羅針盤戦争~冥府からの使者は敵の首を八つ裂きに~
●原初の海の魔物
「諸君、巨人バルバロス兄弟との戦いは記憶に新しいとは思うが……」
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、戦った記憶も新しい二つ首の巨人、七大海嘯が一つを映し出しながら、鞘に納めたままのサーベルを指揮棒代わりに、異彩を放つ瞳を指した。
「ハイレディンの瞳は厄介だったと思う。そしてその瞳の出所が分かった」
見つめる者の身と心を退化に誘う魔の瞳――かつて彼らが奪ったと称したその存在を、グリモアが映し出していく。
「さぁ語ろうか! 舞台は生命の故郷、希望の海グリードオーシャン! 君達には冥府からの使者を迎撃しに行って貰いたい!」
オルキヌスの瞳は巨人バルバロス兄弟の弟、赤髭のハイレディンに埋め込まれた瞳であり、凝視した者を強制的に退化――著しい弱体化とも言い換えられる――させる正に魔眼。
予兆でも奪ったと称していた通り、その瞳の持ち主であった怪物が一つの島を襲撃しに来ているのだという。
「それがこの、『元』七大海嘯が一人、森羅冠す『オルキヌス』だ」
グリモアが映し出している怪物は、全長五十メートル近く、かのバルバロス兄弟の十倍はある巨大な海棲生物。
冥府の名を冠する殺人鮫――即ち、シャチの異形。頭部に浮かぶ歪んだ神の如き輪と、退化を齎す魔の瞳であろう一つ目が、殊更に異彩を放つ。
「よって君達には彼が上陸する、正に水際で討伐して欲しい。この『デムラウザ島』のね」
舞台となる島は嘗てアックス&ウィザーズであったのだろうか。建築様式や文化などに、その痕跡らしきものが残る。
戦う場所はその南西部辺りの海岸を目掛け、深海から潜航し迫ってきているらしく、その辺りの海面、あるいは海中で迎え撃って欲しいと語る。
「しかしそこは彼のホームグラウンドだ。一筋縄でいく相手じゃあない」
元より進化の果てに海に君臨し続けた王者と呼ばれる存在だ。
使う技の全ても海であるからこそ活き、尚且つ地の利は確実に向こうにあるだろう。
「幸運にして、先制攻撃自体は無いようだがね……それでも元は七大海嘯だ。単純な戦闘力だけを見れば、幹部級と言っていいだろう」
復活自体が不完全だったらしく、退化の瞳は不十分、先んじて動く力もない。
工夫しなければならない点は、海上や海中での戦い方のみ。
されどやはり、七大海嘯に数えられていただけの力はあり、油断ならぬ相手と語る。
「確かに生命は海から出でた説もあるかもしれない。しかしだ。陸の命は最早陸の命だ」
そうして一頻りのことを語り終え、スフィーエは一息を吐く。
陸に住まう生物全てを憎悪し、海に還さんとしているという、オルキヌスの性質に憐みのような感情を浮かべながら、それでも、と彼女は改めて猟兵達を見回すと。
「思考を生きた化石としてしまった哀れな魔物を、君達の手で止めてやってくれ。……では、準備が出来たら声をかけてくれたまえ」
グリモアの輝きが幾何学模様の方陣を描き、戦場へと導いていくのだった。
裏山薬草
どうも、裏山薬草です。
シャチの学名はオルキヌス・オルカ、訳すと冥界よりの魔物なのですね。
英語にするとキラーホエール、殺し屋鯨と物騒ですね。
今回は、元七大海嘯が一体のオルキヌスと戦って頂きます。
場所は島の浜辺近くでの海上、または海中での、文字通りの水際作戦となります。
ですので、海上での戦い、または海中で上手く戦う工夫があればボーナスとなります。
また敵は元幹部ではありますが失墜しており、不完全ですので先制攻撃はしてきません。
先制対策は不要ですが、相応の相手ではありますのでご注意を。
プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『森羅冠す『オルキヌス』』
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POW : 冥海銀河オルキヌス・オルカ
【支配下にある海の生物】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[支配下にある海の生物]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 海帝覇濤ディープブルー
敵より【海に適応した生態をしている】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ : 回帰狂濤ティクターリク
攻撃が命中した対象に【「海に帰りたい」という強迫観念】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肺から海水が湧き出す呪い】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:山庫
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「曾場八野・熊五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
シャチだー!
どっちが真の捕食者か教えてあげよーぅ☆
UC【飢餓つくと肉肉しい惨劇】にて、増殖し続ける肉塊に変身!
「肉体改造」を施して、増殖スピードをアップ!
戦場を飛ぶように見せて泳ぎます!
(ペンギンだって飛ぶように泳ぐって言うしね!)
匂いを海水に混ぜる事で、敵の意思を「お腹すいた」「食べたい」と思わせて統一させるよ!
後はあえて食べられて、体内で増殖して……どかーん!!
勝利の暁にはシャチ肉パーティだ☆
もちろん海鮮料理も沢山!?
バルタン・ノーヴェ
なるほど、潜水しているのでありますか……銃火で攻撃するのは難しいと判断しマース。
であるならば、オフェンスは他の猟兵のエブリワンに任せて、ワタシは万が一に備えてディフェンスに入りマース!
「カモン! バルタンズ!」「バル!」
浜辺から出発して、海岸沿いに防波堤を構築しマース!
ミニ・バルタンたちは時間と賃金さえあれば、城砦や街も築けますゆえ。
無事に海上・海中で撃退できれば御の字、突破して陸に向かってきた場合にこの壁が邪魔をする寸法デスネー!
破壊・突破を試みようとも、その手間暇の時間で皆がやってくれることを、堤防の上からバルタンズともども応援しマース!
(けん制用にチェインハンマーを構えつつ)
才堂・紅葉
「あの質量で突っ込まれたら、流石に避難が間に合わないか……」
蛇矛を担ぎ、赤髪で海を見据える
「どうもこうもないか……蒸気王!!」
指を鳴らし18m級の蒸気ゴーレムを召還
「迦楼羅王」
影から忍者めいた黒の機体を召還
「機甲顕現……天蛇王!」
蛇矛の神器を放り上げ、猛将めいた新緑の機体を召喚
「ったく……口上OFFにならないかしら」
錬金科に指定された口上(強制)を告げ、三身合体を行う
「力を見せなさい、蒸気帝!!」
奴に組み合える程の巨体を駆り、狙いは稼働時間一杯の足止めだ
体当たりで奴を海へと【吹き飛ばし】
出来る限り上陸を遅らせたい
アルダワ【メカニック】で防水対策は万全だ
蒸気帝のパワーを持って格闘戦で殴り合おう
●ディフェンシブ・バトル
遠目に見るだけでも、全長五十メートルの海生哺乳類というのは威容がある。
増してや七大海嘯に迫る実力者とあれば猶更――味方につけている、というより支配に置いている数多の凶悪な海棲生物の群れを率い、向かってくる様の恐ろしき。
海を割る飛沫の音すらも、不穏な騒めきとなって場に立つ猟兵の耳から脳をざわつかせる嫌な感覚が襲いくる。
「あの質量で突っ込まれたら、流石に避難が間に合わないか……」
潮風に揺れる茶色を赤に染め上げながら、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は海岸沿いに立ち、襲い来るその軍勢を眺めた。
あれを防衛した上で地形のアドバンテージのある相手に挑むは何とも無謀という他ないのかもしれないが。
「……ナルホド、ワタシは万が一に備えマース!」
そんな彼女の不安を払拭するように、女中服を着こんだ緑髪の女、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は胸を叩いた。
「カモン! バルタンズ!」
「バル!」
「バル!」
「バル!!」
呼び声に応えて現れたのは、バルタンをそのまま小型化したかのような、数多のロボットだった。
名前も正にそのまま、ミニ・バルタンと称されるそれらに、バルタンは賃金を渡していくと、ロボット達は建材を手に浜辺から沿岸に広がっていくと――建築の音が響き渡る。
「資金は惜しみまセーン! 丈夫なの頼みマース!」
「バルバルバルッ♪」
海中の敵が相手となれば、銃火を以て上から攻めるのは聊か難しい。
ならば彼女が行うことは、防波堤を建築することで、万一オルキヌスの率いた軍勢や、オルキヌス自体が猟兵を無視して上陸を狙った際に、それを留めること。
惜しむことなく投入された資金を手に、時間的には突貫工事の部類ではあるが、建材を積み上げ防波堤を作り上げていく。
何度も激突に耐えられる訳ではないのかもしれないが、一度や二度でも――あるいはそれ以上でも、猶予が出来ることは、決して少なくない安心感を齎すだろう。
「どうもこうもないか……蒸気王!!」
なればと紅葉もまた、何かを決意したように指を鳴らすと、一つの機体を呼んだ。
「迦楼羅王」
十八メートル級のゴーレムに続き、呼び出されたは忍者めいた黒き機体。そして。
「機甲顕現……天蛇王!」
蛇矛の神器を放り投げ呼び出すは、最後の機体――猛将めいた深緑の機体を呼びつける。
「ったく……口上OFFにならないかしら」
指定された強制的な口上に溜息を交えながらも、集まった機神達を前に、紅葉は覚悟を決めて声を張り上げる。
三つの機体。
それが示すことは、つまり。
「合体支援ガジェット展開……追加ジョイント接続確認……電子系シンクロ承認……蒸気合体! 力を見せなさい、蒸気帝!!」
――三つの力を合わさって出来た、超巨大決戦兵器。
鳥と竜の力を得た戦士、王を超えた帝の機神――その名は正に蒸気帝!
「雑兵は任せたわ! 後は私達に任せて」
「お任せしマース。その代わりに、後ろの心配いらないデース」
「頼もしいこと……!」
鎖付き鉄球を振るい、尖兵のサメを潰しつつ防波堤に立つバルタンに、この場を託しながら紅葉は飛ぶ。
後は敵の大ボスを沈めて引き剥がすだけと――
「やはりあれでは突破できぬか……なれば我が力を以て」
「せぇぇぇえい!!」
海面から飛び上がったオルキヌスの身体を、蒸気を噴き上げながらの鋼鉄が激しく殴り飛ばした。
金属の質量と肉の質量が勢いよく、海面に柱を立てる程に互いの身体を深く沈ませる。
深海の圧に蒸気帝の身に圧迫感を感じるも、それでも紅葉は蒸気帝を駆り、オルキヌスに幾度となく拳を撃ち込んでいく。
頑強な金属の打ち付けられる衝撃に顔を顰めながらも、オルキヌスの反撃に尾が薙ぎ払われれば、蒸気帝の踵落としがそれを叩き落し。
更に蒸気帝のアッパーカットが盛大にオルキヌスを殴り飛ばせば、オルキヌスは一つ目を動かし紅葉を睨む。
「錆びて朽ちるが先だろう……!」
「生憎と防水性は万全よ」
口上は如何ともしがたいがやはりパワーは折り紙付き、オルキヌスの圧倒的な巨体と海中への適正を考慮しても、蒸気帝の剛腕は僅かに軋む音を立てつつもしっかりと組合い。
時にヒレや尾が迫り打ち付けられようと、強靭な身体とパワーはそれを受け止め、逆に殴り返しオルキヌスを後退させる。
着実にオルキヌスは、紅葉の奮戦によって島から距離を取らされている。
その上、尖兵として嗾けている筈の海生生物は、悉く防波堤に阻まれ、万一に備えているバルタンに叩き潰される。
「陸上生命の分際で良く抗う。だがもう終いだ。いい加減終りにしよう……」
思うようにいかない侵略への苛立ちに、オルキヌスが憎悪を滾らせ、身体から発する威圧感を高める。
憎悪が憎悪を伝播させ、支配下の生物と己自身も強化すれば、搭乗席の紅葉はセンサーが捉えた、ある反応に唇を釣り上げた。
「そうね。終わりにしましょう……真打登場! やっちゃいなさい!!」
「シャチだー!」
響き渡った快活な声と、質量の重みも確かな海水を斬り裂くように飛ぶものがあった。
「何……?」
その声に一瞬、意識を向けた刹那、オルキヌスの巨体が音をも超えるほどに凄まじい速度を以て飛び込んできた何かに打ち付けられた。
それこそオルキヌス自身の巨体にも劣らぬ質量を持ち、宛らペンギンのように海中を“飛ぶ”ように斬り裂いて泳いできた存在。
打ち付けられた身体より、肉と骨の軋み罅いる嫌な音を響かせながら、泡立ちも激しくオルキヌスの巨体が吹き飛ばされた。
「お待たせー。どっちが真の捕食者か教えてあげよーぅ☆」
現れた桃色の巨体――真打と呼ばれた、ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は、くの字に身体を曲げたオルキヌスに宣言した。
完全なるノーマークに撃たれた身体の悲鳴に顔を歪めながら、敵をラヴィラヴァと定めたオルキヌスは問う。
「……陸の命が海の覇者に勝てるとでも?」
「勝てるよーぅ」
何処までも己が勝利を疑わぬオルキヌスを前に、粟立つように増殖を続けるピンク色の肉塊は言葉を返し。
海中に溶け込むかのような、ある匂いはそのままオルキヌスの闘争心を煽る――そして。
「さぁ――たっぷりたらふく満足するまでオイラを召し上がれ♪」
オルキヌスの顎門が海流を激しく乱しながら、増殖を続けるラヴィラヴァへと迫る。
荒れ狂う海水、そこに溶け込む匂いも、芳醇極まりない肉片も全て喰らい尽すようにオルキヌスの牙が閉じられ、ラヴィラヴァを文字通り一口で飲み込んだ。
「――フン。態々にエサをくれたというのか? 随分と随分なものよ」
身体に満たされる栄養も確かであり、喰らえば喰らうほどに空腹感は煽られ、身体の闘志は掻き立てられる。
丁度良い腹塞ぎが出来たかと嗤うオルキヌスであったが――不意に、胃の腑が徐々に痛みを訴え掛けた。
内側から勢いよく、殴られているかのように、その腹部が強かに泡立ち、巨体が更に膨れ上がり――
「……どかーん☆」
「!? なっ……」
次の瞬間には、海面を割って噴き上がる赤く濁った血の雨が降り注いだ。
腹が弾けるほどに、とはいうが文字通りに弾けたのは、敢て腹に取り込まれたラヴィラヴァの身が増殖を続け、オルキヌスの腹部を爆ぜさせたからだった。
「勝利の暁にはシャチ肉パーティ、かな?☆」
ぼたぼたと墜ちる肉片と血の匂いに、ウインクを一つ沿岸を守護する紅葉とバルタンにラヴィラヴァが声を掛ければ。
「……シャチ肉ってどうなのよ」
「何とも言えないデース」
弾け飛ぶ血の雨を遠目に映しながら、紅葉とバルタンの遠い目でのやり取りが、オルキヌスの絶叫に掻き消されていくのだった。
大成功
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播州・クロリア
({舞狂人形}に搭乗し『オーラ防御』でバリアを展開することで浸水を防ぎながら水中を移動する)
陸の命の何が気に食わないのか
瞳を奪われたのが憎いなら
あの巨人だけを襲っていただきたいですね
(舞狂人形が水中で直立し目を閉じて祈るようなポーズをした後{渦流の旋律}で『ダンス』を始める)
水中ならこのリズムが最もふさわしいでしょう
(『念動力』と『衝撃波』で渦を作り海洋生物の接近を妨害する)
冥界からの魔物でしたっけ?
ならば冥界に還っていただきましょうか
(UC【蠱の腕】を発動し舞狂人形の腕が銛に変わると敵に向かって射出する)
●黄泉送りの踊り
水の中に在りてその在り様を【流れる水】のようにと称するのも奇妙な話ではあるが、新たに海中を泳ぎやってきたものはそう例える他なく。
淡い光の被膜に身を包む、流線形の装甲に覆われた巨大な機士(キャバリア)はオルキヌスの前へと現れると、搭乗席に乗った者は肩を竦めながら言い放った。
「陸の命の何が気に食わないのやら。目を取られた怨みでしたら、あの巨人にぶつけてくれませんか」
元来世界全てを憎むが基本のオブリビオン、八つ当たりも甚だしいと、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)が語れば、冥界よりの魔物は一つ目を動かして、キャバリアを強く睨みつけた。
「黙れ。海から出でた命が海から出るなど、それが我が手より零れるなど」
「あ、そういうの興味ないんで」
「……では滅ぶが良い。傲慢なる存在よ」
支配者としての傲慢を剥き出しにしたオルキヌスが、支配下に置く海洋生物の攻撃性と共に己が力を高めれば。
クロリアの機体は直立不動のまま目を伏せ、祈るように手を組み合わせると――巨大なキャバリアであることも忘れそうなほどに、しなやかに、それでいて巨大であることも思わせるように力強く。
光の薄き海中にて妙に鮮やかに映し出される、一つの舞踊……海中の水圧もまるで無きかのように、この場が地上であるかのように、返す返す【流れる水】のように滑らかな足取りが。
それでいて激流の力強さも彷彿とさせ、海中にある重みも感じさせる腕の運びの二律背反が紡がれて――そして生み出される。
大渦を作り出し海を乱す潮流が、クロリアを喰らわんとした海棲生物を一気に押し流し、激流の圧がオルキヌスの動きを封ずる。
されど流されることなく、激流の中に身を置きながらも不敵に笑うオルキヌスにクロリアは一つ問いを投げかけた。
「そういえばお名前の意味は『冥界からの魔物』でしたっけ」
「だとしたら何だと……?」
不意に問いかけられた素朴な疑問に対して、挑発的にオルキヌスがヒレと尾を唸らせ、繰り出される海流の攻めを流し。
自在に刻まれるステップも軽やかに、キャバリアの両腕が広げられれば――全ては決まる。
「それでは還っていただきましょうか」
刹那、キャバリアの腕が全て銛へと変わり、それは本当に一瞬のこと。
驚愕の表情を浮かべさせたと同時、数多に突き立てられた漁の如き銛が、オルキヌスに深く突き立てられていた。
大成功
🔵🔵🔵
死之宮・謡
アドリブ歓迎
そう言えば今更だが、此奴は元々なんて呼ばれてたんだろう…森羅冠すじゃ長すぎるしな…まぁ、此れから散り逝くモノに対する疑問に然して意味もあるまいが…
まぁ、鯱なんてオブリじゃなくとも抑バケモンだからな…まぁ、私は鯱好きだが…それは兎も角として、貴様は此処で果てるが良い
先ずは、何時も通りに「呪詛」が炸裂する呪球を海域にばら撒きながら周囲の連中を退避させ
【焔の堕ちる日】を発動
全身を焔に変じて肺と言うモノをなくし
海水を沸騰させながら降下。焔槍と炎刃を放ちながら鯱の元まで進撃し。奴が死ぬまで熱撃を加え続ける
●煮込むというには
波の揺らめく冷たい海面を見下ろす紅き瞳と、それを暗き底より睨み返す一つ目が目に見えずとも火花を散らす。
海面を見下ろす女は、その一つ目に対してふと思う。
(そういえば今更だが、元々何と呼ばれていたのだろうな……森羅冠す……シーラカンス……?)
――尤もこれから散り逝くは確実な敵にあれこれ思うのも無粋なものか。
元々鯱という生き物自体、オブリビオン――或いは海の魔獣や何かでない普通のものだとしても、ある種の化け物なのかもしれないが。
「考え事など悠長なことをしている場合か……?」
飛沫を上げながら、巨体を跳ね上げその顎門が女を――死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)を襲えば、それを彼女は後方へ軽く下がりながら躱し。
やり返すように呪詛を孕む弾を、種まきを行うかのようにばら撒けば、弾ける瘴気じみた黒い煙が海を濁していく。
「図体の割には器の小さい。私は鯱は好きだが……」
迸る瘴気がオルキヌスの支配下にある海棲生物を跳ね除け、濁りが盛大な水柱上げながら沈んだオルキヌスの身体を犯す。
其処へ更に更に、呪詛の色濃き球を投げ入れながら謡はオルキヌスに対し、冷たく吐き捨てた。
「貴様は此処で果てるが良い」
「不遜なる陸の命め。果てるは貴様と知るが良い!!」
一つ目が不気味に蠢き、世界の全てを呪い蝕む――尤もオブリビオンである以上、その存在がある種の蝕みであるが――ように、謡の呪詛すらも押し返すほどに仄暗き靄を解き放つ。
だがそれと同時、謡もまたその身を――存在するというだけで、周囲の存在する者全てを灼くような、炎そのものへとその身を変える。
例えオルキヌスの呪いが彼女の身体を蝕み、肺を海水で満たしにかかろうと、肺など存在しない炎そのものに意味は為さず。
仮に生み出されたとしても、一瞬の内にそれは蒸発し――
「グォォォォ!!」
災厄の隕石の如く、謡がその身を海中へと潜り込ませれば。
焦点温度数万度にも達する業火は海水を一瞬で煮え滾らせ、蒸発させて数千度の地獄の熱へと周囲を変える。
ホームグラウンドであった海を身体を灼く地獄と変えられ、オルキヌスは彼女を強く睨みつけるも。
「耐えるか」
――それでも彼女は唇を釣り上げたまま、向けられる憎悪と殺意すらも焼き尽くすように迫り。
「ならば、死ぬまで焼き続けるだけだ」
繰り出される炎の刃と、突き出される焔の槍が。
冥府の魔物の巨体を幾度となく苛め続け、苦悶の雄叫びを挙げさせる――!
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
10倍、ただ大きければ良いものじゃない。
巨大であるということはそれだけ当たりやすいということだ!
撃って撃って撃ちまくれ!ディスポーザブル!!
海中より、ディスポーザブル03に搭乗、操縦。迎え撃つ!
誘導弾の一斉発射、機体内蔵の魚雷を全て発射!
両腕のビーム砲にエネルギー充填しつつ、
『戦塵無窮』膨大な霊物質が、03の内蔵魚雷へと変換される。
範囲攻撃、魚雷へ変換された物を即座に発射。間断なく、延々と、
敵が避けきれない程に、何度も何度でも発射する。
爆破と破片、無視はできない筈
瞬間思考力、敵の機動を観察し、避けきれないタイミングで
スナイパー、ビーム砲を発射!壊れろ、オルキヌス!!
セフィリカ・ランブレイ
退化の瞳……意識が朦朧として、身体が縮む感触…最悪だった
その出所が相手かつ水中戦とは
根本的に水中戦は苦手
息苦しく自慢の脚も鈍る
けど乗り越えてこその知恵だ
入念な準備をしよう
水中呼吸用の装備開発
そして私作で最速のゴーレム【黄槍の飛竜】の改造
これを飛龍形態に固定し、防水加工を徹底
更に推進機関を水中用に換装
細部も水中に適した形に変更。メカニックの腕の見せ所
これで空を飛ぶのと同じ要領で水中を進める!
いわば黄槍の水竜だ、アクアフェインナルドでもいい
後は、こいつを足場に私とシェル姉がどれだけ食いつけるか。信じてるよ!
『ま、準備は尽くしたというなら。応えてみせるわ』
シェル姉…相棒の魔剣の答えは何時も頼もしい!
●光明
記憶に新しき巨人バルバロス兄弟との戦いに於いて、弟の瞳は実に厄介な能力であったと思う。
意識が奪われ溶けて行き、身体が縮み、積み重ねた全てが無となっていくような――例外なく弱体化を齎す魔の瞳は、こういう他なかった。即ち。
「……最悪だった」
セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は僅かに身震いをしながらも、その瞳の大本であるオルキヌスを相手取ること、不慣れな水中戦という現実に頭を僅かに抱えた。
そもそもからして水中戦は苦手、大地を力強く蹴り速く駆け抜ける足も鈍り息苦しい――セフィリアの嘆きに対し、一つの声がかけられた。
「だが、こういうことでもある」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は大型のキャバリアに搭乗しながら、彼女の不安を払拭するように言葉を紡ぐ。
「かの巨人の十倍。その分、的も大きい、と」
「……そっか。そういう考えも……あるか」
全長五メートルに対しての五十メートル。
長さにして十倍以上、幅に対してもそれ相応である以上、攻撃は存分に当てやすいというアドバンテージすらあると。
確かめるように頷き始めたセフィリカを、搭乗席越しに横眼で見ると。
「先に行く」
何やら準備を始めたセフィリカに一声を掛けると、小枝子はジャイアントキャバリアを駆り、その身を海の中へ沈ませていった。
そしてオルキヌスの一つ目が、小枝子の機体を睨みつけると、小枝子もまたキャバリアの砲門を一斉に向けた。
「――巨大であることは、それだけ当たりやすいということ。撃って撃って撃ちまくれ! ディスポーザブル!!」
身体に備え付けられた無数の火薬庫、ミサイルコンテナを各所に配備されたその機体が文字通りの弾幕を張った。
瞬間的に狙いをつけられた巨体を目掛け、誘導弾と魚雷が容赦なくその身体を打ち据えんとする。
さりとてオルキヌスも海中に適した身体の捌きを以て躱していくも、埋め尽くすかのような爆雷は、巨体を揺さぶり爆発の膨張は海上へ柱を立ち上らせていく。
「よし、腕の見せ所ね」
立ち上がった幾つもの水柱を見ながら、セフィリカは決意を固めた。
流麗な細身の騎士が如き黄色の鮮やかなゴーレムを前に、その姿を空を自在に翔る飛竜の如き姿とさせる。
空を翔け抜けるには良いが場は推進を阻む圧の著しい海中だ。
手に馴染む工具を用いながら各所に改造を加えていく――防水加工は徹底的に、海中の圧にも耐えられるように一際に丈夫に。
それでいて推進力を司る部分には、水中に適した水を捉え掻き進めるように――全身全霊、必ず水を制する気概を以て改造を施すと。
「――どこまで喰いつけるか分からない。でも、信じてるよ」
『ま、準備は尽くしたというなら。応えてみせるわ』
その手に携えた魔剣の頼れる声に頷くと、金色の如き飛竜は海へと鋭く切り込んでいった。
「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!」
「ふん、無駄だ……大海の支配者たるこの我に敵うとでも?」
オルキヌスへ浴びせられる、無数のミサイルは終わることなく続く。
無尽蔵に小枝子の身より生成される霊物質は、内蔵された魚雷へとすぐ様に生成され、オルキヌスへと叩きつけられていく。
尽きぬこと無き弾幕に徐々に追い詰められていく苛立ちを隠せぬか、オルキヌスは尾をしならせ乱れた大渦を生み出さんとした、正にその時だった。
「お待たせ――!」
昏き青に満たされた海中に推進による白き泡立ちの軌跡も鮮やかに、黄の輝きも目立つ存在が、オルキヌスの巨体を斬り裂いた。
黄槍の飛竜――備え付けられた水中戦の仕様によって、海中ですらも空の如く制する力を持ったゴーレムに乗り飛び込んできたセフィリカだった。
「喰らいついてあげる! この知恵で! この姿で!」
いきなりに現れた黄色の鮮やかな存在に、オルキヌスが雄叫びを挙げながらヒレを動かし海流を巻き起こそうと。
携えられた魔剣と最速の竜は、オルキヌスの生み出す潮流すらも斬り裂きながら巨体に迫り、流れ星が乱れる如く煌めく軌跡を残して、その巨体に斬撃を刻み付けていく。
苦痛の雄叫びを挙げるオルキヌスの、憎悪に燃える一つ目に退化を齎す輝きは無く。
されど一度刻まれた恐れを払拭するように、魔剣を突き出しながらセフィリカは冥府の魔物へと強く宣言した。
「七虹最速のその姿! アクア・フェインナルド――目に焼き付けることができるかな!?」
オルキヌスに比肩する程に海に適した黄と、繰り広げられる高速の飛翔が如き泳と分厚い海中の水も、すんなりと斬り裂く姿。
自己強化の恩恵も解け始め、動きは釘付けとなった今、小枝子の――ディスポーザブルの砲は、ここぞという時に備え溜め込まれたエネルギーの砲は、確かにターゲットを捉えた。
「壊れろ、オルキヌス!!」
あらゆる動き、どこに泳ぐかも向かうのかも、全て未来を予測できるかのようにオルキヌスが行く先に先回りして置いておくように。
両腕のビーム砲より迸った極太の光芒が、分厚い海水の壁を泡立たせて飛び――オルキヌスの身体を過ぎ去りながら焼いていくのだった。
大成功
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ソニア・シルヴァーヌ
ここまで大きな生物が存在できるとは…海の広大さを実感します、ね。
ともあれ、ここで食い止めませんと。
水中にてオルキヌスと対峙します。
環境適応・自己進化にて、下半身を魚のような形に変形し、水中への適応力を高めます(装甲半減・攻撃回数強化)
敵のユーベルコードによる強化を妨げるため、周辺の生物の殲滅を行いましょう。
オルキヌスの狙いを絞らせぬよう水中を動き回りつつ、遠くの敵は暗黒縛鎖・改、近くの敵は触手を用いて、射出からの【串刺し】、或いは伸ばした上での【なぎ払い】にて排除していきます。
この間【エネルギー充填】を行い続け、充分な掃討を行った後、オルキヌスへ溜めたエネルギーによる波動砲を撃ち込みます。
●魔物と魔物
母なる海、大いなる海――雄大さを例えることに事欠かぬ海というものであるが、目の前にある全長五十メートルにも届く怪物を見れば、尚更に思う。
ああ、何と海の広大なことか。この巨大なるものを納められるものかと。
「ともあれ、ここで食い止めませんと」
一人の“淑女”はその身を光も乏しき海中にすんなりと馴染ませながら、一つ目の闘志と殺意もありありとした魔物と眼を合わせた。
ソニア・シルヴァーヌ(玻璃の白百合ラスボス仕立て・f31357)――彼女のその姿が尚更に、オルキヌスの怒りを煽るのは。
「――気に食わぬ。我が支配に無き姿よ」
「結構――ラスト・ボスが支配されては恥ですので」
究極の悪魔が如き自己進化によって出来たソニアの下半身は、まるで魚のような――神話の人魚という艶やかなものではない。
神話は神話でも邪神の神話に出てくる、名状しがたき怪物が如き悍ましさを備えた姿に、オルキヌスは嫌悪感を剥き出しにしながら、口より気泡を漏らして冷酷に宣言した。
「――やれ」
「あら、あら、まあ、まあ……ふふ」
何と殺到する海洋生物の群れなのだろうか。
支配者の意志を伝播され、焦点の合わぬ瞳に従わぬ者への殺意を滾らせる。
エゴを具現したかのような、暗黒の鎖が飛びては海洋生物の軍勢を叩き落していく――放出されるエゴの反動に微かに心地よき身体の痺れを覚えながらも。
黒く濁った鎖が遠くに位置する群れを絡め取り、鎖の中に巻き付けては圧殺していきつつ。
暗黒の鎖を抜けて迫る海洋生物の群れを、触手の突き出しが串刺しとなしながら、何処までもそれを伸ばし――刹那、海中にうねりが生ずる。
薙ぎ払われたソニアの触手が、嗾けられた海洋生物を文字通り叩きのめしていったのだ。
自らの身を脆くした代わりに、涼し気に繰り出される猛攻の勢いは一つの軍勢を此処に滅すると。
「これで一騎打ちとなりましょうか。冥界の魔物様?」
彼女が掴んで広げたものは触手かヒレか――異形の部位であるにも関わらず、貴婦人の淑女の礼(カーテシー)のようにも見えた。
ゆっくりと、両掌の間に火花迸る光の球を生み出しながら、それを腰だめにソニアが引けば、オルキヌスはその巨体を旋回し始める。
その回転が激しい潮流を巻き起こしても、水の流れと華麗に舞踊すかのように平然とソニアは自らのヒレをしならせ、渦潮を泳ぎ切り。
そして彼女は両掌を突き出せば――迫りくるオルキヌスを、迸る閃光が貫いていくのだった。
大成功
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鳴海・静音
こいつは倒しがいのある海の怪物ってやつだなァ
こういうのも残しとくとどうなるかわからねぇしな、しっかりと倒しておこうぜ
さーて、海が戦場ってんなら俺達の出番だなァ
『亡霊の船出』!野郎共、出航だァ!
他の猟兵も足場に使ってくれや、野郎共は相手の浮上に合わせて攻撃だァ!
相手の攻撃に対して俺は回避だ、野郎共も悪ィが俺に当たりそうな攻撃は受けてくれや
なにせ相手の攻撃、野郎共に対しては呪いを含めて完全に無意味だからなァ…
呪いっつー話だから普段から呪いを纏ってる俺に対しては五分五分かねェ
それに海に帰りたいってのは俺たち海賊にとっては普通だしな
※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ
四季乃・瑠璃
【クリエイト】で分身
ジェミニオン二機でミサイルポッドで敵のいる海面へ一斉斉射を掛けた後、自身の武装や装甲及び周辺の岩塊等を【クリエイト】で再構築して海中用の魚雷発射ポッドや水中用のスラスター、ハープーンガン等の水中用装備に変換。
感知式ボムを機雷代わりに使って敵の動きを制限し、魚雷やハープーンガンによる火力で敵を追い込み、退化の魔眼を狙って攻撃を仕掛けるよ。
完全な形ではないとはいえ、危険な代物には変わりないしね。
隙を見てハープーンガンを突き刺し、零距離でレールガンに再変換し、最大出力で叩き込む!
緋瑪「元七大海嘯だからって勝てない道理はないね!」
瑠璃「相手に有利な場所でも戦いようはあるんだよ」
●クロスアタック
潮風の逆風も心地よく、海を覇するかのように突き進む船の船首にて、一人の女海賊は望遠鏡を手に海面に揺らぐ巨大な魚影を目に映した。
ひしひしと感じる、海の覇者たる威容に肌に嫌な張りを感じつつも、女海賊は――鳴海・静音(不思議の国の亡霊船長・f19460)はマントを抑え、絶え間なく向けられうる敵意に対し己を奮い立たせた。
「こいつは倒しがいのある海の怪物ってやつだなァ」
唇を釣り上げ、敵と味方の射程に近づくまでの間。
静音は彼女の能力で生み出した海賊船の上、厚意で乗せた二人組に目を向ければ、その二人組は快活に声を挙げた。
「元七大海嘯だからって勝てない道理はないね!」
「相手に有利な場所でも戦いようはあるんだよ」
四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)とその半身の緋瑪は、既に二つの肉体に分かたれていた。その上で二人それぞれ分離したキャバリアに乗り込みながら、彼女達は交戦区域への接近を待つ。
海賊船の上に鉄の巨人が乗り組むという、ある意味ミスマッチといえる光景でも、闘志は皆同じ――故に静音は錫杖を掲げ大声を張った。
「そういうこったな。さぁ野郎共、出航だァ!」
『Yo-Ho-Ho! 錨を上げろォ~!』
『Yo-Ho-Ho! 帆をぉぉ張れェェ~!』
『Yo-Ho-Ho! 敵にぃぃ迎えぇぇい!』
既に錨は上げられ帆も張られ、後は向かうだけというのは突っ込まないお約束。
カットラスとピストルを手に、様々な、ともすれば蛮声とすらも呼ばれるほどの声が波紋を呼び海面を揺さぶった。
それに苛立つか、オルキヌスが海面より顔を出せば、瑠璃と緋瑪のキャバリアが飛び立った。
「よーし、ノってきたよ! 派手にいこう、瑠璃!」
「ちょっとした空母ってとこかな。やろう、緋瑪」
水柱の立ち上りも激しく、二つのキャバリアより放たれたミサイルが、容赦なくオルキヌスの身体を打ち据える。
爆音と衝撃が生み出す津波も派手に、海賊船を揺るがしながらも、殺人姫達の放ったミサイルが華麗に出鼻をくじき、オルキヌスの身を海中へ追い立てると。
「「さぁ、殺戮ショーを始めよう! ジェノサイド・クリエイト!」」
そして彼女達は自らのキャバリアに魚雷搭載のポッドや、水中での推進を行う為のスラスター、果ては周囲の岩場をもハープーンガンへと変えて。
鋭くキャバリアを海中へと斬り込ませると、先ほどミサイルポッドを作り替えた魚雷を一気に解き放つ。
無数の追尾する獰猛なそれがオルキヌスの体勢を立て直すことも許さず、爆発と衝撃で追い立てながら、殺人姫達の放つハープーンガンの勢いの良きことが、再びオルキヌスを海上へと舞い上げた。
「早速お出ましだなァ! 野郎共! 気ィ抜くんじゃねぇぞ!」
『『『アイ・アイ・マム!』』』
飛沫を浴びることも厭わずに、海面から顔を出したオルキヌスへ海賊達がピストルを解き放つ。
普通ならばただの小雨としかない鉛弾も、生命力そのものを奪う力となったそれは、容赦なくオルキヌスより活力を奪い。
それに苛立ったオルキヌスが突進の構えを行えば、操舵の担当が軽やかに舵を取り、巨大な質量の突進を躱し。
声の張り上げも賑やかに、百戦錬磨の海の荒くれ幽霊がカットラスを振りかざし、次々とオルキヌスの巨体を切刻み、生命力を吸い上げていく。
「……鬱陶しい。海に還るが良い雑兵め」
群がるように攻め立てる幽霊海賊たちを目掛け、オルキヌスがヒレを打ち付け、一つ目で睨みつける。
放たれる回帰への呪詛と、肺を海水で満たす苦痛が襲い掛かるが――されど海賊たちの存在が揺らぐこともなく、既に実体の失われた身には肺に海水を満たそうと効果もなく。
その紡ぎ手である静音への呪詛もまた、彼女自身が纏う呪詛で相殺されている――つまり一切の効果が見られない。
「はっ! 海賊が海に帰りたいなんざ、当たり前のことだろうが!!」
その現実を突きつけるように腰に手を宛てた静音が宣言すれば、周囲の幽霊海賊達もまたその通りだと叫ぶ蛮声が響き。
水面より顔を出したまま、一つ目に不愉快な感情を隠さぬオルキヌスへと、海面から勢いよく飛び出た瑠璃と緋瑪が叫ぶ。
「皆! あの瞳を狙って!」
「不完全みたいだけど、厄介な代物だから」
「聞いたな野郎共。続けェェェーッ!!」
瑠璃と緋瑪の仕掛けた感知式の機雷が齎す爆発にオルキヌスが追いやられ、そこを静音の率いる海賊達がピストルを撃ち込みカットラスで切刻む。容赦なく、時に急所の一つ目を責め立て、巨体に満たされた生命力すらも奪いながら。
やはて力が抜けたオルキヌスへと、瑠璃と緋瑪はハープーンガンを深く突き立てる――!
鮮血も海に溶け込む、確かな一撃は正に捕鯨の名手が如く!
そして刺し込まれたそれは、逃れ得ぬ楔――再創生の御業を以てハープーンは姿を変える。
「さぁ終わりだよオルキヌス!」
「骸の海に還る時が来たよ」
転じたそれはレールガン――既にエネルギーチャージも終えたそれは、至近距離も至近距離、決して逃れられぬ距離にして最大の威力を発揮する場所に。
「「「ファイヤー!!」」」
二人で一人の殺人姫達と、女海賊と、幽霊海賊達の掛け声が重なる。
そして解き放たれた超電磁の加速砲の一撃は、オルキヌスの魂すらも強く撃ち抜くのだった。
大成功
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シーザー・ゴールドマン
元七大海嘯か。メンバーの移り変りがあるというのは面白いね。
オルキヌスとバルバロス兄弟の一例しかないが、倒すと入れ替わるのかな?
まあ、良いか。それでは海中ショーを見せてくれたまえ。
海上上空移動
『創造の魔力』で無色透明の魔力で出来たブロックを作り、『維持の魔力』で空中に止めます。それを足場にして海上を自由に移動。
用済みになったブロックは都度、解除、消滅させていきます。
敵POWUC
集まってきた海の生物たちを見やり、『破壊の魔力』を圧縮した魔力弾を放ち、海中で爆発させます。
爆発漁法というやつさ。
爆発の衝撃で支配生物が散った隙に巨大化させたオーラセイバーの一撃を。
肉体が残るタイプなら料理したいね。
ヴィクトル・サリヴァン
陸に一回も上がってなくてそのまま進化…案外魚類のままだったり?
いやオブリビオンにそういうのは関係ないのは知ってるけど半端に似てるのを知ってる分ねえ。
まあともかく、無茶苦茶やろうとする前に孤独な海の王様を止めないとね。
海に潜って迎撃。
水泳の技術自体は向こうのが高いだろうけど島の近く、多分浅い海底で巨体をどれだけ思い通りに使えるかな。
その分こちらは無酸素詠唱で水属性の魔法で水流操り泳ぎやすいよう補助、可能なら他の猟兵も手助けする感じで小回り効かせて攻撃を避ける。
ある程度凌ぎ隙を見つけたらUCで渦と雷属性合成、動き縛りつつ電撃で痺れさせつつ、弱点っぽい額の目に銛ぶちこむよ。
※アドリブ絡み等お任せ
シェーラ・ミレディ
馬鹿に大きいな!?
こんなものに島を蹂躙されてはたまらない。
とっとと引導を渡そうじゃないか!
海面で戦おうか。
まずは『珠聯璧合』で的を増やすぞ。
水に親しい精霊ならば、海に帰ろうが肺から水が湧き出ようが関係ないし、
そもそも彼女らは耐久力に乏しいからな。あまり罪悪感もない。
遠慮なく盾になってもらおう。
僕自身は精霊たちの影に隠れ、また彼女らの力を借りながら精霊銃で攻撃を。
具体的に言えば、水上でも歩けたり水中で姿勢制御できるような加護を貰い、
加護を利用して動き回り、攻撃した地点を悟らせないようにする。
さすがに僕が攻撃を受けてしまうと、耐えられる自信がないのでな。
※アドリブ、改変、絡み歓迎
●反撃は派手に、とにかく派手に
海面に映る魚影の大きさの凄まじさは分かるし、繰り広げられる戦いの激しさは間違いなく、相応の実力者であることは察せられるか。
今回相対するべき冥界の魔物の影を見据え、長身の男シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)はふと思い浮かんだ疑問を口にした。
「元七大海嘯か。メンバーの入れ替わりもあるのかな? 一例しかないみたいだけれども」
「どうなんだろうね」
彼の言葉にヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はどうとでも取れるように言葉を続けた。
もしかすれば、歴史に語られぬだけで入れ替わり自体は何処かで起きているのかもしれないが、それを確かめる術は今になく。それよりも。
「というか、馬鹿に大きいな!?」
シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)
「あれは案外魚類のままなのかな? いや、そういうカテゴリで計れるのではないって分かってはいるけれども」
シェーラの言葉にヴィクトルが、オルキヌスの姿形を観察しながら、かの存在の進化の経緯について思いを馳せた。
一度も陸に上がっていない以上、一度陸に上がった哺乳類が再び海棲に適した存在となった海獣とは違うのだろうか。
彼自身がいうように、オブリビオンであることを抜きにしたとしても幻想生物の理には無粋なことなのかもしれないが――それでも思わずにはいられない。
ましてや半端に似ているのを知っている分、猶更――自嘲気味に笑う、当のシャチめいた合成幻獣であるヴィクトルの言に、シェーラは更に言葉を返した。
「どっちにしろ、こんなのに島を蹂躙されてはかなわん。とっとと引導を渡そうじゃないか!」
「ん。そうだね。孤独な海の王様を止めないとね」
「異議なし、だ」
シェーラの言葉にヴィクトル、シーザーと続いていけば、オルキヌスが射程圏内に入ると、顔を出し一つ目を以て彼らを睨みつけた。
「しつこい奴らだ。やはり陸生など見るに堪えぬ生物よ。やはり引き摺り落とさねばなるまい」
響き渡る悍ましき声を開戦の合図とするように、彼らは一瞬顔を突き合わせ。
先陣を切るかのように、この中では一番海に適している見た目をしたヴィクトルが海中に潜り込み、水流を操りながらオルキヌスへと挑んでいけば。
「さて――海中ショーでも見せてくれたまえ」
シーザーが笑い、創造と破壊、維持という三つの神がかった御業を以て海上に透明なブロックを生み出した。
それを維持の力を以て固定し、揺るがぬように、そして壊れぬように留めると、彼は海の揺らぎも関係ないと言わんばかりに戦場を闊歩する。
「僕のために咲け。舞い散る花弁は諸君に捧ぐ」
初手にシェーラが呼び出したのは、四百を超える莫大な数の精霊達――相応の力を持つ代わりに脆き精霊を周囲に呼び出すと、彼はその加護を以て静かに海面に足をつけ駆け出していく。
例えオルキヌスの呪いがやってきたとしても、水に近き精霊を盾とすれば、その呪いの影響は最小限に食い止められる。
多少の罪悪感も無いわけではないが、そもそも、耐久力に乏しい……言い方を限りなく悪くすれば“使い捨て”とも言えるもの。
海面の揺れすらも自然に存在し、悪しき補正を受けぬように精霊の加護を以て姿勢を制御しながら。
踊る銃弾が顔を出さんとするオルキヌスを制し、その姿を海中へと沈ませ続ければ。
同時、そのシャチが如きヴィクトルが海中より銛を一つ構えると――魔術が海流を歪める。
自らの泳ぎを補助しながら、オルキヌスの攻めを軽やかにヒレの一打ちで水中を滑るように動き躱していき。紡がれる水流が僅かにしろ、オルキヌスの巨体の動きを阻んでいく。
時にシーザーが生成し、留めたブロックに当たれば不愉快そうにオルキヌスは眼を歪め、其処にシェーラの銃撃が飛び込み、その身が更に追いやられていく。
「ここで何処まで動けるかな? ねえ?」
笑うヴィクトルが導いた先は、丁度島の近く――下手をすれば背水の陣ならぬ、これは背陸の陣か。
必然的に海底の浅き場所は、逆にその巨体による泳法を活かし切ることも出来ず、ブロックと銃撃の妨害が否応なしに動きを制限する。
ある意味、これはオルキヌスからしてみれば責めるのには絶好の好機と言えなくもないが、奇しくも既に別の猟兵が防波堤を作っている以上、簡単に攻め入ることは出来ない。
正に追い込み漁といった三人の鮮やかな作戦だったが、オルキヌスはそれすらも嗤い。強者の余裕を崩さなかった。
「……ふむ。では、適材適所といこうか」
呪詛が通じないのならば、新たに引き寄せた軍勢を以て、小回りの利く海棲生物の群れで叩く――半ば洗脳に近い意志の統一が為した攻撃性を以て、限りなく攻撃性の増したそれを向かわせるが。
「何っ……!?」
盛大な水柱の立ち上る音と共に、激しい飛沫が戦場のそこかしこへと飛び散っていった。
爆発の轟音が大気を揺さぶり、眼を濁らせた海洋生物達が強制的に海中より舞い上げられて、次々と水面に打ち付けられていく。
「ふっ。爆発漁法、という奴さ」
それを為したのは足場に一切の姿勢揺るがすことなき、長身の貴公子だった。
破壊の力を圧縮した魔力弾を彼は海中に吸い込ませるように放つと、ヴィクトルの操った水流に導かれるように集まってきた軍勢へと、それを一気に爆ぜさせていたのだ。
「さて――今が攻め時って奴かな」
驚愕に身体を強張らせるオルキヌスを見、ヴィクトルはここが一気に攻める時だと判断し、生み出していた海流の渦に一つの要素を加えた。
「グガアアアアアアッ!!」
それは海水という触媒も豊富な、海に住まう者の天敵ともいうべき、雷だった。
閃光と衝撃が迸る渦は、その激しい流れで巨体の動きを制限しながら、派手に海を、巨体を駆け巡り――落ちて行った配下や、オルキヌス自身を高電圧で打ち据えていった。
「無茶をやってくれるな! 僕まで巻き込まれたらどうするつもり……だ!!」
「それは失礼」
「ハハハ、凌ぐことは凌いだじゃないか」
「軽く言ってくれる。安くはないぞ」
迸った飛沫も、走ってきた雷も。
呼び出した精霊を盾としながら、寸での所で被弾を免れつつ――銃弾の彩も華やかに、精霊銃の弾が幾度となくオルキヌスを貫いていく。
「己……!」
反撃に移らんとヒレをうならせたオルキヌスの視線より、精霊の加護を以て水面を駆け抜けて。
居場所を特定されぬように、攻め手が向く前に、翻弄するかのようにシェーラは駆け抜けてオルキヌスの身体に決して少なくない、銃弾という楔を打ち込んでいく。
遂には痺れを切らし、水飛沫も鮮やかに海面から飛び跳ね威圧するオルキヌスを前に、シーザーは目を向けると。
「やはり私達には勝てなかったようだね。最初から勝たせる心算も無いわけだが」
鼻に息を通しながら尊大に、一つ目から放たれる憎悪の感情を受け流しているシーザーの手には、既に光の剣が生成されていた。
「楽しいショーだったよ。肉が残るなら料理したいね」
尤も残るにしろ残らないにしろ、ここで倒すということには変わらないが――つり上がる口端にオルキヌスが硬直するも一瞬。
振り上げられた光の剣が、かの冥界の魔物の巨体を斬り裂き、巨体から見ても実に凄惨な傷を刻み付けながら舞い上げる――!
そして。
「これで……」
「トドメだ!!」
舞い上げられたオルキヌスへすぐ様に飛び乗ったヴィクトルが、その一つ目へと深く深く銛を突き立てて。
そこへ駄目押しに、銛を更に押し込むように放たれたシェーラの精霊銃が、続けて銛の柄を打ち付け、オルキヌスの魔眼へと突き刺さり――海の覇者の巨体は、盛大な水飛沫を上げながら海へと沈んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。
私達は2人とも人間なので、海中戦は難しい。
水上戦、船で現地に向かいます。島の方から船を購入。
小回りの利く小型艇を購入し、戦場へ。
主力攻撃は私のUC。
範囲180mを超えるスポットライトの光。
戦場が視認できる範囲になったら、大きく距離を取って操舵室からUC攻撃。
祈りに時間は要らない。十字が切れれば十分。私は敬虔なカトリック教徒ですから。
深海と言えど、浮上するタイミングはあるはず。
海面近くなったタイミングで発動。
巨体とはいえ海の中、スピードはあちらが上。
標的にされたら小回りを生かしつつ操舵。
UDCアースのお金持ち。クルーザーを所有しています。運転は得意なんですよ。
コイスル・スズリズム
オーナーさん(f03848)と
オーナーさんの船に乗って戦場へ
この船すごいね~!
買ったの?お金どんだけあるん!?
地形の対策はオーナーさんに任せて
すずは出来ることは~
くるりと回って袖口から出すのは11の影のドラゴンランス
今回はこれだね。
オーナーさんの対象への攻撃を合図に位置を確かめ
2m分距離を調整したら
すずは固定砲台
「全力魔法」を込めたドラゴンランスのUC攻撃
トゥウェルブには足りないけどもひとつぶんはオーナーさんだね。
それからもオーナーさんが教えてくれる場所に従って
影のドラゴンたちを水の上にはしゃがせる
船が旋回してる間は
すずは波の様子をオーナーさんへ
なんかずっと思ってたけどオーナーさん操縦うまいね
●導くのは……
状況が状況でなければ、この一時というのは優雅な船旅として楽しめるのであろうが、そうもいかぬが生命の埒外<イェーガー>であるが務め。
儘ならぬとはいえど、女二人、潮風の撫でる感触も船の突き進む波音も心地よい――金の二括りを揺らし、額に手を宛てながら、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)は、その船の操舵を行う小宮・あき(人間の聖者・f03848)へ無邪気に讃えた。
「この船すごいね~!」
「買いました」
「えっ、買ったの!? お金どんだけあるん!?」
「大した額ではないですよ~」
「えーっ」
あきは何を隠そう、規模こそ小型、近海に少々乗り出す程度が関の山ではあるが、海へ乗り出す為に購入していたのだ。
幸いにして中古も中古、相場から考えれば格安ではあるものの、それでも一財産のそれを驕ることなく冗談めかして、あきが舌を出せば、すずがその背を軽く叩くようにして戦の前の一時を和ませる。
されど、温和な一時はいつまでも続くことは許されず、オブリビオンが故の獰猛な殺意と闘気を、彼女達や否応なしに感じてしまう。
「神罰を与えましょう」
数多の重傷を与えられ、最早ろくに言葉を交わすことも無いが、一つ目から感じられる殺意を肌に感じながら。
旧教の信仰を胸にあきは十字を切ると、スポットライトが輝くように、光の柱が落された。
祈りと共に落された正にその名の通り神罰の輝きが、冥界の魔物を神聖な輝きの中に包み、深海に潜むその存在を浮き彫りにする。
「こないだの演奏の余韻がまだ残ってるみたい」
すずの足捌きが彼女の身をくるりと、一つ旋回させた。
次の瞬間世界は姿を変えるかのように、まるで色を塗り替えたかの如く空気を一つ変えながら、すずは袖口から取り出した。
――今回はこれ、11の影のドラゴンランス。
「……こないだていつ?―――あ、現在、やつ」
――アルダワ・トゥウェルブダンスツアー。
十二(トゥウェルブ)というには一つ足りぬドラゴンランス、されど解き放ち手繰りながら、すずは戦場を照らすあきに一つ声を掛けた。
「一つ足りない。でもそれはあなた。代え難い一つ」
「あなたが私を信じる限り、私があなたを導きましょう」
――どこに行かれるのですか?
――踊ってくれる、あの場所へ。
深海に潜む者としての適性を強く生かし、戦場を駆け抜けるオルキヌスの存在を神罰の光が照らし、その存在を確かに知らしめながら。
解き放たれるランスは冥界の魔物へと勢いよく突き刺さる――派手に、古の捕鯨の様相を思わせるかのように。
海中を泳ぐ静かな音さえも捕えるように竜が舞い、真っ暗な場所に静かに海の分厚きを斬り裂く音を奏でるかの如く、オルキヌスを影のドラゴンは追いやり、その命を削っていく。
されどオルキヌスも又、削られる命を燃やすように荒ぶる闘志を滾らせ、支配下に置いた軍勢の最後の一団を呼びつけた。
「!! 来ますよ、すずちゃん! 振り落とされないように!」
「オーナーさん、そこ! 波が……」
「はいーっ!!」
すずの指摘に応えるように舵輪を鮮やかに回し、殺到する最後の海洋生物の群れからなる突進を躱し。
ジグザグに、殺到する群れや時に牙を向けたオルキヌスの一撃を、小型船が故の小回りを以て躱していく――例え死の嵐吹き荒れる中ですらも、快活に斬り抜ける勢いで。
時にオルキヌスが吠え、声を挙げて飛沫も激しく海面より顔を出し、限りなく高めた顎門の力を向けて飲み込もうとしても。
祈るように切られた十字と、落される鉄槌が如き巨大な光の柱が落され、歪んで溶けたような神が如き光輪も消し去り。
「――ウォォォォォォオオオオオ!!」
名状しがたき咆哮を挙げるオルキヌスへと、十一の影のドラゴンは次々と踊る。
落されるスポットライトと踊る影のドラゴンが、冥界の魔物に率いられた海洋生物を滅しながら、あきとすずの乗る船に迫るオルキヌスをも苛めていき、そして――咆哮の上がりが掠れて小さくなっていけば。
「――……」
さよなら。ゆっくり眠れ(Rest In Peace)と女二人の視線はオルキヌスを貫き。
眩き光に包まれ、その身を灼かれる巨体に、光の柱という大きな一つに追従するが如く、十一のランスが踊り突き立てられて。
華やかにはしゃぎあい、宛先の無き場所へ追いやるかのように、オルキヌスの巨体を塵と化していく。
その塵となったシルエットが風に溶け込み、二度と再生すること無きを見送りながら、彼女達は船を駆り島へと戻っていく。
一時の平穏を取り戻した海を行く中、不意にすずはあきに声を掛けた。
「思ってたけど、オーナーさんって操縦上手いね?」
「これでも相応にお金持ち。クルーザー持ちですから、操縦の一つや二つお手の物なんですよ!」
「すごーい!」
自慢げに、されど嫌味なく胸を張るあきの姿を、これまた無邪気にすずが讃え。
僅かな凪を取り戻した海の上を、和気藹々と女二人後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年02月10日
宿敵
『森羅冠す『オルキヌス』』
を撃破!
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