羅針盤戦争〜 火船幽霊船葬送譚
月だけが照らす暗闇の海に、ぼんやりと紫色の光が列を為す。
七大海嘯『鬼火』、フライング・ダッチマンに従う幽霊船の大艦隊が呪いの光を放ち、闇夜に沈む海で光り輝く。まさに鬼火と称するにふさわしい物であり、見る者を絶望に追い込むだけの威容を備えているそれ等に近づいて行く幾隻もの船がいる。
明りもなく、鬼火に魅かれる様に進む姿は、底なし沼へと誘う鬼火に導かれる旅人の様にも見えるかもしれない。だがしかし。それを否定する様に近づいていた船達は、幽霊船にぶつかる前に自らの体に火を放ち幾つもの火の玉となって鬼火へと襲い掛かったのである。
「詳しい人に聞いた所、火船戦術と呼ばれる物の様です!船に可燃物や爆発物を満載にして火を放ち、敵の船にぶつかる事で相手の船を焼いてしまおうという戦い方の様ですね!」
銀色の尻尾をパタパタと上下に揺らし、興奮気味に語っているリーデ・ミカヅキ(未来紡ぎの銀斧・f27783)であったが、次の言葉が始まる頃にはしゅんと下へと向いてしまう。
「でも、幽霊船の大艦隊を壊滅させる事は出来ずに、火船戦術を仕掛けた島へと幽霊船が上陸し島民全てが虐殺されてしまう予知が見えました。元より幽霊船はその島へ上陸するつもりだったので、抵抗しようがしまいが私達がどうにかしない限り未来は変わりません。だから、島民達が用意してくれた火船へと私達が乗り込む事で確実に幽霊船を壊滅させようというのが今回の作戦です!」
リーデの予知によると、例え火船に猟兵達が乗っても火船戦術自体は必ず成功させる事が出来るという。本来なら島民達の誰かが乗船し、火をつけて海へと逃げだすその役目を猟兵達が変わる事で、火船戦術の効果自体を高めたり、或いは幽霊船へと乗り込む事で舵を奪い、近くの火の海や島等へぶつける事で船を効果的沈めたりする事が出来るはずだ。
「今回は、火のついた船の上で戦闘を行う事になるので、炎対策はしっかりとお願いしますね。では、皆さんのご武運を!!」
風狼フー太
火船ってのはどうかな?幽霊船相手でも有効な戦術だったけど。はい、閲覧いただきありがとうございます。風狼フー太でございます。
今回のプレイングボーナスですが。
プレイングボーナス……島民と迎撃準備をした上で海上戦に臨む。
となっております。既に島民達が火船を用意してくれていますので、この火船を効率よく使う事でプレイングボーナスになると解釈します!
今回の舞台となる海は、月夜に照らされた近くにそれなりに大きな岩だけの島が5つ程浮かぶ海の上で、既に火船自体は成功しているので、リプレイの描写は基本的に成功した後からの描写となります。
火船の詳細ですが、漁船や島の近くを巡回する為に使っていた帆船を二隻一組として鎖でつなぎ、間を抜けようとした幽霊船にも鎖が引っかかり、火が付いた船が横から襲い掛かるという構造になっております。また、次々と幽霊船を燃やしていく以上、炎の対策等があれば有利に立ち回れるかとも思います。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『幽霊船の大艦隊』
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POW : 『鬼火』艦隊一斉砲撃
【並んだ幽霊船が統制の取れた砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 『鬼火』海賊団
レベル×1体の、【カトラスを装備した右手の甲】に1と刻印された戦闘用【『鬼火』海賊団員】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : セントエルモストーム
自身の【マスト】から、戦場の仲間が受けた【攻撃回数】に比例した威力と攻撃範囲の【呪詛の紫光】を放つ。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夜とは亡者や幽霊の類にとって彼らの時間と言ってもいいだろう。
人は闇を見通すことが出来ず、闇に恐怖を覚えるが、彼らには恐怖心という物が基本的にはない。
だが今に限ってはそうではない。赤々と燃える船達が、幽霊船へぶつかる度に船に亡者達は悲鳴にも聞こえる声を上げて、燃え移る炎への対処を行っていた。そして、彼等の天敵である者達がこの機を逃すわけがないのである。
声を上げるがいい猟兵よ、月が輝く今宵は亡者狩りの夜である。
トリテレイア・ゼロナイン
この島の方々の知恵と勇気は凄まじい物がありますね
私も騎士として彼らの奮闘に応えねばなりません
燃え盛る船の上で戦闘
元よりSSWの宇宙空間での活動も想定された身体です
この程度の炎と煙など障害にもなりません(●環境耐性、継戦能力)
塞がる視界では無くマルチセンサーでの●情報収集で周囲を把握し●怪力で振るうランスや大盾で船の構造物や船員を撃破
丁度炎が燃えておりますし、弾薬庫に引火させれば殲滅速度も上がるでしょう
UCによるランスで敵船を破壊し弾薬庫への通路を露出
あとは火のついた物を内部へ●投擲し爆破
届く直前に水中へ飛び込み水中機動で次の敵船へ、この為の水中用装備です
まあ、騎士らしい戦いとは言えませんが…
何時の時代も船という物は、人が往けぬ場所を往く道具である。帆船を以て海を進み、飛行船を以て空を往き、宇宙船を以て宇宙を拓く。
古来より船とはそう言う物なのだ。一度船が壊れればその中にいる人間の生存は保証できない。だからこそ、もっとも原始的で破壊をもたらす火は船員達を恐れさせて、同時に知ったのだ。
敵の船を手早く葬るには火が一番であると。
「この島の方々の知恵と勇気は凄まじい物がありますね」
燃え盛る幽霊船の甲板に降り立ったトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、襲い掛かってくる海賊達と味方の船であろうと構わぬと隣の幽霊船から飛んできた砲弾を、手に持つランスを横に薙いで、次々に海へと叩き落してゆく。
島民達にとって、火船に使った船は自分達の生活道具でもあっただろう。それを手放してでも、目の前の敵を足せば道はあると、知恵ある誰かが決断を下し、島民達も勇気を以てそれに従ったのだ。確かにこの作戦は力不足ではあったのかもしれないが、猟兵達が加勢した以上その懸念は解消されたといっていい。
火が回り、味方の砲撃まで受けたこの船はもう長くはないだろうと判断したゼロナインは、炎を受け付けぬウォーマシンの体とその身に宿る怪力を駆使して、赤々と燃え上がる幽霊船の一番太いマストを折ると、近くにいた船の甲板へと叩きつける。
「私も騎士として彼らの奮闘に応えねばなりません」
燃えるマストを足場に近くの幽霊船へと乗り込んだゼロナインは、混乱している海賊達を薙ぎ払うと、ユーベルコードによる超精密なランスの一撃を振るい、奥に隠れていた弾薬庫までの間に存在した壁をすべて破壊する。燃えているマストの一部を剥がすと、火のついたままそれを弾薬庫へと放り込み、爆発に晒される前に海へとその身を投じたのである。
直後に弾薬庫は咆哮を上げて爆発し、船上船内全てにあった物を吹き飛ばしてゆく。ゼロナインはというと、彼は水中用の装備を起動させて海中を移動していた。もう一度、敵の船への甲板へと戻るのは骨が折れそうだが、幽霊船達も今はまともに動けていない。多少なり時間には余裕があるという事だ。
「まあ、騎士らしい戦いとは言えませんが……」
自虐するゼロナインではあるが、彼の戦い方は確かに海兵達の様な戦い方であり、彼の理想と程遠いかもしれない。だがしかし、今ゼロナインは島民と言う弱きを助ける為に此処にいるのだ。
本人が名乗る事はないかもしれないが、いずれこの戦いを経験した者の誰かはこう、語るだろう。
――戦場に、皆を守る騎士がいた。
成功
🔵🔵🔴
岩倉・鈴音
ダッチマンの幽霊船に火船で突っ込む!
「レッツ乗り込めー!」
火炎耐性はつけてるけど水ぶっかけておきましょ。気合いも入るしね。
戦法は幽霊船に切り込んで幽霊を斬り捨てたり刺し貫いて海に叩き落とすよ。
幽霊ども一人たりとも逃がしはしない!
大砲とかがあればチャンス。無機無機合体で強化ロボとなり他の船に攻撃していくよ!一斉砲撃だってぇ~。なめんな。撃って撃って撃ちまくるよ。
緋神・美麗
アドリブ歓迎
まだ出てくるかぁ。潰しても潰しても…流石にそろそろうんざりしてきたわねぇ。これで打ち止めになってくれるといいんだけど
火船戦術、これはまた大掛かりな仕掛けを用意したものねぇ。とりあえず手助けに戦闘の艦隊を航行不可能にして足止めしつつ派手に炎上させればいいかしらねぇ。
鉄製の箱に火薬や油を詰めた特製の砲弾を用意し、指定UCで撃破した艦に特製砲弾を撃ち込んで炎上を支援する
「盛大な篝火ねぇ。これで終わりになって欲しい所だけど」
「レッツ、乗り込めー!」
幽霊船の一隻が岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)が火をつけた火船と繋がっていた鎖に引っかかり、二隻の火船が引き寄せられて幽霊船の側面へと衝突する。それに乗じて鈴音は気合を入れる意味合いも込めて、炎を耐える為に海水を頭から被り、衝突した際に入った幽霊船の亀裂から内部に侵入し、勝虎巣を鞘から抜くと幽霊の海賊達へ突撃を開始する。
「火船戦術、これはまた大掛かりな仕掛けを用意したものねぇ」
鈴音の火船と鎖で繋がっていた方に乗っていた緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は、鈴音とは対照的に気だるい声だ。これまで幾つものフライング・ダッチマンの船を沈めて来た美麗としては、そろそろ骸の海の中でじっとしていてほしいという気持ちもある。だが、表に出てくる以上はやるしかないと、鈴音と同じように幽霊船の亀裂から中へと入り、ライトニングセイバーを形成する。
混乱に乗じた二人の攻撃を受けて次々と切り捨てられ、或いは海へと放り出される海賊達。ほどなくして幽霊船の制圧を完了したが、それならば容赦しなくてもいいという事であろう。他の幽霊船達が、二人の乗る船に対し砲撃を仕掛けてきたのである。
「まだ出てくるかぁ。……流石にそろそろうんざりしてきたわねぇ」
砲撃を受けて激しく揺れる船。近くのマストを掴み揺れに耐えた美麗は、幽霊船の中へと戻ると船内にあった鉄製の宝箱の中へ火薬や油を詰められるだけ敷き詰めて、それを運びながら甲板へと戻る。
「お返しよ。チャージ、セット。いっせーのっ!!」
念動力を使い、宝箱を浮き上がらせた美麗はユーベルコードによって電磁気力を発生させると、鉄の宝箱を砲撃してきた幽霊船へと発射する。闇を切り裂いて飛翔した宝箱は砲撃してきた幽霊船の側面を穿ち、船内へとその中身をまき散らすと共に、高速で飛来した際の火花が火薬へと引火し、大爆発を引き起こした。
腕を引くように小さくガッツポーズを決める美麗に負けずと、鈴音が持ち出したのは幽霊船の大砲だ。
「まけてられっかー、これがワタシのムキムキよー!」
サイボーグである鈴音の体は、幾つもの大砲を取り込んでゆく。様々な変形や合体を繰り返し、前面に大砲を並べた巨大ロボへの変形を完了した鈴音は、再び一斉斉射を行おうとしている幽霊船に対し大砲の照準を合わせる。
「撃って撃って撃ちまくるよ!」
幽霊船の砲撃と巨大ロボ鈴音の砲撃が何度も交差し、お互いの船体へと砲弾が命中する毎に分厚い木が割れる音が響き渡る。やがて鈴音の何度目かの砲撃が終わった後、幽霊船から爆発音と共に火柱が上がり夜の闇を炎の光で照らし出してゆく。
「いよぉし!私達をなめんな!!」
「盛大な篝火ねぇ。これで終わりになって欲しい所だけど」
片手を上げて喜ぶ鈴音の声が月夜の闇に響き渡り、心の底からうんざりだという声を漏らす美麗。
危機を脱した二人であったが、攻撃を受けていないにも関わらず船全体が細かく振動を始めた。足場にしていた幽霊船は火船が衝突し何度も砲撃を受けた余波で、今にも沈みかけている。このままでは沈没する船に巻き込まれかねないと、急いで二人は船の縁から海へと飛び込み脱出するのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
朱鷺透・小枝子
この炎が、敵を飲み込む!
駆ける劫火となりて、眼にものみせてやろう、主よ!!
亡国の主に搭乗、操縦。
シールドを展開しオーラ防御、火船衝突の衝撃を防ぎ、炎を遮断。
推力移動で敵船に乗り込み、戦鎌をなぎ払い鬼火海賊団を切断。
破壊の呪詛を込めた霊物質を吐き船の崩壊を早める。
何が鬼火か、この程度の炎で、自分を、島民達の戦火を飲み込めると思うな!『戦火応報』敵船に乗り込み、海賊団員を蹴散らす度に、
海賊共を従え、勢いを増す。劫火の如く、敵海賊船を全て炎の中に飲み込むまで。戦え、戦火に呑まれた者たちよ、戦え!!
戦火に呑まれた者として、或いは戦火そのものとして、
小枝子自身も戦い続ける。
「何が鬼火か。この程度の炎で、自分を、島民達を戦火に飲み込めると思うな!」
かつて島の周囲を巡回し、安全を確保してきていた船へと火をつけて、心の底から吠えた朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)に同調し、直立する金属の獣の姿をしたキャバリアは金属音を伴う咆哮を上げる。亡国の主と名のついたキャバリアは、燃え盛る炎と幽霊船へ衝突する際に発生した衝撃をオーラを纏う事で軽減すると、スラスターを噴かせて幽霊船の側面を一気に駆け上がる。
「駆ける劫火となりて、眼に物を見せてやろう、主よ!!」
甲板へと降り立った小枝子は、両手に構えたキャバリア用の戦鎌を横に振りかぶり、襲い掛かる海賊達を一気呵成に薙ぎ払う。それに怯むことなく、海賊達もその幽体を合わせて巨大化する事で対抗しようとするが、亡国の主が咆哮と共に破壊の呪詛を霊物質として船へと放ち、船を手早く沈めると再びスラスターを噴かせて近くにいた幽霊船へと降り立つ。
「戦え、戦火に呑まれた者たちよ、戦え!!」
燃え尽きる事のない闘争心が小枝子を駆り立て戦場へと導く。その後ろを青白く、鬼火の如くついて行くのは小枝子が打ち倒した海賊達である。彼女のユーベルコードにより小枝子の炎として蘇った海賊達は、未だに無辜の命を奪おうと現世に留まる海賊達を相手にカトラスを抜くとかつての仲間へと刃を向ける。やがて。また一つ船を制圧した小枝子は打ち倒した海賊達に幽霊船の操縦を任せ、別の幽霊船へと肉薄し乗り込み、かつて鬼火と称された海賊達を次々に取り込んでゆく。
「戦って、戦って、戦え!この炎(わたし)が、全ての敵を飲み込む!」
小枝子という新たな主を伴って炎が照らす夜の海を鬼火が往く様は、戦いによって落とす命を無くそうという存在が、新たな鬼火の伝説を産んだ瞬間であった。
成功
🔵🔵🔴
荒珠・檬果
つまりは赤壁ですねわかりました。
今回は私も動き攻撃できる必要がある。
なれば、カモン【バトルキャラクターズ 】!
祈祷師集団を、二人ずつ合体させまして。
破魔&浄化の風で、炎煽りましょうねー。これ自体も攻撃ですけれど、幽霊船には効果は抜群だ。
私たちは、できるだけ風上にいる&水属性結界術使いますね。
私自身も、七色竜珠の赤を変換させた紅紋薙刀を使い、なぎ払い攻撃します。
残りの六個の竜珠は、ビームでマスト折ってますね。…延焼しますかね?
※なお、魏推し
クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可
月夜の海に燃える船というのは何となく詩的な光景に思えなくも……いや、そんな事を考えている場合ではないですね
火船というのは随分と豪快な戦術のようですが、もう少し火力が必要だったと……。なら、不足している分は俺が追加しましょう
UCを発動して、冥府の炎を召喚。自分を起点に敵船を更に燃やしつつ、炎でを作って敵からの攻撃・砲撃を防御する
熱は『オーラ防御』で遮断、『環境耐性』で弱めて受ける
火船起因の炎も自分の炎で飲み込み、自分や他の猟兵が危険な場合は消去できるようにする
ある程度燃やしたなら次の船へ。自身の腕輪から鎖を放って別の船に突き刺し、巻き上げる事で高速移動
同様の手順で次々燃やしていく
「つまりは赤壁ですねわかりました」
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)の言う通り、火船を使った戦いという物を思い浮かべた時にUDCアースの日本で育った者が大体第一に思い浮かべるのは、古代中国での戦いの一つ『赤壁の戦い』であろう。
詳しい詳細は此処では省くとして、檬果がユーベルコードで召喚したのは、何処となくゲームのキャラクターを思わせる祈祷師の軍団である。
「此処は一つ、諸葛孔明に倣いましょうかー」
火船から火が燃え移り始めている海賊船の甲板の上に立ち、水を纏う結界を周囲に張った檬果は七色の竜珠の内、赤色の竜珠を薙刀へと変形させると、祈りを捧げる祈禱師を守る為、襲い掛かる海賊達の前に立つとその薙刀を横へ振るい、次々と海賊達を海の底へと沈めてゆく。
その間に祈祷師達が捧げる祈りによって、魔を穿ち穢れを払う力を風は宿し、風下にいる海賊船へとその力を届けて彼等の呪いを清めてゆく。猟兵達に幾つも船を沈められた鬼火達に最早勝機は無く、ともかく一人でも道連れが欲しいとばかりなりふり構わず檬果へと襲い掛かる海賊達は、彼らが猟兵の足を止めている間に、猟兵の乗る船を沈めようと他の海賊船が砲撃を開始する。
「月夜の海に燃える船というのは何となく詩的な光景に思えなくも……いや、そんな事を考えている場合ではないですね」
その砲弾が、夜の闇に燃える船に何かしらの芸術性を見出した様な呟きと共に闇に消えて無くなる。月光によって照らし出された砲弾を飲み込んだ正体は、夜に消えてしまいそうな程、昏い色をした炎である。
「火船というのは随分と豪快な戦術のようですが、もう少し火力が必要だったと……なら、不足している分は俺も追加しましょう」
ユーベルコードによって生み出した冥府の炎を足元から現出させて身に纏ったクロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)は、火船によって燃え広がった炎を自らの炎で飲み込み火勢を強めると、二人の乗った幽霊船に向けられた砲撃を次々に防いでゆく。
やがて砲撃の雨が止んだタイミングを見計らい、シュバルツは腕輪から鎖を伸ばし砲撃してきた幽霊船へとその切っ先を突き刺す。主から血を啜りその形を変える鎖は突き刺した切っ先に返しを付けて幽霊船へと食い込ませると、鎖を巻き上げる事でシュバルツを別の幽霊船へと運び、再び冥府の炎を召喚しては海賊船を燃やすという行為を繰り返してゆく。
炎とという炎を飲み込んだシュバルツの昏い炎は、檬果の祈禱師達の祈りを宿した風を受けて更に燃え盛り、次々に海賊船へと燃え広がってゆく。彼等の船が焼け落ち、或いは浄化されてゆくその様は、過程は違えど赤壁の魏の末路と同じような物であり、彼等の最後を示すにふさわしい物であった。
「……粗方、沈め終わりましたかね」
「うーん、ちょっと魏推しの私としては心が痛みますが……仕方ないですよねー」
二人の言う通り、猟兵達の活躍によって鬼火は闇夜に消え去った。やがて夜が明け、新しい一日が島に、島民達に訪れる。
彼等の明日に予知の様な悲鳴や絶望はなく、共に勝利を喜ぶ声やまた明日を夢見る希望に満ち溢れている事だろう。
成功
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