羅針盤戦争〜紋章を抱きし異形の王笏
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グリードオーシャンで勃発した羅針盤戦争。
倒すべきはまず、七大海嘯。
彼らはコンキスタドールの首領格であり、戦後を考えるのであれば出来る限り討伐しておきたい相手だ。
そして、それ以上に討伐必須なのが『王笏』と呼ばれる存在だ。
「オブリビオン・フォーミュラである『王笏』は8つの本拠地を持っていて、戦争の勝利の為にはその制圧が必須です」
グリモアベースで、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)は戦争に身を投じる猟兵達へと説明を行う。
それらの本拠地を探しながら、強敵を倒さねばならない。
討伐に手間取っていると、蒼海羅針域の中心にある「サムライエンパイアに通じる渦潮」を破壊され、猟兵達はグリードオーシャンを訪れることができなくなってしまう。
「その前に何としても、王笏を倒さねばなりません」
セレインが予知で視たのは、七大海嘯であり、『第一の王笏』でもあるカルロス・グリードの分身体。
燕尾服を纏う彼は左胸に辺境伯の紋章を付けている。それは本来、ダークセイヴァーにしかないはずなのだが……。
ともあれ、その紋章は本物であり、当然その力を有している。
「紋章は寄生体としての力を持ちますが、カルロス・グリードの分身体『第一の王笏』はその力を制しているようです」
紋章の力を思うがまま操る敵は島を訪れし猟兵達へとそれを解き放って異形のパワーアップを行い、排除しようとしてくる。
こちらも全力を持って討伐に当たりたい。
「後は、その島の場所の所在についての情報もあれば嬉しいですが……、そちらは私の方でも調べてみます」
セレインもグリモアベースを確認する予定だそうだが、セレイン自身の旅団でも意見は受け付けたいとのこと。是非、利用していただきたい。
「それでは、皆さん、よろしくお願いいたします」
説明の締めに、彼女は話を聞いてくれた猟兵達に深々と頭を下げたのだった。
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グリードオーシャン某所の島。
鉄甲船に乗る猟兵達がたどり着いたその島は厚い雲が絶え間なく覆っており、地面へとほとんど日の光が届いていない。
それはまるで、ダークセイヴァーを思わせる島だった。
「猟兵……ついにこのクラタ島にも足を踏み入れたか……」
島の入り江から、所々ひび割れた地面を歩いて中央部へと進む猟兵の前に立ち塞がったのは、カルロス・グリードの分身体『一の王笏』である。
その胸に煌めくは、ダークセイヴァーで見た辺境伯の紋章。
だが、その分身体は自我を保っており、紋章の力を使いこなしているようだ。
「さあ来い。この紋章の力を使い、汝ら猟兵を潰してやろう」
そう告げた分身体は紋章を輝かせ、その姿を異形化させていくのである。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
グリードオーシャン、戦争シナリオへの参加を願います。
『羅針盤戦争』ついては以下のURLのページをご参照くださいませ。
(https://tw6.jp/html/world/event/019war/019_setumei.htm)
こちらのシナリオは1章構成、ボス戦シナリオです。断章執筆の予定はありません。
とある島にて、オブリビオン・フォーミュラであるカルロス・グリードの分身体『一の王笏』の討伐を願います。
今回登場する分身体は、ダークセイヴァーにしか存在しないはずの「辺境伯の紋章」……宝石の体と不気味な触手を持つ、ブローチ大の寄生虫オブリビオンを左胸に装着しています。
その異形の力を使い、分身体は猟兵を排除しようとしてきます。
なお、分身体と対するに当たり、『敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』ことでプレイングボーナスが付与されます。
また、島の所在についてはこちらもグリモアベースで確認して指定する予定ですが、セレインの旅団『セレインのおうち』でも受け付けておりますので、お気軽にコメントしていただけると嬉しいです。
●プレイング受付について
5日の昼からの執筆を予定しております。
その為、プレイングをOP公開後から5日の正午くらいまでで受付させていただきます。よろしくお願いいたします。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』
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POW : 闇霧の紋章
【紋章の力】に覚醒して【触れた者の生命力を奪う黒き霧の体】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 紅き月の紋章
【無数の三日月型の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 黒百合の紋章
自身の装備武器を無数の【触れたものを呪詛で侵す黒百合】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
イラスト:hoi
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
山梨・玄信
分体とは言え、強いんじゃろうな。本体はどれ程のものか…。
【SPD】
無数の刃の嵐とは言え、全く隙間が無いわけではない。
先制UCは第六感と見切り、聞き耳で刃の隙間を読み、致命的な場所に当たらないように攻撃を受けるぞい。また、オーラ防御で重要器官を分厚く防御し、激痛耐性で耐えるぞ。手足などくれてやるわ!
先制攻撃を耐えたら、その場から気弾を2連発で撃つぞ。
1発目を囮にし回避する場所を見切って、2発目には浸透頸(鎧無視攻撃)を込めた気弾を飛ばし、確実にダメージを与えるのじゃ。
「流石にきつい攻撃じゃが…耐えて見せたぞい。今度はこちらの番じゃ!」
アドリブ、共闘歓迎じゃ。
高柳・零
POW
分身とは言え、フォーミュラとなるとぞっとしませんねえ。
「聖騎士の守り、見せてあげましょう!」
オーラを全身に張り、更に右手に分厚い魔導書、左手に盾を構えます。
刃の動きを見切り、魔導書と盾で受けつつ、激痛耐性で耐えます。体が小さいので、守る部分が狭い強みを最大限に活かします。
敵の攻撃が止んだら一気に近付き、魔導書で2回ぶん殴ります。
挑発してもう一度UCを使わせるためです。
敵がUCを使って来たらこちらもUCを使用。今度はオーラを全身に全力で張り、攻撃に耐えながらこちらも画面の眼鏡からビームを
撃ちます!
「自分が倒れるまでこのビームは続きます。倒れたら…後は他の猟兵があなたを倒すでしょう」
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
紋章つきとは戦ったことがないが…聞いたことはある。
対抗するにも、わしが適任であるな(近接乱戦+炎担当)
敵の攻撃は、ある程度は炎属性攻撃をつけた黒燭炎でのなぎ払いで燃やし、四天霊障による結界術とオーラ防御で軽減。
全ては無理であろうが…まあ、悪霊をどうやって呪詛で侵すというのだ。呪いが側にあるものだというに(呪詛耐性)
反撃での二回攻撃+炎属性攻撃+【連鎖する呪い】だの。ああ、呪詛とはこう使うのだ…!
燃えるがよいわ…!
クネウス・ウィギンシティ
「これが七大海嘯のチカラですか」
※アドリブ&絡み歓迎
【POW】
●準備
自前の『クロムキャバリア』に搭乗して参戦します。
「アルゲス、起動」
●UC対策
「耐え切ることさえ出来れば……」
敵のPOW UC「闇霧の紋章」を『クロムキャバリア』に乗り込み機体の装甲で【盾受け】して耐えます。また、触れたキャバリアの生命力=燃料が奪われるようなので事前にエネルギーインゴットを十分に補充して【エネルギー充填】をしておきます。
●戦闘
敵のUCを耐えられたらそのままUCで反撃します。
「GEAR:ARMED FORTRESS。脚部パイル打ち込み完了」
移動力を半分に、攻撃回数を5倍にして手持ちの火器で【砲撃】を浴びせます。
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
海の幸を独り占めしようとしてるのかな?
どちらにせよ、うざったいね★
まずは敵がUCで変身して攻撃される所を「肉体改造」で回避に適した身体に改造する事で回避。
その後、UC【膨張せし肉肉しい宇宙】で宇宙牛に変身、敵の霧の身体を吸い込んで「捕食」する。
生命力を奪われてもUCによる変身を続ければ問題なさそう。
霧の身体でもそうでなくても、巨大化して押し潰す事し、捕食する事は出来そう。
シノギ・リンダリンダリンダ
あぁ、待ちわびていましたよ王笏。七大海嘯
お前達から全てを奪いたくて、待ち焦がれていました
分身体。さっさと本拠地を教えるか死ぬか、選びなさい?
POW対抗
今は目の前の分身体に対する興味と殺意と楽しみで溢れているので、必要最低限のオーラ防御と回避のみ
多少の怪我は無視。動けなくならなければそれでいい
【傲慢の左腕】を起動
異形の巨大な黒いカゲの左腕から伸びる蛇腹の刃で切り裂く
何度攻撃を受けても、その度に左腕を変形させ、刃を増やし、伸ばし、負傷を回復させる
刃に込めた呪詛の毒で敵をハッキングし、霧の体も解除させる
毒を染み渡らせ、染みこませ、じわじわダメージを与えていく
蹂躙して殺します
エドゥアルト・ルーデル
おいこいつから殺していいのか?
全身を【流体金属】で覆い拙者に直接触れないようにするでござる
流体金属君ガンバ!拙者の代わりに呪われてくれ!
更に【火炎放射機】で花びらを燃やして散らしますぞ!炎は古来より魔を祓うのに使うし呪いもいけるでござろう!多分!【浄化】ってついてるし信じろ!
ヒャッハー!汚物は消毒だァ~!
装備が飛んでる間に近付いて格闘戦に持ち込みますぞ!文字通りの鉄の拳でござる
ボクシングスタイルで打撃からの下半身へタックルで組み付き、更に触れた箇所から流体金属君が【生命力吸収】で追加攻撃!
呪われたりで色々と腹減ったでござろう流体金属君?腹一杯食べていいでござるよ
エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎
オブリビオンめ現われおったか、分身体とはいえかなりの力を有しておる様子。
どうやら自身の一定範囲内を無差別に攻撃できるようじゃな。
これは不用意に近づかぬ方がよいじゃろう。
まずは近づかれる前に地の精霊を呼び出し土の壁を作り出して『カルロス』との視線を遮り、【巨狼マニトゥ】に【騎乗】し距離をとるとするかな。
『紅き月の紋章』の範囲外に退避して攻撃をやり過ごすのじゃ。
敵のUCの発動が見えたらチャンスじゃ、如何な『一の王笏』を称する強力なオブリビオンでも攻撃の直後は注意力が下がっているじゃろ。
距離を詰められぬようにマニトゥの脚力で距離を保ちつつ、【追跡】する矢でひたすら射掛けるのじゃ。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
[SPD]
まずは敵から十分離れたところで[目立たない][迷彩]を駆使して隠れているわ。
レベルmの範囲に入らないぐらいの距離が望ましいわね。
そしてそこで敵を視界に収めつつゆっくり10秒集中。
レベルの二乗mの射程を持つユーベルコード【千里眼射ち】の矢で射貫いてあげる。
レベルはおそらく敵が上でしょうけど、こちらは8000メートル先まで届くわ。
8000レベルはさすがにないんじゃないかしら?
あとは射撃・隠れるの繰り返しでヒットアンドハイドよ。
倒れるまで繰り返してあげるわね。
カシム・ディーン
やれやれ
分身を作るとか器用な事しますねぇ
寧ろ…姿形を全て模倣させられた哀れな犠牲者だったりして
何方にせよやる事は変わりません
【視力・情報収集・戦闘知識】
視力を駆使し体の動きから視線や立ち回りから戦い方の癖や狙いの把握に努め
対POW
【属性攻撃・迷彩】
風属性を全身に付与
更に存在を隠しながらも近づいたり触れそうになった時には風で吹き飛ばすよう努め
UC起動
攻撃力強化
バリアを展開しながらも
【スナイパー・念動力】
小型化したカドゥケウスで念動光弾を撃ち込み
【切断・二回攻撃・盗み攻撃・盗み】
接近してソードブレイカーで切り裂きにかかってから更に紋章の強奪を試みる
所詮分身でしょうが多少の嫌がらせにはなりますかね?
愛久山・清綱
辺境伯の紋章が、なにゆえこの世界に……
されど、俺は伊達にダークセイヴァーで戦ってはいない。
魑魅魍魎を断つ太刀、お見せ致す。
■闘
この太刀で奴の力から逃れよう。
右手に『心切』、左手に『空薙』を構え、いざ勝負。
敵の無差別攻撃に対し、『自分に向かってくる刃』のみを注視し、
刃が此方に辿り着くタイミングを【見切り】つつ、刀を振るって
相殺するように【武器受け】し、刃を弾きまくる。
当たりかけたら瞬時に【オーラ防御】を展開し耐えよう。
一瞬でも隙が見えたら、防御を解いて攻撃に移る。
二刀を【早業】の手つきで構え、紋章の見える左胸目掛けて
【薙鎌】を放ち、吹き荒れる風の刃で紋章ごと其の身を断つ!
※アドリブ歓迎・不採用可
エィミー・ロストリンク
【絆】
これが敵の親玉である王笏の力!
でもメイスンお義姉ちゃんと一緒なら負ける気はしないよー!
片手にオルトロスを持って黒百合の花びらを撃ち落とすように弾幕を張る
さらにもう片手には呪詛を断つ十字槍「骸魂無骨」を持って近寄ってくる花びらを切り落としてメイスンに近寄るのを防ぐ
先制後は電磁力を持った骸魂無骨を構えてUC「受け継がれる魂の姫君」を発動させて能力を一気に向上
メイスンの弾幕で逃げ場を失って誘導したカルロスを捉えるように、その能力を合わせて電磁加速した骸魂無骨を乾坤一擲の投擲で黒百合の紋章を狙う
狙いは一点。そして一撃で仕留める、だよ!
追撃が狙えるようであればオルトロスのガトリング弾幕で追撃する
メイスン・ドットハック
【絆】
紋章の力まで使いこなすとはさすが王笏といったところかのー
じゃけど、僕等も負けるわけにはいかんけーのー
先制攻撃対策
キャバリアKIYOMORIに搭乗して参戦
電脳魔術によるホログラムデコイを生み出して攻撃を攪乱させる
また榴弾や電脳ミサイルによる爆撃で近寄ろうとする黒百合を撃ち落とす
先制後はUC「電磁力もまた自然の摂理」を発動させて電磁力の砂嵐で黒百合の花びらを吹き飛ばし、エィミーの骸魂無骨に電磁力を与える
さらに自身のミサイルや榴弾にも電磁力を与えて加速した弾幕をカルロスに叩き込むことによって逃げ場をなくし、行動を一定場所へと誘導する
これだけの弾幕であればさすがに避けることが難しいじゃろー?
●
グリードオーシャン某所にあるクラタ島。
厚い雲に覆われ、日の光が地面に届かぬこの島で猟兵達を待ち受けていたのは……。
「猟兵……ついにこの島にも足を踏み入れたか……」
燕尾服を纏ったその男は七大海嘯であり、カルロス・グリードの分身体でもある『一の王笏』だ。
「海の幸を独り占めしようとしてるのかな? どちらにせよ、うざったいね★」
巨大なゲル状の身体を持つラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(いつもはらぺこ系ラスボス(可食・高栄養・美味)・f31483)は、このグリードオーシャンを掌握せんとするオブリビオン・フォーミュラでさえ、食材を独占しようと見えているらしい。
他メンバーはやはり、そのプレッシャーを感じずにはおれぬようで。
「オブリビオンめ、現われおったか。分身体とはいえかなりの力を有しておる様子」
「分体とは言え、強いんじゃろうな。本体はどれ程のものか……」
「分身とは言え、フォーミュラとなるとぞっとしませんねえ」
思い思いに敵の印象を語る、金髪巫女姫、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)、日焼けした肌のドワーフ少年の山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)、そして、緑一色に黄色の画面のテレビウムの高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)。
今回のチームでも年少組に当たる3人は敵の攻撃に警戒する。
「やれやれ、分身を作るとか器用な事しますねぇ」
こちらも年少組に当たる自称天才魔術盗賊、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はむしろ、この分身体は姿形を全て模倣させられた合われな犠牲者だったりするのではと勘繰る。
ただ、猟兵も歴戦の強者達。他世界のオブリビオン・フォーミュラと対した経験のある者も多い。
「おい、こいつから殺していいのか?」
悪そうな笑顔を浮かべる迷彩服を着用のエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)はこの場の猟兵達へと確認を取りつつも、銃火器を敵へと突き付ける。
「ええ、ですがその前に……あぁ、待ちわびていましたよ王笏」
それに、強欲の二つ名を持つ海賊団の船長、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)が同意してから、敵へと向き直って。
「七大海嘯。お前達から全てを奪いたくて、待ち焦がれていました」
シノギもまた笑顔でオーラを纏い、相手を威圧しながら問いかける。
「分身体。さっさと本拠地を教えるか死ぬか、選びなさい?」
だが、それで簡単に身を引く七大海嘯ではない。
「そこに第三の選択、猟兵共の駆逐を加えさせてもらおう」
左胸の宝石……辺境伯の紋章の力を解放し、異形の力を使いこなすことで圧倒的な力を感じさせるカルロス・グリード。分身体とはいえ、さすがはオブリビオン・フォーミュラといったところだろう。
「これが七大海嘯のチカラですか」
その力に、機械の身体を持つクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)が眼鏡の中から目を光らせる。
「辺境伯の紋章が、なにゆえこの世界に……」
また、15歳にして貫禄すら感じさせるキマイラ少年、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は見覚えのある紋章をグリードオーシャンの地で目にし、訝しんでいた。
「これが敵の親玉である王笏の力!」
チーム【絆】として参加する今回最年少、白く長い髪の幼女、エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)が驚きの声を上げると。
「紋章の力まで使いこなすとは、さすが王笏といったところかのー」
一方で、相方として参加、アメジストのクリスタリアンであるメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は淡々とした態度だったが、やはりその強さを肌で感じたようで。
「じゃけど、僕等も負けるわけにはいかんけーのー」
「メイスンお義姉ちゃんと一緒なら、負ける気はしないよー!」
メイスンもエィミーも気合十分だ。
「紋章つきとは戦ったことがないが……聞いたことはある。対抗するにも、わしが適任であるな」
見た目は和装の男性といった風体の馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は紋章付きとの交戦経験はないものの、その存在は耳にしていたとのこと。
近接乱戦に自信があるようで、義透は該当する敵の紋章と対する構えである。
敵が紋章の力を解放したところで、猟兵達はそのユーベルコードに対するべく応戦の構えを取る。
例えば、クネウスは自前のクロムキャバリア『アルゲス』に搭乗していた。
金髪ヤドリガミのヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は一度視認した敵から十分距離を取り、入り江近くにまで下がっていく。彼女はそこで自らに【迷彩】を施し、【目立たない】ように隠れていた。
清綱はというと、2本の太刀に手をかけて。
「伊達にダークセイヴァーで戦ってはいない。魑魅魍魎を断つ太刀、お見せ致す」
紋章の力を解き放った分身体に対し、清綱は2つの刃で対するのである。
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『一の王笏』カルロス・グリードの分身体が行使する紋章の力。
「まずは、闇霧の紋章……その身で味わうがいい」
全身を黒い霧へと化した分身体は力を膨れ上がらせ、猟兵達へと取りついて来ようとする。
その霧は触れるだけで生命力を削り取られる。対策せねば瞬く間に意識を失ってしまうことだろう。
「アルゲス、起動」
その霧の接近に先んじて、クネウスはクロムキャバリアの装甲を【盾として受け】ようとする。
「耐え切ることさえ出来れば……」
機体の耐久力もそうだが、燃料が奪われることも懸念したクネウスは、事前にエネルギーインゴットを十分に補充し、【エネルギー充填】。
万全の態勢でクネウスは敵の初撃を防ぎにかかる。
霧は他メンバーの方にも向かっており、それぞれが対応を迫られる。
ラヴィラヴァは自身のゲル状の身体を【肉体改造】し、回避に適した身体へと変える。
そうして、地面へと張り付くように移動し、霧となった分身体の攻撃をラヴィラヴァは避けていた。
「聖騎士の守り、見せてあげましょう!」
体が小さなテレビウムの零は全身に【オーラ】を展開し、さらに右手に分厚い『秋雲の魔道書』、左手に『天霧の盾』を構え、向かい来る霧を防ごうとする。
さすがに霧を盾だけで防ぐのは難しく、【激痛耐性】で堪える零。ただ、自らの身体の小ささを活かし、霧の浸食をうまく防いでいたようだ。
分身体に対し、並々ならぬ殺意と興味、そして楽しみで溢れているシノギは、必要最低限の【オーラ】を纏った上で、致命傷とならぬよう回避にも当たる。
(「多少の怪我は無視です。動けなくならなければそれで……」)
そして、近場で強い【視力】を働かせていたカシム。
「…………」
彼は【風の属性】を全身に纏うことで【迷彩】とし、姿を眩ませながらも、敵の動き、立ち回りを注視し、癖や狙いの把握に努めようとしていた。
ただ、仲間達が攻撃されている中で、不自然に風が包む場所があれば、分身体もその部分へと大量の霧を包み込んでくる。
「……止むを得ませんねぇ」
霧が触れそうになると察すれば、カシムは風で霧を吹き飛ばそうとする。
それによって、近場にいた他メンバー達も霧を振り払い、分身体の攻撃を凌ぐことができていたようだ。
「流石は猟兵。ならば……」
一度、霧から人の姿へと戻ったカルロス分身体は別方向で身構えたままの猟兵達を見据え、特攻をかける。
「【紅き月の紋章】……受け切れはしまい」
今度は人の姿のままではあったが、分身体が放ったのは数え切れぬ程の三日月形の刃。
それらが無差別に襲い掛かり、周囲に生えていた枯れ木の枝だけでなく、幹までもやすやすと切り裂いてしまう。
刃の密集地帯にいようものなら、細切れにされてしまいかねない。
(「無数の刃の嵐とは言え、全く隙間が無いわけではない」)
自身の技能をフルで働かせる玄信は、飛んでくる刃を【第六感】を働かせつつ【聞き耳】を立て、刃の隙間を【見切る】。
とにかく頭や首、心臓といった重要な部分へと、玄信は分厚く【オーラ】で包んで。
「手足などくれてやるわ!」
多少の怪我は【オーラ防御】や【激痛耐性】でこの場は乗り切ろうと玄信は割り切る。とはいえ、飛び散る血は決して少なくはない。今はただ、じっと耐えるのみだ。
「この太刀で奴の力から逃れよう。……いざ、勝負」
右手に『心切』、左手に『空薙』を構えた清綱は敵の無差別攻撃に対し、自らへと飛んでくる刃のみを注視することで対処する。
刃が自身の元へとたどり着くそのタイミング。
清綱はまさにそれを【見切って】みせ、2本の刀を振るって刃を相殺するように【受け止め】、刃を弾いていく。
とはいえ、その数は多い。さすがに全ての刃を弾くことはかなわず、清綱は瞬時に【オーラ】を展開し、深手を避ける。
いずれにせよ、しばらくは耐え続けねばならぬと、彼は刀を振るい続け、三日月の刃を弾いていく。
「どうやら自身の一定範囲内を無差別に攻撃できるようじゃな」
一方、エウトティアは刃の飛び交う地帯へと不用意に近づくべきではないと判断し、地の精霊を呼びだして土の壁を作り出す。
「ふむ、これで視線は遮ることができたのじゃ」
そして、エウトティアは『巨狼マニトゥ』へと【騎乗】し、そのまま距離を取っていく。
さすがに無差別に飛んでくる刃から無傷とはいかぬが、かなり早い段階で敵の間合いから離れることで、エウトティアは攻撃をやり過ごしていた。
その近場にはヴィオレッタの姿もあり、敵を視界へと収める。
そこで、ゆっくりと集中しながら、ヴィオレッタは攻撃のチャンスを待っていた。
「さすがにこの距離まで攻撃は届かないわ」
島の大きさという制約さえなければ、ヴィオレッタはもっと遠くまで離れていたはず。
後は相手が間合いにいる猟兵に注意を向けている隙を狙い、彼女は合成弓『貫き打ち抜く鋒矢』に矢を番える。
「射抜いてあげるわ」
たかだか数百メートルの距離など、ヴィオレッタのユーベルコード【千里眼射ち】なら問題ない範囲。まして、友軍である猟兵達へと気を反らしているなら余裕をもって狙い撃つことができる。
紋章を射抜くつもりだったが、さすがに敵も危機を察して身を反らす。左肩近くへと矢が突き刺さったのを、分身体は引き抜いて。
「……まあいい。順番に葬り去るまでだ」
入り江近くにいる猟兵を捉えた分身体だが、今はまだ他にも猟兵はいると、敵は一度全ての刃をその場から退いて別の紋章の力を行使する。
――【黒百合の紋章】。
カルロスの分身体は手にする王笏を、触れた者に呪詛を与える黒百合の花びらへと変える。
それらは無数に増え、視認する猟兵をピンポイントに狙う。
まず、向けられていくのは、【絆】の2人、エィミーとメイスンだ。
エィミーは片手にガトリングガン型メガリス『「Black・Breaker」オルトロス』を持ち、近づいてくる黒百合の花びらを撃ち落とすよう弾幕を張っていく。
さらに、エィミーは別の手に『十字槍「骸魂無骨」』を持ち、同じく近寄ってくる花びらを切り落としてメイスンへと至るのを防いでいた。
そのメイスンはキャバリア『KIYOMORI』へと搭乗しており、電脳魔術によってホログラムデコイを生み出し、相手を撹乱させる。
それだけでなく、メイスンは榴弾や電脳ミサイルを発射して近づく黒百合の花びらを爆撃する。
爆風が花びらを吹き飛ばすが、新たな黒百合が次々と猟兵達へと襲い掛かる。
義透は【炎属性】を付与した黒いスピア『黒燭炎』を薙ぎ払い、花びらを燃やしていく。
それだけでなく、彼は『四天霊障』による【結界術】と【オーラ防御】を展開することで、直接自らに触れそうになる花びらからダメージを防ぐ。
それでも、義透自身も夥しいまでの数の花びらから自らを守るのは困難と感じていたのだが。
「……まあ、悪霊をどうやって呪詛で侵すというのだ。呪いが側にあるものだというに」
義透の正体は4人の人間が1人の悪霊として顕現したモノ。多少の【呪詛】など呪いと共にある彼にとっては些細なものでしかない。
そして、エドゥアルトはユーベルコード【戦術超鋼拳】を使うことで全身を流体金属生命体で覆って。
「流体金属君ガンバ! 拙者の代わりに呪われてくれ!」
にたりと笑うエドゥアルトはさらに、『万能火炎放射器』で黒百合の花びらを燃やしていく。
古来より炎は魔を祓うのに使うという。それもあって、呪いもいけるだろうと踏んでいた彼だが、しっかり【浄化】の力を働かせたのが抜け目ない。
「ヒャッハー! 汚物は消毒だァ~!」
エドゥアルトは楽しそうに向かい来る花びらを燃やす。
「この紋章の力をもってしても、攻めきれんというのか……」
思うように猟兵を攻めきれず、『一の王笏』カルロス・グリードは眉を顰めるのである。
●
カルロスの分身体は3つの紋章の力……闇霧、紅き月、黒百合をスイッチさせながらも、猟兵達を一気に攻略しようとした。
だが、多彩なスキルを使い、メンバー達は個々に耐えてみせて。
「流石にきつい攻撃じゃが……耐えて見せたぞい。今度はこちらの番じゃ!」
相手の攻撃をしのいだ玄信は反撃をと、その場から【気弾】を放つ。
1発目は囮とすることで分身体が回避する場所を【見切り】、彼は【連撃】としてすぐさま浸透頸を込めた2発目の気弾を撃ち込んでいく。
確実にダメージを与えることを重視する玄信に続き、クネウスもまたユーベルコードで反撃に出る。
「GEAR:ARMED FORTRESS。脚部パイル打ち込み完了」
搭乗するクロムキャバリアをフォートレスフレーム(固定砲台としたクネウスは、移動力を落とす代わりに攻撃回数を5倍にまで増やし、手持ちの火器で砲弾を叩き込む。
爆風を巻き起こせば、霧や黒百合の花びらを思うように使うのが難しくなる。三日月形の刃も無差別攻撃の為、ピンポイントに敵を狙えぬデメリットがある。
分身体が次なる攻撃を逡巡する間に、武器を『騎兵の友たる銃』に持ち替えたヴィオレッタが遠方から射撃を行い、すぐさま隠れ、さらに射撃を繰り返すヒットアンドハイドで分身体を攻め立てる。
そこで、分身体の攻撃が止まれば、零が一気に近づき、魔導書で殴り掛かる。
「ほら、こっちです」
「いいだろう。狙い撃ちにしてやろう……ぬうっ」
体を霧に化そうとする分身体だが、エウトティアがそれをさせない。
「如何な『一の王笏』を称する強力なオブリビオンでも、注意力の低下は否めないようじゃな」
マニトゥに跨って移動しながら、エウトティアは【追跡】する矢を『手製の短弓』でひたすら射掛けていく。
その間にオーラを全身に全力で張った零が飛び込み、画面の眼鏡からビームを放つ。
「ぐううう……っ」
「自分が倒れるまでこのビームは続きます」
零の想定と違い、攻撃は来ない。立て続けに攻撃を受ける分身体はユーベルコードを使うこともできずにいたようだ。
エドゥアルトも接近し、格闘戦を仕掛けて。
ボクシングスタイルで鉄の拳を叩き込み、下半身へとタックルで組み付いて。
「呪われたりで色々と腹減ったでござろう流体金属君? 腹一杯食べていいでござるよ」
エドゥアルトが全身を覆う流体金属へと呼び掛けると、触れた場所から分身体の【生命力を吸収していく】。
敵の攻撃を懸念し、バリアを展開するカシムも仲間達の攻撃の間に小型化した杖型兵装『カドゥケウス』から高めた【念動力】で念動光弾を撃ち込む。
【スナイパー】の技能も活かして狙い撃つカシムは仲間達の攻撃の合間に攻め入り、『ソードブレイカー』で分身体の燕尾服を【切り裂き】にかかる。
【連撃】を浴びせかけていくカシムはさらに、敵の胸部に装着された紋章を奪取しようとする。
「調子に乗るなよ、猟兵……!」
さすがに敵も攻撃されながらも態勢を整えていたらしく、闇霧の紋章を使って離脱しようとする。
(「嫌がらせ、かなり効いているようですね」)
カシムがそれを防ぐべく身を引くと、入れ替わるようにラヴィラヴァが仕掛ける。
「嗚呼、世界はかくも美味しいのか!」
ユーベルコード【膨張せし肉肉しい宇宙】で宇宙牛へと変身したラヴィラヴァは霧の身体をも吸い込んで見せる。
敵の身体を捕食し、霧によるダメージを相殺しようとするラヴィラヴァは分身体としばし渡り合う。
そこへ、【傲慢の左腕】を起動させたシノギが巨大な異形の黒腕となった左腕から伸びる蛇腹の刃で黒い霧を切り裂かんとする。
斬撃自体は効果が極めて薄いが、シノギが刃に籠めた呪詛の毒は霧となったままの敵を侵す。
じわじわとその毒が分身体の身体へと染み込むことで、敵は人型へと戻って。
「ぐっ、ぐあああっ……!」
人型に戻ればシノギにとって好都合。なおもその身体へと刃を浴びせかけていく。
「ああ、呪詛とはこう使うのだ……!」
隙が見えれば、義透も炎を纏わせた斬撃で癒えない傷痕を深く刻み込んで。
「燃えるがよいわ……!」
傷口から身体を焦がす義透から距離を取ろうとする分身体だが、防御を解いた清綱が追いすがる。
【早業】で二刀を構えた清綱は紋章のある左胸目がけ、【薙鎌】……カマイタチを放って。
「吹き荒れる風の刃……紋章ごとその身を断ってくれようぞ!」
「まだ……だ」
王笏を突き出した分身体は黒百合の花びらを展開していく。
そこで、メイスンがユーベルコード【電磁力もまた自然の摂理】によって、電磁力の砂嵐を発生させて花びらを吹き飛ばしていく。
「電脳魔術でもこいつは一際厄介じゃけーのー」
また、その電磁力はエィミーの十字槍『骸魂無骨』にも付与されていて。
「わたしの魂の絆、ここで見せてあげる!」
一気にエィミーが能力を高める間、メイスンは電磁力を与えたミサイルや榴弾を放出し、弾幕を展開していく。
「これだけの弾幕であればさすがに避けることが難しいじゃろー?」
「まだ、やられたわけではない」
しかし、分身体の顔は引きつっており、苦しい状態であることは明らか。
それに、敵は【絆】の2人に誘導されていたことに気づいていない。
「狙いは一点。そして一撃で仕留める、だよ!」
電磁加速させた槍で、エィミーは乾坤一擲の投擲を行い、敵の腹部を貫いてみせた。
それだけでない。エィミーは追撃をと、『オルトロス』から魔法・特殊弾頭によってガトリング弾幕を張り巡らせ、敵の全身を撃ち抜いていく。
「ぐああああっ……!」
立て続けに受ける猟兵達の攻撃になすすべなく、カルロス・グリードの分身体はその姿をかき消していった。
こうして、ダークセイヴァー島の一つ、クレタ島を解放することができた猟兵達。
その島の座標を確認しつつも、一行は七大海嘯でもあるこの分身体の本拠地の制圧を目指すのである。
大成功
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