えたぜハイレディン。こいつぁ――猟兵だな!」
応えるは右半身寄りに生えた頭、左眼の無い黒髪の方、兄オルチ。
「連中をブチ殺して、今度こそグリモアを奪う! その時こそ、俺達は無敵の兄弟となる!」
「そうだ! 俺達兄弟が、ついに完成の日を迎えるんだ! さあ来い、猟兵共!!」
互いにその闘志を高め合いながら、二人は一つの身体を持ち上げ、立ち上がる。三つ目の並ぶ巨大な石碑を背にして尚見劣りせぬ、圧倒的なまでの巨躯。四腕それぞれに得物を構え、三つの瞳が見据えた先――猟兵達の攻め入ってくるを、待ち構える。
メル・メドレイサ
POWで行きます
まあ素晴らしい兄弟愛
で、あちらの方も共有なさってるので?
冗談はともかく、まずは先制攻撃に対処を
四腕なら上下左右は完全包囲されているでしょう。私の腕力でまともに受け止められるとも思いません
なので【空中浮遊】【早業】にて思いっきり後ろにかっとびます
そして飛びながら機関銃を空に乱射
大きな音と火の【属性攻撃】で原初の魔物たちに【恐怖を与え】ます
原初なればこそ、音と火という本能的恐怖はよく効くでしょう
躱しきれたら反撃開始
今度は前方にかっとび、剣による攻撃を当ててから一撃離脱を繰り返します
しばらくチクチク攻撃ですが、適当なところで上空に飛翔
上から【メルハンマー】の魔力塊で叩き潰します!
「――ハ! こいつぁ随分といい肉付きした女だなオルチ兄! 全く美味そうな身体をしてやがる!」
「せめて殺す前に、少しばかりは味わいたいモンだなハイレディン!」
最初に現れた猟兵の姿――露出の高いメイド服には収まりきらぬ、否、収めきる事を放棄したかのような肉感溢れる肢体。それを前にした兄弟は、下卑た笑いと共に無遠慮な視線を肉体へと向ける。
「まあ、大変仲の良いご様子で……素晴らしい兄弟愛ですね」
その視線に、些かの嫌悪の念も示すことなく、平然と応える件の猟兵――メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)。
「……で、あちらの方も共有なさってるので?」
であるばかりか。彼らのそんな態度に応ずるかのような質問をさえ返してみせる。
「そりゃあ勿論よ! ま、俺らについて来れる女なんぞにゃ、生まれてこのかた逢ったコトは無ぇがな!」
「俺もハイレディンも、盛り上がってくるとつい乱暴に扱っちまうからな。大体の女が早々に壊れちまうのよ――」
ゲラゲラと。品性を感じさせぬ笑いを上げながら応える兄弟――だが、その四腕、握る得物に力籠るを、兎侍女は見逃さない。
「「こんな風にな!!」」
直後。四腕が躍動し、其々の得物を大きく振るう。目の前の小さき兎侍女を目掛けて。
「―――!」
左より斧。右よりカトラス。上よりフレイル。正面からは槍の刺突。前面を完全に抑え込む同時攻撃。速い。判断に許される時間は少ない。ならば答えは一つだ。
メルの身体が宙に浮く。そして片手に構えた軽機関銃を撃つ。双頭巨人の隆々たる筋肉に弾かれる。だが今はそれで良い。
メルの身体が後方へ吹き飛び、三つ目の兄弟から離れてゆく。彼女の狙いは此方であった。振るわれた四つの得物は空を切る。
「ハッ! 流石にこの程度で殺られるタマじゃねぇか!」
「だが、こいつぁどうかな!」
感嘆の声を漏らすオルチの左、ハイレディンが声を上げると共に。彼らの背後に聳える石碑、その三つ目が妖しき輝きを放ったかと思うと。直後、そこから迸るは眩い光線。それは森の方へと飛び至り、そして――
『ギャオオォォォォォン!!!』
けたたましい咆哮と共に飛び出してくるは、見るからに凶暴極まりない巨大な蜥蜴。或いは最早『恐竜』と言うべき存在であろうか。これが予知にあった『原始の怪物』か。
かの怪物は一目散にメルを狙って爆走し。その鋭き牙を以て柔肉を喰らわんと――
「そうはいきません」
だがメルもこの攻勢は承知している。軽機関銃を再度発砲。ただし上空へ。燃える火線が、けたたましい発砲音を伴って飛翔してゆく。
「あ? なんだそりゃ。威嚇のつもりか」
「この怪物に、そんなチンケな脅しが効くと思って――」
怪物の攻撃に乗じて奇襲を仕掛けんとした兄弟、彼女の行動に嘲るような声を漏らす――が。
『ギャオゥッ!?』
怪物は見事に驚き、慄く反応を示していた。原始なればこそ、大きな音と火という、本能的恐怖に訴える刺激は効果覿面であったのだ。
「効きましたよ?」
怪物の攻勢を押し止めたメル、再度飛翔し双頭巨人の懐へ飛び込む。捉えんとする刃を潜り抜け、そして更に上空へ。
掲げた手の上、魔力が急速に集束し巨大な塊を形作る。メルの姿を見失っていた兄弟が、気付いて向き直った時にはもう遅い。
「魔技、メルハンマー! そぉれどっしーん!」
「「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!?」」
全力で叩き付けられた魔力塊が、兄弟の巨躯をも押し潰し。強かに地へと打ち据えた。
成功
🔵🔵🔴
リゼ・フランメ
四腕で振るう巨人の武器の強烈さと、魔瞳の力
強敵に他ならないけれど、この炎蝶の身は捉えられず
深紅の焔にて彩られると知りなさい
先制攻撃には相手との距離を把握し
それぞれの腕の持つ武器の間合いと特性を戦闘知識で把握し、見切りながらダッシュで避けるわ
巨大な武器ほど適切な間合いは難しく
四つの腕あれど、互いを邪魔せず振るうには挙動が限られる
蝶の如く、ひらりと残像と共に翻り
常に左頭部側に回り込み、オルキヌスの瞳を石碑に向ける隙与えず
打ち下ろしの攻撃がくれば、腕に飛び乗り、駆け上がり
UCの斬閃を、空白の眼窩へ
破魔+焼却でその魂ごと灼き付くさんと
「さあ、その虚ろなる瞳と魂に、剣と蝶が赤い終わり夢を見せましょう」
黒城・魅夜
鎖を舞わせ「早業」の「範囲攻撃」により
周囲の砂塵を舞い上げて視線を遮るヴェールとし
その「闇に紛れ」て「衝撃波」を放ちます
三つ目や魔獣たちは
それでもパワーにものを言わせて襲い掛かってくるでしょうが
あなたたちが引き裂いたのは
「オーラ」に投影した私や仲間の魔獣たちの「残像」
困惑した一瞬の隙をつかせてもらいましょう
そう、本体の私は先ほどの衝撃波で
大地に深く穴を穿って潜行していたのです
これなら視線もとどきませんね
地表から響いてくる足音を「第六感」で「見切り」
「スナイパー」のように地中から地上への一撃
巨体がゆえに足元がお留守ですよ
さあ因果も時空も消滅させる我が牙の洗礼を受けなさい
三つ目島の中心地、荒野に鎖が踊り、砂塵が舞う。その勢いは視界を覆わんばかり。バルバロス兄弟の視座からとて例外ではなく、地表付近の視認が困難となっていた。
「何だこいつぁ……目くらましのつもりか?」
「しゃらくせぇ! 纏めて薙ぎ払ってやらぁ!」
赤髭の弟の声と共に振るわれた槍が、砂塵の中を纏めて薙ぎ払おうとし――穂先に走る、強烈な衝撃。槍が弾き返される。
「ぬおっ!? 弾き返された……!?」
「俺らの力に正面からだと!? 何者……!」
己の膂力に絶対の自信を持っていただろう兄弟、それを正面から弾き返す程の力に驚愕。左半身を引いて姿勢を立て直し、見据えた砂塵の中から現れたのは――赤と黒、二人の女性猟兵。
「虚無の海より撃ち抜く牙を以て。あなたの全てを否定しましょう」
黒き長髪を風に靡かせ、黒鎖を周囲に躍らせる黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)。
「あなたが如何に強かろうと。この炎蝶の身は捉えられず。深紅の焔にて彩られると知りなさい」
紅き長髪を風に靡かせ、炎蝶を周囲に躍らせるリゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)。
「ハ! 小賢しい女共め! 俺らの力に敵うと思うか!」
「力の差を思い知りやがれ! おらぁぁぁぁ!!」
再度の槍での薙ぎ払い。二人の猟兵は其々に跳躍して其を躱す。
「フン、ちょこまかと!」
「だがいつまでも逃げられると思うなよ!」
吼える兄弟の声に続いて、石碑の三つ目が妖しき輝きを帯びたかと思えば。立て続けに迸った光線が、荒野の片隅を這っていた昆虫の一群へと命中。それらは一気にその体躯を肥大化させ、バルバロス兄弟と比べても遜色ない程の巨躯となって二人に襲い掛かる。
「くっ、石碑に視線を向ける必要はなかったってコトね……!」
「彼らは私に任せて。貴女は『三つ目』をお願いします」
眉を顰めるリゼに、魅夜は告げ。襲い来る巨大昆虫達へ、鎖を振るい牽制する。リゼ、其に短く謝意を告げて駆ける。向かう先には、四腕其々に得物構える双頭巨人。
「来やがったな! 大人しく魔獣共にやられておけば良かったものを!」
「後悔させてやるぜ! おらぁぁぁぁ!」
獰猛に笑む兄弟、その左腕のカトラスが暴風じみた勢いの横薙ぎを繰り出す。リゼ、しゃがんで躱す。
次いで右腕の斧が掬い上げるようなスイングで迫る。対するリゼは右斜め前へ踏み込む。
そんな彼女を潰さんとばかり、幾度も突き下ろされる槍。軽やかなステップを以て逃れゆくリゼ。
そこに振るわれるはフレイル。往復の二連打を最低限の後退で回避する。
「ちぃ! ヒラヒラと鬱陶しい……!」
捉えたと思えば躱される。オルチの口から苛立つ声が漏れる。
「言ったでしょう? あなたに私は捉えられないと」
嫣然と微笑むリゼ。華麗にして敏速なるその体捌きには焔と其が形作る蝶とが伴い、大気を揺らめかせ陽炎めいた残像さえ生じせしめ。兄弟の視覚と距離感とを狂わせる。
それだけではない。四腕に備えられた武器の間合いと特性。それらを振るうに適切な挙動。持てる戦闘知識と戦術眼と基づく回避行動の為せる業でもある。
「ハイレディン! 『オルキヌスの瞳』はどうした!」
「ダメだ! この女、俺の視界に入らねぇように避けてやがる!」
その動きは、ハイレディンの――『オルキヌスの瞳』の有効範囲を躱すためのもの。いくら身を切り返しても、首を巡らせても。弟の視界に、その紅い影は収められない。
「ちぃ、ならあっちの黒い女はどうだ!?」
「あっちもなんか変だ! 視界には収めてるのに効きやしねえ!」
巨大昆虫達の顎や前肢を逃れ、鎖を振るって追撃を牽制し。昆虫達との追いかけっこを続ける魅夜。そんな彼女の姿を捉え『瞳』を発動したにも拘らず。彼女の身には一切の変化が無いと弟は叫ぶ。
「くそっ! なら、まずはこっちの女を何とかするしかねぇか!」
「おうよオルチ兄! 行くぜぇ!!」
身構える兄弟の、雰囲気の変化をリゼは感じる。来る。
右から横薙ぎのカトラス。左からは斧。前後の逃げ道は構えられた槍が咎める構え。そして振り下ろされるフレイル。
「―――!」
完全包囲の一撃が、紅き影を捉え――硬いものを叩き潰す手応えが、フレイルを握る手に伝わった。
「殺っ――」
「違ぇ! こいつぁ――」
オルチは気付く。これは人間を潰した感触ではない。それを証明するかのように、二人の眼前、リゼの姿の輪郭がぼやけ――そして現れたのは、巨大昆虫の一体。魅夜と追いかけっこを演じていた筈の――
「何ぃ!? どういうこった――ぐおぉぉ!?」
「俺にも分からねぇよ――ぬおぉぉ!?」
困惑する両者、その身体に、地面から飛び出した無数の鎖が絡みつく。呪い、或いは絆。そう称されるかの如く強靭なる鎖は、兄弟の有り余る膂力を以てすら引き千切ること叶わぬ。
「――まんまと引っ掛かってくれましたね」
身動き取れぬ兄弟の前、地に生じた影からずるり、と姿を現す黒い姿――魅夜である。彼女は初撃に乗じて地に潜り、己のオーラを用いて生み出した幻影で地上を撹乱し続けていたのだ。
「腕自慢も大いに結構、けれど敵の姿は確り見ておくべきだったわね」
戒められた、フレイル握る腕の上。リゼの姿はそこに在った。打ち下ろしの一撃をこそ狙っていた彼女。其に乗じて彼らの丸太じみた腕の上へ飛び乗ったのだ。
「て、てめぇら……!? くそぉ、放しやがれ……!」
「こ、こんなチャチな鎖、俺達の力なら……ぐあああああ!!?」
謀られた。そう気付いた兄弟は、縛めを逃れんともがくが。その前に、全身を走る異様な苦痛。まるで、己の存在そのものが吸われ、削られていくような。
「無論、逃がしません。さあ、因果も時空も消滅させる我が牙の洗礼を受けなさい」
冷徹に宣言する魅夜。それは虚無の海より出て、吸い上げたものを虚へと堕とす牙。食い込む鉤を起点に、『三つ目』の存在格を吸い上げ、奪い取り、消し去ってゆく。
「その前に。せめて、美しい夢を見せてあげましょう」
リゼは駆ける。縛められた巨人の腕を。瞬く間に、隻眼の黒髭を眼前として。
「なっ!? て、てめぇ……があああああ!!?」
オルチが上げた驚愕の声は、即座に悲鳴へと変わる。優美なる劫火の剣が、優雅にして神速の剣閃を描き。斬り裂いた虚ろの眼窩から、紅く燃える焔蝶が溢れ出して。その顔を焼き尽くさんばかりに舞い踊る。
「その虚ろなる瞳と魂に。紅い終わりの夢を見ると良いでしょう」
自由きかぬ身体でもがき暴れる巨人兄弟を尻目に。宙返りで地上へと戻りながら、リゼは宣告してみせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ハロ・シエラ
さて、今回も【ファランビー】で行きましょう!
最大の脅威はやはり退化をもたらすあの視線。
これを避ける為、まずはロランさんに頼ります。
心苦しいですが【敵を盾にする】要領でロランさんのキャバリアの影になる様に動き回り、視認されるのを防ぎましょう。
次はチェリカさんが光で目潰しを仕掛けてくれます。
その機会が訪れるまで、ダガーに宿る影の魔力で【物を隠す】様に、チェリカさんを敵から隠すべき時もあるでしょう。
敵の目が一瞬でも眩めば私が攻撃に打って出る事ができます。
ユーベルコードで宙を蹴り、目に止まらぬ程何度も【ジャンプ】しつつ斬りかかります。
頑丈そうですが【鎧無視攻撃】の突きなら幾分か効くでしょう。
ロラン・ヒュッテンブレナー
巨人相手にも【ファランビー】なの
体格差で強くなったり、当たると危ない攻撃があったりするから、
ぼくのキャバリアで囮になるね
※アルターギア:魔力で接続した電脳空間からのコマンドで動く
脚部全体がブースターユニットの空専用魔術特化型キャバリア
高くは飛べないからホバー走行なの(地形の利用、空中戦)
チェリカちゃん、ハロちゃん、隠れて!
魔術回路の増幅と演算補助を受けて表面が鏡になってるオーラ防御の結界術で凝視を反射するの
そしたらすぐにUCを使って行動予測、回避しながら引き付ける様に動き回って接近なの
色んな属性攻撃魔術を乱れ撃ちして二人を援護するね
攻撃が決まったら二人を回収して一気に離脱なの
チェリカ・ロンド
【ファランビー】!
ハロとロランが一緒なら、巨人だって怖くないわ!さぁ、いくわよ!
私はロランのキャバリアに隠れて近づくわ。作戦通りにね、任せて!
大丈夫、ハロが影の魔力で隠してくれる。やっつけたくてウズウズするけど……我慢よチェリカ!
ロランが先行して敵を撹乱してくれたら、いよいよ私の出番ね!
キャバリアの肩から飛び出して、光聖剣「バルムンク」を高く掲げるわ!
そんなに見たきゃいくらでも見なさい!私の光に耐えられれば、だけどねっ!
聖なる光よ、邪悪なる眼を焼き尽くせ!【真・光聖剣】ッ!!
敵の目が眩んだら、ラストはハロよ!いっけぇーーー!!
攻撃がうまくいったら、ロランに回収してもらって急速離脱!
「っちぃ、味な真似をしてくれるじゃねぇか猟兵共ぉ……」
「次が来たみてぇだぜ、オルチ兄!」
態勢を立て直したバルバロス兄弟、弟の声に兄も前方へ視線を向ければ、土煙を上げて迫る影が一つ。
「……ッハ! こいつぁ随分とでけぇ鎧を持ち出してきたモンだ!」
「俺らの攻撃にどんだけ耐えられるか、見せてもらおうじゃねぇか!」
迫る影の正体を悟り、両者ともが獰猛な笑みを浮かべ得物を構える。それは人型の上半身に、全体がブースターユニットとなった下半身を有する、特異な形状の機動外骨格――或いはキャバリア。その名を『アルター・ギア』。魔術行使に特化した、本来は空戦専用のクロムキャバリア。
『ハロちゃん、チェリカちゃん。ちゃんと隠れられてる?』
後方へ向けた指向性音声。かの機体の搭乗者たるロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)が、後続の二人へ問う。本来空戦専用のこの機体を、地上でホバー機体のように用いているのはこの為だ。
「問題ありません、此方から見える限り、彼らが気付いた様子はありません」
その片割れ、黒い軍服の少女、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が応える。言葉通り、前方の双頭巨人はあくまでアルター・ギアを狙って動いているように見える。
「大丈夫、ここまでは作戦通りよ!」
もう一方、ゴシックなドレスを纏った少女、チェリカ・ロンド(聖なる光のバーゲンセール・f05395)は元気良く。強い絆で結ばれた二人が一緒なのだ、向かう先の敵が如何に強かろうと恐れる理由は無い。
『分かった、じゃあ……戦闘開始なの!』
二人の応えに、機内のロランが頷くと共に。その機体周囲から無数の魔法陣が浮かび上がり、魔力弾が立て続けに撃ち出され『三つ目』を襲う。
「ハッハァ! そんな豆鉄砲で俺らが倒せるかよぉ!」
「その大仰な鎧、鉄クズにしてやるぜぇ!」
だが兄弟は四腕に備えた武器を振り回し、彼らを正確に狙い来る魔力弾を次々叩き落とす。そして駆け出す速度は、巨体に対して驚く程に迅速。
「っ! 速いの…!」
驚愕するロラン。なれど不用意な回避機動は取れぬ。
「おらぁぁ!!」
故に。振るわれた斧に対してロランが取った行動は、防御。電脳魔術を以て一瞬で展開された魔力の障壁が、大きく重い斧の一撃を食い止めた。
「まだまだぁ!」
だが続けざま、左のカトラスが打ち付けられる。キャバリア右胸部に裂傷が生じ、衝撃で機体が左へ滑る。
「あ…っ!?」
チェリカの視界に直に映る、双頭四膂の巨人海賊。その片割れ、赤髭の眼がぎょろりと動き、彼女を睥睨し――
「……あ……」
直ぐに前方のキャバリアへ向き直る。チェリカの存在には、気付いていないようだ。
「危ないところでした」
改めてアルター・ギアの背後へと隠れれば、ハロが迎える。その手には、漆黒の魔力立ち昇る禍々しき呪剣。それは存在秘匿の魔力。この力を以て、チェリカがかの巨人に視認されるを回避したのだ。
「あ、ありがと、ハロ」
礼を言うチェリカだが、その身は明らかに落ち着かない様子。何しろこの間にも響き渡る、硬質なもの同士のぶつかり合う音。ロランと彼のキャバリアは、敵の巨魁たる巨人と単身打ち合い、そして傷ついているのだ。
「……でも正直、ウズウズするわ……!」
一刻も早く飛び出し、共に戦いたい。だが。
「まだです、敵が隙を生じるその一瞬を待つんです……!」
その一瞬の為に、ロランは今単身奮起しているのだ。故にと制するハロもまた、その貌に焦燥を浮かばせる。
戦いは続く。更に数合の衝突。幾度もアルター・ギアが崩されかけ、背後の二人がその姿を晒しかけるが、ハロの持つ短剣の力でその存在を秘匿し続ける。
そして。
『……く、ぅ……』
ロランの呻きと共に、よろめくアルター・ギア。最早、姿勢制御が精一杯とも見えるその様相。コクピットの一角が吹き飛び、外界が直に視界へ飛び込む。そしてそこから覗く、二つの頭――
「――ハッ! こんなご大層な鎧、どんな奴が動かしてるかと思えば……」
「おいおいオルチ兄、舐めたら駄目だぜ。猟兵はガキでも充分強ぇんだしよ」
半ば吹き飛んだアルター・ギアの胸部装甲、その合間から見えた搭乗者――ロランの姿を認め、嘲る笑みを浮かべる兄弟。
「そうだな、それにこの目。まだ勝ちを諦めてねぇ奴の目だ」
装甲の合間から、真っ直ぐ己らを見返すロランの目に、オルチは嘲笑を深めつつ応える。最早打つ手などない、そう信じている顔だ。
「なら、確実に仕留めにかからねぇとな。鎧越しじゃ駄目だったが、直接見える今なら」
ハイレディンの右瞳、金の光湛える瞳がロランを映す。オルキヌスの瞳、凝視した生物を退化せしめる脅威の瞳。その視線が、ロランを捉え。
「――落ちぶれな、ケダモノまでな!」
そして瞳が見開かれた、その瞬間。
『――今なの……っ!!』
ロランの着衣、ループタイに嵌め込まれた宝玉、頭部の一角。彼の魔術を司る回路が光を放つ。同時、瞬時にアルター・ギアの周囲に張り巡らされた光の膜、その内にかのキャバリアの姿が薄れていき――やがてそこに映ったのは、バルバロス兄弟、彼ら自身の姿。
「――ぐぉっ!?」
「ハイレディン!?」
右目を固く閉じ、呻きを漏らすハイレディン。困惑するオルチ。生じた隙。
『二人とも、隙ができたの! 仕掛けるの!』
ロランが呼びかけると同時、衰えかけていたブースタが力強く咆哮。半壊した装甲にも無数の魔術式が走り、失われかけていた力が、開戦当初以上に高まってゆくのが感じられる。
『マナワールドアクセス……リンク……、……コード001、イグニッション!』
そして発動するは、ロランの知覚・神経伝達速度を爆発的に向上するユーベルコード。以て機体を十全に制御、一気に加速し上昇してゆく。
「な……っ、てめぇら、いつからそこに!?」
そして残ったハロとチェリカの姿。驚愕するオルチに二人は応える。
「最初からですよ! あなた達がロランさんとやり合っていた時から!」
「そして今こそ、私達の出番ってワケ!」
言葉と共にチェリカが掲げるは、聖なる光を纏いし大剣。光聖剣「バルムンク」。その光は見る間に眩さを増して。
「「ぐわぁぁぁぁぁ!? 目、目が……っ!」」
そして迸った光が、兄弟の目を灼き、怯ませる。オルキヌスの瞳どころか、視覚の一切をやられた状態だ。
『大人しくしていてもらうの!』
更に上空からは、ロランが放った雷属性の槍が落雷めいて次々降り注ぐ。それらが巨人の六肢を撃ち抜き、一時動きに制約を生ずる。
「よし、今ね! 行くわよハロ!」
「はい!」
尚も眩き輝き迸らせるバルムンクを脇構えとするチェリカ、その呼びかけに応えハロも愛剣を抜く。子狐の銘を持つ、霊焔宿すレイピアを。
疾走する両者。ハロが一歩先行し、跳躍。
「ぐぅぅぅ…っ、て、てめぇらぁぁぁ! ふざけんじゃねぇ!!」
激したように叫ぶハイレディン、なれど視界は未だ完全には回復せず。至近まで跳躍してきていたハロへとその金眼を向けんとするが。
「今の私は飛びます、鳥の様に!」
視線を感じれば即座に再度跳躍、視線が上向けば右へ、追って来れば再度左へ。空を蹴るハロは前後左右上下へと自由自在に、飛翔が如く跳躍を繰り返す。
「ち、ちょこまかと……!」
至近距離の頭上を跳び回られれば、視界へ収めるは容易ではない。そして、その間に。
「闇を滅する光刃の力、その身に刻みなさいっ!!」
追いついたチェリカもまた跳躍、狙うは巨人の胴部。真なる力宿した光聖剣を、全力で振り抜く。
「「ぐわぁぁぁぁぁ!!?」」
その刃、鍛え上げられた巨人の腹部をも深く斬り裂いて。迸る痛みに、苦悶の声が上がる。
「ぐ、て、てめぇ……!!」
呻きながらも視線を下向け、チェリカを魔瞳の視野に収めんとするが。
「待てハイレディン、上だ!」
兄が警告の声を上げたその時には、ハロは再度空を蹴り、双頭巨人を目掛けて急降下していた。
「これで……決めますっ!!」
突き下ろしたレイピアの切っ先は、二つの首の間、隆々たる筋肉のちょうど隙間を貫き。引き抜くと共に、夥しい鮮血を噴出せしめた。
「「がぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
その傷、確たるダメージを与え得たと確信できるものであり。積み重なる傷に悶える巨人兄弟を尻目に、二人は戻ってきたロランのキャバリアへ飛び乗り、共に戦場を離脱していった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ナイ・デス
原始の魔物さん達は、元に戻せる……オブリビオンでない存在、ですよね?
なら、できるだけ殺さないように……!
全身から【生命力吸収】する「聖なる光」を放って【範囲攻撃】
魔物は殺さないよう、動けない程度に
【念動力】で、戦闘に巻き込まれないよう遠くへ【吹き飛ばし】
【覚悟】私、隙だらけ、ですよね
先制に、ぐしゃりとされる
【激痛耐性、継戦能力】それでも、本体(魂)無事であるから
私は、死なない。私は、死ねない
『いつか壊れるその日まで』
再生し、攻撃されて、再生しと繰り返し戦闘力増強
そのうちに、受け止めて【カウンター】
魔物達から吸収した力もこめて【レーザー射撃】
避けさせない全身からの【一斉発射】
骸の海へ、還れ!
「「「ギャオオォォォォォン!!!」」」
雄叫びを上げて迫り来る巨大蜥蜴。それは最早、恐竜といっても差し支えない様相。三つ目の石碑から放たれた光線を受けて変移した蜥蜴達、これが『原始の魔物』か。
けれど……と、相対するナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は思う。オブリビオンの影響を受けているとはいえ、彼らはオブリビオンのような過去の残滓ではない、今を生きる生命。少なくともナイの認識においてはそうだ。
「なら、できるだけ殺さないように……!」
彼らは本能のままに荒ぶっているだけ。本来罪のない命。ナイはそう判断する。
故に、その身から放たれる光は、生命の力を収奪こそすれど、生命そのものまでを奪いはしない。
迫る原始の魔物達、彼らの振るう爪が、牙が、その身を刻み、抉ろうとも。光は衰えることなく、吸い上げた生命力が傷を癒す。
やがて、活力を奪われ続けた魔物達の動きが鈍ってゆく。走り回っていた脚、振るわれ続けた爪牙の動きが、緩慢となってゆく。
「離れていて……ください」
ナイは吸い上げた力を念動力と変換し、己の周囲へ打ち放つ。抵抗できぬままに受けた魔物達は跳ね飛ばされ、戦場から遠ざけられてゆく。己の敵は、あくまでコンキスタドール。故に――
「あいつらを巻き込まねぇように、ってか! 随分とお優しいこったなぁ!」
「そのせいで隙だらけになっちゃ世話ねぇけどな!」
嘲る下劣な笑いが響く。彼らを魔物と変じせしめた張本人、七大海嘯『三つ目』のバルバロス兄弟。今の念動斥力をものともせず、跳ね飛ばされた魔物達と入れ替わるように迫っていたのだ。
ナイは動かない。否、動けない。念動力の大規模行使の反動。動けるようになるまで、未だ一呼吸の間を要し――眼前のコンキスタドールは、その間さえも与えない。
突き出された槍が胸を穿ち、左右から振るわれたカトラスと斧とが両腕を断ち、そして打ち下ろされたフレイルが、少年の頭蓋を、砕いた。
「ッハハァ! 殺ったぜ……!」
「……いや、まだだオルチ兄! こいつ……!」
仕留めた。そう確信する兄。如何に猟兵と言えど、ここまでのダメージを受ければ確実に死ぬ。事実、通常の猟兵ならばそうだっただろう。
だが弟は気付いた。両腕を失い、頭部の砕けた少年の身体から、白く眩い光が溢れるのを。こいつ、ただの猟兵じゃない……!
『――私は、死なない。私は、死ねない――』
本体不明のヤドリガミであるナイ。本体が壊れていない以上、その肉体が壊れようとも彼は死なない。そして、壊れるたびにその力は高まって――
「――ぐぉっ!?」
「な……っ!? てめぇ!!」
失われたはずの右腕が、白き光で形作られる。前方の双頭巨人へ向けて差し出せば、迸った光線が腕を貫く。バルバロス兄弟、即座に斧を振るい反撃。ナイの胴が拉げる。
『――!』
潰れていた頭部から白き光が迸り。光線となってコンキスタドールへと撃ち出される。肩を貫かれ、巨人兄弟がよろめく。
「がぁ……っ! 何、なんだ、てめぇは……!」
「こうなったら、バラバラにしてやらぁ……!」
砕いても、断ち割っても、潰しても。巨人兄弟が得物を振り回し叩き付け、ナイの肉体を打ち砕こうとも。瞬時に再生し、その度に迸る光線が巨人の肉体を穿ち、斬り裂く。
痛みが無いわけではない。常人なら一撃で死に至るだろう苦痛を、十数回に渡り受け続けるナイ。肉体が無事でも精神が発狂しかねぬ激痛を、覚悟以て抑え込む。
それが己にできること、己の為すべきこと。この力で、世界滅ぼす禍を払う――!
「骸の海へ、還れ!!」
「「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」
ナイの全身から光が迸り。無数の光線が、巨人の全身を貫いた。
成功
🔵🔵🔴
ニコリネ・ユーリカ
厄介なのは原始の魔物が生まれること
島の生物が石碑と光線の射られる方向に近寄らないよう
予め森に匂いが強い餌を設置して集めましょ
小さな命がどうか巻き込まれませんように!(せっせ
🌼先制対策
島の生物に照射されるくらいなら私が凝視を甘んじる
魔力を籠めて刺繍したエプロンを盾に威力を緩衝し
状態変化には各種耐性と根性で堪える
小さくなって洋服が合わなくなっても平気
エプロン一枚袈裟に巻けば原始人ルックの出来上がり!
布をひらめかせる位の力と知能が残っていれば私の勝ちよ
🌻攻撃
うほうほ(ごきげんよう、アタシちびりね
うほほい(えぷろんひらひら、なんどもびーむをうっちゃう
うほーい(てきもたいかして、ちびになっちゃえー!
地籠・凌牙
【地籠兄弟】アドリブ歓迎
退化、か。相手が見てるだけで発動するんだよな?
うーん、逆に利用できねえか?
『穢れを喰らう黒き竜性』で穢れを喰い、陵也や仲間が敵に狙われるという”不運"を減らして敵の攻撃を【おびき寄せ】るぜ!
攻撃は援護してもらいながら【第六感】【スライディング】で可能な限り回避、当たったら【激痛耐性】で耐える。
退化は意味呪詛のようなもんなら【呪詛耐性】で抵抗できるが、免れねえかな。
だが同時に心身の退化に伴い力の制御が効かない【リミッター解除】状態になり、【指定UC】で強い災害を呼び寄せられるハズ!
陵也が護ってくれるしこれで三つ目や原始の魔物でも厳しい災害で【地形破壊・範囲攻撃】を狙うぜ!
地籠・陵也
【地籠兄弟】アドリブ歓迎
なあ凌牙、何を考えたんだ?
嫌な予感がする……!
【高速詠唱】【多重詠唱】で【結界術】と【オーラ防御】を何層も重ねて凌牙と自分に付与するぞ。
三つ目の攻撃は俺が【武器受け】で【かばう】、【拠点防御】の応用で踏ん張り効かせれば体勢は崩れないハズ。凌牙のおかげで【幸運】にも恵まれているし。
魔物は【属性攻撃(氷)】で凍らせたり体温を下げたりで動きを鈍らせて、退化の呪詛は『穢れを清める白き流性』の【浄化・破魔】の力で食い止める。
お前これが狙いか!!
確かに災害は効果的だろうけど嫌な予感しかしないな!?
【指定UC】でシェルターを作って防御だ!
他の猟兵たちがいたら当然こちらに避難させるぞ!
他の猟兵との交戦の中、よろめきながらも未だ屹立する、バルバロス兄弟の巨躯。その向かって右側、弟ハイレディンの右目。凝視したものを退化させるという『オルキヌスの瞳』。
「見てるだけで発動する力か――」
其を見据え思案するは、白髪に黒鱗の人派ドラゴニアン、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)。
「――なあ、凌牙。何を考えてんだ?」
そんな彼に声をかけるのは、目鼻立ちは酷似した、然し配色は真逆、黒髪に白鱗の人派ドラゴニアン、地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)。凌牙の双子の兄だ。
「ん、ちょっとな」
大した事じゃない、と言いたげな凌牙だが、陵也には分かる。弟がこういう顔をしている時は、だいたい碌でもない事を考えていると。その頬を冷や汗が走る。
と。
「準備完了よ!」
そんな二人の後ろから駆けてくる、今一人の猟兵。ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)。彼女が何をしていたかといえば。
「よし、これで魔物達の乱入の危険は減らせそうか」
頷く陵也。島の中に点在する森の中へ強い匂いの餌を撒き、以て島内の動物達を惹きつけ戦場から遠ざける。そうすれば光線を浴びて魔物化し、戦場へ乱入する危険は減る――それがニコリネの策であった。
「ええ、元は小さき命。巻き込まれないに越したことはないもの」
罪なき命が、悪しき意思で危地へ駆り出される事が無きように。そんなニコリネの博愛が導き出した策であった。
「よし……それなら、行くぜ!」
凌牙の号令に応え、三人は戦場を目指し駆け出す。荒れ狂う巨大なる暴虐、バルバロス兄弟を打ち倒すために。
「もう次が来たかよ! しつこい連中め!」
「ハッ、そっちも兄弟か! だが俺達兄弟の前には返り討ちだぜ!」
先に交戦していた猟兵を退けた兄弟、新たに迫る三人に気付けば即座に向き直り。その手の斧と槍とを、同時に振り下ろし叩き付けんとする。
「させるか!!」
其に対抗せんとするは陵也だ。その唇が刹那のうちに数多の詠唱を成し、猟兵と巨人との間に幾重もの防御結界を形成する。直撃すれば猟兵の肉体をも粉々とするだろう一撃。重く鋭い斧刃を叩き付けられた結界はひび割れ――そして槍の穂先を受けると共に砕けるも、貫通までは至らず。先制の一撃を退ける役目は、見事に果たした。
「くっ……流石に凄まじい力だな。だが!」
破壊の衝撃は陵也にも降りかかるが、護る意思と共に踏ん張りを効かせた脚は踏み止まる。そして兄の横を駆け抜け、弟が跳躍する。
「おらぁぁぁ!」
その身に纏うは漆黒の呪詛じみた覇気。穢れや不幸を吸い上げ力と成す、凌牙の身に具わった能力。漆黒の爪牙備えた腕に力が籠る。以て巨人兄弟を目掛け斬りかかる!
「させるかよぉ!」
己に比べれば矮小なる身を叩き落とさんと、カトラスが振るわれる。だがその刃は展開された結界に阻まれて。凌牙の黒爪が、巨人の胸を浅く裂く。
「ちぃ、鬱陶しい!」
「それなら、こいつらの出番だな……!」
インファイトを挑む相手には分が悪い。ハイレディンが判ずると同時、荒野の中心に建つ石碑の三つ目が妖しい光を放ち。島の生物を魔物化せんと、間近の森へその閃光を――
「させないっ!!」
其処に飛び込んだのはニコリネ。『Floral Fallal』、彼女の営む花屋の屋号を刺繍したエプロンを掲げ、光線を受け止める。魔力籠めた刺繍は呪なるものへの耐性を有し、持ち前の根性と併せ耐えきらんとするが。
「く、うぅぅ……! ……ぅ、ぅ、うぅ……!」
なれど完全なる減衰は叶わず。ニコリネの身が徐々に変異してゆく。全身の体毛が伸び、更に体格も衰え。光が止んだ後、其処に居たのは――
「――うほ。うほうほ」
言葉さえも失った、小さな猿人と化したニコリネ。差し詰め『ちびりね』とでも呼ぶべき存在であった。
「「な……っ!?」」
その有様に、思わず言葉を失う地龍兄弟。そしてその隙を見逃すバルバロス兄弟ではない。
「てめぇも同じザマになれやぁ!」
ハイレディンの右瞳が輝き、凌牙へと同質の光を浴びせる。咄嗟に陵也が結界を展開せんとするも、併せるようにオルチが繰り出したフレイルを防ぐのが精一杯で。
「があぁぁぁぁぁっ!!」
そして光が凌牙を捉え。その身に変異が生じだす。元より呪詛には強力な耐性を有する彼だが、瞳の齎す呪詛は其を以てしても退け得ず、ただ進行を抑え得るのみで――
「……あん?」
このまま蜥蜴まで退化させてやる、そう目論んでいたハイレディンは訝しむ。凌牙の肉体に生じた変化は、鱗の増加――のみに非ず。その肌の色が、形質はそのままに黒みを増して――
「……! 止めろハイレディン! そいつぁ……何かやべぇ!」
異常を察したオルチが制止を試みた時にはもう遅い。凌牙の肉体は漆黒に染まり、その身を包む覇気もまた漆黒。そして。
「――お前らの呪詛の瞳が、この力の封を解いた」
凌牙が語ると共に、その身が宙に浮き上がる。それと共に、上空に黒雲が蟠り、戦場の空を覆い尽くす。
「今ここにいるのは、俺じゃあねぇ――」
風が吹く。その風速は瞬く間に高まり、森の木々を激しく騒めかせ。
「――存在するだけで不幸を引き起こすもの、『災厄そのもの』だ!!」
黒雲に稲光が迸り、暴風が戦場に荒れ狂う。それは彼のユーベルコード、穢れを喰らい局地的災害を引き起こす禁呪。
「お前……これが狙いか!!」
戦闘開始前に感じた予感が的中した。驚愕する陵也だが、そればかりではいられぬ。慌てて駆けてちびりねの元へ。
「うほっ?」
「嫌な予感がする、ここから動くなよ……!」
首を傾げるちびりねに告げつつ、陵也もまたユーベルコードを発動。己らを守る防御結界を展開。ちびりねは彼の言葉を理解する程度の知能を残しているらしく、その場に留まる。
そしてその直後。
「オオオオオオオオ――!!」
凌牙が吼える。応えるように風が渦巻き、竜巻を形作る。稲光が雷光となって戦場へ降り注ぐ。天地に巻き起こる風雷の災禍が、巨人兄弟へ襲い掛かる。
「うおおおおお!!? な、何だこいつぁ……!」
「あいつだ……! あいつを殺って止めるしかねぇ!」
突然巻き起こった災害を前に、さしもの七大海嘯の一角も驚愕を隠せぬ。凌牙を倒せば止まると判じた二人は、槍を構えて上空の凌牙を貫かんとするが。
「うほほい!」
そこで動いたのはちびりね。先程まで着用していたエプロンを袈裟懸けに巻いた原始人ルックとした彼女。退化させられて尚、己の為すべきを成し得るだけの力と知能は未だ残る。
エプロンの裾を掴むと、其をひらめかす。すると、そこから放たれたのは――オルキヌスの瞳の光!
「ぐぁっ!? こ、この光……!?」
「ま、まずい、力が……!」
光は狙い違わず巨人兄弟を捉え、退化の呪詛を齎す。照射時間の短さ故に、一気に小さくさせるとはいかぬが、その膂力を削ぐには充分な効果だ。
凌牙を狙って投げ放った槍は、彼のいる高度に至ることなく失速し、落下してゆく。そこまで至らしめ得る膂力が、既に彼らからは失われていた。
「うほほい、うほーい!」
ちびりねは繰り返しエプロンをひらめかす。応えて繰り返し放たれる光が巨人を捉え、その身体能力を退化させてゆく。
先程ニコリネがエプロンを以て光線を防いだのはこの為――其で受けたユーベルコードをコピーし撃ち返す、己のユーベルコードの為だ。
「ち、ちくしょう、身体ががうまく動かねえ……!」
「オルチ兄、このままじゃ竜巻が……!」
そしてバルバロス兄弟へと迫る竜巻。退化し萎えかけた脚では、最早逃げることは叶わず。
「「うおおおおおおぉぉぉぉぉ!!?」」
4m程にまで縮んだ、それでも常人を圧倒する巨躯が、巨大なる竜巻に巻き上げられ。上空にて迸る雷光に貫かれてゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
Σただでさえ厄介な相手なのに増援まで来るってどんな無理ゲー!?
でも、ウィーリィくんが一緒なら協力プレイでノーコンティニュークリアだよ!
敵の先制攻撃は熱線銃を地面に向けて【零距離射撃】で発射し、その爆風でボク自身を【吹き飛ばし】て回避
兄弟の相手はウィーリィくんに任せてボクは原始の魔物を熱線銃の【乱れ撃ち】+【範囲攻撃】で攻撃しながら【挑発】+【罠使い】でボクのところに来るように誘導し、そのまま兄弟の元まで引き連れて魔物の巨大な身体で攻撃の邪魔をさせる
それに乗じて素早く兄弟の足元に回りウィーリィくんが作った隙を突いて急所を狙って【ラスト・チェーンソー】の【部位破壊】で攻撃!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
さて、敵の先制攻撃を凌いでからが本番だな。
シャーリー、やれるな?
【早業】で上着を脱ぎ捨てて【物を隠す】で奴の視線を遮り先制攻撃を凌いだらそのまま【ダッシュ】で敵の懐に飛び込み、炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【刀工一閃】で斬りつけながらダメージを与えていく。
原始の魔物の対処はシャーリーに任せ、俺はバルバロス兄弟に攻撃を集中。
そして魔物がこっちに向かってきたら【フェイント】と【見切り】で兄弟の攻撃が魔物に当たる様に仕向け、その隙に【物を隠す】で魔物の巨体に隠れる形で兄弟の視界から姿を消し、死角から【刀工一閃】で足元を斬りつけてバランスを崩し、シャーリーの攻撃のチャンスを作る。
「ただでさえ厄介な相手なのに増援まで来るって、どんな無理ゲー!?」
シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が悲鳴じみた叫びを上げる。彼女達は今まさに、その増援――『原始の魔物』と化した獣達の群れに追われていたからだ。
「だが俺達なら勝てるはずだ。シャーリー、やれるな?」
しかし隣を走るウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)にそう問われれば。信頼するパートナーの言葉が、シャーリーの心を力強く支える。
「――うん! ウィーリィくんが一緒なら! 協力プレイでノーコンティニュークリアだよ!」
頷くシャーリー。そんな二人の前、前方から迫り来ていた双頭巨人――バルバロス兄弟が得物を振り上げていた。
「ハッ! 大した自信だがなぁ!」
「俺達兄弟に! 勝てるワケがねぇだろ!!」
そして斧を振り下ろし、槍を突き下ろす。どちらも命中すれば肉体が砕け散らんばかりの威力を秘めている事は、見た目にも明らかだ。
「そんなものっ!」
シャーリーはマスケット銃を足元目掛けて発砲。そこから放たれたるは高密度の熱線。着弾点にて生じた爆発が、シャーリー自身の身を背後へ吹き飛ばす。疾走の勢いを殺す間さえ省いた回避行動に、斧は地面を割るに留まる。
「よーし、あなた達の相手はボクだよ!」
着地したシャーリーはそのまま地を転がりつつ、迫っていた魔物達へと熱線を乱射する。爆発を生じる程の熱線だが、魔物達にはそれだけでは致命傷とならぬらしく。受けた攻撃に怒りの咆哮を上げ、シャーリーを追い始める。
「ふふん、捕まるもんかっ!」
だが其はシャーリーにとって百も承知。追われるままに逃げ出し、ウィーリィから魔物達を引き離しにかかる。
「さあ、お前の相手は俺だ!」
突き下ろされた槍を横に転がり躱したウィーリィ、立ち上がると共に再び巨人兄弟へと向かう。
「ハッ! 一人で俺達の相手をしようってか!」
「そいつぁ無謀ってモンだ! 思い知りな!」
兄弟の嘲笑と共に、弟の右瞳が見開かれる。オルキヌスの瞳、見据えた生物に退化を強いる呪眼――だが。
「これでも俺の姿が見えるってならな!」
その直前、ウィーリィは己の上着を脱ぎ捨て頭上へ放り上げる。其が弟の視界からウィーリィを隠し、瞳の呪詛を妨げた。そして。
「極めた刀工は、光より迅く閃く!」
抜き放つは得物たる大包丁。炎纏うその刃が、巨人兄弟の太い脚を斬り裂く。
「ぐおっ!? く、てめぇ…!」
足元をカトラスで払いつつ距離を取る兄弟。だがウィーリィはカトラスの下を潜って距離を詰め、再度脚へと斬りつける。ユーベルコードによって加速を得た彼、双頭巨人の敏捷性にも追随する。
「ちぃ……! ちょこまかと鬱陶しい!」
「それなら、こいつでどうだ!」
脚に傷重なり、痛みに兄弟の顔が歪む。だが敵は七大海嘯の一角、やられるばかりではない。再度ウィーリィが斬りつけるタイミングを計り、足を振り上げる。
「ぐぅっ!?」
大木が如き脚の蹴りを受け、吹き飛ぶウィーリィ。地に膝ついた彼を目掛け、双頭巨人がフレイルを振り下ろさんと――
「ウィーリィくーん! 行くよー!!」
だがそこへシャーリーの声。両者の間を横切って、そのまま駆け抜けていった彼女を追って戦場へ飛び込んでくる、原始の魔物達。その巨体、巨躯誇る兄弟に対しても障害たり得て。
「なっ……!? ぐ、なんだてめぇら……!」
「邪魔をするんじゃねぇ……!」
好機を潰され苛立つ兄弟。ウィーリィの前へ立ち塞がる形となった魔物の頭蓋をフレイルで叩き潰し、蹴り飛ばすが。
「ちっ、何処行きやがった……!?」
「さっきの小娘もいねぇ……!」
先程まで居たウィーリィの姿が無い。双頭の其々が二人の姿を探して周囲を見回すが……直後。
「「ぐぁっ!?」」
踝に走った鋭い痛み。ウィーリィの繰り出した刃が、其処を――アキレス腱とも呼ばれるその部位を狙い斬り裂いたのだ。
思わず姿勢を崩す双頭巨人。その足元、好機と見たシャーリーがカトラスを構える。サイキックエナジーで刃を形作るカトラスを。
「その隙、貰ったよっ!」
跳躍、その刃が変形し、回転する鋸刃と化す。狙うは巨人の内腿。太い血管の配された、人体の急所の一つだ。
「邪魔する敵は――喰らいマックス!!」
「「がああああああ!!」」
果たして、カトラスチェーンソーは見事に内腿へと突き刺さり。高速回転する鋸刃が、其処をズタズタに引き裂き。鮮血噴出せしめる、苛烈なダメージを刻み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
島まで追い詰めた。
だからこそ注意しなくては。追い詰めた敵ほど厄介だ。
回点号に搭乗、操縦
動体視力で周囲の原始の魔物を認識、
ディスポーザブル03を遠隔操縦、誘導弾を一斉発射
範囲攻撃で魔物達を吹き飛ばし、バルバロス兄弟へ一直線に向かう
此処にくるまで何度も戦った。
シールド展開、オーラ防御で、光を遮断し、目潰し
凝視できなくする。自分は03から見る事で視界を確保
『回点槍』発動。突撃はフェイント、瞬間思考力でバルバロス兄弟目前で上空へ跳ねあがり、早業、小銃形態に変形した戦鎌で雷の貫通属性攻撃
いい加減に、壊れろ!!
背後へ降り立ち、、シールドエネルギーを纏い、切断力を上げた戦鎌でなぎ払い、その体を横一文字に斬る
リーヴァルディ・カーライル
…ようやく追い詰めたわ、バルバロス兄弟
…此処でお前達を討ち果たせば、もう復活する事は無い
…二度と戻れぬ骸の海に沈むが良い、七大海嘯
第六感を頼りに敵が発する微かな殺気や闘争心を暗視して見切り、
今までの戦闘知識を基に敵の攻撃を最適な動作で受け流しUCを発動
…何度も見てきた攻撃よ、今さら通用しないわ
百本の魔刃に限界突破した精神属性攻撃の魔力を溜めて、
対象の精神を切断して洗脳する呪詛を魔刃に付与し武器改造
…まずは邪魔な魔物達から片付ける
…往きなさい、私の刃達…!
空中戦機動の早業で魔刃を乱れ撃ち魔物達を操り、
兄弟に魔物をけしかけて同士討ちをしている隙に、
死角から切り込み大鎌を怪力任せになぎ払うわ
「くそ……っ、猟兵共、流石にやるじゃねぇか……!」
「まさか俺らが、ここまで追い詰められるたぁな……!」
全身を穿たれ、焼かれ。如何に生命力秀でる巨人と言えど常ならば致命だろう傷を負い、滂沱と流血しながらも、バルバロス兄弟は尚立ち上がる。
彼らの前に現れたのは一機のクロムキャバリア。朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)操る『回点号』だ。
「……ようやく追い詰めたわ、バルバロス兄弟」
その回点号の肩の上、巨人兄弟の傷ついた様を見据え、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は冷然と告げる。この島に至るまでも、幾度も彼ら兄弟と刃を交えてきた彼女。その因縁にも終わりが迫りつつあると。彼女は感じていた。
「ああ。だからこそ注意しなくては。追い詰めた敵こそ厄介だ」
リーヴァルディの言を回点号のコクピットにて受け、小枝子が応える。窮鼠猫を嚙む。まして眼前の敵は鼠どころの存在ではない。此処に至るまで何人もの猟兵の力があればこそ、此処まで追い詰めることが叶った。画竜点睛、己らが欠くわけにはいかぬ。
「……勿論よ」
無論、其はリーヴァルディも理解している。過去を刻むもの、死者の想念を力と成す漆黒の大鎌を振るい、眼前の巨人へと突き付け、宣言する。
「……此処でお前達を討ち果たす。二度と戻れぬ骸の海へ沈むが良い、七大海嘯」
冷厳なるリーヴァルディの視線、キャバリアのカメラアイを介し彼らを見据える小枝子もまた同じく。左右の頭、三つの瞳で見返す『三つ目』は。
「「――ハハハハハハ!!」」
両者揃って哄笑を上げ。其々の手に携えた得物を構える。
「この程度で追い詰めたつもりか! 笑わせる!」
「てめぇらなんぞ、これぐらいのハンデで丁度いいぐらいだ!」
絶対の自信か、己らへの鼓舞か。或いはその両方か。尚も衰えぬ膂力を以て構えた四の武器に、力を籠めて。
「「行くぜぇぇぇぇ!!」」
疾走する双頭巨人、応えるようにキャバリアが駆ける。巨人達の声に応えるように、背後で石碑が幾度も光を放つ。
「「「ギャオオォォォォォン!!!」」」
現れるのは、無数の巨大な蜥蜴や蛇、或いは昆虫。光によって原始の姿へ立ち戻った魔物達。荒れ狂うがままに戦場へと踊り込む。狙いは無論、猟兵達だ。
「邪魔はさせん」
それらを認め、小枝子が動く。二人の後方、更に一機のキャバリアが動く。ディスポーザブル03、遠隔操縦にて動く小枝子の更なる戦力だ。
全身に据えられたミサイルポッドが一斉に展開、トリガーと共に無数のミサイルを吐き出して。
「「アギャァァァァァ!!」」
爆炎と爆風が巻き起こり、魔物達が吹き飛ばされる。その間に回点号の肩より降りたリーヴァルディ、巨人達を目掛けて斬り込んでゆく。
「てめぇみてぇなチビ臭ぇのに! 負けはしねぇ!」
彼女を前とした双頭巨人の肉体に力が籠る。彼らは己より小さな存在に対した時にこそ、最大の力を発揮する。カトラスが、斧が、暴風の如き勢いを以てリーヴァルディへ襲い掛かる。
「……何度も見てきた攻撃よ」
リーヴァルディはここに至るまでに、幾度も彼らとの交戦を経てきた。彼らの立ち回り、攻め筋。その全ては身体を以て覚えている。
速さも重さも、ここまでより更に一段上。故に完全な回避とはいかず、振るわれる刃の起こす衝撃や、砕けた地の石片が、その身を傷つけこそするが。蓄積された戦闘経験は、有効打を確実に躱す力を齎していた。
更に。
「魔物は粗方排除した。私も攻めるとしよう」
走り抜ける火線。兄弟が気付けば、其処には戦鎌を構える回点号が迫る。振るわれた刃を、その柄へ槍の柄を当てることで凌ぐ。
「ちぃ! デカブツが相手じゃ分が悪ぃか!」
「任せろオルチ兄! 俺の瞳で……!」
己らと互角の巨躯を有するキャバリアが相手では、その力を十全に発揮することはできない。呻くオルチにハイレディンが応え、搭乗者たる小枝子を弱らせんと右の金瞳に力を籠める。その瞳、胸部装甲越しでも彼女の姿を捉えんとして――
「此処に来るまで何度も戦った。その瞳の脅威とも、また」
小枝子もまた、かの兄弟との戦闘経験を幾度も積んできた。故に、敵が切り札を切るタイミングも見切り得た。回点号の前に展開される、ハニカム構造の念動障壁。光遮る其が視線を防ぎ。そして障壁が光を放ち。
「ぐわぁぁぁぁ!?」
「ハイレディン!?」
見開いていた瞳を焼かれ、ハイレディンが怯み、オルチも驚愕する。好機。回点号の背、ブースタが咆哮を上げる。猛烈な推力を得たキャバリアが、よろめく双頭巨人へと突撃をかける。
「ちぃっ!!」
其れを払わんとカトラスを振るう兄弟、だが小枝子はその迎撃を完全に読んでいた。瞬時の判断にて跳躍、そして飛翔。その手の戦鎌が変形し、大口径のアサルトライフルとなって構えられる。
「――貫け」
そしてトリガーを引く。雷帯びたる弾丸がセミオートにて吐き出され、巨人の肉体を貫き穿つ。
「ぐぁぁぁぁっ!? ち、てめぇ……」
「くそぉぉっ! 来い、お前らぁぁ!!」
更に前方からは、飛翔するリーヴァルディも迫る。喚くハイレディンに応えるように、三つ目の石碑が再度輝き、光線を乱れ撃つ。
「「ギャオオォォォォォン!!!」」
其を受け、更なる恐竜めいた蜥蜴の群れが地鳴りを上げて駆け迫る。猟兵達を喰らわんと。
「……邪魔はさせない。いいえ。お前達にも手伝ってもらう」
だがリーヴァルディはその妨害を予期していた。大鎌を縦に構え、念ずるは魔刃の型。本来は吸血鬼狩りたる彼女の、修めた業の一つ。
「……この刀身に、力を与えよ」
応え現れ出た、結晶化せし魔力の刃に、更に魔力を注ぎ、新たな力を与え。
「――往きなさい、私の刃達……!」
空中でその身を一回転。其を合図に放たれた魔刃が、魔物達の身を斬り刻み。
「「アギャァァァァァ……ァ……ァ……」」
そのまま絶命せしめるかと思えば、魔物達の肉体には一切の負傷が無い。なれど無論、全く損害が無いなどという事は無く。
「「……ァァギャオオォォォォ!!」」
咆哮と共に再度駆け出す魔物達。だが彼らはリーヴァルディの横をすり抜けて――雷弾の雨に打たれる巨人兄弟へと襲い掛かった!
「な……馬鹿なぁ!? こいつら……!?」
「俺らを襲うなんざ今まで一度も……!?」
其はリーヴァルディが放った刃の作用。魔物達の精神を刻んだ刃は、その傷口に毒を塗り込んだ。洗脳し、己の僕と化さしめる呪詛を。以て、彼らは本来絶対者であったバルバロス兄弟を敵と認識し、襲い掛かったのだ。
「ちくしょう! てめぇら、よくもぉ!」
「俺らに逆らうなんざ、許さねぇ……!」
斧とカトラスが蜥蜴の首を断ち、フレイルが頭を叩き潰す。襲いきた魔物達を全滅させた兄弟に、しかし、終焉が迫る。
「……此れで終わりよ、『三つ目』」
「いい加減に、壊れろ……!」
頭上から急降下するリーヴァルディ、背後に着地した小枝子駆る回点号。紅き光帯びる大鎌と、碧きエネルギー纏う大鎌とを構え。
紅の斬閃が双頭の間から正中線を駆け抜け、碧の斬閃が腰を貫き。巨大なコンキスタドールの肉体を、三つに切断してみせた。
「が……ぁっ。馬鹿、な……俺達、兄弟が……こんな、奴ら、に……」
「グリモアの力……俺達兄弟の、完成……もう少し、だった、のに……」
一つであった兄弟は二つに別たれ、傾いで崩れ。地響きと共に地へ倒れた肉体は、塵と化して骸の海へと還っていった。
以て、七大海嘯が一角『三つ目』は、ここに斃れたのである。
大成功
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