羅針盤戦争~酒豪大戦争
●酒は飲んでも飲まれるな
グリードオーシャンにある、桜舞う島。
年中枯れぬ桜、幻朧桜が咲き乱れる永久桜島にコンキスタドール襲撃の危機が訪れようとしていた。
「ここが永久桜島かい? アタシが酔える酒があるといいけどねぇ!」
この島の制圧を任されたのは「七大海嘯」麾下の精鋭でもある紅のフラップテイル。メガリスの呪いにより酔わない動物、ハネオツパイとなった女海賊である。
「さあさあ、酒を寄こしな!」
酒、酒である。
こんな島などいつだって制圧できる、とフラップテイルの悪い癖がでたのだ。
ならば、この島にある酒を飲み尽くしてからでも構わないだろう、と紅の女が笑う、嗤う。
「さあ、アタシと飲み比べ勝負といこうじゃないか!」
未曽有の大宴会が始まろうとしていた。
●グリモアベースにて
「うち、戦争やって聞いてたんやけどな」
そう、八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が溜息交じりに零す。
正しくグリードオーシャンを賭けた戦争である、戦争なのだが。
「永久桜島っちゅー島にな、コンキスタドールが襲撃にくるんよ。でもまぁ、えらい酒が好きなコンキスタドールで、メガリスの呪いで酔うに酔えへんよってか、酔える酒を探して略奪を繰り返しとる女海賊でな」
この島にも、七大海嘯の命を受けて侵略しに来たのだが、まずは飲み比べが先なのだという。
「これも一つの戦争なんやろな……」
お酒が得意な猟兵は飲み比べを挑むのもいいだろうし、飲めぬ猟兵はこの島を統治している海賊達と協力して酒を運んだりお摘みを作って運んだりも時間を稼ぐには有効だ。
「一番ええんはな、どんな者でも酔わせる酒が湧き出るメガリスをこの島の海賊から借り受けることなんやけど」
何せ伝説の大吟醸メガリス、この島の海賊達の秘宝中の秘宝。簡単には貸しては貰えないかもしれない。
「これも酒飲み勝負なんよな……」
海賊達一番の酒豪を潰せば、メガリスを借り受けることができる。そして、その酒の力で女海賊を酔い潰すのだ。
「あ、これ戦争やよってな、どんな手つこてもうても構へんのやけど」
ユーベルコードの力でも、己の技能でも。
「アウトなやつはアウトやってなるらしから、気ぃつけてな!」
そう言うと、菊花が掌を打ち鳴らす。
開いたゲートのその先からは、既にアルコールの匂いが漂っていた。
波多蜜花
閲覧ありがとうございます、酒は飲めない下戸、波多蜜花です。
こちらは一章のみの戦争シナリオですが、大宴会シナリオのようなもの。シリアス寄りではなくコメディ寄りだとお考え下さい。
戦闘? そんなこたぁいいから飲んでけよ! って感じです。
プレイングの受付と〆切はMSページのURL先とタグにてご確認ください。
●今回のシナリオについて
海賊からメガリスを借りる為に永久桜島(とわざくらじま)の海賊一の酒豪と飲み比べ、女海賊が暴れ出さないように女海賊との飲み比べ。お酒飲んだりお酒飲んだりお酒飲んだりです、浴びるように飲め。
飲めない方や未成年の方は、お酒を運んだりお酌をしたりおつまみ作ったりして、海賊からの好感度を上げたりできます(好感度を上げるとメガリスを借りることに対してのハードルが下がります)
これもできるやろ! あれもできるやろ! という知恵とノリと勢いのあるプレイングで大丈夫です、なんとかします。
戦争シナリオということで、なるべく早くお返し&書けるだけの採用の予定です。
もし予想よりも多いプレイングをいただけた時は、大成功となったプレイングからの採用とさせていただきたく思います。
●プレイングボーナス
海賊達と協力することで、色々有利になります。
●同行者がいる場合について
同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【酒3】同行者の人数制限は三名様とさせていただきます。
プレイングの送信日を統一してください、送信日が同じであれば送信時刻は問いません。
未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。
それでは皆様のノリ良いプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『紅のフラップテイル』
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POW : ランバリオン
戦闘中に食べた【酒】の量と質に応じて【酔えない怒りで】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : Hangover!
【意識を混濁させる呪われたラム酒】が命中した対象に対し、高威力高命中の【怒りのこもったラッパ銃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 泥酔の杯
【杯から呪われたラム酒の雨】を降らせる事で、戦場全体が【泥酔している様な状態】と同じ環境に変化する。[泥酔している様な状態]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:なかみね
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナミル・タグイール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
宮前・紅
蒼くん(f04968)と
あははっ!なんだか、戦争だってのに随分と賑やかだね
俺たちはお酒が飲めるんだし飲み比べでもいこうか
──って、俺何気に蒼くんがベロンベロンになったとこ見たこと無いんだよねぇ(※彼は枠です)
この機会にベロンベロンの酔っ払い姿を見れるかも
よし、いっぱい飲もっと!
甘味を肴に、沢山飲む
洋酒の方が好みだけど基本なんでも飲めるよ(※宮前も枠です) ほらほら、グラス空いてるよ!俺にももう一杯──って面倒くさくなってきた…こっからここまで全部持ってきて!
海賊ちゃんもこの位飲めるよね?
(二人とも健啖家なので)甘いモノ(肴)を食べる手も止めずに、ワインやらブランデーやらウイスキーをがぶがぶ飲む
戎崎・蒼
紅(f04970)と
話は予めグリモア猟兵から聞いていたとはいえ……この熱量は凄まじいな(宴会場を見て)
僕達の見た目、未成年と勘違いされそうだけれど大丈夫なのか……?
まあ兎も角、飲んでみない事には何も分からないか
飲み比べ?……まあ、そうするしか無いが、って紅の方こそ酔った所なんて僕に見せたこと無いだろ……(じと)
酔わせた所なんて絶対に見せないから安心して呑むといい(枠なのでニッコリ)
同じく甘味を肴に飲む
あれ、もう酒が無くなったか…気付けにもならないな
君ももっと飲むと良い、美味しいし何より度数がない(と蒼が思っているだけで結構強めのお酒)
なんて海賊一の酒豪と女海賊との飲み比べを楽しみつつ、潰そうか
●戦争? 戦争!
目の前に広がるのは青くて美しい海と、桜色。
そして――。
「話は予めグリモア猟兵から聞いていたとはいえ……この熱量は凄まじいな」
「あははっ! なんだか、戦争だってのに随分と賑やかだね」
既に出来上がってるとしか言いようのない、宴会場だった。
永久桜島の中でも一番の大きさを誇るお食事処、いわゆる大食堂は、中にも外にも人が溢れているような状況で。
戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)は呆れたような表情を浮かべ、戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)は可笑しそうに笑っている。
「さて、じゃあ俺たちもあの中に混ざりにいこうか?」
「僕達の見た目、未成年と勘違いされそうだけれど大丈夫なのか……?」
現代地球では中学生でも通りそうな二人だけれど、れっきとした成人済みの男性だ。
「二十九歳だって言っても誰も信じてくれないだろうけどね、俺たちはお酒の飲める大人だよ? 平気さ、それにあの酔っ払い共がそんな事気にすると思う?」
「……確かに」
猫も杓子も飲めや飲めやの大騒ぎだ、勿論給仕に徹する者たちは酔ってはいないのだろうけれど。
「まあ兎も角、飲んでみない事には何も分からないか」
そうそう、と頷いて、紅がふっと蒼を見る。
「って、俺何気に蒼くんがベロンベロンになったとこ見たこと無いんだよねぇ……いい機会だし、飲み比べでもする?」
お酒には自信のある紅が笑みを浮かべると、蒼がじとりと彼を見返す。
「飲み比べ? ……まあ、そうするしか無いが、って紅の方こそ酔った所なんて僕に見せたこと無いだろ……」
「だって俺、お酒強いからね。この機会にベロンベロンの酔っ払い姿の蒼を見れるかもって思うと、わくわくしてきちゃったな」
楽しみだなー、と笑いながら海賊達の中で一番飲んでいる者を探せば、女海賊……紅のフラップテイルと差し向かいで飲んでいる巨躯の男が見えて、そちらへと歩き出す。
「酔わせた所なんて絶対に見せないから安心して呑むといい」
口には出さないが、蒼とて紅に負けず劣らずの酒豪。そして、互いに――大の負けず嫌いでもあった。
「やあ、お邪魔するよ」
紅と蒼がフラップテイルと海賊の隣にそれぞれ座る。フラップテイルと海賊が対面、紅と蒼が対面という卓を囲むような形だ。
「なんだい、お前たちも飲むのかい?」
「ほう、ひょろっこいもやしみてぇなのが飲めるとは思えないが……飲めるのかい?」
興味深そうな声で木製のジョッキに注がれたビールを飲み干した男、恐らくはこの島の海賊団一の酒豪であろう男が言う。
「そう馬鹿にしたもんでもないよ、俺たち」
「飲んでから言うといいよ」
笑顔でそう返した紅と蒼を気に入ったと笑い、どんどん酒を持って来させるようにと男が給仕をしている仲間に声を掛けた。
「俺はろう、浪って言うんだ。たんまり飲んでいきな」
「酔い潰れるまではねぇ!」
アッハッハ! と女が笑い、ジョッキの中身を飲み干す。
紅と蒼の前にもジョッキが置かれ、乾杯という声と木のぶつかるコツンという音と共に――二人の快進撃が始まる。
「あ、おつまみは甘味にしてよね!」
「甘味ィ? 甘いもんがつまみになるのか?」
「なるよ、君たちもやってみるといい」
甘味と言われ、紅と蒼に出されたのはナッツの蜂蜜漬けやチョコにクッキー。それらを美味しそうに食べてはジョッキを空けていく彼らに、フラップテイルと浪も真似をする。
「はぁ、これはこれで」
「悪くないねぇ、よーしジャンジャン持ってきな!」
転がる酒瓶、場を盛り上げるための宴会芸、いよいよ戦争か? と言いたくなるような光景を前に、紅と蒼は顔色一つ変えずに出された酒を飲んでいく。
「あれ、もう酒が無くなったか……気付けにもならないな」
「ほらほら、グラス空いてるよ! 俺にももう一杯……って面倒くさくなってきた……こっからここまで全部持ってきて!」
憧れの、ここからここまで、だ!
「海賊ちゃんも、この位飲めるよね?」
俺の酒が飲めないとか言わないよね? そんな副音声が聞こえてくるくらいの圧である。
「これ位は飲めないとね。さ、君たちももっと飲むと良い、美味しいし何より度数がない」
度数が無い訳がないのである、お酒だもの。
しかし、そう言われて引き下がれないのが酒豪を名乗る者たち。フラップテイルと浪だけでなく、この場には酒に自信のある者しかいないのだ。
「そう言われちゃあ飲むしかねぇな!」
うおー、飲むぞー! という声が食堂に響く。
この調子で飲んでいけばいずれ相手が潰れるのも時間の問題、考えるのは後だ、後! とばかりに紅と蒼が目配せをして、永久桜島の甘味に舌鼓を打ちながら目の前にずらりと並んだお酒に手を付けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
橙樹・千織
ロキさん(f25190)と
色んな種類があるなら飲み比べなんていかがです?
全部飲んだら利き酒勝負もいいかと。
コミュ力使ってふわほわ微笑み、お酌してまわって
ちゃっかり自分も飲んでみたりしましょうか
ふふ、そうですねぇ。賑やかになりますし、いいかも。
所謂、ワクの方だとより良いかもしれませんねぇ
メンダコ…はまだいいとして、ツチノコ?
え?待ってください、その茄子のようなナニカは一体なんですか??
困惑しつつ、メンダコさんをつついて
ふふ、ではそろそろここで一つ
舞でもいかがですか?
歌や音に合わせて舞って
糸桜のオーラを演出代わりに散らしてみましょう
さあさあ、まだまだ宴はこれからですよ
飲んで歌って楽しみましょう?
ロキ・バロックヒート
ちおりちゃん(f02428)と
わーいお酒だー
いっぱい飲めば良いなんて天国かな
にこにこ笑って女海賊に酌したり飲み比べたり
いいねぇ、利き酒勝負もやろうよ
ちおりちゃんも飲んでって勧める
そうだ、飲む子がもっと居たら良くない?
UCでツチノコとかナスに手足生えたでかいのとかメンダコみたいなのとかつくるよ
ちょーかわいくない?えっナスに見える??
どんな子がお酒いっぱい飲めるかな
体が大きな子かな?
いろいろ作って酒を飲んでもらって
筋力や知性のある子は海賊たちの手伝いお願いする
わーいちおりちゃん舞って舞って
楽しくなってきて歌も歌って
ちおりちゃんの舞いを肴に飲めや歌えや
まだまだ酔えないよね
メガリスもってこーい!あはは
●メンダコちょー可愛い
名が表す通り、永久桜島の桜は年中咲いている。桜と海、それはそれは風流で趣深い――と思うのは最初だけだった。
橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)とロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)は案内された大食堂で繰り広げられる酒宴に目をぱちくりとさせ……パァっと輝かせる。
「わーいお酒だー、いっぱい飲めば良いなんて天国かな」
お酒、お酒、しかも多分タダ酒だ。
「あちらが女海賊さんと酒豪の海賊さんでしょうか?」
「あっほんとだ、なんだっけ、酔わない動物の……」
「ハネオツパイですね」
ネズミのような顔立ちの、可愛らしい。
「可愛いというよりはカッコいい感じだけど、似てるかもね」
その言葉に笑って頷き、千織が行きましょうかと女海賊の元へ向かった。
「楽しんでおられますか?」
「なんだい、アンタも飲むのかい?」
「俺様も飲むよー」
酒の席だもの、無礼講だよねとロキが椅子を寄せて座り、その横に千織も座る。
「今は何を飲んでらしたのですか?」
「ビールさ、こいつは我が島自慢のビールでな」
そう答えたのはこの島一番の酒豪、浪だ。
「へー、美味しいの?」
「そりゃあ勿論」
そうと聞けばまずは一杯、とロキがジョッキで飲み干す。
「他にはどのような種類が?」
「このメニューにあるものなら、なんだってあるさ」
メニューを受け取って見れば、聞いたことのあるようなお酒から聞いたことのないものまでと、様々な種類のお酒の名前が書かれている。
「色んな種類があるなら飲み比べなんていかがです?」
「そいつはイイねぇ、お嬢ちゃん。片っ端から酒を持ってきな!」
フラップテイルの声と共に、様々な酒がテーブルの上に並べられていく。ビールに日本酒ワインに焼酎、島の名産品とも呼べるものから他の島からなんとか入手したような物までと、盛り沢山だ。
「わあ、お酒がいっぱいだー、こんなに飲んじゃってもいいなんて、太っ腹だね」
「全部飲んだら利き酒勝負もいいかと」
「いいねぇ、利き酒勝負もやろうよ。やるよね?」
ね? とロキが笑うと、フラップテイルも浪も受けて立つとジョッキを呷った。
「あら、こちらお酒が足りていないのではないですか? すいませーん、こちらにジョッキのお代わりをお願いします!」
フラップテイルと浪のグラスが空くとすぐに違うお酒を注いだり、他の海賊達の酒がなくなれば声を掛けと千織がふわりほわりと笑ってお酒を追加していく。それは鮮やかな流れで、断る隙を与えない。
「あ、これ美味しいね。ちおりちゃんも飲んで?」
「あら、では失礼して私も一杯」
くいっと一杯飲み干して、にこやかに酌を返す。
「皆で飲むのっていいよねー賑やかで」
賑やかという言葉はとうに通り過ぎたような騒ぎの中、ロキがそう言って、良いことを思いついたと千織に向かって笑顔を向ける。
「そうだ、飲む子がもっと居たら良くない?」
「ふふ、そうですねぇ。賑やかになりますし、いいかも」
「そうだよね、いい考えだよね」
よし、と立ち上がって、ロキが光る粘土のようなエネルギー体のようなものを何処からともなく取り出し、捏ねる。
「ここをーこうして、こっちをこうかな」
ツチノコにしようかな、ナスに手足生えたでかいのにしようかな、メンダコもいいな。
「ね、これどう? ちょーかわいくない?」
「メンダコ……はまだいいとして、ツチノコ?」
多分ツチノコが、千織に向かって跳ねる。
「え? 待ってください、その茄子のようなナニカは一体なんですか??」
「えっナスに見える??」
ナスに手足が付いたやつなんだけど。
ちょっと何言ってるかわかんないな、という顔を周囲の海賊がしていたけれど、そんな事は気にしない。
「いっぱいお酒が飲めるのは、やっぱりメンダコかな」
後の子は海賊達のお手伝いをしてもらおうと、知性や筋力のあるツチノコとナスに手足の付いたナニカをロキが厨房へと向かわせた。
「私はメンダコさんしか見ておりませんでしたので……」
つんつん、とメンダコを突いて、千織が厨房からの叫び声を聞かない振りをし、目の前のお酒をくぴっと飲んだ。
宴もたけなわ、厨房からの叫び声も落ち着いたころ、千織がすっと立ち上がる。
「ふふ、ではそろそろここで一つ、舞でもいかがですか?」
そう言って帯に差し込んでいた扇を手にし、ゆるりと開く。
「わーい、ちおりちゃん舞って舞って」
そうくれば海賊達も黙ってはいない。舞いを一指しと言うのなら、と何処からか三味線を取り出してきて、チントンシャンと奏でだす。
音に合わせてとん、と足を軽く踏み、腰を落としてしっとりと舞い、糸桜のオーラを演出代わりだと散らしていく。
「いいぞ、ねーちゃん!」
「俺、天女様が見える……」
拝み始める海賊も出る中、すっかり気を良くしたロキが歌い出せば、宴会場はこれでもかと盛り上がる。
「でもさ、まだまだこれくらいじゃ酔えないよね。メガリスもってこーい! あはは」
ロキの言葉に浪が笑う。
「そいつは俺が酔い潰れるくらい、つまりは酒が全部なくなってからだな!」
全部なくなってから、ふうん?
じゃあ、ぜーんぶ飲んじゃおうね、と呟いて、ロキが猫のように笑った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハルア・ガーラント
【焼鳥】2名
●WIZ
手伝ってくれそうな海賊さんにお願いして一緒に海の食材調達と[料理]をします
〈白い腰鞄〉からは陸の食材を
唐揚げ、サラダにフライ、あと色々な具入りおにぎり!
捌き方を習ってお刺身にも挑戦してみたい
[優しさと心配り]を胸に
人見知りは胸の中に仕舞い笑顔で給仕
ふふふ、内助の功ってやつです
でも時々つまみ食いも
あ、余興やります、歌います!
海賊ってオウム好きそうですし〈パンナ〉を呼び肩か頭上で[ダンス]して貰いますね
相馬、メガリスのお酒借りれそう?
時々目配せで確認
敵の攻撃はですね
わたしお酒弱いので確実に呑まれます
UCを発動し抵抗はしますが途中で多分寝ます
そうまならだいじょう、ぶ(すやぁ)
鬼桐・相馬
【焼鳥】
●POW
喜んで海賊の酒豪と飲み比べをするよ
俺の酒の強さはうまく言えないが
「飲めばその内酔うだろうが今まで酔ったことがない」
こんな感じだな
勝つ自信はあるが念には念を
杯を空ける度に料理も食べ酔いを散らそう
勿論ペースは崩さない
ハルアと時々目が合う
何なんだ、眠り薬でも仕込んでいるのか
メガリスの酒を譲って貰えたら礼を言い敵の元へ向かう
敵の戦闘力増加の言い分はいまいち理解できない
酔えない分美味い酒を味わって飲めるだろう
世の中には火を点けて飲む酒もある
それを真似て右手に滲ませた冥府の炎で着火、彼女へ手渡そう
酔ったことを確認してからUC発動
酔った状態で風呂に入ると危ないという、それと似たようなものだな
●飲んで飲み干せ大宴会
うわぁ、とハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)が思わず口にしてしまうほど、女海賊VS島の海賊団+猟兵達の宴会場は酒臭かった。
「すごいお酒の匂い……」
お酒にあまり強くないハルアからすれば、換気をしなさいと言いたくなるほど。けれど、お酒好きの鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)からすれば――。
「腕、いや喉が鳴るな」
知らずのうちに口元に笑みが浮かび、好戦的な気持ちが頭をもたげるような、そんな高揚感があった。
「そ、相馬?」
「ああ、俺は海賊の酒豪と飲み比べをしてくる」
「うん、わたしはお手伝いに回るね」
美味しいお料理を運ぶから、期待してて! と、ハルアが厨房に向かって行くのを塩と砂糖を間違えるなよ、と思いながら相馬が見送る。
「さて……それじゃあ飲むか」
首元のネクタイを軽く緩ませ、相馬が一番飲んでいるであろうテーブルへと向かった。
「あの、すみません!」
厨房に回ったハルアはと言えば、まるでここが本当の戦争の場では? と思うほどに忙しそうに動き回る一人を捕まえて、手伝いがしたい事と海へ食材を調達しに行きたい旨を伝える。
「そりゃ助かる! 冷蔵庫の中身だけじゃ心許なくてね!」
二人ほど付いて来てくれた海賊と共に、大量の魚や魚介を確保するとハルアが厨房へと戻り、腰に付けた白い鞄から沢山の陸の食材を取り出した。
何処に入ってたんだ? という海賊達の問いには笑顔で誤魔化し、早速調理を開始する。
「鶏肉は唐揚げに、こちらの野菜はサラダにして、お魚はフライと……あとは色々な具を入れたおにぎり! なんてどうでしょうか?」
ハルアの提案に調理場の海賊が手早く作業を開始し、良い匂いが漂ってくると大食堂の方から催促の声が響き渡る程。
「あの、魚の捌き方を教えてもらってもいいですか!」
「ああ、よっく見てな!」
丸々とした魚の鱗を落とし、頭をトンッと落とす。そして腹びれの付け根に切り込みを入れ、腹を割いてワタを取る。そして水でよく洗ったら、今度は三枚に下ろすのだ。
「こうして、こう……!」
真剣な表情で魚を裁くハルアに、教えてくれている海賊が筋がいいと褒めてくれる。お礼を言って、あとは見えている骨を刺抜きで抜き、刺身にする為に捌いていく。
「で、できました……!」
お皿に盛りつけられた、少しだけ不格好なお刺身に、大根のツマに大葉、中々に豪勢なお造りの出来上がりだ。
確りと手を洗い、給仕する為にハルアがお造りを持って大食堂へと出る。きょろきょろと辺りを見回して、相馬を見つけるとそのテーブルにお造りをどーんと置いた。
「ハルアスペシャル刺身盛りです、いーっぱい食べてくださいね!」
お酒も、と付け加えれば、ハルアの可愛らしい笑顔に海賊達もやんやと盛り上がる。
それに対して、面白くなさそうな顔を一瞬だけして、相馬がジョッキを空にしつつ、ハルアの刺身に箸を付けた。
「美味い」
獲れたばかりの魚の刺身、美味しくない訳がない。これは酒も進むな、とぐいぐいと飲み進める。
この島に来るからには、相馬もそれなりに酒が強いと自負していて、例えるならば『飲めばその内酔うだろうが今まで酔ったことがない』である。それを人はザルだワクだというのだが、酔うまで飲むにも酒が尽きるのだから仕方ない。
勝つ自信は勿論あるけれど、念には念をと杯を空けつつ料理を食べて、酔いが回り難いように気を付ける。それでも、飲むペースも食べるペースも同じくらいハイペースなのだが。
唐揚げも美味い、おにぎりも美味い、酒も美味い。……戦争だったよな、確か。そう思いながらも注がれる杯は飲み干し、返杯だとばかりに浪の杯にもこれでもかと相馬が注ぐ。
そういえば、あいつは人見知りではなかったかと、相馬がハルアに視線をやれば余興を始めているのが見えて、軽く目を擦る。
「この子はパンナです、よろしくしてくださいね!」
クルマサカオウムのパンナを髪の間から出し、肩や頭上で踊るのと共にハルアもくるくると舞っている。たまに視線が合うと、何かを訴えかけてくるような気がして、食事の手が一瞬止まる。
何なんだ、眠り薬でも仕込んでいるのか?
相馬、メガリスのお酒借りれそう?
何一つ意思の疎通ができてないのだが、相馬が分かったとばかりに頷く。
眠り薬で浪を眠らせて酔い潰せってことだな?
借りれそうなの? 良かったあ!
駄目だ、何一つ以下略。
「世の中には火を点けて飲む酒があってな」
度数が非常に高いお酒を使ったショットカクテルなどがそれにあたるのだが、相馬が真顔で度数の高い酒をグラスに入れて、右手に滲ませた冥府の炎で着火し、女海賊へと渡す。
「ハハァ、こりゃ景気がいいね!」
フラップテイルが躊躇なくそれを飲み干すと、相馬が鬼火継ぎで中から炎を燃やす、のだが。
「カーっとくるじゃないか、悪くないねぇ!」
アルコールのせいか、内側を燃やすまでには至らない。けれど、それは確実にフラップテイルにダメージは与えていたし、浪の興味も引いている。
「よし、次は俺だ!」
さすがに冥府の炎はまずいかと、相馬がハルアを呼んでマッチで火を点けさせた。
「綺麗な炎ですね、相馬の炎みたい」
「よし、お嬢ちゃんも飲みな!」
わたしはお酒はあんまり、というハルアに注がれた酒を横から相馬が奪って飲み干していく。
「こいつに飲ませる酒が勿体無い、俺が飲もう」
口笛と揶揄う言葉が飛び交う中、一滴も飲んでいないのにハルアが真っ赤になっていたのは言うまでもない事であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
⛩迎櫻3
あの宝物が必要なのだね
信を得られるよう努めよ……サヨ!!
サヨ、飲みすぎはだめだよ
きみは生来酒に弱いんだから……!
リル、私は酔った可愛い巫女が他に甘えるのが嫌なんだ
二人で見張ろう
甘えてくる巫女を撫で甘やかし見守り他へ行く事を防ぎながら海賊達の話をきき酌をするよ
酒の肴に聴く海賊達の冒険譚は興味深く酒盛りの場は賑やかでとても楽しい
後は私が引き継ぐ
神酒なら飲みなれている
私は酔わない
サヨ!リル!私はやるとも
2人の鼓舞にやる気も満ちる
自身に幸福を約し盃の酒を飲み干すまで
之で酔わないなんて
いっそ尊敬する
だが
私だって引けない…2人のためにも!
宝物をかりて島を救うためにも
噫!サヨがしがみついて…待って!
リル・ルリ
🐟迎櫻3
言うと思った
あの幸せそうな顔…
……カムイ、いざとなったら二人で櫻宵をとめるぞ
なんたって、櫻は……酒癖が悪い
ひどくベタベタに甘えるタイプの絡み酒だ!
もーー!しょうがないな、櫻は!
チラチラ様子を伺いながら、お酒を飲めない僕と子ペンギンのヨルはお酌をしたり歌って盛り上げたり、鼓舞をしたりするよ
櫻!!甘えるのは、僕とカムイだけにしてよね!
櫻宵はこっちで休んでような
そんなしがみつかれると僕はへし折れる
…カムイ
君が頼りだよ
頼むぞ、同志!
僕らの神!
飲んで!
きつくなりそうなときは『泪の歌』で君を癒す
それにしても
豪快に飲む海賊のお姉さんはかっこいい
共に酌をかわせばもう友達
めがりすかりれるかな
あっ櫻が!
誘名・櫻宵
🌸迎櫻3
お酒よー!うふふ、私、お酒だぁいすき!
お酒の飲み比べなんて大歓迎ようふふ!
大丈夫よう、カムイもリルも一緒だもの
私、暴れたりしないわ
酔いを浄化しながら飲むもん
さぁカンパーイ
美味しくて心地よいわ
まだまだ飲めるんだから
リルったら今日もかぁいいわ
カムイだって!ぎゅー!もっと甘えさせて頂戴よ!
海賊ってカッコイイわよねぇ、海の支配者、浪漫!
仲間同士の信頼と、腕っ節でどんな未知も切り開いて……かっこいいわぁ
素直に褒めて
『酔華』の桜がはらり自然に舞っては酔わす
カムイ飲むの?
頑張れぇ
私の神様はすごいんだから!
ね、リル!ぎゅうう!!
ちめたくて心地いいわ、すき!
いい飲みっぷり!かっこいいわ、カムイ!すき!
●酒と愛と惚気と桜
暫しの間、大食堂の隅の方で女海賊と島の海賊達のやり取りと眺めていた朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)が、ふむ、と頷く。
「どうやら宝物……メガリスと言うのだったかな。それをあの海賊が持っているようだね」
女海賊フラップテイルと対面で飲んでいる偉丈夫の男――浪から、そのような気配を感じてそう言った。
「そろそろ私達もあちらへ混ざって、信を得られるよう努めよ……」
努めよう、と言うカムイの言葉を遮り、瞳をきらっきらに輝かせた誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)が両手を胸の前で組んで、小さく叫ぶ。
「お酒よー! うふふ、私、お酒だぁいすき! お酒の飲み比べなんて大歓迎よ、うふふ! たぁっくさん飲んでいいのよね? ね?」
「サヨ!! サヨ、飲み過ぎはだめだよ。きみは生来酒に弱いんだから……!」
慌てて止めようとするカムイを、リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)が沈痛そうな面持ちで見ている。
「言うと思った、ああ、そんな飲む前から幸せそうな顔……」
うふふ、と頬を上気させて笑う櫻宵はとても、それはもうとっても可愛らしくて魅力的だけれど。
「……カムイ、いざとなったら二人で櫻宵をとめるぞ。なんたって、櫻は……酒癖が悪い」
本当に悪い、とリルが念を押すように言う。
「ひどくベタベタに甘えるタイプの絡み酒だ!」
「リル、私は酔った可愛い巫女が他に甘えるのが嫌なんだ、二人で見張ろう」
自分達だけになら、どれだけでも甘やかして飲ませてあげるけれど、此処では駄目だとカムイがリルに切々と訴えかける。
「わかってる、僕もそれだけは避けたい」
頼もしいよ、リル……! と、カムイが視線だけで重々しく頷く。
「大丈夫よう、カムイもリルも一緒だもの。私、暴れたりしないわ」
暴れる心配をしているんじゃないんだよな~~! と強く言いたいところをぐっと堪え、とにかく櫻宵については自分達が両隣についていようと頷き合う。
「それに、酔いを浄化しながら飲むもん、潰れたりなんてしないわ」
そう言うことでもないんだよな~~! 甘えて可愛くなっちゃうところを見せたくないだけなんだ、と言っても本人にはわからないだろうと二人は口を噤み、三人でフラップテイルと浪がいるテーブルへと向かった。
「お邪魔するわね、私たちもぜひ飲み比べに参加させてほしいの」
にこにこと、それは上機嫌な櫻宵がするりと同じテーブルにつき、カムイとルリがその両隣に座る。
「さぁ、さぁさぁ、皆でカンパーイ!」
まずはビールから、と笑みを絶やさない櫻宵がジョッキを飲み干す。それをハラハラしながら見守って、カムイも飲み干した。リルはと言えば、未成年と言うこともあって桜色のサイダーを子ペンギンのヨルと共に飲みつつ、お酌に回る。
「こりゃあ別嬪さんが二人揃って良い飲みっぷりだ、さあさあ遠慮すんなよジャンジャン飲んでいきな」
「綺麗処を侍らせて飲むのも悪かぁないねぇ、さあさあアンタもアンタも、杯を空にするんじゃないよ!」
あらあら、このお酒も美味しいわ、こっちの日本酒なんてふんわり甘いわ、なんて言って櫻宵があれこれと飲んでいく。宣言した通り、酒精を浄化しながら飲んでいるのだろうけれど、浄化が追い付かない速さで飲んでいる。いつになくハイペースなのは、この島のお酒が彼の口に合うからだろうか。
そして、徐々に酔いを見せる櫻宵を気が気じゃない様子で見守りながら、カムイが浪に海賊としての武勇伝を聞き、フラップテイルからも今までにどれだけの島の酒を飲み尽くしてきたかという話を聞いては相槌を打っていた。
そこに良い感じに酔っぱらってきた櫻宵が酒気と共に、ふわりとした笑みを浮かべる。
「海賊ってカッコイイわよねぇ、海の支配者、浪漫!」
「おや、別嬪さんはそう思ってくれるのかい?」
「ええ! 仲間同士の信頼と、腕っ節でどんな未知も切り開いて……かっこいいわぁ」
そう言って、酔華の桜をはらりと舞わす。それはひらり、はらりと舞い落ちて、床へと落ちていく。
踏まないように気を付けなくちゃ、あれに当たったら泥酔しちゃう、とリルが避けつつ海賊達へお酌をし、得意の歌を歌って場を盛り上げていく。
「うふふ、美味しくって心地よいわ、ねぇカムイ、カムイ、カームーイー」
「なんだい私の巫女、酔ってしまったのかい?」
他に行かぬようカムイがその手を繋ぎ、よしよしと頭を撫でては甘やかす。
「まだまだ飲めるわ、うふふ、こっちにこのお酒をもう一瓶くださいな!」
「櫻、だめだよ櫻! これとっても強いお酒だよ?」
「だめ? だめなの? リルは、私にだめっていうの……?」
きゅうん、と捨てられた子犬のような目で甘えながら、しかも上目遣いに見られてしまってはリルが叶うはずもなく。
「もーー! しょうがないな、櫻は!」
ご所望のお酒と、せめてもう少し何か食べるものをとリルが櫻宵の好物をお酒と共に並べていく。
「ハッハァ、そっちの別嬪さんはもう酔っちまったのかい?」
「あら、まだよう! まだ飲めるわ!」
浪の挑発に身を乗り出そうとするのをカムイとリルが押さえ、後は私が引き継ごうとカムイがジョッキを持って微笑む。
「櫻!! 甘えるのは、僕とカムイだけにしてよね!」
「あら、他の人には甘えてないわ、甘えてないわよ? 私が甘えるのは、カムイとリルだけだもの!」
そう言って、櫻宵がリルにぎゅうっと抱き着いた。
「うふふ、リルったら今日もかぁわいいわ」
食べちゃいたいくらい可愛いわ、と鈴を転がすような声で櫻宵が笑う。
「うんうん、櫻はこっちで休んでような」
「あら、本当よ、本当にリルは私の一番の可愛いさんなのよ? カムイだって私の一番のカッコイイなんだから!」
ぎゅうぎゅうと櫻宵がリルに抱き着いて、それをなんとか引き摺って隣の空いているテーブルへと座らせた。
「櫻、櫻、抱き着かれるのは嬉しいけど、そんなにしがみつかれると僕はへし折れる」
「いや、いやよ、リルがへし折れてしまったら泣いてしまうわ」
そうでしょう? と、リルが笑って、じゃあカムイの応援をしようとカムイへ視線を向けた。
「……カムイ、君が頼りだよ!」
「カムイ、飲むの? 頑張れぇ、私の神様はすごいんだから」
二人の声援を受けて、俄然カムイがやる気に満ち溢れていく。
「サヨ! リル! 私はやるとも」
何せ御神酒なら飲みなれているのだ、そう、私は酔わない。
キリッと顔を引き締めて、注がれる杯を飲み干していく。
「カムイ、素敵よ!」
「さすが僕らの神!」
飲んで! 飲んで! という、二人の飲んでコールを受けて、カムイが杯を空ける。それと同じくして、フラップテイルと浪も同じように杯を空けた。
自身に倖約ノ言祝の言霊で幸福を約し、飲めるだけ飲んでいく。そして、同じだけの量を海賊達も飲み干した。
「之で酔わないなんて、いっそ尊敬するほどだな……だが、私だって引けない、二人のためにも!」
「きゃあ、素敵よカムイ! ね、リル!」
櫻宵がそう言ってリルをぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「ちめたくて心地いいわ、すき!」
「僕も、好きだけど、櫻、あのね、へし折れ……っ」
「いい飲みっぷりのカムイ! かっこいいわ、カムイ! すき!」
櫻宵がリルを離し、カムイへと抱き着く。
そう、お酒を飲んでいるカムイへと。
「噫! サヨがしがみついて……待って!」
「やだっ待たないわ!」
「あっ櫻! 飲み勝負中だから! 櫻!!」
うふふ、皆酔っちゃえばいいのよ、と櫻宵の桜が舞い散って――。
阿鼻叫喚の大宴会は、まだまだ終わらない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
【料理】したくて来ました!
飲めないけどおつまみなら任せて!
炎魔法や氷魔法を魔力調整しながら使う事で
加熱や冷却の時短に使用しつつ
数が必要だろうから海賊さん達も手伝ってね
魚介類は豊富そうだし
小魚の唐揚げとか、日本酒も使った昆布酒に漬けた白身魚のお刺身とか
魚介をメインに据えつつ
チーズやベーコンを使ったお手軽系も準備
完成品は敵にも味方にも笑顔で運ぶね
お待たせしましたー!
(敵には自然に【指定UC】)
お酌もしつつ話し相手になり
自然な流れでメガリスの話題に繋げたいね
狙えそうなら皆へのおつまみ用に使ってみたいとかの名目で【誘惑】おねだり
酔いが足りなそうならせめて他の仲間が借りやすくなるように気分上げとくね
アルデルク・イドルド
アドリブ連携歓迎
酒の飲み比べか…酒は飲めない訳ではないし好きな方なんだが強くはないからなぁ。
酒を飲む方ではあまり役には立てそうにないからな俺はおつまみ作りの方をやるよ。
あんまり酔うと相棒を怒らせちまうしな。
【料理】【宴会】
まずはおつまみキャベツを出すか。キャベツに味をつけるだけだからすぐに出来るしな。
次はポテトサラダにあさりの酒蒸し。
唐揚げなんかもつまむにはいいか。
ほら、出来たらどんどんもってきな?
あと食べたいものがあるか聞いてきてくれるか?
出来るだけリクエストには応える。
戦争で料理とはな…まぁ、これも面白くはあるが。
●厨房だって戦争中!
目の前で繰り広げられる大宴会に、後ろ頭を軽く掻いてアルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)がぼそっと呟く。
「酒の飲み比べか……酒は飲めない訳ではないし好きな方なんだが、強くはないからなぁ」
美味しいと思える範囲でちびちびと酒の味を楽しむのが好きなのだ、できれば相棒も一緒なら言うことなしだと、アルデルクが軽い溜息を零した時だった。
「お兄さん、どうかしたんですか? 酔っちゃったのかな……」
恐らくは自分に掛けられたであろうその声に、アルデルクが振り向く。
「いや、酔ってはないぜ。まず、まだ飲んでもいないからなぁ。そういうあんたは……酒が飲める年齢には見えないな」
「あ、そうなんですね! 僕は未成年なので、今から厨房の方に行こうかと思って」
そう、淡い色の髪を揺らして栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が告げる。
「ああ、厨房か! その手があったな」
「その手?」
こてん、と首を傾げた澪が問うと、アルデルクが笑みを浮かべて答える。
「いやな、俺は酒を飲むのは好きだが、酒豪ってレベルじゃないから、この場をどうしたものかと考えていたところだったんだ」
そこで澪が厨房に手伝いに行くと言ったので、自分もそうしようと思ったのだと頷いた。
「そうなんですね! 僕は栗花落・澪です、よろしくお願いしますね!」
「俺はアルデルク・イドルドだ」
イドルドさん、と澪が呼ぶとアルデルクでいいぜ、と彼が言うので澪はありがたくそう呼ぶことにして、共に厨房へと向かった。
「すいませーん! お料理したくて来ました!」
澪のその声に、一斉に厨房の人々が二人へと視線を向ける。
「あんた方、手伝ってくれるんだって?」
助かるよ! と、厨房にいた料理人や海賊が口々にアルデルクと澪に礼を言う。
「なんだか、すっごく歓迎されてますね」
「だなぁ、よっぽど忙しいんだろうな。ああ、敬語もいいぞ、話し易いように話しな」
「はい、アルデルクさん!」
いい人だな、と思いながらさっそく澪がエプロンを借りておつまみ作りに励む。
「えっと、僕は炎魔法と水魔法が使えるので、加熱調理や冷却の時短のお手伝いもできると思うよ」
「そりゃあ便利だ、じゃあ早速こいつなんだが……」
澪が調理場の火を使うスペースで海賊達と共に、小魚の唐揚げや日本酒を使った昆布酒に漬けた白身魚のお刺身などをメニューへと提案していく。
「それならこっちにいい白身があるんだ」
「こっちにはさっき獲ってきたばっかりの小魚があるぜ」
「じゃあ、それぜーんぶ使っちゃおうね!」
魚は鮮度が命、調理するなら新鮮な方がいいと澪が笑った。
そんな彼の笑顔を横目で見ながら、アルデルクは野菜を主体に簡単だけれども癖になるようなおつまみを作っていく。
「キャベツが余ってんなら、おつまみキャベツにしちまうか」
切ったり千切ったりしたキャベツに味を付けるだけだから、手間も掛からないと早速調味料を吟味する。
「この油が一番風味がいいな」
ごま油に塩と擂ったばかりのニンニクを手早く混ぜると、大量に切ったキャベツへと混ぜていく。
「栗花落、味見だ」
菜箸で差し出されたそれに、澪があーんと口を開けて味見をする。
「美味しい! いくらでも食べれちゃいそう!」
「だろ? よし、こいつを皿に盛りつけて……いいぜ、持ってきな!」
数人の海賊達が、出来上がったお皿を持って大食堂へと走っていった。
「次はポテトサラダにあさりの酒蒸し、材料はあるか?」
「ああ、たんまりとあるから、好きなように使ってくれ!」
海賊からの返事を聞いて、小さく笑うとアルデルクがジャガイモの皮を大量に剥いていく。鍋一杯のジャガイモを茹でて潰し、軽く炒めた大量のベーコンに、薄く切ったキュウリを混ぜて、味付けをすればアルデルク特性のポテトサラダの出来上がりだ。
「隠し味はニンニクと愛情ってな」
ちょっぴり大人向けのポテトサラダだが、呑兵衛達には丁度いいだろう。
「こっちも、唐揚げとチーズとベーコンを使ったおつまみが出来上がったよー!」
スキレットのような厚手の小さなフライパンに厚切りのベーコンを並べてチーズをのせ、とろりと焼いたシンプルながら酒の摘みには最高の逸品がずらりと並んでいる。
「僕、ちょっと運んでくるね!」
「ああ、あと食べたいものがあるか聞いてきてくれるか?」
「はーい!」
元気よく返事をして、澪が料理をテーブルへと運んでいく。それこそ、島の海賊団も敵の海賊も関係なしに、笑顔で料理を振舞って――敵には自然と煌きオーラでダメージを与えていたけれど、そもそも酔っ払いはそんな事には気が付かないのだ。
「お待たせしましたー!」
「へぇ、こりゃあ美味そうじゃないか」
フラップテイルと浪もそれは同じで、美味しいつまみに美味しいお酒、フラップテイルは大して酔えもしなくて面白くもなさげかと思ったけれど、猟兵達が盛り上げているのを笑って見ていたし、酒の味自体はわかるのだろう、良い酒だと浴びるように飲んでいる。
「何か食べてみたいおつまみとかありますか?」
きゅるんっと瞳を潤ませて、上目遣いで澪が海賊団一の酒豪、浪へ問う。
「そうだな、酒を使ったつまみがいいな!」
「それなら、メガリス……大吟醸を貸してもらえないですか? そのお酒を使って、美味しいおつまみを作りたいんです!」
こいつをか? と、懐の徳利のようなものを浪が見せる。
「はい!」
「こいつは料理に使うにはちょいと上等すぎらぁ」
そう笑って、また酒を呷りだした。
「じゃあ、きっとそのお酒を使ってもいいって思えるくらいの美味しいおつまみを作ってみせます!」
メガリスの在処はわかった、きっと他の猟兵達も見ていたことだろう。
他の仲間がメガリスを借りやすくなるように、精一杯気分を上げてやろうと澪が厨房へと駆けていく。
「アルデルクさーん!」
「おう、どうした?」
「お酒を使ったおつまみ、たっくさん作りましょう!」
理由を話せば、アルデルクがニヤリと笑って澪の頭を撫でる。
「でかした、栗花落。そういうことなら、腕によりをかけてやらないとな!」
はい! と澪の元気よく返事をして、笑う。
戦争で料理とは、思いもよらなかったけれど――これもまた、面白いとアルデルクも笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
揺・かくり
【幽明】
不自由な四肢には呪符を貼り付けておこう。
酒宴を楽しむ為の下準備さ。
酒は呑んでも呑まれるな
君は此の言葉を知っているかい
そう、其の儘の意味さ。
聢と胸に刻むのだよ。
酔い暴れた際には……理解っているだろう?
常よりも大振りな石にしようか
岩でも良いね――何。冗談だとも。
君に警告を告げた身だ、留意するよ。
辛いも酸いも構わないが
私には甘い酒を呉れるかい。
清酒でも果実酒でも構わないよ
勧めの酒をお呉れ。
……おや、紅い葡萄酒かい。
では、其方を頂こうとも。
以前は強制的に陶酔に至って仕舞ったが
此度は程良く酒を呷ろう。
頂こうか、なつめ。
君の味覚に合う酒は在ったかい?
真に気分が良い。
どうやら程良く酔うて来たのだよ。
唄夜舞・なつめ
【幽明】
ア?俺が酒に
呑まれるわけねェだろォが
それに酔って
騒ぐのが酒の醍醐味……
おめーの投げる石
マジで痛ェからやめろよ?
フリじゃねェぞ?やめろよ?
おめーこそ
酔ってぶっ倒れんなよ
女だからって
可愛い運び方しねーからな俺ァ。
ヘェ、甘いのにしたのか
まぁ女らしいっちゃらしいが
おめーにしては
以外な感じもするなァ
もっとこう
大人びたのにすると思ってた
血の色見てーなワインとか、な。
海賊さんよォ、オススメの酒
ありったけ持ってきなァ
そこの酒が好きそーな
豪酒のネーチャンと酒飲み勝負だァ
クク、楽しー勝負にしようぜェ?
おー、かくり
いい感じに酔ってきたか?
これが酒の良さだァ。
……石、投げんなよ?
ンー!どの酒もサイコーだァ!
●酒に酔うても呑まれぬように
ふわりと浮遊する青白い身体の四肢に黒い呪符を貼り付けて、揺・かくり(うつり・f28103)は酒宴を楽しむ為の下準備だと唄夜舞・なつめ(夏の忘霊・f28619)に笑う。
「君。酒は呑んでも呑まれるな、君は此の言葉を知っているかい?」
「ンア? そんなもん、そのままの意味だろォよ。飲み過ぎて酒で失敗するなってことじゃねェの」
既にどっぼどぼに酒に吞まれたような奴しかいない永久桜島の大食堂のテーブルで、肘を付いていたなつめが答える。
「そう、其の儘の意味さ。聢と胸に刻むのだよ」
「ア? 俺が酒に呑まれるわけねェだろォが」
あの辺の有象無象と一緒にするんじゃないとばかりに、なつめが顔を顰めた。
「それに酔って騒ぐのが、酒の醍醐味……」
「酔い暴れた際には……理解っているだろう?」
なつめの言葉を遮って、かくりがこてんと首を傾げる。
「……やめろよ?」
「常よりも大振りな石にしようか」
「おめーの投げる石、マジで痛ェからやめろよ?」
「岩でも良いね」
外に良さげな岩が転がっていたものな、とかくりの視線が外へ向いた。
「フリじゃねェぞ? やめろよ!?」
念を押したなつめの物言いに、彼女の口角がくっと持ち上がる。
「何。冗談だとも」
「冗談に聞こえねェから怖いんだろうが」
周囲の海賊なんて見てみろ、岩……? って顔してるだろうが、となつめが言うと、そっと海賊達の視線が逸らされた。
「はー、おめーこそ酔ってぶっ倒れんなよ。女だからって可愛い運び方しねーからな俺ァ」
「おや、どんな運び方をするんだい?」
定番だとあれだろう、お姫様抱っこというやつだろう? と、かくりが小さく喉を鳴らす。
「そんな上等な運び方なんかしねーって言っただろ、精々俵担ぎだ」
身長およそ190ほどの男の肩に、俵のように担がれる己を想像し、それはそれで面白いなとかくりが零す。
「面白がってんじゃねーぞ」
「ああ、君に警告を告げた身だ。留意するよ」
そう、酒は呑んでも呑まれるな、だ。
「よし、そんじゃいくぜェ」
「ああ」
この大食堂においての力関係はおおよそ把握した、女海賊の相手をしている男が島の海賊一の酒豪だろう。そうなれば、この二人と共に飲むのが一番いい。
飲んで飲ませてといこうじゃないか。
「よォ、邪魔するぜ」
なつめが二人の飲み比べの席に声を掛け、相席を求める。この二人に近付く者が少ないのか、すぐに了承されてかくりと共に席に着いた。
これだけの酒が転がっていれば、普通の者なら近付きはしないだろうな、となつめも思う。ただ、なつめもかくりも普通の者ではないので。
「お前さん方、何を飲む?」
島の海賊の男が浪と名乗り、二人へ酒を勧める。
「そうだな、辛いも酸いも構わないが……私には甘い酒を呉れるかい」
「甘いのか」
「ああ、清酒でも果実酒でも構わないよ。君が勧める酒をお呉れ」
度数など、幾つでも構わないというように、かくりが言う。
「それなら、俺はコイツをお勧めしよう」
浪がテーブルに、ドンッと甘口の日本酒を置いた。
「こいつは美味いよ、度数もそれなりさぁ」
杯に注がれ、くいっとかくりが傾ける。
口に広がるのは芳醇なフルーツのような甘さ、それから舌の上で消えるような酒精のそれ。
「確かに、甘くてきつくて、美味だね」
「ヘェ、甘いのにしたのか。まぁ女らしいっちゃらしいが、おめーにしては以外な感じもするなァ」
こっちはこっちで既に乾杯を済ませ、ジョッキ一杯のビールを飲み干したなつめが言う。
「どんな酒なら合うというのかい?」
「もっとこう、大人びたのにすると思ってた。血の色見てーなワインとか、な」
深い赤色の。
「……おや、紅い葡萄酒かい。では、其方を頂こうとも」
「ちびちび飲むより、こっちの方がいいさなぁ!」
話を聞いていたフラップテイルが、上等の品だと言って樽を模したような木製のジョッキになみなみと赤ワインを注いでいく。たっぷり入ったそれに口を付け、これもまた美味とかくりが唇の端を持ち上げた。
「よォし、海賊さんよォ、オススメの酒をありったけ持ってきなァ。そこの酒が好きそーな豪酒のネーチャンとニーチャンと酒飲み勝負だァ」
わっと歓声が沸いて、テーブルへ酒が持ち寄られる。
日本酒に洋酒、はたまた中国酒まで選り取り見取りだ。
「クク、楽しー勝負にしようぜェ?」
メンチを切るように挑んだなつめと海賊二人の勝負の横で、かくりが気に入った酒を空けては注いでいく。
「以前は強制的に陶酔に至って仕舞ったが、此度は程良く酒を呷る。悪くないな」
転がる酒瓶を避け、上物の酒を選んで飲む。あれも美味、これも美味、ふわりふわりと浮いている自分でさえも楽しくなってきいた。
「おー、かくり。いい感じに酔ってきたか?」
「そうだな、真に気分が良い」
そうだろうそうだろう、これが酒の良さだとなつめが笑う。
「君の味覚に合う酒は在ったかい?」
「俺? ああ、この日本酒は特別美味いな」
大きな瓶には永久桜とあり、どうやらこの島の名産品のようだ。
「よし、ではそれを頂こうか、なつめ」
杯を寄せ、すれすれまで注がれた酒をするりと飲み干す。零れ出た吐息も酒精の色に帯びていて、かくりが機嫌良さげに言った。
「どうやら程良く酔うて来たのだよ」
「……石、投げんなよ?」
あの月夜に散々投げつけられた小石が痛かったのか、なつめが念を押すように言う。
くく、と笑ったかくりの杯に己の杯の縁をぶつけ、乾杯だとなつめが杯を傾ける。
「ンー! どの酒もサイコーだァ!」
「それには同意しよう」
あちらも、良い具合に出来上がってきているしな? と海賊の男を見て、かくりが杯を空けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神奈木・璃玖
【パンドラ】
絶対に酔わない女海賊と絶対に酔うお酒とは
とんでもない盾と矛があったものです
ガンドルさんがやる気ですね
では海賊と是非勝負をしていただきましょう
我々が勝ったら伝説の大吟醸を渡してください
負けた時はもちろん海賊の言う通りにします
これでも商人、二言はございません
雑用でもなんでもやりましょう(選択UC、代償はお任せ)
(いつのまにか片手に一升瓶を持ってラッパ飲み)
両者一歩も引かぬ飲みっぷり
どちらが勝ってもおかしくないないです
……ただ見ているだけではつまらないでしょう
海賊一の酒豪と飲み自慢のドワーフの飲み勝負、ここはひとつどちらが勝つか賭けてみませんか?
私はもちろんガンドルさんに賭けますけどね
ガンドル・ドルバ
【パンドラ】
ふむ、酒飲み勝負とな?
随分と剛毅なものじゃの、この島の海賊も、相手の女海賊も
しかして酒と聞けば黙っておれぬ
ドワーフにとっては酒は命の水じゃからな
大吟醸とやらも興味があるしの
海賊との交渉は璃玖に任せるぞい
それがしは飲み比べで海賊どもにそれがしらのことを認めさせてやるわい
飲み比べに使う酒はこの『千勝無敗』じゃ
並みの者が飲めば五臓六腑を焼却せんほどの辛口の酒よ
さあ、勇気と覚悟を持っていざ勝負!
璃玖がそれがしに賭けたのじゃ
応えてやらんとな!
無事に大吟醸を手に入れたら女海賊にも振る舞ってやろう
ついでに【闇女神の旋風】で逆上せた身体を仰いでやろう!
その腕、もう銃も盃も握れんようにしてやるわ!
●千勝無敗の飲み勝負!
大盛り上がりを見せる永久桜島の大食堂にて、神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)が銀色に光る尻尾を揺らし女海賊と島一番の酒豪が酒を酌み交わしているのを眺める。
「絶対に酔わない女海賊と絶対に酔うお酒とは、とんでもない盾と矛があったものです」
この場合、メガリスの力がより強い方が勝つのでしょうか? と、璃玖がガンドル・ドルバ(死に場所を求める老兵・f27129)に問うた。
「さあの。それはそれとして、酒飲み勝負とはな」
この島の海賊も相手の女海賊も、随分と剛毅なものだと、ガンドルが蓄えた白い髭を撫でる。
「しかしとて、酒と聞けば黙ってはおれぬ」
ドワーフにとって、酒は命の水じゃからな! と、ガンドルが豪快に笑う。
「おや、さすがガンドルさん。やる気ですね」
「メガリス、大吟醸の酒とやらも気になるしの」
酒と聞いて黙っているドワーフはおらぬよ、とガンドルが女海賊フラップテイルと島の海賊団の酒豪――浪が飲んでいる卓へと向かった。
これまでにも相当の酒を飲んでいるのだろう、辺りに転がる酒瓶と、潰れた海賊共の数がえぐい。それらを踏まぬように乗り越えて、ガンドルと璃玖が潰れもせずに酒を酌み交わす二人の前に立つ。
「こんにちは、海賊の方々」
「なんだい、アンタ達もアタシらと飲み勝負かい?」
「ええ、話が早いですね」
ふわりと微笑んで、璃玖が席へと座ると、それに続いてガンドルもその隣へと座った。
「単刀直入に申し上げますが、我らと是非勝負をしていただきたい。我々が勝ったら伝説の大吟醸を渡してください、負けた時はもちろん海賊の言う通りにします」
「はっはぁ、随分と剛毅だなぁ兄ちゃん。こいつは譲れはせんが、貸すってぇなら飲んでもいいぜ」
「ええ、それでも構いませんよ」
値踏みするような視線が、二人へと刺さる。けれど、そんなものは何でもないように、璃玖が笑みを浮かべる。
「これでも商人、二言はございません。雑用でもなんでもやりましょう」
それは彼の力ある言葉、商人たる璃玖の困難に応じた量の代償を支払うという、強い意志。
「いいだろう、その勝負受けてやろうじゃないか。なぁ、フラップテイル殿」
「アタシは酒が飲めればそれで構わないさ、全部アタシが飲んじまうかもしれないけどねぇ」
二人の海賊が笑うと、それまで海賊との交渉は璃玖に任せるとばかりに黙っていたガンドルが、瓶詰された大きな酒瓶をドンッとテーブルへ置いた。
「ではな、飲み比べに使う酒はそれがしの秘蔵品、この『千勝無敗』を提供するかの」
「ほう、御仁の秘蔵とな」
「いいねぇいいねぇ、アタシの飲んだことのない酒だ!」
ガンドルが持ち込んだ酒にフラップテイルが食いついて、浪も興味を示す。
「並みの者が飲めば五臓六腑を焼却せんほどの辛口の酒よ」
ポンっと良い音をさせて口を切れば、濃厚な酒精の香りがテーブルへと漂い、それぞれの杯に、ガンドル自慢の酒が注がれた。
「さあ、勇気と覚悟を持っていざ勝負!」
ニィ、と口髭の中の唇が持ち上がる。
璃玖がそれがしに賭けたのであれば、応えてやらねばドワーフの名が廃るというものだ。
まずはガンドルがぐいっと飲み、続いて浪とフラップテイルが杯を傾ける。
「こいつは美味いな、辛口だが飲み易い」
「いいねぇ、五臓六腑に染み渡るってのはこういうことを言うのさ」
さすがは呑んでも酔わぬ女海賊と、メガリスを保持する酒豪、水でも飲むかのように空けていく。
コンキスタドール、島の海賊、ドワーフの三つ巴の飲み勝負を横で眺め、璃玖がいつの間にか一升瓶を片手にラッパ飲みをしながら勝負の行方を見守る海賊達へと話し掛ける。
「三者三様、一歩も引かぬ飲みっぷり。誰が勝ってもおかしくない勝負です」
そうは思いませんか、と問われた海賊は、確かにそうだと大きく頷く。
「そうでしょう、皆さんもそう思いますよね? それをただ見ているだけではつまらない、とも思いませんか?」
いい具合に酒が回っている海賊達が、そうだそうだと声を上げる。
「ふふ、では――」
紅のフラップテイルと、海賊一の酒豪と飲み自慢のドワーフの飲み勝負、ここはひとつどちらが勝つか賭けてみませんか? と、したたかな笑みを浮かべて璃玖が言う。
「私はもちろんガンドルさんに賭けますけどね」
さぁ、皆さんは誰にお賭けになりますか? と、璃玖が酒を飲みながら問う。
そこからは彼の独壇場、俺は浪に賭ける、いいやあっちのドワーフだ、という声を見事に捌いて即席の賭け場を作る。
「さあ、張った張った!」
見る間に集まる金貨とぐいぐいと杯を空けていく三人を眺め、璃玖が笑った。
さて、賭けの結果や如何に――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シリン・カービン
なるほど。
女海賊をつまみに、閉店まで粘ればよいのですね。
「ほう、こんなお酒もあるのですね」
喉越しの熱さを楽しみながら、琥珀の酒をもう一口。
普段はクールなエルフの狩人が、ほろ酔い気分で頬を染め、
乱れてもいないのに漂う色香。
クー、とグラスを傾け、
「ふふ、あなたも味わってみては…?」
酔えないフラップテイルには出せない魅力とばかりに煽ります。
飲み比べ前に【Shape of Memory】を発動。
お酒の精霊の声を降らせ、大宴会の記憶を再現します。
適応の条件は『酔っていること』。
即ち。
酔えば酔うほど(お酒に)強くなる!
「…まだ話は終わってませんよ」
自覚は、無いのですが。
少々、絡み酒の気が、あるようです…
鞍馬・景正
○
酒ですか。素晴らしい。
もとい、変わった戦となりそうですが、全力でお相手致しましょう。
ええ、最近節酒していた分まで全力で!
◆
ふむ、すぐに暴れ出す心配は無さそうですが、念のために女海賊めを抑えておきましょう。
持参の徳利を土産に飲み比べを挑むとしましょうか。
酔えぬ呪いを抱えているとはいえ、酒の味まで分からぬ訳では無いでしょう。
今までで印象に残る酒などは無かったのですか?
私はやはりエンパイアの酒が一番馴染むのですが、シャトー・ラフィットなる葡萄酒が格別で……
と酒談義に持ち込みつつ時間稼ぎを。
飲むほど【酒呑無双】で自然と力が湧いて参りますし、この後の女海賊を討つ為の布石でもあります。まことです。
●無礼講で飲むお酒って最高なのでは?
飲めや歌えや、飲めや騒げの大宴会を目の前に、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)が思わずポロリと口にする。そして、その横で鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)も時を同じくして、同じようにポロリと零す。
「女海賊をつまみに、閉店まで粘ればよいのですね?」
「酒がタダで飲めるとは、素晴らしい」
思わず互いの言葉に顔を見合わせ、二人は強く頷き合う。
酒の前に言葉は無用、恐らく目の前にいるこの人は同士である、と――。
「あなたも酒を飲みに?」
「ええ、変わった戦ではありますが……その」
酒が飲めるなら、と曇りなき眼で景正がシリンを見遣る。
「わかります、私は女海賊の相手をしようと思っているのですが」
「ええ、私も念のために女海賊めを抑えておこうかと」
一番お酒が集まっていそうなので、という副音声が聞こえた気がするが、気にするのも馬鹿らしいほどにこの場は酒に満ちていた。
では早速、と二人で女海賊、紅のフラップテイルの元へ向かう。そこには丁度良いと言うべきか、島の海賊団の中でも随一の酒豪と呼ばれる男、浪も共にいて、ついでに酔わせてしまおうかと無言でシリンと景正が視線を交わす。
「失礼、ご一緒させていただいても?」
シリンが嫣然と微笑んで、景正が持参の通徳利をテーブルへと置く。
「私達と飲み比べでもいかがでしょうか」
「おや、手土産とは気が利くねぇ」
来るもの拒まずさ、と豪快に笑った女海賊の横に景正が座り、その隣にシリンが腰掛けた。
「さあ、どんどん飲んでください、私も飲みますので」
ええ、最近節酒していた分まで全力で!! 力強く頷いた景正が、自分の杯に注がれた酒を飲み、笑みを浮かべる。
嗚呼、やはりお酒は美味しい。しかも普段なら飲めないような物や、ちょっと珍しいものまでと種類も豊富だ。
「私はそうだな、そこの琥珀色の酒でも頂きましょうか」
琥珀色の液体が、丸みのあるグラスへと注がれるとシリンが初めて飲む酒だと笑みを零し、グラスを傾ける。
「ほう、こんなお酒もあるのですね。芳醇で、それでいてどこか甘さもあって……癖になる味です」
甘い吐息を零して、普段はクールだと言われるエルフの狩人が僅かに頬を染めてフラップテイルへと笑みを向ける。
「ふふ、あなたも味わってみては……?」
漂う色香を薫らせて、フラップテイルの瞳を射抜いたままグラスを深く傾けた。
「ハン、アタシにだってこの酒の味が美味いことくらいはわかるさ、それならこっちも飲んでみな」
酔えぬフラップテイルには出せぬ魅力を出したまま、シリンが受けて立つ。本格的な飲み比べになる前に、こっそりとお酒の精霊の声を降らせ、大宴会の記憶を再現する。それはこの場に違和感なくとけこんで、彼女の力へ変わっていく。
即ち、酔えば酔うほどお酒に強くなる、という裏技である。
対して、景正も酒を飲めば飲むほどに力が湧き上がるよう、酒呑無双の力を解き放っていた。
言ってしまえば、どちらも死ぬほど酒が飲める力――吞兵衛の為の力ともいえよう。
「違います、これはこの後の女海賊を討つ為の布石でもあります。まことです」
割と早口な景正の呟きが聞こえた気がしたが、酒飲みの喧騒に掻き消されて誰にも届いてはいない。
それはさておき、と景正が軽く咳払いをしてフラップテイルに話し掛ける。
「酔えぬ呪いを抱えているとはいえ、酒の味まで分からぬ訳では無いとお聞きしましたが」
「ああ、そうさ。この焼けるような喉越しだってちゃあんと感じているさ」
ぐいっと杯を空けたフラップテイルがそう言うと、景正が頷いて更に言葉を重ねる。
「今までで印象に残る酒などは無かったのですか?」
「今までにねぇ……山ほど飲んできた中でも……そうさね、蜂蜜酒は面白かったねぇ」
蜂蜜酒、ニードとも呼ばれる人類最古の酒とも言われるものだ。
「そうなのですか、私はやはりエンパイアの酒が一番馴染むのですが、シャトー・ラフィットなる葡萄酒が格別で……」
葡萄酒、と聞いてフラップテイルがそいつも良い、と頷く。
「ここで一番いい葡萄酒はコイツだね」
「ほう、では頂くとしましょうか。シリンさんも如何ですか?」
「頂きます」
即答だった。
日本酒焼酎ビールにワイン、ありとあらゆるお酒が飛び交うように飲まれている。
「ふう、やはり酒は素晴らしいですね、百薬の長とも申しますし」
飲みすぎなければの話なのだが、この場に飲み過ぎてない者などいない。
「そうですね、この葡萄酒はとても美味しいです」
もう一杯! ってなもんである。
「いいですか、お酒の魅力はやっぱり……」
シリンがほろ酔い加減で酒の魅力を語れば、フラップテイルも負けじと語る。
その横で景正と浪が酒が美味い! と杯を傾けていく。
酔って酔わせて飲み勝負、まだまだ勝敗が付く気配はなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鴇刄・紫雨
🍶🚬×2
◎
酒呑みで戦り合うとは
俺好みだな
隣で笑む彼に、口元は
確り弧を描いて
……潰せば良いんだろ?
余裕で勝ってみせるさ
紫陽のツマミ付きなら
より進んじまうんじゃ無ェの。
俺が好きなやつ……は
まあ、云わなくてもお前は用意してんだよな
良い子だ、って高揚気味に隻眼細めて
海賊共、遠慮は要らねぇ
一番の酒豪が前に出な
男だろうが女だろうが
手加減ナシの真剣勝負
何より今日は同じ酒豪が隣に居るもんで敵無し、ってな
煽り、浴びて
盃傾け
絡んでいくは何故か紫陽へ
オイ、その程度かよ?
もっと、イケんだろ?って
挑発は忘れずに
噫、好きな酒に耽溺し
飲み呑まれ
勝敗の行く末も大事だが
この瞬間、ただ、
快楽と酔を共有出来るだけで
俺は好い
空露・紫陽
🍶🚬×2
◎
普段は紫雨から酒を取り上げる側だが
――今日はなぁ?
愉しげに隣を眺め口許に弧を描く
飲み潰しゃイイんだろ?
其れは其れは
つまみは自分で持ち込むぜ
俺と紫雨の好きなの何方も
酒から肴は切り離せねぇからよ
遠慮はした方が負けってな
海賊のお前さんら自信のある奴から来てくれや
加減もハンデも無し
同じ酒豪が隣に居るしな
敵無しと気も大きくなるさ
飲んで、煽って
盃に注ぎ
また呑んで
浴びる様に呑むってのは正に
その程度ってもう酔ってんのかい?と
笑って紫雨の挑発には煽りを
酔い尽くすまでの欲張り精神
勝ち負けは結局二の次さ
お前さんもどうせ同じだろ紫雨
酒に始まり
酔で染める今日
至極を忘れる事勿れと
味と酔の共有に満足げな男在り
●酒彩に耽溺
酒呑みで戦り合うとは俺好みだな、と鴇刄・紫雨(月露・f17470)が女海賊フラップテイルと島の海賊団の酒豪、浪が酒を飲むテーブルを見遣って空露・紫陽(Indulgence・f30642)に言った。
「そう言うことだな。普段は紫雨から酒を取り上げる側だが、今日はなぁ?」
無礼講って奴だと、愉しげに紫雨を見て紫陽が口許に弧を描く。
「飲み潰しゃイイんだろ?」
「潰せば良いんだろ?」
同じようなことを同時に言って、二人の目が可笑しそうに細まった。
「余裕で勝ってみせるさ」
「其れは其れは」
お手並み拝見ってやつだなと、紫陽が笑う。
「それじゃ、飲むとするか」
紫雨がそう言って、フラップテイルと浪の元へと向かう。その少し後ろを手に提げた荷物を持ちながら紫陽が追った。
「よう、海賊共。ひとつ俺達と飲み比べといこうじゃないか」
挑発するように紫雨が言うと、浪が杯を傾けて彼を見遣る。
「ほう、俺達と飲もうって?」
「ああ、遠慮は要らねぇ。一番の酒豪が前に出な」
その言葉に、女海賊が鼻で笑うように口を開く。
「ハハァ、よっぽど自信があるようだな。いいさいいさ、アタシが相手してやろうじゃないか」
「馬鹿抜かせ、俺だろうよ」
何せこの二人、ずっと飲み勝負を続けているのだ。
「どっちだっていいさ、男だろうが女だろうが手加減ナシの真剣勝負だからな」
「イイねぇ、酒に男も女もないからねぇ!」
フラップテイルが手を叩いて笑うと、座んな、と顎先で促す。
「そっちの黒髪のニイサンも飲むのかい?」
「ああ、俺も飲むぜ」
その言葉に、俺の隣にいる奴は俺と同じくらいの酒豪だぞ、と紫雨が小さく笑った。
「紫陽、ツマミ」
「ああ」
提げていた荷物から、紫陽がコンテナ型の密閉容器を幾つか取り出していく。
「なんだい、アンタたちツマミを持参したのかい」
「飲むなら俺は紫陽のツマミがいいからな」
これがあると無いでは、酒の進み方が違うのだ。
俺が好きなやつ……と目で追えば、云わなくてもきっちりと用意している紫陽に紫雨の隻眼が愉し気に細まる。
「良い子だ」
「誰に言ってんだ」
自分のと紫雨のと、好物をどちらも目の前に置いて紫陽が紫雨を軽く睨む。
「肴は揃った、酒は何を飲ませてくれるんだ? 勿論、上等のがあるんだろう? 良い酒でなければ、紫陽のツマミに負けてしまうからな」
箸を手にして、紫雨が言う。
「また随分な自信だな。ああ、こいつは中々の上物だぜ」
浪が呆れたように日本酒の瓶を置き、二人の杯に注いでやる。
「いただこう」
「ああ」
二人揃って杯を傾け、一気に喉へと流し込む。
「ほう、こいつはいいな」
「美味いな」
遠慮はした方が負けだとばかりに、紫陽がどんどん杯に注いでは飲んでいく。負けじと紫雨と海賊二人もカパカパと杯を空けていく。合間合間に自分が作ったツマミを食べて、また飲む。
至福のひと時すぎるな……と考えつつ、空になった容器を手提げに戻し、新しいツマミを並べてやる。
「美味い」
どっちが、と聞かずともどっちもなのだろう。紫雨がツマミを食べる手も、酒を飲む手も中々のハイペースだ。
加減もハンデも無しの飲み勝負、自分と同じくらい頼りになる酒豪がいるとなれば紫陽の気も大きくなるというもの。次はそっちの洋酒がいいと、琥珀色の美しい酒の封を切る。
「は、これとこのツマミも合うな」
「こっちも合うぞ」
自分の方の容器を寄せてやれば、紫雨が大人しく箸を付けて美味いと頷いた。
酒が進めば煽り煽られ、挑発もしつつ相手をどんどん飲ませるのも酒飲み勝負のテクニックの一つなのだが、何故か次第に紫雨が絡んでいく先は紫陽で。
「オイ、その程度かよ? もっとイケんだろ?」
ほんのり上気した頬で、ニヤリと紫雨が笑う。
「当たり前だろう、まさか紫雨……その程度ってもう酔ってんのかい?」
俺の飲む量を見誤ってるんじゃないか? と、紫陽が笑って紫雨へと煽り返した。
「いい度胸だな」
「お前さんこそ」
更に飲むスピードを上げ、紫陽と紫雨が海賊に眺めてないで飲めよと揃って煽りを入れる。そう言われてしまえば負けてられないのが酒飲みというもの。杯じゃ足りない、いっそ一升瓶を抱えて飲むかという勢いで飲みだした。
「はは、最高」
「久しぶりだ、存分に飲んでいこうぜ」
酔い尽くすまで、飲み干して。
勝ち負けは結局二の次だな、と紫陽が思う。隣の男も、好きな酒に耽溺して、機嫌よく飲み、吞まれているのだ。
どうせ俺と同じだろ、と視線で問えば、勝敗の行く末も勿論大事だが、今この瞬間が何よりも、と紫雨が視線で答える。
快楽と酔をお前と共有出来るだけで、俺は好い。
その視線は特に熱く、酔ってしまったかと思うほど。
さあ、どちらが先に酔い潰れるか勝負だと、味と酔の共有に満足気に紫陽が笑った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
笹乃葉・きなこ
飲み勝負!
いいねぇ!いいねぇ!そんじゃぁ、遠慮なく飲ませて貰うんだべェ。
浄化でアルコールの分解速度を上げて、とリミッター解除で飲める分を増やしてを使って飲みまくるべェ。
酒に飲まれちまったら元もこもねーし、それならユーベルコードを使って海賊にお願いしてみようかなぁ「酔い難くなる薬草とかねぇ」とか、
薬草がアウトなら他の方法を聞くべ
誘惑付きでお願いしようかなぁ。もちろんにっこり笑顔でなぁ。
あ、でもどうせなら美味い酒で飲み比べしてなぁ。
もちろん樽酒デフォルトで、同じ種類の酒じゃぁたのしめねぇーしたっくさんいろんな酒の樽で飲むんだべェ。
あとは相手をボコボコのもふもふのボコボコにするべ。
●限界まで飲むなら樽酒
目の前で繰り広げられる酒宴に、笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)は己の血が滾るのを感じながら、にんまりと笑みを浮かべた。
「飲み勝負! いいねぇ! いいねぇ!」
しかも無礼講ときたもんだべさ、ときなこが笑う。
「そんじゃぁ、遠慮なく飲ませて貰うんだべ!」
うきうきとした足取りで、酒瓶が多く転がるテーブルへと向かう。
ここならたんまり飲ませて貰えそうだと、きなこが海賊に向かって笑みを浮かべた。
「おらも一緒に飲んでいいかねぇ?」
きなこが声を掛けたのは、奇しくもこの島の海賊団一の酒豪、浪。その向こうには、紅のフラップテイルの姿も見える。
「ああ、勿論構わねぇよ」
酒を飲むなら大勢の方がいいと、他のテーブルに座っている海賊達もやんやと声をあげてきなこが共に飲むことを歓迎してくれた。
しめしめ、ときなこが笑みを浮かべ、それなら浄化の力でアルコールの分解速度を上げて、お酒を飲める分を増やそうと試みる。いわゆる、リミッター解除ってやつだべ! と、きなこが空いている席に着いた。
「ううん、でもこれだけじゃちょっと頼りねぇべか」
酒に呑まれちまったら元も子もねーしなぁと僅かに思案し、下唇を片手の親指でなぞる。
それはきなこのユーベルコードの力を開放する合図、何度かなぞって、近くにいた違う海賊にこっそりと耳打ちをした。
「みぃんな、酒に強いんだべ? 何か秘訣とかはねぇだべさ、酔い難くなる薬草とか、そういう」
「秘訣、秘訣ってわけじゃあないが、毎晩酒を飲んじゃあ朝になって迎え酒だって言って飲んでるくらいだな」
それは四六時中飲んでるって事じゃないだろうか。すごい、全く参考にならない。
「一朝一夕じゃできねぇようなのじゃなくってだべ、何かあったら教えてくれだべ」
な? と上目遣いで誘惑交じりにきなこが微笑む。
「そうは言ってもなぁ……水と一緒に飲むくらいしかないんじゃないか?」
「そうだべか、ありがとだべさ」
それならそれで、美味い酒をたらふく飲むまでだと、きなこが腹を括る。
「よぉし、ありったけの樽酒で飲むだべ!」
同じ種類では飽きてしまうから、色々な種類で飲み比べようときなこが笑う。
「楽しんで飲むなら、種類は多い方がいいべ」
さあさあ、飲むべさ! と、きなこが言うと、海賊達が杯を高く上げて同意を示す。
たんまり飲んで、相手が酔ったらあとはボコボコのもふもふの、ボコボコにするべ! と固く決意を胸にして、きなこが大きな杯を呷ってにんまりと微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
終夜・嵐吾
【嵐雅】
さけはのんでものまれるな!!
ようわかっとる!!なー、せぇちゃん!!(お酒大好き)
酒はよい…命の洗濯…
楽しく飲むのも良きつまみじゃがやはり味も重要である…
まぁなんでもうまいがの!
わしが酔いつぶれてもちゃんと介護してくれるせぇちゃんがおるしの。いつもすまんな…すまんとおもっとらんけど(ふにゃりと笑う酔っぱらい)
うむ、いつもながら、しれっとしてるの!
ささ、せぇちゃんも飲むが良い飲むが良い…わしものむのむ…(酌をしつつぐびぐび尻尾ゆらゆら)
皆でわいわい飲む酒はええよね~敵も味方も酒宴では関係ないんが一番幸せじゃろ~ふふ、たーのしー…スヤァ……(寝落ち)
せぇちゃ…あとは、たのんだ…むにゃ
筧・清史郎
【嵐雅】
さぁ、いざ飲もうか(微笑み
存分に頂こう、らんらん(お酒大好き!
ああ、楽しく飲むのが一番だ
らんらんは飲むとすぐ愉快になるしな
うむ、美味なつまみや甘味も欠かせない(きり
らんらんが潰れても、いつものように俺が介抱しよう
ふふ、酔ってふにゃっとなった様は面白いから構わない(にこにこ
俺も楽しい気分になっているぞ?(全然変わらない
友にお酌しつつ揺れる尻尾をガン見
海賊達一番の酒豪と勝負も楽しそうだな(超絶酒強い箱
お酌してくれるのか?有難う
(お酌する海賊女子達にキラキラ雅スマイル
確かに幸せだが…ん?寝てしまったのか
では介抱するかわりに尻尾をもふらせて貰おう
(ご機嫌に友の尻尾もふもふしつつにこにこ酒を飲む
●お酒は楽し、もふもふも楽し
大宴会が繰り広げられる永久桜島の大食堂、その入り口に近い方の席ではご機嫌な笑みを浮かべて終夜・嵐吾(灰青・f05366)が筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の杯へ酒を注いでいた。
「さけはのんでものまれるな!! ようわかっとる!! なー、せぇちゃん!!」
もう酔っているのではないかという程のご機嫌さで、へらりと嵐吾がそう言うと清史郎も穏やかな笑みを浮かべて頷く。
「うむ、らんらんの言う通りだ。俺達はよくわかっている……そうとなればだ、らんらん。存分に頂こう」
「さすがせぇちゃん!」
お酒が大好きな二人が熱い視線を交わし、互いに注いだ杯を乾杯と合わせ、くうっと飲み干した。
「これ、うまいのう」
「らんらんはそれが気に入ったのか? よしよし、お代わりを貰ってやろうな」
すっと清史郎が手を上げれば、どんな喧騒の中でもすっと給仕を受け持っている女の子が注文を聞きに来てくれる。それにきちんと礼を言うものだから、海賊の女の子達からの人気はうなぎ登りというやつである。
「はー、酒はよい……命の洗濯……」
疲れが吹っ飛ぶようだと、嵐吾がお代わりを持ってきてくれた女の子に手を振った。
「ああ、楽しく飲むのが一番だ。らんらんは飲むとすぐ愉快になるしな」
もう既に愉快な感じになっているのを、清史郎が楽しそうに眺めて杯を空ける。
「楽しく飲むのも良きつまみじゃが、やはり味も重要である……ん、今わしが愉快じゃっていうた?」
特にこの日本酒が美味だと、ほんのり染まった頬で聞き返す。
「うむ、美味なつまみや甘味も欠かせない。うむ、言ったぞ? 愉快ならんらんと酒を飲むのが俺は楽しいぞ」
「まぁなんでもうまいがの! またまた、せぇちゃんはわしをおだてて」
なーんもでんぞ、と嵐吾が尻尾をゆらゆらさせてへにゃりと笑った。
尻尾が出ているではないか、と思いながら、清史郎がうんうんと頷いて持ってきてもらったお任せの甘味を摘まむ。
「らんらん、この甘味……すごく酒に合うな」
一瞬真顔になった清史郎がそう言うと、嵐吾が彼の手元へ視線を向ける。
「それ、なんじゃ?」
「木の実の蜂蜜漬けだな」
「ナッツ、ナッツはわしも好きじゃ」
箸を寄せ、一粒摘まんで口に放り込む。ナッツと蜂蜜の絶妙な味わいが口の中で甘く解け、そこへ酒を一口やれば――。
「これうまいな、せぇちゃん!」
そうだろう、そうだろうと清史郎が笑顔で頷く。
「はー、酒はうまいしつまみもうまい……それに何より、わしが酔いつぶれてもちゃんと介護してくれるせぇちゃんがおるしの」
お酒は大好きだけれど、そこまで強くもない嵐吾がちびちびと酒を飲んでそう言うと、清史郎が笑顔で答える。
「うむ、らんらんが潰れても、いつものように俺が介抱しよう」
任せておけと清史郎が手にした杯を空け、お代わりを注ぐ。
「いつもすまんな……すまんとおもっとらんけど」
だってせぇちゃんになら、任せられるからの! と、嵐吾がふにゃりと笑った。
「ふふ、酔ってふにゃっとなった様は面白いから構わない」
面白いし、可愛いと思えど疎ましく思う様なことはないから安心してほしいと清史郎が嵐吾の杯に酒を注ぐ。
「うむ、せぇちゃんの言うことじゃからな、信じる……しかしいつもながら、しれっとしてるの!」
酔った様子が見られない清史郎と、酒瓶の数を見比べて嵐吾が首を傾げる。
「俺も楽しい気分になっているぞ?」
そうかの……全然変わっとらんけど、と思いつつ、それならもっと飲めば良いのだと嵐吾が清史郎の杯に酌をする。
「ささ、せぇちゃんも飲むが良い飲むが良い……わしものむのむ……」
酌をしつつもぐびぐび飲んで、嵐吾がふわふわでもふもふの尻尾をゆらゆらと揺らす。よく揺れているその尻尾を、清史郎がガン見しているのにも気付かぬほど、嵐吾は気持ちよく酔っていた。
「島の海賊達の中でも一番の酒豪と勝負も楽しそうだな」
「おお、せぇちゃん挑みに行くのか?」
「いや、今はらんらんと飲むのが楽しいからな」
そう言ってくいっと飲み干すと、近くのテーブルで飲んでいた海賊の女の子達がこのお酒も美味しいからと、清史郎の杯に酌をしてくれる。
「おお、お酌してくれるのか? 有難う」
キラッキラの雅な笑顔で礼を言うと、女の子達がきゃあと笑って戻っていく。
「せぇちゃんは、せぇちゃんじゃの~」
「うん? 俺は俺だが」
きょとんとして首を傾げた清史郎に、嵐吾がそれはわしも知っとる~と返事をして笑った。
「皆でわいわい飲む酒はええよね~、敵も味方も酒宴では関係ないんが一番幸せじゃろ~? ふふ、たーのしー……スヤァ……」
パタパタと楽しそうに尻尾を振っていた尻尾がぴたりと止まり、嵐吾がテーブルに突っ伏した。
「確かに幸せだが……ん? 寝てしまったのか?」
「せぇちゃ……あとは、たのんだ……むにゃ」
すっかり寝落ちしてしまった嵐吾に優しく笑んで、彼の周囲の酒瓶を綺麗に片付けて寝入った顔を眺め――。
「では介抱するかわりに尻尾をもふらせて貰おう」
ご機嫌な笑顔を浮かべ、清史郎が艶々でもふもふの友の尻尾を思う存分撫でてもふって、それを肴に再び酒を飲むのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱酉・逢真
心情)明るいはニガテ、ヒトの酒も飲めん。じゃアどォすっかったら、猟兵側ァ手助けするよ。敵さんのみ潰し、宴を盛り上げて。俺自身はいつもどォり役立たンで、ちっこォくなって物陰、隠れていよう。
行動)酒飲みてェやつ、飲ませてェやつ。単に宴の席、好きなやつ。酔狂なお前たち、酒の席だぜ。しかも世界の命運にかかわる。酒豪・海賊を煽って飲ませな。飲みてェやつは好きなだけ飲みな。死んでるンだ、休肝日なんざいらねェ。そうだろう? …あン? 俺と飲みたいだとォ? ひ、ひ。いいよォ、彼岸の酒で乾杯しようか。生者にゃ見つからんよォにしてな。かわいい《仔》らめ、好きにおし。祭りだ祭りだ、正気はジャマさ。
鬼面坊・羅剛
たとえそこが戦乱真っ只中の異界であろうが
酒宴の機会ならば馳せ参じぬわけにはいかんな
「勝負といこう」
襲われている海賊を庇い、フラップテイルに飲み比べを挑む
こちとら百年ほど、幽世の妖怪相手に喧嘩と宴を繰り返してきた身だ
酔いが回りにくい酒の飲み方については心得ておる
どちらかが潰れるよりも早く
その場にある酒の方が尽きるだろうが
そうなったら指定UCで追加の酒と飲み仲間を召喚する
狙いは足止め
メガリスに関しては他の猟兵に委ね
己はひたすらに時を稼ごう
ただ、それはそれとして
相手が誰であれ、己の主催する宴の場では等しく客
飲んで歌って踊って騒ぐ、楽しい楽しい幽世の宴だ
歓迎する故、満喫していくがいいフラップテイル殿
隠神・華蘭
◎
狸とお酒は切っても切れないのですよぉ置物的な意味でも!
しかしいくらわたくしでも酒豪相手だと分が悪いですねぇ。
めがりす酒を頂くのが一番の近道と聞きましたし、
ちと珍しい物を海賊さんに差し上げましょう。
わたくしの故郷のお山の蜂蜜から作った蜂蜜酒でございますぅ。
確か北国の海賊さんは昔飲んでいたと主から聞きましたので。
あらぁ結局勝負しないと駄目と?
仕方が無いですねぇ、UCで軍隊狸を喚びまして
狸軍団vs海賊軍団で飲み比べ戦争といきますかぁ!
自分のふぁみりーが最後まで残っていたほうの勝ちですぅ!
上手いこといただけそうですかねぇ~。
あぁ~でも足がふらつくので他の猟兵さんにお渡しします、
後はよろしく~ぐふぅ。
●かみさま+悪霊+化け狸=ハイパー大宴会
永久桜島の大食堂で行われている大宴会、終わる気配など微塵もないこの大食堂の片隅で、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は小さな子どもの姿でそれを眺めていた。
「この距離でギリだなァ」
明るいのは苦手で、ヒトの酒も飲めやしない。疫毒のカタマリの身では相手に危害を与えてしまうから、近寄るのも拙い。しかも相手は素面ではなく酔っ払い、うっかり触れられでもしたら相手が腐り落ちてしまうだろう。
ではこの場でどうするかといえば、猟兵側をこっそり手助けするより他にない。
「まずは手助けする相手を探すとするか。ひ、ひ、イキの良いのはいるかね」
そう言って、葡萄酒よりも紅い眼を細め、大食堂を隅から隅まで眺めた。
例えこの場が戦乱真っ只中の異界であろうが、酒宴の機会だというのであれば馳せ参じぬわけにはいかぬと、鬼面坊・羅剛(幽世の修羅・f29378)が大食堂の暖簾をくぐる。
要は酒が飲めるならばそれが何処であっても行くしかない、という呑兵衛の心意気。鬼面坊・羅剛といえば、幽世の妖怪相手に喧嘩と宴を百年ほど繰り返してきた剛の者、酔いが回り難い飲み方も、どこが一番盛り上がっている席かも、それはもう知り尽くしているのだ。
「あそこか」
大食堂の中央に位置するテーブルに、羅剛が目指す相手がいた。
女海賊、紅のフラップテイル。酔うに酔えぬその身体であっても、酒を求めずにはいられないコンキスタドールと、島の海賊随一の酒豪、浪だ。
どことなく海賊達が距離を置くそのテーブルへ、羅剛が遠慮なく近付き声を掛ける。
「フラップテイル殿とこの島の海賊一の酒豪殿とお見受けする。ひとつ、俺と飲み比べをしないか」
正々堂々、真っ向からそう声を掛けられて拒める酒飲みがいようか。この二人もそうで、二つ返事で羅剛が飲み勝負へ加わることを承諾する。
「いいさいいさ、酒を飲む仲間は何人いてもいい」
「ああ、どうせアタシが勝つんだしねぇ」
バチバチと火花を散らすように視線が交わり、羅剛が席へと着いた。
そんな緊張感溢れる中央のテーブルを少し離れた位置で見ていたのは、狸とお酒は切っても切れないのですよぉ、置物的な意味でも! と主張する隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)だ。
「酒豪同士の勝負、なんだか見ているだけでもすごいですねぇ」
いくらわたくしでも、酒豪相手では分が悪いと考えあぐねていたところに、味方であろう猟兵の酒豪が乱入……いや、乱入というよりもめちゃくちゃスムーズに飲みの席へ入っていったのを見て、これはチャンスと笑みを浮かべる。
「めがりす酒を頂くのが一番の近道と聞きましたし、ちと珍しい物を海賊さんに差し上げるとしましょう!」
そうと決まればあの中央の、今まさに酒でも盛り上がっている場に行くしかない。
「どうしましょうか、給仕の振りをしていけばいいですかねぇ?」
取り合えずそうしてみようかと、華蘭がとっておきの大瓶を手に、中央のテーブルへと足を向けた。
「さぁさぁ、飲んでいらっしゃいますかぁ? こちらお酒が足りなくなってはいないですぅ?」
そこで! と、何処かの世界の通販番組もかくやたる見事な流れで、華蘭が手にしていた蜂蜜酒を取り出した。
「こちら、わたくしの故郷のお山の蜂蜜から作った蜂蜜酒でございますぅ」
黄金か琥珀か、それこそ蜂蜜と見紛うばかりの美しい液体が入った大瓶を恭しくテーブルへと置く。
「確か、北国の海賊さんは昔飲んでいたと主から聞きましたので、よければ飲み比べ勝負のお酒に加えていただければと」
「イイねぇ、蜂蜜酒じゃないか。それもこれはかなりの上物だね? 気に入った、アンタも此処で飲んでいきな!」
蜂蜜酒を気に入ったのか、フラップテイルが華蘭を席に座らせる。
「あらぁ……」
結局勝負しないと駄目だろうかと、華蘭が杯を受ける。
まぁいいでしょう、酒豪相手では分が悪いだけで、お酒は飲めるのですから! と、注がれた杯を傾けた。
「ひ、ひ、あそこが一等面白そ……いやァ、助け甲斐がありそうだ」
一部始終を見ていた逢真が、どれと助けの手を差し伸べるべく足元の影へと声を掛ける。
「おいでェ、酒飲みてェやつ、飲ませてェやつ。単に宴の席、好きなやつ、酔興なお前たち、酒の席だぜ」
そう言うや否や、影から人の形をしたものが現れた。
それは死後も逢真を信仰する、彼からすれば酔興な狂信者達。確りと人のなりをしているが、次の瞬間にはどんな顔だったかさえもわからなくなるような、そんな者たちが逢真からの命を今か今かと待っている。
「ちょいとあの真ん中の方、わかるな。酒豪の海賊を煽って飲ませな。飲みてェやつは好きなだけ飲みな。死んでるンだ、休肝日なんざいらねェ。そうだろう?」
ひ、ひ、と逢真が笑うと、彼らはその願いを叶えようと中央のテーブルへと向かって行く。
時を同じくして、酒が尽きる前に新しい酒を用意しようと羅剛が幽世の酒を召喚するべく力を解き放つ。ついでに場を盛り上げる飲み仲間も喚んでやるかと、力ある言葉を叫んだ。
「皆の衆寄り合い集いて来たれ! 飲めや歌えや踊れや騒げ! 楽しい宴の始まりだ!」
その声に集った妖怪達の手には、それぞれが美味いと自慢する酒が。テーブルの上には、いつの間にか空の瓶が消え失せて羅剛が召喚した美酒佳肴の数々が現れた。
「あら、これはわたくしも負けてはいられませんねぇ!」
賑やかしは多い方がいいでしょう? と、華蘭が笑みを浮かべて己の眷属を喚び寄せる。
「さぁさぁ、狸に加勢させておいて負けましたなどと言わせませんよぉ!」
現れたのは赤い帝国軍の軍服を着た化け狸達。
めっちゃ飲める狂信者達、めっちゃ飲めるしなんだったら宴会芸なんかで場も盛り上げる妖怪達、めっちゃ飲む気満々の狸達――。
「飲んで歌って踊って騒ぐ、楽しい楽しい幽世の宴だ。歓迎する故、満喫していくがいいフラップテイル殿、浪殿」
相手が誰であれ、己の主催する宴の場では等しく客、恐らくは海賊達とてそうなのだろう。酒を飲む者同士、一歩も引けぬ大宴会の始まりだ。
「さぁ、飲み比べ戦争といきますかぁ! 自分のふぁみりーが最後まで残っていたほうの勝ちですぅ!」
何か自分のふぁみりーじゃないのもいる気がするけど、それはそれだ。
酒の席は! 楽しんで! 飲んで! 最後まで飲んでいた者が勝者だと華蘭が笑う。
「分かり易くていいじゃねぇか、なぁフラップテイル殿!」
「ああ、そうさ! 最後まで飲んでいた者が勝ちとしようじゃないか!」
それは勿論アタシだと、不敵にフラップテイルが嗤う。
そこで羅剛と華蘭がそっと目配せをして、羅剛はフラップテイルを足止めし、華蘭は浪を潰してメガリス大吟醸を借り受ける――。即席のチームの出来上がりだ。
「ひ、ひ、いいねェ。俺が手伝ってやろうなァ」
羅剛と華蘭の為に、逢真が更に狂信者達に言葉を告げる。
「あの二人の猟兵の手助けをしておやり」
海賊達には手加減は無用と、大食堂の片隅で逢真が笑う。
「……あン?」
狂信者達がそぉっと逢真に酒とグラスを見せた。
「俺と飲みたいだとォ? ひ、ひ。いいよォ、彼岸の酒で乾杯しようか。生者にゃ見つからんよォにしてな」
この空気だけでも酔った気分になるには充分だが、そうねだられて否はない。何せ、どの命も命であったものも可愛いのだから。
「かわいい《仔》らめ、好きにおし」
祭りだ、と逢真が中央のどんちゃん騒ぎを見遣る。
「正気はジャマさ、ほうら見てみろ。もう落ちるぜ」
そう言って指をさせば、華蘭の相手する浪がテーブルに突っ伏して。フラップテイルは羅剛が相手をしているお陰か浪が潰れても気にした様子もなく飲み勝負を続けている。
「やりましたぁ、ではでは、こちらはわたくしがちょいと拝借いたしますよぉ」
浪が潰れ落ちる前に、懐から取り出した徳利を華蘭が見事に借り受ける。
「あぁ~でも、足がふらつくので……」
ここまでに華蘭も相当飲んでいるのだ、然もありなんである。
「これはぁ、他の猟兵さんに……お渡しします、後はよろしく~……ぐふぅ」
倒れる前に、見知らぬけれど猟兵の誰かへと手渡して――。
見事、メガリス大吟醸は猟兵達の手に借り受けられたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鸙野・灰二
【絶刀】夕立 / f14904
酒を飲みに来た。
確かに百年ひとの真似をしているが酒を飲む機会はそう無かッた。
知り合ッた酒飲み達は皆それは楽しそうにしていた事を思い起こす
成程楽しいとは真実らしい。ならば此れも良い機会だ。
虚言イカサマは彼奴に任せる
さて其処のお前、俺とひと勝負どうだ。
勝敗は簡単、飲んだ杯の数が多い方が勝ち。
分かりやすくて良いだろう?
敵方が勝負に乗ッたなら後は飲むだけ
……酒とはこんな味だッたか?
世界が変われば味も変わるもの、過去と今では更に変わッて当たり前か
切ッた張ッたの勝負じゃないが此れも中々楽しいものだ
さて。勝敗を決めるとしよう
俺も数えるンでお前も杯の数を数えろ、声に出してな。
矢来・夕立
【絶刀】ヒバリさん/f15821
オレの代わりにお酒を飲んでもらいます。
どちらでも、飲み足りないほうの相手をしてあげてください。
人の真似をしててもお酒を飲む機会なんてそうそうないでしょう。
楽しいらしいですよ。エンジョイ。
面白そうだから連れてきたわけでは少しありますが、勝たせるために呼びました。
策は準備してあります。ここがいつもの世界なら頭が良すぎて逮捕されるかもしれないヤツ。
確実に賭けに勝つにはイカサマが一番です。
盃なり、おかわりなり、何かを数える形の勝負に持ち込みましょう。
これは今日から使えるサムライエンパイアの兵法。
江戸が生んだ鯖の読み方(諸説あります)。
名を時そば。
今何時でしたっけ。
●渚の飲んだくれ
「酒が飲めると聞いてやってきました、オレは飲みませんけど」
代わりにこちらのヒバリさんが飲んでくれます、と矢来・夕立(影・f14904)がしれっとした顔で女海賊の前に立つ。
「なんだい、アンタは飲まないのかい?」
「生憎未成年なもので」
色々な法に触れてしまうと面倒なんです、と言いながら鸙野・灰二(宿り我身・f15821)をフラップテイルの差し向かいに座らせる。
「さ、ヒバリさん」
「酒を飲むのは一向に構わない」
オレはお酌係とさせてもらいます、と夕立が二人の間に座った。
「まぁいいさ、酒が飲めるってんなら相手はなんだっていいからねぇ」
では、と夕立が大吟醸と書かれた徳利を出す。何だかよくわからないが、挑むならこの酒でと言われたので。
それは今まで猟兵達が飲みに飲んでやっと借り受けることができた、どんな者でも酔わせることができる酒が湧き出るメガリスなのだ。
難点はと言えば、これをどれだけ飲ませることができるかという事なのだが……僕は飲みませんしね、と夕立が何食わぬ顔でフラップテイルのジョッキに遠慮なくメガリス酒を注ぐ。
「さ、ヒバリさんも」
どうぞ、と違う差酒を杯に注いだ。
「人の真似をしててもお酒を飲む機会なんてそうそうないでしょう。楽しいらしいですよ」
「確かに百年ひとの真似をしているが、酒を飲む機会はそう無かッた」
そう話す間にも、くいっとフラップテイルが酒を飲み干している。わんこ蕎麦ならぬ、わんこ酒とばかりに夕立がお代わりを注ぐ。灰二もくいっと飲み干し、知り合った酒飲み達が皆一様に楽しそうにしていた事を思い起こす。
「成程楽しいとは真実らしい、ならば此れも良い機会だ」
「ええ、存分に楽しんで下さい、レッツエンジョイ」
その澄ました顔を見て、虚言イカサマは彼奴の十八番ならば、俺はただ酒を飲むとしようかと灰二がフラップテイルに向かって口を開く。
「さて其処のお前、俺とひと勝負どうだ」
「アタシかい? 何の勝負……なんて聞くのは野暮ってもんだねぇ、ここで勝負と言えば飲み比べしかないからね!」
アッハッハ! と、高らかに笑ったフラップテイルに、灰二が言葉を続ける。
「勝敗は簡単、飲んだ杯の数が多い方が勝ち。分かりやすくて良いだろう?」
「ああ、ああ、イイねぇ、実にイイ! 受けて立ってやるよ、色男」
掛かった、と夕立が静かに笑む。
灰二を連れてきたのは面白そうだからというのも少し……いや、多分にあるのだが、勝たせるために呼んだのだ。
このオレが策も準備せずにのこのこと敵陣に乗り込むわけがないでしょう? と、夕立が灰二を見遣る。その視線を受け、何ぞ策があるのだろうと頷いて灰二は杯を差し出す。
「もちろんありますよ、ここがいつもの世界なら頭が良すぎて逮捕されるかもしれないヤツ」
「……そうか、俺は飲むだけだ」
全くわからなかったので、大人しく注がれた酒を飲む。
夕立の動きを見ていれば、フラップテイルに求められればメガリス酒を注ぎ、その数をコインで積んでいく。それは灰二に対しても同じだった。
「……酒とはこんな味だッたか?」
「生憎オレはそれについてコメントができないので、差し控えますが」
うっかりコメントしてしまったら、飲んでるかと言われてしまうし、違うと言えば味も知らないのに適当な事を言うなと言われてしまうかもしれないし。
「でも、一般論で言うとすれば、国が違えば酒の味も違うと言いますから」
「成程、世界が変われば味も変わるもの、過去と今では更に変わッて当たり前か」
「そういうことでしょう」
多分、知りませんけど。
そんな最後の言葉は飲みこんで、夕立はお代わりを求められれば求められただけ、杯に酒を注ぐ。
「お酌BOTみたいですが、いいでしょう」
しかしアホみたいに飲むな、この女海賊。メガリス酒、本当に効いているのか? と思いつつ、じわりと差の出るコインの量に夕立が灰二の杯に急かす様に酒を注ぐ。
「美味い、切ッた張ッたの勝負じゃないが此れも中々楽しいものだ」
「ハッハァ、アンタ中々分かってるじゃないか。そうさ、切った張ったもアタシの得意だけどねぇ、酒はまた違った良さがあるのさ!」
今まで酔った素振りも見せなかった女海賊が、どうやら何となくだが酔っている気がする、と夕立は思う。これはオレの用意した策……まあイカサマですけど、が確実に効果を発揮する、とも。
「まだ途中ですけど、どれくらい飲んだか数えてみましょうか」
「ああ、いいだろう。俺も数えるンでお前も杯の数を数えろ、声に出してな。まずはお前の杯からだ」
「ああ、いいさ!」
いーち、にーい、フラップテイルと灰二が数を数えだす。
「十六杯です。では、次はヒバリさんのを数えましょう」
これもまた、いーち、にーい、と一つずつ数えていく。十一、まで数えた瞬間に、夕立が不意に声を上げた。
「今何時でしたっけ?」
「アア? 十二時だろ?」
大食堂の時計を見て女海賊がそう言うと、すかさず夕立が十三、と続きを数える。
「はい、同じ十六杯でした」
そうかい、とフラップテイルが言って、また杯を傾けると、そっとコインを一枚足して灰二のコインを十六枚に合わせた。
これぞ今日から使えるサムライエンパイアの兵法、諸説はあれど、江戸が生んだ由緒正しい鯖の読み方。
「名を――時そば」
満足気に頷いて夕立がお酌するのを見て、灰二はやっぱりよくわからんなと思いながら杯を傾け続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリエ・イヴ
【⚓】
アドリブ◎
基本ウワバミ
ハッ!こういう戦いなら大歓迎だ
役割分担でもすりゃ効率はいいんだろうが
お前はそんなつまんねぇことしねぇよなぁ、ガイ?
喉を鳴らして問いかけて
ガイがいりゃ後顧の憂いもまったくねぇな
さぁ、正々堂々飲み比べといこうじゃねぇか
ドンと構えるは大盃
ちまちまやるのもめんどくせぇ
あとが控えてんだ
さっさと勝負をつけようぜ
ほら、ガイも
お前も出しな
ガイや相手に酒を注ぎかえしたら
不敵に笑って一気にあおる
盃が空になったら甘えるように
ガイに盃を差し出す
注ぎなおされればごきげんで
ああ、いくらでも飲めるな
メガリスを借りれりゃまた飲み比べだ
ああ、そうだな
最後は俺のこの盃と、お前のその酒で
改めて乾杯しよう
ガイ・アンカー
【⚓】
アドリブ◎
酒豪
役割分担も悪くはねえが酒も勝負も楽しむもんだ
最初からお前に乗るつもりだったぜ
アリエの肩に腕を回し笑う
酔ったらまた俺がおぶって連れて帰ってやるとも
この島一のメガリスを借り受けるほどに呑んでやろうぜ
って言った傍から大盃と来た
ははは!いいねえ
けどよ、言ったろ?楽しむもんだってな
そうだろう?と盃に酒を注いで
自分の杯にも酒を受ければ景気良く煽ろう
空の盃にはアリエの呑みが良かった酒を注ぎ直すさ
いくらでも注いでやるし付き合ってやるよ
酒を呑みつつアリエの髪をくしゃりと一撫で
帰りも任されたしな
借りれたらもう一戦だな
さあ、勝利を呑みとりに行こうぜ。船長
勝利の美酒にはとっておき(イヴ)を開けるぞ
●勝利の美酒
永久桜島、この島の食と酒を一手に引き受ける大食堂で、アリエ・イヴ(Le miel est sucré・f26383)とガイ・アンカー(Weigh Anchor!・f26515)の二人は血沸き肉躍るような馴染みのある空気に楽し気な笑みを浮かべていた。
「ハッ! こういう戦いなら大歓迎だ」
飛び交う酒瓶、心地良い喧騒、酒場特有の空気にアリエがガイを見遣る。
「役割分担でもすりゃ効率はいいんだろうが、お前はそんなつまんねぇことしねぇよなぁ、ガイ?」
くつくつと喉を鳴らしてアリエが問えば、当然と言ったようにガイが頷く。
「役割分担も悪くはねえが酒も勝負も楽しむもんだ、最初からお前に乗るつもりだったぜ」
当たり前だろう? と、ガイがアリエの肩に腕を回して笑った。
そのまま顔を近付けて、あれが件のコンキスタドールみたいだな、と耳打ちをする。ガイが言う方を見れば、確かにハネオツパイのような姿をした女海賊が景気よく杯を傾けているのが見えた。
「酔ったらまた俺がおぶって連れて帰ってやるとも、存分に飲むとしようぜ」
「ハハッ、ガイがいりゃ後顧の憂いもまったくねぇな。そういや、この島一のメガリスとやら――」
そうアリエが言うと、丁度給仕を務めていた女海賊がアリエに視線を止めて教えてくれる。
「ああ、それならうちの酒豪が酔い潰れちまったから、猟兵さん方に貸すことになったよ」
必要ならほら、あそこにと彼女が指さす方を見れば、フラップテイルが飲んでいるテーブルにドンッと置かれているのが見えた。
「手間が省けたな」
「省けたとしても、俺達はあの女海賊を酔い潰す、そこに変わりはねぇよなぁ?」
アリエの言葉に、ガイがその通りだなと頷く。
メガリスの酒とやらにも興味は死ぬほどあるのだ、善は急げとばかりにアリエがガイを連れてフラップテイルのテーブルへと向かった。
「よぉ、邪魔するぜ」
「アアン? アタシに用かい?」
「ああ、俺達と正々堂々飲み比べといこうじゃねぇか」
たんまり飲んで、飲ませてといこうぜとアリエが笑い、ドンと大盃を構えて見せた。
「ちまちまやるのもめんどくせぇ、そうだろ?」
「酒の勝負ならどれだけでも受けて立ってやるさァ、さあさあ、こっちにも大盃を持ってきなァ!!」
程よくメガリス、大吟醸の酒を飲んでいるのだろう。フラップテイルが上機嫌でそう言った。
「ははは! いいねえ、大盃と来た!」
豪快に笑って、ガイが席に座るとアリエもその隣に座る。並んだ大盃三つに、しれっとメガリス酒を手にしてガイが注ぐと、さっさと勝負をつけようぜと不敵に笑ってアリエが大盃を片手で持ってぐいっと飲み干していく。
「はは、美味い酒だな。ほら、お前らも飲めよ」
いい飲みっぷりを見せつけたアリエがそう言うと、ガイもフラップテイルもそれに倣うように酒を飲み干す。
「イイねぇ、このカーッと来る感じ、ああ、いい酒だねぇ!」
終ぞ酔うことの無かった女海賊が、酩酊感を感じ取ったのか上機嫌で笑う。
「ほら、ガイ。お前も出しな」
メガリス酒の徳利を持って、大盃を差し出した二人にアリエが注いでやると、返杯だとばかりにガイがアリエの盃に注いだ。
「ああ、コイツは予想しなかった美味さだ。これなら楽しく飲めそうだな」
そうだろう? と笑ってガイが今度は自分が先だとばかりに景気よく盃を飲み干した。
「そうだな、こいつは確かに特上品だ」
負けじとアリエが飲み干せば、フラップテイルが次を寄こしなと空にした盃を見せ付ける。注いで飲んで、飲んで注いで、何杯飲んだか分からなくなってくる頃に、フラップテイルの動きが鈍くなる。
「どうした女海賊さんよ、もう降参か?」
ハッと笑いながら、アリエが空になった盃を甘えるようにガイに差し出すと、それに柔らかく笑ってガイがなみなみと酒を注ぐ。
「ハァ? アタシがこれっくらいの酒で、酔うわけが、ない、だろ……!」
そう言って差し出された盃に、アリエが溢れんばかりに酒を注げば、フラップテイルが一気に呷った。
「そうこなくっちゃなぁ!」
機嫌よく笑ったアリエがぐいっと飲むと、ガイもそれに合わせて盃を傾ける。そうして、空になった盃にまた酒を注ぐのだ。
「フラップテイルが潰れても、いくらでも俺が注いでやるし付き合ってやるよ」
「そいつはいいな、ああ、すごくいい」
ガイの手でくしゃりと撫でられた髪に、擽ったそうにアリエが笑う。
「さあ、勝利を呑み取りにいこうぜ、船長」
この勝負に勝ったなら、勝利の美酒にはとっておきを開けるぞとガイが唇の端を持ち上げる。
「ああ、そうだな。最後は俺のこの盃と、お前のその酒で改めて乾杯しよう」
イヴと名付けられた、最高の美酒をと二人が笑った。
「は、アタシが、酔い潰れ、る、なんて、あって、ああ、酒に酔えるなんざ、最高じゃないか……!」
カラン、と大盃が地面に落ちる。
それと共に、酔えない女海賊フラップテイルも、地に伏した。
今までに猟兵達と飲み比べた酒量はとっくに限界を超えていたのだろう、そうしてそのまま幸せな顔をしたまま、二度と目を覚ますことはなかった。
酒豪大戦争、これにて終幕でございます――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵