羅針盤戦争〜今日はすきゅりんのたつまきねんび☆
●世界一どうでもいい悩み事
すきゅりんは考えていた。
電撃の竜巻、右巻きにしようか、左巻きにしようか。
どちらが好きということもなく、どちらが嫌いということもなく。
どっちでもいいので、どっちつかず。
「うーん……どうしよ。困ったなー、困ったなー」
腕組み、タコ足をもにょもにょさせて、すきゅりんは世界一どうでもいい悩みを続けた。
すると、ふと海の中にサメが見えた。人喰いだとか言われているサメだ。
「サメさん! どっちがいーい?」
サメに向かってすきゅりんは右のタコ足と左のタコ足をにょろにょろ動かす。すると、サメは一目散に右のタコ足に向かって泳いで来た。
ガッチン、と牙が閉じるギリギリで、すきゅりんはにゅっと足を逃がす。
「ダメだよー、食べちゃ。でも、きーまった! 右巻きでいこう!」
君が食いついてきたから、今日は右巻きのたつまきねんび。
●
「右巻きの電撃の竜巻です! だからと言ってやることはこれまでと変わりませんけど!」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は指をくるくるさせながら話していた。こっち回りですよ! ということらしい。
「コンキスタドールの『すきゅりん』がまた新しい海域に現れました! 電撃の竜巻を起こして海域を封鎖しているので、鉄甲船がその海域を通れなくてちょっと困った状況になっています! ですから皆さんには電撃の竜巻が起きている場所へと向かっていただいて、すきゅりんを懲らしめてほしいんです!」
猟兵が嫌がることを平然とやってのけるすきゅりん。そこに痺れる(電撃だけに)が憧れはしない。迷惑なのでお引き取り願いたいところだ。
「竜巻ですから、風は当然強いです! あと電撃でびりびりになっちゃうので、その辺の対策も大事ですね! それから、海から鋼鉄人喰ザメが巻き込まれて竜巻の中を飛んでいるようなので、ぶつからないように注意することも必要になります!」
羅針盤戦争が開始してからそろそろ1週間が経つ。すきゅりんも結構な数が確認され、結構な数討伐されてきた。経験豊富な猟兵も多いことだろう。対策方法については各自に一任されていた。
「すきゅりん自体は弱いです! 攻撃を一回当てるだけで倒せますし、かわされることもないと思います!」
竜巻さえ抜けてしまえば、もうゴールと言っていいくらいだ。反撃もされないので、好きなように叩けばいい。
「敵の本拠地も見つかり始めています! 皆さんの活躍が結果として現れてきましたね! この調子でどんどんいきましょう!」
沙雪海都
●マスターコメント
沙雪海都(さゆきかいと)です。
1週間、ということは大体4分の1消化されたというわけですね。
●フラグメント詳細
第1章:冒険『電撃の竜巻で封鎖された海域を突破する』
竜巻の風に耐え、電撃に耐え、サメに耐え、そうしてすきゅりんの元まで辿り着けます。
まあ全部でなく一つだけとかでも大丈夫です。そういうフラグメントですから。
サメは回避できます。電撃も回避できます。竜巻は……頑張れば緩和できそうな気がします。
ちなみに竜巻は「上から見た時に時計回り」になっていると思ってください。
●MSのキャパシティ
戦争ということもありますので、全てのプレイングを採用することが難しい場合も出てくるかもしれません。
その際はご容赦頂きたく、また戦争期間中はシナリオ運営を継続して参りますので、採用に繋がらなかった方については次の機会をお待ちいただければ幸いです。
合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『電撃の竜巻で封鎖された海域を突破する』
|
POW : 竜巻に巻き込まれた凶暴な「鋼鉄人食い鮫」の襲撃から身を守りつつ、すきゅりんのいる中心に向かいます
SPD : 絶え間なく発生する稲光をかわして、すきゅりんのいる中心に向かいます
WIZ : 竜巻の風に逆らわず、強風の流れを見切って、すきゅりんのいる中心に向かいます
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
朱鷺透・小枝子
何体も出てきていますね。
最終的に、何体倒される事でしょうか…?
回点号に搭乗、操縦。シールド展開、超能力フィールドと神器拳銃の天候操作で強風の負荷と電撃への耐性を作ります。
『回点槍』竜巻の中、スラスターの推力移動で風の中をとどまり、
空中をジャンプする事で着実に前へ進みます。
鋼鉄の鮫、はシールドバッシュ。
伸ばしたシールドで弾きます。スパーンと、キャバリアの怪力で
横に殴り弾きます。ええい邪魔だ。
視力、すきゅりんが見えた段階で、空中を跳ね跳ぶ為の力で、その場に静止。こいつを倒しても、また倒す事になるのでしょうね。
……これもまた戦い。ならば戦い続けましょうとも!
スナイパー、小銃形態戦鎌を構え、貫通攻撃。
高柳・零
POW
竜巻記念日…そんなもの、今すぐ終わらせてあげましょう!
「船員さん、大砲の準備をお願いします。あ、撃つのは砲弾ではなく…自分です!」
小柄な体格を活かして大砲の中に入り、無敵城砦を使用します。
竜巻は右巻きなので、おそらくすきゅりんがいるであろう中心のやや右を狙ってもらいます(砲弾の速度でも風の影響は受けるので)。
準備が整ったら、発砲してもらいます!
電撃や人喰い鮫は無敵城砦で弾けますし、砲弾の速度ですきゅりんにブチ当たればダメージも与えられて一石三鳥です
ハズレた時は深海適応と水中機動で泳いで船に帰り、先程の経験から軌道修正して、もう一度撃ってもらいます!
「当たるまで、何回でも行きますよ!」
ガーネット・グレイローズ
メガリスが生み出した雷光の竜巻か。確かに脅威の存在だが、私にはキャバリアがある!
キャバリア「夜の女王」に乗り、出撃。《世界知識》で竜巻の性質を調べ、サポートメカにも《情報収集》でデータ解析をさせるが……フクロウさんは何も答えてはくれない。
「仕方ない、強行突破だ」
いわゆる脳筋戦法。《フルチャージバスター》で外付けエネルギーパックを付けたクロスグレイブから出力3倍の熱光線を放ち、竜巻を貫いて強引に孔を開ける!その隙をついて機体を加速させ、竜巻の内部へ潜り込むぞ。
鋼鉄人食い鮫はJOXブレイドの物質分解波動で片付け、《操縦》《第六感》を駆使して稲妻を避け最奥を目指す。
いたぞ、あいつがすきゅりんだ!
●実践あるのみの精神
すきゅりん、すきゅりん、すきゅりん。
グリモアベースではもう幾度となく連呼されている名前だ。
(何体も出てきていますね。最終的に、何体倒される事でしょうか……?)
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は物思う。湧き水のように骸の海から溢れてくる存在は、未だ絶えることを知らない。
「竜巻記念日……そんなもの、今すぐ終わらせてあげましょう!」
エメラルドグリーンの体が海からの照り返しに輝く。高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は鉄甲船の上で小さな体をいっぱいに伸ばして意気込みをアピールしていた。
「メガリスが生み出した雷光の竜巻か。確かに脅威の存在だが……」
ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は乗り込んだキャバリアを通して電撃の竜巻を見上げていた。風と水と雷に閉ざされた空間。それを突き破り元凶を撃破するのが、この作戦における猟兵の使命。
「私にはキャバリアがある!」
「自分も、お供するであります」
海上に並ぶ二機のキャバリア。ガーネットのキャバリア「夜の女王」と小枝子のキャバリア「回点号」だ。
「間近で見ると、凄く大きいですね! ……では、自分も準備します。船員さん、大砲の準備をお願いします」
零が声を掛けると、船員達はがらがらと砲台を引っ張り出し、準備を始めた。
「ではお二人とも、あの中で」
「あぁ、待っている」
「ご武運を、であります」
二機のキャバリアは船に別れを告げ、電撃の竜巻へと飛び立っていく。
「シールド展開――そして、竜巻である以上、気象現象の一種……これが役に立ちます」
キャバリアを包む球状のシールドを展開すると、小枝子は神器拳銃「雷降拳銃」をキャバリアに連動させた。雷の力を機体に付与すると共に、天候を操作することで強風の負荷と電撃への耐性を同時に得る。
「スラスター、稼働確認」
そして推進力を生み出すことで風に押し流されることなく、回点号は姿勢を保っていた。
「竜巻内部は急激な気圧変化があるか……だが電撃の竜巻となればどうだ? なぁ、フクロウさん」
ガーネットがコックピットに置いたサポートメカのフクロウさんは目をピカピカさせながら集められたデータを解析している。しかし本物の梟さながらに首を回してガーネットを見上げると、こてんと首を傾けた。
「む、フクロウさんでも難しいか……ならば仕方ない、強行突破だ」
黙っていては暴風に流されるばかり。力には力、暴風には、それを跳ね除けるだけの力をぶつけていけばよい。
『出力3倍、出血大サービスだ。喰らうがいい!』
巨大な十字架を模した形状のビーム砲塔デバイス「クロスグレイブ」にエネルギーがチャージされ、砲口が輝いた。反動と共に発射されたビームが風を穿ち、凪の大穴を開けていく。
中心部目掛けて放ったビームだが、竜巻そのものが消えぬところを見ると、すきゅりんに命中するまでは至らなかったのだろう。だが、竜巻の中に道を作ったことだけでも十分だ。
「なかなかの無茶でありますが、道理無き物には道理無き手段で返すのが道理……言っててよくわからなくなってきたのです。ともかく、今の内に進むであります」
暴風がビームで薙ぎ払われたところへ、回点号がジャンプで進む。着実な一歩を刻む後ろから夜の女王も加速して飛び、竜巻の中心部を目指していった。
「撃つのは砲弾ではなく……自分です!」
零が衝撃的な作戦を披露した時、船員達は思わず互いに顔を見合わせていた。人など撃ち出したことがない。人間大砲、などというのは種も仕掛けもあるマジックショーの話だ。
「大丈夫です! 中にはちゃんと入れますから! 自分のことはお構いなく!」
砲身をよじ登り、すぽん、と零は綺麗に収まった。入れば撃つことは可能だが――もう船員達は零を信じるより他は無い。
「竜巻の中心からやや右方向を狙ってください!」
真正面を向けば、零にもどの方向に飛んでいくかがわかる。二、三度船員達に声を掛けて微調整し、ようやく方向が定まった。
風を読み、自らが飛ぶ軌道を頭の中でシミュレーションする。零の思惑通りに行けば、竜巻の中で緩くカーブを描いてすきゅりんにずどん、と着弾するはず。
「では、お願いします!」
発射を任せ、零は超防御モード、まさに砲弾の如き固さを得る。発射時の火薬の爆発も、電撃もサメも全て防いですきゅりんまで到達する方法はおそらくこれしかない。
自らの意思では動けなくとも、爆風に乗れば後は慣性と竜巻が運んでくれる。当たらなければ当たるまで。ネバーギブアップの精神で零は臨む。
カウントダウン、3、2、1、発射!
ドゴン、と砲身全体が揺れ、零は一気に空へと放たれた。竜巻がみるみるうちに眼前に接近し、ずぼんと圏内に飛び込んでいく。暴風の流れに乗りながら、零はぐんぐん突き進む。
「あ、お二人とも!」
雷が辺りに響き渡る頃、零の眼下に二機のキャバリアが見えた。
「零か。空を飛んでいるようだが、問題はないのか?」
「えぇ、この通り!」
この通り、と叫んだ瞬間に零の体を雷が打った。しかしこれは体のいいデモンストレーション。零の表情は何事もなかったかのようにニコリとしている。
「何とも奇天烈な手段ですが、竜巻突破に有効性を示しているのもまた奇天烈です」
零の飛行起動と小枝子、ガーネットの二人の進路は徐々にだが近づきつつあった。それはすなわち目指すべき場所が同じであることを示している。
「だが油断はするな! ……どうやら、お出ましのようだ」
ガーネットが警鐘を鳴らした進路前方。零のように飛ばされた者達、鋼鉄人喰ザメだ。
「殴って弾きましょう。ええい邪魔だ」
シールドの一部をぐっと槍のように伸ばし、上から降ってくるサメを殴打した。ちょっとしたバッティングセンターのような気分だ。打ちごろのサメはよく飛んだ。
「サメでもなんのその! です!」
零の体は砲弾だ。ガチガチ顎を動かすサメの牙にぶち当たって根こそぎ折っていく。とは言えこれは、サメが勝手に向かってきて勝手に玉砕していっている、と言うのが正しいのだが。
ガーネットの夜の女王は機敏な動きで雷を避けつつ、JOXブレイドを振りかざす。鋼鉄故に抜群と思われるサメの防御力を、物質分解波動はまるでバターを溶かすかのように滑らかに切り裂いていく。
「いたぞ、あいつがすきゅりんだ!」
竜巻の奥の奥に見える異形の影。竜巻の中心にいる者など一人しかいない。
「……こいつを倒しても、また倒す事になるのでしょうね」
終わりなき戦い、のように見える。しかし、一つの海域の解放が状況を少しずつ好転させていく。それはこれまで幾多の猟兵達が力を合わせて成したこと。
ならば、すべきことは一つ。
「……これもまた戦い。ならば戦い続けましょうとも!」
小銃形態の狙撃戦鎌を構え、照準を合わせた。狙うは中心――放たれる一発の弾丸はあらゆる力に左右されることなく真っ直ぐ標的に。
「ふぎゅっ!? な、なに、これ……」
腹部に刺さってきた激痛に手を添えると、べったり血糊がこびりついた。かくん、と浮力が消えていく、そこへ、
「丁度いいところにいましたね!」
砲弾と化した零は全ての障害を突破してすきゅりんの頭に全身ダイブ。
「みぎゃっ!! うぁ……もう、ダメ……」
ごちん、と命中した零はくるくると空中に跳ねて、すきゅりんは力を失い海へと落ちていく。
体が分解しつつあったすきゅりんはぽしゃんと弱々しく波音を立てた。
「よくやった……これにて任務完了、帰還だ!」
落ちてくる零は夜の女王にキャッチされて、無事海域からの離脱を果たすのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵