羅針盤戦争〜故郷を探す水晶海月
●
カエリタイ……故郷ヘ、カエリタイ……。
ふわふわふよふよ。海の中を漂う一匹の巨大クラゲ。
目指すは自分と仲間が居た住処へ、故郷へ。
ぷかりと海上へ浮かべば、眼前に広がる大きな島。
あそこが故郷かな? あそこで良いのかな?
島を見かけたら向かえと言われたとおり、まっすぐ島へめがけて進む水晶海月。
真っ直ぐに向かってくる水晶海月に、島に居た海賊たちに戦慄が走る。
「なんでこんな所に水晶海月が出るんだよ……」
「くそっ、急いで襲撃に備えろ! モタモタすんなよ!」
コンキスタドールの急な襲来に慌てふためく海賊たち。
何とか上陸を喰い止めようと、浜辺から銃火器や武器、投石器などで応戦する者。
海賊のみが知る道を通って、船で沖合へ出て攻撃を繰り出す者。
島を潰されてなるものかと、それぞれが、それぞれの為すべき手段で、コンキスタドールへと立ち向かっていった。
●
「が、結局は全滅。どうやっても力の差は埋められなかった訳だ」
コーダ・アルバート(無力な予知者・f02444)は、息を吐きながらグリモアが予知した事象を告げる。
「仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。この水晶海月は七大海嘯が送り込んだ、他のコンキスタドールよりも、段違いの強さを誇る強大な敵だ」
猟兵達だけで戦っても苦戦は免れないだろう。続けられたその言葉に、集まった猟兵達は息を呑む。
「そこで、地元の海賊達と協力して、このコンキスタドールを倒して欲しい」
海賊達にも、島を守りたいという矜持はある。足りなかったのは、コンキスタドールを倒すための力だけだった。
「倒すための力……猟兵の力と、この島を良く知る海賊達の知恵があれば、強大なコンキスタドールといえども倒せると、オレは思っている」
支度が出来たものから案内すると、コーダは転移の準備を始める。
「最後に、この水晶海月についてだが……既に無い故郷を探して、彷徨っていた所を七大海嘯によって派遣されてきたらしいな。……こいつの探す仲間も故郷も、もうどこにもない。もしもあるとしても、骸の海に……だろうな」
だから、探している仲間の下に、こいつを還してやってくれ。
そう言って、コーダは猟兵達を島へと送り届けた。
早瀬諒
閲覧有難うございます、早瀬諒です。
一章のみで完結の戦争シナリオ。
初の戦争シナリオで、初のグリードオーシャンです。やっと戦争参加できたー!
心情寄りでも、ただ倒すだけでも、どちらでもどうぞ!
いつもと同じ様にプレイング受付した方、全員の描写を目指したいと思いますが、締め切りは早いと思われます。
なお、このシナリオには「海賊達と協力する」という、プレイングボーナスが設けられています。
島にいる海賊に協力を要請する、OPにあるように一緒に船で沖合いに出る等、海賊と共に行動する事でボーナスが付きますので、宜しくお願いします。
今回は断章はありませんので、公開と同時にプレイングの受付開始します。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『水晶海月』
|
POW : イタリエカ
【半径1km内の有機物を変換した海水の雨】を降らせる事で、戦場全体が【水晶海月の生息域である深海】と同じ環境に変化する。[水晶海月の生息域である深海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD : ヘカミス
自身からレベルm半径内の無機物を【瞬く間に数十万トンの海水】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ : ヘトモノマカナ
非戦闘行為に没頭している間、自身の【触手に触れたモノ】が【生物は水晶海月に、非生物は海水に変化し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
イラスト:井渡
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「グラニュエール・テウシス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヘヴェル・シャーローム
うへぇ、厄介なやつが出てきたなぁ
これはみんなの援護をして回った方がいいかな?
うん、そうしよう
ねえ、海賊さん達
見ての通りぼく、非力なこどもだからさ
ひとりで戦うなんて出来ないんだ
でも、あいつらから島を護りたいんだ
ぼくらの海を好き勝手に荒らされたくないんだ
だから力を貸して
頷いたら、ぼくが全てを与えよう
海水の雨が降り注ごうと大丈夫、息を吸って
海神の加護がある限り、彼らの住まう深海だろうときみ達は進んで往けるよ
さあ反撃開始だ
武器を握って、突きつけて
きみ達は今、あの海月達にだって勝てる力が宿っているんだから!
……これで大丈夫かな?
よし、ここは任せて次にいこう!
他の人達にもどんどん加護を与えてこないと!
鈴木・志乃
大丈夫、落ち着いて!
……と言っても落ち着きも信用も出来ないかもだけど、私はアレを無力化する策がある。
だから、だから無力化出来たら総攻撃を仕掛けて欲しいんです。私だけの攻撃力じゃ足りないから……。
海中も水上も走れる自前のヒーローカーに乗って爆走するよ!
魚雷もいっぱい積んだからね……。念の為オーラ防御張っておこう。とにかく急接近してUC発動!!
高速詠唱の催眠術込みで、海賊たちが狙いやすいところに海月を足止めし続けるよ。帰るべき故郷や仲間を、幻視させばがら。
これ以上いろんなものを破壊しなくていいんだ。立ち止まっていいんだ。君はもう、帰れたんだよ。
……夢を見て。
全力魔法とありったけの魚雷で殺す。
イコル・アダマンティウム
「ん……水晶の海月
美味しくは、なさそう」
それに、なんだか殴りにくそう
僕は愛機のキャバリアに搭乗して、待機
準備する、ね
【協力要請:火力集中】
キャバリアで近づくと、水にされちゃいそう
海賊の武器も、そのままだと届かない
なら
「ね、皆で集中攻撃できそうな所、ある?」
使用UC[覇気解放]
少しの間、戦場を僕の覇気で覆って
水晶海月の能力を相殺する、よ
相殺してる間に、集中攻撃で一緒にダメージを与えてほしい、な
「今、お願い」
【対水晶海月】
「そのまま、還って」
ここは、ここに住むの人たちの皆の故郷
奪われるのは、悲しい
「悲しいのは、ここで終わり」
キャバリアから水晶海月へ僕を射出
この拳で、その水晶を砕く、よ
*アドリブ歓迎
●陸からの攻撃
「うへぇ、厄介なやつが出てきたなぁ」
ヘヴェル・シャーローム(まほろば・f26173)は、高台から島をも飲み込みかねない巨大な水晶海月を見下ろしていた。
へヴェルの視界に、今にも島に到達しかねない水晶海月と、海月の襲撃によって大混乱に陥っている海賊たちの姿が映る。
「これはみんなの援護をして回った方がいいかな? うん、そうしよう」
海月を倒すだけの力は自身にはない。自分が攻撃専門でないことは、へヴェル自身が一番良く分かっている。
けれど、直接倒す力がなくても、へヴェルには加護の力がある。
自身の役割を確認すると、へヴェルも成すべきを成すために、海賊たちの元へと向かうのだった。
「大丈夫、落ち着いて!」
巨大な水晶海月の襲撃に混乱する海賊たちに、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は必死に声をかける。
「私にはアレを無力化する策があります! だから、だから無力化出来たら総攻撃を仕掛けて欲しいんです!」
志乃の声に、海賊たちの中からざわっと声が上がる。
「あれを無力化……」
「しかしどうやって……」
「ねえ、海賊さん達」
ざわついた海賊たちに割り込むように、高台から降りてきたへヴェルが声をかける。
「見ての通りぼく、非力なこどもだからさ、ひとりで戦うなんて出来ないんだ」
ユーベルコードを発動し、海賊たちに演説を繰り広げるへヴェル。
「あいつから島を護りたいんだ。ぼくらの海を好き勝手に荒らされたくないんだ。だから……力を貸して?」
「あ、ああ。そうだな」
「こんな子供だって戦おうとしてるんだ」
「俺たちが戦わねえでどうする!」
へヴェルの言葉に触発されるように、海賊たちも士気を上げていく。
「ね、皆で集中攻撃できそうな所、ある?」
やる気の上がった海賊たちに、イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)がそっと声をかける。
「集中攻撃?」
「海賊の武器も、そのままだと届かないから」
「それなら、エンジンが積んであるボートで海に出ればいい」
「陸から武器が届かないってんなら、届く所に行くだけだ!」
イコルの言葉に、やる気を出した海賊たちがわいわいと言葉を紡ぐ。
士気の高まった海賊たちに、へヴェルは一度頷いて。
「海水の雨が降り注ごうと大丈夫、息を吸って。海神の加護がある限り、彼らの住まう深海だろうときみ達は進んで往ける」
武器を握って、突きつけて。
きみ達は今、あの海月にだって勝てる力が宿っているんだから!
へヴェルの言葉に、海賊たちは鬨の声を上げた。
船のエンジンを動かし、各々の武器を手に、猟兵とともに海に出る海賊たち。
海中も水上も走れる自前のヒーローカーに乗って爆走する志乃と、愛機のキャバリアに搭乗し進むイコル。
「ん……水晶の海月。美味しくは、なさそう」
迫る水晶海月を見て、ぽつりと呟くイコル。
「食べるためのものじゃなさそうですからね。さあ、行きます!」
海賊たちとは距離を取りながら、志乃はヒーローカーの速度を更にあげる。
水晶海月の射程に入るかどうかという距離まで迫った所で、ヒーローカーに堆積させていた魚雷を全弾発射した。
ドオォォォンと激しく響く、爆発と同時に響く轟音。
普通の魚であれば跡形も残らない程の威力ではあるものの、今相手にしているのは七大海嘯が送り込んできたコンキスタドール。
爆発で多少のダメージを与えられたであろうが、微かに動きが鈍る程度で、その動きにあまり変化は見られない。
お返しとばかりに攻撃してきた志乃を沈めようと、水晶海月は周囲に海水の雨を降らせる。
猟兵や海賊たちの周りを、ザァァァと強く降り続ける海水の雨。
「させない」
深海と同じだけの圧を生み出そうとする水晶海月のユーベルコードを、キャバリアに乗っていたイコルがユーベルコード〈覇気解放〉で霧散させる。
「今、お願い」
イコルのユーベルコードの効果は、そう長くは続かない。
雨が上がり呼吸は軽くなったはずだと、イコルがちらりと海賊たちに視線を向ければ、その合図を受けた海賊たちは一斉に水晶海月へと飛びかかった。
槍で、銛で、銃や矢で。
海賊たちの攻撃に乗じて、志乃もユーベルコードを発動する。
「これ以上いろんなものを破壊しなくていいんだ。立ち止まっていいんだ。君はもう、帰れたんだよ。……夢を見て!」
志乃の攻撃に、水晶海月は動きを鈍らせる。
帰りたかった故郷、会いたかった仲間たち……志乃が見せる幻視に、水晶海月はその動きをピタリと止めた。
動きの止まった水晶海月へ向けて、イコルはキャバリアを接近させる。
「悲しいのは、ここで終わり」
水晶海月の眼前で、キャバリアのコクピットから射出されたイコルは、その拳をぐっと握りしめる。
ここは、ここに住むの人たちの皆の故郷だから。
奪われるのは、誰だって悲しいから。
だから。
「そのまま、還って」
落下の勢いも利用して、イコルの拳は水晶海月の水晶を打ち抜く。
水晶にヒビの入った水晶海月は、痛みからかその身を大きく震わせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シノギ・リンダリンダリンダ
水晶…お宝としての価値は…?
いえ、しかし生命体ですしね。止めておきましょう
例え悲しい過去があろうと、今を脅かすのなら、そしてなにより七大海嘯なんかの口車に乗ってしまったのなら、その時点でお前は私の敵です
船に海賊と一緒に乗り込む
大海賊ですので船上戦や海戦での動き方は熟知してます
同じ海賊同士、即興ではありますが力を合わせる事ができるでしょう
【強欲の右腕】を起動
呪詛の猛毒に満たされた弾丸でスナイピングしていきます
海賊達にも適度に攻撃させ、常に戦闘状態を維持してもらいます
猛毒で徐々に動きを大人しくさせ、最後は脳天?を撃ち抜きましょう
…七大海嘯に出会わなければ、もう少しだけ優しくしてあげれたんですがね
朱鷺透・小枝子
沖合へ出る海賊の方々と共に、出ます。
回点号に搭乗、操縦。
海中機動、水中から水晶海月の元へ出向き、パルスマシンガンで攻撃。
故郷を亡くし、一人…自分と同じですね。
敵でなければ、撃ちたくはありませんでした。
無機物、すなわち回点号を、海水に変換されー
瞬間思考力、だが…!
だが、敵であるならば、壊す!
オブリビオンは壊す!!そうだ…壊せ!!!
『戦火応報』海水に変換された瞬間に、敵UCを無効化、ヘカミスの効果を使い、海水となった回点号を操って、水晶海月を拘束。
(撃て、撃て!)
海賊船に置いた(或いは海上にスラスターで浮いていた)
ディスポーザブル03を遠隔操縦。水晶海月目掛けて、誘導弾の一斉発射。
破壊します。
イスラ・ピノス
やばい相手なのは間違いないし、それ以上に聞いた話だと還してあげないとだね
海賊さん達と協力してまず船で沖合に出よう。
島の被害を抑えるのと島側が安全なら海賊さん達も浜辺とかから迎撃しやすいと思う。
それに僕も水上で戦うのが一番。
そーちゃんおいで!
ソーダジャイアントで挑むよ。
戦場の海と、水晶海月が使ってくる海水の雨とを吸って巨大化と強化をしながら攻撃へ。
深海なら僕だってホームグラウンド。
もし海水変換をされてもそーちゃんは困らないし生物でもないからね。
僕本人への攻撃だけは全力で回避してそーちゃんは攻めに徹して僕と海賊さん達の盾にもするよ。
いざとなれば巨大化したそーちゃんの中に入って高速泳法で逃げる!
●海からの攻撃
ざぱぁんと波しぶきを上げながら、水晶海月の居る沖へ向かう海賊船に乗船する、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)、イスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)。
「水晶……お宝としての価値は……?」
遠く離れた船からでも見える水晶海月を見ながら、シノギがポツリと呟く。
水晶海月の頭にある宝石としての価値を思案するも、ふるふると首を横に振る。
(いえ、仮にも生命体ですしね。止めておきましょう)
お宝として鉱物を奪取するより、一つの生命体として骸の海へ還してやろうと、シノギは心に決める。
すると、突如爆発音が移動中の船にまで響いた。
水晶海月が爆発するのを眼前にしたイスラは、わーと声を上げながらその様子を眺める。
「やばい相手なのは間違いないし、それ以上に聞いた話だと還してあげないとだね」
戦場は近い。それを察したイスラはユーベルコードを発動する。
「そーちゃんおいで!」
イスラの声に呼応するように、ソーダ水の巨人が海中から海面へと浮かび上がる。
イスラは船から飛び降りて、呼び出したソーダ水の巨人・そーちゃんへと飛び移ると、真っ直ぐに水晶海月めがけて突き進む。
「深海なら僕だってホームグラウンド。そーちゃん、宜しくねー!」
(故郷を亡くし、一人……自分と同じですね。敵でなければ、撃ちたくはありませんでした)
キャバリア・回点号に搭乗し、海中から船とともに戦場へ向かっていた朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)。
自身と同じ境遇の水晶海月に思うところはあれど、それでも小枝子の思考には、一つの意思が強く巻き起こる。
(だが、敵であるならば、壊す!)
「オブリビオンは壊す!! そうだ……壊せ!!!」
強い殺意と破壊衝動が、小枝子の思考を覆っていく。
その衝動に駆られるように、小枝子もキャバリアを進ませていく。
壊すべき水晶海月は、そこにいる。
「私も大海賊ですので、船上戦や海戦での動き方は熟知してます。同じ海賊同士、即興ではありますが力を合わせましょう」
「「おうっ!!」」
シノギの声に声を上げ、船を既に戦闘の始まっている水晶海月へと近付ける海賊たち。
爆発や衝撃で荒くなった波を乗り越えながら、沖に出た海賊たちも水晶海月の元へと辿り着いた。
「水晶海月……例え悲しい過去があろうと、今を脅かすのなら、そしてなにより七大海嘯なんかの口車に乗ってしまったのなら、その時点でお前は私の敵です」
眼前に迫る水晶海月。明確な敵意を顕にすると、シノギはユーベルコードを起動する。
シノギの黄金に輝く右腕は【Midās Lich】の威力を倍増させ、装填された呪詛の猛毒に満たされた弾丸を撃ち放つ。
その攻撃に合わせて銃を撃ち抜く海賊たち。海上での戦闘を感じ取った小枝子も、水中から姿を現して、キャバリアのパルスマシンガンで撃ち抜いていく。
猟兵の波状攻撃を受ける水晶海月だが、大人しくやられてはくれない。
フォンと微かに光ると、反撃とばかりに海水の雨を降らせていく。
「そーちゃん!」
ザアァァと戦場一体に降りしきる雨は、イスラの声に呼応したそーちゃんが船に覆いかぶさって、傘のように雨を受け止める。
海水の雨を吸い込んで、更に大きくなるそーちゃん。その大きさは、水晶海月を超えるほどにもなった。
「いくよ、そーちゃん!」
雨を吸い取り巨大化したそーちゃんに、自身の動きをトレースさせるイスラ。殴りつけるようにかぶりを振って、拳を振り下ろす。
イスラの動きに合わせて振り下ろされたそーちゃんの拳が、水晶海月の脳天を貫く。
(撃て……撃て!)
動きの鈍った水晶海月に、小枝子も接近してパルスマシンガンを放っていくが、とっさの反撃で放たれた水晶海月の触手が、小枝子の回点号へと絡みついた。
「な……」
即座に海水へ変貌する回点号。寄るべき機体を失い、小枝子の身体は重力に従い海へと落ちていくが、小枝子の表情に焦りはない。
「撃ち返せ、応報せよ」
ぽつりと呟かれた言葉に、海水へと変貌したその液体は一つに纏まって、落下していく小枝子を受け止める。
「ディスポーザブル03、呼応せよ」
ユーベルコードをによって海水になったままの回点号を操りながら、小枝子は遠隔操縦で船に残してもう一つの機体を操作する。
両腕にビーム砲、各所にミサイルコンテナ、下部に無限軌道を装着したディスポーザブル03。
海水と化した回点号で水晶海月を拘束すると、小枝子は遠隔操作で動かしたディスポーザブル03へと乗り移る。
「ん!?」
水晶海月と接敵して戦っていたイスラも、全ての砲門を開いた機体に気付いて、慌ててそーちゃんの中へと飛び込んだ。
「破壊します」
イスラがそーちゃんと共に高速泳法で離れたのを確認して、小枝子はディスポーザブル03に搭載された砲門全てを一斉発射させた。
被弾し、爆発する水晶海月。
もうもうと水蒸気が周囲を舞う中、シノギはMidās Lichを構える。
「七大海嘯に出会わなければ、もう少しだけ優しくしてあげれたんですがね」
水蒸気の靄が収まると同時に撃ち放たれたシノギの弾丸は、水晶海月の脳天を……頭部にある水晶を的確に貫いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カイ・ザァド
帰る場所を無くした者か……気持ちは我もわかる。だが、その思いにより島を海へと帰すのは許されぬ。哀れなオブリビオンよ、我が手にて引導を渡してくれよう。
海賊達よ。
一つ頼みがある。我におぬしたちの勇気を分け与えてほしい!我は皇帝! 臣民たちの思いや勇気を胸に、いかなる災厄であろうともお主達の思いと共にかの災厄に立ち向かおうぞ!
指定UCにて!全長55mの巨神となりて真っ向から迎え撃つ!
【勇気】を力に!【重量攻撃】を乗せ【念動力】を刃に纏わせ【切断】するように【なぎ払い】!
「カイザァ! オーヴァー!! ブレェード!!」
防御は【第六感】【野生の感】で【オーラ防御】を【盾受け】に集中させて受け止めよう!
カシム・ディーン
キャバリア搭乗
「空を飛べないってのは面倒だよねご主人サマ?」(鶏の立体映像
なんだお前…海上戦や水中戦は苦手か?
「まっさかー♪もう解ってるくせにー♪」
宜しい…それじゃクラゲ退治だ
UC起動
攻撃回数半減
攻撃力5倍
下半身を魚形態にして人魚モード
【属性攻撃】
水属性を機体に付与して海中に適応する
海賊達に合流して有効な攻撃方法を確認
【戦闘知識・情報収集・視力】
視力を駆使して敵の動きと構造の把握
【念動力・スナイパー】
水中内を泳ぎ回りながら念動光弾をクラゲに向かって発射
倒し切れない場合は接近して
【切断・二回攻撃・盗み攻撃・盗み】
お前の故郷は此処にはない
ちゃんと送ってやる
ハルペーで切り裂き水晶強奪を狙う
●爆発、炎上、そして……
遠くの海上で起きる激しい爆発。
勇気ある者は、船で沖へ出た。武器を手に戦いへ向かった。
けれど全ての者が出陣した訳でもない事を、カイ・ザァド(猟兵皇帝・f30942)は知っている。
「うわ……凄えな……」
「あいつら、生きて帰ってくるかな……」
海岸から戦場を眺める、残された海賊たち。勇ましさなどなく、力不足を実感して自ら残った海賊たち。
だがそれは決して臆病などではなく、単に力が足りなかっただけのこと。カイは、そんな残った海賊たちに声をかけた。
「海賊達よ。一つ頼みがある。我におぬしたちの勇気を分け与えてほしい」
「は?」
「勇気?」
いきなり言われた言葉に、残った海賊たちは顔を見合わせる。
勇気なんてない。臆病なだけだと顔に出ている海賊たちに、カイは更に言葉を重ねる。
「我は皇帝! 臣民たちの思いや勇気を胸に、いかなる災厄であろうともお主達の思いと共にかの災厄に立ち向かおうぞ!」
故に勇気を持ってくれ、その思いが我の力になる。
カイのその言葉に、残された海賊たちの胸に勇気が灯る。
「俺たちの勇気が……」
「力に……」
わぁぁっと歓声が上がる。力がなくても何かが出来る。
そんな風に海賊たちに勇気が湧き上がる中、海賊たちの元にそっと忍び寄る男が一人。
自称天才魔術盗賊で、ルーンシーフという魔術を使う盗賊、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)。
彼の目的は他の猟兵とは違い、水晶海月を倒すついでに水晶を奪いに来た盗賊だ。
巨大な水晶海月は、一人では倒せない。だが、これまでの猟兵や海賊たちの攻撃で、水晶海月はだいぶ弱っている。
今なら奪えるのではと思ったカシムは、水晶海月退治に参加するため、近くに居た海賊にそっと声をかけた。
「なあなあ、クラゲの有効な倒し方って何か知らないか?」
「えっ、そりゃ……」
急に声をかけられた海賊は、うーんと唸る。普通の海月を捌くならまだしも、あんな大きな海月の倒し方など分からない。
だから食べるときと同じで、傘と触手を分けたら良いんじゃ? と言うしかなかったが、その言葉を聞いてカシムはにんまり笑って、海へと進んでいった。
「空を飛べないってのは面倒だよねご主人サマ?」
海中に沈めておいたキャバリアに乗り込むやいなや、鶏の立体映像メルシーがカシムに話しかける。
「なんだお前……海上戦や水中戦は苦手か?」
「まっさかー♪ もう解ってるくせにー♪」
ジト目で問い掛けるカシムに、どれだけ一緒に行動してきたと思ってるのー♪ とどこまでも楽しそうな鶏の立体映像メルシーことメルクリウス。
「まあいい、さってと。狙うはあの水晶だな!……メルシー、お前が本当に賢者の石ならばその力を見せやがれ」
「あははー了解だよご主人サマ♪ メルシー万能モードだよ♪」
言うが早いか、カシムの界導神機『メルクリウス』は、その下半身を魚の尻尾に変え、海中を難なく泳いでいく。
海上で行われている戦闘は気にかけずに、カシムは海中から傘と触手の境目を狙う。
「お前の故郷は此処にはない。ちゃんと送ってやるからな」
ゆらゆらと揺れる触手を前に、カシムは海中を泳ぎながら念動光弾を放つ。攻撃力を増した光弾は、しかし水晶海月の触手によって弾かれてしまった。
「ざんねんだねー♪」
「ぐぬぬ、なら直接切り裂くまで!」
メルシーに茶化されて、カシムはメルクリウスに装着されていたハルペーを取り出す。
水晶海月に近寄り、触手と傘の合間を切り裂こうと、ハルペーを振り抜いた。
ザバザバと波を切り裂きながら歩くカイ。
全長55mの巨神となり、真っ向から水晶海月を迎え撃たんと、大剣を手に海の中を進んでいく。
「帰る場所を無くした者か……気持ちは我もわかる。だが、その思いにより島を海へと帰すのは許されぬ。哀れなオブリビオンよ、我が手にて引導を渡してくれよう」
ダメージが多かったのか、海上では穏やかな波に揺られ、ただぷかぷか浮いているようにも見える水晶海月。
だが、海中ではカシムと触手が激しい攻防を繰り広げていた。
白鳥のように水中で激しく動き回っているとは知らず、引導を渡すためにカイは水晶海月の前に立つと、手にした大剣を振り下ろす。
「カイザァ! オーヴァー!! ブレェード!!」
ユーベルコードの威力も相まって、水晶海月にまっすぐに振り下ろされるカイの大剣。
凄まじい水しぶきとともに、真っ二つになる水晶海月。
「わわわっ!」
水しぶきとともに宙に浮かぶカシムとメルクリウス。巻き上がった飛沫が、大量の雨となって降り注ぐ。
カイによって真っ二つに切り裂かれた水晶海月は、その身を光の粒子へと変えて、骸の海へ還っていく。
握りしめていたカシムの手に、一欠片の水晶を残して。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵